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#1
第075回国会 社会労働委員会 第15号
昭和五十年五月二十九日(木曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     柏原 ヤス君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         村田 秀三君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                山崎  昇君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                神田  博君
                斎藤 十朗君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                片山 甚市君
                浜本 万三君
               目黒今朝次郎君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
   政府委員
       労働大臣官房長  青木勇之助君
       労働省労働基準
       局長       東村金之助君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  水谷 剛蔵君
       労働省婦人少年
       局長       森山 真弓君
       労働省職業安定
       局長       遠藤 政夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       労働大臣官房労
       働保険徴収課長  中谷  滋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○委員派遣承認要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 原子爆弾被爆者等援護法案及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(村田秀三君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 原子爆弾被爆者等援護法案及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(村田秀三君) 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○片山甚市君 ただいま議題になりました法律案に対して御質問をしたいと思います。
 昭和五十年二月現在における掛金の状態、すなわち千円、二千円、三千円、四千円でどのぐらいの割合で加入の状態になっておりましょうか、お伺いいたします。
#10
○政府委員(東村金之助君) 二月現在という数字がまだ出してありませんので恐縮でございますが、別の数字を申し上げたいと思いますが、中退金制度における平均掛金納付年数は四十八年度末における被共済者について見ますると、約五年となっております。それから退職金の支払い状況を四十八年度について見ますと、一人平均六万九千円となっております。いずれにいたしましても、制度発足以来それほど時間がたっておりませんので、こういう状況になっていると私どもは考えております。
#11
○片山甚市君 いまお答えをいただきましたのは、掛金の状態でありますが、これは中小企業退職金共済事業団の資料、昭和五十年三月号、第十四巻の十二号に掲載するところによると、月次の加入脱退状況ということで現在五十年の二月では十六万六千五百四十一の共済契約者数があり、それに基づく被共済者数は百四十七万一千七百六十三とあるんでありますが、そのような状態の中で、いわゆる掛金のその中で占める割合というのについて、別表によると、四十九年は二千円の方は一九%、一千円の方は一八・九%、四千円の方は一六・四%、三千円の方は八・五%ということになっておるわけです。これを申し上げるのはなぜかというと、今回新しくつくられようとしておりますところの八百円から始まる金額ではなくて大体一千円を超える金額が大半を占めてこなければ共済の価値がないということになっておる。そこで、五十年の二月現在では、五月の加入者の状況で言うと、これは四千円の方が一九・四%、二千円の方が一九%、一千円の方が一七・九%、三千円の方が九・〇%、その他が三四・七%になっております。そういうようなことについて、これは大体間違いないでしょうか。
#12
○政府委員(水谷剛蔵君) ただいま先生の読み上げました数字はそのとおりでございます。
#13
○片山甚市君 実はこれと呼応いたしまして、掛金がいわゆるいまの制度でも四千円、二千円、千円、三千円というものが相当の部分を占め、そして約三五%の方がそれ以外ということになっておるんですが、制度加入の企業の大多数は中規模以下であるということになっておりますけれども、その状態はどのようになっていますか。
#14
○政府委員(水谷剛蔵君) 制度加入の企業の割合を見ますと、全体の平均は三十人以下ぐらいを下回っておりますけれども、全体を一〇〇といたしまして規模別の加入状況といいますか、それを申し上げますと、一人から四人の規模のところが三三・五%、それから五人から九人が二七・五%、それから十人から十九人が二二・一%でございます。その他二十人以上は、たとえば二十人から三十人が八・五%、三十一人から五十人が五・一%、それから五十一人から百人が二・六%、それから百一人から二百人が〇・六%、二百一人を超えるものは〇・一%というようなことでございまして、二十人以下が大部分といいますか、そんな状況になっております。
#15
○片山甚市君 いま御説明がありましたように、規模の状態は二十人未満の方が八〇%を占めることになっておるわけです。そこで、いわゆるいま二百万事業所のうち対象人員が千五百万だとこの記録にあるんですが、現在時点で先ほど私が申し上げた数字に間違いないのか、加入の状況はどうでありますか。
#16
○政府委員(水谷剛蔵君) 先ほど先生が申し述べました二月末現在、共済契約者数十六万六千五百四十一、それから被共済者数が百四十七万一千七百六十三人というのは中小企業退職金共済の「事業概況」に載っておる数字でございまして、おっしゃるとおりでございます。
#17
○片山甚市君 そういたしますと、昭和三十四年発足したときには掛金額が四百三十二円だと統計に示されておるんですが、今日の平均掛金月額は幾らになりましょうか。
#18
○政府委員(水谷剛蔵君) 四十九年十二月末現在になりますが、現在は暫定値ですが、千八百七十五円というのが平均掛金額でございます。
#19
○片山甚市君 そこで、お尋ねするんでありますが、昭和四十九年度の掛金総額は幾らになりましょうか。
#20
○政府委員(水谷剛蔵君) 昭和四十八年度における掛金収入の総額は約二百四十八億円でございます。
#21
○片山甚市君 それに対して国が三団体に補助金として出した金額は十五億八千四百四十万円だとありますが、それに間違いございませんか。
#22
○政府委員(水谷剛蔵君) そのとおりでございます。十五億八千四百四十万六千円でございます。
#23
○片山甚市君 このような状態で二十人未満の事業所が大体八〇%所属しておりますと同時に、掛金総額が二百四十七億九千九百九十二万円というのに対して国が三事業に対して出しておる補助金が十五億八千四百四十万円というのは、大体省として妥当な数字というようにお考えでございましょうか、お伺いいたします。
#24
○政府委員(東村金之助君) これは国が出しているお金と言いますのは退職金給付の一部とそれから事務費の金額になるわけでございますが、この制度は本来任意の共済制度でございまするので、私どもは、多ければ多いほどいいという言い方はおかしいかもしれませんが、できるだけ多くを望んでいるわけでございますが、現状のところこの程度のところでやっていかなきゃならないのじゃないか、かように考えております。
#25
○片山甚市君 そこで、この事業に対して三年未満で退職をする者は幾らになりましょうか、いままで年にいたしまして、毎年。
#26
○政府委員(水谷剛蔵君) 実は三年未満で脱退する人の数というのを計算してないわけでございますけれども、掛け捨て、掛け損というのが、この制度は一年未満が掛け捨て、それから二年が掛け損ということになっておりますが、その掛け捨て、掛け損の対象がどのくらいあるだろうかという、何と言いますか、推定を一応いたしたわけでございます。それによりますと、四十八年度中の加入者が二十六万六千八百人でございまして、それの一年未満の脱退率が一八%ということでございますので、大体四万八千人程度といいますか、その程度が一年未満の退職者というふうに推定いたしております。それから、一年以上二年未満ですか、これが、同じように推定いたしますと、その人たちが落ちますので三万九千人、三万九千八百二十八人という一応の推定をいたしておりますから、大体四万人程度というようにいたしております。で、三年目はそれよりも多少減るといいますか、そういうような推定をいたしております。
#27
○片山甚市君 実は私どもの手元にあるもので見ますと、昭和四十六年で掛金収入が百八十億円で、退職金支払い額、解約手当を含めて六十四億であります。それに対して国が支払っておるのは、いわゆる国庫補助は二億だということになっておる。これで見ますと、国の補助額は実際上非常に低い、こういうように考えておるので、これらについて答申の行われていましたところの掛金月数がふえればそれに応じて国庫補助をふやすというようなことについてさらに努力をしていかれる考えはあるかどうかお聞きいたします。
#28
○政府委員(東村金之助君) 先ほどもお答えいたしたように、この制度は本来任意加入の制度となっておるわけでございますが、できるだけ退職金給付を厚くするということがわれわれも望ましいことと考えております。そこで国庫補助率の引き上げについてもいろいろ問題がございますし、もちろん国庫補助率が引き上げられれば給付がよくなるわけでございまするので、建議にもございますように、私どもとしてこれからいろいろむずかしい問題はございますが、さらにがんばって検討してみたいと思います。
#29
○片山甚市君 実は先ほどのお話ですと、一人当たりの年金の退職金の支払い額が非常に少ない、こういうことでございましたが、昭和四十六年に平均の支給額が五万円だというように私の方で資料見つけてみました。それは中小労働者の市場の特殊性から大企業よりも移動が激しいこと、それは中小企業の場合、熟練形成が渡り歩くことによって行われるという性質を持っておるというように指摘されておりますが、四十六年度の平均掛金が千三百五十七円、平均支給額が四万九千二百九十一円だというと、これ平均すると三年程度でやめておるという平均になるんです。そういうことで、先ほど三年未満で退職する者はどういうことになっておるかという御説明を求めました。そうしたらいま申されたように四万八千名程度、一年未満。一年から二年までの者は約四万人、それから三年未満の分については約それより少ないぐらいであると、こういうことでありますが、これを考えてみますと、長期の加入者が優遇されるということが人材を確保するというために必要であるならば、この制度の改善というものについてはもっと任意加入であっても国庫補助率を上げるということに何としても力を入れなければならぬ。財形と同じように、金は集めるけれども実際それに対する給付が十分でない、こういうように思うんですが、さらにそのようなことについてどのような措置をとられるかお聞きをしたいんです。
#30
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生お話しあったとおりでございまして、この制度におきましては、短期でおやめになる方については掛け捨て、掛け損というような制度がございますが、そういう原資を元にいたしまして長期間在職している人の給付を厚くしよう、こういうたてまえで運営しているわけでございます。ただ、それにも限界はございます。したがいまして、国庫補助ということが問題になってくるわけでございますが、再三申し上げまするように、これは強制加入ではございません。関係の事業主が、中小企業の事業主がみずから進んで任意に加入する制度にたてまえはなっておるわけでございまするので、国から出す補助金にも限界はございますが、ただいま先生の御指摘もございますし、私どももできればそのようにしたいと考えておりまするので、さらに今後審議会等にお諮りしながら努力してまいりたい、かように考えております。
#31
○片山甚市君 それでは長期の方々に有利なように、人材確保をするために、企業のいわゆる振興のためにというようなことを考えておるようでありますから、それでは二年未満の方は何%、五年未満の方は幾ら、五年以上は幾ら、十年以上の方は幾らというように加入の比率についてお知らせを願いたいんですが。
#32
○政府委員(東村金之助君) 昭和四十八年度末における被共済者について掛金納付年数別の被共済者の割合を見ますと二年未満で三二・一%、二年から五年未満で二六・八%、五年以上十年未満二五・四%、十年以上で一五・七%となっております。
#33
○片山甚市君 それで十年以上の方が一五%を超えておる、こういうことでありますが、先ほど私がお聞きをした三%という線を引くと推定でどのくらいになりましょうか。――失礼しました。三年未満ということで線を引きますと、いまは二年で三二・一%、二年を超えるものから五年で二六・八%になっていますが、これを三年といういわゆる掛け捨て、掛け損ということから掛金のままというところになり、補助金のない線になりますとこの三年というところでは幾らでしょうか。
#34
○政府委員(水谷剛蔵君) 先ほど申し上げましたように、一年未満が一八・七でございまして、一八・七と二二・四と一〇・三と合わせますと四二・四%が三年未満というように推定いたします。
#35
○片山甚市君 大臣にもお伺いしておくのでありますが、実は二十人未満の事業所が八〇%ある、三年未満で転職をしていく者がいま言うように四二%程度ある、この人たちを大体踏み捨てにして積み上げていって、残った者だけがオリンピックじゃないけれども優勝者になる、こういうのが共済ということになるだろうかということについては私は意見があるのです。意見があるから質問しておるのです。いやけしからぬと言っておるんじゃないんです。このあたりについて審議会が抜本的にどういう施策をすることがいいのか。私は三年でやめなきゃならぬ理由があると思うのです。会社がおかしくなることもありましょうし、御本人の都合でどうしてもやめなきゃならぬこともありましょうし、中小企業の労働条件は市場の大きな波をかぶって不況――今日のようなときには特にそうでありますが、転々として渡り歩かざるを得ない。先ほどぎごちない私は話をしましたけれども、渡り歩かなければならぬような幾つかの経営上の、また労働者の置かれた条件がある。これに対して日を当てないで、残り約五〇%程度の人か――十年以上というのか一五%、五年以上が二五・四%だという、結果的にはそうでありますけれども、その過程として、いまつくられてから十五年、十六年たっていますが、これに対して格段の努力をしてほしいと思うんですが、大臣の気持ちはいかがでしょうか。
#36
○国務大臣(長谷川峻君) 今度改正で皆さんに御審議願っておりますのは、従来は事業所をいろんなことがあってやめた場合にはそこが掛け捨てになっておる、しかしいまから先は事業所を変わった場合には前のやつも生きてくる、こういうところに私は大きなメリットがある、そういう意味での御審議をいただいている。その間に二十人以下の方々が八〇%もいるという中小企業のいかに大事であるかということも御理解いただく、こう思っているわけでありまして、補助金等々の問題なども出ましたが、いまから先も審議会のいろんな御意見などもありますし、皆さん方のこうした御意見などもありますので、そういうものの建議を中心にしていろいろな改善の策については考えてまいりたい、こう思っています。
#37
○片山甚市君 通算制度については、いままでの例で言いましても、四十六年度の表を見ますと約一〇%程度が通算ができるところのようであります。これではやはり十分でない。これは後で申しますけれども、大臣がそう申されておるので……。私は先ほどから申しますように、くどいけれどもいわゆる二十人以下のところが八〇%加入し、三年未満で四二%の方々が転職をしていく。掛け捨て、掛け損というような形の中の人について一段と配慮を加える、このようなことをしてもらいたいと思います。
 次に、実はお手元、お手元というか労働省の方にそういう資料があるかどうかお聞きしたいんですが、五人未満の事業所で、大体そこの事業所の状態はどのようになっておるか。大体大づかみで言いますと労働者名簿、雇用者名簿、賃金台帳、あるいは一人当たりの給与、年齢階層別にどのような者が雇われておるか、それで勤続年数はどのくらいか、こういうようなことと、いわゆる採用や退職の状態はそのような五人未満の事業所ではどのような変化をしておるかということについてお調べなされたことがありましょうか、お聞きをいたします。
#38
○政府委員(東村金之助君) そういういま先生お話ございましたような特別の調査は実はありますが、ずっと継続しているわけではございません。手元にございませんので具体的に数字その他申し上げられませんが、大づかみにいたしまして、そういう中小企業といいますか、零細企業といいますか、そういうところの労働条件は大企業に比較いたしまして相対的に劣っているということは事実でございます。そしてまた、労働者の入職、離職というのも大企業等に比較して激しい。したがいまして、一般の事業場の方々に対するよりも労働者の退職の動きがよけいに出ているというような形になっていると思います。具体的には数字、手元にございません。
#39
○片山甚市君 実は社会保険庁の方で調べたものがございまして、これによりますと、健康保険及び厚生年金保険の適用を受けないいわゆる五人未満の事業所等を強制適用事業所として適用を拡大すると考えた場合に、その業務量や財政等の影響を考えて、それをどのようにするかという資料を得るために調査しました。昭和四十七年度の統計調査、総理府ですが、の調査で、常雇い規模で一人から四人の事業所として、大体産業分類では、農業、林業、漁業、飲食店、旅館、洗たく屋、その他の個人サービス業、映画館業などを調べたということになっておるのです。それで全国の大体三分の一の十六都道府県を選定をし、北海道から鹿児島までを調べた。これは千二百九十地区から無作為で、そのうちから二分の一を抽出した、こういうことです。これは社会保険に関してちょっと調べたいことがありまして厚生省の方から資料をいただいたものですが、これで見ますと、実に驚くなかれ二千六百五十四事業所の中でいわゆる労働者の名簿の整備をされているところが二九・七%、整備をしていないのが七〇・三%になっておるのです。賃金台帳のごときは五〇・三%が整備されておりまして、整備されていないが四九・七%です。経理の方はさすが税金の関係がありますからおおむねやられておるということに相なります。
 それで常雇いの男女の構成ですけれども、男が四七・四%、女が五二・六%ということになっておりまして、そして常雇いの年齢階級別構成から言いますと、二十九歳以下が三八%、三十歳から四十九歳までが四三・八%、五十歳以上が一八・一%、こういう割合で、実は年齢三十歳から四十九歳が断然多くなっております。
 そういうような中で、一人当たりの賃金というのは五万九千五百円であります。先ほどいわゆる掛け金の問題について、月額で五十年の二月に、事業団の報告によると、二千四十円でございましたが、二千円を超した程度を平均月額で掛けておると、こういうように事業団の報告がありますけれども、その事業が掛ける金額というのは、賃金が五万九千五百円程度、こういう零細な企業であります。
 そういうような状態の中で、勤続年数から言いますと、一年未満が二〇・五%、三年未満が二六・五%、それから三年から五年の人が一七・四%、五年以上が三五・六%というのが、いろいろな業態があるんでありますけれども、平均的なことであります。ですから、ここでも言えることは、いわゆる三年から五年までの方々は断然多いと、こういうことに相なる。ですから、この中小企業退職金共済制度ができましても、十五年とか二十年を勤めるというならば、事業体を強くする以外に、社会環境をよくしない限り、その事業体で永続的に十五年も二十年も勤めるという人はほんのわずかな人になる。転々と歩かざるを得ないと言うことについて注目してもらいたい。賃金についても今日の現在状態で五万九千円、そして賃金台帳がない、あるいは労働者名簿、雇用者名簿もない、こういうような状態の中に置かれておる労働者がごまんとおる。たくさんおるということについて、もう労働大臣もよくお知りでありますけれども、これを改善をしていくのは並み並みならぬことである。任意加入だと、――任意制度であるからこそ、これが力を入れるんであります、強制ならば、そうしなくても法的拘束力を持ってやるんでありますから。そういうようなことであります。
 特に退職等の問題は、総数で言うと、いわゆる百人について七〇・六人です。やめるというか、移動は。採用が三四・三、退職が三六・三です。いわゆる一年間に三十四人ないし三十五人が採用され、三十六人ないし三十五人が退職していくというのが実態であります、一年に。ですから、三年もたちますと、多くの方々が他の職種に移る。通算制度をとるとしても、そういうことを十分にわきまえて、いわゆるかたくななことでなくて、中小企業、零細があれば必ず移動する、その人に対しては温たかい手を加えたって、日本の国は税金の使い捨てではない、その人にこそ温たかい光を与えるべきだ。こういうようにしてもらわないと、今日しておることについては十分でないと思います。
 ですから、私がよその省の、同じ政府の資料でありますが、資料を申し上げたのは、可能な限りそういう実態を労働省がつかむのが労働省の仕事ではなかろうか。私がお聞きをすれば、こんな中小企業退職金共済制度をつくる、強化をするというのなら、そういうことについてはお金に糸目をつけないとまでは言いませんが、つけても相当丹念につけて、そしてそれについては打てば響くような形でやっておると思うが、さらに努力を願いたい。いかがでございましょう。
#40
○国務大臣(長谷川峻君) ただいまの、片山さん、よその役所と申されましたが、同じ政府の中の資料てございます。そしてその間に出ておる資料は、まさに日本の中小企業の実態をよく私は的確に把握したもんだと思います。中小企業であるがゆえに名簿が整理されなかったり、税金関係だから経理の方はいいが、ほかの方はずさんだというふうなことも中小企業の私は弱みじゃなかろうかと思います。
 おっしゃるとおり、日本にはこうした中小企業の方々が二千数百万いるわけでありまして、それに何がしかの手当てをしようということで中退金のこの法律もできて、今日改正の時期になったのも、実は労働省とすれば、そちらの方々の方に手を差し伸べるという感じでやってきたわけでありまして、こういう事態でありますから、ますますもって労働省は中小企業の関係の方々に対しては一層、御注意のこともございますし、また私たちも政策としてそういう大事な段階じゃなかろうか。安定成長のときに一番しわ寄せを受ける人々はこういう方々であるという認識は持っておりますので、懸命にひとつ施策の充実を図ってまいりたい、こう思います。
#41
○政府委員(東村金之助君) 先ほど申しましたように、こういう零細企業についての一−四人のような事業の労働の実態は労働省でもつかんでおります。必ずしも先生が御指摘のような事項ではございませんが、つかんでおります。ただ手元にございませんので、内容を申し上げられなかったわけでございます。
 さらに、いま先生の御指摘、私どもも非常に感銘を受けて聞いたわけでございますが、中小企業の退職金と言いまするのは、中小企業でも退職金制度を持っているところと、持っていないところがある。その持っていないところの人たちを中心として共済制度をやってその補完をしていこうと、こういう趣旨のものでありますが、おっしゃるとおり、一口に中小企業と言いましても、その中に中規模のもの、小規模のものもあれば、さらにその下といいますか、そこに零細企業があるということは非常に大切なことで、この中小企業退職金共済法に限らず、われわれの労働基準行政におきましても、そういう零細企業の労働条件の向上というのは何とかしなければいかぬ、何とか重点を置かなければいかぬということを考えて行政を運営しているわけでございます。せっかく御指摘がございましたので、その辺の問題についても、中小企業退職金の問題に即しながら、審議会等の御意見を聞きながらさらに充実していこうと、かように考えております。
#42
○片山甚市君 いまおっしゃられておるように、中小企業についていわゆる十分に手厚いことをやりたいと、こう言われるときの焦点が、いわゆる自分で退職金制度を持てるような中小企業ならよろしいが、持ちにくいところでありますから、それに対するてこの入れ方ということになると、今度の中小企業退職金共済審議会の答申では、――二つの点で無視されていますね、国庫補助の引き上げについて、「掛金納付が長期にわたる者については、」特に「国庫補助のあり方を検討すべきである。」ということになっておるのですが、四百円を八百円にしたということで、いままでの五%−一〇%の率を掛けただけしか改善を見られておりませんが、なぜそうなったのか、そうしていつこれをどのように改めるつもりか、大臣にお伺いいたします。
#43
○国務大臣(長谷川峻君) 審議会におきましては、本制度のこの基本的な問題につきまして御論議をいただいておりまして、五年目ごとに見直しの時期に限っておりますが、それでもしかし不十分であるということでありますので、引き続き論議を重ねていく必要があると思って、それがまた建議に加えられているわけでありまして、いずれにいたしましても、この法律案が御可決いただきました暁には、諸準備が整ったあとで基本的な検討にじっくりと取り組みたいと、こう思ってそういう御意向に沿うてやってまいりたい、こう思っております。
#44
○片山甚市君 それでは、この法律案が改正になったならば、それに基づいていま申し上げたことについては検討して充実をさしていきたいというようにお答えがあったとしてよろしゅうございますか。
#45
