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#1
第075回国会 外務委員会 第8号
昭和五十年三月二十七日(木曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     星野  力君     野坂 参三君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
    委員長         二木 謙吾君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                秦野  章君
                戸叶  武君
    委 員
                伊藤 五郎君
                糸山英太郎君
                大鷹 淑子君
                中山 太郎君
                増原 恵吉君
                田  英夫君
                羽生 三七君
                松永 忠二君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       外 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       外務省アジア局
       長        高島 益郎君
       外務省アメリカ
       局長       山崎 敏夫君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    中村 輝彦君
       外務省条約局長  松永 信雄君
       外務省条約局外
       務参事官     伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       鈴木 文彦君
       運輸省海運局次
       長        浜田直太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       郵政省大臣官房
       電気通信参事官  佐瀬健治郎君
       郵政省電波監理
       局周波数課長   松元  守君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際電気通信条約及び関係議定書の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出)
○日本国と中華人民共和国との間の海運協定の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (インドシナ情勢に関する件)
 (海洋法会議に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(二木謙吾君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十五日星野力君が委員を辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(二木謙吾君) 次に、国際電気通信条約及び関係議定書の締結について承認を求めるの件(本院先議)
 日本国と中華人民共和国との間の海運協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 以上二件を一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方ば御発言を願います
#4
○塩出啓典君 それでは最初に、今回のこの国際電気通信条約は、一昨年マラガ=トレモリノスで開催された全権委員会議において作成されたと、このように聞いておるわけでありますが、現在この国際電気通信条約を構成している国は何ヵ国で、この新しい条約をすでに批准した国が現在どれくらいあるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
#5
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
 この国際電気通信連合のメンバー、現在の連合員と申しますか、加盟国の現在におきます数、と申しましても、これは本年の一月一日現在でございますが、百四十三ヵ国でございます。その国の名前は、条約の第一附属書に掲げられております国のほかに、その後加入いたしましたガンビア、バハマ、バーレーンというものが加わっております。
 それから第二番目の御質問の、このマラガ=トレモリノス条約を批准ないしは加入した国と申しますのは、この三月二十五日現在で調べましたところ十四ヵ国ございます。
#6
○塩出啓典君 この新条約は、今年一月一日に効力を発生しておると聞いておるわけでございますが、構成をしている、加盟をしている国に比べて、まだ批准をしている国が非常に少ないように思うんですけれども、こういうものは普通こういうものなのか、特別に何か理由があるのかどうか。
#7
○政府委員(伊達宗起君) この条約は伝統的に五年ごと、五年ないし六年ぐらいの間隔を置きまして全権委員会議というものが開催されておりまして、そのたびごとに実は全面改正という形をとっているわけでございます。したがいまして、ILOのように一つの変わらない部分がILO憲章というようなもので決まっておりまして、それのもとにおきまして時代の推移とともに変わっていく部分を条約ないしは議定書等の形においてやっていくという形をとっておりませんので、全面改正になりますとどうしても、この連合自体の継続性ということから考えますと、若干従来の条約の加盟国が、今度の新しい条約が一月一日から発効したときに、まだ加盟国となっていない場合にはどうなるかという問題が生じるわけでございます。これにつきましては、連合というものは存在しているわけでございまして、連合員としては従前の条約のメンバーとして継続しているわけでございます。この条約につきましては、条約の中に規定がございまして、この条約が効力を発生しました後二年間は、その批准加盟の手続をとらなくとも、この条約の加盟国として条約上の権利義務を行使できるというふうに書いてあるわけでございます。それによってその間の困難というものを解決しているわけでございます。
#8
○塩出啓典君 わかりました。
 それから、いまお話の出ましたいわゆる憲章化問題ですね、これが先般の会議でも非常に論ぜられたように聞いておるわけでございますが、日本政府代表はどういう姿勢で臨んだわけですか。
#9
○政府委員(鈴木文彦君) 日本の代表は、憲章化の考え方に賛成いたしました。もう一つは、条約のかっこうで存続しておりますが、条約のかっこうで今後も続けたいという希望を持った国もございましたけれども、わが国としましては、できるだけ基本的な条項はこれを憲章というかっこうで不変なものにし、科学技術の進歩に応じて変わり得る細目規定は、いわば第二部というかっこうで別にしたほうがいいんじゃないかという考え方に賛成いたしたわけでございます。ただ、時間の関係もございまして、最終的な結論を得ることができないままにこの問題は次回の会議で継続審議するということになったわけです。ただ、会議の最後の締めくくりとしましては、先ほどちょっと申しましたように、条約の構成を第一部、第二部にしまして、第一部にできるだけ基本的な条項を入れる、それから第二部はその細目規定を入れるという構成になっておりますので、いずれ憲章化に進む第一歩ができたというふうに考えてもよろしいんではないかと思います。
#10
○塩出啓典君 次に、以前は領域の集合ということで、アメリカ、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル、こういう五九国に属する海外領土にそれぞれ一つの連合員の資格を与えていた。あるいはまた、準連合員制度というものがあって、パプア・ニューギニアですか、これが加盟しておったわけですが、これが植民地制度の名残である、こういうことで廃止をされたようにいわれておるわけでありますが、こういう国々はどうなるのか。やはりこの国際電気通信条約の趣旨からいえば、お互いに電信電話の交流を円滑にするための条約ですから、あらゆる民族が、あらゆる国が入らなければ非常に困るんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で確かに植民地の名残ということはよくないわけですから、それならばもう正式な連合員として加盟をさせるようにするとか、それであれば話はわかると思うのですが、これは一体どうなったのか、私の判断ではもうそういうものは全部加盟から外された、むしろ正式な連合員として加盟をするような方向に持っていくんならいいんだけれども、それが連合員からはずされることになれば、実際名を通して実を失うという、こういう植民地の人にとってもそうなるんではないか、このように思うわけでございますが、この点についての見解はどうなんでしょうか。
#11
○政府委員(鈴木文彦君) ただいま塩出委員の言われましたとおり、元来この条約そのものが非常に技術的な性格の濃い条約であり、国際機関でありますだけに、まだ国家を形成してない地域でありましても、この分野における国際協力の観点から、やはりこの機関の一員としてその協力に参加するということが望ましいと思います。その意味で、今度の会議におきまして、領域の集合あるいは準連合員というものを削除するということが決定しましたことは必ずしも望ましいことではなかったというふうに思います。わが国としましては、このような動き、結局はこれは表決に付されたわけでございますけれども、こういう技術的な性格の国際協力の機関に余り政治的色彩の強い観点から問題が取り上げられることは望ましくないということから、表決に際しては、日本は反対いたした次第でございます。
#12
○塩出啓典君 そうすると、これらの国々はいわゆる連合員の資格を失なったことになるわけですね。
#13
○政府委員(鈴木文彦君) そのとおりでございます。
#14
○塩出啓典君 そうしますと、今後そういう国々とも、日本からもいろいろな電信電話の交流はあると思うんですけれども、そういう点の支障はないのかどうか。
 それともう一つは、やっぱりこういう国々も正式な連合員として参加できるように日本政府としても働きかける必要があるんじゃないか、このように思うわけですが、その点はどうでしょうか。
#15
○政府委員(鈴木文彦君) 郵政省からお答えいただきます。
#16
○説明員(佐瀬健治郎君) お答えいたします。
 まず、今度の新しい条約で準連合員制度が廃止されました。準連合員として従来パプア・ニューギニアだけが認められておりましたが、この準連合員としての地位を特別にパプア・ニューギニアが独立して正式の連合員になるまでは従来どおりの権利義務を確保するということを今度の全権会議で追加的に決議しております。したがって、パプア・ニューギニアは従来どおり準連合員としての地位でいろいろな会合に出席し、その研究成果等を彼らは利用することができる。現に、去年十月東京でアジアプラン委員会というITUの会議を開きましたが、その席にもパプア・ニューギニアの代表が見えております。というような形で、唯一の準連合員であったパプア・ニューギニアは従来どおりの準連合員としての権利義務を行使することができます。いずれ、ことし四月あるいは七月に予定されております独立後は正式の連合員になりますので、別に支障はございません。
