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#1
第075回国会 大蔵委員会 第12号
昭和五十年三月二十六日(水曜日)
   午後一時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     山本茂一郎君     土屋 義彦君
     山崎 竜男君     藤田 正明君
     井上 吉夫君     嶋崎  均君
     藤川 一秋君     最上  進君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桧垣徳太郎君
    理 事
                河本嘉久蔵君
                山崎 五郎君
                辻  一彦君
                鈴木 一弘君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                嶋崎  均君
                中西 一郎君
                鳩山威一郎君
                細川 護熙君
                最上  進君
                大塚  喬君
                寺田 熊雄君
                野々山一三君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                野末 陳平君
   政府委員
       大蔵政務次官   梶木 又三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   参考人
       税制調査会会長
       代理       友末 洋治君
       東京大学助教授  貝塚 啓明君
       税  理  士  西尾 祐男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 本日、山本茂一郎君、山崎竜男君、井上吉夫君が委員を辞任され、その補欠として土屋義彦君、藤田正明君、嶋崎均君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(桧垣徳太郎君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。参考人の方々には、御多忙のところ三案の審査のため、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本日は、他の委員会が数多く開催されておりますのと、議長公邸で議長の行事がございます関係上、委員の出席が遅れておりますことは、参考人の方々に対しまして大変失礼にあたりますが、何とぞ御了承を賜りたいと存じます。
 これからの会議の進め方につきましては、まず、友末参考人、貝塚参考人、西尾参考人の順で、お一人でおよそ十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員の方々からの質疑にお答えいただくという方法で進めてまいりたいと存じますので、各位の御協力をお願いをいたします。
 それでは、友末参考人にお願いをいたします。
#4
○参考人(友末洋治君) ただいま御紹介を賜りました友末でございます。年かさの関係で、税制調査会の会長代理を勤めておる者でございます。会長代理といたしましては、主として委員各位の意見の最大公約数的なものを取りまとめをするという役目でございます。したがいまして、別に税そのものにつきまして特別な研究をいたしてはおりません。あらかじめこの点御了承を賜りたいと存じます。
 税制調査会は、昨年の十二月二十七日に、昭和五十年度税制改正に関しまする答申を総理大臣に提出をいたしたのでございます。
  〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕
 政府は、この答申を尊重されまして、ほとんどこれを取り入れ、ただいま国会におきまして御審議をされておりまする昭和五十年度税制改正政府案が決定されたものと理解いたしておるのでございます。ただ一点答申と異なるところは、社会保険診療報酬課税の特例措置の是正についての答申でございます。税制調査会といたしましては、具体案を示してその改正の答申をいたしておるのでありまするが、政府案におきましてはこれが除かれ、次回診療報酬改定と同時に実施することとして、ひとまず見送られておるのでございます。
 次に、この答申の内容の主なものにつきまして申し上げることといたします。
 第一は、所得税の減税についてでございまするが、所得税につきましては、昭和四十九年度税制改正におきまして初年度一兆四千五百億円の規模の画期的な減税が実施されたことは御承知のところでございます。昭和五十年度におきましては、昭和四十九年後の所得税減税の平年度化が相当の規模に達する上、当面は需要面から物価刺激要因が生ずることのないよう抑制的に経済を運営することが要請されているところから、税制調査会におきましても、この際、所得税減税を行う理由に乏しいとする意見が見られたのでございます。しかしながら、最終的には、最近におきまする中小所得者の負担の状況にかんがみ、当面の物価上昇に即応いたしまする程度の所得税減税を行うべきであるとの結論に到達いたしたのでございます。
 今回の所得税減税の概要は、まず基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ二万円引き上げることとし、その結果、課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者の場合、昭和四十九年分の百五十万七千円から昭和五十年分の百八十三万円へと二一・四%引き上げられることとなっておるのでございます。また社会福祉に関連するものといたしましては、障害者控除、老年者控除等をそれぞれ基礎控除等の引き上げ幅の倍の四万円引き上げるほか、退職所得の特別控除の引き上げ、医療費控除の拡充等を行うこととしておるのでございます。
 第二は、租税特別措置の整理合理化についてでございまするが、これにつきましては、既得権化や慢性化の排除に努めまするとともに、社会、経済情勢の推移に応じて、随時見直しを行っていく必要があることは申すまでもないところでございます。税制調査会は、昭和五十年度の税制改正に当たり、特に社会保険診療報酬課税の特例、土地譲渡所得に対しまする課税の特例及び利子・配当所得に対する課税の特例につきまして、期限が参りましたので、具体的な改善策を答申しておるのでございます。
 社会保険診療報酬課税の特例でございまするが、これにつきましては、税制調査会としても一、その是正について結論を得ることが長年の懸案となっていたものであり、特に昭和四十七年六月以降は、特別部会までを設け、その具体的な改善措置につきまして鋭意検討を続けてまいりました。その結果、昨年十月に、この特例の改善に関しまする基本的な考え方についての答申を取りまとめ、さらに昨年十二月の、昭和五十年度の税制改正に関する答申におきまして、具体的な改善案を答申したものでございます。ただ、この程度の改正では、社会的不公正の是正がやかましい今日、不満を感ずるとの強い意見が主張されたのでありまするが、長年にわたる懸案を解決する第一歩を踏み出すことを最優先に考えるべきであるとされたのでございます。政府は、次回診療報酬改定と同時に改善合理化を実施するとのことでございまするが、答申の趣旨を十分尊重し、できるだけ早い機会にぜひともこれを実施するよう、特に希望したいのでございます。
 次は、土地譲渡所得課税の強化についてでございます。個人の土地譲渡所得に対する課税の特例は、昭和四十四年度の税制改正におきまして、仮需要の抑制、土地供給の促進等の見地から導入されたものであり、短期譲渡所得の分離重課制度と長期譲渡所得の分離比例課税制度から相なっておるのでございます。このうち、長期譲渡所得につきまして、分離比例課税により税制上優遇措置が講ぜられていることについては、いかに地価対策とはいえ、所得税負担の公平を余りに阻害するものであり、政策目的に比べて犠牲が大き過ぎるのではないかという強い批判が寄せられてきたところでございます。
 そこで、今回の改正におきましては、土地譲渡所得についても一それ相応の負担を求めるという見地からその強化を図ることとしておるのでございます。すなわち個人の長期譲渡所得の分離比例課税制度は適用期限の到来とともに廃止し、新たに五年間の時限措置として、譲渡益二千万円以下の部分につきましては二〇%の税率により課税し、譲渡益二千万円超の部分につきましては、本則の二分の一総合課税にかえて四分の三総合課税とすることとし、全体として本則より重い負担を求めることとしておるのでございます。
 次に、利子・配当に対する課税の強化でございまするが、これにつきましても総合課税を行うことが望ましいものでありまするが、利子・配当を完全に把握する体制の整備されないままに一挙に総合課税に移行すると新しい不公平を招くおそれがあるのでございます。
 そこで、昭和五十年度の税制改正におきましては、利子・配当所得の源泉分離選択課税制度について、選択税率を二五%から三〇%に引き上げ、適用期限を五カ年延長することとしておるのでございます。なお今後、利子・配当を完全に把握するための措置につき検討を行い、そうした措置が整った場合には、五年の期間内におきましても総合課税に移行するものとしておるのでございます。
 第三は、相続税、贈与税についてでございまするが、昭和四十一年以来基本的な見直しがこれにつきましては行われていないため、その後におきまする地価及び一般的な物価水準の著しい上昇を反映いたしまして、相続税の負担は急激に増加しておるのでございます。
 そこで、課税最低限の引き上げ及び税率の緩和により一般的な負担の後追い調整を図ることとしておるのでございます。また、かねてよりの懸案でございました配偶者の負担の軽減問題及び農地に対する相続税の負担の問題を解決するため、配偶者の相続税負担の軽減措置を拡充いたしまするとともに、農地に対する相続税の納税猶予制度を創設することとしているのでございます。
 贈与税につきましても、相続税の改正とあわせて、基礎控除の引き上げ及び税率の緩和を行うこととしておるのでございます。
 第四は、間接税についてでございまするが、これにつきましては経済、社会の推移、消費の態様に適した課税の実現を図り税体系におきまして、適切な地位を維持するよう配意していくことが必要であると思うのであります。昭和四十九年度の税制改正におきましては、印紙税、自動車関係諸税の負担の見直しが行われたのでありまするが、昭和五十年度におきましては、昭和四十三年以来据え置かれておるために、その後におきまする物価上昇等により負担が低下してきている酒及びたばこに関する間接税につきまして負担の調整を行うこととしておるのでございます。すなわち酒税のうち従量税率によっている酒類につきまして、大衆酒を除き一五%ないし二二%程度税率を引き上げるととも一に、たばこの小売定価につきましては、十本当たり一級品については二十五円程度、二級品につきましては二十円程度引き上げることとしておるのでございます。
 以上が今回の答申の主な内容でございます。以上をもちまして説明を終わらしていただきます。
#5
○理事(山崎五郎君) どうもありがとうございました。
 次に、貝塚参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(貝塚啓明君) 東大の経済学部の貝塚でございます。私は財政学を一応専攻いたしておりますので、その立場から私見を述べさしていただきます。
 税制改正の問題を考えます場合、私が考えますところで二つの観点が、見方があると思います。一つは、財政支出、歳出を含めまして予算全体の規模との関係で税全体がどれぐらいの大きさになるかという、そういう問題が一つあると思います。それからもう一つは、税制度それ自身の公平さといいますか、そういう観点から今回の税制改正を考える、こういう二つの見方があると存じます。
 最初の方からちょっと御説明、私の意見を述べさしていただきたいと思いますが、今年度の税制の問題でありますが、税収入は、予想される経済活動といいますか、たとえばGNP、そういうものの水準に応じて決まってくるわけでありまして、財政の全体はやはり民間経済の動きがどうなるかということによってかなり大きく左右されるはずであります。で、たとえば民間経済の落ち込みがことしのような場合でありますが、かなり景気が悪くなった年というものは、財政はそれなりにそれをある程度相殺するという役割りを持たなければならないというふうに考えております。で、五十年度予算の場合は、予算編成の時期は実を言うと十二月であったわけですが、私どもは、景気に対して財政がやはり中立的であるのが五十年度予算については妥当であろうというふうに考えておりました。で、そういう考えは現在の時点になりますと、さらに予想されたよりも民間経済の不況の程度が深刻化いたしておりまして、多少修正する必要があるのかもしれませんが、少なくとも去年の十二月ぐらいの段階で申しますと、そういうふうに考えておりました。この点から一つ申し上げたいことは、今年度のやはり税収の伸びが非常に鈍くなるということであります。したがいまして、今年度の予算というのは、税制の方で申しますと、減税の幅は小さいわけでありますが、これはやむを得ないのだと考えております。なぜかと申しますと、これは私自身多少民間の経済調査機関でやったことでありますが、今年度の税収の見積もりは、たとえば法人税なんかを見てみますと、見積もられている額が本当に入ってくるかどうか、これはちょっと疑わしいわけです。というのは、なぜかと言いますと、景気が非常に悪くなりまして、法人の利益が下がるわけでありますので、そういう点かなり財源が厳しいというふうに考えます。予想されたよりも財源が厳しいのではないかというふうに考えます。したがいまして、まあ減税幅が小さくなったことにつきましては、これは全体としてはやむを得ないというふうに考えております。経済全体の観点から申しまして税収入の問題がどういうところにあるかということはいま申したとおりでありますが、次に、税制それ自身の公平さという観点から見て、ことしの税制改正がどういうふうに評価できるかということにつきまして、私見を述べさしていただきます。
