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#1
第075回国会 大蔵委員会 第9号
昭和五十年三月十八日(火曜日)
   午前十時四十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     赤桐  操君     寺田 熊雄君
     戸田 菊雄君     藤田  進君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     亀井 久興君     青木 一男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桧垣徳太郎君
    理 事
                河本嘉久蔵君
                山崎 五郎君
                辻  一彦君
                鈴木 一弘君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                中西 一郎君
                鳩山威一郎君
                藤川 一秋君
                藤田 正明君
                吉田  実君
                大塚  喬君
                寺田 熊雄君
                野々山一三君
                吉田忠三郎君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                渡辺  武君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       大蔵政務次官   梶木 又三君
       大蔵大臣官房審
       議官       旦  弘昌君
       大蔵省主計局次
       長        田中  敬君
       大蔵省主税局長  中橋敬次郎君
       国税庁次長    磯辺 律男君
       国税庁直税部長  横井 正美君
       国税庁徴収部長  熊谷 文雄君
       農林大臣官房審
       議官       高須 儼明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部防犯少年課
       長        鈴木 善晴君
       農林省畜産局競
       馬監督課長    三井 嗣郎君
       自治省財政局地
       方債課長     小林 悦夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○入場税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、戸田菊雄君、赤桐操君が委員を辞任され、その補欠として藤田進君、寺田熊雄君が選任されました。
 昨十七日、亀井久興君が委員を辞任され、その補欠として青木一男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(桧垣徳太郎君) 相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○大塚喬君 ただいま議題とされております入場税法案、相続税法案のそれぞれ一部改正法案について若干の質問を行いたいと存じます。
 初めに次官にお尋ねをいたしますが、五十年度の税制改正の一環として、入場税の減税を行うという法案が出ておるわけでありますが、今回の入場税減税について税制調査会に諮られなかったのはどういう理由でございましょう。
#5
○政府委員(旦弘昌君) 入場税の減税の問題につきまして、これは政府の税制調査会に諮問をしなかったのはどういう理由かという御質問でございますが、政府の諮問は、個別の税ということではございませんで、わが国の税制のあり方一般につきましてどう考えたらよいかという包括的な諮問でございます。御質問の御趣旨は、その税制調査会から答申が個別に入場税については出ておらないのを改正したのはどうしてかという御指摘ではないかと存じますけれども、この点につきましては、今般の改正に当たりまして政府の税制調査会の審議としましては、いろいろ大きな問題がございました。たとえば租税特別措置の長期譲渡所得の特例あるいは利子・配当の特例、それから相続税それから酒、それから事業所税等々の非常に大きな問題があったわけでございます。そしておっしゃいますように、入場税の減税につきましては答申では触れておりません。おりませんが、一応入場税の問題点につきましては御審議を願ったところであります。しかしながら、答申ございませんでしたけれども、入場税の税負担の軽減ということにつきましては、かねてから非常に強い御要望も一般にあったところでありますので、この際あえて踏み切って減税をいたしたわけでございます。
#6
○大塚喬君 例年の答申書を見ますと、方向というだけでなしに、それぞれの税の種目について具体的な答申内容が盛られておるようであります。特に財源不足の問題が叫ばれ、直間比率の是正の問題が叫ばれておる。その中で、物品税や物あるいはサービスの消費に対して課税する消費税を少しでも拡充しよう、数少ない消費税を実質上、まあ廃止したということにはもちろんならないわけでありますが、思い切った軽減をいたしておるわけであります。率直に私どもは、大蔵省、特に国税関係については、国民一般の感情として大変がめつく何でも取り立てる、こういう印象を強く持っておるわけであります。ところが、答申にもない、そういうものが突如として大蔵省段階で大幅減税ということで出てきたことにどうも腑に落ちないところがあるわけでございます。この入場税についてこれほど思い切った大幅な減税をした理由は一体何なのか、ひとつそこのところをお尋ねをいたしたいと思います。
#7
○政府委員(旦弘昌君) おっしゃいますように、今般の入場税の減税は、入場税といたしましてはかなり大幅な減税でございました。しかしながら、減税額といたしましては百十億程度のものでございます。そして先ほど申し上げましたように、入場税につきましてはかねてからいろいろ国会でも御審議、御意見を賜っておったところでございまして、その軽減については、この際、財源の問題はなるほどございますけれども、しかし、この程度の減税であるならば、あえてこの際踏み切った方がいいのではないか、かように考えた次第でございます。
#8
○大塚喬君 いまおっしゃられるように、確かに入場税の国税収入に占める割合は昭和五十年度で〇・〇一%、こういうことで、税の収入としてはまあ問題ならないほどの少額であることはわかります。では、なぜ思い切って入場税を廃止しなかったのか。大衆娯楽を守る、あるいは高級な芸術、文化の鑑賞に資する、こういうことにすれば、いまのようなお考えだったら、百十億減税してわずか三十億だけ残す、こういう現実の問題があるとするならば、じゃ、なぜ思い切って廃止しなかったか、こういう意見も出てくるだろうと思うわけであります。この点についていかがお考えでございましょう。
#9
○政府委員(旦弘昌君) 入場税は、御承知のとおりいろいろなサービス課税の一環として存在するわけでございます。その他のサービス課税といたしましては、たとえば通行税でございますとか、あるいは地方税におきますところの娯楽施設利用税でありますとか、それらの税金がございます。それでそれらのサービス課税との関連におきましてそのバランスをとりつつ、入場税の負担も考えなければならないとまず考えたわけでございます。おっしゃるとおり、大幅な減税はいたしましたけれども、あとなお三十億程度の税収は期待しておるところでありますが、わずか三十億ぐらいの税収であるならば、この際思い切ってやめてしまったらどうかという御趣旨であろうかと思いますけれども、それは先ほど申し上げましたような、他の同種のサービス課税とのバランスをとって、やはりある程度の金額をお払いになる階層の方につきましては、若干の税負担をしていただいてもいいのではないか、かように考えた次第でございます。
#10
○大塚喬君 この入場税は、私も前に地方議会におったときに論議をした記憶がございますが、この歴史的な経過は、戦時中に制定された法律が基礎になり、戦費調達という財政目的、そして戦時中における娯楽的消費を抑制する、こういう意味で制定されたものと承知をいたしておるわけであります。現在のレジャーブーム、国民の余暇時代と申しますか、こういう現状の中に、私は、いまおっしゃった説明だけでは入場税を三十億、国の財政収入の中でもきわめて微々たる比率しか今後残し得ないと、こういう現状の中で、廃止されても、あるいは廃止すべきであると、こういう考えが強いわけであります。
 そこで、私はお尋ねをいたしたいわけでございますが、国が企画して行う催し物や国立劇場が、国立劇場法第一条に規定する伝統的芸能、これを公開する場合とか、あるいは博覧会、展覧会、こういう入場税は無料になっておるわけであります。税金を課さない。これらと、香り高い芸術、文化の鑑賞、こういう問題ですね、演劇とか演芸とか音楽とか、こういうもののバランスについては一体どういうふうにお考えでございましょう。
#11
○政府委員(旦弘昌君) おっしゃいますように、入場税はサービスに対する課税でございますが、そして三十億程度のものであればもういいではないかという御議論もございますが、この第一点につきましては先ほど申し上げましたように、他のサービス課税とのバランス上ある程度以上のものについては残さざるを得ないんではないかと考えた次第でございます。
 他面、第二点でおっしゃいました、たとえば国立劇場による伝統芸能等の場合におきましては、これは非課税といたしております。考えてみますと、およそサービス課税でありますれば、私どもがそれに課税しておりますのは、それを負担される方の担税力に着目して課税しておるのでございますから、したがいまして、ある程度の金額以上でありますれば、すべてのものについて課税をさせていただくというのが本筋であろうと思います。しかしながら、文化財保護法とか、あるいは国立劇場法等によりまして、国がある種の芸術、文化に対しましては積極的に助成をするという立場をとっております際に、これをあえて課税するというのはいかがかということで、この分につきましては例外として課税をしないということにしておる次第でございます。
#12
○大塚喬君 その伝統的な芸能というものと、映画、演劇、演芸、音楽、こういうものがどこに本質的な価値の差異があるのか、担税力を主にして入場税を課すると、こういうことになれば、いまのお話では筋が通らない答弁にしか私は受け取れないわけでございます。一体どこにその差異を大蔵省としてはお考えになっておられるわけですか。
#13
○政府委員(旦弘昌君) おっしゃいましたその課税にするかしないか、大蔵省がどこで判断するのかという問題でございますが、この点につきましては、大蔵省なり、あるいは第一線の税務官吏が、この催し物はこれは文化の度が香りが高い、あるいは低いというような判断をする立場にはないものと考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、法律等に基づきまして国が明らかにこれを積極的に助成しようというようなたぐいのものに対しましては、この法律に従いましてわが方でも課税をしないということにいたしておるのでございます。
#14
○大塚喬君 どうもはっきりしませんが、免税点の問題についてお尋ねをいたします。
 映画の場合には現行百円、これが千五百円に十五倍に引き上げになったわけであります。演劇、演芸、音楽、いわゆるなまものと言われておりますもの、そのほかスポーツ等も入るわけでありますが、これが現行百円から三千円に一挙に三十倍に引き上げになっておるわけであります。その千五百円、三千円と金額を決めた根拠は一体どういう理由に基づくものでございましょう。
#15
○政府委員(旦弘昌君) 入場税につきましては、四十八年度の改正におきまして、映画、演劇等に対する負担の軽減を図るという見地から、税率を、いま先生おっしゃいましたように映画は千円以下、それから演劇、音楽等は二千円以下ということで、それらのものにつきましては五%、それを超えるものにつきましては一〇%の課税ということにいたしたのでございます。この今回の免税点の引き上げは、このような考え方をさらに前進させまして、現在五%かかっておるようなものにつきましてはこれを免税にしよう、ついては免税点を引き上げようということにしたわけでございますが、それならば、千円なり二千円なりをさらに五割上げましたそれぞれ千五百円あるいは三千円ということにいたしましたのは、四十八年度改正以後におきますこれらの入場料金の値上げ等を考えましてそれぞれ五割上げたわけでございます。
#16
○大塚喬君 映画が千五百円それからなまものが三千円という理由は、一体、現状に、何に基づいてなったのか、いまの答弁でははっきりいたしませんので、もう一度お答えをいただきたいと思います。
#17
○政府委員(旦弘昌君) ただいま御説明いたしましたように、現在あります五%と一〇%の境目の金額を、最近の入場料金の値上げ等を勘案いたしまして、それらの五%程度かかるものにつきましてはこれを免税にするということにいたしたいということで五割引き上げたわけでございます。
#18
○大塚喬君 いまの五%を一〇%に引き上げたと、どうも明快な答弁には受け取りかねるわけです。この法改正の趣旨から言えば、現状、現行法が五%、一〇%あったと。そうだとすれば、なぜ、その高い方の一〇%にしたのか、五%でもいいではないか、私はそういう疑問が依然として消えません。五%、一〇%があったと、これを高い方の一〇%に引き上げた理由は一体何か、もう少しわかるようにはっきりお聞かせいただきたい。
#19
○政府委員(旦弘昌君) 入場税の税率は、三十七年の改正で一〇%一本の税率に改正いたしたわけでございます。その後、そのまま推移してまいりましたけれども、その後の入場料金の引き上げ等を勘案いたしまして、先ほど申し上げましたように、安いものについては、同じ課税するにしても税率を下げたらどうかということで御意見もございましたので、それらにつきましては五%、原則は一〇%であるが、低いものにつきましては五%の軽減税率ということにいたしたわけでございまして、入場税といたしましては一〇%が原則の税率であると私どもは考えております。
#20
○大塚喬君 一〇%が原則だということは法文のどこに書いてございますか。
#21
○政府委員(旦弘昌君) 原則であるということは書いてございませんが、先ほど申し上げましたように、長年にわたる入場税の税率というものが一〇%である、それに対しまして、後で加えまして、五%という税率を新たに設けたということが一つでございます。そして、また、先ほど申し上げました通行税あるいは娯楽施設利用税等々のサービス課税の税率の並びも考えますと、一〇%の税率が適当でないかと考えておる次第でございます。
#22
○大塚喬君 一〇%の税率が適当ではないかということと、原則であるということは、内容はこれは違うんじゃないですか。現実にこの改正の歴史的な経過を調べてみますと、一〇%、二〇%、四〇%、五〇%というような時期もありましたし、それからいまあなたがおっしゃったように、一〇%というそういう改正の時期もございました。それから五%、一〇%ということに、またもとに戻って課税されたこともございます。こういうことから考えると、一〇%が原則でございますと、この入場税の法案の審議にいまのようなことを軽々に独断的に申されるということは、大変審議を妨げるものではないかと、私はこう不満なんです。そういうことはやっぱり慎重な言葉遣いでひとつ答弁をいただきたいと思います。
#23
○政府委員(旦弘昌君) 先ほど申し上げましたのは、従来の税率の経緯を振り返ってみますと、もちろん戦争時のように二〇〇%というような高い税率もございましたけれども、世の中が大分おさまってきました三十七年ごろからは、一〇%という税率で長年やってきたという経緯を申し上げたわけでございまして、その後何らかその形で税負担を軽減することはできないかということを考えまして、そこで四十八年に入場料金の低いものにつきましては五%、それ以外のものにつきましては一〇%ということにしたわけでございます。したがいまして、この経緯から見ますと、一〇%の税率というのは非常に長い間適用されてきておったという意味で、私はこれが原則であると申し上げたわけでございます。
 で、そのほかに他の同種のサービス課税の税率の横並びも考えますと、やはり一〇%がいいのではないか、かように考えておる次第でございます。
#24
○大塚喬君 入場税は、大正の末期からそれぞれの地方で演劇興行等に対する課税ということで、各地方自治団体が課税をしてまいり、昭和十三年に戦費調達ということで国税になり、昭和二十三年に地方税の移譲ということが行われ、昭和二十九年に国税に移管になって、入場譲与税ということになり、さらにまた昭和三十七年に国と地方公共団体との財源配分の改正の問題について、地方の入場譲与税が廃止をされて国税になってきたと、簡単に歴史的な経過はこういうことになっておると思うわけであります。まあずいぶんこの税金ほど地方と国との間を行ったり来たり行ったり来たりしておる税金というのはほかにないんじゃないか、こう考えるわけでございます。
 この際、娯楽施設利用税それから料飲税、こういうものが現在地方税として残されておるわけであります。この入場税というのはサービス税、こういう立場から申しますならば、これはそれらの税と全く同じ趣旨の税の種類であると、先ほど答弁にありましたような他の税との関連においてと、こういうことをしばしばおっしゃったわけでありますが、そういう税の同様な趣旨で制定されておる種目とするならば、これはこの際思い切って地方税に移管をする、移譲するということを考えたことがございましょうか。この点についてどうお考えでございましょう。
#25
○政府委員(旦弘昌君) 入場税の歴史につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、初めは地方税でございましたものを十三年に国税に、二十三年に国税から地方税に移譲し、それから二十九年にさらに国税に移管されて今日に至っておるものでございます。それはそのとおりでございます。
 それで、なぜ地方税から国税に移管されたかということを振り返って考えてみますと、入場税の税収が大都市に偏るという傾向がありまして、地方財源の偏在という問題がその理由の一つであったかと思うわけでございます。したがいまして、これを国税に移管いたしまして、その間、その後若干の期間の間は、ただいまおっしゃいましたように入場譲与税として地方に、人口割りで地方に譲与するという期間がございました。そして三十七年には、所得税収の一部を県民税に移譲するとか、あるいはたばこ消費税の税率を引き上げて、都道府県の自主財源を充実させるというような措置をとりました際に、この譲与税を廃止して今日に至って、純粋の国税として今日生きておるのはおっしゃるとおりでございます。
 第二の御指摘の、それならば、かつて地方税であったものでありますので、これをこの際、同種の税金も地方にございますから、地方に移譲することを考えたことはないかというお話でございます。で、結論から申しますと、私どもは地方に移譲することを考えておりません。と申しますのは、そもそも国税に移ってまいりましたのは財源の偏在という問題も一つの理由であったわけでございます。まして今回のような大幅な減税をいたしまして、たとえば映画につきましては恐らく入場人員の一%程度しか課税にならない、それから演劇につきましてはそれを若干上回る程度の人しか課税にならないということになりますれば、そういうような入場税の税収というのは主として大都市において生まれてくるのではないかということを考えるわけでございます。で、税額全体といたしまして三十億という少額の問題でございますが、それはそれといたしまして、いまのような偏在という意味からいたしますと、やはり減税後はますますそういう傾向が強まるのではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、かつて地方から国へ移譲されましたときの経緯を考えますと、今日これをさらに地方に移譲するということは適当でないんではないか、かように私どもは考えておるのでございます。
#26
○大塚喬君 いまの答弁ですが、やっぱり歴史的な経過の問題が一つ、これらの問題の帰趨を考える場合に重要な問題になろうと思います。
 それからもう一つは、特に地方団体のうちで現在多くの大都市を抱えておる、そういうところが財政難に苦しんでおるというのも現状であろうと思います。
 三十億という財源配分の問題でありますが、いまの答弁とは別個なやっぱり見方が残ると思います。これらの問題は今後引き続いてひとつ意見を述べていきたいと思いますが、次に第五条の「免税点」の問題についてお尋ねをいたします。
 映画の場合は千五百円、なまものの場合には三千円が免税点と。実際に映画となまものとを同時にやったと、こういう場合に、「主として」というこの用語の解釈の問題でありますが、これは具体的にどういう基準で実施をされますのか、お伺いをいたします。
#27
○政府委員(旦弘昌君) 免税点の適用に当たりまして、主として演劇等を催しているかどうかということにつきましての判定をどうやってやるのかという御質問でございますが、この点につきましては、まず第一に、演劇等の上演時間と映画の上映時間、これは併演になるわけでございますから、その時間を比較しまして、上演時間の長い場合については、主として演劇等の上演時間の方が長い場合には、これは明らかに演劇等を主として催す場所だということに判定いたしたいと考えております。しかしながら、仮に演劇等の上演時間が短い場合でありましても、その催し物の開催に要する経費のうちで、演劇等に要する経費、これが映画にかかるものよりも多額であるという場合には、これもまた主として演劇等を催す場所ということにいたしたいと、かように考えております。
#28
○大塚喬君 そうすると、「主として」というのは、その催し物の所要時間のうちで、映画の方が長いか、演劇の方が長いか、その長い方のものを「主として」ということでとると、それからもう一つは、タレントを呼んでくる、あるいは劇団を呼んでくるという場合に、それの必要経費、借り受け代よりもその方が高いと、その場合には高い方をとると、こういうことになりますか。
#29
○政府委員(旦弘昌君) さようでございます。
#30
○大塚喬君 具体的に、私なんかは、これは全然タレント性はありませんけれども、まあ、ひとつ劇場へ行って映画の間におしゃべりをすると、そういうことでやった場合に、そのほかの、たまたま劇団なり芸能人も来たと、で、実際は、映画の方の千五百円というものがあっても、その方が経費がよけいかかった、時間がよけいかかったというと、これは三千円までは無税になって、実際の取り扱いの問題として、そういうところで、何かうまくやられたというようなことは起きないものでしょうか、どうでしょうか。
 それから、今の答弁ですね、これは政令事項で定めることになりますが、どういうことで具体的にそのことを全国に明示をいたしましょう。
#31
○政府委員(旦弘昌君) まず、第一点の御質問でございますが、御質問の御趣旨は、その演劇等をタレントを呼んできてやりました場合に、そのタレントの経費が余り高くない、しかし、時間は半分以上であるというような場合に、これは三千円の方であるのか、千五百円の方であるのか……
#32
○大塚喬君 三千円で税金を逃れることもできるわけですね。
#33
○政府委員(旦弘昌君) という御質問であろうかと思います。まあ時間が、恐らく全体の一つのプログラムの半分を超えて、いわゆるなまものの上演がされるという場合に、しかし経費は、映画の借り賃、あるいは電気代等よりも安いんだという例は、きわめて恐らくまれなことではないかと思うわけでございます。そのタレント性が非常に少ない方の場合、そういうことはあるかもしれませんが、私どもの経験からいたしますと、まずそういうことはないのではないかという感じがいたします。しかし、万一そういうことがありましても、私どもの第一の考え、つまり上演時間ではっきりわかるわけでございますから、そこのところで判定をすべきではないかということでございます。
 それから第二の質問で、これの境目の判定の基準は何で決めるのかという御質問でございますが、これは国税庁の取扱通達で決めさせていただきたい、かように考えております。
#34
○大塚喬君 免税の引き上げでかなりのものが非課税になると思うわけですが、これの割合はどういうことになります。
#35
○政府委員(旦弘昌君) 今回の免税点の引き上げによりまして、五十年度におきましては、映画の場合につきましては、人員ではまず九九%の方は課税にならないということになろうかと思っております。それから演劇等の場合では、人員で九八%程度の方は課税にならない。したがいまして、逆に申しますと、映画は入場人員の中で一%程度の方が課税になる、演劇では二%程度の方が課税になる、かようになろうかと推測しております。
#36
○大塚喬君 このたびの減税措置について、これは入場料金に反映されますか、どうでしょう。
#37
○政府委員(旦弘昌君) 御質問の御趣旨は、減税はしたけれども、それが映画館、あるいは興行主等のポケットに入ってしまうのではないか、それが消費者と申しますか、入場する方々の負担の軽減ということにならないのではないかという御質問であろうかと思いますけれども、この点につきましては、私どもも常に入場税の軽減をいたします際には、この点を非常に心配しておるところでございまして、今回の改正に当たりましても、それぞれ関係の官庁に対して、関係業界の指導をしていただきたいということでお願いをしておるところでございます。
#38
○大塚喬君 いまの簡単な言葉の中身ですが、そのような指導で一体いまおっしゃられる趣旨が忠実に守られるでしょうか、私はここで一体今度の法改正で、減税分は一体どうなるのだろうという、そういう推測をしておるわけですが、映画の場合には六十億、それから演劇等のなまもので五十億円、一体だれのふところにその五十億円、六十億円が入るのだ、大衆還元されて、入場料金が下がって、その減税措置の恩典が大衆のところに一体いくのか、業界――興行主、プロモーターか、これはもう大変ありがたいことだということで、五十億、六十億のお金がそっくりふところに入って、ぬくぬくと喜びようになるのか、私はそこのところが大変疑問なわけです。一体五十億、六十億、だれのふところにお入りになると考えておりますか。
#39
○政府委員(旦弘昌君) この減税の効果が、消費者と申しますか、入場者に還元されるようにということにつきましては、私どもも非常に心を痛めている点は、先ほども申し上げたとおりでございます。今般、先ほど申し上げましたように、関係各省に、消費者に対してこの減税の効果が還元するように努力していただきたいということをお願いしてまいりました。そこで、関係省といたしましては、厚生省、文部省、通産省がございますが、厚生省におきましては全国興行環境衛生同業組合連合会に対しまして、文書でその趣旨を要請をいたしたのでございます。この連合会では、その後協議をいたしました結果、入場料金の引き下げを行うということを決定したと聞いております。で、その他文部省等の団体につきましても、同様の趣旨の指導を行っておりますが、現在のところまだ具体的に引き下げるという回答は得ておりません。
 それから、通産省におきましても、映団連、映連等におきましては、この三月中に理事会を開きまして、対策を決めたいということで考えておられるようでございます。全興連の恐らく線に沿った軽減をされるのではないかと、かように期待しておるところでございます。
