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#1
第075回国会 外務委員会 第3号
昭和五十年二月十三日(木曜日)
   午後一時七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         二木 謙吾君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                秦野  章君
                戸叶  武君
    委 員
                糸山英太郎君
                大鷹 淑子君
                増原 恵吉君
                亘  四郎君
                田中寿美子君
                田  英夫君
                羽生 三七君
                松永 忠二君
                黒柳  明君
                立木  洋君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       外 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       科学技術庁原子
       力局長      生田 豊朗君
       外務大臣官房会
       計課長      梁井 新一君
       外務省アジア局
       長        高島 益郎君
       外務省アメリカ
       局長       山崎 敏夫君
       外務省欧亜局長  橘  正忠君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    中村 輝彦君
       外務省経済局長  宮崎 弘道君
       外務省条約局長  松永 信雄君
       外務省条約局外
       務参事官     伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       鈴木 文彦君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        井上  力君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       防衛庁防衛局調
       査第二課長    三好富美雄君
       外務省大臣官房
       外務参事官    本野 盛幸君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (昭和五十年度外務省関係予算に関する件)
 (今期国会における外務省関係提出予定法律案
 及び条約に関する件)
 (核兵器不拡散条約批准問題に関する件)
 (資源外交に関する件)
 (日中平和友好条約交渉及び日ソ平和条約交渉
 に関する件)
 (米国防総省の年次報告と日米安保体制に関す
 る件)
 (沖繩駐留の米空軍SR71機のベトナム偵察
 問題に関する件)
○日本国政府とオーストラリア政府との間の文化
 協定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(二木謙吾君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 昭和五十年度外務省関係予算並びに今国会に提出予定の法律案及び条約について、概要の説明を聴取いたします。本野官房総務参事官。
#3
○説明員(本野盛幸君) ただいまより、昭和五十年度予算政府案の外務省関係を御説明いたしたいと思います。
 お手元にございます長いほうの資料でございますが、それに基づきまして、順次御説明いたしたいと思います。
 五十年度予算の決定額は、そこにございますとおり、千四百七十四億九千百万円。これは昨年、四十九年度予算額の千二百五十億円に対しまして二百二十四億九千万円の増額ということになっております。これは伸び率といたしましては一八%の伸び率を見た次第でございます。
 そこで、ことしの外務省の予算折衝に当たりましては、重点を、第一に外交実施体制の整備、それから第二に経済技術協力及び移住者対策の拡充強化、第三に文化外交の推進、第四に広報活動の強化、第五に海外子女教育の充実強化という五項目を掲げて折衝いたした次第でございますが、まず、第一の外交実施体制の整備は、その資料の一枚目にございますとおり、第一の眼目が外務省定員の大幅増強という点でございます。これにつきましては、実は国会内外の本件に関しまする絶大なる御理解と御支援によりまして、やはり外務省の定員を根本的にこの際増強しなければならないという一つのまあコンセンサスの支持を得まして、二百十人の定員増を見るに至りました。この際、御支援いただきました皆様方に対しまして、心から感謝いたしたいと思います。
 この増強は、その一枚目にございますように、本省定員二十二名、それから第二に在外公館定員百三十八名、それから調整定員が五十名づきまして、それで二百十名ということになりまして、去年のこれに対応いたします数字の百三名に比べて倍増を見たという形になっております。この定員の今後の振り分けにつきましては、特に中近東を中心のそういう小型公館の整備拡充という点に主眼を置きまして、いろいろ計画をしていく次第でございます。
 次に、第二点としまして、本省及び在外公館の機構整備の点でございますが、これは在外公館といたしまして、新たに大使館として在ギニア大使館の新設が認められました。それからさらに総領事館といたしましては、上海、アガナ、アガナはこれはグアムでございます、第三にマルセイユの三館が認められるに至りました。
 それから、兼勤駐在でございますが、これはジャマイカとトリニダッドトバコに兼勤駐在官を派遣するという予算も認められた次第でございます。
 それから第三項目になっております連絡事務処理体制の強化と申しますのは、在外公館と本省の間の電信連絡網の抜本的改善、これはオンラインシステムにかえるという経費でございますが、これは第一年度、昨年度に、四十九年度に四十八公館につきまして専用回線が認められましたのに引き続きまして、第二年度、ことしの予算折衝でさらに九十公館が認められた次第でございます。
 それから第四の在外職員勤務環境の改善、これは十二億円でございますが、これは不健康地におきます在外勤務者の厚生対策の強化でございまして、これは例のマラリア対策で、瘴癘地、マラリアのしょうけつをきわめている瘴癘地を対象として、その館員が要するにマラリアのためにキニーネを飲んでいる期間を、これを長くいたしますと肝臓が悪くなるということで、二週間ばかり健康地に在外勤務中にその期間移りまして、そのキニーネの副作用を避けるという趣旨の予算でございますが、それが従来の十二館に対しましてさらに三館、モンゴル、タンザニア、ポートモレスビーの三館について認められまして、計十五館についてその経費が認められた次第でございます。
 それからさらに、在勤諸手当の増額でございますが、この在外勤務者の基本的な給与でございます在勤基本手当につきまして、平均一二・七%の増額を見るに至りました。これはまあ世界各国におきます物価の上昇、インフレの状況、さらにはいろいろ為替の変動等、調整を要する点がございましたので、平均としては一二・七%の増額を見た次第でございます。この外交実施体制は、ことしはこのような次第で非常に改善を見たわけでございますが、これによりまして外務省の定員は年度末には三千五十人と、これは各省アタッシェを含めての数字でございますが、それから在外公館も百四十八公館から百五十二公館という規模になるに至った次第でございます。
 第二の点について御説明いたしたいと思いますが、これは経済技術協力及び移住者対策の拡充強化でございます。
 この第一項目は、経済技術協力企画調査機能の充実ということでございまして、これは事務費でございますけれども、経済協力を進めるに際しまして、いろいろ援助計画を事前に策定する必要があるということで、これはわずか五千五百万円でございますけれども、それによってそういう計画について前進を見ることができたということが考えられます。
 それから、第二点の国際協力事業団の強化でございますが、これは皆様御承知のとおり、従来のOTCAから国際協力事業団が発展的な強化が見られたわけでございますが、この中で、総額をまず申し上げますと、二百五十一億七千万円から三百三十億三千五百万円という、七十八億六千五百万円の増額を見たわけでございます。との内訳でございますが、交付金としまして二百五十一億九千三百万円、それから出資金でございますけれども、七十八億四千二百万円というふうにそれぞれ認められたわけでございます。この出資金のうちには、ことしの計画といたしまして、インフラ関係とか、試験的なプロジェクトのそういう周辺のインフラ関係に対する投融資という考え方が出てまいりましたのですが、それにつきまして七十億円の資金が充てられるという計画になっております。
 それから、第三点の二国間無償協力の推進でございますが、これが百五十七億円認められました。
 それからさらに、第四の多数国間経済技術協力の推進、これは国連の開発計画等、そういう国際機関の行いまする経済技術協力関係への拠出金、出資金でございますが、この内容は、額が二百十三億七千八百万円ということで大幅の増大を見た次第でございます。
 それから第五は、これは大したことはございませんが、技術協力の推進団体に対する補助金の増額として六億八千五百万円認められたわけでございます。
 それから、第三点の文化外交の推進でございますが、これは国際交流基金の拡充強化ということで六十二億一千四百万円認められた次第でございますが、これはこの基金の出資金といたしまして五十億円、補助金として十二億一千四百万円という内訳になっておりまして、この五十億円の出資金によりまして、国際交流基金の基金は三百億円という数字に達したわけでございます。この十二億円の補助金を得まして、基金としての事業規模は約四割方の増となっております。
 それから、第二の留学生受け入れ体制の充実強化でございますが、これが非常に問題の多くございました国際学友会の補助金二億九千八百万円を内数とします三億三千七百万円という数字が認められたわけでございます。
 最後にございます無償文化協力の実施ということでございますが、これは上のほうにござい、ました経済協力のほうの予算の中の二国間無償協力の推進の実は一部でございますが、この一億円につきましては、従来の経済協力のやり方では認められなかった教育資材等、直接の産業開発に関係のない無償供与という目的のための二国間の無償協力資金としてこの一億円という数字が認められた次第でございます。
 さらに進みまして、次のページの広報活動の強化でございますが、これは申すまでもなくきわめて厳しくなっております最近の国際環境におきまして、わが国についての実情ないしはわが国の政策というものを理解せしめるための努力の一環でございますが、そこにございますように、第一の対日理解増進のための海外広報活動の拡充、これは一般の国情の紹介とかのために資料とか映画とかというものを作成いたしましたり、海外から新聞記者等の有識者を日本に招待するための基金ということのほかに、海外におきまして主要公館で現在二十六カ所に広報文化センターというものを置いているわけです。これをさらにふやすといった内容の経費でございます。これが十五億円ばかり認められた次第でございます。
 それから、第二点の国際情勢及び外交問題に関する知識の普及、これは国内におきまして外交問題についての理解を増進するための講演会とか広報資料を作成するための費用でございますが、これが五億一千五百万円認められた次第でございます。
 それからさらに、第五の海外子女教育の充実強化でございますが、これは御承知のように、最近海外で生活いたします在留邦人がきわめて多くなりましたし、国内における、帰ってきてからの子弟の進学の問題が深刻な状況になっておりますので、そういうところで完全に日本の学校と同じ教育を受けられるような全日制の学校の設置が強く要望されているわけでございますが、すでに三十五校設置しておりますのに対し、今回の予算でさらに五校、場所はニューヨーク、ダッカ、ジェッダ、カラカス、釜山の五カ所でございますが、その五校の新設が認められた次第でございます。五校についてそれぞれ二名の教員のための予算と、さらに従来の既設校の教員の定員の増強として七十五名認められましたし、その手当についても増額を認められた次第でございます。この中には宿舎等の借料、それから補習校に対する教員の派遣の費用も含まれている次第でございます。
 以上簡単でございますが、五十年度の外務省関係予算の御説明を終わりたいと思います。
 引き続きまして、外務省提出予定法案の御説明をいたしたいと思います。
 今回は、外務省関係法案は、予算関係の法案といたしましては一件のみでございます。これは在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案でございます。
 これは新しい在外公館、要するに在外公館を設置するといたしますると、この法律に、それぞれ別表にこの公館名を明記いたしまして、さらに在外公館に勤務する職員の給与について、やはり別表でそれぞれ掲げる仕組みとなっておりますが、ことしの予算におきましては、まず先ほど申しました上海とアガナ、それからマルセイユの各総領事館、これは実館として設置をいたしますこしと、それからその間去年来グレナダ、バハマ、それからギニア・ビサオというものに対します承認行為が行われました結果、それらの各大使館、さらに欧州共同体日本政府代表部というものを設置して、これはいずれも兼館でございますけれども、それを法律の上に設置するということでございます。こういう公館の設置に伴いまして、先ほども申しました公館に勤務する職員の在勤手当について、やはりこれに規定するわけでございますが、この点を法律の別表第二及び第三に規定いたしまして、在勤基本手当の基準額、研修員手当の額というものを掲げて、その号俸別の区分を変更するという趣旨の法律の改正でございます。
 以上でございます。
#4
○委員長(二木謙吾君) 次に、伊達条約局参宮官。
#5
○政府委員(伊達宗起君) それでは引き続きまして、今国会提出予定条約につきまして、お手元に配付してございます資料に基づいて順次御説明申し上げます。
 第一番目に、日本国政府とオーストラリア政府との間の文化協定でございますが、この協定は、日本とオーストラリアとの間の文化関係をさらに発展させることを目的といたしました協定でございまして、内容は、両国政府が学者、学生等の交換を助長すること、自国における相手国文化の研究の奨励、両国の文化関係団体の協力を奨励する、青少年団体及びスポーツ団体の相互訪問を奨励する等、両国間の文化交流の促進を規定いたしておりますとともに、協定の実施について協議するため混合委員会を設置することをも定めております。この条約は、わが国が締結いたしました文化協定といたしましては十五番目のものでございまして、昨年田中総理が豪州を訪問いたしました際に署名されたものでございます。
 第二番目は、日本国と中華人民共和国との間の海運協定でございますが、この協定は、海運の分野における日中間の関係を発展させることを目的といたしまして、船舶の開港への出入権、港における待遇、乗組員の出入国、海難救助等に関する事項につきまして相互に最恵国待遇を与えることとしておりますほか、船舶の国籍の認定、積量制度証書の互認等にわたっても規定しておるものでございます。
 三番目は、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定でございますが、この協定は、昨年一月三十日に署名され、第七十二国会で審議未了となったものでございますが、内容といたしましては、日韓両国に隣接する大陸だなの北部の境界をきめますとともに、同大陸だなの南部の一定区域を共同開発区域とすること及び両国の開発権者が共同開発区域において石油資源を共同して探査し、また採掘することに関する事項を詳細に定めているものでございます。
 四番目は、友好及び協力に関する日本国とオーストラリアとの間の基本条約でございますが、この条約は、ただいま交渉中でございますが、内容といたしましては、両国間の友好協力の基本関係を律する原則を定めようとしているものでございまして、そのほかに実体的な規定といたしまして出入国、居住、事業活動等に関する待遇について最恵国待遇ないしは内国民待遇を規定しておることをおもな内容としておるものでございます。
 二国間条約といたしましてはその四本でございますが、さらに多数国間では、まず第一番目に、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第二確認書というものがございます。わが国の関税定率表別表は、その品目分類の基準であるブラッセル関税品目分類表の改正に伴いまして、昭和四十七年四月一日、関税定率法等の一部を改正する法律によって、新たな関税率表となりました結果、旧分類に基づく現行のガット譲許表と国内法上の分類表との間で分類方式において合致しない部分が生じましたため、ガット譲許表を新しい分類方式に基づいて変更するものでございます。
 六番目には、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長に関する議定書でございますが、この協定は、小麦の国際貿易に関する加盟輸出国と加盟輸入国との間の協力を目的とする小麦貿易規約と、開発途上国に対し一定の量の食糧援助を行うことを約束する食糧援助規約から構成されているものでございまして、この議定書は、この国際小麦協定の有効期間を、昨年の七月一日から本年の六月三十日まで一年間延長することを定めたものでございます。
 七番目には、千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定がございます。万国郵便連合の諸文書は、同連合の機構及び国際郵便業務に関する規則を大体五年に一回開催される大会議において必要な改正がされることになっておりまして、本件もろもろの文書は、昨年の大会議での改正を含めて採択されたもので、主なる改正点は、郵便連合の分担金等級について大会議が割り当てるという制度から、各国が自由に選択する制度への移行をきめましたことと、執行理事会の理事国数の増加及び郵便物料金の引き上げ等を主な内容としているものでございます。
