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#1
第075回国会 内閣委員会 第7号
昭和五十年五月六日(火曜日)
   午前十時五十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤 武徳君
    理 事
                世耕 政隆君
                林  ゆう君
                上田  哲君
                片岡 勝治君
    委 員
                岡田  広君
                源田  実君
                寺本 広作君
                戸塚 進也君
                中村 太郎君
                八木 一郎君
                山本茂一郎君
                野田  哲君
                秦   豊君
                森中 守義君
                太田 淳夫君
                峯山 昭範君
                河田 賢治君
                内藤  功君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       文部大臣官房長  清水 成之君
       文部省初等中等
       教育局長     安嶋  彌君
       文部省大学局長  井内慶次郎君
       文部省社会教育
       局長       安養寺重夫君
       文部省管理局長  今村 武俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤武徳君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 去る四月十五日、小巻敏雄君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。
#3
○委員長(加藤武徳君) 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 前回に引き続き、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○上田哲君 私は、昨晩北京から帰ってまいりまして、かの地の教育制度なども見聞をしてまいりましたが、どの国でも、その国の青少年教育問題に示している熱意、これは共通のものだと感ぜられました。そんな気持ちも含めながら、民間人起用というようなことで非常に意欲とフレッシュな面で期待をされておられる大臣に、ひとつ斬新な意欲あふれる御見解を承りたいと思います。
 それは、きょう私は時間の関係もありますから、入学試験問題、これは青少年のやはりナイーブな芽を阻害している要素になっているだろうという心配を含めて、この改善をどうすればいいかということを、まあ一部分だけ御質問をしたいと思います。
 大臣は、大変原則的なことですけれども、就任に当たって二つの見解を示された。それは、教育の場に政争を持ち込んではならぬ、もう一つは、入試地獄を何とか改善をしたい、解消したいということだったと思います。これは改めて確認し直す必要もないんでありますけれども、しぼって申し上げるのは、高等学校の入試について、公立に入っていく生徒と私立に入っていく生徒、その数や傾向が、非常に最近私立の方に流れる、私立好みになるということが指摘されていると思います。これはやはり非常に重大な問題を含んでいると思いますし、特に、数字の面でその傾向が顕著になっているのがこの一、二年だと私は考えておりますから、まず、事務当局からで結構ですから、最近の私立高校と公立高校の入学比率、それから、特に、これはあらかじめお願いしてありますので、まあ辞退数といいましょうか、振りかえ数といいましょうか、そういう部分の実態をひとつ数字的に御報告をいただいて、これもまたお願いしてあることですが、全国と東京都をひとつ区別していただいて、その数字を踏まえて大臣から、対策はともかくとして、この現状をどうお考えになるのかというあたりをひとつまとめて御認識を御表明いただきたいと思います。
#5
