くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第075回国会 社会労働委員会 第16号
昭和五十年六月三日(火曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         村田 秀三君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                山崎  昇君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                小川 半次君
                神田  博君
                斎藤 十朗君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                森下  泰君
                片山 甚市君
                浜本 万三君
               目黒今朝次郎君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
                星野  力君
                柄谷 道一君
    発議者         柏原 ヤス君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     住  栄作君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  田中 正巳君
   政府委員
       厚生大臣官房長  石野 清治君
       厚生省公衆衛生
       局長       佐分利輝彦君
       厚生省環境衛生
       局長       石丸 隆治君
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省薬務局長  宮嶋  剛君
       厚生省社会局長  翁 久次郎君
       厚生省児童家庭
       局長       上村  一君
       厚生省保険局長  北川 力夫君
       厚生省年金局長  曾根田郁夫君
       厚生省援護局長  八木 哲夫君
       社会保険庁医療
       保険部長     山高 章夫君
       社会保険庁年金
       保険部長     河野 義男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障基本法案(小平芳平君外一名発議)
○母子保健法の一部を改正する法律案(柏原ヤス
 君外一名発議)
○医療法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○優生保護法の一部を改正する法律案(衆議院提
 出)
○薬事法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会保障基本法案及び母子保健法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、発議者柏原ヤス君から趣旨説明を聴取いたします。柏原君
#3
○柏原ヤス君 ただいま議題となりました社会保障基本法案について提案理由並びに内容の概要を申し上げます。
 高度経済成長政策の行き過ぎが、国民生活に不平等、不公正などのひずみをもたらしたことは明らかであり、国民福祉優先への政策転換を望む声はすでに国民的合意を形成し、社会保障の充実こそ今政治に課せられた至上の命題であると言えるのであります。
 ところが社会保障の現状は、児童手当制度の創設により、一応の体系的な整備はなされたものの、対象及び給付の内容などが非常に限定的であり、社会保障制度全体として、その実質はむしろ後退ぎみと言わなければなりません。
 すなわち、社会保障の規模を示す振替所得の推移を見ると、昭和三十五年から四十年までに平均伸び率が一九・六%であったのに対して、四十年から四十八年までのそれは、一八・一%に落ちているのであります。
 そして、その振替所得の国民所得に対する比率は、昭和三十七年度の五・二%が、四十七年度に六・四%と、この十年間にわずか一%程度の増にとどまっているのであります。
 これを一九六九年における国際比較で見ると、西ドイツでは一七・三%、イタリアは一八・七%、フランスでは二二・二%と、いずれも一五%を上回り、二〇%前後になっており、わが国はその三分の一という現状であります。
 しかるに、政府の社会保障に対する取り組み方は依然として変わらず、経済社会基本計画の練り直しにもかかわらず、振替所得の対国民所得比を見ると、五十二年で目標値の八・八%に達したとしても、諸外国の半分にすぎないのであります。
 わが党の主張する目標の一五%は、これを下回ってはならない最低の基準であります。
 しかも政府は、高福祉・高負担論を打ち出し、受益者負担の増大、つまり保険料の引き上げにより公的負担の拡大を防止しようとしているのであります。従来のような国民大衆の重い負担をそのままにして、社会保障制度の拡充を図ろうとするものであれば、結局のところ所得再分配の機能は負担面において達成されず、社会保障制度の意義ははなはだ疑わしいものとならざるを得ないのであります。
 このようなわが国の社会保障の渋滞あるいは後進性というものには種々の要因がありますが、第一に指摘できることは、いまだ社会保障の定義が明確でないということであります。政府部内においても、また学者間においても異説のあるところであります。定義があいまいであるところに、有効な施策は期待できません。
 わが党は、この機会に社会保障に関する施策を次のように主張するものであります。
 すなわち、社会保障制度とは「日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、国民にひとしく疾病・負傷・廃疾・死亡・老齢・分娩・失業・多子等によって国民生活の安定がそこなわれることを、国民の共同連帯によって防止し所得の再分配的な効果をあげ、もってすべての国民が健全な生活の維持及び向上に寄与することをいう」と、明確に定義づけているところであります。
 次に、わが国において欠けているものは社会保障計画の樹立であります。厚相の私的諮問機関として社会保障長期計画懇談会が設けられていますが、いまだにその結論が出ておりません。これは全く政府の怠慢と言うほかありません。
 経済審議会も四十二年二月の経済社会発展計画の中で「わが国の経済社会の実態とその将来の進路に即した適切な社会保障長期計画を策定し、これにもとづく体系的整備を行なうことが不可欠である」と述べており、さらに、四十七年七月の社会保障問題懇談会の報告書には「社会保障においてわが国が独自の道を進むことを求められるこれからは、超長期の視点に立って新しい政策の方向を考え、計画的にアプローチしていくことが肝要である」と述べられているのであります。
 人間性尊重の上に立って、福祉国家の繁栄と発展を遂げるためにも、早急にこの長期展望を示すことが重要課題であります。
 目標がなく対症療法的施策に終始するならば、わが国の社会保障水準はいつまでも低迷を続けるでありましょう。
 さらに、わが国の社会保障制度は、戦後において著しい進展を遂げたのでありますが、その発展の推移は百花繚乱のごとく乱立と分裂の歴史であり、制度に一貫性、総合性を欠いていることであります。そのため、いまだに不均衡で実行ある施策が確立されておらない状態であります。
 また社会保障費は、五十年度の予算で一般会計に占める割合が一八・四%になったと言うものの、これは当然増が大半を占めております。その上これまでの立おくれとインフレによる影響とを考えると、社会的不公正の是正を旗印として編成した予算とはとうてい思えず、ましてや、先進国並みの水準にするという努力は全く見られません。社会保障費は最優先的に確保し、早急に拡充強化する必要があります。
 また、社会保障制度審議会の答申勧告が尊重されておりません。社会保障制度審議会が発足してから二十数年を迎えますが、その間社会保障制度に関する勧告を初め多数の答申勧告が提出されているが、一部においては実施を見ているものの、大部分は軽視され顧みられていない状況にあります。したがって、社会保障制度審議会の権限を名実ともに高めるため改組する必要があります。
 さらに、社会保障の国際的見地に立って見るとき、ILO第百二号条約、すなわち社会保障制度の最低基準の条約をようやく批准する動きのようですが、遅きに失したと言わざるを得ません。さらに、第五十一回ILO総会で決議された第百二十八号条約、すなわち障害・老齢及び遺族給付に関する条約及び第五十三回ILO総会で決議した第百二十号条約、すなわち医療及び疾病給付に関する条約についても、これを早急に批准すべきであります。
 前述のとおり、わが国の社会保障の水準は、先進国に比較して十数年もおくれており、一日も早く障害を克服し社会保障の充実を図らなければ、悔いを千載に残すことになるでありましょう。
 平和国家・福祉国家の建設はわが国の国民的な終局の願望であります。
 そしてその進歩の指標は、具体的には社会保障の整備統合、発達をおいてないのであります。
 以上が本法案の提出の理由であります。
 次に、本法案の大要について申し上げます。
 第一には、社会保障に関する施策であります。さきの提案理由の中で述た社会保障の定義を具体化したものであります。すなわち一に国民の疾病、負傷、出産、老齢等の事故に対し充実した経済的保障をすること。二に生活困窮者に対する生活の確保。三に児童、老人、心身障害者等の援護。四に医療及び公衆衛生の向上増進であります。
 第二には、国及び地方公共団体の責務を明らかにいたしました。
 第三には、年次報告及び社会保障整備五カ年計画の作成公表についてであります。政府が社会保障に関して講じた施策について国会に対し報告することとし、また社会保障整備五カ年計画の作成と公表を義務づけることとしました。
 第四には、社会保障手帳についてであります。すべての国民について社会保障の記録を行うため社会保障手帳の交付を行うこととしました。
 第五には、社会保障制度審議会の設置についてであります。設置される社会保障制度審議会の権限を強化し勧告についてはこれを尊重することとしました。
 第六には、社会保障費の優先確保についてであります。国の予算編成に当たっては社会保障の予算を優先確保するため条文の上に明記しました。
 第七には、特別会計の設置であります。社会保険の収入及び支出は特別会計とすることとしました。
 第八は、専門職員の養成確保であります。国及び地方公共団体が社会福祉、医療及び公衆衛生等に関する専門の知識及び技能を有する職員の養成確保を行うことを明記いたしました。
 第九は、社会保障省の設置であります。社会保障の施策を総合的かつ計画的に遂行するための行政機関として、社会保障省を設置することにしました。
 第十は、関連施策として最低賃金制、雇用の安定、住宅建設及び税制の改善等国民生活安定諸施策を推進することを明記しました。
 以上が本案の骨子であります。何とぞ慎重審議の上、速やかに可決あらんことをお願いいたします。
 引き続き、ただいま議題となりました母子保健法の一部改正案についてその提案理由と概要について御説明申し上げます。
 わが国の母子保健活動は、昭和二十三年の児童福祉法によって実施されてまいりました。
 しかしながら、母子保健対策は、母子一体の体系のもとに進めることが、母子保健水準の向上のため、最も必要であるという観点に立って、昭和四十年四十九国会において母子保健法が制定されたことは御承知のとおりであります。
 このような母子保健対策の推進により、わが国の母子保健の現状は一歩前進を示しているが、いまだに改善しなければならない点が少なくないのであります。
 すなわち、先進諸国に比べて、わが国の妊産婦死亡率はいまだに高率であり、また戦後著しい改善向上を見た乳幼児の死亡率、体位、栄養状態についてもその地域格差が依然として縮小されない等なお努力を要する課題が多く残されております。
 このことは当然、本法を諮問した社会保障制度審議会の答申において「本案は、母子の健康確保の方向に、わずかに一歩を踏み出したにすぎないものであって、各部面に未熟、不備、不徹底な点が多く、特に優生保護法との関係、その他、医学的に検討すべきものがあるが、今後ひきつづき改善を図ることを条件として了承する」と述べられておりますことは、いまなお御記憶のあるところであります。
 さらに本法が、終始救貧対策にとどまっていたため実績が十分上がらなかったことは当初から憂慮されていたものであります。
 ILO百三号「母性保護条約」の批准さえできない現状にかんがみ、一層母子保健対策を強力に推進する必要があると思います。具体的には、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護のための指導を講ずるとともに、乳幼児が健全な成長を遂げる上で欠くことのできない保健に関する対策の充実強化を図る必要があると考えて、この改正案を提出する次第であります。
 次に、改正案の概要について申し上げます。
 第一には、出産費の支給を新たに設けました。市町村長には、十万円を限度とし社会保険と調整してすべて出産費を公費で負担することといたしました。
 第二には、健康診査であります。健康診査は、三歳児以外の幼児、乳児及び妊産婦に対しても行わなければならないようにしたことであります。
 第三には、栄養の摂取に関する援助を強化することであります。妊産婦及び乳幼児に対する栄養の摂取に関する援助は、市町村長が栄養費の支給等を行わなければならないことといたしました。
 第四には、妊産婦の受診に関する援助の強化であります。妊産婦の受診に関する援助は、都道府県知事が医療費の支給等を行わなければならないように義務づけることといたしました。
 第五には、母子健康センターの充実であります。母子健康センターは、市町村が必要に応じて設置することといたしました。
 最後に、以上述べました五項目について国、都道府県及び市町村の負担割合を明記しました。
 なお、わが党の医療政策としては、将来、出産費については疾病と同様すべて医療保険の現物給付で行うこととする所存であります。
 以上がこの改正案の骨子でありますが、何とぞ御審議の上速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(村田秀三君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(村田秀三君) 医療法の一部を改正する法律案、優生保護法の一部を改正する法律案及び薬事法の一部を改正する法律案以上三案を一括して議題といたします。
 まず提出者衆議院社会労働委員長代理理事住栄作君から趣旨説明を聴取いたします。
#6
○衆議院議員(住栄作君) ただいま議題となりました医療法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 本案は、近年における医学医術の著しい進歩に伴い、脳卒中、髄膜炎等の神経系疾患を内科的に取り扱う診療技術及び熱傷後の皮膚移植、がん治療後の再建手術等の外科的診療技術が専門分化していることにかんがみ、診療科名として、新たに神経内科及び形成外科を加えようとするものでございます。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 引き続き、同じくただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 本案は、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行う者が、受胎調節のために必要な医薬品を販売することができる期間が本年七月三十一日をもって切れることになっておりますので、この期間をさらに五年間延長しようとするものであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でございますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 最後に、同じくただいま議題となりました薬事法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 薬事法中薬局の開設等についての地域的制限に関する規定は、去る四月三十日最高裁判所において違憲であるとの判決がありましたことは御承知のとおりでございます。
 この規定は昭和三十八年第四十三回国会において制定されたものでありますが、本規定が憲法第二十二条第一項に違反するとの最高裁判所の判決にかんがみ、本案は、薬局の開設等についての地域的制限に関して規定しております薬事法第六条第二項ないし第四項等の規定を削除するほか、関係規定について所要の整理を行おうとするものでございます。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でございますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(村田秀三君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は御発言願います。――別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、医療法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#8
○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、優生保護法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#9
○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、薬事法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#10
○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 医療法の一部を改正する法律案、優生保護法の一部を改正する法律案及び薬事法の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(村田秀三君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#13
○山崎昇君 いま議題になりました国民年金法の質問に入ります前に、当面する厚生行政について二、三大臣の見解を承っておきたいと思います。
 先般来、診療報酬におきます新技術料の問題等に端を発しまして、医師会との間にいろいろ問題が生じておるようであります。私どもは、新聞報道その他の報道しかこの内容を知ることができません。そこで、この機会に大臣からこの医師会との問題について、今日までの経過を御説明願うと同時に、厚生省のとってまいりました措置についてもあわせて御報告願いたいと思うのです。
#14
○国務大臣(田中正巳君) 医師会等のいわゆる各種調査会、審議会等に対する辞任の問題でございますが、これは昨年の十二月二十七日に日本医師会が、次いで日本歯科医師会が五十年の二月七日、また、日本薬剤師会は五十年の二月二十四日に、それぞれ関係している各種の調査会、審議会等について辞任をいたしたいということで、辞任届を私のところに提出をいたしているのが事実でございます。その理由については、三師会ともそれぞれ若干のニュアンスの違いがあるもののようであります。代表的なものは日本医師会でございますが、理由とするところはどうも各種審議会等に、あの人たちの言葉でございますので、いろいろ問題があろうと思いますが、どうもおもしろくない、無学の徒輩という言葉を使っておりましたか、そういう人たちがおるということで、自分らとしては、こういうものには欣然参加ができないというような趣旨であり、また、歯科医師会等はいろいろとそのほかに具体的な事象についてのいろいろな不満等も述べておったようであります。薬剤師会のはたしか非常に簡単な理由であったようでございますが、三者ともそれぞれの理由が違っているというのが実態であります。まあ、これについてはいろいろな憶測がありますが、いずれにしてもそういうことでございますので、私どもとしては何とか速やかにこの種の辞任届を撤回をしていただきたいということで、再三にわたって説得に努めてまいりました。その間、歯科医師会等はまたほかの問題も出てまいったようでございまして、いろいろと問題は複雑になっているわけであります。そこで、いろいろな経緯がございましたが、今日に至るもなお三師会ともにこの辞任届を撤回するという段階に至っていないのはまことに残念であり、申しわけなく思っておりますが、法制上どうもこの種の調査会、あるいは審議会等に出てこない、辞任をいたしたいということに対して対処する一つの方法というものが、法制上、あるいはまた仕組みの上でないというのが現実の問題であります。まあ、やめたいと言われれば、是が非でも出てこいと、こういうことについての法的保証措置がないというのが実態でございます。根強く説得に努める以外に方法がないというのが実態でございますので、今日までいろいろと努力をしてまいりましたが、いまだこの問題は解決をいたしておらないということでございます。その間に起こりましたいろいろな事象につきましては、お尋ねがございますればまたお答えをいたしたいと思います。
#15
○山崎昇君 簡単ないま報告があったわけですが、私は日本医師会のニュース、あるいは医学会雑誌、あるいは健康保険組合の資料等々、社労委員でありますから送ってまいります。私もこの問題につきましては大変重要だと思うから詳細に見せてもらっておるわけです。私はどうしてもこういう言葉を使わなければならぬのだろうかと思うような言葉が使われている、たとえばこれは四月二十日の日本医師会のニュースでありますけれども、ざっとこれを要約すれば武見さんの発言の内容からいきますというと、「日本の現状は無秩序自由社会である。」政治と財政の硬直化がその原因である。「今日、経済成長は低成長になってきた。低成長というものは低空飛行と同じで、安定的な低成長というものはない。低成長こそ不安定成長である。」あるいは健康保険組合というものは社会的不公正の最大の存在なんだ、あるいは大臣と事務当局との間に意見の食い違いがあって、大臣は何か一生懸命やっておるが事務当局がそれを誤らしているんだとか、こういう発言が相ついで報道されてまいります。したがって、個々のいろんな点はあるといたしましても、世間からながめれば、法的規制の措置はないにしても、一体厚生省は何をしておるんだろうか、こういうことを言われてまで厚生省は一体どういう態度をとっているんだろうか、国民は不信感でいっぱいであります。いまあなたから簡単な報告がありましたけれども、これで国民が納得できる筋合いのものでないと思う。したがって、もう少し、団体でありますから、余り行政が立ち入ることも私は不可能な限界があると思う。それにいたしましても、一体、厚生省はこの医師会、歯科医師会、薬剤師会の今日の現状を見るときに放置すべき問題ではないんじゃないか。せんだって、あなた方は、歯科医師会の代表も呼んだようでありますが、中原さんは来ない。こういうことに対して一体、これから厚生省当局はどうされるのか、この国民の医療という問題について一体どういうふうにあなたはされていくのか、私はきわめて遺憾な状態だと思うんです。後ほど聞きますけれども、たとえば歯科医師会におきましてもそうであります。これは三月二十五日の「健保ニュース」の一節です。特に、奥野という兵庫県の歯科医師会長は、中原氏は国賊だとまで言っている。一体、会長は国賊で、こういう者に私どもの歯の治療を任せるわけにいかなくなっている。こういうことが、もちろん時の勢いだからいろんな発言あるかもしれません。団体でありますから、いろんな発言あるかもしれないにいたしましても、こういうものが堂々と報道されている。こういうことに対しても、一体厚生省は何をやってるんだろうか。そして、たまさか実はテレビ対談等見るというと、まるっきり学校の先生にものを教えてもらうような厚生大臣の姿というのがテレビに映ってくる。これはあなたでありませんでしたが、前もそうである。こういうことを考えると、厚生省当局というのは、本当にいま問題になっているこの医療問題、歯の問題、薬の問題というものをどうされるというのか、もう少し詳細に聞くと同時に、厳とした私は厚生省の態度というものを聞きたい。
#16
○国務大臣(田中正巳君) いろいろと三師会の問題についてお尋ねがございました。内容は、いろんなお話がございましたが、一様ではございませんようです。たとえば歯科医師会の問題については、これは歯科医師会内部におけるいろいろな争いの問題に端を発した内部組成の、構成の問題、運営の問題というのが、どうも今日フットライトを浴びているようでありまして、こうしたヘゲモニー争いのようなものの中において、当事者がいろいろ申している言葉の中に不穏当なものがあるというふうには思いますが、これとて、私どもが余りこうした公益団体が、公益法人が紛争を続けることは望ましくないということで、先般も私はこれに対して注意をいたすべくいろいろと努力をいたしたわけであります。ただ、団体自治を侵すことをできるだけ私としては避けました。特に、この歯科医師会の内部につきましては、当事者が鋭く鋭角的に対決をしておるものでございますから、うっかりいたしますると、私どもの言動がどちらかのサイドに力をかすというようなことになってはおもしろくないということを細心の注意を払いつつも、今日の歯科医師会の現状というものは放置することができない、速やかに正常的な運営をするようにということを申しておったわけであります。会長が出なかったことについては、いろいろの御批判がございますが、これ等については、また御発言があればお答えをして結構だと思いますが、いずれにいたしましても、当日、会長が出てこないことについて、われわれも非常に苦慮し、協議をいたしました。しかし、出てこないというものについて、これを是が非でも出てこいと、こういうことを言っても処置ない、それよりも代理者をもって速やかにこの問題について注意を促した方がいいという判断のもとに、そのような措置をとりました。会長さんが出てこなかったことについては、私としてはまことに遺憾であったというふうに思います。
