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#1
第075回国会 外務委員会 第12号
昭和五十年六月三日(火曜日)
   午前十時二十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     中村 禎二君     亘  四郎君
     望月 邦夫君     増原 恵吉君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         二木 謙吾君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                秦野  章君
                戸叶  武君
    委 員
                伊藤 五郎君
                糸山英太郎君
                大鷹 淑子君
                中山 太郎君
                増原 恵吉君
                亘  四郎君
                田中寿美子君
                田  英夫君
                松永 忠二君
                黒柳  明君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       外 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       外務政務次官   羽田野忠文君
       外務大臣官房長  大河原良雄君
       外務省アジア局
       長        高島 益郎君
       外務省アメリカ
       局長       山崎 敏夫君
       外務省経済局長  宮崎 弘道君
       外務省経済協力
       局長       鹿取 泰衛君
       外務省条約局長  松永 信雄君
       外務省条約局外
       務参事官     伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       鈴木 文彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    伊藤 圭一君
       外務省情報文化
       局文化事業部長  堀  新助君
       郵政省郵務局次
       長        守住 有信君
       郵政省郵務局国
       際業務課長    二木  実君
   参考人
       国際協力事業団
       総裁       法眼 晋作君
       海外経済協力基
       金総裁      大来佐武郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成さ
 れた万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国
 郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約
 定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出)
○国際情勢等に関する調査
 (日韓間の諸問題に関する件)
 (インドシナ情勢に関する件)
 (海外経済協力に関する件)
 (日米安保体制及び地位協定に関する件)
 (米貨物船マヤゲス号事件に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(二木謙吾君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月三十日、望月邦夫君及び中村禎二君が委員を辞任され、その補欠として増原恵吉君及び亘四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(二木謙吾君) 参考人の出席要求についてお諮りいたします。
 国際情勢等に関する調査のため、本日、国際協力事業団及び海外経済協力基金の役職員を参考人として出席を求めることについて御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(二木謙吾君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院送付)を議題といたします。
 本案については質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(二木謙吾君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#7
○委員長(二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(二木謙吾君) 次に、千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件(本院先議)を議題といたします。
 本案につきましては、前回趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○田英夫君 最初に政務次官に伺いたいんですが、今回のこの郵便条約の改正、五年に一度改めてきたわけですけれども、今回の改正の幾つかの点を見ると、いわゆる発展途上国、第三世界と言われる国々の要求が非常に反映をしているというふうに私は受け取るわけですが、これはいま国際的に第三世界の発言が非常に強まっている、こういう状態の中で世界が動いているというふうに考えなければいけないと思うんですが、こういう郵便条約というような点にまでこれがはっきりとあらわれているというふうに私は理解をいたしますが、この理解について御見解をお伺いしたい。
#11
○政府委員(羽田野忠文君) 田先生の御見解、私そのとおりだと思います。郵便は、御承知のように条約があるなしにかかわらず、世界のなるべく多くの地域に通信が行われるということが望ましいし、実際にまた、そういう努力が全世界でなされております。しかし、この基本となるべき条約というものが各国の間に結ばれて、世界共通のルールが確立するということが、やはりこの郵便というものを正確に秩序ある発展をさせる上から必要なことでございます。由来、先進国がやはりその指導的立場をとってまいりましたが、発展途上国が逐次勢力を伸ばし、発言を伸ばしてきている、そういう人々の意見を大幅に取り入れ尊重をして世界を結ぶという方向に進んでおるいまの一般的情勢のもとにおいて、この郵便関係もやはりそういう考え方を基礎として進められており、今回の条約改正もそういう方向に進んでおる、私はこれは世界の趨勢であり、非常にいいことだというふうに考えております。
#12
○田英夫君 羽田野政務次官の御意見も同じというふうに私も理解いたしますが、このことは実は大変重要なことであって、いずれ国際情勢に関する質疑というような場面で政府のお考えをその観点からいろいろ伺いたいと思っておりますが、今度の改正でも、分担金の単位の改正の問題や到着料の支払いの内容の問題などで、はっきりと発展途上国の要求が反映をしていると思います。これはさきの国際海洋法会議の場面での二百海里の経済水域、あるいは十二海里の領海というような問題についても、やはりそもそもは発展途上国の要求であったものが世界の趨勢になってくるというこうした中で、日本の外交がどうあるべきかという、そういう問題だと思いますので、これは機会を改めてさらにお考えを伺いたいと思いますが、郵便条約の具体的な問題について伺いますが、今回の大会議で、北朝鮮とギニア・ビサオの加盟が認められてUPUが百五十四ヵ国ですか、領域を含めてですか、そういう構成になったわけですけれども、これはまことに結構なことでありますが、問題は、日本にとっての未承認国、あるいは国交が結ばれましたけれども、まだ大使館が置かれていない北ベトナムというような国、こういうところとの日本の郵便業務というのは一体どうなっているのか、北ベトナムとの郵便がいまどういう状態で、どういう経由で行くのか、これをまず伺いたいと思います。
#13
○説明員(守住有信君) まず、北ベトナムの方から御説明申し上げますが、北ベトナムに対しましては、直接の航空路と海路がございません。したがいまして、これは世界の郵便が同じようでございますけれども、第三国を仲介いたしまして、郵便の送達を行うという精神になっておりまして、直接航空路や海路がない場合は、現在中国を経由してやっております。そのルートと申しますのは、船便郵便物につきましては、香港から広州へと、中国を経由いたしましてハノイへ行っております。
 それから御承知のとおり昨年九月から日中の直接の航空路が開設されましたので、航空郵便物につきましては、北京を経由いたしましてハノイへ参っております。また逆の場合も同様でございます。北ベトナムから日本あてもございますので、同じルートをたどっております。
 それからもう一つは北朝鮮でございますけれども、北朝鮮につきましては、やはり同じように直接の航空路や海路がございませんので、航空郵便物につきましては、同じように北京を経由しまして、北京とピョンヤンの間に、あれは週二便でございますか、航空路が開かれておりますので、北京との間は日本と、あれは土曜日を除きまして週六便、毎日定期便がございます、日本航空と中国航空でございますが、それを経由し北京を経由してピョンヤンへ至っております。それから小包につきましては、これは日本とナホトカの間、ソ連を経由いたしまして、ナホトカ経由で北朝鮮の方へ入っております。
 以上でございます。
#14
○田英夫君 できれば北ベトナムもUPUに加盟をするということが望ましいと思いますが、ただ北ベトナムは国連機構というものに対して不信感といいますか、WHOなどには入っておりますし、気象機構にも入っておりますけれども、WMOですか、このUPUについてはどういう状況なのか伺いたい。
#15
○政府委員(鈴木文彦君) 北ベトナムがどういう考えでおるかということは必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、いままでのところ加盟申請は行っておりません。
#16
○田英夫君 もう一つ、その郵便の輸送の問題で伺いたいのは、御存じのとおり南ベトナムがああいう状況になりました。いわゆる臨時革命政府が南ベトナム共和国臨時革命政府という形でサイゴンに樹立をされたわけでありますけれども、現在の時点では、サイゴンに日本からの郵便、小包が届くのかどうか、向こうからは送られるのかどうか、現状はどうなっておりますか。
#17
○説明員(守住有信君) 現在、ちょうど五月一日からでございますが、南ベトナムとの間の航空路と船便が一切とだえましたので、五月一日以降実は利用を一時停止しておるという状態でございます。
#18
○田英夫君 今回のこの条約改正で、通常郵便物の基本料が六七%引き上げられたということになりますね。ちょうど折から日本でも郵便料金の値上げが国会にかかっているという状況で、世論が注目をしているところでありますけれども、その上げ率は圧倒的に国内郵便は高いと思いますが、国内郵便は、念のため伺いますが、今度の案でいくと何%上がることになるわけですか、封書、はがき。
#19
○説明員(守住有信君) いわゆる封書が五十円でございまして、はがきが二十円、平均いたしまして、二・四倍という内容になっております。
#20
○田英夫君 二・四倍というと、パーセンテージでいうと大変高いんじゃないですか。
#21
○説明員(守住有信君) 内国の郵便料金の全体といたしましての考えでございますが、外国につきましては、先生御指摘のとおり、基準料金が平均六七%のアップ、もちろんその上に最高限度がございまして、七〇%まで上げられるという権能規定を付与されておりますし、また百グラムまでの郵便物につきましては、さらに一〇〇%まで上げられるという規定を付加しております。
#22
○田英夫君 この国内郵便は当然国会の承認を求める、いまその過程にあるわけですけれども、外国との郵便物についてはこの郵便条約によるということに法律上なっていると思います。それで、結果的には今回、いま言われた六七%、最高限度七〇%という中で、これは省令で定めることになるわけですね。そうすると、当然来年一月一日からこの条約が発効をするということを前提にして政府は外国郵便物についての料金の省令をすでにつくっておられると思いますが、通常郵便物、小包、それはどのくらいの引き上げになるのか、この際お聞かせいただきたいと思います。
#23
○説明員(守住有信君) 先生御指摘のとおり、外国郵便料金は条約に規定する料金の範囲内で、内国郵便料金との均衡をも考慮して、郵政省令――外国郵便規則でございますが――で定めておりますが、現在、内国の郵便料金改正に関する郵便法の一部改正法案が審議中でございますので、新条約に基づく外国郵便料金の改正の時期やその料金額等につきましては、この改正案の成立を待って検討に入るということにいたしておりますので、実は現段階では未定でございます。
#24
○田英夫君 現在の外国郵便物、小包の料金というのは幾らになっていますか。たしか船便で二十グラムまでが五十円ですか、そういうのを基本的なものだけでいいですからお聞かせいただきたい。
#25
○説明員(守住有信君) 船便で申しますと、基本的なもの、書状の二十グラムまでが五十円でございます。それから小包につきましては、これは世界が十地帯に分かれておりまして、一番近い極東地域の一キログラムまでで七百円でございます。それから一番遠い第十地帯で九百円、第九地帯で千円でございます。
#26
○田英夫君 そうなりますと、一番わかりやすい船便の二十グラムまで五十円というのを六七%、あるいは最高七〇%という形で計算すると、大体八十五円ぐらいになると思いますが、そういう計算をされるのかどうか。つまり、条約の範囲の最高限度のところで計算をされるのかどうか、その辺の基本的なお考えだけでも伺いたい。
#27
○説明員(守住有信君) 御指摘の船便書状の二十グラムで見てみました場合、新条約の基準料金としては、郵便金フランという特別の一つの計算単位を設けております、架空の貨幣でございますますけれども。それで、郵便金フラン五十サンチーム、現在のやり方で邦貨に換算いたしますと約六十円ということに相なりますが、これが限度が七〇%までということでございますと八十五サンチーム、邦貨にして百円ということに相なります。もう一つ特殊例外的な規定がございまして、さらに一〇〇%まで引き上げられるという最高限度がございますが、それによりますと百サンチーム、邦貨にして百十円という限度に相なりますわけでございます。もっとも、この郵便金フランの邦貨換算につきましては、これはわが国がいわゆる変動相場制に移行する以前の固定相場制の時代のものでございますし、かつては、ドルの切り下げというその後の情勢もございますし、さらに最近の実勢レートから見ますと円安傾向ということがございますので、この点の検討も、これは大蔵省その他とも十分検討していかなきゃならぬ要素がございますけれども、一応現在の邦貨換算というもので見てみますと最高百サンチーム、邦貨にして百十円まで認めると、こういうことでございます。
#28
○田英夫君 いま言われたその金フランの邦貨に対する換算の問題は、今回の改正でいくと、一五%以上通貨の変動があった場合にこれは変えなくちゃいけないんじゃないですか、そこの解釈はどうですか。三百六十円から三百八円に変わったというところからすると、その基本的な金フラン、サンチームのあれを変えなくちゃいけないんじゃないですか。これはどうなんですか。
#29
○説明員(守住有信君) この条約の問題は、各国の相場が一五%以内で上下した場合は変えなければならない、ではなくて、逆にそのままでいいという問題でございまして、私が当初申し上げましたのは、そういう条約上の問題と別個に、郵便金フランをそれぞれの国の貨幣に換算する場合の換算の仕方と申しますか、その後の情勢変動の適用の問題だというふうに私どもとしては理解いたしております。したがいまして、もし実勢レートに円を合わせるということになりますと、最初申し上げました百サンチーム、邦貨にして百十円というのがまあ百二十円程度ではなかろうかというふうに仮に試算をしておる段階でございます。
#30
○田英夫君 ところでさっきの話にちょっと戻るんですけれども、政府のお考えとしては、さっき幾つかの考え方を示されましたけれども、そのどれをとられるつもりなのか、基本的な考え方ですね。六七%あるいは七〇%、最高限度のところで現在の五十円なら五十円というのを上げられるのか、あるいは、もっと低いパーセンテージで抑えておこうと、つまり引き上げをなるべく小幅にしようとお考えなのか、国際条約で認められた最高のところまで上げてしまおうという姿勢なのか、そのくらいの基本姿勢は決まっていると思いますが。これは、省令で決められちゃうと国民はもうそれに従わざるを得ないんで、国会の場を通過しないわけですから、こういう場で伺わないとこれをわれわれが知る機会はないんで、この基本的なお考えだけはこの際聞かしておいてほしいと思います。
#31
○説明員(守住有信君) 最初申し上げましたように、現段階では、内国の郵便料金の均衡を考えなきゃなりませんので、いずれにいたしましても内国の郵便料金の法案の結果というものを十分見きわめなけりゃならない。したがって私どもといたしましては、その外国郵便料金の体系そのものについての検討はまだ未定でございますが、いろいろな要素というものを勉強しておるという段階でございます。いままでの現在の条約の中では、御承知のとおり、現在の船便書状二十グラムは基準料金の三十サンチームでございまして、これに対して現在の条約の六〇%までの限度というのを適用いたしておるというわけでございますが、なお、現在の条約の中でさらに最高の一〇〇%を適用しておるという国を御参考までに申し上げますと、英国、フランス、西ドイツ、ベルギー、ノルウェーなど十三カ国であるというふうに把握をいたしておりますが、さらに今度の新しい条約ということになりますと、またもう一つ考え方の要素があるのではないかというふうに感じております。その点は実はアジア・オセアニアの郵便条約というものがございまして、UPUの中でさらに限定連合をつくっております。アジア・オセアニア地域の各国との郵便の交換あるいは料金についてでございますが、この条約の中で非常に日本と一番近距離の相互関係にある国々との条約でございますけれども、その中で船便につきましては、それぞれの国の内国の郵便料金と同額かあるいはそれぞれの国の外国郵便料金の六〇%を上回らないような料金を決める、こういう条約に相なっておりますので、私どもとしましてはそこらあたりが一つの下限になってくると、もちろん負担の公平と申しますか、内国郵便の利用者の方々、外国郵便の利用者の方々の負担論を考えました場合、内国郵便よりも下回ってはいけないというふうには考えますわけでございますけれども、一番近いアジア・オセアニア地域が全体としての船便料金の六〇%を下回ることという一つの限界がございますので、そこらあたりからも一つの抑制要因というのがここで働きますわけでございますので、そういう要素も十分考えていかなければならぬ。しかし、この詳細につきましては、まだ内国郵便料金が未定でございますので、私どもとしては具体的な検討には入れないという段階でございます。
#32
○田英夫君 この条約が来年の一月一日発効ということになるわけですけれども、実際の値上げは政府としてはいつごろから実施されるおつもりですか。
#33
○説明員(守住有信君) お答え申し上げます。
 現在の条約の範囲内でもまだ一〇〇%の発動をいたしておりませんので、まだ現行条約上も余地はある。また、特殊取り扱い料金等についてはそれぞれの内国の料金を適用してよろしいいうことにも相なっておりますので、そういう面の問題もございます。さらに、この新条約を御承認いただきますと、これは一月一日以降の適用、旧条約は一切失効すると、こういうたてまえになっておりますので、現行の条約の余地がある問題と新しい条約の適用の問題と実は二つございまして、この点もまだ結論を出していないという段階でございます。
#34
○田英夫君 いずれにしても前条約が来年から発効するわけですから、新料金は来年以降になるというふうに常識的には考えられますが、そう思っていいわけですか。
#35
○説明員(守住有信君) いま御説明申し上げましたように、実は現行条約でもまだ枠の余裕が残っておるわけでございまして、英国、フランス、西ドイツあたりは枠の最高までいっておりますが、わが国の外国郵便料金の場合はまだ多少枠が残っております。この問題がございますので、そういう問題ともあわせて検討さしていただきたいと思っております。
#36
○田英夫君 そうすると、ちょっと伺っている現行条約の枠の中でもまだ値上げの余地があるということだと、二段階に上がるおそれもあるというふうに受け取れますけれども、そういうことですか。
#37
○説明員(守住有信君) もともとこの新条約の問題になりますと五年間ここで枠が決まるわけでございます。したがいまして、その五年の長期の枠の中で各国は内国の料金との均衡を考えながらなるべく安く考えていく。その一番安いのがアジア・オセアニアの一つの例であるということを御説明したわけでございますので、五年間を一回限りで固定的にやるような国もございますけれども、いろいろなやり方を各国ではいたしておるうでございます。
#38
○田英夫君 どうも御答弁からすると、今回は現行条約の枠の中で上げておいて、次の新条約の枠は取っておこうというような、三年なり四年なり先でもまたそのときの状況に応じて上げられるというふうにどうも受け取れて仕方がないので、外国との郵便小包というものは、この数字をとってみましたけれども大変多いですね。利用者は非常に多いわけですから、この値上げというのもかなり影響が多いと思うのです。われわれの立場からすればもう値上げを極力抑えていくべきだ。こう思うわけで、二段階にわたってまた引き上げられるというような可能性が感じ取れるというのはまことにどうも警戒をせざるを得ないのですがね。重ねて伺いますが、そういう可能性はあるわけですか。
#39
○説明員(守住有信君) 私の説明が非常にまずうございまして、先生に二段階説をとっておるというふうにお受け取りいただいたようでございますけれども、必ずしもそうでございませんで、そういうものを総合的に考えまして、いろいろな利用者の立場、私どもの方の郵便局の職員のいろいろな事務的な問題もございますので総合的に判断したい。しかし、その検討はまだ一番大事な国内の一種、二種の問題が未定でございますのでそこまで至っていなということでございます。いろいろ検討すべき要素を御説明申し上げたということでございます。
#40
○田英夫君 別の問題で一つ伺いたいのは分担金の問題ですね。日本は今回の分担金の持ち方の改正に乗っていち早く五十単位という最高の単位を負担することを表明したようでありますけれども、それが五カ国と、これでは非常に分担金が少ないということで、発展途上国の負担が軽減されないということで、その後、中国と西ドイツがさらに加わって七カ国になったんですね。こういう国の顔ぶれというか、七つの国を見てくると、ソ連が最高の五十単位でなくて二十五単位という、第二段階のところにとどまっているわけですが、これは私は不勉強なんですが、何か事情がこれはあるのですか。
#41
○政府委員(鈴木文彦君) この分担金の単位を幾らにするかということは、それぞれの当事国が選択するというたてまえになっておりますので、ソ連がどういう意図を持っているかということ、これはまたよくわかりませんけれども、事実としましては、ソ連は最高の単位を選択していないということでございます。
#42
○田英夫君 いまの顔ぶれを見ると、大体世界の先進国のいわゆる大きな国ですね、これは皆五十単位で顔を並べているのにソ連だけがここに入ってないものですから、ちょっと気になったので伺ったのですが。
 もう一つ技術的なことで、今回の大会議で新規業務に関する規定というのが新しくできているのですが、これは一体どういう中身なのか、新規業務というのは一体何なのか。
#43
○説明員(守住有信君) 御承知のとおり、この条約は五年間セットされるわけでございますが、最近のいろいろな各国の経済事情の変化、最も基本的な通信手段である郵便に対しましてもいろいろな影響を与えておりまして、その利用者のニーズに合わせた郵便の利用というものを考案していかなければならない。こういう場合に、条約に根拠を置きまして、合意する両当事者間で新しいサービスをやっていこう、こういう動き、考え方が非常に強く出ておるわけでございます。わが国といたしましては、たとえて申しますと内国の郵便制度では、いわゆる料金の受取人払いという制度がございます。しかし、外国郵便についてはそういう制度がないわけでございまして、こういうものを何とか各国間の合意の中でひとつやっていきたいということで、わが国からも実はこの点に関しましても提案いたしました次第でございます。
#44
○田英夫君 最後に、この条約は、来年一月一日発効ということに条約にはっきり書いてあるわけですね、「千九百七十六年一月一日」と、普通の条約は、たとえば加盟何カ国が批准をしたら発効するとか、そういうような形になっているのが通例だと思いますが、なぜこの条約だけがそういう形で、これもし極端な例で言えば、一カ国も批准しなくても条約だけは発効しちゃうという形になりますね。なぜそういうことになっているのか、何か根拠があるわけですか。
#45
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のように、この万国郵便連合の一般規則、条約それから約定でございますが、これは憲章三十一条に定めてございますが、「同時に効力を生じ、かつ、同一の有効期間を有する。」と。そして前回の大会議の文書は、これらの各文書の効力発生について大会議が定める日に廃止するということが憲章で決まっておりまして、今回の諸条約を見ますと、その発効規定では来年の一月一日というふうに決まっているわけでございます。したがって、この憲章上の新しくできた文書の効力発生が一月一日と定められているわけでございますから、古いものはそこで失効するという立て方になっているわけでございます。確かに立て方といたしましては、ただいま先生が仮定の問題として御指摘になったような事態が起こり得るわけでございますが、伝統的にこのような形をとっておりまして、こういうふうにきて支障がなかったということは、やはり郵便業務の世界的な統一性ということが料金なども含めまして、必要性が認識されておりまして、またそのように多数国が、一月一日から発効する新しい条約に入らなければ郵便業務が動かないという事情もごございますので、実際問題において、御仮定になりましたような事態が生じておらずに、各国が期限内に大体批准をして、その新しい条約に基づいた国際郵便業務の運営をしていくということになっております。もっとも、若干の国はこれらの新しい条約の批准手続が間に合いませんで、署名したままでやっておるという実態はあるようでございますが、しかし、それも結局批准とか、つまり正式な手続はとっておらないにもかかわらず、その国の事情によって可能なのだと思いますけれども、新しい規定に基づいた郵便業務の運用を行って、世界全体として郵便業務の運営というものは支障ないようになっておる、そのようなことになっております。
#46
○田英夫君 終わります。
#47
○塩出啓典君 それでは万国郵便連合憲章の第二追加議定書あるいは一般規則、郵便条約及び関係諸約定の締結等によりまして、わが国といたしましては、立法上または行政上の処置をとる必要があるのかどうか、これを質問します。
#48
