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#1
第075回国会 地方行政委員会 第7号
昭和五十年三月二十七日(木曜日)
   午前十時四十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     山崎 竜男君     鍋島 直紹君
     最上  進君     大谷藤之助君
     竹田 四郎君     加瀬  完君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     井上 吉夫君     嶋崎  均君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     嶋崎  均君     井上 吉夫君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     岩男 頴一君     青井 政美君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                金井 元彦君
                安田 隆明君
                野口 忠夫君
                神谷信之助君
    委 員
                安孫子藤吉君
                井上 吉夫君
                岩男 頴一君
                夏目 忠雄君
                橋本 繁蔵君
                小山 一平君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
                上林繁次郎君
                市川 房枝君
                福間 知之君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  木村 睦男君
       自 治 大 臣  福田  一君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        嶋崎  均君
       運輸省自動車局
       長        高橋 寿夫君
       自治大臣官房審
       議官       石見 隆三君
       自治省税務局長  首藤  堯君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       建設省道路局路
       政課長      加瀬 正蔵君
       建設省道路局高
       速国道課長    山根  孟君
       自治省財政局財
       政課長      石原 信雄君
       自治省税務局固
       定資産税課長   川俣 芳郎君
   参考人
       全国乗用自動車
       連合会会長    川鍋 秋蔵君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月十九日、山崎竜男君、最上進君及び竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として鍋島直紹君、大谷藤之助君及び加瀬完君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(原文兵衛君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田自治大臣。
#4
○国務大臣(福田一君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。
 明年度の地方税制につきましては、地方税負担と地方財政の現状にかんがみ、住民負担の軽減合理化を図るため、道府県民税及び市町村民税の所得控除の額の引き上げ、事業税の事業主控除額の引き上げ、料理飲食等消費税の免税点の引き上げ、ガス税の税率引き下げ等を行い、また、都市環境の整備に要する費用に充てるため、目的税として事業所税を創設する必要があります。
 以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。
 次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。その一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、住民負担の軽減を図るため、課税最低限の引き上げを行うこととし、基礎控除の額及び配偶者控除の額をそれぞれ一万円、扶養控除の額を三万円引き上げ、老人扶養控除及び配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族に係る扶養控除の額をそれぞれ三万円引き上げることといたしました。また、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額についてもそれぞれ三万円引き上げるとともに、生命保険料控除の控除対象限度額を七万円に引き上げることといたしました。
 さらに、配偶者控除及び扶養控除の適用要件である給与所得等の限度額を二十万円に、扶養親族のない寡婦についての所得限度額を三百万円に、それぞれ引き上げることといたしました。
 なお、障害者、未成年者、老年者及び寡婦についての非課税の範囲を年所得六十万円までに拡大するとともに、白色申告者の専従者控除の控除限度額を三十万円に引き上げることといたしております。
 このほか、土地に係る短期譲渡所得については、昭和五十六年度まで現行の分離重課制度を継続するとともに、長期譲渡所得については、現行の分離比例課税制度を適用期限の到来を待って廃止し、五年度間の時限措置として、特別控除後の譲渡益二千万円以下の部分については、道府県民税二%、市町村民税四%の税率により、特別控除後の譲渡益二千万円を超える部分については、譲渡益の四分の三を総合課税した場合の上積み税額により、それぞれ課税することといたしました。
 その二は、事業税についてであります。個人の事業税につきましては、個人事業者の負担の軽減を図るため、事業主控除額を百八十万円にするとともに、白色申告者の専従者控除の控除限度額を三十万円に引き上げることといたしました。また、小規模な水産動植物の採捕事業については、非課税とすることといたしております。
 なお、個人の事業税及び法人の事業税について制限税率を設けることとし、標準税率に一・一を乗じて得た率を超える率で課することができないことといたしております。
 その三は、料理飲食等消費税についてであります。料理飲食等消費税につきましては、大衆負担の軽減を図るため、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食の免税点を三千四百円に、飲食店等における飲食の免税点を千七百円に、それぞれ引き上げることといたしました。
 その四は、自動車取得税についてであります。自動車取得税につきましては、低公害車の開発及び普及を促進するため、昭和五十一年四月一日以降に適用される自動車排出ガスに係る保安基準に適合する自動車について、その税率を、昭和五十年四月一日から昭和五十一年三月三十一日までに取得されたものにあっては百分の二、昭和五十一年四月一日から保安基準の適用猶予期間終了六カ月前までに取得されたものにあっては百分の一、それぞれ現行税率から引き下げることといたしました。なお、この期間内に取得された電気自動車については、百分の二引き下げることといたしております。
 その五は、電気税及びガス税についてであります。電気税及びガス税につきましては、住民負担の軽減を図るため、ガス税の税率を三%に引き下げるほか、紡績糸、撚糸及び織物の製造の用に供する電気に対して課する電気税の税率を一律二%として、軽減措置の適用期間を延長する等の措置を講ずることといたしました。
 なお、産業用電気に係る電気税の非課税措置については、現行基準に基づき、ベンゾール、塩化ビニール等二十四品目に係る措置を廃止することといたしております。
 その六は、入湯税であります。入湯税につきましては、鉱泉浴場所在市町村におけるごみ・屎尿処理施設、消防施設等の整備の促進を図るため、税率を百円に引き上げることといたしました。
 その七は、事業所税の創設についてであります。大都市等における都市環境の整備に要する費用に充てるため、市町村の目的税として、事業所税を次の要領により創設することといたしました。
 事業所税は、事業所等において法人もしくは個人の行う事業または事業所等の用に供する家屋の新増設に対し、指定都市等が、当該事業を行う者または当該家屋の建築主に課することといたしております。この場合において、国、公共法人、公益法人等に係る事業所等、あるいは農林漁業の生産の用に供する施設等については、非課税とすることとし、また、その指定都市等ごとの床面積または従業者数の合計が、資産割りにあっては床面積千平方メートル以下、従業者割りにあっては従業者数百人以下、事業所等の新増設に対して課する事業所税にあっては床面積二千平方メートル以下である場合は、課税しないことといたしました。
 事業所税の課税標準は、資産割りにあっては床面積、従業者割りにあっては従業者給与総額、事業所等の新増設に対して課する事業所税にあっては床面積とし、その税率は、資産割りにあっては一平方メートルにつき三百円、従業者割りにあっては百分の〇・二五、事業所等の新増設に対して課する事業所税にあっては一平方メートルにつき五千円とすることといたしております。
 なお、この税の趣旨に照らして所要の課税標準の特例措置を設けることといたしております。
 このほか、地方税制の合理化を図るための規定の整備等所要の規定の整備を行っております。
 以上の改正により、昭和五十年度においては、個人の住民税におきまして四千四百九億円、個人の事業税におきまして九十九億円、料理飲食等消費税におきまして三百五億円、ガス税その他におきまして七十一億円、合計四千八百八十四億円、平年度五千五百三十六億円の減税を行うこととなりますが、一方、事業所税の創設により二百二十一億円、入湯税の税率の引き上げその他により五十三億円、合計二百七十四億円の増収が見込まれますので、差し引き四千六百十億円、平年度四千六百六十八億円の減収となります。
 以上が、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(原文兵衛君) 次に補足説明を聴取いたします。首藤税務局長。
#6
○政府委員(首藤堯君) ただいま説明されました地方税法の一部を改正する法律案の内容につきまして、お配りしております新旧対照表により補足して御説明申し上げます。
 まず、総則の改正であります。
 二ページの第五条の改正は、市町村の目的税として、新たに事業所税を創設しようとするものであります。
 三ページから六ページの第十五条の三の改正は、会計監査人の監査を受けなければならない等の理由により決算が確定しないため納期限の延長を認められている法人が、事業年度終了の日から二カ月以内に法人税割り額または事業税額の一部を見込み納付し、かつ、徴収の猶予を申請した税額以外の部分の税額をその納期限内に完納したときは、当該見込み納付をした税額を限度として、一定期間徴収を猶予しようとするものであります。
 次に、道府県民税の改正であります。
 八ページから九ページの第二十三条の改正は、配偶者控除及び扶養控除の適用要件である配偶者または扶養親族の給与所得等の限度額を現行の十五万円から二十万円に、寡婦控除の適用要件である所得限度額を現行の百五十万円から三百万円に、それぞれ引き上げようとするものであります。
 九ページから十ページの第二十四条の五の改正は、障害者、未成年者、老年者または寡婦の非課税限度額を現行の年所得五十万円から六十万円に引き上げようとするものであります。
 十ページの第三十二条の改正は、白色申告者の専従者控除の控除限度額を現行の二十万円から三十万円に引き上げようとするものであります。
 十一ページの第三十四条第一項第五号の改正は、生命保険料控除の控除対象限度額を現行の四万円から七万円に引き上げることとし、四万円を超える部分についての控除率を四分の一としようとするものであります。
 十一ページから十二ページの第三十四条第一項第六号から第九号までの改正は、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額をそれぞれ現行の十三万円から十六万円とし、特別障害者控除額を現行の十六万円から十九万円に引き上げようとするものであります。
 十二ページの第三十四条第一項第十号及び第十
 一号並びに同条第二項及び第三項の改正は、基礎控除額及び配偶者控除額を現行の十八万円から十九万円に、扶養控除額を現行の十四万円から十七万円に、老人扶養親族及び配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族に係る扶養控除額を現行の十六万円から十九万円に、それぞれ引き上げようとするものであります。
 なお、基礎控除額等の引き上げによって、住民税の課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者の場合、現行の百一万六千円から百二十一万八千円に引き上げられることとなります。
 次は、事業税の改正であります。
 十七ページから十八ページの第七十二条の十七第三項の改正は、個人事業税の事業専従者の控除限度額を現行の二十万円から三十万円に引き上げようとするものであります。
 十八ページの第七十二条の十八の改正は、個人事業税の事業主控除額を現行の百五十万円から百八十万円に引き上げようとするものであります。
 十八ページの第七十二条の二十二第八項の改正は、事業税について制限税率を設けることとし、標準税率に一・一を乗じて得た率を超える税率で課することができないこととしようとするものであります。
 なお、この改正は、昭和五十年十月一日から施行することといたしております。
 二十ページ及び二十四ページの第七十二条の二十五第三項の改正は、会計監査人の監査を受けなければならないこと等の理由により決算が確定しないため法定納期限までに申告納付することができない法人については、道府県知事の承認を受けて、各事業年度終了の日から三カ月以内に申告納付することができることとしようとするものであり、第七十二条の四十五の二の改正は、これに伴い本来の期限から延長された納期限までの間、年七・三%の割合で延滞金を課そうとするものであります。
 次は、不動産取得税の改正であります。
 二十五ページから二十六ページの第七十三条の四第一項第十二号の改正は、雇用促進事業団が移転就職者のために設置する宿舎の用に供する不動産の取得を、第七十三条の六第一項の改正は、農用地開発公団の事業の施行に伴う換地または交換分合による土地の取得を、同条第三項の改正は、地域振興整備公団の行う換地処分による保留地等の取得を、それぞれ非課税としようとするものであります。
 次は、道府県たばこ消費税の改正であります。
 二十六ページの第七十四条第七項の改正は、製造たばこの本数の算定をする場合において、刻みたばこ、葉巻たばこ及びパイプたばこについては、それぞれその一グラムをもって紙巻たばこの一本に換算しようとするものであります。
 次は、料理飲食等消費税の改正であります。
 二十六ページから二十七ページの第百十四条の四第一項及び第二項並びに第百十四条の五第一項の改正は、飲食店等における飲食の免税点を現行の千二百円から千七百円に、あらかじめ提供品目ごとに料金を支払う飲食の免税点を現行の六百円から八百五十円に、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食の免税点を現行の二千四百円から三千四百円に、それぞれ引き上げようとするものであります。
 なお、この改正は、昭和五十年十月一日から施行することといたしております。
 次は、市町村民税の改正であります。
 二十七ページから三十三ページの第二百九十二条から第三百十四条の二まで及び第三百二十七条の改正は、道府県民税と同様でありますので説明を省略させていただきます。
 次は、固定資産税の改正であります。
 三十四ページから三十六ページの第三百四十八条第二項第二号の改正は、農用地開発公団が直接その本来の事業の用に供する固定資産を、同項第二十号の二の改正は、年金福祉事業団が診療施設の用に供する固定資産を、同項第二十八号の二の改正は、国際協力事業団が研修、訓練施設の用に供する固定資産を、同条第四項の改正は、厚生年金基金及び厚生年金基金連合会が所有し、かつ、使用する事務所及び倉庫を、それぞれ非課税としようとするものであります。
 三十六ページから三十八ページの第三百四十九条の三第二項の改正は、地方鉄軌道の新線建設に係る道路との立体交差化施設のうち高架橋等を、同条第三項の改正は、中小企業等協同組合等が一般ガス事業者に対してガスを供給する事業の用に供する償却資産を、それぞれ課税標準の特例措置の対象とし、同条第六項の改正は、外国貿易船についての非課税措置を廃止するとともに、課税標準の特例措置を設けようとするものであります。
 次は、市町村たばこ消費税の改正であります。
 三十九ページの第四百六十四条第四項の改正は、道府県たばこ消費税と同趣旨の改正であります。
 次は、電気税及びガス税についてであります。
 三十九ページから四十ページの第四百八十九条の改正は、産業用電気に係る電気税の非課税措置のうち、ベンゾール、塩化ビニール等二十四品目に係る措置を廃止しようとするものであります。
 四十一ページの第四百九十条第二項の改正は、ガス税の税率を現行の四%から三%に引き下げようとするものであります。
 なお、これらの改正は、昭和五十年六月一日から施行することといたしております。
 次は、特別土地保有税の改正であります。
 四十一ページの第五百八十五条第五項の改正は、土地区画整理事業の施行に係る土地について仮使用をする場合に、仮使用地の使用または収益の開始をもって土地の取得と、仮使用地の使用者をもって土地の所有者等とみなすことができるものとしようとするものであります。
 四十一ページから四十三ページの第五百八十六条第二項第五号の二の改正は、厚生年金基金または厚生年金基金連合会が基金の加入員等の福祉を増進するための特定の施設の用に供する土地を、同項第五号の三の改正は、年金福祉事業団が特定の保養のための総合施設の用に供する土地を、同項第二十一号の改正は、新住宅市街地開発事業の用に供する土地を譲り受けた特定の者が公益的施設の用に供する土地を、同項第二十二号の二及び第二十二号の三の改正は、日本住宅公団等が法律に基づき工業団地造成事業または流通業務団地造成事業の用に供する土地を、それぞれ非課税としようとするものであります。
 次は、入湯税の改正であります。
 四十五ページの第七百一条の二の改正は、入湯税の税率を現行の四十円から百円に引き上げようとするものであります。
 次は、事業所税についてであります。
 四十五ページから九十ページの第五節、第七百一条の三十から第七百一条の七十四までの規定は、事業所税の創設に伴う規定であります。事業所税は、都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるため、都、地方自治法に規定する指定都市、首都圏整備法に規定する既成市街地または近畿圏整備法に規定する既成都市区域を有する市及び政令で指定する人口五十万人以上の市(以下、「指定都市等」と略称させていただきます。)が課する目的税でありますが、以下その概要について御説明申し上げます。
 四十八ページから五十ページの第七百一条の三十二は、事業所税の納税義務者等の規定であります。事業所税は、事業所等において行う事業または事業所用家屋の新増設に対し、指定都市等が、当該事業を行う者または当該事業所用家屋の建築主に課することといたしております。との場合、事業に係る事業所税は、資産割り額と従業者割り額の合算額によることといたしております。
 第七百一条の三十四は、事業所税の非課税の規定であります。
 五十ページの第一項は、国及び公共法人についての人的非課税の規定であります。
 五十ページの第二項は、公益法人等の収益事業以外の事業についての人的非課税の規定であります。
 五十ページから五十四ページの第三項は、都市計画法に規定する都市施設で一般的に市町村が行うものと同種のものまたはきわめて収益性の薄いもの、福利厚生施設、農林漁業の生産の用に供する施設、法令をもって明定された国の施策に従って実施する中小企業の共同化等の事業に係る施設等についての非課税の規定であります。
 五十四ページの第四項は、公害防止施設及び消防用設備等に係る資産割り及び新増設に係る事業所税の非課税の規定であります。
 五十七ページから五十九ページの第七百一条の三十五から第七百一条の三十九までの規定は、徴税吏員の質問検査権及び納税管理人に関する規定であります。
 五十九ページから六十ページの第七百一条の四十は、事業所税の課税標準の規定であります。事業に係る事業所税の課税標準は、資産割りにあっては課税標準の算定期間の末日現在における事業所床面積、従業員割りにあっては課税標準の算定期間中に支払われた従業者給与総額とし、新増設に係る事業所税の課税標準は、新増設事業所床面積とすることとしております。
 六十ページから七十ページの第七百一条の四十一は、事業所税の課税標準の特例の規定であります。課税標準の特例については、たとえば第一項の表の第六号等に規定する広大な床面積を有することが不可欠な業種で税負担が一般的に著しく過重となると考えられるものについて、資産割りを二分の一ないし四分の一に軽減する等所要の特例を設けることといたしております。
 七十ページの第七百一条の四十二は、事業所税の税率の規定であります。事業に係る事業所税の税率は、資産割りにあっては一平方メートルにつき三百円、従業者割りにあっては百分の〇・二五とし、新増設に係る事業所税の税率は、一平方メートルにつき五千円とすることとしております。
 七十ページから七十二ページの第七百一条の四十三は、事業所税の免税点の規定であります。事業に係る事業所税については、事業所床面積の合計面積が千平方メートル以下である場合には資産割りを、従業者の数の合計数が百人以下である場合には従業者割りを課すことができないこととし、また、新増設に係る事業所税については、新増設事業所床面積が二千平方メートル以下である場合には課することができないこととしております。また、これらの免税点以下であるかどうかの判定は、事業に係る事業所税については、課税標準の算定期間の末日の、新増設に係る事業所税については、申告納付すべき日の現況によるものとすることといたしております。
 七十二ページから七十四ページの第七百一条の四十五から第七百一条の四十八までの規定は、事業所税の徴収の方法についての規定であります。事業所税の徴収の方法は、申告納付の方法によるものとし、事業に係る事業所税のうち法人に対して課するものについては各事業年度終了の日から二ヵ月以内に、個人に対して課するものについては翌年三月十五日までに申告納付しなければならないこととし、また、新増設に係る事業所税については、新増設の日から一カ月以内に申告納付しなければならないことといたしております。
 七十四ページから七十八ページの第七百一条の五十及び第七百一条の五十一の規定は、事業所税の納税義務の免除等の規定であります。その一は、建築主が事業所用家屋を新増設してから一年以内に当該事業所用家屋と対応する従前の事業所用家屋について取り壊し等の事情が生じたときは、当該新増設事業所床面積のうち、従前の事業所用家屋の床面積に相当する部分に係る新増設に係る事業所税を免除しようとするものであります。その二は、新増設された事業所用家屋が申告納付期限後一年以内に非課税用途に使用され、かつ、非課税用途として使用が開始されたことにつき指定都市等の長の確認を受けたときは、その部分に係る新増設に係る事業所税を免除しようとするものであります。
 七十八ページから七十九ページの第七百一条の五十二から第七百一条の五十四までの規定は、指定都市等の区域内における事業所等の新設、廃止等について、申告義務を課する規定であります。
 八十九ページから九十ページの第七百一条の七十は、事業所税の使途に関する規定であります。事業所税の収入額は、道路、都市高速鉄道等の交通施設、学校、図書館その他の教育文化施設の整備事業等、本条に掲げる事業に要する費用に充てなければならないことといたしております。
 その他、第七百一条の五十五から第七百一条の七十二まで及び第七百一条の七十四においては、事業所税の賦課徴収に関し必要な事項について規定しております。
 なお、事業所税に関する改正は、昭和五十年十月一日から施行することといたしております。
 九十一ページから九十三ページの第七百三十五条から第七百三十七条までの改正は、特別区の存する区域について都が事業所税を課することができるようにしようとするものであります。
 次は、附則の改正であります。
 九十三ページの附則第三条の二の改正は、第十五条の三の徴収猶、下等を受けている法人に対して課する延滞金の年七・三%の割合を、日本銀行の基準割引歩合の引き上げに応じ、年一二・七七五%の割合の範囲内で定める割合としようとするものであります。
 九十六ページの附則第十二条の二の改正は、昭和五十年度分及び昭和五十一年度分の道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税に限り、課税標準算定の基礎となる額に乗ずべき製造たばこの本数については、製造たばこの本数に一定の率を乗じて得た本数としようとするものであります。
 九十六ページの附則第十四条の改正は、外国貿易船に係る固定資産税の非課税措置を廃止しようとするものであります。
 百ページから百一ページの附則第三十一条第一項の改正は、紡績糸、撚糸及び織物の製造の用に供する電気に対して課する電気税の軽減措置について、対象となる繊維の範囲に、合成繊維、酢酸繊維及び絹を加えるとともに、税率を一律二%とし、適用期間を昭和五十年六月一日から昭和五十三年五月三十一日までとし、同条第三項の改正は、紙の製造の用に供する電気に対して課する電気税の軽減措置の適用期限を昭和五十三年五月三十一日まで延長しようとするものであります。
 百一ページから百二ページの附則第三十二条第三項から第五項までの改正は、昭和五十一年度に実施される自動車排出ガスの規制基準に適合する自動車に係る自動車取得税の税率を昭和五十年四月一日から昭和五十一年三月三十一日までは百分の二、昭和五十一年四月一日から昭和五十一年度に実施される自動車排出ガスの規制基準の適用猶予期間が終了する六月前までは百分の一、それぞれ現行税率から控除した率とするとともに、電気自動車については、さきの期間を通じてその税率を現行税率から百分の二控除した率としようとするものであります。
 百二ページから百三ページの附則第三十二条の二の改正は、地域振興整備公団が造成した土地の譲渡を受けた者がその土地に新増設した事務所等の床面積に対しては、当該新増設が昭和五十年十月一日から昭和五十五年九月三十日までの間に行われたときに限り、事務所税を非課税としようとするものであります。
 百三ページから百五ページの附則第三十四条の改正は、土地の長期譲渡所得に対する道府県民税及び市町村民税の課税について、現行分離比例課税制度を適用期限の到来を待って廃止し、五年度間の時限措置として、特別控除後の譲渡益が二千万円以下の部分については道府県民税二%、市町村民税四%の税率により、特別控除後の譲渡益が二千万円を超える部分については譲渡益の四分の三を総合課税した場合の上積み税額により、それぞれ課税しようとするものであります。
 百五ページから百七ページの附則第三十五条の改正は、土地の短期譲渡所得に対する道府県民税及び市町村民税の課税の特別措置の適用期間を昭和五十六年度まで延長しようとするものであります。
