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#1
第075回国会 大蔵委員会 第15号
昭和五十年三月三十一日(月曜日)
   午後二時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     土屋 義彦君     中村 太郎君
     細川 護熙君     亀井 久興君
     藤田 正明君     森下  泰君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桧垣徳太郎君
    理 事
                河本嘉久蔵君
                山崎 五郎君
                辻  一彦君
                鈴木 一弘君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                亀井 久興君
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                中西 一郎君
                中村 太郎君
                鳩山威一郎君
                藤川 一秋君
                細川 護熙君
                森下  泰君
                柳田桃太郎君
                吉田  実君
                大塚  喬君
                寺田 熊雄君
                野々山一三君
                藤田  進君
                吉田忠三郎君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                渡辺  武君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       大蔵政務次官   梶木 又三君
       大蔵大臣官房審
       議官       旦  弘昌君
       大蔵大臣官房審
       議官       後藤 達太君
       大蔵省主税局長  中橋敬次郎君
       大蔵省関税局長  吉田冨士雄君
       大蔵省国際金融
       局長       大倉 眞隆君
       大蔵省国際金融
       局次長      藤岡眞佐夫君
       国税庁次長    磯辺 律男君
       国税庁直税部長  横井 正美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       人事院事務総局
       給与局次長    角野幸三郎君
       公正取引委員会
       事務局取引部景
       品表示監視課長  河村  穣君
       外務省経済局資
       源課長      苅田 吉夫君
       通商産業省生活
       産業局通商課長  黒田  真君
       資源エネルギー
       庁長官官房国際
       資源課長     豊永 恵哉君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部福
       祉課長      遠藤  茂君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○辻一彦君 私、前回に農業相続人の相続についての問題について若干残した点がありますので、最初それについて二、三伺いたいと思います。
 第一に、農業生産法人の農地等の扱いについてなんです。これは前回もここで論議をしましたが、農業者が農業生産法人に農地等を現物出資または賃貸借の形で提供しているときに、その農業者が常時農業に従事している場合には、「特例農地等」として認むべきであると考えますが、政令ではどういうように措置をされるのか。
 この点については、前回、主税局長から、この生産法人で土地を、猶予を受けておった農地を出資をし、そして農業を継続する場合には、政令の中で特別な配慮を考えたいと、こういう御答弁であったと記憶しておりますが、具体的に政令の中でどうこの点を措置をされるのか、この点をまずお伺いいたしたい。
#4
○政府委員(中橋敬次郎君) 農業生産法人に農地を出資いたしますと、その地位におきまして組合員または社員になるわけでございまするが、農業生産法人の目的に照らしまして何らかの配慮をしなければならないという一面がございますけれども、また一面、農業生産法人が昭和四十五年の改正におきまして、いわば常時従事する人だけでございませんで、農地をそこへ譲渡する、あるいは賃借権を設定するというようなことで、いわば資本と経営が分離するというような形を認められたわけでございます。したがいまして、全面的に今回の農業に対しますところの相続税の猶予制度を、農業生産法人に対しまして農地を譲渡しましたり、賃借権を設定しました場合に、全面的にその猶予制度を適用するというわけにはまいりませんけれども、今回の制度の中におきましても、ある一定の場合に限りましては、農地を譲渡しました、その譲渡しました面積が全体の、今回の特例を受けます全体の面積の二割を超えました場合には、その制度すべてについての適用を認めなくするということがございます。
 その際に、ある一定の事由の場合には、たとえ二割を超えましても、全部について相続税の猶予制度の適用を排除するということをしないような措置が考えられるわけでございまして、その事例としては、一つには、たとえば今回の適用を受けまして、農地の相続税について猶予を受けておる人が、その農地がたとえば収用せられるというようなときには、その収用部分についてはもちろん猶予せられておった相続税は納めていただくことになりますけれども、それを二割の中に計算をしまして、全体の二割を超えるかどうかという判定をすることはないようにしようという特例措置がございます。
 そこで、同じように、農地を相続しました人が、その自分の相続しました農地につきましてそれを農業生産法人に出資をします、あるいは賃借権を設定しますという場合にも、その人が常時その農地法人の仕事に従事するという資格を持つ限りにおきましては、たとえその農業生産法人に譲渡しました、あるいは賃借権を設定しました農地の面積が、全体の二割を超えるというようなことがありましても、相続税の猶予制度すべてについての適用を排除するということがないようにしたいと思っております。
 簡単に申しますれば、農業についての相続税の猶予制度の適用を受けておる人が、その農地につきまして、農業生産法人に譲渡したり、賃借権を設定しましたその面積は、その猶予制度を継続するかしないかという判定には入れないということで、たとえそのことが起こりましても、そのことのためだけに猶予制度を適用除外ということが起こらないようにする予定でございます。それは、今回御提案申し上げております法律案の中に、政令で定めます譲渡とか、あるいは設定の場合には、そういう特例措置が講じ得るということになっておりますので、その政令の中で、ただいま申しましたような計算を除外するという事由に掲げるつもりでございます。
#5
○辻一彦君 何かその政令は、聞くところによると、三月二十七日ごろに用意をされておると聞いておるのですが、もうそういう用意はされておるのですか。
#6
○政府委員(中橋敬次郎君) これはもちろん租税特別措置法の一部を改正する法律案が成立しましたときに効力が生ずるわけでございまするけれども、成立しましたときに、その政令も実効あらしめるように用意はいたしておりますが、もちろんそれは一にかかりまして、今回御提案をし、いま御審議していただいておる租税特別措置法の一部を改正する法律案の成立が条件でございます。
#7
○辻一彦君 御答弁では、その中身はわかりますが、政令の中で具体的にどういうように規定されますか。
#8
○政府委員(中橋敬次郎君) それで、その二割の範囲に計算を入れるか入れないかという問題は、現行法のもとにおいてもございます農地の一括生前贈与の場合にも同じような規定を設計しまして、今回新たに設けます、農地に関しますところの相続税の猶予制度と、それから従来からございます農地の生前一括贈与の場合にも、ともに農業生産法人に常時従事するという地位を持ちながら、その農地を農業生産法人に譲渡したり、賃借権を設定したりする場合にも、計算の中に入れないということを両方に規定するわけでございます。具体的に申し上げますと、条文の方では、農地の生前一括贈与の場合の方が先に出ておりますから、政令も形式的には、実は生前一括贈与の場合の贈与税の特例に基づきます政令規定の中に入るのが先に出るわけでございます。こういう文言でございます。農地法第二条第七項に規定する農業生産法人に出資をした場合(当該出資をした者が当該農業生産法人の同項第二号二に規定する常時従事者になる場合に限る)ということで入るわけでございまして、それを今度は、今回新たに設けられる予定の、相続税の納税猶予制度の政令にも同じような規定を準用いたすような形で設ける予定でございます。
#9
○辻一彦君 とすると、前回御答弁になった趣旨は、中身は、政令の中に大体盛り込まれるということですね、確認をしていいですか。
#10
○政府委員(中橋敬次郎君) そのように予定をいたしております。
#11
○辻一彦君 次に、特例農地等の範囲について伺いたいと思います。
 農地法の第二条でいう「農地」ということでありますが、その範囲は、農林事務次官通達、これは昭和二十七年の十二月十日に出ておりますが、(二七農地第五一二九号)と理解していいのですか。
#12
○政府委員(中橋敬次郎君) ただいまお示しの通達の番号、あるいは具体的な内容をちょっといま手元に持っておりませんが、法律案文の中では、農地法第二条第一項に規定する「農地」と書いてございまするので、具体的にはお示しの範囲と一致するものと考えております。
#13
○辻一彦君 そうしますと、たとえばこの通達には、次官通達で「「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいう。「耕作」とは土地に労資を加え肥培管理を行って作物を栽培することをいう。従って、果樹園、牧草栽培地、苗圃、わさび田、はす池等も肥培管理が行われている限り農地である。」こうして、通達で農地であるかどうかを区分するのは、その土地の現況によって区分すると、こういうように通達が出ておりますが、今回の場合もそれが農地であるかどうか、その区分は土地の現況によって区分する、こういう通達に基づくと理解していいのでしょうか。
#14
○政府委員(中橋敬次郎君) そのとおりと私ども了解いたしております。
#15
○辻一彦君 それから、同じくこの通達に、樹冠の疎密度が〇・三以下の土地は牧草地として解するとしていますが、そのように理解していいですか。いわゆるこれは、御存じと思いますが、林地があって、そこに木が生えておると、その樹冠が大体三分の一内であれば、密度といいますか、樹冠の疎密度が〇・三、三分の一以下の土地は、それは草をとる、採草牧草地として理解すると、こうあるのですが、そういうような理解でいいのですか。
#16
○政府委員(中橋敬次郎君) これも同じように、御提案申し上げております条文の中で、農地法第二条第一項というものを、同項に規定する採草放牧地と書いてございますので、お示しの範囲と同じものと考えております。
#17
○辻一彦君 もう一つ、農業用の施設のうち、たとえば畜産をやると、畜舎があります。それから温室園芸などをやれば温室等、そういう農業用施設用地というのがありますが、これは農林水産の方で審査している農振法改正案の中にも、農用地区域に含めておりますが、当然、特例農地等にこの畜舎や、あるいは温室等の農業用施設用地というのが入ると考えますが、これはそういう理解でいいかどうか、いかがですか。
#18
○政府委員(中橋敬次郎君) この点につきましては、たとえば畜舎を建てますということになりますと、農地が宅地に転用せられることが条件になっているようでございます。したがいまして、今回の納税猶予の制度は、いわば農地につきましての評価上の問題を、こういう制度で解決しようとするものでございますので、宅地になっておりますたとえば畜舎用地というものは、条文の中に書いてございます「農地法第二条第一項に規定する農地及び同項に規定する採草放牧地」になりませんので、これは対象外と考えております。
#19
○辻一彦君 それは準農地、特例農地ですね、こういう中には入らないのですか。
#20
○政府委員(中橋敬次郎君) ただいまお示しの準農地は、用途区分が農地または採草放牧地となっておるものにつきましては、適用があるというふうに考えております。
#21
○辻一彦君 いや、私の申し上げているのは、この畜舎や温室等の農業用施設用地ですね、これは農振法の改正案の中で、農用地区域に含めて、原則として他の用途利用を許可しないという知事の開発許可の対象としているので、これは当然に特例農地と理解していいのじゃないかと、こう申し上げておるのですがね。
#22
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお示しのものは農地なり採草放牧地という範疇に入りませんので、先ほど申しましたような理由から適用除外というふうに考えております。
#23
○辻一彦君 農業の、畜産をやれば畜舎が要る。それから、大きな面積でやる場合でなしに、温室等は非常に小さい面積でありますが、そういう施設をつくる土地ですね、こういうものは、農振法の方ではほかのものへの用地転用は、知事の開発許可の対象にしているわけですから、この本法の場合も特例用地の中に含めてしかるべきと思うのですが、それは含まれませんか、やはり。
#24
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほど申しましたように、今回の御提案申し上げております相続税の猶予制度といいますのは、農地というものについていろいろ線引きが不徹底であるというようなことから、いわゆる宅地含みの評価が行われるという最近の事例を反省いたしまして、純粋に農業用地としてある一定期間農業を継続されるというものにつきましては、この宅地含みの評価を排除しようというものでございます。お示しのように、畜舎等につきましては、その底地は農地ということでございませんで、宅地なら宅地になって、そういうものができるようでございまするから、将来それがまた一体どういうような用途に変更されるかもわかりません。しかも、その評価につきましては、特に新しい制度で宅地含みの評価を排除しようという対象に入れるのもいかがということから、今回はやはり農地なり採草放牧地としましての評価で、しかも、将来そういった用途を恒常的に続けるという方のために宅地含みの評価は排除しようという趣旨でございまするので、いまお示しのものは新しい制度の対象とは考えておりません。
#25
○辻一彦君 温室とかいうのは、畑があってそこにガラスを張ってつくる施設園芸、しかも、それには長期にわたって農業を継続する人がずいぶんやっておるんですが、これはそういう意味で特例農地の中に温室、施設園芸等の敷地も入らないのですか。
#26
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日の状況を見てみますと、温室なるものを建てます土地につきまして、たとえば非常に恒常的なりっぱな温室が建つ場合には、やはりそれは宅地として用途変更をしてそこに建てることが必要のようでございますし、簡易な温室程度のもの、ビニールハウスのようなものは農地のままで建て得るようでございます。もちろんその場合には、農地でございまするから、今回の新しい制度の趣旨にも合致いたしますので、そういうものについては適用があるわけでございます。
#27
○辻一彦君 大分かわりましたが、簡易なガラスを張ったり、ビニールハウス、それはその敷地は農地である。しかし、鉄骨で、少し丈夫にして長く継続して何十年温室の施設園芸をやる、その場合に農地にならないというのは、私はちょっと理解しがたいのですが、その場合はどうなりますか。
#28
○政府委員(中橋敬次郎君) 恒常的な温室と申しますのは、実行上はどうも、床を張るとか張らないとかいうような判断で、むしろ農地法上のそういう転用制限の結果そういうことになっておるそうでございまして、私どもの方ももちろん、税法上別個の温室の堅牢度とかいうことで判定をするわけではございません。農地のままでその上にそういった畜舎なり温室が建ち得るということでございますれば、法律上も農地、採草放牧地でございまするから、適用はございますし、農地法上そういった農地のままで建て得ないようなものが建つ必要があるときには、恐らく転用許可をとられて、宅地なら宅地としてやられるものでございましょうから、それについては今回の新しい制度は適用はない、こういう区分をいたしたいと思っております。
#29
○辻一彦君 じゃ、あくまで農地法において農地と認めている範囲というのは全部その適用範囲になると、こういうことですね。
#30
○政府委員(中橋敬次郎君) そのとおりでございます。
#31
○辻一彦君 次に、相続人の問題について一、二点伺いたいと思います。
 相続人で政令で定めるもの、いわゆる農業相続人としていますが、政令では一体何を定めるつもりですか。
#32
○政府委員(中橋敬次郎君) 現在考えておりますのは、農業を経営するという人でございまして、それにつきましては、前からそういう経験のある人というような制限をつけておりません。申告するまでに農業を経営するということだけを条件にいたしております。
#33
○辻一彦君 農業を営む者であることは大体どこが判定といいますか、証明しますか。
#34
○政府委員(中橋敬次郎君) そういう申告までに問題の農地及び採草放牧地にかかる農業経営を行う者であるということにつきまして農業委員会が証明をする、そういう人に適用する予定でございます。
#35
○辻一彦君 所得に関する農地相続問題はそれで終わります。数点伺いました。
 それから、労働省見えておりますね。勤労者財産形成貯蓄の問題について一、二点伺いたいと思います。
 この財形貯蓄は、国民の大きい期待を担って発足した勤労者の財産形成促進法が四十六年に施行されて五年がたっております。勤労者が土地、建設資材の高騰等により半ばあきらめていた持ち家への期待が再度勤労者間に芽生えてきた。いま四百万に及ぶ人がこの財形貯蓄に参加しているというふうに聞いております。
 そこで、しかし、中小企業者の方から見ますと、勤労者の要請に基づいて雇用促進事業団に融資を申し込んでもなかなか認めてもらえない、くれないという、こういう不満の声がかなり強い。第一に、そこでまず、財形貯蓄契約の状況、加入者数、一人当たりの預金高及びその貯蓄残高等はどの程度か、これをひとつお伺いいたしたい。
#36
○説明員(遠藤茂君) お答え申し上げます。
 勤労者財産形成貯蓄契約に基づきます貯蓄は、四十七年一月から実除に動き出したわけでございます。ちょうどまる三年経過した状態でございます。最近の状況としましては、本年の一月末の数字が速報的にまとまっておりますので申し上げますと、財形貯蓄契約を締結しております勤労者の数はおよそ四百万人でございます。ただ、この四百万人の数字は、一人でたとえば二契約やっているというふうなケースのものも含んでおりますので、実際の頭数からいきますと若干多目になるということでございます。その約四百万の勤労者が現在持っております財形貯蓄残高は、三千九百八十八億、約四千億ということでございます。したがいまして、一人当たり約十万円程度の残高になっているということでございますす。ただ、毎年の預入額という点で申し上げますと、これははっきりした数字がないわけでございますが、おおよそ数万円というのが年間フルにやる場合の通常のケースというふうに見ているわけでございます。
#37
○辻一彦君 財形貯蓄によって金融機関に集まった預金のうち三分の一が雇用促進事業団に金融機関が雇用団債を購入すると、こういう形で行って、それが勤労者のもとに事業主を経由をして還元されると、こういうシステムと大筋理解してよろしいか。
#38
○説明員(遠藤茂君) 財産形成促進法は二つの柱から成っておりまして、一つは、先ほど申し上げました財産形成貯蓄という貯蓄の面でございますが、もう一つの柱は、その金融機関に集積いたしました財産形成貯蓄の一部を勤労者の非常に求めております持ち家の取得に役立たせようということで、持ち家というものがもう一つの柱になっているわけでございますが、現在行われております家の関係の財形関係の融資は、事業主等が分譲住宅を建てまして、それを財形貯蓄をやっている勤労者に分譲する、あるいは日本勤労者住宅協会が建てまして財形貯蓄を行っている勤労者に分譲する、そういう分譲住宅の建設資金の貸し付けということでございまして、そういう意味では持ち家のための融資というのも現在の形はやや特殊なケースといいますか、分譲住宅の建設資金融資という限られた融資の方式になっているわけでございます。
#39
○辻一彦君 まあそういう性格から推せば、勤労者から集まった持ち家を期待するそういう預金というもの、それの三分の一という数字は、もっとふやして事業団の方に吸収されてもいいと思うんですが、この点は、その制度本来のあり方からして三分の一をもっと上げていく、多く吸収していく、このことについてどうお考えですか。
#40
○説明員(遠藤茂君) この金融機関に集積しました財形貯蓄を、勤労者の欲しております持ち家の建設に役立たせるという場合の、いわばその資金の調達といいますか、その関係についての資金枠は、お話のように、現在三分の一を限度ということでやっているわけでございますが、この三分の一という比率のことにつきましては、いろいろ御意見があるわけでございますけれども、私どもは、結論から先に申しますと、三分の一という比率は必ずしもおかしくないというふうに考えているわけでございますが、その理由といってもなんですが、基本的には金融機関は現在利子の非課税という、別枠非課税でございますが、そういう形で財形貯蓄を取り扱っておられるわけでございまして、まあ、ほかにマル優の制度もございますが、いわばそういう形で金融機関が取り扱っておられますその金融機関に一定の資金供給といいますか、財形持ち家融資への協力をしてもらうということになるわけでございまして、そういう一定の比率を限度にするにせよ、そういう道筋をつくるということ自身は、かなり一般的に言えば異例な部分に属することであろうかと思いまして、金融機関自身がそういうことで御協力をしてくださっているわけでございますので、その辺は評価していただいていい面じゃなかろうかと思うわけでございます。まあ、いずれにしましても、金融機関がそういう協力をせられる場合にも、やはり自由ないわば企業活動といいますか、金融機関としての活動というものに余りそう極端な制約を課するということはいかがかという面が一点あろうかと思います。
 それからもう一つは、先ほど申しましたように、財形貯蓄は、できるだけ労働者から見れば金利が高いといいますか、優利な貯蓄であることが望ましい。で、住宅の方の関係の恩典を受けようとする人はできるだけ金利は安い方がよろしいというふうなことで、いわば貯蓄の柱と融資の柱はある意味でなかなか両立しがたいような面を持っているわけでございます。その辺を調整するということが当然必要でございます。その場合には、結局融資の方の量といいますか、それが非常に重要な問題になる面を持っているというのが第二の点でございます。
 それから第三には、財形貯蓄は継続的に行われるわけでございますけれども、個々の預入される――賃金から天引きで行われるわけでございますが、個々の預入されたその貯蓄は、最低限一年間据え置かれればよろしいということでございます。したがって、毎年一定の時期に貯蓄はいたしますけれども、一年たつとそのやった分はおろしていくというケース、が当然起こり得るわけでございます。ところが、金融機関が雇用促進事業団の財源を引き受けるというかっこうで融資の関係の資金協力をいたします場合には、雇用促進債券、まあ現在は十年の債券を出しているわけでございますが、さらにそれによりまして行います融資は、木造の場合には十八年というふうな非常に長期の貸し付けになっているわけでございます。そうしまますと、金融機関に滞留する貯蓄、それから金融機関が資金協力する債券等の期間の長期性といったような点でまたまた一つの問題があるというような関係でございまして、結局、財形貯蓄の金利であるとか、あるいはその預金量、さらには金融機関に滞留しております状況、それから資金調達の金利であるとか、その需要量、そういった点を総合勘案せざるを得ないということで、関係者話し合いまして、三分の一というところが妥当であろうということで現在行っているわけでございます。現在の融資の実績等からまいりましても、この三分の一の比率を特に改めて変える、引き上げるというふうなことはいまの段階では考えるまでには至らないということでございます。
#41
○辻一彦君 いまの御答弁の中に、現在の実績から推せばそれを引き上げる必要はないと、こういうことですが、実績は大体幾らなんですか。
#42