#40
○大塚喬君 前回の入場税の引き下げが昭和三十八年に行われましたね。このときには映画の料金が下がったことを記憶をいたしております。このときの指導内容と、今回の指導内容の相違点、いまおっしゃったことが、いまの言葉だけで実現できるものかどうか、重ねてお伺いをいたします。
#41
○政府委員(旦弘昌君) 前回軽減いたしましたのは四十八年でございますが、その際も同様の業界の指導をいたしました。その結果全興連におきましては軽減を、値下げをするということを決めてこれを実施したところでございます。その金額はほぼ減税額の半分程度軽減をしたと聞いております。
#42
○大塚喬君 ひとつ本気になってこの入場料引き下げが大衆に還元されますように、具体的にこの結果までひとつ追跡調査をして、本委員会に報告をいただきますように、特に委員長としても後でお願いをしたいと思いますので、要請を申し上げておきます。
 それから、この一番初めの答申に全然なかったことが、ぼこっと大蔵省段階で出てきたという問題ですが、これらのことで、今回の入場税法の改正減税案については、関係各省との事前の協議、どういう、特に国の文化行政という立場から、そういう関係との話し合いの中で要請があったのか、そこのところをひとつ先ほど聞き漏らしたものですから、もう一度質問をいたします。
#43
○政府委員(旦弘昌君) 五十年度の改正に当たりまして、入場税につきましては関係各省から種々の要望がございました。その点につきましては、相手方の要望も聞きまして、またわが方の考え方も伝えてあるわけでございます。
#44
○大塚喬君 今回の入場税法の改正でギャンブル関係の分は据え置かれました。競馬法に基づく中央競馬、それからそれとは別に地方の公営競馬あるいは自転車競技、競艇、自動車レース、こういうものがあるわけですが、それぞれその法律の中に規定があるようであります。これらについて若干の質問をいたしますが、地方公営競技の人場料、これはやはり入場税でございますから、国の財政収入、税収入ということになるわけですか。なるとすれば、それらの費目ごとにその額、それから人員、こういうものをお聞かせいただきたいと思います。
#45
○政府委員(旦弘昌君) 今回の改正後におきまして、ギャンブル関係につきましては免税点現行の三十円をそのまま据え置くことにいたしております。したがいまして、それらの税収は、入場税収の三十億のうち六億円であると私どもは見積もっております。さらに細かな内訳はいまちょっと調べてからお答えいたします。
#46
○大塚喬君 ギャンブル税関係の問題に入る前に、ちょっと警察関係に質問をいたしたいと思いますが、のみ行為ですね、私設馬券とか、こういうものについての犯罪の実態をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#47
○説明員(鈴木善晴君) お答え申し上げます。警察で検挙いたしましたのみ行為等の犯罪についての検挙件数、人員につきましては、昭和四十九年中には検挙件数が二千五百七十九件、検挙人員が一万一千二百九十九人というふうになっております。
#48
○大塚喬君 この二千五百七十九件、この件数を、これらの競技種目別に見るとどういうことになりましょう。
#49
○説明員(鈴木善晴君) 競技種別に見ますと、検挙人員の方で――検挙件数の方をちょっと手元に資料がありませんので、検挙人員の方でお答え申し上げますと、競馬が四十九年中に検挙した検挙人員が八千七百九十人、競輪が二千七人、競艇が四百三十七人、オートレースが六十五人という状況になっております。
#50
○大塚喬君 いまの答弁で、競馬が圧倒的に多い、こういう実情がわかりました。
 そこで、こののみ行為を引き起こしたその原因と申しますか、理由と申しますか、いま二五%が取られて、七五%が還元をされる、いわゆる場銭と申しますか、ショバ代と申しますか、国なり公共団体がかすりを取ると、こういうことになるわけですね。これが多額のために起きておりますのか、あるいは売り場が混雑して買えない、場外売り場でも買えない、こういうことが原因でそういうものを引き起こしたのか、それともまた別に暴力団なりが資金を調達する手段としてこういうものをやったのか、その事件発生の原因別に調べたそういうものがございましょうか。
#51
○説明員(鈴木善晴君) のみ行為が行われる原因につきまして警察としてしっかり調べたものがあるかという御質問であるとしますと、私どもとしては必ずしも明確に原因をつかんでおりません。で、のみ行為が行われる原因はいろいろあると思います。そのうちどれが主たる原因かということを私ども十分判断できる立場におりませんけれども、過去にいろいろ事件を検挙した状況から推察いたしますと、いろいろある原因の中の一部としてはこういうものがあるんじゃないかということが考えられますので、その点について御説明さしていただきたいと思います。
 まず、客の立場から申しますと、のみ屋を利用しますと、競技場に行ってる場合で考えてみますと、のみ屋というのは大体特別観覧席というのをまず買い占めておりまして、そこにお客を無料で案内してそこに座らせる。そうすると、お客さんはそこで指定席に座ったままで競馬、競輪を楽しむことができる。しかも、座ったままで馬券なり車券なりが買える。馬券売り場や車券売り場まで出かけていく必要がないという実態があるわけでございます。それから次々はずれてしまってかけ金がなくなってしまいますと、顔なじみになっているお客の場合ですと、かけ金も一時暴力団の方が立てかえてくれる、そういうこともあるようでございますし、それから一日競輪やって所持金が一切なくなってしまうというような場合には、これも顔なじみの客の場合ですと、帰りの車代ぐらいはのみ屋の胴元の方が貸してくれる。あるいは場合によったらただでくれるというような事実があるようでございます。それから競技場まで行かない場合で考えてみますと、喫茶店の客席とかそういうところで、座ったままでテレビを見ながら注文をするとその馬券なり車券が買えるというような、便利だということもあるようでございまして、もちろんいま申し上げましたようなことは、のみ行為が行われるいろいろたくさんある原因の中のごく一部ではないかと思いますけれども、事件を取り扱った過程で考えられることはそういうことではないかというふうに思います。
 それから、確かに先生お話しのように、暴力団が資金源を獲得するためにのみ行為を資金源の一つとして力を入れているということも事実だと思いますし、警察としては暴力団取り締まりという立場からも、この取り締まりを強力にやっておりますけれども、なかなかなくならないという状況でございます。
#52
○大塚喬君 農林省の方いらっしゃっておりますか――はい。
 農林省の方に競馬の問題で質問いたしたいと思います。
 その方担当されておって、いわゆる還元率と申しますか、七五%というものは一体どういう、これは諸外国との比較の問題、それからお客さんがこういうのみ行為というものに、七五%しか返ってこないということの問題があるいは関連しているのかどうか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#53
○説明員(三井嗣郎君) ただいまお話ございましたように、日本の場合の公営競技の控除率、いわゆるファンへ払い戻ししますものと除きました引き揚げ率と申しますか、二五%でございます。それで、諸外国の場合は、たとえば競馬の例で申しますと、イギリス、フランスなどが二〇%前後でございまして、アメリカ、これは州によって異なりますが、一四%から二〇%ぐらいでございます。高いものとしては、韓国、ソ連などが二五%、日本と並びまして最高の控除率であろうと思います。これらの控除率につきましては、最近競馬が非常に普及いたしまして、いわば大衆化する中でファンの方々からはこの控除率をもっと引き下げてほしいと、こういう御要望もございます。したがいまして、先ほどお尋ねがございましたのみ屋などにつきましても、この控除率というものをこれ以上引き上げることをいたしますと、やはりのみ屋の方へ流れるということもあるいはふえてまいるのではないかというふうに考えます。
#54
○大塚喬君 もう一つ関連をして農林省関係にお尋ねをいたしますが、ギャンブル公害ということが非常にいま各地で騒ぎを引き起こしております。この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#55
○説明員(三井嗣郎君) 競馬、競輪等公営競技か通じまして最近非常に利用者と申しますか、入場者が増大してまいっておりまして、競馬場なり、公営競技場の周辺あるいは場内の混雑ということで、ファンなり周辺住民の方々から非常に苦情が多いというような実情にございます。これは基本的には公営競技全般につきまして、たとえば競馬場の数は現在増加しないということにされておりますし、開催日数等についても昭和三十六年、いわゆる公営競技調査会の答申がありました時期以降規模を拡大しないということで運用してまいっておりますが、一面、最近の所得の増大なり、レジャーの拡大に伴いまして、こういう公営競技の愛好者というものが年々増加する傾向にございまして、いわばそういう面での公営競技の施設の収容力と、その施設に対する需要と申しますか、ファンの増大、そういう施設をめぐる需給のアンバランスということが、いわゆる競馬公害につきましても相当大きな原因ではないかというふうに考えております。なお、各競技場におきまして開催日に相当多数の人間が集まりますことで、地域住民の方々からもいろいろ苦情が出るという問題もございますので、これらにつきましては、いわば開催日の混雑のピークをなるべくくずすように、大レースの日には入場者を制限するなり、それから地域住民の方々のために環境整備的な面につきましても主催者が応分の費用を負担するなど、いろいろな方法でこの面につきましても対策を進めているところでございます。
#56
○大塚喬君 あと入場税関係で二、三質問がございますが、これは後ほど大臣が出席されるということでありますので、大臣が出席された際に回すことにして、引き続いて相続税法の改正について質問をいたしたいと思います。
 今度の法改正で配偶者及び子供四人、法定相続人が五人という場合には、税制改正要綱の付表で見ますと、遺産額四千万円までが全員無課税になると、一億円の階層であれば軽減額が九百六十六万円、軽減の割合が五六・三%、こういう改正の内容を考えてみますと、政府は一体どの程度の財産階層の負担軽減をねらって今度の相続税法の改正を実施いたしたのでしょう。その点についてお伺いをいたします。
#57
○政府委員(旦弘昌君) ただいま御指摘ございました今回の相続税法の改正によりまして、相続人、妻、子四人の場合の仮に遺産が一億円だといたしますれば、相続税の負担は現行よりも五六・三%軽減されるということは御指摘のとおりでございます。相続税の控除及び税率につきましては、四十六年に大幅な改正がございまして今日に至っております。その間四十六年、四十八年には課税最低限について見直しをいたしておりますが、根本的な見直しはその間余りいたしておらなかったのでございます。したがいまして、特に最近におきます地価の上昇等を反映いたしまして、相続税の負担は急激にふえておるのでございます。そこで、今回課税最低限の引き上げ、それから税率の改正を行いまして、負担の調整をすることが必要だということに考えたわけでございまして、今回の調整は四十一年以後の地価等の上昇を勘案して相続税の負担を見直しを行ったということでございます。
#58
○大塚喬君 いまのはやはり質問に答弁になっておらないお答えです。私がお聞きしているのは、この税法の改正で減税になるのだと、減税になるのは、一体二千万の財産の人に、三千万の人、四千万、五千万あるいは八千万、一億、十億、こういう財産のそれぞれの階層があるわけでありまして、今度の法改正のねらいは、一体どの財産の階層の人たちを軽減しようと、こういうことでそのねらいをつけて改正をされたのか、そこのところをお聞かせいただきたいと、こう申し上げているんです。
#59
○政府委員(旦弘昌君) 先ほど申し上げましたように、今回の改正は相続税の負担の調整でございますが、したがいまして、特定の財産階層の負担を軽減するということを意図したものではございません。もちろん今回の改正に当たりましても、高資産者に対します軽減割合は低くする、低資産層に対します軽減割合を高くするということを図っておるのでございますが、全体としての負担の軽減を図るということでございまして、ある特定の階層についてこれをねらったということではございません。ただし、配偶者の負担につきましてはこれを大幅に軽減するように努力したのでございます。
#60
○大塚喬君 相続税法の一部を改正する法律案の相続税負担軽減状況という、これは調査室の方からいただいた資料でありますが、それを見ると、遺産額のそれぞれについて軽減割合が異なったものが出ております。おっしゃられるように、特に高額の者についてはその軽減割合が低いということはわかりますが、この改正の趣旨は、そうすると一番のねらいは奥さんを軽減すると、こういうことで、その他のところは、どこの階層をねらったと、こういうことはないということですか。
#61
○政府委員(旦弘昌君) 先ほど申し上げましたように、最近の地価の上昇に伴いまして、現行法そのものでございますと、課税最低限が実額で定められておる、それから税率のブラケットも金額で区割りをしておりますために、ほうっておきますと、従来、たとえば四十一年に意図しましたような相続税の負担よりもさらに一層強化されるということになるわけでございます。その事態に対処いたしまして、これはやはり必ずしも四十一年が正しいということではございませんけれども、一応の目安といたしまして、四十一年程度、われわれが予想いたしましたような程度の負担を図ったらどうなのかということが第一のねらいでございます。あわせまして、特に軽減を図りましたのは配偶者の相続税の負担軽減であるということを申し上げたわけでございます。しかしながら、四十一年程度の目安におきまして今回の課税最低限あるいは税率の引き下げを図ってきたところでございますけれども、しかしながら、その後におけるわが国の国民の富の蓄積が進んでまいりました結果、この改正後におきましても、被相続人に対します相続税の課税割合というものは高くなるであろう、かように考えておるわけであります。
#62
○大塚喬君 いまの問題を別な角度からお尋ねをいたしますが、相続税納税者数ですが、これは、死亡者数――被相続人、それから相続人、これは納税者ということになるわけでありますが、昭和四十九年度は一体どういう実情でありましょう。
#63
○政府委員(旦弘昌君) 私どもが持っておる数字からいたしますと、四十一年におきましては、死亡人員六十七万人のうち相続税を課税された方は九千二百三十二名でございまして、これは割合としますと一・四%でございまして、その後順次この率が上がってまいりまして、四十八年には死亡者約七十万人のうち約三万人の方が課税されるということで、その率としましては四・二%でございました。お尋ねの四十九年度でございますが、この点につきましては、推定でございますけれども、恐らくこの四・二%が四・七%程度に上がるのではないか、かように考えております。
#64
○大塚喬君 この税法の改正によって五十年度の見通しは何%程度になるでしょう。
#65
○政府委員(旦弘昌君) 今般の改正を仮にいたしませんと仮定いたしますと、恐らくこの率は五%近くになるのではないかと考えておりますが、改正後は約二・八%程度になるのではないか。この率は四十一年度の一・四%の倍ということではなかろうか、かように考えております。
#66
○大塚喬君 そうしますと、この税法改正は、このままでいけばかかるであろう五%の方を対象にして法改正をした、そしてそのうち二・五%はそこから外してやる、こういうことになる、そういう性格の法律でございますね。
#67
○政府委員(旦弘昌君) 相続税は、先ほども申し上げましたように、約七十万人の方が亡くなりまして、そのうちの約三万人が課税になるという性質の税でございます。したがいまして、その差の六十七万人の方は相続税がかからないということになるわけでございます。したがいまして、その三万人の方が今後どのくらいどうするかという問題でございます。したがいまして、御質問の御趣旨のように、そもそも相続税はその三万人以外の方はかからないという税でございますので、税法の改正によりまして恩恵を受ける方はその三万人の中の一部の方でございます。
 しかし、ここで申し上げておきたいことは、この四十一年以来の、四十一年当時に考えました負担がこのぐらいであっていいんではないかという率、それに対しまして異常に最近高くなっておる。もしこういうような地価の高騰がなかりせば、四十一年当時に想定したような負担、あるいはそれを若干上回る程度のところで推移したかもしれない。しかし、地価の高騰等によって相続税がかかるということになった方々、それらの方々については負担の調整を図る必要があるんではないか、かように考えた次第でございます。
#68
○大塚喬君 いまの答弁からしますと、この税の性質上これは金持ちに対する税だということがはっきりいたしたわけです。それからそれを大幅に軽減するということで金持ちに対する減税である、こういうこともいまの答弁からわかりました。
 それらについてひとつあと引き続いてお尋ねいたしますが、配偶者の問題ですが、遺産額の三分の一までならこれは青天井、どこまでいっても上もかく今度の改正では税金がかからないと。ここで一つは、奥さんの現在の資産状況、こういうものもあると思うんですが、こういうことは一切考慮なしに、どんな高額者でも、どんな高額の資産家でも三分の一は税金がかからないと、こういうことについてはどうも納得ができかねます。衆議院の修正案でこの青天井を一億円という修正案、頭打ちの修正案が出されたわけですが、これはどうしていけないんでしょう。そこのところをひとつ審議官の答弁をいただきたいと思います。
#69
○政府委員(旦弘昌君) 妻の相続税上におきます優遇につきまして、これ妻だけに限りませんが、配偶者の相続税上の優遇につきましては、かねてから国会におきましても、また一般の納税者の側からも種々要望が強くあったところでございます。現行法では、御承知のように、妻が取得しました額につきましては、三千万円までは非課税にするという措置をとっておる点も御承知のとおりでございます。この三千万円につきましても、これが低過ぎるのではないかという御意見もあったわけでございます。また夫から妻へ、あるいは妻から夫へという相続の場合には、これは同世代間の相続ではないか、それを課税するのはどうだ、あるいは妻の座の優遇という見地からもおかしいではないか、あるいは妻の家計に対する寄与ということも考えれば、あるいは財産形成に対する寄与ということも考えれば、その点からももっと優遇すべきではないかというようないろんな御意見がございました。そして私どもも妻に対する優遇をさらに進めたいという気持ちを持っております。
 そこで、今般の改正におきましては、通常、妻と子供があります場合の法定相続税分であります三分の一につきましては、これは軽減をしてもいいのではないか。しかしその際に、三分の一ではありますけれども、下の方の階層の方につきましては、それを四千万まではいいのではないか、三分の一を超えましても、四千万円までは課税しなくてもいいのではないかという配慮をいたしたのであります。一方、上の方につきましては制限を置くべきではないかという御意見もございますけれども、私どもといたしましては、この際、種々の妻に対する優遇その他の観点から、思い切って徹底して優遇するということにしてはいかがかということでこの改正案を作成したのでございます。
#70
○大塚喬君 じゃあ政府は、どの程度の財産形成を標準にして、こういう税制なりその他のいろいろの問題について考えておるんですか。どこにピントを当てて考えておるんですか。
#71
○政府委員(旦弘昌君) 妻の財産形成に対する寄与度がどの程度であるかということにつきましては、非常にその推定がむずかしい点でございます。で、先ほど私が申し上げましたのは、その妻の寄与あるいは同世代間の財産の移転である、あるいは妻の座優遇であるというような、いろいろな観点を総合いたしまして、今回の改正案を作成したのでございます。
#72
○大塚喬君 さっきから疑問が解けないわけですが、今度の改正は全く金持ち優遇、こういう金持ち減税ということの非常に色彩が濃い改正と受け取っておるわけであります。たとえば遺産が一億円、相続人が五人であったという場合には、今度の改正で、この表を見ますというと、九百六十六万円の軽減、軽減の割合が五六・三%、こういうことになり、十億円の場合だというと三億八千二百七十五万円から六千五百九十二万円減額をして三億一千六百八十三万円になっている。
 確かに上の方は軽減割合が少なくなっておることはわかりますが、一体一億円とか十億円とかという億万長者の遺産を相続する者の減税が本当に必要なのかどうか。この一億円、十億円という者は、これはインフレの利得者――私は、先ほどの答弁の中にありましたように、土地の価格が上がったからと、こういうことで減税の必要があるというお話でしたが、その人こそインフレの利得者じゃないですか。何で十億円も遺産のある人の減税をする必要があるんでしょうか。
#73
○政府委員(旦弘昌君) ただいま先生の御指摘になりましたように、数字的には一億円の場合には軽減率が五六・三%、それから十億円の場合には一七・二%ということでございます。しかし、同時に、先生がおっしゃいましたように、軽減割合といたしましては、高額の遺産取得者に対しましてはその軽減率を低くしておるわけでございます。さらに、従来の現行法におきましては、相続税の最高税率は七〇%でございますが、それを七五%に引き上げるということにしております。また、税率のブラケットの刻みにつきましても、下の方ほどその上げ幅を高くしておる、上の方は小さくしておるというようなことで、富の再配分という見地から、上の方の方につきましては軽減率を低くするという配慮をしているのでございます。
#74
○大塚喬君 そういう税率を設定するとすれば、当然その中には政府の目標としておる財産形成の額ですね、そういうものとにらみ合いの上でそういう税率の決定が行われる、こういうことでなければならないし、たとえば十億円の場合には率は低いと、こういうことであっても、その人になぜこの際減税の措置が必要なのかどうか、私はどうしてもいまの答弁では納得できません。
#75
○政府委員(旦弘昌君) 先ほどから申し上げておりますように、四十一年の改正のときにおきます予想いたしました相続税の負担ということを目安に置きまして、その後の地価の上昇等を勘案して今回の改正を図ったわけでございまして、その点からいたしますれば、私どもはその地価の上昇等に伴う必然的な税の負担というものをこの際見直してみる必要があるんではないかということで今回の改正案をつくったのでございます。
#76
○大塚喬君 その妻の座優遇ということを考慮して大幅減税をしたと、こういう先ほどの答弁があったわけですが、私は、相続する妻の現在の資産状況を無視して、それで青天井に減税措置を講ずることが、本当に公正な税のあり方かどうかということには、今回の大蔵省のこの法改正についてはどうしても納得できません。たとえば妻の座優遇ということになれば、所得税のいわゆる配偶者控除の問題とも関連が当然ある問題でありますし、民法第七百六十二条の一項これの特有財産、帰属不分明財産の夫婦共有の制定というものの中に、夫婦の財産がそれぞれ別なものであるという規定が明記されておるわけであります。で、こういう問題との関連をどういうふうにお考えになって、この相続税法だけ改正をされたのか、はっきりそこの見解をお聞かせいただきたいと思います。
#77
○政府委員(旦弘昌君) 第一点の所得税の課税最低限との関連でございますが、今回の改正に当たりましては、先ほど来御説明いたしておりますように、四十一年度におきます課税最低限一千万というものをその後四十六年に千二百万、四十八年に千八百万ということで引き上げてきたところでございますが、これを今回四千万に引き上げるということにいたしたわけでございます。で、所得税の配偶者控除につきましては、今般の改正でも引き上げておるところでございますが、これはその他の人的控除の一環といたしまして、これらを勘案してまいったところでありまして、また累年配偶者控除については見直しを行ってきておるところでございます。で、この所得税の人的控除の引き上げの結果、今回の改正後におきますわが国の所得税の課税最低限は、先進国中最も高いということに見られますように、十分その点は配慮しておるつもりでございます。
 それから第二点の、民法との関連でございますけれども、私どもの相続税の考え方は、やはり民法をもとに考えなければならないのではないか。で、わが国の民法におきます基本的な考え方は夫婦別産制でございます。したがいまして、あくまでその民法の原則に立ちまして、その上に乗って相続税を考えるべきではないか、かように考えておるのでございます。
#78
○大塚喬君 民法第七百六十二条の夫婦別産主義の立場から、この妻の座優遇ということですね、これがいまおっしゃったことに合っていますか。どうでしょう。この規定と趣旨が合っていますか。どういう関連でこの妻の座優遇と、こういうことをなさったのですか。
#79
○政府委員(旦弘昌君) わが国の民法は、いま申しましたように別産制になっておりますので、一方の財産が相続によりまして他方に移りました際には、やはりそこに相続があるということで、それに対して相続税を課するということにしております。それからまた共有であるものということ、あるいは別産、どちらか所有者が明らかでないというものにつきましては、その財産をだれが取得したのかということを探りまして、その財産を取得した人が、その所有者であるということではなかろうか、かように考えて処理をいたしておるものでございます。
#80
○大塚喬君 この相続税法の改正だけで、この民法七百六十二条の関連が、いまの答弁ではやっぱりすっきりしたそういう立場に立っておらない。妻の座優遇ということになれば、当然所得税法の問題からこの民法の問題に関連をして、その関連の中でこの相続税法の改正というのが取り上げられなければならないと思うわけですが、今回の相続税法の改正についてはそういう配慮の跡が私はどうしてもうかがえないのであります。この問題についてはまた重ねてひとつお尋ねをいたしますが、先ほどもお尋ねして明らかになりましたように、相続税を納める人、その対象者というのは、インフレの利得者が率直に言ってその対象者になってくるものと、実情はそうだろうと思います、このインフレの利得者に対して、それを相続する者に果たして救済の措置が必要なんだろうか、こういう疑問は依然として残ります。税というのは、富の集中を排除して社会的公正を断行しようと、こういうものであろうと考えるわけであります。特にわが国でただ一つの、唯一の財産課税である相続税をこのような形で機能させることには私はどうしても納得できませんし、今回のこのような法改正は、やっぱり国民からは強く批判をされる、そういう内容のものと考えます。この点についてひとつもう一度はっきりした見解をお聞かせいただきたい。
#81
○政府委員(旦弘昌君) たとえば土地、家屋等の不動産を持っておられる方にしてみますと、いろいろな見方があろうかと思います。ある立場に立ちますれば、いま先生がおっしゃいましたようにインフレによって土地価格が上がったんである。したがいまして、その相応の負担をすべきではないかという御意見もあろうかと思います。しかし他面、たとえば道路が敷かれてきた、あるいは全体の国民の富が高くなってきたというようなこと、あるいは全般的なその他もろもろの要因によりまして、自分の責任ではないんだけれども、地価が上がってきたというような問題があろうかと思います。この問題につきましては、特に都市近郊におきます農地につきましてそういう現象が非常に強くあらわれておることは先生御承知のとおりでございます。そのような人々に対して、おまえはインフレの利得者であるということで課税を強化していくというのも一つの立場であろうかと思います。しかしながら、私どもといたしましては先ほど来述べておりますように、四十一年当時に想起――頭に持っておりました程度の相続税負担、その後の情勢、国民の富の増加というものを考え合わせまして、この程度の負担をしてもらうのが適正ではないかということで考えたわけでございまして、必ずしも金持ち優遇ということだけでやったわけではございません。