○政府委員(東村金之助君) その前に一言申し上げますと、これは実は先ほどの問題の繰り返しになるかもしれませんが、退職金の給付の内容を厚くするためには退職金カードの描き方ということと同時に、国庫補助の問題があると、そこで国庫補助をできるだけ厚くしなければいけない。四百円が八百円に変わったに応じたもの以外に、率そのものを上げなければいかぬ、特に長期の人について。という御指摘だと思うわけです。これは建議の中でもそういう趣旨のことがうたわれておりますし、われわれもそのとおりだと思いましていろいろ努力はしたわけでございますが、先ほどから繰り返しておりますように、任意加入であるという一つの性格がございまするし、強制してこの制度に加入させるわけにはいかないという性格論からして、なかなか国庫補助というものが十分でないということになってしまったわけでございますが、ただいま大臣からの御答弁もございましたように、今後も引き続いてそのような問題をもちろん念頭に置きながら検討してまいりたい、かように考えております。
#46
○片山甚市君 それじゃ大臣がうなづいておりますからそれはやってくれると。担当の方はまたいろいろと言うておけば後でできなかったことは言いわけできると思って言っておるかわかりませんが、大臣の顔見たらやはり正義の味方みたいな顔しておるのですからそれはやっていただけると思います。
 そこで、掛金の月額の増額を行った場合、今回の制度上の月額引き上げについては一年間だけ増額したものについて認めていこうということになっております。なぜ一年間しか認められないか。今後は三年以上たって増額した場合は、いわゆる増額分について目減りをしたり、掛け損になったり掛け捨てにならぬようにしたらいいではないかと思うが、どうか。それで、答申に言うとおりに、制度加入後の相当年数を経ている者についての改善を図るべきだということについて先ほどから何回も言いますけれども、問題であります。特に前段の方のいわゆる月額引き上げについて掛け捨てになるということになると、係官が非常に困るというふうに聞いておるのですが、何年も掛けておるわけでありますから、その間に掛けた金が損をするということになると、職員でも難渋しておるというふうに聞いておりますが、これについて解決する見込みはありませんか。
#47
○政府委員(東村金之助君) 建議に触れられておりまするので建議の内容を簡単に申し上げますと、前々から掛け捨て、掛け損の問題は問題になっておりました。そこで、建議におきましては「可能な範囲内において、当面、制度加入後相当年数を経ている者」、つまり長期に在籍している者「や制度上の掛金月額の引上げに応じて一定期間内に掛金月額を増額した者」、こういう者についていまの掛け捨て、掛け損について検討すべきであるという建議をいただいたわけでございます。そこでいろいろ検討を重ねた結果でございますが、まずこの制度は発足以来十五年のそれほど日がたっていないということ、それから一般的に掛金月額の増額がなされる場合を優先すべきであること、これは前回の掛金月額の場合に徴しても非常にそこに不平といいますか、不満が多かったということがございまするので、そういう点を優先すべきだ。それから収支の状況等をあわせて考えますと、長期在職者についてこの掛け捨て、掛け金をなくするようにするのかあるいは掛金月額の引き上げに応じて一定期間以内に掛金月額を増額した者にするのかということを考えまして、われわれは後者に当面行うべきだと考えまして今回の法案をつくったわけでございます。これだけでも十二億円に上る支出増になるわけでございますが、それでは長期の在職者についてどういうふうに考えるのかという問題は実は残される問題でございまして、今後の収支の推移等を見た上でさらにその改善について慎重に検討していきたい、かように考えております。
#48
○片山甚市君 それでは長期の者についてはこれから審議会等を通じても十分に検討するというようにお答えをいただいたものとして次のことについて質問いたします。
 審議会については制度加入について建議として「従業員全員の加入をはかるよう指導の徹底を図るべきである。」とおっしゃっておりますが、どのような形で今後やっていかれるのか、包括加入の原則は崩れておるということは、金融会社に頼むということになっておるのではないか、このあたりはどうでありますか。
#49
○政府委員(東村金之助君) この制度へ加入をしてもらいたいということをいろいろPRその他やっておるわけでございますが、加入企業については、法令上の除外対象者は別として、従業員全員、つまりいま先生のおっしゃったように、一部の人ではなくて、従業員全員が加入ができるようにという姿勢で、私どもはその趣旨の徹底を図っているところでございます。しかし何分にも、先ほど来先生の御指摘のように、対象の事業所等が零細であったり、あるいは非常に数が多いというところでなかなか行き届かない点もございますが、私どもはさらにそのような姿勢を徹底してまいりたい、かように考えております。
#50
○片山甚市君 この制度の加入については、いわゆる加入のときにチェックをしていない、こういうことで、私たちは契約時におけるところのやり方を、加入第一主義でなくて、事業団として包括加入をさせるために手を加えていく、こういうようにしてもらわないと、金融機関が一定の力を加えてこういうようにしたらよろしいよということで行政機関にかわってやっていると思いますから、さらに一段の努力を願いたいと思うのです。
 そこで、現在のこの制度と民間の類似制度と比べてみて魅力が乏しい、これを言いますと、また、これは任意加入ですからそれはやむを得ないのです、こういうふうにおっしゃるかと思います。御承知と思いますが、川口市に特別退職金制度というものがございます。川口市中小企業従業員退職金等福祉共済というのがございますが、これは従業員が二百円、いわゆる雇用主が千円、川口市が七千万円出して行っておる。これは事業所数にいたしますと一万五千三百五十二あります。それに対して国の制度に入っているのは千二百六十です。市の制度に入っておりますのが千四百十七です。ところが国の制度には四千八百六十人が入っております。市の制度には一万四千四百六十人入っておるのです。これはなぜかと言いますと、給付内容が国のこういう制度よりもずっと至れり尽くせりになっておるというように思います。私は、国がやる方が自治体より悪いというのはあたりまえだと大臣がおっしゃるなら別でありますけれども、この市は御承知のように鋳物の特別の地場産業育成ということもございましょう。しかしながらこのようにすればこれだけの人が救われるということがあるのでありますが、労働省としてはそのようなことを参考にしながら、審議会において善処していただくことは大事だろうと思いますが、お伺いをいたします。
#51
○政府委員(東村金之助君) 地方公共団体等で類似の制度を設けているものはいろいろございますが、これらは現在御審議願っておる中退制度とはちょっと性格が異なりまして、業務上の疾病に対する給付金や若年労働者の厚生研修等特殊な給付を行ったり、それからいま問題になっております退職金についても長期勤読者よりも短期勤続者に重点を置いている等々の特色があるように見受けられます。御指摘の川口市が実施している場合は、おっしゃるとおり確かに給付内容はこの制度よりもいい面が多々あると思います。これはいろいろ原因はございますが、収支計算上の問題として、予定脱退率の問題とか、資産の予定運用利回り等の問題が中退の制度と違っているという点もございます。ただいま先生おっしゃったように、これは任意加入だからということを私ここでは申し上げるつもりはございませんが、中退と言いますのは、いわば全国全業種を通じて一本のものでございまして、こういう川口等におけるような、その地場、その産地に特定な問題を設定してやる、そういうことがちょっとできにくいので、まあ、いわばその給付が比較的にそういう特定の制度よりは劣っているうらみが出るということは否めないと思います。いずれにいたしましても、ただいま御指摘ございましたように、こういう川口市を初めいろいろやっているところがございまするので、そういうのを審議会等の審議の過程で参考にして、さらに審議を進めていきたいと、かように考えております。
#52
○片山甚市君 ここの労働者は労働金庫を使うとかそういうことができない非常に小さい職場に働いております。いわゆる川口市の場合でも、住宅建設資金として最高で百五十万円年利五分です、貸し付けることになるし、福祉資金として進学とか出産のために二十万円を最高限度額として五年間で年五分でお貸しをすることになっておる。私たちは今度のたくさんあるお金を何とかそういうようにそこの労働者を信用してやっていただけないだろうか、こういうふうに言うと、目的が違うから、それは国が吸い上げて利回りのいいところで使いたいんだ、資産を運用したいんだと、こういうふうにおっしゃっておるけれども、やはり私たちはいまあるお金をどのように、長期的に見ても短期的に見てもその労働者の福祉になり、その産業振興のためになるように使うということで審議会で考えてもらいたい。これは時間ございませんからこのぐらいにしますけれども、「人材の確保に国の退職金制度」と、こういうようなことで1、2、3、4、5、6と書いてありますが、このものすばりが実行されてない、こういうように考えます。
 そこで、引き続き質問いたしますが、中小企業退職金共済制度の改善のために速やかに審議会において制度全般について、――本年度実施になるんでありますけれども、この改正案は。直ちにいわゆる審議を再開して改正を、再検討を加えることを考えていただきたいと思いますが、大臣いかがでしょう。
#53
○国務大臣(長谷川峻君) この制度ができまして十五年でございますか、その間にそれぞれの経済情勢に応じまして幾たびか改善を図ってきたことであります。今回も掛金の範囲の引き上げによりまして今後五年程度を一応の耐用し得るものと考えておりますが、実情に即しないものあるいは社会の変化、いろいろな複雑なそういうことに対応して、必要に応じて改善をするということは当然でございますので、この法案の御可決の後には皆さん方の御意見、いまの情勢等々を勘案いたしまして審議を審議会にお願いしたいと、こう思っております。
#54
○片山甚市君 この法律が実施される十二月ごろからはぜひとも真剣にやっていただきたい、こういうことを重ねて申し上げます。
 次に、審議会において労使双方の委員の意見が一致するものについては最大限尊重するということで施策について十分に御努力を願えるだろうか。特に国庫補助について、掛金納付が長期にわたるものについて検討すべきであるということ、あるいは中小企業の場合に、非常に零細な者が転職する場合の通算の問題等についての障害、これらについて特に配慮を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
#55
○政府委員(東村金之助君) 先ほどから大臣お答えしているとおり、いろいろ問題が残っていると、その運用についてもただいま先生御指摘のような問題もございますと、そういう基本的な問題を含めてこの中退金制度がより円滑に、より魅力あるものにしていこうと、こういう趣旨のものでございまして、審議会の皆さん方の十分な御検討を願って一つの結論の方向づけをしていただきたいと、こういうふうに考えております。
#56
○片山甚市君 それでは労使双方の委員の意見が一致をしたものについては尊重してそれが実現のために努力をするというお話があったと承り、次のことを質問いたします。
 制度の運営に当たりまして中小企業退職金共済事業団が非常に大きな役割りを果たしていただいておるんでありますが、この事業団の役員についてですが、労使双方それぞれ推薦する者を選任し、関係労使の意見を十分に反映をする、このようなことについて御配慮を賜りたいと思いますが、この真意を受けていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#57
○政府委員(東村金之助君) この事業団そのものはどちらかと言いますと、大変言い方は悪いかもしれませんが、技術的なことが中心になって運営されておるわけでございます。したがって、業務執行に責任を負う役員たるにふさわしい人であれば広い範囲から適切な人に役員になっていただくことに異論はないわけでございまして、事業団等の運営に労働者のあるいは使用者の意向を反映させるということであれば、審議会もあることでございまするので、先生御指摘の役員になるとか、あるいは団体に直接参加するというのが唯一の方法であるとは限らないと思いますが、その辺のところはひとつ今後の審議会等でもあるいは問題が出ると思いまするので、その辺の御検討もしたいと、かように考えております。
#58
○片山甚市君 これは従来から関係の者たちの間で非常に重要な意見でありまして、その取り方、その労使の意思の反映の仕方はいろいろございましょうが、確実に労働者、使用者側の意見が反映するような構成にしてもらいたい。いま人事の問題でありますから、いろんなことでお断りをしておりますけれども、すっきりそういうような形で実行上見ても労使の意見を反映したなと思われるようなあと筋が出てくるように御配慮を賄りたい。
 次に、先ほど大臣は五年間を見通して今回改定をいたしましたのでと言いました。しかし、今日の消費者物価の上昇等を見ておりますと、大臣がおっしゃるとおりになるかどうかわかりません。で、私たちは掛金額の改定については消費者物価が五%上昇したときには五年の改定期を待たずに行なうとともに、特に最低掛金額については毎年それを検討して切り上げ、退職金の水準の低下を防ぐように御配慮を賜りたいと思いますが、いかがでしょう。
#59
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほども多少その問題に触れたつもりでございますけれども、やはりそのときそのときの必要に応じ、情勢に応じてこういうものは運用していくのは当然じゃなかろうかと思います。これはこだわる必要はないと思います。そういうことで審議会の方にそういう基本的な問題についての御検討を常にお願いするような姿勢でまいりたいと、こう思っております。
#60
○片山甚市君 昭和四十五年には百五十八万円程度のいわゆる退職金が今日は三百五十万、四年ぐらいの間でちょうど倍ほどに退職金そのものがモデルだけでも変っておると、こういうことを考えてみますと、十分にいま大臣がおっしゃったことについては反映をしてもらいたい。
 時間がございませんからはしょって言いますが、先ほどから再々私が繰り返し繰り返し申し上げておる掛け捨て、掛け損の改善に含めて掛金と支給率の関係については抜本的に検討を加える、審議会においてもよき結論を出していただくように政府としてもそういう御配慮を賜りたいと思いますが、いかがでしょう。
#61
○政府委員(東村金之助君) 先ほどから申し上げたとおりでございますが、魅力のない中小企業退職金共済法というようなことがよく言われます。その一つには、先生御指摘の掛け捨て、掛け損の問題があるというふうにわれわれも考えております。今回の建議におきましては先ほど申し上げましたように、長期在職者と掛金を増額する際における一定の条件にある場合について掛け捨て、掛け損を検討すると、こういうことになっておりますが、今回は後者についてその検討の成果を盛ったわけでございます。長期在職者については従来から問題がございまするので、その問題についてはさらにどのようにしたらうまくいくのか、どのようにしたら財政収支上の問題が解決できるのか等々の問題がございますのでなかなかむずかしいとは思いますが、さらに検討を進めていきたい、かように考えております。
#62
○片山甚市君 いわゆる掛け捨て、掛け損の短期の問題について解決するためには十八億円程度の金が今回要ったと、長期の問題についてはこれからさらに検討していきたい、こういうことでありますが、やはり答申の趣旨から言いますと、それは一番大きな問題になろう、中退金のいわゆるバックボーン、こういうものになろうと思いますから、さらに勉強していただきまして、われわれの希望にこたえていただきたい。
 さて、次でありますが、自己退職による退職の場合であっても、いわゆる退職の契機にやむを得ない事情がある者については通算を行うように改めるということですが、やむを得ない事情とはどんなことになるのか、こういうことについて簡単にお答えを願いたいと思います。
#63
○政府委員(東村金之助君) これは労働省令で定めるということになっておりまして、審議会で御検討願っていただくわけでございますが、私どもが考えておりますのは、たとえば国もとにいる親が、御両親が働けなくなったと、そのため国もとへ帰るというような場合にはこれはやむを得ず退職する場合であると、それに準ずるような問題がいろいろ出てくると思います。
#64
○片山甚市君 いまお答えございましたが、私たちは、これが法律が改正になれば政令等で定める場合、特に自己の都合によってやむを得ないということが納得できるように審議会等には十分に諮っていただき、万般遺漏のないように取り計らっていただきたい。肝心なところはここになるわけです。実際は法律の表文は先ほどから私、こういうふうに演説しておりますが、あなたの方ではさして痛くもないような顔をしておるけれども、このあたりが最も勝手にしようと思えばできることでありますから、勝手にする意思はない、審議会に十分に意見を反映すると言われましたから、これについては特にお願いをしておきたいと思います。
 特にそういうような意味で退職金の差別条項の問題です。法十条によりますと「事業団は、被共済者が退職したときは、その者に退職金を支給する。ただし、当該被共済者に係る掛金の納付があった月数が十二月に満たないときは、この限りでない。」と言って、一項起こし、そして三項にいって「波共済者がその責に帰すべき事由により退職し、かつ、共済契約者の申出があった場合において、」は云々ということで、「省令で定めるところにより、」と、そしてその次に、法第二十五条で「不利益取扱の禁止」をしております。これは非常に抽象的でございまして、「中小企業者は、退職金共済契約に関し、従業員に対して不当な差別的取扱をしてはならない。」「中小企業者は、退職金共済契約を締結しようとする場合においては、従業員の意見を聞かなければならない。」、このような形で不利益の禁止をしておるのですが、施行規則第十八条による「退職金減額の認定基準」でございますが、この中で第一項の「窃取、横領、傷害その他刑罰法規に触れる行為により、当該企業に重大な損害を加え、その名誉若しくは信用を著しくき損し、又は職場規律を著しく乱したこと。」これは冒頭のどろぼうしたとか物を横取りしたとか、人を傷つけたということでありますから、これはこれなりの刑法上のいわゆることもありましょう。関連もありますが、次の「秘密の漏えいその他の行為により職務上の義務に著しく違反したこと。」、これは私たちの立場から言いますと、特に機密漏洩ということは、公害の問題等のことについて、うちの会社ではこうこういうような公害の原因をつくっておるというようなことを言えば、これだけでもいわゆる首を切ることができる、または首を切るというか、退職金を支払わなくても済むようなことになりそうだ。それから三つ目に「正当な理由がない欠勤その他の行為により職場規律を乱したこと又は雇用契約に関し著しく信義に反する行為があったこと。」ということになっております。私は、いわゆるこの条項が特に慎重に取り扱わなきゃならないと思うのは、これによって差別を生じないか、こういうことであります。冒頭に申しましたように、窃盗とか傷害とかそういう横領とかいうことがあってするのは別のことで処断ができるし、明らかでありますけれども、特に中小企業の場合は、この施行規則第十八条の各号について不当差別が企業主ができることにならないだろうか。そういうことについては断じて認めてない、こういうことになろうかと思うんです。「職場規律を著しく乱したこと。」が明らかになり「秘密の漏えいその他の行為により職務上の義務に著しく違反したこと。」、こういうことについてでございますけれども、大変むずかしい問題で、このことについては退職金の不当差別にならないように改めてもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
#65
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生御指摘にございましたように、施行規則十八条には一号から三号までに具体的に規定しているわけでございますが、これは一般の企業におきましても、労働者の責に帰すべき事由による退職の場合については、その労働者に対して退職金を全く支給しないというようなのが行われておりまするので、それに準じたような形で、しかも具体的にこういう基準を設けたわけでございますが、ただいま先生おっしゃったように、何かこれによって差別的な問題が起こらないようにという御心配、御指摘でございます。われわれももちろんそういうことがあってはならないというふうに現に厳しく考えているわけでございます。で、いずれにいたしましても、この退職金を減額するに当たっては都道府県知事の認定が必要でございまするので、その際に御指摘のような乱用は実際上起こらないというふうに私どもは考えておりますが、御指摘ございましたので、さらにそれは注意しなければいかぬと思います。
 なお、念のために申し上げますと、この退職金支給を減額するということは大体一年に二、三件程度ありまして、現在まで累計が三十六件ということで、いま先生の御心配のようなことが従来万々なかったと思いますし、今後も気をつけてまいりたい、かように考えております。
#66
○片山甚市君 そういうことでこの条項が差別につながらないような具体的な指導を行い、措置をとっていただきたいと思います。
 そこで、実は死亡時における退職金の問題ですが、法案十条では、掛金納付の月数が十二月に満たないときは、その限りでないと書いてありますが、私は、死亡した場合にはその掛金ぐらいのものは払い戻すというか、その人間に香典料として渡しても、そうたくさん死ぬんではないから大変いいことではないか、そのぐらいの金を積み立てても大したことない。たくさん死んでほしいと思ってないんですから、死なない方がいいと思っておる。たまたま亡くなった場合に十二カ月掛けてない、十一カ月だから支払わないと、こう言わないで、むしろ掛金ぐらいはお金些少でございますがということで、実際は香典がわりに差し上げてもいいのじゃないか、法第十条について再検討してみる必要はないか。これこそお金が要らなくて温いもんじゃございませんか。お金がたくさん要って補助金要ります、国庫補助金くれと言ったら、任意でございますから困りますというのに、任意で積み立てた金を今度は没収する、これは少しお金をふところから取るのは取り過ぎじゃいですか。亡くなった人のお金ぐらいは元のふところに返してあげてもいいじゃないですか。こういうことについては何か次までの間に改善をする用意はございませんでしょうか。
#67
○政府委員(東村金之助君) 昭和四十五年の改正によりまして、ただいま先生お話しございましたように、死亡した場合には退職金額が掛金相当額を下回るような場合であっても、少なくとも掛金相当額は支給するというふうに改めたわけです。ただ、十二カ月未満の場合は死亡による場合であっても退職金は支給されないということになっている、そこの点をいま御指摘になったと思うんですが、確かにおっしゃるような気持ちの上からいってもその辺のことは配慮すべきじゃないかという御指摘でございます。われわれも寄り寄りは考えてはおるんですが、一般との均衡等がございまして、なかなか踏み切れてないんですが、その辺の実態をさらにつかみながら審議会等においてやはりこれも研究してみたい、かように考えております。
#68
○片山甚市君 労働省はせんだって労働者の奥さんが御主人が亡くなったらどんな苦しみがあるかということを二十七日ですか、発表されましたね、労働省、あなたの省は。調査の結果、いわゆる未亡人の方というか、御主人が亡くなったらどんな生活をしていいか、真っ暗になったと言っていますね。たまたま三カ月か四カ月で死んだ場合は、――この人は、三カ月や四カ月の労働者は死ぬときにはどこの会社に勤めてたかわからぬけれども、あるいは二ヵ月で死ぬかもわからぬ。おわかりでしょうか。だからそういうように考えてみますと、あのような報告をされておるんなら、あれとつないで、御夫人が今日御主人が亡くなったときにどれだけ苦しいだろう――大臣は失業は労働者にとって死刑にも値することだと、こうおっしゃる。しかし、死刑もそうだけれども、死ぬということは、死んでいった後の家族というものはどんなことになっておるか。国民年金であろうと何であろうと、いわゆる年金は半額しか奥さんはもらえない。こんなときにせめて中小企業、零細――先ほど言った二十名以下の人か八〇%も入っているところのお金でございますから、とにかくこんな法律、第十条ぐらいは取っ払って、心温まるようなことをしてほしい、こう思います。まあ、あなたの方は何と言うても、つべこべと言うが、もう何と言うてもごちゃごちゃ言うのが好きだけれども、わかったと、審議会にかけて考えようと、このくらいの答弁をして、審議会にかけてだめだと言ったら別ですよ、しかし世の中というのはそんな温かみがないところにすき間風が入るんであります。ですから、そういう点でもう一度審議会にかけてでもこれは検討してみてもらえないだろうかという片山委員の意見についてはいかがでございますか。
#69
○国務大臣(長谷川峻君) 片山委員のその熱心なお話、感銘いたしまして、そのとおりひとつ審議会にかけましょう。
#70
○片山甚市君 大臣ありがとうございました。こんなことがない方がいいんでありますが、しかし、人間仏様になったりすると、ひとしおにすべての恩讐を越えて新しい家族の門出を祝いたいものです。どうか、そういう意味でお願いしたい。
 私の時間はもうすでに十二、三分過ぎてしまって、同僚に頼んで少し続けさしてもらっていますけれども、すぐに終わりますから御勘弁を賜りたいと思います。
 通算制度を拡大し、通算するか否か労働者の自由意思による選択としてもらいたい。当面は運用により事実上労働者が選択できるようにしてもらいたいということです。通算制度の拡大については、先ほど申しましたように、どうしてもこの制度にとって通算制度をいかに拡大ができるかということは、そういうような制度を受け入れる企業主がたくさんできるかということとの関係であります。何も労働者がしたいと言っても、相手が、そういう制度を企業主がつくる意思がなかったり、そういう制度が魅力がなければできません。先ほどから国庫補助の問題でいろんなことを言っておるのは、企業主がそういうことが中小企業の振興にもなる、こういうことから入ってもらいたいと思うんです。そういう意味で、実は私の方は労働者の自由意思による選択、こういうような言い方をしておるんで、労働省がそうだと言うかどうかわかりませんが、当面の運用としては事実上労働者が選択をできるようにしてもらいたいということについていかがなものでございましょうか。
#71
○政府委員(東村金之助君) いろいろ申し上げて恐縮でございますが、今回、通算制度につきましては、従来、退職後一年以内に再び被共済者となった場合に限定されているのを、それが短か過ぎるのではないかということを考慮いたしまして二年に延長したわけでございますが、さて、転職した先の方で退職金共済に入っていないと、通算と言ってもなかなか実効が上がらないわけです。そこでその問題をどうするかでございますが、これは先ほどから繰り返しで恐縮でございますが、任意制度でございまするので、一つ一つ労働者が行った先の事業場に追いかけていってそれを勧奨するというのがなかなかできにくいわけでございまするから、私どもは、全体的に中小企業の事業主に対して中小企業退職金共済に入るようにということを勧奨しているわけでございます。そのことによって、一年を二年に延ばしたということとあわせて通算というものが実効性を上げられるのではないかと、かように考えております。