 また、医師会の問題については、かねがね医師会は相当に言論の活発な団体でございまして、いろいろな表現が昔からございましたが、典型的に世間で問題になっているのは、中医協に参加をする、あるいは辞任をするという問題でございますが、中医協の問題については、どうも法制上、これに出てこないからどうのということは実はあまりないようでございまして、診療報酬の改定ができませんよといったようなことだけがまあ一つの制約になっているものというふうに思われるものですから、したがいまして、私どもとしては、根強く参加方を説得する以外に方法がございません。かようなことで、今日まで説得に努めてまいりましたが、いまだに事態の解決はできておらないというのが現状でございます。
#17
○山崎昇君 何にもできておりませんのが現状でございますと、あなたはこう言う。しかし、国民の方から言えば、この混乱によって医療はどうなるんだろうか。とりわけ歯医者の場合には差額徴収というのが現実に行われておる。膨大な金を取られて、歯の痛みに苦しんでいる。こういうものを一体あなた、じゃあ、いつをめどに、どういうふうにして収拾するというのか。そうでなければ、厚生行政なんかないことになっちゃうじゃないですか。
#18
○国務大臣(田中正巳君) おっしゃるとおり、差額徴収問題につきましては、中医協におきまして、歯科差額問題に関し諮問をいたしまして、中医協において歯科部会というのを設置いたすべくいろいろと今日までやってきたんですが、途中でこれが辞任問題とからんでストップをしているわけであります。しかし、この歯科差額徴収問題、これは別に差額徴収だけではございませんで、いろいろな問題がこの中に含まれておることは、先生御案内のとおりであります。こうしたような診療における秩序の乱れというものを正すべく、中医協の場においては問題が進展をいたしませんもんですから、厚生省としてはいろいろな対策をとり、歯科医師会を当時呼んで、かようなことについてえりを正すようにということについて要請もいたしました。また、当方といたしましては、苦情処理の機関というものを全国的に設けまして、いろいろとそうしたことについて、国民の苦情を聞き、そして、行政の立場においてこれを事前に防止する、ないしはまた遺憾な事態があることについては行政監督をいたしまして、この問題の解消に努めているわけでありまして、全然何もしておらぬということではございません。したがいまして、歯科診療における秩序の乱れというものについては、中医協の場における解決はただいまのところ望み得ないのでございますが、その他の方法では、鋭意いろいろ努力をし、承るところによりますれば、従来よりはかなり実は改善が具体的にはできてきたというふうに思っていますが、全面的にこの問題がまだ解消したという段階には来ておらないようであります。まあ、いずれにしても、そうした方法をもって、やむを得ませんもんですから、いろいろな場においてこの種の問題の解決のために努力をいたしていることだけは事実でございます。
#19
○山崎昇君 これだけやるわけにはいきませんし、改めてこの問題はまた掘り下げてやりたいと思うんですが、そこで、具体的に一、二点お聞きをしておきたい。
 武見さんの方が、厚生大臣は何か一生懸命熱意あるようなんだが、事務当局がけしからぬと、あなたと事務当局との間に食い違いがあるのかどうか。こう言うから私は聞いているんですよ、それが一つ。
 それから、せんだって辞任を申し出ている中原さんが、審議会に出席をする、これが新聞報道でも「ヘンですね中原会長」と、こういう表題で出ている。こういうことについて、もし厚生省がその審議会に出席することを認めて、それによって物事が決まっていくというならば、この辞任そのものは全体的に認めてないという態度になるんじゃないか。しかし、いまの説明では、来ないものをどうしようもありませんと、自分の都合のいい方だけは来るけども、ほかのものは来ないんだ、こういうことをあなた方は許すのかどうか、この点は明確にしておいてもらいたい。
#20
○国務大臣(田中正巳君) 医師会長が事務当局と私の間に意見の違いがあるというようなことについてのお話は、私も聞いております。私は、自分の部下が私と意見が違っておったり、私の言うことを聞かないなんということを考えてはおりません。したがって、これについては、私はこの所説は当たらないものというふうに思っておりますが、さように先方さまは思っていらっしゃるだろうと思いますんで、これについては、さようなことはないはずであるということをるる申し上げておりますが、なお信じ切っておるようでございますので、この問題は問題の解消ができないということであろうと、いまだにできておらないということだろうと思いますが、私どもといたしましては、大臣である私と事務当局との間に意見の違いはありませんし、事を運ぶ場合は、私は事務当局といろいろと相談をしてやっていくというのが今日までの姿であります。
 次に、日本歯科医師会長がある種の団体に出たということでございますが、医療関係者審議会に出たということでございますが、これはどうも基本的にむずかしい問題を含んでおるようであります。辞任届は私は認めておらないわけでありまして、お預かりをしているという状態でございますので、辞任をはっきりしたということではないというのがまず第一の既定における実態でございます。
 そのほかに、この審議会の委員というのは役職指定でございまして、実は日本歯科医師会長がこれに当たるということになっておりますので、これを辞任するということは、法制的に申しますれば日本歯科医師会長をおやめになるということでなければこれは辞任ができないという実態を持っておりますので、したがって、そういうところからいろいろと解釈の違いが出てくるものだと思います。中原さん御自身が一体どういうお考えでお出になったのか、これについては私はつまびらかにしておりませんが、あの節にもいろいろ議論がありました。あなた一体ここへお着きになるんですか、それともどうなんですかということをはっきり聞いて席に着かせるべきだったという批判もありますが、私も実はこれについて後ほど聞いたわけでございまして、若干どうも妙な違和感を感ずることは事実でございますが、分析してまいりますると、そういう複雑なバックグラウンドがあるということも申し上げておきます。
#21
○山崎昇君 そうすると、職指定だから出てきたのはやむを得ませんと、あなたの答弁から言うと。私どもから言うと、やめますと言っておって都合のいいのは出てきます、それはやむを得ません、こっちは出てこないのはどうしようもありません、そういう態度であなた方臨むんですかと聞いている。そうでなくて、出るなら全部やっぱり出てもらわなければ困る、こういうきちんとした行政当局の態度として臨むのかどうか。そこら辺を聞いているんです。これからいくと全く不思議です、それはだれが聞いたって。都合のいいのは出ていく、都合の悪いのは出ていかない、私は辞任申し出をしております、こんなばかなことを行政当局が、少なくとも大臣が考えておったら大変だと私は思う。そうでないと思う。そうでないが、少なくとも厚生当局の態度としては今後こういうことのないようにいたします、それならそれで私は一本筋道が通ると思うんだが、どうですか。
#22
○国務大臣(田中正巳君) この問題については確かに国民の間に非常な違和感を生じていることは事実であります。したがいまして、やはりそうしたいま私が申したようなバックグラウンドはございますが、筋を通したやり方というのが私は望ましいと思いますので、今後さような方向でいろいろと努力をするように、また、そういう会議を主宰している部局に対してさような方向で進むようにひとつ指示をいたしたいと、かように思います。
#23
○山崎昇君 その問題は本当はもっともっとやりたいんですが、時間がありませんから……。いずれにしても、私は国民の側から立っていまの医師会なり歯科医師会、薬剤師会のやっていることというのは、これは直接命に関する問題だけに重要だと思うんです。そういう意味では、大臣もう少ししっかりしてもらいたいと思う。このことだけ最後に申し上げておきたいと思います。
 その次に、これも新聞報道しか私どもわからないんですが、六月の一日の朝日新聞に「母乳中のPCB減る」という報道がなされまして、一般のお母さん方も少し安心したのではないかと私ども想像しています。そこで、この機会にもう少しこの内容等についてこの委員会にひとつ報告をしてもらいたい。
#24
○国務大臣(田中正巳君) 母乳のPCBの問題については、先ごろ記者会見をいたしまして調査結果を発表いたしました。具体的な内容については事務当局から説明をいたさせます。
#25
○政府委員(上村一君) PCBの母乳汚染の調査でございますが、始まりは昭和四十七年の三月のことでございます。大阪で高濃度のPCB汚染の母乳が発表されまして以来大きな関心の的になりましたので、四十七年度から毎年度PCBによる母乳汚染の疫学調査をさしておるわけでございます。それで四十九年度の調査結果を先般公表したわけでございますが、実施いたしましたのは四十九年の七月から八月三十一日までの間でございます。対象にいたしましたのは、出産後一カ月以上四カ月未満の授乳中の産婦とその乳児ということでございまして、都市地域、農村地域、漁村地域、それからPCBを製造または使用していた工場のあった周辺地域というものを調査対象の地区にしたわけでございます。
 その結果を申し上げますと、まず、PCBは検体母乳の全例、これは五百五十六検体ございましたが、五百五十六検体から検出されたわけでございます。そしてその全乳当たりのPCBの濃度別の分布というのは、最高値が〇・一PPmでございました。前年まではその最高値は〇・二PPmであったわけでございます。それから平均値を見ますと〇・〇二八PPmでございまして、四十七年の平均値の〇・〇三五PPmなりあるいは四十八年度の平均値の〇・〇三二PPmに比べますと、漸減しているデータが出たわけでございます。
 それから地区別に見ますと、農村地区が低くて漁村地区はほかの地域に比べますと高い値を示しておるわけでございます。
 それから地域別に見ますと、前二回の調査と同じように、いわゆる西高東低と申しますか、東日本側が低くて西日本側が高い値を示しておるわけでございます。特に、西日本の中でも瀬戸内海の周辺あるいは太平洋側の地域に高い傾向が見られるということでございます。しかし、全般的に見ますと低い濃度に移行しておることは事実でございます。
 それから、その産婦と乳児につきまして問診をし健康診査をしたわけでございますが、問診の結果を見てまいりますと、やはり魚類の摂取の多い産婦にPCBの濃度が高い例が多うございました。それから健康診査の結果、産婦及び乳児のすべてについて一般健康診断を実施し、これは油症の診断基準を使ったわけでございますが、それについて見ますと、その中で三割ぐらいの産婦、二割ぐらいの乳児の精密検査が必要だったわけでございますが、いずれにしましても、四十七年、四十八年の健康診査と同じように、母乳中のPCBに関連すると思われるような所見が見られなかったということでございます。
 簡単に要約いたしますと、母乳中のPCBの濃度というのは四十七、四十八年の調査に比べて明らかに減少の傾向を示しておる。それから産婦、乳児の健康状態については、前回あるいは前々回と同様健康被害がなかったということでございます。
#26
○山崎昇君 これは時間ないから中身そう詰めるわけにまいりませんが、ただ、この報道によりますと最後にこういう結びになっている。それは「現在ではPCBの慢性毒性がよくわかっておらず、PCB中毒と断定できる診断方法が確立していない。」とこう言っている。したがって、これについて今後厚生省はどういう方針をとって臨まれるのか。また、「母乳中の塩化物の分析はしていない。さらに、毒性がPCBの二百−五百倍といわれるPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)が、日本のPCBにも含まれていたことがわかってきた。」、こういう点から言うと、最終的な結論として「母乳育児をすすめる方がよいが、今後も警戒を怠ってはならない」と、こう言っている。言うならば、多少漸減傾向にあるということは出てきたが、まだまだ医学的に言うならば、あるいは疫学的に言いましてもわからぬ点があるし、問題はその診断方法も確立していないと、こう報道されているわけです。私も専門家でありませんからよくわかりませんが、そういう意味では、厚生省は今後こういう点についてどういう方向をとられるのか。これはやっぱり予供の問題であるだけに、あるいはお母さん方のおっぱいの問題であるだけに私は深刻だと思いますから、その点についての今後の厚生省の見解があればお聞きをしておきたいと思います。
#27
○政府委員(上村一君) 今後の対策でございますが、PCBの生産が停止されまして、それから排出規制が行われた、あるいは妊産婦に対する保健指導が相当浸透してまいりましたので漸減してきたわけでございますけれども、今後とも有機塩素剤による影響の有無というものを把握する必要があると思われますので、五十年度におきましてもPCBを含めた各種の有機塩素剤の母乳における汚染の推移をきわめることを目的にした調査を行うつもりでございますし、さらに、いままで実施してまいりましたPCBの人体への移行なり影響、代謝といった面の研究成果というものを有効に活用しまして、妊婦なり授乳婦なり、あるいは乳幼児の健康診断、あるいは保健指導というものを一層徹底させてまいりたいというふうに考えております。
#28
○山崎昇君 それと関連して、大臣ね、最近やっぱり薬公害という問題がものすごく大きいですね。したがって、私は個々に挙げませんが、いまも苦しんでおるカネミ油の問題だとか、一応は補償問題が終わったといえども森永ミルクの問題でありますとか、最近はまたストマイの関係で全国的な調査というものが要請されてきている、あるいは合成洗剤の問題も出てきておる。言うならば、この薬全般についてずいぶん問題がいま提起をされてきています。そういう意味では、これから薬務行政というのは私はものすごく人間の命に関連をして大きな課題だと思うんですが、あわせて最後に、この薬公害の問題について大臣はこれからどういう方向でやっていかれるのか、見解を聞いておきたいと思う。
#29
○国務大臣(田中正巳君) 詳細は事務当局から答弁をいたさせますが、薬ないしは添加物あるいは日常物資等についてのいろいろな被害の問題、いろいろと国民の間にも関心が高く、現実に一部にはいろいろと被害も出ておるものでございますから、今後この種のものについては鋭意ひとつ努力をいたしまして、厳重にこれの取り締まり、指導をやっていきたいと思っております。具体的には、製薬許可について相当厳密にこれをやっていくということ。それからまた添加物等についての洗い直しをこれをさらに実行をすると、それからまた、すでに許可した薬品についても、これについての再度の見直しをするといったようなことをやって安全を期していきたいというふうに思っております。なお、その場合であってもなおかつ不測の事態が起こった場合については、これについてまた今後どうするかということについての対処の仕方についても目下検討をいたしているわけでございます。
#30
○山崎昇君 それでは、PCBの問題に関連した薬の問題については、これも改めてやりますが、ひとつ十分な配慮をしながらやってもらいたいということを要望しておきたいと思います。
 それから次に、せんだって生活保護法の問題に関連をして、公害等で実は費用が出た者については一部――大阪市でありますが、特別生計費として認める、言うならば生活保護費から控除しないんだという態度が表明されまして、厚生省との間に多少のやりとりがあるようであります。そこでお聞きをしたいのは、生活保護で苦しんでいる上に さらにそういう公害あるいはその他の事故等で大変な苦しみが上積みされてくる、そういう者に対して、補償が別途来たときにそれを生活保護費から差っ引くなんていうやり方は、私は少なくとも政治家としては考えられないし、行政としてもそれは考え直す必要があるんじゃないか、こう思うのですが、この大阪市の例を中心にして生活保護費の問題についての見解をあなたから聞いておきたい。
#31
○政府委員(翁久次郎君) 生活保護と他の法律に基づく給付との関係について御質問でございますのでお答え申し上げます。
 ただいま御指摘がございましたのは、大阪市におきまして、従来公害に基づくいろいろな被害を受けられた人々に対して市の単独の手当として支給されておったものでございます。で、昨年公害補償法が成立をいたしまして公害補償法に基づきます医療の給付あるいはその他児童に対する給付等のもろもろの給付が法律によって支給されることになったわけでございます。で、それ以前におきまして大阪市がやっておりましたものは、厚生省といたしまして、これは市の方で公害の患者さんに対するいわば見舞い的な給付であるということで、生活保護法からは収入認定にいたさないという措置をとってまいったのでございます。このたび環境庁の方で成立いたしました公害補償法に基づきます給付は、生活費的なものからあるいは特別な需要に基づく給付といういろいろな種類がございますので、医療その他特別な給付に基づくものにつきましては生活保護としての収入の認定はいたさない。しかしながら、生活保障的な色彩のあるものにつきましては最高七千五百円まで収入としてこれを加算するという措置をとったのでございます。したがって、ただいま御質問のございました大阪市の給付につきましては、新しい公害補償法に基づく給付に吸収されました関係で、市の方でただいまそういったものについてどう扱うかということを検討していると、かように聞いている次第でございます。
#32
○山崎昇君 これ大臣ね、私は、生活保護法で生活されるという方は最低ですよね、その上にこういう思わざる、自分の事故でありません、国の政策の結果であってもあるいはその他の結果でありましても、公害でありますとかその他が上積みされてくる。それに基づいていろんな補償その他がとられるときに、生活保護を削るなんていう考え方は改めるべきじゃないですか。単なる収入だけで物事を考えるというやり方は私は改めるべきだと思う。精神的苦痛というのは大変なものだと思うのだ、これは。そういう意味では生活保護法に対する物の考え方を私は根本的に改める時期に来ているのじゃないか、こう思うんです。具体的にはいまこの点だけ中心に聞いておりますが、大臣の所見だけ聞いてこの問題も後日に譲ります。
#33
○国務大臣(田中正巳君) 生活保護法における収入認定の問題、これは現行生活保護法の中に流れている原則、原理、特に補足性の原則との絡み合いにおいていろいろと問題が出てくるわけであります。したがいまして、私どもとしてはこの問題の取り扱いについて、かねがね社会的にも問題になっておることでございますので、できる限りこの種のものについては社会の常識、実情と合わせるように努力をしてまいっておりまするけれども、やはりこの中に生活費的なものが入っておる場合においては、この生活保護法と他の収入との中の性質によるんでありますが、その他の収入の中の生活費的なはっきりしたそういう性格のものについては残念ながら収入認定をせざるを得ないというのが、生活保護法の原則から言うとそういうことになるわけでございますが、これはできる限りそうした他の給付なり所得の性質というものを温かい配慮で解釈をいたしまして、できる限りそうした要望にこたえるようにいたしておりますが、これにもやはり生活保護法の原則との間に限度があるということだろうと思います。できるだけ温かい措置をとっていくような方向で進みたいということは異存がございません。
#34
○山崎昇君 原則原則と言うけれども、そんなものあんたつくってから何年たっていますか。世の中は変わっていくわけですよ。本人の事故じゃありませんよ、これは。ですから、きょうはこの程度にしておきますが、その原則そのものについても私は厚生省はもう考え直す時期じゃないですかと聞いているんです。とりあえずはこの生活保護費の問題についてはもっと弾力的に私は運営してもらいたいと思う。もっとその苦痛というものに対して目に見えないものがあるわけで、そういうものに対して行政というものはもう少し対応してもらいたい。そういう意味で、いま法律を直しているわけじゃありませんから申し上げませんが、少なくとも弾力的な運営をされるものだと私は理解をして次の質問に移りたいと思うんです。もうほとんど時間なくなってきましたから本題の年金問題でお聞きをしていきたいと思います。
 そこで、先般来この老齢福祉年金の性格については大分議論がありました。私も重ねて大臣にこの老齢福祉年金の性格というものをどういうふうに厚生省は理解をしているのかお聞きをしたい。
#35
○国務大臣(田中正巳君) 福祉年金の性格については、結論的に申しまするといまだにその確たる性格づけというものについての定説が私は定着しておらないというふうに解釈するのが正しいだろうと思っております。しかし、傾向論といたしましては国民年金法ができたときに、国民年金に、拠出制年金に乗らない人たちに対して、いわゆる経過的、補完的年金として、何も差し上げないのはいかがかということでいささかでも微意を尽くそうということで始まった制度であることは先生御案内のとおりであります。月千円、昭和三十六年ごろであっても千円というものは決して生活を支えるに足るようなものではなかったことは事実であります。しかし、その後国民の間のこれに対する感覚というものが、受けとめ方というものが非常に変わってまいりました。そこで、いまや私どもとしてはできる限り生活を支えるに足るようなものにいたしたいと思って今日努力をいたしておりますが、しかしいろんな事情でそのようなものに万度に行っておらないというのが事実でございまして、この福祉年金というものを理想としては生活を支えるに足るようなものにしていかにゃなりませんが、しかし現実はそう言い切れるほどのものになっていないというのが実態であろうというふうに思います。
#36
○山崎昇君 私は、そんな諸説をいろいろ聞いているんじゃないんです。厚生省はどういう理解のもとにやっているかと聞いているんです。あなた自身はどう考えますか。これは年金ですか、手当ですか、単なる贈与金みたいなものですか、あなた自身の見解を聞いているんです。
#37
○国務大臣(田中正巳君) これについては私の見解を申し述べろと言われますれば、できる限り速やかに生活を支えるに足る年金に近づけていきたいというふうに思って努力をいたしておりますが、まだそこまで行っておらないというのが事実でございます。
#38
○山崎昇君 そこで、これは新潟日報社という新聞社が書いた「みんなの階段」という本です。この中の一説に厚生省の、いまおるのかいないのかわかりませんが、板山厚生省老人福祉課長補佐が新聞記者に答えている。「福祉年金はアメ玉。掛け金きょ出のない全額税金からの支出で、年金ではない。国民年金発足のときすでに老齢で、年金システムからもれた人をカバーする老人手当」でありますと、こう答えている、このとおりですか。これはあなたの方の事務当局が答えたというんです。一体こうなると私ども国民年金法で議論しておりますが、性格がぼけちゃう。あなた方は年金と考えてないんじゃないでしょうか、どうですか。
#39
○国務大臣(田中正巳君) 社会局の課長補佐がいろいろ申したことであろうと思いますが、役所を代表しての発言ではなさそうでございますが、もしそれが今日時点における厚生省の考え方というものを代表するということになればこれは間違いである、けしからぬ発言であるということになろうと思います。私どもが今日福祉年金について考えているところはいま私が申したのが正しいというふうに申し上げて差し支えなかろうと思います。
#40
○山崎昇君 そうすると、いまのこれ誤りですね。重ねてこの人は「あと二十年、いや三十年。日本の老人にとっては暗黒時代、ってわけです」とこうなる。あなた方は国会でずいぶん美しい言葉で言っておるけれども、現実にやっておる事務当局の方々はこういう答えしか出てこない。これから二十年も三十年も一体暗黒時代をあなた方想定をして法律をやっているとしたら大間違いだ、老人は救われませんよ。これはまた撤回しますか、こんなことを。これはれっきとした本である。こういうことについて事務当局が不用意に述べたのか、あるいは激励する意味で言ったのか私はわかりませんが、いずれにしても私どもいろんな資料を見てみるというと、大臣はここでは大変政治家ですから美しい言葉で言うが、事務当局はそこまで意思統一してないんじゃないんだろうか、きわめてずさんな考え方を持っているんじゃないだろうか、こう思うんですが、どうですか。
#41
○国務大臣(田中正巳君) 老人福祉課の課長補佐が、どういう背景とどういう目的でそういう不用意な発言をいたしたか私どもは調べてみたいと、かように思っております。事実はさようなことではございません。また、私が事実以上に誇張して美しい言葉で述べているわけじゃございません、真摯に私どもはさっきから申し述べている方向に努力をしなければ御政道向きが立たないと思ってやっているわけでございまして、それをわが省の課長補佐があれこれ個人的に発言をしているということについてはきわめて私は遺憾である、役所に帰りましてよく究明をいたしてみたいと、かように思っております。
#42
○山崎昇君 そうすると、あなたの考えとしては、こういうことはありませんと、老人の前途は明るいんですと、そうしますと厚生省は考えていると、こう私は確認をしておきます。
 そこで、この間も私は特別児童手当のときにお聞をしましたけれども、もう一遍この支払い期日についてお尋ねをしておきます。いろいろ調べてみますと、ずいぶん年金でありますとかその他の手当でありますとかございますが、これが年二回、年三回、四回、毎月払いともうさまざまです。加えて、法律でそのものが決められているのもあれば法の施行令で決めているものもあればこれまた不統一です。重ねてお聞きいたしますが、どうして、弱者の救済と言うなら、この年金あるいはその他の手当等は毎月払いにできないのか。これはこの間は事務的にかなり苦しい、それが整備しなければできない、特に郵政省のホットラインの設定が前提だという話もありました。それは私も承知をいたしております。しかし、重ねて私はこの支払いの問題についてはもっと前進さすべきじゃないかとどうしても思えてならぬのです。だからいま年三回のものならば年四回にするとか、年四回のものなら年五回にするとか、こう考えてほしいと思うのです。特に戦傷病者戦没者遺族等援護法の給付金は年二回、通算老齢年金も年二回、全く後追いもいいところです、こういうものは。ですから、この機会に改めてこの支払い問題については本当に一歩でも前進する気があるのかどうか、重ねてお聞きをしておきます。
#43
○国務大臣(田中正巳君) いま先生のお尋ねについては私も大変わかるわけでありますが、どうもいままでそうした制度ができ上がったことについては主としてどうも事務的な関係、支払い事務の実態等々を踏まえてそういうことになったと思うのであります。しかし、その後支払いについてもいろいろ機械化等が可能になってまいりましたものですから、そうした技術面の困難を乗り越え、解消しつつ、先生がただいまおっしゃる方向に厚生省としても努力をいたすべきものというふうに考えて、今後さらに前向きに検討いたしたいと思っております。