#82
○大塚喬君 私は、そういう人に増税をしろということで申し上げたのではなくて、なぜ減税をしてやる必要があるのかと、こういうことをお尋ねしているわけです。昭和四十九年度の相続税額について、現在その総額はどの程度になりますか。見通し、それからそのうち遺産額が一億円以上の税額は一体どのくらいになって、その割合はどのくらいになりましょう。
#83
○政府委員(旦弘昌君) 四十九年度の補正後で見まして、相続税は三千二百七十四億円、贈与税が六百三十六億円、合わせて三千九百十億円と見積もっております。お尋ねは、そのうち……
#84
○大塚喬君 一億円以上の人は何人で、税額どのくらい……。
#85
○政府委員(旦弘昌君) 四十九年度につきましては、現在見込みで、その数字を持ち合わせておりません。
#86
○大塚喬君 四十九年度がわからないとすれば、四十八年度の実績はいかがでしょうか。
#87
○政府委員(旦弘昌君) 四十八年度の数字で申し上げますと、一億円超は二千六百四十億でございます。
#88
○大塚喬君 そうしますと、総額で三千二百億の相続税額のうち、一億円以上の人が納める税金が二千六百四十億円、そうしますと相続税の大部分というのは、いわゆる一億円以上の億万長者の人が納める税金ですね。そうすると、今度の改正は、率直に言って、この億万長者救済の法改正ということになるわけですね。
#89
○政府委員(旦弘昌君) いま申しました人数を、人数の構成比で見ますと、四十八年度におきましては一億円超の階層では税額で七二・八%でございます。被相続人の人員の割合で申しますと全体の一一%でございます。
#90
○大塚喬君 人員で一一%、税額で七二・八%、こういうことになれば、今度の相続税法改正の趣旨は、この金持ちの人を減税し優遇しよう、こういう法改正であることが明らかになったわけであります。この問題については次のあれのところかりひとつまた関連してお尋ねいたします。
 障害者控除の問題についてお尋ねをいたします。七十歳までの一年間につき三万円の引き上げ、この障害者控除三万円という算出根拠は一体どういうことでしょう。
#91
○政府委員(旦弘昌君) 障害者控除につきましては、ただいま先生おっしゃいました現行法二万円の税額控除を三万円に引き上げることにいたしました。その引き上げの根拠いかんということでございますけれども、これを四十八年度におきます消費者物価指数、それから五十年度の消費者物価、これは見込みでございますけれども、それを見てみますと一・三六四という数字になります。これを二万円に掛けまして、これを切り上げまして三万円ということにしたのでございます。
 それから、先ほど入場税の際に、競馬等の入場人員のお尋ねがございました。その数字を簡単に申し上げます。
 四十七年の数字でございますが、競馬場におきます課税人員――入場人員でございますけれども、これが延べ三千百二十三万四千人、競輪場が二千百四万六千人、その他を合わせまして、合計で五千九百八十七万八千人でございます。
#92
○大塚喬君 その他は幾らですか。
#93
○政府委員(旦弘昌君) その他の内訳は、小型自動車競走場が四百九十二万七千人、モーターボート競走場が二百六十七万一千人でございます。
#94
○大塚喬君 身体障害者控除の問題ですが、この趣旨は、私も人の子の親としてそのとおり素直に理解をし、賛意を表するものですが、そのうちで、信託財産を三千万円まで非課税限度にしたその算出根拠は一体何ですか。
#95
○政府委員(旦弘昌君) お尋ねの贈与税におきます障害者非課税制度の新設でございますが、これは最近、種々の障害者がいらっしゃる、この障害者に対しまして、親御さんはもちろん、その周囲の方といたしましては、たとえば親御さん等の死後、それらの障害者がどういう生活をなさるであろうかということに対する危惧の念は非常に強かろうということでございます。私どもといたしまして、税制の上で、これに対して何らかのお助けを、お手伝いをすることはできまいかということで、この制度を新設することにいたしたわけでございます。
 で、お尋ねの三千万円の根拠は何かということでございますけれども、これは、何分にも重度の心身障害者でございますから、財産の管理能力等につきましても欠くるところがあるのではないか、そういう場合も十分考えられるわけでございまして、制度を創設する以上、私どもとしましては、その制度が十分機能するように、本来の目的に沿うような方向で動くように考えてまいる必要があるというふうに考えたわけでございます。
 で、三千万円の根拠につきましては、私どもといたしましては、この贈与が何か果実を生むような財産であるということが御本人のためにもいいのではないかというふうに考えたわけであります。したがいまして、その果実を生むにつきましては、その元本がどのぐらいで運用されて、どのぐらいの果実を生むかということを考える必要があるのではないかということを考えたわけでございます。したがいまして、三千万円といたしましたのは、これが仮に全額貸付信託に運用されるというような場合に、所得税、住民税を引きましたネットの手取りがどのぐらいになるかということを考えました。で、三千万円でございますと、年のネットの手取りは約二百三十万円になるわけでございます。月額としますと二十万円程度になるわけでございます。この程度のお金が毎月入ってくるということであれば、重度の心身障害者の生活も安定を図れるんではなかろうかという考えからこの制度、この金額を定めたものでございます。
#96
○大塚喬君 としますと、総額控除による想定非課税財産額と、三千万円の信託財産の元本額との関連は一体どうなっていますか。
#97
○政府委員(旦弘昌君) お尋ねの御趣旨は、相続税の標準的な世帯におきます課税最低限四千万円と、この三千万円との関係いかんということであろうかと推察いたしますが、一応別に考えておる次第でございます。
#98
○大塚喬君 何ら関係ないということですか、そういう関連は当然必要になってくる問題じゃないですか。
#99
○政府委員(旦弘昌君) 四千万円を算定いたしましたのは、先ほど来繰り返し申し上げていますように、四十一年度一千万円と定められました後の地価等の上昇率を勘案しまして、四千万円と決めたのでございまして、この三千万円は、先ほど御説明いたしましたような果実をどのぐらい生むかということを頭に置いて算定いたしたのでございます。
#100
○大塚喬君 贈与税の問題について質問をいたします。
 贈与税の同一人よりの三年間累積課税をなぜ廃止したのか、ここのところをひとつ明確にお答えいただきたい。
#101
○政府委員(旦弘昌君) 贈与税につきましては、現行法では、御指摘の三年間累積課税という制度をとっております。で、これはわが国におきましては、昭和二十五年から二十八年までは、三年間という制限がございませんで、一生累積という厳しい制度をとったのでございます。しかしながら、その間におきましての経験からいたしますと、一生贈与額を税務署が追跡するということは、技術的にもとうてい不可能、あるいは非常な負担を感じたわけでございます。したがいまして、むしろ正直な方が損をするというような事態もあらわれてきたのでございます。そういうような経験を踏まえまして、二十八年におきましては、この累積制度を廃止したのでございます。しかしながら、その後、現行の三年累積の制度は、昭和三十三年にとったわけでございます。で、御承知のように、現行の制度のもとにおきましては、第一年に四十万円贈与を受けます、これは課税になりません。その次の年、第二年、第三年二十万円ずつ贈与を受ける。三年間で四十万円、二十万円、二十万円、合計八十万円という規則正しいサイクルをとっていただきますと、課税にならないという制度になっておるわけでございます。しかしながら、この制度は非常に複雑な制度でございまして、翌第二年度に、仮に第一年度四十万、第二年に三十万ということでございますと、これは課税になるというような、かなり厳しく、しかも、かなり複雑な制度でございまして、税務の第一線の方々の意見などから見ましても、この制度はきわめて難解であって、納税者に理解しがたい制度である、そうしてまた、税法をよく知っている人は、この制度に乗りまして課税を受けずにかなり継続的に贈与を受けられる、しかし、税法を知らない方が、よくこの制度にひっかかられて、三年間全体といたしましては、同じ贈与を受けましても、その贈与額の各年の案分によりまして、受けたり受けなかったりということになり得るというような、いろいろな納税者側からの苦情も、御意見もございました。そういうことから考えますと、私どもといたしましては、執行上も非常に手間がかかり、また納税者の立場からいたしましても、かなりきつい、あるいはよく知らない方が課税を受けるというような制度であるということを判断いたしまして、今般この制度を廃止したのでございます。
#102
○大塚喬君 技術的にむずかしいという立場から、この贈与税の三年間累積課税を廃止したと、こういうふうにお聞きしたわけでありますが、それでは、これを廃止したということによって何にも弊害はございませんか。
#103
○政府委員(旦弘昌君) この制度を廃止しますことによりまして、ただいま申し上げましたように、法の不知によって課税を受けるというような不公正が取り除かれるのではないかという、納税者側からの観点から立ちまして、その利点があると思います。で、御指摘のような、これを廃止いたしまして弊害がないかということになりますと、これは金額が、今般、今回の改正で、一年六十万円ということにしておりますので、かなり低目に抑えた金額であるということからいたしまして、まず、世の御批判を受けることはないんではないかと、かように考えておるのでございます。
#104
○大塚喬君 実際問題として、証券会社なんかで盛んに宣伝をやってますね、御存じですか。――うまくともかく税金を逃れるということで盛んに商売に利用しておる。こういうことは一体、この制度があった際にも現実に出ておったんですが、これを廃止したということで、そういう問題、何にも弊害は実際ありませんか。
#105
○政府委員(旦弘昌君) いま御指摘のような弊害を仮に厳しく取り除くといたしますれば、一切この限度を設けないで、すべての贈与については課税するということにいたしますれば、そういう弊害は全くなくなるものと考えます。
 で、他面、具体的な例で申し上げますと、息子が家を建てるときに、いなかのおやじから金を借りる、あるいは金の贈与を受けるというようなケースはしばしばございます。そういうような方々に対して、一生に一度家を建てるというときに、何がしかの金を父親から贈与を受けるというものまで、しかも、比較的少額の金額に対してまで、これを課税するというのはいかがかという観点もございます。
 したがいまして、おっしゃいますような、証券会社がどういうような勧誘をいたすか存じませんけれども、おそらく毎年六十万これから贈与を受けるならば、それを累積すれば十年で六百万という金額になるというようなことを言っておられるんではないかと推測いたしますけれども、そういう問題は、確かに御指摘のような問題はあるかもしれません。しかしながら、金額といたしましては、これを六十万に抑えているということで、その辺は適当なところではないか。もちろん、この金額につきましても、国会の中におきましても、これは低過ぎる、百万円にせよという御指摘もございました。しかしながら、私どもといたしましては、当面六十万程度でいいのではないか、かような結論に達したのでございます。
#106
○大塚喬君 おっしゃるように、額の点については確かにそれはいろいろの意見があるだろうと思います。しかし、この三年間の累積課税制度の廃止は、現実に相続税を回避する、そういうために生前贈与をチェックするという重要な制度であったと思います。相続税の補完税としての贈与税、これはもういままでの大蔵省の立場を私どもは何度もいろいろの実例で聞いたりしておるわけですが、そういうことであったものが、この制度が廃止されると、こういうことになれば、これはその機能を弱めるものであると、私は率直にそういう感じをするわけでございます。この贈与税という問題と、相続税というものの関連についてひとつ明快な答弁をいただきたいと思います。
#107
○政府委員(旦弘昌君) 贈与税は相続税の補完的な役割りを果たす税でございます。したがいまして、この贈与税のかからない金額をかなり引き上げをいたしますと、これを生前に贈与を積み重ねてまいりまして、相続の場合の相続税の負担を軽減することができるということは、おっしゃるとおりの働きがあろうかと思います。しかし、他面、先ほど申し上げましたような、現在の三年累積制度の弊害というものは事実でございます。そこで、それらの事実を、その弊害を除去することを優先するのか、あるいはなおこの現在の制度を維持して、その間強く贈与税の規制を行っていくのかという選択の問題であろうかと思います。
 そこで、私どもといたしましては、三年累積制度の弊害というものは、納税者の側からも指摘されておりますし、また税務署の側におきましてもそういう声があるということからいたしますと、この際、この三年累積制度を廃止するのが適当ではないか。しかし他面、先生の御指摘のような弊害が生じ得ることは事実でございます。したがいまして、その辺の弊害を最も少なく、しかも、現在の弊害をなくしていくという点はどこであろうかという点を求めましたのが、今回の改正案の毎年六十万という制度でございます。
#108
○大塚喬君 贈与税関係について、これは居住者用不動産にかかる配偶者控除の問題ですが、その適用条件が婚姻期間二十年以上とされておるわけです。相続税の配偶者の課税軽減も年数制限がなくなったわけですから、この死亡相続と生前贈与との条件が違う。それは当然違いがあるにしても、ゼロと二十年というのは余りにもその差が大き過ぎる。で、二十年というものを引き下げる必要があるのではないか。いまのについてひとつお聞かせいただきます。
#109
○政府委員(旦弘昌君) 御指摘のように、相続税につきましては、妻の控除を認めます際に、現行法では婚姻期間の制限がございます。それを今般廃止することにいたしました。で、贈与税の方の生前におきます配偶者に対する居住用不動産の贈与につきまして、今般の改正をいたしましたのは、第一点は金額の引き上げでございます。これは五百六十万円を一千万円に引き上げるという改正をいたしました。
 第二点は、その婚姻期間の制限をどうするかという問題でございます。この点につきましては、従来二十年でありましたものをそのまま置いたわけでございます。
 そこで、相続税のほうでは婚姻期間の制限を、条件を外したのに、贈与税ではなぜ二十年を据え置いたのか、またなぜ二十年とするのか、十五年にしないのか、十年にしないのかという点でございますけれども、そこは、相続税と贈与税との間にははっきりした一つの線があるのではないか。なるほど、贈与税は相続税の補完的な税でございますけれども、しかし、相続の場合には予期しなかった配偶者の死というものがございまして、突如としてある日その配偶者を失うという事態なんでございます。しかしながら、贈与税の場合には、生前におきまして任意に人間の意思によりまして、ある財産を贈与するという選択がございます。その点がはっきり違うのではないかということでございます。
 で、相続税の場合におきます妻の優遇につきましては、先ほど来いろいろ詳しく御説明いたしたところでございますが、そういうような点で贈与税と相続税はやはり違うのではないかというところで、その婚姻期間の制限につきましては現状どおり据え置く、単に金額を引き上げる改正にとどめたのでございます。
#110
○大塚喬君 大臣も出席いただいたもんですから、大臣の方の質問もありますので、あと二、三ひとつ政府委員の方にお尋ねをしたいと思います。
 いまの問題も議論があるところですが、相続税の滞納、延納の現況はどういう状況になっておりましょう。
#111
○政府委員(熊谷文雄君) 相続税にかかります延納制度の利用状況並びに滞納の状況でございますが、延納につきましては、昭和四十八年度の数字でございますけれども、総額で二千三百二十五億円というふうになっております。これは四十八年度の課税額に対しまして約六四%の比率になっております。
 それから滞納でございますけれども、同じく昭和四十八年度の数字でございますが、滞納の発生の金額で申し上げますと二百二十四億ということになっております。年度末の純滞納額は約百億でございます。
#112
○大塚喬君 せっかく出席いただいたものですから、大臣に質問を。
 先ほども質問をしたところでございますが、相続税法改正が今回五十年度の税制改革の一環として実施をされます。私はどうしても大臣にひとつ、この相続税法の改正、これは、政府が一体財産形成というものをどのところに目標を置いて、どの程度の財産形成というものを国民に実現をさせようとするのか。これらの問題と、この相続税法の改正というのは当然関連をしてくる問題だと思うわけです。この相続税法の改正は、どの階層の人たちを育てよう、どの人たちを減税しよう、こういうことでこの法改正の趣旨を求められたか、その点について大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。
#113
○国務大臣(大平正芳君) 今度の相続税法の改正には、どの階層をねらって財産形成を幇助する、あるいは抑制するという、そういう考え方はございません。ただ、最近の社会、経済の変化が激しくて、たとえば地価の変動が非常に激しい状況でございますので、これと相続税法との調整を図らなけりゃならぬということを考えたことが第一点でございます。
 これから第二点は、配偶者の座をどのように見直すかということでございまして、そういう二点が主たる関心でございまして、仰せのように、特定の階層に対して云々という考え方は持っておりません。
#114
○大塚喬君 政府の一貫した施策があってこういう改正をされるとすれば、当然そういうことも明確にやっぱり打ち出されるべきが至当であろうと私は考えます。
 それで、先ほどもお尋ねをしたところですが、一億円の億万長者も十億円の億万長者も、減額になる割合は違ってきますけれども、ともに何千万か減税になっておる、そういう税改正であります。土地が値上がりをしたからと、こういうことをおっしゃったわけですが、土地の値上がりということで利益を受けた人というのは、そもそもインフレ利得者の一番の人だろうと思うわけであります。こういう人たちに対して減税の必要があると大蔵大臣はお考えになって、この相続税法の改正をなさったんでしょうか。いかがですょうか。億万長者に減税の必要があるんですか。
#115
○国務大臣(大平正芳君) 相続税の場合は、原因それ自体が、自分が意図せざることで原因が起こるわけでございまするし、また累進構造をとっておりますため、そのままほっておきますと税負担が増加いたしまして、意図せざる増税を結果することになるということでございますので、そういう事態を回避することが必要であると判断したからでございます。
#116
○大塚喬君 三木内閣の表看板は社会的な公正を実現する、こういうことを一枚看板と言ってもいいほど高く掲げておられるわけです。で、富の集中を排除して社会的な公正を断行する、わが国のただ一つの資産課税である相続税をこのような形で機能させるということについて、その一枚看板の社会的な公正を実現するということとどういう関係がございますか。これをひとつ、大蔵大臣から考えをお聞かせをいただきたいと思います。
#117
○国務大臣(大平正芳君) 相続税は、いま御指摘のように、これは所得税の補完税でございます。したがって、所得税がその機能を十分果たしておる限りにおきまして、相続税は第二次的な補完的な役割りで十分だと思うのでございます。したがって、今度の相続税法の改正は、そういう意味で特別なものではないわけでございます。言いかえれば、考え方の基本にはいまの所得税法はそれなりに十分機能しておると私どもは判断しておるわけでございます。それから、それが社会的公正を期するという全体から申しまして、本税である所得税、それから相続税、税体系全体から御批判をいただきたいと思うのでございます。それから相続税自体を見てみますと、上になるほど、つまり相続財産の大きいほど軽減額が少ないわけです。軽減率が少なくなっておるわけでございまして、そういう意味で社会的公正をわれわれといたしましては貫いておるつもりでおります。
#118
○大塚喬君 社会的な公正を実現する――十億円という財産ですよ。その人の場合には今度の改正、「付表」で見ますというと六千五百九十二万円減税になっておるわけです。こういう人こそインフレの利得者と考えるわけですが、そういう人に、いまの答弁で私は、減税をしてやるということに、はい、そうですかという納得の感じはどうしても持てません。最近、所得についても資産についても、平均勤労者階層と、こういう特殊の人たちの間の格差が非常に増大してきておるわけであります。相続税課税の対象になるような高額者の問題について、富裕税、財産税、私は、これらを実施すべきそういう段階に来ておると考えるわけですが、富裕税、財産税の実施について大蔵大臣はどのようにお考えでございましょう。
#119
○国務大臣(大平正芳君) これも本会議、予算委員会等でお答え申し上げたところでございますが、富裕税も、大塚先生御承知のように、これも所得税の補完税でございます。したがって、所得税というようなものが半身不随になりまして十分機能しないというようなことになってきた場合には、われわれといたしましてはいろいろな手だてを考え、歳入確保のために考えなけりゃならぬわけでございますが、ただいまわが国の所得税はよく機能しておるわけでございますので、そういう補完税に大きく依存するという必要を特に感じていないということが第一、富裕税も一つの補完税でございまするので、富裕税に大きく依存しなけりゃならぬというようには考えていないことが第一でございます。
 第二は、富裕税は、これは資産税でございます。したがって、年々歳々の所得課税ではないわけでございますから、財産課税でございますから、財産をよく捕捉しておかなければならぬわけでございまして、この課税の基礎に課税標準をちゃんと政府といたしましてはつかみ切っていなければならぬわけでございますが、ただいま政府はまだそこまで自信がないわけでございます。したがって、これは確かに検討すべき課題であるとは考えておりますけれども、いま直ちにこれを実行するというようなことを大蔵省といたしましては考えていないわけでございます。
#120
○大塚喬君 そうすると、所得でも資産でも現実にこういう格差がどんどん拡大しておるということに大臣は現状をどういうふうにとらえていらっしゃいますか。どこまで拡大しても、こういう問題はそのままにもうほうっておくんだと、こういうお考えでございますか。
#121
○国務大臣(大平正芳君) 私は、世界各国の事例を克明に調べたわけじゃございませんけれども、わが国が、特に上下の格差が、所得の格差が特に激しいというような認識は持っていないわけでございます。しかしながら、ここ近年、インフレの浸透に伴いまして、所得の格差が、御指摘のように、拡大の傾向を持っておりますこと、これは大変ゆゆしいことだと思うのでございまして、インフレは仰せのような作用をいたすわけでございますので、したがって、われわれといたしましては、まずそういう意味で、インフレに対する対策というものをいろんな角度からやってまいらなければならぬわけでございまして、財政政策全体も、アンタイインフレ政策ということに傾注されなければならぬと考えておることはもとよりでございます。ただ、いまの所得税あるいはその他の法体系の中で、特にこの際こうしなければならぬと、こうしなければどうしても歳入を確保し、あるいは社会的公正を期することは不可能であるという判断ではないわけでございまして、インフレ対策は大事でございますし、それが第一義的な政策としてわれわれが追及してまいるわけでございまするし、税制の上におきましても、社会的公正を期する上におきましてできるだけの措置は講じてまいるつもりでございますけれども、特に全体の税制を見直しまして、もう一度立て直すというところまではまだ考えていないわけでございます。
#122
○大塚喬君 先ほど財産税、富裕税については検討を要する問題だという答弁をいただいたわけですが、これの問題と関連して、相続税法の妻の座優遇という問題で、妻の遺産相続の場合に、三分の一は青天井ということで、現在の妻の資産状況のいかんを問わず、ともかく無税になる。そうすると、先ほどもお尋ねしたところですが、民法第七百六十二条との関連で、一体このようなこの問題だけここで取り上げるということが果たして適当なのかどうかという疑問を先ほどお尋ねしたわけでございます。で、この妻の座の青天井という問題について、頭打ちのそういうことはこれは全く必要ございませんか。私は、税の公正という立場から言えば、この問題については妻の資産状況それからその死亡された被相続人、こういう人の財産状況に応じて当然これらの問題は何らかの制限が設けられてしかるべきだと、こう考えるわけでございますが、この点について大臣の見解をお聞かせいただきたい。
#123
○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘の点につきましては、衆議院の大蔵委員会におきましても提起された問題でございます。傾聴に値する問題提起だと私も考えます。ただ御案内のように、今度の相続税の改正の一つの柱は、妻の座というものを相続税法上見直そうということに力点の一つがあるわけでございます。妻の座を見直すということは、つまり夫と妻というのは同時代のものでございますから、そしてお互いに協力して財産をつくったものでございまするから、そこには本来相続という、そういう水平的な財産の移動ということについては相続税法上相続を考えないと、垂直的な移動でございますればそこに相続税を考えると。しかし、水平的な場合には考えなくていいじゃないかと。やがて、同時代のものだから遠からず、ゼネレーションが違うもののように、次の相続原因がずっと遠のいておるわけじゃないわけでございますから、したがって、これはある面において全部水平移動の場合はもう相続税は考えなくていいじゃないかという立法政策も私はあり得ると思うんです。今度私は、よく非常にコンサーバティブな役所が、主税局が、よくよく考えたと思うんです、そういうことを大胆によく考えたと思うんですね。それでこの間、衆議院では野党の皆さんから大変コンサーバティブな意見を聞きまして、それは少し行き過ぎじゃないかと、それに天井を設けるべきじゃないかということなんで、それは水平的な財産移動にこだわっておられる思想じゃないかと、主税局の方が革新的じゃないかというようなお話を申し上げたのですが、しかし、それも三分の一だということで、まだこれ遠慮しておるところがあるんです。
 そこで、いまあなたが言われておる問題は、水平移動の場合を税としてとらえるかとらえないかという立法政策の問題でございまして、私は、量の問題、多いとか少ないとかいう問題じゃないと思うんです。考え方の問題だと思うんでございまして、今度の税法の考え方は相当思い切った質的転換を遂げておると思うんでございまして、それなりの私はひとつ評価をしていただきたいとむしろ考えておるところでございます。
#124