○政府委員(安嶋彌君) 実態につきまして御説明を申し上げます。
 全国の高等学校におきまして公立の占める割合でございますが、四十九年度について申しますと、生徒数で六九・四%でございます。四十年以後の全体の流れをとってみますと、四十四年が六九・八ということでございまして、公立に収容される生徒の数が一番多うございました。しかし、過去十年間の傾向といたしましては、六八・八%から六九・八%程度が公立に入っておるという状況でございます。
 これに対しまして東京都の場合でございますが、四十九年度の東京都における公立高等学校の生徒の比率は四一・七%でございます。で、公立が過去十年におきまして一番比率が高かったのは四十四年でございまして、これが四四・一%ということになっております。低うございましたのが昭和四十年でございまして、三六・一%ということになっております。したがいまして、東京都の場合は過去十年間におきまして公立の割合は三六%から四四%の間を動いておる、四十九年度ではそれが四一・七%であると、こういう状況でございます。
 それから、辞退者の数でございますが、実は全国的な数字がつかめておりませんので、東京都並びに埼玉県、大阪府の状況についてお答えを申し上げたいと思いますが、東京都の場合、四十九年度の入試におきまして、入学許可をいたしました者のうち辞退をいたしました者が八千六百十五人、入学許可者の一三・九%ということになっております。この辞退者は、まあ大部分は私立であろうと思いますが、国立も中に含まれていようかと思いますが、そこの区別は計数的にとれておりません。四十九年度はただいま申し上げましたように八千六百十五人、入学許可者の一三・九%ということでございますが、これに対応する四十一年の数字は四千三百一名で、比率といたしましては八%でございます。傾向といたしましては漸増する傾向にあるということでございますが、五十年度の数は、これに比べましてやや――ややと申しますか、若干と申しますか、減少いたしまして、七千六百九名の辞退者が出たというふうに聞いております。
 それから、埼玉県の状況でございますが、四十九年度におきましては、入学許可者のうち四百十一名が辞退をしたということでございまして、入学許可者に対する比率は一・三%でございます。四十年当初からの傾向を見ますと、埼玉県におきましても増加する傾向にあるようでございます。
 それから、次に大阪府でございますが、四十九年の入学許可者のうち、辞退をいたした者が三十四人ということでございまして、比率にいたしまして〇・〇七%、ですから、まあほとんど辞退者が出ていないと言っていいかと思います。大阪府につきましては、この辞退者の数は過去十年を見ますとかなりばらつきがございますが、しかし絶対数はかなり少ないというような状況でございます。
#6
○国務大臣(永井道雄君) ただいま初中局長から申し上げました数字の傾向に関連して、私の見解を述べさせていただきたいと思います。
 明らかに、わが国の高等学校教育の段階におきまして私立学校の重要性というものが、非常な注目すべき事実であるということがわかります。さらに、辞退者、公立に入っても辞退するという人を見ますというと、私立学校というものに公立に考えられないある種の役割りがあるということになります。この問題をどういうふうに考えるかというと、私は三つの点から考えるべきではないかと思っています。
 第一の点は、高等学校教育に対する人々の要求が高まるのに比例して公立学校というものを直ちに準備することができなかったというやはりこれまでの経過があったと考えます。これは文部省と申しますよりも、各自治体において非常に御苦労になっている点でありますけれども、とりわけ人口急増地域におきまして、財源の関係もあってこの要求に応じていくことが必ずしも容易でないという事態があるかと思います。そこで、いろいろ御苦労になってはおりますけれども、やはり私立学校というものに相当依存しなければ要求に応じ切れないという面がある。そのことを考えますと、今後長期にわたりまして、やはり文部省も各都道府県の教育委員会と協力しながら、長期的にこの要求に対する学校の準備という角度をもって考えていかなければならないということになるかと思います。
