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#1
第075回国会 地方行政委員会 第14号
昭和五十年六月二十日(金曜日)
   午前十時三十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     鈴木  力君     赤桐  操君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                金井 元彦君
                安田 隆明君
                野口 忠夫君
                神谷信之助君
    委 員
                安孫子藤吉君
                井上 吉夫君
                岩男 頴一君
                夏目 忠雄君
                橋本 繁蔵君
                赤桐  操君
                加瀬  完君
                小山 一平君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
                上林繁次郎君
                福間 知之君
   政府委員
       自治省財政局長  松浦  功君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   参考人
       長 野 市 長  柳原 正之君
       横浜国立大学名
       誉教授      井手 文雄君
       国 立 市 長  石塚 一男君
       自治体問題研究
       所事務局長    中西 啓之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十九日、竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として鈴木力君が選任されました。
    ―――――――――――――
 本日、鈴木力君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君が選任されました。
#3
○委員長(原文兵衛君) 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案につきまして、長野市長柳原正之君、横浜国立大学名誉教授井手文雄君、国立市長石塚一男君、自治体問題研究所事務局長中西啓之君、以上四名の参考人の方々から御意見を伺います。
 午前の参考人の方は柳原正之君及び井手文雄君でございます。午後の参考人の方は石塚一男君及び中西啓之君でございます。
 この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査の参考にいたしたいと存じます。
 つきましては、議事の進行上、柳原参考人、井手参考人の順序で、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、まず柳原参考人にお願いいたします。参考人柳原正之君。
#4
○参考人(柳原正之君) 私、ただいま御紹介をいただきました長野市長の柳原正之でございます。
 平素、先生方には地方自治発展のために何かと御配慮賜っておりますことを、この席をおかりいたしまして最初に厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 なおまた、本日は、地方交付税法の一部を改正する法律案の御審議に当たりまして、私ごとき者を参考人としてお招きいただきまして発言の機会を与えていただきましたことを、私非常に光栄に存ずる次第でございますが、同時に、全くの未熟者でございまして、戸惑いを感じておるような次第でございます。
 なお、この際、おわびとお願いを申し上げたいと思うのでございますが、実は、このお話が私のところにございましたのは一昨日の午後でございました。私ども長野市は、ただいま議会の開会中で、本日が議会の最終日でございます。したがいまして、きょう出席をできるかどうかということを議長に諮りましたところ、昨日議会運営委員会を開いていただきまして、そこに私も出席をして、きょうのお話を申し上げて、ようやくきょう出席することの許可を得たというような次第でございまして、資料も、急なために準備も整いませんし、また、原稿等もつくる暇がなくてここにはせ参じたというようなわけでございまして、これから申し上げますことも、先生方の御参考になることが少ないかと思うのでございますが、御了承をいただきたいと思います。なおまた、このような席に出てまいりましたのは初めてでございますので、どうかひとつ先生方の御質疑もお手やわらかにお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
 最初に、長野市のことをちょっと申し上げさしていただきます。
 長野市は、明治三十年に市制をしきまして、その後周辺の町村二、三の合併はございましたが、大きい合併は、昭和二十九年に周辺十カ町村の合併が行われました。さらに、昭和四十一年に周辺七市町村の合併が行われまして、現在の人口は三十万二千人でございます。面積は四百四平方キロと、全国の市の中では面積が非常に大きい方に属しておりまして、道路の延長等も非常に長いのでございまして、人口一人当りというものは全国でトップクラスになっております。それから、市内には市街地と山間部とがございまして、市内の山間部から市街地に対しての人口の移動が盛んに行われるというようなのが私の市の特徴でございます。で、本年度の当初予算は二百四十六億九千万という予算でございまして、その中で、市税は約九十八億でございます。財政力指数は六四ぐらいでございまして、まあ三十万都市としては財政力は弱い方の都市に属するかと存じます。
 そこで、今日市の状況はどうかと申しますと、よその市と同じように、地方財政というものが非常に窮迫をし、硬直化しているということは全く同じような状態でございます。で、この原因はどこも同じと思いますけれども、昨年来の資材の高騰、あるいは消耗品その他の需用費の高騰、それから人件費の高騰、こういうものが経常費を非常に多くいたしておりまして、ことしの予算編成の際の経常費のアップ率は一三〇%というふうに伸びてまいりました。一方、税収の方は伸びが鈍化をいたしてまいりました。ことに法人税は、昨年税率を改正していただきましたけれども、そのことを除きますと、この四月−五月の実績を見ますと一〇〇%を割ってしまっておるというような状況でございまして、税の伸びは非常に心配になってきた。で、この九月の決算が税としてあらわれますのは十一月でございますが、さらにこれは減ってくるかと思うのでございますが、そういうふうで、経常費は伸びる、税は伸びないというようなことですから、投資的な経費に回りますものは一〇%程度にしかならないというような状態になってまいりました。もちろん、一〇%と申しましても、物価が上がっておりますから、実際の仕事の量は、従来よりも減ってしまうというようなのが現在の状況でございます。このような状況でございますので、私どもは、役所の中といたしましても、できるだけ消費的な経費を減らすとか、あるいは人員の増加を抑えるために、実はことしは新規採用の職員の採用を延期をいたしましたが、そうしてその分は職員の配置転換をしてカバーするというような非常手段もとっておるのでございますが、何といたしましても、財政的には非常に苦しい年になっておると思うのであります。
 こういう際に、きょう御審議をいただきます地方交付税がどうなるかということは、私どもにとりましては非常な心配というか、関心のことでございます。で、新聞等でお聞きいたしておりますと、昨年度の交付税の対象になります国税三税ですが、八千億も減収になった、ことしは二兆円も減収になるということをお聞きいたしております。それから、旧来ですと、前年度の法人税の伸びの分はことしの交付税の中で精算をされるという作業が行われるのでございますが、ことしのような財政の苦しいときに、そういう作業あるいは国税の減収による交付税へのはね返りと、そういうものがございますと、私どもの自治体はもうとてもやっていけない、もう当然赤字になってしまうというようなことになるわけでございまして、いま私どもが新年度に入って事業をいたしますにも、非常にまあ心配をいたしながら事業を手をつけているというような状況でございます。そういう状況でございますので、地方財政計画の中にお組みをいただきました交付税につきましては、絶対にこの数量を確保していただくということをお願いをいたしたいと思うのでございます。また、このことを早くお決めをいただかないと、仕事を一部あるいはカットをしなきゃいけないという事態も起きてまいりますので、何としてもひとつこの法律は早く通していただいて、私どもがせめてことしの予算に組んだ交付税はいただけるということの安心をさせていただきたいと思うのでございます。
 そこで、交付税の配分の問題でございますけれども、交付税の配分の問題につきましては、ことしは単位費用を上げていただいたり、あるいは幾つかの補正係数を直していただいたりいたしまして、非常に御配慮をいただき、また臨時土地対策税のようなものも加えていただきまして、われわれとしては非常にありがたいのでございますが、この分け方については地方団体によっていろいろな意見がございます。いろいろな意見がございますけれども、私は、これは地方団体がいただいた共通の経費であって、その中でまあ分け前の取り合いというものはお互いの仲間同士の取り合いのことになってまいりますので、そのことをきょうここでいろいろ申し上げてみてもどうかと思うのでございまして、私どもはやはり国で公平な目でいろいろな係数を使って分けていただくよりほかに仕方がないではないかと思っております。
 ただ、私の方で一つだけ、まあ何と申しますか、不平と申しますか、不満を申し上げますと、いま国の方で人口急増市町村に対して、学校やその他の施設について特別の計らいを交付税の中でしていただいておるんですけれども、その急増の枠に長野市がはまらないで、しかし人口は市内とそれから市外から大いに人口が動いておりまして、昭和四十五年から五十年の間では一〇六・六%というようなふうに長野市の人口がふえている。で、平均はそうですけれども、小学校単位にやってまいりますと、地域によっては一六一・九というようなふうに非常にふえているところと、それから九三というふうに減っているところとございまして、市内で移動がありますので、総数として長野市の人口が急増の対象になるようにふえてこないという悩みがございまして、そのための優遇の措置も講じていただけないというようなことでございますので、何か将来はその真ん中辺の物差しをつくっていただけたらどうかというような多少の希望は持っておりますけれども、いずれにいたしましても、分け前のことはやはり仲間同士の問題になってくるかと思いますので、余り申し上げることを省略さしていただきたいと思います。
 そこで、こういうふうにして交付税をいただき、税を住民からもらいましてわれわれの自治体の経営をいたしてまいるんですが、その中で、いまの財政計画なり交付税の計算に入ってこないので一番大きい問題は、超過負担の問題だと思います。超過負担のことにつきましては、しばしば国の方でも御心配をいただいて、改善をしていただいておりますけれども、なお今日の時点で、長野市では昭和四十九年におおよそ八億ないし九億の超過負担があるという計算が出ております。この超過負担の中身には、国と実際の実勢価格との単価の開きもございますし、それから坪数、数量の開きもございます。それから、対象にならない施設をやっているというようなのもございまして、それを全部込みにしていまのような数字になりますから、もちろん、国の方からおっしゃいますといろいろ理由がおありのことと思いますが、しかしその中で、たとえば学校の建築等につきまして、私どもの方は寒冷地ですから、コンクリートの学校の屋根の上に屋根をかけないと、コンクリがしみまして雨漏りをするというようなことになってまいりまして、屋根というものがどうしても必要なんです。それから、床は普通の地帯ですと必要ないんですけれども、われわれの方になりますと、フローリングのようなものをやらないと子供の足が冷えてとてもやっていかれないということで、そういうものを使うようなことをいたしております。それからまた、浄化槽。今日、学校の便所といえども浄化槽を設置するのが当然と思いますけれども、浄化槽のようなものは補助金の対象になっておらないのです。こういうようなものについては、国の方でも、単価を上げていただくのも非常にありがたいんですが、同時に、そういう対象を広げていただくということをぜひお願いいたさないと、どうしても超過負担は減ってこないと思います。
 それからもう一つ、学校の建築で悪口を言わしていただきますと、統計の上やいろいろなものから、子供の数がふえることはわかっておりますにもかかわらず、五月一日現在、現実にその学校の子供がふえたという事実が出ないと文部省は補助金の対象にしてくれないんです。学校増築の対象にしてくれないんです。どうしても五月一日の事実を見てからと、こうなりますから、私どもの方では毎年プレハブの校舎をつくって、早ければ一年、時間がかかりますと二年間プレハブの校舎で授業をやって、それから新しいコンクリの校舎をつくる、こういうことになりまして、むだ金を使っているんです。昭和四十九年で私どもの方は二千万円プレハブに使っているんです。そういうむだがございまして、これも超過負担になっておるのでございます。
 それから保育所でございますけれども、保育所を私どもの方はいま一年に二つずつのベースでつくっておりますが、これは地域住民から非常に強い要望がございまして、保育に欠ける子供がありますために、どうしてもつくらなきゃならないんですけれども、厚生省は一市町村一カ所という基準を設けておりますので、申請した段階ですでに県が一つ削ってしまう。国には一つしか上がってこない。ようやく国の方は毎年一つずつは補助金の対象にしていただいておりますけれども、それにつきましても、さっきの学校と同じようなふうに、坪数、単価みんな違ってまいりまして持ち出しが多いのでございます。去年の例で申しますと、私どもの方で三千七百万円かかってつくりました――これは土地は別ですが、三千七百万かかってつくりました保育所に対して、国庫補助金は最初に千百万、その後単価改定をやっていただきまして、千四百万になりました。県はその半分で七百万、それで二千百万もらいまして、千六百万は自治体が持ち出す。そのほかに土地代があるわけでございます。ところが、それならまだその方はいいんですけれども、一つ県で削られました分については、県が言いわけ的に百五十万ですか、補助金をくれるだけで、三千五百万円以上の金を市が持ち出さなければならない、こういうふうになる。これはしかし、超過負担かどうかというと、超過負担というのは国の補助対象になった場合に超過負担という計算が出てくるのであって、おまえの方が勝手につくったのは超過負担ではない、こういうことになっておりますけれども、私どもの方からすれば、どうしてもつくらざるを得なくてつくったのでございますから、こういうものもやはり交付税の対象というか、基準財政需要額の対象にしていただくようなことをやっていただきたいと思うのでございます。
 それから、保育所の保母さんの給料でございますけれども、現実に私どもの方には、いま三十五ですか、六の保育所がございまして、保母は二百二十六人おります。保母二百二十六人の平均給料が二百十六万八千円でございます。ところが、二百十六万八千円は長野市の給与ベースでございまして、実は自治省からいろいろ御注意いただいておりますラスパイレスの問題があるわけで、うちの方は一〇八というラスパイレスでございますので、これを百八分の百に直してみますと二百万五千円ということになります。ところが、二百万五千円に対して厚生省の保母の給料の標準は百六十四万六千円でございます。したがって、二百二十六人の保母を保育所に置きますために、長野市の超過負担が九千万にもなっておるというのが実態でございます。
 それからもう一つお耳に入れておきたいと思うのでございますが、老人医療費でございます。老人医療費の無料化ということを国でやっていただきました。経費は国が六分の四、県と市が六分の一ずつということで医療費の無料化をやっていただいておるのですが、この無料化をやる前とやった後では、一般の方の療養費の伸びに比べて老人医療費の伸びが非常に伸びました。もちろん、この医療費の伸びた中には単価の改定やいろいろありますから、ですけれども、一般の方が二〇三伸びましたのに、老人の方は五四〇伸びているんです。五倍になっている。それは無料化のためにそういうふうに伸びた。ところが、それのはね返りが国保の会計に非常な重荷になってまいっております。国保は、御承知のように、会社なり官庁なりをやめました、恩給あるいは年金で生活をしておるような低所得者層の人たちが国保に加入をいたしております。長野市では約八万人でございますが、そういう低所得の人たちのところにこの医療費のはね返りが参っておりますから、毎年毎年国保の料金の値上げをしなければいけないというような実態になっております。そこで、私ども市長会でもそうでございますし、われわれもそう思うんですけれども、国策によって老人医療費の無料化をやった、そういうことによって増加した医療費については、国保から切り離してやはり国が見ていただくべきではないか、でないと、とてもやり切れないという問題がございます。
 それから、時間がだんだん参るようですから、細かいことを申し上げませんけれども、高額医療費の問題がございます。前には、高額医療費は国が二分の一、それから自治体が二分の一と、こういうことになっておりましたのを、昨年から――前は老人医療費の中に入っていたのですが、昨年から高額医療を引き出しまして、三万円以上の高額医療費については無料化にするという制度が設けられたのですが、その際に、国の方は六分の二になりまして、自治体の方が六分の四、市町村ですが、なりました。そのために、私どもの方で申しますと、四カ月で一千万近くもの持ち出しがふえてきたというような状況でございまして、予算査定の際にも、国保の関係から強い要請がございまして、市費で繰り出しをしなければいけない。これは政策的なものであるから国保に負担をさせるべきでないというようなことで持ち出しをするようなことを、繰り出しをするようなことをいたしております。このように超過負担が多くて、今日の自治体は非常な苦しみをいたしておるのでございます。
 なお、将来と申しますか、来年以降どうなるのか。私どもは一番心配しておりますのは、物価も依然として――政府の非常な御心配をいただきましてある程度鎮静はいたしてきておりますけれども、しかし、なお物価の値上がりがございます。人件費につきましても、また恐らくことし人事院勧告があると思います。そういうことで経費はどんどん伸びてくる。そのほかに、行政需要というものは非常な勢いで伸びております。御承知のように、福祉行政にいたしましても、あるいは生活関連の施設の整備にいたしましても、非常な勢いで行政需要が伸びてまいっておりまして、私ども、市で市民からアンケートをとってみましたところが、一番市民が望んでおるのは物価の問題、その次が下水道、道路――道路は一番舗装を望んでいるんですが、道路の舗装、老人福祉、それから保険医療、子供の遊び場、河川、揚排水の整備、それから交通安全、公園緑地の整備というような順序で非常な強い要望がございました。
 その中の一つ、二つを拾って申し上げますと、下水道につきましては、いま長野市では市街化区域の中の下水道の設備のできましたのは九・六%でございます。これをいまのようなベースで市街化区域の下水道を普及してまいりますには三十年かかる、一年二十億ずつ――いまは十億ちょっとですけれども、これを一年二十億ずつ使いましても三十年以上かかる。それから、市街化全域につきましては、下水道の普及率は一・一%でございますが、これをやるには百年――厚生省は今日一億総水洗化ということをおっしゃっておりますけれども、いっそういうことが実現できるのか、いまのような地方財政の状態では、本当にもう心細いような状態でございます。
 また、道路舗装につきましては、先ほど申しましたような市の特殊事情もございますけれども、二千八百キロの市道がございますが、舗装のできたのは三三%で九百四十三キロでございます。全国平均は一八・一%ですから、これでもまだ長野市はいい方のようですけれども、類似都市の中を比較して見ますと、五〇%以上の舗装のできたところが、宇都宮、金沢、松山、青森というようなところが挙がってまいりました。これらのところを見ますと、別に邪推をしているわけではございませんけれども、いずれもギャンブルの収入のあるところでございます。その収入をお使いになったかどうかは知りませんけれども、道路の舗装率を比較しましても、そうような格差が非常に出ておるんですが、そういう状態でありながら税の方はどうかと申しますと、全国市長会で調べております決算統計によりますと、三十五年には市税が全体の収入の四七・八%であったものが、四十八年には三五・九%というようなふうに市税の構成比率が落ちてきている。これは国が年々のように減税をおやりになることのあらわれ等がここに出てきているのかと思いますが、そういうことで、やりたい仕事、行政需要はどんどんふえてくるのに、収入の方は一向に伸びない。その上、さらに昨年は総需要抑制ということで、地方債の許可も制限をいただいたというようなことでございますので、一層自治体の財政運営は苦しくなっていくことが予想されるのでございます。
 こういうふうな事態に対処してどうすれば自治体はやっていかれるのかということを私ども考えてみまするに、一番安易なのは、交付税を上げていただけばそれだけの地方自治体に対しての財政はふえてくるという問題がございます。これもなかなか問題があるようでございますけれども、われわれとしての率直な願いは、やはり交付税を何とかして上げていただけないかというのが一つ。それからその次には、都市税源の確保のために法人税の引き上げとか、あるいは道路目的税の増額をしていただくとか、事業所税の課税対象団体を拡大していただく。ことし、いまは五十万以上ですか、五十万以上の自治体が事業所税を課税をしてもいいというようなことになっておりますけれども、その対象を広げるとかいうようなふうにして、共通の場の、自治体全体の財源をふやしていただくことを何とかひとつお願いをしなければならないと思います。なお、道路目的税の中で重量税、これは五十年までということになっておるようでございますけれども、われわれ自治体の側から申しますと、ぜひともひとつ五十一年以降も継続をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