 それからもう一つ、五つの領域の集合、すなわち英、米、仏、スペイン、ポルトガル、これらの国々の海外領土あるいは属領と称されるものが連合員の地位を失いましたけれども、これはそれぞれの、英、米、仏、スペイン、ポルトガルの主管庁がこれらの海外領土のITU関係事項を処理することになりますので、現実には、たとえばアメリカの海外領土の場合、本国の場合と少し電気通信制度、通信の制度、郵便なんかも含めまして違うわけでございますけれども、そういうものもひっくるめまして本国の主管庁がこれを代行することになりますので、これまた電気通信の上では支障はございません。
#17
○塩出啓典君 それから分担金の問題でございますが、日本政府としては、これはいろいろ、その何%を日本が持つかということは決まっているようでございますが、現実に金額としては今年度、一番新しい年度で大体どの程度で、そのお金はどこから出しているんですか。
#18
○政府委員(鈴木文彦君) 七五年度の日本の分担金の額は、これはスイスフラン表示になっておりまして、百九十七万二千フランでございます。この予算は郵政省の予算に計上されております。
#19
○塩出啓典君 それで、この分担金の未払いが非常に多いように聞いておるわけでございますが、やはりこのような分担金の未払いが多いということは非常によろしくないと思うんですが、どういう理由でこのように未払いが多いのか、これはどうなんですか。
 それと、日本はちゃんと出している、未払いはないわけですね。
#20
○政府委員(鈴木文彦君) 分担金の未払いの国が若干の数ございます。特に、国によりましては相当長い期間にわたって未払いを続けている国がございます。この原因につきましては、われわれちょっとどういう理由であるかということを実際に知ることは困難でございますけれども、主としてこの未払いの国が開発途上国であり、かつ、しかも非常に小さな国であるという関係から申しまして、やはり財政上の理由が大きいんではなかろうかということを推測しているわけでございます。しかし、実際の理由は私としては十分に承知いたしておりません。
 それから、日本の場合は分担金の未払いはございません。各年度ごと割り当てられた額を予算に計上し、それを国会の御承認が得られた後にすぐに支払い手続をいたしております。
#21
○塩出啓典君 それぞれの分担金が、ここに表がありますが、イギリス、アメリカ、フランス、ソ連などは三十単位ですね、それから日本と中国、西ドイツが二十単位、それで一番少ない国でも二分の一、これは六十九ヵ国でございますから、一番多いアメリカと一番少ない、一番ちっぽけな国との間隔が結局一対六十になっておるわけですね。こういう点、どういう基準でこの単位を決めたのか。いろいろ人口の比率もあるでしょうし、面積問題もあるでしょうし、そこに電話が何台設置されておるかとか、こういう電信電話の利用状況等によって差をつけたのか。この単位を決める基準は何を基準に決めたのか。そして、恐らく世界の国々には非常に小さな国もありまして、島根県ぐらいの国もあるわけですから、そういう国がアメリカの六十分の一というんでは、これは余りにも財政的にその国の実力に対して負担金が多過ぎるんではないか、こういうような問題があるんではないかということを私は推測するわけですけれども、そういう点はどうなんですか。
#22
○説明員(佐瀬健治郎君) お答えいたします。
 ITUの非常に特色ということになっておりますが、分担金は任意選択制度をもとにしております。したがって、任意の選択でございますので別に基準はございません。任意に選びました単位数、ユニット数を現在各国のやつをトータルしますと四百十五・五、四百十五ヵ二分の一単位になりますけれども、この総単位数で連合の総経費を割りまして、たとえば日本の場合二十単位でございますので二十単位分を支払うということになっております。
#23
○塩出啓典君 そうしますと、二十単位というのは日本が勝手に決めたわけですね。
#24
○説明員(佐瀬健治郎君) さようでございます。
#25
○塩出啓典君 じゃ、なぜ二十単位にしたんですか。出す方は、少なければ、十単位であれば少なくて済むわけですけれどもね。
#26
○説明員(佐瀬健治郎君) おっしゃるとおりでございますが、日本としては、国力あるいは国際電気通信界における地位等を勘案いたしまして、できる限り三十単位に近い、できれば二十五単位程度を選びたいわけでございますけれども、郵政省、大蔵省、外務省、予算編成時期等においていろいろと検討いたしまして、その結果二十単位が適当であろうという合意に達しましたので、そのところで二十単位を選んでおります。
#27
○塩出啓典君 最低の二分の一単位というのが、小さな国々によってはかなりなやっぱり負担になると。そういうようなことで払えないという事情がもしあるならば、最低を二分の一単位じゃなしに、百分の一単位とか、こういうようなものを設けて、いやしくも国際的なこういう機構に分担金も払えない国が余りあるようではちょっとまずいんじゃないかと思うんです。そういう点、何も日本は、日本だけ払っておけばいいじゃないかと、こういうこともありますけれども、次の国際会議においては、こういうような点も考えた方がいいんじゃないかとこう思うんです。その点はどうですか。
#28
○説明員(佐瀬健治郎君) 先生のおっしゃるような点、外務省、大蔵省とも十分協議いたしまして、今度の全権会議ではそのような考えも検討の一つになるように考えてみたいと思います。
#29
○塩出啓典君 それから一番最後の、いわゆる「最終議定書」というんですか、これにはもういろいろな国が、何々の権利を留保するとか、分担金を払わないとか、いろいろなことを言っておるわけですけれども、これは一体何ですか、この最終議定書というのは。こういうような国際的な取り決めの最後にいろいろこう言っておる。これの法的な効力というものはどういうところにあるわけでございますか。
#30
○政府委員(伊達宗起君) まず法的効力についてでございますが、多数国間の条約と申しますものは、なるべく多くの国が入ってほしいという性格のものがございます。特にこのような世界の通信技術に関しての連合という性質のものでございますので、なるべく多くの国が入ってほしいということは、まさに条約の目的を達成する上でも必要なわけでございます。しかしながら、国にはそれぞれの事情がございますので、この条約のメンバーにはなりたいけれども、ごく一部分についてやはりちょっと国情に沿わないとかぐあいが悪いという国があることは容易に想像できるわけでございまして、そういう国に対して小部分の留保を認めないことになりますと加盟国の数が必然的に制限されるということになりますので、そのような性質の多数国間条約では各国が若干の留保を付しつつ加盟国となることが認められているわけでございます。そして、そのような関係におきましては、その留保いたした国との関係におきましては、留保しなかった国もその留保条項は適用されないというような関係が法律的に生ずるわけでございます。この最終議定書は非常に大部な各国の留保があるわけでございますが、これは大別いたしますと大体四種類ぐらいになるのではないかと思われます。細分しますともう少しなるかもしれませんが。
 第一番目は、政治的な性質のもの、つまり代表権に関しまして、南ベトナムでございますとかカンボジアでございますとか、若干政治的に国連の代表権問題等で問題になる国につきまして、それらの国を国家と認めないような国からの留保がなされておる。第二番目には、またこれも国家の承認に関する留保でございまして、主としてここで挙がっておりますのはイスラエルとアラブ諸国との留保が相互に行われているものでございます。第三には、主権といいますか、領土権に関しましての留保がございまして、アルゼンチンなどがフォークランド諸島についてイギリスの領有権を認めない。これは自分のものであるというような留保をしているということがございます。政治的な留保の第四番目でございますが、全権委員会議で採択された決議というものについてイスラエルが留保した。この決議というのは、決議第四十八号というものがございまして、これはレバノンの海底電信をイスラエルが切った。それに対して非難決議というようなものが採択されたわけですが、それに対してイスラエルはその決議は不当であるというような留保が行われている。このような政治的なものがあるわけでございます。
 第二番目のカテゴリーといたしましては、経費に関する留保がございまして、どこか一国が経費ないしはほかの事項について留保いたしまして、その留保の結果、その国が分担金を支払わないというようなことで、結局経費の分担について留保を行わなかった国の経費分担の部分が量がふえてくるというようなことでは困るという意味において、各国が他国の留保によって経費分担がふえるような場合には、自分はその部分は留保しますよというような留保を経費分担について多くの国がやっております。
 それから、第三番目でございますが、これが条約の実質的に関係のある部分でございますが、業務規則というものについて留保を行っている国がございます。この条約は四つの業務規則がございますけれども、それについて主として技術的な理由から留保を行っている国がある。このような、大体大別いたしまして四種類の留保が行われているということでございます。
#31
○塩出啓典君 日本は何も留保しなかったのですね。
#32
○政府委員(伊達宗起君) 日本はこのマラガ=トレモリノス条約におきましては、何も一切留保いたしておりません。
#33
○塩出啓典君 そうしますと、ほかの国が経費を払わないで、その分が日本の方にふりかかってきて、結局よけい払わなくちゃならぬ、こういうときも素直に払います。そういう意味でございますか。
#34
○政府委員(伊達宗起君) 理論的に申しますとそういうことになります。ただ、日本は従来のこの連合の運営ぶりを見ておりますと、この経費分担に関する留保というものは全く観念的なものでございまして、実はそのような留保をした国も分担金に関します限り従来とも自己の分担を払っているわけでございまして、実態問題といたしましてはこの経費分担に関する留保というのはそれほど重要な意味を持つものでないという事情がございます。
#35
○塩出啓典君 わかりました。
 で、おそらくこの国際電気通信条約の役割りはいろいろあると思うんですが、その技術的な面からいえば、いわゆる電波の混信を防ぐためにいろいろ周波数を割り当てる、こういうことも重要な一つの働きだと思いますし、そういう点から私たちもよく山陰地方へ参りますと、夜になりますとものすごく日本のラジオが混信をしまして、どうも日本にいるのか朝鮮にいるのかわからない、おるいは中国にいるのかわからない、こういうような問題があるわけでございますが、これは一体どういうわけでそうなっているのかですね。
#36
○説明員(松元守君) 御説明申し上げます。
 ただいま先生御指摘ございましたように、特にわが国の西半分につきましては、韓国あるいはソ連等に近接をいたしておりますので、電波と申しますのは夜間になりますと電離層というのが地球の上の約三百キロぐらいにございまして、そこに当たってはね返ってくるという特性を利用しております。したがいまして、夜間になりますと外国の電波が混入をしてくるわけでございます。現在私どもが調べました最近の調査結果によりますと、わが国の中波放送の全体の約六〇%が外国の混信を夜間受けておるというふうな実態でございます。
#37
○塩出啓典君 この国際電気通信条約というものを各国がちゃんと守ってもなおかっこういう混信が起こるのか、あるいは守っていないために起こるのか、その点はどうなんでしょうか。
#38
○説明員(松元守君) 御説明申し上げます。