○説明員(遠藤茂君) 財形持ち家分譲融資は、金融機関に資金がたまりましてから行うということで、四十八年九月から開始をいたしております。それで、四十八年九月という時期は、非常に宅地であるとか、あるいは建築費が高騰を始めました時期でございまして、さらには金融引き締め等もございまして、非常にこの分譲融資を利用する企業のサイドからいきましても、将来にかなりの不安を持ち始めてきた時期でございます。しかも、新しいこういう融資制度が始まったということで、なかなかその周知が心ならずも十分行ってないという面もございまして、必ずしも十分利用されている状況ではございません。
 それで、数字を申し上げますと、四十八年九月から最近に至りますまでの借り入れの申し込みは全体で百三十四件でございまして、申し込みの金額は三十六億程度でございます。これに対しまして、貸し付け決定をいたしましたものは、現在までで百十九件でございまして、貸し付け決定の金額は約三十五億でございます。
#43
○辻一彦君 この場合ですね、三十六億の申し込みなんだから、それほどそちらの方にお金を回さなくてもいいと、こういう言い方のように聞こえますが、申し込みをやってもなかなか作業がはかどらずに非常におくれているという、もっと迅速にやってくれという声が大変強いんですが、そういうことで、おくれがちになっているのを、もっと早くやるとなれば情勢は私は変わるんじゃないかと思いますが、おくれているような事情というのはどういうところにあるのですか。
#44
○説明員(遠藤茂君) この三十五億という数字は、必ずしも十分でないと私ども考えているんでございますが、その理由はやはり、そういう経済情勢の問題もございますが、そもそも企業の持ち家援助という形態として分譲方式といいますか、こういうものが、そうどこでもかしこでも行われているという制度ではないという面が本質的にはあるんだろうと考えているわけでございます。
 それから、先生いま御指摘の、審査に非常に手間取るんじゃないかというお話、私どももその点は何とか改善しなきゃいけないというふうに考えているわけでございます。それで、現在は約二カ月、申し込みを受けましてから貸し付け決定をし、各会社に通知をしますのに約二カ月要しているわけでございます。その一番大きな部分というのは、実は取り扱っております金融機関段階での日時がかなりかかっているということでございます。もうちょっと申し上げますと、この融資は、貸し付け決定は雇用促進事業団が行いますけれども、一部を業務委託しておりまして、住宅金融公庫にそれをやっております。住宅金融公庫はさらにその業務の一部を金融機関に再委託するというような形で行われておりまして、結局、実際の申し込みは、金融機関を通じ公庫にいき、さらに事業団へ上がってくるというふうなルートをとるわけでございますが、その場合の金融機関段階におきます借り入れの申し込みを受けてからそれを審査し、公庫に連絡するという期間が、現在のやり方ですとかなり時間がかかってもいいような実は取り扱いになっているわけでございます。この辺を何とか短縮したいというふうに私どもも現在考えておりまして、関係の金融機関の方と現在協議中でございまして、これをかなり大幅に短縮したいということで現在検討を進めている段階でございまして、私どもできれば、全体ではいまの二カ月かかるものを一カ月ぐらいのところに持っていきたいということで、さらに検討を詰めたいというふうに考えております。
#45
○辻一彦君 この迅速化に改善をするということでありますが、それは早くできるようにぜひやってもらいたいと思います。
 そこで、前に返りますが、四千億から千五百億、三分の一を引くと、あとは約二千五百億前後と、こういうことになりますね。これのお金は金融機関の手元流動資金になって、どういう方向に流れておりますか。
#46
○説明員(遠藤茂君) 結局、雇用促進事業団は、実際に融資の申し込みがありまして貸し付け決定をし、資金交付をするという段階で必要な資金を債券発行で調達するということになるわけでございまして、それまでの、実際に資金需要があって債券を引き受けてもらうまでの間、あるいは貯蓄とそれから全然貸し付け決定にかかわらない分、こういうのはいずれも金融機関のいわば運用ということになるわけでございますが、その運用がどういうふうに行われているかは、私どもも実は詳細は知りようがないわけでございますけれども、ただ、企業を通じまして財形貯蓄の払い込みが行われるということでございまして、かなりの部分は企業に対する住宅ローンといいますか、企業が従業員に融資をするというところがかなりございます。そういう場合の企業の住宅ローン資金といいますか、そういうのに貸し付けるというふうな運用が行われているように聞いております。
#47
○辻一彦君 これは、三分の二が金融機関の手元にあって、これがいま言われるように企業を通して個々の勤労者の方にまた貸し出されていくと、こういうことであればいいわけでありますが、しかし中身は、それは必ずしもそうでなくして、大きな企業のいろんな経費に、資金に使われていく、こういう面も私は多いと思うんですね。その中身を追跡して、資料として委員会に出すことはできますか。
#48
○説明員(遠藤茂君) その財形貯蓄の方に活用します残りの部分について金融機関がそれをどういうふうにしているかということについては、私どもとしては調査する権限を持たないわけでございます。その点についてはお答えいたしかねます。
#49
○辻一彦君 大臣に伺いますが、勤労者が一生懸命働いて、持ち家をつくりたいということで貯蓄をする、そのお金が四千億になる、三分の一は雇用促進事業団の方に貸される、三分の二は、二千五百億前後は金融機関の手元にあって、これがどのように使われているかということは、私はこの財形の貯蓄の性格上、大きな関心を持つ必要があると思うんですが、この中身を資料としてこちらに提出いただけますか。
#50
○政府委員(後藤達太君) いまの御指摘は、その四千億ほどある中で、その中で雇用促進事業団等を通じましての財形関係の住宅資金に援助される残りの分がどうなっておるかという……
#51
○辻一彦君 三分の二がね。
#52
○政府委員(後藤達太君) これは逐次貯蓄の資金が入ってまいりまして、で、金融機関あるいは証券会社としましては、これはそのほかの資金と一緒になって運用をされておるわけでございます。ただその場合に、雇用促進事業団の方からいつ資金の需要があるかもしれないわけでございますから、ある見込める所要の額は流動的な資産に運用しておるものと、こう考えざるを得ないかと存じます。それで、金融機関の方が、全体の中で約三分の二が金融機関の分でございます。約三分の一が証券会社に財形貯蓄として入ってきております。その証券会社の分は、私ちょっと所管ではございませんが、大体が投資信託の資金になっておると、こう考えております。金融機関の方は一般の預金等と合わせまして、先ほどお話の出ましたローンその他あるいは一般の貸し出し等に運用されておると存じますので、具体的にこの部分がこれと、こうひもをつけた数字で資料をつくりますことは大変むずかしいことだと存じます。
#53
○辻一彦君 そうすれば、勤労者が持ち家を期待して預けたお金が、それは借りないから貸さないと言われればそれまでですが、しかしその三分の二は、金融機関の手元において大手の方に使われているという、こういう問題がありますね。これは財形貯蓄の本来の姿からいうとやはり私はこの部面を少なくして、そして雇用促進事業団を通して本来の方にもう少しお金が使われていくようにするべきではないか。そういう指導をすることが必要であろうと思いますが、この点、大蔵当局としてどうお考えになりますか。
#54
○政府委員(後藤達太君) ただいま御指摘の点につきましては、財形貯蓄で入ったもの以外のものも含めまして、私どもは極力、特に今後の情勢を考えますと、中小企業金融あるいは住宅ローン等に重点を向けるように金融機関を指導をいたしております。したがいまして、ほかの資金と集めまして、そういう方向へ重点を置いた運用をこれから金融機関がやってまいる、こういう方向で今後も指導してまいりたいと思っております。
#55
○辻一彦君 大臣、そういういまの方向は私は強く確認をして推進をしなくちゃいけないと思いますが、いかがですか。
#56
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり心得ております。
#57
○辻一彦君 いまの問題は、今回の所得改正される部分ではないですので、この論議はまた別の機会に譲りたいと思います。
 そこで、今回住宅貯蓄控除の最高限度額が預金の一〇%、金額五万円に引き上げることになっておりますが、これについて住宅貯蓄と一般の財形貯蓄を差別をせずに勤労者財産形成貯蓄に認めるべきであると思いますが、この点どうか。で、財形貯蓄の場合、インフレ目減りという点もありますから、もう一つとしては、財形貯蓄高の一定割合を税額控除にすべきでないかと思いますが、この点についてどう考えるか、これをひとつ大蔵当局からお伺いしたいと思います。
#58
○政府委員(中橋敬次郎君) 勤労者財産形成貯蓄と言わず、およそ貯蓄をしましたならば、何らかの税金上の恩典を加えるべきであるかという御議論に対しましては、私どもは従来から貯蓄の目的がおよそ一般的でありますものについては、所得税法上そういうインセンティブをつけることは適当でないというふうに考えております。と申しますのは、やはり貯蓄をし得るということは、それは何らかの意味におきまして、個々の資産形成でございまするから、それについて所得税額上しんしゃくをしますということは、やはり納税者と非納税者、この前も御議論がございましたような問題、それからまた、納税者の中でも貯蓄をする人としない人という権衡の問題がございまするので、単に貯蓄をするということだけについて所得税法上の配慮をするということは私は適当でないと思っております。今日まで、たとえば住宅貯蓄ということで住宅をみずからが取得するために貯蓄をするという、そういう貯蓄をする段階におきまして目的がはっきりしておりますものにつきまして、特別に租税特別措置法上のひとつの措置といたしましてやってまいりました。そういうことは、たとえば持ち家政策という観点と税制上の配慮というのが結びつき得るわけでございます。そこで、勤労者財産形成貯蓄と申しましてた、やはり一般的には私どもはそういう目的が特定しない貯蓄であるという意味におきまして配慮はいたしませんが、住宅貯蓄という範疇に入りますれば、これはやはり勤労者財産形成という特別の政策を国としてもいろいろ推進をしておるときでございまするから、一般の住宅貯蓄控除よりもメリットを大きくしましょうということでここ数年来やってきたわけでございます。しかも、その中で、いわゆる積み立て期間が長期でありますもの、長くかかって自分の財産形成、しかも、それを住宅という面に振り向けようとする人につきましては、また四十九年から特段の配慮をしてきたものでございます。その長期の積み立てをします。しかも、それによりましてやがて自分の住宅を得ようとする人、そういう人につきまして、今回の御提案申し上げておる案では、さらに一段とそのメリットを大きくいたしまして、率としましては一〇%、金額限度といたしましては五万円ということで、一般の財形貯蓄よりもやや程度を大きく、しかも、財形貯蓄でない、一般の住宅貯蓄よりはさらに大きくというようなことで考えておるわけでございます。
#59
○辻一彦君 この問題はもうちょっと論議をしたいんですが、私、あとこの繊維と関税の問題についてどうしてもいまの時期に伺っておきたいことがありますので、後日にまた別の場で論議をしたいと思います。
 関税法の一部改正の問題についてお伺いをしたいと思います。
 日本の経済が深刻な不況のもとにあるということは言うまでもないのですが、特に繊維関係が倒産、赤字等で大きな打撃を受けております。中小企業が大変多い繊維製品業界では、繊維の輸入規制を求める声が日増しに強まっております。国会でも予算委員会で、総括あるいは一般、また集中審議等の中でかなり論議をされて、通産当局も重い腰をようやく上げて二国間の交渉に乗り出した、こういう段階にあります。そこで通産にまず二、三点伺っておきたいんです。
 それは、従来の繊維製品の輸入量の把握は具体的にどういうふうにやっておったのか、これはまあ、余り詳しいのは時間の点もありますから、要点をひとつ知らせていただけばいいと思います。
#60
○説明員(黒田真君) わが国の繊維貿易につきましては、数量の把握、あるいは金額の把握につきましては通関統計という、税関を荷物が通りますときの統計がございまして、これが一番しっかりした統計ということで、私ども数字を把握しております。このほかに、税関段階で提出されますインボイスというものを別途集計をいたしまして、通関統計では必ずしも把握し得ないような細分化をするところまで把握するように昨年から着手いたしまして、ほぼ軌道に乗りつつあるというのが現状でございます。
#61
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#62
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
#63
○辻一彦君 ちょっと時間の点で失礼しました。
 そこで、通関統計で大体つかんでおられるということですが、最近、事前に数字をつかんで行政指導をやってきた、こういうふうに言われておりますが、事前に輸入量を把握するというのは全体的に最近どういう方法でやっておりますか。これも簡潔で結構です。
#64
○説明員(黒田真君) 通関段階での統計というものは貨物が入ってからの把握であるということで、事前に実際の輸入が起こります前にいかほどの輸入が行われるだろうかという見通しにつきましては、成約段階でこれを把握するということが一つの方法であろうということでございます。したがいまして、昨年の十二月からでございますが、任意のベースでございますけれども、商社に対して各月の成約量というものを報告させるように指導してまいりまして、これも当初立ち上がり期間に若干の問題がございましたが、ほぼ軌道に乗って全輸入量の半分程度のものは将来を見通した統計と言いましょうか、数字を把握しつつあるというのが現状でございます。
#65
○辻一彦君 そういう統計をもとにして具体的にこの輸入業者に対する行政指導をされた具体的なケースの一つの事例をちょっと聞かしていただきたい。
#66
○説明員(黒田真君) 私ども行政指導として具体的に何をしておるかというお尋ねでございますが、まず総合商社と申しましょうか、大手の商社に対しましては、繊維貿易の担当の責任者というものを私ども生活産業局長が招致いたしまして、ほぼ各月定例的に輸入動向等を踏まえて強力に自粛方の要請をしておるというのが第一でございます。また、輸入商社の団体でございます日本繊維輸入組合というところに品目別の専門委員会等を設けまして、私自身あるいはそれぞれの担当の課長が出席をいたしまして、生産の見等し、需給の見通し等に準拠いたしました輸入の見通しというようなものを行っております。またメーカーの各団体と輸入組合のその専門委員会との会議を頻繁に持ちまして、今日まで約十の生産者団体と昨年一月以降今日まで延べ三十回の懇談会を開きまして、ここで生産の状況あるいは在庫の状況、輸入の状況というようなものを相互に出し合って情報交換をし、適正な輸入量の推進を見出すというようなかっこうで具体的な努力をしておるわけでございます。
#67
○辻一彦君 具体的な行政指導の事例としてはちょっと抽象的でわかりにくいんですが、なかなか行政指導がそれほど大きな効果というものが上がっていかない、不十分であると、こういう点で今日輸入規制を求める声が恐らく強くなっているんだと思います。
 そこで、二月に韓国に通産の係官を派遣をしてやったその交渉は、二国間交渉の糸口を開いたものというようにも私は思いますが、たとえばつむぎの問題では、原産国の表示のほかに、どういうことを具体的に話し合っているわけですか。
#68
○説明員(黒田真君) 韓国に参りまして確かに話し合いをしておるわけでございますが、先生御指摘の大島つむぎの問題以外の問題につきましては、実はその前の昨年の日韓の貿易合同委員会の場等を活用いたしまして、私ども申しておりますのは、非常に日本の繊維の輸入が、たとえば四十八年、四十九年の初めのように急増をする、その結果日本の国内でもいろいろ問題を起こしておる、あるいは四十九年後半以降のように急速に減退をする、そうしますと輸出国側では非常な迷惑を生ずるというような、輸入の急増、急減、あるいは向こうにとりましては輸出の急増、急減というものは双方にとって決して望ましいことではない。長期的な安定、拡大、発展という見地から好ましくないということでございまして、私どもといたしましては、その辺の事情を十分先方に説明すると同時に理解を求めまして、今後随時いろいろな統計、データが新しく出たところで、非公式ではございますが、話し合いをしていくというようなことが望ましいということで、先方もそういった実情のたゆまざるフォローアップと申しますか、話し合いを継続するということにつきましては同意をしておるというようなことを踏まえて、二月にもその一環として話し合いをしてまいったわけでございまして、今後こういうような話し合いの機会、相互理解を深めるという機会はある程度定期的に持っていきたいと、かように考えております。
#69
○辻一彦君 この間、三月二十六日の通産大臣の集中審議での答弁で、いま韓国とは枢要な詰めをやっているのでいましばらく待ってくれと、こういうお話でしたが、その詰めている中身というのは大体どういうことなんでしょうか。
#70
○説明員(黒田真君) 繊維一般については、いまお話のようなことでございますが、大島つむぎにつきましては、表示の問題のほかに、輸入数量自身について秩序ある姿でやってほしいということをこちらが要求をしておるわけでございます。しかし、先生御案内のとおり、本場大島つむぎ、奄美大島あるいは鹿児島県の本土で生産されておりますところのいわゆる本場大島つむぎというものと直接競合をするであろうと思われます韓国の輸出品の具体的な量というものはなかなか把握が困難でございます。これは統計上十分に細分化されていないという問題のほかに、非常に似通ったものが多くて、その製法にまで立ち戻らなければ、本場と競合しているのかどうかということがわかりにくいというような非常に技術的な問題もございますもんですから、私ども国内的にもいろいろ調査も進めております。しかしながら、具体的なもので確認をするわけにまいりませんので、商社の聞き込み等をやっておる。他方、韓国側にも、韓国側の持っておるであろう資料等について要求をいたしまして、そういった数字というものをまず把握することが前提である。その上に立って次にどういうことを考えるか、そういう話し合いの段階にあることを私どもの大臣から御答弁申し上げたものと思います。
  〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕
#71
○辻一彦君 内容を詰めているのでもうしばらくというニュアンスには大分遠いように思うんですが、その詰めば総枠か、数量か、金額か、どういうところでいま詰めておるんですか。
#72
○説明員(黒田真君) ただいま申し上げましたようなまず実態究明が先行するということでございまして、いま先生の御指摘のような具体的なべースでの内容ということについては、はっきりしたことを申し上げる立場にはないわけでございます。
#73
○辻一彦君 それでは数量的に詰めを行っているので、いましばらく待ってもらえばいいという、これは言ったって実態調査の段階というのは、これは予算委員会における大臣答弁というのは、実質から言うととても内容を詰めていると、こういう段階にないように私は受けますが、いかがですか。
#74
○説明員(黒田真君) この点につきましては、近々私どもからしかるべき方がしかるべき者を韓国に訪問させるというような計画を持っておりまして、現在日程調整中でございまして、その会合におきましては、いま先生御指摘のような点を含めまして、相当煮詰まった話が出てくることを私どもとしては期待しておるということでございます。
#75
○辻一彦君 しかるべき者を、しかるべき方をという大変わかったようなわからないような表現ですが、だれが行くのですか、大体、端的に。
#76
○説明員(黒田真君) 相当ランクの高い責任者ということで、目下検討しておるところでございます。
#77
○辻一彦君 相当ランクの高いというのは、どのくらいの高さですかね。
#78
○説明員(黒田真君) 私などよりははるかにランクの高い方でございます。
#79
○辻一彦君 閣僚クラスが行くということですか。
#80
○説明員(黒田真君) ちょっと私もなかなかここで御答弁するだけの準備をしておりませんので、御勘弁願います。
#81
○辻一彦君 それはどなたが行かれるかというのは、あなたからお聞きするのも少しそれは無理かもわかりませんから、これは一応保留しておきましょう。もっとそれについて答弁できる機会に聞かせてもらいたいと思います。
 そこで、しかるべき方が、しかるべき者が行かれるということですが、恐らくかなりな全権を持って交渉に当たられると思いますが、その場合に、ほかの繊維製品についても同様な交渉を行うつもりですか。大島つむぎに限定しているんですか。
#82
○説明員(黒田真君) 大島つむぎにつきましては、いろいろな問題の経緯もございますので、相当突っ込んだ話し合いが行われることは期待しております。しかし、繊維製品全般につきましては、先ほどやや詳細に申し上げましたように、現在の水準は相当鎮静化しておりますわけでございますから、もっと長期的な視野に立った情報交換、理解をさらに深めるというような話し合いを考えておりますが、そういった繊維全般の長期的な貿易のあり方ということについても、もちろん話はする予定にしておるわけでございます。
#83
○辻一彦君 同様の話し合いを、この前は、予算の集中審議では、台湾であるとか香港等、そういう国に行いたい、進めていくと、こういうお話がありましたが、それはいつごろから始められるお考えですか。
#84
○説明員(黒田真君) 現在具体的な日程に上っておりますのは、中国との間で話し合いの機会もございますし、絹織物等について計画をいたしております。しかしながら、繊維全般の話し合いにつきましては、具体的にいつであるかということを申し上げるような段階にはございませんが、しかし、従来から民間のベースでございますとか、あるいは国会の先生方のベースというような、あらゆる機会にお互いの今後の繊維貿易の拡大のために最も望ましい方策というものは模索をしておるわけでございまして、むしろ他のところでは民間ベースの話等が場合によっては先行しておるというようなこともあるわけでございます。
#85
○辻一彦君 そういうような二国間の交渉の方式ですね、これは単に近隣諸国に自主規制を要請するということなのか、あるいは新繊維国際協定、まあ、取り決めがありますね。これの第四条方式をとることを目指しておるのか、これはいずれなんですか。
#86
○説明員(黒田真君) 私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、両国間の繊維貿易の安定的な拡大に対して、相手方の理解を求める。おのずからその裏には先方の自粛したといいましょうか、秩序ある輸出の態度を求めておるわけでございますけれども、現段階では御案内のとおり、わが国の繊維品の輸入というものは最高時に比べますとほぼ半分ぐらい、物によっていろいろございますが、最高時に比べますと半分以下に落ちておるという現状でございますので、直ちに先生御指摘のような四条取り決めというものを頭に置いたものではございません。
#87
○辻一彦君 自主規制というのと秩序ある輸出というのは、これはイコールですか。大分違うんですか。
#88
○説明員(黒田真君) 自主規制と申しますのは、言葉どおり、自主的に何らかの規制を加えることだと思いますが、そのやり方にはそれぞれの国でいろいろなやり方があると思います。そうして私は、秩序ある輸出というのは、そういった場合に考えられる一つの内容というふうに考えております。
#89
○辻一彦君 秩序ある輸出をするためには自主的に規制しなければできないと思うんですが、いかがですか。
#90
○説明員(黒田真君) それぞれ相手国の国情の差もございますので、必ずしも狭い意味での自主的な規制をしない場合であっても、秩序ある輸出というような体制ができるという可能性は私は十分あると思います。
#91
○辻一彦君 できる可能性もあるけれども、中身的にはかなり似ているといいますか、イコールに近い姿じゃないかと思います。私は、どういう方を韓国に派遣をされて具体的な交渉をされるのかお伺いしたいんですが、まあそのことをいまお伺いしても御無理のようでありますから別にいたしたいと思います。
  〔理事山崎五郎君退席、委員長着席〕
 そこで、大蔵当局に伺いたいと思います。わが国のこの繊維製品に対する関税は一般的にアメリカよりかなり低い。それからECに比べやや似ていると思いますが、これよりもまだやはり少し低い、こういうふうに聞いていますが、関税率の実態は日本、アメリカ、ECを比較してどういう実態になりますか。
#92