○説明員(守住有信君) 先生お尋ねの、新たに立法上または行政上の諸措置をとる必要があるかということでございますけれども、御承知のとおり、郵便法の第十三条などの委任規定に基づきまして、郵政省令として公布している外国郵便規則、その他の規則がございますが、これにつきましては、改正条約、改正約定の規定に従って改正する必要がございますけれども、新たな立法と申しますか、法律を改正する必要はございません。
#49
○塩出啓典君 わかりました。省令を改正すればいいわけですね。そういう御答弁でございますが、ただいま田委員の質問に対しまして、省令をどういうように改正をするのか、全然明確な答弁がなかったわけでございますが、大体どうなんですか。条約を批准をすれば、当然それに伴って省令を改正しなければならない。そうなると、これは省令というものと、条約改正というのは一体のものですから、この条約を審議するのに、そういう省令の改正の方向も明確に説明をできないということは、ちょっと郵政省の姿勢として私は怠慢じゃないかと思うのですけれども、そういう点どうなんですか。
#50
○説明員(守住有信君) この条約におきましては、もちろん料金もございますが、いろんな諸制度の変更と申しますか、改善もございます。こういうものが一連のものとして郵便の場合は、外国郵便規則の中に改正が盛り込まれなければならぬわけでございまして、料金だけではございませで、ほかのいろいろな諸制度がございます。それともう一つは、やはり特に料金につきましては、内国料金との均衡というのを考慮してまいっておりますので、この点の明確な結論が出ていないということが、大きな一つの理由でございます。しかしながら、私どもとしては、いろんな要素を勘案しながら、現在検討はしておるという段階でございます。
#51
○塩出啓典君 いろいろな要素はあるでしょうけれども、一つは、いまの郵便料金の値上げが通るか通らないかということで当然決まってくるわけで、外国に出す郵便が日本の国内の郵便より安いということは、ちょっと不自然じゃないかと思うのです。しかし、料金は料金としても、その他のいろいろなサービスの改善というものも、当然この郵便条約の締結に従ってなるわけでね。われわれは、やっぱりこの条約が通ればどういう省令の改正が行われ、料金を含めてわれわれ国民としてはどれだけよくなっていくのか、そういうところが非常にわからないわけです。それはこの厚い資料を全部読めばわかるかもしまませんけれども、われわれはそういうのを全部なかなか読んでおらぬわけですけれども、そういうわけで、日本の省令をどういうふうに改正するのだということだけ示してもらえば、われわれはこことここがこうなっていくんだなということがわかるわけで、その省令がどういうようになるのかということが全然わからないのじゃ、さっぱりこの条約が通って一体どうなるのかということがわからずに審議するということは、ちょっとわれわれも責任上これはできないわけですが、この点どうなんですか。
#52
○説明員(守住有信君) 形式上の省令につきましては、これは来年の一月一日から適用でございますので、十分な郵便局に対する教育周知期間、あるいはまた大口利用者等々、利用者に対します周知期間を置いて定めたいと、このように考えておりますが、内容的に特に利用者とのサービス面で、料金の問題を除いて申し上げますと、いろいろございますけれども、一つとしては受取通知という制度がございますが、現在の外国郵便の条約上は、返送のための航空増し料金というものをいただいておったわけでございますけれども、今回の条約以降からは、返送のための航空増し料金を徴収することなく最先便の線路によって郵便物の差出人に郵便物を受け取られたという通知を返送すると、こういうことに変わっております。
 それから二番目でございますけれども、これは損害賠償の範囲の拡大と、賠償金額の増額ということでございますが、従来書留郵便物につきましては、その郵便物全部が亡失したときだけ損害賠償の対象にしておったわけでございますけれども、今度は封被が残りましても内容品が全部亡失したという場合、あるいはまた、内容的に全面的損傷を受けた場合も郵便物の亡失とみなしまして損害賠償の対象に入れる、こういうことでございます。
 それからまたもう一つ、小包につきましては、一キログラム、三キログラム、五キログラムというふうな段階別に亡失等に対する賠償金額を決めておりますけれども、今回以降は一キロ、三キロというものを五キログラムまでの小包に対する賠償金額と同じものとみなしまして、これが四千四百円の賠償金額でございますけれども、一キロ、三キロは従来千六百五十円、二千七百五十円であったものを、五キログラムと同じものとして賠償するということが変わっております。
 それからもう一つは、郵政庁は相互間の合意によりまして小包の重量に関係なく、小包一個につき最高百フラン、これ現在一万一千円でございますけれども、その賠償金額を適用するというとに変わっております。
 それからまたもう一つの点といたしましては、いわゆる料金未納、不足の場合、従来の規定は、その不納額の二倍を徴収するという制度でございました。しかし、これを不納額にプラスいたしまして、最高六十サンチームの取扱料金かまたは国内法令で定める料金というふうに、二倍というものを手数料主義に改めたということでございます。
 その他、いろいろ細かいことがございますけれども、主要な点だけ御説明申し上げました。
#53
○塩出啓典君 先般の補足説明のときに、包装条件、差出条件の改正を行ったと、これはどういうことなんですか。まあこれがこの条約の中にあって、したがって、わが国の省令においてもいわゆる包装条件、差出条件の改正を行うんじゃないかと思うんですけれども、これはこの条約の締結について承認を求めるの件の提案理由の説明の補足説のときに、これは資料はなく口頭で説明があったもんですから、あるいは私の聞き間違いかもしれませんけれども、たしかこれは外務省の方が補足説明をしたわけです。これは外務省の方で答弁してください。
#54
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
 包装条件と申もますのは、たとえば放射性物質を送るような場合でございますが、現在のところ一定の条件に従いまして書状、レターの料金率で差し出すことができるわけでございますが、今回はある程度の条件、ある条件がございますが、差出人がその条件に従って、つまり権限のある差出人と申しますか、要するに資格のある、資格を認められた差出人がその一定の包装条件に従って出すものであれば、書状ではなく、小包としても出すことができるというように改善されているという点でございます。
#55
○塩出啓典君 それはやっぱり、そういう改善があるとだれが得するんですか。どういう点が便利になるんですか。
#56
○政府委員(伊達宗起君) まあ放射性物質でございますので、一般国民大多数が利用できるというものではございませんが、しかし、従来やはりこの放射性物質の郵送ということについての条件がさらに緩和されてきておるという面では改善であろうということで、補足説明の中に一応一点として申し上げたまででございます。これは危険物でございますので、当然のことながら、正当に認められた全く有資格者でなければならないことは当然でございますし、さらに、漏れたりなどすることのないような十分な条件がかぶっているものでございまして、その放射性物質を取り扱う人々にとりましては、まあ改善であるという面があると思います。
#57
○塩出啓典君 われわれも放射性物質というと非常に心配するわけですけれども、そういう放射性物質を送る人にとっては改善かもしれませんけれども、それが一方において非常に危険があるようになっては、これは非常に一般国民にとっては改悪になるわけですね。そういうような点は、このような改善を行っても何ら心配はないということは政府としては十分検討しているのかどうか、この点どうなんですか。
#58
○説明員(守住有信君) 現在まで書状では、もちろん一定の厳格な条件がございますけれども、差し出されて利用されておりまして、世界各国ともそれで問題が起こったということは出ておりませんので、それと同じような条件で小包としても出せる。もちろん書状の中にも小型包装物というものがございまして、非常に目方の軽いもので書状としても出せるわけでございますけれども、小包としても出せるということになったということでございます。
#59
○塩出啓典君 だから、いま言ったように、そういうようなことで結局われわれ一般大衆にとって危険がないという、そういうことを恐らくこの条約を締結に当たっていろいろ審議もされ、日本政府もそれに同意をしているんじゃないかと思うんですけれども、そういうところを後からでもいいですから、ちゃんと資料として提出をし説明をしてください。時間がございませんので。
#60
○説明員(守住有信君) わかりました。
#61
○塩出啓典君 それから料金ですけれども、結局いま、たとえば書状二十グラムの場合は五十円と、それからアジア地域ですか、これは結局特別料金でいま三十円ということでございますが、現在の料金は、現在の法律では大体幅何ぼから何ぼまでいいんだけれどもそれを五十円にしているんだと、これはどうなりますか。五十円というのは上限に近い方なのか、あるいは三十円というのはどうなのか。
#62
○説明員(守住有信君) 現在が六〇%を適用しております。なお例外として一〇〇%という規定がございますけれども、非常に全体としては最高に近い方でございます。
#63
○塩出啓典君 最高は何ぼになるの。何ぼまでいいの。
#64
○説明員(守住有信君) 七十円程度……ちょっと計算はいたしておりません。
#65
○塩出啓典君 最低は何ぼになるの。
#66
○説明員(守住有信君) 最低は、基準料金が三十三円で、邦貨換算約三十円でございますけれども、基準が三十サンチームでございまして、下限が二十一サンチームでございます。したがいまして二十三円程度。
#67
○塩出啓典君 この三十円の特別料金はどうなんです。これは下限も上限もないんですか。
#68
○説明員(守住有信君) これはございません。これで具体的な料金を決めておるということでございまして、条約は一定の幅がございますが、アジア・オセアニア内の書状につきましては三十円と決めておるということでございます。
#69
○塩出啓典君 それは日本が決めておるわけですか。国際条約上は、結局アジア地域の料金というのは、いまさっき六〇%と言っていましたね。その他の地域の六〇%よりも高い料金でなきゃならぬ、こういうことが決まっておるわけでございますか。
#70
○説明員(守住有信君) そうでございます。したがいまして、五十円の六〇%で三十円ということでございます。
#71
○塩出啓典君 そうすると、国際郵便連合、UPUの条約としては、結局ほかの地域の料金の六割よりは上の料金でなければいかぬという、あるいは六割を超しちゃいかぬという、どっちなんですか。
#72
○説明員(守住有信君) 六割を超してはいけないという方でございます。
#73
○塩出啓典君 そうしますと、今度基準料金が六七%ですか、上がって、この新しい条約での最高最低の幅はどういうことになりますか。
#74
○説明員(守住有信君) 基準が邦貨にして現在郵便金フラン百十円で計算いたしまして六十円でございますが、これを七〇%まで引き上げますと、八十五サンチーム、邦貨にして約百円、さらに一〇〇%、これが最高でございますが、また引き上げますと、百サンチーム、邦貨にして百十円という方でございます。最低は二十五サンチームでございますので、約百十円の換算でいきまして、約三十円でございます。
#75
○塩出啓典君 それでいま一〇〇%という特別な場合というのはこれはどういう場合、一応上限が七〇%、下限が五〇%ですね、その中で特に一〇〇%まではいいという、これは国際条約ではどういう場合一〇〇までいいわけなんですか。
#76
○説明員(守住有信君) 最終議定書の第三条でございますけれでも、ちょっと読み上げますと、「相当額及び最高限度額」、「加盟国は、重量百グラムまでの書状、郵便葉書、重量百グラムまでの印刷物及び重量百グラムまでの小形包装物については、条約第十九条1の規定にかかわらず、例外として、最高限七十パーセントの引上率を最高限百パーセントまでの率とすることができる。」ということでございます。したがいまして、これは百グラムまででございます。全部についてではございません。
#77
○塩出啓典君 ひとつ郵政省として、これは省令で決まるわけで、われわれがこの料金にはこれからタッチできないわけですよ。ただ、できるだけ安い料金で、特に国際間の交流という点を考えてやっていくべきじゃないかと思うんですけれどもね。
 それで、いまいわゆる外国郵便についての収支、これはどうなっているのか。おそらく日本の国から外国へ出す郵便料金というのは郵政省へ入ってくると思うんですね。それが向こうの国へ着くまで、いろいろ船とか航空郵便のそういうお金も払わなくてはならないし、一方では向こうから来る手紙は日本の国内で無料で配達をしなければならないことになっていると思うんですよ。そういう場合、わが国の外国郵便関係に対するわが国に入る手数料というものはどの程度のものか、それから向こうの国へ行くまでのいわゆる船の運賃とか航空料金、そういうものがどうなっているのか。
 それといわゆる継越料というのですか、たとえば中国を経由して北朝鮮あるいはベトナムへ行く、そういう場合はたしか中国に対してはやはり郵便が通過するわけで、継越料というのを払うようになっていると聞いているわけですが、そういうようなのも払っているのじゃないかと思うんですけれども、そういうような点を考えて、いわゆる外国郵便についての収支というものは一体どういうようになっているのか。
#78
○説明員(守住有信君) 外国郵便物については、特に通常郵便物につきまして交換いわゆるわが国から差し出すもの、それから英国なら英国からわが国へ参るものの交換の差のものにつきまして料金をお互いに決済をするということになっておりますので、その他いろいろな複雑な原因がありまして、種類別に原価を出すということはできないということで、外国郵便全体といたしまして収支をまとめておるわけでございますけれども、これが四十八年度だけが決算上はっきり出ておりますけれども、収入が四十八年度といたしましては約百八十四億、支出が百七十億でございます。その後、いろいろな運送料のアップ、特に国内の配達費を中心といたします――配達費はほとんど人件費でございますけれども、このアップがございますので、四十九年度はおそらくもうとっくに赤になっておるというふうに見ておるわけでございますが、なお決済方法について申し上げますと、先生が先ほどおっしゃいましたような、もちろん第三国の仲介による場合はその仲介料を払っておるということでございます。
 それから、特に先ほども御議論が出ております第三世界、いわゆる郵便としましては輸入国である、ほとんど配達だけ受け持っておる、外国からの郵便物がどんどん入っておるという発展途上国、ここからの声が五年前の東京大会議から非常に強く出てまいりまして、いわゆる到着料というものを支払うと。その到着料も、いままでは一キログラムにつき五十サンチルームでございましたけれども、今回からはその三倍、一キログラム〇・五フランであったものを一・五フラン払うというふうな改正も行われております。
 わが国全体としてどうかと申しますと、これは言語の問題等もあるかと存じますけれども、実はわが国は外国郵便物については輸出国ではなくて輸入国の方でございまして、配達の方をよけい受け持たなければならないという、いわば発展途上国ほど極端ではございませんけれども、それと似たような立場にあるということでございます。
#79
○塩出啓典君 それで、外国郵便の収支は、いま四十八年度は十四億の黒字だったわけですけれども、これはしかし、現在の郵政省のいわゆる郵便会計の中に全部入っちゃっているわけでしょう。外国郵便だけ特別というわけじゃないと判断していいわけですね。
#80
○説明員(守住有信君) はい。
#81
○塩出啓典君 それで、われわれも外国に参りますと、国によって日本への郵便料金が大分違うわけですね。そうすると、同じ日本へ出すのだったらば、やっぱり高い国よりも安い国で出した方がいいというわけで、そういうふうな場合もあるわけで、したがって、おそらく世界各国から日本とかあるいは東南アジアの国々をずっと回る人たちも、わが国からの郵便料金が安ければ日本からそれだけよけい母国へも郵便が行くわけですから、そういう点ではやっぱり郵便料金が非常に安いということは、日本と世界の人たちとの交流を深めていくという大きな立場から見ても非常に好ましいのじゃないかと思うんです。
 そういう意味で、郵便会計はいま赤字で、今回国内のはがき、郵便も値上げをするわけですけれども、もちろんそれよりも安い――日本の国内より外国が安いというのはまずいかもわかりませんけれども、外国郵便を値上げしたからといって、そのことが郵便会計にそれほどの改善を与える率は少ないわけですから、そういう意味から外国郵便の料金は最高限度じゃなしに、まあできるだけ国内の郵便と見合う範囲内において、最低料金を決めるべきである、そのように要望したいものですけれども、その点どうですか。
#82
○説明員(守住有信君) もちろん先生の御指摘もございますし、私どもといたしましても、なるべく安くなるようということで、もちろん内国の料金との均衡が一番問題でございますけれども、その中でも、何も条約が最高これだけの枠があるからといって、そこまでいかなければならぬというふうには毛頭考えておりません。
#83
○塩出啓典君 小包はいま第一から第十に分かれて、その料金が先ほどのお話では一キロギラムが七百円から最高千円ですか、こちらはやっぱりどういうようになるのですか。
#84
○説明員(守住有信君) 小包郵便料金つきましては、要するに引受国と申しますか、いわゆる差し立て国の取り扱い費、それから船便の運賃、それから到着国の取り扱い、いわゆる配達のための費用、この三つの要素を合算して計算するということになってまります。そして、それぞれの三つの要素が条約の中で定められておりますので、これを合算して決めていくということに相なります。
#85
○塩出啓典君 これは、今回の条約が批准をされるに伴う省令の改正によってどのように値上げされるのか。
#86
○説明員(守住有信君) 小包つきましては、条約上各国からの取り分というのをお互いに通報し合うということに相なっております。ところが、まだそういう通報の段階に全然入っておりませんので、時期的にもまだそこまでの準備ももちろんできていないということでございますし、もう一つは、小包の場合は、内国の小包料金、小包は御承知のとおり独占ではございませんので、一種、二種と違いまして、省令にゆだねておるわけでございますけれども、その内国の小包料金との均衡ということになっておりますので、これがいますぐという問題にはならないというふうに見ております。
#87
○塩出啓典君 それでは、時間があまりないわけですけれども、現在いわゆる通常郵便、あるいは小包、それから送金ですね、そういう点から見た場合に、世界のどの国ともそういう通信ができることが一番いいし、可能だと思うわけですけれども、現在郵便が行かない国があるのかどうか、あるいは小包が行かない国はどことどこなのか、それから送金をできる、できない国はどこどこなのか、これをちょっと簡単に説明してください。
#88
○説明員(守住有信君) 通常郵便物につきましては、世界のいかなる国、いかなる地域といえども、この送達を図るというのがUPUの使命でございますし、私どもの使命でもございますわけです。したがいまして、現実にはこの通常郵便物については、あらゆる国、あらゆる地域へ行っておるということでございます。ただ、小包につきましては行っていない国が二つございまして、ブータンと北ベトナムでございます。ブータンにつきましては、今回の大会議の際に、小包連合約定に加盟いたしましたので、これから一月一日以降これらに向かって送達ができるわけです。実は、調べてみますと、ブータンは小包業務をいままでやっていなかった、したがって、加入していなかったということのようでございます。もう一つの点が北ベトナムでございます。通常郵便物につきましては、先ほど申し上げましたように、中国経由で行っておりますが、小包につきましては行っておりません。したがいまして、何回も照会をいたしますし、それから特にソ連、中国に対しまして仲介の労をとってほしいということを申し込みましたところ、やってもいいという回答がございましたが、肝心の北ベトナムの方からか包につきましては回答がないというのがいまの状況でございます。それから為替につきましては、外国郵便為替で送金できない国は現在七十一ヵ国ございます。
#89
○塩出啓典君 じゃあひとつ、たしか送金できない国には、中国あるいは北朝鮮等も入っていると思うのですけれども、そういう国々とも早く送金、為替送金ができるように、また、小包にいしましてもブータンとか北ベトナムとも早く交流できるように努力をしていただきたい、このことを要望いたします。
 最後にUPUのいわゆる技術援助ということを非常にやっている、こういうやはり発展途上国への技術援助というものに対しては、わが国としても、UPUに協力をして、積極的にやることが大事じゃないかと思うわけですが、そのあたりはどうなっているのか、これをお聞きして終わりたいと思います。
#90
○説明員(守住有信君) 御承知のとおり、UPUの活動の中での技術協力というものに対しまして、わが国といたしまましてもいろいろな努力をやっているわけでございます。ただ従来やっておりますのは、たとえばアジアの郵政幹部のセミナーだとか、中近東、アフリカ諸国等の郵政幹部等のセミナーだとか、あるいは研修生の受け入れ、あるいは、いろいろな形でも専門家の派遣等をやっておりますが、特に最近何と申しますか、中進国と申しますか、発展途上国の中で経済成長の高い国々が、自国の郵便の仕組みというものを見直そうという、特にわが国は郵便番号を中心といたしまして、非常に先進国の中でも注目されておる国でございます。したがいまして、たとえて申し上げますならば、イランとかエジプトとかブラジルとか、いろいろなこういう国々との間に、単に機械の輸出という角度でなくて、その国の郵便の流れをよくすることは同時に外国郵便の流れをよくすることに通ずるわけでもございますし、われわれといたしましてもこの方面に向かって大いに努力をしていきたい、このように考えております。
#91
○立木洋君 昨年の五月から七月に第十七会大会議が行われたわけですが、ここでは万国郵便連合憲章の一般規則、郵便条約等々が出され、これには加盟国は必ず承認しなければならない。そのほかに決められた八つの約定ですね、八つの約定のうち日本が参加すべきだというふうに出されてきているのが四つの約定で、あと四つの約定は参加しない。それは代金引換郵便物に関する約定、貯金の国際業務に関する約定、現金取立に関する約定、新聞紙及び定期刊行物の予約に関する約定、この四つには、実際に必要と認められる四つの約定外であるとしてこれには参加という提案が出されていないわけですが、これが必要ないというふうに判断される理由について御説明をいただきたいと思います。
#92
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
 まず最初に、代金引換郵便物に関する約定でございますが、この代金引替郵便物と申します業務は、差出人が指定した金額と引きかえにその当該郵便物を受取人に交付すると、そして受取人が出しました金額を差出人の指定するところに従いまして、郵便為替でございますますとか、あるいは郵便振替によってその差出人のところへ送付すると、そういう業務を指すものでございます。わが国は、かつてはこの約定に参加していたときもあるのでございますが、この業務の実施国が大体ヨーロッパに限られておりまして、若干アフリカの少数の国も入っておりますが、そういう少数の国に限られていることと、また、わが国の外国為替管理法による送金上の制約というものがございますので、わが国の国内においてもこの代金引きかえ業務というものは行っておりませんので、さらに国際間でもこの業務を実施するに至っていないわけでございます。この状況は今後当分の間同様であると考えられますので、今回もこの代金引きかえ郵便物に関する約定には入らないというふうに決めましたわけでございます。
 次に、新聞紙及び定期刊行物の予約に関する約定でございますが、これは郵便局が公衆から予約料を徴収いたしまして、そして新聞紙ないしは定期刊行物の予約申し込みを引き受けまして、そして申込者に各国で発行されました新聞ないし定期刊行物を配付すると、そういう業務を指すものでございますが、わが国はこの業務を実施しておりませんので、これまでと同様に入らないということでございます。
 それから、貯金の国際業務に関します約定でございますが、これは一時的に外国に居住いたします郵便貯金の預金者の便宜を図りますために、郵便貯金の国際間での預け入れでございますとか、払い戻しでございますとか、あるいは預けかえというような種々の付帯業務を規律するものでございます。現在この業務を実施しておりますのは、わずか十数カ国にすぎませんし、また、これらの業務を実施しております国の多くは、わが国にとって余り利用が見込まれない国が大部分でございます。また、これも先ほど申し上げました代金引きかえ業務と同じように、わが国の外国為替管理法上の制約もございますので、目下のところわが国といたしましてはこの業務を実施する考えはないということでございますので、この約定にも参加をしないというふうに考えております。
 最後に、現金取立に関する約定でございますが、これは郵便局が、あるお客様から取り立てを依頼されました手形とか各種証券に指定する金額を債務者から取り立てまして、そしてその取り立てた金額を郵便為替でございますとか、振替とかによりまして、その依頼人に送付すると、そういう業務でございますが、わが国は、内国業務でもこの業務を実施いたしておりませんので、国際間のこの種の業務であるこの現金取り立てに関する約定にも入らないと、そのような事情にございます。
#93
○立木洋君 国内の業務をある程度整備して将来参加するとかいうふうな検討はなされているわけですか。それとも当分の間入らないということで、いまのところそういう検討はなされていないのかどうか。
#94
○説明員(守住有信君) まあいろいろ検討はいたしておりますけれども、特に郵便の方について申し上げますと、新聞の予約等現在やっておりませんし、またその実績等、わが国の場合は直接販売制度というのが新聞界に普及いたしておりますので、そういうものについては実益がないと、また無理であるというふうに考えております。貯金の方ではいろいろ検討されておるようでございますが、しかく簡単に進まないという状況でございます。
#95
○立木洋君 それから東京条約のときですね、わが国と一番郵便関係の最も多いと見なされておる一つのアメリカが価格表記約定と小包約定には参加していないということで、二国間で約定を結んでいろいろやってきたわけだと思うんですが、今回はアメリカはこういう約定に参加するような意向なんですか。それとも引き続いて参加しないで二国間の約定で処理するということなんでしょうか。
#96
○説明員(守住有信君) やはり従来と同じように、連合小包約定には加盟いたしませんで、それぞれの国と二国間の単独の小包約定を結んでいくという方針のようでございます。ただし、その内容につきましては、なるべく、特に料金関係でございますが、連合小包の料金と同じようにさせていくということを、現在アメリカとの間にいろいろ話を進めておるという段階でございます。いろいろ調べてみますと、いろんな相手の方に事情があるようでございまして、一つ申し上げますと、アメリカの国内制度では小包はすべて無記録扱いでございます。連合小包の場合は記録扱いを行うということでござえますので、これに非常に手続上差異がある。しかも、アメリカの中における外国小包というものは非常に大量でございまして、アメリカの郵政公社の能力で、合理化の中でその一々の小包について記録扱いをするというのは非常に反対である、無理があると、こういうことを言っておるようでございます。それからまたこれとの関連で、普通小包につきましては損害賠償は向こうは行わない。これについては行わなければならないと、あるいは料金の決済の計算方法でございますけれども、連合小包では、小包一個ごとに計算をいたしますけれども、米国小包におきましては総重量に対しまして一キログラムごとの料率を乗じて計算するという非常に簡単な、大量でございますために簡単な方式をとっておるわけでございますので、そういう点からも、なかなか連合小包約定の中へ入るというのは無理がある。しかし、わが国といたしましては、米国との間に、その中身につきましては、特に料金を中心に、連合小包の料金と同じような考え方での料金に持っていこうと、こういうことで現在話を進めておる段階でございます。