 次に、第八番目に国際電気通信条約がございます。このお手元にございます資料には、国際電気通信条約としか掲げておりませんが、これにはちょっとミスがございまして、それに、「及び関係議定書」というものが付属しておりまして、それをどうぞお加えくださるようにお願いいたします。この条約は国際電気通信連合、ITUと申しますが、そのITUの基本文書でございまして、国際電気通信の運用に関する主要な統一規定でございます。現行の一九六五年のモントルー条約にかわるものといたしまして、一昨年九月、スペインのマラガ=トレモリノスで開催されました全権委員会議におきましてつくられたものでございます。付属議定書といたしましては、紛争の義務的解決に関する選択追加議定書というものがございまして、この通信連合のメンバー間の紛争の解決を円滑にはかることをきめてございます。
 九番目は、船舶料理人の資格証明に関するILO第六十九号条約でございます。この条約は、一九四六年のILO第二十八回総会で採択されたものでございまして、船舶内の食事に関する良好な衛生及び栄養を確保するために、所定の資格証明書を有していない者を船舶料理人として乗り組ませてはならないことを定めたものでございます。
 十番目は、社会保障の最低基準に関する第百二号条約でございますが、この条約は、昭和二十七年のILO第三十五総会で採択されましたILO基本条約の一つに数えられているものでございまして、医療、傷病、失業、老齢、業務災害、家族、母性、廃疾及び遺族という九部門につきまして、社会保障給付の最低基準を規定しているものでございますが、この条約を批准するためには、この九部門のうち少なくとも三部門について、この条約の定める義務を受諾しなければならないことになっております。幸いにして、今国会におきまして御承認を得られます場合には、わが国といたしましては、先ほど申し述べました九部門のうち、傷病、失業、老齢、業務災害の四部門についてこの条約の義務を受諾する所存でございます。
 十一番目は、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約でございますが、この条約の内容は、海上航行船舶が第三者に与えた損害に関しまして、船舶の所有者が負う責任を制限することに関しまして統一的規則を定めることを目的としたものでございまして、金額主義による責任制限の制度を定めたものでございます。船舶の所有者が責任を制限できる債権の範囲でございますとか、責任限度額の計算方法等について規定してございます。この条約は昭和三十二年に成立いたしましたが、発効いたしましたのは昭和四十三年五月でございました。
 第十二番目に、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約がございます。この条約は、昭和四十四年十一月二十九日にブラッセルで作成されたものでございますが、いまだ効力は発生しておりません。内容といたしましては、油を輸送している船舶から油が流出したりした結果、沿岸国に損害を与えた場合、その責任を当該船舶の所有者に負わしめるとともに、船舶の所有者が負う責任を、船舶一トンにつき二千ポワンカレフラン、これは大体現在におきまして四万八千円に相当する額でございますが、または、総額について三億一千万ポワンカレフランに定めまして、さらにこのような責任を担保するため、二千トン以上の油を貨物として輸送する船舶の所有に対しましては、自己の責任額に相当する額の保険を維持しなければならないというようなことを定めたものでございます。
 十三番目には、油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約がございます。この条約は四十六年十二月に作成されたものでございますが、現在もいまだ未発効のものでございます。内容といたしましては、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約に基づいて支払われる賠償が不十分である場合に、被害者に対して補足的な補償を行い、かつ、同条約によって油を貨物として輸送する船舶の所有者に課された負担の一部を肩がわりをすることを目的とする基金、国際基金の設立を定めるとともに、このような目的達成のため、同基金が各締約国において海上を輸送された油を受け取る者から、つまりことばをかえますと、石油業者でございますが、石油業者から拠出金を徴収するということを定めたものでございます。
 第十四番目には、核兵器の不拡散に関する条約でございます。内容といたしましては、核兵器その他の核爆発装置またはその管理の核兵器国による移譲、非核兵器国による受領等を禁止して、核兵器が拡散することを防止いたしますとともに、また、原子力の平和利用に使用される核物質が核兵器の製造に転用されることを防止するための必要な保障措置を実施することを定めたものでございます。
 以上、十四件のほかに、現在交渉中でございますが、でき上がりますれば今国会に提出申し上げることを考慮中のものといたしまして、日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約、日本国と中華人民共和国との間の漁業協定、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とポルトガルとの問の条約、日本国政府とイラン帝国政府との間の航空運送協定、国連大学本部協定の五件がございます。
 これをもちまして、私の提出条約案件の御説明を終わらせていただきます。
#6
○委員長(二木謙吾君) 以上をもって説明は終了いたしました。
#7
○委員長(二木謙吾君) 次に、国際情勢等に関しての質疑を行います。
#8
○田英夫君 速記をとめて下さい。
#9
○委員長(二木謙吾君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#10
○委員長(二木謙吾君) それじゃ速記を始めて。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#11
○秦野章君 今度の国会の提出予定条約で、核兵器不拡散に関する条約というのが最後に載っているわけでございますけれども、この問題に関連して少しいろいろお尋ねをしたいと思うんでございます。
 私は、いわゆる核不拡散条約というものの取り扱いというか、これは政府は提案をここでもう予定されましたから、その姿勢は一応わかるんでございますが、批准をするかしないかという結論よりも、むしろこの問題に寄せられるいろいろな討議といいますか、そのプロセスが非常に大事だろうという感じを持つわけでございます。十分討議をするという意味において、私もきょうまあ発言の機会をいただいたわけでございますけれども、結論より討議が大事だと、過程が大事だという感じがするわけでございます。その点、外務大臣の御意見をちょっとお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府といたしまして、この条約に調印いたしました際、査察の問題につきまして、いわゆるユーラトム並みということ、世界的に核軍縮が十分に進行するということ、非核保有国の安全が十分に確保されるということ、三つの条件の成就あるいは成熟を待って批准の手続を行いたいという政府声明をいたしました。ただいま私どもとして、その中でいわゆる査察保障協定の問題につきまして、ほぼ満足と思われる成果を得つつございますが、それを含めまして、その三つの条件をどのように、国会はもちろんでございますが、国民が広く理解をするかと、どのように解釈をするかということが非常に大きな問題であろうと思います。ことに、この条約は今後少なくとも二十年わが国の立場をここで決める条約でございますので、まさしく秦野委員の仰せられましたように、この条約をめぐって十分な討議が行われる、この条約の理解を深めていただいた上で御審議を願い、願わくは批准手続を進めたいというのが政府の考えでございます。
#13
○秦野章君 いまの大臣のお話の、いままでまあ交渉してこられた保障措置協定の問題でございますけれども、衆議院の論議を見ても、まず査察条件についてはかなり楽観的な政府の御説明があったように思うんですよ。ただ問題は、ドイツと日本では、まあ実際その平等性の確保の問題も、やっぱりドイツと日本が一つの焦点だという常識になっておるわけでございますけれども、西ドイツと日本の条件といいますか、環境というものも大分違うわけでございますから、その字面の平等性確保ということもさることながら、問題は、本当の意味において平等性が一体確保されるという意味において、十分その保障というか、展望が明るいのか、その辺はいかがでございましょうか。
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、いわゆる第五回目の予備交渉と言っておりますものをつい最近ほぼ終了いたしまして、その結果につきまして、私ども満足すべきものというふうに判断をいたしておりますが、その内容につきまして多少詳しく御説明を申しげ上ましたほうがよろしいかと思いますが、そうさせていただきましようか。――委員長、それでは政府委員から多少詳しく内容につきまして説明をさせていただきます。
#15
○政府委員(鈴木文彦君) それでは、内容にわたりまして若干御説明申し上げさせていただきます。
 いま秦野委員から申されました点、政府がこの条約に署名いたしましたときに第三点のうちの最後の点としまして、原子力平和利用の面については実質的平等性を確保するということを重視するということを書いてございます。したがいまして、われわれとしましては、実質的平等性を確保することに重点を置いて予備交渉を進めてきたわけでございます。もちろん、形式的な平等性を等閑視したわけじゃございませんけれども、いかにして中身の問題として同じ待遇が得られるかという点に重点を置いたことは申すまでもございません。現在までウイーンで話し合いをいたしました結果、われわれがその実質的平等性を確保できたという確信を持ち得るようになりましたのは、その平等性の具体的な条件と申しますか、特に査察を実施する場合に幾つかの点において、つまり平等性を確保できたかできないかというめどになる分野があるわけでございます。
 それについて一、二例示的に御説明申し上げますと、まず第一に査察の方式でございます。御存じのように、ユーラトムという国際機関がございまして、ECの中にあります原子力施設その他を自主的に査察いたしているわけでございますが、日本もユーラトムと同じような自主的な、しかも技術的に非常にエフェクティブな国内システムを持つならば、ユーラトムと同じような待遇を与えるというのが国際原子力機関の原則的了解でございます。それをある程度中身を持った話し合いにするというのが、今度の予備交渉の眼目であったわけでございます。したがいまして、まず査察方式としまして、ユーラトムと同様に日本の国内の査察の制度が自主的に査察をして、それに対して付随的に国際原子力機関の査察が行われる、つまり自主査察が主であるという点で、まずユーラトムと同じような方式を確保したわけでございます。
 それから第二に査察の業務量でございます。何回査察をされるかということでございますが、これについても、これはやや技術的な点なので控えさせていただきますけれども、査察業務量を算定します基準というのがございますが、それと同じ基準を、つまりユーラトムの使っていると同じ基準を日本の場合にも使えるということを約束したわけでございます。
 それから第三に、これはこの査察に関連して実字機密漏洩の問題がときどき起こりますけれども、この設計情報の審査というのがこの査察の中に非常に大きなアイテムとしてございます。国際原子力機関が査察を行います場合に、その査察に先立ちまして、査察の対象になる施設の設計情報を事前に審査するというのがまず査察の第一歩になるわけでございますけれども、普通の場合には、この情報を主として事前にIAEAに送付しまして、IAEAがこれを審査するということに一なっておりますけれども、ユーラトムの場合には、ユーラトムの機関に査審員がやってきまして、ユーラトムの査察員と共同で審査するということになっておりますが、それと完全に同じ方式をかち取ったわけでございます。
 それからもう一つ最後に申し上げたいのは、現在ユーラトムの査察協定というのは、協定としては成立いたしておりますけれども、まだ発効いたしておりません。したがいまして、日本がユーラトム並みの待遇を確保したといっても、それが実際に、つまり日本の査察の協定が発効して、しかもユーラトムの協定が発効して、実際のオペレーションの段階で実質的に平等であるかどうかということを確保する必要があるというのが、今度の交渉のまた一つの眼目であったわけでございます。そこで、今度の協定の中の一条といたしまして、ユーラトム協定が発効した場合には実際のオペレーション、実際にどのような査察が行われるかに従って同じような査察が内容的に日本にも行われる、つまり平等性が確保できるんだ、いわば最恵国待遇のような条項を今度の話し合いの中において一項入れることに成功いたしたわけでございます。その意味で、今度の交渉におきましては、実質的平等性確保の点につきましては、おそらく万全を期した約束が取り得たというふうにわれわれは確信いたしているわけでございます。
#16
○秦野章君 ひとつ御参考までにちょっと申し上げればいいんですけれども、平等性の問題で、特に外務省はNPTの批准を正当化するのは何かといえば、西ドイツ並みだという発想があると思うわけですよ、大体。それに対して、これはある専門家の意見なんだけれども、西ドイツはある程度逃げられる、逃げているという見方があるんですよ。それは、査察はウランの流れるところしか受けない。だから、遠心分離機のがらだけを製造して、それをイギリスに納品する。がらはウランとは無関係だから査察は拒否できる。だから、西ドイツでは査察の対象にならない。しかし、それでもどうかということで、オランダのアルメロというところに小仕掛けの工場をつくって、そして未熟な段階のものをそこでやって、初期のレベルの実験をさせて、それはまあ査察の対象になる。しかし、主体はイギリスのケープンハーストという濃縮ウラン製造工場にあるんだ。そこは見せる必要がないわけですね、イギリスは核兵器国でございますから。そういう意見もあるということ。だから、実質的な平等性というものはなかなか、かなり入念なものが要るだろうという感じがするんです。これは参考のために申し上げますけれども。
 さてそれで、平和利用ということは、日本がこれからの産業政策の上でやっぱりどうしてもエネルギー問題としてやっていかなきゃならぬ課題だということなんだと思うんだけれども、いろいろ日本には被爆国として、特にある種の核アレルギーみたいなものがあるわけですから。にもかかわらず、それを克服して核燃料の問題というものを産業政策の中に織り込んでいくという、そういう言うならば日本の産業政策、核エネルギーについての産業政策の一つの展望といいますか、その問題をひとつちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。やっぱり一種の批准をするためには、そういうバックグラウンドがあるんだろうと、あるわけでございますから。
#17
○政府委員(井上力君) お答えいたします。
 ウラン燃料の問題をエネルギー問題の中でどう考えるかという問題として考えてみますと、まずエネルギー問題で最も大切なことは、安定的にかつ低廉なエネルギーを確保するということかと思います。安定的に確保するという観点からまいりますと、なるべく国産のエネルギーを確保したいということになるわけでありまして、こういった意味から、水力発電、あるいは地熱発電、あるいは国内の石炭の開発、あるいは国内の石油、天然ガスの開発といったものに大きな力を入れていくということにまずなろうかと思います。しかし、残念ながらいままでの検討によりますと、国産のエネルギーというものは、昭和四十七年度には約一三%ほどあったわけでございます。さらに十年ほどさかのぼりますと、さらに大きくなるわけでございますが、昨年オイルショックに際しまして、通産省におきます総合エネルギー調査会におきまして検討をやっていただきましたところによりますと、昭和六十年度におきまして、昭和四十七年度における国産の比率約一三%が七ないし九%程度に下がってしまう、精いっぱいの努力をいたしましてもこういったようなところが現状かと思います。
 もう一つ、エネルギー政策におきまして大事な観点は、ある一つのエネルギーに大きく依存をいたしますと不安定になるということで、多角化を図りたいということでございます。こういった意味では、石油に対する依存率を低下させていくということが非常に大事なことになるわけでございますが、この二つの意味合いからいきまして、原子力発電というものについて大きな期待を持たざるを得ないということになろうかと思います。
 原子力発電の場合には、総合エネルギー調査会の検討におきましても、国産に準ずるエネルギーと、安定度という点につきましては国産エネルギーに準ずるエネルギーというふうに考えられております。これはなぜかと申しますと、石油のようにやはりウラン資源は海外からの輸入に大きく依存せざるを得ないわけでありますが、ウラン資源、原子力発電の特性からいきまして、今日ただいま供給が途絶いたしますとすぐに発電に困るということではございませんで、一遍ウランをチャージいたしますと、一年あるいはそれ以上運転できるというような特性がございます。さらに、ウランにつきましては、きわめて少量、これは量的にいきますと油の数万分の一程度で同じ電気が出るわけでございますが、そういったきわめて少量なウランでもって同等のエネルギーが出せるというような点から、貯蔵あるいは輸送が非常に簡単だというような点がございます。さらに、将来の技術開発に期待されるところも大きいわけでございますが、新しく出てまいりましたプルトニウムという燃料を再び発電用の燃料として使用できる。あるいは将来高速増殖炉といったようたものが開発された場合には、使った燃料よりたくさんの燃料を生産しながら発電できるというようなことも期待されておるわけでありまして、総合いたしまして、かなり安定度の高いエネルギー源というふうに言えるかと思います。
