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#1
第075回国会 社会労働委員会 第17号
昭和五十年六月五日(木曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         村田 秀三君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                山崎  昇君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                小川 半次君
                鹿島 俊雄君
                神田  博君
                斎藤 十朗君
                高田 浩運君
                森下  泰君
                片山 甚市君
                浜本 万三君
               目黒今朝次郎君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
                星野  力君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
   政府委員
       総理府人事局長  秋富 公正君
       労働大臣官房長  青木勇之助君
       労働省労政局長  道正 邦彦君
       労働省労働基準
       局長       東村金之助君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  中西 正雄君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  水谷 剛蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       林野庁林政部森
       林組合課長    穂積 良行君
       林野庁業務部業
       務課長      黒川 忠雄君
       労働大臣官房国
       際労働課長    森  英良君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  小粥 義朗君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○石本茂君 まことに素人もいいところのことをお聞きするわけでございますが、最近特に企業倒産が出てきておりますことと、特に小企業では大変倒産がたくさん出ているわけでございますが、私ども聞くところによりますと、倒産になりますと給料もさりながらとても退職金などはもらえないんだというようなことをしばしば聞いているわけでございますが、この法律で言うところの退職金給付というのは、これは本人に対しましての直接支給されるものだというふうに理解しているのでございますけれども、この機会に確認をさせていただきたいと思います。
#4
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、この制度は事業主が掛金を払って事業団が直接労働者に退職金給付をするわけでございますから、事業が倒産した場合にでも退職金は確実に労働者に渡ると、こういうことになっております。
#5
○石本茂君 そうでなければこの制度の意味がないわけでございますが、しかし従業員は安心して働いていくこともできるという意味で私は大変喜んでいるところです。
 次は、この制度に加入しております企業でございますが、この制度によります退職金だけに現在頼っておるのか、あるいはまた企業自体が独自に退職金の積み増しなどをいたしまして支給しているというような例もあるように聞いておりますけれども、大体当局におかれまして承知されております範囲の現状と言いますのは、退職金制度の給付だけじゃなくて積み増しをして、そしてさらに従業員に対します退職の福祉的な施策を持っているというようなことについて、お知りになっておられます範囲で結構ですが、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
#6
○政府委員(東村金之助君) いまの問題につきましては、事業団が行いましたアンケート調査によりますとこうなっております。つまり、加入企業、いま事業団に加入している企業の全体を一〇Oといたしますと、この制度だけで実施しているものが五五・六%でございます。それからこの制度のほか企業からの直接退職金を支給しているのが三〇・五%でございます。それから、この制度と他の、企業の外に積み立て制度を持っている、両方持っているというのが一二・一%でございます。つまり全体の中でこの制度だけが五五、それ以外が何らかの形で他の制度と、あるいは直接企業が退職金を持っている、こういうものでございます。
#7
○石本茂君 そうしますと、大体約一二%が企業体自身も積み増しをして退職金を出しているということを承知さしていただきました。
 なお、先般来各委員からの御質問もあったわけでございますが、この制度に入っておらないけれども、その地域の商工会議所等に加入いたしておりますいわゆる企業からの、たとえばいまお話のありました三〇・五%というもの、この場合の退職金の水準と、それからこの制度の中における退職金の水準が大体見合っているんだというふうに確認さしていただいてよろしいでしょうか。先般のお話を聞いておりまして、まあ大差はないんだという面もあるけれども終局的には同じだというふうに私は理解したわけでございますが、そのように承知しておってよろしゅうございましょうか。
#8
○政府委員(東村金之助君) ただいま三〇・五%と申し上げましたのは、この制度のほかに企業からも直接退職金を支給しているというものでございますから、自分の事業所でやっているのとこの制度と合わせたものを払っているわけです。先般来問題になっておりますのは、大体そういうことかもしれませんが、ちょっと意味が異なりますが、一般の中小企業で行われている退職金の水準とこの制度自身の給付の水準との関係はどうかと、こういうお話でございます。これは一般の退職金のとり方をどういう水準のものを、たとえば中卒、高卒というどこをとるかといろいろ問題はございます。しかしいずれにいたしましても、現在の退職金共済制度の掛金が一定の幅がございますから、その幅のしかるべきところを当てはめますとまあまあ一般水準の退職金も支給し得る、こういう関係に相なります。
#9
○石本茂君 ちょっと勘違いしましたが、この三〇・五%というのは、いま局長申されましたようにこの制度の退職金にプラス企業体自身が考えているという数字でございますね。そうしますとこの一二・一%というのはこれはどういうことでございましょうか。
#10
○政府委員(東村金之助君) これは企業が直接退職金を支給しているのが三〇・五%でございまして、企業が、たとえば保険会社とかその他のかっこうで外に積み立てるようなかっこうで退職金をしかるべく出しているというのが一二・一%でございます。つまり、いずれにいたしましても、いま申しました直接にしろ、それから企業外にしろ、この退職金共済制度のほかにそれが入ってくる、こういうわけでございます。
#11
○石本茂君 そうしますと、大体この制度に加入している事業所、企業体で四〇%以上のものがいわゆる積み増し的な退職金のこともしているというふうに理解してよろしゅうございますね。よくわかりました。
 次は、現在加入しておりますものの掛金月額の分布状況は一体どうなっているかということを知りたいんです。と申しますのは、この掛金月額の範囲が今度二倍に引き上げられた場合に、負担能力のない企業が脱落と申しますか、排除されていくと申しますか、何かこの制度の中になじみ切れなくなっていくんじゃないかというようなことを案ずるわけでございますが、その辺のことを明確に教えていただきたいと思います。
#12
○政府委員(東村金之助君) 掛金月額の分布を四十九年十二月末でとってみますと、現在は二百円から九百円までのものが二一・六%、それから千円から千八百円までが三一・七%、二千円から二千五百円が二二・一%、三千円から四千円までが二四・七%となっております。
 ところで、今回最低額を四百円から八百円に引き上げることを考えておりますので、試みに八百円を下回るものはどれくらいかというのをとってみますと一七・三%になります。そこでこの一七・三%の分については八百円の水準まで、あるいはそれ以上まで引き上げなければならぬ、こういうことに相なります。これはなかなか中小企業にとって大変じゃないかという御指摘だったと思うんですが、これを強制的に一挙にやるのはなかなかむずかしい問題でございます。そこで、前回もそうだったわけですが、施行の日から一年間猶予期間を設けまして八百円以下でもよろしいと、しかし一年たったらできるだけ八百円以上にしてもらいたいということ。それから、その一年間でどうしてもだめだという場合には、例外の措置としてその後も労働大臣の認定により八百円以下でもよろしいということにいたしまして、企業側の負担能力との調整を図っていこう、かように考えている次第でございます。
#13
○石本茂君 決して景気はよくなっていくわけじゃございませんので、むしろ、いま局長が申されますように、猶予期間を置いていただきましてもなおかつこの制度の中に入り込めないというような事業所が私はむしろ多くなっていくんじゃないかという、ばかげた考えかわかりませんが、思うのでございますが、これはぜひとも猶予期間をもっともっと検討していただいて、そしてほとんどの中小企業の企業体がこの制度に参加できるというようなたてまえをぜひともやはり今後に向かって御検討願いたいと思うわけでございます。このことについて大臣の御所見を一言だけお聞きしたいと思います。
#14
○国務大臣(長谷川峻君) いずれにいたしましても、中小企業ですから無理のかからないようなことを考えながらこういう制度の発展を期していきたい、こう思っております。
#15
○石本茂君 次にお尋ねしたいのはこの制度では掛金月額を随時変更いたしまして増額できる仕組みになっておりますので、現実にはこの掛金月額の変更はどの程度行われているのか、その辺の状況をお伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(東村金之助君) 月額変更がどの程度行われているか、いろいろ見方があると思いますが、総件数に占める変更した件数がどうなっているかということを見ますと、各年度とも二割弱の加入者が月額変更を行っております。特に制度が改正される際、たとえば今回のようなもの、あるいは五年前のようなもの、こういう際には月額の変更の率が高まっております。それから月額変更による掛金の金額がどの程度ふえているかということは、昭和四十九年四月から十二月平均をしますと、八百七十七円とかなり大幅に増額されております。
#17
○石本茂君 でございましたら、いまのお話によりますと、この掛金月額の変更ということを含めまして、将来ともそういう方向で伸びていくだろうと、今度の改正を含めましてですね。いうふうに理解してよろしいのでございましょうか。
#18
○政府委員(東村金之助君) そういう方向に進むと私ども考えております。
#19
○石本茂君 次に、この制度は任意加入でございます。でありますけれども、この事業団の運営上の事務費でございますとか、これは全額でございますが、それからまたこの給付費の一部につきましても国庫補助が現在なされております。これは私、中小企業に働く人々の福祉という意味におきましては当然だと考えるわけでございますが、この辺が今後とも補助費の増額をめぐりましてまた問題になっていくんじゃないかなと、これは私のひそかな心配かもわかりませんが、そういうことも一応考えますことが一つと、それからこの改正で国庫補助基準も改正されます。その額も二倍に引き上げることになっているわけでございますが、これはこの法改正が実現された後に納付された掛金に、納付された後に掛金された分についてのみ国庫補助が増額されていきますのか、それとも法改正後支給事由が生じたものについては過去の分につきましても今度の新しい基準が適用されることになっていくのでしょうか、その辺をもう一度御明示願いたいと思います。
#20
○政府委員(東村金之助君) 確かにこの制度は任意制度でございまするので、それに国庫補助をつけるということはこの制度が発足する際にもいろいろ議論がありました。しかし、いずれにいたしましてもやはり中小零細企業の労働者の退職金であると、そういうことから少なくともできるだけ魅力をつけていこうということで国庫補助ということが加わったわけでございます。そこで、ただいま最後にお話ございました、今度は国庫補助が掛金が二倍に対応する形で増額されたと、この恩典はこの法律が改正された後の人たちだけかというお話でございますが、これについては法施行後退職金支給事由が生じた者につきまして、その者の全加入期間に当たり改正された内容で計算された国庫補助が加算される、このようになるわけでございます。
#21
○石本茂君 そうしましたら今度の新しい改正によりまして、過去のものもこれからのものも全部対象になるのだというふうに理解してよろしゅうございますね。
#22
○政府委員(東村金之助君) この法律の改正された後に退職金を支給する事由が生じますと、ずうっと前に掛金を払っていたわけですが、そういう人たちについても全加入期間について、つまり勤続十五年とか十年とかつまり過去のやつについても、それを前提にした給付が行われる、国庫補助がついた前提で給付が行われてくる、こういうことでございます。
#23
○石本茂君 私さっきちょっと下手な質問をしておりましたけれども、さっきもちょっとお聞きしたように思うのですが、この一般の中小企業においての退職金の水準、それからこの制度による退職金給付の水準、これはもちろん掛金の額などもいろいろばらつきがございますけれども、一般の中小企業の退職金の水準、この両方は大体匹敵するものでございましょうか、ちょっとお伺いします。
#24
○政府委員(東村金之助君) 先ほど抽象的に申し上げましたが、やや具体的に申し上げますと、一般の中小企業における退職金水準というものをどうつかむかなかなかむずかしい問題でございます。いわゆる賃金とはやや性格が異なりますので、そこで入手し得る最も新しい資料である四十九年の東京都の退職金の調査をもって、前提として考えてみますると、これは実は全国平均よりは高くなると思われますが、企業規模が五十人から九十九人の企業で、中卒で、自己都合の退職、勤続五年で十四万、十年で四十七万それから二十年で百七十七万、三十年で三百七十九万、いまのは中卒でございます。
 高卒でとりますと、五年で十九万、十年で六十一万、二十年で二百二十二万、三十年で四百七十八万円と、こういうことになるわけであります。
 そこで、これとこの制度の退職金と比較するわけでございますが、どういうふうに比較したらいいか、いろいろ比較の方法がありますが、それをこういうふうに考えてみたわけです。それは中卒の場合に、こういう退職金に近い数字の退職金給付がもらえるのは掛金としてはどのくらいのところかというふうに見たわけです。そうするとそれが二千円から三千円の掛金の場合である、高卒では三千円から四千円の掛金の場合である、こういうふうに相なるわけで、いずれにいたしましても一般に行われている退職金の水準をもらうためには、現在の掛金の幅の中で一定のものを掛ければそれがもらえる、こういうことでございます。
#25
○石本茂君 せっかくのこれは国の制度でございますから、私ども、やはりこの制度に加入していることによりまして、先ほど来お話もありましたが、従業員が安心してたとえいつ企業体が倒産しようとも、自分たちの掛けているものは、しかも予想以上の大額のものが返ってくるのだというような福祉というたてまえに立っての今後の対策をより以上にお願いしたいということと。それからこれは要望になるかわかりませんが、先般沓脱委員あるいはその他の委員の方からもお話がございましたけれども、今度のこの制度の改正によりまして、そのために掛け損が出てきたり、あるいは掛け捨てというような非常に残念な状況がもしあるとすれば、これはとてもこの制度をよくし、そしてその枠内にある人々の幸せを願うという意味合いでございますならば、たとえ少数のごく一部であろうとも、とにかく納得しにくいわけでございますが、この辺のこと、先般もいろいろお話を聞いておったわけでございますが、もう一度、どういうところが一番損をする人なのか、どの辺の年限でどれくらいの掛金を掛けた者がこのたび一番悲しい目に遭うかもしれないという、そういう条件といいますか、状況といいますか、もう一遍聞かしていただきたい。この間沓脱委員のいろいろ御質問の中で、これは大変なこともあるんだなというふうに私考えましたので、もう一度そのことをお示し願って、そして大臣の御所見もあわせてちょうだいしたいと思います。
#26
○政府委員(東村金之助君) 本委員会でもいろいろ掛け捨て、掛け損の問題、御審議願ったわけでございますが、掛け捨てと言いますのは、従来の形で申し上げますと、この制度に入って一年未満に退職した人には給付が行かない、つまり掛け捨てである、一年から二年未満の場合にはそれが減額された形で支給される、これが掛け損でございます。それ以降は同額ないしはそれを上回るような形の給付が行くわけでございます。これがなぜそうなっているかということをもう一度繰り返すようでございますが、申し上げますと、それは一般の中小企業、それから大企業でも大体同じでしょうが、等における退職金制度においても同様の形がとられておるということが一つと、それからそういう掛け捨て、掛け損になっているところの原資を長期勤続者の給付を厚くするという形で回しておると、そういうためにこういう形がとられたわけでございます。ただ、それにしても問題は問題としていろいろございまするので、審議会等におきましても、この問題については長期の在籍者については何とかならないだろうかと、そうでないならば、この制度改正の時点において、一定の条件の中で、掛け捨て、掛け損というものが何とか修正できないだろうかという御建議をいただいたわけであります。御答申をいただいたわけであります。そこで私どもといたしましては、いま申し上げました二つの場合の後段、つまり制度が改正される場合における掛け捨て、掛け損を一定の条件で何とか修正してみたいという気持ちのあらわれで今回改正案を御提出した次第でございます。
#27
○国務大臣(長谷川峻君) 先生初め皆さんから御審議いただいておりますように、わが国においては退職金制度というものは勤労者にとっては非常に大事な問題でございます。退職金制度のない中小企業に対しまして、この制度への加入促進をお願いしますと同時に、この制度の内容を一層充実させることによって中小企業の勤労者の福祉の向上に役立ちたい、こう思っております。