#72
○片山甚市君 まあ、大体ここのところが中退金事業団の人たちにとっても、省にとっても一番むずかしいことのようでありますが、何といっても、私は、これからここを突破口にして、先ほどは国庫補助の問題について言いましたから大体それはそれでいけると思うんです。いかに拡大をしていくのか、そしてその中小零細の諸君が国の力によって抱えられておる、これですね、やはり。大きいところを抱えようとして大臣ね、労働組合を相手にいろいろしよるけれども、それはいいけれども、労働組合をつくれぬような人たちのことは労働省もっとやらなければなりませんよ、これは私の言い方をしたら。ですから、――労働組合を軽視したりなんかしろとは言っていませんよ。それはそれでほうっておいても目の中に入ってくるんですが、この人たちのことというのは、いま、ときどき審議会があったり、ときどき陳情があったりして、はあっと、いいことを言うてそれで終わりになる。これでなくて、具体的にこの通算制がしけるためには、事業主自体が、この中退金制度によって中小企業が振興するんだ、こういうことにならなきゃならぬと思うんです。そういう意味で、いわゆる資金の運用に当たって、資金が中小企業の主及び中小企業の労働者に直接的にも役立つようにする、そのためには、中小企業金融三機関に重点的に振り向けるとともに、中小企業振興資金、いわゆる労働者の生活・住宅資金の融資制度を設けるようにわれわれは考えてもらいたいと思います。いま申されておるのは給付の国からもらう金でしょう。今度は積み立てた金。あなたたちは、年に二十億円かそこらの金を出しておるから、その二百四十億円とか二百五十億円の集まってきた金を自由にできるという言い方をするけれども、二十億円出したということは、それは円滑にすることです。そのお金を金利の回りの高いところにやりなさいと言っているんじゃないです。中小企業を振興させ、中小企業の労働者のためにこれはなっておるんだ、日常的にもなっておるし、いざというときにもなるんだ、こういうようにしてあげることが、何回も言いますけれども、二十人未満の零細企業にとってはこれこそ国は温かい家ですよ、国家になりますよ、自分のおやじになりますよ、こういう形にならないで、金を取ってすぐに財政投融資だなんだといって、いわゆる国の重要な施策に向けていく。国民金融公庫にもあるいは商工中金にもあるいは中小企業金融公庫にも金を出しておるよと、こうおっしゃるけれども、極端に言えば、それに直接向けていくと、それ以外の金はむしろほかの方に使う、ここで集めたお金はすべてが中小企業の主にも労働者にも役に立っているんだ、こういうように資金運用については努力をしているんだと、それで足りない分は国が援助をするということにならなければならぬと思うんですが、あなたたちの方が言うているのは、そんなこと言ったら利回りが問題になるじゃないかと、また、いわゆる利回りを考えなきゃいけるという二律背反のような話を委員会やそういうところでやっているように記録にありましたけれども、それは考えてもらいたい、いかがでしょう。
#73
○政府委員(東村金之助君) ただいまの中退金の資金運用の問題でございますが、これについてもいろいろの方面から御注文、御意見をいただいております。いま、最後に先生おっしゃいましたが、これは何と言いましても退職金の給付の財源でございまするので、安全な運用を図っていかなければいけないという要請が一つございます。しかし、せっかく、その具体的な給付を行う前には、お金があるんだから、そのお金を何とか中小企業ないしは中小企業の労働者に還元できるようなことができないのかという要請もございます。その辺のことはいろいろ法律にも規定されているところでございまして、その法規の枠内において現在運用されております。ただいま御指摘ございましたように、商工中金債等の債券の購入を通じて中小企業の資金の充当に資しておるということ、さらには勤労者住宅等の福祉施設のために融資をしているというような仕事をしているわけでございます。なお、個人的に労働者に貸し付けるということは、これはなかなかむずかしい問題があるので現在は行っておりませんが、そういう問題が現在のままでよろしいということをわれわれ考えておりませんで、さらにうまい――冒頭申し上げましたような要請を踏まえ、要件を踏まえ、さらに資金運用がもう少し勤労者のためにあるいは中小企業者のためにできるようということを、これも審議会等で前々から問題がございまするので、その御意見を聞いてまいりたい、かように考えております。
#74
○片山甚市君 最後になりますが、いまの話は、資金運用については審議会の審議事項として十分に意見を反映して善処してもらいたいということについて申し上げました。
 最後の項ですが、短期及び長期の普及計画についてですが、その実施状況を審議会に報告をして、普及を容易にするための皆さんのお知恵をかりるようにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#75
○政府委員(東村金之助君) 確かに現在の加入状況を見ますと、これで十分とは言えません。さらにさらに普及させる必要があると思います。現在もいろいろ月間を設けなり、あるいは広報誌を使ったりしてPRに相努めておりますが、それでも伸び方が十分とは言えませんので、現在中小企業退職金事業団ではいろいろ工夫を重ねまして、重点対象地区をつくったり、加入促進協議会をつくったりしながら知恵をしぼってやっているわけでございますが、この辺についてもせっかく御指摘ございましたし、皆さんの衆知を集めてPRあるいは普及促進ができればと考えておりますので、いろいろ検討してみたいと思います。
#76
○片山甚市君 重ねてですが、いま申しました短期及び長期の普及計画についてはやはり審議会でよく御相談をしていただけるかどうか、これは端的に答えていただきたい。
#77
○政府委員(東村金之助君) 審議会にお諮りして、いろいろ御意見を聞いてまいりたいと思います。
#78
○片山甚市君 どうもありがとうございました。
#79
○浜本万三君 できるだけ片山委員と重複をしないようにお尋ねをしたいと思いますが、前段はちょっと席をはずしておりましたので、あるいはちょっと重複するかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。
 まず最初にお尋ねをしたいと思いますのは、全体の日本の経済状態の中で、深刻な不況、物価高というものが進行しておるわけなんでありますが、そういう深刻な不況と物価高の影響というものを中小企業と労働者がもろに受ける、こういう事情があるというふうに思います。政府は最近物価抑制ということを経済政策の大きな柱にされまして、これまで政策を進めてこられまして、ことしの春闘は一五%以下でおさめるという方針かどうかわかりませんけれども、そういう気持ちで進められてまいりまして、低賃金の中で労働者が大きな犠牲を受ける結果になったと思います。一方、深刻な不況も一向に改善をされないで、まだなべ底の状態が続いておるというふうに思います。そういう中で、不況が深刻になればなるほど大きな犠牲を受けるのが中小企業であり、そこで働いておる労働者だというように思います。
 そこで、お尋ねをいたしたいと思いますのは、全体の雇用関係あるいは解雇されて職場を失った者、そういう者の状態がどのようになっておるかということをお尋ねしたいと思います。
#80
○政府委員(東村金之助君) いまの問題を私として申し上げ得るのは、失業者の推移がどうなっておるかということをもってお答えしたいと思うのですが、総理府の統計局が実施しております労働力統計によりますると、昭和四十九年度の平均の完全失業者数は七十九万人でございます。それが四十九年八月以降十月までで七十万人前後で推移しておりましたが、十二月に八十三万人、五十年一月に九十九万人、二月に百八万人、三月に百十二万人と、いわば二、三とほぼ横ばいの動きを示しておると、かような数字に相なっております。
#81
○浜本万三君 これは全体の数字だろうと思いますが、特にこの場合、中小企業の倒産とか中小企業の失業者というものはどうなっておるか、お尋ねをしたいと思います。
#82
○政府委員(東村金之助君) 企業の倒産あるいは中小企業の失業者でございますが、これも東京商工リサーチという例の会社が調査を行っていますが、四十九年度の総計で見ますと、一万一千七百三十八件、それから五十年三月で千二十三件と相なっております。その資本金五百万円未満、つまり資本金の少ないところ及び個人企業の割合が七八・七%と多数を占めております。なお、失業者のうち、中小企業の失業者の割合については労働力調査等で調査が実施されておりませんので、正確には把握できませんが、労働省で一方実施しております雇用動向調査によりますると、中小企業の離職率は四十八年では三十人から九十九人の規模で二三・九%、百人から二百九十九人の規模で二一・九%、千人以上の規模で一六・一%となっておりまして、やはり中小企業の離職率がやや高くなっておる、かような次第でございます。
#83
○浜本万三君 そういうふうに非常に中小企業の離職率が非常に高いというお話なんでございますが、これは将来の見通しを少し労働大臣に伺いたいと思うのですが、大体どういうふうに日本の経済状態を判断したらよろしいでしょうか。
#84
○国務大臣(長谷川峻君) やっぱり全体的には高度成長というものがすっかり終わりまして、「安定成長−夢よもう一度」というわけにはいかない、います。そういう中に、ただいまお話のありましたように、失業者の数が百十二万人、これはよその国に比較してまだいいとか悪いとかいう問題でなくして、そういう数字が出ておりますもので、この百十二万人の中には季節労働者――季節的なものが二十万人ぐらい入っておりますから、大体百万見当、こういうふうに考えられるのでありまして、私はいま労働省の関係専門家の諸君に相談しているのですが、いままでは高度経済成長で人手が足りないからさあ君も働け、あなたも働けということで、どんどんどんどんこう職場があったというかっこうになりますが、人が経済につられて働いた、しかしながらすっかりさま変わりでございますから、今度はやっぱり人間を中心にして経済を運営する必要があるのじゃないかというふうな感じからして、雇用計画というものをこの辺で見直していく必要があるのじゃなかろうか、これは経済企画庁などもいま考えていることでありますから、それに合わせながら私たちの方も人を中心にして経済を動かしていく方向が正しいのじゃなかろうかと思って、いま研究させているわけであります。
#85
○浜本万三君 そういうところで雇用庁構想というのが出たのかもわかりませんが、これはまたあと、いずれお尋ねをしたいというふうに思います。
 本論に返りまして、いまお話のように、中小企業が非常に犠牲が大きいということなんですが、その倒産をいたしました中小企業の中で、社内預金とか退職金が未払いになるとか、社会保険が掛けられていなくて失業保険がもらえないとか、いろいろな事例があるというふうに思いますが、退職金共済制度の加入企業でせっかく掛け金をしておるのですから、退職をした場合には当然その掛金に応じて退職金の支払い適用を受けなければいかぬと思いますが、退職金の適用状況というものはその中でどのようになっておるかということはわかりませんでしょうか。
#86
○政府委員(東村金之助君) これは具体的なまだ数値はないわけですが、したがって推計せざるを得ないのですが、まあ現在までのところ、退職金共済に加入している事業場についてはそのような厳しい景気後退の影響が出ていないような感じがいたします。具体的に申しますと、四十九年度中におけるこの制度からの脱退被共済者数は十九万四千六百九十七名でございまして、四十八年、それから四十七年と大体同じ水準にございまするので、特に急激にこの関係から脱退被共済者がふえたという感じは現在までのところはつかんでおりません。出ておりません。
#87
○浜本万三君 ただ、労働省から出た資料を見ますと、四十九年十二月、それから五十年一月の月を見ますと、これはいずれも加入労働者数よりも脱退者数の方が労働者の数にいたしましてふえておるように思いますので、この間の適用が相当増加しておるんじゃないかというふうに思って伺ったわけなんですが、そんなことはございませんか。
#88
○政府委員(東村金之助君) ただいまお話ございましたように、私、四十九年度全体について申し上げたわけでございますが、被共済者の脱退だけの数字を追っていきますと月を追ってややふえぎみであることは事実でございます。
#89
○浜本万三君 いずれにいたしましても、そういたしますと、余り共済制度を適用された数というものは多くないと、こういうふうに理解してよろしいんですか。
#90
○政府委員(東村金之助君) 多くないと申し上げてよろしいかどうか、こういう加入をしているところだけに限った問題でございまするので、何ともそれは申し上げられませんが、今後あるいは問題がさらに数字の上にあらわれてくるかどうかわかりませんが、何せ中小企業の一割程度の労働者の問題でございまするので、その辺の因果関係といいますか、影響の出方がストレートに出ていないということは言えると思います。
#91
○浜本万三君 それでは、続きまして、この共済制度が、先ほどお話ございましたように、昭和三十四年に労働者の福祉増進と中小企業の振興に寄与する目的で制定されたわけなんですが、すでに十五年経過をいたしましたので、今回の改正に際して一応制度の状況について総括をしてみる必要もあるんじゃないかというふうに考えますので、片山さんの質問と多少重複するかもわかりませんが、次の点をお尋ねしてみたいと思うんです。
 まず加入状況なんですが、労働省からいただいたこの資料によると、事業主が二十四万、それから従業員数で二百七十六万人というふうに発表されておるわけですが、四十八年度の加入状況が二十六万というふうになっておると思います。これは全体の中小企業の適用されてよろしい事業場の数から言えば一割程度だというふうに理解してよろしいですか。
  〔委員長退席、理事山崎昇君着席〕
#92
○政府委員(東村金之助君) 推計のごく大まかな数字としてはそういうことが言えると思います。
#93
○浜本万三君 それから、資産状況についてもう少しひとつお尋ねしますが、四十九年末で大体どのぐらいになっておるか、お尋ねしたいと思います。
#94
○政府委員(水谷剛蔵君) 資産の状況につきましては、五十年三月末現在の総額といいますか、総枠が一千六百五十六億円ということになっております。
#95
○浜本万三君 続きまして、掛金の状況についてお尋ねをするわけなんですが、先ほどのお話では、掛金の状況は平均いたしまして二千円程度だと、こういうお話がございましたが、千円未満、それから千円台、二千円台、三千円から四千円台というふうに分けて御説明いただきたいと思います。
#96
○政府委員(東村金之助君) 掛金額の分布状況ということだと思いますが、二百円から九百円まで、これが二一・六%、それから千円から千八百円まで、これが三一・七%、それから二千円と二千五百円が二二・一%、それから三千円から四千円までが二四・七%、これで合計一〇〇%になるわけでございます。
 なお、これは四十九年十二月末の数字でございます。
  〔理事山崎昇君退席、委員長着席〕
#97
○浜本万三君 平均は二千円程度だというふうに理解してよろしいですか。
#98
○政府委員(東村金之助君) 四十九年十二月末現在で、千八百七十五円でございます。
#99
○浜本万三君 千八百七十五円ですね。
 それから、四十八年度の掛金総額は幾らになりますか。
#100
○政府委員(東村金之助君) 四十八年度における掛金収入の総額は約二百四十八億円となっております。
#101
○浜本万三君 続きまして、支払い状況につきましてお尋ねをするんですが、まず四十八年度の支払い総額についてお尋ねをしたいことと、それからこれまでに――四十八年度でもいいと思いますが、四十八年度一カ年間に支払い件数が幾らで、それから一人平均の支払い額は幾らかということをお尋ねしたいと思います。
#102
○政府委員(東村金之助君) 四十八年度で申し上げますと、支払い件数は十二万三千六百件、支払い総額は八十五億三千五百万円、それから一件平均は六万九千円となっております。
#103
○浜本万三君 続いてお伺いしますが、脱退者と言いましょうか、退職者の状況を伺うんですが、その中で、先ほどから問題になっておりました、たとえば一年未満の退職者、二年未満の退職者というように、いわゆる掛け捨て、掛け損に類するものなんですが、一年未満、二年未満というふうに分けて件数及び金額を教えていただきたいと思います。
#104
○政府委員(水谷剛蔵君) 先ほども申し上げました人数と同様でございますが、先ほど金額を申し上げませんでしたので、両方申し上げたいと思いますが、一年未満の掛け捨てとして考えられる方の数が四万八千三十七人でございます。それからその金額が、これは推定でございますが、四億七千九百万円です。それからいわゆる掛け損と言いますか、掛け損が三万九千八百二十八人という人数を一応推定いたしておりまして、掛け損率等を掛けまして、それが掛け損額といいますのが七億三百万円余というように計算いたしております。この金額を合計いたしますと、十一億八千万円余でございます。
#105
○浜本万三君 いま伺いましたように、まず加入状況が非常に低い、それから脱退者の数というのが非常に多い、支給内容は非常に劣悪である、さらに、脱退者は掛け損及び掛け捨てという条件で、内容が非常に悪い、こういうことになっておるわけでございます。
 そこで果たしてこの制度が労働者の福祉増進と中小企業の振興という目的を果たしておるんだろうかという反省に立たざるを得ないというふうに思うわけでございます。
 そこで労働大臣、いまの総括の中で、大臣として一体どういうふうな評価をなさっていらっしゃるか、お答えいただきたいと思うんです。
#106
○国務大臣(長谷川峻君) いまの分析をお伺いしていると、損しているばっかりのように思われますが、一カ月に千八百七十五円ずつ掛けていきつつ、そしてそれが長く続く。長く続くことは企業がしっかりしているということ、本人が努力する意思があるということ。そういう中に、制度を前進させていくというところに企業の安定、ある場合にはまたそこに働く諸君の心の安定、それが福祉の向上、そういうものをねらっているものですから、ときには掛け捨てにならないように、掛け損にならないように通算というものの拡大等々もここに図っているというふうなメリット、それをまたさらに前進させるというところにこの審議をいただくゆえんがあると、こう思っているわけであります。
#107
○浜本万三君 この制度ができまして労働省の方で「中小企業退職金共済制度の実務 上手な利用の仕方」というパンフレットを発行されておるんですが、その中で、退職金制度の果たす役割りというこの内容をお書きになっていゃっしゃるんですが、一つは「良い従業員を雇うことができます」、二つは「従業員の労働意欲を高めます」、三つ目は
 「従業員の退職後の生活を安定させます」と、こういうふうに、まさに退職共済制度としてはこれ以上りっぱなものはないと、だからたくさん加入しなさいという意味のパンフレットが出ておるんですけれども、先ほどの総括の中でもう一回大臣にお尋ねするんですが、果たしてこのパンフレットのような目的が達成されておるかどうか。もし、達成されておるというふうなお答えはないと思うんですけれども、達成されてないとすれば、総体的に、今回の改正はあるけれども、さらに早急に審議会を開いていただきまして、抜本的な改正への運びをしていただかなければ、本来のこの制度の目的を達成することはできないというふうに思うんですが、その点について重ねてひとつお答えをいただきたいと思います。
#108
○国務大臣(長谷川峻君) 浜本先生のお話、あるいは先ほどの御質問ですね、片山さんの御質問、やはり基本的には日本の勤労者というものは大企業にいるところの人たちが非常に賃金交渉でも楽である。そういう中に未組織と申しますか、中小企業の方々がいろんな経済変動を一番先に受けやすい、ここに眼を注いでいくということはどうしてもいまから先一生懸命みんなでやらなきゃならぬということでございます。まあ、いまお読みになったように三つばかりのいいところばっかり出ているようでございますが、それは一つのねらいでございまして、そこへ行くためのいろんな歩みをいま続けている。でありますから、社会的要請が中小企業、こういう方々に対して、これはもうだれしもが考えていく大事な政治問題、経済問題ですから、そういう姿において私はいままで以上に審議会等々に御審議をいただく大事な機会じゃなかろうか、こういうふうに思っております。
#109
○浜本万三君 その次にお尋ねをいたしたいと思いますのは、先ほど片山委員の質問に対しまして、四十八年度の掛金納付年数別割合というのが御報告をされておるわけなんですが、また先ほど私がお尋ねをした中でも、退職者に対する平均一人当たりの支給金額は約七万円弱と、こういうお話でございました。そして納付金の年数別割合を見ましても、五年未満というのが極端に言えば六〇%いるということなんでございます。したがって、退職者の勤続年数というのは恐らく三年程度ではないかということが推定をされるわけでございます。こういうふうに中小企業の労働者の企業に対する定着率が非常に低いと、あるいはこの制度の活用が非常に少ないということは、せっかく制度があっても非常に問題だというふうに思うわけでございます。したがって、中小企業の定着率をよくする方法などにつきまして、当然労働省は十分意を尽くさなければならぬと思いますが、その点につきましてはどういうふうに大臣お考えでございましょうか。
#110
○国務大臣(長谷川峻君) やはり私は、いままでは高度経済成長でどんどん人が駆り出されたような姿、そういう中において中小企業の方々が賃金アップについても、率から言えば従来は一%、二%多かったんです。しかし、こういうふうな時期になりますというと、とてもじゃない、大きな組合が賃上げが前よりは少いと言うても取れるかもしらんが、中小企業の方はゼロであったり、逆に解雇される姿でございます。でありますから、中小企業対策としては通産省があったり、あるいはまた三機関が金融したりというふうなことでございますが、いままで以上に中退金の問題もその一つでございますが、ある場合には先日の雇用保険法の中の給付金の問題等々というふうなことを見ましても、本当に人の面からの労働省が中小企業対策というものを経済官庁と違う立場から真剣にひとつ考えていく必要がある、こういうふうな構えで、内部でいろいろいま勉強しているような姿であります。こういう中退金の法案が出ている機会に、組合の大指導者の皆さん方から中小企業の問題について御熱心にひとつ御発議をいただきますということは私たち非常に参考になる、こういうふうに思っております。
#111
○浜本万三君 そういうふうに中小企業の対策を積極的にやっていただくことを私も期待をいたしたいというふうに思います。
 それから加入状態が非常に悪いというのが先ほどの御答弁でもはっきりしておるわけなんですが、労働省からいただきました資料を見ましても、確かに昭和四十四年から四十八年の五年間に百二十二万から百四十二万というふうにわずか二十万人の増加でございます。それから四十九年度はわずか六万人の増加でございます。しかも四十九年十二月と五十年一月に限りましては不況の影響があって加入労働者数よりも脱退労働者数の方が多いと、こういうふうになっておるわけであります。審議会の答申でも加入の促進ということが要望されておるようでございますが、十月には大々的にやっていらっしゃるというお話なんですが、先ほど片山委員からも話がございましたように、積極的に加入促進の方法を講じてもらいたいということを要望しておきたいというふうに思います。
 それから先ほどの掛け捨て、掛け損に戻るわけなんでございますが、人員にして約八万人、それから金額にして約十二億円というものが掛け捨て、掛け損になる人員と金額ということになっておると思うんです。ところが政府が行っております現在の制度と並行いたしまして、先ほど片山委員から話された特定の市ないしは商工会議所あたりでこれよりもいい条件の中小企業の退職金制度というものをどんどん進められておるというふうに思います。私の出身が広島でございますので、広島県の商工会議所にそういうものがあるかということを聞きましたところ、やはり制度として十分行っておるということがはっきりいたしました。私のところの商工会議所がやっているのと、現在の制度ですね、改正以前の、これを比較をいたしますと、一年から五年までの間は商工会議所の方がいいわけです。たとえば五年の金額を比較しますと、商工会議所の制度が七万七百六十円、それから本制度が六万九千二百五十円、こういうふうによろしいわけでございます。それから二十年になりますと少し政府の制度がよろしいようでございます。いずれにいたしましてもそういうふうにせっかく政府がやっておる共済制度よりも自主的に地方の経済団体がやっておる制度がよろしいということになりますと、この制度を幾ら普及されましてもなかなか思うように成功しないというふうに思います。そういう点についてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。これは特に労働大臣の方から御発言をいただきたいと思います。
#112
○国務大臣(長谷川峻君) 直接適当なお答えができるかどうかわかりませんですけれども、これは全国、御審議いただくように、一割の中小企業者しか入っていないということを見ましても、PRが足りないというふうなこともありますが、私はほかの例でもそうですけれども、皆地方地方が当地の中小企業なりあるいは人をよけい働いてもらうというふうなことからして、それぞれおやりいただいていることはあえてこれだけじゃあらずして、ほかの問題でもたくさんあると思うんです。そのときのニードがそうさせる問題がたくさんある。きのう私はたとえば岐阜県に参りましてね、あそこではどういうふうにして中学校、高等学校の卒業生を集めているかという話を聞いてみますというと、「働きながら学校に」というスローガンを逆にして「勉強しながら働く」と、でありますから、まず高等学校の学生を就職してもらう場合には、現地に行って、この大学とこの大学、三部の大学に入ってもらうということでPTAを集めると全部来る。そのことが結局自分たちのニードを満足にし、生徒諸君の就職もいいし、定着率もいいというやっぱりそれぞれの地方のいい知恵が働いておるんじゃなかろうか。政府のやることですから、長い目から見れば確実であるということ、安全であるということ、そしてこれが日本全体の一般的なものであるから一般的な味の薄さというものはあるだろうけれども、確実さと安心感というふうなものがここに生まれ、そしてそれをときどき皆さん方の御審議に応じて、社会的な要請に応じてこれを変化させて続けていくというところに色をつけていく大事な問題があるんじゃなかろうかと、こう思っております。