 したがいまして、最初に申し上げましたように、国産に準ずるエネルギーとして原子力を考えていくべきだという考え方、もう一つは、多角化してエネルギー源を考えていかなくてはいけないという考え方、両方からいたしまして、原子力エネルギーにつきましては、平和利用の面において、今後のエネルギー供給の中で非常にウエートを置いて考えられるものというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
 ただ、御指摘のように、安全の問題が非常に大事でございますので、安全の問題については万全を期するということはもちろんでございます。さらに、そういったことで国民の御理解を得ながら開発を進めなくちゃいけないという点も、これは当然のことでございます。
#18
○秦野章君 平和利用の問題に関連しては、なお詰める問題がいろいろあると思うんですけれども、この批准に当たっての条件の一つに軍縮の問題がございますが、どうも新聞の報道を見ても、きのうの夕刊でしたか、核軍縮というものがちょっと評価がなかなかできないような状況も感じられるわけですね。ウラジオストク会談の、例のフォード大統領とブレジネフ会談の枠内だと、う話だけれども、今度シュレジンジャーの国防の報告が新聞に出ていましたが、やっぱり歴史的には未曾有の核の軍拡というものをソ連がやっていると、それに対応してやっぱりアメリカも増強をしなきゃならぬという、そういう状況がいま出ているわけです。この核軍縮の問題は、それからジュネーブで軍縮会議を何百回やっても、そういう量的な問題も、質的な問題としては特にすっぽ抜けているような感じがするけれども、量的な問題としても、われわれは核兵器が戦争の抑止力になっているということを認めながらも、何か核軍縮というものを声を大にしてもむなしいような感じがしないでもない。しかし、これは非常に人類の平和と安全にとって重大な問題であることは明らかだと思うんです。だから、日本として一体これからどういうふうに、この国際環境の中で被爆国日本が努力をしていくのか、これはたいへん重い責任と義務があるような感じがするわけでございます。
 それで、日本は安全の問題で言えば、日米安保条約結んで、そして非核三原則あるいは自衛隊というようなことが日本の安全保障ということになっているわけですけれども、二国間の安保条約堅持、それから非核三原則、自衛隊というものを念仏のごとく唱えておれば安全かと言えば、必ずしもそうじゃないんだと、もっともっと大きな問題だということもあるわけでございますが、私は非核三原則というものの中で、持ち込まないという原則を日本が立てたということは――安保というのはアメリカの傘の下にあるということでございますから、持ち込まないという原則は、このアメリカの核戦略に介入をしたんだと、こう理解せざるを得ない。アメリカの核戦略に介入した政治行動であったと。しかし、アメリカの軍事最高責任者、政治と軍事の最高の責任者の大統領も、軍当局も、この日本の姿勢を理解をすると、こう言っているわけです。だから理解をするということは、大体それはわかったと、承認したというようなことだと思うんだけれども、軍人とか軍部とかというものは、しばしば外の意見というものを余り聞かない習性が歴史的にあるわけですから、これよく日本の核戦略に対する介入的行動をそこまでいったなあと思うんでございますが、この問題は、いまラロック発言なんかのきっかけに、日本に寄港する軍艦に核が載っているかどうかというような問題がいつも論議の対象になっておるけれども、私は、核戦略に介入したんだから、ついでに軍港に核が入ってきたかどうかということの危険もさることながら、領海外の、三海里沖の戦術核の危険、これはラロック発言の中の一つの問題提起でございますけれども、これはまあアメリカだけじゃなくて、ソ連の極東艦隊にしても、アメリカの艦隊にしても、いわゆる戦術核を積んで日本列島周辺を遊よくしているということは、まず常識として認められているわけですね。だから、問題はそこが非常に問題なんで、おそらくラロック提言というものはアメリカの戦略、核戦略というものを修正する発言だと思うんですが、これはまあ少数意見でしょうけれども、しかしアメリカは意外と戦術核の前線配置というようなことについては、あるいはラロックの言っているようなことをある程度もうやっているのかもしれぬという感じもするんですけれども、日本としては、持ち込みはいけないと、こういう戦略核介入を取りつけた以上、一歩進んで、やはり軍縮というものは、核を生産することの軍縮だけじゃない、生産された核をどう配置するかも軍縮の課題になるんじゃないのかという感じがするんですけれども、外務大臣その辺の御所見はいかがでございましようか。
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 世界的に核軍縮が前進しつつあるかないかという点、ここらがまさに冒頭に秦野委員の言われました各方面の議論を十分闘わした上でということの一つの問題であろうと思います。私自身は、米ソに関して申しますならば、SALTの第一段階、あるいはSALTの第二段階、先ほどウラジオストクの会談のお話もございましたが、確かに、せんだって、昨年の暮れ、ウラジオストクで了解されたと言われております制限の天井、これが低ければ低いほどわれわれにとっては好ましいことでありますが、あるいは約束された天井が現状よりもやや高いということであったかと思います。しかし、その約束ができない場合には、結果は青天井になるわけでございますから、その場合と比較をいたしますと、やはりある程度理性的な約束ができたと解釈できるのではないかという考えを持っております。しかし、全体として核軍縮のテンポがわれわれの期待したほど十分ではないということは認めなければならぬと思いますけれども、大きな流れはその方に向かっておると考えてもよろしいのではないか。
 それから、いわゆる三原則との関連でございますが、確かに内水に核兵器が持ち込まれるという場合と、領海を通過する、領海に持ち込まれるという場合は、距離にはきわめて類似の関係でございますから、政府として核兵器が領海を通過をする、あるいは領海に持ち込まれるという場合にも、日米間の事前協議の対象になるべきものであるというふうに考えております。また、領海条約との関連では、核常備艦はもとより、核積載の可能な、可載艦がたまたま核兵器を持って領海を通るというような場合には、それはいわゆる無害航行ではない、わが国としては非核三原則を持っております以上、わが国の平和と安寧にそのような行為は重大な関連があると考えまして、そのようなものは無害通航とは考えないという方針をとっておるわけでございます。
#20
○秦野章君 いま私お尋ねしている一つのポイントは、戦術核の、言うならば前線配置ですね、これはまあラロック発言だけじゃなくて、一つの常識としてもアメリカあたりにかなりあるようですけれども、核軍縮の課題というものは、生産というものがポイントであることは明らかだけれども、つくられたものをどう配置するかということについての話し合いもやっぱり軍縮の大きな課題になりはしないか。特に日本のような場合、両核大国にはさまれて安全を保障するということを考えた場合に、前線の危険というもの、そういう意味において私は軍縮というものの課題として新しくそういうものが提起されるんではないか、もしそうであるならば、米ソ両国は話し合いをして――言うならば核拡散の提起をした国なんですから、提案した国なんですから、戦術核なんかを前線にばらまくといったようなことについて話し合いをして、それに対して日本の安全なんかやっぱり考えてもらわなきゃ困るんだというような、何といいますか、米ソそういう協議をしてもらうようなことについて、日本の外交努力というものがあっていいんじゃないか、つまり軍縮というものが昔から生産だけみたいなふうに考えられているのは間違っているんだと、それも大きいことには違いないけれども、つくったものをどう配置しているのかという問題が、実はこういう非常に大きな、何といいますか、力を持った兵器では非常に大事なんだと、これに米ソは話し合いができないはずはない、こう思うんですよ。そういう点について、軍縮の言うならば新しい課題としてとらえ、米ソの話し合いをひとつしてもらうというような努力を日本がしたほうがいいんじゃないのか、すべきじゃないのか、これが一つなんですよ。
 それからいま.一つは、さっき申し上げたのは、私は三原則の一つは戦略核、核の戦略に対する介入だと思うんです。しかし、これはアメリカはそれを理解した、そこから核戦略に介入したんだから、いま一歩介入して、日本列島周辺の危険を取り除くということに米ソの努力、協議をしてもらうという、そこまでやっぱりいってもらえば、またいかなくちゃちょっとぐあい悪いんじゃないかと、こう思うんですよ、この点いかがでしょう。
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのような思想は確かにございますし、また、将来そういったようなものへ発展していくことは核軍縮の最終的な姿、理想であろうと思いますが、現在のところ、たとえばただいま秦野委員の言われましたような構想を現実に考えかかっている場合とすれば、非核地帯というような構想がございます。ラテンアメリカにそのような構想があるわけでございますけれども、なかなか、いろんな理由でそれがきちっとした約束になって実現をしないようでございます。一つは、やはり私は検証の問題があるのであろうと思います。つまり両者で戦術核兵器を一定の地域に持ち込まないということを約束いたしました場合に、そのような約束が現実に守られておるかどうかということになりますと、それをどのように検証するかということになってまいります。核爆発のようなものでございますと、ある程度検証できる場合が、地下を除きましてあるわけでございますけれども、戦術核でございますと、その検証はむずかしいであろうという疑いを両者が持つということになるのではないか。それからもう一つ考えられますことは、米ソの間だけでそのような約束が可能であるかという問題がまたあろうかと思います。しかし、将来の問題として、理想の問題として、一切の、戦略核はもちろん戦術核も持ち込まないという非核地帯というものは、長い先の将来であるかもしれませんが、念頭に置いておかなければならないことであろうとは思いますが、現実にわれわれの場合、そういうことが、ただいま申し上げましたいろいろな理由から、なかなか可能ではないような現状と考えております。
#22
○秦野章君 検証の問題になりますと、アメリカとの関係においても、いろいろ、軍艦の中とか、むずかしい問題がこれは当然あるわけですね、だけれども、それはまあどっちみちあるんですけれども、しかし、アメリカの関係においては、たとえば事前協議制ができた一九六〇年の岸・アイク共同コミュニケの中にも、アメリカは日本政府の意思に反して行動することはないと、こう約束しているわけですわね。検証の問題までいくとなかなかむずかしいには違いないけれども、やっぱり半歩前進、一歩前進といいますか、たとえば海洋法の問題で、十二海里になっていくということはもう当然近い将来だと思いますわね、そういうふうになっていった場合に、一体十二海里以内を、戦術核を持った軍艦が入っちゃいけないんだという日本のたてまえを貫くと、それでソ連に対してはそれが全然ないわけですよね、そういうことだけ考えても、私はやっぱり米ソというものが、その戦術核について――それは米ソだけの問題じゃないって言えばないんですけれども、日本の安全ということを考えると、できるところからやるのが、グローバルに、一遍に何か物事が完成するなんということはあり得ないんですから、日本の周辺の安全ということを逐次盛り上げていくということが、やがて世界にもつながるしという意味において、私は米ソの話し合いが、いま少し、もっと前向きに、そういう生産の問題だけじゃない、そういった戦術核の――これはアメリカでも、ヨーロッパあたり戦術核を少し後退さしていますがね、そういう動きはあるんだけれども、日本が被爆国として、やはりそういうことを根強く発言する一番いい国なんですから、私はそういうことはあんまり見込みがあるとかないとかという問題もさることながら、やっぱり声を大にして限りなく叫び続けていくということが必要じゃないのか、そういう意味でお尋ねをしているわけでございます。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国といたしましては、現在認められております領海、わが国の主張しております領海内における核の持ち込みは、戦術核であろうとも無害航行とは認められない、これは原則の問題として排除をするという立場はどの国に対してもとっておりますが、わが国としては、秦野委員の言われましたような、そのような考えに基づきまして、ただいまのような政策をとっております。
#24
○秦野章君 アメリカに対してはわかるんですけれども、ソ連に対してはやっぱり全然ないでしょう。
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) そもそも領海の通過を他国の艦船に認めるということは、国際航行にそれが不可欠であるということから、主権の一部を譲許するような形において成り立っておるわけでございますから、用のない艦船が勝手にわが国の領海へ入ってきては困る、これは私は原則であろうと思います。したがいまして、ソ連の艦船でありましょうとも、核を積んでわが国の領海に仮に入ってまいりますならば、それは無害航行とは認められないというのがわが国の立場でありまして、それにもかかわらず、そのようなことが起これはどうするかと言えば、通航を拒否するということになってまいると考えております。
#26
○秦野章君 日本は、この核防条約を仮に批准して、平和への利用というものを考える、核兵器はつくらないんだと、そういう核兵器は絶対つくらないんだという前提に立っていることはもう当然なんだけれども、私はそういう前提に立っているのならば、当然のことながら、それは日本の平和への願いでございますから、やはり日本がこれから世界史の上にどう寄与していくのか、国際環境の中で日本がどう生き延びていくのかという観点から、この核の軍縮と、それから非核三原則に関連した問題というものについては、私はあんまり甘い判断もできないし、何か日本の外交努力が、もっと国際舞台なり、国際世論の喚起の上に、何かもっとこう積極的な努力ができないものであろうか、これはむなしくはないんだという、むなしくなっちゃいけないんだという気持ちがしきりにするわけでございます。これはまあ私の気持ちですから答弁は要らぬわけですけれども……。
 最後に、時間もあれですから、「むつ」の問題で、これは安全性の問題でたいへん問われたわけでございますけけども、一つの提案なんですけれども、あの「むつ」がやや政治的にも漂流したような感じがするんだけれども、あの「むつ」を外務省が引き取って、もらって、そしてアジアの共同管理か何かに、運営委員会をつくって、アジア青年の船か何かで回すというようなことを発想してもらったらいいんじゃないか、そして船には日本のいろんな文献を乗っけておいて、海上図書館じゃないけれども、そういうような発想でひとつ外務省がこれからのアジア外交の中にあれを消化していくという問題はいかがなものでしょうか、一遍研究、検討してもらえませんか。
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、前段の仰せでございますけれども、私自身といたしましては、わが国は非核三原則を持っておりますほかに、このたびの条約が成立をいたしますと、つくらず、持たずというこの二点につきましては、ただわが国の原則の宣言のみならず、条約上の義務になるわけでございます。私自身は、今後二十年を展望いたしまして、わが国が核を持ちあるいは核をつくることは、終局的にわが国の国益に決してならないというふうに考えておりますので、その点はこれが条約上の義務になることは一向にわが国の国益に害を与えるものでない、むしろ益を与えるものであるというふうに考えております。
 最後の持ち込ませずの点は、これは私ども三原則を政府としては堅持をいたすのが方針でございますけれども、条約との関連においては、持ち込ませず云々という問題は、条約との関連はないことでございます。ただしかしながら、さりとて三原則を変える気持ちはございません。したがって、全体的に申しまして、この条約を批准することによって、将来にわたってわが国の国益が損なわれることはない、その観点からはないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 それから「むつ」の点でございますが、実はいままでちょっと考えてみたこともございませんでした。あれが航行の安全について及び沿岸国に与える安全についていささかでも不安があるというような世の中の印象でございますと、かえっていまのようなことは所期の効果をむしろ上げないことになろうかということを心配いたしますけれども、もしその辺につきまして、あるいはただいま言われましたのは、むしろ通常エンジンにかえてとおっしゃったのかもしれません、そこはちょっと私定かでなかったんでございますけれども……
#28
○秦野章君 いや、私は必ずしもそうじゃなくて、やっぱり安全ということはあくまでももっと入念に確かめ、かつ技術の問題でしょうから、これはもう力を入れていかなきゃならぬことは当然だと思うんですよね。普通のエンジンにかえちゃ意味がない。やっぱり核アレルギー的なものは日本もある意味で卒業していかなきゃならない。卒業させる手段といいますか、幼稚園ぐらい卒業しないと、さっきの産業政策の問題じゃないけれども、やっぱり困るという問題もあるんじゃなかろうか。この核アレルギーという、核というものはそれは安全ということが非常に大事だし、三木内閣もそのことは非常に強調されておるから、どんどんこれからやっていかれると思いますけれども、しかし同時に、全く無用なアレルギーというものはやっぱり卒業しないといけないんだということもあると思うんですよね。一方に軍縮に対してダイナミックな努力をしながら、平和利用については核のくだらないアレルギーはやっぱり卒業させるような政府の施策といいますか、そういう啓蒙の問題が一つあると思うんですが、これは外務省の問題じゃないんですけれども、しかしその一つの、一こまというか、手段という理解のもとに私は提案をしたわけでございますけれども、各国にアレルギーを引き起こしちゃいかぬことは当然でございますが、やはり一つの何といいますか、トンネルをくぐっていくというような意味で私は申しているわけでございます。