 第二点は、これは大学入試と関連する問題であるかと考えます。つまり、公立学校に入れる、また事実入るのでありますが、辞退するという人が出てくるのはどういうことであるか、明らかに、埼玉県あるいは大阪府などに比べますと東京の方がそのパーセンテージがはるかに高いのでありますが、この辞退者の理由というのはいろいろあると思いますが、一つ重要なものとして次のことを見逃せないと思います。それは、大学の入試が相当競争激甚な中で展開されておりますというと、やはり、高等学校でいわゆる有名校と言われますのは、教育内容において特に特色があるというよりは受験の上で有利な学校ということになってくるかと思います。そこで、初中局長が申し上げましたように、必ずしも私立だけではなくて国立の学校というのもそういう中に含まれるわけでありますが、ほかの、公立に行けるにもかかわらず有名受験校に行きたいという人が出てくる。そのことから私立学校に特有な役割りが生まれてまいりますから、これを考えなければいけない。この場合には、私は当然高等学校教育の計画というものも重要でありますが、むしろ一歩を進めまして、大学の入試制度とか、あるいは社会における学歴偏重の傾向をどうするかというところまでさかのぼって考えなければいけないのだと思います。先ほど上田委員から、中国の御視察のことを踏まえて、各国いろいろ考えているがというお言葉がありましたが、諸外国において考えていることも、そういう社会全体の中での学歴などとの関連において大学、高校の計画をどうやっていくかということであるかと思いますから、私はそういう角度から考えていくべきものと思います。
 それから、第三番目に、私立の中のたとえば女子商業高等学校というような――一例として挙げますと――そういう場合には、卒業後の職業的準備がかなり確実にできるというような意味合いにおいて、相当学校に特色がある場合があります。そこで、もちろん公立高等学校の場合にも、職業高校もございますし、あるいは普通課程においても、高校から直接社会に出ていく場合あるいは大学に進んでも専門を勉強していく場合、そういう職業的な配慮というものがありますが、それほど鮮明に特色を出しにくいという面があるかと思います。それに反しまして、私立学校の場合に、かなり端的に特色を出して、そして高卒で社会に出ていく、そういう人たちの育成というものを配慮している場合がある。そうでない場合、いままでの学校教育というのは、どうも教科書中心に傾いている。しょせんは大学まで行かないというとけりがつかないという形で学校教育が設営されておりますから、そういう意味においても、高等学校はどのカリキュラムを、今後社会のいわゆる多様化の中でどう考えていくべきかという課題がそこに提出されているように考えられますので、われわれとしてはそういうことも全体計画の中で配慮していくべきものであると。
 以上三点、私は現在の公立、私立の学生の動きを見まして考えている次第でございます。
#7
○上田哲君 総論としてよくわかりました。
 そこで、少し分け入って伺いたいわけですけれども、文部大臣、高等学校としては、公立校と私立校というものの、まあ適正比率なんというものがあるかどうか知りませんけれども、おおむねおもむくべき方向として考えた場合に、今日の日本の社会、経済、文化状況というようなものの視点において、何となく公立高等学校が、いま挙げられたような諸点から、忌避されると言っちゃ言い過ぎかもしれないけれども、まあどちらかと言えば背かれて、将来のことも考え、あるいは入試の必要に引きずられながら私立高校の方に行かざるを得ないという状況が、私はどうもやっぱり、極論するなら、将来は公立学校というのは全部なくなっても、たとえば大学なんというものはいいんだというような議論もあると思いますけれども、それはそれとして、ほとんど準義務教育化した高等学校というものを実情として考えた場合に、私立高校の方へ流れていくという傾向は、やはり公立高校の方で十分なニードに応じていないということの反射であるというふうにしか考えられないわけですが、そういう流れ、その考え方、これでいいんでしょうか。公立高校が背かれて私立高校の方に流れていく、それは単にこちらの公立高校が果たすべき役割りというものが十全でないので補てんされているという限度をすでに超えて、積極的に私立高校の方にむしろ流れていく。逆な、簡単なこのごろの言葉を使えば、公立高校の方が私立高校に対する滑りどめになっていると、受験生は滑りどめという言葉を使うわけですけれども、滑りどめが私立高校ではなくて、昔は、たとえばわれわれの中学入学試験のときは、これは府立、都立がだめだった場合は私立に行くみたいな形になっていました。このことがいいかどうかは別問題として、いまは完全に逆転をしつつあると、完全でないかもしれないが公立高校が滑りどめになっているというような形、こういう状況というのは――私はそのことだけ言うのじゃありません。もう一遍もとに戻しますけれども、公立高校と私立高校の比率がこういう傾向で流れていくことは好ましくないのではないか、現状において。私はそういうふうに思うんですが、そのあたりを大臣としてはどのようにお考えでございますか。