 なお、その企業内の退職金制度につきましても基本的には当該企業内の労使間の問題でもありますけれども、行政機関としましては退職金の実態についての調査の実施及び資料の提供などを通じまして退職金制度の一層の充実、改善を図ってまいりたい、こう思っております。
#28
○石本茂君 もう一つ、これで終わりますが、最後にお願いがございます。というのは、この中小企業、特に零細小企業等につきましては、長期間の勤務ができる人は非常にこれは幸せだと思うんです。むしろ現在の情勢でございますと、仮に自分はここで三年間も五年間もおりたいと思いましても、さっき来話しておりますように倒産という状況が襲ってくる。ですからむしろ短期間に動いていく従業員が非常に多いと思うわけでございます。ですから、愚痴な物の言い方かわかりませんが、たとえ短い期間であろうとも掛金をいたしました者につきましては何らかの措置ができないものか。これは先般他の委員もお話をされていたと思うのですが、私はこういうことにも一層心を用いていただきまして、この事業が大きく進展してまいりますことを心から願いながら私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#29
○目黒今朝次郎君 私は与えられた時間の範囲内で二、三のものを含めて質問いたします。
 最初に白ろう病の問題についてちょっと十五、六分お願いしたいと思うんですが、営林署ですか、おりますか、林野庁。――いないんですね。
 ではスト権やります。
 労働大臣、それから総理府の方にちょっとお伺いしたいんですが、きのうからですか、ILOの総会が行われておるわけでありますが、ILOの問題について若干、スト権の関係がありますから、考え方なり今後の取り組みについてお聞かせ願いたいんですが、実は四月七日から十七日までジュネーブでILO公務員専門家会議がありましていろいろ議論されておったわけでありますが、この中でスト権に関する報告書がありますが、その報告書の中で、結論として、雇用条件については、政府は公務員組織と協議交渉するという、公務員の権利拡大の方向にあると、こういうことを第一点指摘しておるわけでありますが、この点については日本政府としての考え方は、見方はどうでしょうか、お答え願いたいと思います。
#30
○説明員(森英良君) お答え申し上げます。
 結論と申しますのはどの結論でございましょうか、公務員に関する技術会議の結論でございましょうか。ちょっと御趣旨がよくわからなかったのでございますが……。ILOの何かの結論というようにおっしゃったように思うのでありますけれども、具体的に何の結論でございましょうか。あるいは公務員に関する技術会議の……
#31
○目黒今朝次郎君 これはILOの会議に当たって事務局が事務局報告出しますね。その事務局報告の中で幾つかの報告を出しておるわけですが、そのいろんな情報の最後の締めくくりとして二つの点を大体重点に出していると、こう私は見るわけなんです。その一つが、私がいま言った、雇用条件の問題については政府が一方的にやるんじゃなくて、いわゆる公務員組織と対話をする、あるいは協議をすると、そういう公務員の権利拡大というような方向に世界の趨勢は行っているというふうにILOが報告しておりますが、これについてはお認めになりますかということなんです。
#32
○説明員(森英良君) お答え申し上げます。
 いわゆる交渉協議の態様につきましてはいろいろございますけれども、公務員の勤務条件の決定に当たりましても何らかの意味での公務員の参加というものがふえてきておるという意味においてはそのとおりであろうかと思います。
#33
○目黒今朝次郎君 わかったようなわからないような答弁なんですがね。
 では二番目、二番目の結語として、公務員のスト行為が違法と見なされたり、単なる禁止では阻止し得ない社会的事実として政府は承認する事例がますます多くなってきていると、世界の趨勢としてこれはお認めになりますか、日本を除いてですね。
#34
○説明員(森英良君) ILOの公務に関する技術会議に提出されました事務局の報告の中に、公務員についてストライキ権を認める国もふえてきておる、しかし同時にまだ認めてない国がたくさんあるというような指摘がございまして、いずれにしましてもストライキ権を維持するというだけでは問題は片づかないと、現実に紛争は起こるわけでございますから、その紛争のための対策も考えなきゃならないであろうというような指摘があったことは事実でございまして、そのような傾向が見られるということも事実であろうかと思います。
#35
○目黒今朝次郎君 傾向としてはお認めになりました。
 それからもう一つ、事務局長の基調報告というのがあるんですが、この基調報告の中に幾つかの点がありますが、二つだけ受けとめ方をお伺いします。
 一つは、公務員と民間との間の権利の差別をつけるのは、軍隊、警察を除き不当とILO八十七号条約に、――禁止してはならないという点を指摘しておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#36
○説明員(森英良君) 公務員の結成、八十七号条約につきましては軍隊、警察につきまして適用除外のようになっておるわけでございますが、それ以外の公務員については適用があるというのはそのとおりでございます。
#37
○目黒今朝次郎君 それからもう一つは、公共部門の紛争解決の手続も民間に近づきつつあるという情勢を基調報告に述べておりますが、この点についてはどういう受けとめ方をしておりますか。
#38
○説明員(森英良君) 公務に関する技術会議において行われました事務局長報告においてはそのような趣旨の発言があったと思います。
#39
○目黒今朝次郎君 まあ歯切れが悪いですけれども、認めていますから、それはそれなりに確認します。
 そういう世界の趨勢のある中で、今回日本代表として総理府の片山さんですか、この方が出席しているんですが、日本代表が、政府代表がこれに出席する際の基本的な構えについて私は労働大臣なり、あるいは総理府の担当者から聞きたいと、こう思うんです。
#40
○国務大臣(長谷川峻君) 先般のILOの会議におきましてわが国の政府代表が非現業の国家公務員のスト権の問題についてわが国の法制においてはこれを認めていない、こういう旨の理由を述べました。このことは承知しております。私といたしますと、非現業公務員のスト権の問題につきましては、三木総理が去る三月十四日の参議院本会議において答弁されたように、現行法によって対処するのが適当でないかと考えておりますし、先般のILOの会議におけるわが国政府代表の発言もこういう見地から述べたもの、こう思っております。
#41
○目黒今朝次郎君 いまの言葉でちょっとお伺いしますが、これは新聞の報ずるところではっきりと私確認できないんですが、いま労働大臣の発言と関連しますが、公務員の範囲について、この会議の、ILOの、この労働条件が団体交渉でなく法によって定められるものがこの会議の範囲だ、こういう政府見解を言っているんですが、裏から返せば三公社五現業の問題は片山発言の中には含まれていないと、こういうふうに受け取っていいんですか。
#42
○説明員(森英良君) ILOの公務に関する技術会議で取り扱われましたいわゆる公務員というものの範囲につきましては、会議に出されました事務局のレポートにおきましてそこで取り扱う公務員の範囲は国の一般行政に従事する公務員、そして商業的または工業的事業を営む国営企業または公共企業体の被用者の問題は取り扱わないというふうに言っておりますので、わが国の制度になぞらえて仮に申し上げますと、非現業の公務員、これが中心であるというふうに了解しております。
#43
○目黒今朝次郎君 時間がありませんから、これは検討課題にします。前段でそういう見解表明していながら、後の何というのですか、一番終わりの十七日の会議における、ジュネーブにおける片山代表の発言を見ますと、いわゆる非現業の問題を言ってみたり、現業の問題を言ってみたり、後になってくると範囲がぼけている、これは私は問題として指摘しておきますから、時間がありませんから後でまた十分そういう問題があるという点だけ指摘しておきます。
 それで私は大臣にお伺いするのですが、少なくともいま大臣の答弁から見ますと、私は公務員の基本権問題は公務員制度審議会で約八年間討議されて、一定の答申がなされていると思うのです。そうして私は、いま大臣の言葉を聞いてみますと、片山代表もいわゆる全体の奉仕者論一点張りでこのILOに臨んでいる。公務員制度審議会の答申は、私は全体の奉仕者論だけではないと思うのです、三本の柱がありますから、答申は。ですから公務員制度審議会の答申を受けて前向きに検討しますという政府の考え方と、いま言った大臣の考え方に若干もののとらえ方にずれがあるのじゃなかろうか、こう思うのですが、いかがでしょうか。私は持論としてはやはり公務員制度審議会の諮問を中心にいろいろな諸政策について取り組むべきだという基本的な見解を持っているのですが、これについてどうでしょうか。
#44
○国務大臣(長谷川峻君) 目黒さんおわかりのとおり、私の方は三公社五現業、その関係でございます。おっしゃるように、三公社五現業のスト権の問題につきましては、御承知のとおり、公制審において八年間かかって三論併記、そういう関係からしまして現在関係閣僚協議会において専門委員懇談会、こういう方々が二十名ほどおりまして熱心に検討中でありまして、その関係閣僚協議会といたしましては専門委員懇談会の意見を尊重して結論を出すと、こういう姿勢でありますことを御理解いただきます。
#45
○目黒今朝次郎君 私が言っているのはそういうことでなくて、公務員制度審議会は三公社五現業の問題だけやってるんじゃないですよ、公務員全般、公務員全体の基本権なんですよ。それから公務員全体の基本権については、確かに全体の奉仕者論である政府代表の意見もありました、組合代表もありました、中立の方もありました、三論併記して公務員全体の基本権はこうだと言って答申しているわけですね。ところが、片山発言は終始一貫公務員制度審議会の一つの意見であった全体の奉仕者論だけですべてのことをやっているということについてはちょっと間違いじゃありませんかということを私聞いておるのです。少なくとも内閣総理大臣の諮問を受けて公務員制度審議会が議論して、そうして内閣総理大臣に答申をして、内閣総理大臣はそれを受けて、一生懸命がんばりますといわゆる総理大臣が表明しておるのですから、その表明に従ってILOに対してもやはり政府は取り組むべきじゃないのか。片山発言は一方の片方の意見だけでILOとしての行動を行っていると言っても間違いではないんじゃないかと、こう思うのですよ。この辺のずれをどう考えるかお答え願いたいと思うのです。
#46
○政府委員(秋富公正君) 片山政府代表が申しましたというのは最初に断っておりまして、いわゆる法令にいろいろの制約のございます非現業の公務員について申しますと、こういう前提を置いてILOにおいては発言をしている次第でございます。
#47
○目黒今朝次郎君 そうすると、この八年間かかっていろいろなけんけんがくがく議論してもその議論の前進ということについては日本の実情としてILOに全然反映されてない、こういうふうに見ていいですか。
#48
○政府委員(秋富公正君) ILOの事務局長のレポートにおきましても、いろいろとその中を詳細に読んでいきますと、いわゆる非現業の公務員につきましてはそれぞれの国におきましてそれぞれの法令がございますし、あるいはそれぞれの従来の経過があって一律にこれを断ずるわけにはいかない。また非現業の国家公務員というものが全体への奉仕者であるという点も指摘があるわけでございまして、そういう点も踏まえましてわれわれは解釈をいたしております。
#49
○目黒今朝次郎君 そうしますと、私は時間がありませんが、いまたまたまILO総会が行われて、政府代表行っておるようなんです、高い国民の税金を使って。そうしてこの事務局長が冒頭で言っているとおり、やはり労働運動は生き物だ、労働運動は生き物だと。その生き物という世界の流れということを十分に考えて、みんなでお互いのいい点を持ち出そうと言って努力されていると、そういう何とかものを求めようと国際会議で、いま言った全体の奉仕者論一点張りで、これは日本が今回言ったのはスペインと日本だけだね。いま官房長が言っているような理屈一点張りで重箱のすみをほじくってやっているのは日本とスペインだけ。そういう形でやることについては私は非常に不満です。ですから少なくとも公務員制度審議会の答申を軸としたやはり政府の態度ということをもってやっぱり私はILOに臨むべきだという意見を持っていることだけ最後に述べて、もう一つだけお伺いします。
 この公労法の十七条の問題でいろいろまあ議論がされ、衆議院においても労働大臣から二、三日前答弁があってそれなりに回っているんですが、私ら具体的な事実問題として、裁判関係についてどういう考えを持っているかお伺いをしたいんです。一例を挙げますと、動力車労働組合が雇用存続、いわゆる十七条問題について争った裁判が幾つかあります。この中で昭和三十六年から昭和四十六年まで十件の判決があります。十件の判決。その十件の判決のうち七件が公労法十七条は無効だと、したがって解雇は無効である。いわゆる組合側の勝訴になっているんです。解雇撤回。それからあとの三件はいわゆる公労法十七条は有効だ。しかし解雇が有効。こういう判決が下っているんですが、こういう判決の流れについてどんなふうに考えているか、見解を聞きたいと、こう思うんです。
#50
○政府委員(道正邦彦君) 裁判判例で決定的な意味を持つのは最高裁の判決だと思いますが、最高裁の判決におきましては国鉄の弘前機関区事件判決、これは昭和二十八年四月八日の判決でございますが、それ以後全逓中郵事件判決、四十一年の十月二十六日。それから都教組事件判決及び全司法仙台事件判決、いずれも四十四年四月二日の判決でございましたが、これを経て最近の全農林警職法反対闘争事件判決を初めとする三事件判決、これは四十八年四月二十五日の判決でございますが、それに至るまで理由につきましては若干変遷がございますが、結論としては一貫して公務員等の争議行為の禁止は憲法二十八条に違反しないという態度をとっております。
#51
○目黒今朝次郎君 その論争はおたくさんで権力を使って裁判官を勝手にかえて前の判決を覆して、いま言ったことを寄りどころにするんですからその論争は運動論としてやるしかないです。しかし、私は逆に聞きますが、それだけの最高裁の判決の権威があるならば、一体いま昭和三十二年から四十七年まで二十七件というこの雇用存続の、動労だけで二十七件ですよ。国労、全逓、電通調べれば大変なものですよ。なぜこれだけの雇用存続の裁判が、公労法十七条問題がいわゆる事実問題として進展しないのか。進展しても、私が言ったようなこういう七対三、それであなたの方は権力を使って最高裁で裁判官のすりかえをやって逆転判決をやっている。しかも、たった一票の差、一票の差で逆転判決。私はこれは裏から見れば、冒頭ILOの流れで言ったとおり、世の中の流れが変わっているんですよ。流れの変わっていないのはあんたの頭の中だけであって、やはりそういう時代に来ているということを私は考えながら、時間が参りましたから、きょうの朝日新聞を見ますと、私はこれを労働大臣に要望して、「三木内閣は約束通り処分問題にけじめをつけた。「労使はスト権で腹蔵なく意見をいってもらいたい」という労相の言葉は評価する。労相は労政の立場からも、よい労使慣行の芽を育てて欲しい。」、こういうことをきょうは朝日新聞が結んでおるわけでありますから、いろんな事情があるようでありますが、私はやっぱり衆議院におけるきのう、おとといの表明に向かって最大限の、ILOの情勢、国内におけるいろんな情勢を含めて、この問題について決意をひとつ労働大臣に聞きたいと思います。
#52
○国務大臣(長谷川峻君) 御指摘の朝日新聞の「政府のスト権見解に思う」という社説を私もけさ拝見しました。その中には、やっぱり三木総理も申されたように、今回の処分によって過去の違法ストにけじめをつけた上で、関係労使を初め各党の協力を得て話し合いによって問題を解決したいという基本、そして新しい労使慣行を形成し、それに最善を尽くしてまいるのが政府の考えでもあります。私も、関係閣僚の一人といたしまして、そういう意味では最善を尽くしてまいりたいと、こう思っております。いずれにしましても、話し合いによる解決を基本とするためには、新しい労使関係を打ち立てることは政府だけではできません。動労の大先輩であるあなたのような方の責任もまた大きいわけでありまして、そういう意味からしますと、問題はやっぱりどんなことが生まれようとも労使の相互信頼と社会的責任の自覚が基本にならなければならない、こういうふうに考えまして、私は関係労使はもちろん、各党の御協力を切にお願いを申し上げます。
#53
○目黒今朝次郎君 次には、林野庁が見えたそうですから、白ろう病の問題について若干お伺いします。
 この白ろう病の問題については、もう国有林においては大体機械を扱っている方の八割の方々が異状を訴え、五割の方は大体認定者だと。全林野の調べによりますと、ことしの三月三十一日現在で認定者が二千五百四十五名。去年の暮れで見ますと二千三百七名で、わずか三カ月の間に二百三十八名の認定者がふえている、そういう非常な状態にあるわけでありますが、林野庁の方に、こういう国有林の情勢と民有林の方々の白ろうの状態などについて情報があれば提供してもらいたい、こう思うんです。
#54
○説明員(穂積良行君) 業務上の振動障害と認定されまして労災保険の給付を受けております方々の状況としましては私どもが把握しておりますものは、民有林関係では昭和四十九年三月末現在で三百九十三名でございます。また、いまお話がありましたように、国有林関係の方では現在二千五百名程度の給付対象者がおるという状況でございます。
#55
○目黒今朝次郎君 まあ、国有林の方は合ってますがね、民有林の方は全然落第ですね。私は素人ですけれども、ことしの二月十一日、四国の高知県に行ってまいりまして現地を見てきたんです。そこで、宿毛というところではもう民有林の方々の九五・二%、チェーンソーを使っている方の。それから土佐清水では九一・二%、馬路村では九三・七%、国有林の方々などは相手にならないくらい、想像し得ないくらいこの白ろう病が浸透している。あるお医者さんに言わせると、もう林業の問題を離れて地域の保健問題だ、各地域における保健問題だというくらい民間の方々には広がっているという現状をこの目で見てきているんですが、おたくのいま言った三百九十三名なんということはどこの数字ですか。
#56
○政府委員(東村金之助君) ただいま林野庁の方からお話がありましたのは、昭和四十九年三月末現在で労災保険法の適用を受けている、つまり労働者の方から申請がございまして、労災保険法の給付を受けたいと申請がございまして、それは業務上と認定された数字が三百九十三名でございます。
