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#1
第075回国会 大蔵委員会 第4号
昭和五十年二月七日(金曜日)
   午後五時三十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桧垣徳太郎君
    理 事
                河本嘉久蔵君
                山崎 五郎君
                辻  一彦君
                鈴木 一弘君
    委 員
                青木 一男君
                嶋崎  均君
                藤田 正明君
                吉田  実君
                大塚  喬君
                寺田 熊雄君
                近藤 忠孝君
                渡辺  武君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       大蔵政務次官   梶木 又三君
       大蔵大臣官房審
       議官       岩瀬 義郎君
       大蔵省主税局長  中橋敬次郎君
       大蔵省銀行局長  高橋 英明君
       大蔵省国際金融
       局長       大倉 真隆君
       国税庁直税部長  横井 正美君
       国税庁間税部長  星野 孝俊君
   事務局側
       常任委員会専門  杉本 金馬君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       結城  茂君
       自治省行政局選
       挙部選挙課長   秋山陽一郎君
       日本専売公社総
       裁        木村 秀弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 野々山一三君から、文書をもって、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に辻一彦君を指名いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○委員長(桧垣徳太郎君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 前回に引き続き、大平大蔵大臣の財政及び金融等の基本施策に対し、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○大塚喬君 前回の質問に引き続いて、昭和五十年度税制改正の問題について若干お尋ねをいたしたいと存じます。
 初めに利子・配当課税の適正化についてでありますが、昭和四十五年から施行された源泉分離課税制度は五十年末にその適用期限が到来するので、私どもは、基本的にはこの税法が総合課税に移行するものと期待をし望んでおったところであります。ところが実際には、この税率を二五%から五%引き上げて三〇%、そしてその適用期間を五年間延長するという改正法案が提案をされてきたわけであります。
 第一にお尋ねいたしたいことは、税率を二五%から五%引き上げて三〇%にした、この五%という根拠は一体何なのか、それから適用期限を五年間延長しようとする、五年間というこの期間を延長する理由についてひとつ大臣からお聞かせをいただきたいと思います。
#7
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回の税制改正で利子・配当の分離選択税率を二五から三〇に引き上げるということを御提案申し上げようとしておりますが、その五%につきましては、実は過去五年間とられてまいりました制度を顧みまして、二〇%から二五%に、前半の二年、後半の三年というふうに分けたわけでございます。そこで今回、本来でございますればもちろん総合課税をいたすべきところでありますが、いろいろ総合課税をいたしますための環境を整備する必要もございまするので、前回の二〇%、二五%という事例を踏まえまして、さらに今回一歩を進めて五%その税率を引き上げるということにいたしたわけでございます。
 適用期限を五年延長するというのも、実は前回五年間というある程度の期間をもってこの制度を発足さしたわけでございますので、今回も五年という期間を定めたわけでございます。もちろん、今回も、特にこういう制度を始めましてからいわば第二期目に入るわけでございますから、総合課税をどういうふうに実現するかということについてわれわれもいろいろその方策を検討しなければならないと思っております。この五年間の間にいろいろなことで総合課税をし得る環境というものを整備いたしたいと思ってある程度の負担をお願いしておる次第でございます。
#8
○大塚喬君 いまの答弁で環境を整備すると、こういうことがあったんですが、この法律が施行されて現在まで五年間もうすでに経過をしておるんです。この間どういうことを大蔵当局はこの環境整備のためにやってきたか、それらのひとつ内容を報告いただきたい。
 それから、五%が適正かということで提案をされるわけですが、その五%という率が一体どういう根拠で適正なのかひとつ、いまの答弁ではどうもはっきりいたしません。これを仮に四〇%とこういうことにした場合は一体どうなのか、そこらのところをはっきりこうわかるように説明をいただきたい。
#9
○政府委員(中橋敬次郎君) 総合課税への道を進めますためにわれわれがいろいろ検討をしておることがございます。一つは、もちろん支払い調書、利子の支払い調書、配当の支払い調書というものを完全に把握をいたしまして、これを名寄せを十分行うことによりまして、総合課税の実を上げるという道がございます。ただ支払い調書に非常に頼るということは、実は税務当局側といたしまして、事務的に非常に困難な事情がございます。と申しますのは、現在そういう名寄せをやっておりますものの一番大きなものとしましては、少額利子の非課税制度をとります場合に、多種類多店舗の制度をとっておりますから、三百万円なら三百万円という元本がどういうような貯蓄の形態に分かれておるか、またその貯蓄の形態ごとに見ましてもどういうような金融機関に貯金されておるのか、またその中でも、どういう店舗に貯金されておるのかということを全部少額貯蓄非課税制度の適用を受けようとする人の住所地でもって名寄せをしまして、果たしてその元本総額が三百万円なら三百万円以下になるかどうかという判定をいたさなければなりません。あるいはまた、それの申請書に書いてございますように、甲銀行のA店舗では幾らまで、甲銀行のB店舗では幾らまで、あるいは乙銀行のC支店では幾らまでという、それぞれの限度内に終わっておるかということも実は名寄せをして判断をいたさなければならないわけでございます。この制度を発足させましたいまから七、八年前でございまするけれども、そのときには、実はまだ口数といたしますればたしか四、五千万口ぐらいの見当でございましたけれども、それが現在中億口になっております。非常にこの名寄せにまず忙殺をされておるわけでございまするが、同じようにたとえば利子の支払い調書というものは現在税務署に集まってまいりますのが、約八百万件ぐらいと推定されるわけでございます。これをまたいわば人間の力でもって名寄せをせざるを得ないというわけでございますので、非常にその点がむずかしいという問題に逢着をいたしております。これをたとえばコンピューターシステムに乗っけて非常に名寄せを便宜かつ迅速にやり得る方法はないのかということでございまするけれども、そのためにはまた非常な施設、手続というものを早急に取り得ない難点がございます。その一つの道といたしましては、例の国民背番号と言われておるような、預金者のいわが名寄せを非常に便ならしめるような一貫番号ということも考えられるわけでございますけれども、これはまた別途のいろいろな難点がございまして、なかなか実現しそうでもございません。そういうことになりますと、幾ら税務署員の方の人力をふやすということからも、この総合課税というのはなかなか解決しがたいのでございます。
 それから一方、その名寄せが非常に必要だというゆえんのものは、店舗ごとにそれぞれの口座を持つということもございますけれども、別の理由といたしまして大きなものは、架空名義預金というものがございます。これは非常に残念なことでございますけれども、わが国の長い沿革の中では、架空名義の預金というものの存在を実は否定できないわけでございます。これを一体どういうふうになくする道があるのかというところは、われわれの非常に大きな検討課題でございまして、そのためには、一つには、まずは預金者、納税者自身のそういう協力にまたなければなりません。それからまた金融機関の側におきましても、全部が全部架空名義であるということがわかっているわけでございませんけれども、ときどきはそういう事案がわれわれの税務調査の中からあるわけでございますから、そういうことも金融機関の側において絶対にやらないように、というシステムをいかにして導入するかという問題がございます。それからまたさっき申しましたように、それぞれの御本人が架空名義ということを使わないようにというシステムとしまして、たとえば現在のような長い間わが国の預金制度の基本になっておりました印鑑でもって預金をするというシステム、こういうものも今後改変する余地があるのかどうか、こういう点をわれわれ寄り寄り検討はいたして、おりますけれども、それぞれいままで申しましたようなことについて難点があるわけでございます。なお、でもこういうことは今後とも私どものほうで総合課税の環境づくりという意味におきましていろいろな方策を検討し、打開の道を求めてまいりたいと思っているわけでございます。
 それから、五%上げたことが一体どういう評価をし得るかということでございますが……
#10
○大塚喬君 なぜ適正なのか、その五%が数字的に。
#11
○政府委員(中橋敬次郎君) それで、おっしゃいますように、四〇%ということが非常に妥当するかということになりますと、なかなかこの率というのは決めがたいわけでございます。実は過去におきましても源泉選択税率という制度がございまして、その場合に、戦後早々でございましたけれども、五〇とか六〇とかいう率をとったこともございます。しかし、またそれ以後のいわゆる利子課税の歴史を振り返ってみますと、たとえばゼロのときがございました。それから逐次一〇%になったり五%に下がったりしまして、まあいわば五%から一〇%に上がり、それから一〇%から一五%に上がってきたわけでございます。このときまでは選択ということなしに、すべての利子につきましては一五%なら一五%と一律に源泉徴収をすることによって終わりということになったわけでございまするけれども、昭和四十五年におきましては、むしろその制度は一歩総合課税の道を開くという意味におきまして源泉選択分離制度になったわけでございます。ということは、本人が選択をしなければ総合課税になるわけでございまするけれども、本人が選択をすれば源泉選択分離課税が適用になって、それで申告はしなくてもよろしいという制度に五年前になったわけでございます。で、そのときに、それまでの源泉分離税率としての一五%から五%上げまして二〇%になり、それをさらに二五%まで上げるというのがこれまでの経緯だったわけでございます。そうしますと、大体過去におきますところのそういう一歩一歩税務の側からの利子課税についての強化という歴史を振り返ってみますと、大体五%ずつ上げてまいるというものがございます。で、今回もそういう過去の経緯も踏まえまして、五%アップすることによってさらに総合課税への道を一歩進めたというわけでございます。