#97
○立木洋君 アメリカの国内的ないろいろなシステムといいますか、そういうやり方に違いがあってむずかしいということのお話ですけれども、たとえばいまおっしゃった普通小包ですね、これが相手に届かないという状態が起こった場合に、それに対する損害賠償は持たないというふうなことでいままでなってきたようですけれども、こういう問題については、今後ともアメリカとの話し合いの中では損害賠償ができるようなところまでいくんでしょうか、どうなるんでしょう。
#98
○説明員(守住有信君) 損害賠償の点は、とうていこれはむずかしいようでございます。
#99
○立木洋君 結局、万国郵便条約の精神で郵便業務が効果的に運用されなければならないし、その継ぎ越しの自由等々も決められて、決められた期日内にきちっと相手に届くということが基本的な内容として定められているわけですが、いま国際的に見て、こういう効果的な運用が十分に行われていない地域、比較的そういう事故が多いような地域というようなのはどういう地域でしょうか。
#100
○説明員(守住有信君) 特に事故の多いような地域というのはないように感じておりますけれども、ただ、われわれとして問題意識を持っておりますのは運送手段の方でございまして、たとえて申しますと、海運界の近代化、合理化によりまして高速コンテナ船というのが発達してまいります。ところが、そういう国々との関係は非常に早く迅速にいくわけでございますが、一方、高速コンテナ化しない地域に対しましては、定期の船舶がだんだん減少してくる、あるいは寄港地が減少して集約輸送になっていく、こういう傾向がございまして、私ども、船便につきましては、いかにすればこれを早く相手国に送達できるかということ、いろんな定期のダイヤだとか、あるいは第三国を経由して行った方がかえって早くなるのではないかとか、いろんな点を検討しておるというのが状況でございまして、事故の点につきましてはそれほど――それぞれの各国のあれがございますし、実情も余り問題を聞いておりません。
#101
○立木洋君 十分な統計を出された答弁ではないので、そういう感じだというお話ですが、私も感じで言いますと、二、三、聞いた話ですけれども、韓国との郵便物がときどき相手方に届いていないというふうな事故を聞いたことがあるわけですが、韓国との郵便物の関係はどういうふうになっているんでしょうか。そういう事故が事実上あるのかないのか、あるとすればどういう理由なのか。
#102
○説明員(守住有信君) 韓国でございますが、四十八年度の統計でございますけれども、わが国から韓国へ参りますのが年間約三百五十万通、韓国から参りますのが、これは通常郵便物でございますが、約二百八十万通、小包につきましては、わが国から韓国へが約十万三千個、韓国からが十一万五千個程度でございますが、そのほか、韓国との間のいわゆる郵便物のそういう不着事故と申しますか、そういうのは、特段われわれの世界では聞いておりません。いろいろな国との間によくトラブル問題が起こりますのは、価格表記の制度、いわゆる保険扱いの制度があって、高価なものを、外国郵便の御知識が不十分なために価格表記の制度を御活用でなかった場合、たとえて申しますと、この間も例がございましたが、西ドイツから非常な貴重なシダ類の見本を送ったと、非常に貴重な学術的なあれであると、そういう場合に価格表記制度がなかったために途中でそれが枯れてしまったというような大きなトラブルがございましたわけですが、それは聞いておりますが、特に韓国がどうだということは聞いておりません。
#103
○立木洋君 韓国の場合は、これは特別な例かもしれませんけれども、ここで名前を出してまで言う必要はないと思いますが、お金を送ったらお金が届かなかったという話も聞いたわけです。韓国の場合も、事実上、価表約定には入っていないわけですね。それで、いろいろと郵便業務を効果的に運用し、先ほど述べられましたように、すべての地域に期限内に配達されるようにするという点で、いろいろと約定に参加されていない国もあるようですし、ここらあたりの点も、二国間での約定を結ばれる場合に十分に検討していただいて、事故がどういう場合に発生しておるのか、そこらあたりを検討していただいて、そういうことがないようにこの万国郵便条約の精神に基づいて効果的に運用されるように希望しておきたいと思うんです。
 もう一つは、先ほど来幾つか質問なされておりますが、料金の問題でちょっとお尋ねしたいんですが、今回六七%と基本料金が大幅に上げられる。前回、東京条約の場合ですと四〇%の上げ幅であったわけですが、きわめて大幅になっておるわけですが、これは執行理事国がその間何回か協議をされて、その検討に基づいてこういう六七%の上げ幅ということが決められたんではないかというふうに思うわけですが、日本としてはその場合に、こういう最終的な上げ幅が決まる前にはどういうふうな提唱をなされておったのか、料金の問題に関してですね。
#104
○説明員(守住有信君) この原案を大会議に提出いたしましたのは執行理事会でございますけれども、その理事会の中では、この料金改正案を作成するに先立ちまして、各加盟国の意見を聴取するために、四十七年でございますが、次の質問書を送付して回答を要請したわけでございます。
 その内容は、第一は、百グラムまでの郵便物に対する一〇〇%の例外的引き上げを維持した三三・三%の値上げ。第二といたしまして、百グラムまでの郵便物に対する例外的引き上げを廃止した六六・六%の値上げ。第三番目が、百グラムまでの郵便物に対する一〇〇%の例外的引き上げを維持したところの六六・六%の値上げ。この質問に対しまして、七十九の郵政庁が回答いたしましたわけでございますが、その中の大部分、五十三郵政庁が六六・六%の値上げに賛成でございまして、その中のさらにまた大部分が第三の一〇〇%の例外的引き上げを維持した六六・六%の値上げに賛成いたしております。
 わが国におきましては、現行条約におきましても、例外的引き上げは別にいたしまして、基本料金の最高の六〇%引き上げを限度いっぱいまで行っておりますし、さらに、郵便業務の原価というものが絶えざる上昇を続けておりますので、この意見の三つの中の第三の方に賛成した次第でございます。
#105
○立木洋君 東京条約のときには万国郵便条約の最終議定書の第三条で、一応書状二十グラムまで最高限度額四十八サンチームと。さらには六十サンチームまで引き上げることができるということになって、その当時日本としては六十サンチームをとらずに四十八サンチームをとったわけですね、五十円というふうに決めたのは。これはそのとき省令で決めたわけですけれども、どういう根拠に基づいていわゆる最高限度額まで、六十サンチームまでとらずに四十八サンチームで計算されたのか、その点はいかがでしょうか。
#106
○説明員(守住有信君) やはりあのときは、私つまびらかにいたしておりませんけれども、国内料金との均衡が物の考え方の主力でございまして、四十一年のわが国の国内料金体系の中に定形外制度を導入いたしまして、この定形外というのがいわば従前、あるいは外国郵便における印刷物のようなものでございますので、このバランスの中で考え出された値上げのアップを他の船便郵便物の方に適用していったというふうに聞いております、したがいまして、今回のような問題はオイルショック以降の急激な人件費アップ等を中心とする問題でございますが、その当時はそれほどそういうオイルショック等もございませんで、ある程度余裕があったのではないか。したがって、国内の料金と十分均衡を保ってできたのではないか、最高限度を適用する必要はなかったというふうに考えております。
#107
○立木洋君 今回はそういう点ではエネルギーの問題等々があって、輸送料が大幅に上がっておるというふうな問題もあって、今回の場合に、先ほど来言われておりますように、最高限度額をとらないで済ませるようにするという点についてはいかがですか。
#108
○説明員(守住有信君) 御承知のとおり、これは五年間の枠のものでございますので、五年間を全部見通しまして最高限度の適用はあり得ないということは申せませんが、当面は何と申しますか、国内料金との均衡の中で、まあ一つはアジア・オセアニア地域のものが国内料金を下回るわけにはまいりませんけれども、それが最低の一つのめどになっていくのではないか。後は収支状況等を見ながら国内料金とのバランスを維持していきたいと、こういうふうに考えております。
#109
○立木洋君 先ほど外国郵便物の収支の点について、四十八年度の状況が簡単に述べられたわけですが、四十六年、四十七年、四十八年というのは大体黒字で、四十九年、五十年はまだあれですけれども、大体赤字になるというふうなことが見込まれる。そうすると、この五年間全体をとった場合には、収支は大体どういうふうになりそうだというふうに推定されておられますか。
#110
○説明員(守住有信君) この見通しは、実は国内料金の問題の場合も非常にむずかしい問題でございまして、私の口からその五年間の、まして見通しということになりますと……
#111
○立木洋君 いや、いままでの五年間ですよ。まだ終わってないけれども。
#112
○説明員(守住有信君) いままでの五年間で申しますと、先生おっしゃいますように、前半の方で黒が出まして、後半の方で赤が出るというふうな感じになっておるというふうに見ております。
#113
○立木洋君 いや、それを全体をトータルしてみたら大体どういうふうになりそうですか。黒と赤と差し引きして。
#114
○説明員(守住有信君) そこまではよく調べておりませんわけでございますが。
#115
○立木洋君 どうもはっきりした御答弁がいただけないんですけれども、いま国内の郵便法の一部改正が国会の審議にかかっているわけですが、これ通過するかしないかというのはまだわかりませんけれども、仮に通過して十月一日から国内の郵便料金が値上げされる。そうすると、外国の郵便料金というのは、現行でいけばいわゆるバランスを見て不都合であるというふうにおたくの方では感じられておるんではないかと思うんですが、そのバランスを保つ上に、たとえば十月一日から東京条約で決められておる最高限度額まで省令によって外国の郵便料金の値上げも行うというふうな問題はいかがでしょう。考えておられるのか、そういうことは絶対にないと言われるのか、その点はいかがでしょう。
#116
○説明員(守住有信君) 十月か一月以降かという点につきましてはまだ未定でございまして、われわれの考える立場といたしましては、まずやはり基本的には内国郵便料金が一体どうなるのか、その結果を十分待ちまして、その時期と料金等についてそこの段階から検討に入りたい、こういうふうに思っておりますわけでございます。
#117
○立木洋君 現在の段階では十月一日の時点で調整するということもあり得るともあり得ないともはっきりしていない。あるかもしれないし、ないかもしれない。そういうことなんですね。
#118
○説明員(守住有信君) 内国郵便料金の第一種、第二種がまだ御審議の最中でございますので、われわれといたしましては、それについてそれを前提として物の作業を正式に始めていくということは全くできないというふうな態度でございますし、先生おっしゃいましたように、やるかやらぬか全く未定であるということでございます。
#119
○立木洋君 それで通関料のことをちょっとお尋ねしたいんですが、利用率の多い小包よりも通常郵便物の方が高いようになっているように感じるわけですが、この点はどういう理由なんでしょう。
#120
○説明員(二木実君) お答えいたします。
 通関料につきましては、小包につきましては通関にかかるもの、すなわち小包全部につきまして対象にしております。一方通常郵便物につきましては、現実に課税をされたものにのみ通関料を適用しております。そういう点から料金に若干の差が出てくるわけであります。
#121
○立木洋君 それから、この間もちょっとお聞きしたんですが、点字郵便物ですね。これの航空運送における特別料金や及び代金引きかえ料など日本の場合には支払っているわけですけれども、ほかに取っておる国というのは外国では四つぐらいだというふうに聞いておりますが、どこどこでしょう。
#122
○政府委員(伊達宗起君) ドイツ連邦共和国、アメリカ合衆国、カナダ、連合王国、その四カ国と承知しております。
#123
○立木洋君 この点字郵便物の航空運送に関しては、四十八年度を見ますと外国あてが二十三件、外国から来るのが三件、きわめて数が少ないわけですが、そういう非常に少ない件数であるわけですから、日本としても特別料金や代金引きかえ料金などは取らなくても済ませていくようにすることはできないでしょうか。どうなんでしょうね。
#124
○説明員(守住有信君) やはりそれぞれの国も国内の郵便制度との絡みで保留しておるというふうに承知しておりますし、わが国も全く同様でございます。
#125
○立木洋君 国内法との関係でできないということですね。
#126
○説明員(守住有信君) はあ。
#127
○立木洋君 では、先ほど来も出されておりましたが、いま大変な物価値上げという問題で国民もいろいろ心配しておるわけですし、この条約の件に関しても、この上げ幅に関してはできるだけ低く押さえていけるように検討していただきたいということを最後に要望しておきたいと思います。
#128
○委員長(二木謙吾君) 先ほどの塩出君の質疑に関して外務省から答弁の補足をしたい旨の申し出がありますのでこれを許します。伊達参事官。
#129
○政府委員(伊達宗起君) 先ほど塩出先生からの補足説明との関連におきます御質問に付け加えまして、さらに補足させていただきたいと思います。
 大体郵便物の包装条件、差出条件等に関しましてどのような改正が行われているかという御質問だったのでございますが、私のお答え申し上げました放射性物質もその一つでございますが、より一般的には、たとえば包装条件という点から申しますと、新しい包装材料としてプラスチック製のものによる包装も認めるというようなことが新しく決まったものでございます。さらに差出条件では、これは必ずしも改善ということではなく、郵便業務上の技術的な近代化と申しますか、そういうものとの関連におきまして、郵便物の形状、つまり書状及びはがきでございますが、それは長方形のものにいたしますとか、あるいはアエログラムと申しますが、航空書簡、これはいままででございますと周囲の四辺がのりづけされておらない、これを四近をのりづけにするということでございますとか、あるいは小型包装物が従来は開封でなければならないというふうになっていたんでございますが、これを開封という条件を取りまして開封でも密封でもどれでも、特に小型包装物の包装について条件は取り去られたと、そのような、これはまあ利用者から見ますと若干の改善というような点があるわけでございます。
 以上でございます。
#130
○委員長(二木謙吾君) 本件についての質疑は、本日はこの程度といたします。
 暫時休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十分開会
  〔理事稲嶺一郎君委員長席に着く〕
#131
○理事(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#132
○秦野章君 日韓問題の、きょうは何と言いますか、基本的な問題としてのとらえ方と言いますか、そういう観点から少しお尋ねしたいと思うんでございます。
 日韓問題、日韓両国を取り巻く情勢というものも変化をしつつあることはだれも認めなきゃなりませんが、特に一九六九年のニクソンと佐藤総理との沖繩返還時における共同声明ですね。あれ以後におきましても、とにかく日中問題、いろいろな問題が展開をしましたし、一方ベトナムもああいうふうに変わって、いろいろな情勢の変化があったわけでございます。そういうことをむろん前提にして判断をしなきゃならぬと思いますけれども、しかし、この共同声明の中にある韓国の安全は日本の安全であるという、共同声明に盛られた総理大臣が述べたというあの条項について、これはすでに、衆議院あたりでも、参議院でも問題が提起されましたけれども、改めて韓国の安全は日本の安全にとっても緊要なものであるといった趣旨のことを、いま一度ひとつ外務大臣から、いまの段階でまず伺いたいと思います。
#133
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、御指摘のように、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明に述べられておるところでございます。朝鮮半島における情勢、過去二十年余りの間にはもとより、最近においてもいろいろ一進一退がございます。一時は両者の対話が、南北の対話が開かれると期待を持った時代もあったわけでございますけれども、なかなかそれもおいそれとまいらず、また今回、ベトナム、インドシナ半島における米軍の撤退によりまして、この情勢を微妙に反映しておるがごときありさまでございます。しかし、それら情勢に緩急はございましても、やはり韓国の安全というものがわが国の安全にとって緊要であるということは、今日といえども変わっておらない。政府といたしまして、佐藤・ニクソン声明に盛られておりますところは、今日もそのとおりやはり考えております。
#134
○秦野章君 極東の範囲の中で特に韓国の安全は日本の安全だという、そういう表現というか、そういう認識というものが、ほかの地域とはニュアンスの違ったものであると、それだけを特に抜き出して言っているということについては、そういうふうな理解でいいわけですね。
#135
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国とは、地理的にきわめて近いのみならず、人的、物的の交流も非常に多うございます。やはり他の地域の中から、とりわけ韓国との関連というものを考えましてよろしいのではないかと考えております。
#136
○秦野章君 沖繩返還に関連しての佐藤・ニクソン会談の共同声明でありますから、この韓国の安全は日本の安全だといったことの意味の中に、やはりこの極東の現状、当時は、この声明の中にありますように、多少の緊張状態を確認していますが、そういうことを考えますと、この安全ということの中身の中には、軍事的な意味は全然入ってないというような解釈はできないと思うんですが、そういう理解でいいですか。
#137
○国務大臣(宮澤喜一君) 軍事的な意味は全然入っていないというような解釈はできないと思うが、それでよろしいか――確かに地域の安全ということでございますので、軍事的なものだけとは存じませんけれども、当然にそのような意味を持つものというふうに考えます。
#138
○秦野章君 私の言い方がまだ不徹底だったかもしれません。むしろ軍事的な意味がそこに安保条約に関連してあるんだということは、間違いないと思うんです。
 そこで、いま南北朝鮮の問題が一体どのような緊張状態といいますか、そういうものにあるか。実は、われわれこの間、新聞で見るというと、北朝鮮側があそこヘトンネルを堀ったという記事が出てるんですが、これの認識は外務省としてどうですか。
#139
○政府委員(高島益郎君) トンネルにつきましては、これまでの国連軍司令部あるいは韓国側発表等によりますと、非武装地帯におきまして、昨年十一月十五日の発見以来、これまで二つのトンネルが発見されております。韓国新聞の報ずるところによりますと、さらに第三のトンネルの存在も伝えられ、そのほかまた幾つかのトンネルが存在しているという情報もございますけれども、これにつきましては、まだ確認されておりません。
#140
○秦野章君 確認はされてないとおっしゃるけども、どっかで確認をするわけですか。
#141
○政府委員(高島益郎君) いま私が申しましたのは、いままで国連軍司令部並びに韓国政府の方で正式に確認して発表したものが二つあるということでございまして、ただこれは新聞等の報ずるところでございますから、私ども全く確認できるものではないと思いますけれども、そういう情報もあるという程度でございます。
#142
○秦野章君 いま外務大臣のお話しのように、韓国の安全は日本にとっての安全だという、そこに軍事的側面もあるという理解の上に立つならば、そういうことを前提とするならば、南北の緊張状態といったようなものについて、何だかそういうこともあるらしいとか、そういう情報があるようだという程度のことでいいですかね、私はいささか無責任だと思うんだけど、いま一度答弁してください。
#143
○政府委員(高島益郎君) これは日本政府の問題ではございませんで、要するに私ども国連軍司令部とか韓国政府が発表したところによりまして、現在まで二つあるということを確認しているということを申し上げているわけでございます。
#144
○秦野章君 日本政府の問題でないことは明らかだけれども、こちらから連絡して、あるいはできるだけの努力をして、そういった事態というものがやはりもっと十分に確認されるという必要ありませんか。
#145
○政府委員(高島益郎君) これは国連軍司令部並びに韓国政府の一番の関心事でございまして、そういう情報があるということでございますれば、第一義的にそういうものの確認をいたしますのは国連軍司令部ないし韓国政府だろうと考えております。
#146
○秦野章君 そいつを、そういった国連軍司令部なり韓国の発表といいますか、そういうものを外務省としては報告を受けたというわけですか。新聞を見て知ったという程度ですか。
#147
○政府委員(高島益郎君) いや、新聞ではございませんで、韓国側からそういう通報を受けております。
#148
○秦野章君 防衛庁に伺いますが、南北の軍事勢力といいますか、そういうものをちょっとざっとでいいから、大体のところを。
#149
○説明員(伊藤圭一君) 大体のところを申し上げますと、御承知のように、韓国の陸軍は二十三個師団の約五十六万人、海軍が百隻の約七万六千トン、この中には駆逐艦が十隻含まれております。海兵隊が約二万人、それから空軍でございますが、これは作戦機として約二百機を保有しているということでございます。これに対しまして、北朝鮮軍の方は陸軍が二十三個師団の四十一万人、海軍が百七十隻の一万九千トン、この中には潜水艦が四隻含まれておるようでございます。それから、空軍は作戦機が約六百機でございます。
 以上でございます。
#150
○秦野章君 空軍というものが二百と六百ということになると、力のバランス、これは結局米軍が駐留する、国連軍が駐留するということでバランスがある程度とれているという見方ができるんですか。
#151
○説明員(伊藤圭一君) 韓国側にはこのほかに米空軍のF4という戦闘機が約六十機駐留いたしております。
 それから飛行機の性能から見ますと、韓国自体もこのF4、ファントムという戦闘機を三十機持っております。このファントムという強力な戦闘機が両方で百機近くあるということでございます。それから、北朝鮮の持っております戦闘機のうちの三百機、これがミグ15、ミグ17というクラスでございますが、これに相対するような性能を持ったF86F、これは航空自衛隊でも持っておりますが、それを百機持っております。それからミグ19、これはマッハを超える速力を持っておりますが、これに相当するものとしてF5というのを韓国が持っております。したがいまして、機数の上では韓国の方が少ないわけでございますが、そういった米軍の飛行機、そういうものを合わせて防空任務についているというふうに考えております。
#152
○秦野章君 米軍のことを考えれば、七艦隊その他太平洋の基地という問題があるわけですけれども、いずれにしても力のバランスというようなことが紛争とか戦争を抑止するという、そういうことは現在の世界情勢の中でどこでもあるわけですけれども、そういう観点から見て、防衛庁あたり力のバランスが大体とれているというふうに、なかなかこれむずかしいと思うけれども、軍人は練度の問題があるし、飛行機でもその他武器でも質の問題があるから、なかなか第三者、特に日本がそういう判断をすることはむずかしいと思うけれども、力のバランスというものがやはりある程度とれているというふうに見ているんですか、むずかしいかな。
#153
○説明員(伊藤圭一君) 韓国の軍隊と、それから米軍が駐留いたしております、いま申し上げました空軍、それから陸軍も二個師団いるわけでございますが、これによって均衡が保たれているというふうに考えております。
#154
○秦野章君 一九七二年の例の南北共同声明が今日でも生きていると、その後、あの声明の出た後いろいろ問題があったわけでございますけれども、あの声明が否定されるような状況はございませんと思うんですが、そういう解釈でいいですか、外務省。
#155
○政府委員(高島益郎君) この南北共同声明、有名な例の七二年七月の共同声明に従いましてその後南北間の話し合いが行われてきていることは事実でございますし、現在実質的な進展はございませんけれども、やはりこのフレームワークに基づいて会談を延期したり行ったりというかっこうになっておりますので、この共同声明自体はいまでも有効に存続しているものというふうに考えております。
#156
○秦野章君 この共同声明の中で外務省が知っている範囲で、「南北赤十字会談が一日も早く成功するよう」に積極的に「協調することに合意した。」ということになってますが、これはその後どうなってますか。
#157
○政府委員(高島益郎君) いままで南北赤十字の実務者レベルの会議が十回開かれておりまして、韓国側としましては、人道主義に基づいて本会議の開催を要求しておりますけれども、北朝鮮側はまだこれに応じておりませんで、依然として実務者レベルの会議が行れているにすぎないという状況でございます。会議そのものはそのように行われておりますけれども、内容といたしまして実質的な成果は上がっていないというように聞いております。
#158
○秦野章君 それからこの共同声明の中にあるソウルと平壌間のホットライン、これを設けることに合意したということでホットラインはできたわけですけれども、これは動いてますか。
#159
○政府委員(高島益郎君) この南北間のホットラインにつきましては、先ほどの南北共同声明の中で双方が突発的な軍事事故を防止し、南北間で提起される諸問題を直接、迅速かつ正確に処理するためソウルと平壌との間に常設直通電話を敷くという合意に基づきまして現在できております。現実にこのホットラインは動いておりまして、先般、五月二十九日にもこのラインを通じまして平壌側から第十一回南北常設委員会副委員長会議の開催を延期する旨の通報がソウル側にございました。そのようにホットラインそのものとしては動いているように思われます。
#160
○秦野章君 さっき極東の安全の中で、韓国と日本のある種のやっぱりほかの国とは違った安全についての認識というものがある。また一面、非常に平和的統一というものを念願しながらも、そこにやっぱり軍事力というものを両方が持って相対峙するという、そういう緊張状態も続いているというでわけございますけれども、正直言って、軍事力がどうバランスとったと言っても、実質的にはそういうことだけで戦禍を防ぎ抜くということはなかなかむずかしい問題だと思うんです。だけれども、われわれとしては朝鮮半島に何としても戦争や紛争が起きないことがいいんじゃなかろうかという念願は、これは恐らくだれにとっても、いろいろの立場の人はあるけれども、そういう気持ちではなかろうかとわれわれも信ずるんですけれども、しかし、軍事力が優先すれば安全が保たれるということでもないということが世界のいろんな教訓の中にあるわけですね。
