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#1
第075回国会 大蔵委員会 第14号
昭和五十年三月二十八日(金曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桧垣徳太郎君
    理 事
                河本嘉久蔵君
                山崎 五郎君
                辻  一彦君
                鈴木 一弘君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                嶋崎  均君
                中西 一郎君
                鳩山威一郎君
                藤川 一秋君
                細川 護熙君
                吉田  実君
                大塚  喬君
                寺田 熊雄君
                野々山一三君
                吉田忠三郎君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   三木 武夫君
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       大蔵政務次官   梶木 又三君
       大蔵大臣官房審
       議官       後藤 達太君
       大蔵省主税局長  中橋敬次郎君
       大蔵省関税局長  吉田富士雄君
       国税庁直税部長  横井 正美君
       自治大臣官房審
       議官       石見 隆三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       厚生省保険局医
       療課長      田中 明夫君
       林野庁林政部林
       産課長      下川 英雄君
       水産庁研究開発
       部漁場保全課長  山内 静夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○大塚喬君 昨日の質問に続いて本日質問を続行いたしたいと思いますが、主税局長との問題は、また午後ひとつじっくり時間をかけて……。ただ初めに大臣にお尋ねをいたしたいわけですが、きのう、主税局長の答弁の際に大臣もおいでになりました。それで、具体的なことは主税局長とまた質疑を重ねたいと思いますが、今度の一環の、税法改正の中で「利子・配当課税の適正化」ということで税法の改正がなされておるわけですね。その利子・配当所得の分離選択課税制度、これが今回二五%の税率を三〇%に引き上げたと、こういうことに内容はなっておるわけでありますが、きのうの主税局長の答弁からしますと、「適正化」ということをこの法律改正の中に盛り込む、こういう趣旨は全然ないのではないか。このことがきのう私どもが主張いたしましたようなことで、どうも現状にそぐわないというか、適切でないということで、今回の改正があったものと私どもは理解をいたしておるわけでございますが、この点について大臣はどのようなお考えでございましょうか、初めにお聞かせをいただきたいと思います。
#4
○国務大臣(大平正芳君) 利子・配当につきましては、かつて無税から低率の源泉分離課税にまいりまして、それからさらに源泉選択に行きまして、しかも、それを相当高率のものに持ってまいりました。今度御審議をいただいておりますのは三〇%でございます。この分でまいりますと、千五百万円ぐらいの年所得がある方の負担、所得税負担ぐらいの負担が、利子・配当の受領者にかかるということになると思うのでございまして、われわれといたしましては、いわば適正化の方向、改善の方向に相当大胆な歩武を進めさせていただいておると思っておるんでございます。もとより、本則から申しますと、総合課税でまいるのが当然なことでございまして、いまわれわれがとっておる道は、完全な道ではないことはよく承知いたしておるわけでございます。したがって、そういうことは十分われわれも自覚いたしておりまするけれども、改善、適正化の方向に進んでおるというように御評価をいただきたいという意味で、「適正化」という言葉を使わしていただいておるわけでございます。
#5
○大塚喬君 私も「適正化」という言葉が、一〇〇%か一〇%か、そこのところは別にいたしまして、若干の前進があったということは認めるにやぶさかではありません。改善の方向に向かっておると、一応五年間というような期間延長の問題もあることはありますけれども、これをゼロだということには考えておらないわけでありますが、きのうの主税局の答弁だというと、毫もこういう必要はないんだと、いまの現状から、税法がいままでずっと変遷をし、改正をされてきた趣旨を考えてみれば、主税局長の答弁というのは、どうも強弁に過ぎると、私はどうしてもそのように受け取らざるを得ないものであります。この問題は午後、ゆっくり時間をかけて主税局長とひとつ質疑をいたしたいと思います。
 次に、大臣にお伺いいたしますが、いわゆる架空名義預金、前回にも的確な把握ができないということの理由の中に、架空名義預金ということが出てまいりました。大臣として、この架空名義預金はそもそもどんな理由で存在をいたしておるとお考えになっておりますか。ひとつ大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。――大臣からひとつ、そういうことですから、数字的なことじゃありません。
#6
○国務大臣(大平正芳君) 大変むずかしい御質問でございます。これは当の金融機関もよくわからないようでございます。わが国の実際におきまして、一つの慣行でございまして、預金者側におかれて、自分の預金の所在を外からは知られたくないという心理、それを分解すればどういう心理なのか、いろいろなことがあるのではないかと思いますけれども、これは憶測にわたると思うのでございますが、まあ、正確に言いますと、わかりかねますと答えるよりほか道はないと私は思います。
#7
○大塚喬君 次に、無記名預金について大臣にお尋ねをいたしますが、現在無記名預金はどのような目的でどのように利用されておるとお考えでございましょう。
#8
○国務大臣(大平正芳君) これも申し上げたように、みずからの預金の所在を明らかにしたくないという気持ちからでございましょうが、これは公に一応オーソライズされた方法ではございます。ただ最近、幸いにいたしまして、漸次各金融機関にわたって見ておりますと、傾向として、だんだんと比重が落ちてきておりますことは好ましい現象ではないかと考えておりますが、しかしいずれにいたしましても、一兆二千億という無記名預金が現にあるということ、これをどう処理するかということは、金融政策上相当大問題でございまして、金融秩序を維持し、金融の平穏を担保していく上から申しまして、この取り扱いはよほど慎重にやらなければいかぬと考えております。したがって、非常にむずかしい問題だけに心を砕いておりますけれども、なかなか妙案が出ないというのが実際のわれわれの苦悩でございます。
#9
○大塚喬君 好ましくないということは、いまの答弁で、大臣からもお聞かせいただいて確かにそのとおりと私どもも思います。
 それで、主税局長に今度はお尋ねをいたしますが、税務を担当されておりますあなたの立場から、この架空名義預金、それから無記名預金はどんなものでございましょう。
#10
○政府委員(中橋敬次郎君) まず架空名義預金でございますけれども、これは慣行的にいろいろ生じてまいったものでございます。私どもといたしますれば、やはり預金者としまして真正名義を使って預金をしていただくのが筋でございますし、金融機関もできるだけそういう方向で協力をしてもらいまして、とかく帰属が明らかでない預金の存在というのが一日も早くなくなることを念願いたしておるわけでございます。
 それから、無記名預金につきましても、戦後早々貯蓄が非常に重要であるということから設けられた制度でございます。その後そのウェートも非常に小さくなってきておりますから、預金としまして、あえて無記名というものの存在を認める必要があるかどうかということを当局において御検討いただきたいというふうに思っております。
#11
○大塚喬君 私は、特に税務、徴税という立場から、いままでの国会、この委員会の審議の際にもしばしば当局の方からこの租税特別措置の必要性、五年間の延長という、こういう問題について答弁の旨に出されてきたことを承知いたしておるわけですが、主税局長として、この二つの預金についてメリット、デメリット、いまかすかなお答えのようなことがありましたけれども、もう少しそこのところをはっきりお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#12
○政府委員(中橋敬次郎君) 制度的に認められております無記名預金の問題でございますけれども、これはやはりああいった事情のもとに貯蓄増強ということから非常に推進をせられ、またそれなりの効果もあったものと思っておりますが、今日の預金残高の中において占めます無記名預金というものはもう非常に小さくなってきております。果たして、そういう制度を持たなければならないかということを、貯蓄を推進するという立場からも再検討の時期に来ておるんではないかというふうに実は私どもは思っておりますけれども、それはまたそれぞれの当局で御判断をぜひやっていただきたいと思っておる次第でございます。
 それから、架空名義預金でございますけれども、これはいろいろ税務の執行面におきましても、私どもが遭遇をいたしまして、その解明に非常に苦労をする事例がございます。そういう場合に、やはり何といいましても、預金元本を特に第三者、その中でも一番税務関係者にやはり知られたくないという気持ちがあるのが、そういうものを発生させました大きな原因ではないかというふうに思いますけれども、中には、税務調査の際に発見されました架空名義預金の存在を、親子の間でもともにその存在を知らなかったといわれるような例もまたあるということでございまして、かえって紛糾を来しておるというようなことも、まれではございますけれども、私も実際に現に遭遇したこともございます。そういうことから言いましても、やはり真正な名義をお使いにならないと、万一のことがございましたときに、後で非常に親族間においての争いが出る、あるいは金融機関との間においても紛議を生ずるということでございまするから、税務ということを離れましても、やはり私は架空名義というものはできるだけたくなった方がいいんではないかというふうに思っております。しかも、それを一体どういうふうな体制でもって確保するかということになりますと、なかなか私どもの知恵では十分のことが考えられませんけれども、外国におきましては大体サインというものが基本になっておりますし、それから余り、定期預金にそんなにウエートをかけないというのも一つの実情ではないかと思いますが、一つにはまだ小切手取引というのが非常に流布をいたしておりますから、真正な名義でもって口座を開設するという習慣が非常に長年の間に醸成されておることも事実のようでございます。わが国にしますと、なかなかそういった雰囲気というのがまだまだ遠いのでございますけれども、だんだんそういうふうに預金者の側においても真正名義をもちろん使うというふうにしなければなりませんし、金融機関の方でもできるだけ架空であるというようなことがわかりましたときには、真正名義に切りかえるというようなことについての協力もしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#13
○大塚喬君 いま、大臣と主税局長からそれぞれの答弁をいただいたわけでありますが、それぞれもう改善というか、そういう検討の時期に来ておると、こういう私は受けとめをいたしたところでございますが、担当の銀行局長に、先ほどの同じ質問になるわけでありますが、租税特別措置の問題を審議する場合に、どうしてもこの問題を避けて通ることはできませんので、重ねてひとつお伺いをいたします。架空名義預金はどのような理由で、現在存在しておるのでしょう。担当者からひとつはっきりしたお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#14
○政府委員(後藤達太君) 架空名義預金の実態の方は、先ほど大臣がお答えしていらっしゃいましたように、なかなかいろいろなバラエティーがあるようでございまして、具体的にどういうことであるかということを正確に把握しているわけではございません。実は私どもが検査等で遭遇した場合に気がつきますのは、これは税務と限らず、預金の存在を人に知られたくない。ただいま主税局長のお話にもございましたが、家族間でも秘密にしておきたいというような、預金者の心理の方の働いておる要素が多いようでございます。それがちょうど日本の場合には、サインではなくて印鑑を使う、こういう商取引のたてまえでございますので、そこでそういう慣行に乗りやすい、そういう慣行があるものでございますから、架空名義預金というものは発生しやすいということで起こっておることのようでございます。で、私どもとしましても、架空名義預金につきましては、銀行との取引関係、あるいはその他の取引関係におきましても、大変これは問題の起きやすいことでございます。したがいまして、ぜひともこれは絶滅をいたしたい、こういうことで金融機関に対する指導はいたしておるのでございますが、ただマル優預金のように、財政上の恩典のございますような場合には、そこは強くその本人の確認、こういうことをする手続をとるのでございますけれども、そうでない一般のお客さんになりますと、なかなかそこを強行的にやることが事実問題としては大変むずかしい。したがいまして、預金者の方で協力する姿勢を示していただきませんと、なかなかその絶滅することがむずかしいような現状でございます。ただしかしながら、放置しておくべき性質のものではございませんので、四十二年以来いろいろ通達を出し、あるいはいろいろな方途を講じてまいっておりますが、さらにまたこういう御指摘もございますことでございますので、金融機関に対しましても、さらに新しい知恵はないか、もう少しこれを絶滅するために具体的なうまい方法はないだろうかと検討を命じ、またわれわれも研究を続けておるところでございます。
#15
○大塚喬君 それでは、無記名預金についてですが、これは昭和二十二年に戦後の膨張した通貨を吸収しようということで設けられて、一たん、これは昭和二十四年ですか、廃止になり、また設けられた。
  〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕
で、現在この制度の必要性、それから利用の状況、それからその目的を銀行局としてはどのように把握をされておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#16
○政府委員(後藤達太君) 無記名預金の方でございますが、まず利用状況の方から申し上げますと銀行、相互銀行、信用金庫合わせまして、最近では残高が一兆二千四百億ほどに相なっております。なお、このほかに金銭信託で無記名扱いのものが四百億ほどございます。総預金の中で占めますウェートは、先ほどお話もございましたが、一%強という程度で、かなりウエートは落ちてきております。戦争直後に始められましたときは、銀行の定期預金の半分以上が無記名預金というような時代がございましたが、これは年とともにウエートは低下をいたしてきております。
 そこで、その必要性という点でございますが、この制度の始まりましたのが三十年前に始まりましたものでございまして、その趣旨はやはり貯蓄の増強を図りたいということでございましたが、その貯蓄の増強という趣旨につきましては、いまもその必要性は変わっていないんではないかと存じます。ただ、世の中が正常化されるに従いまして、そういう形での貯蓄というもののウエートが減ってきておるということだと存じます。ただ、今後の問題といたしましては、先ほど大臣が御答弁になりましたとおりと私どもも思っておりますが、これをどういうふうにしていくかという点につきまして、私どもとして検討しなければならない点は幾つかあると存じております。一つは、ただいま申し上げましたこの制度創設の趣旨、つまり貯蓄増強の必要性という角度から見て問題があるのではないかという点でございます。
 それから、無記名の預金というのは外国にも余り例はございませんけれども、しかし、外国の場合には有価証券投資というのが非常に多いわけでございます。日本の場合でも有価証券は原則として無記名でございます。そういうものとの金融資産相互の関係、バランスというものをどう考えるか。
 それからもう一つ申し上げますれば、架空名義預金という方が私どもとしては一番問題がある、一番いけないことだと思っておりますが、無記名預金を廃止いたしますと、先ほど申し上げましたような事情でございますので、架空名義の方へ追い込んでしまっては、これはもっと悪いことになる、その防止策を十分考えておかなければいかぬのではないか、そのような点につきまして十分検討いたしましてまいりたい、今後の方向を決めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#17
○大塚喬君 いまの答弁で、やっておると、こういう答弁でございますが、実際は口とやることとそれほど一致しておらないんじゃないですか。
 いままでのとられた措置を、いま歴史的なずっと経過を調べたわけでありますが、実際には、昭和四十二年十二月五日に、全銀協会長発の通牒が各地――これは地方銀行の意味だと思うんですが、各地銀行協会、それから東京社員銀行代表者あてに出されておる通牒があります。その期日から後に、これは大蔵省銀行局の通牒が昭和四十二年の一八五四号、各財務局長あての通牒が出されておるようであります。その通牒の内容を見てみますと、これで本気になって大蔵省が、銀行局がこの問題に取り組んだという姿勢は毫も見当たりません。この二つをしさいに検討いたしてみますと、「取引の安全性を確保するため、これを受入れないことを原則とすべきである。」という全銀協会長発の通牒、そしてこの銀行局の方の通牒は、「了知のうえ店頭掲示等が実行されるよう指導されたい。」と、こういう中身の通牒であります。引き続いて銀行協会の方の通牒が、架空名義預金に関する店頭掲示に関して五回ほどなされておるわけでありますが、いずれもその中身は同一趣旨の内容であります。その店頭に掲示してある文章と申しますのが、「おねがい」ということで「毎度お引き立てにあずかりありがとうございます。ご預金をしてくださいますときに、架空のお名まえなどをご使用になりますと、後で、面倒な問題がおこる場合もあるかと存じます。」、こういう内容であります。これで本気になって――大臣お笑いになっていますけれども、現実にそういう通牒が再三再四出されているんですよ。そういう店頭掲示がなされているんです。これで本気になって架空名義預金を撲滅すると、こういうそれぞれの趣旨の答弁をいただいたわけでございますが、本気になって銀行局はこの問題に取り組んでおられるんですか。今後具体的にいまおっしゃった趣旨をどうやって実現しようとなさるんですか、お聞かせいただきたいと思います。
#18
○政府委員(後藤達太君) 四十二年以来通達を出しいろいろ指導しておりますやり方につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。ただ、私ども大変実は苦慮をいたしておるのでございますが、架空名義預金が発生いたします状況というのが、先ほどもお話が出ましたように、いろいろ預金者によりまして事情が違うわけでございます。銀行の店頭で一生懸命になりましても、そこにはおのずからどうしても限度がございます。したがいまして、これをどういうふうにしたら預金者の協力が得られ、こういうことがなくなせるようになるかということをただいま改めてまた引き続き検討をいたしておるところでございます。ただ、なかなか、そういう実情でございますので、ただいまのところ御報告申し上げるほどいい知恵が出てまいっておりません。
 ただ、従来までの私どもの指導姿勢といたしましては、先生の御指摘のようなことでございますが、さらにこのほかに、一般的に銀行に対して説教をしておりましてもなかなか始まらないものでございますから、検査のときなどに具体的に個々のケースに当たりまして、そういうことをやっていないかどうか、あるいはやっておるとすれば、そういうことがどういうことで起こっておるかということを検査をいたしまして、これは私ども銀行に対して改めての指示はいたしております。それが実はなかなか預金者の方での協力が得にくいというところが一つのわれわれの悩みの原因でございます。さらに、ただいまのような御指摘もいただいておりますので、今後も具体的なうまい方法を、どういうふうにしていくかということを一生懸命勉強をいたしたいと存じております。
#19
○大塚喬君 実際は、架空名義預金、無記名預金が、これほど国の手厚い保護を受けておる、きわめて公共性の高い金融機関で存在しておる。しかもその機関が、それからその預金が、脱税の具に使われておる。これはどう考えてもおかしな話だろうと思うわけであります。現実に、この架空名義預金、それから無記名預金が担保に使われて、資金の貸し出しが行われておるということ大臣御存じですか。こういうことの場合に、一体こういう制度が今後、いまお答えいただいたような、時期も明確でないきわめてあいまいな答弁で見過ごされていいものかどうか。私は大変憤りさえ感ずるわけでありますが、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#20
○国務大臣(大平正芳君) 大塚先生の鋭い倫理的な御感覚は敬意を表しますが、実際の経済政策、金融政策をやってまいる上におきまして、私ども、そういう倫理性と同時に、また現実性と申しますか、も考えておかなければならぬのじゃないかと思うんです。つまり金融機関にできるだけ金が集まる、そしてそこからファイナンスをされるというシステムが近代国家の姿でございまして、金が、金融機関でなくて、たんすの引き出しや机の端にあるロッカーにしまい込まれておる姿では、とても本格的な経済政策、金融政策はできないと思うのでありまして、まず銀行とか正規の金融市場に金を受け入れることを考えにゃいかぬ面も同時にあるのであるということを配慮、そういう配慮もあるということを御理解いただきたいと思うのであります。で、銀行局の指導というものが非常になまぬるいということでございますが、がみがみ怒るばかりが芸じゃないのでございまして、やっぱりおやじさんががみがみ怒るのが子供を諭する場合に有効適切かと言うと、まあお母さんの憂いを含んだ涙というものも、やはり非常に琴線を打つものであるというようにも思うわけでございまして、いずれにせよ、正規の流れに金が集まるということをやっぱり保障していかなければならないのではないかとわれわれは考えておるわけでございまして、で、人間、そういう場合に預金者が、この預金は人に知られたくないんだという心理というものも一概にこれ、おまえは不心得者であると言うてたたき出すというわけにはなかなかまいらない面があるわけでございます。
  〔理事山崎五郎君退席、委員長着席〕
したがって、その方の自覚を促して、結局こういうことをしてもどうという利益もないし、メリットもないじゃないかということを御観念されて、それでだんだんとそういう弊風がなくなるように私は持っていくことが、遠回りのようでございますけれども、実際は着実な成果を上げるのではないかと思うのであります。
 そういう面もありまして、なかなかあなたの言われる潔癖な倫理水準から申しますと、お気に召さぬ点が非常に多いと思いますけれども、そういう配慮もいたしておるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、同時に銀行局と主税局というのが両方控えておるわけでございますが、こちらの方はできるだけ、非常にいま大塚委員の言われた方向に近いんです。できるだけ税源を的確にとらえて、そして税を的確に取らなければならぬという立場の方に傾斜しているわけでございますし、こちらの方はできるだけ金融秩序を平穏に維持していきたいと、金はできるだけ金融機関に集めていきたいというようなことでございまして、大蔵省議というのはいつもそういう考え方の戦いなんでございます。
 そこで、しかし全体として波頭で、波がこうぶつかっておりますけれども、しかしこの潮は引くべきときには引いておるわけなんです。こうぶつかっておるけれども、だんだんと無記名預金でございますとか、あるいは架空名義であるとかいうようなものは、先ほどもあなたに御答弁申し上げたように、比重といたしましてはだんだんと減ってきておると、日本人はだんだんと自覚してきておると、好ましい方向に潮は引きつつあるのではないかと思うわけでございますので、そこらあたりもう少しお気長くお願いしたいと思います。
#21
○大塚喬君 三木内閣はその社会的な不公正を是正するということを金看板にして出たわけですね。で、大平さんは一国の大蔵大臣ですね。成り行きに任せると、こういうことで果たしていいんだろうかと。答弁を聞きますと、大変たとえ話を持ち出して、情的に訴えるようなお話をされますが、一体それでいまの問題を糊塗して、ほおかぶりしていいんだろうか。まあ、子供のお母さんならばそういう情的なものもきわめて必要なものだろうと思いますし、大平さんがどこかの銀行の頭取でもあるなら、いまのようなお話も私はなるほどそういう立場からごもっともということになるわけですが、一国の大蔵大臣の答弁としてはいまの問題はいただけません、これは。こういうことで国民がその三木内閣をいままあ信頼している、何とかやってもらいたいと思っていることは、数々の不公平、社会的な不公正を是正してくれという、やるということを言っておる三木さんに対していま期待を寄せておるわけです。ところが、この問題については、この租税特別措置の問題から入って、いま大蔵大臣が銀行の頭取のような答弁でそういう方に肩を持つということだったら、これはいつになったって、潮が引くように、まあ、時の流れを待つというような、これじゃ政治じゃないんじゃないですか、これは。やっぱりいまの問題については、大臣として、まあ、それは短兵急にきょうあしたというようなことにはならないかとも思いますけれども、そういう問題についてはやっぱり明確に大臣の方針を、今後の方針を明らかにすべきだと思います。重ねてひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#22
○国務大臣(大平正芳君) 仰せになる意味はよくわかるのでございますが、方針を明らかにすることと、効果を上げることとはまた別でございまして、私といたしましては、行政の効果を上げてまいらなきゃならぬと思うのでございまして、方針を明らかにすることであれば、頭のいいやつは何ぼでも明らかにすると思いますよ。しかし、これは実際効果を上げていかにゃいかぬので、行政というのはそういうことでございますので、いろいろなことを考えながら着実に成果をおさめてまいらにゃいけませんので、りっぱなことを言おうと思えばそれはできない相談ではないと思うんです。しかし、私は大蔵大臣なるがゆえに、こういう遠回しなことを言っているのでございまして、評論家であればもっとりっぱなことを言うつもりでございますけれども、その点は実際上の行政の成果を着実に上げて国民に御奉仕せにゃならぬという厳しい私どもは義務を持っておるわけでございますことを御理解をいただきたいと思います。
#23
○大塚喬君 先ほどの答弁で、現在一兆二千四百億ですか、そういうことで全体の一%というようなそういう数字も挙げられました。で、そのことはもう次第に減少してきておる、まあこういうことで、銀行という立場から預金は少しでもよけいにいただきたい、これはもう私もわかります。それから、そういうことが資本の増強ということにつながるということもわかります。ですけれども、若干のそういうことでデメリットがあったにしても、そういういま社会的に不信の的になっておるこれらの問題についてはもっと明確にする。それからそのことがやっぱり今後どういうところで具体的な方法を検討し、いつごろの時期を目指してこれの実現を図るんだと、こういうようなことが答弁の中で、大臣としてお考えいただいて当然なことではないか、こう考えるわけでございます。重ねてひとつ。
#24
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりだと思います。したがって、たとえ話ばかり申し上げて恐縮ですけれども、要するに腫物を切り取る場合に、かゆいからできるだけ早く切り取りたいと思うんですけれども、まあこれ少ししんぼうしておいて、かさぶたが大分乾いちゃって、それを切り取っても差し支えないまでじっと待つということの方が早いか、それともかゆいときに切開してからうみを取った方がいいかということを考えてみた場合に、私はいまの無記名預金でございますとか、あるいは架空名儀の預金でございますとかいうのは、だんだんかさぶたが小さくなってきておると思うんですが、だんだん乾いてきていると思うんでございまして、ある段階でもうこれは制度はやめてもどうということないのではないかという時が、なるべく早く招来したいと私考えるわけでございまして、その方が結局は人体の健康にはいいんじゃないかと、少しく性急に考えるとやり損ないはしないかというような、いわば心配をいたしておるのがいまの現状でございまして、幸いにだんだんと腫物が大きくなって蔓延しておるんじゃなくて、だんだんと症状がもう固定してきておりますので、もうしばらくのしんぼうじゃないかという感じをいたしておるんです。
#25
○大塚喬君 いまこちらの方で何だかわからない答弁という、そういうつぶやきがあったわけですが、大臣笑っているところじゃないと思いますよ。私もそのとおりと思います。
 具体的に私は三つほど提案をしたいと思うんですが、このような預金を架空名義、それから無記名の預金をなくするために実質上本人の名義の預金にする、そのために住民票かあるいは印鑑証明を付して口座の登録を行うシステムにしたらどうか、この点について大臣どのようにお考えでございましょう。
#26
○政府委員(後藤達太君) ただいま先生の御提案の点もあるいは一つの方法かとは存じますけれども、実際に金融機関にとりましてはお客さんでございまして、そこで、たとえばマル優のような財政上の優遇措置があると、こういうようなものは別といたしますれば、一般にすべてのお客さんに印鑑証明の提示を求めるとか、あるいは住民登録を持ってこさせるとか、あるいはその他の証明をさせるとか、これは窓口事務の関係から見ましても、対顧客に対するサービスという点から見ましても、私は非常に困難ではないかと存じます。先ほど申し上げましたように、そういう困難性がなくて何かうまい方法はないかということをただいまいろいろ研究をしてみておるところでございますが、ただいまの御提案はちょっと現実問題としては大変むずかしいんじゃないかと、こういうふうに考えております。
#27
○大塚喬君 やる気がないということの裏打ちの中でのそういう答弁が私は出てきたものとしかとれないわけです。若干の手数はかかると思います。それから預金額も若干一時的には減少すると、こういうことも考えられるわけですが、ともかく銀行という公共的な機関の中でこのような裏道の存在を許すと、許しておくと、こういうことよりは、はるかにいまのような若干のデメリットがあったにしても、メリットは大きいと、私はそう考えるわけでございます。
 それから次に、第二の提案でございますが、利子の源泉徴収税率、それから分離選択税率を大幅に引き上げることにより利子所得者が総合課税を進んで選択できるような、そういう制度を、そういう環境づくりをしたらどうか、私は一つの方法としてこういうことを考えておるわけでありますが、この点について大臣いかがでございましょう。
#28
○政府委員(中橋敬次郎君) 源泉選択税率をどのような高さにするかということは、これは今回御提案を申し上げておる三〇%でお決め願いますれば、もちろんその五年間の間に、先ほど申しましたような架空名義、無記名預金あるいは名寄せの問題等々を考えながら総合課税の道を模索しなければならないわけでございます。そういう道が一体どういうふうな経過で可能かどうかということを見きわめてこそ初めてそこでわれわれは総合課税の道と、それから源泉分離選択税率というものとのかみ合わせを考えなきゃならぬと思います。おっしゃるような源泉分離選択税率を非常に高くするというのも確かに一つの案であろうと思います。かつてそういう一時期もございました。ただ、私は考えなきゃなりませんのは、源泉分離選択税率の高さと、それから一般の総合を待つための単純なる源泉税率というものとの乖離というのが、やはりその際には、執行面のある程度のめどが立たない限り、やはり非常にむずかしい問題をまたつくり上げるのではないかという心配もございます。いずれにしましても、そういう問題も含めながら今後五年間のわれわれの検討課題だと思っております。
#29
○大塚喬君 次に第三の提案として、まあいままでむずかしいという言葉が先に走って、現実的なことに進まないのを歯がゆく思っておるわけでありますが、現存する架空名義の預金、これを発見した場合に、一定期間内に実質上本人に名義の変更をしない場合架空名義上の人物に贈与が行われたと、これはもう本人の私なら私が大平正芳の名義で預金をしておったと、こういうことになるわけですから、私から大平正芳に贈与したということに、まあ名義上はなるわけであります。で、その場合に、贈与税を、一定期間過ぎたその架空名義の預金には税金をかける。で、そしてその場合に、金融機関は税務当局に積極的に協力するような義務づけを図る、こういうことをやれば、むずかしい、できない、やれないということだけの答弁では、私もどうもがまんがならないし、そうあってはならないと思うものですから、こういう提案を申し上げたわけでございます。具体的にひとついまの問題について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。大平さんに――名義になっているんですからね、いまのここの席では。本当ですよ。
#30
○政府委員(中橋敬次郎君) 第三の御提案になりましたことは、実は、架空名義預金を税務の調査上発見いたしましたときには、もちろんその預金がだれに帰属するかということは究明をいたすわけでございます。それで、現実に第三者に帰属しておりましたときには、またその人はどういう資金経路でもってその預金ができ上がっておるのかということを究明をいたしまして、だれかからそれをもらっておれば、そのもらったという人に贈与税がかかるわけでございます。それから架空名義を使ってやっておるという人に帰属するということがわかりますれば、もちろんその人の資金としまして、一体それがどうしてでき上がってきたのかということで、過去にさかのぼりまして、それだけのものが、たとえば脱税された資金がそこに入っておるのじゃないかということがわかりますれば、もちろんその年にさかのぼって所得計算をし直しまして個人課税をやり、あるいは法人課税をやるということでございまするから、第三の御提案で、税務当局でわかりました限りは、もちろんそれはもうそういう処理をいろんなことでやっておるわけでございます。
#31
○大塚喬君 時間が大分過ぎてしまったものですから、大臣が出席の間にできるだけ質問をし、お答えをいただきたいと思いますので、いまの問題はひとつ、誠意を持って速やかに実効が上がるように、そして国民の不信を晴らすようにひとつ特段の努力をいただきたいとお願いをいたします。
 それで、社会保険診療報酬課税の特例についてですが、この税制調査会の答申書をしさいに読んでみますというと、この社会保険の問題は答申のトップに、一番バッターでこう出されておるわけであります。しかも、四段階に分けてこれの実施を強く政府に求めて最優先という言葉を使って求めておるわけであります。ところが、この多年の懸案であった特例是正、これはもう第一歩として税制調査会ではやれ、こういう強い趣旨の答申があったわけでありますが、これが遺憾ながらいつの間にかうやむやになってしまった、この経緯についてひとつもう一回大臣から、前にもちょっと触れたことがありますけれども、お聞かせをいただきたいと思います。
#32
○政府委員(中橋敬次郎君) 昨年十月に税制調査会の答申が出まして、その案につきまして実現方を検討したわけでございます。昨日もお答えをしましたように、今日ございます制度は二十年前にできまして、そのときには一点単価の問題、診療報酬の問題と非常に密接にからんでおったものでございますから、国会におきまして議員立法をせられたときにも社会保険診療報酬の適正化ということまでの暫定的な措置として設けられたものでございます。お医者さんとしますれば、もちろん収入源たる社会保険診療報酬の高さというのが一つの問題でございますし、また納めるべき所得税の高さというのもそれに関連することはもちろんでございます。ただその問題を解決します場合に、一体社会保険診療報酬の方から入っていくのか、あるいは税制の方から入っていくのかという二つの道があると思っております。税制調査会の答申では、むしろ税制の方から入ってまいりまして、そういうことを前提にして社会保険診療報酬の問題として考えなければならないことは、税制改正ということが行われた、それを新しい基盤として考えられてもどうかというようなことから、むしろそういうアプローチを優先的に考えられての答申であったと思っております。ただ、また一方におきますれば、やはり社会保険診療報酬という方から入ってまいりまして、そういうものを考えます場合に、税制改正がこのように行われるということを配慮しながら、社会保険診療報酬の水準というものを考えるのがいいのではないかというような案もあったわけでございます。
 そこで、今回の政府のこの問題に対する処理といたしましては、閣議決定で行われましたように、社会保険診療報酬の改定ということが行われます場合には、税制改正がこういう方向で実現するという道を講ぜられることを考慮されながら恐らく行われるということを前提といたしまして、次回診療報酬改定と同時にこの問題を実現するということに決定されたわけでございます。
#33
○大塚喬君 今後大臣、どうされます、これは。
#34
○国務大臣(大平正芳君) きのうも申し上げましたように、たびたび調査会からも御答申をちょうだいいたしておりまするし、国会の両院におかれても、異常な関心を持たれての御論議をちょうだいいたしております。また世上もまたこの問題について多くの重大な関心を持たれておる、世論が持っておるわけでございますので、こういう状態で長く放置することは許されないと思うんでございます。したがって、私どもこの国会で御審議をいただくべく努力をいたしたわけでございますが、御審議をいただくまでの段取りに至らなかったことを大変残念に思っております。しかし、それかといって、これをそれでは振り出しに戻すというわけにはいけないと思うのでありまして、そこで、内輪の与党との話し合いにおきましては、次の診療報酬の改定と同時に、課税特例も改善しようという了解をいたしておるわけでございまして、この一点は私どもとしても譲ることができないことでございます。なるべく早くそういう機会をとらえて実現に持っていきたいと考えております。
#35
○大塚喬君 寺田委員の方の時間を若干譲っていただいてもうしばらく質問を続けさしていただきます。
 大蔵大臣、大変ここにおいでになる職員の方やなんかも、現状、昨年十月一日のバス運賃、私鉄運賃、国鉄運賃の値上げ等で、まあ通勤時のラッシュということに絡んで通勤ということが大変に大儀の実情であります。それで、私ども栃木でありますが、私どもの周辺でも、特にバスの運賃の値上げ、交通機関を幾つか乗り継ぎして利用する、こういう場合に、この通勤費の問題が非常にいま生活に食い込んで苦しんでおります。で、この通勤手当の非課税の問題でありますが、非課税限度額、いま給与法の改正で通勤費が九千円までということでそれぞれ支給されておるわけであります。この通勤手当の非課税限度額もしたがって九千円ということになっておるわけでありますが、実際には一万二千円、一万五千円というような人が相当たくさん現在出ております。特に一番大きいのは、バス運賃の値上げということに絡んで起きておるわけであります。特にこのような物価高、インフレという中で生活が総理府の発表でも七・九%昨年から一年間の間に低下をしたというような数字も、総理府から発表になっておることは御承知のとおりだろうと思います。こういうことで、この問題について私は実情に即した見直しをすべき、こういう問題であろうと考えるわけでありますか、大臣この点いかがでございましょう。
#36
○政府委員(中橋敬次郎君) この問題につきましては、昨日鈴木委員にもお答えしました点でございますが、所得税法上通勤手当を非課税にいたしておりますのは、やはり通常必要な程度というものを考えておるわけでございます。通常必要な程度というものを超えます場合には、ある程度やはり本人のいろいろな特殊事情があるという場合でございまするので、そこまで非課税にする必要はないのではないかということでこの制度は設けられております。
 それで、一体それでは通常必要な程度はどのくらいなレベルであるのかという問題でございますけれども、ちょうど国家公務員につきましてそういう問題を検討いたします際の資料としまして、人事院がかなり詳細な調査をやっております。人事院の調査によりましても、全額通勤手当を支給しております事業所において、その支給額の最高平均しました月額は八千二百七十四円というのがございまして、それをもとに昨年国家公務員につきましても最高限度九千円というのを勧告いたし、また実現いたしたわけでございます。従来から、私どもはそういう人事院の非常に詳細な調査というものに準拠をいたしまして、私どもで非課税にいたします通常必要であるというレベルもその限度をとっておるわけでございます。もちろん私どもは、その金額で一体どの程度の通勤距離が通勤者にとって可能であるかというようなことも考えながら、毎年実情を見ながらやっておるつもりでございますけれども、ほぼ毎年毎年の改定が最近行われておるものでございまするから、所得税法上もそういう線に沿って改定を行ってきておりまするので、大部分の方については九千円という限度で賄えておるというふうに考えております。
#37
○大塚喬君 この通勤手当の非課税限度の問題ですが、相当多数の人は九千円という中に入ると思います。しかし、実際問題として、たとえば二つの交通機関を利用する、こういう場合には、定期を買う、往復の二十五日分ということで定期を買う。それでは用が足りない場合もあるものですから、実際は回数券を買う。十回分の料金で十一回分の利用ができる。いまの人事院の調査や何かというのは必ずしもそういう私どもが見たり、聞いたりしている現状とはやっぱり事実は違う。特に私が具体的な実例の中で被害を受けておる人というのは、バスを利用されておる方、その幾つかの交通機関を利用する方のうちで、相当部分バスを利用される方、こういう方は現実にもうこの九千円ということではとてもおさまりません。こういう現状の中で、私はこの限度額の問題についてはぜひひとつ見直しをしてもらわなければ困る、率直にそういう気持ちでございます。いまの事実上回数券を利用する、バスを長期に利用する、こういう者は、現実にいまの局長の答弁では、事実からはみ出しておるものですから、重ねてひとつその点の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#38
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもの周りにもこういう限度額で賄えない人がおります。大部分そういう人たちは、やはり家庭といいますか、個人的な特殊の事情がございまして、非常に御苦労さんなんですけれども、遠いところにあります自分のうちから東京にまで通って来ておるという人がございます。いまたまたま大塚委員おっしゃいましたけれども、バスでも回数券を買うということは、やはりある日には自分の遠いところから通うというふうな人が非常に多うございまして、自分の特殊な事情からどうしても勤務地に近いところに移り得ない。それはそれ相応の理由はございますけれども、そういう人たちの通勤費はあるいは九千円という限度からははみ出る場合があるかもしれないということは想像にかたくないわけでございます。それからまた、最近におきますところの交通費というのが、またバス等につきましてもこの四月から上がるというふうなところもございますから、この九千円というのが一体五十年分としてどういうふうになるかという問題がございます。いずれそういった問題も人事院の調査も行われることでございますし、あわせましていろいろ検討いたしたいと思っております。
#39
○大塚喬君 それをいまはみ出しておる人が相当数おって、しかもその人が、時間的にも経済的にも大変な損害を受けておるものですから、いま検討されると、こういうお話がございましたが、いまの実情に合った形でひとつこの問題は早急に検討をいただき、是正をいただきたいとお願いをしたいと思います。
 それから、大臣がおいでになる中で、重ねて生活協同組合の減免税の問題について、大臣からひとつお聞かせをいただきたいと思います。
