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#1
第075回国会 地方行政委員会 第4号
昭和五十年三月十三日(木曜日)
   午前十時三十九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                金井 元彦君
                安田 隆明君
                野口 忠夫君
                神谷信之助君
    委 員
                安孫子藤吉君
                井上 吉夫君
                岩男 頴一君
                夏目 忠雄君
                橋本 繁蔵君
                赤桐  操君
                小山 一平君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
                上林繁次郎君
                市川 房枝君
                福間 知之君
   国務大臣
       自 治 大 臣  福田  一君
   政府委員
       自治政務次官   左藤  恵君
       自治大臣官房審
       議官       遠藤 文夫君
       自治大臣官房審
       議官       石見 隆三君
       自治省行政局長  林  忠雄君
       自治省行政局公
       務員部長     植弘 親民君
       自治省財政局長  松浦  功君
       自治省税務局長
       消防庁長官    首藤  堯君
       消防庁次長   佐々木喜久治君
                森岡  敞君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員君
       人事院事務総局
       給与局次長    角野幸三郎君
       行政管理庁行政
       管理局管理官   古谷 光司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査(昭和五十年度自
 治省及び警察庁の施策並びに予算に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方行政の改革に関する調査のうち、昭和五十年度自治省及び警察庁の施策並びに予算に関する件を議題といたします。
 すでに所信聴取は終わっておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○井上吉夫君 私は、過般の自治大臣の所信表明に関連をいたしまして、幾つかの点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず第一に、これは税務局長にお答えをいただきたいと思うのでございますが、今回提案されます中に、新しい税源といたしまして事業所税を創設するということが述べられておるわけでございますけれども、所信表明の中にも、この事業所税のねらいといたしまして、「大都市及びその周辺地域への過度の人口集中の抑制に配慮しつつ、大都市の再開発を促進する等都市環境の整備を図るため新たに事業所税を創設する」というぐあいに述べられておるわけでございますが、この事業所税のねらいは、一体この大都市周辺地域への過度の人口集中の抑制のほうを主たるねらいとするのか、それとも、後段にありますような、都市環境の整備のための財源を新しく見つけようとする、そっちのほうに主たるねらいがかかっているのか、そのいずれであるかをまずお答えを願いたい。
#4
○政府委員(首藤堯君) 御指摘をいただきましたように、ことしの地方税制の改正の中で、大きな目玉として事業所税の新設をお願いを申し上げておるわけでございます。この事業所税の新設は、人口や企業等の過度の集中のために、大都市及びその周辺の都市機能が非常に逼塞をしてまいっておりまして、この都市環境を改善するというための経費の需要が非常に増高しておる。その需要を賄いますための財源を、企業及び人口等の集中によりまして集中の受益を得ておるとか、あるいは都市環境の再開発の原因者となっておるといったように目されます事務所、事業所に対して負担を求めるということを主たるねらいにいたしております。
 この事業所税を創設をいたします経過におきましては、いろいろな議論があったわけでございますが、そのようなことから、本税の新設の第一の目的は、何と申しましても、こういった都市環境を整備するための都市的な財源を求める、見つける、こういうことを第一の目的に考えておるわけでございまして、これに伴いまして、この新税の創設によって、都市への人口の過度の集中が抑制をされるあるいは地方への分散が促進をされる、こういう副次的効果もあろうかと考えておる次第でございまして、この効果の方は、副次的効果としてあらわれればそれはまた望ましいことであると、このように考えておる次第でございます。財源確保が第一の目的、もう一つの問題は副次的なことと、こういうことでございます。
#5
○井上吉夫君 都市整備のための財源のほうが主たるねらいで、そしてその波及的な効果として過度の人口集中が抑制されるという性格であることが明らかになりました。
 それでは、これらの対象の区域というのは、全国の中でごく限られたいわゆる大都市地域であり、五十万以上の都市に限られるということになるわけでありますから、問題はそれ以外の大部分の、いわば極端に言えば、過疎に悩む地帯等あたりについての地方財政の逼迫というのは、決して都市と大きな開きはないと私は認識するわけですが、これらのいわゆる過疎地帯、この事業所税の新設によって新しい財源が捕捉できない地帯の地方の財源の手当ての方法は全く考えられないかどうか、お答えを願いたい。
#6
○政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、本税が大都市及びその周辺に税源を求めておりますので、この税の創設をもちまして、直接に過疎地域、あるいは大都市周辺の都市以外の地域への財源が強化をされることは御指摘のようにないわけでございますが、しかしながら、振り返って考えてみますと、この税源も、いわゆる市町村税源という全国的な目で考えました場合には、市町村の税源の増強ということにはまさしく相なるわけでございまして、その意味におきまして、地方交付税の配分を通じまして地方交付税及び市町村税源、この総体額はそれだけふくらむわけでございますから、地方交付税の配分を通じまして市町村全般としては税源の増加があり、財源の増加があり、ひいてこれは他の市町村にもその効果が及ぶものであると、このように考えておる次第でございます。
#7
○井上吉夫君 地域社会の基盤の強化の中で、次に、人口急増地域については事業所税の新設をもって手当てする、過疎及び辺地地帯に対しては過疎債なり辺地対策事業債の拡充など、そういうような手当てによって措置をするというぐあいに書かれてあるわけですが、前年に比べてのこれらの措置の内容、どういう程度の伸びを考えておられるかということについてお伺いをいたします。
#8
○政府委員(松浦功君) 御質問の辺地・過疎債につきましては、前年に対しまして二〇%強の増加を見込んでおります。御承知のように、辺地、過疎に該当いたします団体は約一千団体ございますから、大体一団体当たり一億平均ぐらいの金額になるところまで辺地・過疎債は増額をしてまいってきたところでございます。
#9
○井上吉夫君 私は、いま税務局長なり財政局長からお答えをいただきましたことに関連をして、若干の意見を申し上げながら、このことについての次官の御見解をお伺いしたいのでありますが、このような程度の措置をもってしても、私はまだ日本の都市への流入に完全に歯どめがかかるという傾向にはないという感じがいたします。
 財政局長から、二〇%程度の過疎債等の対前年伸びを見たということでありますけれども、しかし、物価等の上昇を考えますというと、二〇%の増は、実質的な貨幣価値から見た場合に、決して前年に比べて大きな伸びを示したとは評価できない。物価、賃金等の上昇から見れば、実質論から見ますというと、むしろ若干の減と言わざるを得ないという気がするわけであります。これはひとり税務対策なり、あるいは辺地債、過疎債の措置だけで私は足るとは思いません。あるいは建設省所管なりあるいは国土庁なり、もろもろの各省にまたがるわけでありますけれども、本日は各省おいでいただいておりませんので、このことについては、私と同意見であるならば、次官は次官会議等を通じ、あるいは大臣にも進言して、私は全国的な一つの日本全体の過疎過密のいわゆる同時解消の問題として取り上げてほしいと思うわけでありますが、むしろいまは、大都市に環境整備の手当てをするということが現実問題として直ちに必要であることはよくわかります。しかしながら、長い目で見た場合に、都市への流入に歯どめがかからない限り、いつまでたっても、田舎の場合よりもはるかに高い土地代、そして高い人件費、高い補償費を投じなければ、都市環境の整備というものは、あるいは学校の対策であれ、あるいは水の対策であれ、広く言うならば空気の対策であれ、交通機関であれ、すべての問題に単価においてはるかに高い経費を投じながら、次々に必要とする措置を講じていかなければならない。
 一方、いわゆる過疎地帯においては、だんだんだんだんと人口が減少することによって、言うまでもなく学校の統合だとか、もろもろの現象が起きてきて、生活の場として全くぐあいの悪いかっこうになっていく。医療であれあるいは学校関係であれ、もろもろの問題が出てくる。
 こういうようなことを考えてみますと、いままさに私は、いわゆる過疎地帯、人口がどんどん減っていく地帯に対して思い切った環境整備の投資をいたしまして、そこに無理のない形で自然にUターン現象が起こり、あるいは新しい企業が無理のない形で導入をされるという、そういう対策を思い切って各種の公共事業とあわせてとらない限り、私はこれらの問題の根本的な解決にならないという、そういう認識を持つわけでございますけれども、このことについての御見解をお伺いいたしたい。
#10
○政府委員(左藤恵君) いま御指摘の過密過疎の解消の問題に関連いたしまして、そういった辺地だとかあるいは山村振興あるいは離島振興等、そういったいろんな対策は国でとられておるところでございますけれども、そしてまた、そうした意味の所管庁としては、国土庁を中心に各官庁がそれぞれこういった対策について努力をしておるわけでありますけれども、法律そのものができました時点においての物の考え方と、今日いま御指摘のような点で果たして十分であるかどうか。自治省といたしましても、たとえば過疎対策事業債とか、そういった形のものを考えていままで進めてまいりましたけれども、そういった問題も含めまして、いま御指摘のような、時代に合った物の考え方というものができているかどうかということについて、私は見直しを考えなければならない時に来ておると、このように思います。そういった意味におきまして、政府の中において、こういった問題について根本的な検討をして一層対策を強化する、そしてまた、その内容の充実を検討し直すという必要があるように考えております。そういう意味で、自治省が主体になるというよりも、むしろ政府の姿勢として、国土庁を中心にこの問題を考える時が来ておる、このように考えて、私といたしましてもそういった問題について努力をさせていただきたいと、このように考えております。
#11
○井上吉夫君 予算委員会に各省大臣もとられておりますし、本日は自治省関係だけおいでいただいておりますので、私がいま申し上げました観点については次官も同意見だと考えますので、各省と積極的に連絡をおとりいただいて、そのような方向への誘導をぜひ早急にひとつ確立する方向で御努力のほどをお願いを申し上げたいと思います。
 次に、冒頭から所信表明の中で言われておりますことは、いわゆる昭和五十年代に入って、戦後三十年、ずいぶんと日本の状態というものをこの機会に改めて見直す必要がある時期を迎えているということが言われている。端的に言うならば、いわゆる高度成長の時代から低成長の時代に移った。そのことは、これから先新しい財源というのが国も地方もそう大きな伸びが期待できないということに端的に結ばれると思います。そういう中にありながら、一方では、社会福祉施策の充実なり、あるいは教育その他いわゆる生活優先と俗に言われるそういう施策を充実しなきゃならぬというぐあいに述べられている。このことについてはまさに私は異論のないところだと思うんですが、しかし、少なくとも一方において、大きな財源の伸びが期待できない中においてこれらの施策を充実していくという、いわば二律背反の命題にこたえることはきわめて容易ではないと思う。きわめて困難な問題だと思うんです。そういう認識は述べておられるわけでございますけれども、これらに対応いたします具体的な対策というのが、なかなかに、私どもが本当になるほどと思うような形で議論もされなければ、なかなかそういう考え方というものは具体論として明示されていないうらみがあります。もちろん、所信表明にそういう細部のことが書かれることは無理かと思いますが、こういう観点からいたしまして、一つには、第十六次の地方制度調査会で、いわばこういう現状の認識に対応しながら地方財政等がどういうぐあいになっていくかということを検討を依頼しているというぐあいに述べられております。その中には、国と地方公共団体との機能分担のあるべき姿など、長期的視野のもとにおける地方行財政の諸方策についても検討を求めているというぐあいに書かれてあります。そしてもう一つは、当面緊急の課題として、地方財政の硬直化を是正するための施策を諮問しているというふうに書かれてあります。そこで、この第十六次地方制度調査会の結論が出るのはおおむねいつごろというぐあいに考えておられるか、さらにもう一つは、結論の時期とは無関係に、少なくともここに述べてあるような命題を予定をしながら諮問をしておられるわけですから、このことに対する自治省としての考え方というものもこの前提に立っておられると私は思うのです。そこで、この文章どおり受け取るならば、従来の国と地方公共団体との機能分担、これを根本的に洗い直してみるという姿勢を持っておるというぐあいに読まざるを得ないと思うのですが、このことについて、従来は財源、税源という形でだけ議論がよく進められるわけでございますけれども、しかし、国と地方公共団体との機能分担というものももう一遍洗い直してみないというと、なかなかに入ってくる量が限定するという中で問題を有効に処理するということのためには、一つの大きな前提になるという感じがするわけでありますが、このことについての御見解をお伺いしたいと思います。