 周波数の割り当てにつきましては、条約の附属の無線通信規則の中に業務別の周波数の分配表というのがございまして、たとえば放送でございますれば、特にラジオの放送は大ざっぱに申し上げまして五百二十五キロヘルツから千六百五キロヘルツまでは中波のラジオに分配をされております。各国はこの分配表に従いまして、その中のポイントを割り当ててまいるわけでございますけれども、割り当ていたします際に、外国に対しまして混信を与える恐れがあるという場合には、連合の中に国際周波数登録委員会というのがございまして、そこに通知をいたしましてそこで審査を受けて実際の電波の割り当てをやっておりますが、そこの審査に適格になりましたものにつきましては国際的に混信を保護されるということで可の判定を受けるわけでございますけれども、放送につきましては各国ともにIFRBに登録いたしまして可の判定を受けないものにつきましても制度上これは固執をいたしましてさらに登録をしてもらうという制度がございますので、そういうものを利用してやっておりますので、事実問題といたしましては混信が起こっておるというふうな状態でございます。
#39
○塩出啓典君 そういたしますと、いまのお答えよくわからなかったんですけれども、結局この国際電気通信条約には違反をしていなくても混信は起こり得る。だから現在山陰地方で起こっている混信というものは、別に向こうの国が電気通信条約に違反をした周波数の波を出しているから混信しているんではない、こういうことなんですか。
#40
○説明員(松元守君) 必ずしも条約に違反をしておるから混信を起こしておるということではございません。
#41
○塩出啓典君 そうしますと、混信は非常に困るわけですけれども、こういう点は国民に良好な電波を保障するということは国の責任であって、われわれ住民がどうしようもない問題ですね、対外的な問題ですから。だからこの混信の問題については、今日まで郵政省当局あるいは外務省当局がどういう姿勢をとってきたのか、放任をしてきたのか、やむを得ないと思ってもう仕方がないことなのか、その点はどうなんですか。
#42
○説明員(松元守君) 混信の問題の解決につきましては、郵政省といたしましても極力従来ともに努力を払ってまいっておるわけでございますが、先生御指摘のような放送の混信の問題と、それ以外の業務につきましてもやはり混信の問題がございます。放送の問題につきましては、実は昨年の秋とことしの秋に、第一地域と第三地域というものがございますが、第一地域と申しますのは、ヨーロッパと主としてアフリカでございます。第三地域は日本を含めますアジア、オセアニア、この国々が集まりまして、この混信問題を解決いたしますために周波数の新らしいプランをつくろうではないかという会議が持たれることになっておりまして、私どもといたしましては、その場でできるだけ混信が少ないようなプランがつくられることを期待いたしておるところでございます。
#43
○塩出啓典君 そういう点は、ひとつ良好な電波を確保するためにさらに努力をしていただきたい、このことを要望しておきます。
 それから、北朝鮮などはこれには加盟をしていないと、このように聞いておるわけでございますが、そういう加盟をしていない国々が、どういう理由で加盟できないのか、そういう加盟してない国はどういう国があるのか。
#44
○政府委員(鈴木文彦君) 入ってない国がどうして入ってないか、その理由でございますけれども、条約の立て方から言いますと、まず入るという申請が必要になるわけでございますが、その申請をしてない国につきましては、手続きが始まらないという意味で当然入らないわけでございます。
#45
○塩出啓典君 そうすると、いわゆる北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国は加入してないように聞いているわけですが、それは申請がないから入ってないわけでございますか。
#46
○政府委員(鈴木文彦君) 先ほど私申し上げましたのは一般論の場合で申し上げたのですが、北朝鮮につきましては、ことしの三月の初旬でございますが、北朝鮮から連合の事務総長あてに加盟の申請が出されております。それを受けまして、事務総長から各連合員に対しまして郵便投票でこの賛成に対する態度を求められております。日本もそういう回書が回ってきております。
#47
○塩出啓典君 日本は朝鮮民主主義人民共和国がこの国際電気通信連合に参加することに賛成なのか反対なのか、この回答は出すのか、出さなければならぬと思うのですが、どういう内容の回答を出す方針ですか。
#48
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には賛成をするという方向で検討しております。
#49
○塩出啓典君 ぜひこの電気通信条約の内容は、先ほど御答弁にもありましたように、むしろ政治的な性質のものではなしに、非常に技術的な問題でございまして、やはりこういうような問題については、朝鮮民主主義人民共和国も、その他のあらゆる国が入ることが好ましいわけであります。日本政府としてもそういう方向に努力をしていただきたい、このことを要望いたします。
 最後に海運協定の問題について一つだけお尋ねをしておきたいわけでございますが、いわゆる海・上輸送運賃が日本の場合に比べて中国の側は非常に安いと、二本立てになっておる、なぜそうなっておるかと申しますと、私が聞いている範囲では、中国はこういう海運同盟によって、いわゆる価格のカルテル的な協定をするということに非常に反対であると、こういう主張のように聞いておるわけであります。私も中国のそういう主張も一理はあるし、確かにそういうカルテルということは、船会社の利益を擁護するという点において、反対に荷物を運搬する人たちにとっては不利になっていくわけでありますが、こういう問題については日本政府としてはどのような見通しを持っておるのか、恐らく日本の海運業者としてはやはり運賃は一本にしたほうがいいのじゃないか、こういう要望を持っておると思うのです。中国はそういう考えではない、この問題については日本政府としてはやはり運賃は一本立てにするような方向で努力していくのか、それと、今後の見通しはどう立っているのか、この点について御答弁をいただきたい。
#50
○政府委員(浜田直太郎君) 先生御指摘のとおり、現在中国船の運賃と日本船の運賃との間に、若干の格差がありますことは御指摘のとおりでございます。ただ、海運同盟の問題につきましては、御案内と思いますが、海運同盟と申しますのは、いわゆる定期航路に関するところの国際カルテルでございます。現在のところ、日本と中国との間に定期航路はございませんので、直接的に海運同盟に関する中国の考え方が、日本にどのように影響するかということは関係ないわけでございますが、概念的に申しますと、御案内のように、昨年ジュネーブで、いわゆる定期船同盟憲章というものが採択されたわけでございますけれども、その会議におきまして、中国はこれに賛成票を投じております。したがって、海運同盟の存在自体に中国が反対をするという立場ではないと思います。ただ、いわゆる世界海運には海運自由の原則というものがございまして、そういう定期船同盟の活動でありますとか、あるいは貨物の積み取りでありますとか、そういうことにつきまして各国はお互いに自由であるという伝統的な考え方があったわけでございますが、そういう考え方に対しまして、いわゆる発展途上国は必ずしもそうでもあるまいというような、海運自由の原則に対する反対の考え方というものは、あるわけでございまして、中国もそういう意味におきましてはそのような考え方をとっておるのではないかと思います。
 御指摘の運賃の件でございますけれども、運賃でありますとか、あるいは両国の積み取り比率をどうするかというようなことにつきましては、これは民間同士が話し合いをして決めていくべき問題であると思います。したがって、私どもとしましては、この条約の十一条にありますように、とりあえず外交ルートを通じまして政府間の協議を行って、そういう民間ベースの話し合いのための枠組みを設定するといいますか、そういうことをとりあえずやるべきであると考えまして、運賃率ないし積み取り比率等はその後民間同士が誠意を持って精力的に話し合いを進めるべきであると考えます。まあ先生御質問の趣旨は、その民間の話し合いがうまくいかないとどうするのかということであろうと思いますが、これは私ども民間のしんぼう強い話し合いをとにかく待つというしか言いようがないのでございますが、中国と日本との間のいわゆる不定期船によるところの輸送におきましても、世界的には主要な航路あるいは主要な貨物につきましては、いわゆるマーケットプライスというものがあるわけでございまして、お互いにそのマーケットプライスから余り離れたところのものはあり得ないわけでございまして、また積み取り比率につきましても、たとえばわが国が九〇%、向こうの国が一〇%というようなことで話し合いが行われるわけではありませんで、やはり常識的に五〇、五〇というような、一つの常識的な線があるわけでございますから、そういうような目標ないしガイドラインというようなものを頭に置きながら、友好の精神にのっとってしんぼう強く交渉していきますならば、妥当な結論が出されるのではないか、これは半分期待を込めて考えておるわけでございます。
#51
○立木洋君 日中海運協定の問題でちょっとお尋ねしたいのですが、中国は沿岸に軍事警戒区域だとか、あるいは軍事航行禁止区域、軍事作戦区域など、いわゆる軍事ラインというものが設けられているわけですが、これに関して、この軍事ラインというのは、いわゆる日本の海運、日中の海運についてどういう問題があり、またどういう問題が起こり得るのか。協定の過程でこの問題について何らか話し合われたことがあるのかどうか。また、この軍事ラインの問題に関して日本政府はどのような考えを持っておられるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
#52
○政府委員(伊達宗起君) まず一番最後の御質問の日本政府はどういうように考えておるかということでございますが、わが国といたしましては、この軍事警戒区域というようなものが公海上にも及んで設定されているものでございまして、わが国の立場からいたしますと、ある国が公海上に長期にわたりましてこのような区域を設定いたしまして、他国の船舶の区域内の通航を制限したり、あるいはまた禁止したりすることは、一般国際法上認められない管轄権の行使というものであるというふうに考えているわけでございます。現実の問題といたしまして、日中海運の面からながめますと、従来とも日本の商船というものは、この区域の中を中国の港に入港いたします際に通過いたしておりまして、現実上の支障はございません。また、この海運協定締結の上におきましても、そのようなことから、両国間でこの軍事警戒区域というようなものについて話し合われたということはないわけでございます。
#53
○立木洋君 今度の海運協定がつくられたことによって、日中航路に就航を望む船会社というのはすべて参入できるようになったわけですか。
#54
○政府委員(浜田直太郎君) いままでは民間同士の往来でございましたけれども、今後この協定の成立によりましてそれに法的根拠が与えられるということになります。したがいまして、日中間の貿易に参加する、そのために中国に配船を希望するという船会社は、すべてその希望どおりに配船が可能となるということでございます。
  〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕
#55
○立木洋君 いま言われましたが、かつて民間協定がありまして、そうして就航するに当たっては国際貿促の窓口を通じて、いわゆる中国側から認められたものだけが就航するというふうになっておったわけですが、そういうことはもう今後一切なくなるというように解釈していいわけですか。
#56