○政府委員(吉田冨士雄君) 各国の関税率の水準の比較というのはなかなかむずかしい問題でございまして、それぞれの各国の輸入構造であるとか、あるいは関税制度の違いによっていろいろ相違がございますので、なかなか形式的な比較はむずかしいわけでございます。特に繊維は、先ほどからお話しのように、非常に細かくBTNで分類が分かれておりますので、どの部分とどの部分をとるかによって非常にでこぼこがございます。しかし、そう言ってもなかなか大変なので、一つの参考といたしまして、ガットのタリフスタティというのがございますんですが、これは一九七三年、ちょっと古いんですが、四十八年の一月一日現在の繊維製品の平均関税率を比較したケースがございます。これもまあ単に一つの参考でございますが、それによりますと、全品目の単純平均で繊維品全体、これはまあ原料も入れてでございますが、そうすると日本が一一・九、アメリカ一七・八、ECは九・五、日本はちょうどECとアメリカの間にあります。それから糸の平均でとりますと、全体で日本が一〇・二、アメリカが一四・六、ECが七・一でございます。それから織物は、日本が一二・七、アメリカが一八・七、ECが一二・五でございます。衣料は日本が一七.一、アメリカが二二・九、ECが一一・七でございます。これは一つの全部の平均をガットでやったものでございまして、本当に御参考ですが、それよりむしろ特定の品目をとって並べるというやり方もございまして、それもまあはなはだあれでございますが、たとえば特定のものをとってみますと、日本と米国とECで綿糸の二十番手ですと、日本が三・六で、アメリカが六・四、ECが七・〇、日本が一番低いわけでございます。シーツ類になりますと、日本が二〇・四、アメリカが九・五、ECが一四・〇ということで日本が高い。絹織物にしますと、日本が八・〇で、アメリカが一一・〇、ECが一四・〇で、ECが一番高く、日本が一番低い。ワイシャツになりますと、日本が一一・二、アメリカが二一・〇、ECが一七%でございまして、アメリカが一番高くて、日本が一番低い。セーターになりますと、日本は一四・〇、アメリカは二四・八、ECが一〇・五ということで、日本が真ん中だということになっていますが、概して言われておりますのは、アメリカは日本よりも高い、それからECと日本は物によってこっちが高かったり向こうが高かったりというかっこうになっております。
 その理由でございますが、御案内のように、日本はいまでも繊維全体ですと輸出国でございます。いろいろ最近近隣から輸入品が多くなりまして、特に去年は非常に輸入品が多かったものですから、問題を個別には起こしておりますが、ついわれわれ忘れがちなんですが、何といっても日本はまだ国際的には繊維の輸出国と見られている。数字的に申しますと、繊維原料と、それから製品と分けまして、両方足したところでも日本は現在輸出国でございまして、両方足しました繊維全体では、四十九年で申しますと、輸出が一兆一千七百億、輸入が一兆五百四十億でございます。差し引き千百六十億の黒字になっておるわけです。しかも、御案内のように、これは通関統計でございますので、輸出はFOB、それから輸入はCIFのベースでやっておりますんで、どっちかというと輸入の方が大きく出る可能性があるんですが、しかし、それでも輸出である。もちろんこの中には、たとえば綿花であるとか羊毛であるとか、こういう繊維原料まで入っておりまして、繊維原料はもちろんマイナスでございまして、三千五百億のマイナスでございます、輸入品としましては。それを差し引きますと、製品といたしましては糸、織物あるいは衣類二次製品で合わせますと、輸出が九千七百九十億円でございまして、輸入は五千百三十億円で、四千六百六十億円の黒字となっておりまして、やはり繊維全体としますと、日本は輸出国である。かつてはもっと輸出国であったわけでして、最近はだんだん輸入がふえてはきておりますが、まだ輸出国である。そういうことで、アメリカのような繊維の輸入国と、輸出国である日本ということで、税率にかなりの差がついてきたのが現実であろうと考えます。
#93
○辻一彦君 輸出、輸入もいまのその数字で差し引きすれば、そういうことになりますが、四十八年に大量の製品を入れて、これが国内に大きな滞貨になって、米を入れなければならない倉庫に繊維製品がつまっている、こういう実態が実際はあるわけですね。だから、量は四十九年度後半に減ってきたとしても、それが入ってくるということは実際は深刻な不況にある繊維業界にとっては、特に中小にとっては、非常に大きな痛手といいますか、打撃になっている。これは量が減っているから心配がないのだというようには言えない中身じゃないかと思うのです。そこで、いまやはり急増というよりも、ある価格でもって需要が抑えられ、滞貨がある、値段が下がってくる、輸入がある程度下がっている、こういう中で、むずかしい問題でありますが、全般の状況を見ると非常な不況がある。そこで、今後この輸入が景気がちょっと上向くとまたどんと入ってくる、こういう可能性は私はかなりあると思うのですが、そういう急増というふうな状態が起きた場合には、セーフガードの発動によって緊急関税措置をとるようなそういう考え方は大蔵当局にあるのかどうか、この点はどうなんでしょうか。
#94
○政府委員(吉田冨士雄君) おっしゃいますように、輸入が非常に短期間に増加した場合には緊急関税の制度がございまして、われわれの法律にもございますし、さらにガットの十九条にそれが載っかっているわけでございます。そういう武器がございますから、われわれが必要な場合にはそれを使うべきだと思います。ただ現在の客観情勢は、おっしゃいますように、まだ輸入が減っておりますし、これからかりにだんだんまた内需がふえて輸入もふえてきたという場合にも、何と申しましても関税のそういう一つの緊急的な措置というものは国際的に見ますと、どうしても一番最後の訴える手段ということになっております。特に御案内のとおりに、現在この二月から新国際ラウンドが始まっていろいろジュネーブで折衝している最中でございますし、それから近隣国でもやはり総合的に見ますと、韓国でも台湾でも香港でも、先ほど先生の挙げられました国々、それぞれ輸出と輸入を見ますと、ほとんど十億ドルくらい日本の方がたくさん輸出しているというような国でございますので、そこには関税のアクションをとることについてのいろんな問題ございますので、やはり私どもといたしましては、まずお互いの話し合いでやっていくのが一番いいんではないか。各国でそれぞれ納得ずくでやっていかないと、いろいろな国際的なフリクションが大き過ぎるのじゃないかということは考えておりますし、さらに先生御案内のように、この緊急関税ですと政府といたしまして二つほど大きな問題ございます。これは慣行でございますが、かなり代償を要求されるわけです。繊維についてある程度のものを向こうがのめば、こちらは代償として出さなければならないということがございます。そういう問題とそれからもう一つは、御案内のとおりでございますが、韓国なら韓国、あるいは特定の国に向けましてのセーフガードということはいま許されません。無差別の各国全部に対するセーフガードになりますので、差別的なセーフガードという議論はございますけれども、まだ制度としてはございません。したがいまして、セーフガードをやれば、あるものについて、輸入されるすべての国に関して問題は起こるわけでございまして、もちろんその第一に一番大きい国はどこ、二番目はどこ、三番目はどこということでいろいろ交渉は行われますが、いずれにしましても、差別的なセーフガードは非常にむずかしいという点がこの制度としての特徴でございまして、そういうものから見ましても、われわれといたしましては、できるだけまず当事者の国と話し合って、お互いに納得ずくでやっていくのが一番いいんじゃないかということで通産省にもお願いをいたしまして、いろいろやっておるような次第でございます。
#95
○辻一彦君 去年のこれは七月当時の新聞ですが、一部新聞では、政府はセーフガードの発動をしやすくするために、緊急関税制度の弾力化などを政府部内で早急に検討するようなことを報じていますが、大蔵当局で具体的にどういう検討を行ってこられたか、これは大蔵大臣いかかですか。
#96
○政府委員(吉田冨士雄君) 先ほどもお話ししましたように、セーフガードにつきましてはガットの場で、ガットと申しますか、今度の新ラウンドの場でセーフガードのサブグループというのができまして、それがいろいろ議論がこれから始まるところでございます。したがいまして、私どももそれに備えまして、いろいろな勉強をしておるわけでございますが、プライオリティーといたしましては、セーフガードの議論はニューラウンドの議論の中のむしろ後半の部分であって、最初は関税のいろいろな引き下げの方式であるとか、非関税障壁の問題とか非常に大きな話をつぶしていきまして、それからセーフガードの話になろうかと思っておりますので、ほかのいろいろサブグループはすでに行われていますが、セーフガードのサブグループはまだ開かれていない、そういうような手順で新国際ラウンドで行われるわけです。
 そこで問題になりますのは幾つかございまして、いまおっしゃいます弾力的な問題と申しますのは、セーフガードは非常に発動が現在しにくく、非常に縛られている。機敏に発動はしにくい、だからもうちょっとフリーに発動できるように何かできないかという議論が片っ方でございます。しかし片っ方では、セーフガードというのは非常にやはり国際的なフリクションも起こしますし、いろいろ問題が多いんで、むしろいまのセーフガードを、各国やっていますセーフガード、特に特定の国についてはわりあいに縛りが甘いので、もう少しそこはちゃんと縛るべきだという、むしろ逆な議論を片っ方で行われている。ですから、乱用防止の議論と、もう少し機敏に発動するという議論とが、まあ両方が、非常にそれぞれ国によってあれでございますが、まだ正式な議論はないんですが、内々お互いに腹の探り合いではそういう議論が行われておる。これが一つでございます。
 それからもう一つは、先ほどちょっと申しましたが、原則としてセーフガードは無差別に特定の国のねらい撃ちじゃなくて、すべての全世界に対して発動するわけでございますが、しかし、できたらねらい撃ちのセーフガードができないかというような、これごく一部の議論でございますが、行われております。そういうようなものを全部含めまして私どもといたしましては、まだこちらがいい、あちらが悪いというところまでいっておりませんが、御案内のように、東京宣言、東京で閣僚理事会がございましたときには、無差別で多角的なセーフガードをやっていこうというのが当時の日本の立場でございまして、その基本的な立場をまだ変えるほど、われわれとしては勉強しておりませんですが、一応そういうような議論はいろいろいたしております。
#97
○辻一彦君 これで終わりますが、大臣最後にひとつお伺いしますが、なかなか緊急関税を発動するというようなことは非常な事態であると思いますから、これはもちろん慎重でなくてはならないと思います。しかし、中小企業は非常に多い繊維産業が深刻な実態にあるということですね。このことはよくよく認識をいただいて十分ひとつこれに対する対策をこれからとも考えていっていただきたい、このことについての大蔵大臣の決意と、それからもう一点、EC並みに高い方はいろいろありますが、少なくも日本の繊維の関係の製品輸入については、EC並みのところにそろえるということが必要じゃないかと思いますが、この二点について大臣から御答弁をいただいて終わりたいと思います。
#98
○国務大臣(大平正芳君) わが国が貿易国として、しかも、有力な貿易国といたしまして、ガットその他のルールを尊重遵守しながら、国際貿易が縮小均衡の方向に行かないで、できれば拡大の方向に安定してまいるような方向に貢献してまいるということを通じて、日本の国益を守るということが、大きく申しまして日本の立場であろうかと思うのであります。したがって私どもといたしましては、常にその道標を見失ってはいけないと思います。しかし、そうかと申しまして、現実の経済は大変険しゅうございまするし、個々の産業部門に至りましては、それぞれの条件によりまして、非常に放置できない状態に追い込まれておるケースもありまするし、今後そういうケースがほかの部門に起こらないという保証もないわけでございまするので、国内の経済産業政策といたしまして、周到なかつきめの細かい対策を講じなければならぬことは当然でございますけれども、国際経済政策といたしましても、通商政策といたしましても、そういった点に、そういった業界の利益を対外的に擁護するために与えられたフレームの中でどのように確保してまいるかということは、政府の非常に重大な任務だと思うのでございます。したがって、そういうことにつきましては、仰せのように常に心を、精神の弛緩が政府側にあってはならぬと私は思っております。
 第二の点につきましては、関税率の問題、これはいま関税局長からもお答え申し上げましたように、大変複雑なメカニズムを持っておりまして、一概に高い低いと言えないわけでございますが、仮に日本の関税率を引き下げていこうというような場合、これまたそれ相当の代償を出さなければならない立場でございまして、それ自体容易にお約束ができる性質のものではないと思うのでありますけれども、冒頭に申しましたようなわが国の立場、それから国際的な経済に対する、経済運営に対するわが国の責任、わが国の力量、わが国の産業の実情、そういったものを頭に置きまして、可能な限りわが国の国益を守りながら産業を擁護していかなければいかぬことは当然のことでございまして、いま言われたことにつきましては特別の注意を払いながら産業を擁護し、国益を擁護することに力をいたしていきたいと思います。
#99
○大塚喬君 関税暫定措置法の一部を改正する法律案、これを中心にして質問を行いたいと思います。
 先ごろ豚肉の輸入に絡んで、丸紅など大手商社が大変国民の憤激を招くような、そういう事件が発生をいたしたわけであります。で、一体その後この問題はどう措置をされておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#100
○政府委員(吉田冨士雄君) ただいまお尋ねの豚肉の差額関税を利用いたしました脱税事件でございますが、端緒からずっと申しますと、まず、四十七年の末にこれは神戸税関がある商社につきましてその端緒を発見いたしまして、続いて四十八年、それからことしの初めにかけましてずっと捜査をし次々と処理をしていったわけでございますが、関係しております税関は東京、横浜、神戸、大阪の四税関、それの関係している会社数は二十七社でございます。で、逋脱の金額は約三億円でございます。
 そのやり方を申しますと、豚肉は、最初申しましたように差額関税制度というのをつくっておりまして、一定の基準輸入価格というものを設けまして、その金額までは税金を取る。仮に安い輸入価格である、高い輸入価格であると、その差額はみんな税金になってしまうという制度になっております。もちろん一定の基準をオーバーしますと一〇%の普通のスライドの税金でございますが、問題が起こりましたのはその差額の部分でございます。したがいまして、輸入価格を実際の輸入価格よりも少し高い輸入価格にすれば差額は少なくなる、引き算が少なくなると、非常に簡単なこのところを着目したわけでございます。
 ただ、問題といたしまして、そうすると輸入価格をいろいろ操作しなければならぬ。したがいまして、いろいろ海外支店とかあるいは海外の取引先と連絡をとりまして、二重帳簿をつくるとか、インボイスを二重に作成するとか、そういうようにいたしまして、実際の価格よりも高い価格で輸入したようにいたしまして、その差額を税金として逋脱したわけでございますが、それが三億円でございます。
 その処分の結果でございますが、先ほども申しました二十七社のうちで、非常に情状悪質であって大口である、しかも、組織的なやり方をやっていたというのが七法人、それ以外に代理店として二行為者がございましたが、この七法人と二行為者につきましては、先ほど申しましたそれぞれの税関から関係の地検に告発いたしました。で、地検でそれぞれ起訴が行われました。つい最近三月二十何日かに野崎産業を最後にいたしまして、告発いたしました会社につきましては、すべて有罪の判決がおりました。行為者につきましても、また有罪の判決がおりました。残りの二十社は比較的軽微でございましたので、これは通告処分の措置をとりまして、相手方に罰金相当分は幾らである。これを納めなさい、納めなければ告発いたしますということで、通告処分の制度がありまして、通告処分にいたしましたところ、それぞれ履行がございました。したがいまして、罰金相当額を払いまして処分が完結したということになっております。
#101
○大塚喬君 このような問題は、現行の基本税率、暫定税率いまお話ありましたような問題があった場合、続いていく場合に、商社としてはやっぱりその誘惑というか、大変今後これらの問題について問題が引き続いて起こる危険性があろうと思うわけです。これらを今後防止するために具体的にどのような大蔵省としては措置をお考えになっておりますか。また、この仕組み、体制についてどのようなひとつ、これを防止しようと図られておるか、お聞かせいただきたいと思います。
#102
○政府委員(吉田冨士雄君) 私どもこれについては二つの方法でいろいろやっておるわけでございまして、一つは、こういう事件が摘発されましたときには、厳正な処理をやって、きちっとして、とにかくもうけにはならないということをはっきりと示す必要がございまして、豚肉もございますし、その前にやはり銅の事件がございました。これについても厳格な処分をいたしました。
 それからもう一つは、今度はわれわれの普通の通関の仕事の中で、あるいはその後の仕事の中で、これを未然に防止し、あるいは被疑があればこれを発見するという、そういう組織を一生懸命つくっているわけでございます。まず、こういう輸入申告が出てまいりましたならば、税関のところで通関をする際に、ラインで輸入者から輸入申告とか、インボイスとかというものが出てまいりますが、この審査を厳重にいたしまして、特にできるだけ必要なものについては、こういうようないままでいろいろケースが起こりそうなものにつきましては、実際に検査に、現物に当たってみる。どうしてもやはり非常にいま輸入が百六十万件ぐらいございますので、すべてのものについて現物を当たることは現在の税関職員として不可能でございますが、大体四分の一ぐらい、少なくとも二割ぐらいは当たるようにしようということにしておりますが、従来の経験から見まして、比較的先生のおっしゃいます誘惑の多いような商品はこれであるというのを税関でもいろいろ過去の経験その他からわかっておりますので、こういうものについてはできるだけ通関の際に必要な現物検査、実地検査もやるというのが第一でございます。
 次に、通関後におきまして、今度いろいろ私どもといたしましては、ほかの情報から事務所に立ち入りまして、通関後にその輸入者、輸入商社とか輸入法人の帳簿書類を検査いたしまして、必要によっては取引先の反面調査を行う、いわば内国税の直税的な調査でございます。こういうものは従来は税関は比較的やれなかった。能力的にもなかなかやれなかったし、時間的にもなかったのですが、現在ではできるだけそういうような事後的な調査――事後調と言っておりますが、こういうものを充実しよう重点的にやっていこう、特に豚肉とか銅の事件以来われわれとしてはいろいろ考えまして、まだまだ人数が少ないのでございますけれども、というのは、そういう直税的な職員がわりあいにまだ少ない、養成中でございますが、そういう事後調査的なものを重点的にやっていこうということで、これには特に去年あたりから非常に重点的にいろいろ勉強もし、また職員の能力の開発もしておるわけでございます。大体その二つの方向で現在やっております。
#103
○大塚喬君 いまのようなその不祥事件は、いまの答弁ではまあ厳正に処置をすると、もうけにならないようにするということでありますが、それは罰金とかという司法処分ですね、こういうことがいまの裁判というお話から考えられるわけですが、これを行政的な処分、そして国民をこのように、あのような時期に、一商社の暴利をむさぼるために国民の生活の塗炭の苦しみをもう、その上に乗っかってあくどい金もうけをすると、こういうことは許せない、厳正に処分をするというなら、当然、素人考えでありますけれども、その豚肉なら豚肉の輸入免許、これを何カ月なり停止をするというような、そういう行政処分も当然考えられてしかるべきだと、こら考えるわけでありますが、この点についてどのような大蔵省として、関税局として処置をされておりますか伺いたいと思います。
#104
○政府委員(吉田冨士雄君) できるだけ相手方に利益を残さないという意味では、司法処分におきましても、普通の罰金あるいは通告処分の場合、準司法的な処分でございますが、これも罰金相当分というものを取りますと同時に、逋脱税額も取りますので、実際の逋脱した金額の三倍とか四倍とか、かなり大きな金額が経済的には負担になってきますので、この方がまあ非常に強い、きつい処分であって、経済的にきついということははっきり言えると思います。
 それから二番目の、輸入免許の点は、実は私ども所管じゃございませんし、豚肉自身はやはり自由化されている品目でございますので、農林省の方としてもそこまでは恐らくいかないのじゃないかと考えております。
#105
○大塚喬君 次に今回のような関税率の改正が行われると、こういうことになると、これは当然そこに絡んでいろいろな思惑が出てくるだろうと思うわけです。で、保税倉庫の問題ですが、国のそういう施設を利用して業者に金もうけをされる、こういうことがあってはならないと思いますが、現在の蔵置の状況はどんなものでしょう。さらにまた、業者がそういう金もうけのために利用しておると、こういうようなことを防止するために、どういう具体的な指導、処置をとっておられますか、お伺いいたしたいと思います。
#106
○政府委員(吉田冨士雄君) まず前後の、今回の改正でやはりかなりもうける人がいるじゃないかというお話でございますが、今回の改正は、実は非常に小規模な改正で、非常に形式的な改正が主でございまして、基本的には従来の暫定的に減税し、あるいは増税して、一年間お願いしていた分をさらに一年延ばしていただく、これが一番大きなポイントでございます。と申しますのは、ちょうど現在ニューラウンドが始まったばっかりでございますので、余りここで、自分のところで、日本だけで大きな改正をすることはいかがかと、いろいろ交渉もこれからの問題でございますので、むしろ改正の範囲は、従来大体百品目ぐらいやっていたのが、その半分の五十品目、五十一品目、非常にふだんの半分ぐらいにやった、しかも、どちらかと申しますと、従来懸案だったこととか、あるいは通関簡素化のための形式的な改正が主体であります。
 次に、保税倉庫と保税地域の問題でございますが、これは御案内のように、一昨年の暮れの前後、いわゆる狂乱物価のころは、非常に輸入をしても国内に放出しない。そこでいろいろ様子を見ていたというようなことで問題になりまして、税関職員もいまいろいろ関税法の許す範囲内で、ほかの官庁と一緒に御協力をしたわけであります。
 その後の状況を申しますと、その後だんだんと国内の需要が少なくなってまいりまして、まだ輸入は継続的にある程度四十九年の前半はどんどん行われていた段階ですが、だんだんと国内の引き取りが少なくなってきた。したがいまして、去年の夏あたりはまたかなり一時的に、保税地域におきまして、保税倉庫とか、あるいは保税上屋におきまして滞貨事情が生じたことはございます。その場合には、その地域その地域で、関税法によりまして、保税地域の利用が極端に妨げられているというときには、搬出指導等を、起こっている地域、江東地区において実施したこともございます。
 これはその後最近に至りますと、今度は輸入自身が非常に減少してまいりまして、御案内のように、去年の秋後半からだんだん輸入が減少してきまして、現在は比較的倉庫がある程度すいていると申しますか、むしろ一遍搬出されちゃうと、この次の輸入される貨物が入ってこないということで、非常に倉庫会社が心配しているというような話も聞いておるんですが、だんだんとそういうぐあいに様子が変わってまいります。
 数字的に申しますと、これは在庫率でやっておりますんですけれども、またこれはいろいろ品物によってばらばらでございますが、まず全体の数字を申しますと、去年の一月末では在庫率――要するに一定のスペースに対してどの程度入っている、去年の一月は五二%、それが八月には六二%に上がりました。これは輸入をどんどんしてきたけれども引き取りが少なくなってきた。一部にはそういうぐあいにして指導したわけでございます。ことしの一月末にはまたこれが五九に落ちまして、現在五七になっております。
 品物別で特に問題になっている品物をちょっと申しますと、冷凍貨物でございますが、これは四十九年の一月が七一%、二月も七一%でしたんですが、四十九年の六月、七月の辺は七七ないし七六%でございます。それが現在一月では六〇%、二月は五六%になっております。よく問題になっております木材でございますが、木材置き場について見ますと、四十九年の一月は七三%、去年の二月は七一%でございまして、それが夏にかけましてずっと上がってまいりまして、四十九年の六月が七六、七月が七五、八月が七六、九月が七八と上がってまいりましたんですが、現在では一月が六五、二月は六四というぐあいになっております。
 そのような事情でございますので、私どもといたしましては、常にやはり保税地域の様子を見ておりまして、もし保税地域の利用が妨げられるように――部分的にはときどきそういう滞貨が起こることもございますが、そういうときには関税法によりまして搬出指導をやるということにして、現にやっております。