 第一に申し上げたいのは、所得税の減税の問題についてでありますが、所得税の減税が今回小幅にならざるを得ないということは、先ほど申した全体としての経済成長が非常に鈍って、景気の後退が激しいというときにおいてはやむを得ないことであると思います。しかし、減税の仕方については、従来のやり方がそのまま適用されてしかるべきであるかどうかということについては私は疑問を持っておりまして、というのは、従来の減税の仕方は、基礎控除すべて上げるわけでありまして、そうしますと、控除を上げたことの結果は、要するに、すべての所得階層の人々にとって減税の、税負担が軽くなるということになります。しかし、今後の日本の経済の状況を考え、そして現在の日本経済の状況を考えますと、減税の仕方はもう少し工夫をすべきじゃないか、減税の全体の幅は同じ幅でありましても、低所得者層に集中して減税が行われるような税制度を考えていいのではないかというふうに考えます。たとえばどういう例があるかと申しますと、諸外国で申しますと、アメリカにロー・インカム・アローアンスというのがありまして、これは低所得者に対する控除を特別に設けているわけですね。ですから、もしそういう制度をつくれば、日本の場合で申しますと、たとえばの話です、これはたとえばの話で、細かい計算は別にしたわけじゃありませんが、たとえば控除はそのままにしておきまして、四十九年度から変えずに別枠といたしまして、別枠控除として、たとえばいま夫婦子二人で申しますと、百五十万円から五百万円ぐらいの間の所得階層の人々については、その所得について、一番低い人は三〇%ぐらいの控除を認めて、だんだん控除の比率を下げていって五百万円でゼロになるという、ですから、別な言葉で申しますと、百五十万円から五百万円の階層に減税が集中するように税制度を、たとえばそういうふうなやり方で変えるということは考えられてしかるべきだ、そのことの結果、減税幅は全体としては同じでありますが、減税の行われる階層が、いまの例で申しますと、五百万円以下というところへいきまして、下ほど、所得の低い人ほど減税の幅が大きくなって税負担が小さくなるという形になるだろうと思います。これが一つの例でありまして、今後日本はやはり成長が低くなると予想されておりますので、やはり大幅な減税というのはむずかしくなる。これは経済学者として考えれば当然そういうふうになるだろうと思いますが、その場合、やはり減税のやり方を考えるということですね。いままでどおりじゃなくて、やはりインフレがある程度進行すれば、そういう所得階層、少なくとも所得階層でいいますと、下から、一番低い人から四〇%ぐらいまでの人々のところあたりを集中的に考えるというやり方が考えられていいのではないか。それはことしなんかはそういうことが試みられてよかったのではないかというふうに考えます。
 それから、あとの特別措置について多少私見を述べさしていただきますと、土地の譲渡所得課税の強化でありますが、これはかなり評価できるというふうに考えます。というのは、最近東京都で算定されました税負担の調査がございますが、それなんかから見ましても一、都の土地譲渡所得課税を強化することによって、かなり高い所得階層の税負担が、いままで軽過ぎたわけですが、主として土地の譲渡でもうけた人々の税負担がかなり上がるわけでありまし、これは大きな改善であろうと思います。
 それから、その次は利子・配当の税率の問題でありますが、これは先ほど友末参考人がおっしゃいましたように、現在では所得の把握がなかなかむずかしい、利子所得の把握がむずかしいという問題があって、さしあたり分離しておいて税率を上げるというやり方をとったというふうに御説明になったわけでありますが、それはもっともだと思いますけれども、多少疑問が残りますのは、五年間三〇%の措置を一応続けるということがございまして、これは現在の日本の税制の問題で申しますと、やはり成長が鈍った段階で、今後税の公平、公平な課税をどういうふうにやっていくかということが、大変深刻な問題になるだろうというふうに予想されるわけでして、所得税をなるべく公平にして、強化するということは大変重要だと思いますが、それでその場合五年間と言いますと、いままでの、従来の経過から申しますと、やはりそういう年限を五年間と決めますと、やはり五年間は据え置きというのが普通の、どうしてもそうならざるを得ない場合が多いわけです。そうしますと、利子・配当については五年間は所得税というのはやはりどうしてもそこで総合課税にならないということでありまして、現在所得税を強化するというのは、強化というのは何も普通の意味で税率を上げるということではありませんで、従来課税をされておらなかった所得を十分課税の対象にするということが、大変重要な段階に来ていると思われますときに、なるべく早くこういう例外的な措置はやめた方がいいと考えておりまして、その点多少疑問に考えております。
 それから、先ほどこれも申されましたが、医師の診料報酬の課税特例ですか、これは税制調査会で答申をされたわけでありますが、これは政府案には盛り込まれておりませんで、私どもはやはり税制調査会の答申は、その点で非常に、従来長い間の経過がありますが、とにかく一歩を進めたわけでありまして、これが実現を、政府案に盛られなかったことは残念であると思います。これはやはり現在の社会の全体の考え方の中で、やはりその不公平な課税ということに関しては、非常に国民の皆さんの関心が集中しておるわけでありますし、前から言われていることでありまして、なるべく早くこれを実現していただきたいというふうに考えております。
 それから、後まあ二、三所得税法、法人税法それから特別措置以外のことについてちょっと私見を述べさせていただきますと、日本の場合は、ずっと言われておりますが、間接税の比重が下がってきておりまして、普通直間比率と呼んでおりますが、そして直接税の比率が上がっているわけですが、これが問題だというふうに言われております。ただ、その点につきまして、私ども考えますところは、たとえば直接税がウエートの高い、比重の高い税制がいいのか、それとも間接税の比重の高い税制がいいのかということは、これはその社会といいますか、それぞれの国々の結局納税者が税金をどういうふうに考えているかということに依存しているというふうに、究極的には依存しているというふうに考えるわけです。たとえばフランスでは間接税の比重が非常に高いわけでありまして、逆にアメリカでは、直接税の比重が非常に高いわけです。で、日本は、理想としては所得税を公平にして、強化していくということが重要であろうと思いますが、残念ながら過去の租税特別措置その他が非常にたくさんありまして、結局なかなか公平にならないという問題があります。で、これを一挙に所得税を、シャウプ勧告がありましたように、ところまで戻して所得税を強化するというのは一つの考え方で、私自身は一番基本的にはそれがいいとは思いますが、ただそれは最終的には納税者がどういうふうに考えるかと。アリメカの人々はやっぱり非常に税金を納めることに関して、ある意味で特に所得税をちゃんと納めるということに関してシビアな厳格な考え方をとっておりますし、逆にフランスの方々はそうでなくて、むしろ間接税の方がいいと考えている。で、日本の場合、納税者の方々がどういうふうに考えられるかというのは、私の想像では中間ぐらいだろうと。そうしますと、やはりなかなか所得税をアメリカ型にまで持っていくのにはかなり時間がかかるし、大変だろうというふうな感じがするわけで、究極的には直接税、間接税というのは、そういうふうな、何といいますか比率の問題は、やはりそれぞれの国々の納税者の意識、あるいは好みということに依存してきまってくるのではないか。それを見きわめながら今後の税制を考えていただくのがよろしいかと思います。要するに単純に直間比率が高いから低いからという議論では、直接税、間接税の配分をどうするかという決め手にはならないように考えております。
 大体時間が参りましたので、この辺で私の意見を終わります。
#7
○理事(山崎五郎君) どうもありがとうございました。
 次に、西尾参考人にお願いいまします。
#8
○参考人(西尾祐男君) ただいま御紹介を受けました私、西尾でございます。日ごろ税理士として実務家の立場から、きょうは納税者の立場から、本日議題になっておりますこの三法案に関連をいたしまして意見を述べさせていただきたいと思います。
 最初に、税制改正の基本的な姿勢の問題と申しますか、そういった立場からこの五十年度の税制改正をちょっと見ておりますと、新聞などを見ておりますと、ことしの税制改正というのは相続税法の改正と、もう一つは租税特別措置法の整理だというふうなことが一般には言われていたと思いますけれども、しかし、実際この法律案を見ておりますと、今回はその相続税法の改正だけが表に出てきて、後はそう大して見るべきものはないんだというふうに私ども一は考えております。
 この三木内閣は、社会的な不公正を是正するんだというようなことを新聞などはよく書いているわけですが、そういう立場から今回の税制改正を見ておりますと、どうも果たしてそれが実現する方向にあるのかどうかということがいささか心配になるわけであります。
 と申しますのは、たとえば具体的には、本日の議題にはございませんけれども、相続税法の改正見ますと、仮に私ども昨年の十二月ごろに相続税の相談を受けると、去年の暮に亡くなると、奥さんにたとえば最高三千万までは減税する、課税しないというふうな規定を置いたわけですが、この方はたとえば結婚十年以上でなきゃだめだというふうな規定にしてあるわけです。ところが、ことしになりますと、一夜明けたら直ちに今度は三分の一まあ無制限に課税をしないと、こういうふうなことを決めますと、恐らく二人の方が申告をする時期というのはそう大して日が変わらないわけです、六カ月後ですから。そうしますと、非常にそのアンバランスが強過ぎて、これが果たして社会的な不公正を是正することになるかどうかということについては、これは減税をするんだからいいやということにはいかないだろうと私は考えるわけであります。
 それから、それとか、あるいは今度の租税特別措置法でいろいろ言われておりますところの例の税制調査会、先ほども友末参考人がおっしゃっております医者の診療報酬の特例の改廃という問題ですが、これなんかも、実は何回もすでに税制調査会が言っているわけであります。そういうわけですから、当然に政府はこれを今回提案しないと言う以上、提案しないということをむしろなぜ提案をしないんだということを国民に説明をする義務があるんじゃないかと私は考えるわけです。私どもは、大体私ども実務家が聞いておりますと、社会保険診療報酬の特例を一番受けてメリットのある医者の階層というのは、大体医者が一人で奥さんと看護婦が二人という比較的小さいお医者さんとか、診療所の人たちが一番メリットがあると言われているわけであります。そういうふうなことが事実かどうかわかりませんが、もしそういうことだといたしますと、国税当局は当然そういった方たちの申告の状況その他を把握しているわけでありますから、できるだけ今後、まあこの次に提案をするなら、そのときにはどうするのだというようなことを、こういう委員会を通じて国民に説明をする必要があるんじゃないかと私たちは考えているわけです。これは別に党派を超えて国民がおかしいじゃないかと言っている制度でございますから、ぜひそういったことは今後明らかにしていただきたいと思うわけでわります。
 次に所得税の課税最低限の引き上げの議論になりますが、これは政府案よりか野党の議員の方々は、二百八十何万円に上げろというような議論を盛んにしているわけでわります。実はきのうの新聞をちょっと見ておりますと、これは東京の武蔵野のあるAという方の所得の状態がちょっと書いてありまして、それによりますと、去年の十一月の収入はその方は十四万九千五百五十二円あったというのですね。これは夫婦と子供が三人の方で、文房具メーカーの課長補佐の三十三歳の方だそうですが、その方は、ことしは景気がこういうふうに後退しておりますから、収入で十四万三千三百九十二円ということは、約七千円の減収になってしまったと、ところが、主食とか副食で見ますと、去年よりか約三〇%の食料費だけでもってアップになっていると、こういう状態にあるというわけです。ところが、これに対して、政府の今度の課税最低限の引き上げ方というのは、約二二%ぐらいだと思うのですが、それともう一つは、実は今回の改正案を見ますと、たとえばそういう方が所得を補う意味で奥さんが内職するというふうにいたしますと、これは経費を控除したらもう十万円以上になると扶養家族、控除対象配偶者にしないという規定になっているわけですね。ところが、この方が、たまたま奥さんがどこかヘアルバイトに働きに行って給与所得者になりますと、まあ二十万円までは控除対象配偶者にできるというふうになことを言っているわけです。そうしますと、非常に働く人にとって、奥さんなら奥さんが内職するか、わるいはアルバイトに働きに行くかによって非常に差がつくわけでありますが、こういった点についても、これは今回の法律案の中にありますから、ぜひそういった点の、なぜそういうことにするのか、もう少しできるだけそういった低所得者層を、先ほどの貝塚参考人もおっしゃいましたけれども、できるだけ保護、保護するというか、低所得者層のためにもとの改正をできるだけ考慮していただきたいと、このように思っているわけでわります。
 そこで、実務家の立場として、こういった姿勢の問題とは別に具体的に幾つかの問題を私は申しますが、第一は、通勤費についてでありますが、通勤費の非課税という問題は、現在では所得税法の九条の一項の五号というところに非課税の規定があるわけです。これを受けまして政令の二十条の二というところに詳細に規定してありますが簡単に申しますと、電車で通勤をすると九千円までは非課税にする、それから電車以外に自転車とか何かに乗って来ても、何でも最高九千円までしか非課税にしないという、そういうふうな決め方をしているわけです。ところが、私いろいろ調べてみますと、東京の周辺、大阪の周辺等の駅の周辺では、最近ごらんになればわかりますように、非常に自転車に乗って来る人が多いわけです。そういった人たちの交通機関別に分けて、最高九千円までしか認めないということを言っておりますけれども、これは私は、最近の所得の少ない人は遠くに住むようになるわけですから、そういう人たちのことを考えれば、本法の方に通勤費は非課税だと書いてある以上は、これはできるだけそういった制限なんか撤廃したっていいじゃないか、むしろ積極的に通勤費は全額経費に見て、要するに所得税はかけないと、こういう立場をとってもそう問題にならぬだろうと私は考えるわけです。
 それから、そういう立場から見てみますと、私いろいろ先ほどのことでちょっと調べてみたんですが、東京都の、たとえば八王子市の周辺の人たちを調べると、約二五%から三〇%ぐらい自転車で通って来たりなんかしているわけですから、減税の幅はある程度あると思いますけれども、しかし、これは積極的に取り上げてもらいたいというのが、私の偽らざる願いであります。
 それから次に、今度は細かい問題でございますけれども、御存じのように所得税や法人税で、申告とか申請とか、いろんな規定がありまして、期日に関する規定がございます。たとえば普通の給与所得者というのは、給料を今月もらうと、来月の十日には源泉所得税の納付をするわけです。こういう制度を、十日なら十日というふうにしておくのと、あるいは月末になるのとか、いろいろなことにしてありまして、一番私どもちょっと困っているのは、十二月に取ったいろいろな源泉をしたものを、一月十日に納付するというのが若干時間的に非常に困難を来たしておる。ですから、こういうのは、たとえば一月末に払えるようにするとか、できるだけ、こういった納税者が、特に暦を見なければいつどういう税金を払うのか心配だというようなことのないようにひとつしていただきたい。昨年ですか、例の個人所得者のみなし法人という制度がができたんですが、あの場合に、みなし法人の給与所得のような形でもって事業主報酬を払うわけですが、この事業主報酬の額の変更の届け出は、去年の十二月三十一日までに、ことしの分を変更するように届け出なければいかぬ。ただし、青色申告の届けは三月十五日でよろしいというふうなことで、アンバランスになっているわけですね。こういうものは、できるだけ、だれが見てもすぐわかるようにしていただきたい。たとえば、もう一つ挙げますと、所得税の場合、人が亡くなりますと、準確定申告というのは亡くなってから四ヵ月目にするわけです。ところが、相続税の方は六カ月目に申告しろと、こうなっているわけです。こういうものをなるべく整理をして、できるだけ所得税と相続税一緒にしたって構わないわけですから、六ヵ月にするとか、こういうようなものをやってもらいたいと思うのです。法人税でもそういった制度がございます。ですから、大所高所に立った議論も非常にしていただきたいわけですけれども、同時に納税者の便宜というようなことも考えて、ひとつ税制改正というものを議論していただきたいと思うのです。