 それから、それはまあそれでいいんですけれども、さっき大臣が言われますからいま一遍申し上げたいのは、確かに非核三原則と拡防条約は関係ありませんよね、直接な関係はない。それは私もわかっているんですけれども、安保条約あるいは日本の安全と拡防条約はたいへん関係がある。そういう意味で私も関連をさして質問をしたわけでございますが、私はやっぱり、三原則の二つの原則については全くこれはもう問題がないというか、論議の余地はないだろうと。持ち込まずという問題だけは、私はどう考えてもアメリカの核戦略に介入したと思うんですよ。介入してもそれをアメリカが受けとめたというふうに理解するほかはないんだ。そこまで言うならば大胆な介入であったと、こう理解を私はしているわけですけれども、これは外務大臣もそこのところはなかなかはっきりは申しにくいんだろうと思うんだけれども、そういうことを前提にして、戦術核の前線にある危険なものにいどむという姿勢をそこから導きたいと、そういう理論的な前提みたいな話なんでございますが、その点は大臣、どうでしょうね。いま一遍非常にしつこいようだけれども。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) その点でございますが、わが国が核に対して持っております過去の経験、特殊な感情等々が核三原則の、ことにいま御指摘になりました最後の部分にあらわれておるわけでございます。
 で、この点は、御指摘のように、この問題についてのわが国の主張を日米安保条約の適用との関連で述べておるわけでありまして、それに対してアメリカ側は、それを理解をし尊重をして条約上の義務を守ると言っておるわけでございますから、私どもも、ただいま申し上げましたようにその点を理解をいたしております。
#30
○秦野章君 それはそれで、アメリカが守ると言っているんですから、核に介入したような政治発言であったとしても、アメリカが仮にそれを認めているんだということで、非常にある意味で大胆な政治行動であったと、こう言わざるを得ないわけです。
 そして、そのことからさっき申し上げたようなことを私は引き出しているんでございますが、佐藤前総理がノーベル賞を受賞をされたわけでございますけれども、このノーベル賞受賞というあの環境、あの場面の中で、核の問題について提案をしておられるわけですね。その提案は三つあるんですけれども、一つは、国際安全基準を設定する必要があると、これは核エネルギーの問題ですね。で、平和的な目的の核エネルギーの国際研究は、環境問題を考慮した世界共通の規則のもとに行わるべきだと。それから二番目は、核燃料のエクスチェンジ及び配分に関する国際的取り決めの必要がある。それから、この二つの国際的取り決めに基づいて核燃料を国際機関のコントロールのもとに置く必要がある。こういう提案をされておるわけでございますけれども、核燃料を一つの資源とするならば、資源の問題では、食糧問題にしてもその他いろいろの石油の問題にしても、国際的な協調をしていかなければならぬという努力がある程度あらわれてきているわけです。要するに、資源ナショナリズムといったようなものにどう対処していくかということを考えますと、こういう提案というものは、この提案自体は私はやはり外務省がフォローして、そしてできるならばやはり国連の決議なり、国際舞台の中に登場さしていくというふうにしていくことが、これからの問題として大変必要じゃないのかというふうに思うのです。これはまあ、一つの案でしょうけれども、いわゆる今度の核防条約に関連して核燃料、核の問題というものを論議するということの延長線上にこういった国際協力、国際協調というものはやっぱり必要じゃないかというふうに思うのですが、これはいかがでしょうか。
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) 佐藤元総理の御提案は、私も拝見をいたしまして存じております。核の平和利用についての、将来にわたっての三つの原則を提唱されたものと解釈しておるわけでございます。あのような姿になりますと、わが国のような国ばかりでなく、世界の平和に非常に貢献するところが大であろうという提案と理解をしております。具体的なステップをどうとっていくかということが課題であろうというふうに考えております。
#32
○秦野章君 具体的なステップをおとりになることが課題だということは、それはそうだと思うのだけれども、やはりこういうものをフォローしていかれるということまでは考えないという理解でいいのですか。
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) やはり、常にそれに接近するために研究をしていく、具体的なステップを考えていくという種類の提案であろうと思っております。
#34
○秦野章君 結構です。
#35
○政府委員(鈴木文彦君) 先ほど秦野先生のお話の中に、原子力の平和利用に関連しまして、ドイツが濃縮ウランの工場を仮にイギリスに設けた場合には、イギリスが核兵器国であるために査察の目から逃れるのではなかろうかというような関連のお話があったかと思いますけれども、それに関連いたしまして、事実関係を申し上げますと、いまドイツとイギリスとオランダと三国が共同しまして、これは主として遠心分離法でございますけれども、ウラン濃縮の共同事業をいま推進しております。そして、恐らくその工場はイギリスにできるであろうということも伝えられております。その場合に、ここで生産されます濃縮ウランあるいはその製造工程も含めて、全部査察の目から逃れるかどうかという点がまさに問題だと思いますけれども、三国間の共同事業協定の中身を見ますと、この濃縮工場は核兵器あるいは核爆発装置を製造のための濃縮ウランをつくってはならない、それを証明するために、これに対して保障措置を適用する、つまり査察の対象にするという規定がございます。したがいまして、この工場が仮にイギリスに置かれましても、査察の目を逃れるということはないということができます。
 それから、たまたまイギリスが核兵器国であるために査察から逃れているということは、一つは事実でございますが、ただイギリスも自国に存在します平和利用の原子力施設、つまり核兵器をつくるのでない平和利用の原子力施設につきましては、国際原子力機関の査察を受けるということを自発的に申し出まして、現在国際原子力機関との間に交渉を続けておるわけでございます。したがいまして、恐らく先ほどの三国のウラン濃縮事業に関連しまして査察を受けるという場合には、恐らくイギリスの、現在IAEAと交渉しております自発的な査察協定の中の一項として書き加えられるというふうにわれわれは予想いたしております。
 それからもう一つ、ドイツあるいはオランダの中に濃縮ウランの工場ができたときどうなるであろうかという点を補足して申し上げますと、これらにつきましては、ユーラトムがIAEAとの間につくりました査察協定がございます。その第二条によりまして、はっきりと査察の対象となるというふうに書いてございますので、これも先生御指摘のような事実は起こらないものと思っております。
#36
○戸叶武君 宮澤外務大臣に対して、国際情勢並びに外交の基本的方針につき質問いたします。
 あなたが、第七十五国会における外交演説で述べられているように、一昨年十月からの石油エネルギー危機以来、物価の暴騰を契機とし、ひとり日本だけでなく、世界各国が食糧、資源、海洋などの諸問題の解決を求めているのが事実です。この線に沿うて、激動変革期におけるグローバルの時代の多極化外交をどう展開するか。しかも日本は、戦後の三十年を経過した一九七五年のこの第三十回国連総会からは、安保理非常任理事国として登場をするのであります。今後日本国代表の言動というものは、世界の注目を浴びると信じます。今後日本はどこに行かんとするか。日本は東西南北の十字路に立ちながら、その進退、一挙手一投足、特にそれを見守っているのが発展途上にある第三世界の国民であります。
 こういうときに外務大臣として就任したあなたから、当面している最大の緊急課題、石油エネルギーの問題と食糧問題というふうにあなたもしぼっておりますが、日本は残念ながら石油エネルギーの資源に恵まれません。この皆無に近い資源を今後どうやって日本は保有するか。
 もう一つは、あなたが言っているような食糧問題ですが、これは国際分業の論の謀略に押し流されることなく、政府はしっかりして食糧需給体制を確立すれば、問題の解決は可能な問題です。きょうは農政のあり方については触れないで、第一の質問を宮澤外務大臣に対して、キッシンジャー米国務長官の石油問題についての提案が、去る二月五日からパリで開かれた国際エネルギー機関、IEA理事会の討議にかけられ、正式提案とされる段階に、あなたは率直にわが国の考え方を述べると衆議院の予算委員会でも発言しておりますが、このキッシンジャー構想の石油消費国への石油、石炭、原子力その他のエネルギー資源の開発促進と、産油国にも一定水準の安定価格を保証するために、消費国が輸入原油に下限価格を設ける提案に即応しどう対処するか、それについての御回答を承りたいと思います。
#37
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般来のIEAにおきます討論協議の内容はいろいろにわたっておりまして、戸叶委員が御承知のとおり、各国の節約あるいは節約目標、また別途に合意されておりますいろいろな金融措置のほかに、ただいま御指摘の代替燃料の開発、代替燃料の開発のための金融措置、並びにいま御質問の中心であります価格の問題があるわけでございます。
 それで、私が率直にただいま感じておりますことは、おそらくアメリカとして考えておりますことは、何かのいわゆる商品協定類似のものを考えることが消費国、産油国両方に共通の利益ではないであろうか。何となれば、お互いに将来の供給、将来の価格について逆の方向の心配を持っておるわけでございますから、そのようなときにはそのような協定ができやすいという判断があるのであろうと思います。
 私は、その判断自身は、一つのこれは考えであろうというふうに当初から思っておるわけでございますが、他方で、しかしそこに幾つか問題があるように思います。つまり、純粋な商品協定でございますと、価格というものは、そういう供給量、引き取り量、両者の需給の関係の中から最低、最高といったような価格が出てくるのが普通の商品協定の場合であると思いますが、この際、もう一つの別のファクターでありますところの代替燃料の生産、それを可能にするための石油価格のいわば維持、サポートというようなことを持ち出してまいりますと、これは普通の需給関係に基づく価格の見きわめとは違った要素が入ってまいります。
 しかも、もっと申しますと、そのような代替燃料の開発のためにはいろいろな助成措置、保護措置があろうと思われます。国内的な措置もございますと思いますし、他方で長期にわたってのそのような代替燃料の開発のコストが幾らであるかというようなことは、とめどもないおそらく議論があるはずのことでございまして、したがって、一足飛びに、そういう要素があるから石油価格のフロアプライスをかくかくに設けるべきだというような議論はなかなか簡単には私はできないと考えますし、もう一つ石油について、普通の小麦でありますとか、あるいはコーヒーでありますとかというものの商品協定と違うと思われますのは、いわゆるメジャーが従来この商品を扱ってまいったわけでございますから、そのメジャーというものがそのような商品協定の中においてどのような役割りを担い、地位に立つのかということは、他の商品とはちょっと違った独特の要素であるように考えます。
 そういうふうに私としては考えておるわけでございますが、アメリカの出方を見ておりますと、確かに伝えられましたようにかくかくのフロアプライスでということを言ってはおりませんようで、そういう考え方全部をIEAの会議に投げ出してみまして各国の意見を聞きたい、反応を聞きたいというふうな段階であるように思われますので、私どもとしまして、そういう長期協定のような要素、これは一つの考え方であるとは思いますものの、それを具体化していくこれからの討議というものは、相当十分にかつ自由に各国の合意するところを見きわめながらやっていくということが必要で、またアメリカも実際その心構えのようでございますから、討議は続けていくことが有益であろうと考えております。
#38
○戸叶武君 同じ先進消費国でも、輸入原油の下限価格の設定は、新油田及びオイルシェールなど代替エネルギー源開発の余地の大きいアメリカと日本の立場は非常に異なると思います。いま外務大臣は非常な柔軟な形でこれに対応する姿勢を示しておりますが、ここで私たちは、日本が資源小国であるという認識の上に立ってこれにどう対処するか、それは長期商品協定の構想に賛成なのかどうか、その点からまず明らかにしてもらいたいと思います。
#39
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国としては、従来この石油問題につきまして、産油国の立場に十分の理解を示してまいったつもりでございます。また、これからもそうでなければならないと考えておりますので、そういう立場から申しますと、産油国側において将来の安定した需給関係というものを希望をしておるということが、もし――これはこれからの問題でございますけれども、出てまいる、あるいはそのように事態が展開してまいるといたしますと、商品協定のようなものは一つの私は答案になるであろうと考えておるわけでございます。
 他方で、先ほどつけ加えて申し上げるべきでございましたが、代替燃料が開発されるということは、これは開発国だけの利益になるわけではございませんで、それに消費国であるわが国も将来均てんし得る可能性が十分ございますし、また、少なくともそれがかりに米国なら米国で開発された限りにおいて、従来の在来燃料である石油そのものの需給はそこから緩和をいたしますから、わが国はそういう形で価格的にも量的にも反射利益を受けるはずである。したがいまして、わが国自身が代替燃料を開発する可能性がきわめて乏しいといたしましても、協力をして代替燃料を開発するということは、わが国の利益にもつながるものであることは間違いがないと思います。したがって、その点に協力するということも私は大事なことであろう。これは先ほど申し上げるべきでございましたが、つけ加えさしていただきます。
#40
○戸叶武君 石油問題の紛争に関連し、キッシンジャー米国務長官は、産油国の行動により先進工業国が絞め殺されるような重大な危機に直面したときは武力行使もあり得るというような重大発言を行っておりますが、直ちに武力行使を行うという意味ではないと思いますけれども、あの発言以来、万波を生じ、第五次中東戦争危機の憂慮すら起きておるのでありますが、日本の三木内閣のアラブ寄り外交なるものは、いま外務大臣が述べられたように、米国案をうのみにするのでなく、フランス及びEC諸国の考え方に近いものかどうか、それは産油国からの原油の安定的供給を確保するため、産油国の収入に保障を与えるとともに、産油国の輸入する工業製品と均衡のとれた原油価格の適正水準を保障しようという商品協定の構想であるかどうか、そういう点を次に明らかにしてもらいたいと思います。
#41
○国務大臣(宮澤喜一君) やがていつかの機会に産油国と一緒になりまして、それらの問題を討議しなければならなくなるわけでございますので、多少そういう交渉上の立場も考えつつお答え申し上げなければならないと思います。
 基本的に、産油国が従来、一昨年の中東戦争以前、非常に安い価格で原油を買いたたかれておったという気持ちには、私は共感を持つことができますし、それからそのような資源が枯渇する前に工業化を完成しておきたいという、そういう産油国の希望にも十分に共感が持てます。後者については、われわれとしてもいろいろな協力の方法がございますし、また、いたさなければならぬところでございますが、前者について、さて十分に理解はいたしますが、さりとて、一挙に原油価格を四倍とか五倍とかに上げられますれば、これはその結果は、われわれ消費国のみならず、産油国自身にもはね返るということは、これは実際事実でございますから、その点は産油国もわかってもらわなければならない。したがって、そのような産油国の気持ちは理解いたしますけれども、そのやり方には、おのずからやはり順序立ったやり方があるであろうという立場にわが国はなろうかと思います。で、長期協定というようなものは、そのような産油国の希望にもし彼らが合うものであるというふうに考えれば、これは一つの解決策になろうと思いますけれども、その場合に、工業製品の価格の変化と原油価格をどのように関連づけていくかということは非常にむずかしい問題でございますし、また、デリケートな問題であろうと思います。少なくともいまの価格、かりに十ドル四十何セントという価格を基本にいたしまして、その上で工業製品価格の推移を反映させるというのでありますと、これはなかなか現実の問題として、消費国としては耐えがたいというふうに申し上げざるを得ないであろうと思います。
#42
○戸叶武君 宮澤外相は経済閣僚としての幾多の経験を持ち、経済政策のエキスパートでありますが、一部産油国に蓄積された巨額のオイルマネーの還流によって、国際通貨基金の石油融資制度の拡大を望んでいるようですけれども、その見通しはどうなっておりますか。
#43
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、昨年いわゆるオイルファシリティーという名のもとに、ある程度産油国から拠出がございまして、ある程度またそれが貸し付けられたわけでございます。先般の決定によりまして、今年またその上に五十億SDR加えるということになったわけでございます。私の申し上げておりますのは、いまお尋ねのIMFのことでございます。でございますから、制度としてはまずまず動き始めておるというふうに申し上げてよろしいのではないかと考えております。
#44
○戸叶武君 次に、秦野さんからすでに拡散防止の問題でいろんな面からの発言がありましたが、世界各国とも核拡散防止のために積極的な努力を払いつつありますが、原水爆の被害国であるところの日本としては、日本の発言というものが世界に大きな反響を持っているのが私は事実だと思います。そこで宮澤外相は、核兵器不拡散条約について、従来の方針どおり、原子力の平和利用の分野において、他の締結国との自主的平和主義を確保するため、国際原子力機関との間の保障措置協定締結のための予備交渉を進め、すみやかに本条約の批准につき国会の承認を求めたいと、すでに国会でも発言しておるのでありますが、最近聞くところによると、どうも少しぐらついてきているようですが、ぐらつきの原因は何でしょうか。