#107
○大塚喬君 次に、石油の問題に関連して一連の質問をいたしたいと思いますが、原重油の暫定税率が今度期限切れということになるようでありますが、この原重油関税の国際的な現況は一体どんなふうになっておりましょうか。
#108
○政府委員(吉田冨士雄君) 原重油関税といたしまして税金をかけておりますのは、実質的には日本とアメリカだけでございます。ただ、アメリカは、関税という名前じゃございませんでして、輸入手数料という名前でかけております。これは一つの関税割り当てみたいなものでございまして、ある一定の枠を設けまして、それをオーバーした場合に輸入手数料を取るというかっこうになっておりますが、実質的には日本とアメリカが関税を原重油にかけております。それ以外の国は少なくとも、後進国は知りませんが、発展途上国は存じませんが、先進国としては日本とアメリカだけでございます。
 ただ、関税にしても消費税でございます。消費税という意味で見ますと、これはむしろECの国の方がわりあいに高い税負担を油にかけておる。これは特にドイツの鉱油税というのが有名でございますが、ドイツだけじゃございませんでして、ECはほとんどの国が、いろいろ名前は違っておりまして、付加価値税という名前であったり、揮発油税であったり、あるいは原油税であったり、鉱油税であったりしますが、いずれにしても、内国消費税も含めての消費税としましては、ECが比較的高い税負担をかけておる。しかし、関税というかっこうで、少なくとも関税という名前で取っているのは日本だけであり、実質的に取っているのはプラス・アメリカであるということでございます。
#109
○大塚喬君 大蔵大臣暇そうですからちょっとひとつ。
 この原重油関税ですね、いまお聞きしたところは、たいへん世界的に日本のような取り扱いが少ないということを聞いて、これについては両論あることを承知いたしております。大蔵大臣として、この原重油関税についてどのような基本的なお考えでございましょう。
#110
○国務大臣(大平正芳君) いま関税局長が申し上げましたように、油にかけておる税金、消費税という姿で、関税であれ、内国消費税であれ、油にかけておる税金はEC諸国が一番重くて、アメリカと日本が比較的軽いと承知いたしております。
 それで、こういう産業の原動力でございますから、本来ならば税金はできるだけ軽い方が産業のためにも、国民生活のためにもよろしいわけでございまするので、全然前提を抜きにして考えますと、軽い方がよろしいと私は思います。けれども、現実の財政を切り盛りする私の立場から申しますと、たくさんの歳出需要に対しましてどのようにして歳入を充当してまいるかということで苦心いたしておるわけでございまして、いま油にかけておりまする一兆円を超えるいろいろな形の中央、地方を通ずる税金を動かすというようなことになりますと、これは容易ならぬ財政上の困難を伴うことになると思うわけでございまして、したがいまして、これを大きく改変をするというようなことはとうてい、考えましても、むずかしいことではないかと思っております。
 特に日本の場合、石炭政策を今後どうするかという問題とも絡みまして、関係審議会におきましてもまだ決定的な結論も出ていないような段階でございますので、いましばらくそういった方面の討議の方向を見定めた上で考えさしていただきたいものと私は思っております。
#111
○大塚喬君 まあ、石油問題については大変国民の関心も多く集まっておるところであります。で、キッシンジャーがこの問題について東奔西走、私どもの目を大変惑わすようなそういう活動を続けておるわけでありますが、このキッシンジャー構想というのは、一体日本にプラスになるのですか、マイナスになるのですか、そして今後の見通しをひとつ。通産省の方おいでになっておりますか。――初めに通産省の答弁をひとついただきたいと思います。
#112
○説明員(豊永恵哉君) お答えいたします。
 ただいまキッシンジャー構想というお話が出ましたですが、もちろん、アメリカがエネルギー問題については消費国でイニシアチブをとっておるわけでございますが、現実に国際的な石油の問題を消費国間で討議しておりますのは、OECDの中にできましたIEA、すなわち国際エネルギー機関で討議しておるわけでございます。したがいまして、キッシンジャーの提案しましたことがそのまま結論として出ているわけではございませんで、もちろんIEAの中で検討される内容につきましては、日本の利益も十分反映し、日本のみならず、ヨーロッパ各国の意見も十分反映されたものが逐次決定されておるわけでございます。したがいまして、IEAの決定に関する限り、われわれは日本のためにはなっておると思っております。
#113
○国務大臣(大平正芳君) キッシンジャー構想が出ましたが、ちょうど去年の二月十一日に、ワシントンで国際エネルギー会議というのが初めてキッシンジャー氏の提唱で開かれて、私は外務大臣として出席したわけです。それから以後、今度は大蔵大臣として、この間IMFの総会に出席して、オイルダラーの還流をはじめ、これに関連した仕事をしてまいったのでございますが、要するに、あれから一貫しておりまするキッシンジャー氏並びにアメリカ政府の考え方は、石油という非常に貴重な人類の資源を、アメリカが一番よく費消してきた。みずからも持っておりますけれども、それでいて最大の輸入国でもまたあるということで、これは大変世界の全人類のためにアメリカは罪悪を犯してきたというわけですね。ですから、まずエネルギー、石油の節約をしないと申しわけない、それから代替エネルギーの開発をできるだけ進めて、そしてアメリカはもうよそから輸入しなくても済むように持っていかないと、世界に対して申しわけないと、こんなにたくさんの資源を持っておるアメリカが、世界最大の輸入国であるなんというのは、大変これは申しわけないことであるということで、アメリカが輸入しなくなりますと、それだけ世界の石油に対する需要が、何といいますか、緩んできて、価格にも好影響があるであろうということでございましょう。そういった点を一貫して主張してきているわけでございまして、その限りにおきまして、私は正当に評価して差し上げて差し支えないと考えております。
#114
○大塚喬君 外務省の方お見えになってますか。この石油情勢の深刻化ということに絡んで、外務省としては、このキッシンジャー構想、こういうふうなものに対して現在どういう手を打っておられますか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
#115
○説明員(苅田吉夫君) ただいま大蔵大臣及び通産省等からも御答弁になりましたように、キッシンジャー構想を含めまして、ただいまわが国といたしましてはIEAという国際エネルギー機関を通じましての消費国の協力を進めておるわけでございます。そこで、わが国としましては、ほかの、アメリカその他と違いまして国内に資源が全くないという特殊事情もございます。そこで、わが国の場合には、やはり何といっても最も多く石油の輸入を依存しております中東諸国、あるいはOPEC諸国との協調を図っていくということも非常に重要なわが国の資源外交の柱でございます。しかし、それだけでわが国の資源が十分確保されるかと申しますと、必ずしもそれだけでいいとは言えませんので、やはり世界の需給ということを考えますときには、やはり先進国と申しますか、消費国側の国との協力ということも非常に重要であるというふうに思いまして、そこで、ただいま御説明がありましたように、国際エネルギー機関を通じましての消費国間の協力も大いに進めております。
 そこで、特に注意しておりますことは、消費国間の協力を進めます場合に、それが産油国との対決になっては非常に困る、わが国としましては、あくまでも対決によって中東諸国ないしはOPEC諸国との協力関係が阻害されてはまたこれは困るわけでございますので、そこはそういった対決にならないように、全力を尽くしてやっておるという次第でございます。
#116
○大塚喬君 石油問題の質問を続けますが、石油備蓄の六十日から九十日という問題は、現状いかがでございますか。
#117
○説明員(豊永恵哉君) 備蓄の件につきましては、このIEAで決まっておりますことは、最低現在六十日の備蓄を持つということが義務となっております。それを九十日にしますのは、何年先であるかはまだ決まっておりませんで、今年の七月一日までに各国の実情を聞きながら、何年後に九十日にするかを決めることになっております。
 現在の日本の備蓄でございますが、もちろん備蓄水準というものは、御承知のように春先一番低く、秋口が一番高いわけでございますが、この春、四月が恐らく一番低くなると思いますが、それでも六十日を割ることはないと思っております。現在手元に最新時点の備蓄の資料を持っておりませんですが、六十日を割ることはないというふうに思っております。
#118
○大塚喬君 大蔵大臣この備蓄九十日というものの資金は、一体国としてはどうお考えですか。
#119
○国務大臣(大平正芳君) 今年の予算を通産省と相談をいたした段階におきまして、特殊会社、法人ですか、共同備蓄会社をつくりまして、それに保有をさせていこうじゃないかと、そうして、その油の購入代金まで国が見る必要はないので、これはそれだけの値打ちを持っておるものでございますから。しかし、それをずっと保有しておる期間の金利についての一定部分を政府が利子補給するというようなかっこうで考えていこうじゃないかという構想で、一応今年の予算は組んだわけでございますが、まだ備蓄問題というのは、大変むずかしい問題でございまして、政府部内で相当かんなをかけていかないといけない政策だと私は思っておるのです。で、この予算に関連いたしまして、いま考えられておる仕組みが、これがベストであるとは私は必ずしも思っておりませんけれども、当面そういう一応の考え方として、こういうことで考えていこうじゃないかというラインで、措置しようといまいたしておるところでございます。
#120
○大塚喬君 重油脱硫減税の制度も改正になったわけですが、一体これはどういう理由なんでしょう。
#121
○政府委員(吉田冨士雄君) 現在の重油脱硫減税制度というのは、四十五年の七月に創設されまして、その趣旨は、重油に含まれております硫黄部分が亜硫酸ガスの発生源である、これが大気汚染に関係があるので、できるだけ重油については低硫黄の、硫黄の低い油をつくるということで、この制度が始ったわけでございまして、脱硫重油の原料として輸入されております原油、あるいは粗油につきまして、一定の脱硫条件を満足した場合には、その原料油一キロリットル当たり五百円の削減をするということになっております。今回改正をお願いしておりますのは、その脱硫のやり方につきまして、いろいろだんだんと技術的に進歩してまいり、また公害の規制がだんだん強化されてまいりましたので、それに合うようにできるだけ新技術の開発に伴う脱硫作業の一部の変更に適用する部分的な改正をお願いしているということでございます。
#122
○大塚喬君 石油の問題は、大変むずかしいいろいろの問題を含んでおると思うわけでありますが、時間が――あと二つ、三つ質問の事項がございますので、中途のうらみなしとしないわけではありませんが、大蔵大臣に、新国際ラウンドに臨むわが国の基本的な態度、これは、今後の貿易のわが国の基本的な立場、態度、こういうことを明らかにするものと思われますものですから、どういう態度で臨まれるのか、大臣からひとつ方針をお聞かせいただきたいと思います。
#123
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど辻委員の御質疑にお答え申し上げたとおり、わが国といたしましては、いわば貿易国家でございまするし、しかも、非常に有力な貿易国家でございます。世界の貿易額の七、八%を占めておりまするし、世界の全体の荷動きのうちの二〇%ぐらいは日本に向けて貿易が動いておるような始末でございますので、大変これは世界の経済に対して、世界の貿易に対して重い責任を持っておるわけでございます。したがって、まず、ガットその他の国際的なルールを尊重、遵守していくという基本的な姿勢を崩しちゃいかぬと思うんです、何ぼつらくても。ところが、非常に人間というのはやすきにつきやすいものでございまして、できたら輸入規制もして関税も上げてもらって保護してもらいたいという産業の気持ちになるわけでございまして、早いところは繊維でも、先ほどそういうような議論も出ておりましたけれども、気持ちはわかりますけれども、そういうようなことをやりおったらもう果てしなく世界経済は萎縮してしまうと思うんです。縮小均衡の方向に行ってしまうということでございますので、つらくてもやっぱり自由な交易が行われるような状況を保障してまいらなければいかぬと思うのでございまして、国際的なルールを守りながら、そのルールに従って関税その他の交易条件につきましては交渉をみっちりやって、各国の理解と信頼を得ながらわれわれの国益を守っていかなければいかぬのじゃないかと考えておるわけでございまして、詳しい技術的なことは政府委員から答弁させます。
#124
○政府委員(吉田冨士雄君) 基本的には、ただいま大臣のお話しになりました線で私どもはやっておるわけでございますけれども、何と申しましても、日本は貿易立国を旨としておりますので、この二月から実質的に始まっております新ラウンドに積極的に参加いたしまして、また各国も、日本とアメリカと、EC、やはりこれが何といっても大きな貿易量を占めておりますので、この三つのグループが積極的に推進してほしいということの要望が全世界から期待されておりますので、その線に沿いまして大きな努力をしていきたいと思います。
 新ラウンドの目的は、御案内のように、やはり世界貿易の拡大というのが一番大きな目的でございまして、それと、それに伴いまして貿易自身をさらに一層自由化していきたいというのでございまして、そういう二つの目的によりまして資源をできるだけ有効に利用し、また世界各国の生活水準あるいは福祉の向上を図っていきたいというぐあいに、大きな目的として掲げてございます。それと同時に、現在世界貿易の発展を阻害するようないろいろな保護主義の動きが各国にございます。また、地域的ないろいろ経済ブロックというものの動きもございますので、新国際ラウンドにおきましては、そういう動きをある程度封ずると申しますか、やはり世界貿易の全体の枠を広げるという方向に引っ張っていくために重要な交渉であるとされております。
 それからもう一つ大きな点は、発展途上国との関係でございます。先般のケネディラウンドにおきましては、どっちかと申しますと、関税率の引き下げが中心でこの議論が行われておりまして、今度発展途上国として非常に心配しておりますのは、全般的な関税率の引き下げということは、イコール特恵による利益、特恵マージンが少なくなるということである。ところが、やはりどうしても、一部の産油国は別でございますが、それ以外の発展途上国は、やはりだんだんと購買力と申しますか、貿易による輸入の力というものがだんだん減ってきているので、その辺は十分先進国としても考えてほしいということでございまして、まず第一に、先進国グループと発展途上国グループの間には相互主義は困りますから、やはり相互主義は要求しないと、そういう大きな線で発展途上国としてはやっております。片一方われわれといたしましては、従来は比較的問題のなかった資源輸出の問題、輸出規制の問題、これはやはりここで新しい新国際ラウンドでは当然取り上げるべき問題である、そういう線で輸出規制の問題も大きな問題の一つとしてやっていきたいというぐあいに考えております。
#125
○大塚喬君 いまの答弁に関連してわが国の特恵関税の実施の状況は現状はいかがでございましょう。
#126
○政府委員(吉田冨士雄君) 現在の特恵は、わが国といたしましては、四十六年の八月から実施しておりますが、特恵の対象国は百十カ国と二十八地域でございます。これは大きく分けまして農林物資とそれから工業品物資と、大きく分けて二つにございますが、ガットのBTAの一類から二十四類までが農産物でございますが、これにつきましては積極的にこれとこれとこれは特恵をいたしますと、いわゆるポジ・リストといって、積極的に特恵を与えるものを明記しておりまして、これは現在七十二品目でございます。これをさらに今回の改正で四品目追加をお願いしております。そういうものにつきましては、特定の農産物につきましては、無税から二〇%ぐらいまでの税率カットまでいろいろございますが、ポジ・リストで農産物をある程度関税を免除しているということでございます。
 それから工業品につきましては、これは具体的にはBTAの二十五類から九十九類まででございますが、これは原則として無税でございます。しかし、特定の品目については特恵を与えないという、いわゆる例外品目、たとえば合板であるとか、石油であるとか、革製品であるとか、そういうものは一切特恵から排除するという例外品目が十品目ございます。それからさらに特恵を与えますものにつきましても、一つのシーリングといって枠をつくっております。その枠は、一九六八年におきますそれぞれ後進国の輸入量というものを計算いたしまして、それにプラス前の前の年の先進国の輸入量の一〇%というものを加えまして、それを一つのシーリングという枠にしてございます。その枠内で原則として枠に達するまで特恵を与えるということにしてございます。ただ、一部の商品につきましては、その枠を超えても弾力的にある程度までは認めるという品物もございますし、また一カ国でその枠内の五〇%以上を占める、非常に一カ国がたくさんその枠を取ってしまうという場合には、そこで特恵をとめるというようなシステムもございます。
 さらに、原則として無税でございますけれども、非常に日本といたしまして関心のある品目につきまして、これは四十八品目でございますが、日本の特に関心のある品目はSP品目と言っておりますが、これは無税じゃございませんで、現在の通常の税率の半分しか認めない、ゼロじゃなくて半分に切ってしまうというのが四十八品目ございます。そういうような幾つかの制度に割りましてやっているわけですが、さらに、それをこちらといたしましては比較的関心の強い品目と、まあある程度発展途上国から比較的入ってきてもいい品目といろいろございますので、そこを分類いたしまして、枠の運用といたしまして、まず事前割り当てをする品目、これはかなり厳しいわけでございますが、これが十一品ございます。それから、毎日毎日入ってきた量を見ておりまして、とめるときにはいつでもとめる、枠をオーバーした場合にいつでもとめる体制にあるという日別管理のやり方がございまして、これが四十六品目でございます。それから、毎日毎日では非常に税関手数が大変なんですので、月別にこう管理いたしまして、それでとめるというやり方をやっている品目は百二十五品目ございます。大体そういうぐあいにいたしまして、品物によりまして、性格的にいろいろ分けながら特恵で免除していくものはしていくというのが実情でございます。
#127
○大塚喬君 じゃ、時間が問もなく迫っておるものですから。最近、関税法違反の事件が増加をしておるということを耳にしておるわけですが、現状のいわゆる密輸事件、これらの傾向ですね、それから今後これらに対する対策をどのようにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
#128
○政府委員(吉田冨士雄君) おっしゃいますように、四十九年度の関税法違反、検挙したベースで見ますと、九千四百四十八件ございまして、去年に比べて七%の増加ということになっております。
 その内容を見ますと、先ほどお触れの豚肉あるいは銅のような事件は若干最近は減少しておりますが、それにかわりまして、いわゆる社会悪事案と申しますか、麻薬類の事案、それからピストル等の銃砲の事案というものがかなり量的に増加しております。麻薬類につきましては、特に覚醒剤、あるいはその原料というものが非常に多くことしは検挙されまして、去年は約六キログラムでございましたんですが、ことしはその十倍の六十キログラムにふえてきております。それから、ピストル等につきましては、一時はハイジャックで各国かなり厳しかったんですが、去年は少しピストルの輸入が、密輸がふえてまいりまして二十三件、百四丁ございまして、一年前の十四件十七丁を大きく上回ったというかっこうになっております。私どもといたしましては、一つは、できるだけ国際的にいろいろ連絡とるものはとって、また国内でも関係の取り締まり機関と十分連絡とりまして、これからも一層お互いに事案の防遏あるいは摘発に努めていきたいと考えております。
#129
○大塚喬君 終わります。
#130
○鈴木一弘君 最初に、関税問題で最初お伺いしたいのは、四十九年度の関税収入の面からでありますが、一月末の租税収入印紙収入の収入額調べから逆算をしてみると、当初、補正後予算額の四千百七十億円をはるかに下回って、恐らくそれに及ばないというか、四百億以上の予算額よりは低い調停済み額で終わるんじゃないか、こういう感じがしておるんですけれども、その辺の見込はいかがでございましょう。またその原因と、この二つを伺いたいと思います。
#131
○政府委員(吉田冨士雄君) 四十九年度予算は、当初予算はこれは特別会計の油も入れまして六千百八十三億だったんですが、補正後は五千五百三十三億になりまして、その後さらにどうかという御質問かと思いますが、おっしゃいますように、まだ最終的な数字はわれわれとしては詰めておりませんのでわかりませんが、若干減少するんじゃないかという感じを持っておりますが、大きな理由としては、まず第一には、全般的に輸入が、非常に予想されたよりは国内の引き締めによりましてだんだんと最終的にはその減少の程度が大きかったということが一般的には言えると思います。
 それから個別の問題といたしましては、一つは砂糖でございまして、砂糖は、当初予算のときには、それはいままでは大体一千億オーダーの金額が入ったわけですが、それが去年の二月からストップしておりますので、補正で落としたわけでございますが、これが大きな減少要因になっております。それからあとは肉類でございます。肉類が、割り当ての枠を、これをずっと割り当ていたしませんので、これがだんだん減少してきているということもございます。
 個別にはそういうものがございますが、全般的に申しますと、やはり食料品につきましても、あるいはその他の繊維品につきましても、機械につきましても、輸入額自体が、あるいは輸入金額自体が減少してきているということで関税収入に影響を与えているというぐあいに考えております。
#132
○鈴木一弘君 大体どのぐらい減少の見込みですか。
#133
○政府委員(吉田冨士雄君) まだ最終的に数字的な詰めはございませんが、感じといたしましては、補正予算から一割ぐらいは減少するんじゃないかという感じを持っております。
#134
○鈴木一弘君 次に、今回のあれでも特恵供与が出ているんでありますけれども、いわゆる英連邦の旧植民地の国々がイギリスに対しての特恵をやる。また、アフリカの十六カ国でしたか、この国々がECの六カ国に対して逆特恵をやる、特恵をやるというぐあいに、つまり先進国へ後進国というか、開発途上国からの特恵が行われている。この問題がいままでもいつも大きな問題になって、日本とアメリカがこれに対して猛烈な反対をしているわけでありますが、この点の、今度アメリカも新通商法ができたわけですし、そういう点でどういうように今後やっていく予定なのか、また、わが国の態度、こういう点をちょっと伺いたいと思います。
#135
○政府委員(吉田冨士雄君) おっしゃいますように、これまでは先進国へ発展途上国が供与するいわゆる逆特恵というものがかなりの数がございまして、日本もこれに対しましては非常に批判的な態度でやってきたわけでございますが、それを具体的に申しますと、まず、ヤウンデ協定というのがございまして、これは旧フランス領のアフリカ諸国十九カ国がECに対して原則として与えるものでございまして、国としましてはカメルーン、コンゴという十九カ国がございます。それから次に、旧イギリス領のアフリカ三カ国がECに対しまして、ウガンダ等三カ国ですが、与えてますが、これはアリューシャ協定というのがございます。それからトルコ、ギリシャ等、地中海の沿岸諸国十一カ国、これがやはりECと個別に協定を結びまして、関税を免除または一部軽減を行っております。それから四番目には、セイロンとかインドとか、旧イギリスのアジア諸国五カ国が英連邦諸国との問で英連邦特恵をやっておる。それから五番目には、ジャマイカ、ガーナその他のやはり旧イギリス諸国の十八カ国が英国と英連邦特恵を結んでおります。それからこれはもう終わりましたが、アメリカとフィリピンの間の特恵がございました。
 以上の六つの特恵のうちで、アメリカとフィリピンの特恵、それから四番目に申しましたセイロン、インド等のイギリスに対する英連邦特恵は、一九七三年に各国の要望によりまして廃止いたしました。残りますものの中で、最初申しましたヤウンデ協定とアリューシャ協定、それからジャマイカ、ガーナ等の十八カ国とイギリスとの英連邦特恵、この三つの特恵につきましては、ことしの八月から廃止するという予定で、ロメ協定と言っておりますが、廃止の一応予定になっております。したがいまして、これからも残りますのは、トルコ、ギリシャ等、地中海沿岸諸国の十一カ国がECに対して結んでいる特恵でございます。これに対しましても、日本としては、やはり地域協定については原則的に反対という立場をとっております。
#136
