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#1
第075回国会 外務委員会 第13号
昭和五十年六月五日(木曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月四日
    辞任         補欠選任
     松永 忠二君     宮之原貞光君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         二木 謙吾君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                秦野  章君
                戸叶  武君
    委 員
                伊藤 五郎君
                糸山英太郎君
                大鷹 淑子君
                中山 太郎君
                増原 恵吉君
                亘  四郎君
                田中寿美子君
                田  英夫君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       外 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       外務省アジア局
       長        高島 益郎君
       外務省アメリカ
       局長       山崎 敏夫君
       外務省条約局長  松永 信雄君
       外務省条約局外
       務参事官     伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       鈴木 文彦君
       労働省婦人少年
       局長       森山 眞弓君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       厚生大臣官房国
       際課長      綱島  衞君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成さ
 れた万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国
 郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約
 定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出)
○国際情勢等に関する調査
 (国際婦人年に関する件)
 (核兵器不拡散条約の再検討会議等に関する
 件)
 (朝鮮問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(二木謙吾君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨四日、松永忠二君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(二木謙吾君) 千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件(本院先議)を議題といたします。
 本件について質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(二木謙吾君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#5
○委員長(二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(二木謙吾君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○田中寿美子君 初めにお許し願いたいんですけれども、この外務委員会は座ったままでいつも質疑をする習慣になっておりますけれども、きょうは場所も広いですし、それから国際婦人年に関することで、大いに意気込みを発揮したいと思いますから、立って質疑をさしていただきます。
 宮澤外務大臣、私は宮澤外相というのは大変民主的な考えを持っていらっしゃる方だというふうに、そういう教養を持っていらっしゃる方だと承知しているわけなんですが、国際婦人年というものをどういうふうに把握していらっしゃるか、一体なぜこういうものが設定されたんだとお思いになるか、あるいは何を目的にしているというふうに理解していらっしゃるかを最初に伺いたいと思います。
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) 着席のままで……。
 世界の各国の中で、女性というものが少なくとも男女同権という最小限の目標を達成できるかどうかという問題について、世界の少数の国の間ではすでにその目標に近づいておると認められるわけでありますが、大多数の国においては必ずしもそういうことは実現していないばかりでなく、実はそのような問題意識があるかないかすら問題である国も数少なくないと思うのであります。したがって、国連が国際婦人年を設けましたゆえんは、そういう問題について世界各国の注意を喚起するとともに、一定の計画のもとにそのような目標を達成させるという全人類的な課題を行動計画をつくって達成しようとする一つの契機にこの年をしようと、こういう性格のものであるというふうに理解をしております。
#10
○田中寿美子君 多分書類を見ておっしゃったんだと思うんですね。
 昨年の暮れに、すでに私ども衆参両院の議員が一緒になりまして総理にも申し入れしてあります。七五年が国際婦人年だから、その年に向けて国内でも婦人の地位の向上のために、あるいは男女差別を撤廃するためにしっかりやってもらわなければ困る、それで予算の要求に関しても外務省並びに労働省に入っている予算を十分取れというようなこともしたわけですね。それで、ことし七五年、もうすでに半年たってしまっているわけなんですが、そして六月の十九日からメキシコシティーで国際婦人年の世界会議があるわけです。こういうふうに、もうすでに半年過ぎているわけなんですが、そしてマスコミでは国際婦人年という言葉は非常にたくさん使われる。だけれども、本当の意味がよく徹底していないように思いますし、それから政府並びに関係しております団体も、あるいは民間の方の動きも必ずしも私は活発でないと思うわけなんです。いま国際婦人年がなぜ設定されたか、この大原則はどこにあるか、原則となる精神はどういうものでございますか。
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) 先刻申し上げましたことは、私としてそのように理解をしておるということを申し上げたつもりなのでありますから、したがって、そういう国際婦人年の設けられた経緯、それからその目的とするところを、この年を契機に各国がおのおのの立場で目標に向かって具体化をしていくということが私は目的であろうと思います。
#12
○田中寿美子君 大臣のお話を聞いておりますと、少数の国では相当のところまでいっているけれども、大多数の国ではいまだに男女の平等も十分実現していないと、そこでそれを引き上げるためにきっかけとしてそういうキャンペーンをする年だというふうな御理解でございますね。そして何かしらその言葉の中には、日本はすでに先進国であって、おくれた国を引き上げる役割りを果たすのだというようなニュアンスが感じられるわけなんです。
 私は実は大変不満に思っていることがいっぱいあるわけなんで、これは婦人たちの間にも、あるいはマスコミの関係者の間に、国際婦人年に関して政府が一体どういう取り組みをしているのか、そして今度開かれる世界会議に対しての取り組みについても内容がほとんど知らされないわけなんです。ですから、みんなで探っているわけなんですね。なぜそのような秘密主義をとられるのかということを非常に遺憾に思っているわけなんです。
 まず外務大臣、国連憲章とか世界人権宣言で性別による差別をしてはいけないと、人は皆生まれながらに人格の尊厳を持っているというふうな高らかな原則があって、そしてそれを実現するために国連の中に婦人の地位委員会というのが設定されました。婦人の地位委員会が設定されて後、だんだん高度の経済成長をしてきた国、いわゆる先進国と、それから後から民族解放で独立した国々も出てきているわけですね。だんだん国連のメンバーはふえてきておりますね。ですから婦人の地位に関してはいろいろ違ったレベルの問題を持っているわけです。先進国では問題がないということは言えない、特に私は日本にはまだたくさんの問題があると思っているわけなんです。
 それで、そういう状況を国連の婦人の地位委員会がずっと世界的に婦人の地位を高めるための努力をしてきた、それは各国の政府を通じてやってきたわけですね。しかし、特にアメリカでケネディ大統領のときに国内の大統領直轄の委員会をつくりまして、婦人の地位などをいろいろと調査して、その結果アメリカのような資本主義の先進国にも非常にたくさんの不平等があるということでキャペーンが起こったわけです。ですから六〇年代には世界中で婦人の運動が起こってきた。先進国と言わずあるいは開発途上国と言わず、それぞれ非常にまだ男女の間の不平等、あるいは女性の能力を完全に伸ばすチャンスが与えられていないというような問題ですね。そういうことが問題になって、一九六七年に婦人に対する差別撤廃宣言というのを国連総会がやったわけですね。それにはたくさんの項目が、政治、社会、文化、経済と全面にわたってそれぞれ違った発展段階の国の持っている婦人問題をそこにえぐり出して、そしてそれをなくすための努力をしようではないかという宣言をしているわけです。
 その宣言が果たしてどこまで各国でやられているか、実行に移されているかということを検討してみたけれども、まだまだだめだ、そこで七二年の総会で七五年を国際婦人年にするということに決定したわけですね。私どもが不満なのは、そういう経緯に関して日本の国民全部にはほとんどわかっていない、知らされていない。そしてこの国際婦人年とは何か行事をする年である、予算もこれだけとりました、国際会議にも出席します、国内でも何かやりますというところに集中してしまっている感じがするわけです。本当に実質的に男女の不平等を撤廃していって、そして婦人の能力が十分に生かされるような平等のチャンスを与えるために何をするか、こういう努力において非常に不十分なところがあるわけです。
 そういう意味では、この問題をもっと認識をちゃんとしていただきたいし、私ども婦人は、まあ過去に戦前から婦人運動に携っていた人、あるいは私自身も戦前戦後、婦人解放問題にずっと携ってきている者なんですけれども、戦後の日本の憲法のもとでいろいろな改革が行われたけれども、しかし、慣行だとか風俗とか習慣の中で、法律の男女平等があっても、いっぱいそれが残っているということ、それから日本は大変工業化して生活水準が高くなったけれども、それと同時にまた新しい問題が起こってきているわけですね。それで恐らく大臣は、こういう細かいものをごらんになっていらっしゃらないと思いますけれども、非常に克明に問題は出されているわけなんです。そういう問題に関してもっと一般の者に知らせる義務というのは政府側にあるんですね。
 ところが、今回の世界会議への代表派遣の問題について私はまずお尋ねしたいのですけれども、政府の代表団の決定はもうされていると思いますが、そのメンバーに関してなぜ発表ができないのか、これは秘密じゃないと思うのです。全世界に呼びかけられている会合であって、そしてもう目前に控えて、いろいろな問題について日本政府代表は述べなければならない立場、それにもかかわらず代表団のメンバーを外務省に問い合わせたってちゃんと教えてくれない、これは各新聞社の人たちがみんな大変文句を言ってきている、なぜそういう秘密にしなければならないのか、選考上何か理由があるのか、まずそれから教えてください。
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど二、三の先進国を除きましては、この問題についての成果が十分でないし、問題意識すらあるかどうかわからぬ国もあると申し上げましたが、二、三の先進国の中に私は日本を含めたつもりはございませんでした。わが国において十分そういう成果が上がっているというふうには私は正直に申して考えておりません。遺憾なことでありますが、考えておりませんし、これは一つはもちろん婦人の自活能力の問題でもありますけれども、もう一つは意識の問題でございますから、わが国においてそういう意識が一般に男の側、女の側、両方に十分あるかと申しますと、私は現状では十分あるというふうには思っておらないものでございますから、遺憾なことでありますが、二、三の先進国という中にどうもわが国は入っていないというふうに考えております。
 それから今度の婦人年の世界会議へのわが国の政府代表の人事の問題でございますが、各省が、八省庁でございましたか、いろいろ協議をいたし各方面の御意見も伺ったりしておりまして、明日の閣議で正式に代表を委嘱をする、形は任命になるわけでございますが、そういうふうにいたしたいと考えております。選考の事情を実は私詳しくは存じませんので、もし知っておる者がおりましたら申し上げますが、明日発令をしたいと考えております。
#14
○政府委員(鈴木文彦君) この婦人年の世界会議を含めまして、国際会議に代表団を閣議で御発令いただきます場合にいろいろ人選いたしますが、最終的に閣議で所要の手続をとらないうちには発表しないという一応従来の慣行もございますので、その意味であるいは事務当局が名前を申し上げるのを渋ったのではないかと思いますけれども、これは従来の慣行に従ったということで御了承いただきたいと思います。
#15
