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#1
第075回国会 法務委員会 第6号
昭和五十年三月二十五日(火曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     木村 睦男君     大島 友治君
     片山 正英君     岩上 妙子君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     塩見 俊二君     戸塚 進也君
     安井  謙君     初村滝一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         多田 省吾君
    理 事
                高橋 邦雄君
                永野 嚴雄君
                佐々木静子君
                白木義一郎君
    委 員
                大島 友治君
                柴立 芳文君
                戸塚 進也君
                初村滝一郎君
                町村 金五君
                矢田部 理君
                安永 英雄君
                橋本  敦君
   国務大臣
       法 務 大 臣  稻葉  修君
   政府委員
       法務大臣官房長  香川 保一君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  勝見 嘉美君
       法務省保護局長  古川健次郎君
       労働省婦人少年
       局長       森山 眞弓君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総長       寺田 治郎君
       最高裁判所事務
       総局総務局長   田宮 重男君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   矢口 洪一君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   大内 恒夫君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   千葉 和郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       人事院事務総局
       職員局福祉課長  斉藤 乃夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事白木義一郎君委員長席に着く〕
#2
○理事(白木義一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 片山正英君、木村睦男君及び塩見俊二君が委員を辞任され、その補欠として岩上妙子君、大島友治君及び戸塚進也君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(白木義一郎君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○佐々木静子君 それでは前回に引き続きまして、裁判所職員定員法についての質問をさせていただきます。
 前回も主として人事局に対しましていろいろお話を伺ったわけでございますが、担当の局長がまだお越しじゃないようでございますので、その前に、きのうから法曹三者協議が始められておりますけれども、その席でもいろいろな問題が出されるようになるであろうと思いますが、若干それに関しまして、これは主として経理局になるんじゃないかと思うのですが、総務局になるんですか、司法研修所の予算でございます。特に、研修の委託費というようなものを裁判所から弁護士会にお出しでございますね。それば昨年度は幾らになっており、また、本年度は幾らお出しになる予定になっておりますか。
#5
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) ただいまお尋ねの司法研修所関係の研修委託経費でございますが、昭和四十九年度は総額八百五十二万でございますが、本年度、ただいま国会で御審議いただいております五十年度の予算におきましては、対前年度二〇%増しの九百三十五万円を計上いたしております。
#6
○佐々木静子君 これは再々陳情も裁判所の方に、研修所あてに出ているんじゃないかと思うのでございますが、弁護士会の方にいただいている予算が大変に少ない。いま一人当たり一万七千円ぐらいでございますね。ところが、実際に要する費用というものはそれの倍以上になっておるわけでございまして、これが弁護士会の負担になり、また、たくさん負担しなければならないポストにおられる方はそれのほかに、たとえば私の所属している大阪弁護士会などで聞いてみますと、多い人は百万円ぐらい自腹を切ったなりで毎年そのままになっているというふうなお話なんでございます。これは物価も上がっておりますし、研修旅行一つしてもかなりの費用がかかる、講師を招いてもともかく費用が要るということで、いまの予算ではとうてい十分なことができない。そういうようなことについて、どのように今後のことをお考えでございますか。
#7
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 佐々木委員の仰せのとおり、研修委託経費は大変大事な問題でございまして、お話しのように、弁護士会から研修所に対しまして、また私どもの方に対しまして直接にいろいろお話も伺い、また増額の御希望も承っておるわけでございます。最近は、ただいまお話しのような問題のほかに、文具費でありますとか、あるいは通信費でありますとか、そういうものも非常に上がっておりますので、大変御苦労なさって弁護士の先生方がこういう研修をなさっていただくにつきまして、私どもとしてできるだけこの内容の経費を充実すべきであると、かように考えております。
 ちょっと申し上げますと、四十八年度に対前年度一〇%アップ、四十九年度に対前年度一八%のアップ、ただいま御審議いただいております五十年度では、先ほど申し上げましたように対前年度二〇%アップというふうに、一定の努力は続けておるつもりでございますけれども、非常に大事な問題でございます。私どもといたしまして、今後ともこの充実につきましてできるだけ努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
#8
○佐々木静子君 できるだけ、ほかの物価も上がっていることでございますので、修習が実際上やりやすいように、その点ぜひとも御配慮いただきたいという要望が強く出ておりますことと、それからもう一つ、この問題に関しまして、御担当がどなたになるかわからないのですが、研修所の教官でございますね、前にも委員会でお願いしたことがあるのですが、特に弁護教官の人選、これが、日弁連から推薦している弁護教官が最高裁の方で、研修所の方で拒否される、そういう問題が続発している。
 実際のところは、弁護士会の個々の先生方の御意見では、やはり後進を指導することだから経済的に事情が許せば自腹を切ってやってもいい、しかし、その金は弁護士会が出せ、そしてやるのは最高裁の方針でやる、そういうふうな姿勢が許せないということが問題なわけでございまして、裁判官だけを養成するのが研修所であれば、最高裁が好きな教官をお選びになるというのはこれはやむを得ないかと思うのでございますけれども、裁判官と同じく弁護士も養成するところであって、しかもそれが、日弁連が公の機関で教官として適当だということで推薦している人を一方的に拒否される。一々私の方へはその拒否された方の一覧表が来ているわけでございますが、それはちょっと人事のことだからここで申し上げないにしても、これは非常に裁判所がワンマンではないか。これは影響するところが、単にその人がそのポストになれなかったというのじゃなくて、将来の法曹を育成する上において、何のかんのとおっしゃっても裁判所の方で、修習生にあるいは将来の若い法曹に影響力の多い人を裁判所の気にいる人だけにしぼろうとしている、そういうところが問題になっているわけでございますけれども、そのような事実はやはりあるわけでございますね。これは総務局長でございますか、事務総長でいいのでございますか、お伺いいたします。
#9
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いま佐々木委員のお話しの問題は人事局の所管でございまして、人事局長、実は本日判事補の採用の面接をいたしておりまして、ちょっとおくれております。間もなく参ると思いますが、必要がございますれば所管の局長から詳細に説明させたいと思いますが、基本的には私どもも日本弁護士連合会の御推薦を十分に尊重して、お話し合いを進めながら決定してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。過去においてもいろいろな問題があったようでございますが、本年度以降におきましてもなるべく日弁連と話し合いを煮詰めてやってまいりたい、かような基本的な姿勢でおるわけでございます。
#10
○佐々木静子君 これは社会党から提案いたしました今度の立法なんかも、弁護教官と最高裁の裁判官とはまるで違うわけでございますけれども、やはりそういうふうなことで一方的に、日弁連側から推薦している人がはっきりしない理由で、理由はもう全然出ずに、一方的に最高裁から見ていい人だけということになるというふうなことが、いろいろなことが積み重なって、これは最高裁判事の任命は内閣が決めることでございますからちょっと次元が違うと思いますけれども、少なくとも法曹内部で日弁連が適当だと推薦している人を、これは全く別のことであればともかく、毎度拒否をされる。そこら辺に大変に問題があるのじゃないか。これは法曹の円満な話し合い、それからいまも申し上げたように、数から言うと弁護士に将来なる人が圧倒的に多いわけでございますから、日弁連側から見て指導官として適当だと思う人をやはり裁判所の方で優先的に教官にされるべきじゃないかと私どもは強く、これは当然のお願いじゃないかというふうに思うわけでございますが、この問題はそれでは事務総長も前向きになってできるだけ要望に、できるだけというよりも、要望に沿うように今後やっていただけるわけでございますね。
#11
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) お話しのとおり、司法研修所は法曹三者の養成機関でございますから、できる限り法曹三者の話し合いによって運営していくことが望ましいことはお話しのとおりでございます。しかし、先ほどお話のございました各弁護士会での委託修習もさることながら、いまお話しの研修所教官となりますと、これは裁判所の選任する一つの職員でございますので、そういう意味では裁判所としてやはり一つの選考をする必要があるわけでございまして、しかしながら、その間におきましては弁護士会の御意向を十分承り、お話し合いをつけてやってまいる、こういう姿勢は従来ともやってまいりましたし、今後もやってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#12
○佐々木静子君 従来どおりでは困りますのでこのように申し上げているわけで、法曹三者の話し合いも昨日より進められているという状態でございますから、ぜひこのような事柄が国会でも取り上げられておったということもお含みの上、円満なお話し合いをぜひ実現していただきたいと思うわけです。
 それから弁護教官の待遇の問題でございますけれども、これが大変に低額であって、なかなか優秀な弁護士の方にお引き受けいただくということが困難である。裁判教官、検察教官と比べると大変に待遇が落ちるということは、結局研修所の中において弁護修習というものが片すみに追いやられたというような感じで、裁判所修習というものがもうその中心になってしまう。そこら辺が将来の法曹を養成する上で、むしろ任官される方にとって不幸な事態ではないかというふうに思うわけでございますけれども、その弁護教官の待遇について、いまどのようになっているのか、また今後どのぐらいの予算を計上していくつもりか。これは弁護教官になられるぐらいの方であれば、仮にほかのところに講師などで招かれて行っても相当な謝礼をもらえる、またその間弁護活動をすればかなりな経済的報酬を得られる方が、それをほうって研修所の教官になられるわけでございますから、やはりそれにふさわしいだけの待遇というものをしていただかないと困るわけでございまして、そのあたり、人事局長ちょうどお越しになりましたので、お答えいただきたいと思うわけでございます。
#13
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 弁護教官の月の手当というものを現在謝金から出しているわけでございまして、本年、五十年度の予算をお認めいただくことになりますと、九万五千円ぐらいになるわけでございます。非常に少ない金額で、その点はまことに恐縮に存じておりますが、御承知のように裁判所教官、司法研修所の教官というふうにおなりいただけますればまた別なんでございますが、現在のところ非常勤という形でございますので、まあこの程度でがまんしていただくよりほかしようがないというふうに考えているわけでございます。ただ、余裕のできます限り、増額という問題につきましては努力をいたしていきたいと考えております。
#14
○佐々木静子君 それでは、それもこれからぜひ待遇を改善するように前向きに担当の局長として取り組んでいただけるわけでございますね。
#15
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そのように考えております。
#16
○佐々木静子君 裁判所の職員の問題について前回も主として人事局にお伺いさせていただいたわけでございますが、本日また引き続いてお伺いさせていただきますが、特にことしは国際婦人年ということで、国際婦人年じゃなくても婦人の職員の待遇のことについては十分御配慮いただかないといけないわけでございますけれども、裁判所の婦人の職員に対する待遇ということで、他の職場と比べますと、かなりおくれているのじゃないかという主張が大変に多いわけでございます。そういう意味におきまして、主として婦人職員からの問題を取り上げてお尋ねいたしたいと思います。
 裁判所という職場が、いままでほとんどまず男性によって占められた職場であって、婦人の職員が大変に少なかったというようなこともあるとは思うのでございますけれども、近時は速記官を初め裁判所の職員に婦人の方が多いというところが多くなってきておりますし、またタイピストは大体御婦人の方でございますので、そういうことで婦人の問題がかなり大きくクローズアップされてきているのではないか。その中で一番要望の多いのが、これは最高裁にもいろいろと全司法その他から陳情があると思いますが、婦人の母性保護という面についていろいろ待遇の面で最高裁の扱い方がおくれている。