 租税特別措置法第六十一条で生活協同組合が留保所得の二分の一が損金算入が認められておるわけでありますが、その制限規定がありまして、資本金一千万以下の生協がその恩典を受ける。その他の、たとえば農協や何かはそういう問題についてはそういう制限がありません。このひどい暮らしにくい世の中で、生協の存在意義というものは大変現実的に大きなプラスを来しておるところでありますが、こういう現状であります。この問題について、いまの制限規定が一千万というのは、この法律ができたのは昭和四十二年でありますので、その当時の物価から見ればもう二倍に上がっておる。いまどき現実に生協の実態を調べても一千万以下というような生協はもうほとんどありません。こういう現況の中で、この問題についてひとつ大臣から、いまの生協の意義、それからこの現状についてどうお考えになっておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#40
○政府委員(中橋敬次郎君) 消費生活協同組合のいまおっしゃいました留保所得につきましての特別制度について出資の制限があることはおっしゃるとおりでございます。
 それで消費生協につきましてどういう観点からそういう制限をつけたかと申しますと、農協等と違いまして、消費生協はいわば近隣にございますところの中小企業の小売店との権衡を十分配慮しなければならない問題がございます。したがいまして、この制度を設けましたときにも、同じ隣にありますところの販売業を営んでいる中小企業について留保所得の問題との権衡ということを考えなければなりませんので、やはりあまり大きな消費生協というものがこういう特典を受けるのは、中小企業対策としていかがであろうかという点から制限を設けたわけでございます。それで、そのときによりましたのは、おっしゃいますように四十二年でございまして、出資を一千万円と切りましたんですが、その当時、中小企業基本法等におきまして、一体小売商業のそういったものの出資がどの程度であるかということを、中小企業埴本法によりますところの中小企業というのは一体どの程度であるかということになりますと、出資が一千万円以下ということになりまして、その出資が一千万円以下であるという範囲は、今日も依然として中小企業基本法等においてもそのままでございます。出資でございまするから、おっしゃいますように、物価の状況というのはあまり配慮しなくてもよろしいのではないかということから、恐らく中小企業基本法の金額がそのまま据え置きになっていると思いますし、私どももそれに準拠してそのままにしておるわけでございます。ちなみに一千万円以下の法人といいますのは、昭和四十七年度でございますけれども、やはり全体の七七%を占めておるということでございますから、この制度を設けました余り大きくない消費生協につきまして留保所得について特別措置を講ずるという目的は、大体創設当初から満たしておるのではないか、今日もそういう趣旨に沿っておるのではないかというふうに考えております。
#41
○大塚喬君 大分消費者のことは念頭にない、そういう答弁であります。そういうふうに私はお聞きいたしたところであります。
 それから、昭和四十二年と、いま現在の物価の推移、こういうものと考え合わせて、いまの答弁では私はとてもはいそうですかということで納得はできない気持ちでございます。ひとつ重ねてまた後ほど質問したいと思いますので、十分検討をいただいて、半までの時間なものですから、もう一つだけ大臣がおいでになる間に質問をさせていただきます。
 消防自動車の重量税、物品税の問題に関してでありますか、中型の分については――現在大型の分については非課税ということですが、中型ということでかかっておるわけであります。で、大臣も香川の御出身だというふうに承っておるものですから実情を御存じだと思いますが、それぞれ町村に何々町消防団というのがあり、それぞれの部落ごとに消防分団というのがあります。そこで、昔は手押し車でかけて歩いたわけでありますけれども、いまはそれぞれ手押しポンプということではなくて、中型の自動車ポンプを入れております。現実にその購入というのは、町から三分の二なり負担をしてもらったり、それからその後、三分の一を地元負担というようなことで購入をいたしておるわけです。特に私は、大臣は先年か先々年か、火災ということに経験をされたように新聞で拝見をいたしておるわけでありますが、まあ、消防自動車というものの性格からきわめて公共性の高い、しかも、火災という際に人命、財産を守る、こういうことで、それぞれの地域の人たちがこの自動車ポンプを購入しておる。しかも実際に、その赤いポンプを使って物見遊山に行くわけじゃなし、それで、営利のため、商売のために使うというようなことは、これはもう万々ないはずであります。現実にその問題について、まあ、そういう仕事の性格から、場合によってはもう百数十キロから、平均しても、どこの町村を調べていただいても年間二千キロ以内の走行距離であります。こういうものに重量税、物品税がかかるということは、どうもやっぱり公正ではないと考えるわけであります。この問題について、この消防自動車の物品税、重量税の減免の問題について大蔵当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#42
○政府委員(中橋敬次郎君) まず最初に、消防自動車につきましては物品税はかかっておりません。乗用自動車を対象といたしておりますから、こういうものについては物品税はかけていないのでございます。
 それから、自動車重量税でございますけれども、おっしゃいますように自動車重量税は、消防自動車であれ、その他公益のもの、あるいは公共用のもの、すべて一律にその重量に応じましてがけております。と申しますのは、自動車重量税という税金をかけましたのは、やはり自動車が道路を走行するという、そういう車両というものでございまするから、そういうものについての応分の負担を設けて、その財源でもって道路を建設、改良をしましたり、維持をよくしましたり、あるいはまた交通整備をよくし安全を図るというような費用に充てるものでございます。したがいまして、消防自動車はおっしゃるように喫緊の公共用に使われることは確かでございまするけれども、そのほかにもいろいろ緊急、公共の用に使われるものも一律に負担を願っておるものでございます。やはりその財源が、また道路では交通というようなことに使われるものでございまするから、そういう面での支出ということもあわせてお考え願いたいのでございます。
#43
○大塚喬君 いまの問題で、実際に重量税という問題で、各市町村のあれを調査いただいて、百五十キロ、それから三百キロ、四百キロ、こういうあれがきわめて多いのですよね。こういう実情の中でいまのようなお答えというのは、この消防自動車に限ってはどうも私は釈然といたしません。この問題もひとつまた改めて午後取り上げさせていただきます。十分にひとつ検討いただいて、答弁をいただきたいと思います。
 終わります。
#44
○寺田熊雄君 自動車の排ガス規制に関連しましてちょっとお尋ねしたいのですか、今度の租税特別措置法の一部を改正する法律案で、八十八条の四という規定がありますね。この旧法の方で、一項の一号、二号を見ますと、一号は、四十九年三月三十一日まで四分の一というふうになっていますね。それから二号の方は、四十九年四月一日から九月三十日まで八分の一となっておりましょう。それから新法、改正法案の方は、第一号が、五十年四月一日から五十一年三月三十一日まで四分の一、二号が、五十一年四月一日から適用期間終了まで八分の一と、こうなっておりますね。そこで、四十九年の十月一日から五十年の三月三十一日まではどうなるのか。これはどこか条文にあるのかもしれないけれども、ちょっと私、見当らないので、これをちょっと説明していただきたい。
#45
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお示しの現行というのは、すでに時期がたっておりまして、その制度は終わっておるわけでございますけれども、その制度は、いわゆる五十年度規制適合車につきまして、ある一定の早い時期にそれを生産しましたものについてメリットを与えようということをやったわけでございます。それで、そのときには五十年の規制適合車でございますから、五十年度が始まります前ある一定期間にはおそらくそういった車というのはどうしても準備体制に入って生産も行われなければなりませんので、その時期をいま八十八条の四、第二号でおっしゃいましたように、四十九年九月三十日と、いわば半年前までに五十年度の適合車を出しましたものについては物品税法上特別措置を講じましょうということで終期を切ったわけでございます。それで、その終期を切りまして、その間には段階をつけまして、最後の半年間とその前の一年間ということで、最初の一年間はより早く五十年度規制車を出したものでございますから四分の一軽減をいたします、その次の半年間は八分の一軽減をいたします、そこで、五十年度適合車に対する特別措置は終わるということにしたわけでございます。
 それで、今回の措置は、五十一年度適合車を早く出しましたものについてメリットを与えようという趣旨でございます。それで、五十一年度適合車でございまするから、おしまいを前の例によりますれば、五十一年四月一日から半年前に終わればそれでよろしいのでございますけれども、五十一年度適合車という問題が具体的になってまいりましたのは、中公審の答申で御承知のように昨年の年末近くから本年の一月、二月にかけて具体化してまいったものでございまするので、従来のような同じ先行期間ということではこの措置はとれなかったものでございます。したがって、私どもといたしますれば、やはり基本的には、前に行いましたように、ある程度全体の生産が、たとえば五十一年度規制車でございますれば、五十一年度規制車に向かうというよりは少し早くこういうメリットは終わらなければなりませんという原則を立てたわけでございます。早く終わるのは一体いつかということで、いわばリードタイムと申しまして、五十一年度規制車が出ます間にもやはりその五十一年度規制を満たさない車をなお並行的に生産を許されておる期間がございます。それはその終期は五十二年の二月末日でございますから、それより半年前までにはもう少なくとも全体の生産体制というのが五十一年度規制車に向うべきでございまするから、こういうメリットをつけますについても、五十二年の二月末よりは半年前、具体的に申し上げますと、いま改正案で御提案いたしております適用期間終了日までという法律文言でございまするけれども、具体的にはその後にいわゆるリードタイムの終期が決まったものでございまするから、五十一年の八月末日をもってこういうメリットの制度の終期と定めたわけでございます。
 それから、メリットの始期は一体いつから始めるかということがございましたけれども、これは、この問題が具体化いたしまして、この法案も御提案する機会を得たものでございまするから、いわば五十年度の新年度から、ということは五十一年度規制が始まります一年前でございまするけれども そういうところから始めますと。その初めの一年間につきましては、前の例にならいまして四分の一軽減をいたします。それからその次の五カ月間は八分の一ということにいたしたわけでございます。さらに加えまして、前回は五十年度規制というのは一本でございましたけれども、五十一年度規制値につきましては等価慣性重量一トンということで区切りまして、いわゆるNOxが〇・六と〇・八五という二種になったものでございまするから、中公審の答申の線にも沿いまして、〇・六については八分の一、それから〇・八五というのはややそれよりもメリットの程度を下げるという意味におきまして十分の一という二段のメリットのシステムをつくったわけでございます。
#46
○寺田熊雄君 そうすると、蔵出しが五十年規制車というのは四十九年の四月一日から九月三十日までにしないと減税の恩典に浴しないわけですか。どういうことなのかな。
#47
○政府委員(中橋敬次郎君) その前一年間の蔵出しについては四分の一の減税、それからいまお示しの四十九年四月一日から九月三十日までの半年間につきましては、八分の一の減税が適用になったわけでございます。
#48
○寺田熊雄君 その後の分は幾らぐらい。
#49
○政府委員(中橋敬次郎君) その後はゼロでございます。
#50
○寺田熊雄君 ゼロ。ちょっと厳し過ぎるような気がするのですが、低公害車というのはできるだけ優遇してやらないと、なかなか日産とかトヨタとかというような大メーカーは、できないできないと言ってだだをこねて、そういう国の理想に非常に消極的な姿勢を示すわけでしょう。まあ比較的小さな東洋工業、本田技研などがそういう理想に向かって邁進しておる。ですから、やはりあまり減税について期間などを区切って厳しい規制をせずに、できるだけ最大限の優遇をすること、同時に、基準に達せずに、いやいやをしておるものに対しては思い切った増税をするというようなことでないと、なかなか環境行政というようなものは、公害行政というようなものは促進できないように思いますがね。思い切った高公害車に対しては増税をしていくというような御決意はないのでしょうか。これは大蔵大臣にひとつ。
#51
○政府委員(中橋敬次郎君) こういう公害車につきましての対策としましては、もちろん直接規制と間接規制があるわけでございます。直接規制についてもいろいろな方途は講じられると思いますけれども、間接規制の中でも税制を使うというのが五十年度規制車についても、五十一年度規制車についてもそういうことで何がしかの応援をしようということは今回御提案をいたしておるところでございまするが、そのやり方といたしまして、また間接規制としての税金の手段としまして、一つには、取得者課税と、それから保有課税と両方あると思います。今回御提案を申し上げておりますのはむしろ取得の時にかけられる税金について何らかの措置をしようということで検討いたしたわけでございまして、取得課税の問題としましては、むしろいわゆる低公害者についてメリットをつけるということで終わるということでございますけれども、むしろ間接規制といたしまして税金が非常に効果があるというふうに考えられまするのは、むしろ保有課税におきましてかなり実効を上げ得るのではないかと思っております。特に取得課税でございますと、新たに生産をされ売られるものしかほとんど効果が及ばないのでございまするが、いま千何百万台という車がいわゆる使用過程車の形で動いておるわけでございまするから、取得課税について何らかの措置を講じましても、これらについてほとんど効果を及ぼさないという点を考えますれば、むしろ保有課税についていま御指摘のような線を採用するのはいかがかというのが税制でいろいろ検討した問題の末でございます。それで、保有課税についてそういう問題をやります手段としては、実は国税としましては自動車重量税がございますし、地方税といたしますれば自動車税がございます。それで、どちらの税金を使うかというのは今後の検討問題でございまするけれども、やはりそういう保有課税について、公害度の低いものについてはメリットを与える、あるいは公害度の高い車につきましては重い負担もあえてしていただくというようなことで検討をしておるところでございます。
 一体それをいつから始めたらいいのかというのも今後の検討問題でございますけれども、やはり五十一年度規制が全面的に始まります、と申しますのは、五十一年度規制を満たさない車の生産が許されますのは先ほど申しましたように五十二年の二月末まででございまするから、そういうことを許されておる間、それから終わった後、具体的に申せばほぼ五十二年度ぐらいからでございまするけれども、全面的にそういう規制が行われるということになりまするから、保有課税についてもこの五十二年度以後について相当そういう点を考えてはいかがかというのが今日の段階におきますところの問題でございますが、この点につきましてはガスの排出規制の問題に関する閣僚協議会というのが設置をされましたから、恐らく早急にそういう問題について煮詰められることと思っております。
 それからもう一つ、取得課税についても、もっと低公害車についてメリットを大きくすべきではないかというお話でございますけれども、確かに公害という観点からすればNOx〇・六、〇・八五というのも望ましいのでございまするが、一方、税金の面から申しますと、やはり公害の程度が低いと申しましても非常に担税力を示す自動車でございます。やっぱり一台百万円前後のお金を役じて買うということでございまするから、そこに物品税の負担を求めなければなかなか物品税体系としてはもちません。そういう意味から申しますと、やがて低公害車と申しましてもNOx〇・六なり〇・八五を満たさない車というのは、およそ自動車としては生産が許されなくなるものでございまするから、そういう時期を考えますと、余り減税をいまやりましても、やがて遅くとも昭和五十二年の三月一日からは、いま考えております、いま今日とっております物品税の負担を、低公害車といえども負担していただかなければなりませんから、そういう高さも考えながらメリットの水準というものを考え合わすと、せいぜいこの程度でないかということで前回の例にならいまして四分の一、八分の一、あるいは十分の一という軽減度を御提案申し上げておるわけでございます。
#52
○寺田熊雄君 私どもの考えでは、つまり低公害車を生産するために、メーカーの方で非常な犠牲を払っておる、それから低公害車を生産するコストがよけい公害車よりはかかる。それがどうしても価格にはね上がる、それで高公害車と競争していくためには、やはり思い切った税制上の措置をやらないと競争に勝てないのじゃないかという考え方があるわけですね。その点あなたの方は税を操作なさるときに、一体それじゃ低公害車の方が高公害車よりどの程度コスト高になるのかというようなことを計算して、そして減税の措置をとったのか、その点どうです。
#53
○政府委員(中橋敬次郎君) もちろんいわゆる低公害車と高公害車につきましての原価の差というのは検討もいたしました。しかし、先ほど申しましたように、私どもの立場から申し上げれば、必ずしも税制上のメリットとしてその原価差を賄う必要はないと思っております。やはりそれだけの高い金を投じて買うという人の税負担としまして、どの辺が適当かという問題を最終の姿としては考えておかなければなりませんから、仮に低公害車なるがゆえにコスト高であるから、その分は全部物品税なり、あるいは自動車取得税で賄うべきであるという立場は実はとっていないのでございます。
 それから、先ほど申しました保有課税におきましても、おそらく完全には毎年の維持管理費用の差というものをカバーはできないかもしれません。またそれをする必要もないと思いますけれども、やはりそういった観点もしんしゃくしながら、低公害車と高公害車について毎年納める自動車税なら自動車税というものについての負担をかなり違えることによりまして維特費用が違ってまいりますから、そういうことによって低公害車へのシフトを促進するという効果はむしろそちらの方で期待できるんではないかというふうに考えております。
#54
○寺田熊雄君 それはやっぱりわれわれの健康、国民の健康ということを考えますと、少し私、配慮が足らぬように思いますよ。あなたも、たとえば非常に自動車の往来の激しい道路に面して住んでおられる人の健康ということを考えてみていただきたいんですが、これは低公害車であると高公害車であると、国民の健康にどれだけ違うかですよ。だから、万難を排して私は低公害車に対する報奨的な措置というものをあらゆる面で生かしていかなければいけないと思うんです。税制などというものはまさにその非常にいい例で、組税特別措置法で――まあきのう大蔵大臣、渡辺委員のあれに色をなして怒られたが、大企業のいろいろな措置に対しては、私どもの見地ではかなりいろいろな優遇措置がある。しかし、それよりもまして、国民の健康を守ろうとする、そういう理想に向かって低公害車をつくる、その意図に対しては、それはもうどんなに私は税の優遇措置を講じてもし過ぎるということはないと思いますよ。一体あなたは、もういいかげんのときでストップしてしまうと言うけれども、それまでに俗に言う駆け込み生産でどんどんつくって売りまくるということを、もうすでに一般にそのおそれがあることは公然の秘密でしょう。だから、そういうことをストップさせるためにも、私は、低公害車に対しては思い切った減税措置、それが主税局長、あなたのおっしゃるところでは、低公害車がよけいコストがかかってもそれをカバーする必要はないんだとおっしゃるけれども、それじゃ低公害車は、国の施策に向かって非常に協力をしながら、その負担というものの償いをどこに求めますか。まさにそれは、そういうことこそ、私は租税特別措置なるものには反対だけれども、しかし、それが現行の制度である以上は、それをもう一〇〇%生かして、そのコスト高に見合うだけの減税措置をしてやったらいいじゃありませんか。
 それから、もうけるもうける言うて、もうけのために国の環境衛生行政に協力しない、そういう不届きな大メーカーに対しては思い切って税の上で増税をして、そうしてそういう不逞な人をこらしめたらいいじゃありませんか。これは、私は大蔵大臣の答弁を求めます。これは政治的な見地からやらなければいけません。そんな技術的な問題じゃありません。
  〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕
#55
○国務大臣(大平正芳君) いまお話し申し上げましたように、ことしは低公害車に対しまして奨励措置といいますか、を取得課税の面で若干考えさせていただいておるわけでございます、中央、地方を通じて。
 そこで、問題は、保有課税の面で今後どうするかという問題があると思うのでございまして、この問題は自動車政策、産業政策当局、それから公害政策当局がどう考えるかということでまず考えなければいかぬと思います。それで、その人たちがどのように考えてまいりますか、そしてそういう検討を通じまして、税という政策手段で何としてもこういうことはこういう限度お願いしたい、それ以外に道はないんだ、それが一番有効だというようなことに問題がしぼられてくるというようなことになりましたならば、私どもも真剣に検討せにゃならぬじゃないかと考えておるわけでございまして、いまそういう、第一次的に、自動車に対する生産から、自動車に伴う公害その他の問題を取り扱っておる当局を差しおいて、大蔵省の方でこうすべき、ああすべきだというような見解を申し上げるのは少しまだプリマチュアではないかというふうな感じがいたします。
#56
○寺田熊雄君 プリマチュアじゃないでしょう。すでにこの租税特別措置法で低公害車に対する税の優遇措置というものはあるわけですよね。決してプリマチュアじゃないでしょう。もうすでに現実的なものでしょう。そして国は低公害車の生産を促進するという環境衛生上の措置を中公審に諮問して、それをすでに、もうその車は発達しておるわけですよ。低公害車を生産するという、それが国策じゃないですか、大臣。その国策に対して税制をいかにするかという問題でしょう。で、それは、ある程度すでに租税特別措置法で生きているわけでしょう。決してプリマチュアでも何でもないですよ。それを、低公害者の方が高公害車よりコストが高いから、そのコスト高というものをいかに税制で補ってやるかという点が、その環境行政の促進に役立つわけでしょう。だから、この規定があるわけでしょう。ところが、いま主税局長のおっしゃることが私に気に入らないのは、それを補うか補わないかということは問題じゃない。それじゃ何のために減税措置をとるのか。まさにその競争に打ちかつために、そうして国策に沿う低行害車に対してはそれを奨励する一助として減税措置をとっているわけでしょう。それが国民の健康というものに至大な影響があるわけでしょう。だから、それに対してもっと、少なくもコスト高に見合うくらいな減税措置をやっても、私は税として行き過ぎはないと思いますよ。どうでしょう、大臣。
 それともう一つは、高公害車に対する増税、これはむしろ国のそういう国民の健康のゆえに発進した、志向された公害政策というものに対して、営利のために抵抗するわけですから、反逆するわけですからね。そういう人にこそ増税することこそが望ましいのじゃないですか。税の機能というものをそこに生かしていただきたいと思います。大臣、ひとつ重ねてこの点について。
#57
○国務大臣(大平正芳君) あなたの言うことがわからぬわけじゃないですけれども、われわれ財政当局は、この問題については受け身なんです。進んで、自動車政策というのは、自動車に伴う公害の問題はこうすべきであるなんというものをこっちが買って出るという立場ではないので、環境御当局、通産御当局等からどうしてもこれはこうしたいということでいろいろなことを考えて、その中に税も入っておるという場合に初めて大蔵省に相談があってしかるべきで、そしてそれから検討して私はおそくないと考えておるんでございまして、税の方から他の産業政策分野に躍り出て、これはこうしてやるからなんというようなことをやりおったら、これは大変だと思うんです。ですから、御趣旨は私もよくわかりまするし、すでに低公害車に対する奨励税制措置というようなものはすでにとっていることは御指摘のとおりでございますが、今度あるいは場合によってはオイル課税の面でむしろ税を活用してパニッシュメント的なことをやったらどうだという意見さえあるわけで、よく聞いておるわけでございますが、いずれにせよ、そういうような問題も、自動車当局等や、公害当局からもう少しよく練られた上で、十分用意された御提案をわれわれ受け取ってから検討しないといけないんじゃないかと、またそれで決して遅くないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう政策に対して理解がないとかなんとかということではない、物の順序だけを私は申し上げておるわけでございます。
#58
○寺田熊雄君 これは昨年の読売新聞の十二月二十一日付の紙面ですがね、「低公害車の税制上の措置については、通産省が「低公害車だけの減税」を」主張し、「環境庁は「未対策車に増税する一方で、低公害車に減税する」との二本立ての案を要求しており」、それから税調の方は、「「低公害車以外の未対策車を増税する」との基本的な方向を」五十年度税制改正に「盛り込むことを決めた。」という趣旨があるんです。それでただ私ども気になりますのは、こういう「増税一本ヤリの政府税調案に、自民党や自動車業界から強い抵抗が予想され、」こういう方があるんですね。「最終的には環境庁案に落ち着く可能性も残されている。」と、私は結局この問題はやはり日産とかトヨタとかいうような大メーカーか政治家――大臣はそういうことはないでしょう。非常に悪い政治家を動かしてそうして税制によってそうしてそういうよき環境行政を推進するという企図に対してブレーキをかける。だから、私はそれだけに大臣が社会正義を実現する、国民の健康を守るということは国の政治のやっぱり一番大切なことですからね。その理想を追求するという上において何もはばかることありません。行き過ぎがあろうかなんということを恐れていらっしゃるようですが、行き過ぎを恐れることはありません。国民はもう拍手して大臣のそういう企図が実現するならば、歓呼して迎えるでしょう。大臣、ひとつ勇断を持ってこの問題に、悪いものには増税をしていく、低公害車にはコストに十分見合うだけの減税をしていくという決意をここでもう一遍その点について明らかにしていただきたいと思います。これで終わりますけれども。
#59
○国務大臣(大平正芳君) 御趣旨はよく、言われようとすることはよくわかります。したがって税制との関連におきましてどのように取り組んでまいるか、人命に関係があることでございまするし、また産業政策とも非常に微妙に関連してまいることでございまして、私どもこれ真剣に、しかも、前向きに検討してまいらなければならぬことと心得ております。
#60
○寺田熊雄君 これは大臣に特に申し上げたいのは、これをやはり非常に憶病でいいかげんな態度をとられますと、やはりたまりかねて自治体の方が先取りします、これは。必ずします。もうすでに広島でもそういう兆しが見えますし、東京都も、もし革新都政が継続するならば必ずやるでしょう。そうしてそれは国民の必ず拍手を得るに違いないんです。というのは、自治体の方は、あなた方のように雲の上で、殿上人でいらっしゃるわけじゃないんで、もう直接市民と手を接して、はだを接してその人の健康を守るという強い責務を日常持っていますからね。だから、何よりも先にそれをやりますからね、そのことだけ特に……。そのときになって国が、自治体が勝手なことをやるなというようなお怒りにならないようにお願いしたいと思うんです。
#61
○野末陳平君 きのうの続きですけれども、お医者さんの必要経費ですね、それが実態に近い数字を主税局では大体五二というようなお答えだったと思いますけれども、この辺のところをもう少し詳しく教えていただきたいんですが、社会保険の収入に関することですが、医者の平均経費率というのが、まあもちろん年によっては違うとは思うんです。で、五二というのはどの辺から出てきたか、その辺のところを簡単に説明してください。
#62
○政府委員(中橋敬次郎君) もちろん七二%の特例措置を受けております社会保険診療医の経費というのは調査することもできませんから、具体的にはその数字は持っておりません。ただ、たとえば青色申告をしているお医者さんで、自由診療と社会保険診療とを同時にやっておる方が非常に多いものでございまするから、その人々につきまして経費を、自由診療分と社会保険診療分とに、ある種の推計を加えて分けてみまして、どの程度になるだろうかということをやってみたことがございます。そういうものでやってまいりますと、大体平均的に、いわゆる狭義の必要経費という問題としましては、大体五一・二%というのが最近の数字でございます。
#63
○野末陳平君 ただお医者さんといってもいろんな医者がありますから、いまのは大体概算的な見方だと思うんですが、五一、二、これ、科目別にどの程度の違いがあるんでしょうか。外科、産婦人科などは特にかかるのかもしれないという気もしますが、その辺のことをもう少し。
#64
○政府委員(中橋敬次郎君) 診療科目別に確かに違いはございます。その違いは恐らく、たとえば看護婦さんとか、あるいはお医者さんを外の人を雇う、その費用とか、それからいろいろな設備の費用が違うということでございまして、いわば大規模にやっておられるお医者さんは当然経費が高うございますし、診療科目で申せば、たとえば外科でございますと、やはり手術ということがある関係からか、お医者さん、あるいは看護婦さんの数が多いということで高い数字を示しておりますし、お医者さんの腕によっておる、そういう依存度の非常に高い診療科目でございますれば、そのいわゆる必要経費率というのは下がってくるわけでございます。
#65
○野末陳平君 そこのところを具体的に、平均の五一、二というのが出たんですからね。じゃ、外科のようにかかるのはどの程度までかかると見られるのか、もう少し具体的な数字で、外科と産婦人科とそれから歯医者さんと、この三つぐらいでも数字を示していただけませんか。
#66
○政府委員(中橋敬次郎君) この診療科目につきましては、具体的にはっきりと分別があったものでございません。お医者さんの看板にも、ごらんのように、いろいろな科目をやっておられるものもございまするから、非常に私どもが持っておる数字としましても、各科目として具体的に出てきたものでございません。いまお示しのものにつきましても、大体先ほど申しました平均率の上下五%ぐらいに出ておるのが、私どもで持っておる数字でございますけれども、厳密に、先ほど申しましたように、自由診療と社会保険診療、そのうち社会保険診療の中の、具体的な患者でもって分けるということは実行不可能でございまするから、おおよその数字としてそういうぐらいのばらつきがあるというふうに御承知願いたいのでございます。
#67
○野末陳平君 それでは、今度、自由診療の割合ですね、社会保険診療の収入と、それから自由診療の割合がどの程度になっていますか、これはもう平均で結構ですけれども。
#68
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほど申しましたように、両方やっておるお医者さんで見まして、自由診療の割合は約一割でございます。
#69
○野末陳平君 これは科目別に、やはりかなりの差がありますか。
#70
○政府委員(中橋敬次郎君) やはり診療科目別に、これはかなりばらつきがあるようでございます。
#71
○野末陳平君 そのかなりのばらつきといいましても、どの程度のばらつきか、具体的なことを数字でもって示すことはできませんか。
#72
○政府委員(中橋敬次郎君) これも先ほど申しましたように、科目別に、なかなか具体的な、確定的にとれる数字でございませんので、数字で申し上げまするのはお許し願いたいのでございますけれども、やはり見たところ、社会保険診療、社会保険として扱わない部面が非常に高いと想像されます科目につきましては、自由診療が高いようでございます。たとえば産婦人科というのは、やはり社会保険で扱わない部分がかなりあるようでございまするから、産婦人科は非常に高い率を示しております。それから同じくそういった事由だろうと思いますけれども、整形外科なども高い方でございます。
#73
○野末陳平君 自由診療の割合が一割ぐらいだとしますと、やはり社会保険診療からの収入が非常に多いんだということになりますと、俗に世間で、医者は非常にもうけ過ぎているとよく言われている。もうけ過ぎているかどうかわかりません。しかし、もうけ過ぎているとすれば、その原因が例の七二%という数字にあることになれば、これは非常にこの数字に対して一般納税者の不満が集中するのもあたりまえだと思うんです。
 具体的に、国税庁にお伺いしたいんですが、きのう、いわゆる請求のときに水増しする分とか、あるいは薬を非常にたくさん、必要以上に配っている、あるいは与えているというのが、まあいわゆる実態ではわかるんです。でも、それを国税庁の立場でわかるのかどうか、厚生省は全然わからないという返事でしたので、国税庁にも念のためお伺いします。
#74
○政府委員(横井正美君) いまの御質問でございますが、私どもの方では、実はこの社会保険診療報酬支払基金等からの支払い調書が参りまして、それによりまして、医師の保険診療の収入を把握するというふうなことになっておるわけでございます。その収入金には、御指摘の水増し部分がありとすれば、それは当然含わまれておるわけでございますが、私どもはその診療の実態を調べるという権限もございませんし、また、その必要もないということでございまするので、私どもの調査の上からは、その辺の状況は、申しわけございませんがわかっておらないわけでございます。ただ、いま申しましたように、そういう事実があるとすれば、当然収入金の上に反映されておるというふうに御理解いただきたいと思います。
#75
○野末陳平君 その実態がわからなければやむを得ないんですけれども、そういういわゆる経費も全然かからないような収入に対しても、まあ七二が通用されているというふうに考えると、非常にこれはひどいなと思っているわけなんです。で、それではそこの部分はなくしても、国税庁にお伺いしたいんですが、具体的に、お医者さんというのはどのくらいの収入を得ているものか、もちろん病院によって、あるいはその個人によって違いはあると思うんですけれども、何かの試算で結構ですけれども、まず、お医者さんというのはどのぐらいの平均収入があるんでしょうか。
#76
○政府委員(横井正美君) 私どもの方で、電算機の集計の結果等によりまして、脱漏所得の多い業種につきまして、上位にランクされるものを発表しておるわけでございますが、これによりますと、たとえば外科医でございますと、現在の発表の事跡から見まして、収入金が五千万ぐらい、所得が千六百万ぐらいの申告が出ておるというのが、平均的なところでございまするけれども。
#77
○野末陳平君 それで、この内訳はどこまでわかるか、国税庁にさらにお聞きしたいんですが、外科医の所得、これが先ほど主税局の方で、外科医の自由診療が大体一割あるいはもうちょっと上でしたか、その辺がさっき出ませんでしたけれども、これもう少し具体的に言いまして、この中で自由診療とりまして、社会保険診療の収入、つまり七二%の例の恩恵を受けている部分が当然含まれているはずですね、これを、先ほどの平均の実態に近い、概算五一、二%というところで計算し直した場合に、どのくらいの差が出てくるんでしょうか、つまり七二%の恩恵があるために、これだけ所得が上にあるという、そのような数字は出ますか。
#78
○政府委員(横井正美君) 先ほど主税局長から、平均しまして一〇%ぐらいが自由診療だというお話しがございました。それでまた所得の率でございますが、主税局で、経費率が五二ということでございますと、所得率は四八ということになります。自由診療の場合におきましては、若干所得率が高いかと思うわけでございます。そこで、ごくラフな計算といたしまして、自由診療も、社会保険診療も、ともに所得率が五〇%というふうにいたしますと、ただいま申し上げました収入金五千万に対しまして二千五百万という所得率になるわけでございます。で、現在、この七二を適用いたしまして、千六百万ぐらいの所得のようでございますので、差し引き九百万ぐらい所得が増加するということになろうかと思います。
#79
○野末陳平君 そうしますと、ちょっといまわからなかったんですが、要するに実態に近い数字を当てはめると、それだけふえるんですか。
#80
○政府委員(横井正美君) ちょっとこの場で計算いたしましたので、かつまた、前提が必ずしも正確でございませんので、精密に計算いたしますと若干数字が違うかと存じますけれども、仮に収入金に対しまして五〇%程度の所得があるというふうに考えますと、まあ五千万の場合は二千五百万でございます。現在は、自由診療部分について五〇%程度の所得があり、それから保険診療部分について二八%の所得があるというふうにして考えますと千六百万円ぐらいのようでございますので、その差額が九百万円ぐらいになろうかというふうに存ずるわけでございます。
#81
○野末陳平君 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、実態に近い経費率までするということは、当然すぐにはできないのはわかっているんですが、いままでこの社会保険診療報酬に対する課税の優遇というものがなぜ必要だったかということを考えてみますと、これは社会診療報酬というのが、自由診療に比べて安いんじゃないか。事実安いんだというようなお医者さん側の考えを聞くんです。
 そこでお伺いするんですが、社会診療の報酬というのは、自由診療に比べてそんなに安いものなのかどうか、その辺は、まあ主税局でも結構なんですが、どうお考えになっておられるわけですか。
#82
○政府委員(中橋敬次郎君) 社会保険診療報酬の所得の程度がどの程度であるかということは、実は私どもも現実にまだ税務調査に入っておりませんから、申し上げかねるんでございますけれども、さっき直税部長から話がございましたように、自由診療の部分はやはりかなり収入も高うございまするから、所得としては割高になっておるというふうに思っております。
#83
○野末陳平君 厚生省の方は見えていますか。――じゃ、厚生省の方にお伺いします。
 いままで、要するに、この医師の課税の特例を問題にするときに、必ず今度は社会保険診療報酬の改定があったときに実施するというのが主税局の答えだったんですけれども、いまの質問です、社会診療報酬が自由診療に比べて安いのか、どのぐらい安いのか、その辺のことを、素人でちょっとわからないんですけれども、厚生省にお伺いします。
#84
○説明員(田中明夫君) お答えいたします。
 社会保険診療報酬点数による診療行為の評価が、自由診療の場合の自由料金に比べて安いということは、まあわれわれ把握しているところでございますけれども、実際にどの程度違うかというようなことにつきましては、残念ながらわれわれの方にも統計がございませんのでわからないところでございます。
#85
○野末陳平君 そうなりますと、安いことはわかっていると、でも実際どのくらい安いかという点になると統計がないとおっしゃいますけれども、安いんだったら、それをある程度直していかなきゃならないわけですね。それを直せるかどうかが大蔵省にとって、医師の課税特例を改善するかどうかの分かれ目になっているわけですね。
 そうすると、厚生省にお伺いしますが、これは必ず改定をなさるんでしょう。そのなさるための前提としてどの程度までこれを引き上げるというお考えなんですか。
#86
○説明員(田中明夫君) 従来厚生省は、社会保険の診療報酬に関しましては、中医協の御建議によりまして、国民の負担能力を勘案しつつ、賃金あるいは物価の動向に対応し、また医学技術の進歩を取り入れて改正していくというような基本的な考え方で改正してまいったわけでございます。
 で、このたび税制の方の関連におきまして、この改正の内容あるいは時期というようなことが新たな問題として出てまいったわけでございまして、現在の段階では、われわれといたしましては、その時期あるいは内容についてまだお答えできる段階にはございません。
 ただし、先般の予算委員会の際に総理から、今後自民党内において問題の検討を進めるというような考え方も示されておりますので、このような党側の検討の結果も見定めつつ慎重に判断してまいりたいというふうに考えております。
#87
○野末陳平君 時間がなくなったのでもう結論しか出ないんですけれども、厚生省も大分頼りないんですね。いままで期待していたのは、この主税局との議論では、要するに診療報酬を改定するから、そのときに税制面の改善はするんだと、もういずれ近い時期だということだったんで、そうかなと思っていたんですけれども、厚生省の方が改定をしなければ主税局の方は手を出さないと、つまり税と報酬を切り離して考えることはできないということだったんです。そうなりますと、主税局でも大蔵大臣でもいいんですが、どうなんでしょうか、何かあなた任せで、結局は厚生省がやってくれたらこっちもやるし、やらなければずっとしばらくまたやれないし、結局は検討の段階だということになって、いままでと全然前進がないように思えるんですね。
 改めてお伺いしますが、大蔵大臣、やはりこの報酬の問題と切り離して、税は税だけで改善していくということは絶対にできないわけでしょう、大蔵省の立場では。
#88
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、社会保険診療報酬の改定との関連において特別措置を考えたいという基本の方針に変わりありません。
 しからば、社会保険診療の方はどうするんだということでございますが、これは私どもの手でできることではないわけでございます。問題は、厚生当局が審議会に諮ってお決めになることでございましょうが、私といたしましていま言えますことは、次の診療報酬の改定と同時に特別措置の処理をするということでございます。それがいつになるか、それからどういう態様になるかということは将来の問題にかかっておりますことは御指摘のとおりでございます。
#89
○野末陳平君 そうなると今度は、まあ責任のなすり合いというわけじゃないんでしょうけれども、全く厚生省次第ということですな。厚生省でもって改定、いつになるか、時期とその内容についてはいま答える段階ではないということなんですが、もしことしあるいは来年間に合わなければ、やっぱりこの特別措置も手をつけずに先へ延ばすという、そういう意味なんですか、結論は、大臣。
#90
○国務大臣(大平正芳君) 厚生省もしかし物件費、人件費等を、そのコントロールのもとにいつまでも置ける権能をお持ちであるとは私、思いません。
#91
○野末陳平君 そうすると、もうあとは主税局と厚生省とが、どっちが積極的にこの問題を解決するか、それによって決まると思うんですよ。そうすると、主税局は結局厚生省が先だということなんです。それで厚生省は、大蔵大臣もこのままでほっておかないだろうということになります。それで厚生省に結論を出していただきたいのですが、結局、診療報酬の改定というのをいまは答える段階ではないということですが、来年の税改正にどうしてもこれは間に合わしてもらわないと困るんですね。来年の税改正までには厚生省としてこの問題を前進的な解決、これははっきりここで約束してもらえますかどうですか。最後にそれだけお聞きしておきます。
#92
○説明員(田中明夫君) 厚生省といたしましては、先ほど申し上げましたような方針でもって、従来診療報酬の改定を行ってまいっているわけでございますので、次回の改定がいつになるか、あるいはその内容がどうなるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、現段階ではお答えできるという状態にないわけでございます。
#93
○野末陳平君 最後になりました。主税局長、どうもきのうまでだと、何となく期待が持てるような雰囲気だったのですが、いま厚生省の答え聞いたら、何か来年の税改正に間に合うのか、間に合わないのか、それすらも見当のつけようもないような感じになってきましたがね、主税局としては絶対に大丈夫だと、この診療報酬の改定が実施されて同時にこの特例を直せるということでいいんですか、主税局の態度はそのままだと思っていいんですか。
#94
○政府委員(中橋敬次郎君) 私も来年度の税制改正にこの問題が出るということは断言できないと思っております。しかし、次回の社会保険診療報酬と同時にこれを実施するということでございまして、いま厚生省当局はその次回がいつかわからないということでございますが、過去の経緯を考えてみますれば、去年は二回ございました。あるいはまた二年前にあったとか、大体過去の経緯から見ますとそう遠くないということは予測されるわけでございます。
#95
○理事(山崎五郎君) 三法案に対する午前の質疑はこの程度にいたします。