#8
○国務大臣(永井道雄君) 私は、まず公立と私立の配分のパーセンテージがどのぐらいが適正であるかという問題につきましては、にわかにお答えしかねるように思います。
 次に、公立が滑りどめになって私立に流れていくのはどうかという御質問でございますが、その場合お考えになっている私立というのは、いわゆる有名受験校的な私立であって、私立といいましても内容は非常に千差万別があるということをまず考えておく必要があるかと思います。また、いまのような現象が非常に顕著に見られますのは、大阪、埼玉、東京と並べた場合に、東京が非常に強烈であって、他の地方自治体においては東京のような現象がそう起こっていない。したがって、高等学校の私立について議論をいたします場合には、東京の状況がまずかなり特殊的であるということを念頭に置いた上で議論した方が正確であろうかと思います。
 さて、東京の場合ですが、そういう前提で考えましたときに、どうも公立が滑りどめになって、私立だけでなく、先ほど初中局長から申し上げましたように国立も入っているかと思いますが、そちらに傾いていく、これをどう考えているかということでありますが、私は、やはりせっかく学校に入ったのに辞退しなければならないというような心境を起こさせるような学校の教育計画というものは望ましくないと思います。ただ、この問題というものを考えていきますと、どうしても高等学校の問題だけで話が終わらないで、日本の全学校教育体系、特に大学の問題が非常に重要な問題として浮かび上がってくる。と言いますのは、高等学校の場合、私立に通っております人の数は、先ほど申し上げましたようにおよそ三〇%でありますが、大学の場合八〇%であります。そして、大学の場合、国公立に行くか、あるいは私立に行くかということでもう非常に費用が違う。私立に行った場合には、入学金から授業料に至るまで非常に多額に払わなければいけない。だから、国立に行くというのはいい学校という面だけではなくて、やはり家計を考えますと、国立に行くならば自分の子弟を送れるけれども、私学ではとてもとても苦しくて仕方がないという事情が一つあるんだと思います。そのことが、是が非でも国立に入らなければいけないという心理的な動機になると思いますので、これは、ことし考えて来年八〇%の数字を一挙に変えるということができるような性質のものではないと思いますけれども、長期的にこの八〇%というものが漸減の方向に向かいますというと、そしてまた向けていかなければならないと思いますが、そのことによって高校教育における不思議な滑りどめ現象というようなものも変えていけるのではないだろうか。ですから、いまの学校教育というものについての全体的な把握、そして全体的に把握して計画的に進めていくということをやりませんと、なかなかわが国の学校教育制度の正常化というものは図り得ない。そういう考えで、私たちは全体を見て、そしてそれぞれの施策を考えているわけでございます。
#9
○上田哲君 その八〇%の問題がベースにあるというのは御指摘のとおりだと思うのです。それはちょっと後におきますけれども、おっしゃるように東京に非常に顕著な例としてあらわれているわけですね。大臣がさっき言われた基本の三点の三点目は、この場合は余り大きなウエートを持っていないわけですね。だから端的に言ってしまえば、大学への受験勉強というのにどっちがパイプになるかということになると思うのですけれども、しかし、これはやっぱりさっきの数字が明らかにしているように、一%とかコンマ以下のパーセンテージでは、近県とかほかのところにあるのに対しても決定的に違うわけですから、ここはやっぱり特殊な例かもしれない、あるいは全体状況の先端的な兆候であるかもしれないが、いずれにしてもここだけはひとつ抜き出して議論しなきゃならないということは一つ出てくると思うんですね。そういう状況を踏まえないで一般論というわけにいきませんので、そこで、その状況の上での議論にしますけれども、その中でのまず原則的な考え方としては、やっぱり望むべき教育機関像といいましょうか、そういうものとしてはやっぱり――大学のところはちょっとおいてですよ、高等学校のレベルでもやっぱり公立がそうした要求にも応じられる――まあ受験校になっていいという意味では決してありません。そうではなくて、滑りどめになってしまうとか、ほかへ行かなきゃ満たされないとかいうことではなくて、教育の機会均等とか全人格的な教育とか、そういうさまざまな要素を考えた場合には、やはり現状においては高等学校のレベルでは公立がもっと忌避されないというものでなければならないというまず第一原則、これは私は存在すべきだと思うんですが、いかがですか。