○鈴木一弘君 こういう問題、この問題は前から問題になって、日本も国際舞台の上ではアメリカと手を組んで逆特恵の解消ということは強くやってこられた。やはりIMFが始まったときの精神から見ても、そういう経済ブロックをつくらせるような行き方というのは、また温存していくような行き方は非常に好ましくない。いま、まだわずかは残っているようでありますけれども、これから大臣もいろいろ国際会議に出られるわけでございますが、そういう点についてはどのように御主張なさるおつもりでございますか。
#137
○国務大臣(大平正芳君) 日本としては、いま申し上げますように、原則として反対の態度は変えないつもりでおります。ただ、政治は現実でございまするから、大きな魚をすくい上げようという場合に、雑魚も一緒に入ってくるということはあり得ることなんでございます。そこで、雑魚を全部もうきれいに潔癖に排除しようとすれば、大きな魚を逃がしてしまうというケースがあり得るわけでございまして、したがって、事と次第によりまして、小さい原則に反することでございますけれども、それをのんでやらないと大きな原則が生かされないというような場合が私はないと言えないと思います。しかし、あくまでも原則は原則として貫いてまいって、それである限られた範囲においてやむを得ない妥協ということは、絶対やらないという約束はなかなかできませんけれども、極力原則を貫くことに精力的でありたいと思っております。
#138
○鈴木一弘君 東京宣言を見ても、特恵供与の制度の問題は、開発途上国の発展ということが一番大きな問題で、この宣言が採択されています。開発された国に対しての特恵供与というのは本当に感心できないと思うんです。これはもうそういうので、大臣の御奮闘を特にお願いをしたいと思います。
 次に、同じ特恵問題で、アメリカが特恵を引いたために日本の中小企業がいわゆる輸出に障害を起こしてくる、こういう問題もこれはないわけじゃないと思います。やはり、LDC諸国の特恵供与がある。そうすると、日本の製品と競合するものも出てくる。
 前にケミカルシューズの問題、いろんな問題があったわけでありますが、そういう点については現状はどうなっているんでしょうか、これを伺いたいと思いますが。
#139
○政府委員(吉田冨士雄君) アメリカの特恵は、御案内のようにアメリカの通商法が通りませんでしたので、かなり実施がおくれております。したがいまして、まだ現実には、これからというところでございます。いま先生の御指摘のケミカルシューズ、これは少なくとも現在、アメリカの通商法あるいはそれに伴ういろいろな大統領の措置等を見ますと、恐らく特恵からはずれるんじゃないかという感じを持っております。しかし、全般的なこれまでの日本からアメリカに対するケミカルシューズの輸出の数字を見てみますと、一九七〇年には五千七百万ドル程度でございましたのが、一九七三年、これはまだ特恵は行われていないんですが、六百七十万ドルというぐあいに非常な激減になっております。これは特恵とは関係なしに、恐らくアメリカに対します発展途上国の特恵とは関係がないけれども、非常にある程度コストが安いケミカルシューズが入ってきたというようなことの関係で、日本のシェアが減ってきたんじゃないかというぐあいに考えております。
#140
○鈴木一弘君 これで新国際ラウンド、これの適用ということになると、さらにそれ以外に、いままで私どもは言われていたのは、ヘップ業者等からも言って来るし、雑貨、陶器等でも問題ありますし、そういう点で競合のおそれというのはいまのところ考えられているのはどういうものがあるんでしょうか。
#141
○政府委員(吉田冨士雄君) おっしゃいますヘップサンダル、これにつきましては恐らく、通商法には履物とございますけれども、さらに詳しく読んでみますと、これは特恵の対象になるんじゃないかというふうに考えております。ただ、ヘップサンダル、そういうぞうり、総サンダル類につきましても、これまで特恵の対象に至らないという段階におきましても、やはり数字を申しますと、一九七〇年が二百十七万ドルでございましたのが、現在六十万ドルというぐあいに日本はかなり三分の一ぐらいに減ってきております。やはりこれも発展途上国の自由競争の結果なったかと思います。私どもといたしましては、特恵につきましては、やはり先ほど先生のおっしゃいました、発展途上国自身の経済活動の促進ということが中心でございますので、その線で新国際ラウンドでは臨んでいきたいと考えております。
#142
○鈴木一弘君 これは大臣、香港に対しての特恵でも、例外の品目をつくらなければならないぐらいにわが国との競合問題も起きております。当然アメリカが新しい通商法に基づいて事をやるとなると、現在でも減少してきている輸出が、一方だけ有利ということになりますと、日本は不利にさらに加速度をかけられるということはあり得るわけなんです。いま原則論は、私が自分で質問をしておいて矛盾しているみたいなんですけれども、発展途上国中心ということは当然のことだと思いますけれども、それだけじゃ割り切れないものがあるだろうと思います。そういう点、これから先、アメリカ等へ対しての話し合いといいましょうか、こういうのはどういうような方向へ持っていくおつもりでございますか。
#143
○政府委員(吉田冨士雄君) 最初、香港特恵のお話が出ましたので、香港特恵について申しますと、御案内のように他の発展途上国と違いまして、香港につきましては、いわば中心的な地域であるということで、世界的に特恵の合意が行われました場合に、いろいろ香港についてある程度制限をする国も出てきたわけでございまして、日本といたしましても、他の発展途上国とのバランスを考えまして香港特恵ということをやったわけでございます。具体的には、香港の地域につきましては、他の国よりは例外的な、他の国と異なりまして、例外的な特恵を認めない品目を幾つかつくりました。これは四十七年の四月には九十六品目をつくったわけでございます。ただ、その後各国とも香港特恵についての例外品目についての見直しがございまして、日本でも四十七年の九月に日英の首脳会談におきまして、できるだけ香港特恵については例外品目の数を減らすようにと、一般の発展途上国並みにだんだん持っていってほしいということもございまして、その後、四十八年の六月に八十四品目、四十九年の四月に五品目ということを削除いたしまして、現在は七品目だけになっております。ただ、これを実際の香港からの輸入の金額について見ますと、現在残っています七品目というのは、かなり輸入量が多いものでございまして、たとえばトランクとか、スーツケース、ハンドバッグ等の革類が二十八年のベースで大体二十三億円、それから造花が十五億円。貴金属の身辺細貨類は二十四億円、おもちゃが二十八億円というぐあいで、この七品目で九十三億円近くになりました。これまですでに香港特恵の例外を削除いたしました八十九品目で全部でわずか十二億円程度ということになっておりますので、この七品目につきまして、さらに改善することについてはかなりいろいろこれからは慎重にやっていかなきゃならない品目も含まれているのではないかと考えております。このようにわれわれといたしましては、香港に対しましての態度を考えておりますが、いま御指摘のアメリカとの関係におきましても、やはりそれぞれ発展途上国のあり方ということを見ながら、新国際ラウンドの場におきまして、各国の出方を見ながらやっていきたいと考えております。
#144
○鈴木一弘君 その各国の出方を見ながらという、見ながらやって、わが国の産業がパンクしたというんじゃ困るわけですね。しかも、どうもいままでのところ圧迫を受けてくるのが中小企業製品が多いという点、こういう点はこれは本当に考えてもらわなきゃならないと思います。ですから、これからのいろんな交渉があります。実はUNCTADで逆にいじめられてもいますけれど、いろんなのがありますが、そういう点からもやはりアメリカに対しては何か例外品目を、先進国だからといっても、香港のような中進国みたいなところについては、かなり例外品目をつくってもらわないとわが国は困るんじゃないかという感じがするんです。これは大臣、交渉はなさいますか。
#145
○国務大臣(大平正芳君) 根本はやはりわが国の産業のあり方が問題だと思うのでございまして、俗に言う競争力を十分持っていただかないといけないという問題が一つあると思います。しかし、仰せのように、特恵制度、あるいは通商交渉におきまして彼らの営業の領域を確保して差し上げないといけない、あるいは逆に攻め込まれて守勢に立つというようなことにならないようにしなければならなぬことは政府の責任だと思うのでございまして、そのうち対米関係についてのお尋ねでございます。これは鈴木先生も御承知のように、いろいろの経緯がございまして、非常にバランスがとれて比較的問題がなく過ぎておる段階もございますならば、非常に緊張を呼ぶ段階もございまして、対米輸出が非常に伸びまして、対米収支が非常なアンバランスを招来するというようなことになりました場合、政治問題に転化してまいりまして、三、四年前に大変われわれが苦労いたしましたことは御案内のとおりでございます。したがって、まず第一に、日米の貿易収支がどういう姿においてあるか、そのためにわれわれは先ほどから議論のありましたように、オーダリーなマーケティングをお互いにどのように維持していくかということが先行しなけりゃならぬ。言いかえれば、特恵制度でございますから、通商交渉の細かいところで勝負をするようなところへ持っていく前に、まず、ちゃんとした土俵を固めていくということを考えにゃいかぬわけでございまして、まず、そういう点に気をつけていきたいと思うわけでございます。最近のところ、対米交渉については特にシリアスな問題はございません。けれども、将来、いま御指摘のような問題があり得ないとは限らぬわけでございますので、その点十分の注意を払っていきたいと思います。とりわけいま香港だとか、あるいは周辺の後進国と日本との関係、それからアメリカを通じての三角関係、そういった関係については、特に実態に即してわが国が不利な立場に立たないように、政府として十分注意をしてまいるつもりでございます。
#146
○鈴木一弘君 いま一つ、この特恵の問題でいわゆる多国籍企業があります。アメリカなり、あるいは大きな国のそこの企業からじかにその国から輸入をしたときには、日本の特恵を供与している相手国でないから心配はないと思いますけれども、そうでない場合があります。日本が特恵を供与している国から品物が入ってくる、しかし、それができている製造元は多国籍企業が握っている、こういう例もないわけじゃないと思うんですけれども、これはどうしても国内業者の圧迫ということに私はなるだろうと思います。そういう例があれば言ってほしいし、またどんなふうになっているのか、ちょっと聞かしていただきたいのですが。
#147
○政府委員(吉田冨士雄君) ただいま先生の御指摘の点は、実は、特恵制度を始めますときにいろいろ議論がございまして、結果的には、その原産地自身でどの程度できたかという点がポイントだと思います。もしそれが、かなりの部分原産地――発展途上国でできたならば、それはやはり客観的にそのできました特恵受益国の非常に利益になるわけでございます。そちらの方の、開発途上国の輸出拡大とか工業化促進ということになるわけでございます。したがいまして、原産地規則をどこまでしぼるかという点が、UNCTADあるいはOFCDでいろいろ議論になったわけでございまして、現在の基本的な考え方といたしましては、二つのメルクマールをはめております。一つは、受益国で完全に生産された物品であること、それは当然でございまして、原始的に採取された鉱産物とか動植物、あるいはこれらのものをその国で加工したもの、これは当然でございます。二番目が問題になったわけですが、原材料に輸入品が含まれている場合に、実質的な加工を受益国で行った物品はよろしい、原産地で。その実質的な加工をどこで判断するかということでございますが、これは原則といたしましてブリュッセルの譲許表のBTNの税表分類の番号が変化するような――あれは四けたでずっと品目が分けてございます。それがある項目からある項目にかわるようなそういう加工であったならば、これは実質的な加工である、幾ら加工してもその項目からかわらないようなものであれば、それは加工でないということで、各国で合意がございまして、日本もその線に沿いまして、諸法の整備をいたしまして実施しているわけでございます。
#148
○鈴木一弘君 たとえば銅の製錬をされた品物、あるいは銑鉄、こういうのもありますね。その場合に、アメリカの鉱山で製錬したのを持ってくる場合と、コンゴなどのような、こちらが特恵を与えているようなところから持ってくる場合と、同じ会社で生産されても一方は特恵に入るわけでしょう、そうすると。
#149
○政府委員(吉田冨士雄君) たとえばアフリカの方の特恵受益国で鉱石を掘りまして、それを電気銅まで持っていくという場合には、当然特恵の対象になる、つまり電気銅と、銅の鉱石というのはBTNが、項目が違っておりますので、そういう特恵の対象になるということで取り扱っております。
#150
○鈴木一弘君 そういう点で、これはだんだん著しくなれば、多国籍企業に日本の企業もならざるを得ないだろうとぼくは思うんですよ。これからいろいろ海外へ私企業が進出をして製造をする、原材料も何もかもそこで取り出して、そこで製造をして、原地の工場でやるということが起きてくる、それが今度は逆に、日本の国内の産業を圧迫する、自分で自分の首を締めるようなことも本当を言えば考えられるだろうということですね、その点が私は非常に、これから先そんなふうな小さな物の考え方じゃいけないと。世界じゅうという一つの枠の中で物を考えればいいだろうと言われるのはよくわかるんです、そういうふうにもなるかもしれませんけれども、そういう点のこれからのいわゆる全世界の多国籍企業というものについての考え方、これはわが国としても本当に固めていかなくちゃいけないように思うんですけれども、いかがでございましょうか、お考えを伺いたいんですよ。
#151
○政府委員(吉田冨士雄君) 多国籍企業自体のあり方の問題になりますと、かなり広くて関税局長の範囲を超えるかと思いますけれども、少なくとも私どもの存じてますんですと、OECDあるいは国連でかなり長い期間かかって多国籍企業のあり方についていろいろ御検討もいただき御議論もいただいているわけでございますけれども、その範囲内で、多国籍企業としてもやはりリーズナブルな行動をとってほしいという線がたしか出ていたと思いますが、それはそれであるべきだと思います。しかし、少なくとも特恵の問題につきますと、ただいま先生のお話のように、何と申しましても原産地規制においてある程度抑えると。それでやる限りにつきましては、発展途上国、その多国籍企業が進出しています発展途上国の輸出とか、あるいは経済成長とか、あるいは国際収支の改善というものにプラスになっていることは事実でございますので、原産地規則自身の運用によりましてその辺は弊害が防げるものと考えております。
#152
○鈴木一弘君 時間がないのであれですけれども、アフリカのような、まあ開発途上国の中でもまだおくれているところと、韓国、台湾のようなところと、同じ特恵を与えるにしても大分違いがある。そういう点、やはりいろいろ物を考えていかなければならないところにもう来ていると思うのですけれども、大臣、御所見はいかがですか。
#153
○政府委員(吉田冨士雄君) おっしゃいますように、発展途上国と申しましてもいろんな種類のいろんな進歩の程度があると思います。したがいまして、そこにはおのずから、先ほど申しましたように、香港のようなケースになりますと、いろいろ国際的にもどうするかと、中進的な発展途上国ということになりますと、いろいろ問題があるわけですが、日本のプロパーの立場から考えてみますと、何と申しましても、やはり先ほど御指摘の、韓国であるとか、あるいは台湾であるとか香港というものにつきましては、日本としましては輸出の方は多くて輸入の方が少ない。したがいまして、彼らサイドから見ましたならば、それぞれ年間で十億ドルぐらいの赤字であるという立場にございますので、そういうような総合的な国際収支というものも考えながら特恵のあり方も考えていかなければならないと思います。
 さらに、特定の国から非常にどっと入ってくるということの問題もございますので、先ほど申しましたように二分の一の頭打ちというようなこともございますが、そういう特恵のシステム自身につきましては、新ラウンドにおきましてさらにもう少しいろいろ細かく議論をしていきたいと考えております。
#154
○国務大臣(大平正芳君) 特恵制度といたしましては、画一的に取り扱わざるを得ないわけでございますが、いまのフレームの中で日本とその個性的な関係を配慮しながら、われわれは適実な措置を誤らないようにしなけりゃならぬと考えております。とりわけいま御指摘の、多国籍企業という、かつていままでなかったような企業形態が現出してきまして、各国ともこれをどのように取り仕切ったらいいか苦悶しておりますし、国際機関も全くこの鬼っ子の処理には困っておる状況なんでございまして、これにつきましては、御指摘のように日本政府としても、OECDがどういうように決めるか、その他の国際機関がどういう取り決めの仕方を考えるかということも大事でございますけれども、わが国自体といたしましても、どのようにこれに取り組んでまいりますか、外交面におきましても内政面におきましても、彫り深く考えていかなければならない課題であると考えております。
#155
○鈴木一弘君 先ほど原重油関税の問題がございました。こういう原料に関税をかけるというのは余りほかの国には見られないわけです。日本の場合も、原料にはかけないで、製品にかけるというのがいままで多かったわけですけれども、それがこういうように非常に原料にかける、このやり方が私は、一つは、もしいままでのような石炭政策のためとか、石油の開発のためとかということだけの目的だとすれば、もうぼつぼつ変えなければいけないんじゃないかと。ヨーロッパでもこういうのはありませんし。もう一つは、いわゆる石油の消費を抑えようという省資源的な、省エネルギー的な考え方であるならば、やはり税としてでなく、アメリカがやろうとしていろいろ言われておりました、例のフォード大統領も言ったような課徴金制度みたいなものでもいいんじゃないか。私は逆に、関税をかけるといっても、日本の場合に、石油を製造をしていません、発掘ですか、ほとんどございません。九九%以上外国輸入ということは関税障壁にもならないし、何のためにやっているのかといえば、ただ石炭の保護のためということだけであれば、関税という扱いじゃない方がいいんじゃないか。むしろ、開発等に向けるとしても、関税にしてそれで向けるというより、やはり一定の目的を持った課徴金をつけてそうして回すとかした方が本当の政策目的としてはいいんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでございますか。
#156
○政府委員(吉田冨士雄君) 原重油関税につきましては、先生御案内のようにいろいろ昔から経緯がございまして、最初三十年に二%の関税をかけて以来、三十五年にそれが六%、また三十六年には実効税率三百二十円、三十七年五百三十円、それが三十八年に六百四十円になりまして、しかも、主として、先生が御指摘のように、石炭対策の財源といたしましてずっとやってきたわけでございます。関税率審議会におきましても、先生の御意見のような、エネルギーには関税としてかけるべきではないという御議論もございますし、それからまた、石炭対策としてのいろいろなこれまでの経緯があったんだから、やはり現在石炭対策自身が石油危機以来日本のエネルギーにおきましてどういう地位を持つかということをもう少し見きわめてから石油関税については議論した方がいいんじゃないかという議論がございまして、後者の方の議論が強くて、現在はもう一年、具体的に申しますと石炭鉱業審議会の諮問が去年の十月にございまして、一体現在の総合エネルギーの中における石炭の地位はどうかということの諮問がございますので、その答申を見た上で議論してみようということで、一年間延長ということで関税率審議会の御議論がまとまった次第でございます。私どもはその答申に従って今回一年の延長をお願いするわけでございます。
#157
○鈴木一弘君 この課徴金問題は関税局長じゃ無理だと思うのですが、その点はいかがお考えですか。
#158
○国務大臣(大平正芳君) 発生の経緯から言うと、石炭対策の財源として原油に関税をかけていくということからきたわけでございますが、したがってまた、石炭対策というものを終局的にどうしていくかということがまだ踏ん切りがつきませんので、いま最終結論をまだ決めるのは時期尚早じゃないかというような考え方のようでございますけれども、とりあえず、その間、石油危機が出てまいりましたし、環境の汚染その他の問題が出てまいりまして、世の中では、やっぱり資源の愛護、資源の活用、利用ということは非常に別な角度からこれは大問題になってまいったわけでございまして、したがって、アメリカのような資源が豊富な国におきましても、資源愛護の見地から増税というようなことを考えておるようでございまするし、それを増税というか、課徴金というか、あなたの言われる一つの課徴金とか税とかいうような姿においてその目的を達する、その資源を愛護する、節約するための手段としてそういう方法を選ぼうじゃないかというような考え方も出てきておるわけでございまして、とりわけ日本においてはもっと切実にそれを考えなきゃいかぬのじゃないかと思うわけでございまして、それを税金の姿にするか課徴金の姿にするかということは、政府においてまだ突っ込んで議論をしたこともございませんが、御指摘もございますので、なお私ども検討さしていただきたいと思います。ただ、財政当局としては、先ほど大塚先生にも申し上げたわけでございますけれども、いろんな直接間接の財源として、油に一兆円余りは、われわれの財政は中央、地方を通じて依存いたしておるわけでございまして、この現実は大変重いわけでございまして、これから自由になろうとしてもなかなか私は手軽に自由になることはできないと思うのでございまして、どのように改善していくにいたしましても、現状を基礎にいたしまして徐々にやってまいることをしていただかないといけないのではないか、そういう感じをいたしておりますことをつけ加えさしていただきます。
#159
○委員長(桧垣徳太郎君) 政府側は申し上げます。近藤委員の質疑に入りますが、政府委員及び説明員の数が相当多数に上りますので、委員長において指名に難渋を来すおそれがありますから、発言の場合は何省の何々課長等と呼んで挙手を願うようにお願いします。
#160
○近藤忠孝君 今回の関税暫定措置法の改正案、この中でプラスチック製スキーぐつを革に合わせまして二七%引き上げるということは、これは奈良県の業者の要求に沿うものでございます。しかし問題は、これだけの措置でスキーぐつ業者の経営難をどれほど救うことができるのだろうか、このことを最初にお聞きしたいのです。と申しますのは、たとえば輸入の状況ですが、四十五年には国産品が七九%に対して輸入が二一%、ところがだんだん輸入がふえまして、四十九年には国産四五%に対して輸入が五五%、逆転いたしました。今後ますますこの傾向はあると思うのですが、今回の関税率の引き上げによって五十年度はどうなるのか、その割合が。その辺についての見通しをまずお聞かせ願います。
#161
○政府委員(吉田冨士雄君) プラスチックのスキーぐつにつきましては、先生御案内のように、最近非常に輸入が増加をいたしてまいりまして、半分を割るというような非常に異例なケースになってきたわけでございます。当初は、まだスキーぐつはプラスチックよりはむしろ革でございました。それがだんだんプラスチック成形ということで技術が進歩してまいりました。それでも四十五年には生産が三十二万足に対しまして輸入が八万足程度でございましたが、四十九年では、これは見込みでございますが、生産が三十一万五千に対しまして輸入が三十八万六千、輸入の方が多くなってきたわけでございます。そこでただいま先生も御指摘のように、一〇%を革と同じように二七%に引き上げたい、ただこれはあくまでも譲許税率でございますので、現在、これまでジュネーブで関係の国といろいろ交渉してきたわけでございます。一番多いのはイタリアでございまして、それからフランス、それから豪州、スイス、その他ございますが、大体ECグループが一番多うございまして、ECグループといろいろ折衝いたしまして、かなりきつい代償交渉をいたしまして、その結果最近妥結いたしまして、現在細かい詰めに入っているという段階でございます。
 先生の御指摘のこの関税だけで一体どの程度の見込みかということでございますが、私どもといたしましては、これはスキーぐつだけじゃございませんが、すべてのこういうものにつきまして、こういう問題につきましては、できたならばいろいろな総合的な政策をしてほしい、その一環として、ぎりぎりの場合には、たとえばこのように輸入の方が半分以上になったというような場合には関税の方も代償交渉等も踏み切ったわけでございますが、基本は何と申しましてもやはり近代化計画と申しますか、そういう近代化計画の方でやっていって、それに関税が補助的にやっていくというかっこうにしなきゃならないだろう、これは今回お願いいたしておりますパイナップルにつきましても、冷凍パインにつきましても同じような考えでございます。