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) ぐらついておるわけではございませんので、ちょうどいわゆるIAEAとの保障措置協定が、先ほど政府委員から御報告申し上げましたように、実体としてはつい二、三日前に固まってまいったわけでございます。しかし、核拡散防止条約批准を国会に御審議いただくといたしますと、この保障措置協定のほうをかなり正確な形で、条文のような姿にいたしまして、あわせて御審議を願いませんと、これが核不拡散条約の心臓部になるわけでございますので、国会の御審議上の立場からは、保障措置協定が不十分な文章でありますと、おそらく御審議に差しさわりが出るであろう、その点は正確なものをお目にかけなければいけないと考えておりますが、実はその保障措置協定そのものが協定本文だけでも九十何条ございまして、それに付属する文章を合わせますと膨大なものになり、したがいまして、これからそのような資料を作成をいたしてまいりますと、やはり一月余りの日子がどうしてもその事務量だけでかかるように判断をしておるわけでございます。他方で、先ほど秦野委員からお尋ねがございましたが、この問題は、やはり国民的な十分な議論をして理解をすることが大切である。ことに、条約署名をいたしましたときの三つの条件のうち、ただいま事務的に整いましたのはこの保障協定でございますが、他の二つの条件につきましても、いろいろ国民の間に御議論もあり、見方もあるであろう。そういうことでございますから、たまたま事務的に仕事を整えますのに一月余りの時間がかかりますので、その間は十分にただいま申し上げましたような三つの条件について御議論をしていただく。何分にも今後二十年に関係あることでございますので、そうしていただきたいということを各方面に申し上げておるわけでございます。
#46
○戸叶武君 保障措置協定の作成に一月余りかかるというと、そのあとで出すという意味を含めての発言でしょうか。
#47
○国務大臣(宮澤喜一君) 実を申しますと、核不拡散条約そのものは、条文としての整理はそれほど長い時間がかかるとは思わないわけでございますけれども、この条約が保障措置協定と全く不可分に結びついておりますから、保障措置協定の内容を国会にお目にかけませんと条約の御審議をちょうだいする上で非常に支障があるであろうと当然に考えておりまして、したがいまして、その保障措置協定のほうの内容をきちっとした形で国会にお目にかけなければ、条約案の御審議をいただくことをお願いすることがいわば十分な立場でない、こういうふうに考えるわけでございます。
#48
○戸叶武君 いまの発言において、前向きの慎重論のように理解するのでありますが、まあこの問題に対しては各党とも活発な論議がかわされている中で、特にはでな慎重論がぶたれておるのは自民党の内部の模様でありますが、第一に、フランス及び中国が調印してない、第二に、米ソ間で戦略兵器制限交渉、SALTが進んでいるにしても、全体として核軍事力の縮小は見られない、第三に、日本は日米安保によって米国の核のかさの下にあり、日米安保は一年で廃棄できる仕組みなのに反し、第四、核拡散防止条約は二十年間の期間を持つから慎重にすべきだ、第五、非核保有国の安全を国連安保理事会の宣言にゆだねる際、常任理事国は核保有国が占めている等が挙げられていますが、この五つほど挙げた中で、どこが一番問題点だと思いますか。
#49
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのような御議論を最近ことに承るわけでございます。私といたしましては、いずれもなかなか重要な問題であろう。政府といたしましては、そういう御議論を踏まえましても、なお本条約を御可決いただき、批准の措置をとりますととが国益にかなりと、大きな国全体のメリットとデメリットから申しますと、やはりメリットのほうが大きいと考えてはおりますものの、ただいまお挙げになりました幾つかの御議論は、皆おのおの、それ自身として十分な回答を要する種類の疑問でございますから、それに対しては十分納得のいく答えを出しました上で、と申しますか、出しすますことがやはりこの条約についての国民的な理解を得る上に必要であろうと、たまたま手続上もある程度の時間がかかることでございますので、その間に十分そのような御議論について政府の見解も申し上げたいと考えておるわけでございます。
#50
○戸叶武君 いまの御発言によって基本的な姿勢は示してない。問題は、手続上の問題で慎重を要するということに私は理解して、次に、日本外交にとって最大の課題である日中平和友好条約について承ります。
 日中平和友好条約は、一九七二年九月の日中共同声明の上に立って締結されるものと確信いたしますが、さようでよろしゅうございましょうか。
#51
○国務大臣(宮澤喜一君) 一九七二年の九月に行なわれました日中国交正常化に伴う共同声明の中に、第八項でございましたか、日中平和友好条約の締結をしようという合意がございます。したがいまして、その合意に従いましてこの条約締結のための話し合いを始めたわけでございます。
  〔委員長退席、理事秦野章君着席〕
#52
○戸叶武君 したがって、その内容は、一、日中間の永遠の平和と永続的な友好関係の維持をうたうことを基本とし、二、主権の独立と領土保全の尊重、相互不可侵と内政不干渉、平等互恵並びに紛争の平和的手段による解決を明文化し、過去のことよりも今後の、将来に向かっての日中関係を律する建設的な新しいタイプの条約をつくり上げるという意欲に燃えているようですが、さよう受け取ってよろしゅうございましょうか。
#53
○国務大臣(宮澤喜一君) 心構えとしてはさようでございます。すなわち、ただいま話し合いが始まったばかりでございますので、両者の合意がどのような形ででき上がるかはこれからのことでございますけれども、今後の日中の友好関係を確固たるものにし、発展をさせるためのもろもろの原則、ものの考え方、そういったようなものを盛り込みたいと、わが国としては考えておるわけでございます。
#54
○戸叶武君 日中平和友好条約というものは、いままでのいわゆる平和条約の概念とは異なった戦争終結宣言的なものでなくて、もっと将来に向かっての友好関係を規定づけるようなビジョンに富んだ条約をつくり上げたいという意欲はけっこうだと思いますが、そういうけっこうな条約に対して、大切な三木内閣の与党の中に何か不明朗なごたごたがいつまでも続いているようでありますが、国会において大体の合意を獲得し、国民的なコンセンサスも得ているようなこの問題の最後の仕上げ段階において、この問題が速やかに締結されないとすると、三木内閣の威信、自民党に対する内外の私は批判を大きく浴びると思いますが、宮澤さんは自民党の中における、この内閣における良識派のリーダーといわれておりますが、その良識ある立場からどういうような御見解を持っておられますか。
#55
○国務大臣(宮澤喜一君) この条約に具体的に盛られるべき事項が、話い合いが始まりましたばかりでありますせいもありまして、必ずしも見通しの問題として明確になっておるわけではございません。したがいまして、それらをめぐっていろいろな御議論がございますことは仰せのとおりでございますけれども、私どもが考えております方向、それは先ほど戸叶委員が御指摘になりましたような方向でございますけれども、幸いにして、それがそのような方向で内容が決定をいたしますならば、自民党の党内においても私はさして困難な問題は起こらないのではないか。ただいまございます御議論は、こうあってはならない、あるいはこうあるべしというような種類の当然ございます御議論でございますが、私どもとして、まあ先様のあることでございますので、まだ確たることを申し上げるわけにはまいりませんけれども、先ほど戸叶委員の言われましたような方向を私どもも考えておりますので、そうでございましたら、党内的に大きな困難はないというふうに私としては考えておりまして、そういう方向で交渉を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
#56
○戸叶武君 かつてドイツのシュレルがシュトルム・ウント・ドラングの時代に、法律学者、国際法学者、政治学者をひっくるめて後向きの預言者だという皮肉な発言をしておりましたが、それは、過去の事例に拘束されて未来に向かって意欲的な創造を怠っていることを私は意味したのだと思うのでありますが、第一次世界戦争以後における国際法の理念の躍動というものものは、ウッドロー・ウィルソンの理念においても見られるように、戦争に勝った国が負けた国を裁くというような十八、九世紀的な過去の講和条約の行き方でなくて、次の戦争がなくなるような条件を具備して、未来に向かって意欲を持った講和条約をつくり上げようという理念が燃えてきているんだと思うのであります。そういう実践がややもすれば世界の各国のナショナリズム、手前勝手なエゴイズムによって傷つけられておりますが、第一次世界戦争以後において停滞したこの新しい国際秩序をつくり上げるという理念を、アジア・太平洋の一角から長い間紛争を続けた日本、中国がお互いに反省し、そして未来にビジョンを持って前進するというようなものが
  〔理事秦野章君退席、委員長着席〕
つくり上げられたならば、いま問題になっている平和友好条約の平和を削れとか、次元がまことに低い、また太平洋におけるヘゲモニーなんとか、全く過去の亡霊に取りつかれているこういう危惧心というものは一掃されると思うのです。したがって、日ソ平和友好条約というものは、ガラス張りの中で堂々として国の内外に自分たちの理念を積極的に発表していけば、私はこのことは世界史の中における大きな記録をつくることであると思うのです。この考え方の上に立って、アメリカにでもソ連にでも聡明な人はいないはずはないのでありまして、あの十八、九世紀的なマキアベリズムやメッテルニヒの亜流的な力の外交は雲散霧消していく可能性も出てこないとは限らないのであります。力の外交には限界があります。われわれが新しい時代を築くという理念の躍動の前に、この過去の戦争と暴力革命の亡霊から抜け出られない人々に大きな私は揺すぶりをかけるときがいま来ているのじゃないかと思うのでありますが、どうぞこの日中平和友好条約の仕上げによって、大きく日本なり中国なりに対する見方が、世界が変わってきた、中国もずいぶんがんこ者だ、日本も融通がきかないというのに、何という屈託のない姿勢かといってびっくりさせるようなものをつくり上げてもらいたいと思うので、あまり外務省はどうも秘密主義の伝統が少しあるので、宮澤さんなんかオープンなほうなんだけれども、それでもやっぱり発言が何かかじかんでいるので、衆議院あたりで問責決議案が突きつけられるなんてまことに私は気の毒だから、参議院ではさようなことはないようにと願っておりますけれども、この屈託ない発言、討論、それによって国民的合意というものを取りつけ、世界の信頼というものをかち得なければ、形式的な古い条文技術だけではこの次の平和は保障されないと思いますが、あなたはどのような考え方ですか。
#57
○国務大臣(宮澤喜一君) 過去における国際法と異なりまして、国連憲章のもとにおきましては、戦争というものはすべて否定されるわけでございます。そのような理念に基づきまして、ことに、過去長い間戦争に苦しめられた両国の関係でございますので、この際はっきり将来に向かって国連憲章の精神を具現いたしましたようなりっぱなものをつくりたいと考えております。
#58
○戸叶武君 宮澤外相は、この国会の冒頭において、一昨年の日ソ首脳会談の成果に基づき、平和条約の締結に関する継続的交渉を行うと明言しておりますが、その後、進んで日ソ交渉に当たっておりますけれども、この日中平和友好条約と日ソ平和条約とがからみ合って、ともすればこの日中平和友好条約の締結に対してどこからか横やりが入ったり、あるいは日ソ平和条約の前進に対していろいろなデマが飛んだりするようでありますが、そこで私は一つの事例を挙げたいと思うのです。私もかつて朝日新聞の新聞記者であって、新聞と政府の関係に触れるのはいやでございますが、前にやはり毎日新聞の記者が外務省との対立で非常な悲劇的な苦労をされたのを回顧しまして、この間の実は二月三日付のサンケイ新聞に、七段抜きの大活字見出しで、「日ソ会談の全容入手」、「平和条約締結交渉」、脇見出し「北京不参加では無意味」、「アジア安保で反論、宮澤外相」、この記事を外務大臣はお読みになったと思いますが、さらに同紙の三面に八段にわたって、「日ソ外相の公式発言内容」なるものが報ぜられております。私は、宮澤外務大臣はすでにそれに目を通していると思うのですが、あの記事の内容は正確なのでしょうか、それとも間違っているのでしょうか。その問題点を、新聞だからと遠慮する必要はありません。やはり新聞の目的というものは、揺すぶりをかけながら真実をそこに求めるという技術も含まれているのかと思いますから、この機会にひとつ正確な発言を願いたいと思います。
#59
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘の記事は私も読んでおります。簡単に申しますと、この「全容」と称しますものは、私の理解しておりますような全容ではございません。しかし、中に真実も含まれております。したがいまして、どう申し上げますか、荒唐無稽なものだというようなことは申し上げるつもりはございませんが、このような全容として私どもは把握をいたしておりません。
#60
○戸叶武君 だいぶ新聞に遠慮してものを言っているようですが、何%程度正確ですか。
#61
○国務大臣(宮澤喜一君) なかなかいいところもございますのですけれども、これが大体本当かとおっしゃいますと、私どもの理解している先般の会談の全体とは必ずしも一緒ではないというような感じでございます。
#62
○戸叶武君 なかなか苦しい答弁だからそれ以上追及しませんが、一月十六日、十七日モスクワで行われた宮澤外相とゴロムイコ・ソ連外相との会談で継続を確認した、継続を確認したということは、これは事実だと思います。年内にグロムイコ外相が訪日して再開する、このことも確認はとったんだと思います。この事実に立って、「サンケイ新聞社は、このほどきわめて信頼すべき日ソ外交筋から、両外相の会談における公式発言の全容を入手した」と明言して、その内容なるものを発表しておりますが、この「信頼すべき日ソ外交筋から」という断り書きの中には、ソ連の外交部なり日本の外務省のしかるべき筋から、ニュースソースを追及するのじゃありませんが、この内容が出たというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
#63
○国務大臣(宮澤喜一君) それは正確にお答えをいたすことはなかなか困難でございますけれども、外務省としてまとめました会談のサマリーというものとは必ずしも一致をいたしておりませんが、さりとて、それならばどういうことであろうかということは私どもわかりませんし、また、ちょっと想像もいたしかねるというようなところでございます。
#64
○戸叶武君 だんだんあなた特有の最近悪いコンニャク問答に入ってきましたが、そんなことだから問責決議案を突きつけられるのです。私は、やはり日本の外交というのは、もっと明朗濶達にいかなければならないのであって、「北方領土の返還が平和条約締結の前提条件である」とあなたが主張したのに対して、グロムイコ外相は明確に回答せず、「(1)力による脅威の排除、(2)第三国に対する領土の提供の禁止、(3)日ソ両国の利益に反する第三国の動きを認めない」と提案したとありますが、それは事実ですか。
#65
○国務大臣(宮澤喜一君) 会談の中にそのような部分がございました。
#66
○戸叶武君 ソ連が提示した三原則について話し合うべきだとの提案、また、ソ連がかねて提唱しているアジア集団安保構想について同意を求めたのに対し、宮澤外相は、日米、日中関係を前提に一部は賛成、一部は拒否の態度を表明したといいますが、その賛成したところと拒否をしたところを明らかにしてもらいたい。
#67
○国務大臣(宮澤喜一君) たとえば、第三国に対して武力を用いないというようなことにつきましては、私は会談の中で、日本としてはそのような武力を持たないのであるから、これについては何も反対すべきところはないということを申しました。それからまた、別のコンテクストでございますけれども、いわゆるアジア集団安全保障というような構想については、たとえば、中国はどのような意見であろうか、北鮮はどのような意見であろうかというようなことを、むしろ反問を、こちらから質問をいたしまして、中国の態度は必ずしもそれについて賛成ではないというような先方の答え、そのようなやりとりがございましたことは事実でございます。
#68
○戸叶武君 さすがになかなか名問答です。感心します。ところで、集団安保構想に対してはまだ賛成できる時期でないと反論したと報道されているが、それも事実でしょうか。
#69
○国務大臣(宮澤喜一君) アジア集団安保の構想については、ただいま申し上げましたような趣旨から、わが国としてはにわかに現実の問題にはなりかねるという考えを私は持っておりまして、そのことを会談の席で申したように記憶しております。
#70
○戸叶武君 同新聞が締めくくりの段階において、ソ連側は中国接近の政府の態度について再考を捉すなど、中国をめぐる日ソ双方の見解が真っ向から対立していることをこの記録は明らかにしていると説明がついております。そういう説明のもとに、この記事は読まれるのだと思いますが、サンケイ新聞はなかなか売れる新聞です。多くの人が読んでいると思います。これがこのまま国民に伝わったときに、いま宮澤外務大臣がちぎりちぎり、ところどころ、ぽつりぽつりと答弁したような形において一般の人が受けとめたときには、私は非常な誤解が生ずる危険があると思います。私はこの問題に関して、新聞社側に対して訂正なり、間違っているところを指摘するなり、それができないならば、こういう交渉内容が行われましたと、全部を伝えることが外交文書でできないのにしても、いま新聞側で受けとめたような形ではなくて、ソ連としても日中平和友好条約にけちをつけるような考え方を持ったら、大国として非常に傷つくわけであります。また、中国においてもソ連とのいろいろな中ソ論争を通じて見るように、感情がわだかまっているのも事実であります。そういう紛争の中に巻き込まれないで、日本が毅然たる姿勢で、日本と中国との平和友好条約を締結し、一方において日ソ平和条約をつくり上げるのだと、みずからの主体性を持つことによって、日中平和友好条約への取り組み、また、日ソ平和条約への取り組みを進めていくべきだと思いますが、まあ新聞、あるいは週刊誌、いろいろなことを書くから、書いても文句を言ってもしようがないし、文句を言えというのではない。私はこういう問題があればあったで、外務大臣がそれをできないならば、外務当局のスポークスマンなりが、堂々と私は日ソ平和条約はいまだ煮詰っていないが、この程度までは前進したということを、絶えず国の内外にやはり訴えるだけの積極的姿勢を持たなければ、宮澤さんをせっかく新しいタイプのリーダーとして外務大臣に迎えた意味が私はなくなっちゃう。宮澤さんどこへ行っちゃったのかといって、顕微鏡で見なければならないということになると大変だから、その辺をもう少しはっきりさしていただきたいと思いますがどうですか。