○大塚喬君 私も妻の座優遇ということについて人後に落ちない、そういうことについて理解を示す立場にございます。示しておるつもりでございます。ただ、私が申し上げておるのは、そういう趣旨でやったにしても、その青天井というのはどうだと。それからもう一つは、大蔵省は相続税法の改正をずばりとこう出したわけですが、民法第七百六十二条には夫婦別産主義というのが明記されているんです。その問題と、この相続税法の改正の関連はどうなんだと。私は、民法の方の検討を、見直しをしないでこれだけやるのはおかしいじゃないか、どうしてもそういう疑問が残ります。民法で規定している夫婦別産主義の問題と、奥さんの遺産相続について青天井の非課税と、こういう問題についてはその関連はどういうふうにお考えになりますか。
#125
○国務大臣(大平正芳君) 民法との関連、それから法制審議会なんかでも検討の様子もあるようでございます。その点は専門家にひとつお聞き取りをいただきたいと思います。私は余り詳しく存じませんので、専門家からお聞き取りをいただきたいと思います。
#126
○政府委員(旦弘昌君) 先ほどお答えいたしましたように、わが国の相続につきましては、やはり私ども税制を預かる者といたしましては、民法をもとにしなければならないと思います。で、現在のわが国の民法は、夫婦別産制をとっておるところでございます。で、あるいは御意見のような点につきましては、いろいろ世の中にも御議論がございまして、ヨーロッパの若干の国においてとられておりますような夫婦間の財産の共有制度というようなものを考えるべきではないかというような御意見もございます。しかしながら、それらの問題につきましては現在なお法制審議会で審議中でございますので、その結論を待ちまして、私どもとしては、相続の面につきましてそれをどう考えるかということを調整してまいりたい、かように考えておる次第でございます。現在のところは、まだ現行の日本の夫婦別産制に基づきました民法をもとにして相続税の制度を考えざるを得ないんではないか、かように考えております。
#127
○大塚喬君 そうだとすれば、よけいいまの問題は、妻のこの遺産相続の件だけ取り上げて改正を図るということの筋はやっぱり途中で筋が違ってきていると率直に考えるわけです。
 それから、大臣の方の質問を続けますが、今回の入場税の大変思い切った減税、このことについて、一挙に十五倍、三十倍という減税なものですから、やっぱり腑に落ちないところが残ります。財源不足、直間比率の是正という問題は、大臣もいままで何度か答弁をいただいたわけでありますが、一体このような時期に、この間接税、消費税、こういうものを、だれがどこで運動をしてなったのか、これは税調の方の答申にもないわけですが、どっからか、業界からか何かからでも強いその圧力があったんですか。この入場税法改正のいきさつをひとつ大臣からもう一度お聞かせいただきたいと思います。
#128
○国務大臣(大平正芳君) 圧力団体といいますか、そういう方面からは私も全然接触はございませんでした。
#129
○大塚喬君 そうしますと、今度の税法改正によって、映画で六十億減税になりますね。それから演劇関係で五十億減税になる。一体この六十億、五十億のお金というのはだれのふところへ入ると思いますか。その税改正をやった、この恩恵は一体だれが受けることになりますか。
#130
○国務大臣(大平正芳君) これは業者をもうけさすというわけでなくて、文化の向上といいますか、社会教育の振興と申しますか、そういうことで、料金を下げて文化的な教養を受ける機会を持っていただかなきゃ、よりテープに持ってもらわにゃいかぬわけですね。ですから、関係各省がそれぞれそういう御指導をいただいておるわけでございますので、これは映画、演劇の業者をこれで肥やすというような考えはございません。
#131
○大塚喬君 現実に、いまのような指導なり行政的な措置で、入場税の減額分が入場料の減額になって大衆に還元される、こういう確信をお持ちですか。せっかくその税改正やったことが、納税者である国民には何らの恩典がなくて、興行者だけがもうけてしまうと、こういうことになったら、税改正の趣旨ということはこれは生かされないものじゃないかと、私はこう心配するわけです。
#132
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、この税法はまだ参議院で御審議いただいておるわけでございまして、一部の団体では、すでに入場料を下げるということで、改正の暁にはそうするというようなことを決議しておるところも聞いておりますけれども、これから行き届いたPRをやりまして、この恩典を利用者、大衆に還元するようにしてまいらなけりゃならぬと考えます。
#133
○大塚喬君 この入場税の減税ですね。さっきもお話ししたように、その直間比率の問題で、大臣もしばしば、ともかくいまの直間の比率という問題は是正の必要があると、こういう考えを述べられておるわけですが、今度これで、まあ百十億にしても、ともかく入場税、間接税が減額になる。そうすると、いまでも直間の比率が、こういうふうに直接税が高額だ、間接税が低いと、こういうことで、国民の皆さん、この日本の税制は諸外国と比べてこのように間接税が低いんですと、こういうことの、私は少し憶測が過ぎるかもしれませんが、その果ては、一番私どもがいま心配をいたしております付加価値税の導入ということの一つの布石ではないかと、少し勘ぐり過ぎますか。私は率直にそういう懸念を強くいたしておるもんですから、この入場税の改正、減税と付加価値税の創設導入の問題について、はっきりした大蔵大臣の見解をこの際承っておきたいと思います。
#134
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、非常に勘ぐり過ぎられておられると思います。毛頭そういうことはわれわれ考えていないわけでございます。正直に申しまして、この付加価値税という問題は、ずいぶん前から、政府はこの税金を検討しておるんじゃないかというようなことを、で、また一部はもうすでにやるつもりであるというんで、自由民主党なんていうのはずいぶんそのうわさで損しておると思うんですよ。こういうことは非常に迷惑なんでございまして、付加価値税を導入するなんていうことは、容易ならぬ大事業なんでございます。それで、かりにこれこれやるとしても、もう非常に広い国民的な支持が得られなければこれできる相談じゃないんです。ひそかに大蔵省が画策してできるような、そんな私は簡単な仕事じゃないと思いますよ、これ。ですから、そういうことと全然関係ないわけでございまして、この入場税の引き下げというような問題は、それはそれとして素直にお受け取りいただきたいと思います。
 付加価値税の問題につきましては、先般衆参両院におきまして、大蔵委員会中心に税制の議論をいたしておる場合に、直接税とか、間接税とか、まあ付加価値税の導入の意思があるかないかとか、諸外国の状況はどうなっておるかというような論議が行われておるということを、この間、総理大臣に、私どもの事務の方が参りましたときに、国会でこういうやりとりが現実にございますということを御理解いただく意味で報告したわけです。そうしたら、何かこちらが意図的な考えを持っておりまして、総理大臣に説明したように一部の新聞に出ましたりして、これまた非常に迷惑をしたわけでございまして、できたらもう付加価値税なんということはもうこんりんざい言わない方がいいんじゃないかと、ぼくはもういま考えておるんでございますが、またきょう先生から引き出され、出るわけなんです。どうしてもこれ、まあ非常にこの問題についてはお答えが困るわけでございますが、いま大蔵省は付加価値税が簡単に導入できるなんていうことをそう手軽に考えておるわけじゃございませんし、これは長期の展望に立ちまして税制をアカデミックに考える場合には、いろいろな論議、検討に値する課題ではありましても、現実の政治の問題として、ここ政治の課題に、日程に上ってくるような私は問題であると毛頭考えていないわけでございます。
#135
○大塚喬君 そうすると付加価値税は実施をしたいんだと、こういうことでございますね。
#136
○国務大臣(大平正芳君) それはまた困るんですね。先々、もう何年も先のことは、私は予言者じゃありませんから予言はできません。けれども、こういうことは税制調査会で検討したり政府が勉強したり、国会で論議があったりすることも、それはいけないなんて言うわけにいかぬと思うんです。それから、こういう税金について賛成の人もあるし非常に反対の人もあると思うんでございます。ただ、いまの政府の姿勢といたしましては、こういう問題についてはこれは一つ検討の題目ではあるであろうと、しかし、具体的ないま日程にこれを上せるように熟した課題ではないというように御理解をいただきたいと思います。
#137
○大塚喬君 この付加価値税の問題で、検討を要する問題という、そういうお答えがあって、当面は実施しない、こういう答弁ですが、おっしゃることがやっぱり挙動不審、ちょっと来いという、やっぱりそういう印象を国民に与えているんですよね。ですから、付加価値税というものの創設、導入については全く考えておらないと、現在ですね。そういうことをはっきりやっぱりこの際に大蔵大臣がそうお考えだったらひとつ明確なお答えをいただきたいと思うわけです。どうも挙動不審のあれがあるものだから、どうも少し疑いをやっぱりかけざるを得ない。――大臣のお答えがそうなんですよ。
#138
○国務大臣(大平正芳君) 政府が検討してはならぬというのもこれ一つのむちゃな話だと思います。政府も検討して、将来の歳入確保の一つの手段として検討して差し支えない課題だと思いますけれども、いま直ちにこれを現実の政策として取り出して御審議をいただくというような日程は持っておりません。
#139
○大塚喬君 ますますどうも何かこう後ろに含んでおるものがあると、こういう印象が私はぬぐい切れません。付加価値税という問題は、大臣の言葉にもありましたように、国民がやっぱり何といっても間接税、しかも大衆課税ということに、いまの生活実態の中で敏感に反応を示しておる問題ですので、くれぐれもひとつ当分いまのことは考えておらないということを忠実に今後大臣としても誠意を尽くして守っていただきたいと思います。
 それから、入場税の問題でありますが、入場税ここまで思い切って減税措置をとりました。入場税全廃について大臣のお考えはいかがでしょう。
#140
○国務大臣(大平正芳君) まあ文化政策とか教育政策というものは、税金でどうこうするというのはこれは生意気な話でございまして、税金というのはやはりごくドライに考えまして、負担力があるところからそれなりにちょうだいしていくというのが、素直な税制に対するわれわれの態度でなけりゃならぬと思うわけでございます。したがって、入場税につきましてもやはり負担力のあるところからはやっぱりちょうだいするという態度でこれは終始していくべきであると思うんでございまして、文化政策上これはない方がいいじゃないかという、すっぱりとした割り切り方でこれを断念するというところまでまだ私どもまいりません。
#141
○大塚喬君 入場税のいままでの歴史的な経過で、地方と国と行ったり来たり行ったり来たり、こうやってましたね。地方に譲与する、財源を譲るというお考えはございませんか。
#142
○国務大臣(大平正芳君) そういう考えは持っておりません。
#143
○大塚喬君 ギャンブル税の創設についてはいかがでございましょう、大臣の見解をお聞かせいただきたい。
#144
○国務大臣(大平正芳君) これは、そういう御意見もあるようでございますけれども、いろいろな角度からこれは検討せなけりゃならぬ問題だと思いまして、いま定まった見解を持っておりません。
#145
○大塚喬君 ギャンブル税について固まった考えは持っておらないと。ですけれども、大蔵大臣、国の公営競技全般に対する政策というのは、大蔵大臣としてどういうふうに公営競技に対してお考えをお持ちですか、そこのところをひとつお聞かせいただきたい。――これはもうどんどんやるべきなものですか、抑えるべきものですか、基本的な姿勢を。
#146
○国務大臣(大平正芳君) これはまあ大蔵省だけと申しますよりは、政府全体の大衆の娯楽に対する姿勢の問題だと思うんでございまして、私どもといたしましては、これが全体として健全な方向に歩みをとっていただくことを期待いたしておるわけでございます。
#147
○大塚喬君 今度の入場税法の改正で、いわゆるギャンブル関係のものは据え置かれましたね。それで、今度そのまあギャンブル税の問題、さきに昭和四十八年四月の委員会において、当時の大蔵大臣愛知揆一さんが、この創設について検討すると、まあこういう新聞記事を見た記憶がございますが、このギャンブル税の問題についてはどのような作業を続けてこられたのか、そして、どういうわけで――四十九年度には実施というような記事も見た記憶がございますけれども、それがどういうわけで現在、この入場税法の改正に関連したお尋ねになるわけですが、その創設については実現できなかったものか、ひとつその経過をお聞かせいただきたいと思います。
#148
○国務大臣(大平正芳君) 入場税との関連におきましては、免税点をそのまま据え置いたということは、ギャンブル行為に対しまして相対的にはきつい態度をとらしていただいたということになろうかと思います。で、これを四十九年度から実施するというようなことを政府が決めたことはございません。それからこれらの問題につきましては引き続きいま検討をいたしておるところでございまして、のみ行為その他非常にめんどうな問題がたくさんあるようでございまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。
#149
○大塚喬君 最後に要望を申し上げますが、このギャンブルに関する政府の基本的な姿勢を、これは各関係官庁と協議をしなければというお答えがございましたが、できるだけすみやかな期間でこの問題に対してひとつ基本的な姿勢を明示していただきたいと思います。ぜひいまのことについてひとつ実現をいただきますようにお願いいたします。
 終わります。
#150
○委員長(桧垣徳太郎君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後一時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十二分開会
#151
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#152
○鈴木一弘君 先ほどの大塚委員の質疑の中にありましたんですけれども、入場税法の改正案について、言えば、税制調査会の答申に全く触れてないということで指摘をされました。どうして急に提案されたか不思議だと。それで、大臣に対して何か団体から圧力があったんではないかというような話があったときに、それに対しての答弁は、私にはありませんという、まあこんな話があったんですけれどね、あのときには。断り書きがありました。
 で、私はどうも不思議でならないのは、税制調査会の答申にもないものがここで出たという大塚委員の御指摘、私もそれはそのとおりだと思います。やはりある特定の団体からの何かの圧力があって、急にこうなったんじゃないかというふうに思わざるを得ない。もしそうであるならば、どこなのか。またそういう要請があったのかどうか、改めてもう一度今度は税当局の方へ伺いたいんです。
#153
○政府委員(旦弘昌君) 税調の答申がないのに入場税法を改正したのは何か理由があるのではないかという御質問でございますが、午前中お答え申し上げましたように、確かに税調の答申には入場税法の改正につきましての答申はございません。しかしながら、この問題につきましては、かねてから、入場税の対象になる入場者の側からも、こういうような文化的あるいは社会的な価値のあるものに対して国が課税するのはいかがかという御批判もあったところであります。それからまた、関係の各省からも、この税負担を軽減してもらいたいという要望がありましたのは確かでございます。また関係の業界から書面で、いろいろ税制改正のときに際しましては各種の、これは入場税だけでございませんで、各種の問題につきまして陳情がありますのも、これも確かでございます。
 しかしながら、私どもこれらを総合勘案いたしまして今回の改正案をつくったわけでございますが、顧みますと、昭和四十八年に入場税法の改正をお願いいたしましたときに、当院の附帯決議におきましても、「政府は、」「今後とも入場税を減免するよう配慮すべきである。」という項が入っております。これらのことを想起いたしまして、私どもといたしましては、この際入場税の軽減をした方がいいんではないかという結論に達したのでございます。
 税制調査会の答申の中に盛られておりませんということにつきまして若干御説明をいたしますと、ことしはいろいろな特別措置その他の改正がございました。土地の譲渡所得、あるいは医師の診療報酬の課税問題、あるいは所得税の減税、排気ガスの低公害車の税制の問題等、非常に問題が山積しておりました関係で、もちろん入場税につきましても一応御説明をし、その現状、過去の経緯等を御説明はいたしましたけれども、最終的には答申に盛られるいとまがなかったというのが正しいかと思いますが、そういうことで結論的には答申の中には盛られなかったという経緯がございます。
#154
○鈴木一弘君 私が指摘したいのは、今回の所得税減税を見ますと、いままでにないミニ減税であったと。所得税減税、初年度で申告、源泉全部を入れて二千四百八十億円ということでありますから、まあ実際ミニ減税です。しかもこれが、酒の税率の引き上げがあります。そうして年間では二千五十億の減税だと。しかし、たばこが値上げになれば二千五百億の増徴、つまり差し引き四百五十億円ばかり増徴ということになるわけですね。こういうようなときに、本来ならば、入場税よりむしろ所得税の方に先に私は手をつけるべきであったんじゃないかということだと思うんです。それが一つは、財源難という理由できているだろうと思うんです。で、この間の通過をいたしました四十八年度剰余金、まあこれは国債整理基金特別会計に入れる分を減らすというふうなことになりますけれども、そういうようにしてまで一般会計に回さなければならない、そういうときに、前からそういうふうに確かにありました、あったことは確かですけれども、ウエートの置き方として――当委員会の決議もあるでしょう、私はわかっております。しかし、いまのウエートからいったら、やっぱり所得税の方に減税の重点を置くべきだったろうという感じがしてならないわけです。
 そういう点、どうしてそういう点が入場税の方に突如としてという言い方はおかしいんですけれどもね、なったのか。もう一度改めてその点からの考えを聞きたいと思います。
#155
○政府委員(旦弘昌君) ただいま御指摘のように、五十年度の税制改正に当たりましては、私どもが一番頭を悩ましましたものは減税の財源の問題でございました。で、去年はかなり大きな減税をなし得たわけでございますけれども、本年は非常に財源事情も苦しいという事情にありました。その中にありまして、どういうような税をどういうふうに改正をしたらいいのかということが非常に頭を悩ました点でございます。
 おっしゃいますように、入場税の減税はわずか百十億円でございますけれども、これでもさらに所得税の方に上積みをして減税したらいいではないかというのも一つの御意見であろうかと思います。しかし、私どもといたしましては、こういうような社会教育上あるいは文化上に意味のあるものに対します課税につきましては、その後の最近の消費の実態等を見ますと、かなりその免税点を引き上げてもいいんではないかという結論に達したわけでございます。そしてそれが一般大衆、このような催し物等を楽しまれる一般大衆の負担の軽減にもつながることであるならば、この際、乏しい財源ではありますが、またわずかの財源しか要しないものではありますけれども、そういうような入場税については大幅な減税をしてもいいのではないかという結論に達したわけでございます。入場税の大幅な減税と申しましても、減税額といたしましては余り大きなものではございません。しかし、その意味はかなり大きなものがあろうというふうに考えて結論に達した次第でございます。
#156
○鈴木一弘君 いま大衆が鑑賞する、その大衆の方々、一般庶民のためであると。あるいは入場税の今回の大幅なと言っても大したことはない、まあ確かに百十億ぐらいですけれどもね、初年度で。しかし、それは興行者のためでなく鑑賞する人のためであり、芸術、美術の保存のため、サービス向上というまあこういうことからだったと思うんですけれども、これは先ほども大塚委員が指摘しました。その分が入場料の引き下げになるんでなければ大衆還元じゃないということですね。興行者のみの収入になってしまうということです。
 それで、実績の方からお伺いしたい。前回も、そんなに大きな減税じゃありませんでした、今回ほど大幅じゃありませんけれども、四十八年に入場税の改正があったと思うんですね、多分。そのときに一体どのぐらい入場料の方へはね返って安くなったのかということです。その実績を伺いたい。前の実績からこれから先を見なければ、信用できないというとおかしいけれども、信用できないわけです。その前のときには下げたことによる効果はどのぐらいだったのか。一体どのぐらい入場料金が実際安くなって、一般大衆の鑑賞者が潤ったのか、ひとつそれをお答えをいただきたいと思います。
#157
○政府委員(旦弘昌君) 四十八年の入場税の減税のときにおきます入場料金の値下げの実績でございますけれども、改正前の入場料金、税込みでございますが、これが七百五十円から一千円までの間のものにつきましては、減税額が三十五円ないし四十三円程度でございました。これに対しまして、値下げ額は二十円値下げをいたしております。それから五百円から七百円までの階層のものにつきましては、減税額が二十円から三十円の間でございますけれども、これにつきまして、値下げ額は十円でございました。それから二百五十円から四百五十円のものにつきましては、減税額が十円から二十円でございましたが、値下げ額は五円でございました。
#158
○鈴木一弘君 このときの四十八年の指導は、どういうふうに業者に対して指導なさってこられたのか。全額というわけじゃないでしょうけれども、減税額の約半分ぐらいないしそれ以下が大体値下げになっているようですけれども、どういう指導をしてきたのかちょっとお伺いいたします。
#159
○政府委員(旦弘昌君) 四十八年度の減税の際には、通産省を通じまして、関係団体に減税額に応ずる入場料金の引き下げに努力してもらいたいということをお願いしたのでございます。
#160
○鈴木一弘君 それに対して先ほどのような効果があったと、こういうことですか。
#161
○政府委員(旦弘昌君) さようでございます。
#162
○鈴木一弘君 今回は大体ほとんどが無税ということになってくるのが多くなってまいります。それについて大蔵省ではその効果の出し方、四十八年のとき以上の効果の出し方というのは何か考えられておりますか。
#163
○政府委員(旦弘昌君) 四十八年度の改正の際には、通産省にお願いしたわけでございますが、今回はかなり大幅な、広範囲にその減税の効果が及ぶということからいたしまして、私どもはこの事態は真剣に、より真剣に考えなければならないと考えまして、したがいまして、今回関係各省に対しましてお願いいたしましたのは、まず厚生省、それから文部省、それから通産省に書面でお願いをいたしております。厚生省からは全国興行環境衛生同業組合連合会に対しまして、書面で引き下げの要望をしていただいております。これにつきましては、おおむねその結論が出まして、引き下げの方向で具体案を練っておられるやに聞いております。
 それから文部省の関係では、文化庁の次長から日本芸能実演家団体協議会に対しまして、それから体育局長からは日本体育協会、日本相撲協会、日本野球機構に対しまして、それぞれ文書で同趣旨のお願いをしております。これらにつきましては、いま検討中でございますが、関係団体ではこの要望に対しまして、善処したいということで、現在引き下げの方向で検討しておるように聞いております。
 それから通産省は、通産省の産業政策局長から映画産業団体連合会それから全興連等に対しまして、同じく書面でお願いをいたしております。まだその回答はいただいておりませんけれども、おおむね業界では前向きに検討されておるやに聞いておる次第でございます。
#164
○鈴木一弘君 それじゃ今度は若干期待ができるということになると思うんですけれども、ちょっと観点を変えて、この入場税でお伺いしたいんですが、日本の場合は入場税が、現在は国税ということになっております。そうしていまさらここで言うのもおかしいんですが、先ほども大塚委員から、地方自治体の財政が困難なときなのでもあるしということの前提もあったと思いますが、この際、むしろ入場税については、地方税への移管が必要だろうと、こういう質問があった。それに対して大臣からは考えておりませんという、取りつく島もないような御返事があったんですけれども、これは大蔵当局としてまるっきり考えておりませんか、その点は。
#165
○政府委員(旦弘昌君) 入場税の地方税移管につきまして、これはおっしゃいますように、かつては地方税であり、それが国税になり、そしてまた地方税になり、また国税になったという歴史があることは、午前中にお答えいたしたとおりでございます。二十九年に地方税から国税に移管されまして、その際に、それまでの地方財源でありました関係から、これを譲与税法によりまして、人口割りで地方に譲与するという措置をとったのは、その財源対策としてそういう措置をとったわけでございます。また三十七年に入場譲与税を廃止いたしましたときには、その裏となります地方財源の手当てをした上で、これを廃止したのでございます。したがいまして、三十七年には完全な国の税として入場税が確立されたということになろうかと思います。自来、十数年にわたりまして、すでに国税として確立した税目でございます。したがいまして、現在のところ、私どもといたしましては、わずか三十億の財源でございますけれども、これはやはり国税としてとどまるべきものではなかろうかということを考えております。その理由は幾つかございましょうが、まず考えられますことは、今度の改正によりまして、三十億のうち六億がギャンブル関係の税収でございます。これらのギャンブル関係の入場税、これは地方的に非常に偏った税金でございます。これが全体の二割を占めておるという状況。残りの八割の税収につきましては、これはやはり今度の減税によりまして入場税収入が上がりますのは、かなり高い階層の入場料金を課している催し物から入ってくるということからいたしますと、これは大都市に偏るのではないかというような感じがいたします。したがいまして、いずれにいたしましても、残りました三十億の税収といいますものは、かなり地方的に偏ったものになるのではないか。そういうことからいたしますと、これを地方税に譲与することは、かえって地方の、わずかではございますけれども、地方の財源の偏在という結果になるんではないか。したがいまして、むしろこの三十億の財源を国でいただいて、それぞれ有効な道の一般財源として使うのが至当ではないか、かように考えた次第でございます。
#166
○鈴木一弘君 それは財源の偏り云々ということになりますと、地方で取っている事業税だってやっぱり財源の偏りがないというわけにはいかないと思いますよ、やっぱり。どれを持ってきても恐らく私はそういうことはあるだろうと思うんです。いまの話でわかりますけれども、諸外国の例を見ても、アメリカが約一〇%の州の入場税であるとか、州でやっています。それから西ドイツが市町村税としての娯楽税として二〇%、それからフランスが、市町村税の興行税として八%という、こういう取り方をしているようです。そういう点から見ると、非常にほかの国では、実際にはじかにといいますかね、細かい相手であるということもあると思いますけれども、地方の税源としているわけですよ。そういう点、外国の例やなんかから考えて検討なさったことはないのですか。
#167