 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十四分開会
#96
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#97
○大塚喬君 最初に、先ほどの野末委員の質問に関連して意見を申し述べ、特段のひとつ善処を期待するものでありますが、社会保険診療報酬課税の特例について、いままでの審議を通じて相当前向きに話が前進するものとまあ受け取っておったわけでありますが、先刻の野末委員の質問に関して一挙に後退をしてしまって、大蔵省はいままでそういうことを言ってきたんだが、結果としてはあなた任せで、もう一歩後退二歩後退、一体どうなるのかさっぱりわからないというところに逆戻りした、そういう感じがいたします。そういうことであっては、三木内閣の社会的不公正の是正という、それから税調の答申にもまるきり反するような結果がこの委員会の審議を通じてますます明らかになったと、こういうことになりますので、腰砕けということではなしに、ひとつこの問題については努力をいただきたいと、まあ、私強く願っておるもんですから、初めにそのことを述べさしていただきます。
 次に、主税局長に、前日の配当控除の問題について、きのうの配当控除について主税局長の見解は、現行の法人税制の仕組みからすれば、個人の受取配当はすでに法人段階で税金を支払っているので、個人の段階で二重課税を調整する必要があると、だから、配当控除が必要なんだと、したがって、他の所得者との間の、たとえば課税最低限度の開きがあるにしても、税負担の不均衡はないと断定して、そういう答弁がありました。それに引きずられたのかどうかわかりませんが、大臣も何かそれを肯定するような、そういう答弁があったわけであります。しかし、前日の最後のときにも私申し上げたわけでありますが、現在では資本と経営というものはもう当初のころと申しますか、全く進んで分離をしておると、こういう社会的な一般通念であろうと思うわけであります。法人自身に税負担能力が別個にある、こういうことはもう現実問題を見ても私はそういうことの方が正しいと、こう考えるわけでありますが、この法人自身に税負担能力が別個にあると、こう私が申し上げましたことについて、主税局長どのようにお考えでしょう。
#98
○政府委員(中橋敬次郎君) 法人税をなぜかけておるのかということについても、前に申し上げましたとおり、やはりそれは法人の社会的、経済的な活動から見まして、法人という段階において課税をすることができるということは、おっしゃいますように、法人のそういう実態に着目をしたところだろうと思います。問題は、そういう根拠を持ってかけました法人税を、そういうかけたという論拠だけで毫も受取株主の段階においてこれを調整する必要はないという意見をとるのか、あるいは受取株主の段階でこれについて何らかの調整を加えるかというのはまた別の話でございまして、そういうことから私は、この問題は調整を要するかどうかというふうに把握をしていただいた方がよろしいんで擬制説、実在説というのはとかく法人ができ上がりましたその根拠が法律に基づくものである擬制説である、したがって、この調整問題もいわゆる擬制説としての調整を要するというふうに、そのまま論理的帰結というふうに割り切るのも間違いでございますし、法人税を法人の実態的な活動に着目をして法人税というのをかけたから、したがって、それは何ら調整を要しないというふうに論理的な帰結として言われるのも誤りである、したがって、擬制説、実在説ということは往々にしまして、そういうすぐさま両方に調整を要するか要しないかということを論理的帰結として割られるということで、私は誤りを招きやすいので、一般に言われておりますように、実在説、擬制説というふうにこの問題を取り上げないで、むしろ調整を要する説と要しない説というふうに分けて考えていただきたいと言ったのはそういう気持ちからでございます。
#99
○大塚喬君 いま答弁いただいたような趣旨なら、現在までのずっと国会審議の経過を見ても、現実にそういうことで進んできたものですから、私もそのことについて意見はあるにしても、わかるわけですが、きのうの主税局長の答弁は、その趣旨とは違って――一生懸命いま首を振っているようですが、そういう答弁が、これは後で議事録を見ればはっきりするわけですから、そこで、そこに譲ることにいたしまして、そうでないと言う、私はずいぶん思い切ったことを主税局長おっしゃるものだと感心をしておったわけです。
 それで、その問題はまあ後の問題にいたしまして、配当控除は株主の個人の恩典である。私は、まあ私のつき合いをしている人の間で何十人かそういう人がおりますが、その人たちは実際問題として、だれも配当控除は株主の個人の恩典だとこう受けとめておる。はっきり私はだれに聞いてもそういうことをおっしゃるわけですが、この点については局長はどうお考えでございますか。
#100
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに配当控除がなぜでき上がっておるのかということについて十分の理解があると私も思っておりません。おっしゃいますように、申告をなさるときに、とにかく配当を受け取ればそれの一〇%は税額から引ける、なぜだろうというところまで突き詰めてお考えにならない方は、何か配当に対する恩典がこの制度によってもたらされておるというふうに思われる方もあると思います。しかし実は、なぜそういうことが行われておるかという趣旨は、やはり御理解をしていただかなければならないかと思います。
#101
○大塚喬君 一般的に、この租税特別措置法というものがどういう悪評の中にさらされておるかと、こういう事実を局長は御存じないようですし、その株主に対してそういう世間一般の評価、こういうものとまるきり、何というか、逆にそれらについて恩典をやっておるんだと、こういうことになるというと、どうも一体国というものの機関のあり方、税制というものの考え方、こういうものについてより一層どうも疑惑を深くするわけであります。で、それだとすれば、法人税はその元がこれは株主に転嫁されると、こういう実証は何かございますか。そういうことを何かはっきり、いまおっしゃる裏返しのことになるわけでありますが、そういう実証がはっきりここで主税局長おっしゃっていただけますか。
#102
○政府委員(中橋敬次郎君) これも前にお答えをした問題でございまして、法人税というものが一体どこに帰着するのかというのは、これまた非常に根本的な論争がございます。一部の学者によりますればこれは価格に帰着する、したがって、法人が売りましたものを買った人、消費者に帰着するのである、いわゆる法人税は価格に転嫁するという説をなす人もございます。しかし、通説といたしますれば、やはり法人税というのは、法人がもうけました利益に帰着をするというのが、大体私どもの理解ではそういうふうに言われておるものでございますし、私もまたそういうふうに思っておりますが、そういうことになりますと、法人がもうけました利益について法人税が帰着するということになりますから、その利益は株主に配当として配るものと、それから重役に対して賞与として配るものと、それから内部に留保として会社が置いておくものと、三つに分かれるわけでございます。したがいまして、法人税がかけられましたときには、やはり配当にもその分がかかっておると言わざるを得ないのでございます。
#103
○大塚喬君 いま答えを受けたわけでありますが、それはその株主にも私は、何というか、関係がないということは申すつもりはありませんけれども、一般的に考えていただいて、一つはやっぱり消費者に転嫁される、これが一般的なやっぱり世間共通の考え方ではないでしょうか。それから、そこの従業員、被雇用者、これにもやっぱりこの法人税は転嫁される問題だと。とすれば、私は、その法人税の恩典が、二重課税排除ということで、法人だけがその恩典を受けるということは、どうも納得できない不合理性が依然として残ると、こういう感じがするわけであります。で、このことは、配当控除ということは、資本蓄積、国民の貯蓄推進という名前をかりて、実際は高額所得者のための税負担軽減、高額者優遇のそういう措置であると私は考えざるを得ないものであります。で、現在まで配当控除の圧縮ということで何度か改変が続けられてきたわけでありますが、しかし私は、これをもって十分ということにはまだまだ至らない。で、四十六年度の答申にありますように、これは法人の性格論――ちょっと性格論ということで局長と再三やりとりをしたわけでありますが、経済社会の実態に即して法人税のあり方は考えられなければならないし、配当控除のあり方についても当然真剣に考えられなければならない。ところが、局長の答弁だというと、そういうことを一足飛びに、断定的なそういう答えを続けられておるわけでありますが、一つは、税の社会的不公平を是正する、こういうことがいまの三木内閣にとっても大変重要な公約であり金看板である、こういう際に、二重課税の調整は本来必要ないと、こういうことで割り切る、これができるのかどうか。私はどう考えても、いままでの局長の再三の説明にもかかわらずどうも納得できかねます。で、この点について国民のコンセンサスが一体得られるかどうか、重ねてひとつ局長の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#104
○政府委員(中橋敬次郎君) 配当控除制度についての国民がどういうふうに受けとめておるかという問題でございますが、もちろんそれを理解した上でどういうふうに批判をしてもらえるかということを十分しんしゃくしなければならないことは当然でございます。しかし問題は、それを大塚委員のように初めから配当控除というのは、高額所得者の受ける配当について恩典を与えるためにこういう二重課税の制度を設けておるのだというふうに割り切られるのもいかがかと思うわけでございます。私は虚心担懐にこの問題は議論をしてよろしいと思いますし、またそういうふうに決まれば、もちろん税制の中でその調整問題を解決し得るものでございますが、これについてはやはりわが国のそういうことに対する問題意識というものが一番基本ではございますけれども、世界の動きというものも十分お考えいただかなければならないと思います。この問題は、各国とも非常に揺れ動いておりますし、ある時期において調整を要するとした国が、またしばらくしまして要しないとし、またさらに数年ならずしてもとに戻ったというような経緯のある国もございます。それからまたある国は従来、調整を要していなかったのに、半分に当たる部分だけ調整をするというふうに改めたところもございますし、またわが国のような配当軽課をとっております国で、全然それ以外は受取側において調整をしていなかった国が、いま改正案を審議中でございまするけれども、やはり完全にこれを調整するというふうに改正をしておるというところもございます。またそのほかに、アメリカのように終始一貫その調整は必要ないとして、個人についてのそんな配当控除制度みたいなものを設けていないというところもございます。しかし、それもみんなこの問題についていろいろ議論を重ねながら、しかも、各国の事例等もながめながら勉強しておるわけでございまして、わが国も昨年来再三申し上げておりますように、もう一度この問題を議論してみようということで、税制調査会においてもお願いをしておるところでございます。したがって、これをおっしゃいますように単なる恩恵というふうな観点からだけ取り上げないで、やはり税制の仕組みとして、これが十分理解をしてもらった上で、わが国の税制として、それがいいのか悪いのかという判断まで実は税制調査会でやってもらいたいわけでございます。いずれ近々そういったことから始めたいと思っております。
#105
○大塚喬君 しからば、また重ねてお尋ねをいたしますが、きょうは大平大蔵大臣がいま出席いただけないんで大変残念なんですが、政務次官はきのう私の大臣への質問の際においでだったでしょうか。
#106
○政府委員(梶木又三君) はい、おりました。
#107
○大塚喬君 そうですか。それでは政務次官の見解をお聞かせいただきたいと思うわけですが、大蔵大臣はきのう私の質問に対して、あなたも株をお持ちでしょう、あなたも配当を受けていらっしゃるんではないですかと、こういう答弁をされました。配当控除の特典は、国民の皆さんも受けていると、こういう趣旨の発言があったわけであります。これは大蔵大臣としてはまことに不用意な発言であったという感じがするわけであります。配当所得の階層別分布の統計も現在ない、こういうことで、この発言自体は、配当所得があることは税の上からかなりの恩典がある、こういうことを大臣自体が認められた発言だと、こう思うわけであります。そうだからこそ、きのうの大臣のような答弁が何の気なしに突然に出てきたものと理解をするわけでございますが、この点について政務次官、どのようにお考えでしょうか。
#108
○政府委員(梶木又三君) 大臣は、きのう私も聞いておりましたが、そういうお気持ちで御答弁なさったんじゃないと私は聞いておりましたですが、まあ、われわれも配当所得を優遇しておるんじゃないかという批判があることは十分承知はいたしております。ただしかし、このような批判がございますものの、所得税と法人税との関係という税制の基本的な仕組みに関する問題でもございますので、いま税制調査会でも御検討願いましてやっておるわけでございますが、そういう基本的な検討がずっと続けられておりますので、その結論を待ちませんと、いまここでどうのこうの私どもから申し上げるわけにまいらないと、かように思うわけでございます。
#109
○大塚喬君 主税局長にお尋ねしますが、大臣のきのうの発言、これは配当所得が税の上から恩典があると、こういうことを明らかに認めた発言ではないですか、主税局長いかがですか。
#110
○政府委員(中橋敬次郎君) 受け取りました配当について、配当控除の限りにおきまして二重課税が排除されておるということが恩典と見るかどうかという問題だと思います。私はそれは恩典でなしに、制度の仕組みとしてあると思いますから、配当控除の限度内において二重課税が排除されておる、それは配当取得者についてはみんなに当たるという意味の御発言だと聞いておりました。
#111
○大塚喬君 きのう大臣がおっしゃったことは、あなたも株をお持ちでしょう、配当を受けておるでしょう、配当控除の恩典は国民の皆さんも受けておると、こういうことをおっしゃったんですよ。ところが、私は大変御期待に沿えないで申しわけないんですが、株は持っておりません。配当も受けておりません。恥ずかしながら大塚喬は株も持っておりませんし、配当も受けておりません。大平大臣がこういうことをおっしゃったということは、何か悪いことを追及されたと、それは多かれ少なかれだれでもやっているんじゃないですかと、こういうことで逃げる答弁で、きわめて不用意な発言であり、この大蔵委員会の発言としてはどうも適切な発言とは受け取りかねる、私はそういう気持ちでございます。局長はいま言い回しをしてそれは恩典でないということをおっしゃったんですが、はっきりきのう大蔵大臣は、この恩典は国民の皆さんが受けておるんですよと、こういうことをおっしゃったんですよ。ここで局長がそういう逃げ口上を言ってもだめですよ、大臣ははっきりそうおっしゃったんですから。いかがですか。
#112
○政府委員(中橋敬次郎君) 問題は、配当につきまして法人税と所得税を二重課税するかしないかという問題でございまして、それをしないのを恩典というかどうかということは別問題でございます。私が言っておりますのは、仕組みとしまして二重課税をするのがいいという立場に立つのか、やはり二重課税というのは完全に調整しなくても、概括的にでも調整する方がいいという立場に立つのかという問題でございまして、そういう立場から申せば、二重課税を現行の配当控除制度という枠内ではございますけれども、排除しておるというのを恩典とおっしゃろうと、おっしゃるまいと、それは制度の問題の本質には関係ないことでございます。むしろ私は、法人税の仕組みを、一体受け取る個人の段階で調整するというのがいいと思うのか、あるいはそういう必要がないと思うのかということを今後いろいろまた御議論するのが先決問題だと思っております。
#113
○大塚喬君 私は、こういう租税特別措置の問題は、前からも申し上げましたように、税の不公正というところの根源だと、日本の税制度の一番黒い面だと、私はこういう感じをするわけであります。その問題は、いろいろ政策的な問題がありますから、個個についてはいろいろ論があることも承知をいたしておるところでありますが、そういうことで、この問題についてはまた大臣が出席いただいた際に重ねて論議を深めたいと思っておるところであります。
 次に、所得税法の一部を改正する法律案について若干質問を申し上げます。
 適用要件の所得制限額の問題で、老年者控除の現行が五百万円から一千万円に改正案が引き上げられた、こういうところで疑問が出てきたのであります。この一千万円と、こういう設定をした根拠は一体いかがなものでしょう。
#114
○政府委員(中橋敬次郎君) そもそも老年者控除は、創設当時はこういった所得制限がございませんでした。それをたしか四十二年に従来の税額控除を所得控除に改正しました機会に、老年者の中にもかなり高額の所得者がございまするから、そういう人についてまで従来のような何らかの所得税法上の配慮をする必要はないんではないかということで、当時たしか五百万円という限度に設定した経緯がございます。
 ところで、同種のものとしましてやはりそういう所得制限を設けておるのがございます。たとえば控除対象配偶者につきましては、その当時四十二年におきましては十万円というのが所得制限でございました。あるいは勤労学生控除、これも四十二年の前は同じように税額控除でございましたけれども、そのときに、たしか同じく所得控除に直したわけでございまするが、そのときに勤労学生控除を受け得る学生の所得限度を二十五万円と設定したわけでございます。もちろんそれが五百万円、十万円、二十五万円を定めました絶対的な根拠というものはございません。当時五百万円程度というのが所得税法上では、いわば高額所得の部類に入るものでございますから、五百万円というのを設定したわけでございます。それで、たとえば勤労学生控除につきましては、五十年の今回の改正でもって四十六万円という所得制度に改正することを御提案申し上げておるわけでございますが、これが約一・八倍、二倍に足らない程度でございます。
 それから、控除対象配偶者の所得限度を十万円を二十万円にということを考えておりますが、そうしますと、これが二倍でございまするので、大体二倍の一千万円ということに御提案を申し上げておるわけでございまして、たとえば今回同時に御提案申し上げております給与をもらっておる人、給与だけをもらっておる人につきましても、年末調整をやらないで確定申告をしてもらうという限度を一千万円というふうに切っております。あるいは控除の限度を一千万円に切っておりますが、そういったものをいろいろ一千万円というものを確たるバランスがとれておるものでございませんけれども、まあ今日の状態から言いまして、税務上で一千万円というようなものを考えれば、当初設けましたあまり高い所得者について老年者控除というものを適用する必要はないのではないかという目的は達せられるんではないかというふうに思っております。
#115
○大塚喬君 余り高い所得者にはその老年者控除というのは必要ないと、こうおっしゃったわけでありますが、じゃ一体、所得が一千万以上と、こういう階層はこの納税者の中の何%ぐらいありますか。
#116
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十八年の数字でございまするけれども、所得が一千万円を超えます人というのは、全体の納税人員の中で約一%少し下回るぐらいのものです。
#117
○大塚喬君 一%を下回る。
#118
○政府委員(中橋敬次郎君) 下回るぐらいです。
#119
○大塚喬君 すると、今回の老年者控除を引き上げ、五百万から一千万と、こういうことで恩典を受ける人の階層ですね、この五百万から一千万という階層は何人で、どの程度パーセンテージがございますか。
#120
○政府委員(中橋敬次郎君) 全体の納税者で申しまして五百万円から一千万円の人といいますのは、四十八年の数字で六十五万人、率で申しますと二%でございますが、この中で年齢が六十五歳を超えておる人というのはちょっとわかりません。
#121
○大塚喬君 人数はわからないということですが、推計と申しますか、概算、このうちのどのくらいになりますか。六十五歳以上の、いわゆるこの法律改正で恩典を受けるという人は一体老齢者六十五歳以上の方は何人ぐらいおられるんでしょう。
#122
○政府委員(中橋敬次郎君) 税務統計、しかも、申告分でございますけれども、老年者控除の適用を受けております人は、障害者控除の適用を受けておる人とか、寡婦控除、勤労学生控除の適用を受けている人と一括して出ておりますので、老年者控除を受けておる人あるいはいまお尋ねの五百万円から一千万円の老年者というのはちょっとわかりません。
#123
○大塚喬君 大変ぶしつけな質問ですが、ちょっと個人的なことにわたって恐れ入りますが、主税局長、この法改正に絡んで引き合いに出してまことに申しわけありませんが、主税局長の本俸は幾らでございましょう。
#124
○政府委員(中橋敬次郎君) 正確に申しまして、昨年でございまするけれども、本俸及び賞与を全部含めまして八百六十万円でございます。
#125
○大塚喬君 八百六十万。お見受けいたしますると、主税局長という役職にあられるわけですから、日本の所得階層の中から比べれば、私はきわめて上位のランクに位置する、そういう立場にあられると思うんです。
 それで八百六十万というあれが出ましたけれども、先ほどから伺っているように、一体、老人だからということで、大蔵省主税局長、この人より高い人まで大変恩典というか、額はいずれにしても、恩典を受ける、そういう法律改正です。それにひとつ関連をして、敬老精神ということでこの法律改正が表向きになされたということにおっしゃりたいのだと思うわけでありますが、そうすると現在五百万円から三百万円、それから三百万円以下、こういう人たちの人数とパーセンテージ、これをお聞きしてからひとつ意見をまたお尋ねしたいと思いますので……。
#126
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十八年の数字でございますが、三百万円以下の人は、総数は三千八十九万人でございます。全納税者の中に占めますウエートは九一・六%でございます。それから三百万円を超えまして五百万円以下の人は納税者で百九十二万人、全納税者に対しますウエートは五・七%でございます。
#127
○大塚喬君 私が述べたいことは、さっき日本の高級官僚、エリート官僚の主税局長が総額で年収八百六十万円、これはもう国民の一般の人から見たら、ずいぶんやっぱり高嶺の花だという感じをするだろうと思うんです。現にいまお聞きしたところによれば、三百万以下の納税者が三千八十九万人もおって全体の九一・六%。それから三百万から五百万という人が百九十二万人で五・七%。だとすれば、こういう適用要件の所得の限度額、そして老人ということで恩典を受ける必要がある、国が施策として恩典を加える必要があると、こういう人は、三百万なりあるいは五百万なり、こういうところが妥当な金額ではないか。で、主税局長よりも高くもらっている人に、老人だからという、六十五歳以上だからということで重ねてその恩典を与える。これはこの人でももちろん給与所得だとすれば、給与所得の控除も受けるわけですし、それから基礎控除も受けると、こういうことになっておるわけです。私は、ほかの者が二倍にしたからと、現に勤労学生控除の場合には四十万から四十六万に上がっただけであります。で、こういうことについてこれはやっぱりさっきも触れましたけれども、これは金持ち優遇、少し国民のコンセンサスを得られるような、そういう税改正でなくて、単に機械的に上げて、その結果としては高額所得者を優遇すると、こういう一つの見本だと私は思うわけでありますが、この点について主税局長の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#128
○政府委員(中橋敬次郎君) 全体の納税者の中でのウエートという問題も確かに重要でございますけれども、この全体の納税者には非常に若くて、まだまだ勤務年限も浅い人で納税者に入っている人も相当あるわけでございます。私も八百六十万円、非常に多いぞと言われましたけれども、五十年齢を超えまして同じような民間の者と比べて見ますと決して高いとも思わないわけでございますが、そういうふうに同じ年齢階層はやっぱり加味してみなければならぬと思います。老年者の中でそれでは一千万円というのが、先ほど全体の納税者の中で一%を切るぐらいの人はそれは不適用であるということを申しましたけれども、やはり、年をとって所得が通常の場合であればふえるというような人たちの中で、まあ老年というゆえに特別の控除を与える、それはまた余り高い人はそれを排除するというような思想でございまするから、いまおっしゃいましたように、全体の納税者の中でお比べになるのは、やはり老年者の控除の趣旨から言いまして、相当高いところのレベルをもっても、やはり私はその趣旨から言いまして、ある程度しょうがない。しかし、それはまた余り高い配当控除、配当所得を受けておる人とか、あるいは事業経営が高くて所得の高い人あるいは重役として給与を高く取っている人、そういう人にまではこの老年者控除を適用しなくていいという趣旨でございまするので、まず一千万円というのは、創設当時の五百万円と比べてみまして、そんなに私は不均衡に拡大したものとは思っておりません。
#129
○大塚喬君 問題は、そうすると、以前の五百万円を設定したという根拠がやはり問題になるわけです。で、私は決して老年者控除というものを必要ないと、こういうことを考えることは毛頭ありません。老年者控除というのはきわめてやはり重要な施策であると思います。しかし、これを一千万に設定をしたと、いま大変失礼な話ですが、主税局長の年収をお聞きしたということは、そういう層にまで、日本国の大蔵省の主税局長の、その収入より高い人までこの適用を受ける。しかも、この法改正によって恩典を受ける人は、五百万から一千万という、その層の間の人が現実に恩典を受けるわけであります。で、私は率直に言って、ここのところは現在の経済情勢、こういうものから言って、五百万というものであっても、決して不適当なものではないと。だとすれば、先ほどお話があった五百万という、その当時設定をしたその根拠をひとつ、一体何でその五百万という数字が設定されたのか。そして、それが今度重ねて二倍の、単に機械的に一千万ということに引き上げになったのか。そこのところを明快にひとつ説明をいただきたいと思います。
#130
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十二年当時に五百万というのを設定しましたのは、もちろん積み上げ計算をしましてやったものではございません。やはりある程度比較的高額な人ということで、五百万円を設定しましたが、一つのよりどころとしまして、いま思い起こしてみますと、あの当時のいわゆる申告書の公示の最低限度額というのは五百万円に設定をいたしておりました。申告書の公示というのは、きのうもお答えしましたように、ある程度の高額の所得者につきまして第三者の人たちの批判を受け、税務調査を促すという趣旨のものでございまして、そういうものであれば、一応一般の人も注目をする高額の所得者として五百万という線がございましたので、老年者控除を適用しない人もやはりそういった、いま大塚先生のおっしゃいました相当高い水準、主税局長という話はそこに基準にはなりませんけれども、全体の所得水準から言いましてかなり高い水準として、所得税法の中にございました、そういう申告の公示限度というものを参考にしまして五百万円というのを決めたわけでございます。
#131
○大塚喬君 やはり高額所得者優遇ということになると思うわけですが、これを配偶者控除、それから勤労学生控除と、これは必ずしも適切な比較のものとはならないと思いますが、強いて引き合いに出せば、そこのところが引き合いに出てくる、やや、よりということにはなりませんが、適切なものだろうという感じがするわけです。
 で、配偶者控除の場合に、これは妻が給与所得があった場合には七十万円までは控除になるわけですね。で、それ以上はもう控除にならないわけですね。それから内職所得の場合には十万円ですね。違いますか。内職所得の場合には幾らになりますか。それとこの一千万という所得の人の老年者控除というのが私はどうも均衡が必ずしもとれておるという感じがしないわけですが、この点についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#132
○政府委員(中橋敬次郎君) 配偶者控除を受け得る所得の限度と申しますと、勤労性所得につきましては二十万円、それから資産性所得につきましては十万円ということになっておりますので、いまお示しの内職の場合、やっぱり勤労性の所得でございまするから二十万円というのが適用になるわけでございます。しかもそのときに、いわゆるパートタイマーなどの雇用形態をとっておりますれば、給与所得控除が最低五十万円でございまするから、二十万円プラス五十万円で七十万円までは収入があっても配偶者控除が受けられるということになるわけでございます。それから老年者控除と配偶者控除の比較でございますけれども、老年者控除と申しますのは、所得者が六十五歳を超えておるときの話でございますし、配偶者控除といいますのは、所得のある人のその所得の税金を算定しますときに、配偶者の部分について控除をしてあげましょうと、その配偶者について他に少しぐらい所得があっても、それは恐らくその配偶者の家計というのは、所得を得ておるもう一人の配偶者に負担をさせられるものだろうということで趣旨ができておるわけでございまするから、単純にそれとこれとを比較するというのは、まあ、控除の性格から申しまして合わないわけでございますが、まあ、所得というものを考えてみますれば、大体この四十二年からいままでの間そのくらいの間で国民所得を見てみましても、一人当たり大体三倍ぐらいになっておるというようなことから見ますれば、老年者控除として国がかつて考えましたもの、しかも、それを四十二年に五百万円という限度を設定しましたものも、一般の所得水準が上がりましたならば、三倍とは言いませんけれども、二倍程度に引き上げるということは、この制度の趣旨から言いまして、そんなに金持ちだけを特に優遇するというものではないというふうに思っております。
#133
○大塚喬君 さっき私が申し上げた数字は、その基礎控除を含んだ数字で申し上げましたものですから、数字が若干相違があったようですが、先ほどお尋ねした中で、日本の所得階層というのは、三百万以下というのが九一・六%ある。で、現実に私もお断りして配偶者控除と老年者控除の問題が必ずしも適切な比較材料になるとは思いませんけれども、現実に税負担という考え方からすれば、当然やっぱりその問題とも関連をしてくるだろうと思って引き合いに出したわけであります。私も決して老年者控除についてそのことを抑えるということ、こんな気持ちは毛頭ありませんけれども、その額が、先ほどのお話によりますと五百万というのを当時算定した基礎についても明確でないように承ったわけであります。で、こういう機械的な税の改正、それは不均衡を拡大をし、さらに、さっき申し上げたように、老人を優遇する敬老精神は国の政治の中ではっきり打ち出すんだと、これはまあ表向き宣伝には大変結構でしょうけれども、実際は、先ほど申し上げたように決して公正な税の改正ということにはならない、私はこう考えるわけであります。
 それから、勤労者控除の場合、これは先ほど局長の数字、ここにありますものによると現行で四十万円のものが四十六万円、六万円引き上げになったわけですね。そうするとこれは勤労者控除が働いて、これも余り適切な比較の資料にはどうも思えないんですが、ほかに適当な比較をするあれがありませんから、引き合いに出すわけでありますが、この方は六万円、片方は一挙に五百万から一千万、二倍。率にするとこの六万円というのは何%になりますか、一五%程度ですね。こういうことについてどうも釈然としないわけですが、ここのところをひとつ主税局長から答弁をいただいてひとつ納得させていただきますようにお願いいたします。
#134
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほど申しましたように、老年者控除といいますのは、いわば六十五歳以上の老人の問題でございまするから、その中でより高額の所得者を排除するということでこの制度をつくったわけでございます。一方また勤労学生でございますけれども、本来でございますれば、勤労学生控除というのは特別にこういう配慮をすべきかどうかというのは、実は問題でございます。この制度も実は戦後のあの非常に生活が苦しいときに、学生がいろんなアルバイトをしながら学資をかせいでおったということから設けられた制度でございまするが、それなりにこの所得税上の配慮といいまするのは、余り多額の所得を得ておる人は学生といえども税金を納めてもらわなければなりません。まあまあ学資をそういった勤労することによって得ておるような人という意味において、他の現実に学校に行っていない所得者となっておる勤労者との負担も考えながらやらなきゃなりませんから、そう大きく伸ばすわけにはまいらないわけであります。しかし、まあ、今回の改正で四十六万円という所得で限度でございますれば、給与に換算しますと、九十六万円でございまするから、年間百万円近い給与収入がありましても、勤労学生としての資格で控除を受け得るわけでございまするから、まあ学生という立場で考えますれば、今回の改正程度で目的を達するのじゃないかというふうに思っております。
#135
○大塚喬君 だとしますと、お年寄りの控除の問題もいまと同じ理屈で、やっぱり一千万ということが妥当かどうかということになると、よけい疑問が出てくるわけです。なぜ五百万円ということで、実際にお年寄りを大切にしなければならない、低所得者の人を心配しなくちゃならない、こういうことなら五百万円で、いままでのあれでなぜいけなかったのか、これを仮に物価が上がったということで論議をするとして、六百万円でなぜいけなかったのか、七百万円でなぜいけなかったのか、八百万円でなぜいけなかったのか、それをどうしてここのところを二倍の一千万円ということにしたのか、私はどうも理解に苦しむわけであります。
#136
○政府委員(中橋敬次郎君) それは、先ほど申しましたように、一人当たりの国民所得を昭和四十二年度と四十九年度と比べて見ますと、約三倍になっております。本来でございますれば、その程度ぐらいの伸びというのを見てもよろしゅうございまするけれども、そこをいろいろな他の関連から考えまして二倍に抑えたわけでございます。
#137
○大塚喬君 どうも話の説明が、勤労学生と、それからその老年者控除の問題はどうもうまく使い分けていらっしゃるように聞こえてなりません。三時までだということなもんですから、ひとついまの問題は私ははっきり少し、一千万という数字を設定したのは理論的にもどうも説明いただいても根拠がないということですし、納得できない。この老年者控除という問題は一応機械的に二倍ということでなくて、五百万、あるいは場合によっては七百万、そういう程度が実際の場合としてお年寄りを大切にするということの趣旨も生かされる中で、老年の控除ができるものと私はそう主張したいわけであります。
 で、次に、ひとつ時間の関係で話を進めます。給与所得の控除のあり方についてお尋ねをいたします。給与所得者に対して従来から私どもは必要経費を実額控除すべきであるという主張をしてまいりました。で、その実額控除とは今度は異なる青天井の概算控除方式を四十九年度の税制改革で実施されることになったわけであります。で、給与所得者から必要経費について概算控除制度を導入するということは、税務執行上の面でやむを得ない面があるかと思いますが、収入金額が六百万円を超え、そのものに一〇%のいわゆる青天井方式というのは給与所得控除の拡充という、そういう国民に対してアピールとしては、大変アピールの受け方が、やっぱり国民の宣伝には受け入れる、形の上では。こういうことになると思うわけでありますが、そういう表向きの体裁をつくろいながら、実際は高額所得者の税負担の軽減を図り、その結果として所得再配分という税の機能を損ねる こういうことになると思うわけであります。それだから、五千万以上の収入金額の給与所得者は、六百五万円の給与所得控除がある、それだけ控除が働くと、実際の必要経費の観念と、この六百五万円というのは全く異なる様相のものだと私どもはこう受けとめるわけであります。で、われわれは、このような収入金額の問題にして、具体的に言えば、八百五十万程度で頭打ちにして、給与所得控除というものは最高限百九十万程度に設定すべきじゃないかと、こういう考え方を持っておるわけであります。で、この実額控除の問題、これがやっぱりいま私が申し上げたようなところで具体的には加味されたものと、こう考えるわけでありますが、この青天井方式にしたと、こういうことと、いま私が申し上げたやっぱりこの問題は、税の機能という立場から、一定の枠を設けたらどうかと、こういうことについてひとつ考えをお聞かせいただきたいと思います。
#138
○政府委員(中橋敬次郎君) 昨年の改正で、給与所得控除につきまして最高限度額を撤廃しましたことについては、そのときもいろいろ御議論があったようでございまするが、一つには、給与所得控除というのは一体どういう趣旨でできておるかということと関連いたしておると思います。給与所得控除は実は、いわゆる厳密な意味におきますと、この必要経費だけから成り立っておるものではないと私は思っております。そういう必要経費だけから申せば、実は一番低い給与所得控除の率でございます四〇%というのも、なかなか積算をしてみましてそこまでの金額は出てこないわけでございます。往々にしまして、給与所得者がうちで食べます食費までそういうものに入れるというようなことを、説をなす人がございまするけれども、それは全く誤りでございまして、それは給与所得控除の対象になり得ないものでございまするから、厳密に給与を得るために必要な経費という面から申せば、なかなか給与所得控除、今日のわが国におきますものを計算してみまして、そこまでの金額は積み上げないのが実情であると私は思っております。と申しますことは、実は、給与所得控除といいまするのは、一つには、給与所得ということにつきましての担税力という問題を加味しております。あるいはまた給与所得についての源泉徴収ということに伴います配慮もありますけれども、必要経費あるいは経与所得の担税力、それから源泉徴収というようないろんな配慮を持ちながら概括的に控除をするというのが、今日の給与所得控除の考えであります。そういう観点から申し上げますと、勤労所得について相当の配慮をするという意味におきましては、給与所得控除について限度を設けるということは実は余り理論的でないわけでございます。
 たとえばアメリカにおきましても、一般の税率は最高税率が七〇%になっておりますけれども、いわゆる勤労性所得についての最高税率は五〇%というふうにちゃんと決めてあるわけでございます。そういう配慮をもちろんわが国の税制としてとってもよろしゅうございますけれども、そういう税率についての差というよりは、この概括的な給与所得控除という形で行おうとしたのが、実は私は昨年の改正ではなかったかというふうに考えております。そういう意味におきまして、給与所得控除に制限額を設けるということについては、従来の考え方とかなり、昨年の改正とはその趣旨において変わったということから、限度を設けないということも私は理由があることだというふうに理解をいたしております。
 それからもう一つお尋ねの、給与所得控除を実額でやればよいではないかというお話とも関連をいたしてお尋ねでありましたけれども、実額控除にいたしますと、実は私が先ほど申しましたように、今日の給与所得控除の率というのはなかなか出てきておりません。非常に一般的に必要経費と思われるものでも、われわれの目から見ますれば、必要経費として考えられないのが多々ございます。そういうものを排除いたしまして計算をして、今日の給与所得控除というものを概括的なものと、それから積み上げていって実額的に計算したものとを考えてみますれば、実額控除というものをとるメリットというのは私はほとんどないと思っております。特殊の職業の方で、いや、本を買わなければならないというような方がございますけれども、それも一部には必要経費と認められる部分もございますけれども、また消費生活の中で、いわゆる可処分所得から購入すべきものが多々あるわけでございまして、そういうものを考えますれば、私は実額で必要経費を引くという利点というのはそんなに考えられません。むしろ今日のように、高目に給与所得控除を概括的に引いておきますことの方が、いろんな観点からもそれに対する所得控除の配慮をひっくるめてやれるわけでございまするから、むしろその方がよりいい制度だというふうに考えております。
#139
○大塚喬君 この問題もまたひとつ引き続いて論議をしたいと思うわけですが、実際に低所得者層はいま、さっき通勤費の問題でも質問したところですが、実際には必要経費、こういうもので、それが生活費の中に食い込んでおる、こういう現状が現実にあるわけで、現実にまた反面高額所得者の青天井というのは、いままでしばしば担税力のあるところから税負担を願うと、こういうような問題、税の公正というような問題、やっぱり論議がまだまだ残っておると思います。
 しかし、それは後で申し上げることにして、さっきの生活協同組合の問題について、先ほど局長の答弁がありました。そこでお尋ねをいたしますが、農協、漁協、これは制限はあるのですか。
#140
○政府委員(中橋敬次郎君) 出資についての制限はございません。
#141
○大塚喬君 だとすれば、生活協同組合、消費協同組合、これも協同組合法に基づいて成立をされておるわけですね。農協、漁協も一応協同組合法に基づいて制定をされておる。なぜここで差別をなさるのですか。
#142
○政府委員(中橋敬次郎君) これは午前中もお答えしましたが、農協、漁協でございますると、その仕事といいまするのは、個々の営業者でございます農業を営んでおる者、あるいは漁業を営んでおる者のいろいろな協同的な仕事をやるというのがその使命でございます。消費生活協同組合は、いわば消費者に対しまして共同購入をしましたような商品を販売するというのが主たる目的でございまするから、おのずと消費者が購入いたします他の販売店との問題があるわけでございます。もちろん消費生協につきましても、員外利用の問題としての制限はございまするけれども、なかなかそれが現実的には守られがたいという点がございまするから、やはり通常の小売店との競争関係というのを考えてみなければなりません。そういう趣旨から制限を加えたものでございまして、大規模な消費生協までこういう恩典を与えるということは、中小企業の小売店が競争上非常に不利になるという観点で出資の制限をしたわけでございます。
#143
○大塚喬君 そうしますと、私の話、申し上げることを誤解されては困るのですが、農民も漁民もこれはやっぱり人間として尊重されなくちゃなりません。それから御商売の方ももちろん大事にされなければなりません。だからといって、消費者自体がそのことで人間の価値として、いまおっしゃることだというと、その論理を発展させれば、それは構わなくてもいいんだと、こういう論理に発展するものと思うわけでありますが、いかがでしょう。
#144
○政府委員(中橋敬次郎君) 消費者は消費物資を買いますときに、もちろん共同的に消費生協の手を経て買うのはそれはまた認められるところでございます。ただその場合に、消費生協の手を経て買うかあるいは個々の小売店から買うかという場合に、税金の方から申しまして、今度は売る方の消費生協の課税と、それから個々の中小企業たる小売店に対する課税と、そこに余りへんぱがあっては困るわけでございます。それも消費生協という形でございまするから、ある程度のメリットを与えるということはやむを得ませんけれども、大規模な消費生協の店舗につきましての課税というものまで特別のメリットを与えることになりますれば、それに軒を接しておりますところの一般の小売店が不利を受けるわけでございます。そこの不利を一体どういうところで切るかということになりまして、中小企業というものはおよそ出資では一千万円というのが中小企業基本法で定められておりまするから、そういう程度ぐらいまでの消費生協であれば、同じように並んでおる小売り店たる中小企業にもその程度のものはございまするから、それを消費生協の特例措置の限界とすることは、やはり中小企業の競争関係を守るためにも必要であると判断したわけでございます。
#145
○大塚喬君 その大規模、小規模、中小企業と、こうおっしゃりますけれども、その一千万円という根拠は何ですか。中小企業というものに対して規定は一千万円という、そのことだけですか。
#146
○政府委員(中橋敬次郎君) 中小企業の定義につきましては、もちろん従業員の数等で制限をした例もございます。ただこのときには、中小企業基本法等によりましての出資金一千万円以下というものをとったわけでございます。
#147