 百七ページから百九ページの附則第三十五条の二の改正は、森林施業計画に基づき山林経営を行う個人が山林を現物出資して法人成りする場合の山林所得の課税について、納期限の特例を設けようとするものであります。
 百十二ページから百十三ページの附則第三十七条の改正は、沖繩国際海洋博覧会の開催に伴う特例措置として、外客の旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に対し、当該行為が昭和五十年六月一日から昭和五十一年二月二十九日までの間に行われたときに限り、料理飲食等消費税を非課税とするほか、博覧会の用に供する家屋及び償却資産に対する固定資産税を非課税とする等の措置を講じようとするものであります。
 以上でございます。
#7
○委員長(原文兵衛君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日、地方税法の一部を改正する法律案審査のため、全国乗用自動車連合会会長川鍋秋蔵君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#9
○委員長(原文兵衛君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○和田静夫君 最初に、昭和三十九年の四月から、わが国の経済というのは本格的な開放経済体制を迎えました。その直後の昭和四十年度というのは、国の予算に計上された税収入が予定どおりに収納することができないという著しい経済不況に遭遇をいたしました。そのような異常な事態の中で四十年代の幕があけられて、そして十年の歳月をけみしたのでありますが、いま世界的な不況の中で、わが国の経済の実質経済成長率がゼロである、あるいはマイナスである。一時帰休なり、あるいは採用の取り消しなり、昇給の停止なり、ボーナスの分割払いなどというような形であちらこちらでそういう深刻な不況にぶつかっている。しかも物価が天井に張りついたままで、なおこれは上昇を続けている状況に陥っているわけですね。で、十年という時の区切りか、あるいは偶然なものであるかもしれませんが、今日の事態の発生というのは決して私たちは偶然なものであるとは考えていません。昭和四十一年に本格的な国債発行を行って以来、景気の誘導について国の政策の影響力というものが非常に御存じのとおり強くなった。それにもかかわらず、この十年の間に日本経済の歩んだ道は決して平たんなものではありません。政府の経済指導が適切であったとは言いがたい。そこで私は、折りに触れて話題となってきたフィスカルポリシーとか、あるいはポリシーミックスとかいうものについて、改めてその意義を今日考え直してみる必要があるのではないかと実は思うのです。
 まず、昭和三十八、九年ごろからの各年度における経済の局面、それとの対応において、国の財政政策というものが一体どういう形で対置をされたのか、冒頭、概略説明をもらいたいと思います。
#11
○政府委員(首藤堯君) 経済の変動に伴いまして、国及び地方を通じましての財政対策が、その時代時代に応じましていろんな変遷を見ましたことは先生も御案内のとおりでございまして、その時代時代におきましてあるいは国債の発行等が行われる、税制の改正等が行われる、こういった措置もとられたのでございますが、特に最近は国民経済中に占めます公経済、つまり財政の影響、そのウエートの重さというようなことを重視をする方向にしばらく進んでおったように考えるわけでございまして、そういった観点から、あるいは景気刺激的な方策がとられる、あるいは逆に引き締めによって抑制的な政策がとられると、こういうことも時に応じて繰り返されてきたのではなかろうか、こう考えておる次第でございます。
#12
○和田静夫君 国の景気対策としては、公定歩合の操作であるとか、あるいはオペレーションによる資金の調節、窓口規制によるところの投資規制、公共事業の伸びたり縮めたり、あるいは所得税の減税、法人税率の引き上げ、こういうものによる需要の誘導や過剰資金の吸収あるいは為替の管理など、いろいろの方法があった。で、各手法の組み合わせによって、政府はそのときどきの局面に対処する施策を実施されてきたとは思いますが、いまの時点で、大臣顧みて、この十年間の経済の各局面に対して、あのときはもっと大幅な減税をすればよかったのではないか、あるいはあのときはもっと早く公共事業を抑制すればよかったのではないか――先日のこの委員会では大臣、日本列島改造論等について幾つかの反省を試みられましたが、政府としてやっぱりそういう面における反省もあってよいのではないだろうかと思うんですが、いま申し上げたような意味での、いわゆる減税などという意味での反省というようなものがあってもいいのではないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
#13
○国務大臣(福田一君) 大局的な見地から見て、国の行財政の運営のあり方について、過去十年において何か特に税の問題等について減免の措置をとったらよかったのではないか、こういうようなお話でございますが、大体減免をいたします場合には、所得が伸びた場合において、これを国の財源をふやしていくというか、収入をふやすという意味で増税をするか、あるいはまた、国の収入がある程度ふえてきておるから今度はむしろ税を減免するという措置をとるかということにかかってくるわけでございますが、十年間といってみましても、大体、これは日本の経済が三十九年ごろから順次向上線をたどってまいりまして、そして今日の一応、いわゆる一流国といいますか、海外の相当ないわゆる力を持った国々といいますか、そういうような国々に対してどうやら経済的に、まあ私の見るところでは、一応設備において八、九〇%まで伸びてきたというのが今日の姿だろうと思うんです。まだ完全に諸外国に対して特に十分な力を持ったとは言えないと思う。
 それから、大体、日本の経済は底が浅いといいますか、いわゆる会社経営等をいたします場合にも、ほとんど借り入れによってやっております。したがって、その借り入れの負担というものは相当高いわけであり、利子負担その他におきましても諸外国と比してまだまだとうてい及ばない面があると思うのでありまして、ようやく息せき切って諸外国、アメリカとか、そういうところに比較してみるというと八〇%――七、八〇%まで伸びたというところではないかと私は思っておるんです。そういうような伸ばしていく場合におきましては、どうしても企業に対してある程度の援助を与えていくという必要がある。そういう意味から見るというと、今度は、個人の所得というものはそれほどまだ伸ばせないという時代がある意味では続いたと私は思っております。ところが、今日になりまして、非常な原料その他からの制約を受けるような段階になってまいったんでありまして、過去の十年間の運営の中において減税はずっと毎年毎年やってはまいりました。やってまいりまして、国民の所得をふやし、生活を豊かにするということをやってきましたが、一面においては、またある程度の物価が高くなってまいりましたから、これによって相殺される面もあったわけでありまして、減税をやりますというとどうしても消費が伸びる、消費が伸びれば物価が上がると、こういう一つの悪い意味での影響も出てまいりますのでありまして、まあまあいままでにやってきた政策、私は十年間の政策を振り返ってみまして、特別あそこでうんと減税をしておけばよかったんじゃないかということは、ちょっと私としてはいま考えることが困難でございます。ときどきにおいて減税をしてきたことは事実でございますが、あそこでもっと減税したらよかったじゃないかというような考えは、いかにもまだ国の力が弱い。底が浅い、事業は底が浅い。そしてまた個人企業にしても、まだ非常にそういうような本当に充実した――たとえばフランスなんかを見ますというと、個人が企業をやっていましても、大体資本金が二千万円ぐらいであるというと、大抵個人が二千万円くらいの貯金を持っている、貯蓄を持っている。そしてまたそのほかに、金を所有するとか、いろいろの非常な力がついていると思うんですが、そういう面で日本はまだまだ及んでおらない。したがって、会社にも力をつける必要があり、個人にも力をつける必要がありますから、そういう意味では減税をするということも大事なことであったかと思うのでありますけれども、息せき切ってここまで駆けてきた日本の経済の段階においては、まあまあこの程度よりいたし方がなかったんじゃないかというような私は感じがいたします。
#14
○和田静夫君 たとえば、昭和四十一年の国家予算編成の方針を見てみますと、公債の発行による財政支出の増加と大幅減税の断行を通じて積極的に有効需要の拡大を図る、とあるわけですよ。
  〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
また、四十六年の所得税の繰り上げ減税のとき、あれはアメリカの新経済政策、例の課徴金問題などによるショックなどがあって、それらに対応する積極的な施策であったことはこれは明らかだと思うんです。
 しかし、いま考えてみますと、この十年間におけるさまざまな経済の起伏に対して、どうも、従来の政府がとってこられた景気対策というのは、その手段としては金融やあるいは狭い意味での財政対策が主体で、景気との関係で税制を本格的に活用するという姿勢に欠けていたのではないだろうかということを実は考えるわけです。特に、この所得課税の減税などは、景気がよくなってそして税収が大きく伸びそうなときに、財政的余裕分を若干減税に回すという、そういう程度であって、不況のときに所得課税の減税を景気対策として優先的に配慮するという、そういう基本的な姿勢に欠けていたのではないかと実は思いましたのでいまのような質問をしてみたんですよ。長くなりますから、考え方としてはそういうことなんです、実は。
 そこで、ちょっと話を進めまして、現在非常に景気が落ち込んできたということで、なし崩し的に金融が緩和される、あるいは公共事業も五十年度の上半期の契約率を高めようとなされているわけですね。そういういろいろな対策がとられる。さらに、公定歩合の引き下げなども何か目前の課題になっているようであります。
  〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕
そのために、株式市場などでは、すでに公共事業関連株であるとか、あるいは設備投資関係の株などの値上がりが目立ちます。これは、政府の景気対策によってそうした事業の利益が期待できるということがやっぱり原因でしょう。私も、仕事がふえて企業活動が活発になれば景気の反騰に役立つというのはそのとおりだと考えています。しかし、そうした効果があらわれるのは何といっても半年ぐらい先のことでしょう。その間に、一部の企業やあるいはその関係者が利益を上げて、一般の国民は相変わらず物価の騰貴に悩むということではこれはいけないんだと思うんですね。不況対策をとる場合に、その手段の選択が必要でありましょう。私は、所得関係税の減税は、消費需要の刺激に効果があること、あるいは製品のコストアップにならないこと、今回の不況が昭和四十年度や四十六年の不況を上回るものであること、景気対策としては、国民に対して公平な手段であることなどというものを指摘をしたいわけです。
 で、政府としても、この際、減税というものをそういう意味でもっと積極的に検討する必要があると思うんです。長い繊維事情のあのときに通産大臣をお務めになった福田さんが自治大臣だものですから、あえてこういう問題提起をしたんですが、したがって、私は自治大臣としての福田一さんよりも、三木内閣の国務大臣として、政府としての基本方針を決めるに当たって、私が以上述べた趣旨を強く閣議等で主張をされてしかるべきだし、あなたにこそそのことを期待することができると私は思うんですが、総理にそういう意味での進言をされるおつもりはございませんか。
#15
○国務大臣(福田一君) 大変私を何か財政通であるかのようにおっしゃいましたが、それほど私は財政通だと自分では思っておりません。しかし、いま御指摘がありました点は、一つの考え方として今後われわれが一応検討をしなければならない問題の一つであると思っておりますが、ことしは御案内のように、昨年相当な減税、二兆円減税というようなことで減税をやりまして、ことしどの程度をやるかということについては、まあまあ余り物価に影響をできるだけ与えないようにしたいというのが――私ずっと見ておりまして、一昨年の石油ショック以来昨年を通じて考えておりましたことはい政府として考えておったこと、また自民党として考えておったことは、この石油ショックによる物価の高騰をどうして抑えることができるであろうかということであったわけです。しかし、昨年の春は、物価高を理由として、どうしても相当なベースアップをせねばならぬということもこれもやむを得ないことであったと思うんですが、その後はもっぱら、物価をどう鎮静させるかということによって実質所得が伸びるような工夫に努力を傾けるべきであるということで施策をしぼってやってきたというのが今日までの段階であったと私は思うのであります。
 したがって、物価を抑えるという意味から言って、公定歩合の引き上げも、あるいはまたは公共事業の繰り下げ、繰り延べ、いろいろのことをやりまして、われわれとしてはそれなりに努力をいたしてきたわけでありますが、今日の段階においては、当初予定しておりました物価が、まだ発表にはなりませんけれども、大体昨年に比較してことしの三月の物価は一三%台におさまるであろうという見通しがいまついたところでございます。これを一番の目標にいたしまして、少なくとも一五%以内に抑えるということでやってまいりまして、その意味では私はどうやら目的を達したんじゃないかと思っておるんでありますが、さて、そうなる段階において、今度はどういう影響が経済に起こってきたかというと、非常な景気の鎮静化をもたらした。さらにまたある程度不景気ということになり、そうしてまた失業者が出てくるということになりました。特に中小企業に対して与える影響というものは非常に大なるものがございまして、これについてはわれわれも非常な苦労をいたしておるわけでございます。
 そこで今後の問題、それではこれからどうするかということになりますと、やはり賃金と物価とが交互に原因になってそうして物価が上がって、まあこれは理論的に成り立つかどうかということについては御議論のあるところでありますけれども、そういうような傾向に陥ることを避けていくということと同時に、徐々にではありますけれども、景気の回復を図っていかなければならない。その第一手段として、先ほどといいますか、両三日前にとりましたような、予算の施行をする場合におきまして一年間の予算のうちで六五%を公共事業費等は繰り上げて九月までにやってしまう、こういうような施策をとり、また、これは公表は実質いつできるかは別として、公定歩合の引き下げというものも来月中には行われることはもう当然だと思うのでありますが、こういうことで順次じわじわと伸ばしていくということで、その間に、それじゃ困った人はどうなるのだという御質問がよくあるのでありますが、全体として、インフレになったんではこれはもう完全につぶれて、もう所得がどうとか、賃金がどうとかいう問題じゃなくて、インフレのこわさというものは、これは戦後のドイツの例等を見ていただいてもわかるように、すべてを破壊し尽くすというようなものでございますから、それにならないようにしながら、順次経済を建て直していきたいというのが、いまの内閣の考え方であると私は了解いたしております。何も私は経済閣僚というわけじゃないのでありますから、非常に浅い知識しかございませんが、しかし、いま三木内閣が考えておりますことは、大体私が申し上げたようなことであろうかと思うのであります。
 そのほかのいわゆる減税をやるという、一つの減税をやって、そして大いに消費を伸ばす、消費を伸ばせば今度はそれによって生産が上がる、生産が上がることによって景気が伸びる、こういうことが考えられます。しかし、今度は国の財政を処理していく上では、歳入が不足するというような場合においては公債政策をどうするかということもそのときには考えていかなければなりません。だから、そこいらをどうコンバインしていくか、くっつけていくかということについてはこれからのわれわれの重大な課題である。それは一応いまやった案が八月とか九月になってどのような効果をあらわしてくるかということによっては、ここでもう一遍抜本的な物の考え方をせねばならぬときが来るのではないかと私はそう考えておるわけでございます。
#16
○委員長(原文兵衛君) この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日、御多忙中のところ、地方税法の一部を改正する法律案の審査のため御出席いただき、ありがとうございます。
 これより御意見をお述べ願うのでございますが、議事の進行上、十分程度御意見をお述べいただいた後、委員の質問にお答えいただくことといたしますので、よろしくお願い申し上げます。川鍋秋蔵君。
#17
○参考人(川鍋秋蔵君) ただいま御紹介にあずかりました、私、全国乗用自動車連合会の会長川鍋でございます。
 本日は事業所税について公述する機会を得ましたことを、ここにお集まりの諸先生方に深く感謝を申し上げる次第であります。
 私ども、ハイヤー、タクシー事業は、今回の新税で、資産割り、従業員割りともハイヤーには全面、タクシーは二分の一課税とされるやに聞いております。ここ十年間の業界というものは、諸物価、人件費の高騰と運賃値上げとの追いかけっこであります。常に赤字経営の連続でありました。ただでさえ苦しんでいる上に、さらに新たな事業所税がかけられるのは全く心外と思っております。全国の同業者諸君も、これ以上負担させられることは殺されてしまうというので、今日の公述いかんにかかっておると、大勢全国津々浦々から心配して駆けつけております。
 さて、私ども業界は、新税の課税対象にされることに次の三点から反対したいと思うのであります。
 まず第一点は、公共性の強い陸上交通機関のうち、ハイヤー、タクシーだけが課税されるということは何といっても不公平、不平等であって、私どもには納得できないのであります。
 第二点は、労働集約産業の得たるものであり、ハイヤー、タクシーに労働集約産業でない他の産業と同じように課税されるのは、全くもって酷であると思うのであります。
 第三点は、担税能力がゼロであります。支払うことは不可能であります。
 以上三点が要旨でありますが、以下順を追って簡単に御説明を申し上げたいと存じます。
 第一点の不公平について言えば、今回非課税扱いとなっております路線バスやトラックなどと同じく、私どものハイヤー、タクシーは公共性の強い交通機関であります。また、道路運送法による免許事業であるために、いろいろの面で法律によって制約を受けております。この点、バス、トラックと何ら変わるところはないと私どもは考えておるものであります。しかも、バスは昨年二十億円もの政府、公庫からの補助金を受けております。私どもは、公共事業といいながら、そのような援助は一切もう受けておりません。収入の唯一の原資である運賃料金は公共料金という扱いを受け、常に低額で抑えられておるとともに、その認可は閣議決定という最高のところで決めるのでありますから、なかなか思うように認可されないのが実情でありました。しかし、今回新税創設では、一転して公共性がないかのような取り扱いで課税されようとしております。これは三木総理の公言しておる不公平、不平等の是正に反していると私どもは考えざるを得ないのであります。
 第二点は、公共性の高いハイヤー、タクシーが持っている特殊性の理解をしていただきたいと思うのであります。私どもの事業は労働集約産業の最たるものであります。合理化、省力化を図ろうとしても全くできない事業であります。その例をとりましても、ハイヤーなら一台当たり一・八人が義務づけられており、タクシーにおいては一台二.四人の運転手を確保するよう法令で定められております。これに整備工や事務所の人間を加えれば、四十台に満たない弱小企業でさえ免税点の百人以上に該当してまいります。また、省線やバスがなくなった深夜においても、病人その他緊急事態の輸送を担うており、昼夜兼行して市民の足を常に確保しておるのが運転手であります。また、われわれハイヤー、タクシーであります。そのために、仮眠所、ふろ、食堂といった施設が当然必要であります。必然的に面積は大とならざるを得ないわけであります。
 また、自治省では、車庫も家屋とみなし課税する考えがあるやに聞いておりますが、私ども業界は、運輸省の行政指導により、屋根つき車庫の普及を心がけており、私どもも相当努力してこれをつくっておる実情であります。こうした私どもの事業の特殊性から、他産業と同じようにみなされて課税されることに不合理を感じる次第であります。
 第三点は、担税能力については、先ほど説明したごとく、公共料金ということで昭和四十年ごろから物価対策閣僚協議会の承認を必要とされ、運賃は低額に長く抑制されてきました。ですから、物価に追いつかず、追いつくのが精いっぱいで、原価を償えるようになったころにはまた運賃を上げてもらわなければならないということの繰り返し、堂々めぐりをしておる実情であります。また、石油パニックにより、おくればせながら昨年十一月、料金値上げが認可され、やっと息をついたのもっかの間、今度はインフレと不況の浸透により、実車率は五〇%を割るというほど極端に落ち込んでおり、水揚げも三〇%、四〇%と下がって、全く支払い能力が現状ではありません。人件費の売り上げに占める割合は七〇%を超す高率であります。今次春闘を過ぎれば、再度大幅な赤字になるのは目に見えております。
 なお、ハイヤーといえども、かつては利用回数も多く、若干の利益を生んでおりましたが、石油パニック以来、各産業とも不況になって、その上総需要抑制の声もあって、昨年では利用者は四〇%から五〇%の激減を示しております。全く赤字経営の寸前であって、タクシーと同じく、担税能力はありません。
 新税が公平であり、何人も納得のできる税であれば、法治国家のわれわれも国民の一人として反対するものではありませんが、私ども事業の特殊性並びに負担能力がもはやないことを諸先生方に御理解をいただき、同じ自動車運送事業の中で差別を受けることなく、バス、トラックと同様に、ハイヤー、タクシーも非課税としていただきますよう重ねてお願い申す次第であります。
 以上をもちまして私の公述を終わらせていただきます。まことにありがとうございました。
#18
○委員長(原文兵衛君) ありがとうございました。
#19
○和田静夫君 そこで、所得課税などの問題の話をもう少し進めたかったんですが、運輸大臣の都合もありますので、事業所税に最初若干の質問をいたしたいと思います。
 まず、いまの公述に対して二、三の御質問をいたしますが、この法案というのは、実はにわかに降ってわいたものじゃないことは、恐らく参考人も御存じだと思うのであります。昨年の九月ごろには運輸省はすでに検討に着手をされて、そして税額の見込み試算を運輸省は行っていたのであります。昨年の九月のころでしょう。当然、経営的に影響を受けるあなた方の業界は、運輸省から何らかの形で相談なり話があってしかるべきでありますから、常識的にはそう考えますが、そういう時点から業界は、いま述べられたような実情については訴えられてこられたのですか。
#20
○参考人(川鍋秋蔵君) お答え申し上げます。
 私どもは、この新税のできるということはかすかに新聞で覚えておりましたが、総理の言うように、対話、協調ということもあるから、何か呼ぶだろうとは思っておったが、今回に限っては一つも私らに、これは呼んでもおりません。私どもは知らなかったのであります。
#21
○和田静夫君 あなたを代表者とされるこの連合会ですね、これは非常に多くの中小のタクシーの業界の方々も加盟されているわけですね。そうすれば、当然あなたの立場としても、これら中小タクシーの行く末などというものを考えながら、早い機会に関係省に対して希望を述べられる、あるいは大臣に対して希望を述べられるというようなことをお持ちになるのが逆の意味じゃ当然だったと思うんですが、何か壁があったんですか。
#22
○参考人(川鍋秋蔵君) お答え申し上げます。
 壁も何もなかったが、ただ頼りとしておったのは、総理がいつも対話、協調と言うておったわけでありますが、来るだろうと思っておるうちに、いろんな問題が山積しておって、私も少し勉強足らずであったのが、忽然とこういうものが出てきたのはちょうど一ヵ月前だろうと思います。そうして私どもはあわ食って陳情に歩いたのでありますが、どこへ行っても――丁寧に取り扱ってくれる人もありましたが、中にはどうも、こんな、いまきまったところに来て君困るよとどなられたこともあるし、いろいろありましたが、何せ私も一生懸命陳情してまいりましたが、そのうちに、慰めごとのように、タクシーだけは二分の一、ハイヤーは一〇〇%という声を聞いたときは、私は流感に――余り精力的に歩いたために、三週間、右の肺を冒されたために、その間私はやれずにおったのが今日の状況であります。
#23
○和田静夫君 運輸大臣、いま業界の方から訴えられているような形で、関係省から、三木内閣の政治姿勢を信用しておったが一向に接触がなかったんだという訴えが非常に切実なんですね。私も、これを実は税法の本会議でここの部分については自治大臣には御質問申し上げたんですが、いまちょっと経過のところだけをですね、内容的なものは後ほどちょっと質問したいと思いますので。
#24
○国務大臣(木村睦男君) 事業所税の問題につきましては、いま和田委員からお話しのように、昨年の秋ごろからそういうふうな問題がありまして、運輸省も各事業についてそれぞれ検討をいたしておったわけでございます。従来ともそうでございますが、こういう場合に運輸省は、平素から業界の実態というものは、法律その他によって営業報告書とかいろいろ資料も取っておりますので、大体運輸省独自の立場で業界のそういった実態というものを調査をして準備をいたしておるというのが従来のやり方でございまして、今回の場合も同じようにそういうふうにやってまいったわけでございます。その点は、タクシーだけを何も聞かなかったというのではございませんので、運輸省の所管の事業につきましては、すべて同じようにそういう検討の仕方をしてまいってきておりまして、一月に入りましてから各業界とも、いよいよこの問題が大詰めにまいりましたころにはそれぞれ陳情に来られたわけでございまして、それらの陳情は各業界から、大体同じ時期になっておりますが、それぞれお聞きしてさらにその実情は承った次第でございます。
#25
○和田静夫君 参考人の方にあれですが、担税能力がないという言い方がされているわけですが、ところが昨年の十一月から、東京、大阪を初めとして六大都市というのは、一斉に暫定運賃を本格運賃に変えられる。事実上値上げが認可されたことですね。そうすれば収支は十分償っているんじゃないかというのが、国民が見る今日のタクシーに対する目ですね。素朴にそう考えている。特にハイヤーというのは、しばしば耳にするところですが、経営が苦しいということをまあ言われる向きもあるんですが、この辺は余り大衆的には影響がないものですから、実態については余りつまびらかでありませんね。で、何か御意見ありますか。
#26
○参考人(川鍋秋蔵君) お答え申し上げます。
 東京の例を挙げますと、まあハイヤーはいつでもいいというような印象を深く受けておるが、われわれ、私五十年やっていた経験を見ますと、不況といって一番大波を受けるのは料理屋とハイヤーで、不況の寒暖計だとまで言われておるようになっておるわけであります。先生の申されるとおり、いまから一年半前ぐらいまではハイヤーというものは多少利益があったと思うんです。ところがごらんのとおり、この不況のために大会社は六千人も従業員を淘汰した、ある会社は二千人淘汰して、二千人は家庭待ちだという者が続々と出てきて、そういうところで使っておるハイヤーですから、一番早くくるのが、社長の訓示は、ハイヤーは節約しろと、こういうのが私の五十年の体験でありますから、本当に思われるとおりなようなことはもうとうの昔のことであって、この両三年不景気になってからは、だんだんだんだんと今日はハイヤーをどうしようかということを考えておりますが、これもおかしなことで、昔はハイヤーがそういうふうにばっとだめになるというと、わっとタクシーにかえたもんです。ところが、タクシーの方もどうにもいかない。ハイヤーをタクシーにかえることも変更することもできず、タクシー、ハイヤーともにいま苦しんでいる経営の現状であります。