#113
○浜本万三君 ちょっと私がいま申し上げました資料に間違いがございますので訂正しますと、広島の商工会議所でやっておるのは二十五年から国の制度の方がよくなっているということです。二十年の場合には国の制度の場合には五十一万八千七百四十円、それから商工会議所の場合が五十五万二千五百十円というふうに退職金がやっぱり多いわけでございます。そういうふうに訂正をしておきたいというふうに思います。
 それからもう一つ特徴がございますのは、掛け捨て、掛け損がないということでございます。たとえば一年の場合には退職一時金として千円の月掛けをしておる場合には一万二千円の退職一時金が支払われる。二年の場合には二万四千七百二十円退職一時金が支払われるということになっておるわけでございます。したがって、せっかく国の方がいい制度をつくって、これを中小企業に普及をいたしまして、制度の目的を達成しようというふうにお考えの場合には、地方で行っておる制度よりもさらにいいものをつくっていかなきゃならぬというふうに思っておるわけでございます。したがって、たとえば掛け捨て、掛け損の問題でありますとか、退職金のカーブの問題でありますとか、政府の補助金の問題でありますとか、こういうものに対して積極的に温かい手を差し伸べていかなければならないというふうに思います。したがって、私は再度これは大臣にお尋ねするのですが、掛け捨て、掛け損をどのようにしてもう少し前進した方向に直していくか、先ほどは早急に審議会にかけて協議をいたしますということでございましたが、これは審議会にかけて本当に早急に改善をするようにしてもらいたい。
 それからこの退職金のカーブの問題、これも先ほどの趣旨に沿ってもう少し前進をさせるようにしてもらいたいということをお願いをしておきたいと思いますが、どうでしょうか、御答弁いただけますか。
#114
○国務大臣(長谷川峻君) こうした御審議いただく中に皆さん方からお話しのあるように、やっぱり半歩あるいは一歩前進の姿というのは、お認めいただきながら御審議いただいていると思います。そしていま、それぞれの地方でそれぞれの工夫でやっていることも非常に参考になります。また、そういう力のない地方はやれないでいるわけでございます。そういうことからしますというと、それぞれの地方でやっておることなども参考にし、こういうところで出る御議論なども将来の指針として審議会等々に勉強していただく、こういう形こそが望ましいんじゃなかろうかと思っております。
#115
○浜本万三君 早急にひとつ審議会を本当に早く開催していただきまして、抜本的にもう一回ひとつやり直していただくように検討いただくことを重ねて要望したいと思います。
 退職金のカーブを直すということになりますと、やっぱり今度の改正案を中心にもう少しお尋ねをしなきゃならぬと思いますので、まず最初に、大企業の退職金の実情がどうなっておるかということをお尋ねしたいと思うんですが、これは千人以上を大企業にひとつ考えていただきまして、できれば学歴別にお答えをいただきたいと思います。
#116
○政府委員(東村金之助君) 先生のいまのお話しの大企業について申し上げますと、これは中労委の調査でございます。四十八年の調査でございますが、中卒、高卒それぞれ自己都合をとって申し上げますと、中卒は五年で九万四千円、それから高卒が十三万一千円、それから十年で中卒が三万六千円、それから高卒が――失礼いたしました。十年で中卒が三十六万円、高卒が四十六万七千円、二十年で中卒が百七十九万三千円、高卒が二百三十四万九千円、三十年で中卒が四百四十九万一千円、高卒が六百三十五万四千円と、かような数字になっております。
#117
○浜本万三君 今度四百円を八百円に改正をされておるんですが、四百円を八百円にされた理由というのはどこにあるんでしょうか。
#118
○政府委員(東村金之助君) それは五年前と五年後と改正を行ったわけでございますが、一般の賃金水準、一般の退職金の水準等を勘案してそのような引き上げを行ったと、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#119
○浜本万三君 一般という意味はどういう意味でしょうか。
#120
○政府委員(東村金之助君) 主として中小企業における一般の民間で行われてる退職金の状況と、こういう意味であります。
#121
○浜本万三君 改正の趣旨によりますと、趣旨の一つに大企業との格差を縮小するという意味も加わっておるように思うんですが、たとえばいまの局長の試算によりますと、これで大企業との格差がどの程度縮まるようになるという推測をされておるのでしょうか。
#122
○政府委員(東村金之助君) ただいま大企業の数字について申し上げましたが、今回改正をされると、それぞれ掛金それから給付額が上がってまいるわけでございますが、民間の場合には、一般の場合には中卒であるとか自己都合であるとか学歴とか、その退職の事由等によっていろいろ退職金の規定が違いますので、一概には比較できにくいわけでございますが、仮に二千円、五千円というような掛金があった場合に例を申し上げますと、五年で、二千円の場合を申し上げますと、五年で十四万二千円、十年で三十八万二千円、それから二十年で百十万五千円、三十年で二百三十七万五千円と、かように相なるわけでございます。これを仮に今度は五千円でとってみると、五年で三十四万九千円、十年で九十三万一千円、二十年で二百六十九万二千円、三十年で五百七十八万六千円というふうになりまするので、先ほど申し上げました千人以上の企業のところとの格差といいますか、水準については、かなり是正はされてくるものと考えます。
#123
○浜本万三君 いまのはとらぬタヌキの皮算用でございまして、なったらという話なんでございます。しなきゃならぬというように思うんですが、するためには役所のやっぱり指導ということが必要だというふうに思います。この制度が改正されまして、早く金額を倍にするんならするような、そういう指導をしていかなきゃならぬと思うんですが、任意だということで逃げられちゃいけないんですけれども、どういう手立てで金額を早急に改善してもらうような指導をこれからなさろうとされるのか、その点の指導方針について伺いたいと思います。
#124
○政府委員(東村金之助君) これからの退職金の問題については二つございまして、一つはいま先生おっしゃいましたように現在掛金を掛けている、つまり加入している事業主が掛金を増額するということ、一つはこの制度自身を広げるということがございます。前者について掛金を増額するという点については、最低額が引き上げられましたので、その最低額について早くその引き上げられた金額の方に持ってくるようにすると、そのためにも先ほど来申し上げておりますような掛け捨て、掛け損の問題がそこで一つの魅力になって、個々の新しい切りかえの際の一つのはずみになるんではないだろうかというふうに考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、第一、第二の二つの問題について、さらに事業団等を中心としながらPRに努めるわけでございますが、そのやり方等については、先ほどお話申し上げましたように審議会等におけるお知恵等も拝借してまいりたいと、かように考えております。
#125
○浜本万三君 せっかくこの掛金を倍額にするという考え方の制度ができ上がるわけでありますが、先ほど仰せになりましたように審議会の議を経ることも必要でございましょうが、その前にやっぱり労働省として、こういう案で積極的に金額を上げさせるように、金をふやせるようにするんだという案を早急に立ててもらいたいということをお願いしておきたいと思います。
 次は、資金運用の問題についてお尋ねをしたいと思うんです。まず資金の残高は先ほどのお話でわかりました。運用がどうなっておるかという点について、もう一回ひとつお尋ねしたいと思いますが、どんなになっておるんでしょうか。
#126
○政府委員(水谷剛蔵君) 昭和五十年三月末現在の資金の運用の状況でございますが、いわゆる金融債といいますか、先ほど局長が申し上げました商工債を中心とした金融債が全体の七〇・三%、内訳を申し上げますと、商工債が九百三十一億円、不動産債が百九十六億円、それから興銀債が三十三億円、長銀債が五億円でございます。それから政府保証債か――政府保証債はこれは中身は先ほど局長申し上げましたとおり中小企業債でございますが、これが百二億円でございます。
 それから他経理貸し付けということになっておりますが、これはいわゆる融資ですか、この中退が直接行っております融資でございますが、これが百十八億円でございます。
 それから安全性といいますか、というような問題で、資金運用部に一定割合を預託するということになっておりまして、それが二百二十五億円ということでございます。その他投資不動産七億円、それから一時的な預け金が三十九億円、合計いたしますと先ほど申し上げました千六百五十六億円ということになっております。
#127
○浜本万三君 資金運用については、常にこの種問題では問題になるんですが、先ほどお話を伺いますと金融債が約七〇%、それからこの資金運用部の預託が二百二十億余りで、約一三%というふうに思います。それに対して中小企業関係に対するこの資金運用がわずか百二億円であるということを考えますと、中小企業の経営者が出した資金をみずからが運用できるものがわずかに六・七%というふうにになると思うんで、これは余りにも低いんではないかというふうに思われますが、その点はいかがでしょうか。
#128
○政府委員(水谷剛蔵君) ちょっと私の説明があるいは足りなかったかと思いますが、私が申し上げました商工中金の債券九百三十一億円を、言うなれば中小企業、そのための商工中金でございますので、これも中小企業向けのものということに相なるわけでございます。中小企業金融公庫と特に申し上げましたのは、政府保証債百二億円の中身を申し上げる意味で、中小企業金融公庫の債券を購入しているという趣旨で申し上げたわけでございます。それから他経理貸付金で百十八億円というのも、これも中小企業に対する代理貸し、いずれにしましても中小企業、そういう金融機関を通さないで、中小企業に対する貸し付けでございますので、これも中小企業向けに使われているということになろうかと思います。したがって、これらを合わせますと、それらを全体合わせて七割をやや上回る程度といいますか、その程度に相なるかと思います。
#129
○浜本万三君 資金運用の利率は大体どのぐらいになっておるのでしょうか。
#130
○政府委員(水谷剛蔵君) 全体を平均いたしますと約七%強といいますか、七・数%に相なります。
#131
○浜本万三君 そういうお話を伺いまして、非常に私感ずるんですけれども、先ほどのお話を伺いましても、資金運用部に預託をするとかいうように、中小企業に使われておる資金というのは非常に少ないということをやはりどうしてもこれは払拭するわけにいきません。したがって、資金運用の問題につきましては、今後審議会の審議事項にもうきちっとしていただきまして、十分審議会の意見を尊重していただいて、中小企業にたくさん資金が利用できるような、そういう方途をとっていただくことを要望いたしたいと思うわけでございます。
 それからもう一つ、中小企業に対する福祉貸し付け制度というものが、先ほど報告をされたんですけれども、この貸し付け制度を見ますと、他の年金とか雇用事業団の貸し付け制度に比べると条件が非常に悪いように思うわけです。もちろん退職金という特殊な資金を運用するわけでありますから、非常に慎重になさっておるということはわかるんですけれども、いずれにしましても借りる立場から言えば、制度としてやっぱり少し落ちておるというふうに、劣っておるというふうに思います。たとえば中退金事業団の場合を見ますと事業主が二千万円、団体が五千万円を限度にして、利率が八・二%で一年据え置いて十年以内に返済と、償還と、こういうふうになっています。それから雇用促進事業団や年金事業団の場合には事業主が三千万、団体の場合には五千万、これは雇用促進事業団の場合でございます。利率が八・二%、償還は十八年ないし三十年、年金は実質九〇%を八・二で十八年ないし三十年で償還すると、こういうことになっておりますので、多少条件が劣っておるんじゃないかと思いますが、なぜこういうふうに他の条件よりも悪くしなければいけないのか、私は少なくとも他の条件と同じようにしてもらいたいという希望があるんですが、いかがでしょうか。
#132
○政府委員(水谷剛蔵君) 先生御承知のとおり、この制度による貸し付けといいますか、その目的は、言うならば一種の還元融資的な性格のものでございます。それから、この融資は、何といいますか、できるだけこの金は効率的に運用しなければいけないといいますか、そういうような制度の趣旨といいますか、それらもございまして、一般の政府の財投の融資といいますか、それらに比べますと利率とか条件等について必ずしも整合性が保たれていないといいますか、そういう点があるわけでございます。確かに利率の点につきましては、当初始めたころはこちらの方がかなり高かったわけでございまして、最初に始めたころは退職金共済の方が八・五%ぐらいのときにほかが六・五%とかいうようなことでかなり開きがあったわけでございますが、その後、こちらの方もできるだけ、何といいますか、許す範囲で合わせたいということで、現在では一般の、たとえば雇用促進融資が八%に対しましてこちらが八・二%といいますか、その程度で、できるだけ努力をして接近をしてきているというような状況でございます。
 それから貸し出しの限度枠につきましては、これもこちらの方ではできるだけ、何といいますか、先ほど先生も言われましたように七割というのがございますが、こちらの方は実際に新築、購入等に要する資金の額を基礎にして七割としておるということでございまして、通常はその標準建設費だとかあるいはそういうような基準単価等によるのが普通の政府関係の融資でございますが、そうではなくて、実際の――実勢価格といいますとなかなかむずかしい問題がございますけれども、実際の価格によっておるということによって実際上はできるだけ実態に合わしているといいますか、便宜を図っているといいますか、そういうようなことにいたしておるわけでございます。
#133
○浜本万三君 還元融資ということになれば、厚生年金もやっぱり還元融資で転貸しておるわけなんでございますから、したがって、そういう考え方から言えば八・二%が八%になっても私は差し支えないんじゃないかというふうに思うわけです。ですが、やっぱり退職金の積立金の運用ということでありますから、貸し付け枠、貸付資金の枠というものは十分抑えておいて利率の問題についてはやはりもう少し検討してもらいたいというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。
#134
○政府委員(東村金之助君) いまの御指摘でございますが、確かに現在は高いわけですが、その理由をやはり一言申し上げた方がよいと思うんですが、この融資制度の利率が高くなっているのは二、三理由がございます。それはこの融資の資金を給付経理から借りているため給付経理に対し年六・二五%の利息を支払うことになっていること。それからこの融資業務に当たる事業団の経費は自前でまかなうことになっていること。それからこの融資業務の一部を委託している金融機関に対し委託手数料を払わなきゃならぬこと。――等々の理由によって高くなっているわけでございます。しかし、ほかでもいろいろ工夫してやっているではないかと言われることもございまするので、最後に御指摘ございましたように、審議会等に諮って検討してまいりたいと、かように考えております。
#135
○浜本万三君 次は、二十五条の例の差別禁止の条項の問題なんでございますが、これは片山委員の方からもお尋ねがあったと思いますので簡単にお尋ねしたいと思います。
 労働者の責任で退職をした場合ということにつきましてはすでにお話がございましたんですが、その場合に、いままでの例から言えば一年二、三件で非常に該当件数が少ないと、しかも、これは知事の認定ということがあるのでそんな心配はないんじゃないかというお話がございましたんですが、私どもの気持ちから申しますと、やはり最近、労働者の責任でという、その責任の範囲というのが非常に広く使用者に解釈をされておりますので、そういう点のないように厳密に御指導をいただきたいということをまず第一に要望しておきたいというふうに思います。
 それから通算条項ですが、私はこれは中小企業の実態から言えば、かわって参りました企業に、この制度に加盟しておるいないは別にいたしまして、要するに通算する制度をつくられたということは一歩前進であるというように評価をしておるわけでございます。したがって、これもぜひひとつ、範囲の拡大をいたしましてこの実効が確保できるように配慮をいただきたいということをこれも要望しておきたいと思います。
 次は、五年ごとに金額の再検討をするということになっておるんですが、これも片山委員からお話ございましたように実情に合わないんじゃないかと、確かに、五十年は一四%程度の賃上げでございましたが、前二年は合計いたしますと五三%ほど賃金が上がっておりまするので、五年というのは現在の実情に合わないというふうに考えた方が正しいんじゃないかというように思いますが、この点についてさらに改善をする考え方はないか、お尋ねしたいと思います。
#136
○国務大臣(長谷川峻君) いま段々お話のあったのは、いろいろ将来の問題として参考にしたいと思います。
 掛金の五年の問題が出ましたけれども、これは実情にそぐわないと、先ほど片山さんにもお答えしましたように、そういう事態が生じました場合には必要に応じて審議会の方に諮りましてやってみたいと、こう思っております。いずれにいたしましても、こういう大事な問題でございますから、今後の問題につきましては審議会に、今後行うこととなっておりますので、基本的な検討にいろいろ待つものがある、こういうふうな考え方でやってまいりたいと思います。
#137
○浜本万三君 次は国の補助金の問題なんですが、労働省からいただいた資料を見ますと、五十年度の予算額によりますと二十億九千万円、そのうち、給付に対する補助額が三億七千万円というふうになっておると思います。先ほどもお話ございましたように、この制度を充実させる一つの柱は国の補助金の増額ということになると思いますので、なお一層国の補助金を増額されるように要望をしておきたいというふうに思います。
 それから、これを見ますと、結局、給付の補助が三億七千万円で、残り約十七億円はしたがって事務費に対する補助額だということになるわけです。極端に言えば、三億七千万円の仕事をするのに十七億円の事務の補助をするということは、極端に言えばですよ、役所の天下り組織をつくることにしかならぬじゃないかと、先ほど言いましたように、この制度が十分その目的を達成してないということになりますと、そういうそしりも必ずしもないことはないと私は思っているわけなんであります。そういう意味で、積極的に補助額の増額を要望したいというふうに思います。これもひとつ大臣の方からお答えいただきたいと思います。
#138
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほどからおっしゃるように、やっぱり中小企業の振興ということは大事なことでございますから、補助額は思ったとおりことしは取れませんでしたが、いまのような趣旨で前向きの努力をしてまいりたい、こう思っております。
#139
○浜本万三君 最後に御質問するのですが、これはまあ使用者が任意に掛けるということなんで、労働者がお金を掛けていないので、責任がないと言われればそれまでのものだと思うのですが、しかし退職金と名がつく限り、これは労働条件の重要な基本的な部門になるというふうに私は思うわけであります。そういう立場でひとつお尋ねをするのですが、確かに国の指導によりますと、中小企業退職金制度のパンフレットの中には「〇〇会社退職金規程」というものをつくるようなひな形があるわけです。この最後の方には「この規定は、関係諸法規の改正及び社会事情の変化などにより必要がある場合には、従業員代表と協議のうえ改廃することがある。」と、こういうふうに労働者の参加が認められているような規程があるわけなんですが、先ほどお話がございましたように、この普及が徹底しないという意味はどこにあるかというと労働者が十分知らないから、つまり積極的に参加の道が開けていないから、結果においてはこういう結果になっておるというふうに私は思うのです。そこで、労働者の重要な労働条件の一つであるとするならば、労働者が積極的に参加をする道を開く必要があると思うのです。そういう立場でこのひな形の規程の中に、できれば労働時間等労働者の意見を聞くように、たとえば一年に一回とか、あるいは二年に一回とか、必ず労働者の意見を聞いて、協議をしなければならぬような制度を指導することができないかというふうに思うのですが、この点いかがでしょうか。
#140
○政府委員(東村金之助君) このパンフレットそのものについては、もう少し検討してみなければちょっとここではお答えできませんが、おっしゃるとおり労働条件、これは退職金の問題も重要な労働条件でございますから、こういう労働条件を決める際あるいは改正する際、いろいろ労働者の組合があればもちろん組合でございましょうが、組合がない場合にはその代表者の意見を聞くといろ、そういう形でやっていかなければならぬということはわれわれも基本的な問題として考えております。ただ、この中退制度あるいは退職金制度についてどうするかということについて、もう少し技術的な問題にかかわるような問題がございまするので、少し検討さしていただきたいと思います。
#141
○浜本万三君 要望しますけれども、やはりせめて最小限労働時間その他の取り決めに当たって、この労働者の意見を聞くというような、ある程度期限を切らないと問題があるというように思うのです。つまりこれでいきますと無期限になりますし、ある程度やはり一年に一回か二年に一回かは労働者の意見を聞いて、労働者が、ああそういうものがあったかと、それについてこういう意見を持っていますから使用者の方もひとつ金額を上げてくださいというように言えるような、そういう条件をつくってほしいというのが私の希望なんですよ。そういうひな形をつくってもらいたいということを重ねて要望したいと思うのです。もう一回ひとつ答弁してください。
#142
○政府委員(東村金之助君) いまの労働時間や何か等も触れてまいりますと、あるいはまた退職金そのものになりますとこれは、就業規則の一環ということになってまいりまして、就業規則につきましては御承知のとおり先ほど私申し上げましたような形で、労働者の代表ないしは労働組合の意見を聞くことになっております。そういう中でこの問題も処理していったらいいのじゃないかと思うのですが、それは一年に一回とかいうことじゃなくて、就業規則は改正するたびに、それが一年以内であればその都度聞かなければいけませんので、そういうふうな問題との関係もあると思います。どういう形でひな形をつくるかあるいはそれがどういう性格のものにするか、その辺、技術的なことについてはちょっと検討さしていただきたいと思います。
#143
○浜本万三君 中小企業二十人程度のところで就業規則をそんなに変えるということを使用者が出してくることはないのですよ。まずないのですよ。まずないということはほとんどないということなのですよ、よほどのことがない限り。したがって私はこういうものだという労働者の皆さんに対して啓発をするという、あるいは知らせるという意味において、できるだけ短期間に協議に参画するような制度をつくらなければだめだということを言っているわけなんですよ、条件をよくするためには。ですから、そういう意味のことを私が申し上げておるので、そういう点を含んでいただきまして検討してもらいたいということを最後に要望して、二分ほど延びましたが、質問を終わりたいと思います。
#144
○委員長(村田秀三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#145
○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、藤原房雄君が委員を辞任され、柏原ヤス君がその補欠として選任されました。
    ―――――――――――――
#146
○委員長(村田秀三君) 午前に引き続き、中小企企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#147
○小平芳平君 中小企業の退職金に入ります前に、中小企業の置かれている現状につきまして二、三お尋ねし、また意見も申し上げたいと思います。
 婦人少年局がつい最近発表されました「労働災害遺族の生活実態に関する調査」、これによりまして婦人少年局のねらいとしましては、ずっと項目を、こういうねらいでこの調査を行ったということが書いてありますが、この調査結果から考えた中小企業の問題点、特に中小企業の労働者という観点から見た場合に、この調査結果についてどういうことが言えるかという点をお尋ねしたい。
#148
○政府委員(森山真弓君) 「労働災害遺族の生活実態に関する調査」の結果によりますと、これは昭和四十七年中に労働災害により死亡しました労働者の家族の生活現状及びその死亡による生活の変化の実態を調べるという趣旨で行ったものでございますが、この調査によりますと、夫の勤務いたしました事業所の規模は、二十九人以下という中小零細企業と言われるものが四四・二%ございます。三十人から九十九人という規模のものは三二%ということで、百人未満の事業所に勤めておりました夫、それが亡くなったという家庭のものが七六・二%に及んでいるわけでございまして、中小企業の勤労者であったその遺族のものが非常に多くの部分を占めているということが言えるわけでございます。
 遺族のその後の生活につきまして、簡単にこの結果から御紹介いたしてみますと、世帯の平均の家族数は三・四人でございまして、十八歳未満の子供を持っている世帯が七割を超えております。残されました妻が現在就労しているというものが七割を超えておりますが、これらの半数以上が夫が死亡後就労したものでございます。
 就労している形態は、雇用者が六割を占めておりまして、あと内職、自営業等が三割ぐらいございます。
 家庭の経済の状態を見てみますと、夫の死亡によりまして当時七割の世帯が非常な影響を受けておりまして、生活を切り詰めたり、妻や家族が働いたということで切り抜けたものが多くなっております。
 それから、夫の死亡によります一時的な収入の平均総額、これは労災からの給付その他いろいろなものを合わせての額でございますが、平均いたしまして約四百二十九万円ということになっております。