○大塚喬君 そういう協同組合で一千万といういまの資本金出資額、これは現実にあるということをおっしゃっておりますが、それらは単にそれだけで存在しておるものでなくて、会社の中にあるようなそういうものが、その他の後ろのバックアップがあってそういうものもあることも事実だと思います。しかし、現実にいま運営をしておる、そしてそれぞれ消費者の便を図っておるというあれは、もういま現実には一千万ということでは、とても相手方の方もそれで信用して取引を十分にしていただくような、そういう条件でないことはおわかりいただけると思うわけです。現実に消費者の生活を守ると、こういう立場からすれば、いまの局長のおっしゃった答弁というのは、どうも私は納得できません。現実に農協と生活協同組合、こういうものについて局長のそういう答弁でも私は納得できないわけであります。で、これは局長いかがでしょう。この問題についてはひとつ、私ももっともっとやっぱり実情を調査した上でこれの改善を図りたいという熱意を持っておるわけですが、ひとつこの問題は引き続いて前向きで大蔵省の方でも検討を願って、この問題についての最も妥当な、ひとついま大変消費者にとっては重要な位置を占めておるこの協同組合について、いまのままではともかく大変基礎が危うくて困難な情勢にあることも事実でございます。こういうことをも私は心配しますがゆえに、ひとつこれらの問題について重ねてその討議を続けたいと思うわけですが、この問題について前向きでひとつ検討をいただくと、こういうことになりませんでしょうか。
#148
○政府委員(中橋敬次郎君) この制度は四十二年にでき上がった措置でございまして、その際やはり中小企業との競争関係というのを十分配慮しなければならないということで、かなり詳細に当時の消費生協の実態を調べた末、何らかの制限が必要だという結論に達したのでございます。消費生協の中にも、もう御承知と思いますけれども、非常に巨大なものがございます。しかも、その店舗の事情といいますのは、全く町の中の小売店と同じような形でございまして、表面的にはなかなか員外は利用できないということでもございますけれども、現実にはまたそういう制限が十分行われておるとも限りません。そういう観点から言いますれば、やはり軒を並べておる競争関係にある中小企業に対する課税の権衡ということも考えなきゃなりませんので、先ほどもお答えしましたように、七七%程度というのは、この出資一千万円以下ということで、十分カバーをされておるんでございまするから、もちろん実情を勉強することは私どもの仕事でございますけれども、これはなかなか基本法的な中小企業の一千万円という限度というのが変わりません限りにおいては、これに手をつけるということは非常にむずかしいと思っております。
#149
○大塚喬君 実は三時ということで、銀行局の方から、前にも出席願って、今回も出席願っているものですから、いまの答弁ではとてもとても私は納得できません。ひとつこの問題については重ねて私どもの主張も申し述べて最も妥当な、私自身も青天井に、制限なしにやれというようなことは毛頭申し上げる考えはありませんが、一千万円というのは何としてもやっぱり現実に昭和四十二年に設けられた制限であると、こういうことから、この点についてはやっぱり現在としては妥当、適当な額という制限には遠いものではないかという感じがしますがゆえにそういうことを申し上げておるわけであります。
 で、この問題はひとつそこではしょりまして、銀行局にお尋ねいたしますが、預金保険法、この問題は昨年百万から三百万に引き上げになったわけですね。それで一つは、この法が制定されました際に、農協、漁協の問題が取り残されておったと思うわけでありますが、この点は現在どのようになっておりましょうか。
#150
○政府委員(後藤達太君) 農業協同組合、水産業協同組合につきましては、最初、預金保険法の議論をいたしましたときに、まあ、これは一緒にやるかどうかという議論が大分ございました。ただ結論といたしましては、農協等の業務形態が他の一般金融機関と違うものでございますから、この一般の預金保険法には参加しないという結論でございましたが、その後四十八年の七月に、特別に農水産業協同組合預金保険法という特別の立法をしていただきまして、農水産業協同組合貯金保険機構という別の機構が設立をされております。
#151
○大塚喬君 この預金保険法ですが、現在これによって、件数のうち何%ぐらい、そして金額については何%ぐらい、この保険保証、こういうことが可能でございましょう。
#152
○政府委員(後藤達太君) この保険に掛けられます金額が三百万ということに現在相なっております。で、これは金融機関によりまして、債務者預金の多いところと少ないところとがございますが、借金をしておりますと、それは預金から差し引くことに相なっております。したがいまして、一律には申し上げにくいのでございますが、私どもでサンプル的に調べてみましたところによりますると、これは高額の預金を持っておりましても、三百万までは保証されますので、人数と言えば全員ということに相なるかと存じます。ただ金額的に見ますると、ただいまの一口当たりの預金の水準等から考えまして、まあ八割方のところは保険がなされるんではないかと、こういう感じでございます。
 なお、これは悉皆調査をいたしておりませんので、ややラウンドの数字で恐縮でございますが、あるいは国民の貯蓄水準等から見ましても、その見当ではないか、金額的に見まして。人数の方は先ほど申し上げましたように全員が均てんする、こういうことと存じます。
#153
○大塚喬君 一番大事なところの質問に入れないわけで残念に思っておるわけですが、それは後刻に譲ることにいたしまして、いま目減り補償という問題が叫ばれておる。こういう中で、個人の預金、それから少額三百万円以下という預金の保証について、元来の保証ということは、この預金保険法でなされる、八〇%程度まあ可能だと、こういうことでありますが、こういう大変経済的な変動の激しい中で、元本だけにとどまらず、一体その少額の預金者の保護ということ、こういうことから考えて、これはどうでしょう、そのものについての利子の保証ということは、これは当然私はなされてしかるべきだと、こう考えるわけでありますが、この点について最後に一つ見解をお聞かせいただきたいと思います。
#154
○政府委員(後藤達太君) 先生御指摘の点は、やはり一つの問題点であろうと私どもも存じております。外国の例を見ましても、アメリカなどでは元本だけでございますが、カナダの場合は利子も保険の対象になる、こういうことになっております。要するに保険を掛ける金額の水準の問題であろうかと思います。
 で、ただいまの三百万と申しますのは、いま国民の少額貯蓄を保護したいというところで、マル優の限度と平仄を合わせたようなところで三百万と置いておるわけであります。したがいまして、そういうこととの兼ね合いということはひとつ将来の問題としてはあると存じます。
 で、利子の問題につきましては、一つは、まあ理屈ぼく申し上げますと、保険の対象――利子というのは、やはり金融機関の収益を預金者に還元すると、こういう性質のものでございますから、保険の対象とするのにいささか元本の場合とは趣を異にする、やや性格が違うという感じが一つございます。
 それから実際問題といたしましては、この保険機構が発動いたしまして三百万円払うという事態のときは、その金融機関は倒産をしておる状態でございます。したがいまして、ほかの三百万円以上の人は元本も保証されない、切られてしまうという状態でございますので、そこはやはり元本の方をなるべく高めに保証するということが大事なんではなかろうかという考え方をとっております。
 それから、これは非常に実務的な問題でございますが、そういう金融機関破産というようなときの預金者への払い戻しということは、迅速にやりませんと、なかなか信用機構に対する不安感が増大するというおそれがございます。したがいまして、これは一律になるべく事務的に早く払いをしたいということでございまして、個々になかなか預金の利率でございまと、期間が違うものでございますから、それの計算に手間取っているというよりは、わかりやすい方法で元本だけなるべく早くと、こういう考え方もいたしたわけでございまして、現在のところはこの方がいいんではないかと私ども考えておる次第でございます。
#155
○大塚喬君 これで打ち切ります。
#156
○鈴木一弘君 法人税について最初ちょっとお伺いをしておきたいと思いますが、東京都新財源構想研究会とか大阪の地方税財政制度研究会、こういうところで大企業の法人税負担率が非常に不当に低いという、こういう指摘がされております。
 その理由としては、大法人ほど配当の割合が大きいから、配当軽課課税によって実効税率が低くなっているんじゃないか、そういう点と、二つには、課税所得という点で、準備金、引当金、こういうものでの損金算入が多い、結局利益の非課税ということになるわけでありますから、そういう点で現行の法人税法というのは、大企業に有利であって、大企業優遇ということである、こういうことが指摘をされておるわけです。
 その点、大蔵省の見解はそんなふうな見解をとっていないらしいのですけれども、そういう点どういうように思いますか、まずそれをお伺いしたいと思います。
#157
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもは、さきにも御提出しましたように、昭和四十八年度で租税特別措置が実際の法人の負担にどういう影響を及ぼしておるのかということをお示ししたつもりでございます。したがいまして、もちろんそういう租税特別措置が、それなかりせばの負担を少しく変えておることは事実でございます。ただ、いまおっしゃいましたように、たとえば東京都新財源構想研究会などで言われておりますものは、少しく私どもと見解を異にいたしております。
 その第一は、いまおっしゃいましたように、いわゆる配当軽課税率が負担を変えておるということで、これは大法人に有利とあるという指摘があるわけでございますけれども、それにつきましても、実は法人税の基本的な仕組みについての見解が違うということでございまして、配当軽課税率を三十六年に設けましたときに、実は受取側においてそれに対応する調整措置を講じたつもりでございます。
 と申しますのは、先ほど来いろいろ御議論のございました個人の受取配当についての配当控除率を、配当軽課税率を設けましたものに対応しまして、四分の一削減をいたしました。それから法人が株主であります場合にも、受け取りました配当を留保いたしましたときの益金不算入率を四分の一削減をいたしております。したがって、両方は相伴って見ていただかないと、出した方ばかりについてそれは大企業について優遇をし過ぎておるということにはならぬと思っております。
 それから、いわゆる課税所得の範囲といたしまして、準備金につきまして、私どもはもちろんこれは租税特別措置として考えておりますが、この種の研究においては、往々にしまして引当金までその中に全部を入れております。私どもは引当金につきましては、やはり債務性、評価性、いずれの引当金にいたしましても、これは課税所得を計算します場合においては配慮しなければならないものだと思っております。
 もちろん、その率につきまして、果たして妥当であるかどうかということは、われわれも十分実績等に徴しまして検討を続けなければならない問題でございますけれども、根元から全体これを特別措置としまして、課税所得が本来これだけ増加すべきであるという計算はどうも適当ではないというふうに思っております。
 それから、特別償却も租税特別措置としてもちろん考えられるわけでございますけれども、特別償却は、たとえば機械を取得しまして特別償却しましたその年には、確かに納めるべき税額は軽減されるわけでございますけれども、だんだんその後その装置が稼働いたしております期間に応じまして漸次その軽減されました税額は、償却額の減少という道を通じまして税額は取り戻されるわけでございます。したがって、言われるほどに特別償却というのは軽減しっぱなしというものでもございませんから、その問題についても、やはり取り扱いを、いま、その研究会等でやっておりますようにやるよりも、やはりそういった配慮をすべきではないかというふうに思っております。
#158
○鈴木一弘君 昨日の大蔵大臣の答弁でも、租税特別措置については合理的な整備というんですか、そういうものを考えないわけにはいかない。いわゆる法人税そのものを見ても、税率とかそういうものだけをいじっていくという量的な問題から、やはりいまの答弁にもあったんですけれども、どこまで一体益金に入れたらいいか、どこまで損金に入れたらいいかという問題も出てくると思いますし、そういう点の質的な変化というか、こういうのをかなり徹底した検討をやらなければならないところに来ているのじゃないか、こういうように思わざるを得ないのですけれども、そういう点、当局としてはどういうようにお考えですか。
#159
○政府委員(中橋敬次郎君) 昨年この課税所得が一体諸外国におきましてどういうような状況であるかということについて調査をさせました。いろいろそれに基づきまして、また今後も検討しなければならない問題がございますが、まず第一には、先ほど申しましたように、引当金について、常に実績率と現在認めております率との乖離というものをどういうふうに修正をしていったらいいかという問題を取り上げなければならないと思っております。
 それから、第二番目には準備金の問題でございまして、これもやはり戦後のわが国の経済が、企業の内部留保というものを高めるという必要性を非常に痛感しまして、かなり各種の準備金を設けてきたことは事実でございます。だんだん内部留保が高まるにつれまして、漸次この準備金についても縮小をしなければならないものについては手をつけてきたつもりでございますけれども、今後もそういった方向でこの準備金の洗い直し、あるいは合理的な改廃というものについて私どもは努力しなければならないというふうに思っております。
 特別償却につきましては、実は先ほど申しましたように、それにふさわしい機械、装置がございますれば、特別償却をするということによってかなりメリットをつけるということも、税負担の観点からは、実はそう心配をしなくてもいい問題でございまするから、やはり適当な機械の選択という問題として私どもは考えて直していかなければならない、こういう考え方でございます。
#160
○鈴木一弘君 これは夜の大臣のときに、もう少し法人税のことでは根本的な問題で触れていきたいと思うんですけれども、その前に法人税というのは一体どういう税金だということだと思うんですよ。法人の利潤に対する課税なのか、いわゆるなぜそこにかけるかという根拠ですね、つまり法人の企業、それに対して政府がいろんな形のサービスをしている、道路運送でも何でもそうですけれども、そういう意味から、それが特別の利益じゃないかということから取るのか、あるいはどういう根拠でということになると思うのです。利益に対して取る。今度は逆に損失については、これは損害は、当然取るべき税金を取らないでおかなければなりませんからね。ということは、政府がサービスして提供したと同じことになってくるわけでしょう。そういうところが、これはこの性格が一つあるわけなんです。そういう点で法人税というのは一体何なのか、政府のサービスによって特別の利益を得ているからそれに対する代償として取るものなのか、どういうものなのかという基本的な性格をちょっとここで伺っておきたいんですが。
#161
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお示しの問題については非常に基本的な問題でございまして、法人税の課税根拠ということでございまするが、法人というのは、やはり法律上与えられました人格をもとにしまして経済活動をやるものでございまするから、そういういわば国から認められました特別の資格というものについて税金を納めるべきであるという説もございますし、また社会的、経済的に、最近の状況のように一個独立の主体としまして相当のことはやっておるではないか、やはりそこには担税力を見出すべきではないかというような論もございますし、またお話のようにいろいろ国、社会からサービスを受けておりますから、そういうものについての応益負担をすべきではないかというようなこととか言われております。そういうようないろんな根拠を求めながら、やはり何といいましても、諸外国ともども、最近の法人の経済活動、社会活動が大きくなってまいりましたから、そこに法人税という形で課税をすべき根拠があるということで課税しておるのが例でございます。
 その場合に、一体それではどういうような課税標準をそこにとったらいいかという問題がございます。一つには、もちろんわが国の法人税のように利益というものを課税標準にいたしまして、やはり法人税の課税根拠がそういった活動に着目するということでございますれば、それを一番端的に表現をし、また担税力を如実にあらわしておるというものとしまして利益というものをとるというのが一番考えやすい道でございますし、各国ともそういうことを第一次的にはとっております。しかし、それだけにもちろんとどまるわけにはまいりませんで、先ほど言いましたようないろんなサービスを受けておるということから、たとえば固定資産についての負担を求めるとか、あるいは営業活動の大きさを、売上高でございますとか、たとえば従業員の数でございますとか、店舗の面積でございますとか、そういうようなことではかって、それに応じて応分の負担をしてもらうというのも一つの根拠でございます。今国会に地方税法の改正の中に提案されております事業所税といいますのが、私は一つのやはりそういった形での企業に対する課税であると思っております。それから、もっと一般的に、たとえば、かつてわが国の地方税法の中に形だけはあらわしまして、ついに実現をされませんでしたけれども、付加価値というものをつかまえてみまして、そういうもので企業活動の大きさを全体的につかまえて、それに対して課税をするということも考えられるわけでございます。そういうものを、程度の問題もございましょうけれども、いろいろ組み合わせながら法人について応分の負担を求めるというのがしかるべき措置だと思いますが、余り利益に離れた課税をいたしましても、やはり法人がその税負担に長くたえるというわけにもまいりませんから、やはり大きな負担は利益に対する課税という意味において行い、たまたま欠損が生じましたときには、それは前後のある一定の年限に応じて通算をするというようなことでもってそれを調整しながらやってまいる、またそれを補完する意味におきまして、先ほど申しましたいろんな形態の事業規模を示すような指標をつかまえまして課税をしていくというのが、やはり法人に対する課税の根本原則とまではちょっと申すのは妥当でないかもしれませんけれども、そういった考え方でいろいろ考えていくのが適当ではないかというふうに考えます。
#162
○鈴木一弘君 この間の為替差損なんかあったときなど、実際には私どもは利益があるなと思われても、地方税の徴収なんか見てみると、四千円きりで終わっているような大企業がいっぱい出てきたということは、これはどう見ても国、地方で損失をかぶってあげたような感じですよね。いまの御答弁からはもう完全にこれは法人実在説の感じで私は受け取ってたんです。そういうふうに受け取らざるを得ないような御答弁だったんですけれども、そういう点ではこれは今後研究を相当して、はっきりしたものをつかむところにきていると思うんです。このことについては夜またやります。
 ひとつここで、よく法人税を増徴する、あるいは法人税をふやしたい、こういうことになると、必ずそれは商品の値段にはね返るのではないかという声があります。これはどう見ても私ども商品価格の中に組み込まれてくるような感じもしてならない。組み込まれないようにやる方法だってあるんじゃないかということ、そういう点はどうかということをひとつ伺いたいんですが、考えてないかどうか。
#163
○政府委員(中橋敬次郎君) 法人税が価格に転嫁をされるかという問題もこれも非常にむずかしい問題、いろんな説があるところでございます。仮に、直接には価格に転嫁されないで、いわば法人の内部留保について帰着をすると、それが法人の拡張を抑えるというような意味にとりましても、やはりそういったものは本来法人税なかりせばもっと大きく拡張ができまして、それが生産を高めて、それによって価格の低落を生じ得たであろうと思われまするのに、拡張の源泉を若干縮小することによりましてそういうスピードを抑えるということから言いますれば、やはり何らかの影響は価格に及ぶということも認められるわけでございます。しかし、そういうかなり迂遠な形でないならば、法人税が価格に転嫁されるという問題は、そう早い時期に考える必要はありませんし、また独占というようなことに対する措置が十分行われますならば、法人税がすぐさま価格に転嫁するというようなことは余り考えなくても私はよろしいんではないかというふうに思っております。
#164
○鈴木一弘君 これはいろんな利潤に応じてかければとか、そういうことで転嫁されない方法もあるだろうという説もあるようでありますから、今後の検討を待ちたいと思いますが、ここでちょっとひとつこれは租税特別措置に入るかと思いますが、お伺いしたいんですが、具体的な問題ですけれども、現在建設省関係の建設業界で五社、マンションとか宅地とか、こういうことでのいわゆる前受け金等についての保証の会社がある、あるいは百貨店の業界や何かでもいわゆる二つぐらい、これは通産関係であると、友の会というやつですね。何とか、デパートのような友の会、こういうところで前受け金を受けたりなんかしたりしてそういうものが保証をする。そういうことでひとつこの点で、ここには冠婚葬祭の互助会というのがありますけれども、これの互助会がつくっている通産省の受託機関としての保証株式会社というのがある。こういうのが業界と銀行とで五割五割で資本を出したようですけれども、御承知と思いますが、わずかのお金を積み立てておいて葬式のときに安くやるとか、結婚式のときに安くやるということです。結婚式などは大体積んでから十年も二十年もたってからというのはないと思いますけれども、葬式の場合だと、下手するとずいぶん遅いのも出てくる。金はもらっちゃってあるということですけれども、そういう点では非常に公共サービス的といいますか、公益的というような面がわれわれには強くあれは感じられるわけです。それが前受け等によってもしものことがあってはならないということで、保証会社をつくって積んである。赤字のときはあれでしょうけれども、黒字になってきたら今度はこれはどうしても法人税ということになれば実効税率は四八%ぐらい両方で取られるわけですね、地方税とでは。それではいざというときに、今度はいわゆる異常状態が発生するとか何かあったときには、保証機能というものは働かなくなるじゃないかという心配がある。何とかならないかなという声があるわけでありますけれども、私もこの点はよくわからないんでありますが、そういう点を聞くと確かに公益的なといいますか、公共性の性格の強いというか、そういうものだけに、何らかの方法はこれは将来考えなきゃいけないんじゃないかということを思うんですが、その点いかがですか、何か。
#165
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお話しのようなものにつきまして、その保証料を受け取っております保証会社について何らかの配慮をするという
 ことになりますと、何か特に異常危険がありますときにそれに備えてやるということであれば、保険会社について認めておるような制度というのは考えられないことはないわけでございますけれども、その種のものについて、実はたとえば割賦販売法の前金保証会社とか、宅地建物取引業法の前受け保証会社というようなものについてもいろいろ検討をいたしましたけれども、どうもその異常危険、異常損失が発生するというほどの実態がまだないわけでございます。またそうあってはなかなか困るような話でございましょうし、確かに若干のそういう損失というのが発生することもございましょうけれども、それは年々の通常の経理でもって吸収できる程度でございます。したがいまして、どうも異常危険準備金というようなものをその種のもの、冠婚葬祭の前金保証を行う場合にも同じでございまするけれども、そういうものを認めるというのはどうもまだそこまでの実績を認めていないわけでございます。公共工事の前払い金の保証会社につきましても同様な問題がございまして、異常危険準備金を認めておったんでございますけれども、その後の実績を見ましても、異常損失というものの発生がほとんどないということでございますんで、今回租税特別措置というものをひとつ整理するものの中に入れて、廃止をするように御提案を申しておる次第でございます。
#166
○鈴木一弘君 租税特別措置、われわれもずいぶん批判をするわけですけれども、租税特別措置自体が、いわゆるいままで批判されていたような大企業の優遇とかなんとかということよりも、やはり国民の福祉の向上、充実という面等にウエートを置くということは、これはひとつの大きな役割りだと思うんですね。そういう点で、普通の結婚式じゃ大変であったり、葬式でも大変ですけれども、ああいうのを使うとすごく楽にできると、庶民の愛好は非常に多いわけです。いまの危険の云々と、それは結婚が急にふえるなんという危険はないと思いますけれども、しかし直下型地震なんか騒がれているときでもありますし、そういう面は、これは検討をしていただかなければならないんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点もう一度御答弁をいただきたいと思います。
#167
○政府委員(中橋敬次郎君) そういうことで、冠婚葬祭をお互いに助け合う便宜な制度という意味においては非常に意義があると思いますが、やはりそれの計算で、それぞれの段階におきまして利益が出そうでございましたら、余りそれぞれの料金を高く取らないように、そういうことで、むしろみんなで安くこういう制度をつくっていただく方が望ましいわけでございまして、利益は出ますが、何らかの制度をつくって税金を安くするという、理由があればともかくでございますけれども、なかなかそれを認めがたいような実情でございますので、今後そういう制度に乗るような実績が出ましたときには検討をいたしたいと思っております。
#168
○鈴木一弘君 租税特別措置の中で、老齢者年金の特別控除の問題ですが、この引き上げがあると、こういうことで、十八万円ですか上がるということですけれども、老年者の場合夫婦二人で、その他の基礎控除、こういうものを合わせて一体年収幾らぐらいまでが非課税になっていくのか。
#169
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回御提案申し上げております改正案全部が実現せられるといたしますと、年金のみを受領いたしております夫婦で二百二万四千円が課税最低限になります。
#170
○鈴木一弘君 二百二万ですね。年額七十八万、プラスして二百二万ですか、基礎控除全部入れて。この適用期限が五十二年十二月三十一日、こういうことになっております。それ以後については、今度はこの特別控除額を引き上げると言うんですか。それとも二年ごとずつの見直しをしていく、毎年の見直しをしていく。これでは五十二年十二月三十一日ということで、あと二年間待たなければ変わらないことになります。その点いかがですか。
#171
○政府委員(中橋敬次郎君) 老年者年金特別控除制度と言いますのは、四十八年一月一日から設けられた制度でございまして、年金問題を総合的に判断をいたしまして、本法でどういうふうにするかということの研究をする期間としまして、暫定的に昭和五十二年の年末までこの制度をとっておるわけでございます。ただその中におきます金額は、やはり年金の水準というのを考えて、ときどき見直しをしていかなければならないと思っておりますし、また今年度の改正におきましても、六十万円から七十八万円に大幅に引き上げるというようなこともお願いをいたしておるわけでございまするから、そういうふうな見直しをこの制度の中におきましても、その期間内におきましても、今後とも続けなければならないと思っております。
#172
○鈴木一弘君 御承知のように、これからの日本の人口の形態も、老齢者の人口がいまよりふえてくると、こういうときでもありますから、その点、この老齢者年金特別控除と、それから老齢者のふえてくるということの関連この辺は十分考えて今後ともお願いをしたい。
 以上です。
#173
○近藤忠孝君 最初、国税庁にお伺いしますが、最近、税務指導連絡協議会とか、いままでの青色申告会のほかにもう一回り範囲の広い税務署への協力団体が各地で組織されておる、こういった状況を聞いておりますけれども、その実態はつかんでおられますかどうか。
#174
○政府委員(横井正美君) いわゆる税務の協力団体の実情でございますが、これは各地域によりましていろいろその事情なり、あるいは歴史的な経緯なりがございます。そこで、私どもは各地域の実情に任せまして、自主的に判断してやってまいるようにという指導をしておるわけでございます。ただ、全体的には御承知のように、昭和二十二年に申告納税制度が発足いたしましてから、制度の趣旨にかんがみまして、民間の協力を得て申告納税が着実に実現できるということが望ましいわけでございますので、私どもはそういう協力団体の育成に努めておるところでございます。
#175
○近藤忠孝君 そうしますと、育成に努めているということは、これは国税庁としてそういう指導をしていると、いまもしておると、こう承ってよろしいでしょうか。
#176
○政府委員(横井正美君) 御承知のように、申告納税の適正な実現のためには、やはり納税者が税法の知識でございますとか、あるいは帳簿の記帳能力でございますとか、そういうものが必要でございますが、これはなかなかにして得られるものではございません。特に中小、零細企業等につきましては、非常にこれらの知識が乏しいというのが実情でございますので、私どもある程度の補助金等もいただきまして指導を育成しておるということでございます。
#177
○近藤忠孝君 私がお聞きしたいのは、最近特にその点で指導を強めて、そういう協力団体がふえるように指導しているのかどうかということ。そしてそういう指導に従って具体的にそれら団体が傾向として、具体的数は各地に任しておりますからいいとして、傾向として全国的に増加しているかどうか、この点をお伺いしたいのです。
#178
○政府委員(横井正美君) 全体の計数を持っているわけじゃございませんが、私どもそういう方針でやってまいっておりますし、またそれによりまして、中小、零細企業の方のよりどころができるということで、中小企業、零細企業の方にも喜んでいただいておりますので、だんだんそういう組織がふえてまいり、かつ喜んでいただけるような存在になっておるというふうに思っております。
#179
○近藤忠孝君 喜んでおるかどうかは、税務署の方から見た場合と、また納税者から見た場合と大分違うので、これはまた、この後ずっと質問をしたいのですけれども、一面このような団体が各地にふえているということは、むしろ民間税務署ですね、要するにそういう協力団体が従来税務署がやるべき仕事を肩がわりして、いわば下請してやっている、そういう面がありゃしないか。ですから言葉を悪く言えば、民間税務署をつくっている、こういう批判もあるわけです。そういう面があるかないか、この点御答弁いただきたいと思います。
#180
○政府委員(横井正美君) 御指摘のような性格のものにならないように配慮しながらやってまいっておるところでございまして、御指摘のようなことはないと信じておるわけでございますが、御承知のように私ども税務署の姿勢は、だんだんに低くいたすような努力をいたしております。また積極的に納税者のふところに飛び込む、親身になって御相談に応じるという体制づくりをいたしておりますけれども、何と申しましても、税務署は税務に基づきます権限を持っておるわけでございますから、民間団体の方が納税者により親しみやすいという傾向があることは否定できないわけでございます。そういう意味合いから、私どもの仕事を民間が肩がわりをしておるということではございませんが、民間側で各種の活動をしていただくということは、より納税者にとって便宜でございますし、効果的であるというふうに考えるわけでございます。
#181
○近藤忠孝君 便利な面と、それから同時に、税務署がどんどん入ってきまして、必要以上に入ってきて、その面で納税者の権利が侵害されるという面と二つあると思うのです。便利だからいいというものでもないと思うのです。同時に、どの程度便利かという問題がある。
 私がもう一つ聞きたいのは、最近幾つかの事例を見ておりますと、具体的にかなり税務署がみずから組織している。むしろかなり立ち入って組織している例があるように見られます。そうなりますと、その団体が、果たして税務署と別の自主的な組織の中にある、それこそむしろ下部機構化していやしないかどうかという、こういう問題を感じるわけです。そこで、まず第一にお聞きしたいことは、そういう協力的団体は、税務署とは別の自主的な団体なのかどうか、そういう点で指導しているのかどうかですね、まず第一点。具体的に自主性が損なわれている例がありゃしないかどうか、これが第二点であります。
#182
○政府委員(横井正美君) 御指摘の点でございますが、もちろん民間の団体でございますから、税務署の組織等から自立をした自主的な団体であるということでございますし、また、現実の運営におきましても自主的に運営されておるというふうに考えるわけであります。
#183
○近藤忠孝君 そうしますと、税務署としては具体的な運営に介入したり、関与、運営そのものですよ、たとえば参考に説明に行くとか、いろいろ便宜を図るという、そういう面はいいにしましても、具体的な会員の構成とか、あるいは運営には一切タッチしない方針である、こういうぐあいに承ってよろしいのですか。
#184
○政府委員(横井正美君) 自主的な団体でございますので、運営に干渉するというようなことはないと思っております。ただお話にもございましたように、納税者にとってそういうサービスを提供するという機関でございますから、また、これは申告納税制度の運営上好ましい存在でございますので、志を同じくするものといたしまして、できる限りの応援はいたすという体制にいたしておるわけでございます。
#185
○近藤忠孝君 いま運営に干渉することはないとおっしゃったんですが、これは運営に干渉してはならないという基本的な立場なのかどうか、いかがですか。
#186
○政府委員(横井正美君) 御指摘のように、運営に干渉してはいけないというふうな立場であると理解しております。
#187
○近藤忠孝君 この点で国税庁にお伺いしますけれども、いまもお聞きのとおり、各地にこういう、この種の納税協力団体が相当ふえている、こういう実情があるわけです。この点は先日参考人として見えた方々も、具体的に課税最低限が一定のところにとどまっているために納税人口がずいぶんふえて、現在の税務行政の陣容ではなかなか賄い切れない、どうしてもそういう協力的な団体が必要な面が出てくる。これは税理士の方が率直に述べられたわけです。その是非はともかくとして、具体的に今回の課税最低限がこの程度にとどまった関係上納税人口がふえ、かつその結果徴税事務上もそういう問題が起きているという、そういう事実はお認めになりますかどうか。
#188
○政府委員(中橋敬次郎君) 納税者がいろいろ税務について自発的な協力をしていただけることは非常にありがたいことだと思っております。もちろん納税者の数がふえれば、そういう必要性もいよいよ高まることも事実でございます。ただ、これまでの課税最低限の推移から見まして、課税最低限が低過ぎるから納税者がふえたかというと、私どもは実は余りそういうふうには思っておりません。納税者がふえておりまするのは、実は給与所得者についてかなりふえております。その理由は、課税最低限もかなり、たとえば給与所得控除の最低限度額を五十万円に引き上げたということで、大幅に引き上げはいたしましたけれども、何しろ最近の初任者の給与の伸びというのがここしばらくの間非常に高うございましたから、そういうことで課税最低限の引き上げにもかかわらず、給与所得者の数というのがまあ四十九年においては落ちましたけれども、五十年においては少しくふえるというような程度になっております。むしろ、この納税協力を非常にお願いをしておる方たちというのは、申告納税者、特に営業を中心としての方だろうと思いますけれども、そういう部面につきましては、実は余り納税者の数がそんなにふえておるという事情ではございません。しかし、多いことは確かでございますし、また、その多寡にかかわらず今後とも納税協力をしていただくということは、私どもとしてもお願いをしたいところでございます。
#189
○近藤忠孝君 いま主としてふえているのは、給与所得者であって申告納税者はそうでないということですが、国税庁どうですか、具体的数字はわかりますか。
#190
○政府委員(横井正美君) 最近の数字を申し上げますと、四十八年の申告所得税納税者のうち、営庶業所得者の数が二百四十一万七千でございます。四十五年におきましては、この数が二百六万二千でございます。四十年におきましては百三十四万九千人、したがいまして、幾らかはふえておりますけれども、主税局長が申しますように、総体の中で非常にふえておりますのは、いわゆる給与所得者でございまして、営庶業の伸びはそれほどではないと申せるかと思います。
#191
○近藤忠孝君 給与所得者の場合には徴税事務に直接にそれほど大きな影響はないと思うんですが、申告納税者の場合ですが、そんなにふえてないと言いますけれども、いまの数見ますと、八年間で百三十四万から二百四十一万、約百万以上ですね、百七万ですか、ふえていますね。となりますと、割合からいきますと相当大きなふえ方ですね。ですから、こういう数のふえ方が、私はいままで職員の数は五万ぐらいの数がそんなに変わっていない。となりますと、いままでの数では十分やっていけないのでそういう協力団体をつくっている、そういう側面がありやしないか、こういう面をお聞きしているんですが、いかがですか。
#192
○政府委員(横井正美君) いまの数字からうかがわれますのは、年率一割ぐらいで増加している、これは事実でございます。しかしながら、私どもが協力団体の活躍にいろいろお願いしておるといいますか、そのおかげでだんだんにやってまいっておりますのはいわゆる質の面でございます、申告納税でございますので、納税者の方々が適正な申告をしていただきますれば、私どもは調査の必要がなくなるということでございます。そういうことで申告納税制度の発足以来そのような努力を続けてまいっておるわけでございます。最近におきまして、特に民間の協力団体の方々がより前向きでしっかりした組織をつくり、自主的な適正申告のムードをつくり、その質を上げたいということでおやりになっておるわけでございますので、大変ありがたいことだというふうに考えておるわけでございます。必ずしも納税者の数がふえてまいるのが直接の原因で、そのような協力団体が生まれておるということではないというふうに考えます。
#193
○近藤忠孝君 この問題、具体的な問題点がありますけれども、これちょっと時間の関係で夜、大臣に対する質問のところでさらに続行したいと思います。
 次に、事業主報酬制度についてお伺いいたしますけれども、これ四十九年分から五十年、五十三年分まで時限立法となっておりますみなし法人課税、これ選択した場合の特例でありますが、この制度を利用している数は全国で何人ぐらいか、業種別に教えていただきたいと思います。
#194
○政府委員(横井正美君) 昭和四十八年分につきまして申しますと、青色申告者総数二百九万七千人に対しまして事業主報酬、つまり、みなし法人課税を選択している方、これは一万九千九百五十八でございます。四十九年分につきましてはまだ実数がつかまっていないわけでございますが、約二万人ほどふえておるかと思います。
#195
○近藤忠孝君 業種別をちょっと。事業所得と。
#196
○政府委員(横井正美君) 細かい業種別が実は報告を求めておりませんで、事業所得と不動産所得に分かれておりますが、事業所得について申し上げますと、青色申告者総数が百九十八万四千人で、利用人員が一万九千百三十四人、不動産所得が十
 一万二千人で、利用人員が八百二十四人となっております。
#197
○近藤忠孝君 そうしますと、事業所得につきましては一%、それから不動産所得につきましては〇.七%、こういう割合であります。この制度の利用がこんなに少ない理由は何だとお考えになっていますか。
#198
○政府委員(横井正美君) この制度の発足に当たりまして、私どもといたしましては、制度の内容につきまして周知の努力をいたしたわけでございます。しかしながら、納税者の方々のお考えをいろいろ承っておりますと、新しい制度にすぐ飛びつくというのはなかなかむずかしいような事情もあるようでございまして、先ほど申し上げたような低い利用率にとどまっておるわけでございます。しかしながら、その後翌年には二万人ふえておるなどで、今後着実にふえてまいるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#199
○近藤忠孝君 この利用者か少ないのは、この制度を利用してもメリットが少ない、つまり実質的に減税にならない、そういう面と、もう一つは、複雑な記帳が要求されておって、手続も煩瑣である、こういう面がありやしないかと思いますけれども、その点いかがですか。
#200
○政府委員(横井正美君) メリットの面につきましては、税制が改正されます段階でいろいろ御審議をいただきまして、既存の青色申告者、あるいは法人その他とのバランスを考慮しながらでき上がった税制でございますので、執行官庁でございます私から余り口を差しはさむわけにまいらないかと思うのでございます。後段の問題につきましては、従来青色申告をなさっておる方でございましたならば、移行にそれほど困難があるわけでもないというふうに思いますので、その面につきまして私ども関係者の方方から大変むずかしいという御批判はいただいておらないように記憶をいたしております。
#201
○近藤忠孝君 この点について専門家である公認会計士や税理士がどの程度その制度を利用しておるか、これはあらかじめ質問出しておきましたけれども、回答では統計をとっていないので不明である、こういうことです。そこでお聞きしたいのは、統計をとっていないですけれども、税理士さんなり、あるいは公認会計士がどの程度、たとえば何%ぐらい、おおよそ利用しているかどうか。この面いかがでしょうか。
#202
○政府委員(横井正美君) 全体的にまだ利用率が低いわけでございますが、その中で税理士あるいは公認会計士の方がどの程度か、全く資料ございませんのでお答えできません。
#203
○近藤忠孝君 私たちの調べているところでは大変少ない。いわば先ほどこの制度の内容を周知させるための努力をしているということでありますが、しかし、そうであるならば、これが本当にいい制度であるならば、特に公認会計士、税理士、この道の専門家である人がこの制度を十分に利用し、かつ人にも勧めるだろうと思うんです。ところが、実際にはこれは余りその分でも適用されていない、利用されていない、こうなりますと、実際にはそれによってみんなが望んでいるような節税にはならないということが具体的にあると思うんです。いや、逆にそれどころか、この制度が現在の経済情勢とあわせまして大きな問題点を持っている。たとえば事業主の給与をこれを、自分で決める制度でありますから、しかし、一度決めてしまいますと、後で勝手に操作をしては困るというわけでしょう。これはそういう指導をしておりますね。そういう基本方針で臨んでいます、となりますと、一たん決めた給与がその途中で変えるわけにいかぬものですから、今度不況で、しかも金融引き締め、こういう状況の中で、経営が苦しくなってきた場合、やはり給与は給与で動かせないものですから、まずそれについて課税がある、全体になりますと赤字である、となりますと、決めた給与分だけ実際には損をするんじゃないか。こういう面で具体的に多くの小さい企業では、この制度は利用すると逆に損をする、よけいに税金を払わなきゃいかぬ、こういう面があるためにかえって敬遠されているんじゃないか、こういう面があるんだと思いますけれども、実際いかがですか。
#204
○政府委員(横井正美君) 第一の点でございますが、減税になるということのほかに、この制度の採用に至りますまでの過程を振り返ってみますと、いわゆるその企業と家計の分離というふうなことが青色申告をなさっておる多くの納税者の御希望であったわけでございます。これをいろいろ検討いたしました結果、今日の姿でまとまったわけでございますので、そういう企業と家計の分離という面から見ますと、かなり前進した姿になっておると考えてよいのじゃないかと思います。
 第二に、報酬の問題でございますが、御指摘のように、前年末に報酬を定めまして届け出をいたします。その後改定ができないというふうな点は、一部の方から御意見がないわけでもございませんけれども、まだ制度が発足後間もないことでございますし、大幅なベースアップというのがそう今後も続くわけのものでもございませんので、私どもといたしましては、前年末に報酬をお決めいただいて、それを毎月きちんきちんと取っていただく、そしてそれに伴う源泉徴収もおやりになるというふうなことで、しばらくの間は運用していただくようにお願い申し上げたい、こう思っておるわけでございます。で、いまのところ年度途中で報酬が改定できないから大変困るというような声が大きいようには実は聞いてないわけでございます。
#205
○近藤忠孝君 いま企業と家計の分離のことを言われましたけれども、この制度の適用を本来受けるべき層の人々は、その層の人々の本当の要求は、むしろ自家労賃を経費として認めろという、そこに基本的な要求があったと思うんです。で、その問題に入りたいと思うんですが、時間が参りましたので、これも夜にこの続きをやりたいと思います。
 終わります。
#206