#12
○大塚喬君 そうしますと、完全に体制を整備し把握することができるということは、今度五年間と、こういうことで期限を切ったわけですが、これは二年ではどうなんですか、三年ではどうなんですか。具体的に五年間を絶対に必要とする、そういう延長措置をこれはもう何が何でも必要なわけですか。どういう根拠で五年間というこの期間が適正な期間なのですか。そこのところをひとつお聞かせいただきたい。
#13
○政府委員(中橋敬次郎君) その五年につきましても、絶対的にもちろんこれでなければならないという期間はございません。ただ先ほども申しましたように、いわば源泉分離選択制度というものをとりました第一期の期間が過去五年間でございました。そういうことからいわゆる第二期の期間におきましても前回にならって五年という期間をとって、しかし、その間におきましては、われわれとしましては先ほど来いろいろ申しました総合課税への道というのをなお一層深く、しかも実現の道を求めながら検討いたしたいという意味で、ある程度中期的な期間というものを定めてもらいたいというのが今回の御提案の趣旨でございます。
#14
○大塚喬君 まあ私どもは率直に言って、これは不公平税制の見本だと、こう思っておるんです。で、局長も先ほどの答弁の中で、将来は総合課税という方式に進むことが正しいと、こういう趣旨の答弁があったわけですが、それだとすれば、いままで期間が五年だから今度もそれを踏襲してそのまま五年という理屈は人を説得する理屈にはなりませんよ、これは。もっと早く三年なら三年ということでそういうことができるはずじゃないですか、できるだけのことは。それをいまからもう五年、過去に五年という期間でやってきたから五年だと、こういうようなことは私どもにはどうも納得できません。
 それから、委員長にひとつお願いいたしますが、答弁、持ち時間がそれぞれ決められておるものですから、できるだけ簡潔にひとつ要点を得た答弁をお願いしたいと思います。
#15
○委員長(桧垣徳太郎君) 政府委員に御注意を申し上げます。時間の制限がございますので、なるべく簡潔に答弁をするように要望をいたします。
#16
○政府委員(中橋敬次郎君) 五年と申しますのは、先ほど申しましたようにもちろん確定的な期限ではございませんけれども、確定して、確定的に絶対正しいという期限じゃございませんけれども、ある程度中期の期間を得まして、その間に前々からやっておりますような、さらに総合課税の道を検討いたしたいというのがわれわれの気持ちでございます。
#17
○大塚喬君 いまお聞きをして、金融界、証券界の圧力で、五年間ということならまあともかく一応安泰だと、こういうことで妥協の産物が今度の適正化という大変結構な名前ですけれども、実際は不公平、不平等税制を踏襲する、そういう形で出されてきたものと受けとめるわけでございます。で、もう一度重ねてひとつお尋ねいたしますが、利子課税の特例が、目的、手段、効果、この三点において存続の条件をいま現在本当に満たすものかどうか重ねてひとつお伺いをいたします。
#18
○政府委員(中橋敬次郎君) それは先ほど来申し上げておりますように、総合課税が理想でございます。しかし、総合課税をやり得る環境というのが整備しないと、いわば正直者がばかをみるというふうに、総合課税されるものは正しい名前を使っておる人だけだということになりますから、そういう環境を整備することがまず必須の条件であるということで、今回の源泉選択税率の制度というものを存続することにいたしたわけでございます。
#19
○大塚喬君 どう考えてもそういう説明ではこの所得再配分という問題には逆行するものであると、こういうことを感ずるわけでございます。
 で、累進課税方式という、こういうものがやっぱり所得の再配分、税の公正という立場からは貫かなければならないと、こういうふうに考えるわけですが、現実にはそういうものとはこれはずいぶん離れておるものと。で、これらの必要性ということの中で、貯蓄に対する優遇という、こういう措置のことがこの中で考えられておるわけですか。貯蓄に対する優遇措置ということでこういうことをやるわけですか。
#20
○政府委員(中橋敬次郎君) それはもちろんこういう特例制度を考えます場合には、貯蓄ということの必要性を考えております。
#21
○大塚喬君 私が、一体こういう人たちはどういう階層の人たちがこれの利点、恩恵を受けるかということを私なりに考えたわけでございますが、現行の貯蓄非課税という幾つかの制度があって、少額所得の方は利子が非課税という制度が現在、幾つかしておるわけでございますね。たとえば、少額預金の非課税で三百万円まで、これはマル優の分でありますが、これが非課税。それから別枠の国債でまた三百万円。それから郵便貯金のほうでこれも三百万円。そうしますと四人の標準家族の構成では、これで一人で九百万円で四人ですから、四、九、三十六。三千六百万円の貯蓄までは非課税という制度もあるわけです。
 そこへ、今度はいわゆる財形貯蓄の問題が出ておりますから、そこで御主人がこの財形貯蓄に入ったということになりますと、これで五百万円。標準家族でいま貯蓄を優遇すると、こういうことで現行の制度の中で恩典を受けておる方は、貯蓄が四千百万円までの方は恩典を受けておるわけです。
 で、話をまた進めて申し述べますと、資産を三分するというようなことになれば、この貯蓄のほうの四千百万円ということの三倍ということになって一億二千三百万円、まあ一億円程度の収入のある方までは現在貯蓄奨励という意味で恩典が受けられており、そこへまた私はこういう利子の配当、こういうものに対する優遇策、こういうことが、何が何といってもやっぱり税の公正を保持する、こういうことには政府自体が先鞭をつけて逆行しておる、こういうふうに考えるわけでございます。これらの点について大臣としてはひとつどういう所見なのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#22
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、税の負担の公正を期する上から申しまして、大塚委員の仰せのように総合いたしまして、累進税率で税をちょうだいするということが正しい道行きであると考えます。したがって、利子・配当所得につきましても、この原則によりまして総合課税すべきか原則であると思うのであります。政府といたしましてもそれを否定いたしておるわけではないのであります。ただ、そのためには利子・配当所得の捕捉が完全に行われて、その名寄せか完全に行われるという状態がなければならぬわけでございますが、いま不幸にしてまだそこまでの状態になっておりませんので、一歩下がりまして、いまのような例外をしばらくの間認めていただいて、その間に総合課税への道を直くしていく努力を重ねさしていただきたいということでございます。言いかえれば、御趣旨は大塚先生おっしゃるとおりの考え方でございますけれども、現実の問題といたしまして、そういうことをやろうといたしましても、それだけのまだ条件が整っていない、残念ながらそういう状況でございますので、ただいま御提案申し上げたようなことで御理解をちょうだいいたしたいと考えております。
#23
○大塚喬君 ひとつ申し上げておきますが、貯蓄増強中央委員会で、昭和四十九年貯蓄に関する世論調査という中で、その国民の預貯金の平均額が百五十四万円、御存じでございますね、百五十四万円。そうしますと、現行の貯蓄優遇制度というものがあって、しかも国民のいわゆる預貯金の現状というものから言えば百五十四万円、そうしてまたこれ、私はこのような不公平な税の改正、しかも適正化というような大変な名前をつけて出してくる、しかもどういう努力をするというような完全に把握するために、そういうことに何ら触れないで、五年間を従来の慣習に従ってこのような悪法を延長するということにはどうしてもやっぱり賛成することができません。この問題だけでやっていますと時間がかかってしまいますので、最後にこの問題について税率を、このたびの改正で二五%から三五%まで引き上げる、こういうことになりますと、税の増収分は、いままで税がかけられなかったわけですが、今度の改正によって五%上げた、こういうことによって税の増収分はどのくらいになりますか。
#24
○政府委員(中橋敬次郎君) 初年度は、来年の一月一日からこの制度がかかるわけでございますので、百億円増収になります。平年度一年間それが適用になりますという計算をいたしますと五百五十億円増収になります。
#25
○大塚喬君 これはまあ現在の預貯金の総額、これは各金融機関ともはっきりいたしておるわけでございますが、一体この特例を、ただ把握が困難だと、こういうことで延長されるということでありますが、この特例を五十年度末で廃止と、こういうことの法律のとおりにやった場合には、これに要する――これに要するというか、これから得られる税の増収分の総額、これは見通しになるわけでありますが、どのくらいの額になりますか。
#26
○政府委員(中橋敬次郎君) その計算はやったことはございませんけれども、私どもが非常に恐れますのは、仮にそういうことをやりましたときにはかなりの金額が総合されなくて、しかも一五%なら一五%の源泉徴収税率だけで逃げてしまうおそれは多分にあると思います。
#27
○大塚喬君 どうも答弁になりませんね、それは。実際にその利子・配当を受ける元金というのは一応はっきりしているわけですね。ただ把握することが困難だと、こういうことで先ほど説明をいただいたわけでありますが、この分離課税方式を法律どおりに今年で廃止すると、こういうことになれば、それらの税収というのは、これによって受けられる税の増収分というのは一応はっきり出てくるはずでございます。だから、そこらのところをいまのような答弁で逃げられたんでは、国会のこれは審議にはならないと思います。
#28
○政府委員(中橋敬次郎君) 昭和四十八年度の数字でございますけれども、ちょっとお時間をかりまして申し上げますが、個人が受け取る利子の総額というのは、全体の利子の総額のうちで約半分でございます。そのまた個人が受け取る中でいわゆる源泉選択をしておるという利子は、個人が受け取りますものを一〇〇といたしますと約二割ぐらいでございます。で、その二割を仮に今年末をもって源泉選択課税制度というのをやめまして総合にいたすといたしますと、それが全部総合課税になれば、一体どういうふうな増収になるのかというのがお尋ねだと思いますけれども、それにつきましては実は適用税率というのが現在のところわかっておりません。総合いたしましたときに一体どのくらいの率がかかるのか――まあ現在は二五でございますから、二五とっておるのが七千億円くらいの利子がございますけれども、それが一体総合にしたときには二五よりは、二五ないしはそれ以上の適用税率になりますけれども、その分については実はわかっておりません。
 それからもう一つは、先ほども申しましたように、その場合に、いままで源泉選択をしまして二五%の税率を納税をするという人が架空名義でかなりおるわけです。架空名義は利子の総額は把握いたしましても、それは一体だれの所得であるのかというのが把握が非常にむずかしいものですから、私どもが先ほど来申しておりますように、それの一体税収が確保できるかということについて非常に心配をしておるわけであります。