 妻の意識などを見ますと、ほぼ全員が夫の死亡によって非常に困ったことやつらいことがあったと答えておりますが、その内容といたしましては、家計のやりくりあるいは子供の教育等について非常に悩んだということを言っているわけでございまして、中小企業に非常に偏っておりますこれらの遺族の実態について非常にいろいろな問題が浮き彫りにされているというふうに感じているわけでございます。
#149
○小平芳平君 ただいまのお話のように、労災遺族の調査をしましてみたところが、夫が勤務していた事業所は従業員数百人未満のいわゆる中小零細企業が、九十九人以下で七六・二%と三分の二以上の方は百人未満の事業所で労働災害を受け亡くなったということでございますが、これは労働省全体の問題としまして取り組むべき問題じゃありませんか、これ、どう対処されますか。
#150
○政府委員(東村金之助君) 御指摘のように中小企業で働いている夫を失った遺家族、未亡人の方の生活はいろいろ問題があるということはこの調査でも出てまいります。特に中小企業で夫が働くということ自体が労働条件が悪い。さらに、亡くなった後その妻の方がまた中小企業で働くということになりますと、いずれにいたしましても中小企業の労働条件の問題あるいは福祉の問題等々についてはさらに全体的に努力しなければいかぬ。特に関連してまいりますのは遺族補償の問題等があると思いますが、そういう問題についても、この調査に出ているようにいろいろ問題がありますので、まあ後ほど申し上げても結構でございますが、補償の充実を図っていきたい、かような姿勢でおります。
#151
○小平芳平君 その遺族補償あるいは退職金にいく前の問題としまして、まずこの百人未満の事業所で七六・二%という高率の犠牲者を出しているというこの事実につきまして、早急にとるべき対策がなくてはならないじゃないかということをお尋ねしているんですが……。
#152
○政府委員(東村金之助君) 夫がそういう中小企業で働いているという場合の中小企業における災害の問題でございますが、おっしゃるとおり大企業等におきましては最近災害の発生率がかなり改善されております。ところが中小企業、特に零細企業になりますとその発生率たるや大企業に比較いたしまして何倍というまだ高い発生率を見ております。
 そこで、労働災害の防止に努めなければならないということで、私どもとしては特に中小零細企業の製造業、さらには危険有害な仕事に従っている屋外労働者、こういうところに重点を置きながら災害の防止について、まあ一口に申し上げるわけにはいきませんが、もろもろの科学的ないしはきめの細かい施策を展開する、ここに最重点を置いてやっていこう、かように考えております。
#153
○小平芳平君 一々申し上げるわけにはいかないが、もろもろの施策をやるということですが、少しでもこういう方法をとってこうしていこうと、せっかくこの労働大臣、婦人少年局で調査をなさった、そうしてこの報告に対しまして、もっともっと活用していかなくてはこうした調査をする意味がなくなってしまうわけですから……。
 第一の問題点としては、なぜそういう労働災害が多いか、その多い労働災害をいかにして減らしていくか、なくすというまでにはなかなかかもしれませんが、そういう点をひとつ強く推進していただきたい。業種別に言うと、建設業、製造業というふうになっておりますが、特にそうなると、今度は中小零細企業の建設業という辺におのずからしぼられてくるわけですから、そういう点ひとつ最重点的に安全確保のための行政を進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
#154
○政府委員(東村金之助君) 現在亡くなっている方が減りつつはございますが、まだ年間四千人を超えております。その四千人の中で建設業に働いている人の死亡事故というのがかなり四割を超えるような数字になっております。そしてまた、その建設業の中でも零細企業の方の死亡が多いということがわかっております。
 で、私どもは建設業については労働災害の中の最重点事項として災害防止活動を進めておりますが、建設業の特殊性といいますか、大企業の下請、あるいは構内下請というような形で大企業と関連しながら仕事をしている面がいろいろございます。そこで、そういう零細企業の災害を減らすには、何と言ってもワンセットで、大企業と中小企業の、あるいは零細企業の下請労働者をワンセットで把握して問題を進めていかなければいけないというので、それぞれそういう現場に対して大企業、中小企業を一つにした組織等をつくりながら労働災害の防止に努めているところでございます。
 一つつけ加えますと、そういう労働災害がどういう原因で起こってくるか。最近ではいろいろ大きな機械を使ったり、大きな道具を使って仕事をしておりまするので、そういう面から労働災害が起こることもございますが、それよりもごく初歩的なといいますか、在来のミスをまた繰り返すというような形で災害が起こっている。墜落をする、あるいは物にぶつかって亡くなるとかという災害がまだまだ後を断ちません。そうなりますと、やはりこれは教育の問題にもなってまいります。そのように大企業ないしは経営者の自覚、労働者の教育等を軸にしながら、ただいま申し上げましたように最重点として労働災害の防止に努めているところでございます。
#155
○小平芳平君 労働大臣、どうも官庁のやり方はいろんな積み上げの上に動いていきますので、だんだん減らしていくという行き方でしょう。しかし、こうした建設業の中でも中小零細の建設業というふうにしほられてくるというのですから、ひとつ大胆な――じゃどうするかって、私もわかりかねるんですけれども、どういうふうにしたらいいかということをですね、いままでこうだったからここのところを少しつけ足してこう改善しようということはそれとしまして、この災害をなくそうというひとつきわめて積極的な姿勢と運動と行動を起こしていただきたいと思います。
#156
○国務大臣(長谷川峻君) 私もこれをずっと読んでおりまして、二十四ページを見ますというと、こういう芸を亡くした御婦人方が何を一体言っているか。労働災害防止についての意見でございます。それはやっぱり「作業環境の整備」が四二・二%、「安全教育の徹底」が二八・二%、こういうふうに奥さん方が自分の主人の亡くなったのをきっかけにしてその原因を追求しているわけでありまして、私はこういう生きた数字というものを本当に大事にしながら、働いている皆さん方の教育はもちろんのこと、経営者の方々、あるいはまたいま働いている御主人の奥さん、こういう方々にも何かPRできるように、まさに先生のおっしゃるように、ただ積み上げにあらずして、こういう大事な意見というものを婦人少年局とでも相談しまして何か大きくPRして、出さないことが一番大事であります。とかく人間というのはすぐなれっこになりまして、石油危機のときは自動車事故が大分なくなりました。しかしまた最近はふえてきているという数字などを聞くにいたしましても、忘れたころにやってくる災害に対しては、こういう一つの機会にPRして積極的な啓蒙なり協力を行うことが大事じゃなかろうか、さように考えているものであります。
#157
○小平芳平君 次に、就労された場合、先ほどの婦人少年局長のお話にもありましたように、夫が死亡されたあと、妻は多くの方が、遺族の方が勤めに出ていかれているということがこの調査でもあらわれております。で、この勤めに行くということがまた大変なことだと思うのですね。小さい子供さんを抱えていらっしゃるとか、あるいは家族のめんどうを見なくてはならないとか、こうした突然に労働災害で御主人を亡くした、残された奥さんが何とか生活していくためには勤めに行かなくてはならない、行かざるを得ないということがまた大変なことだと思います。その辺について労働省としてはどういう援助をなさっておられますかお尋ねしたい。
#158
○政府委員(森山真弓君) 婦人少年局におきましては、一般に婦人の職業及び生活全般についての相談に応じます特別協助員という制度がございまして、特別協助員という名前の民間の有志の方が百三十八人全国の婦人少年室に配置されております。この特別協助員が週二回相談業務を行っておりまして、これらのいまお話の対象になっておりますような、突然生活のために働かなければならなくなった、従来の経験もなし、非常にどうしていいかわからないというような方のために大変きめの細かい相談をしているわけでございます。
 さらに、婦人の就労の円滑化ということを図りますために、婦人少年局といたしましては、職業訓練を奨励いたしましたり、特に短期職業講習と申しまして、比較的短期で特殊な技能を習得いたします講習会を婦人少年局の手によりまして実施いたしておりまして、それらの方々によりまして職業能力の開発向上ということに努めております。
 そのほか、家庭を持って、あるいは小さい子供を家に置いて働かなければならない婦人のために雇用促進融資によります企業内託児施設の整備ですとか、あるいは学童の学習及び遊びの場を備えました勤労婦人センターなど福祉施設の設置に努めております。
 以上のような施策を通じまして婦人の就労の円滑化ということに努めているわけでございます。
 また、内職に関しましては、家内労働法によります委託条件の明確化、あるいは最低工賃の設定等の推進と一緒に、都道府県の内職相談センターというのを婦人少年局の所管によりまして運営いたしておりますが、それを中心に内職についての相談、あっせんなどをいたしているわけでございます。
#159
○小平芳平君 まあ、婦人少年局としてはそういうふうに努力をしているということですが、この今回の調査を見ますと、第十五表、九ページ、「夫死亡後に就職した妻の就職経路」――「親せき・知人のせわで」が六〇・四%、大部分ですね、「親せき・知人のせわで」、これが大部分。「公共職業安定所で」というのはわずか三・五%というような点は職業安定所の機能が働かないのか、それとも突然に夫を失ったという特殊事情でこういうことになるということはやむを得ないというふうに考えられますか、いかがですか。
#160
○政府委員(遠藤政夫君) 労働災害あるいは交通事故で働き手を亡くされた奥さん方が働きに出なければならない、こういう方々に対しましては最近のような雇用情勢がきわめて深刻な状態の中ではなかなか大変なことではございますけれども、こういう方々のために最近におきましては、いろいろと積極的な制度上の援助の手を差し伸べるべきだ、こういう御意見もございまして、実は、昨年成立いたしました雇用保険法の雇用改善事業の中で、こういった遺児を抱えた寡婦、いわゆる母子家庭の対象になるような方々に対しましては、中高年と同じような形での雇用奨励金制度というものを初めて四月一日から設けました。こういう人たちが何がしかでもこういう雇用情勢の厳しい中でも中高年の人たちと同じように積極的に雇用の場を確保できるような手を差し伸べることにいたしたわけでございます。ただいま御指摘になりましたような数字から申しますと、確かに安定所紹介で就職した人たちはきわめて少のうございます。これは、こういった交通事故あるいは労働災害等で急にいままで家庭におられた奥さん方が働きに出なきゃならないという場合に安定所に行かれるケースもいままでは少なかったようでございます。私どもは、この四月一日からこういった雇用保険が全面適用になりました機会に、こういう制度を積極的に活用することによりまして、こういった寡婦の方々の就職の場の確保に努力をいたしてまいりたい、かように考えている次第であります。
#161
○小平芳平君 したがいまして、この調査の時点では公共職業安定所を経由した者はきわめて少ない。けれども四月一日から雇用保険法による寡婦等雇用奨励金ですか、こうした制度によってもっと安定所を通して行く人が多くなるということが言えますか。
#162
○政府委員(遠藤政夫君) 実はもう一つございまして、三月末まで施行されておりました失業保険法によりますいわゆる失業保険金の給付事務、これが非常にまた繁雑と申しますか、大部分の安定所におきます業務の相当部分を占めております。これを先般来御審議の過程でいろいろ批判がございましたように、安定所の機能の中でいわゆる給付事務をできるだけ簡素化し、効率化することによりまして、いわゆる職業相談・指導、職業紹介・あっせん、こういった業務にできるだけウエートを移すような方途を四月以降講じてまいったわけでございます。したがいまして、こういった単に失業した人たちに対しまして失業給付を行うという事務をできるだけ簡素化、合理化することによりまして、その余力をこういった就職の困難な方々の再就職あっせん、職場の確保に振り向けることにいたしましたことによりまして、こういつた御指摘の点を十分今後御期待に沿えるようにやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#163
○小平芳平君 それはちょっと別の問題としまして、これを局長、簡単に説明したらどういうことになりますか、寡婦等雇用奨励金。
#164
○政府委員(遠藤政夫君) ただいま御指摘になりましたような労働災害あるいは交通事故、こういった事故によりまして働き手を亡くされた奥さん方が就職をされます場合に、公共職業安定所の紹介によって就職された方につきましては月額九千円の雇用奨励金が一年間支給される、こういうことによりまして雇い入れ側の事業主の理解も深めると同時にできるだけ雇い入れやすくする、同じ雇うならばそういった人たちを雇った方が企業にとっても有利である、こういう奨励制度をつくることによりましてこうした人たちの職場の拡大を図っていく、こういう制度でございます。
#165
○小平芳平君 ですから、月額九千円、一カ年ですか、そういう奨励制度があるということを職業安定所においても、あるいは婦人少年局においてももっともっと知らせてあげる必要があるわけでしょう。ちょうどたまたまそのことを知っていて安定所の窓口へ行ったという人が一体何人くらいいるかですね、ほとんどわからない人が多いんじゃないか、現状では。知らない人の方が多いんじゃないだろうか。私は、わが公明党として母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置法案という、こうしたものを立案いたすために相当、何カ月かにわたってこうした問題となる点をいろいろ研究したわけです。労働省の方の施行規則ですか、これは。寡婦等雇用奨励金となっておりますが、私たちが研究した結果では、どうも「寡婦」ということが当てはまらない婦人がいる。しかも適用してもおかしくない立場の方でいて、しかもあなたは「寡婦」ですと、そういう「寡婦」というレッテルを張られるということがいかにもしっくりしないという立場の人も出ているということから私たちは「母子家庭の母等の」と、こうしたわけです。したがいまして、こうした面におきまして職業安定所において、あるいは婦人少年局においてこういう制度があるということ、また御利用いただくと便利ですとか有利ですとかいう、何かそういうことはやっておりますか。
#166
○政府委員(遠藤政夫君) 実は雇用保険法が成立いたしました直後から主として、給付の内容ももちろんでございますが、雇用改善事業で先般来いろいろと御意見ございました雇用調整給付金制度を初め雇用改善事業の中高年齢者の問題でございますとか、あるいは身体障害者の援助制度でございますとか、あるいは母子家庭のいわゆる寡婦等の奨励金の問題でございますとか、あるいは訓練関係の各種の補助、助長、援助の制度でございますとか、こういったものを一括いたしまして数回にわたって全国的に大企業、中小企業、零細企業を問わず繰り返し繰り返し説明会等行いまして、この内容を説明し、これを活用されるように私どもとしては努めてまいっておるわけでございます。と同時に簡単なパンフレット等も作成いたしまして、こういう新しい法律によります雇用確保のための各種の諸般の制度の普及、PRに努めてまいっております。したがいまして、四月一日にこの援助制度が実施になりましてまだ日が浅うございまして、どの程度にいま活用されておりますか、こういった点も今後十分見きわめながらこの内容の充実、改善にも努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#167
○小平芳平君 婦人少年局長さん、「夫死亡後に就職した妻の就職経路」――「親せき・知人のせわで」が六〇・四%、あるいは突然のことでありますので親戚知人の世話の方が安心して働きに行けるとか、あるいは知り合いの職場へ行かれるとかいう有利な点もあろうかと思います。あろうかと思いますが、なおかつ公共職業安定所を経由した人も三・五%従来もいらっしゃるし、それから新しいこの雇用奨励金制度ができているということをもう少し知らせてあげるというか、ふだん知らせてあげておかないと、その場になってからじゃなかなか間に合わないということはやはり月収額につきましても「妻の就労の形態とその月収額」についても先ほど局長さんからお話がありましたが、内職をしているという人は収入が少ないですね。やはり勤めているという方の方が、それは世の中の普通の勤め人から見ると一家を構えていらっしゃるその方の収入としては大変全体として低くて生活が大変だと思います。生活が大変だと思いますが、にも増して内職をしていらっしゃる方は非常に低額でそれこそもう食べていかれるかいかれないか、もう少しでも収入があれば全然ないよりもという程度の収入にしか内職の方はなっていらっしゃらない。やはり安心して働ける職場の開拓というものが非常に大事だと思うんです。私たちの考えた母子家庭の母等の雇用促進に関するという、そうしたねらいも私たちは労災の遺族だけでなくてやはり「母子家庭の母等」ということで考えたわけですが、中には労災の方もいらっしゃれば生別・死別あるいはいろいろな事情でそういう境遇に置かれていらっしゃる方が多いわけですね。相当大ぜいのそういう家庭が現に発生しているわけですから、そういう点ひとつ局長さんの今後の取り組みをお答えいただきたい。
#168
○政府委員(森山真弓君) 婦人少年局が従来やっておりましたこの関連の仕事につきましては、先ほど御説明を申し上たとおりでございますが、いま先生御指摘のような問題ございますので、今後、とも続けて努力してまいりたいと思います。特に新しくできました制度につきましては職業安定局の方で非常に力を入れてPRをしていただいておりますが、婦人少年局といたしましても、先般職員を全国から集めましてこれについて勉強し、さらにそれぞれの地元で皆さんに知らせるべく努力をする方法を研究したところでございまして、新しい制度でございますので、これからのことと思いますけれども、私どもも私どもの活動、仕事を通じまして、さらに続けて努力してまいりたいというふうに考えております。
#169
○委員長(村田秀三君) 職安局長、森山局長結構でございます。どうも御苦労さまでした。
#170
○小平芳平君 それでは次に、退職金制度そのものについて若干お尋ねをいたします。
 先ほど午前中の質問に対しまして、ずっと答弁がありましたので繰り返しませんが、四十八年の支払った退職金は一人平均で六万八千円ですか。それからまた掛け捨てがおよそ四万八千人、五億円、掛け損が三万九千人、七億円、よろしゅうございますか、これは。
#171
○政府委員(東村金之助君) そういう数字でございます。
#172
○小平芳平君 それからこの点についても午前中にこの改善後の退職金制度ですね。改善後の中小企業退職金共済制度についてみますと、これは労働省から提出された資料で八百円掛けた方が三十年で百一万円、二千円掛けていった方が三十年で二百三十七万円ということでございますね。そこですね、どうも午前中の質問に対して局長は退職金の金額が幾らかということについて中労委の資料によればということで答弁をしておられましたが、いずれにしても三十年勤められた方が、中小企業で三十年勤められるという方は非常に少ないと思うんですけれども、田舎へ行けば、私の田舎などはわりあい多いわけです。中小企業しかありませんから、勤めると言えば。多いわけですが、それにしても三十年勤めて八百円の人がわずか百一万円、二千円の人が二百三十七万円、これはもう全く退職金というものに該当する金額じゃないじゃありませんか、いかがですか。
#173
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘のような数字でございます。数字そのものはそうでございますが、ただ、いまの例によりますと八百円、千円というところの数字をお話があったようでございますが……
#174
○小平芳平君 八百円、二千円。
#175
○政府委員(東村金之助君) 今度はそれがさらに一万円まで伸びてまいりました。どこを掛けるかはもちろん自由でございますが、その枠を広げると、つまりいま先生おっしゃったようなところだと本来の退職金の機能を果たさないじゃないかという御批判もございましたので、その枠を一万円まで広げたということが一つでございます。
 それから、まあ三十年まで勤める人は確かに中小企業では少ないわけでございますし、現にこの退職金制度でもまだ発足以来十五年程度でございまするので、そういう方々は出ないわけでございますが、それは一つのカーブを描く際の一つのカーブの問題でございまして、その三十年のポイント、二十年のポイント、十年のポイント、これは一つのカーブの体系の中に入っているものでございますから、三十年がどのくらい出てこの水準がいいかどうかという問題とちょっと別でございまして、私どもはまあ一万円ぐらい掛けてもらえるならば、まあ相当のところへ行くんじゃないかという一つの目安は持っておるところでございます。
#176
○小平芳平君 それは、多く掛ければ多くなるのは当然でしょう、それは。掛金が高く一万円を掛けていけが、三十年で千百四十万円ですか、それは多く掛ければ退職金は多くなるということは当然でしょう。ですから、現実にでは幾ら、どのくらい掛けているところに集中しているんですか。
#177
○政府委員(水谷剛蔵君) どの辺に集中しているかというお尋ねでございますが、平均掛金月額は午前中も申し上げましたように千八百七十五円でございます。それで集中の度合いですけれども、千円台が三一・七%、それから千円末満が二一・六%、それから二千円台が二二・一%、三千円台が二四・七%という状況でございますので、まあ、どの辺と言いましても、やっぱり平均の千八百七十五円、つまり二千円ぐらいのところに現在の制度におきましては一応比較的多いといいますか、そういうことになるのじゃないかと思います。
#178
○小平芳平君 いや、そういうことが午前中、二千円程度ということがあったから私は二千円と言ったのであって、それはこれが二千円が一万円になればさっきのようになるでしょう。だから、計算はそうなると思います。ただ、そこで、大体この平均してどのくらいかというと、およそ二千円だと言うから、それでは三十年で二百三十七万円ですということでしょう。局長、そうでしょう。
#179
○政府委員(東村金之助君) はい。
#180
○小平芳平君 ですから、二百三十七万円では退職金という部類に入りますか、三十年勤めて。魅力を持てって言う方が無理じゃないですか。あるいはとういうところから皆さんは八百円――一万円ということをどういうところから出してきたんですか、金額は。
#181
○政府委員(東村金之助君) 今回の改正されたカーブにおいては幅を広げて、高い掛金が掛けられるようにという可能性を広げたわけでございますが、先生のおっしゃるようにみんなそこへ行くわけではございませんし、現在二千円前後が集中的に多いわけでございますから、その数字が具体的に一般と比較してどうかというふうに考えた方がよろしいという御指摘はそうだと思います。ただ今回は、最低を四百円というのを八百円に押し上げますので、この二千円という数字もさらに高くなるとは思います。で、なお、一般の場合の退職金との比較でございますが、中労委でやっております千人以上の数字と比較するとかなり差がございますが、最近の統計といたしましては昭和四十九年の東京都の調査がございます。これを見ますと、高卒の自己都合退職の場合であって、勤続年数十五年で百二十五万円、二十年で二百二十二万円、三十年で四百七十八万円というような数字になっております。これを今回の中退制度による退職金でどういう掛金を払っていたらこうなるかというものを逆に探ってみますると、四千円の場合がほぼいま申し上げました中小企業の退職金の東京都の調査に該当するような数字でございます。つまり四千円ずつ払っていくと、いま東京都の調査の数字を申し上げましたが、それに近い退職金が払われると、こういう関係になります。
#182
○小平芳平君 どうしてそれは自己都合をとるんですか。
#183
○政府委員(東村金之助君) 別に自己都合をとるか、あるいは会社都合、死亡の場合、定年退職の場合、いろいろございますが、自己都合でとってみるとこうなるということでございます。いずれにいたしましても、仮にそういう数字があったといたしましても、まだまだ、仮に四千円という数字であるならばということを申し上げたわけで、現実に八百円から始まりまするので、この退職金の給付内容が十全であると、あるいはこれが民間の一般の水準とイコールであるということは申し上げられないと思いますが、さらにそれに近づけるような努力をこれからも重ねていきたい、かように考えております。
#184
○小平芳平君 恐らく三十年勤続した人が自己都合退職ということで自己都合の退職金しかもらえないと、定年退職の割り増し金がつかないというようなことで、大体とんとんだというような言い方はおかしいじゃないですか。
#185
○政府委員(東村金之助君) 三十年ぐらいになりますれば定年退職というような形も出てくるでしょうし、十五年ぐらいになりますとこの自己都合というものもあると思いますが、これはいずれにいたしましても、こういう数字をとれば中退の方で四千円の掛金に該当するという一つの試算でございまして、先生のおっしゃるように、ほかの定年退職の問題であるとか会社都合の問題であるとか、そういうことによる退職の事由になれば一般に退職金は高くなりますから、それに対応する掛金も四千円より高くなると、こういう関係になると思います。いずれにいたしましても、繰り返し申しますように、この水準で十分だとは私ども考えておりませんので、さらに審議会等の御審議を願いながら、この改善に努めてまいりたい、かように考えております。
#186
○小平芳平君 社会保障制度審議会で高齢者福祉ということをテーマに相当数カ月にわたって勉強会が開かれております。この社会保障制度審議会で高齢者福祉の問題を研究していく段階にありまして、この年金制度、特に企業年金制度ということで退職金と、それから年金制度の調査をしたものがあります。これは非常に新しい調査資料ですが、手に入っておりますか。
#187
○政府委員(東村金之助君) 手元にありますものはその一部でございますが、手に入っております。
#188
○小平芳平君 幾らになっています。
#189
○政府委員(東村金之助君) 社会保障制度審議会の事務局調査による大企業におけるモデルの退職金額でございまして、男で定年扱いの場合でございます。で、一時金のみの場合、大卒で千三百二十八万、旧中卒で千二百二十万、これは事務職員の場合です。それから製造業の現場職員で、高小卒で九百四十六万。それから一時金と年金併用の場合がございまして、その場合に、事務職員で申しますと、大卒が一時金千十八万、それから年金現価額が四百六十四万、同じく事務職員で、旧中卒一時金が九百三十万、年金現価額が四百六十六万、製造業の現場職員の高小卒で一時金が七百四万、年金現価額が三百九十五万と相なっております。