#27
○和田静夫君 余り時間がありませんからあれですが、企業の規模の問題でちょっと聞きたいんですがね。これ、私なんか素人ですけれども、五十台と百台持ちの会社との差ですね、あるいは百台と千台といった企業規模の差、こういうものによっては、大きい会社はもうけも多くなって担税能力はあるのではないかと、こう実は考えるんです。その点は一体どうなのか。
 それからもう一つ、一緒にお答え願いたいのですが、あなたの公述の中で、タクシー一台当たり、法令で二・四といま言われましたね。これで、実際には私たちの耳に入るのは二・七から八人になっているのではないかということがいろいろ訴えられるんですがね。実際のところはどうなんですか、法令ではなくて。
#28
○参考人(川鍋秋蔵君) お答え申し上げます。
 実際は二・四でありますが、従業員は二・七か八かいなければ、最近の従業員は非常に公休をとったり休みが多いもんですから、なかなか稼働できないというので、大体われわれは二・八まで努力しております。しかし、現在では一割ぐらいわれわれの運転手は間に合っておりません。これが実情であり、また、小さい会社と大きい会社と比べると大きい会社がもうかっておるだろうというようなことは、これはだれしも考える常識であると思う。ところが、私のところのその運転手の集約産業に限って、この事業では要するに近代化もできない、要するに能率を上げようというたところで何にもできない、合理化もできないというような変わった事業であります。したがって、この大きい小さいというものは、大きくても小さくても、景気のいいときは確かに先生のおっしゃるとおり担税能力があると思います。大きいも小さいも同じように悪いときは――いいときは大きいものはもうかりますが、こういう時期に当たって、両三年はやはり大きいは大きいなりの赤字の痛手を受けておるという、これは典型的な労働集約産業の宿命であると思う。だから、そういうことでは、普通の産業とは違って労働集約産業は近代化もできない、合理化もできない産業であるということを御承知になって、不景気のときは大小問わず同じ不況に陥っているということを改めて御認識いただければ結構だと存じます。
#29
○和田静夫君 そこで、事業所税のまず課税の範囲ですがね。この課税団体をちょっと見てみますと、特別区の存在する区域についてのと、それから政令指定都市、それから首都圏整備法の既成市街地、それから近畿圏整備法の既成都市区域を有する市及び人口五十万以上のもののうちの指定の市に限っていますね。この理由を簡単にちょっと言ってください。
#30
○政府委員(首藤堯君) 先生御案内のように、この事業所税を創設をいたしました本旨、目的でございますが、これは人口や企業の集中に伴いまして、都市機能がきわめて低下、麻痺をしてきた、その都市環境の整備を行うための目的税として都市の財源として与える、こういうことがこの税の目的でございますので、その点から考えれば、人口や企業の集中によりまして、そのような都市環境整備事業の必要性に迫られておる都市、それがこの税を課し得る課税団体になる、こういう理論になるわけでございまして、しからばそのような都市をどこかで線引きをして設けねばなりませんけれども、どの程度の市以上はそういった資格を持った市であると判定をするかという問題になるわけでございます。そこで、私ども考えましたのは、一般的に申しまして自治法上の政令指定市と言われております大都市、これはもう完全に恐らくそうだろう。これに類似をした市ということになりますと大都市になり得ます人口基準といたしましては、地方自治法上一応人口五十万以上という規定がございますので、五十万以上の人口を持つ市は大都市に類似をした市だとして指定をしてよかろう。それからもう一つ、首都圏、近畿圏等においていわゆる既成市街地を持っております都市は、これは人口、企業が集中した都市だと見ることができるだろう、こういう考え方で、先ほど御指摘をいただきましたところに一応の線引きをして、この市が取り得る、こういう規定をいたしたのでございます。
#31
○和田静夫君 そこで、この人口五十万以上のうちの政令で指定するもの、いわゆる改正法七百一条の部分ですね、これはどういう政令を考えているんですか。
#32
○政府委員(首藤堯君) 政令で何市何市という指定をいたそうと思っております。
#33
○和田静夫君 いま大体、もうあれですか、頭の中にあるんですか。
#34
○政府委員(石見隆三君) 昭和五十年一月末日現在の住民基本台帳によります数値を入れました場合、人口五十万を超しております市は、仙台、千葉、広島、岡山の四市でございます。
#35
○和田静夫君 事業所税は、「都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てる」というふうに述べられているし、創設の理由はそうですが、その副次的効果として、この事業所の特定地域への集積を緩和することが期待されているわけでしょう。しかし、主たる目的はあくまでも都市環境の整備及び改善だと。で、法律で一律に課税団体を規定をして、そして法律で定められた団体以外の団体に課税権がないものとするというような形というのは、この都市環境の整備等の必要性が法定団体以外においてはないとお考えになったからですか。
#36
○政府委員(首藤堯君) この法律において課税権を持ちます市を指定をするというかっこうにいたしましたのは、先ほども申し上げましたように、税の本旨にかんがみて、法定の課税団体というものは一応の線を引いたその線引き以内の市である、こういう決め方をいたしたのでございます。
 しからばその法令の指定に外れた市については、法の反対解釈として、こういった税の課税権を認めないのかということに相なりますと、そうではございません。他の都市は全くの白紙でございまして――白紙と申しますか、そういう言葉が適当かどうかわかりませんが、反対解釈で、他の都市では取ってはならないという規定を設けたとは私ども解しておりません。
#37
○和田静夫君 わかりました。
 そこで、それをちょっと考えてみると、人口十万とか三十万とかという都市の実態を見てみましても、今日、人口の集中等が顕著なところが非常にありましょう。で、都市環境施設の整備が非常に急がれているし、強く望まれているところが多いわけですね。それらの団体は都市施設の整備財源にはいま困っているんですが、そのことばお認めになりますね。
#38
○政府委員(首藤堯君) 必ずしも人口五十万以上の市ないしは既成市街地を持っております市でございませんでも、同様な財政需要のある市はあり得ると私も考えます。
#39
○和田静夫君 それで、いま二つの答弁の中から、こういうふうにひとつ理解しておいてよろしいですか。都市環境の整備のための財源が必要かどうかというのは、これはもう何といっても当該自治体が一番知っているわけですから、画一的な法的措置によって規制をしたものじゃないんだ。で、この都市では事業所税が取れるのにどうしてわれわれの都市では取っていけないのかというような、そういう感じを持たせないといいますか、そういうつまり不公平が生ずるというようなことはあり得ないと理解をしておいてよろしいですか。
#40
○政府委員(首藤堯君) 御趣旨はよくわかります。そのとおりでございまして、他の地方団体におきましても、法律で指定をされております団体と全く同じような都市環境整備のための事業があり、かつまたこういった税源というものの存在があって、そこの間のリンクがよくとれておるというようなケースがあれば、やはりそういった団体においてもこの種の税を創設をすることはあり得ると、このように考えておるわけであります。
 なおつけ加えますと、今後この税の施行の推移にかんがみまして、将来、いま決めております人口五十万以上という線引きをどのように直していくか。これは税の実施の状況等を見ながら将来の問題として検討さしていただきたい、こう考えております。
#41
○和田静夫君 大体はっきりしましたが、地方税法の六百六十九条以下のこの法定外普通税の規定ですね。この六百七十一条の規定では、税収を確保できる税源のあることと、税収入を必要とする財政需要があるときは、住民負担が著しく過重となるような場合等を除いて、自治大臣は市などによる法定外普通税の申請を許可しなければならないということになっていますね。で、人口三十万以上のような都市になりますと、税源の存在にはこれは問題ないと思うんですね。それから財政的需要も相当あると考えられましょう。また、六百七十一条第一項の各号の要件については、この改正法において人口五十万以上の市について認められている税だからここも問題ないでしょう。人口三十万ぐらいの市で特に事情が人口五十万以上の市と余り異ならないものについて、この事業所税的なものを法律外の普通税として取る場合があっても不思議ではないと考えるんですが、そこで、そのような法定外普通税の許可を申請してきた場合、いまもうすでに答弁いただきましたから念を押す必要はないと思うのですが、自治大臣から、ひとつ先ほどの答弁を確認をしておいていただきたいと思うんですが、よろしいですか。
#42
○政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘のように、この事業所税で法定をされました市以外の都市においても、都市環境整備のための需要が非常にあると、それからまた税源もあるといったようなことで、この事業所税の根本思想に乗りましたような類似の法定外普通税の創設が行われました場合には、これは全く通常の法定外普通税と同じようにわれわれとしては考えるべきだと思いますので、ただいま御指摘の要件がいろいろございますが、その要件に該当する、また一定の収入を得ることによって財政需要とのリンクづけがきわめてスムーズに行われる、こういう実態があれば、われわれとしても積極的にこれは解していきたいとこう考えておるところであります。
#43
○国務大臣(福田一君) ただいま税務局長が申し上げたような方針で臨んでまいりたいと思っております。
#44
○和田静夫君 そこで、改正法の七百一条の五十七に、「事業所税の減免」の規定がありますね。これは納税義務者の個人的都合を考慮して行われる減免規定だと理解してよろしいですか。
#45
○政府委員(首藤堯君) この事業所税におきましては、創設の目的が先ほど申し上げましたとおりの税でございますので、一応法律といたしましては、一定の非課税措置ないしは課税標準の特例措置等を決めておりますが、当該市におきます特別の事情によりまして、法の規定の精神等に照らしまして適当だと思われるものについては、当該地方団体で課税標準の特例あるいは非課税措置、こういったものを設け得るよう、かなりのフリーハンドを与えておく必要があろう、こう考えて、先ほど御指摘の七百一条の五十七という規定を設けたのでございます。たとえてみますならば、一番いい例は、当該都市が市の長期将来計画といったようなものを立てまして、一定の地域等に市の計画で一定の事業そのほかを誘致をしたと、こういうようなケースがあると想定をいたしますならば、そういったものに対して、当該市が市の施策として課税標準の特例といったようなものを考えていく。これは当該市の自主性を尊重する上で妥当なことではなかろうかと、このように思っておるのでありまして、それは一例でございます。
#46
○和田静夫君 事業所税の減免規定における、「その他特別の事情がある者に限り」というのはどういう意味ですか。
#47
○政府委員(首藤堯君) 条文は、「天災その他特別の事情がある場合において事業所税の減免を必要とすると認める者」、これは天災そのほか特別の事情で担税力が非常に枯渇をしてしまったとか、そういった通常のケースでございますが、「その他特別の事情」と、先ほど申し上げましたように、当該市の政策上特別な必要があるとか、あるいはこの法律の他の減免規定等の精神に照らし、個別にその当該市内の一定の業種を見ました場合に必要があると判断をしたものとか、そういったことを含めまして特別な事情がある場合と、このように規定をいたしておるのであります。
#48
○和田静夫君 それから、経済的な事情などというようなものとの対応における幾つかの業種、たとえば不況との関係におけるところの業種などというようなものもこれはもう当然勘案をされるということですか。
#49
○政府委員(首藤堯君) 税の性質上、個々の事業体、個別個別の事業体でございますね、これについてどうこうするということは、天災そのほかといったような事情がない限りはなかなか適当でなかろうと思います。業種全般あるいは当該市におけるたとえば地域産業的なものの特殊事業でございますか、こういうものを全般として公平に判断をするということがこの「事情」に当たると思います。
#50
○和田静夫君 それでは、改正案では、七百一条の三十四の非課税範囲に入れたものと、七百一条の四十一の課税標準の特例によって軽減措置の対象となるものと分けていらっしゃいますね、これ。この区分というのはどういう基準ですか。
#51
○政府委員(首藤堯君) 非課税の規定に入れましたものは、御案内のように、公的法人でありますとか、あるいは公益法人の非収益事業分でありますとか、こういった人的非課税は当然あり得るわけでありまして、これが一つの例でございます。
 それからもう一つの例は、この税が都市の環境整備の目的財源に充てられますから、いわゆる都市的施設、その施設を整備することが都市の環境整備そのものに合うという施設が都市的施設という意味であるわけでございます。これは都市計画法第十一条に列挙をされておる施設であると、このようにわれわれ理解をいたしておるわけでございますが、このような施設で、本来ならば、他の民間団体等が事業を行わないならば、当該地方自治体自身がその仕事をやっぱりかわりにでもやっていかなきゃならぬ、こういうたぐいのものもあるわけでございまして、このようなものは、当該都市施設を整備する財源に使う税を負担をするというのはおかしなかっこうになりますので、これは非課税にする、こういうことにいたしました。
 それから、非課税の性質上、たとえば農林漁業等の生産の施設であるとか、あるいは厚生福利の施設であるとか、こういうものは課税をするのは適当でないと考えましたので、非課税にいたしております。
 それからさらにもう一つ、法令等でもって明定をされました、国の施策に従って実施をされますいわゆる中小企業対策関係でございますが、こういったものも、税の目的上、非課税にするのが適当であろうと、このような仕分け、分類をいたしまして、非課税を決めております。
 それから、課税標準の特例でございますが、これはいわゆる課税標準を、給与総額それから床面積という非常に単純なものに、外形標準にしほり上げて課税標準を設定をいたしましたので、たとえば床面積といったような課税標準を用います場合に、本来非常に床面積の大きいことがその業種の特徴であって、床面積平米一単位当たりのいわゆる収益額が他の業種に比べて非常に違うと、こういったようなケースでは、床面積を課税標準にして同じ税額で課するということは税負担に濃淡が出る、こういうケースもございますので、そういったような事態をつかまえながら課税標準の特例、これを設けていくことにいたしたわけでございます。
#52
○和田静夫君 もう少しこの辺やらなきゃいかぬのですが、ちょっと時間がありませんからまた一遍別の機会に聞きますが、自治体は、地域の行政のあらゆる分野にわたって公益を守るために幅の広い責任を負っています。そこで、改正案で課税標準の特例の対象になった事業は、もともと法律によって負担の軽減が図られようとしているものでしょう。そうですから、その事業の性質上、事業所税の課税団体、すなわちこれ自治体としても、課税に当たって税負担の及ぼす影響を行政上特別に配慮しなけりゃならぬというケースもあると思われる。で、都市施設整備の緊急性、あるいは中小企業対策、物価政策、地域住民の安い足を確保する、そういう必要性ですね、自治体行政においてはこれは無視できないんですね。で、公益的な見地から改正法によって課税標準の特例の対象となっている事業等について、地方税法第六条あるいは七百一条の五十七の規定によって、非課税ないし不均一の課税をしようとする場合も当然私は起こり得ると思うんですが、自治省これはお認めになりますね。
#53
○政府委員(首藤堯君) 地方税法六条の規定は、公益上の理由があるというケースでは、当該団体の判断によりまして御指摘のように不均一の課税をすることができます。一般的に減税をすることができるわけでございますが、それはもちろんその規定の適用はあるわけでございまして、公益的に、公益上の理由としてその判断が正しいかどうかということは当該自治団体の判断にゆだねられておることではございますが、もちろんこれは客観的に、やはり住民なり何なりのみんなのコンセンサスと申しますか、納得、これが前提になるものであろうと考えます。
#54
○和田静夫君 運輸大臣、お待たせしましたが、いまの自治省の見解について了とされますか。
#55
○国務大臣(木村睦男君) いまの自治省の考え方については私も大体了承いたしております。
#56
○和田静夫君 それではありがとうございました。運輸大臣いいです。参考人の方ももしあれでしたら結構です。
#57
○委員長(原文兵衛君) 川鍋参考人ありがとうございました。それでは結構でございます。
#58
○和田静夫君 そうしたら、よそからお見えになっている方、お気の毒ですからそっちへ先に入りますが、電気税の問題なんですがね。これは本会議質問でもあれしましたが、電気税の産業用非課税品目について、現在の非課税品目百二十九品目のうちで、ベンゾール、塩化ビニール等二十四品目に係る措置を廃止することにしています。この非課税措置の一部の廃止は、昭和三十六年の税制調査会の答申、すなわち、重要基幹産業または新規重要産業のうち、製品コスト中に占める電気料金については、おおむね五%の基準を設けて品目の再検討をすることというやつがある。で、「非課税品目のうち新規製品については、一定期間をかぎって非課税とする。」ということが答申になっていますね。これに基づいて、通産省と自治省との間で決められた基準に基づいてこれは行われたんですかね。
#59
○政府委員(嶋崎均君) 御指摘のように、電気税の取り扱いにつきましては、先ほど御指摘のような運用の基準というものをもって、おおむね五%のものというものを基準にしてやっております。
 それからもう一つは、御指摘のように、新規のものというのも確かに考慮に入れて判断をしなきゃならぬ。たしか、私どの品目だったか記憶なかったけれども、今回の場合も一品目移行があったような記憶を持っておりますが、事務当局から――アクリル酸何とか言うのがあるんだそうです。一つだけたしかあったように思っております。
#60
○和田静夫君 その通産省と自治省で決められている非課税の基準そのものが、現在の経済社会情勢から考えて私は不合理じゃないかと思っているんですがね。二十四品目の非課税措置を廃止したと言われますけれども、従前の基準に基づいている限りでは抜本的改善とは言いがたい。これは本会議でも述べたとおりなんですがね。いままで怠ってきたものをどうも整理しただけなんじゃないかという感じなんですね。非課税品目の選定基準そのものをまず廃止をして、そうして産業用電気に係る電気税の非課税品目は私は全廃をすべきだと考えているんですが、単なる洗い直し程度ではいけないんじゃないかということを考えるんですが、大臣いかがです。
#61
○政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、百二十九日中目にわたっておりました産業用電気の非課税措置でございますが、これも御指摘がございましたように、原則として製品コスト中に占める電気代のウエートが五%以上のもの、重要基幹産業の製品でございまして、そのようなものということで百二十九品目が設定をされておったのでございます。
 私どもといたしましては、できるだけやはりこれは整理をいたしたい、廃止をしていきたいということで、前々から希望もいたしておりますし、またそのような案を政府、税調等にもたびたび持ち出しまして御審議をいただいたのでございます。
 ところが、ことしの政府、税調等の御論議におきましては、電気税は消費税でございますから、やはり家庭用消費において一定の免税点を設けるという一つの問題と、それから産業用電気においては、いわゆる原料課税になるたけならないような方向をとっていくということと、この基本的な考え方はある程度とらなければならぬわけであるが、その場合に、原料課税になるかならないかの判断を五%という基準に置くことが妥当であるかどうかという問題があるわけでありまして、私どもはこの五%をもっと引き上げて整理をすべきだということを実は考えておったのであります。しかし、税調の審議等の経過におきましては、やはりそういった面から原料課税を慎むという根本的な考え方に立って検討してみる場合に、今回この五%の基準をすぐ廃止をするとか、変えるとかいうことば適当でないので、もう少し継続的に審査検討すべき問題である、これは電気税の基本に触れる問題である、こういうかっこうで御決定がなされ、御答申をいただいたわけであります。
 そこで、われわれといたしましては、この五%の基準を根本的に見直すということはできなかったわけでございますが、現状の基準におきまして妥当と思われますものを整理をいたしまして、二十四品目の整理を行った。なお、その他の問題については、今後とも引き続き検討を続けてまいりたい、こう考えておるものでございます。
#62
○和田静夫君 どうですか、通産大臣の方では、いまの同じ質問で、どういうふうにお考えになりますか。
#63
○政府委員(嶋崎均君) ただいま自治省の税務局長からお話のあった基本的な考え方につきましては、ほぼそういう線だろうと思います。
 ただ、こういうことは言えるだろうと思うのです。この電気税の産業用の非課税の問題につきましては、これも税務局長が触れられたとおり、原料課税は、この消費税というものの性格から見まして、なるべく避けるべきではないかという基本的な考え方があるわけでございます。そういう線から言いまして、通産当局としては、加工産業用の電力というものは原則非課税である方が消費税の性格から見て望ましいのではないかという主張を続けておる。それと同時に、家庭用をも含めて通産省としてはかねてなるべく電気税というものは軽減廃止の方向に努めていくべきであるという主張をやってきたわけでございます。そういう意味では、特例法になっておりますけれども、見方によりますと産業用の非課税が特例であるのかどうかというのは、非課税が原則でなきゃならぬというような主張を通産省はしてきたように思っております。
 いまの段階、非常にいろんな点が問題になっておるのだろうと思うのですが、御存じのように、エネルギーの問題というのもわが省の所管でございますので、今後やはりエネルギー政策というもの全般の考え方から、このエネルギー消費というものをどうとらえていくかという問題、それからまた電気の消費というものも、だんだん普遍的に使われてはおりますけれども、やはり所得の状態によって使われ方が相当差異が出てくるような時代にもだんだんなってきておる。そういういろんな問題があるわけでございまして、そういうことが五十年度の税制調査会の答申の中にありますように、「産業用電気に係る電気税の非課税措置の整理合理化については、電気税のあり方との関連もあり」云々というようなことになってきて、やはり全般的にこのあり方というものの検討をもう一度し直していい時期に来ているのではないか。私はそういうぐあいに考えておるわけでございます。
#64
○和田静夫君 そこで、前に戻りまして所得関係課税でありますが、昨年の所得税法の改正の際に、基礎控除、配偶者控除、扶養控除の額を一律二十四万とした。その際の政府の説明はこんなものだったのですね。「従来、家族の規模に応ずる生計費との関連等を考慮して、基礎控除に比べ扶養控除の額を低く定めていたが、昭和三十六年度の改正において、所得の稼得に対する配偶者の貢献等を考慮し、新たに基礎控除と同額の配偶者控除が設けられた。その後配偶者控除については、基礎控除との間に一万円の差がつけられたこともあったが、昭和四十二年度以降は同額とされてきている。ただ、扶養控除については、いぜんとして基礎控除に比して低い額に定められていた。しかし、課税最低限がある程度の水準になってくると、このような考え方に必ずしも固執する必要があるとは考えられなくなってきている。また、納税者にとって、各控除額を同額とした方がわかりやすいという考え方もある。さらに、従来から教育費等の特別な支出に対する配慮として、たとえば、教育費控除というような特別の控除を設けるべきであるという要望が強いが、このような個別的事情を税制上しん酌するにはおのずから限界がある。結局、このような要望に実質的に応えるためには、扶養控除の額を大幅に引き上げることが適当であると考えられる」、こうなっていますね。私はその所得税法の控除額そのものはまだ低いと思っているのですが、一本化するということはまあよいことでしょう。住民税こそ、本来各種控除額の差をなくして一本化をすべきだと思うのです。かつて住民税について、住民控除制という包括的な控除制度が検討された時代がありましたね。所得税法では、四十九年度分については暫定措置として基礎控除、配偶者控除が二十三万二千五百円、扶養控除が二十二万円となっている。そういう事情はありますがね。なぜ住民税では基礎配偶の十九万円に対して扶養控除額を十七万円にとどめられたのか、この理由を聞きたいのです。時間がありませんから、理由は簡単でいいのですがね。五十年度はだめでも、政府としては五十一年度には一本化するか。一本化すると答えてもらえばそれでいいのですけどね。
#65
○政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、基礎・配偶者・扶養控除、この三本の控除が一本化をされていく方向に向かうことが望ましいということは、私どもも全くそう考えております。ことし、それでも二万円の差ができたのでございますが、御案内のように、去年に比べますればこの三控除の間の差を詰める努力をいたしまして、なお二万円の差が残ったわけでございます。
 この端的な理由は、全く財源上の問題でございまして、今回の住民税の減税は四千四百億に上ります。いままでにない非常に大きな額でございます。この中でも、国の去年の所得税の改正によります給与所得控除の影響が約三千三百億に上りますが、こういう非常に大きな減税項目がございましたので、扶養控除を他の基礎控除、配偶者控除と一本化をするだけの努力をいたしたのでありますが、財源上そこまで到達をしなかった。したがいまして、できるだけ早い機会にこれを一本化する方向に向かって進みたい、こう考えております。
#66
○和田静夫君 大臣、このできるだけ早い機会というのは、やはり大臣の政治力で五十一年と、ここでどうですか。
#67
○国務大臣(福田一君) 努力をいたしたいと考えます。
#68
○和田静夫君 四十九年度の所得税における傷害者控除、それから老年者控除、それから寡婦控除、勤労学生控除、これは十六万円。今回の住民税の改正案と同額です。ところが、特別傷害者控除や老人扶養控除は、四十九年度の所得税においてさえそれぞれ二十四万円、二十八万円であるのですね。ところが、住民税は十九万円なのですね。各自治体が、身障者や老人に対していろいろ福祉行政を行って住民の期待にこたえようとしています。これはもう保守、革新を問いません。いまどの応援に行っても、どっちの候補者もこの辺のことは同じようなことを言っているわけですからね。そういう意味で、全くここのところ不可解な改正だという感じがするのですが、自治体の今日的な使命から考えましても、本来、これらの人たちに対して国税よりもっと手厚くしてよいのではないかと思うのですが、どうしてこれは十九万円にとどめられたんですか。