#12
○政府委員(左藤恵君) 地方制度調査会におきまして、長期的な視野のもとに社会経済情勢の変化に対応する地方行財政の諸方策について御検討をお願いいたしておるわけであります。いま御指摘のように、国と地方の財源の問題という問題も含めましていま御検討をいただいておるわけでありますけれども、この中で幾つかの項目があるわけでありますけれども、この中で、地方財政の硬直化という問題を是正するためにとるべき方策、こういう問題にしぼりましては、一応本年の七月末を目途に答申をいただくようにお願いいたしておるところでございます。
#13
○井上吉夫君 当面対策について七月ごろには答申をいただく予定だと、日程の説明がありましたけれども、もう一つの、私がむしろいまの質問の中ではよけい時間をかけたほうの、いわゆる長期的視野のもとにおいて考えるいわゆる国と地方公共団体との機能分担のあるべき姿、俗に言う行政事務の再配分という根本的な見直しについてどういうぐあいに考えておられるか、お答えを願います。
#14
○政府委員(左藤恵君) 当面の問題といたしまして、いま申し上げましたように、地方財政の硬直化の問題を中心に七月末に答申をいただく予定にいたしておりますが、この第十六次の地方制度調査会の任期は昭和五十一年の十月まででございまして、この七月までに答申をいただきまして、引き続いていま申しました基本的なそういった問題についての御検討をいただく、そして答申をしていただこうと、こういうことでお願いをする予定にいたしております。
#15
○井上吉夫君 答申を求める予定の時期についてのお答えはありましたけれども、自治省として一つの考え方というものも、原案と言えばなんですけれども、こういうことが必要ではないかということで私は大臣の所信表明に述べられておるという気がいたしますので、自治省自体として、この機会に国、地方公共団体の機能分担を含むいわゆる行財政の全体的な洗い直しが必要だという、そういうことの認識を十分にお持ちかどうかということをお答え願いたい。
 さらに、この機会に私の意見の一つを述べたいと思うのですが、私はいわゆる財源配分という形とここに述べられております機能分担ということだけでなしに、私はこの機会に、各省にまたがる各種の補助事業についても再検討の時期に来ているのではないかという感じがいたします。これまた各省にまたがりますので、本日は直ちに各省にそれらの見解を一々お伺いする機会を持ち得ませんけれども、もし私と同じような見解をお持ちになるならば、この機会に、ここに書いてあるいわゆる機能分担の望ましいあり方ということの中に、私はぜひ自治省の基本的考え方の中に取り入れてほしい。それはたとえば一例ですけれども、大変素朴な意見かもしれませんけれども、主要地方道であれ一般県道であれ、補助事業として実施をされる。さらに国道についても県の負担があるという形になっております。たとえば一例でございますけれども、むしろこういうものをすっきりいたしまして、国道については全部国が持つと、そして地方道については、場合によっては、いままでみたいに細部にわたってまで、細かい面にまで補助事業という対象にせずに、きわめて主要な、各県にまたがる等の、やっぱり補助体系の中で国全体のバランスということをきわめて大きく見なきゃならぬ部分については補助事業にするけれども、ある部分については、現在の補助事業の幾つかを、むしろ地方にまるごと任せて、それに見合った財源というものを付与するというようなことは考えられないのか一そういうことになりますというと、いまほど昼間人口がどんどんどんどん東京に出かけてきて、大変な陳情のために手間を食うという、そういうようなふうのことが少なくともある程度解消するということにつながっていくのではないか。これは、いま直ちに自治省限りであるいはお答えが無理かもしれませんけれども、私はこの機会に、国と地方公共団体の機能分担のあるべき姿の中で、いままでの慣例というものから脱却しながら、新しく根本的に見直すという発想が必要な時期ではないだろうか。そうでもしなければ、先ほど来申し上げておりますように、そんなに大きく――国全体から見ると、国税、地方税の性格を若干変えましょうとも、国民全部の負担はいずれにしても同じでございますから、全体的な税収というものがそう大きく伸びが期待できないという現状に対応するには、どうしても私は発想のきわめて大きな転換が必要ではないかと思うわけでございますが、きわめて大ざっぱでも結構でございますから、もし私の意見の中で、これはどうにも無理だということがあればお答えをいただくし、概括的に賛成であれば、そういうことも含めて、ひとつ非常に大きな発想の転換による御検討をぜひこの機会にお願いを申し上げたいと思います。
#16
○政府委員(左藤恵君) 御指摘の点につきまして、地方制度調査会に自治省の意見をあらかじめ、何といいますか、余りそれが予断すると申しますか、事前にそういったことについて申し上げるということは、お願いしております以上いかがかと思うわけでございますけれども、ただ、この地方行財政のあり方の問題につきましては、もちろん国のいろんな、ただいま御指摘のような、たとえば補助金に対します姿勢というふうな問題と密着した問題でもございますので、国におきましても、こういった、たとえば行管において取り上げるとかいうようなことをいたしております。そういった動きも当然この地方制度調査会では御勘考願えるものだと私は考えておりますし、そうして一体となって、どういうあり方が正しいかということにつきましての御意見が答申の中に盛られてくるのではなかろうかと、私はそのように思います。そういう意味で、御趣旨の点につきましては、十分広い範囲で検討していただけるもの、また、検討していただかなければならないものである、このように考えるものでございます。
#17
○井上吉夫君 まあ総論において私の説に賛成をされましたので、審議会に細かいことまで自治省の考え方を示しながら検討をいただくということは非礼にも当たるでありましょうけれども、私は自治省自体として、まさに地方公共団体の財政等を含めるもろもろの行政についてのアドバイスをするという自治省の性格からいたしましても、現在の地方自治の実態というものを最も正確につかんでおられる省であるわけですから、いま申し上げましたようなことを自治省自体としても一つの検討の大前提として、ひとつ御努力をお願いを申し上げたいと思います。
 さて、ここでいま非常に大きな問題となっておるし、さきに次官の答弁の中でも、当面緊急な課題としての地方財政硬直化の問題について答申の時期が七月ごろというぐあいに触れられたわけですが、このことについては、二月の十二日に五十年度の地方財政計画が発表されて以来、大変大きな論議を呼んでおります。私はここに二月十二日の各紙の記事を持っておりますけれども、このことは改めて言うまでもなく、皆さん方御承知のとおりでありますが、財政計画における給与の比率は三四・七%となっておるけれども、実質はこれよりもうんとひどいと、恐らくは四〇%をかなり超すのではないかというぐあいに見られております。各都道府県の予算案も出そろった段階でありますが、これはことし統一地方選挙の関係もあって、骨格予算で組んでいるという県などもありますので、いま直ちに正確な数字としては示すことは容易ではないと思いますけれども、この記事にあるとおり、四〇%をかなり超すのではないか。あるいはそのために、三四・七%という、地方財政計画をもってしても、一気に人件費の方が公共投資の経費を上回ったというぐあいに書いてある、それがさらに開きが大きくなるというぐあいになろうかと思うわけですが、現在のところ、二月十二日の地方財政計画を発表されたときのあの数字の――これは財政計画ですから、実態の見込みについてどういうぐあいに押さえておられるか、お伺いしたいと思います。
#18
○政府委員(松浦功君) 地方財政計画を策定いたしました際の説明でも、三四・七という数字はあくまで財政計画上の数字であって、現実の地方団体の総体の予算に占める給与の割合は恐らく四〇%を超すのではないかということを申し上げた記憶がございますが、各府県の予算、これはいろいろ組み方がまちまちでございますので、正確に当たっておるかどうか存じませんが、知事会等で集めましたものを私どもが拝見した限りでは、五〇%を超えている府県も出てまいるような状況でございまして、総体的には四〇%を上回った平均になるというふうに私どもは推定をいたしております。
#19
○井上吉夫君 このことに関連いたしまして、いままでに、地方財政計画と実態とがこれほど大きな開きを見せるという年がございましたか。
#20
○政府委員(松浦功君) どうも率、額、どちらでお話を申し上げたらいいかということによって、非常に年々財政規模がふくらんでおりますので、正確なお答えにはならないかと思いますが、私どもとしては、一番正確なものとして把握いたしておりますものは、四十七年度の決算と財政計画との乖離、この点につきましては、補正予算の要素あるいは計画の組み方の出入り等を全部修正をいたしまして、七千三百億円強というものが財政計画を上回って給与費として決算において支出されているということは固い数字として持っております。これと同じような形で、四十八年度の決算、ただいま集計中でございますが、おおよそ一兆円ぐらいの乖離になろうかと思っております。これだけの金額の乖離になったことは、もちろん規模が伸びてきております関係もございますけれども、過去には私どもとしてはなかったと記憶しております。
#21
○井上吉夫君 ここで、投資的経費と給与費の関係についての考え方に関係がございますのでお伺いをしたいと思うのですが、だんだんだんだん社会環境がいろいろな公共投資の面で整備をされてまいりますと一まだそういう点が整備されて、かなり比率が変わってきたとまでは私は認識しておりませんけれども、しかし、少なくともだんだんと整備をされてまいって、いわゆる今後の方向としての社会福祉の充実ということなどになりますというと、あるいは教育関係の費用にいたしましても、全体の事業といいますか、教育を一つの事業という用語で呼ぶことの適否は別にいたしまして、人件費の占める比率が非常に高い部門、そうして社会福祉関係のことについてもかなりやっぱり人件費というものが高くなっていくという傾向にあろうと思います。したがいまして、私は一律に、この給与費の方が公共投資よりも上回っていくということがいかなる場合であろうともよくないことだというぐあいに評価することには無理があろうと思うんですが、自治省が地財計画に求められたこの数字、こういうものについては、現状認識が前提になっとおるんでしょうけれども、いま申し上げました、社会福祉の上昇につれてかなり給与費がアップするという、そういうものをおおむねどういう考え方で押さえておられるかお伺いをいたします。
#22
○政府委員(松浦功君) 御承知のように、財政計画は歳入と歳出とのバランスをとった形でつくっております。五十年度の場合でございますと、二十一兆五千億という数字になっております。その中に、それぞれこうあってほしいものだという形で、抽象的でございますが、人件費、投資的経費というようなことも歳出面において分析をしたものになっておるはずでございます。私ども一番気がかりなのは、ただいまもお話し申し上げましたように、四十七年、四十八年の、財政計画上の給与費と決算の給与費とが、七千三百億、さらには一兆円と、そういった乖離を示しておりますということは、財政計画に計上してあります給与費のほかに一兆円給与費が現実に出ておるということでございます。逆に申し上げますならば、この一兆円の給与費が支出されておるということは、それだけが赤字要因になるか、ほかの住民サービスをすべき部分を切り詰めるか、いずれかの形でなければ現実の地方財政は運営できないというところに私は大きな問題があると考えております。したがって、いろいろ各方面からの御議論もおありでございます。いろいろの問題もあろうかと思いまするけれども、できる限り、私どもが日ごろ指導を申し上げておりますように、国家公務員の給与水準に近づけた形で給与費を運営していただきたい。人の増員につきましても、もちろん人件費即事業費というようなものもあろうかと思いますけれども、総体的に、できる限り少数の人員で行政を処理をするという体制をおとりいただいて、計画外にはみ出た人件費をできるだけ圧縮をしていただきたい、そうして、赤字原因をつくったりあるいは住民サービスを切り詰めたりしなきゃならないことのないようにしていただきたいというのが自治省の基本的な考え方でございます。
#23
○井上吉夫君 答弁の順序なり中身は表現上違ってはおりますけれども、しかし、地方財政計画からそう離れない形でやってほしいという、全体的な地方財政計画の中でそれらの要因というものは十分配慮しながらいくんだというぐあいに理解されますので、このことについては再質問いたしません。
 ところで、地方財政硬直化の主たる要因として、いわゆる給与費のアップということがきわめて厳しく言われておりますが、この中身として、国家公務員と比べて地方公務員のベースの方が高いというその給与水準の高さと、それから自治省が地財計画等で考え、地方に求めているいわゆる数の問題、定員管理との関係で数の問題から見る差、その両方に仕分けて、ある年次で結構ですから、いま言われた七千億なり一兆円、そういうものの中身でいずれの方が多いか、どういう比率になっていますか。
#24
○政府委員(松浦功君) これはきちっとした正確な数字として申し上げることは非常に危険だと思っておりますが、たとえば四十七年度の例をとりますと、この七千三百億のうちからプラスアルファ分を引きました残り、そのうち三分の二が大体単価差、三分の一が人数差ではなかろうかということを考えております。五十年度におきましては、御承知のように四十八年度の指定統計の人数差が出てまいりましたので、十三万八千人、これを規模是正という形で財政計画の中における人数増をはかっております。したがって、五十年度以降につきましては、この割合がずっと変わってまいりまして、人数差はごくわずかになって、ほとんどが単価差、こういう形になってこようかというふうに推測をいたしております。