○田中寿美子君 首席代表藤田たきさんということは決まっていますね。それからそのあと各省の官僚の方たちだということのようですが、そうですか。数、それから省の名前をお願いします。
#16
○政府委員(鈴木文彦君) それでは代表団の方々が各省庁どういうような方が御出席になられるかということをいま申し上げます。
 労働省から森山婦人少年局長が参られます。それから外務省から、ニューヨークにあります国際連合日本政府代表部の大鷹公使がこれに参加いたします。それから婦人少年問題審議会の委員をしておられます東浦めいさんが御参加になられます。それからあと農林省は矢口農蚕園芸局生活改善課長、文部省から社会教育局婦人教育課長をしておられます志熊さん、厚生省から児童家庭局母子福祉課長をしておられます長尾さん、大体各省の主要な代表される方はいま申し上げた方々でございます。
#17
○田中寿美子君 これほとんど政府の機関の役人ですよね。それで、これは国連の婦人の地位委員会の代表の場合でもそうなんですけれども、ずっと婦人少年局長が行っておりました。私は自分がおったところのことを別に非難するわけじゃないですけれども、婦人の地位とか婦人の活動状況だとか、こういう問題は婦人自身、婦人大衆、国民、そういうものの状況をつかんでいなければいけないわけですが、ほとんど官僚で占めていくということ、もっと民間の代表を入れていいんではないかということ、それからいまNHKの東浦めいさんのこと、私は東浦さんとも友だちですから東浦さんの有能なことは知っておりますけれども、いま婦人少年問題審議会委員というふうに説明なさいましたが、これはつまり婦人にはNGOというのもあるわけですよ、国連の非政府機関の団体も国内にもできております。それから婦人団体を集めて、これは労働省で国際婦人年に関してはときどきこういうことをしますという連絡をしていらっしゃる、これは全く上意下達だと私は思うんですけれども、そういう婦人の方の意見を聞いて、それを参考にして民間の代表を入れたのか、あるいはこれを勘ぐると、NHKの人が行きたいと言ったからそういうふうに政府代表団に入れたということになるんですね。おかしいじゃないですか。この選考基準はどういうふうにしてしたのかということと、もっともっと民間の婦人の運動を反映している人を入れるべきではないかということについて、どういう基準を設けられたのか。
#18
○政府委員(鈴木文彦君) 今度の会議は一応政府間会議という性格を持っておりますので、民間の方の参加は原則としてこれに加わらないというかっこうでわれわれは処理してきたわけでございます。
 民間につきましては、今度の国際婦人年会議に関連しまして別途意見を述べる会議といいますか、機会が設けられておりますので、民間の方につきましてはこの会議で十分意見を述べていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#19
○田中寿美子君 それはおかしいです。それは外務省がそういう方針を勝手におつくりになった。婦人の地位委員会ですら、これは運動の代表、民間の代表が出ているんですよ、これまでに。
 それで、民間人は加わらない原則と言うが、政府というのは国内の婦人全体の地位を高めるために執行する機関、手伝いをする機関です。ですから、もし民間の婦人団体を集めていらっしゃるならそこで意見を聞くぐらいのことがあってもいいはずです。それを、まあこれは私が聞いたところによりますと、NHKの東浦さんが行きたいと言った。だからこの人を政府代表団の中に入れるためにはどうしたらいいかというようなことになっちゃった。もしそういうことであれば、今度は国連の会議の前に先立ってジャーナリストの討論会もある。それから民間のトリビューン、これ三千人からなる民間団体の会議もありますよ。しかし、それと政府の会議、国連の会議とは別個のものじゃない。国連の会議で討議されること、あるいは勧告として採択されるかもしれないようなことは民間の意見を反映していなかったらおかしいじゃないですか。それですから、その選び方自体は一体どういうことなのかということを伺いたい。
#20
○政府委員(鈴木文彦君) 今度の国際会議に対する準備に当たりまして、もちろんその会議に対する対処方針、それから代表団の構成、両方含めまして関係各省に相談いたしましたが、各関係省それぞれの関係の民間の方々の御意見も十分に反映するというかっこうで最終的にその結論に到達いたしたわけでございます。つまり、関係省の協議を通じまして、それぞれの関係ある民間団体の御意見をも十分にここに反映するようにいたしたわけでございます。
#21
○田中寿美子君 それはもう全くうそです。民間の婦人団体を労働省の婦人少年局長が呼んで二回ほど説明はしています。しかし、代表を送ることについて相談したなんということは全然ありません。これは森山局長に後ではっきりさしていただきたいと思いますけれどもね。ですから、もうちょっと、これは政府のものでございます、政府のものでございますという態度――政府とは一体何なんですか。国民に奉仕する機関でしょう。そして婦人の地位を引き上げると言ったって、この行動計画の中にもちゃんと書いてありますけれども、政府だけじゃなくて、非政府の機関、公私のあらゆる団体、個人、労働組合、使用者団体、すべてそういうものが一緒に行動するための計画をつくれというふうになっているわけですね。ですから、そういうことが含まれなかったら、本当に私ども、ただメキシコ大会、大会ということを聞き、国際婦人年とは聞くけれども、何のことはない、一生懸命取った予算を役人たちが行くために使う、こういう感じがするんですね。だからやり方が悪いということです。
 それで大臣、婦人議員が二十五人おりますが、そのうちの十二、三人、まあ半数近い人が行きます。これは私、少し皮肉に言わせれば、お飾りに連れていくようなもの、日本は五万ドルですか、出資金を出している、分担金を出している、大株主だと。そうして日本は相当なところである。だから議員はこれだけおりますよということで、しかも名前だけは顧問団という名前をつけて、別に発言権も何もないけれどもちょっとのぞかせるために連れていくというようなかっこうなんですね、大代表団。その議員にだって内容ちっとも話されないんですよ。私どもがやかましく言っては呼んでお尋ねすると、外務省は、これこれこういう段取りになっておりますと言う程度なんです。聞かなければ話さない。この世界行動計画案だって、私やかましく言ったらようやく配ってくだすった。会議に先立って行われるジャーナリストの討論だって、あるいは民間の団体から大分行きますよ、民間の方の大会には。そういうところに出る人たちだって、こういう行動計画の内容も全貌も余り知らない形で行くなんということは、これはもう日本独得ですよ。こういうことをしていていいと大臣お思いになるか。おそらく大臣、余り関心を持っていらっしゃらなくてよく御存じなかったと思うんですね。
 それで藤田たき先生が首席代表になられたのも、ヨーロッパの諸国は女の人の閣僚経験者幾らでもいるんですよ。それから開発途上国とおっしゃるインドだって、スリランカだって、インドネシアだって、閣僚経験の婦人はたくさんいますよ。日本にはそれがないんですね。だから体の悪い藤田先生が行かなければならないようになってしまった。こういうことについて外務大臣どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。これでりっぱだと思っていらっしゃいますか。
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) お言葉を返すようでございますけれども、このたびの会議は政府間の会議でございますし、今回の行動計画につきましても、やはり政府としても責任を持ってこの計画を実施していかなければならない立場でございます。もちろんその場合、政府というのは国民に奉仕するものであろう、おっしゃいますとおり、パブリックサーバントの集まりとしての政府でございますが、そういう立場からこの計画をやはり政府が責任を持って行うという意味で、政府間会議に主として政府のこのような問題に関係のある官吏が代表あるいは代表団員になるということは、私はしかるべきことであろう、それは決して民間と対立した意味での政府ということではなく、パブリックサーバントとしての官吏が政府代表あるいは政府代表団員になるということは、やはりこの計画の実施に政府が責任を持つわけでございますから、しかるべきことではないかと思います。ただ、これは政府だけでできる筋合いのことではございませんで、もちろん婦人団体その他広く各方面に呼びかけ、その意見を聞き、また協力を得ながらやっていかなければならない仕事でありますことはこれはもちろんでございますから、そういう準備段階において欠けるところがございましたら、これは確かに反省をいたさなければならないことであろうと思います。
 それから、私も人選の経緯を詳しく存じておるわけではございませんが、たとえば閣僚を経験された御婦人が日本にもおいでになりますわけで、そういう方の御参加も実はお願いをしようかと考えた段階もあるようでございますけれども、御健康の都合等で実現しなかったと聞いております。まあ藤田たきさんが団長になられるということは、私は結果としてはそれでよかったのではないかと存じておりますけれども、やはり政府として政府間会議に責任を負うということでございますので、主として代表団が官吏によって構成されるということは、これは国民への奉仕するパブリックサーバントの集まりとしての政府ということから考えまして不適当なことではない。ただ、先ほども申し上げましたように、十分いわゆる民間――妙な言葉でございますが、民間の婦人団体、あるいはこれに関係のある方々等と十分の討議、意思の疎通を、これからもそうでございますが、してまいらなければならないので、過去においてそれに欠くることがございましたら、それは遺憾なことだと申し上げざるを得ないと思います。
#23
○田中寿美子君 私、何も首席代表藤田たきさんにクレームをつけたりそんなことじゃないんです。もう一人だけ、中山マサさんがかつて閣僚の経験のある人ですけれども、大変高齢ですね。だから決して日本はほかの国に比べてそういう点で先進国じゃないんです、本当に恥ずかしいと思いますね。もっと何人もかわる人があっていいはずなのにそうなっていないということについては、さっきも申し上げましたように、インドだって、インドネシアだって、スリランカだってもう総理大臣がいるわけですからね。そのくらい、つまり開発途上国というのは大変トップレベルに婦人が進出しているという実情、そういうことから考えると、非常に日本の婦人は地位においてはおくれている面がいっぱいあるということの認識が必要だということ。
 それから、政府代表の中に政府機関の人がたくさん入っていることは必要でしょう。しかし、経緯においていま大臣も反省するとおっしゃいましたけれども、議題についてもみんなに意見を聞いたりしてはいないわけなんです。本当に説明にすぎないようなことしかしていないわけです。
 そういうようなことで、国際婦人年というのは、世界行動計画にもありますように、七五年から八五年に向かって十カ年計画で婦人の地位を高める行動を起こす計画をつくろうというようなことが進んでいるわけですね。それほどの意気込みなのに、日本の場合は何か突如として国際婦人年という年がやってきて、だから国連が決定いたしましてというような説明が外務省から出てくるんです。そうじゃない経緯があるんだから、本当はそれの世界会議に出る前にずっとそういうような話し合いが民間の者ともあってしかるべきであった。だから今後そういうことをぜひやらなければいけないということを申し上げたいのです。
 それからもう一つ、それでは、これは世界人権宣言でも国連憲章でも、あるいは日本国憲法十四条でもそうなんですけれども、社会的身分だとか信条とか性とかいうものにかかわりなく人間の尊厳とか価値とか平等をみんな高く掲げているわけですね。
 そこで、これは私は労働省の婦人少年局長にお伺いしたいんですけれども、婦人団体を集めて国際婦人年の行事計画などの説明を二回ほどなすった。今度もたぶんきょうおやりになることなんでしょうが、しかし、中身に関してこれまでは深い説明もないし、そういう代表派遣なんかに関してももちろんのこと、御相談もなかった。ところで、そういうことまでは私一応おくとしまして、なぜ労働省が呼ばれる婦人団体の会議に政党の系統の婦人団体を除外しているかということです。思想信条によって差別しちゃいけないはずでしょう。そして合法的に、いま国会でも社会党、共産党、公明党、民社党という野党がいるわけですが、その野党のそれぞれの婦人部員でなくて、皆それぞれその系列の婦人団体を持っている。これは大衆団体なんですよ。たとえば私の属しておりますのは日本婦人会議です。しかし、これは社会党の婦人部じゃない。社会党と友好関係にあるところの婦人団体で、党員なんていうのはその中にちょっとしかいない大衆団体です。これは新婦人だってそうだし、主婦同盟だってそうだ、民主婦人の会だってそうです。それを全部除外しているのはなぜか。政府・与党の系統の婦人団体だけならよろしい、これはおかしいんですよ。これはどこの国でも、むしろアメリカなんかは民主党、共和党の婦人部も入っている。なぜそういうふうに政党系統を持った、あるいはそういう思想を持ったものはあなた方の連絡の会議から排除なさるんですか。
#24
○政府委員(森山眞弓君) 私も立ってお答えさせていただきます。
 私どもがお願いしてお集まりいただいております国内連絡会議には、できるだけ多くの婦人団体あるいは労働組合その他この問題に関心をお持ちになった方を広くお招きしたいと思いまして、できるだけそのように心がけているつもりでございます。ただ、その中で全国的な組織をお持ちになってある程度の会員数をお持ちになっていらっしゃるところというようなことで大まかに線を引いておりましたものですから、細かい点であるいは私どもの方の手落ちで落ちていたところがあるかもしれませんが、私どもといたしましては、できるだけ広くお呼びかけするつもりでいたわけでございまして、きょう第三回目をいたす予定でございますが、いままでのところ、非常にたくさんの方の御参加をいただいて広く知っていただく機会としては大いに有効であったと考えているところでございます。