#190
○小平芳平君 いま局長が答弁されました調査資料は、東京証券取引所第一部、第二部市場上場銘柄発行会社千三百九十社。ですから、千三百九十社ですが、いわゆる大企業ですね、第一部上場、第二部上場の合計ですから。そうしたいわゆる大企業の退職金は定年の時点におきまして、大学卒は千四百七十六万、旧中卒で千三百八十四万、これは一時金と年金を合計した額。製造業の現業職で千七十万。ですから、こうしたいわゆる大企業の退職金、現在の退職金の金額に比べまして、まあ局長は先ほど来いろいろ説明されますけれども、労働大臣ですね、ちょっと余りにも見劣りがし過ぎると、それはたくさん出せばたくさんもらえるんだということ一点張りでありますけれども、しかし余りにも同じこの日本の国内で、自分の働きに行っている――朝働きに行って、夜帰るわけですが、その勤め先がいわゆる大企業かあるいは中小企業かによってそういう違いが出てきていると、片方は一千万、一千四百万というのに対しまして、一方では何百万というですね、余りにもこの違いがあり過ぎやしないか。それは退職金だけの問題ではないと思います、ほかにもいろんな労働条件で格差が生じているわけですが、退職金一つとってみてもそういうことになっているという点、これはどう思いますか、大臣。
#191
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生御指摘のような大まかな数字、大企業と中小企業の退職金の格差というのは否定できないと思うわけです。ただ、この中小企業退職金共済制度というのは本来独力では退職金を持てないような中小企業の方々が集まりまして、共済によって退職金を出していこうと、こういうところが出発点でございまするので、大企業が独力でかなり高い退職金を出せるというものとは、比較すればそれは見劣りがするかもしれませんが、いま言ったような制度の趣旨からいたしまして、やはり一挙には大企業並みというわけにはいきません。やはり少りずつ前進しながらいかなければいけないと思いますが、ただいまおっしゃるようにこれは退職金に限らず、一般の労働条件その他、大きな企業と中小零細企業に格差があることは否定できませんが、共済制度によって何らか、少しでもそれを補足していこうというふうに御理解願えればと思います。
#192
○小平芳平君 いや、そういうことを理解しているから、大臣に大企業と中小企業の格差がもっと縮まる方向へ国の政策がいかなくちゃおかしいじゃないかということを申し上げているわけです。共済が適用になっていればまだいい方であって、全くないというところがまたたくさんあるじゃないですか、午前中の御答弁によりましても。そういう比較を申し上げているんです。いかがですか。
#193
○国務大臣(長谷川峻君) そういう意味では一体これどうしたらいいかというような根本問題にもなってくるわけでして、こういう大学卒で千四百万という一方があれば、どこかにはまた退職金、局長やめれば五千万というところもあるというふうなこともありますし、どう一体、これは制度全体の問題、産業機構の問題、全体の問題となってきますので、これはちょっと私だけでいまここですぐお答えできるわけじゃございませんで、いまのこの共済によってさえもお手伝いすると、こういう一割しかいない人々にさえもこれだけの制度をやっているというその前進の姿を見ながら全体の問題についてのやっぱり考え方をよく研究していかなきゃならぬと、こう思っております。
#194
○小平芳平君 これは労働省だけの問題じゃありませんし、私たちも政党として、あるいは議員として努めなくちゃ、努力しなくてはならない一つの問題点であると考えております。
 それから次に目減りですね、目減りをどうするかということ。これは運用については午前中いろいろお話がありましたから、運用については触れませんので、少なくとも掛け捨て、――掛け捨てと何でしたか、何か特有な言葉がありましたね。掛け捨て、掛け損ですか。掛け捨て、掛け損というようなこういう点は改善できないのかどうか。それから、とにかく退職金というと二十年先、三十年先、四十年先ということを見通した上での制度になるわけですから、その間の経済変動というものを考えた場合に、午前中、これはいろいろもうお話があったので全体的には触れませんけれども、掛け捨て、掛け損、あるいは継続でしたか、通算でしたか、そういう点ですね、確かに今回の改善によって改善されるとは言われるんですけれども、もっと根本的にそういう掛け捨て、掛け損あるいは通算など当然できる、できるというのが当然でなくちゃならないと思うんですが、いかがですか。
#195
○政府委員(東村金之助君) 掛け捨て、掛け損の問題につきましては午前中もお話ございましたし、ただいまも御指摘ございましたが、従来は掛金月額を増額した場合にはそれは新しい契約がそこから始まったということでございまして、それを今回は制度改正後一年以内に掛金月額を増加した場合には、その後二年未満に被共済者が退職した場合であってもその増額した部分については新しい契約ということではなくて掛金相当額の給付を行おうという、まあ私どもとしては一歩前進したつもりでございますし、これは審議会の建議にも沿ったものと考えております。ただ依然としてやはり掛け捨て、掛け損という問題は残っているわけでございますが、ここで浮いた原資を長期の在籍者の退職金給付の方に回すという制度になっておりまするので、その掛け捨て、掛け損をやめますると現在の長期の人に有利になるような退職金のカーブを修正しなければいけない。あくまでもやはり一般の中小企業等に行われている退職金においても入ったすぐでやめるような人には退職金を支給しないという制度が多いのでございまして、それに準ずるようなかっこうで、短期の者よりも長期の人たちに有利にしようということを考えますると、現在のやり方を前提にしながらその掛け捨て、掛け損をどう改善していったらいいかということを考える必要がある、これは午前中に申し上げましたように審議会等のお知恵を拝借しながらやっていきたい、かように考えます。
#196
○小平芳平君 したがって、長期の人を有利にするためには掛け捨て、掛け損はまことにいい制度だと、掛け捨て、掛け損をやめたら長期の人が切り下げられるんだ、長期の人を優遇するためには掛け捨て、掛け損が発生しても大いに結構と、こういうことですか。
#197
○政府委員(東村金之助君) まあ、そういうふうに申し上げているつもりはございませんで、一般の退職金、一般に行われている退職金規程におきましても短期でおやめになる労働者についてはやはり退職金を払わないとか、あるいは退職金の額が低いとかいう実態がございまするので、それに準じたようなかっこうで一年未満、二年未満については掛け捨て、掛け損という制度があると、ただしその原資はやはり長期に働いてやめる方により有利なかっこうで払うための原資として活用していると、こういうことでございます。
#198
○小平芳平君 そういうことを言うとますます魅力がなくて、ということになりませんか。第一、じゃ、伺いますが、退職金というものは賃金の一部ですか。労働条件の中で退職金の位置はどういうふうに位置づけられているのですか。
#199
○政府委員(東村金之助君) いま退職金の性格論についてのお話だと思いますが、退職金というのは賃金の後払いであるとか、生活保障であるとか、いろいろ法学上議論がございますが、それはさておきまして、たとえば労働基準法という法律の観点から考えますると、それが全労働者に対して支給されることが明示されているような場合、規則化されているような場合、それは賃金として労働条件であると、かような解釈で基準法は運用しておりますし、一般的にそう言ってもいいのではないかと、かように考えます。
#200
○小平芳平君 労働基準法でも就業規則の作成及び届け出の義務におきまして退職金のことがあれば退職金のことも入れるというふうな規定になっておりますね、普通に表現しますと。そういうことであるので、わが国の労働者としまして、退職金が、まあ、あるところで定年退職して四千万円、五千万円という退職金をもらう人もあるんだそうですね、新聞に最近出ていますが。そうかと思うと、さっきの上場会社では一千万円、一千百万円という退職金をもらうことが制度化されている。かと思えば、まるで退職金制度そのものがない。あるいは労働基準法でも就業規則の項においても必ずしも退職金の規定を置けどもなっておらない。そういうことでちょっと不公平だとか、あるいは労働者にとって不利な労働者が出ているんじゃないかとか、そういうように感じませんか。
#201
○政府委員(東村金之助君) 退職金の高さとか、あるいは制度があるなし、御指摘のように非常にいろいろの形がございます。一般的に言いまして、退職金は大企業ではかなり一般化されていると、中小零細企業になりますとその普及率が落ちてくる、八割、九割しかないと、二、三割は退職金制度を持っていない。しかも、持っているもの同士を比べても相当水準が違うということでございまして、これは何と言いましても先ほど申し上げましたように労働条件そのものでございますので、個々の企業における労使の間でその水準をどう決めるかという問題にかかわる問題でございます。しかし、これを客観的に見れば、やはり大企業と中小企業に、あるいは零細企業にそれだけの格差があるということは言えると思いますし、しかるがゆえに、補足的ではございますが、この退職金共済制度を何とか充実させていきたいと、かように考えておるわけでございます。
#202
○小平芳平君 そうすると、結局結論として、退職金は労働条件の一部である、重要な一部であると。それならば労働省としては、労働省の行政の基本方針としては、退職金制度は世間並みにつくっていけと、こういうふうに打ち出していきますか。
#203
○政府委員(東村金之助君) まあ、退職金は規定がある限り労働基準法上は労働条件でございますし、そういうやかましい議論は別としても大きな労働条件だと思うわけです。労働条件について一般的に格差があるということは、必ずしも望ましいことではございませんが、いずれにしろ労使で決めることでございまするので、たとえば賃金の高さを、格差をなくせというストレートの労使の介入といいますか、そういうことは役所としては避けなければいけないところでございます。そこで、一般の自力で退職金を持てないような中小零細企業においても退職金が支払い得るような、そういう制度としてこの退職金共済制度ができたわけでございますから、われわれとしてもできるだけこの制度が一般の中小企業で活用されることを希望いたしますし、また今後ともこの普及に努めてまいりたい、こういう姿勢をとっているわけでございます。
#204
○小平芳平君 ですから、はっきり言いまして政府が介入できない――何も、私は政府が介入しろと言っているのではなくて、大企業と中小企業の格差が、たとえば賃金格差で言えば、賃金格差は縮小する方向へ行政上は努力をしていくということでしょう。いろいろな、政府全般にわたるそのための施策があるわけでしょう。同じように、退職金についても、そういう制度があるところも大きな格差がある上に、ないところは退職金の制度そのものがないということの現状からして、労働省としてはそうした格差を縮小していく方向へ努力をしていくというのは、これは当然でしょう。それから、そのために共済制度ができているということですが、共済制度については、これも午前中再三御答弁がありましたが、加入状況の推移を見ましても、五十年二月末で九・八%ですか、労働者の加入率としまして。ですから、どうして、そういうふうに少ないか、魅力がないか。労働省基準局長が先ほど来何回も言うようなせっかくの制度があるにもかかわらず、九・八%というところで現状においてどうしてとどまっているか。何か根本的にもっと考えなくてはならない点はありませんか。
#205
○政府委員(東村金之助君) 現実に、中小企業等で退職金制度を持っていないのが大体一割に該当します。この制度に入っているものが、大体、いま先生の御指摘のように、一割でございます。したがいまして、一割、持っていないところを補完しているというような意味があるのではないかと一つには考えておりますが、それにしても、先ほど来申し上げておりますように、自分で退職金を持っている場合でも、この制度に入ってさらに退職金のレベルを上げるということは望ましいことでございまするから、さらにさらに広がることをわれわれも希望するわけでございます。
 で、実は、私どもの身の回りに接触できる中小企業等について聞いてみますると、ああそういう制度があったのかということを初めて認識するような中小企業主もおります。それから、いま先生おっしゃったように、魅力がないんじゃないかということを、制度がありながらそういうことを感じて入らない人もございます。そこで、後者、つまり魅力については、少ないながらも徐々に徐々に考えつつあるわけでございますが、さらに、この制度を知らないという部面もかなり残っておりまするので、それに対して、従来、いろいろ月間の制度を設けたり、それからいろいろPRをやったり、銀行等を通じてさらに指導したりしてまいっておりますが、それだけではどうも飛躍的な発展はできないということで、現在、中小企業退職金事業団等でどういうふうにしたらもう少し伸びることができるのか、重点を決めてやろうじゃないか、協議会をつくってやろうじゃないかというもろもろの工夫はしております。それでもなかなかうまくいかないという問題にもなりまするので、審議会等のお知恵を拝借しながらこの制度の普及をさらに図っていきたい、魅力を持たせると同時に普及を図っていきたい、こういうふうに考えております。
#206
○小平芳平君 全労働者が何らかの形において退職金を受けられるように、そういう指導をすべきだと思いますが、いかがですか。
#207
○政府委員(東村金之助君) 現実に大企業等ではほとんど一〇〇%近く退職金制度を持っております。問題は、中小零細企業で退職金がないところがございますので、そういうところにまずこの退職金制度の普及を図っていきたい。その結果、ただいま先生おっしゃったように、全労働者に退職金が適用があるようにという形に持っていきたい。おっしゃるような趣旨でわれわれも考えております。
#208
○小平芳平君 それから、魅力の点ですけれども、これはある証券会社のダイレクトメールで来たものですが、あなたがいま三十歳で百万円持っておりますとこれから三十年たって六十歳になったときには一億円にその持っている百万円がふえますという宣伝文があったんですが、そういうふうになると思われますか、ということは、なぜそんなことを言うかというと、退職金というのは三十年、四十年先のことですよ、ですから証券会社の言う、いま百万円なら百万円持っている、それが三十年たったらこうなるという、そこに老後の生活設計というものがあると思うんです。ですから、そういう点で、どうもこの中小企業退職金の現在の改正程度では、とてもとても、掛け捨て、掛け損がある上に、長期の人にとって、じゃあどれだけ魅力があるかということになるわけです。
#209
○政府委員(東村金之助君) おっしゃるように、いろいろ問題はございますが、繰り返して恐縮でございますが、これは事業主の任意制度でございまして、通常でございまするならば自己負担で退職金を支給するという、そういうものを共済制度でやると、つまり掛金を中心にして運用すると、先ほど先生は高い掛金が払われれば高給付が出るのは当然だという御指摘ございましたが、それはまさにそういうことでございまして、従来は四千円でストップしておって、高い掛金を払おうにも制度としては許されなかったわけでございます。それを高い掛金を払っても高い給付が欲しいという向きがございまするので、一万円という数字を設けたわけでございます。要するに、やはり原資は任意加入でございまするので、おのおのの事業主が負担をするというかっこうにならざるを得ないので、それに対して国が全体を取りまとめ、その事務をやり、さらには一部給付をやっているということでこの退職金制度が成り立っているわけでございまするので、その前提となる問題点を御理解いただければと、かように考えております。
#210
○小平芳平君 それにしても、確かに任意制度ですが、先ほどこれも答弁しておられましたが、五%、一〇%という補助ですね、こうした補助も五%、一〇%であと動かないものかどうかです。もっと魅力のある退職金制度と、あるいは全労働者が何らかの形で退職金を受けられるような、そういう制度を全国的に築き上げようというならば、そういうことも五%、一〇%で事足れりというわけにはいかないじゃないですか、いかがですか。
#211
○政府委員(東村金之助君) この原資の中心は、事業主の負担に負うものであることを申し上げましたが、国庫補助の関係については、この事務費全額と、それから給付金の一部国庫補助ということで、現在三年以上、十年未満の掛金に対して五%、それから十年以上の場合には一〇%となっておりますが、もちろんこの数字は絶対的に動かせないという問題ではございません。将来とも、私ども審議会等の意見を拝聴しながら、さらに高い負担率といいますか、そういうものについて努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#212
○小平芳平君 負担率をふやすように努力するですか、その点もう一度お願いします。
#213
○政府委員(東村金之助君) 先生いま御指摘のとおり、負担率をもう少し高めるような努力はしてまいりたいと、かようにお答えしたわけでございます。
#214
○小平芳平君 そうなりますと、およその今後の見通しにつきまして、大体時間も参りましたので、問題点はこれで私は指摘はいたしませんが、およそ今後の目標ですね、現在までの共済制度がこういうことできたと、そこで今度は、これから先どういうことを目標にして運営をしていきますか、で、それは適用事業所数もあります、あるいは適用労働者数も増加、あるいは減少ですね、どういう傾向にあるか、それを労働省としてはどういうふうにしていこうとするか、今後のこの制度の見通しについて、立てておられますか。
#215
○政府委員(東村金之助君) 御質問の趣旨が、あるいは私のみ込めなかったかもしれませんが、この制度そのものを魅力あらしめるということと、この制度の普及を図っていくということはうらはらの関係にあると思います。私どもは、繰り返しますように、この制度の内容を高めながらそれを一般的に普及させていこうと、かように考えるわけでございます。その一環として今回掛金ないし給付の水準を上げていったわけでございますが、これによってかなりの――かなりといいますか、一応の前進はできたと思いますが、やっぱりインフレ、その他社会情勢等の変化がございまするので、その改正が成立をした暁におきましては、さらに、これをどういうふうに――いま申し上げましたような観点から、改善し、運営を円滑にしていったらできるだろうかということを、審議会等を通じまして検討を進めていきたいと、かように考えております。
#216
○小平芳平君 これちょっと、私の質問もとりとめのない質問になって申しわけなかったですが、いま、私が申し上げたいと思っていたことは、「従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的とする。」というのですね、これが過去において従業員の福祉の増進にどれだけ寄与してきたか、中小企業の振興にどれだけ寄与してきたか、そうして今後はさらにこの従業員の福祉の増進と、中小企業の振興に寄与できていくのかどうか、そういう点のことです。
#217
○政府委員(東村金之助君) 退職金制度そのもの並びに資金運用の問題等を含めまして、中小企業の労働者の福祉の増進、生活の安定、ひいては経済の安定ということでございまするが、何と言いましても制度そのものの性格にもよりますが、限界はあったと思うわけです。それからこの改善ができました場合におきましても、それで十分だということをわれわれは決して考えるものではございません。さらに、その法の趣旨、法のねらいに従いまして、ただいま先生のおっしゃった方向に充実をしてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
#218
○小平芳平君 これこれの点は確かに中小企業の振興に寄与したと、この点は間違いなく寄与したという点がありますか。
#219
○政府委員(東村金之助君) そういうものを数量的、計量的にはなかなかつかめませんけれど、たとえば労働者が就業、就職をするときに、そこの企業においては中小企業退職金制度、共済制度に加入しているということが、何といいますか、労働条件がほかの企業に比較していいんだということを表示するような、一つのメルクマールになっているということがよく言われます。そのことを裏返しますと、やはり労働条件の向上という面について、何がしかの寄与はしているし、また、労働者の労働条件の安定ということについても寄与していると、もちろん、それはいろいろ問題がありますが、そういう方向で寄与しているということは言えると思うんですが、それも非常に不十分でございまするので、そういうところを含めまして、さらに検討していきたい、この点が非常に寄与をしたとか、この点がメリットがあったということは、一々申し上げる形のものではございませんが、ごく大ざっぱで恐縮ですが、そのように考えております。
#220
○小平芳平君 何か労働大臣、歯切れが悪い答弁ですね。こうした資産運用状況につきましては午前中再三ありましたので申し上げませんけれども、商工債券、不動産債券、興銀債券というような、そういうところへ資産は運用しているということでありました。ですから、そう直接中小企業振興に役立っているという、それほど直接的なものでもない、関係ないわけじゃないと思うんですが、この債券がですね。しかし、もう少し、最後に労働大臣から、それは数量的にこれだけのプラスがあったと、中小企業の振興、従業員の福祉向上に数量的にこれだけプラスがあったと言うことはむずかしいこととは思います。なかなかそれはそういうふうに表現するということはむずかしいこととは思いますが、どうも従来のやり方では法律の目的に沿ってこれだけの働きをしたとは言いがたい。よほど中身を改善していかないことには、こうした第一条の目的――第一条でしたか、目的にまことにかなった歴史をたどってきたとは言いがたいということを感じますが、いかがですか。
#221
○国務大臣(長谷川峻君) 皆さんほど研究したということでもありませんが、私はずっとやっぱり給与関係を見ておりまして、それぞれの国はそれぞれのやり方がある。よその国には退職金制度がない。一部の国々にある。そしてまた日本の場合でも先ほどから御論議されたように、大企業であれば三十年も勤めれば大学卒業生は千四百万、といって、中小企業で独自で退職金制度をやっているところもあるけれども、そういうものは全然やれない零細企業がある。そういう方々にやっぱり退職金共済制度によってカバーしていく。原資はだから労働者は出さない、こういう形の中にこういうものを十五年間皆さん方の御協力で法律として施行されて、そしてそれを今度は前進させるという意味で御審議願っているわけでありまして、その間に資金の運用等々、先ほど御質問がありましたが、聞いてみますというと、その中にはやはりいろいろなことを言われましても七割ぐらいは中小企業、商工関係のものに金が使われていることも質疑の間において解明されたと思うんであります。でありますから、そういう中においても事務費は国庫負担でやっているということでありまして、そしていままで言われたようなことなどをいまから先も漸次改善するためには審議会がございますから、そういう中に建議を私の方でもして、漸進的に図っていこうというふうなことでして、いますぐ百万円の補助金を取ったのが今度は三百万円になったからというふうにぴしゃぴしゃっとそのメリットはすぐは出ておりませんけれども、やはり長い目から見ますと、そういう零細な方々の企業の方々に対する共済においても退職金の制度というものをここまでつくったと、これはやはり私は政府なり国会なりがやった姿だと思いまして、そういうこうやわらかい表現の、密度の細かい中に中小企業の、あるいは零細企業のレベルアップ、その間においてもまた大企業との差をだんだんなくしていくという努力が払われる、こういう気持ちでいまから先もこの制度の前進に私もしっかりと勉強してまいりたい、こう思っております。
#222
○小平芳平君 これで質問は終わりますが、さっきの、労働省は賃金調査は実にやっていらっしゃるのですね。賃金調査は詳細な賃金調査はやっていらっしゃるのですが、退職金制度については労働省は調査をやったことはないのですか。
#223
○政府委員(東村金之助君) 賃金調査のほかに退職金の問題でございますが、確かに毎年はやっておりませんが、三年に一遍程度は退職金についても制度調査はやっているところでございます。
#224
○小平芳平君 いや、先ほど、午前中の質問には局長は中労委の調査によればと言って答弁されて、私の質問に対しては東京都の労働局の調査によればと言って答弁されていらっしゃるのですが、もっと労働省として退職金に対する調査を充実した方がいいんじゃないですか。
#225
○政府委員(東村金之助君) 中労委の調査なり東京都の調査を申し上げましたのは、最近の調査は労働省にございませんでしたので、そういうふうに申し上げたのですが、最近、ことしはその三年目ごとに当たりまするので、退職金の調査をいたします。その内容も御指摘ございましたようなことがわかるように、ひとつ充実したものをやってみたい、かように考えております。
#226
○沓脱タケ子君 それでは最初に、中小企業退職金共済法の一部改正案についてお尋ねをしたいと思います。
 中小企業、特に三十人以下の小企業におきましては、経済変動の影響というものはきわめて深刻に受ける立場にあります。しかも事業主は従業員対策については大変苦慮しているのが実情でございます。従業員の福祉について、これはたまたま大阪の吹田市という市が独自に調査をしました資料を見てみますと、三十人以下の企業六百五十カ所を対象にして調査をしておる資料を見ますと、従業員福祉について現在の重点についてということがこういう順番で言われているのですね、健康管理、それから住居施設、退職金制度、それから事業内施設、貸付金制度と、こういう順番になっている。
  〔委員長退席、理事山崎昇君着席〕