#44
○山崎昇君 それでは大臣の今後の努力を私は見守っていきたいと思う。本当に弱者のために、引き受ける国民の立場に立って、お年寄りの立場に立ってあるいは子供さんの立場に立ってこの問題を行政当局も進めてもらいたい、このことを重ねて私は希望しておきたいと思うのです。
 それから、いま国民年金の法律案を審議しておりますが、どうしてこれは一カ月繰り上げることができませんかね、他のやつと合わせることができないんだろうか。
 そこで一つこれも聞いておきたいんですが、三月二十六日の衆議院の社会労働委員会でわが党の田口君から質問がありまして、そのときに、年金局長だと思うのですが、各公的年金制度のスライド実施時期に差があるのは、基本的には各年金制度の支払い期日の相違によるもので、国年は三、六、九、十二、支払い月だから、八月にすると九月支払い分のうち一カ月だけスライドするということになってこれは矛盾だという答弁をされている。どうして一カ月だけ前進すれば矛盾だとお考えになるのか、あわせて見解を聞いておきたい。
#45
○政府委員(曾根田郁夫君) ただいま御指摘の矛盾という言葉を私使いましたかどうか、速記録であれしたいと思うのですが……
#46
○山崎昇君 議事録にある。
#47
○政府委員(曾根田郁夫君) もしそういう言葉でしたら、それは矛盾というのはやや誤解を招きやすいと思いますので、支払い期月の関係で一カ月分だけベースアップするのは現在の事務処理体制からいって非常にむずかしいと、そういう意味に御理解願いたいと思います。
#48
○山崎昇君 そうするとあなたは、矛盾ではないんだね。ただ事務的に困難だというだけだな。事務的にできればやってもいいということになる、逆に言えば。大臣どうですか、やりますか。
#49
○国務大臣(田中正巳君) いま矛盾だと申したのは、どうもおかしいと私も思うんであります。
#50
○山崎昇君 そうでしょう。
#51
○国務大臣(田中正巳君) これは事務的な関係で非常に複雑になって、いまの事務体制の上には乗りがたいものだろうということを年金局長が表現したものというふうに私も理解をいたします。今日時点においてこの問題が事務的に解決できるかどうか、私もいまのところ即答申し上げることができません。私がいままで承ったところによりますと、かように一カ月だけスライドをして、そうでないものとの間で合併して支給するということは非常に現在の事務体制じゃ困難だというふうに承っておるものですから、そういう方針を私も是認をしてきたというのが実態でございます。
#52
○山崎昇君 いや、実態はわかった。だから厚生大臣、政治家としてはね、せめてこの一カ月、多少の事務的な困難はあるけれども、やろうという意思がないかどうかということを聞いているんです。どうですか。
#53
○政府委員(河野義男君) これは非常に事務的な技術的な問題でございますが、仮に六月を五月に繰り上げた場合にはいわゆる物価指数が確定するのが四月末、五月の初めでございまして、それをもとにしまして、スライドのためのプログラムを作成するとか、既存のプログラムを手直しするとか、そういったことが起こってまいるわけでございまして、五月分については六月に支払わなきゃならぬ、それ以降の分については九月に支払う、こういう問題が起きまして、事務的にはきわめて困難でございます。
#54
○山崎昇君 だからいま聞いているのは事務的に困難なんということは事務当局から聞いた。少なくとも政治的にいまの問題いろいろ議論されているから厚生大臣、政治家としてこの問題は一カ月前進させられないか。ほかの年金と同一歩調がとれないかということをあなたに聞いている。やるか、やらぬかと聞いている。
#55
○国務大臣(田中正巳君) 私は今後の問題としてはできるだけこのスライド時期の改定を早めていきたいというふうに思っておりますが、今年がところは事務体制上私はこのことについてただいまこの席でもって、それをできますというふうに申し上げることは残念ながらできないということだろうと思います。
#56
○山崎昇君 回りくどいことを言っておるわね。結局はやらぬということでしょう。これはしかしぜひ考えてもらいたい。
 もう私の時間ありませんから最後にもう一つお聞きします。それは五人未満事業所の従業員に対する厚生年金保険の適用については昭和四十四年厚生年金保険法の改正の際に附則第二条の二、「(適用事業所の範囲の拡大)」が明文化されました。それからすでに六年間経過をしているんですが、一体これ、五人未満の事業所の拡大がどうされたのか、どういうふうに今日まで厚生省は指導し、やってきたのか、この六年間の、この法律制定後のあなた方の指導のあり方というものについて説明願いたい。
#57
○政府委員(河野義男君) 五人未満の事業所につきましては、まずその実態について十分調査をいたしまして、その結果に基づきまして必要な事務処理体制を整備して取りかからなければならないわけでございます。これは厚生年金の適用と、それから政府管掌健康保険、両方考えなきゃならぬわけでございますが、御承知のように、五人未満の事業所につきましては、現在の適用事業所に比べまして事業所の数は二倍にもなっておりますし、被保険者、従業員の数は約三百四十万と推定されておるわけでございますが、これらの実態調査の結果に基づきまして、事業所の数が非常に多くて、しかも従業員の移動が激しい、あるいは給与台帳等の整理あるいは事務能力、そういった面に若干問題があるわけでございますので、当面五十年度におきましては、現在の任意包括あるいは任意適用の制度を活用いたしまして、被保険者の数で約三十万人適用し、今後いろいろな問題点を解明いたしまして、計画的に適用を拡大していきたい、こういうことで現在進めておるわけでございます。
#58
○山崎昇君 そんな言いわけばっかりやっておって、もう法律できて六年になる、あんた。いまごろ、そんなこと言う答弁で、厚生当局の事務的な責任というのは負えることはできませんよ。何をやっておったんだということになっちゃう。大臣、少なくとも厚生当局はもう少し積極的にやってもらいたい。そうして、私はもう時間がありませんから述べませんが、こういうことをやるのに、依然としていま定員削減の問題とか出てくるから、これは後日また定員問題と関連して質問いたしますけれども、事務量と定員と合わない。そういう点もひっくるめて、一体厚生省はせっかく法律をつくったって何にもやらぬという結果になっちゃう。そういう意味で、一体最後に、大臣の私はこれら一連の問題についての決意だけ聞いて、きょうの質問終っておきます。
#59
○国務大臣(田中正巳君) 厚生年金の五人未満事業所の適用問題については、かねがね私も実は心を痛めておったところであります。もっと率直に言いますると、どうも失業保険よりこれの方が適用状況が悪いということも聞いておりますので、鋭意ひとつこれをさらに適用状況をよくするように、事務当局に督励をいたさなければならぬと思っていたところでございます。
#60
○目黒今朝次郎君 年金の問題に入る前に、この前ちょっとお話を申し上げたサッカリンの問題について若干質疑をしたいと思います。
 最初、事務的なことをお伺いするのですが、食品衛生調査会ですね、これはいろいろな添加物などについて部会で検討して、そうして常任委員会で、少なくとも常任委員会に諮って、そうして厚生大臣に答申をして、厚生省が告示をすると、そういうルールであることは間違いありませんね。
#61
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生のおっしゃったとおりの部門もございます。ただ、食品衛生調査会の機能といたしまして、ただいま先生御指摘のような諮問、答申という形をとる一つの機能と、独自に厚生大臣に対しまして建議をする機能を持っておりますので、この二つの面でいろいろな作業を行っております。
#62
○目黒今朝次郎君 それからもう一つ、前回の委員会でお話ししたとおり、前の齋藤厚生大臣がわが党の山本委員の質問に答えて、消費者代表を入れると、そういう話があったことは、この前質問したとおりでありますが、当時局長は、高田委員の方については、いわゆる消費者の代表ということも含めて学識経験の立場という点でお入り願っていると、この点については、これは確認してよろしいですか。
#63
○政府委員(石丸隆治君) 御承知のように、食品衛生調査会の委員は、学識経験者をもってこれに充てるということになっております。ただその学識経験者を委員に選任するに当たりまして、できるだけ一般消費者の意見を代表できるような学識経験者を選ぶという、こういう方向で現在委員の選定を行っております。
#64
○目黒今朝次郎君 そうしますと、四十八年の十二月十八日ですか、現在の一ミリグラムの基準を決めた、この際に毒性の合同部会には諮ったけれども、常任委員会を通していない、こういうようなお話があるのですが、これは常任委員であった高田委員の方から具体的に証言として常任委員会に諮られなかったと、こういう証言があるのですが、事実でしょうか。
#65
○政府委員(石丸隆治君) これは従来いろんな運営の方法があるわけでございますが、一応すべてのものを常任委員会を通すというわけではないわけでございまして、今回のこの先生御指摘の、昭和四十八年十二月の時点におきますサッカリンの体重一キログラム当たり一日一ミリグラムという決定をいたしました際は、添加物・毒性合同部会で決定いたしております。
#66
○目黒今朝次郎君 これほどの社会問題に発展するサッカリンの規制緩和を常任委員会に諮らないまま添加物・毒性合同部会だけで処理したと、どうもそこに疑問をはさまざるを得ません。したがって、現在の一キロ一ミリの問題自体も非常にルールにおいて、手続面においてミスがあったという点については具体的に認めますか。
#67
○政府委員(石丸隆治君) これはいろんな取り扱いが従来からあったわけでございますけれども、従来こういった問題につきましては、普通合同部会あるいは単独の専門部会で決定をいたしまして、それをもって総会の決議にかえるという方法をとっておりましたので、四十八年の時点におきましてはそういった方法をとったわけでございます。その後、できるだけすべての案件を常任委員会を通すということで現在運営を行っております。
#68
○目黒今朝次郎君 これはその後の四月、五月の問題にも私は影響があるから聞いているんです。何か高田委員は主婦連の副会長さんですか、ですから具体的に消費者の代表というような相当意味の味わいを持っていると私は思うんです。そういうお母さんの代表ということについて、何か高田委員を除外してやってしまう、そういう厚生省のずるい姿勢がうかがわれてならないんですが、この点はどうですか。
#69
○政府委員(石丸隆治君) そういった点はございません。ただ従来から委員の選定に当たりまして、実は高田委員は非常に長期にわたられてこの委員を任命されておる方でございまして、それと同時にほかの委員会との兼任の問題等があるわけでございますが、特に余人をもってかえがたいという点で食品衛生調査会の委員におなりいただいておるという実情もあるわけでございまして、ただいま先生御指摘のようなことはわれわれ考えておりません。
#70
○目黒今朝次郎君 五月十四日の常任委員会で、――一ミリに緩和するという今回の問題についてはこの前聞きましたが、高田先生の話を聞きますと、この常任委員会で毒性とか発がん性の問題について高田先生が.三つの資料を提起をして審議願いたいと、こういう発言があったことについては事実でしょうか。
#71
○政府委員(石丸隆治君) そのとおりでございます。
#72
○目黒今朝次郎君 そういう提案をしたけれども、外国の資料があるからいいんだと言って審議しなかったと、そういうことについても事実でしょうか。
#73
○政府委員(石丸隆治君) 高田委員の御提出になりました資料の取り扱いでございますが、そのうちの一つに変異原の問題があったわけでございます。これはベルギーの資料でございますが、ただ、この資料につきまして委員会に諮られたところ、この資料そのものを一九七四年の六月のWHO、FAOの合同委員会におきましてこの資料がすでに評価されて、現在のWHO、FAOの勧告となっているというようなことが議論されまして、したがいまして、このベルギーから出されております資料につきましては今回改めて議論がされなかった、かような経過になっております。
#74
○目黒今朝次郎君 その他の二件については。
#75
○政府委員(石丸隆治君) 議事録を調べないと正確なことは申し上げられないと思いますが、一つは、このアレルギーの問題が提出されたわけでございます。このアレルギーの問題につきましては従来から食品衛生上この問題をどう取り扱うかということが大きな問題になっておったわけでございまして、従来からこのアレルギー問題は食品の方に原因があるんでなくって、むしろそれを受け取る人間側の体質の問題というふうにこれが考えられておったわけでございまして、従来われわれの食品衛生の対象としてはアレルギーの問題というものを考慮に入れていなかった点がございます。したがいまして、今回のそのアレルギーの資料につきましてはそういう点で除外されたというふうに記憶いたしておるわけでございます。ただ、今回の審議を通じまして今後の食品衛生の問題としてはやはりこういったアレルギーの問題も当然考慮を払っていくべきである、かような御審議の結果でございました。
#76
○目黒今朝次郎君 それからもう一件あったはずですね、三件ですから。いま二件……。
#77
○政府委員(石丸隆治君) もう一つ、昭和二十九年の岩手医大のデータだと思いますが、これにつきましては従来、昭和二十九年のデータでございまして、すでにこれについては評価が行われていると、かような審議内容だったと記憶いたしております。
#78
○目黒今朝次郎君 この岩手大学の田中先生が一九六四年十二月の十六日、岩手医学雑誌に発表したやつはこれはWHOその他海外でも非常に貴重なデータだと言って取り上げられていると、海外で貴重なデータだといって取り上げられている問題がなぜ日本の食品衛生調査会で不問に付されると、そういう価値観の違いというのはどういうことなんですか。私はどうしてもこの点がわからないんです。これは非常に、ネズミの試験をやって、あれですか、胎児ですか、おなかの中の、いわゆる奥さん方が妊娠した際の非常に悪い影響を及ぼすというデータなんですけれども、これが世界的に非常に尊重されて、日本の厚生省の段階で尊重されないというのは一体どういうことなんですか、聞かしてもらいたいと思うのです。
#79
○政府委員(石丸隆治君) この岩手医大の論文の評価でございますが、まあ、ちょっとこの委員会で議論されましたときは、先ほど申し上げた、その経過を申し上げたような次第でございまして、これが海外でどのように評価されているか、あるいはまたわが国の医学界でどう評価されるべきものであるか、こういったことにつきましてはやはり食品衛生調査会の場面におきまして専門家の諸先生の意見をわれわれ聞いておるわけでございまして、今回はそういったことで、データとして古いというようなものだと思うわけでございます。さらにこのサッカリンにつきましてその後繁殖試験――これは六世代にわたる繁殖試験の実験あるいは催奇形成の試験、そういったものがその後新たに報告をされておりますので、そういった新しい報告についても参考にされたというふうに考えております。
#80
○目黒今朝次郎君 私、大分高田先生に聞いている話と局長の話、違うんですがね。高田先生は十四日の委員会でこういう問題について十分に慎重に審議をしてほしいと、そういう問題提起をしたけれども、斎藤さんですか、斎藤部会長がもうWHOでやられているからそんなのいいじゃないかと言って、十分な審議もしないままにやられたと、したがって、高田委員としては非常に不満であるし、何でもかんでも外国に依存するやり方については承服できないと言って、私に対して非常に不満を言っているわけなんです。ですから、いま言ったことは局長はきれいなことを言っているけれども、短時間でもう不問に付されたといったのが実態ではないんですか。必要であれば高田委員を証人に呼んで当時の状況を聞いてもいいんですよ。
#81
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘のデータは、私が最初にお答え申し上げましたベルギー大学のデータだと思うわけでございまして、これの取り扱いにつきましては、ただいま先生御指摘のように、一九七三年の報告でございまして、七四年のWHO、FAOの専門家委員会においてこの論文が評価をされておる、こういう実態があったものでございますので、ただいま先生御指摘のように斎藤部会長、これは毒性部会長でございますが、斎藤部会長がWHOでこのデータそのものがすでに評価済みである、こういう発言があったというふうに記憶いたしております。
#82
○目黒今朝次郎君 その辺は私が高田先生から聞いている話と――少なくとも権威をもって答弁しているでしょうから、当時の詳細な議事録があったらぜひ議事録を提出してもらいたいと、こう思うんですが、いかがですか。
#83
○政府委員(石丸隆治君) 食品衛生調査会はこれは要点議事録になっておりますので、非常に細かい点、そういった点ではこの議事録がお役に立つかどうかわかりませんが、整理いたしたいと思います。
#84
○目黒今朝次郎君 私は少なくも国立衛生試験所の池田先生ですか、出したものについてある委員が反論する、あるいは問題を提起するという場合には、私はそれなりに意義を持っていると思うんですよ。そういう意義のある、非常に性格的に意味のある議論の議事録が要点議事録であろうとも的確に私は保存されてしかるべきだと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#85
○政府委員(石丸隆治君) この食品衛生調査会の議事録につきましては、従来からもいろいろ苦労しておるわけでございますが、われわれといたしましても、ただいま先生御指摘のように、できるだけその審議内容を忠実に表現できるよう今後とも努力いたしてまいりたいと思っております。
#86
○目黒今朝次郎君 それは議事録を見てからまた調べたいと思います。
 それから、厚生省からもらった突然変異に関するデータが一編ありましたがね、この突然変異に関するデーター編のやつは製薬会社であるバイエル社というところのデータだそうであります。このデータについては、ベルギーのルーベン大学の食糧栄養衛生研究室が発表したことによりますと、この研究室がWHOの実験方法で行った結果は奇形が多発していると、そういうことが言われているが、このバイエル企業の実験方法についてはWHOの方法によらないで特殊な方法だと、だからこれは認めるわけにいかぬと、こういう見解をWHOがやっているというんですが、この点はいかがでしょうか。
#87
○政府委員(石丸隆治君) このサッカリンの変異原性に関します実験につきましてはいろんなデータがあるわけでございまして、そのうち一つといたしまして、ただいま先生御指摘のバイエルの報告があるわけでございまして、これは先生御指摘のように有名な製薬企業のデータでございます。で、この内容はわれわれ余り詳しくはないわけでございますが、必ずしも――WHOの方法というものによっていないという点が指摘されておるわけでございますが、そういった点、ほかのいろんなその変異原に関します実験データ等も参考にいたしておるわけでございます。
#88
○目黒今朝次郎君 都合のいいときはWHOを使う、都合の悪いときはWHOを逃げてしまうと、それはどういうことなんですかね。これは突然変異に関する調査については、食品衛生調査会で去年の夏ですか、ルールを決めたと聞いておりますが、そうすれば何も外国の資料を使う、それも結構でしょうけれども、やはり食品衛生調査会でこの突然変異の方法についてルールを決めたならば、なぜそこでみずからろ過する、みずから研究する、そのデータを使うという努力をしないんでしょうか。どうもここのところ私は臭いにおいがすると思うんですが、いかがでしょうか。
#89
○政府委員(石丸隆治君) この変異原性に関します試験方法でございますが、これは先生御指摘のように、わが国では昨年これを作成いたしたわけでございます。ただ、変異原性に対します試験方法を定めておりますのは世界じゅうでわが国ただ一つでございまして、WHOもいろいろまだ検討をしている段階でございまして、これだという決まったものをWHOが出しているわけではないわけでございます。わが国ではそういうふうに昨年苦労いたしまして諸先生方の御協力を得ましてこの変異原の実験の方法を定めたわけでございまして、今後はこういったわが国でせっかくりっぱな試験方法を定めたわけでございますので、この方法にのっとりましていろんな添加物の、これは既存の添加物を含めましてすべての添加物を今後洗い直すということを現在計画中でございます。
#90
○目黒今朝次郎君 計画中はわかりましたけれども、現実に厚生省が食品衛生調査会に提出した資料の突然変異に関するデータとしてはきわめて不十分なものだということは認めますか。
#91
○政府委員(石丸隆治君) 調査会に提出いたします実験データ等につきましては、できるだけわれわれといたしましては学会に報告されたものあるいは学術雑誌に掲載されたもの、こういったいわゆる公にされたデータを提出することにいたしておるわけでございますが、今回国立がんセンターで行ないました実験等につきましては、まだ学会に発表されていないという、そういう段階のものでございましたので、そういった点におきましては正式の資料ではないということは言えると思います。
#92
○目黒今朝次郎君 あのね、まあ先ほどの薬害の話じゃありませんが、製薬会社が自分の会社で売り出す製品にバッテンをつけて売り出す製薬会社はないですよ。全部マル、マルですよ。だから、サッカリンをつくる製薬会社の資料を使ってマル、マルだと言ったって、これは客観的に見ればちょっと企業寄りだと言われたってしょうがないですよ。WHO自身がこの方法によらないんだと言っているものについては、私はどんなに詭弁を使おうと突然変異に関する調査会のデータはきわめて満足とは言えない、不十分なものだというように認定しても間違いない、こう思うんですが、どうしても弁解しますか。
#93
○政府委員(石丸隆治君) この調査会の中におきましても、突然変異と申し上げましょうか、変異原の実験の評価についてはいろんな議論がまだあることは事実でございまして、そういった中で現在使っているものが最もいいかどうかという点につきましては、まあ、これは学者によっていろんな意見があろうかと思っております。
 なお、われわれといたしましては、今後ともこの変異原に関します実験方法のよりよい改善等に努力してまいる予定でおります。
#94
○目黒今朝次郎君 なかなか行政官だからそうですとは言えないでしょうけれども、やはり何といっても――堂々めぐりしておってもきわめて不明朗な不十分なものであるし、安全性については確認されていないと言っても過言ではないと思います。これ以上時間がもったいないから言いません。
 それからもう一つ、サッカリンの慢性毒性に関する報告、これはサッカリンの無作用量ですか、これに関するデータが1、2、3と、No1、No2、No3と、こう出ておるんですが、これのデータを見ますと、No1の場合には五百ミリグラム、これは一・〇%ですが、五百ミリグラム。それからNo2の場合には二百五十ミリグラム、これは〇・五%という数字をここにもらいました。No1が一・〇%――根拠ですね。それからNo2が〇・五%、それからNo3が八百十ミリグラム、こういうデータで判定の資料を出しているんですが、この中でみな体重増加抑制及び死亡率の増加は認められないということになっていますね、M2の場合には、見ますと。これはおたくの方からの資料ですから、局長首曲げているけれども。これについて私ちょっと見てもらったのですが、たとえば、局長これ見てください、おたくのぶ厚い資料一回整理をして。この黒い線がサッカリンを全然やってない数ですよ。それで、赤い線がサッカリン八百十ミリグラム、おたくの方は、死亡率の増加が認められないという方は赤線ですよ。そうすると、この黒線と赤線の斜めにした線の分だけこれはネズミは死んでいるんです。これで死亡率が認められないということが言えるんでしょうか。これはどうでしょうか、おたくが使った資料ですから。私やはりこの斜線の分だけネズミが死んだと、こう思うんですが、このデータから見ますと。それで、この報告書はちょっと事実と間違っているんじゃないですか。
#95
○政府委員(石丸隆治君) 非常に専門的な御質問でございますが、ただいま先生御指摘の論文は、カナダのヘルス・プロテクション・ブランチのムンローの実験ではないかと思います。
 このムンローの実験につきまして、この調査会でどういう評価が行われたかということでございます。ただいま先生御指摘のように、そういう生存率――これは死亡率といいましょうか、生存率のカーブのようになっておるわけでございますが、この生存率のカーブをどういうふうに評価するかという問題でございます。このムンローの、いわゆるムンロー自身がこの実験をどういうふうに評価をしたかという報告があるわけでございますが、一つは、先生ただいまお見せいただきましたこのカーブは、恐らくこれは雄の方のカーブでございまして、その次に雌のカーブがあるわけでございまして、雄と雌との間に非常に大きな差があって、雌の方ではほとんど差がないという、そういうデータがあるわけでございます。これをどういうふうに解釈しているかという問題でございますが、性別に見た場合に、雄のラットと雌のラットとの間に差があるというようなことが一つの問題点に指摘されておるわけでございます。さらに、この雄の方を見ました場合に、これを統計的にいろんな処理をしておるようでございますが、その結論だけを申し上げますと、二百七十ミリグラム・パー・キロ・パー・デーのところにおいて有意の差があって、ほかのところでは差がないという、いわゆる統計的に見た有意の差がないというような結論と申し上げましょうか、そういう意見が出ておるわけでございまして、そういったことを考えてこのムンローの実験そのものを評価いたしまして、いわゆる最大無作用量をこの実験からとるということが果たしていいかどうかということが議論になったわけでございます。で、もともとこの実験そのものが、アメリカにおいてサッカリンによるがん原性が証明されたその後におきまして、このアメリカのがん原性の実験を追試するという意味でこの実験が行われたわけでございまして、実験方法そのものから考えましても、最大無作用量をこの実験からとることが適当であるかどうかということが問題になったわけでございまして、したがいまして、最大無作用量を今回の食品衛生調査会で採用いたしておりますのは、これとは別の実験からそれをとったわけでございます。