#25
○田中寿美子君 婦人少年局は婦人団体の名簿を出していらっしゃいますよ。私どもの団体だって全国組織で数万おります。新婦人だって十万を超していらっしゃる。主婦同盟はもう大変多いと思いますよ。いまのような説明は説明にならない。だから思想信条に関して自由であるべき、差別をしちゃいけないはずのこの世界人権宣言、それから国連憲章、そして日本国憲法にのっとってあなた方の意思を疎通させるというのは、私どもの団体はみんなつんぼさじきです。全然知りません。だからよけい不満を持つわけですよ。だからそれ、早速改めていただけますか。
#26
○政府委員(森山眞弓君) 御指摘の点、十分反省いたしまして検討させていただきたいと思います。
#27
○田中寿美子君 してくださいますね。
#28
○政府委員(森山眞弓君) はい。
#29
○田中寿美子君 それから、今度世界行動計画について少し伺いたいのですが、これはすでにもう三月でしたか、ワーキングコミッティがあって、日本からはちゃんと行ってらっしゃいますね。これは労働省からも行ってるし外務省からも行ってる。だから、その内容に関してはわかっていたはずなんですけれども、これも本当につい最近、私どもが要求して要求してようやく外務省からいただいたのです。だからこういう姿勢の、今度会議にかけられる成案としてでなくても、すでにもうこれは準備期間が相当長くあったわけですね。ですから、今度の会議にかけられるものはこういう問題があります、だからそれぞれ、厚生省の系統、文部省の系統もあるし、それから農林省系統の問題もありますよ、それから労働省系統の問題もあるので、それぞれやっぱり一般の婦人に知らせ意見を聞く、そうしなかったら婦人の地位の向上なんていうことは実績何も上がらないですよ。行事だけで終わってしまうのじゃなくて、これは十年計画でしょう。それですから、そういうことも知らせないで今日までいるということ、私は重ねて言いますけれども、婦人の民間の団体、大会に民間から行く婦人たちもいるのです。その人たちは一体政府の方の会議で何をやるのかもろくに知らない状況で行くなんていう、こういう連絡の悪いことでは私はいけないと思うのです。それからジャーナリストの人たちだって、討論するときに、自分の国の政府は一体この行動計画にどういうことを言おうとしているのかというようなことも知りもしないで参加するなんていうことは、これはみっともないことですよ。代表団の数はたくさん行くし、民間もたくさん行きますよ。それにもかかわらずそんなことであるというのでは、先ほど外務大臣が日本は先進国の中に数えないとおっしゃったから、私は、そういう意味の反省を込めて、もっと民間と政府というものが開かないようにしていただきたい。
 そこで、この世界行動計画案に沿って少しお尋ねしたいと思います。これは各省の連絡機関が集まって、これに対してどういうふうな対応をしていくか、どういう意見を述べてくる、あるいはどういうことを提言してくるということは、相談はもうできていらっしゃると思います、そうですか。
#30
○政府委員(鈴木文彦君) 初めに、行動計画の内容をなぜ知らされなかったという点でございますけれども、実は事務局から行動計画の文書が届くのが非常におくれましたために、また同時にこれは英文でございましたために早急に訳文をつくりまして理解に資するという準備をいたしまして、わりに最近でございますけれども、広く各方面にお配りしたわけです。若干おくれました点申しわけございませんけれども、入手しましたのがおくれたことと、訳文をつくるのに若干時間を要したということでございます。
 それから、この行動計画は相当大部なものでございまして、かつ、内容につきましては関係省庁非常に多岐にわたっております。したがいまして、それぞれの関係省を中心にしまして、関係のアイテムを中心に協議するということになります。政府間の打ち合わせはもうすでに始めておりまして、きょう国内連絡会議開く予定になっておりますが、その会議の際に、一応外務省でとりあえずつくりました行動計画のサマリーといいますか、要点をつくりまして、それをもとにまた議論を続けるというかっこうになっております。
#31
○田中寿美子君 この行動計画も別に突如として出てきたのじゃないわけですよね。国際婦人年のための準備がずっと何年間か続けられている過程で議論されながらきたもので、それでことしの三月ごろだったと思いますが、労働省からもワーキングコミッティにいらっしゃったわけでしょう。ですからどういうことが問題になっていたかということはもうわかっていらっしゃったわけなんです。済んでしまったことを責めてもしょうがないのですけれども、この行動計画に関してそれでは幾つかのポイントでどういうふうに解釈をされており、どういうことを政府代表団は言ってくるつもりなのかどうかということを伺いたいのです。
 一つは、この行動計画の八のところになりますか、「社会の近代化、工業化に伴い、婦人は真先にその逆作用を受け易い。過去十年、多くの国で婦人運動が復活し、これらの問題が脚光を浴び一般の関心を呼ぶようになった。」というような文句がありますね。開発途上国の婦人の地位の引き上げの問題、これはわりあいに簡単にわかりやすい。日本は近代化、工業化が非常に進んだ国なんですね。それで「真先にその逆作用を受け易い。」、この「逆作用」というのはどういうふうに解釈していらっしゃるか、原文はどういう言葉であるか、そしてどういうふうに解釈されているかということを説明してください。
#32
○政府委員(鈴木文彦君) 実はこの行動計画の各項目についてまだ詳しい検討を必ずしもしているわけでございません。いま目下それぞれ仕分けをいたしまして、検討の担当を決めてそれぞれファーストリーディングといいますか、始めているところでございますが、さしあたり、いま御質問のありました第八の点でございますが、この「逆作用」というのは、原文では英語でアドバースエフェクトという言葉を使っているようでございます。したがいまして、工業化の進展に伴って御婦人が受ける悪影響といいますか、その事実に注目いたしまして、要するに婦人問題について考える場合の事実関係の一つとして、工業化による悪影響が婦人に及ぼされている事実を述べたということだろうと思います。
#33
○田中寿美子君 森山局長どうですか。これはどういうふうに解釈なさいますか。
#34
○政府委員(森山眞弓君) まだ私も十分勉強し尽くしておりませんのではっきりしたことをお答え申し上げられない段階でございますけれども、いま国連局長から御説明申し上げたような趣旨で国連が事実を指摘しているのだと解釈いたしております。
#35
○田中寿美子君 大変頼りない感じですね。政府代表でいらっしゃるのだから、もっとちゃんとこういうところははっきりしてもらわないと困るのですね。
 何か新聞に発表されたところによりますと、日本代表団は低開発国にいろいろと援助してそして役に立たせるのだというようなことを言っていらっしゃるようですが、そういう考え方は私はもう日本の技術協力でも、あるいは資本の進出でも問題だらけのときに、もうちょっと謙虚にならなきゃいけないと思うのです。むしろ日本は工業化したがためにこの逆作用をいっぱい受けていると、婦人の場合は。たとえば労働力としてどんどん引き出されて、そして家庭の破壊とか母性の破壊がいっぱいでしょう。そういうことだとか、あるいはしかも低賃金で婦人労働者が雇われると、それから合理化とか職業病の問題もある、家庭の破壊もある、そのほかいっぱいの欠陥が日本の社会に起こっている。子殺し、子捨て、こんなことも起こらざるを得ないような状況を言っているのじゃないですか。そうしたら、そういうことをちゃんと把握をして行動十カ年計画を立てなければいけないのに、まず最初のそういう認識からちゃんとしていないようでは私は困ると思うのですけれども、外務大臣少し活を入れてください。
 私の感じでは、どうも外務省が大変統制をとるんですよ、各省の。これは私の想像ですよ。だから、各省の人の自由な発言だとか自由な民間との接触とか、とにかく外務省がこれまで国際会議でやってきた範囲からちょっとでも出られては困るようなそういう意識が外務官僚にあるんですよ。外務大臣は政治家ですから、もうちょっとその辺を、こういう国際婦人年なんというのは、大変婦人が、法律上決められても慣習や習慣でどうしても平等になっていかない問題とか、それからいまのような工業化から起こってくる微妙な問題だとか、そういうものを排除するがためにここ十年近く世界的にものすごい婦人運動が起こっているわけですよ。その声を反映する力というのは私は日本の外務省にないと思う。そうしたら、ほかのそれぞれ婦人の問題の行政に当たっている省庁では、もっともっとこの問題をえぐっていって、そして民間と連絡をよくとって運動しなければいけない。その辺がどうも連絡調整だか何だか知らないけれども、過去の国際会議からはみ出ないようにはみ出ないようにということに熱心じゃないか。ちょっとその辺は、婦人の問題に関してはもっと婦人の方に任せなさいというふうにおっしゃってください。
#36
○国務大臣(宮澤喜一君) わかりました。それは私はおそらく適切な御指摘ではないかと思います。と言いますのは、こういう国際会議に政府代表が出ますときには必ず政府で訓令をつくりまして、その訓令に基づいて行動してくるということになっておりまして、私などが会議に出ますときも訓令をもらっていくわけでございます。普通の会議ですと、まあそういう訓令の範囲で仕事をする。しかも、訓令は役所でつくりますので、どうしても現状肯定的と申しますか、いままでやっていることがこれでいいんだというようなものになりやすい、そういう性格を持っております。
 しかし、この国際婦人年世界会議というのはそういうものではありませんで、私の理解いたしますところは、まあいわば現状をさらけ出してこれをどうするかという性格のものでなければならないと思いますから、普通の国際会議に臨むような国内意思の統一だとか、訓令だとかいうものとは性格の違ったものでなければならない。そういう御指摘は私はおそらく適切な御指摘に違いないと思うので、多少その辺に普通の国際会議と同じように考えてやっておるといたしましたら、これは改めてもらうようにいたします。
#37
○田中寿美子君 それで、一九七五年から八五年に向かっての十年間の行動計画を策定することが提案されているわけですね。日本では、日本政府はそういう計画を策定する気があるというふうに答えられるのか。このあたりはどういうふうな意見を持っていらっしゃるのですか。そして、それはすべきだ。つまり、国際婦人年一年で婦人の地位が上がるなんて私は全然思わない。ことしはそういう行動の年に、集中的な年にしようということになったわけですね。今後十年間の計画、しかも後の方によると五年計画をして、さらに五年計画というふうになっていますね。そういうふうな考えまできちんと持っていらっしゃいますか。
#38
○政府委員(鈴木文彦君) この行動計画は、いま言われましたとおりこれから十年間の計画といいますか、目標というものを設定するのが大きな目的でございますが、それ以後どうするかということは、これは一つには会議がどういうかっこうで最後に締めくくるかということにも関係しておると思いますので、いろいろ各国の希望はあるかもわかりませんけれども、いまの段階ではその点についてははっきりしたことは申し上げられないと思います。
#39
○田中寿美子君 外務省はそれだからいけないと言うのです。よくわかっていらっしゃらないのです。国内の行動計画をつくれと言っているのです。五年ずつ十年計画。それは日本政府の意思の問題ですよ。全体としては、これは勧告になるかもしれないわけでしょう。そして、国際会議というのは、もういままでお出になった方はわかっているはずですが、こういう原案ができた場合、ほとんど原案の修正はわずかであって、これは採択されるのですよ。だから日本政府はそういう計画を立てるつもりがあるのかないのかということぐらいは、各省の連絡会議で意思統一をしていらっしゃらないのですか。
#40
○政府委員(鈴木文彦君) これは、十年計画をつくるかどうか、つまり国内計画をこれからつくるかどうかという問題は、主として関係者が考えるべき問題だと思いますけれども、現在までの協議におきまして、われわれの大体の受けておる感じは、原則として前向きに進もうじゃないかということだろうと思います。具体的には各国内官庁が考えておりますので、あるいは担当のところからお話を伺った方が適当ではないかと思います。
#41
○田中寿美子君 だから、婦人の問題については外務省は何にも情熱はないわけなんですよ。これは単に連絡調整の役割りを果たしているんですから。婦人の問題を抱えている省庁の方がこれに関しては私は意見を出すべきだ。だから国際的に行動計画をつくりましょうということを採択するんなら、われわれもそれを受けて立って国内でも行動計画をつくる用意がありますというぐらいの意見が出せないのかどうか、それも決まっていないという状況ですね。非常に情けないと思います。
 そのほか幾つも問題があるんですけれども、一九の「独自の国内戦略を策定し、」ということ、そうして二〇のところで、「一般的な政策として、政府の最高レベル」がそういう計画についての決意を明らかに示すべきであるというふうに書いてあるんです。いまの調子でいくと、どれもこれも何にも別にそんなに本気で決めてはいないということになるんですね。「最高レベル」というのは一体どこを指しているんですか。政府の最高レベルといったら総理大臣のあたりでしょうか。これはどういうふうに解釈していらっしゃいますか。
#42
○政府委員(鈴木文彦君) この政府の最高レベルは、日本の場合は当然行政府の最高、総理大臣までを含めて意味していると思います。
#43