 そこで、いわゆる韓国条項というものが、ニクソン・佐藤共同声明の一九六九年のこの韓国条項というものは軍事的色彩があるんだけれども、しかし、非軍事的な韓国条項というものを仮に考えるならば、つまり軍事的以外の側面で安定と安全を図るといったような方向に日韓関係というものを積極的にもっと進めるという方向でわれわれは考えるべきだと思うんでございますけれども、この点外務大臣いかがですか。
#161
○国務大臣(宮澤喜一君) それは確かに仰せのとおりであると思います。一国の安全が脅かされるということは、外からの武力等によって脅かされる場合もむろんあるわけでございますけれども、他方で、国内に不安定要因があるということ及びそれが外部からの武力攻撃を誘う結果になるというようなことは歴史上しばしばあることでございますので、韓国民自身が満足な生活水準を持ち、最も願わしいことは十分に自由を享受して、そして自分の社会を愛するという状態でございますれば、国内の不安定要因も少なくなり、したがって、その国内の不安定要因を外部からの脅威が利用をするという危険性も少なくなるわけでございますから、そのような意味での安定度を向上することは確かに大切な要因であろうと思います。
#162
○秦野章君 そこで、日韓問題の基本的な方向といいますか、一番われわれが今後考えていかなきゃならぬのは非軍事的な韓国条項というもの、ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、そういうことに力を注ぐという意味において、まず一番最初に日韓の定期閣僚会議、これはいままで外務大臣のお言葉によれば、要するに前向きな、そういう会合を開く雰囲気が出たか出ないかというところだということであったし、その後、韓国の総理もこっちに見えたときにも、そういうことを前提にして定期会議を近く開くという方向にお話があったように思いますけれども、この日韓閣僚会議を停滞させた一つの背景には不幸な事件があったと、こうまあよく言うわけですけれども、これは金大中事件にはっきりしているわけですが、金大中事件については、正直に言って日本の外交ももう少しめりはりのきいた態度をとるべきだったと、私どもはまあ非常に残念に思っておるわけです。しかしこの問題が、時間というものは不思議に問題を解決させるような方向に動くこともある。何だか多少そういうふうに働いているような感じがするのだが、さあしからば日韓定期閣僚会議というものを開く、新しい雰囲気で開く、そういう方向に来たというふうに外務大臣はお考えになっておられますか。
#163
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘になりましたいわゆる金大中事件でございますが、この問題につきまして、金大中氏自身は、その後の情報等を総合いたしますと、韓国人に一般に与えられておる程度の自由、政治活動の自由は回復をしておるとほぼ考えてもよろしいのではないかと考えておりますけれども、他方で、この事件に関連いたしました金東雲という人の問題につきましては、わが国の捜査当局、警察当局の所見と韓国の所見とが必ずしも一致をいたしませんで、十分にわが国の警察捜査当局が事態の処理に納得をしていないという実情がございます。秦野委員の言われますように、確かにこの時間というものはわだかまりを事実上ほどいていきますのに効果のあるものでございますけれども、どうもこの問題、金東雲氏の問題につきましては、もう一つ韓国側からさらに韓国としても十分意を尽くしたという何かの表示があり得ないものであろうか。具体的にどうということは、事の性質上こちらから申しにくいことでございますけれども、何か一つないであろうかというような感じが現在まあいたしておりまして、したがいまして、いまの時点で、仮に七月なら七月にでも閣僚会議を開く用意があるかとおっしゃいますれば、もう一つ私としては、一たん開きますと、今後文字どおり真の友好の回復の第一歩にしたいと考えておりますだけに、やはりわが国におきましても国民的な納得が背景とし
 て必要であろうという感じがいたしておるようなわけでございます。
#164
○秦野章君 時間は物事の解決に役立つから時間をかけたんだということではぐあいが悪いんで、本来ならばやっぱりもっとめりはりのきいた私は話し合いなり、何かあのころやっぱり私ども見ておって隔靴掻痒の感があったというふうに思うので、まあしかし、これ過ぎたことですから、どうかいま外務大臣おっしゃるように、やっぱりこれからの日韓関係は言うならば非軍事的韓国条項でいかなきゃいかぬので、そういう意味においては何でも話し合い、忠告もお互いにでき合うと、そういう関係を樹立することが一番大事だと思いますので、いまおっしゃった方向で、将来開くという日韓定期閣僚会議の雰囲気というものを新たなものにしていくのだという発想で努力をしていただきたいと、これは要望をしておくわけでございます。
 そこで、まあ言うならば非軍事的韓国条項的な発想の中でひとつ経済協力の問題ですね。経済協力の問題で、まあいままでの経済協力の中身を大体私もリストをもらって見ておるのですけれども、あんまり細かなこと言ってもしょうがないのだけれども、とにかく政府援助、特に政府の援助のような性格で韓国と協力する場合に、経済協力のやり方ですね。これについて、私もこの質問をするについていろいろな人の意見を聞いてあれしたのだけれども、まあ向こうでダムをつくったり、政府間援助でダムをつくったり学校つくったりいろいろあるわけですね。そういう協力をして援助をしていく場合に、国際入礼ということを日韓両国ではやらない。そういうことはもうやめなきゃいかぬだろう。それからいま一つは世銀の融資なんかは大変厳しい条件で、世銀なんかことごとく国際入礼でもあるし、それからまたお金を貸した後のアフタケアといいますか追跡というか、これはもう大変厳しい、これは当然なことだと思うのです。だから日韓関係というものはお互いにいいことだと思いますので、定期閣僚会議その他いろいろのチャンスをとらえて、これからの政府が韓国にお金を援助する場合に、お互いにそういうようなフェアな国際的レベルの方法というものを採用していく方向に踏み込むべきだというふうに私は思うわけです。別に日韓関係に黒い霧があるとかないとかということを私は言うのではなくて、そういうことはわかりません、いずれにしても、将来、とかく海外協力を国家がやる場合に、ひもつきになって何かするということで忌まわしい風聞も立つということも事実ですから、そして世界のどこの国でもだんだんその国際入礼とか何かになってきているわけですから、そういう方向に、ひとつ外務大臣のいままでにない経済協力の一つの方法を向こうの問題、あちらの問題もある、こっちだけの問題じゃないと思いますけれども、そういう方向で努力をされる、そういうふうに必ずやってのけるというふうな決意をしていただけますか。
#165
○国務大臣(宮澤喜一君) 沿革的に申し上げますと、御承知のように、日韓の経済関係は賠償請求権といったようなところから戦後展開をいたしましたわけでありますし、その後も韓国の立場から、わが国の商品、機械あるいは技術等が比較的事情もよくわかっておる、しかもすぐれたものであるということもございまして、むしろ先方のそういう希望もありまして、いわばタイドといいますか、両方結びつけた形での経済協力でずっとまいったわけでございますけれども、御指摘のように、韓国の経済自身もかなり進みまして、いわばテークオフの状況にあることになってまいりますと、タイドの経済援助ばかりではなくいわゆるアンタイド、おっしゃいますようにそうなりますとこれはわが国からの生産物なり生産財なり技術なりの購入ということには限らぬことになるわけでございますから、国際的な性格になっていくわけでございますので、だんだんやはりそういう方向に向けていくべきであろうというふうに考えております。
#166
○秦野章君 外務大臣、だんだんそういう方向にいくべきだということになると、そのだんだんが何年するかわからないような話になっちゃうから、この問題というのは私は非常に重要だと思うのですよ。やっぱりお互いに経済協力を日本も税金を使ってやるのだし、また向こうもそれを貴重に使っていこうという志があるに間違いがないのでありますから、そういう共同の利益というものは、善意の利益というものは絶対あるのです。そういうことを前提にして、いろいろ問題はあると思いますけれども、ぜひひとつそういう方向に積極的な努力を、これはもう通産その他いろいろ関係があると思いますけれども、積極的な努力をひとつしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
#167
○国務大臣(宮澤喜一君) これは御承知のように、最近OECDにおきます発展途上国援助につきまして、先進諸国の間でいわゆるそのアンタイイング、国際化ということでございますが、そういう合意がなされておる経緯もございますので、基本的には秦野委員の御指摘のような方向へいくべきであろう、事実問題といたしまして、韓国側自身がわが国から機材、資材を購入することが、従来なされました設備等の関係もございまして便宜であると考えておる場合もあるようでございます。そういう場合には、あえて先方の考え方に逆らうこともなかろうかと思いますけれども、基本的には、趨勢としてはいわゆるアンタイイングの方向にいくということが根本ではなかろうかというふうに思っております。
#168
○秦野章君 きわめて例外な場合に、いまのように何といいますか、特殊な技術的な問題とか何か、そういうだれでも納得できるようなケースというものも絶対ないとは言えないのかもしれませんけれども、いま外務大臣おっしゃったように、そういう世界の趨勢でもあるのだし、これはぜひ積極的にひとつそういう方向で努力をする、そういうふうに約束をしていただきたいと思うのです。いいですか。
#169
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のことはよく実はわかっておりますので、わが国としてはそういうことを原則にしてまいりたいと考えておりますが、現実に韓国側の事情から、特定の問題についてこれはという場合もございますので、そういう場合を排除するという意味ではございません。しかし、原則としては秦野委員の言われますようなふうに考えてまいりたいと思います。
#170
○秦野章君 ちょっとくどいようですけれども、こちらが援助をする立場でありますから、別に恵むとかそういう意味じゃないですけれども、こちらがやはり貴重な援助をするのですから、そういう意味においては、条件とか方法について積極的な話し合いをするということは原則として可能じゃないんでしょうか、きわめてレアケースとして特異なものがあるかどうかという問題は、これは私もよくわかりませんけれども、そういう方向で、これは私は非常に重大な問題だと思いますので、重ねてお願いをしておきたいと思います。
 それから、これまた韓国と日本の関係、朝鮮半島全体の中で平和的な統一という理想のもとにあそこに現在の境界線、現在の対立、ある程度やむを得ぬとしても、漸進的にやっぱりそういう方向に進んでいってもらうために、何としても戦禍を防がなければならぬ、動乱を防がなければならぬ、人命の損なうことを防がなければならぬ、そういうことのために、私はいま経済問題だって結局関係があるという感じがするのですよ。つまりそれは韓国内の民心と政権の安定、政権が民心を離れないようにといったようなことを含めて、関係があると思って申し上げているのですけれども、そのほかの文化とか学術とかそういった交流について、これからもお互いにやりましょうというのが第七回の日韓定期閣僚会議で申し合わせができていますが、これはその後何かありますか。
#171
○説明員(堀新助君) 韓国との間におきましては、ただいま御指摘の申し合わせ以前からも、隣国としての相互理解増進のために各般の文化交流事業を行っております。
 その一つは、留学生の交流であり、さらには韓国における大学の日本研究に対する援助、それから日本語の教育機関に対する教材の供与などを含めます援助、さらには韓国からいわゆる文化人と申しますか、そういう方々を招聘する、さらに青少年交流など、かなり活発に行ってまいっております。
#172
○秦野章君 ほかの国との比較において言ったらどういうことになりますか。
#173
○説明員(堀新助君) ほかの国と比較いたしまして、たとえば留学生でございますが、文部省主管で招致しております国費留学生、これは韓国が諸外国中その人数におきまして第一位を占めております。
#174
○秦野章君 何名ですか。
#175
○説明員(堀新助君) 四十九年十一月現在、日本政府の国費によります留学生で韓国から参っております者は百九名でございます。
#176
○秦野章君 そのほかあなたの方でやっている投資額で言った場合、お金で計算した場合に、ほかの国との比較でどうですか。
#177
○説明員(堀新助君) 私たちの方で国際交流基金がやっております文化交流事業を何と申しますか、地域別には計算しておる資料がございますけれども、各国別というのは統計が困難であること及び各国に対しまするほかの国と比較してうちは少ないというようなことのある関係もございますので、国別の金額の統計は作成いたしておりません。
#178
○秦野章君 留学生、いま日本語の問題、教材の問題とお話あったけれども、そういうこと以外に何かありますか。
#179
○説明員(堀新助君) たとえば韓国の諸大学、特に日本関係講座あるいは日本文化研究所を持っておりまする大学ないし教育機関に対する図書の寄贈が一つ注目すべきかと存じます。それから先ほど申しました人物交流では、短期の二、三週間及び長期と申しますのは六カ月以上でございますが、向こうから学者その他文化人を招聘いたしております。
#180
○秦野章君 いろいろ細かく話を伺って恐縮なんだけれども、何といいますか、韓国だけじゃなくどこの国ともある程度やっているわけでしょう。韓国というものが特別やっているというわけじゃなくて、一番だから何名だと言ったら四十何名だと、たかが知れていますよね。要するに、全体のお金の額にしてどのくらいなんですか、こういった文化学術交流というものは。
#181
○説明員(堀新助君) 先ほどちょっと申し上げましたように、国別の金額による統計は作成いたしておりませんので、お金で幾らということはちょっと申し上げることができません、御了承いただきたいと思います。
#182
○秦野章君 よその国全部がなくてもいいけれども、大体おかしいよ、そんな程度じゃ、大体のところがわからなくちゃ。いまわからなければしょうがないけれども、今度調べておいてくださいよ。国別に見たら少ないところと多いところと文句を言われるなんて、そんなこと言う必要はないんだ、国によって相手によって違うんだから。私はそういう統計ちゃんととることはちっとも差し支えないと思いますよ、とってみてください。それは資料としてお願いをしておきます。
 それから、そのことは、いまのようなお話というものは日韓定期閣僚会議と関係ないことなの、この後にできたことなの、その前から。
#183
○説明員(堀新助君) 定期協議とは関係なく、以前から進めておりましたが、さらに申し合わせを機縁として韓国との文化交流の増大に努力をしておるわけでございます。
#184
○秦野章君 いま一つ申し合わせの中で、在日韓国人の福祉の増進につき外交経路を通じて必要に応じて適切な話し合いを行うという、そういう申し合わせがあるんですけれども、こういったような問題で何か進展があったんですか。
#185
○政府委員(高島益郎君) 第七回日韓定期閣僚会議の共同コミュニケの中で、いま先生の御指摘のような合意がございまして、在日韓国人の待遇改善の問題について、特にこの共同コミュニケの趣旨に従いまして、政府としていろいろ努力してまいりたいと思っておりますが、問題は、多くの関係各省にまたがる問題がございますし、また、法律の改正をしなければ措置できない問題もございますので、前向きに検討すべき事項についてはもちろん今後とも引き続き努力いたしておりますが、当面の問題といたしまして、たとえば在日韓国人、特に永住者でございますが、に対する社会保障法の適用の問題とか、あるいは韓国におる原爆被爆者の救済の問題等がございます。いずれも厚生省の方にお尋ねいただきたいと思いますけれども、特に後者の方につきましては、これは私の方としては先方から要請があればできる限りこれに対して積極的に対処したいと考えておりますけれども、現在のところ韓国の方でどういうことを日本政府に頼むべきか、要請すべきかという点につきましていろいろ検討している段階でございますので、その検討の結果を待って対策を考えたい、こう思っております。
#186
○秦野章君 韓国にとっても内政の問題、日本にとっても内政的な問題で在日朝鮮人の問題があるわけです。日韓の外交を考える場合に、在日朝鮮人の問題というものをやっぱり抜きに考えるわけにはいかぬだろう。つまり、外交の幅というものが外務省プロパー以外の観点というものを除いては外務省プロパーの外交そのものも進展をしないというぐらいに考えていいのではないかと、こう思うのですけれども、そういう意味からいいますと、やっぱり少しおくれがあるように思うんですよ。
 何といっても日韓の問題、これは朝鮮半島全体の問題ですけれども、日本の歴史的な経過から見ても、とにかく明治以後の歴史を見ただけでも、西南戦争も日清戦争も日露戦争も、朝鮮半島にかかわり合って戦争が起きて国運を賭した。植民地として戦争まであった。それ以前の歴史を考えてもいろいろ交渉があるし、まあ文化的な問題ではとにかく中国文化が朝鮮を通ってきたというだけじゃなくて、正直言って私なんか朝鮮かもわからぬ、朝鮮半島の人間かもわかりませんね、この秦野なんていうのは。要するに民族の同根的なやっぱり側面もあるような関係があるわけですね。まあいろいろ反省をすべき問題が歴史的にもある。特に朝鮮半島が緩衝地帯としてこれからも大変だし、今日まで大変な言うならば苦労をしてきたというようなことを考え、われわれがまたそこに、日本が全部責任だというようなことを私は言うんじゃなくて、領土拡張が世界の大国の常套手段みたいな時期であったときもあるので、何もかも日本が悪かったと言いませんけれども、日本がやっぱり深い歴史の中の反省の上に立って日韓の問題、朝鮮半島の問題を考えたときに、さっき私は非軍事的韓国条項と言いましたけれども、いまアジア局長がおっしゃったように、福祉的な問題にしましても、たとえば永住している朝鮮の人が商売をやって税金を納めている、やっぱり納めているわけですからね、日本人と同じに。そうして年をとって、しかし老人の年金はもらえない。まあ言うならばそういう現実ですね。
   〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕
これはやっぱりそういう差別をすべき筋合いではないんですよ、本来。在日朝鮮の人は六十万と言われておりますけれども、まあ大した――数から言えば六十万は多いと言えば多い、少ないと言えば少ない。まあいろいろそういう問題が、公営住宅なんかに入る問題でも、これは自治体によってまちまちになっておりますけれども、問題があるし、たとえば学校に入る場合にも誓約書をとるなんというような学校もあるようです。養老年金のみならずいろんな福祉の問題について、生保と生活扶助と国民健康保険ぐらいしか恩恵を受けていない。恩恵じゃなくてこれは当然のことだと思うんです。そういうような問題は、これは――厚生省きようだかれ来ているのかな――厚生省が実際やってもらう仕事だと思うんだけれども、外務省もやっぱり私は、一々これいつやれ、あしたやれと言うたってなかなかできぬことだから、そこまで要求しませんけれども、しかし、やっぱり国民外交的な韓国と日本の特別ないままでの関係というものを考えていくと、こういう問題についてはやっぱり外交の視野でも積極的なイニシアをとって、政府全体の中にこういう政策が少しでも前進するように、外務大臣に格別ひとつこの点はお願いをぜひしたいと思うんですよ、まあ一々聞いてもしようがないんだけれども。そのことをひとつお願いをしますが、外務大臣いかがでしょうな。
#187
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、特別の関係にあるお互いの間でございますから、最善の努力をそういう方向でいたすべきだと考えます。
#188
○秦野章君 政府の各部門にまたがりますので、ひとついろんな機会をとらえて、私も別の機会があればほかにも質問をしたいと思いますけれども、ぜひ実行に移していただきたいと重ねてお願いをしておきます。
 なお、ついでと言っちゃなんですけれども、例の原爆被災者の問題、さっきアジア局長がおっしゃいましたけれども、これも韓国に一万人か一万足らずか、あるいはそれ以上か、あるということを聞いているわけですけれども、こういう問題についても、たとえば長崎の原爆の小さな分院をつくってあげるとか、そういう国民と国民との友情、隣人としての愛情をやっぱり回復するということが日韓関係の基本だと思うんですよ。三木総理も、この間、韓国の総理が見えたときに、そういった趣旨の国民的な理解が前提だとおっしゃってましたけれども、あれは多分金大中事件が前提だと思っているんじゃないか。そんなみみっちい、それもそうかもしらぬが、もっと基本的に私は実践的な課題としていっぱい問題があるから、一遍にはできなくても、着実にこういうものをひとつ手がけていくということを日本政府がしなきゃならない、これはもう歴史的な責任だというふうに思いますので、もう終わりにしますから、外務大臣ぜひイニシアをとって積極的な前進を、実行をお願いをしたいと思います。この点を一言、ひとつ前向きの姿勢をお答えをいただいて私は質問を終わります。
#189
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど来御指摘になっておられます御趣旨はよくわかりますし、私自身も同感でございますので、できるだけ積極的にそのような施策を関係各省にも呼びかけまして進めてまいりたいと思います。
#190
○秦野章君 なお、いま一言。
 いずれにしても日韓問題のみならず、朝鮮半島全体の問題というものが、時に危険な緊張状態になり、時にまた緩和されるという波のように動く、これは朝鮮半島だけの問題じゃないわけでございますけれども、そういう中で日本の外交が何といってもあそこから動乱が起きないようにということの配慮のもとにいろいろ御苦心をなさっておられることと思いますけれども、とにかく南北の共同声明でも、他国の干渉なしに自分たちだけで平和的統一をしていくんだという声明、大変結構でございます。結構でございますが、正直言って世界の大勢はやっぱり大国が責任がある。大国の責任なくして特に緩衝国家なんかの平和なんかありはしない、それが現実だと思うんですよ。そういうことだと、やっぱりアメリカ、ソ連、中国、そしてまあ隣国の日本といったようなものが、やはりドイツとは違うと思います、いろいろな条件が違うと思いますけれども、何とか恒久平和がこのアジアの極東の地域にもたらされるような大きな外交の枠組みみたいなものがだんだん必要になってくるし、またそういう方向に努力をしなければいかぬと思うのですけれども、外務大臣の大きなスケールの、そういったアジア的スケールあるいは世界的な規模の、あるいは大国の責任までとらえた上の、そういうような観点に立ってのお考えを、所見を承って、これで終わりたいと思います。
#191
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の平和憲法が所期しておりますところを達成しようといたしますと、しょせん軍備をもってしてはわが国は何事をもなし得ない国柄でありまして、紛争の原因を除去する力がわが国にあるとすれば、それは平和的な方法によって各国民の民生を向上させることに寄与する、そういうところにしかわが国のなし得る貢献はないわけでございますから、なかんずく、そのことはアジア地域の各国についてしかりでありますし、特に隣国の韓国に対しましてなおしかりであろうというふうに考えます。かねてそのように心がけておるつもりではありますけれども、それがわが国の平和国家としての生きる道であるというふうに考えまして、努力を続けてまいりたいと考えております。
#192
○松永忠二君 外務大臣にお伺いいたしますが、外務大臣は過般アメリカを訪ねたり、あるいはまた、今度パリの国際会議に出席をしてキッシンジャー国務長官などとも会談をしたわけです。
 インドシナ情勢とかあるいは朝鮮半島の情勢、今後の見通しというふうな問題についてアメリカ側とやや意見を異にした点はなかったのかどうなのか。新聞の報道などによりますと、アメリカを訪ねた際に、協定侵犯の責任を北ベトナムあるいは解放戦線側に帰することについてアメリカとの見解を異にした、こういうようなことを報道されていたのを私は読んでいるわけです。いま申しましたように、インドシナ情勢とかあるいは朝鮮半島の情勢あるいは今後の見通し等の問題について、キッシンジャー国務長官あたりとやや見解を異にするような点があったならば、どういう点がそういう点でやや意見を異にしたのか、その点をまずお聞かせをいただきたい。
#193
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま松永委員が御指摘になりましたのは、実は四月の時点にさかのぼるわけでございますけれども、したがいまして、それは米国がベトナムから撤退をいたします以前の段階でございますパリ協定の違反云々ということにつきまして、まあ米国としましては、これは無理からぬことであるかもしれませんが、いわゆる軍事面において北越側あるいは関係国がパリ協定に違反して多量の武器、兵器等を北側に援助として与えたということの指摘がありまして、あるいはその点はそうであったろうかと考えましたけれども、他方でしかし、政治面におけるパリ協定を果たして南側が忠実に守ってきたかどうかということにはやはり問題があったように私は考えておりましたし、おるわけでございます。したがいまして、一方的にパリ協定違反がどちらのみにあるということは必ずしも言えないのではないかという所見を申し述べたことが、御指摘のようにございます。その後しかし、米軍がああいう撤退をすることになりました現段階で、過去のことは別といたしまして、これらの地域に対して米国の考え方とわが国の考え方と、どこか違うところがあるかと仰せになりますれば、恐らくは私どもとしては、インドシナ半島において多数の難民が発生をしておる。これをともかくとりあえず衣食にいたしましても救済をする必要がございますし、さらに次の段階でそれらの人々がいわゆる生業につく、農民であれば自分の農地を求めてそこへ帰りまして定着をするというところまでは、やはりこれは人道的な見地に立って、体制、イデオロギーに関係なく、支援すべきではないかというふうに私どもは考えております、日本政府は考えておりますが、アメリカ政府は、これも無理からぬことであろうかと思いますが、ともかくインドシナの、北越、南越と言われておった地方に対しては、しばらくは貿易にしろ援助にしろ、とてもどうも考えられる事態ではないというふうにただいまのところは思っておるようでございます。といたしますと、その辺でやはりアプローチが違ってくるということがあり得るのではないか、私どもとしては、私どもの信ずるところに従って政策を進めてまいりたいというふうに思っております。
#194
○松永忠二君 その点はわかりましたが、両者この情勢を分析し、あるいは今後の情勢を判断して、逆に最も合意に達したと考えられておるのはどういうところなんですか。全く同意見であるというような点は、強調すればどういうところなんですか。
#195
○国務大臣(宮澤喜一君) むずかしいお尋ねでございますけれども、アメリカの長年にわたる努力が実を結ばなかったということについて、努力そのものが、十分なインドシナ半島の事態の理解のもとに行われなかった、事態の認識について欠けるところがあったがゆえに努力が実を結ばなかったと考える点においては、恐らくはアメリカ側も今となりましては合意をする人が多いのではないだろうか。人によって意見がまちまちであろうかと思いますけれども、つまり、民族自決の動き、あるいはアメリカが考えておって干渉した事態が、実はそういう意味での内戦に近いものではなかったかと考える点におきましては、恐らくは現在となってはアメリカの当局者もそのような反省をしておるのではないか、その点で一つ合意が、申してみればあるのではなかろうかというふうに私は想像いたしております。