 ところで、いま先生お話ございましたように、私どもとしてもこれだけの数字で全体だとはちょっと考えられません。そこで、現在巡回健診というものをやっておりますが、それが昭和四十八年度五千四百二十一人について健診をいたしました。その結果、有所見者と認められている方が二千百六十一名ございます。ちなみに、昭和四十九年度は巡回健診を五千五百五十二名実施いたしました。その有所見者数は現在取りまとめ中ではっきりいたしません。これは、要するに巡回健診をいたしました五千数百名の中で有所見者が二千百六十一名出ておるということは事実でございますが、この有所見者の中で業務上か否かということはさらに詰めてみなければいけませんが、いずれにいたしましても三百九十三人という数字は今後さらにふえてくるということは考えられます。
#57
○目黒今朝次郎君 実態論のかみ合いは、まだ五千四百二十一名のうち二千百六十一名、しかし第一次健診の中で、それじゃ本当にどうだったかという健診の方法についても、私も見てきましたからまだ議論のあるところですが、しかし相当程度民間の方々も進んでいるという実態はお互いに認識していると思うんです。その実態究明はさらに次回に譲るとして、私は本論は、この振動病、特に白ろう病と言われる方々の病気の原因がこのチェーンソーが原因であるということについてはお互いに争いのないところですね。いかがですか、これは。
#58
○政府委員(東村金之助君) おっしゃるとおりでございます。白ろう病になる原因の大きなものは、いろいろの客観的条件は別として、主たる原因はチェーンソーによる振動ということだと思います。
#59
○目黒今朝次郎君 そのことについて全林野その他関係者と労働省なり林野庁がいろいろ議論されて今日にきておるわけですが、ことしの三月に一連の告示というか達しといいますか、たとえば「基発第一七一号」、これは五十年の三月二十八日、労働基準局長から各製造業者へ、それから労働基準局長から林野庁長官に対しては「労基九七号」、これは五十年の三月二十四日、それから林野庁長官から各県知事に対して「50林野普第五五号」、五十年の三月三十一日と三つの一連の通達が出ているわけですが、これのねらいは一言に言ってどういうことなんですか。労働基準局なり林野庁からお答え願いたい、こう思うんです。
#60
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生御指摘のように、白ろう病の根本を押さえているのは何といってもチェーンソーだと思うんです。補償の問題その他いろいろな問題ございますが、何と言っても白ろう病にならぬようにするためにはどうしたらいいかと言えば、当然のことチェーンソーの問題に行き着かざるを得ない。ところでこのチェーンソーにはいろいろございますが、振動の加速度が高ければ高いほどこれは白ろう病になる可能性が大きくなる。
 そこで、従来からもいろいろ問題になっておったわけでございますが、このチェーンソーの振動をできるだけ低く押さえよう。当面の目標としては鋸断時、つまり実際に作業しているときの振動の加速度を三G以下とすることを目標としようということを一つのねらいといたしまして、その開発を関係業者、業界に委託したといいますか、指示したといいますか、勧告したわけでございます。これは従来もいろいろ問題があったんですが、そうなかなか簡単にはいかない技術上の問題でございます。しかしこの際、そういうことを言っていたんでは白ろう病がなかなかうまくいきませんので、そのためにはぜひこういう方向で一歩前進してみようというのがこの通達のあらわれでございまして、林野庁の方にもその趣旨を申し上げ、その趣旨の徹底を図っていただきたい、相協力してその実現に向かっていきたい、こういうものでございます。
#61
○目黒今朝次郎君 林野庁もいいですね。
#62
○説明員(穂積良行君) ただいま労働省の方から御説明のございました労働省の方における考え方を私ども受けまして、先ほど先生お話のありました三月三十一日付の知事あての指導文書によりまして、一つには、周波数帯域におきまして鋸断時の振動加速値が小さい機種をできるだけ今後導入するようにしてほしいということ。それからもう一点は、今後私どもがチェーンソーの導入について助成をしていきます場合の対象としましては、このような振動加速度の値が三G以下のものを対象としていくというようなことをはっきりさせましたところでございます。
#63
○目黒今朝次郎君 そうしますとこの三Gという問題については、いわゆる衛生学的な限界か、あるいは工業的な見地からの限界か、もう三Gになれば絶対に病気にならないという保証があるのか。病気にはなるけれども、仕事の面でぎりぎりの許容限度のやつだ、そういうことなのか。この三Gの性格について聞かしておいてもらいたいと、こう思うんです。
#64
○政府委員(中西正雄君) 実は、この振動の測定そのものにつきましてもまだ国際的にいろいろ議論がございまして、統一的な基準のない状況でございます。したがいまして、振動の許容基準、どれだけの振動強度にすれば白ろう病は起きないかというような基準はまだ学問的にはっきりしていないわけでございます。したがいまして、三Gという値をとりましたのは、現在市販されている中で最も低いものを当面の目標基準としまして採用することにいたしたわけでございます。
#65
○目黒今朝次郎君 そうすると、やっぱり衛生学的な見地ではなくて、当面市場で市販されているやつの一番少ないやつ、業務的なぎりぎりのやつという点を普通の目安にしたということですからわかりました。
 それでお伺いしますが、この通達を見ますと、「五十一年の四月一日を目途に完全実施されるよう願います。」と、こう書いてあるんですが、役所の文書にしてはずいぶんやわらかい文章なんですがね。やはり五十一年の四月一日を目途に規制すると、これ以外の機械は使わせないと、こういう強制力があると、こう理解していいと思うんですが、いかがでしょうか。
#66
○政府委員(東村金之助君) これは事の性質上通達というわけではございませんで、研究開発を先ほどいろいろ申し上げましたが、とにかくやってもらいたいということでございます。これはいま繰り返し申し上げますようにそう簡単にはいかないわけでございます。しかし、そういうことを言っていたんではいたずらに日がたってしまうだけだから、一応五十一年の四月を目途にやってもらいたいということを言ったわけでございます。したがって、その研究の推移を見なければ何とも申し上げられませんが、この五十一年四月になったら、ずばりこれで法的規制をするというところまでは、現在のところまだ踏み切ってはおりませんが、できるだけそういう方向に、つまり三G以上といいますか、もう少し振動の多い機械は使わせないような方向で考えようということでございます。
#67
○目黒今朝次郎君 これは、先ほど冒頭申し上げたとおり、三カ月間で三百二十八名の認定が出るというぐらい林業、国有林部門でも出ると、民間部門でも想像し得ないぐらいこの問題は浸透している。そういう段階では、私はいま局長の言ったようななまぬるい方法ではなくて、やはりはっきりと五十一年の四月一日で規制をすると、それ以上は使わせないと。そのぐらいのやっぱり強力な指導をしない限り、この振動病の防止はできないと、こう思うんですが、その点の考えをもう一回聞きたいと思うんです。
#68
○政府委員(東村金之助君) 先生のお言葉でございますし、私自身も個人的にそのように考えないではございませんが、御承知のように白ろう病のこの問題は、長いことかかっていろいろ施策をしてまいりました。何とか振動が少ないものを開発できないだろうかということをずいぶんいろいろの方面に研究を委託したり、研究を促進したりしてまいったわけですが、なかなかそこまでいかない。安全衛生部長がただいまお話し申し上げましたように、わずかにこういうところまでいったものがごく一部でございますが、実現しましたので、その方向に全面的に持っていきたいという願望でございまして、恐らくかなり前進はすると思いますが、五十一年四月一日からぴたりこれで、これ以外のものは使わせないというところまではなかなかいき切れないわけでございますが、御趣旨のようなことをわれわれも考えておりますので、少し事態あるいは研究の成果の推移を見てみたいと、かように考えます。
#69
○目黒今朝次郎君 これはもう堂々めぐりになると思いますが、人間の体が冒されて、生命が冒されていくんですからね。私は普通のことと違うと思うんですよ。ですから、この問題については、私はやはり五十一年四月からは使わせないと、こういう立場で早急に対策を立てるよう、重ねて私は要求しておきたいと思います。同時に私は、三Gとなりますと、こうこれ何ですか、「林業労働力對策だより」という林野庁から出しているこれありますがね。これで一覧表を見ますと、三Gというのは、ほとんどここに二十幾つかの一覧表がありますが、三Gというと五つか六つですね。そうしますと、この三Gを超える現に使っているもの、いわゆる会社の製品がありますね。会社の製品、こういう問題についてはこの五十一年の四月まで行く間、経過措置としてどういうことが考えていられるのか。たとえば使用時間の規制をするとか、あるいは振動防止の装置をつけるとか、そういう経過措置などについては考えられているかどうかお答え願いたいと、こう思うんです。
#70
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生お手元の資料で御説明ございましたように、三Gまで行くということはかなり技術的には大変なことだと思うんです。しかるがゆえに、五十一年四月からはどうするかということを私、いまの段階ではなかなか断定できないわけでございますが、その間どうするのかというお話でございます。これは先ほど林野庁の方からもお話ございましたし、私どももそう思うわけですが、できるだけ振動の少ない工具を使うようにということを、強力に指導していくという体制をとっていきたいと思います。
#71
○目黒今朝次郎君 使用時間の短縮であるとか、あるいはいろんな手おのを使用する運用の方法であるとか、そういう幾つかの方法を考えながら、できるだけ被害の少ないような方向で行政指導したい、こういうことですね。これは林野庁、民間も含めてそういうことについていかがでしょうか。
#72
○説明員(穂積良行君) 先生御指摘のように、振動数の少ないものと比較的多いものと現在混在しておるわけでございます。これにつきまして私どもとしましては、助成に際しての選別というようなことから着手しまして、順次振動数の少ないものを多くしていくということをまず努めているわけでございます。現にある機械につきましては、これはその機械そのものが即有害で、病気が発生ということではございませんで、作業体系、作業仕組みというようなことで、長時間あるいは反復してそういうものが使われるということが原因であろうかと思われますので、労働省の方からお話がありましたように、時間規制等につきまして、従来その指導に努めてまいったところでございますが、今後さらに時間規制等についての指導等を強めてまいりたいということでございます。
#73
○目黒今朝次郎君 これはどこですかね、労働省と林野庁に要望するんですが、四十四年から四十五年にかけて国有林の振興装置の問題があって、国有林の試験に合格しないチェーンソーを二万円ぐらい安くして、値引きをして民間の方にどんどん払い下げたと、こういう動きがあったということを指摘されておるんですが、こういうふうなことは今回はしないんでしょうね。林野庁どうですか。
#74
○説明員(黒川忠雄君) ただいま御指摘がありましたように、国有林の方で不要になったチェーンソーを民間に安く払い下げたというふうなことが過去にございました。これは物品管理法の方から不要品を売り払うというようなことで行われたわけでございますが、しかし、先生のおっしゃいますとおりに、国有林の方で振動が高いので使わないで、不要になったものを民間に払い下げるというのはそういう振動障害、あるいは振動病を防ぐ意味からいって不適切であったと思いますので、今後はそういうことをしないように考えているわけでございます。ただ、民間の態様を考えますと、非常に一時的に、一年間に一カ月ぐらいしか使わないという方もおられまして、そういう方に対して、そういう方はやっぱり安い機械を手に入れたいという事情もございますので、過去にそういうことがあったかと存じますが、今後はなるべくそういうことのないようにいたしたいと思います。
#75
○目黒今朝次郎君 一万や二万安くて、その労務者のあなた命が奪われるのではたまったものじゃないからね。そんな人間尊重でない政策はぜひやめてもらいたい。そういうごまかしをやったから私は民間の白ろう病が非常に浸透してきておると、こういうことだと思うのです。これはもう私は林政の大きな欠陥だと思う。そこで時間がありませんから二つだけ提案します。
 一つは、私は素人で山を歩いてみますと、こういう点がやっぱりチェーンソーで考える必要があるのじゃなかろうか。具体的に言いますと、登録制健保手帳、これは仮の名前です。チェーンソーを使うようになった場合に、そのチェーンソーを使う労働者に手帳をやって、その方が何時間使ったのか、何年使ったかのか。それからAからBに移動しても、AからBに移動すれば常にわかる。そして振動からくる健康管理は常にできる。そういう体制をやっぱり私は林業行政として考えてやるべきじゃなかろうか。そして一年に一回必ず定期検査を受ける。そのぐらいの私は親切みがあっていいんじゃないか。多少の予算がかかると思いますが、労働省が行っている健診とあわせて登録制健康保険手帳制ということについて考える余地があるかどうか。これはどちらでも結構ですからぜひお聞かせ願いたい。非常に私は今日の白ろう病対策として必要であろう、こう思うのですが、素人的な考えですが、御見解を聞きたい、こう思います。
#76
○政府委員(東村金之助君) ただいまの御提案でございますが、事業主に雇われている労働者として働いている場合もあれば、あるいは時期今度はいわゆる一人親方として働いておる場合もあれば、いろいろ雇用の形態、仕事の形態が変わりますので、ただいま先生おっしゃったように、通算して全体の姿がわかるようにということはなかなかむずかしい問題だとは思いますが、その辺の実態をひとつよく見ながら研究させてもらいたいと思います。
#77
○目黒今朝次郎君 私はそれを百も承知で、使っている労働者を中心に健康保全という点からぜひ考えてほしいという提案なんですから考えてほしいと思います。
 それからもう一つは、いまたまたま出た一人親方、自分で一人でやっている方、これの私は白ろうなり労災なり病気という点も考えますと、一人親方の労災の特別加入制度、これについてもやっぱり真剣に私は考えてやるべき時期に来ている。個人タクシーなりあるいは船会社、漁船ですか、あるいは大工さんであるとか、特別加入制があるのですから、やはりこの一人親方の問題についても真剣に検討してほしいという点についてはいかがでしょうか。
#78
○政府委員(東村金之助君) 特別加入制度は、御承知のとおり、労災保険が本来の事業主に雇われて働いている労働者の保険であるということから見ればやや例外的な扱いでございます。しかし、やはりそういう労働者に準ずるような仕事をやっている方、立場にある方については保護しなければいかぬということで、一人親方等についても特別加入制度を認めたわけです。現在林業についての一人親方といいますか、自営業者については特別加入制度は認められておりませんが、そういう趣旨から申しましてひとつこの際業務の実態、災害発生の状況等について調査を現在進めているところでございますので、その調査の結果等を踏まえまして、どうするか方針を決めてまいりたい、かように考えております。
#79
○目黒今朝次郎君 私も五、六カ所現場を歩いてみて、非常に実態を見れば見るほど、特に東北、北海道などで冬の間雪の中でやっている方などを見ますと、非常に一人親方の取り扱いというのは大変な問題だろうと思いますから、ぜひいまの局長の検討が実を結ぶように努力してほしいということを重ねて要望しておきます。
 で、この中退金の問題でいろいろありましたが、私は二つ三つお伺いしますが、掛け捨ての関係がありましたね、三年未満。三年未満の掛け捨てとかいろいろありますが、この問題については労使の委員から何とか支給するようにしてほしいということが審議会などでも強く労使の委員から問題提起されているという話を聞いているのですが、これは何とかならないものでしょうか。私はこう見ますと、ほとんど労働者が三年未満で常に移動しているという点が総評のデータでも出ているのですが、一年、二年、三年ということは本当に中小企業であればあるほど私は大変なことだと、こう思うのですが、この辺について審議会の経過なども含めて再考を願えないだろうかということについてお考えを聞きたい。何回も聞いていますから結論だけでけっこうです。
#80
○政府委員(東村金之助君) 掛け捨て、掛け損の問題については審議会でもいろいろ議論があったところでございます。ただ、そのいろいろの議論の結論といいますか、まとめといたしまして、この際、長期の勤続者についてそういう掛け捨て、掛け損をなくすようにするか、あるいはこの制度が改善になったこの機会に、一定のものについて掛け捨て、掛け損をなくすようにするか、議論が二つございまして、そのいずれかを実現するようにという建議があったわけです。それで、ただいま御提案申し上げているとおり、後者についての掛け捨て、掛け損を何とかしたいということになったわけでございます。
 いずれにいたしましても、この問題は今後とも尾を引く問題であり、これからの審議会の検討の中でもそういう問題も出てくると思いますが、何せこの問題は、繰り返すような事情また実態でございまするので、かなりむずかしいとは思います。現在一歩でも半歩でも前進したというところを御了解願えればと思うわけでございます。
#81
○目黒今朝次郎君 ここに銭この計算のやつ、あるんですがね。掛金収入が千四百十六億八千八百六十二万三千円、運用収入が四百十五億四千四百四十二万九千円、その他収入が十六億九百三十一万二千円、合計千八百四十八億四千二百三十六万四千円。それで支出の項、退職金が四百五十億四千百八十二万円、その他の経費が三億七千三百五十六万円、あとは皆積立金ですね。この運用収入の四百十五億と退職時の支払いの四百五十億と運用資金で退職資金を賄えるんですよ、いま。ですから私は金がないとか運用がむずかしいと言うんならいま局長の言うこともわかりますが、もともと千四百十六億の金があるんだと、こういう段階ではもう少し私は一年、二年、三年の方々であるとか、あるいは政府の補助ということを考えるなり、そういう点を、財政面から見るとまだまだ余裕があるんじゃないか。余裕があれば、先ほど石本先生の質問じゃありませんが、民間の中小の退職金に見合うくらいのやはり引き上げという点をもっと誠意を持って踏み切ってもいいじゃないか、こう思うんですが、財政面からはいかがでしょうか。
#82