○田中寿美子君 だから、この国際婦人年というのは、単なる行事じゃなくて、今後そういう計画を策定する責任は最高レベルのところにあるということをこれでは宣言しようとしているわけです。そして二四でそういうものを達成するために必要な機関を設けろということであるんですね。国内委員会、婦人局あるいは機関、いろいろのそういった特別の機関を設けよというふうに書いてあるわけなんですが、これはたとえば労働省の婦人少年局という意味じゃないわけなんです。婦人の地位を高めて、男女の差別の撤廃を実効あらしめるためには、最高レベルの人が責任を持った特定の機関を設けよということなんですね。
 もうこれは、聞いても本当に何にもちゃんとした答えが返ってこないので聞くだけばからしい気がするんですけれども、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。つまり、婦人がそういう差別を受けている場合に提訴するような提訴委員会を設けよというようなこともあるわけです。
 これは、私も予算の分科会でもこの質問したことがあるのですけれども、婦人が雇用に関して非常にたくさんの差別待遇を受ける。職場についていて昇進、昇給、昇格などに差別があるばかりでなくて、母性であるという特質を持っているために、それがむしろハンディになってしまって不平等な扱いを受けると。それから、婦人が就職しようと思うときに、すでにその機会が平等じゃない。これの中の方にもありますけれども、家庭婦人が家事労働をやっているということについての評価が何にもないから、家庭婦人が就職しようと思う場合に、非常に不利をこうむっている。まあ大変婦人問題に関しては相当の高いレベルの問題提起があるんですね。ところが、日本政府側は本当に低い次元でしか物を考えていない感じがするんですね。このあたりはどうなんですか。
 これは森山局長に伺いますよ。婦人の差別撤廃のために、あるいは平等に、あるいは婦人の能力が本当に生かされるようなことをするために、特別の救済措置を設けよとか、機関を設定せよとかということについてはどう考えていらっしゃいますか。
#44
○政府委員(森山眞弓君) 特に雇用上の平等の問題につきましては、昨年末に就業における男女平等問題に関する研究会議というものを始めまして、現在、数回審議をしていただいているところでございまして、いま先生が御指摘になりましたような問題、またこの行動計画の中に書かれておりますようなことも含めまして、日本においてどのような方法が最も適切かということをいま検討しているところでございます。国際婦人年でもございますし、ことしのうちにできれば何らかの方向を出したいということで鋭意進めているところでございます。
#45
○田中寿美子君 あの研究会はそういうようなものじゃないですね。もう一歩進めて本当に救済――つまり婦人が差別を受けたと思うときに救済の訴えをしていくと。そしてそれを取り調べてみて、本当に差別であったら、これの救済措置をする、訴訟にも持っていけると、こういうような機関を設けることなんですよね。ところが、あれはもうはるかに遠くて、有識者の研究団体みたいなかっこうですから、もう一歩進めることが必要だろうと思います。ですからそのことは、私はいまそうしろと言ってもおそらくはっきりとお答えになれないと思いますので、それだけにしておきます。
 で、政治参加の問題もここに出ているわけです。積極的に政党なんかに参加していくことができるように、それからプレッシャーグループのことですね。圧力団体というのは日本では大変悪いもののような響きを持っていますけれども、大衆の意思を反映する意味のプレッシャーグループというのは、いい意味で使われているわけです。そういうところに婦人がどんどん入っていけるようにというようなことがあって、そういう問題に関する報告をちゃんと定期的に出せと、そういうことがありますが、こういう問題については、どこの所管になっていて、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
#46
○政府委員(鈴木文彦君) いま御指摘のありました点は、各関係省の集まっております八省庁の連絡協議会においてどの省庁がこれを担当するかということを検討の対象の一つとしていま相談いたしております。
#47
○田中寿美子君 結局、これの提案にありますように、最高レベルの責任者が特定の機関を持たないとどうにもならないような状況ですよ、各省同じレベルで並んでいるわけですからね。そういう問題も含めて、これは私は外務省が考えることではないだろうと思う。国内で婦人のそういうあらゆる意味の進出、地位の向上を図るために一体どんな強力な機関が必要かということは、これはもっと高いレベルで考えなければならないことだと思います。いまお聞きしたってそのお答えが出ると思いませんのでもう飛ばします。
 七七のところで、「婦人労働者に対する機会と待遇の平等、同一労働、同一報酬に対する権利を保証する政策及び行動計画を整備しなければならない。」その後に、「国連及びILOの検討した基準に一致したものとすべきである。」というようなことが書いてありますね。
 そこで過去に婦人に関連して日本が採択した国連並びにILO、その他専門機関の条約、批准したものの数、どのくらいございますか。
#48
○政府委員(森山眞弓君) 私の手元にございます資料では、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約というのがございまして、これに加盟しております。それから婦人の参政権に関する条約にも入っております。以上が国連関係でございますが、ILOのにつきましては、同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約、第百号条約でございます。これと、すべての種類の鉱山の抗内作業における女子の使用に関する条約、第四十五号を批准しております。
#49
○田中寿美子君 大臣、お聞きになったように、非常に少ないんですよね、批准しているのが。で、批准も、批准したからそれじゃ国内でその条約のレベルまでになるかというと、そうはならないですね。ことに、いまILO百二号条約のことが問題になって、いま国会に提案されているわけなんですけれども、これだって批准したところで帰人に関する部門は全部受諾できないんですよ。そういう状況、つまり国連の関係の条約やあるいはそれの専門機関の条約を批准しても、国内でちっともそれに合うような政策がとられていないという状況がいっぱいあるわけですね。ですから、たとえばここには「国連及びILOの検討した基準に一致したものとすべきである。」ということが書いてあるけれども、政府はこういうことに対して、これに賛成なさってきますかどうか、賛成するんだったら、たとえばいままだ参議院にILO百二号条約きておりませんけれども、ILO百二号条約を批准したって、母性給付、遺族年金、家族給付あるいは医療給付など、みんな受諾できないんですよね。受諾できないで批准するというようなことを日本政府はやっているわけなんです。こういうことに関して、特に今年は婦人に関係ある百二号、百三号、百十一号などというILOの条約を批准し、それに適合するような政策を実行していくと、こういうことが必要だろうと思うんですが、これは所管が条約だから外務省だけれども、中身が労働省や厚生省のことが多いわけなんです。ですから外務大臣が私はしますというふうにおっしゃれないという大変おかしな状況ですけれども、これはどうお思いになりますか、この行動計画を賛成して採択してきたら、やっぱり義務がありませんか。
#50
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょうどILO百二号条約のお話があったわけでございますが、御承知のように、あの条約は特定の一部門を含めまして三部門を充足していなければならないということで、わが国の場合四部門を充足する体制が国内的にできましたので御審議をお願いいたしておるわけでございます。批准をいたしたいと考えておるわけでございますが、残されました数部門、確かに御指摘のように婦人に関連のことが多くて、それについては国内の体制がこれを充足するに至らない状態であります。それは御指摘のとおりでございますが、私ども政府といたしまして批准をしてしまえばそれでもういい、あとの部門は充足しなくても、とにかく批准はいたしましたということであってはやはりならないと思いますので、批准をいたしましたら、その他の部門についても国内体制の整備を急いでなるべく充足をさせていくということでなければならないと思っております。御指摘のように、その国内体制の整備というのはまさに外務省の所管というわけではございませんけれども、しかし、一つの条約を批准いたしましたらなるべく未充足の部門についても急速にそれを充足させるように努力するというのが、やはり政府としての責務であろうというふうに私は考えます。
#51
○田中寿美子君 時間がもう迫ってきましたので飛ばしますけれども、労働婦人の問題でもう一つ伺いたいのですが、八九のところに、「婦人のみを対象とする保護立法は、科学的、技術的な見地から再検討を加え、改訂、廃棄又は必要に応じ全ての労働者にその適用を拡大すべきである。」という項目がありますね。こういうようなのは重要なところなんで、労働省はこれをどういうふうに解釈していらっしるか、「婦人のみを対象とする保護立法」というのはどういう法規のことを言い、それに対してはどういう考え方を持っていらっしゃいますか。これは保護と平等の関係で非常に重要なところなんですね。
#52
○政府委員(森山眞弓君) 「婦人のみを対象とする保護立法」と申しますと、わが国においては労働基準法の中の第六章等がその中心であるかと考えますけれども、その問題につきましては、かねてわが国におきましては新しい時代にいろいろの問題が新しく出てきておりますことを考えまして、労働基準法研究会にその研究をお願いしているところでございます。最近、昨年からだと思いますが、婦人の問題につきましても研究対象として取り上げられておりまして、先般第二小委員会から委託を受けました医学的な専門的な見地からの女子の特質に関する研究の報告書が出されたところでございまして、この「科学的、技術的な見地から再検討を加え、」というところは、現在わが国においては進行しているというふうに考えられます。そのような資料を積み重ねてまいりました上で研究会が出されます結論、さらに基準法審議会その他におけるいろいろな御意見を勘案した後に、その結論を得て新しい方向を講じていくべきであると考えております。
#53
○田中寿美子君 つまりまだ検討中で、検討課題になっていて、決まっていないということですね、政府の態度。これは十分に労働婦人と話し合いをしてもらわないと困ると思う。
 じゃこれは厚生省の方にお伺いしますが、このところは、たとえば母子保健法とか母子福祉法とかいうものは関係ありませんか。「婦人のみを対象とする保護立法は、」再検討して、あるものは廃棄しろというようなことがあるわけですね。つまり男女平等なんだから女だけを保護するというのは不平等だという考え方が底に流れているのです。これは先進国の一部分は非常にそれを主張しているわけですね。厚生省ではこういう点に関して、女性の保護に関する立法はここでは問題にはならないというふうに考えていらっしゃいますか。
#54
○説明員(綱島衞君) お答え申し上げます。
 先生御指摘になりました母子保健法でございますが、これは婦人のみと申しますか、子供も含めて考えているわけでございますが、先生御承知かと思いますが、日本の妊娠出産にかかわる死亡率と申しますか、その辺の状況は決して先進国に比しましてよくはございません。そのために、その原因の科学的な究明その他につきまして鋭意研究を続けておるわけでございます。したがいまして、改廃云々という意味はもちろん改善という意味に理解いたしておる次第でございます。
#55
○田中寿美子君 その点をはっきりしていただきたいと思うわけですね。だから、これは差別というふうに考えるべきではないということですね。
 九二の、「社会保障制度上の婦人に対する差別待遇は、最大可能な限り廃止しなければならない。」というふうにありますが、社会保障上日本で婦人に対する差別待遇となっているものというのはどういうものがあるか、そしてそれに対してはどういうふうに改善しなければならないと考えていらっしゃるのか、そういうことは当然のこととしてこれに関連して考えるべき問題だと思いますけれども。
#56
○説明員(綱島衞君) 厚生省が主として受け持っております社会保障の諸制度でございますが、その大宗をなしますものは、やはり医療の場合に健康保険、それから各種年金を含めて年金制度だろうと存じます。したがいまして、その辺にウエートを置いて申し上げたいと思うのでございます。
 まず、女子を差別しているというふうにおっしゃいましたのですが、私どもといたしましては、言葉のニュアンスでございますけれども、差別というような気持ちは持っておりませんで、むしろ区別はいたします。それはやはり国民の福祉を向上する意味におきまして、技術的に女性と男性とを違ったふうに扱っていくという意味での区別でございます。したがいまして、たとえば健康保険、医療保険の方で申し上げますと、いわゆる被用者、つまり働く人々につきましては男性女性の差別と申しますか、区別と申しますか、そういうものは一切ございません。まあその中で先生御関心をお持ちだろうと思いますのは、先ほどお話に出ましたILOの百二号条約に関連いたしまして分娩費でございます。出産関係の実際の額がまだILOの最低基準を満たしていないため、この部門の義務を受託することができないじゃないか、こういうことだろうと思います。この点につきましては、関係の審議会等々で目下十分に検討していただいておる点でございます。
 さらに今度は年金の方にまいりますと、ここにこそ先ほど申し上げた区別が出ておるわけでございまして、女子労働者につきましては、たとえば厚生年金で申しますと保険料の率が安くなっております、男性被保険者に対しましてですね。
 それから老齢年金の支給開始年齢でございますが、これが男子の場合には六十歳、それに比べまして女子の場合には五十五歳と、そういうような区別はいたしております。
 なお、主として女性に関連の深い問題は遺族年金でございますが、これにつきましては百二号条約の御審議の過程でも述べておりますが、その給付率の向上のために明年度を目途といたしまして検討に努めておると、こういう次第でございます。