○栗林卓司君 減価償却の問題で幾つかお伺いしたいと思うんですけれども、お尋ねする前に、大体こんなところで考えてお尋ねをしてよろしいかという点で伺いますけれども、その減価償却を、いろんな見方がありますけれども、一つは償却資産の取得額を減価なり損金にどういうぐあいに分けていくのか、償却資産の取得価格をコストなり損金にどうやってある期間内に配付をしていくのかという問題の見方が一つあります。それからもう一つは、それを裏返して償却資産の再取得費用をどうやって調達をするかという面がその裏側ではあろうかと思います。もう一つは、納付税額とかかわりを持つわけですから、それとの見合いでどう考えるか、おおむねこの三つを減価償却の中に、頭に置きながら考えてまいりますと、減価の中にどう配付をするのか、償却資産の再取得価格をどうやって調達をするのか、これはそれぞれの企業の側の選択の問題だろうと思います。ところが、損金としてそれをどうやって配付をしていくのか、あるいは納付税額とのかかわりをどう見るのか、これは税制の側の判断の問題だろうと思います。一応こういったぐあいに分けながらお伺いしたいと思うんですが、よろしゅうございましょうか。
#207
○政府委員(中橋敬次郎君) 結構でございます。
#208
○栗林卓司君 そこで、企業の側ではなくて、税制の側で考えたとしまして、幾つかの減価償却方法が法律に書いてございますけれども、定率法と定額法と比べて考えてみたとき、税制の立場とするとどちらの方が妥当だと考えればよろしいんでしょうか。
#209
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日の税制の立場から申せば、いずれでも企業の選択するものを継続的に適用していただければそれでよろしいという立場でございます。
#210
○栗林卓司君 もちろんそうなんですが、減価償却方法を例示的にこうお出しになっている一番最初に定額法が書いてありますから、そちらの方を主としてお考えかと思いながら施行令を見ますと、企業の側があえて指定をしない場合には定率法による、そちらの方を主として選択するようにも読めるわけです。その意味で、大変制度としてはこれは違っているわけですから、税制の立場でどちらの方を主として見ていく方が妥当なのか、従来の経過は経過としておきながら御見解を伺いたいと思います。
#211
○政府委員(中橋敬次郎君) いろいろな償却方法を列挙いたします場合に定額法から書いてございますということは、そのためにまず定額法を優先するという立場でもございません。かなり古い時代におきましては定額法というのが一般的でございましたから、そういうような経緯から定額法、定率法というような列挙の方法をとったんだろうと思います。
 それで、それでは一体新しい制度としてどういうふうなものを考えたらいいのかということになりますればまた意見があると思いますけれども、今日の私どもの、特に法人税の課税所得をどういうふうに形成すればいいかという場合には、企業がとっております公正妥当な会計処理の方法というのが確立いたしておればなるべくそれに乗っかっていこうというのが、この四十年来の態度でございます。
 したがいまして、企業がいずれかを選んでくれればよろしいんでございますが、どちらかと言えば、定額法の方がいわば安定性を高めるような感じでございますし、定率法の方は企業の、先ほどおっしゃいました資金調達の面を援助しやすいというようなことがあるかと思っております。
#212
○栗林卓司君 すると、いまの御説明ですと、ちょっとうまいぐあいに条項が見つからないんですが、指定しない場合に定率法によるとあえてお書きになった経緯はどういうことだったんでしょうか。
#213
○政府委員(中橋敬次郎君) 特に法人が選んでいない場合には、おっしゃるように定率法を選定するということになっておりますが、それを決めました趣旨は、定率法でございますと、毎年掛ける率が決まっておりますから、原始取得以後資本的支出がございましても、全部その率で処理ができますので、容易ではなかろうかというような観点から、便宜主義で定率法というのを法定の方法としたようでございます。
 ただ、個人の方、所得税の方は、そういう場合には、むしろ安定性ということに重点を置きまして、余り資本的支出もないということも前提となったんだろうと思いますけれども、定額法をとっております。
#214
○栗林卓司君 これは、どちらに決めるかという、なかなか決めようがないような話なんですけれども、損金というのは益金と見合う概念なんだ、一応そうは考えられる気がするんですけれども、益金というのは、事業活動とある相関の関係にあるんだろうと思います。当然、損金の方も、事業活動との相関においてつながりが求めやすいようなことになっていなきゃいかぬ。そうなると、出来高比例法の方が一番見合うのかもしれませんが、これは実務上計算不可能ですから、そうなると、耐用年数の間おおむね事業活動は均等であるというたてまえをとるのか、事業活動はおおむね幾何級数的に低下をするたてまえをとるのか、こう考えますと、先ほど来安定性と言われていましたけれども、制度とすると、本当は定額の方が税制としては一番なじみやすいんじゃないかと思いますが、この点御所見はいかがですか。
#215
○政府委員(中橋敬次郎君) 定率法の場合には、企業の活動が急速に落ちるということよりは、むしろ機械装置の減価がどのようなラインを通じて落ちていくかという問題だと思います。
 それで、定率法の方は、一つの機械の現在価値を見出すということでいたしますれば、確かに一年目はうんと落ちるという方が実は実態に合った感覚ではないかと思いますけれども、そういうことにいたしますれば、やはりコスト計算でいわば年々違ってまいりますから、定額法の方が、そういうコストの面から言いましての安定性という意味で、まあ私はそれにふさわしい制度ではないかと思いますが、それならば一体定率法をなぜ認めたのかといいますと、最近におきます機械の進歩とかそれの使用状況とかいうようなことを考えますれば、各国とも定率法を採用いたしておりますので、わが国もそういう風潮に沿って定率法を採用したんじゃないかというふうに思っております。
#216
○栗林卓司君 昨今の技術革新の中で、経済的な陳腐化も含めていかがであろうかというのは、どちらかというと耐用年数の面で主として配慮していくことだと思いますし、それから各国の税制を見ても、全部ではありませんけれども、いただいた手元の資料で見ると、定額法の方を主として書いてある。定率法については、選択はしながら制限的な条項がついているという書き方が多いように思えるんです。外国がそうだから、したがって定額だと、こういう議論をするつもりはございませんよ。ございませんけれども、今度見方を変えまして、以下申し上げるような角度からこれを見ていったときに、計算の都合から定率が便利なんだということではなくて、定額の方を主として見ていった方がこれからはいいんではないかという感じがするもんですから、以下御説明しながらお伺いしていきたいと思います。
 それで、なぜこう申し上げるかといいますと、経済政策の面で考えますと、定額法と定率法では、償却資産の再取得費用を調達する調達能力に大きな隔たりか出るんじゃないか。首を振っておられますから言わんとする意味はもうおわかりだと思うんですけれども。これが実は、民間の設備投資を非常に拡大してきた税制上の一つの要因だったんではないか。で、これから経済のパターンが変わってくる、しかも、コストという面で見ますと、例の独禁法の議論ではありませんけれども、那辺が妥当なコストなりや否やということになると、これからは定率ではなくて、定額の方に比重を傾けた見方を税当局としてもしていく方がなじむのではないかと思いますが、この点についていかがですか。
#217
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに、再取得資金の調達という点から考えますれば、おっしゃいますように、定率法の方がはるかに有利でございます。むしろ景気政策と申しますか、経済情勢の方向づけというような観点から申しますと、定率法について、ある場合にはそれを左右し得るような道というのが一つ必要かもしれません。たとえば外国におきましても、景気が過熱をいたしましたときに、通常の場合には定額法の二倍までは定率法を認めるというような原則をとりながらも、時にはそれを一・五倍までに制限するとかいうようなことで、巧みにそういう景気調節作用をこれによって行っておるということからも、おっしゃいますような調達資金という問題を関連づけておると思っております。
 今後、わが国の経済情勢がいわゆる安定的な方向に進むから税法上の償却方法もそれに合わせたことでつくりかえる必要があるのかということになりますれば、私は、それは企業の方の判断で、まずはやっぱり企業としますれば、当面コスト高になりましても将来の値下げというようなことを含みにいたしまして考えたり、あるいは調達資金をできるだけ早く確保しておく、いずれに転んでもどちらにでも動けるというようなフリーハンドを得ておきたいというような気持ちの人もあるだろうと思います。したがいまして、そういうのはやはり企業の選択に任せることにいたしまして、税制上は今日のような形を続けていくのがいいのではないかなということをまあいままでは実は思っておりましたんですけれども、確かに、今後のやり方としまして、定率法について、場合によりますれば、そういう限度を随時置けるような制度というものは確かに研究に値するものだと思っております。
#218
○栗林卓司君 時間ですから、後ほどまた続けて御意見承りたいと思うんですけれども、最近調子が悪くなるといろんな言い方をするもので、定率から定額へということを言い出している業界もあるわけです。だからといって、はいそうですかということにはなりませんけれども、ちょうどいまのこの節のところでどうするのか、継続性の原則ということを非常に慎重に考えながら――大勢は定率ですからね、産業界は。それをそのまま温存するのか、この機会に見直しをするのか、ひとつ考えるところじゃないかという気がいたしますので、また続けて伺いたいと思います。
 以上です。
#219
○委員長(桧垣徳太郎君) 午後四時三十分まで休憩いたします。
   午後四時十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三十六分開会
#220
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#221
○辻一彦君 大変総理忙しいところを出席していただきました。税制全般と財政金融等につきまして若干の質問をいたしたいと思います。
 現代財政の国民経済における役割りとしまして、第一は、資源の適正な配分、第二は所得の再分配、三つ目に経済の安定化、四つ目に適度の経済成長の実現、これを果たすことが期待されております。このうち二つの所得の再分配は、財政支出面における社会保障費等の給付と並んで、税制の最も重要な機能の一つに挙げられていると思います。
 そこで、狂乱物価以来のインフレはまだ終わらずに二けた台の物価上昇と、こういう状況でありますが、こういうインフレほど所得の低い層がこの影響を受ける。実質的に所得の格差がどんどん拡大をしていくと、これはもう御存じのとおりであろうと思います。そこで、税制面において、またこれから続くインフレの所得格差の拡大を従来よりも力を入れて是正をしていく、所得の再分配の役割りを果たすことが強く要請をされておると思います。そういう中で、五十年度の税制改正案を見ますと、税が本来持っている所得再分配の機能を十分発揮していない。むしろ減殺をして、結果的には不公正を拡大している面がかなり随所に見受けられるのではないか、こういう観点から私は二、三の質問を行いたいと思います。
 第一は、利子・配当所得課税についてでありますが、まあ社会的不公正、これを是正する最大の項目に挙げられておりますのが利子・配当の優遇措置、これでありますが、今回の措置によってこれが二五%から三〇%に上がっている。あるいは個人の受ける割引債の償還差益については一〇%から一二%、これは上がりました。しかし、そのほかの措置はすべて五年の適用期限がそのまま延長されていると、こういう状態にあります。私たちが日ごろ主張しているところの利子・配当の分離課税の廃止は依然として残されたままになっております。こういう点から、この制度は非常に税負担の不公平を持っておると、このように思いますが、まずこの点について総理としての御見解を伺いたいと思います。
#222
○国務大臣(三木武夫君) 私も辻さんと同じように利子・配当の分離課税よりも、総合課税という方が好ましいと考えておるわけでございます。それなら好ましいのになぜやらないかということになるわけですが、どうも配当もありますけれども、利子ですね、利子というものはなかなか御承知のように把握しにくいわけですからね。だから、五年間という、五年以内にという、何とか完全に把握できるような方法を検討して、そうして早く総合課税の方に移れるようにしたいということでこれが最善だと思っていないわけです。五%上げて三〇%にいたしたわけでございますけれども、しかし、でき得べくんば総合課税が望ましいということには、私どももそのように考えておるわけでございます。
#223
○辻一彦君 細かいことは抜きにして、四人家族で現行百五十万が百八十三万円に引き上げられた、配当だけで暮らしている人は不労所得が三百五十七万が四百四万九千円とここまで課税されない。片方では汗水を流して一生懸命働いて、そして、百八十三万を超えれば課税、月にしますと十五万、これはもう生活の経費ぎりぎりであると思うんです。これをちょっと超えれば課税をされる。片方は座して、不労所得で四百万までは非課税と、これでは私はやっぱし社会的不公正の最たる一つではないか、三木社会不公正是正内閣の看板が私はこのまま放任しておいては泣くと思うんですが、特にこの点を強調されておる総理、これを何とか是正をされる、こういうお考えはないんでしょうか。
#224
○国務大臣(三木武夫君) いま言ったような現実の事情もありまして、これはやっぱり一挙にというわけにはいかぬものもあるわけでございますから、これは徐々に租税の面においてもいろいろ是正をしなければならぬものがあることは事実ですけれども、なかなか現実としてはむずかしい面もあるわけでございまするが、利子・配当の総合課税もその一つであるということでございます。
#225
○辻一彦君 一挙にできないとするなら、五年間というのをそのまま延期しておるんですが、これを二年とか三年にまず短縮してこの段階をつけていく、こういうお考えはないんですか。
#226
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、辻さんもお考えになっておる利子というものの把握というものは、現実においてはなかなか正確な把握がむずかしいわけです。これを何とかいろいろ国会においてもこの点については御指摘があるわけで、何とか利子というものを完全に把握できるような方法というものを検討したいということで、五年以内に何か把握できる方法を検討したいということでございまして、いまこれを二年とか、三年とかなかなか長い間の利子というものに対していろいろな貯蓄があるわけで、貯金があるわけですから、こいつを一挙にということには、いろいろな歴史もあるものですから、容易ならぬものがありますので、いまここでこれを二年、三年に短縮してその間に何とか検討いたしますということはお約束いたしかねるわけで、五年の間に何とか検討してみようということで五年ということにいたしておるわけでございます。
#227
○辻一彦君 しかし、その御答弁は、ここ何年もどの総理もおいでになって聞きましたし、また再々の大蔵委員会衆参両院を通して聞かれている、この利子を捕捉できないということ。そういうことは私は理由にはならない段階に来ているんじゃないかと思いますが。
 そこで、少なくとも来年度のやはり税制の、税調の論議があるわけでありますが、少なくも来年の税調でこの不公正を何らかの形で前向きに是正をされる、こういう御用意はないんですか。
#228
○国務大臣(三木武夫君) これはやっぱり利子の問題については、いろいろないままでにも御指摘があるわけで、いろいろな種類の貯金があるわけで、そして、利子の把握というものはむずかしい、これは問題であることは事実ですから、税調においても十分検討をさせまして、何とかこの問題が解消できるような方法を検討いたしたい、税調の議題にもいたす所存でございます。
#229
○辻一彦君 もう一度確認いたしますが、来年の税調で具体的に検討されて前向きにこれを何とか是正をしていこう、こういうように発言されたと理解していいですか。
#230
○国務大臣(三木武夫君) 最初に私が申し上げたように、総合課税が望ましいことは言うまでもございませんから、税調において十分に検討をいたします。
#231
○辻一彦君 十分に検討して具体的な成案をぜひ来年の大蔵委員会には出してもらいたいと、このように思います。
 第二に、私は預金の目減り対策について若干触れたいと思います。三月十九日、衆院の大蔵委員会で総理は預貯金の目減り対策は必ず実施すると、こういうように御発言になっておる。このように新聞等は報じております。これは間違いありませんか。
#232
○国務大臣(三木武夫君) 範囲あるいはまた対象を限って実施するという考え方に間違いはありません。いままだ内容については申し上げる段階ではございませんが、実施するということに変わりはございません。
#233
○辻一彦君 実施するに間違いはないと、こう断言されるならば、およそその内容あるいは時期等もほぼ見当がつきかけつつあると、こう思いますが、これについてはいかがですか。
#234
○国務大臣(三木武夫君) これはいろいろむずかしい問題もあるわけで、実施をするということで、その方針を決めて、いま大蔵省でも具体的に検討をいたしておるわけでございますから、したがって、ここで内容についてこうだこうだというのは、まだ申し上げる段階にまで至っておらないわけでございます。何らかの形において対象、範囲を限ってこれは実行をするということだけを申し上げるにとどめさせていただきたいと思います。
#235
○辻一彦君 大蔵省が具体的に検討しているという御発言でありますが、その点ちょっと確認したいのですが、主税局いかがですか。ごく簡潔に。
#236
○政府委員(後藤達太君) 私の方でただいま鋭意検討いたしております。
#237
○辻一彦君 具体的にほぼその結論を出すのはいつごろのめどですか。
#238
○政府委員(後藤達太君) ただいま総理の御答弁のように、いろいろむずかしい問題がございますし、金融情勢の変化もございます。まだいつごろまでと私申し上げられる段階ではございません。
#239
○辻一彦君 それは四月中ですか、五月ですか。
#240
○政府委員(後藤達太君) 具体的に四月中とか五月とか、こういう自信を持って申し上げられる段階ではございません。
#241
○辻一彦君 どのぐらい煮詰まっているのですか、固められているというのは。
#242
○政府委員(後藤達太君) どのくらいということでございますが、いまお話の出ました範囲とか程度とか、あるいは最近の金融情勢に応じて金融機関の負担できる限度でございますとか、そういうところを鋭意詰めておるところでございます。
#243
○辻一彦君 具体的な内容や時期については確認はできないのですが、大蔵省が具体的な検討に入っている、このことだけは確認をしていいと思うのですが、総理、よろしいですか。
#244
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりでございます。
#245
○辻一彦君 すべての問題にはなかなか触れる時間がないと思いますので、私、もう一つの大事な社会保険診療報酬課税の特例問題について触れてみたいと思います。
 この税調の答申の実現を図れという世論は非常に強いのでありますが、この点について総理、どうお考えになっておりますか。
#246
○国務大臣(三木武夫君) この医師の所得税に対する特別措置についてはいろいろな批判もあるわけでございますし、また税調においても答申があるわけでございますから、診療報酬と、しかしまあ、特別措置ができたいきさつから考えても、診療報酬との関連があるわけでございますから、したがって、診療報酬とこいつをにらみ合わしまして、次回の診療報酬の改定の時期に、この問題の解決を図りたいと考えておる次第でございます。
#247
○辻一彦君 三月の二十六日ですが、この大蔵委員会に参考人が御出席になって、いろんな御意見がありました。その中に、政府・税調の会長代理がお見えになって、答申がたな上げになったことについて、強い不満の意が公の場で表明をされたわけなんですが、これをひとつ総理、政府・税調の会長代理が、この場でやっぱり非常に残念であると、こういう御発言になった、その事実をどう考えておられますか。
#248
○国務大臣(三木武夫君) これは、この特別措置がとられるようになりましたいきさつは、いろいろただ単純にその問題だけでなしに、この診療報酬の適正化という問題ともにらみ合って、絡み合った問題もありますので、どうしてもこの問題と関連をして考えざるを得ないわけでありますから、税調の答申どおりにまいらなかったことは残念でございますが、ああいう特別措置法ができたいきさつ等にもかんがみまして、そういう処置をとりたいと考えておる次第でございます。
#249
○辻一彦君 三月の十九日に、衆議院の大蔵委員会に総理御出席になって、そのときに、五十一年度予算案に間に合わす方針を示されたという、こういう報道を私は見ておりますが、少なくもそれぐらいの腹構えで、お取り組みになる御用意はおありですか。
#250
○国務大臣(三木武夫君) それは当然に、来年度の予算編成をめどにして、そういうことを診療報酬との問題とにらみ合わして、この問題を解決したいという目標でございます。
#251
○辻一彦君 私は、ちょっと関連をされる同僚議員もおりますから、問題をちょっと急ぎたいと思います。
 同様、衆議院において銀行の週休二日制について、かなり論議が進んでおるように伺っております。たとえば二月の四日に衆議院の方で森次官が御出席になって、非常に週休二日制について前向きの発言をされた。それを受けて三月五日、大蔵大臣が非常に積極的な発言をされて、三月の十九日には、総理が衆議院の方に御出席になって、この二日制は、総理も二日制論者であったと、こういうことで早い機会に閣議に諮りたいと、こういう御発言があったというように私は聞いておりますが、その早い機会とはいつごろを指しておられるのか、いかがですか。
#252
○国務大臣(三木武夫君) 私が申したのは、私も週休二日制というものに賛成するものですけれども、銀行という場合は、これは銀行だけが週休二日制ということは、いろいろほかにも影響がするわけでありますから、銀行だけということだけではまいらぬ面もあります。そういう点で、この問題はそういう、ただぽつっと銀行だけ片づけばいいという問題じゃないんですから、閣内においてもそういう問題は相談をいたしまして、何かこういうものを促進できるような方法については検討いたしましょうということで、日にちを切って申し上げるようなことは申しておらないわけでございます。
#253
○辻一彦君 いや、私もだから日にちを切ってとは申しませんが、早い機会というのはどの程度の時期を指しておられるのか、これをお伺いいたします。
#254
○国務大臣(三木武夫君) この問題は、銀行だけというわけにもいかないので、ほかの方にもこれは影響がするわけでありますから、この問題をできるだけ早い期間というのは、いつごろまでかということでございましょうが、日にちを切るわけにはいかぬけれども、これはやっぱり一つの大きな問題として提起されておることは事実でございますから、閣内においてもこの問題は何か解決できる方法がないかというような、前向きといいますか、そういうことで検討いたしてみますというお答えをしたんで、日にちを示唆するというようなニュアンスの答弁はいたさなかったわけでございます。
#255
○辻一彦君 日は切られてはおりませんが、前向きにぜひ実現をさせたいということであれば、これは早く、一つの突破口になると思いますから、閣内で意見を統一してぜひ取り組んでいただきたい。その決意をもう一度お伺いしたいと思います。
#256
○国務大臣(三木武夫君) これは私も、やはり一つの問題ではございますから、ほかの関連などもありますから、単純な問題ではございませんが、諸外国でも大体、週休二日制というのは、世界的な傾向でもありますし、そういうことでこの問題はわれわれとしても、これをまあ前向きと申しますかね、そういう考え方のもとに取り組んでいくことは変わりございません。
#257
○辻一彦君 次に、私は低成長あるいは安定成長下における福祉の財源をいかに求めるのか、このことについて一、二伺いたいと思います。
 過去における日本経済の高成長経済時代のもとでは、毎年自然増収というものが非常に多かったと思うんです。言うならば、勤労大衆の名目賃金は引き上げましたが、これがインフレや物価高政策で、実質的にはほとんどが解消されて、それがいろいろな形で、自然増収という形で政府の手元に返ってきている。これを政府は従来、この増収分をもって財源にかなり充てることができたと思います。しかし、今後のいわゆる低成長、安定成長下ではこの期待がなかなかできない。しかし、支出はそうなかなか抑えるわけにはいかない。そうすれば、一枚看板でありますところのこの社会的不公正の是正、社会福祉の充実という点に、どうして財源を確保してやっていかれるのか、この点をひとつお伺いいたしたいと思うんです。
#258
○国務大臣(三木武夫君) これからは安定成長と言われておる、いわゆる安定成長期と言われるときには、大きな自然増収ということは期待できません。しかし、一方において国民福祉の充実という社会的な要請というものは、ますます強くなってくるわけです。そこで、やっぱり根底には、私は社会全体というような考え方でないと、福祉政策というものは充実していけないと。それは一般会計といったって、結局は国民ということになるわけでありますから、税金、国民ということになるわけでありますから、どうしても皆が総ぐるみになって、社会保障制度というものを整備していこうという、こういう支えがなければ、社会保障というものは充実していくわけにはいかないのじゃないか。やはりある程度の負担というものは覚悟しなければならない。そういうので、やっぱりこの問題については、税制調査会においても十分検討をしてもらいたいと思っておる次第でございます。一方においては、福祉政策というものをできるだけ重点的に取り上げていく必要がある。まんべんなく何もかもというわけにはいかない。重点的に取り上げることと、そして国民が総ぐるみになって社会保障制度を前進していこうという、そういう考え方のもとに、どのようなやっぱり財源というものが考えられるかということは、税制調査会においても、今後十分に検討をしてもらいたいと考えておる次第でございます。いま新しい税という付加価値税などの話もございますけれども、いま政府が付加価値税というものを実施しようという、そういうふうな考え方で固まっておるわけではない、いろんな弊害の面もあるわけですから、こういう新しい財源というものを、こういう新しい税金によって求めていこうという考えが固まっているわけではないわけでございます。これは税調においても十分検討してもらいたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#259
○辻一彦君 税調において検討してもらいたいというよりも、三木内閣が掲げる社会的不公正と社会福祉に力を入れようとすれば、やっぱり何らかの財源がなければ具体的にできない。その財源をどう確保するかは、税調で聞くということではなしに、三木内閣が、総理がこういう諮問をされて、それを税調が検討されるという形があると思うんですが、その中身というのはまだお持ちになっていないんでしょうか。
#260
○国務大臣(三木武夫君) これは税の問題というものは、無論政府としても検討は常にいたさなければなりませんけれども、やはり従来からも税というものに対しては、税調というもので十分御審議を願うということがいままでの手続になっておりますから、政府の方としても十分検討いたさなければなりませんが、税調においてもこれから安定成長期における社会保障の充実というか、この財源というものに対してどういうふうな財源というもので考えるべきかということは、そういう従来伝統もあり、いろんな専門家もおられる税調というものにおいても十分検討をしてもらいたい。政府も検討いたすことは当然でございます。
#261
○辻一彦君 もう一、二点伺いたいんですが、この三月二十五日の新聞を見ますと、自治省が法人事業税の外形基準方式を導入する、こういうことで大きく出ております。いま自治省に私詳しいことを伺って論議をする時間がないので、私の方でちょっとまとめて申し上げますが、大蔵大臣は、この委員会で、当面は付加価値税の導入は考えていない、こういうお話をしばしば発言をされております。ところが、自治省方式を見ますと、形では付加価値税と同じようなパターンになるのじゃないか、こういうように思われますが、片方では、地方財政で地方財政の困難性をいま乗り切るためにこういう問題が具体的に進行しているとすれば、一体大蔵それから政府部内の中にも、やはり今日の財政、これからの、税制についていろんな検討が具体的にされているのではないだろうか、こういうふうに私は思うんですが、その点いかがでしょうか。
#262
○国務大臣(三木武夫君) 自治省側からお答えした方が適切だと思いますので自治省側からお答えいたします。
#263
○政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。
 御質問の点でございますが、御案内のとおり事業税は、企業の事業活動と、地方団体の受益関係に着目をして課する税であるというふうに観念されておるところでございます。したがいまして、事業税のあり方につきましては、これまでも税制調査会の御答申等におきましても、基本的には事業の規模あるいは活動量を的確に測定できる課税標準、たとえば収入金額というような外形基準を用いることが適当であるという御答申はちょうだいいたしております。しかしながら、事業税の課税標準に収入金額等の外形基準を導入いたしました場合には、各企業の負担に相当な激変が生ずることも予想されるわけでございます。と同時に、とりわけ経営基盤の弱いいわゆる中小企業に対しまする問題というような大きな問題があるわけでございます。さらにこの問題は、国税、地方税を通じまする企業課税のあり方というふうな問題にもかかわる問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、従来からもこういう答申の御趣旨に従って検討は進めてまいってきておりますが、今後とも各方面の御意見を伺いながら、あるいはまた御審議を煩わしながら検討は進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#264
○辻一彦君 自治省伺いますが、それは形で言えばやはり付加価値や売上高にかかる性格のものですか、その点だけ。
#265
○政府委員(石見隆三君) 外形基準を導入する方向としては税制調査会におきましてもいろんなものがあろうと言われております。たとえば一例として、いま申し上げましたような売上金額というようなものもとり得るであろうというふうな考え方をとっておられるわけでありまして、今後どういう形での外形基準がいいのかということも私の方も検討いたしたいと思っておりますし、税制調査会の御審議、御意見等も十分拝聴したいと思っておるところでございます。
#266
○辻一彦君 地方税と国税は二つ非常に重要な国の財政、地方の財政を支える財源ですから、したがって、地方税の方で付加価値や売上高に対して具体的な御検討になっているとすれば、やはり私は国税の中でも同様これについての御検討が進んでいるのじゃないかと、こう思うのですが、そういうことは検討されていないんですか。
#267
○政府委員(中橋敬次郎君) ただいまは、いわゆる事業税としての課税標準を何にとるかというお話でございまして、私どもで申し上げております付加価値税といいますのは、一般消費税の形においての付加価値税でございます。それはもちろんまだ検討いたしておる段階も緒についたところでございまして、外国制度を勉強し始めたところでございます。
#268
○辻一彦君 総理、国税と地方税ですね、ばらばらな形でなしに、やっぱりこれはともに連携のあるものであると思いますからして、政府部内の検討はまたこの国会にぜひしかるべき段階で御報告をいただきたい、そして私たちも十分論議をしてまいりたいと思います。関連がいろいろおありのようでありますから、どうぞ。
#269
○大塚喬君 ただいまの辻委員の質問に関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほどもお話が出ましたように、三木総理は、社会的不公正の是正ということを金看板にして出てこられた、一般も私もそう認めておるところでございますが、昨年の三月二十八日この本大蔵委員会で、わが党の竹田四郎委員の質問に対して、当時の田中総理が答弁されたことは、相続税の高額者の問題について、この高額者の税を余りに多額に取ると勤労意欲をなくして困る、これを補完する意味で、相続税でその分については十分に徴収する、こういう趣旨の発言があったわけであります。ところが、今回の相続税法の改正を見ますと、この当時の田中総理の答弁とは全く逆な方向に相続税法の改正が行われておるわけであります。私は、やはりこれは責任のある言葉だと思いますし、三木総理として、今回の税制改正で、税制面における社会的な不公正、不公平、これはどういう形で是正をされたとお考えになっておられますか、その点を初めにひとつお伺いいたしたいと思います。
#270
○国務大臣(三木武夫君) 不公正の是正というものについては、いろいろ、たとえば先ほど問題になりました利子・配当の分離課税の問題についても、五%程度引き上げて総合課税に持っていくまでの過渡期においてそういう措置も講じましたし、またたとえばインフレの利潤を得た者に対しての措置として、土地譲渡所得に対して、二千万円を超えるものに対しては四分の三の総合課税をいたす問題であるとか、あるいは課税の最低限の引き上げでありますとか、それからその他できる限り税制を通じて社会的公正というものを図るための細かい努力はいたしたつもりでございます。
 また、相続税については、むしろ地価の上昇などもあわせて税率の緩和、課税最低限の引き上げ等の調整をいたしたものであって、相続税の改正というものは、そういうことをねらったものであるわけでございます。
#271
○大塚喬君 質問の趣旨と答弁が、私は、どういうところに現在税制面で社会的な不公正があって、それが是正されたかということなんですが、どうもいまの答弁では釈然といたしません。
 で、もう一つ別な質問を申し上げますが、先ごろ入場税の審議の際に、福祉財源の確保という問題に関連をして、ギャンブル税の創設、この問題の論議が出たわけであります。その間関係者に出席を願って、それぞれ答弁を求めたわけでありますが、相反するそういう立場からの意見が二つ出ておったように私は受けとめております。そこのところで一番やっぱり問題になるのは、一体ギャンブル行政というものについて、政府の基本的な姿勢、考え方というものが明らかにならないと、これらの問題については、ギャンブル税の創設、こういうことについてどうも論議が進まない、こういう感じをいたしたわけであります。政府がギャンブル行政というものに対する基本的な考え方、姿勢、そしてギャンブル税の創設ということについて、総理がどのようなお考えか、ひとつ明確にお聞きかせをいただきたいと思います。
#272
○国務大臣(三木武夫君) いろいろと地方の公共団体のギャンブル税の形で公営の競技の収入を得ているわけですが、いろんな弊害の面もあるし、また財源としての役割りも、財源を確保するという役割りも果たしている一方において、弊害の面もあることは事実でありますので、これは政府の関係各省との関連が多いわけで、これに対して検討をいま加えておるんですね、事実。それだけれど、まだこうだと言って、政府のこれに対しての検討を加えた結論を申し上げる段階には至っていない。だから、この問題については、総合的な見地からいろいろ今後検討を行ってまいりたい。ここでもうこれに対して、右か左かということを申し上げるそれほどの政府でいろいろ検討した結果、いま結論はまだ出ていないと、この問題というものに対しては十分検討をいたすことにいたしますとお答えすることが正直なお答えだと、ここでいま御質問に対して、右左ということを政府がこの問題について断定する段階には至っていないということでございます。
#273
○大塚喬君 終わります。
#274
○寺田熊雄君 総理、社会的公正を税の分野で実現をする、ことに所得税の分野で実現をいたしますのには三つの柱があると言われておりますね。その第一は、最低生活費は免税にする、第二には、累進制を徹底さしていくこと、それから第三は、不労所得には重課していくと、この三つの建前があると言われております。
 それで今回の税調の答申にも、そういう見地から社会保険診療報酬に関する問題、それから土地の譲渡所得、利子・配当所得の課税特例の是正ということを最大の眼目にして政府に答申をいたしました。ところが、その三本の柱のうち、医師の保険診療報酬の問題は、まあたな上げされたこと、これはいま辻委員の御質問にあったとおりであります。問題は、不労所得、資産所得重課の点の問題なんですけども、このうちの一つには、先ほどありました勤労所得の場合は、標準世帯で百八十三万円までは非課税、ところが、配当所得者の場合は四百四万九千円までが非課税、この不公正については総理、これから検討するという御答弁がありました。速やかな検討の実現をお願いするわけですけれども、ここに私がひとつお尋ねしたいのは、社会的公正を実現するということばかりではなくて、社会保障財源の一助にもということで、富裕税を創設したらどうかということなんです。これは御承知のように二十五年、二十六年、二十七年シャウプ勧告で一度実現したことがあります。そのときは、全税収の中に占めるシェアというものは比較的少のうございましたけども、しかし、富の再配分という点に着目をいたしますと、これは社会的公正の確保に非常に役立つわけですね。われわれはこれ少しでもそういうことに国民の感情を満足させることが大事だと思うんですが、総理いかがですか。この富裕税の創設についてどういうふうなお考えでしょうか。
#275
○国務大臣(三木武夫君) まあ寺田さんの言われることもわかるんですが、この富裕税というものは、不動産への場合はこれ把握しやすいんですけれども、金融的な資産の場合にはなかなか、いま利子・配当の分離課税のときにも問題になったんですが、なかなか把握しにくい面がありますので、何か把握することが不公平な場合に、こういう富裕税というようなものは、かえってやっぱり税の公正を欠く面があるということで、この点はわれわれとしてもどうも富裕税というものは、そういう税を日本で実施することはどうも賛成できない、こういう立場にあるわけです。把握できないんだったら、非常に不公正なものになってまいりますから、そういう点にこの税というものは問題があるわけで、今後これは検討はいたしますけれども、いまの段階で寺田さんの御質問に対して、そういうことを考えていますというまでいかないんです。その前提にこういう把握というものがやっぱり困難であるという問題があるわけであります。今後は検討いたしますけれども、にわかに賛成はいたしかねるわけでございます。
#276
○寺田熊雄君 総理が把握しにくいと言った資産は主として有価証券のことを言っていらっしゃるのですか、いかがですか。
#277
○国務大臣(三木武夫君) もちろん貯金の問題もあります、貯金の問題も。
#278
○寺田熊雄君 貯金の問題は、御承知のように無記名の貯金ですね。それから架空名義の貯金、これが非常に把握しにくいので大蔵当局も苦心をしておられるようです。しかし、私は、有価証券の場合は、これは比較的捕捉が容易だと考えておるわけです。ただ、貴金属とか骨とうとかということになると、これは非常に捕捉は困難でしょう。そこで、諸外国では、主として西ドイツ、スカンジナビア諸国などは現にこの富裕税を創設しているわけです。それからシャウプ勧告の場合も、不動産と有価証券などを主にして、やはり一たんはこれを実施したわけです。ですから、いまおっしゃるように、預貯金、ことに架空名義や、あるいは無記名のものを、これはどうにかして捕捉できるようにしたいというのが大蔵当局の念願のようですが、いま現に五年間にその作業を終えようという意気込みで、それによって利子・配当所得の課税の不均衡を克服しようとしておられるわけでしょう。だから、それが困難だからといって、富裕税に足踏みするというのは、ちょっと大蔵当局がそれを克服しようとする意気込みと抵触するわけですよ。私は、やはり前向きに検討してもらいたいと思いますが、総理その点いかがでしょう。
#279
○国務大臣(三木武夫君) 検討というのは、余り後向きの検討はないわけですから、前向きで検討をいたしますが、しかし、いま言ったむずかしさが現実にあるということは寺田さんも十分御理解を願いたいのでございます。
#280
○寺田熊雄君 まあ、後退ではなくて、前進をして検討するというお言葉がありましたから、これは総理のそういう誠意を御信頼申し上げて、それだけにとどめたいと思いますが、ぜひこれは社会的公正の確保に役立つことでもありますし、実施していただきたいと思います。
 それから、もう一点だけお尋ねしたいのは、現在中小企業が非常に金利負担に苦しんでおります。いまもう一割以下で、短期融資でも一割以下というのはなかなか困難のようです。まあ、いまの景気の落ち込みに対して一つの景気刺激策にもなるわけですからして、これは日銀の政策委員会の専権に属するとはいっても、やはり政府の指導やアドバイスが非常に効果的に働くわけですから、日銀の公定歩合ですね、これをやはりこの際引き下げる御意思はないか。その方向に政府が御努力なさる御意思はないか、これをあわせてお尋ねしたいと思います。
#281
○国務大臣(三木武夫君) いま寺田委員もおっしゃったように、これは日銀の政策委員会の決定する事項なんで、政府がとやかく申し上げる立場じゃないわけですけれども、われわれとすればまだインフレマインドといいますかこういうものがなくなったとは言えないわけですから、まだやっぱり物価は、政府がきょうも消費者物価指数などを、三月末前年同月比で一四%というような数字も速報ですけれども出ておりましたけれども、しかし、まだまだどうも物価というものにこれは安心はできないわけですから、総需要抑制という、この基本的な経済政策の枠組みというものは崩すわけにはいかない。ただしかし、経済の指標などを見ますと、景気というものは底はついたと見られる指標が幾つも出てきておりますから、日銀としても公定歩合というものに対しての処置については余り早まってもいかぬでしょうが、余りおくれるということもなく、早からず余りおくれもせずに適切な処置をとることを政府は期待をするわけでございます。
#282
○寺田熊雄君 まだ許された時間が若干あるようですから、もう一つだけ総理にお尋ねしたいと思うんですが、それは私、去る十四日の本会議で総理に御質問いたしましたのですが、総理からそのときお答えがなかった問題の一つなんですが、交際費課税の一つは強化ですね。それから一つは広告税の創設という点を御提案申し上げたわけです。
 御承知のように、交際費課税は、諸外国と比べますと、日本の規制というものが非常に緩いわけですね。銀座の高級なバーとかキャバレーで遊興するとか、あるいはゴルフに招待するとか、そういうふうなことは諸外国の税制の上ではとうてい許されないことなんですが、日本の場合はまだそういう点で規制が甘いということが一般的なわけです。その問題で私どもは交際費課税を強化しろということと、それから広告費ですね。これは総理は諸外国をあまねく周遊していらっしゃるのでよく御存じでしょうけれども、日本ほど朝から晩までいろいろな広告のはんらんする国はないわけですね。こういう問題について、やはり広告費が製造原価にはね返って消費者の負担にもなるわけですね。そういう点で、これについてやはり税制の面から規制を加える、そして財政収入への一助にするという点が私は得策ではないかと思うんですが、総理の御見解いかがでございましょうか。
#283
○国務大臣(三木武夫君) 交際費課税に対しては、寺田さん御承知のように、これは損金の不算入の割合というものはもう毎年上げておるわけですね。四百万円プラス資本金の千分の一ということで、毎年この課税は強化をしておるわけで、もう年々何%か強化しておるわけであります。これはやはりもっと強化していく方向に私はあると思いますね。
#284
○寺田熊雄君 さらに強化なさる御意思はないでしょうか。
#285
○国務大臣(三木武夫君) さらにこう、毎年もう強化しないときはないわけでして、四十八年度七五%にしておるわけですから、これはやっぱりもう少し強化の方向にあると思います。
 広告税の課税についてはいろいろ議論のあるところでありますが、過剰広告とか誇大広告となる場合は別として、消費者に貴重な情報を提供しておる機能を持っておるわけで、交際費のようには社会的な批判の対象にはなっていないことは御承知のとおりでございますが、まあ販売促進の手段は、企業や業種によって態様が異なりますから、広告費に課税するということにすれば、広告費の比重の高い企業または業種に対する差別待遇に、差別の課税になるおそれもありますし、なかなか交際費のように一定限度以上の経費を否認するということのむずかしさも私はあると思いますね。したがって、この問題については、まだ広告費の課税というものにはいろんな問題がありますから、こいつを適否というものを決めるところまでには実際いっていないんですよ、これに対して。政府が広告税に対してどうするという態度を決定までに至っていないのですけれども、今後の検討する一つの対象にはいたしたいと考えております。