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生数字を挙げてお話ございましたが、この数字でいろいろお話がある中で、いわゆるお金が余っているんじゃないかというお話でございますが、われわれの計算ではそれは大部分が共済備金ということで、将来の退職金の支払いということを前提に考えているわけでございます。それで、実際問題として、いま先生のお挙げになりました総収入から共済備金の積み増し金額の合計を入れましたいわば支出といいますか、それの合計額を引いたのが通常の意味の利益金となるわけでございますが、それが二十二億でございます。で、今度の制度改正時における月額の掛金の増額について、この掛け捨て、掛け損をなくそうというのに要する資金が十二億でございまするので、その十二億をこの二十二億で賄うということになりまするので、全体的な掛け捨て、掛け損の問題を解消するというのはかなり困難かと思います。お金が一見余っているようでございますが、これは共済備金という形で将来の退職金のために運用しなければならぬものでございます。
#83
○目黒今朝次郎君 われわれも共済事業をやっているからわからないわけじゃないですよ。しかし、この共済備金の利回りなどを考えてもう少し手ができないかということを言っているんです。私は保険業のたてまえとか、そういう現行体制のたてまえだけ言えば、いま局長の答弁は名答弁です。しかし、もう少し政治的に、この中小の方々を救う、そういう政治的な配慮で運用できないものかということを要望していますから、これもずっとこの前から同じことを答弁しているから堂々めぐりですからやめます。
 それで、私はもう一つお願いしたいのですが、中小企業の退職金ということよりも、むしろ退職年金というものを重点にした考え方の方がいいじゃないか。むしろ厚生年金を充実して中小の方々でも退職しても十分に老後の生活が保障される、そういう方向にむしろ私は行った方が中小企業のために本当の対策になるんじゃなかろうか。三十年で百万ぐらいの退職金もらうと言ったっていま何にもならぬと、そういう発想の転換をすべきじゃないかということについてはいかがでしょうか。
#84
○政府委員(東村金之助君) 退職金の使い方といいますか、それはいろいろあると思います。おっしゃるように老齢年金といいますか、老後の生活安定というために退職金を出す、したがってこれは年金というふうな問題にも相なるかとも思います。そういう考え方も実はわれわれございますが、それはそれとして、他の制度でもいろいろやっておりますし、充実されるわけでございます。したがいまして、この制度といたしましては退職一時金という形になっておりますが、これはこれとして重要な別途機能を持っておりまするので、双方がその充実を図っていく必要がある。やや抽象的で恐縮でございますが、本制度に課せられた使命というのもございまするのでこれはこれとしてやる、また年金は年金として充実を図っていくと、両々相まって一つの保障というものが完結されるのではないか、こういうふうに考えます。
#85
○目黒今朝次郎君 私もないよりあった方がいいということはわかるんですよ。ないよりあった方がいいということはわかるけれども、財形の方もちょびっとやっていると、中退金もちょびっとだと、厚生年金の方もちょびっとだと、同じ政府が手をつけるならば、いわゆる老後の保障、そういうことにするならば、そういうものを体系的に統一してそして集中的にやると、そういうことの方が私はむしろいいではないか。いわゆる財形の方には四千何億の金がある、あるいはこれには千何億の金がある、これだけの金を結局運用するんですから、同じ金を集めて運用するならば厚生年金の充実というところに焦点を合わせて、あるいは国民皆年金というところに焦点を合わせて、そういうもろもろの政策を集めるということの方がより魅力があるんじゃなかろうか、こう私は思うんです。ですからその点は労働省、厚生省を問わず、あるいは大蔵省も含めてそういう点をやるのが本当の中小企業の対策じゃなかろうかと、こう思うんで、その辺の発想の転換についてもう一回考え方を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
#86
○政府委員(東村金之助君) この退職金の制度はそもそも中小企業等で中小企業の一般に行われているような退職金制度が持てないようなところを共済制度で何とかやっていこうというのが発想で発足した趣旨でございます。したがいまして、これを年金にするとかあるいはもう少し別の角度から改良するというのは新しい問題の御提案だと思うわけです。これはこれなりに一つの存在理由がありますし、かなり活用されつつこれから行くと思うんですが、せっかく先生そういうふうな大所高所からの御議論でございますので、審議会等においてもそういう御議論がこれから出てまいるんじゃないかというふうに考えております。
#87
○目黒今朝次郎君 ひとつ御検討をお願いします。
 最後に、中小企業の資金の運用をあずかる事業団ですか、中小企業退職金共済事業団、これがいろんな話があるんですが、できれば参考までに、その役員構成とわかっていれば一体給料は幾らくれているのか、それから五年と十年ぐらいで退職金はどのくらいになるのか、この点でわかっておればぜひ知らせてもらいたいと、こう思うんです。
#88
○政府委員(東村金之助君) 中小企業退職金共済事業団の役員でございますが、――固有名詞でございますか。
#89
○目黒今朝次郎君 じゃ、あとで資料もらえればいいです。
#90
○政府委員(東村金之助君) それはまたあとでお出ししますから……。
#91
○目黒今朝次郎君 じゃ後で資料を御提示願いたい。そのもらった提示資料がここで述べた資料というふうに私は確認したいと思います。
 それで、この事業団の運営について、この前、資金の運用で一・九%程度しか中小の方の融資にならないという話もあったんですが、私はこの事業団に少なくとも掛金を掛けておる中小企業主等の代表もこの事業団に入って公平な民主的な運営をする、そういう組織に改善すべきだ、こういう意見を持っておるわけでありますが、これらの問題については考え方はいかがでしょう。
#92
○政府委員(東村金之助君) 現在の事業団でやっておる仕事と言いますのは、かなり事務的な仕事でございます。というのは、その前提として法律がかなり具体的に問題を規定しておるからでございます。そこでいまのお話でございますが、労働者側の意見が反映されるような運営はできないかというお話でございますが、私どもはそういうような性格の事業団でございまするので、ただいま先生の御指摘のようなものは、いわば大綱的なものだというふうに受け取りました。そうであるならば審議会等においてそういう御議論をいただいたならば、それを事業団の運営に反映させることができるし、それでよろしいんじゃないかというふうには考えるわけです。
#93
○目黒今朝次郎君 これは私は年金の立場も言ったんですがね。やはり政府から出資をするあるいは監督官庁が扱うという点はそれなりに一理がありますが、同時に金を出した方の意見がどうなのかということも、これだけの、五億や十億じゃありませんからね、千何百億という金になってきますと、やはり積み立て側の意見あるいは意向ということも運営なりあるいは事務的な問題も含めて反映されるべきである。こういうことは年金の場合にも私は言いました、同じことを、国民年金の場合にも。ですから、少なくとも人から金を集めて、その金を運用するという場合には、その集める側と金を出す側とそれから補助する側と、そういう三者構成ぐらいで資金の運用を考える、事務的なものも考えるというのが私はそろそろ時代のたてまえだと思うのですよ。ですから、この問題について私はやはり強く意見を持っていますから、今後の運営に当たっては十分にこの問題について考えてもらって、本当にガラス張りの中でみんなの意見が偏見を持たないで運営される、そういう方向をぜひ築いてもらいたいということを要望して私は質問を終わります。
#94
○柄谷道一君 中小企業退職金共済審議会の昨年八月十日の建議の中に「制度の基本的なあり方に関する諸問題については、今後引続き本審議会として検討を重ねていく必要がある」こう述べております。また、衆議院の社労委員会の附帯決議の中にも「制度改善に関する基本的な問題について引き続き検討すること。」、大臣はこれをそんたくいたしますという答弁がございました。私は基本的問題というものの中には数多くの問題が含まれていると思いますけれども、端的に伺いますが、賃金、物価スライド問題、短期離職者向けの退職金制度、この二つが今後引き続き検討される基本的問題の中に含まれていると理解してよろしゅうございますか。
#95
○政府委員(東村金之助君) ただいまお話ございましたように、これからいろいろ基本問題をやるわけでございますが、
   〔委員長退席、理事山崎昇君着席〕
その中に、いま先生御指摘の賃金、物価スライド制の導入問題、短期離職者向けの退職金制度のあり方の問題等々があることは事実でございます。これはなかなかむずかしい問題でございますが、さらにこの問題については検討していこうと、こういうふうになっております。
#96
○柄谷道一君 それは審議会としての意向でありますか、労働省としてこれらの問題を解明するためにより積極的な姿勢をもって臨もうとする労働省当局の決意であるかどうかをお伺いいたします。
#97
○政府委員(東村金之助君) ただいま申し上げましたのは審議会の論議の過程においていま先生の御指摘のような問題が提起され、いろいろ御議論がされたけれども結論が出ないので引き続きこの問題について検討していこうという趣旨のものでございまして、私どもとしては、こういう問題は御議論願えれば、その結論が出れば尊重してまいりたい、こういうふうに考えております。
#98
○柄谷道一君 大臣にお伺いいたしますが、結論が出ればという、ただいまきわめて受け身的な局長答弁であったわけでありますが、大臣としては、これらの問題についてやはり解決すべきであるという意向に基づいて、積極的、能動的に審議会に働きかけるという御意向をお持ちでございますか。
#99
○国務大臣(長谷川峻君) 審議会においてもすでに検討課題となっており、また、皆さん方のこういう御質疑を通じても話が出ておることですから、一層御検討を願わなきゃならぬ、こういうふうに感じております。
#100
○柄谷道一君 それでは、現在本法に基づく退職金の平均支給額と平均勤続年数についてお伺いいたします。
 私の手元には四十六年度の資料しかないわけでありますが、それによりますと、約三年強、支給金額は約五万八千円と記憶をいたしておりますが、直近の実績があればお示しを願いたい。
#101
○政府委員(東村金之助君) 一件当たりの平均支給額でございますが、四十七年が五万七千七百七十七円、四十八年が六万九千四十一円、
   〔理事山崎昇君退席、委員長着席〕
それから四十九年の四月から十一月の平均が七万四千六百十七円となっております。
#102
○柄谷道一君 ただいま示されました数字にも明らかなとおり、現行の支給額の水準がきわめて低いということは否めない事実であると思うんであります。政府は、衆議院段階における質疑の中でも、今回の改正で今後五年間は一応対応し得る、こういうふうに答弁をされているわけでありますけれども、それでは一体今後五年後の平均支給額と平均勤続年数というものがどの程度になると現在推定をされておりますか。
#103
○政府委員(東村金之助君) 五年程度はたえ得るという意味は、現在の最低を引き上げ、最高を引き上げた形、つまり最低八百円から最高一万円の幅をつくっておけば五年間ぐらいは大丈夫でしょうという趣旨でございますが、それはそれとして、いま私申し上げました退職金の平均が五年後どういう程度になるだろうかという御質問でございますが、これなかなかむずかしい計算になると思いますが、あえてやってみますと、掛金の納付期間や平均掛金月額の推移等が今後五年間同じような形で続くと仮定してやりますと、五年後の平均退職金額は約二十万円程度になるということでございます。
#104
○柄谷道一君 現行もそして改正案による見通しも、御案内のように、退職金と言うには、老後の所得保障と言うには余りにも低過ぎる金額であることはこれで明らかになりました。したがって、今後退職金制度を実のあるものにするためには、掛金月額というランクを飛躍的に上へ持っていかない限り、この意味はなかなか満たさないということになるわけです。ところが、本法発足以来十六年を経過して現状のような実態でございます。果たして当局といたしましては、この掛金を上のランクに経営者が積極的に持っていくと、このようなことが容易に行われると判断をされておりますかどうかお伺いします。
#105
○政府委員(東村金之助君) 今回の掛金の幅を、天井を一万円の方向に持っていったということは、一つには、一般的に掛金の額を引き上げたいという事業主側の希望があったことも事実でございます。しかし、それは全体とは必ずしも言えませんので、やはり最低のところを八百円というところで抑えたというわけでございます。
 そこで、八百円に抑えたということは、裏返して言いますと、八百円未満のものが八百円の水準にうまく移行できるかという問題にもなると思いますが、従来の、この掛金額の改正をされた時点における事態の推移等を考え、また今回は、先ほどから御議論のある掛け捨て、掛け損について一定の措置をしたということでございまするので、八百円の線にかなりのものが上昇していくのではないだろうか、かように考えます。
#106
○柄谷道一君 私は、本制度は五年目ごとに検討することをたてまえとしておりますけれども、異常な物価変動期において、果たしてこれに対応できるかどうかにつきましては非常に疑問を持つものであります。五年後再検討のたてまえにしているということは、私は事情はわかりませんけれども、恐らく厚生年金が五年を再計算期としておるということに私は対置しているものではないかと、こう予測するわけでございますけれども、同じ老後の所得保障という目的をもつ厚生年金では、現実に即して再計算期の繰り上げが常時行われております。また、その期間内におきましても、毎年物価上昇に対してスライドするたてまえが確立されているわけであります。さらに公務員や恩給受給者には、毎年賃金スライドを行うことが慣例化いたしております。しかも、現行の労働基準法では三年間を超える労働協約の締結を禁じているわけでございます。私は、退職金というのはきわめて重要な労働条件の一環をなすものである。こうして考えますと、再計算の期間は五年間、その間に物価スライド制もない、こういうことになりますと、労働省の姿勢というものは、厚生省のその行政姿勢と対比いたしまして、余りにも硬直的であり、またインフレに対する、はなはだ失礼ではございますけれども、不感症と言うべき姿勢ではないか、こう率直に指摘せざるを得ません。関心はあっても対策なしと言われても過言ではないと思うのであります。このような意味で、大臣、今回のこの五年間という再計算期の期間は果たして異常な物価変動期に対応できる形であるとお考えになっておりますかどうか、お伺いをいたします。
#107
○国務大臣(長谷川峻君) ほかの委員の方々からもその点について御質問がありましたけれども、この制度というものが昭和三十四年に発足してから、経済、社会の変化に応じまして数次にわたって改善を行ってきたところであります。今回の掛金の範囲の引き上げなどによりまして、今後五年間ぐらいは一応対応できるものとは考えておりますけれども、実情に即さないような事態が生じた場合には、必要に応じて改善を検討してまいりたいと、そういうふうなこともあり得ると考えておりまして、いずれにしても、今後の問題につきましては、こういう法案が成立いたしました後、審議会が今後行われるに当たって基本的な検討にひとつ待ちたいと、こう考えているわけであります。
#108
○柄谷道一君 今日までの審議会の運営を私横で見ておりますと、五年という再計算期が近づいてきたということで、急速にこの審議会が持たれて、さてどうするかという審議が行われてきたというのが残念ながら実態であったと思うのであります。いま大臣、前向きの答弁をいただいたわけでございますけれども、私は、いまの内在するいろいろの問題点、しかも、この変動期に対応する物価対策、また退職金現価の維持という点、きわめて不十分であるという点を考えるならば、私は引き続いてこの審議会の審議を促進をいたしまして、さきにも申し上げましたように、労働協約も三年以上の協約を禁じているわけでございますから、少なくても二ないし三年ぐらいに審議会の意見をまとめて、残されている多くの問題点について解明するという方向をとるべきだと私は思うのであります。大臣にこの点について確約を願いたいと思いますし、また、そうすることが附帯決議にまた忠実なゆえんであると思うのでありますけれども、大臣の決意をお伺いをいたします。
#109
○国務大臣(長谷川峻君) 具体的に何年、何年というふうな確約はあるいはできませんかもしれませんが、そういう姿勢で問題を見ていきたいと、こう思っております。
#110
○柄谷道一君 ぜひただいまの答弁に基づきまして審議会の審議促進方について大臣としての努力を強く要請をいたしておきたいと思いますし、また期待をしたいと思います。
 次に問題を進めまして、同じくこの審議会の建議の中に、関係労使の意見を反映する必要があるということが指摘されているわけでございます。本制度は退職金といういわば基本的な労働条件であります。にもかかわらず、私は率直に言って労使対等決定の原則に欠けていると考えざるを得ません。すなわち、この制度に加入するかどうかは事業主の任意であります。また、掛金を幾らにするか、掛金を増額するか否かも、これまた事業主の任意となっております。この制度では労働者の意思というものを反映する仕組みになっていないわけでございます。一体だれのための退職金制度かという私は率直な疑問を感ぜざるを得ません。本法第一条の目的も、中小企業経営者の相互扶助ということを大きく打ち出しまして、結果としてそこに働く労働者の福祉につながる、こういう大体対置になっているわけであります。むしろ私は目的そのものが逆ではないか、中小企業というものに働いている者には退職金がなかなか出ない、出しにくい、したがって、そこに働く人々の退職金というものを確保するということが主目的に置かれ、そのためにこれを助成する一つの手段として本法というものが存在をする、こういうふうに私は発想が逆転しなければならないのではないかと、こう思うわけであります。一貫してこの制度の中に労働者の意向反映というものが十分整備されていない、こう考えるわけでございますが、これに対する大臣の所見と、今後どのようにして労働者の意向反映というものを図っていくのか、これについてお伺いをいたします。
#111
○国務大臣(長谷川峻君) 局長からちょっと……。
#112