#96
○目黒今朝次郎君 時間がありませんから、長々と答弁しておりますが、雄はこうだと、雌はこれだと言いたいんでしょう。
 それからもう一つは、この同じ資料で、あれでしょう、「サッカリン投与によるラット死亡時期」というのがありますが、これも雌と雄が若干違いますよ、これは。八百十ミリグラムの、こう見ますと、若干違いますが、しかし雌と雄の若干の違いはあったとしても、サッカリンによるあの世へ行ってしまうという現象については変わりはない。いわゆる安全性については非常に疑問だと、こういうことが裏書きされると思うんですよ。
 私は、こういう点から考えますと、たまたま五月十四日――時間がありませんから前に進みますが、おたくの方が決めた、五ミリのWHOのこの問題を翻訳してもらいました。これ、余り学がありませんから、日本語に。これを見ましても五ミリを決めているこの――ここに注釈かありまして、「このレポートは国際専門グループの意見を集めて掲載するものであって必ずしも国連のWHOまたはFAOの決定または政策の陳述を代表するものではない。」とわざわざ断っておるわけですね。それで最後の方に、本委員会の以前の勧告を何ら変更するものではない。一日の許容摂取量は前の勧告にもあるようにゼロから五ミリで、栄養療法の目的に限定するものはゼロから十五ミリであり、モノグラフは作製されなかったと、――いわゆるグラフやデータはつくることができなかったと、こうわざわざ断っているところを見ますと、これによりどころを求めて五ミリということについては非常に私は問題があると。
 同時にこの問題が非常に大きくなって、ここにあります消費者団体二十一団体、主婦連合会であるとか、東京都地域消費者団体連合、日本消費者連盟、日本母親大会連合会、家庭栄養研究会、あるいは浦和主婦会、新潟市食生活改善普及会、洗剤のための連絡会、あるいは東京都地域婦人団体連盟、あるいは公害をなくす会など二十一団体の方がこの前調べてみたら、ここにこうリストを持ってきたのですよ。リストは驚くなかれこの一週間足らずで海外の資料二百二十四編の資料を集めて先生方がやっと九十編だけ分析した。それで九十編を分析した中で私のところに持ってきた報告を見ますと、突然変異が六編、それから発がん性が十編、それから発がん補助が二編、胎児異常が五編、アレルギー関係が四編合計二十七編。ですから、九十編のうち二十七編ですから約三分の一です。これだけ海外の資料がやはり発がん性に問題があると、毒性があると、こういうようなデータを市民の方が、国民の方が足で歩いてまとめたわけなんですよ。ですから、残されたあと百何編を分析すれば全部が出てくると、こう私は考えるんです。ですから、先ほど私は冒頭この一ミリの問題を言ったのも、高田先生がいなかった、参画してなかったと、今度の問題についても高田先生の提案については十分な討議がされなかったと、厚生省が出したこの資料についても疑義があると、いままで言ったとおり。そうしますと、私は結論として、食品衛生調査会が答申した問題についてはやはり凍結をして、もう一回本委員会で集中審議をする。それで国民の方が心配して集めたこういうデータがあるわけでありますから、こういうデータについては集中審議をするなりあるいは参考人を呼ぶなり、十分な審議をして、国民が安心する立場からサッカリンの問題をどうするか、こういう判断を下すべきであろうと、特にわが日本はつけものや魚をいっぱい食べる国民でありますから、なおさら諸外国の皆さんとは違った特殊条件にサッカリンがあると、そういうふうに考えますから、こういうことについて、厚生大臣、時間がありませんから、いま私が言った最後の締めくくりについてどういうお考えかひとつ見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#97
○国務大臣(田中正巳君) サッカリンの件については、いま先生食品衛生調査会における審議状況についての詳細な御意見が開陳されておったようであります。まだこれは食品衛生調査会の中身について私は詳しく聞いておりません。また現実に行政の上にのっとった決裁等もまだでございますので、よくひとつ事務当局から、私も素人でございますが、詳細に承って処理をいたさなければならないというふうに思っているわけであります。しかし、この種の添加物の許可等につきまして、ここでオーケーが出なければ一切発動ができないということもこれまたいろいろ問題があろうと思われますものですから、十分ひとつ皆さん方の御意見は聞く機会を持ちたいというふうに思っておりまするけれども、そういう方向で慎重には処理をいたしたいというふうに思っております。
#98
○目黒今朝次郎君 大臣ね、私はおたくにもらった資料についてもこれは三件ですよ。正式には国立衛生試験所の池田さんが下さったのが一件、後は高田先生が出した三つの問題についてもいま中途半端な諮問、それからおたくが踏み切った――この三つの、ナンバーワン、ツー、スリーというこの問題についてもいま疑問がある。いわんや二百二十四篇を市民が、国民が集めてきたんですよ、これ。これは必要ならば私出しますよデータ、皆ありますから。これを時間的な余裕の問題があって九十篇やったと、その三分の一が問題だったんですよ。どこにもいいということないんじゃないですか。いいというのは池田教授ただ一人、いいと言っているのは。首振っているなら首振っているらしく、こういう反論のある方に十分納得させるということが行政においても政治の場でも必要じゃないですか。だから、それは私はやはりそういう疑問がある。特に日本というところは、私を含めて、朝昼晩おしんこがないと食べていけないという、これは日本の国民ですよ。そういう日本の条件からすれば、おしんこを食べてがんになってしまうなんということをどうして政治が許すんですか。ですから、私は凍結をしてそうして集中審議、参考人を呼ぶ、そして国民の疑惑を晴らす、それから告示しても遅くはない。何か告示しておくれて困る人いるんですか、業者か、どっか。こんなことは、国民の命の前には業者の利便なんということは考えられませんよ。ですから、もう一回大臣の見解を聞きたい。
#99
○国務大臣(田中正巳君) この種の添加物についての取り扱いは慎重を期さなきゃならぬということはもちろんでございます。したがいまして、慎重にこれを処理するということでございますので、鋭意この種の問題についても御討議を相願いたいというふうに思います。なお、池田さん一人だというふうなことについては、私はいままでざっと聞いたところでもさようなことはないようでございまするけれども、いずれにしても問題があるということですから、問題の解明をできるだけいたしまして、国民が安心してこの種のものに接することのできるようにいたさなければいけないというふうに思っております。
#100
○目黒今朝次郎君 私が言っているのは、この問題について集中的な審議をする。必要によっては国会を通じて参考人を喚問して調べる。その結論が出るまでは答申については一時凍結をしておく。こう具体的にワン、ツー、スリーと言っているんですから、ワンについては慎重審議しよう、応じます。必要によっては参考人の問題は理事会にまかせますとか、結論が出るまでは、じゃあ凍結しましょうとかいうことを答えればいいんじゃないですか。何、そんなきれいごと言っているんですか。私は案外、東北人ですから、言い回しきらいなんですよ、ずけずけずけって聞く方ですから。こう、問題別に答えてください。(「あわてることないじゃないか、厚生省。何でそんなに急ぐんだ。」と呼ぶ者あり)
#101
○国務大臣(田中正巳君) 私別にあわててはおりません。また、業者からあれこれ陳情を受けたことも、一回も実はございません。ただ、純粋に制度の上でもってこの種のものがいろいろ議論をされることは望ましいが、国会の委員会でオーケーが出ないうちには絶対にこの種のものの処理ができないというふうなルールを確立することはどうであろうかということを心配――率直に言うとそういう必配なものですから、私慎重に発言をしているわけでありまして、先生と精神においてはそう変わりがないということを申し上げておきます。
#102
○目黒今朝次郎君 じゃ、精神においては変わりがないということでありますから、私は、大臣はやっぱり私の言ったことをずいぶん精神的に受けとめて処理をすると、こういうふうに解釈したいと思います。
 同時に、私は委員長にお願いしますが、集中審議と参考人の喚問等については理事会で十分に相談してその実現方について委員長に要請したいと、こう思います。
#103
○委員長(村田秀三君) ただいま目黒委員から要望がございました。理事会に諮って取り運びたいと思います。
 なお、付言いたしますが、国会のオーケーがなければ行政を進めることができないというルールをつくることはいかがなものであろう、こういう厚生大臣の発言がありましたが、いまここで質疑をいたしておりますのはまことに重大な問題である、こういう立場に立って質疑をいたしておるわけであります。でありますから、それらの疑念が解明されない前に行政が先行するということはこれはあってならないものであろうと私は思うわけでありますから、ただいまの大臣の発言はちょっと行き過ぎた答弁であろうと、こう私は思います。慎重にということでありますから、慎重であることは結構でございますけれども、しかしその慎重にするということについても目黒委員は幾つかの提案をいたしておるわけであります。そういう作業をする経過の中でお互いが了承をし合うというような、そういう慣行をつくることこそが最も大切であろうと私は思うのでございまして、目黒委員の先ほどの要望については理事会で検討いたしたいと思います。
#104
○目黒今朝次郎君 時間が参りましたから、一つだけ公的年金の統合の問題について、この前本会議で大臣から答弁願ったわけでありますが、しかしもういろんな新聞の論説、社説などを見てみますと、そういう抽象的な、と言っちゃ語弊がありますが、なかなかむずかしい問題だということでわかりますけれども、もっと具体的に公的年金の統合についてお答えがあれば少し聞かしてもらいたい、こう思うんです。どなたでも結構です。
#105
○国務大臣(田中正巳君) あの節に、本会議のことでございますのでかなり実ははしょって抽象的にお答えを申し上げました。私は各種の年金あるいは共済の長期給付等につきましてこれをできるだけ統合していきたいというふうに思っております。しかし、できました、制度が創設された背景なり目的なりがかなり違うようでございますので、一朝一夕にこれができるものということを申し上げるわけにはいかないと、したがってかなりこれについては慎重に対処しなければならないと、方向においてはそのようにいたしたいと、ここでもって速やかにこれを直ちにやりますということを申し上げるようなわけにいかないというのがこの前本会議で申し上げた私の気持ちの実態であります。しかし、何とかひとつ統合いたしたいというふうに思って今日いろいろとせっかく苦心をして検討作業をいたしていることは事実でございます。
#106
○目黒今朝次郎君 私も国鉄におりましたから、この国鉄共済組合がいろんな意味で話しするということについては私もわかるんです。しかしまた国鉄共済のこの事情を考えてみますと、やはり財源問題、いろんな問題について、国民年金なり厚生年金とやはり同じ悩みにぶつかっている、ぶつかる時期が早いか遅いかの違いであって、やはり問題にぶつかることについては私はかかわりが同じだろうと、これは船員の関係においても同じじゃなかろうか、こう思うんです。それで一つの提案なんですけれども、やっぱり国民年金と厚生年金が年金関係の約九割――八割ですかを占めているんですから、厚生省が思い切ってこの問題に踏み切ると、それからいま各種年金ごとにいろんな審議会とか運営会議がありますが、あれを一括して厚生大臣の権限下に置くと、そういう荒療治でもしない限りは私はなかなかできないんじゃなかろうか、そういう荒療治の問題を具体的に提案をして国民のその合意を仰ぐということに踏み切らないと、厚生大臣は非常に苦労をしていることはわかるのですけれども、なかなか厚生大臣の苦労が実を結ばない、そういう具体的な問題についてどうでしょうか。
#107
○国務大臣(田中正巳君) 目黒先生国鉄出身なものですから国鉄共済について非常にお詳しいんだと――あれが一番財源的に苦しかろうということは私もわかるわけでありまして、たしか三人で一人を支えているというあの姿では私は悩みは深かろうと実は思うわけでございまして、それだけにまた御熱心な御意見も出てくるものというふうに思うわけであります。で、私どもとしては、やはり基本的には私どもの役所で所掌している原生年金と国民年金だけではなしに、各種共済をすべて統合する方向で進むべきものというふうに思っておりますが、それが非常にむずかしい場合に一体どうするかということについてはいろいろと考えないわけでもございません。先生の気持ちもよくわかりますけれども、私どもとしてはやはり全部の共済と年金が統合する方向で検討をし、またそういうふうな方向にリードをしていくという基本姿勢は私はやはり貫いていきたいものというふうに思っております。なお、この種のものについてはどうもやはり自分たちのグループの利害というものを先に考えるという傾向がどうも間々あるようでございまして、これについてはひとつ皆さん方の特段の御協力を相願えれば幸いだというふうに思っております。
#108
○目黒今朝次郎君 それからもう一つ、一遍にやるのがむずかしければ、先ほども山崎先生からも福祉年金の関係がありましたけれども、あるいは最低生活にどのくらい必要かと、三万か五万かそれはいろいろ算定があるでしょうけれども、その最低生活保障部分だけでも横断的にひとつ試みの方法としてやっていくと、これには各企業ごとの年金の性格がありますけれども、最低生活の方どうするかと、これで統一しようと、その上から出ている企業年金についてはその都度時間をかけて二年なり三年やっていこうと、そういうことぐらいは、これはセクトがあったとしても私は合意できる方法ではなかろうか、こんなふうに考えるのですよ。ですから、最低生活保障部分だけは厚生省が一本とした年金をつくる、たとえば国民基本年金制度とかということですね。これは国民だれもがどこに働いていようと受けることだと、その上に国鉄なら国鉄、全逓は全逓、あるいは船員は船員、学校の先生は学校の先生、そういう形にこうプラスアルファの分は当面の間存立を認めて何年計画かでそれは統合していくと、そういう二段論法でもやらなければ、やはり全体のために底辺が犠牲になっているという点がずっと続くのではなかろうかと、こう思うので、この点はどうでしょうか。
#109
○国務大臣(田中正巳君) 先生、本会議の節にもそういう構想を私に聞いております。一つの御意見であり、御見識だろうというふうに思っております。そういうことも一つの検討の課題になろうと思っておりますが、現実問題として、最低は一体幾らであろうかといったような現実問題としてなかなかむずかしい問題もございますが、先生の御意見につきましては私どもも重要な御提言として受けとめてまいりたいというふうに思っております。
#110
○目黒今朝次郎君 じゃあ、ひとつぜひわれわれとしても考えますから真剣に考えてほしいということをお願いいたします。
 それからこの老齢年金でちょっと質問したいのですが、先ほど山崎先生からありましたが、この老齢年金の問題でこの前札幌の判決がありましたね。この年金併給の問題、年金局長おわかりでしょうけれども、これはいろいろこう調べてみますとそれなりに理由があって最後の判決の段階でこれは立法府が考える裁量権だと、こういうふうに結びつけてあるわけです。ですから、現在のその併給制限のことではなかなかむずかしいけれども、やはりこれは立法府で再検討すべきだということを裏から読めばそういうことも私は考えられる、こう思うのです。それでいま大臣が最低保障が幾らかというについてはむずかしいと言ったんですが、これは私の一つの案ですが、たとえば五万円なら五万円、よく五万円年金って政府も言っていますから、五万円年金なら五万円というふうに算定をして、この五万円に充当するまでは併給を認める、そういう措置がとれないものだろうか。この北海道の岡田あやさんという七十九歳のおばあさん、このおばあさんのをこう見ますと、確かにだんなさんが日露戦争でけがして亡くなったと、いまもらっている年金が年間二十七万五千円なのですよ。一カ月にしますと二万二千九百十七円、これでは食べていけない、実際ね。ですから、これにこの福祉年金の一万二千円をもらっても三万四千円、五万に満たない。先ほどの政治の判断じゃありませんが、せめてこういう本当のぎりぎりの条件の場合には、やはり福祉年金の併給を認める、限定をしてね。五万円なら五万円という限定をしてそこまでは認めていこうと、そういうようなやっぱり考え方、法改正をしてやることが、こういうお年寄りに対するあるいは非常に不幸な方々に対するやはり福祉年金的なにおいを一歩でも前に進める、こういうことに乗りかえにゃならぬのではなかろうかという点で、現行法の解釈とそういう前向きのこの判決のね、立法府の判断だと、こう言っていますから、立法府のわれわれがそういう立場について考えてやるべきじゃなかろうかと、こう私は思うのですがいかがでしょうか。
#111
○政府委員(曾根田郁夫君) 福祉年金と他の公的年金との併給の問題につきましては、現実問題としてはいろいろ限度額の大幅引き上げについて要望が強くございますので、私ども年々改善をいたしておりますが、現実的にはなかなかこれについても不満が多い。基本的な方向としてたとえば先ほど先生御提示になりましたように、既存の公的年金でかなり大幅な最低保障水準というものを仮に設定するということになれば、この問題は制度的には解決するとも考えられますけれども、なかなかそうはいかない。ということになりますと、やはり現在の福祉年金という性格を踏まえる限りは、おのずから一定の限度を設けざるを得ない。それが五十年度では年額二十四万でございますけれども、これがいいかどうかについては先ほど言いましたようにいろいろ御意見があると思いますが、私どもといたしましては現行の年金制度、とりわけ福祉年金制度を前提とする以上は、具体的にはこの金額の引き上げを今後とも、これの引き上げについて努力するということで対処していかなければならぬというふうに考えております。
#112
○目黒今朝次郎君 私は、怒らないでくださいよ、自民党でも社会党でも共産党でも皆さんが地方選挙あるいは選挙になるとそういう本当に困っている方々については政治が保障しますと、みんなりっぱな演説やってきていると思うのですよ。ここに私はこのごろ悪趣味がありましてね、投書欄一覧表というのをつくっているのですよ。投書欄一覧表で年金の項を見ますとね、年金と心身障害者、身体障害者、これは選挙のときだけの公約だと、選挙が決まってからはどうにもならない。特に自民党さんは政権を握っているのだから。自民党の議員さんはりっぱなことを言っているけれども、いざ国会へ行くとどっかへ行ってしまう。私はいま言ったようなことは、政治が本当にぎりぎりの線に求めている要望だと思うのですよ。社会党が提案したから云々でなくて、各政党が政治に携わる者はそういう本当に困っている方たちに人間らしい生活を保障してやるという私は公約をしていると思うのですよ。その公約を実行するのが私はこの場だと思うのですよ。ですから私はこういう本当に二万二千九百十七円で食べていけと言ったって食べていけないから、あっちの孫から、こっちの息子から、隣からもらってやっと食べていますというのがこの新聞に出たおばあさんの話ですよ。私はこのおばあさんが本当かどうか、わが組織を通じて調べてみました。うそ偽りはないそうです。ですから、こういう方々をやっぱり私はいま一定限度のことは必要だということはわかります。一定限度は、人間がぎりぎり生活できるライン、やっぱり見てやるべきではなかろうか。厚生大臣はこの前の衆議院の予算委員会で、わが党の田賀谷先生の質問に答えて軽老人ホームに入るくらいの年金を何とか考えたいと発言したり取り消したりしたいきさつがあったらしいけれども、大臣の気持ちの中にはやっぱり何とかしてやりたいという気持ちがあると思うのですね。やっぱり一番ガンは大蔵省が金を握っていると、そういうことでしょう、これは。やっぱり社労委のわれわれとしては法的不備があれば法を改正をして、そういう方々を救ってやろうということをここで決めて、それで大蔵省に対して予算折衝をする、それぐらいの私は積極性がなければ政治は前へ進まない、こう思うのですよ。そういう姿勢について、最後に大臣から考えを求めて質問を終わります。
#113
○国務大臣(田中正巳君) 併給制限につきましては、これは前に制度が発足したときには同じ国民の税金から、理由が違うといっても両方でもらうのはおかしいということから始まったものであるということを私若い議員のころに、この国民年金法が施行になるときにそういうふうに説明をしておりましたが、私も当時議員としてかなりの違和感を感じておったことは事実であります。しかしまた、反面そうした理屈もないわけではございませんで、どこに調和点を求めるかということだろうと思います。今日の御時世では、私はやはり相当高いところにまで線を持っていくべきものであるというふうに基本的には思っておりますが、従来長い間のこの種の併給制限限度の折衝をめぐっての私の経験から申しますると、やはり問題はさっき年金局長が申したような抜本的な改定の節に問題は解決をするというかっこうでなければ、基本的には私は解決ができないと思いますが、それまでの間にもわれわれ皆さんの御要望なり、国民の要望を踏まえて、できるだけの努力は今後いたしていきたいというふうに思っております。
#114
○委員長(村田秀三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十三分開会
#115
○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#116
○小平芳平君 今回の年金改正につきまして、厚生大臣は昭和五十一年度は年金の見直しをするということですが、そしてまた、福祉年金の額は月額二万円に引き上げますということ、それからそうなりますと、障害福祉年金は月額三万円というふうなことが、厚生大臣の答弁として受け取ってよろしいかどうか。
#117
○国務大臣(田中正巳君) かねがね御答弁申し上げているところでございますが、年金制度につきましては五年ごとの財政再計算期というのがございますが、これが普通ですと五十三年になるわけでございますが、最近の情勢を踏まえまして、これを二年早めて五十一年に財政再計算をやりたいということを考えておりまして、このことについて本会議で申し上げているわけであります。その節どの程度の一体それでは改善ができるであろうかということについては、ただいま作業中でいま定かに申し上げる段階には至っておりません。また福祉年金につきましても、いろいろと目下改善策について考究をいたしておりますが、従来のような一般会計方式による年金の、福祉年金のやり方ではこれ以上多くを望むことはできないであろうというふうに考えられるものでございまするから、したがって、この所要財源をいろいろ他に求めなければならないというふうに思っておりますが、これについてはいろいろといま検討をいたしておりますが、そうしたコンセンサスが得られるかどうか、せっかく努力をしてみなければなるまいと思っておるわけであります。
 なお、今日どうも景気動向によりまして、明年度の予算がどの程度になるか等々についていろいろと苦慮をしている実態でございます。かねがね一月、二月ごろの経済動向と今日の経済動向ではかなりの実は違いがありまして、昭和五十一年度に厚生省予算をどの程度伸ばし得るであろうか、こうしたことについてもいろいろと心配をいたしておりますが、ともあれ年金につきましてはこれをできるだけ速やかに、またできるだけ充実をいたしたいという気持ちには変わりはございません。
 なお、老齢福祉年金との関係でございますが、これについては五割増しということにいままではなっておったわけですが、今後これを五割という水準を今後とも確保できるかどうか、これについては今後の検討を待たなければなるまいということであります。拠出制年金との関連、財源との関連等もございますので、いま五割増しのシステム、従来のシステムというものをそのまま踏襲できるかどうか、この点については私ははっきり答弁した覚えはございません。いずれにいたしましても、できるだけ従来のようなやり方をしたいとは思っておりますが、ただいまこれを断定的に申し上げる段階ではございません。
#118
○小平芳平君 大分、伝えられていた厚生大臣の見解と、いま述べられる見解とかけ離れてしまったように伺いますが、やはりこの福祉年金は一万二千円から、老齢福祉年金は一万二千円から二万円を目指して、その達成のために努力をいたしますというふうに従来受け取っておりましたが、それでよろしいかどうか、それが第一点。
 それから第二点は、五割増しの従来の原則が崩れるということは、障害者にとって大変見逃せない大きな問題でありますので、そういう点はやはり老齢福祉が二万円ということに決まる段階では障害福祉の一級は三万円と、従来の長年続いてきたその原則が破れていくということがいまから想定されるということはとうてい考えられないわけですが、いかがですか。
#119
○国務大臣(田中正巳君) 老齢福祉年金につきましては、二万円程度のものを目指していきたいということについては、私の気持ちは現在でも変わっておりません。しかしそれが一体どういう財源でできるだろうか、他に財源を求めることができるだろうか。少なくとも一般会計からこの種のものを求めるということはほぼ不可能であるといったようなことが従来からも言われておりましたし、最近の経済動向を見ると、特にそういったようなことが明らかでございますので、そうした他に財源を求めることについて国民的なコンセンサスを得るように今後努力をいたさなければなるまいと、かように考えておるわけでありまして、究極の目標としてその程度の年金を支給はいたしたいものであるというふうに考えております。
 なお、障害福祉年金と老齢福祉年金の関係ですが、五割増しという従来の行き方というものについて、これを今後とも踏襲できるかどうか、いろいろ慎重に考えてみなきゃならぬと、つまり経過年金とのアンバランスというような問題が頭に来るものでございますから、したがって慎重に物を申しているわけでございまして、この点については委員会でも本会議でも、従来のこのやり方というものを踏襲するということを申したことはございませんが、しかしいままでもこういうふうに老齢福祉年金の五割増しが障害福祉年金であるという形というものがずうっと今日まで続いてきたものですから、できるだけそのような方向にしたいものだとは思っておりますが、いまここで確定的にこれが、この老齢福祉年金が幾らになっても五割だというふうに申し上げることについてはもう少し検討さしていただきたい、こういう心境でございます。
#120