#10
○国務大臣(永井道雄君) 私は、いま上田先生言われましたように、公立が忌避されるようでは本当に困ると思いますが、その理由は何かということはよほどよく調べてから考えないといけない問題だと思います。つまり、公立が忌避される場合に、公立学校教育の教育内容が非常によくないのでやめるということになると、これは大変深刻な問題になりますが、現在どういうことでそうなっているかというと、私が理解いたしますのでは、どうも受験に不利であるというところであるわけですね。ですから、公立高等学校は教育として別におかしいことをやっているわけではない、しかし受験勉強をそれほど、いわゆる私立の受験有名校ほどやっていない、そういう事態でありますから、これは綱をつけて、公立に入った以上ぜひそこにいなさいということをやりますよりも、非常に大事なことは、やはり大学の入試制度というものを少しでも早く変えていく。で、現在大学入試制度改革に関連して共通学力テストなどが出ておりますが、その共通学力テストの一つの眼目は、高校の正常な授業をきちんと受けていれば受けられるテストというものを昭和五十三年までに国立大学協会が何とか実施しようとしていまいろいろ御検討になっているんでありますが、この方向が出てきますというと、私は公立高等学校に踏みとどまる人がふえてくるのではないであろうか、そしてまた、そうあれかしという考えを持って、公立学校をその意味合いにおいてもっと魅力あるものにすることができるという考えでいま国立大学協会の先生方にお願いしているわけです。つまり、言葉をかえますというと、正常に高等学校教育を受けて一生懸命勉強していれば、いわゆる受験校に行かないでも大学を受けられるというふうな方向に、やはりどうしても――上田先生は東京のそこだけ取り上げて考えなきゃいけないとおっしゃいますけれども、私の考えでは、大学入試制度の関連と切り離して東京ではみんな公立にいなさいと言ってもなかなか問題は解決し得ないものだと、こう理解しているわけです。
#11
○上田哲君 他の委員会の時間の都合があるそうですから、一、二問ちょっとかいつまんで区切りをつけまして進めたいと思いますが、私は東京を区別しなけりゃいけないと言ったんではないんですが、東京は明らかに現象的に区別さるべきテーマになっているということですね、で、そういう意味で注目しなきゃならぬだろうということなんで、象徴的に集中的に問題があらわれているだろうという側面から考えるならば、やっぱりずばり言ってしまえば、大臣指摘のようにこれは受験問題だ、まあ高等学校が受験予備校化している、その要素を満たしているところへやっぱり人々が集まるということになるだろう。私ちょっと不満がありますのは、大学入試にそれほどぴったり結びつけられているんだから、それを考えずに高等学校を考えることはできないということは現象的にわかります。ほとんどが大学へ行くんですから、そのまま就職する人はほとんどないということを考えればそのとおりなんですよ。しかし、まあやっぱりひとつ大臣として強調してもらいたいのは、高等学校は決して大学予備校ではないんだというところが教育論としてなきゃ困るわけで、そういう立場からしますと、原則的には公立高校ですべてを賄うということでなければならぬのであって、それが私立高校へどんどん流れ、滑りどめになるという傾向は、やっぱり果たすべきものを果たしていないんだということになるということは、私は原則としてはなければならぬと思うのです。これはひとつ御強調いただきたいわけです。
 それでもう一つは、いまのお話を聞いていると、しかし、そうであっても、そこのところはよく触れられなかったけれども、その強調され確認されたとしても、実際には現状流れをとどむべくもあらず私立の方へ、有名校の方にやっぱり行くんだということがやむを得ない流れであれば、公立高校かやはり滑りどめ――滑りどめのみが問題じゃないんですが、公立高校の方が辞退者がふえていくのもまたやむを得ざるところである、なぜならば、こちらの高等学校は受験校でないのである以上は、これは流れざるを得ないのが現状であると。それを大学のところに結びつけないで、そこのところをやっぱり私は区別してしっかり御見解を承っておきたいと思うのです。
#12
○国務大臣(永井道雄君) 私は、いま上田先生が展開されたような考え方に全く同感であります。本来は、公立高等学校でしっかりした教育をやろうとしているわけでありますから、生徒たちもそこに入ったら満足して、むしろ意欲を燃やして勉強していこうという気持ちにならなければいけない。また、公立高等学校の方では、大学予備段階というのではなくして、やはり高等学校の教育というのはそれ自体一つの完成であるという考えで今後もいよいよ臨んでいただきたい。これを生徒も父母も理解するという方向が理想であるということは強調し過ぎることはないと思います。それは非常に大事なこと、で、そこへ何とか持っていかなければいけない。にもかかわらず相当数の人が、その話はわかっているような気がするが大学のことを考えると背に腹はかえられませんと言って私学に行くのでございますから、さて、そうであるならば、せっかく公立高校がそうやっているのにいまのような人が生じてくるわけですから、私はやはり入試制度の改善を考えなければいけない、こう申しているわけであります。さらに要約いたしますと、最終的には日本の高校もあるいは中学も、常に予備段階という考えではなくて、そこを、それぞれの学校の校長先生以下先生方すべてが、自分の学校こそ一つの完成の場であるという意欲を持って学校教育の設計をするということ、また、そこに入る生徒児童あるいは父母というのは、それに共感して安心して学校に行く、その状態に何とか持っていくということが私は学校教育の理想であると考えております。
#13
○上田哲君 そうしますと、原則はそのとおりだ、しかし現状はこうなっていることは非常に困ることである。つまり、公立高校が辞退者がどんどんふえていくという事実があるんだということは、やはり困ったことである、そしてそれは何とかしなければならないところへきている、文部省としてはぜひそこに基本的にひとつメスを入れたい、こういうふうにお考えですか。
#14
○国務大臣(永井道雄君) 先ほど初中局長が申し上げましたように、ずっとふえてきていますが、まあことし減ってきているという傾向もあります。それが何によるのか、これは詳細な分析が必要であると思います。文部省としては当然それが今後も減っていくように施策すべきであることは申すまでもないと思います。これが病的な状態であるからどうするか、そうすると公立高等学校ももう少し受験校的になったらよいかというようなことをゆめゆめ考えているわけではありません。そうではなくて、公立高等学校は正規の授業をどんどんやっていく。文部省としていま考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、とにかく大学入試というのをいま熱心に変えようとして、これは文部省が上から押しつけるというのではなく、高等学校校長会の御協力あるいは国立大学協会の御協力、さらに大学入試制度改善会議における御検討というもの、そういうすべての教育界における力を生かしまして、そして、いまの、あえて申しますならばきわめて過熱化した、そして正常でない大学入試制度というものを一日も早く変えていく、そうして、みんな安心して教育の理想を持つ高等学校の正常な授業の中で子供たちが勉強ができるように、そのことにいま全力を挙げているわけでございます。
#15
○上田哲君 ちょっと、私さっきから区別したいんですけれども、大学の入試問題というのは根源であります、この流れの。そこはぜひ議論したいんですが、ちょっとそれはおいとくんです。これは流れの根源ではあるけれども、これさえ変えれば全部いいということにはならない。それは、大臣が三つの項目の第一に挙げられた収容能力の問題にもかかわるわけですから、やっぱりこれだけで全部説明してしまっては少し無理がある。