 第三番目は、これは例の農地の相続税の問題に絡んでの話でありますけれども、今回の租税特別措置法を見ておりますと、農業課税について、農業投資価格をもって評価をするというような書き方がしてあるわけです。ところが、このような考え方というのは、別に農業だけでなくて、実は中小企業だってぜひそういうことはしていただきたいわけでありますし、またその農業投資価格の農地と、その他財産を分離して、そこで納税の猶予制度というものを取り入れるとすれば、それと同じようなことを中小企業にもやってもらえぬだろうかと私たちは考えるわけです。これは、今後恐らくできるであろうところの、各国税局につくられるところの土地評価審議会というようなところで議論されるんだろうと思いますけれども、何をどういうふうなことで議論するのかということを、この委員会でもって十分詰めておいてもらわないと、あちらの方へいったら違ったようなことになってしまったんじゃ困りますので、それだけひとつそちらの方も皆さん方の方で、ぜひ国会で国民にわかるようにひとつ説明を求めてもらいたい。このように私どもも思いますし、また納税者としても政府と一緒になって、今後こういった制度をきちっとしていく意味では、あらかじめ明らかにしていく必要があろうかと、このように考えるわけであります。
 それから、具体的な問題として、またもう一つ挙げてみますと、普通は措置法の改正というのは、できるだけ整理をする方向にいくのがいいんだということが一般に言われておるわけでありますが、たとえば今回提案されておりますところの租税特別措置法の三十四条の二とか、六十五条の四というところを見ますと、ここには――私は、千葉県に住んでおるものですからちょっと申し上げますが、新東京国際空港公団に土地を譲渡すると、個人の場合は千五百万の特別控除をする。法人の場合は土地重課制度の適用を除外するということに今度はしたわけです。しかし、この場合いろいろと聞いておりますと、いわゆる成田空港の周辺はすでに相当不動産業者が土地を買い占めておるという実例があるようであります。そうしますと、果たしてこういった減税を四十四年一月以後に買った人たちまで適用しなければならぬのかどうか、これは慎重に皆さん方、先生方の方でひとつ審議をしていただいて、そういう人たちが、あらかじめすでにそういったことが、本来はできないのに、今国会でもって改正したために、特に減税されるというようなことが果たしていいのかどうか、ひとつぜひその辺のことは慎重に審議をしていただきたいと、このように思っております。
 時間が余りありませんけれども、なお次に、実務的な話でありますけれども、登録免許税の改正が若干この措置法の中に出てまいります。いまの政府系の金融機関からの融資を受けますと抵当権を設定した場合には、これは登録免許税法の四条というところで、これは非課税にするような形になっております。ところが、必ずしも全部が非課税になっているかというと、たとえば中小企業退職金共済事業団というようなところから、福祉施設をつくるために金を借りると、これは抵当権の登録税の免除はしないようであります。それから、たとえば東京都とか大阪市とかいうような、こういう地方自治団体が特別の融資のあっせんというようなことをやってみても、これは制度融資ではないからかどうかわかりませんけれども、そういうところではいまの登録免許税の減税というようなことをやりません。そこで、できるだけこういった登録免許税の制度を、減税をするならば、もう少し広くもう度洗い直してもらって、納税者の要求に合うような方向にひとつもう一遍お考え願えないだろうかと思うわけであります。
 私まあ最後に一つ、これは今回の税制と必ずしも結びつく話ではございませんけれども、お願いをしておきたいのは、実はことしの確定申告の際に、私、相談を受けたものがありまして、これは、たとえばこの方がA子さんならA子さんといたしますと、この方は結婚後十五年間夫とともに父の名義の田畑を耕して、事実上は夫の両親を扶養してきたわけであります。ところが、このA子さんの夫が四十六年に亡くなったわけでありますが、そのときは夫名義の土地なり建物は何もなかったために、要するにお嫁さんとしてもう少し生懸命働こうというようなことで、おじいさん、おばあさんを扶養して働いていたわけです。ところが、昨年おじいさん、今度はお父さんが亡くなったわけです。ところが、いまの法律でいくと、養女に――お嫁さんが両親のところへ入っていないものですから、ただ単なるお嫁さんというようなことでしかすぎません。そこで、特にお父さんがお嫁さんさんに財産でも分けてやるとかなんかいうようなことが遺言でもしてあればいいんでしょうけれども、それもなかった。そこで、なおA子さん自身も一財産分与なんというようなことができるのかできないのか、全然知りませんので、それもしてなかった。そういたしますと、最近になって非常に財産を分けてくれとかなんとかという話をみんなから聞きますものですから、心配になって、これは税務署にちょっと相談したらしいんですね。そうしたら、お母さんも前に来たと、お母さんの話聞くと、そこの話を聞くと、財産をお母さんがもらったわけです。お父さんが亡くなったわけで、お父さんの財産はお母さんにいっているものですから、そのお母さんが財産をお嫁さんに分けてやると贈与税がかかるんだということを言われたわけですね。もちろん贈与税かかるわけですが、それからもう一つは、財産分与権というようなものが、分与請求権というものが民法上あるのかないのかまだはっきりしておりません。そこで、十五年間一生懸命お母さんとか親のために働いておっても、贈与税は相当高くかかる。それからお嫁さんとしてはどうにもならないというようなことなんであります。こういうような方が、恐らく田舎にはかなりまだあると思います。ところが、いまさっき、最初に私が冒頭で申しましたように、今度の相続税法では、一日でも結婚をしていればその三分の一はもう非課税にしてしまうということを片っ方の方では言っておって、片っ方ではそういう、法律上若干不備かどうかわかりませんが、問題があるような人たちが、十五年間も働いておっても贈与税をかけるというようなそういう税制度をつくっておったのでは、これは私はまさに不公平な制度になってしまうのではないか、私はそういうふうに考えるわけであります。どうか本委員会でそういった問題も含めて、長期的にわが国の納税者が進んで納税に協力できるような、そういう制度をおつくりになるようにひとつ十分御審議をしていただきたいと、かように考えるわけであります。
 以上、私の所見を述べさせていただいた次第でございます。
#9
○理事(山崎五郎君) どうもありがとうございました。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○大塚喬君 社会党の大塚喬と申します。
 それぞれお尋ねをいたしたいと思いますが、初めに友末参考人にお尋ねをいたします。
 税制調査会は内閣総理大臣の税制に関する諮問機関、こういうことで承知をいたしておるわけですが、現実問題として、大蔵省が具体的な事項を取り上げて、そしてその問題だけを審議されておりますすのか、あるいはまた諮問された以外の問題についても審議をされておるのか、その具体的な中身と申しますか、これを初めにお聞かせいただきたいと思います。
#11
○参考人(友末洋治君) お答えを申し上げます。
 税調は、大蔵省が具体的な事項について諮問して、それについて審議するのかという趣旨の御質問であったかと思います。もちろん諮問機関でございまするから、諮問は受けるのでございまするが、その諮問というものは非常に大きな事項になっております。最近の経済社会事情に即応する税制制度の改正いかんといったような非常に広範囲な問題の諮問でございます。で、その諮問を受けて税調といたしましては、諸般の事情を考慮し、また従来からいろいろと懸案になっておる事項もたくさん抱えております。そこで、社会経済上の情勢からいって最も緊急を要する事項に限って能率的に調査審議をいたしておるのでございます。従来は、実は社会経済発展計画という財政経済の全般を通ずる国の基本的な方針が具体的に決められておりまして、それを土台にいたしまして検討を続けたのでありまするが、現在は、その社会経済の基本計画というものが役に立たない状況になっておりまして、改めて五十一年度からこれを策定しなければならないという状況になっております。したがいまして、本年度は、さような国全体を通じまする財政経済の基本というものを参考にしながら、税制改正を検討するということはできなかったのでございまするが、現在の情勢が、御承知のように、インフレを克服し物価を安定せしめるということが国の最大の課題でございまするから、それに役立つような、また緊急を要する事項に限って税制改正の案を時間内に能率的に審議をしている、これが実情でございます。
#12
○大塚喬君 一つは、きのうの日本経済新聞に報道された問題について特に関心を深くいたしておるわけですが、私どもの受けとめ方は、政府の諮問ということを中心にその審議をされておると、こういうふうな印象が強いわけであります。もしそうだとすれば、これは大蔵省の改正方向をこう、何というか、是認するような、大蔵省、政府は税調を隠れみのにして税制改正というものをうまく利用しておるというような、そういう印象を強く持っております。
 具体的な質問になるわけでありますが、きのうの日経によりますと、法人事業税の「売上高などに課税へ」ということで、昭和五十一年度から地方税法の中で、これは地方税法の改正も税調の審議の対象の中に入っておると承知をいたしておるわけでありますが、付加価値税的なものを自治省として来年度からこれを取り上げること。この付加価値税の問題は、この当委員会でも何度か論議の出たところでありますが、突如として自治省がこういうことに踏み切ったことについて、大変私どもは疑惑、疑念を持っておるわけであります。この付加価値税の問題について、この是非について税調としては現在までに審議をされた経過がございますか。審議をされたとすれば、それらの経緯について簡明にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#13
○参考人(友末洋治君) 付加価値税に対して審議したかどうかという御質問でございます。実は、昭和四十六年にある程度の答申が付加価値税について出ております。一般消費税を導入することの可否を判断するに必要な問題点の整理、検討を進めるべきであると。一般消費税は、いわゆる付加価値税というものを含んでおる問題でございます。付加価値税につきましては、その程度の検討であり、また税調といたしましては、諸外国の付加価値税の状況等も一検討はいたしましたけれども、いまだ最終的な、結論的な答申は出しておりません。
#14
○大塚喬君 そうしますと、この自治省の発表については、税調としては特別にいままでに何らかの関連をされたというようなことはなくて、この自治省の発表というのは、これは自治省独自としてなされたものでございましょうか。それらのいままでの経緯についてお聞かせをいただきたいと思います。
#15
○参考人(友末洋治君) 御承知のように地方税につきましてはシャウプ勧告がございます。法人事業税につきましては、外形標準によって課税するということも含めた内容に実はなっておるのでございまして、現在でもやろうとすればできないことはないのでございます。これをやるかやらぬかという問題を、自治省で目下検討をいたしておるところでございまして、まだ税制調査会に何らの訳も一受けておりません。
#16
○大塚喬君 先ほどもそれぞれ参考人の方から述べられましたが、ことしの答申の中で、社会保険診療報酬課税の特例の是正の問題について、租税特別措置のトップに、一番最初にこの答申がなされております。しかも、その中の文言によりますと、「この際は長年の懸案となっていた特別是正の第一歩を踏み出すことを最優先に考えるべきであり、そうした観点から上記の案は適当な案であると認めた。」と。しかも、四段階の具体的な控除率まで示して答申をされたものを拝見いたしておるわけです。ところが、実際には、政府のこの税制改正の要綱を見ますと、たった一言備考のところで、「社会保険診療報酬課税の特別措置の改善合理化は、次回診療報酬改訂と同時に実施する。」ということで、軽く逃げられておる。税制調査会としては、まるきり一番重点に置いたものと、こう考えるわけでありますが、肩すかしをされた形で、政府はこれについて何らの取り上げをされておりません。この問題について税調としては、この政府の今回の税制改正についての何らかのやっぱり御意見を私どもはぜひ承りたいと考えておるわけですが、いかがでございましょう。
#17
○参考人(友末洋治君) 御承知のように社会保険診療報酬課税の特例につきましては、政治的な妥協によって昭和二十六年であったかと思いますが、できた、税調を通らない案でございます。国会でお決めになったものでございます。これも社会保険診療報酬の適正化の実現までという過渡的な意味におきましての実現であったかと思うのでございます。これは収入の多い人も少ない人も一律に七二%控除するのでございます。納税者といたしましては、何としてもこれは納得できない、社会的な不公正の最も代表的なものであるというふうに感じておるのが実情でございます。そこで、毎年毎年税調では繰り返し繰り返しこの問題が論議されたのでございまするが、一日も早くこれを解決すべきであると、診療報酬と課税の特例というものは縁を切るべきである、報酬としてもらうものはもらい、税として払うべきものは払うと、かように割り切っていくべきものであると。七二%の特例によって優遇されておりまするところの税金は、極端に申しまするというと、一般の納税者が犠牲的にこれをかぶっておると申しても、決して過言ではない。それで果たして医者の良心があるいは社会的責任感が持てるかどうか疑問に感ぜざるを得ないのであります。で、今度こそは何とかひとつ目鼻をつけたいというので、特別部会まで設けて基本的な方向をまず出し、第二段階におきまして具体的な案を作成したのでありまするが、その案を見てみましてもごらんのとおり五二%控除が最低でございます。五二%にはある程度の基礎があるのでございます。全面的に調査がなかなか困難でございます。サンプル調査でしたものによりまするというと、平均いたしまして五二%が必要経費ということになるのであります。これから考えましてだんだん上がってまいりまして、七二%と、現在控除されておる七二%がまだ残さざるを得なかったので、税調では非常にこれが論議されまして、どうもまだ七二%が残っている、この適用を受けるお医者さんがかなり多いのじゃなかろうか、そうすると、特例改正をしても実質的な効果がきわめて薄いじゃないか、納得できないという議論もかなり強かったのでありまするが、しかし、多年の問題を解決する場合に、一挙には実はまいりませんので、何とか、のどに通らぬところはあるかもしれませんが、まず解決の第一歩を踏み出して、これからだんだんにこれを改善していこうという気持ちで、答申のような姿になっていることを御了解いただきたいと存じます。
#18
○大塚喬君 もう二点ほど一諸にひとつお尋ねをいたします。
 一つは利子・配当課税の適正化という問題と、それから土地の譲渡課税の問題と、五年間延長が今度の法改正の中で出されておるわけです。で、私どもは、これはやっぱり不公平の一番の元凶だと、こう考えておるわけですが、税調として、この把握を適正にできないということの理由だけで五年間という期間を設定したのか、これは二年でも三年でもいいじゃないか、なぜそれだけの間にその努力をしないんだろうと、こういう疑惑が残るわけであります。この五年という問題について、税調として答申をされたその基礎は、どういうところで五年ということに答申をされたのかひとつお聞かせをいただきたい。
 もう一つは入場税。今度の答申の中には入場税の改正は何ら税調としては触れられておりません。ところが、大蔵省段階になってぽこっと大変大幅な入場税の減免の措置が図られたことに何か腑に落ちないところが残るわけであります。この点の経緯についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#19