#286
○寺田熊雄君 そういたしますと、交際費の方は強化する方向で進むということですね。
#287
○国務大臣(三木武夫君) はい、そうです。
#288
○寺田熊雄君 それから広告税の問題は検討するということですね。そうですな。はい。それじゃ終わります。
#289
○辻一彦君 じゃ、ちょっと時間がありますから、私もう二、三点伺いたいと思います。
 一つは、昭和五十年度のいわゆる消費者物価の見込み、五十年度の消費者物価の見通し、こういうものをどのぐらいに見ておられるか、まずお尋ねいたしたいと思います。
#290
○国務大臣(三木武夫君) 五十年度の経済見通しでは、年度中の上昇率、まあ三月であります、九・九%。対前年度平均上昇率が、年度平均の上昇率が一一・八%と見込んでおります。
#291
○辻一彦君 いままでここ数年、当初の見通しと、それから実績といいますか、実績見込みというのはずいぶん大きな開きが消費者物価の場合に出ております。そこでもし五十年度の物価の推移によって実績の消費者物価が政府見通しを上回ったならば所得税の追加減税を行うべきであると思いますが、この点どうお考えですか。
#292
○国務大臣(三木武夫君) 財政事情や追加減税というものが、物価その他に及ぼす影響などを勘案して、そういうことが起こった時点で判断するよりほかないと思います。
#293
○辻一彦君 三月十三日の予算委員会で、福田副総理は不況の問題に触れられたときに、最大の社会的不公正の原因はインフレにある。これは政策に私たちはあると思いますが、福田副総理はインフレにある。インフレが社会的な不公正の原因をつくっている。これは政府自体が私は認めておられるところであると思います。そこで、消費者物価がもし政府見込みを上回る、これはもうその場合には一つの大きな社会的不公正が拡大をしていくということになろうと思います。この是正は、不公正是正の一枚看板を掲げておられる三木内閣、ぜひやってもらわなくてはならないと思いますが、この点、政府見通しを消費者物価が上回った場合に、追加減税を行うのは当然ではないかと私は思いますが、もう一度お考えをお伺いしたい。
#294
○国務大臣(三木武夫君) この三月の消費者物価も一五%といったときには、ちょっと皆そんなに信用をしなかったわけですね、この三月の消費者物価上昇率を。だけれども、事実そういうことが実現を現実にしたわけです。政府も、この来年度に対しては、来年度の三月の消費者物価を前年同月比九・九に何とか経済政策の重点をここに置いて物価を、インフレを抑えなければ、これは日本の経済運営というものは健全にならないわけですから、いまもうこのことに一つの経済政策の大きな目標を置いて、今後努力をするということでございますので、まあ、いま辻さんの言われたような、そういう実現しなかったらどうするのかということについては、いま、何とかして目標達成のために全力を尽くしたいということを考えておるわけでございまして、そういう場合が、辻さんの言われる場合が起こったときには、その時点で考えるというよりお答えはしようがないわけですが、そういう事態に至らしめないために、これから政府は全力を尽くしたいと考えておるのが、正直ないまの心境でございます。
#295
○辻一彦君 最後にもう一点だけ。これは具体的な問題ですが、通勤者手当、これは通勤をする場合に、まあ、手当が出ますが、これに税金がかかる。それから寒冷地手当、いわゆる寒いところに公務員等にいろいろな暖房の手当等がつく。これにも税金がかかる、課税がある。さらには、雪の深い豪雪地帯ですね、これは村に住んでいる人が雪のために非常な負担を余分に負いますが、これについても何らかの、前者は非課税、豪雪地帯については税制上の対策を私は講ずるべきではないか、これも不公正是正の大きな役割りではないかと思いますが、この点について最後に御所見を伺って、終わりたいと思います。
#296
○国務大臣(三木武夫君) 一般の通勤手当につきましては、通常必要と認められる部分は非課税にしておるわけですが、いま九千円までは非課税にしておりますので、実質的には、課税問題というものは通勤手当については解決されたものと考えておるわけでございます。ただ、しかし、その限度額については、通勤費の推移に応じて今後見直していくつもりでございます。また寒冷地に在住する職員に対しての生活補給金というのは、職員に対する寒冷地手当というのは、生活補給金としての性格を持っているので、これを非課税にするという考えはいまないです。生活補給金であるということで、やっぱり課税対象から外すという考え方はないわけでございます。
#297
○鈴木一弘君 いま、若干通勤費のことが出ましたので、私もその問題から入りたいと思います。
 通勤手当について非課税をとっておる。確かにいま総理が言われたように、九千円まで非課税になっております。公務員のベースアップに伴ってこれが改定されてきているんですけれども、この九千円というのが一体どこまで行けるかということを、私、ちょっと調べてみました。東京駅から大磯までで六十七・八キロ、通勤定期は六十九キロで月九千十円なんです、六十九キロで。そうすると、大磯を越えれば、もう通勤手当の非課税の範囲から出てくるわけです。また上野からだと、栃木県の野木あたりまで、しかし、高崎線で行けば上野から熊谷まで、これは六十四・七キロです。しかし東京――上野間が四キロぐらいありますから、そういう点を考えると、大変な距離だという、大変というか、わりと近い距離です。しかも三カ月でどのぐらいかというと、三カ月で二万七千円だと、三キロぐらい先まで行けるわけですけれども、しかし、実際問題として、こういうところから通う方が多いことは、御承知のとおりです。宇都宮から来ますと、もう小山あたりでもう満員になってくる。熊谷の先あたりまで団地ができてどんどん満員の状況です。ということは、言えばそういうところから通勤しなければならないようにさせられているわけですね。だれもそんな遠いところから来たいわけじゃありません。しかし、公害問題で東京には住めない、住宅は高いから仕方がないからそういう安いところを捜すなり、最近は公団の団地も遠いところへできてくるわけです。そういうところから、通勤するとなれば、どうしても費用もかかるわけでありますし、それから、私はそういう点ではこれは政治の一つのひずみから生まれたと、政府の政策から生まれてきた感じがしてならない。ですから、先ほどの御答弁では九千円で実情に合わせて今後も引き上げるという御答弁だったんですけれども、これは総理大臣思い切って、そんなに大きなものではございませんし、何万円もかかるというようなところから通勤するわけじゃないわけでありますから、思い切って非課税ということにしていただいた方がいいんじゃないかと思うんですが、これはもうさぞ私は三木善政、本当のクリーンの善政だと思いますので、ひとつお約束をいただければと思いますが。
#298
○国務大臣(三木武夫君) これは人事院の調査なども、民間の通勤の手当支給の最高平均月額九千円をとっているわけですね。これはまあやっぱり人事院の調査によるわけでございますので、これを通勤費というものはやっぱりいろいろな推移があるわけですから、今後見直しはいたす所存でございます。いまのところ九千円というのを鈴木さんの言われる、これは多いにこしたことはないのですけれども、一応この客観的な通常の通勤費としていまの九千円という程度が適当ではないかというふうに考えておりますので、いまこれを改正する考えはございませんが、将来これに対しては、通勤費も上がってまいりますから、その推移で見直しをしてまいることにいたしたいと思います。
#299
○鈴木一弘君 大臣の答弁同じことを言っておられるのであれなんですけれども、実際自分が好んで遠いところへ住まれたなら私は仕方ないと思うんです。打ち切られて、九千円以上はだめだとかいうことになっても仕方がないと思いますが、住宅難であるとか、あるいは公害のため、子供の健康をどうしてもということで追い出される形で出ていく方もいます。そういうことを考えると、大磯といったらもうかなり込んでまいりますですよ。せめて小田原の範囲ぐらいまでというような感じを、どこまでがいいというわけにはいかないとは思いますけれども、やるのがよろしいんじゃないかと思うんですが、これはお願いにとどめておきますけれども、そうしていただければと思います。
 それから次は、総理がこの間の本会議の質問のとき、財政のあり方について私が伺いました。このような福祉に金がかかる、高福祉にしなければならないし、しかし、低成長で容易にお金は手に入ってこないじゃないか。そこで、打開策を何とか講じなければならないということに対して、総理の答弁は、財政のあり方について打開の策を講じてまいるため努力を重ねていくという答弁がありました。私は具体的に公債を中心になさるのか、税収で考えていくのか、財政節約はどうするのか、長期計画の見直しはどうかということについてお伺いしたのですが、残念ながら具体的な答弁がなかったわけでございますが、その一つ一つについてお答えをいただければと思いますが。
#300
○国務大臣(三木武夫君) 新しい来年度を起点とする新しい経済社会発展計画というものは、これをいま経済企画庁でいろいろ検討を加えております。来年度からそういう長期計画を立てて、日本の社会経済の発展を長期的に展望していくということにいたしておるわけでございます。それからどうしてもこれから高福祉ということになれば高負担ということになるわけでございますが、それを安易に公債に依存していこうという考え方ではないわけで、したがって、やはりどういうふうに、いままでの財政というもうに対してもいろいろ洗い直してみるよりほかに、できるだけ財政の効率的な運営をしなければならぬし、新しい財源を求めるとするならば、どういう一つの新税というようなものが考えられるか、こういうことも従来の財政のあり方というものに対して見直しをするとともに、新しい財源を確保するための税収入を増加していくための方法というものに対しても、それぞれ政府の各いろいろな諮問機関を通じて、いま鋭意検討いたしておるわけでございます。これは、さしあたりは来年度の予算編成にはその一つのいろいろ検討した成果というものが全部といかないにしても、反映されなければならぬということで、いま検討をいたしておる最中でございます。
#301
○鈴木一弘君 長期計画の見通し、洗い直しはいまのでわかりますのですけれども、経企庁でやっているので。あとは財政制度審議会等で恐らく論議をされて、大蔵大臣が答弁したように中間報告を求めて予算編成ということになるだろうと思いますが、それを求めるについても、一体財政節約は何%くらいまでできるかとか、いまお話のように、税にするのか公債にするのか、公債じゃないようにというような、そんなふうにも聞こえますし、現在までも国債費か――二十一兆もあの予算の中で、二兆円も超えている、利子と償還に使われておりますから、余り大きくはできないだろうと思いますけれども、しかし低成長となれば、どこかにウエートを置かなければならないわけです。新しい財源といっても税収をお考えになる場合、私は何か具体策がなければならないのだと思うのですね。その具体的な策として、先ほどは富裕税の話がありました。しかしいま一つは、いわゆる法人の土地の増価、土地増価に対する土地増価税とか、あるいは現在大企業等の持っている土地、こういうものについての再評価をやって、その再評価益税を取ったらどうかということもすでに多くの提言がされてきているわけですけれども、そういう点については総理御自身のお考えはいかがでございますか。
#302
○国務大臣(三木武夫君) いろいろの新しい税に対しての提案というものが、民間においてもなされておることはよく承知をしておるわけです。それに対してはいろいろ一長一短もあるわけでございまして、これは税制というものはただ思いつきではいかないわけでございまして、財政制度審議会あるいはまた税調などにおいてもいろんな角度から御検討を願わなければ、われわれがいろんな民間の提案というもので、やはり思いつきでというわけにもまいりませんので、今後これは来年度の予算編成ということもあるわけでございますから、いま少しく時間をかしていただきたいと思うのでございます。いまここで私から、私の考え方というものを申し上げるということも適当ではない、十分検討されなければそういうことは軽々しく発表すべきものでもないと考えておりますので、各方面の意見を聴して、そしてどのようにして財源を確保するかということについては、十分検討をいたしたいと考えております。
#303
○鈴木一弘君 それで総理は、本会議での答弁で、税の持っている所得の再配分機能、これについては重視をしていくと、全く同感であると、こういう答弁がありました。いまの税の見直しの問題ですね、あるいはいろいろな計画や何かの洗い直しもありますけれども、税の見直しや新税の検討ということになったときに、いまの答弁を、本会議でなさった再配分機能の重視というこの線は貫かれると、こう受け取ってよろしゅうございますか。
#304
○国務大臣(三木武夫君) これは社会保障制度一つを考えてみましても、やはり再配分的機能を社会保障制度自体は持っておるものでございますから、今後のやっぱり税というものを考えたときに、そのやはり一面が税というものは持っておることは当然のことだと考えております。
#305
○鈴木一弘君 そこで一番いま言われております、私どももこの委員会でも一番問題になってきたのは付加価値税の問題です。総理が本会議でも何か付加価値税について検討するというふうに言ったように覚えておりますし、どうも何か税体系全体の中でどうあるべきかというようなこともお考えのようですし、何か私どもが聞いていると、一般売上税としての付加価値税というものがぽこっとできてくるんではないかという心配をしているわけです。これは総理、本当のところ、こういう付加価値税について本気になってお考えなんですか、どうなんでしょうか。
#306
○国務大臣(三木武夫君) まあこれは一つの、諸外国でこういう税というものが相当な税収入を上げておることは事実でございますが、日本の国情とも違う面がありまして、われわれも付加価値税というものに対しては、付加価値税というものを新設すべしという意見は相当にあることは事実でございますが、付加価値税の持っておるいろいろな弊害の面もあるわけでございますから、まだ実際に付加価値税をやろうというような決意のもとに検討をしてもらうという段階ではないわけでございまして、いろいろな財源というものを確保する一つの方法として、付加価値税というものも研究の課題にしてもらいたいということで、まあ、現状で導入について具体的なちゃんとプランを持って考えておる段階にまでは、まだ至っていないわけでございます。ただしかし、付加価値税というものは日本でもこれをひとつ採用したらどうかという相当意見があることは事実でございます。研究の課題であるというのが現在の段階でございます。
#307
○鈴木一弘君 これは付加価値税の中には、いまの一般売上税的な付加価値税と企業課税としての付加価値税と二つあるわけですね。どうもいままでの政府の態度は、その企業課税として法人税にかわるような付加価値税じゃなくて、いわゆる一般売上税的な付加価値税ということが強く出てきている、こういう点は本当に避けていただきたい、そうでないと私どもどうも、やらないように見えていて、答弁を求めていくと再び検討するなんというので、またやっているような感じがしますし、国民の私たちとしては一番不安でならない、こういう点、総理、この付加価値税については当分、検討はしたいとおっしゃったけれども、やらないというふうに受け取ってよろしいですね。
#308
○国務大臣(三木武夫君) いや、付加価値税というものも、これ、いろいろな付加価値税というものに対して、いま鈴木さん、小売りの段階でと言ったが、いろいろな段階の課税の方法があるわけでございまして、実際において付加価値税をやろうという方針のもとで政府は検討をしておるという段階ではないので、これも一つの研究の課題であるという程度の考え方のもとに検討してもらいたいと思っておるわけでございます。いま具体的に付加価値税をやろうということで、それでは日本でこれを採用する場合に、どういう方式でやろうというところまでわれわれは考えておるわけではないわけでございます。
#309
○鈴木一弘君 最後に、直接税と間接税の関係でありますが、この直接税と間接税の比率が非常にここへきて直接税のウエートが多くなってきている、これは総理も御承知のとおりだと思います。昭和三十年代には間接税のほうがパーセンテージが高かったこともあります。それが昭和三十五、六年からだんだんと直接税が高くなってきている。大体五〇%台であったものが、現在は、この二、三年は七二・三、四十九年補正後が七四・〇、五十年度予算でいま推計されているのが七三・五というのが直接税、間接税のほうが二六・五と三分の一になってしまっている。こういう姿がいいのかどうかわかりませんけれども、余りにも戦後の税制の中で動きがおかしい。これでは非常に租税といいますか、所得税を納める人口が急増するばかりです。それが税負担の非常な大きい、重たい、不公平と、こういう言葉を生んでくると思う。その点についてどちらのほうにウェートを置くべきなのか、どういうようにお考えになっていらっしゃるのか。そういう庶民の声に対して総理の率直な御意見を伺いたい。
#310
○国務大臣(三木武夫君) いま鈴木さんの御指摘のように、直接税にウエートが年々かかってきて、今年度七三・五ですか、そういうふうになってまいりまして、直接税に対してのウエートがかかり過ぎてくると、重税感というものを皆が持ってくるわけでありますから、そう言って間接税には間接税としての非常な弊害もあるわけですが、アメリカのような非常に高く八八・八%まで直接税、ヨーロッパは、フランスのような国を除いて、フランスは間接税が非常な高い比率を占めておるわけです。三四・七%が直接税であとは間接税、ほかのは大体半分半分くらいなものですね。やはり税というものに対しては、直接税と間接税の比率はどの程度がいいかということは、これは一つのこの程度がいいんだという固定的なことは言えないと思いますが、それぞれ特色はあるわけですね。これがやはりバランスというもののとれた税体系というものを日本もつくりたいとは思うわけですがね、余り直接税の比重が年々高くなっていくわけですから、やはり税が重いということを皆言いますからね、そういうもののやはりこれ以上直接税の比重が上がっていくということは、私はよくないと思うんですね。そういう点で、やはり間接税というものもこれに加えて一つの税体系としてのバランスというものを持てないものか、こういう考えでございます。
#311
○近藤忠孝君 本論に入る前に物価の問題についてひとつ聞きたいと思うのです。現在の物価、GNPが大きく低下しましても物価は下がらない。せいぜい上昇率が下がったといって喜んでいる程度です。日銀総裁も認めておりますように、産業界には価格引き上げの意思が大変強い。そうしますと、多少とも景気が上向きますと、また物価がぐっと上がってくる可能性があるんじゃないか。いままでの経過を見ておりますと、景気が上向くと物価がぐっと上がり、そうして不景気でも下がらないどころか少しずつ上がっている。こういうまた上昇し、また少しずつ上がると、大変斜めの階段、危なっかしい階段の繰り返しをしておる、こういう状況を総理として一体どうお考えになるのか、まずお答えいただきたいと思います。
#312
○国務大臣(三木武夫君) まだわれわれ政府が、相当不況の問題もあるのにかかわらず総需要抑制の枠組みを外さないと言っておるのは、いま近藤さんの言われるように、まだまだ値上げのムードは相当にありますから、よほど政府がこの一つの物価を安定さそうということが最大の経済の政策目標にしておるわけですから、余りここで、一応物価も政府が目標としておるものが達成できたからといって、従来の経済の枠組みを外すことはまだやっぱり危険があると思うのですよ。それでやはり、いま御指摘のように、これを下げていかなきゃならぬ。これは、目標はやっぱり少なくとも定期預金の金利以下にしないと、物価が定期預金の金利よりも高いということは健全な姿ではないわけですから、いままでは相当、一四%といっても、これはまだ安定した国に比べると相当高い水準ですから、一応ここで抑えて、だんだん来年が来れば一けた台にするということで、これからは、いまこの程度で抑えて、そしてもっとやっぱり日本の物価というものを一けた台、さらに定期預金の金利程度までは早急に日本の物価というものの水準をそこまで持っていきたいということで努力をしておる。いまの御指摘のように、いろいろまだ物価を突き上げる要因というものはいっぱいありますから、物価というものを安定さすためには、よほどの政府の努力、国民の協力というものは必要だと思います。楽観はできない。
#313
○近藤忠孝君 いまのお話にもありますけれども、いまの日本の経済の仕組みそのものが、インフレでは大幅に上がり不景気でも下がらない、むしろ上がっていると言うんですね。こういう仕組みになってしまっておって、総理が言われたような金利程度と申しますけれども、やはり上昇ですね。これが並行になるような形にならなくなっているのじゃなかろうかと思うんですが、この点についての見解をお聞きしたいです。
#314
○国務大臣(三木武夫君) 近藤さん、日本と言いますけれども、どこも一緒でしてね、こんなにインフレと不況とが一緒に来たということはないわけなんです。日本だけが特殊な事情にあるわけじゃない。アメリカもヨーロッパも皆やっぱりいままで経験のしたことのないようなこういう事態に直面して、各国の政治指導者というものは、この問題で各国とも同じように頭を悩ましておるわけです。日本だけの特殊な事情ではないわけでございます。これにはいろいろな原因があるわけですが、石油の価格の高騰なども大きな原因の一つであったんですけれども、そういうことで、これはいませめて定期預金の金利程度と言ったけれども、それはまだ高い水準ですから、もっとやっぱり安定した水準まで持っていくことが理想であることは言われるとおりであります。
#315
○近藤忠孝君 そういう物価上昇の中で、先ほども質問したんですが、今回程度の課税最低限では、一般の国民にとっては実質的な増税になっているのじゃなかろうか。この間税調の方からも参考人見えまして、その点聞きますと、こういう時期だから一億総がまんだということなんだそうですね。しかし、多くの国民にとって、課税最低限がこの程度しか上がらない場合増税になっている。一億総がまんということで果たしてみんな納得するのだろうかどうか、この点についての総理の御見解を聞きたいと思いますが。
#316
○国務大臣(三木武夫君) 今回の改正でも課税の最低限二一・四%ですが引き上げております。これはもっと引き上げることが本来好ましいことでしょう。税全体の、やっぱり収入全体のことも考えなければならぬわけです。したがって、この際は、われわれは結局は、物価という問題に落ちつくと思うのですよ。物価が現在の状態であれば、一つ賃上げにしたところで、賃上げの効果というものはみんな吸収される。きょうの政府などの――経済企画庁の発表によりますと、勤労者の所得も実質的なプラスに転じてきたと報告いたしております。そういう点で、やはり何よりも物価というものを安定させなければ、幾ら最低限を上げましても何にも実質的な負担というものの軽減にならない。幾ら最低限を上げても、物価というものが大幅に上がっていけば上げた効果はないんであります。物価の安定ということに主力を注ぎながら、ひとつ今回は相当政府はいろんな条件の中でできる最大限度の最低限の引き上げは行ったわけであります。
#317
○近藤忠孝君 次に、租税特別措置の問題ですけれども、総理は、いろんな場所で高度経済成長を支える意味で、企業の国際競争力をつけるために必要だ、こういった答弁をされております。ですから、総理がどう、大企業本位ではなかったと申しましても、結果的には大企業を助けてきた、こういう面は紛れもない事実でありますけれども、そこで、いま指摘した以外に、この租税特別措置を行って大企業に優遇措置をとってきまして、どんな効果が具体的にあったのか、この点について総理としてどんなお考えをお持ちですか。
#318
○国務大臣(三木武夫君) 一つには、輸出の関連の税制というのは、貿易を進める上において相当の役割りを果たしてきた。それから公害関係の税制も、公害規制というものを側面的に推進するという役割りも果たした。しかし、何もかも特別措置がいいと私は言っておるわけではないので、これは、ある政策目的を達成するために税の公正というものを犠性にした面もあるわけでございますから、これを既得権化といいますか、いかにも既得権として固定していくような考え、慢性化、こういうものは排除して、租税特別措置というものは今後ともできるだけこいつを検討を加えて、廃止するものは廃止していきたい。いままでは役割りを果たしたと思いますよ。こういう日本の場合はやっぱり通商国家みたいな点もありますから、輸出というものが伸びなければ、必要な原料、食糧までも輸入できない。そういう点で、輸出の関連制などは日本の経済発展のためにある役割りは果たしたと思います。
#319
○近藤忠孝君 いま公害規制を側面から推進したというお話がありました。この点で私の経験から見ますと、企業は結局税制面で、あるいは開銀融資等、いわば政府の援助のある限りで確かに公害対策はやってきました。われわれ公害を出す企業につきましても、これはいつつくったのかと申しますと、やはり政府の援助のあった時期それと一致するわけです。ですから、大きく見ますと、その範囲でいわば公害規制はやってまいりました。確かにそういう面では優遇してきたし、そのことが一定の規制をしたことは間違いないと思います。ただ、この面から申しますと、これはこの大蔵委員会でも前に問題にしたわけですが、公害を出す方はそのように優遇された。しかし、公害の被害を受けた人々、漁業補償などは決して非課税にならないわけです。精神的慰謝料とか肉体的被害を受けますと、それはもちろん非課税になりますけれども、漁業補償などについてはこれは非課税にならないですね。こういう面はむしろ、被害者の方がそういう点で非課税にならぬということは逆に不公正じゃなかろうかと思うんですけれども、これは環境庁長官も経験された総理として、そういう面どうお考えでしょうか。
#320
○国務大臣(三木武夫君) 漁業補償の場合も、損害を補償するようなものは課税をしていないんです。しかし、収益の中へ入るようなものに対しては課税している。だけれども、損害補償のようなものはいずれも課税をしていないようです。そういう点が適当だろうということで、漁業補償なども処置をいたしておるわけでございます。
#321
○近藤忠孝君 その点は官僚答弁でして、もうすでに大蔵委員会でやったんですよ。環境庁長官を経た総理に私がきょう期待したことは――加害者の方にはそういう面で優遇されている。しかし、漁業被害者は、補償をもらいましてもそんなのはほんの一部にすぎないんです。ですから、そういう面で、この面でも一歩進めまして、今後さらに検討する意思があるかどうか、御答弁いただきたいと思うんです。
#322
○国務大臣(三木武夫君) 私も環境庁の長官をしておったことがございまして、公害の被害者というものに同情もしておるわけです。だから、そういう気の毒な漁業補償の場合には、いまのような仕組みてその一つの――損害の場合は非課税ですからね。一方の、所得に計算されるようなものはやっぱり課税するのが適当だとは思いますが、その被害を受けた気の毒な人ですから、これが適正かどうかということに対しては今後とも検討はいたしますけれども、いまのところはそれが、やっぱり税体系としてはその方が妥当ではないかという考えでございます。
#323
○近藤忠孝君 ぜひ選挙区へ帰られまして、被害を受けた漁民からその点話を聞かれましたら恐らく考えが変わると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 そこで、他の委員からも質問されました付加価値税の問題であります。この問題は、本会議でも、またその他の機会にも、何回も何回も聞いてまいりました。と申しますことは、たとえば私の三月十四日の本会議における質問に対しましても、総理の答弁が、むしろ衆議院におけるときよりも、少し実施の方に気が傾いているんじゃないかという気がするわけです。というのは、衆議院では、総理の答弁は、間接税は取りやすいが不公正な面があるという、その指摘だけでした。ところが、参議院での答弁は、将来の財政的需要というものを考えなければいかぬと、それから物価への影響ということも考えるとまた消極的だという、そういう意見もありますが、しかし、検討ということを言っておられます。となりますと、衆議院より一歩進んでおるんじゃなかろうかというぐあいに考え、また他の委員からの質問に対しても、ともかく検討ということであって、明確な考えが出てまいりません。
 そこで私は、別な面からこの問題をちょっと取り上げてみたいと思います。と申しますのは、税金に対する基本的な考え方ですけれども、間接税、直接税でありますが、申告納税との関係から見まして、国民がみずから申告し、かつ行政に参加するという、こういう面から見まして、間接税と申しますのは、少し制度の趣旨からいって問題がありはしないか。この点についてはどうお考えでしょうか。
#324
○国務大臣(三木武夫君) 私は、鈴木さんの御質問に対しても答えたように、どうも直接税というもののウエートが次第次第に高くなっていきますと、非常な重税感というものが出てくるので、少し間接税の体系を取り入れた方がいいのではないかという考えがあるわけです。その間接税を取り入れるについては、付加価値税というものを研究する題目の一つであります。いまこれをいいということで研究するわけではないわけであります。研究してみたらいいということです。まあ、間接税というものに対して、一律な課税ですけれども、これは消費者の選択というものもありますから、だから、やはり余りこう大筋のようにはいかないにしても、もう少し間接税の比重は、それはいろんな間接税の例外というものに対してはできるだけ弊害を少なくするようにという面も考えられてあるんです。もう少し間接税というものを取り入れた税体系というものが必要なんではないかと思うんです。
#325
○近藤忠孝君 総理、お疲れのようで、声がだんだん小さくなってきますけれども、もう少しですから、ひとつ大きな声で御答弁いただきたいんですが、私が質問しましたのは、間接税というのは結局消費者に転嫁される。結局、それが業者などが、いわば一時預かっているような関係ですね。そして政府に納める。となりますと、どうしましても、これは税務署の方から言いますと、常に預かっている金を脱税するという感じです。いわばちょっと間違えばこれは常に犯罪になる、そういう意味で、現にたとえば貴金属商などに対するこれは、税務署の実際の扱いは大変厳しいようです。実際行きまして、その商店の夫婦の体の全部まで調へ尽くすという例も――実際さわってですよ。そういうのも実際あるんです。幾つか聞いております。となりますと、いわゆる全く犯人扱いされておるわけです。これは一時、たとえば交通事故が多発した時期に、もう十数年前ですけれども、警察はすべての運転者は潜在的な交通違反者だと、そういう考えだったことがあります。この考えから見ますと、間接税に関しては、あらゆる業者がこれは潜在的な脱税者だと、こういう面から見まして、常に国民は税務署の方から監視され、いわば脱税ではないかという、調べられる側ですね。しかし、総理自身でも、議会人としての道を歩んでこられたとおり、やっぱり議会というものは、もともと専政君主が一方的に課税したのに対して、それに対して抵抗し、そうして議会の同意がなければ課税は認められないと、ここから出発したわけです。国民が主権者でない時期でさえそういう抵抗をした。ところが、いま国民が主権者になってみますと、まさに税金自身も、自分が申告をして行政に参加するし、憲法は納税の義務だけ規定しておりますけれども、しかし、あれは権利憲章の場所ですから、いわばみずから行政に参加する積極的な面がないわけです。となりますと、この国民主権という面から見ますと、やはり申告し、みずから参加すると、脱税の犯人、潜在的犯人と見られるような、そういう面じゃなくて、むしろいま言ったような主権者の面が強調さるべきであって、むしろその面こそ強化されるべきではなかろうか、こう思いますけれども、これは議会人としての立場からお答えいただきたいと思うんです。
#326
○国務大臣(三木武夫君) まあ、それは間接税というものは、大なり小なりいま言われたような点がありますから、これはやっぱり国民の一つの納税というものが成り立たないわけですからね、皆国民のやはり税負担というものがなけりゃ、国というものは成り立っていかないわけです。そういうことで、やっぱり納税者の自覚を待つという面が要ると思うんですよ。各国とも、いま言われたように、いろんな点がありますね、消費者が直接に――まあ最終的には転嫁されるとしても、税を納めるのは消費者ではないわけです。それはやっぱり国民の自覚を待つということでないと、そんなら間接税というものは皆どこの国だって、大なら小なり、パーセンテージは違うにしても、直接税との割合は違うにしても、そういうのはやっぱりそれは採用しておるわけですから、国民が進んでやっぱり税金を納めるという一つの自覚を前提にしないと、間接税というものは成り立たないわけです。そういう点で、業者自身もやっぱり正直に納税をするということで、そういう前提でないと、この場合のいろんな弊害があるからと言っておるなら、もう直接税系統ばかりにするということになると、税体系自身としてはバランスはとれているとは私は思わぬ、そういうことで、要は納税者の納税義務に対しての自覚を持っていってもらう以外にはないと思うのであります。
#327
○近藤忠孝君 いまの御答弁は私の質問の趣旨と、それから実際の現場における状況とに対して的確に答えていないと思うんです。これはぜひとも間接税の状況なども実際にもっともっと調査されて、そういう面で実際に不満感を持っておる人々、そういった人々の要望をぜひ聞いて、この間接税問題は考えていただきたい、このことを要望しまして質問を終わりたいと思います。
#328
○栗林卓司君 質問の重複は避けまして、一点だけ総理にお尋ねしたいと思います。
 負の所得税とか、逆所得税とかいうことが言われますけれども、この点についての総理の御所見を伺いたいと思います。負の所得税なり、あるいは逆所得税というのは、いまさら申し上げるまでもありませんけれども、たとえば今回の所得税制改正を見ても、税の控除項目を活用しながら直接納めている人に結びつくような福祉効果を期待していこう、老人控除しかり、障害者控除しかり、生命保険、医療費あるいは住宅貯蓄控除しかりと、こういう仕組みになるわけですけれども、税を納めていないと元がないんですから、そういう福祉的な政策が及ばないことになる。で、その人がどれどれぐらいいるかといいますと、給与所得を受けている者の四人に一人なんです。じゃ、一体この四人に一人をほうっておいてよろしいのか。といって税は納めていないわけですから、じゃ、逆に政府が金を出すかというのが、いわゆる負の所得税だと思うのです。誤解のないように申し上げておきますけれども、この問題を田中前総理に質問いたしましたら、私は、惰民政策はとらぬとお答えになった。この答えがけしからぬという意味で私は引用しているのではないのです。この逆所得税というのは選挙に使ったのは、例のマクガバンですけれども、マクガバンの選挙参謀のある責任者的な人と会ったときに、彼も実はこの制度についてわれわれも本当は自信がないのだと言っていました。その意味で、この逆所得税とか、負の所得税とかと言われているものが、制度として練れたものではありませんし、ある意味では、発想の域を出ないのかもしれません。それを踏まえた上の質問だということをまず御理解いただきたいと思うのです。問題は、負の所得税という言葉に託されている問題点、税を納めておりますと、その人の暮らしと直接結びついた福祉対策が打てる、間接にじゃないですよ。ところが、税を納めていないとその人に直接結びついた福祉対策は打とうとしても打てない、この問題は一体どう解決していったらいいのか、四人に一人と考えると、社会的不公正の是正という人々の心に食い込むものを内閣の大きなテーマとして掲げられたことを考えると、なかなかむずかしいでは済まないんじゃないだろうか、以上の点について総理の御所見を承りたいと思います。
#329
○国務大臣(三木武夫君) わが国の場合は老人の場合であるとか、あるいはまた身体障害者であるとか、受給者の個々の事情に即して給付が行われるような仕組みになっていますね。それを逆所得税というような所得状態、主として所得の状態のみを基準にして行う保障の仕方というものは、果たして公正にいくだろうかという疑問がありますし、またそうなってくると所得税を納めてないような人も全国民を対象にして、国民全般の所得把握というものが必要になってきて、これはとても膨大な行政事務というものが伴う。
 またいろいろその制度を実効あらしめるためには、相当な財政負担というものが伴うでしょうね。だから、実際にこれを提唱する人というものはあるわけですね。だけれども、各国にこれをまだ現実に導入した例はないので、いろいろ政治家とか学者の間にもそういうことを言う人はあることは承知しておりますが、なかなかこれが現実の政治の日程に上ぼってこないのは、いろいろないま私が述べたような事情があるからだと思いますので、いますぐにこれを導入する考えを持っていませんけれども、ねらいとするところはわからぬわけでもないわけですから、将来検討はいたしますけれども、当面わが国においてこれを導入するという考え方は持っていないわけでございます。
#330
○栗林卓司君 申し上げましたように、この制度を導入したらどうかということをお尋ねしているのではないのです。制度として練れておりませんし、発想の域を出ていないであろうと、とは言うものの、この制度に託している問題点があるはずだ。というのは、四人給与所得者がおりますと、三人についてはとにかくその人の暮らしと直接結びついた福祉対策が打てるのです。生命保険でもいいですよ。みんなかけるわけですね。ところが税を納めていると生命保険料控除がこちらは受けられる、納めていないのだから受けられない。所得階層から言えばこちらの方が低いのです。この四人の一人をどうしますかということで、その対策は、私は、制度として練られていない負の所得税だと申し上げているのではない。少なくもこの問題について三木総理とすると、むずかしいだけでは済まないし、片方は間接的な行政サービスは四人全部受けるわけですよ。直接的な行政サービスとして、三人は税を納めているがゆえに受けられる、一人は納めていないがゆえに受けられない、この不公平をどうされますかということです。
#331
○国務大臣(三木武夫君) いろいろと専門家の意見も徴しましたけれども、そうなればやっぱり直接に歳出で計上というようなほかにはないわけですから、なかなかむずかしいお話だと思います。実際問題として、具体的にそんならそういうことをどうやってするかといいますと、減税といっても税を納めていない場合があるでしょうから非常にむずかしいので、いまここでこういうふうにしてそういう人たちを救済したらいいんだという、なかなか妙案はすぐにお答えできるように浮かんではこないわけです。
#332
○栗林卓司君 時間ですから、総理に注意を喚起したというだけの質問になったかもしれませんけれども。それからこれ一つだけ総理にお願いをしておきたいことがあるのです。財政支出でどうするかと言われたのですが、これ調べようと思いましても、平均値的な資料はあるのです。平均値的な行政はあるのです。四人に一人を見た資料と、対策がない。これは総理がいまからでも各省にそれぞれ御指示をなされば、たとえばその層の人たちがどういうライフサイクルを組んでいったらいいのか、そのためにはどういったことを政府がすればいいんだというところまで入りますと、負の所得税などという制度論ではなくて、その人たちの暮らしと直結したその層に主たる問題意識を持った解決ができるのじゃないか、家賃の問題しかり、少額貯蓄に対してプレミアムを乗せる問題しかり、全部ここから私は出ている。ところが、全部を一律に見た平均値的な資料と行政が、残念ながらこれまでの姿でしたから、いま申し上げました四人の一人に焦点を当てて、実態をまずつかんでいただきたい。これをお願いして質問を終わります。
#333
○委員長(桧垣徳太郎君) 午後七時まで休憩いたします。
   午後六時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時十一分開会
#334
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#335
○鈴木一弘君 大臣に最初に。本会議の席上でいわゆるこれからの財政問題、その財源問題でいろいろ質疑をいたしました。そのときの大臣の御答弁には、昭和五十一年度の予算編成までに中間報告を関係審議会からとりたい、そういうことをおっしゃっております。そして、中間報告をとって可能な限り来年度予算に取り入れていきたいということを言われているわけですけれども、この中間報告をとるについても、その関係審議会へ大臣の方から――たとえば先ほどの総理の答弁を伺っていますと、公債中心じゃない、公債に全部のウエートを入れるというようなことは余りしたくないというような、そういう答弁もございました。やはり税収の新しい財源とか、あるいはいわゆる財政節約とか、いろいろな問題があります、長期計画の見直しとか硬直化打開のためのですね。そういうのがあると思うのですけれども、その点で、どういう方向ということを政府として示されながら、財政審なり、それを受けた税調なり、いろいろなところからの答申というものを仰がなければならないのだろうと思うのですけれども、その点についてのお考えをぜひ承りたいのですが。
#336
○国務大臣(大平正芳君) 内閣としては、大蔵省にありまする財政制度審議会に、私から、財政硬直化打開の方途について御検討いただき、お考えを承りたいという趣旨の諮問を申し上げたわけでございます。内閣に置かれてある地方制度調査会の方には、やはり地方財政問題につきまして同様な趣旨で諮問を求められたようでございます。何でいまごろそういうことが問題になったかと申しますと、御案内のように、財政の硬直化問題というのはつどにあったわけでございまして、数年前も大騒ぎをしたことがあったことは御記憶にあられると思います。だけれども、それが大きな問題にならずに今日に至ったというのは、比較的財源の調達が容易にできまして、その財政需要を賄うに痛みを余り感じなかったからだと私は思うのです。だけれども、おととしの暮れから去年にかけての大きな石油ショックを契機といたしました大きな世界的な規模における状況の変化もあり、わが国の経済は空前のいわば転換期を迎えているわけでございます。したがって、経済は成長どころかマイナス成長に転じておるわけでございます。そうなってまいりますと、従来、成長志向型の経済であり財政であったわけでございまするし、みんなの心構えもそうであったし、いまのおぜん立てが全部そういうたてまえでできておるわけでございますので、そこへ突然赤信号が出たわけでございますので、急停車せなければいけなくなったわけでございます。したがって、いろいろなことがこれから痛いほど財政の痛みを感じることになると思うのでございまして、いま地方財政が危機であるとかいうようなことが言われておりますけれども、地方財政の問題ではないんで、中央、地方を通じての問題だと私は思っておりまするし、ただ、地方財政が先に来たというのは、地方財政の方でしぶきをちょっと瞬間早く受けたというだけにすぎないので、本体はちっとも中央も地方も変わっていないと私は思うのでございます。
 そういう意味でこれは容易ならぬ時期でございまするので、この検討は相当時間がかかると思いまするし、相当広範囲にわたると思うのでございます。したがって、中間報告と申し上げたのは、五十一年度の予算が平年度予算の編成に取りかかるまでにとりあえずまとまりましたお考えはとりあえずちょうだいして生かさにゃいかぬし、引き続きずっとまた御検討いただかなければならぬ大きな課題だと思っておるわけでございます。
#337
○鈴木一弘君 そうすると、大体七月前後までにはこの中間報告を関係の審議会から求めるということになってきますですね。大体時期はその辺でよろしゅうございますか。
#338
○国務大臣(大平正芳君) 大体この秋と思っております。概算要求が八月の末には出てくるわけでございます。で、編成に本格的にかかるのは秋になりますので、秋ごろ――まだ何月ごろというように決めておりませんけれども、秋ぐらいを目安に一応お願いしたいものだといまのところ考えております。
#339