○政府委員(旦弘昌君) 入場税を地方税から国税に移管しました際に、現在の入場税の課税対象になっておりますものを国税に回しまして、その他の、たとえば現在のパチンコ店等に対します娯楽施設利用税につきましては、地方税にそのまま残したわけでございます。これは、その実態からいたしまして、地方でそれぞれ把握されるのがいいんではないかという観点があったのではないかと存じます。
 それから、いま御指摘のような各国の税制を見てみますと、国税でやっておりますものもないわけではございません。たとえば、イタリーのようなところでは、国税としてこれを取っておる。それからおっしゃいましたような、お挙げになりましたような例では、地方税として取っておられるということもございます。しかし、他面イギリスのように、現在入場税ということではございませんが、付加価値税として国税として入場税に相当するのを取っておるということで、その国々のそれぞれの歴史的な、あるいは社会的な背景のもとに、それぞれ決められておるものであろうかと思います。したがいまして、入場税は国税であってはならない、地方税でなければならないということは、必ずしもないのではないかというふうに考えます。
 それからまた、今度の改正によりまして、かなり課税の対象が局限されてくるわけでございますけれども、その中には、たとえば免税興行、臨時興行というものがあろうかと思います。たとえばプロレスなどで地方に巡業するというような場合には、固定した館で常時開催するものではないというようなたぐいのものがございます。これらの催し物が催されますときに、その地元の地方団体におきましては、あるときたまたまそういう興行が行われ、それは入場税を課さなければいかぬということでございますので、そういう点では、すでに定着しております国税を所管しております税務署でこれを把握する方がかえって効率的にもいいのではないかというふうにも考えられます。それらの事情を勘案いたしまして、やはり国税に残すべきではないか、かように考えております。
#168
○鈴木一弘君 今度の税制改正でも、競馬、競輪の問題については、現行のまま一〇%ということになっておりますが、映画、演劇とか音楽というものになれば、それ相応に芸術性であるとか、あるいは国民の文化的な向上とか、こういうことが言われても当然だというふうに思いますが、いまの競輪、競馬、オートレースというようなギャンブルの問題になると、公営だから許しているということで、刑法では実際には許していない。公営だからということで認められるという、そういうところに国が率先してギャンブルをやっているという感じがあって、非常に感心できないわけですね。これは、この問題じゃありませんけれども、前にも宝くじつきのいわゆる預金の問題で、ここでそういう国民の射幸心をあおるものを政府みずからがやることはとんでもないことだと、この委員会でもかなり強い指摘があったことは御承知のとおりです。
 それで、これはこのところでちょっと伺いたいんですが、まず、農林省の方に伺いたいんですが、昭和四十年あたりの競馬などに入っている国営のその入場人員はどのぐらいでございますか。現在はどのぐらいにふえてきていますか、何倍ぐらいに。――来てませんか、じゃ後にしましょう、農林省のは。
 じゃ自治省見えてますか。競輪、競馬の問題ですけれども、地方公営でやっている競輪、競馬、オートレース、それから競艇、この四つだと思いますが、それについての入場人員のふえ方と、それから入場料の増加と売上高と、この三つについて言っていただけませんか。
#169
○説明員(小林悦夫君) お答えいたします。
 昭和四十四年度から申し上げますと売上料の伸びは、四十四年度が四十三年度に対しまして二七・三%、四十五年度が四十四年度に対しまして一八・一%、以下同じで申し上げますと、四十六年度が一四・九%、それから四十七年度が二二・八%、四十八年度が三〇・三%となっております。
 また入場料につきましては、四十四年度が四十三年度に対しまして一五・一%、それから四十五年度が一〇・九%、四十六年度が九・〇%、四十七年度が一二・一%、四十八年度につきましては五・八%となっておりますが、なお入場人員につきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、もし必要であればあとで調べたいと思います。
#170
○鈴木一弘君 これは前年度からの増加のパーセンテージで見ましても、四十四年から四十八年まで売上高も伸びているし、入場料の売り上げが伸びているということは、人員がそれだけふえたということだと思います。一人で五倍の入場料を払って入るという人はないと思いますからね。
 金額でいきますと幾らになるんですか、四十八年度は。
#171
○説明員(小林悦夫君) 四十八年度で売上高が二兆五千百三十五億二千七百万円となっております。
 入場料は六十億三千八百万円となっております。
#172
○鈴木一弘君 この競馬、競輪やオートレース、こういうものについての入場料の考え方、それはどういうことできているんですか、これは。基本的には整理するための料金というのか、そこに働いている人たちに対しての維持管理といいますか、そこまでいかないと思いますが、何かどういう考えで入場料は取られるんでしょうか、その性格は何になるんでしょうか。
#173
○政府委員(旦弘昌君) 私どもがその入場料金を決めておりますわけでございませんので、推測でございますけれども、恐らくかなり低い金額で長年据え置かれておるという事情から考えますと、入場の整理券的な性格が強いのではないかと推察いたします。
#174
○鈴木一弘君 自治省おわかりになりませんか、その点は。
#175
○説明員(小林悦夫君) ただいまお答えのありましたように、金額の額からいきますと、確かに整理券的な性格があろうと思います。
#176
○鈴木一弘君 農林省にお伺いしたいんですが、競馬の国営の方ですね、地方公営を除いていわゆるギャンブル場とか、それから入場数、こういうものになると思いますが、入場数と、それから売り上げと、それから入場料の伸びというのをちょっと言っていただけませんか、ここ五、六年で結構ですけれど。
#177
○政府委員(高須儼明君) ただいまお尋ねの中央競馬の開催状況を申し上げます。
 中央競馬だけで昭和四十九年暦年でございますが、入場人員は一千四百六十三万人、対前年にいたしまして九九%、それから売得金でございますが、七千七百六十四億円、対前年比一一八%、このようになっております。
#178
○鈴木一弘君 入場料はいかがですか。
#179
○政府委員(高須儼明君) 中央競馬の入場者数は、先ほど申し上げましたが、千四百六十三万人、対前年比九九・一%でございまして、入場料は十八・三億円、対前年九七・八%ということになっております。
#180
○鈴木一弘君 よくわかりました。
 先ほども質問をしたんですけれども、この入場料については、一体どういうのが入場料なんですか、整理的なものなのか、あるいは何か維持管理的なものとして考えておられるのか、入場料算定の基礎というのは何ですか。
#181
○政府委員(高須儼明君) 入場料は法律で定まっておりまして、入場料を取らなければならないということで、これが五十円とか、そういう、また百円とか決まっておるわけでございますが、まあ競馬場を管理運営してまいります場合の諸経費等を前提にして、そのように定められておるものと承知いたしております。
#182
○鈴木一弘君 中央競馬というのは、入場料幾らですか。
#183
○政府委員(高須儼明君) 中央競馬場の五大場が百円、たとえば中山、東京とか、中京、京都、阪神、これが百円でございまして、その他は五十円ということになっております。
#184
○鈴木一弘君 その入場料が十八億三千万円、この十八億三千万円で維持管理まで入るんですか、全部。とうてい賄い切れないんじゃないですか。
#185
○政府委員(高須儼明君) とうていこの金額では賄えませんので、売得金の二五%をちょうだいいたしておるわけでございます。
#186
○鈴木一弘君 よくわかりました。
 いずれにしても、先ほどは地方公営のを聞きましたけれども、料金も上がってないということだから、整理料金じゃないかというんですね、そういう性格だという、私は維持管理とかなんとかにも向けられるかもわからないけれども、ほとんどが、いろんな、いわゆる売り場へ殺到したり、騒擾も起きることもありますし、そこから整理に一番使われるんじゃないかという感じがしているわけです。そうしますと、非常に、何というか、いままでの入場税の性格のものと、いわゆる国民の文化の向上とか、あるいは芸術的意味とは全然違う整理料金というのが、入場税の対象になっているわけですから、そういうことならば、むしろ入場税を取るよりも、競馬とかということになれば、それを競馬及び富くじ税という、西ドイツでやっているような税金にするとか、あるいは一万円以上のいわゆる馬券、車券等買うときには、必ず何%かの税金をそこで取ってしまうとか、そういうことをするという方がいいんではないかということが考えられるんですけれども、その点、どういうふうに思いますか、これは自治省からまず最初に聞きたいと思うんですが……。
#187
○説明員(小林悦夫君) ギャンブルにつきましての課税につきましては、われわれとして、ここですぐ申し上げるわけにもいかないんでございますが、税制調査会等でも審議が進められてございますので、そういうところでの検討の結果を待たしていただきたいと思います。
#188
○鈴木一弘君 農林省いかがですか。
#189
○政府委員(高須儼明君) 税金の問題は、農林省の所管でございませんので、ちょっとお答えできないわけでございますが。
#190
○鈴木一弘君 だけれども、納めるのは納めなきゃならないんですね、地方競馬会かどっか知りませんけれども、通して、中央競馬から納めなきゃならないとすれば、納める方法のいろいろなことがある、そのやり方としては、いわゆる入場税として取るのもあるし、かけ金にかけるという方法もありますし、そういうことができるわけですから、そういう点をどう思うか、それは農林省所管じゃございませんからという言い方はちょっとおかしいと思うんですが、御再答お願いいたします。
#191
○政府委員(高須儼明君) まあ税金の場合にも、地方税の形になりますか、国税の形になりますか、いずれにいたしましても、どのような形の課税になりますか、全税制体系の中、あるいはそのような中において、それぞれ担当省において御配慮をいただくことになろうかと存ずるわけでございますが……。
#192
○鈴木一弘君 大蔵省どう思いますか。
#193
○政府委員(旦弘昌君) いわゆるギャンブル課税につきましては、非常に大きな問題でございまして、私ども、あるいは政府の税制調査会においても、過去におきまして慎重に検討を続けてきたところでございます。で、問題は、ギャンブル課税をいたしますときに、何に課税をするのかという問題でございますが、まず第一に考えられますのは、売得金のうち、七五%につきましては、馬券などを買われた方に対する払戻金というかっこうになっておるわけでございます。で、この部分に課税をするのか、あるいは残りの二五%の分に課税するのか。この二五%の分につきましては、国に対する納付金も中央競馬会の場合にはございます。また地方の場合におきましては、その主催者である地方団体の歳入になる、あるいはその他の財源といたしまして、社会福祉等に使われる財源ともなっておるものがございます。まず第一に、その払戻金の七五%に相当する部分につきまして課税をするということ、あるいはこの七五と二五を加えました、そのプラスとして何がしかの課税をするということも考えられるわけでございますが、いずれにいたしましても、この払戻金分につきましてもし課税いたしますとしますならば、その馬券を買われる方の負担はふえるわけでございます。したがいまして、そうしますと、その払い戻しを受ける率というのは、総体といたしましては七五よりも減るという現象が起こってくるわけでございます。現在でも、この七五%の払戻金ではまだ足りないと、残りの二五%分は、いわゆるのみ行為で馬券を買われておる方々にとりましては、払い戻し率が、実際に支払われる率といたしましては、正当な筋から馬券を買われた場合には七五、しかしその他の、のみ行為によります場合には七五よりもふえるというかっこうになっておりまして、そのためにのみ行為が絶えないのは御承知のとおりでございます。したがいまして、こういう課税をいたしますと、現在でもかなりの程度行き渡っておりますのみ行為がふえるんではないか、それは健全な競馬等のあり方といたしましておかしいのではないかという御批判があろうかと思います。それから残りの二五%に課税いたします場合には、これは、それに対しまして食い込む場合には、それぞれ、現在のところ地方団体の財源、あるいは社会福祉の事業等に充てられております取り分が、それだけ減るということになります。したがいまして、その辺で、関係者の利害の調整をどうするかという問題があるわけでございまして、いずれにしましても、ギャンブル課税そのものにつきましては、私ども考え方によりましては、そういうものを考えるべきだというのは確かにございますけれども、具体的な案ということになりますと、なかなか問題が大きいということで、さらに、まだ検討を続けていきたいと、かように考えておる次第でございます。
#194
○鈴木一弘君 それは審議官、いまの答弁ちょっと不満があります、というのは、私はかけ金の問題を言ったわけですね、それでいわゆる払戻金については、これは本来は所得として捕捉をされなければならないわけですね。宝くじが当たったのとは違いますから。そうすると、税法上の特典はないわけです。だから、所得として計算をされ、収入金額の中に入れてこなきゃならないわけでしょう。これが実際に競輪、競馬やオートレースで当てたからといって、税の申告を正直にやる人はおりませんよ。それをいいかげんにしておくということは、言えば脱税を奨励していることになるわけです。それを取り締まるのは、のみ行為をふやすからと言うのですが、のみ行為は取り締まりの対象であって、税の方の扱いでもってのみ行為をなくそうとかふやそうとかいう問題ではないと私は思うのです。この点は議論がさかさになっているのじゃないか、考え方が、というふうに思わざるを得ません。私はそういう意味では、本当はそういう競馬、競輪で収入がある、もちろん損するときもあると思いますけれども、そこの場で、いわゆる払戻金の中から五%でも一〇%でもいいですから取るというのが、これが本当だろう。そのかわり申告は要らないとか。そうでなければ、特別に租税特別措置なり所得税法を改正して、それは収入とみなさないということをはっきりする以外に手はないと思うのです。いかがですか、その点は。
#195
○政府委員(旦弘昌君) 払戻金の一部を国で取り上げたらどうかという御示唆であろうかと思いますけれども、その際には、先ほど私が申し上げましたと同じことがまた起こるわけでございまして、馬券を買いました方の支払いました金額に対しまして、現在のところは七五%が返ってくるということになっておりますが、それが七四%か三%か知りませんが、そういうことで、そういう形で減るということになるのは確かでございます。
 それで、税でその部分を取ったらどうかということはごもっともでございます。私どもそういう意見をしばしば耳にするところでございますが、そういうことをしました際に、確かに税金としてはそれを取り得ると思います。しかし、その結果かえってのみ行為が現在以上に蔓延するのではないかということで、そこが一つの壁になっておるということを先ほど申し上げたものでございます。
#196
○鈴木一弘君 ですから、そういうことが心配だと言うし、また捕捉しがたいということなら、むしろきちっと所得税法なり、特別措置でもってギャンブルによる収入というものは税の対象所得金額とみなさないということをつけなきゃ、二つに一つしか私はないと思うのです。やるかやらないかしかないのですから。それをいまは右でもない左でもない、おかしなふうなかっこうになって、いるわけです。やるならやるらしくやっていただきたい。いかがですかその点は。
#197
○政府委員(旦弘昌君) いろいろ御意見をいただきまして、私どもといたしましては、今後とも、この問題非常にむずかしい問題ではございますけれども、ひとつ何かの方法はないかということで検討を続けてまいりたいと思っております。
#198
○鈴木一弘君 これで時間がなくなってきたようですけれども、特に公営の、地方公営のギャンブル収入の問題ですけれども、自治体の財源の不公平というのですか。そういう公営企業関係のということで、昭和四十五年から売上金の一千分の五、〇・五%ですね、というものを、いわゆる公営企業金融公庫に納付していて、そうしてその納付金を公庫で運用して運用益を地方債の利息の、いわゆる何といいますか、軽減というのですか、そういうものに充てている。ここに補給金公営競技納付金というのが出ているところ、中の公営企業金融公庫のリーフレットを見てもそれが出てまいります。私はそういう点で、この〇・五%は四十九年までが決められていますね。五十年度から決められていないわけで、五十年度以降は、いまのところはそのまま政令でということになっているけれども、ほっぽらかしになっているわけでしょう。五十年度に新たに、四十九年で切れるけれども、五十年度からは政令で定めるということになるのですけれども、これはどういうふうになってくるのか、この〇・五%なのか、それとも一%にふやしていくのか、その点をちょっとお伺いをしたいと思います。
#199
○説明員(小林悦夫君) ただいま先生からお話がありましたように、公営企業公庫の納付金という制度ができまして、これによりまして財源の均てん化を図っていくことになりまして、四十五年から四十九年度までは〇・五%、こういうことになっていまして、それ以降五十四年度までは政令で定めるべし、こういうことになっているわけでございます。実は本日、閣議決定を見たわけでございますが、過去におきましてそれぞれ関係団体関係各省と折衝をしてまいってきたわけでございますが、明年度につきましては、とりあえず従前どおり〇・五%、こういうことにいたすことにいたしておるわけでございますが、これにつきましては今後の均てん化の問題もなお強くなってまいると考えられますので、今後関係各団体とも十分折衝いたしまして、できるだけこの金額を上げるような努力を払ってまいりたいと考えております。
#200
○鈴木一弘君 これは地方財政法では一%までですか、ということの限度があると思うのです。その中で〇・五でしょう。こういう財政事情が困難なときに、そのまま〇・五で閣議決定をされたというのは、ちょっと私どもも納得ができないところがあるのですけれども、今後は、これはきょうの閣議決定というのは何年間ですか、これから。五十年度だけか、それとも五十四年という法律の一ぱいまでなのか、その辺ですね。
#201
○説明員(小林悦夫君) 本日、閣議決定いたした分は、とりあえず五十年度分だけでございまして、五十一年度以降につきましては努力を払ってまいる、こういうことでございます。
#202
○鈴木一弘君 これで最後にいたしますが、少なくもこういう大事なときでもありますし、公営競技での納付金が、そういう地方公営企業の地方債の利子を減らすために、運用益を回すということであれば〇・五なんというのじゃなくて、一%限度というのですから、その程度までできるようにこれは早くしていただきたい。政務次官にもその点お願いをしたいと思うのです。いかがでございますか。
 以上で終わりたいと思います。
#203
○政府委員(梶木又三君) 自治省ともよく御相談を申し上げまして、鈴木先生のお考えの、またひとつ検討さしていただきたい、かように考えます。
#204
○近藤忠孝君 最初に贈与税の問題についてお伺いいたします。
 相続税の税率に合わせて贈与税の税率についても所要の調整を図るというのが今回の改正案の趣旨のようでありますが、そこでお伺いしたいのは、贈与というものは財産隠しに悪用される可能性が多いのじゃないでしょうか。また贈与の実態を正しくとらえて適正な課税をする点ではずいぶん問題があるように見られますけれども、その実態について一般的にお答えをいただきたいと思います。
#205
○政府委員(旦弘昌君) 贈与税は確かにその額あるいは免税点あるいは税率等のあり方によりましては、おっしゃいますように継続して贈与をいたしまして、財産を隠すというようなおそれのある税金であることは確かでございます。したがいまして、今度の改正におきましては、課税控除額を六十万円ということに引き上げましたけれども、従来の四十万円を決めましたときからの年数等を考えますと、かなりその点を配慮した引き上げにいたした、とどめた次第でございます。厳格に申しますと、非常に厳しく申しますれば一切そういう控除、免税点を設けないで、すべて一万円でも贈与されればこれに課税をするというのが一番、厳正に執行するという意味からいたしますれば、それがいいのではないかと思いますけれども、現実の問題といたしましては、税務執行上も、また納税者の側に立ちましても、いろいろな問題が生ずるというところで、そこで現在でも四十万円という点が設けられておりますので、それを最近の物価の状況等を勘案いたしまして六十万円に引き上げたということでございます。
#206
○近藤忠孝君 適正な課税をする点で問題があるという、そういう点に着目して、最も悪用したのが田中前総理の金脈問題だと思うんです。特に幽霊企業の増資に当たっての贈与、そしてその贈与税の免脱の事実、この点があったのだと思います。私は、昨年十一月二十六日の大蔵委員会で具体的に一覧表を示しまして、そして一人一人の増与の実態と、それにかかるべき税額も具体的にお示ししました。その計算によりますと、少なく見積もっても数千万円から一億円の脱税、これは昭和四十七年以降の幽霊企業に対する増資に当たっての贈与、それだけでも数千万円から一億円に及ぶ脱税があるんじゃないか、こういう具体的事実を指摘いたしましたけれども、これに対してその調査をしたでしょうか。その内容について御答弁いただきたいと思います。
#207
○政府委員(磯辺律男君) 確かに近藤先生、昨年の十一月二十六日の当委員会におきましてそういった問題の指摘がございましたことは承知いたしております。もちろん私たちは、今度のいわゆる田中金脈問題の調査に当たりまして、田中角榮氏個人のみならず、いろいろと指摘されております法人につきましても同時に調査をいたしたわけであります。やはりそのときに問題として、私たちが着眼点の一つとして取り上げましたのは、この関係法人につきましてはたび重なる増資、その増資の払い込みの人が真実であるかどうか、それからもしそれが真実であるとしたら、それに対する払い込みの資金の出所はどこであるか、それがはっきりしなければ、当然真実の払い込み人を追及するなり、あるいはそれだけの資力を持ってないと思われる人が増資をした場合には、その資金の調達方法いかんによっては、そこに贈与税という問題が出てくるということはこれは当然であります。これは先生が一覧表で御指摘になりましたが、私たちもそういったことについて関係会社の株主につきまして逐次当たってまいりまして、そして本当に株主であるかどうかということを調査したわけでありまして、その結果単なる名義の株主である、実際に自分は払い込んでない、名義を貸しただけだ、軽い気持ちで名義を貸したといったような方が大部分でございまして、最終的にはその真正の株主というものを私たちは確定いたしまして、その人たちについての資金の出所、払い込み、そういったことについての調査をして、今回の調査を完了したわけであります。
#208
○近藤忠孝君 新聞報道によりますと、三月十二日に田中角榮氏は修正申告をして、申告漏れになっておった所得に対する所得税のほか過少申告加算税、それから延滞税を含めて、さらに地方税も含めますと、追徴金が三千四百万円に達する、こういう報道がされておりますが、そういたしますと、いま言った三千四百万円に達すると言われているこの中には、私が指摘いたしました幽霊企業の増資の際の贈与にかかる脱税は含まれていないのかどうか、この点について御答弁いただきたいと思います。
#209
○政府委員(磯辺律男君) まず、最初にお断りしておきますが、新聞で報道されております各種の追徴税額の数字というのは、国税庁の方で発表した数字でもございませんで、御承知のように各社それぞれの数字を出しております。したがいまして、いま近藤先生が御指摘になりました三千数百万円という金額につきましては、私どもとしては最終的な正確であるかどうかということの保証はできないわけでありまして、これをまず最初にお断りしておきます。
 それで田中角榮氏についての追徴税額、その中に贈与税関係が含まれているかという御質問でございますが、どういった内容によってこの三千数百万円と称せられる税額が出てきたかということにつきましての御答弁はここで遠慮さしていただきます。ただ、贈与税というのは、これはもらった人の方にかけるわけでありまして、先ほど申しました多くの株主、それをずっと調べましたところが、真正の株主でない人、その人については事実を調べましたら、これは単に軽い気持ちで名義を貸したにすぎないのだといったような答弁がなされておるわけであります。もしこれが、私は、それだけの資金をもらって払い込んだのであるとか、あるいは第三者が払って、その株主は、私は本当の株主であると、その株券は私の所有したものであるということになってまいりますと、そのもらった人に対する贈与税という問題が起こるわけであります。しかし、今度の場合には、そういった事実というのはごく一部の人を除いてはございませんでした。
#210
○近藤忠孝君 ごく一部を除いてはなかったと言いますと、ごく一部はあったということだと思うのですね。そうしますと、具体的にこの贈与をめぐって脱税があったのかなかったのか、具体的な名前はまた別としまして、それだけでもお答えいただきたいと思うのです。
#211
○政府委員(磯辺律男君) ございませんでした。
#212
○近藤忠孝君 そうしますと、一部を除いてというのはちょっと不正確ですね。
#213
○政府委員(磯辺律男君) 訂正いたします。一部の人について贈与税を納めていただいたという人については、その申告はなかったという意味で、それはきわめて広い意味においては脱税はそこにあったということは言えるかとも思います。訂正します。
#214
○近藤忠孝君 結局あったということですが、そうしますと、その人数と金額を明らかにしていただきたいと思うのです。
#215
○政府委員(磯辺律男君) 一部の人にあったということまで申し上げまして、人数、金額についてはここでお答えするのはお許し願いたいと思います。
#216
○近藤忠孝君 たとえば私が、具体的にこの一覧表の名前を指摘して、たとえばAという人にあったかどうか、その金額は幾らかとなりますと、その人の関係で守秘義務の問題が出てくると思うのです。しかしいまは、具体的に私が示した一覧表のごく一部に贈与があり、かつ税金を納めていなかったという事実があったと、こういう答弁ですからね。そうなりますと、そのことがどうして守秘義務なんだろう、そのことを明らかにしても一向に差し支えないと思うのですが、どうでしょうか。
#217
○政府委員(磯辺律男君) いわゆる田中金脈問題ということに必ずしも関連してなくて、この一連の調査の段階で出てきたような人も中にございますので、そういった人についての課税の内容、そこまでここで御答弁申し上げるということになりますと、これはかなり広範囲な問題になるおそれもありますので、そういった意味で、ここで具体的な人のお名前、金額等をお答えするのはお許し願いたいということでございます。
#218
○近藤忠孝君 私も、田中前総理との関係で聞いておりますので、具体的な相手方の名前までいま聞いていないのです。しかし、少なくとも田中角榮氏に対してこういう膨大な脱税の疑いがかけられて、しかも、一部あったという、こういう答弁があるのですからね、と、なりますと、その人数とその金額くらい明らかにしませんと、何を調べたのか、そうしてまた、その国税庁の調査が果たして正しかったかどうか、私ども調査資料持っておりますから、そのことを点検する余地はないわけですよ、また私は、あくまでも田中角榮氏に関してこの問題を追及しておるのでありまして、相手方の人についてはとやかく申しません。ただ、少なくとも田中角榮氏がその脱税に重大なかかわりを持っておることは間違いないと思うのです。その限りでお聞きしておるので、ぜひ御答弁いただきたいと思うのです。