#69
○政府委員(首藤堯君) 障害者、老年者、特別障害者等の控除でございますが、これも御指摘のように、なるたけこれを引き上げていくという方向をとりたいと私どもも考えておるわけでございます。今回十六万とか十九万に引き上げをいたしましたが、この引き上げ幅は三万円ということに去年に比べてなっておりまして、これはただいまさきに御指摘がございました扶養控除の十四万円を十七万円に三万円引き上げた、これは今度の住民税の減税の中では一番大きい引き上げ幅でございますが、その一番大きい引き上げ幅によったと。これはなるたけ今後とも引き上げていきたいと思っておりますが、他のバランスでございますとか、あるいは歳入上の問題でございますとか、こういった問題とも関連を持っておりますので、この程度にさしていただいておるわけでございます。
#70
○和田静夫君 ここでちょっと資料を求めておきます。ここは答弁をもらっていると長くなりましょうからね。消費者物価上昇に伴う住民税の物価調整減税額、これをどのぐらいに見ているか。これはおたくの資料には、大体二千八百億円と、こうなっておるんですがね。そうすれば、それはいつの時点といつの時点での物価の上昇の比較か。いつの時点でとらえて、そしていつの時点での物価の上昇の比較なのか。そしてどういう方法で算出されたのか。それからもう一つは、ここ五年ぐらいの間の所得割りの減税と、そして物価調整減税額及び減税額の推移を、これは含んで、いま答弁もらいません、後で資料をいただきたいと思います。
 どういう質問をしたいのかといいますと、実はインフレが国民生活に与える影響というのはさまざまなんですが、インフレによって利得を得ている者もこれは少なくないことは御存じのとおりなんですね。しかし、労働者、特にエンゲル係数の高い低所得者というのは、インフレの直撃によって生活基盤そのものが破壊をされておるわけです。つまり、インフレは低所得者に一番影響が大きい。所得の低い者にとっては、給料がたとえば二〇%上がったとしても、物価の上昇によって実質給与は前年より切り下げられているというのがもう生活実感です。実質給与が上がっていないのに税金が前年より高くなったというのでは、これは減税ではなくて増税なんだという感じでしょう。四十八年に二百万円の給与所得があったものが、ベアで四十九年の所得が二百四十万円になった場合に、四十九年度、五十年度の住民負担というのは一体どうなるのかということを、いま数字で答弁できればしてもらえばいいし、あるいは出してもらえるのならここのところを――実はそこのところを質問したい基礎的なものとして、先ほどから推移を資料でもらいたいと思っているんですが、何か減税になっていないという感じなんですよ。
#71
○政府委員(首藤堯君) 資料は後ほどお届けを申し上げますが、物価調整減税としての所要額として見込んでおりますのは大体二千八百億程度、先ほど先生に御指摘をいただいたとおりでございまして、この時点は、四十九年度分が住民税においては課税標準になりますので、四十九年度におきます物価調整、これを行いました場合の所要額として計算をしたものでございます。
 それから、物価に比べまして住民税の減税幅が非常に小さいのではないかという御指摘がございましたが、この点は、確かに昭和四十九年度の課税最低限のあり方と昭和五十年の課税最低限のあり方のみを比較をいたしますと、これはそのような御指摘があろうかと思うわけでございますが、実は去年の昭和四十九年度の住民税の減税をいたします場合に、先ほど申し上げました所得税の給与所得控除の影響が昭和五十年度に大きく出るということが明らかでございましたので、四十九年度は少し課税最低限の引き上げをがんばって減税をいたしたと去年御説明を申し上げましたが――措置をとったわけでございます。そこで、四十九、五十の両年度を合わせて二年分、一年度分だという仮定に立って計算をしていただきますと、四十八、四十九の消費者物価の上がる率は両年度合わせて三六・二%、こういうことに相なると思いますが、これに対しまして課税最低限の引き上げ率は四〇・八%と、こういうことに相なっておりますので、必ずしも十分とは言えないかもしれませんが、物価の二年を通じての騰貴率よりは上回った額で課税最低限を設定をさしていただいておる、このことだけは御理解をいただきたいと思うのであります。
#72
○和田静夫君 その最低限の引き上げ率が、事業所得者について低くありませんかね。国税、住民税とも、白色専従者控除額を引き上げる必要があると思うのですが、それはどういうふうにお考えなんですか。
#73
○政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。
 夫婦子二人の白色申告者の場合の課税最低限でございますが、四十八年度は五十九万六千円でございましたものが、五十年度は約八十五万に相なりますので、この伸び率は大体四二%程度でございます。したがいまして、この面を見ました場合、先ほど局長が御答弁申し上げました夫婦子二人の給与所得者の場合よりも若干まだ上回った額になっておるという状況でございます。
#74
○和田静夫君 物価調整減税を除いた本来の減税額というものが住民税において非常に少ない。課税最低限の引き上げ率も物価の上昇に及ばない。住民税の負担減が重くなっている。そういう意味で私は住民税はもっと減税をすべきだ。景気対策としての視点も取り入れてみれば、他の自主財源の増強措置とあわせて、これ若干起債の増額を覚悟してでも減税すべきだと思うのですが、こっちは、税の方よりもどうですか、財政の方では。
#75
○説明員(石原信雄君) お答えいたします。
 減税政策と起債の活用という問題につきましては、やはりそのときどきの財政環境あるいは将来の財政の見通し、こういったものを考えていかなければいけないと思います。当面の財政状況から考えますというと、確かに先生御指摘のように、住民負担の面から見ますというと、さらに減税すべきではないかという御意見もあろうかと思いますが、一方、いまの地方財政の実態から申し上げますと、住民福祉向上のための一般財源の需要というものはますます高くなってきております。そういう意味からしますというと、自主財源、一般財源をもっともっと強化していただきたいと、そういう見地で、一時的に地方債で立てかえるといたしましても、やがては償還財源という問題が出てまいりますので、現時点におきましては、減税をさらに規模を大きくして、それを地方債で肩がわりするということは困難ではないかと、このように考えます。
#76
○和田静夫君 この負担分任という考え方が住民税減税の足をどうも引っ張っているように思うんです。地方制度調査会なり税制調査会の答申などを見ますと、住民税は、会費的性格があるので、課税の最低限は国税と異なってよいと言っているわけですね。私はそうは思いません。いま直ちに五十年度の所得税と同一水準にしろとは言いませんがね。また、それ以上に引き上げろというようなつもりもありませんけれども、せめて――ありませんと言うのは、いまの質問の中であって、私たちが用意する修正案とは別でありましてね。せめて基礎控除、あるいは配偶者控除、扶養控除は昭和四十九年度の所得税並みの二十四万円ぐらいには引き上げるべきだと、こう思うんですが、これ大臣どうですか。
#77
○政府委員(首藤堯君) 住民税の本来の性格論とも関連をする問題でございますが、やはり私ども、住民税は地方自治体におきます最も基幹的な、基本的な税金でございますので、地方自治を支える一番大事な税金として住民税が存在をする。そうすると、やはりこの住民税は地方自治における会費的な性格を持った税として観念をせざるを得ないと、このように考えておるわけでございまして、その意味から、必ずしも所得税と課税最低限が同じでなければならないということはないと私どもは実は考えておるわけでございます。しかしながら、とはいっても、その課税最低限がいわゆる最低生活費に食い込むというようなことがあってならないことはもちろんでございますので、そういった点を私どもも毎年よく調査をしながら課税最低限の設定をさしていただいておるのは申すまでもございません。
 それからもう一点、基幹的な税であるという点から、やはり各市町村におきます納税義務者の分布状況といったようなことも考えざるを得ないのでございます。余りに課税最低限を上げまして、国の所得税と一致をさしてしまうというようなことになりますと、住民の中でほとんど住民税の所得割りを納める方がなくなってしまうという、まあこれは小さな町村でございますが、町村においてそういう状況が出てくる。現在でも住民の一〇%以下の納税義務者しかないといったような団体が比率的にも一〇%近くもあるというような状況でございますので、やはりこういった納税義務者の分布状況ということも考える必要があろうかと思っております。
 それからさらには、現在の枯渇をした地方財政の状況でございますので、住民税の減税額、ただいまの百二十一万八千円の課税最低限でも四千四百億という膨大な減税額になるわけでございますが、この財源所要の面から考えましての減税額の規模をどの程度に持っていくか、こういうこともあわせ考えなければならないと思っております。
 したがいまして、いま申し上げました最低生活費、あるいは物価の状況等、こういったものを勘案をし、財政の状況を勘案をし、かつまた納税義務者の数の状況を勘案をしと、こういう三方、四方にらみながら、できるだけこの課税最低限を引き上げていく、その結果がことし御提案を申し上げておりますような結果に相なっておると、このように御理解をいただきたいと思います。
#78
○和田静夫君 この間、予算の公聴会で、実は自治省が住民税について負担分任の原則を持ち出して、私はさっぱりわからぬし困っているんだということを述べながら、そういう税の原則というのはあるのかということを伊東光晴教授に尋ねたんです。そうしたら、彼何遍も聞き直しながら、租税論としてそういう原則があることは知りませんと。で、私は知りませんが、そこに鳩山威一郎さんがお座りになっていますが、鳩山前大蔵省事務次官、どうなんですかなんて言って、鳩山議員に逆に聞いていましたがね。鳩山さんも、いや、それはと言って首をかしげて否定をされました。そうすると、やっぱりこの辺の大御所が否定するんだから、私が、何回かあなた方と討論をしてきたやっぱり私の方が世の中では正しいんだなと、これは自治省の独善の言葉だなと思っているんですがね。
 私、まあ自分の著述の中で、かつて、「住民税の負担分任論など現代の神話にひとしい。アメリカの哲学者バロウス・ダンハムの「現代の神話」ではないが、神話は社会の矛盾を隠蔽し、現状の凍結をめざすものとして存在する。負担分任論がまさにそれといえよう。」というふうに書いて世に問うたんですがね。どうもその政治的判断の問題だと思いますが、大臣、この機会に、負担分任の原則などというわけのわからぬことを言わずに、英断をもってこの住民税の減税をここでお約束願えますか。
#79
○政府委員(首藤堯君) 税法上におきます負担分任の原則という考え方がいかがかといったようなことにつきましては、いろいろそれは御説もあろうかと思います。税法上、応能原則とか、応益原則とか、こういうことが通常の原則として言われ、その応能、応益のかみ合わせをどう持っていくのかといったようなことが実態論として出てくるかと思うのでございますが、この応能なり応益なりという原則を考えてみました場合におきましても、地方自治という前提に立ちました場合に、この地方自治に与えられております最も基幹的な税目としての住民税、これを考えてみました場合には、やはり住民自体が地方自治を支えておるという観点から考えてみました場合に、応能、応益等の原則がいろいろございますけれども、必ずしも応能原則のみ――国の所得税におきまして強く考えられておりますのは応能原則が強うございますが、そういった応能原則にウェートを置くという考え方でなしに、もう少し広く負担能力に応じてなるたけ多くの住民が自治を支えるという観点で地域の費用を負担をするという原則があっていいのではないだろうか、まあ私どもそう考えておるのでございまして、これがいわば負担分任の思想ということかと思います。地方自治を考えます場合にそういうことを考えていいのではないかと私ども考えておる次第でございます。
 ただ、何度も申し上げますように、住民税の課税最低限というもののあり方が、最低生活費に食い込むといったように低いものであってならないことはもうもちろんでございますので、今後ともできるだけ課税最低限は引き上げていきたいということは考えておる次第でございます。
#80
○和田静夫君 よろしいですか、大臣。
#81
○国務大臣(福田一君) 私はとても和田さんほど地方財政の問題を研究していませんから、私の答えが当てはまるかどうかわからない。非常に常識的な考え方として、自治というものは、やっぱりそこに住んでおる人たちが、自分らが負担をして金を出して、そしてこの全体の利益を守っていくんだというたてまえで税を負担しておるというのが、私は地方税の本来の趣旨じゃないかと思います。自分は金も何も出さないんだ、ここに住んでいるんだという、まあそれは能力がないからの場合ですが、そうなっては本当の意味の自治というものはない。百円でも二百円でも出しているから、おれがやっぱりやってるんだというこの感じを出させるにはやっぱり何かこう負担をしておる方が、自治というところの方面からいうと何か素直なような気がするんです。それは、そういう自治という概念を激する方法であるというふうな感じを私は持っております。
 したがって、そういう意味で、まあそうは言っても、いまほど来お話があったように、最低生活に切り込んでくるというようなことであっては、これはまた困りますけども、いろいろのそういう意味での制約はあるかもしれぬが、まあまあできるだけやはり自分も負担をしてそしてこの町を支えているんだという概念がないと、選挙のときだっても、どうせおれは行くだけだから、というようなわけで選挙権なんというものに対するあれもなくなるし、どうも関心がなくなる可能性があるんじゃないかというふうに、私は非常にもうこれは素朴に物を言って恐縮なんですが、そういう気がいたしますので、急にこれをやめてしまうというような方向がいいのかどうか。もう少し、そういう金の問題ではなくて、本当にその地域というものに住んでいる、その地域に住んでいる人としての自治概念というようなものをがもっと高まってくるような工夫があると私はいいと思うんですが、どうもまだいまのところ、大体日本はある意味でそういう意識はあんまり高い方ではないような気が私はいたしますので、急に改めるということもいかがなものであろうかと考えておるわけで、大体漸進的にこの問題を考えていくべきではないだろうかというのが私のいまの考え方でございます。
 大変どうもあなたの御質問に十分に当てはまらないようで申しわけないんですが、御理解を賜りたいと思います。
#82
○和田静夫君 個人事業税――時間がなくなってきましたから基本的なことを抜きにして――もともとこの二重課税であるという批判が非常に強い。で、実際問題としては、個人事業に社会的費用を負担させる根拠というのは現実の姿としてはとらえにくい。また、税収としてもそう大きなものではもうなくなってきていますね。法人形態をとる小企業とのバランスの問題が当然ありますが、私は個人事業税はいずれ段階的に廃止に踏み切る方向で検討されるべきだと思いますが、個人事業税を廃止して、所得税の低所得部分を地方税に移譲するというような方向の検討はされませんか。
#83
○政府委員(首藤堯君) これはなかなかむずかしい問題でございますが、現在、税制の基本的な考え方といたしましては、事業に対します課税として、いわゆる所得に対してかけられます住民税関係と、それからその事業が当該地域において活動いたしておりますその受益関係に着目をいたしまして、まあ物税というかっこうで、当該地域において事業活動をいたしますための一つのコストとして負担をすべきものだという思想で事業税というものがあるのは、先生御案内のとおりでございます。もっとも、その事業税でも、所得課税の幅が非常に大きいので云々という問題はあるわけでございますが、もともと事業税はそのような性格の物税として考えられておるわけでございます。
 そうだといたしますれば、事業に法人関係の事業と個人関係の事業がありますことは、これは否めないことでありまして、事業活動のコストとして地域における受益者負担としての負担をしていただくという面においては、個人といえども、やはり事業税を廃止をしてしまうということは法人事業税との関連から考えてもいかがなものかと思うわけでございます。ただ、御指摘のように、個人事業税の場合には課税の金額も少なくなっておりますし、また最近は、事業主控除の額を大変大幅に引き上げてまいりましたので、納税義務者の数も著しく減ってきております。全事業者の一割程度そこそこまでしか納税義務者がございません。そういう実態がございますので、そこに対します課税をできるだけ軽減をしていくといったようなことは、これは将来とも考えるべきかと思いますが、一度にこれを廃止をするという点につきましては、法人事業税との関連もございまして、軽々には踏み切り得ないのではなかろうかと、私はそのように考えておるのでございます。
#84
○和田静夫君 現在、電気・ガス事業を除くその他の法人事業に対する法人事業税というのは、所得を課税標準としていますね。これは自治体の提供するところの有形無形のさまざまな施設を利用することの対価、それがなかったならば法人の活動自体あり得ない、よって公共サービスを受ける対価として法人に費用を負担させるということなんですが、所得を課税標準としていたのでは、法人の活動を正確に把握して公共サービスに対する対価を相応に負担させるということはできないんじゃないですか。したがって、所得を課税標準とするというのは、法人税率の積み増しみたいなものですから、法人税の申告の際に法人事業税負担を損金に算入するのは、どうも法人税割りとの関係で誤解を受けて適当ではないと思うんですよ。で、法人事業税に原価制を認めるのであったならば、公共サービスの購入に必要な経費としてその額を算定するにふさわしい課税標準を設定するべきなんじゃないでしょうか。もし現行制度をそのままに存続するのであったならば、理念だけが先行している形の損金算入制度というのは廃止した方がよいと実は思うんですがね、いかがです。
#85
○政府委員(首藤堯君) 御指摘の疑問点はごもっともだと思うわけでございます。しかし、先生も御案内のように、事業税そのもののあり方は、あくまでやはりその地域に存在をしますことによってコストとして負担をすべき物税であると、まあこの考え方で存立をし、スタートをし、現存をしておりますことは事実でございまして、その考え方はやはり事業税としては抜くべからざるものであろうと思っておるわけでございます。したがいまして、そのようなコストとしての物税であるという思想に立つ限り、これが法人税課税の場合の損金に算入をされるという制度は、基幹的な考え方として存続を、存置をすべきものであろうと思っております。
 その前に、先生御指摘のように、そうは言いながら大部分の事業が所得課税に実際なっておるではないか、これは御指摘のとおりでございまして、そのこと自身が決して正しいことと私どもも思っていないのでございまして、できる限りこれは外形標準に切りかえていく、あるいは完全な切りかえができないまでも、外形標準を導入をしていくということで、外形としての企業の活動状況をつかまえる課税標準を見つけるべきものだと、まあこのように考えておるのでございます。ただ、歴史的因縁がございまして、かつて、いわゆる付加価値を外形標準にするという法制がとられたこともございましたが、わが国の徴税の現況等からかんがみまして、なかなかその収益のないときの税負担というようなことに問題が集中をいたしまして、現在のような所得課税になって推移をいたしておる経過があるわけでございますが、私どもとしては、やはり所得課税であるとすれば法人住民税との二重課税の問題等も起こるわけでございますので、事業税としてはできる限りこれを外形標準に切りかえるように今後とも努力をすべきものと、それが基本的な問題線ではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。
#86
○和田静夫君 これは論議をすれば尽きないと思うんですけれども、たとえば石油化学なり鉄鋼なり、そういう基礎的な産業、これは金融資本をバックにした強大な資本によって支配されている。また、貿易等による海外資源の購入なども巨大商社資本によって握られている。わが国では、高度経済成長の過程で企業の寡占化、系列化が顕著に進行した。公正な競争条件をつくるための独禁法だってずいぶん生みの悩みを続けてますよね。なかなか思ったような形になっていかない。最近は、そういう三木内閣の姿勢を見ていて、民社党も非常に怒り出してるというような状態になってきてますわね、これは余分なことですが。で、現実の企業の実態が独禁法の改正などというものを許さない状況にいま置かれてるんじゃないだろうか、社会資本の集積の利益をフルに利用しているものは一体だれなんだろうか、そうした問題を実証的に研究することなくては、私は公平な企業税制というのは確立しないと思うんですよ。それには非常な勇断が要ると思いますよ。要ると思うけれども、すぐれた日本の官僚の皆さんですからね――けなすばかりが能じゃなくて、大変私は尊敬もしているんですよ、一面ではね。どうですか、そういうところに一ぺん視点を当てた研究調査の姿勢といいますか、態勢というものをとられたらどうですかね。経済との実態の見合いにおいて、応益的な地方税制との関係というものを調査研究するということが必要だと思うんですよ。これはまあ答弁求めても求めなくてもいいんですが、大臣、やっぱり必要でしょう、これ。
#87
○国務大臣(福田一君) 私はいまのような勉強をすべきときに来ておるんじゃないかと思うんですよ。だから、そのこと自体には私は何も異議はございません。むしろ、こういうような高度成長を続けてきた時代における税制と、これから低成長を続けていく場合の税制のあり方、それから今度は世界の経済の中における日本の企業の位置等々もにらみ合わせながら、いま言われたような実態的な動きがどういうふうに国民経済に影響を与えておるか、あるいは個人の所得に影響しておるかというようなことも一遍ここいらで見直しをするということは、私は高度成長から低成長へと行っている以上は、当然やらなければならない問題の一つである。しかし、基礎的な問題ですね、いまあなたがおっしゃったのは。それを直ちに税金に結びつけるとかなんとかではなしに、それをデータにして、いろんな財政経済の運営のあり方を考える、あるいは税制の問題を考えるという意味で勉強した方がいいということでありますから、私は賛成です。
#88
○和田静夫君 ひとつそういう方向で、大臣、自治省当局に指示をし、指導力を強めてもらいたいと期待をいたします。
 そこで、今回の政府のこの改正案では、法人事業税の税率について標準税率の一・一倍を上限とする制限税率を設けられた。これはどうも研究不足じゃないんだろうかと逆の意味じゃ考えられるのですが、世の中では、東京都が行っている超過課税について自治省がかつて行った行政指導にどうも従わなかった、したがって、この機会にという報復的な措置ではないかというふうに言われているんですがね。都の措置というのは、御存じのとおり標準税率の一・一六六倍という、あれはぼくはきわめて穏当なものだったと思っているんですけどね。それを決定するに当たっても、企業の実情というものを税法の直接の執行者として十分検討して行われました、報告を読む限りでは。法人税収の減収、他の自治体に対する影響というものもそう大きなものではありませんし、法人事業税の原価制にも問題がある。私は今回の措置は自治財政権の著しい侵害であると思っているんですがね。どうしてこういうような改正法案しかお出しになれなかったのか。
#89
○政府委員(首藤堯君) 法人事業税に従前制限税率がなかったものについて制限税率を設けることにいたしたのでございますが、これは一般的に超過課税が行われる場合に、税負担の均衡性の問題等からやはり制限税率があってしかるべきだろうと、こういう判断に基づいたものでございます。
 ところで、これを一・一倍にした理由でございますが、御指摘のように、東京都が去年法人事業税の超過課税を、基本税率一二%から一四%に引き上げるということによって行いました。この東京都の措置がありました後、たとえば神奈川県でありますとか大阪でありますとか兵庫でありますとか、こういったような大県におきまして、やはり法人事業税の超過課税が検討された時期があったわけでございます。その場合に、地方団体の方から、つまり具体的には知事会、市長会等でございますが、これから激しい反応がございました。と申しますのは、法人事業税は、御案内のように企業の損金に算入をされますので、先生も御案内のように、他団体に対します影響が非常にあるわけでございまして、法人税の減収を通じまして地方交付税が減になる、法人住民税が減になる、それから他の団体の法人事業税が減になる、こういうことに相なるわけでございます。そこで、他の地方公共団体が口をそろえて申しますことには、東京とか大阪とかいったようないわゆる大企業をたくさん持っております、つまり分割法人をたくさん持っております団体が超過課税を非常に大幅な状況でそろってなさいます場合には、他の弱小団体に対する影響が非常に強いので、何とかそういう超過課税を慎んでいただくように自治省の方から指導してもらえないだろうか、こういうような話が起こったわけでございます。そこで、私どもといたしましては、超過課税を禁止をするということは、これは地方の財政自主性を尊重する面からとるべき措置ではないと思うわけでございますが、この超過課税の幅のあり方については、やはり他団体への影響を考慮しながら適当なところにおさめていただく、こういう何と申しますか、仲間同士の親切心とでも申しますか、そういったことが必要なのではなかろうかと実は考えたのでございます。御案内のように、一般的に超過課税をやります際の制限税率は、二割増しが相場でありますのは先生御案内のとおりでございますが、他の税目においては二割増しの制限税率をとっておりますが、法人事業税の場合は他団体に及ぼす影響が非常に大きいから、二割増しの半分の一割増しのところでごしんぼう願えないだろうかというのが、私どもがこの法律を設定をいたしました偽らざる真意でございまして、その旨を知事会、市長会からも激しく希望がございましたので、案として考え、これを地方制度調査会、税制調査会等にお諮りをいたしたわけでございます。それが適当であろうという御答申をいただきましたので、今回提出をさしていただいたわけでございます。したがいまして、二割増しで言うことを聞かないから報復でやったといったようなこと等ではないわけでございます。
#90
○和田静夫君 昭和五十一年度はこの固定資産税の対象となる土地等の評価がえの年であります。宅地の評価は時価すなわち正常な取引価格を基準としていますが、投機的要素や現実の土地取引における個別的事情を排除して正常な取引価格を算定するということは、抽象的には理解できても、現実の作業としては容易なことではありませんね。従来どういうような方法で正常価格を求めてこられたのか聞いたいんですけれどもね。時間もなくなっていますから、一言で言えば、やっぱり現実の取引価格というものがこの評価額決定の決定的要因になると考えておいていいんですか。
#91
○政府委員(首藤堯君) 現在の土地の固定資産税における評価でございますが、先生御案内のように、実際上の取引価格に比べますればずいぶん低い額に現実に設定をされておるわけでございまして、土地の時価等の判定におきましては、必ずしも現実の取引価格そのものということではむしろないと考えております。今回五十一年に評価がえが行われるわけでございますが、最近は地価は一応鎮静化の傾向も示しておるような状況でございますので、五十一年度の評価がえにおきましては、こういった状況をよく考えながら、現行の評価額に比べましてそう極端な変動にならないように、各種の要素を加味しながら地方団体を指導していきたいと、こう考えておるのであります。
#92