#71
○国務大臣(宮澤喜一君) 私のお答えが不十分なことはよく気がついておりますけれども、練達の戸叶委員にはよく御推察をいただけることと思いますが、何分にも会談は非公開で行われておりますし、また、今年中にもその続きをいたさなければなりません。先方の立場もあろうと思いますので、私の御説明が不十分な点は御了解をいただきたいと思います。が、先般の会談そのものは、わが国の望んでおりますところと先方の立場とは容易に一致しないものではございましたけれども、会談の雰囲気そのものは決してとげとげしいものではございませんで、わが国と中国との関係につきましても、先ほど報道されていると御紹介のございましたような空気のものではございませんでした。
 なお、日中平和友好条約の話し合いにつきまして、いろいろの意見が表明されているということにつきましては、わが国も今日ほどの国際的な立場になりますれば、その動向につきまして、いろいろな反響を呼びますことは、これはもうむしろ当然のことであろうと考えておりまして、私そのこと自身をさして気にはいたしておりません。要は、御指摘のように、わが国の国益は何であるかということを指針といたしまして、日中平和友好条約締結の話し合いを進めること、並びに日ソ平和条約の交渉を継続して行うこと、これが私どもの進むべき道であるというふうに考えております。
#72
○戸叶武君 宮澤さんは歯に衣を着せず、ソ連とも話をしているのだが、歯に衣を着せないところは話せないという外交辞令で包んでいるようですが、私たちは在野の政治家ですが、やはり民族の悲願というものははっきり向う側に伝えてもよろしいので、私は社会党の者でありますが、この間の社会党の大会の外交論争も、毎日か読売かの漫画で、中共帽かぶった佐々木さんと、ソ連帽かぶった石橋書記長とが書かれておりましたが、これを書いたからといって文句をつけるわけにはいかない、一つの風刺かもしれませんかもしれませんけれども、とにかく、いまの日本の外交全体の一つの基本姿勢というものが、自民党でも社会党でも、与党でも野党でも、大いに反省しなければならない点がある。われわれはやはり祖国に対して責任を持たなくちゃならない。愛国者である、パトリオトである。しかし、それが排他的なナショナリズムでなくて、国際的な平和共存体制の方向づけの基盤になるような構えを持たなければならないので、私はやはりソ連のクレムリンに呼ばれたときにおきましてもあの最高幹部の部屋におきまして、社会党の基本的な外交路線においては、平和条約を早く結ぶというのにウエートをかけて、当時の成田書記長は、歯舞、色丹を日本に返してもらって、とりあえずそれで平和条約を結んだらどうかというような提言をしましたが、私はなまいきかもしれないが、外交は、特に戦後における平和条約は、過去の罪滅しじゃない、明日に向かって平和を保障するような条約の具備、やはり基本的に北方領土の返還をソ連みずからが自発的にやっていくような態勢が示されなければ日本の国民の合意は得られないということを主張したのであります。当時、いろいろな誤解も受けましたが、私は、やはり在野の政治家であるが、日本人ここにありというこの見識は失いたくないと思います。しかも、日本の国民の良識というものは、各党おしなべて歯舞色丹、国後、択捉の線において北方領土の問題に対して合意をかち得ているのが今日の段階だと思います。日本の国民世論というものの良識に満ちた結実というものを私たちはここに見ておるのでございまして、こういう背景の上に立って、私は、ソ連もわかるだろう、またソ連と中国の間にいろいろな問題があるが、社会主義の理念というものはインターナショナルなものである、政権をとった国々は、その国における利害問題にどうしてもとらわれがちである、やむを得ない、ソ連が領土問題に対して苦悩しているのも事実である、この立場に対してのわれわれは思いやりをやることも必要であるが、領土問題の中にだけ埋没して日ソ関係の親善を推進させないということは間違いであり、シベリア開発の問題とも取り組むべきであるが、政府は、とにかくこの領土問題の解決がつかなければ平和条約は前進しないという線をいま守っているのだと思いますが、この日ソ平和条約というものの見通しはどうですか。日中平和友好条約の締結は時間的に恐らくはことしじゅう早くできると思いますが、日ソ平和条約も日中平和友好条約が締結されたならば、そこに示された日本の姿勢を見て、日本は他意がないんだ、ソ連なんかは仮想敵国にしないんだ、アメリカとの安保条約はあったとしても、それを乗り越えて、ソ連を敵視するようなことでなくて、一つ一つなし崩して前進するのだという、そういう私は反響が必ず起きるような条約でなけりゃ、あなたのことだからつくり上げないと思いますが、見通しはどうです。
#73
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、日ソ平和条約でございますが、ただいままさしく御指摘になりましたように、択捉、国後、歯舞、色丹四島の返還は、これは一党一派の問題ではございません、国民的な合意である、日本国民全体の求めるところであるというふうに考えております。決して一党一派の問題とは考えておりません。したがいまして、この問題が円満に解決をいたしませんと日ソ間に平和条約を結ぶわけにはまいらないというのが政府の立場でございますし、また、これが国民的な支持を受けておる立場であると考えております。でございますから、いつそのような条約が可能であるかということは、一にかかりましてソ連側のこの問題についての理解いかんによるわけでございます。ソ連にも、他の国との関係において、ことに第二次大戦後の現状において、いろいろな考えはあるでございましょうけれども、これらの四島は、かつてわが国の領土以外であったことはない四島でございます。御承知のとおりの経緯でございますので、何年か、何世紀かの間にわたって、あっちのものになりこっちのものになったというような性格の島ではございません。このようなわが国の立場は必ず理解されてしかるべきものであると考えております。しかしながら、先般の交渉の経緯にもかんがみますと、これについてはわれわれ粘り強く忍耐を持って、みずから正しいとする主張を主張し続けなければならない、こういうふうに考えております。
 それから日中平和友好条約につきましては、話し合いが始まったばかりでございますので、先方がどのように考えておるかが十分にまだ検討されておりません。私どもとしては、ただいままでのところは非常に困難な問題が出てくるとは思っておりませんけれども、何分にも話し合いの早い段階でございますので、いたずらに結果を楽観するわけにもまいりません。願わくは、今後とも余りむずかしい問題が登場をせずに話し合いが早くまとまることを希望いたしております。この国会に御提出をするというお約束をいたしますと交渉に期限を切るようなことになりますので、そのようなお約束を申し上げるわけにはまいりませんけれども、私どもといたしましては、もし先方がむずかしい問題を出してこなければ、もうできるだけ早く話をまとめ上げたいと考えておりますことには変わりがございません。
#74
○戸叶武君 宮澤外務大臣は先方のことを御心配のようだが、私は自民党の足元の方を心配しているのですが、これはみずからのやはり主体性が樹立しなければ人を動かすことはできないのです。私は戦後三十年の間、特に一九四五年の二月十一日、十二日のヤルタ秘密協定、アメリカのルーズベルト大統領、ソ連のスターリン、イギリスのチャーチル、これの取りまとめの中に奔走したのが国務省の共産党寄りのヒスでしたが、ああいうヤルタ協定のヤルタ体制というものによって戦後処理を行おうとし、あのヤルタ秘密会議の中で、連合国の中で第二次世界戦争の発端をつくったフランスなり中国が戦力低下を名として除外をし、秘密が漏れては大変だとされたが、結局戦後間もなくこのヤルタ体制というものは現実に動きがとれなくなった。アメリカにおいて、またソ連・山国封じ込め政策というものをつくり上げたが、それもできなくなった。アメリカとソ連が核兵器力持って二大国が妥協してコントロールしようとしたが、第三世界の登場によってこれも今日において不可能になった。力を持つ者が音を立てて崩壊していくのが二十一世紀に向かっての新しいばく進です。道理が通らないで未来に対して、人類に対して苦悩を与えるような力の外交は破砕されているのであります。そういう意味において、私は日本は謙虚なる形であっても、政治の世界においての偉大なる功績は、具体的な事実を日本だけでなく中国とつくり上げる、その次には日本とソ連とつくり上げる、その次にはアメリカも胸襟を開いてつまらないおせっかいはしなくなる、こういうふうな連鎖反応が起きるのが今後二十一世に向かっての歴史的な波動だと私は確信するのであります。ちょうど私も実は二月十一日、昔は紀元節だったが、このごろは建国記念日となっておりますが、この日に、明治三十六年に生まれました。この翌日に、私の郷土の預言者田中正造は、天皇の名による裁判によって侮辱を受けて牢屋にたたき込まれて出てきた後、バイブルを読んで、二月十二日に、前の参議院の議長をやった河井彌八さんのお父さんである、田舎政治家であった河井さんのお父さんに静岡県に招かれて初めてやった演説が、預言者ヨハネのように戦争はやるべきでない、戦争絶対反対、世界各国の軍備撤廃すべしということを一貫して説いたのです。田中正造の偉大さは、天皇に直訴したのではない、人民に訴えながら人民の中から預言者ヨハネが求めたような新しいところに向かって決起する力を求めたのであります。あれほど国会生活をしながら、国会に対して寒々としたものを感じて民衆の中へ入っていった。これを思うとき、われわれは政治に長い間もまれておりますけれども、何か今日の政治にわびしさを感じます、むなしさを感じます。どこかの一角から、この退廃した議会政治の中に何か躍動するものをつくらなければ、ゲバ学生が国会をぶつつぶすんじゃない、国民の心が日本の政治に対して総不信感を持っていくと思うんです。日本だけじゃない、どこだってそうじゃないですか。民主政治とは名ばかりで、からくり政治、権謀術策の政治、力を持つ者の駆け引きの政治、これが現実であっても、これに抵抗する戦いをやる者が、原爆によって洗礼を受けた――預言者ヨハネに洗礼を受けたのではなく、原爆によって洗礼を受けた日本民族の果たすべき任務だと思うのでありまして、どうも宮澤外務大臣は、顔は柔和だがしんは強いようですから、どうぞそのしんの強いところを発揮して、粘り強くこの日中平和友好条約、日ソ平和条約並びに核拡散防止条約の締結というようなものをどんどん進めていって、なまはんか核を持たなければ不幸だ、何とかしなければならない、さもしい気持ちを国民の中へ押しつけないで、平和憲法と非核三原則の原則を国会でわれわれが決めたんじゃありませんか。国民世論がこれを支持しているんじゃありませんか。これを微動だにせずに前進していただかれんことを期待し、私の質問を閉じる次第であります。
#75
○黒柳明君 今日外交課題幾つかありますけれども、時間が短いので焦点をしぼります。
 一昨日、米会議に米国防総省から出しました国防年次報告ですが、日米安保条約上から見て、またアメリカの戦略上から見ていろんな問題が含まれていると、こう思います。従来、私が言うまでもなく、ベトナム戦の終結あるいはニクソンドクトリンでアジアからの兵員の削減等で、アメリカのアジアを中心にしての戦略状況、これは変わってきたわけでありますけれども、あの国防報告を見ますと、特に沖繩が非常にクローズアップされている。従来、言うまでもなく、沖繩が極東のキーストンであった。あれを読みますと、韓国の後方支援というので、ストロングポイントですか、これは外務大臣の方が英語達者ですけれども、防衛基地といいますか、強化拠点といいますか、こういうふうに非常に限定的な定義づけをしている。言うまでもなく、従来日米安保条約というのは極東の安全のため、こういうことであったわけですけれども、それが、極東の範囲には入るけれども、韓国のストロングポイントという表現、これは非常に限定的な表現に変わってきたと、こう思うんですけれども、これについて、まず外務大臣の御見解いかがでしょう。
#76
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はまことに恐縮なことでございますが、この年次国防報告は、現地の大使から報告が私どものところへ参っておりますのですが、私が十分これを消化をいたす暇がありませんで、ただいまのお尋ねをいただいたわけで、まことに恐縮なことでございますが、確かに米国の陸上、海上及び戦術空軍兵力は、沖繩とフィリピンにあるストロングポイントから云々と書いてございます。また別のところに、極東における主要なストロングポイントは韓国に維持され、とも書いてあるように存じます。このような米国の極東情勢の認識であろうかと存じますが、私どもとして、やはり韓国あるいは朝鮮半島における情勢の発展は、わが国の安全にとって重大な関心のある問題であると考えておりますので、そういう意味におきましては、黒柳委員の言われました安保条約の極東の平和と安全というものの一つの重要な地域である、かように考えております。ただ、先ほども申し上げましたように、このアメリカの年次国防報告全体がどのような認識に立っておりますか、私十分に消化をいたしておりませんので、わが国の立場から申しますと、ただいまのようなことを申し上げられるかと思います。
#77
○黒柳明君 まあ年次報告も三日たちますからね。前々回、ちょっと古い話になります、そのときも外務省が資料を持ち合わせないで勉強しないということで、これは私のほうが一生懸命勉強している、うまくないという指摘をしたんですけれども、当然そこにありますから、英語達者な外務大臣ですから、ごらんになりながらどんどん御答弁いただけば結構だと思うのです。私言ったのは、日本の立場、これはもういざ知らず、やっぱり日米安保条約は当然日本とアメリカとの緊密な友好関係の上に立った条約ですから、その規定というものがこれほどやっぱり限定的なものが表現されたものはなかった、これは田中前総理あるいは佐藤前々総理、時のニクソン、あるいはアメリカ大統領とのいろいろな共同声明ありますし、しかし、極東ということについては、これは外務大臣おっしゃったように一つの明快な定義があったんですけれども、少なくとも施政権返還というのも時代が古過ぎますけれども、わが国の施政権下にある沖繩の基地が、これがあくまでも韓国のストロングポイント、これ何と訳しますか、防衛基地と訳しますか、あるいは強化拠点と訳しますか、訳はどうあれ、あくまでもそれに直接につながった一つの拠点であるという限定的な明確な表現はされたことはないと思います。こういう観点ということから、日米安保条約の中で、もう一歩具体的に沖繩基地の、ひいては私は外務大臣がさらにこれを評価していきますと、日本の基地全体にもわたる可能性が――これはちょっと質問これから後になりますけれども、沖繩基地というものが具体的に限定的に表現されたということは、あくまでも日米安保条約の中でアメリカの戦略戦術的な大きな、あるいは大小かかわらず相当の変化が見られると、こう思うのですけれども、外務大臣どうでしょう。
#78
○国務大臣(宮澤喜一君) このように述べられておるようでございます。極東におけるわれわれの立場は、われわれというのは米国でございますが、は、欧州における兵力配置ほど多くの注目を集めないかもしれないが、日本の安全保障と極東の平和は国際的安定のため重大であると、さらに韓国駐留の重要性等も論じておりますが、これが日本の重要性という意味からも必要であるというようなことを述べておる由でございます。
 これにつきまして考えますのは、私の推察でございますが、わが国そのものは現在いわば平和で繁栄をしておる状態でございますけれども、朝鮮半島におきましては、もう過去二十数年前のようなことはもとよりございませんけれども、なお不安定な要因を何がしか持っておる、こういったような認識に重点を置いて、ただいま黒柳委員の御指摘のような表現があるのではないだろうか。そのために、沖繩における、あるいは韓国における米軍の役割りがある、こう考えておるのではないだろうかと存じます。
#79
○黒柳明君 ちょっとかみ合わないな。少なくともこういう表現は従来なかったですね、外務大臣。
#80
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員から申し上げます。
#81
○政府委員(山崎敏夫君) これと同じような表現はあったかというお話でございますれば、われわれとしては承知いたしておりませんが、こういうふうな考え方はアメリカの中にもあったことば事実でございます。
#82
○黒柳明君 私言っているのは、また同じことの蒸し返しになっちゃうので、要するに沖繩の基地を、日本に施政権が返還された後において、一極東の一部である韓国の後方防衛基地と訳すか、あるいは強化拠点と訳すか、こういう表現はなかった、これは間違いないと思います。そういうことが私はさらに、外務大臣お持ちの中に、これはフィリピンと連動していると書いてありますが、いざとなったときには海軍力、戦術空軍と書いてありますか、ここから大量に導入できると、こういう表現があるのじゃないですか。そうすると、前回私は、この沖繩の基地が同じく国防総省の見解で永続的な基地化、それに対して外務省の答弁は、いや、安保は一年ごとに破棄できる可能性を持っているのだからそんなことないのだと、こうおっしゃった。しかし、またさらに、一韓国に何かあった場合にはこの沖繩からですよ、フィリピンはともかく外国のことですからいいでしょう、沖繩から陸海空三軍を強力にここから導入できるのだ、するのだ、こういう表現は、やっぱり沖繩の基地の前回の国防総省の永続化ということにつながってくるのじゃないですか。いかがでしょう。