 そこで、後で通産省の方から詳しく御説明があると思いますけれども、近代化計画として私どもが承知しておりますのは、五十年から五十四年度、五年間につきまして何と申しましてもその一体成形の機械自身がイタリアの方がかなり進んでいるようでございますので、これを日本も輸入しまして、それを現在三十四社ございますが、これを四グループに集中してやっていきたい、そしていろいろ資金等の活用をいたしまして総合的な近代化計画をやってほしいというぐあいに考えております。一応そのめどは五年間ということにいたしました。五年間だけ暫定的な税率の引き上げをお願いしているというのが私どもの立場でございます。
#162
○近藤忠孝君 いま一体整形化ですね、この点が外国に比べて大変劣るところだ、しかし、そのためには約一億円かかるだろうと言われております。そうしますと、これは通産省にお伺いしたいのですけれども、一億円の設備を投資して、かつその上でまた競争が成り立つのかどうか、その辺の見通しをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#163
○説明員(黒田真君) 先生御指摘のように、一体整形の新しい機械というものは一億円あるいはその他の関連投資を入れますともっと大きな投資があると思うのですが、私ども考えておりますのは、今の関税引き上げをお願いいたしまして、他方、関税局長からもお話がございましたように、業界の協業化というようなことで、奈良県等とも十分連絡をとり、その指導もあって合理化ということに全力を挙げておりますので、こういった近代化組織によって、私どもとしてはスキーぐつ業界というものが国際的に競争し得るようにということを期待しておるというのが現在の状況でございます。
#164
○近藤忠孝君 今回の措置はそれなりに要求に沿ったものなんですけれども、まだまだ業者は現場で聞いてみますといろいろな不安を持っておりますし、まだもっと強い要望があるようです。ですから、関税の引き上げという一つの措置をとりましたけれども、これはいま局長の言われたとおり、総合的な対策としてさらにこの施策を進めていただきたいと思います。
 同じ問題はやはり冷凍パイナップルの問題にもかかると思うのです。これも沖繩県の業者の要求に沿ったものでありますけれども、今回の状況によって五十年度産かん詰めばどういう方向に進むだろう、この辺の見通しを御説明いただきたいと思います。
#165
○政府委員(吉田冨士雄君) 冷凍パインにつきましては、沖繩のパイナップルのかん詰めと、それから冷凍パインとの競合関係で問題が起こってきたわけでございまして、先生御案内のように、当初これは四十六年の六月に自由化されましたときには、むしろパイナップルかん詰めへの競合ということは非常に少ないであろう、むしろジュースとかそういう方向に使えるだろうということで、自由化に踏み切ったわけでございますが、だんだんとやはり内地の果物のかん詰め製造業者がこれでパイナップルかん詰めをつくりまして、その結果、現在では非常に沖繩のパイナップルかん詰めが困っているというかっこうになっておりまして、数字で申しますと、沖繩産のかん詰めが百七十万ケース生産されておりまして、輸入が百二十五万ケースございますが、冷凍パインは六十万ケースございまして、結果的に七十八万ケースが現在滞貨となっておる。しかもこれは、その滞貨を調べてみましたならば大部分が沖繩産のかん詰めであるということになりまして、したがいまして、現在の二〇%の税率を三五%に引き上げるという改正をお願いしているわけでございます。で、この場合にも、私どもといたしましてはやはりいろいろな対策の一環としてしかとても関税は御協力できないということでございまして、まず、パイナップルの緊急対策として三つほど考えて実施しているわけでございます。
 一つは、冷凍パイナップルでつくったかん詰めであるという原料の表示をやるということで、これは去年の十二月から実施しております。
 それからもう一つは、やはり冷凍パイナップルのかん詰めをJAS規格の検定を受けるように受検をこれは指導しているわけでございます。
 さらに、一番問題になっております輸入のパイナップルかん詰め、これは台湾とかアメリカから入ってくるものが多いわけですが、これの四十九年の下期の割り当ての発券を見合わせるという措置をとりました。
 それから三番目には、沖繩のパイナップルかん詰めの滞貨につきましての緊急融資を十二億ほどいたしました。
 そういうような緊急的な措置と同時に、さらに沖繩のパイナップル産業の少し長期的な合理化の対策もいろいろと農林省の方で検討していただいているわけでございます。
 その第一は、やはり生産の合理化でございまして、これは果樹農業振興特別措置法によりまして、栽培の省力化、あるいは優秀な種苗の増殖ということを図っていただく。
 それから二番目には、パイナップルかん詰め自身の生産の合理化をお願いしておりまして、中小企業近代化促進法によりまして設備近代化等をやってほしいということで、現在沖繩県のパイナップルの工業組合を中心といたしましていろいろ企業再編成の方の御相談もやっていただいているわけでございます。
 これによりまして現在の沖繩のパイナップルのかん詰めの置かれている非常に苦しい立場が少しでも救える方向へ持っていきたいということで、かん詰めもその一環といたしまして改正をお願いしているわけでございます。
#166
○近藤忠孝君 いま滞貨は百七十万と言いましたか。
#167
○政府委員(吉田冨士雄君) いや、七十八万です。
#168
○近藤忠孝君 七十八万ですか。
 日本缶詰協会に問い合わせましたところ、沖繩で百二十万ケース、それから本土に七十万ケース、合計百九十万ケースという状況で、相当深刻な状況のようです。ですから、一層の対策が必要だと思いますが、同時に、これまた国内で申しますと、静岡県を中心とするかん詰め業者の利害とも必ずしも一致しないという問題があるんですね。この辺を総合的にどう考えておられるのか。
#169
○政府委員(吉田冨士雄君) この七十八万ケースというのは、一応私どもが少し前に推定しました四十九年度末の数字でございますが、ただいま農林省のお話ですと百二十万ぐらいだとか、いろいろ数字は若干とにかくふえていることは確かでございます。
 それから第二点でございますが、国内のかん詰め業者の方とある程度利害はこの点では反するわけでございます。これにつきましてはこれが実施に至りますまでに関税率審議会等でもいろいろその点御議論があったわけでございます。片方では沖繩のパイナップルのかん詰め業者の方はとても三五%では低い、少なくとも、現在パイナップルかん詰め自身は五五%になっておりますので、五五まで引き上げるべきだという議論が片方でございました。片方では、いまおっしゃいますような国内のかん詰め業者の方々の問題あるいはこれでジュースをつくっている方々の問題等がございまして、実は関税率審議会でもその点両方の御議論もいろいろ御披露しまして御検討いただきましたが、やはり両方の中をとりまして、現在、加糖の冷凍パインの本来の税率は三五%であるので、この辺が一応両方のバランス上妥当なところではないかというのが、関税率審議会の御意見でございまして、その御答申に沿いまして私どもは改正をお願いしているわけでございます。
#170
○近藤忠孝君 時間がないのでその程度にして、次の問題に入りますが、先ほどもお話のありました大島つむぎの問題です。
 先ほどの答弁では、必ずしも輸入の状況の数量を的確に把握できないと、こういう状況のようですが、その数量を確実に把握するためには、それからもう一つは、原産地表示をチェックするためにも、統計品目番号の六五三−一一九、それから税表番号では五〇−〇九−二、この「絹織物」に入っておりますが、このつむぎを分離して、統計上もまた関税上も、直ちにそれを明確につかむ、こういうことが必要かと思うのですが、まず対策の一番根本として、第一歩としてどうでしょうか。
#171
○政府委員(吉田冨士雄君) 大島つむぎというのは、なかなか、税関を通るときにこれが大島つむぎであるということの認定が非常にむずかしいもののようでございます。私も素人でございますが、いろいろ勉強してみましたところ、本来の大島つむぎというのは、まず色が、大島で取れます木の根っこをもとにいたしまして、それをどろに入れましてどろ染めということで染める。それから、つむぎでございますので、糸自身は、本来はつむぎ糸を使っていなければならない。しかし、これは、現在はすべて普通の生糸でございます。それから、先ほど申しました色につきましても、大島染め、どろ染めというものは非常に工賃が、つくるのが高いものでございますから、また一般の人が、それだけだと非常に古いスタイルになりますので、最近は非常にいろいろな色ができておりまして、非常にカラフルで、なかなか、これが大島つむぎの色であるということが非常に判定しにくい。特に最近は化学染料を使っておりまして、本来の大島つむぎ的なものをなかなか使わない。それからもう一つ、大島つむぎの特徴としましては、いわゆる亀甲かすりと言って、縦糸と横糸で亀甲にかすりをやっていくようでございます。ところが、いわゆる最近の大島つむぎ、特に韓国から入ってきますものは、そういう亀甲柄がなかなかつくれない。亀甲柄をつくるにつきましては、縦糸に非常に特殊な糸をたくさん使わなければいけませんのですが、それは非常にコストがかかるので、いわゆる亀甲ではなくて、亀甲までいかなくて、いわゆる普通の、簡単なかすりとか、あるいは蚊かすりというようなものを使っているようでございます。
 それからもう一つ、それでは大島つむぎの一番の特徴はどこか。これは伝産法では書いてあるのですが、伝産法ですと、あれは製造工程で物事を押さえますので、もとのかすり糸をつくりますときに、織り締めという、一遍織りまして、それを締めて、それに今度は色へつけまして、まだらな糸をつくるというかっこうでやるようでございます。ところが、これが、できたものが織り締めであるかどうかというのは製造工程の問題でして、税関では出てきた製品についての分析等はできますけれども、果たしてそれがどういうプロセスでできてきたかということはなかなかわからないというようなことのようでございます。大島つむぎに似ていますものとして村山つむぎだとか、あるいは十日町つむぎだとか、十日町大島だとか、大島と名のつくものでも非常に全国に多くあるようでございますが、そこにいろいろの区別がある。したがいまして、税関でこれが大島つむぎであるということを正確に認定することは、非常に、技術的にまず不可能ではないかというようなことだと思います。
 したがいまして、現在、おっしゃいますように、関税分類といたしましても、ある程度の分類まではやろうと思えばできますけれども、これが大島つむぎ、これが村山つむぎ、これが十日町つむぎであるというようなことはまずとても不可能である。まあ考えられますのは、一定の先染めで、それで一定の幅のものはどうかと。しかし、そうしますと、羽二重、あるいはいろいろなものも、ほかのものも入ってまいります。お召しとか、そういうものも入ってまいりますので、本来の統計の分類から見ると少し違ってくるのではないか。現在いろいろ統計がございますのは、先ほど通産省からお話がありましたように、インボイス、向こうからの送り状に「大島つむぎ」と書いてあるものだけを通産省で審査をいたしますとこれくらいになるというのですが、果たして、その「大島つむぎ」と書いてあるものだけが、大島つむぎであるということで入ってきているのか、あるいは「大島つむぎ」と書いてあっても、正確に言えば大島つむぎであるのかということは、技術的に非常にむずかしいようでございます。
 そういう問題はございますけれども、基本的に繊維の統計につきましては、関税の統計につきましては、現在四百四十五分類がございます。これはほかのものに比べまして非常に多いわけでございまして、機械類が四百五十くらいで一番多く、その次は繊維でございますが、繊維は全体の輸入品に占める割合は六%ぐらいなんですが、その四百四十五というのは全体のシェアの中で一〇%くらいになる。しかし、昨今、非常に繊維問題が私どもとしても注目しておるところでございますので、できたならもう少し分類を細かくしてほしいという業界あるいは通産省から御要望がございますので、現在技術的に、そういうものを踏まえながらどこまで細分できるかということを検討中でございます。
#172
○近藤忠孝君 技術的な困難性はあっても、放置しておきますと結局、日本の業者をつぶしていくという、そういうことですので、この辺も前向きにお考えいただきたいと思います。
 この問題は、さらに、税率を引き上げるべきだという意見もありますし、最も強いのは輸入規制ですね。しかし、輸入規制については先ほどから大変むずかしいという話ばかり出ておるんですけれども、しかし、ガット十九条から見まして、こういうものは可能なんじゃないか。特に伝統的工芸品産業ですね、これについてはむしろそうすべきじゃなかろうか。アメリカでは国内法でさらにこのガット十九条を受けた規定があって、しばしば発効しておるんですが、むしろ日本では国内法として立法化すべきじゃなかろうか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
#173
○政府委員(吉田冨士雄君) ガット十九条は緊急関税でございまして、その中の内容としては関税率の引き下げと、また輸入割り当てでございますが、そのうちの緊急関税によって関税の引き上げというものについては現在立法はされておるわけでございます。ただ、これにつきましては、先ほど来お話しのように、一つは、特定の国だけ差別的にはできない、代償は非常にたくさん要ると、それから輸入急増というファクターについては、少なくとも大島つむぎ自身としてはわからないんですが、ある程度先ほど先生のおっしゃいましたある分類の生糸というところにおきましては、最近は輸入がむしろ減ってきているというようなかっこうになっておりますので、私どもといたしましては、一般的に発動するのはいろいろ問題があるのではないかと思っております。したがいましてできるだけ二国間の話し合いで自主的にやってほしいということで、通産省の方にお願いしているわけでございます。
#174
○説明員(黒田真君) 御指摘のように、大島つむぎは非常な伝統産業でございますが、これを輸入品の急増によっていろいろな被害が出ておるではないかというような問題私どもも十二分に承知しておるわけでございます。ただ伝統産業であるゆえに輸入規制ができるかという点につきましては、私どもはまず伝統的工芸品産業というものは、もちろんこれを振興するということでございますが、昨年の国会で与野党一致しておつくりいただきました伝統産業振興法という法律に基づきまして現在逐次品目の指定を行い、さらに振興計画等をつくらせまして、国内的に自分たちが伝統工芸品であるということを表示の面等からもはっきりさせ、また振興計画等を通じて国もできるだけの応援をするということがまず第一義だと思っております。もちろん、しかし輸入面での対策をおろそかにしておるわけではございませんでして、この場合は関係国、すなわち韓国に外交官が参りまして突っ込んだ話し合いをし、さらに進めていくということようなことで対処していきたいと、こう考えております。
#175
○近藤忠孝君 この伝統的工芸品がいまもう大変な状況にあるということ、この大島つむぎだけじゃなくて、これから申し上げる井波の木彫りの問題も全く同様なんですね。そういう状況を反映してだと思いますけれども、これは三月二十九日の日経新聞によりますと、自由民主党もこれに対する改正案綱をつくったと、その中には、伝統的工芸品産業が重大な損害を受け、または受けるおそれがある場合においては、政府は当該事態を克服するために必要な措置を講ずることができる、これは輸入の点で、輸入の項でこれ規定しておりますからね。自民党でもと言っちゃまことに失礼ですけれども、自由民主党でもこれは考えておられる。ですから、その政府である大平さんですね、お考えになってもよろしいんじゃないか。と同時に、私どもの党も同じ日に、これはもう断固規制すべきだと、こういう要綱を発表しておるんですね。まさに一致しておるんですけれども、この辺でいかがでしょうか。
#176
○政府委員(吉田冨士雄君) 自民党の方の改正案というのも私ども新聞で拝見いたしましたが、その主体はむしろ表示の問題でございまして、表示につきまして日本における輸入業者が表示をきちっとつけるという点が中心のようでございます。後は、緊急関税その他につきましてはそれぞれの法律があるわけでございますが、それを注的に書いておられるということで、どちらかというとアクセントは表示義務という点にあるように了解しております。
#177
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#178
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
#179
○近藤忠孝君 大臣、この自民党の改正案の十条の二、もちろん全体には表示の問題がある程度中心ですけれども、ここに規定していますね。ということは、やはり積極的にそういう方向を打ち出したんだろうというぐあいに考えるわけです。
 そこで、大変困難な状況にある一つの例として井波の木彫、これは木彫りですが、二百年間の伝統を持つ大変すぐれたものです。しかし、これが具体的にはいま台湾からもうたくさん入ってきている、とてもこれが存立がまさに危ぶまれています。しかも、それが方々で展示会などをやりまして「井波調欄間」と、こう書いてあるわけですね。こうなりますと、ともかくこの伝統ある井波の木彫りということとどうしてもこれは間違える。で、地元ではこれに対して大変大問題だということで、県に、これは不当表示じゃないかと言いましたところ、県の見解としては、不当表示に当たらぬと、こういう判断が出ている。そういう中で大変困難な状況にありますけれども、公正取引委員会、この点はいかが考えるのか、御答弁いただきたいと思います。
#180
○説明員(河村穣君) その台湾産のものに国産であるかのような、たとえば「井波調欄間」でございますか、そういう表示をしておるということでございますと、これは商品の原産国に関する不当な表示ということで、私どもの方で告示を出しておるわけでございますが、その告示の規定に該当しまして景品表示法四条に違反する疑いがございます。私どもといたしましては、関係自治体と協力いたしまして、実態を調査した上で適正な措置をとりたいと、このように考えます。
#181
○近藤忠孝君 これは四十八年十月三日付の県民課長の文書によりますと、これは該当しないという回答書がございますので、ひとつその面でしっかり御指導いただきたいと思います。
 そこで、本当はきようこの担当課長においでいただいてこの状況を説明してもらおうと思ったんですが、あいにくこれが伝統工芸品に指定するための審議会に出ていまして、そこで指定すべきだという立場からの意見を述べているために出られないんです。そこまで来ておる大変貴重なものなんですが、これについていま、一つは表示の問題がありますけれども、これこそまさに先ほども問題にしております輸入規制しませんと、もう値段からしますと半分ぐらいになっちゃうんですね、とても太刀打ちできない。そうして本当に伝統を守ってきた人々、しかも、この伝統を引き継ぐために後継者の育成に一生懸命やっておりまして、その技術を一定の水準に保つために国家試験まで置こうかと、これほど一生懸命やっているこの人たちを本当に守り抜くために、いままさに輸入規制をしないと本当に生き抜けない、こういう事態があるときに一体これどう考えていますか、御答弁いただきたいと思います。
#182
○政府委員(吉田冨士雄君) 井波欄間につきましては、なかなかこれはやはりおっしゃいますように抜術的に非常にむずかしい、非常に伝統的な技術が要る欄間のようでございます。ところが、最初十年ほど前に日本から台湾に木材を買い付けに行かれた業者の方が、非常に台湾の木彫りの技術がよろしいということで、向こうの方に技術指導をされて、それでいろいろ向こうから輸入をしている。で、現実、七、八年前から完成品が入ってきているという状況でございままして、むしろこちらの方の方が向こうで技術指導をしたというかっこうにあるわけでございます。それでわれわれとしては台湾欄間と呼んでおりますが、台湾欄間は井波欄間に比べまして、やはり少し彫りが粗くて値段も安うございますが、製品といたしましても、いろんなところでやはりそれなりの欠陥があるようでございますが、それにいたしましても、ただいまおっしゃいますように、それを井波欄間自身として国内で販売しているというものについては、当然公取の方の御対象になるかと思います。
 それからいまお話しの、さらに緊急関税あるいは輸入割り当てというお話しでございますが、この欄間自身、欄間として私どもとしてはやはり数量的には押さえておりませんで、建築用木工品及び建築建具ということで押さえてございますが、このグループで見ますと、確かに四十八年は大体三倍に輸入量がふえてきている、全世界。ところが、四十九年はいろいろな引き締め等によりまして、全体では八割に――二割ほど対前年度で減ってきている、やはり四十八年に非常にブームになりまして、最近は月ごとに見ますとさらにひどいわけでございますが、この六月から八月が対前年度で六割、十月から十二月が四割というぐあいに――これは数量でございますが、落ちてきている状況でございます。したがいまして、ちょっと、緊急関税の問題としては、対象として現在は適当でないと考えておりますが、やはり基本的には国内のそういう不当表示を取り締まる問題と、それから後、さらに必要があれば台湾の方とやはりいろいろ話し合いをするべき問題だと思いますが、おそらく台湾のサイドとしては、最初は日本からいろいろ御指導いただいて、日本の方が来ていろいろ教えていただいたと、それでわれわれとしては日本にお送りしたというような話もあるかもしれません。そういう話も十分によく聞きながら、日本の実情を訴えて話し合いを進めていくというのが本来のあり方じゃないかと思います。
#183
○近藤忠孝君 この問題、通産省でもまだ全体の実態をそれほど正確につかんでいないようでありますし、それから台湾の方で実際どうなっておるのか、今後どういう動向であるのか、そのこともわかっていないようです。ですから、これは通産省の方に要望いたしますけれども、こういう実態の、それは個々の業者はとてもそれを調べるだけの力はないわけですから、実際台湾の方へでも調査に行って、その辺の見通しとか、今後の問題点についても十分把握され、かつ対処されるように要望したいと思うんです。
 時間の関係で、あと一つ国税庁の方に、先週の金曜日の残った問題がございますので、それについての質問をしたいと思います。
 先日は、奈良の例で、個々の源泉徴収義務者番号、これが明らかにされておる、だから、それとの関係で、田中角榮さんのも示してもらってもよろしいんじゃないか、こういったことを申し上げたんですが、答弁を保留されておりますので、御答弁いただきたいと思います。
#184
○政府委員(磯辺律男君) まず、先週の金曜日に、先生の方から御質問ございました奈良税務指導連絡協議会、この実態、私たちも先生の御指摘を受けまして、いろいろと調べてみたわけでございますけれども、客観的に判断いたしまして、やはり税務署の非常に熱心な熱意は認められるけれども、やはり若干行き過ぎがあるという誤解を受けるおそれがあるというのは、これは私、国税庁といたしまして、率直に認めたいと思います。
 まず、その点を申し上げまして、それからそのときに、年末調整、それの説明会に対する招待状、御案内状でございますが、そこに源泉徴収義務者番号が打ってあるわけでございますけれども、これは私たちがいろいろと内部で事務を整理いたしますときに、それぞれ納税者ごと、あるいはそういった源泉徴収義務者ごと、あるいは法人ごとに番号というのを打っておりまして、これは決していろいろと心配されるような問題ではなくて、単に名前と、それから名字、それを組み合わせまして一つの番号をつくりまして、内部の索引に便利なようにつくっているわけでございます。これは源泉徴収義務者だけではなくて、たとえば先生御承知と思いますけれども、確定申告書を納税者の方にお送りいたしますときに、そこの横にもナンバーが打ってございます。これによって申告書の提出が出たかどうかということを整理するために、内部のチェック資料として使う、あるいは源泉徴収義務者に対しまして、年末調整のいろいろと説明会をいたしますときに、御出席になったかどうかということをチェックする、そういったためのものでございまして、決してこれは外部的に、だれの番号が何番であるということを秘密にするといったような筋合いのものではございませんけれども、これは単に内部事務の整理のため、それから納税者との、国税庁との、あるいは税務署との間の往復文書のときに使う、そういった番号でございますので、広く一般にだれの納税者番号、あるいは整理番号が何番であるかといったようなことを公表すべきものでもないというふうに考えております。したがいまして、先生せっかくのそういった御要望でございますけれども、田中角榮氏の納税番号が何番であるかということを、ここで公表いたすのもいかがかと思いますので、答弁は御遠慮さしていただきたい、かように考えております。
#185