○政府委員(東村金之助君) ただいまのお話、この制度に加入する、あるいは加入した際の掛金等の問題について労働者の意向反映の問題が提起されました。お話しのように、これは労働条件ないしはそれに準ずるものでございまするので、労使間で必要に応じて話し合いが行われ、円滑に納得した上で加入あるいは掛金の支出というものがあることが望ましい、かなりのものがそういうふうにやられておると思うわけなんです。ただ、ごく零細になるとなかなか問題がそのようにいかないという面も否めないと思います。ただ、たてまえといたしましては、御承知のとおり就業規則に、その事業場の労働者の全体に関することを決める場合には就業規則でうたえと、こういう規定がございまして、そうなればこの問題も、退職金に関することは就業規則にうたわれることになると思うんですが、就業規則については御承知のとおり労働者の意見を聞かなきゃならぬと、こういう筋道がございまするので、そこで労働者の意見が反映されるということになるとは思います。しかし、それは就業規則を一つの間接的な手だてにするまでもなく、もう少し直接的に話し合いをしたらどうかというお話の向きに私承ります。そういう方向に持っていくことがひとつ望ましいことであり、またこの制度を周知させる一つの手段だと思いますので、具体的にどうしたらいいか、私どもも寄り寄り知恵をしぼって、審議会の先生の御意見も聞きながらやっていきたいと思います。
#113
○柄谷道一君 私、率直に過去十六年間の実績を見ますと、経営者に対しましては確かにパンフレットなどを作成をいたしまして、こういう制度がございますよという紹介の啓蒙活動が行われていることは承知しております。しかし、いま局長が答弁されましたように、労働組合のあるところはもちろんこれ労働協約でございますが、労働組合のないところは、そこに働く従業員の過半数の同意によって就業規則というものが制定されている。その労働協約なり就業規則を制定するに当たって、この中小企業退職金共済法というものの存在を明らかにし、この制度に乗っかることが、そこに、中小企業に働く者の退職条件を向上することにつながっていくんだという、そういう意味での啓蒙、PR活動というものは、率直に言って余り行われなかったと私は思うわけでございます。労働者の意向反映ということになるとするならば、労働者に向かって本法の精神と、そしてこれは労使が対等の立場に立って退職金を決め、そして積極的にこの制度というものを活用するようにというPRが行われてしかるべきであると、こう思うわけでございますが、その点はそうでございますね。
#114
○政府委員(東村金之助君) おおむねそういう趣旨のことを申し上げたつもりでございます。ただ、就業規則でございますから、労働組合ないしは労働者を代表する者の意見を聞くということでございまして、その過程においてその意見を反映させるということでございます。
#115
○柄谷道一君 まあ、今日までの啓蒙活動で若干軽視されておったその側面というものをもう一度これは再認識されまして、文字どおりこの制度というものが生かされるように、これは労働省の姿勢としても積極的なその面における啓蒙をこれまた強く要請いたしておきたいと思います。
 そこで、この労使反映のもう一つの問題でございますが、現在の中退共済審議会の委員は学識経験者のみで構成されております。私は、現在政府の持っております審議会、いろいろの形がございますけれども、少なくてもたとえば労働省関係の中央職安審、これは雇用に関する重要な審議会でございますが、三者構成になっております。労働条件の重要な部分である最低賃金制の問題についても、最賃審議会は三者構成になっているわけでございます。しかし、この退職金というものは労働条件であるにかかわらず三者構成になっていない。審議会の構成を学識経験者のみとした理由が一体どこにあるのか、お伺いをいたします。
#116
○政府委員(東村金之助君) この学識経験者としたのは、実は三十四年の法制定の際にはこの審議会の設置自体が政府原案にはございませんでした。で、国会の御審議の中で修正提案により現在のような形になったわけでございます。それはまあ、いずれにいたしましても、この問題はいわば労使の利害が対立するといったような性格のものではないと私ども考えておりますが、実際の委員さんをお願いする際も、当初から公・労・使の各分野の方々から委員になっていただいて、実際上は三者構成と同様の形でございます。そういう形で運営もスムーズに行われておりますし、したがって、このままの形で運営については何ら支障がないのではないかというふうに考えます。実は審議会の中でもいろいろ御議論があったわけでございますが、多数の御意見は現行のままということで、建議にはこの問題は含まれておりません。
#117
○柄谷道一君 大臣はたびたび、労働者参加の体制というのは望ましいし、それが今後の日本のあるべき姿であろうと、まあ大臣の所信を表明されているわけでございます。過去の経緯は経緯、そして、まあ運用上そういう配慮が行われているということも承知いたしておりますし、労働四団体代表が学識経験者という形において審議会に参加していることも承知しております。しかし、たてまえといいますか、やはりこの種審議会は労働条件の基本部分の一つであるということを考えるならば、今後やはり三者構成というすっきりした形に改めるということが私は筋ではないかと、こう思うわけでございますが、大臣、この点については再検討願えませんか。
#118
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほどから局長が答弁したように、これは労使が対立する案件じゃない。もう一つは、労働者代表の方が学識経験者の形において、実際は労働者代表であってそれが学識経験者という資格において参加しているということでありまして、私はかねてから労働者代表がいろいろな審議会等々にお入り願うという姿はいままでもとってきましたし、いまから先もとってまいりたい。問題、問題も一つ一つによってやはり多少区別があるのじゃなかろうか、こういうふうなことを考えながら、いま置かれている審議会がそういう形にあった場合に、いかにもいま労働者代表の形において学識経験者となっている人を労働者代表だという形に持っていって果たしていいものかどうか、そういう問題についてもまた改めて考えさしていただきたい、こう思います。
#119
○柄谷道一君 この点いま直ちに検討するという約束はなかなかむずかしいと思いますけれども、私の申しました趣旨に基づきまして今後その構成というものが果たして現状でいいのかどうかについては一つの大きな問題点であろうと思いますので、私もまた改めての機会に意見は申し上げますが、一応労働省でも検討の課題として記憶の中にとどめておいてもらいたいと、こう思います。
 それから、この審議会の建議の中には「労使の意見反映」ということについて「審議会及び関係労使の意見を反映」、こう併記をいたしておるわけでございまして、現状のような実態であるとすれば審議会のほかにこれと並行して労使の意見も十分聴取すべきであるという趣旨とこの建議は続み取れるわけでございます。「及び」といういわゆる補強する意味における労使の意向反映も配慮せよと、こう続み取れるわけでございます。審議会以外に労使の意見を反映する場が具体的にどこにあるのか、どういう運用を今後されていくつもりであるのか、お伺いいたします。
#120
○政府委員(東村金之助君) この点については、先ほど事業団の運営問題について御指摘、御質疑があったとおりでございまして、そこに「労使の意見を反映」云々ということが出てくると思うわけです。これについては先ほども申し上げましたが、かなり技術的なことであり、客観的な基準というものが明示されておるのでそういうものに乗っかって、そういうものを基準として動いている審議会としては、それほど労使、労使ということではなくて、もしそういうことがあるならば審議会の場において皆さんの意向が一つの方向づけをして、その上に事業団が動くという形でよろしいのではないだろうかということは申し上げたわけでございますが、さらにこれは建議をした審議会等についてもその辺をもう少し詰めてみたいとは思います。
#121
○柄谷道一君 ここで国文学的な私は解説をしようとは思いませんけれども、これを読みますと「審議会及び関係労使の意見を反映し」と、こうなっておる。そういうふうに書かれておりますとね、審議会は十分現在の構成の中で審議をするけれども、そのほかにやはり労使の意見を反映するような運営を図るべきであると、こう当然常識上とれるわけです。今日までの運営、そういった点は余り配慮されていないというのが実態でございますから、私はこう文章だけの面で審議会の意向をくみ取っているわけでございますが、文字どおり、審議会の意向が生かされるようなひとつ運営をこれまた強く望んでおきたいと思うわけであります。
 次に問題を移します。
 私、冒頭の質問で、現在及び今後の見通しとしての退職金の支給水準が低いということを答弁の中で明らかにさせました。私は支給水準が現在低いというその要因は、一つは中小企業における勤続年数が短いということ、転職した場合の掛金納付月数の通算制度が不備である、この二つに由来するところが大きいのではないかと、こう思います。中小企業の場合は大企業等に比べまして労働移動が激しいというのは率直な実態でございます。ということになると、私は現行の制度は、そうした労働移動が激しいという中小企業の実態に十分対応していないというところにこの水準の低さがあると、こう指摘せざるを得ません。
 そこで今回の改正によりまして、確かに掛金納付月数の通算を行い得る期間を退職後二年以内と延長した。自己都合退職でもやむを得ない場合は通算を認めるという措置をとった。一歩前進であります。これは評価します。しかし問題は、これを生かすかどうかは、やむを得ない場合というその具体的基準にかかってくると思うわけであります。労働省にお伺いしますと、それは省令によって定める。省令については今後審議会で十分意見を聞きたい、こういう意向だと聞いておりますけれども、きわめてこれは今後の水準をいかに高めていくかについて重要な問題でありますので、省令をどのようなものにするという構想を現在お持ちなのかどうか、審議会に諮ると言っても無手勝流ではないと思います。省としての原案を審議会に示して意見を問うというのがこれは常識であろうと思いますので、その省令の構想について御発表願いたい。
#122
○政府委員(東村金之助君) 審議会にかける原案は現在固めつつあるところでございまして、この法案が通る前にこういうものが固まったというのはどうかと思いますが、現在固めつつございます。そういう意味でお答えすることをお許し願いたいんですが、われわれといたしましては、たとえば国元にいる親が働けなくなって、その扶養のため国元に帰らなければならないということで退職せざるを得ないという場合とか、さらには転勤を命ぜられたけど家族の都合でどうしても転勤ということができない、したがってやむを得ず退職せざるを得なかったというような場合が一つ考えられるんじゃないかと思います。
#123
○柄谷道一君 半熟なのか生卵なのかこれは知りませんけれども、まだ固まっていないということでこれ以上の追及は無理かと思いますけれども、これは大臣ですね、私ここにも発想の転換が必要じゃないかと思うのですよ。というのは、この改正案のたてまえは、原則は不通算ということになるんですね、やむを得ない場合は認める、こういう発想でございます。私は中小企業の労働実態というものを考えますと、少なくともこれ全部通算になれば言うことないんですけれども、最低の条件としてはやはり通算をたてまえにする。かくかくこういうものについては通算をしないことがある、いわゆる不通算をたてまえにするのではなくて通算をたてまえにする。それが私は中小企業の労働実態にマッチする労働省としての発想に置かれなければならないのではないかと、こう思うわけです。大臣、いかがでございますか。
#124
○政府委員(東村金之助君) 大臣のお答えある前に一言申し上げますと、現在行われておりますのは、現行はただいま柄谷先生からおっしゃったように、一定のかなり制限された場合のみ通算ということがあったわけでございますが、今後はその条件を緩和した形で通算を認めていこうと、こういうふうになったわけです。そもそもどうしてこういうことになるのかということはいろいろ理由がございますが、一つには個々の事業における退職金制度を持っていない事業場について共済で同じものを、ないしそれに近いものをやっていこうということでございまするので、そういうところから通算ということが、たてまえ上考えられなかったということが一つあると思うんです。
 それからまた、現在のこの収支計算におきましては、やはり通算を無条件に認めるということではなくて、一定の先ほど申し上げたような条件つきで通算を認めるというたてまえになっておりまするので、それを全部事由のいかんにかかわらず通算するということは、抜本的に改めることになりますので、その影響が多いのでかなり困難ではないかと、かように考えます。
#125
○柄谷道一君 私、労働大臣は中小企業の労働実態も熟知されているわけであります。働いている者は、できることならば一つの企業に続けて勤めたいわけです。中小企業は大企業に比べて移動が激しいということは、私は本人の責めというよりも、やはりそうせざるを得ない客観情勢というものが現在あるということではないかと思うんです。働いてみたら労働条件が余りよくない。しかも、このインフレの中で少しでも高い労働条件のところに移動して、生活を守ろうとする。また労働環境というのが働いてみると余りよくない。私は本人が勝手気ままに企業から企業にチョウのように移動しているというのではなくて、そうせざるを得ない現在大きなバックグラウンドというものがある。私はそこに目をつけなければならないと思うんです。ということになると、今回の改正で修正をするわけに私はいかぬと思いますけれども、少なくても不通算がたてまえで、例外を認めてやるという原則ではなくて、やはり中小企業に働く者については通算がたてまえなんですと。しかし、かくかく言う理由は通算するに若干問題があるので、これは例外として除外する。そういう発想の転換というものをこれ行うことが本当に実態に即した中小企業対策と言い得るのではないか、私はそう信じております。今後、引き続き行われる抜本改正の中で、私はぜひこうした発想の転換を大臣に求めたいと、こう思うんでございますが、大臣どうでございますか。
#126
○国務大臣(長谷川峻君) 御意見として承っておきます。従来はやはり非常にどこへでも行って働けるという時代でもありました。しかし、こう低成長になりますと、先生のおっしゃるような問題も非常に大きなウエートを占めると思います。今度の改正において、一歩前進半歩前進という評価をいただいておりますが、それがやっぱり二歩でも三歩でもよけい前進するような姿に持っていくことが大事ではなかろうか。それが、具体的にどういう法律改正なり法律の中に当てはめられるか、保険財政、共済制度全体の問題にも関係いたしますので、研究さしてもらいたいと思います。
#127
○柄谷道一君 ぜひ検討の中に加えて、前向きの対処を願いたいと思います。
 次に、昭和三十四年にこの制度が制定されて十六年経過いたしました。ところが、一般退職金共済加入者は昨年十一月末で労働省資料によりましても事業主数で十六万四千三百十四、被共済者数は百四十七万七千四百十七人、これは千五百万人と言われる中小企業に働く者の約一〇%にしかすぎません。また、この水準をながめてみますと、直近の資料は昭和四十八年に中労委が発表した退職金の水準があるわけでございますけれども、千人以上企業の退職金、局長は押さえ方いろいろあると言いましたけれども、私は中卒で勤続三十年、そして定年退職というところを抽出をしてみますと、約五百万円でございます。同じ基準による自己都合退職金は四百四十九万円、これは中労委の資料に出ているわけでございます。これに対置させるために、本制度による掛金が一体どれぐらいになるか、こう見ますと、四千円の月額掛金を掛けて、三十年で四百六十四万円でございますから、ほぼ千人以上退職金と、千人以上企業の退職金に対置できる水準は掛金四千円程度。これでもやはり千人以上よりも若干下ということになるわけです。ところが実態を見ますと三千円台が二四・七%なんですね。で、千円未満、千円台、二千円台、これが実に七五%を占めている。したがって、ランクとしては一万円のランクまでこれ設けてありますけれども、現在の掛金の実態というものから考えますと、やはりその水準においても格差が著しい、こう言わざるを得ないと思うわけであります。こういったことを考えますと、この普及を高めるための加入促進対策というものが、今日まで不十分であったと。と同時に、中小企業経営者にとっても、本制度が魅力に欠けていたということが言い得るのではないか、こう思うわけでございます。
 そこで最近、この社労委員会でたびたび取り上げられている問題は、労務債権確保の問題でございます。特に労務債権中、退職金の確保というのはきわめて困難な状態にあることは、各種倒産等の実例が示すとおりであります。そういう最近の情勢を踏まえますと、これは退職金確保の一つの施策としても、本制度がきわめて大きな機能を持つということが言い得ると思うわけでございます。今日までの低さ、そしてこれからの低経済成長下における労働者の労務債権確保という視点を考え、かっこの著しい格差を解消する必要があるという事実を考えますと、私は本当にこの際本腰を入れた加入促進の対策と、掛金のランクを高めるための努力が、全省挙げての私は取り組むべき大きな課題ではないかと、こう思うわけでございますが、このことに対する今後の労働省の方針を明確にお伺いをいたしたい。
#128
○政府委員(東村金之助君) 御指摘のように、もう少し加入の範囲を拡大すべきではないかという点と、それから掛金の額をさらに増額するような形に持っていくべきではないかというお話でございます。私ども全くそのとおりで、そういうことが実現できるようにもろもろの努力をこれから展開していきたいと思いますが、現在やっておりますのは、たとえば事業団とか労政行政機関によるPR、さらには地方公共団体等による加入促進、それからラジオ、テレビによるPR等々いろいろやっております。特に最近、東京や大阪等の重点対象地区を指定いたしまして、そこに関係行政機関や事業主団体を構成員とする加入促進協議会というものを設けまして、一般的なPRのほかに、個別事業場に対する加入意向の調査等、かなり精力的にやりました結果、かなりの成果が上がっているということを聞いております。そのほか地方公共団体、地方自治体等の一部では、掛金の一部を補助をするとか、さらには事業団に地方債を引き受けてもらっている地方自治体は、加入促進三カ年計画を定めて、その実現を図っている等々の事実もございます。いずれにいたしましても、それにいたしましても、われわれが考えるところでは、もっとやはり加入を広げたいと思いまするので、審議会等の知恵を拝借しながら、さらに、ここで想を新たにいたしまして加入促進について進んでまいりたいと思います。