#83
○国務大臣(宮澤喜一君) おそらく米国の立場からこの年次国防報告の思想を推察をいたしてみますと、わが国とは日米安保条約がございます。それから韓国とは米韓の条約がございます。われわれはそれを全体極東の平和安全ととらえておるわけでございますけれども、アメリカ自身はおのおのの国に対してそのようなコミットメントをいたしておりますから、したがいまして、沖繩にあります基地がそのようなアメリカのコミットメントを確保する上で大切である、こういう考え方を示しておるのではないかと考えます。
 で、せんだってのいわゆる永久云々でございましたが、たしかあのときにつかわれておりました言葉は、インデフィニットという言葉ではなかったかと思います。したがいまして、期限を付されていないということを言いたかったのではないだろうかと私どもは考えておるわけでございます。
#84
○黒柳明君 そこにさらに書いてある、おわかりのように、そこには英語では何と書いてありますかね。これはけさの新聞の日本訳でありますが、「韓国に対する直接の脅威が、現在われわれが考えているよりもはるかに重大化するような、政治的変化の発生の可能性を排除できない。」と、どうですか外務大臣、この見解は。私はさっきから前提として言っていることは、お聞きしている前提は、日本の基地、しかも沖繩が、これは基地の中の沖繩という表現はまだ変わっておりません。この沖繩が、一韓国のための強化あるいは防衛基地という、こういう限定なんです。これは極東の安全ということでもわが国の安保が防衛に対してこのように実際にどう役に立つかということは疑問だと思うのですよ。しかし、一歩譲って極東の安全のためにと、これについては必ずしもこれはノーと言えないようないろいろな問題があると思う。しかし、私がいま尋ねている大前提は、沖繩の基地が、日本の一島が、そこに多数の米軍基地が存在しているところが、極東の中の一韓国という一つの国を名指ししてそのための支援基地、支援拠点だ、ここに問題があるのではなかろうか、こういうことが前提です。そうなると、いま私が言いましたように、外務大臣はこのアメリカの認識、われわれが考えている以上に韓国の状態というのは政治的に危険性があるのだという認識、これは同意できますか。
#85
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもとしましては、少なくとも二十五年前にございましたような大きな動乱といったようなものは、その後韓国には見られないわけでございますけれども、脅威ということになりますと、かなり主観的なことでございますから、韓国と北鮮とは国境を共通にしておりまして、あるいはお互いに脅威というものを感じておるということはこれは考えられることでございます。私どもがそれをとやかく申すべきことではないと思うのでございます。で、そういう立場を反映いたしますと、アメリカ側が米韓条約によりまして、やはり朝鮮半島の平和を維持しなければならないと考えておることも理解はできますし、またその一助として、沖繩にございます米軍が安定勢力になるということも理解のできるところであろうと思います。そういたしますと、われわれの観点から申しますと、われわれはどの国どの国と申しますよりは、極東の平和と安全全体がわが国の平和にとって大事であるということ。それから韓国につきましては、ことにわが国に近接しておりますので、その情勢はわが国にとって特段のやはり重大な関心事である。と申しますことは、政府が従来から申し上げておりますとおりでございますので、アメリカの視点とわれわれの視点とは、おっしゃいますように異なっておりますけれども、その間に矛盾があるというふうには私は考えておりません。
#86
○黒柳明君 こういう「われわれが」――アメリカ側の、いま外務大臣がおっしゃったような見方、これも私はある意味においてそういう見方があるだろうと、こう思います。
 私がいま質問しているのは、「われわれが」――アメリカが考えている以上に、韓国には政治的な危険性が内在している、こういうアメリカの――これは南北の関係でしょう、それについて、日本の外務大臣としては、見方について同意しますか、しませんか。
#87
○国務大臣(宮澤喜一君) これはやはり各国おのおのの見方でございますので、韓国がそれをどう考えておるか、アメリカがどう考えておるかというようなことについて、私どもがそのことにつきまして意見を述べますことは、やはり差し控えるべきであろうと考えます。
#88
○黒柳明君 それじゃどう思っていますか。それじゃこれと離れてもけっこうでしょう。いまこれと離れてもけっこうでしょう。韓国情勢というのは、アメリカが年次国防報告に出すわけですから、これは何もきょうがあしたという意味も含まれているかどうかわかりません。しかし、やっぱり国防的な立場から、本年の課題として出したわけでしょう、本年の課題として。だから年次報告になるわけだ。その本年の課題の中に、沖繩と韓国との関係というものをこうとらえているわけですから、だからアメリカはアメリカ、その見方けっこうです。日本は日本の見方、これもあるでしょう。ですから日本の見方というものはどうとらえていますか、韓国情勢を。アメリカの国防総省の年次報告に同意するかしないかはこれは別にして、それじゃどうとらえておりますか。
#89
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたように、まず第一点は、朝鮮半島に大きな戦争がございましてから二十数年たっておりまして、その後、そのような大規模な紛争がないということは幸せなことでございますけれども、韓国側、北鮮側とも、ことにこの一年余り国境をめぐりまして、あるいはその近くの海におきまして小さな紛争は起こっておる。これは韓国も北鮮もそのようなことを述べておるわけでございます。でございますから、それらの国が主体的な問題としてどう考えておるかということは、私どもがやはり判断を差しはさむことは差し控えるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから第二点の、沖繩におります米軍が朝鮮半島全体の安定のために役立っておるとアメリカが考えておりますこと、そのこと自身は私はやはりそういう見解は、私どもとしてもそういう見方があるであろうというふうに考えております。
#90
○黒柳明君 昨日、御存じの選挙が終わりまして、朴政権もまた現憲法下において政権を維持していく。しかし韓国的民主主義、その実情について私も云々する必要はないとは思いますけれども、客観的にはやっぱり批判が多いことは、これは国際世論については外務大臣も耳にふたするわけにはいかないと思います。私は、何も日本がどうだとかアメリカがどうだとかいうことじゃなくて、国際世論として客観的にいろいろいわゆる批判があることは、これは外務大臣否定するわけにいかないと思いますね。そういう国情下にある、いわゆるいい意味で言えば韓国的な民主主義、そういう中、そういう国と、わが国の一アメリカの拠点、が全く密接な防衛関係にあるということが、国際的にそういう報告をされることによって、非常に私は日米安保条約で、日本とアメリカとのこのいわゆる友好親善を基本にした相互信頼の上に立った、核のかさにあるような、そういう防衛論争とは違った面で国際的な反響が出てくる可能性があるんじゃないですか。私はそう憂えざるを得ませんけれどもね。日本の国が全く韓国の一防衛基地になるというんだ、使われているんだ。ある人によっては、国際世論で厳しい人は、あれだけの非民主的な国のと、こういうコメントもつく可能性があるんじゃないんですか。外務大臣も国際的に活躍をする立場にあるわけでありまして、こういう観点から、いまのうちにひとつ――先ほどの戸叶先生も率直にものを言う外務大臣だと、こうおっしゃっていらっしゃったわけですけれどもね。私は、こういう国防総省の新しい見解に対して、やっぱり日本は日本なりに、沖繩基地のあり方、米軍基地が――三日前ですか、あの環境庁長官も縮小の検討をするなんということは言っていましたけれども、こういう報告がさらに追っかけて出てきますと、縮小どころか、全く拡大の方向にいくんじゃないかという、こういう憂えもしないことはありません。ひとつそういう観点も相あわせ――何ですか、後ろで、いろいろありますか、文句が。ぼくはちょっと神経質なほうでね。後ろで首を振っている。何か文句あったら外務大臣に、耳にささやいてやんなさい。どうですか、外務大臣。三日前ですよ。防衛庁長官は、基地の縮小をするということは一面トップに出ていました。結構なことです。大いに縮小してもらいたい。そのやさきにこういう、ここからどんどん陸海空三軍を注ぎ込んでいくんだ、韓国の防衛拠点にするんだ、こういう――米国なりとは言えないじゃないですか、これは。米国なりの見解とは言えないじゃないすでか。日本と関係を持たない米軍なりの見解なんてないんじゃないですか。密接な関係があるんじゃないですか。それを、いや、米国は米国で考えるでしょう、わが国はと言っていられない。だから、日米安保条約というふうに日米間の二カ国の条約じゃないですか。アメリカのというわけにいかないんじゃないですか。どうですか。
#91
○国務大臣(宮澤喜一君) よその国のあり方につきまして私が何も申し上げられませんことは、黒柳委員も御了解をいただけることだと思いますが、確かにアメリカと韓国の関係は、これは米韓の条約の問題でございます。わが国はその関係については第三者になるわけでございます。わが国の立場から申しますと、安保条約によりましてわが国の安全及び極東の平和、安全と申しますのは、やはりわが国の国益を中心に考えまして、極東の地域に平和と安全があるということがわが国の安全に即つながる、それが大切であると考えておるわけでございますから、そのためにわが国の施設・区域が使われるということは、わが国自身の平和と安全の問題である、わが国から見ますとそのように考えてよろしいのではないかと思うのでございます。
#92
○黒柳明君 そういう原理を限定しますと、韓国の安全は全くわが国の安全と即一体のものであるという論拠になるわけですな。この国防総省の見解を、外務大臣がいまコメントしたことを踏まえますと、韓国の安全というのは、韓国の防衛というのは、わが国の、あるいはわが国の沖繩と言ってもいいでしょう、その安全と防衛と全く不可分のものである、こういうことになるわけですか。
#93
○国務大臣(宮澤喜一君) かつて、その問題につきましては、当時の佐藤総理大臣と米国のニクソン大統領との間の共同声明に盛られておるわけでございますが、やはり韓国あるいは朝鮮半島における平和と安全はわが国にとりまして特段の関心事であると、これは政府の当時から一貫した考え方であろうと考えております。
#94
○黒柳明君 特段のとか、その佐藤・ニクソンの共同声明、そこらはもう何回も国会で論議されましたですな。そうじゃなくて、全く不可分一体のものであるかと、私は。新しい質問。
#95
○国務大臣(宮澤喜一君) 不可分一体ということをどのように理解してよろしゅうございますか、にわかに申し上げられませんけれども、ただいま申しました声明で、わが国、日本自身の安全にとって緊要であるという表現で政府は申し上げておるわけでございます。
#96
○黒柳明君 まだいろいろありますけれど、また予算委員会であれしましよう。中に、一番最後に、横須賀のことが触れてありますね、その中に。しかも、一九八一年には在来型空母を今度は原子力空母にかえると。そうすると、いまの横須賀の空母の母港化、これが――あと五、六年期間はありますよ、猶予は。しかし、いまのままで継続にして米空母の母港化の方向にいきますと、在来型から原子力空母が横須賀に停泊するという可能性を示唆しているんじゃないですか、その報告は。どうですか。
#97
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員からお答えを申し上げます。
#98
○政府委員(山崎敏夫君) この報告の中では、まだそういう原子力空母に振りかえるというところまではっきりは申していないと思います。
#99
○黒柳明君 いや、その可能性を示唆していますね。在来型を三隻から二隻にする、ミッドウェーは置いておく、さらに原子力空母にかえる可能性もあると、こういうようなことになると、結局原子力空母の母港化になる可能性も示唆していると――それは断定しているとは言いませんですな、私は。そういう可能性があるんじゃないですか、将来。そうすると、その時点でやっぱり横須賀の基地のあり方というのは当然検討せざるを得ないと、こう思いますが、いかがですか、外務大臣。
#100
○政府委員(山崎敏夫君) われわれとしましてもこの報告は現在受け取ったばかりでありまして、いま分析はいたしておりますけれども、将来のそういうアメリカの極東における空母を動かす計画に関しまして、まだ何にもアメリカからは聞いておらない次第でございます。
#101
○黒柳明君 まあきようの外務委員会で当然、勉強しない――外務大臣、冒頭から勉強してこないなんておっしゃって、よくもそうずうずうしいことを言えるかと思って、がっかりもし、あるいはりっぱだとほめもしなきゃならないんですけれども、前々回も私はそういうケースがあった。そのときは外務大臣は宮澤さんじゃなかったわけですけれどもね。勉強しないということで済まされる問題じゃないわけです。一番、党内きっての勉強家であり、アメリカ通であり、横文字に達者な外務大臣が、勉強しない、勉強しないなんということで答弁をそらされたんじゃ、私も質問する意欲が半減すると、こういうことでありまして、ぜひとも勉強を、私もいたしますんで、勉強してお互いに建設的なひとつ論議をしたいと、こう最後に忠告して、時間が来ましたから……。
#102
○立木洋君 最近のベトナム情勢について、また新たな重大な事態が起こっておるということは御承知のとおりだと思うんですが、きょうはこの問題に関連して幾つかのことをお聞きしたいと思うんです。
 きょう防衛庁の方はおいでになっていますかね。
 私は、去る十日の日に沖繩の基地の視察に参りました。ボーン大佐あるいはデスペイン中佐、こういう人たちに会っていろいろ話を聞きました。
 防衛庁の方にちょっとお尋ねしたいんですが、戦略偵察機であるSR71、これはいま沖繩に存在しているのかどうか。存在しているとしたら何機存在しているのか。
#103
○説明員(三好富美雄君) SR71は、沖繩に恐らく三機か四機あると思います。
#104
○立木洋君 そのSR71はいまどういう行動を行っているでしょうか。
#105
○説明員(三好富美雄君) それについては、今月に入りましてから新聞に報道されたことがございますが、それ以上のことは存じません。SR71という機種は、これは偵察用につくられた飛行機であります。
#106
○立木洋君 SR71がベトナムの領空で偵察飛行を行っておるということについては、御承知ですか、防衛庁の方。
#107
○説明員(三好富美雄君) 私どもの方では確認いたしておりません。
#108
○立木洋君 SR71が沖繩にあるということは、沖繩のデスペイン中佐もはっきり認めておりますし、一月の十四日にはシュレジンジャー国防長官も、沖繩から発進してベトナムの偵察に行っておるということも報道されておるわけです。この報道は知っていますね。
#109
○説明員(三好富美雄君) はい、読んでおります。
#110
○立木洋君 このSR71が沖繩から発進して、ベトナムの領空で偵察飛行しておるということについて、外務大臣はどういうふうにお考えですか。
#111
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもその事実を実は確認をいたしておらないわけでございます。
#112
○立木洋君 いや、どういうふうに考えておるかということです、アメリカのシュレジンジャー国防長官もちゃんと認めておるわけですから。そういうことが行われておるという事実を外務大臣として確認されていなくでも、そういう事実があるということが客観的な報道で出されているわけですから、これについてどうお考えですか。
#113
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたように、私ども事実を確認いたしておりません。
 次に、仮にそのようなことがあったときに、恐らく法律関係あるいは政策の問題として日本政府はどう考えるかというお尋ねであろうかと思いますが、それは、そのような事実が仮にあったといたしまして、その事実の態様によるであろうというふうに考えております。
#114
○立木洋君 端的にそれじゃお答えいただきたいんですが、こういうことがあったとしたら、それはいいことですか、よくないことですか。
#115
○国務大臣(宮澤喜一君) どのような目的でどういうことをやっておるのかという具体的な態様につきましてわかりませんと、判断がいたしがたいと思います。
#116
○立木洋君 この事実は、シュレジンジャー国防長官もはっきり記者会見で述べておるわけですから、これは明確な事実であるわけです。しかも、それが沖繩から発進している。このことを、これはきわめて重大なことであるわけで、こういう事実関係について明確に調べてみるというようなお考えはございませんか。
#117
○国務大臣(宮澤喜一君) 事務当局の説明によりますと、シュレジンジャー国防長官がそのようなことを確認した事実は、事務当局としては存じておらないそうでございます。私も存じておりません。
#118
○立木洋君 それはさっき防衛庁の方がお答えになったように、十四日にそういう、シュレジンジャーがやったということを承知しておると言って答弁されたじゃないですか。
#119
○説明員(三好富美雄君) 私が申し上げましたのは、新聞にそういうことが書いてあったことを読んだというっもりで申し上げましたので、シュレジンジャーがまさにそういう発言をしたということでお答えしたわけではなかったわけです。
#120
○立木洋君 それでは、その事実を確認していないと。確認したかどうかということをやりとりしておったと、これは時間が過ぎてしまいますから、そういう事実があったということを私たちは確認――確認というか、ベトナム民主共和国側としてもそういうことをはっきりと述べておる。また、アメリカとしても新聞報道でそういう事実が明確に述べられておる。それが日本の沖繩の基地から発進して行われておるということだと思うんです。