○参考人(友末洋治君) 五年間の問題につきましては税調でも非常に議論がございました。余りに長過ぎるじゃないか、もっと早くやるべきだという意見もなり強かったのでございますが、何ぶんにも実態の把握をやるためには各種の調査も一いたさなければなりませんし、慎重の上にも重を期していきたいというのでようやく落ちついたのでございます。しかし、これにはただし書きがついておりまして、五年以内におきましても、実態把握の見通しがつき次第これは改正に踏み切るべきだと、まあ文句には出ておりませんが、かような了解のもとに五年というものを了承したと、さように御了承いただきたいと思います。
#20
○大塚喬君 入場税の問題……。
#21
○参考人(友末洋治君) 入場税につきましては、ちょっと話が、私自身が聞いたぐらいな程度でございまして、国税でございまするが、税調としてはそう突っ込んで審議する必要もあるまいというふうな気持ちもあり、また時間的な関係もございまして、これを取り上げて検討するまでに至らなかった。改正の結果を見まするというと、税収はきわめてわずかなもので、有名無実と言っていい程度の税収に相なっておるかと思います。かような実情でございます。
#22
○大塚喬君 次に貝塚参考人にお尋ねをいたします。
 わが国が従来までの高度経済成長政策から低成長時代、安定成長ということに転換を迫られておりますが、税制面においてもその中で不公平是正を通じて福祉財源調達という問題が一番大きな問題になってくるだろうと思うわけであります。で、貝塚参考人にお尋ねをしたいことは、今後福祉財源をいかなる形の税で調達をしていくべきか、これらの問題についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#23
○参考人(貝塚啓明君) 福祉財源の問題は、現在では、大部分は社会保険の掛金という形で実をいうと賄われているわけでありまして、租税そのもので、一般会計で負担している部分というのはいまのところ余り大きくはありません。したがいまして、これからの問題は、むしろ社会保険のところですね。たとえば実際に、現在もうすでにかなりはっきりしておりますが、たとえば国民年金ですと、もう来年くらいからほぼ赤字になるわけです。でありますから、一つは、やはり社会保険の中で是正をするということが一つのやり方だろうと思います。それからもう一つは、そうでない場合は、やはり一般財源ということになるわけで、現在の例で申しますと、老齢福祉年金というのは、あるいは障害者年金というのは一般会計で支出がなされておりますし、あるいは生活保護費というものも一般会計で支出がなされておりますその部分があるわけで、結局、私自身の意見を申しますと、やはり、さしあたりは社会保険の中で全体として財政がバランスするように制度を変えた方がいいというふうに考えております。
 もう少し具体的に申しますと、現在、たとえば年金ですと、厚生年金というのが大体企業で働いている方が老後になって受ける年金ですが、こちらの方は、平たく言えば、非常に黒字であるわけですね。国民年金、その他の方は赤字になってきているわけです。ですから、社会保険の一番の理想と言いますか、あるべき姿は、国民のすべてに対して一定の給付を与えて、その負担はみんなで分かち合うという感じであると思いますので、そういう点で、現在働いている人は非常にかせぐ力があるわけですが、そうでない人々はなくなるわけで、その辺のアンバランスがありますので、全体として、何といいますか、プールをしてやった方がよろしいかと思うのであります。
 大体そういうふうに考えております。
#24
○大塚喬君 次に、先ほどもちょっと触れられたのでありますが、所得税、相続税、これは、その所得の再配分の機能を通じて富の偏在を是正する、こういうものであろうと考えるわけでありますが、今回の税制改正については逆な方向という印象が私どもは強うございます。政府からいままでの審議の中を通じていろいろ答弁を受けたところでありますが、この税の負担の問題について、いわゆる負担感というものと、それから実際上の負担という問題との論議が出されて、いわゆる重税感、負担感というものが強く政府の答弁の中にやっぱり出されてまいりました。この問題について参考人はどのようにお考えでございましょうか、承りたいと思います。どっちをポイントにして考えたらいいのかという問題ですが。
#25
○参考人(貝塚啓明君) 私が考えておりますことは、負担感というのはいろんな原因があるだろうと思いますが、だれしも税金は軽い方がいいといいうのが、個人の立場ではそうでありますが、負担感で不平が起きてくるというのは、やはり税制それ自身が不公平であって、他の人と比べて同じ所得を得ている場合に、ほかの人の方が負担している税金が低いじゃないかと。ですから、他の人との比較において負担感ということがやはり問題になると思いますので、したがいまして、やはり一番中心は所得税をきっちりと公平に課税するように是正すれば、ある程度負担感の問題というのは解消すると思います。なくなると思うんです。しかし、最後に残るところは、やはり税金を負担しているということは、あくまで負担でありますから、負担が残るということは否定いたしませんけれども、税制それ自身を公平化することによってかなり負担感は変わってくるだろう。たとえば具体的に申しますと、クロヨンとかトーゴーサンとかいうふうな所得の把握の問題について不公平ではないかと、そういうことがかなり納税者の人々が、どうも不公平であって、自分が重く負担し過ぎているんじゃないかというふうに考える一つの原因だろうと。その是正は、所得税制それ自身を変えることによって、あるいは税務行政の問題でもありますけれども、そういうことを是正することによってかなり変わってくるというふうに考えられます。
#26
○大塚喬君 いま私がお尋ねしたことについては、どちらにその重点を置くかということについては、ちょっと私いまのお答えでははっきりしなかったわけでありますが富の偏在を是正する、こういう立場で前回も大蔵大臣に富裕税の創設の問題について伺ったわけでありますが、この問題についてどのようなお考えでございましょうか。私どもは今度の相続税の改正や何かを通じて、まことに逆行しておる、この段階で富裕税の創設という問題をやっぱり真剣に考えるべきではないかという感じを強く持つわけでございますが、参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#27
○参考人(貝塚啓明君) 富裕税はシャウプ勧告のときに導入されたわけですが、そのときの経緯は、所得の税率が高い所得階層は、たしか五〇%だったと思いますが、いまよりかない低いわけですね。税率を低くすることの結果として、高い所得層に対して別に富裕税をかけるという考え方をとったわけです。その後は大体そういう考え方がとられたと思いますが、現在ここ二、三年のところ、私はやはり富の――資産の保有の不公平というのはずいぶんはっきり出てきたと思います。それは、たとえば長期分離ですね、土地の譲渡所得なんかで非常にはっきりしたというふうに考えられます。長期譲渡所得で土地を売った人というのは相当あって、そういう人々がどれだけ土地を売ったかということはこれはもうわかっているわけです。そういう人々に対して課税はかなり低いわけでありますから、そうしますと実際にそういう人々が大きな所得を得ているということはもう確かでありまして、やはりそこのところにずいぶん、最近の富の不公平といいますか、そういうところが強く出ているわけで、かなり富が偏在しているという証拠があるというふうに考えます。したがいまして、富裕税を別の理由から、従来言われておりますような所得税との関連で、所得の高い方が税率が低いということのゆえに、別に富裕税を補完的に課税をするというのではなくして、最近の富の偏在をやはり是正すべきだというところで、かなり高いところを中心に税金を新しくかけるということには私は賛成いたします。
#28
○大塚喬君 次に、西尾参考人にお尋ねをいたします。
 先ほど猶予期間が五年延長ということになったわけでありますが、その理由は、大蔵省のしばしばの説明で、把握が十分にできないんだと、こういうことで、その努力がなされてきたのかという質問をしても、回答が得られませんでした。具体的に、これの把握について、実務という立場から、何らかお考えいただいていることがあったらお聞かせをいただきたいと思います。
#29
○参考人(西尾祐男君) いまのお話は、多分、利子と配当の分離課税の問題だろうと思うんですけれども、普通言われていることとして、裏預金というようなものが非常に多いと。そこで、裏預金の利子というようなものも把握ができない、名前がだれだかわからないというようなことを言っているわけでありますが、しかしこれは、銀行にも預金もいろいろあるんでしょうけれども、大体、銀行なら銀行に預金をされるときに、ある一定の金額以上については、いままででもマル優制度とかいろいろなものをとっております。ああいう制度をもっときちっとシビアにやれば、だれがどうなったかということもわかるわけでありまして、それが若干銀行業務に負担になったとしても、不公平感というものが是正されるならば、それはやむを得ないんじゃないかというふうに考えます。ただそのやり方として、いまのように銀行に完全に任せっぱなしみたいなかっこうにしておって、チェックを余りしてないというようなことであると、これはやってもほとんど効果がないだろうというふうに思います。ですから、私は、若干、いままでの銀行の検査というか、そのもの自体の検査というものが十分にされていなければだめですから、そこをやるような、そういうシステムをつくらなければならぬというふうに私まず第一に考えます。
 そういうことによって――これは、私は、いまの日本の有能な税務署の調査能力でやればそれは十分できるんじゃないかというふうに考えます。ですから、余り何も全部きちっとどこの銀行もやれというようなことをやらなくても、国民がそれほど、何というか、逃げる専門にやっているわけじゃないでしょうから、私は協力する方法が出てくるんじゃないかと。それは、あくまでも利子だけの問題じゃなくして、ほかの土地税制なんかも含めて物を考えないと、利子だけ追及するんだというようなことでやるとまた逃げることを考えるでしょうから、公平を旨としてやるんだという大前提の上でやれば、私は可能性があるんじゃないかと思います。
#30
○大塚喬君 次に、確定申告書の提出期限の延長の特例の問題、今回の改正に伴い、法人税法の改正では、確定申告書の提出期限の延長の特例制度が設けられたわけであります。そこで、会計監査人の監査のための決算が確定しない場合一カ月の期限延長を行うこととして、原則的に一カ月ということが認められることになるわけですが、この期限延長というのは妥当でございましょうか、いかがでございましょうか。
#31
○参考人(西尾祐男君) お答えします。
 これは、実は、今度の改正案で見ますと、法人税法の七十五条の二というところで、そういうふうに延長させるというような規定を置いているんですが、「特例」だと書いてある。ところが、商法の改正では、はっきり三カ月までは、決算の確定は三カ月間でやれば、おくれてもいい、おくれてと言うか、三ヵ月間でやればいいわけですが、そうしますと、大法人は会計監査人が監査をするんだから三カ月で、中小法人は原則は二カ月だということを前提としてこの法律はできておるのだと思いますが、今後、中小法人でも、慎重に自分の権利なら権利とか、そういうものを主張するためにも、もう少し見直しをするという時間がほしいと私は思います。ですから、何も、二カ月が原則で、特別に税務署長に届けて承認をしてもらえば三カ月でできるというような制度じゃなくて、逆にしたらどうか。私は、中小企業の場合もむしろ三カ月が原則だというふうにしてもらいたいと思うんです。それは、最初の年だけが税収が若干狂うだけでありまして、後は同じになるわけでありますから、今回のようなそういう改正でなくて、むしろ、積極的に全部の法人にそういう三カ月ができるようにしていただきたい、そういうふうに思います。
#32
○大塚喬君 それから、私どもは、いままでも関係者の皆さん方からお聞きをしてきたところでありますが、今回の改正で、税理士と公認会計士の領域の問題で一体どうなるんだろうと、こういう一つの考えがどうしても起きてまいります。で、税理士会の立場からこれについての意見をお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでございましよう。
#33
○参考人(西尾祐男君) 私、いま税理士会の立場としていろいろ言えるような立場におりませんけども、ただ私もずうっといままで税理士会のいろんなことをやっておりまして感ずることは、いままでのようにその利害関係人がある会社の税務代理ということをやっておると、これは利害関係人であるから、公認会計士は完全に排除しろと、こういうことを言っても、実際問題として、納税者側のほうにすれば、公認会計士であり、同時に税理士の資格を持っている人には相談をしたくなるというのが当然だろうと思うんですね。まして資本金五千万円以上の会社というやつは、全部各国税局の管轄になるわけでありますが、しかし、これらの会社あるいは一億円以上の会社というものが、必ずしも全部が全部いま言った上場しているわけでもありませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、そういうのは七十五条の二の特例を受けやすいような会社が多いわけですね。そうしますと、そういうところはどうしても監査に時間がかかったりなんかしますから、自然に公認会計士監査と、税理士の仕事とが競合するようなかっこうになってくるのは当然だろうと思います。そこで、そういう立場で議論をいたしますと、税理士の仕事の領域に公認会計士の業務が入る。業務というか、処分の仕事が入ってきたりして非常に混乱を来すことは確かだと思います。ですから、私はこの際こういった問題を含めて、もう少し十分利害関係人には絶対させないならさせないということをはっきりさせるか、あるいは競合した場合でも、こういう条件ならいいんだとかいうようなことにさせないと、いつまでもいまのような状態ですと、これは私は、見方を変えますと、民間のそういう団体にある程度けんかをさしておいた方が都合がいいというようになるのかどうかわかりませんけれども、そういうかっこうになってしまう可能性があるわけです。私は、本当にそういう納税者なりあるいは企業側の立場で物を考えますと、いつまでもこの問題だけを議論しているのは得策ではないと私は考えます。
#34
○大塚喬君 お話をお聞きして、これはまあ今後の委員会の運営にも関係することですが、もうあと二、三日、数日でこの法案を上げなければならないという段階で、参考人から意見を聞いて法案の審査に資するというのはちょっと私は時間的に遅過ぎる、そういう感じを持っております。で、ひとつ、大変有益なお話をお聞きして、まあ今後法案がぎりぎりのところへ迫ったということの段階でなしに、私どもが今後の委員会の審議の中に十分生かされるような時間的な余裕を持った中で参考人から意見を聞くということをぜひひとつ今後図っていただきたい。
 それから最後に一言、それぞれ参考人にお尋ねをいたしますが、いわゆる租税特別措置について一言で結構でございますから、それぞれの見解を簡単明瞭にひとつお聞かせいただきたいと思います。どうぞお願いいたします。
#35
○参考人(友末洋治君) 実は、高度経済成長の結果、かなり特別措置が多く出されてまいっております。それはそれとして効果があったことと思いますが、時代は変わってまいっております。どうしてもこれはだんだんと整理していかなければならぬ。そこで税調といたしましては、逐次この整理の方向をとっております。かなり整理したものもございまするが、また大企業の方面の方は整理いたしまするけれども、中小法人とか、あるいは公害の防除とか、そういう方面に、福祉社会建設の方向に重点を移行しながら整理を進めていくという態度をとっております。