#219
○政府委員(磯辺律男君) 田中角榮氏とは関係のない人でございます。
#220
○近藤忠孝君 そうしますと、私が示した室町産業、東京ニューハウス、関新観光開発、これ以外の会社でしょうか。
#221
○政府委員(磯辺律男君) いまおっしゃいました会社以外の会社でございます。
#222
○近藤忠孝君 そしてその具体的な出資を実際にしたのは、これは田中角榮氏だったんでしょうか。
#223
○政府委員(磯辺律男君) 田中角榮氏ではございません。
#224
○近藤忠孝君 じゃ、またもとへ戻りますけれども、私が前にお示ししたこの表、十一月二十六日の段階においてこれだけの出資があり、そして計算したならば、ほぼこれだけの贈与税になるだろうという一応の仮計算、このことに基本的な間違いがあったかどうか、これについて御答弁いただきたいと思うんです。
#225
○政府委員(磯辺律男君) それは、そのときの増資の払い込みに応じた人が全部名義株主であったということと、それから一人一人贈与税についての控除というものがなされてなく、全部が名義人であり、そのときの払い込み資金全額が課税所得であるというふうな計算をしているというところに間違いがあると思います。
#226
○近藤忠孝君 ですから、私も何人か、たとえば植木さんとか、何人かの人については実際に金を出しているようだということでやっぱり除外をしております。それから、控除額がない、これは確かにそうですけれども、しかし、ほぼ近い数字になるんじゃないかと思いますが、そういう点での大きな点で、こういう疑いがかけられても仕方がなかったんじゃないかと思うんですが、そういう点から御答弁願いたいと思うんです。
#227
○政府委員(磯辺律男君) 最初に申し上げましたとおり、私たちもそういった観点から調査をいたしました。
#228
○近藤忠孝君 いや、私が聞いているのは、私の出した表について、私も責任をもって出したんですね。このことについて、いま言った限りにおいては誤りがあったかどうかという、このことをお伺いしているんです。
#229
○政府委員(磯辺律男君) 誤りがあったかどうかといいますと、誤りがあったとすれば、先ほど私が申し上げました点が誤りであって、そしてそれがすべて名義株主であるというふうに認定されるのは誤りではないかと思います。
#230
○近藤忠孝君 それじゃ、一具体的に、ごく簡単な気持ちで名義株主になった人についてお伺いしますけれども、これも前回明らかにしましたけれども、少なくとも基本通達によりますと、その株の名義人は、実際金出してない場合には一応贈与があったものと見る、そしてその除外は、きわめて厳格に解釈されている、これも通達にはっきりしておりますけれども、となりますと、少なくともこの人々、名義株の人々については贈与があったと推定しなければいかぬですね。それがどうして贈与税をかけなかったのか、この点についての御説明をいただきたいと思うんです。
#231
○政府委員(磯辺律男君) ただいま近藤先生、基本通達のことを御指摘になりましたけれども、基本通達にも、こういった場合には贈与がなかったものとみなすという規定がずっと羅列してございます。そういった意味で、その中の一つに、ごく軽微な、軽い気持ちで名義人になったことを引き受けたといったような人については、これはその事実がはっきりすれば贈与がなかったものとみなすという規定がございますので、私たちはそれを適用しているわけであります。
#232
○近藤忠孝君 私は、この除外の、要するに贈与としない場合の通達はそんなに緩やかなものではないというぐあいに見るわけです。一つは、「これらの財産の名義人となった者がその名義人となっている事実を知らなかったこと。」、一応これに当てはまると思うんです。しかし、その括弧の中に「(その知らないことが名義人となった者が外国旅行中であったこと、またはその登記済証もしくは登記済証を保有していないこと等当時の情況等から確認できる場合に限る。)」ということは、外国へ出たことが大変明々白々である場合以外は、知らずになった場合には認めないという、これが通達の中身なんです。これに果たして当てはまるのかどうか、きわめて疑わしいと思うんですが、いかがでしょう。
#233
○政府委員(磯辺律男君) 確かに、先生の御指摘になりましたのは、これは基本通達の一〇一七号でございますけれども、同時に基本通達の一〇二二に、「過誤等により取得財産を他人名義とした場合等の取扱」というところがございまして、ただいま御指摘になりました、「一〇一七または一〇一八に該当しない場合においても、他人名義により不動産、船舶、自動車または有価証券の取得、建築または建造の登記、登録または登載等をしたことが過誤に基づき、または軽そつにされたものであり、かつ、それが取得者」云々と、その取得者の年齢とか社会的地位その他により認められる場合には、それはなかったものとみなすということになっておりますので、われわれとしてはこの基本通達の一〇二二というのを適用したということでございます。
#234
○近藤忠孝君 そうしますと、先ほど言ったように、名義人となっている事実を知らなかったことではないと、こう聞いてよろしいわけですか。
#235
○政府委員(磯辺律男君) それは、そこまで詳しく知らなかったとか、あるいは中には、それは知らなかったと言う人がおるかもしれません。しかし、私たちの方が調査したときには、ただ単にそれは名前を貸しただけであって、そうしてしかも、それによって贈与税がかかるというようなことは全く自分は考えなかったという人たち、そういった人が大部分でありまして、そういった人たちは真正の株主の方に全部名寄せしたということでございます。
#236
○近藤忠孝君 私どもの調査するところによりますと、この一覧表には関係も書いてあります。で、確かに相手方の人の場合は比較的軽い気持ちであったかもしれないわけです。しかし、田中角榮氏の側は、自分の財産を隠すためにいろんな人の名義にして財産を分散した。そうしてまた、そのことが脱税につながっていくわけでありますけれども、全体として見れば、決して軽微な問題ではない。また過誤によった場合でもない。これはきわめて意図的なんです。こういう場合にきわめて緩やかに認めることが、一般の場合と比べて果たしてどうなんだろうか。一般の場合には、贈与と認められた場合は、少なくとも形式上贈与の形を整えて、税務署から贈与であると、こう指摘された場合は、もうちょっとやそっとの弁解をしましても絶対許してもらえない。大変な騒ぎなんですね。ところが、この田中角榮氏の場合は、いとも簡単に、過誤もしくは軽い気持ちという、こういったことで認めているんですね。その点で何か特別扱いしているのじゃなかろうか、こういう疑いが大変濃厚なんですが、いかがですか。
#237
○政府委員(磯辺律男君) 先生、一般の場合はきわめて厳格にやっているというふうな御指摘がございましたけれども、私たち第一線の取り扱いといたしましては、たとえば御主人が奥さんの名前で家の登記をされたといったような場合に、私たちの方でお尋ねを出して、そうして奥さんに来ていただきまして、どういったところからその建築資金を調達されましたかというふうにお聞きしますと、奥様の方としては、いや、それは主人のものですというふうなお答えがある。そうすると、その奥さんに、贈与税がかかりますよと言うと、その贈与税がかかるということは知らなかったと、それじゃまたこれは間違っていましたからもとどおりにやはり主人の名前に変えますといったような例、それは非常に多いわけであります。私たちは、そういった場合には、あえて奥様に対する贈与税の課税をするということはせずに、むしろ名義を真正の所有者の方に変えていただくというふうなかっこうで御指導申し上げているというのが、第一線の実情でありまして、この場合、田中角榮氏について、特に一般よりやわらかい取り扱いをしたとかいうふうなことはございません。
#238
○近藤忠孝君 いま例に引かれたのは、本当に過誤ですね。本当に夫婦の間の、それこそ過誤だったわけでありますけれども、決して田中前総理の場合にはそうでなかったということを指摘したいと思うんです。
 それから、まあ時間の関係でその程度にいたしまして、もう一つの問題は、一般の夫婦の場合の贈与と比較して、この角榮氏の場合をちょっと比較してみたいと思うんですが、夫婦の場合に贈与しますね。そうしますと、実際上一緒に共かせぎしてかせいだ財産であっても、名義が移ればこれはやっぱり贈与税かかりますね。それと比べて、田中角榮氏のような一定の不正な意図をもって幽霊企業を他人名義を使った、それが結果的に、実質的に角榮氏が恐らく出したものだと思うんですが、こういう場合に何の措置もない。名義を戻せば何も税金がかからない。夫婦の場合と比べて少し片手落ち過ぎやしないかと思いますが、いかがでしょうか。
#239
○政府委員(磯辺律男君) 夫婦間であっても真正、本当にそれが贈与だった場合には、現在の相続税法のたてまえからでは贈与税がかかるというのは、これはまあ仕方がないと思いますけれども、今回田中角榮氏の関連企業と称せられる法人につきまして、その名義が真正の株主に戻ったといったからといって、特にこの場合だけ緩やかにしたものではないということは、これ先ほど御答弁したとおりであります。で、今回も私たちは一般の例に従ってこの問題を処理しただけでございまして、特別な取り扱いはしてないつもりでございます。
#240
○近藤忠孝君 私はもう少し実態的なことを言ったんでしてね。夫婦の場合、一緒にかせいだから実質的には二人の財産であるにもかかわらず、名義が移れば、その事実に着目して税金がかかるんじゃないか。そういったことから比べまして、今回のように不法な目的で幽霊企業に他人名義で増資した場合、何の措置もないというのは、比較しましてね。だから、私がいま言っているのは、この場合少し甘かったかどうかということじゃなくて、比較して果たして公正なんだろうかという、そういう一つの判断を求めたいわけです。
#241
○政府委員(磯辺律男君) 例のことを申しまして非常に恐縮でございますけれども、夫婦が共かせぎで一つの財産をつくられたと、たとえば土地を買ったとか、あるいは家を買われたという場合には、これはまさにその資金の出所等から見まして夫婦の共有財産でありますから、ですから、それについての贈与税の問題は起きないんじゃないかと思うんでございますが。ただ、その場合に、その持ち分をどっか一人の方に移してしまいましたら、その段階ではその持ち分相当の贈与があったとみなされるということになろうかと思いますか。
#242
○近藤忠孝君 共かせぎという例を出したのがちょっと誤解の答弁になったと思うんですが、共かせぎじゃなくてもいいんです。ともかくもう妻も大きな貢献をして、たとえば内助の功でもいいんですね。そして不動産が夫名義になりますね。しかし、その夫名義の不動産を妻の名義にすれば、当然贈与でしょう。当然税金かかりますね。そのことと比較して、この田中角榮氏のこういう事例が全く名義をもとに戻してしまえばそのまま放置されているという、こんな事態について不公正を感ずるわけですから、そこでお伺いしているんです。
#243
○政府委員(磯辺律男君) 夫婦の共有財産の名義の変更の問題と、今回の田中さんの問題とは、若干性質が違うんじゃないかと思っておりますが。私たちは、夫婦の共かせぎでやっている人、それぞれの共有財産、その持ち分を移した、そのときに課税される云々の問題は、これはむしろ税制の問題であります。それからむしろ田中さんの場合は、田中さんの場合と言うと非常に語弊がありますけれども、今回の調査に当たって、いわゆるその関連企業と称せられる株式の移動の問題につきましては、むしろ先ほど申したような、一般の例に従って錯誤とか、あるいは軽率な行為によってたまたま株主になったと、それが贈与税がかかるということを知って、これは大変だというわけで真正の株主の方に名前を返したといったような場合には、これはもう田中さんのみならず一般の場合でも、これはその場合には贈与税の課税はしないというのがわれわれの取り扱い方でございますので、むしろそちらの方の一般の例にならってこれを私たちは処理したということを申し上げたいわけであります。
#244
○近藤忠孝君 具体的な扱いはそうなったようですが、そこでお伺いしたいのは、そうしますと、これは田中角榮氏にほとんど私が指摘した名義株の株主の名義は戻ったんでしょうか。
#245
○政府委員(磯辺律男君) 具体的に答弁いたしますのは、その点御遠慮させていただきますけれども、田中角榮氏だけではございません。
#246
○近藤忠孝君 まあ田中角榮氏もあったということですね。
 そうしますと、これもなかなか名前を言わないと思うんですが、田中角榮氏以外に何人ぐらい実際出した人がおったのか、そして、その中で田中角榮氏がどの程度の割合を占めておったか、この程度は言ってもいいと思うのですが、いかがでしょう。
#247
○政府委員(磯辺律男君) それは最終的に当該会社の株主がだれだれであるか、その人の資産がどういうふうになっているかということにつながってくるおそれがございますので、この席上で御答弁申し上げるのはお許し願いたいと思います。
#248
○近藤忠孝君 ですから、たとえば具体的に田中氏以外の名前を私が示せと言ったり、またそれぞれの人の出資額を具体的に求めた場合には、あるいはそういう問題起きるかもしれません。まあ私は決してそうじゃないと思いますけれども。しかし、私が言っているのは、田中角榮氏がその中でどの程度の割合を占めたのかという問題、またそのほかに何人ぐらいおったのかということですね。この程度のことがどうして明らかにできないのか。決してこれは守秘義務でも何でもないと思うんです。いかがですか。
#249
○政府委員(磯辺律男君) やはりこれは具体的な名前を申し上げなくても、それぞれの方の個人の財産なり資金繰りとか、そういったことに関係してくることでございますので、答弁申し上げるのはお許し願いたいと思っております。
#250
○近藤忠孝君 まあ時間の関係で、この点はまた別の機会に質問したいと思いますけれども、しかし、決してこういった問題まで守秘義務にして言わないというのは大変遺憾だというぐあいに考えます。
 そこで次に、入場税の問題についてお伺いいたします。
 入場税については、その立法――これが昭和十三年に国税となったとき以来のことがしばしば論じられておりますけれども、このときの大蔵大臣の答弁によりますと、戦時の財政というものは細かいところから気を配るからやれるので、そうしなければ戦費の調達は困難を来す、こういう答弁をしております。ということは、細かいものをどんどん集めて、いわば戦費調達、そういう目的があったことがこの答弁からうかがえますが、この席には、いまの総理の三木武夫氏も出席しておったことは記録で明らかなんですが、私はこの考えは現在大きく崩れつつあるんじゃなかろうか、要するに戦費を調達するための財源としての入場税――大きく崩れつつあるんじゃなかろうかということを感ずるんですが、立法の当初の段階でこういったことが論じられておったこととの関係でどうお考えでしょうか。
#251
○政府委員(旦弘昌君) 確かにいま御指摘のように、昭和十三年に入場税が国税として設けられましたときには、まさに戦時中でございましたから、一切の力を挙げて税収を確保するということがございました。またその際には、映画、演劇等に入るということにつきましては、単に担税力ということだけでございませんで、若干ぜいたくであるというような考え方もあったことは確かであろうと思います。その時代に比べますと、現在はすっかり世の中が変わっておる。戦後三十年でございますか、平和な時代を暮らしており、年々われわれの生活水準も上がってきたという時代でございますので、全く社会経済情勢が変わったということで、その意味では入場税に対する考え方も変わらざるを得ないのではないか、かように考えております。
#252
○近藤忠孝君 そこで、今回大変いままでに比べて思い切った免税点の引き上げがあったわけで、その点は大変、その限りにおいて評価するもんです。ところが、現状から見まして、大部分がこれによって非課税になるという実態がありながら、しかし、まだまだ大変いい音楽とか芸術鑑賞する場合に、具体的にこれでもまだ免税にならない、そういう事例が幾つもあると思います。それは大蔵省お示しの資料でも明らかですけれども、そのほかに私ども具体的に調べてみた例では、四十九年四月にモスクワ芸術劇場バレエ団参りましたけれども、その一般入場料は三段階に分かれていますが、五千円、それから四千三百円、一番低い場合でも三千五百円です。となりますと、こういうものが非課税にならぬというのは問題があると思いますし、また四十九年七月にキエフのバレエ団が来ておりますが、それもやはりいま言ったのと全く同じ入場料金です。こういうものもやはり非課税にするように努力をすべきだったと思うんですが、その辺の実態調査は十分にやったのかどうか。そしてまた、こういう具体的例についてどうお考えか御答弁いただきたいと思います。
#253
○政府委員(旦弘昌君) もちろん今回の改正案を作成するに際しましては、いま先生がおっしゃいましたような例に限らず、広く一般の映画、演劇の実態については十分調査したのでございます。ただ、いまお挙げになりましたような例で、私はその中身について申し上げておるのではございませんで、それをごらんになるような方がある限度、いま挙げられましたような金額をお払いになれるという方は、やはり担税力があるのではないのかというふうに考えまして、そのある限度以上の担税力に対しては、やはり入場税といえども課税さしていただくのは、他のサービス課税のバランスから考えましても、これは世の中の承認を得られるのではないかというふうに考えたのでございます。
#254
○近藤忠孝君 そうしますと、根拠は担税力ということになるかとは思いますが、これも大蔵省お示しの参考資料によりますと、たとえば映画でも一般の料金はほぼこの千五百円以下に入りますね、おさまります。ただおさまらないのは、たとえば洋画ロードショーの指定券のAとか、あるいは特別席とか指定席、こういったものがはみ出るわけです。またこれは演劇、演芸でも指定席が入ります。しかし、担税力だけで考えられるのかどうかという問題です。やはりいいものを見る場合に落ちついて見たい、あるいは満員だから指定券買っておくとか、同じものを見るについて、担税力が全く同じであっても、やはりよけいに金を出さなきゃいかぬ。かえってそういう人に逆に食い込む場合がありますね。そうなりますと、これは担税力だけで説明がつかぬじゃなかろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#255
○政府委員(旦弘昌君) いまお挙げになりました例でも、また現実に同じものを見ますのにもいろいろ階級があるわけでございます。指定席の特別いいところでございますれば、それに相応しました施設が提供されるということでございまして、ほかの同じ指定席でもその一段下のところということもございます。したがいまして、ある程度以上払い得るという方につきましては、やはり担税力について相応の御負担をしていただくというのは何ら当を得ないものではないんではないかということに考えた次第でございます。
#256
○近藤忠孝君 そうしますと、千五百円で入るべきところを、千七百円で入ったからどうも階層が違うような、こういう印象を受けるんですが、この程度わずかなものを、実態から見まして。わずかなところでどうして線を引いたのだろうか。私は、基本的にはこれは全面的に撤廃すべきであるという考えですけれども、仮に線を設けるにしましても、もう少し高いところやればそんなに変わらずに、ほとんど非課税にできるのじゃなかろうか、そしてたとえば満員であるためになかなか座れないとか、そんなようなためによけいに出費する者に、担税力があるからといって税金をかけるという、そんなこと余りにみみっちいのじゃなかろうかと、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。
#257
○政府委員(旦弘昌君) 今回の改正によりまして、けさほども御説明いたしましたように、入場税につきましては、入場人員の一%の方しか恐らく今後は課税にならない、映画の場合でございます。演劇の場合につきましては、二%程度の方しか入場税がかからないということで今回の免税点を設けたことでございます。いまおっしゃいましたその境目の議論は、どこかで線を引きますと必ず起こってくる問題でございまして、これは線を引く以上どうしても避け得られない運命であろうかと思います。
 そこで、それではその水準がそこでいいのかどうかという問題になりますので、そこが先ほど申しました一%、二%ということで、ほとんど大多数の人はもうかからないのだと、百人のうち一人か二人なんだということであれば、世の中の御批判は受けないものではないかと、それは相応した担税力のある方でありますから、課税をさしていただいてもいいのではないかというのが私どもの考えでございます。
#258
○近藤忠孝君 担税力だとおっしゃるんですが、担税力とおっしゃるにしては余りにもみみっちいのじゃないかということなんですよ。たとえば映画で言いますと、大蔵省の資料によっても最高が二千三百円ですね。そうするとわずか八百円ぐらいのところをどうしてここまで免税点にできなかったのかということなんです。こういう映画、演劇、芸術に対してどっかやっぱりぜいたくなものだという考えが、昔の考えですね、昭和十三年当時の。そういうものがあるのじゃないかという気がしてならないんです、もし担税力言うのでしたら、こんなところで担税力の問題じゃなくて、われわれしばしば問題にしている、面は違いますけれども、大企業の特権的減免税ですね。まさにあそこにこそ担税力があるのですから、そこから徴収すればもう一遍に片がついちゃうわけですね。むしろ問題は、担税力があるから課税していいかどうかという、そういう議論じゃなくて、今日ずっと戦後入場税撤廃あるいは免税点を上げようという、こういう議論やそういう運動がずっと高まってきたのは、芸術や文化活動を奨励して、むしろ発展させようという、そうすべきだという、そういう運動があったからこそここまできたんじゃないかと思うんです。大部分は免税になるような体制がきたのもまさにそういう動きだと思います。そうなりますと、こういうわずかのところでこんなみみっちいことをやらなくても、日本が本当に文化国家としていくんであれば、もうちっと思い切ってさらに免税点を上げるなり、あるいは撤廃してもいいんじゃないかと、こう思うんですが、いかがですか。
#259
○政府委員(旦弘昌君) いま先生がおっしゃいました文化国家というような、まさにその見地から今回の改正はいたしたのでございます。ただその際にも、やはり免税点、ある程度以上の支出をなさる方につきましては、相応の負担をしていただいてもいいのではないかということでございまして、そこは物差しの違いと申しますか、先生の物差しの方が大きい、われわれの物差しの方が小さいということはありましょうが、世の中一般からいたしますと、やはり三千円以上払って見られるという方につきましては、やはり一割ぐらいの負担をしても、それは相応ではないかという世の中の御了承を得られるのではないかと、かように考える次第でございます。
#260
○近藤忠孝君 物差しの話になりましたから、これは夜の大蔵大臣が来てからの質問にしたいと思います。
 終わります。
#261
○野末陳平君 まず、入場税のことですけれども、先ほどから聞いておりまして、問題点はいろんな形で大体出たんじゃないかと思いますから、ちょっと復習のつもりで、重複になりますがまたお答えをいただきたいと思いますけれども、いままで税の改正というのは、どちらかと言うとちびちびと、思い切ったことなかなかやらなかったわけですが、入場税に限っては非常に気前よく減税しているという感じがします。
 そこで最初に、何でことしここまでやらなければならなかったかという緊急性のようなことですけれども、無理にやることはないという気がするんです。文化国家は入場税取っちゃ恥ずかしいですか。
#262
○政府委員(旦弘昌君) 従来から入場税につきましては、いろいろ御批判のあったところであります。従来課していました入場税は、文化に対する理解が足りないんではないかという御批判は、国会でも、あるいは国会の外におきましてもわれわれが受けてきたところであります。一方、ことしの税制改正一般を考えます際に、私どもとしまして、一番頭を悩ましましたものは、限られた減税財源の中で、何をどうしたらいいのかということで、一番頭を悩ましたわけでございます。したがいまして、ことしはその限られた財源の中で、これを有効に使う方法はいろいろありましょうけれども、その中の一つとして、入場税というものを取り上げたわけでございまして、これは税額全体といたしましては、なるほど百億そこそこのわずかな財源でございます。これを大幅に軽減いたしましても百十億円程度の、いまの案ではそうなっておりますが、その程度の軽減で、しかも、一般の御支持を得られるような減税ができるんだということで、これを減税さしていただいたわけでございます。
#263
○野末陳平君 その程度だと、ことしやんなきゃならなかったというほど積極的な理由には思えないんですけれども、減税はもちろんいいですけれども、もし撤廃するんなら、思い切って全部撤廃するんなら、ぼくはそれで筋が通ると思うんですがね。やはりそれはなかなか無理だということですから、あえてこれからお聞きしようかと思うんですけれども、入場税をどうしてもこれが負担だから下げてくれ、下げてくれたらありがたいというような要望は一般の観客の中から果たしてあったかどうか。業界からはあったと思う。それから業界と一緒になった芸能人なり芸術家は言ったと思うんです。しかし、お客自体も相当な要望、陳情、そういうようなものはあったんでしょうか。
#264
○政府委員(旦弘昌君) お客からそういう苦情がなかったのではないかということでございますけれども、これは私どもが感じておりますのは、先生とあるいは意見を異にするかもしれませんけれども、私どもといたしましては、やはり観客の中で、われわれが払っておる入場税はこの程度の、そう格別高いものでないにしても、五%なり一〇%なりの税金がかかっておる、それはおかしいではないかという御批判はこれは広くあったのではないかという感じがいたします。で、また、役所の側からいたしまして、各省からも入場税の軽減の要望がございました。たとえば文部省からもそういう要望がございました。業界ももちろんございましたけれども、私どもといたしましては、やはり国民各層にわたるそういう入場税の軽減に対する長年の御要望、また四十八年の入場税法改正の際に、当委員会におきましても、入場税の負担は軽減すべきであるという附帯決議をいただいております。これはわずか二年前のことでございますけれども、それをようやく二年後に何とか実現し得たのではないかと、かように考えております。
#265
○野末陳平君 それでは具体的にお聞きしますけれども、減税が、さっきの、大蔵大臣は、入場税を安くすることは文化の向上に役立って、そしてそういう文化的な催し物に安い料金で触れるチャンスがふえてくることになるんだと、そのために減税するんだということになりましたけれども、その意味で、それだけの効果があったかどうかと、具体的にお聞きしたいんで、前回のまず減税のときに、さっきもちょっとお答えがあったと思いますけれども、もう少し具体的にお聞きします。
 前回の減税では、まず総額どの程度の減税額でしたか。――じゃあちょっとそれを用意なさるまでの間に続けてやりますが、そこで具体的には、まず総額と、それから具体的に入場料金が幾ら安くなったと、その安くなったという額は、減税額に見合うものそのままであったか、それとも減税額の一部は事実入場料金の値下げで反映したか、その辺のことをちょっと具体的にお願いします。