○政府委員(浜田直太郎君) 御指摘のとおり、本協定の締結前におきましては、日本国際貿易促進協会、それから中国の国際貿易促進委員会との間で調印されましたところの日中両国人民の友好貿易促進に関する議定書、この附属文書に基づいて行われておったわけでございます。したがいまして、この協定の締結によりまして、基本的にはただいま申しました民間取り決めというものは発展的な解消を遂げるということになろうと思います。その後、これに伴いまして日中航路の配船手続その他具体的な海運業務というものがどのように行われますかということにつきましては、今後私ども関係者が中国側と相談しながら決定していくということになろうと思われます。
#57
○立木洋君 いま基本的にはと言われたわけですが、今後の具体的な話し合いの過程では、まだ残る可能性もあり得るという意味ですか。
#58
○政府委員(浜田直太郎君) 何分、日中間の友好関係をここまで持ってきまするにつきまして、両国の国貿促が果たしてまいりました大きな役割りというものを私どもは否定できないと考えております。したがって、形式的にはいま申しましたように、かような民間取り決めは発展的解消を遂げるということでありますけれども、実態的には両国のいままでの国貿促の窓口というようなものを尊重しながらやっていくということになろうと思われますが、現在、日本の船会社のほとんど全部が国貿促の船舶部会というものに加入いたしておりまして、実際問題として日本の海運が日中の輸送に参加するということには何ら障害がないと私ども考えております。
  〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕
#59
○立木洋君 それじゃ、国際電気通信条約についてお尋ねしたいのですが、先ほどのお話にも出ておったわけですが、今回の条約で領域の集合という言葉が除かれた。さらには準連合員制度というのも削除されたということで、それについては政治的な色彩が強いということで、日本政府としては反対されたという意味のお話だったと思うのですが、ポルトガルや南アフリカがこの会議から追放されたということについても、日本政府は反対されたというように聞き及んでいるわけですが、これも同じような趣旨ですか。
#60
○政府委員(鈴木文彦君) そのとおりでございます。
#61
○立木洋君 条約の第一条の(b)と(c)のところに連合員の加盟要件の各規定で、国連加盟国には加盟申請のみで連合員となることができる。しかし、国連未加盟国は三分の二の承認が必要であるということが条件になっておるわけですが、この規定の削除ということが問題になったとき、日本の政府としてはどのような態度をおとりになったわけですか。また、その理由についてもちょっと聞きたいと思います。この間の会議ということではなくて、いままでの経過からですね。
#62
○政府委員(鈴木文彦君) 国連に加盟してない国がこの条約に新規加盟したいという場合に関する規定が三分の二の同意を要するということになっておりますことについての日本側の考え方でございますけれども、やはりこの条約は技術的性格の濃い条約ではあると同時に、それだけの協力関係にたえる能力なり資格があるかどうかという意味のある程度の判断が必要ではないかということを考えまして、ある程度加入を認めるに当たっての要件については、ただ加盟を申請すれば入れるというのでなくて、やはりこの程度の要件を課すことが適当ではないかという考え方で対処してきておるわけでございます。
#63
○立木洋君 先ほどのお話では、なるべく多くの国、まあ条件を備えた国が参加することが望しいと、また政治的な色彩の濃いものではなくて技術的なあれなので、参加することが望ましいという御答弁だったわけですが、また今度の条約の第一条でも「連合への普遍的な参加が望ましいことを考慮して、」ということも書かれてあるわけですね。そうすると、三分の二の条件というのは非常に厳しいように思うんですが、たとえば過半数ということでも適当ではないかと思うんですが、どうしてそういう厳しい条件を、こういう政治的な色彩を取り除いた方がいいと考えられておるのにつけられておるのか、それに対して日本政府がその三分の二の条件に賛成されておると言われる理由がどうもはっきりしないんですが。
#64
○政府委員(鈴木文彦君) この条約を含めまして、現在国連の専門機関の加入の規定を一応見ますと、WHO、国際保健機構を除きましては、加盟につきましては三分の二の要件を課しておるわけでございます。これはやはりそれぞれの専門分野は違いますものの、加入についてはある程度の要件を付することが必要だという先ほど私が申したような理由が一般的にあったのだと思います。今度のこの条約におきましては、「普遍性の原則を考慮し、」という文言は確かに今度の改正でつけ加えられた文言でございますけれども、これは確かに考え方として、希望として加盟国全部の合意を得た一つの大きな考え方でございますけれども、実際の加入の手続につきましては、従来どおり三分の二の要件を存続する方が穏当ではなかろうかということがやはり支配的であったわけでございます。日本もこの考え方に賛成したということでございます。
#65
○立木洋君 私がお聞きしているのは、日本の立場としてそういう厳しい条件を付すのではなくて、他の条約にはいろいろそういうのがありますけれども、国連関係の分野には。ただし、より多くの国が参加されることが望ましいし、いわゆる政治的なものではないという観点に立つならば、こういう厳しい条件を付さなくてもいいではないかというふうな立場は日本側としては当然とり得るのではないか、どうして日本政府としてはそういう立場をとり得ないのかというお尋ねですが。
#66
○政府委員(鈴木文彦君) いま言われることの意味は私よくわかります。ただ三分の二の要件の決めている一つの理由は、できるだけ多数の国の祝福を受けて入ることが望ましいというようなこともあろうかと思います。しかし、いま立木委員の言われたこともよくわかりますので、その点も含めて今後の検討材料として研究いたしていきたいというふうに考えております。
#67
○立木洋君 先ほどの塩出委員の質問の中でもありましたけれども、朝鮮民主主義人民共和国が新規加盟を申し出てきているのがことしの三月。日本としては大臣がお答えになった賛成する方向で検討したいということですが、一九七〇年のときも同じように投票行っておるわけですね。そのときには日本としては反対されて、今度は賛成されるという方向で検討されておられる。そういうふうに理解していいんですか。
#68
○政府委員(鈴木文彦君) 前回北朝鮮からの申請がありましたときに日本は反対したことは事実でございます。
#69
○立木洋君 ですから、その態度を変えたという意味で理解してよろしいわけですね。
#70
○政府委員(鈴木文彦君) それ以後、北朝鮮が種々の専門機関に加盟申請いたしておりますが、わが国はその動き、特に北と南とができるだけ併存して専門的な機関に加入して、そこで技術的な分野の国際協力ということがいずれは南と北の平和的な統一の対話の場を提供するという観点から、日本もこれに対しては賛成するという立場をとりまして、たとえば一九七四年の九月の国際原子力機関に北朝鮮が加盟申請しましたときにわが国はこれに賛成いたしておりますし、さらに同年の十月、ユネスコの加盟申請に対しましてもわが国は賛成いたしております。
#71
○立木洋君 私も同じように、ぜひその態度を貫いていただくということをこの件に関しては要望しておきたいと思うんです。
 で、いま宇宙通信の例の静止衛星ですね。これの利用については現在は固定局だけだというふうに理解しておるわけですが、その他の利用方法というのもあるのかどうなのか。この点について日本側としてはどういう方針を持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#72
○説明員(松元守君) ちょっと先生の御質問の趣旨がわからなかったのでございますが、宇宙通信につきまして固定だけだとおっしゃったように伺いましたが、それは静止衛星という意味でございましょうか。
#73
○立木洋君 そうです。静止衛星ですね。
#74
○説明員(松元守君) 従来ともにわが国におきましては宇宙通信関係につきましては必ずしもその静止衛星のみを考えておったわけではございませんで、御承知のように、東京大学あたりがやっておりますものは、これは移動いたします衛星でございまして、恐らく今後ともに固定のものと移動いたしますものと、両方が並行して行われるというふうに考えております。
#75
○立木洋君 つまり日本ではこの静止衛星の移動局ですね。これも考えておられるのかどうなのか。ヨーロッパの方では独自の衛星通信システムを目指しておるというふうなことも聞いておるわけですが、この問題に関してはどういう方針をとっておられるのか。
#76
○説明員(松元守君) ちょっと御質問の趣旨がよく理解できないんでございますけれども、静止衛星を動かすということでございましょうか。
#77
○立木洋君 移動局ですね、静止衛星の移動局、固定局ではなくて。
#78
○説明員(松元守君) 移動体を相手にする静止衛星という……
#79
○立木洋君 ええ。
#80
○説明員(松元守君) 現在のところ、まだ私、日本の宇宙開発計画を拝見いたしましたところでは、移動体に対します衛星の開発等につきまして計画が具体化しているというふうには承知いたしておりません。今後の問題につきましては、これは私どもの方の所掌でございませんので、御説明を遠慮さしていただきたいと思います。
#81
○立木洋君 これは宇宙開発事業団の方で検討されておるわけですね。
#82
○説明員(松元守君) 衛星の開発に関しましては、開発機関といたしましては宇宙開発事業団がございますので、開発については宇宙開発事業団で計画しておるわけでございます。これはあくまでも宇宙開発計画の中に決められましたものについてでございまして、新しく計画をいたすものにつきましては、宇宙開発委員会というのがございまして、そこで御決定をなさるということになっております。
#83
○立木洋君 結構です。終わります。
#84
○委員長(二木謙吾君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#85
○委員長(二木謙吾君) 速記を起こして。
 他に御発言もないようですから、両件についての質疑は終局したものと認めます。
 これより両件の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 国際電気通信条約及び関係議定書の締結について承認を求めるの件、日本国と中華人民共和国との間の海運協定の締結について承認を求めるの件、両件を一括して問題に供します。両件に御賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#86
○委員長(二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(二木謙吾君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#88
○委員長(二木謙吾君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#89
○田英夫君 最初に、インドシナ情勢が急激に動いておりますので、その状況についての外務大臣の御判断を伺いたいと思いますが、まずカンボジアの情勢がきわめて激化しているといいますか、流動しておりますが、報道されるところによると、ついに日本大使館も栗野大使以下バンコクへ引き揚げられるということでありますが、これはすでに実行に移されているのかどうか。
#90
○政府委員(高島益郎君) プノンペンをめぐっての政府軍及び反政府軍の攻防の現況にかんがみまして、非常に危険な状態にありますので、なるべく早くプノンペンを引き揚げてバンコクに一時待避するようにという指示は出しておりますけれども、まだ実行には入っておりません。
#91