#36
○参考人(貝塚啓明君) 一言で申しますと、租税特別措置は従来非常にたくさんつくられたわけですが、私ども学者がいろいろ調べてみますと効果があるということがよくわからない。要するに効果がどうもなかったらしいという感じを持っておりまして、そういたしますと公平性だけを欠いて、現在の税制が非常にこう所得税制がなかなか公平さを取り戻せないというのは、過去非常に多くの特別措置をつくりました結果、穴をふさぐのに時間が非常にかかりて、残念ながらそういう状況になっておる。したがいまして、今後特別措置というのはなるべく撤廃すべきではないか。ただそのときに一言だけつけ加えさせていただきますと、今後別の方向であまり特別措置をやはりおつくりにならない方が私はよろしいと思います。同じことがまた別の方向で起きますと、同じようなことになるというふうな感じを持っております。
#37
○参考人(西尾祐男君) 租税特別措置というのは、中小企業にだけ適用されるというのはほとんどないですね、非常に少ないです。ですから、この一般に非常に納税者の数からいけば中小企業が非常に多いわけですが、そういう人たちがほとんどわからない。わからぬということは自分に関係がないからです。そこで、どうせつくるなら、中小企業のためにもあるようなことをつくってあれば少しは関心を持つんでしょうが、関心がないから結果的にいつまでもいつまでも居座ってしまうというかっこうになるわけで、やはりこれは国民にもっとわかるようにして、こうなっていますよと、要するにあなた方の税金はこうだけれども、大会社はこうですよというようなことをむしろ積極的にも言えば、国民の側からも、まあ選挙か何かそういうものを通じてこれを廃止しろとか何かということはっきり言ってくると思うんですよ。ですからむしろ私は、廃止するなり整理するという方向を打ち出す以上は、もっとわかりやすく、現在の状態自体をわかりやすく整理してあげれば、自然にそれは廃止しなきゃいかぬという議論になると思いますから、そういう方向で、できるだけ私は、何でもかんでも目のかたきにするというのではなくて、徐々に整理する方向にいきながら、やっぱり効果があるならあるもので一応やむを得ないとして置いておいて、結局、中小企業なら中小企業のためになるものは置いておきなさいと、一応当面は。ただし結果として歩調を合わせて、ほかの政策と合わせて整理していくという方向に行った方がいいと思います。できるだけそういう意味で私は国民にこういう委員会等を通じて、租税特別措置というものはどうなっているということを明らかにしていただきたい、かように思います。
#38
○大塚喬君 大変ありがとうございました。これで私の質問終りといたします。
#39
○理事(山崎五郎君) 先ほどの大塚君の要望につきましては、御趣旨に沿うよう努力いたしますので御了承願います。
#40
○寺田熊雄君 ただいま大塚委員から富裕税の問題について貝塚参考人の御意見伺ったようですが、友末参考人の御意見いかがですか。
#41
○参考人(友末洋治君) 富裕税は過去におきまして、たしか二十五年だったかと思いますが、一度創設されまして、二十八年に廃止されました歴史を持っておるのでございます。この廃止された理由いろいろあるかと思いますが、問題点は、性格として所得税のまあ補完税であると、そういう意味から申しまするというと、富裕税を創設した場合に、所得税の税率をどういうふうに決めたらいいかという問題が一つ出てまいろうかと思います。さらに無記名証券等の不表現資産の把握が相当困難な問題を含んでおります。さらに無収益の資産に対しまして課税するかどうか、理論的には確かに貧富の差を少なくいたしますることが社会的公平であり、社会的不安の除去ということになるので、わかるんでありまするが、これを直ちに創設するかどうか、どうも私は考え方が古いかもしれませんが、旧税は良税なりといった感じが非常に強いんでありまして、古い税金をできるだけ手を加えて実態に即応するように持っていくと。新しい税を創設いたしますることは、よほどこれは慎重に考えなきゃならぬ問題である。なおこれは他国、諸外国との比較をすることは、それぞれ国柄が違いまするし、歴史、伝統が違うので適当ではないかと思いまするが、日本の現在の直接税は、高所得者に対してかなり割り高のような状況にもなっております。これらもあわせて考慮する必要があると、かように考えております。
#42
○寺田熊雄君 日本のいまの所得税制が果たして諸外国に比べて高額所得者にきわめて厳しいかどうか、私は非常に疑問だと思いますけれども、そういたしますと、税調の支配的意見といいますものは、富の偏在の是正についてはどういう方向に税制を改正していったらいいかというふうにお考えなんでしょうか。
#43
○参考人(友末洋治君) 既存の税、すなわち直接税、日本の税は中心が直接税になっております、所得税にいたしましても人税にいたしましても。これをできるだけひとつ手直しをいたしまして、この垂直的な公平を期するという点を重視すべきであると。同時に、直間比率の問題も出ておりまするけれども、どうも直接税に少し片寄り過ぎておるという感じを、どうも税制調査会の委員の皆さんはお持ちのようでございます。かつては六十何%も間接税があった時代もあるのでありますが、現在わずか二五、六%になっております。その間接税そのものが物品税を中心といたしまして横のアンバランスがかなり出てまいっております。これに余りウエートがかからなさ過ぎるというと、いろんな弊害が出てまいりまするので、間接税を強化いたしまして、適当な地位をこれに与えていくという方向をとるべきではなかろうかというのが、税調におきまする一般的なお考えのようでございます。
#44
○寺田熊雄君 間接税は、もう釈迦に説法のようですが、富の偏在を是正していくという点についてはほとんど無力ですね。これはまあ特別の、たとえばどういうのでしょうかね、著しく奢侈的な商品に対する課税というふうなものは、これは重く課税していくというような点で意味がないことはないんですが、しかし、一般的に言われていることは、大衆でもお金持ちでも、同一の商品についてそう消費高に差異があるわけではございませんからね、ですから、どちらかというと、大衆的な負担というものをむしろ高めていくのだと、しかし、まあ非常に徴税技術としては容易であるという点、特色がありますね。また税の負担感というものが案外ないうちに取られてしまうというような面もありますけれども、取りやすいという面はありますが、富の偏在を是正していくという点では余り効果はないように思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
#45
○参考人(友末洋治君) 直接税というものにウエートが余りかかり過ぎておりますというと、言葉が適当じゃないかとは思いますけれども、脱税がどうも多くなるといいますか、そういう欠陥も持っておる、たとえば貯金の口座にいたしましても一億円しかないのに二億の口座を持っておる、財産の把握というものがなかなか実際問題として容易じゃない。そういう点から、脱税を別に奨励しておるわけじゃございませんけれども、余りウエートが多く、重過ぎるというと、そのような傾向を持つ、これは否定できないのじゃないか、そこに若干の調和を与えていくのがいわゆる間接税、間接税はもちろん一利一害ございます。大衆課税があり、逆進性もございます。けれども負担感はわりあい少ないという点もございます。その辺で調和を図っていくということ以外にないのじゃないかと、これがいま行われておることが少ない、かように感ずるわけであります。
#46
○寺田熊雄君 脱税が多くなるから直接税中心というのは弊害があるという御趣旨、にわかに首肯しがたいものがありますが、きょうは皆さんと議論する場じゃありませんから、御意見を伺う場ですから、この程度にしておきましょう。
 次に、法人税についてもある程度、なだらかなカーブでいいけれども、ともかく累進制を導入したらどうかというわれわれは意見を持っておるわけです。政府の方は、個人に所得が帰する終着駅でやるべきであって、法人は、やっぱり株主に利益は終着駅としてはいくのであるから、どうも法人に対する累進税というものは向いてないのだという御意見のよです。しかし、これは非常に古くさい法人擬制説の考え方なんで、法人もいまはもう自然人と同じく、明確な社会的実体というものを持っておる社会的な実在であることには、これはもう疑いないのであって、そういう点から考えますと、累進制をはばむ理由は一つもないように思うのですが、この点について、友末参考人並びに貝塚参考人、さらに西尾参考人にもあわせてお伺いしたいと思います。
#47
○参考人(友末洋治君) 法人税についての御質問でございまするが、法人税そのものには問題はたくさん抱え込んでおります。実は昭和四十八年の答申に、法人に対する税負担のあり方の問題に関連いたしまして、配当軽課制度あるいは受け取り配当の軽課制度、さらには配当控除制度また法人税の基本的な仕組み等につきまして、全面的に再検討すべきであるという方向をとっているのでありまするが、五十年度の改正につきましては、その基本的な仕組みの問題にまで入る時間的余裕がなかったのでございまして、法人についての事務所・事業所税、これに直ちに入ってまいりました関係から、本格的な審議はまだ残されておりまして、特別部会はなお存置いたしておりまして、これから本格的な審議に入るわけでございます。
 そこで、ただいまの法人税に、累進性といいますか、所得税と同じような制度を設けたらどうか、これも検討の一項目には違いございませんが、まだ結論的なところまでは到達をいたしておりません。ただ、いろいろと意見が出ておるのは、基本的にちょっとなじまないのではないかというようなこともあるし、法人にはいろいろございます。ピンからキリまであり、組織等も違いまするし、資本構成も違いまするし、さようなものに所得税と同じような累進税はどうかという意見も一部にはあることはあるのであります。なお中小の企業者には特別な軽課制度を設けております。そこで、仮に累進的な方法が適当でないとすれば、法人に二つの、第一法人税、第二法人税というようなものを設けることが適当じゃないかという意見も一部にはあるのでございます。これらを総合いたしまして、これから本格的な検討に入るという段階でございまするので、結論的には申し上げかねるかと思います。
#48
○参考人(貝塚啓明君) 法人税の問題は非常にむずかしい問題でありまして、財政学者に意見を聞きましても答えはいろいろあるかと存じますが、私自身非常に率直に申しますと、古臭いと言われるかもしれませんが、やはり法人擬制説というのが一番はっきりした形ではないかと考えております。現在、法人に対して社会的にいろんな問題が起きておりますのは、これはやはり法人が独占的に行動して利益を非常に巨額に得るという場合だと思いますが、そういう問題はむしろ税金でもってやるよりは、たとえば独占禁止法とか、そういうことで歯どめをかける方が私はいいんじゃないかと思っております。税金は必ずしも――法人擬制説の立場をとればそうでありますし、それからやはりどうも累進税というのは、法人税についてはなじまない、もっとほかの政策で法人の行動をコントロールできるところはコントロールした方がいいというふうに考えております。
#49
○参考人(西尾祐男君) この法人実在説か法人擬制説かという議論は大分前からやっておるわけでありますが、税理士会なんかの意見をいろいろ聞きますと、むしろ大企業というか、ある一定規模以上の大企業については、これはもう法人実在説をとっていいのではないかという議論がかなり支配的だと思います。というのは、これは最近、たとえば経団連なんかで出しているいろんな書類や文書なんかを見ても、あの中に、たとえば大企業の取締役の報酬なり、あるいは賞与というものは、これは賞与自体はいまのところ法人税制の中では、あれは経費に見ないというようなことを言っておるのですけれども、役員の側の、大企業の役員もサラリーマンであるから、自分はオーナーじゃないんだ、だから、あれは全然別なものだから賞与を経費に見ろという議論をしておるときに、その中でやっぱり実在として大法人というものは、法人とは別なんだという議論もしております。ですから、そういうふうな考え方があるといたしますと、実在説をとっても、それが特に税制の上で不公平になるかどうかということについては、むしろ実在説をとった方が不公平にならないんじゃないかという議論につながるような感じがいたします。ただ中小企業の場合、これをそのままやりますと、片っ方で非常に、自分のところの所得税との関係もございますから、それは十分な配慮をしなければならぬと思いますけれども、一応いまの実情では、法人税をもつと幾つかのフレームの中へ、別のフレームをつくってその中で解決をすれば十分実在説という議論は成り立つのじゃないかと私は考えております。
#50
○寺田熊雄君 法人実在説と擬制説の問題は、これは主として民法の分野で争われた問題で、いまはもう民法学者で法人擬制説などを唱えるような人はほとんどないわけですね。ただ税制の分野でだけこれがいかにももっともらしく主張され、そしてそれが大法人、そして大株主、この二つの利益を守るとりでとして利用されているという印象を受けるわけですね。ですから、やはり税の公正ということを考えていきますと、そういう古臭い法人擬制説にしがみつくというのは近代的でないので、思考として。これはぜひお考えをいただきたいと思うんですが……。ことに法人擬制説のゆえに、配当所得の課税について現在、標準世帯で四百四万円までは非課税であります。四百五万円から課税対象になるわけですね。ところが勤労所得は、今度初めて百八十三万円まで引き上げられて百八十三万円が初めて課税最低限になった。そうすると、法人擬制説で弁明する人は別としまして、これは国民大衆の素朴な法感情といいますか、常識的な健全な社会通念といいますか、その上でどうしても消しがたい不公平感が残るわけです。
 そこで、私、大蔵大臣や主税局長にこの点の御意見を伺って、主税局長も大蔵大臣も税調並びに当委員会の御意見を伺って新しく検討を進めていきたいという御答弁があったわけです。いまのこの点について、配当所得の非課税限度、これと勤労所得の非課税限度との不均衡、これについてはどういうふうにお考えになりますか。各参考人の御意見を伺いたいと思います。
#51
○参考人(友末洋治君) 寺田さんのおっしゃるとおり、私も結果から考えますると非常に不公平な姿になっておる。何としてもこれは改正しなければならない。改正の手段、方法いかんという問題になるかと思いますが、果して国民背番号制度まで設けてやり得るかどうか、ここが突破口になるかと思います。そこまで踏み切れるかどうか、これから検討を要する問題だと、かように考えております。
#52
○参考人(貝塚啓明君) 私が先ほど申し上げましたところでは、一応擬制説の方をとっておりますので、必ずしも積極的にいまおっしゃいました御議論を支持するわけではありませんが、やはり社会的には、何といいますか、法人から得ている利益が配当という形で、しかもそれが所得の段階で高所得者層に集中しているということに対して不満があれば、現行の税制の中でやはり多少手直しせざるを得ないかと思っております。そういう程度の消極的な意見であります。
#53