#196
○松永忠二君 今度は、外務大臣自身の御判断ですが、インドシナの現在の情勢の中で、特徴的な著しい現象というのは何だとお考えになりますか。ああいうふうな情勢が出てきた中で、最も特徴的な点はどこにあるというようにお考えになっておりますか。
#197
○国務大臣(宮澤喜一君) 一応インドシナ半島に共通の人々の心理といたしましては、大国の支配を逃れて、自分たちの民族の将来を決めたいということであろうかというふうに存じておりますが、その点になりますと、すべての指導者たちがはっきりそのように認識しておるのか、あるいはそうでないのかという点に若干の疑問があるように思っております。
 しかし、大きな流れとしては、やはり民族が自分たちの力で自分たちの将来を決定しょうとしておるととらえましてまず間違いはないのではないかと思っております。
#198
○松永忠二君 その点は私たちも最も民族主義の強さとか、ナショナリズムの流れというものは非常に強く出てきているし、それは特徴的な一つのあらわれだと思うのですね。しかもそれは、単に民族主義というだけではなくて、いわゆる第三世界の解放の戦いの一つとして、世界的な連関を持ってのいわゆる民族主義の強い流れだというふうに私たちはやはり見る必要があるし、事実そういうことを言っているようですね。自分たちの戦いは第三世界の解放の戦いの一環と見て主張している。いわゆる国際主義の立場を自覚している。単なるナショナリズムとか民族主義というだけじゃなくて、そういうこと自身をやはり言っておられるようですね。だから、それは別としても一つの大きな民族主義の流れ、ナショナリズムの強い傾向というものは、お話しのように私は否定できないと思います。
 もう一つ、何かやはりインドシナの中にあらわれている大きな現象はお考えになりませんか。
#199
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申しましたことに、いま松永委員の御指摘もありまして補足をいたしますが、どういう政治形態を選ぶかということは、その民族の自由でありますので、そういう動きがせっかく出てきておるというときに、願わくは、よそから革命の輸出をするというようなことが行われないように、文字どおり民族が自分の将来を自分たちの意思で決定をしてほしいというふうに考えておるわけでございます。
 もう一つと言われますと……。
#200
○松永忠二君 もう一つということは、やはりわれわれの口からあっさり言えば、アメリカがアジアから後退して、アジアのアメリカ離れというのは強く皆が指摘をしているわけですね。現実的にタイの態度を見たり、あるいはフィリピン、あるいはマレイシア、インドネシアの動きを見ても、明らかにそういうアメリカ離れということは否定できない一つの大きな特徴じゃないかと思うのですが、この点はわれわれの独断でしょうか。外務大臣自身は、そういう点についてはいまのインドシナの情勢の中で、そういう一つの大きな流れがあるということについてはお考えになりませんか。
#201
○国務大臣(宮澤喜一君) インドシナ半島のうち、いわゆる北越、南越、ことに南越の場合でございますが、極端にアメリカに依存をしておったということが従来の事態でございましたから、それから脱却をしようという動きがありますことは、これはもう松永委員の御指摘のとおりと思います。その場合、その他の国々、いま言われましたように、タイ国、あるいはマレーシア、シンガポール、フィリピン等々まで考えますと、恐らくこれらの国々は、いずれの大国の支配も受けたくないというふうに究極的に考えていると見られますので、そういたしますと、その限りにおいて考えられる大国の幾つかを、いわばバランスをとった形で、どう申しますか、利用すると申しますか、一つあるいは小数の大国だけの力が、それだけが支配的になるということを好まない、そういう形、そういう考え方になっているのではないかというふうに私は実は推察をしておるわけでございます。
#202
○松永忠二君 いま言ったような、大臣の言われたようなことも一つの大きな流れだと思うわけですがね。それは単なる、簡単な、そのアメリカ離れという言葉あるいはナショナリズムというだけのことでなしに、その中にいろいろいま話のあった純然たる自分たちの力でとか、あるいは外部のいたずらな干渉を排除しようとかという動きのあることも事実だけれども、最も大きな特徴は、私たちはそういうところにあるように思うんですがね。
 そこで、いまお話も出ましたけれども、そういうふうな情勢の中でインドシナの情勢は今後どんなふうに変化をしていくんだというようなお考えをお持ちでしょう。私は、この問題は非常に大きな問題のようだけれども、これが判断できないで次の方法はとれないはずだ。だからあえて大臣に聞くわけですが、大臣自身は今後のインドシナの情勢というのはどういうふうな方向に向かっていくかと、そういう判断をされて、その上に立って日本の外交の展開を図ろうというようなことであると私は思うんで、その点について大臣の考え方をもう少し聞かしていただきたい。
#203
○国務大臣(宮澤喜一君) その中で、まずベトナムの場合でございますけれども、ただいままで、ごく短時間でございますけれども、起こっております徴候を見ますと、ハノイにございます労働党でございますか、労働党が党の主体性を確立する形でサイゴンと連携をしつつあるように見受けられます。現在サイゴンに独立の新しい政権が有効に機能し始めたというふうには、いまの状態ではまだ見えませんのでありますが、恐らくは北側から南出身の労働党政権に属する人々がサイゴンに入りつつあって、そしてやや党主導型の政治形態をつくろうとしておるのではないかというふうに、これはごく短時間の観測でございますので、将来を十分卜するほどの資料はございませんが、そういうふうに私ども見ております。その場合、そのような北越あるいは南越が、恐らくは指導者たちの気持ちとしましては、外部の大国の支配をできるだけ排除する形で民族主義的な国家をつくっていきたいと考えておるものと想像いたしますが、そのとおりの希望がそのまま実現されるのであるか、あるいはそこに大国の支配が何かの形で起こってくるのであるか、この点は必ずしも予測がむずかしい。ただ、恐らく指導者たちの気持ちは、自分たちの民族主義に基づく国づくりをやっていこうということにあるのであろうというふうに私は考えております。
 その他、カンボジアは、ただいままでのところは、いわゆるディスアーバナィゼーションというのでございましょうか、一種の農本主義といいますか、農業立国と申しますか、そういう国づくりの方に向かっているようでございます。
 ラオスの状況は、大きな流血なしに、いわゆるパテトラオがほぼ有効的な支配をつくりつつある。この場合も、どちらかといいますと社会主義的な、それもかなり農業の勝ちました国づくりを目指しておるのではないか。
 観察をいたしますに十分なデータがございませんし、時間の経過が非常に短うございますので、確たることは申し上げられませんけれども、そんな見方をいたしております。
#204
○松永忠二君 そこで、先ほど少し日韓関係のお話も出てきましたけれども、いま朝鮮民主主義人民共和国の金日成氏が中国を訪ね、ルーマニアやアルバニアを歴訪している。韓国の首脳が日本を訪ねたりアメリカを訪ねたりしている。これはいずれも第三十回の国連総会における例の駐韓国国連軍司令部の解体問題というものを一つの焦点としての動きであるということは、これは事実だと思うんですがね。この問題について、一体韓国とかアメリカでも、恐らく今度の秋の国連総会にはこの国連軍司令部の解体というものはほとんど阻止できないのではないかという見通しを持っておられるんですね。日本は一体、外務大臣はこの問題についてどういうふうな見通しというか、考え方を持ち、どういうふうな態度でこの問題の、すでに動いているこの情勢について対処していこうと、そういうように考えておられるのですか。
#205
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましての昨年の国連総会における表決は、松永委員御承知のとおり、きわめてぎりぎりのものであったわけでございます。その後、今年までの経緯におきまして、いわゆる非同盟諸国の結束あるいは数というものが昨年よりもふえてまいると考えることが自然であろうと思いますので、今年国連総会が開かれましたときには、昨年のような答えにならずに、国連軍の解体等についてそれを支持する決議は多数で成立をする可能性は昨年よりはかなり高いと考えなければならないのではないか。その場合、わが国として考えておくべきことは、国連軍が御承知のように朝鮮半島における平和取り決めの一方の当事者になっておるわけでございますから、これが単純に解消いたしますと、現在ございますところの平和取り決めというものがなくなってしまうということになるわけでございます。法的にはそういうことになります。その事態は何としても避けませんと、現在朝鮮半島の平和を維持しておりますフレームワークがなくなってしまうということになるわけでございますから、その点に落ち度がないように平和を維持する法的なフレームワークは残しておかなければ、これはだれが考えましても朝鮮半島の平和を維持する法的なフレームワークがないということになってしまいますと、これは困るわけでございますから、その点をどう考えたらいいかということあたりをいまごろから詰めて考えておきませんといけないのではないかと、この点は事態がどう発展しますかは別といたしまして、いずれの場合にもやはり考えておかなければならないことでございますので、韓国にもそういうわれわれの考え方はお伝えをすでにいたしてございます。
#206
○松永忠二君 後の問題の見通しについては、そういうふうな違った情勢が出てくるだろうと、それに対処していくためにいろいろ準備をしておかなきゃいけない。後の、この協定がなくなった場合にどうなるかという問題については、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国の主張というのは、必ずしも大臣のおっしゃったような見解とは違うような見解を持っているようですね。まあ国連軍はなくても国連はあるんだからというような考え方も出ているようですから、必ずしもそれだけが一つの方向ではないように思う。
 そこで、さっき少しお話も出ましたが、そういうような情勢も出てきているし、それからまた、いま言うとおりインドシナを中心とした新しい情勢の展開もある。こういうような中で、いわゆる朝鮮に対する外交の姿勢のあり方というものについては、従来いろんな機会に宮澤外務大臣から聞いたのとは、もう少し前進したものが必要のように私たちは感じているわけなんですよ。
 これは日本がインドシナ情勢の変化について何を一体対応したのかと言えば、あなた御自身がアメリカを訪ねて日米安保条約、いわゆる安保体制の堅持というようなもので対応した一つの対応の仕方もやられたことも事実ですね。またよくあなたがおっしゃるように、いろんな機会に御答弁があるように、急な情勢の変化を日本は絶えずすることが実は情勢の均衡を破壊するんだと、だから慎重にやるんだと、こういうお話もある。外交というものは情勢が変わったからといって、いきなりそれを急激に変えるかどうかということについては、やはりいま言ったような問題は一面あるということは私たちも認めるけれども、しかし、そういうふうな従前の情勢を急激に変えていかないで、ある程度その中で問題を解決をしていく努力をすると一緒に、新しい事態に応ずる対処の仕方が出てくれば、われわれはその辺の理解もできるんだが、どうも私は朝鮮に対する宮澤外務大臣の態度というものには新しい情勢に応じたものがないのじゃないかという率直な感じを申し上げているわけなんです。
 一体朝鮮に対して日本外交の今後とる方法というのは何なのか、どういう点に力を入れていかなきゃできないのかという点については、外務大臣はどうお考えになるんでしょうか。
 いま一つお話が出たのは、秦野さんも言われている韓国自身が自由と民主主義を回復するようにしていかなければいけない。これはやっぱりアメリカの方がむしろそういう点について努力をしているんで、日本の方が努力が足らぬじゃないかという感じをわれわれ持っているんです。韓国自身の自由と民主主義の回復を努力をすることについて、日本もできるだけやっぱり力を入れていかなければいけないのじゃないかという気持ちを私たちは持っている。さっき軍事的な面でない別の面の一つの情勢というような点のお話があったけれども、そういう点も一つあると思うんですが、何か新しい情勢に応じてやはり従来と検討を要するとか、加える対策というのは朝鮮についてはないんでしょうか。
#207
○国務大臣(宮澤喜一君) 韓国の内部における自由と民主主義がわれわれが、わが国で持っておりますような自由と民主主義とはほど遠いものであるということは私は事実であると思いますけれども、韓国為政者の説明によりますと、自分たちも終局的にはそれを目指しているのであるが、現在のように北からの脅威が非常に強いという段階においてやむを得ずそれらのものを制限せざるを得ない、簡単に言うとそういう説明になっておると思います。もしそうであるとすれば、南北間の緊張が緩和をするということがただいまの問題の解決のかぎになるわけであろうと思うんです。
 そういう意味で南北間の対話、一九七二年以来の動きに非常に期待をいたしたわけでございますけれども、現在まで実を結んでいない。
 さて、その道が余り望みがないということでございますれば、それならば韓国も、そうして北鮮もともに、たとえば国連に加盟をするというようなことになってまいれば、これはそれなりの一つそこに、統一という理想からは遠いわけでございますけれども、したがって、ベストの方法ではないでございましょうが、まあまあ一つのベターな解決策でもあろうかというふうにも考えたりもいたします。しかし、それは必ずしも関係国の同意を得るに至らないようなありさまでありまして、そうなりますと、現状で両者の間に緊張がこれ以上高まらない状態をわれわれとしてはこいねがうそれに貢献するというしかどうも方法がない。つまり、ベストの方法は話し合いによる両方の統一ということになる。この点は両者の意見が一致しておるわけでございましょうけれども、現実には事態はその方に進まない。
 そうだとすれば、今度は両者とも国連加盟ということはどうなのであろうかということになりますと、それもどうも意見の一致を見がたいようである。そうなりますと、もう残された道はどうぞ現在のまま緊張が高まらないように、幾らかでも緩和していくようにというふうにわれわれとして努力するしか道が残されていないというように考えるわけでございます。
#208
○松永忠二君 私たちの考えとは大分違うように思うんですがね。私たちはよく言うように、いわゆる北の朝鮮民主主義人民共和国との間の国交を持って、とにかく日本自身が説得力のできる足場をつくっていくことが必要なのじゃないのか。よその国が、二つの国がどうこうじゃなくて、日本自身がそういう方向は持てないものなのか。
 いま日韓協力の問題が出てますけれども、私はまあきょうこれを質問するわけじゃありませんのであれですけれども、全然北と南に対して違った日本の経済協力、経済援助、これが一体南北統一をもたらす力になるのかどうか、ちょっと聞いていると、いまのような情勢が、日本が片方に動くことがいわゆる緊張をもたらすものだということになれば、日本が援助しているそのこと自体を推進していかなければ緊張緩和できないんだというような、そういうことにもなってしまって、私は南北が対話をするのをこいねがうというようなことじゃなくて、日本自身がもう少し積極的にいまの情勢の中で、一方では従来の方向づけのいわゆるアメリカを訪ねて安保体制強化を強調している面もあるけれども、一方でまた、こういうふうな新しい事態に、情勢に乗って日本自身がいわゆる新しい角度の外交を展開をしていくということが必要なのじゃないのかと、そういう点についてわれわれは相当期待もしていたけれども、どうも韓国問題については宮澤外務大臣のあれはちっともわれわれも納得しないという感じを率直に持っておるわけなんですがね。
 これはこの辺で終わっておいて、少しまたほかの問題に移りまして、外務大臣はパリの国際エネルギー機関と経済協力開発機構のいわゆる閣僚理事会に出席をしたわけですけれども、一体この成果は何だとお考えになっておられるんでしょうか。そしてまた、この成果を一体日本はどう生かしていこうとお考えになっているのか、この点をひとつ外務大臣聞かしてください。
#209
○国務大臣(宮澤喜一君) エネルギー会議とOECDの会議と両方合わせまして、共通の動き、成果というものは何かというお尋ねでございますが、やはり発展途上国に対する理解の深まりと申しますか、そういうことであったと考えております。
 すなわち、これらの国々が多くの関心を持っております一次産品の扱い方、あるいはそのような一次産品の今後の開発についての問題、あるいはまた、石油資源も持たず、これといった有力な一次産品を持たないような国々への援助等々、そのような問題についての新しい世界の動きというものについて、いわゆる先進国がこれに理解を持って取り組まざるを得ないという認識の高まりということに、一言で申しますとなるのではなかろうかと考えております。
#210
○松永忠二君 その成果を認識して、どういうふうにこれを今後日本は生かしていこうというふうにお考えでしょうか。
#211
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の立場はなかなか容易ではございませんで、すなわち、わが国自身は石油資源はもちろんでございますが、多くの鉱物資源、一次産品、食糧等々の輸入国でございます。したがいまして、長期安定的な供給ということは、これは生産国、輸入国、両方の共通の利益になるわけには違いございませんが、非常に高いところで安定をするということは、輸入国としてのわが国にとりましては一応不利である、こう考えざるを得ません、かと言って従来のような、石油危機以前のような価格では一次産品の生産国はとうてい満足しないということも、これも事実として認めざるを得ない。したがって、品物ごとに態様は異なるかと思いますが、文字どおり長期安定的な、生産国も消費国も両方満足し得るような方法というものを品物ごとに考える。
 それから開発にいたしましても、開発のための手法、これはわが国の利益にもかなうことでございますから、そういう援助をするといったようなこと、こういうようなことに帰着をいたします。すなわち、そういう認識はわが国も先進国の一国として持っておるわけでございますが、一方的に輸入国であるという立場は、なかなかこの問題の処理について、狭い意味でのわが国の国益というものとは必ずしもすぐに一緒にはなりませんので、かと言って、すべてを市場経済に任せればいいのだという従来の立場そのもので今後通っていけるとも思いにくうございますから、市場原理というものは尊重しながら、しかし、そういう立場にある発展途上国の利益というものもあわせ考えていかなければならない、そういうための方式を発見していくと、こういうことにわが国の立場は帰着いたそうかと思っております。
#212
○松永忠二君 ECは労務協定なんかやっておりますが、むしろそういう点では積極的な努力をしているわけなんで、日本ももっと具体的なそういう努力が必要だというふうに私たちも感ずるわけですが、この問題はあれとして、いま言ったようなものを生かすという意味で、日本の海外経済協力という問題について少しお尋ねをしたいわけです。
 このごろ、いろいろなものをちょっちょっと見ると、日本の海外経済協力には非常に問題があるということを強く痛感をするんですが、たとえばタイの大学のキユン教授というのは、その調査報告に、日本人はタイにおける日本の投資がタイ経済発展を助長するとしてタイ人もこれに満足していると考えている。しかし、その投資の結果についてタイは日本に感謝していない。日本的な経済発展は各方面に大きな格差を生み出す原因となっている。このことを日本人はほとんど認識していないと、そういうようなこと。
 あるいは、コロンボプラン専門家、技術協力でインドネシア共和国の国家開発企画庁に勤務をして、現在は名古屋大学経済学部の助教授をしている飯田さんというのが、「援助する国、される国」という本を出していますが、これには「本国でなされている政策協定、本国で行われる議論、現地で当面する諸問題、現地でいだく実感との間には気が遠くなるほどギャップが介在することである。そういう本国側の無知に対して現地の日本人は猛烈に怒っている。」というもの。
 あるいはまた、海外移住事業団に勤務をして、いま玉川大学の教授の若槻という人が「原始林の中の日本人」という本を書いておるんですが、この中には「こんな馬鹿げた事が国家の名において、かくも長期にわたって行われているのはどうしたわけであろうか、」と、こういうようなことをよく見ると、そういう点についてのそういうものがある。
 また事実、日本の国が海外経済協力を最もたくさんやっており、海外投資の激増した地域が一番いわゆる反日の運動が起こっている。いまはやや鎮静しておるという感じはいたしますけれども、韓国、インドネシアなどもそうなんです。これは一体どういうわけなんだろうか。
 ここにきょう出席をしていただいた方もおりますので、外務大臣、協力事業団、経済協力基金、その三者の方から、一体どこに日本の経済協力の欠陥があり、問題点があると考えておられるのか、このことをまず外務大臣からひとつ御発言をいただきたい。
#213
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、個人の間におきましても国の間におきましても同様であろうと思いますけれども、もともと人から援助を受けるという立場は決して幸せな立場ではないのであろうと私は思います。感謝はするのはするけれども、しかしどちらかといえば、できれば援助をする立場になりたいと、個人としても国としても当然にそう考えるわけでございましょうから、人を助けて相手に喜ばれるということは、口で申すほど実は容易なことではないのであろうというふうに私は考えております。もともとそういう要因がこの問題にはあるであろう。ことにわが国の場合には、かれこれ三十年前には援助を受けておった国でございますし、歴史上、他国民とそういう関係で結ばれた経験はほとんどない、乏しい国でございますから、突然こういういわゆる経済大国になりまして、援助をする身になって、これが十分相手に喜ばれるような形と、たださえむずかしい仕事でございますから、未経験なわれわれがやはり幾つかの蹉跌、挫折に遭いますことは、これはある意味では私は覚悟をしてかからなければならない。どれだけ気をつけましてもそうなりやすい性質のものだというふうに考えております。
 しかし、そういう蹉跌に遭いましたら、そこからわれわれは教訓を学ばなければならないのであって、挫折をしたからそこでやめるということでいいのではない。長い歴史で見ますと、少し長い目で見ますと、わが国はいまそういうところにおるのではないだろうか。この一、二年、東南アジアでただいま御指摘のような批判を受け、また、田中前総理大臣がかつて訪問されましたときにあのような出来事が起こったということは、きわめて残念なことでございますけれども、ある意味でわれわれにとってこれは非常に貴重な教訓であって、その教訓からわれわれ民族が年をかけて何を学んでいくか。その学んだ結果本当に相手のためになる、そして相手からもまあまあ気持ちの中で喜んでもらえるような援助国というものにどうしたらなれるかという、そういうことを私は学んでいく過程であろうというふうに考えております。
 具体的な例で申せば幾らも申し上げることはございますが、やはりわれわれが相手国の立場になって、その気持ちで相手国の希望することをやっていく。これが日本にとって不利益になりましては長続きはいたさないわけでございますけれども、こちらの利益は少なくても向こうの得る利益が多いというような形でどのような援助をしていけるかということを学んでいかなければならない。大変正直に申し上げましたが、私はそういう問題なのではないかというふうに思っております。
#214
○参考人(法眼晋作君) 経済協力事業団は、御案内のように、海外技術協力事業団の事業並びに移住事業団の事業を受け継ぎまして、前者は後者とともに十年以上の経験を重ねたのでございまするが、その間、一方日本経済の進歩が急激であり、しかも、なかなか未経験のことも多かったのでありまするから、御指摘のようなこともあったのは事実かと思います。
 しかしながら、元来海外技術協力について申しますと、これは技術の発展しない諸国についてその国の技術のレベルを上げていくということ、したがって、これは技術を移転するわけでございまするけれども、その際大事なことは、外務大臣が指摘されましたように、先方の国々の必要とするところ、ニーズ、何がその国に必要なのかという先方の希望を十分聞きまして、それに十分ミートできるような形でやっていくということでありますので、われわれは過去のいろんな経験にかんがみましてそのニーズをくみ上げて、これを日本の可能性の範囲内でなるべく充足する努力をするということであります。大変にこれは長い時間のかかる問題でありまして、私は技術協力の成果は短い時間の物差しではなくて、五年とか十年とか、あるいは十五年とか二十年という、そういう尺度ではかっていって、そこでわれわれ日本が過去百年の間にここまで発展したように、各国のそれぞれの自助の努力と相まって、だんだんにこちらの技術を移していくということだろうと思うんです。
 したがいまして、過去においては時にしばしば御指摘のような試行錯誤がございましたけれども、そういうことに学んだわれわれといたしましては、今後においては的確に先方の必要とするところをくみ上げて、いま申し上げましたような日本の可能性の範囲でそれに十分ミートしていく。しかも、それにプラスアルファをつける。と申しますのは、日本人の善意というものをそこに加味いたしまして、日本というのは親切な国であるということをひとつ技術のあれを受ける諸国の方々にも十分に理解をしていただいて、そこに渾然とした友好関係というものに発展さすということをわれわれは念願をいたしているわけでございます。
 移住につきましては、これも御案内のように戦後は一時七千とか八千とかいう人が出て行きました。大変成功した人もたくさんおられますけれども、時に御指摘のようなこともあったわけでございます。これも大臣御指摘のように、個人の差が大変あるわけでありまするから、いろんなこともあったかと思いますけれども、今後においては、さような経験をかんがみて、やはり移住される方々が移住する国の最も善良な有益な国民として立っていくということに主眼を置いて、これも日本の可能性の範囲でできるだけ援助いたしまして、そういったりっぱなその国の国民に育っていただくということに全力を注ぐつもりでありますので、過去の経験は十分くみ上げて、これは参考にいたしまして、われわれは誤りなきを期したいと思っているわけでございます。
#215
○参考人(大来佐武郎君) この援助の問題につきましては、日本も含めまして世界の各援助国でもいろいろな国で試行錯誤が行われてきたと思います。数年前に出ましたピアソン報告の中でも、援助によって友情を買うことはできないというような一節があるわけでございますが、それでは何のための援助かということになりますが、私ども従来考えておりまするのは、一つはやはり一種の世界的な連帯、各国の国内におきましても貧乏をだんだん追放していくということが常識になってまいりましたけれども、その考え方を国境を越えて適用していけば、やはり世界から余り激しいミゼラブルな貧困をなくすために、貧困国も金持ちの国も協力した共同事業として努力しなければなるまい。つまり、恩恵を施すというのではなくて、人間の共通の社会から余りミゼラブルな貧困をなくそうじゃないかという国際的な努力が一つの動機として考えられるように思います。