 で、もう一つの掛金の額の増額でございますが、これについてもいろいろ指導等を行っていくことは当然でございますが、今回御審議を願っている中におきましても、初めての試みといたしまして、制度改正後一年以内の間に掛金月額を増額した場合には、仮にその後二年未満に退職した場合であっても増額部分について特別に掛金相当額を支給すると、前々繰り返しておりますように、掛け捨て、掛け損を解消していこうということの一つのあらわれが出ております。こういうことによってこの制度切りかえの際に増額の方向に持っていく一つの手がかりがあるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。いずれにいたしましても、この問題御指摘のように、一定の枠が、八百円から一万円という枠が設定されても下の方にいたのではなかなか労働者に恩典が行かない、できるだけ上の方の掛金を掛けるようにという、そういう指導もわれわれ必要だと思いますので、これまた各方面の御意見を聞きながら御知恵を拝借しながら進めてまいりたいと、かように考えております。
#129
○柄谷道一君 私は今日までのような加入促進対策を継続したのでは、やはり依然として同じだろうとこう思うんですね。本当に本腰を入れてやるという御答弁でございましたから、その結果を期待したいと思うんですけれども、さきの質問の中で指摘いたしましたように、これはやはり経営者に対する啓蒙ということも当然行わなければなりませんけれども、やはり中小企業に働いている人々にこの制度というものを熟知させ、このメリットというものを浸透させ、そして労使の話し合いの中でこれに対する積極的加入なり掛金額の引き上げという、そういう両々相まって一つの成果というものを期待することができる、こう思いますので、今後の啓蒙活動の中にぜひその面に対するひとつ配慮を特段にこれはお願いをいたしておきたい。
 あわせまして、私は、経営者に対して入れ入れということのPRは必要でございますけれども、やはり経営者にとってこれメリットという点を経営者は当然考えると思うんです。この制度に加入していなければ、決算上退職積立金というものを出しましてその退職積立金は一定のところに預けられているわけではなくて、これは事業の運営費にこれを使用することが可能なわけであります。問題はここに積み立てられた金がどのように運用されるのか、その運用がどうしても中小企業にとってやはり有利なんだというものが私はなければ、経営者はなかなかこれに積極的に対応するということがむずかしいと思います。
 そこで、現在昭和五十年三月末の資金運用状態を当局から資料いただきますと、千六百五十五億円の積立金に対しまして、確かに商工債、及び中小企業債、これ合わせますと約百三十億程度が運用されております。このことが政府系三庫を通じて中小企業に対する融資なり設備改善資金に回されているということはそのとおりだと思いますけれども、内容を見ますと不動産債、興銀債、長銀債、資金運用部預託金、投資不動産、こういった面になお多くの金が運用されているということは、これはもう資料の中で出てきているわけでございます。私はこのウエートというものをもっと中小企業経営者が積極的にこの制度というものに加入し制度を盛り上げていく、盛り立てていく、そういうために魅力ある管理運用内容というものがとられてしかるべきだと、こう思うわけです。資金運用に関して労働省は具体的にこの事業団に対してどのような指導をし、今後どういう指導をしようとされているのか、お伺いをいたします。
#130
○政府委員(東村金之助君) 資金運用の問題については、再三御指摘ございましたが、これはできるだけ中小企業者の事業資金またはその従業員の福祉の増進のための資金に融通されるように配慮されなければならないということが法で明記されております。で、これはもう一方の要請である、この資金は将来の労働者の加入被共済者の退職金に充てられるものでございまするので、安全でなければいかぬし、それなりの利を生むものでなければいけないという要請もございまして、その調整を前提にしながらこういう法律ができているわけでございます。資金の大半については商工中央金庫の発行する商工中金債と、中小企業金融公庫の発行する中小企業債の購入に充てられているわけでございまして、これは全体の約六四%となっております。つまり中小企業向けが六四%ということでございます。で、このほか労働者住宅等の福祉施設設置のための資金に充てるため、事業場、事業主への還元融資を行っていることは御承知のとおりでございまして、融資の合計は、昭和四十九年十二月末現在で累計七十三億、残高三十三億というふうに相なっております。今後ともこの方針に沿ってできるだけ中小企業またその労働者のために役立てるように努めてまいりたいと思いますが、いろいろ問題点等も指摘されておりまするので、そういう問題も含めながらこれまた審議会等の場においていろいろ御研究をしていただければと、かように考えております。
#131
○柄谷道一君 従業員の福祉にも還元融資していると言いますけれども、これもっと新しい五十年三月末現在で百十七億九千万円、全体の中でわずか七・一%なんですね、福祉に対して還元されている金額は。まあ、いま局長項目としては挙げられましたけれども、この運用実態を見ると果たして中小企業労働者の福祉のために還元していると言うには余りにもその比率が一割にも満たないという実態でございます。
 それから、この資金運用に当たっては安全確実という条件が必要だと、こう言われるわけでございますけれども、商工債及び中小企業債、これもたとえば中小企業債はこれは政府保証債でございます。商工債というのもこれは安全確実な運用の方法でございます。ということになると、この法の精神から言いまして、まあ、いま六十何%とかいう答えではございましたけれども、私は、たとえば資金運用部預託金とか興銀や不動産債というような問題もここにあるわけでございまして、より商工債より有利であるとも余り考えられません。むしろ中小企業経営者にメリットを感ずるような、さらにそこに傾斜した資金運用というのが当然これは図られてしかるべきだ、こう思います。大臣ひとつ、これは共済事業団に対して現在とっております指導を、私どういう指導をしているのかわかりませんけれども、文字どおりこの法文に沿ったより中小企業のためへの運用というものについてこれは格段の御配慮を図っていただくべきだと私は思いますし、還元融資についてもちょっと七・一%ではそのウエートとが低いと、こう思いますので、この点について大臣の今後の御努力をお願いできますか。
#132
○国務大臣(長谷川峻君) これは直接この問題に関係ないかもしれませんが、私は来年度予算を労働省でいろいろ研究するに当たりまして、この国会で、衆議院、参議院両委員会において御議論のあったものを一遍ずっと洗っているわけです。そういう中にまた労働省の予算も考えるべきじゃないか、もちろんそれはおっしゃられたこと全部入れるわけにいかないものもございましょう。しかし、どういうものが議論であったかということを改めてリハーサルする、そういう姿勢をとって研究しておりますから、この委員会で御議論の出たものも私は関係各方面と検討いたしまして、研究いたしまして、いろいろ問題点について洗ってみたい、あるいは推進してみたい、こういうお話で御理解を願っております。
#133
○柄谷道一君 私は来年度予算ということになると、財投関係で資金運用部預託金をどの程度にするか、これは確かに予算とは関連しますけれども、その他の項目につきましては、予算というよりもむしろ運用によってこれは図れる問題だと私は思うわけです。まあ、いままで本委員会で出た意見を洗い直して、それぞれ意に沿うように努力するということは、これはありがたいと思いますけれども、さほど大げさでなくても、これは大臣の決断と指導いかんによって直せる問題がたくさんあるわけでございますから、その点ひとつ来年を待たずしても大臣権限で行い得るものにつきましては、ぜひ本制度を育成する意味においても、大臣としての御努力を強くこれまた求めておきたいと思います。
 それから最後でございますが、国庫補助の方の問題でございます。
 確かに今回の改正で四百円が八百円の掛金になったということによって自動的に国庫補助はふくらみます。審議会の答申の中の半分はこれによって沿い得たと、こう評価をいたしますけれども、もう一つ、審議会は「掛金納付が長期にわたる者については、国庫補助のあり方を検討すべきである。」という建議を行っております。これは本法の改正には、残念ながら盛り込まれていないわけでございます。今後この建議に沿うために労働省としてどういう方針を持って臨まれようとしているのかお伺いをいたします。
#134
○政府委員(東村金之助君) 確かに建議にはそういう趣旨のものが出ておりまして、私どももできるだけの努力をしたわけでございますが、全体の予算が額としてはふえておりますが、いま先生のおっしゃったような質的な問題については、今回は実現できなかったわけでございます。私どももできれば長期の在籍者について優遇するというたてまえでございますので、そういう人に厚く国の補助が行くようにということを姿勢は変えておりません。したがいまして、これは今回だけの問題としてではなくて、次の機会はいつになるかこれはわかりませんが、われわれの姿勢としては、やはり長期の者に厚く行くようにという姿勢は貫いてまいりたい、かように考えております。
#135
○柄谷道一君 時間の関係で私は質問をしぼりましたけれども、ただいままでの質問で明らかになりましたように、この制度の基本的改革についてなるべく再計算の期間を早めて、その間鋭意努力することによって対処しなければならない問題点がございます。この点はこの点でひとつ本日の答弁を生かして御努力を願いたいと思いますが、しかし、制度の改革を待たずしても、労働行政の中で本制度を生かすも殺すもそこにかかっているという問題が数多くあることを私は指摘をいたしました。本制度に私は賛成する者の一人でございますけれども、そのためにもこの制度を実らしてもらいたいと強く要望いたしておりますので、最後に、大臣に対して積極的な行政姿勢を持ってひとつ本制度の実を上げるような御努力を強く希望いたしまして私の質問を終わります。
#136
○山崎昇君 文字どおり最後の質問者として、二、三大臣の見解を聞きながら、議題になっております法律案の内容を確認をしていきたいと思うんです。
 いままだ春闘で問題が解決しない労使間もありますけれども、大筋は春闘という形が収拾されたのではないだろうかと、こう私は思います。そこで、労働組合対資本側の闘いというのは、勝った負けたというゲームではありませんから、そういう表現は私は適切でないと思います。
 そこで、大臣にお聞きをしたい第一点は、今後の春闘は、政府側としては大体政府の見込んだとおり進んでいった、言うならば政府が考えているような成果が上がった春闘だとあなた方はお考えになるのか、あるいはもしそうでないとすれば、この春闘はまだどういう点に問題があるとお考えになるのか、まずその辺からお聞きをしておきたいと思います。
#137
○国務大臣(長谷川峻君) 賃金は、先生御承知のとおり政府が介入するものではございません。私は、やはりいまの時代に、単なる春闘対策とかそういう問題じゃなくして、やはり世界が物価高、雇用不安、不景気、これをどうして切り抜けるかということが各国がみんな苦心しているところだと。そこにおいて一番大事なことは、やはり物価の安定だろうと思います。そういうことからしますというと、政府は一五%程度というものを三月末消費者物価として昨年のたしか九月でしたか設定したわけであります。これに一生懸命国民各位の御理解を得まして一四・二%ということができました。こういうものなどが一つの大きな柱となりまして、労使の間において勝った負けたということなしに、まさに私は国民生活全体の問題としていまのような賃金が労使の間に決まりつつあると。
 そこで、私は、組合の諸君によくお会いしますというと、一時は一五%程度というものを労働省なり政府が言うけれども、それが実現しないときには一体おまえは責任をとるのかという御議論もございました。しかし、これは国民連帯の姿において一四・二%、そしていまから先は労使の間において、日経連の統計などもいま出ておりますけれども、そういう賃金に決定はしたものの、いまから先の物価はどうなるんだと、だから、政府が言うところの来年三月末消費者物価一けた台、これをぜひ実現してくれと、それが自分たちの生活を守るものである、こう言われておりますので、実を申しますとまさにこの物価抑制がいまから先国民全体のまた大きな問題じゃなかろうか、こういうふうに考えております。
#138
○山崎昇君 私の聞いているのは、勝った負けたという意味ではないんです。いま大臣から話がありましたけれども、政府としてはいろいろなことが内容的にあるでしょうが、この春闘全体を見てほぼ政府側の考えておったような方向で春闘というものが終了したとあなた方は判断をするのか、あるいはそうでないのか、そういうことを聞いているわけです。ですから、もちろん物価の問題もあるでしょう、組合とのやりとりもあるでしょう、あるでしょうが、世間では一般的に、政府並びに経営者が一体になって、言うならば物価のあなた方が出した一五%という範囲内に抑え込まれた、あるいは経営者の方は、何が何でもこの一五%以内に抑えるのだ、そういうたびたびの言明等もありますから、俗に新聞では総評が敗北宣言をしたとやら、あるいは政府は思惑どおりいったとやら、いろいろな表現がありますが、私はそういうことを抜きにして、政府としてはおおむね、これからの対策等を考えればこの春闘としては政府の考えた方向に行ったんだと、落ちついているんだと、こう判断されるのかどうかということをお聞きをしているわけです。
#139
○国務大臣(長谷川峻君) 賃金の一番大事なものは私は物価だと、こういうふうに思っておりまして、一四・二%できたことを非常に評価しておりまして、その間においてこういう日本の経済危機の場合に、労使の方々がそれぞれ苦心をしながら、それぞれがある場合には苦心をしながら私はいまのような賃金になったということは、大事なときに当たっての良識といいますか、将来の経済発展のために非常に苦心されたと、こういうふうに評価しているものであります。
#140
○山崎昇君 どう表現しようとも、たとえば福田副総理なんかは、なだらかな賃上げで、まあまあ政府の考えと致したというような言い方もしておる。そういう点からいけば、いま労働大臣はなかなか苦心した物の言い方をしておりますが、私ども判断するのに、やっぱり政府としては、この春闘はまあおれらの考えたとおり一応は進んだんだと、こうお考えだろうと、こう思うんです。
 そこで、あなたがいま盛んに物価の話をされますから、おいおいまあ聞いてまいりますが、そこで私は物価と賃金の問題について、きょう、これはとても短かい時間で議論するだけの時間はありません。ありませんが、一、二私どもの考え方を述べておきたいと思うんですが、これはあるアメリカの学者でありますけれども、賃金が上がったから物価が上がったのか、物価が上がったから賃金が上がったのか調べてみた。物価が上がったから賃金が上がったという事実は幾らでも探すことはできたが、賃金が上がったから物価が上がったという事実を探すことは困難であった。これが賃金と物価の関係でありますという学説もある。あるいは、経済企画庁に熊谷委員会というのがありますが、これは日本経済調査会という名前でやっています。その中に大川委員会というのがありまして、この発表によりますというと、日本には賃金インフレはない、あるのは利潤インフレである、企業の利潤が物価を上げるのであるという、こういうまた発表もある。あるいは賃金問題の権威と言われます金子美雄さんの論文を見るというと、日本の学者や経済評論家は、賃金と物価の問題については何にも知らない。ただ賃金だけが物価を上げるような宣伝は間違いだという、こういう考え方もある。しかし、今日まで政府あるいは日経連等がとってまいりましたのは、この物価というのはほとんど何か賃金だけが原因みたいな言い方が大宣伝されているわけです。しかし、そうではない。そこでいま盛んにあなたは物価、物価と言うが、政府が設定しました一五%ぐらいに抑える、来年の三月には一けた台に抑える。そして、福田副総理の話によれば、なだらかな賃上げであったからまあまあだと、こう言う。もしそうだとすれば、これから物価が上がっていくということになるというと、これは大変なことになるじゃないか。私は逆な言葉で言えば、やはり賃金はどんなに低く抑えたとしても、そのときの経済政策を誤れば、物価は上がるものなんだということを政府みずからが証明することになると思うんです。そういう意味では、一体これから政府は物価に対してどういうふうにとっていかれようとするのか、もう一遍聞いておきたい。
#141
○国務大臣(長谷川峻君) まさにおっしゃるとおり、賃金の問題については学者の中に諸説がございます。中には〇%の賃金だという人もいます。いずれにいたしましても、労使の間でのこれはやりとりでございます。問題は、やっぱり物価でございます。せっかくもらってきた賃金が、毎日毎日物価が値上がりすることによって家庭生活が不安になっても困りますし、経済生活がめちゃくちゃになっても困ります。そういうことからしますというと、九・九%一けた台という、来年三月末のこれは、本当にいままで以上の努力でがんばっていかなければならぬ、こういうふうに私たちは考えている。私なんかは先だって地方で講演した場合にも申し上げ、あるいは日経連の総会に招かれた場合に、三木総理が出席しないで私が参りましたが、その際に私がそこで演説をしましたことは、いまから先、企業の方々が自分の製品を値上がりするというふうなことがある場合には、裸でもって国民の理解をもらうために裸になって、そして経理公開も辞さないような姿でいかなきゃいけません。それぞれがやっぱり社会的責任を持つべきだ、こういうふうな姿勢をとっておりまして、そういう姿勢の中に、いまから先の物価抑制に労働省のたてまえからも推進してまいりたい、こういう考えであります。
#142
○山崎昇君 そこで、物価の問題もう少しお聞きをしておきたいのですが、実は、亡くなった佐藤さんの言葉をかりるのは大変恐縮でありますが、佐藤さんが総理になりまして、昭和四十年の元旦に記者会見をやられて、当時から物価の問題述べられておりまして、私もいまだにその記憶を持っているわけですが、物価というのは経済の集中的な表現である。だから、その国の経済がいいか悪いかは物価を見ればわかるのだ、こう述べられた。そうして、この物価はわれわれ人間の体にたとえて言えば、脈か、熱みたいなものであって、何が原因かわからぬが、熱が続くということは、体が調子が悪いんだと、こう言われる。いろいろ政府は分析をして対策を立てられると、こう言うのですが、そういう点から言えば、いまの経済政策というものは、この物価高一つ見ても私は経済の運営が誤ってきたのではないだろうか、これは政府が認めなければならぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。
#143
○国務大臣(長谷川峻君) 四十年代の高度経済成長、一一・四%平均、そういう中に生産性、中から賃金が取られた時代もございます。そうしてまた、今日はそれがマイナス一・七%、そうして本年度は四・三%の成長率、安定成長ということでございますから、これはときにはそれぞれの立場から試行錯誤というふうなお話もあるでしょうけれども、国内政策だけにあらずして、やはり国際要因とか、いろいろのものが考えられておりまして、日本だけが物価高じゃなくして、よその国が物価高の中に、お互いがいかにして安定を求めていくかというところに、私は努力目標を持つべきではなかろうか、こういうふうないま感じであります。