#25
○井上吉夫君 それでは、問題をしぼりまして、その単価差、それが国家公務員よりもだんだんと地方公務員の方が高くなったというのは、一体いつごろからですか、どういう傾向になっていますか。
#26
○政府委員(林忠雄君) 地方公務員の給与実態調査は、五年ごとに指定統計という形で、これは二百万以上の個票による悉皆調査をやっておりまして、あとその間の年次は、団体ごとの集計で、もっと簡易な姿で調査をしておるわけでございます。本来、いつごろからということよりも、前々から地方団体、特に府県を例にとって申し上げますと、国の人事院が勧告をいたしますと、府県の人事委員会がそれぞれその自分の県について独自の勧告をいたすわけでございますが、従来、大体それが国の勧告に準じた形で、例を言えば、国が一〇%を上げたとなると、府県の人事委員会も大体その一〇%前後と申しますか――についての勧告をやっておりましたのでございますので、これがそのとおりの決定をされ、国と同じ運用をされておるとすれば、今日言われているような単価差は実は出てこなかったわけでございます。それが実際には、運用の上で、一斉昇給短縮あるいは渡り、そういったような形で、実際の運用上において国との差がだんだん開いてまいりまして、四十八年の指定統計で申しますと、全体、国に対して八%強、四十九年の調査では一〇%強の差が開いておりますが、これは大体三十年代からの毎年毎年の運用の積み重ねであるというふうに私たちは受け取っていまして、急激にどこから離れ出したというわけではございませんで、人事委員会の勧告は国の人事院の勧告どおりしておりますが、実際の運用を積み重ねてきた結果が今日のような数字になっておる、こういうふうに私たちは受けとめています。
#27
○井上吉夫君 これは人事委員会に出席要請は求めておりませんけれども、自治省で大体おわかりだと思いますから、公務員部長にでもお伺いしたいと思うんですが、いまお答えの中にちょっと触れられたわけですけれども、地方公務員等の給与に対する勧告は、人事院が国家公務員に対してやる、その機会に各都道府県人事委員会が勧告をするわけですけれども、いろいろな文章をずっと書いてありますけれども、最後に来る答えは、全く国と同率の答えが出るわけです。それと違う答えを出す県がいままで事例としてありましたか。それと、本来の考え方としては、これはどうあることが望ましいというぐあいにお考えなんですか。
 というのは、私はよく、地方公務員は何も国の場合と給与関係が同じである必要はないという議論がしばしば聞かれます。であるならば、私は各県における人事委員会の勧告というのは、やっぱり各県の適正規模の平均給与、それがどういうぐあいに変化しているかということが基準になって、当然、国家公務員の場合と違った、予算委員会における自治大臣の答弁の言葉を引用いたしますと、たとえばその県域における農協だとか森林組合、そういうところの職員よりも高いということじゃ、どうもやっぱり関係の地域社会の中でおもしろくない現象が出てくる、当然、やっぱり地域の実情に合わせた形で措置すべきであるという意味の答弁をされました。このことについてどういうぐあいの御見解をお持ちか、お伺いをしたい。
#28
○政府委員(林忠雄君) 地方公務員の給与の基準は、地方公務員法の二十四条でございますが――に書いてございますけれども、四つの要素を参照して決めなさいと書いてある。その一つが国家公務員の給与でございます。一つが他の地方公共団体の給与、それからもう一つが生計費、生活していくための生計費、それからもう一つがそのそれぞれの地域の民間給与、この四つの要素を勘案して適当なレベルに決めなさいということが書いてございますので、そのとおりやりますと、いま先生のおっしゃったような、その地域の実情というものも十分考慮して勧告に反映するというのが正しい行き方であると存じております。従来の自治省の指導というのは、これについて、国家公務員の給与、つまり人事委員会の勧告というものに最も重きを置いて国家公務員並みにという指導をずっと続けてまいりました。その意味は、国家公務員の場合には、人事院が全国的にわたって生計費なり民間給与なりを調査なさいまして勧告をする。そこで、大体これに準じておれば、どこの地方公共団体でも、いま言った四つの要素がほとんどこれに含まれておるという考え方に立ちまして、これ並みの、国家公務員並みの勧告をすることを、何と申しますか、国家公務員並みにしなさいということを勧めておりましたんでございますけれども、たとえば都道府県、同じ都道府県で言えば、確かにその地域の民間の給与差というのは、東京都と鹿児島県、あるいは東京都と鳥取県というふうな場合には大変な開きがあることは間違いございませんけれども、それらも考慮しながら、かつまた国の公務員の給与、これは全国的に一律でございます。それから、同じ都道府県であれば、鳥取県と島根県、あるいは鹿児島県と福岡県、そう大きな差があることもやはり好ましくない。いまの四つの要素をそれぞれの地域で勘案して勧告をされるということが一番望ましいと考え、またそういう指導もしてまいりましたが、従来の自治体は、いま先生御指摘になりましたように、いろいろなことがありながら最後は全部国並みと、こういう形の勧告が行われてきたことも事実でございます。また、そのとおりになされて、そのとおりの運用をされておれば、まだしも全国の平均給与額がこれほど高くなるはずはないんでございますが、問題は運用にあるというふうに考えておる次第でございます。
#29
○井上吉夫君 時間がなくなりましたので、これらと関連して議論になっております超過負担のことなどについてもお伺いをしたかったんでございますけれども、他の委員からいろいろまたさらに御質問があるでしょうから、私はこの機会に意見を述べて締めくくりたいと思っております。
 国としてやるべきことはきちんとやって、そして、もちろん地財計画等の当初の段階で、あるいは予算の当初の段階で措置しても、年度途中において物価上昇等によってさらにやっぱり単価アップをしなきゃならぬということは、最初からの措置はなかなかまるごとは無理な場合がしばしばあります。したがって、これは補正による措置等をやらなきゃならぬというわけになりますけれども、もちろんこれについては、その地域によって、これだけかかりましたからということでめちゃくちゃに基準なしにやるということにはまた一面の無理があると思います。そういう点については一応の基準というものを立てなきゃなりませんけれども、少なくとも、原則として国がやるべきことについて文句をつけられないだけのことをきちんとやる。そして、いま地方財政かれこれについていろいろありましたけれども、四つの項目に準拠してやることを、人事委員会等はこうやってもらいたいという、そういう指導もしていると言われておりますけれども、私はまさに地方の実態との並べ比べということがほとんど行われていないというぐあいに認識をしております。もちろん、たとえば福岡と鹿児島、県庁職員が、同じ年齢、同じ学歴、同じ職種という場合にそんなに開きがあることを望みません。その辺についてはまた当然に横並びということを考えなきゃなりませんけれども、しかし、この間において、昇給期間の短縮なりあるいは渡りとか、いろんなものが逐年積み重なってくるにつれて、現実には国家公務員と地方公務員とがこんなに違ってきている。そして自治省で考えられております地財計画における給与水準というものとこんなに違ってきている。そのことは明らかに、地域において私は民間給与との差にさらに大きな開きが出てきていると思うんです。私の町の場合でも、私は農協もあるいは森林組合も関与いたしておりますから、常時、私どもの町では一番高いのが市役所職員だと、そういうことであります
 そのことがどういうぐあいに住民に受け取られておるかということを私どもはこの機会にしっかりと認識して、そしてこれにどう対処されるかという答えを聞く時間がありませんけれども、しかし、いままでのしばしばの予算委員会その他における大臣の答弁等を含めて推察できますことは、この機会にいまの財政硬直化のきわめて大きな要因の一つになっております給与関係については、国としてこの是正について大きな勇断をもって対処するという、そういう姿勢と私は受けとめております。だから、このことについてはその方針を一もちろんこのことがかなりな年限を経てだんだんと積み重なってきた差でありますから、あるいは一、二年では無理かと思いますけれども、少なくとも公務員がそのあるべき状態、そういうものを目指しながら、地域民から見ても、給与水準ももちろんあるべき状態を望むでありましょうし、仕事の中身も働きぶりもひっくるめて、公務員としての使命感に立って、そして、仕事がやれるような状態はもちろん給与面でも必要でありますけれども、全体のバランスの中できちんと措置ができるような、そういう指導を自治省としては地方公共団体に対して強力に私は御指導いただきますように要望いたしまして、質問を終わります。
#30
○夏目忠雄君 私は自分にわからぬことをお聞きするんですから、ひとつ丁寧に教えていただきたいと思います。
 三木内閣が発足に当たっての所信表明で、おそらく私の記憶では最初だろうと思うんですが、地方行政の点から非常に理解のある所信表明をされ、その後、各種の質疑応答の中でも、現場に一番近いところで処理するのがいいんだといった意味のことを再三にわたって申されております。したがって、自治大臣、自治省も、そのおつもりでこれから大いに地方行政というものを、地方自治というものを育成されるおつもりだろうということは、お聞きしなくてもわかっておりますのでお聞きいたしませんが、しかし、地方自治の育成ということは、言葉はまことに簡単でありまするが、実際は中央集権と相反する概念であります。したがって、現在中央に集まっておりまする権限の相当部分を地方に移譲してしまう、この覚悟がなければ、地方行政の育成などというきれいなことはおっしゃらぬ方が私はいいとさえ思うんであります。ところが、なかなか日本の官僚制度というものは牢固たるものがありまして、自分の権限を縮小されるとなれば命がけでやりますし、場合によっては国会議員さんもみんな抱き込んで、そうして役所の出店みたいな感じがする。余り詳しく申し上げると差し支えがありまするからやめますが、そういう感さえ私どもいたしておるわけでありまするが、そこで、従来そういうことについて地方自治関係者は、いろんな地方制度調査会あるいは臨時行政調査会ですか、そういったようなものが何回か答申されておりまするが、私から見ますと、やはり十年前の臨時行政調査会の答申というものがやはり骨格をなしておるようでありまして、その後は、地方制度調査会の答申というものは、それに、時代に沿って若干の肉づけを変えている程度で、骨格はやはり十年前の臨時行政調査会のあれが骨格だと思いますが、間違っていたら教えてください。
 で、それの、何といいまするか、十年たっておるわけでございまするが、これはおそらく行政管理庁が幹事役としてこれの推進に当たっておられると思うのでありまするが、先般、衆議院の方に配られたのでありまするが、大体この程度まで――「臨時行政調査会答申の実現状況の概要」というのを、これは衆議院の方からもらってきたのでありまするが、これを見ますると――私はほかのことは申し上げません。この地方行政に関係する事項だけを申し上げまするが、これは勧告四の事項になっておるわけでありまするが、この勧告四の事項の中で、この一枚、ちょうど一枚になりまするが、これだけのことを十年間でやったという、これは決算報告みたいなものだと思うんですが、読みましてもまことに何を書いてあるのか、よくわからないんであります。ひとつぜひこれについての従来とのいきさつ、各省の意見、そういったようなものの交渉経過をなるべく詳しく御説明を願えないかと思います。しかし、勧告四の中に含まれている事項は非常にたくさんございますので、私の方からきわめて市民生活に密着しておる問題をしぼりまするから、それについての関係各省との交渉経過をひとつ教えていただきたいと思うわけであります。
 で、まず中小企業関係でございまするが、これは団体の監督以外に百貨店の規制について云々というふうな勧告もございます。信用金庫の問題についてもあります。この中小企業関係と、それから農地転用、土地改良、農業団体、林野関係と、こういった関係と、それからもう一つは今度は建設省関係になりまするが、地域開発関係、道路関係、河川関係、大体これらの点に問題をしぼりますので、ひとつ交渉経過を教えていただきたいと存じます。
#31
○説明員(古谷光司君) お答えいたします。
 臨時行政調査会、先生御存じのとおり、三十九年の九月、十六項目にわたる膨大な答申が出ておるわけでございます。
 それを受けました政府は行政改革本部を設けました。その本部のメンバーをこの際ちょっと申し上げます。本部長、行政管理庁長官。部員、内閣官房副長官、同じく内閣法制次長、同じく総理府総務副長官、同じく大蔵事務次官、同じく自治事務次官、同じく行政管理庁事務次官、こういう部員をもって行政改革本部を設置いたしまして、臨時行政調査会の推進を図ったわけでございます。
 御存じのとおり、ではどういうことをやったかと申しますれば、まあ大きいものとしましては、各省一局削減、あるいは国家公務員の定員の三年間五%削減あるいは特殊法人の整理等を推進してまいったわけでございますけれども、一方、四十三年十月でございますけれども、行政改革計画というものを決定いたしまして、この推進を図ったということでございます。その第一次行政改革計画のその2に、ただいま先生のおっしゃいました、「行政事務の下部機関への委任または地方公共団体等への移譲」という項目があるわけでございます。地方公共団体への移譲をとらえて申しますれば、この改革本部で九十七件を対象にいたしました。内訳をちょっと申し上げますと、行政管理庁二件、外務省二件、文部省二件、厚生省十六件、農林省九件、通産省七件、運輸省十三件、労働省九件、建設省三十一件、自治省六件、こういう九十七項目の地方移譲を計画で挙げまして、現在までのところ、この九十七件のうち八十六件を実施したわけでございます。すなわち、まあ実施率約九〇%、こういうようなことに相なろうかと思います。