 もう一つは、まあこれは方法に関することでございますが、できるだけその援助が相手の国の自立に役立つように使われると言いますか、提供されるということが望ましいわけでございまして、逆説的になりますけれども、援助の目的は援助がなるべく早く要らなくなるようにすることが一番効果的なんだというふうにも考えねばならない。それには、やはりその相手の国の人たちが自分の経済を自分の力で運営していく能力、特にこれには技術の格差が非常にございますので、法眼さんの方でやっておられます技術の移転ということが基本的には重要だと思いますけれども、同時に、多くの国で資本も著しく不足しておりますので、これをある程度ソフトな、条件の緩和された借款を提供するということも必要なのではないかと思っております。
 最近いろいろ援助問題の考え方について議論がございますが、一つの問題点としては、同じく開発途上国、貧しい国と言っておりました中にいろいろな分化、種類が分かれてまいりまして、私ども大きく言って四つぐらいあると思います。
 一つは、産油国でありまして、これには資本は必要でない、むしろ逆に資本を他の国の援助にも使って欲しいと、そのかわり、しかし技術は必要だと、技術は非常におくれておるという場合でございます。
 第二は、石油以外の特産物輸出国、いわゆる一次産品輸出国と言われておる国々でございますが、こういう国々については、やはり商品価格の安定ということがそれらの国の経済の安定に非常に役立つのではないか、国連の特別総会その他で、この商品協定の問題が非常に出てきておりますので、これはやはり先進国としても真剣に考えるべき問題だと思います。
 第三のカテゴリーとしては、工業製品の輸出がだんだん始まってまいって、それによって外貨をかせぐような国々が世界じゅうに出てまいりましたが、日本もかつてこの道を歩んでまいったわけでありますけれども、先進国としては、できるだけ国内の市場を貧しい国々の製品に対して開放すると、たとえば繊維製品などについてもそうでございますが、そのことが相手国に対する援助として非常に効果があるんじゃないかと。
 第四には、これは最近のことばではMSAC――モースト・シヤリアスリー・アフェクティッド・カントリーズとか、あるいはハード・コア・カントリーズというような名前も出ておりますが、なかなか、非常に所得も少ない、低いし、条件もむずかしくて簡単にいかない。こういう国に対しては、やはりある程度の所得の移転、再配分的な援助が必要になってくるかもしれない。食糧の援助もごさいましょうし、グラント――無償供与、あるいは非常に低利な金の提供というようなことで、これは人類連帯の意識に基づいて、余りにはなはだしい貧困を除去するという意味でも、こういう国々をほっておくわけにはいかない。いま申しましたような四つのカテゴリー、ほかにもあるかとは思いますけれども、それに応じた手の打ち方がいろいろあるのではないかと思います。
 日本につきましては、これもいろいろ、東南アジア、三浦さんの書かれたものや何かにも出ておりますし、いろいろの問題ございますが、相手国側の事情と日本側の事情と両方ございまして、貧しい国が外国の資本や商品を入れる場合に、やはりその国の民生に役立つものを優先的に選択的に入れるのが私ども本来の筋だと思いますが、中にはそういう行政能力の不足もありまして、門戸開放というと、あらゆるものに開放する。そうすると、いろいろ妙なものも入ってくるということがまた摩擦の原因になる。
 それから相手国の国内事情から出てきておる問題、都市に非常に失業者が集まっておるとか、大学を出ても就職先がないとか、それが場合によると外国のせいだということに持っていかれる場合もある。だから東南アジアの場合には、日本のオーバープレゼンスとよく言われておりますように、その国の輸入なり投資の三、四割を日本が占めるというようなことになりますと、とにかく摩擦が起きやすい、比率が少ない場合には比較的そういうような摩擦が少ない。
 それから第四には、日本が海外で仕事をするということにまだ経験が足りない。先ほど外務大臣も言われましたが、まだそういう意味では日本人は勉強期間でもあるのじゃないかという気もいたしますけれども、結局、いまのようないろいろな、相手により、条件によっての対処の仕方を考えていかなきゃならないと思いますけれども、開発途上国にしても、技術あるいは資本、これが必要だということは、ことごとに強調しておるわけでございまして、これが両者にとって納得のいく形で行われるということは、これからの世界を考えますとどうしても避けて通るわけにいかないということになりましょうし、日本のような、ことに資源の面、貿易の面で海外とのかかわりの深い国、その上に経済を立てておるような国といたしましては、ことさら海外諸国との友好関係、特に開発途上国との友好関係が必要でございますので、いろいろな失敗があると思いますけれども、それの上に改善をしていくほかないのではなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
#216
○松永忠二君 それじゃ私の方で少しまとめて、まず外務大臣に聞きますが、実は、政府援助に問題があるのだということですね。海外経済協力の総額がいまやGNP一%というのを超えたけれども、現実に内容的にはそれは民間資本のシェアが大半を占めている。だから、総額に占める直接投資とか、対外貸付が六二・三%だということ、それでしかも政府の開発援助、ODAと言われる政府開発援助がGNPの〇・二五%で、これは〇・七%にしようという目標を立てているのに、いわゆる開発援助委員会の中の十二位、十二番である。しかも、政府開発援助の平均条件、グラントエレメントと言われるものがこれまた非常に低く、そういう比率も非常に低い、これまたDACの十二位にすぎないんです。この日本の審査をしたマーチンという議長は、日本の実績はまさに六〇年代中期の水準だというようなことを言っているわけですね。しかも、政府開発援助は少ない上に八〇%が直接投資であると、何のことはない、日本の輸出増進と結びついた援助であるということ、しかも、その直接借款の政府開発援助そのものも、借款の平均条件は非常に悪い、DACの十五位、しかも、その政府開発援助は八八・二%がアジアに集中している、特に韓国、インドネシア、台湾地域で政府開発援助の八四%を占めている。その政府開発援助は、発展途上国の、よく言う反共政権へ行っており、いままでのそういういわゆる冷戦体制というか、そういうものを保持するような形にいままでなっていた。経済協力基金についても、その集中度はやや変化は見つつあるものの、ほとんどやはり集中されている。国連で一番開発援助を要請されている最低開発国に対する援助はほとんど日本は見向きもしない状況だと。これは政府、外務大臣の関係の問題になるわけですね、ずいぶん日本の国は高度な経済成長になって、財政の余力のあったときがある。これからは財政的にも窮屈になってきている。一体、これで日本の経済協力というのはどうしてこれからはやるつもりなのか、なぜ一体、いままでにこれだけの指摘を受けていながら、しかも財政的に余裕のあるいままで、何でこれが向上できなかったのか。それはどこに欠陥があったと大臣は考えるのか、これを世界の水準並みにこれからするためには、一体何をしなきゃできないのか、これはひとつまず外務大臣、どういうわけでこんなに水準が低いのか、総体的に、質量においてですよ、もうほとんどどこをとらまえてもそうだ、なぜこうなってしまったのかということを、外務大臣はどうお考えになりますか、原因は。
#217
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、従来からDACにおきまして、援助というものの定義をかなり幅広く決めてまいっておりました。わが国が敗戦から経済的に立ち直りまして、そうして対外的な貿易などもふやしていくと。その過程におきまして出されましたいろいろな、ただいま御指摘のような金融的な対外的な支出、そのかなりのものが援助に数えられてきた。実態はしかし、非常に純粋な意味で援助というものを考えますならば、それらが本当に援助の名に値したかどうかということには、正直に申しましたら、それは私はいろいろ問題があったであろうと思います。グラントが少ないではないかと言われますのも、もうそのとおりでありまして、いわば一九六〇年代の初めごろまで純粋に本当に貿易あるいは投資というものと無関係に、いわゆる一番狭い意味での純粋な援助というものはこれは少なかった。わが国のまた国の力といたしましては、私はそれはやむを得なかったであろうというふうに思っております。
 他方でGNPが伸びてまいりますし、貿易がふえてまいりますから、GNPの一%という目標は比較的早く達成をしたわけですが、その中で本当にいわゆるグラントに当たりますような、あるいは非常に金利の低い、償還期限の長いといったような援助分はどうしても少なかった。わが国の私はやはりそれは一つは国力のゆえでもあったろうと思いますし、もう一つ強いて申せば、外国の場合には、しばしばかつての宗主国、かつての植民地というような関係が解消いたしましたものの、しかし、自然にそういうつながりがあったというケースがたくさんございまして、そういうところには従来からの経緯もあって、いわゆるグラントに近い、条件の非常にいい純粋な援助に近いものが伝統的にずっと与えられ続けておった。わが国にはそういう要素がなかったということも、比較で申しますと、わが国の内容を乏しいものにしておったというふうに考えます。文字どおり政府援助でそれもグラントエレメントの多いもの、あるいは援助条件の非常にいいものというのは、まずこれからわが国としてはそちらへ努力を傾けていかなければならないという、私は正直に申して、わが国の援助の現状というのは残念ながらその程度の段階のものである。
 これは脱却していかなければならないわけですが、しかし、今度真実に純粋な意味での援助に近いものをわが国が支出していくということになってまいりますと、その金額がふえるに従って国民的な理解というものが私はかなり必要になってくるであろうと思います。
 すなわち、自分の国の公共投資、あるいはもっと極端に申せば自分の村の橋というようなものと、どこか発展途上国の国民のための港であるとか、あるいは道路であるとかいうものと、いずれを選択するのだというようなそういう問題にまでなってこなければ、本当は純粋な意味での政府援助をふやしていくということはなかなかむずかしい問題になってまいります。従来でございますと、これは貿易の振興に伴うものであるとか、資源の開発に伴うものであるとかいうことで、国民自身にも説明がしやすい、比較的自分の利益にすぐつながってまいりますから、のでありましたが、松永委員の言われますように、純粋に理想的なグラントである、あるいは非常に条件のいいいわば援助であるということになれば、これは国内の国民の直接の利益にはすぐ返ってこないということになってまいりますから、そういう意味での国民的な理解と支援を必要とすることになるであろう。わが国の場合、幸か不幸か、まだ事態はそこまで十分に踏み出しておりません。これは私はなぜかとおっしゃれば、過去のわが国の経済的な力、余力というものが、国内にもこれだけ問題を持っておりますから、その程度のものであったというふうに申し上げるのが一番正確であろうと存じますが、しかしこれは、理想的な意味での、あるいは人類愛的な意味での援助というものにはまだまだほど遠いものである、そういう現状であるというふうに私は考えておるわけでございます。
#218
○松永忠二君 ちょっとややまあ考え方のピントをはずしていられるのですが、やっぱり予算の要求のしかたにも少し工夫を要するのじゃないですか。大蔵省が来ていますが、この経済開発協力の費用も、要するに外務省の例の何%要求の中へ入っているでしょう。何か経済協力について別枠にするとか、別個にまず考えるとか、そういうふうなことは必要じゃないのでしょうかね。私はいま言ったように、諸外国はそういうふうなものから多いのだという話だけれども、これだけ欠陥があるというふうに意識をすれば、努力をすれば、従来でも努力し得る余地はあったのじゃないか、おっしゃるとおりこれだけしかできないということじゃない。そういうことを言うなら、これから国内の予算措置でも財政的に苦しくなって、ほとんど手が出ないという話にだんだんなってくるのじゃないか。やはりよほどこの問題について、本格的に政府の経済協力をやっていく、しかし、これは単に人類愛とか何とかという、人類全体の問題と同時に、日本自身がこれからどういう方向で正しく生きていくかという、発展していくかという面で欠くことのできない要素になってきているとぼくは思うのですがね。
 そういうような面から考えると、あなたのおっしゃったように、従来その程度しかできなかったのだということじゃなくて、やっぱり努力の不足があるのじゃないですか。そしてまた、どこか直していって、改めていって充実をしていかにゃできない段階にきているのじゃないですか、財政的な情勢から見ても。従来のような考え方で予算要求していったんじゃ、これはもう行き詰まってしまうということになりはせぬかと私たちは思うのですけれども、この点はそういうふうなことをお考えになりませんか。
#219
○政府委員(鹿取泰衛君) 事務当局の方から事実関係について若干補足させていただきます。
 日本の援助の質量の評価でございますけれども、外務大臣もお答えのとおり、また先生が御指摘になったとおり、まだ十分ということではございませんけれども、七〇年代、すなわち七〇年、七一年、七二年、七三年と着実に質量の改善を見まして、そのことは十分DACのメンバーからも評価されているところでございます。しかしその後、これは日本ばかりでございません、石油危機後のいろいろな経済困難もありましたために、七三年の翌年、七四年にはそれほどの改善がなかった、まだこれは最終的な統計出ておりませんけれども、そういうふうに足踏みがございますけれども、しかし、全体として見ますと着実に改善はしていた、しかもその改善ぶりについては、ある程度の相当の評価がなされていたということが第一点でございます。
 それから第二点といたしましては、予算の要求のやり方について御批判があったのでございますけれども、わが国の経済協力の予算は外務省関係の予算ばかりでございませんで、主として外務省の所管になっておりますのは、国際協力事業団関係の技術協力、それからプロジェクト的な無償、それから多数国間、特に国連関係の機関に対しますコントリビューションというようなものでございまして、いわゆる円借款の関係は大蔵省所管の予算になっておりますし、さらに、世銀とかアジア開発銀行に対します拠出というものも大蔵省所管でございますし、そのほか、技術協力につきましては、外務省以外にも文部省、厚生省、農林省、通産省というところに分かれておりまして、この分かれていること自体、ある不便さももちろんあるわけでございますけれども、経済協力の予算はそういう各省の予算の全体が経済協力の予算でございますので、その点指摘しておきたいと思います。
#220
○松永忠二君 いま言ったようなお話は、私も各省にまたがっているそのこと自体も整理をする必要が出てきているのじゃないのか。また、いま輸銀とそれから経済開発協力基金と事業団と三本立てになっている。そのことについても、もう少しやはり統一したやり方がないのかという考え方もありますね。
 これは時間もありませんけれども、世銀とかアジア開発銀行のようなところは、むしろ逆にいま言った事業団とか、あるいは経済協力基金というものが一本化になってやっているわけですね、事前の調査もやれば、事実、事業を選択してしかも投資をすると。ところが、日本のやり方というのはそれぞれ違っている。三本立てになっているわけでしょう。だから、そこにも問題があるわけですわね。しかも、輸銀は商業ベースでやる、経済協力基金は商業ベースでないものだ。国際協力事業団は技術協力が中心で投資はしないわけです。今度初めて周辺地域の関連施設に政府で融資することができるようになったけれども、これは輸銀とかあるいは経済協力基金がやっている事業について、その周辺を整備することに金を出すことができることになっているわけです。
 余り時間がないのであれですけれども、もっと政府投資自身、政府の援助自身にもっといわゆる協力というか、関連づけをするような点が必要だというふうに考えられているし、技術協力についても、実は私が、一体民間団体だの、あるいは政府だので技術協力をしているものの団体とか、数を挙げてみよと言ったら、予算委員会で要求したけれども、ついに出せないんです。どこで一体技術協力を、政府の技術協力はわかるけれども、民間でそれぞれやっている技術協力が全然わかっていないわけですよ。だから日本の技術協力自身も、量的に悪くて質的に悪いと指摘を受けているわけですね。何かやはり従来のようなやり方でやれば、ますます財政は困難になってきて、経済協力に回す金というのはますますむずかしくなってくる。従来、余裕のあったときであれだけ国際的に指摘をされたのに、いま言うとおり、十五位とか十二位とか、ちっとも改善のテンポが早まらない。いまあれでしょう、海外協力の閣僚会議が持たれるようになってきたようですね。何かやはり工夫をする必要があるというように私たちは思うので、人によっては、予算要求が全部一緒になって何%以上は要求しちゃいかぬとか、そういう抑制を経済協力基金も全部入って外務省で要求されている。いま対外経済協力関係協議会というものができたじゃないですか。外務大臣、入っておるんじゃないですか、御存じですか。
#221
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、閣僚間の協議会をつくるべきであるという答申がございまして、閣議としてはやがてそういうものを、従来の協議会から懇談会でございますか、正式のものにしようという話をせんだって閣議でいたしたわけでございますが、まだ発足をいたしておりません。
#222
○松永忠二君 そういうこともあり、予算の要求の仕方もやっぱり変えていかなければ、順次改善をしていますといういまの状況で改善していますという状況じゃ、これで予算が少なくなってくればますますそれはなかなか容易なことじゃないと思うのです。だからいま自民党の中でも、海外経済協力についての構想をまとめて、政府自身もいま言うとおり総理府の諮問機関のところからの答申を待ってそういうものをつくろうとしている。やはりよほどその方向を考えて力を入れていかなければ、言うとおり改善はできないのじゃないか、そういうことを強く感じるわけです。
 しかも経済協力というのは、人類全体のためにももちろん必要でもあるし、やらなければできない。そういう中で、日本がその役割りを果たす意味でも、このこと自体について非常に大きな力を発揮していかなければいけないことは事実でありますので、もう少しやはり抜本的な対策をしていく必要があるのじゃないか。
 最後に一つだけ、いろいろなことを聞いてみたいと思ったのですけれども、また改めてやることにして、いま政府の中でいわゆる贈与というのが、いままで賠償という形で贈与をやってきた。ところが賠償がほとんど終わってきて贈与というものが要望されているけれども、なかなか拡大ができない。特に、いま開発途上国の中から、金を低利に融資をしてもらって、病院とか学校とか教育の機関をつくりたい、こういうような要望が出ているけれども、実際日本の国では、経済協力基金は、融資の場合でも産業開発、経済安定の目的でなければ金を出すことができない、輸銀もそうなのです。国際協力事業団は、さっき言うとおり基金や輸銀の出した周辺の事業に投資することができるだけだ。したがって、病院とか学校とか教育の機関を、贈与でなくてもいいから低利に金を貸してつくりたいというけれども、それに応ずる方法がないわけです。
 そこで、いま協力事業団の法律を改正をして、こういうことが協力事業団で仕事ができるようにしていったらどうかというような考え方が出ているわけですね。いま贈与のことを取り扱っているのは、経済協力の第二課たった十人の人だけだという話です。百五十七億もの金を取り扱っているわけです。だからこの贈与を拡大したいという意味で、その贈与を拡大する意味で、それに応ずるというためにも、贈与をするところを仕事をやるところをどこにさせるべきか。それから贈与じゃなしに融資で低利な金を貸せて病院とか学校とか、そういう施設をつくるように応ずるというような、そういう仕事をどこにやらせるか、こういうことについて協力事業団法などを改正をしていく必要があるのじゃないかという意見があるわけだけれども、この点について、やはりそういう要望に応ずる必要があるというふうに私は思うので、これは大臣に検討をしてもらうと同時に、そういう必要性のあることを御存じであるのかどうなのか、この点をお聞きをして質問を終わりたいと思います。
#223
○政府委員(鹿取泰衛君) いま御指摘の問題点について、技術的な、本質的な問題点だけ先に私から申し上げますと、先生御指摘のとおり、海外経済協力基金は産業の開発と経済の安定ということを目的としております。そこで、病院とか学校に対する借款ができるかどうかということで、これは法律の目的をどう読むかということでございますけれども、私どもといたしましては関係各省とも相談の上、どだい先生の御指摘のようなプロジェクト、いわゆる社会開発的なものは案件としてはいい案件でございますので、拡大解釈のできる余地の範囲内ではこれをすることができるようにしたいというふうに協議をしておりますけれども、現実の問題といたしましては、相手国からの要請の順位の問題がございまして、ある国に対する日本の協力の金額にある程度の枠がありますと、その範囲内で先方がそういう病院とか学校というものをプライオリティを上に置いてこないという問題がございます。
 それからもう一つ、国際協力事業団でそういうものができるかどうかということでございますけれども、これは先生御指摘のように、あるプロジェクトの関連ということならば、病院とか学校のための融資もできるようになっておるわけでございます。
 それからグラント、賠償が減っていた場合そのグラントをどうするかという問題でございますけれども、賠償が、韓国はこれは準賠償でございますけれども、韓国とか、あるいは本当の意味の賠償のフィリピン、それから同じく準賠償と観念されるビルマ、それぞれ韓国の場合はことしいっぱいで、フィリピンの場合は七六年まで、ビルマの場合は七七年で終了いたしますので、その後の問題については鋭意関係当局と検討中でございます。
#224
○松永忠二君 最後に。いま局長が言われたけれども、事業団は融資なんかできないでしょう。協力事業団は融資はすることはできない。融資ができるのは、輸銀が商業ベースで融資をする。それと、商業ベースに乗らぬものは経済協力基金が融資をしておるのであって、この事業団自身は融資をするのじゃなくて、事業団は技術協力が中心であり、そしてまた今度事業としてできるのは、基金やあるいは事業団の周辺の事業である。だから、法律的にはできないんだが、あなたのおっしゃったようなことを一時やらせようとしたりしたこともあったんだ。ですから、やはりはっきり事業団なら事業団がそういうことができるように、病院とか学校とかそういうものを、贈与でなしに、金を貸してもらっていいから建てたいというようなものに対して、それに応ずることのできるようにしてやるべきだということが一つです。
 それから贈与自身を拡大をしなきゃできぬと。贈与を拡大すると言っても、贈与の仕事をどこでやっているのかと言えば、いま言うとおり、たった十人くらいの人が外務省の中の一つのほんのわずかなところで贈与の仕事をやっているわけです。だから、そういう贈与というものを順次拡大をしていこうというのなら、そういう贈与のような仕事も事業団なら事業団でできるとか、そういうことをしておかなければ、贈与はもう全部、調査をすることは別だけれども、仕事自身はとにかく外務省の課の中でやっていることは事実なので、こういう点について是正をする必要があるというふうに思うわけです。
 別に私は、答弁をどういうふうにここでしてもらうということを目的に言っているのじゃないのであって、もし私の言ったことが間違いであれば後ほど説明を聞かしていただくし、私の言っていることが間違いでなくて、やはり法的にも整備をして、事業団自身に贈与の仕事をやらせるとか、あるいは贈与じゃなくて融資で、そういうふうな要望に応ずることができるような方法を考えるとか、こういうことが必要であるならそういうことをやってほしいということを私は申し上げている。そのことを要望して、大分実はほかの関係の人も来てもらってもう少し質問するつもりでしたけれども、初めの方が長くなってできませんので、関係の方で御出席いただいた方がありますが、申しわけありませんが、お許しをいただきたいと思います。
#225
○黒柳明君 大臣、昨日ガイラー司令官とお会いになりましたね。けさの新聞でいろいろ内容を承知しておりますが、そのときの核についての部分の要点だけを、ひとつまたここでもう一回教えていただきたいんですが。
#226
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど松永委員からいろいろ、大変御懇切に御指摘をいただきまして、私どもといたしましても御指摘の点よく研究をさせていただきたいと思います。
 それで、ただいま黒柳委員のお話でございますが、昨日ガイラー・アメリカ太平洋軍司令官からいろいろ情勢の話を聞きました中で、日本に米軍として核のための作戦をサポートするための配備等々はしていない、その必要もないという話があったわけでございます。それ以外は、ただいま御指摘のような関連のことはございませんでした。
#227
○黒柳明君 何ですか、核のためのあれをサポートということは。
#228
○国務大臣(宮澤喜一君) 作戦。
#229
○黒柳明君 核のための作戦をサポートする部隊はないということですか。
#230
○国務大臣(宮澤喜一君) つまり、核を使いましての軍事作戦あるいは軍事行動をサポートするために日本の施設・区域を利用することはしていないし、その必要はないと、こういうことであります。
#231
○黒柳明君 そのサポートということですけれども、従来から国会でいろいろ指摘された核を実際に運ぶ可能性がある搭載機あるいは搭載艦、あるいは実際に核を取り扱う可能性がある部隊、そういうものの存在、こういうものについては大臣、サポートという意味について詳しくお聞きしたわけですか。あるいはサポートするものがないということで、さらにそういう点については聞かなかったわけですか。
#232
○国務大臣(宮澤喜一君) このガイラー司令官の説明の背景をちょっと申し上げておきました方が御理解に資するかと思います。概して申しますと、わが国の基地、施設・区域を米軍が使います基本的な目的は、これはたとえば海軍の場合でございますが、非常に防衛的な性格のものであって、海軍について申せば、したがって潜水艦等々をわが国に配備する、あるいはそのために施設・区域を利用するというようなことは、これは現実にやっておるし、必要であるが、いわゆる核兵器関係のものは、それに関連する、というのはサポートという意味と思いますが、そのようなサポートというものは日本の施設・区域には置いておらないし、その必要はないと、そのような関係でいまのような話が背景であったわけでございます。
#233
○黒柳明君 だから、ぼくはそれについて質問した。その答え……。
#234
○国務大臣(宮澤喜一君) という説明がございまして、これは私どもの質問に先方が答えたという形ではございませんで……
#235
○黒柳明君 だから、それをぼくがさらに質問したのに対して、答え。
#236
○国務大臣(宮澤喜一君) 別に私は、それについてさらに質問をいたしておりません。
#237
○黒柳明君 質問してない。それに対してさらに大臣から、国会で取り上げられたような、私が言ったような質問はしてない。
#238
○国務大臣(宮澤喜一君) いたしておりません。
#239