○参考人(西尾祐男君) 実はこれ、実際問題として先ほどお話しのように、実情が利子・配当では四百何万円までは非課税だというかっこうになっておることは確かでありますが、ただし、これを私ども一実は把握の仕方ができない、できないと言いますけれども、これはもう銀行なり、あるいは証券会社が把握を積極的にする気があるかどうかということが一つ問題になると思います。これは、いまのところは、たとえば所得税法で見ますと、株式の売買に対しては一定の回数はこれはやっても非課税だというような書き方をしておりますから、そこで、その枠にはまるようにできるだけ分散してやっちまうというようなことをやるものですから、なかなか非課税ができないわけです。これはどうしてもそこでそういった資本の調達をやりやすくするという問題と、税の問題と別に考えないと、いつになってもこの問題はなかなか解決しないと思います。ですから、私はできるだけ、いま現在でもいろんな届け出制度とか、あるいは支払い調書のようなものをつくる制度があるわけですから、ああいったものをもつと拡大するなり何なりして把握方法というものをもつと積極的に考えたらいいと思うんです。できないからやらないというんじゃ、いつになったってできませんので、その辺をどういうふうにやるのかということは、むしろ広くもっと国民の声なり、あるいは専門家の声なりを十分聞いておやりになったらいかがかと思うわけでございます。そして重税感なり、あるいは不公平感というものをできるだけ縮めていくというそういう努力をしなくて、直ちに次のほかの税金がどうかというような議論に持っていくのはちょっと問題があろうかと思うわけなんです。
#54
○寺田熊雄君 時間が来たようですから、最後に一つ。
 実はちょっと非常に重要な点で友末参考人から御発言がありました。それは、いま西尾参考人から把握ができるかどうかの問題でまた貴重な御意見がありましたが、なるほど、利子所得ですね、これはいま、御承知のように、一兆人を超す預金者がありますから、これはあなたのおっしゃるように、非常に把握が困難だということは言えます、架空名義が多いですから。しかし、三百万円を超える配当を受けている人なんというものは、これは日本でも非常に限られた人数ですからね。だから大会社がもちろん三百万円以上の配当を受ける人も一社で三百万円じゃないでしょう。だけれども、大体年間三百万円の配当所得を受ける人というのは、まあまあそれは日本の国民の中で非常に限られた人数ですからね、これを把握することが背番号をつけなければできないなんということは、それはあなた考えられないですね。ですから、どうぞそういう点で、余り技術的に困難だという大蔵当局の弁明に重きを置かれずに、実態を把握せられて、いま申し上げた配当所得と勤労所得との間の不均衡、これはひとつ税調で勇断を持って御推進になるように最後に希望しておきますから……。
#55
○矢追秀彦君 予算委員と兼任をいたしておりますので、参考人の方々の御意見を余り伺わないで質問をいたしますので、あるいは的外れの点が出る点を御承知おきいただきたいと思います。
 初めに、所得税の徴収の方法についてお伺いしたいんですが、源泉徴収の義務づけでありますけれども、これは特に西尾参考人にお伺いしたいんですけれども、これは申告制であるべきだという意見がございます。やはり源泉徴収制度において、これはあくまでも便宜上だという考えが出ている。それについてはどうお考えになるのか。
 まとめていきますけれども、それからやはり給与を受ける前に天引きで取られているという形になるわけですね。そういうことで、例の大島正教授の訴訟の際でも議論をされたようでございますけれども、片方では有無を言わせず半強制的に取られてしまっている、片方は申告をすると、そういうことでやはり不平等という考えが出てくるわけですが、この点についてどうお考えになるか、それをまずお伺いしたいと思います。
#56
○参考人(西尾祐男君) ただいまの源泉徴収でやるか、あるいは申告をさせるかという議論ですが、これは私どもの聞いている範囲ですと、国の便宜のために源泉徴収という制度はあるんだと。だから、これは全体で見れば、国として見るならば、別に違法でも何でもないんだというような判決があるそうですが、ただ私は、この徴税のあり方として、年の初めからずっと徴収されている、年末になって調整されればそれで終わりということで、便利は便利かもしれませんが、そういうやり方をされますと、一般のサラリーマンというのは、非常に国の税制のあり方あるいは国の予算のあり方というものに対して無関心になってしまう可能性はあるわけです。ですから、私は若干そういった申告制度というものを残しておいてもいいじゃないかと考えているわけなんです。ただ何も関係のない人まで全部やらせるということは問題があろうと思いますけれども、申告をすれば、あるいは自分のところは税金還付するなり、あるいは若干ふえるなりということができるような制度にしておかないと、何か取られっぱなしみたいの感じを受けるわけでありますから、私はそういう意味では、もう一つ積極的に、いまの源泉徴収制度というもの自体を考え直したっていいんじゃないか。特に経費がよけいうんとかかった人について全然引かせないというんじゃなくて、引かせる制度があるんならそれをつくってもいいと思います。ただ、いまの、新聞なんかできのうあたり見ていると、政治献金だけは何か引かせるようなことを言っておりますけれども、ああいうことは、政治献金だけ引かせるというんじゃぐあいが悪いんで、やはりほかのものも、特別にはっきり証明がつくものは引かせるというような制度をつくったっていいと思います。
 それからもう一つは、非常に源泉徴収で払っている人たちにすれば、利子部分というか、自分たちが先取りされている部分について非常に何というのですか、異議申し立てもできない、何にもできないというんじゃぐあいが悪いので、やはりそれについても積極的に何か異議申し立てができるならできるような制度も一つくっておくというようなことで、若干税務行政は非常にそういうことをやられることは大変かもしれませんけれども、それが同時にそのまま、何というか、納税の意欲をかき立てるというか、納税の意欲を向上させることにもなると思うので、私はそういう制度はもっと柔軟な制度にしたっていいというふうに考えております。
#57
○矢追秀彦君 友末参考人に、いまの点でどうお考えになっておるか、特にいまもお話ありましたように、納税義務に対する関心が薄くなると、そういった点について、いま言われたような、ある程度申告というものを残しておくのがいいと思いますけれども、その点いかがですか。
#58
○参考人(友末洋治君) やはり申告制度は続けていくべきじゃないかという考え方を持っております。これがあるがために弊害も決してないことはないという考えは持っておりますけれども、一応は、たてまえとして申告制度というものは残すべきだと、まあ大体かように考えております。
#59
○矢追秀彦君 次の医療費控除の件ですけれど、これは余りよく理解を国民にされていないと思うんですけれども、この点は実際いろいろやっておられまして、西尾さんどうお考えになりますか。
#60
○参考人(西尾祐男君) 医療費控除というのは、実際は、たとえば病院の付き添いとかそういう人たちの費用も、これは十万円なら十万円を超えて――現行法では十万円を超えておれは控除できるというような書き方にしてあるわけですけれども、これは実際は税務申告の段階になってできますよという程度のことしか一般の国民は知らないと思います。ですから、もう少し積極的に、そういった医療費なら医療費というものは、これだけのこういう範囲のものは控除できるんだということを法律の中にも書いておいたらいいと思うんですね。ただ医療費控除できるというようなことで、後は解説見なきゃわからぬと、解説は三月十五日の直前に送ってきたものを見たらわかるというようなことでは、なかなかわかりにくいわけです。ですから、私はいまの医療費控除という制度は、一番私は痛切に最近感じているのは、サラリーマンで、御主人が病気になって、奥さんどこかヘアルバイトに働きに行っていると。そうすると、実際問題として、自分の家に子供がいるもんですから、お手伝いさんではないかもしらないけれども、いろいろ手伝ってもらうような人を、雇うわけじゃなくても、来てもらってお礼をしたと。こういうのは、直接確かに医療費の問題じゃないかもしれませんが、その御主人が病院に入っているために起きてくるいろんな問題がある。こういったものは果たして引けるのか、引けないのかというと、やっぱり法律のとおり、いまのたてまえでいくと引けないみたいになっているんですが、私は、今後核家族化がどんどん進んでくると、そういったものも含めて、ひとつどういうふうにするのかと、医療費というのはここまで引けますよというようなことをやってあげないと、社会保険で解決しているんだから、後は関係ないような言い方じゃ、ちょっとぐあい悪いと私は思っております。
#61
○矢追秀彦君 貝塚参考人と友末参考人にいまの問題伺いますけれども、いまの医療費控除の点についてどうお考えになっておるか。特にお産ですね、お産は保険使えないわけですね。そういった意味で、これはやっぱり対象にした方がいいんじゃないかと思いますけれども、その点も一含めて御意見を。
#62
○参考人(友末洋治君) 医療費控除の問題でございますが、今回の改正後におきましては、一応五万円、ただ五万円ばかりじゃございません。五万円または所得の五%のいずれか小さい金額を超える金額、これを控除するという選択制に実はなっておるのでございます。まず現行といたしましてはこの程度がいいんじゃないかと、かように考えておりまして、お産の問題につきましては、税の問題でここがいいのか、あるいは厚生省関係の問題としてこれを解決していく方がよろしいのかどうか、相当検討を要することは事実だと、かように考えております。
#63
○参考人(貝塚啓明君) 私は、余り細かい制度的なことは正直申しまして、理屈づけをどう考えるかということについては余り明るくはございませんが、控除の問題というのは、普通は自分で、家族でコントロールしにくい経費、たとえば医療ですと、病気になるというのは不治の病とか、いろんなことがありまして、そういうもので出費がかさめばそれを引く、それから家族数でもそうですが、結局、子供が多ければ、その分やはり税金の方で引く。出産の場合というのはどちらに該当するのか、限界線上でありまして、普通は医療費の中に入れないわけだと思いますが、その点でちょっとすぐにお答えできる――ちょうど限界線上にあって、何とも判断がつきかねるということでございます。
#64
○矢追秀彦君 西尾参考人、お産の問題どう思われますか。
#65
○参考人(西尾祐男君) 私、最近私の事務所の職員でそういう問題がやっぱりあって、お産のために休まれる。休まれるとうちの方も困るわけですが、そこでだれかじゃ頼んだらどうかというようなことになって、これも仮に頼んでも医療費控除の対象にもならぬということになると非常に困るわけです。ですから、私はそういう医療費があるかどうかというのは、現実には確かに医学的には医療というふうな分野に入らぬのかもしれませんけれども、そういったもいいんじゃないか。現実にすでに社会保険ではお産手当というものを若干もらえるようになっておりますから、私は何も病気になったからといって、病気とは違ったとしてもそういう制度の中に入れても余り問題にならぬだろうと私は考えております。
#66
○矢追秀彦君 次に、医師の税制優遇の問題、先ほども出ましたけれども、これ西尾参考人は実際おやりになっていまして、おそらく最近かなり医師、歯科医師で青色申告に切りかえていらっしゃる方がどんどんふえてきていると思いますが、この実情と今後の進行ぐあい考えて、この二八%というものがどうなっていくとお考えでありますか。実際、私の家を例にとりましても、父の方はそのまま白でやっておりますけれども、弟の方は青でやっているわけです。実際はそう何か変わらぬような感じを受けるわけですけれども、その点いかがですか。
#67
○参考人(西尾祐男君) 実際問題として七二%というものが目のかたきにされるようなかっこうで議論はされますけれども、ある程度の規模の病院というか、医院なんかになりますと、かなりむしろ経費がよけいかかってしまって、七二をとったら損するというようなことも必ずしもないとは言えないわけです。ですから、私はもちろん税制の上だけでこの議論をするということは、していただくこと自体がおかしいので、むしろ積極的に税制の上で全部削除なら削除しちゃって、社会保険制度の方で考えるというふうにはっきりすればよかったと思うんですが、それをしないで、何か国民の側と、われわれの側で見ていると、どうも厚生省と大蔵省が八百長で何か議論しているんじゃないかというような感じも受けないとは言えないのです。そこで私は、できるだけ七二というものを、早くこれを解消する方向にいきなさい、いったらどうですかというふうに考えるのです。
 それから、実際に医者の中でもいろいろな人がいますから、必ずしも青色申告でやったらどうかというと、青色なんかでやるよりか手間がかからないし、いまのようなやり方が得だなんということを言ってやっている人もいるわけですから、一概に全部の医者というのは、けしからぬというような言い方もできませんけれども、だんだんこういう世論がうるさくなれば、自然に青色申告になる人もふえるでしょうし、また青色申告のことについて、実際の税務の中で、もっと指導なり、あるいは変えたやり方をして、医者の立場というものを十分考えてあげれば、私はこういった問題は解決する方向にいくと思うのです。ただ、いまのところは、七二%けしからぬというようなことを言うだけですから、結果的には医者の方も開き直っちゃうというかっこうになって非常に問題が紛糾するわけだと思います。現に私も、幾つかの医者の税務申告なんかしてあげていると、まじめな人は本当に七二%の控除率なんというものを使わないで、私はやっていきたいということを言っておりますし、また非常に、何というか、かせぐだけで税金のことなんか知らないというような人は、まるっきりいまの七二掛けた方が楽だというような方向でやっているわけです。やはりこれは何か最初に青色申告制度を日本で採用したときに、非常に幾つかのメリットがあるんだということで宣伝をしたことがありますけれども、そういったものを若干医師の場合も取り入れなければならないのか、あるいはたとえば医療機械を特別に償却をよけいするからやれとか、何かそんな方法でも考えなければ、いま直ちにはなかなか乗ってこないかもしれませんが、税制の上でできるだけいまの七二%の経費でいくというようなやつは早くやめて、医者にも普通の中小企業の納税者と同じような線に早くいくような方向で、国会等でももちろん言うと同時に、税務当局自体が、国税当局自体がお取り組みになったらいかがかと、かように考えております。
#68
○矢追秀彦君 友末参考人、いまの問題どうお考えになりますか。
#69
○参考人(友末洋治君) 医師の診療特例に関しましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、どう考えても一律一体にこの七二%控除、どこにその理論的な根拠があるのか、さっぱり税調としてはわからない。だれも納得する人は一人もございません。まあ社会的不公正の代表的なものだと、一刻も早くこれをお医者さんのためにも改めるべきだと、これがあるために、医師の技術料の値上げがどうもできないという気持ちを持っておる人も実はあるくらいでございます。この内閣は社会的不公正の是正ということを唯一の看板に上げておられるのでありますから、その看板の手前から言っても早速手をつけていただく。取るものは取るし、出すものは出すというのでないと、国民は納得しないのじゃないかというのが税制調査会の委員の皆さんの御意見でございます。
#70
○矢追秀彦君 あと一言。先ほど私も言いましたように、青色申告がどんどんふえてきている現状ですね。恐らくこれからだんだんそっちがふえると私は思うのです。そうなった場合、結局、実質的には意味がなくなってくる、そういう形なんです。青になった場合、果たしてどうなるかということですね、これはやはり分析をしていただいた方がいいと思うのですけれども、そういった点の分析は税調としてはされておりますか。
#71
○参考人(友末洋治君) 別にそこまでの分析はいたしておりません。青色申告でやっておられる人も実はあるわけでございます。はたして七二%残しておいて青色申告というものがふえるかどうか、これについて自信のある意見を述べられる人は、税調の中にはおられないような気持ちがいたします。