○田英夫君 衆議院の先日の、きのうですか、外務委員会でもアジア局長話されたそうですが、それに先立って栗野大使がロン・ノル大統領の海外旅行という形で事態を収拾しようというようなことについて、いろいろ話し合いに参画をされたということのようでありますが、これは事実ですか。
#92
○政府委員(高島益郎君) まあ栗野大使外ASEANのインドネシアあるいはタイの両大使等も含めまして、先方の政府からいろいろ協議を受けました。これに対しまして、一日も早く流血の惨を避けて、カンボジア人同士のいろいろな話し合いにもつていくためにどうすればよいかという点について、まじめな意見を先方の求めに応じて開陳しているわけであります。その過程におきまして、ただいま田先生お示しのような問題も提起されたというふうに聞いております。
#93
○田英夫君 そのねらいというのは、つまりロン・ノル大統領が海外に出てしまうというようなことによって、いまカンボジア人同士の話し合いというふうに言われましたが、そういうことになると、率直に言ってアメリカのかいらい政権というロン・ノル政権のような形のものがそのまま存続することは、ロン・ノル氏がいなくなっても、これは現実の軍事情勢の中で不可能だというふうに私も思いますが、そうするとシアヌーク殿下は実際にどうされるかは別としても、いわゆるカンプチア王国連合政府という一方の勢力と、現在のロン・ノル政権というものとの話し合いを、何らかのきっかけで始めようという動きが現地にあるというふうに考えていいわけですか。
#94
○政府委員(高島益郎君) 少なくともプノンペン政府側としましては、このような状況にかんがみて、一刻も早くそういう状況に、もっていきたいと、そのために障害になるようなことはなるべくこの際少しでも撤去していって、そういう状況をつくることに努力するという基本方針のように伺っております。
#95
○田英夫君 現実の情勢はむしろもっと厳しいのではないかと私は推察をしているんですが、つまりロン・ノル政権的なそうした勢力は全く消滅をしてしまって、カンプチア王国連合政府というものがプノンペンに樹立をされるという方向に進んでいるんじゃないだろうか、この辺の見通しはどういうふうにお考えですか。
#96
○政府委員(高島益郎君) その辺はいろいろな可能性があると思いますし、私ども日本政府としてこういうふうになりそうだということをいまこの段階で申し上げるのはいささかぐあいが悪いのではないかと思いますので、控えさしていただきたいと思います。
#97
○田英夫君 これはベトナムの問題にも関連をするわけですけれども、従来政府は一貫して、ベトナムでもカンボジアでも朝鮮でも、あるいは以前の状況では中国でも、常にアメリカの勢力の側に立ってこられたわけですね。これは現実の状態がそうだと思います。そういう中で、実際にいまカンボジアではアメリカの息のかかった側が消滅しようとしている、その辺の状態をきわめて冷厳に見ていただきたい。ここのところが非常に流動している中で重要じゃないかと思うのですね。やはりアメリカはアメリカとして自分の勢力を温存したい。特にインドシナに温存したいという中で、いろいろこれからも手を打つかもしれません。場合によっては軍事的な介入という危険も絶無ではないと思います。先日のタイからの緊急空輸というふうなことを含めてそういうことをやってきた。少なくとも日本はその方向に協力することはまずいのじゃないだろうかという意味で申し上げているわけです。したがって、ベトナムの問題について伺いますが、ベトナムもこれまたきわめて重大な事態になってきていると思いますが、グェン・バン・チュー政権というものがそのまま存続できると見通しておられますか。
#98
○政府委員(高島益郎君) この問題も、南越における政権の見通しの問題でございますし、特に現在のような状況のもとにおいて日本政府が何らかの判断を申し上げることはやはりぐあいが悪いと思います。
#99
○田英夫君 けさ、パリ駐在の南ベトナム臨時革命政府代表が声明を発表したようでありますけれども、この内容はパリの大使館からすでに外務大臣のところへ入っているでしょうか。
#100
○政府委員(高島益郎君) 実はまだ聞いておりません。
#101
○田英夫君 私も詳細な内容はまだ入手しておりませんけれども、大まかなところは、一つは特に北部から、ユエが落ち、それからダナンが危険だという状態の中で、多数の難民が南部へ移動しているけれども、これはグェン・バン・チュー政権が住民を追い立てているのだという意味の言い方をしているようであります。そして非常に悲惨な状態に陥っている。この責任はグェン・バン・チュー政権の姿勢にある。これが一つと、もう一つはアメリカが海軍を、艦艇をベトナム沖に展開をしているけれども、これは重大なパリ協定違反につながる、こういう意味の内容だと聞いているのですけれども、私はそこで一言申し上げたいのは、先ほどのカンボジアの状況も、そしていまのこのベトナムの状況も、以前がそうであったので私は申し上げるのですが、日本のマスコミもそして日本の政府も、入手できる情報というのが実はアメリカ側からの情報であるという現実の中で、本当の事態をつかみ切っていないのじゃないだろうか。このことをいまの激動する中で再び心配するわけです。カンボジアの場合は明らかにロン・ノル政権は消滅していくという方向を考えなければならないし、ベトナムの場合もグェン・バン・チュー政権は崩壊していくという状況を想定して考えなければならないと思うのですが、どうしても情報がアメリカ側に偏ってくる、日本の、マスコミの皆さんもおられるけれども、最近のベトナムの報道はやはりアメリカ側の情報を基礎にしていると思います。つまり、多くの難民が非常に苦しい状態に陥っているということは伝えられてきていますけれども、それはサイゴンから出かけて行った内外の報道陣の見方ですね。きょう初めて臨時革命政府の側からの声明という形でこの難民の問題が取り上げられた。これはグェン・バン・チュー政権が追い立てたのだ、一部の報道に、選挙を控えて南側に、自分たちの側にグェン・バン・チュー政権として多数の住民を確保しておく必要があるのだということを伝えた報道がありますが、これは私は非常に適切な指摘だというふうに読んだわけです。そういうことが政府の場合には単なる報道、情報ということではなくて、これからの日本の外交を動かしていく基本的な姿勢を決めていくもとになるものですから、正確な情報をつかむということを、いまの状態の中で特に留意をしていただきたい。
 実は、ここに一九七〇年に外務省がおつくりになったアジアの問題についての一つの何と言いますか、見通しをまとめたものがあります。わが国のアジア政策試論、外務省アジア局という表題がついているわけですが、もちろんこれは内容を拝見するとアジア局の内部で、あるいは外務省の内部で幹部の皆さんが参考資料として読まれるためにアジア局の中で担当の方がまとめられたというふうに拝見をしました。あるいは私ども外部のものが本来拝見できるものではないかもしれませんが、古いものですから、私最近入手をしたのですが、大変興味深く読みました。同時に、私がきょうなぜこういうことを申し上げるかと言えば、これを拝見してみると一九七〇年、つまり日中国交正常化の二年ないし三年前、まあ正常化が九月ですから、これが七〇年の何月につくられたかで若干ずれがあるでしょうけれども、二、三年前ですね。その時点で全く日中国交回復という方向に進むようなことは当時の外務省は見通しておられない。それから米中関係についても、対立の図式というものをやはり基本に置いておられて、しかし、ベトナム戦争がすでに終結に向かっているということは前提にされて、その中でアメリカがどう変わっていくだろうかということは把握をしておられる。だから米中間が変わるかもしれないということはすでにある程度予想をほのかに、におう程度に書いています。非常に驚くべきことは、朝鮮の問題については全くこれは私どもの知っている現実と違うふうにとらえている。たとえば朝鮮の問題については、「韓国の国力及び民生安定度を高め、北朝鮮が暴力その他の手段による韓国の内政撹乱を通じて統一を計る余地」がないようにしなければいけないというようなことを日本政府は、外務省はこれに書いているのですね。さらに、「時至れば韓国が北朝鮮と対等又はそれ以上の立場で平和統一問題に処し得るよう政治経済両面にわたり協力政策の有機的展開を行なう」必要がある、こう書いています。ところがその翌々年、七二年の七月四日には、南北統一についての共同声明が出されたのは御存じのとおりです。こういう程度の認識で外交を展開しておられるとすると、情報不足というか、基本的な姿勢において非常に危惧を感ぜざるを得ない。ですからこれを読み、一方で現在のインドシナ情勢に対する御判断というものを伺って非常に私は危惧の念を抱いているわけですが、宮澤外務大臣、私の言うことは少し間違っているでしょうか、いかがでしょうか。
#102
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般論と当面の具体的な問題とをちょっと分けて申し上げる必要があると思いますが、たとえば一般論としてのカンボジアの情勢についてわれわれはクメール・ルージュがどのような考え方を持っているか、どういう軍事的意図を持っているかというようなことについて直接に取材をする、情報を集めることはきわめて困難でございます。あるいはまたPRGがどのような実態を持ち、どのような意図を持っておるかというようなことも、直接に情報を得ることはきわめて困難でございます。それは申すまでもないことながら、在外施設がわれわれが承認した国に外交活動をしておるわけでございますから、情報なり判断なりはおのずからその政府から、あるいはその周辺から得られるものが多いという事実に基づくものであろうと思うのです。同様のことは、たとえば中国あるいはソ連におきまして、その国内で現実にどのようなことが起こっているかというようなことについては、おそらくは当該政権、政府に不利な情報というものはわれわれには非常に得にくい、また旅行活動すらも制限されておるということが事実であろうと思います。それに対しまして、アメリカその他西欧諸国は言論、情報等が比較的自由でありますし、また旅行なども自由でございますから、そういう意味ではバランスのとれた情報が得やすいということがあるであろうと思います。他方で軍事的な情報になりますと、これはもうわが国の実情は御案内のとおりでありますから、米英のように軍事衛星を使って相手方の情報を得るということはわが国にとっては全く不可能でございます。
 そのようなことは一般論でございますが、具体的に今度はカンボジアの場合あるいはベトナムの場合でございますが、そのような制約された範囲の中ではいまの段階におきまして両国ともわが国の同地における外交活動あるいは情報判断についての入手等は、私は与えられた状況のもとにおいてはきわめて効率よくなされておるというふうに考えております。
 ことに、カンボジアの場合におきましてはなおさらそうでございまして、先ほどアジア局長が一般的な表現として申し上げましたように、大使以下かなり的確にカンボジア政府内部の動き、それから知り得る範囲においてそれがどのような帰趨になるであろうかといったようなことについては相当的確に把握をしておるばかりでなく、求めに応じて多少の意見も述べておるというようなことでございます。それがいまの段階で先ほど田委員が述べられましたように非常にアメリカ支援的な、あるいはアメリカ一辺倒的なものであるかと申しますと、必ずしもそうは言えないように私は存じております。これは事態が機微でございますので、事態が過ぎました後で申し上げるしか方法のないことでございますけれども、決して先ほど言われましたような偏った動きをしておるとは思っておりません。ことにカンボジアの場合には、昨年の秋の国連決議の段階で、わが国はかなり一つの考え方を持って行動しておりますし、それが今日にまで及んでおることでございますから、カンボジアにつきましてはそういうわれわれなりの自主的な努力というものが行われておるということは申し上げても私はアンフェアではないと思うのです。