○黒柳明君 やっぱり私も、ホワイトハウスあるいは国防総省ないしは議会関係、当然ハワイで非常に一方の実力者で、ある意味ではホワイトハウスもあるいは議会筋も一目も二目も置く、こういう感触を持っているわけです。ですから、当然その実力者が来たときには、ある意味において核についての日本の国民が持っている疑惑というものを払拭しようという姿勢を持たなければならないのではなかろうか、日本の外交の最高の責任者として。それは、大臣が持つか持たないかの問題であります。
 そこで、いままでわれわれが知るところによると、核についてはあくまでもアメリカの最高の秘密であって、存在についても肯定も否定もしない、こういうようなアメリカ政府のたてまえであったと、こう聞いておりますけれども、相当の実力者が、太平洋の司令官ですから、あくまでも核についての作戦のサポートするものはないと、こうはっきり否定したと、けさの新聞でも、あるいは大臣もそういうふうにおっしゃったわけですが、これはある意味で言うと、従来アメリカ政府が発言しなかった異例な核に対する発言ではないんでしょうか、どうでしょう、大臣の感触は。
#240
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来も米国の大統領その他いろいろな機会に、この問題についての日本国民の国民感情並びに安保条約上の義務をアメリカが履行すべきこと、これについては再三確言があっておるわけでございますので、それに新たに何かを加えたというふうにはこの説明を私は受け取っておりませんが、恐らく先方から進んでこのような説明をされましたのは、わが国にこれについて何がしかの疑惑を持つ向きが存しておるという認識のもとに、進んでこういう説明をされたものであろうというふうに私は解釈をしております。
#241
○黒柳明君 アジアないしはその周辺諸国に戦術核が何発あるだろうとか、あるとか、こういう議会筋ないしその筋からの発言はありました。しかし日本に対しては、国民感情を理解するという程度の発言でとどまっていたのじゃないんでしょうか。それと昨日の司令官の発言とは、全く同じという感触には受け取れないんじゃないでしょうか。はっきりとそれを否定した、存在を。こういうことですから、いままで、私がいま言ったように肯定も否定もしないということがたてまえであり。しかも日本についてはそのたてまえというものは完全に守られてきたのじゃないんでしょうか。昨日のそれははっきり否定したということについてですけれども、アメリカのいままでにない発言と、こう受け取るんですか、どうでしょうか。
#242
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の持ちました印象は、従来とも米国は大統領初め、安保条約並びに条約上の義務を誠実に履行するとしてきたし、今後もすると言っておりますことの意味は、ただいま御指摘のような場合には事前協議という問題があるわけでございます。その義務を履行するという意味でございますから、事前協議というものがなされていない、かつてなされたことがないわけでございますから、そこから論理を進めますと、わが国には核というものは置かれていないということに、条約上の義務を履行する云々から当然になってくるわけだと私は実は考えておりまして、したがいまして、ガイラー司令官の言われましたことが特段に新しい事実を指摘したというふうには、私は実は思わなかったわけでございます。
#243
○黒柳明君 少なくともそういう政府筋ないしは軍当局の最高の人が、はっきり核についても作戦支持部隊は、あるいはそういう機能は日本にはないと否定した事実というのは、過去にないんじゃないですか。ありますですか。
#244
○国務大臣(宮澤喜一君) その限りでは、言われますとおりと思います。
#245
○黒柳明君 ですから、「その限りでは」私はいま「言われますとおり」のことを質問しているわけですよ、その限りにおいて。それ、ちょっと大臣が、ですから国民感情を理解するということとは相当やっぱり違っている。もう明らかに違うんじゃないですか。
#246
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来から事前協議の制度を尊重するということははっきりしておりますわけでございますから、そういうものが置かれていないということは、条約上の義務を履行する、してきたし、今後もするということで私は明らかであると思っておりますけれども、確かにこのように、こうはっきり論理を追ってでなく話があっったのは初めてであろうと言われれば、それはそう考えましても別に間違いではないと思います。
#247
○黒柳明君 間違いじゃなくして、そのとおりなんですよ。そういう発言はなかったということについては、初めてである、私の認識の方が正しいんであって。
 そうすると、何か、これもいま大臣はおっしゃらなかったけれども、報道によると、その後か前か、潜水艦は寄港させてもらっていますとかなんとかいうようなことで出ていましたけれども、その点についてはどういうそれこそ感触ですが、どういう感触を受けられたですか、大臣は。ここはもう感触だと思いますけれどもね。
#248
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたように、わが国の施設・区域を使用しておるその目的というのが非常に防衛的な性格のものであって、したがって核のサポートは必要としない、ただ海上の輸送路等々の確保ということになると、潜水艦というものはこれは不可欠のものであって、現実に潜水艦の寄港等々をしておりますと、こういう説明でございました。
#249
○黒柳明君 いや、私が言ったことは、これもやっぱり国会で論議になったことがあるわけでありまして、事前協議についての核の持ち込み、事前に日本政府としてこれを関知することはできないわけです。ですから、そういうことを踏まえて、潜水艦は寄港させてもらっていますというようなことについて何らかの、これも大臣がいままでの疑惑というものを晴らそうという、そこで構えがあったかどうかということなんです、私が先ほど前提に聞きました。その構えがあるとやっぱりその次の質問が出てくると思うんですよ。いかがでしょうか。
#250
○国務大臣(宮澤喜一君) これは大切な点でございまして、事前協議をするというのが米国側の義務でございます。米国側はその義務を履行しておる、これからも履行するつもりであるということをしばしば大統領以下言明しておられるわけでございますから、それについて私の方から何かを問いただすという必要はない、また、それは恐らく不適当なことであろうというふうに私は考えております。
#251
○黒柳明君 そうですか。全く国会で取り上げられたこと、あるいは国民の疑惑について、一国の外交面を代表する最高責任者がそういう疑惑について全く問いただし、晴らす必要はないと、全く一方的にアメリカが事前協議制度というものを守るんだという国際信用というものを大前提にして、日本の世論は、国会の発言は無視する、こういう前提でこういう方と会われるわけですか、外国の首脳と接触するわけですか。
#252
○国務大臣(宮澤喜一君) むしろ、先ほど黒柳委員が御指摘になりましたその核云々ということの説明を進んで先方がされたことによって、先方の現状、方針を明らかにしたものであるというふうに私は受け取っておるわけでございます。
#253
○黒柳明君 だけど、それはいままでと違わないという大臣の考えでしょう。それだったら、結局いままでと同じであるということを再確認したという感触しかないわけじゃないですか。そうなれば、いままでと全く同じものを大臣が受けとめたならば、いままでと同じレベルきり向こうは進んでないんですから、こちらはもう一歩、核についてのいまの段階における世論というものを何らかの形で踏まえて、それでこちらが質問する、あるいはそれに対して向こうの答弁の出るものはもらって国民のある意味の疑惑を晴らすという姿勢がやっぱり従来欠けていたんじゃなかろうか。これがある意味で言うと対米追従、こう言われる一つの原因にもなってきたんじゃないですか。まあこんなことをやりますと、これは議論のすれ違いでしょう。
 そこで、先ほどもインドシナの問題がありました。いわゆるアメリカ離れという言葉が言われておりますけれども、私は、アメリカ離れということは別に一つの言葉でありますが、現実的にあの中立を志向してきたASEAN諸国が、さらにインドシナのアメリカの撤退からもう一歩中立方向、ということは具体的にはアメリカとの基地協定の解消の方向、まだこれは完全に解消したということじゃないですよ。まあタイの例に見られるような、具体的にやっぱり、抽象的なことじゃないんです。もう東南アジアの、言うならば日本よりもっと――もう私言うまでもなく、フィリピンにしてもタイにしても、米軍の基地があることは別に国民感情でそんな反抗はないんです。日本みたいに安保条約がいまもってある場合にそれが反米反政府につながるような、そういう国じゃない。しかしながら現実は、日本と当然違っています。隣の国でああいう事態があったから、なおさらこれは深刻でありましょう。そういう東南アジアの諸国がさらに中立志向、そして具体的には基地協定の解消という方向で検討を始めているわけです。
 そしてさらに、このインドシナの問題が必ず韓国に何らかの影響を及ぼすであろう、及ぼしているからいろいろ論議も始まっているわけです。そして、韓国の問題は言うまでもなく日本の問題である、こういう日本政府の基本姿勢があるわけです。そうなりますと、あれほどの東南アジアの国でも、これは地理的にあるいはいろんな面で日本と違ったにせよ、具体的に中立志向性をさらに強め、そして基地協定の解消という一つの方向を目指しているにもかかわらず、隣の韓国にある意味での影響が出、韓国の問題は日本だ、こういう基本姿勢を持っている日本が相変らず政府・自民党の安保堅持、こういう姿勢を貫く今日の国際情勢、アジア問題の判断でよかろうか。もうそろそろ中期的にこの問題を、善悪は別にして、何らかの足元から火がつかないうちに検討するときがきているんじゃなかろうか。これが一つ、インドシナのあるいはアメリカ離れという一つの言葉からくる、日本外交の志向するあるいは示唆を受けた一つの点ではなかろうか。こう思うんですけど、あるいは専門家の論調もそういう意見が相当強いわけですけれども、大臣いかがでございましょう。何も政府・自民党が安保堅持、だからすぐやめろ、それに対してどうこうということじゃありません。客観的に見て、もう中期的にはやっぱり検討を相当せざるを得ないようなアジアの情勢、朝鮮半島の情勢になりつつあるんではなかろうか、即日本の問題になりつつあるんではなかろうか。どうですか。
#254
○国務大臣(宮澤喜一君) それらの国――フィリピン、タイあるいは韓国にいたしましてもさようでございますが――とわが国が基本的に異なっておりますのは、わが国は憲法によりまして軍隊を持たないということを決めております。それらの国はおのおの自分の軍隊を持っております。この点が私は基本的な違いであろうと存じます。
#255
○黒柳明君 そうですか。タイが、フィリピンが軍隊を持ち、わが国は軍隊を持たないということが、そういうアメリカとの具体的な基地協定に長期的に依存するという政府・自民党の態度、片方は基地協定を具体的に解消の方向に向かわなければこれはちょっと自立平和が保たれないのではなかろうかという政府の短期的か中期的な見解、それが、片方では軍隊があり、片方ではないということだけでしょうか。東南アジアに外務大臣も行かれ、私も一昨々年です、あの日中正常化のすぐ直前ですけれども、そんな東南アジアの考えじゃないですよ、外から見ると。これは外から見た場合の日本の防衛力、自衛隊の力というものについては、数字で言うまでもなく、これはもう東南アジアの諸国は客観的にわれわれより数段上だという判断をしているんじゃないですか。私はそんな単純というか、軍隊があるかないか、そんなことじゃないと思いますけれどもね。それはあるいは含めて、政府のやっぱり中期的な、もっと言うと長期的なビジョンが、視野が欠けているか欠けてないか、そういう点の方がもっと重いんじゃないでしょうか、いまの問題。さらにもっと卑近的なことを言えば地理的な条件、こういうこと。軍隊があるのかないのかということはその要素の一つにはなると思うんですけれど、非常にその要素としても小さいとは言わなくても、何分の一か何十分の一かの要素じゃないんでしょうか。日本に軍隊がない。現実には軍隊がないと見ますか。二十六万の軍隊と言えば最強じゃないですか。数字で言えば。中国の次だと常時言われているのじゃないんですか。
#256
○国務大臣(宮澤喜一君) 安保条約の運用につきましては、これはしばしばお話のございますとおり、やはり常に改善を心がけていかなければならないと私ども考えておるわけでございますけれども、わが国にございます自衛隊、これも政府がしばしば申し上げますように、この自衛隊の力のみをもってわが国の安全を確保できるというふうには政府は考えておりませんで、やはり日米安保体制というものが存在しますがゆえに、自衛隊というものをあの程度のものにとどめておくことができる。この条約体制がないという場合を想定いたしますと、わが国の安全をいかにして確保するかという新しい問題が恐らく出てまいるということは、これは申し上げても私は間違いでないと思っておりまするので、したがいまして、そのような憲法上の制約のない国々とわが国とは、やはりそこが根本的に異なる点であるというふうに考えておるわけでございます。
#257
○黒柳明君 それよりも一段、数段と重要視されなきゃならないのは、それも含めてと、こう言いましょう、それじゃ。それも含めてもっと政府が、与党自民党が中期的、長期的なビジョン、見通し、それを持つことができる余裕がある、ある意味では。東南アジア諸国の国々よりも地理的条件もある、いろんな経済力の条件もある、そういう余裕が持てるときに、そういうものを中期的、長期的にじっくりと考慮していかなければ、余裕が持てなくなるとき、これはいつ来るかわかりませんよ。そんなことはもう考えられないんじゃないですか、そうなってしまったら。そしていまのうちに何らかのやっぱり変更――先ほど大臣が徐々にいつも改善しなきゃならない。改善なんてしていませんよ。いつもあいまい、中途半端、これが安保の実態であり、ですから日米も有事のときに防衛庁長官が何らかの分担を決めなきゃならないなんて、いまごろ恐ろしいことを言っているわけでしょう。恐ろしいということはある意味においては必要だと、こういう議論もあることはこれはもう当然です。それは非常にあいまいもことしていた。それはある意味ではやはり日本としてはそういう状態の安保でよかったのかわかりません、ある意味では平和ということで。しかし、もう平和というものが、そういうあいまいとした状態で日本がいつまでも許されるときがあるかどうかというのは疑問なときですよ。
 だから、せんだっては上院の軍事委員会で、東南アジアの兵隊はグアムまで撤退すべきだと、大臣も知ってのとおり。まあこれは政府の見解ではない、上院の軍事委員会の見解だと、こういう後からコメントが出てきました。マンスフィールド上院議員も同じことを言っています。しかし、一上院の委員会の問題でも、あるいは民主党の院内総務の意見でも、当然いざとなったとき自国のために使えないような自国の軍隊、日本の安保条約ないしは日本の国で縛られるような軍隊だったら、そんなのは沖繩、日本に駐留する必要はないという意見がアメリカに出たことはあたりまえだと思いますね。特に、ああいうインドシナで緊急事態の発生したとき、そのときにおいては、しかも今後そういう可能性がますます起こってくる。そのときに、全く日本に手足を縛られるような米軍が沖繩にいたってしょうがない。軍事委員会ではグアムまで撤退させろと。マンスフィールドも同じことを言う。あるいはよく言われたように、アメリカから一方的に安保破棄だと、こういう事態だっていつか迎えないという断定はないわけじゃないですか。アメリカのこういう一有力な上院議員あるいは一軍事委員会の議論、これについて大臣はどういうふうに受けとめ、これをただ一軍事委員会だから、一上院の院内総務の意見だから、政府の見解じゃないからといって無視するのか。それとも、こういう非常に各層に重要な影響力を持つ委員会なり議員なりが発言し、しかも現実にこういう問題が目の前にあるわけですから、これに対して大臣はやっぱり何らか考えて、日本の安保の政策、必ずしも変更と言わなくても、先ほど、いつも改善しなきゃならないと。してやしません、何もやってやしません。もっと前向きにこれを参考なりあるいは重要な意味としてとって、日本の将来のために考慮をしなきゃならないと思うんですが、大臣はどうですか。
#258
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題は、御承知のように安保条約第五条に規定をしておるところでございますので、アメリカの軍隊の配備が今後どのように仮に変更せられましょうと、この安保条約第五条の義務は当然に存在をし、履行されなければならないものでございます。したがいまして、安保条約がございます限りにおいて基本的には問題はないということになろうと思いますが、御指摘のように安保条約がアメリカ側から廃棄されるというようなことになりますと、これはわが国の安全保障の体制にやはり基本的な再検討を必要とする事態であろうと、論理的には私はそう考えます。考えますが、しかし、安保条約が破棄をされるような事態というのを私どもただいま予測をいたしておりません。
#259
○黒柳明君 当然、全くこれはだれも予測できないわけです。インドシナの問題だって、アメリカだって国予測しなかったと思います。それがああいう事態になったわけですから。八月には総理訪米、当然外務大臣も行かれますね。あと国会もこれから外務問題は、若干核防なんかありますけれども、国内法が中心で大臣もそんなに国会で頭を悩ますことがなくして、訪米のことも、これからの安保体制のことも、まあ予算がありますか、六、七、九、十とありますが、その四日間だけちょっと勉強していただかなきゃならないと思うんですけれども、八月の訪米、総理、外務大臣相あわせてこれは実力者が行くわけですから、そういう時点においてはやっぱりいま言ったような、くどいようですけれども、有力な委員会ないしは議員の日本に対する意思、そういうものについて相当理解を深めて、安保に対しての中期的、長期的な検討をしませんと、またこの次のやがては外務大臣は、もういまの宮沢外務大臣よりもっと頭のこちこちであることは間違いないわけなんです。ですから、せめてこの機会に、アメリカが変化を起こした、東南アジアが相当に変化を起こしている、そして朝鮮半島が、日本が、という可能性もいろいろうわさされている。また現実に発言も北側から出ている。そのときにやっぱり日本が、アメリカからもいま言ったような発言、考え方が出ている。日本だけですよ大臣、ある意味ではぼうっとしていらっしゃる。ある意味では天下太平なんです。ある意味では余り考えない。ある意味では国会でこうぐにゃぐにゃ答弁して、第五条ではなんてやっているのは非常にこれは時代錯誤、おくれています。
 まあ国会での公式な発言ですから、これはもう大臣がどこかで飲んで雑談するときの感触というわけにいかないと思います。そこまで砕けなくても結構ですよ。ですけれども、真剣にやっぱりこのことを考えて、それを踏まえてのいまの発言というようには私は考えられません。ひとつ八月に行かれるときには、このいろいろな情勢変化、なかんずく向こう側の安保に対する、在日米軍の存在あるいは在日米軍基地に対する問題、安保だってそういうことですからね、もっと具体的に言うと。これに対しての見解をはっきり聞きまして、そして安保に対しての先ほど言った改善、いつも改善するんだ、そんな改善なんかしてない。具体的に改善すべき余地があったら改善するという踏ん切りをつけるぐらいのやっぱり相互の理解、ディスカッション、それで大臣の日本国民感情を踏まえての、日本の国益を踏まえての発言をしてきてもらいたい。どうですか。ちょっと私の言い方はオーバーかな。どうですか、大臣。
#260
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国に、施設・区域を米国が国内で使用しております結果として、確かに時として国民感情上好ましからないような事態が発生をいたします。これはまことに残念なことでありまして、そのつど米国側の注意を促し、注意を喚起しておるわけでございます。こういう問題につきましては、確かに政府としてもさらに努力をいたす必要はございますし、また沖繩等に見られますように基地の縮小、再編成、整理といったようなものも現在進行しつつありますことは御承知のとおりでございますから、安保条約の運用そのものについては、お言葉ではありますけれども、やはり常に改善をし、これが摩擦の原因にならないように努力を怠ってはならないと考えておりますけれども、安保条約そのものが廃棄される事態ということになりますと、これはただいま御審議をいただいております核防条約にいたしましてもさようでございますが、わが国の自衛隊のあり方等々につきましても基本的にやはり再検討を必要とする大きな問題になろうと考えておりまして、私どもとしては、したがいましてそのような事態を現在は予測をしておらないようなことでございます。
#261
○黒柳明君 もっと小さい問題。沖繩で米軍の不祥事件が多発しております。連続しています。あるいはつい先だっては横田で基地の従業員が事故、その原因調査が全く日本の官憲の手が届かない。これはまあ大臣がいま言ったように協定上そうなっている、しょうがない。しかしこういう問題、やっぱり大使館を通じてしかるべきところにいっていることは間違いない。しかし八月の際は、こういう大きなことではどうも発言が余りぴんときません。このことは厳重に最高の責任者に申し入れるべき問題だと思いますけれども、当然その意思ぐらいはあるでしょうね。沖繩の米軍の不祥事件、あるいは日本の、つい隣りで人一人死んだったってこちらは何ともわからない。家族は、もう十幾日になりますか、ただ米軍の調査の推移を待つばかり。これは協定が幾らあるといったって、これは日本人の国民感情から見れば本当に憤慨にたえないことなんです。そういうことは大使館を通じてという機会があるわけですから、この際厳重に大統領に、こういう事件が多発している、こういうことを踏まえて、そして、安保に対しての長期堅持という姿勢を崩せと言ったって無理でしょうから、改善すべき地位協定なんか、これもやっぱり国会で取り上げられております。せめてそういう問題については日本人の同時調査ぐらいは認めるぐらいの発言はすべきじゃないですか。向こうの調査が先行するまではこっちは何にもできない。調査資料を見てからこちらはそれについてまた伴う。そんなことじゃなくて、そのくらいのことは申し入れできる可能性はあるんじゃないですか、三十年も経っているんですから。大きな問題はいざ知らず、どうですか、地位協定の若干の手直しぐらい。
#262
○国務大臣(宮澤喜一君) 何よりもそのような事件、これは明らかにアメリカ側の軍規の弛緩から生まれたと考えられるような事件が少なくともあるわけでございますので、これらについては軍紀の振粛について注意の喚起を、現に最近も私が米国の大使を招致いたしまして、いたしたわけでございます。ですから、何よりもそういう事件が起こらないこと、これを米国、米軍に求めるということが私は大切なことであろうと存じます。
 地位協定そのものについてただいま御言及があったわけでございますが、わが国の地位協定はNATOの地位協定と同じようなパターンでできておりまして、政府としていまこの地位協定の改正を考えるということは、私ども考えておりません。運用によりまして改善をすべきものはこれを改善をいたしてまいりたいと思っておりますけれども、協定そのものを改正するということは政府はただいま考えておりません。
#263
○黒柳明君 その運用については、いまの基地内における事故、まあ事故であるかどうかわかりません。それについては全くなくて、運用も改善されてないじゃないですか。運用面だって改善されてないじゃないですか。運用面、改善しなさいよ。地位協定まで改善すると、これはNATOの問題もあるとかまたややこしいでしょう。政府の立場もわからないことはない。だけど、具体的に運用は改善できるんじゃないですか。その面についてはやっぱり調査権――私はいまここでどうこうしろなんて言うことはできません。ですから、少なくとも基地内における事故について、これについては米軍の直接の行為であれ、いまは直接の行為じゃないわけです、燃えてしまったアスファルトの散布車がどうだったこうだったと。燃えてしまってなくなっちゃった。なくなっちゃったものを米軍がどう調査しているのか、非常に疑問ですね。私が調べた結果、時間があれば施設庁に聞きたいんだけど、時間がありません。そういう直接日本人の運転手が何らかの欠陥があったかどうかわからない。アスファルト散布車によって焼け死にした日本人、それが基地内だというためにだめなんですね、日本の調査権は。何もアメリカの調査がだめだということが結果として出るかどうか、そんなことを言っているわけじゃないですよ。だけど、少なくとももう二週間もたつ時点において、全く日本がこれに対して調査もできない。そうすると疑惑が出てくる。アメリカ側の責任を何らか調査の段階で隠すという意図があるんじゃないか、こう受け取られたってしょうがないんです。そういうものについて、少なくとも国際的に地位協定が改善できないならば、運用面を改善するという申し入れなり努力をしなければ、まだ基地がある。宮澤さんとしては置いておきたいと言う。事故はそれに伴って起こる可能性があるんですから、それについて運用面でもせめて変えようという意思があるならば、この際はっきりトップ会談、やっぱりマンモス作戦ですよ、そこらの大使館あたりでごちゃごちゃやったってだめです。そこではっきりそのことを言って、上から下へおろしなさいよ。大丈夫だ、アメリカ、そうすりゃイエスと言ってみんなぱっぱっぱっときますから、なびきますよ。どうですか。もう現実に横田で起こっている。横田だけの問題じゃないですよ、これ。運用面、変えなさいよ。
#264
○国務大臣(宮澤喜一君) いま具体的なケースを離れまして、一般論として考えまして、基地協定の運用の改善については、実は先般来私も先方に申しておる点も一、二ございまして、絶えず私検討をしていかなければならぬと思っております。
#265
○黒柳明君 一、二って、どんなことですか、たとえば。
#266
○国務大臣(宮澤喜一君) これはお互いに検討しょうということでいるわけでございますので、ただいま申し上げることは御遠慮させていただきますが、両国の国益のためになるような点ならば、ひとつこの協定の明文に違反しないという範囲でいろいろ運用を改善すべき点があるのではないかということを実は申しておるわけでございます。
#267
○黒柳明君 すみません、これで最後です。
 たとえば私がいま言った横田に起こっているような問題も、当然その運用の改善面に入っていますね。
#268
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は横田のことは、私がいないときで、私はつまびらかに実はわからないわけでございますけれども、一般に運用の改善を考えるということでございます。
#269
○黒柳明君 入っていますか。いまのそういう例も含めて運用改善しようと思っていますか。基地内における直接米軍がタッチした、さらにいまの問題は米軍が直接じゃない。いろんなケースがあるでしょうけれど、せめて私は、米軍が直接関係あったってやっぱり問題があると思う。いまのは米軍が直接じゃないんだから、そんなのにも基地内だからということですべてこちらの調査が届かないなんということは、これは全く運用改善する意思がないと。どうですか。
#270
○政府委員(山崎敏夫君) 横田に起こりました事件に関しましては、施設庁の方で現在米側といろいろ折衝しておられるわけでございますが、米軍が基地について管理権を持っておりますために、一つ一つの交渉について向こう側の同意を要するというふうな問題はございます。これは地位協定のたてまえ上、管理権を向こうが持っている以上やむを得ない事態でございますけれども、やはり調査については全面的に協力してもらいたいし、また迅速にこちらの要請に対してはこたえてもらたい。また、向こうの調査結果についてもできるだけ早く知らしてもらいたいということは、われわれとしてもアメリカ側に申し入れしていく所存でございます。