#266
○政府委員(旦弘昌君) 前回の減税額につきましては、ただいま資料を調べまして後刻お答え申し上げますが、前回の入場料金の引き下げにつきまして申し上げますと、減税額が三十五円ないし四十円程度の場合には値下げ額が二十円でございました。それから二十円ないし三十円のところでは、十円の値下げがございました。それから、十円から二十円足らずのところの階層では五円の入場税の減税がございました。個々の例を見ましても、おおむねそのとおりの値下げになっておるわけでございます。したがいまして、減税額そのまままるまる値下げになったわけではございません。その意味ではわれわれも不本意といたしておりますけれども、しかし、業界といたしましては、いろいろの設備の改善等で観客の方にお返しする、そういうサービスの向上でお返しするというような努力がなされたものと思っております。
#267
○野末陳平君 そうしますと、減税分の半分は確かに観客に料金引き下げで還元された、あとの約半分は業界にとりあえず入った、結果的にサービス向上のためにと、そういう名目はついているとは思いますが、じゃ前回入場税が下がったときに、興行場がサービス向上のためにいろんなことをやったということは余り実際はないわけですから、業界を半分潤し、半分お客に還元したということだと思うんですね。
 そこで、そういう還元の仕方はもちろん不十分だということは大蔵省の方も御存じだとは思うんですけれども、なおかつそういう実態がある程度わかっていて、今度またさらに大幅に減税するということになりますと、前回よりはもっと充実した形で料金が下がるなり、何か観客への還元がなければいけない、そのめどがついてなきゃいけないと思うんですね。そういう意味で、今度お聞きするんですが、今度は入場料金は大体どの程度下がるということの見通しを持っていられるんですか。具体的に演劇、映画で――ちょっとロードショーでは値段が違いますからあれですけれども、主に、免税点三千円になりまして、そこでもってその枠の中に入る催し物について。
#268
○政府委員(旦弘昌君) まず、先ほど御質問のございました四十八年度の減税額でございますが、初年度の見込み額といたしまして六十三億円の減税ということでございます。
 それから第二点の、今回の改正後入場料金がどのくらい下がる見込みであるかという御質問でございますが、これは現在のところ私ども関係各省を通じまして業界の方々に減税額に見合う分を引き下げてほしいということを要望申し上げている最中でございまして、まだ正確にどれだけということはお答えをいただいておらない現状でございます。しかしながら、私どもといたしましては、今回の減税がかなり、減税規模としましてもかなりのものでございますので、ぜひとも大幅な値下げをしていただきたいと心の中では思っております。ただ正確な数字ではまだお答えする段階になっておりません。
#269
○野末陳平君 それでは前回に戻りますと、事実総額で六十三億とすれば、これは大ざっぱな計算をすれば、まあ半分は還元されたと、しかし、その入場料金の値下げがじゃどのくらいまで続いていたかと言うと、ぼくの記憶ではもうすぐにまた値上がりして、もとよりも値上がりしたから、この減税の恩恵というものは、観客を潤したのは非常にもうほんの形ばかりじゃなかったかと、そういうふうに思っているんですが、その辺の事情はどうなっていますか。
#270
○政府委員(旦弘昌君) 最近におきます人件費等の値上がりはかなり大きなものがございますので、興行界におきましてもやはりその例外ではございません。そういう意味で、入場料金は必ず横ばいでなければならないということを要求するのも、あるいは酷な点があろうかと思います。で、入場料金は主に正月興行の際に値上げになるというのが大勢ではないかと存じますけれども、それ以外の場合におきましても、たとえば春には人件費が一般に上がるというような場合に、興行場であるからそれは待てということは必ずしも言い切れないのではないか、そういうような事情もございますし、その他の物件費につきましても、これは残念ながら上昇をせざるを得ない。そういうことを考えますと、いつまでもこれを値下げしたらそのままでいなきゃいかぬということを私どもは要求する立場にないわけです。ただ、入場税を軽減いたしました際には、何とかそこのところはそれだけの還元をしてほしいということでお願いをしておるわけでございます。
#271
○野末陳平君 それで、何カ月日に上がったんですか。一たん入場料金が下がったけれども、またすぐいまのお話だと上がったわけでしょう。大体いつごろ幾らに上がったんですか。
#272
○政府委員(旦弘昌君) 前回四十八年の減税の際には、四月に値下げをいたしております。そしてその後、これは館によって多少まちまちがございますが、大体夏から秋にかけまして値上げになっております。このころはちょうどお盆興行のころであろうかと思います。先ほど申し上げました正月興行と、もう一つの時期であるお盆興行の前後に上がってきたというのが実績でございます。
#273
○野末陳平君 そういうわけで、興行界というのは何か口実をつけちゃ値上げしてて、現実に減税してもそのタイミングが悪いと、余りそれがお客に還元されるような入場料金の値下げという形ではなかなか反映しない部分が多いと思うんですよ、実際。だから、前回の場合は大体三カ月平均でいままでよりも何百円か上がっているはずですよ、どこも。ですから、十円なり二十円なり減税分を下げたというのは一時期だったと、それでもそれなりの効果があったと言えばそれまでですし、それから値上げをやめさせることももちろんできないと思うんですが、しかしそれならば、いまのようにもう当然入場税を下げたところで、入場料金そのものを上げたくて待ってるわけですから、いま興行界は。それは当然インフレで、何というんですか、やむを得ない理由があるわけです。そうなると、まずちょっと心配なのは、そちらが、大蔵省がいろんな要望をして、こんなに大幅な減税額だからお客に還元できるように入場料金を下げるようにと、各省を通じて要望をしたところで、果たして効果があるのかどうかという心配が当然あるわけです。で、どういう要望を一体出されるのか。前回、たとえばどういう文書なりどの程度の要望を出されたのか、そして今回はどういうものを出されているのか、その辺もちょっとお聞きをしたいんですが。
#274
○政府委員(旦弘昌君) 前回私どもがお願いいたしましたのは通産省のみでございました。今回は、それに対しまして厚生省、文部省、通産省にそれぞれお願いをいたしております。それで、それらの各省が関係の業界に対しまして文書で要請をいたしました中身につきましては、要旨といたしましては、今回の免税点引き上げ等の減税措置が具体化いたしました際には、国民が健全な余暇サービスをより安価に享受し得るように料金の決定、サービスの向上に当たって、入場税の軽減効果を消費者に還元するようにひとつ努力してもらいたいということをお願いいたしておるのでございます。
#275
○野末陳平君 まあどうもなんとなく心配になってきましたけれども、恐らくそのように努力してくれるかどうかわからないと思うんですよ、ぼくらは実情わりと知っていますから。そうなりますと、結果が出ないでここで議論はできないとは思いますけれども、いまは非常にタイミング的にむしろ興行界、業界を喜ばすことに結果的になる非常に悪い時期だと、むしろね。で、結局この減税が入場料金の値下げということに直結しない。かえって――大衆を喜ばしたんだと、文化向上にといろいろ名目を並べてみても、実質的にそういう効果の上がらない悪い時期じゃないかと、こうぼく思うわけですよ。恐らく、予測ですけれども、新聞などに騒がれたり、あるいはそちらのPRによって、何ですか、入場料金を値下げすべきだという声が強くなれば、下げるよりも、いやそうは言うけれども、これによってあなたたちへのサービスができるんで、むしろ値上げをしてもらいたいという、値上げの方にどうしてもいくこれが神にチャンスになるのじゃないかと、そう思っているので、絶対的にここで数カ月、前が三カ月くらいだとしますと、今度も少なくとも最低三カ月は現行入場料金を値下げしてくれというもっと強い要望がなければ、この減税は大衆に全然還元されないと、こう思うんですよ。その辺やるべきだと思いますけれども、どんなもんでしょうか。
#276
○政府委員(旦弘昌君) 私どもといたしましては、なるべく長い間入場料金が今回の減税の効果といたしまして下がって、そして入場者が受益されるということが一番望ましいと思っております。ただ、先生のおっしゃいますように、いまは減税するのにいい時期ではないんではないかというお説やに承ったんでございますけれども、私は、こういうような物価か上がる――いまはだんだん鎮静しつつありますけれども、そういう際ならばこそ、入場者の皆さん方か受益し得る――いま三カ月とおっしゃいました、過去の例から見まして数カ月程度であれば余り意味がないというような御趣旨でございましたけれども、まあ期間の長さはともかくといたしまして、とにかく入場者に還元され得る可能性のある問題でございますから、ぜひともこの際入場税の軽減をさしていただきたい、かように考えておるのでございます。
#277
○野末陳平君 別にいけないというよりも、そういう保証をはっきりさせて、あるいはもう大衆に還元できるという意味でなきゃ、大衆に還元できなければ減税じゃないわけですから、その意味で努力をお願いするという前回と同じような要望で果たしていいか、それで事足れりと、国民にも喜んでもらえていると、文化の向上にというのが、ぼくは何となく余り実際的効果がないように聞こえるのです。ですから、減税をさせてほしいというのじゃなくて、その減税の効果がはっきりとお客に還元されるようなこともここでもう少し強い態度で考えてほしいということを言っているわけなんです。そうしてほしいんですがね、どうでしょうかね。はっきり言えば、何か附則か何かをつけてとか、もう少し積極的な、単なる要望でない、前回よりももっと強い、何というのですか、要求のようなことで、入場料金を下げることに積極的になれませんか。
#278
○政府委員(旦弘昌君) 過去の例で申し上げますと、昭和三十四年に入場税の軽減をしたことがございます。で、このときも同じような御議論がございまして、私どもの原案といたしまして、減税した額だけ入場料金を下げなかった場合には、減税前の税率でいただきますということで、これは法律の中にそういう条文を織り込んだことがございます。これを期間を六カ月といたしまして実施したことがございます。で、そのときに比べますと、今回の措置――その後の減税もございいましたけれども、その後はそういう方式をとっておりません。しかし、この三十四年の経験からいたしますと、六カ月たちましたと同時に一斉に値上げが始まったということであったわけでございます。で、私どもの能力の限界というのは、やはりそこのところにあるわけでございます。前回の四十八年の減税の際に、四月に値下げをしていただいたわけでございますが、東京の都心の劇場におきましても、十一月までそれを値下げのまま持ちこたえられたところもございます。それはまちまちでございまして、先ほどお盆と申し上げましたけれども、夏過ぎて秋まで値下げのままでいかれたところもございましていろいろでございました。それは個々にいろいろの興行主の御事情もございましょうから、私どもといたしまして法律的に一方的にそれを押しつけるということよりは、むしろ自発的にこの際こういうような政府のスタンスも理解していただき、また入場者のためを思っていただいて値下げを維持していただけるという体制を期待いたしたいと考えております。
#279
○野末陳平君 じゃまあそういうことで期待してということにしておきましょう。
 それで、さっき新たな財源探しという意味じゃありませんけれども、やはりお金が要るときに、前回ぼくも事実は二年前ですか、あるいは三年ぐらい前は入場税はやはりまずいと思っていたんです、取るのは。なぜというと、ほかにも税収もたくさんあるからという前提があったからなんですがね。もちろん撤廃するというのが一番筋ですけれども、中途半端な減税も困ると、まあこの程度減税してくれるならそれでもいいんですが、ほかの、百十億なくなれば、ほかにも財減は必要じゃないかということで、さっきからギャンブル税が出ていましたけれども、ギャンブル税かけるかけないは別ですけれども、そちらの意見の中でちょっと納得できないところがあったんで、ここで改めてお聞きするんですが、七五%の方に、つまり払戻金の方にかけるのがいいと思います、ぼくは。その場合に、そちらのお答えは、要するにのみ行為がふえるという、それが何か壁になって踏み切れないというふうにちょっととったんですが、そんなふうにとって構わないんですか。
#280
○政府委員(旦弘昌君) 先ほど申し上げましたのは、いまの払戻金が七五%ということで一般の入場者はそれを期待して馬券なりを買っておられるわけでございます。で、それに課税になりますとその分が減るということで、同じ金を投じましても、今度正規の馬券を買いました場合には、かつて七五%入ることになっておりましたのが、たとえば七三%とか七〇%とかいうことになるということになりますと、そういう正規の馬券を買うよりもむしろ、現在でも七五%よりも回りのいいのみ屋から馬券を買った方がいいのではないかということで、ますますそちらに人を追いやることになるのではないか、そこが問題ではないかということを申し上げたものでございます。
#281
○野末陳平君 そうすると、売り上げがのみ屋に取られて減っちゃって、結果的に例の二五%の方までも響いてくるというようなことなんですか。ちょっとそこのところぼくわかんないんですがね。のみ屋のことを御存じならば、のみ屋というのは需要と供給の関係で、必ずしも決められたルールでやっているとも限らないんですよね。ですから七五%が、払戻金が七〇なり七三になって減りそうだから、じゃつまんないからのみ屋の方に行こうというふうになりますか。のみ屋がふえているというのは、要するに場外馬券が買えないからであって、あるいは競馬場が混雑しているからであって、ちょっとそこら辺が違うと思うんですが、現実にはそういう不安をお持ちなんですか。
#282
○政府委員(旦弘昌君) 正規に入手した馬券につきましては、現在それが外れました場合には、それはちゃらになるわけでございます。しかしのみ屋から手に入れました馬券につきましては、のみ屋は二五%の上納金と申しますか、公の収入というものは考えなくていいわけでございますから、したがいましてその一部をもって外れた場合でも若干の割り戻しをするということで、これが魅力になっておると聞いております。
#283
○野末陳平君 まあそういう面もそれはあります。ありますが、それ以上にむしろ農林省なり中央競馬会の方の対策の方が粗雑だから、のみ屋が繁盛している、そうぼくは思っているわけです。
 そこで、いまの議論に戻りますが、のみ屋がふえて――たとえば七五%の払戻金に課税していく、そういうギャンブル税をかりにつくった、そこで、それじゃばかばかしいといってのみ屋がどんどんふえていくという予想をそちらが立てておられる、そうすると困るのですか、のみ屋がふえて。のみ屋というのはそんなに弊害をもたらすものかどうか。のみ屋を公認するような方向もあり得るわけで、それはのみ屋になると電話サービスとか、いろいろありますね。もちろん大蔵省が考えることじゃありません。しかし、のみ屋がふえるということ、それが壁になってギャンブル税の検討がストップするということは、どう考えてもぼくにはわからないのですが、その辺のことをもうちょっと説明してください。
#284
○政府委員(旦弘昌君) 現行の法律ではのみ行為は禁止されております。したがいまして、そういうふうなのみ行為が現行でございますのもそれは違法でありますから、それも好ましいことではない、それがさらにふえますことはより好ましくない、かように考えております。
#285
○野末陳平君 だから、のみ行為が絶対にふえるということは数字では言えないですよね。そういう前提を初めからつくってギャンブル税の検討を途中でストップさせることの方がよほどおかしい。税は税で考えるのが普通じゃないんですか。いままでここでよく聞きますと、税にいろんな要素を持ち込むといけないということを逆に言われることがしょっちゅうあったんですね。今度は反対にそちらのほうで、税に税以外の要素を持ち込んでのみ行為は法律で禁止されている、それがふえるからよくないということを言われますと、何かそのときそのときで税の考え、税制を考える立場も非常に便宜的なように思えるんですよ。これ配当金にかけるのはちっとも構わないと思っているんですよ。全体に売り上げにかけていくと、それこそ二五%がまた上がってとか、損する人も得する人もみんなあれになりますからね、これはもうけですからね、もうけから源泉して取ったってちっとも構わないと思うのです。いままでのように税収が豊かな時代だったらこんなことまで、大衆の娯楽から取るのもという考えもあるでしょう。しかし、これからだんだん税収が厳しくなるときに、このギャンブルでもうけた金くらいせめて少しくれという説得ができなくなったらおしまいだと思うんですね。何か大衆に対して非常にこびるような考え方を感じるんですよ。それをのみ屋といういわゆる違法行為、これ違法行為でありながら警察は取り締まれないんですね。これはいまや必要悪みたいなんです。それは競馬場の施設の問題から、これすべて原因が深いわけですよ。そういうものを盾にとって何か消極的だというのは、ちょっとぼくは非常に歯がゆい感じがしまして、ギャンブル税を検討するのをもう少し積極的にやるべきで、のみ屋のことをそればかりを気にしている姿勢は全く賛成できないですがね。
#286
○政府委員(旦弘昌君) 私どもといたしましては、このギャンブルに対する課税につきまして消極的であるつもりは毛頭ございません。ただ、申し上げたかったのは、ギャンブル税につきましては、いま先生が御指摘になりましたように、このギャンブルのシステムそのものが非常に複雑であり、根の深い制度でございますので、それにつきましてどうやったら一番いい案ができるのかということを検討いたしたいということで、私どもは決してこれを逃げておるということではございません。ただ、いろいろ問題がございます。そして私ども大蔵省だけの問題でございませんで、これは各省にまたがる問題でございますから、その辺で何とか前向きに努力したいということは、年来の願望でございます。ただ問題が、御指摘のとおり非常に根が深くて問題が複雑である、それをどうしたらいいのかということを検討いたしたい。それには先生からいま御指摘のありましたような案も含めまして、今後とも検討を続けてまいりたい、かように考えております。
#287
○野末陳平君 そろそろ時間になってきたんですが、ぼくの考えでは、農林省とかいろんな関係したところ、警察とか、そういうところと相談し合ったって絶対にいい方法はないんですよ、現実には。もう現実にはかけるんならかけるとはっきり態度を大蔵省は決めることが先で、そんなあなた相談してよりいい方法ができるまで待っていたら、いつになったってかかりませんよ。ただ、これは何が何でもかけろという意味で言っているんじゃなくて、もっと積極的に検討して、そしてもうかけるべきだというときに、いわゆるこれは国民の理解じゃありませんからね、ギャンブルをする人の理解で、その人たちの理解を特に考えながら税を検討する必要なんかないんじゃないですか。それだったら、むしろいままでのほかの所得減税とか、その他のいわゆる弱者の控除の問題とか、そっちを考えないで、こんなとこで迷うのはおかしいとぼくは思っているわけです。そこで、新しい財源としてという意味ではありませんが、このギャンブルというのが、さっきからずいぶん議論になりまして、レジャーなのかばくち、ギャンブルなのか、そういう基本的な考え方もあるでしょう。しかし、それを何も大蔵省がはっきり決めて、そしてギャンブル税検討する必要なんか全くないと思うんです。もうかるんですから、もうかった人というのは、大体御祝儀なんといっていい気持ちになっているんで、そこから取るのは負担感がないんだから、はっきり言って。負担感のないところから喜びながら取っちゃうんだから、ぼくはこれについて、あっちこっちの顔色うかがって何か検討すると、国民的何かで検討するのはおかしいと思います。そういうふうにぼくは思っているんです。だから、ギャンブル税といっても、いままでのように売り上げに全部かけていくと、そしていままでの二五%の控除がもっと上がるというのは、これはよくないと思っているんです。しかし、払戻金から、つまり配当から源泉していくような形のギャンブル税だったらぼくは当然で、こういうものを来年からでもやるべきだと、そういうふうに思っています。ひとつその積極さかげんですがね、どんなものでしょうか。
#288
○政府委員(旦弘昌君) 先生の御指摘では、各省とは別に、大蔵省だけでひとつ考えろというお励ましがございましたが、この問題はやはり制度自体はいろいろな省にまたがっておる問題でございますので、その辺を各省とも御相談いたしまして検討を続けてまいりたいと、かように考えております。
#289
○委員長(桧垣徳太郎君) 午後六時三十分まで休憩いたします。
   午後四時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時三十四分開会
#290
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#291
○矢追秀彦君 時間がありませんので簡単に総論的なことを伺いたいと思います。
 初めに相続税の目的についてでございますが、これは富の再配分機能を有効に生かして、富の不公平なアンバランスの是正にあると、こう考えますが、それでよろしいですか。
#292
○政府委員(中橋敬次郎君) そのとおりでございます。
#293
○矢追秀彦君 この再配分機能という点について、今回の改正案ではどのように考えてこの改正案をつくられましたか。
#294
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回はむしろ相続税のそういう目的を前提としながらも、この十年近くの間におきますところの物価、地価の上昇というものについて調整をしようというのが大きなねらいでございます。そのほかにもう一つ実質的には配偶者に対する相続につきまして、同世代間の相続であるというような点を配慮いたしまして減税を行おうとするものでございます。
#295
○矢追秀彦君 もちろんそのいま言われた点について、私もわからないわけではありませんが、やはりいま申し上げたその本来の相続税の目的という観点から見ると、今回の改正案はこの相続税制というものをゆがめたものにならないかどうか、その点はどうお考えですか。
#296
○政府委員(中橋敬次郎君) たとえば地価、物価が非常に上昇をいたしました場合には、その当時考えておりました課税の限度というものが非常に低くなるわけでございます。あるいは当時考えておりました累進度というものが非常にきつくなるわけでございます。それをそのまま是認しろという御意見ももちろん成り立ち得るわけでございまするけれども、いわばそういうことを意図してつくりました課税最低限、あるいは税率の累進度というものを考えませんで、その当時のままの累進度なり課税最低限というのをできるだけ再現するのが今回のねらいでございます。しかし、もちろんその場合におきましても、たとえば税率の緩和におきましては課税最低限の上げ幅に比べてそれを少なくしておく、あるいは財産階層の上の方につきましてはその幅をさらに小さくするとか、たとえば最高税率の七〇%というものに七五%というものを新設するとかいうような配慮は加えておるのでございます。
#297
○矢追秀彦君 で、昭和四十七年度で遺産額が三億円以上を超えた件数はどれぐらいですか。
#298
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日のわが国の相続税制は、相続人の取得課税でございますけれども、被相続人の数で申しまして、その遺産が三億円超のものは、四十八年度におきまして一・六%でございます。
#299
○矢追秀彦君 件数、まあ人数といいますか、件数では……。
#300
○政府委員(中橋敬次郎君) 被相続人の数は四百六十五人でございます。
#301
○矢追秀彦君 わりあいこの数が少ないわけですよね。で、今回この改正になった場合、五億円超の件数は大体どれぐらいになりそうですか。
#302
○政府委員(中橋敬次郎君) 五億円という階層はとっておりません。また改正後におきますところの階層別の数字も実は予測をいたしておりません。
#303
○矢追秀彦君 まあ調査しておられないならやむを得ませんが、要するに私の言いたいのは、非常に人数が少ないそういう高額相続の人に対して、さらに優遇されるような税率改正ということにならないかと思うんですがね、今回の改正案は。その点についてはどうですか。
#304
○政府委員(中橋敬次郎君) たとえば、昭和四十一年におきますところの税制において遺産額が一番高いものから十番目までをとってみますと、それについての相続税の負担が一体どのくらいの程度になっておるのかというのと、一番最近年度におきまして今回の改正後における負担率が一体どの程度になるのかというのを、いわばわが国の遺産額の大きいものの順番に比べてみますと、実は今回の改正後におきます負担率の方が若干四十一年当時より高くなっておるということがございますから、上の方につきましては、そんなに今回の改正によって負担率が下がるというものではございません。
#305
○矢追秀彦君 下がるものではないといま言われましたが、私としてはもう少しそういった、最初に申し上げたように、やはり富の再配分機能を有効に生かす、いわゆる富の不公平なアンバランスの是正というのが相続税の目的であるわけですから、やはり高額相続の人からもう少したくさん取るというふうに持っていった方がいいんじゃないかと、こう思うわけです。そういった意味で、どうしても金持ち優遇の税制改正と言わざるを得ないというのが私たちの考え方であります。
 で、次に配偶者への相続の件でありますけれども、三分の一相当額では上限がなくなったわけです。こうされた理由は、妻の座を強くしたんだということだと思いますけれども、それだけの理由ですか。
#306
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回の配偶者への相続につきまして相続税を、おっしゃいますように、三分の一の取得分、あるいは四千万円までのいずれか高い方まで相続税を非課税にするという趣旨は、一つには、おっしゃいます点がございますが、まず第一に私どもが考えましたのは、同世代間における財産移転ということをしんしゃくをしたわけでございます。第二には、夫婦という共同体の生活というものを、一方の死亡ということで、できるだけそれをまあ凍結に近い形で存続をさせるということでございまして、いわばそれは妻の座ということで一言にしてはあらわせるものだと思います。第三には、もちろん妻の座ということも相関連をいたしますけれども、配偶者の遺産の維持、形成についての寄与というものも考えて、今回の改正に至ったわけでございます。
#307
○矢追秀彦君 まあ常識的なものであればいまのことでわかるんですがね、相当たくさんの、たとえば八億の資産を持っておられた方が亡くなられた場合、奥さんは三億三千万程度あるわけですよね。これが税金かからぬというのは、庶民感情としてはちょっとうなずけなくなってくるんですよね。その点はいかがですか。
#308