○鈴木一弘君 次に、たびたびであれでありますが、先ほども総理に通勤費のことを伺ったのですけれども、答弁はずっと通じていわゆる民間の通勤費の平均が八千幾らだというのはこの委員会ではずっと言われてまいりました。しかし、その民間の八千幾らというのは、その手当が九千円も一万円も出している人もあれば、少ない千円の人もある、そういう平均が八千幾らということだと思うのですね。いまの非課税が九千円、つまり九千円で切ったということになりますと、実際には八千幾らの平均よりも、その九千円以下だけを見ると、うんと下がってくるだろうと私は思います。ですから、野放しというか、そういう全部を非課税にしても九千円以下ということになってくるわけですけれども、そうすれば、いまの法律のねらっている、法律というか、政令でねらっているのと私は変わりなくなるのじゃないかと思うのですね。先ほども申し上げたのですが、国鉄の通勤が六十九キロで九千十円です。大体、東京−大磯間が六十七・八、大磯までなら非課税にしましよう、それから先は課税所得として見ましょうということになると、何だかそこまでの間に住まなきゃならないみたいな、そういうことを言っているわけじゃないと思いますけれども、法のもとから考えますと、この点は、平等ということから見ても、いまの答弁から見て全体の民間の通勤手当の平均よりちょっと高くしたんだということから考えますと、やはり全部を非課税にしてもいいのではないか、そう思わざるを得ないわけなんですが――首を横に振っておられるようですけれども、改めてもう一度伺いたいのですが。
#340
○国務大臣(大平正芳君) 私は鈴木委員とちょっと考えが違うのです。もともと、通勤手当に対する非課税なんというのは、昔はなかったと思うのです。大体自分の収入で賄っておられたと思うのであります。それが今度こういう制度が設けられたということは、これは前進として評価すべきかどうか、税制としては私は余りほめたことではないと考えております。しかし、これはせっかくわれわれの諸先輩がこういう立法をしていただいたことでございますから、私はこれはまあ尊重せにゃならぬと思いますが、こういう立法をする以上は、やはり通常必要と認められる部分を非課税として認める。個々の事情を全部に非課税という手はないのじゃないか。何となれば、遠くに住まわれる方はそれだけの事情がそれぞれおありでございますし、遠くへ行けば行くほど地代は安くなりますし、空気はうまくなるわけでございますから、やはりそこへ住むだけの値打ちがあるわけで、そういう事情があるわけでございます。したがって、制度といたしましては、私は、通常必要と認められる部分で結構じゃないか、必要で十分じゃないかと思っておるわけです。
#341
○鈴木一弘君 しかし、大臣、実際は住宅公団等が新しくできてきます。その住宅公団のつくる団地がだんだん距離の遠いところになってきている。本人の好む好まないではなく、やはり、そういう住宅難とか、あるいはいま空気もきれいという話がございましたけれども、公害から逃れてということもあると思うのですね。どちらも一つは政治のひずみでもあると思います。そういう点から考えると、これは行政としては大臣の答弁だと私は思うのです。政治の扱いとしたら感心できないのじゃないか、こういうように思うのですが、政治家大平さんとしていかがでございますか。
#342
○国務大臣(大平正芳君) 政治としては、国民の雇用の機会をりっぱにつくり、所得を確保し、安定した生活が確保できるだけの所得を培って差し上げて、非課税とかなんとかいうこういう細工をしなくても十分自分の所得でいろいろなことが賄えるような状態が私は一番望ましいのじゃないかと思う、政治としては。少し細か過ぎると思うのです、こういうことは。こういうことでなくて、もう少しおおらかにお住まいができるように、住宅もあなたがおっしゃるように――もう通勤手当を考えなけりゃならぬというのは、あなたが言うように、確かに政治のやっぱり貧困を物語ることとして反省しなければいかぬと思います。
#343
○鈴木一弘君 どうも話がはぐらかされて逆さま論理になったようでありますけれども、まあいずれにしても給与所得控除が大幅に上がればこれは同じことになります。そういう努力をお願いをしたいと思うのですけれども、また本会議のときにも申し上げたのですけれども、いわゆる企業の中の付加価値の中に占める租税公課の割合、これが私が御指摘申し上げましたのは非常に少ないということで言ったわけです。十八業種、資本金十億円以上、三百七十五社を対象にして、去年の三月から九月までの六カ月間、その間の、ですから、大体この倍ぐらいが総付加価値になると思うのですが、見ますと、その金額が七兆四百三億七千六百万円、それに対して租税公課が六千八百七十八億六千八百万円ということで、九・七六%ですね。ところが、いろいろな例を見てみますと、製造業だけ十四業種を見ますと、粗付加価値か五兆五千億を超えております。それに対して租税公課が五千五百三十三億円ということで一〇・〇三%なんです。それがアメリカやそのほかの企業に比べると異常に少ないということが言えるわけなんですけれども、そういう点で、大臣の答弁は、いわゆる企業としての自己資本というか、借り入れが多いからこういうことになったのだという話があったのですけれども、一体どのぐらい租税公課として取るべきというか、あるのが本当なのか、何%ぐらいが本来の姿なのか、また、労働分配率は一体何%――人件費というやつですけれども、これはどのぐらいにすればいいのか、そういうめどは残念ながらこの間のときお伺いしたのですが御答弁いただけなかったわけですが、どうお考えでございましょうか。
#344
○国務大臣(大平正芳君) この間の本会議での御質問に対しまして、鈴木先生の御質問に対しましてお答え申し上げたのは、わが国の企業の資本の構成は非常に借入金が多いと、三ぐらいが自己資本で七が他人資本じゃないかと言っておったのでございますが、なおその三割も割って、ますます自己資本が少なくなってきている。というのは、銀行で金を借りて、それで設備投資をして金利を払っていく方がいまの税制で得なんでして、得というか、有利なんじゃないでしょうか。ですから、本来ならば安定した自己資本があって――アメリカの場合はちょうど逆です、七割が自己資本で三割が他人資本みたいになっておると思います。日本は、いま聞いてみると、一四・四%に自己比率がずっと落ち込んでしまっていると思うのです。ところが、そういう借入金に対する利子は経費に落ちますから、あなたの言われるようなぐあいに付加価値には入るけれども益金にはならぬから税金にはならぬという意味で、鈴木先生の御指摘はそのとおりだけれども、税金は少なくなるのは当然だという意味のお答えをしたわけです。しからば、どれだけが正しい比率かということは私はわかりません。何となれば、私は幾らが正しい比率かと言ってみても、そうならぬから、そのように七対三と言っておったものさえもだんだんと一四・四に落ちてしまっておる。もっと上げろ上げろと言って大蔵省なんかもう盛んに自己資本を上げろ上げろとして努力しておるのに、逆に自己資本は落ちていくのです。ですから、幾らがいいといって、それは願望にすぎなくなるわけでして、経済政策において願望だけばかり言っておってもしようがないので、どれだけがいいかなんという理屈を申し上げてもしようがないので、現実はこうなっておる。したがって、御指摘のとおり税金部分が少ないと言える。しかしながら、それじゃ税負担は軽くなっておるかというと、そうじゃない。アメリカと比べてもヨーロッパと比べても決して日本の法人税の負担は軽くなっていない、五〇%内外のところになっておると私は思いますという答えを申し上げたわけです。
#345
○鈴木一弘君 大臣は、実効税率が五〇%ぐらいだということを言われたのだと思うのですけれども、これは通産省が出した世界の企業の経営分析なんです。これを見ましてわかるのは、日本の普通鋼の三社とアメリカのUSスチールとを比べると、租税公課は三・一%ですね、日本は。アメリカは九・三%です。人件費の方は、日本が三九・五に対してアメリカは七三・九とちょっとこう見てみると何か私はずいぶんと租税公課に対する比率が少ない感じを受けますし、まだ人件費等も少ないんだなあというような感じを受けるのですけれども、そういう点でまだまだそれがあるわけです。特殊鋼の場合も少ない。それからまあ機械の場合は、アメリカのキャタピラーと小松製作と、租税公課においては、キャタピラーが一六に対して日本が一三・六ですから、そんなに大きな違いはないと思うのですけれども、そういう点から見ても、ちょっと日本の場合に一般的には租税公課の部分が少ないのじゃないかという感じを受けてなりません。その点が一つあるのですが、そういう点はいかがお考えでしょうか、世界と比較をなさって。
#346
○政府委員(中橋敬次郎君) その点に関しましては、先ほど大臣からお話がございましたように、やはり構成の問題でございますから、人件費の問題もございましょうけれども、いわゆる金融費用、利子のウエートがどの程度になっておるのかということが非常に他の比率を左右するものでございます。また、減価償却費が一体どの程度になっておるのかというのも影響するわけでございまして、いまお示しの普通鋼のわが国とアメリカとドイツの三社についての御比較がございましたけれども、まずどういうものが一体それぞれの費目に入っておるか、どういう資料から出たか、たとえば企業経理の数字でございますか税務の数字でございますかということもよくわかりませんけれども、一応そういうものとして考えてみまして、たとえばわが国の普通鋼のメーカーでございますと、金融費用が二三・三%を占めておるわけでございます。アメリカ、ドイツの会社は、たとえば二・一%とか七・六%でございまするから、もう圧倒的に金融費用のウエートが違ってきておるということになります。それから減価償却費でございますけれども、これもわが国が二八・一%というのに対しまして、アメリカは一〇%、ドイツは二一%でございますから、こういうものはやはりウエートとして見ます場合にはほかの要素に影響を及ぼすわけでございます。そういうものが影響いたしまして、人件費の比率が変わり、また純利益の比率が変わってきておる。したがいまして、また、租税公課の率もおっしゃいますような数字を示していることは確かでございますけれども、そういう構成がやはりいろいろな要素の高低によりまして違ってきておるのではないかというふうに思われます。
#347
○鈴木一弘君 それで、もう一つこれで伺いたいのですけれども、四輪車を見ると日本がすごく高いのですね。ほかの産業に比べてずいぶんと高い。あるいは医薬品とか、また自動車タイヤとか、これ一つ一つ見ますと、かなりウエートの高い租税公課の部分もある。先ほど申し上げたような普通鋼のように低い部分もある。こういうのを見ますと、何だかこのばらつきは一体どうしてできたのだろうかというのがあるわけでありますが、まさか特別なところに高い税金を取って特別なところに取らない、税の上ですからそんな不平等があるわけないわけでありますが、そういう点について御答弁をいただきたいと思うのですが、どう判断されているのか。
#348
○政府委員(中橋敬次郎君) その点につきましても、確かに、自動車のメーカーにつきましての御比較は、いまおっしゃいましたように、租税公課としては、たとえばわが国の二二%程度に対しまして、アメリカ、ドイツの自動車メーカーはそれよりも低い一五%とか一七%を示しております。ところが、やはりそれにつきましての、それに対します金融費用でございますけれども、これは先ほどの普通鋼のメーカーと違いまして四十六年度でございますと、一・八、一・七、一・六、ほぼ同じでございますし、四十七年度は、やや日本の方が多くなりまして六・二%に対して、アメリカが一・七、ドイツが〇・九ということでございますから、そういう影響もございますし、減価償却のところを見てみますと、日本の自動車メーカーは四十六年度でも四十七年度でも三〇%とか二四%ということで、これは圧倒的にアメリカ、ドイツの会社よりもはるかに多いわけでございます。そういうことがいろいろ重なり合いまして、いま御指摘のような比率になっておるのだと思いますけれども、何しろ原資料で一体どういうものがこれに入っておるかというようなこととか、それから租税公課という費目に一体どういうものが入っておるかということでございますけれども、厳密に申せば、付加価値を構成しますものとしては、たとえば一般の原材料費とともに費用として外に流出しますものは通常入らないわけでございますけれども、有価証券報告書の中にたとえば租税公課として一括して出ておりまして、その税目別の分類がないというような場合には、おそらく一括して租税公課も付加価値の中に入れておるのではないかと思いますから、やはりそういうものを本当はもう少し詳細に分別いたしまして、外に出ておるいわゆる付加価値の中に算定してはならないような租税公課は外に出すように計算をいたさなければなりません。そういうことの詳細が実はわかりませんので、いま申し上げたような率のものにつきましてもやはり金融費用とか減価償却費とかいうものと関連をして利益のウエートあるいはそれに対する租税公課のウエートというものがございますし、その利益の中にもいわゆる会社間におきますところの配当がどの程度入っておるかとか、いろいろな未知の部分もかなりあるということで、まだわれわれこういうようなものについても今後勉強しなければならないと思っております。
#349
○鈴木一弘君 私も、どうもこれはよくわからない数字が、こんな納得できない、意味は何だかという差があり過ぎるとか、そういう点でお伺いしたのですが、政府側の方でまた調べるということですから、私も、これは粗付加価値になっておりますけれども、正確な付加価値の中に占める割合をひとつ出していただきたい。これは時間がかかることと思います、または大蔵所管じゃないものもあると思いますので時間がかかると思いますけれども、ぜひお願いをいたしたいと思います、資料として。よろしゅうございますか。
#350
○政府委員(中橋敬次郎君) 実はこの資料は通産省でおつくりになったものでございまして、通産省の方でどういう原資料からこれをお出しになったかというまず方法なんかについて伺ったり、その分類がどの程度まで費目的にできますかということをやってみなければわかりませんので、かなり時間をかけてそういう調査をやる必要がございますし、そこで詰めてみまして、資料的に非常に不足なものがございますかもしれませんけれども、時間をかしていただきまして一遍やってみたいと思いますが、資料化いたしますにはかなり先のことというふうに御了承いただきたいのでございます。
#351
○鈴木一弘君 粗製乱造より、時間がかかってもいいから正確なものをお願いしたいと思います。というのは、もう法人税の問題等を見ても、いままでのような考え方だけではいかないときが来ているような気がしてなりません。そういう点でぜひお願いをしたいと思います。
 そこで、これは法人擬制説と実在説に関係してくる問題でありますけれども、四十一年十二月に税調から長期税制のあり方についての中間答申が出ている。その中で法人利潤税の件が出ております。それが、四十三年七月の「長期税制のあり方についての答申」の中で「法人税を企業独自の負担と考えるような社会的意識や近年の税制の歩みを端的に認め、社会・経済の実態に即応したわかりやすい税制の仕組みを確立するという見地から、今後の法人税の基本的な姿を長期的視野に立って描くことが肝要であると考え、このためには、法人税は株主の所得税の前払いとしてではなく、法人の独自の負担であると認識し、企業の純利潤を株主の負担とは切りはなした企業独自の負担力の指標と考える方向で検討することが適当と認めた」と、こうありまして、御承知のように、一つのたたき台として「課税標準は法人の純利潤とする。」「税率は一本の比例税率とし、留保分、配当分を区分しない。」「中小法人――この当時はたとえば資本金一億円以下と書いてありますけれども、現在では変わってくると思いますが――については、軽減税率を設けることを検討する。」それから「個人株主については配当控除を行なわず、法人株主の受取配当は益金に算入することとする。ただし、親会社が子会社から受け取る配当については引き続き益金に算入しない。」つまり益金不算入というのが出ておりますが、こういうようないわゆる画期的といいますか、本当に割り切ったというか、当然あるべき姿として私はこの法人利潤税がこのとき出てきたのだと思う。それがいつの間にか税調答申の中でこういうことがいわれていながら立ち消えになってしまった。一体これはどういうわけなのかということをひとつお願いをしたい。
#352
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十一年の中間的な案あるいは四十三年の答申の中に、かなり具体的にそういった方向があったことは事実でございます。ただ、実はそのもう一つ前の税制調査会の答申を御想起願いたいのでございますけれども、三十九年の税制調査会の答申では、これはまた完全な調整をやるべきである、いわゆるグロスアップ方式をとるべきであるということを主張いたしたのでございます。それが三年後で次の答申になりますと、今度はまた利潤税方式というのがよりいいのではないかというような答申が行われまして、いずれにしましても、そういった問題も含めてかなり時間をかけて検討すべきであるというような趣旨がそのとき当時の税制調査会の答申にも盛り込まれております。それからその後におきまして、四十六年だったと思いますけれども、やはりそういった問題も挙げまして、税制調査会はなお長期的な検討課題といたしたわけでございますけれども、現実にはむしろ個人の受取配当に対する配当控除の率というのはややや縮小のようなことが税制としては行われて今日に至っておるわけでございます。そこで、なぜその四十一年なり四十三年の利潤税方式が実現しなかったかということでございますけれども、確かにそのときには一つの有力なる案として検討はなされましたけれども、やはり底流にはもう一方その前の完全なるグロスアップ方式もとるべきであるという意見がございまして、なかなか一致しないわけでございます。いまもそういう二つの意見がやはりあるわけでございますけれども、その後におきましての税制調査会の論議を一遍新しい昨年発足しました税制調査会で取りまとめていただこうということで、昨年来そういうことをお願いをし、ことしから特にそういう問題についての御検討をいただこうということを予定いたしております。
#353
○鈴木一弘君 これは一つ一つ伺いたいのですけれども、留保分と配当分の区分をやらないという一本の比例税率、こういうものをとるという、これは非常にいいことだと思うのですけれども、この点の検討は大蔵省はしておりませんか。
#354
○政府委員(中橋敬次郎君) 留保分と配当分の税率を二段にしましたのは、やはり一つの法人におきます利益の課税と、それからそれの中から払われる配当についての税金の調整をどうするかということの一つの解決として出てきたものでございます。したがいまして、先ほどお話しの自己資本比率が年々低下していくのについて税金の面でも何か考えなければならないのではないかというようなことが非常に強く叫ばれました昭和三十四、五年のころの議論をかなり熱心にやられた末に、今日のような配当軽課税率というのが導入をされたわけでございます。したがいまして、ここだけをさわるということは、やはり法人税制の基本的な仕組み、むしろ四十一年、三年に出されたような問題がなお基本的に解決していないときには、それだけをとるということはいかがなものであろうかということで、実はその後の議論としては確かに出たことは何回もございますけれども、配当軽課税率は、率の高低は別にしまして、そういう制度をそのまま存続して今日に至っているわけで、もちろんその点についても基本的な仕組みの一つとして論議をいたすはずでございます。
#355
○鈴木一弘君 先ほど大臣が言われたように、一生懸命見てあげても少しも前進しないというか、いわゆる企業の安定比率というのでしょうかね、自己資本比率がちっとも大きくなってこない。じゃ何のために優遇したのだかわからないです、特別措置で。むしろ、それならば、はっきりと企業優遇税制ということじゃなくて、いまのようにすかっとしちゃったほうがかえって企業としては無相するのじゃないかという感じはあります。その点は、大臣、いかがお考えでしょうか。
#356
○政府委員(中橋敬次郎君) そのときにも配当軽課税率を適用しましたけれども、その場合には受取側においていわゆる配当控除率とか、法人におきますところの受取配当の益金不算入率というのを制限いたしましたから、そこで。パラレルな公正はとっておるつもりでございますが、おっしゃいますようにその後におきましてもなお自己負担比率というのは低下の一途をたどっております。これは一に日本経済が非常に急速な成長を遂げる、そのためには企業としましても間接資本にその成長の資金を頼らざるを得ないというのがやはり基本的な理由であったと思いますが、今後、経済が安定的な成長を遂げるということになりますればやはりまた違った様相を示してくると思います。しかし、自己資本比率の低下の問題、一方ではどんどん低下しておりますから、なおさらまた、もっといまの受取配当側におきますところの調整をやってほしいという声が強くなってきておることも事実でございます。しかしまた、税制上、いまおっしゃいましたようなそういう必要がないではないかとか、それに対する効果というものがそんなに期待できないではないかという意見もございまするので、そういう点、両方をまとめまして結論を出さなければならないと思っております。
#357
○鈴木一弘君 これはどうも話を聞いていると効果がなかったということがほとんどみたいな感じに受け取ったのですけれども、いろいろ租税特別措置には特定な政策目的がありますね。一つは、貯蓄の奨励、あるいは環境改善、地域開発の促進、資源開発の促進、技術の振興、内部留保の充実、企業体質の強化、こういうようにございますけれども、果たしてその効果が本当にあったのだろうか。たとえば貯蓄の奨励を目的としたものでは、利子・配当の特例、課税の特例です。その目的は貯蓄の増強と資本蓄積が目的であると言うけれども、なぜ現在国民に一生懸命こういうことを通して貯蓄を奨励しなければいけないのか。いまのように、きょうも議論がありましたけれども、預貯金の目減りのときに一方でそういう貯金の奨励をする。何か貯蓄をすると国民が目減りで損をする、損をすることの奨励をしているような感じもあるわけです。そうすると、まあいまのは極端な例かもわかりません。私はそういう点でこれは租税特別措置のねらっている目的とは効果というものが外れてきているのじゃないか、こう思わざるを得ないのですが、いかがお考えですか。
#358
○国務大臣(大平正芳君) 政治といい、行政といい、これはやはり根本は信用だと思うのです。租税特別措置のこういう手段を講じたから、貯蓄奨励あるいは技術の開発、あるいは資源の開発その他そういう政策目的にはこれだけの寄与をするであろうという計算はなかなかできませんけれども、いろいろなことの中にそういう手段も一つ組み合わされて、そういう構えを政府がとっておるということに対する全体として国民が持っておる政府に対する信用、そういったものが究極において支えておると思うのでございます。逆に言いますと、だから、そのうちの一つを外すということに仮になった場合に、それによって期待しておった部分だけが脱落するのじゃなくて、全体に対して国民の信用が落ちるという結果をもたらすのではないかと思うのでございます。したがって、一つ一つの部品を取り出して一々効用を計算することはできないけれども、全体としてそういう政策目的に寄与しておるというように私は理解しておるわけでございます。
#359
○鈴木一弘君 たとえば、貯蓄の奨励も、一つには経済成長を促すという意味もあるわけですよね。そういうものが一つの特別措置としての目標としてございます。ところが、実際にはいまのような時代になってきて、高度成長じゃなくて低成長、まあ安定成長か低成長かわかりませんけれども、そうなってきたときに、しそんなに大量に、大量にというわけじゃありませんけれども、一生懸命貯蓄を奨励してそっちに向けなければならないという直接的な効果と申しますか、心理的な効果というか、そういう必要があるだろうか。政府の政策がすでに高成長から低成長に変わって、安定成長という言葉に置きかえられてくれば、今度は貯蓄の目標も変わらなければならないし、それに対するいわゆる特別措置の優遇というものも考えなければならない。こういうようにいろいろ関連してくるのじゃないかと思うのですけれども、そういうような政策目標からの御検討というのはいかがお考えでしょうか。
#360
○国務大臣(大平正芳君) おっしゃるように、成長金融を賄うために貯蓄をお願いするというような、そういう文脈においての貯蓄の奨励というものは私は非常に重要性が落ちてきたと思いますが、しかし、それでもなおいま非常に貯蓄が大事だというのは、いま一番私どもの政策の基本は、やはりインフレ対策といいますか、であると思うのでございます。それのためには何としても購買力が締まって金融秩序の上にちゃんとセーブされてあるという状態でないと、これが行儀が悪く働くとなると大変なことになるのじゃないかと思うので、やはり貯蓄は何といっても一番大事なことじゃないかと、そういう意味で政府の信頼が落ちるというようなことはえらいことだと思うのでございまして、そんなことをやっても物価の値上がりの方がひどいじゃないかというけれども、依然としてやはり可処分所得の二〇%内外は貯蓄をしてくれているわけですね。国民は私はそんなに勘定高くないと思うのです。ちゃんともうやってくれているので、その期待にこたえなきゃいかぬと思うのです。やはり本格的なインフレ対策に私ども一生懸命にならないと本当に申しわけないのじゃないかという感じがいたします。
#361
○鈴木一弘君 特別措置法の中で、先ほどからもお話がありましたが、企業の内部留保の充実とか、あるいは企業体質の強化、そういうことの特別措置が大分あります。そういう目的でやられていながら、実際は、先ほど大臣もお話がありましたけれども、自己資本比率がわが国が四十七年で一八・五、アメリカが五三・二、イギリスが四九・八、西独が三五・八と、そういう点では西独の半分ぐらいということです。それが四十二年のときにわが国のを見ると自己資本比率が二二・七、それからだんだんいまの大臣の話のように下がってきているわけです。そうなると、企業の体質強化とか内部留保の充実という政策目的の効果が全く出てこなかったのじゃないか。この点は、租税の面からも一遍考えなきゃならない。価格変動準備金であるとか、貸倒引当金とか、そういったようないろいろなものもございます。そういった扱いやいろいろなものを全部ひっくるめて、一体租税特別措置でこんなにめんどうを見ているのにどうしてこうなんだろうと。まあ先ほどの答弁では、さらにめんどうを見なきゃいけないというどろぼうに追い銭みたいな答弁だったのですけれども、そうじゃなくて、やはり企業の努力自身というものも本当にここでやらなければ、一生懸命特別措置を引いたって何にもならないのじゃないかという感じがするわけです。その点、お考えをお願いします。
#362
○国務大臣(大平正芳君) 私はそうは考えないのでして、つまり、それじゃ個人の投資が減っているわけじゃないのです。絶対額で減っているわけじゃないのでしてふえておるわけなんです。だけれども、先ほど主税局長が申し上げましたように、成長を急ぐものですから、成長金融を間接金融に急いで求めて、手っ取り早く求めて、新しい技術がアベイラブルなものですから、内外の技術を早く手に入れて急いで投資しようということで一生懸命になったものですから、そちらの方はばかに肥大化したものですから、こちらの方は日陰におるものだから、それも伸びておったのですけれども、それは決して減ったわけじゃないのですから、こちらの方はばかにアンバランスの状態において肥大化したということだと思うのです。だから、こちらの方への努力を支えを外しちゃったらなおひどくなるということになるのじゃないでしょうか。したがって、われわれ、もっとじみちにやって今度は静かな経済を考えていこうということでございますから、だんだんとこうバランスのとれた落ちついた構成に持っていけるようになってくるのじゃないかと私は思いますが、そういう方向を志向していかにゃいかぬと考えます。
#363
○鈴木一弘君 よくわかりました。確かに、高成長のときより低成長のときの方がそういう点は効果はあるだろうと思うのです。しかし、いままでみたいに、やったけれども効果がなくて、大臣がこんなになっちゃったのかと先ほどびっくりしたという話がありましたけれども、そんなようなことばっかりあったのじゃ、これはまずいと思うのです。効果を出すのは、国民の当然取るべきものから取らないでやるわけでありますから、しかも、その上に企業によっては助成まで考えなければならないものが出てくると、そうなりますと、これは本気にその点のあるべき姿というのですか、モラルといいますか、そういうものの努力をしっかりとやらしていただきたいと、この点は、大臣から決意のほどを伺いたいと思います。
#364
○国務大臣(大平正芳君) そういう仰せのような企業の資本の構成をはじめとして基盤を健全な方向に持っていくために、あらゆる政策手段を着実に組織いたしましてじみちに推進していかなければならないと考えます。
#365
○鈴木一弘君 時間が来たようですから、最後に伺いたいのは、四十三年七月の長期税制の答申の中で、法人税にかわる付加価値税採用についての意見が述べられております。その中で、企業課税としての付加価値税は、当面、創設を予定しないというふうに書かれておりますけれども、しかし、支払い利子、支払い配当、内部留保、そういうものに対して差別なしに税を取るとすれば、企業課税としての付加価値税しかないのじゃないかという、そういう意見が出ています。いままでの論議は、付加価値税というと、ほとんど一般売上税ばかり――このときの答申に、企業課税としての付加価値税じゃなくて、一般売上税の発展した形の方をとる方がいいというようなことが書いてあるものですからそういう論議ばかりになっちゃったと思うのですけれども、本来なら、法人税という形よりも、付加価値全体の中で一体どのぐらいが税としてというのが本当のあるべき姿だろう。ものによってはそのうち赤字でパンクしちゃう会社も出るかもわかりませんけれども、まあ個人の場合はちょっと特別なケースをとらなきゃならない、私は原則論を申し上げておるわけですけれども、この点の検討は当然なされてよろしいのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#366
○政府委員(中橋敬次郎君) シャウプ勧告で地方税法の中に取り入れられました事業税は、まさにおっしゃるようないわば加算式の付加価値税というようなものを頭に置いておったようでございます。それで、確かに事業に対する課税――事業税という名で今日かけておりますが、そういうものを所得を課税標準にして課税させるのがよろしいのか、あるいはもっと広範な課税標準をとるのがよろしいかという問題としましては、確かに、所得ばかりに依存する税制でなしに、国税、地方税を通じて見まして、あるものについてはいわゆる外形標準的な企業の規模を何らかの形でとらえるという必要もあるかと思います。もちろん、そのときには、利益のあるなしにかかわらず課税される税金でございまするから、その負担率というものについてはなお相当の検討が必要でございますけれども、そういった課税標準をとるということも一つの道でございます。ただ、そういう課税標準をとりますときに、単に売上高というものをとるのがよろしいか、あるいは固定資産の価格をそれに加味した方がよろしいか、さらには、シャウプ勧告後によります事業税のように、利潤のほかに支払い人件費利子というものまで加えたいわゆる付加価値というものまで拡張してとるのがよろしいかという問題がございまして、当時はついにそういうものは日の目を見なかったわけでございます。したがって、事業課税としてのそういう課税標準の拡大という観点からもちろん検討はなされておりますし、先ほども自治省の方からお答えがございましたように、事業税というものをそういった形でとらえることも自治省の方ではいろいろ御検討になっておるようでございます。ただ、いわゆる付加価値税と申しますのは、実はそれとは全く違いまして、一般的な売上税が多段階にかけられておりましたのを、だんだん多段階の売上税というのが重なり合って雪だるま式になるという弊害を除去しようということから、全段階控除方式という形でこれを精緻にやり上げてきたものがいまの今日のヨーロッパにおきますところの付加価値税でございます。たまたま付加価値にそれはなるわけでございまするけれども、実は売上税の重畳的なデメリットを除去しようということからやってまいりまして、それは一体何かと申しますと、各段階において発生した付加価値に対してかけておる税金であるけれども、やはり一種の売上税として観念せられておるものでございます。したがって、同じ付加価値税ということでございますけれども、私どもが付加価値税と申しておるのは、やはりヨーロッパで経過的に漸次消化してまいりました売上税の形でございますし、いまおっしゃっています付加価値を課税標準とする事業税というのは、事業税をそういった形においてより事業税の名にふさわしい課税標準としてお考えになっておるということで、やはり両々別個に検討が行われてしかるべきものではないかというふうに考えております。
#367
○近藤忠孝君 最初に国税庁にお伺いいたします。
 先ほどの質問の中で、最近各地に税務指導連絡会とかその種の税務署への協力団体が数多くなっております。しかし、それは決して税務署の下請機関であったり、それから民間税務署的なものであってはならないということ、さらに税務署がそういう団体の運営に干渉することはないし、また干渉してはならない、こういったことが確認されたわけでございます。
 そこで、具体的な例でお伺いしたいのでありますけれども、奈良税務指導連絡協議会というものがございます。これは第一に納税者を中心とした組織の強化拡大、それから第二に一元的運営による幅広い事業活動の展開、第三に税務当局との連絡調整の窓口の一本化、こういう目的にしてできたのでありますが、この会員を見てみますと、会員を三つの段階に分けています。一般会員、これは記帳指導などを行う。そして二年後には指導会員になる。さらに二年後には自主申告会員にして、三年後にはこの会の本部長や税務署長から表彰を受けられるようになり、そしてそういう状況が進んでいくと一定の恩典がある。こういう団体があるのですが、この奈良の税務指導連絡協議会について、先ほど言ったような税務署がこの運営に干渉したり関与していると、そういう面で問題があるというようなことを聞いたことはないでしょうか。
#368
○政府委員(横井正美君) 税務協力団体の実情は、先ほども御説明申し上げましたように、各地の実情に応じて発展してきておるものでございますから、地域ごとに異なる様相を呈しておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、自主的な団体として独立して行動いたしておるものでございまして、税務署がこれを干渉したりいたしておるものではございません。奈良の税務指導連絡協議会、これにつきまして、私、詳細は存じませんけれども、これにつきましても、奈良の地域の事情に即しました協力団体ということで自主的に展開しているものであろうというふうに考えておるわけでございます。一部の新聞で、この協議会が税務署の出先機関であるとかあるいは行き過ぎた点があるのではないかという記事を読んだことがございますけれども、私が存じておりますところでは、先ほど申しましたような自主的な団体であるというふうに考えておるわけでございます。
#369
○近藤忠孝君 こういう団体に入っているために一般の納税者よりも特別の優遇措置を受ける、税の申告の実際の運営の扱い方その他の処置で特別に優遇措置を受けるというようなことがあってはまずいと思うのですけれども、その点いかがですか。
#370
○政府委員(横井正美君) 特定の団体に入っておる、あるいはまた入っておらないということによりまして、特別な差別をするということは、私ども指導いたしておりませんし、現地におきましてもそのようなことを行っておることはないと信じておるわけであります。御指摘の協議会につきましても、協議会の会員になっておるということのゆえをもちまして調査をしないとかいうふうなことを行っておるようには見ておらないわけでございます。
#371
○近藤忠孝君 ここに「会員指定ならびに表彰規定」というのがありますが、奈良税務指導連絡協議会のものです。これをちょっとごらんください。これの二枚目の裏のところに図があります。その図によりますと、最初は将来青色申告を期待する一般会員である。それが二年間いろいろ研修などをやりますと、署長の了解などに基づいて指定書を交付してくれる、将来表彰を期待されるとあります。さらに二年間適切な指導のもとに自主適正申告の実践をいたしますと、指導会員になるわけですね。指導会員になりますと、努力賞をもらったり、さらに指定書の交付をもらう。それに税務署長が了解をする。さらに三年間たちますと、引き続き自主適正申告の実践を行う。この中で自主申告会員になりまして、そこで、これも署長が了解いたしますと、本部長表彰がございます、先ほど言ったとおり。それから税務署長の表敬を申請します。そうなりますと、今度は申告書是認無調査を期待すると、こういうことがちゃんと書いてあるのですね。これを管内の一般納税者に配るわけです。そこで、最後のところが大変これは魅力なんですね、申告書を是認されて無調査を期待されるのですからね。しかも、それが税務署長が了解した上で行われる。こういうものを配って、こういう会への加入を勧誘しているということ、これはどんなものでしょうか。
#372
○政府委員(横井正美君) 奈良の協議会の実情の細かいところは、私、存じないのでございますけれども、ただいま拝見いたしましたところでは、第一には、これはいわゆる協議会側の意向の表明というふうに受け取られているのではなかろうかと、こう考えるわけでございます。
 それから第二でございますが、会に入れば調査をしないと、こういうことではございませんで、自主適正申告を実践するとか、あるいはまた、自主適正申告をさらに引き続いて実践するとかいうふうなことが続きますと、いわゆる適正な申告をする納税者でございますから、税務署の調査もないのではないかと期待されるというふうな表現に読めるわけでございまして、税務署側が約束しておるとかということではないように思うのでございます。
 署長了解というところがございますけれども、これにつきましても、関係協力団体から税務署の方へ連絡があるというふうなことではないかと、かように考えるわけでございまして、全体といたしまして、税務署の出先機関から来ておるとか、税務署が干渉しておるとかということではなくて、自主的にまじめな申告と納税を続けようと、こういうふうな団体ではないかと存ずるものでございます。
#373
○近藤忠孝君 連絡協議会側の意向であると、この図に書いてあることは。そういう説明でありますけれども、それにしましても、税務署が仮にこのことを約束していないにしましても、こういうものが堂々と配付されている。しかも、そのことを税務署が知りながら黙っておるということになりますと、それこそ税務署がこのことを是認したということになると思うのです。その点どうですか。
#374
○政府委員(横井正美君) 恐らく、税務署といたしましては、こういう会ができまして、会員の方がまじめに税法の勉強あるいは記帳の習熟に努力をされまして、適正な申告納税ができるようになるというふうなことで進んでくれれば非常にありがたいことであるというふうなことから了解しておるのではないかと考えるわけでございまして、決して会に入れば即調査をいたさないというふうなことを了解しておるということではないというふうに考えるものでございます。
  〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕
#375
○近藤忠孝君 私は、会に入ったら即調査をしないという質問じゃないんです。一定の手続を経、一定の了解を得、何回かの段階を経ていった最終的な行きつくところですね、そこへ行きますと、ここにはっきりと書いてありますけれども、税務署もこれは実際了承して配っているんですが、明らかに無調査を期待すると、こういうことなんですね。これはやはりまずいことと思うんですよ。
 そこで、さらにお聞きしますけれども、こういう協議会への加入とか、連絡事項、あるいはその会の招集とか、そういうようないわばこの会の運営にかかわることに税務署自身が直接関与する、いわばそういうはがきなどの発送行為をするというようなことは、これはいいことでしょうか。
#376
○政府委員(横井正美君) 午後の御質問でお答えしましたように、申告納税制度が二十二年に発足しまして二十八年になってまいるわけでございますけれども、依然として中小企業あるいは零細企業の方々におきましては記帳の問題あるいは税法の問題でまだ十分でないという方が多いわけでございます。そういう方々に親切に指導するということは、これは税務署の務めでございます。そういう場合におきまして、それに志を同じうしてくれる団体がおります場合におきまして、私どもといたしましてはやはり応援はいたさなければいけないと、こう考えるわけでございます。いろいろな御指摘がございましたが、たとえば税務署といたしましてそれぞれの段階に応じて納税者を指導するということも必要でございますので、協議会の側から御連絡を受けるということは時に必要なことがあるのではなかろうかと、こう考えるわけでございます。また、納税相談――確定申告期の納税相談でございますが、これは税務署といたしまして納税者にそういう相談の便宜を提供するということは当然でございますが、その場合におきまして、たとえばこの協議会が確定申告の相談を適正にやっていただけると、この会に税理士もおることでございましょうから、やっていただけるということでございますならば、そういう場所もございますよということを税務署が納税者に知らせるということは、やはり確定申告を円滑に実施し、納税者に便宜を提供すると、こういうことで時に必要なこともあるのではないかと、かように考えるわけでございます。
#377
○近藤忠孝君 先ほどの図に明らかなように、無調査が期待されていると、そういうことが書いてあることを知りながら税務署の職員が実際にその会の通知書などを書いて発送する。ここにはがきの写しがありますけれども、こういうはがきを、これは実際に税務署の職員が書いて発送したのですね。私、ことしの一月七日に奈良税務署に行って確認したところ、認めておりました。そうなりますと、まさに無調査が期待されていることを税務署が承知しながら実際に会の運営にも関与している、こういったことになるのですけれども、この点どうなんでしょう。
#378
○政府委員(横井正美君) ただいま図を拝見いたしましたところでは、先ほどもお答え申し上げましたが、二年間講習会、研修会、薄記講習等々に参加をされ、さらに二年間指導を受けて、自主適正申告を実践する、さらに三年間同じことをするということでございますから、そのようにまじめに実践をされれば、入る側としましてそのような申告がないような状態も期待できるということでございまして、あながち行き過ぎたことでもないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  〔理事山崎五郎君退席、委員長着席〕
#379
○近藤忠孝君 いま行き過ぎではないというのは、どっちですか、そういうはがきを書いたことが行き過ぎでないというのか、ここに無調査を期待すると書いてあるのが行き過ぎでないのか、どっちなんですか。
#380
○政府委員(横井正美君) 税務署側といたしまして、この会に入られれば新調査はいたしませんと、あるいはまた、こうこうこういうことで何年間勉強されれば調査をいたしませんというふうなことを意向表明いたしますれば、これは私は適当でないと存じます。しかしながら、本件はそのようなものではないように考えるわけでございます。
 それからはがきの件でございますが、これは私は詳細に存じないのでございますけれども、恐らく何らかの納税者の勉強会あるいは申告の相談会、そういうところへの案内ではないかと思うのでございますが、これも税務署の仕事の一つでございましょうから、税務署の職員がはがきのあて名を書きましても必ずしも行き過ぎではないのじゃないかというふうに考えております。
#381
○近藤忠孝君 もしこの図に税務署が無調査を約束したと、これを書いたとしたら大変な話ですよ。そうですね。しかし、実質はそう受け取れる。こう書いてあり、しかも、税務署が実際のはがきを書く作業をやっている。しかも、それだけじゃないのです。このはがきを見ますと、ごらんください。源泉徴収義務者番号、しかも、主催が奈良税務署指導連絡協議会とあり、下に括弧して後援奈良税務署とあって、そしてその上、源泉徴収義務者番号まで具体的に書いてあるのです。これのわかるのは税務署だけですからね。そうでしょう。いかに親しい間柄とはいえ、奈良税務指導連絡協議会がこの納税番号がわかるはずがないでしょう。そうですね。そうなりますと、もうこの手紙の来た方は、税務署が完全にタッチし、まさに税務署そのものだと、この協議会は、こう思いますよ。しかも、そのところに無調査か期待されると書いてあれば、これはもう税務署が約束したと同じですよ。こういう事態をどう思いますか。
#382
○政府委員(横井正美君) いま御提示いただきましたはがきを拝見いたしますと、これは給与所得の年末調整の説明会の御案内でございます。このような年末調整説明会、これは税務署としての義務でございまして、本来ならば税務署をして実行するべきものでございましょう。しかしながら、私、事情をよく存じませんが、この場合におきまして税務指導連絡協議会が会場その他を恐らく提供しようということでないかと思うのでございますが、当然税務署の職員が講師として年末調整の説明をいたすわけのものでございますので、これを税務署員が書いたとしましても差し支えないのじゃないかというふうに考えます。
#383