○小平芳平君 したがいまして、五割増しを崩しますというようなことは考えておらない。五割増しでいくということはきわめて困難であるとか、あるいは五割増しの従来の原則が崩れる可能性が十分あるというような受け取り方はしなくてよろしいと、こういうことでよろしゅうございますか。
#121
○国務大臣(田中正巳君) 私、いまの気持ちとしては、積極的にこれを、この原則を崩したいとは思っておりません。できるだけひとつこの原則はなお続けたいものだと、かように思っているわけでございますが、しかし作業の結果によってはあるいはということも考えるものでございますから慎重な発言をしているわけでございますが、気持ちの上においては、なおひとつできるだけあのいままでのやり方、原則というものは堅持をいたしたいものだなと思いながら、今後の検討においてどうなるかということを一部心配しておりますけれども、しかし、これがもうこの際この答弁で崩していただくんだということは全然私は考えておりません。
#122
○小平芳平君 それでは次に、これは午前中の質疑でも出ておりましたがスライド制につきまして、この点については今回は厚生年金が八月、国民年金が九月に繰り上げられるわけであります。この点につきましても、昨年も同じ論議があったわけですが、ことしもまた果たして八月、九月というものが動かないものかどうかということについて午前中山崎理事の質疑がありましたが、この点については御承知の社会保障制度審議会では一部予測値を取り入れるなりして年度初めからスライドが実現できるように努力すべきであると、そういう努力の跡が見られないから今回の年金改正案は制度審議会としては認めるとは言ってない、ただ諮問に対して意見を述べるというふうにしかなっておらないわけですが、そういう点はどういう検討がなされましたか。
#123
○政府委員(曾根田郁夫君) スライドの実施時期のタイムラグの短縮並びにスライドの指標に関連いたしまして、いま御審議願っております法案を社会保障制度審議会に諮問した際に、予測値をめぐっていろいろお尋ねがございまして、その際もお答えしたところでございますけれども、実は私どもも昨年のあの意見書をいただきまして部内でいろいろ検討をいたしました。そこでまず第一に、予測値としてどういうものを用いるかということでございますけれども、これにつきましては一定時期までの見通しを延長させるとか、あるいは予算編成時における来年度の経済見通しの数値を使うとか、いずれにしても関係者の合意が得られればそのような数値を使うことは可能だとは思いますけれども、問題はその予測値と実績が食い違った場合、特に予測値が実績よりも下回るような場合、たまたま本年度について申しますと、四十九年度の物価上昇率は当初見通しの二二%を割って二一・八という数字になりましたけれども、いままでの一般的な傾向から申しますと、どうしても予測値というのはやや低目に抑えますから、予測がたとえば二二ということであれば実績が二三とかむしろそれを上回るようなのが一般でございますので、そうした場合に果たして当初の予測値のままで当該年度のスライド率を確定的に貫くことができるかどうか、率直に言いましてわが国の現状では非常にむずかしいんではないかと、したがって、制度審議会のそのような提案を受け入れるについては、実績と相違した場合にどういう手直しをするかという問題まで含めないと、軽々にこの問題に結論を出すことはむずかしいんではないかと。そういうことになりますと、もし予測値と実績とが食い違って、さらに実績が出た段階で手直しをするということになりますと、実際問題としてはスライドを年に二回やる以上の手間が必要になってまいりまして、つまり、予測値に基づいた数値をさかのぼって補正するという作業が出てまいりますので、二回実施をするプラスアルファの非常にむずかしい作業が必要になってくるのではないか。そういたしますと、もともとタイムラグの短縮につきましては現在の事務処理体制では非常にむずかしいということを申し上げておりますけれども、そのような困難がさらに加わりますので、どうもせっかくの御提言ではあるけれども、われわれ事務的な立場でこれに踏み切るのは困難ではないかということを当時私も申し上げたのでございますけれども、これが率直に言いまして、昨年の審議会の提言に、その期待に沿い得なかった現実でございます。
#124
○小平芳平君 一部予測値を取り入れるとかあるいは遡及するとかの方法を検討すべきであるということになっておりましたが、それはもう全くできないということですか。
#125
○政府委員(曾根田郁夫君) これは理論的にも物理的にも不可能だという意味ではございませんで、端的に申しましていまの事務処理体制を前提とする以上はきわめて困難であるということでございます。
#126
○小平芳平君 事務処理体制だけでタイムラグの短縮のこうした提言に沿えないということであれば、事務処理体制を充実するということも検討しましたか。
#127
○政府委員(河野義男君) スライドの実施時期の繰り上げにつきましては一つの問題、いま御答弁申し上げましたように事務処理体制からくる制約があるわけでございますが、今年度におきましては国民年金の五年年金の百二十万件の増とかあるいは年金受給者が急速にふえてまいりますとか、こういった問題を抱えておりまして、現在の体制では実施時期をこれ以上繰り上げることはきわめて困難でございますけれども、将来の問題といたしましては組織、機構を強化しましてそういった要請にこたえられるよう努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#128
○小平芳平君 いま答弁されますことは、八月、九月の実施を将来は八月、九月がたとえば七月、八月ということが可能になるような事務機構の充実をすると、こういう趣旨ですか。
#129
○政府委員(河野義男君) 今年度は八月、九月でございますが、これにつきましてはいま申し上げましたように、いまの体制では非常にきわめて困難な状況にあるわけでございますけれども、将来はコンピューターの関係の部門の機構、組織を強化いたしまして、もしスライドの実施時期を繰り上げるとなりました場合にはそれに対応できるような体制をとっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#130
○小平芳平君 昨年も繰り上げたわけですね。で、今年も八月、九月に繰り上げるということです。ですから、将来繰り上げというんじゃなくて、本年もまさしく繰り上げになるという提案がなされております。なおかつ、繰り上げても大丈夫なような機構にしようというのはどういう趣旨か、その辺ちょっとのみ込めないんですが、いかがですか。
#131
○政府委員(河野義男君) 先ほど申しましたように、五十年度は国民年金の五年年金が百二十万件、全体としまして年金受給者が非常にふえるわけでございます。そういう厳しい状況にございまして、組織、機構につきまして増員の要求をしまして、特に電算機のソフトウエアの部門につきまして強化が認められたわけでございますが、これは現在の年金受給者を抱えまして、それを逓次に処理していくということが精いっぱいでございますが、せっかく五十年度認められました機械の周辺部門の定員、組織の強化をベースに置きまして、今後も事務処理体制を、組織、機構を強化しまして、いろいろな要請にこたえていきたい、こういうことでございます。
#132
○小平芳平君 いろいろの要請にこたえられるようになるということは、物価にスライドさせて一部予測値を取り入れるとか遡及するとかいうことに対応できるようにしますと、こういうことですか。
#133
○政府委員(河野義男君) いろいろ要請の中で特に緊急な問題、いま御指摘ございましたように、実施時期の繰り上げとかあるいは予測値を導入する方法はございますが、それぞれいろいろ技術的にもむずかしい面を持っております。しかし、絶対不可能ではないわけでございます。したがいまして、これらの要請に対応するためにはまず機構あるいは定員、必要な専門職員の強化を図らなければならぬわけでございます。そういった面に特に着目いたしまして、事務処理体制の強化を図ってそういった要請にこたえていきたいと、こういうことでございます。
#134
○小平芳平君 まあ、厚生大臣、そういうように事務処理体制の強化が図られつつあるということですので、いつまでも毎年同じことを、現体制ではこういう繰り上げの提案が精いっぱいだということを繰り返すんでなくて、こういうふうな改善ができるというふうなことを五十一年に実現できるように要請したいんですが、いかがですか。
#135
○国務大臣(田中正巳君) スライドの時期をできるだけ早く持ってくる、いまのも繰り上げと言っているんですけれども、それ以上に早くしていただきたいという御要請についてはわかります。いま事務当局からいろいろ説明をしておりますが、これも事実ではあることは間違いがございませんが、なおいろんな手法を駆使してもっと早くできるようにいたしたいものとわれわれも思っておるわけでありまして、午前中に山崎さんから御質問があったように、支払い期日の問題あるいは事務処理機構の問題、そしていま御提案になった予測値の問題、いろんな角度からアプローチする方法があるだろうと思いますが、総合的にいろいろ検討をいたしていきたいというふうに思っております。いまただいまどの程度までできるかということを申し上げる段階ではございません。
#136
○小平芳平君 それでは次に、この厚生年金の受給資格期間を満たしている六十歳以上六十五歳未満の被保険者に対する制限ですね、これは今回の改正でも緩和措置が四万八千円から、――標準報酬の限度額を四万八千円から七万二千円ですか、こういうふうに引き上げられるということになっておりますが、これは従来もこうした委員会でも再三主張があったように、六十歳から厚生年金が支給されるという、そのことを期待して二十年、三十年、三十五年というふうに保険料を払って働いてきたわけですので、しかも年金額が十分ならともかく、年金額だけでは生活できないというこのインフレ下の実態に押されてやむを得ず継続して勤めている人が減額される、あるいは全然支払いはされないというのは、こういう制度は撤廃すべきですね。
#137
○政府委員(曾根田郁夫君) 老齢年金の在職中の被保険者に対する支給でございますけれども、これは御案内のように二つございまして、六十五歳以上の者には原則として退職要件を問わないで資格期間を満たしている人たちには年金を差し上げる。しかし、現に被保険者として賃金を得ているわけですから、二割程度は支給停止をしておる。一方六十四歳未満六十歳以上の方々につきましては、これは退職要件を外すというわけにはまいりませんけれども、現実に非常に低い賃金で働いておられるような人の場合には、これらの人々の生活の安定ということを考えまして、その人の年金とその人が現に受けておる賃金を合計したものがいわゆる五万円年金の水準、したがいまして五十年度ではおおむね七万円年金水準になるわけでございますけれども、そういうことで実はあの制度がつくられておるわけでございます。御指摘のように、もう資格期間を満たしておるんだから、一切そのような制限は取っ払って、無条件に支給してもいいではないかと、御意見としては十分理解できるのでございますけれども、しかし、本来的にやはり被用者保険、厚生年金保険はあくまで退職老齢年金であるというのが本来の趣旨でございまして、それを六十五歳につきましては、いわば例外的に緩和したということでございますので、この六十五歳をさらに六十歳までに引き下げるということは、将来の年金財政、それから他の被用者保険における退職要件、そういったことを総合的に考えませんと、軽々にこれをどうこうするということは非常にむずかしいんではないか。したがいまして、私ども現段階におけるこの問題の取り扱いといたしましては、いま御審議願っております限度額、今回七万二千円、なまの賃金にいたしまして七万四千円まで引き上げることにいたしておりますけれども、これを将来改善することによって当面の要請にこたえていきたいというのが私どもの現在の考えでございます。
#138
○小平芳平君 七万二千円に引き上げるということ、将来も引き上げていくという、それはそれなりに私は反対しているわけではありませんが、厚生年金の老齢年金の支給開始は何歳ですかと言ったら、何ら疑うことなく六十歳と言うじゃないですか。にもかかわらず六十歳で退職するときの年金もいまそれではどのぐらいになっていますか、平均的なところで。
   〔委員長退席、理事山崎昇君着席〕
#139
○政府委員(曾根田郁夫君) 平均的な年金額でございますが、本年一月末の男女全部平均いたしました年金額が四万八千円でございまして、このうち、これは五十年一月時点で新規に裁定したものでございますが、このうち男子だけを取り出しますと五万一千百六十円でございます。この男子の平均は二十年未満の資格期間でもらっておる人も平均した数字でございますので、本来の拠出期間である二十年以上の資格でもらった男子の平均額を見てみますと五万七千三百六十円でございます。で、御案内のように本年八月以降は二一・八のスライドがこれに加算されるということになるわけでございます。
#140
○小平芳平君 女子は――それでは結構です。まあ平均して四万八千円ということですから、もう五万円年金と言ったのは大分前のことで、昨年のスライドでもう七万円年金になっているはずだというふうに言われながら、なおかつ五十年一月現在で平均四万八千円ということであって、ですからこれはきわめて低い平均額にしかなってないと、これは大臣もお認めになるでしょう。
#141
○国務大臣(田中正巳君) 年金が未成熟であって、そうした満度の支給期間を、保険料を納めていない人が多いものですからそういう傾向になるということは知っております。
#142
○小平芳平君 それとは別問題でしょう、いま局長が答弁していることは。未成熟だから低いんだということとは別問題であって……。
#143
○政府委員(曾根田郁夫君) やはりそれに関係がございまして、私が申し上げました男女平均の四万八千円というのは、当然二十年以上の期間でもらっている人もおりますが、十五年以上二十年という特例の資格期間でもらっておる人もかなりございまして、その全体を平均した、男女を平均したものが四万八千円、それから男子になりますと五万四千円、それをさらに二十年以上の男子だけを取り出しますと五万四千円ではなくて五万七千円と申し上げておるのでございますから、本来的にもう少し制度が成熟いたしますと、二十年未満で年金をもらう人というのはむしろ例外でございまして、二十七年、二十八年、将来は三十年という期間でもらう人が普通の例になりますので、そういう意味でいまの年金額が平均として低くなっておるというのは、資格期間の短い人が入っておるという、いわゆる未成熟の一つの影響ということになろうかと思います。
#144
○小平芳平君 ですから、そうしますと、年金が未成熟だから平均四万八千円とか、あるいは二十年以上で平均五万七千円とかいうことはやむを得ない、がまんしてろということですか。
#145
○政府委員(曾根田郁夫君) ただ、先ほど私申しましたように、たとえば五万七千円につきまして、本年――これは一六・一%昨年のスライドはかかっておりますけれども、ことしの八月からは自動的に二一・八%いわばベースアップするわけでございますので、まあ七万円近くの水準にはなるわけでございますから、必ずしも五万円から七万円というのが、私どもがややオーバーなことを言っておるということにはならないと思います。
#146
○小平芳平君 大多数の国民にとってはオーバーなものだとしか受け取れないですね。現実の、大多数の国民にとっては七万円年金にもうすでになっているはずなんだが、こういうように五万円とか四万円ということでは、――女子だとまだ低いわけでしょう、ならオーバーに決まっているじゃないですか。それは私はオーバーだと思う。
 それで次に、本人所得制限の支給停止の方が最近増加の傾向にあるということが言われております。これも限度額の引き上げが行われるようですが、果たしてそういう増加の傾向にあるということが解消の方向へ、減少の方向へ向かえるかどうか、それが第一点。
 それから公的年金との併給制限、午前中にもお話がありましたが、これも公的年金との併給が、年収十六万円が二十四万円に引き上げられるということのようですが、もう少し改善されないことには、それこそきわめて低い、生活保障の名に値するにはほど遠いという現状ではありませんか。
#147
○政府委員(曾根田郁夫君) 六十四歳未満の在職支給の所得制限停止率でございますが、確かに先生御指摘のように、四十九年度の見込みといたしましては、四十九年度のかなり大幅なベースアップもございましたので、実際にこの所得制限ライン以下で在職年金をもらっている人は二万円にも満たない状態でございます。しかしながら、今回御審議願っております法案ではその限度額を引き上げることにいたしておりますので、まあ来年度の、これは見込みでございますが、老齢年金と通算老齢年金、両方合わせまして十七、八万程度にはなるんではないかと一応見込んでございます。
 それから第二点の、これは福祉年金の他の公的年金との併給限度額の問題でございますが、午前中目黒委員の御指摘にもございましたように、確かに現在の、まあ五十年度における二十四万ということについてはいろいろ御意見があろうかと思います。私どもとしましてはかなり重点的にやったつもりでございますけれども、しかし、これはまあ今後の問題といたしましてやはり福祉年金改善の一つの大きな柱でございますので、今後ともできるだけ努力して御期待に沿いたいと考えております。
   〔理事山崎昇君退席、委員長着席〕
#148
○小平芳平君 少し根本的な年金の見直しということ、制度の見直しということも打ち出されておられますので、余り同じことを繰り返しませんけれども、いまの本人所得制限あるいはこの福祉年金の公的年金との併給制限、そういうものが本来的にあるのはやむを得ないというお考えのようですけれども、それにしては余りにも低過ぎると、十六万円を十二カ月で割って生活ができるものかどうか、二十四万円を十二カ月で割れば月二万円ということになるわけです。月二万円という、まあ福祉年金月二万円ということさえ、先ほどの大臣の答弁では必ずしもはっきりした答弁はしておりませんが、こうした公的年金を受給されてる方は、過去にそれなりの理由があって支給を受けているわけですから、ひとつもっと見直してほしい、要請いたします。
#149
○国務大臣(田中正巳君) けさからいろいろこの点についての御質問がございますが、私の率直な気持ちは、最初の御質問がちょっとかけ違っておったんじゃないかと思いますが、両方、福祉年金の所得制限等々のお話だというふうに思っておりますが、どうも年金局長いま、例の在職老齢年金の話で答弁しとったようで食い違いましたが、もし福祉年金の話だとすれば、基本的に私はこういう態度で臨みたいものだと思っております。
 本人の所得制限、これはできるだけ現在の停止率を維持するというかっこうで進んでいきたい、かように思っております。で、扶養親族の所得制限、これはどうも今後できるだけひとつ援和をいたさなければいかぬ、いまのはきつ過ぎるというふうに思うわけでありまして、実は予算期にも大分私がんばったんですけれども、どうも、本人所得制限は支給停止率をこのままにしておきたいと、――失礼しました。逆でございまして、扶養親族の所得制限については現在の停止率をそのまま維持をいたしたい。それから本人所得制限についてはどうも若干きつ過ぎるように思いますので、これについては予算時期に私もいろいろ努力をいたしましたけれども、どうもやはり就任早々で間に合いませんで、百二十万だったと思いますが、程度で終わってしまったわけでありまして、残念だと思っておりますんで、これは今後ともひとつ努力をいたしたいというふうに思っております。
 それから、他の公的年金との併給問題、これは二十四万で終わっているわけでございますが、これはかなり国民の間に要望も強いものでございますから、今後さらにこのアッパーリミットというものを、これを緩和するように努力をいたしたい。
 まあ大体ざっとこういう方向で臨みたいものだと思っておるのが私の心境です。
#150
○小平芳平君 そうすると、まあ老齢と障害福祉ですね、先ほどの九十万円から百二十万円に今回の改正で引き上げようというところは。ですから、その点について局長から、老齢、障害の本人所得制限が増加する方向にあるという傾向に対して、今回の引き上げにより減少の方向へ向かうかどうか答弁していただきたいことが一つと、それから、大臣から、五十年度予算は就任早々でがんばりきれなかったから、五十一年度は就任早々ではもうありませんから大いにがんばるということを期待いたします。
#151
○政府委員(曾根田郁夫君) 前段の方のお尋ねの本人所得制限の問題でございますが、まあ大臣も非常に予算の際に重点を置かれて、私どもも大いにやってみたんですけれども、結果として九十万から百二十万。これはでき得れば従来の支給率維持プラスアルファ程度のものと考えたんですけれども、結果としてやはり少なくとも従来の支給停止率は維持できますけれども、これ以上の緩和はやはりちょっと無理なようでございます。いずれにしても、今後ともこれは努力いたしてまいりたいと思います。
#152
○小平芳平君 それから次に、年金保養基地ということが計画され、この年金保養基地についてもこれだけでも相当の質問したい事項がたくさんありますが、本日は年金改正の方を主眼にいたしましたので、年金保養基地については一点だけお尋ねをしておきたいと思います。
 それは、この計画の段階ではいわゆる列島改造とか、そういう時期の計画でありましたが、現在の段階でどういう計画を持っておられますか。その計画を見直す段階に来ているのではないか。そういう点はいかがですか。
#153
○政府委員(曾根田郁夫君) 御指摘のようにこの大規模年金保養基地構想は昭和四十八年度からの新規の事業といたしたして、四十七年の秋以降具体化してまいったところでございまして、当時の社会経済状況は、御指摘のように今日とやや趣きを異にしているという見方もできると思いますけれども、しかし、もともとこの構想は基本的にはもうすでに年金を受けておられるかつて被保険者であった方々、それからまた現に被保険者として働いておられる方々、そういういわば年金関係者の生きがいのある老後生活、あるいはまた充実した余暇利用、そういったことに積極的に資していきたいという趣旨で進められた構想でございますので、そういう時代背景等の変化はございますから、今後どのようなこれをテンポで年次的にやっていくかということにつきましてはまた検討を要する点があろうかと思いますけれども、基本的な構想は当時と現在とで別段私どもこれを大幅に手直しせにゃならぬということも考えておりませんし、また候補地とされました全国幾つかの個所の関係の方々がせっかくそういうことでいま鋭意努力しておられますので、基本的な構想そのものは前回のものをそのまま進めることにし、ただこれを具体的にどういう年次的な計画で工事を進めるか、そういったことについてはこれからのまた経済状況等も勘案しながら進めてまいりたいというのが今日の考えでございます。
#154
○小平芳平君 現在ある老人福祉のための施設と称するものが公で設立したものがありますが、そういう点の運営などについても私は非常に問題点があるということがあるんですけれども、それはまた別の機会としまして、これは四月二十五日の朝日新聞の社説ですが、「年金の保養基地計画を見直せ」ということで、「ふろしきをひろげすぎた。もっと、地道なものに改める必要がある。」というのが一点。それから結論として、「年金積立金の「還元融資」で、新型のレジャー・センターはつくらないでほしいと思う。」ということで結んでおります。こういう点も一つ合わせ考えていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#155
○国務大臣(田中正巳君) この朝日の論説も私、読みまして若干共鳴するところないわけではございません。事実、また先生おっしゃるとおり、これが発足をいたすときと今日では経済社会の情勢もいささか変化のあることも心得ております。しかし、基本的には私はこのようなものは決して悪いものだとは思っておりません。これをどういうテンポで、しかも余り試行錯誤が大きくなるようなことのないように注意をしなきゃなるまいと実は思っているわけでございまして、その点についてはいま目下せっかく事務当局と腐心をしているところでございまして、注意をしてやっていきたい、またそうしなきゃなるまいと、こう思っておりますが、反面、実際問題としてこれがかなりの大きな施設なものですから、したがって、これを当て込まれた地域では非常な期待を持っているというところに実は行政当局の悩みが現実問題としてあるわけでありまして、そうした期待なり希望というものを余りためないようにしながらやはり時勢に合わせていく方向はどうであろうか、いま模索中でございます。
#156
○小平芳平君 それでは、あと限られた時間、わずかな時間が残っているだけでありますが、緊急な問題として、私は次に小児急性熱性皮慮粘膜リンパ節症候群、略称MCLS、これについての厚生省の対応策をお尋ねしておきたい。また本式に対応策をとってほしいという趣旨で残された時間を発言いたします。
 すでに患者は一万人、それから百人を超す人が突然死しているということ。しかも原因は全く不明。原因は全く不明だが日本にだけ大量発生している。そんな大量発生しているのは日本だけで外国には例を見ないというふうに私は伺っているんですが、それでよろしゅうございますか。
#157
○政府委員(上村一君) いまお話になりました略称MCLS、川崎病と言われるもの、四十二年に御案内のとおり日赤中央病院の川崎先生が発表されたものでございます。自来罹患した者が一万人というのも私、承知いたしておるわけでございます。当初この病気につきましては予後がきわめて良好な病気であるというふうに言われておったわけでございますけれども、ことに幼い子供の場合に心臓に異常があって、まあ心臓と申しますか、冠状動脈に異常があって突然死が起こるケースがある。それはそのとおりであるというふうに私伺っております。ただ問題は日本にだけ発生しておるかどうかという点についてはよくわかりません。と申しますのは日本で川崎さんがこの病気について関心を深められ、そして診断基準等定められまして各病院にそういった患者があれば連絡をしてもらいたいという照会をしながら集めてこられた。これと同じような病気が最近では諸外国から報告をされておる。昨年は韓国から、ことしはハワイ大学から十名前後の学会報告があるというふうに聞いておりますので、日本だけに大量発生しているかどうかについてはよくわかりません。
#158