 ベトナムの場合におきましては、これはまた事態が多少違っておりまして、わが国として、最終的にどういうふうに落ちつくのであるか、落ちつくのが正しいかということについて、それほど差し迫った判断をただいま持っておるわけではございませんけれども、しかし、判断なり情報なりが、先ほど御懸念のありましたような非常に一方的なものに偏らないようにという努力は常にいたしておるつもりでございます。
#103
○田英夫君 この問題は、キッシンジャー外交が中東でもインドシナでも破綻をしてきているという中で、むしろこれはキッシンジャー外交の基本姿勢そのものが間違っているからだと私は思うのですが、これはひとつ改めて機会を得てお考えを伺いたいと思います。
 きょうは時間がありませんので、いまジュネーブで開かれている海洋法会議に臨まれている政府の姿勢を具体的に伺いたいと思います。
 一つは、いわゆる二百海里の経済水域の問題ですが、これは日本側提案といいますか、日本の姿勢ではこれに賛成といいますか、日本からも積極的にこれを主張するという方向をとるのか、結果としてそれになるという方向を見通して日本は積極的には提案をしないのか、この点はいかがですか。
#104
○政府委員(松永信雄君) 経済水域の問題につきましては、御承知のように昨年のカラカス会議におきましては、日本はそういう経済水域、現在提案されておりますような経済水域の設定には反対であるという立場をとり、また表明をしたわけでございます。しかしながら、カラカス会議における論議及びカラカス会議以後におきます各国との非公式な折衝を通じまして、経済水域の設定自体は、国際的に見ますと世界の大勢であるという事態を十分認識して、今回のジュネーブにおける海洋法会議に臨むということになったわけでございます。私どもといたしましては、この経済水域の設定につきまして何らか積極的な提案をするということは現在のところはまだ考えておりません。しかしながら、おそらく大勢といたしましては、経済水域の設定ということが認められることになるというふうに見通しを持っておりますので、その場合においてわが国の利益をできる限り最大限に確保してまいりたいという立場で、今後の論議及び各国から出てまいりますところの提案に対処してまいりたい、そういうふうに基本的に考えておるわけでございます。
#105
○田英夫君 そうしますと、積極的には主張することはないけれども、たとえば漁業資源、遠洋漁業の問題などについては具体的に一つの案を持って臨むと、これは実は情報文化局でつくられた、第三次海洋法会議の「カラカス会期が終えて」という第二版の方には、具体的に外務省のお考えがまとめられてあるわけですから拝見はしていますけれども、そうすると、大勢としてそうなるだろう、そのとき日本としては、たとえば漁業資源というような問題について具体的にそういう提案はするという二段構えの考え方だと理解していいですか。
#106
○政府委員(松永信雄君) 二段構えと申していいかどうかちょっとわかりませんけれども、いま御指摘ありましたように、漁業利益をどうやって確保するかという問題、それからそのほかにも、たとえば海洋汚染の問題でありますとか、海洋調査の問題でありますとか、いろいろわが国として関心を持っておる事項が経済水域の問題との関連において出てくるわけでございます。これらについて、私どもといたしましては、日本の立場から見まして公正な、そして日本の利益ができる限り確保できるような形で持っていきたいという考え方を持っております。
 漁業問題につきましては、主として問題になりますのは遠洋漁業でございます。なかんずくサケ・マスの問題が非常に大きな日本にとっても関心のある問題でございまして、これにつきましては、主たる関係国でありますアメリカ、カナダ、あるいはソ連、そういった国といろいろと非公式な話をしてまいっているわけでございますが、このジュネーブ会議において経済水域の中での漁業問題の取り扱いがどういうふうになっていきますか、これは現在まだ実は非公式の折衝がジュネーブでも行われている段階でございまして、まだ公式の会議における折衝というのは始まっておりません。したがって、恐らく四月の中旬ごろ、十日ごろから正式の会議が始まるだろうと思っておりますけれども、それに対処して現在なお関係国間で非公式な話し合いをしている段階でございますので、まだ具体的にどういう提案を出していくか、どういうふうに日本の代表団として動くかということば、現在行っております非公式の折衝の経過を見ましてから決めてまいりたいというふうに考えております。
#107
○田英夫君 やはりこの同じ資料の八十一ページのところに、日本が提案する問題が二つ並べられていまして、一つが大陸だなの問題、もう一つがいま言われたサケ・マスに関する提案であるわけですが、これはまあ外務省でおつくりになったんですから間違いないと思いますが、大陸だなの提案については、日本は沿岸から最大二百海里の範囲を大陸だなの範囲とするという、いわゆる距離説をとろうとしておられるようですが、これは今度の会議でも提案をされるんですか、これは間違いありませんか。
#108
○政府委員(松永信雄君) この提案は昨年のカラカス会議におきまして出したわけでございます。わが日本政府としましては、大陸だなというものは無制限に海中に延びていくものではなくて、距離、すなわち具体的には二百海里でございますけれども、を限度としてその大陸だなを持っている国が開発する権利を持つということにすべきではないかという立場からこういう提案をしております。今度のジュネーブの会議においてもこの立場をとるつもりでございます。ただ、この立場は多数説、あるいは大勢の意見であるというふうなことでは、そういう大勢ではないという認識はございますけれども、立場としてはこういう主張をしてまいりたいというふうに考えております。
#109
○田英夫君 これはまあ日本が島国で、日本から根を発している大陸だながほとんどないということから当然の主張になるんだろうと思いますが、やはりこの資料のいま言いました八十一ページの次のところにずっと並んでいる各国の提案の図表を見ますと、大陸だなの範囲については、中国などのような典型的ないわゆる延長論もありますし、日本と同様に、ガーナとか象牙海岸とか、これはアフリカの国がかなり多いようですけれども、二百海里排他的エコノミックゾーンに吸収するという提案もありますね、結論的には二百海里ということで日本と同じになるんじゃないかと思いますが。それから大陸だなの範囲については特別の提案をしていないという国もたくさんあるわけですね。にもかかわらず、やはり日本の提案というのは多数にはなり得ないんですか。
#110
○政府委員(松永信雄君) ただいま御指摘ありましたように、大陸だなの問題についてはカラカス会議では実はそれほど多くの論議は行われなかったというのが現状でございます。これについての提案もそれほど数多くはなされておりません。ただ他方、事実問題といたしまして、大きな大陸だなを抱えております国、具体的にはアメリカ、カナダ、あるいは中国とか、それからイギリス、そういったところはいずれも非常に大きな大陸だなの権利を主張しております。それに対して大陸だなの権利をできるだけ制限すべきであるという主張をしております日本その他の国との間で非常な大きな意見の懸隔があるわけでございます。ただ、現実の問題として見ますると、大陸だなの権利を制限的に議論をしていきたいという主張をしておりますのが大勢であるということば言い切れないと思います。
#111
○田英夫君 これは実はこの前も予算委員会で外務大臣と大分論議をしたところなんで、私は依然として、日本政府がいわゆる距離説をとって、沿岸二百海里が大陸だなの範囲だと主張しておきながら、その主張によれば当然日本の権限になるはずの地域を日韓大陸だな協定によって韓国と共同開発という形にしているのはおかしいじゃないかという考えを捨て切れないわけですね。これはもう一回繰り返して伺いますが、どういう論理になるんでしょうか。
#112
○政府委員(松永信雄君) 予算委員会の席上でも私からも御説明申し上げましたけれども、韓国は大陸だなにつきましては中国とかアメリカと同じように自然延長の立場をとっております。それに対して私どもとしましては、中間線によって決定されるべきであるという中間線の立場を主張しており、両方の立場が食い違っているわけでございます。私どもといたしましては、中間線によるべきであるという立場をできるだけ主張しませんと、もしも日本側がその主張を撤回しますとすると、残りますのは自然延長という立場だけになるわけでございまして、私どもとしては、あくまでもやっぱり中間線によるべきであるという主張は共同開発に関する協定が締結された後においてもなおかつ私どもの方としては維持、主張し続けていかなければならないと。そういう主張がなされなければ自然延長を認めなければならないということになりますので、私どもとしてはこの立場はジュネーブ会議におきましても、またその後においてもその主張を維持してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#113
○田英夫君 それはよくわかるんです。それはよくわかるんですが、しかも松永さんが言われるように、海洋法会議ではどうやら日本の主張の二百海里距離説というのは多数にはならないだろうと、結果的にもし大陸だなの範囲がジュネーブ会議で決まるとすればそういう決まり方ではないだろうという見通しを持っておられるように思いますね。しかしそれは、見通しはそれとしても、少なくとも日本政府は二百海里距離説をとっているのに、日韓大陸だな協定ではそれは放棄してしまって、結論として放棄してしまって共同開発をする。だから、百歩譲って私は海洋法会議の結論が決まるまでは日韓大陸だな協定はたな上げにすべきじゃないか、国会の批准をお求めになるべきではないと、こういうことを主張しているわけです。これは私は論理が通っていると思いますが、にもかかわらず、政府はすでに衆議院に御提出になったようでありますけれども、これはどういうお考えですか。
#114
○政府委員(松永信雄君) 日本政府といたしまして大陸だなについて二百海里、それから二国間で大陸だながまたがっている場合にはその中間線によって境界を決めるべきであるという立場は、海洋法会議においても、また海洋法会議の後においても維持していくつもりであるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。このことと、日韓協定を結ぶことによってその主張を放棄したというふうには私ども毛頭考えておりませんで、日韓協定が締結された後においてもこの立場は堅持していくつもりでございます。そのことはいま申し上げたとおりでございまして、その間に何ら立場としての矛盾はないということにお考えいただきたいと思います。
#115
○田英夫君 どうもこれは水かけ論になってしまうんで、ちょっと角度を変えて伺いますけれども、今度の海洋法会議の結果、大陸だな条約のつまり大陸だなの範囲を決める条項が変わってくるということはあり得るわけですね。
#116
○政府委員(松永信雄君) これは会議でどういう提案がなされ、どういう論議が行われまして、その結果どういう条約が採択されますか、そこのところまで具体的には見通しをいまの段階では持つことはできないと思います。したがって、全く推測ないし観測という域を出ませんけれども、そのことを前提として申し上げますと、大陸だなについては相異なる主張、意見が展開されておりますから、現在のいわゆる大陸だな条約、これの内容がほぼ採択されるような形で決着と申しますか、結論が出ていく可能性が強いんではないかというふうに考えております。
#117