#144
○山崎昇君 確かにいろいろな要因はあるでしょう。しかし、私は何と言ってもいま申し上げたような言葉から言っても、日本ぐらい異常な物価高はないと言われるいまの国際情勢の中で言えば、やはり日本の経済政策は誤ったと言わざるを得ない。その結果がわれわれが苦しんでいると言わざるを得ない。そこで、具体的にお聞きをいたしますが、実はきのうの読賣の夕刊に、通産省が経団連と懇談をしたときに、企業に対して物価の抑制、値上げの抑制をしてくれということを盛んに言っているようであります。しかし、なかなかこれについては向う側からもかなりな注文が出たようであります。したがって、この物価を私は抑えていく、下げるということは容易ならざる時代じゃないかというふうに一つ考えます。
 もう一つは、きのうの参議院の物価等対策特別委員会で、わが党の対馬君から、それならば政府は自治省の事務次官通達で、公営企業や水道料金や、公共料金を上げなさいと、物価を上げることについて促進をしているのではないか、一体これは政府の物価抑制政策とどうなるのだという質問で政府がちょっと困っている。経済企画庁は待ったかけたそうでありますが、すでにこの通達は出て、各自治体は地方財政の問題もありますが、いま弱っていると思われる。そういう点から考えますと、私はこのどうも政府のやっております物価政策というのはちぐはぐではないだろうか、極端な表現を使えば、マッチポンプではないであろうか、片一方では物価を抑えます、物価を抑えますと言い、片一方ではどんどん上げるようなことばかりやっている、これがいまのあなた方のやっている実は状態ではないであろうか、だから、もう少し言わしてもらうならば、ある経済評論家は、いまやわが国の経済はリング・リング・ブラザーズの喜劇を見る思いがする。四人の気狂いじみた男が自動車に乗り、一人はアクセルを踏み、一人はブレーキを踏み、一人はハンドルを握り、一人はけたたましくクラクションを鳴らしている姿だと、こう言う。一体あなたが考えておりますこれからの日本経済というのは、あるいは物価というのは本当にどうされるのか、どうも私ども見ておりますと、ちぐはぐでどうにもならぬのだ、そういう意味でしっかりした物価政策なり経済政策というものをあなたから聞いておきたい。
#145
○国務大臣(長谷川峻君) いま自治省の話が出ましたが、私もそういう通達が出たことを、自分の県の東京事務所長から聞いて、その通知を実は私がもらったところであります。やはり、気がついたものに対しては、全部フォローして、全体で私は推進していかなければならない。そのうちに経済企画庁が警告を発し、いろいろなことをやっていることも知っているわけであります。一方私たちの立場からしますというと、何さま経済官庁そのものじゃありませんけれども、何と言ったって働く諸君と付き合う役所であります。その背景にいる奥さん方の顔を見ている役所であります。でありますから、ちぐはぐもあるだろうが、そのちぐはぐを一つ一つ気のついたものを抑えていく。ですから電力は今年は値上げしない、こういう通知を見ましたから、私は九電力の社長に全部手紙を出しました。いいことをやってもらったと言って、社長は直接顔は知りません。たとえば全農がトン当たり八千円今度飼料を下げたでしょう、為替が高いから。それはいいことですと言って全農の会長に手紙を出しました。さらに家電がいまのような時代に二七・八%か下げた。それはいままでのような飾り物を全部なくして購買力をとるためにやった。私はサンヨーも松下さんも直接知りません。しかし、そういうところへ手紙を出しまして、そういうまねをほかの企業者にもやらしてくださいと、こういうふうに実は申し上げたようなことでして、私はこれは本当に総合政策で、政府だけにできることにはあらず企業者もやること、あるいはまたこれらは自由競争のことですから、選択の時代でもありますから、そういう全体のムードの中に私は物価というものをやっていかなきゃいかぬのじゃないか、いま私たちがうらやましく思うことは、西ドイツが七%です。第一次、第二次世界大戦のいろんな経験を得たところであるから、なるほど全部で物価を抑制しているんだなあという感じ方を持ちつつ、いろんなことを参考にしながら御指摘いただきましたようなことも材料にして、一つ一つの問題に、物価抑制に真剣に労働省の立場からも当たってまいりたい、こう思っております。
#146
○山崎昇君 あなたがそれだけ言うんですから、物価が恐らく落ち着くんでしょう、ね。落ち着かなければ、これは大変なことになりますよ。この点は申し上げておきたいと思う。
 そこで、物価の問題もいまさることながら、もう一つ、いまの経済動向として相矛盾する問題に、総需要抑制と景気の浮揚という問題がございます。そこで、いま一番労働者の中に問題になっている一つの問題点として、失業の問題があります。したがって、これから労働省としてはこの経済見通しと関連をして、雇用政策というものをどういうふうに進めていかれようとするのか、これも聞いておきたい。
#147
○国務大臣(長谷川峻君) 長くなりますけれども、やはり皆さん方にお願い申し上げまして、雇用保険法を御審議いただいたことも、実は失業者を出さないための一つの法案でございました。それがいささかでも役に立っているという評価もいただき、こういうなかから七・――いま求人倍率が多少でも伸びつつあるという姿でございますから、ただ一つ原則といたしまして、従来のように経済が伸びてさあおまえも働け、おまえも出てこいというふうな時代じゃなくなったから、ここにおいて労働省とすればやはり人間を中心にして何人働くことによってその地方が生きるとか、家庭が生きるとかいうふうな雇用計画をやはり再整備する時代じゃなかろうか、こういう構えで実は検討をさしております。
#148
○山崎昇君 検討をさしておるのはいいんですが、現実問題として片やでは総需要抑制で物すごい不況という波になっている。片方では景気の浮揚策を図れと言う、そしていま失業者は私は何万か知りませんが、おおむね百八万ぐらいと聞いている。そうすると、これらを本当に解消するためには、この相反する経済政策というのをどういうふうに調整しながらやるかということは大変私はむずかしい問題だと思うんだが、労働省としてはこの失業問題解決のためにいまの経済政策はどういうふうに、それじゃどういう点を改めていこうというのか、もう一遍聞いておきたい。
#149
○国務大臣(長谷川峻君) 経済閣僚懇談会に私も出席しておりまして、福田副総理を中心にしまして、一方においては景気刺激策というふうな財界あたりの言葉もございます。ある場合には組合の中にも一時そういう声などもありました。しかし、やっぱりここは歯を食いしばっても物価安定の方が賃金をもらう方にも大事だ、どこでもフリクションがあるわけですから、フリクションなしに物価は上がってもよろしい、さあ何をやってもよろしいというわけにいかぬのじゃないか。ここのやっぱりがまんのしどころ、一方においては雇用調整給付金の問題もあり、あるいは雇用保険法によるところのいろんな手当などもありつつ、いまのところ労働省とすれば何としても現下のこういう失業・雇用条件が大変なときですから、四、五日前も全国の職安課長を呼んで、改めてこういう事態の説明をしながら、本当に地方地方で真剣に職場をお手伝いするような、まず人間が中心でございますから、そういう方々の活動を促しつつある方策、ある予算、ある援助金、こういうものを徹底的にお加勢するような姿勢をとりつつやっております。
#150
○山崎昇君 それは、雇用政策はもちろん積極的にやらなきゃなりませんが、一方で言う物価の問題からんでまいります。なかなか私は一口で言うほど単純なものでないということは私も承知をする。しかし、いずれにしても、いま私どものところに参りますのは、失業の者もさることながら、わけてもその中で問題として提起をされていくるのは身体障害者の雇用の問題がございます。
 そこで、本来ならば詳細にお聞きをしたいんですが、とても時間ありませんから、ひっくるめてお聞きいたします。一体この身体障害者の採用、状況、それから特に官庁の採用があんまりよくないという、また中小企業の方はわりあい採用しているが、大企業はよくないという、賃金もきわめて劣悪だという、環境の整備もよくないという、こういう点を一括してお聞きをしているわけですが、ひとつ、この身体障害者の雇用状況について政府の説明を願うと同時に、それに対する対策を、いま申し上げましたような順序で一括して、ひとつお答え願いたい。
#151
○説明員(小粥義朗君) 最近の雇用不安の中で、特に身体障害者にそうしたしわ寄せが寄せられてきつつあるという傾向もうかがわれますので、私どもとしては、現在身体障害者雇用促進法等に基づいての再就職促進策をやっておりますが、まず数字を申し上げますと、この五十年一−三月で身体障害者の方で求職申し込みをされた方が一万三千九百四十一人おられまして、そのうち就職されましたのが七千百五十人ということになっております。で、身体障害者雇用促進法に基づきます雇用率というものがございまして、これは民間の企業、それから官公庁等、それぞれ決めてございます。先生のお話もございましたように、民間の場合の雇用率の達成状況は大企業の中に芳しくないものがあるということも事実でございます。したがいまして、そうした面の雇用の促進を図るという意味で、実はせんだってもその雇用率の達成状況の公表制度というものを今年度から設けてやっていくということにもいたしておりまして、公表だけで問題が片づくわけではないと思いますけれども、そうしたことも企業に対する一つの効果を持つものというふうに期待されますので、公表制度を活用すると同時に、現在あります雇用保険法に基づきます身体障害者の雇用促進策、それと同時に求人開拓を精力的にやる、こうした対策でもって対処してまいりたいと思います。
#152
○山崎昇君 あのね、時間ないものだから、詳しく一つ一つ聞くことできませんが、いまあなたから答弁ありましたやつを、官庁、民間、そして規模別、職種別に分けてね、これはひとつ資料として出してもらいたい。その上で、私どもまた改めて後日質問をさしていただきたい、こう思いますから、これは委員長にひとつお願いをしておきたいと思います。
#153
○説明員(小粥義朗君) 先生お求めの資料、提出いたしたいと思います。
#154
○山崎昇君 続いて、大臣にお聞きをしたいんですが、身体障害者の雇用状況もあんまり芳しくない。わけてもまたもう一つ問題になりますのは中途退職者が再就職することもまたきわめて困難な状況にあるのですね。そこで、私は二、三日前東京都の労働局へ参りまして、東京都の労働局で調べた資料をもらってまいりました。これによりますというと、実は五十五歳以上になりますというとね、これは中高年齢層の就職という問題とも関連をしてきますけれども、ほとんどまあ雑役、守衛、監視、そしてやめた者の就職というのはわずか一割か一割二分ぐらい、賃金は大体平均賃金の八割五分ぐらい、いい方です。悪い方になりますというと、大体七割前後、こういうことで、この中途退職者の再就職というのが、もちろん年齢の問題加味いたしますが、きわめて困難な状況にある。こういうものについて、政府はまたどういうふうにお考えになっているのか、これも聞いておきたいと思います。
#155
○国務大臣(長谷川峻君) 数字なり経過は課長から答弁させますけれども、最初の心身障害者の問題は労働省の重点施策でございまして、国会の場で私が公表制度ということを言うただけでも、大企業の方はこれに対して対応する姿をとっておりますが、さらにまた雇用保険法が通過した後においてもいろんな施策が行われ、私はわりにこういうところをよく歩いて、何とかこういう一番しわ寄せのある諸君にこれが来ないように、また、こういう方々が就職したら一生懸命なんですから、そういう人々が簡単に職場の外へ追い出されないようにやっていることも御理解いただきたいと思います。
 それからもう一つは、中途退職者、さらにまた高年齢者、日本はこれは高年齢者社会になるもんですから、こういう方々にやはり企業にいる間にもやっぱり再訓練を自分でするようなかっこうもつくっていく、新しいやっぱり時代というものをつくらなきゃいかぬのじゃないか。まさにいまから先の問題は、こうした人々の再就職についてと、それから本人に再訓練、自分の意欲においてやっていくという、そういう意欲を持たせるチャンスと、それを活用する雰囲気、これを私は願わなきゃならぬのじゃないかと思って、予算等々がありますものを十二分に活用するようにやらしているわけであります。
#156
○山崎昇君 いま大臣から、十二分にやっていきたいと、こう言う。しかし私は、この東京都の資料を見ると、四十五歳過ぎてまいりますというと、特殊な能力のある者、技術のある者は別です、ほとんどその内容が雑役、それから清掃夫、こういう内容ですね。それから、もしも女の人の場合になりますというと、もう三十を過ぎるとなかなか困難である、こういう状況であるわけです。さらに問題になりますのは、ことし、国際婦人年でもありますけれども、男女の賃金格差を見ますというと、二十歳代から二十五歳代ぐらいまでは、大体男と女の賃金格差というのは、一〇〇対八五ぐらいです。ところが、三十を過ぎてまいりますと、一〇〇対六五、言ならば、三割五分ぐらい賃金が低いという格差になっている。こういう東京都の実態を見るときに、就職もさることながら、その就職をした仕事がきわめて劣悪だということ、加えて賃金がものすごく安いということ、そして、女性の場合はさらに格差がひどいということ、こういう点は、ひとつ労働省でも十分判断されて、こういう問題についての対処をしてもらいたいと思うんですが、具体的にどういう方法をとっていくのか、もう一遍、ひとつ、説明願いたい。
#157
○説明員(小粥義朗君) 先生御指摘のように、中高年齢者、中でも高年齢者の就職状況が厳しい情勢にあることは御指摘のとおりでございます。そこで私どもとしましては、求人開拓が基本にあることは当然なんですが、こうした不況の中でなかなか思わしくない面も正直ございます。しかし、まず何よりもその点に力を注ぐと同時に、四月から雇用保険法で新しく高齢者雇用奨励金という制度もつくられました。これは企業に対して支給するものではございますけれども、従来の身障者の雇用奨励金と同じように、定年でやめられた方々が再就職する際に賃金も下がるというような面を考慮しつつつくられた制度でございまして、そうした雇用奨励金制度も活用してそうした賃金の低下というものをできるだけ防いでいきたい、こういうことでやっているところでございます。
#158
○山崎昇君 本当にみじめなかっこうですから、具体的に指導するのも結構だし、何するのもいいんですが、現実的に解決するようにしてもらいたい、このことを強く申し上げておきたい。
 それから、次にお聞きしたいのは、最近労働省はこの定年制の延長についてかなり積極的だと、ぼくら聞いています。そこで、お聞きをしますが、昭和四十七年の九月十四日の閣議で、週休二日制・定年制延長問題関係閣僚懇談会というのがあるようでありますが、これは今日も存続をされているんですか。そして、もしあるとすれば、どういうことがこの中で審議をされて、具体的にどういう方法がとられておるのか、説明を求めておきます。
#159
○政府委員(東村金之助君) その閣僚懇談会は現在でもございます。これはいろいろ事務的に、事務的というか、範囲が広い問題でございまするので、部会を幾つかに分けまして、公務員の問題、それから一般民間の事業場の問題等々について検討を進めているところでございます。なお、中間的な報告といいますか、まとめも事務的には出ておりますが、まだそれが正規のものになっているわけではございません。今後も現在の週休二日制等の動きを踏まえながら、この問題についてさらに検討を進めるという態勢になっておると承知しております。
#160
○山崎昇君 いまも存続されているという説明です。私の調べたところによれば、第一部会というのが非現業公務員関係で、幹事になっております省は労働省と運輸省。これが第四部までありまして、第四部が民間企業関係、幹事が労働省と通産省と、こうなっている。そのわりあいには、昭和四十七年に関係閣僚懇談会ができたわりあいにはこれらの問題の処理が私はあんまり進展してないんじゃないか、こう考えるんですが、一体これから、この新聞報道にもありますように、民間の六十歳定年というものを本当に実現するためにどういう手順でやっていくのか。あるいは、週休二日制というのはかなり進んでいるようではありますが、なかなか中小企業はそうなっていない。銀行法の改正とも関連いたしますけれども、これまたどういうふうに具体的に指導されていくのか、もう少しひとつ説明願いたい。
#161
○政府委員(東村金之助君) 具体的には主として定年制よりは週休二日制の問題を取り上げて各部会でおやりになっているようでございます。で、民間の問題については、銀行の週休二日制との関連においてやはりさらに問題を煮詰めていこうという動きがあると聞いておりますし、また私どももその一員になっておるわけでございます。
 この問題とは別にいたしまして、週休二日制は現実の問題といたしまして広がっております。具体的な数字をごく簡単に申し上げますと、四十九年九月末現在の労働省の調査によりますと、規模三十人以上の企業の四二・八%。実はこれは四十八年では三〇%でございました。四二・八%。労働者の場合には六七・五%、これは四十八年では五四・七%でございました。これが何らかの形で週休二日制を取り入れているという姿が出てまいりました。そこで、私どもはこの閣僚懇談会とは別の行政のベースといたしまして、さらにこの問題を進めるという姿勢から、現在いろいろ景気の問題、不景気の問題、雇用の問題等ございますが、そういうものを加味しながら、中小企業を念頭に置きまして、これを集団でつかまえまして、集団ごとに段階的、計画的にこの週休二日制の問題をさらに進めていこう、かように考えておる次第でございます。
#162
○山崎昇君 この問題は、定年制の問題と言い、週休二日制の問題と言い、私はやっぱり大変重要な問題、特に定年制の問題は再雇用の問題その他とも関連してまいりますし、それから収入との問題も関連してまいりますから、あるいはその他年金との問題も関連してまいりますから、きわめて重要だと思いまして、きょうは触れておくだけにいたしますが、この点はひとつ積極的に労働省としても進めてもらいたいということを申し上げておきます。
 それからその次に、いま雇用の問題と関連して、重要なのは労働者の災害問題がございまして、最近の労働者災害についてどんな傾向にあるのか、御説明いただきたいと思います。
#163