○小平芳平君 局長はよくわかりませんというけれども、川崎先生は外国では韓国とハワイで少数の病例、発症例が報告されているが、日本のような大量発生はほかの国では報告されておらないというところから、原因についても、それじゃ日本だけで特別に大量に使われている薬品類とか抗生物質を含めた薬の乱用、あるいは中性洗剤、水銀、そういうようなものが病気の原因じゃないかということで研究が進められているというふうに報告書はなっております。ですから、そういうふうにただわかりませんで済まされていく段階じゃないじゃないですか。
#159
○政府委員(上村一君) まあ、原因については、川崎先生の論文でも化学物質も薬物も現在までは見出されてないし、特定のウイルスなり細菌も見つからない、いろんな説があることはいま御指摘のとおりでございまして、そしてどういうふうな説があるにしても科学的に着実に検討を重ねる必要があるというのが御意見でございます。そこで、厚生省では四十五年からその発生予防なり原因究明、治療方法というものを確立するために研究費の助成をいたしたわけでございます。昭和四十五年から現在まで合計いたしまして千八百九十五万円の研究費を支出しておりますが、特に五十年度におきましては従来の医療研究助成補助金のほかに心身障害の研究補助金からも出すことによりまして病因究明なり疫学的な研究、それから心臓の研究というふうなことについてさらに力を入れるように努力しているところでございます。
#160
○小平芳平君 いま最後に述べられた点をもう少し正確に答弁していただきたい。この五十年度はどれだけの予算を取って対応しようとしているか。
#161
○政府委員(上村一君) 五十年度は一つは医療研究助成補助金の方で病因の究明なり疫学的な研究をしていただこうということで東京女子医大の草川先生にお願いをいたします。百五十万円の予定でございます。もう一つは川崎先生ほかにお願いを申し上げまして心身障害研究補助金の中から二百五十万円出しまして研究を進めてもらおうというふうな考え方でございます。
#162
○小平芳平君 合計四百万ということになりますと、研究班の班員が十万円足らずになるというんですね、従来はね。まあ合計四百万なら十万円が少しふえるのかもしれませんが、とてもこうした一万人を超す原因不明の、しかも赤ちゃん、四歳以下が八〇%と言われますから、四歳以下のお子さんで急に熟が出るということはもうしょっちゅうあり得ることだと思うんですね。急に熱が出た、その熱が抗生物質でも数日下がらないという症状ですか、治ったと言っても突然の心臓発作で数年後に死んだという例がすでに百人を超えているという、しかも原因不明ですから、ビールスなのか細菌なのかあるいは合成洗剤なのか、抗生物質を含む薬物が原因なのかわからないというんですから、気のつけようがない、家庭においては原因がわかっていれば気をつけるんですが、気をつけろと言っても気をつけようがない、原因不明で。それに対する厚生省の取り組みがそういうようななまやさしいことでいいのかどうか。たとえば難病の特定疾患として指定した場合は何千万円という単位で研究費を計上し、研究班が研究を進めるということになるわけでしょう。しかしこの病気に対しまして外国に例が少ないからといって外国に例の多いものを難病対策で優先的に取り上げるなんていう考えは間違いであって、現に日本国民の中で一万人というような発症例が報告されているというんですから、もっとしっかりした対応策をとるべきだと思うんですが、いかがですか。
#163
○政府委員(上村一君) まず最初に、患者一万人のお話が出たわけでございますが、一万人と申しますのは昭和四十二年に川崎さんが発見してより現在までに罹患した患者の数が一万人でございまして、現在一万人の患者がおるわけじゃございません。多くの症例ではその発病後ごく短い期間の間に自然治癒をしてしまう。それで二カ月ぐらいの間に多くの場合、ことに小さな子供の場合に突然死があるというふうに私聞いておるわけでございます。それで私どもの方から出しておる研究費、難病関係の研究費に比べまして額が少ないじゃないかというお話でございますが、今回一つのポイントというのは、疫学的な調査、原因を究明するにはこの際どうしても疫学的な調査をしなくちゃならない。同時にこの心臓の異常による突然死ということがございますので、心臓についての見つけ方なり手術の仕方についての研究をさらに深めてもらおうというつもりでございまして、私どもこの研究費を出すのに当たりましては研究班を構成する研究者の方々のお話を聞いてその額を積み上げたつもりでございますので、金額は四百万でございますけれども、その研究をするのに不十分な額であるとは考えておりません。
#164
○小平芳平君 それにしても川崎先生も日赤医療センターの小児科部長と兼任でやっているわけでしょう。ですから、それで川崎先生自体が四百万円で十分原因究明が事足りるとは言っておりませんよ。本人から聞いたですか、これで十分ですかって。
#165
○政府委員(上村一君) 私は直接川崎さんにお目にかかったことございませんけれども、担当の課ではしょっちゅうお目にかかって、研究の進め方等についてもお話を申し上げておるわけで、これで絶対足りませんというお話を伺ったことはございません。
#166
○小平芳平君 それは金額だけで、要するに研究体制ということは先ほどから再三私は言っているのであって、難病対策として、じゃどうして取り上げないんですか。
#167
○政府委員(佐分利輝彦君) 公衆衛生局の特定疾患対策はほかの制度で補助金等の出ているものは除外することにしております。そのような関係で現在対象にしておりませんけれども、川崎病の場合も一番問題になりますのは、子供の心臓の冠動脈の動脈りゅうとか動脈炎が問題になるわけでございます。そこで、私どもといたしましては現在の四十種類の特定疾患の中にたとえばスモンとかベーチェット、リューマチあるいは大動脈炎、こういった血管の病変を研究しておる研究班があるわけでございますので、先ほど児童家庭局長からお話のございました児童局の研究班とそれから文部省にも研究班がございます。その研究班とそれから私どもの特定疾患の血管の病変を研究しております研究班との情報の交換、またワークショップを約五百万円の予算を計上して行うことにいたしております。なお、公衆衛生局の特定疾患対策の血管の病変に関係のある疾患の研究には三億二千万円の助成金が支出してございます。
#168
○小平芳平君 厚生大臣ですね、時間が参りますので、そういう三億二千万円という別のことを持ち出さないで、要するに川崎先生がこうしたいろいろな全国に依頼をしまして情報を集めたりしているんですが、いかにせん川崎先生としては国の取り組みがなまぬるい、せめて難病対策の研究班がやるくらいの取り組みができれば研究ももう一歩進むんだが、ということを御本人はおっしゃっているわけです。それをまるで局長さんたちはこうしました、ああしました、本人は金が欲しい、必要だとは言っておりませんなんて言って、そういうことで、しかも、日本に多い、なぜ日本に大量発生しているかということを非常に問題にしているわけです。それは医薬品の使い過ぎが原因か、合成洗剤が原因か、水銀が原因かということをいろいろな面から研究が進められているわけですが、もう一つ国として積極的な取り組み姿勢を持ってやらなくては、恐らく、ハワイで同じ症状の報告があったとなりますと、今度アメリカから日本へどんどん勉強に来るかもしれません、一体どういう症状で心臓の欠陥、どういう欠陥が起きているかということを。しかし、日本には、川崎先生の集めていらっしゃる範囲では、決定的に原因もわからない、治療方法もわからない、なぜ日本に発生したかもわからない、そういうことでは困るとおっしゃっているんです。大臣からその方針を決めるように、あるいは大臣が方針を決めてきちっとやらせるようにやっていただきたい。
#169
○国務大臣(田中正巳君) 川崎病は比較的この病気の発見が遅かったわけでございまして、したがっていま先生仰せのとおり、原因もまだ全然不明でございます。しかも、これの症状が、だんだんとわかってきたところによりますと、最初は非常に軽く考えておったようでございます。まあ一週間ないし二週間ぐらいでもって治癒するケースが非常に多いということで、軽く扱っておったようでございました。実は私しろうとでよくわかりませんが、大変、先生からの御質問があるというわけで私もにわか勉強を実はいたしたわけでございまして、今日までこうした特定疾患に扱っていなかったということも、いまの特定疾患の制度そのものから見ると、私はいままでのやり方というのはあながち間違っていたものとは思えないんですが、その後の経緯、推移を見ますると、私はこの病気についていま少しくやはり研究をする、あるいは対策を考究するということについて力を入れてよろしいものだというふうに思っておりますし、また関係の皆さんもそのような認識に立ち至ったものというふうに思います。したがいまして、これをいかなる方法でそういったような施策を厚くしていくかにつきましては、いまにわかにこれをどっちの系統でやるかということについて申し上げる段階ではございませんが、いずれにしても、もう少し根を詰めてこれについて対策を立てるよう至急役所内部でもって調整をいたしたいと、かように考えております。
#170
○沓脱タケ子君 それでは国民年金法の一部改正について質問を行いたいと思います。
 けさほどからの質疑でも明らかになっておりますように、五十一年度年金制度の見直しをやるというふうに言われておるわけですが、国民の期待や要望、情勢の変化、こういった点に対応して必要な改善を加えるということが非常に重大な段階に立ち至っちおると思うわけでございます。
 そこで、わが国の老人が置かれている現状、これは一体どうなっているかという点なんですが、若干資料を見てみますと、たとえば、総理府の統計局「わが国の人口」というこの資料によりますと、六十五歳以上で働いている人の数というのは外国に比べて大変率が高いわけですね。これは大分古い統計でございますけれども、「ILO労働統計年鑑一九七一年版」――大分古い統計ですけれども、これを見ますと、六十五歳以上で働いている人の数が男女平均をいたしまして日本では三四・八%です。そのうち男子だけをとりますと五四・二%、アメリカがそれに次いで高いわけですけれども、男女含めて一九%、スウェーデンでは一三・六%、フランスでは一二・四%というふうにきわめて高率を示しておるわけでございます。で、お年寄りがどのように働いているかということ、働かざるを得ないかということなんですが、このどういう状態になっているかというのを国内の事情で見てきたわけですけれども、厚生省がおやりになっておられます高齢者無料職業紹介所というのがございますね。これの大阪の例を見てみますと、これは大変なことなのでございまして、たまたま、こういう調査が昭和四十四年から四十九年までの六十五歳以上の職業紹介所の例を見てみますと、ちょっと簡単ですから御紹介を申し上げたいと思うんですけれども、働いておられる方々の中で――六十五歳以上の方ですよ、生計の補助として働いておられる数が二八・九%、生計の維持のためにという中心的な立場ですね、これが二八・二%、両方合わして五七・一%。それがさらにどういうふうに変わってきているかと言いますと、四十九年一月、二月、三月を見ますとどんどん変わってきているんですね。四十九年一月には、生計の維持のためにというアンケートは五一・三%、過半数です。補助というのが二七・三%。それから、二月になりますと、大体似たような数字ですが、その生計の維持と補助、これを総計いたしまして七五%から七八%を占めておるというふうな実態を示しているわけでございます。私は働くことが悪いというふうに申し上げているんではないです。働くことの意義は大きいわけでございますけれども、しかし、問題なのは、健康や将来に不安を持ちながら働かざるを得ないお年寄りがいまの日本では余りにも多い。こういう中で、厚生省といたしましては、こういった高齢者をめぐる現状を十分認識をしてもらって、老人対策、同時に年金問題、これをいよいよ五十一年度見直しという段階になりまして、そういった実情を踏まえて取り組むべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。で、別の機会にちょっとやりたいと思っているわけですけれども、こういった高齢者無料職業紹介所というところは大変苦労してやっておられるんですね。これを見ますと、これは大阪ですが、百二十万政府からは補助金が出ているんだそうです。大変苦労してやりながら、いまですと二カ月に一回ぐらいの巡回しかできない。せめてもう三人ぐらい人をふやしてもらえれば、もう少しお年寄りの就労状況あるいは追跡、御相談等に乗ることができるんだというふうなことを言っておりますけれども、こういった点についても、これはぜひ配慮をするべきだというふうに思うわけです。これはついでに御見解をあとで聞きたいと思うんですけれども、本題ではありませんから。
 こういう切実な高齢者の実情を踏まえまして、今後の年金制度の改善に真剣に取り組む必要があるというのをいよいよつぶさに感ずるわけです。そこで年金制度についての原則をやっぱりはっきり確立をする時期が来ているというふうに思うわけです。これは各委員からもあらゆる角度からそういった点についての質疑がなされておりますが、そういった点で、皆年金ではあるし、国民の期待は大きいし、いま置かれているお年寄りの実情からいたしましても大変基本的な原則というものを確立しなければならないということが緊急の要務だというふうに思うわけです。この原則というのはもちろん私が申し上げるまでもなく、すでにおわかりのように、年金受給者とその家族が正常な生活水準を維持できるものというのが原則だと思いますが、この点を明確にするということが必要だと思うわけです。そこで年金問題、いろいろ問題がありますが、こういった制度がばらばらになっておるという問題、それから給付もばらばらになっておる問題、それからいろいろありますけれども、そういった中で、来年度見直しの時期ということに対して、この生活保障の原則ということを明確にする必要があると思うわけです。その点について、これはぜひ大臣から基本的なお考えを伺いたいというふうに思うわけです。
#171
○国務大臣(田中正巳君) 先生から日本の老人の実態というものの説明がありました。私も先生と大体意見は一致していると思うのですよ。というのは、老人が働くこと自体は悪いことではない。むしろ望ましいことである。しかし、それは生活ができないから働くということでは困るということだろうと思います。かような意味で、老人の稼働というものがどういう原因で働いているかということを踏まえて、考えなければならないと思っておりますが、五十一年度の年金の財政再計算、見直しと俗に呼んでいるのですが、これについては生活保障の原則を確立せよということでございますが、拠出制年金についてはできるだけそれを近づけるということをやりたい。近づけるというよりも、むしろそういう原則を打ち立てたいとは思っておりまするものの、要は先生、これは財源でございます、問題は。そして一部の長い拠出期間のあった人については私はある程度のことができるだろうし、現在のスタンダードというものも、あれが図式に書いた限りにおいてはそう諸外国に劣るものではない。問題は、拠出期間の短かった人たちを一体どうするかという問題。そしてそれを一体どういう財源でもって、そういう人について生活保障の原則に近づけるか、こうしたことについていろいろと腐心をしているわけであります。制度がばらばらであり、給付がまちまちであるということについては、午前中以来のいろいろな話がございました。発足のときの歴史的経緯、バックグラウンド、理由等々も違いますものですから、これをできるだけ統合する方向に持っていきたいものと思っていますが、どうもそういう客観情勢がありますので、一朝一夕にいくかどうかということについてはなかなかいま今日予断を許さないということであります。ただまあ、そうした中にあっても、たとえば一部の年金についての通算措置というものを、これを補完をするとか、あるいはいわゆる遺族の年金の給付を改善するとか、そういったようなことはとりあえず私どもとしてはやりたいと思っていますが、やはりこうした各種年金の統合あるいはけさほど申しました、目黒先生のおっしゃったような方向についての実施ということについては検討はいたしているものの、社会的なコンセンサスをどこまで得られるかということについて、今日なおわれわれとしては大いに努力をしなければならぬところだろうというふうに思っております。基本的には年金の給付水準なりあるいは年金の給付の条件なりを向上させたいという気持ちで私はいっぱいでございます。
#172
○沓脱タケ子君 いまのお考えね、生活保障の原則というのを何とか立てたいという点では、大臣もほぼお考えは御一緒だ、なかなか中身がむずかしいのだという一口に言ったら御見解なんですが、それじゃあ財政再計算と言われている見直しですね、来年の。見直しで改善をしようと考えておられる主な点はどこどこですか。
#173
○政府委員(曾根田郁夫君) 第一の主眼といたしましては、もともと再計算期を二年大幅に繰り上げたという直接の動機と申しますか、きっかけでございますが賃金あるいは生活水準等経済条件に非常に変動を来した。したがいまして、四十八年改正時に導入されました物価スライドによる実質価値の維持だけでは不十分である。それがまあ財政再計算大幅繰り上げの直接のあれでございますので、そういった経済情勢の変動に見合った給付レベルの見直しをするというのが当然第一の主眼でございますが、私ども実はこれまで年金制度改正の都度どちらかと申しますと、給付レベルの問題のみが大きく取り上げられまして、制度内部におけるいろいろな問題点、特に先ほど大臣も申されましたたとえば年金の実質的谷間の一つである遺族、障害等の通算問題、こういった点について実質的な年金権の確保という見地からこういう問題もできる限り努力をして来年実現できるものから取り上げてまいりたいというふうに考えております。
#174
○沓脱タケ子君 まあ、いままでの審議の中でおおむね明らかになっておりますから、項目を私が申し上げますから、それは考えておるならおると、はっきりしていただきたい。これは一つは、いま御説明にありました年金水準の引き上げですね。二つ目がスライドの時期の問題。それから遺族年金の引き上げの問題、これは大変大問題になっておられて、何回か御答弁もすでに出ておる。それから遺族年金、障害年金の通算ですね。それから在職老齢年金の改善。この五つぐらいは全部見直しの中で考えておるのかどうか、その点について。
#175
○政府委員(曾根田郁夫君) 第一のレベルの問題でございますが、先ほどお答えいたしましたように、いずれにしても経済情勢の変動に見合って四十八年改正時のレベルを実質的に確保するということが第一の主眼でございます。
 二番目のスライドの実施時期の問題でございますが、これも従来たびたび申し上げておりますように、タイムラグの短縮につきましては事務処理体制の整備の問題も含めましてできるだけ前進していきたいと、ただしこれは来年度は政策改定という問題がございますので、来年度政策改定と同時にスライドをどうするか、これは非常に大きな問題事務的にも大変な問題でございますので、来年度の確約は今日のところいたしかねますが、基本的にはそういう方向で努力をいたしたい。
 それから遺族年金の改善の問題でございまして、これは大臣も衆議院あるいは本会議等でるる述べておりますけれども、これにつきましては各制度、いわば横並び共通の問題もございますし、それからまた最近の特に国民年金における被用者の妻の加入状況、こういったことを見ますと、まあ現在の遺族年金というものは私どもの調査でも明らかになっておりますように、実質的には妻の老齢年金というような機能をいたしておりますので、遺族年金の大幅改善は同時にそういった老齢年金との調整、そういった問題までも含めて考えなければならぬのではないか、そういう問題もございますけれども、いずれにいたしましても目下関係審議会における一つの重点事項、重点検討事項でございます。
 それから障害、遺族の通算でございますが、これは目下関係各省庁からなる公的年金の連絡調整会議で検討中でございまして、基本的には各省庁前向きの方向で一応取り上げてはおりますけれども、何分非常に技術的、専門的にむずかしい問題がございますし、いろいろ各制度の支給要件等の相違を、短時日に一遍に解決するということは来年度の問題としてはほとんど望み得ませんので、実質的な通算つまり完全な形での通算ということはできないまでも、実質的な、先ほど申しました年金権の確保という立場で漏れをできるだけ少なくするという方向で前進を図りたいと考えております。
 最後の在職老齢でございますけれども、これもいろいろ御意見があるところでございまして、やはり来年度の大きな検討事項の一つと心得ております。
#176
○沓脱タケ子君 それでね、限られた時間ですので簡単にお聞きをしていきたいと思うのですが、次にお聞きをしておきたいのは年金の水準ですね、これをどの程度にするつもりかという点ですね、来年度。四十八年度改正では厚生年金は五万円――五万円年金、国民年金夫婦で五万円というふうに言われてきましたが、こういう水準で言いますと、来年度はどの程度の水準になるのか、その見通しです。これはどうでしょう。
#177
○政府委員(曾根田郁夫君) この問題は来年の改正時における一番大きな問題の一つでございまして、目下関係審議会で実はそろそろこの辺を詰めた議論をするという段階になっておりますが、各検討項目相互に関連いたしますので、それぞれの項目の審議の済んだ段階でもう一度この問題を取り上げるということで、いま私が余り具体的なことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、基本的には四十八年改正時における男子の平均標準報酬、これは改正時直近の標準報酬でございますけれども、おおむね六〇%というレベル、これを具体的にどう考えるか、四十八年改正時は一定のこれをモデル的なものとして法律施行後の一番新しい月に新規に算定する者の標準報酬と平均在職期間というものの一定の見込みを立てまして、具体的には二十七年加入の者についてはおおむね五万円、それが六〇%水準であるということになったわけでございますけれども、これにつきまして、当然基本的なレベルとしてはもうそれで国際水準にも達しておるので、これで十分だという意見もございますし、これについてはまた各側でそれぞれの意見のあるところでございますので、私からはこれ以上立ち入ったことを申し上げるのはいかがかと思いますが、いずれにしてもその問題が一つでございます。
#178
○沓脱タケ子君 そうすると、五万円年金のときは二十七年勤続で標準報酬の六〇%というその基準が来年度は踏襲されるかどうかわからぬということですか。大臣、その水準についての見通しどうです。
#179
○政府委員(曾根田郁夫君) この基本的な考えである平均的な標準報酬の六〇%というレベルそのものを、この六〇%という数字を下げるという形での改正というものは現実問題としては、これはまだ各側の意見が出ておりませんけれども、これは困難ではないか。ただ、その場合に六〇%水準というものを、具体的に加入期間どの程度の者の年金額としてとらえるかですね。いずれにしても金目として当時の五万円年金が相当大幅に上がることは間違いございませんけれども、実質的レベルとして六〇%水準というものをどういう条件の者に当てはめるか、これについてはどうも各側の意見があるようでございますが、先ほど言いましたように、まだ具体的に詰めた議論が関係審議会で出ておりませんので、この段階で私が言うのは差し控えさしていただきたい。
#180
○沓脱タケ子君 審議会に当然かけておるわけでしょうから、確たることは言えないだろうとは思いますけれども、生活保障の原則という点を踏まえた金額、水準ですね、そういうものにぜひ到達するように大臣、努力をしてもらわにゃならぬというふうに思うのです、余り時間がありませんから、深く立ち入ることは避けますが。
 五十一年度改正に、その水準との関連で年金制度の改正が必要なことは先ほど言いましたけれども、生活保障の原則を確立していくというたてまえから、五十一年度改正でぜひ検討をしてもらわなきゃならないという点があると思うわけです。それは厚生年金――過去の古い標準報酬再評価の問題。これおたくの方からいただいた資科を見てみますと、昭和四十九年九月の新裁分、これで六万円以下の人が七七%です。これは一番新しい人でそうなんですね。古くから受給をしている人を含む全受給者では六万円以下の人というのは実に九一%ですね、九一%。五万円以下というのが、これは何と七二%もある。ですから古くから入っている人は損をするという結果が非常にはっきり出ているわけですね。で、なぜこういうことになるかというのは、これはもう制度上の問題になっておるということはわかるわけですが、そこで再計算期を控えて、これは改善の中身としてぜひ改善をしてもらいたいという点で、その一つは過去からの古い標準報酬、これはもうインフレで貨幣価値がめちゃめちゃになっているわけですから大幅に改善をしてほしいという点が一つです。それから二つ目は定額部分ですね、いまの計算方式の。定額部分を思い切って改善をしてほしい。これをやってもらいませんと、古くから長いこと掛けている人ほど損をするというふうなことになるわけですから、この点を改善をするお考えがあるかどうか。これはぜひ改善をしてもらいたいと思うんですが、この点について御見解を伺いたい。
#181
○政府委員(曾根田郁夫君) 二つお尋ねがございまして、一つは標準報酬の再評価の問題でございますが、四十八年改正で初めて、何と申しますか、組織的な再評価をいたしましたけれども、その際、再評価率につきまして、いろいろな、たとえば標準報酬の上限があるとか、あるいは年齢が上昇しているとか等々の要因による修正をいたして再評価を行ったわけでございまして、これにつきましては、いろいろ御意見もあるところでございますので、今回はそういうような御意見も十分踏まえて適正な再評価をできるだけやっていきたいと考えております。
 定額部分の問題これも関係審議会の非常に大きな問題点の一つでございまして、当然に定額部分の引き上げということが行われるわけでございますけれども、その際に定額――従来の例でございますと二十年分の定額が、たとえば他の年金の最低保障額になる、そういうようなこともございまして、定額部分の一年当たりの単価をどうするかということについては非常な関心があるところでございますけれども、しかし、これはまた同時に最低保障をどう設定するか、別な立場からの意見もあり得るわけでございまして、こういったことも関係審議会で議論がなされておりますので、その推移を見ながら十分検討してまいりたいというふうに考えております。
#182
○沓脱タケ子君 非常に年金という制度が長い間の掛金を掛けて、あるいはその結果老齢年金というふうなものを期待しておるわけですね。ところが、政治の情勢によって大変なインフレというふうな状況の中で、古くから掛けていた人が損をするというような結果というのは少なくとも改善しなけりゃならぬ問題点だ、これはぜひ来年度の改定の中で大臣、解決をしていただきたいというふうに思うわけです。