#271
○立木洋君 インドシナで新しい事態が起こりましてから、すでに一カ月余りたつわけですが、大臣、大局的に考えられて、アジアの新しい情勢をどういうふうに御認識されておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
#272
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども触れてお答えをしたところでございますが、やはり各民族が自分たちの意思によって自分たちの将来を決めていきたい、こういう大きな動きになっておると思いますので、したがいまして、いわゆる大国のおのおのがそれについて干渉をしない、民族の定めるところによって自立自決をさしていくということがきわめて望ましい、そういう状況と考えております。
#273
○立木洋君 大きく言えばそういうことになるだろうと私も思いますけれども、しかし一方では、部分的にはやはりアメリカのコミットメントを十分に果たしていただきたい、あるいはアメリカとの関係を一層強めたい、そういう動きもアジアの一部にはあるというふうに感じられませんでしょうか。
#274
○国務大臣(宮澤喜一君) そのように考えておる国もあると見ております。
#275
○立木洋君 そこで話を具体的に進めていきたいわけですが、先般のマヤゲス号事件が起こりましたときに、外務大臣が五月二十三日、衆議院の外務委員会でお答えになった内容を見てみますと、アメリカのとった行為は国連憲章五十一条に基づく自衛措置と見ざるを得ないという判断を述べられたように聞いているわけですが、現在でもそのようにお考えでしょうか。
#276
○国務大臣(宮澤喜一君) その私の発言には実は前提がございまして、この事件については一方の当事者であるカンボジア側から何ら公の意思表示、説明がないので、いわば両方の主張を比較検討することがわれわれにできない。そういう前提のもとに申し上げますならばと申し上げまして、このマヤゲス号というのが、米国の説明によりますれば、公海上を運航しておった、あるいはもし何らかの主張によってそれが何国かの領海に含まれる区域であったと仮定をしても、少なくとも無害航行をしておった、こういう説明で、それに対する反論というものがなされていないという現状で考えれば云々と、こう申し上げております。
#277
○立木洋君 先ほどのアジアの情勢に関しての外相の御認識からいいますと、私はそういう判断を仮に推定であるにしろなされたというのは、きわめて大切なことだろうと思うんです。私は大変不思議に思うのは、当外務委員会におきましても何回かパリ協定違反の問題について外務大臣にお尋ねをしたわけですが、ほかの委員の方も尋ねましたけれども、そのときの大臣のお答えによりますと、いわゆるパリ協定違反の件に関しては、国際監視委員会が機能を果たしていない、われわれは当事者でないので有権的には判断する立場にはないというふうな答弁をされましたし、またSR71の問題に関しましても、事実関係が明確でないので認識する立場にはないというふうな御答弁になったと思うんです。そうするならば、マヤゲス号事件においてはアメリカ側一方しか当事国が事態を発表をしていない。カンボジア側からは十分な情報を入手するわけにはいかない。ましてや、もちろん日本はこの両当事者でもないわけですし、その場合に、外務大臣はこのマヤゲス号事件に関して、アメリカの態度を自衛の措置という判断をされた根拠が一体どこにあるのか。前者の場合にはそういう判断を下さず、慎重な立場をとりながら、この事件においてのみそういう判断を下したという根処についてお聞かせいただきたいと思います。
#278
○国務大臣(宮澤喜一君) 関係の両当事者の言い分が矛盾をしております場合には、われわれとしては判断を下すことが事実上むずかしゅうございますし、またパリ協定のように、明らかにいわばレフェリーが設けられておりますときに、レフェリーが機能をしないというときにはこれは判断がむずかしいと申し上げる、これはどうもやむ得ないことだと思うのでありますが、このマヤゲス号のように、片側のステートメントしかございませんで、それに他の当事者が反論をしていない。していないと申しますよりは、少なくともわれわれの知る限りでは公に発言をしないということになりますと、そのような前提の上に立ってではありますが、明らかにされたデータからはこう考えられます、こう推定されますと、そう申し上げたのでありまして、はっきり前提をつけて実は申し上げております。
#279
○立木洋君 私は前者の、先ほどのパリ協定等々で述べられた外務大臣の立場から言うならば、この場合においても片一方側からしか述べられていない、事実を確かめる立場にないから、この問題に関しては現在の日本の立場としてどう判断するかは、判断することができないというふうに述べられる方が私は当然だと思いますけれども、そうではないでしょうか。
#280
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうお答えの仕方も私はあろうと思います。ただ、あの場合、片方の主張というものが主張としてはかなり鮮明であり、それを疑う他のデータがあらわれていないということから、一応前提を設けてあのように申し上げたわけでございます。
#281
○立木洋君 私はやはりこのマヤゲス号事件に関する、推定という前提を置きながらも述べられた外務大臣の発言というのは、多分に政治的な発言ではないだろうかというふうに私自身は考えざるを得ないわけですが、この点はまた議論をしますとすれ違いになる可能性があるので、前に話を進めたいと思います。
 御承知のように、アメリカとカンボジアとの関係が、これは宣戦布告状態ではもちろんないにしても、敵対関係にあったということは当然大臣も御存じであろうと思うのです。現に五年近くにわたってアメリカがカンボジアに対して行った爆撃、この爆弾の量というのが、ニューヨーク・タイムズによっても二十五万トンですか、というふうな数字が出されておりますし、カンボジア自身がどれほどアメリカのああいう侵害に苦しめられてきたかという状態にあったということは、これは民族自決の流れというふうに大臣おっしゃるわけですから、やはり大国の支配から逃れたいという希望をインドシナ諸国の人々が持ってきたという観点から見るならば、この感情は十分にくみ取ることができるだろうと思うんです。
 ましてや、タイが重要な基地になってインドシナに対する攻撃が続けられてきたわけですし、仮にあのアメリカの貨物船自体を調査した結果は明白ではありませんけれども、カンボジアの側として考えられることは、あるいは軍需物資を積んで航行しておるかもしれない。さらにはカンボジア側の情報によりますと、情報相が述べられておるスパイ活動ですね、これが行われる危険というのも多分にある。こういうふうな条件にある状態の中で、カンボジア側は領海内と言っておりますし、アメリカ側は領海外と言っておりますけれども、これは論争の一つの問題点でありますけれども、こういう領海内、あるいはアメリカ側で言う領海外、こういう近海を通る場合に、カンボジア側がとった態度を、これは不当な海賊行為であるというふうなキッシンジャー発言がありますけれども、宮澤外相はそういうキッシンジャーの発言と同じようにカンボジア側のとった行為を認識されておられるわけですか。それとも、多少なりともカンボジア側に言い分があるというふうにお感じなのかどうか。その点はいかがですか。
#282
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、海賊行為というようなことばを使ったことはございません。
#283
○立木洋君 ええ、それは聞いておりませんけれども。
#284
○国務大臣(宮澤喜一君) その後、判明したところによりますと、マヤゲス号は香港に着岸いたしまして、各国の新聞記者が搭載の荷物の抜き取り検査を任意に行った、その結果、いわゆる軍需物資等々あるいはスパイ施設等は発見するに至らなかったという報道がございました。これもしかし、あくまでもカンボジア側の確認なり何なりを得ておるわけではございませんから、依然として情報は片側にしかないということになるわけでございますが、しかし、そういう事態の中で、私は海賊行為だということを申したり考えたりしたことはございませんが、少なくとも公海あるいは無害航行であったということはほぼ認定できるのではないであろうか。もちろん、片方の情報が欠けたままの推定という前提のもとでございますが、さように考えております。
#285
○立木洋君 いや、つまりカンボジア側がとった行為が全面的にこれは不当であるという御認識なのか、あるいは多少なりとも理があるというふうにお感じなのかという点なんですが。
#286
○国務大臣(宮澤喜一君) それでございますから、厳密に申しますれば、カンボジア側の説明というものを受けておりませんので、推定で物を申し上げるしかございませんけれども、無害航行をしておる船に対して砲撃を加えて、これを拿捕するということは、これに対して自国民保護のためにアメリカ側が救援に出る、そのこと自身はやはり五十一条の自衛的な行為であろう、一応そういうふうに推定をしておるわけでございます。
#287
○立木洋君 私はこのマヤゲス号事件ということを、この事件だけを取り上げて云々しているのではなくて、いわゆるこれまでに至ってきたカンボジアとアメリカとの関係ですね、アメリカが大国としてインドシナにこれほど長い間干渉、介入、侵略をしてきたという、そういう背景から考えてみて、また先ほど大臣自身が言われたように、大国の支配を逃れようとする、みずからの運命をみずからが決めようとする、そういう民族自決の流れがアジアの大勢になりつつあるという判断から見て、やはりきわめて危険性があるこういう事態に対してカンボジア側がとった態度に対して、外務大臣自身が、もちろんカンボジア側から情報得てないからとおっしゃるわけですが、こういう行為に対して何らかの同情といいますか、一定の理を認めるというか、そういうふうな判断はなくて、やはりアメリカ側にすべて正があって、カンボジア側のとった行為は非であるというふうに言われるわけですか。
#288
○国務大臣(宮澤喜一君) 現実にマヤゲス号が軍需物資を積んでおらなかった、スパイ行為をしておらなかった、それにもかかわらず拿捕されたということであったといたしますと、これはカンボジア側の行為に対して十分理由があるとは申しにくい。いや軍需物資を積んでおった、あるいは積んでおったと誤認をしたというようなことでありますと、またそこに何かしか見方か違ってまいるかもしれませんけれども、現実にそのいずれの条件も欠けておったといたしますと、これを拿捕したということはやはり正当な理由があったとは申しにくいのではないかと思います。
#289
○立木洋君 あそこの五月に入ってからだけの事件を考えてみましても、たとえば韓国の軍事砲艦ですか、これがカンボジア近海に入って、何と言いますか、排除されるという事態になったとか、あるいはパナマ船が領海に入っていって、三日間拿捕されて調べられた結果、釈放されたというふうな事件が起こっているわけですね。先ほど大臣が言われましたように、つまりインドシナにおける、あるいはアジア全体におけるそういう大国の支配から逃れてみずからの運命をみずからが決しようとする、そういう流れに対して、大臣自身はそれを支持される、支持すべき流れであるというふうにお感じなのか、あるいはそういう流れは困るというお考えなのか。あるいは支持されると言わないまでも、同情できる、あるいは理解できる、どういうふうにこういうアジア全体の流れについての、大国の支配から離れるという傾向をお考えになっておられますか。
#290
○国務大臣(宮澤喜一君) 民族が自分たちの力で自分たちの将来を決しようという流れについては私は理解もいたしますし、支持もいたしますが、それはしかし、国際的に認められた国際法あるいは国連憲章等々に違反する形で行われてもよいものだというふうには私は考えておりません。
#291
○立木洋君 先ほど自衛の措置だというふうに言われましたけれども、その点、大臣の言われた発言を前提にして私は質問するわけですが、自衛権を行使する場合、これは無制限に自衛権はどういう場合でも行使していいということにはならないと思うわけですが、一定の制約なり要件が必要だと思うのですけれども、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#292
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま抽象的にお述べになりました限りでは、そのとおりだと思います。
#293
○立木洋君 その要件についてはどういう要件があるのか、松永さん。
#294
○政府委員(松永信雄君) 一般的に、一般国際法上の自衛の措置を正当化されます限度と申しますのは、他にとる方法が、手段がなかったという場合、それから攻撃ないし武力行使を排除するのに必要な限度ということが言われておるところでございます。
#295
○立木洋君 二つですか。
#296
○政府委員(松永信雄君) もう一つ、その自衛の措置に出る行動を起こしますための理由といたしまして、武力攻撃が現実に発生している、急迫不正な攻撃が加えられているということというものが一つの要件にはなっておりますけれども、とられます自衛の措置については、先ほど申し上げたようなことが通常言われているとおりであります。
#297
○立木洋君 その要件というのは、やはり国連憲章五十一条の条件として考えてもいいわけですか。
#298
○政府委員(松永信雄君) 当然そのように考えております。
#299
○立木洋君 これは一つは急迫不正の侵害が生じた場合ということなわけですけれども、事件が発生して二日後ですね、アメリカ側が攻撃を開始したのは、武力行使を開始したのは。これはたとえばエクアドルでアメリカの漁船が拿捕された場合、アメリカはこれに武力行為を行っていなかったわけですね。カンボジアに対しては、こういう二日後に直ちに武力行為を行った。そしてこれがこの国連憲章五十一条でいわれている自衛権行使の三つの要件、その条件になるというわけですから、こういう急迫不正の侵害ということで二日後に武力行為をとったということが正当化できるかどうか、その点いかがでしょうか。
#300
○政府委員(松永信雄君) 先ほど大臣が申されましたように、私どもが聞いておりますのは、アメリカ政府の側から聞いております説明なり通報なりを受けておるわけてありますけれども、アメリカ政府としてはできる限りの手段を講じた。すなわち、外交チャンネルを通じて拿捕をされた船舶を釈放するようにという要請をいろいろと試みた。あるいは国連の事務総長に対しても要請をした。しかし、それに対して反応がなく、かつ船舶に搭乗していた船員がよその国に移されるという状況が出て、実力をもって介入をしなければ救助することができないという判断に達したというふうな話を聞いているわけでございます。
#301
○立木洋君 エクアドルに対してとったアメリカの態度と、カンボジアに対してとったアメリカの態度というのは、その事件だけを取り上げてみれば違った対応のされ方をしておる。だからこれはやはりその背景ということをわれわれは考えないと判断できないと思うのです。そうした場合には、ああいうインドシナで新しい事態が起こって、アジアの諸国から言えばいわゆるアメリカの威信が低下した。そういう低下を食いとめるために、あるいはアメリカの信頼を何とかしてつなぎとめようとする、そして事を起こせばやはりやるのだぞという力の政策を、これを明らかに見せつけて、アメリカとしての威信を保つ、そういう政治的な考え方がアメリカにあったというふうには考えられませんか。これは条約の問題でないから外務大臣から。
#302
○国務大臣(宮澤喜一君) これは何とも推察の問題でございますけれども、これについてのキッシンジャー国務長官の正式の説明は、三十数名でございましたかの自国民の人命を救わなければならないということから行動に出ざるを得なかった。その結果として、ただいま立木委員が言われたようなことが、威信の高揚に役立ったということが仮にあったとすれば、それは全く偶然に生まれた偶発的な効果であったであろう、こういう説明をいたしておりますので、主たる目的ははっきりいたしておると思います。
#303
○立木洋君 参考までにニューヨーク・タイムズ五月十五日号、これはもうお読みになっているかもしれませんけれども、そこではマヤゲス号事件に関して、「外交に力を行使することが今でもアメリカのトレードマークになっている。アメリカ政府はまたも、行き詰りを打開するには力しかないと思っていることを示した。おそらく世界各国もそのような印象を受けたのではなかろうか。」だけれども、日本政府当局はそういう印象は受けなかったようでありますが、このニューヨーク・タイムズによれば、さらに「アメリカの今回のカンボジア爆撃は法律的にも疑問がある。」ということすら指摘をしております。
 このことをよく物事を考える場合の一つの参考にしていただきたいと思って、私自身の言葉ではあれでしょうから、このニューヨーク・タイムズを引用させていただきましたが、もう一つは、その自衛を行う場合の三つの要件の一つとして、他に全く防衛する手段がないという場合ですね。そういう場合に武力行使というふうなことが自衛権を行使する場合に認められるということがあるわけですが、ワルトハイム国連事務総長の十九日の記者会見によりますと、アメリカが国連にマヤゲス号事件の平和解決を要請してきたのは、米空軍がカンボジア海軍の砲艦攻撃開始後すでに二時間たってからである、国連が介入して成功する見込みがほとんどないことは明白である、きわめて遺憾な形で記者会見で述べられております。つまり、他に全く防衛する手段がないときにのみ自衛権の行使が認められておるけれども、他に手段をとるということが事実上武力行使を開始した後であったという問題に関しては、アメリカのこの他にいろいろ方法を考えて解決しようとした意図そのものがやはり疑われるのじゃないか。この点についてはいかがでしょう、外務大臣。
#304
○国務大臣(宮澤喜一君) これも片側の説明、発表に基づいて申し上げるしかないのでありますけれども、アメリカとしては早急に、カンボジアに接触があると思われる第三国を通じてカンボジアに対して要請をいたしたようでございます。しかし、その会話が恐らく全く通じなかった。結果としてはそのようでございまして、したがって国連に、ワルトハイム事務総長に対する通告のタイミングについては私よく存じませんけれども、そういう意味では、念のためと申しますか、もしここにも道があればという、ことに五十一条との関連がございますので、そういうことで国連にもワルトハイム事務総長に通報したのではないのであろうか。主たるダイヤログの方法としては、第三国をいち早く使おうと試みたようにアメリカ側は説明をいたしております。
#305
○立木洋君 アメリカの弁議の説明ばかりを聞いておって、どうもしっくりしないわけですが、問題は、先ほども言いましたように、事件が発生してもう二日後には武力行使を開始している。現に同じ五月中に行ったパナマ船がカンボジアで拿捕されたという場合には、三日後に釈放されているんですよね。こういうことがすでに五月という同じ時期内に行われた。しかし、二日間ほかにいろいろ平和的な解決をするという手段を講じる。講じなかったならばこれはいろいろ後から非難を受けるだろうと思って行ったのかどうか、そこまで邪推すれば行き過ぎかもしれませんけれども、しかし、そういう二日間というきわめて短期間に武力行為を開始したということは、私はこれは他に全く防衛する手段がない場合の自衛権の行使だというふうには考えられない。
 その点についてまた答弁いただいてもあれですから、私の意見だけ述べさしておいていただきますが、第三の要件について、自衛権を行使する場合には必要限度にとどめるということになっているわけですけれども、今回の場合、必要な限度にとどめた、仮にアメリカが自衛措置を行使したというならば、とどめた行為であるのかどうなのか。現にこの報道によっても明らかですけれども、カンボジア側は釈放を発表し、十五日午前六時、現地時間ですけれども、マヤゲス号と乗組員を釈放地点まで連行して釈放した。その釈放した後、三時間後にいわゆるアメリカの飛行機がカンボジア本土に出撃して、シアヌークビル港の郊外のカンカン空港基地及び石油精製所及び倉庫、こういうところに爆撃をしておる。釈放されたということが明らかになった後こういう爆撃を行っているという行為が、いわゆる自衛措置の行為だというふうに言えるのかどうなのか。一体これは拿捕されたいわゆる乗組員を救出するという名目ともまさに関係がない。事後ですから。この件に関しては大臣、いかがお考えですか。
#306
○国務大臣(宮澤喜一君) まず前段でございますけれども、これに対します説明は、一定の時間以内に救出をいたしませんと、この三十数人の人々はカンボジア本土に連れていかれるであろう。その場合には、これに対して救出活動をするということは当然カンボジアの本土に再び戦争を起こすということになりますので、いかに自衛でありましょうと、これは問題が大き過ぎますというのが判断であったのだという説明でございます。これは私そのとおりだと申し上げるのではない。そういう説明になっております。
 さて、後段の問題ですが、これも説明によりますと、そういう救出作戦に対してカンボジア側がそれに妨害を試みる危険がある。その妨害が起こらないようにシアヌークビル――コンポンソムですか、飛行場に対して攻撃を加えた、こういう説明になっておるわけですが、その辺になりますと事実関係は私どもにいかにもはっきりいたしませんし、事実そういう危険が現実にあったものであるかないか、いよいよここらになりますと、もう片側の説明というものがなければいかにも判断を加えにくい、そういう状況と私は思います。アメリカ国内にもこれについては議論が何がしかあったようでございますので、いかにも片側だけのところからは判断が加えにくいという感じがいたします。
#307
○立木洋君 やはり大臣自身みずからもお認めになったわけですが、片側からのあれだけでは判断しにくいと。ですから、私が最初申し上げたように、この事態というのは、一方側からの通告だけで自衛の措置と推定される、いわゆる判断されるという判断自身を外務大臣がなされたことが正しくなかった。大体事実関係が明白でないということが、一つ一つの事例を挙げれば大臣、そのとおり、そうだと。片側だけのアメリカ側の通報によればこうだ、そういう説明を受けました、しかし事実関係はどうかということは判断しにくい、すべて事実関係に関してはそういうふうにお述べになるわけですから。
 しかし、先ほど来言われましたように、議論されてきましたように、民族自決の流れは支持する、理解もすると言っているわけですから、こういう重要なアジアの流れの情勢の中で、軽々にアメリカのとった行為をいわゆる自衛の措置であると、まっ先に日本の外務省がそういう態度を表明しなくても、私は何らかかわりないと思う。なぜそういう態度をとる必要があるのか。やはりそこに私は問題は帰着する。パリ協定の場合にはああいう慎重な態度をとられて、有権的に判断する立場にないと言われたし、事実が不明であるから認識する立場にないとまで言われた宮澤外務大臣が、なぜこの問題に関してのみ、事実が判明しないにもかかわらず、そういうアメリカの行為を支持する立場をとられたのか、明らかにこれは政治的な判断であるというふうに言われてもやむを得ないんじゃないですか。どうでしょう。この件に関してはやはり事実関係をもう少し検討すべきであったというふうにお感じになりませんか。
#308
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、この事件の展開の時期を追いまして多少ニュアンスが私はあろうと思います。すなわち、推定ではございますが、私はこの三十何人の自国民保護に出かけたことは恐らく自衛の範囲に入ることであろう、推定でございますが、私いまもそう思っておりますが、その最後の部分は、これはそれが過剰防衛であったかどうかということにかかわる問題でございます。自衛であるということは私は推定をいたしますが、それが自衛の範囲を逸脱して、やや過剰であったかどうかということになりますと、相当因果関係のような問題になりますから、そうなりますれば、やはりこれはもう少しその部分は詳細に事態がわかりませんと判断をにわかに下せないのではないかと、こう申し上げておるのでありまして、最初に起こりました事態、それから最後の部分とは、これはやはりニュアンスが私はあるであろうというふうに考えております。
#309
○立木洋君 東郷外務次官が述べられた記者会見での発言ですか、それについてもいろいろ解釈説明を大臣がなされた。最初の時期ああいうふうに推定されたんだろうというふうな話もあったわけですが、だから、これはだんだん事態が明らかになってくれば、問題がより明白になるわけですよ。いまの時期にまだわからない問題がある。将来になればさらにはっきりし、そうするならば、自衛の措置であったというふうに言えないという事態もより明らかになるかもしれない。そういうことまで考えて、やはりいまのアジアの大きな流れの中で民族自決の流れを支持されるということを明確に大臣が言われるならば、こういう事態に関してはもっとよく判断をして、アメリカの、大国の支配から逃れようとする流れの中で、何も日本だけがアメリカの言いなりになって、アメリカの言うことを聞いて判断をしなければならないということはないわけですから、その点はもっとよく御判断をいただきたい。
 私は、本論はこの後の事前協議の問題なんですが、何しろもう時間が来てしまいました。外務大臣が長いことおられないと質問することが大変たまりまして、どうも――参議院の外務委員会にも是非毎回顔を出していただけるように、いろいろお仕事が忙しいでしょうけれども。
 最後に、ただ一つお尋ねしておきたいのは、先ほど黒柳委員が質問されましたガイラー司令官との、この事実関係だけちょっとお尋ねしておきたいのですが、それは、先ほど述べられたことはもうわかりました。核の一時通過あるいは核の通過はないというふうに明言をされたのかどうか、これが一つです。それからもう一つ、いわゆる支援部隊のことに関しては先ほど言われましたから、一時通過や通過の問題が全然ないというふうに明確にガイラー司令官が述べられたかどうかということが一点と、それから核兵器を輸送する任務を持っておる沖繩に駐留しておる部隊ですね、三四五空輸部隊、これが現在撤退したのかどうか。それから伊江島や出砂島で核模擬爆弾の投下訓練をやっておる第一八戦術戦闘航空団、私は先般五月に伊江島に行ってみてきましたが、BDU8Bのいわゆる標的というのはちゃんと置いてありましたから、まだ訓練が続行されているというふうに私は考えているわけですけれども、その一八戦術戦闘航空団が撤退されたのか、どうなのか。この事実関係だけお聞きしておきたいと思います。
#310
○国務大臣(宮澤喜一君) 事実関係だけを申し上げますと、話の時間が限られておったせいもございますが、それらいずれの問題につきましても別段説明がございませんでしたし、私からも質問をいたしておりません。
#311
○政府委員(山崎敏夫君) 立木委員の質問の後半の部分であります第三四五戦術航空輸送部隊、それから第一八戦術戦闘航空団、いずれもわれわれとしては撤退したということは聞いておりません。
#312
○立木洋君 まだいるわけですね。
#313
○政府委員(山崎敏夫君) はい。
#314
○立木洋君 きょうの答弁を聞きまして大変不満なわけですけれども、先ほど言いましたように、今後引き続いて質問させていただくということで、きょうはきわめて中途半端になってしまいましたが、これで終わります。
#315
○委員長(二木謙吾君) 本件の質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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