○和田静夫君 昭和四十八年度の評価がえというのは、四十八年一月一日現在の状況を基礎に評価されたものですね。そのときには、資料などの関係で、四十七年から四十八年にかけての土地の大幅な値上がりというのは四十八年の評価に余り反映されていないでしょう。
#93
○政府委員(首藤堯君) 四十八年度の評価、それの前の評価の際には、過去における評価額を基礎にいたしまして、その後の地価の変動状況等を勘案をして評価をいたしたわけでございますが、したがいまして、四十八年度以降急に増高したといったような地価の変動状況はもちろん加味をされておりません。しかし、最近の状況を見てみますと、四十八年度以降の地価の動向でございますが、最近は非常に鎮静化をしてまいっておりますので、四十八年度の評価額に比べて、かつてやりましたような、そう高い評価倍率になってあらわれてくるといったような事態は避け得るのではなかろうかと現在考えておるのでありまして、いろいろ検討をいたしておる次第でございます。
#94
○和田静夫君 ああそうですか。この自治省が行っている正常な取引価格の求め方で考えてみますと、現実の取引価格が決定的な要因になるんですからね。いままでどおりのやり方だと、その評価がえをやれば宅地の評価額は大幅に上がるんじゃないんですか。それは上がらないと見ておっていいんですか。
#95
○説明員(川俣芳郎君) 現在、土地の評価につきましては、ただいま御指摘のように売買実例価額を基礎といたしまして評価をいたすことになっておりますが、正常な地価を算出いたします際には、売買実例価額から不正常要素、売り急ぎ、買い急ぎ等の不正常要素を除去するということに相なっております。で、ここ十数年来地価が非常に高騰してまいりましたような関係もございまして、実際の土地に係ります固定資産税の評価のレベルは、時価に比しましてはかなり低いものになっております。たとえて申しますと、四十八年度の場合でございますけれども、地価公示地点につきまして、固定資産税の評価額と比較いたしますと、約四割程度のレベルでございます。
 で、先ほどから局長が申し上げておりますように、五十一年度に評価がえをいたしますけれども、そういう水準を前提にいたしまして、その後の地価の上昇傾向、特に四十八年の後半からは鎮静化の傾向が著しいわけでございますけれども、そういった状況を踏まえながら評価がえをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#96
○和田静夫君 いわゆる異常な土地の騰貴だとか、あるいはインフレで利得を得たというような者ですね、そういうインフレの波に乗って利益を得た者、そういう者についてはそれ相応の税負担をさせるべきだと思いますが、したがって一般的には、土地の評価というのは現実の取引価格に近づけて、そして大企業等にはそれ相応の固定資産税を負担させてよいのじゃないだろうか。しかし、住宅等の用途に向けられた土地については、これはインフレのツケを固定資産税負担の増という形で一般の居住者に負担させるというのは非常に不合理ですね。これは不合理であると確認をしておいていいですね。それから、そういう事態はいまの一連の答弁の中では起こり得ないと、十分勘案をするということ。
 で、現在住宅用地については評価額の二分の一、それから小規模住宅用地については四分の一の特例が設けちれていますがね。この評価額が上がればいずれにしても住民負担が著しく増す。で、一般の住宅の用地は四十七年当時の土地の評価を基礎にして、そして固定資産税負担を凍結をすべきだと考えるのですがね。前者、後者二つの質問ですが、そういうふうに理解しておいてよろしいですか。
#97
○政府委員(首藤堯君) 土地の評価のあり方でございますが、まあ工場用地でありますとか住宅用地でありますとかの使用目的によりまして評価額の評価のやり方を変えていくということは、やはり保有課税という面からは適当でなかろうと思うわけでございます。ただ、住宅用地につきましては、御指摘のようにそう高額の負担を求めるということは適当でないと私どもも考えておるのでございまして、そのゆえにこそ住宅用地は一般的に二分の一に課税標準の特例を設け、最低限度必要な六十坪未満の小規模住宅用地についてはさらにそれを半分にして四分の一にするという特例措置をとって、その面で調整をいたしておるわけでございます。
 なお、今後の五十一年度の評価がえにおきましても、最近の地価の全般的な鎮静の状況等を勘案いたしますれば、そう極端な値上がり評価ということでもって負担が急増するという事態は避け得るのではなかろうかとわれわれ考えておるのであります。
 それからもつ一点、住宅用地につきましての税負担を昭和四十七年度で据え置いたらどうかという御主張でございますが、これはやはり所得も上がってまいっておりますし、生活費も上がってまいっておるわけでございますが、地方団体の行政需要そのものもやはり増加をするわけでございまして、税収入を一定の時点で固定化をしてしまうということは、やはり財政上の点からも問題があろうかと思います。ただ、極端な倍率でもって激変をするということはできるだけ避けたいと思っておりますのは何回も申し上げておるとおりでございますので、評価がえに伴いまして、また要すれば税負担の調整措置等もかみ合わせまして、評価は三年に一遍でございますので、年度ごとの負担増の調整、こういうこともあわせ考えながら、特に住宅用地に対する負担については適正化を図るように工夫をこらしてまいりたいと、こう考えております。
#98
○和田静夫君 はい、わかりました。
 では最後に、大臣、いまの答弁でいいんですが、言ってみればインフレのツケが個人的な一般の居住者に固定資産税の増という形でかかってこない配慮をされるということですが、大臣、確認をしておいてよろしいですか。
#99
○国務大臣(福田一君) インフレの悪影響がいわゆる個人になるべくかからないようにするという方針には変わりございません。今後もそういうっもりでやってまいりたいと思います。
#100
○委員長(原文兵衛君) 本案に対する午前中の質疑はこの程度とし、午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後一時十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十三分開会
#101
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#102
○上林繁次郎君 何点かお尋ねをしてみたいと思います。
 御承知のように、現在地方自治体が財政硬直化ということで非常にこの点が問題になっておる。そして、地方自治体の財政の危機とも言われておるわけです。そういった問題を踏まえて、今回の地方税法の改正の中に、その解決の一端というか、そういうような考えのもとに盛られたのが一つは事業所税の創設と、こう申し上げられると思います。そこで、この事業所税が設けられたからもうそれでよいというものではない。これからの地方財政に対する住民の需要というものはますます増大していくばかりだろう、こう思います。そこで、今後の問題として、今回はいままで懸案であった事業所税が創設されるという運びになったけれども、そういった今後の問題がまだまだ大きく横たわっているわけです。そういう中で今後、言うならば新税ということになりますかな、そういったものについて自治省としてはどのようなことを考えておられるか、この点からまずお話し願いたいと思います。
#103
○政府委員(首藤堯君) 御指摘をいただきましたように、地方財政の状況を見ますと、やはり何と申しましても、最も枢要な自主財源である税収入、これの確保、増額を図っていくことが望ましいという点は全く同感でございます。特にその中でも、従前のいきさつにかんがみまして、市町村の税源をなるたけ充実をすべきである、こういう使命感を私ども持っておりまして、御案内のように、去年は法人住民税の引き上げをやりました。ことしは、ただいま御指摘をいただきましたように、事業所税の新設と、いずれも都市的税源の充実という方向に沿うものとして努力をしてまいった次第でございます。
 なお、今後の問題でございますが、やはり依然として総体的に地方税源が乏しいということは事実だと思いますので、あらゆる機会をつかまえて地方税源の充実に努力をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。具体的には、国と地方との事務配分の見直しに伴います税源配分の見直しという問題もあろうかと思います。この点につきましては、地方制度調査会等の御検討も煩わせておりますので、そういった線に従って今後努力をいたしたいと思いますが、もう一点は、やはり国、地方を通じまして、現在の国民分配所得に対しましてほほ二〇%という租税負担のあり方が適当であるかどうかという問題もあろうかと思います。最近のように福祉を中心といたします行政需要が国、地方を通じて増加をしてまいりますと、諸外国の例に照らしても、二〇%という国民の租税負担率のままで将来の財政需要が賄えていけるかどうかという問題が、他の関連のたくさんの問題ございましょうけれども、やはり検討に値すべき問題ではなかろうか。
 そういう場合に、もし税負担の増を求めざるを得ないということになりました場合、どこの方面にその負担の増を求めていくのか。たとえて申しますならば、現在諸外国に比べて弱いと言われております間接税のあり方、これをどう考えていくかといった問題もあろうかと思いますし、なお法人に対します課税のあり方をもう少し強化をできないかといったような問題もあろうかと思います。そのような国、地方を通じましての税源増強の一連の動きも今後日程に上ってこようかと思いますので、そういった機会をつかまえても、なるたけ地方税源にその配分が多くなりますよう、各方面にわたって検討を続けてまいりたい、全般的にはこういう気持ちでおるわけでございます。
#104
○上林繁次郎君 そこで、昨年の十二月だったですかね、千葉県の例等が出てきたわけですが、そういった話が出てきている中で、われわれからすれば非常に手っ取り早い問題ではないか、こんなような感じを持っているわけです。そこで、法人事業税に対するいままでの利益額課税、これをいわゆる売上額課税に変えるべきではないかという、こんな考え方も出てきているわけで、私は話が出てきていると同時に、余り矛盾も感じない、当然そうあるべきではないかというような感じもするわけですけれども、こういった問題について、これらについてどのような考え方を持っておられるか、この点ひとつお聞かせ願いたい。
#105
○政府委員(首藤堯君) 千葉県におきまして、石油企業を中心にいたします法人事業税の問題について、売上額を課税標準とする外形標準課税のやり方について検討を始められたのは先生御指摘のとおりでございます。私どももその検討そのものはきわめて有意義な検討であると、こう思いまして、なお検討を続行をしていただくようにお願いをしておるところでございます。
 この問題はいろいろ基本的な問題がございますが、何よりも法人事業税のあり方が物税という基本的性格を持っておりますので、できる限り外形標準による課税に移行することが望ましいという本質論から見ても、そのような検討をすることは意義のあることだと考えております。これが一点でございます。
 それから第二点は、いま先生御指摘の税収入を増加さすかどうかという問題でございますが、これは考えようによりましては、景気の非常によろしいときで企業の所得がどんどん伸びますときには、収入額という面だけから見れば、所得課税をしておった方が税収が比較的にはふえていく。いまのように景気が悪くなってまいりますと、所得額よりは外形標準になった方が収入額がふえると、こういったような相対的な議論があろうかと思うわけでございます。しかし、いずれにいたしましても事業税をその本来の性質である外形標準課税に引き戻していくということについては、私どもも積極的に検討いたしたいと思っておる次第であります。
 千葉県が検討されたわけでございますが、難点は、千葉県だけでおやりをいただきますときには、やはり県内における石油企業の売上額をどうやって捕捉をするかとか、それからこういった企業が、千葉県だけではございませんで、他の府県にも分工場を持っておりましたり、いわゆる出先を持っておりますものですから、その取り扱いが不均衡になることについてどういう方策があるのかとか、こういったむずかしい問題がいろいろありますので、石油企業なら石油企業を持っておられますそのほかの府県とも共同をいたしまして、そういったいろいろな難点についての問題解明に努めていただきたい。われわれもまた、そういった検討の過程において十分参画もさしていただき、また意見も述べさしていただいて、成案を得るならば税制調査会等に提案をして、また御審議を煩わしたいとこのようにわれわれとしては前向きに考えておる次第でございます。
#106
○上林繁次郎君 もうおわかりと思いますけれど、具体的な例を申し上げたいと思いますが、石油精製業、これはいま千葉の話が出ました、私からも出しました。そこで千葉の場合は、今回ほとんど欠損法人ということです。欠損法人ということになりますと、これは全く地方自治体に納める金はゼロに等しいと言っていいと思いますね。しかも、内容はどうだと言えば、相当大きな規模を擁して、そして従業員もたくさんおる、何百人と抱えておる。それらの給料も賄う、実際に現実の問題として、そういったことがなされているわけです。それはまだ可能なわけです。ということは、相当なそれにかかる経費というものは必要になってくるわけでして、それを賄うことができる。にもかかわらず、いわゆる欠損法人ということで地方自治体に入る金はゼロに等しいという、これはどう考えても矛盾と言わざるを得ないと思うんですよね。
 そこで、やはりこれは千葉の例だけでなくて、経済の安定成長、不況下、こういう中でやはりそれだけを考えれば、地方自治体に入ってくるその金というものはいままでよりも落ち込むであろうということだけは間違いない。と同時に、欠損法人が多けりゃ多いほどこれは入ってこないということになりますから、そこには全然もう課税されないんだと、こういうような状態、これは私はその辺に非常に矛盾があるんではないかという感じがしてならないわけです。そういった問題を踏まえて、自治省としてはよく考えるべきではないか、こう思うわけですが、その辺をどういうふうにとらえておられるのか、これひとつお聞かせ願いたいと思います。
#107
○政府委員(首藤堯君) 全く御指摘のとおりだと私ども考えておるわけであります。事業税が本来物税であるにかかわらず、所得を課税標準にいたしておりますために、赤字である場合には事業税の負担がないということは、全般的な事業税の性格から見て適当なことではない、このように私どもも考えておりますので、なるたけ外形標準の課税に移るべきである、そういった方向でいろいろ検討いたしたいと、こう思っておるわけであります。
 ただ、先ほど申し上げましたのは、税収の総額のみの多寡だけを論じますならば、場合によっては景気のいいときは――石油だけじゃございませんが、全業種を通じて考えたときには、景気のいいときには所得課税の方がむしろよけい税収が取れると、こういう傾向もあるのであります。そのことだけを申し上げたのでありますが、税収の多い少ないだけの論理にかかわりませず、やはり事業税としては物税としての本旨を貫くように努力をしていくべきである、こう考えておるのであります。
#108
○上林繁次郎君 次に、午前中の審議で話が出ましたけれども、今回長年の懸案であった事業所税が創設されると、こういうことですが、あえてこのことを聞かなくてもいいということでありますけれども、一応創設される意義といいますか、についてまずお答え願いたい。
#109
○政府委員(首藤堯君) 最近、地方団体、特に都市におきまして、都市的な需要が非常に増高してまいっておりますが、なかんずく人口や企業が非常に集中をいたしました都市においては、その人口や企業の集中に伴いまして都市機能が逼塞をする、その結果としてどうしても都市環境の改善というための大きな財政需要をしょい込む、こういう実態がありますのは御案内のとおりでございます。そこで、このような都市環境整備の事業を行いますための目的財源を、やはりその都市における集中の利益を受けておる、あるいは都市の環境整備を必要にさせた原因者である、そういった観点から、集中をいたしております企業に求めていくということが妥当なのではなかろうか、こういう考え方が本来的にはあったわけでございまして、そのような観点から、都市の環境整備のための目的財源をその当該地域に所在をする事業所等に求めていこう、目的税源というかっこうで求めていこう、これが本税の創設の趣旨でございます。
#110
○上林繁次郎君 言うならば、大都市財源の充実、それから企業活動が受けた行政サービスの利益の還元、こういう内客を持っているということですね。そこで、自治省の当初案によりますと九百五十億円くらいの税収が見込まれておる、ところが八百十二億円ということ。とということは後退ということですな。こういうふうに後退をしてきた何か理由、原因、なぜこういうふうに後退をしてきたのか。この趣旨から言うならば、私はいわゆるもう少し前向きで、ふえることがあっても減ることはないだろう、こんな感じがするんですよ、目的から言って。それがこういうふうに後退をしてきたという何か特別な理由があったのか、その辺をひとつ聞かしてもらいたい。
#111
○政府委員(首藤堯君) この税はことしは事業所税という名前で提案をさしていただいたわけでございますが、御案内のように、過去三年間ほどいろいろないきさつをたどってまいっておりまして、去年は私どもとしては事務所・事業税というかっこうで税調等に御提案を申し上げましたが、コンセンサスが得られなかったようないきさつがあるわけでございます。その当時から、一応このような税に伴います平年度収入額を八百億から九百億見当、このようなかっこうに踏んでおりましたのは、これは先生も御案内のとおりだと思います。そういう観点からいたしますならば、今回の平年度八百十二億という数字は、決して私ども当初もくろんでおりました規模に比べまして、特に後退をしたということは考えていないのでございます。
 なお、ことしの案の当初の提案の際に、九百億余り、九百四、五十億見当になるのではなかろうかという見込みを立てておったのも、御指摘のとおり事実でございますが、これはあくまで一応の見込みでありましたことと、それからもう一点は、この税の本旨にかんがみまして、たとえば都市計画法十一条に列挙をしてございますような都市施設に関連をいたします各種の事業所等、これについて非課税規定を設けるといったような措置をとりましたことも、若干税収を減額をさせた原因になっておる次第でございます。ただ、全体額として八百億余りの税収というものは、当初から考えておりましたほぼ見込みの規模でございまして、決しておっしゃるように、うんと後退をしたとは私ども考えておりません。
#112
○上林繁次郎君 今回の政府案によりますと、この事業所税というものは一地域に小部分、言うならば小部分、その地域に限られているわけですね。この税が創設をされるというその目的をいまお尋ねしたわけですが、いわゆる大都市財源の充実を図るため――ここには「大都市」とありますわね、それから企業活動が受けた行政サービスの利益の還元、こういう目的からすれば、何も大都市だけが対象になるというものではないだろう。こういういまおっしゃった、この税が創設される意義から言うならばですよ。あるいは大都市ということは五十万以上だということを先ほども話がありましたけれども、まだ二十万でも三十万でも、もうそれこそ人口急増あるいは企業の進出、そういうところが全国的に言って相当あるわけですね。当然そういうところもその対象になってしかるべきではないか。それでなければごく一部だけに限られたものに終わってしまって、地方自治体の財源を強化するという立場からすると、地方自治体というのは何も大都市だけではないんであって、それを大都市と限ったところにまたそれはそれなりの理由があるでしょうけれども、また翻ってわれわれの立場から言えば、何も大都市だけではない。いま構造、いろんな型がもう変わってきているわけですからね、その情勢が。ですから、何も大都市だけが対象になるということはおかしいじゃないか。もっともっと、この法律の上ではっきりこういうものも対象になるんだという範囲を広げるべきであると、こういうふうに思うわけですが、その点をどういうふうにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
#113
○政府委員(首藤堯君) 最初から御議論に出ましたように、本税の趣旨が、人口や企業の集中によりまして引き起こされた都市環境の整備、これを行いますための目的税源を得ると、こういう趣旨でございますので、いずれにしろ、人口や企業が集中をしてそのような事業が著しくたくさん必要になってきておる、その都市が取り得る税源であるということになるわけでございます。
 そこで、そのような都市を何らかの方法で線引きをいたしまして限定をする必要が生ずるわけでございまして、本税の創設を各方面に提案をいたしましたときにも、そのことが激しく議論になったわけでございます。
 そこで、さしあたりの方策といたしまして、いわゆる政令指定市、大都市と言われておりますものは当然これに該当すると思いますし、それに類似をする団体として人口五十万以上の市、これであれば自治法上指定市になる人口要件も備えるわけでございますから、こういったものも入れよう、それから首都圏、近畿圏の既成市街地を持っております地域も入れよう、こういうことで線引きをいたしまして、さしあたりそのような団体に限ってこの税が法定税としては起こし得ると、こういう措置をとったわけでございます。
 先生いま御指摘のように、必ずしも人口五十万にならない市についても、同じような財政需要の事情のあるところがあるではないかという御説については、私も全くよく理解ができるのでございますが、いずれにいたしましても、一応の線引きをする必要があるために、五十万以上という線を引きました。今後の問題といたしまして、その他の市においても全く同様な状況があるということでありますれば、この税の執行の状況等をも勘案をして、今後の対策としていろいろ検討をしてまいりたいと思いますし、もう一点は、必ずしも法定されません都市におきましても、著しく類似の事態で、これに似たような法定外普通税等をお起こしになるというケースがある場合には、これに対してもまたその事態に応じた対応の仕方をしてみたいと、このようなことを考えて、ただいま先生が御指摘になりましたような事態に対処いたしたい、こう考えておる次第であります。
#114
○上林繁次郎君 一つの線引きの基準といいますかね、基準を一応設けなければならぬということで基準は一応設けたと、そしてその上に立って線引きをしたのだと、その考え方はわからないわけじゃないけれども、非常にその線引きそれ自体が大ざっぱだと。だから、私から言わせれば、国のその線引きというのは大ざっぱ、そしてその実態というものをまだ本気になって踏まえていないというふうにしか考えられないわけなんですよ。
 そこで、たとえば指定都市、大阪、名古屋、京都、横浜、神戸、北九州、札幌、川崎、福岡ということですな。それから首都圏、川口、武蔵野、三鷹、こういうことになりますか。それから近畿圏、守口、東大阪、芦屋、西宮、尼崎、こういうふうなところですな。そうしますと、たとえば私は千葉県にいるから千葉県のことを取り上げるというわけじゃありません。御承知のように、たとえばすぐ隣は市川だ、船橋だと。もう非常に人口の流入が多い。あるいはまた京葉工業地帯の一環としてあそこは発展してきているわけですよ。財政的にも非常に逼迫しているということだけは間違いないです。そして、企業も相当な数進出しているわけです。こういったものはすぐ目と鼻の先にあるわけですよ。それが実態なんです。そういうものも当然その最初の線引きの中に、私はこの実態を本当にわかっているならばこれは入れるべきではないか。そういう実態を本当に踏まえてこういった結論が出てきたのかどうかという問題ですね。その辺はどうなんですか。そういったことを全部無視して、とにかく一応線引きするためにはこういったところで出発しようかというような簡単な考え方から起きたことなんですか。どうなんですか、それは。
#115
○政府委員(首藤堯君) 御指摘をいただいておりますお気持ちはよく理解ができるのでございますが、こういった税を新設をいたします際に、先ほど申し上げましたように、やはり人口や企業の集中によって引き起こされた都市環境の逼迫、これに対する整備をやるということ、それから、そこに所在をいたしております事業所等が、集中の利益といったようなものを享受をしており、かつまた、その集中によって都市の財政需要を喚起をしておると、こういったことが税発足の一番基本的なスタートになるわけでございますので、そういった地域をどうやって線引きをするかということ、この点においてコンセンサスを得ますことが、本税ができますかできませんかの一つの岐路を形づくるわけでございます。
 しかも、先生御案内のように、この税は、三年ほど前からわれわれは地方税としての成立を希求をいたしまして、長い間主張をいたしてまいったわけでございますが、同じような立場から、国税におきましても、これはまあ若干追い出し税的なニュアンスを持ちますけれども、国税としての同種の税金もといったようなことも言われたのでございまして、この間、各省との調整も非常に問題になりました。なおかつまた、先ほど申し上げたような新税の本旨に照らしましての審査も、税制調査会等でやかましく議論になったわけでございます。
 そこで、最大公約数と申しますか、何と申しますか、語弊があるかもしれませんが、皆様方のそういった意味でのコンセンサスを得られます第一段階というかっこうで、人口五十万以上ないしは首都圏、近畿圏の既成市街地を持っている都市、これならだれも文句を言うところがないだろう最大公約数的なもの、これをもってまずスタートを設定せざるを得なかった、こういう実態があるわけでございます。
 なお、今後の運用の状況、それから御指摘のように、他の類似の都市においても類似の状況があるということは私どもよくわかっております。そういった事情を踏まえながら、この課税団体の拡張と申しますか、そういった面については今後検討を続けさしていただきたい、こう考えているのであります。
#116
○上林繁次郎君 揚げ足をとるわけじゃないけれども、五十万都市あるいは首都圏であるとか近畿圏であるとか、そういうふうに決めたことについて、これはそういうことなら文句はないだろうというその考え方、これは私、文句があるから言っているのですよ。その対象になったところは文句ないですよ、これは。そう思うのですよ。ところが、いま私が言ってきたように、まだまだそれ以外のところに幾らでも財源を求めている市町村があるわけです。ですから、そういうところから言わせれば、われわれだって対象に入っていいじゃないかと言うのはあたりまえですよ。そういう意味では文句があるということですね、どの辺に文句がないのかわかりませんけれども。これは別に質問じゃありませんけれども、そういうふうに思いますね。
 で、事業所税は、床面積であるとかあるいは従業員の給与の支払い額が課税の対象となっているわけですよ。そこで、どうですか、所得税ならば自然増収なんというようなことが考えられて、だんだんと税収が大きくなるということが考えられるわけですが、この事業所税の場合にはちょっとそういうようなことは考えられないと思うのですよ。たとえば床面積がどんどん大きくなるとかいうようなことはちょっと考えられない。ですから、事業所税が逼迫した地方財源をどのくらい補強できるか。これは最初出発した程度でもうやむを得ないのだというふうに考えているのか。もっと先のことを、この新税はもっともっと大きく伸びていく、この新税によって地方の財源が年を経るに従って増大していくのだというような見通しをつけているのか、その辺はどういうふうにお考えになっているのですか。
#117
○政府委員(首藤堯君) 本税の伸長性についてのお尋ねでございますが、私どもはそれなりに安定した税収入でありますとともに、伸長性を持っておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