#72
○近藤忠孝君 最初、友末参考人にお伺いしますが、税制のあり方がほかの法律制度や実体の法の適用に影響があるんじゃなかろうかということを考えるんですが、たとえば今回の相続税法の改正の中の贈与税の問題ですね、贈与税の問題の中でたとえば納税猶予制度、これは一人が生前贈与を受けた場合に適用になると、こういうことは具体的に民法上の均分相続を実体的に崩していく可能性がありやしれいか。たとえばそんな面で基本的な法律の適用を変えていく場合がありやしないか、こんなことは税調で議論にはなっていないでしょうか。
#73
○参考人(友末洋治君) 税調の中でそこまで突っ込んだ細かい議論はされた記憶はございません。
#74
○近藤忠孝君 私は一つの例を申し上げたんですけれども、いろんな面に、民法上あるいは商法上その他の実体法上の国民の権利が具体的にはこの税制の問題で具体的にかなり変わっていく面があるんじゃなかろうか、そうしますと一政府が一定の税制の措置をとる。となりますと、そのことによって一般の権利関係が具体的に影響を及ぼすと、こういったこともあり得るんじゃないかと思いますので、今後そういう面からのひとつ十分な御審議をお願いしたいと思うわけであります。
 次に、同じく友末参考人と貝塚参考人にお伺いいたしますけれども、減税の額と自然増収の関係ですね。この辺は何らかの考慮を払うべきなのか、あるいは全然考慮を払わなくてもいいものなのか、いかがでしょう、それぞれお答えいただきたいと思います。
#75
○参考人(友末洋治君) 御承知のように、いままでの高度成長時代におきましては、相当自然増収がございまするので、自然増収を減税の財源に充てたり、あるいは財政需要の増に充てたり、いろいろと弾力的な工夫ができたわけでございます。低成長時代におきましては、自然増収は余り期待できません。特に物価を引き下げる、総需要を抑制し、インフレを抑えていくということから考えまするというと、仮に自然増収がございましても、それを減税にまで振り向けると、大幅減税にまで持ち込むというふうな強い意見は税調ではございませんでした。むしろこういう時代におきましては、増税をすべきだという意見すらあったぐらいでありまして、これを減税に充てるべきだという意見はきわめて薄かった。しかし、中小企業、低所得者につきましては、物価調整すら、独身者、夫婦子一人というものにつきましては、調整ができていないという計数も出てまいりましたので、やむを得ない調整もいたしたと、こういうのが実情でございます。
#76
○参考人(貝塚啓明君) いまの点にお答えいたしますと、友末参考人が言われましたことと、基本的には同じですが、いままでは自然増収のかなりの部分を減税に回す余地があったわけですが、さしあたり日本経済が低成長と申しましても、それほど低成長でありません。たとえば平均して五、六%ぐらいの成長率でもかなりやはり自然増収は減るというふうに考えられます。したがいまして、減税の余地は少しずつ狭まると思いますが、最初私がここで意見を申しました際に、減税の大きさは小さくても、所得の低い階層の人々を中心に行えるように、したがって、たとえば五百万円以上の人々は余り減税の恩恵を受けないということになります。これは社会的にはあるいは問題があるのかもしれませんが、しかし、今後はインフレがどうしても政府が抑える抑えると申しましても、やはり五%から一〇%ぐらいの消費者物価の上昇は予想されますので、やはり低い階層の人々のところは控除を上げていかざるを得ないし、減税全体の幅は小さくなりますと、そこで工夫をして低所得者層に集中できるようにすればいいんじゃないかというふうに思います。
#77
○近藤忠孝君 貝塚参考人の先ほどの話では二つの観点から、その一つは全体的な観点ということですね。そうなりますと、確かに自然増収がこれから少なくなる。そこで私の質問は、自然増収が少なくなれば、一定の割合ということを考えれば減税の額が減りますね。要するに、自然増収と減税額の割合について何か一定の法則的なものはないのか、あるいはそういうものを設けるべきなのかどうかという問題になるんです。ここ十年間のを見てみますと、あるときは一七五%であったり、ぐっと減って一〇・九%であったり、あるいは五%台であったり、一二、三%ぐらい、こういうぐあいになっているわけですね。今回五十年度の予想では一応五・四%、こういう状況ですね。この辺の割合なんですね。何か、これをどう考えたらいいのかという、これが私の質問の趣旨なんです。お二人に。
#78
○参考人(貝塚啓明君) 私は法則というのはちょっとないと思うのです。というのは、なぜかと申しますと、やはり毎年毎年の景気の見通しが絡みまして、財政の支出をどれぐらい伸ばすかということとやはり兼ね合いがありまして、毎年毎年何%ということではないと思います。ただ長期間とれば、いままで高度成長期においてはかなり減税に回す比重が高いと思いますが、今後はそれがやはり下がらざるを得ない。ただ支出の方もある程度合理化といいますか、長期的には行政改革その他でもって既定経費を切るようなことができれば、ある程度減税の幅も多少はふえてくるということがありますが、さしあたりはやはり短期間、毎年毎年はかなり変化すると思いますが、傾向的には減税の自然増収に占める比重は下がっていくだろうというふうに考えます、法則ということではなくて、傾向ということになると思います。
#79
○参考人(友末洋治君) 貝塚参考人の意見と同様でございます。高度成長時代におきましては、国民所得の大体二〇%を標準にして予算を組むといったようなことから割り出してきたこともございまするけれども、もうすっかり経済、社会情勢が違ってまいりまして、特に物価のかような変動の激しい時期におきましては、減税とそれから自然増収の割合等を見通すということはなかなか困難じゃないか、社会福祉に相当力を入れなきゃならぬ時期でもございまするし、ますます減税というものは望みが薄いような感じがいたします。
#80
○近藤忠孝君 今度は西尾参考人と貝塚参考人にお伺いいたしますが、今回程度の課税最低限では、実質的には増税になっているんじゃないか、一般の国民大衆にとって、こういう意見が大変強いのです。これについて実務的立場からと、後の研究室の立場から、どうお考えか。
#81
○参考人(西尾祐男君) 私どもは実務的には恐らくことし幾ら給与が上がらない上がらないと言ってもやはり相当給与も上がらざるを得ないし、また上げるだろうと思いますから、そういう面では、一つは、その面だけから見ても増税になる可能性も出てくる。それからもう一つは、物価が非常に上がっているわけで、負担感というか、増税感というのは非常に強くなって、そういう両方の面から見てみますと、課税最低限は若干去年と比べて三十万ぐらいですか上げてみても、これは課税最低限を上げたことにならないような私は感じがいたします。ですから、もっときめの細かい何か方法を考えないと、ことしの暮れあたりになると相当問題が大きくなってくる可能性はあるだろうと、こういうふうに考えます。
#82
○参考人(貝塚啓明君) 減税の大きさのことで、控除の水準でありますが、インフレのしわ寄せがどれぐらい生じたかということなんですが、最近統計の、四十九年の暦年の方の統計ですが、家計調査、勤労者所得の統計が出まして、四十八年までは、何といいますか、統計ではかった平等度というのは多少進行して、平等に少しなっていたわけですが、四十九年に所得階層の一番下の二〇%の人、それからその上の四〇%ですから両方あわせて四〇%までの階層の人の平均的な取り分というんですか、それが減ったわけなんです。インフレはそういう階層に対してかなり打撃を与えたと。それから逆に一番高い階層、一番上の階層、上から二〇%の階層ですが、そこを見ますと、そういう人々の取り分はふえているということになっておりまして、相対的な取り分です。したがいまして、やはりインフレは四十九年についてかなり所得の分配に関して不公平でしたということが言えると思うんです。やはりそこんところを考慮して、控除の上げ方というのは全体の、これは先ほどの私の意見と重なりますが、全体の減税の幅を変えることなしに、そういう階層の人々に減税の効果が振り向けられるようにすればある程度防げると思います。
#83
○近藤忠孝君 いまのお二人の意見をお聞きになって、友末参考人はどうお考えか御答弁をいただきたいと思います。
#84
○参考人(友末洋治君) 税調の議論は非常に激しいんでございまして、こういう時期には何としても総需要抑制して物価を引き下げる、インフレを抑えると、そういうことを国家的最大の課題とする以上は、増税をしたり、それから公債を減額したりすべきだと、国民総がまんすべきだというのが大勢を占めたような感じがいたします。しかし、そうは申しても余り物価が上がるから、ある程度の調整はしなければ税調として相済まんのじゃないかと。まあまあということで、大蔵省から数字を出してもらいまして、その数字を見ますというと、先ほど申し上げますたように、独身者とか、それから夫婦子一人、そんなんで実際調整できてないんですね。何としてもある程度減税しなければとにかく増税になる、それでもいいじゃないかという人もありましたが、まあそんな無理を言わないでというわけで、まとめ役かなりつらいところがございました。
#85
○近藤忠孝君 そのつらいところは現に国民にも大変当たるんじゃないかと思うんです。
 そこで、これは西尾参考人にお伺いしますが、先ほどのお話で、物価も上がり、そして賃金も上がったと。そうなりますと、どうしましても、今回程度の課税最低限では納税人口がずいぶんふえるんだと思いますね。納税人口がふえますと、実際かなりいまの税務行政、いまの五万人という職員の数、これでかなり困難を来たす面が実務の現場であるんじゃないかと、こういう気がいたします。そこで、いろいろと団体をつくったり、いわば税務署への協力団体をつくる、こんな動きを私ども幾つか感じているんですが、そんなことを現場では実際感じないかどうか、この点いかがでしょう。
#86
○参考人(西尾祐男君) 実は最近、たとえば法人税の場合で見ますと、非常に実際の実徴率というものが下がっていると一般に言われております。これはもう昔は、たとえば三年に一遍ぐらい調査して三〇%ぐらいだったというようなことなんですが、最近は一〇%以下に下がったというようなことを私も一あるところで読んだこともありますが、これは必ずしも納税者がふえただけではないかもしれませんが、いずれにいたしましても今後納税者の数はふえる傾向には、いまのような税収というか、課税最低限のあり方や、あるいは税制のあり方ではふえてくる傾向にあることはこれは明らかだと思います。そういたしますと、税務署に協力させるというようなことがいいのかどうかということはもちろん問題がありますけれども、税の公平な課税あるいは公平な税務行政というものを考えますと何らかの手を打たなければ、何というか脱税をする人を見逃しちゃうというようなかっこうになる可能性があると思います。特に税務署で言えば、たとえば非常に最近納税者がふえている地域というのはほとんど手が回りかねているというようなことでありますから、私はそういう面の何かの手を打たないと、これはまたいまのような不公平な課税というような問題が拡大してくる可能性はあると思います。ですから私は、何も税務署に協力するとかしないとかいう問題ではなくして、何らかの形で今後税の公平な課税のあり方をどうするかという、行政のあり方をどうするというような問題についての、団体をつくるのがいいのか、あるいはどこでどうすればいいかということは、もっともっと検討しなければいけませんが、仮に最近言われている税理士会、たとえば商工会に税理士の顧問者みたいなものを置いてそこで処理しろというような議論をするのがいいのか、あるいはもっとたとえば、市町村なら市町村の段階で把握するものをきちっとさせるか、いろいろな方法があると思いますが、そういったものをもうちょっと工夫しないと、このままいきますと、一つの例でありますけれども、私の関係しております千葉県なんか見ますと、千葉税務署に何か去年の例の住宅貯蓄控除ですか、あれができたために、申告した人が四千人もふえてしまったというようなことを言っております。そうするとそれが事実かどうかチェック自体ができなくなってしまうというようなことで、非常に不公平な問題が起きますから、私はそういうようなのはむしろ事務的には市町村なら市町村に任せるとか何かそういう方法でもとるか、何かしないと、これはえらいことになるんじゃないかという感じを受けます。もちろんそれに対するほかのいろんな制度的な問題もあるだろうと思いますが、できるだけ公平な課税という問題は、これはただ単に国税庁に任しておけばいいという問題でもなかろうというふうに考えております。
#87
○近藤忠孝君 いまのように納税人口がふえることがいろいろな見方はあるにしても、どうしてもそういう一つの団体をつくり、あるいは常時税務署と一定の関係を持っていくという、こういう団体ができてくる。これは一面では必然的な動きでありますし、また一面では税務署がかなり真剣に一生懸命そういうものをつくろうとしている、こういう事実もあるわけですね。そのことが逆に今度は納税者の権利侵害という面もありまして、事際現場ではいろいろ問題があるようです。と同時にこの問題は、そのように税務署が一生懸命やる面から見ますと、付加価値税実施の一つの前提事実をこういった形でつくり、徴税をしやすいようにするんじゃなかろうか、こういう疑問も出てくるわけですね。この点で友末参考人それから西尾参考人、どのようにお考えかお伺いしたいと思います。
#88
○参考人(友末洋治君) 先ほども干触れましたが、間接税というものの地位をもう少し重くしたらどうかと、全体を通じてそういう感じがいたしております。どこにその財源を求めるかと詰めていきますというと、やはり付加価値税の方向にいかざるを得ないんじゃないかという気持ちが私個人としてはいたしております。ただ、付加価値税には利害得失がいろいろございます。それで前提として多少考えなければならない多くの事柄がございます。
 一つは、まず国民のコンセンサスを得るということが必要でありまするし、それからいま一つは、福祉財源充実のためにのみこの付加価値税を設けるというようなことでは、国民はとうてい納得しないだろうという感じがいたします。
 それから、現在の納税者として一番不安は税金のむだ遣い、これが中央、地方を通じて大変大きいんではないかという気持ちを強く持っております。そこで、行財政の硬直化を打開いたしまして、そちらから思い切って財源をしぼり出す、これもなかなか容易なことじゃないと思うんですが、ある程度時間をかけても既定経費、これから財源をかなりしぼり出す。一面足らざるところを付加価値税で、軽い税でもって福祉に協力していただくというふうなことを考える。そうしませんというとなかなか国民の理解と納得は得られないという気持ちがいたします。
 いずれにいたしましても、これから先必要な福祉にも限度がございまするけれども、国民に納得してもらうためには税金のむだ遣いをなくし、そちらからも財源を出していただく、足らざるところを軽い付加価値税で補てんをしていくということ以外に方向としてはないんじゃなかろうか。しかし、それには相当の準備を要する、一朝一夕にはできない、かように考えますると同時に、国民の生活必需品、これにつきましては付加価値税はでき得ればかけない。かけるとしてもほんの申しわけ的なものにする、さような考慮がぜひ必要じゃないか。しかし、そこまで税調で審議が進んどるわけじゃございません。これから福祉財源をどこからどういうふうにしてしぼり出すかを検討すべき段階に来つつあるということだけを御了承いただきたいと思います。
#89