#29
○大塚喬君 どうも答弁がこちらの要求しておる答弁――その把握することはむずかしいということは、先ほどから何度もあんたもおっしゃったので、それは一応そういうことでお聞きをして、そういう技術的な問題でなくて、私が申し上げたいのは、ともかくこの特別措置法を存続する、こういうことによって恩典を受ける対象の人たちというのはともかく預貯金が四千百万円、これ以上の人がともかく恩典を受ける、そういう階層の人であり、それは資産の三分化というようなことから考えれば、大体一億程度の高額所得者の方が恩典を受ける、そういう対象になるはずだ。で、それらの対象の方が一体この租税特別措置法、これの適用によってどの程度減税をされておるのか、大蔵省はこの国会に予算を審議してくれというのは、もちろんこういう理由で、これだけの取れるべき税金を、こういう理由によって減税をするんだと、こういうことが本筋でしょう。そうだとすれば、ここでその五%やって平年度五百五十億のともかく増収があるんだと。そしてこの税制をことしで廃止した。法律から言えば当然廃止することになっておったわけですから、それらの試算というのもその積算の基礎の中には当然検討される。これが主税局長としては当然の務めだと思うんです。そういうふうなことを課税が困難だということの繰り返しで逃げられるというのはどうも納得できません。簡潔にひとつ。
#30
○政府委員(中橋敬次郎君) 五十年度におきまして租税特別措置で一体どれくらい減収になっておるかというのは、いずれ各項目につきまして国会に御提案、御提出して御審議を仰ぐことになっております。その中でちょっと五十年度の数字はいま計算をいたしておりますので、四十九年度の租税特別措置による減収額といたしまして、利子所得で課税を特例措置を講ずることによっては二百二十億円減収になっております。二百二十億円減収になっております中で、いまの源泉選択徴収制度によりましての減収は八十億円でございます。
#31
○大塚喬君 どうも、大変答弁で長く時間をとられるもんだから至極迷惑をいたしております。
 この問題、またあとで引き続きやることにして、土地の譲渡所得税の適正化の問題についてお尋ねをいたします。これも四十四年から今年度、四十九年度末で期限が切れると、こういうことになっておったわけですが、五年間また延長だ、と。その五年間延長がどうして適正化になるのか、その理由をひとつお聞かせいただきたい。
#32
○政府委員(中橋敬次郎君) 土地の譲渡所得につきましては、現在まで過去六年間、それぞれ、長期譲渡所得につきましては、所得税では一〇%、一五%、二〇%と逐次上げてまいったわけでございます。今回の御提案を申し上げようとしております制度改正によれば、譲渡益二千万円までのところは二〇%までのフラット税率をとりまして、それを超える部分につきましては本則が二分の一総合ということでございますけれども、これを四分の三総合にするということで、かなり、いわば大口の譲渡所得につきましては、過去におきます特例税率と比べましても、また、ましてや本則の二分の一総合と比べましても、かなり重い負担を課するわけでございます。そういう制度を一体どれくらいの期間適用するのがよろしいかということでございますけれども、これも最近の土地の情勢から申しまして、やはり五年間という単位をもってこれくらいの制度を実施するのがよかろうということで、五年間ということで今回御提案をするわけでございます。
#33
○大塚喬君 この土地譲渡に関する特例は、私どもは、都市近郊の宅地化を促進する、土地供給政策でこういう制度が設けられたというふうに理解をいたしておるところでございます。現在まで、大蔵省としては、この法律制定の趣旨に基づいていわゆる宅地化されたのは、現在の土地の総面積のどのくらいの坪数になっておると把握をされておりますか。そこのところをお聞かせいただきたい。
#34
○政府委員(中橋敬次郎君) これまでの特別措置によりましてその適用を受けましたものは、納税者では約二百万件、譲渡益で申しますと約十五兆円でございます。それから納税者のみならず非納税者も含めまして、件数でございますけれどもこの適用を受けましたものは約五百万件ございます。これによりますところの譲渡価格は約四十四兆でございました。それで、そういうことによりまして、一体どれくらいの土地が宅地になったかという御質問でございますけれども、その中で市街化区域にありますものが約一五%、それから市街化調整区域にありますものが約二二%でございます。したがいまして、いわば都市近郊にありますものが約四割弱あったと思っております。
#35
○大塚喬君 四割といういまお答えをいただいたわけですが、私の調査で、都市近郊でそれが宅地になったということの数字はもっともっとはるかに低い。しかも、そういうことでこの宅地造成化というための税制の改正が、実際はそういうことにはあまりプラスにならなかったんじゃないか、こういうことを考えるわけでございます。
 時間がございませんのでこの問題はまた重ねてひとつお尋ねすることにいたしまして、医師課税の特例の問題。大蔵省としては現行の社会保険診療報酬について七二%、この問題についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
 それから、適正な率というのは、現在大蔵省としてはいままでの間に調査をされたかどうか、されたとすれば、それの額というのはどの程度になっておりますか、ひとつお聞かせいただきたい。
#36
○政府委員(中橋敬次郎君) 現在ございます社会保険診療報酬の七二%の特例措置といいますのは、過去二十年間あったわけでございますが、税制当局としますと、これは非常に不公正な制度であると思っております。と申しますのは、実際に社会保険診療報酬の中から、たとえば薬代とか雇い人費とか、そういう実際に要する経費があるわけでございますけれども、それは最近の事情にかんがみますればそんなにならないわけでございます。そういう率は一体どれくらいかということでございますが、そういう適用を受けておる人については、現在まで約二十年間もちろん七二%適用だけでございますから、調査の権限がございませんので具体的にそれだけについて調査したことはありませんけれども、過去におきまして、たとえば青色申告などで収支計算が明らかになっておりますお医者さんにつきまして、自由診療分と社会保険診療分とを分別することによりまして、いわば社会保険診療に対しますところの経費率というのが抽出できるわけでございます。そういうものを出してみますと、ほぼ五一、二%になっております。
#37
○大塚喬君 先ごろの税制調査会の答申が実施されなかったわけでありますが、これはどういう経過で、どういう理由で実施されなかったのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
#38
○政府委員(中橋敬次郎君) そういう先ほど申しましたような率を根底におきまして、しかも、税制調査会におきましては、社会保険医の保険制度の中における特殊な地位というものも考えまして、いま言いました実際の経費率のほかに、特別の控除率というものを考えてはどうかという御提案がございました。そういうものは、ただし、収入金額のいかんにかかわらず現在のように一律であってはなりませんので、逐次逓減をしてまいりまして、あるところにまいればそれはゼロになるというような御提案でございます。そういう改正は実は近い将来において行われる見通しでございます。ただ、その時期は、次回診療報酬等の改定のときに行われるということになっております。
#39
○大塚喬君 大平さん、率直に言って、いまの税制で最も不公平な、税制の最も黒い面というのは、私は租税特別措置、この特例が税制の最も黒い面だと、不公平をつくり出しておる一番元凶だと、大もとだと、こういうふうに感ずるわけでございます。ところがこの問題が、今回は適正化ということで、法律改正や何かの案件が出ておりますが、全然こういう問題が取り上げられない。日本の政治が大きな転換をしようというときに、そして三木内閣が一枚看板、社会的な公正を実現するんだと、こういうことを言っておきながら、税制改正の面では、これが具体的に三木内閣の性格が数字であらわれたものである。これが全然そういうことは是正されないでと、こういうことはまことに遺憾であります。
 引き続いてこれらの問題についてはひとつ質疑を続けさせていただきたいと思いますが、所得税について今年度はミニ減税ということで一千九百五十億、人的な控除を引き上げただけでおしまいになってしまったわけでありますが、昭和四十九年度の税制改革の際に、政府は、消費者物価の上昇率見通しが九・六%、それで物価調整減税ということで二千七百六十億の計算をされて減税が行われたわけであります。で、ことしの物価上昇の見通しは一一・五%ということが発表になっております。そうしますと、去年の物価上昇率から考えますというと、一%の物価が上がるということで、二百五十億の調整減税がなされて初めて税が均衡がとれると、こういうことになっておったと思うわけであります。ところがことし一一・五%物価が上昇すると、こういう見通しのもとで、一千九百五十億の所得税減税というのは、これはやっぱり不均衡ではないかと、これはどういう理由でことし所得税減税が見送られましたのか、ごく簡単にひとつお聞かせいただきたい。
#40
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお示しのいわゆる物価調整減税でございますけれども、これを五十年度の数字で申しますと、一一・八消費者物価が上がるという計算でございまして、約四千四百億円要るということになります。その中で昨年度の非常に大きな税制改正の平年度化が、ことしは非常に大きゅうございまして、その分で約三千五百億円カバーし得るわけでございます。したがって、差し引き九百億円を今回新たに行いますところの所得税の税制改正でまかなえば、いわゆる物価調整減税というのはできる計算になるわけであります。
#41
○大塚喬君 どうも答弁で大変時間が長くとられて迷惑をいたしております。
 最後に、いわゆるたばこ値上げの問題で、大蔵大臣と専売公社総裁にお尋ねをいたします。二千五百億円増収をはかるために、今回この改正がなされるわけでありますが、初めに総裁にお尋ねをいたします。
 前回のわが党寺田委員の質問の中で、塩は公益専売であります。それからたばこは財政専売でありますと、しごく気安くこういうことをおっしゃったわけですが、それの法制的な根拠をひとつお聞かせをいただきたい。
 それから、酒の問題について大蔵大臣にお尋ねをしたいと思いますが、間接税負担の適正化ということで税率が引き上げられます。私かどうしても疑問としてならないことは、物品税関係について、大変他の比較とにおいて問題があろうと思うわけであります。