 と申しますのは既設の事業所分につきましては、人的要素では給与支払い総額、これが課税標準になっておりますので、これは所得の伸びに対応いたしました相応の伸びがあろうかと思います。それから資産割りの方におきましては、なるほど床面積にいたしておりますが、これも時代の推移に応じましてそういった資産の増加というものも期待ができますし、さらにまた、新増設につきましてこればかなり高い税率での税額を設定いたしておりますので、それ相応の伸長率というものは望める、このように私どもは考えております。
 それからなお、この課税標準のとり方でございますが、こういったむずかしい税でございますので、企業の活動状況を外形標準としてあらわすものである、物税的形態をとれるものである、物税的形態に徹底するかっこうのもの、これが一番望ましいという観点と、それからむずかしい税でございますので、非常に単純な形で捕捉しやすいというかっこうのものが望ましい、こういうことから、いろんな課税標準の候補が議論になったわけでございますが、ここは大きく踏み切りまして、給与支払い総額と床面積と、こういう非常に単純化した課税標準をとったいきさつを持っておるわけでございます。
#118
○上林繁次郎君 自治省としては、この新税の進捗状態は今後大いに期待できる、こういうことですね。安定しているということは、ある意味から言えば、さっきもお話をしたのですが、安定しているといえば安定しているかもしれませんけれども、私なんかの考え方では、そんなに進捗はないのじゃないか、こんな感じがするわけです。これはありふれた言い方、考え方かもしれないけれども、いまの経済情勢でこれを考えたときに、本当に新増設なんていうものが可能であるかどうかといったことが考えられるわけですね。したがって、企業が伸びられないということは、これはやっぱり給与にも関係してくるでしょうし、その従業員の人数にも関係してくると思いますよね。ですから、この二つだけですと、やっぱりあなたが言うように、それだけで今後大いに進捗していく、そういう期待が持てるのだという、こういったことは成り立たぬのじゃないかと、こんな感じがしてならないのですよ。これはお答えをしてもらうということではありませんが、そういうような感じを私は持っております。ですから、言うならばやはりその辺のところも、まあいろいろ議論はあっただろうと思いますけれども、一つの意見として、こういう考え方もあるのだということをいま申し上げておるわけでしてね。そういった面もやはり今後十分考えていかなければ大きなそごを来すということになりますので、申し上げるわけでございますがね。
 そこで私は、床面積だとか従業員の給与、こういったものだけが対象ではなくて、たとえば償却資産であるとか資本金、こういったものも課税の対象に入れるという考え方がやはり必要になってくるのじゃないかということ。いま私が申し上げたようなことを踏まえて言うならば、この点をどういうふうにお考えになっているか、お答えを願いたいと思います。
#119
○政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、外形標準で課税標準をつかまえるわけでございますから、いろいろなものが候補になり得るわけでございまして、いま先生御指摘の償却資産、資本金の額、こういったことも一応候補として私どもも持ち出しましたし、また十分議論の対象にいたしたわけでございます。しかしながら、結論的には、先ほど申し上げましたように非常に単純な形に落ちついた、こういうことでございますが、その間のいきさつにはいろいろございます。
 たとえば資本でございますと、ただいま日本の企業では、資本金のあり方と企業の活動状況のバランスが、先生御案内のようにいかにもアンバランスでございまして、ごく小さな資本で大変大きな企業活動をいたしておるものもございます。そういった点から、資本の金額そのものをつかまえるということについてはかなり問題がある。
 それから、償却資産も私ども議論の対象にいたしたわけでございますが、この点につきましては、たとえば最近の償却資産で、リースによって使っております償却資産の扱い方をどうするかといったような細かな技術的な問題から、もう一つ一番決定的なことは、償却資産の評価額を課税標準にするということにいたしますと、ただいまの既存の税制で固定資産税がございますが、固定資産税と全く課税標準が同じものになる。そういたしますと、固定資産税の二重課税になるのではないかというやかましい議論が税制上起こったわけでございまして、これは本税ができるかできないかの岐路に至るまで実は議論がされたわけでございます。二重課税になるような税目を新税として認めるわけにいかぬ、こういうような議論も出たわけでございます。それぞれの要素についていろいろ議論をいたしました結果、物的な要素としては床面積という単純な要素にし、しかも固定資産税と違って、所有者に対する課税ではなくて、それか使用している使用者に対する課税だと、こういう形に切りかえましたことによって物税としての面目を保った、こういういきさつがあるのでございます。
#120
○上林繁次郎君 今度創設される事業所税、これに非課税措置がとられるようになっているわけですね。これはやっぱり公正でなけりゃならぬということは当然のことですね。
 そこで、具体的な例を申し上げてみたいのですけれども、いわゆる不公正であるという具体的な例、これを挙げてみたいのですけれども、ある新聞の報道によりますと、中小企業振興事業団法による中小企業の高度化事業として融資を受けた共同化工場または集団化工場、これは一応非課税対象となっているわけです。しかし、中小企業近代化資金等助成法、この助成法によって高度化事業を行ったものは課税対象となる、これはどういうわけなんだということですな。これは千葉県の例なんかもありますけれども、どっちにしても大筋はそういうことです。これは不公平になりませんか、こういったことは。
#121
○政府委員(首藤堯君) 本税において非課税措置を決定いたします場合に、基準を設けて公平にこれを行うということが最も大切なことであるということで、私どもこの点については大変意を用い、各省とも十分相談をし、かつまた、課税団体になります大都市等の地方公共団体とも何遍も協議を重ねた末、こういった措置を決めさしていただいたのでございますが、もう御案内のように非課税の原則としては、公共法人、公益法人、こういった人的な非課税、それから農業、林業、漁業といったようなもの、それから住居の用に供するもの、こういったように、この税制の目的から当然非課税にすると考えられるもの、それから都市計画法に規定をする都市的な施設で、一般的には市町村がやっておるといったような公共性の高いもの、これを非課税にいたしますとともに、中小企業対策という考え方から、中小企業の共同化等の施設について非課税にすると、こういう方策をとったわけでございます。
 この場合、中小企業対策としての国の援助等に基づきます共同化施設の決定の仕方でございますが、御指摘のように、中小企業振興事業団法の施行がございまして、これは昭和四十二年でございますが、もうかなり昔のことでございますが、それ以降この振興事業団法の取り扱いに一本化をされまして貸付金が行われ、これによってつくられました中小企業団地等のものについては、これは明らかに中小企業対策として取り上げられるべきものだと、このように考えて非課税措置をとったのであります。
 御指摘になっておりますのは、その四十二年以前に中小企業の、振興事業団法の前身と申しますか、そういうかっこうで国の直接貸し等のやり方で、幾つかのやり方が昭和三十年代に行われたものがあるわけでございまして、これについてどう扱うかということであろうかと思うのでございますが、これは中小企業振興事業団に移管をされてからすでにもう八年を経過をいたしておりますので、一応一般的にはその目的を達しているものと考えられましたので、通産省とも相談の結果、非課税の対象からは一応除外をしたのであります。
 ただし、同じく除外をいたしましても、ものによりましては、その以前の国の直接貸しの手法によりましてできたものと、新しい中小事業団法の手法によってできました工場、これが全く同じ工場の一部建て増しであるとか、あるいは同じ団地の中に所属をしておって、全く同じ目的でやられておるとか、こういった具体的な事情もあろうかと思います。こういった実態につきましては、御案内の七百一条の五十七でございますか、これに、地方公共団体に減免のフリーハンドをかなり大幅に与えておりますので、その団体の実態に即しまして、中小企業振興事業団扱いのものと著しく均衡を失する、不公平であると、こう考えられれば、当該団体において減免の措置をとられる、まあこれが適当であろうかと考えておる次第でありまして、そのように地方団体も指導してまいりたい、こう思っておるのであります。
#122
○上林繁次郎君 そうしますと、中小企業振興事業団法による場合には非課税対象、そして中小企業近代化資金、これによるものはそういう差別がつくと。この二つの立場、いわゆる中小企業振興事業団法、それから中小企業近代化資金等助成法、この趣旨はどういうふうに違っているんですか、内容的に。
#123
○政府委員(首藤堯君) 趣旨そのものはもちろん大差はございません。しかし、先生も御案内のように、従前いろんな手法で政府が直貸しをやっておりましたそのような高度化資金関係の手法を、昭和四十二年から中小企業振興事業団法に基づきまして一本化にまとめると、こういうかっこうで四十二年から発足をいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、私ども非課税の規定等を設けます際には、やはり何らかの法的措置等によりまして明確に中小企業の振興対策としてとられたものと、まあこういう格づけと申しますか枠づけと申しますか、法的にはそれをとる必要がございますので、中小企業振興事業団法の貸し付けによる施設については非課税措置をとりますと、まあこういうことを明記をいたしたわけであります。したがいまして、先ほども申し上げたように、全く同じ趣旨で、同じ地域で、その前の手法によって同じようなことがなされてできておるものについては、これは先生おっしゃいますように、具体的にはこれの均衡をとるのが公平だと、こういう事態があろうかと思いますので、そういう場合の判定は地方公共団体に任せると、こういうかっこうで通産省とも十分話し合いをした結果、先ほど申し上げたような措置をとったのでございます。
#124
○上林繁次郎君 まあこれは初めから、そういう場合には後で十分実情を調査した上で何らかの措置をとろうと、こういう言い方ですよ。だけれども、その目的からして内容的にそう変わりはない、だとするならば、これはいろいろな、あらゆる意味を含めて当然これは同等な扱いを受けていいんではないかと、こんな感じがしてならないわけです。これはひとつ大臣、いかがでしょうかね。私はそう思うんですけれども、この点、大臣のお考えをお聞かせ願いたいんです。
#125
○政府委員(首藤堯君) 先生も御案内のように、その四十二年以前にやられました制度は現在は制度としてなくなりまして、中小企業振興事業団法に基づきます制度として一本化をされてきておるわけでございます。そこで、法律としてその非課税規定を押さえますときには、その振興事業団法の規定によってやってるものは非課税ですよと、こう書いておけばよろしいわけでございまして、それ以前の類似の手法によって行われたものは、それぞれの実情に応じて地方団体が具体的な事態の判断を行い得るフリーハンドを与えておりますから、そこで処置をしてください――まあ立法技術になるのかもしれませんが、そのような扱いが妥当であろうというので通産省とも話をつけたと、こういうことでございます。
#126
○上林繁次郎君 午前中の質疑にもありましたけれども、今度基礎控除額、配偶者控除額また扶養控除額がそれぞれ上がりました。これはけさの論議にもあったわけですけれども、昭和四十八年、四十九年の税制調査会の答申にもあるように、この三つを同額にするということがこの税調の答申なわけですよね。それがやはり相変わらずこういうふうに差がついているわけです。で、言うならば、電気税のときには税調が、急激に、それを五%という非課税の境、いわゆる基準ですな、これを三〇%まで上げるということはもう前々から話が出ているわけだけれども、それはやっぱり税調の考え方も踏まえて今回はそうしなかったんだというような話もある。非常に税調を尊重していらっしゃるわけですよ。ですから、その税調を尊重する立場ならば、当然ここでもそれを尊重して同額にすべきではなかったか、こういうふうに思うわけですが、これはどうして差がついたのかという問題ですね。
#127
○政府委員(首藤堯君) 私どもも、税調の答申の趣旨によりまして三控除を同額になるたけ早くしたい、することが望ましいと思っておるわけでございます。しかし、実態的には、なかなか減税額ということに絡みまして困難な問題があるわけでございまして、ことしこの程度の措置をとりましたことによっても、御案内のように初年度で四千四百億という大幅な減収になるわけでございまして、そろえたくともなかなか一挙にはそろえ切れないという実情があるわけでございます。この点は、税調の答申といえどもその点をお認めにはなっていらっしゃるわけでございまして、先生御案内のように、「これらの控除額を一致させることを目途として、控除額の差を逐次縮小していくことが適当であろう」と、こうお書きをいただいておるわけでございまして、地方税の場合、なるたけ一発でいけばこれにこしたことはないんですけれども、一発でいきにくい事情もございますので、なるたけ早く詰めろと、こういう趣旨の答申に相なっておるわけでございます。
 なお、これも御案内のように、今回基礎控除と配偶者控除は初めて両控除をそろえました。そして扶養控除との差も、従前ありました四万円の差から二万円の差まで詰めて、なるたけ早く一緒に並べたいという気持ちがにじみ出ておると申し上げてよろしいんじゃないかと思うんでございますが、全くそのようなつもりで措置をいたしたのでございます。
#128
○上林繁次郎君 そうすると、これが三控除とも同額になるということはもう目前の問題であると。したがって、次に出てくるときには恐らく三控除とも同額になるであろうと、こういうふうに考えてよろしいですか。
#129
○政府委員(首藤堯君) なるたけ早い機会に同額にそろえたいと、こう考えております。
#130
○上林繁次郎君 どうもその、なるたけ早くというやつがくせ者でしてね。
 で、先日の本会議で私お尋ねをしたわけですけれども、住民税の課税最低限、これを、われわれが常々言ってきたことは、所得税の課税最低限に同額にしろ、一日も早くそこまで持っていくべきじゃないかと、こういったことを常々主張してきているわけですね。しかし、なかなかそういかない。今回はまた下がってしまった。せっかく九〇%程度まで、所得税の九割の線まで届いたわけですな。それがまた離れちゃうということなんですが、所得税におけるいわゆる課税最低限、そして住民税の課税最低限、これを一致さしていこうという考え方があるのか。当然これは相違があってしかるべきなんだと、こういうふうに基本的に考えているのか、その辺はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
#131
○政府委員(首藤堯君) 結論的に申し上げますと、私どもは住民税の課税最低限と所得税の課税最低限が一致をしなければならないことはないと、こういうように考えております。その理由は、両税の性格の差が基本的な理由でございまして、所得税の場合は、主として国の財源を得ますという機能のほかに、所得の再配分的な機能も持っておりますので、なるたけ傾斜の激しい累進税率で、高額の所得の人からよりたくさんいただいて所得の再配分をするという機能がございますが、地方税の場合は、応能機能はもちろんございますけれども、それ以上に地方自治を支える地方自治の会費的な基本的な性格ぢ持っておりまして、なるたけ広い階層の人から能力に応じて負担をしていただいて地方自治を盛り立てようと、こういう性格を持っておるものと解しておるわけでございます。したがいまして、住民税の課税最低限は、もちろん最低生活費に食い込んではなりませんけれども、所得税における課税最低限の考え方とは思想を別にして課税最低限のあり方を模索をしていいものだ、したがいまして両者は必ずしも一致をする必要はないものだと、こういう考え方を持っております。
#132
○上林繁次郎君 そうしますと、これは念押しになりますが、われわれは、所得税の課税最低限まで持っていくべきだということを主張してきたわけですよ。いまのお話によりますと、一致さす必要はないんだと。ということは、今後もそういう考え方で一致させませんと、こういうふうにはっきり理解してよろしいんですか。
#133
○政府委員(首藤堯君) 何と申しますか、所得税の課税最低限が、いま必ずしも最低生活費とか基準生活費といったものを基準にして設けられているものでないように私ども聞いておりますので、そういった所得税の課税最低限の現状に照らしますれば恐らく一致をすることばなかろうかと思いますが、まあ、両方とも偶然に考え方が一緒になりまして、偶然の一致といったようなことはそれはあり得るかどうか、これは別問題でございます。
#134
○上林繁次郎君 今度の法案にありますいわゆる電気税の問題ですね、産業電力のあの電気税非課税措置です。これも朝、話が出ましたけれども、この廃止ということについては常々これもやかましく言われてきた問題です。今回の改正では二十四品目が廃止されるということになっているんですが、後からもいろいろとお聞きしてみたいんですけれども、二十四品目にとどまったといういきさつ、これをひとつお話し願いたいと思います。
#135
○政府委員(首藤堯君) 私どもも、当委員会におかれても前々から附帯決議等で御議決をいただいております趣旨等にかんがみましても、産業用電気の非課税の整理ということはぜひともやっていきたいということでいろいろ案も立て、また税制調査会等の御審議をも煩わしたのでございます。
 しかしながら、御承知のように、電気税は電気の消費に対して課する消費税でございますから、一般家庭用の場合には、平均的な使用水準までは免税点というものを設けてこれを非課税にすると。それから、産業用の場合には、原則的にやっぱり原料課税という行き方はできるだけ慎めと、こういう理論的な根拠があるわけでございまして、こういったことは電気税の本質に絡まる一つの問題点であろうかと私どもも了解をしておるのであります。
 ただ、この原料課税を慎むというその基準、程度でございますが、これは、先生御案内のように、現行の基準では、製品コスト中に占めます電気料のウエートが五%以上ある品目、これは電気が原料だと、こういう見方で品目が設定をされておるのでありますが、私どもはこの五%という見方は低過ぎるんじゃないかと。もう少しこの五%という率を上げて非課税品目の整理をしてしかるべきではないか、こういう考え方で、各種の案を持ち出しまして税制調査会等の討論を煩わしたのでございます。その結果、原料課税を慎むという基本的な考え方のもと、電気税の本質にも絡まる問題であるので、この基準の改定ということについてはなお今後とも引き続き検討すべきだと、こういう御答申になりまして、この五%の引き上げについて結論が得られなかった、つまりコンセンサスが得られなかったというのが実態でございました。
 そこで、基本的な改革は今後の問題といたしまして、さしあたりの問題として、現行の基準に基づきましてでき得る限りの品目の整理をやろう、こういう方針を立てまして、通産省とも相談の上、二十四品目を整理をする、あとの問題については今後なおいろいろ問題もございましょうが検討を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#136
○上林繁次郎君 お話はわかりましたけれども、しかし、自治省は昨年の十一月の二十七日、産業優遇税制の洗い直しの一環として、五十年度から非課税措置を大幅に縮小するという方針を固めたはずですよね。これは昨年です。そこで、いまお話があったように、この免税基準五%、これを三〇%以上に引き上げる、そして残りは百二十九品日中十品目くらい、この程度まで削減するのだというようなことであったように思うのですよね。それに比べますと、たとえいろいろな事情があったとしても、二十四品目というその結論は、これはまことに後退という以外にないのじゃないかと思うのですな。この点、どうしてそんなふうに変わっちゃったのか。まあある程度の理由は聞きましたよ。聞いたけれども、それだけ、言うならば非常に自治省は強気だったわけですよ、この問題については。どうですかね。
#137
○政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、私どもとしてはできるだけ大幅にこの非課税品目を整理をいたしたいという考え方のもとで、いろいろな案も提示をしてみたわけでございます。現在の五%を三〇%程度まで引き上げたらどうかという最もきつい案もございましたし、また、五から一〇、一〇から二〇と、このように段階的に分けてそれぞれの取り扱いを別にしたらどうかと、こういったような案も提示をしたことがあるわけでございまして、いろいろ私どもとしてはできるだけの提案をし、努力もいたしてみたのでございますが、先ほど申し上げましたように、税制調査会の審議等の経過におきまして、なお電気税の基本に触れる問題、つまり原料課税の扱いをどうするかという基本的な問題に触れる問題だから、もう少しこれは慎重に検討する必要がある、こういうことで、同意を得ることができません。そこで、やむを得ず現行基準ででき得る限りの二十四品目を整理をする、こういう立場をとらざるを得なかったわけでございます。
#138
○上林繁次郎君 これは質問じゃありませんけれども、税調をひとつ隠れみのにするみたいなことにならぬようにやっていただきたいと思うのですね。もっと前向きに取り組んでもらいたい、こう思います。
 百二十九品目あって二十四品目だから、百五品目あと残るわけですよね。極力それをなくしていくための努力をするということなんですが、見通しとしてはどうなのですか、見通しとしては。
#139
○政府委員(首藤堯君) 今後、なお私どもとしては積極的に税調等にお諮りを申し上げて、御審議を煩わしたいと思っておるわけでございますが、去年あたりの審議の状況等から考えまして、見通しにつきましては現在確たる見通しを申し上げられる段階には立ち至っていないのでございます。
#140
○上林繁次郎君 大臣、ひとつお答えいただきたいのですが、先般大牟田市議会でもって、去る十三日の本会議でもって、電気、ガスの非課税を定めた地方税法、この四百八十九条一、二項の規定は憲法違反だということで国を相手にして行政訴訟を起こすのだと、こういったことが、これは市側の提案ですけれども、これを賛成多数で可決をしたわけですよ。この問題について大臣はどういうふうにお考えになるか、ひとつ大臣のお考えをお聞かせ願いたい。
#141
○国務大臣(福田一君) 法律論を云々するつもりもございませんが、しかし、実際問題として、これ、憲法違反と見るべきかどうかということについては、私たちは同意いたしかねるという立場をとっておるわけでございます。非常に地方財政が苦しいときにこういうような非課税の措置をとられておれば、地方財政に対して非常にマイナスになる。地方自治というものから言えば、そういうことはもうやっていいのじゃないかというような意味で法律論も出しておられるようでありますけれども、私たちとしては、この前も一度申し上げたと思うのでありますけれども、いわゆる憲法の条章並びにそれに基づく地方税法における規定等々を考えてみまして、われわれとしてはちょっとこれを、憲法違反であるからまた自由にやれるんだという立場には賛成いたしかねるというのがわれわれの立場だと思います。
#142
○上林繁次郎君 賛成か反対かという結論をお尋ねをしようとは思っていなかったけれども、これは大牟田は決して革新市長のところではありませんよ、これはね。そこでこういったことが行われたということは、やはりいかに地方財政というものが逼迫しているかということのあらわれです、これは間違いないんじゃないですか。ですから、これはいわゆる問題を限りますが、いままで電気税の非課税分を外せ、こう言ってきていることも、こういった実情というものを踏まえて考えた場合に、当然これはいわゆる賛成、反対という問題じゃなくて、本気になってやはり考えていかなければならない、あらゆるものを乗り越えてやはり自治省はその実現に努力していくという姿勢を貫いていかなければいけない。そのためにはやはり早い機会に結論を出す、こういった姿勢が私は大事ではないか、こう思いますけれども、この点、いかがですか。
#143
○国務大臣(福田一君) お気持ちはわかりますが、一応われわれとしては、今度は政策上の面から見れば、これは消費税だから全部なくしてしまうような形はとれないという考え方をとっておるわけでございまして、順次これを整理していくということについては、これは私たちもむしろ積極的に進めていいのではないかという考え方を持っております、実際は。しかし、何しろ税制調査会などというのは、やはり一つの権威の者が集まっていまして、われわれが言うてもなかなか必ずしもわれわれの言うことには賛意を表してくれておりません。そういうこともありまして、今度はああいうようなわずかの品目にとどまったということは、これはむしろ本当を言うと残念なことだと思っておるわけでありますが、しかし、自治省にしても、どこにしてもそうですが、税制の問題で税制調査会の意向を無視してやるというのは、なかなか現実問題としてむずかしい面がございまして、今後われわれとしてはもっと努力はいたさなければならない、かように考えておるわけでおります。
#144
○上林繁次郎君 そこで産業用の電力、これについての話をいままでやってきたわけですけれども、産業用にはこういう優遇措置が行われているわけですよ。それを逐次なくしていこうという方向に国も変わってきたわけですね、変わってきたわけです。だからそれに対して、いままでわれわれは家庭用の電気、これについては全く非課税にすべきである、こういうことを言ってきたわけです。いわゆる必需品である、こういう立場から言ってきたわけです。ですから、産業用についてもいままで長い間その優遇措置というものを変えようとしない、そういう姿勢を貫いてきたわけだけれども、いまようやくここでもってそういった考え方に変わってきたわけですよね。ですから、当然家庭用の電力についても私は考え方を変える時期が来ている、こういうように思うのです。そこで、当然電気税については、家庭用については廃止すべきである、こう思いますけれども、やはり去年の次元と現在とはまた違ってきているわけですから、その違った時点でこの点どういうふうにお考えになるのか。
#145
○政府委員(首藤堯君) 先ほど申し上げましたように、電気税は電気の消費に対して課す消費税でございますから、当然一般家庭用それから産業用両面にわたるわけでございます。そこで、基本的な考え方としては、一般家庭における使用につきましては、これは生活必需品であることは間違いございませんから、いわゆる免税点というものを設けて、一般家庭における平均的な使用水準、ここまでは税金がかからないようにしようという措置が必要だと思っておりますし、またそのために、御案内のように二千円という免税点を設けまして、現実に全国半分の世帯は電気税がかからないような仕掛けにしていただいておるわけでございます。それから産業用の方は、先ほどから申し上げますように、原料課税になる、これはなるたけ慎むべきだと、こういう原則があり得るわけでありまして、そのことに対してどう考えていくか、われわれはなるたけ整備をしていきたい、こういう方向で進んでおるという実態であるわけであります。これが消費税としての性格から出てくる問題でございます。