 そこで、いま先生の御指摘のその個々な項目でございますけれども、実は私いま手元に持っておりませんけれども、そういう項目についてはあまり推進はされてないと、こういうことに相なろうかと思います。
#32
○夏目忠雄君 八十六件といいますと非常に進んでいるように私は感じるんですけれども、その八十六件の内容は、いまお話をお聞きいたしましても、また私が資料を出していただきましたこれを見ましても、きわめて簡易なる手続を改良したというのが大部分でございまして、いまの御説明のように、私がお聞きした主要項目についてはほとんど改善されておらないというお話でございまするので、さらにひとつ、それだけじゃうなずけないので、一度にたくさん項目を挙げましたのであれなんでございましょうが、ひとつそれでは通産省――これが進んでいかないのは、当然当該省において反対意見なり何なりがあったから進まないんでありまするので、その反対意見の概要を、簡単で結構ですから教えていただけませんか。
#33
○説明員(古谷光司君) お答えいたします。
 先ほども申し上げたんでございますけれども、行政管理庁は、先ほど申しました行政改革本部の庶務を行うと、こういうことに相なっております。実際の事務の手続といたしましては、各省庁――その前に申し上げますと、臨時行政調査会の答申、これは実は政府が受けたものでございます。したがって、各省庁も同じように、行政管理庁と同じ立場において推進する立場になっておるわけでございます。したがいまして、各省庁からこういう地方移譲の項目はできるというものを行政改革本部に持ち上げまして、そこで決定し、その推進を行政管理庁が図ると、こういうことになろうかと思います。
#34
○夏目忠雄君 どうも逃げられちゃって弱ったな。
 そこで、じゃ私の方から、私が聞き及んでおりまする範囲で申し上げたいのでありまするが、私の聞き及んでおる範囲におきましては、労働省の方では、現行府県制度の再検討なしに事務配分を説くのには基本的に疑問がある、こういうような御意見のようでございます。農林省の方は、地方公共団体の受け入れ条件の整備に対応して漸進的に行う要あり、こういうような御見解のようであります。運輸省の方は、いろいろ現地性、総合性、経済性には賛成だけれども、地方公共団体の能力を超えたことは任せるわけにはいかないというような御意向のように承っております。また、厚生省の方は、方向としては賛成だけれども、地方公共団体の事務処理体制の整備、財政的裏づけ、こういったようなものがないとお任せするわけにはいかないと、こういうような原則論を申し上げておるように私は聞き及んでおるのですが、大体それでよろしいでしょうか。
#35
○説明員(古谷光司君) そのとおりだと思います。その前提に、あと一つの問題があろうかと思います。それは何であろうかと思いますれば、行政事務の配分、そのもとになるものは財源配分の問題とも密接にからんでくるということが大きな問題になろうかと思います。
#36
○夏目忠雄君 大体私の感触が間違っていないとすると、結局現在の府県制もしくは市町村に対する能力もしくは受け入れ態勢が十分でないということを申されておるようでありまするが、現実にいろいろ私どもは従来の体験で、中央官庁と折衝いたしまする間にはいろんな資料というものは、中央が御判断なさるいろいろな資料というものは、全部市町村から上げて持って行って私どもがこしらえて持って行っている。その資料に基づいて、全部がとは言いませんよ、それは中央官庁がおやりになっている部分もたくさんございまするが、しかし多くの問題は、道路関係にいたしましても、何にいたしましても、地方が全部資料を整えて、そして持ち上げて行っているんですから、それを能力がないというのは、もしくは受け入れ体制がないというのは、ちょっと中央官庁がいばり過ぎているというか、うなずけないんですが、この点、自治省の方では果たして受け入れ体制が整えられておらないかという感じ、どんな感じをお持ちになるんでしょうか。
#37
○政府委員(林忠雄君) それぞれの事務について、いろいろな事情があるかも存じませんけれども、総体的に申し上げて、地方団体の受け入れ体制その他から言えば、いまそこに指摘されたたくさんの事務の相当たくさんな部分を移譲してもらっても、府県も市町村もりっぱにやりこなしていく、私たちはそういうふうに考え、そして各省に対してできるだけこの実施を早めてくれというのを言い続けてまいってきておる次第でございます。
#38
○夏目忠雄君 もうそう言われちまうと質問することなくなっちまうんですがね。そうすると、結局自治省さんとしては、非常に大方の部分については受け入れ体制がある、能力があると判断されておるにもかかわらず各省がなかなか反対されているということは、自治省さんの、ちょっとその何と言うんでしょう、いやな言葉で私は使いたくないだんが、どうも根回しが悪いんじゃないかという感じが非常にするんですが、この点、どんなものでしょうか。
#39
○政府委員(林忠雄君) おっしゃったようなことも含めて、私の方の省のあるいは努力不足、あるいは説明不足という面も多分にあるかと存じます。しかしまた、これが進まない原因も、まあ先ほど先生御質問の中でおっしゃいましたような、いろいろな官庁機構、それから内閣、政党というものの機構が、どうもそれは、そういうのを何と申しますか、非常に進めていく上においてはいろいろな意味で障害を来している面もあるのではないか、まあそれらを一つ一つ私たちが努力をして解決していかなければならないことと考えておりますので、まあ従来十分でなかったために、おっしゃいましたように、ほとんど進んでいないということは率直に認めなければなりませんと思います。今後さらに一層そちらの方の努力を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#40
○夏目忠雄君 そこで、自治省の気持ちはわかったわけでありまするが、実は、各論に入る元気がなくなってしまったんで、残念ですけれども、この農業関係、それから通産関係、道路関係、運輸関係、もし行政管理庁の方から、反対意見がはっきりこういう理由だということが御明示できれば、それ相当に皆さんのお助けを借りて反論するつもりだったんですが、どうも御明示がないのでやむを得ませんが、実際の形は、その中で私が見ましたところ、河川関係と都市計画関係だけが若干の前進を示しておるのみであります。その都市計画関係も、従来都市計画の認定に当たっては建設大臣が認可しておったのを知事の権限に移譲する法律はできることはできた、できることはできたけれども、知事がこれを認可するに当たってはあらかじめ建設大臣に協議しろと書いてあるから、やっぱり同じことなんだね、法律の体裁を整えただだけの話なんです。ですから、ほとんど前進しておらぬというのは、自治省さんのお考えわかりましたが、私がこの委員会で冒頭に委員の皆さん方に申し上げたことを再度私はここで繰り返したいのであります。そういうような情勢でありますから、地方行政を本当に育成しようという人、ものは、ひとつ党派なんというものはちょいとお預けしておいて、そしてこの地方行政委員会が十分にひとつフリートーキングを重ねて、意見が一致したものはどしどし委員会が押しまくる、こういう考えにぜひ立っていただきたいし、そういう機会を委員長さん、理事さんの方でいろいろひとつつくっていただくことを要望いたしまして、この点はなににいたします。
 で、今度は人事院の方にちょっと、おいでくださっていますか。
 先ほど井上さんから御質問があったので、もう私は細かいことは申し上げませんが、人事院が、実際私どもは仕事をしておって、いまの赤字がどこから来たかという、そういう高尚な議論はしません。ただ、実際問題として、毎年毎年人勧がアップされる数字を見ますと、びくっとしておったのがもう毎年の例であります。これは私は、一つは率で発表されるから非常に困る、こういうことだろうと思うのであります。なるほど、地方自治体のほうが人件費が割り高になっていることは私もよく承知いたしておりまするが、これにはやっぱりいろいろな原因がございまして、一番大きな原因は、やっぱり町村合併、それによる老齢職員をたくさん抱えているということが最初の出発点で、原因でございます。その後もちろん、先ほど言われたように、三短とか六短とか渡りというものもございました。それも確かに一つの原因であります。しかし同時に、若干このくらい高くなっていたのが、毎年率でやられるもんだから実額がどんどん、どんどん離れていっちまう。これが私は大きな原因だと思うのであります。で、人事院の方で、どうせ率を出されるなら、ポスト、ポストの絶対額というものはあると思う。大学を卒業して十年たって管理職についている者は何ぼだ、その次は何ぼだ、十五万八千円だとか十八万だという、ちゃんとポスト、ポストの数字があって初めて率が出るわけですから、率で発表されないで、実額で発表していただくと、これから自治省の御希望されるように、市町村がとにかくベースアップというものは、実際片方では二十三万だし、片方は十八万だという実額で発表されますと、これはやっぱり市町村が是正をするのにやりやすいんです。ぜひそういうことを御研究していただきたいと思うし、それに対する人事院の方の御所見と同時に、従来、人事院のその率を算定するときには、俸給額にプラスまあいろんな手当があるんだろうと思うのでありまするが、退職年金及び退職金というようなものもひっくるめていわゆる生涯俸給といったような観点から比較されておるのかどうか、その点私どもにはわかりませんので、ひとつ御説明を願いたいと思うのであります。
#41
○説明員(角野幸三郎君) お答え申し上げます。
 私ども人事院は、公務員の給与を引き上げますにつきまして、民間の給与との均衡をとるという趣旨で毎年精密な調査を実施いたしておりますが、それで、その結果に基づきまして官民給与の比較ということで、そこでまず何%という率が出てくるわけでございます。これは比較をやりますときに、高さをはかりますパーセントのその幅を出しておりますが、格差と申しますのは、相対関係のいわば額でございますので、これはやはり表示の仕方をいろいろ研究すればよろしいと私は思っておりますが、いずれにいたしましても、そういう官民給与の格差から出てきますものを配分いたしまして、俸給表に幾ら、手当に幾らという額で割りつけるわけでございます。それでまあ一律に幾ら引き上げて終わりというものではないんでございますけれども、ただそういうとらえ方もあるもんですから、そういういま先生お話しのような心配も出てくるわけでございますが、実は、先生がお話しになりますように、給与決定の要因で、たとえば役職別とか、経験年数別とか、あるいは年齢別とか、こういうばらばらの要素でもって組み合わせて金額を出せば、そういう率一本で出すよりもはなはだ具体的でそういうおそれはないんではないかというようなお話ではないかと思いますが、それは、たとえば民間の企業などでよくやっているそういうやり方でございます。給与の要素としてはなるほどそういう大事な要素になって、それでもって組み合わせてやるというやり方はございますけれども、私ども俸給を、あるいは公務員の給与全体を俸給に位置づけて等級にきめて、しかも号俸を決定いたしますそのときには、そういうふうに役職とか単に経験年数、年齢というものだけではなくて、職務と責任でありますとか、あるいはその勤務成績でありますとか、資格要件でありますとか、いわば民間で言いますといろいろな評価要素、個人の能力なり成績による評価要素を大変加味して、それを積み上げてやっておるというのが実情でございまして、公務員の場合にもそういう昇給制度等でいろいろ成績評価というものをかみ合わしてやっております。したがいまして、そういうふうに要素別に組み合わしたといたしましても、それに幅を持たせるには一体どうしたらいいかという運用上の問題がございまして、そこでもし幅を持たせますときに、その幅が非常に窮屈なものでありますれば、これは大変運用上やりにくいということがございまして、もし幅を持たせますれば、その一番高いところに張りついてしまうというような心配もまた出てくるわけでございます。国家公務員の場合には大変大きな大世帯でございますので、その間にバランスを持ちながら、秩序を保ちながらやっていくにはどうしたらいいかということで、先生お話しのようなことも十分検討いたしたいと思いますが、そういう全体のバランスをとりながらやるということで、ああいう俸給表の現在やっておりますような形をとっておるんでございます。はなはだ言いわけめいた説明をいたしておりますが、ただそこで、現在われわれがやっております中でも、たとえば五十八歳あるいは六十歳ぐらいになります高齢者問題、現在国家公務員にも高齢者が大分おりますが、たとえばそういうものをとらえまして、数年前でございますが、高齢者については俸給表上は、単なる成績がよければ一年一号というステップを改めて、六十歳、五十八歳以上になりますと、一年のところを十八ヵ月にするとかあるいは二年にするとかいうように、年齢を支えにしたもう一つの要素をかましているという点がございます。たとえばこういう行き方があるいは先生がいまおっしゃっておられますような行き方の一つではないかと思いますが、公務員でもそういうことをやっておりますことを申し添えさせていただきます。
#42
○夏目忠雄君 それからもう一つ、退職年金やそこら辺のところは。
#43
○説明員(角野幸三郎君) 官民給与を比較いたしまして夏に勧告をいたしておりますが、そのときにいわゆる、いわば春闘といいますか、それで上がりました給与の高さ、いわば月給の高さを比べて、それでもってもし民間の方が高ければ追いつかせるということを中心にして、もちろんボーナスもございますが、そういうことを中心にして私ども夏の勧告をいたしておりまして、それが中心でございます。先生お話しの退職手当あるいは退職年金を加味してやっているかということでございますれば、それはそれとして、退職手当、退職給付だけじゃございませんが、そのほかの勤務条件の総体につきましては、それぞれとして対応させて均衡をとってやっていくと。そういうことで、あの勧告の場合には月給とボーナスを中心にして勧告をいたしております。
#44