 もう一つつけ加えて申し上げますと、遺族年金、障害年金もそうでございますが、遺族年金の受給資格要件と申しますか、一般に年金制度では相当長い被保険者期間あるいは拠出した期間というものが要請されておりますが、日本の厚生年金におきましては六カ月という短い期間で遺族年金が出る、しかも夫をなくした寡婦の場合には年齢の制限もございませんので、そういう意味からいきますと非常に優遇されておる、こういうことは申せるかと思います。
#57
○田中寿美子君 年金の問題はまたILO百二号条約のときに私議論したいと思いますけれども、要するに社会保障の中でもまだ、あなたは区別とおっしゃったけれども差別がある、年金のたてまえがそもそも男性中心にできたのですから、最初働く人の厚生年金で始まってますから、その辺に、後になって女性自身の年金の権利の問題、あるいは妻の年金権の問題なんかが出てくると思うんですね。ですから、これはやっぱり課題としてぜひこの国際婦人年を契機にして、こういうことに厚生省からもお出かけになって、どういうふうに言ってこられるのかはそれはまたお伺いしたいと思いますけれども、今後ぜひその辺は社会保障における差別待遇というものが日本のような国であってはならない、ところが女性に関して非常に多いということ、これは問題ですので、これは労働省も厚生省も含めて今後考えてもらいたいと思います。
 最後に、家事労働を経済活動とみなさない、この問題なんかはどこが管轄するかということですが、一応労働省の婦人少年局が婦人の地位を扱っておりますので婦人少年局に伺うのですけれども、家事従事者というふうに分類されてその経済活動の評価がされていない、そういうことから失業統計にのってこないということが書いてありますね。失業というものの定義を労働省はどういうふうにしているか、おわかりになりますか。
#58
○政府委員(森山眞弓君) ちょっと私専門でございませんので、細かい定義がどうなっておりますかわかりませんけれども、雇用労働者である、あるいはその意欲と能力のある者であって職業を失った者あるいはつけない者というふうに労働省では定義していると考えております。
#59
○田中寿美子君 それで、その求職活動をしなければだめなんです、失業者というのはね。だから、自分は職につきたいということで職業安定所に行くというようなことがないと失業統計にあらわれてこない。家庭の中で家事労働をしている者というのは実はなかなか就職しにくい、ことに中高年層になって就職しにくいことはよく御存じだと思うんですね。そういうものに対して、家事従事者というものが雇用を求めたときに、さっき言いました雇用の平等のチャンスが与えられておらないということです。これは非常に問題として新たにぜひ考えてみてもらわなければいけない。だから、雇用の機会という場合にはすでに職業についている人だけを意味しないと思います、婦人の立場から申しますとね。職業についていてのいろいろの機会の差別があるだけではなくて、家庭にいる者で子供を育てて、さあ中高年になって、いわゆる中高年というのはすこしひどい言い方だと思いますけれども、三十歳過ぎてから就職しようとするときになかなか困難であって失業対策として考えられないというようなこと、これは私新たに問題としてぜひ今後の計画を立てるべきだというふうに思います。
 それから高齢婦人の保護が必要だということが一四四にありますが、これは何を意味しているのですか。
#60
○説明員(綱島衞君) お答え申し上げます。
 まあ考えられますのは、やはり老後の生活を経済的に見ようという老齢年金の問題、さらにはまた、老人ホームその他いわゆる社会福祉施設の問題であろうかと考えます。
#61
○田中寿美子君 私は、これさあっと全部読んだのですだけれども、たとえば更年期における母性、女の人の体の保護とか、そういうものも入っているわけですね。だから非常に残念なのは、各省ばらばらに婦人に対して問題の把握がされていて、そして外務省が国際会議に臨むというときに、イニシアをとるところがないわけですよ。外務省は事務的にイニシアをおとりになりますけれどもね。ですから国際婦人年なんというものがうつろになっていくわけです。私どもは、必ず何か本当に婦人が、これは選択の問題ですから、自分が職場に出ようと思うときにはチャンスは平等に与えてもらって、そこで競争する。あるいは家庭におりたいと思う者が家庭にいた場合に、その家事の労働も十分に評価されるし、それから母性も守られていく、こういうようなことがありませんと、本当に婦人の地位の向上がない。ところが、それを大きな立場に立って把握し、イニシアをとっていくところがないという感じがして非常に残念なわけなんです。
 だから、国際婦人年に際しての政府代表団で今回行かれますに際して、これ外務大臣、高い政治的な判断で、今後婦人に関する行動計画を立てて進めていく際に、強力な対応ができるような体制をつくっていくということも含めて考えていっていただく。こういうことがないと、政府代表が数多く行き、婦人議員の顧問団がたくさん行ってにぎやかにしても、後の実りが少ないということでは私どもは非常に残念だと思うわけです。ですから、その点をぜひ外務大臣から、これは将来外務省の所管になるという種類のものじゃないですけれども、国際的な責任を負うという意味で、今後ちゃんとした行動計画も立て、それを実現していくための体制づくりをしていくということをぜひ発言していただき、まあ閣議ででも発言していただきたいし、それから民間の者もそういう意味で一生懸命に自分たちの立場での運動をやっていく。どこかで政府がやることと結びつけばよし、仮に結びつかなくても、自分たちの立場でやるという考え方に立っているわけなんです。ですから、日本の運動全体がどうも政府が指導するという立場をとりやすい。私は昨年も一昨年も、ちょうど国際的な学会があったためにアメリカに行ったんですけれども、その前後に、アメリカの婦人たちがいかに国際婦人年に向かって民間の運動が非常に活発であって、いわゆるプレッシャーをかけているかということを見てきたので、それは私どもの方にも責任がある。だけれども、ずっと何か上意下達というか、官尊民卑の習慣がつき過ぎていると思いますから、そういう意味で、きょうは多少文句を言ったわけでございます。国会でも衆参両院で国際婦人年に関する決議をしていただきたいと思って、いま超党派の婦人で素案をつくっております。ですから、これをきっかけにして、ぜひ政府の機関が民間の者の頼りになれるような結びつきをしていく、こういうことに鞭撻をしていただきたいと思います。最後に外務大臣の御決意を伺って終わります。
#62
○国務大臣(宮澤喜一君) 何分にも、日本国民の半分の直接の問題でありますし、残りの半分にとりましても責任のある問題でございますために、特定の政府のどこのデパートメントの仕事というのでなく、政府全体の仕事にこれ当然になるわけでございますが、かえってそのために焦点がぼけてしまうということは確かにあると思います。したがいまして、今回の会議及びその結果勧告されるであろう行動計画の実施につきまして、政府全体の問題であるためにかえって焦点がぼけるというようなことがありませんように、何か閣議において総合的な施策を講じる、あるいは実施の方法を具体的に考える、何かしませんと焦点がぼけてしまうということは、御心配はごもっともだと思いますので、十分そういうことを留意いたします。
#63
○戸叶武君 関連質問、一点さしていただきます。
 いま田中さんが述べられたように、この国際的な婦人の年の意義というものは、漠然とした婦人の置かれている地位、特に婦人と労働の関係をもっと総合的に検討してもらわなければ実りのあるものにならないということを指摘しているのだと思います。いつも婦人は、いままで社会的に犠牲者の立場に置かれておりまして、特に不況が深まってくると、不況と戦争とは悪循環すると言われるほど婦人に犠牲が強要されて、ナチの台頭期においては婦人は全部家庭に引っ込めというような形まで押しつけられたのです。そういう婦人の置かれている立場において、総合的にこの婦人の地位の向上というものは検討しなければならない。それが日本においても、労働省だけでなく、厚生省あるいは外務省、みんな関連を持っている。そういうことを相当やはり煮詰めていかないと婦人に対する対策というものが成果が上げられないのじゃないかということを田中さんは婦人の立場から強調したのだと思います。どうぞそういう意味において、抽象的な形において、ことしは国際婦人の年であるというような形でお祭り事に済まさないで、国際的なスケールにおいて日本の持っている国内的な男女不平等の矛盾をも是正し、そうして前向きな形で婦人の地位の向上に努めてもらいたいということを指摘したのだと思いますし、外務大臣においても、どうぞあなた、国際的な視野の広い方ですから、日本でただおざなりに問題をお祭り仕事で済ましたのだという印象を後から受けないような、積極的なやはり意見というものを打ち出していってもらいたいと思いますので、重ねてこれを要望し、外務大臣の決意のほどを承りたいと思います。
#64
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきまして従来決して無関心であったわけではございませんけれども、ただいまいろいろ御指摘、お尋ねもいただきまして、確かに従来の準備状況等々、何となく過去の国際会議というようなもののマンネリズムにちょっととらわれておるのではないかと考えられる点もございますし、今後十年間の計画を実施していくということも大変に大きな問題で、ことし一年過ぎればいいという種類の仕事でございません。いろいろお尋ねから御示唆を得ましたので、十分御指摘の点を考えまして、心を新たにしてこの問題に取り組みたいと思います。
#65
○塩出啓典君 それでは、昨日、衆議院の外務委員会で核防条約の審議が始まったように聞いておるわけでありますが、したがって、こまかい問題は、いずれこの核防条約の審議が参議院に回ってくると思いますので、二、三の点についてお聞きしておきたいと思います。
 先般ジュネーブで核拡散防止条約の再検討会議が開始をされ、その最終宣言が発表になったことをわれわれ新聞で拝見をしたわけでありますが、もちろん日本はまだ正式には加盟をしておりませんので、正式な代表という立場でもないために、いろいろ制約はあったと思うんでありますが、新聞等の報ずるところでは、日本の代表も、この最終宣言にも日本の意見が主張されるようにいろいろ努力をし、外務省もこの最終宣言にはほぼ満足をしておると、こういうようなことの報道に接しておるわけでありますが、そこで、この再検討会議において日本の代表としては、特にどのような点に努力をし、どういう点においてわが国の主張が盛られたと評価しているのか、このあたりを御説明願いたいと思います。
#66
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、先般の会議におきまして、わが国は締約国になっておりませんために署名国として参加をいたしたわけでございます。したがいまして、会議の正式の決定あるいは決定につながる行為には参加を正式にはすることはできなかったわけでありますけれども、実際には、御承知のように、すでにEURATOMの国が正式に加盟をいたしましたこともありまして、わが国が残されました非核保有国としては一番注目される未加盟国ということになったわけでございます。そういう立場から、わが国の主張、意見というものはかなり注目を集め、また尊重もされたということになったと思います。
 わが国が主として主張いたしました第一点は、核兵器国と非核兵器国との責任、義務というものは均衡したものでなければならないということであります。すなわち、この条約は人によりましては一種の不平等条約であるというふうに批評される方があるわけでございますけれども、実は、核兵器を拡散させないということはわれわれ非保有国の義務でもありますが、同時に、核保有国もそれに劣らない重い義務と責任を持つべきである。それは拡散をさせないことのみならず、軍縮等の面においてやはり責任と義務を持つべきであって、確かに持つものと持たないものという区別はいたしておりますけれども、それは持つものにも持たないものと同様の責任と義務があるのであると、そういう考え方、これを基本に主張いたしたわけであります。その上で、さらに核兵器を持たない非核兵器国の安全保障が確保されるべきであるという点、それから先ほども申し上げましたが、核を持っているものについての核軍縮を進展させるべき義務、さらには、全然別の面で原子力の平和利用というものは広く図られなければならないといったような、それらの点につきまして、わが国がいたしました主張がほぼ最終宣言の中にそのまま取り入れられたという結果になったと思います。
#67
○塩出啓典君 私たちもこの最終宣言を見まして、われわれの立場からすれば非常に不十分ではないか、そういう感じがするわけでありますが、新聞等で見ますと、いわゆる非同盟の十八カ国がいろいろ共同で核保有国が非核保有国への安全保障を約束せよと、恐らく、核保有国は非核保有国に対して核による攻撃はしてはならぬと、こういうような提案が出されたのじゃないか、このように私は判断しているわけですけれども、これは私も、そういう考え方は非常にいいことであって、やはり核保有国が非核保有国に対しては核による攻撃はしないというところまでいくことがまず第一段階としては一番いいんじゃないか。そういうわけで、この非同盟十八カ国のそういう提案というものは、わが国としてももっと積極的に推進すべきものではなかったかと思うわけですけれども、まあ新聞等ではあまりそれには日本はノータッチのような感じがしたわけですが、そのあたりはどうなんでしょうか。
#68