 それからもう一つは、電気税でございますが、市町村の税金でございまして、特に市町村でも非常に均てん的な税金でございまして、電気税は、産業用課税の分でございますとこれはもう都市的なところばかりでございますが、一般家庭用等も含めますと、これは一般の町村にまで均てんをしております税収でございます。したがいまして、市町村税収の中でも非常に大きなウエートを占めるとともに、非常に均てん性があるということ、それからもう一つは、電気の消費のあり方が所得のあり方と御案内のように非常にパラレルな相関関係を持っておる、こういうことから考えますと、やはり平均的な使用水準以上の家庭につきましては、電気の消費に応じまして担税力もお持ちである、こういう考え方から、市町村の税源を拠出々していただく、こういうことが妥当ではなかろうかと私ども考えておるわけであります。その意味で、家庭用電気に対する電気税を廃止をするということは考えていないわけでございます。
#146
○上林繁次郎君 それでは今後も家庭用の電気については課税は行っていく、こういうことですね。まあこの問題について、いまの答えがあったことについて反論するということについてはいろんな角度で反論もできるけれども、それを言っても時間がたつばかりですから、堂々めぐりになってしまうような結果に終わりそうなのでそれ以上言いませんけれども、そこで、これは最後の問題になるのですが、地方税の不動産取得税ですね、これの新築住宅用土地の税の減額――これは減額されますね。で、この規定が入れられた趣旨。わかって聞くようなことで申しわけないけれども、ひと
 説明願いたい。
#147
○政府委員(石見隆三君) 先生いまお示しのございましたように、現行の地方税法七十三条の二十四におきまして、不動産取得税につきまして、宅建業法によって免許が与えられておりまして、建物あるいは土地の取引を業といたしておりますいわゆる宅建業者が新築いたしました住宅に係りまする当該用地の取得につきましては、一定の軽減措置を講じておるわけでございますが、この規定が設けられております趣旨と申しますか、その中身としましては、宅建業法によりまして、宅建業者がその業務の適正な運営と宅地あるいは建物の取引の公正を期するという意味で、いろいろな規制が宅建業者にかけられておるわけでございます。こういう面にかんがみまして、地方税法におきましても、良好な宅地供給を促進するという税制からのインセンティブを与えるという意味でこのような規定が設けられておる次第でございます。
#148
○上林繁次郎君 いまおっしゃったことですが、これはやっぱり建築をする立場の人がいるわけですな、その人のために考えられたことですよね、言うならば。そうじゃないですか。そのためにいわゆる減税措置、これがとられるわけでしょう。いわゆる業者のためじゃないんだ、本当から言うならば。だとするならば、特定の業者でなければ減額されないんだ、減税されないんだという行き方というのは私はおかしいだろうと思うのですね。当然、いまあなたが言ったようなことがきちんとなるならば、これはだれから買っても、新しいものであるならば、この法律ができたその趣旨に基づいて当然これは減税してあげるべきである、こう思うんですが、その辺のところがどうもすっきりしないと私は思うんですがな。その点をひとつ見解をはっきりしてください。
#149
○政府委員(石見隆三君) この規定の趣旨は、いま先生お示しがございましたように、宅建業者を優遇するものではございませんで、あくまで土地の取得を税制面から進めていこうという趣旨でありますことはお示しのとおりでございます。ところで、この規定が宅建業者、いわゆる登録を受けました宅建業者から取得されました分につきましてのみ規定を設けている、優遇措置をとっているといいますのは、先ほども申し上げましたように、こういう業者につきましては一定の規制が設けられております。したがいまして、地方税法におきましても、このような規制を受け、登録を受けております業者から供給されますいわゆる良好な住宅供給の促進を図るという見地からの優遇措置として設けられておるところでございまして、お示しにございましたように、宅建業者でなくても、だれから取得しても同じではないか、その辺を同じ扱いにしてはいかがかという御指摘につきましては、いま申し上げましたような、このねらいがそういうような優良な宅地の供給を図るという地方税制面からの優遇措置でございますので、このような法的規制を何ら受けておらない方々から取得した土地につきましてまでこの軽減措置を広げてまいるのは、若干問題があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#150
○上林繁次郎君 意地の悪い質問ですけれども、若干問題があるというのはどういう問題があるのですか。
#151
○政府委員(石見隆三君) この点につきましては、土地といいますものが、非常に通常の場合土地がよく投機の対象になりやすいわけでございます。あるいはまた、土地につきましては、その土地が優良な土地であるかどうかというようなことがわれわれ素人には非常に判定しにくい向きがあるわけでありまして、たとえば一例を申し上げますれば、都市計画街路に乗っかっておるような土地というようなものを知らずに買わされるというふうな場合もあり得るわけでありまして、こういう面から見ますれば、いま申し上げましたように、こういう登録を受け、適正な規制を受けておる業者につきましてのみこの措置を認めるべきではないかというふうに考えておる意味で申し上げた次第でございます。
#152
○上林繁次郎君 ですから、そういうような心配があってこういうふうにしたんだということになる。そこで、その歯どめをかけることができないんですか。たとえば建築許可証であるとか、そういったことでもって、不良建築、不法建築だとかいろいろなことは規制できるはずですよ。そういったものとの絡み合いを自治省はどういうふうに考えているんですか。何のために市役所あたりでそういう業務がなされているのかということになるわけですよ。そういうものを防ぐためじゃないですか。
#153
○政府委員(石見隆三君) この点は前段お答え申し上げましたように、やはり地方税制の面におきましての優遇措置をとろうとするわけでございますので、どこかである一定の線を引きまして、何らかの範囲を定めなければならないわけでございます。お説のように、一般のこういう宅建業者でない方から土地を取得されました場合にも、あるいは宅建業者から取得されました場合とも非常に類似しておるものも場合によりますればあるかと思うのでございます。あるいは場合によりますれば非常に極端な例として、先ほど申し上げましたように、あるいは都市計画街路に乗っかってしまっておるような土地というようなものをつかまされるというふうな事態もまたあり得るわけであります。したがいまして、こういう地方税法におきまして特別な優遇制度を設けます際の一つの手だてといたしまして、いま申し上げましたように、やはり宅建業法の規定により適正な登録を受けあるいは一定官庁からの規制を受けておるという業者から取得されましたものにつきまして措置を設けるのが適当ではないかというふうに考えてこのような措置をとっておる次第でございます。
#154
○上林繁次郎君 これで最後です。
 大臣にお答え願いたいのですが、いま申し上げている問題は、これはやはり住宅が足りない。土地もなかなか手に入らぬ。土地が入らないと住宅が建たない。それを比較的安易にというか、スムーズに国民のために進めるためにできたものだろうと思いますね。だとするならば、買う方の側とすれば何の罪もないわけですよ、どういう土地を買おうがわからないで買ったということは。建てた方が問題なのであって、買う方の側としては何にもわからないわけなんですからね。ですから、そういう立場からすれば、私はどういう状態の立場の人に対しても、新しく購入するといったものについては減税措置をとってしかるべきじゃないか。そのためにこういう悪いやつがいる一いま悪い業者の例を挙げているわけですからね。その悪い業者をもっとばちっとやるだけの措置をとるということが大事なことじゃないか。その辺を私は混同しているというふうに考えるのです。この点いかがですか。
#155
○政府委員(石見隆三君) 繰り返しの御答弁になってまことに恐縮なんでございますが、あくまでこの措置は、冒頭申し上げておりますように、良好な住宅の供給を促進をするという観点から、地方税法におきましてのインセンティブを与えたいということで設けておる趣旨でございますので、だれから譲渡を受けましょうとそれは問わないというような扱いにいたしますことは、前段申し上げましたようにいろんな意味で問題があろうかと思っております。私どもといたしましては、いま申し上げましたような観点から、こういうような一定の法によりまして登録をされ、規制を受けております業者から取得されましたものについてのみ認めるのが適当であろうし、あるいはこういう形での良好な土地の供給促進ということも税制面から促進してまいりたいという観点から設けておる趣旨でございまして、直ちにこれを全部に広げるということにつきましては問題があるのではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
#156
○国務大臣(福田一君) 上林さんのおっしゃる気持ちもよくわかるわけなんですけれども、実際にその場合にどんなものでもということにいたしますというと、業者がつくったやつを転売――買って、またそれを買ってというようなときのいろいろなまた悪意のものが入ったりいたしました場合等々も、識別するのに非常に困難ではないかという問題も一部あるようでございます。しかし、私は個人にできるだけ住宅を持たしてやりたいということではできるだけの優遇の措置を講じてやって、何かそういうことで優遇措置が阻害されるようなことはあまり好ましいことではない。何か工夫はないものかという気はいたします。これはまたひとつ勉強さしてもらいたい。とにかくどんな小さな家でもわが家を持ちたいというのはこれはもうみんなの偽らざる気持ちですから、それはできるだけ達成するようにして、そしてまた一面においては悪い業者あるいは悪い転売をするとか、そういうことを業にしておるような者に利用されないような何か工夫がないかということをもっと研究してはいかがかとこう思っております。
#157
○上林繁次郎君 そういうふうに言っていただければ結構です。
#158
○神谷信之助君 先ほど大臣の提案理由の説明の中で、住民負担の軽減合理化を図るということをおっしゃって、具体的に住民税の点で課税最低額を四十九年が百一万円、これを五十年度百二十一万円に引き上げるということを述べられておりますけれども、これで五十年度の所得割りの納税者数はどれくらいになる見込みか、お答えをいただきたい。
#159
○政府委員(首藤堯君) 五十年度の所得割りの納税義務者数でございますが、現在の推計では三千四百三十万余りではなかろうかと思っております。四十九年が三千四百六十万人余りでございましたので、ほぼ横ばい、若干の減かなという感じでございます。
#160
○神谷信之助君 次に、五十年度の四十九年度当初見込みに対する自然増収額ですが、これは道府県民税の自然増収額は三千二百十一億円、それに対して今回の改正による減税額は千五百七十四億円。市町村民税の方は、自然増分が五千九百億円、減税分が二千八百三十二億円。だから、減税分を自然増の方が上回っておるという状況であるわけです。納税者は横ばいで、しかも税収の方はふえるという状況になっていますが、これでは減税というよりも増税になっているのではないかと思いますが、この点いかがですか。
#161
○政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、五十年度の現行税制によります自然増見込みは九千百億円余りでありまして、これに対して四千四百億の減税をいたしますので、四八%余り、約半分のところを自然増収を減税に持ち出した、こういうかっこうになるわけでございます。これは去年の減税が千七百七十三億でございましたが、三〇%足らずの率でございましたので、減税の幅としては従前にない非常に大きなものだと考えております。なお、実額でございますが、これは各人の所得がその分だけ上がってまいりますので、これは税収額そのものとしては実額の伸び、これはどうせ出てくるわけでございます。また実額の伸びがございませんと、財政需要も当然伸びてくるわけでございますから、それに対応できないわけでございまして、私どもとしては自然増収の半分近くを取り壊して住民税の減税に充てた、こういうように考えておる次第でございます。
#162
○神谷信之助君 住民税の方は、大体自然増と減税額というものを比較をしてみますと、自然増の大きさに対して減税額というのは常に少ないわけですね。これで昭和三十五年から四十年の五年間で見ましても、自然増は千七百七十三億円、減税の方は二百四億円、それから四十一年から四十五年の五年間の累計を見ましても、自然増は四千二百八十三億円に対して減税額は五百二十六億円、そういう状況です。これは住民税は、インフレなどによって国民の所得の絶対額がおっしゃるように増大をすると、税率構造が累進をとっていますから、それだけに税負担が絶対額の面でも大きくなってくるというのは当然だと思うんですね。だから、実際に本当に減税をするということになると、それ以上、そういう度合いに応じて思い切った減税を行わない限り、負担増になっていくというのは当然ではないかという点が一つ考えられる。特に先ほどからお話しになっていますが、所得税の控除最低額と住民税の控除最低額というのは住民税の方が低いわけですから、低所得者層に対する税負担という部分がそれだけ広いわけですね。こういう点を考えると、大分問題があるというように思うんです。したがって、そういう点から国民所得の向上とインフレの進行、それに見合ったところの税率の緩和、あるいは課税最低限の引き上げ、こういうのを考える必要があるんじゃないかというように思いますが、この点はいかがですか。
#163
○政府委員(首藤堯君) 御説のとおりでございまして、インフレ等によります物価の値上がりの状況でございますとか、それに伴いますいわゆる最低生活費ないしは基準生計費とでも申しましょうか、こういったものの上昇状況だとか、そういったことを勘案をいたしまして、課税最低限の設定等を行って、少なくとも最低生活費に住民税の課税といえども食い込まない、こういうていの課税最低限の設定はぜひいたしていきたい。その付近は考慮をいたしながら課税最低限の設定をさせていただいておるわけでございます。
 なお、所得税との差につきましては、先ほどから申し上げておりますように、住民税がその性格としてできるだけ負担能力のある方には広く、なるたけ広く能力に応じて負担をしていただく、このことによって自治に直接参加をしていただく、こういう性質の税であるという観点から、所得税よりは広い階層に所得割りの負担を求めておる、これは事実でございます。
#164
○神谷信之助君 そういう論理からいきますと、できるだけ自治に参加をしてもらう、いわゆる会費的な意味だからという論理からいくと、いわゆる所得税と住民税との最低課税制限の額ですね、課税最低限。これはますます広げていくということになるわけでしょう。現実に昨年の所得税が百五十万に対しして、住民税は百一万、ことしは、今度は百八十万に対して百二十一万というように、その差は四十九万円から五十九万円に十万円も開いてきていますわね。そういう意味も含まれてこの課税最低限の差は開いてきているわけですか。
#165
○政府委員(首藤堯君) 二つほど問題があるかと思いますが、一つは毎度議論になるわけでございますけれども、国税の所得税と住民税の課税の場合の課税最低限の比較の場合に、御案内のように、住民税は前年所得に対する課税をとっておりますので、今回の百二十一万余りという課税最低限を国税の所得税と比較をいたします場合には、四十九年度の百五十万何がしの課税最低限と比較をしていただく必要があろうと、こういうことが一つ問題点であるわけでございます。
 それからもう一点は、両者の税の性格から課税最低限の違いということを当然前提にしておるのなら、今後ともますますこの差が開くのかどうかという御設問でございますが、これは国税の方の課税最低限のあり方、この程度が必ずしもいわゆる最低生活費という線に引かれておるわけではございませんで、先生御案内のように、かなりそれよりは上回った金額になっており、世界各国に比べましても、課税最低限のあり方はむしろ日本が一番高い状況になっておるわけでございます。この所得税のあり方とも相関的な関係を持つものであろうと考えております。私どもといたしましては、住民税の課税最低限は決して最低生活費に食い込むようなことがあってはならぬ、こういう考え方は持っておりますので、所得税のあり方いかんによってはその差が開くこともあり、また縮まることもあり得るのではないかと、このように考えておる次第でございます。
#166
○神谷信之助君 住民税は前年度課税、前年度に対する課税だからという話ですが、仮にそうして考えてみても、昨年の百五十万と、そしてことしの百二十一万円と比較をしても、二十九万円の開きということになります。ここに一つ、所得税以上に住民税が大衆課税的様相、性格を示しているというように思うのですが、もともとこういう状況になってきたというのは、昭和三十六年以来ですね。いわゆる所得税額に税率を掛ける方式をとっていたのを、三十七年から現在の状況に変わったと。ですから、それまではそういう乖離というのはなかったけれども、三十七年以降現在のような課税最低限の乖離が始まったというように思うのですが、そういうことでいいですか。
#167
○政府委員(石見隆三君) 従来の住民税の課税方式といたしましては、先生御案内のとおり、五つの課税方式があったわけであります。で、一番税負担が重くなりますものとしましては、所得金額から基礎控除のみを引いたものに直ちに税率を掛けるという方式が一番重い税額としてあらわれてきたわけであります。一番軽いと申しますか、簡便な方法としましては、所得税額に一定割合を掛けるという、いわゆるオプション1方式があったわけであります。これは昭和三十七年に五つの方式を二つに変えられたわけであります。その際、本文方式、ただし書き方式という二つの方式があったわけであります。御承知のように、昭和三十九年の改正におきましてただいまのような課税方式が一本化されたわけでございます。
#168
○神谷信之助君 ちょうどいまの、現行の方向に三十六、七年からずっと変化をしてきたわけですね。それはちょうどいわゆる高度成長政策を進めていく過程と時期は一緒になっておるわけです。これはこの間予算委員会のときに電気税の非課税措置の問題で論議をしたときも、ちょうどあれも五%条項を決めて、そして大企業に対する減免、非課税措置をとると。大企業だけと言ったらまたなんですけれども、いわゆるいまの非課税措置がとられてきておる。こういった経過とちょうど合致をしているわけですよね。ですから、この点が一つ私は問題だというように思うのです。
 さらに所得税との比較をしてみますと、給与所得者の住民税の所得税に対する割合、これを見てみますと、たとえば年収五十万円の独身者の場合ですね、所得税に対する住民税の比率を見ますと、三十五年は二九・八%です。四十年になりますと五九・三%になり、四十五年には六二・六%というようになっている。ですから、所得税に対して住民税の比率がどんどん高くなってきています。それから年収百五十万の夫婦子供三人、この場合は三十五年が二八・七%、四十年になりますと四二%、四十五年は七八・二%になる。ところが、年収一千万円の同じく夫婦子供三人の場合を見ますと、三十五年は二八%です。四十年は二八・五%、四十五年は三五・二%という状況になっています。これ、所得税と住民税との比較ですね、所得税を分母にして。こういう状況です。ですから、三十五年当時の比較をしますと、所得階層による差というのは非常に小さい。ところが、四十五年になりますと所得階層による差がうんと大きくなってきている。これは低所得者に対する住民税の重圧が非常に重くなってきている、不公正になってきている一つの指標にもなるんじゃないかと思うんです。この点ですね、これは大臣もひとつ考えていただきたいと思いますが、不公正の是正を唱えている三木内閣として、ずっといまの所得税と住民税との比較をとってみますと、そういう所得階層における差、特に低所得者に対する重圧というものがこのように大きくなってきているというように思うんですが、この辺についての御見解を聞きたい。
#169
○政府委員(首藤堯君) 所得税と住民税を対比していただきますと、ただいま御指摘になりましたとおりの事態があろうかと思います。しかし、このことは国民として考えてみました場合には、所得に対する課税を所得税と住民税とを合わせましてどのような状況で負担をするのか、この所得に対する課税の率として、負担率としては両方合わせたものとして観念をしていただく。その所得に対します所得課税を国と地方がどう分配をしておるかという問題になるのではなかろうかと思うわけでございます。その一例といたしましては、先ほど三十七年からの御指摘がございましたが、かつて所得税を一部地方住民税に移譲していただくというような地方財源増強措置をとったこともあるわけでございまして、そういう観点から見れば、個人個人で考えました場合の所得税に対する住民税の比率が高まってくる、こういうことは税源移譲ということによっても起こり得ることでございます。
 それからもう一つは、低所得者におきますほど所得税よりも住民税の負担が割り重だと申しますか、この事態は、先ほど御指摘がございましたように、住民税がなるたけ広くの階層に負担をしていただくという観点からあり得るわけでございますし、それから高額所得者につきましては、所得税の方が非常に高率の累進税率を持っておりますので、これは当然所得税として納てめいただく方の税額がふえると、こういうことになるのではなかろうかと思います。
 これを総じまして国民の所得課税、これを国と地方でどう分けるかという配分の問題ともつながろうかとも思うわけでございますが、一説にはなるたけ地方の住民税の方は低い所得と申しますか、幅の広い階層からわりにフラットに税収をちょうだいして、国税の方はごく限られた一部の高額所得者からうんと累進税率の高い税で所得税を取得をすべきである、こういう考え方の説もあるほどでございまして、所得税と住民税との比率が御指摘のようなかっこうになっておりますこと自身をもって、何と申しますか、総合的に低額所得者に税金が高いということにはならないのではなかろうかと観念をいたしております。
#170
○神谷信之助君 おっしゃる意味は、先ほども論議になっておった負担分任の原則ですね、という立場からそうおっしゃるんだと思うんです。しかし問題は、なんでしょう、いわゆる低所得者層が非常にやっぱり大きい割合を占めているという状況のところに問題がある。これは先ほどの話で言いますと、課税最低限を引き上げればうんと税収が減っちゃうというような町村もできるんだという話です。これは私は、それは国の産業政策の結果の問題であって、それとの関連で考えなければ農村が疲弊をし、破壊をされていくと、だから、全体としては課税最低限を引き上げることができないということでは、これは税の理論から言ってもおかしくなってくるし、逆に言えば、そういう課税最低限を引き上げていっても、農村であろうとそういうところでも、どんどんと納税をする人たちがなくならない、担税能力を持つそういう住民がどんどんと生まれてくる、そういう状態を目指していかなきゃならぬ問題で、それは政策上の問題と関連をして私はこの税制は考えなきゃならぬ問題だと、こういうように思うんですがね。
 そこでもう一つは、個人の住民税の状況を見ますと、大体私が言いましたような状況になってくるわけですね、どうしても。しかし一方、法人の方の住民税の税負担ですが、これは逆の現象が起こっているんじゃないかと思うんです。先ほど言いましたように、所得税と住民税とを比較をしましたが、それと同じように、法人所得に対する法人税と法人住民税の負担の割合を見ますと、三十五年は四三・三%、四十年は三八・八%、四十四年は三五%とだんだん低くなってきているんですね。法人に対しては、個人の場合の状況とは逆に実質減税になってきている、そういう状況があらわれております。
 しかも、その中身をさらに細かく分析をしますと、道府県税の全収入を一〇〇とした場合、個人の住民税――個人の県民税は三十六年に六%ですが、四十七年には一五%と倍以上になっています。ところが、法人の県民税は九%から七%というように逆に低くなってきている。それから個人の事業税を見ますと、これは三十六年の四%から四十七年は二%というように二%低下をしているのに対して、法人の事業税の方は五〇%から四〇%へ一〇%も低下をするという状況になっています。
 こういう状況は市町村税についてその全税収入を一〇〇として見ましても、同様の状況があらわれています。たとえば個人市民税は三十六年の二二%から四十七年には三二%というように一〇%上昇する。法人市民税は一三%から一三%と、これは変わっていない。固定資産税のうち償却資産を見てみますと、三十六年の一〇%が四十七年も同じように一〇%。この間、償却資産は膨大な増加をしていますから、それを考慮すれば実質的な減税がやられているということになります。
 こういうように、個人の負担については増加をしておりますが、法人の負担というのは逆に減ってきている。個人住民税の場合は負担分任の原則だということで所得税の失格者に対しても課税をする。そして広く参加をしてもらうというようにおっしゃる。そして均等割で全住民に課税をするようになっているわけですが、企業に対してはいろんな形の軽減措置をやっている。そしてこういう状況が生まれてきていると思うのですが、この点について、これは不公正だというようにお考えにならないのか、この点についての改善の措置をする必要があるというふうにお考えにならないのか、この点についてお聞きをしたいと思います。
#171
○政府委員(首藤堯君) ただいま、個人関係の税と法人関係の税の構成比を例にとりましていろいろ御指摘をいただいたわけでございます。これは法人関係の税が、一つば累進税率構造をとっておりませんのに対して、個人関係の税が累進構造を持っておりますために、税の弾性値がかなり高いという問題もございますし、さらに個人の所得の基準年度からの増加の状況等とも非常に関連を持ちますので、そういう比率も出てこようかと思うのでございます。
 それからもう一点は、これも三十五年基準で考えていただきました場合と、たとえば四十一年度あたりを基準にして考えていただきました場合とのあり方でも、かなりの相違があるわけでございまして、たとえば単純な例示を申し上げますが、地方税の伸び率等を見てみました場合に、個人と法人をあらまし分けますと、四十一年度基準では、ことし個人は五・三倍で法人は六倍というように、この場合は法人の方がよけい伸びていると、こういう事態も出得るのでございます。途中で税制の改正等もあっておりますし、また所得の伸び率等の変化もございますし、税の累進構造からきます弾性値の問題等もありますので、一概に個人に重く法人に軽くと、こういうことには必ずしもならない。もう少しいろいろ検討してみる必要があろうかと思っております。
#172
○神谷信之助君 いろいろの要素も重なって、またどの年次をとって比較するかによってもおっしゃるように違うでしょう。しかし、いずれにしても、ずっと見てみますと、たとえばいまおっしゃったように、仕組みの点でも累進のとり方が個人と法人では大分違ってきています。ですから、そういう仕組みそのものに私は改善をしなきゃならぬ問題が一つはあるんじゃないか。だから、おっしゃるように、個人の住民税については広くと言いながら、片一方はやっぱり能力のあるそういう企業に対しては、それなりのものをちゃんと納税をしてもらうというようなことは考えなきゃならぬと思うんです。
 その中で、これは何遍も問題にしておりますが、例の租税特別措置に基づく特権的な減免税の問題です。これは御承知のように輸出の振興、それから技術の振興、設備の近代化あるいは内部留保の充実、社会開発の促進、こういったことを理由にして特権的な減免税措置、これをなされておりますが、法人税の減免税の額を見てみますと、三十五年は五百六十一億円、四十年が千二百二十五億円、それから四十五年は二千八百八十七億円、大体五年ごとを見てみますと倍以上にそれぞれふえてきています。これが一つは法人住民税あるいは法人事業税に直接の税収減となって響いてきていることははっきりしていると思うんです。