 産前産後の休暇の問題、特に産後の休暇の問題などを取り上げて調べてみますと、これは最高裁でもおわかりのとおりだと思いますが、六週間の産後の休暇の後で四〇%ぐらいの方が病欠をとっていらっしゃる。そのように病欠をとらなければならないくらいにいまの職場の体制が、六週間ではすぐにもとの職場に復帰できるような状態にはなっておらない、そういう問題が多いと思うのです。この事柄についていろいろと他の職場のことを調べてみたわけでございますけれども、これはいま問題になっている地方公務員の方がはるかに産後の休暇の期間は十分にとられておる。労働基準法で六週間と一応基準がうたわれておりますけれども、労基法を上回る県がほとんどである。また、そのほかの職場を調べてみますと、これは一般の民間の職場の方が八週間あるいは百日というふうな職場が多いにもかかわらず、裁判所は六週間、これは当局の方の御説明では多分国家公務員は皆六週間だというふうなお話をされるのではないかと思うのでございますけれども、他の官庁においてはやはりいろいろな配慮が行われておって、実際は六週間以上休暇が認められている職場が大変に多いように、一々挙げてみますと時間もかかりますので申し上げませんけれども、そういう点で非常に裁判所の場合はしゃくし定規的に六週間だ、それ以上はだめだというふうな態度がとられていると思うのですけれども、そこら辺はもう少し婦人の職員の母性保護をする意味において配慮があってしかるべきじゃないか。そういう点について人事局長はどのようにお考えでございますか。
#17
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御婦人のお産というのは非常に大変なことでございまして、現在、産前産後六週間ということで休暇が決まっておりますが、佐々木委員御指摘のように、産後六週間をたってなお十分な回復をしないということで、引き続き休まれる方が私どもの調査では三割ぐらいあるようでございます。現在のところ、そういう方については病気の休暇という扱いをいたしております。御承知のように病気休暇でございますと、大体一カ月ぐらいまでの間でございますれば、その後における処遇等に一切影響を及ぼさないで休んでいただくことができるわけでございます。御指摘のように、いわゆる特別休暇という意味で長く休んでいただくということは、できればいいわけでございますが、規定上は、役所のたてまえといたしましても、ちょっとそれを六週間を延ばしてという形では処理しにくい刀現在、病気ということで扱わせていただいておるということでございます。
#18
○佐々木静子君 これはしかし、役所のたてまえが六週間となっているというお話でございますけれども、事実上三〇%以上の方が病欠をとっていらっしゃる。病欠ということになれば、働く側にとっては昇給の問題、ボーナスなりなどに影響を受けるわけで、これは母性の保護にはならないわけでございますね。実際上母性の保護をしておらぬというわけになるわけですけれども、六週間で十分職場に復帰でき、かつその働いている女子職員の健康もこれで十分保持できるというふうに御当局は考えていらっしゃるわけですか。
#19
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) この女性の出産後における元気回復までの期間をどのような期間見ればいいのかという問題は、実は私ども専門家でございませんので、現在の規定、六週間ということは、これはもう厳格に守らなければいけないというふうに考えておりますが、それ以上、人によって、場合によっては長ければそれだけ完全な回復になるというようなこともあるのではなかろうかというふうには思います。思いますが、現在の規定上どうもこういう六週間ということになっております以上、それを勝手に七週間とか八週間ということにはできにくいのではないか。と申しまして、いまも申し上げましたように、まだ十分回復しないといわれる方に無理に出て来いというようなことば決して申しておるわけではございません。いま病気休暇ということで扱っておりますので、三十日以内の病気休暇というものは給与上一切手当等にも影響を及ぼしませんので、他病を併発されるというようなことのない限りは、必要に応じて六週間を過ぎた後もある程度休養をとってもらえるのではないかというふうに考えております。
#20
○佐々木静子君 何かいまの局長の御答弁を伺っていると、法律は守らなければならないから厳格に六週間は守っている、六週間以上休んだらいけないことを守っているというふうなかっこうの御答弁のように聞こえるのですけれども、これは六週間は最低の基準であって、そこら辺でちょっと問題のすりかえのような感じがするわけです。現実にほかの職場では、決して六週間たったからということですぐに病欠に切りかえるというふうなことはやっておらない実情のようでございます。そこら辺が非常に裁判所というところは融通性がないという感じを受けるわけですね。法律がこうだから、あとはもう何でもこれでいけ、こう決まっているんだから仕方がないと。しかし、ほかの行政官庁は、同じ国家公務員に対する扱いでもそういうやり方はしておらないとところが非常に多いようでございますし、人事局長は御専門じゃないとおっしゃったし、また御専門じゃないと思いますけれども、専門家の中では、六週間では母体が回復しないという御意見も非常に多いわけでございます。実際裁判所の現場をごらんになって、たとえば六週間では無理だ、いまの御答弁でも法律で六週間と決まっているからやむなく病欠というふうな手段をいまとっているけれども、三〇%以上の人間があと病欠するところを見ると、やはり母体の回復というものは六週間では無理なのだというふうにこれはお考えになりますね。
#21
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) いまも申し上げましたように、三〇%前後の方が病休を引き続き取っておられるという事態は、率直に認めていかなければいけないというふうに考えております。その辺のところをなお勉強させていただきたいと思います。
#22
○佐々木静子君 きょうは労働省にもあるいは人事院にもお越しいただいているのでございますけれども、まず労働省の婦人少年局長さんにお尋ねしたいと思うのでございますが、労働省の方で、労働基準法研究会でこの産前産後の休暇、特に産後の休暇について専門的医学的な立場から見た場合にどのぐらいで母体が回復するか、そういう御研究もいろいろ委員会を設けてしていらっしゃると承っているのですけれども、その間の経過なり、あるいはその委員会の報告の内容などを御説明いただきたいと思うわけです。
#23
○政府委員(森山眞弓君) 労働基準法の女子の問題につきましては、産前産後の休業の問題も含めまして、労働基準法研究会におきまして、特に第二小委員会というところで調査研究を行ってきているところでございます。そしてその小委員会におきまして、さらにいま先生がおっしゃいました専門的な知識ということを要求いたしますので、専門家を特に御委嘱いたしまして、「医学的・専門的立場から見た女子の特質」につきまして専門家の研究をお願いしたわけでございますが、その報告書が昨年の十一月に一応まとまりまして、第三小委員会に提出されたところでございます。
 この報告に基づきまして、この小委員会がさらに法制的な見地から今後どのようにしていくかということを進めているところでございますが、この報告書はあくまでも医学的な専門的なお立場から非常に慎重に書かれたものでございまして、私も実は医学の専門ではございませんので、十分御説明申し上げられるかはどうかはなはだあれでございますが、私が拝見しましたところでは、この先生方の御意見としましては、母体の具体的な諸機能の回復は一般的に六週間から八週間とされているが、明確にはとらえにくいというような感じで書いてございます。その諸機能、いろいろ身体には諸機能がございまして、狭い意味での母性的な機能、それからそれ以外のいろんな身体的な機能、それがやはり妊娠、出産ということによって非常に変化するわけでございますが、それがもとの状態に復帰するというのがそれぞれの機能によって少しずつ違うというような説明がしてございます。また、さらにその上に個人差もいろいろあることでございましょうし、非常に何週間とか何日とかいうことを限定して言うことはむずかしいということが書いてございますので、ちょっとはっきりしたお答えにはならないかと思いますが、報告書の内容といたしましてはそのようなことでございます。
#24
○佐々木静子君 いまお話のあった報告書は私も拝見させていただいたわけでございますが、大体いまのお話の、個人差があって、六週間で回復する者もいるけれども、おおむね六週間ないし八週間のうちに普通の健康な人間はもとへ返るということで、普通の場合でも、病気じゃなくても八週間はかかる人も十分に考えられるということのように承っていいわけでございますね。そういう報告の内容になっているわけでございますね。
#25
○政府委員(森山眞弓君) いま先生がおっしゃいましたように、普通の場合でも八週間ということはあり得るとは思いますけれども、また六週間ということで十分な人もあるということで、非常に幅があるという感じで私どもは拝見しているわけでございます。
#26
○佐々木静子君 この点について、日本の労働基準法の場合は六週間ということに、法律上は強制日数は五週間でございますか、なっておりますけれども、ILO条約から見ますとこれが大変に日本の場合はおくれている。ILOの規定からいきますと、大体が産前産後十六週間というものが目標にされているわけでございますので、ILOの規定からいっても、日本の国家公務員に対する母性保護というものがおくれているというふうに伺っているわけでございます。特に九十五号勧告でございますか、そのあたりから見ますと、大変にいまの婦人労働者に対する扱いというものがおくれているわけでございますが、労働省の方で専門家の意見を小委員会を開いてまとめられたというような経過などからも考えて、六週間では足らない、八週間まで延長しようというふうな立法の改正ですね、そういうことはいま取り組んでいらっしゃらないわけですか。取り組むお気持ちはないわけですか。
#27
○政府委員(森山眞弓君) 先ほど御説明いたしましたように、労働基準法の問題ということになりますと、労働基準法の研究会におきましてただいま専門家の御意見その他いろいろな資料を参考にいたしまして、法制的な見地から結論を出すということで鋭意作業を進めておられるところでございますので、労働省といたしましては、その結果を待ちまして対処いたしたいというふうに考えております。
#28
○佐々木静子君 これは労働省の資料で見ましても、それから私の方の手元の資料を見ましても、日本では大変に医学が進んでいるということになっているにもかかわらず、妊婦の死亡率というものがほかの文明諸国と比べると大変に多い。たとえばオランダが十万人のうち妊産婦の死亡は一九・四人、イギリスも一九・四人であるのに、日本の場合は欧米諸国から断然群を抜いて多い五七・九人というような数字になってきているわけでございます。しかも、これは労働省のいまおっしゃった委員会の資料で見ましても、働いている婦人と家庭にずっとおられる婦人との場合に、妊娠中毒症などの病気を起こしているのが、働いている婦人の場合が全体の二〇・五%、これは高血圧、たん白尿などの場合ですね、二〇・五%、家庭婦人、無職の婦人の場合が七・四%で、大体三倍になっている。それから切迫流産などで子供を死産している場合が、労働婦人の場合が二二、これは何人が標準になっているのかちょっと何ですが、二二に対して、家庭婦人の場合が七、大体三倍になっている。
 そういうことから考えると、日本の労働法の規定というものがやはり婦人の保護ということについて大変に立ちおくれていると同時に、職場環境がよくないというふうに考えられるわけですけれども、これは鋭意検討していただくということも非常に結構ですが、現実に毎年このような犠牲者がたくさん出ているという現状から考えると、何とか早く、せっかくの婦人の局長さんががんばっていただいているんですから、労働省の方で早く、この国際婦人年をチャンスにできればそのような改正をしていただけたらと。
 これは実は超党派の婦人議員が集まりまして、労働省の方でどうしても早急にお願いできないようであれば、婦人議員だけ集まって、そして議員立法ででもぜひともこれは八週間にまでは保障していただかないといけないということで、何回もそのことの討議を昨年一年間重ねてきたわけでございますけれども、いろいろ所属しておられる政党の御関係で一遍に衆議一決ということにはいかなかったので、まだ議員立法で出す運びには現在至っておらないわけでございますが、これはやはり労働省の方で、現実に世界的に見ても非常に日本の状態がおくれている、国際婦人年で世界の大会があっても、日本の婦人労働者に対する問題を言うのにこれはちょっと、野蛮国というのはちょっとひどいかも知れませんけれども、大変におくれているという点、余り芳しくないことだと思いますので、ぜひその問題を労働省の方で早急に取り組んでいただきたい。特に、これは裁判所の職員の要望など一つをとらえてみましても、どうしても労働省の方でそういう立法を促進していただかなくてはすべての職員に対する保護というものがむずかしい。民間がもう御承知のとおりずっと優先しているわけでございまして、民間では百日ぐらいの産後の休暇をとっているところはかなりあるわけでございますから、その点をぜひ取り組んでいただきたいと思うわけですが、いかがお考えでございますか。
#29
○政府委員(森山眞弓君) 労働基準法の問題につきましては、先ほど申し上げたようなことでございまして、研究会の結果を待って対処したいというふうに考えておりますが、そのほかに勤労婦人福祉法という法律を二年前つくっていただきまして、それに基づきまして、基準法に決めてございませんけれども、ほかの保護措置を進めるようにいたしております。たとえば妊娠中の通院休暇ですとか、あるいは妊婦の通勤緩和の措置ですとか、あるいは育児休業の制度というようなものが、労働基準法には特に決めてございませんけれども、勤労婦人福祉法におきまして特に取り上げまして、その実施を各事業所にお勧めしているところでございます。
 まだ二年ほどの法律でございますので期間が短こうございますから、特に申し上げるほどの実績というわけではございませんが、御参考までに申し上げますと、この法律ができました昭和四十七年でございますが、四十六年には、たとえば妊娠中の通院休暇制度は実施しておりました事業所が五・七%でございましたが、法律ができまして一年たちました四十八年には一九・八%、また妊婦の通勤緩和措置につきましては四十六年四・一%でございましたのが、四十八年には一四・五%ということで、まだわずかではございますが、以前に比べればいささかの進歩をしているというふうに私どもは考えておりまして、この面でできるだけ、できることを努力していきたいというふうに考えております。
#30
○佐々木静子君 ぜひとも早急に前向きに取り組んでいただきたい。
 それから人事院の方にもお伺いするわけでございますが、いま私申し上げましたように、すでに人事院の方でもよく御承知のとおりでございますが、この母性の保護については民間の方がはるかに優先している。その事柄について、人事院とするとどのように措置を考えているのか。特に産後の休暇について、人事院とすると特別に今後どのように進めていくつもりであるか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
#31
○説明員(斉藤乃夫君) ただいま森山局長からもお話がありましたように、産後の就業制限期間の延長問題につきましては、療養に要する期間に個人差もありますし、必ずしも一律に延長すべきものとは考えておりません。その取り扱いにつきましては、専門家の諸先生方の御意見、あるいは労働基準法との均衡、民間企業の動向等をも考慮し、現在検討中でございます。なお、人事院といたしましては六週間にこだわるつもりはございませんので、専門家の先生方の御意見が一致して延長すべきであるというふうなことであれば、その方向で検討するにはやぶさかではないつもりでございます。
#32
○佐々木静子君 裁判所の方でも、いま労働省の婦人局長あるいは人事院の方で今後前向きに母性の保護ということについて積極的に取り組んでいこうという姿勢を示していただいているわけでございますが、現実の問題としていまの法律では六週間、ただ実際職場で婦人部の方々から伺いますと、ともかくお産で休むときは予定日前に産んでくれよ、予定日が一日でも延びるようなことにはなってくれるなよと、職場の人から激励というとおかしいけれども、そういう歓呼の声におくられて休むと。これはしかし、大変な悲劇だと思いますね。おなかの中にまだもう少しおいといた方が子供の健康にとっていいという場合もよくあるわけでございますから、やはり安心して休めるということ、これはお産というのは個人的なことであると同時に社会的なことなんでございますから、局長さんやら最高裁の裁判官が幾らおえらくても、男の方である限り子供は産めないわけですから、だからやはり子供を産む婦人の労働者に対してはもう少し血の通った行政をしていただかないと、一日でも予定日より早く産んでくれというようなことを言われて休むのじゃ、これはゆっくり産後の休養をとることもできないわけでございますので、そこら辺の職場の意識の改善、これは局長さんがどのようなお考えを持つかによってずいぶん変わってくると思うんです。
 それと交代要員の問題ですね。職場によっては交代要員で賄えない職場もあるとは思いますけれども、賄える職種の方においてはぜひとも交代要員を補充していただかないと、実際問題として、病欠を三十日とればいいとおっしゃっても、その人の不利益ももちろんのことですが、出てくると、あんた長いこと休まれたために自分がどうなったこうなったと、同じ職場の人たちにさんざんぐちをこぼされる、そして白い目で見られる。それではやはり安心して休めない、子供も産めない。そういう状態ではちょっと困りますので、やはり男女同権というのは形式的な同権じゃなくて、実質的な条件が保障されてこそ平等ということになるわけでございますから、そこら辺について局長さん、いかがでございますか。
#33
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) お産の社会的な意義ということにつきましては、私も十分に認識をいたしておるつもりでございます。また、産後の回復の問題につきまして、いま労働省あるいは人事院から有益なお話を伺いまして、非常に今後の参考になったというふうに考えております。決して無理をしても六週間過ぎればすぐ出てこいというような意味で指導いたしておるものではございませんが、今後なおこの機会に、御本人に十分休んでもらうようにいたしますとともに、周囲の人たちがやはり温かい目で見てやるということが大変大切なことでございます。ことに上司等が十分の理解をもって見てやるということが大切なことでございます。産休の代替要員の確保についても努力をいたしますとともに、そういった意識の改善につきましては、機会あるごとに御趣旨を体して指導していきたいと、このように考えております。
#34
○佐々木静子君 ぜひともそのようにお願いいたしたいと思います。労働省と人事院の方はこれで結構でございます。
 それから労働問題に関連いたしまして、労災、職業病の問題でございますね、その問題、前回にも取り上げさせていただいたのでございますけれども、現場からは、その後においても職業病に対して十分な補償の審査がなされておらないというふうな声もあちこちの裁判所から上がってきているわけでございますし、そういう事柄について、いま裁判所の方でこれは補償審査委員会でございますか、そこでどのくらいのケースがあって、そのうちどれだけが業務上という認定をされてきているのか。特にこのごろは女子の職員、タイピストの方々あるいは速記官の方々の腱鞘炎とか、それに類する職種の疾病が非常に多発しているわけでございますけれども、そのあたりについて御説明いただきたいと思います。
#35
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 災害関係でございますが、御承知のように、公務災害と思われる災害が職員に発生いたしました場合には、所定の手続を経まして実施機関でございます事務総局に報告がなされてまいりまして、事務総局で公務災害であるというふうな認定をいたしますれば、そこで公務災害としての規定によりましてそれぞれの措置が講ぜられるわけでございますが、不幸にして公務外の認定がなされました場合には、御指摘の災害補償審査委員会に対する申し立てというものが行われるわけでございます。
 これまで災害補償審査委員会に係属いたしました全事件は三十一件でございまして、その中で未済件数が十七件ということになり、既済が十四件ということになっております。未済が多いようでございますが、実は最近の申し立てが数として非常に多い年がございましたのでそのようになっておるわけでございます。その十四件の既済がありました中で、災害補償審査委員会において、結局、前実施機関の認定を覆して、これは公務であるというふうに見られましたものは二件、残りの十二件というのは原認定を維持するという形で終わっております。災害補償審査委員会の一般的な件数の上から見ました活動状況というのは、以上のとおりでございます。
#36
○佐々木静子君 特に問題になるのが、申し立てをしてから結論が出るまでの間が非常に暇がかかる。特に地裁段階から最高裁の方に送られている間に、一体その事件がどうなったのか、とうに最高裁に届いていると思っておるところが、現地の地裁にいつまでもたまっておったりして何年も要している。そういうことではこのような疾病に対して対処することができないんです。やはりもっと、審査を申し立てをしてから結論出すまでを慎重にやっていただくのもさることながら、こういう問題は早く解決しなければならない。大体平均どのぐらい日数がかかっているわけでございますか。
#37
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 平均日数というとちょっと調べがございませんが、現在係属しておりますものの一番古いものは、四十八年の二月申し立てのものが一件でございます。それ以外は四十八年の七月申し立てが大部分でございます。一件は昨年の十一月の申し立てと、こういうふうになっております。
 ただ、この災害補償審査委員会に対する申し立てまでに、実施機関における認定というものが必要でございます。御指摘のように、相当日数がかかっておることは事実でございまして、その点申しわけなく思っております。ただ、一番問題になります手肢障害でございますが、これを認定いたしますのに、いわゆる専門家が全国どこにでも得られるというものではないわけでございますので、高等裁判所所在地等でございますと公的病院等でかなり専門の方がおられますが、その所在地を離れた場所で発生いたしますような場合には、現地が報告をいたしてくるまでにも相当の日数を要しておる。これは私ども今後十分改善していかなければいけないというふうに考えております。しかし、実情は以上のとおりでございます。
#38
○佐々木静子君 この問題だけを取り上げておりましても相当時間かかりますので、きょうはこの問題はこの程度にしておきますけれども、前回にも申し上げましたように、非常に日数がかかる点と、それからあまりにも一辺倒な、出して長いこと待っておったところ、ぽんと、これは公務外だというふうな書面が一つ舞い込んでくる、おしまいになる、そういうふうなことじゃなしに、裁判所のために一生懸命働いている裁判所の職員に対して、もう少し温かい配慮をしていただいて、余り形式に流れないような、やはり労働者の保護ということを考えていただきたいと特に要望するわけでございます。
 それから婦人の職業病と関係いたしまして、タイプの問題でございますけれども、昨年来、全司法の婦人部でタイプの問題と取り組んできていることは当局も御承知のとおりでございますけれども、最高裁というのはほかの官庁と比べて非常にタイプを必要とする職場であって、またほかの職場でタイプを打っても、それはタイプも打つけれども、ほかの仕事の合い間にタイプを打つという程度の職場はかなりあるようでございますが、タイピスト専門でこれだけタイプと取り組まなければならないという意味においては、裁判所というのは非常に特殊な職場ではないかというふうに考えるわけでございますが、この用いているタイプの機種が大変に古い。大変に古いというか、あまりよくない。そういうことで女子労働者に対して負担がかかってきている。御承知のとおり大抵のほかの官庁とか民間会社においては、用いているところのタイプの機種というものは新しいタイプの機種を用いている。ところが、裁判所においては、まあ値段が安いというところでしょうと思いますが、古い機種が用いられている。そこら辺のところで、タイピストとすると、一生懸命やりたいけれどもこれでは十分にできない、それから採光のぐあいなども他の職場と比べると大変に劣るというふうなことがあるわけですが、タイピストが自分で自分に合ったタイプの機種を選べるという職場もかなりある。そこら辺から考えて、裁判所の方で将来タイプの機種を、あてがいぶちにいままでどおりなさるのか、あるいは働く人の希望に応じた新しい機種に切りかえておられるのか、その問題について経理局長に伺いたいと思うわけです。
#39
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 佐々木委員の仰せのように、裁判所におきましては他の行政官庁と違いましてタイピストの数も多いし、またタイプライターによって仕事をするという事務員も非常に多いわけでございます。
 そこで、ただいまお話しのように、私どもの方にもいろいろタイピストの方からの要望を承っております。それを要約いたしますと、一つは、古いタイプライターをできるだけ早く更新してもらいたい、もっともな要望でございます。それから第二の要望はタイプの機種に関する問題でございますが、タイプのプラテンの太さ、細さの問題がございまして、裁判所では従来細プラテンのタイプを使っておるわけでございますが、これを太プラテンのタイプに切りかえてもらいたい、こういう要望になると思います。
 そこで更新期間の問題でございますが、これにつきましては私どもももっともな要望でございますので、従前は九年ないし十年で更新するという扱いになっておりましたが、最近は八年ないし九年というふうに短縮しまして、五十年度におきましては八年で更新するというふうにさらに短縮してまいりたいと、かように考えております。なお、この更新期間の短縮につきましては今後とも努力を継続してまいりたい、かように考えるわけでございます。
 次に機種でございますが、これは行政官庁あるいは民間会社におきまして太プラテンが採用されておりまして、細プラテンの需要というものは大変減っておるという状況に相なっております。これは大体文書のいわゆる横書きが非常に多く、裁判所の場合はまだ縦書きが非常に多いといったような関係もございまして、裁判所では太プラテンの需要がそれほど高まっていなかった。しかし、最近はその需要も逐次非常に高まってまいっております。その要望に合わせまして、最近は、まだ全体として太プラテンに切りかえております数は少のうございますけれども、私どもとしましてはその要望に適合するように努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#40
○佐々木静子君 いまこの更新期間、八年ぐらいにしたというお話でございますが、これは全司法の調査によりますと、ほかの官庁で大体五年とか四年とか、長い期間で六年、これを八年というのは裁判所が一番長いようでございますが、その使う時間というものが裁判所がいま申し上げたように一番多い。そういうことから考えると、やはりほかの官庁よりもタイプの性能というものは劣ってくるのじゃないか。
 それから、いろいろ御配慮していらっしゃると思いますけれども、私はタイプのことはよくわかりませんが、いまお話にあったように、細プラテンじゃ使う者の身になるとあまり楽ではないので、ぜひとも太プラテンにかえてほしい。そうなると、これは単価はどのように違うわけでございますか。それともう一つ、太プラテンにかえた場合に、またこれは太プラテンだからということで更新期間をかえって長くされるのじゃないか、そういう問題も懸念されているわけでございますが、どのようになっているのでございますか。
#41
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 単価の問題でございますが、これは製造しています会社によりましてそれぞれ違っておりまして、たとえば日本タイプの例で申し上げますと、日本タイプの5SPSという細プラテンは価格が十二万六千円でございます。同じ日本タイプの太プラテンの10WOというものになりますと十七万九千円、それぞれ会社によりまして違いまして、細プラテンでももっと高い値段のものもございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ太プラテンを採用していきたい、それにあわせて、かつ更新期間をできるだけ短縮するようにいたしてまいりたい。それにはもちろん予算の獲得ということが必要でございます。予算を充実いたしまして、それが実現できるように努力いたしたい、かように考えております。
#42
○佐々木静子君 これはぜひ婦人の労働者の保護のためにも考えていただきたいと思います。
 あと矢田部議員の質問の時間がなくなりますので、私このあたりで一時人事局に対する質問は打ち切りたいと思いますが、週休二日制が近き将来に実現しようと言われているわけでございますが、この週休二日制と裁判所の人事ということに対しまして、いま裁判所とするとどのような姿勢でいまこの問題に、ただでさえこれだけ人員が少ないわけでございますけれども、週休二日になった場合に、それに対処するためにどのような人事行政を考えていらっしゃるのか。
#43
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 週休二日ということが目前に迫っておることは社会の大勢であろうかと思います。そこで、昨年の四月からまず土曜日の開廷というものを一切全国一律に廃止をいたしました。これもいろいろ問題はございましたが、幸いに裁判官以下全職員の御協力を得まして、なるべく非能率とも思えます土曜日の開廷というものを一斉にやめて、約一年を経過したわけでございます。幸い、事件の処理等につきましては、何らそれの影響というものは見られませんでした。
 次に、当然起こってまいります土曜日を休むという問題でございますが、私ども裁判が直接国民の権利義務に重大な影響を持っておるものであるということを考えまして、職員の週休二日の実施もそれにいささかの影響も及ぼさないような形でもって成果を上げたいという、ある意味では相矛盾いたします二つの調和という観点から計画を練っておるわけでございますが、現在のところ、過日も新聞紙上等で拝見いたしますと、国会職員等につきましても何らかの措置をおとりになるというような国会御当局のお話もあったようでございます。私どもも前向きの姿勢でもって全国的な観点から試験的な実施ということを、できるだけ早い機会に成案を得て行っていきたいと現在のところ考えております。
#44
○佐々木静子君 それでは、時間の都合で人事局に対する質問はこれで私の方は一応打ち切りますけれども、せっかく大臣お忙しい中いらっしゃっていただいているので、いまの御答弁、先ほど来経理局長その他の御答弁を伺っていましても、やはり予算の面での問題さえ解決すれば、いろいろと前向きに解決していただける問題がたくさんあるようでございます。裁判所予算、もちろん独立した予算を持っているわけでございますけれども、一番関係の深い法務大臣としますと、この裁判所のいまの婦人労働者の問題、あるいは働くにふさわしいだけのタイプその他の獲得の問題、そういうことについて法務大臣とするとどのような御見解でいらっしゃるのか、またどのように今後取り組んでいただけるのか、そうした問題についてお述べいただきたいと思います。
#45
○国務大臣(稻葉修君) 前回の委員会でも申し上げましたとおり、裁判所の経費は独立して国の予算に計上するものとされており、裁判所の予算の原案は最高裁判所が全く独自な判断に基づいて内閣に提出することとされておりますが、法務当局ば、したがってその段階でこれに介入すべきものではありませんけれども、裁判所の予算につきましても、最終的に予算案を作成するのは内閣でございますので、閣議の一員として私、法務大臣は裁判所の所掌事務に最も近い関係にあるのでございますから、裁判所の正当な要求が正しく理解されるよう最終の大臣折衝等においてはやってまいっておるつもりでございます。
 法務大臣としては予算の大臣折衝に、初めてことし取り組んだ経験しかありませんけれども、裁判所から出ている予算について特に念を押して、この問題は大丈夫なんだろうな、この問題は大蔵大臣、大丈夫やってくれたねというようなことを念を押してまいったような次第でございまして、ただいま佐々木先生からいろいろ御質問があって、これに裁判所側が非常な前向きなお答えをしていただいておりますから、来年度はきっと相当、何といいますか、増額された予算要求が行われるのではないか、その通過につきまして法務大臣としてなし得るだけの努力をして御協力を申し上げたい、こう存じておる次第でございます。
#46
○佐々木静子君 ぜひ長く法務大臣として来年もがんばっていただきたいと思います。
 それでは、あと私は検察審査会に対する質問をちょっと矢田部委員の御質問の後に譲らしていただきたいと思いますので、私の質問は一時これで終わりたいと思います。
#47
○矢田部理君 裁判所職員の定員をふやすという問題でありますが、最近五年間ぐらいの定員がどのくらいふえているのかということを見てみますと、きわめて微々たるものであるという感を強くするわけなんです。そこで人事局長、昭和四十五年以降最高裁としてどのぐらいの定員を要求してこられ、実際に実現された数は、私の手元に資料はありますけれども、結果としてどうなったのか、それを裁判官と裁判官以外の裁判所職員と分けて御説明をいただきたい。要求と実現内容です。
#48
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 最近五年間と申しますと、四十五年から四十九年までということになりますが、四十五年におきましては、当初要求が七百九十八名でございます。純然たる増員は、このときに一部減員がございましたので、それを差し引きまして純増員が百三十塩でございます。四十六年が五百九十七名の要求をいたしまして、この年も減員がございますが、それを差し引きまして純増三十二名、四十七年が当初要求五百四十三名でございまして、この年も減員がございますので、純増四十名、四十八年が五百七十八名の要求に対しまして、これも減員がございますので、純増三十五名、四十九年が五百十四名の増員要求をいたしまして、この年も減員がございますので、純増は三十名ということになっております。
 その内訳でございますが、四十五年では、裁判官は二十五名の増員、それからその他の職員が百五名ということになります。それから四十六年が、裁判官で予算で認められましたのが十四名、そのほかの職員が十九名でございます。それから四十七年は裁判官が九名、その他の職員が三十一名、四十八年が裁判官七名、その他の職員が二十八名、四十九年が裁判官五名、その他の職員が二十五名ということで、予算上認められたものでございます。
#49
○矢田部理君 毎年の要求人員が数百名に及んでいるわけですね。ところが、実際にふえた数を見てみますと、四十五年はある程度ふえているようでございますが、四十六年以降はその一割にも満たない。とりわけ、ことしなどは簡裁の裁判官三名、裁判官以外の職員二十三名で、わずかな定員増に終わっているわけですが、それは一体どういうところに原因があるというふうにお考えになっているんでしょう。
#50
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 一般的に申しまして、増員要求の仕方の問題ともからむわけでございますが、単に裁判所の事務量がふえたということで何人というふうな要求ではございませんで、それぞれの業務というものを考えまして、その業務に必要な人員ということで予算要求をしてまいっているのでございます。本年度の当初要求もそのようでございまして、たとえば裁判所は非常にPRが下手であるというようなことを言われておりますので、広報体制の充実といったようなことで相当数の事務官の要求をいたす、また健康管理ということで医者とか薬剤師の増員を要求をいたす、それからまた経理面でございますが、共済組合事務、最近は年金業務とか財形貯蓄といったようなことで業務がふえてまいっておりますので共済組合の事務、それから今度は予算で認められておりますが、寄託金事務、これは家庭裁判所におきますところの寄託金の取り扱い事務がふえたということで寄託金事務の処理といったようなこと、それから書記官研修所とか調査官研修所でそれぞれ事務量がふえたというようなことで、それの要求をいたす、そのほか裁判関係では、たとえば民事の場合におきますと、調停制度が今度改正されましたので、それに伴うところの事件増というものを考えまして要求をいたすとか、また特殊損害賠償事件がふえているので、これを適正、迅速に処理するために合議体をふやしたいということで判事補の要求をいたす、執行官事務を適正に行うということのために、そのために要する人員といったようなこと、そのようなことでいろいろとそれぞれの業務に応じまして、それに必要な人員ということで要求をいたすのでございます。
 結果的に非常に少ない人員になったということでございますが、いま申し上げましたように、私どもの増員要求と申しますのは、裁判事務関係のものと一般行政事務関係のものと二つございまして、一般行政事務関係でございますと、これは裁判所特有の業務ではございません。たとえば共済組合事務ということになりますと、これは各省庁あることでございまして、裁判所特有の業務でもないといったような関係もございまして、また一面そうした一般行政事務でございますと、事務能率器具を整備するというようなことによって合理化、能率化も図られるという面もございますし、また人員を適正に配置をするというようなことによってある程度合理化、能率化も図れるといったような面もございます。そのような関係で、一般行政事務関係の点につきましては、政府の定員削減の方針等もございますし、また一面、そうした能率器具等を整備することによって合理化もできるというようなことで、この際はこの点の増員はそちらの方でカバーしていきたいというふうに考えたのでございます。
 しかしながら、一面、裁判関係でございますと、これは裁判所特有の業務でございまして、一日もゆるがせにできない面もございまして、その点につきましては私どもとしても鋭意努力を集中するわけでございます。しかしながら最終的には、たとえば裁判官の場合でございますと、判事補、判事といったようなところになりますと一定の資格等も必要でございますので、給源といったような問題もございます。それからまた予算要求は、前の年の八月末現在である程度今後の事件増、事件の推移といったようなものを加味いたしまして要求いたすものでございますので、反面、事件の推移というものが勢い八月から予算が最終的にきまります、ことしでございますと一月でございますが、一月現在の状況というものがある程度加味されますので、事件の推移等も当初の見込みとはある程度違った面も出てまいる。たとえば調停事件でございますと、新制度発足ということで相当に事件がふえるのではないかというふうなことで、その処理に要する人員ということで要求をしましたけれども、結果的にはそう事件は伸びていないというようなことでございますので、この点につきましては今後、調停事件の推移等を加味して来年度においてまた改めて検討いたしたいというようなことでございます。
 給源その他、事件の推移等を考えまして、最終的には今回の増員ということになった次第でございまして、今回の増員で事務上支障を来たすのではないかという御疑念もあろうかと思いますが、以上のような次第でございますので、さしあたり現在、この程度の増員で裁判関係、それから行政事務関係におきましても、特に支障を来たすものではなかろうというふうに私ども考えております。
 以上でございます。
#51
○矢田部理君 裁判所の要求でありますから、相当の根拠と必要があって毎年数百名に及ぶ増員の要求をしているのだろうと思うのです。特に過大な要求をしたり、水増しをしたりということではないだろうと思うのです。それがわずか三名とか二十三名とか、非常に微々たる要員増しか獲得をできないという、いろいろ御説明をいただいたわけでありますが、中心的な原因、主な原因は何なのか、どこに障害があるのか、もう少ししぼって、あるいは整理をしてお答えできませんか。
#52
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 結論的に申しますと、一般行政事務関係は先ほど申しましたように、一面、事務能率器具等を整備するといったようなことでカバーできる面もございます。昭和四十五、六年ごろでございますが、この点も非常に増員が多いのでございますが、いわゆる行(二)職員といったようなことで清掃業務、それから機械設備要員といったようなものも要求したのでございますが、これは最近におきましては人を雇うというよりは、たとえば電気設備でございますと電機会社と保守契約を結ぶとか、それからボイラー設備等でございますと、これもそうした関係の会社と契約をいたすとか、またたとえばエレベーター等でございますと、これを自動化するといったようなことで、行(二)職員の要求をいたしましても、最終的には職員ではなくて、いわゆる賃金と申しておりますが、そうした一般経費、そうした保守契約等を結べる経費を計上するといったようなことで最終的に妥結いたしますので、そういったものは当初増員要求いたしますが、最終的にはそうした保守契約等を結ぶ経費として予算上計上されるというふうなことにもなります。したがいまして、行政事務関係におきまして一応要求はいたしますけれども、最終的にはいま申しましたように事務能率器具を整備するとか、そうした賃金予算を計上するといったようなことでカバーしている面があるということを御理解いただきたいと思うのでございます。
 残りますのは裁判事務関係でございますが、先ほど申しましたように、事件の推移と、それから主たる理由と申しますと、やはり裁判官それから書記官、調査官といったような特殊の一定の資格を要する職種でございますと、どうしても給源といったような問題がございますので、予算定員をふやしたからといってそれが現実に充足されないということでございますと、せっかく定員を獲得してもそれが充足されないということになりますので、この点につきましては給源との関係で、給源が十分にあるといったような状況でございますならば、それに伴うところの予算定員をふやすということも可能なわけでございます。現状におきましては、そうした給源の関係もございますので、また一面、事件の推移等を加味いたしまして、そういうような関係で最終的にはこの程度の増員、こういうことに相なっておるのでございます。
#53
○矢田部理君 どうも二度にわたっていろいろ細かい説明をいただいたわけですが、すかっとしないというか、非常にわかりにくいわけです。要求をしている裁判所自体が、何か要求そのものに問題があるかのような発言も中には含まれている。私がお尋ねをしたいのは、たとえば大蔵省や法務省に問題があるのか、あるいは何と言いますか、内閣に問題があるのか、それともあなた方の要求そのものに説得力がないのか、努力が足りないのか、どっちなんだということを私は端的に伺いたい。
#54
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 私どもの努力が足りないというふうには思っておりません。私どもといたしまし七は鋭意努力をしてまいっておるのでございますが、先ほど申しましたように、給源の関係、それから最近でございますと事件が横ばいないしは減少しておる傾向にございますので、そういった関係でこの程度の増員ということになるわけでございます。このような形になるのが大蔵省が悪いとか、法務省が悪いとか、内閣が悪いということでは決してございませんので、私どもといたしましては、精いっぱい努力して、その結果この程度である程度やっていける、こういうことでございます。
#55
○矢田部理君 だれもみんな悪くないみたいですけれども、ただ要求の数字と実現した数を見ますと、その説明ではどうもわれわれにはなるほどそうですかという感じにはならないわけですよ。ことしだって四百数十名ぐらい要求しているわけでしょう。それが三十名そこそこの充足で、それで結構なんでございますということになれば、四百数十名も要求した裁判所が、結構なんですとまでは言わないわけでしょうけれども、いまの説明でいいんですか。あなたの説明だと、むしろ要求そのものがおかしいということになってしまいはしませんか。その点もう一回、あれもある、これもある、これはこうだという御説明ではなくて、ずばりひとつ、数字が余りにもかけ離れているがゆえに再度しつこいお尋ねをしたいわけでありますけれども。
#56
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) どうも話が細かくなって恐縮なんですが、増員要求のうち、約半分ぐらいはいつも行政事務関係でございます。行政事務関係でございますと、できれば人ということで私どもとしては増員要求をいたすのでございますが、反面、先ほど申しましたように事務能率器具を整備するとか、それから外部の電気会社等と保守契約を結ぶといったような、そうした一般経費を計上することによって賄える面もございますので、これは折衝の経過において、この増員につきましてはむしろそうした一般経費を計上するということによってカバーするということでこの点の増員をしないということに相なっておるのでございます。
 残りますのは、何と申しましても裁判事務関係でございます。裁判事務になりますと、増員の内容自身が裁判官、書記官、調査官といったようなそうした職種になりますので、勢い給源との関係がどうしても出てくるわけでございます。これも八月末現在におきましては、この程度の増員が認められても十分それを補充する給源はあるであろうという一つの見込みのもとに予算要求をいたすのでございます。
 八月以後予算が最終的に決まるまでの段階で、そうした給源の関係とか事件の推移といったようなものが変わってまいりますので、最終的には当初の要求よりも少なくなる、こういうふうなことに相なっておるのでございます。
  〔理事白木義一郎君退席、委員長着席〕
#57
○矢田部理君 余り説得的な説明とは思われませんけれども、いま全国各地で裁判官不足が問題になっているわけですね。各地の弁護士会等でも、欠員が補充されない、もう少し定員をふやしてもらわなければ困るという要求なり決意が方々で実は出されているわけですね。実際問題として、たとえば裁判官が常置していない裁判所が非常にふえていることは事実であります。これは日弁連の調査でありますが、四十九年六月三十日現在で全国で三百七庁の裁判所が裁判官不在ということになっているわけです。これは私から言わなくてもわかっていると思いますが、そういう実態に照らして問題をながめてみれば、いまお話しのような、何とかいまでもやっていけるんだということではなしに、非常にこの要員、定員をふやすという問題は深刻な問題なんじゃないかという感じが私どもは実はしているわけなんです。
 それに対して最高裁判所も、内閣等に対しては年間数百名に及ぶ要員をふやしてほしい、定員増の要求をしているようでありますけれども、一つ要求に対して腰がすわっていないのじゃないか。大蔵省が財源の問題で、もう少し減らせとかこうせいということになるならば、これは私たちは大蔵省に物を申さなければならぬと思うのでありますけれども、もちろんこれは内閣に対しても強い要求をしていきたいとは思いますけれども、問題は要求する側の最高裁自身の姿勢にも、もう一つきちんとしたものが弱いのじゃないか。非常にシビアな物の言い方をすれば、要求をしておきながら自己規制的なことをやっていはしないかという疑いすら私たちは持ってきているわけなんですが、その点いかがなんでしょうか。
#58
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 私どもといたしましては、裁判官になられるという方、裁判官として適当な方が多ければ、できるだけ多く来ていただきたいということは常々念願しているところでございます。ただいま先生がおっしゃいましたように、現在裁判官がいない庁が相当数ございますが、いわゆる裁判官の定員というものと、それから現在員というものとは異なるわけでございまして、先ほど来申しておりますように、裁判官になり手がなかなかいないということになりますと、予算定員を仮に現在の倍ぐらいいたしましても、現に裁判をする者としての現在員というものは現状におきましては大幅にふえないといったような状況にございますので、そういった関係で、予算定員のみをふやすということは、現実に充足される見込みがない現状におきましては定員のみをふやすということがなかなかできないと、こういうことでございます。
#59
○矢田部理君 裁判官の問題とあわせて、職員も配置が少ないように私は思われるわけですね。いま欠員の問題がありましたけれども、たとえば東京高裁管内で、独立簡裁でありますけれども、二人しか配置をされていないところが幾つかあるわけですね。民事、刑事の事件を両方行っているのに、わずか二人の職員ではとてもじゃないが仕事ができないという現場からの訴えがありますが、私は地元が茨城県でありますが、たとえば水戸地裁管内だけで見ましても、大子、取手、鉾田三ヵ所の簡易裁判所がわずか二人しかいない。これは栃木県のたしか足尾もそうだと思いますが、こういう現状をどういうふうに最高裁は考えておられますか。
#60
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 私どもの方といたしましては、独立簡易裁判所でございますが、簡易裁判所は職員は必ず最低限三名ということで私ども考えておるのでございます。ただ、御承知のように裁判所は全国に千以上の役所がございますので、ある時点をとりますと、一時的にはそこが二名であるとか、場合によっては極端な場合には一名になるというようなこともございますが、全国的に見ますと片方の方で常にある程度の欠員というのは抱えざるを得ないというのが、裁判所の機構が非常に多いということからくる一つの事由ではないかというふうに考えております。
#61
○矢田部理君 定員と欠員の問題は裏腹の関係にあると思うのですけれども、私が次の質問として予定をしておったことを先に話がありましたが、定員をふやすということと、あわせて欠員が非常に多いというのも一つの特徴なんじゃないかという感じがしますね。そこで、いま裁判官の欠員はどのぐらいあるんでしょう。
#62
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官は判事、判事補、簡易裁判所判事全部合わせてでございますが、百七名の欠員でございます。
#63
○矢田部理君 それはいつ現在ですか。
#64
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 昭和四十九年十二月一日現在の調べでございます。
#65
○矢田部理君 裁判官以外の職員の欠員はどうでしょう。
#66
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 同日の調べでございますが、一般職の職員の欠員は全国で二百七名という数字でございます。
#67
○矢田部理君 そこで先ほどに関連して伺いたいのですが、さっき私の県で挙げた大子、取手、鉾田の裁判所、確かに定員は三名なんです。ところが、本庁が忙しいからといって、本庁の方に三名のうち一名が引き揚げられて、ずっと二人しかいないんです。本庁から持ってくれば、本庁の方に穴があいてしまうというわけです。こういうことがずっと繰り返されてきているわけですね。これは定員の問題というよりも、場合によっては欠員の補充の問題かもしれませんけれども、こういう実態が現場にある。栃木県にもあります。こういう問題について人事局長、どういうふうに考えておられますか。
#68
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判所を置きます以上、二人庁というのは実は私どもは非常に好ましくない。三人あればいいというものではございませんが、少なくても三名以上は置きたいということは念願でございます。ただ、御指摘の庁がいますぐそうであったかどうかということについては、正確な資料をちょっと手元に持っておりませんが、簡易裁判所の二人庁、三人庁程度でございますと、一般的には平均事務量の一割から一割五分ぐらいしか仕事がないというところが大部分でございまして、そういうことになりますと、その庁に人間をふやしていくということは非常にいろんな意味で困難があるということでございます。しかし、どうであれ役所を置きます以上、二人庁ということはこれは非常に残念なことでございます。そういった点については、これをなくしていくという方向で努力をいたしたいと考えます。
#69
○矢田部理君 仕事の量という点から人の配置をすることも非常に重要だと思いますけれども、同時に、いまおっしゃったように少なくとも裁判所を置く以上、二人では一人休めば仕事ができないという状況なんですね。そういう点で、とりわけ地方の裁判所というのは、裁判官もいない、そこへわずか三名の定員のところ一人が補充をされないということになりますと、ほとんど裁判所としての機能を果たせないという状況になってしまいますので、ひとつ一刻も早く要員の補充をやってほしいということを強く要請をしておきたいと思います。
  〔委員長退席、理事白木義一郎君着席〕
 それから宿直の問題をお伺いしたいと思うんですが、最近、独立簡裁などで一定の条件をそろえた部分については宿直を廃止されておるわけです。ところが、支部段階では宿直を依然としてやっておるわけですが、この宿直者の待遇はどのようになっているのでしょうか。
#70
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 規定によりまして宿日直手当というものを支給いたしておるわけでございます。人事院勧告によりましてその年の定められた金額を支給する、こういう扱いでございます。
#71
○矢田部理君 現在幾らぐらいになっておりますか。
#72
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ちょっと正確な数字を記憶いたしておりませんので、後ほど申し上げたいと思いますが、事件宿直と一般の宿直とがございまして、これによって少し差があったろうかと思いますが、千円以上の金額であったろうというふうに思いますが、詳細な数字は後ほど調べまして申し上げたいと思います。
#73
○矢田部理君 問題は宿直でありますが、通常の役所であれば五時に終わって、それから言ってみれば宿直に入るということになるわけですが、裁判所の場合には夜間でも、たとえば令状事務などがあるわけですね。とりわけ選挙などがありますと、昼間警察署は新聞社に追われているので、大体令状は夜間に求めるということが非常に多くなるわけなんです。そこで裁判所の宿直はてんてこ舞いをするという事態があるわけですけれども、通常の宿直ならば場合によっては宿直手当だけでいいのかもしれませんけれども、令状事務を扱うような宿直については、むしろ宿直手当とあわせて超勤手当的なものと言うか、超勤として問題を考えていくべきでなかろうかという感じを強くしているわけですが、その辺の見解はいかがでしょうか。
#74
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これも夜間の令状事務がどの程度現実にあるかということと一応関連はいたしてくると思います。事件宿直と通常の宿直というものを分けております点からまいりますと、夜間に平均どの程度あるかは別といたしまして、ある程度の令状事務が入ってまいりましても、これは事件宿直という形で賄えると考えております。ただ、大都会の裁判所と、令状事務が夜間に錯綜いたしますそういった場合につきましては、適当にあるいは九時とか十時とかのころまでにはいわゆる超勤として処理するということは現実にも行われておるわけでございます。
#75
○矢田部理君 それは超勤として処理する場合には、本人の申告なりに基づいてやるわけでしょう。ちょっとその実態があまりよくわからないのですが。
#76
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは超勤はいわゆる超勤命令というものを出しましてやるわけでございますので、たとえば東京のようなところでございますと、順次超勤者を、十時までなら十時までの超勤者を指定いたしまして、その人たちは超勤で処理する、そしてそれ以後いわゆる通常の宿直を行う、こういうことになっております。
#77
○矢田部理君 私はやはり事件宿直は、一般宿直よりもやや宿直手当は多いのでありますけれども、もう少し宿直手当だけでなしに超勤というような性格を明確にすべきだという感じがしてならないわけです。特に、宿直をするということになれば自宅で食事ができないということになりますので、どうしても外で食事をするということになればかなりの経費もかかるわけでございますから、いまの手当程度ではなかなか宿直が容易でないということがありますし、それから地方の小さな裁判所なんかですと、宿直のダイヤが非常に早く回ってくるということで、この点に対する苦情も相当程度あるわけです。関西では一部廃止をされてきておりますので、その点は解消されたかと思うのですけれども、いま役所で宿直をやるというのは、小中学校でもすでに廃止をしておるという中では数少ない一つだと思うのです。この点、その宿直の組み方その他については問題が出ませんか、いかがでしょうか。
#78
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘の.ように、五人以下とか十人以下という役所でございますと、女性の方もおられますし、そういう方を宿直させるというわけにもまいりません。勢い、一月のうちに相当日数を宿直していただかなければいけないというような事態がこれまであったわけでございます。実は宿日直廃止という方向に強力に踏み切ってまいりましたのも、そういったことを背景にいたしまして、矢田部委員御指摘のような点を考えて、職員の健康管理といった意味からもぜひこれは実現したいということで始めたことでございまして、現在乙号支部でありましても、十人以下の職員のところにつきましては、一定の要件はまだ置いてはおりますけれども、関係官庁等との話し合いがつくものである限り廃止するという方向に進んでおりまして、その恒久的な宿直廃止の実施をいたしておりまたはいたそうと考えておりますものは、全国で二百庁以上にも及んでおるという状況でございます。いずれにいたしても、職員の少数の庁におきましては所要の条件を整える、たとえば防犯的な設備を行うとか、あるいは記録等の保管についての十全の措置を行うとか、そういった所要の手続きをとりまして、できるだけ多くこの宿直を廃止するという方向に踏み切りたいというふうに考えております。
#79
○矢田部理君 質疑は前後いたしますが、幾つかの対策について先ほどから問題になっておる点についてお尋ねをしたいのですが、まず裁判官の定員が少ないということとあわせて、かなりの欠員がある。この欠員が出てくる原因、それを解消するためにどういう努力をされておるのか、お伺いいたしたいと思います。
#80
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 先ほども申し上げましたように、裁判官につきまして相当数の欠員のあることは残念ながら事実でございます。ただ、現在の定員の立て方も一つの問題があるのではなかろうかという気もいたします。と申しますのは、判事、判事補、簡易裁判所判事というふうに、資格の異なりますことと関連いたしまして別個に定員を設けております。彼此融通するという形にはなっていないわけでございます。そういう関係で、それぞれのところに欠員がございましても、あるいは過員の状態が出ようとすることになりましても、直ちに有無相通ずるということができないという仕組みでございます。
 しかし、それよりもなお根本的な問題は、やはり資格が非常に厳格でございまして、これを大量に補充いたします時期というのが四月という、一年じゅうの一時点に限られておるということと関連いたしまして、極端なことを申しますと、四月に完全に補充いたしましても、年間減耗というものが、常識的に申しまして裁判官、判事については四、五十名ございます。それから簡易判事についてもやはり四、五十名の年間減耗というものがございます。それから判事補についても十名前後の減耗というものがございます。こういったものが年間に減耗になってしまいます。これは欠員のままでいかざるを得ないのが現状でございます。十二月一日の時点ということで御報告を申し上げましたが、この時点にこの程度の減耗にとどまっておるということは、実はこれ自体が非常に大変なことなのでございまして、春になってせっかく埋めましても、ずうっと定年退官とかというようなものがございまして欠員がどんどんふえてまいりまして、十二月の時点に立ち至る、こういう状況でございます。このことを解消いたしますためには、判事補にいたしましても、判事にいたしましても、簡易裁判所判事にいたしましても、かなりの予備名簿といったようなものを持っていなければいけないわけでございます。残念ながら現在の状況といたしましては、いまも申し上げましたように、春にしか大量補充のチャンスがないということでございますので、年間平均をいたしますと、ある程度の欠員を常に抱えておるというような形にならざるを得ない、こういう状況でございます。
  〔理事白木義一郎君退席、委員長着席〕
#81
○矢田部理君 単純に、年一回しか採用の機会がないということだけではなしに、裁判所の最近のあり方そのものにも幾つかの問題点があるように感じてならないわけですけれども、職員の補充についてはどういうふうに考えておられますか。
#82
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 職員の中にも、やはり事務系統の職員とその他の職員に分けられるかと思います。書記官、それから家庭裁判所調査官は、現在書記官研修所出身者、家庭裁判所調査官研修所出身者によりまして補充をいたしておる。これもやはり春に卒業をいたしますのが大量補充の時点でございまして、この時点で補充するよりほかしようがないという状況でございます。しかし、一般の事務職員でございますと、これは比較的、大学卒業の春の時点で補充するということ以外に、各地でそれぞれ選考によって補充するということも可能でございますので、現在のところ、一般の事務の職員の補充というのが一番容易にと申しますか、機を失せずその都度できるという状況にございます。
#83
○矢田部理君 単なる自然減耗、年間のうちに相当程度やめていくための欠員だということだけでは説明しきれないと思うのですが、いずれにいたしましても、まずもってその欠員の補充に最大限の努力をする、その上に立って、いまの裁判所の現状から考えてみれば定員の要求をもう少し腰を据えてやるということが必要ではないかというふうに思われますが、受けて立つ内閣の側では、これに対してどう対処しようとされているのか。特に法務大臣は法曹界の出身でもありますので、現状や問題点については詳しく御存じのことだろうと思いますので、最後に伺おうと思ったのですが、時間の都合もあるようですので、この機会に一言所見をお伺いしておきます。
#84
○国務大臣(稻葉修君) この欠員補充、予算要求とか予算定員要求とかいうものが、いままでの法務大臣がどうあったかわかりませんが、私の経験したたった一回のことしの大臣折衝、閣議直前の最終的な大臣折衝では、すでに裁判所の方と大蔵、財政当局との話ができておりまして、これは未解決だから大臣がんばってこいと、こういうものがないわけです。一面、楽であるようだけれども、先ほど御指摘のように、ずいぶん要求と実際つく予算が差があるじゃないかというようなこともあって、どうしてもこれは裁判所のために大臣はがんばってこいよ、これは決裂しているんだと、そういうものがないものですから、力の入れようがないんですね。しかし今度は、先ほど佐々木先生からも、いま矢田部先生からも強い御指摘があって、裁判所側の腰も座ればそういう場面が出てくれるのではないか。恐ろしいことでもあるけれども張り合いもある、こういうふうに感ずる次第でございます。
#85
○矢田部理君 それでは、大臣がいる間に一言だけ最高裁に伺いたいのですが、法務大臣が仕事をやる場合がないぐらい大蔵省との間に詰まってしまった、言ってみれば裁判所が大蔵レベルで、数百名の要求を出しておりながら二十名か三十名の定員増の確保で下がってしまう、ここが問題なのじゃありませんか。大臣からそのことを鋭く指摘されているというふうに私は思うわけです。いまの大臣のお答えに対して、裁判所、何か返答することはありますか。
#86
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほど来、矢田部委員からいろいろお話ございまして、私もその基本的な御指摘について十分に伺っておった次第でございます。私どもといたしましては、裁判所は独立の機関として、最終的にはいわゆる二重予算権もあるわけでございますので、さようなことを常に念頭に置きまして、裁判所の予算が十分に獲得できるようにいろいろな方法で努力をしておるわけでございます。その間におきましては、法務大臣にも陰に陽に御後援いただいておるように理解しておるわけでございます。
 ただ、いま問題になっております定員の問題につきましては、何と申しましても裁判所で一番中心になりますのは、裁判官の増員でございます。もとより、その他の一般職員の増員もきわめて必要でございますが、裁判所の性格上、基本的には裁判官の増員と相伴いまして一般職の増員が行われるのが普通の形でございまして、それにつきましては、裁判官は先ほど来話が出ておりましたように、最終的に充員見通しが立たないということが一番の隘路でございます。いまいろいろお話がございましたけれども、裁判官も過去十年ばかりの間に二百人近い増員になっておりまして、これがいま人事局長から御説明申し上げましたように、四月の時点においてはおおむね充員されるという現状でございます。私どもとしてはさらに増員なり充員の方向で努力をしたいとは考えておりますけれども、それには何と申しましても、まず
 いま人事局長から説明申し上げましたように、常時裁判所に裁判官として入ってくることを希望する諸君を獲得する、そういうことによりまして給源の見通しがつきますれば裁判官の増員は十分に図れるわけでございますし、また、さような処置をとりたいと考えるわけでございます。
 当初八月の時点の要求と、十二月の時点で私どもいわゆる大臣折衝を行います時点との要求数に差があります点についての御疑問には、いろいろごもっともな点もございますけれども、さような
 いろいろな考慮から、そういうことで五十年度におきましては過去での増員を踏まえて、増員についてはかような数字でよかろう、その他の予算全体から見まして本年度の予算の伸び率ということをも考慮いたしましてさようなことで妥結する、かような経過になっておるわけでございます。しかしながら、前々からあるいは今回も法務委員会の皆様方に非常な御激励をいただいたわけでございますので、大臣の御支援もいただきまして一層今後とも予算の獲得に努力をいたしたい、かように考える次第でございます。
#87
○矢田部理君 大臣が理解ある態度を示しておるわけですから、大臣にもう少し働く場を最高裁自身が与えるべきだし、最高裁自身がみずから自己規制してしまって、この程度でまあまあ結構なんだと言うならば要求そのものがおかしいということに逆になってしまうわけなんでありまして、今後その点十分留意をして、要求をする以上は必ず実現をする、そのためには関係各方面の努力も仰ぐ、こういうことに力を注いでもらいたいというふうに思います。大臣、それじゃ結構です。
 そういうことで、話が前後いたしましたけれども、あと二、三点をお尋ねしておきたいと思います。
 一つは、最近の裁判所の職員の異動が広域人事になっているということで、かなり遠方に飛ばされるというか、転勤などをされているわけなんですが、転勤をする職員というのは、たとえば家族の問題など、子供さんの学校の問題とか住居の問題、単に異動するというだけではなくて、いろいろな生活問題を抱えているわけですね。宿舎はある程度あるようでありますけれども、まだ若い人たちには今度は宿舎の問題が出てくる。それらの転勤の問題点について最高裁としてはどういうふうに考えておられるのでしょうか。
#88
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判所の職員の転勤問題というものを、私は極端なことを申し上げますと、なしで済ませられるならば、なくて済ませたいというような気持ちを持っております。それはどういうことかと申しますと、御指摘になりましたように、子弟の養育の問題でございますとか、いろいろな問題が近時非常に重要な問題点として浮かび上がってまいっております。昔は小中学校の場合には教科書等もそう変わったものではございませんでしたが、現在では一つ学校が変わりますと、同じ市内の中でも教科書に困るといったような問題も実はあるわけでございまして、できることならなくしていきたいと思います。
 しかし、御承知のように全国千以上の役所を持っております裁判所としましては、現在僻遠の地におられる方をその御苦労に報いて比較的利便の地に来ていただくということのためにも、交代要員を送らなければいけないという問題がございます。ただ、近時は昇進コースといったようなことのためにある程度広域な配転の人事を行うという傾向がやや顕著でございましたが、そういった点は、私ここ一、二年ではございますけれども、できるだけそういった意味の省ける転勤というものはできるだけ省いていって、そういう異動がないようにしていきたいというふうに心がけてやってきておるつもりでございます。しかし結果的には、これだけ多い裁判所の数を抱えておりますと、どうしてもある程度の人の異動というものはやらざるを得ないということで、今日、それから生ずるいろいろな問題に実は頭を悩ましておるというのが偽らざるところでございます。
#89
○矢田部理君 転勤はできるだけさせたくないということですから、そういうふうに私も承っておきたいと思うのですが、少なくとも転勤をさせるに当たっては本人の意思、生活条件も含めて本人の意思を尊重して行うという基準というか、原則をやはり確立をしておくことが非常に大切なんじゃないかということを私は考えているわけです。
 それから最後の質問になりますけれども、裁判官を常置していない裁判所が非常にふえているわけですね。それから支部によってはてん補をしなければ合議体が組めない裁判所も、これまたかなりの数に上っているわけなんです。欠員の補充や定員増の問題とあわせて、こういう裁判所に対する今後の手当てといいますか、処置をどういうふうにお考えになっておりますか。
#90
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 一般的に申し上げますと、やはり裁判官の充員ということによって解決していくよりほかない問題でございます。問題はやはり甲号支部等でてん補をとらなければ合議が組めないということは非常に困ったことでございますが、逆に甲号支部において事件数が非常に減少してきておる甲号支部があるということも、これは逆に問題がその面ではあろうかというふうに考えます。結局、裁判所の機構というものを十分に整理することを進めますと同時に、一方職員の充実、ことに裁判官、裁判所書記官、調査官といった裁判所固有の官職の充実ということを全力を挙げて取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。
#91
○矢田部理君 やはり私たちは、この裁判所の中で裁判官や職員を含めて欠員が多い、あるいはその定員がふえないということは、裁判を受ける権利の問題にかかわってくると思うんですね。迅速な裁判がなかなかやってもらえない、適正な裁判が行われない。そういう中で裁判所の最近の傾向を見ておりますと、どうもやっぱり点数主義的な傾向を感じないわけにいかないんですよ。一丁上がりということになると語弊がありますけれども、何件年間に裁判を上げたかということが一つの成績の基準になるような雰囲気が裁判所の中にあります。これは仕事が忙しいということも一つあるでしょうし、そういう中で裁判官の数が不足しているということもあるかもしれませんけれども、同時に最高裁判所がいわば現場の裁判を重視するよりも、どちらかというと上を向くことに重きを置くというか、そういう雰囲気が裁判所の中にありはしないか。そのために、私たちも裁判官としばしば話をする機会が多いわけでありますけれども、だれさんの裁判はまだことしになってからこの程度しか消化していないとか、わしはこれだけことしは上げたとかという話が間々出るような雰囲気が、実は一線の裁判官の中にもあるわけなんですね。まあ迅速に裁判をやるということも一つの条件でありますが、より以上に大事なのは、やっぱり適正に裁判を行うもう一つの条件を十分に満たしてもらわないと、数が上がったからその裁判官は優秀なんだとか成績がいいんだという雰囲気をつくるようでは、最高裁の姿勢としても問題がありはしないか。その点で私たちは、改めて裁判官の欠員と定員をふやすという問題を、単に数の問題とか頭数だけそろえばいいという問題としてではなくて、そういう裁判の中身にもかかわる問題として十分これからも最高裁判所としてがんばってほしい。
 とりわけ、裁判所の職員の問題については、佐々木委員からもいろんな点で指摘がありましたけれども、実際問題として速記官が不足しているとか、タイピストが大変だとか、いろいろ現場には問題点があるわけです。きょうは時間の関係で質問を留保というか、この程度で終わりたいと思いますけれども、いま幾つかの議論になったような点を十分に留意されて、今後の定員問題を含めた取り組みに努力をしていただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。
#92
○佐々木静子君 それでは先ほどの質問に引き続きまして、検察審査会に対する質問が保留になっておりましたので、その点を若干質問させていただきます。
 前回、裁判所の職員に関して各部門について質問させていただいたわけでございますけれども、検察審査会というものが裁判所の中できわめて日の当たらない場所に所在しているというふうに私ども思われるわけでございまして、この法務省からいただいた資料を見ましても、定員の数が九百九十二名ということで、こういう方がどこでどうやっておられるのであろうかというふうに、実は裁判所に出入りする職業を持っている者ですら、そういう率直な感じを受けたわけでございまして、果たして各裁判所にそれだけの方が配属されているのかどうかということを私非常に疑問に思いまして、物好きに裁判所の職員録で人数を調べてみたりしてみたわけでございますが、本日、各地裁に配置されている検察審査会の職員の人数というものを裁判所側からの御報告をお聞きしたわけでございますけれども、たとえば東京には検察審査会事務局職員数三十一名、横浜が十五名、大阪が二十八名というふうな御報告を伺っているわけです。一面、福岡が四十名、熊本が三十名、そういうふうな人員の配置を聞かせていただいて、別に私は福岡の四十名が多過ぎるとか、あるいは熊本の三十人が多過ぎるということを言うわけではありませんけれども、東京が三十一人、横浜が十五人で、福岡は四十人、熊本は三十人、鹿児島は横浜より十人多い二十五人というのが、ほかの裁判所の人事から比べると何か非常に特異な感じを受けるわけなんですね。一般の職員数の比例から見ると、人口も事件数も多い東京とか大阪とか横浜とかにかなり人員がたくさん配置されているのに、検察審査会の事務局職員だけがこういうふうに、普通の常識から考えるともっと多くていいんじゃないかと思うところが少なくて、案外だと思うところにたくさんいる。これはどういうわけでこういう人員の配置をしておられるのですか。
#93
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 実は、これは検察審査会は全国で、沖繩を入れまして二百七ございます。お手元にお届けいたしましたこの資料は、それぞれの管内をまとめましたので、たとえば東京で申しますと、八王子だけがほかにあるわけでございます。横浜の場合でございますと、横浜本庁所在地のほかに横須賀、小田原とございます。それから福岡でございますが、これは非常に管内に裁判所の多いところでございますので、福岡でございますと、福岡のほかに飯塚、直方、久留米、柳川、小倉、田川、このように数が非常に多い。そういうところの職員を合計いたしましたものでこのような数字に相なっておるのでございます。
#94
○佐々木静子君 私はせっかく御報告いただいたこの統計が間違っていると言うわけではありませんけれども、実際のところ、ちょっと電話をかけて現地に聞いてみると、そんなにいるかなあというのがそこの裁判所の職員の話なんですね。そこら辺で私自身非常に不思議に思うわけでございまして、果たしてこの方々が検察審査会の仕事をやっていられるのかどうか、これはここに所属しているけれども、実際はほかの部門で働いていられるのじゃないか、そういうふうな疑問を持たざるを得ないわけでございます。これは若干知り合いのところへ数件電話してみましたら、いやそれだけがとてもおらぬぞという返事でございましてね、そういう点で、ここに出ている数字と実際に検察審査会の仕事をしている人、まあ全然してないというわけじゃありませんけれども、ほかの用事もし検察審査会の仕事もしている。そこら辺で、私はせっかくの御報告ですけれども、非常に疑惑を持っているわけなんでございます。
 と申しますのは、検察審査会というものが戦後できた非常にユニークな制度である、民主主義を守る一つの、国民の裁判に対する参加というようなことで非常におもしろい制度であるわけでございますが、実際では裁判所の正面には看板は大きくかかっているけれども、中身は果たしてどれだけの人が何をやっているかというような状態であることは、これはだれしもそのように思っているのじゃないか。少なくとも、いまの裁判所の司法行政の中で、検察審査会についてそれほど力を入れていらっしゃらないのじゃないかと思わざるを得ないわけです。検察審査会の職員のこと一つをとらえてみましても、たとえば検察審査会の課長とか、職制上も決して保護された状態になっておらないわけでございまして、東京の第二検察審査会の事務局に二名の課長がいるけれども、二名とも五等級である。地裁の各課の課長補佐は全員四等級、高裁の係長も四等級、そういうふうなところから考えると、検察審査会というものの位置づけというものが、そこら辺の裁判所の人事の中でも出てくるのじゃないか。そういう意味で、これではせっかくの機能というものをこれだけの日の当たらない場所に追いやってしまって、果たしてその仕事が完全に行われるのであろうかどうかということを大変に疑問に思うわけなんでございます。
 検察審査会の審査員のことをちょっと伺いたいと思いますが、この検察審査会の審査員は、申し上げるまでもなく検察審査会法によって有権者名簿の中から選ばれるわけでございますけれども、この人たちに対する日当というものが現在どうなっているか。
#95
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 現在は二年ほど、二千二百円以下で審査会長が定めるということになっておりますが、検察審査会法によりまして、刑事訴訟費用法による証人の日当より下ることを得ない、そういう制限がございまして、そういう意味で現在のところは二千二百円以下ということになっております。
#96
○佐々木静子君 二千二百円で、現実には普通平均幾ら払っていられますか。
#97
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 現実には会議に関与した日は千七百円、不関与の日は千百円、こういうことになっております。本年度におきまして四五%程度のアップを考えておりまして、可能であろうというふうに考えております。
#98
○佐々木静子君 検察審査会法の二十五条によりますと、検察審査会というのは全員出席しなければ会議を開くことができないとなっておりますね、普通の会議と違って。そのために予備員というものを待機させている。その予備員は、出頭されると日当は幾らになっているわけですか。
#99
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 予備員といいますか、補充員と申しますが、補充員は会議に関与しない、もちろん審査員が欠けておる場合には臨時審査員に繰り上がりますので審査員の日当になりますが、その他の関与しない補充員は千百円ということになります。
#100
○佐々木静子君 いま証人の日当との対比の話がありましたが、証人というものは、たまたまそこに居合わせたとかということで、普通一回裁判所に出ればそれで用が足りる。検察審査会の場合は任期は六ヵ月ですね。そうなると、東京などの場合でも大体週に一回ずつ、当たったら最後回ってくる。このことについて裁判所は一体どう考えていられるのか。いま千七百円とか、予備員の場合は千百円ですか、どこの職場に行ってもそんな低賃金というのはないわけでございまして、それに当たった人は率直に言ってどんなに迷惑するか。こんなものに当たったら大変だ、経済的に見た場合だれでも大変困ったということになるであろろと思いますけれども、そのことで検察審査会の職員が、検察審査会の委員になった人に出てもらうために三拝九拝して拝み倒して、しかもその職場なり家庭などの了解を取りつけるために大変な苦労をしている。そういう状態を最高裁はどのように考えておられるのですか。
#101
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 佐々木委員御指摘のとおりでございまして、確かに日当が安いということは私どもも常々考えておりまして、そこで五十年度の予算では、何とかもう少しよけいにということで四五%アップということになったわけでございますが、ただ、この審査員の欠席といいますのは、やはり検察審査会に対する理解度というものが十分でないというところにもあるのだろうと思います。現に審査員に選ばれまして最初の会議というのは非常に出頭率が悪い、それから仕事が始まりますと欠席率が少なくなる、こういうふうな状態でありまして、やはり十分に認識していただくということが基本になるのだろうと思います。もちろん日当が安いということも理由だと思いますが、そういう意味で、やはり認識を深めてもらうというために職員がいろいろ出かけて、特に職場の関係で理解がないとなかなか出頭してもらえないということがありますので、そちらの方に働きかけるということが多うございます。ただ職員としましては、そういう意味で一種のPRであるんですが、理解度を深めるという仕事もやはり職員の仕事だろうというふうにわれわれは考えておりまして、それをいやがらずにやってもらっているわけでございますが、日当の点につきましてはそういう意味で今後とも努力して増額の方向で進みたい、かように考えております。
#102
○佐々木静子君 これは当たったら最後、六ヵ月出ないといけない。そうして出なければ過料を一万円取られる。大変にむちゃくちゃな制度じゃないですか。四五%上げると言ったところで、二千円やそこらでしょう。いま大工さんや左官屋さんの日当は一万円以上じゃないとこれはやっていけない。ほかの労働者の基準にしても、大体そのぐらいのところじゃないといまの高インフレでやっていけないわけですよ。これは当たったが最後、たとえば中小企業の経営主がこれで六ヵ月毎週、千七百円の千三百円ので一日縛られるとなると、その企業としたらどうしようもないですね。また経営者じゃなくても、三人しかいない、あるいは従業員一人しかいない企業だってあるでしょう。そこの従業員が当たってしまったら、その企業はどうしようもない。これはもうちょっと考えて、もしどうしてもいまの法律のままでこの制度は推し進めるとなさるならば、四五%ぐらいの値上げじゃとても話にならぬじゃないですか。それから子供さんがたくさんいらっしゃる家庭の主婦に当たることもある。そういう場合、留守番を頼もうと思えば四千円も五千円も払わないと留守番に来てくれない。お金を出しても、子供さんが大ぜいいるんじゃ留守番に来てくれる人はないですよ、このごろ。ところが、そういう人が子供を抱えて、そうして当たったら最後、過料になるというので一日つぶして出ていく。
 私、制度自身は非常にいいと思うのですけれども、これは実際もうちょっとだれもがなるほどと思うような、PRのことも後で伺いますけれども、やはりそれだけ犠牲を払って来てもらう以上はそれに対する経済的裏づけというものを裁判所はお考えにならないと、非常に裁判所の一方的なやり方というふうな印象をやはり世間の人は受けるのじゃないか。そして、その板ばさみになっている検察審査会の職員の人たちがもろにそれに対する非難を受け、そして大事な仕事だからどうしても審査会を開かないといけないから、結局のところはその方々に平身低頭、企業主やら家族に平身低頭し、そして子供さんのお守りをして出ていただく。そういうふうなことはちょっとむちゃくちゃじゃないですか。
 検察審査会の開かれている日に、検察審査会の職員は、託児所がないから子供のお守りを引き受けてやらないといけない。そうしないととても御協力いただけないというようなことで、せめて保母でも置いてもらわないと、これは数字の上ではこうなっているけれども、現実には一人で幾役も兼ねている職員が多いわけですから、その方々が今度子供さんの子守もしないといけないというのじゃ、これは幾ら規定は民主的ないい規定であっても、実際はこれじゃどうにもならないじゃないか。検察審査会の職員が現実に子守をしなければ検察審査会というものがやっていけないという現状をどのようにお考えになり、また担当の局長として、せめて保母を置くとか何とか、そういうことはお考えにならないんですか。万一、子供さんを預かっていて事故でも起こったらその職員はどういうふうなことになるか、そういうふうなこともどのようにお考えになっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
#103
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 佐々木委員御案内のように法の八条五号には、辞退の事由ということが規定してございまして、非常に子女の多い関係で出頭が困難だというものにつきましては、審査会の許可を得て辞退することができます。その辞退率は、その他の理由を含めまして八・六%になっておりますが、それらの措置を講じた上での問題と伺いますが、実は審査会は審査員の方々の都合のいい時間を、また日を選んで決めるということでございまして、非常に忙しい大都市の場合と小都市の場合では非常に事件差もございます。それから忙しさの程度が違いますので、一律にはまいらないかと思います。多くの地方では、お子さんがおられても、どうぞ一緒に来てくださいというふうに招集状に書いてございまして、審査会のところで中にお子さんも入れてやっていく。むしろそういう普通の状態での話し合いという方が適当だ、余りしかつめらしく討論するということよりはその方がいいという雰囲気で進んでいるようでございますが、ただ、大きいところでは確かに御指摘のような問題が起こっているようにも伺っておりますので、なお今後十分検討してみたいと、かように考えます。
#104
○佐々木静子君 これは郡部であっても、たとえば家庭の主婦に当たる。子供が仮に一人だったとしたところで、暑いとき寒いとき子供を連れて、何か子供を連れて来てもよろしいと恩恵のような言い方をされるけれども、家庭の主婦がいっぱい仕事を抱えているのに、農家なら農家で主婦は忙しいですよ、そこを子供を連れて出て行く、一日留守にしなければならない。また、行った子供も裁判所の中で、遊園地かどこかへ遊びに行くならともかく、一日待ってないといけない。まる一日ということはないでしょうけれども、これは私やっぱりこういう制度自身をつくられた以上は、それが実現できる設備を裁判所は当然おつくりにならないと、そのしわ寄せは全部国民に行き、そしてそのしわ寄せのはね返えりが一番担当の検察審査会の職員にくるのですから、これは大変気の毒なことだと思いますね。制度自身は非常にいいのですけれども、こういう制度をつくられる以上は、そういう制度が活用できるだけのものをやっぱり裁判所はつくらないといけないと思います。私はそうしなければならないと思いますね。
 いまも言いました非常に表向きはいい、形式的にはもっともな話だ。だけれども、実質的にそれができるような体制をおつくりにならないと、これは当たった者とそれから当面の職員が大変気の毒な状態じゃないか。子供は来てもいいというけれども、子供にしたって全然うれしくないですよ、検察審査会に母親について来なければならないというのは。全く子供には迷惑な話だと思いますね。それならそれで、当たった人と当たらない人の子供が平等になるように、やっぱりそこには子供さんを預かる設備なり何なり当然つくらないといけないのじゃないですか。どういうふうにお考えになります。いままででいいとお思いになるんですか。
#105
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 先ほど申し上げましたように、地方によっていろいろ事情が違いますし、それから実は保母ということも、臨時の保母というのは、審査会はそんなに毎日開くわけではございませんのでなかなか人選と言いますか、それも困難な問題があろうと思いますが、いずれにしても十分検討してみたいと、かように考えます。
#106
○佐々木静子君 それから、仮にも検察官が決められたことに対してそれを国民が批判するということなんですから、ちょっとスーパーへ買い物に行くというふうなことで、子供をあやしながら片手にというぐあいにはいく話じゃないと思う。ですから、やはりこういう制度があって、いい制度だからこれをこのまま引き続いて存置しようということであれば、いまも申し上げたように、その検察官の処分に対してこれを批判できるだけの体制をつくらなないといけない。たとえば不起訴事件などで医療過誤の事件などがある。そういう場合は医師のかなりな専門家に来ていただいて助言をしていただかないといけない。そういう場合だけに限らず、特に今度は公害罪などができてくると、公害事件についていろいろと専門家の助言を仰がないと、これは幾らこの制度がいいからと検察審査会の委員に当たった人が熱心になったところで、専門的知識というものは補充してもらわないとどうにもならない。こういう方々に対するお礼はどういうふうにしていられるわけですか。
#107
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 審査員と同額の限度になっておるわけでございます。
#108
○佐々木静子君 そんなことで専門家にやっていただけるというふうに裁判所は本気にお考えになっていらっしゃるのかどうか。たとえば裁判所で鑑定を鑑定人に頼んだら相当な報酬を払わなければならないでしょう。検察審査会の制度というものを本気になって運用するなら、検察官のやられた処分に対して批判するだけのことをやるのですから、やはり少なくとも裁判所の鑑定人に対する報酬と同じくらいのことをしなければ、これは頼むに頼めないのじゃないですか。それで、千百円の千七百円のでそういう専門家に鑑定をしてくれ、助言をしてくれと言わなければならない職員の立場のつらさというか、恥ずかしさというか、仕事のむずかしさというか、そこら辺をやっぱり最高裁で、建物のりっぱなところへ座っておられるとそういう下々のことがおわかりにならなくなるのかもわからないけれども、だれが考えてもそんなむちゃな話はないと思いますね、どう考えていられるのですか。
#109
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 検察審査会の助言者の予算につきましては、かねがね増額に努力はしているのでございますが、助言者と申しましても、実は地元の方に、専門的とはいうものの、整理した上で全部の鑑定というわけではなくて個別的な鑑定という、法律問題を個別的な限度に限って伺うということでお願いするようになっておりますので、ごく短時間だいうことで、二千二百円の上限のところでお願いしているということになっております。
#110
○佐々木静子君 しかし、私は裁判所は不まじめだと思いますね。子供の小遣いだって千円ぐらいはこのごろ普通じゃないかと思いますよ。それを専門家に鑑定をしてもらうのに、ちょっとの時間というけれども、やっぱり専門家にしてみれば一応記録も見ないといけないでしょう、資料も調べないといけないでしょう、専門家として出るのですから。そこへ出てしゃべる時間は五分か十分か知りませんけれども、しかも裁判官を相手にしゃべるとか検察官を相手に説明するとかというのじゃなくて、一般の選挙人名簿から選んでくる人だから、その理解度に、非常に程度の高い人もいるでしょうけれども、また非常に説明をしなければわかってもらえない人がいる。しかもいまのお話で子供連れのお母さんやらいろいろいるわけですから、そういう人にわかってもらうように話をしようと思ったら、そんなちょっとの間とかいうような、そんな現象的な面だけでとらえることは私はできないと思いますよ。
 これは本当にやる気があるのなら、裁判所の鑑定人よりももっと大変なのじゃないか。鑑定人だったら裁判官にわかればいいんですけれども、各層出身のいろいろなバラエティに富んだ人にわかるように話をしないといけないのだから、私はこれは大変なことだと思いますしね。結局、そういうことで鑑定人になかなか協力をしてもらえない。そこら辺のしわ寄せというものがまた全部職員にかかっていく。私は大変に裁判所の無理解と申しますか、本当にやる気がおありなのか、やる気がおありでないのか、そういう宙ぶらりんないまの司法行政の中にあって、検察審査会の職員は気の毒だと思いますね。ちょっとの値上げとかいうようなことじゃ追っつかないと思いますけれども、根本的にこういう制度をしっかりと前向きにとらえていくおつもりなのか、これは経済的にはとてもだめだから、もう裁判所はほうってあるのだというのか、一体どっちなんですか。
#111
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 検察審査会制度というのは、先ほど佐々木委員も御指摘になりましたように非常に大事な制度でありまして、裁判所の予算とは別個独立の予算のかっこうになっておりますけれども、裁判所としましては極力手当てする面について努力しているつもりでございます。ただ、数は多いのですが人数が少ないとか、そういう面で額としますとそれほど目立ちませんですが、毎年努力はしておりまして、若干ずつは予算が上がっております。今後ともその点は努力していきたいと、かように思っております。
#112
○佐々木静子君 何度も申し上げて恐縮ですが、裁判所というところは非常識だと世間の人が言うけれども、その非常識さがここに私は集約されているような感じがするのです。これはこれはちょっと、幾ら何でも若干の値上げぐらいではとても追いつかないのではないか。根本的には私思いますのに、四〇%や五〇%の値上げで専門家に鑑定をしていただくということ自身がもう本当に無理な話だし、無理なら無理で、大きくもっと無理でないように検察審査会のあり方自身をつくり変える以外に方法はないと思いますし、いまのままでこれを存置するなら、これは大体のほかの委員は調停委員にしても司法委員にしても、本人が自分もやりましょうということでなられていると思いますけれども、検察審査会の場合は一方的に選挙人名簿で決めるのですから、それだけにもっと裁判所は本気になってやられるならやられるで考えないと、余りにも非現実的な制度ではないか。そこら辺をもうちょっと本気になって考えていただかないと、まず職員の方は大変に気の毒な目に遭っている。そこら辺を十分お考えいただきたいと思います。
 それから、これが検察庁のやられたことを批判するという法律であるだけに法務省の御協力があまり得られないのかどうか私よく知りませんけれども、いまのたとえば検察審査会法の二十五条の全員出席の必要などというようなことですね、これは普通の会議並みに出席者の三分の二とかというようなことにでもすれば、いまの補充員の問題も起こってこないし、また、その補充員になられた方が、検察審査会の委員よりもまだ少ない報酬で一日仕事をほうって出てこないといけない、子供さんも連れてこないといけない、そういう問題の一つでも解決する。そういうふうなことで、この二十五条の改正とか、そのほかいろいろな点で、この検察審査会の出された結論に対してもう少し強い効力を持たせてはどうかという案なども相当ございますけれども、そこら辺の改正は裁判所はどのように考えておられますか。全然改正する気はないのですか、どうなんですか。
#113
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 検察審査会法の改正につきましては、十数年前一度本気に取り組んでみたこともございます。しかし、その後学者の方の意見などを徴しましても、やはりいまのままの制度の方がよろしいのではないかという意見が大部分でございまして、実は先ほどの定足数の問題等も、現在の制度が補充員というのが審査員と同数になっておりまして、それでも十分でないという状況のもとで定足数を決めますと、かえって運用ができにくくなるのではないかという反対側の疑問もございます。そこで、私どももいろいろ検討はしておりますけれども、いま現在の段階では、早急に改正するというところまで結論を持っておりません。
#114
○佐々木静子君 改正しないなら、いまの制度で学者の方はいいと言っていられるというけれども、まさか、検察審査会に当たった人が中小企業の主人公であろうと、それから一人しかいない零細企業の従業員であろうと、これは千百円とか千七百円で仕事を休んで出ていかなければならないとか、あるいは子供連れで奥さんが検察審査会へ出ていって、終わるまで職員が子供さんのお守りをしてなくちゃならないとか、そういうことまでいいというふうな意見は私はまずないと思うのです。といいますのは、これは検察審査会法をどう思うかという、法学者から見た検察審査会のアンケートとか、いろいろな方々のアンケートも私拝見して見ていますけれども、いまの制度でいいと言っている人はだれもおらないわけです。法改正の必要あるかないかということは、まだそこまでは、必ず法改正すべきだといっているわけではありませんが、たとえば、いま最高裁の判事になられたような団藤さんなんかでも、検察審査会はもっと充実をしなければならないとか、制度としたらすぐれているから中身の機能が十分に発揮できるようにもっと合理的にやらなければならないとか、大変前向きな、いまのままでいいという意見では絶対にないわけなんです、この御意見一つ拝見しましても。全部を御紹介する暇がないから団藤さんのことだけ申し上げましたけれども。だからもう少し、法改正をなさらないのなら、これに当たった国民の方あるいはその家族の方、特に企業の方が大きな犠牲を払わないで済むように、やはり裁判所としたらそれを積極的に保障しなくちゃならないし、特にその谷間で板ばさみになって大変に苦労していらっしゃる検察審査会の職員の身になってもうちょっと考えてあげなくちゃ、とてもこの制度の運用というものは十分に図れないと思いますね。
 それから、いまこの検察審査会に対する認識の不足、そういう事柄もおっしゃいましたけれども、これは全くそのとおりで、検察審査会を知っているかというアンケートに対して九%ぐらいの人しか知っておらないという現実ですね。ですから、検察審査会が裁判所にある限りやはり裁判所の方で、この制度がいい、国民にも協力を得ようということであれば、もう少し国民にこれをPRすべきじゃないか。職員にPRさせているというお話でございますけれども、伺っているところでは、各検察審査会の事務局に広報用の予算はゼロとなっておりますね。そして最高裁刑事局の方針は、金をかけないで広報をする方法を探せという指示が出ている。いまどきそんな虫のいいことを、あまりにも勝手過ぎると思います。このような指示をされていらっしゃるのですか、刑事局から各検察審査会に。
#115
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) そのような指示はしたことがございませんが、ただ広報予算として特別に配賦していないということは事実でございます。しかし、私どもの方でいろんな印刷物を全部まとめて印刷するとか、それを各庁に配布するとか、あるいは中央でもテレビの問題とかラジオの問題とか有線放送の問題とかお願いするという作業はもちろんやっている上ではありますけれども、ともかく検察審査会はそれぞれ地元に密着した制度でございますから、各庁でもひとつやってほしい、こういうふうなお願いは各事務局にしているわけでございます。最近相当その効果といいますか、各庁で工夫してやっているようでございまして、そのやったことをまたさらに方々に流して、例として参考にしてもらうというようなことをやっておりまして、たとえば四十八年と四十九年で講演会とか映画会を八百四十二回やっている。あるいは座談会を二百三十九回やっている。あるいは候補者の説明会というようなものを六百二回やっている。あるいは市町村の広報紙に千二百数十回載せてもらっているとか、ラジオ、テレビについて三百回程度の放送をやってもらっているとか、それぞれ努力してもらっているわけでございますが、広報予算も若干ずつでございますが増額されてきておりますので、その点につきましても今後ともさらに予算を充実していきたい、そういう前向きの考え方には変わりございません。
#116
○佐々木静子君 検察審査会は独立予算というお話でしたけれども、検察審査会自身とすると広報予算は、それじゃことしは幾らあるわけでございますか。
#117
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 昭和四十九年が二百九十四万円、本年が四百八十三万七千円でございます。
#118
○佐々木静子君 これは各検察審査会におりているわけですか。
#119
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 先ほど申し上げましたように、そのうちの一部、つまり連絡の旅費でございますが、それがおりておりますが、そのほかは大部分は印刷物でございますが、そちらは中央でまとめて印刷するというふうに使っております。
#120
○佐々木静子君 後で結構でございますから、その予算がどのように使われたか、分類していただきまして、資料としてお出しいただきたいと思います。それはお約束していただけますね。
#121
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 後ほどお届けいたします。
#122
○佐々木静子君 それから検察審査会法の四十一条、これは起訴相当の意見が出たときに――きょうは法務省の刑事局が来ていただけないので何でございますけれども、これが拘束力が弱いのじゃないかというふうな意見もこのアンケートの中ではだいぶ出ているわけなんでございます。これは必ずしも拘束力を持たせようということを私言っているわけではありませんけれども、それに対して、実際問題として検察審査会でやったりしている間にもう時効が来たとか、あるいは起訴相当だけれども、もう一ぺん検察庁に回してやっぱり不起訴だったとかという案件が非常に多いのですけれども、その事柄について担当の裁判所とすると、検事正のほうからはっきりとそれに対する回答を得るようになっているのか、どうなっているのか。参加した検察審査会の委員にしてみると、自分たちがこれだけの苦労を払って一生懸命結論を出した、ところがそれに対して、その結論どおりにならないのみならず、もうどうなったかわからない、あるいは結論どおりにならずにやはり不起訴であったということ以外は何も聞かせてもらえないという不満があるわけですね。これはやはり検察審査会というものに対して国民が持つ気持ちの非常にマイナスになる。そこら辺について裁判所はどのように取り組んでいらっしゃいますか。
#123
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 発足以来現在までのところ、三千三百二十一件検察庁のほうで処理しておりまして、そのうちの六百二十一件、一八・七%が起訴になっております。その余の二千七百件が不起訴になっておりますが、こちらから起訴相当あるいは不起訴不当という議決がございますと、検事正それから検察官適格審査委員会の方に議決書がまいります。検察庁の方は、伺うところによりますと、処理した検察官の上席の検察官が主任検察官となって幕捜査をする。それについては一定の時期を限って必ず検事正の方に報告を求める。その時期を過ぎたものについては定期に報告をする。それから最後の処理については検事長まで票議するというふうな扱いで、相当丁重に扱ってもらっております。それから検察庁で処理が済みましたものについては、全部の庁について報告をいただいております。
#124
○佐々木静子君 それではもう時間がございませんので、事務総長の方に、この検察審査会というのは裁判所の所管となって、こういう戦後のユニークな珍しい制度としてあるわけですけれども、その運用がいまちょっと御指摘しただけでもずいぶん実情に合わない点が多いと思いますが、そういうことについて最高裁の一番の御責任者として今後どのようほお考えでございますか。
#125
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほど来、検察審査会の問題について佐々木委員からいろいろお話がございまして、私十分拝聴いたしました。佐々木委員御指摘のとおり、検察審査会は公訴権の実行に関して民意を反映させるきわめて重要な、またユニークな制度でございまして、私どもその関係の予算、事務局の人事等を担当いたしておる者といたしましてもその重要性は十分認識しておるつもりでございます。伺っておりますと、いろいろ問題もあるようでございまして、個々の問題につきましてはいろいろ関連する事項もあると思いますので、さらに所管局において十分研究させることにいたしたいと思いますが、基本的な姿勢において先ほど来佐々木委員からお話のございましたとおり、私どもとしても十分前向きに取り組んでまいりたいと、かように考える次第でございます。
    ―――――――――――――
#126
○委員長(多田省吾君) 委員の異動について御報告いたします。
 安井謙君が委員を辞任され、その補欠として初村滝一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#127
○委員長(多田省吾君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#129
○委員長(多田省吾君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#131
○委員長(多田省吾君) 次に、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。稻葉法務大臣。
#132
○国務大臣(稻葉修君) 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 犯罪者予防更生法に規定されております中央更生保護審査会は、法務大臣に対して恩赦の申し出をし、また、仮出獄の取り消し決定などについての不服申し立てに対する裁決をするなど、裁判所の有罪判決の効果を事後に変更し、あるいは地方更生保護委員会の決定を審査するなどの重大な権限を行使しているのであります。現在、中央更生保護審査会は、常勤の委員長及び非常勤の委員四人で組織されておりますが、近時、恩赦上申事件が逐年増加の傾向をたどっており、特に、無期刑による仮出獄者、死刑確定者、刑の執行停止中の者などについての事案の複雑な恩赦上申事件の増加傾向が著しいため、非常勤の委員では十分な調査及び審理が期待できがたく、このため、適正かつ迅速な審査に支障を来すおそれが生じておるのであります。
 このような実情にかんがみ、この法律案におきまして、委員のうち二人を常勤とし、調査及び審理の機能を強化しようとするものでありますが、さらに、二人の委員を常勤とすることに伴い、委員長に事故ある場合は、常勤の委員がその職務を代理することとし、また、常勤の委員の給与を定めるため特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正しようとするものであります。
 以上が、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案の提案の理由でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#133
○委員長(多田省吾君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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