○政府委員(東村金之助君) わが国の労働災害のごく大ざっぱな動きを申し上げますと、これは終戦直後からずっとふえておりまして、特に三十六年という年にピークに達しました。それからしばらく横ばいの状態が続いてまいりまして、昭和四十六年ごろからはその横ばいが下降に転じてまいりました。具体的に申し上げますと、死亡者数で、いま申しましたように、三十六年ごろからしばらくの間六千人を超えるような数字が出ておったわけでございますが、いま申しました、四十六年ごろからは五千人台と減ってまいりまして、四十九年には、つまり去年は四千三百三十人とかなりの改善を見ているということでございます。もちろんこの数字は改善を見ているとは言いながら、まだまだ高い数字であるとは私ども考えておりますが、そういう傾向になっております。しかし、これとは別の問題といたしまして職業性疾病の発生ということが同時に注目されつつございます。当委員会におきましてもいろいろ問題をお取り上げになられて御審議を願ったところでございますが、この問題は全体の量的な問題とは別途に質的な問題として今後対処をしていかなければならぬ、検討していかなければならぬ問題だと私ども考えております。
#164
○山崎昇君 私は戦後の労働災害並びに交通事故をずっと調べてみまして実は大変な数字です。これは労働省で調べたもの、警察で調べたもの、私なりに統計をとってみた。たとえば交通事故で言うならば、昭和二十一年から四十八年までの数字でありますが、死んだ者二十七万六千九百二十人、負傷もこれいろいろありますが、九百六十九万三千七百六十八人、合わせて九百九十七万六百八十八人という数字になる。もう一つ労働災害の方を調べてみるというと、これは昭和二十三年から四十八年までの統計を足してみるというと、死亡した者十四万一千百四十五人、けがした者九百五十四万四千八百九十三人、合計九百六十八万六千三十八人という数字になる。そうすると、私は交通事故と労働災害を比較をして、死んだ者はなるほど少し少ないが、けがした者は、多少内容的にはあると思う、あると思いますが、けがした者はほぼ交通事故と労働災害が匹敵をする。これは大変なことではないだろうかと思う。そして、総合計しますというと、今日まで大体死んだ者が戦後四十一万八千人死んでいる、交通事故と労働災害でね。けがした者が一千九百万だ。合わせまして千九百六十五万人というものが死んでいるかけがしていると、こうなる。大体日本人五人に一名は死んでいるかけがしたかという形になってきちゃっている。
 そういう意味で私は交通事故と並んで労働災害のけがというものはものすごく多い、これは数字的に見てもゆゆしい問題じゃないかと思う。いま局長から多少横ばい状態にあるという。それでも昭和四十九年に四千三百人死んでいるのですね、けがの方は言いませんでしたが。こういうことを考えると、私は雇用問題に関連をしてこの労働災害という問題は本当に真剣に考えてもらいたい。そして、一たん労働災害でけがしたり、あるいは手足をもがれたりするというと、その生活は悲惨なものです。そういう意味では、本当に労働者を保護するというたてまえから言うならば、もう少し労働省は労働災害について具体的に指導するなり、なくするなり、そういう方策というものを考えてもらいたいと思うのですが、大臣の決意だけきょう聞いておきたい。
#165
○国務大臣(長谷川峻君) 私は、まさにこういう不況になりますというと中小企業等々で建築その他で非常に災害が多くなる、こういう認識を持っております。そして、平和とか人命尊重とか言うても、交通事故で一昨年かは一万七千人、これは私は盛岡の国体で選手入場者一万七千を見たけれども、この人間が交通事故で死ぬ、こういうことを思い、それと同時に最近お互いの努力によりまして工場災害においては四千人台までになりましたが、やっぱりこういうふうな監督行政をしっかりやらなければならぬ、こう思って、これこそ十分に徹底的に持っている力、持っている法律、そういうものをしっかり適用してまいりたい、こう思っております。
#166
○山崎昇君 これは先日も言いましたけれども、労働災害は何も基準監督官だけふやせばいいというものではない。それにしても大臣、私は北海道で聞くと本当に事業所を点検するには十四年に一遍しか行けないという、いまの陣容では。こういうことを考えるときに、私は改めて定員問題と業務量というものをやりたいと思うが、いずれにしても、これだけの人命を失い、これだけのけが人が出ているわけですから、少なくとも労働省としましてはこれらの問題もっともっとひとつ積極的にやってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから次に、先般新聞で大々的に雇用庁構想というのを発表になった。これでまた現地は無用の混乱が起きているし、私どものところにも手紙やら電話やら、どういうふうになるんですかという質問やらかなり多い。そういう意味でひとつこの雇用庁構想というのが本当にあるのか、あるのならばその概要はどういうものなのか、もしいまのところないと言うなら、だれがそういう新聞記者会見等をやったのか、あるいは見込み記事でやったのか、もし否定されるならばこの委員会を通じてきっぱり否定をしてもらって第一線で無用の混乱のないように私はしてもらいたい。そういう気持ちもありまして、地方事務官問題とは別個に切り離してこの問題についてはお聞きをしておきたいと思います。
#167
○政府委員(青木勇之助君) お答え申し上げます。
 いま先生御質問にございましたように、日本経済新聞等に雇用庁新設云々の報道がございましたが、これら新聞に報道されました雇用庁に関する記事につきましては、労働省として正式に発表したものではございません。
 なお、現在労働省におきましては、先ほど来いろんな御論議がなされておりますように、現下の非常に厳しい雇用労働情勢を踏まえまして、将来の労働行政のあり方というものを鋭意検討いたしております。その場合、機構の問題もその一環として検討すべきことになるかと考えるのでありますが、先ほど申し上げましたとおり、まだこの点についてはどういう機構にするかということは結論を得ておりません。
#168
○山崎昇君 そうすると、私は確認をしておきたいんだが、労働省としては雇用庁なんということはいまのところ何にもございません、ただ新聞で報道されちゃったんだと、この程度にしかすぎないんだというふうに理解していいですか。
#169
○政府委員(青木勇之助君) 今後の安定成長経済下におきまして雇用問題が非常に重要な問題に相なってまいります。そういう観点からここ数年来いろんな検討が内々もちろん行われておりまして、その中におきまして雇用庁構想というものも論議された経緯はございます。ございますが、省としてそういう仕組みをとるかどうかという点につきましてはまだ結論は出ておりません。
#170
○山崎昇君 これは余り私は深追いするつもりもありませんがね、ただ、あれだけ報道されますというと、やっぱり行政機構の問題でありますだけに、関係する者というものはいろんな類推もいたしますし混乱も起きますから、そういう点は慎重にしてもらいたい。私は、きょうこの段階では労働省としては正式に何もやっておりません、こういうふうに理解をしておきたいと思うんです。
 そこで、時間も迫ってまいりましたから、最後に、いま議題になっております中小企業退職金について二、三お尋ねをして質問を終えたいと思うんですが、大臣、退職金の性格というものは、これは労働省としてどういうふうにお考えになっておるのかお聞きをしたいと思います。
#171
○国務大臣(長谷川峻君) 局長をして……。
#172
○政府委員(東村金之助君) 退職金の性格論でございますが、これはいろいろ法律的な観点から見るか、経済学的な観点から見るか、経営的な観点から見るのかいろいろ問題があろうと思います。ごく一般的な性格論として言われているところは、先生御承知のとおり、功労報償的に出すのである、あるいは賃金の後払い的に出すのである、あるいは生活保障的に出すのであるというふうな議論が行われております。労働基準法では別にこういう性格という問題ではなくて、それは賃金なのかどうかということで就業規則とか労働協約で明確にうたわれておれば、それは賃金であるというふうに割り切っているところでございます。いずれにいたしましても、それは各企業でどういう性格を念頭に置いてつくったかといういわば退職金をつくるときの御論議にはなるかとも思いますけど、どれが正しく、労働省としてはどの説をとっているかという性質のものではないように考えますが、私どもの勉強が足らない点もありますが、こういう性格論もさることながら、個々の退職金の内容について労使は、あるいは使用者はこれをどういうふうに認識しているか、そういう性質のものではないかと思います。
#173
○山崎昇君 いやそうでないんだ。私が聞きたいのは、もちろん学説のあることは私も知っています。大ざっぱに申し上げて、大体学説九つある。集約して三つぐらいに分かれるという、それは私も承知しているんです。労働省はこういう法律をつくって労働者を保護すると、こう言うんだから、一体あなた方自身としてはこの退職金というものはこういうものですよと、ある程度中心的な考え方がなければおかしいと思うんだ、立法作業上。そういう意味で労働省の考えておる退職金の性格というものを聞いておきたいというんだ。それがいまいいか悪いかなんていう論争する意味じゃありません。ありませんが、聞いておきたい。
#174
○政府委員(東村金之助君) この中小企業の退職金制度と言いますのは、繰り返して申し上げますように、これは一般に行われている、中小企業等で行われている退職金制度を独力で持ち得ない、そういう人たちを抱えている事業主に参加してもらうと、こういうことでございまするので、裏返して言いますと、一般に行われている中小企業の退職金に準ずる性格のものと考えております。もっと具体的に言いますと、個々の労働者ごとに短期でやめられる方の退職金の性格と、長期でかなりの年齢でやめられる方々の退職金の性格と違いまするので、一概には申し上げられませんが、やはり一定の生活を保障するという機能は持っておるというふうに考えております。
#175
○山崎昇君 いや、結局は労働省はこういう立法作業をやるんだけれども、この退職金の性格というのはあいまいになっている。あいまいだから、それから出てまいります金額にいたしましても、やり方にしても、きわめて低い。こういう状況になってくるんです。たとえばどの説をとるにいたしましても、私は大ざっぱに三つあるとあなた方もあったから、それに基づいて仮に言っても、企業に対する功績だといっても、あの内容で功績にふさわしいものにはなってこない。二つ目には、賃金の後払いだと言う。これは本当はきょうですね、時間があれば私は、日本の賃金体系について労働省の見解も聞きたいと思っとった。しかし、時間がないからやめますが、賃金の後払いということになるというと労働に対する報酬としては、働いている間に満足なものは払ってないから足りない分、後から払うとこうなる。そういう意味で言うならば、これまた不明確だ。低い、あるいは社会保障的な意味だというならば、とてもじゃないけれども老後のこんなもんで保障にならない。あるいは再就職に対する支度金の補助だなんて言ったってこんなもので再就職の支度金にもならない。そういう意味ではどういう点から考えたって、この性格があいまいなだけに、出てきた結論というこの退職金はきわめて低い。そういう意味で私はまず、原則をお聞きをしているんですが、どうもお答えできないようでありますから、私は、これ以上やろうとは思いませんが、いずれにいたしましても、この退職金の性格というものについては、もう少し労働省の見解というものを示す時期を早めてもらいたい。このことだけ要望しておきたいと思います。なぜ私がこういうことを聞くかというと、実は日本のこの賃金体系というのは、単身者を中心にした賃金体系になっている。だからたとえば人事院勧告一つ見ましても、東京で十八歳の男の子が生活するにはこれだけ要りますというのが基本になって、それに定期昇給等加えて、御存じのとおり等級に割って職務給だという名前がくっついているだけ。だからだんだんだんだん年とっていけば幾らか賃金上がりますよ。それでは生活できないものだから、御案内のとおりいろんな手当がくっついて、総収入で月収という言葉で賃金みたいなかっこうになっているわけです。ところが退職金とか年金をもらうときになりますというと、本俸だけ基礎にして計算するからきわめて生活が維持できない、困難になっちゃうわけです。わかるでしょう。そういう意味でこの退職金の性格だとか、日本の賃金の体系というものと関連をしてきて、私は重要だと思っているんですが、きょうはそこまで議論できませんが、いずれにいたしましても総じて言うならば、この退職金の性格が不明確ですから、結論としてどういう角度から考えてもきわめて低い。とてもこれによって労働者をどうしようなんていうものになってない。こういうことだということをまず冒頭に申し上げておきます。そこで具体的に二、三お聞きいたしますが、この中小企業退職金制度ができまして十五年たちました。そして今日まで皆さん方の説明によるというと、三つのメリットがあるという。その一つはよい従業員を雇用することだという、二つ目は従業員の労働意欲を高めることだという、三つ目は従業員の退職後の生活の安定に寄与することだという。これが大体この中小企業退職金のメリットのようであります。そこで十五年たったんですが、このメリットが具体的に効果を上げているのかどうか、もし上がってないとすれば今後具体的にどういうメリットを上げていこうとするのか、この点をお聞きをしておきたい。
#176
○政府委員(東村金之助君) 退職金の性格論、また別途おやりになるというお話でございますが、いずれにいたしましても、これ中小企業が自主的に共済という形でやっていこうというのが原則でございます。この退職金給付の水準が低いという御指摘でございますが、それはやはり大企業あるいは一般の中小企業に比較して、掛金の額いかんによっては低いものも出てくると思います。しかし、それは基本的性格である共済ということでございまするので、やはり事業主が高い掛金を払うということになれば、また別な話になってまいるわけでございます。そのことをまずお断りした方がよろしいかと思うのですが。
 次に、メリットの問題でございますが、これも当委員会でございましたか、御質問があった際にも触れましたように、なかなか計量的に、数量的にこういうメリットがあったと、ただいま先生御指摘の三つの問題について、こういうメリットがあったということを申し上げられないのは残念でございますが、ただ労働力の確保という点から見ますると、一般の事業場、中小企業の事業場における労働者の離職の率に対しまして、本制度における脱退の率というのは低くなっておるということが言えます。
 それからこの制度に、先生方からいろいろ御叱正を受けているわけでございますが、何と言っても毎年毎年新しい被共済者がふえているということは、裏返して言いますとこの制度についてのメリットが認められつつあるのではないかということが、申し上げることができると思います。いずれにいたしましてもなかなか計量的に申し上げられないものでございますが、さらにさらにこの制度について魅力あらしめて、ただいま先生御指摘のようなメリットをさらにふやしていきたいと、かように考えております。
#177
○山崎昇君 そうすると、二つはいまあなたが述べられました、脱退の率が低くなっている。それから言葉を縮めて言えば加入者がふえている。こういう意味ではメリットが進んでいるというようにあなたがお考えになった。しかし、この三つのメリットのうちで一番重要なのは、従業員の退職後の生活の安定に寄与すると、こうなっている。この点のメリットはどういうふうにお考えになっていますか、具体的に。
#178
○政府委員(東村金之助君) 先ほどもちょっと触れましたが、退職するという個々の労働者にとってみますると、それはその企業を退職して別途の企業にまた再就職するという、若年労働者が典型でございましょうが、そういう場合もあれば、あるいは長いこと一つの企業に勤めておって、その企業からやめると同時に再びもう仕事から離れて、いわゆる老後の生活に入るという方もあると思うわけです。前者についてはこれは老後の生活保障という趣旨のものではなくて、あるいは次の就職のための生活の補助というような場合もあるでございましょうし、後者の場合については老後の生活の補助ということもございまするので、一概には言えないと思いますが、これも先ほど申し上げましたように、掛金の高さによってそれがどのくらい保障されておるかということが決まってくると思いますが、もちろんこれで十全ではございませんので、さらにそういう保障というものが、もう少しうまく達成されるように、給付の内容等を今後とも充実さしてまいりたいと、かように考えております。
#179
○山崎昇君 それでは、もう時間が来ましたから、集約して最終的に私どもの意見を述べて、質問を終わっておきたいと思います。
 この問題についてはもう各委員の皆さんから細かに相当議論されておりますから、私はこの問題がもっと前進できるように、今後ともひとつ皆さんの一層の努力を願う、そのためには一つには五年ごとの再計算というものを、もっと弾力的にやってもらいたい。それから掛け捨て、掛け損というものが先ほど来議論になっておりますが、これもひとつ十分検討を願っておきたい。さらには、この問題の前進のためには、国庫補助率の増ということが、ある意味では決定的なものになってくるんじゃないかと思いますから、それもひとつ諮ってもらいたいと思うんです。さらには、自己便宜による退職、やむを得ない場合と、こうこれからら審議会に諮るわけでありますが、この点は厳格にやられますというとほとんどなくなってくる、運営いかんによっては。そういう意味では、このやむを得ないという内容について、きわめてひとつ弾力的にやってもらいたいし、余り締めつけて事実上通算のできないようなことにならぬように、これも申し上げておきたいと思うんです。それから膨大な金が集まってくるわけでありますから、そしてまた支払った後に相当な残金が残るわけでありますから、この運営に当たりましては、もっと民主的にならなければなりません。そういう意味では、先ほどほかの委員からも言われましたように、納める者の側あるいは労働者の代表等も、この審議会あるいは運営委員会に入れまして、この資金の運営に当たりましては、民主的に私はやってもらいたいというようなことを最終的に意見を集約して申し上げまして、私の質問を終わっておきたいと思うんです。その点についてもし大臣から答弁がございましたら、最後の決意を述べていただきまして質問を終わります。
#180
○国務大臣(長谷川峻君) 山崎さんからほかの委員も御質問があった諸項目について、総まとめされての御質疑でございます。一々いままで拝聴したことでありますので、審議会等々にかけまして、善処するように検討してまいりたいと、こう思っております。
#181
○委員長(村田秀三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#183
○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#184
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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