 そこで、この国の租税特別措置の影響による地方税の減収、これと地方税自身の非課税措置による減収額、これは御承知のように四十五年に二千六百八十億円だったのが四十九年には三千四百九十四億円と増加をしております。こういった問題ですね。これをやっぱり解決をしなきゃならぬというように私は思うんです。これでひとつ大臣にお伺いしますが、衆議院の予算委員会でわが党の林議員がこの問題で質問しました。福田副総理の方からも、これについてはひとつケース・バイ・ケースで洗ってみて、国の減免措置が地方の税収の減につながるようなものについて遮断できる方法はないかどうか、ケース・.ハイ・ケースでひとつ検討する、見直してみるというように答えておりますが、この点について、当の自治大臣としてこれを進めていくお考えあるいは決意といったものをひとつお聞かせいただきたいと思うんです。
#173
○国務大臣(福田一君) 衆議院でもそういう御質問がありまして、ただいま御指摘のような副総理からお話がありました。私は高度成長というものをやるためにある程度の法人に対する減免措置が行われたことは事実だと思うんです。しかし、これからはそういうようなときではございませんから、ものによっては洗い直して、私はこれを何といいますか、そういう恩恵的なというか、特に事業を育てていくということが適当なものとそうでないものとに分けることも必要であるし、これまた中小企業などになりますというと、そういう特権を与えておきませんというと、いまの段階では、たとえば機械設備などについての減免などというのはよほど考えてやらぬと困る場合もあります。だから、ものによってこれは考え直さねばいけないんじゃないか、洗い直すのはものによる、こういう考え方で臨んでいきたいと思っております。
#174
○神谷信之助君 そこで、二、三具体的にこの点で細かく分析をしてみたいというように思うんですが、中身を見ますと、私はやっぱり大企業ほどその恩恵を受けているということが明らかじゃないか。たとえば例の資本蓄積の是正に関する措置があります。これは資本金一億円以上の会社に限って適用されるということになっている。あるいは合併の助成に関する措置は、世間で日産・プリンスの合併に始まって八幡・富士の合併に終わると言われていましたように、そういう資本集中、そのための特恵の、特別の恩恵的な措置であったことは事実だと思うんです。
 それから国税庁の「法人企業の実態」によりますと、四十二年度の租税特別措置の適用状況があります。それを見ますと、資本金が一千万円未満の企業というのは日本の全企業の九二・四%を占めている。ところが、この特別措置の適用は一体どうかというと、所得についての特別措置はそのうち二〇・九%です。価格変動準備金については一四・四%、貸し倒れ引当金は一一%、退職給与引当金は三・三%、それから特別償却の特別措置は一三・六%の企業しか適用されていません。これが資本金一千万円以上一億円未満の企業について見ますと、その企業数は全企業の六・八%ですが、その中で所得についての措置は一七・九%、それから価格変動準備金については一六・五%あるいは貸し倒れ引当金については一二・三%、それから退職給与引当金は七・九%、それから特別償却については一六・九%。さらに資本金一億円以上について見ますと、企業数は日本の全企業の中でわずか〇・七六%です。その中で所得についての措置を適用されているのが六一・一%、うんとふえてまいります。価格変動準備金についても今度は六九・〇%、それから貸し倒れ引当金も七六・六%、それから退職給与引当金もこれは八八・九%であります。それから特別償却についての特別措置が六五・四%。こういうように、資本金が大きくなればなるほど、この特別措置の適用を受ける企業というのがふえる、こういう仕組みになってきています。
 さらに、この価格変動準備金や退職給与引当金あるいは貸し倒れ引当金、それから特別償却、受取配当なんかを所得に加えた法人の実効税率を計算してみますと、資本金の百万円未満で三六・一%です。それから五百万円までの資本金のところで四〇・四%、五千万円以上一億円未満で四二・一%、五十億円以上の資本金百億未満で四〇・七%、百億円以上になると三八・九%、実効税率を見てみますといわゆる逆累進になってきます。
 こういうことで、資本の集積と集中を高成長のもとで一層強化をするという税の措置をとってこられた。これが地方税収入にも非常に大きな影響を与えてきたことは先ほど述べたとおりですが、こういう点、具体的な一つの事例を出しましたが、自治省としても、これを地方税に影響を及ぼさないように遮断をする方法を考えていく、これが非常にいま大事になってきているのじゃないかと思いますが、そういった点をひとつ進めていく、あるいは研究をさらにして、国会で答弁をされている、副総理やまた自治大臣のそういう答弁を実際に実現をしていただきたいと思うんですが、その点についてのお考えをさらにお聞きしたいと思いますC
#175
○国務大臣(福田一君) いま御提示になりました問題は、これまでの間どうしてそうなっておるかと言えば、一つは、輸出振興ということで、輸出をする場合に、その会社が何か事故でも起きた場合に非常な信用を落とすということもありますし、それからまた何といってもやはり海外で安くていい品物を出すという意味で、いわゆる輸出を振興するというような意味が相当含まってそういうような税制が行われておったと私は思っております。またたとえば、いまあなたがおっしゃった日産とプリンスの合併などにいたしましても、これはしかし、自動車業界というものをどういうふうに編成するか。これも輸出にもちろん関係がありますけれども、国内で余り乱立しておるのもおもしろくないというような意味もあって、そういう場合にはひとつ合併をさせた方がいいのではないかという制度で税制の問題が一つ考えられたこともございます。
 でありますから、私は自分が通産大臣をやっていた時分に、特定産業振興法というのをつくって、そして輸出を振興しよう。その時分は、これはかつて申し上げたかもしれませんけれども、わずかに二十億ドルぐらいしか外貨が日本にございませんでした。三十八年から九年にかけてまだそうだった。それを何としても外貨を獲得せねばいかぬという考え方で、輸出振興というところに産業の重点を置いていったから、いま言ったような税制が行われ、それがいま今日残っておるものが多いと思うのであります。でありますから、今後の問題としては、ものによってそれは洗い直して是正をしていくということは、これは結構なことだと思うのでありまして、そういうものが地方の財政に悪影響を与えないようにしていくということも、その税その税によってやはり考えていかなければならない。やはり、まだしばらくは続けていかなければならぬものも私はあり得ると思うのであります。しかし、もうこの段階では何とか直すべきであるということであれば、これはわれわれとしても当然見直しをしなければならない、かような考え方でおるわけであります。あなたが御指摘になりました数字の問題は、こういうことを見る上での一つの重要な資料にはなると思っておりますが、われわれとしてもそういう点も考えながら、そういう数字を十分にまた見ながら問題の解決に資していかなければならないかと思います。
#176
○神谷信之助君 今日までの高成長政策といいますか、あるいはいま大臣のおっしゃるような輸出振興策、そういうために、合併に当たっての恩恵的な措置なり、あるいは特別の償却措置を見てやるとか、いろんな措置をとってきているのですね。しかし、この三木内閣になって、総理自身も国会で明らかにされているように、たとえば非常に破壊をされてきた日本の農業経済、国民の食糧の自給率を高める、こういった問題を進めるのだとおっしゃるし、あるいは社会的不公正を是正をするために福祉政策をもっと重視をするというようにおっしゃる。そうすると、税の面でもあるいは税負担の措置についても、こういったことを実際にやっぱり――いままで大企業にやってきたようなことを、今度は農業経済を振興し、食糧自給策をとるために、そういう面でも配慮をする、あるいは日本の経済の土台を支えている中小企業に対して、大企業に与えてきたと今度は逆に、中小企業に対してそういう措置を考えていくとか、あるいは勤労している勤労国民に対する税負担というものを軽減をしながら、そのインフレや不況に負けない、耐えることのできる生計力といいますか、生活力というものを培養していくというような面は、税だけではもちろんありません。総合的に考えなければならぬけれども、税の面でもやっぱり私は考えなければならぬというように思うのです。ところが、まあそれで福祉を充実するというと、それは高福祉、高負担、そのためには負担も高くなるのはやむを得ないとおっしゃるけれども、私は、そうではなしに、いままでのそういう国際経済との関連も含めまして、日本の生産性を高める、こういう必要からもとってこられたいろんな措置というものを、今度は国民の生活を高める、日本の経済を、特に農業を土台にした日本の経済、中小企業を育てていくという観点から改めていくということが非常に大事なことじゃないか。そういう中で初めて高福祉の政策も実際に進めていくごとができるんじゃないかと思うんですが、この点、ちょうどいま経済社会基本計画を今日の経済情勢の変化に伴って改定の作業をやっておられるわけですから、こういった点、国民にさらに高い負担を求めるのじゃなしに、いままでの仕組みそのものについて再検討していくという立場から、ひとつ勇気を持ってやっていく必要があるというように思うのですが、この点についての御見解を再度お聞きしたいと思います。
#177
○国務大臣(福田一君) 私たちは見直しということはやらにゃいけませんけれども、しかし、いまあなたもおっしゃったように、経済の問題というのは一面だけ見てやっていくわけにいきません。たとえば為替の問題あるいはオイルダラーの問題等々を考えてみても、今日の円の価値というものはある程度高まってきておる。まあ、一時よりは高まったということになりますと、それだけ輸出は悪影響を受けるわけであります。輸出が悪影響を受けて、そういうようなところから税収が非常に減ってくるというようなことになったのでは、私はとても福祉政策などというものは進めていくわけにはいかないわけですから、私が申し上げておることはこれは一例でございますけれども、経済を見る場合には税の問題も非常に大事であるけれども、たとえば金融問題あるいは為替の問題、国際情勢等々をみんな総合的に考えながら、悪影響がないように処理をしていかなければならない。しかし、その段階において、いまあなたがおっしゃったような、いままでの高度成長のときにやってきた措置のうちで、今日そういうような問題を考えてみても処理か――撤廃をしたり、あるいは方向を変えていくことができるというものが私はやはりあり得るだろうと思うので、そういう意味ではやっていかなきゃならないと思うのです。でありますからして、経済は生き物でございますから、私たちが――しかも日本は輸出によって立っておるんですから、この輸出が非常に減るというようなことであってはこれまた大変でございますから、そこらも一つの大きなめどにしておかなければいけない。いま輸出については案外まだ大丈夫だろう、大丈夫だろうという楽観論もあります。実際言うと、これは日本の――私はここでそんなことを言うとおしかりを受けるかもしれぬが、日本の商社というのは大したものなんですよ。これはもうえらいすばらしい力を日本に与えているわけです。日本の商社マンが海外へ行って、だれも行かないようなところにまで入っていって、そして販路を拡張しているような姿をわれわれはよく見ることがありますが、私は商社の悪い面ばかりが指摘されて、そしていい面が案外ネグレクトされていることはやはり考えてみなければいけないかと思うのであります。もちろん、買い占めをやったりしたようなことはこれはもう絶対いけません、これはわれわれはもう何としても認めるわけにはいきませんけれども、でありますからして、全部を見ながら見直しをしていくということで、特別措置がここで全部が悪いんだ、だからすぐ直せ、こういうことに直接つながるのではなくて、経済全体の動きを見ながら、しかもいままでにやってきた面で是正をすべきものがあればこれを是正していく、こういうのが私は副総理があの席で述べた気持ちであると、私は聞いておって実は理解をしておったわけでございます。しかし、あなたがおっしゃる気持ちも私は決して理解できないわけではございません。そういう意味で、もう一遍農業との関係あるいはその他の関係等々もよく見直しながら、今後の政策を立案するに当たっては、いま言ったような、いまあなたが言われたような問題も十分頭の中へ入れて、そして政策立案をしていかなければならない、かように考えております。
#178
○神谷信之助君 大臣、経済の問題を考える場合面的になってはいかぬとおっしゃっているんですが、私は、今日まで一面的過ぎた面、これがやっぱり石油ショックを引き起こしたり、あのインフレを引き起こしたり、あるいは食糧の自給率を低下をさせるということにもつながってきている。ですから、われわれも一切大企業はあるいは生産をとめちまえというようなことは言ってない。問題は、全体の日本の財力といいますか、あるいは富といいますか、それの使い方というのを、いままでのように大企業中心でなしに――大企業にももちろん回して生産力も高めにゃいけませんが、同時に日本の農業なり、中小企業なり、あるいは国民生活、社会福祉の充実というところにもつと回すように割合を変えていく、そういう方向を考える必要があるという意味で言っているわけです、
 そこで、もう時間がありませんから次の問題に移りますが、道路公団の高速自動車道路とそれに対する固定資産課税の問題についてお伺いしておきたいと思うんです。日本道路公団の高速自動車道路は、これは固定資産税の非課税措置の対象になっているんですが、その根拠はどこにあるわけですか。
#179
○政府委員(首藤堯君) 地方税法の三百四十八条の第二項第五号でございますか、これに固定資産税の非課税が規定をされておるのでございますが、この五号には、公共の用に供する道路というものは固定資産税がかからない、こういうかっこうになっておるわけでございます。
 ところで、御指摘の日本道路公団が建設をいたします有料道路でございますが、これは当時の解釈によりますと、道路整備特別措置法の第三条第二項でございますか、これに基づきまして料金徴収の期間が定められておるとか、あるいはその期間は、道路の新設または改築のための費用を償却をすることができてしまえばそれまでであって、その後は公共のものとして無料で公開をするとか、こういちょうな規定がございますので、他の有料道路とは違って、日本道路公団が建設する有料道路は、いま申し上げました地方税法の「公共の用に供する道路」、これに当たると、こういう解釈が従来からなされておったのでございまして、したがって非課税とされておりました。
#180
○神谷信之助君 その問題についてはまた後で触れますが、次に、道路公団のあの道路のサービスエリアとか、それから高速道路の高架下をガレージや倉庫に使っている場合です。これは課税対象になるのかどうか、いかがですか。
#181
○政府委員(首藤堯君) ただいま申し上げましたように、「公共の用に供する道路」、これが非課税であるわけでございまして、そのほかは問題がいろいろあり得るわけであります。
 たとえばいま御指摘の、有料道路が二階建てになっておって、その下の敷地、これはなるほど道路敷地ではございますが、また倉庫とかそのほかに貸すことによってそれの敷地にもなっておるわけでございますから、これは当然課税の対象になり得ると考えますし、またサービスエリアにおきましても、通常サービスエリアも道路そのものの敷地に入る部分もございますが、サービスエリアの一部をたとえばレストハウス等に賃貸をする、こういうかっこうになってまいりますと、これは公共の道路以外の目的にも使うことになりますから、当然課税の対象に相なってまいります。
 ただ、その課税の場合に、道路の敷地と貸しておる倉庫の敷地等の兼用のかっこうになっておりますから、これをどういう軽減の措置をとるか、これはその実態に応じていろいろ考えなければならない、こう思っております。
#182
○神谷信之助君 そこで、九州縦貫道のサービスエリアですが、レストハウスや休憩場について鹿児島県の姶良町が課税をしたところ、固定資産税一期分だけ納入をしたけれども、あと拒否をした、そういう事件が起こっていますが、ひとつその内容を説明をしてもらいたいということなんですか。
#183
○政府委員(首藤堯君) お尋ねの鹿児島県姶良町の件でございますが、御指摘のとおりそういう問題がございます。これは道路公団のサービスエリアの土地を有償で借り受けまして、レストハウスをつくったのであります。このレストハウスにつきまして現地において課税上の問題が起こりまして、最初に課税をいたしたのでありますが、その次から若干のトラブルが起こった、こういうことでございます。
 しかし、こういった点につきましては、先ほど申し上げましたように、道路下の倉庫用地であるとか、あるいはサービスエリアのレストハウスの用地であるとか、こういうものは課税ができるという立場を私どももとっておりますので、その旨指導もいたしておりますし、やがて解決を見るものと、このように考えております。
#184
○神谷信之助君 この問題について、建設省あるいは道路公団の方では一体どういうようにお考えか、お答えいただきたい。
#185
○説明員(加瀬正蔵君) 高速道路におきます占用の施設でございますが、これにつきましては、従来から施設分は占用者が負担してこれは税金を払っておりますが、その敷地部分が問題になっておるわけでございます。その敷地についての税金は、これは公団が払うわけでございますが、その課税の問題について、現在課税の対象範囲、あるいは評価問題、こういう問題については自治省と御相談をしている最中でございます。
 具体的に姶良町の問題につきましては、レストハウスといいますか、私ども休憩所というふうに理解しておりますが、休憩所の敷地についての課税のみでなく、範囲についてやや問題がないわけでもないというようなことから、若干トラブルがあったやに聞いておりますが、近く解決するというぐあいに理解しております。
#186
○神谷信之助君 そうすると、建設省の方は課税対象であるということはお認めになっているわけですか。
#187
○説明員(加瀬正蔵君) そういうことを、全体を含めまして現在自治省と協議中でございます。
#188
○神谷信之助君 そうすると、建設省の方では、課税対象にはならないという見解をも持っているということですか、いまでも。ちょっと建設省の方に。
#189
○説明員(加瀬正蔵君) 現在交渉中といいますか、協議中の段階でございますので、これはちょっと断定的に申し上げるわけにいかないわけでございますが、占用をさせておる施設の敷地で占用料を取っておるというようなものについては、課税の対象となり得るかというぐあいに考えております。
#190
○神谷信之助君 自治省の方の見解は、この問題についてはどうなんですか。
#191
○政府委員(首藤堯君) 先ほどから申し上げておりますように、道路用地として買収したりしたものでございましても、これを有料で貸し付けるといったような措置をとっております場合には、これは道路用地でありますとともに、貸付をいたします他の目的に使っておる土地でございますから、その分として課税の対象になる、このように考えておるわけであります。
#192
○神谷信之助君 これは地方税法の先ほどの三百四十八条の第三項ですね、この目的外使用になっているわけですから、私は当然課税対象になるんじゃないかというように思うのです。この点建設省の側と若干意見の相違があるようですが、大臣、これもひとつ。これは現地の方は、公団が、鹿児島交通と林田交通にそれぞれ月百三十万円ですか、この使用料で貸し付けてそれに営業さしているわけですから、こういった点から言いいましても当然のことだというように思うんで、いままで自治省はそういう指導をされているという話ですが、ひとつはっきりさしてもらいたいというように思うのです。
#193
○国務大臣(福田一君) 私は、この課税の問題は、われわれ何も反対しているわけじゃない。建設省ともよく話をつけて、そして処置をするようにしたいと思っております。
#194
○神谷信之助君 次に、高速道路そのものについての問題ですが、御承知の吹田市とか大阪府の市長会、さらには百九十七市が集まって、協議会ですか、高速自動車国道通過市議会協議会、こういうところが非課税措置を不当としていろいろと訴えておられます。これらの主張の要点をひとつ説明をしてもらいたいというように思います。
#195
○政府委員(首藤堯君) 先ほど申し上げましたように、日本道路公団の持っております有料道路は、料金は取っておりますが、その料金徴収の期間が決められておるとか、減価を償却すれば無料で公開するとか、それから道路そのものが国道あるいは府県道そのものであるとか、こういう特別の事情のある特別法に基づくものでありますから、公共の道路だと、こういう認定をして非課税にいたしておったのでございますが、最近、当初のスタートより若干事態が違ってまいりましたのは、料金の取り方の年限が、いわゆるプール制というものが採用されまして、現在のところ、十一路線について料金プール制、これを採用いたしました結果、料金を取ります期間が、従前ですと、たとえば十八年というようにわりに短かったのでございますが、四十一年というようにかなり長い年限になる。こう長く料金を取られるのでは、国鉄の線路であるとか、そういうものと余り変わりがないんじゃないか、したがって、課税をさしてもらってもいいのじゃないかというのが各市の主張、このように承っておるわけであります。
#196
○神谷信之助君 四十七年の道路整備特別措置法が改正をされるまでは先ほどおっしゃったような状況だった。ところが、それが改正されまして、プール制になって有料期間がずっと延長されるようになったのですが、建設省にお伺いしますが、四十七年の改正でプール制になって、そういう方式になって期間が延長されたわけですが、現在の工事の施行区間四千八百十六キロメートルですか、これの償却終了時期、すなわち有料期間の終了時期というのは昭和何年になったわけですか。
#197
○説明員(山根孟君) 昭和八十二年と推算いたしております。
#198
○神谷信之助君 それで、さらに現在の建設予定路線、これを加えますと総延長が七千六百キロになるんですが、これはいつから工事にかかるかわからぬということになりますが、これらも逐次施行に入っていくということになるわけでしょう。そうすると、またこの期間は延長されるということになるように思うのですが、そういうことでいいんですか。
#199
○説明員(山根孟君) 先生御指摘の七千六百キロメートルでございますが、これは国土開発幹線自動車道建設法の実は予定路線になっておるものでございます。現在日本道路公団が建設ないし管理をいたしております区間は、先ほど御指摘のありましたような四千八百十六キロでございます。現在この四千八百十六キロメートルに対して先ほども申し上げました償還期間になる、こういうことを申し上げたわけであります。今後どういうぐあいにこれを進めていくかという点については、現在調査中でありますし、計画線が確定してないものもあるわけであります。したがって、しかもこの着工の時期その他は今後の問題でありますので、試算はいたしておらないのであります。しかしながら、この新しい路線を取り組んでいくというときの基本的な考え方としましては、四十七年三月に、つまりこのプール制を導入いたしますときに、道路審議会で数年間にわたりますいろいろな御審議をいただきました。この答申にありますように、おおむね三十年間となるような料金の設定、路線の取り組み方ということがあります。われわれとしましては、こういったことを前提にいたしまして今後取り組んでいくということになろうかと思いますので、この償還期間がこれよりも大幅に延びるということは実は考えておりません。大体ここを中心にいたしまして、若干のプラス・マイナスはあろうかと思いますが、大体この辺でおさまるのではないかというぐあいに考えております。
#200
○神谷信之助君 そこで大臣、最後にお伺いしたいと思うんですが、いわゆる四十七年の道路整備特別措置法が改正されるまでは、たとえば名神高速道路の有料期間というのは昭和六十八年までだったんですね。ところが、そのとき道路整備法が改正をされてプール制になったために、昭和八十二年まで有料期間が延長されたわけなんです。それで、これは今後道路公団を解散をしてもう有料の高速道路はつくらぬということになれが別ですけれども、さらにまた続けられるということになっていきますと、この昭和八十二年という期間も、プール制ですから新しくまたふえればまた延びていくわけですね。そういう仕組みになってきているわけです。ですから、当初税務局長がお話しになったように、公共のための道路で、たとえ有料であっても、それは償還のための一定の期間が決まっているんだから、有料であっても公共のための道路だという解釈をなさって、昭和三十三年なり三十六年にそういう行政実例が出されています。ところが、いまの、そういうプール制になって今度は新しい状況が生まれているんじゃないかと思うんです。現に吹田市では名神、それから中国縦貫道、それから近畿自動車道、これが全部錯綜しているんですね、吹田市は。そうすると、占有面積は六十三万四千平米です。もしこれに固定資産税をかければ、推定税収は約一億四千万円になります。また、こういうインターチェンジその他ができますと、それに伴って交通渋滞、騒音、排ガス対策、それから救急業務は市町村が受け持たなきゃならぬ、こういうことで財政需要は増大をしていく。財政難に悩んでいる自治体にとっては大変な問題になってきているというのが今日の実情になっていると思うんですね。ですから、さきの、そういう意味のプール計算で事情も変わったわけですから、私は一つは課税対象にする必要があるのじゃないかということも含めて、たとえば国鉄なんかや公社のような納付金制度にするとかいう方法もあるでしょう。いろんな方法も考えられると思うんですが、それらも含めてひとつ再検討をされる御意思があるかどうか、最後にお伺いしたいと思うんです。
#201
○国務大臣(福田一君) これは私らも一理屈あるというか、気持ちはわかるのでありまして、とにかくある一定の期間をつくって、それが全部経費を支払った暁には国道にしてしまうということを条件にして最初スタートしたのが、それが一応済んでしまっても、何年たってもプール計算でずっとやっていかれるというのは最初の約束と違いますから、私は法律論がどうなるかは別として、納付金を公団から出す形にしてもいいだろうし、あるいはどういう形がいいのか、それは私はわかりませんが、これは一遍研究しなけりゃいかぬということで、実は建設省とはまだ話していませんけれども、公団にはちょっと私は、それは考えた方がいいぞ、建設省ともよく相談したらどうかということを言うておったわけなんです。だから、それはこれからやる分について、これは絶対にもうしばらくの間は、十年なり二十年、三十年はだめですということになっていればいいんですが、最初約束したのが約束が違うじゃないかという形は、やっぱりちょっと、いかに法律で直したとかなんとかいっても、住民から不満が出るのもやむを得ないと私は思っております。だがしかし、どの程度にどうしたらいいかということは、これからの課題として建設省や公団で研究してもらってはどうかと、こう思っておるわけです。したがって、いまここでどうする、こうするということは言えません。
#202
○委員長(原文兵衛君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#203
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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