 それからなお次には、財源をふやす要素といたしまして、地方債の問題がございます。地方債につきましては、自治体の力がないと借金ばかりしてもまた返せないという問題も出てまいりますので、国でもいろいろ御心配をいただいておりますけれども、自治体の方としては返せる範囲内でもう少し地方債も緩めていただけないかというのが率直な考えでございます。
 それからもう一つは、先ほどもちょっと触れましたギャンブルの問題でございます。これは自治体の中で大いに意見がございまして、私が何か申し上げるとまた仲間の市長さんたちからおしかりを受けることもあるんですけれども、ですから、極端なことは申し上げませんけれども、ギャンブルというものがやはり私は地方自治体ごとの格差をつくる要因になっている、諸悪の根源になっている、悪く言えばそう思うのであります。交付税というものは、やはり地方財政計画の中で収入と支出を見てそして足りない分を交付税で補てんをしてくださる。個人で申しますと、標準生活費のようなものを国で心配をしていただいているんですが、その標準生活費のほかに、ある自治体はアルバイトで別な収入がたくさんある。これを出していろいろなことをおやりになる。ですから職員の給料も高くなる。あるいはプラスアルファも出る。それからいろいろな福祉の先取りもやられる。そうすると隣なりあるいはほかの自治体は、おまえの方は何しているんだというようなふうに住民から非常なおしかりを受けるわけです。全国的な額では大したことないでしょうけれども、そういう格差の問題が出てまいりますので、交付税の考え方から言っても、これはある程度はやはり共通の財源の場に出していただくべきではないかというようなことを考えておるのでございます。
 最後に、定年制の問題でございます。今日このような事態になってまいりますと、従来以上に、地方自治体では何とかひとつ定年制を地方公務員に制定していただけないかというのが、われわれがおつき合いをいたしております自治体の長としてはほとんどの皆さんが――一部の人は反対の方もありますけれども、ほとんどの皆さんがそういうことを望んでおります。ところが、市あるいは町村単独ではこれはできないのでございまして、どうしても国で法律をつくっていただかなければできない。私どもの方ではいま水道関係の職員を除きまして二千百五十七人の市の職員がございますけれども、この中で五十五歳以上という職員が一〇%おります。最高はいま六十四歳でございますが、かつては六十五歳になってもやめないというような職員がおりました。年々退職勧奨をして優遇措置を講じますけれども、なかなか後進に道を譲ってくれない。これはもう笑い話のようなことですけれども、清掃の職員で、トラックに乗るのに自分の力では乗れない、後からしりを押し上げてもらわなければトラックへ乗れない、道路を歩くのに仲間に手を引いてもらわないと道路の横断ができないというようなことが、これは過去の話ですが、ございました。そういうふうになってもなかなかやめないというような状況でございますので、ぜひとも定年制をしいていただきたい。で、定期昇給をやめたらどうかというようなことで、いま一部の自治体で六十歳以上の定期昇給をやめるとか、退職勧奨をした後の定期昇給をやめるとかいうことをやっておいでになるところもあります。私どももそのことをいま真剣に検討しておりますけれども、定期昇給なんというものは大したことじゃないんです。一年に上がってみても三千円、あるいはせいぜい上がって四千円とかいうことなんですが、問題はベースアップなんです。昨年のようなベースアップが行われると、その人たちで一年に四万――一年というか、月に四万円すぽっと上がっちゃうんですから、定期昇給なんかストップされたって痛くもかゆくもないんです。結局がんばっていればベースアップがある。ことしまた一〇何%あるということになれば、その人たちが何万円と上がっちゃうんです。定期昇給の何年分か一度に上がるんですから、そういう手段だけではもうとても防ぎ切れない。最近あった例ですけれども、婦人の職員で勧奨をすると、そのころになると神経痛になって病院へ入っちゃうんです。それでいま病院に入っているからと。そのうち治って出てくるとまた勧奨の近くになると病院へ入っちゃう。どうしたってがんばっていて勇退してくれないんですが、こういうことがございまして、能率は落ちる。それからいまの給料の制度ですから、給料はいまのように定期昇給やらないにしてもベースアップでどんどん上がっていってしまう、これは非常に大きい問題です。いまはまあ五十五歳以上は一〇%程度ですけれども、将来はもっともっとふえてきます。そういうことですから、ぜひともひとつ地方自治体としては定年制のことを真剣に御討議をいただいて実現できるようにお願いをいたしたいと思う次第でございます。
 大分時間も超過いたしましたので、私から申し上げますことは以上で終わらしていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)
#5
○委員長(原文兵衛君) どうもありがとうございました。
 次に、井手参考人にお願いいたします。参考人井手文雄君。
#6
○参考人(井手文雄君) 御紹介にあずかりました横浜国大の井手でございます。
 本日は地方交付税法改正に関連いたしまして、参考意見の陳述の機会を与えられまして、まことにありがとうございます。
 先ほど長野市長さんからいろいろ切々たるお話をお伺いいたしましたが、私は書斎人でございまして、そういう現実の具体的なことには疎いわけで、書斎人の話としてひとつお聞き取りをいただきたいと思います。
 今回の地方交付税法の一部を改正する法律案でございますが、資料としていただきましたこの単位費用の改正等を拝見いたしますというと、一応それはそれなりに結構だと存じます。たとえば社会福祉費の単位費用の伸び率でございますが、道府県分、市町村分とも四二・九%となっておりまして、投資的経費の中で最高となっておりますが、社会福祉施設整備の必要は今日非常にございまして、現に地方自治体におきましてもこれに力を入れている現状でございますから、こういう現状に即した措置であろうかと存じ適切だと存じます。
 なお、ここで投資的経費と申しましたが、単位費用の決め方の中で、経常的経費と投資的経費というふうに分けられております。しかし、中身を見ると同じようなものが経常的経費に入っておったり投資的経費の中に入っておったりしているのじゃないか。経常的経費と投資的経費というようなこの分け方も今後再検討をする必要があろうかと、ちょっとそういう感想も持っております。
 単位費用の引き上げにつきまして、それに戻りますというと、道府県の投資的経費では、高等学校の単位費用が三九・六%引き上げられております。また、市町村の投資的経費では、小学校費及び中学校費の単位費用がそれぞれ三二・七%引き上げられておりまして、校舎等の改修事業費の充実等をいたそうということでございまして、これもそれなりに適切かと存じます。
 市町村の経常費の中の土木費におきまして、下水道費の単位費用が三八・五%引き上げられておりますが、経常費の中でこの下水道費の単位費用が三八・五%引き上げられていることが目立つのでありますけれども、これも時代の要求に対応したものとして、このように経常費の中で目立つような引き上げ方をしたということ自体は適切だと存じます。先ほど下水道のことにつきまして長野市長さんからお話がございましたのでありますが、そこはまた後の問題といたしまして、ともあれ経常経費の中で下水道費にウエートを置いたと、こういうことは時代の要請に対応するものでございまして、それなりに適切である、こういうふうに思います。
 それからまた、道府県の道路橋梁費、河川費、港湾費、海岸保全施設費、農業、林野、水産等の経費、それから市町村の港湾費というような、いわば生産基盤的な社会資本形成関係の公共事業の単位費用は前年度そのまま据え置き、伸び率はゼロ、こうなっておりますが、前述のように、社会福祉あるいは教育関係の事業費の単位費用が大幅な伸び率を示している、こういうことは確かに減速経済下における福祉政策の充実という観点から適切だと思います。高度成長期におきましては、何といいましても、生産基盤的な社会資本を充実していかなければならぬということが非常にウエートを置かれておった、そういう関係の公共事業費というものが伸びたわけでありますけれども、減速経済下になりますというと、そういうものの伸びよりも、むしろ生活環境の整備あるいは社会福祉関係の経費というものの整備充実の方に資源の配分を変えていかなければならぬということでありまして、そういう考え方がそこの中に一応は見える、こういうことが言えるのではないかと思います。
 このように、この単位費用の引き上げぐあいを見ますというと、一応それなりに時代の要求というものを考えられまして、そうしてそれに対応されておる、そういう御努力は認めるにやぶさかではございません。ただ、それはあくまでも単位費用を上げる、どういう費目を上げる、どの程度に上げるということは、結局交付金の配分になるわけでございますね。配分上どのように配分するかということはもちろん非常に重要でございます。時代に即応した金の使い方をしなければなりませんので、そういう交付税交付金の配分ということはもちろん重要でありますから、その限りにおいては、こういう単位費用の伸び率のぐあいを見た上では、配分という観点から、先ほど申しましたように一応御努力は認める。ただ、先ほど長野市長さんからもるる御説明がございましたように、地方財政はいま非常に逼迫しておりまして、その逼迫した中で財政資金をやりくりしているわけです。ですから、やはり先ほど御指摘のように、総枠をふやすということが問題じゃないかと思うのです。
 地方交付税交付金の制度は、現在地方財政調整制度の方式としてとられておりますが、それは一つは各地方自治体の財政力格差を是正するということが一つ、それからもう一つは、財源保障機能を果たすということがあるんじゃないかと思います。この程度のことは、現在の地方自治体においてこの程度の行政水準は確保されるべきである、そのために財源を保障するのだ、こういう財源保障という機能がやはりあるんじゃないかと思います。ただ、この地方交付税制度の前身であるところのシャウプ勧告によって成立しました地方財政平衡交付金制度、これは一応形の上では確かに財源保障機能をも果たす、こういうことになっておったと思うんです。各地方自治体の財源不足を出して、それを合算して、そうしてその金額が地方財政平衡交付金の金額になる、こういうことに一応はなっておったわけです。それが現在は地方交付税制度に変わりまして、国税三税の一定割合、現在は三二%、普通交付税はまたその九四%でございますが、ですから、この国税三税の収入金額のとにかく一定割合でございますから、初めからこれは総枠が決まっておるということになります。各地方自治体の財源不足額をまず決定して、それを合算して交付金額を決めるというんじゃなしに、交付金額はもう決まっておる。普通交付税、特別交付税ございますが、普通交付税の交付金額は、いま言ったように国税三税の一定割合ということで決まっておる。そうしますと、財源保障機能ということがどういうことになるのか、地方財政平衡交付金制度が形式的にはいいわけでしょうけれども、それにはいろいろないきさつがありまして必ずしもうまくいかなかった。それで、むしろ国税三税の収入金額の一定割合ということにした方がむしろこの財源保障機能をも果たす、こういうような心持ちもあって現在の制度に変わっておると思うんです。
 しかし、考えてみますと、財源不足額と交付税の交付金額が合致するということはおかしいわけで、合致するというのは偶然でありまして、合致しないことが多いと思うんですね。もちろん交付金額の方が多い場合もありましょう、それから逆に、財源不足額が多い場合もあると思うんです。現在は財源不足額が多い。ですから、その場合にどうするかというと、御承知のように、一定の調整率を用いまして、財源不足額――各地方自治体にその普通交付税を配分する場合にはどうするかというと、その当該地方自治体の財源不足額から一定の分を引くわけですが、そして普通交付税額に一致させるわけです。その引くやつは、その当該地方自治体の基準財政需要額にいわゆる調整率というものを掛けるわけですね。調整率というのは、各地方自治体の基準財政需要額の合算額に対する全体の財源不足額から普通交付税総額を引いた分の割合ですね。分母が全体の基準財政需要額で、分子が全体の財源不足額から普通交付税総額を引いたもの、それを当該地方自治体の基準財政需要額に掛ける、調整率として掛ける、それを引くわけです。引いてうまく普通交付税、その地方団体に与えられている普通交付税額と財源不足額とが合致するという仕組みになっております。全体的に言えば、要するに普通交付税額の枠は決まっているんだけれども、それを、そしてもし全体としての財源不足額が普通交付税額を上回れば、それはいま言ったように何らかの形で一定の方法を用いて、その財源不足額を減らして地方交付税額の枠に合致させて各地方自治体に配分する。各地方自治体に配分する仕方はいま言ったような式によって配分する、こういうことになっておるわけです。
 それで、全体としての財源不足額とそれから交付税の交付金額との格差がある、つまり財源不足額が多い、交付金額を超過している、そういうことがずっと持続的に毎年続く、ある程度の格差がありましてそれがずっと続けば、これはこのシステムが間違っているわけですね、どこか。つまり、財源不足額が常に多い、普通交付税の総枠よりも。それが一年やそこらならともかくも、ずっと持続しているということになるというと、これはやはり考えなければいけないわけですね。ですから、法律ではそういうような事態が出た場合には、この地方財政なり地方行政の制度を変えるか、あるいは交付税率を引き上げるというようなことをしなければならぬ、すべきだ、こういうような規定があるわけです。
 ですから、現在のように地方財政が窮迫しておる、財源不足額が大きい、そして普通交付税額がそれをカバーできないということが続いておるとすれば、当然その制度の改革あるいは交付税率の引き上げ、三二%というものを引き上げるというような措置がなければいけないわけですけれども、現状を見ますというと、現状というか、実際の手続を見ますというと、必ずしもそういう必要がないような仕組みになっている。というのは、財源不足額とそれから普通交付税の交付金額とがほとんど等しいんですね。だから調整率がゼロに近い。
 たとえば「第七十五国会昭和五十年度地方交付税関係参考資料」自治省というこれで見ますと、四十九年度の財源不足額がこれは三兆二千百八十七億何千万円、こういうふうになっておりますが、八月算定ですね、当初算定、これは三兆二千幾ら、それから普通交付税額は三兆二千までは同じですけれども、三兆二千九十五億幾らということで、若干財源不足額が普通交付税額よりも多くなっております。ところが再算定、最終決定額、再算定におきましては、財源不足額と普通交付税額とが三兆九千五百五十九億云々ということでぴたっと一致している、こういうことになっております。つまり、単位費用を毎年お変えになっておられる、補正係数を変更される。それは時代の要求に応じていろいろ交付金の配分を重点的に配分しなければならない、そういうことがそういう補正係数なり単位費用の改正の原因と思いますけれども、また一つには、交付税交付金額に財源不足額を一致させるための操作ともとれるわけですね。財源不足額が非常に高くなる、交付金額よりも多くなる。それが続けばこれは交付税率も上げなければいかぬ、そういうことを避けるために、できるだけ交付税交付金額に近づけていくと、そういう操作の一環として、単位費用なり、補正係数の改正というものも行われているんではなかろうかと。あるいはまた、その他いろいろの方法によってその基準財政需要額というものを抑えていって、先ほどもお話ございましたけれども、超過負担――この超過負担問題でございますが、この超過負担分を基準財政需要額に算入すれば、財源不足額がぐんぐんとふえまして、交付税の交付金額を上回ってしまう。ですから、一応そういうものはわきに置くと。いろいろの操作によってこの財源不足額が交付税の交付金額をあまりに著しく上回らないように――ほとんど等しいわけてすね、ずっと見ていますというと等しくなっておりますが、それはおかしいわけですね。独自に財源不足額を算定した場合と違うわけですからね、算定の仕方が。一方は、もう各地方団体の基準財政需要額と基準財政収入額との格差がこの財源不足額で、その各地方自治体の財源不足額を合計したものが全体の財源不足額。一方の交付税交付金額というのは、これは先ほど申しましたように、国税三税のその収入金額の一定割合というんですから、この算定の仕方が全然違いますからして、合致するのがおかしいわけです。それがほとんど合致しておる。
 そういうことを考えますというと、単に資金の配分のレートの置き方、傾向ということだけから見て、現在の交付税の改定、つまり単位費用などの改定をもってこれは結構だと、こう言うわけにはいかぬと思うんです。やはりもう少し基準財政需要額というものを率直に実態に即応して、そうしてこの財源不足額というものをしたがってまた適正に算出する。そうしてこの交付税交付金額をそれが上回るということが続けば、当然制度の改正なり、交付税率の引き上げなりということに踏み切らなければならぬ、率直にそういう方法をとっていくべきではなかろうか。何か今日はそういう交付税率の引き上げを避けるための一つの操作が――これは私書斎人でありますので、具体的な証拠を出せと言われますというと、これは精密なこれまた調査というようなことになりまして、いまは不可能でございますけれども、書斎人として一つの感想としまして、財源不足額と交付金額とがほとんどいつも毎年等しいというところにまず疑念を抱いて、それからいま言ったようなことに考え及んだわけでございます。
 たまたま先ほどのお話ございましたように、またいろいろ他の方面からも聞き及んでおりますが、地方財政はいま非常に窮迫しております。ですから、単に交付金額の配分だけではなしに、その枠を広げるということの必要性というものを率直にひとつ御認識いただきたいと思います。そのためには、この財源不足額を無理に交付金額に近づける、あるいは合致させるような意図をもって、この単位費用なり、補正係数というようなものの操作をすべきではない。率直に、この地方財政の実態を見て財源不足額を算出していく。それがこの普通交付税額をオーバーしているならば、率直に現制度の誤りを認識して、対応策を講ずるべきではなかろうか、こういうような感想を抱いております。
 先ほどの超過負担にしましてもいろいろ問題がございますけれども、やはりもう一遍ひとつ政府側におかれても、これはやはり超過負担の問題は、私は政策に対する価値判断の問題だと思うわけです。たとえば質量差にしましても――数量差と言いますけれども、私はむしろ質の問題も含めまして言ったらいいと思うんですけれども、質量差にしましても、これはどの程度の施設を現段階においてすべきか、すべきでないかということに対する、地方と国との認識の違い、あるいは価値判断の違いになってくる。そういう価値判断が合致すれば、質量差による超過負担というものは出てこないわけです。超過負担の問題をも率直に再検討されまして、基準財政需要額に編入すべきものは編入すると、そうして交付税率を引き上げざるを得なければ上げるべきである、こういうような感想を持っております。
 簡単でございますが、以上でございます。(拍手)
#7
○委員長(原文兵衛君) どうもありがとうございました。
 以上で午前の参考人の方の御意見の陳述を終わります。
 それでは、これから参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○岩男頴一君 柳原参考人にお伺いしますが、ただいまるる参考人が、現職の市長として市政を担当してまいりまして、非常に苦しい地方財政を死ぬ思いでがんばっておる、がんばり抜いておるということはよくわかりましたが、いま、間々報道機関等の伝えるところによりますと、地方公共団体の非常に財政が緊迫してきた一番の原因は、国家公務員をはるかに上回る地方公務員の給与の格差というふうにある程度印象づけられたかっこうでございますが、お伺いしますと、長野市においては、ラスパイレス方式で算定をしましたものは一〇〇に対しまして一〇八ということでございましたが、これは全国の都道府県市町村を全部平均いたしまして、そうして四十八年の四月現在の数値しか手元に持っておりませんが、これは一〇八・七でございますから、大体全国の都道府県市町村の平均の給与ベースであるというふうに考えます。資料を見ますと一一一・四でございますから、長野市は非常に努力をしている、そうして地方財政のことを考えて、一生懸命に職員ともども恐らく相談をしてこの数値でおさまっておるのだと思いますが、まず、この長野市でいつごろから国家公務員を上回る給与ベースになりましたか、お伺いいたしたいと思います。
#9
○参考人(柳原正之君) ただいまの岩男先生のお尋ねでございますけれども、詳しくいつからということはいま記憶をいたしておりませんけれども、前々市長のころから、すでに長野市の給与は周辺市町村に比べると上位の方でございます。きょうここに御出席いただいておる夏目先生が市長さんのころから、給与というものはやはり市内の大方の給与と均衡のとれたものでなければいけないじゃないかという主張でございまして、当時私は助役をいたしておりまして、団体交渉を担当しておったのですが、その先生の意を体していろいろといたしてまいりました。ただ困りますことは、県庁所在地でございますから、県の給与というものがやはり市の方に相当な圧力になってまいるんですが、私どもは前々市長のときにありましたプラスアルファもやめました。やめるときに、国の方が幸い途中でどんどんプラスアルファがふえてまいりましたので、右手で国のプラスアルファというか、期末、勤勉手当がふえれば、市の方のプラスアルファはそのふえた分だけ減らすと。右手でふえれば左手を減らすと、こういうことをやりまして、もう国が期末、勤勉手当をふやすことの操作が三、四回ありましたが、その間にきれいにプラスアルファというものをなくしまして、何にもなくもうきれいさっぱりとしました。