 それじゃ宮澤外務大臣は、あなたはあくまで事実を知らないということで言われるんでしたら、この問題が現に行われているということについて、ハリ協定が調印されて、一九七三年の六月十三日に四者の間で共同声明が発表されておりますが、その第一項目に、「協定第二条の規定に従って、合衆国は、ヴィエトナム民主共和国の領域に対する空中偵察を即時、完全かつ無期限に停止する。」ということが述べられているわけです。あなたがあくまで事実を知らないと言い張るので、もし、仮定でも結構ですが、そういう偵察飛行が行われておるとしたら、これはパリ協定の違反だということにならないでしょうか。
#121
○国務大臣(宮澤喜一君) これは非常にむずかしい問題であろうと思います。まず、わが国はパリ協定の当事者ではございませんので、これをどのように解釈するか、有権的な解釈をする立場にはございません。次に考えられますことは、その協定が現在どのようにして守られておるのか、どのようにして守られておらないのかというような事実関係が第二に私どもにははっきりしていないということでございます。
#122
○立木洋君 三木総理は本会議で、星野議員のSR71に関する質問の答弁の中で、事情は知らないけれども、もしそういうことがあったとしたら、安保の枠内での偵察飛行は可能だと、こういう答弁をなされていると思うんですが、この根拠はどういうことでしょうか。
#123
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと私にその根拠を述べろと言われましても、私自身からははっきり申し上げることができませんが、やはり先ほど申しましたように、仮にそのようなことが行われておるという場合に、もう少しどの目的で何をしておるのかという態様がはっきりいたしませんと、正確にはお答えできない種類の問題ではないかと思います。
#124
○立木洋君 じゃ、その根拠はということではなくて、三木総理がお答えになった安保条約の枠内では可能であるという見解には、外務大臣も同じですか。
#125
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、行われておりますことの目的、態様によりまして判断をいたすべきだと思います。
#126
○立木洋君 そうしたら、総理の答弁とは違うというわけですね、見解は。
#127
○国務大臣(宮澤喜一君) その目的、態様を確認いたしました上で判断をしてお返事を申すべきことであろう、違うとは申しておりません。
#128
○立木洋君 外務大臣があくまでその点についてお答えにならないので、私のほうから問題を提起したいと思うんですけれども、安保の第六条に、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」と、こういうふうに書かれてありますね。これがいわゆる三木総理が答弁された、もしかそういうことがあったとしたら安保の枠内で可能であるということだと私は判断しますが、そういうことでよろしいですか。
#129
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたように、具体的の目的、態様を事実に基づいて存じませんうちは、いずれとも判断がいたしかねるというふうに思うのでございます。
#130
○立木洋君 どうも答弁がすれ違っておるような感じがしてあれなんですけれども、私は、三木総理が述べたのは、そういう趣旨だろうと思うんです。どういう形でそれが行われておるか、どういう態様でそれがやられているか、その事実関係が判明しないとそういうことも申し上げられないということだと思うんですが、それならば、ベトナム民主共和国というのはこの安保の第六条にある「極東」という範囲に入るわけでしょうか。
#131
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題につきましては、すでに過去の国会におきまして、何度か政府が答弁申し上げておると思いますが、安保条約に申します極東の範囲というものは、必ずしも地理学的に明確に定義はされておりません。
 第二に、安保条約の目的の一つは、極東の平和と安全に寄与するということでございますから、わが国に駐留しております米軍の行動範囲そのものは、いわゆる極東の範囲、それをいかように定義いたしますかは別といたしまして、それに即限られるというわけではない。つまり、その周辺部分いいうものに極東の平和と安全を維持するためにならば及び得るというふうに考えておるわけでございます。
#132
○立木洋君 いままでの国会の答弁でも、極東の周辺、あるいは極東の隣国とか、いろいろな答弁のしかたがあったようでございますけれども、そういうことだろうと思うんです、いま外務大臣のおっしゃったことも。それで、ベトナム民主共和国がこのSR71機の領空侵犯による偵察飛行に対してどういう態度をとっているか、アメリカではなくてベトナム民主共和国、これについては御承知でしょうか。
#133
○政府委員(山崎敏夫君) われわれは、ニュースといたしましては、ベトナム民主共和国がその偵察行動があると主張してこれを非難する声明を出しておることは承知しております。
#134
○立木洋君 このSR71機の領空侵犯に関して、ハノイの報道によりましても、ベトナム民主共和国の外務省スポークスマンの声明の中でも、「ベトナム民主共和国はアメリカの鉄面皮な侵略をきびしく非難し、アメリカがわが国の主権と領土にたいする侵害行為を即時いっさい中止するよう強く要求する」、こういうことが述べられているわけで、そういう報道については、いま山崎局長が言われたように、御承知だろうと思うんですが、こういうSR71の偵察、これがベトナム民主共和国に対する敵対行動ではないでしょうか。そういうふうに考えることはできないでしょうか。
#135
○政府委員(山崎敏夫君) 大臣も先ほどから申されておりますように、アメリカ軍は偵察飛行活動を含めまして、安保条約の目的遂行のために必要な合法的な行動は行い得るわけでございます。ただ、具体的な米軍の飛行機がベトナム民主共和国の上空を飛んでおるかどうかということについては、われわれは確認できない次第でございます。したがいまして、この問題についてわれわれとしては何らコメントする立場ではないと存じます。
#136
○立木洋君 外務大臣がこの間の外交演説の中で述べておられますように、インドシナ半島の問題について、これ、まあ緊張がますます重大なことになってきておる、緊急状態がですね、述べられて、「わが国としては、すべての関係当事者がパリ和平協定を尊重し、これを厳格に実施することが、問題解決のため不可欠であろうと考えます。このような努力を通じ、インドシナ各国において、政治的に対立している双方当時者が、外部からの干渉なしに、平和的話し合いにより、和解を実現することが可能になると信じます。」と、こういう演説をなさっているわけですが、このようなベトナム民主共和国、これはすでに国交が樹立されてもう一年五カ月近くなるわけですが、そこの国からそういう態度表明されておる。それが沖繩から発進しておるということも述べられている。この問題に対して外相が所信表明でこういうふうに述べられておる立場から言うならば、当然SR71機の行動がもしかあるとしたら、これは是認できないことではないでしょうか。どうでしょう。
#137
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもとしては、パリ平和協定が文字どおり関係者によって遵守されるということ、これが平和解決への道であるということを考えておるわけでございます。が、先ほども申しましたように、そのパリ平和協定が現在どのようにして遵守されておるのか、あるいはどのようにして遵守されておらないのか、御承知のように、これを監視いたしますコミッションがほとんど活動をしておらない状態でございますこともございまして、第三者的な判断すら実は可能でない。わが国は直接に情報を持っていないことはもとよりでございますが、そのようなのが実態であろうと思います。
#138
○立木洋君 私がお尋ねしているのは、そのベトナム民主共和国とすでに国交が樹立されておる。そういう国がこのSR71機、沖繩から発進された飛行機が偵察を行っておる。これに対して厳しい非難を行っているわけですね。もちろん外交方針の中で、アメリカとの関係が、非常に友好関係の発展が重要であるということも述べられておるわけですから、これはそういう立場からするならば、ベトナムとの友好関係も尊重しなければならないことは当然だろうと思うんです。このSR71機が日本から、沖繩から発進して、日本の国交樹立しておるベトナム民主共和国に偵察飛行に行っておるという状態であるならば、これは安保条約に基づいてその枠内でSR71の発進に対して何ら遺憾の意も表明しないし、それも調査をしないということは、ベトナム民主共和国と国交樹立しておる日本の政府として、ベトナムとの関係を、友好を促進するということは矛盾するのではないでしょうか。
#139
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたことを繰り返すようなことになりますけれども、ベトナム自身、極東の少なくとも周辺をなす部分でございますから、わが国の安全にとって無関係だとは申し上げることができない。他方で、報道によりまして北ベトナムがパリ協定が破られておるという非難をしておりますことは存じておりますけれども、また他の側も、北ベトナムによって平和協定が破られておるということを言っておること、報道によって私どもは同時に知っておるわけでございます。そうなりますと、やはり平和監視委員会というような中立的な第三者機関がどのようにして協定が守られておるのか、守られておらないのかというようなことを判断をしてくれるべき筋と思いますが、それが機能をしておらない。したがって、われわれには条約の守られ方あるいは破られ方、守られていない状態というものが判断ができないというのが現状でございます。
#140
○立木洋君 そういうことでは困ると思うんですね。アメリカのクレメンツ国防次官だって、アメリカの空軍、海軍の再介入、ベトナムに対する再介入もあり得るということを述べていますし、またアメリカの政府高官筋でも、ハリ協定の破棄すら行わなければならない事態も考えるということすら言っているわけですね。また、ベトナム侵略の先兵になっておった沖繩にある第三海兵師団、これはいま沖繩では大変な演習を続けております。それからまた米空母やあるいは軍艦、これがベトナムの領海にも定期的に侵入しているということも報道されている。そして今日のこういうSR71機のベトナム領空の侵犯、偵察飛行とあわして考えるならば、これはきわめて重大な事態だろうと思う。それは外務大臣がどのように判断されるかされないかは別として、これはきわめて、やはり中東の問題とあわして重大な事態であるということを私たちは考える一わけです。かつて、大平さんが外務大臣だったときですね、この参議院の外務委員会で大平外相が四十八年二月二十二日に答弁されているわけですが、そのときにはベトナム戦争の問題について日本の立場についてこう言っているんですね。「安保条約との関連で間接的に関与せざるを得ない立場にあった」と、こういうふうに大平外相は当時述べられた、ベトナム戦争に対して。そうすると外務大臣が知らない、知らないと、事実関係については私は承知していないというふうな状態の中でいまのようないろいろな問題起こっておる。戦火がとだえていないということも述べられているわけですから、外務大臣自身が。そうすると、安保条約との関連で今後ベトナムでの事態が悪化した場合、やはり同じようにこういうベトナムでの新しい戦火に対して関与せざるを得ないという立場にいまでもあるわけですか、どうでしょうか。
#141
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題につきましては、御承知のように、アメリカの議会が明確にベトナム戦争への再介入を禁止する決議を行っておるわけでございますので、もう一度あのようなことが起ころうとは私ども考えておりません。
#142
○立木洋君 そういう決議がなされておるということは私も承知しております。しかし、事態の進展、戦争の発展というのはいろいろな状況があり得るわけで、どういう形でそれが起こるかということをいまから予想することはできないだろうと思うんです。戦争が起こって、こういう事態で起こったからそれはやむを得なかったと言って議会に報告してその承認を求めるなどというふうないろいろなこともあり得るわけです。しかし、現に日本の沖繩の基地がそういう重大な状態の中で、まさに沖繩を発進基地として偵察飛行が行われたり、あるいは日本から行った軍艦がベトナムの領海に侵入するというふうな状態、沖繩で海兵隊が猛演習しているというふうな事態。これは外務大臣がいかに好むと好まざるとにかかわらず、一たん事があった場合には、また以前と同じように関与せざるを得ないという立場になってしまうんではないですか。
#143
○国務大臣(宮澤喜一君) 客観的に見まして、アメリカ自身はベトナムにおける長い間の介入の結果非常に苦い思いをいたし、そうして議会があれだけの決議をいたしたことになりました過去の経緯がございますから、私はそのような、立木委員の言われるような事態というものを考えなくていいのではなかろうかというふうに思っております。
#144
○立木洋君 もう時間がだいぶなくなってきたわけですが、それではこの点はどうですか。
 一月の二十九日にベトナム民主共和国のグエン・ズイ・チン外相が各国の外相にあてて覚書を出しておられますが、この覚書は受け取られておられますか。
#145
○政府委員(高島益郎君) 最近、ラオスにおられます北越――ベトナム民主共和国大使からわが方の大使に対しまして、数日中に宮澤大臣あての書簡をお届けするということは伺っております。ただ、まだその原文そのものは受け取っておりません。
#146
○立木洋君 じゃあまだ原文はついていないわけですね。
#147
○政府委員(高島益郎君) はい。
#148
○立木洋君 そうしたら、その原文を受け取って、それに対してどういう態度をとるかということが検討されることになるわけですね。そういうことですね。
#149
○政府委員(高島益郎君) 立木先生のおっしゃるとおりでございます。
#150
○立木洋君 それでは最後に、日本政府は当然こうしたSR71機が沖繩に存在し――これはアジアにおいては沖繩だけですが、このSR71機が沖繩から発進してベトナムの領空を侵犯しておるという事実関係を最後までお認めにならなかったけれども、ベトナム民主共和国としてはその事実を指摘して抗議の態度をとっておるわけですね。この事実関係を明確に調べるというようなお気持ちはございませんか。これは日本の平和と安全にとって重大ですから、ぜひとも調べるというようにしていただきたいんですが。
#151
○国務大臣(宮澤喜一君) 可能なことは常に注意をして調べなければならないと思いますけれども、具体的なそのような行動になりますと、アメリカ軍としては外部に漏らさないという方針をとっておるように承知しております。しかし、私どもとして可能な限りのことは知る努力をいたしたいと思います。
#152
○立木洋君 これはもう時間がないのであれですけれども、こういうアメリカのベトナムに対する介入の態度に対して、スウェーデンの外務大臣は一月二十七日、アメリカのベトナム介入を非難するという態度を発表しております。これは、沖繩からSR71機が発進をして偵察をしておるということはベトナム協定に対する違反であると同時に、この重大な事実関係を調べようともしないで、それがずるずるとまた引きずり込まれていく、こうなると私は重大な事態になるというふうに考えるわけです。どうしてもこの事実関係を明確にしていただいて、そのような危険なSR71機が日本に存在することを許さないという態度を私は明確にとっていただきたい。この点についていかがですか。
#153
○国務大臣(宮澤喜一君) 事実関係を確認いたすことがもしできましたら、その態様、目的等に従いまして判断をいたしたいと思います。
#154
○委員長(二木謙吾君) いいですか。
#155
○立木洋君 大変答弁満足ができないわけですが、もう時間がないので、次の機会に譲ります。
#156
○委員長(二木謙吾君) 本調査についての質疑は、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#157
○委員長(二木謙吾君) 次に、日本国政府とオーストラリア政府との間の文化協定の締結について承認を求める件を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。宮澤外務大臣。
#158
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました日本国政府とオーストラリア政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 昭和四十八年以来、オーストラリアより、わが国との間に文化協定を締結したい旨の申し入れがありましたところ、わが方といたしましては、この協定が両国間の相互理解と文化関係の発展に資することを考慮してこの申し入れに応ずることとし、昭和四十八年十月ウィットラム首相訪日の際の合意に基づき本件協定締結のための交渉を行いました結果、昭和四十九年十一月一日にキャンベラにおいて、わが方吉田駐オーストラリア大使と先方ウィットラム首相兼外務大臣臨時代理との間でこの協定の署名を行った次第でございます。
 この協定の内容は、戦後わが国が締結いたしましたイタリア、ドイツ等との間の文化協定の内容と類似しており、諸分野における両国間の文化交流を奨励することを規定しております。
 この協定の締結は、両国間の文化交流の一層の発展に資するところ大であると期待されます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第でございます。何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#159
○委員長(二木謙吾君) 以上をもって、本件についての説明は終了いたしました。
 質疑は、後日に譲ることといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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