 それから、これらの小規模業者の皆さん方が市への要望についてこういう意見が出ている。その一は、手軽に利用できる保養施設、二番目が定着奨励のための退職金補助、こういうふうに調査の結果が出ているわけでございます。この調査の結果でもわかりますように、退職金制度というのは大変強く求められている。ところが一方では共済制度その他についての調査がやられているのですけれども、全然そういう共済制度を持たない小規模経営では約二割がやりたいと思うけれども手が回らない、こういう方々があるわけでございます。したがって、そういう中で退職金共済制度というのが充実をされ、魅力のある制度になるということを、大変小規模経営の事業主が望んでおるということになるわけです。ところで、この本制度が発足をいたしまして、三十四年でございますから十五、六年になるわけですけれども、午前中からの審議の中でも明らかになっておりますが、余り大きくふえていない、実数も少ない、その理由は何かということで、いろいろ審議がなされておるわけでございますが、この吹田市で同じく実情調査の資料を見てみますと、法対象の事業数というのが六千二十九で、従業員数が三万七千六百四十八です。その中で、本事業に加入をしている率ですね、〇・〇七七ですから七・七%ですね。従業員数では〇・〇七ですから七%、全国平均よりもやや低いわけですが、こういう中でこういう状況が出ているわけですけれども、こういうところを見てみますと、やっぱり先ほどからも審議の中で言われているように、いわゆる中退金というのが、中小企業退職金共済法というのが片方では望まれておるのにもう一つ広がらない。その理由は一体どこなんだというのが最大の問題点だというふうに思うわけです。午前中からいろいろ審議の中でお伺いはいたしておりますけれども、まとめて一言でなぜそういうことになっておるかという、隘路の中心点は何なのかという点を簡潔に伺っておきたい。
#227
○政府委員(東村金之助君) 吹田市の例は具体的に、数字はいま拝聴しましたけれども、
  〔理事山崎昇君退席、委員長着席〕
その理由はさらに特殊理由があるのかどうかわかりませんが、一般的に現在中小企業の労働者の一割前後がこの制度に入っている、あと九割がまだ入っていない。その理由は何だろうかということを考えてみますと、先ほども申し上げましたように、一つにはこういう制度があるということを承知していないという点が一つございます。もう一つは、掛け捨て、掛け損その他通算制度等にあらわれておりますような形で魅力がないんじゃないかという問題も一つあると思うわけです。そういうものがうらはらになってただいまのような加入率になっているのではないか、かように考えます。
#228
○沓脱タケ子君 労働省は問題点、隘路というのはよく御承知なんですね。これも午前中触れられておりましたけれども、確かに魅力がないという点があろうと思うわけです。といいますのは、私も大阪の商工会議所の特定退職金共済制度というのを調べてみましたけれども、それを見ましてもこれは確かにカーブを見ていきますと四年末満がこの法案よりは有利ですね、退職金が。それから二十四年以上の退職金も大阪の商工会議所でやられている方が有利になっている。そのほか午前中にも例が出ておりましたけれども、川口市だとか戸田市だとかいうふうなところを見ますとずいぶんたくさんやられているのですね。すでに二県、六十八市、二十九町、二村に助成制度が独自に自治体でやられておる。そういう努力をやられておるにもかかわらず余り広がらないというふうな状況になっておるわけですが、私はここでちょっと聞いておきたいと思うのですけれども、自治体でおやりになっておる一番上は二〇%から一番低いところでは五%程度までの自治体独自の助成措置をやっておられると、そういうことで、少しでも労働者にとって有利になるような配慮がなされておるわけですが、それはプラスアルファを独自にやっておられるので当然な措置だと思うのですけれども、不思議に思いますのは、たとえば大阪商工会議所でおやりになっておるのも先ほど申し上げたように四年までが有利だというふうなこと、あるいは二十四年以上が有利だというふうな結果になっているのですが、非常に理解に苦しみますのは、なぜそういうことになるのだろうか。中退金の場合は事務費の全額を国庫が補助をしておる。そういう点で見ますと、生命保険ぺースよりも少しは魅力のある状態にならなければならないんではないか、これは常識的ですよ、考え方としては。だって、年間十七億の事務経費が国庫から補助をされておるということになったら、もっと何とかなりそうなものだなというふうに思うのですけれども、その点はどうですかね。
#229
○政府委員(東村金之助君) 数理計算上将来の退職金給付に対してどういう枠をとっておくかという問題にもかかわるわけでございますが、ただいま先生のお話がありました大阪の商工会議所でございますか、これでも四年未満二十四年以上が中退制度よりも有利であると、そうするとその間はるしろ中退の方が有利になっておると思うわけです。いま私が申し上げました数理計算の問題は一応おくといたしまして、こういうふうに地方ごとに、あるいは自治体ごとにやっておりますと、その自治体自治体に応じたいろいろのやり方ができると思うのです、業種なり退職の率なりがわかりますから。ところが午前中大臣からもお答えしましたように、全体の全業種、全産業を対象にしますと、安全性を見なければいけないし、あるいはいろいろの条件が相殺されたりいたしまして、個々の特定地域でやっているほど魅力がわいてこないという、そういう面もあるのではないかと思うわけであります。したがいまして、両者相補足し合うということが必要ではないかと、一般論としては考えるわけですが、こういういろいろな例が出てまいりましたので、そういうものをさらに参考にしながら、私ども研究してまいりたい、かように考えます。
#230
○沓脱タケ子君 これは具体的な問題に入りたいのですが、今回の法改正を契機に、五十一年十二月一日ですか、掛金増額分については掛け捨て、掛け損を一年間なくすると、発足以後一年間でしたか、掛金相当額を給付するというふうになっているわけですが、この財源はどこから出てくるのですか、金かかるわけでしょう。どのくらいの費用がそのためにはかかって、一年きりなんですね、一年きりになっておるので、やっぱり財源が要ると思うのですが、これはどこからその財源は出てくるのですか。
#231
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘のような制度の改善を今回行うわけでございますが、それに要する所要額の見込みは約十二億円でございます。これはいろいろ今後における収支の推移や今回の支出増などを勘案して財源を捻出しなければいかぬわけですが、それは四十八年度末における累積の利益金が約二十二億程度ございますので、これを全部使うわけにもいきませんし、また十二億という数字がこの中ですぐ使われていいのかどうか若干不安はございますが、まあ全体の見通しとして、この程度ならやれるだろうというふうに踏み切ったわけでございます。
#232
○沓脱タケ子君 本制度についてこれは各委員からも言われましたように、また労働省自身も御承知のように、掛け捨て、掛け損、それから通算制度ですね、この問題を何とかしてほしいというのが最も強い要望です。特に地方自治体で定着のために一定の支出をして何とか定着をさせようという努力をしている自治体ではその要望はきわめて強い。掛け損、掛け捨ての話が盛んに出ていたわけですけれども、私は退職金共済に入って一年または二年までの掛け損、掛け捨てだけではなくて、これは大変な問題が含まれていると思うわけです。と言いますのは五年近くも掛金を掛けておって掛金に満たないという例が出てきたり、あるいは三年近く掛けておって掛金の半分あるいは半分以下になるという実例が出てくるわけです。これは御承知かと思いますけれども、たとえばこういう場合、二千円の掛金で三十四カ月掛けた、それから四千円の掛金を十九カ月掛けた、そうしますと五十三カ月になりますから、当然この給付の対象になるわけですね。退職金の受給権というものがあるわけですね。ところがこの場合に最初二千円を三十四カ月掛けて、後が四千円が十九カ月ということになりますと、十九カ月の四千円の分というのが掛け損の部類になるわけですね。そうすると、これはちゃんと正規の計算をしてみますと、こういうことになる。掛金総額が十四万四千円、ところが退職金として労働者が受け取る金額は十三万六千四百五十円、こういうことになる。これは少ないながらでも一万足らず少ないという、掛金総額よりも約一万そこそこ少ない。一番ひどいのは三年余り掛けて、掛金の半分以下になるというふうな実例が出てくるわけです。
 それで、この例は千四百円を三十六カ月掛けた、ですからこれでもう受給権はできるわけですが、さらに二千五百円にふやした、掛金を。そうして三カ月掛けてやめたわけです。そうしますと、三十九カ月掛けているわけですから、当然これは退職金の受給権があるわけですが、この人の掛金総額は幾らになるかと言いますと、十二万五千四百円になる。ところが実際に退職金として受け取るのは五万五千四百二十円、半分以下ですね。
 それから、三年近く掛けて、掛金の約半分になるというふうな例も出てくる。これは二千五百円の分は全部掛け損ですから、――いろんな組み合わせをしてみると、こういう大変な実例が出てくるわけです。これは具体例ですよ。この人は六百円を十二カ月掛けた、それから、さらに千円になって十二カ月掛けた、さらに二千五百円の掛金にして九カ月掛けた、そうしますと、掛金を掛けた総月数というのは三十三カ月です。これは大変デリケートなところなんですね、三十三カ月ですから。掛金総額は幾らかと言いますと四万一千七百円、ところが受け取った金額というのは二万三千七百六十円。こういうことになりますと、これは魅力がないですよね。これは事業主の方も、掛けていても、せっかく労働者の福利厚生のためにと思って掛けていても、受け取るときはこんな金額になるというのでは、これは魅力がなくなるわけで、どうしても通算措置について、今度一年限りということになりましたけれども、この辺の制度を何とか考えて、掛金を掛けた総月数、これを考えていくというふうな制度にしていかないと、これは少々の掛け捨てや掛け損では終わらない、こういう問題点が含まれているように思うわけです。そういう点を御承知の上で一年限りにされたのか、知っておってやったというんだったら、これはひどいと思うんです。これ実例があるんですから、その点についてちょっと御見解を聞きたいと思うんです。私はこういうものをなくするためには、どうしても通算は、やっぱり退職金というのは掛金を掛けた、あるいは仕事をした総月数に基づいて、総年数に基づいて当然支払われるべき性格のものだと思うんですよ。ところが政府のこの制度でいきますと、ふやしたら、ふやしたときから新規加入というかっこうで全部打ち切りになっていく、掛け捨て、掛け損と、こういうふうになっていきますから、たまたまこういう、いま私が申し上げた実例のような例になりますと、大変な掛け損になると、こういうことになるんです。そういうことを御承知の上で今度の制度をおやりになったのかどうか、ちょっと聞きたい。
#233
○政府委員(東村金之助君) 増額した分は、新たな契約として、そこから発足するというのが一般の生命保険等について行われているやり方でございます。そこで、従来はそういうやり方をやっておったと、したがいまして、先生いろいろの組み合わせでお話しございました。一々の数字は恐らく先生おやりになった数字でございますから、そういうことと思うのですが、裏返して言いますと、ある年齢、ある勤続以上になると、逆なプラスが出てくるということはあり得るわけでございます。それにしても当面、こういう一つのワンステップの掛け捨て、掛け損をなくすと、切りかえのときの一年直すというだけでも十二億かかりますので、それをどうするかということをいろいろ苦慮して踏み切ったわけでございます。そういういま先生お話しがございましたような、そういうものを何もどっかへやってしまうのでなくて、それは、それを前提にした計算上のカーブを描いていこうということでございまするので、いまお話ございました、個人個人でそういうケースがあり得るということを否定するものではございません。全体としてはバランスをとったつもりでございますが、さらにそういう魅力の面から見て問題指摘がございますので、特にそういう問題をどう解消したらいいのか、収支上の問題とのかみ合わせでどう考えていったらいいか、これをやはり引き続いて検討しなければならないとは私ども考えております。
#234
○沓脱タケ子君 恐らく事業主にしても、労働者知っておったか知らないかは別としまして、これは私、仮に計算したのでなくて、全部該当者がおるのです。名前言うてもいいんですけれども、そんなこと言うても大勢に影響ないから言わないだけで、該当者がおるわけです。ですから五年近く掛けているんだから、三十六カ月掛けておればもらえるのだということで胸算用していたところが、五年近く掛けているんだから、まあこの程度はもらえるんだなあという胸算用をしていたところが、すとんと外れるわけですね。半分近くに、あるいは半分以下になるというふうなケースというのは、これはきつ過ぎますよ、実際には。これはやはりこういうケースはなくしていくような方途というのはぜひ早急に検討なさらなければ、これはPRをいろいろ工夫しておられるとは言いながらも、中身が、こういう問題が出てくるということになりますと、そうメリットがないのだったらということになりかねない。その点は、これはぜひ――確かに原資はかかると思いますよ、一年限りで十二億かかるというのがら、これ全部やったらどのくらいかかるのか、これは一遍計算して聞かしてもらわなければいかぬですけれども、かかると思いますけれども、せっかくの制度をつくって、結果としてこういうことになるというのは、これは見逃すわけにはいかない欠陥だと思う。
 それからもう一つ、これと関連をいたしますが、ぜひこれも考えなければならない一つの問題点は、いま申し上げた、改正された通算制度ですね。九十四条によりますと、制度間の通算というのがありますね。この法の九十四条によりますと、制度間の通算、制度間の通算の算定方法というのは、新しい契約の掛金月額、これも大分問題があるわけです。なかなかむずかしい計算方法で、これは専門家でないと私どもなかなかわからないわけですが、これも実例なんですがね。大変なことだなあと、ちょっと実例を申し上げたいと思いますがね、建設退職金共済におった人ですね。この人が今度の中退金の事業団の退職でするという場合、これはむずかしい計算方法で金額を決める制度になっておりますが、具体的にはこういうことになるんですね。建設退職金共済に四十カ月ですから、三年四カ月ですね、四十カ月入っておった。掛金総額が二万七千百八十円、だからこれを均等に、建設の場合は均等に割る必要ないわけですがね、とにかく掛金総額が二万七千百八十円、そうしたらそれを事業団の退職金制度に引き継ぐときにはこれは計算をしたら二万六千四百円になるんだそうですね。むずかしい計算だけれども、表によると。そうして、そこの事業団での一カ月の掛金を四千円として六カ月という計算になる。そうしますと、この人、四、五カ月して仕事がかわってとても勤まらないということでやめますと、六カ月の計算にしかならないんですから、五カ月してやめたら、何と四十五カ月掛金を掛けておきながら掛け捨てになる、こういう実例というのは大変なことだと思うんです。
 同じようなことが幾つかありますが、やっぱり建設退職金共済を十八カ月掛けおった、そうしたら、八十八カ月言うたら七年四カ月かになるでしょう。それが今度事業団に入ったときには四千円で十二カ月の計算になって、掛金総額が五万四千四百円のランクヘ行くわけですね。十二カ月、この人新しい職場にかわってしばらくして続かないということで、たとえば六カ月してやめたとします。そうすると、八十八カ月も掛けておって、さらに六カ月掛けるんですから九十四カ月ですか、総計九十四カ月掛けておりながら掛け損になるわけです。こういう制度になってしまっているわけです。これはいろいろ組み合わせていきますと、こういう例はたくさんあります。それから逆に、事業団からたとえば建設退職金共済に行きましても、こういう問題が起こります。で、私はこれはもう大変制度上の矛盾じゃないかというふうに思うわけです。で、制度間の通算の算定方法というのはこういうややこしいやり方をするわけなんですが、退職金というのはそもそも勤務の実績に応じて退職金を支給しようとするというのが大体この制度の本旨でもあるわけでしょう。特に制度内の通算の方法と比較しても、これも大概悪いというのをさきに言うたんだけれども、それと比べてももっと均衡を失していると思うわけです、この制度間の通算制度は。この点についてはこれは改善の方途を講ずるべきではないかというふうに思いますが、どうでしょう。
#235
○政府委員(東村金之助君) ただいま建退から中退へ制度間の移動があった例を具体的にお挙げになったわけですが、確かに建退で積み立てたそのお金を中退の方の掛金の額で割り戻すと一年に満たないとかという問題も出てまいるわけでございます。一年に満たないから掛け捨てであるということでいまのようなお話が出てくる。したがって、もし建退で、建設業のそのお仕事をおやめになって、一般の仕事につくというならば、そこで退職金をもらうということも一つ考えられるわけでございます。しかし、それでなくての例でございまするので、こういうことになるわけでございますが、これは制度のたてまえとして、先ほど申し上げたように、全体としてはつり合っているわけでございますが、これを掛けてもらった労働者にしてみれば、非常に矛盾を感ずるといいますか、問題を感ずることもわからぬではございません。しかし、これは逆な場合も、中退から建退へ行くというようなときにどうなるかという問題にも相なるわけでございまして、一つには、こういうことになっているんだということを、私どもといいますか、建設業の退職金の方でよく説明してないところに問題が起こるということもあると思うんです。つまり、建退をおやめになっていくならば、ずっと今度中退の方に入って長く在籍するというならばこういう問題は余り起こらないんですが、入ってすぐそういう問題が起こるということになると、こういう結果になります。したがって、それならば建退を、建設業を引き揚げるときに退職金をいただくということならば、四十カ月でございますのでまあ何とかなったわけでございます。いずれにしましても、くどいようで恐縮でありますが、個人的にそういう問題が起こるということも矛盾であるということもわかりますので、制度全体の中で、これはなかなかむずかしい問題だと思うんです。全体の均衡がとれているわけですからむずかしい問題だと思いますが、研究さしてもらいたいと思います。
#236
○沓脱タケ子君 研究さしてもらいたいとおっしゃるんだけれども、私はそうむずかしくないんじゃないかなと思うんですよ。というのは、退職金というのはその労働者が働いた年数、月数に応じてそれに見合うべき退職金を支給するというのが趣旨なんですからね。四十カ月すでに働いておるということであれば引き継ぐときに四十カ月が生きるような制度に通算のやり方を考えれば、このむずかしい算定方法をそういうふうに改めればいいだけだと思うんですよね。そんなことはそうむずかしいことではないんじゃないですか。だって全然もらえる資格者、受給資格者が、受給権者が労働省が決めている制度のおかげで全部掛け捨てになるというふうな例というのは、こんなのはやはりできるだけなくするように制度を改めるべきだと思うんですよ。そんな別に金が要るとかなんとかの問題じゃないでしょう、これは。その労働者が実際に掛けた月数というのができるだけ近い形で生きるようなやり方の通算のやり方というのをこれはおやりになればこんなむちゃくちゃな掛け捨てというのはなくなるわけですから。そういうふうな改善方法、これは検討されるべきだと思うんですよ。制度のやっぱり欠陥だと思います。
#237
○政府委員(東村金之助君) むずかしいいろいろ計算がございまして、私自身も全部マスターしているわけでございませんが、ただいまの例で、建退から中退に移った際に四千円という掛金月額でございますね、この四千円という金額がもう少し仮に低いとするわけですね、あるいは八百円とか、そうなりますとこの月数というのが六カ月じゃなくてもう何年に該当するようなことになって、そこに矛盾が解消される方向が出てくると思うんです。ただ、この四千円せっかくお掛けになったものをこれは高過ぎるからだめだというわけにもいきませんし、これ簡単だと先生おっしゃいますが、これはやはり建退の会計と中退の会計、これは別でございますからね、やはり融通するというわけにいきませんで、責任準備金として評価してやるわけですから、やっぱり割り戻すとさっきお話があったような数字になっちゃうということでございまして、この四千円という設例の金額が前提になっておりますとこういうふうになる、じゃそれは抑えるかというと、それを抑えるというのも別の意味でこれはできないというところに問題があるので、いろいろ研究しなきゃいかぬと、こういうことを申し上げたわけでございます。
#238
○沓脱タケ子君 たまたまこの人は四千円の例なんですよね。二千円の例でもそんな例あるんですよ。建退で四十カ月掛けて二万三千二百二十六円、それから事業団の中退共へ入るということになったら一カ月二千円、四十カ月掛けたのは二千円にすると十カ月に換算されているわけですね。かわってすぐやめたら、これ四十二カ月ほど掛けたけれども、――まあ四十カ月掛けたとしなさいな、入ったけれども一カ月でやめた、そうしたら四十一カ月掛けておるんだから当然受給権者なんだけれども、この制度の通算をやって、たまたまやってやめたら掛け捨てになるんです。そういうふうな制度になってしまっているんです。そのことが一つは問題だということを言っておるんで、これは慎重に一遍検討してみてください。そういうことが考え得るのですよ。大変な問題だと思うのです。さっきのいわゆるこの制度間の通算だけではなくて、いや制度間の通算の問題ですね。その問題もあわせてこの制度間の違った退職金制度の移動の場合に、これはもうぜひ検討して改善の方途を講ずるべきだと思う。こんなことが明らかになったらメリットはよけいデメリットになるだけでメリットがなくなってしまうと思うのですよね。その辺をひとつ、これは大臣ちょっと考えてみてくださいよ。
#239
○国務大臣(長谷川峻君) 先生のお話を聞いてみるとなかなか筋が通っているように思いますけれども、何かこっちの専門家の話を聞いてみると計数上の整理でなかなか大変だということもありますので、ひとつ研究さしてください。
#240
○沓脱タケ子君 それで、先ほども小平委員からもお話が出ておりましたけれども、国の補助金が三十六カ月以上百二十カ月までが五%で、十年以上が一〇%というふうに、これはやっぱりふやすべきじゃないかというふうに私も思うのですよ。せめて二十年以上というのは、二十年になればこの率は一五%か二〇%ぐらいのプラスアルファがあってしかるべきだと。午前中の御報告の中でも私どもいただいている資料を見ましても、そんなこれ長期に連続して加入をしておられる労働者の数というのは大変少ないじゃないですか。その人たちを優遇するために掛け捨てや掛け損があるという話も出たぐらいですから、これはやはりもっとせめて二十年ぐらいのところは二〇%とするとかいうふうなことにするべきだと、前向きにというお話があったので、私は具体的にせめて二〇%にするべきじゃないかと思いますが、どうですか。
#241
○政府委員(東村金之助君) おっしゃるとおり、この十年以上一本でございますが、その中でさらに二十年以上はもう少し高い補助率をという御指摘、私どももさように考えて今回はそういうふうに言っておりませんが、機会あるごとにそういうふうな形で問題を前進さしていきたい、そういうふうに考えております。
#242
○沓脱タケ子君 それから退職金というのは、これは掛金を、共済制度による退職金なので掛けている以上はもらわにゃいかぬわけですよね。ところが、なかなか受給権を持ちながらもらっておらないというのがようけあるのですね。これはすでに衆議院でやられておることですから私はちょっと若干数字だけ申し上げて意見を求めたいと思うのですがね。退職金が労働者の手に渡るかどうかというのは全く本制度の根本にかかわる問題なのですけれども、受給権を持ちながら未請求のものが、四十四年度から四十八年度ですね、この間に件数として十三万九千二百三十七件、総額、その金額四十二億五千五百二十一万円という大変なのが、まあ、こないもらいにくい制度をくぐってもらえるような権利ができてるのにもらってない、こういうのがあるのでしょう。これはなぜこういうことが起こるのですか。
#243
○政府委員(東村金之助君) それにはいろいろ原因がございますが、その要因としては事業主が労働者をこの制度に加入させたとき、その旨を労働者に通知しなきゃいけない、また労働者が退職したときには遅滞なく手帳を渡さなきゃいかぬ、こういうことになっているのでございますが、それがなかなか励行されていない。それからこれもちょっと申し上げにくいのでございますが、中小零細企業等においてはなかなか事業主と労働者の間の人間関係がうまくいかないで円満退職ということでない場合も生じてしまう。それから加入期間が短くてこの程度ならばというので先ほどから先生方から御指摘があるように、魅力がないじゃないかということで請求するのをやめてしまうというようなもろもろの要因があると思いますが、いずれにいたしましてもやはり労働者の方にきちっとこういう制度になっている、こういうかっこうになっているということが徹底しないということが大きな原因じゃないかと思います。
#244
○沓脱タケ子君 これはこんな、請求権があるのに請求しなかったからと言って五年間に四十二億も宙に浮いているのですね。そんな金額というのはどないになるのですか、会計の中で。
#245
○政府委員(東村金之助君) これは全体の中で将来の退職金の支払い備金として積み立ててあるわけでございます。
#246
○沓脱タケ子君 積み立ててそのお金は使わないのですか、使うのですか、私は非常に不思議だと思うのだがね。もう請求されなくて残っているお金でしょう、これ、どうするのですかね。
#247
○政府委員(水谷剛蔵君) これは当然のことでございまして、一定の時効が来ますと時効益として将来の給付に回すということでございます。
#248
○沓脱タケ子君 ずいぶん細かい質疑が続けられてきて、メリットが少ない言って大分意見が出ているのに、メリットが少ないという証拠みたいなかっこうで十三万件以上も受給権者が取りに来ないと、取りに来ないお金が四十二億円何がしもあると、こういう状態というのはこれは何とかなくさなきゃならぬと思うのですよ。これ、私はこの労働者に徹底させるという問題を事務的にもっと研究するべきではないかというふうに思うのですわ。これは何でこんなことが起こっているんかと思って労働省で見本にいただいたわけですがね、「退職金共済手帳」というのを見ますと、「掛金納付原符」と「被共済者番号控」というのでこれ二枚にこう割れるようになっているのですね。ですから、事業主の方へは一枚が残って、一枚が金融機関へ、事業団へ行くのですか、労働者に渡すものがないわけですよ。だから労働者はおやじが入ってくれているということを知らぬかもわからぬですわね、実際は。知らないのもあるのだというのは先ほど局長の幾つかの事例の中で述べられておるとおりあるのですよね。ですから、こういうふうな毎月掛金をしているのだから、毎月労働者にこれを渡すのは大変にしても、あなたのはこれだけ掛けてやっているぞということがわかるように、これ、もう一つぺらぺらをつくって労働者に渡すなり毎月渡すのがめんどうなら、年に一回でも二回でも渡すなり、何かして労働者は、はあこんなものに入ってくれているんやなあということがわかるように、これ、ちょっとした手続で改善ができそうに思うのですが、どうでしょう。