○夏目忠雄君 ちょっと説明があいまいでわからないんだが、いままで役人というのは、月給は安いが退職金や年金が高いからそれでバランスがとれているんだというのが一般の人の通念だったわけでありまするが、最近、退職金も退職年金もうんと上で、しかも月給が上だというような記事がたくさん出てくる。これというのも、やはり単にそのときの俸給と手当だけを御比較なすっているからそういうことになってくるんだと、私はこう思いますが、いまお聞きしますと、そういうことも少しは考慮するけれども、大部分のところは俸給と手当だけだということになると、幾らか加味してあるという、その幾らか加味してあるというのは、言葉としては便利だけれども、ちっともわからない。私は、はっきりひとつ、五%ぐらい加味してあるのか。どの程度加味してあるんです、実際問題としては。
#45
○説明員(角野幸三郎君) 加味してあるということではございませんで、退職給付については退職給付として均衡をとっておると。それで官民給与の比較、いわゆる給与比較は給与として、月給、ボーナスとして均衡をとっておると。ほかのそれ以外の勤務条件、たとえばその中の退職金につきましては、民間の退職金と公務員の退職金とがどうなのかという比較をしておると、そういうことでございます。
#46
○夏目忠雄君 そうするといよいよわからなくなってきたぞ。教えてください、私はわからないのだから。毎年の何割というやつには退職金というのは入っていない、別にやっておるということになると、退職金もしくは退職年金に人事院の勧告というものはあるのですか。
#47
○説明員(角野幸三郎君) 退職金につきましてはこれは総理府で所管されておりますが、人事院で民間の退職金の調査をいたしまして、総理府においてその結果を踏まえまして官民の均衡をとって退職金の法律を維持していられるという、そういう関係に相なっております。
 それから年金の関係は、これは国家公務員法に人事院の意見申し出の権限がございまして、それで人事院でやはり民間との均衡をとりまして調査をして、それでバランスをとっておる、こういう関係に相なっております。
#48
○夏目忠雄君 十分調査されているようですから、それでは改めてお聞きしたいんですけれども、一般民間と公務員と比べてみて、退職金並びに退職年金についての比較はどんなふうにごらんになっておられるのでしょうか。
#49
○説明員(角野幸三郎君) 退職金につきましては、昭和四十六年に調査をいたしておりまして、その結果を踏まえまして、四十八年に退職手当法の改正を総理府でなさっております。そのときの調査の結果、一部でございますが、大体民間の会社都合でやめた退職者のモデルでございますが、それと国家公務員のいわゆる五条適用のモデルの退職金を比較いたしますと、これは男子でございますが、規模千人以上の民間企業で大体見合っておるというような結果になってございます。
 それから年金の方でございますが、これも調査をして現在検討をいたしておりますが、年金制度につきましては、公務員の場合、先ほどちょっと先生がお話しになりましたが、民間と違います特段の服務上の制約等が若干ございまして、たとえば私企業からの隔離でありますとか、いわゆる天下り禁止でございますとかあるいは政治行為の禁止等、民間にない服務上の制約もありますというようなことも加味して、それから退職後の公務員の生活の実態の、年金をもらいながらどういう生活をしているかというような調査も五年計画で現在やっておる最中でございまして、そういうことをあわせて考えて、それで制度相互の民間との均衡を考えながら現在検討しておる最中でございます。
#50
○夏目忠雄君 時間のようですからこれでやめますが、済みませんが、いまの民間との退職金並びに退職年金の比較に関する資料を後刻ひとつ書類でいただけませんでしょうか。お願いいたします。
 終わります。
#51
○和田静夫君 どうももう逆になりましてね、予算委員会で細かい方へ先に入っちゃったもんですから、きょうは所信について、限られた時間ですから、幾つかお尋ねをしておきたいと思います。
 それで大臣、同盟通信の政治部長などおやりになったりして、あるいは戦後の大部分を国会議員として政治の舞台で活躍をされてきたわけですが、しかも党の国対委員長あるいは政府の要職、こういう形の歴任をされてきました。つまり、あなたは政治というものをその核心で内外から見てきたというふうに私なりに判断をいたしますが、そういうことを思い浮かべながら所信表明を読ましていただきました。そこで、この所信の中で、「昭和の時代に入って半世紀、われわれは、この間における波乱と起伏に満ちた歴史の重みを十分にかみしめつつ、」と述べられています。他の人とは違って、いま述べたようなあなたの場合には、この言葉というのは、実は政治の体験者として実に切実なものが私はあると思うのであります。そこで、自治大臣福田一さんにおける歴史の重みというのは一体何なのか、それを十分にかみしめるというのは一体何なのか、単なる飾り言葉や、実態を伴わないそういう文学的な表現ではないと私は考えますので、そこの点をちょっと御説明願いたいと思います。
#52
○国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。
 まあいささか私事になることでありますけれども、実は私は新聞社に勤めておりまして、二十年間新聞記者をやっておりました。大東亜戦争でシンガポールで抑留されて帰ってまいりました。その後、鳩山前の総理の推薦というか、あれがありまして、実は立候補をして政界に足を踏み入れた。実は私の新聞社はなくなったわけです、同盟通信というの。名は残っておりますけれども、現実の同盟通信社は、あの戦争のときの同盟通信社はなくなりました。私はその帰ってくる船の中で常に考えておったんですが、何とかしてこれだけ窮乏した国民の生活、こういうことにしたわれわれの責任、自分もまたその責任を負わなければならない一人である、こう考えておりまして、何とかこれを再建をして、そして後代に伝える自分は義務がある。そのために挺身をしたいと思って実は立候補をいたしたわけでございます。その後、いろいろのことがございましたけれども、かみしめてという意味は、要するに私が考えておりますことは、非常に焦土の中から立ち上がった日本が経済を復興して、そうして順次充実していく経済の中において、やはり民生とか、あるいは環境の整備、特に福祉の問題等も考えにゃいかぬが、しかし、さしあたり考えることは、一応私は地方公共団体等があれをしておりますところのいわゆる公共事業、大体社会施設というものを充実することがまず一番先に大事である。その方面に力をある程度入れなければならないということを実は考えておりました。たまたま私は池田内閣の通産大臣を二年務めさしていただいたんでありますが、その当時におきましては、わずか日本の持っておりますところの外貨というものは、米ドルにして表面上二十億ドルということでありましたけれども、実質は十三億ドルくらいしがなかったわけです。まことにもう惨めなことで、福祉政策などというような面にまでとても及ばなかったと私思うんです。そこで、私は何とかしてもう一遍この日本の経済を拡充していくというか、拡大する必要があると思って、実はそういう意味で二年間の通産大臣の生活をやらしていただきました。ちょうどその時分に一番問題になったのは、特定産業振興法というのがありまして、これは大変な論議を巻き起こした問題でありますけれども、私はそういうものをひとつ特定産業、ある自動車であるとか鉄鋼であるとか、そういうものが日本の一つの輸出産業の大宗をなすような形でなければ、日本の経済の復興はできないんだというその考え方に基づいて特定産業振興法というのをつくって国会へ出しましたが、これは残念ながら通過はいたしませんでしたけれども、私はその時分にはこれを何とかしたいと思っておったんでありますが、まあ法案は通りませんでしたけれども、その後の日本の経済の動きを見てみますというと、鉄鋼とか自動車というようなもの、あるいは電機というようなものが中心になって非常な輸出の伸びを示しまして、まあ昔は繊維が輸出の大宗であったんでありますけれども、今日はそういう繊維というものは三番目か四番目のところへいって、いまは逆輸入されているというような形にもなっておるのでありますけれども、とにかくそういうようになってきた。そこでまあそのときに、うちでもいろいろ――うちというのは、自民党におきましてもいろいろの問題を考えておったわけでありますが、この勢いでひとつもう少し伸ばしてみたい。人間というものは欲があるものでございます。だんだんよくなりますというと、もう一つよく伸ばそうと、こういう気になるものなんです。それが私は田中内閣、田中総理が言った過密過疎の問題を解消するという、この際ひとつそうして国土をうまく利用しようという考え方で田中総理は言ったんでありますが、日本列島改造論というのが出ました。私は日本列島改造論の考え方のうちの、過密過疎を解消しなきゃならないということについてはいまでも当然なことと考えておりますけれども、ただ、日本列島改造論のうちには二つだけ若干間違いがあった、いまになってみると。それは、あのときには日本の経済を伸ばすには輸出をどんどん伸ばす、輸出を伸ばすには原料を輸入する、その原料は幾らでも外貨さえあればとれるという一つの前提があったわけですね。ところが、その前提がいみじくも打ち壊されてしまったということと、それからやっぱり列島改造やる意味においては、何といっても地方の開発をするには通信機関、それから交通機関というものを充実せにゃいかぬ、それにはやはり通信も交通も充実せにゃいかぬというんで一つの考え方を出されまして、そして新幹線とか、あるいはまた高速道という考え方が出たんでありますけれども、これが一つインフレといいますか、物価高を促進したということになったと思うんです。そこまでの思いが――重復した面もありますよ、そこまでの思いは至らなかった面が私はあるんじゃないかと思っておるんです。私もそんなことを言っても責任の一半を負わなければなりません。何となれば第一次田中内閣のやはり自治大臣をやらしていただきまして、大臣をやったんでありますから、私もその責任を感じなければならない一人であると、こう思っておりますが、いまどういう心情であるかということで、率直に述べてみろとおっしゃれば、私のいまの気持ちは、そこにはひとつのやはり考えの及ばないことがあった。
 で、この間も衆議院のあれでもってコンビナートの問題が出まして、こういうものに対する炎害を十分に考えておかないのは政府の責任ではないかと言われたときに、私は率直に先見性がなかったと言ってわびたわけですが、まことに先見性がありませんでした、そこまで考えて、考える頭がいかなかったのは私の先見性のないところだと言っておわびを申し上げた。しかし、今後はそういうことをしちゃいかぬからというんで、今度コンビナート法というものをつくらにゃいかぬというのでいま努力しているというようなことで、これは申し上げておると余り長くなりますからあれですが、私のいまの心情を申し上げれば、そういうことでございます。
#53
○和田静夫君 あとでずっと質問しようと思ったことを先に述べられましたから、限られた時間だから言いませんが、私はいま率直に、先見性の問題について過去を振り返りみてみずからを正されるという姿勢をおとりになりましたから、それ以上のことを申し上げるつもりはありません。最も言いたかったことは、実は池田内閣におけるところのわれわれが反対した高度経済成長政策推進過程で通産大臣をお務めになった。それから田中内閣で自治大臣をお務めになった。そしてそれが全体としては裏目にいま出てきているという形のことの中で、今日の自治大臣が、いわゆる高度経済成長論者から三木内閣におけるところの安定経済成長論者にお変わりになったのかどうかという、そこのところが経済政策との関係では一つ確かめたかったことなんです。
 そこで、もう全く五十五分までの時間ですから、お互いあまりしゃべっている時間がありませんので、一つ伺いたいのは、安定成長とは実質経済成長率でどの程度をめどとしてこの所信を明らかにされましたか。
#54
○国務大臣(福田一君) 御案内のように、四十九年度の――これはまあ経済成長率というものの定義から始めないとこれは非常にいろんな議論がかみ合いませんけれども、一応いままで言われておる経済成長率という形で物を考えた場合に、四十九年度は、一・五であるか二であるか知らぬが、大体マイナスであったということでございまして、これから五十年度に向かっては大体五%前後くらいでずっと成長を続けていきたい。これはアメリカあたりも三、四%くらいの成長を毎年続けておりますから、私はそういうようなふうに経済の成長を伸ばしていくようにすべきである。それは先ほど申し上げたように、資源というものを幾らでも安く買えるという時代でなくなったので、経済、外交におきましても、そういう面を考えながら、この資源の確保に努力をしつつやっていくということでありますから、それには余りぐんぐん伸ばしますというと、各国との間に摩擦を生じます。そこでやはりこれは四、五%の程度くらいにとどめる、こういうことにいたさなければならないとかように考えておるわけでございます。
#55
○和田静夫君 そこで、高度経済成長の時代から安定成長の経済に変わらなくてはならないとすれば、そこには地方行財政の面でいままでとは違った多くの問題が提起をされてくる。それに対応する施策というものを考えなきゃならない、こういうことになってくるのでありますが、この自治省がいままでお出しになったいわゆる都道府県行政投資実績調べというのを見てみますと、日本の高度経済成長を支えてきたものは民間設備投資主導型の投資構造論であるという形が明らかであります。で、高度経済成長を安定成長に転換をして、そしてまた高度成長のひずみをこう何というか、是正するためには、民間部門に偏っていた資源配分を公共部門に振りかえる、そういうことがまあ私は必要だと思うんですが、自治省の資料では、昭和四十年を境にして、わが国の経済というのは民間設備投資主導型から政府主導型に転換しつつあるということでありますけれども、経済の体質そのものが実は変わり続けてきたわけじゃありません。行政投資の中でも産業関連投資の方がやっぱり依然多いわけですね。そうすると、不景気の際には、公共事業の拡大によってこの民間需要のの刺激という形で公共投資比率が若干高くなりますけれども、その後にはすぐ産業基盤の拡大を通じて民間設備投資主導型の経済体制になっていく。つまり、そうしたパターンを繰り返す中で、この経済の高度成長、社会のひずみが拡大再生産をされる。で、現在この不況で金融がだぶついているという。そこで、財界からずっとかなり強い要望が出ていますね。で、政府が公共事業の拡大を図って景気の転換を図るというのは、私はまあ時間の問題だろうと思うんですけれども、しかしそうした場合に、従来の景気回復のパターンを繰り返していって、再びこの民間設備投資主導型の経済構造に転化するということであってはならないと思うんですね。先ほど自治大臣が言われた、自治大臣のいわゆるみずからの経験を追っての自己批判といいますか、御反省の中からもそういうことが言えると思うんですけれども、その辺、大臣として、先を見通されてそれ相応の対策を考えられていると思いますけれども、公共部門の資源配分の強化の方策、それについていま具体的にはどういうお考えがございますか。