 これ余談ですけれども、団体交渉も、夏目先生は、男と男が話し合いをして一時間話して話のつかないようなことは一晩じゅうやったって解決つかないんだから、団体交渉は一時間にしようじゃないかということで、これはうちの方の組合はなかなか強いんですけれども、それを守りました。ですから、そのかわり一年に三十回ぐらい団体交渉はございますけれども、一時間やって、そうして解決つかないことはまた双方が冷静な頭になって考え直すというようなことで、労使関係は非常に改善をしてきたつもりでございます。
#10
○岩男頴一君 まあ、長野市の場合は、非常に双方の理解と努力によって全国市の水準をはるかに下回る給与ベースということでございます。
 また、これは全国的に言えますが、指導機関と言っては語弊がございますけれども、指導機関であるべき都道府県が先に給与を上げてしまう。そしてそれに準じて今度は団体交渉等でだんだんと給与を上げなくちゃならないということになっていくわけでございますが、私は参考人にお伺いをいたしますが、たとえば昭和四十七年の九月二十五日自治省事務次官の通達がございました。これを要約して言いますと、人事院の国家公務員に対します勧告を、まあいろいろ理由はあるだろうけれども、これを使うことが好ましいというような意味合いのことでございましたが、参考人は市長として、人事院の勧告は、これは国の公務員の給与に対する勧告でございまして、当然人事院にはたくさんの専門の事務官がいまして、そして整備された体制によって、あるいは生活費を算出したり、給与制度の研究を行ったり、年々官民給与比較の上に立って国家公務員給与についての報告あるいは勧告を行っているということでございますが、地方自治体は若干違うわけでございます、これは後で述べますけれども。そこで、参考人は、自治省通達のこの人事院勧告どおりにやはり地方自治体の給与を合わせるべきであるという国の要望でございますが、どのように考えられますか。
#11
○参考人(柳原正之君) ただいまお尋ねのとおり、人事院は相当な人員、機関をもちましていろいろな調査をいたしておるのでございますが、私ども市町村にはそういう機関がございません。したがいまして、細かくお調べになって妥当な線をお出しになった人事院勧告を守ることが、われわれの方では労使関係を円滑にする上に一番よろしいかと思いまして、ずっとその方針でいたしております。
#12
○岩男頴一君 そこでお尋ねいたしますが、長野県は俸給の――給料表でございますね。これが何等級ですか。単純職を入れまして何等級に分かれておりますか。
#13
○参考人(柳原正之君) 県庁ですか。
#14
○岩男頴一君 いや、長野市。
#15
○参考人(柳原正之君) 長野市ですか。長野市は国の二等級を一等級にしましてやっております。
#16
○岩男頴一君 これは国の方から指導して、小さい地方公共団体ほど簡素にしなさいということになっております。
 市とは関係ございませんが、町村では現在四等級、単純職を抜きますと三等級の制度でやっておるところがございますので、こういう点で、地方公務員の俸給が、初任給は当初国家公務員より非常に高い、そこが国家公務員を上回る俸給体制と、こういうふうに言われておりますけれども、渡りの問題その他がございまして、だんだん途中で国家公務員に追い抜かれていくというかっこうもあるわけでございまして、かような点で非常に国家公務員に準じられない理由もございますが、一面また、給与の算定基準というのが、人事院の勧告をしっかり双方が信頼して地方公共団体もやっていけばトラブルは起こりませんけれども、給与体系が若干地方公共団体の場合には違いますので、したがって、それを境にして、一番仲よくやっていかなくちゃならない、一番理解をし合いながらやっていかなくちゃならない都道府県、市町村、地方公共団体の首長と職員との間にトラブルが起きる。最近のごときは地方公共団体の公務員の俸給が高い、したがって公共投資等もできない、われわれのためにいいことができないというふうなことが起きておるらしい状態でございます。
 そこで柳原参考人にお伺いしますが、市会議員さんあるいは特別職の各種委員等の報酬の決定の際、もちろんこれは特別職報酬審議会をおつくりになっておられると思いますが、いかがですか。
#17
○参考人(柳原正之君) 特別職の報酬の改定に当たりましては、国の方からの御指導もありまして報酬審議会をつくっておりますが、これは御指導あるないにかかわらず、やはり私たち特別職も住民の公僕として仕えておるのですから、地域住民から批判を受けないような報酬でなければいけないと思います。それにはガラス張りにやらなければならないと思いますので、報酬審議会は当然設けるべきだ。長野市でもベースアップというか、報酬のアップをいたします際には必ず審議会を設けていたしております。
#18
○岩男頴一君 そこで、後でお伺いしますが、この全国の市長のうちで、昭和五十年一月一日現在ですが、仙台市が一番給与が高い、俸給が高い、六十一万九千円、飯山市ほかが二十三万円というところがございます。議長を見てみますと、広島市が四十一万円、飯山市が七万二千円。市会議員を見ますとやはり広島市が三十二万四千円、飯山市が五万一千円、非常な格差がございます。これは財政規模、人口その他でこういう差ができたと思いますが、いま超過負担あるいは地方公務員の給与が国家公務員を上回っているからとか、いろんな理由で地方財政が緊迫したと言われておるわけでございますが、この特別職のうちで特に市長、市会議員さん、議長さん等にしぼって考えてみますと、これは特別職の報酬審議会を、しかも自治省の指導もあってこれをつくってやったということでございますけれども、何しろこの格差が激し過ぎるわけでございます。お伺いいたしますが、特別職報酬審議会があって、したがってガラス張りで厳正中立に特別職の俸給を決めるということでございますけれども、こういうような差があるということは、やはりたとえ地方自治体で自主的にやるといいましても、なかなかそこに御苦労がおありになるのじゃなかろうか。はっきりは言いづらいところでございますけれども、なかなかあるんではなかろうか、こう思いますが、いかがですか。
#19
○参考人(柳原正之君) 私どもの方では、特別職報酬審議会をいままでにも何回か開きましたけれども、一番最初のころは委員さんの中から、当局の原案を出せ、こういう御意見がございましたが、私たちは、自分の報酬を決めるのに自分から原案を出して、そしてそれが高かったというような御批判を受けることは困りますから、皆さんがおつくりいただくようにお願いをいたしますと、こういうことを申し上げた。ところが委員さんたちは、そんなことを言ったってわれわれにはやりようがないじゃないかということもございまして、最初のころは、じゃ事務局が試案をつくってみようというようなこともございました。しかし最近では、あちらこちらの都市の実例等を調べまして、その資料を委員さんたちに差し上げました。結局、職務の責任と度合いに応じて報酬を定めると申しましても、これはなかなかむずかしくて計算が出ないわけなんです。いま一つの常識になっておりますので、やはり大きいほど職務の責任と度合いが多いんだ、あるいは交際関係なんかも多いんだというようなふうなことで、大きいところが高くなって小さいところは安いというような趨勢にございますが、そこいらのよその例なんかを委員さんたちが全部お調べになって、あるいは視察においでになって決めるというような方法をいたしております。ただ、長野市あるいは長野県内のことを申しますと、西の方に比べて非常に額は低い方でございます。
#20
○岩男頴一君 私の調べましたところによりますと、長野県は非常に低い特別職のベースでございます。これは参考までに神奈川県の葉山町、これは町村の方でございますが、議長が十二万で議員が九万五千円。ところが、これはへんぴなところでございますが、同じ町村の東京都の青ヶ島は議長が一万五千円で議員が一万二千五百円ということでございます。そこで非常に格差が激しいわけでございますが、これは、その市町村、都道府県の財政規模等によって公平なことが行われておればいいわけでございますけれども、この町村のごときは、人口五千人未満の町村では七五%は特別職の報酬審議会等はございません。
 したがいまして、参考人にお伺いをいたしますが、こういうような特別職の報酬につきましても、何らかやっぱり指導、助言をいただきます国の方で、その財政規模あるいは人口等いろいろございますが、算定基準を出して参考として、あるいは各種委員もございますが、こういう程度のものがしかるべきでなかろうかと。これは地方自治体の権限に対しましてこれを侵犯することになると困りますけれども、そうじゃなくて、この程度の基準が、あるべき姿はこうであるというようなものがあった方がいいか、あるいはなくてもいいか、どうお思いになりますか。
#21
○参考人(柳原正之君) 私ども当事者あるいは議会の議員さんたちとしては、何らかのものがあった方が決めてもらうときに都合がいいというような考え方は持っておるようでございます。それから全国議長会か何かは、この辺からこの辺までというようなものをまず書類で流したこともあるようでございまして、やはり自分のことですからいろいろ批判を受けるのはということで、そういう気持ちはあるようでございます。
#22
○委員長(原文兵衛君) この際、ちょっと申し上げます。
 柳原参考人は、いま市議会開会中で、これから帰らなくちゃなりません。十二時半までにここを出るということでございますので、各党恐縮でございますが、柳原参考人に対する御質問を先にお願いいたしたいと思います。
#23
○小山一平君 私は、二、三の点でお尋ねをしたいんですが、御承知のように、ラスパイレスを使って地方自治体の給与が高過ぎるというようなことが問題になりました。予算委員会で自治大臣は、いろんな地域の事情もあってのことなので一一〇%程度は、これはそう問題ではない、そのぐらいのことはやむを得ないことであろうという見解を示されました。そういう点から見ると、長野市などはあれだけの三十万の人口、県庁所在地であって、なおかつ一〇八%ということですから、先ほども述べられたように、問題になるような高さではないと私も思うんですが、このことについて県あたりから何か指導みたいなものがございますか。
#24
○参考人(柳原正之君) はっきり記憶しませんが、最初はラスパイレスというのは極秘だということでしたけれども、その後全国一斉に公表されまして、県からの指導あるなしにかかわらず、どこが幾らというようなことがわかりました。したがって、自治体の長としては、自分の方のことは自分がよく判断をして決めなければならないというようなふうに思っております。県から何か指導があったかどうかのことはちょっと記憶がございませんが、あるいは何か――いや、ないと思いますが、全く記憶がございませんから。
#25
○小山一平君 市長さんは、先ほどの給与の決定の経過などお話がございましたが、現在の長野市の給与というものは、これはきわめて妥当なものだと、こういう御見解でございますか。
#26
○参考人(柳原正之君) 何が妥当かどうかということの判断というのは非常にむずかしいと思います。一つの判断としては、やはり周辺市町村とか、あるいは全国の類似都市とかいうようなものと比較をして決めるというのが一つの物差しであり、一つの物差しは国家公務員であろうと思いますので、私どもの方が国家公務員という物差しを当てますと若干高いということになるんですけれども、しかし、それにはいままでのいろいろな経過がございまして、近隣市町村あるいは県というようなものと比較していくと高くないというようなこともございますので、何と申し上げていいか、この辺でやむを得ないではないかというふうに考えております。
#27
○小山一平君 毎年人勧があったときには、どこの市町村長さんも、人勧による必要財源で大変頭を痛めるのが通例だと思いますが、ことしのように特に財政硬直が深刻になっているときにおいては、これもまた頭の痛い問題だと思いますが、長野市における、これで人勧が出てきたときの財源などについて、どんな状況だと判断していらっしゃいますか。
#28
○参考人(柳原正之君) 人勧に対しての財源、国の方から財政需要額をお決めをいただいたときに九%の分はすでに見込んでいただいてございますから、私どもは予算編成の際に、やはり九%分は財源を確保しておくということをしておるわけでございます。万一これ以上に人勧でアップがあるということになりますと、例年の例にございますように、国で何とか御措置をいただかないとやっていかれないという状況でございますので、私どもは強く国の方にお願いをいたしておるような次第でございます。
#29
○小山一平君 それから先ほども公共下水道のお話が出ましたが、この公共下水道というのは大変お金のかかる事業ですけれども、その中で建設分あるいは運営費分、こういうふうに考えますと、たとえば建設事業費の中で、補助対象にならない部分というものがかなりある。これをすべて受益者負担とすることも無理がある、こういうようなことで一般財源を食うというような問題もあろうかと思います。また運営費においても、すべてこの料金によって全額を負担させては過重になり過ぎて困るというような問題もあろうかと思います。こういう点で、長野市の場合に建設費あるいは運営費等の中で、市の財政の上にこれがどんなふうに影響をしているかというようなことも、おわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。
#30
○参考人(柳原正之君) 下水道につきましては、建設費については補助金と起債で見てくださる、それから運営費については交付税の中で計算してくださるというのがたてまえでございますけれども、補助対象にならない、御指摘のような事業がたくさんございます。それからまた、受益者負担金をある程度取るべきだというんですが、数年前に建設省の御指導で、下水道を引こうとする地域は全部受益者負担金というものをいただくことになりました。なりましたけれども、今度は途中でそれを変えるわけにはいかないというために、受益者負担金も十分でございません。それから運営費については、私どもは水道料金の四〇%というものをいただいておるんです。これでは十分でございません。さりとて、いま公共料金を自治体の方もできるだけ抑えるというのが原則でございますので、それ以上に上げることができないというようなことで、私どもの方では三億円、一般会計からいま下水道に対して繰り出し金をしておりまして、毎年毎年これは事業の状況を見て一年送りに繰り出しをやっていくというようなことをいたしまして、計算外のそういうところへ非常なお金を出しているような次第でございます。
#31
○小山一平君 いまのお話でも、まだ普及率が非常に低位にあるにもかかわらず、年間三億円も一般財源を食われる、こういうことですから、これがもっともっと広範に拡大されていくということになると、大変なこれ一般財源に対する重圧になるおそれがあると思うんですが、こういう点で何かどんなふうに改正をしてこういう財政負担を軽減を図ったらいいのかというようなことで、御希望なり御意見があったらお聞かせ願いたいと思います。
#32
○参考人(柳原正之君) 非常にありがたい御質問をいただきまして、先ほど申し上げましたように、下水道というのは住民が一番望んでいるんです。それからまた、今日河川が汚染している一番の大きい原因は下水道が普及していないからでございまして、便所は、下水道のないのはくみ取りがございますけれども、お勝手の雑排水というのは全部川に流してしまう。そのために河川が汚染しまして、ドジョウがすまない、魚がすまないといってマスコミさんにしょっちゅういじめられている。われわれとしちゃもうやりようがない。ところが下水道をやるには莫大なお金がかかって、しかも今後何十年というような見通しなんです。ですから、よほど思い切って国が財源措置をして、もっと補助金をふやしていただくなり、あるいは交付税で見ていただくなり、何とかしないと、しかられているのはわれわれなんです。しかられているのはわれわれなんですけれども、いかんせん財源がないということですから、どういうふうにして財源ということはこれは国の方の専門の皆さんにお考えいただくとして、とにかく猛烈に財源をふやしていただかないと、いつ下水道なんてものは普及するか、もう非常に悲観的な状況でございます。
#33
○小山一平君 もう一つお尋ねしたいと思いますが、市長さんからもお話があったように、舗装というのが住民の要望が非常に多いにもかかわらず、なかなかその財源確保ができないという問題があろうかと思います。現在この舗装事業を積極的にやっていこうというような場合に、何か特別の財源が、起債なり何なりでどんなふうに見られておりますか。大ざっぱでいいです。
#34
○参考人(柳原正之君) いま私どもこれも不満の一つですけれども、国道は非常に手をお加えになって、こんなにまで金かけなくもいいかと思うくらい手をおかけになっている。それは国に財源があるからでございますが、市町村道に対してはほとんど補助金というものはないんです。いままでに税源として自動車重量譲与税、それから自動車取得税交付金、この二つを財源にいただいておりますが、国の方は揮発油税、石油ガス税、自動車重量税、それから県の方は地方道路譲与税、石油ガス譲与税、軽油取引税、自動車取得税、こういうふうに国、県の方は財源をたくさんお取りになっているけれども、市町村には財源もなし、補助金もほとんどいただかない。ですから、市町村の道路というのは一番おくれている。東京へ参りますとどこへ行っても舗装の道を歩けるけれども、田舎へ参りますと舗装の道は歩けない。保育園へ通う子供が長靴をはいてどろだらけで通ってるんだが、市長来て見なさいというようなふうな電話でこの春もしかられたことがあるくらい舗装がおくれてるんです。いままでは起債で若干見ていただいたんですが、それだけではとても足りませんので、何とかひとつ財源確保をいただいて、この辺でもう少し――そんなこと言うとまた建設省におしかりを受けるかもしれませんが、国の方の道路の分を市町村の方へ回していただいたら、本当に生活に密着しているところがよくなると、こう思うのですが。
#35
○小山一平君 私どもがこれから努力をしていかなければならないような、具体的な幾つかの問題をわかりやすくお出しをいただいて、大変ありがとうございました。
#36
○神谷信之助君 長野の市長さんお越しいただくのがきのう急にきまりましたので、ちょっと準備をしてなくて申しわけないんですが、長野市の場合は四十九年度の決算見込みではどうなんですか。赤字になるというような状況ではないんですか。黒字で何とか、――赤字、黒字といってもいろいろ操作ができますから何ですけれども、大体その辺の見込みはどうなんですか。
#37
○参考人(柳原正之君) 幸い四十九年度は一億ちょっとぐらいの黒字になる予定でございます。
 ただ、これは先生方ももうすでに御承知ですけれども、いまお話しのような操作もございますし、それから事業を堅実にやってれば赤字にならないし、事業を欲張ってやれば赤字になるんでして、結局住民の要望なんて幾らでもあるのですから、いまの下水にしても、道路の舗装にしても、一どきに――私どもの方について言えば、いま一年に三億から四億ぐらいのベースでやっているんですけど、その道路の舗装を五億やればまた二億赤字になるというようなことで、赤字がなかったから地方財政よかったとか、黒字だからよかったとかいうことは私はないと思うんです。結局、自分の収入に見合うような仕事をするのか、収入に見合わない大ぶろしきを広げるのかという――もちろんその中には下水道の処理場とか屎尿処理場とか、あるいはじんあい焼却場のような大きい設備の建設をやるようなときには問題がございますが、そうでないときには、やはり現行制度の中で収入のことを考えながら仕事をしていく以外にないじゃないかと思うんです。
#38
○神谷信之助君 そこで、市長さんのお話を聞いてますというと、大変御苦労をなさって、そして、先ほどからも出てましたように、人件費の方もラスパイレスで一〇八ですから、全国の市で比べますと平均より下回っていますね。そういう苦労をしてやってこられても思うように期待にこたえるような仕事ができない。ですから、今日の地方財政の危機といいますか、財政上の困難というのは、それはまあ人件費はべらぼうに高けりゃいいということはないですから、できるだけ効率的に、むだのないようにしなきゃいかぬ。しかし、何ぼそれを抑えてみてもなかなかこたえ切れないというのが、今日の地方自治を担当されている市長さん方のお気持ちじゃないかと思うんです。そこで私は、先ほどからもありましたが、この問題を解決するために、市長さん、一番安易な道かもしれぬが交付税率を引き上げてもらいたいという御要求がありますね。それから超過負担の解消の問題もおっしゃっておる。
 そこで、具体的に交付税率を引き上げるという問題ですが、ところが、御承知のように、地方財政計画で歳入と歳出、これを見込んで、そしていまの三二%の交付税率で足るのか足らないのか、もちろん自己財源や地方債計画を含めまして、そして、まあ自治省の計画ではみごと三二%でおさまりますと、こうなるわけですね。そうしますと、問題は、地方財政計画の歳出の中身が、実際の自治体が住民に対して負っているそういう責任なり要求にこたえることができるような歳出の計画になっているのかどうか。これをうんと抑えられてしまうと、それを自治体の方では、いま市長さんおっしゃったように、道路の舗装をやろうと思っても、あるいは下水道計画を進めようと思ってもやれない、保育所を建てようと思っても年二カ所では抑えなきゃならぬと、いろいろな問題が抑えられますね、これが一つ大きい問題だと思うんです。ところが市長さんの方は、大ぶろしきを広げて赤字にするわけにいかぬから、歳入の方を考えながら、やりたい仕事も切り詰めて何とか赤字にならないようなことで毎年仕事をやって決算をする。この決算というのは、実際の自治体の行政水準、あるべき行政水準を示すものではないんじゃないか。市長さんのお立場から言うたら、もっとやりたいという行政水準はあるんだけれども、歳入は抑えられているから、したがって、不満足ながら現行の制度の中であるお金にしぼって計画をしなきゃならなぬ、それに基づいて決算が出てくる。そういうのを参考にして自治省の方では地方財政計画の歳出をつくっていくわけですね。ですから、これは実際は非常に、自治体がやらなきゃならぬ仕事そのものがそのまま反映をされているというものじゃなしに、市長さんが苦労して、非常に不満はあるけれども遠慮して行政をやってこられた、その反映でしかない。この辺がひとつ、なかなか三二%の税率というやつが変わらないような一つの仕組みにもなっているんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#39