#249
○政府委員(東村金之助君) 確かにせっかく中退金制度へ入っておりながら、労働者に知らしてないというのはちょっとおかしな話だと思うのです。むしろ入ったらもう早速労働者に、こういうのに入っているぞと、入る前からうちにはこういう制度があるのだと言いながら労働者にPRしているのが普通でございますが、ただいま先生の御指摘のように、入っていながら労働者に知らしてない、これではいろいろ問題がやはり起きてまいります。その一つのやり方としていま先生から具体的な御提案ありましたが、いずれにいたしましても労働者にわかるような、徹底できるようなそういうものを研究してまいりたいと思います。
#250
○沓脱タケ子君 それから、この各委員からもすでに出ておりますがね、五年ごとの見直しですね。これはインフレ物価高ということで国民年金等は大体みんな五年ごとということが短縮されているですよね。年金にしたら四十四年には二万円年金ですか、それから四十八年のときには五万円年金、次には五十一年度に見直しと、こういうふうに言われているでしょう。で、やっぱり退職金、退職するということは仕事から離れるわけですから、退職時に対する措置というものは同じように物価高インフレに対応するには、機敏に対応できるということが大事だと思うんですよね。その辺について、これ五年ごとでは話にならぬのじゃないかというふうに思うんです。で、話にならぬという実例はもう私が申し上げなくても十分御承知のとおり、物価指数あるいは賃金指数から見ましても、物価指数でいきますと、昭和四十五年と四十九年の十二月で見ましたら、四十五年を一〇〇として一六四・二ですね。それから賃金指数も、四十五年を一〇〇として四十九年、これは十月で見て一六二・四です。こういう結果から見ますと、十五年も六年もかけておる人から見ますと、四十五年当時に期待した退職金の見込みはもう六割以上ダウンしているという事態が起こってきているわけですが、こういう点では、もらうときにもう半分以下に目減りするというふうな状況になったのでは、三十人以下、二十人以下というふうな、二十人以下が非常に多いというお話がすでに出ておりますように、そういう小規模事業主が大変苦しいやりくりの中でせっかく掛けている掛金が全くかわいい労働者の手に渡らずにどっかへ収奪されてしまうというふうな結果になるわけですよ。この点は法律で五年と言うから五年としゃくし定規に考えるのではなくて、年金ではすでに実施されている、そういう点を同じようにもっと機敏な対応というふうなことを具体的にお考えになっておられるかどうか、その点を伺っておきたい。
#251
○政府委員(東村金之助君) 確かに法律では五年以内の見直しということが規定されております。今回の改正もそれに準じたわけでございますが、世の中はインフレその他いろいろ動きが激しいときでございまするので、私どもは少なくとも現在の改正が行われるならば一応五年程度は対応し得るものとは考えておりますが、せっかく先生からの御指摘もございますし、事情が即さないような事態になりましたらば必要に応じて改正しなきゃいかぬというふうに考えておりまして、せっかく今後の問題については審議会もこの問題が国会で成立を見たならば早速検討を始めるということでございまするので、御趣旨のようなことが実現できるんじゃないかと、かように考えております。
#252
○沓脱タケ子君 これはまあ遅くなってしまったんだから今回はしょうがないとしまして、今後の課題としてはやはり機敏な対応というのが望まれると思いますので、ぜひこれは検討をして改善をしてもらいたいというふうに思います。
 それから掛け捨て、掛け損、通算ということでいろいろ申し上げましたけれども、これは、これもすでに衆議院では審議済みのことなので私はぜひ注意を喚起しておきたいと思うのは、建設退職金共済ですね、この関係の人たちはなかなか一日ずつの切手がもらえないという意見というのは私どもにも寄せられております。で、調べてみますと、これは建設省の計画局長の名前で昭和四十五年の四月六日、昭和四十七年十一月二十二日と二回にわたって「建設業退職金共済制度の普及徹底について」、あるいは「普及徹底に関する措置等について」というふうなお触れが出ているわけですね。出されているわけです。これは衆議院でもすでに問題になりましたように、たとえば官公需、特に公共事業の場合にはちゃんとこれがプラスアルファで三%、平均三%程度がプラスされているわけですね。で、そのことが労働者保護のたてまえというのが貫かれていて大変結構だと思うんですけれども、末端では生かされていない。元請業者はちゃんと買うかもわからぬ――ちゃんともう買うてないかもわからぬですね。買っても、それが下請、孫請、曽孫請と次々行ったら労働者にはちゃんと渡っていないというふうな状況というのは、これは建設関係の現場の労働者から私どもの方に訴えが参っております。で、それなりに私どもも調べてみましたけれども、どこかでとまってしまうんですね。とまってしまうか、あるいは全額が該当しないかいうふうな、買われていないかというふうなことで、ほかの経費に使われてしまって、せっかくの労働者保護というのが生かされていないという結果が出ているようです。これはわずかではなくて、衆議院でも審議をされておりますように、国の公共事業の関係だけを見ましても一年間に百八十億ぐらいになるというんですからね、この問題がやはり筋が通るように、建設省でもこういう通達をお出しになって徹底普及方を推進をしておられるようですけれども、労働省としても何とかその点については労働者を保護するというたてまえからいって、せっかくの制度ですね、これはもう非常にはっきりしているんで、生かされるように指導を強める必要があるんではないかと思うんですね。これは建設のを見たんですけれども、これ一つずつ張るようになっているんですね。もらわぬかったら、せっかく金が出されていても労働者の利益にはならない、こういう事態というのが起こっているようですので、その点についての御見解をお伺いしておきたい。
#253
○政府委員(東村金之助君) 建設業、特に公共工事における証紙の購入状況、貼付状況の問題でございますが、確かにおっしゃるように数%上乗せしてそれができるようなかっこうになっているのになかなか末端まで行かない。いろいろ私ども聞いてみたり調べてみますとむずかしい問題が介在しているようでございますが、せっかくそういう制度があって、しかも公共事業であるがゆえにそういうかっこうで予算も上乗せされておるものでございますから、ぜひ末端までそれが徹底するように、これ私どもだけではなかなかいけませんので、関係行政機関とも協議しながらそういう指導をしてまいりたい、かように考えております。
#254
○沓脱タケ子君 それではちょっとあと残り時間をちょうだいいたしまして雇用保険法の施行に伴う諸問題を若干お聞きをしたいと思います。局長おかげんが悪いそうですからごく簡単にお尋ねをしたいと思います。
 雇用保険、労災保険というのが本年度から全面適用になりました。で、商業、サービス業の五人未満の事業所というのは約百万事業所があると言われておりますが、そのほか農林水産業も入れますと行政上全面適用はなかなか大変な至難なわざだと思うわけです。で、全面適用の進行状態と見通しですね、これはどういうことになっておるでしょうか。
#255
○説明員(中谷滋君) 雇用保険法の成立その他によりまして本年四月より御指摘のいわゆる全面適用、特に五人未満の商業サービス業に対する適用拡大が行われたわけでございますけれども、まだ四月に入りまして日も浅い適用でございまして、適用拡大の状況につきましてはまだ全面的には把握しておりません。ただ、若干、数件にわたって当たりました状況では、例年よりもやや新規加入がふえているということは聞いておりますけれども、急激に新規加入がふえているというような状況ではないという感触を持っております。もう少し時間がたちましてからその状況を把握しましてお答えしたいと思います。
#256
○沓脱タケ子君 労働者が労働災害とかあるいは失業したというふうな場合に、五人未満の事業所の労働者でも給付の適用を受けられるということになったというのは非常に意義は大きいと思うんです。したがって、この意義の大きい全面適用を小規模事業主にも正しく理解をされて進められるということが大変大事じゃないかというふうに思うわけです。
 その点で若干お聞きをしたいと思っているんですが、具体的な問題に入ります前に、現在の中小企業あるいは小規模企業というのはどういう状態に追い込まれているか。これはもう私が申し上げるまでもなく、労働省御当局はよく御承知だと思いますけれども、全く親会社から関連下請企業への指示文書などで痛めつけられている。これは私どもの手元に来ております分につきましても、たとえば久保田鉄工の堺製造所というようなところからは「環境悪化とその打開策について」というふうなことで、これは1から12までの内容についてきわめて具体的に出ているわけですね。そういう中でどんなことが書かれているかというと、「外注品の即時社内吸収の断行(いい恰好は絶対禁止)」とか、あるいは「省力化の徹底推進」「余裕人員の発見とその排除対策の即時断行」というふうなたぐいで、これはその他の中小企業の実例を見ましてもきわめて厳しい状況になっています。これはまあ時間の関係もありますから、私、その他の事例は申し上げませんけれども、こういうふうに大変な困難な状況の中に直面をしている。こういう状態でも、税金や各種社会保険、労働保険料も納めていかなければならないというのが中小企業、あるいは小規模企業の実態であるわけです。で、労働者の保護はもちろんですけれども、その親方である中小企業自身に特別な配慮をしていかないと、この五人未満の全企業所に適用していくということはなかなか配慮が必要ではないかというふうに思うわけです。これは雇用保険法の審議の中でも申し上げたところですけれども、したがって、全面適用の前提として、中小企業、特に小規模企業の五人未満のところの対策というのを特別に要望していきたいというふうに思うわけです。
 そこで、全面適用というのは事務組合の委託で進めていくというのですね、それだけではないんですか。事務組合で進めていくというのが中心ですか、その進め方について若干お伺いをしておきたい。
#257
○政府委員(青木勇之助君) いま先生おっしゃいましたとおり、原則的には事務組合で推進してまいると、こういう方針で臨んでおります。
#258
○沓脱タケ子君 そうしますと、一件一件個々の事業所を扱うのではなくて、事務組合の形式で進めていくということになりますと、事務組合というのは国の行政事務の一部を担当するということになるわけですね。まあ大変な役割りだと思うんですが、……。
 そこで具体的に聞いていきたいと思いますが、雇用保険法の八十三条ですか、これによりますと、第七条に定める被保険者に関する届け出をしなかった場合など、「六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金」という項目がありますね、これ。八十三条にはそういうふうにあるわけですけれども、この罰金は事務組合にも同様に科されるんですね。で、これがこの中小企業、特に小規模な企業では大変な問題になっているんです、いま。で、大問題になって、ずいぶんこわがられているんです。といいますのは、ふなれな事業主も現に多いわけですね、こういう問題について。
 そこで私が指摘しておきたいと思いますのは、行政の姿勢といたしまして、今回この適用事業所になったところはもちろんのことですが、まだその事情や制度を十分のみ込んでいないというふうな小規模の事業主に対して、制度の内容というのが十分に理解されるように指導することに重点を置くべきだというふうに思うんですが、そういう点で理解を十分に徹底をするというところに重点を置いて、機械的に罰則の適用をしてはならないと、こういうふうに思いますが、どうでしょう。これはまあ発足直後だから……。
#259
○政府委員(遠藤政夫君) 雇用保険法が四月一日から施行になりました。一人でも労働者を雇っていれば全部適用になる、こういうたてまえに変わったわけでございます。
 で、この法案の審議の過程で申し上げましたように、この新しく適用になります小零細企業あるいは五人以上の小企業にいたしましても、従来の、三月末までの失業保険法のたてまえからいきますと当然適用になっていながら実際には適用の手続がとられていない、未適用になっているという企業も相当ございます。こういうものにつきましては、当然被保険者である労働者の権利義務に直接影響する問題でございますので、そういった法定の手続を怠っている、あるいは虚偽の届け出であるとか、いろいろこういった事例につきましては罰則の適用がございます。失業保険法でもございますし雇用保険法でも当然ございます。しかしながら、こういったことは、労働者を保護することがこの法律の目的でありまして、何も罰則をやたらに適用することが趣旨ではございません。したがいまして、全面適用になりましても手続的なこの適用届けなりその他の諸手続がなされなくても労働者の保護に欠けることのないように給付は行われます。だからといってそれに対して罰則を適用するかどうかということにつきましては、過去二十数年間失業保険法の適用について罰則の適用がどれだけ行われたか、それは先生御存じだと思います。私どもはそういうことをむやみやたらに罰則を適用することが目的ではございませんので、したがいまして、この四月一日の施行前におきましても全国的に全安定所を通じて数回にわたって小零細企業の企業主に対してこの雇用保険法の趣旨の徹底を図ってまいっております。そういたしまして、できるだけ小零細企業の事務能力のない人たちが商工会議所なり協同組合なり、そういったものを通じて保険料の納入手続なりあるいは被保険者である労働者の資格の得喪、あるいは失業したときの手続、取得手続、こういったものが十分に行われるように指導をいたしてまいっておるわけでございまして、決してやたらに罰則を適用するようなことは考えておりません。
#260
○沓脱タケ子君 大分しかし事業主の間で、特に小規模事業主の間で大問題になっておりますので特にお伺いをしたわけです。
 次に、こういう要望が出ている。中小企業なので、特に小規模企業なので従業員の福祉施設というのがなかなか一つの企業でやっていけないと、たとえば食堂をつくりたい、小さなスポーツ施設、卓球場一つをつくりたいと思っても、あるいは文化施設をつくりたいと思っても、単独ではできない。近くの中小企業が共同してこういう福利施設をつくる場合に、その業者団体がつくる場合にも、雇用福祉事業融資、これをしてほしいという問題が出されているわけです。この要望、もっともだと思いますが、具体的にそういう要望に沿う制度がありますか。
#261
○政府委員(遠藤政夫君) これは従来とも雇用促進事業団の福祉施設の設置の内容の一つといたしまして、いわゆるこういった工業団地、いろいろな中小企業の団地等に中小企業の従業員のための福祉施設を設置いたしてまいっております。五十年度におきましてもさらに増設等の計画を持っていま進めておりますし、またそのほかにこういった中小企業の人たちが共同して給食施設なりあるいは厚生施設をつくりたい、こういう場合には、雇用促進事業団の雇用促進融資の中で福祉施設の融資という制度があります。単独の企業であれば三千五百万までが限度でございますが、共同してやる場合、六千万までは融資できると、こういう制度があります。これによって過去におきましてもずいぶん利用されておりますし、今後ともこういった活用を十分指導してまいりたい、かように考えております。
#262
○沓脱タケ子君 一応そういう制度があっても融資要件ですね、これをなるべく中小企業が借りやすいように、小規模企業が借りられやすいように検討してほしいという要求なんです。せっかく事業主が従業員のためにしてやろうというふうに考えても、結局要件が整わないということでだめになるというようなこともあるようなので、運用上考慮して、要件を検討してほしいというわけです。これは要件はちょっと聞いたらいいわけだけれども、ちょっと簡単に言ってくれますか。
#263
○政府委員(遠藤政夫君) これは中高年をたくさん雇っているとか、みんなが共同して雇うとか、いろいろなあれがありますが、融資条件で一番問題になりますのは手持ち資金、自己資金をどれくらい出せばいいか、それから利率がどれくらいか、この二点が一番大きいわけですが、福祉施設の融資の場合にも、中小企業については融資率も九〇%、大企業より高くしてあります。それから利率も大企業よりは安くしてある。こういうことで、中小企業の人たちが利用しやすいような制度になっております。今後ともそういう内容をより充実さしていくように努力したいと思います。
#264
○沓脱タケ子君 この「雇用促進融資のごあんない」という労働省の雇用促進事業団の融資部というのが発行しているのを見ますと、「貸付けを受けられる方」ということで、「公共職業安定所の紹介により、労働者を一定数以上雇い入れる事業主又は事業主の団体の方」というふうに書かれていますが、これは要件になるのですか。
#265
○政府委員(遠藤政夫君) これはいろんな条件がありまして、たとえば中高年を雇った事業主、あるいはそういう求人申し込みをした事業主というようなことで、あるいは過去におきます炭鉱離職者とか、駐留軍の離職者の人を雇うとか、いろんな条件があります。そのどれかの条件に当てはまれば、安定所が証明を出して、それによって融資を受けられると、こういうことでございます。したがいまして、安定所は全くおれは利用したくないんだと、自分で勝手にやるので、金だけ出せと言われても、なかなかそういう面は御要望に応じかねる場合がございますけれども、先ほど来安定所の利用率が低いじゃないか、私どもはせっかくいろんな援助制度をつくっておりますので、そういうのを利用して、中高年の人たちとか寡婦の人たちとか、あるいは衰退産業からの離職者の人たちを雇っていただくとか、こういうことで御協力をお願いしておりまして、そういう向きについては積極的により有利な条件で融資をして差し上げると、こういうことにいたしておるわけでございます。
#266
○沓脱タケ子君 安定所のお世話にならぬということではないですけれども、三人や五人しか雇っていない小規模事業主が、そない再再安定所からの労働者を採用するというような機会はないですよ、実際。だから「一定数以上」というふうに書かれているのは、何か特別な率とか、そういうものはあるんですか。
#267
○政府委員(遠藤政夫君) 時間があれば細かく融資を受けられる条件を申し上げますけれども、これはまあ細かく申し上げますと、一通り並べただけでも三十分以上ぐらいかかります。ですから、それは省略さしていただきますけれども、たとえば中小零細企業で、福祉施設がないために、たとえば従業員の住宅だとか、あるいは給食施設だとか、そういった福祉施設がないために人が来てくれないと、こういう状態であれば、それに対して融資の対象になると、こういうこともあるわけです。必ずしも何人雇わなきゃならぬとか、そういうことだけが条件になっているわけじゃありません。ですから、たとえば五人使っているところで、一人中高年を雇えば、それでも対象になる。一人安定所から雇わなくても、そういう施設をつくらなければ人を雇いにくい、人が来てくれませんと、こういう条件があれば、それによっても融資を受けられる。いろんな条件がありますので、どれかに該当するように恐らくはなるだろうと思います。ただ、私の方は安定所なんか関係ありませんとおっしゃられるところについてはむずかしいかもしれません。
#268
○沓脱タケ子君 それでは、運用を考慮して要件も借りやすいように検討してもらって、要望が出ているということを受けて、労働者保護に役立てるようにひとつ前進をさしていただきたい。
 それから関連をいたしまして、次に二つ問題を聞きたいと思っておりますのは、労働保険事務組合の扱う事務の簡素化の問題、それからもう一つは事務組合の扱う特定保険料や報告書の提出期限を、いま五月十五日になっているのですね。これを五月末日までに改めてほしいということなんです、この二つについて。
#269
○政府委員(青木勇之助君) まず第一点目の書式手続等の簡素化の問題でございますが、労働保険事務組合関係の書式、あるいは手続等は、それぞれの必要性に基づきまして、各種のものがございますことは先生御存じのとおりでございます。何分保険料の納付等金銭の取り扱いを中心とする事務の性質上、やはり厳密性というものが必要でございますため、簡素化というものも必ずしも容易ではないのでございますが、従来からできるだけ簡素化をしようということで、鋭意努力をしてまいっておりまして、今後ともこれらの点については関係者の意見等を十分参考にいたしまして努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから第二点の事務組合の取り扱います確定保険料や、申告書の提出期限を現行の五月十五日、これを五月末日までにできないかという問題でございますが、これを直しますのには、法律改正を必要とするという点は別といたしましても、先ほど申し上げましたように、事務組合を中心として適用を図っていくと申し上げましたが、やはり事務組合に入らないで、単独で適用事業場となる事業場もございます。そういう事務組合に入っておらない事業所との関係、こういう点も問題がありますし、それから、年三回の分割納付という制度も認められておりますし、さらに付け加えますれば、保険財政上の問題、こういう点もございまして、当面五月十五日を五月末にすることは実施困難であろうというふうに申し上げざるを得ないのでありますが、今後さらになお検討を続けてまいりたいと思います。
 なお、事務組合につきましては、本年度は五月十五日の納期限に間に合いますように、例年より早目に年度更新の関係の諸用紙を送付いたしまして、三月中旬ごろまでには説明会を終えるよう措置いたしまして、事務組合の事務手続を迅速化するというふうに措置いたしておりまして、今後ともこういう行政ペースでできます措置につきましては、十分配意をいたして対処してまいりたいと、こういうふうに考えます。
#270
○沓脱タケ子君 十五日を月末までに延ばしてくれという問題については、これは実際上は事務組合が困っているわけですね、なかなかうまくまとめられなくて。しかも、それが報奨金ですか、それとの関連も出てくるということで、十六日以降になったら困るということで、大変頭を抱えているというふうな問題等がありますので、余り大して、法改正を伴うかもわからないですけれども、実際上は大した支障のある問題ではなかろうと思うし、少し弾力性を持たすことはできないのだろうかというように考えて申し上げたわけです。これは要望が出ているのです。
 それから、最後にちょっと聞いておきたいのですけれども、労働保険事務組合に対する助成を強めるということが必要ではないかというふうに思うのです。先ほど事務組合は大切だし、育成をしたいというふうに言うておられますけれども、どうしても助成を強める必要があるのじゃないか、特に行政機構のかわりにやってもらうというふうなところでもありますしね。現在助成措置として報奨金ですか――報奨金と、雇用保険法に基づく零細事業被保険者福祉助成金制度、この二つがございますが、これは両方とも改善をする必要があると思う。報奨金について具体例を一つ申し上げてみますと、こういうことになっている。これは私の手元にありますのは、大阪の此花民主商工会労働保険事務組合、この組合は約百三十の事業主の委託を受けて、十五人未満の状態について言いますと、四十八年度は確定保険料が約一千万、正確に言いますと、九千九百六十四万二千四百円という状況なんですが、約一千万、報奨金が四十九万円、専従の事務職員が一名です。本来二名ないと舞いにくいという状況なんですが、そういう中で、せめて報奨金を二倍程度に改善してほしいというのが切なる要望になってきておるわけです。
 それからもう一つは、雇用保険法に基づく助成金、現行は五人未満の事業所、十ないし三十九以下の事務組合には半年ごとに三万円、それから四十以上の事務組合には七万円ということになっています。事務組合の中には五人未満の事業所が十以下のところもあるわけでございますから、まずいわゆるこの小規模事業の数の分け方ですね、この分け方を工夫して助成額を引き上げるようにするべきだと思うんですけれども、この点どうでしょうか。
#271
○政府委員(青木勇之助君) 労働保険事務組合に対する助成につきましては、従来からいろいろこれの強化に努めてまいっておりまして、昭和五十年度におきましても、労働保険料の納付状況の良好な事務組合に対して交付いたします報奨金につきましては、予算上二十四億四千万円を計上いたしておりまして、対前年度比で四六・六%の増額と相なっております。さらに五十年度より雇用保険の被保険者資格得喪事務をも含みます労働保険事務の受託を促進するための零細事業被保険者福祉助成金というのを新設いたしました。本年度は半年分として三億二千万を計上いたしておりますほか、事務組合を新設いたしました場合の設立協力金につきましても、前年比の四九%増の約三千万、これを計上いたしておりますほか、事務処理能力の向上のための指導研修等を行うことといたしております。なお、今回新設いたしまする福祉助成金の配分の方法等については、目下安定の方におきましてどういう方法でやるか、さらに検討中でございます。しかし、全適用というかっこうに相なりまして、ますます労働保険事務組合の問題は重要性を増してまいります。そういう点十分含みまして、今後とも本問題の解決に努めてまいりたいと、このように考えております。
#272
○沓脱タケ子君 大臣ね、これさっきも申し上げたようにね、雇用保険法あるいは労災ですね、五人未満の事業所に金部適用するというような新たな試みをしておられるわけです。そういう中で、この事務組合というのが国の行政事務の一部を担当するというふうな、非常に大きな役割りを持たざるを得ぬようになってきているわけですからね、そういう点では助成金あるいは報奨金、そういった点について大幅にやはり引き上げていっていわゆる運用の妙を期されるようにひとつ考えていくというふうな御見解をお持ちじゃないですか。ぜひこれは持ってもらいたいと思うんですがね。
#273
○国務大臣(長谷川峻君) まあ、今度の雇用保険法がやっぱり働く諸君全部をカバーしていくという画期的なものでございますし、先ほど局長が御答弁申し上げたように、中小企業に特に重点を置いている姿でございます。事務組合につきましては、事務組合が国の代行機関じゃなくして、届け出をする人がわからぬからお願いに行っているんですね、そういうことでしょう。そういうことですから、それにしても事務が円滑にいくように、先ほど官房長が説明しましたように予算の措置などもしておりますが、事務が円滑に、雇用される諸君の労働者の保護がされるような形でやってまいりたいと、こう思っております。
#274
○委員長(村田秀三君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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