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの会議の背景となっております現在の世界における核のバランスというものが、やはり米ソ、二つの国が圧倒的に大きな核能力を持っておりますために、その均衡の上に成り立っておるということは、よかれあしかれ事実として認めなければならない。それが今回の会議の背景であったと思います。したがってそういう点は、ある意味では米ソ両大国の、表現によりましてはわがままといいますか、そういうふうに表現され得る性格を持っておると思いますけれども、しかし他方で、米ソ両大国が現状にかんがみていろいろ抑制をしていく必要がある、いかざるを得ないということになっておりますこともまた事実であると思います。
 そのような背景のもとに、ただいま塩出委員の御指摘になりましたような問題、たとえて申しますと、そのような問題は核兵器だけに問題を限りますと、その米ソの関係からどうしてもうまい答えが出てこない。それならば核兵器と在来兵器と両方含めた上でならどうかといいますと、これですと、結局のところ、いろいろ経緯はございましたが、米ソとも受諾し得るような案というものが発見できたわけでありまして、それはわが国の提言によるものであったわけでございますが、つまり核兵器にせよあるいは非核兵器にせよ、通常兵器にせよ、武力による威嚇または武力の行使を慎むように要請をするという趣旨については、消極的には米ソとも賛成をいたした、こういう経緯でありまして、いわゆる非同盟諸国の動きは、それを核兵器にまず限ろうといたしましたために、たとえば現実にヨーロッパのNATOの事態などを考えますと、これは米ソが核、非核両方の兵器を含めたところでバランスがとれておるという物の考え方から、核兵器だけに問題を限って動きました非同盟のような決議案はとうとう結実するに至らなかった、そういう経緯であったと存じます。
#69
○塩出啓典君 やはりこういう国際条約はいろいろな国がたくさんおるわけで、日本の主張が必ずしもこれは通るとは限らぬわけで、かなり長い目で見ていかなければならぬと思うわけでありますが、今後また五年たてばこの再検討会議も開かれていくと思うのですけれども、やはりわが国の方向としては、核兵器というものを地上からもう全部絶滅をしていくということが一番いいことだと思うのですね。したがって、そういう方向にいくように、これはそういうことを言ったからといってすぐ実現するわけじゃない、物事には順番があると思うのですけれどもね。そういう意味で、私はまず第一段階としてはやっぱり核を持っている国が核を持たない国を攻撃はしないと、そういうことをまず第一段階として実現をさせるように、そうしなければ核の力というのは、これはほかの通常兵器とは非常な力の差があるわけですから、そうしないと結局は核を持った方が得じゃないか、こういうことになっていくのじゃないかと思うのですね。だからそういう方向にやはり日本としても進むべきではないかと思うわけですけれども、外務大臣の、これは大分先の話になりますが、見解を伺っておきたいと思うのです。
#70
○国務大臣(宮澤喜一君) お考えにはもとより私も同感でございまして、つまりこの条約が不平等であると一部に言われておりますけれども、その平等の確保というのは、われわれが核兵器をみんな持つことによって平等を実現するということになれば、これはもうまことに危険なことでございますから、そうではなくて、現に核兵器を持っておる国が徐々にそれを削減していって、持たない状態にまでなって、そういう形の平等というものを志向すべきだというふうにわれわれは考えておるわけでございます。御指摘のように、それには時間のかかることでございますけれども、まず手順としまして、やはりあらゆる核実験の禁止、総合的な核実験の禁止ということ、そういたしますと新しい核兵器の開発というものはむずかしくなるわけでございますから、新規の開発をやめる。それから既存のものについて軍縮、制限を同時にしていきまして、最終的には廃棄というような、そういう道を目ざして進むべきであろうと思っております。
#71
○塩出啓典君 今回の再検討会議の前に、西ドイツなどの諸国が批准をして、会議中にも何カ国か署名をいたしまして、批准をしまして、いま先進国で署名をしながら批准をしていないのは日本だけだと、このようにいまお話もあったわけですけれども、日本がなぜこのように批准がおくれているかということに対して、世界の国々はどういうとり方をしておるわけなのですか。どういう理由で日本がおくれているのか、これはまあ外国がどうとっているかというのは、人によって違うでしょうけれども、再検討会議等に出れば、外国が日本にどう思っているかということは大体わかると思うのですが、そういうのはどうなんですかね。
#72
○政府委員(鈴木文彦君) 再検討会議が始まりました時点におきましては、この条約が国会に提出された後でございましたので、首席代表の一般演説の中の冒頭にそのことが触れられておったわけでございます。したがいまして、その時点では日本国内の手続が開始されたという意味で、おそらく非常に日本に対する期待なり、それから日本代表の発言というものはそういう重みを持って聞かれたかと思います。ただ、国会に提出される前の段階におきましては、これは各国がどのように見ておったかということは、まあ想像の域を出ませんけれども、一般的に核防条約に日本がサイン、署名しましてから五年たってなお国内の所要の手続が進んでないということは、ある意味ではやはり日本がフリーハンドといいますか、核武装を考えているのじゃなかろうかというようなことを心配する向きもあったのではないかというふうに考えております。
#73
○塩出啓典君 この再検討会議に出て、そして世界の国々とも接触をして、またこういう最終宣言も出たわけですけれども、こういう現段階において、この核防条約を今国会においてぜひとも成立させなければならないというその気持ちにおいては、再検討会議の前と後とでは変化があるのかどうか、外務大臣あるいは外務省としてはその点はどうなんですか。
#74
○国務大臣(宮澤喜一君) 私ども国会にこの条約を御提出いたしましたときに、まず御審議をいただき、批准に導くことが国益につながるという判断をいたしたわけでございましたが、今度の会議の結果、非核兵器国の安全保障であるとか、あるいはいわゆる保有国と非保有国の義務の均衡であるとか、核軍縮の進行であるとか、原子力の平和利用であるとかという点で、最終宣言がまずわが国の主張しておりますところをほとんど取り入れて成立したということにもかんがみまして、一層国会において御審議を願い、御可決をいただきたいと考えるに至っておるわけであります。
 今回の会議におきまして、わが国の意見が、非加盟国であるにもかかわらず尊重されました一つの理由は、少なくとも各国がこれによって日本が批准をしやすくなるであろうという期待に裏づけられておったように考えるわけでございます。すなわち、先ほど御指摘のように、ドイツも、EVRATOMの国も加盟いたしました結果、いわゆる先進工業国の中で非保有国としてはわが国が未加盟国として残ったわけでございますが、わが国の帰趨いかんがこの非核体制、拡散防止体制の将来に非常に大きな影響を与えるということはだれの目にも明らかになってまいりました。したがいまして、わが国が加盟をいたしますならば、この体制はほぼこれで固まって、将来さらに軍縮の進展でありますとか、非保有国の安全保障でありますとかいうものが進むでございましょうし、逆に、もしわが国がこれに今回加盟をしなかったということになりますと、その反作用というものは非常に実は大きいのではないか。この体制そのものが日本が加わらないことによって危殆に瀕するとまでは申しませんでも、将来に大きな希望が失われるというようなふうに各国が解釈をしておるようでございます。したがいまして、私ども率直に申しますと、そのような事情を国会においても御勘案の上で、何とぞひとつ御賛同をお願いをしたいと、今回の会議を終わりまして特に強くそれを感じておるような次第でございます。
#75
○塩出啓典君 いま日本がもしこれに加盟をしなければ非常に将来は暗いと、そういうような感じを世界が持つということは、先ほどのフリーハンド論ではありませんけれども、結局日本が将来核兵器を持つために批准をしないのではないかと、したがって、そういう意味で核防条約の意図が徹底をしないと、そういう意味にとっていいわけなんですか。
#76
○国務大臣(宮澤喜一君) 実を申しますと、わが国の実情は、仮にこの条約に加盟をいたしませんでも、核兵器を持とうというような強い世論があるわけではございません。むしろそうでない世論が圧倒的に強いと考えておりますけれども、それはわが国におりますわれわれにはよく理解のできることでありますけれども、他国から見ますと、そこまでわが国の実情を必ずしも存じてはおりませんし、また、わが国の科学あるいは経済的な力から申しますと十分に持ち得る国であるというふうに外見的に見られておりますので、そのような危惧が高まることはどうも避けられないのではないかという感じがいたします。
#77
○塩出啓典君 それから、これは先般アメリカの国防長官のシュレジンジャーが、共産側の欧州攻撃があれば先制核使用もと、いわゆる通常兵器によって共産側から攻撃を受けた場合には、アメリカが核を先に、向こうが核を使わぬでもこちら側が核を使う場合もあり得るのだと、こういう発言をしたという、これは先月の三十日にこういうことを言ったというように出ておるわけでありますが、こういう発言について日本の外務大臣としてどう考えるのか、余り何にも感じないのか、どう思いますか。
#78
○国務大臣(宮澤喜一君) 私、実はシュレジンジャー氏が正式にそういうことを言ったということを確認をいたしてはおりませんけれども、想像いたしますと、ヨーロッパのNATOの体制におきましては、米ソの間に戦術核兵器、これはNATOの国には御承知のように戦術核兵器が置かれておると、ワルシャワ体制もそうでございましょうけれども、推定されますので、したがって、あそこの力のバランスはそのような核兵器と通常兵器との総合において成り立っておるというふうに、これは米ソとも考えておるのではないかと思います。そういうことから、ただいまのような発言があったとすればあったのではないかと思いますけれども、しかし、そのようなことを軽率に申してよいものではないというように私は思います、もし言われたといたしますと。
#79
○塩出啓典君 私は、最近のアメリカの動きを見ておりますと、もちろんいろんな政治的な配慮もあると思うんですけれども、先般、北朝鮮がもし韓国に攻撃を加えるならば、もう北朝鮮の中心部を爆撃するとか、また、先般のこの委員会でも問題になりましたように、カンボジアにおいてマヤゲス号が拿捕されたときに、もうすぐさま攻撃をして、そのためにアメリカ国内におけるフォード大統領の人気が非常に上がったと、アメリカの威信を非常に上げたと、そういうようなことが新聞で報道されておるわけで、私どもアメリカの国民というものは、実際に自分の国で戦争の悲惨さを味わったことのない民族で、いままで一番世界の最強の国としてきておるわけですから、そういうような気持ちもわからないことはないと思うんですけれども、しかし、一方から見れば非常にそういう行き方というものは危険じゃないかと、一国の指導者というものは、国民の意見に必ずしも迎合するというのではなしに、アメリカの政府首脳としてはもう少し慎重な態度をとるべきじゃないかと、こういう気がして、非常に最近のアメリカの態度というのは何か空いばりというか、威信を示そうというか、ちょっと行き過ぎがあるような、ちょっとじゃない、大分行き過ぎがあるのかもしれませんけれども、こういうように私は感じておるんですが、その点外務大臣はどう感じていますか。
#80
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお尋ねのうちでマヤゲス号については、関係の両国から十分な情報を平等にわれわれが得ておる立場でございませんので、一応論評を控えるといたしまして、北鮮についてのそのような伝えられる言明でございますが、アメリカ側の立場に立って強いて考えるといたしますと、インドシナ半島撤退直後に米国が一番心配いたしましたことは、いわゆる安全保障の約束をかわしております国々が、その約束の有効性について疑いを持ちはしないかということ、実はそれよりもその相手方がアメリカのコミットメントというものを実は非常に軽く考えて、一種の誤算に基づいて攻撃をしかけてくるという危険性があるのではないかということをアメリカとしては考えたようでございます。ことに、北鮮の金日成主席が近隣の外国を訪問されたというようなこともありまして、万一そのような誤算に基づいて北鮮がある種の行動を起こすというようなことになれば、これは当然対応せざるを得ない。そうなれば、これはもうきわめて不幸なことになるわけでございますから、そのような誤算を起こさせてはならないというような意識が相当強く働きまして、そうしてあのような言明になったのではないかと私は見ておりますけれども、もう大分時間もたってまいりまして、ベトナムの出来事というのは、他と比類のできない一種の特殊な出来事であったというふうに各国ともほぼ考え始めておるようでございますので、もうアメリカも余り意気込んで、しこを踏むようなことは余りしてもらわなくてもいい、まあそういう意味では塩出委員の言われましたような感じを私も若干持っておりますことは事実でございます。
#81
○塩出啓典君 今度また日米首脳会談等もあるわけでございますが、そういうときにもできるだけそういうようなことも反映をするようにやっぱり努力してもらいたい。
 それからこの最終宣言の中に、一つは多国間の核燃料サイクルセンターをつくると、これについてはアメリカが日本の国へそういうものをつくってはどうかというような、かなり打診があったように聞いておるわけでありますが、こういうことは事実なのかどうか、やはり日本としても、将来これに正式に加盟した暁においては検討すべき問題ではないかと思うのですが、それに対して日本政府としてはどういう考えであるのか。
 それともう一つは、核ジャック対策というものを国際的に考えていこうじゃないか。確かに私たちも非常にこの核はいわゆる放射性物質、これは軍需のみならず、平和利用の面においても非常に憂慮し、韓国等にも千発の戦術核が置いているとか、世界にばらまかれている。そういうものが、そういう一部のテロに確保されることは非常に大問題であります。これは本当に真剣に考えていかなければならぬ問題だと思っておるわけでありますが、再検討会議の最終宣言等における核ジャック対策というのは一体どういう内容のものなのか、それに対してわが国の政府としてはどう取り組んでいく方針なのか、このあたりを簡単に。
#82
○政府委員(鈴木文彦君) 初めの、地域的に核燃料のサイクルのセンターを置いたらどうかという点についてわが国に打診があったかどうかという新聞報道でございますけれども、これは事実でございません。いままで、いかなる国からもわが国に対してそのような意味の打診が行われたことはございません。
 ただ、この再検討会議で取り上げられた一つの構想は、まだ一般的な性格のものでありまして、この実現が可能であるかどうかということにつきましては、今後IAEAといいますか、国際原子力機関を中心に検討されるということになろうと思います。この最終宣言にも掲げられておりますように、こういうセンターを置く場合にも、その実施上あるいは組織上の困難というものが予見されておりますので、これが実際に設立に至るまでには相当検討が要るんじゃないか。
 それから、第二の核ジャック体制の問題でございますが、これもいま言われましたとおり、最終宣言の中にフィジカルプロテクションということで入れられております。これは確かに平和利用の原子力活動が広範に各地で行われるに従いまして、扱う核物質の量がふえると同時に、その貯蔵なり移動の問題がございます。したがいまして、この点につきましては改めてその必要性が認識されまして、国際的な一つの仕組みというものをつくる必要があるんではなかろうか、したがって、そのための検討の機関として一番適当なのは国際原子力機関でございますけれども、それを中心にひとつ検討を進め、もしできれば何か国際的な枠組みを考えたらどうであろうかということになっております。日本もこの考え方につきましては、すでにこの再検討会議が始まる前から国際原子力機関を中心に行われております検討に参加いたしておりますので、この最終宣言を契機に、一段と国際協力あるいは検討を進めるということになろうかと思います。
#83
○塩出啓典君 最後に、この核防条約は御存じのように中国とかフランスが加盟をしていないわけですね。もちろん加盟をしていないことはまことに残念なことであり、やはり中国、フランスから見れば加盟できないそれなりの正当な理由もあると思いますし、そういう点は私たちも野党として――野党というか、われわれの立場としても理解はできるわけでありますが、いずれにしても、これは非常に残念なことではないかと思うんですね。そういうことで、今後こういう国々も加盟できるような核防条約になれば、これはわが国も喜んで参加できると思いますし、あるいはまた、核防条約に日本が参加をして、しかる後において中国、フランスも参加できるような核防条約の内容に改めていくと、こういう二つの行き方があると思うんですけれども、いずれにいたしましても、やっぱり今年は被爆三十周年を迎える年でもありますし、まあ日本の国は世界で初めてそういう被爆を受けた国でもございますし、そういう日本の立場から、今後とも中国やフランス等が核防条約にも参加できるように、よりすぐれた核防条約に内容が前進をしていくように努力をしていくのは日本国の政府の大きな責任ではないかと、私はこのように思うわけですけれども、そういう点についての外務大臣の御見解をお聞きして質問を終わりたいと思います。
#84
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの最終決議におきましても、幾たびか、いわゆる未加盟の核兵器国に触れておりまして、たとえば非核兵器地帯設置につきまして核兵器国の協力が必要であるということ、あるいはすべての国に対して国連憲章に従って核、非核兵器を問わず、武力による威嚇または武力の行使を慎むように要請する、最後にまた、この条約に参加しない国ができるだけ早期に参加することを希望するといったような幾つかの未加盟の核兵器国への呼びかけを行っておるわけでございますが、そのような呼びかけは、もとより中国においてもフランスにおいてもそれ相応の注意は払ってくれておるものと存じますが、わが国といたしましては、自分がともかく入っておりませんで人に入れと言うことはやはり説得力において欠くる点がございますので、加盟をした立場からさらにそういう努力を進めてまいるべきだと考えております。
#85
○立木洋君 最初に、いま塩出委員の質問に対して外務大臣がマヤゲス号事件に関して、双方の事情を聞いていないから論評は差し控えるといたしまして、と言われたわけですが、これはアメリカのとった措置が自衛措置だということを取り下げられるという意味に理解してよろしいんですか。
#86
○国務大臣(宮澤喜一君) そうではございませんけれども、先ほど塩出委員はその問題を質問の中心に置かれたわけではなく、アメリカの一般的なベトナム後の姿勢について御言及になりましたので、多少複雑な議論になりますので、その問題についてあえて申し上げなかったのでございます。
#87
○立木洋君 それじゃ、きょうは朝鮮の問題に関連して幾つかお尋ねしたいと思うのですが、先般の当委員会でもいろいろ外務大臣の見解を聞きまたし、衆議院でもいろいろ問題になったようでありますけれども、朝鮮の現在の状況に関連しまして、朝鮮が最近緊張緩和の方向に向かっているというふうにお考えになるのか、必ずしもそうではないというふうにお感じになっておられるか、このあたり朝鮮情勢に関する基本的なお考えはどのようなものかというのを最初にお聞きしたい。
#88
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、過去二十年一進一退がございまして、いっときは対話の再開とまで考えられたわけでございましたが、最近、ことにベトナム以後とでも申し上げますか、やや緊張が高まっておる現在ではないかと、もとよりかつて戦争がございましたような、あのような状態でないことはこれは申すまでもございせんけれども、その以前のかなりやわらかいムードが出ておったというときに比べますと、またどうも少し戻っておるなあという感じはいたしております。
#89
○立木洋君 その点もう少し突っ込んでお尋ねしたいのですけれども、緊張が高まっておるように感じられると言われる根拠ですね、どうしてそのようにお感じになっておられるのか、外務大臣がそのようにお考えになっておられる根拠をもう少しお聞かせいただきたいと思います。
#90
○国務大臣(宮澤喜一君) これも実はいわゆる北側の意図あるいは状況につきましてはきわめて情報が乏しゅうございますので、両方総合して判定をすることは必ずしも容易でないわけでございますけれども、南側の受け取り方というものは、先般の金日成主席の外国訪問、あるいは最近南側の明らかにしておりますところでは、トンネルが掘られておるとか、あれこれ南側からは事態が決してソフトムードではないというように受け取っておるように私どもは聞いております。
#91
○立木洋君 南側からの情報が主だというふうにいま申されたわけですが、端的にお尋ねしたいのですけれども、朝鮮民主主義人民共和国が南に対して攻めてくるという可能性については、外務大臣御自身どのようにお考えですか。
#92
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたように、北側につきましての情報が全く欠けておりますし、いたしますので十分な判断をする資料がございません。
#93
○立木洋君 これは坂田防衛庁長官が五月の二十八日でしたか、記者クラブで述べられておるわけですけれども、そういう見解には、外務大臣も同じ見解だというふうにお考えでしょうか。ここに、いますぐ武力衝突が起こることはないという趣旨のことを述べられているわけですけれども。
#94
○国務大臣(宮澤喜一君) 防衛庁当局で情報を何か特段に持っておられて、そういう判断をされたのかもしれないと思いますが、私ども外交的に申しますと客観的な情報、資料というものがございませんので、にわかに判断を申し上げることができません。と申します意味は、必ずしも坂田さんの言われたことを私が否定をするという意味ではございませんのですけれども、判断の的確な材料がないという、純粋にそういう意味でございます。
#95
○立木洋君 南のいわゆる朴政権では、朴大統領自身が何回かの記者会見の中で、北は戦争の準備を完了しており、いつでも南に攻めてくる情勢にあるというふうに述べられておりますし、また、いわゆる韓国の国土統一院長は四月二十一日に、北による南への侵略の脅威はもはや仮想的なものでも理論上のものでもなくなった、それは現実的で差し迫った脅威だ、こういうふうな趣旨のことも述べられているわけですが、先ほど外務大臣は塩出委員の質問に答えられて、アメリカの判断が、いわゆる北朝鮮が誤算に基づいて南に攻めるというふうな考え方を持っているのではないだろうか、そういうところからそういう種の発言が出たのではないだろうか、しかし、時間的にも経過はたっている、だからアメリカに行き過ぎがあったんではないかという塩出委員の質問に答えて、私も若干そのように考えております、感じられますという趣旨の答弁をなされたわけですが、そうすると、いま韓国がそのように判断をしておるという見方自身にも同意はできないという趣旨に理解していいわけですね。アメリカがそう判断するのには若干行き過ぎがあるということを先ほど述べられたということを根拠にするならば。
#96
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げました、私の申し上げたいと思いましたことは、いまとなりましては、ということを申し上げたかと思いますが、ベトナム撤退直後にそういう緊張感が高まったということは事実であったと思いますけれども、ことに金日成首相が外国を訪問されたというようなことから、その真意はわかりませんままに、やや外見的にそのような緊張が高まる状況にあったということを申し上げましたので、いまとなりましてはというのは、それから大分時間もたちましてという意味であったわけでございます。
 そこで、韓国がそのような、しばしば政府当局が言明しておられますような緊張が存在しておる、危険が存在しておるということは、これはまあ韓国の判断でございましょう。韓国としてはそれなりの情報を持ってそう言っておられるのでございましょうし、先方の意図をどのように判断するかということになりますと、これはかなり主観的なものでございますから、第三者でありますわが国、私がそれについてかれこれ判断を申し述べることはむしろ差し控えるべきではないかというふうに存じます。
#97
○立木洋君 先般の外務委員会での外務大臣の答弁の中で、インドシナ諸国の動向についてお述べになったときに、大国の支配から逃れる方向、みずからの運命をみずからが決めるという民族自決の流れがその基調にあるものだというふうに感じられるという趣旨のお話がありましたが、この民族自決の流れをインドシナの場合にはそのように言われたけれども、朝鮮の場合にはそれと同じ基調としてお考えになっておられるのか、それとも朝鮮の場合にはインドシナとは異質のものであるというふうにお考えになっておられるのか、その朝鮮の動向の基本的なとらえ方において、インドシナで述べられた外相の見解からしてどのようにお考えになっているのかということをちょっとお尋ねしたいんですが。
#98
○国務大臣(宮澤喜一君) これは南北両方とも平和な方法によって統合しよう、あるいは連合しようということを言っておるわけでございますので、基本的な基調はやはり私は朝鮮半島についても同じであろうと考えます。
#99
○立木洋君 つまり、基本的には同じだというと、朝鮮民族自身が外国からの干渉を受けないで、そしてみずからがみずからの運命を決する、そういう方向に朝鮮自身も行くという意味ですね、そういう流れにあると。
#100
○国務大臣(宮澤喜一君) その民族自決という点について同じかという、その部分の御質問に対して、私はそれは朝鮮といえども変わらないのではなかろうか、こういうふうに思います。
#101
○立木洋君 そうしますと、これは大切な問題になってくるわけですが、南ベトナムの場合に、かつてチュー政権が存在して事実上アメリカの介入を依頼し、そしてああいう事態になって、そして南ベトナムも解放された。そうすると、朝鮮の場合においても実際上はアメリカの介入を求めているのは朴政権である、コミットメントの忠実な履行を要求する、援助を要求する、そういうふうな行為はやはり南ベトナムの状況から判断して正しくない、そういうふうな結論が導き出せるのではないでしょうか、どうでしょうか。
#102
○国務大臣(宮澤喜一君) それは正しくないというようなことでは私はなかろうと思いますので、同じ民族として一緒になりたいという基本的な希望はありながら、それがなかなか実現をしない、しかも平和的な方法でということについて、なかなか平和的な状況の展開にならないというときに、ある国がよその国と同盟関係を結ぶということは、これはやはりもうその国自身の選ぶところであって、他からかれこれ申すべきではないと思いますし、実はインドシナ半島におきましても大国の干渉、影響力というものは南にだけあったわけではないであろうと思います。同様なことは朝鮮半島についても言えるのではないかと思います。
#103
○立木洋君 どうも問題をそらされたような気がするわけですがね。結局宮澤外相が言われるのは、南ベトナムに対するああいうアメリカの介入というのは結果的においては実らなかったと、しかしアメリカの意図はやはり善意であったという考え方に基づいて、基調としては民族自決の流れであるということのつじつまを合わそうとするから私は話がおかしくなるのではないかと思うんですよ。やはり民族自決の流れが基調であり、それを前回も支持する、そしてそれも理解できるとまで言い切った外相の立場であるならば、やはり大国の干渉、介入を排除すべきであるし、そういうことが起こらないように日本の外交としては行うべきではないでしょうか。その介入がやられるということが、それがいいというふうに一方で肯定されて、いかに民族自決の流れが基調であり支持すると言っても、それは私はいわゆるきつい言葉で言えば、やはり欺瞞的な答弁だというふうにとらざるを得ないんですけれども、その点はいかがですか。
#104
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は米韓の安全保障についての同盟関係が別段いいと言ったこともございませんし、さりとて悪いとも申しません。それは両国の選ぶところでございます。また同様に、北鮮が仮にその他の大国からいろいろな意味での援助を受けておったといたしましても――あるかどうか存じませんが、いたしましても、これも私がいいとか悪いとか申すべきことではない。
#105
○立木洋君 それじゃ一つこの問題について確かめておきたいわけですが、先日も、いわゆる一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明の韓国条項を再確認されたわけです、外相御自身がですね。この六九年の十一月二十一日、ナショナルプレスクラブで佐藤元総理大臣が演説されて、韓国条項に関する部分の若干説明をされておりますが、もう御存じでしょうけれども、簡単に読み上げてみますと、「万一韓国に対し武力攻撃が発生し、これに対処するため米軍が日本国内の施設・区域を戦闘作戦行動の発進基地として使用しなければならないような事態が生じた場合には、日本政府としては、このような認識に立って、事前協議に対し前向きにかつすみやかに態度を決定する方針であります。」というふうに述べられておりますが、現在の外務大臣の立場からしまして、これがそのまま今日においてもそのとおりであるというふうに判断されるのか、部分的に訂正されなければならないというふうにお考えになっているのか、その点はいかがでしょうか。
#106
○国務大臣(宮澤喜一君) 朝鮮半島におきまして、先ほども申し上げましたように、かつてのときと比べましてやや緊張が高まっておるという状態だと私は認識しておりますので、いまお尋ねに対して私が不用意にお答えをいたしますことは、事態を平穏化させるためにあまり建設的な結果にならないと思いますので、お答えを控えさせていただきます。
#107
○立木洋君 答弁を控えられるというのは、つまりこれがこのままではないと。だから検討の余地があるから答弁を控えるという意味に理解してよろしいんですか。
#108
○国務大臣(宮澤喜一君) コメントを控えさせていただく、ノーコメントにさせていただきたいということでございます。
#109
○立木洋君 それはちょっと私は納得しかねるんです。いま朝鮮問題というのはきわめて焦点であるというふうなことが盛んに言われており、今後アジアの外交に対してどういう態度をとるかというのは日本の政府として最も求められているところですよ。ですから、私は先ほど来朝鮮に関する情勢の判断をどのように御認識されているかということを繰り返してお尋ねしたわけです。日本がどういう態度をとるかという最も重要な部分でコメントを控えるということになりますと、つまり情勢の判断、どういうふうにそれに対応していくべきかということを日本の外交方針としては日本国民に十分に知ってもらう。その上で誤りないように期すというのがやはり政府のとらなければならない態度だと思いますが、この重要な問題についてコメントを差し控えられるというのは私としてはどうしても納得しかねます。もう一度御答弁願いたいと思います。
#110
○国務大臣(宮澤喜一君) 不測の事態というのは、決して合理的な判断からばかり生まれるものではなく、むしろいろいろな誤算から生まれる場合が多いわけでございます。事態はそのような重大な問題でございますからこそ、私がいまここで申し上げることを控えさせていただきたいと言っておるわけでございます。
#111
○立木洋君 この件に関しましては、いつまでも永久にコメントを控えるということでは私は困ると思うのですけれども、どういう形でこれに対するいわゆる政府としての見解は発表していただけますか。
#112
○国務大臣(宮澤喜一君) このような状態がなくなってしまいますれば、あるいは何か申し上げる機会があろうかと思いますが、現状におきましては、いまのお尋ねにお答えすることが失して建設的な結果を生まないと、平和を希求するゆえんではないと存じますので、お答えを差し控えさしていただきます。
#113
○立木洋君 いま、こういう事態であるからこそ日本がどういう態度をとるかということが問題なんですよ。こういう事態でなくなったら、この問題に対してどういうコメントをいただいても、これは日本政府がもう過去の問題で、いまから百年も前のことを、あのときの状況についてはいまどうコメントしますと言われたって、それは全く生きた政治にはならないんですよ。いま重要だからこそこの問題に対しての政府の見解がお聞きしたいんです。ですから、何らかの形でこの問題に関する見解というのをはっきりさしていただきたい。どうでしょう。
#114
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、戦争というような悲しむべき事態が起こらないことを、この点は立木委員と同様でございますが、深く希求をいたしておりますから、この問題についてお答えをしない方が建設的な結果になるであろう、そう考えますので、お答えを控えさしていただいておるわけでございます。
#115
○立木洋君 この問題、やりとりしましても、最後までどうも外務大臣お答えになりそうにありませんから、次にまた改めた形で、私も少し研究してきますから、そうして改めてお尋ねすることにしたいと思います。
 この問題に関連しますけれども、少し話を進めまして、いま述べられたように、やはりかつての一時期から見るならば、朝鮮の状況というのは必ずしも緊張緩和の方向に向いていないということも述べられているわけですが、そうしますと、いまの南北朝鮮が現在のような状態にある中で、つまりもっとはっきり言いますと、朴政権としては北の侵略を盛んに主張しておる。そうして私が判断するところでは、これは冷戦を志向し、対決的な姿勢を強めているというふうに南の態度は私は判断できる。そうした場合に、こういう状況の中で、いわゆる韓国の安全が日本の安全にとって緊要であるということを確認して、その朝鮮の対立しておる一方の側にてこ入れをし、援助を強めるというふうな強化をしていくことは、これは前回、国連の総会におきまして、日本の政府も参加されて朝鮮問題に対する決議をなさっておりますね。あれとの関連では一体どのように説明されますか。対立した一方の側への援助を強めていくという問題と、それから対話を促進すべきであるという、前回、国連における、日本政府も積極的に提案国になったあの朝鮮決議、朝鮮問題に関する決議との関連についてはどのように御説明されますか。
#116
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもは、韓国に対しましていろいろな経済援助を御指摘のようにいたしておりますけれども、これは、目的といたしますところは韓国の人々の民生の向上、社会の安定に貢献するような、そういう種類の経済援助をいたしておるつもりでありまして、軍事的な体制を強化するような種類の援助はいたしておらないつもりでございます。同様に、北鮮に対しましても、国交はございませんけれども、人的、物的な交流、文化的な交流等が行われておりますことは御承知のとおりでありまして、もとより国交のございます国と国交のございません相手と全く同一に扱っておるわけではない。それは事実そうではございませんけれども、しかし、北側に対して一切の門戸を閉ざしているというような姿ではないわけでございます。
#117
○立木洋君 この間の、昨日でしたか、衆議院の外務委員会で、いわゆる在韓国連軍の解体の問題について、今回の国連の決議においては解体されるという方向になるだろうと、それについて日本政府としては阻止するつもりはない、そういう趣旨の外務大臣のお話があったと思うんです。それで、先ほどのお話で、韓国において、朝鮮において武力衝突をやっぱり願っておらない、平和的な方向で問題が解決されるということをお述べになったわけですが、そういう武力衝突が起こらないように、日本としてはどういう外交をとっていかれるお考えなのか、どういう努力をされるつもりなのか、その点はいかがでしょうか。
#118
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたが、わが国としては、もともと軍事力の強化に貢献するというような種類の援助はなし得ない国でございますけれども、それにいたしましても、やはりいろいろな援助等々が、あるいは貿易にしてもさようでございますが、純粋に民生の向上というものに役立つように、それに密着したようなもの、形でやっていきたい。つまり武力衝突のもとになります軍事体制の強化というようなことには手をかさないと、こういうことを基本に考えております。
#119
○立木洋君 そうしますと、一応今年度ですか、政府の対韓援助が終わって民間にかわるようにいままではなってましたですね。引き続いて政府べースで援助を進めていくというふうなお考えがあるかのように新聞紙上では見ているわけですけれども、これはそういうことなんですか。
#120
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、実は例のオイルショックで世界経済がこのような影響を受け、韓国もその例外ではないというような事態の見通しがはっきりいたします前に、ぼつぼつ韓国経済もテークオフしていくので、民間ベースを主にしていこうではないかという話し合いが両国であったわけでございます。でございますから、まあできるだけそういうふうにやってまいりたい、重点をそちらへ移行してまいりたいとは考えておりますけれども、一切政府ベースのものをやめるということが、果たして韓国の民生の向上から見て韓国がどのように判断をされるであろうか、いまの事態に立って韓国の判断を一遍聞いてみておく必要はあると、そうは思っております。
#121
○立木洋君 その点の問題は、次の機会にもう少し残すことにしまして、先ほど言われましたように、いわゆる朝鮮の情勢を判断する上で、いわゆる韓国の側からの情報だけが主になっておるので、事態がやっぱり正確に認識されない。これはやはり情報を正確に話し合うことを拒んでおるのは私は日本政府の側にあるのではないか、そうではなくて、やはりもっと朝鮮民主主義人民共和国とも門戸を開いて話し合いもし、関係を改善していくということが、本来ならば本当に武力衝突を起こさないで平和的な方向に持っていく、そういう道に合致しているというふうに思うんですけれども、朝鮮民主主義人民共和国との関係をさらに改善していくおつもりがあるのかどうか、改善されるとするならばどういう方向で改善されていくのか、その点についてお伺いしたい。
#122
○国務大臣(宮澤喜一君) その点につきまして私どもが一番考えておりますことは、朝鮮半島の力の均衡、バランスというのは非常に微妙でございますので、ただいま御指摘のような動きにわが国が出ますと、そのバランスに不測の変化を与えるであろう。そのことは、もう少し朝鮮半島が静かになりますと別でございますけれども、いまの状態ではやはりちょっと問題が多過ぎる、こういうふうに私としては考えておるわけでございます。
#123
○立木洋君 もう時間がないのであれですが、こういう重要な朝鮮の情勢を踏まえて、八月でしたか、三木総理が訪米されるということですけれども、やはりこの朝鮮問題というのは、三木総理が訪米されたときにアメリカの首脳と会談される重要な議題の一つになるのではないかというふうに思いますけれども、そういうふうな議題になるというふうに考えられておられるのかどうか。また、それについて何らかの準備をされておられるのかどうか、また、そういうことは一切問題にならないというふうに判断されておるのか、その辺。
#124
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般論といたしまして、私はあまりその問題を取り上げたくないという気持ちでおるわけでございます。と申しますのは、韓国もさようでございますが、恐らく北鮮も、朝鮮半島の問題が第三者によっていろいろ議論され話されておるということについて非常にセンシチブでございまして、ああいう緊張状態でございますから無理もないのだと思いますが、したがいまして、かえってそういう話をいたしたりいたしますと、これも事態にあまり建設的な役に立たぬと、どうも過去の経験から見てそのように思われますから、なるべくそういうふうな話題は第三者との間では出さない方がいいのではないかという気持ちを持っております。
#125
○立木洋君 最後に、私は、日本政府のつまり対韓政策というのは一つのジレンマに陥っていると思うのですよ、いろいろ問題があって。可能ならば、朴政権がああいう国内的にひどいやり方だとか、北からの侵略云々ということで緊張状態をつくり出していく、こういうことはしてもらいたくない。しかしそれだからといって、やはり頼まれれば援助はしなければならない、援助をするにはもっと穏やかな状況になってほしいというふうなところがあるだろうと私は思いますよ。だけど問題は、先ほど言われた外務大臣の日本のいわゆる外交の基本姿勢の問題として、今後本当に朝鮮民族が悲願にしておる平和的自主的統一を願うという立場でどう外交政策を進めるのか。その点について先ほど私は要求しましたけれども、最後までお答えにならなかった点も含めて、これはきわめて重大な問題でありますけれども、外務大臣がどうしてもお答えにならないので、私はきょうの外務大臣の御答弁は大変不満であるという意思表示だけして、改めてこの問題に関しては質問を続けていくということだけを述べて、きょうの質問は終わります。
#126
○委員長(二木謙吾君) 本件の質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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