○田英夫君 そうしますと、そういう段階になって、それともう一つは、日本が大陸だな条約に入っていない大きな理由である海底資源の問題、漁業資源、カニというような問題、そういうことについて何らかの変化が起きれば日本が大陸だな条約に参加をするということはあり得ることですか。
#118
○政府委員(松永信雄君) 今度の海洋法会議において取り上げられておりますいろいろな問題、その中に大陸だなも含まれるわけでございますけれども、それを全部包括的に一つのまとまった条約として法典化したいというのが海洋法会議のもともとの目的であるわけでございます。したがって、現在の大陸だな条約が形式的にそのまま残って、それにいろんな国がまた新しく参加していくということになりますか、海洋法会議の結果採択される一つの単一の総合的な条約に各国がそれぞれ参加していくことになるか、恐らく後者の形になるのだろうと私どもは考えております。
 その場合に大陸だなの、いま先生が御指摘になられました海底資源の問題がどういうふうに規定されていきますか、これはまだいまのところ実は予想つかないわけでございます。私どもとしましては、そういうものを条約全体の中で判断をして日本政府として参加するかしないかということを決めるべきであろうと思いますけれども、全体的な立場といたしましては、新しい海洋法秩序が樹立されるわけでございますから、日本としてもできる限りこれには参加していくという態度で臨むべきだろうと考えております。
#119
○田英夫君 その問題と日韓大陸だな協定に関係をして非常に重要な問題だと思いますので、これはまた機会を別に譲ります。
 もう一つ海洋法会議で重要な問題は、例の十二海里の領海ということになることはほぼ間違いない。となると、海峡航行の問題、特に核積載艦の海峡航行の問題、これはこの委員会でも、あるいは衆議院でも、あるいは予算委員会でも取り上げられている問題ですけれども、同時にまた、過去、三木総理が外務大臣のころからしばしば論議されてきた問題でありますが、いよいよこれは今度の海洋法会議を通じて決定的な段階に来たと思います。現在十二海里の領海ということになった場合に、両側からはかって十二海里以内、つまり幅二十四海里以内の海峡は、津軽海峡とか宗谷海峡、朝鮮海峡ですか、私の得た資料では、津軽海峡が一番広いところで十・六海里、宗谷海峡が二十二・九海里、朝鮮海峡が二十三・二海里、こういう資料がありますが、ただ、朝鮮海峡、宗谷海峡の場合には反対側がわが国ではありませんから、わが国の及ぶのは十二海里の半分まで、つまり十二海里以内ということになるわけです。典型的な例は津軽海峡ということになると思いますが、外務大臣、ここを核積載艦が通航をするということは明らかに領海を航行することになりますが、この問題についてひとつこの際明快にお答えをいただきたいと思います。
#120
○政府委員(松永信雄君) 幅が二十四海里以内になります日本周辺の海峡であって国際航行に現に使用されておりますところとしましては、いま御指摘になられましたようなところが主な海峡であろうと思っております。これらの海峡における国際航行がどういう形で認められるか、それはこの海洋法会議の結果を待たなければ具体的にはわからないわけでございます。私どもといたしましては、日本が世界有数の海運国でもあり、貿易立国に大きく日本経済というものが依存しているということから考えまして、国際海峡においてはできる限り自由な航行が確保されるべきであるということを基本的な方針としてこの会議には臨んでいるわけでございます。
 ただいま御質問がありました核積載艦の通航がどうなるかということは、この国際海峡の制度がどういうものになるかということによって実は決まってくる問題であろうかと思いますが、そのときに私どもの基本的な考え方といたしましては、日本のみが一つの違った制度を主張すべきではないんじゃないか、やはり世界全体の動きの中で日本というものは動いていくべきではないだろうかという考え方に立って対処すべきであると思っております。したがいまして、でき上がりました国際制度に従ってこの問題は処理されるべきであるという考えでございます。
#121
○田英夫君 そうしますと、自由航行あるいは無害航行、いろいろな形が予想されるわけですし、特に核潜水艦を日本周辺で動かしている米ソは自由航行を主張しているという形であるわけですが、結論として、いまおっしゃったことをそのまま進めていくと、いわゆる非核三原則の一角は崩れざるを得ないということになると思いますね。それは、潜水艦が浮上して航行しなければならないということになっても核を積んでいることには間違いないわけでありますから、航行できるということに結論がなる限り、これは、領海の中を核を持った船が走るわけですから、非核三原則のうちの一つの持ち込ませずというのは、一角が崩れることになるわけですが、そのこともあり得ると、国際的にそう決まれば日本はそれに従うというお答えですからそれはあり得ると、こう考えざるを得ないんですが、それでいいんでしょうか。
#122
○政府委員(松永信雄君) 非核三原則と新しくできます国際海峡との問題については従来からもしばしば実は国会において論議として御指摘をいただいているところでございます。これにつきましては、現在まだ国際海峡がどういう制度になりますか具体的にはわからないもんでございますから、その制度がはっきりした形をとるに至った段階においてしか実は的確にはお答え申し上げられないので、ですからその問題は、国際海峡制度というものが国際法上どういう地位を認められるかということが決まった時点において検討をしなければならないということで実はお答え申し上げているわけでございます。
 ただ、一般論、抽象論として申し上げますと、新しい国際制度がそこにできるわけでございます。これはおそらく国際条約という形で採択をされる。日本がもしそれに参加するということになりますると、その国際的な制度というものは日本についても法律的な効力を持つということになると思います。いわゆる非核三原則というのは、私どもが了解しておりますところでは政府のこれは政策でございますけれども、日本政府はそういう新しくできますところの国際的な制度、法律的な拘束力を持ちますところの国際制度に従って適用されるということになるというのが一般論としてこの段階でお答えできるところではないかと思います。
#123
○田英夫君 これは外務大臣の政治的な判断でお答えいただきたいんですけれども、木村前外務大臣は、昨年の十月十六日の衆議院の決算委員会で、十二海里になった場合にはいままでの領海以外に一つの特殊な水域というものができる可能性もあるというふうに話しておられますね。私の知っている限り木村前外務大臣の真意は、非核三原則の一角が崩れることもあり得るというふうにお考えだったと思います。私は、実はこのことはもう政治的な判断を明快にお下しいただく段階だと思うんです。条約局長の言われたことはよくわかりますけれども、にもかかわらず、結論として一番はっきりしているのは津軽海峡ですから、津軽海峡に限定してもいいんですが、ここは十二海里になれば全域日本の領海になるわけですから、ほかに考える余地はないわけですね。津軽海峡を核積載艦が通航できないという国際的な決定、つまり国際的にその国なりが指定したらそこは通ってはならないとか、とにかく核積載艦が通航できないような決定が海洋法会議の結論として下されるという可能性は絶無なんじゃないですか。先ほど二百海里の大陸だなの問題などについても見通しがありましたけれども、日本の提案は少数意見になるだろうという見通しがありましたけれども、そういう意味で申し上げれば、核積載艦といえどもこの国際海峡を通ってはならないという結論が海洋法会議で出るという可能性は私は絶無だ。となれば、日本が、それが条約化されたときにそれに加わらない、日本は津軽海峡は絶対に通っちゃいかぬということを主張し、また宗谷海峡その他も日本側の十二海里のところに入ってはならぬと主張する、そういう態度をとらない限り、つまり、さっき条約局長が言われた国際的な決定には従うということではなくて、それを拒否するということを考えていない限り、非核三原則の一角は崩れるはずですね。これは私もそのくらいの見通しは持っているつもりです。今度の海洋法会議で、津軽海峡を通ってはならないという決定が下される可能性は絶無だ。ですから私は政治的にもう判断をお下しになって、国会の場で国民にはっきり物を言われた方がいいと思うので、最後にそのことを宮澤外務大臣に伺います。
#124
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましての政府の立場は、海洋法会議のただいまジュネーブで行われておりますセッションの結論を待って、その時点で政策決定をいたしたいということでございます。これをまずひとつ最初に申し上げておきまして、そしていままで田委員と政府委員との問答を伺っておりまして考えることでありますが、田委員が、たとえば津軽海峡というものは今度は全域が領海になるはずであると仰せられました。その場合の全域が領海になるというその領海という言葉は、従来私どもが領海として観念をしておった三海里、ここには無害航行というものは認めるというそういう意味での領海でありますけれども、それと全域津軽海峡は領海になるぞと言われた場合の領海というものとが同じ性格のものであるかないかということに帰着していくと思うわけであります。条約局長の申し上げておりますことは、そのような、いわば仮に国際海峡という言葉を使わしていただきますが、国際海峡という場合における領海というのが従来の領海と同じ性格のものであるかどうか。むしろ新しい海洋法会議、それに伴う法典、条約によって、新しく国際海峡というものが設けられて、その性格はいかにあるべきか、どういうものであるかということが国際法の形で決定をされてくるであろう。それはどういう形をとるかはわからないけれども、国際法の形で決められた場合に、わが国としてはそれに海洋法会議全体のパッケージディールとしてはやはり従うべきものではないだろうかと思うと、こういうふうに申し上げておるわけでございますから、そういう意味では、いままでのわれわれの考えておった領海というものと、田委員の言われました津軽海峡全域が日本の領海になると言われたその領海というものとは、国際法の通念としては異なってくることがあり得ると思うわけであります。十月十六日に木村前外務大臣が特殊な水域と言われたというふうに仰せられましたが、あるいはそのことも、分析して言えばただいまのような認識のもとに言われたのではないかと思います。
 そういった場合に、さて三原則が崩れるかどうかということでございますけれども、私どもは少なくとも現在より後退はしたくない、そういう考えは持っております。少なくともそれだけはしっかりしておきたいという気持ちは持っております。しかし、冒頭に申し上げましたように、この問題は現在のジュネーブ会議のセッションが終わりました段階で政府の立場を決めたいと、こう思っておるわけであります。
#125
○田英夫君 どうもちょっと理解できないんですが、現在より後退しないということになると、現在領海の中には入って来ないわけですから、領海の意味が変わってくるという国際的な決定の場合には状況が違うんだという意味かもしれませんが、私さっき大陸だな条約が今度ジュネーブ会議で規定が変わったら大陸だな条約に参加することがあり得るかと、こう実は御質問をしたのはこの問題に対する一つの布石であったわけです。つまり、日本にとって好ましくない内容があるからいま大陸だな条約に入っていないわけですね、日本は。国際的な条約であっても日本にとって不利であれば入らないわけですから、これに大陸だな条約のような典型的なものがある。となれば、今度海洋法会議でこの領海の問題について決定をされ、国際海峡の通航の問題についても一つの決定がなされてそれが条約化されても、それは日本の非核三原則という国是とも言っていいものにとって好ましくないものであれば日本はそれに参加しないという余地は当然あり得ると、ところがそれはおとりにならないということなんで、時間が来てしまいましたからこれ以上申し上げることはできませんけれども、そういうことだというふうに私は理解をせざるを得ない。