 で、あと一つは、具体的な問題で障害年金の関係についてお聞きをしたいと思うわけです。障害年金というのは肉体的、精神的な障害があって労働や日常生活に制限を受ける場合に障害年金が支給されるんですけれども、この認定をめぐって大変問題が多いと思います。で、特に私ども思いますのは、内部障害の場合特に問題が多いというふうに感ずるわけです。
 そこで、具体問題を一つ、二つ出しまして、ぜひ来年度の見直しの中でこういった問題についても改善をしてもらいたいというふうに思いますので、ひとつ具体問題を出してお伺いをしていきたいと思うわけです。
 その一つは人工肛門ですね。人工肛門という障害者がおるわけですね。こういうもの、こういう方の障害、これは認定基準にあるのかどうかですね。これ、ひとつ最初にお伺いをしたい。
#183
○政府委員(河野義男君) 廃疾認定につきましては、御指摘のように、特に内部障害につきましては具体的な基準が別表に定めてないわけでございますが、実際の認定に当たりましては、認定基準を設けまして、適正な廃疾認定を行うよう努力をしております。ところが、まあいろいろ傷病は、医学も進歩いたしますし、いま御指摘の人口肛門につきましては、着装備の時点で日常生活が著しい制限を受けるとか、あるいは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものにつきましては、年金の支給対象となる、こういう運用をしておるわけでございます。そのほか内部障害につきまして、代表的な例につきましては取り上げて認定基準に掲げておりまして、新しいものにつきましても、それらとの公平を失しないように運用されるよう指導しておるところでございます。
#184
○沓脱タケ子君 厚生年金で、その廃疾認定をやって障害年金の対象にしておるというわけだけど、厚生年金では何人ぐらいやっていますか。これ、何でそのことを聞くかと言いますと、大体いま潜在的な手術を受けて人工肛門を持っておる人口というのは、これはその学者の中での推定ですけれども、ほぼ十万人と言われている。で、一年に大体二万人ぐらいが、新たに手術を受けてそういう状態になっておるというふうに言われているわけです。で、そういう中で、それじゃあ何人ぐらいその対象になっておるか、お伺いをしたい。
#185
○政府委員(河野義男君) 人工肛門の障害につきましては、私どもいまそういう疾病別な数を押さえておりませんので、遺憾ながらその数についてはお答え申し上げかねるわけでございます。
#186
○沓脱タケ子君 きわめて少ないんです。これは厚生年金で障害年金を受けておる人は三級なんですね。三級に該当しておるんですね。そういう人がごくわずかにおるわけですけれども、大部分の人は、それが該当疾病だということを知らない。で、受けていないわけですが、厚生年金については、何らかの方法で適用されるようにこれは周知するべきですよ。この障害認定基準にそういうものは出てないですからね。厚生年金の三級に、大部分は三級にランクされますわ。これ私、時間も余りないから具体的には言いませんけれども、日常生活、労働能力にきわめて大きな支障があるわけです。で、これ、ちょっと言いますと、こういうものをつけておるわけです、おなかへね、この袋を。(医療器具提示)これ全くあれですよね、肛門括約筋がないわけですから、もういつ便がここへ出るかわからぬ、一日じゅう出ているわけです。そうしてこれ張りつけて便所へ行ったりするわけですからね、これは労働能力、生活の支障というのはきわめて大きいわけです。ですから、いままでやっていた仕事ができなくなるという場合があります。しばしばあります。特に、筋肉労働はできなくなる。そうして管理的な仕事をなさる方は大変お困りだと思うんですね。いつ便が出てくるかわからぬと、おなかが痛んで便所へ走り込まなきゃならぬかわからぬと、一遍便所へ行ったら、やっぱり半時間や一時間かかるというふうなことになりますと、大事な会議の最中にそんなことになったら、これはもうできないわけですよね。ですから、どんな苦労をしているかというと、その障害者の人たちは、大体月曜日から土曜日までは便がなるべく出ないように下痢どめを飲んでいるわけです。で、土曜日になったら下剤であくる日にとにかく全部出して、何とか職場へ通う段取りを、それだけで精いっぱいだという状況になっているわけです。まあ、そういうふうな状況でございますから、これはまあ家庭的な生活上の問題でも、これは若くても結婚できないということで結婚をしていない方、御婦人の方では離婚が起こるというふうな問題、ずいぶん各種の問題があるわけですから、当然このこういう人たち、厚生年金でやっておる障害等級にみんなが適用できるように、ひとつ周知徹底をさせるべきだと思いますが、その点はどうですか。
#187
○政府委員(河野義男君) 人工肛門の問題につきましては、いま御指摘がございましたような状況でございますので、適正な廃疾認定についての努力はもちろんでございますが、関係者に対する周知徹底につきましても、今後一層努力をしてまいりたいと思います。
#188
○沓脱タケ子君 それでね、これは当然のことだと思うんですが、たとえば、だれの目にも見える四肢の欠損の場合ですと、義足、義手というふうなものも支給されるわけですね。ところが、こういう人工肛門というふうな障害者の皆さんは、その体の欠損部分というのは第三者からわからぬわけでしょう、実際には。で、人工的に肛門あるいは膀胱というふうな作用を持っておるわけですから、そういうこの器具ですね、これはもう全く義足、義手以上の器具なんですね。そういったものの支給等についても、あわせて当然考えるべきだというふうに思うんですけれども、その点はどうでしょう。
#189
○政府委員(河野義男君) 私、専門家でございませんので、その辺について的確なお答えできませんが、いま御指摘の点を含めまして、医療専門家、医師団もございますので、検討したいと思います。
#190
○沓脱タケ子君 それでね、厚生年金の場合は、そういうことで周知徹底させられてないということで、救済がされてない。該当させられてない。国民年金の場合はどうかと言いますとね、これはもう――答えてもらいましょうか。国民年金の場合に、人工肛門の障害者の場合はどうなるか。
#191
○政府委員(河野義男君) 国民年金につきましては、厚生年金は三級までございますが、国民年金は二級でございまして、その二級の場合に該当するケースは、身体の機能に障害もしくは病状が重複する場合であって、日常生活に著しく制約を、支障を来す場合、あるいは相当の支障がある場合ということでございまして、これに該当する場合は障害年金が出ますが、それ以外につきましては、障害年金の支給の対象にならないと、先ほど先生が厚生年金を例に取り上げられまして、人工肛門につきましては、大体三級の障害年金だというふうに御指摘になりましたが、したがいまして、国民年金につきまして、あるいは該当する程度は少ないんじゃなかろうかというふうに考えます。
#192
○沓脱タケ子君 いや、その厚生年金で三級だというのは、支給をされている人が三級になっておるということの事実を申し上げておるので、三級が適切かどうかということの評価を私は申し上げておるんじゃないんです。
 で、国民年金の場合は三級がないから恐らく少ないだろうと言う、一つもないですよ。あったら一遍教えてください。それで、現にこういうことなんです。
 これは、東京都の方ですが、いろんな個人的な都合があるからお名前の公表は差し控えますが、これはやはり人工肛門で、直腸がんで――医者の診断書なんです。こういうものを出してアウトになった実例なんですがね。直腸がんで「人工肛門のため、排便コントロール出来ず一日中排便、排泄あり、そのため人工肛門周囲びらんを発生し疼痛あり又神経性膀胱麻痺のため排便因難あり時には夜中尿失禁あり、時には膀胱炎併発、人工肛門粘膜よりしばしば出血を見る不適当な食餌により下痢を見るのでたえず食事制限をしなければならない」と、医師の労働能力に対する所見では「重労働は、人工肛門特有の合併症を発生する危険があるので出来ない。下痢時には絶え間なく水性排便が見られるので、労働は全く不能となる。ガス悪臭、人工肛門周囲びらんのため精神的、肉体的苦痛は著しく 今まで通りに職業に従事出来ない」というふうな診断書の評価を書いておられるんですね。この方は国民年金の受給者ですけれども申請をなさった。そうしますと、国民年金法の三十条に不該当ということで返事が来ているというわけです。そこで、これは三級が適切なのかどうかということは別問題といたしまして、同じ障害で厚生年金は三級であっても障害年金に障害認定をされており、国民年金の受給者の場合には、認定を受けることができない、これは困ると思う。ですから、こういう同じ障害者についてはこれは同じように障害認定ができるようにやるべきだと思うんですが、これはいますぐは三級が国民年金にはないというふうに言われているので――ないですね。これはどうします、この問題は。
#193
○国務大臣(田中正巳君) どうも厚生年金と国民年金の障害の認定基準が違うということは、私は制度の本質から考えて理解ができないところだろうというふうに思います。しかし、これにつきましては、長い間の経緯が実はあるようでございまして、また、これをいろいろと実際問題として解決していく上においては、いろいろな困難さもあるというふうに聞いておりますが、私は基本的にはこれは同一にすべきものだというふうに思いますので、したがいまして、若干のやはりことしの来年ということは、私はなかなか簡単にはいかないと思いますが、できるだけ早く一本化するようにひとつ努力をいたしてみたいというふうに思います。
#194
○沓脱タケ子君 ことし来年って、いま患者さん、みんな障害者が困っているわけですからね、これはちょっと気が長い話で、大臣おっしゃるように私もそう思うんですよ。国民年金と厚生年金の障害等級が違うということ、それからもう一つは国民年金と身体障害者福祉法との廃疾の程度が違う、こんなもんね、役所の方はわかっているかもしりませんで。国民の方はさっぱりわかりませんわ。やっぱり一級や言うたら同じ一級やと、二級だと言ったら同じく二級で、同じ障害なら厚生年金の二級でも国民年金も二級になるだろうし、厚生年金の三級なら国民年金も三級があって当然該当してあたりまえだというのは、国民のこれは当然の感情ですよ。経緯のあることはわからぬわけではありませんが、ぜひともこの三つは統一をして、障害認定のランクというのは統一をするべきだと思いますけれども、これは大臣は何とかせにゃいかぬというふうにお考えのようですが、早いことやる必要あると思うんですが、どうですか。
#195
○国務大臣(田中正巳君) 実はこの問題、私若い議員のころから出ていた問題でありまして、私も若い時分に社会労働委員会に所属をずっとしておりまして、今日まで解決をしておらないわけでありまして、私の時代において何とかこれを解決するように努力をいたしたい、かように思います。しかしいろいろ事務当局に聞きますと、すぐにこれを改正することはなかなか困難だそうでございますが、さればと言ってじんぜん日を延ばすような気持ちは毛頭ございません。ここ二年ぐらいの間には、私は一両年の間にこれの一本化について根詰めてやってみたいというふうに思っております。
#196
○沓脱タケ子君 それは大臣、若い時代から提起しておられた問題、いまだに解決されてないということは、大臣のときに、大臣の時代にそれはすかっと、来年の見直しの時期にすかっとやってもらいたいと思うんですよ。それはもうそれをやる以外にないですよ、一番よう知っておられるんだから。これはやらなかったらいろんな問題出てきます。私はさしあたって、それじゃ国民年金の人工肛門の障害者は一体どうするんかという問題ですね。たとえばどういう問題が起こっているかと言いますとね、区役所へ持っていくでしょう、診断書をつけて申請をしに行くでしょう。ある窓口では、はいと言うて受け取ってくれるわけです。ある窓口ではそんな障害認定の基準ありませんでと言って突っ返されているわけです。そういうことが起こっているんです、末端ではね。その点で厚生年金で障害認定をしているわけですから、当然国民年金でも何らかの措置をとらなければならないと思うんですが、どういうふうにします、これは。
#197
○政府委員(河野義男君) 国民年金におきましては、人工肛門につきましては、人工肛門そのもので直ちに二級ということはございませんけれども、身体の機能の障害あるいは病状によりまして日常生活に著しい制限を受けるような者につきましては、総合判定いたしまして障害年金が支給されるという仕組みになっておりまして、これの適正な運用を図っていきたい、かように考えております。
#198
○沓脱タケ子君 適正な運用とおっしゃるけどね、この「国民年金の障害認定基準」というのには書いてないんですよ、そんな病名はね。ですから、おたくの方でいままでの通達によれば、障害認定基準に書いてない疾病で来たからってもう書類の受け付けもしてもらえぬという事態が起こっているんですよ。これ、どないかせぬと、総合判定で何とかとおっしゃっても、これは大体書類の受け付けもまともにやられぬという事態が起こっているんですから、これについてはどういうふうに対処するかというのを明確になさらないと、とにかくこれに書いているのは精神と結核と心臓と腎臓とぐらいでしょう、書いているのは。まあ肝臓もちょっと書いてありますね。それにこんなもの書いてませんでと言ったらもう受け取ってもらえないという事態が起こっている。受け取ってもらえないという事態が起こった人から陳情されているわけですよ、私は。そういう事態が起こっているわけですから、それについてどういうふうに対処するかという点をこれははっきりしてもらいたい。
#199
○政府委員(河野義男君) 先ほど最初に申しましたように、内部疾患につきましては、個々の病気につきまして具体的な認定基準はございませんが、代表的なものについて認定基準を掲げておりますが、それ以外のものにつきましても廃疾認定する要領が定めてございまして、その十七ページにも「総合認定」という欄がございまして、先ほど申しましたように、人工肛門そのものが直ちに障害二級には該当いたしませんけれども、その身体の機能の障害あるいは病状等総合いたしまして、日常生活に著しい障害がある場合には障害年金も支給の対象になるわけでございます。そういった趣旨につきまして廃疾認定専門官等の会議等におきまして十分徹底していきたいと、かように考えております。
 それから市町村の窓口におきましては、裁定請求が出てまいりましたら裁定庁に進達していただくというふうな行政指導をしておりますが、その窓口でこれは該当するしないということで却下するということは好ましくないわけでございますので、その面におきまする指導も徹底していきたいと思います。
#200
○沓脱タケ子君 これは障害認定基準というのは非常に問題があるなと思うんです。疾病ごとに明確にしていかないと、こういう問題は、たまたま私、人工肛門の実例を出しましたけれども、ほかにも幾つか出てくると思うんです。その点では、これは人工肛門の場合に国民年金では何とかして早いこと国民年金の障害認定ランクに三級をつくるということが大事です。それは大臣の話ではどうもすぐできそうもないということであれば、これについてどういうふうに対処するかということを、救済せにゃならぬのですから、――その点について大臣どうでしょうね、これ、ほっときますか。
#201
○政府委員(河野義男君) 人工肛門につきまして、だんだん治療法も進歩してまいっているわけでございますが、そういった医学の進歩に対応いたしまして、新たに内部障害につきましても専門医師団と十分協議しまして検討を加えていきたいと思います。
 最近の事例では、人工透析についてもこれを取り上げまして認定基準に掲げてございますが、そういったことから逐次そういったものは検討を加えていくという姿勢でいるわけでございます。
#202
○沓脱タケ子君 昨年の九月、人工透析の問題が実現をしたということで大変喜ばれていますが、同じようにこの問題も放置せずに救済をするということを大臣考えてあげてください、前向きに。その辺ちょっと一言言うといてください。
#203
○国務大臣(田中正巳君) いま先生のお話の中に、障害認定基準が年金ごとによってばらばらであるということ、そういったようなことを含めて今後統一をしていきたいというふうに思って、できるだけ速やかにこれをやりたいということを申し上げているわけでございます。
 いま具体的なケースについて、それまでの間にこれをどう拾うか、救済するかということについて、いまここでにわかに私もお答えすることができませんが、その精神を生かして部内で検討してみたい、かように思います。
#204
○沓脱タケ子君 それからね、まあ内部疾患、内部障害の認定基準というのは大変むつかしいと思うんですが、たまたま肺気腫という病名の障害者の方があるわけです。でね、これ、肺気腫の方は一体その障害認定の基準、何で見るんかなと思って私も調べて見た。そうしますと、これは国民年金ですが、こういうふうに書いているんですね、「%肺活量が三〇%以下で一秒率が五五%以下のものを法別表一級に該当するものとする。」、それから「%肺活量が三〇%以下で一秒率五六%以上のもの、又は%肺活量が三一%以上四五%以下で一秒率五五%以下のものを法別表二級に該当するものとする。」と書かれている。でね、この肺気腫の患者、障害者の場合には、この表で見たらここしかないんですね、肺機能、「呼吸器の機能障害」という項しか。ところが肺気腫の患者さんというのはどういう状態かと思ったら、これは国民年金の障害年金の申請をする診断書なんですが、これを見ますと、いわゆるこの基準、「%肺活量が三〇%以下」というのは、この患者さんは五七・一%なんです。それから「一秒率が五五%以下」というふうに言われているのが三〇%なんですね。片方は合っているけれども片方は合わぬと、こうなっている。そうするとこれはまた該当せぬということになるんです。
 大体これ、認定基準を見てみますと、逆になっているんですな。肺結核の場合だったらこれは合うかもわからぬです、この基準は。ところが肺気腫の場合には、一秒率は大変下がるけれども%肺活量というのはかなりあると。いわゆる疾病によって、あらわれてくる実情が違うわけです。ところが、これはなかなか該当しないということであったんですけれども、この方はたまたま呼吸困難に陥っていま気管切開をして呼吸管理をしているわけです。ですからもうはかれないわけですわね。そういうことになったら恐らく廃疾認定をされるんだろうと思いますけれども、これはやっぱり認定基準の中身というのが不十分だというふうに思うんです。
 で、先ほどの障害等級を統一させていくということと同時に、ひとつ認定基準ですね、認定基準を疾病ごとに実情に合うように改定をするという必要がなかろうかというふうに思うんです。特にそういった問題、私たまたま陳情を受けた事例を具体例として示しましたけれども、その他慢性病だとかあるいは小児麻痺、筋ジストロフィー等、難病関係もそうですしね。――まあ小児麻痺とか筋ジストロフィーというのは体幹障害で大体ランクを決めたりしておられるんでしょうけれども、それだって実際には実情に合わないわけですね。そういう点で、障害の認定基準というものを疾病ごとに実情に合うように改定していくということが早急に必要ではないかと思いますが、その点についてどうですか。
#205
○政府委員(河野義男君) いまの前段の肺気腫につきましては、先生御指摘のように「呼吸器の機能障害」につきましては一方は合格しても一方は合格しないという事例がございますが、それにつきましては、十七ページの「総合認定」で、その病状と機能障害が重複する場合にはその人の日常生活、機能の障害の程度を把握して総合認定するというような運用指針が出ておるわけでございますが、いずれにしましても、廃疾認定の基準につきましては今後も整備していかなければならぬというふうに考えております。
#206
○沓脱タケ子君 それでね、大臣がおっしゃった障害等級をそろえるというふうな問題というのは、これは法律事項でもありますし、一定の時間はかかると思うんですが、透析のようにいわゆる行政指導というか行政規定でやれるというふうな内容ですね、認定基準等の作成あるいはその具体化、運用というふうな点、その点については早急にやる必要があるんではないかと思いますが、どうですか。
#207
○政府委員(河野義男君) 人工透析もその一つでございますが、医学の進歩に応じまして私ども、国民年金あるいは厚生年金それぞれ専門の医師団がございますので、医師団に十分協議しまして検討を進めていきたいと思います。
#208
○沓脱タケ子君 この障害年金の問題というのはずいぶんたくさん問題がありますし、本法案の審議に当たっても、衆議院でもずいぶん触れられておるわけですが、これは昨年私問題提起をしたんですけれども、どうしても改善をしてもらわなければならないと思いますのは厚生年金における爾後重症ですね、厚生年金の受給者が一たん三級なら三級というふうに廃疾認定を受けたら、その後病気が悪くなってももう変えてもらえないというような実情に合わない事態というのが起こっていますから、これはぜひ来年の見直しに根本的に改定をしてもらいたいと思いますが、どうですか、それは。
#209
○政府委員(曾根田郁夫君) いま御指摘のありました点は目下関係審議会でも一つの問題事項として取り上げておりますので、私どもとしてはその結論を持って対処していきたい、こういうふうに思います。
#210
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、あともう一点お聞きをしておきたい点があります。
 それは年金福祉事業団の融資の関係なんですが、年金福祉事業団というのが福利厚生施設の建設、こういった点に貸し出しをしておられますが、この事業団の資科を見てみますと、四十七年度は四十七施設で四十四億六千七百万円、四十八年度は二十一施設で二十一億余り、四十九年一月までで四十施設の四十八億余り、こういうふうになっているわけですが、こういった点事業団の費用で従業員用の体育施設などが大分つくられているわけですね。公共のスポーツ施設が非常に不足しているという日本の現状で、地域の住民からこういった企業の体育施設を企業自身が使わないときには利用させてもらえないかというふうな要望というのが大分出てきているわけです。現に東京では中野区だとか八王子市、こういうところでは自治体が責任を持って企業と契約をして企業の使わないときに住民に利用させているというケースが出ております。私は自治体などが管理責任を持つということは必要だと思いますが、そういうやり方等についてはともかくとして何らかの形で住民が利用できるように方策を考えるべきではないかと現状では思うわけですけれども、貸し付けの条件にせよと言ったら大変なことなのですが、そうではなくて、そういった便宜が図れるように融資の場合に要望とか指導とかいうふうな形で住民の要望にこたえていけるというふうな道を講ずるべきではないかと思いますけれども、そういった点についてはどうでしょう。
#211
○政府委員(曾根田郁夫君) 企業が従業員のための福利施設等を設置した場合に、その企業が地域社会の実情に応じましてその施設の員外利用と申しますか、市民にも開放すると、そのこと自体はもちろん望ましいことでございますが、年金福祉事業団の立場ではあくまで当該福祉施設の設置目的に沿った利用、それを見届けると申しますか、そういうことが本来の事業団の使命でございまして、そのような地域における利用状況、望ましいものをどういう形でしからば企業に指導と申しますか、それはなかなかむずかしい、むしろ事業団としては企業の自主的な判断に任せる、それ以上余り立ち入った指導をすることはいかがかと思いますけれども、気持ちの上ではそのような方向は望ましいことでございますので、関係者にもそういうようなことを話してみたいと思います。
#212
○沓脱タケ子君 じゃ終わります。
#213
○柄谷道一君 私は三月三十一日の予算委員会第四分科会で大臣に対しまして各種年金間の統合調整と格差是正の問題、被用者保険における被用者の妻の年金権の問題、減額在職老齢年金のあり方の問題、スライド制の問題、そして積立金の目減りと積立方式の再検討にかかわる問題、同じく積立金の管理運用問題、そして最後に保険料の労使負担比率に関する再検討の問題などを中心として質問をいたしました。全面的に私の意向に合致する答弁は得られませんでしたけれども、しかし部分的には一歩前進した前向きの大臣の答弁を得たわけでございます。私は冒頭大臣の予算委員会における答弁の趣旨に沿った前向きの検討が行われることを再度強く要求をいたしまして、それを補足する意味において以下若干の質問を行いたいと思うわけであります。
 ただいまの質問にもあったわけでありますが、公的年金制度の整合問題、そしてその中にナショナルミニマムの構想を導入するという問題、さらに財政方式の変更の問題、これらはたびたび御答弁されておりますように歴史的な沿革、実態、そして率直に言って各制度間に内在するエゴ、いろいろの困難な情勢がございまして、一挙にこれを明年度改革するということは困難であるという事情は私も承知をいたしております。段階的にこれは改善の方途をとるべきだと思うわけでございますけれども、ただいままでの質問にも指摘されておりましたように、今日までの再計算期における審議会の検討と、そして法案の改正内容を見ますと、水準の引き上げということにほぼ終始したといっても過言ではないと、こう思うわけであります。
 そこで、私率直にお伺いするのでありますが、次の五点を明年度の再計算期の検討とその改革に当たって実現するという確約をいただきたいと思います。
 その第一は、遺族年金、障害年金の通算措置の実現と内容の改善及び認定基準の是正の問題がその第一であります。
 第二には、在職老齢年金制度の改革の問題でございます。
 第三番目には、スライド制度の内容と時期の調整でございます。
 第四番目は、被用者の妻の年金権の整備であります。
 そして第五番目は、五人未満事業所に対する適用範囲の拡大でございます。
 この五つについて確約ができますかどうか、率直にお答えを願いたい。
#214
○政府委員(曾根田郁夫君) 確約云々ということになりますと、私ども事務方の答弁の範囲を越える問題かとも思いますけれども、目下それぞれの項目につきましては、関係審議会で問題事項として整理検討中でございまして、関係審議会、おおむね七月末までに意見書の形でまとめてもらいたいと思っておりますが、第一点の通算問題でございますが、これは先ほども申しましたように、各制度の支給要件なりあるいはたとえば遺族等の範囲、廃疾表の相違、こういったものがございますので、これを一年間ですべて解決するということは事実上不可能でございます。したがいまして、そういう差異があるという前提で通算を考えますと、完全な形でのいわゆる通算は困難かと思いますけれども、少しでも谷間をなくすということが当面の研究課題であろうと思いますので、その点につきましてはできるだけ努力いたしたい、また目下審議会とは別に、関係各省の連絡会議も基本的にはそういう方向でせっかく検討を進めておるところでございます。