○参考人(柳原正之君) 非常にむずかしいお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、住民の生活が多様化してまいりまして、まあ非常にぜいたくになってきております。で、行政需要というものはもう無限にございます。保育所の時間外保育料もただにしてほしい、保母さんの方で言えば時間外の手当も出してほしい。それから下水のこと、道路のこと。それから公園ですね、公園が足りないじゃないかと、もう行政需要は無限でございます。その無限にある行政需要に見合うような収入というものがあるのかないのか、収入をどうするのかということになりますと、今度は市民なりあるいは国民の税の負担能力があるかないかということとの関連がございまして、私どもにはまあ高度の問題で、なかなか申し上げるような数字を持たないんですけれども、その両々相まって、財源の許す範囲内でやる以外にないというのが一つと、それからもう一つは、国と地方との財源配分のバランスをどうするかという問題があると思います。先ほどちょっぴり悪口申し上げたんですが、まあ国道なんかずいぶん手入れしていただいて、これはありがたいけれども、あんなにやるぐらいならわれわれの方に少し回してもらいたいというような感じの――まあほかにもそういうのもあるかもしれません、これは抽象的で非常に申しわけないですが、ですから、財源配分のやり方も若干あると思いますし、もう一つは国民の税負担の能力に合うような収入の中でやらざるを得ないわけでしょうから、まあそういうことで御了承いただきたいと思います。
#40
○神谷信之助君 それからもう一つの問題は、やっぱり超過負担の解消の問題だと思うんですが、先ほど市長さんもお話しになったように、自治省の方では、単価差はこれはまあ解消するために努力をするということを国会でもはっきり答弁されてますね。しかしその他の分については、ということで、この辺はまだ意見の一致を見てないわけです。いずれにしても、私は、事業費全体をどのように見るのか、あるいはその基礎になっている単価をどのように見るのかという、これの決定の仕組みが、それぞれ政府の方で各省でやるわけですね。で、自治体の側からの意見というのが反映をしない、そういう仕組みになっているわけでしょう。この辺をはっきり解決をして、そしてそういうものを決定する場合、自治体の意見もちゃんと反映をする、あるいは必要であれば第三者の意見も入れて、そして適正な単価を決める、あるいは数量なり規模なりを決めると、こうして一定の基準というものをはっきり実態に即してつくられるようにならないと、この超過負担問題というのはなかなか解消しないだろうと、こういうように思うんですが、その点についての御意見いかがですか。
#41
○参考人(柳原正之君) ごもっともであると思います。やはりぜいたくに建物を建て始めればこれは際限ないと思うんです。私どもの方にも、ある温泉地域で、県下に一つしかないような小学校とか中学とか建てる。そうすると、われわれの方は、あそこの小学校はこんなにりっぱじゃないかということで、おら方もやってほしい、こう言って責められる。で、それを今度は、そこの自治体の長に聞くと、いや、おら方は温泉場で全国から視察に来てもらうから、三年もたてば元取れちゃうから、幾らりっぱなのをつくったって損はないんだと、こういうことで全国の水準より非常にりっぱなものを建てる。こういうことは私は補助金を出す方からすれば際限のないことだと思いますから、ある程度常識的な基準というものを大ぜいの意見を聞いて設けるべきだと思います。で、そういう際に自治体側の意見も聞いていただけるということであれば非常に幸せだと思います。
#42
○神谷信之助君 最後に、御承知のように自治省の次官通達が出まして、その中で財政健全化の計画を策定をしなさいと、それを策定をされれば地方債の弾力的運用も検討しましょうという一つの問題が提起されているんですが、これについて、一面では、まあ自治体の側から言うと財政上にっちもさっちもいかぬわけですから、そういうことで地方債を見てもらえるということになればこれは渡りに船という面も一面あります。しかし一面では、例の地方財政再建促進法に基づくいろんな歯どめはなしに、行政裁量で行われるという面での一定の不安というものが、一面では自治権との関係であるんじゃないかというふうに思うんですが、この辺についてはどのように市長さん受けとめておられますか。
#43
○参考人(柳原正之君) 自治省の御通達もありますけれども、しかし、われわれが自治体の責任者として自治体をお預かりしている以上は、やはり財政の健全化を図りながら自治体を運営していかないと、ただ赤字だけ――赤字が幾ら出ても、あるいは借金を幾らやっても、やっといてそして、もうわしは一期やりゃあいいから、あるいは二期やりゃあいいから、次の市長さんにうんと赤字をやるという、これもまた無責任な話ですから、現在の制度下においては、国の御指導あるないにかかわらず、ある程度はやはり堅実にやっていかないといけないと思います。卑近な例ですけれども、質屋に金を借りに行ったって、おやじが飲んでばかりいて、仕事もしないで金借りに行けば質屋では金貸さない。それはおまえには貸されねえというのと同じだと思うんですね。ですから、自治体を預かる責任者としては、現行制度下においてやはりできるだけ堅実にやっていく以外にないではないかと考えております。
#44
○委員長(原文兵衛君) 柳原参考人、ありがとうございました。(拍手)
 それでは、柳原参考人にはお引き取りいただきますが、井手参考人に対してこれから御質問申し上げます。
#45
○安孫子藤吉君 井手先生に一言お尋ねをいたします。
 先ほど経常経費と投資的経費の分類につきまして疑問を持っておられる、そういうような御発言があったように私承ったんで、私も問題ないわけじゃなかろうとこう思っておりますが、大変むずかしい問題なので、先生に何か一つの案がございましたらこの際お聞かせをいただきたいと、こう思いましてお尋ねをしたいんです。
#46
○参考人(井手文雄君) この自治省資料を拝見しましても、経常的経費と投資的経費の中に同じような、たとえば道路費がどっちにも入っておりまして、ですから経常費と投資的経費と――経常費というのは、そういう社会資本の形成とか、そういうような建設的なものではないと、それから投資的経費というのはいわゆる建設的なものである、そういうことで分けるならば意味はありますけれども、そうでないわけですから、むしろ私はどうしてこういうふうにお分けになっているのか、その基準というものを当局に私お伺いしたいというふうな気持ちをむしろ逆に持っているわけです。ちょっと了解できないところはこれはございますです。
#47
○阿部憲一君 井手先生に二、三ちょっとお伺いしたいんですが、端的に御質問申し上げるわけですけれども、いま御承知のように一番問題になっておる地方財政につきましての大きな問題は、硬直化という問題でございます。この硬直化をどういうふうにしたらば解決できるか。これはもう私ども最も関心を持ち、また同時にこれを一日も早く解決しなければならないというような気持ちでおるわけでございますが、この硬直化につきまして、国いわゆる政府としては、いままで硬直化の原因というのはやっぱり人件費が膨張したのだ、要するに人件費に原因がある、もう一つは、やはり福祉を先取りしたんじゃないか、このようなことを主として原因として挙げております。そうすると、そのようなことを解決するのはどうしたらいいかということになりますと、結局これは人件費を含めての合理化ということが必要だと私は思いまするし、また同時に、いままで福祉の先取りというならば、この先取りをある程度かげんして、言いかえるならば福祉を後退させるということによって解決する、こういうことになると思うんです。で、これは私とも自身――この原因がこれだけである、いやむしろこれが本当の原因じゃないというふうに思いまするけれども、またしたがって解決策が、いま申し上げましたような合理化だとか、あるいは福祉の後退というようなことによって解決できる、このようには思っておりませんけれども、その辺につきまして先生のお考えを承りたいと思いますが、これは私、事実このような原因、またこれを解消するための策として最上の処方せんじゃないと思っておりまするけれども、井手先生の御意見を承りたいと思います。
#48
○参考人(井手文雄君) 福祉行政の先取りというようなことも言われますけれども、とにかくわが国はいわゆる福祉国家というものを目指していることはもう間違いないわけです。そうして、実際のそういう福祉関連の行政の現場担当者というものは地方自治体である、市町村などは特にまた現場の担当者である、こういうことになります。それで、その福祉行政に力を入れれば当然財政も膨張しますし、硬直化していくと、こういうことにもなるわけですが、わが国は、御承知のように昭和三十年代から四十年代にかけまして高度成長を遂げてきたわけでして、フローとしてのこのGNPは、欧米先進諸国ではアメリカに次いで二番目というところまでいわゆる経済大国になったわけです。それで今度は、福祉国家として充実していかなきゃならぬというわけでございますけれども、いろいろのこの福祉生活環境の整備あるいは福祉施設の整備あるいは福祉行政というようなものは、フローに対して、そういう制度なり施設というものはストックだと思うんですね、ストック。ところが、それは非常に欧米先進諸国に比べるというとストックの面においては立ちおくれております。ちょうどかつて道路が非常に立ちおくれておったように立ちおくれております。ですから、この欧米先進諸国並みにそういう福祉関連の行政あるいは施設、福祉制度あるいは施設というものを引き上げていく、そういうストックを高めていく、増強していくということは望ましいわけですけれども、フローとしてのGNPがアメリカに次いで二番だと。だからにわかにそのフロー並みにこのストックもアメリカ並み、それに次ぐところまでいかなきゃならぬとなると、一挙にスウェーデンとかその他の水準までいかなきゃならぬ。そこのところがちょっと錯覚でありまして、フローとしてのGNP対所得はふえた。しかしストックはこれは長い間のハンディキャップがありますから、非常に低いわけですから、フローがそこまで行ったからと言って、先進国を追い越したからと言って、ストックがにわかにそこまでいかない。やはり順序というものがあるわけですね。節度というものがやっぱりなきゃいかぬ。順を追って欧米並みに引き上げていかなきゃならぬということになるわけです。そこのところをどのように判断するか、どの程度に、これからどのようにフローとしてのこのGNPを上げていくか、それとの関連において、ストックとしての福祉関係の施設なり制度というものをどの程度の速度で引き上げていくかと、この辺はこれはむずかしいけれども、やはり避けて通ることはできないわけでありまして、これは経済学なりいろいろの学問の総力を挙げて、そこのところを算定して、長期計画をもって年を追うてそのストックの水準を上げていく、フローとしてのGNPの増加と関連しまして、密接な関連のもとに上げていく、こういうことでなければならない。そうしますというと、この福祉行政の先取りとか、それがいいとか悪いとかという問題は出てこないと思うんですね。つまり、国と地方とが意見が分かれているというのはおかしいんです。これから日本がどの程度に福祉の設備や制度を整備していくかということについて、国と地方が意見がばらばらであっては、これはもう絶対に妥当なそういう福祉政策は行えない。立場が違うから違うんだと、国の方はどうも地方はむだ使いをしている、給与、人件費も多過ぎると、そういう色めがねで見れば、何が何でも地方がやっていることはむだに見えるし、行き過ぎに見えるし、といって国の見方が必ずしも悪いとも言えない。地方においてもいろいろ地域住民の需要は、要求は多いわけですからして、それに先ほどもお話がありましたように、デモンストレーション効果というのがあるわけです。よその市ではここまでいった、こんなりっぱなものをつくったと、そんならおれのところでもつくらなければならないというようなデモンストレーション効果が働きまして、次から次に分不相応の設備をする。それからまた首長側にしましても、やはり地元住民の要求にこたえた方がいいということで、この過大な住民の要求にこたえるという点もあります。だから、国が色めがねで見るというけれども、そういう要素は地方にもあるわけです。
 といって、何が何でも地方のやることがだめだ、福祉行政の先取りはけしからんということも言えないと思うんですね。国がいろいろの事情で、いろいろのプレッシャーグループの働きかけによって思うように国レベルでのそういうストック、福祉行政というのはうまく進まない。その場合には、やはり地方自治体が先頭を切ってある程度のことをやっていくということで、国レベルでの福祉行政が進んでいくということがあるんですからして、福祉行政の先取りはいけないとも言えないんです。福祉行政の先取りがあってこそ、諸困難を押し切っていろいろのそれに対抗するプレッシャーグループの圧力をはね返して、こういう行政水準、福祉行政というのが進んでいくことがあるわけですからして、そこのところはやはり国の立場、地方の立場、それぞれいい点もあれば悪い点もある。ところが、それをお互いに立場が対立しておっちゃいけないと思うんですね、これはむずかしい問題ですけれども。
 だから、やはり先ほど言ったように、科学の総力を挙げてこれからの経済の成長率、GNPの伸び率、フローとしての所得の伸び率、それと関連してストックとしての福祉関連の施設なり制度というものを、年月はどれくらいで増加さしていくかということをやはり科学的に客観的に長期計画を立てまして、そうしてそういう線に沿って国も地方も一致してやっていく。こういうことでないと、いまのように国と地方との間において、いや、その程度のそういうような施設はデラックス過ぎてむだだとか、いや、この程度は必要だというようなことをやっておったんでは、これはもう超過負担も解消しませんし、円滑な福祉関連の政策というものは進捗しないと、こういうふうに私は思っております。何か抽象論のようですけれども、しかしこうやらないというと――ですから長期計画というのが非常に必要だと思うんですね。
 それから、硬直化でございますけれども、やはりそういう意味におきまして、福祉関連の事業費、行政費というものは、一定の年率をもってコンスタントに伸びていかにゃならぬと思うんです。そういう意味におきましては、この地方財政はそういう意味においては下方硬直性的な要素を持っておるわけですね。よく言われますように、硬直と言いましてもいい硬直と悪い硬直とがあるわけでして、この福祉行政というようなものは、長期計画を立てて、そうしてコンスタントに伸びていかなきゃならぬ。それはいま言ったように今後のGNPの伸び率との関連において、むちゃくちゃに伸びちゃいかぬわけですけれども、そういう意味においての硬直性ということは、どうしても必要になってくるわけです。もちろん国でも地方でも、財政資金の非効率的な使用、非効率的な支出ということはこれはもう絶対にやめなければいけません。その非効率的支出の中にもし人件費が過大だということも含まれておるとすれば、それはまた先ほどからもいろいろ御議論がございましたように、地方公務員の人件費というものはどういうものであるかということをやはり検討しなきゃならぬと思うんですね。先ほどもいろいろ御議論ございました。そういうことを含めて、財政支出の非効率性というものは断固として排除しなければならぬと同時に、コンスタントに伸びていく経費というものはやはり率直にそれを認めて、そして手当てをしていく。そのためには国と地方との税源の再配分も必要でありましょうし、それだけではやはりいけませんですね。地方財政力の格差がございますので、やはり地方財政調整制度の合理化ということは絶対に必要ではないかと思っております。
#49
○阿部憲一君 先生のお話よくわかりましたんですが、結局国と地方とがもっと調和をして行政に当たれというようなことに尽きると思いますが、遺憾ながらまだそのような現象を余り私ども拝見しませんで、地方によりあるいは国とそう調和できないような面も多々ありまするし、もう一つは、根本的に言って、どうも国というものが、国の機関が地方のいわゆる自治体なんかに対して君臨すると言っちゃ語弊があるかもしれませんが、やっぱり上から支配する、自分の意見を押し通すというような傾向が非常に強いんじゃないかと思います。したがって、いま先生のおっしゃるように、国と地方とがもっと調和して、地方の立場を国が尊重し、地方もまた、財政問題だけじゃなくて一般行政につきましても国の意向というものをよく入れて、それで円満にやっていけば、これは一番理想国家だと思いまするけれども、そのような理想を実現するために私ども国民としても進んでいかにゃならぬと思いまするけれども、遺憾ながら現状なかなかそうなっておりませんし、ことにいま問題として取り上げましたような硬直化の問題なんかにつきましては、ちょうど一家の中におきましても親と家族との衝突というようなのが起きるんで、これももちろん、いま先生のおっしゃるような調和という一家内の平和というようなことから言えばそういうことは克服できるわけですけれども、これもまたなかなか世間的にそううまくいっていないということでありますが、私どもとしても、したがってこの地方の行政におきましても、いま先生のおっしゃるようにそれぞれの立場を尊重していくべきだと思います。
 しかし、それにつきましても、特に私はいま原因として申し上げた、国が言うような、地方財政の硬直化というのは主として地方にあるんだ、地方自治体の方にあるんだというような言い方、これは避けるべきでありまするし、現実に、いま私が先生にお伺いしたような人件費の問題、まあ福祉を先取りするから人件費が膨張するんだということにもなるんでしょうけれども、このような問題を硬直化の原因としてきめつけ、さらにこの解決を地方にのみ押しつけていくというようなことは正しい行き方ではないと、こう思うわけでございます。先生のおっしゃるとおりだと思います。
 なお、これに関連しまして、結局私、今度の硬直化の問題、特にこの硬直化が露骨にあらわれてきたというのも、一つは総需要抑制政策と言いましょうか、不況というようなものが大きな原因になっていると思いますが、こういう際でありまするから、特に私、解決策として、やはり国がいまの権力を持っておりまするいわゆる交付税の問題ですが、これは先生御承知のように、ずっと過去三十年代は毎年と言っていいぐらい税率が上がってきましたが、この四十年代になってから、ほとんどといいましょうか、全然上がっていない。三二%で固定化しておりますが、こういった行き方でなくて、やはりこの交付税そのものもこの際妥当な線に持っていくべきじゃないかというふうに痛切に思うわけでございまするし、先ほど来問題になっておりまする超過負担の問題解消、これなどにつきましても、もっと国が、地方財政をまた地方行政を円滑に進める上において、大乗的と申しましょうか、地方財政を本当に自分らの手で盛り上げていくんだ、そのような姿勢が望ましいと思うんでございますが、このいまの交付税率と見合う問題とかあるいはまたこの超過負担の問題なんかについて、ごく簡単で結構ですから先生のお考えをもう一度述べていただきたいと思います。
#50
○参考人(井手文雄君) この交付税率の問題につきましては、先ほども申しましたように、財源不足額と交付税の交付金額との間に格差があって、それが恒常化するようであれば、制度の改革なり、交付税率の変更ということをしなけりゃならぬというふうに規定されておるわけです。ところが、先ほども申しましたように、その格差が出てこないというのは、私はおかしいと思うのでして、そういう交付金額に一致させるような態度で、方針で基準財政需要額を算出し、そして、したがってまた財源不足額を算出するというようなことが行われているとすれば、それはもう断固として排除しなければならぬと思うんですね。本当に現在の地方財政事情というものをとらえて、そうして率直に基準財政需要額を算出し、したがってまた財源不足額を算出する、そうしてそれがはるかに相当程度に交付金額、国税三税の一定の割合であるところの交付金額を上回るということであれば、率直にそこを認識して、交付税率を引き上げるなり、制度の改正ということを行うということをやっていかなければいけない。私は何か感じとしまして、そういう規定がある、その規定によって交付税率を引き上げるということを避けるために、財源不足額を交付税の金額に合致させるような操作が行かれていやしないか。その証拠には、この超過負担の問題でありますけれども、そういうものを、超過負担にもいろいろありますけれども、確かに地方側の主張のように明らかに超過負担になっているものもある。そういうものが基準財政需要額に算定されていないということは、故意にこの基準財政需要額を圧縮して算出する仕組みがそこに行われておると、こういうような気がいたすわけであります。
 交付税率につきましては、御承知のように昭和二十九年が二〇%で、それからずうっと三十年が二二%、三十一年二五%、三十二年が二六%、三十三年二七・五%、それから三十四年が二八・五%、それから三十七年二八・九%、それから四十年二九・五、それから四十一年に三二%と、かなりこの上げ幅を再び上げて、四十一年以降この三二%で来ておるんでございますけれども、これは私の説ではございませんが、一つの御参考として申しますと、こういうふうに責任ある方のあれを引っぱり出すのもなにかと思いますけれども、元の自治省の事務次官柴田護さんの書かれたものによりますと、交付税率の引き上げによって実質的に増額になったというのは三十年の二二%から三十一年の二五%になったときだと、あとは国税減税による減少を補てんしたにとどまるのだと、それで四十一年に三二%になったんですけれども、税率調整が完全に行われていたとすれば、四十一年度においては四〇・七一%になっていなければならぬと。三三%引き上げたんですけれども、税率調整が完全に行われておれば四〇・七一%になっていなきゃならぬというような見解も一つあるわけですね。これも一つの参考資料になると思いますけれども、やはり三二%で四十一年度から据え置かれているということは低過ぎる。この柴田さんのあれでは、四十一年で四〇・七一%と四〇%を超えておるわけですけれども、それが現状維持で来ているわけですからして、やはり引き上げるとして、一つの目安としては、いまの見解の四十一年度で四〇・七一%、これが一つの目安とすれば、四〇%ぐらいに引き上げると。しかし、これはなおいろいろ精密な算出が必要かと思いますけれども、一つの見方としてはこういうことも言えようかと存じております。
 それからいまは地方財政平衡交付金制度から地方交付税制度になっております。それで、地方財政平衡交付金制度と関連して地方財政計画というものは立てなければならない。つまり、各地方自治体の財源不足額の合算額をもって地方財政平衡交付金の金額とするということ、そのためには、やはり各地方自治体の財源不足額を算出しなければならぬ、そのために地方財政計画を策定しなければならぬと、こういうことで地方財政計画というものが策定されるようになったわけです。つまり、財源不足額を科学的にいわば算出する、そうして地方財政平衡交付金の金額をしたがって決定する、こういう趣旨であったわけですけれども、現在は交付金の枠はすでに国税三税の一定割合ということで決められておりますから、そうして地方財政計画――ところが、その一定の枠に結局財源不足額を近づけるような操作を行おうとすれば、地方財政計画というものが初めに地方財政調整制度と関連して設けられた趣旨というものが失われてきているんじゃないか。
 ですから、もとは自治省が大蔵省とか国に対して、財源不足額を地方財政計画によって示して、これだけだと、だからこれだけのものは地方財政調整のために地方に交付すべきであるという仕組みであったんですけれども、いま枠はもう決まったわけですからして、地方財政計画というものは、今度はむしろ地方自治体に対して、先ほどの総需要抑制政策なり何なり、国の政策を地方自治体に押しつける、というと言葉は語弊ありますけれども、そういうふうにするというために地方財政計画というものが策定されておる。国の政策なり基本方針を地方自治体に押しつける、という言葉はちょっとなんですけれども、そのために地方財政計画が策定されておる。少し地方財政計画の性質も変わってきたんじゃないか。その変わり方が好ましいかどうかということも考えなければならない。と同時に、しかるべき理由があって地方財政平衡交付金制度は廃止になったんですけれども、それで現行制度になった。なったについてはそれだけの理由はあったわけですけれども、もう一遍やはり国税の収入の一定割合とするか、積み上げ方式でその財源不足額を算出してそれを調整資金とするかという、つまり地方財政平衡交付金制度に戻る――はっきり戻ってしまうということはなんですけれども、二つの制度があるわけですから、もう一遍その辺のところを再検討するということも必要であります。
 それからまた、よく言われますように、国税三税、いまの所得税、法人税、酒税の収入金額の一定割合とするのがいいか、あるいは国税全体の一定割合とすべきか、あるいはまた、国税三税に公債収入を加えるがいいかどうか、その他いろいろ中身についても問題はあろうかと思います。国がこの不況対策のために建設公債というものを発行して公共事業費をどんどん支出する、計上します。そうするというと、国の方は公債でそれを賄うからいいけれども、それが結局地方へ押しつけられていきますから、公共事業というものが。そうしてそこには超過負担というものが出てきましょうし、それでそれを賄うためには地方債というものは制約されておる。そこに、国は借金でやっているのに、地方の方は地方債の制約がありますので非常に苦しくなる。とすれば、交付金をふやさにゃいかぬ。とすれば、この公債収入を交付金の中に算入するようにすれば、国はどんどん公債を発行して公共事業費をふやしていけば交付金額もふえるというような仕組みも考えられる。そういうことがいいか悪いか等々、いろいろ検討すべき事項はあるかと思います。
#51
○委員長(原文兵衛君) 井手参考人、どうもありがとうございました。
 午前中の参考人に対する質疑は終了いたしました。
 それでは、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十八分開会
#52
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところを御出席いただき、まことにありがとうございます。皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査の参考にしたいと存じます。
 つきましては、議事の進行上、石塚参考人、中西参考人の順序で、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 それでは、まず石塚参考人にお願いいたします。参考人石塚一男君。
#53
○参考人(石塚一男君) 私は、国立市長の石塚一男であります。
 ただいま委員長さんの方でお申し出のありました地方交付税法の一部を改正する法律案に関しての参考人といたしましての供述を申し述べさせていただきたいと存じます。
 全国革新市長会では昨年七月二十日に総会を持ちました。その際、御案内のとおり、その時点で狂乱物価とインフレが進行いたしておりまして、いわゆる地方財政は危機に直面しているというときでございました。特に御案内のとおり、保守、革新を問わず全国の首長は、私どもが問題提起しておりました超過負担の解消がこの時点においては急務であろうという点では一致をいたしておる時期であります。この超過負担の内容の、いわゆる建設費原価の値上がりに伴う国庫補助の実施単価に見合う引き上げが必要であろうというのが、その一致点でございました。特に、人件費急騰を補てんする自主財源の拡充をともども考えようというのもそういうことでありました。これを確認いたしまして、具体的な超過負担の解消と財源確保運動の一環として、十月八日の自治大臣交渉を初め、超過負担額調査など継続的に実施をしてまいったところでございます。
 これらの市長会の行動の基本的な考え方は、自治権の確立、特に財政基盤の整備、地方財政危機突破などの一環として認識をして行動してまいったわけでございます。したがいまして、超過負担の解消運動だけにとどまらないで、地方交付税制度及びその率の改善について考えるべきではないかという積極的な意向がこの運動の中で反映をされてまいりました。
 三つ目に、御案内の地方債の制度でございます。特に、地方自治法第二百五十条の後段の許可制度の改廃を含む制度改善についての声も強うございました。
 四つ目といたしましては、自治体に対するいわゆる事務配分の改善と税制の転換でございます。すなわち、中央と地方が財源配分の適正化による対等関係の樹立が必要であるという、これらの調査並びに改善について、自治体の連帯強化の中で、国立市を中心に行動をしてまいったわけでございます。
 本日は、地方交付税法の一部改正についての公聴会でございますので、地方交付税制度について、国立市という一自治体の具体的な例を申し述べさせていただきまして、その非現実性や問題点を御指摘申し上げ、住民のための市政が実現できるよう皆様方にお訴え申し上げ、国会において制度上の改善並びに是正が図られるよう切にお願い申し上げる次第でございます。
 大変事務的な面に入りまして、恐縮に存じますが、まず第一の問題といたしまして、昭和四十九年度の地方交付税の基準財政需要額算入について、小学校費におきます国立市立第四小学校体育館の例について検討をしてみました。
 当市は昭和四十九年度におきまして第四小学校体育館を建設しましたけれども、本体工事費といたしまして七千七百万円、面積七百九十三平米、設計及び監理料二百六十三万円、付帯工事費――渡り廊下設置などを含めまして百三万円、初度調弁備品といたしまして三百二十七万円、合計八千三百九十三万円余を支出をいたしました。
 本体工事の実施単価は、平米当たり九万七千百円で、国庫補助対象単価は七万八千六百七十六円でございました。しかしながら、交付税単価を算定いたしてみますと、平米当たり――御配慮をいただきました再算定で引き上げられたといたしましても六万九千六百円でありました。国庫補助単価にも達しておらないわけでございます。地方交付税として算入される単価と補助単価との整合性がないことは、一体国としてどうしてなのか、疑問があるところであります。政府は、超過負担は単価差にあると申し述べ、単価差については解消したんだと言い切っておりますが、本件についてどう弁明するのでしょうか、疑問の点が多々ございます。
 ただいま申し上げたことは、お手元に御配付申し上げておると存じますが、別表によって積算しておりますので、その内容を御説明申し上げたいと思います。
 基準財政需要額算入一般財源単価は、交付税再算定において平米当たり八千七百円、指数として一〇〇といたしますと国庫補助単価を同様の算定方式で積算してみますと九千八百三十五円、指数は一一三、実施単価は一万三千百三十八円、指数一五一と相なっております。これらの事実に、平米当たりの実施単価、補助対象単価がすでにわかっていることであるので、交付税単価についても同様の計算をすれば算定できるのであります。
 革新市長会の国庫支出金に関する超過負担の調査は、単価差、数量差、対象差、交付差、いわゆる私どもが主張いたしておりますこの交付差の中には認承差を含んで考えておりますが、一事業ごとに綿密に検討をして、地方交付税基準財政需要額算入についても、この単価差、数量差、対象差、交付差があることが明確になりました。単価差につきましては、国庫補助単価にも達していないことをすでに申し述べたとおりでございます。数量差につきましては、小学校体育館で再算定で六百三十七平米まで拡充、御配慮をいただきましたけれども、実態は八百平米とかけ離れておるのが現実であります。設計、監理料などについては積算されずにおりますので、対象差であるというふうに私どもは意識統一をされておるところであります。小学校などの義務教育施設の起債元利償還金などについて六〇%が算入されており、同用地については三〇から五〇%まで算入されております。しかし、福祉施設についての起債元利償還金は配慮されておりません。国の福祉優先生言われる主張とは全くうらはらと言わざるを得ません。これらは交付差もしくは認承差であると考えております。
 次に、昭和四十一年度以来、交付税率は国税三税の三二%に据え置かれている問題に触れてみたいと存じます。
 前段で、地方交付税基準財政需要額の算入上の矛盾を申し上げましたが、幾ら計算してもしょせん三二%の枠内での問題でございます。このため、補正係数による割り落としなどの手段によりまして現状を糊塗しているのにすぎないと思います。地方交付税法第六条の三第二項におきまして「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によつて各地方団体について算定した額の合算と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」と規定されております。しかしながら、私は、シャウプ博士が地方配付税の批判に立って勧告した地方平衡交付金の制度の精神に立ち返って、自治体の真の財政需要を把握するために、現行制度の積算と積み上げ方式による積算との比較におきまして、法第六条の三第二項に言う「著しく異なる」かどうか、具体的に検討してその内容を明らかにすべきではないかと考えておる次第であります。
 それには具体的な提案といたしまして、第三者機関として自治省と自治体、学者などで構成する、たとえば仮称地方交付税制度検討委員会の設置を提案いたしたいと存じます。この委員会では、前述のとおり、自治体の真の財政需要を的確に把握し、地域住民の意向を組み込む中で財政の民主化を確立するものだと考えておるからであります。また、政令、省令に委任されている事項につきましても、地方交付税法並びに制度自体に深いかかわりのあるものは、法律事項として、財政面での地方自治の本旨が十分に生かされるよう、国会の場において検討されるよう要望するものであります。
 第三に、国立市は文教都市をモットーといたしておる市であります。いわゆるギャンブル財源に一切依存をしない清潔な市政を運営いたしております。一般に収益事業収入は、戦後の復興等にかかわる臨時法案として通過をし、今日ではすでに二十数年間にわたって継続的に行われてき、しかもその収入は増大し、事実上各関係自治体においての経常財源化していることは今日では否定できない明確な現実であるこの現状を無視をして、ギャンブルによる収益事業収入が臨時的収入であるという表面的な政府の見解で交付税基準財政収入額に算入されていないということに大きな疑問を感じているものであります。
 そこで私は、昭和四十七年度都市別決算状況調べが公表されておりますので、首都圏の三都県及び全国合計において、基準財政収入額に収益事業収入が算入されたと仮定して別表を作成してみました。東京都では二六・八一%、全国では一三・四〇%と算入されることに相なっております。ここで浮く交付税財源を収益事業非開催都市に還元さしていただくことを主張申し上げたいと存じます。
 三月二十日の毎日新聞の報道によりますと、三月十五日の参議院予算委員会の席上、伊東光晴法政大学教授は、こうした内容を分析いたしまして、第二地方交付税制度の提案の後に、収益事業収入について自治省が地方交付税の算定の際に収益の多寡を勘案するなど、やる気になれば方法はあるんだと発言されていらっしゃいますが、私も大賛成であり、ぜひ実現していただきたいと思っている次第であります。一般的にギャンブルのある都市の給与が高くなっておる現状において、地方財政の危機は自治体の人件費の高騰にあると自治省が言っていらっしゃいますが、これらの是正措置によって歯どめの一因にもなるのではないか。一体やる気があるのだろうか、疑問に思う次第です。住民による住民の市政を担当するものとして、制度の是正について強く訴える次第であります。
 第四番目に、特別地方交付税について言及申し上げたいと思います。
 特別地方交付税は、交付税の六%を災害その他の特別需要について交付することになっておりますが、自治体の一時金などの超過支給分について、具体的には昭和四十一年度から三〇%、四十四年度から五〇%、四十五年度は六〇%、四十六年度七〇%、四十七年度から九〇%をペナルティとして控除されております。かつて自治省の課長補佐に御質問申し上げたところ、算定しやすいものから取るとの返事がございましたが、これはいわゆるサラリーマンに対する税の天引きと同様に、取りやすいものから取るという思想であって、税財政の民主化の上からははなはだ残念なことだと存じております。また、特別交付税はその計算の根拠が明確になっておらず、自治省の担当官の御裁量によって左右されるがごとく言われておるのが本当でありましょう。財政の民主化のためにも、明確なこの配分についての内容を公開すべきであると存じております。
 災害のため特別の事情があれば、交付税の枠で措置する方法以外に、災害対策特別基金などの新設または特別会計で処理すべきであって、「自治省令で定めるところにより、当該事情を考慮して交付する。」との地方交付税法第十五条後段について、いささかも自治省の恣意的配慮が入るとすれば是正すべきで、少なくとも法律事項にすべきではないということを主張いたしたいと思います。
 以上、私の四項目にわたっての本地方交付税法の改正に関しての参考人としての発言にかえさせていただきます。ありがとうございました。
#54
○委員長(原文兵衛君) どうもありがとうございました。
 次に、中西参考人にお願いいたします。参考人中西啓之君。
#55
○参考人(中西啓之君) ただいま御紹介いただきました自治体問題研究所の中西であります。
 地方財政をめぐる最近の諸問題について意見を述べる機会を与えていただいたことを感謝いたします。この機会に、日ごろ最近の地方財政について考えていることを率直に申し上げさしていただきたいと思います。
 御承知のように、昨年からことしにかけまして各方面で地方財政の危機が叫ばれ、一斉地方選挙のさなかにも、マスコミ等々によってこの問題がしばしば取り上げられたわけであります。マスコミでこの問題が取り上げられた際に特に目についたのは、地方財政の危機についての報道と同時に、必ずと言ってよいほど自治体職員の給与が高いということが強調されております。たとえば二月四日付の朝日新聞を見てみますと、まず大見出しに、「地方財政20年ぶりの危機」というふうな見出しがつけられております。サブ見出しに、「税収落ち、給与膨張」というふうにつけられております。現代はテレビや漫画などの映像文化が非常に発達しておりますから、普通の人はこの新聞などについてもじっくり内容を読まずに、見出しだけでこう判断をする傾向があります。したがって、マスコミ等で繰り返し、地方公務員の給与が高いから地方財政が危機に陥ったというふうに報道されますと なるほどそうかというふうに受け取られる向きもあったかと思うわけであります。しかし、今日の地方財政の危機の原因は決してそこにあるのではないというふうに思っております。もっと奥深いところに原因があり、これを基本的に解決していくためには、現存の国と地方を結ぶ財政の仕組みを抜本的に改めていくことが必要であるというふうに考えております。
 まず、今日の地方財政危機の特徴についてでありますが、今日の状況はよく二十年前の財政危機と比較をされております。二十年前、すなわち昭和二十八年、二十九年、三十年の当時、全国的に地方財政の赤字が非常に深刻化いたしまして、地方財政再建促進特別措置法といった法律が制定をされまして、赤字再建団体の指定が行われたわけであります。当時、どれぐらいの赤字団体が出たかと申しますと、昭和二十九年度で都道府県の赤字団体が三十四団体、市町村の赤字団体が二千二百四十七団体に達しておるわけであります。すなわち府県の七割強、市町村の三割弱が当時赤字団体となったわけであります。昭和二十九年度の都道府県と市町村の赤字額――いまは団体でありますが、赤字額を合わせますと当時六百四十九億円に達したわけであります。当時の地方財政の規模が約一兆円であります。ことしの五十年度の地方財政計画の総額は二十一兆五千億円でありますから、今日の地方財政の規模にこの赤字額を換算いたしますと、約一兆円強の赤字が出たというふうな状況であったわけであります。
 そこで、最近の地方財政の状況は一体どうなっているのか。地方財政が危機だ危機だというふうに言われておりますけれども、これは具体的には昭和四十九年度の地方財政について言われているわけであります。昭和四十九年度の地方財政については、ことしの三月で会計年度が終わり、五月に出納が閉鎖され、出納閉鎖後三カ月以内に決算がまとめられなければいけないという規定になっております。したがって、正式な確定した数字はまだわからないわけでありますが、地方財政の危機が非常に叫ばれております折、この地方制度調査会でも、四十九年度の地方財政の決算見込みを公表するようにというふうな要望が出されたわけでありまして、赤字団体の見込み数が発表されております。それによりますと、四十九年度が、都道府県の場合、四十八年度より四団体赤字団体がふえて六団体になると、市町村の場合は、四十八年度より八十三団体ふえて二百四団体となるというふうな見込みの数が発表されております。で、これらの赤字団体数を比較いたしますと、昭和二十九年当時よりはずっと少ないということが一応言えるわけであります。
 しかし、それでは今日の地方財政危機というのは二十年前と比べて大したことはないのかどうかということが問題であります。私は決してそうではないというふうに思っております。今日のこの地方財政危機と、二十年前の地方財政危機と比較した特徴を申し上げますと、二十年前の地方財政危機と申しますのは、ちょうどこの高度成長に入る前の、その高度成長の入り口の段階での地方財政危機であったわけです。ところが、今回の地方財政危機というのは、もはや高度成長が行き着くところまで行き着いてしまって、都市でも農村でも、高度成長の結果大変な地域的な諸矛盾を生み出しております。そういう時期の地方財政危機だという点に大変大きな違いがあるというふうに思うわけであります。
 地方財政の危機と申しますのは、単純に歳入が歳出に不足して赤字がふえるというだけのことではありません。地方自治体が地域住民のために行わなければならない仕事が山ほどあるにもかかわらず、財源がないためにそれを行うことができないというそういう状態、住民生活の上でのきわめて切実な要求が山積している、それにもかかわらず、十分な財源がないために、やむなくそれを切り捨てて収支を合わせなければいけないというふうな状態があるとすれば、これは表面上黒字であっても、地方財政の危機が非常に深刻化しているというふうに言うことができるだろうと思うわけであります。赤字団体と申しますのは、収支の帳じりの上でそういう住民生活の危機、それにこたえることができない地方財政の状態、これが数字としてあらわれてきた結果にすぎないわけであります。
 こういうふうな見方からいたしますと、六〇年代に高度成長政策が進められ、その結果、都市では深刻な住宅問題あるいは交通問題、公害問題等々、いわゆる都市問題が激化しております。農村では深刻な過疎問題、農村問題を生み出しております。その結果、非常にいろいろな形の自治体における財政需要が生じているというふうに思うわけであります。そうした今日の状況というのは、二十年前と比べましても非常に地域的な諸問題がいろいろな形で起こっておりまして、きわめて深刻な状況にあるというふうに言えるだろうと思うわけであります。こうした現実に正しく目を向けて、住民の生活の立場から正しい解決を考えていくのか、あるいはそうした現実から目をそらして、単に財政収支の帳じりが合うか合わないか、そういうことだけで考えるのか、ここに地方財政危機をとらえる見方の違いがあるというふうに思うわけでございます。
 自治省当局は、御承知のように、昨年からことしにかけまして、今日の地方財政について、地方財政の硬直化が非常に進んでいる、人件費が高くなっているということをしきりに強調されております。つまり、人件費が高いということが今日の地方財政の一番根本的な問題であるというふうに言っているわけであります。
 そこで、地方財政危機の原則というのは一体何かということを、もう少しこの問題に関連して具体的に考えていきたいと思います。根本的には、いま申しましたように、産業基盤整備中心の高度成長が強行されました結果、都市農村での地域矛盾が非常に深刻化しておるということが基本にあるわけでありますが、今回、特に昨年からことしになりまして地方財政危機が直接深刻化してきた、その直接のきっかけになったのは、いわゆるスタグフレーション――不況とインフレの同時進行であります。インフレになりますと、人件費、物件費等を含めて自治体が支出しなければならない経費は当然増大いたします。それにもかかわらず、不況によって税収の伸びが思わしくないという状況になりますと、当然自治体の台所は非常に苦しくなり、いわゆる財政硬直化の現象が起こる、これはきわめて当然のことであろうと思うわけです。
 そこで問題は、今日の地方財政の仕組みがそういうインフレ不況というふうな状況に適切に、柔軟に対応できるような仕組みになっているのかどうか、そこに問題があると思います。インフレと不況の中で住民の切実な生活上の諸要求、これを実現していけるように、それにふさわしい適切な財政上の措置がなされるような仕組みになっているのかどうか。もしなっていないならば、そのためにどういう努力がなされているのか、これが問題であります。で、結論から申しますと今日の地方財政の仕組みはそういうふうなものになっていない。具体的に申しますと、地方自治体の歳入の主なもの――地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債とあるわけでありますが、まず地方税について見ていきますと、大企業あるいは大資産家に対するさまざまな特権的減免税が放置されております。それと同時に、現在の税制そのものが、大企業、高額所得者、大土地所有者等々にきわめて有利な仕組みになっております。たとえば、これは税制調査会等々でも不公平税制であるというふうに認めているようでありますが、利子所得あるいは配当所得などが選択分離課税制度になっておりまして、地方税がまるでかからない部分が非常に多いというふうなこと。あるいは先般全国知事会から資料が出されたわけでありますが、国税の租税特別措置、及び地方税の非課税、特例措置による減収額、これは全国知事会の調査によっても、昭和五十年度で三千九百八十二億円に上っているというふうな数字が出されております。
 じゃ、地方交付税についてはどうでありましょうか。地方交付税につきましては、現在の基準財政需要額が今日の地方自治体の財政需要の実態に合っていない。これは先ほど石塚参考人の方から具体的に述べられたところであります。地方交付税の第二条と第三条には、基準財政需要額というのは、各地方団体が合理的かつ妥当な水準において行政を行い、または標準的な施設を維持するために必要な財政需要額であるというふうに述べられております。合理的かつ妥当な水準の行政というのは一体何かということであります。これを考えるときの基準といたしまして、少なくとも地域住民の切実な生活上の諸要求、これにこたえ得るような行政水準が維持できないならば、これは妥当とは言えないであろうというふうに思うわけであります。そういう観点からいたしますと、現在の基準財政需要額は実態に合っていないという、これは結局この地方交付税の原資そのものが絶対的に少ない、すなわち、地方交付税の税率をもっと引き上げることが必要であるというふうに思うわけであります。
 国庫支出金について見ていきますと、昨年来非常に大きな問題になっておりますこの超過負担の問題がございます。これは地方自治体が実際に仕事を進めていく上でかかる経費と、中央各省で認める経費との間に大きな食い違いがあるというところから起こっております。昭和四十六年に行いました全国知事会の調査によりましても、昭和四十五年度だけで二千億円を超える超過負担が出ております。今日の段階ではさらに大きな額の超過負担が出ているというふうに推測されるわけであります。
 地方債についてはどうでありましょうか。これは利率あるいは償還期限、これが非常に有利な政府資金の割合が年々少なくなっております。かつ、四十九年度につきましては、総需要抑制政策によりまして地方債の枠が著しく抑えられるということのために、地方自治体の金繰りが非常に苦しいというふうな状態が生まれております。
 こういうふうに見てきますと、高度成長政策の結果、自治体の財政は著しく高まっているにもかかわらず、適切な地方財政上の措置がなされていない。そういうところに今日の地方財政危機の具体的な原因があるというふうに思います。そこを改善せずに放置しておいて、かつ、不況インフレの際に地方財政が硬直化してくるというのはきわめて当然なことであります。人件費が原因なのではなくて、現在の不況とインフレに対応できるような地方財政の仕組みがつくられていないというところに本当の原因があります。いわばこの人件費の比率が高くなるというのは、その仕組みの結果にすぎないわけであります。もちろん、地方公務員の人件費は高ければ高いほどよいということを言っているわけではございません。適正な水準に保たれることが必要でありますが、しかし、現在の地方財政の危機の原因というのは、決して人件費にあるのではなく、不況、インフレの中で住民の要求にこたえることができないような地方財政の仕組みそのものに基本的な原因があると思うわけであります。これを正しく解決するのか、あるいは財政硬直化の現象面だけを強調して、住民の要求を切り捨てていくのかというところに根本的な問題があると思います。高度成長政策が行き詰まり、不況とインフレが進む中で、地方財政のみならず、国家財政全体についても歳入欠陥が出つつあります。こういうふうな状況の中で国債発行問題が議論されておるわけでありますが、そうした事態に対応するためにも地方財政の仕組みの抜本的な改革が必要になっておると思うわけであります。すなわち、地方税における特権的減免税を廃止する。負担を適正化する。不公平をなくしていく。基準財政需要額を実態に合わせて直していく。あるいは交付税率を引き上げていく。国庫支出金における超過負担を解消していく。地方債における政府資金の割合を高めるとともに、許可条件を緩和していく。まあこういった財政上の諸改革が緊急に必要になってきているというふうに思うわけであります。こうした正しい解決策の実現のために御奮闘いただくことをお願いいたしまして、私の意見発表を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#56
○委員長(原文兵衛君) どうもありがとうございました。
 以上で午後の参考人の方の御意見陳述を終わります。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#57
○和田静夫君 石塚参考人にちょっと二、三の問題でお聞きをいたしますが、私も、戦後都下の武蔵野に居住をいたしていますから、いわ御意見の中にありました、あなたが市長を務められる国立市が文教都市であり、都下の都市としてはギャンブルに依存をしない唯一のそういう清潔な都市であることを知っているわけですが、石塚さんが市長に当選をされた一期目のときに、市議会が、ギャンブルをやりなさいと、こういうような決議をしたことなどもありましたが、その後、市長の市政に対する清潔な心構えとでも言いますか、それが定着をしており、今度つくられると言われる市政の基本構想の中でも反ギャンブルの思想が貫かれるというふうに聞いているところです。ギャンブルはいかぬ、そういう単純なことがなかなか今日理解をしてもらえる状態にはない現況でありますし、わが党は、おっつけギャンブルの扱いを中心とした本法案に対する修正案も用意をする作業を実は進めていますが、反面から見ますと、りっぱな都市をつくっていかなければならない。そのためにはたくさんの費用を必要とする、金がかかる。これに対して国の財政対策というものが不十分である。こういう点は今後正していかなければならない問題であると考えます。清潔な都市づくりを目標にして反ギャンブルの精神を貫くということは、口で言うほどどうも簡単なことではないようなのであります。私は、ギャンブルをやっているところの自治体と、そうでない団体との間が、そのことによって行政の面において非常な格差が生ずるということ、こういうことは非常に問題だと実は思います。やはり、ギャンブルをやっても余り得にならないということが地方財政の仕組みの中に明確に貫かれると言いますか、打ち出されていくと言いますか、そういうことが今後の施策の方向として大変望ましいんだと、こう考えているんです。そこで、そういう点をもう少し、どういうふうにお考えになっているか触れていただきたいと思いますし、他の地方公共団体に対して、ギャンブル廃止の勧めとでもいいますかね、そういうようなものについてあわせて所見を承りたいと思います。
#58
○参考人(石塚一男君) お答え申し上げます。
 まず、なぜギャンブルをやらないかというのは、言うなれば私が昭和四十二年、国立市において市長になりまして、私自体の一つの哲学、政治というのには哲学があっていいという一つの強い考え方から、やはり行政というのは、確かに市民要求は泉のごとく無限、多様であります。お金が欲しいということは、当然自治体の長として市民の負託にこたえるためにはそういうことになります。したがって、和田先生のおっしゃることも十分わかります。だからといってギャンブルに手を出していく、その仕組みが私はにくいと思うんです。何となれば、やはり私たちは汗水たらして、高度成長のときであろうが不景気になって安定成長だと言われる中でも、一生懸命多くの勤労国民は働いて、非常に残念でありますが、源泉徴収という中で、せめても源泉徴収分ぐらいはへそくってみたい、あるいはお母ちゃんをこういう高物価のときに何とか助けたいというほどの税金が払わされておるという中から、私はやはり行政というのは、国も都も市町村も、税金で賄うべきだという考え方に一貫をいたしております。
 一方、御案内のとおり、国立市は、ただよく言われる文教都市というんではなしに、名実ともに、一橋大学を持ち、音楽大学を持ち、女子体育大学を持ち、NHKの通信学園を持ち、大小さまざまの学校を持っている学校町であります。それだけに、今日の資本の理論でまいりますと、大工場はありませんし、よく言われる事業収入等で税が高度成長のときでも潤うという、そういう市ではありません。また、税の仕組みがそういうふうになっておりますので、高度成長のときであろうが、低成長のときであろうが、いわゆる政府が言う富裕市、貧困市という中では、貧困市に位置づけられております。
 そういう町の実態の中での市民感情というものが、決して武士は食わねど高ようじではなくて、やはり行政というのは税金で賄うべきだと、したがって、政府が金をくれないから、都が補助金をくれないから即ギャンブルに手を出していくということは許せないという市民が過半数以上おるということでございます。具体的に、四万七千の有権者の三万を超える市民が、仮に市議会等でギャンブルをやれということが市議会の意思として決まったにいたしましても、一晩で一万三千の署名が集まるという、そういう町柄であります。したがって、市長の考えもそういう考えで、全くその点は市民の意思とも統一をされておるということが言えると思います。
 ただ、具体的な問題として、御質問ございましたように、りっぱな都市づくりをしていく上に金が必要だと。また大変よその市を出して恐縮でありますが、お隣の府中市には御案内のとおり、国営競馬場がございますし、また立川市には約年間六十億からの収入を持つ競輪場があります。その行政の真ん中に入って、全く最中のあんこのようになっているいわゆる貧困市がどういう行政をやっているのかといいますと、ぜひひとつ御視察をいただきたいと思うのです。恐らく国立駅を降りて見たあの通称言われる大学通りの景観というのは、まさしくヨーロッパに行ったごとくだということで、私の知り合いの市長さん方が、一体これどのくらいいまつくるとかかるだろうということをおっしゃいます。その市長さんはギャンブルの収益では恐らく日本でも屈指の中に入る市長さんですけれども、ギャンブルつぎ込んでもとてもじゃない、今日これからつくろうといってもなかなかできるものじゃない。こういう無形の財産を歴史的に私どもの先輩が、保守革新にかかわらずつくり上げてきた町、そういう町に、今日学園都市であるがゆえにギャンブルをただ持ち込まないということだけではなしに、そういう歴史を大事にして今日の都市づくりがなされておるという特徴的な市であります。したがって、よそとの比較がいろいろどうしても議論しやすいものでありますが、実態は金でかえられない国立にはすばらしい自然が残されておるし、また人工的な都市づくりができておるということは、お金ではかえられないものだろうし、またそういうものについては大切にしていかなきゃならぬというふうに考えて、積極的にそういう面に対する自己財源の投入については、市民、市議会の了解を得る中で執行しておるというのが実情であります。
 したがいまして、先ほども述べましたように、何か富裕市でも――まあ一般に富裕市といいますと交付税の対象市にはなりませんけれども、ギャンブルで三十億収益が上がろうが五十億上がろうが、交付団体は交付団体だということで、何か私どもの方から見ますと、ギャンブルやり得という制度に問題があるのではないかということを申し上げたいし、また、これが戦後の臨時措置法として設けられたとするなら、一体臨時措置法の期限というのは十年なのか二十年なのかということが本委員会の中で議論されておるだろうかという疑問があります。したがいまして、その法律が廃止することができないとするならば、最小限度この配分についての考え方がやはり議論の俎上に上らないと、ギャンブルやり得というのは今後も続いていくのではなかろうかということで、皆さん方の御努力を期待し、申し上げたわけであります。
 また、基本構想に組み入れようとしているということは、やはりそういう都市づくりというのは、歴史と郷土の住民感情、これを大事にしていかなければなりません。しかも、このたびの基本構想は、おおむね向こう十年以内の都市づくりについての考え方を構想するということでありますので、せめてもそういう思想を、どなたが市長になっても、国立ではこういうギャンブルといったような収入で行政を行っていくという姿勢は持つべきでないということで組み入れる考えでございます。
 以上です。
#59
○和田静夫君 超過負担ですが、まあお述べになったように、国は単価差だけ、そういう形で超過負担を理解をされようとしている。しかし現実のところ、対象差あるいは数量差、これを無視して超過負担を私は語ることができないだろう。また単価差にしても、十分な措置がなされているなどというふうには考えません。そこで、具体的に国立が超過負担の問題で非常に財政的な圧迫を受けている。その圧迫要因というものをお挙げになりましたが、数量差、対象差について、国の見解は見解としてそちらに置いておくとして、自治体としてはもう当然納得ができない。これは石塚さんが革新である、あるいは午前中の長野の柳原さんがたとえば保守の側から出られた市長であろうが、かかわりのない両者共通の御意見なわけですね。そこで、どういう解決方法を望んでいらっしゃいますか、御所見があれば承りたいと思います。
#60
○参考人(石塚一男君) 先ほどの御質問に続いて、やはり自己財源をふやしていくということでありませんと住民要求にこたえられません。だからといってギャンブルに手を出したくない。またギャンブルの仕組みについて考えていくよりは、一体いまあたりまえのように毎年自治省が査定される交付税、また特別交付税、これを、上からおりてくるんだからといって内容を知らないで受け取っていくということはいいだろうか。あるいは何かその中には不合理がないだろうか。そういうことを検討をしながら、当然国の責任において配分していただくものは配分をしていきたいという考え方の上に立って地方交付税を検討をしてみる。あるいは国からいただくお金についての内容を検討いたした結果、御案内のような超過負担というものに私どもは目をつけたわけであります。
 その御質問のいわゆる対象差でございますけれども、確かに昭和四十九年度に一つの建設関係は建設省の基準単価というものが算定をされて、それによって昭和五十年度のそれぞれの積算を市町村がいたします。そういう中では、時の流れによって価格の相違は当然出てまいります。しかしながら、この超過負担の対象差そのものに対する見解については政府も御理解なさったようで、再算定という措置を、先ほども陳述いたしましたように、もう適切な時期に適切な再調整を行っていただくというふうに御配慮をいただくようになりましたが、実際にいただいてみますと、まだまだ具体的にお手元にあるようにほど遠いものでございます。このことは、きょうは地方交付税の改正についての開陳でございますので、具体的な中身を見ますと、補助行政で市町村は依存財源を国に依存をしていただくその体育館なら体育館の単価と、実際に地方交付税要素に入ってくる国の単価がなぜ違うのだろうという、当然国という中で行う単価がばらばらだということはどうもおかしいと。それでなお突っ込んでみますと、やっぱり議論の出ます三二%というのが一升ますになっておりますから、どう主張しようともこの対象差というものは縮まりっこはないんだということになります。したがいまして、私は具体的な和田先生の御質問のお答えになるかどうかわかりませんけれども、先ほどの陳述の中で、仮称といたしまして、できるならばぜひ地方交付税制度検討委員会という中で、自治省の言い分もあり、また実践をしておる自治体の長としての計数分析の中で十分出し合ったものを検討をしていき、不合理は合理的に、しかも科学的に、国民の側に立ったやはり地方交付税の配分ということを検討すべきではなかろうかという御提案を申し上げたわけであります。したがいまして、超過負担は、補助事業の場合に超過負担があり、しかも、地方交付税の中を検討してみますと、申し上げるような不合理なものがあるということで、特に地方交付税にしぼりまして超過負担の問題を定義を申し上げた次第であります。よろしくお願いをいたしたいと思います。
#61
○和田静夫君 ちょっと話ずれますが、よく二十三区と周辺都市の行政格差というものが都政のあり方をめぐって大変論議になるのです。行政格差の実情とそれに関連して国や都に要望される問題もかなりたくさんあるのじゃないかと思うのですが、何かあればこの機会にお述べになっていただきたいと思います。
#62
○参考人(石塚一男君) お答えさせていただきます。
 まず、特別区と多摩の都市との格差の問題でありますが、これは大変先生方に口幅ったいようであります、特に原先生は東京御出身でおわかりだと思うのですけれども、どうも特別区は東京市的、東京市的というより、東京市の運営されておって、その点では、東京都知事は国立市長と財政運営の面ではこう一緒になっているこの制度そのものにまず問題があろうと思うのです。この問題はもちろん国の方も御配慮をいただかなきゃいけませんけれども、やはり東京都の問題としても早急に解決しないと、この格差というのはいつまでも続いていくだろうと思うのです。
 具体的に申し上げますと、御質問の中で何かということでありますので、私の頭に入っているのは、国民健康保険の運営一つとらえましても、特別区の方には東京市的なやはり行政をとっておりますので、財政調整というのが親である東京都と特別区の間で行えますから、比較的親である東京市長は財政調整という面で特別区に払い出しやすいし、特別区の方は赤字を前提として運営はしておらないと思うのですが、赤字が出ましてもその点で調整できると、その額が約九十億あるというふうに聞いております、これは四十八年。ところが、多摩の市におきましては、自分のいわゆるよく言われる自己財源、いわゆる市税の中から国保特別会計にほうり込んで運営をしているということでありますので、政府との財政調整あるいは都との財政調整という、こういう弾力性がないという点は非常に不合理であると。したがって、国民健康保険一つとらえても医療制度の問題として、国民健康保険の範疇における医療の格差というものは依然続いておるし、それぞれの自治体では、この国民健康保険の赤字というものの解消については、都にももちろんその不合理の是正を求めておりますけれども、特段に国の方でも御配慮をいただきたいということになろうと思います。
 それから、個々の問題だけをとらえて申し上げましたけれども、どうも末端の市長として感じますのは、福祉の問題でも、国がやるべき分野、国が補完すべき金額、それから都道府県が持つべき責任、それから市町村が当然住民の側に立ってやっていくべきことが全部不明確なんです。ですから、住民要求にこたえていくためには、都や国がお金を、あるいは補助金にしても、交付税の範疇にないものでも住民要求にこたえてやっていくと。福祉だけの先導的なもので勝手にものをそういうふうにやるようなことはいかぬと言って、かえって、そのことが政府干渉の材料になってしまうと、いわゆる行政指導の範疇になってしまうということでなかなかやれない。やれるところはどこかと言いますと、先ほども出たように、ギャンブル収入のあるところはやむを得ないからそれでやっていくということになりますと、なかなか都の方にも国の方にもそういう矛盾というものが明確に浮き彫りにされてこないというのが実態であろうと思います。特に、最近の情勢では、福祉関係においてのこれらの格差といいますかが、非常に寝た切り老人の問題をとらえましても、また身体障害児・者の問題をとらえましても、非常に格差が多く自治体の中で出ておるということが言えると思います。お答えになったかどうかわかりませんけれども、一つ二つ例を挙げて申し述べさせていただきました。
#63
○小山一平君 関連。
 いま、格差のことについてのお話がございましたから、それに関連して私も一つお聞きをしたいと思うんですが、先ほど来、ギャンブルのことがいろいろ述べられまして、私もあんな不合理なものはないとかねがね存じてまいったわけでございますが、国立の近くでも、年に三十億だ四十億だ五十億だなどというような、とてつもないギャンブル収益を上げている都市がある。われわれ長野県などに来ると、一市もギャンブル収益を上げているなんという市がありません。ないけれども、ないなりに何とかやっているのに、それだけのプラスアルファがあったら一体何をやっているんだろうか、学校をつくっても保育所をつくっても、金の壁でも張っているんじゃなかろうかと思うほど、これは非常な不公平があるわけですが、そこで、市長さんが近所のそういう都市を見て、国立と比べて、一、二どんなふうにそのプラスアルファの収益が、国立と違った内容のものを何かつくっているのか。つくっているはずだと思うんです、それだけのよけいなお金があるんですから。何かそんな事例をごらんになっていてお気づきの点があったらぜひお聞かせをいただきたいと、このように思うんですがね。
#64
○参考人(石塚一男君) 小山先生の御質問ですが、お気持ちはわかりますが、隣接市の関係、あるいは他の市の関係について石塚参考人がこう言ったああ言ったということで、あたかも、何と言いますか、他の市に干渉するような結果になっては申しわけないという点で慎重でございます。
 せっかくの御質問なので、ふだん実践者として考えておることを申し上げますと、私の市は恐らく関東一円でも市長交際費というのは最低でございましょう。百三十万でございます。百三十万という金額は大したことありませんが、その市長の姿勢が市役所交際費、市役所食糧費、これに非常に影響をいたしておりますので、この点で、私どもの方の市は総額、年間にいたしましては六十六億でありますので、食糧費、そういったような関係から見ましても、どんなに節約いたしましても他の市から見まして約三分の一ですから、総額で約三百万ぐらいです。ですから、交際費がそんなもので、食糧費がそんなものですから、大変恐縮ですが、こういう委員会にコーヒーなんというものは出てくることはありません。これはささやかな面の、よく言われる冗費の節約だと思いますが、国立市の財政としては、市民要求にこたえるためにはやはりそうせざるを得ないという切実なところですから、それがあたりまえになっているんですね。ですから、先生方は何でコーヒー出さないとかというようなこと怒らないし、それから建物の関係も、公共営造物を、シビルミニマムとよく言われますけれども、当市も市立図書館を昨年つくりましたが、必ず依存財源を頼りにして、自主財源でつくるということをいたしません。ですから、それだけに大変市長は足まめに都に通い、国に通うということをいたします。ギャンブル市の市長が怠けておるということを申し上げているんじゃないんで、ぜひこの点は誤解のないようにしていただきたいんですが、それで国立市が一億のものをつくる場合三千万、それから都に三千万もらう、それで国に、文部の方に三千万もらうという形で一億のものをつくっていく。端的に言うとそういう例ですね。ところが、ギャンブルをやっている市は、国がそんなうるせいことを言うんなら、都がそんなうるせいことを言うんなら、それじゃ一億でつくっちゃえばいいやと、そういうことになりやすい施設づくりがされているということが言えると思います。
 それからもう一つは、一つの学校、保育園、幼稚園をつくるにいたしましても、やはり国は全国的なレベルで物をお考えですから、東京都の市長はぜいたくなものばかりつくっている、だから超過負担が出るのはあたりまえだと、よくこういうことを言われます。ごらんになっていただきたいんですが、決してそんな豪華なものはつくっておりません。また、ギャンブルをやっている市だからといって、豪華なものはなかなかできないのは、今日の建築単価の、いわゆる坪単価の値段というものがそれだけ高額になっているわけです。ですから、超過負担の問題を出しましても、ぜいたくなものをつくっているということにすぐ言われますけれども、ぜひ御視察をいただきたいんですが、そんなものはつくっておらぬ。ところが、確かにギャンブルをやっている市では、私もよくいろいろ各市に会議等でお邪魔するわけですが、じゅうたん一つとらえましても、国立市はじゅうたん敷いてないけれども、じゅうたん敷いてますよね。やはりこれはいわゆる税金、市民税の中からの支出でありますから、これはそういう面はやはり違うなというふうに思います。それから、昼間はこういう夏季のときですから電気を全部消しております。それから、大変恐縮ですが、職員のお茶は飲みません。職員組合からしかられていますけれども、飲まないというようなことで、それで決してこれはギャンブル市だからお茶を飲んでいるということを申し上げるのじゃなくて、そういうふうにちょっと――ちょっとじゃなくて、大分よその自治体の、何といいますか、経営運営と、国立市の市長の経営運営は違うということが言えると思います。具体的には御視察いただければ、決してよその市の悪口をここで申し上げたくないので、どうも奥歯に物がはさまるようでございますか、そういった点で違いがある。
 したがって、一つの交通安全施策といっても、せっかく国が国会において決めた交通安全に対する施策の費用から、生活道路いわゆる歩道をつくっていこうという発想をもって歩道をつくるのでも、一体どこが補助率がいいのかというところをながめまして、すると通学路でいくと交通安全対策費でもらえるのだということになると、よけいもらえる方にいくわけですね。そういうふうに知恵を働かせます。ですから、非常に市長も最近は事務屋的になりまして、そろばん計算で補助率の高い方をとらしていただきまして、それで国立の生活道路――歩道、通学路で子供たちの安全確保を図っている。ところがギャンブル市では、あらあら歩道ができたと。歩道ができると、すぐ並木が植えられます。うらやましいなと。ぼくのところは、歩道をつくったらその翌年は街路灯、その翌年が植樹というふうに、三カ年計画できめ細かく財政配分をやらないとならないという、行政の仕方を他の市と違ったやり方をして、よその市はどうですかというより、私の市はそういうことでやらしていただいております。
#65
○和田静夫君 自治省の調べによると、おたくのラスは一二〇・五でしたか、それでこれは周辺の市と比べるとはるかに低い、一言で言えば都並みということなんでしょう。しかし、それでも国の立場から見ると非常に高いというふうに言われているんですね、一二〇・五では。で、職種の構成であるとかあるいは人材の確保というようなものの必要性、そういういろいろの問題があって、単にラスパイレスだけで問題を見るということには非常に無理があるんではないかというのが、これは私の主張でありますが、どういうふうな御所見をお持ちですか。
#66
○参考人(石塚一男君) まず端的に申し上げまして、ラスパイレスオンリーという点に疑問があるという点は、私も和田先生と同様に考えておる参考人であります。確かに私どものラスパイレスで見ますと、二十六市、市がありますけれども、その市の中では下から四番目ぐらいに位置をしております。そういうことで、これを率直に申し上げますと、市職員組合は、市長は人件費をけちっているという論理に展開していくわけですが、そうではなしに、また物差しを、決して東京都の人事委員会の勧告を物差しとしているものではなくて、あくまでも自主的に市長が国立のいわゆる都市構造――都市構造と申しますのは、大企業はありませんし、零細中小商店が多いという、そういう市民感情を十分踏まえながら市職員に対しての給料の取り決めを行っておるということでございます。その結果が、ラスパイレス指数でまいりますと一二〇というふうに出たわけでありますが、これとても、最近の状況から見ますと、国家公務員を一〇〇とした場合に一二〇というのは高いじゃないかという論理に、比較的一般論としてされやすい情勢があります。これは全く間違いだというふうに思います。ただ、言えることは、これも決して他のギャンブル市の悪口を言うわけではありませんけれども、やはり市長は職員にもよく働いてもらいたいという気持ちもありますし、確かにこれは各市長全部反省しなきゃいかぬのですが、高度成長で税収が伸びておった酔いがまださめていないんじゃないかというふうに私は感じるんですね。そうすると、ギャンブル収入があるからというわけじゃないでしょうけれども、余りこういうことを率直に申し上げることは、一つの職員に対しての人件費を安きに抑える議論になるかもしれませんが、率直に知っていただきたいことは、ある場合に勝手に昇給短縮をやってしまう。昇給短縮をやってしまうとどこから資金が出ておるかというと、ギャンブルから出ているんですね。私のところは苦しくて苦しくてしょうがないから、隣が昇給短縮をやったといっても絶対やりません。しかも、下手なことをすると、私のところは依存財源、特別交付税をいただいている市でありますから、ボーナスで、それでなくても一二〇ですから二〇減らされちゃうという感覚で見ていった場合に、特別昇給を、いわゆる昇給短縮をやっていった場合に、さらに上乗せで引かれるような報復手段があったら、全くほかに依存財源がありませんから、市長としてのいわゆる市民に責任を持った財政の管理運営ができないという立場になりますので、そういうことをやっておらない。したがって、せめても一時金ぐらいは他の市並みに払って職員の勤労意欲を持たせ、また多摩の二十六市の中でも優秀な職員づくりということをしていかなければいかぬだろうということで、一時金では、国にしかられますけれども、多少国公を上回る配慮をして、少なくとも職員に対しての目を向けて勤労意欲を燃やさせ、しかもいい職員に来てもらうように配慮しているということでございます。お答えになったかどうかわかりませんが、なかなかこの問題は、率直に申し上げて議論の出るものだろうと思いますので、私はそういう気持ちで人件費に対処していきたいということを申し上げたいと思います。
#67
○和田静夫君 最後に一言。
 御承知のとおり市民運動、住民運動が行政にコミットする度合いというのは年々深まっているわけですね。国立の住民運動、市民運動の歴史というのは戦後早い時期、昭和二十六、七年ぐらいからすでに始まっているという、大変古い、しかも貴重な歴史をお持ちだし、そういう中で今日の清潔な国立市政、そういうものが開花をしつつあるのだろうと私たちは評価をしていますけれども、そこで市民参加というものが原動力になりながら、今日多くの国立市政というものの業績がある。その市民の諸要求と、国の行政の壁とでも言いますか、そういうものが当然市長の立場に立っては幾つか感じられる部分があると思うんですね。この機会に、市長として市民からの問題の受けとめ方やあるいは処理の仕方やというような面から、国に対する要望とでも言いますか、そういうものをお持ちだったならば述べていただきたいと思います。
#68
○参考人(石塚一男君) お答え申し上げます。
 ずばり申し上げまして、超過負担の調査をした結果、まず委任事務でそれぞれの府、省で見た場合に、厚生省が委任事務で超過負担が一番多いという形でございます。これは八十市を全部調べましたその総計でございますけれども、昭和四十八年で二百九十六億八千四百六十万という合計になっておるところです。これらの費用というものを、私は住民要求の中でとらえた場合、認識せざるを得ません。したがって、こういう矛盾の中で市政を行っているということを訴えながら、その市民要求を持っておられる人たちと一緒に考え、要求を国の方にしていくという方法をとっております。
 また、先ほども生活道路で若干触れましたけれども、建設事業等の関係で見ますと、この超過負担の最も多い省といいますと、もちろん所轄である建設省でありますが、その次が厚生省、それから文部省という順位になっております。八十市の四十八年度累計が何と四百二億円でございます。このように計数を見てまいりますと、まだまだ国の御理解をいただき御配慮をいただけるならば、当国立市は決算見込みで六十八億ないし七十億の市でありますので、一億や二億は御配慮いただけるものだと、その気になれば御配慮いただけるものだということで自治省にも訴えているところでございます。
 そういうことでございますので、確かに市民運動をまともに受けている市長、しかも近時市民の価値観の多様化、こういったさまざまの市民の市民参加という名のもとにいろいろ都市づくりをしていく中では、教育の問題、福祉の問題をとらえましても非常に多くの要求があり、その積算だけでも、当市においては年間約二百八十六億円を必要とするほどの住民要求であります。そういう中で、決算時点で約七十億でありますので、お金が欲しい、そういう中では、切実な問題は切実な問題として国も何らかの方法で御配慮をいただく一環として、地方交付税制度の抜本的な改革にぜひ踏み切っていただき、できるならば算術計算で一番市民に、国民にわかりやすい方法としては、現行の三二%、昭和四十一年以降改正されてないというふうに聞いております。そういう中では、ぜひ各先生方の御配慮で三五%にし、四〇%にしていただくということが一番法改正の中でもやりやすい問題だというふうに考えておるところであります。一に住民要求にこたえるのは国の御配慮によるということが言えましょう。
#69
○安孫子藤吉君 私のは非常に抽象的な御質問でございます。それから前段を私承っておりませんので、最後の方だけお聞きをしましたことについてお尋ねいたします。
 最後に財政の民主化をお述べになりましたが、その財政の民主化というものの内容をもしお差し支えなければ聞かしていただきたいし、そしてその点について国立市がどういうことをこの観点からほかの都市と違ってやっておられるかという例がございましたら、お知らせをいただきたいと思います。
 それから中西さんに、お話のありました点で、スタグフレーション下における財政の姿というものに特別の姿を何か想定されておるように承ったのですけれども、しかしその前に、その後では一般論としての問題が展開されまして、それを特にスタグフレーション下で強調するというようなお話であったように承っておるのですが、スタグフレーションに対応する特別の財政の姿というようなものがもしおありでございましたらお聞きいたしておきたい、こういうふうに思います。
 それから、端的に地方交付税を一体どこまで上げればいいのか、お考えがあったら。その基礎となる財政需要、基準財政需要額、これは非常に多様だと思うのです。それを洗い直すというお話でございましたが、一体どういうふうに洗い直すのか、これは交付税率の引き上げの限度にも関係してくる問題ですから、その辺の感覚を承っておきたい。
#70
○参考人(石塚一男君) 安孫子先生の御質問で、私は財政の民主化はまず公開制にあるというふうに見ております。特に先生方は、国会においての予算上の政府提出による総論の中で御議論されますけれども、その総論の中の各論で、地方交付税なら地方交付税がこれは自治省の算定によっておりてくる。先ほども冒頭申し上げたように、大変事務的で恐縮ですがというのは、その内容についてはなかなかつかみにくいというのが実態だろうと思うのです。逆に、先生方はつかみにくいけれども、末端の市長というのは来た金額に対して分析しますから、またしてやられたなという感じでちょうだいするわけです。してやられたなというのは、率直に言って先生方の直接範囲でない、いわゆる政府としての当然行われる政令、それから省令によって、率直に言ってまたけちられちゃったという現象が起きる。したがって、政令、省令が現実に政府の執行権としてある以上、これを否定しないのだとするならば、その政令、省令がどうなるのだというものが公開されないと、おりてきたお金を、仕方がない、もらわないよりいただきたいのだという立場ですからいただくけれども、中身に非常に問題があるという点で、私はまず財政の公開、またそういう仕組みの公開、これらを申し上げて、財政民主化という表現をさしていただきました。
 もっと各先生方には、大変口幅ったい言い方でありますが、今日のこういう多様化した国政あるいは自治体の行政の中では、新しい行財政への志向をしていく哲学を私は必要とするのではなかろうか。それがないと、これらの問題についてはなかなか現状の仕組みをただうのみにしたままこういう議論をしてまいりますと、決して容認されるものではないという結論になろうと思いますけれども、今日の地方自治体における現状としてはそういうなまやさしいものじゃなくて、市の行政というものは一切が公開制で、市民の方は学校建築するにしても公開制で要求をされてきますし、具体的な要求として数字が積み重なってきているというのが実態であるがゆえに、私は政府の方もぜひそういう財源の問題についての、あるいは財政上の補完の仕組みについての公開制ということは、率直に自治体の方に明らかにされていいんではなかろうかというふうに考えておりますので、財政の民主化ということを、大変言葉少なでありますけれども申し上げたという次第であります。
#71
○参考人(中西啓之君) 最初の方の問題でございますけれども、一般論としても地方財政のいろんな諸点における欠陥というのはあったわけですね。それがこのスタグフレーションによって矛盾が集中的にあらわれてきたというふうに見ることができるだろうと思うんです。よくたとえるわけなんですが、非常に体の弱い人が、急激に気候が変わりますと、急激に暑くなったり急激に寒くなったりいたしますとすぐかぜを引いてしまうという現象の起こるわけですが、もともとこの地方自治体というのは住民のいろんな日常生活に密着した仕事を行っている、そういうところであるにもかかわらず、財政的には非常に十分な措置がなされていなかった、この体質的な弱さというのが地方財政の仕組みそのものにずっとあったと思うのですが、それがこのスタグフレーションというふうなインフレと不況というふうな経済情勢が来るその中で、従来の欠陥がより集中的な形で出てきたというふうに見ているわけなんです。
 特にこのスタグフレーションに対応した財政措置、これが考えられるかどうかということですけれども、一般的に言いまして、いまの地方財政の仕組みそのものがインフレーションに対応するような仕組みになっていないということは言えると思うのですね。たとえば税にいたしましても、どんどんどんどん貨幣価値そのものが変わっていくようなことに敏速に対応できないと申しますか、前年度の収入に対して掛けられるというふうなこともありますし、それからこの超過負担の問題もその一つでありまして、もう年度の終わりには経費の単価そのものがえらく変わってしまう、インフレのときにはそうなる。それに敏速に対応できるようなシステムに現在の地方財政制度そのものがなっていないということ、そういうことを含めて解決策というのは、やはり従来あったいろんな地方財政の体質上の弱さ、これを抜本的に改革しないと根本的な解決策は出ないだろうと思うんですね。
 まあ対症療法といたしましては、このインフレ不況に、たとえばいまの法人事業税とかあるいは法人の住民税、これは非常に不況に弱いと思うんですね、景気に左右されますから。じゃ不況に強いような税制を考える必要がある。そうしますと、資産税というようなものが仮に考えられる。これはたとえば固定資産税をとりましても、大土地所有者とかあるいは大企業に対してもっと増税をする、つまり資産をたくさん持っておる者に対して累進的な税率をかけていくという、この資産税を強化することによって不況に強い体質というものをつくることができる。幾つかそういう不況とかインフレに対応できるような仕組み、あるいは施策というものは考えられると思うんですが、より根本的に現在のこの問題を解決するには、先ほど申しましたような抜本的な改革が必要だろうというふうに思います。
 それから第二番目の問題でありますけれども、地方交付税の税率を一体どこまで引き上げればいいのか。それからもう一つは、基準財政需要額の改正、これをどういうふうにしてやっていけばいいのかということでありますけれども、地方交付税の税率の引き上げというのも、現在の地方財政あるいは地方行政、国と地方を結ぶ行財政の仕組みをある程度前提にして考えているわけですけれども、さしあたり四〇%まで引き上げるというふうな措置はぜひ必要であろうと思うんです。それで、先ほども国立の市長さんの方から話がありましたように、決算は七十億だけれども、市民要求をずっと集計してみると二百八十六億というふうなことを申されたわけですが、これはどこの市でも共通しておりまして、昨年埼玉県の富士見市である研究者の方が調査をしてみたところ、やはり住民要求にこたえて自治体がこれだけの仕事をやりたいというふうなのを財政のことを考慮することなくまず出し合ってみた。それを集計いたしますと もう財政規模の数倍になってしまったというふうな状況があるわけでありますから、絶対的にいまの基準財政需要額というのが実態に合っていないということはそういう観点から言えると思います。
 で、これをどういうふうにやって改めるかということですが、一つはこの基準財政需要の決定過程そのものが、やはり一方的に中央官庁の意見、中央官庁の方でこの原案がつくられるというふうな仕組みそのものにやはり根本的な問題があるわけでありまして、地方自治体の財政担当者の方にいろいろ聞いてみますと、さまざまな矛盾点をいっぱい持っておられるわけですね。たとえば人口急増都市でありますならば、現在の交付税の算定、人口の算定の基礎が四月一日に置かれている。ところが、その年度途中で公団住宅にどんどん入居が進んできて、とても実態に合わなくなるとか、あるいは測定単位に不算入の費目が多いとか、あるいは単位費用そのものが低いとか、いろんな具体的な問題点をいっぱい地方自治体当局の方としては持っておられる。こういうふうな意見をまず広く聞いてみて、それを集約して問題点を整理してみるというふうなことだけでも、非常に現時点では必要じゃないか。根本的には、やはり行政水準そのものを固定してとらえるんではなくて、ある程度計画的にこの行政水準を年々引き上げていくというふうな立場に立って、それに見合うような基準財政需要額というものを見通していくというふうな方法がまず必要だというふうに思いますね。そういう内容面と、それから決定過程をより民主化して、地方自治体当局の意見をもっとどんどん反映できるようなそういう仕組みをつくっていく。そのためには一定の組織等々も必要かと思いますが、大体私が考えておりますのはそういうふうなことでございます。
#72
○神谷信之助君 石塚参考人さんにお伺いしたいと思います。
 市長さんとして大変苦心の数々をお聞かせをいただきましたが、一つは超過負担の問題ですが、政府機関だけじゃなしに、自治体の側の代表も含め、必要であれば第三者の代表も含めて、実勢に合った適正な単価を決める、こういう考えは私どもの党も賛成で、そういう立場に立って解消しなければいかぬということで努力をしているわけですが、そこで、例の摂津訴訟をめぐって一つ感ずるのですが、あれでまあ厚生省なんかは、形式的ですが、自治体側の申請に基づいてそれに対してちゃんと適正に補助を出したと、こういう形になるわけですね。けさの長野市長さんの話を聞きましても、長野では、年間二カ所の保育所を建設するという計画がある。ところが、厚生省では一カ所しか承認をしない。ですから、県に申請しても県の方でもう一カ所は削ってしまって、国に行くのは一カ所だけしか出ないと、こう言う。ところが、地方財政法上は、そういう事態について異議申請ができるわけですけれども、ところが実際にはなかなかありませんし、そしてまた下手にやれば報復措置をとられるという、そういったいろいろな心配もあるんだろうと思います。こういう状態が続いて、われわれ国会の中でもこの超過負担の改正については努力をしているんですが、そういう現行制度の中で使えるいろいろな仕組みなんかについて、自治体の側からもいろいろなそういう運動をやって、実際に必要な額に基づいて申請をして、それを承認をしない。それに基づいて異議申請をする。こういったことをもっとはっきりしてはどうかと。実際にそれをやったら自治省でも各省でも皆お手上げになるわけですよ、たくさん皆出てくればね。やれっこない。そういうようなことは、どうなんでしょう、お考えいかがかと思うんですが。
#73
○参考人(石塚一男君) 大変具体的な御質問です。
 まず、摂津訴訟の内容に触れる前に、児童福祉法に伴う保育園設置の条項を拝見さしていただきますと、市町村長は措置せねばならないという措置権だけを与えて、その設置に対する保障というのは法律の上に何もない。それじゃ、都道府県知事がその建造物をつくるのが義務なのか、国が当然行うべきなのか、その辺が明確でない。したがって、先ほども申し上げましたとおり、福祉の問題というのは非常に大きないろんな問題ありますけれども、いま具体的に出た摂津訴訟のこの保育園の問題も、国が施設費は保障すると、それから人件費については都道府県だと、運営費は市町村にしなさいよと、一つの例として。国がやるべき内容、都道府県が行うべき責任、市町村が負うべき義務、こういうことを明確にすべきではないかと。じゃ、具体的に明確にするのはどういう場だと言いますと、自治省は自治省の御意見があります。したがって、それをただ交渉という中で行って事務次官や何かとやり合うのじゃなくて、国会の先生も含めて、また私ども自治体の実践者も含めて、学識経験者も含めて、そういう話し合いを煮詰めていった方がより現実的であろう。何となれば、大変恐縮でありますけれども、国会の場というのはどうしても総体的な問題としての予算付与になりますね。おっしゃられるように、たくさん保育園つくるのに、一々市長言うけれども、財源にやはり枠がある、これはわかります。そういう中で、事務的にはそれじゃどういう仕組みになっているかというと、保育園一つ――仮に国立市が三つつくろうとしますね。住民要求にこたえて昭和五十年度三つつくるということになりますと、ヒヤリングというのがあるんです。これは事務官同士ですから、ヒヤリングをやって、おまえのところは二つだということだから、二つを一応年度の目標にして、自己財源も用意をいたしておきます。しかし、実際には一つしか来ないと、一つ予算化したのが不用額になっていっちゃうわけですね。だから、何のために国がヒヤリングを市町村に行うのか。この辺が、話は聞くけれども、口は出すけれども金は出さないということになっちゃうわけですよ。そういうひとつの四カ年なら四カ年計画、あるいは五カ年計画というのを政府が打ち出します。その計画には参加をしてちゃんと出すわけですね。ところが、やはりいろんな経済情勢の変動でローリングをいたしますから、五カ年計画が六カ年になるのか七カ年になるのか、そのことは別にして、単年度単年度これは変更されていくわけですね。それも忠実に守りながら、保育園の要請をヒヤリングをして出すんだけれども、結果的には三円お願いしておったのが一円になってしまう。あるときには、関西なんか特にゼロになったときもある。これは極端じゃないかということがいろいろ摂津訴訟の精神として中に組み入れられておったというふうにも思います。したがって、法でいろいろりっぱな法律があります。ところが、りっぱな法律があるんですが、財源付与がなくて、明確じゃないんですね。それじゃ地財法上どうなのかというと、いろいろとまあ政府の方は逃げられる。よく言われる法というのはざる法なんですね、実践者の方から見ると。そうすると事務次官の方に追及していくのも、法がこう定めているんだから、いやこれはざる法じゃないかと言っても、この法は現行法で、これで執行してもらわなきゃならぬと言われちまいますと、どうにもそれが先ほど和田先生がおっしゃられた壁と言えば壁ですね。この壁は皆さんで、やはり先生方を含めて私はその壁を薄くし、破れるものは政府みずから切り開いていただくという姿勢がありませんと、この議論はいつまでも私は果てしなく続くんだろうというふうに思います。
 特にきょうは地方交付税の問題なんで、一つの例を挙げてみますと、先生方も御存じかと思いますが、種地というのがありますね。これもかつてはいわゆる都道府県所在地が中心になって極地というのがあったわけですがね。それがいつの間にか皇居から山手線沿線が――これは結構ですよ、都市化の波で、人口急増でどんどん多摩の方へ伸びているんだから、広がることは結構なんです。ところが、同じ大都市ということで大阪を見ますと、大阪の環状線の方が広いんだ。そうでしょう。山手線と大阪の環状線に乗ったら、山手線は一時間で回れるんですよ。ところが、そうすると一体物差しは何なんだというと、お伺いすると別にないわけです。そうすると、自治省のあるお役人の自由裁量で種地が決まって、その決められた種地をいやでもおうでも算定されて交付税をいただくというのは、どうも政府という機関が、自治省という機関がやるにしてはあまりにも非科学的であり、非論理的だと。したがって、こういう種地一つをとらえましても、ひとつお話し合いをしていきましょうと。大阪の意見もあるでしょう、東京の意見もあるでしょう、また、多摩の市長の意見もある、また国会の先生方の意見がある。それらを、やはり持ち寄ってお話し合いをする場をぜひひとつおつくりいただければこういう問題について懇談をしながら御理解をいただけるというふうに思うわけです。
#74
○神谷信之助君 そこで、次に中西参考人にお伺いしますが、地方自治の確立のために、それを保障する財源ですね、地方財政の確立というのはきわめてこれはまあ切っても切れない関係ですがね。いまの石塚参考人の話もありましたが、この地方財政の民主化を進める、そういう観点から、一体どういう仕組みが歴史的に考えてみても正しいのか、今日それがどのようにゆがめられてきているのか、こういった問題について意見を述べてもらいたいと思います。
#75
○参考人(中西啓之君) やはり、地方財源を充実するということと同時に、地方財政のさまざまな基準とか、あるいは交付額あるいは超過負担等々について、地方自治体の側の意見があるいは住民の側の意見、こういうものを反映できるような仕組みができているのかどうかというところに基本的な問題の一つがあるというふうに思うわけです。
 歴史的にずっと見ていきますと、地方財政委員会というのが過去にございました。これは二つありまして、一つは昭和二十二年の十二月、あるいは二十三年一月というふうに書いてあるのもありますが、二十二年の十二月あるいは二十三年一月ぐらいに設置をされた地方財政委員会というのがあります。これは戦後、内務省の地方局が解体いたしまして、地方財政委員会と選挙管理委員会に分かれるという機構の一つとしてつくられたわけですが、これが昭和二十四年の六月まで存続しております。このときの地方財政委員の構成というのは、知事側から一名、それから市長側から一名、町村長側から一名、それにまあ政府側二名という五人の構成になっております。このときの地方財政委員会というのは何をやったかといいますと、財政自主化のための企画立案をやるというふうなことがその仕事であったわけです。戦前のこの非常に中央集権的な内務省の機構を民主化していくという上で一定の役割りを果たしたというふうに思われるわけなんです。これが二十四年の六月に地方自治庁が設置をされるのに伴って廃止されるという経過をたどるわけです。
 その後でもう一つつくられましたのが、これは昭和二十五年の五月にシャウプ勧告を受けてつくられた地方財政委員会というのがあります。これは何をしたかといいますと、当時の平衡交付金、地方交付税制度の前身であります平衡交付金のこの総額を決定をする。御承知のように、この地方平衡交付金と地方交付税の違いというのは、基準財政需要額と基準財政収入額を算定して差し引きするというのは同じなんですが、総額が固定していなかったというのが一番大きな違いでありまして、毎年この地方の財源不足額というものを積み上げて、そこで、この地方財政委員会で議論をして総額を決定するというふうな仕組みになっていたわけであります。そうした平衡交付金の総額の見積もりでありますとか、あるいはこの交付額の決定であるとか、あるいは法定外普通税の創設に関することとか、そういうことを地方財政委員会で審議したわけであります。このときの構成というのは、地方団体から三名、それから政府推薦が二名という、やはり五人の構成になっております。このとき、この地方財政委員会というのは、昭和二十七年の八月まで続くわけでありますが、今度はこの地方自治庁からいわゆる自治庁になるのに伴ってこれが廃止をされるわけです。このときの地方財政委員会では、地方平衡交付金、ちょうどいわゆる二十年前の財政危機に入りかかった時期でありますから、この地方財政委員会で大変な激論が交わされまして、そこでこの地方自治を擁護する意見等々も述べられるというふうなことがあったわけであります。
 これが廃止されまして、現在、自治省設置法によりまして地方財政審議会というのがつくられています。これは形式的には地方自治体側の代表三名、その他学識経験者二名とかいうことで、これは内閣総理大臣が両院の同意を得て任命をするというふうなことになっています。ここでは地方交付税の交付に関する命令の立案とか、あるいは交付税の決定、変更とか、あるいはこの地方公共団体の負担を伴う法令案及び経費の見積もりのうちの重要なものについて意見を述べるとかいうふうな、これは自治省に置かれている機関でありますけれども、こういうふうなものを審議をするということになっております。
 ただ、ここの地方財政審議会というのが非常に形式化しているというふうに思うわけです。委員のこの構成とかあるいはこの選任の方法にも問題があろうかと思いますが、かつての地方財政委員会のように、ここでもって地方自治体側の意見、あるいは全国知事会の意見、あるいは全国市長会の意見が出されて、それで激論が闘わされてちょうちょうはっしやったということは一向に聞かないわけであります。ここに問題があるわけでありまして、やはり全国知事会等々でも最近はいろんな国に対する要望等々を出しているわけでありますから、やはりこの地方六団体の意見、それから、と同時に住民側の意見、こういうようなものが十分に反映できるような、そういう委員会をつくって民主的な審議をやるということが一つのかなめであろうというふうに思うわけです。
 その際に、この超過負担なんかの問題は、国の側の見解とそれから自治体側の見解が食い違うわけで、言ってみれば、並行論議をたどるわけですが、問題は、現在のこの経費が幾らかかるかという判断の権限が一方的に中央官庁の方に握られているというところに一番この根本的な問題があるわけでありまして、これを解決しないと超過負担というのは絶対なくならないわけですね。そういう点で、形式的なそういう委員会じゃなくて、まあ地方団体代表等々を含む、実質的に民主的な機関をつくって、そこで基準財政需要額の決定にしても、あるいはこの超過負担の問題の審議にしてもやっていくというふうなことがポイントの一つであろうというふうに思うわけであります。
#76
○神谷信之助君 それから次に次官通達なんですがね。先般次官通達が出て、そして赤字団体、黒字団体を問わず、まあ自治省側の説明によれば地方財政の構造を変えなければいかぬと。ですから、そのことを願う自治体がその財政の健全化のための計画を策定をするならば、それに対しては起債を弾力的に運用して援助しようじゃないかと、こういうことが出されているわけですね、次官通達の中で。これは同時に、自治省の方は財務調査官制度をつくって、そして三名で、東・西・中と全国三ブロックに分けてそれぞれ一人が一ブロックを担当する。で、自治体の側からいろいろ相談に見えればそこで話を聞いて、そうしてそれじゃその起債は必要だということになれば、その財務調査官がよろしいという承認をすれば、地方債課長の方に言うて無条件に起債を認めると、こうなる、こういう話ですね。これはそうするとなかなか大きい権限を持つわけですね、交付税の問題にしても、起債の問題にしても。これが大きな、まあ全国を三つのブロックにして、一人の人にそうやって権限が集中して、そこでオーケーと承認されれば、それぞれの担当交付税課長なり地方債課長なりに言えばすっと通ると、こうなっていきますがね。そうすると、まあここへとにかく頭を下げて、そして了解をしてもらわなければいかぬ。これは同時に、いま言いました財政健全化計画の策定と相まってこの制度ができるということになってくるわけですね。そうしますと、これは私は大変重大な問題ではないかと。で、地方財政の再建促進特別措置法なり、前回は措置法ですか、ああいった法律に基づいて、そうしていろいろな再建のための、財政を再建あるいは健全化するための計画、これは法律に基づいているわけですから一定の歯どめもあると。われわれは反対をしたけれども、悪法といっても法律は法律ですから。今度のやつは単に行政措置でやられる。これも財政健全化計画の内容は何かというと、人件費の削減その他いろいろある。これは再建法に基づく計画と大体似た柱を持っておるわけですよ。いままでは法律でやっていたやつを、今度は法律抜きで行政通達でやると。ところが一方自治体の方から言いますと、御承知のように、いまも少しでも金がもらえるなら何とかという状態ですから、まあえさを与えられて飛びつかざるを得ないと。そうすると、再建団体ではないけれども、再建団体に似たようなことになって自治権に対する侵害になる、こういう点で私は非常に重要な問題じゃないかと思うのですがね。この辺の問題について、ひとつ石塚参考人さん、それから中西参考人さんの方から御意見を伺いたいと思うのです。
#77
○参考人(石塚一男君) 自治体を預かる私どもは、まず単年度健全財政、赤字を出すことのないようにということで能率的な財政運営をしている立場だということを明確にいたしまして、いまの御質問にお答えいたしますが、おっしゃられるように、次官通達といいましても、この場合の次官というのは自治省での御質問だと思うのですが、大蔵省は大蔵省で次官通達をやると食い違いが出ちゃうのです。下の方へ行くと、一体自治省の次官通達を尊重していいのか、尊重すると大蔵次官の次官通達が尊重できないという、こう両面が出てくる場合があるのです。
 一つの例を申し上げますと、恐らく国会でも御論議があったと思いますが、あの石油危機の際に、大蔵省のたしかこれは局長通達だったと思うのですが、金融機関に対する――これは金融機関ですから、銀行局長だったかと――間違ってたらごめんください。通達がありまして、一般の民間企業と同じように、地方自治体の融資等についての指示がありました。一方自治省では、おっしゃられるように、ちょっと抵抗あるんですよね。お百度参りして納得したら出してやるよと言うのだけれども、完全に大蔵省と一体化になっているわけじゃないんだろうけれども、締めちゃっているわけですね。そうすると自治体じゃ、自治省でも締めちゃう、銀行局長通達で締められちゃったらもう八方ふさがりという状況ですね。まあ実際に弾力的とおっしゃられるのですが、これは政府答弁だと思うのです、それをうのみにされておられるのだと思うのですが、私どもがそれを聞きますと、抑制が前提でそういう弾力的運営とかという表現もしくは次官通達が出されてくるというような自治体側の受けとめ方ですし、現実にあらわれてくるのは抑制以外の何物でもないということです。それじゃ自治体の長は無尽蔵に自分らが市民要求でつくりたいというものをよこせと言っているのかというと、決してそうじゃなくて、先生おっしゃるように、うまい物差しをつくっているわけですね。いわゆる起債がよけい充当していった場合、約二〇%、この辺へいくと赤信号だよ、赤信号ということは赤字再建団体一歩手前だよと、そうするともうそれ以上くれと言ってもその物差しでだめですから、私どもはいつも二〇%になるのかならないのかというものも判断しながら、これは健全財政を当然志向しますから、お金は欲しいけれども、やはりそういういやな汚名は持ちたくないという気持ちもありますから、計数計算をした中で許される範囲内のぎりぎりのところのお願いをしていっているんですから、いわゆる上限を自治省では決めておいて、二〇%以上だめだと言って、じゃ今日の公共下水道や何かの多額な巨大な費用のかかるものが二〇%でおさまるかどうかという問題も抱えながら自治省にお願いをしているということでございます。
 したがって、地方財政構造の計画があるという、その国会に先生方に御提示される自治省のそれらの内容を私ども見ますと、ただもう締めつけの何物でもなくて、これは政府の方も苦しいでしょう、約八千億本年度は云々と言われているのですからわかりますけれども、それを見ていると、実際の税制分の配分というのが地方自治体三〇で国が七〇だと、いやそうじゃないと、六〇に四〇だと、こういう議論にすぐなりますけれども、せめてもフィフティー・フィフティー、私はこれが今日の自治体を当然見る政府の見方としての財政配分を前提にして、これらの政府が言う地方財政健全化のための構造というものを打ち出さぬ限り、決してこれは保守、革新じゃなくて、自治体の長は非常にいまインフレ下で苦労しておりますから、決して共感は呼ばないということは明確に言えると思うのです。ぜひそういう意味で、私どもは次官通達というものについて、先生方の知らないところでそういう通達が出た場合の自治体の長としての受けとめ方ということについては、これは国会で決まろうが次官通達であろうが同じように尊重せねばならぬという立場でありながら、いずれの場合でも抑制されてくるという通達に対して、もうちょっと――その点は執行権の範疇だということになろうと思うのですが、ぜひ末端のそういう実情というものをおくみ取りの上御論議を賜れば、一方においては多少の財源の貢献になっていくというふうに思いますので、ぜひ目を光らしていただきまして、お願い申し上げたいと思います。
#78
○参考人(中西啓之君) この次官通達と財務調査官の問題に関連して、二十年前の地方財政危機のときに打たれた施策、これと比較をしてちょっと考えてみているわけなんですけれども、二十年前のときには、先ほど申しましたように非常に赤字団体がたくさん出たわけです。それに対して、赤字団体が出たのに対して、地財再建法を適用をしていくという手法がとられたわけです。この地財再建法が適用されるに当たっては、ちゃんと自治省の方で赤字再建団体の指導要領というものがつくられてありまして、非常に事細かに、歳入については十一項目、歳出については十数項目と、内容を見てみると、極力増税を図るとか、税の徴収率を引き上げるとか、あるいは人件費は極力抑制をするとか、支庁、出張所は統廃合するとか、一つ一つ細かに書かれてあるわけですね。それを自治体の側で赤字再建計画に組み入れたそういう計画を立てないと、なかなか再建計画として認めない、あるいは積極的にそういうものを認めさせていく。国の中央官庁の思うような方向に自治体を、赤字ということを契機にぐいぐい引っ張っていくというふうないわゆる中央統制、地方自治をじゅうりんするような方策がとられてきたわけですね。これがこの二十年前の赤字に対する対応策の特徴だったと思います。
 今日の二十年前と違う点というのは、先ほども申しましたように、赤字団体はさほど多くない。まだ多くないわけですね、この四十九年度をとりましてもそんなに多くない。多くないけれども、地方財政硬直化と人件費が高いというこの論調、あるいはこれに対する宣伝というのは猛烈に昨年からやられているわけでありまして、これは二十年前にはもう考えられないぐらい激しいというふうなことです。単にそういう論調が張られるだけじゃなくて、具体的な措置が、具体的な行政指導が次々にやられてくる。昨年の人勧が出た直後に、八月の二十七日に、自治省の方で、地方自治体の給与引き上げは国公並みに抑制して、かつ国より先に実施しないようにというふうな通達が出されている。それから、八月の二十八日には、給与改定案を九月議会に提出しないようにという、これも自治体の自主的な地方自治を無視した、そういう通達であると思うんですが、これを出している。それで、暮れになってまいりまして、地方財政硬直化と人件費宣伝が非常に激化してくる。そして、一月二十日ですか、このラスパイレス指数というものを算定して、それでかく国家公務員より高いんだというような資料が具体的に出されている。一月三十日ですか、都道府県の総務部長会議が開かれて、それで地方財政の硬直化は非常に大変である、これについて努力をした自治体に対しては地方債と特別交付税でめんどうを見るというふうな発言がなされる、こういうふうな経過で来たと思うんですね。
 これは地方選挙を前にした一連の措置だったわけですが、今度五月十六日に出されてきました次官通達というのは、地方選挙が終わった後で新たにまた出されてきたわけで、これは私は二つの特徴を持っているというふうに思うわけです。一つは、従来は比較的抽象的な指示だったわけですが、今度の次官通達の内容を見てみますと、プラスアルファは完全に廃止するとか、退職金の支給方法はどうであるとかという形で、非常に事細かに一つ一つ具体的な指示をしてきているという点が一つの特徴であると思います。もう一つは、先ほど神谷先生の方から申されましたように、財政健全化のための計画を立てた団体に対しては、地方債の面で若干の考慮をするというふうな、そういう内容が入っている。これは財政健全化ということ、これの内容に対する見解ですね。これは先ほど申しましたように、住民要求を切り捨てて、それで地方財政の全体の枠を固定して、その中できゅうきゅう人件費を切り詰めていくというふうな方針でありますから、勢い非常に住民要求を無視し、かつ地方自治をじゅうりんするというふうな内容になってくると思うわけですね。こういう手法を見てみると、全くこの二十年前の赤字再建のときの再建計画の手法と、手法において同じであるというふうに思うのですね。ただ違うのは、二十年前には赤字が出た団体に対してやられたのに対して、今度は赤字団体じゃなくても、黒字団体に対しても、要するに財政硬直化が問題なんだと、だからこれに対して健全化の計画を立てたところに対しては一定の措置をするという形で、黒字団体も含めて結果的には非常に強い中央統制が通るというふうな措置が出されてきたというところに、非常に特徴的なものがあるというふうに思います。
 それで財務調査官制度というのも、それを今度は具体的に指導をしていくというふうな役割りを担わされているというふうに思うわけであります。これはやはり憲法に定められております地方自治の本旨、これにもとるもので、とにかく金のつるを握っているということは非常に強いわけですから、金を通じて中央統制を強めるというふうなやり方でありますわけで、その背景としては、やはり国債が発行されざるを得ないような国家財政全体の歳入欠陥問題が絡んでいると思います。しかし、考えてみますれば、そういう状況であるにもかかわらず、防衛費等々にはがっちり予算が組まれているわけでありまして、そこには手をつけずに地方財政をそういう形で圧迫をしていくということでありますので、その点では、やはりそれに対する自治体側も、地方自治を守るようなそういう形で対抗せざるを得ないのではなかろうかというふうに思っております。
#79
○委員長(原文兵衛君) お二人の参考人どうもありがとうございました。
 これをもって参考人に対する質疑は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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