 残念ながらこれで終わります。
#126
○立木洋君 きのうのNHKのニュースで、日本の北ベトナムに対する戦争賠償の問題、政府では無償賠償、無償援助と言われておりますが、これに関してアメリカ側から再考を促す申し入れが来ているというニュースが流れたわけですが、そういうような申し入れが何らかの形でアメリカ側からあったのかどうか。あったとしたらどういう内容か、お尋ねしたいと思います。
#127
○政府委員(高島益郎君) ベトナム民主共和国との経済協力問題につきまして、アメリカ政府から日本政府に対しましていかなる申し入れもございません。
#128
○立木洋君 これも新聞報道ですが、お尋ねしておきますけれども、アメリカ側としては中止を表明することもあり得るのではないかというような趣旨の報道が外務省の見解として流れておったわけですが、将来ともそういうふうな申し入れはこないだろうという見通しですか。
#129
○政府委員(高島益郎君) 将来の見通しの問題は私わかりませんが、少なくとも私ども現在の段階におきましてそういう意味での申し入れはございません。
#130
○立木洋君 じゃあ現在までのところは全然そういうものはないということですね。そうするとこの間も、あれは二月の外務委員会でしたか、私がお尋ねしまして、アメリカでキッシンジャー長官がベトナムに対しては援助をいままでも検討してないし、将来も経済協力については検討しないという表明があったけれども、これにかかわりなく日本としてはこういう経済協力やっていくおつもりかとお尋ねしたら、局長が、日本としてはやっていくつもりであるという趣旨のことを述べられたわけですが、この見解についてはいまの時点でも変わりはないわけですね。
#131
○政府委員(高島益郎君) 若干御説明をさしていただきますが、このベトナム民主共和国との間の経済協力、特に無償経済協力の問題というのは、通常一般の無償経済協力とは必ずしも同じ性質のものではなくて、要するに日本とベトナム民主共和国との間の国交樹立以来の特に政治問題に関連する問題でございまして、そういう特殊な経緯を持った問題として処理しておるわけでございまして、そういう意味での無償経済協力でございますので、これはやはり日本と北越との国交の基幹に関する問題でございますので、われわれとしては今後も引き続き従来の方針どおりやっていくと、こういうことでございます。
#132
○立木洋君 いま当面問題になっておりますのは五十億とかいうふうに伺っておりますけれども、これはもうこれで終わりだという意味ですか。
#133
○政府委員(高島益郎君) 前にも御説明したつもりでございますけれども、要するに日本と北越との間のこの無償経済協力の総枠についてはまだ合意に達しておりません。したがって、総枠については今後も継続して交渉していくということに合意しているわけでございます。とりあえずそのうち五十億円については合意ができておりまして、その内訳の額として五十億円についての細目をいま交渉しているというのが現状でございます。
#134
○立木洋君 そうしますと、日本の政府としても五十億で終わるのではなくて、さらに幾らか上積みされる可能性ということも当然考えておられるということでいいわけですか。
#135
○政府委員(高島益郎君) そのとおりでございまして、そのことを今後とも引き続き交渉していくということでございます。
#136
○立木洋君 大臣がおられなくなって……、それじゃあこの問題に関しては、外部的ないろいろな影響があったにしても必ず貫いてやっていただきたいということを御要望しておきたいと思うんです。
 それと関連しまして、前回ベトナムの情勢に関して私がお尋ねしたところでは、アメリカとしては再介入の事態はあり得ないだろうというお話もありました。二十五日のときのお話では、そういうふうな形では断定されなくて、再介入があり得るようなニュアンスに伺ったわけですが、それはそういうことで理解してよろしいんでしょうか。
 じゃあもう一度大臣がおいでになったから……、前回の外務委員会でベトナムの情勢に関連してお伺いしたときには、アメリカ側としても戦争介入しないという立場をとっておるから、戦争に行くような、再介入の事態は起こらないだろうという趣旨のお話があったと思うんですが、二十五日、一昨日、うちの方の星野議員がお尋ねしたときには、再介入はあり得ないというふうに断定されなかったように聞いておるわけですが、そういう再介入の問題に関しては認識が変わられたというふうに考えてよろしいわけですか。
#137
○国務大臣(宮澤喜一君) いずれにいたしましても、これはよその国が決定をすることについての予測になるわけでございますから、確と私が申し上げられる性格のものではありませんけれども、たとえば地上兵力を再び導入するというようなことは、私の感じではあり得ないことではないかと、やはり同様に思っております。
#138
○立木洋君 先ほど田議員のほうからカンボジアの情勢、ベトナムの情勢についてお尋ねがあったわけですが、いまのベトナム、カンボジアの事態というのは、これは日米安保条約との関連で考えまして、第六条に関連するような事態であるというふうに判断されておられるのか、そうではないというふうに判断されておられるのか。極東の平和と安全に関すれば日本の基地利用云々がありますですね、そういう事態に関連する事態になっておるというふうに政府としては考えられておるのかどうか、そのあたりの判断はいかがでしょう。
#139
○国務大臣(宮澤喜一君) 六条との関連でわれわれが判断しなければならない事態は、具体的にわが国の施設・区域から、あるいはそれを利用して米軍がどのような行動をしようとするか、そのいかんによりましては事前協議の対象になるということでございますから、われわれはそのなされようとする、あるいはなされることがあるべき具体的な行為、行動について判断をすべきものであって、一般的ないまの状態が六条との関係でどうかということの判断は私は困難であろうと思います。
#140
○立木洋君 この問題も前々、もう二回ないし三回にわたってお尋ねしたことですが、いまになってみればはっきりしてくるわけですが、SR71がベトナム民主共和国の領空を侵犯して偵察飛行を行っておる、この事実についてはついに最後までお認めにならなかったわけですが、やはり今日の事態で考えると、沖繩というのは海兵隊の出動の準備もなされておりますし、佐世保においての動きというものも大変激しい動きがなされている。沖繩あるいは日本のアメリカ軍の基地が利用されてベトナムあるいはカンボジアに介入するという事態が皆無ではない、そういう事態が起こり得る可能性もいまの状況の中では考えられるというふうに私たちは考えておるわけですが、そうなりますと、やはり当然日本政府がそれを認めるか認めないかということは、安保条約との関連で検討されなければならない事態になるわけだと思うんですが、そういういまの事態の中で、当然今日のインドシナ情勢に関連して日本の基地利用をされる可能性が強まってきておるという問題については、そのようなことはないというふうにお考えなのか、そういう可能性もあり得るというふうに判断されておられるのか、そこらあたりはいかがでしょう。
#141
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げたことに大体尽きると思いますけれども、たとえばこれは全く仮定の問題といたしまして、ベトナム、インドシナ半島から、そこにおりますアメリカ人あるいはその他の難民等々の救援のために、あるいは撤収のために、米国の海軍なり海兵隊が行動するというような場合、それがわが国の基地から行われる直接の戦闘行動であるというふうには――これは仮定の問題でございますから態様で判断をいたさなければなりませんけれども、それを戦闘行動ということは、おそらくそれには当たらないと考えるべきでございましょうし、具体的なその場合における態様によって私は判断をいたすべきものではないかと思います。
#142
○立木洋君 私たちはかつてベトナム戦争の当時、これはまあ非常に政府のお話によれば、日米安保条約によって事実上かかわり合いを持たざるを得ないような事態であったということを、前の大平外務大臣がお話しになったことがあるわけですが、こういうことは今後何としても避けなければならないというふうに考えているわけですし、当然あの当時の事態とは変わりまして、べトナム民主共和国とは国交樹立され、友好関係を発展させるという方向で大使館の設置その他もいま進んでおるという状態の中ですから、当然事態が変わっておるわけで、こういうふうなアメリカ軍の行動に関して日本政府としてはいまの時期、適切な発言をしておく時期ではないかと思うんです。この点はいかがですか。
#143
○国務大臣(宮澤喜一君) ベトナム戦争が激しく戦われておりました時点においても、われわれとしては日米安保条約及び附属協定の趣旨の違反が行われたというふうには考えておりませんことは立木委員御承知のとおりのことであります。今後どうかというお尋ねでございますけれども、歴史の流れの大勢から判断いたしますと、恐らくあのようなことがもう一遍繰り返されることはないであろうというふうに考えておりますことも先刻申し上げました。万一そのようなことがあったらどうするかということでございますが、それはその起こり方の態様によって判断をするしかないというふうに考えております。
#144
○立木洋君 アメリカの政府筋の報道によりましても、かつてのような大規模な、ああいう介入ですか、戦争という事態は起こらないだろうというふうに判断されているようで、その点では外務大臣のお話と一致しておるわけですけれども、しかし、私は小規模の形で何らかの介入ということも皆無だとは言えない事態がやはりあるだろうと思うのです、かつてのような大規模な状態でなくても。そういう場合でも当然日本はそれに巻き込まれるべきではない、先ほどお話しになりました日米安保条約との関連で言いましても、いまの時期ではそういうふうに判断される状況ではないというような御判断で、将来どうなるかについては、もう少し事態の推移を見なければというようなお話のようでありましたけれども、そういう点については当然日本としては、アジアのすべての国と友好関係を発展させていきたいということを三木総理も述べられておるわけですから、こういう事態が起こらないように、当然政府としては適切な措置をとるべきであるというふうに私は考えておるわけですが、その点もう一度、アジアのすべての国との友好関係を発展させるという立場で、このインドシナ情勢に関して、どういうふうな態度をおとりになるおつもりか、最後にお尋ねしておきたいと思います。
#145
○国務大臣(宮澤喜一君) これはそうでありますと、安保条約の関連のお尋ねではないわけでありまして、一般的にインドシナ情勢について政府はどのようなこれからの推移を望んでおるかという政策の問題でございますならば、やはり原則としてはカンボジアの場合はいま除いて申し上げますが、カンボジアの場合を申し上げれば、これは昨年の秋の国連決議の線に沿って、カンボジア人たちによって解決さるべきであると思っておりますし、ベトナムの情勢については、同じような趣旨を踏まえましたパリ協定というものが、これはなかなか言うべくして簡単には行われがたいことであるかもしれませんが、しょせんはあそこに返って平和的に解決せらるべきであるというふうに政府としては考えております。
#146
○委員長(二木謙吾君) 本件の質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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