○参考人(西尾祐男君) いまのお話でございますが、実はこういうふうな形で納税人口がふえてくれば、すぐそのまんま付加価値税の方向にいくんじゃないかというようなことも、もちろん税理士会なんかでも言っている人もおりますし、付加価値税自体については税理士会では反対だということを、現在そういうことを主張しております。しかし、よく考えてみますと、付加価値税というものはどういうかっこうになるのか、あるいは外国の例のようなことを考えているかどうかということが明らかでないものですから、いまの段階で、絶対反対という――言葉自体絶対反対というようなことを言っているだけでも解決しないと思います。
 そこで、いまたとえば私は、物品税なら物品税のあり方というものを見ておりますと、最近ちょっと聞いた話では、いま三十万円以上の毛皮のコートというような物をかなり着ている人があるんですが、あれが昭和四十八年と四十九年ですと、四十八年に三百億円ぐらいの売り上げがあったそうですが、それが四十九年になると四百五十億円ぐらいの売り上げにふえているそうです。ですから、相当大きな商社はほとんど毛皮の輸入ということにかなり去年は力を入れているようであります。ところが、これに対して、物品税、たしか私ちょっと見ますと、一五%ぐらいしか取ってないようですが、こういった階層が買えるような物というのは、もっと物品税を上げてもそう問題にならないような感じを受けます。ですから、もっと手を打てるものを、財源を探すという意味では手を打てる方からまず打っていただきたいというふうに考えます。
 それからもう一つは、どうも政治のあり方というか、日本の仕組みというか問題があるんですが、予算とこの税の審議というものが全然別にされておりますから、こういうやり方でいきますと、予算案が通って、どうしてもそれだけ取るためには税金を決めなきゃいかぬというようなことで、逆のやり方にいまなっておりますから、そこで、どうしても、できるなら予算案と一緒に税の方も議論するいうようなかっこうに、国会自体がなっていかないと、どうも、それがいいのか悪いのかと言われても、もう予算は通っちゃった、それに合わせるために税金取らにゃいけないというようなことをやっておったんでは、なかなか国民としても税制がいいのか悪いのかということがはっきり納得できないと思うのです。私は、できるなら予算の中でこういう税金が必要なんだということが明らかであれば、協力することもできるだろうと思いますけれども、いまのような形では若干問題があろう。だから、新しい税率というものをもし創設するならば、もっといまの国会のあり方自体も検討する必要が出てくるのじゃないかと思っております。
#90
○理事(山崎五郎君) この際、委員の異動について報告いたします。
 本日、藤川一秋君が委員を辞任され、その補欠として最上進君が選任されました。
    ―――――――――――――
#91
○栗林卓司君 時間が限られておりますので、貝塚参考人に一つ、それから西尾参考人に一つお伺いして私の質問終わりたいと思います。
 最初に、貝塚参考人にお尋ねしたいのは、先ほど御見解の中で、減税については工夫をしたらどうか。で、低所得層に減税を集中するようなこと、まあたとえて言うと、下から四〇%ぐらいを一つのめどにしながらしてみたらどうか。実は私もよく考えながらいい知恵が浮かばないのでお尋ねしたいと思うのですけれども、一番下から見てまいりますと、生活保護を受けておる者は大体七十万くらい、年によってそう違っておりません。四十八年の数字を見ますと、給与所得は受けているのだけれども、税金の対象にならぬ、これが四十八年で四百四十万人。納税はするが、年収百万未満が八百十万人。生活保護世帯をおくとしても、給与所得を受けながら税金を払わない者、払っているんだが年収が百万円以下の者、これを足しますと全体の三八・五%、ほぼ四割。そこでこの層について減税といっても、たとえば五十年の場合、百万円以下ということになると、独身者が一万九千円、月額にして千円ちょっと取られているだけで、夫婦者も一夫婦子二人も全然かからない。そうなると、減税で対処しろといっても、もとが小さくなっちゃっている。これは一体どう考えていったらいいのだろうか。あるいはおっしゃる意味が、そうじゃなくて、百五十万か二百万ぐらい、夫婦子供二人ぐらいを対象に考えろという御趣旨に読みかえてみても、五十年の税改正で二百万として夫婦子二人が一万一千円ですから、月額千円に満たない。そう考えていくと、このインフレの中で、その下の層の暮らしをどうするかというと、所得税は力を失いつつあるのじゃないか、減税で工夫をする余地がなくなってきたのじゃないかという気がするものですから、この点についてまず貝塚参考人の御見解を伺いたいと思います。
#92
○参考人(貝塚啓明君) 確かにおっしゃるとおりだと思いますが、私が申し上げたかったことは、現在の減税の仕方が、基礎控除を上げますと全部の階層まで及ぶわけですね。それをあるところで切ってしまうということなんです、ですから、具体的に言うと、要するに中間の所得者から低いところあたりをねらって。で、所得税でやれることはそれしかできない。しかし、先ほどいろいろ問題がありまして、自然増収の余地がだんだんなくなってきている。そうすると減税というのはやはりやり方を変える必要があるのではないか。それでできることはどこまでかといいますと、いまおっしゃった御質問のとおりだと思いますが、ただ所得税の課税の最低限以下の人々をどうすべきかということは、これは社会保障制度の方の問題でありまして、まあ一つの考え方としては負の所得税の話が、構想がありますが、ただ日本で負の所得税がすぐできるかといいますと、これは諸外国でもまだほとんど実施はしておらないのですが、日本の場合、これはどうしても所得税の把握と同じような問題が起きまして、下手をすると、かなり所得があるにもかかわらず、社会保障を受け取っているという人が出てくる可能性がありますので、そこをうまくチェックして、できればまあ負の所得税的な提案をすれば、いま御質問にありましたように、課税最低限以下と生活保護の間の谷間の人々といいますか、そこに手が届くのではないかと思いますが、これはしかし、かなりむずかしい問題であるとは考えますけれども、そういうやり方が一番……。
#93
○栗林卓司君 わかりました。
 では、友末参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、五十年の所得減税について昨今の物価情勢というものを考えてという御説明がございました。で、政府の提案ですと、この物価問題への対応ということとあわせて、総需要抑制策との兼ね合いということが必ず出てくるわけです。それを冒頭おっしゃいませんでしたから、さすがに正確に言葉を使われているなという気がしたんです。それで念のためにお伺いするわけですけれども、どういう景気対策を打つのかというのは、税だけが手段ではありませんし、それから物価と暮らしとの関係も税だけが手段ではございませんから、行政府としての総合的な、いわばポリシーミックスが要求されてくる。そういったところまでは政府・税調は守備範囲としてお考えになっていないんじゃないかという気がするんです。もう片側では、どれぐらい財政需要があるか、それもよく考えてみると、政府・税調の守備範囲ではない。したがって、大人の議論としてはいろいろ右も左も見はするけれども、税調とすると中立に徹するべきではないか。先ほど思い切った行財政の改革をやれという御主張もございましたけれども、これも一財政需要があろうとなかろうとおれは知らぬと、問題はどういう税制が骨格としていいのか、そこに徹して政府・税調は議論するんだというお立場ではあるまいかと思いますが、この点お尋ねしておきたいと思います。
#94
○参考人(友末洋治君) 御承知のように、税制も財政の一環でございまして、税制だけで物事を考えるということはどうしてもできませんです。財政、経済全体をにらみながら、その上に立って税制はいかにあるべきか、どれが重要でどれが先かということを考えていくのが筋だと思います。ただ御承知のように、いまは非常な大きな変動期でございまして、いつもならば社会経済発展計画というものが実はがっちり国全体としてできているのでありますが、五十一年から手をつけてそれをつくるということで、実は全体の総論というものを検討しながら税を考えていくまでに全体が進んでいなかったというのが実情だと思います。そこでどうしても現実論として、総需要を抑制し物価を抑えていく、インフレを抑えていく、これは何をおいても国民的な課題であり、国家的な最重要の課題であるから、それに役立つような方向で税をうまく考えていく、総論はそのくらいな程度にして、各論に重点を置いた税になってくる。したがいまして、今回の税制改正には、目玉がないと言えばない、あると言えば少しぐらい、医師の特例を廃止するとか、あるいは利子とか土地、このくらいのものが、片目ぐらいな目玉の税と、こう申し上げてよろしいんじゃないかと思っております。
#95
○野末陳平君 途中用事がありましてちょっと中座して申しわけありませんでした。
 それで全部いままでのお話を聞いておりませんでしたので重複があったらお許しいただきたいのですが、サラリーマンの必要経費ということがいまだにまだくすぶっていまして、この点もいつかすっきりさせなきゃならないんじゃないかと、こう思っているんですが、まず参考人のお三人に、皆さんにお聞きして多分時間が終わっちゃうと思いますが、いまの給与所得控除と必要経費の関係、関係というか、考え方ですね、一体給与所得控除は必要経費なのか、それとも含まれているものなのかどうか、その辺二、三年前といまとではまた少し考え方が違っているんじゃないか、こういうふうに思いますから、まず最初は、給与所得控除と必要経費という問題についてそれぞれのお立場でどうお考えになっているかということ。
 それから源泉徴収じゃどうも困るという声も一部にあるようですけれども、じゃ現実に実額控除と、いまの概算控除と二本立てにして選択してもいいというふうに踏み切るのがいいかどうか、そういうことはぼくは現実にどうもできないんじゃないかという気ももちろんするんですけれども、まあ選択制にして果たしてそれがやれるものかどうかというのが二番目。
 で、三番目は、現実に必要経費をサラリーマンに実額控除で認めるというふうに考え方した場合に、恐らくいまの給与所得控除を上回るだけのものを出せる職業というのはそんなにないのかもしれないというふうな気もしたりしてその辺がわからない。特に西尾参考人には、ですから、そういう職業的にその辺のことをいままでの経験で何かお感じになっていることがあればまたお話ししていただきたい。
 それで最終的には、これはこういう席で言っていいかどうかわかりませんけれども、サラリーマンにとっては必要経費を実額で認めろというやり方をかち取るのが得なのか、それとも、いまのままで給与所得控除にしておいた方が現実に得なのか、その辺のこともちょっとぼくらには何ともわからないんです、実務的な面から。考え方としてやはり実額控除をしろと、そうでなければ困るのだという人がかなりいるとすれば、やはり選択制が望ましいんじゃないかと思ったりして結論が出ないので、その辺三つまとめてお聞きしますので、どれでも構いませんが、ひとつ順にお答えいただきたいと思います。
#96
○参考人(友末洋治君) ただいま御質問の点は、税制調査会としてはいつも出る問題でございます。もう一つ出るのは、サラリーマンの重税感が非常に強い、他の納税者と比較してサラリーマンには非常に重税感が強い、したがって、減税はサラリーマンを重点にすべきだと、しかも、他の方面はかなりごまかし――ちょっと言葉は悪いのでありますが、ごまかしはかなりきくけれども、サラリーマンはもう根っこから源泉徴収で取られてしまう、取られるという言葉が使われるんですね。まあ、そういう気がするのももっともだと思います。きれいに持っていかれる。そこで減税はサラリーマン重点というのが税調の大体の空気でございます。
 そこで、おっしゃるように、果たして必要経費というものが現在控除されておるかどうかいろいろ議論になるのでありますが、やった末はやっぱり必要経費を控除されておるというのが税調の大体の意向でございます。したがいまして、選択制度の問題もございまするが、まず、選択制度をとるべきだというところまで税調では進んでおりません。現在のところで大体必要経費は十分に控除されておるというのが税調の大体の意向であるというふうに御了承いただきたいと思います。
#97
○参考人(貝塚啓明君) いまの必要経費の問題でありますが、現在の給与所得控除は、一つは必要経費と、それからもう一つは普通クロヨンと言われております所得の把握の差でございますね、それを考慮してくれ、ですから、主として個人業種所得に関して所得の把握が不十分であるということが言われておりまして、サラリーマンの方は源泉徴収でばっさり取られる、そこで把握の差があるから、サラリーマンの方に対しては、勤労所得に対しては少しハンディをつけるというふうな二つの要素から成り立っていますが、どちらがどれぐらい重要かというのは、これはかなりむずかしい判断の基準として、計数的にめどがはっきりついているわけではないと思うんです。まあ、大体私は大ざっぱに言えば半々ぐらいだろうというふうな感じを持っておりますが、それから実際に申告をしてやったらどうかということですが、これはどうも実際に経費を実額控除するときというのは一応ちゃんと証拠がないとだめなわけで、そうするといろんな領収書とかその他を集めてきっちりやらなくちゃいかぬわけですね。それにかかる手間というのがかなりあるんじゃないか。ですから、その手間と、ばっさり給与所得控除で引いてしまうのと、どちらがいいかと申しますと、やはり私は、給与所得控除の方を上げていく方が簡単ではないか、その方がサラリーマン全体のためには、みんなにとって、話は非常に簡単でありますから、その方が手間がかからずに済むのじゃないかというふうに思っています。
#98
○参考人(西尾祐男君) 実務的に言いますと、確かに源泉徴収、徴収されっぱなしの方が楽の場合もあるわけですが、しかし、納税者というか、途中で、たとえば病気になったりなんかして、医療費というものは後で払うというふうなかっこうになると、その年に、その段階ですぐその翌月から源泉徴収だけは同じように取られているというふうなことで、その辺の調整がされないために、非常に税金は重いというような感じを受けている人もいるわけです。ですから私は、特に必要経費論というものを余り議論ばっかりしておっても、人によって違うわけですが、特別に、たとえばそれ以上にかかわるような人があるとすれば、選択制というよりか、申告、最終的に調整を、年末調整で終わるんだということを原則にしておっても、なお自分で年末調整して以後も、自分の方で申告できると、申告した方が得だという人があれば、これは申告させたっていいと思うんです。そういうふうな制度をとっておきますと、不満もある程度解消できるんではないかと。
 それからもう一つは、年末調整自体に対する異議の申し立て制度というものが仮にありますと、これはできると思うんですが、そういった配慮も何もなく、ただ年末調整に対する、個人の場合は源泉徴収に対する異議の申し立て制度というものもありませんし、そんなふうなことは、やはり今後非常に多様化してくる納税者の要求というもの、不満というようなものを解消する方法は幾つか考えられると思います。ですから、いまのままでいい人と、もっと積極的に何かとれと言う人と、いろいろあると思いますから、それらのことについては、税調の中でも、あるいは税調じゃなくしても、こういった機会をつかまえてできるだけ細かい議論をしていただければ、もつといい方法が出てくるんじゃないかというふうに考えられます。
#99
○理事(山崎五郎君) 参考人に対する質疑はこの程度といたします。
 参考人の方々には、本日お忙しい中にもかかわらず、御出席をいただき、貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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