○近藤忠孝君 質問にまともに答えていないので、私が言っているのは、自分の源泉徴収義務者番号まで書かれ、しかも、それが主催が連絡協議会、そしてこの連絡協議会には無調査が期待される、それで後援しているのですね。まさに表裏一体のこの二つの関係を見ますと、一般納税者が見ますと、この会に入れば得をする、無調査になる、これは当然中では約束されていると思うのはあたりまえです。そのことを聞いているのです。と同時に、もう一つ、今度は番号です。決してこの連絡協議会にはわかってはならないこの番号がわかっているということは、この連絡協議会というのは税務署と全く表裏一体のものであって、まさに税務署の下請機関、いわば民間税務署になっているのだろうと、こう思うのがあたりまえじゃないですか。その点をどう思うかというのが質問なんです。
#384
○政府委員(横井正美君) ただいまのはがきに関しまする限りで申しますと、年末調整の説明会につきましては、民間で主催する場合におきましても、税務署として当然協力を惜しんではいけないわけでございます。源泉徴収義務者の番号は事務整理の必要上でございまして、必ずしも秘密というふうには考えないわけでございます。
 それから全体の問題でございますが、午後の御質問の際にもお答え申し上げましたように、特定の会を組織すること、あるいはまたそれに加入すること、これらにつきましては、いわゆる結社の自由という問題がございますので、私どもはそれに干渉したりはしないわけでございます。ただ、税務の運営の上におきまして協力がいただけ、志が同じであるという場合におきましては、その面におきまして御協力をいただいたり、あるいはまた応援を申し上げたりいたしておるわけでございまして、決して表裏一体でありますとか、あるいはまた税務署の下請機関であるとかいうふうには考えておらないわけでございます。
#385
○近藤忠孝君 守秘義務の関係でどうでしょうか。田中金脈問題のときに、公示された所得以外は一切明らかにしないと。何度議論したかわからぬけれども、結局明らかにしなかった。この番号ですね、これは守秘義務の範囲外なんですか、どうですか。
#386
○政府委員(横井正美君) 大変むずかしい問題をいただきましたが、先ほど申しましたように、この番号は特に他人に知られて困るようなものではございません。また、常時署から源泉徴収義務者の方へ差し上げます郵便物の表面にも記入しておるわけでございますから、守秘義務のいわゆる秘密ということには当たらないと、こう考えておるわけでございます。
#387
○近藤忠孝君 それは大変いいことを聞きました。田中さんのその番号を教えてください。どうですか、田中角榮さんですよ。
#388
○政府委員(横井正美君) まあ番号に特に意味があるわけではございませんで、順番につけておるだけのものでございます。いわゆる国民背番号制ということで秘密の問題等にも関連いたしましていろいろ議論があるわけでございますけれども、税務署の番号というのは、単に整理のためにやるだけでございまして、特別の意味はないものでございます。
#389
○近藤忠孝君 いや、教えるか教えないか、田中角榮さんのを。
#390
○政府委員(横井正美君) それは検討さしていただきます。
#391
○近藤忠孝君 どうですか、大臣。国民の側のまさにこれは権利侵害につながってくると思うのですが、こういう点では守秘義務はどんどん崩れちゃう。ところが、事田中角榮さんになると絶対守っちゃう。この辺どうですか。きょうの租税の問題とはちょっと横にそれますけれども、こういう機会でないとなかなか聞けませんからひとつお聞きするのですけれども、どうですか。
#392
○国務大臣(大平正芳君) むずかしい質問だから、もう一遍帰って勉強させます。それで、いずれ帰って返事します。
#393
○近藤忠孝君 いまの関係ですね、要するにこの番号、そこに書いたことが大変に問題があることだと、まさに田中金脈問題に直接かかわることだということがわかったでしょう。そういう問題なんです、この問題は。さらにこれは問題なんです。この先ほどの「会員指定ならびに表彰規定」を読んでください。その第五条、「審議会の審議の結果「指導会員」となるべき者に対しては、予め税務署長の意見をもとめたうえで、本部長が「指導会員」の指定書を交付する。」どうですか。税務署長の意見を求めて一つ上へ上がるんですよ。ですから、結局、先ほどの最終段階である自主申告会員、無調査を期待されている人は、一つ一つ上がっていくときに全部税務署長が認めるんですよ。税務署長の意見がなければ上がらないんです。そうなると、そのとき税務署長はこれこれの人はこれこれの事情によってこれは優秀である、上げてよろしいということになれば、この連絡協議会の幹部に一人一人の納税者の秘密であるべき内容が全部わかっちゃうじゃないですか。それは抽象的意見でなくて、当然それは具体的意見でしょうからね。となりますと、この限りにおいては守秘義務が大きくここではなくなっていく。まさにこれは権利侵害です。だから、大平さん、国民の権利侵害でこのように税務署長の意見を聞いた上で一つずつ段階が上がっていく、そしてこれはやがて無調査が期待される、こういう状況へいくというこの実情を本当にどうお考えになるか、これは金脈問題で大変守秘義務で頑張ってこられた大臣としては、国民の方じゃこんな状況になっている、これについて率直な御意見を聞きたいと思います。
#394
○国務大臣(大平正芳君) 申告納税制度のもとにおきましての税の調査決定という問題は、納税者の側の御協力を得なければなりません。したがいまして、記帳の指導でございますとか、申告の指導のために各種の納税者の組織する協力団体と協力することにいたしておると思います。しかし、国税庁といたしまして、そういう団体の自主的な活動に介入したりあるいは干渉したりすることはいたしていないものと私は承知いたしておりまするし、そういうことのないように十分配慮してまいるつもりであります。
#395
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#396
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
#397
○近藤忠孝君 いまの答弁は私の質問に答えたのですね。私は、いま聞いておる介入の問題じゃなくて、むしろ先ほどの無調査を期待される、この無調査を期待されるところに、一段階どんどん上がっていくその段階で税務署長の意見を求める。要するに、意見で決まるということなんです。さらに、この第十条によりますと、いわば最終段階である自主申告会員、そこは三年間ですが、「その間の申告状況が優良であり、かつ将来、表敬が期待できる者に対しては、税務署長の意見を参考として適宜その事績を表彰する。」と、こうあるわけですね。こういうものが積み重なっていって無調査か期待される。だから、税務署か完全に絡んでいるんですよ。一緒になって期待されるということであれば、だれもがこれはもう税務署とこの連絡協議会の間では密接な約束ができて期待されているんですから、これは必ずそうなる。これはもう常識です。そういうことを、これは冒頭に申し上げた一般の納税者と違った特別の扱いをすること、そのことが具体的にいいのか悪いのか、これが私の質問なんです。
#398
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申し上げましたように、納税者の御協力を得なければ税の調定という仕事が満足にまいらないわけでございますので、納税者を差別するというようなことは私はとんでもない話だと思うのでございまして、したがって、いまお答え申し上げましたように、協力団体の自主的な活動には干渉したり介入したりするというようなことはいたしていないし、今後もそういうことはいたさないつもりでおります。
#399
○近藤忠孝君 特別扱いをするのはとんでもないことなんですね。しかし、これは明らかに特別扱いじゃないのでしょうか。税務署長の意見を聞いて最終的にこの地位に達した場合には期待されるんですよ。しかも、そのことは明らかにもう約束しているはずですよ。となれば、これは明白な差別扱いじゃないでしょうか。この具体的事実を前にしてどう考えるか、これが私の質問なんです。
#400
○国務大臣(大平正芳君) いま近藤委員の提起されている問題は、まず事実を調べにゃいけませんけれども、私は、そういう差別的な待遇をしておるなどということは全く考えられないことでございまして、そのように邪推されておるとは思いませんけれども、もし何かそういう疑惑をお持ちのようでございますならば、国税庁の方でその事実について当たらしてみたいと思います。
#401
○近藤忠孝君 考えられないようなことが実際あることはずいぶんあると思うのですね。たとえばこれまた金脈問題を引き合いに出しますけれども、大蔵大臣を経て総理大臣になった人か脱税するなんてとんでもないことだと、またそれは考えられないことですね。しかし、現実にあったわけでしょう。となりますと、いま大臣が言われた具体的な差別扱いをすればこれは悪いことだと、もし具体的に私の言ったことが事実であれば、具体的にそのような扱いがされるとなれば、これはまずいことだと思うのですね。そういう場合には明らかにこういうことはやめさせる、そういうことは言えますか。
#402
○国務大臣(大平正芳君) もし、私は万々そういうことはないと思いますけれども、事実に当たってみまして是正すべき点があれば是正させます。
#403
○近藤忠孝君 それからここに「会員推せん書」というのがあります。これをひとつ見て下さい。ここには「事務局処理」とあって、「受理」「審議会」「役員会」、最後に「署」――「署」というのはこれは税務署ですよ。このいま問題になっている会の「会員推せん書」に署長が判こを押すんです。どうですか、これは。
#404
○政府委員(横井正美君) 先ほどの御提起の問題でございますが、大臣からお答えいたしましたように調査をいたしまして、もし行き過ぎがございましたならば是正をいたすということにいたしたいと思いますが、私がただいま受け取っておるところでは、当然署長といたしましても守秘義務は心得ておるわけでございますから、恐らくそういう守秘義務の範囲を起えないもの、たとえばこういう講習会に出たとか、記帳能力がどの程度までなったとかいうふうな報告を受け、これに対して意見を述べる。個人の申告の内容でございますとか調査の内容でございますとかいうことには触れないで処理しておるものであろうと実はいまの段階で思っておるわけでございます。
 それからただいま御提示いただきましたものでございますが、これにつきまして確かに「署」という欄がございますが、恐らく署への御連絡をいただいておるということではないのかと思います。あわせまして実情を調査いたしまして、もし行き過ぎかございましたならば是正するということにいたしたいと思います。
#405
○近藤忠孝君 写しも余部がありますから。「会員推せん書」ですから、会員になるときにまず税務署の判こが必要だということですね、この事態は。しかも、何回も言いますけれども、一つ一ついい段階に上がるためには署長の意見がある。入ってまた途中でいずれも税務署がこのように判を押す。となれば、これは本当にまずいことですね。ですから、これは単に是正じゃなくて、こういうやり方はまずいんだということで指導を徹底させるという、そういったことが言えますか、どうですか。
#406
○政府委員(横井正美君) よく実情を調査いたしまして、行き過ぎがございましたならば是正をさせるという指導をいたします。ただ、全体的に申しますならば、最初申しましたように、各地域ごとに発展しております自主的団体でございますから、私ども運営に介入をしたりしないように心がけてやってきておるということを御了解いただきたいと思います。
#407
○近藤忠孝君 私は、これはもう文書から見る限り、「会員推せん書」とあり、しかも「事務局処理」に「署」の判こがある以上、推薦の一つの要件である可能性があるわけですね。ですから、いま仮にということでお聞きするのですが、これが会員になる場合の一つの要件としての「署」の判こだとしたら、これはまずいことですね。どうですか。
#408
○政府委員(横井正美君) 御指摘のようでございましたならば適当でないと思います。しかし、これから拝見いたしますと、恐らく署への会員になったという連絡のためのものではないかというふうに考えております。
#409
○近藤忠孝君 会に入った連絡のためといいますけれども、どうしてそんなら署の判こが必要なんですか、署はいわば受理するほうでしょう。いわば連絡を受けるほうでしょう、署は。それがなぜこの署の判こが必要なのか、それをわかりやすく説明してください。
#410
○政府委員(横井正美君) 恐らくは署のほうへ連絡をしたということを協議会の側で事跡を残しておくと、こういうことじゃないかと思います。
#411
○近藤忠孝君 署のほうに連絡が来たことを残しておくということは、どういう意味ですか。
#412
○政府委員(横井正美君) 零細企業の方などがいろいろな機会に勉強会等に参加するわけでございますから、それぞれの段階等におきまして税務署の連絡が必要な場合もあろうかと思います。そこで、この欄は、私はよく存じませんけれども、おそらく署へ連絡したと、そこで何らかの勉強会等に参加するについて事務的に支障がないようになっておるというための心覚えのためのものではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#413
○近藤忠孝君 その署の判こといい、それからはがきといい、それから先ほどの事実といい、いずれも大問題なことがいまの質疑の経過でわかったと思うのです。ですから、そういう点で厳重に納税者の権利を害さないように、そういう面での指導を徹底的にやるように求めたいと思います。
 時間の関係で次の質問に移りますが、排気ガスの五十一年規制達成車の物品税の軽減問題についてお伺いしたいと思います。これは、おおよその計算ですと、大体一台当たり四万円の軽減になるわけです。ちょうどこの規制を達成するためにいろいろよけいに金がかかるわけですね。それに相当する分がこの軽減分であるというぐあいに言われています。そういう意味では、かなりな優遇措置だと思うのです。しかし、これは、御承知のとおり、当初考えておったよりも、自動車工業会のたとえば政治献金とかその他いろいろな働きかけによって、大幅に規制値が後退したということは、もうすでに新聞等でもずいぶん論じられてまいりました。一昨日二十六日の予算委員会でも、私、日産と三菱の社長を参考人に呼びまして環境庁にも質問した結果、日産自動車は、実験段階であるけれども、昨年の五月段階で規制値を達成しているデータがあるにもかかわらず隠しておったと、このことが明らかになりました。そのデータの中身については言いませんけれども、少なくともそういうデータがあるということ、そういう事実が明らかになっています。また、三菱自動車の方も、同じ熊谷エンジンを使っておりますけれども、熊谷教授に言わせますると、もう実用段階になっていると。規制値を達成した単が実用段階になっているということを熊谷教授が言っておられます。こういう状況を見てみますと、今回の環境庁の告示というものは、実際に自動車メーカーが到達し得る到達点よりもずっとゆるい段階で規制してしまったのではないだろうか。そこで、大蔵省にお伺いするのですけれども、大蔵省として物品税等の軽減をする以上、独自の判断があっていいのじゃなかろうか。何も環境庁か告示したからといって全部税金をまけてやる、こういうことでなくて、独自にその点でいろいろ調査したり、あるいは判断をしているのじゃなかろうかと思うのですが、いかがですか。
#414
○政府委員(中橋敬次郎君) この問題は、私どもも必要に迫られまして少し伺ったことでございますけれども、非常にむずかしい話でございます。ましてや、いまおっしゃいましたように、いろいろ規制値の問題としても御議論があるようでございましたが、結局は、私どもとしてよりどころとしますのは、中公審の答申を受けられました環境庁の御判断、それからまた、環境庁の告示を受けられました運輸省の御判断、そういうもので実施せざるを得ないのでございます。したがいまして、いわゆるNOxが〇・六とか〇・八五とかということも、それぞれの担当の役所のお話を伺って判断する以外に今回のインセンティブな税制を考えるにおきましてもよるべき基準はないのでございます。
#415
○近藤忠孝君 ですから、そうなりますと、こういう優遇措置をすることが是か非かという問題もあると思うのです。そういう場合に、本当にもうだれが見ても問題のない規制値を環境庁が告示したというなら話がわかるのです。しかし、あれほど騒がれて、後退が叫ばれて、それを全面的に優遇措置をするというのは、これはちょっと行き過ぎじゃなかろうか。大蔵省独自の判断がなかったのだろうか、この点が私の質問なんです。
#416
○政府委員(中橋敬次郎君) いろいろな経過はございましたでしょうけれども、私どもは中公審の答申を背景にし、また、その中に〇・六なり〇・八五車について税制上配慮してほしいということが書いてございました。それからまた、それを受けての環境庁なり運輸省のお話も承って判断をいたしたものでございますから、独自に私どもが規制値を選び出すということはとてもできない話でございまして、やはりそれぞれの道の専門家のお話をお役所のお話として受け取るより仕方がないのでございます。
#417
○近藤忠孝君 私、大蔵省がどこがいいかというようなことを決めろというのじゃなくて、ああいうかなり疑わしい部分が入っている、それに対して全面的に優遇措置をすることがいいのか悪いのかということを聞いているのです。この点で参考までにこれは二十五日の予算委員会で共産党の沓脱議員が大臣に質問しましたね。厚生省が、あれは学童保育の予算を厚生大臣が約束したのだけれども、大蔵省の特別の見解でこれは全面削除した、こういうことがありました。そのことでしたらば大蔵省は独自の判断があっていいのだと大蔵省が独自に決めたという話があったのですけれども、削る方の場合は独自の判断で削ってしまって、こういう特別の企業を優遇する場合はその点を全然考えなかったのかどうなのか、その点疑問に思うものですから質問しているのです。
#418
○政府委員(中橋敬次郎君) もちろん、物品税なら物品税につきましていわゆる五十一年度規制値を満たすものについて軽減措置を講ずるかどうかという判断は大蔵省がやります。また、どの程度軽減措置を講ずるか、いつまで軽減措置を講ずるべきかということも大蔵省が判断いたします。ただ、いわゆる五十一年度規制値というものがそれが果たしていいか悪いかという判断はなかなかできませんから、五十一年度規制値として運輸省が告示をしたものをそれをそのままとらざるを得ないのでございます。
#419
○近藤忠孝君 この問題は、今後いろいろな機会に告示か大変問題になるということが明らかになると思います。こういう面で今後さらに検討していただきたいと思います。
 そこで、時間が進んでおりますので、次の質問は、農林省の方にお伺いいたしますけれども、木材備蓄構想というのがあります。その関係で今回新しく租税措置六十六条の七などが新設されまして、そこに企業が一定の額を拠出することについて租税上の優遇措置があるということでありますけれども、この木材備蓄構想の意図はどういうものであるか、簡単に御説明いただきたいと思います。
#420
○説明員(下川英雄君) 木材の需要の中で建築材に使われるものが相当多いわけでございますけれども、最近の木材需要の経過を見てみますと、住宅建築を初めとしまして、需要面で大幅な変動を来しております。それに対しまして供給面を見ますと、国産材というものが資源的な制約その他によりましてそう需要がふえたから急激にこれに対応できるということはなかなかむずかしくなってきておる。あるいはまた、外国からの輸入木材につきましても、いろいろと諸外国におきますところの丸太、特に丸太でございますが、丸太につきましての輸出制限、こういったような動きが強まっておりまして、必ずしも日本の国内の需要がふえたから外材をすぐ持ってこれるという体制でもなくなってきております。要は、需要が大幅に変動する傾向にあるのに対しまして、供給面では、国産材、外材ともに硬直化しておるということが言えるわけでございます。そういうことで、需要と供給との間でバランスを失しますと、価格が暴騰するあるいは暴落するという事態が出てくるわけでございます。現に、御承知のように、昭和四十七年の秋から四十八年にかけまして木材価格が暴騰いたしたことがあったわけでございますけれども、そういう事態があらわれておるということでございます。したがいまして、私どもとしましては、こういったような木材価格の暴騰を避ける、あるいは緩和するということから、一定の木材を備蓄しておきまして、それをそういう価格が暴騰する、あるいは暴騰するおそれがあるというときに放出しようということで財団法人を設立いたしまして備蓄事業をやっていくということにしたわけでございます。
#421
○近藤忠孝君 その制度の趣旨はそれでよろしいですが、問題は、この備蓄財団がたとえば大企業などで構成されておる日本木材輸入協会などの言いなりになるような可能性があるのじゃなかろうか、そういうものに対する歯どめはしてあるのかどうか、この点について御答弁いただきたい。
#422
○説明員(下川英雄君) 木材の生産なりあるいは流通を担当しております企業といいますものは、大部分が中小企業ないしは零細企業でございます。その中で確かに木材の輸入あるいは流通の一端を担っておりますものとして木材輸入団体あるいは商社というものが実はあるわけでございますが、この備蓄のための財団法人を設立するに当たりましては、これらの国内の中小零細な生産業界あるいは流通業界、と同時に現在におきましては外材のウエートも相当高まっておりますので、やはりこれに木材の輸入を担当しております輸入協会を入れたわけでございますけれども、何回も申しますが、この備蓄財団の運営に当たりましては、理事会がその執行に当たるわけでございますけれども、理事会構成の中で、輸入協会の代表はわずか一人、そのほかほとんどが中小企業でございますところの木材関係の生産あるいは流通の団体から出てまいっておるということでございますので、そういう輸入業界あるいは大商社の大企業の言いなりになるということは決してなかろうと思います。
#423
○近藤忠孝君 それに関連して、今度は、財団法人漁業公害救済基金制度とかあるいは漁場油濁被害救済基金構想、こういったものがありますけれども、この制度の趣旨はもう時間の関係でよろしいです。問題は、こういうものをつくって、ここで漁民などに対する補償などを行っていく可能性があると思うのですが、そのことが、実際の公害を出している企業に対して漁民などが実際補償要求していく、そしてPPPの原則に従って加害企業に補償させるというそういったものをむしろぼかして、いわば本当に原因を追及していくものを抑える可能性があるのじゃなかろうか。そういう面についてはいかがでしょうか。
#424
○説明員(山内静夫君) 漁業公害関係に関する財団法人、これは県、国等大体六つございますが、これにつきましては、現在PPPの原則に当てはまらなくて漁民が過去ずっと泣いてきたと、こういう問題についてのみ救済を行うと、こういうことでございまして、いやしくもPPPの原則に当てはまるような場合にはあくまでも企業に負担してもらうと、こういう原則はいささかも変えておりません。
#425
○近藤忠孝君 そうして、今後そういう面で、今回、それに対する企業から金を出すのについて、非課税といいますかになりますね、その部分が。それについて、これが推進される結果、いま言ったように原因者に対する責任追及を絶対にぼかすようなことをしないと、こういうことを今後も進めていくと、こういうぐあいに承ってよろしいですね。
#426
○説明員(山内静夫君) そのとおりでございます。
#427
○近藤忠孝君 最後に大蔵省にお聞きしますけれども、この関係で申しますと、現行法人税法の三十七条がありますね。企業が一定のものに寄付金として出す場合、これを政令で指定すればやはり同様な扱いになると思うのですが、これをやらないで今回の特別措置にした理由はどういうことでしょうか。
#428
○政府委員(中橋敬次郎君) 三十七条で、いわゆる寄付金でございますけれども、それは純然たる寄付金でございまして、たとえば国または地方公共団体に寄付をしますとか、あるいは民法法人その他の公益を行う法人につきまして、教育科学の振興、文化の向上、そういうものについて出しますとか、あるいは科学の振興についてのいわゆる研究助成のために出します寄付金とかいうようなものを一応ここで予定しておるわけでございます。ところで、今回措置法で御提案申し上げておりますのは、いま農林省からお話のございましたような要件を備え、またはそういうようなものの業務をやるものにつきまして特にやるという趣旨でございますので、ちょっと法人税法の三十七条では律しされないものとして措置法で今回規定をすることに御提案申し上げているわけでございます。
#429
○近藤忠孝君 終わります。
#430
○栗林卓司君 減価償却の方法について意見を交えながらお尋ねをしたいと思うのですけれども、現在、減価償却資産については、例外は別として、定率法と定額法と二つありまして、いずれか選択ができることになっておりますけれども、現在おおむね定率法を適用しているところがほとんどです。また、法人税法施行令でも、企業が選択しなかった場合には定率法によるとありますから、そう決めた理由は別として、定率法が減価償却資産の償却方法のいわば大筋だというぐあいに理解され印象を持たれてきたことは事実だと思うのです。それはそれとして、定額法をとるのか定率法をとるのかでこういった問題が起こってなたいだろうか。一つは、仮に耐用年数十年として考えますと、定率の初年度というのは定額に比べて二倍強になる。まあどちらでもとれるわけですけれども、ところが、各企業が事業計画を立てる場合に減価率を想定して考えていくわけですけれども、定率をとりますと、初年度か翌年度かわかりませんけれども、おおむねその水準が事業計画を立てていく場合の一つの目安になる傾向は当然あると思います、定額の場合は定額で考えて。そうすると、定率をとりますと、減価率は高目に事業計画の中で組み込まれてくる。これがどういう意味を持つかといいますと、価格というのは確かにマーケットで決まるわけですけれども、ゼロから青天井の中で価格が決まるわけではないわけです。ある水準を決める条件というものがあって、その上か下かわかりませんが、マーケットプライスが決まってくる。しかも、それは、新規参入が可能という条件もついていなければいかん。ということを考えますと、定率が一般化しているということは、価格水準も割高にいく可能性を持ちがちになる。それを頭に置いて、片方では定額に比べて定率はわりあい高い減価率を想定して各社とも事業計画を組んでいる。と考えますと、価格との見合いで定率というのは水準を上に押し上げる力をどうも持っていそうだ。それからもう一つ。そうやって定率で想定した償却率をほぼ維持しながらそれで再投資に向けていくということになりますと、定額の場合には一定額ですから、どうもこうも変哲もないわけですけれども、定率ですとだんだん減ってまいります。減ってくるけれども、従来の枠としての減価償却費を想定しながら、余った分はさらに再投資に向けてくる。こう考えますと、ごく大ざっぱに申し上げて、定率の場合には、たとえば耐用年数十年の機械を想定しますと、終了時点では定額に比べて倍の設備投資が可能になる。初年度からおおむね減ってまいりますけれども、これは減らさないで埋めていくわけですから、埋めていっても実際目立たないわけです、同じ減価率になるわけですから。そうなると、倍に近い設備投資が可能になる。結局、これがこれまで民間設備主導型の高度経済成長を支えてきた一つの仕組みじゃないかと思う。そこで、これからゆるやかな安定成長軌道にソフトランディングをさせていくのだということを考えますと、これまではなるほど定率法というのは主流として機能を果たしてきたかもしれませんけれども、これからはむしろ定額の持っている安定的な性格に着目しながら、企業が財務計算の面でどちらをとるかは御自由としても、税制の立場では定額法をむしろ主流に据えながら見直しと取り組みの変更をしていくべきではないのであろうか。以上の印象を持つのですが、御見解を伺います。
#431
○政府委員(中橋敬次郎君) 定率法では、初めの時期におきますところの減価償却費というものの回収は定額法に比べて多いことは確かでございます。そういう意味におきまして、アベイラブルな資金をより早く確保するという点に関しましては定率法の方が有利であります。それからコスト計算をいたしまして価格を決定しますときの原価配賦の問題としますれば、おそらくおっしゃいましたように、定率法でございますと、初めの時期に減価償却が高くつきますから、そういうものでコスト計算をしまして価格を定めるということにいたしますが、それを果たして維持できるかどうかということは、やはりその商品に対しますところの需給関係が左右いたすと思いますから、常に必ず定率法でありますからそういう高い価格を維持できるのだということにはまたならないのじゃないかという気がいたします。現に、定率法をとっております企業におきましても、たとえば公益事業におきましては、価格決定においては定額的な計算をして出すというようなこともやっておるようでございますから、必ずしも価格決定において定率法そのままの原価配賦が行われているかどうかというのは、またこれは企業の判断によると思いますから、やはり商品の需要供給についての強気弱気がまたそこに反映してくるのではないかという気がいたします。
 そこで、一体、定率法と定額法、どちらがよろしいかということになりますけれども、技術的な面はさておきまして、そのコスト面から言いますと、おっしゃるように、定額法の方がより事態に適応しておるように思いますし、また、その使っております機械の市場価値という観点から申せば、まさに定率法で言うような急速な減価というのが行われるわけでございまするから、やはり次の装置、機械を再調達するための資金という面から考えますれば、定率法の方がより適応しておるのではないかということになりまするので、結局はやはり企業のそういう判断にまって、法人税の方は、ひとり減価償却だけではございません、たな卸し資産の評価方法につきましても、まず第一次的には企業の選択にゆだねておるものでございまするから、できるだけそういうものによってみたいという気がいたします。最後に、どうしても自分で企業が判断をしていない場合に一体どちらのものをとらしたらよろしいのかということで、先ほど申しましたように、所得税と法人税が違っておりますとか、法人税も実はそういう定率法というものを法定償却率といたしております経緯というものをもう少し勉強してみまして、なおそのほかになお考えなければならないことといたしましては、やはり景気対策上の減価償却という問題も今後あわせて考えなければならないということもありまするので、一度ひっくるめて総合的に研究をしてみたいと思います。
#432
○栗林卓司君 先ほど御見解を伺った点ですので、一応これはそういったことで御検討していただきながら御工夫願いたいと思います。
 減価償却との兼ね合いで特別償却なんですが、これもなかなかつかみにくいので、先ほど局長の御答弁ですと、最初は入っていきませんけれどもやがて入ってまいりますからという、いわば延納に近い御説明をされました。ただ一つこれは金利のつかない延納になるわけです。したがって、金利分は本当は普通の延納なら取り立てなきゃいけないんだけれどもそれは勘弁してやっているんだという意味では、得べかりし利益の損失を国がかぶっているということは、これは事実だと思いますし、しかも、法人税というのは利益がなければどうしようもないわけですから、たまたま景気変動との絡み合いで結果として税の免除になる場合も出てくるわけであります。初年度二分の一といったときには利益が出ておりましたけれども、やがてずいといっているうちに大変なことになりましたということになると、状況によっては免除になるケースがないとは言えないわけです。それを考えますと、単純な延納というわけにいかないのじゃないか。
 そこで、私、お尋ねしたいのは、まあその結果として免除になることは一応おくとしまして、金利分はまけてやっているということを考えますと、おのずから国がその負担をするだけの限界というのがあるのじゃないか。したがって、特別償却をするのにどの辺に限界線を置かれるのか。法律を見ますといろいろな書き方がしてあって、なかなか一つの考えになって浮かんでこないのですけれども、お伺いしたいと思います。
#433
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに、特別償却制度は、いま御指摘のように、金利メリットを特別償却をする企業に与えるということで、インセンティブを講ずるという趣旨のものでございます。したがいまして、まさにそういう金利メリットがあるから税法でねらいました機械、装置を企業が取得するということになるので、それはそのとおりでございまするが、それでは一体どういうような機械、設備についてそういうことを認めるのが今後妥当であるかというのがやはり考えなければならない問題だと思います。従来からの経緯で申しましても、実は戦後わが国の荒廃しました企業で国際競争力を何とかして早くつけなければならないという意味から、むしろ特別償却の対象機械は合理化機械というものに非常にメリットを多く与えるような考え方で推移してまいりました。だんだんそういう事態が経過してまいりまして、その後におきましては、むしろ、たとえば公共事業的に都市の交通事情を緩和しますとか、都市の環境を整備する意味におきまして、余り収益を伸ばさないけれどもどうしてもそういった設備を設けることが環境整備の上から必要であるというような観点から、かなりそういった特別償却制度を導入をしてまいりましたし、また、公害につきましての設備をできるだけ早く設置するということについてインセンティブをつけるという意味において公害防止設備について特別償却制度を導入するということで、かなり重点は昔の生産第一主義、合理化機械に重点を置いたところから動いてきておると思っております。今後そういった傾向をますます従来の傾向に加えましてどういうような機械に特別償却を認めるべきかというふうなことを考えながら、やはり生産第一主義から、環境整備とか、そのためになかなか企業が収益を伴わないでちゅうちょするようなもの、そういうものについて特別償却を与えていけばより効果があるのではないかというふうに考えております。
#434
○栗林卓司君 いまの御説明の合理化設備に対する特別償却というのは、恐らく国際競争力をいかにつけていくのか、貿易立国をいかに図るか、これが当時の最大課題だったのじゃないか。そこで、国際競争力を考えますと、彼我の差は国外の企業と日本の企業、これがまた逆に国外から言われる種にもなったわけですけれども、そういう意識があった。これはよくわかる気がする。ところが、環境問題云々というと、これは国内の話になる。国内の特定なところだけに金利メリットを与えるというと、じゃ競争に対してその介入がいいかどうかということまで起こりかねない。そうなると、幅を広げて全域的な特別償却を認めていかざるを得なくなっちゃうのじゃないか。申し上げている意味は、たとえば省エネルギー設備で三分の一、それから無公害生産設備、廃棄物再生処理設備、製品安全検査設備、いずれも三分の一なんですけれども、これは金利のインセンティブを与えようと与えまいと、当然やらなければいけないことだと思いますし、それから省エネルギーにどういうことで進んでいくのかといいますと、恐らく資源の供給制約の中で物価が変わってくるのだろうと思う。したがって、代替エネルギーに変えていかなきゃいかぬ、新しい開発をしていかなきゃいかぬ。そういう経済的な要因から実は省エネルギー設備に取り組んでいかざるを得ないし、それから無公害生産設備ということになると、これは環境基準なり何なりということでやっていかなきゃいけない。しかし、これは、では一体経済活動にどういう影響があるかというと、全部これは物価高の要因であることは間違いない事実です。しかし、それはもうあえて覚悟しない限り、この手の資本効率の悪い投資はできないわけです。物価にはね返るのが当然なら、むしろ素直に物価にはね返した方が経済政策としては正しいのじゃないか。そう考えると、従来の合理化と、国内のたとえば省エネルギーにしても、無公害化にしても、ある産業の極端に言うと全分野に及んでくれなければ困るようなもの、これについてまで金利インセンティブを与えるというのは、そこまでいきますと切りがないのじゃないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
#435
○政府委員(中橋敬次郎君) それはインセンティブの問題としまして一般的な企業が当然もちろんやらなければなりませんけれども、それをできるだけ早くやってもらうことが望ましい場合がございます。特に、無公害、あるいは公害防止、省エネルギーというような問題につきましては、恐らく自分でやるのが当然といえば当然でございますけれども、そういうふうにしておれば、やはり自分の企業採算ということを考えますから、なかなかそれの方に手が回りかねる、そこを税金でもって少し加速度をつけてやりますれば速くなるということは、またPPPの考え方からいいましてもそう排除されるものでもございませんから、そういう加速度をつけるという意味においてこの特別償却というのが働いているのではないかというふうに思っております。もちろん、それが全面的に波及するならば余り効果はないわけでございまするから、ある一定時期でもって切ってしまうというようなことによりますれば、早くやった者が受けられますから、できるだけ早くやっていくというところで、この特別償却のメリットはいよいよ高まるのではないかということで、そういうことで従来もやってまいりましたし、今後もそういう考え方はやはりとってもよろしいのではないかというふうに私は考えております。
#436
○栗林卓司君 いまの一定時期を区切ってというのは、私は不勉強なんですか、いま申し上げたものも一定時期を区切られているのでしょうか。
#437
○政府委員(中橋敬次郎君) 大体合理化機械のときからもそうでございますけれども、何年何月から何年何月までに取得した機械ということで、時期とそれから機械の種類とを特定するのが通常でございます。
#438
○栗林卓司君 ちょうど見合った質問になっていてわからないのですが、「その設置をすることが緊急に必要なものとして」云々とかとあって、「政令で定めるもの」政令を見ますと、大蔵大臣が決定するものというぐあいにこう流れてきて、気持ちとしてだれもわかるような期限がはっきりと切られているという感じではなかったと思いますが、間違っておりましょうか。
#439
○政府委員(中橋敬次郎君) 具体的な機械とか具体的な期限とかいうのは大体省令とか告示でやっておりますので、それをごらんいただければそういう気持ちがおわかりいただけるのじゃないかと思います。
#440
○栗林卓司君 税制は大変細かいところに適用していくわけですから、政令、告示、委任が結果として出てくるのはやむを得ないと思いますけれども、これは金利インセンティブをどこまで与えるかというわりに大きな問題、しかもそれをどこで区切るかということですから、その辺についても、大蔵当局としては、いま言われたある期限を切って期限内ということをもっとはっきりと法律の面でお出しになる必要があるのじゃありませんか。
#441
○政府委員(中橋敬次郎君) 法律上は「政令で定める期間内」とか、根拠は全部法律に規定をいたしておりまするので、そういう趣旨に沿っておりますのと、やはり私どもは特別償却の機械を選定しますときは、そんなに長い期間を設定しないのがいままでの例でございまして、むしろ産業省の方はそれを長くしてほしいと言いますし、税制当局の方はある程度で切りたいということでございますから、むしろお気持ちは私どものいままでやってまいりましたのと同じようなところだと思います。
#442
○栗林卓司君 これは話がもとに戻りますけれども、金利インセンティブというのはなかなか表に見えない。で、何となく延納で、ある期間たってみると収支相償ってとんとんでございますという感じがあるだけに、よほどこれは意識的に切りをつけておかないと、とめどもなく広がるのじゃないか。その意味で、政令に委任し云々ですから、お気持ちはと言いますが、その制度をたとえば省エネルギーにしても決めたときには、これはこの間でございます、以降は、あとはもう市場価格の中で消化をしていただきます、あるいはこれは別途の金融処置の中で考えてください云々ということになってくるので、それは政令、告示、委任でございますからというところに入ってしまうのは、結果としておっしゃっている意味が生きないし、しかも、わきからのぞき見をしますと、大変不明朗なものが残っちゃうのじゃないか。しかも、この特償を含めて整理をしますというのが従来からの基本線であるわけですから、この点についても、もう時間がありませんから深くお尋ねいたしませんが、御検討をお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わりますけれども、先ほど減価償却の定額、定率のところで、たな卸し資産の評価方法等もございますのでと言われましたので、関連して一つだけお伺いしておきますけれども、今回価格変動準備金制度について後入れ先出し法で評価をしているたな卸し資産は除外されました。意味はよくわかります。私が伺いたいのは、後入れ先出し法という評価方法そのものが、これからどの程度社会的利益が期待し得る制度になるのだろうか。というのは、インフレはそう簡単におさまるとは思えません。資源制約的な要因は深まることがあっても低まることはないと思います。しかも、過去三年間の経験というのは、一度上がった物価は容易なことでは下がらない。事実そうでした。それを考えますと、健全な経済運営を考えたときに、後入れ先出し法という制度そのもの、これを一つのたな卸し資産の評価方法として政府が認めている、それに積極的な意味があるんだと、価格変動準備金との見合いで見直しをされたのですから、そこまで突っ込んで、私は、先入れ先出しを原則にして、後入れ先出しのような言うなれば物を買い込んでおけば得になるという仕組みは政府のたてまえからは排除されるべきじゃないかと思いますので、この点だけお伺いしておきたいと思います。
#443
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに、後入れ先出し法を認めるのが今後の経済情勢からいって適当かどうかという問題がありますし、諸外国におきましてもこれを認めていない国もあるようでございます。ただ、先ほども申しましたように、いまの法人税なら法人税の考え方は、企業会計というものを公正妥当であります限りはまず前提といたしまして、それでもって税制を組み立てていくというのが最近の傾向でございまするから、企業慣行として後入れ先出しをやっております企業についてそれを制限するというのは、これまでの考え方としてはなかったわけでございます。その点もあわせまして、償却方法、たな卸し評価の方法につきましても全部課税所得の計算問題としまして法人税の基本的な仕組みの中で検討してみたいと思います。
#444
○委員長(桧垣徳太郎君) 三法案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
#445
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大平大蔵大臣。
#446
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応するため、関税率及び関税減免還付制度について所要の改正を行おうとするものであります。
 以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、通関手続の簡素化及び関税負担の適正化を図るため、潤滑油、製本機械等四十品目について、関税率を引き下げることといたしております。
 第二に、最近における輸入急増の結果、国内関連産業に重大な影響が生じている冷凍パイナップル及びプラスチック製スキーぐつについて、関税率を引き上げることといたしております。
 第三に、銅について、最近の内外価格の実情等を勘案して、無税点の引き上げ及び関税率の引き下げを行うことといたしております。
 第四に、特恵関税制度について、熱帯魚等四品目を適用品目に追加するとともに、均質混合調製食料品等二品目の特恵税率を引き下げることといたしております。
 第五に、低硫黄燃料油製造用原油等の減税制度について、最近の石油精製企業における脱硫作業の実態に即し、減税範囲につき所要の改正を行うとともに、その適用期限を延長することといたしております。
 第六に、昭和五十年三月三十一日に適用期限の到来する七百七十四品目の暫定税率及び関税の減免還付制度について、その適用期限を延長することとするほか、関税の五分の一軽減措置について、譲許税率の修正等に係る例外規定の整備を図る等所要の改正を行うことといたしております。
 以上、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を申し述べました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#447
○委員長(桧垣徳太郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。本日はこれにて散会いたします。
  午後九時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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