#56
○国務大臣(福田一君) まあただいま御質問の趣旨は、私が理解しておらなければもう一度指摘していただきたいと思うんですが、いわゆる資源配分を公共投資関係ということになれば、社会施設の充実ということ、あるいは福祉政策の充実ということ、こういう方面にウェートを置いていくべきではないか。そうして、民間の施設の充実というような方面に偏らないようにしなければいけないと、こういう御質問であったかと存ずるのでありますが、そういう意味であれば、私は大きい意味での方向では賛成でございます。ただし、これは口でそう一言にお互いにこう話し合っていても、具体的なことになりませんとね、かみ合いませんから。でありますけれども、あなたのお考えになっている考え方が私は一応正しい考え方ではないか、かように考えております。
#57
○和田静夫君 そこで、もう人件費なんかの問題のやりとりは、予算委員会で大臣とはいろいろと論争をやりましたからあれにしまして、きょうは除きまして、地方財政のいわゆる硬直化の問題の根源に一つある国、地方を通じての財政構造の問題ですね。今日の地方財政の窮乏化を招いたその国の経済運営との関係におけるそのもの、これですね、これとの関係で、国と地方との租税の再配分を図る、それから地方税、地方交付税の増強に努める、こういうことが、まあ安定成長下のこの地方財政の根本問題として、私はやっぱり率直な意味できのう結論的にも申し上げて、その辺では自治大臣と昨日は合意をしたつもりですがね。そういう安定成長下の地方財政の根本問題としての改善というものが何といっても望まれていることは間違いありません、これ。そうすると、事務所税の創設以外に、残念ながらやっぱり見るべき措置がとられなかったのではないだろうかということがどうしてもわれわれの側に残るわけです。その一般財源の強化の問題というのは、これはもう委員会としては連続的に決議があるわけですよ。その決議を受けて、やっぱり大臣、一つの何か構想というのが生まれていいのではないかと思うのですが、いかがですか。
#58
○国務大臣(福田一君) 私は実はいまの問題でひとつ、これちょっと外れた議論になるかもしれませんが、私はこの過密過疎という問題ですね。これを一体――まあ事業所税の問題が出たから申し上げておるんですけれども、私は事業所税というものを考えるというのは、そこにある事業所が公共団体によって受けておる利益を還元する、社会的に還元するという意味が事業所税というものをつくることを認めた原理であると思うのでございます。
 で、そういうことでありますけれども、今日のようにどんどんどんどん地方財政が、特に大都市を中心にした都市において人口を自然に流れのままにしておくような姿で、一体地方財政の問題というものが片づくのかどうかということをもう一遍考えてみなきゃいけないのじゃないか。私はいまはそういう時代でもあると思うのです。たとえば学校にしたって保育所にしたって、水道だとか下水道、いろいろなことがありますけど、人がふえればどんどんどんどんそれをふやさないわけにいかない。そうすると、それに見合うところの投資というものはなかなかうまくついていきませんね。それはなかなかいかないわけです。だから、この大都市を中心にしたというよりは、人口が急増しておるところに対するこの財政、国の投資あるいは予算の配分という問題と、そうしてそうそれほどではないところと、それから過疎地帯になっておるようなところと、こういうところの三つの面を満足させるような財政経済的な措置でないと本当には向かないのじゃないかと思うので、この点を分けて考えませんと、これまた議論がかみ合わないんじゃないかと私は思っておるわけです。
 が、いずれにいたしましても、それは別にして、この税の問題において、やはり地方税というものはすでに法律によって認められているあれでありますから、できるだけまあ自由にできるようなことを考えるとか、あるいは新税をひとつ国でも考えて、それを一部分ける考え方をするとか、いろいろの問題は含まれておると思いますが、まあこういうことをあわせて一遍今後は考えてみる。それが、御案内のようにこの財政審議会の方で答申が行われ、いま地方制度調査会に総理が諮問をして、財政の硬直化という問題をひとつ大きな意味で取り上げたという意味である。私もまたそういう意味でこれは一遍考えてみなけりゃいけないと思うのですが、一律的な物の考え方ではなかなか解決しないというところに非常にむずかしい問題も含まれておる。これをよく配慮しながら行政をやり、また国の施策を決めていくということが大事ではないかという印象を持っておるわけでございます。
#59
○和田静夫君 まあ予算委員会の途中で地方制度調査会が開かれるものだから、出席ができなくて、意見を述べる機会がなくて困ってはいるんですが、そのちょっと具体的な問題で二、三尋ねておきたいのですが、一つは特別交付税です。これは幾つかの重要な問題点がありましてね。すでに私も幾度かその点を指摘しましたし、前の予算委員会では、町村自治大臣との間である一定の前進的な回答も得たのです、この問題は。で、特別交付税の総額が、現在大臣御存じのとおり非常な巨額に達しています。昭和五十年見込みで二千六百五十八億円、福岡県の四十七年度決算歳出が二千五百八十億円です。これとほぼ同額。鳥取県が七百三十億円ですから、これの三・五倍。これでは個々の自治体の予期しない事情を考慮して調整配分する額としてはやっぱり多額になり過ぎているということを考えるんです。
 もう一つは、特別交付税のいわゆるルール分については、普通交付税の需要額に算入してもよいものがあるというような理由から、私は町村自治大臣や鎌田現事務次官やあるいは松浦現財政局長に、特交の総額を減らして普通交付税に回してその増額を図ることが適当ではないかという答弁を求めたところ、地方交付税制度の趣旨からして、この普通交付税の需要額に算入できるものはできるだけその方でめんどうを見るのが筋だから洗い直して検討したい、そして実は大臣、これは四十九年度は間に合わないから、次の機会――次の機会というのは五十年度ということなんですよ、この機会に検討していただける条件をつくりますという約束だった。ところが、それは自治省は真剣に検討されたことをゆめゆめ疑ってませんよ。それは疑ってませんが、事務的には、私と町村自治大臣その他自治省の主要な方々との約束があったにもかかわらず、これは間に合っていないんです。このところをひとつ大臣どういうふうにやってくれますか。
#60
○国務大臣(福田一君) 実は私も、なってすぐにそういう話聞いたわけです。実際に。一月でございましたけれども、いろんなことがございましたから。だけど、実際問題として、今度それが予算の中に、そういうふうに五十年度予算の場合に入っていないということでありますが、これは私はあなたのおっしゃることの方が正しいんじゃないかと、そう思っておるんですよ。そこでどういうふうに、予算の財政計画はどうであっても、直せるんなら直したって私はいいと思うんです、政府部内の問題のことなんですから。これは一遍、地方制度調査会、財政審議会の問題もあります、いろいろありますから、そういうこととにらみ合わして前向きで処理をいたしてまいりたい。御趣旨に沿うように努力をいたします、こういうことです。決してないがしろにするようなことは考えておりません。
#61
○和田静夫君 私はその答弁をそのまま承っておきますが、いま時期をどうするというような区切り方でさらに追及をすることはいたしませんが、いまの大臣の答弁が生きるように、しかも早い機会に生きるように努力をしていただきたいと思います。よろしいですか。
#62
○国務大臣(福田一君) 承知をいたしました。
#63
○和田静夫君 地方債について、許可制度を採用している理由をちょっと述べていただきたいんです。
#64
○国務大臣(福田一君) これは、むしろ私が申し上げるより、あなたの方がもうよくわかっておいでになると思うんですけど、御質問があるからお答えをしないわけにいかないと思うんですけれども、もうすでに地方債は起こすことができるということは法律的に条文で決まっておることは、あなたの御承知のとおり。財政法におきましても、自治法におきましてもそれは決まっておりますんで、これをこの機会にすぐに改めるのかどうかという御趣旨であれば、いまのところはまだそこまでは考えておりませんと、こういうことでございます。
#65
○和田静夫君 これ申すまでもなく、地方自治法の二百五十条にしても「当分の間」、あるいは公営企業法の関係でも、附則第二項、本則の例外規定として「当分の間」でしょう。まあ地方事務官の「当分の間」の論議をずいぶんやりまして、総理、予算委員会で踏み切ったわけですけれども、ここの辺の「当分の間」もそろそろ自治大臣のあれでもって処理ができるんじゃないだろうか。つまり、起債の許可制度は当分の間における暫定措置であるんですからね。わからないのは、一体どういう条件が整ったら原則に戻るんだろうかということ。この辺のところはどうです。大臣ひとつきょうの委員会ではっきりしょうじゃないですか。
#66
○国務大臣(福田一君) 私は、地方自治体が、税制とかいろんな交付税の問題とか、そういうことを全部変えて、もうそういうものは国からはもらいませんよ、自分だけでやりますと、全部もう独立したような形になればこの「当分の問」というのはなくなっていいと思うんですけど、やっぱりあんた、国からは交付税はもらっているわ、それからいろんな……
#67
○和田静夫君 あれは地方の固有財源だからね。
#68
○国務大臣(福田一君) いや、固有財源にしても、そういう間に、それは自由にやりなさいということにするとどこまでいっちまうかわからぬから、やっぱり自治省というものは地方公共団体を指導する任務を、責務を帯びておるわけですから、だからやはり当分の間起債をやるときにはちゃんと調べて、いいか悪いかというようなことをしなさいという法律がちゃんとあるんで、いまのところはちょっと私はこんなものは二、三年じゃ変わらぬと思いますよ。またそれが正しいとは思ってませんよ。
#69
○和田静夫君 正しいとは思っていないと……。
#70
○国務大臣(福田一君) いや、正しいと思っていないという意味は、二、三年で変えるということは困難である、すぐ変えるということは正しいとは思っておりません。
#71
○政府委員(松浦功君) ただいま大臣がお答え申し上げたとおりに私どもも考えておりますが、一番問題になってくるのは、やっぱり財政計画という制度と起債の許可という問題のひっかかりの問題、この問題がまず国の立場としては非常に大きな問題になってこようかと思います。
 そのほかには、これはもう先生の方がよく御承知のはずでございますが、財政力の弱い市町村は、私どもの許可という条件を外してしまうと、恐らく金が借りられないと思うんです。しかもまた、先生方の御要望を受けて、私どもは大蔵省とけんかしてでも政府資金の割合をできるだけ高めようとしている。その政府資金をどこへ配るかということは、やっぱり国が中へ入りませんと――できるだけ資金の集めにくいような弱い団体に政府資金をよけい振ると、こういう操作も現在しておるわけで、そこいらの実情をお察しいただけると、相当いろいろな条件が完備しない限りはなかなかむずかしいんではないかということを私どもも考えておるわけでございます。
#72
○和田静夫君 これはどっちみちまた委員会として論議を具体的にする機会があると思います。ただ、法律で決まっておるからというのについては、きのう何かある意味じゃ自治省の代弁をしたような形になっているんですがね。法律でああいう形に決まっていたって、農林省も犯しとりゃ、厚生省もおかしとりゃ――文部省言わなかったけれども、文部省も犯しとりゃ、各大臣片っ端から並べればきのうは本当はおもしろかったんですがね。超過負担になっている原因の一つ、そして総理も認めたし、自治大臣もお認めになっていますがね。したがって、自治大臣には、いまの言葉の中で、法律で決まっているからというやつだけは、これはやっぱりお互い改善の努力するわけですから、そういう意味に立って私はこの問題については今後さらにわれわれの主張を述べ続けます。いま大体ずいぶん距離がありますがね。そのことだけはお含みおき願っておきたいと思います。
 石油タンクの不等沈下の点検状況なんですが、これ大臣、ちょっと説明していただけますか。用意できていますか。できてなけりゃ……。
#73
○国務大臣(福田一君) できてるでしょう。
 その前に、さっきの問題でちょっと一言だけ。
 きのうは大変あなたいいことを言っていただいて、各省がやっぱりそれは間違っておったということを予算委員会の場で明らかにせざるを得なかったということは、大変私はありがたかったと思っております。
 私は大体最初から、田中内閣のときの自治大臣のときに、私がもう真っ向から大蔵省に対して超過負担の解消ということを言って、相当程度効果上げたつもりなんですよ。ただ、予算編成のときにもう首になっちゃったものですから、それほどの値打ちがあったかどうか知らぬが、少なくとも原則については私はがんばってやったつもりです。それが余り不明確であるという。やっぱりこういうものは明確にしておくべきものだと私は思うんです。その意味では、これは私はむしろ政府のある意味における怠慢であると、こう考えるんです。およそ私は法律というものをつくった以上は、政府が自分の恣意に基づいて、やめたり、減らしたり、ふやしたり、そういうことはしてはいけないんで、それでは立法府というものの権威というものが傷つけられることになりますから、いやしくも立法府で決めたものはちゃんと守られるという姿が正しいんで、その意味で、私はきのうあなたが御指摘になったことについてはごもっともであると、こう私は考えておるわけであります。