 たとえば、たばこと酒を今度は一緒にしてお尋ねをいたすわけでありますが、たばこの場合には、一級品は大体六三%の税率になりますね。それから二級品は六〇%一三級品は五五%、それから酒の場合で申しますと、特級酒が三二・七%、それからビールの場合には四一・九%、ウイスキーの特級の場合には四〇・六%、他の物品税の課税品目、これは実際に小売価格で占める税率の割合、これを調べてみますと、ダイヤとか宝石とか、こういう、それらの関係の製品、それからミンクのコート、こういうもの、あるいはじゅうたんの特級の品、こういうものは小売価格の一五%が物品税かかけられておるわけであります。したがって、これは販売価格――税込みの小売価格ということになれば、実際は一三%にしかなりません。で、一体大蔵大臣として、ダイヤ、こういうものが、奢侈品、ぜいたく品――私どもはそういうふうに受けとめておるわけでありますが、それから酒、たばこ、こういうふうなものは、もう嗜好品とは言いながら、実際は生活必需品に近いものである。で、そこらの考え方として、税の公正という立場から考えると、これらの額についてはどうも納得しかねる。で、財政専売だと、こういうふうなことをたばこでおっしゃりますけれども、たばこの昭和四十九年度の税収入の中で占める割合は、わずかに二・六%であります。総裁が上段に振りかぶってこれが財政専売でございます、こういうようなものとはずいぶんほど遠いものであり、これを今度四八%値上げをいたしましても、実際には収入の二・六%にしかならない。こういう現状の中から、私は、このようないまの時期に国民に大衆負担をかける、大衆課税の性格を持つたばこの値上げ、それから酒の値上げというのは避けるべきではないかと、こういう考え方で、これらについて大蔵大臣と専売総裁のひとつ答弁をいただきたいと思います。
#42
○説明員(木村秀弘君) 私、確かにこの前の当委員会で、塩は公益専売で、たばこは財政専売でございますということを御答弁申し上げております。ただいま法律的にどういう根拠があるかという御質問でございますけれども、これは、御承知のように、日本専売公社法には納付金に関する規定、またたばこ専売法におきましては地方消費税に関連する規定がございますし、また今回御審議をお願いすることになっております製造たばこ定価法の中にも、「適正な専売収入をもたらすようなものでなければならない。」という字句がございまして、やはり財政専売、たばこにつきましては財政専売ということは、この制度が始まりまして以来今日まで、歴史的にも、また法制的にも維持されておることだと思います。
 その理由は、申し上げるまでもなく、塩は、これなくしては国民の生存を維持できない、いわゆる生活必需物資でございますし、たばこにつきましてはただいま大塚委員御指摘のように嗜好品という点がございます。またこういう考えは一般の国際的な評価と申しますか、におきましても同じような考えを持っておるように私は考えます。
#43
○国務大臣(大平正芳君) たばこと酒につきまして、こういう時期に値上げをすることはほかの税目、物品税等との均衡上から見ても適当でないではないかという御質疑でございます。実は御案内のように、酒もたばこも原則としてこれは従量税になっておるわけでございまして、それからまたここ数年据え置きにいたしてまいったわけでございます。他の税目は従価税が多うございまして、その間に物価の値上がり、したがって、それに応じての税収が保証されているわけでございますが、従量税に関しましてはそれらとの比較におきまして、学者の言葉をもってすると、見えざる減税が結果的に出ておるということにもなっておるわけでございますので、ここで社会保障その他で財政需要が必要なときに、愛煙家にも御負掛をちょうだいすることは、あながち無理なことではなかろうと判断いたしたわけでございます。また海外の諸国との比較、権衡を見ましても、決して日本のたばこ、酒が高いわけではありませんし、またしかしながら、大衆酒あるいは大衆用たばこ等ににつきましては、特段の配慮をいたしてありますということも、あわせて御理解を賜りたいと思います。
#44
○大塚喬君 委員長、一言。
 酒、ビール、これらの最も恐ろしいことは、いま便乗値上げの問題を私どもはおそれます。これに対して適切な処置を、どういうふうに税率アップについてとられるか、そのことだけひとつお聞かせいただきたいと思います。
#45
○政府委員(星野孝俊君) お答えいたします。先生も御承知のように、酒につきましては現在価格は自由価格のたてまえになっております。したがって、その価格は個々の企業が自主的な判断によりまして自由に決定すると、こういうふうなたてまえになっておるわけでございますが、しかしながら、酒が国民の消費生活に非常に密接な関係を持っておる消費物資でございますので、国税庁としては、従来からこの酒税の引き上げに伴います便乗値上げのないように、業界を指導しておるところでございます。それで今回の酒税の引き上げにつきましても、この点よく業界を指導しまして、かりそめにも便乗値上げがないようにいたしたいと思っております。
#46
○鈴木一弘君 きょうは、ちょっと若干銀行関係の問題で伺いたいと思いますか、三木総理が衆議院の予算委員会で、銀行があの異常インフレの祭にとった、その異常インフレのもとでの行為に行き過ぎがあった、こういう答弁をしております。その言葉以上に国民は、現在銀行に対して強い不信感というのをいま持ちつつあると言って過言じゃないと思います。御承知のような一円預金運動とか、千円未満の預金への付利をしなさいという運動とか、そういうことで明らかなように、いままでのいわゆる異常インフレのときあたりの利潤追求第一主義、そういったものに対しての不信、批判、これが非常に多くなっています。やはり、企業全体を見れば、ほかの企業と違って、銀行の場合には他の企業より一段と社会的責任といいますか、公共的性格というものが強いわけですし、それが逆に国民の不信を高めているということでは非常に問題だと思うんです。この点は、許可、認可、監督の任にあるのは大蔵省であり、大蔵大臣でもありますから、その点についての、まずお考えを伺いたいと思います。
#47
○政府委員(高橋英明君) ただいま御指摘がございました昭和四十六年、七年、八年といったころの銀行の異常な貸し出し膨張といったようなこと、確かに今日になってみれば大変な行き過ぎがあったというふうに思います。当時、円のレートの引き上げといったようなことから、大変な不況がくるんじゃないかというような空気が一方でございました。それからまた、黒字の増大による手元流動性といったようなものが企業にもございました、また銀行にもございました。そこで、いままで貧乏であった企業、金融機関が、急にどかっと金が入りまして、その使い道がわからなかったといったような点があったことも否めません。また高度成長あるいは産業金融といったようなものから、福祉金融あるいは経済構造の変化といったようなことも言われまして、まあこれからは不動産業であるとか、あるいはレジャー産業であるとか、そういったようなものが成長産業であろうというふうに言われたこともございまして、国を挙げてといいますか、そういうような風潮の中で、融資がそちらのほうに片寄ったといったようなことは否めません。今日になってみますと、日本の経済というのは非常に振幅が激しゅうございまして、むしろ裏目に出ておるというような感じで、まあ冷えてきておるわけでございます。そういうことはございましたが、先生が御指摘のように、金融機関というのは免許企業であり、あるいはまた預金者の大事なお金を預かっており、その資金配分といったようなものが適正に行われなければならないという使命も十分ございます。そこでまた、今日になってみると、不況というようなものが進行しておりますので、こういう事態に銀行がその使命を十分自覚して、そしていやしくも信頼を失うというようなことは、もとより大変なことでございますが、むしろ信頼され、感謝されるような経営に徹してもらいたいと、かように考えております。
#48
○鈴木一弘君 それで、これは昨年の三月でしたか、銀行法第二十条に基づいて、大蔵省が銀行の融資実態の調査をしていますね、特別調査をしているんですけれども、その調査の結果はどうだったのか、いま、まあ予算委員会等で追及されたときには、対象企業の名前も挙がっていなくて、これは日本経済新聞の昨年の三月十一日に対象企業の名前がこう挙がってきたわけでございますが、どうも、すでに調査は終了しているとなれば、その調査結果は一体どうなっていたのか、報告すべきものは国民の前にはっきりと大蔵省自体私はしなきゃいけないんじゃないかという気がするんですね、やはり政治の信頼を確保しようというのであれば、やはりそういうような特別調査をしたと、特別な、先ほど話があったような貸し出し、異常な貸し出しがあったからこそということからインフレを引き起こした、そういう点もあったであろうと思いますけれども、これはまたこの調査をしたことが非公表、公表されないということになれば、やはり国民の目から見れば政府と銀行が癒着してるんじゃないかという感覚は避けられないだろうと思うんですね、そういう内容、企業の名前を正式に発表するとか、あるいはその調査の実態はこうであったということを発表するべきだと私は思うのです。これは非常に政治的な判断も要ることだと思うのでありますけれども、この点についてはどうお考えですか。
#49
○政府委員(高橋英明君) 私ども行います調査あるいは検査といったようなものは、原則として公表あるいは発表することはしないことにいたしております。新聞に企業名が出ましたけれども、あれは私どもが発表したのではなくて、新聞社の方で恐らく取材されて、あるいはリストアップしたのではないかと思います。
 それから、私どもがやりました調査といいますのは、そういう緩和期の融資の実態、それからその後四十八年から引き締めを行いましたので、その引き締めの効果がどういうふうに浸透しておるかといったようなことを主眼として行いまして、そしてまあ融資の――あの当時は特にまた買いだめ、売り惜しみ等に資金が流れていないかといったようなことでございましたし、そういうことを調べに行ったわけでございます。それで調べている間に資金の使途の把握が不十分ではないかとか、あるいはそういう売り惜しみ買いだめ等の金が流れておるかというようなことを個別に調べまして、その場で指導して直してきたということでございまして、これを係数的にまとめるとか、そういうようなことのできない性質の調査をやってきたものでございますので、本来調査は公表すべきものではございませんが、さらに前回の、昨年の検査というものはどうも公表するといったようなことになじまないものであったということが言えると思います。
#50
○鈴木一弘君 いまの話だと、買いだめであるとか、あるいは売り惜しみに資金が行っていたということになれば、そういったことを個々に指導した。指導したところぐらいははっきりすることはできるのじゃないですか。公表の名前ぐらいは挙げることはできないか。あるいはこれだけの、新聞は百二十三社、二十五業種に特別調査をしたと、こうなっていますけれどもね。そういう企業の名全部が挙げられなければ、その中で特に注意を要したのはこういうところであったぐらいのことは私は公表しても差し支えがないだろうと思うし、またそれだけの社会的責任は、受けられた融資先の取引先企業というものは持ってあたりまえだろうと思うのですけれどもね。そういう点は判断はいかがですか。
#51
○政府委員(高橋英明君) いや、調査の場合は、そもそもが是正するというようなことが目的でございまして、特別その企業に罰則的なというようなことを考えてやったわけではございません。
 それから、私ども実態は、実際は企業というものを調査する権利、権限は持っておらないわけでございます。銀行を通じて企業から資料などの協力をいただいてやったわけでございまして、その企業の名前を発表するというようなことはとても私どもの権限ではできないわけでございます。
#52
○鈴木一弘君 このときに、これで百二十三社の名前がこう挙がっているのは、これは一体どういうわけですか。これは、「大蔵省は」云々と書いてあって、「関係筋は」ということで出ていますからね。「強く」「こばんでいた」けれどもと、こうあるのです。これは発表したとしか見れないわけでしょう。これは新聞社が勝手にやったんだということなんですか。
#53
○政府委員(高橋英明君) 調査を始めますときに、こういう調査をいたしますということを記者に発表いたしました。百二十社程度を選定して、重点的に調査すると。そこで、そのときに企業の名前を公表しろというような質問があったわけでございます。それでも、そういうことはできませんと言って、私どもは取引先の企業名を公表することはできませんということでやりとりをいたしております。
 したがいまして、その新聞の末端のほうに企業名が載っておりますのはどういうわけか、私どもにはわからないわけでございます。
#54
○鈴木一弘君 委員長にお願いでありますけれども、この調査対象の会社の名前と、それから主な何か調べられたことについて当委員会に資料として出していただくようにお願いします。
#55
○委員長(桧垣徳太郎君) 本件についての取り扱いは、後刻理事会において協議をいたします。
#56
○鈴木一弘君 そこで問題なのは、私は、銀行法の改正をしなければいけないんじゃないかと思うんです。これは大蔵大臣もその点は十分御存じだと思いますけれども、現在の銀行法には、使命、目的、こういうものがはっきりしておりません。
 日本銀行法には、一番最初の第一条に、目的及び法人格、第二条使命ということが出ていて、あるいは「国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為国家ノ政策ニ即シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス」と目的があり、使命としては、「専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ」ということかあります。
 ところが銀行法は、一番最初は定義ですね。定義から始まっている。一体銀行というのはどういう役割りを持っているのかということが法的な整備は全くされていないということです、これは。これは非常に微妙な、まあ奇妙だと思うんですね、私は。やはりそういう役割りをはっきりさせる必要があるんじゃないか。そういうことも含めて、まだまだ銀行法の中には問題がたくさんあると思います。資本金の問題にしましてもそのほかの問題たくさんございます。
 やはりまず一番最初、法的に役割りを明確にする。私どもの党としては、銀行は不特定多数の預金者から資金を集めているわけです。その集積した資金を社会公共のために配分する役割りを持っている、こういうふうに定義をするべきだろうと思いますし、したがって預金者保護、資金配分の両面からの機能を明確に定義づける必要がある、こういうように思いますし、それによって社会公共的責任を、まず銀行法の第一条あたりではっきりさせる必要がある。そうすれば、いわゆる通達行政でやっているような大規模融資の規制の問題や、あるいはこの間ございました――先ほど答弁のあったような異常通貨膨張させるようなオーバーローン、過大なる貸し付け、こういうようなことによる通貨価値の下落、こういうことを避けることもできるわけです。そういうことを避けるということも法文の中に出てくるし、企業支配についての禁止の問題なりについても、さらに明確にもできるし、政令等に委任されたようなものでなくて、法定でもって法制化できると思います。そういう社会的使命の非常に強いのが銀行の役目だと思うんですね、もう。そういう点からぜひとも銀行法の改正を、いま言ったような使命や何かの目的をまず取り上げておやりになる必要はないかどうか、その点大蔵大臣お考えがおありだろうと思うんですが、いかがお考えになりましょうか。
#57
○国務大臣(大平正芳君) まあ銀行法の改正問題につきまして、鈴木委員から御意見を交えての御提言がございまして、私もこの法律、戦時中の立法でございまするし、ずいぶん時間も経過いたしておるわけで、検討すべき点が多々あることは御同感でございます。ただ何分銀行法、まあ金融制度の基本にかかわる法律でございまして、これを改正するといたしますと、関連するところが大変大きい、多くの問題がございまして、これはずいぶん念を入れて、時間をかけて考えなけりゃならぬことも御理解いただけるかと思うのでございます。現行法のもとにおきまして、しかしながら一日も仕事を後退することか、――おろそかにできませんので、通達等の形で行政指導に当たっておるわけでございますことは御案内のとおりでございまして、したがって、この改正につきましては、いろいろな点を考慮しながら慎重に考えさしていただきたいと思います。
#58
○鈴木一弘君 その慎重に考えさしてくださいというのは、いわゆる審議会や調査会の方へ答申として求める、諮問をするということをおやりになりますかどうか、その辺もちょっと伺っておきたいんですが。
#59
○国務大臣(大平正芳君) いまちょっと注意があったんですが、戦時中の立法というのは間違いでして、あれは昭和二年ですから、戦争前の立法と訂正さしていただきます。
 それからいまの御質問は……。
#60
○鈴木一弘君 金融制度調査会等に諮問する気はないか。
#61
○国務大臣(大平正芳君) その点も含めまして、私自身十分検討さしていただきます。
#62
○鈴木一弘君 次に、銀行の株式と社債の保有実態、これを見てますと、都市銀行の平均で利益処分前の自己資本で一・六一倍ですか、地方銀行で一・三一倍の保有ということに大蔵省の資料にはなっておりますが、狭義の自己資本、利益処分後のもので見ると、都市銀行が二・六倍、地方銀行一・八というふうになっておりますが、非常に資金のポジションとしてもよくないという感じを受けざるを得ません。こういう点についての考え方、いわゆる株式、社債の保有というものはどういう方向にあるべきか、この点についてはどう思っていますか。
#63
○政府委員(高橋英明君) 銀行の資産運用といたしまして、貸出金、有価証券、まあその他というふうになるのは、これはむしろ当然でございまして、私は、銀行の資産が貸出金だけに片寄るということはむしろ好ましいとは思っておりません。したがって、ある程度のシェアをもって資産運用の一つとして有価証券を持つということは決して悪いことではない、かように考えております。ただいま先生のおっしゃいました自己資本に対して何倍というようなことがございますけれども、銀行の資産のほうのシェアから見ますと、大体有価証券全体は一〇%前後でずっと安定的に推移しております。それから株式、都市銀行の株式も大体二・三%ぐらいで推移しておりまして、特に銀行の資産運用として、資産面の構成として株式が異常にふえたとか、あるいは有価証券が異常にふえたといったようなことはございません。
#64
○鈴木一弘君 もう一つは、この間から問題になっていたいわゆる付利の問題ですね。普通預金については現在千円以下はついてないとか、まあ銀行によって違いますけれども、都市銀行、地方銀行、相銀が千円、信金の場合は百円のもあれば千円のところもあると、労金が百円と千円、郵便貯金が十円からは利子がつくというふうになっておりますね。これは大分大きな問題になっている。この点は私はやはり、何も基準があるわけじゃありませんしするわけでしょうけれども、しかし、郵便貯金が十円というような状態のときに片方が千円というのも少し行き過ぎな感じがする。やはりこの点については、これは大蔵省としても私は、十円は行き過ぎかもしれないけれども、百円とか、あるいはもっと下げることができるんじゃないかということが考えられるわけです。いろいろコンピューターのあれがあるとか、いろいろなことを言われますけれども私は、そこまで利子をつけるのには下げていっていいんじゃないかという気がするんですけどね、この点はいかがでございますか。
#65
○政府委員(高橋英明君) 付利単位の問題、これは実は銀行独自の問題なんでございます。私どもが指導したり、あるいは銀行の間で協定したりすると大変なことになりまして、まあばらばらに行われるのがたてまえでございます。千円というのでございますが、これはただいま先生が労働金庫、信用金庫は百円と言っておりますけれども、百円のところは大体労働金庫でも、四十七のうち二つか五つでございまして、大半は千円になっておるわけでございます。信用金庫でも大半あれでございます。ですから、金融機関大体普通預金の付利単位は千円になっておるということが事実でございます。郵便貯金の十円といいますのは、郵便貯金は月利方式をとっておりますので、独特の付利をしておりますので、これは特別でございます。
 その付利単位の千円というものは一体どうなんだということを真っ正面に聞かれますと、実は戦前は大半が十円でございました。それから終戦直後に百円になりまして、現在の千円になりましたのは昭和二十五年でございます。したがって、あれから残念ながら貨幣価値が下落してこうなっております。昭和二十五年のときの千円ということなんでございますから、本当はいまごろでしたらもっと高くてもいいのかもしれないんです。しかし、そんなことは言っておれません。銀行に対するいろいろな批判、運動がありますので、千円といったようなものが預金者を刺激しておるということであるならば、これは何とか考えようではないかというような動きが金融界に出ております。それで、先日衆議院の大蔵委員会に参考人として呼ばれました全銀協の会長なども、近くこれを百円まで下げるように勉強すると、こういうような答弁があったようでございます。私どもは、銀行が独自にといいますか、進んでそれを百円に下げるというようなことをおやりになるならば、それは結構であるというふうに考えておるわけでございます。
#66
○鈴木一弘君 銀行問題で一つだけ残っちゃうのでお願いいたしたいと思いますが、独禁法で銀行が特定企業の総株数の一〇%以上は保有してはならないという規定がございますが、今回も五%ぐらいにというのが大分出ておりますけれども、独禁法改正で。四十九年あるいは四十八年というのを見ると、銀行が企業に貸しているのが一〇%台ぎりぎりいっぱいですね、九・九とか、そういうぎりぎり限度いっぱいというのが非常に多いわけです。五%にしても四、五年たてば、あるいは資本金を倍にすれば五%になっちゃうからいいだろうなんという、そういう議論もあるということを聞いているのですけれども、こういう点は、私はきちっとした指導の問題じゃないかと思うのですね。限度いっぱいというより、やはり指導でもって本来はもう少し実態を下げさせるべきではなかったか、この点について大臣どう思われるかということと、この実態については、昨年三月の特別調査ではっきり出ているだろうと思うのですね、それについての答弁をいただきたい。この二つでございます。
#67
○国務大臣(大平正芳君) 独禁法改正問題との関連でございますか。独禁法改正問題は、鈴木委員も御承知のように、いま政府部内におきまして鋭意改正案を得べく検討中でございますので、これについて各閣僚が、いまの段階で意見を述べるということは差し控えさせていただきたいと思います。ただ銀行の融資態度に関連した問題につきまして、実態につきましては局長から御答弁いたさせます。
#68
○政府委員(高橋英明君) 一〇%の制限がある場合に九%を持っているのはよろしくないのじゃないかと、そういうことは……
#69
○鈴木一弘君 一〇%のもあるわけです。限度いっぱいばかりというのはどうかと……。
#70
○政府委員(高橋英明君) 私は法律で一〇%までよろしいというのは、持っていていいのじゃないかというように思いますので、特別指導するというあれはございません。
 それから、前回の特別調査でわかったのではないかと言いますが、そういうことは別に調査の目的にしたわけでもございません。しかし、その調査でなくても、銀行が何%持っているかということは別途わかります。
#71
○渡辺武君 今晩出ました夕刊によりますと、六日パリのOECD本部で開かれた国際エネルギー機関の理事会に、去る二月三日の日だったと思いますが、キッシンジャーが御承知の輸入石油に対する国際的な最低価格を設定したらどうか、そして代替エネルギー資源の販路を拡大するというような趣旨の構想を改めて理事会にアメリカ代表が提起したそうであります。これに対して、記事によりますと、「日本、イタリアをはじめ過半数の国が同提案に保留の態度を示した。」それから、「日本は埋蔵エネルギー資源に乏しいことを理由に最も強く難色を示し、」という記事が出ているわけです。で、すでにおとといの衆議院の予算委員会で、わが党の正森議員の質問に対して宮澤外務大臣もこのキッシンジャー構想について、部分的だと思いますが、消極的な態度も示したわけでありますが、この構想を読んでみますと、いま申しましたように、輸入石油に対して共通関税を設けるとか、課徴金を設定するとかいうようなこともありまして、大蔵大臣の管轄される業務にも関係する問題でありますけれども、この問題について大蔵大臣はどんなふうに考えておられるか、まず伺いたいと思います。大臣から御答弁いただきたい、ぼくは持ち時間少ないんで。
#72
○国務大臣(大平正芳君) まだ意見を述べるそういう米国の提案があったらしいということは聞いておりますけれども、まだ十分検討いたしておりませんので、私の意見を申し述べるのはまだ時期尚早と考えております。
#73
○説明員(結城茂君) ただいま渡辺委員から御指摘がありました石油の最低価格制の問題でございますが、現在行われておりますIEAの理事会で米側から提案されているというふうに承知しておりますが、具体的内容についてはまだ私どもも詳報を得ておりません。キッシンジャーが先般発表をしました演説の中に、最低価格制を設けて代替エネルギーの開発を促進するという内容のものがございましたが、これは具体的に、どういう価格水準にするのかというようなこともまだ明らかでございません。私どもとしましては、最低価格制は価格の下支えになるというふうな問題もございますので、さらにIEAにおける米国の説明等十分聴取した上で、この制度の得失等を今後さらに慎重に検討してまいりたい、かように思っております。
#74
○渡辺武君 キッシンジャーの構想はもうあなた、二、三日前にかなり詳細に新聞にも発表されてる。おそらく日本政府としてもこれについてかなり正確な情報を私持ってると思う。もう宮澤外務大臣がああいうふうにして答弁されているわけですから、大蔵大臣として私はそれなりの検討をしていま御答弁いただけるものと考えておったわけですよ。
 特にあの構想を見てみますと、輸入石油に対して最低価格を設定して、そうしてそれより安い価格でまあ各国は買わないようにしようじゃないかと、つまり、別の言葉で言えば、アメリカが代替エネルギーを開発してそして日本などにこれを売る場合に、まあその妨げにならないようにしたいという趣旨のことだと考えて私は差し支えないと思うんですね。そうしますと、日本のエネルギー自給率わずかに一三・六%、ほとんど外国からの輸入エネルギーに頼ってるというような状態のもとで、せっかくもし――安くなるかもわからぬ輸入石油に最低価格を設定して下支えをして、そうして代替エネルギーを輸入しなきゃならぬというような事態になるわけで、これは国際収支上にも大きな問題が生まれてくるというふうに判断せざるを得ないんです。その点、大蔵大臣、どうですか、重ねて伺います。
#75
○説明員(結城茂君) アメリカ側の提案という趣旨が、一つは、将来の長期的な代替エネルギーを開発するために最低価格制というものを導入することによってこれを促進していくんだと、こういうねらいが込められていると同時に、また一種の商品協定的な意味で価格の安定を図るんだと、こういう意味合いも含められているんじゃないかと、かように想像いたします。したがいまして、現在の高価格の石油価格の水準をそのまま維持するというような意図にあるというふうには考えておりませんで、そういう点を今後、どういうふうにアメリカの提案として考えているのか、詳細に聞いた上で、こちらとしても考え方をまとめていきたい、かように思っております。
#76
○渡辺武君 大蔵大臣、どうですか。
#77
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、まだ私の手元で十分検討いたしておりませんので、御答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
 ただ、申し上げられることは、あらゆる場合に、日本にとって、日本の立場を考えて一番手がたく一番有利な道を選ばなきゃいかぬわけでございまして、エネルギー問題御指摘のように、国際収支から申しましても、産業政策から申しましても、国民生活から申しましても、非常に大事な問題でございますので、私どもとしては慎重に手がたく対処していくつもりでございます。
#78
○渡辺武君 じゃ、大蔵大臣の答弁しやすいものを伺いたいと思うんですが、一月の中旬にワシントンで開かれました十カ国蔵相会議で、大蔵大臣御自身が議長になられて、OECD加盟国間の二百五十億ドルに上る新しい金融援助機関をつくることを決めたわけですが、これはエネルギー危機に対処するための石油消費国間の金融機構だというふうに言われております。しかし、エネルギー危機に対処することを任務とした国際金融機構としては、御存じのように、すでに昨年からIMFのオイルファシリティーがつくられていて、そして同じ一月中旬に開かれたIMFの暫定委員会では融資総額を昨年の三十億SDRからことしは五十億SDR、ドルに直して約六十億ドルになろうかと思いますが、に増額することを決めております。こういうことが一方でやられていながら、なぜこれとは別に新しい石油消費国間の金融機構をつくる必要があったのか、これをまず伺いたい。
#79
○国務大臣(大平正芳君) この間、十カ国蔵相会議で大綱において意見の一致を見ましたOECDを場といたしまする向こう二カ年にわたる約二百五十億ドルを目途といたしました金融取り決めなるものは、渡辺さんのおっしゃるように、エネルギー危機というようには限定してないわけでございまして、OECD加盟国二十四カ国の間におきまして、国際収支の困難に遭遇をしている国々をお互い助け合おうじゃないかというようなことでございます。したがって、エネルギー危機とだけうたったものではないということが第一点でございます。
 それから、しかしながら、今日の国際収支の構造的な変化というものは、あなたの御指摘のように石油危機が最大の原因でありましたことは、しかし隠れもない事実でございまして、それだけによりましても、六百億ドルとか六百五十億ドルとかいうところの赤字が消費国側に出ておると言われておるわけでございます。で、そういったオイルダラーが一方、産油国に偏在していくわけでございますから、それが還流するシステムが確立いたしまして世界経済が安定してまいるためには、ひとりIMFのオイルファシリティーが強化するばかりでなく、いろんな私は手段があわせて講じられてしかるべきだと思うんでございまして、日本は従来このオイルダラーの還流システムには何も一つ二つと言わずに、多元的な方法が考えられてしかるべきだということをかねがね主張してきたわけでございまして、したがって、OECDにこういう取り決めができましても、IMFのファシリティーの強化が行われることと決して矛盾をいたさないし、お互いに相互補完的に作用して世界経済の安定に役立つと私は歓迎いたしております。
#80
○渡辺武君 この新しい金融制度ですね。これは昨年十一月十四日シカゴ大学で行いましたキッシンジャーの演説でその概略の構想が示されております。そしてそれに基づいてというとなんですが、それと同じ内容のものが提唱されて、すでに同じキッシンジャー構想でOECDの中に先ほど問題にしました国際エネルギー機関がつくられております。その上に、さっきも質問の中で申しましたが、二月三日にキッシンジャーが輸入石油についての最低価格制度と、あるいは代替エネルギー資源の開発というような構想を出して新たにIEAの理事会に提起するというような状態が出ておるわけですね。これらのキッシンジャーの構想と、そうしていま私が伺っている新しいこの金融制度、これとはどういう関連を持つものですか。
#81
○政府委員(大倉真隆君) ただいま渡辺委員がおっしゃいましたように、昨年の十一月たしか十四日でございましたが、キッシンジャーのシカゴ大学での演説の中にこの構想が入っておった、これはもう事実でございます。ただ、ほぼ同時並行的にOECDの事務総長のバン・レネップという人が各国共同保証をやってひとつこういう助け合ったらどうかということを関係国に呼びかけてきておりました。で、大臣が申し上げましたような理由で、産油国と対決するとかなんとかいうことではなくて、とにかく先進工業国がお互いの相互扶助の機構をつくろうではないかという前提でOECDの中で議論をしようではないか、OECDもメンバー多うございますので、とりあえずはいわゆるG10で議論しようじゃないかというようなことで検討が始まったわけでございます。したがいまして、シカゴ演説で触れられておったということは確かでございますが、いま各国が寄り集まって考えておる基本的な考え方というのは、先ほど大臣がお答えしたような考え方をベースにしておる、さよう御理解いただきたいと思います。
#82
○国務大臣(大平正芳君) それとIEAとの関係だ。
#83
○政府委員(大倉真隆君) そのIEAは、実は御承知のように十一月よりももっとうんと前から話が始まって、これは渡辺委員よく御存じのことでくどくは申しません、時間の関係がございますから、九月ごろにはすでにでき上がって動き始めておったと、話は、というものでございましょう。
#84
○渡辺武君 私は成立の経過を伺っているんじゃないんです。それぞれが一定の目的を持って動いているわけですから、それの機構の内的なつながりはどうなんだということを伺っているわけです。
#85
○政府委員(大倉真隆君) その意味では、いま議論されております相互援助的な金融取り決めと、IEAとは直接にも間接にも関係はございません。
#86
○渡辺武君 どうも納得のいかない御答弁ばっかりですが、現在、百二十六ヵ国が加盟しているIMFのクォータですね、これは二百九十二億SDR、約三百五十億ドルに上っています。まあ莫大な資金がこれがIMFの手元にあると見ていいわけですね。
 それから、先ほど申しましたオイルファシリティー、これは昨年三十六億ドルのうち、現在までに二十億ドルくらいが貸し付けられただけで、あとはまだ十六億ドルぐらい余っているわけですね。で、同時に、国際エネルギーの、石油価格の状況などを見ますと、一ころのように急激に上がるというような事態でなくて、若干値下げも行われたというようなものもあるわけですね。大分落ちついてきている。こういうときですよ、IMFとは全く別の機構で、しかも二百五十億ドルの巨額な、特別な金融機構をOECDの加盟国だけ、特にその中でも十カ国が中心だというようにして、石油の消費国だけでそういうものをつくるというのは、よほどの異常事態を想定してのことだとしか考えられないわけですね。一体どんな事態を想定してこういう機構をつくったのか。またこのコミュニケを見てみますと、融資条件等々は非常に抽象的ですけれども、どんな事態の場合に融資を行うのか、この辺を御説明いただきたい。
#87
○政府委員(大倉真隆君) ごく簡単に申し上げたいと思いますが、この金融取り決めで予想しておりますのは、これに参加いたしました国の国際収支に非常な困難が起こって、しかも、その国が自国の外貨準備も使い、ほかの資金調達手段も使ってみて、なおかつ緊急に助けてもらわないと、いわばまあ俗に申せば破産してしまう危険があるというようなことを考えて、このコミュニケにもございますが、補完的なもの、かつ最後のよりどころとしてこういうものを用意しておこうという思想で議論が進んでおるように理解しております。
#88
○渡辺武君 大蔵大臣、真接御出席されたんだから、その辺どうですか。
#89
○国務大臣(大平正芳君) 一番根本は、やっぱり世界経済の秩序が維持されて、世界経済が活力を持って運営されていくという状況が望ましいことでございます。したがって、こういう去年の危機はどうやらいろいろな努力で、各国の努力――国際機関の努力でどうやらしのいできたわけでございますが、ことしから来年にかけて、この二年間にわたってこういう取り決めをしておくことによって、これはまあ信用が基礎ですから、こういう構えができたということ自体が、世界経済全体の秩序維持に役立つわけでございまして、しかも世界が一致して、二十四カ国が一致してこれをつくろうというそういうコンセンサスはごくスムーズに得られたと、従来比較的意見の合わなかった英、仏の間にさえコンセンサスが得られたというようなことは、私は非常にこれはいいことだと思うのでございまして、せっかくつくる以上は、やはり相当スケールの大きい取り決めであってしかるべきだと思うわけでございまして、しかしこれも、当初アメリカが言われておったように、一年間でやるとかというようなことになりますと、それはよほど、これまあ保証するにしても、あるいは貸し出しするにしても、相当これは困難なことだと思いますから、まあ二年間、これから二年間にわたってということでございますならば、この程度のことは私は当然考えてしかるべきことじゃないかと判断しております。
#90
○渡辺武君 どうも奥歯に物のはさまったような御答弁ですね。
 大蔵大臣も御存じだと思いますから端的に伺いますが、フォードが昨年の秋の世界エネルギー会議で、このエネルギーの問題について、世の終わりを告げる最後の言葉を使わずにエネルギー問題を討議することは困難であるということも言い、戦争という言葉まで使って産油国に脅迫がましい言葉を吐いたということはもう周知の事実です。また昨年キッシンジャーが、もし同盟国が締め殺されるというような事態になれば、軍事行動も辞さないというような趣旨のことも言っているということも、これまた報道されているところでありますし、現に地中海のアメリカの第六艦隊の兵力が一倍半にすでに増強され、第七艦隊の空母コンステレーションがペルシャ湾に出撃しているというような状況になっているわけです。中東情勢は一触即発の危機にあるというのは、もう世界的に常識になっているというふうに見て差し支えないと思うんです。このアメリカの挑発的な態度によって。
 ところで、さっき申しました昨年十一月十四日のシカゴ大学におけるキッシンジャーの演説を見てみますと、IEAについて次のように言っています。新たな危機が起こった際に主要消費国間で石油供給を融通するという前例のない協定だと。新たな危機が起こったときに、ということを言っているわけですよ。そのために消費国が石油を相互に融通するという前例のない協定だということを言っております。
 それから、いま私が質問しています新しい金融機構について次のように言っています。すべての国が突然の大規模な資金引き揚げに対して弱い立場に立たされることになる、だからこういうものをつくる必要があるんだという趣旨のことを言っています。これは一体何でしょうか。新たな危機が起こる、あるいはすべての国が突然の大規模な資金引き揚げに逢着するというようなこと、これはアメリカがいま進めつつある軍事行動あるいはまた軍事的な脅迫、これと一体不可分なものだと言っても私は思い過ごしじゃないと思うんです。
 もし中東で新たなる軍事的な問題が起これば、アラブの産油国が黙って見過ごすはずはないということは当然予想されることであります。そうなってくれば、石油供給の全面的な制限等々が起こるし、またオイルダラーの全面的な引き揚げということも起こる可能性は十分に予想されることであります。
 明らかに、このIEAにしましても、新たな金融機構にしても、これはやっぱり産油国に対決するための消費国の同盟、あるいはまたそれによる産油国に対する戦争挑発のいわば予備条件だというふうに見て差し支えないと思うんですね。私は、こういうような機構に日本政府が参加するということは、特別にエネルギーについての輸入依存度の高い日本のような国にとってはきわめて危険な、国益を害するもはなはだしいものだというふうに思いますけれども、その点どうですか。
#91
○国務大臣(大平正芳君) 渡辺さんの演説を聞いていると、大変世の中一触即発でえらいことになりそうでございますが、私はそのように考えていないんです。備えあれば憂えなしと申しますか、こういう金融取り決めをいたすことによってこれからラストリゾートだというようなことまでしておきますと、そのことによって金融的な平穏が維持できることになるわけでございます。非常時の場合の融通が行われるようなシステムができておりますと非常時も回避できるわけでございます。これは、そういうエネルギーの安定した供給ができますように世界経済全体の秩序が平穏に維持できることこそ願っておるわけでございまして、戦争をインバイトするようなことをアメリカさんも考えるはずもないし、日本もそれに加担するはずもないんで、そうあんた色めがねで見ないようにひとつしてください。
#92
○渡辺武君 時間が来たんで、いろいろ伺いたいことがあるんですけれども、最後に一問だけ伺いましょう。
 同じ演説の中でキッシンジャーは次のように言っています。輸入石油への依存を軽減するための効果的措置をとらない国は金融面の援助を期待すべきではない、こう言っていますね。大蔵大臣が議長になった十カ国蔵相会議のコミュニケの第三項にもそれを思わせるようなことがはっきりうたわれている。特に第四項を見てみますと、いわば出資額の範囲内の金額を借り入れようという場合には、三分の二以上の賛成が必要だと、それからそれ以上二〇〇%まで借り入れようとする場合には全会一致が必要だと、非常に厳しい条件がついている。私はやがてもし中東に一触即発の事態が起こるというような状況になってくれば、石油の輸出制限、したがって価格の暴騰、オイルダラーの一斉引き揚げというような事態が起こって、日本はおそらく、出資国にいまさせられているわけですが、この金融機構から借り入れしなきゃならぬというような事態になる可能性も十分あるんゃないかというふうに思います。さてその場合に、輸入石油への依存を軽減するための効果的措置という問題は一体どういうことなのか。キッシンジャーが、先ほど申しましたように、輸入石油に対する最低価格の設定、そうして代替エネルギー資源の開発ということを強調している現在の時点に立ってみれば、これは明らかにこうしたキッシンジャー構想を成立させるための金融面での条件だというふうに見て差し支えないと思いますが、その点どう思われますか。
#93
○国務大臣(大平正芳君) こんなに資源か高くなったわけでございまして、キッシンジャーさんが言おうと言うまいと、コミュニケに書いてあろうとなかろうと、輸入をできるだけ少なくするようにやるのは当然じゃございませんか。日本がとるべきエネルギー政策の基本でなけりゃならぬと思っておるわけでございまして、それから、融資を受ける条件が非常に厳しいじゃないか、当然です、これまた。お金を借りるのに甘い条件で借りられるなんて考えていたら私はいけないと思うのでありまして、相当厳しい条件でなければ借りられないということでないと、世界の経済は締まってこないと思います。
#94
○野末陳平君 私は、税制の不公平、さっきも問題になってましたけど、税制の不公平とか、それから生命保険の目減りに対する補償とか、そういうことについてお聞きしたいと思っているのですが、きょうは二十分しかありませんので、もっと小さいことでしぼっていきたいと思いまして、自治省にも来ていただいてますから最初にお聞きしますが、公選法では選挙の応援弁士に報酬を払うということはできないはずですけれども、現実には大体選挙の応援に行くと報酬が支払われるというのが普通なようです。そこで自治省は、この報酬についてどういうように考えていらっしゃいますか簡単にお答え願います。
#95
○説明員(秋山陽一郎君) 公職選挙法の百九十七条の二という規定によりますと、いわゆる選挙運動員と申しますが、そういう方々、事務員または労務提供者の方々に対しまして支給できるところの実費弁償、報酬の基準額というのが……
#96
○野末陳平君 応援弁士の報酬、それだけです。
#97
○説明員(秋山陽一郎君) それでお尋ねのいわゆる選挙運動員と申しますか、選挙の応援をするような方々のための実費弁償、報酬につきましては、実費弁償につきましては支給することができるという規定がございます。それから報酬についてはそのような規定がなされていないのでございます。ただしかし、同時に、政党がその行う政党活動に要する経費というのは選挙運動費用ではないものとされております。また、いわゆる確認団体が政治活動の一還として行います選挙運動に要する経費につきましても選挙運動費用ではないと、こういうぐあいにされておるということでございます。
#98
○野末陳平君 ですから、支出する方は、恐らく政治活動の一環としてそれを経費として出していると思うんですが、今度、受け取る側ですけれども、政治団体が受け取る場合は、これはもう国税庁の枠から外れると思いますが、個人の場合ですが、大蔵省お聞きしますが、いままでこの種の選挙応援による報酬を自主申告しているような例があるかどうか。たとえば芸能人とか評論家とか、それから政治家も含めまして、政治団体を持っている人はともかく、持たない人は当然収入として個人で申告しているはずだと思うんですが、その辺の実態を簡単にまた説明してください。
#99
○政府委員(横井正美君) お答え申し上げます。
 国税庁といたしましては、四十六年ごろからでございますが、国会議員に特に関係の深いような源泉徴収関係の項目をピックアップいたしまして、所得税の源泉徴収についてというチラシを国会議員全員にお配りするようにいたしております。それからまた、ただいまお話のようなことに関連いたしまして、いろいろ御質問も国税庁あるいは国税局長に参ります。そういう場合におきまして、講演料というふうなことで払われますと源泉徴収が必要であり、かけられた国会議員の方はそれを確定申告におきまして申告をする必要があるというふうなことを申し上げて、今日に参っておるわけであります。そういうことからいたしまして、かなりの程度において国会議員の方々の申告の中に反映しておるのではないかと存じますが、もちろん完全であると言う自信はございませんので、今後ともこれらにつきまして広報活動に務めたい、かように考えております。
 議員につきましては、実は国会議員の方々の集計を国税庁でやっておらないというふうなこともございまして、数字で申し上げる資料が実はございません。
#100
○野末陳平君 議員以外ではどうしているんですか。
#101
○政府委員(横井正美君) 議員以外の方につきましては、恐らく疑義が非常に少ないかと思いますので、御申告いただいている場合か多いのではないだろうかと、かように考えます。
#102
○野末陳平君 という話ですけれども、事実は大体この種の金は、まあはっきり言って裏から裏といいますか、領収書を取らないようなやみの受け渡しだというのがぼくは事実だと思っているんです。というのは、知る限りではもう全部そうですから。まあ正直言ったら野党の方にもあるかもしれません。現実にぼくのところにもそういう交渉があったんで、だから事実だということを自分に関しても言えるんですけれども、そこで大蔵大臣お聞きしたいんですが、まあ申告の問題にこだわっているわけじゃないんですけれども、大体選挙の応援に行きましてお金がもらえる、簡単な実費に毛の生えたぐらいはともかくとして、相当な金がもらえるというのがまあ事実らしく、自民党では、あるいは保守系ではね。それで、その金額はかなりな額らしいんですが、大臣の場合は応援にいらっしゃるとやっぱり幾らかもらえるんですか。
#103
○国務大臣(大平正芳君) ただいままでそういう経験はございません。受け取った経験はありません。
#104
○野末陳平君 ところが私の周囲では、まあこの金額言っても、さっき言ったように領収書のない、いいかげんな、まあやみの金ですからね。ここで声を大にして言うのもどうかと思いますけれども、現実問題として一回応援に行きますと二十万ぐらい、それから多いのが――私、知っている限りですよ、多いのは六十万ですね。このぐらいの金が一回応援にちょっと行ってもらえるって、これ普通信じないと思うんです、だれも。しかし事実であることは確かです。領収がないから証拠を出せと言われても困る。大臣、身近でもってこういう話を信じられますか。それとも全然こんなことはないとお思いですか。どっちでしょう。
#105
○国務大臣(大平正芳君) 私、周辺でそういう話はまだ聞いたことございません。
#106
○野末陳平君 ところが、これは事実ですが、そちらの所属する党の遊説局ではこれをいま相談をしている最中で間違いないところなんですがね。でもその水かけ論言うのはやめまして、もっと原則的なことで聞きたいんです。
 自治省にお伺いしたいんですよ。支出する側が仮に政治活動でいろんな名目で出しても、そうなると、一律に金が決まっていればいいんですが、人によっては一回の応援で何十万になったり、人によってはただになったり、個人の能力差のようなもので、いわゆる個人査定によってこの政治活動という名目の謝礼が違うということは、そこに少なくも報酬と断定すべき根拠があるんじゃないか。名目は、法定選挙費用の中でそんな多額の金はおそらく書き出せませんから裏であろうけれども、しかしどうでしょう、この個人査定が働くような払われ方はやはり報酬と認めて、自治省としてもこれは選挙に関する報酬という見方をとれないもんですか。
#107
○説明員(秋山陽一郎君) ただいまのお話につきましては、その経費が政党が純粋な政治活動としてお支払いになるものであるか、または確認団体がその政治活動の一環として行いますような選挙運動としてお支払いになる場合におきましては、これは選挙費用に入らないという扱いなっておりまして、したがいまして、そのような場合は、政治活動経費といたしまして選挙法以外の部面におきまして処置されるべきものと、このように考えます。
#108
○野末陳平君 ああ専門家はやっぱりむずかしいことを言いますね。選挙の応援に行ってそこにかかった費用も選挙費用に入らないというと、ちょっともう素人にはわからないんですがね。まあきょうは自治省にいろいろ細かくお聞きするわけじゃないですから。――それはお答えは聞いておきますがね。
 で、国税庁にお伺いするんですよ。要するに、選挙の応援が個人の能力差によってランクが決まると。あるいはその、いま保守党の方ではそれを決めなきゃいけないということを言ってますがね、そうなりますと、これはどう考えたって、仮に政治活動の名目で支出されていても実質的には個人の収入だと、こう見たいんですよ。また見るべきだとぼくは思うんです。献金とか寄付とかそういう扱いで政治団体がそれを受け取ることはおかしいと。やはり個人の報酬で課税対象にしなけりゃいけないんで、捕促の問題は別として、考え方としては選挙応援による謝礼は、実費に近い数万円という程度ならともかくとして、かなりの額になったら当然課税対象で個人の収入と見るべきだと思いますが、どうでしょうか。
#109
○政府委員(横井正美君) 応援の態様がいろいろあるかと思うんでございます。一番通常考えられますのはいわゆる演説会で講演をなさるということでございます。そういう場合におきましては、通常、講演料というふうなことに考えまして、源泉徴収をし確定申告で精算をするというのが通常であろうかと思います。しかしながら、たとえば芸能界御出身の国会議員の方が選挙の応援演説会の司会をなさったとかいうふうなことになりますと、これはいわゆるまあ事業所得的な収入というふうなことも考えられますので、応援演説にいろいろ態様ございますが、それぞれに応じまして、それぞれの所得になってまいるというふうに考えるわけでございます。
#110
○野末陳平君 そうしますと、ずいぶん、講演会の講演と見て源泉徴収される例もあったり、司会をやってこれは事業所得になったりと、解釈はわかりますが、現実にね、じゃそちらでそれを裏づけるだけの、もちろんあれですよ、名前は伏せて構いませんがね裏づけるだけそんなにたくさん、選挙がこんなにたくさんあって、応援にこんなにたくさん行ってて、しかもそちらでそれ大体妥当だと思われるようなデータを本当に持っているんですか。持っているんだったら後で見せてほしいんですが。
#111
○政府委員(横井正美君) 先ほど申し上げましたように、実は国会議員の方々の資料、国税庁手元にございませんので、御指摘いただきましたように、私ども資料を持って申し上げているわけではございません。
#112
○野末陳平君 そうなりますと、そちらのお答えよりも、私は現実知っていて裏だと、いいかげんにやられているという方が説得力があるんじゃないかと、こう思いますがね。きょうはとにかく国税庁に対してこの捕捉の問題、申告のやり方の問題、解釈をお聞きする時間よりも、むしろ大臣に来ていただいているんで、もっと道義的な面も含めてお伺いをしたいんですがね。大臣の周囲には全然ないとおっしゃっています。そのとおりかもしれません。しかし、現実にはやはり一部の評論家とか、芸能人とか、あるいはもちろん国会議員も含めて、非常に多額の金が選挙の応援に支払われていることは確かなんですよ。それをまた、もっとはっきり決めるべきじゃないかという動きが現実にある。そこで思うのですがね。不明朗でしょう。選挙の応援に実費以上の金が行くということは、不明朗だと思うんです。ぼくの場合言いますとね、はっきり言って手みやげぐらいはもらいますよ。だけれども、野党は、少なくもぼくの知る限り野党にそんな謝礼が動いている例はないですよ。しかし、私のところにどういうわけか保守系の無所属で、こういうふうに選挙が厳しくなりますとね、来ますよ、来てくれと。そのときにやっぱり条件が出てきますね、お金の条件がはっきり入っているんですよ。だから、ぼくのところに来るんだから、ほかだって絶対に多いと思っているわけですね。そこで、金のかかる選挙をやめようともう言っているクリーン内閣は、そうすると大平大蔵大臣も大蔵大臣という立場を離れて、何かこういう常識外の金を政党のしかるべきところでいろいろ検討したり、幾らがいいだろうか、そんなことやるということ自体、ぼくは非常に国民をばかにしている、政治不信をかき立てる不愉快なことなんですね。ですから、大蔵大臣お願いしたいのは、閣議でこういうことをやっぱりはっきりしてほしいと思うんですね。金のことを言うのじゃなくて、選挙の応援に報酬があると、要求する方もある、それを出していいから応援を頼むという方もある、そして受け取る側もある。それが政治活動の名自であろうがなかろうが、実質的に選挙応援に金が動くと、こういう事実を大平大蔵大臣としては閣議でやめさせるように、やはりこう言ってほしいんですよ。これちょっと大蔵委員会でこんなことを言うのもおかしいかもしれませんがね。やはり大きな問題だと思うんです、政治全体として。有権者を余りにもこれじゃばかにしていると思うんですね。ですから、事実関係、それからこの解釈の問題、これは後日政府委員といろいろやってみたいと思うんです。政治家の所得というものが非常に不明朗だということは前から言われていますから。それから私、知っている限りにおいて、裏でもって領収書のない金が何十万動いている、事実ですよ、いまでも実際そうなんですから。だからそういうことは大臣にお聞きしませんが、少なくも大臣いかがでしょうか。こういうものをあなたの政党では本気で不公平があっちゃいけないから報酬にランクをつけよう、もう少し金額を研究しよう、これやめさせるべきじゃないでしょうか。選挙の応援に金をもらうなんというのはとんでもないんだと、実費以上の物を取るなということを大臣のほうから、少なくもあなたの派閥の議員に対しては言うべきではないかと、そういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#113
○国務大臣(大平正芳君) 二つ問題がありまして、選挙の応援にお手伝いをした場合に何がしかの対価を求めるとか、あるいは与えるとかいうような慣行がもしありとすれば、そういうことはやめるべきじゃないかという問題が一つ提起されておるわけでございまして、そういうことは私はないほうが望ましいと思いますし、またお互いにそういうことのないように努力をしたいと思います。
 それから第二の問題は、しかし現実にそういうことが世の中に、国会のわれわれの仲間ばかりでなく広く世間でいろんな人がおるわけでございまして、現実にそういう場合に報酬とかいうようなものの、対価とかいうようなものの授受があったということがあったとすれば、先ほど国税庁からも御報告がございましたように、適正な納税はいたしていただかなけりゃならぬし、そういう意味の捕捉の努力は国税庁といたしましてもすべきであると私は思います。
#114
○大塚喬君 この際ですので、ひとつ委員長に要望を申し上げて、ぜひ善処をお願いしたい。
 それは、開会中の委員会は継続してしばしば開かれる、こういうようにいままで体験をいたしました。それで、審議する議事が継続関連するものが多うございます。で、できるだけひとつ委員長として各関係筋と連絡をいただいて、開会中の委員会の速記については、できるだけ速やかに、できれば次回の委員会までに配付ができますように、これはまあ原則でございますが、そういうことでひとつ御尽力をいただきたいと、要望でございます。ぜひひとつ実現をいただきますようにお願いいたします。
#115
○委員長(桧垣徳太郎君) 委員長から申し上げます。
 ただいまの御要望につきましては、議事速記の所掌をいたしております議院運営委員会委員長、事務総長等、関連の向きに御要望の旨を伝えまして善処をするように努力いたします。
#116
○大塚喬君 どうぞお願いいたします。
#117
○委員長(桧垣徳太郎君) 本件に対する質疑は、この程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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