○政府委員(中橋敬次郎君) その点は、まず、先ほど申しましたように同世代間の財産移転であるということをお考えいただければ、まあやがては次の世代への財産移転ということが行なわれるものでございまするから、配偶者への財産移転の際の相続税がかからないということも、次の段階までお考えいただければ、実はそんなに不公平なものではないと思うわけでございます。それから第二の点で申し上げましたように、夫婦という共同生活が、一方の死によって激変をするというよりは、ある程度それをいわば凍結をするというような形も、あながちそれまでの夫婦生活ということから考えてそんなに無理からぬことだというふうに考えておるわけでございます。
#309
○矢追秀彦君 次に、これまあ、妻に対してこれちょっと贈与税が絡んできますけれども、居住用の不動産を贈与した場合、配偶者控除について婚姻期間二十年という、この要件ですが、これ、二十年と決められた理由はどこにありますか。
#310
○政府委員(中橋敬次郎君) 配偶者に対します居住用財産の贈与につきましてお示しのような特例措置がございまして、今回その金額を上げるわけですが、その際に、やはり長年ともにした共同生活の相手である配偶者ということでございまするから、やはりある程度の婚姻期間というのが必要なわけでございます。もちろんその期間につきまして絶対的な基準があるわけではございませんけれども、まあ通常、常識的に言いまして、一つには、たとえば銀婚式というような年限であれば一応長年連れ添ったという感じが出るわけでございますから、当初はそういう二十五年という数字をとりました。今日はそれを二十年としておりますから、まあ銀婚式あるいはそれよりも若干短い程度ということで、一応ある程度の婚姻期間というのが出るのではないかということから二十年にしておるわけでございます。
#311
○矢追秀彦君 まあ統計によりますと、大体十五年――離婚ですね、離婚か大体十五年くらいまでがわりあい多いと言われておるわけですね。で、私がことしの十二月が来たらちょうど十五年なんですがね。ぼくはぎりぎりの限界ですけどね。そういうことで、そういう統計から考えると、もう少しこれ下げてもいいんじゃないかというような気もするんですがね、その点から考えてどうですか。大蔵大臣どう思いますか。二十年で長年連れ添ったというのがいいのか、まあ二十五年という、一つの銀婚式というのがありますけどね、その点はいかがですか。
#312
○国務大臣(大平正芳君) その問題をそう私も詰めて二十五年がいいか、二十年がいいかというような点について深く考えた経緯はないわけでございます。事務当局のいま御説明申し上げたような趣旨が常識的ではないかという判断でございました。
#313
○矢追秀彦君 これはまた次の機会にひとつこの年限を下げることを検討していただきたいと思います。
 次に、相続税の障害者控除でありますが、これが年につき三万円、まあ重度が六万円となっておりますが、七十歳まで一年につきですね。これはもう少し引き上げるべきではないかと思うんですが、まあこういうふうな算定が出てきたその基準と、それから身障者の等級等の関係から考えまして、どうしてもう少し軽い者に対しても大体同じようにしてもいいんじゃないかと、こう思うんですけれども、その点いかがですか。
#314
○政府委員(旦弘昌君) ただいま御質問のございました障害者控除でございますけれども、これは税額控除でございまして、たとえば重度の障害者の場合におきましては六万円ということで今般お願いしておるところでございます。で、この六万円は税額控除でございますから、仮定の計算をいたしまして、仮に遺産が一億円で配偶者と子供四人がある。で、子供が二十歳の特別障害者であるというような場合に、これがその遺産額に換算してみますとどの程度のものになるかということを計算いたしてみますと、約二千七百万円程度の控除といいますか、になるわけでございます。そういうことでかなり大きな、実質的には大きな非課税の効果があるという計算になるわけでございます。
#315
○矢追秀彦君 いま一億円と言われたら大分これ大金持ちの子供だと思いますね。もう少し、いわゆるもう少し庶民レベルから計算したらどうなりますか。一億円ある人というのはかなり中産階級以上だと思いますね。
#316
○政府委員(旦弘昌君) いま仮定の計算で一億円ということにいたしましたので、それ以下のところにつきましては試算をいたしておりませんけれども、これから推察いたしますと、かなりの額になるのではないかということが言えると思います。
#317
○矢追秀彦君 もう少し、やっぱり一番国民大衆の、何といいますか、大きいところをとって、そういう仮定の計算であってもしていただかないとやっぱりちょっと困ると思いますがね。目安がよくわからないわけですから。だから、まあいまの答弁が出るように、どうしても資産のたくさんある人を対象としてしょっちゅう考えられているということになると思うわけです。
 時間がありませんので次に進みますが、相続税の課税対象になる被相続人がかなりふえてきているわけですね。これは、先ほども言われましたが、地価や物価の上昇が大きな影響になっておるわけでありますが、これに応じて課税最低限を引き上げる、いわゆるインデクセーションということが最近いろんなところで言われておるわけですが、これについてどういうふうにお考えになっておりますか。こういったことは将来検討課題として日本のこういった税制にも導入されるような構えはあるんですか。
#318
○政府委員(中橋敬次郎君) 冒頭に御質問のございましたように、相続税は、財産を相続というときに再分配をしようというものでございます。一体どの程度の財産からそういうことをやったらいいかというものが実は課税最低限となるわけでございますし、またその結果一体どの程度の人がそういう課税を受けるかという問題になるわけでございます。たとえば被相続人で申しまして昭和四十一年におきますと約七十万人ぐらい死んでおる中で一・四%の人が被相続人として課税を受けておったわけでございます。それがだんだんふえてまいりまして、四十八年におきましては四・二%になっております。改正をしませんと五十年には恐らく四・九%ぐらいになるのではないかというふうに見込まれますが、それを今回地価の上昇とか、あるいは一人当たりの国民所得の増加割合とかいうものをしんしゃくいたしまして、配偶者とその他の相続人四人で考えまして、四十一年当時の一千万円の四倍というものに引き上げていただければ約二・八%ぐらいの被相続人が相続税の課税を受けることになるであろうというふうに思うわけでございます。もちろん富がだんだん国民全体としてふえてまいりますれば、いつまでもこのレベルに固着する必要もないと思いますけれども、やはりこれが漸次高まるのが望ましいのじゃないかと思っております。それでそういう場合に、たとえばこの十年間におきます地価の上昇等から今回課税最低限を四倍にしていただこうとしておるわけでございますが、そういうものを一体たとえば自動的に漸次上がっていくというような方向として、いまお示しのインデクセーション方式というのも考えられるわけでございます。しかし今日、私どもはいろいろな政策をやっておりますのは、いわばそういった事態が起こらないように、なるべく物価がそんなに上昇しないようにということに一生懸命なっておるわけでございまするから、まだそういうインデクセーション方式というのを導入することは適当でないという判断でございます。むしろその必要がございますつど国会の御審議を仰ぎまして適当な課税最低限を見出してまいりたい、こういうふうに考えております。
#319
○矢追秀彦君 今回の税制改正では総額幾らの減税になりますか。それに対して反面たばこ等の値上げによりまして、国民から持っていく、いわゆる増税といわれるもの、このバランスはとれていないと思うのですがどうですか。
#320
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回いろんな税制改正をお願いしておるわけでございますけれども、昭和五十年度の税制改正といたしますと……
#321
○矢追秀彦君 総合計で結構です。
#322
○政府委員(中橋敬次郎君) 減税額といたしますれば三千二百七十億円でございます。それに対しまして、たとえば利子・配当課税の適正化で百億円、酒税の税率の引き上げで千七十億円というのを増加いたそうということにいたしております。
#323
○矢追秀彦君 たばこは。
#324
○政府委員(中橋敬次郎君) たばこの定価改定におきましては五十年度に二千五百億円を予定いたしております。
#325
○矢追秀彦君 そうしますと、いまの合計だけいたしましても約三千六百億になるわけですから、マイナスということになるわけです。結局、国民から見ますと、増税という結果になるんですが、大蔵大臣、これはどう――これでよろしいですか、単純計算ですけれども。
#326
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほど申し上げましたのは、今回お願いをしておる税制改正によりますところの減税額と、それから増税によりますところの増収額及び専売益金の増加でございまするが、そのほかに、実は昨年度の税制改正におきます、所得税の大幅な税制改正によります平年度化で約四千五百億円というのが減収額に立つわけでございます。
#327
○矢追秀彦君 時間が参りましたので、ちょっとこの問題また改めて詰めさしていただきますけれども。
 最後に入場税で一言お伺いしますが、入場税というのは、本来戦費調達という見地からつくられたわけですが、そういった意味からもやめるべきであると思います。それから、やはり文化的なものについてはこの入場税は非課税とすべきだと考えます。それから、財源的な依存度も非常に低いわけですから、この文化的な面については非課税としても別に問題はないと思うわけです。それから、補助金なんかを出しておるものについては、別に営利を目的としない場合は、これは非課税にしてよいのではないか、こう考えるわけです。そういった上から、入場税の撤廃ということについてこれから今後の問題として大臣はどう考えられますか。それをお伺いして終わりたいと思います。
#328
○国務大臣(大平正芳君) いま仰せになりましたように、入場税――当初は支那事変特別税の一環として昭和十二年にできた税金でございます。当時、私、税務署長として初めてこの税金の勉強をいたしたわけでございます。したがって、仰せのとおり戦費の調達でございましたわけですけれども、この問題、この税金は、文化政策の面からいってもやめたらどうかという御提案でございますが、きょう大塚委員にもお答え申し上げたわけでございますけれども、もちろん税制を吟味する上から申しまして、そういう角度からわれわれも考慮しなけりゃならぬことは当然でございますけれども、同時に、担税力のあるところから税金をちょうだいするということは私どもの任務でございますので、両方――歳入確保という見地と、そしていま言った文化政策上の配慮というものとの調和を図りながら深く考えていくべき性質のものであろうと存ずるわけでございます。
#329
○矢追秀彦君 補助金もらっているところに対する……。
#330
○政府委員(中橋敬次郎君) たとえば国から助成措置を講じておりますものについては、現行の入場税法におきましてもかなり配慮をいたしておるわけでございます。で、それはそのまま今回の改正においても存続をいたすわけでございますし、もっと零細なもので、あるいはその他の補助金等で助成を受けておるものもございますが、それの大部分というのは、今回の改正で免税点以下になるのではないかというふうに思われます。まあ原則としまして、果たしてそういう補助金を受けるものを全部免税にするのがよろしいのか、あるいは今回のように一定金額におきまして免税点というのを決定して、いわばその催し物に入る人の担税力という観点からそういった配慮をするというのがよろしいのかということになるわけでございまするが、大体いまお示しの線は、ほとんど今回の改正では解決せられるものではないかというふうに考えております。
#331
○近藤忠孝君 大臣に、入場税の問題まずお伺いしますが、自民党政府の歴代大蔵大臣として、入場税についての基本的なお考えはいまお持ちでしょうか。
#332
○国務大臣(大平正芳君) 特に意見の交換をいたしたことはございませんけれども、特に変わった考えがあるとも私は聞いておりません。
#333
○近藤忠孝君 そこで、具体的にお伺いいたしますけれども、昭和三十七年三月七日の衆議院大蔵委員会において当時の水田大蔵大臣がこう述べています。「国民生活の水準を上げるということは、結局国民に文化生活を享受させるということとも通ずる問題でございますので、この入場税というようなものもやはり国民生活の推移と申しますか、実情によってだんだんに考え方を変えるべきもので、私はこの種の演劇その他の入場税というものは、実際は税としては悪税で、これは将来撤廃すべきものだというふうに考えています。
 しかしこれにはいきさつ的な問題がございまして、国民所得が少ない時代には、国にしろ地方団体にしろどうしても、税源を必要としたためにこういうものにもとから課税してあった。」こういう趣旨を述べておりますが、このお考えは大平さんも同じでしょうか。
#334
○国務大臣(大平正芳君) 税制は、大蔵大臣の了見で決めるわけでは決してございませんで、近藤委員も御承知のように、政府には税制調査会というものが設けられて、各方面の意見を十分徴した上で、十分の論議を通じて税制改正案を練っておりまするし、われわれは当然のこととして与党側との意見調整を遂げるわけでございます。したがって、水田さんにいたしましても、私にいたしましても、自分の考え方としてこうもありたい、ああもありたいと念願をすることがございましても、そのとおりなかなか実現するものでは必ずしもないということをあらかじめお断りをしておきたいと思います。しかし、そのいま水田さんのお考え方の中で述べられておりますように、文化生活を享受する機会を、できるだけ支障のないように保障してまいるという政府の任務から申しまして、このこういう税金がむしろない方がいいんじゃないかというお考え方、私も理解できないわけじゃございません。また大方の方の理解を得まして漸次免税点は引き上がってまいりましたし、今回のように相当大幅な、もうほとんど全廃に近いだけの引き上げを見ておりますことも御案内のとおりでございまして、水田さんの志向する方向には相当大またに歩いておるのではないかと思われるのでありまして、そういう努力は了解していただきたいと思います。
#335
○近藤忠孝君 水田さん、同じところでこうも言っています。「課税する当初は、国民が当然日常において享受すべき娯楽だということよりは、むしろこれは入場する人としない人と比べてみて、入場することの方がまだやはりぜいたく的な要素を持っておるというふうなことで、当時は課税が合理化されたと思いますが、こうなってみますとこれは問題であって、」大衆娯楽としてあたりまえじゃないか、こういった趣旨のことを述べておられるわけですね。となってみますと、ここで水田さんが指摘するとおり、国民所得が少ない時代には何とか税源が必要だった、特に戦争中は、私も先ほど指摘しましたけれども、賀屋大蔵大臣が昭和十三年に、ともかく集めるところは集めておかなきゃ戦費は調達できないのだ、こういった趣旨の発言があったわけでありますけれども、そういうことと現在を比べてみますと、もうすでにこの入場税という、いわば水田さん自身が指摘している悪税に財源を求める必要がもはやない時代じゃないか、こう考えますけれどもいかがでしょうか。
#336
○国務大臣(大平正芳君) そういう考え方も私は成り立つと思うのでございますが、同時に社会的な公正の立場から申しまして相当の担税力が映画、演劇等の鑑賞を通じてあらわれるという場合に、それをキャッチしまして歳入を一部負担していただくということもあながち排除すべきではないと思うのでございまして、問題はしかしながら、それに固執するのでなくて、文化生活の向上ということについて配慮しながら前進いたしておるわけでございますので、その点につきましては、それなりの評価をお願いしたいと思います。
#337
○近藤忠孝君 先ほどから担税力の問題が盛んに出てくるんですが、これも先ほど指摘しました。たとえば映画については、今回千五百円というところまでいったわけで、ほとんどが課税されない、課税される部分はもうごくわずかでして、しかも、その最高額との差も、指定席とか特別席でありますが、映画の場合ですと、その差はわずか八百円です。最高を見ましても、映画が二千三百円、それから演劇など見ましても、これも本当に千三百円程度の差しか上限との差がないわけです。となりますと、担税力と申しましても、本当にみみっちいところでの担税力言ってんじゃないか。むしろいま、先ほどは政府委員でありましたので、政治的判断は私は求めるのを差し控えたんですが、ここでむしろ大蔵大臣ひとつ政治的判断として、そんなみみっちいところでの担税力に期待するよりも、もっと大きく考えて、日本の文化を発展かつ奨励するという、そういう点から、むしろこれは非課税にするんだという立場を大きく踏み出した方がこれは政策的に見ましても得策じゃなかろうか。そういう時期に来ているんじゃなかろうか。そのことを、大臣としての御判断をここで求めているわけであります。
#338
○国務大臣(大平正芳君) これまでの政治が、たとえば経済政策でありますとか、外交政策であるとか、安全保障政策であるとかいうようなものに偏向しておって、文化政策というものを比較的軽視してきたということに対して、私は反省しなければならぬじゃないかと思います。言いかえれば、これからの政治は、経済政策や、あるいは安全保障政策と匹敵するぐらいの熱意を持って、文化政策というものを持たないといかぬのじゃないかという感じを私いたしております。そういう立場から、いま近藤委員が言われたように、大胆に文化政策を打ち出すべきじゃないか、そういう立場で、ここまできた入場税をもう一度吟味し直すということは、政治の立場から私は考えてみる値打ちがあるんじゃないかということを感じます。けれども、ことしはまあともかくちゃんとここまで詰めてまいりまして、予算に組み、税法として立案いたしまして御審議をいただいておるわけでございまして、今後の課題として勉強さしていただきたいと思います。
#339
○近藤忠孝君 そういたしますと、水田さんもすでに昭和三十七年の段階で、同じ答弁の中で「私は演劇その他の入場税というものは将来なくしていくという方向へいくべきものだと思っております。」もうすでに三十七年の段階で言っております。いまの大平大臣の積極的なというその発言は、やはりことしはできなかったけれども、今後これと同じような方向、要するに撤廃の方向で考えていく、そういった趣旨に伺ってよろしいでしょうか。
#340
○国務大臣(大平正芳君) 直ちにその撤廃は文化政策になるかならぬかという問題もありまするし、それからサービス課税全体についての考え方も政府として持たなければいけませんので、つまり、文化政策の立場から、こういう問題はもう一度やっぱりあるべき姿に見直してみるという値打ちはあると、そのように御理解を賜りたいと思います。それでその結果としてよく吟味した上で入場税というものは、こうすべきであるというような意味で結論を編み出すべきじゃなかろうかと思います。
#341
○近藤忠孝君 水田さんよりも大分時がたっておりますけれども、慎重な発言ですので、今後かなり思い切った方向で進んでいただきたいというぐあいに思うわけであります。
#342
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめてください。
  〔午後七時十分速記中止〕
  〔午後七時四十分速記開始〕
#343
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
#344
○近藤忠孝君 じゃあ大臣お疲れかと思いますけれども、もうしばらく。先ほど大臣がおられないときに、贈与税の問題についてお伺いしました。贈与税というのは、免れやすいものであるという、そういった指摘と、それに沿う答弁もございましたが、特に問題なのは、田中前総理の金脈問題であります。そこで、これは昨年の十一月二十六日に大臣もおいでのところ、私の方で田中総理関係の幽霊会社の株の増資のときに、名義株が大変あった、そこに脱税の疑いがあるのじゃなかろうか、こういった指摘をいたしましたが、先ほど国税庁の答弁では、その幾つか、数と金額は申しませんでしたけれども、名義株があった、それをもとへ戻さしたと。したがって、この関連では贈与税としてはなかった、その脱税はなかったという、こういった指摘であります。そのほかにあったらしいのですが、ともかくも一たん名義株にし、かつ財産を隠す、しかし、それが国会の指摘によって、また、したがって、国税庁からも指摘をされてもとへ戻したわけですね。そうしますと、それは田中角榮氏その他何人かに戻ったわけでありますが、そのことによって贈与税はかからぬ、それはその扱いが普通の扱いだという答弁だったのですけれども、果たしてそれでいいんだろうか、もしもこれが国会で問題にならなくて見つからなけりゃ、そのままの状況が続いたはずです。一国の総理ともあろう人がこういったことでいいんだろうか、そしてまたこういったことでもとへ戻せば税金がかからないという、こんな体制でいいのだろうか、この点について率直に大臣の御見解を聞きたいと思うわけであります。
#345
○国務大臣(大平正芳君) 率直にお答えいたします、たびたび申し上げておりますように、たくさんの申告納税者がおありになるわけでございます、八百万と言われるわけでございまして、それに対しまして約一万人の方がその申告納税者の税の調査と決定に当たっておるわけでございますが、したがって、一人一人について実地に調べるということが、それは本来すべきでございましょうけれども、国税庁の持っておる能力の配分から申しましてそれは実際上できないわけでございます。で、ございますから、特に問題が起きたときに再調査をしていくということ以外に道がないわけなんでございまして、特定の人をつかまえて大ぜいの人がいつも張り番をしているというわけにいかないわけなんです。で、ございますから、田中さんの場合、いろいろ財産問題が問題になりまして、いろいろなマスコミを通じて、あるいは国会の論議を通じて問題になりましたので、それではそのような間接的な情報が取り上げられた以上は、ほうっておけませんので、それですでに御報告申し上げておりますように、関東信越と東京国税局と両国税局が、国税庁の指揮のもとで丹念に調べましてやったわけでございます。で、私は、その国税庁のやりましたことは、またそれを会計検査院がそのお立場においてまた念査をされて、税法どおり執行されておりますかどうか検査されるわけなんでございます。で、ございますから、私は、国会におかれても、行政府を御信頼いただいて、田中さんの場合の再調査につきましては、行政府の方で粗漏のないようにやったようだということについて御信頼をいただきたいと思うのでございます。それなら全部報告すればいいじゃないかと言うが、それもたびたび申し上げてありますように、田中さんであろうとだれであろうと、そういうことを細かく御報告を公表することはできないことになっていますので、やらないことになっておりますけれども、これからもなかなか皆さんはそれじゃ承知しないと私は思うんです。たびたびまた委員会でも、どこの委員会でも御質問があるだろうと思うんです。それで私は、差し支えない限りできるだけ親切に答えるつもりでおるわけで、われわれは別に逃げも隠れもいたしませんから、また包み隠しいたしませんで、差し支えない限りできるだけ私も親切にお答えするつもりでございますので、私ども大蔵省の処置というものに対して、皆さんに御信頼をちょうだいいたしますようにお願いしたいと思います。ただ、その個々の処置の細目につきましては、私よく精通いたしておりませんので、それは事務当局からお聞き取りをいただきたいと思います。
#346
○近藤忠孝君 大臣、率直にできる限り明らかにし、親切に答えるということであれば、早速お答えいただきたいんですが、先ほども大臣いないときに磯辺次長に聞いたんです。具体的に私の方で指摘した名義株主ですね、そのうちどれほどが実際名義を戻したのか、ということは、どれだけが名義株であったのかですね。そして、そのうちに田中さんが実際に出したのはどれだけなのか。また、田中角榮さんのほかに実際に金を出した人が何人かおったと言うのですね。その名前までいいから、人数だけでも明らかにしてもらいたい、そういった当然のことを要求したのですが、どうも磯辺さんは出さぬと言うのですよ。いまの大臣の御答弁とだいぶ食い違うので、もし親切に答えるということであれば、いま私が指摘したようなことくらいは明らかにしてもいいじゃないかと、こう思いますが、この点はいかがでしょう。
#347
○国務大臣(大平正芳君) 田中さん個人、それから田中さんの関係者、また関係会社、これは皆いまやっておりまして、それは、一応皆済んだ段階で、どういう形で御報告しますか、つまり、調査の経過、調査の方法、それから調査における問題点、そういった点につきましては、国会の御要請があれば、国会においてその段階で御報告を申し上げますというようにお答え申し上げておるわけでございますので、それは恐らくいつごろになりますか、一応済んだ段階で、全部出そろった段階で、どこまでわれわれが答えられますか、そのあたり一遍考えさしてくれませんかしら。決して粗漏にいたすつもりはありません。
#348
○近藤忠孝君 先ほどの入場税の問題もありますけれども、大平さん、いざとなると大変慎重になってしまうもんですから、そうならないように、要望しておきたいと思います。
 時間がないので一問だけ、先ほどの質問を繰り返しますと、先ほど指摘したような名義株主があって、そのままであればこれは当然贈与があったとして、贈与税をかけなければいかぬ場合だということは、これは、通達からもはっきりしているわけですね。ところが、たまたま国会の追及などで明らかにかったために名義を戻したらしいのです。そして贈与税として課税しなかった、こういう答弁があったんですが、私納得できないのは、果たしてそれでいいんだろうかどうだろうかという問題です。これは、全く素人でして全くわからないで、ごく過失として他人名義にしておったというなら別なんです。しかし、田中角榮さんはもう大蔵大臣もやり、まさに政治家の頂点をずうっと歩んで来た人で、知らないはずないんですね。田中さんも絡んでやった、他人名義にし税金を免れ、かつ財産を隠すという、そういった行為があって、しかし、それが後で指摘されてもとへ戻したからといって、そのままほっておいていいんだろうかと、この点についても大臣の率直な御答弁をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#349
○国務大臣(大平正芳君) 田中さんも一大納税者に属するお方でございまして、普通私は、相当の注意を申告に払っておられる方だと思うんです。そんなにぞんざいに私やられていないと思います。それで、今度また再調査をされたわけでございますが、すでにお耳にも入っておりますように、先方の御見解と、こちらの見解とが違った面があったりいたしたことは事実でございます。それは私は、別に意見が合わなきゃならぬという筋合いのものでもないんで、よくあることでございますから、意見の相違というのはあってしかるべきだと思うんでございまして、ただ脱税の意図を持って云々というようなことでございますならば、それはあなたが言われるように適当でないことだ、当然であると思うんでございまして、私は、田中さんはそんな方でないと思いますよ。だから今度の、全部締めくくったところで、私どもといたしましては、そういう経過、問題点等につきましては可能な限り御報告を申し上げようと思っております。
#350
○近藤忠孝君 納得できませんけれども、時間が来てしまいましたので、また明後日ありますので、明後日追加してやりたいと思います。
#351
○委員長(桧垣徳太郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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