 しかし、それだからといって、法律で決まったものを論議の途中において直してしまうとか、立法府の尊厳を侵すような行政をやるとかということだけはやはり慎む、もし間違っておれば、国民にその事情をよく知らせて、そしてこれは間違っておるんだからこういうふうにするんだと言うて、法律でやはり、言うなれば立法府においてこれを直す、こういう姿でやっていくのが三権分立のたてまえではないかと、かように考えておりますので、お礼を兼ねて一言申し述べさせていただきます。
#74
○政府委員(森岡敞君) 御承知の水島の重油流出事故の経緯にかんがみまして、一月中におきまして急遽緊急点検を実施いたしました。緊急点検の対象タンクは、当面一万キロリットル以上のいわば大規模のタンク、それから事故のありましたタンクは高張力鋼という鋼を使用いたしておりまして、同種の鋼を使用いたしておりますタンクに重点を置きました。これがおおむね二千六百九十七、全国にございました。
 で、点検の項目は、一つはタンクの本体なりあるいは付属物につきまして、不良個所があるかないか点検をいたしました。第二は地盤の状況、特に不等沈下の状況について調べました。第三は防油堤、その他の状況について点検したという、チェックポイントをかなり詳細に指示いたしまして点検を進めたわけでございますが、その結果は、まずタンクの本体及び付属物に不良個所が認められましたものが三十一ございました。ただ、この不良個所は、若干の油のにじみがあるとかという程度のものがほとんどでございまして、もちろんそうであってはいけないんでございますが、致命的な不良個所というものではございませんでした。これにつきましては、当然必要な措置を直ちに行うよう、各消防当局から指示いたしております。
 第二は不等沈下の状況でございますが、不等沈下量と、それからそれがタンクの危険性につながる因果関係につきましては、なかなかいろいろな説がございまして、むずかしゅうございます。しかし、緊急点検を実施いたしましたのでありますから、国民に不安を与えない、安心してもらうという意味合いにおきまして、やはり一応の目安を決めたいということで、沈下量がタンク直径に対しまして二百分の一を超えるというふうなものにつきましては、特に不等沈下の分量が著しいものという判定をいたしました。それにつきましては、油を抜いて開放検査を実施するように指示いたしております。ただ、油を抜き、開放検査ということになりますと、若干の時間もかかりますので、現在すでに相当実施して進んでおるところもありますが、準備中というところもございます。
 それから、防油堤その他の状況でございますが、防油堤に亀裂等の不良個所がございましたのが三百十八でございます。これも若干の表面層の亀裂というものが相当ございますので、これらにつきましては、コンクリートの注入を行うとか、そういう形で補修を指示いたしております。なお、配管、弁に油のにじみなどがあるものが七十一、消火設備、通気管等に若干の腐食、あるいは目詰まり等のあるものが百三十七ございました。これらにつきましても、それぞれ所要の是正、補修措置を講ずるよう、各消防当局から企業に対して指示をいたして現在実施中でございます。
#75
○和田静夫君 大臣ね、私、言ってみれば、いま言われたところの調査対象をもっと小さなものまで落とさなくてもいいのかという疑問を持つんですよ。どうも調査基準が少し高過ぎるんじゃないか。今回対象外になったものは、今後は大臣、継続的にやっぱりお調べになりますか。
#76
○国務大臣(福田一君) 御疑問、ごもっともでございまして、一万キロリットルとかなんとかというもので、それじゃ千キロリットルは大丈夫かなんということになったらこれはとんでもない間違いだ。これは大きいところからやはりやっておりますけれども、順次下へ下げて、全部総点検をするという構えでいま調査を進めております。
#77
○和田静夫君 そこで、これはNHKテレビなどの報道によりますと、ずさんなごまかし報告をした会社があるということを報道していましたですね。そういう事実があったわけですか。あればどの会社が、というか、どのタンクがそうだったんですか。
 もう一つは、調査に消防職員立ち会えないんですか。この辺、前段の部分は消防庁から御答弁願うんですが、後段の部分ね、この辺はやっぱり政治的に少し考えてみる必要があるんじゃないですか。
#78
○政府委員(森岡敞君) いま御指摘のNHKの報道というのは私実は詳細わかりませんけれども、不等沈下の沈下量を調べます場合に、かなり技術的に誤差が出ますと、そういう点はあるように承知いたしております。ですから、水準器でございますとかいろんなオートレベルでございますとか、そういう機械を使いましてやるものでございますので若干の誤差が出ますが、そういう誤差が、問題があるものについては改めて調べ直すというふうな措置を講じた向きはあるように考えております。
 それから、前段だけというお話でございましたが、今回の点検に当たりましては、消防当局が実施をいたしております。ただ、御案内のように、市町村の消防機関も、技術者の質なりレベルが非常に整ったところとやはり若干レベルが落ちるところとございます。そういう人手不足のところは土木関係の職員などの応援も求めまして、特に不等沈下の状況などにつきましてはそういう協力も得て実施をいたしております。
#79
○和田静夫君 あとはちょっと細かい問題に入りますから、大臣の時間がありますから少し後にします、ちょっと……。
 そこで、大臣ね、米軍基地内にも石油タンクがあるわけですね。ところが、その調査対象から外させられているようですね。させられているのか外しているのか、どちらかですが、それはどいうわけですか。あるいは今後何かおつもりがありますか、調査、連絡とか。
#80
○国務大臣(福田一君) 御案内のように、これ米軍基地内のタンクの管理は、地位協定というものがございまして、その第三条の第一項の規定に基づいて米軍がみずから行っておるそういうことになっておるわけです。しかし、最近いろいろの米軍の基地内のタンクでも問題がありますので、われわれとしては、米軍基地内のタンクの事故防止について、ひとつもっとしっかりやってもらいたいということを米軍に厳重に申し入れておるという措置をとっておるというのが現状でございます。
#81
○和田静夫君 この米軍内のどこにどういう規模のタンクがあるかということは、これはおわかりになっているわけですか。
#82
○政府委員(森岡敞君) 私ども承知いたしておりますのは、米軍の貯油施設は八施設でございまして、全体の貯油量が百八十五万キロリットルというふうに承知いたしております。施設名は、八戸貯油施設、吾妻倉庫地区、小柴貯油施設、鶴見貯油施設、赤崎貯油所など――全部申し上げましょうか。
#83
○和田静夫君 後で出してください。
 これもある報道によればですがね、正確には二月十八日の毎日新聞ですが、そのコンビナート所在地の消防署のうちで半数が消防力に十分な自信が持てないと、こう書いてあります。報道されているんですがね。これでは市民が安心して生活ができません。で、コンビナート所在地の消防体制の実態について、大臣、これはやっぱり過日も四日市でありましたが、何か対策をすべきだと思うんですがね。どういうふうにお考えですか。
#84
○国務大臣(福田一君) 今度コンビナート法をつくりますのを契機として、そういう問題も法制的にも充実する工夫が必要だと私は考えておりまして、それをやらせますし、それから現実にいまあるようなところには特に注意をして、共同で消火作業ができるとか、何かそういう法律ができる、できないの問題より、もう現実の問題ですから、特に注意をして処置をさせるようにいたしておりますが、これは企業自体も大いにそういう意味では責任がございますけれども、国もある意味ではある程度は援助をしてやる必要も場合によって起きるんじゃないかということを考えております。そして消防力の充実を期する、こういうことにいたしたい、そういう考え方でございます。
#85
○和田静夫君 先ほどから出ております石油コンビナート防災法案ですね、これは三月中にはお出しになるわけですか。
#86
○国務大臣(福田一君) その予定でせっかくいま詰めておる段階でございます。実を言うと消防関係の問題につきましては、自治省としてはもう案がすっかりできている。それを各省にいま示しまして、いま各省と内容について詰めておるという段階でございますが、なるべく早く私はやってもらいたいということを言っておりますんで、少なくとも今月末くらいには出したいと思いますが、それは四日や五日の誤差ができることは私はやむを得ないと思いますが、目標はそこに置いてせっかく督励をいたしておる、こういうことでございます。
#87
○和田静夫君 石油コンビナートによる災害から人命や財産やあるいは自然を守るということのためには、コンビナートの方の立地条件あるいは設備の基準、保安対策、災害発生の場合の防災方法、補償ですね、こういうものがやっぱり対象として取り入れられる必要があると思うんですがね。それを取り入れなきゃ効果が上がらないでしょうから、防災法案にはそうした問題をすべて取り組むというふうに考えてよろしいですか、取り入れる。
#88
○政府委員(森岡敞君) ただいま大臣から申し上げましたように、現在各省庁といろいろ詰めておる段階でございます。私ども考えておりますのは、まず第一に、現在石油あるいは高圧ガスという各種の危険物がございます。それに対する保安監督というものが、率直に申しまして、政府各省におきましてもまた地方公共団体におきましてもばらばらになっておる。総合的な防災体制を確立するということがまず第一に必要じゃないかということでございます。第二は、企業それから地方公共団体あるいは政府全体を通じまして、先ほど御指摘のありました防災施設、消防施設も含めまして防災の施設を強化をしていくということが第二の問題だと思います。それから第三に、企業のやはり自主的な保安体制あるいは共同保安防災体制、こういうものをやはり拡充して強化していっていただくということが必要だろうと思います。あるいはまたさらに、総合的な点検訓練でありますとか、また通報連絡システムの強化でありますとか、そういうふうな種々の問題を組み入れて現在各省庁と協議をしている状態でございます。
#89
○和田静夫君 あと、具体的な問題で消防庁長官見えてからやりますから、大臣にあと二問だけお尋ねしますがね。
 自動車の排ガスの問題です。五十一年度規制の告示が二月二十四日環境庁から出されました。で、運輸省も二十六日、道路運送車両の保安基準について、関連する事項の改正省令を公布しました。五十一年規制については、中央公害対策審議会の手続、運営等に対して多く疑惑が持たれたのは予算委員会で出ました。その結果については、七大都市の市長懇談会やあるいは調査団、早急に再検討すべきであるという抗議の声明が出されたりしまして、私たちとしても、今後ともこういう問題を追及をして住民の健康を守るために努力をしなければいかぬですが、現在自治体が財政難にありますね。また一方では、大気汚染なり騒音なり、生活環境の悪化に悩まされる。こういう形で、住民が健康を守るために住民運動がいっぱいある。都市の公園づくりや緑化運動、公害防止そういう多額な費用を必要としている。そこで、この財源対策として、各自治体が経費の節約など多角的に財源の捻出に努力していることは、これはわれわれも十分知っているところですが、そういう状態にあるときですから、自動車関係税の超過課税の実施、この際財源確保の手段として私はある一定の有力な条件を持っていると思う。それを積極的に活用すべきだとこういうふうに考えているのですが、これは自治大臣、どうですか。
#90
○国務大臣(福田一君) 自動車の公害対策の問題は、御案内のようにいまいろいろ進めておりまして、税の問題等々もいろいろ国として一応の方針を決めて、今度の五十年度予算におきましても法案も出しておるようなことは御案内のとおりでございますが、こういう公害というような問題についても、特に自動車のような日本津々浦々どこにでもあるというような問題に対することで、これに対する公害の見地から規制をするという場合には、私は全国的な規模でやるのがいいのではないかと、考え方として。しかし、ある県でやっておりますような、この税の不足を補うという意味で超過課税をするというようなことは、これは私は禁止するとかそれは反対とかいう考えはございません。ただ、節度を守ってもらいたい。度合いがありますから、むやみに足りないからといってかけるというようなことでも困るし、あるいはむやみに減らすということでも困りますが、そこいらは節度を守ってやってもらえば、私は地方自治体に任せていいんじゃないかという感じを持っております。
#91
○和田静夫君 高公害車の駆け込み販売などに対して、総理の指示によって課徴金制度が検討されていると聞くんですがね、そうした制度を早く確立して、高公害車を買うことは損なんだということを国民の前に明らかにすれば効果的だとこう思うんです。ところが、総理のああいう御返答があったのですが、どこが責任を持ってこの立案に当たっているのか、さっぱりわかりませんがね。これは約束だけで、まだ政府部内ではどこも検討に着手していないということですか、あるいは着手しているということですか。
#92
○国務大臣(福田一君) 閣僚協をつくりまして、この問題についてはいま審議をいたしておる段階でありますが、これはいまお話がありました公害を防止するという意味で、自動車会社から言えば駆け込み生産をしないといかぬとやっておるということもありますが、私はちょっと公害車には今度重税を課するというようなやり方が、この限度ですね、いわゆる汚染対策というか環境問題ということから見ることと資源問題から見るということとは、これちょっと私は考えてみなきゃならないんじゃないか。日本みたいに資源のないところで、この古い車はいわゆる規定に合っていないからうんと税金をかける、だから早く買いかえなさいと、こういうことになると、私は自動車会社は喜ぶかもしれぬと思いますけれども、資源のない日本がそんなにむやみにどんどんどんどん廃車さして新しいのに買いかえるということが、果たして国全体の利益を守るということになるかどうか、いわゆる資源を愛するという立場から物を考えるということも一面考えてみる必要があるんじゃないか。私は環境という問題から言えば、いま一応言われているようなこともありますけれども、必ずしもまだその問題について私の意見を言うてみたわけでもございませんし、しかし、慎重にこれは検討をして、いずれにしてもこの公害車ができるだけなくなるように努力をせなきゃいかぬ。