 それから第二点の在職老齢年金の改革でございますけれども、これも改革の中身、内容につきましては、先生のお考えになっておることと、私どもが大体この程度はいけそうだということで多少の隔たりはあるのではないかと思いますけれども、これもひとつできるだけ、どこまで改善できるかは別として、検討いたしたいと思います。
 それからスライドの内容と実施時期、このスライドの内容というのは、恐らく現在の物価スライド、スライドの指標を他に求めるということなのかどうか、そういったことも含めた問題であるとすると、どうもこれは来年度間違いなくこういうふうにいたしますということはむずかしいのではないかと思います。
 四番目の妻の年金権でございますが、これは非常にむずかしい、またむずかしいから今日まで手をつけることができなかったということにもなるわけでございますけれども、しかし、やはり現在の国民年金における任意加入制度、そういったこと、それの普及状況、そういったことを考えますと、何らか来年その解決の糸口になるような程度の手直しができるのかどうか、どうもその辺がぎりぎりの問題ではないかという感じがいたします。せっかく努力いたしたいと思いますけれども、具体的にここまでやるということは、ちょっとこの段階では控えさせていただきたいというふうに考えております。
 五人未満の問題、これも同じようにこれは法律的に解決するかどうか、実質的な適用範囲の拡大という形で、いわば行政措置で行うか、法律的に踏み切るということにつきましても、どうも来年間違いなくやりますということは、現段階ではいかがなものであろうか、しかし検討項目としては考えてまいりたいと思います。
#215
○柄谷道一君 大臣、私も長らく審議会の委員をやったわけですけれども、いまの局長答弁を聞いてますと、審議会の意見書を待ってと、いわば受け身的な姿勢なんであります。やはり当局、大臣及び局長の意欲、能動的にこれをやりたいというそのものがこの審議会をしてそのことの技術的な検討に入らしめるのではないか、こう思うんです。
 時間の関係で、きょう議事録持ってきているんですけれども、いま言いました五項目につきましては私の予算委員会における質問、衆議院における質問、今日までの質問に対する答弁はいずれも形の上は前向き検討、そして極力努力する、そういう表現になっているわけです。これはひとつ私は、大臣が直接審議会にでも乗り込んでこういう問題点は水準の引き上げと同時に、百点とれるかどうかは別にして、いろいろ国会でも議論になっているところであるから、ひとつ前進した意見書がほしい、こういう大臣の意欲がこの問題を改革するかどうかの私は導火線になる、こう思うわけであります。大臣にその意欲をお伺いをいたしたいと思うわけであります。
#216
○国務大臣(田中正巳君) 確かに先生のおっしゃるように審議会の自由な議論の上に改革を積み上げていくというだけでは私は不十分だと、やはり行政当局がオリエンテーションを示して、そしてそれをある程度やはりリードをしていくという立場が私は必要であると、このことについては、実は最近も事務当局に、これは厚生省ではどうもそういう傾向がだんだん強くなってきたような気がしますので、これは年金局だけじゃございませんで、保険局を含めて役所がもう少し政策についての自主的な打開の方向についての意欲を示すようにということを私はいま申しているわけでございますので、この方向については先生と大変考え方が似通っているように思います。
 それから、いま申した改革の具体的な問題についてのことでございますが、方向としては私どもはいずれも取り上げてやっていただきたい問題でございますが、年金局長がただいま答弁をいたしたところは、結局いろいろやっておるだけにむずかしさがにじみ出てきている。それを踏まえているものですから、したがって歯切れの悪い答弁に実はなっているものと思いますが、私も年金局から報告を受けているところによりますと、方向はそちらの方向へ行きたいと思っておりますが、切り込める程度の問題が当初考えていたよりはむずかしい問題があって、この辺でがまんをしなきゃならぬかなあというような問題が多々出ておりますが、方向としてはできる限りそちらの方向に進みたいという気持ちを持っていることは間違いがございません。
#217
○柄谷道一君 非常に心強い御答弁をいただいたわけですけれども、ぜひ当局もやっぱり受け身ではなくて、ここに年金問題の当面の焦点がある、これをやはり前向きに解決したいのだという積極的な姿勢で審議会に臨んでいただきたいと、こう強くこれは要望いたしておきます。
 それから次に、昨今の激しいインフレの中で年金水準をいかにして維持するかということは、これはきわめて喫緊の問題であろうと思うわけであります。恩給、各種共済は、これは慣行上賃金スライドになっております。その他の年金は物価スライドであります。この年金水準の維持につきましてもこのように開差があるわけでございますけれども、これには歴史的なものがあるとしてもこのような開差をいつまでも放置していいとお考えになっておりますか。
#218
○政府委員(曾根田郁夫君) まず、厚生年金あるいは国民年金と他の各種共済との相違でございますが、厚生年金、国民年金の場合はいわゆる自動スライドを採用いたしておりますし、各種共済の場合は毎年法律をもって手当てをする政策改定でございます。しかしながら、実際問題としましては各種共済は毎年度この改正を行っておりますので、実態としては自動スライドに近いものになっておりますので、どうしてもその間一方では賃金にスライドすると、一方では消費者物価スライドであるということの問題点が浮かび上がってくるのでございますけれども、やはり問題はございますが、私どもは厚生年金あるいは国民年金を含めた年金の実質価値の維持の方策といたしましては、まず物価指数をもって実質価値を維持して、それ以上に経済変動の激しい場合は、現在予定しております財政再計算期の大幅繰り上げ等によって対処するのが年金制度の将来の財政問題その他を総合的に考えました場合に最も現実的ではなかろうかというふうに考えております。
#219
○柄谷道一君 確かに物価値上げに対応して年金水準を維持すると言えば消費者物価スライドで一応の水準維持はできるわけですけれども、しかし一方が賃金スライドということは、そこに一方はそれ以上のプラスアルファがここについているわけでございます。私はそういう問題についても現在のような物価スライドを続けながら再計算方式によって是正を図るというと、これは一歩一歩おくれていくわけです。そういう方式をとるならば、果たして現在の再計算期間というものが妥当かどうか、こういう問題にもなってくると思うわけです。この点きょうは時間もありませんので詰めた議論はできないと思いますけれども、この年金水準維持、もし現行の物価スライド方式を継続するとすれば、再計算の期間というものの適当な時期というのが一体どこにあるのか。これも重要な課題だと思いますので、この点も審議会等でひとつ十分の検討を煩わすように配慮願いたい。
 あわせまして、実施時期にも差がある。これはもうすでに多くの方が指摘したところでありますけれども、なぜ社保審厚年部会の答申に沿い得なかったのか。議事録をひもときますと、五月実施のためには一部予測値を採用せざるを得ないので、したがって確定値が見出し得ないので実施困難である、こういう答弁に尽きると思うのです。私はこの審議会の答申というのは、明らかに一部予測値が含まれてもやむを得ないという政治的決断を求めた答申だったと、こう思うわけです。したがって、それだけの理由ではどうも理由にならない。一方、今度それにつけ加えまして、昭和五十年度の場合は約百万件の五年年金が新規発生をする。そのために新しい業務量の増大があるので、現在の保険庁の事務処理体制では物理的に不可能に近い。これを負荷されている。この五年年金の新規発生百万件というのは昭和五十年のこれは現象でございます。そうするならば、私はさきの政治的決断と言い、また昭和五十年度あらわれた特別の事由というものを考えますと、少なくても明年度はこのタイムラグの短縮というものが当然行われてしかるべきである、こう思うわけでありますが、厚生当局はその意思を持っておられるのかどうかお伺いをいたします。
#220
○政府委員(曾根田郁夫君) 私どもは現在のスライドの指標である消費者物価指数、これを他に求めることによってさらにスライドの実施時期を早めるという方法がいいのか、あるいはあらゆる努力を傾けて現在の物価指数の前提のもとでできるだけスライドの実施時期を繰り上げるのがいいのか、総合的に判断いたしますと、どうも後者の方がいいんではないか。五月実施ということは、厚生年金につきましては八月支払い期でございますから、事務的な手続としましては七月末までに必要な支払い通知その他の手続を済ませればいいわけでございます。ただ一つ問題になりますのは、現在通算老齢年金という制度がございまして、これの支払いが年二回、六月と十二月ということになっております。で、この支払い期月を前提にいたしますと、今後通算年金グループが相当数がふえてまいりますので、こういったものを対象とする所要の手続が五月上旬に確定した物価指数をもとに当該月中に終わるかどうかがやはり一つの問題だろうと思います。しかしながら、これは支払い期月を現行のままにした場合の問題点でございますから、これの変更が考えられないかどうか。基本的にはこれも含めて業務課の事務処理体制というものが、そういうことであれば、五月実施という問題は要するに七月末までに手続を済ませればいいというふうにかなり時間的な余裕が出てまいりますので、むしろそういう形の方が方向としてはよろしいんではないかと。したがいまして、基本的な考え方としては非常にむずかしい問題ではございますけれども、現在の物価指標を前提として、しかも、場合によれば支払い期月の一部変更の問題も含めてできるだけ繰り上げる、具体的には五月、国民年金については六月、こういう長期的な目標を達成する努力を傾けた方がいいんではないかという気持ちでございます。
#221
○柄谷道一君 この問題も確かに確定値を使うことがお役所仕事としては一番確実だと、これはそのとおりでありますけれども、よく審議会の意見を待って、意見を待ってと、こう言っているその審議会が一部予測値を採用してもこの激しいインフレ下においては年金水準の維持を図るべきだ、これが審議会の意思でございます。とするならば、私はその意向というものをそんたくをして、この三月もやはり政府予測と余り違わない数値が出てきておるわけですね、消費者物価の上昇は。多少、〇・何ぼというぐらいの誤差は年金水準を維持することとの対比において、その多目においてどちらをとるべきか、これはむしろ私は高度の政治決断の問題だと思いますので、大臣、この問題はやはり審議会の意向を十分に尊重した明年度対処方式が打ち出されることをこれは要望しておきたいと、こう思います。
 次に、いま局長は社会保険審議会厚年部会の意見書提出は大体七月ごろまでに出してもらうようにしたいと、こう答弁されたわけですけれども、私は各種年金間には、年金水準、資格期間、受給開始年齢、年金額算出方法、保険料負担、国庫負担比率等いずれもこれは差があるわけです。私は、そうした問題のほかに無拠出年金と五年年金の関連をどう図るべきか、こういう問題点も水準上問題として出されております。ということになりますと、これにさらに各種年度間の通算制度やスライド制度の調整という問題等もあわせて考えますと、この制度を横断する調整問題がたくさんあるということなんです。
 私は予算委員会分科会では、一つの方法として、各種審議会の会長によるひとつこれらの問題に対する調整の会合といいますか、検討を運用上持ってはどうかという問題提起をしましたところ、大臣はそれも一つの方法であるので考えてみたいという御答弁がございました。それはそれとして御検討願うとして、このように制度間を横断する問題の調整を図るということになりますと、現行制度としては社会保障制度審議会しかない、こういうことになるわけです。これは内在している問題は大変たくさんございますけれども、私は、少なくとも各種年金間の内在するいろいろな問題を洗い直してみたいと、こう大臣が答弁されるとするならば、前もって制度審に対して各制度を横断するこれらの問題調整に対する意見を求める、少なくともそれだけの措置は事前に行われることが至当ではないか、そうすることがこの調整に向かって一歩前進するということに対するまず第一歩になるんではないかと、こう思うわけであります。制度審に対してそのような意向を持って臨まれるということをぜひ御答弁願いたいと思うんですが、大臣いかがですか。
#222
○国務大臣(田中正巳君) これについては制度審と厚生省の関連においていろいろな経緯があるようでございまして、事務当局からその経緯について答弁をしていただきます。
#223
○政府委員(曾根田郁夫君) 昨年の夏だったと思いますが、通常国会終了後、当時の厚生大臣が制度審議会の会長の大河内先生とお会いになりまして、昨年の国会等で年金問題をめぐる老人福祉問題が非常に議論されたわけでございますけれども、そういったことを受けまして、年金のみにとどまらず、医療問題あるいは雇用問題、そういったものを含めた総合的な将来のあるべき姿についてもし御審議願いお知恵をいただければという、これは正式諮問ではございませんけれども、それを受けまして、大河内会長も、実は、私も、かねて、たとえば退職金問題と年金の関係、そういった問題も含めて自分として勉強したいと思っておったのでというお話でございまして、その後、実際には、制度審議会の方もいろいろ法案の諮問その他がございますので多少の作業はおくれておるようでございますけれども、昨年の話では、五十一年度改正にできれば間に合うようなというようなお話もございまして、それはそれとして作業が続けられておるというふうに聞いておりますし、私どもも、でき得れば来年度改正の際にそういうものがお示し願えれば有力な参考にいたしたい。そのことと離れまして、私どもの関係しております審議会、確かに、それぞれ厚生年金あるいは国民年金というふうに特定の制度の関係審議会ではございますけれども、たとえば、委員の中には、制度審議会の委員も兼ねておられる人が多数入っておるとか、そういうことで、国民年金審議会等の場合はかなり幅広い議論が現実に行われておりますので、その範囲内で、私どもは、できるだけ全体を通じた立場に立ってこれからの作業を進めたい。しかし、そのことと先生がいまお尋ねになりました、また、具体的なそういうことをするかどうか、それはまた別問題で、それはそれとして参考にさせていただきたいと思います。
#224
○柄谷道一君 それに関連しまして、これ、カビが生えるほど古い話なんですけれども、昭和三十七年の八月二十二日に、いま御指摘になりました社会保障制度審議会が勧告をしているわけです。「完全な社会保障制度を計画的組織的に確立するためにはまずもって有力な調整研究機関の設置を提唱する。この機関をして社会保障のどのような方法がどのような階層に対して有効であり、どのような対象に対してどのような組織で対処するかについて専門的実証的に検討させることが必要である。」と、これはきわめて短時間な、しかも非常勤の審議会では十分その機能を発揮することが困難である。したがって、専門的実証的にこういう研究機関をつくって検討し、その検討結果に対する適否を制度審等で判断をしていく、こういうシステムの確立があって初めてわが国の社会保障制度が全般的に秩序あるものとして、一つのピラミッドの形として形成できるんではないかという私はおそらく提言であり勧告であろうと思うわけです。ところが、カビの生えるようなこの古い勧告が今日に至るもなお実現されていないことは御承知のととおりであります。これは、いま、きょう議員立法も公明党さんの方から出ております。いろいろこの委員会でも多くの問題が取り上げられるわけでございますけれども、私ははなはだおくればせではございますけれども、この勧告を実施に移す意思というものを大臣にお持ちでございますか。またお持ちになるべきだと思うんですが、いかがでございますか。この勧告に沿ってこういう機関を設けていこうという意思を持つべきではないかと私は思うんですけれども、大臣いかがですか。
#225
○国務大臣(田中正巳君) たしか、私の記憶では、こうした勧告を受けまして社会保障を基本的に考える機関を設けた方がいいと。これがいまの社会保障研究所の濫觴になったように私は――あるいは記憶違いなら訂正いたしますが――というふうに思っておりますが、どうも、社会保障研究所は非常にハイレベルの御検討をやっているわけでありまして、もっと臨床的な研究をしていただきたいということを先般私総会で申したわけでございますが、向こうがそういうことでございますれば、手前どもは、やっぱり、こうしたものを受けて社会保障のニードを一体どこにプライオリティーを設けていくかということについていろいろ書いてあるようでございますんで、そうしたことについて一体どこで策定をするか、いまこの時節には私はそのことが必要になってきたんじゃないかというふうに思うわけでございまして、これについては、先生の御意見もありますんで、一体外部でこれをやるのがよろしいか、あるいは内部でそういうことを詰めるのがよろしいか、そういうことについてやっぱりもう少し実質的な意見の討究ということをやる時期が来ているというふうに思いますんで若干の時間をかしていただきたいと思います。
#226
○柄谷道一君 私は次に公的年金制度の整合問題についてちょっと触れてみたいと思うんです。これはきわめてむずかしい問題であることは十分承知しております。しかし、これむずかしいということで放置したんでは前進がないわけです。私はこの各種年金の整合を行おうとすれば、まず共済組合間の整合に着手いたしまして、厚年と船保の給付水準と費用負担をこの整合される共済組合に見合って漸次改善する。次には、国民年金は厚年に見合って、これと並行しつつ改善を進める。三番目には、当面五年年金、十年年金の引き上げと、これと関連する無拠出年金の給付水準をにらみ合わせながらこの改善を進める。四番目には、農民年金は国民年金から分離して日が浅いということと、かつ分離に当たっての農政上の事情も論議されてきたところでございますから、私はその等価価値が維持されるような配慮をこれに加えて、そしてこれらの相互の改革間において、年金水準については一人当たり国民所得の約四〇%程度のナショナルミニマムを配慮し、さらに遺族年金、障害年金等について最低保障額を漸次引き上げていく、こういうステップを踏むことによって初めて整合への困難な事業が緒につくと、こう私は考えているわけです。問題の発想の適否は別でございます。私は、まあ剣道を昔やっておりましたけれども、「無」というのは、剣の道ではあっても、これは政治の道ではないと思うんです。やはり整合を望む以上、これに対するプロセスというものをあらかじめ大道をつけて、一歩一歩前進していくというやはり厚生行政の姿勢があって初めてこの困難な問題を解決することができると、こう思うわけでございますが、大臣の構想がございましたら御発表願いたい。
#227
○国務大臣(田中正巳君) 公的年金の整合、調整は、これをぜひやりたいというふうに思っておるわけですが、午前中からるる申し上げたように、いろいろ沿革なり目的なりが違うものですから、一朝一夕には言うべくしてなかなかできない。しかしそうは言ってもじんぜん日を過ごすわけにはいかないということでございますので、いろいろなやり方が、実はアプローチの手法があるだろうと思います。先生がただいま申しておりましたこうしたやり方についても一つの考え方だろうというふうに思いますが、さらに私どもとしてはいろんなことを考えておるわけでございまして、午前中目黒先生が一部それに近いような御意見等もございました。そうしたものをいろいろと踏まえて、できるだけ各公的年金の整合を図っていく、それがどれが一番実際的で、どれが一番またやりやすいか、そしてまたそれについての国民的コンセンサスが得られるか、まあ、そういったようなことをいろいろと幅広く考えて、今後できるだけその方向に意欲的に、しかもこれがいつまでもぐずぐずしていたらしょうがないんでありまするから、できるだけひとつ早くそれに進んでいきたいと思いますが、一番の問題は、やはり率直に申しまして団体的エゴというものが横行しておってはこれができないということでございますので、年金問題に非常にお詳しい、また御熱心なこの当委員会の委員さんの格別の私は御協力と御支援を賜りたいというふうに思います。
#228
○柄谷道一君 もう一つ。いまの点、すると来年の通常国会には、少なくとも厚生年金法なりその他の年金の改正案が出てくることは確実でございますけれども、その時期にいま大臣の意欲、いわゆる構想ですね、整合に対する方向というものをそのときにははっきりぜひできるようにこれはしていただきたいということで、最後の質問に入ります。
 私はまあ年金保険証でございます。これは昨年から新規取得した者に対しては手帳を交付するという制度が行われておりますけれども、新規取得者だけでございまして、従来からの者は依然として氏名、番号、加入年月日というものが記載されている薄っぺらな紙片にしかすぎないわけであります。私は特に最近の女子ということを考えますと、「女の一生」をまさにこれ変遷いたしておりまして、学校出て結婚するまで働く、その間は厚年なら厚年の被保険者でございます。結婚をする、一時中断をする、ある者はそのときに国年に変わり、ある者は被用者の妻として空期間が経過していく。子供が大きくなる、また再び勤め出す、厚年の被保険者になる。まあ一生の中で男子に比べまして女性というのは各種年金間を行ったり来たりする、そういう労働形態といいますか、形態が非常に多くなってきておるし、今後もわが国の労働情勢、労働力需給関係を見るとそういう傾向が顕著になってくる、こう思うわけです。そういたしますと、やはり被保険者やその家族の関心を強めるためにも、また妻の年金権確立に資すためにも、やはり労働移動に伴う中断期関、年金間の移動、こういったものを記載する年金手帳というものを交付することによって、私は初めて国民皆年金の実を上げ得ることができると、これは審議会でも私たびたび意見として出ておる意見だろうと思います。私の審議会の委員時代にこういう意見書を出した記憶がございます。私はそういう点に対して厚生当局が年金手帳の全被保険者に対する発行というものに対して早急にこれは着手すべきでございます。検討を開始すべきではないか、こう思うわけでございますが、明確な御答弁を得たいと思います。
#229
○政府委員(河野義男君) 年金手帳は先生がいま御指摘になりましたように、従来は一枚の証でございまして、それが各制度ごとに出されておりまして、制度間を移動される場合に紛失とかというような事故もあったわけでございますが、そのことによっていわゆる被用者年金から国年への適用漏れとかいろんな問題が生じたわけでございます。それをいわゆる受給権を擁護するために三制度共通の年金手帳制度を採用したわけでございますが、これに切りかえるに当たりましては、まあ一線の社会保険事務所の事務量等もございまして、当初新規取得者、それから再取得者につきましてまず切りかえを行ったわけでございます。今後計画的に既存の被保険者につきまして共通手帳に切りかえていきたい、できるだけ早く切りかえを行いたい、こういうふうに考えております。そのことによりまして、各労働移動によりまして各制度間を移動した場合にも的確な適用が行われる、このことによりまして究極的には年金権が保障されるというふうに、そういった効果を期待しておるわけでございまして、早急に計画的に切りかえを行っていきたい、かように考えております。
#230
○柄谷道一君 終わります。
#231
○委員長(村田秀三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#232
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#233
○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#234
○山崎昇君 私はただいま可決されました国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
 一、昭和五十一年度に繰上げ実施する財政再計算期に際し、各制度相互間の均衡を図りつつ、年金制度の抜本的な改善を図ること。
 二、遺族年金及び加給年金については、速やかに改善を図ること。
 三、遺族年金、障害年金に係る通算措置の実現に努めること。
 四、在職老齢年金制度の支給制限の大幅緩和について検討すること。
 五、標準報酬月額の上下限については、近年における報酬の上昇を考慮して適正な改定を行うこと。
 六、各福祉年金について、その年金額を更に大幅に引き上げるとともに、その実施時期について検討を加え、本人の所得制限及び他の公的年金との併給制限についても改善を図ること。
 七、老齢年金及び通算老齢年金は非課税とするよう努めること。
 八、国庫負担の増額に努めるとともに、年金の財政方式特に賦課方式への移行については、将来にわたる人口老齢化の動向を勘案しつつ積極的に検討を進めること。
 九、被用者年金加入者の妻の年金権の整備に努めること。
 十、五人未満事業所の従業員に対する厚生年金保険の適用の問題については、具体的方策の樹立に努めること。
 十一、積立金の管理運用については、被保険者の福祉を最優先とし、民主的運用に努めること。
  右決議する。
 以上です。
#235
○委員長(村田秀三君) ただいま山崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#236
○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、山崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田中厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中厚生大臣。
#237
○国務大臣(田中正巳君) ただいま御議決になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
#238
○委員長(村田秀三君) 国民年金法等の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#239
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト