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#1
第075回国会 法務委員会 第12号
昭和五十年六月十七日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         多田 省吾君
    理 事
                大島 友治君
                高橋 邦雄君
                白木義一郎君
    委 員
                岩上 妙子君
                柴立 芳文君
                福井  勇君
                町村 金五君
                矢田部 理君
                安永 英雄君
                橋本  敦君
                下村  泰君
       発  議  者  白木義一郎君
   国務大臣
       法 務 大 臣  稻葉  修君
   政府委員
       法務大臣官房長  香川 保一君
       法務省刑事局長  安原 美穂君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○集団代表訴訟に関する法律案(白木義一郎君外
 一名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 刑事補償法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(多田省吾君) 刑事補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。稻葉法務大臣。
#6
○国務大臣(稻葉修君) 刑事補償法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 刑事補償法による補償金の算定の基準となる金額は、昭和四十八年の改正によって、無罪の裁判またはこれに準ずる裁判を受けた者が未決の抑留もしくは拘禁または自由刑の執行等による身体の拘束を受けていた場合については、拘束一日につき六百円以上二千二百円以下とされ、また、死刑の執行を受けた場合については五百万円とされているのでありますが、最近における経済事情にかんがみ、これを引き上げることが相当と認められますので、この法律案は、右の「六百円以上二千二百円以下」を「八百円以上三千二百円以下」に、「五百万円」を「千万円」に引き上げ、いわゆるえん罪者に対する補償の改善を図ろうとするものであります。
 以上が刑事補償法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#7
○委員長(多田省吾君) 次に、集団代表訴訟に関する法律案を議題といたします。
 発議者白木義一郎君から趣旨説明を聴取いたします。白木義一郎君。
#8
○白木義一郎君 ただいま議題となりました集団代表訴訟に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 欠陥商品、やみカルテルによる価格引き上げ等の一企業または数企業の違法行為によって無数の消費者が損害を受けているという現実があるにもかかわらず、現行民事訴訟制度は、原則的には、一対一の対等な当事者間の紛争を解決することを念頭に置いて紛争を解決するための手続を定めているにすぎないから、このような原則に基づく現行民事訴訟制度のもとでは、一対無数すなわち企業対無数の消費者の民事紛争を解決しようとしても、その訴訟追行は事実上不可能であります。すなわち、今日の消費者問題は、訴訟を通じては事実上解決できない状況にあります。これは、法制度が社会の進展に即応していないからであります。
 すなわち第一に、消費者各人の損害額が少額であるとしても、集団としての消費者の損害額は巨額になると思われます。消費者集団のこの巨額な損害の賠償を企業に対して請求することができる訴訟制度を確立することなしには、社会的経済的公正を確保することはできないのであります。
 第二に、企業と消費者との間には訴訟追行能力及び訴訟費用の負担能力の不均衡があるにもかかわらず、現行民事訴訟制度のもとでは、これを対等な当事者として取り扱っているため、訴訟による権利救済の方途はきわめて厳しい現実にあります。この現実を打破して、実質的に対等な当事者としてみずからの権利を行使できる訴訟制度を確立しなければならないと思います。このような訴訟制度の確立なしには、消費者主権は、裁判によって保障されない眠れる主権、幻の権利に終わらざるを得ないのであります。
 第三に、企業の違法行為による無数の消費者の損害は共通の原因によって発生し、またその損害額も一般的には定型化する傾向があります。このような実体について、消費者各人の訴えの当否を個別的に審理することは訴訟経済の観点からもむだだと思います。また、企業の違法行為によって発生した損害賠償をめぐる紛争は、事実上は企業対無数の消費者の紛争と思いますので、その紛争の解決は、消費者集団と企業との間で包括的に解決することが望ましいと思います。
 われわれは、消費者主権の確立のためには、このような困難を克服して、民事訴訟制度が真に機能する制度を確立しなければならないと思います。
 以上の観点から、非訟裁判による訴訟信託の設定方式を活用することにより、消費者の代表者が消費者集団全員のため企業に対して提起する損害賠償の一括的請求を目的とする訴え、すなわち集団代表訴訟を可能にするためのこの法律案を提出いたした次第であります。
 以下この法律案の内容たる集団代表訴訟制度の仕組みにつきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、申し立てに係る共同の利益を有する著しく多数の者の少額債権について集団代表訴訟による紛争の解決が適当であると認められる場合に、非訟裁判により、除外申し出をしない限り債権を一括して訴訟の目的とするための信託が設定されたものとすることができるようにいたしております。すなわち、集団代表訴訟を追行させるため、除外申し出をしなかった少額債権者たる委託者から少額債権者の代表者たる受託者へ当該債権が信託的譲渡されたものとする信託であります。
 なお、少額債権者の権利を保護するため、信託の設定については公告するほか、非訟裁判所が代表者たる受託者を監督するようにいたしております。
 第二に、集団代表訴訟におきましては、職権証処調べを採用するほか、重要な訴訟行為につきましては、非訟裁判所の許可を要するものといたしております。なお、欠陥商品、やみカルテルによる価格引き上げ等に係る少額債権者全員の損害総額の算定につきましては、推定規定を設けております。
 第三に、各少額債権者は、受益者として、代表者たる受託者に対し、勝訴判決の最初の公告の日の翌日から二年以内に請求することにより、その債権の満足を得ることができるようにいたしております。なお、請求してこなかった債権者の分は、国庫に帰属するようにいたしております。
 第四に、代表者たる受託者は、集団代表訴訟の追行等に関して必要な費用につきましては、国庫により立てかえてもらうことができるほか、集団代表訴訟により得た財産をもって充てることができるようにいたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#9
○委員長(多田省吾君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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