 そういう意味では、御案内のようにいま私公安委員長もいたしておりますが、各府県の警察、特に警視庁などに対しても、交通量の削減ということで、ある程度汚染を防ぐということもやらにゃいかぬと思って大分いろいろなことがあったんですけれども、ようやく一割を――なかなか大変なんです。ここまで来るにはもう相当ですからね。またそれに一割ということは相当なんだけど、これだけはもうぜひやれと言って私は公安委員会でも主張をいたしている。それで、この間、一つは一応の考えを十大都市についてはやりますと、十万以上の都市が百六十八とかあるそうですが、こういうものも対象にしてやるが、さしあたり十大都市については今度は一割削減ということで、まあ一両年の間に――一両年と言っても、ことしのうちが七割とか八割で、あとは二割くらいの形で、とにかく汚染を防止する工夫もそういう意味でやると。
 これは、一つは私の考えのうちには、やっぱり資源愛護ということで、自動車で通勤するとか学校に行くなんてことをそのまま認めていていいのかどうかということもありますからね。そういうような意味も含めて私は実は主張をいたしておるわけでありまして、汚染問題というものを、環境を改善するということについてわれわれは熱意を持つ義務があります、政治家としては当然の。しかし、また一方においてそれに伴ういろいろの問題もあるし、またそんなことを言うことで駆け込んで生産でもするというようなことは、私は余り賛成はできない。そういうことを余りいいこととは思っておりません。
#93
○和田静夫君 あと二、三問、消防庁ですがね。この不等沈下とタンクの亀裂との関係というのは科学的に明らかじゃないようですね。しかし、不等沈下が亀裂の発生に大いに関係があることも否定しがたい。特に不等沈下の状況が明らかになった現段階で、さらにそうしたタンクについて、底板の変形の状況ですが、あるいは腐食度、溶接部の異常等について精密な点検を進める必要があると私は思うんですがね。それはどういう形でやられますか。
#94
○政府委員(森岡敞君) 先ほど申し上げました、不等沈下が特に著しいタンクにつきまして一応の目安に基づいて油を抜いての開放検査を実施するよう指示しておるわけでございますが、具体的な検査方法は、非破壊検査と申しまして、磁粉探傷式による試験あるいはバキュームテストというふうな科学的な、物を壊さないで検査をする方法を現在実施するように指導いたしております。
 で、問題は、そういたしました結果、底板に不良個所が認められるとか、そういう場合には、その不良個所を補修是正をするという措置を講ずるよう指示するわけでございますけれども、底板に何らの異常も認められなかったという場合に、一体その後どうするのかという問題が実はございます。で、これにつきましては、一つの方法は、地盤を修正いたしまして安定度を増すということが一つでございますが、しかし反面、沈下した状態でいままで安定しておったのを、地盤を修正いたしますと状態が変わるわけでございます。それがそのまま将来の危険につながらないという保証があるのかという問題が一つございます。
 そういう点につきまして、やはり技術的な十分な検討が必要でございますので、私どもは現在事故原因調査委員会を設けましていろいろ検討いただいておりますが、その審議の過程を通じましてそれらについても御検討を煩わしておるわけでございます。
 それからいま一つは、やはり油面を下げまして、たとえば五万トンタンクで四万八千トンが認可する容量であるといたしました場合に、油面を下げて、四万トンあるいは三万五千トンというふうにいたしまして、不等沈下に伴う危険性を回避をする、こういうことも一つの方法だと考えて、現在市町村の消防機関と打ち合わせをしておる段階でございます。
#95
○和田静夫君 不等沈下の著しいものについて、油を抜き取って精密検査するやつがあるでしょう。これは日数と、もちろん規模別に違いますが、費用はどれだけぐらいかかるか、費用は。そしてその費用をどうするんですか。
#96
○政府委員(森岡敞君) 油の抜き取りはタンクの大きさによってかなり違うようでございますが、やはり相当大規模なものになりますと、一カ月ないしは四十日ぐらいかかるようでございます。ただ抜き取っただけではだめでございまして、クリーニングをいたしまして、底板を完全に検査できるような状態にしなければならないということでございますので、その程度の日数がかかるようでございます。
 なお、先ほど申しました磁粉探傷その他の非破壊検査の費用は、ちょっといま手元に資料持ち合わせておりませんが、私の承知いたしております範囲では、それほど大変な金額ではございません。検査経費につきましては、私どもは市町村が実施いたしますことを原則として考えておりますので、市町村当局で持つ、こういうふうに考えております。
#97
○和田静夫君 いや、ぼくの言いたいのは、その市町村当局で持つ費用ですね。それはどういうふうに措置をされるわけですか。
#98
○政府委員(森岡敞君) 私どもは、一月の緊急点検につきましては、大変短期間の間に相当の作業をいたしますものですから、財政局の方にお願いをいたしまして、特別交付税の算定に当たりまして算入をしていただく。なお、いま行っております不等沈下の著しいタンクにつきましての、いわば精密検査につきましての費用、これは集計いたしまして、さらにまた財政局に必要に応じてお願いをしてまいりたいと考えております。
#99
○和田静夫君 そこで、精密な調査をした結果、この底板などに異常が発見をされたという場合ですね。改善時期のめどなり、あるいはその費用ですね。これはまあ当然あれでしょうけれども、どうするんですか。
#100
○政府委員(森岡敞君) 先ほども申し上げましたように、タンクの立地の状況あるいは大きさ、あるいは現在の不等沈下の状況ないしはさらに不良かどうかの状況、個々に全部違うことでございますので、私どもは市町村当局と個別に十分打ち合わせてやりたいと考えております。一律に進めますと、かえってその結果思わぬ危険を生ずるということになってはこれは大変でございます。十分個別に協議をして、適切な措置を講ずるように考えております。なお、補修是正措置を講ずるとか、あるいは地盤その他について改良を加えるということになりますと、その経費は当然企業が持つということになると考えております。
#101
○和田静夫君 次に、防災法案の問題で若干ですが、防災法案を作成する場合に、具体的内容を規定する設備基準なり保安基準ですね。こういうものは政令にゆだねられるわけですね。そうでしょう。
#102
○政府委員(森岡敞君) まだ各省庁と、いろんな関係法ございますが打ち合わせ中でございますので、法律に盛りこむべき事項と政令にゆだねるべき事項についての仕分けも率直に申しまして固まっておりません。しかし、かなり技術的な問題が多うございますので、相当の部分については政令にゆだねていかなければ、適切なコンビナートの総合防災体制の法律としてはなかなか困難であろう、かように考えております。
#103
○和田静夫君 そこで、私、伺ったのは、法案が成立をするとしますね。法案が成立しても、政令のあれが手間取ると実効が上がらぬわけでしょう。そういうようなずれがない努力、そのずれをなくする努力をしなきゃならぬわけですけれども、法案作成過程でもって、どこからどこまでゆだねるかは別として、そういう細かい部分のいわゆる折衝というのはずっと進んでいると見ていいんですか。
#104
○政府委員(森岡敞君) 各省庁がそれぞれ所管しております法律ないしはシステムに非常に関連いたしますので、政令にゆだねる事項につきましてはその中身をひとつ明確にしてもらいたいという要請が強く出ておりますので、相当程度中身は具体化していく、かように思います。
#105
○和田静夫君 一つの事業所の中で、ある施設は消防機関が持つ、ある施設については通産省でというように、異なる監督官庁によって検査が行われるというのは、これは望ましくないわけですがね。この際、行政の一元化を図るためのそういう意味での法改正はお考えになっていませんか。
#106
○政府委員(森岡敞君) 御指摘の点がコンビナート総合立法の一つの大きな問題点だと思いますが、反面、このような危険物についての保安規制は非常に技術的な面が多うございます。したがいまして、保安監督に当たります職員の技術的なレベルというものがきわめて重要な問題になります。よかれあしかれ、いままで、各省の法律に基づきまして、所管部局があるいは所管地方公共団体が保安監督をやってまいりました。それ相当の職員の養成もしてまいっておるわけであります。そういたしますと、ただ一元化をすればそれで事が済むかというと、必ずしもそうはまいらない。いままでかなり綿密に個別の保安監督をやってきておるわけでございます。それをむしろ生かす方がいいのかもしれない。
 そういたしますと、やはり個別の規制は個別の規制としてなお当面存置をして、その間の総合調整というものが円滑に行えるようにする方がいいというふうな考え方もあり得るかと思います。それらの点につきまして、現在案をいろいろ練って各省庁と協議をいたしているという状況でございます。
#107
○和田静夫君 石油コンビナート防災法案作成の方針としては、これはでき上がったら、いままでどおり消防機関の監督のもとに運用をされる法律と考えておいていいんですか。
#108
○政府委員(森岡敞君) ただいま申しましたように、いろんな施設につきましていろんな権限に基づく保安監督が行われておるというのがいままでの形でございますので、コンビナート総合防災法に基づく執行というものをどういう体制でやっていくかということにつきましては、率直に申しまして、なかなか各省庁間の意見調整がむずかしいという状態でございます。そういう意味合いで、消防だけでこれを処理していくということがいいのか悪いのかという別の評価の問題もございますので、私どもこの点が一番の問題として、いまいろいろ各省庁と協議をしておる段階でございます。
#109
○和田静夫君 あなたの方の主張はどうなんです。
#110
○政府委員(森岡敞君) 私どもの主張をいま申し上げる段階にはないと思いますので、もう少し各省庁との連絡調整がまとまった段階で私どもの考え方を申し上げたいと考えます。
#111
○和田静夫君 いや、これは、いま消防庁長官が見えるそうですけれども、これはちょっとあなたの方の姿勢がやっぱりもっとはっきりしなければいかぬのじゃないですか。――これは大臣か長官に。
#112
○委員長(原文兵衛君) もう一度質問してください、和田君。
#113
○和田静夫君 いわゆるコンビナート防災法案の作成方針として、私は当然いままでどおりに消防機関の監督のもとに置かれるという形になるんだろうと思ったら、次長の答弁では、各省間のことがあってということでまだ結論が出ませんと。消防庁としては一体どうなんですか。そんなに右顧左べん、他の官庁にあれする必要はないんじゃないの、これ。
#114
○政府委員(佐々木喜久治君) 御指摘のとおり、コンビナート地帯におきましては、石油関係のタンク以外にも、その製造設備なりあるいは高圧ガス取締法関係の施設がいろいろあるわけでございます。これらの取り締まり、規制の権限につきましては、それぞれの立法によりまして規制をされ、そしてまた権限も各省に分れかれておるというのが現状でございます。これらの施設の一個一個についてのいわば点としての規制がいま各省の所管の法律で行われておるというわけでございますが、こうした点ごとの規制というものをここで一元化をしていくということにつきましては、やはりこれまでの、各省に権限が分かれておりましたいろいろな経緯なりあるいはまた技術的な面というものにつきましても、いろいろ問題があるだろうというふうに考えております。
 ただ、私どもがこのコンビナート地帯防災法というような形で立法を考えます場合には、やはりこうした、点の規制というよりは、むしろ面としての規制というもの、その地域全体としての規制なりあるいは保安防災体制の一元化ということがむしろ大事ではないだろうかと、こういうことで、いま私どもが検討しておりますのは、やはり点の規制の問題はそれぞれの立法の趣旨、目的に沿った形で現在のまま実施をするということにして、そこまではコンビナート防災法では突っ込んでいかない。むしろ面の規制という面を中心に考えて、これを、面としての防災体制をどういうふうな形で体制を一元化していくかというふうに考えていった方がいいのではないだろうか、そういう立場でいま私ども検討を進めておるわけでございます。
#115
○和田静夫君 ぼくはもっと単純に聞いているんですがね。いわゆる消防機関の監督のもとに運用される法律になるんですか、これ。
#116
○政府委員(佐々木喜久治君) コンビナートの防災に当たりましては、その地域、現地におきまして常にその施設を見守っているというのは、やはりそれぞれの市町村の消防機関であろうというふうに考えますし、現実の問題の場合には、やはり第一線で実効ある活動をするのは消防機関であるというふうに考えるわけであります。ただ、一面また、コンビナート地帯に一度災害が起こります場合には、その災害が非常に大きな災害になりかねないというようなことを考えますと、この防災体制の一元化をするその最終的な責任体制というものは、その市町村というものを中心にするのか府県というものを中心にするのか、この辺が非常に議論のあるところだろうと思いますが、私どもは、第一線の実動部隊は消防機関であるということは十分前提にしながら、この一元化の最終的な責任体制はむしろ知事の段階で持っていたほうがいいのではないか、こういう感じでおるわけでございます。
#117
○和田静夫君 実は二時間という予定だったんですが、大臣の都合もありますし、あと一時間分は、これラスパイレスをめぐって大論争をする予定だったのですが、予算委員会でいませっかくやっているところでありますから、一応わが党の所信表明に対する質問はこの程度にいたしておきます。
#118
○委員長(原文兵衛君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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