○近藤忠孝君 私が金曜日に指摘したのは、そういう内部上の整理の番号、要するに税務署しかわからない番号が、これは少なくともこの協力団体、外部団体ですね、その外部団体のはがきとして出されている、だから受け取る側は、これはやっぱり税務署ともう本当にツーツーだと、そうしてしかもその団体に入っておりや、何年か経つと、今度は無調査になる可能性があるということになりますと、いわば加入を強制するようなものじゃなかろうかということを申し上げたんです。ですから、そういう内部的なものが、どういう理由であれ表へ示されている、これはそういう意味ではやはり権利侵害、一般納税者に対する権利侵害、差別扱いにつながるのだろうと、ですから、このように権利侵害しているんだったら、田中角榮さんのそれを出したっていいんじゃないか、田中角榮さんはもう一切の公示された所得以外には出さぬという、そんな固い態度をとってきたら国税庁としてもおかしいじゃないかと、こういったことを指摘したんですよ。だから、これをもし是認するんでしたら、それは角榮さんを出してもらわなきゃ困ります。どうですか。
#186
○政府委員(磯辺律男君) 最初に御答弁申し上げましたように、確かに奈良の税務指導連絡協議会、あそこの方から出しました御案内状、あそこにそういった整理番号を打っておったというのは、たとえ内部事務の整理のためだけとは言いましても、これは私は誤解を招くおそれがある、それそのものが直ちに内部の数字を出したといったようなことにならないにしろ、やはりそういった誤解を招くおそれがあるということ、これは私は率直に認めます。したがいまして、今後そういった行き過ぎのないように、これはむしろ是正すべきであると、かように考えますけれども、しかし、されば言って、一人一人の納税者の方の、あるいは個々の法人の番号を、何の何がしの番号はこういった番号ですよということを公表をするというのもいかがかと思いますので、むしろ私たちは、そういった外部に出します御案内状に対して、番号を使わないといったような方向で、この問題を処理いたしたいと、かように考えます。
#187
○近藤忠孝君 時間ですからこれで終わりますけれども、先ほど磯辺次長言われた奈良の問題で、まあ行き過ぎの点もあったと、その一部はいま言われましたので、それは了といたしますけれども、その他、どこに、どういう行き過ぎがあったのかは、これはまた別の機会にお聞かせいただきたいと思います。
#188
○栗林卓司君 租税三法の審議に関連しまして、税の執行に当たります税務職員の処遇の問題について御見解を伺いたいと思います。
 税務職員の処遇というと、二つあると思います。全体としてどう見ていくのかということと、もう一つは、長年努力した人たちをどう処遇していくのか。
 そこでまず、いま申し上げた二番目の、長年努力してこられた方々をどう処遇するかという点で、お伺いをしたいと思いますけれども、これは考えてみますと、いま申し上げている人たちだけの問題ではなくて、税務職員として働いている若い人たちは、先輩を横目で見ながら仕事をするわけですから、その方々をどう処遇するかということは、若い層の士気にもかかわりがありますし、その意味で、職場全体の士気の問題だとも言えると思います。
 そこで、よろしければ大臣に一つお尋ねをしたいと思いますが、長年努力をされた方々の願いというのは何なんだろうか、一つは、世間からも評価されたい、もう一つは、家族からも評価をされたい、恐らくこの二つではないんだろうか、働いている場所での評価とあわせて、世間からも評価されたいと思うし、家族からも評価されたいと思う、これを社会通念に従っていまの二つをかみ砕いてみますと、課長以上のポストにつきたいものだ、これはいわば職場を問わず長年努力をしてこられた方々の胸にある願いではなかろうかと思いますが、この点大臣いかがお考えですか。
#189
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりだと思います。
#190
○栗林卓司君 そこで問題なのは、これはもう十分御承知のことだと思いますけれども、税務職員の年齢構成を見ますと、四十歳以上の方が約二万六千名、これは全職員四万八千名のうちの五三%を超えるんです。なぜこうなったのかということは、なったなりの経緯はありますけれども、四十九年度の課長、統括官の数を数えますと三千六百八十あります。これに対していま四十歳以上と申し上げた数字とほとんど同じ方々が四十歳から五十歳代にこう並んでおられる。この問題をいま大臣も確かにそうですとおっしゃった。社会通念的な期待との見合いでどう解決をしていかれるのか。これは大臣からでも国税庁長官でもどちらからでも結構ですが、御所見を承りたいと思います。
#191
○政府委員(磯辺律男君) ただいま私たち税務職員の処遇の問題につきまして、非常に心強い御質問いただきまして、お励ましの言葉に対しまして、国税庁職員といたしまして心から感謝を申し上げます。
 御承知のように、いま国税庁職員の処遇の問題につきましては、いわゆる中ぶくれ層の職員、それに対する処遇の改善の問題というのが非常に大切なことでございまして、そのために私どもは毎年の予算要求、あるいは人事院に対します各種いわゆる水準差の問題、それから上位等級に格づけされるべき定員の拡大、そのような問題に関しまして主計局あるいは人事院御当局に対しまして、毎年お願いしているわけであります。
 で、そういった意味で私たち努力いたしておりますけれども、御承知のように、ただいま御指摘になりました四十歳以上の職員というものが全職員の五〇%を超えております。こういった職員といいますのは、戦後の混乱した税務行政というものを担って、りっぱにその務めを果たしてまいってきました優秀な人材の集団である、それからなおかつ現在におきましても、やはりそういった豊富な知識と経験を生かしまして、現在の税務の担い手になっておるわけであります。かたがたこういった苦労をいままでいたしました職員に対します処遇、それはわれわれとして十分考えなきゃいけない、そういった問題もあると同時に、今後これから伸びてくる若い職員の励みにもなると、その両面がございまして、その処遇問題について努力いたしておるわけでございますけれども、さしあたり、あるいは基本的に私たちが考えておりますことは、やはりそういったポストの増加、それから上位等級に格づけされるべき定員の増加、それから同時に、これは国税職員だけの願いにつながるかと思いますけれども、一般職の俸給表とそれから税務職の俸給表との間の格差といいますか、これをできるだけ広げて、税務職員の特殊な立場をやはりその給与面においても評価していただきたいと、こういうことが私たちの心からの念願でございます。
#192
○栗林卓司君 いまおっしゃいました一般職との給与水準の差をどうするか、これは後で全体をどう見るのかということでお尋ねをするつもりですけれども、このいまの話というのは努力をするということで、ある程度そうですかと伺って引き下がれる部分なんです。ところが、最初にお尋ねをしました長年努力をされた方々をどうしますかというのは、一年たてばみんな一つ年をとるし、十年たてば、ある人はやめざるを得ない、五年たてば――ということを考えますと、お答えの中に、いつまでにどのようにしてということをやっぱりおっしゃっていただかないと、しかも、これは従来からの課題ではございましたけれども、ここにきて四十歳以上の人が何と五〇%を超える。いまもお答えにありましたように、その原因というのは、昭和二十年から二十四年に四万二千名もの人を雇用した。したがって、年輩の人が中途で入ってきていま中だるみということでは決してないんです。ずっと御努力をされてきた方々なんです。しかも、全部課長につけますかといったら、それはどこの部署といえどもこれは首をひねらざるを得ない。何かひとつ知恵をしぼりながらこの層に対する特別な対策を、しかも、緊急に講じなければいけないんじゃないかと思いますので、改めていつまでにどのようにしてこの問題を解決されるか、お尋ねしたいと思います。
#193
○政府委員(磯辺律男君) ただいま御指摘ございましたが、その四十歳以上の、私たちが言いますいわゆる中高年層でございます、これが四十八年十一月一日現在で見ますと、ただいま申しましたような約五一%、この四十歳以上の年齢層といいますのが、これは自然にずっと上がっていくわけでございますけれども、五十二年四月一日現在におきますと、これが約四三%程度になる、それからさらに五十八年四月五日現在で見ますと、これが約二五%程度になるというふうなかっこうで、四十歳以上の年齢層の山がこれは逐次ずっと越えていくわけでございます。
 しかし、単にそういった四十歳以上の年齢層の山がだんだん後の方に下がっていくといったことを漫然と待っているというわけじゃ決してございませんで、国税庁の計画といたしましては、五年ないし六年計画で毎年この処遇というものを改善していく。
 で、現に五十年度、ただいま御審議をいただいております予算段階におきましては、ポストの増加ということをかなりいただきました。それから先ほど申しましたいわゆる上位等級に、特三等級以上に格づけされるべき等級の枠をいただきました。しかし、これは永久にそういった枠が続くというわけじゃございませんで、そういった四十歳以上の職員の年齢層というものは、だんだんまたいずれ下がっていく。それに従いまして、そのときにはまたお返ししていくというふうな前提でお借りしたわけでありますけれども、さしあたりそういった重点的な人事のポストなり上位等級の特別枠をいただくというのは、大体五年ないし六年、そういった程度をわれわれは計画いたしまして、年次計画的にそれを考えるというわけでございます。
#194
○栗林卓司君 そうすると、一つ具体的にお尋ねをするわけですけれども、たとえば四十八歳から五十一歳までの方が五千九百七名、これは四十九年一月十五日現在でいるという資料がございます。若干あるいは数字が違うのかもしれません。
 で、伺うのは、いまの五年計画を経過した後に、きょう現在四十八歳から五十一歳の方々五千九百七名が、結果としてどういうめんどうを見た形になるんでしょうか、仮にこの層だけを例示して取り出してみれば。お伺いしている意味は、このうちの何%ぐらいはおそらく課長以上についているでございましょう、何%ぐらいは新しく考案したこういった形でございましょうと、残りはどのくらいでしょうということは、五年とおっしゃるからには御計画をお持ちだと思いますけれども、いかがでしょうか。
#195
○政府委員(磯辺律男君) ちょっといまその計算の数字を持っていないので、適切、正確にお答えするということができず非常に申しわけございませんけれども、私たちは、単にラインとしての課長、係長あるいは統括官、所長といったような、そういったポストのほかに、いわゆる専門官と申しますか、相談官であるとかあるいは審判官であるとか審査官であるとか、そういった専門官の数をふやしていく。そうすることによって、ただいま御指摘がございました四十八歳から五十一歳までの五千九百七名の職員の方、その方たちを処遇していく。内部で言いますといわゆる指定官職という言葉を使っておりますけれども、そういったかっこうでやはり課長相当職以上のポストで、御退官になるときにはそのポストにつけると。できるだけたくさんの人がそういうようなポストに行けるといったようなことを目当てにいまやっておるわけでございます。
#196
○栗林卓司君 確認の意味でお尋ねしますけれども、いまのいろいろな専門官職を考えていきたいと、同時並行的に。ということは、いまお答えの中に課長相当以上ということがございましたけれども、これは給料表を適用する面でもそういったことで考えておりますということでございましょうか。またこれは人事院も関係することになる――これは大蔵省だけでいけるのか、もし人事院の方で、それはわが方の所管にかかわりがあるということでしたら、絡んで御所見を承りたいと思います。
#197
○政府委員(磯辺律男君) 御承知のように現在の等級というのは、職務俸のたてまえをとっておりますから、やはりポストが上がるということは、同時にそれに見合う職務給がつくということが前提でございます。したがいまして、ポストと同時にやはり上位等級、われわれは特三等級以上といっておりますけれども、特三等級以上に格づけされるべき定数というのをふやすと、その両々相まってその裏づけを持ちながら、そういったポストをふやしていくというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、ポストをふやすようにお願いをする。同時に上位等級に格づけされるべき級別定数の枠の増加もお願いするというようなことで、両方でやっております。
#198
○説明員(角野幸三郎君) 人事院からお答えいたします。
 税務職の等級別定数の関係でございますが、人事院に関係がございまして、まず、いま国税庁の方からお答えいただきましたように、ポストがふえます、ポストが新しくできますと、それを給料表上これを評価いたしまして、等級別定数を設定いたします。この等級別定数の設定につきましては毎年国税庁の方から実態説明ないし説明をいただきまして、それでその職務の複雑でありますとか、困難とか、そういう特殊性を評価いたしまして、それでいまお話がございましたように、特に税務職員の場合には、専門官制度を取り入れまして、それで上位等級、特に三等級、特三等級の定数を中心にして改善を加えておる実情でございます。
#199
○栗林卓司君 御努力の経緯よくわかりますし、ただ実情を申し上げますと、その三等級、特三等級に処遇される専門官をふやしていく枠をつくったと。枠を見てみたら、何年かかったらどないことになるんだろうかという不安感も実は現場にあるんです。それはぜひその改善を進めていただきたいと思うんです。これは人事院並びに当局に一つお願いしておきたいのは、中堅層中だるみといいますと、何だかまあよけいなものがたまっちゃって、これはえらいことだわいという感じで見がちですけれども、この年齢構成のひずみというのは熟練者の層が非常に厚いということだと思います。で、昭和二十五年度以降見ても税務職員の総数は横ばいもしくは減ってきている。ところが、納税者数もふえ、調査困難事業もいずれも増加してきている。これをこの人たちがどうかというと、育った生い立ち、私も近いですからよくわかりますけれども、仕事はうちへ持って帰る、休暇もとらない、これはわしの仕事だとやってきている、この熟練層の層が厚い。したがって、これは特別対策をとることが他との均衡云々ということだけで切ってしまっていい問題だと思いませんので、しかも、一年たてば一年たつほど切実な問題になることを十分御考慮いただいて対策をお願いしたいと思います。
 そこで次の、全体としてどう見るかということですけれども、これはまず国税庁にお尋ねをしたいわけですけれども、教職員については人材確保法案で、教育職の俸給表の大幅改善、大幅と見るか小幅と見るかは立場ですが、とにかく改善をされた。そこで、教職員と税務職員の類以点は何なんだろうかと考えてみますと、その両方とも、全人格的に公的権威を代表する。教員の人というのは教壇に立ったら自分の格づけがどこにあろうと児童に対して責任を持つ教職員。同じように税務職員も一遍出ていったら全人格的に公的権威を代表する人なんです。その意味で片方直したからこっち直せというけちなことは言いませんけれども、同じように一般職との格づけをどうしていったらいいのか。しかも経緯を考えると、昭和二十三年では二五%開いている。それを何ということなしに今日では一〇・二%になっちゃった、何ということなしにではなくて、どれぐらいの差を見るのが一番いいことなのかということも、明確にこれは御検討の上、決めなければいけない問題だと思いますし、しかも、かたがた何も他を見てものを言うつもりはありませんが、教職員についての待遇改善も人材確保とその方々が教壇で全人格的に果たしている役割りとの見合いで認めた経緯もあるわけですから、これもぜひ御配慮いただきたい。まず、国税当局と、この問題に対する人事院の御見解を伺いたいと思います。
#200
○政府委員(磯辺律男君) 人確法の制定に基づきます教職員のベースアップ、それによって税務職員との格差が縮まったといったような問題、これは事実ございます。私たちはいままでは特に一般職員との水準差ということを注目しておりまして、従来ずっとかつて二五%ありました水準差というのがだんだん縮まってまいりまして、実は残念に思っておったわけでありますけれども、昨年度の、つまり昭和四十九年度におきます新しい給料表におきましては、従来下がってまいりました水準差というのがまた横ばいに転ずるようになったといったようなことで、私たちは非常に感謝しておるわけであります。ただ、ただいま先生御指摘になりましたような教職員に対する新しいまた給料表の改定がございましたので、その教職員との関連におきましては、考え方によりましたら、その水準差が縮まったということも言えるかと思います。これはまた決して教職員のベースアップについて、われわれ税務職員がとやかく足を引っ張るといったようなことを申し上げてもいかがかと思いますけれども、できるだけそういった税務職員の職務の困難性それからまたそれが非常に、自画自賛のようでありますけれども、そういった優秀な人材集団である、困難な仕事に毎日取り組んできておる、しかも、それが非常な、申し上げましたような労働というものはきつい、精神的にも肉体的にも非常に苦労を重ねておるといったようなことを考えましで、できるだけ税務職員の処遇の改善には、そういった水準差の拡大ということを通じて努力いたしたと、かように考えます。それが何%かということになりますと、はっきり申しまして私たちは多々ますます弁ずということでございまして、どうもはっきりした目標ということは申し上げかねるわけでございます。
#201
○説明員(角野幸三郎君) 税務職の給与は、そのほとんどが俸給表本俸でございます。で、これは税務の職務と責任といいますか、困難性を評価いたしまして、一般の行政事務に比べまして水準差というものをつけておりますが、これはいま先生お話の二五%と申しますのは、終戦直後の税務特別手当時代に一時ありました数字でございます。その後だんだん経済社会が安定いたしまして、二十六年と記憶いたしておりますが、いろいろなこういう給与上の相対関係といいますか、水準差を半減した時代がございます。これは何も税務ばかりじゃございませんで、海運にいたしましても、港湾にいたしましても、全部そのときに半分になっております。したがって、十数%という水準差がその後ずっと続いてきておりまして、一〇%になったり、中間になったり、いろいろそれはございます。もともとこの水準差のつけ方でございますけれども、税務の場合には、一般の行政事務に比べまして、いわば同期生という感じで見ました場合に、二、三年先を税務の職員が歩く、二、三年水準差という関係で維持いたしております。したがいまして、毎年の給与勧告を受け、夏に俸給表改定いたしますような場合に、この昇給額の取り方でありますとか、それからあるいは人員分布がだんだん上の方へ高い等級へ優遇して上がっていくわけでありますけれども、そのときにやはり税務の特殊性は初め、いわば新しく入ったころはそう第一線ではない、だんだん円熟して三等級、四等級あたりは税務の困難性として一番水準差が高い評価のところになる、それがまただんだん管理職に近くなっていきますと、水準差は行政職にやや近くいわば落ちてくる、こういう俸給表上の水準差の仕組みになっております関係上、人員分布が高いところに移ってきますと自然に落ちてくるという関係もございます。したがいまして、どちらかといいますと、私どもとしては、それほど数字にはこだわっておらないというのが現状でございますけれども、そうは言いながら、やはり一〇%、あるいは十数%の水準差を維持していきたいと、そういうことで改善のつど努力しておるという現状でございます。
#202
○栗林卓司君 いろいろ御議論はあろうかと思いますが、税務のもう一つの特殊性というのは、なかなか表立って文句言うわけにはいかない職場なんです。おれは不満だからやめちまうと言って横に寝ていい場所ではないわけですから。しかも、それが自分に課せられた責任を痛感しながら、それぞれ黙々と努力をしてきた経緯を考えますと、いろいろ御議論はありましょうけれども、今後また改善の努力を続けていただきたいと思いますし、時間がありませんから、これ以上言及する余地はありませんけれども、さらにもう一つの税務職員の、いわば宿命というのは、大量転勤がどうしてもつきまとう。では、これを一体どうするのか、これまでの日本というのは、黙ってまじめに努力をしてきた人たちの力で支えられてきた面がずいぶんあると思うんですね。そういった点で、今後も税務職員の処遇改善については、当局の一層の御努力をお願いして質問を終わります。
#203
○委員長(桧垣徳太郎君) 他に御発言もなければ、四案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#204
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。
 午後七時五十分まで休憩いたします。
   午後五時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後八時十四分開会
#205
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 本日、土屋義彦君、細川護熙君、藤田正明君が委員を辞任され、その補欠として中村太郎君、亀井久興君、森下泰君が選任されました。
    ―――――――――――――
#206
○委員長(桧垣徳太郎君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法案を便宜一括して議題といたします。
 辻君から、委員長の手元に三法案についてそれぞれ修正案が提出されております。修正案の内容は、お手元に配付のとおりでございます。
 この際、辻君提出の修正案を議題といたします。
 辻君から修正案の趣旨説明を願います。辻君。
#207
○辻一彦君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外二法律案に対する修正案につきまして、日本社会党及び公明党を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案について申し上げます。
 五十年度の税制改正に当たっては、インフレによる所得税の課税最低限の実質低下、名目所得増加による実質増税となっている実態を考慮し、まず、勤労学生控除の適用対象となる合計所得金額について、最低の賃金上昇、学費、文具、書籍費の急騰等の増高傾向にかんがみ、現行四十万円を七十万円に引き上げ、また共かせぎ世帯の増加及び日常生活費の著増傾向並びに家庭における妻の貢献度に配意し、配偶者控除適用所得限度額を現行二十万円から五十万円に引き上げることにしております。
 次に、最近市街地の宅地高騰により、やむを得ず遠隔地より通勤する者が著増しているため、通常の通勤に要する費用は非課税とし、また寒冷地手当、夜勤に伴う割り増し賃金については、燃料費の補給、夜勤に伴う夜食、健康管理支出等の実質経費負担増のため支給されるものであるので、これらに対し非課税とするものであります。
 最後に、労働組合費であります。最近、組合活動により賃金の確定を得られる等の事情にかんがみ、いわば労働組合費は給料を高めるための必要経費であり、労働組合費については実額部分を所得控除しようとするものであります。
 以上が本修正案の内容でございますが、私どもといたしましては、このほかに、配当控除の撤廃、有価証券譲渡所得に対する課税等を盛り込もうと検討を加えてきたところでございますが、本修正案に反映させることはむしろ困難と判断し、本修正案には実現が容易と思われる諸点を盛り込んでおります。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして御説明申し上げます。
 東京都の調査結果において、法人の税負担が逆累進であるという指摘がなされた事情等にかんがみ、法人税の税率に累進制度を導入すること、法人の寄付金の損金算入限度額を縮小すること等について、それが具体化を強く要請しているところでございますが、法人税の転嫁の帰着、法人税制の基本的な仕組みが解明されない現状においては、特に金融機関の社会性、公共性に着目し、銀行等の貸し倒れ引当金の繰入限度額を、現行貸し金の千分の十から千分の五に引き下げるとともに、これまで法人税施行令事項であったものを法人税法の本法に組み込もうとするものであります。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして御説明申し上げます。
 社会的不公正の是正が強く要請されている現下の情勢にかんがみ、資産所得に対して相応の負担を求めるため、利子・配当所得の源泉分離選択課税の選択税率現行二五%を三五%に引き上げ、また四十八年度の交際費支出額が一兆六千億円を超えた事情等に配意し、交際費課税強化のため、損金算入限度額のうち定額部分について現行四百万円を中小企業は据え置き、大法人の場合三百万円に引き下げ、損金不算入率について現行の七五%を一〇〇%に引き上げることといたしております。
 最後に、税負担の公平を確保するため、医師の社会診療報酬の七二%を所得控除する現行の優遇税制を改め、その収入階層に応じ、五千万円超の部分について五二%、千五百万円以下の部分については七二%等四段階に応じた控除率を設定し、政府・税制調査会の答申を具体化することにより、医師の社会保険診療報酬に対する課税の適正化を図ろうとするものであります。
 以上が、日本社会党及び公明党の共同提出に係る三修正案の提出理由であります。
 何とぞ速やかに御審議の上、満場一致の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#208
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまの辻君提出の修正案のうち、所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案は、歳入の減少となり、予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。大平大蔵大臣。
#209
○国務大臣(大平正芳君) ただいまの修正案につきましては、修正案どおりの改正を行いますと、各種の所得控除や、非課税所得の取り扱いとの均衡を著しく失することになるのみでなく、昭和五十年度予算にも影響を及ぼすことになりますので、政府としては反対であります。
#210
○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#211
○大塚喬君 ただいま議題となっております所得税法の一部を改正する法律案等三法案について、私は日本社会党を代表して三原案に反対し、わが党及び公明党の共同提出による三修正案に賛成の意を表明するものであります。もとより修正案に盛られた内容はまだまだ不十分ですが、さしあたって政府においても早急に手直しできるものでります。以下その理由について申し述べます。
 まず、所得税法についてであります。政府は、今回の改正内容について、物価調整を意図した減税を主張し、所得税の持つ所得再配分という本来の機能を確保しようとすることなく、依然として高額所得者優遇の姿勢を維持していると断定せざるを得ません。すなわち、給与所得者の場合、夫婦子供二人の課税最低限は、四十九年度分百五十万七千円から百八十三万円に引き上げると言いますが、そのうち百七十万七千円が四十九年度分税制改正の平年度化の額で、いわばサラリーマンの既得権として保証されている部分であり、実質十二万三千円程度の引き上げにすぎません。これでは、政府見通しの五十年度中、物価上昇率九・九%にとどまったとしても、物価調整の効果もなく、実質増税となると言わざるを得ません。わが党では、夫婦子供二人の課税最低限を二百八十万円に引き上げるとともに、高額所得者優遇につながる給与所得控除の青天井を改め、控除限度額を設けるほか、修正案で見られるように、通勤費、夜勤による割り増し賃金、寒冷地手当、労働組合費等については当然非課税措置を講ずるべきものであると思っております。
 次に、法人税法でありますが、四十九年度税制改正で法人税の基礎税率を四〇%引き上げたからといって、われわれが廃止すべきとする受取配当額の損金不算入制度など、法人税の基礎的仕組みの検討を怠り、いかにも中小企業の大半を占める同族会社に対し、内部留保に税制面から助成するかのごとく外面的に取りつくろい、東京都の指摘する法人の税負担、逆累進という税の基本原則を著しく阻害した状態のもとで、中小企業の育成を忘れた政府・自民党の姿勢は、大企業との癒着ありと思わざるを得ないものであります。特に大銀行の貸し倒れ引当金について論及すると、現在、実際の貸し金の貸し倒れ発生率に比べ、はるかに高い水準の引き当てを認めております。われわれは修正案で示唆したように、この引き当て限度額を現行の半分に引き下げるべきものと思うのであります。
 次に、租税特別措置法でありますが、今回の政府の改正内容は、土地の長期譲渡所得について譲渡益二千万円超の部分に対し、その四分の三総合課税ということでありますが、われわれとしては、全額総合課税とすべきと思っております。また、利子・配当の源泉分離選択課税が依然として存置され、選択税率がわずか五%引き上げられただけにすぎません。われわれは、修正案で見られるように、本来総合課税すべきだと思いますが、税の執行面を考えますと、選択税率を一〇%引き上げ、三五%にすべきものと考えるのであります。
 さらに、医師の社会診療報酬の課税優遇措置の是正が、税制調査会の答申に盛られながら具体化せず、社会的不公正是正、経済的弱者救済を最優先政策に掲げた三木政権のもとで、政府原案では、国民の期待は何一つとして満たされないと言わざるを得ません。
 なお、これまで三案の質疑の過程で明確となったことは、勤労所得と資産所得との担税力について、政府は法を盾にとり何ら反省することなく、また今後資産所得優遇への姿勢を崩すことなく、これまでどおり財界との癒着を続けていくと思わざるを得ません。たとえば、配当のみの所得者の夫婦子供二人の課税最低限は、配当控除があるため四百五万円となり、給与所得者の百八十三万円と比べ、額に汗した動労所得に一層重い税負担を求めているとだれもが認めているところであります。これに対し政府は、わが国は、法人段階で支払い配当に対し課税しているので、二重課税回避のため配当控除は当然認めるべきものと断言し、不均衡はないと強調してまいりました。
 政府の三法案について率直に感ずることは、経済的弱者救済に所得税超ミニ減税、社会的不公正是正については利子・配当の分離課税制度及び医者の優遇税制の存続等に見られるように、三木政権の政治生命をかけた最優先目的は何一つ具体化することなく、国民を愚弄するものと思わざるを得ないところであります。
 以上、政府の三法案について、まだまだ多くの反対の理由がありますが、特に社会診療報酬の課税の適正化を強く要望し、政府案には反対し、修正案には賛成する理由を申し述べた次第であります。
 以上であります。
#212
○河本嘉久蔵君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、三修正案には反対、三原案については賛成の意を表するものでございます。
 所得税法の一部を改正する法律案外二法律案の原案は、所得税法では各種所得控除の引き上げにより負担の調整を行い、法人税法では、中小企業の負担軽減、租税特別措置法では、利子・配当課税の特例及び土地譲渡所得課税の特例等の見直しを初めとして、引き続きその整理合理化を推進するとともに、福祉対策、公害対策等の措置を講ずるものでありまして、最近における経済社会情勢に即応した行政を担当いたします自由民主党の政府案として、現実的な解決を図った適切なものであります。
 これに対します三修正案に盛られましたその内容は、そのそれぞれの御趣旨は十分に検討の必要性を認め、その御指摘は高く評価いたしますが、諸般の事情を勘案いたしまするに、いろいろな現実的な難点を含んでおり、残念ながら、今日の段階では、政府与党としまして賛成しがたいものでございます。
 各税法の原案、修正案の各項目に言及したいところでございますが、時間もありませんので、一例を申し上げますと、所得税法の原案では、夫婦子二人の給与所得者の課税最低限は、昭和四十九年分の百五十万円より引き上げられて、昭和五十年分百八十三万円となっております。これは西欧諸国の課税最低限をはるかに超えるものでありまして、かつ、これが経済を抑制的に運営する必要があるばかりか場合によっては増税論さえある今日的要請のもとでの達成であることに、その努力を評価賜りたいと思うものであります。
 措置法の修正案では、三不公平税制といわれました利子・配当、土地譲渡の課税強化は、政府原案で前進をいたしましたが、残る社会診療報酬の課税の特例の改正を現時点で行えとされているものであります。
 審議中明らかにされましたように、次回、社会診療報酬の改定も近いことでありますし、その際の改正を期待し、現実的行政を担当いたします政府与党といたしまして、諸般の事情を考慮いたしますと、急激なショック的療法はとれないところでございます。今後政府の努力に待ちたいとするところでございます。
 以上のような理由を申し述べまして、三修正案反対、三原案賛成の討論といたします。
#213
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております所得税法の一部を改正する法律案外二案について、政府原案に反対、修正案に賛成の立場から討論を行おうとするものであります。
 五十年度税制改正に国民が期待したものは、狂乱物価ともいわれた激しいインフレの中で、いかにして三木内閣の公約の社会的不公正の是正が、果たされるかどうかということでありました。
 言うまでもなく、インフレ下における税制の役割りは、インフレによってもたらされた所得、資産の配分関係の悪化に対して租税の所得再配分機能を果たすことであります。
 また、資産所得についても同様な観点からメスを入れることでありました。政府提出の改正案は、いずれもこのような国民の期待を裏切った現時点において多くの問題を有するものであります。
 以下具体的に数点の理由を申し上げたいと思います。
 第一に、課税最低限が政府原案では不十分である点であります。現在、一年を通じて働く勤労者の九〇%が納税者になっております。この割合は逐年上昇いたしております。これは、課税最低限の引上げが不十分であるため、わずかの名目所得の上昇によってさえ課税最低限を越えてしまうからであります。
 第二に、現在の所得税制にひそむ勤労者の必要経費の見方についてであります。質疑の過程でも明らかなとおり、給与所得者の所得は源泉微収によって納税され、これは、近代民主主義における申告納税制度の大きな例外をなすものであります。単に効率的とか技術的困難とかで申告納税制度を排除すべきではありません。納税者を信頼した租税徴収方法こそあるべき姿であります。
 現在の給与所得控除制度における青天井の不合理さも、申告納税制度のもとで明らかになるところであります。
 第三に、法人税制のあり方についてであります。法人間の配当、あるいは配当に回した法人の所得に対する課税はいずれも二重課税排除の名のもとに、受取配当益金不算入、配当軽課措置、個人段階での配当控除制度などはいずれも法人擬制説に立つものであり、近代民法が基礎としている法人実在説と相入れない考え方と言わざるを得ません。シャウプ税制以後における法人税制論議あるいは配当控除率の変遷を見れば、その理論の不合理さは明らかであります。
 利子・配当の優遇措置その他特別措置の不十分な改廃が政府原案に対する反対の第四であります。
 利子・配当の特例を捕捉の困難さを理由に、五年間も延長するに至っては、財政当局の行政能力のなさを、あるいは、真摯な取り組みをしていないことを暴露する何ものでもありません。
 第五には、社会保険診療報酬の特例に対する政府原案の態度であります。医療に対する国民の不信感が高まっている今日、さらに税制面においても国民の納税モラルを後退させるような政治が本当の国民全体のための政治と言えるでしょうか。
 また、政府原案の各種五十年度税制改正、これは大きな経済の転換期にあるわが国経済が差しかかっていることを認識していない点であります。
 いまこそ、新たな財政に応ずる長期的展望が税制に望まれた五十年度の税制改正でしたが、政府原案にはその芽生えすらそこに見ることはできないのであります。
 これに対し修正案においては、勤労学生控除の適用対象となる合計所得金額の引き上げ、配偶者控除適用所得限度額の引き上げ、通勤手当など通勤に必要な費用などの非課税、銀行などの貸し倒れ引当金の繰入限度額の引き下げ、利子・配当所得の源泉分離課税の選択税率を二五%から三五%にする、また社会保険診療報酬については五千万円を超えるものに五二%、一千五百万円以下は七二%と税制調査会の答申を十分尊重しようというものであり、不十分とはいえ、国民の税の不公正を正せというその声、大衆の不満を解消するものであります。ここに修正案の出てきた根拠をよくよく考え、この修正案に賛成するものであります。
 政府は、この出てきた根拠をよくよく考え、強く反省されることを促すとともに、税の本来の役割りを認識した真摯な姿勢を要求して私の討論を終わります。
#214
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して政府提案の所得税法、法人税法、租税特別措置法の各一部を改正する法律案に反対、社会、公明両党共同提案の所得税法の一部修正案、法人税法の一部修正案に棄権、租税特別措置法の一部修正案に反対の態度を示し、討論を行います。
 まず第一に、所得税法の一部改正法案に反対する理由は、今回の政府減税案が超ミニ減税であって、インフレと不況に苦しむ勤労者、個人事業者には生活費に食い込む重税と大増税となるからであります。政府の所得税減税額は、わずか二千三百九十億円、自然増収額三兆七千八百三十億円に比べ、わずか六・三%にすぎず、過去十年間最低の減税であります。このため、本年二〇%の賃金上昇があれば、たとえば昨年の収入が二百万円であった標準世帯では二万円の増税となるなど、勤労者に対する大増税になるのであります。その証拠に、政府案でも所得税の納税人員は、昨年に比し約百三十万人の増加が見込まれており、いかに大衆課税になるかが明白であります。わが党は、インフレ不況に苦しむ勤労大衆の窮状を打開するため、少なくとも四人家族で二百五十万円の課税最低限にすべきことを政府に要求したにもかかわらず、これを入れようともしておらず、反対するものであります。
 第二に、法人税法の一部改正法案についてであります。
 同族会社の留保金に対する特別課税制度については、同族会社が圧倒的に多い中小企業に対する差別重課であり、わが党は一貫してこれに反対してまいりました。今回のこの点での改正案は、わが党の主張とはなおかけ離れておりますが、課税を軽減し一定の改善になっておりますので、賛成いたします。しかしながら、商法改正に伴う確定申告期限の延長や、中間配当を税法上現行法と同様の扱いとする点については、会計監査人による会計監査を義務づけられた資本金五億円以上の大企業にのみ、金利負担額の軽減を図り、また現行法の配当軽課措置の恩典をそのまま認めるところとなっており、わが党のとうてい容認できるところではありません。従って、今回の法人税法の改正案には反対いたします。
 第三に、租税特別措置法の一部改正法案に反対する理由でありますが、今回の政府改正案でも、従来の高度成長政策を促進させ、また税の不公平の元凶となっている特権的減免税を依然として残しているからであります。たとえば不公平制税の第一に挙げられている利子・配当所得の優遇措置を五年間延長し、さらに電算機買い戻し損失準備金、証券や商品取引責任準備金、石油備蓄施設の割り増し償却、船舶の割り増し償却を延長したほか、新たに省エネルギー施設や高圧ガス保安施設の初年度三分の一特別償却など、むしろ特権的減免税を拡大しており、かかる特権的減免税の温存、拡大に反対するものであります。
 最後に、農地の相続税について申し上げます。わが党は、相続に当たって、農地を売却しなければ納税できない事態を完全になくすためにも、また農業発展のためにも、農地の評価について、農業収益を基本とすると同時に、二〇%条項の削除などを強く要求するものであります。
 さらに修正案についてでありますが、所得税法の修正案については一定の前進がありますが、賛成できない個所が含まれており、棄権いたします。法人税法の修正案についていは、過少な改善にすぎず、これも棄権いたします。租税特別措置の修正案が、交際費についての課税強化が結果的には中小企業に打撃を与える可能性を持っていること、社会保険診料報酬課税の特例については、社会保険診療報酬の適正化との関連において処理するのが正しいと考えられること、この理由によって反対いたします。
 以上をもって討論を終わります。
#215
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外二案に対し、原案に反対し、修正案に賛成する立場で討論を行うものであります。
 原案によると、昭和五十年度税制改正による減収見込み額は、初年度二千五十億円でありますが、これにたばこの値上げによる増収見込み約二千億円を加えて考えると、昭和五十年度の減税は事実上ゼロとなります。このうち増収の中心が、酒税税率の引き上げ及びたばこの値上げであることを考えると、今回の改正案は、低位及び中位の所得層に対し、厳しい内容と言わざるを得ません。他方福祉的諸控除の拡大に基づく減税は、高額所得層にも同様に及んでいることを考えると、今回の税制改正の目的が那辺にあったのか、首をかしげざるを得ません。
 疑問と思われる点を列挙いたしますと、一、自然増収額が所得税に関してだけでも二兆円以上が見込まれるにもかかわらず、減税は事実上ゼロであること。一方、行財政の見直し、あるいは不要経費の削減について積極的な取り組みが認められないこと。二、相当の所得税を納付している層に対し、医療費控除、老年者控除、財産形成、住宅対策等の拡充を行いながら、相当の所得税を納付するに至らない所得層に対して直接配慮を怠っていること。たとえば公的住宅の建設を見ても、昭和五十年度予算では建築戸数が減少していること。三、所得税制の不公正を代表する象徴的な制度とみなされ、かつこれまで政府みずからその不当な内容を認めてきた利子・配当分離課税及び医師の社会診療報酬に対する課税の特例について、前者については問題の解決に五年間の猶予を与え、後者については納得し得る理由なしに改正から除外したこと。四、租税特別措置について、総論としては今回も従来同様整理縮小の方向を主張しながら、各論としては産業に対する助成措置として既得権化し、助成の名目が変わるだけで実態は温存されていること。五、交際費について、問われている問題は、単に支出総額にとどまらず、個々の交際費支出の社会的妥当性であり、したがって、交際費課税の全面的な見直しが必要であると思われるにもかかわらず、改正への強い意図が認められないこと等々であります。
 以上の諸点に対し、修正案は十分な改善を図ったものとは言えませんが、その一歩を進めたものとして賛成の意思を表明したいと思います。
 なお、政府原案に対し、より基本的な問題として、今回の税制改正は、いわば羅針盤のない税制改正であり、本委員会に参考人として出席された政府・税制調査会の会長代理の発言をかりれば、これから一体どうなっていくのか全く見当がつかない状態でまとめた改正案である点を指摘しなければなりません。この問題について今後政府は検討を急がれ、今後の経済運営の基本政策、経済の中期的見通し、財政需要の展望と、あわせて必要財源確保に対する基本的構想、分配の公正を確保する諸施策並びに経済政策及び産業政策と税制とのかかわり合い等について早期に見解を明らかにされるよう強く求めておきたいと思います。
 以上、政府の善処を要望して、原案に反対し、修正案に賛成する討論を終わります。
#216
○委員長(桧垣徳太郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#217
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、辻君提出の所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案を問題に供します。
 辻君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#218
○委員長(桧垣徳太郎君) 少数と認めます。よって、辻君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、所得税法の一部を改正する法律案の原案全部を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#219
○委員長(桧垣徳太郎君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。
 本案については委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。
 次に、辻君提出の法人税法の一部を改正する法律案に対する修正案を問題に供します。
 辻君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#220
○委員長(桧垣徳太郎君) 少数と認めます。よって、辻君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、法人税法の一部を改正する法律案の原案全部を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#221
○委員長(桧垣徳太郎君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。
 本案については委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。
 次に、辻君提出の租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案を問題に供します。
 辻君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#222
○委員長(桧垣徳太郎君) 少数と認めます。よって、辻君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の原案全部を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#223
○委員長(桧垣徳太郎君) 可否同数と認めます。よって、国会法五十条後段の規定に基づき委員長において本案に対する可否を決します。
 本案については委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。
 栗林君から発言を求められておりますので、これを許します。栗林君。
#224
○栗林卓司君 私は、ただいま可決されました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、左記事項の推進に努めるべきである。
 一、所得・物価水準の動向に即応して、中小所得者の所得税負担の軽減合理化に努めるべきである。
 一、給与所得者の消費構造の変化に即応して、給与所得控除については、控除率の合理化を図るべきである。
 一、社会保険診療報酬課税の特例については、その合理化について早期に実現を図るべきである。
 一、医療費負担の実態に即し、医療費控除の最高限度額及び足切り限度額については、そのあり方についてさらに検討を加えるべきである。
 一、通常の通勤に要する費用の実情に即応し、通勤手当の非課税限度額については適宜見直しを行うべきである。
 一、深夜労働に伴う割増賃金については、一定の非課税限度を設けることの是非について検討すべきである。
 一、利子・配当所得等資産性所得と勤労性所得との税負担の均衡問題にかんがみ、次の措置について検討をすべきである。
 (一) 利子・配当所得の源泉分離課税制度については、延長期間内においても利子・配当を完全に把握するための措置の実現を早急に図り、総合課税に移行すべきである。
 (二) 配当控除のあり方を、法人税制のあり方との関連において、根本的に検討を加えるべきである。
 一、交際費支出の実情及びこれが社会に与える影響にかんがみ、交際費に対する課税の強化を検討すべきである。
 一、変動する納税環境の下において、複雑、困難で、かつ、高度の専門的知識を要する職務に従事している国税職員について、職員構成の特殊性等、従来の経緯にかんがみ、今後ともその処遇の改善に一層配慮すべきである。
   右決議する。
 以上であります。何とぞ御審議の上御承認賜りたいと思います。
#225
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいま栗林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#226
○委員長(桧垣徳太郎君) 全会一致と認めます。よって、栗林君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大平大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣。
#227
○国務大臣(大平正芳君) ただいま御決議がありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨に沿って十分配慮をいたします。
    ―――――――――――――
#228
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑は終局しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#229
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#230
○委員長(桧垣徳太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、四法案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#231
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時五十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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