 そこで私は、高校から大学へということもありますけれども、中学から高校へというところをいまひとつぜひスポットライトを当てて議論をしたいわけです。その限りでは、中学浪人が出てくるとか、そしてその同じ延長線上に私立へ流れて公立辞退ということがどんどん出てくる。公立の方じゃ、やっぱりちょっと目減りを考えて入学試験をしておかなきゃならぬというようなことにもなってきている。これは私は、さっきの原則をおとりになる限り非常にやはり憂慮すべきことである、多少減ってきているじゃないかというようなことがあったって母数が決定的に変わっているわけじゃありませんから、これはやっぱり憂慮すべきことであるということ。そのためには、単に大学というところにすぐ結びつけるだけではなくて、この部分でひとつしっかり努力をするんだというところは、やっぱり御認識としてかちっとしていて承れるのか承れないのかというのが私はこの論点の締めくくりです。
 それから、時間がどうもないようですから、これは区別していきたいんですけれども――まあひとつこれだけちょっと聞いてから次に行きます。
#16
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの問題に関連いたしましては、特に東京都の問題でありますが、東京都でも学校群というようなやり方で高等学校教育の正常化を図っていくということを御苦労になったわけです。ところが、この学校群のやり方ということからまた問題が生じてきているということで、いまそのことは非常に議論されております。もう少し違う形の学校をつくるべきではないか。これは私は東京都で御検討になって御決定になるべきことと思いますが、文部省としてはどういう考えを持っているかといいますと、これは、公立の中等学校で正規の授業を受けた人が高等学校の試験を受ける、そういう場合には、調査書というものを重視する、あるいは四十一年の通達も出ておりますが、中等学校における主要科目をきちんと勉強した人はテストを受けて高等学校に進んで行ける、そして高等学校で予備的に大学入試の勉強をするのではなくて、一つの完成教育に向かって進んでいく、こういう方向で東京都の場合も考えていろいろ苦労をしておられるわけでありますから、私は、文部省はそういう形で、東京都の御検討が進んで公立学校教育というものが強化され、また人々がそれに満足して進んでいくような、そういう方向になることを文部省におります者として強く望んでいるわけでございます。
#17
○上田哲君 ちょっと御答弁がそれましたけれども、それじゃ、その学校群問題を含めてきょうはとりあえずの質問の締めくくりにしておきますが、端的に学校群が出されたので伺いますが、大臣は学校群制度に賛成ですか反対ですか、これ一言承ればいい。
 それから、さっきの質問を繰り返しますけれども、現状ここまで来ている公立高校と私立高校の状況の問題ですね、これはやっぱり今日黙過すべきにあらず、やはり基本的にひとつメスを入れ考え直さなきゃならぬではないかという御認識をお持ちかどうか、この二つです。中学校から高等学校ですね、高等学校入試が、公立高校と私立高校の流れの問題、比率の問題がこういうふうになっていることはやはり大変憂慮すべきことである、この時点で、単に数字が少し去年とことしと比べて微減したか微増したかというような話ではなくて、基本的にこの大きなパーセンテージというのは、教育行政上問題もあるだろうと思いますから、これはやっぱり基本的に考えなければならない。単に大学入試制度だけで考えられたんではちょっと私はピンぼけがすると思うのです、このことだけをとらえればね。この部分にやっぱり、もちろん大学入試制度との関連を重要視しなければならないのは言うまでもありませんけれども、この高校入試、公立高校への生徒の、何といいましょうか、教育誘導と言うんですかね、そういうような問題をどう考えるかなどについて、そういういろんな側面を考えていくべきときではないかという御認識をお持ちかどうか。これを単に、学校群だけが原因だというふうになってもちょっとまた少し牽強付会の感じがしてくるのです。
 もう一遍整理します。大臣は学校群制度に賛成か反対か。それから、先ほど来申し上げてきた公立高校と私立高校の問題としての入学試験の状況ですね、このことを、このままではもうほうっておけない、基本的に考えなきゃならないのではないかという認識をお持ちかどうか。この二点をひとつ明快にお答えいただきたいと思います。
#18
○国務大臣(永井道雄君) まず二つ問題を出されましたが、第二の方から申し上げます。
 第二の方は、私は本当に大問題だと思います。でありますから、これについて東京都でできること、それから文部省でできることがあります。文部省でできることとしては次のようなことがある。つまり、本当は公立高等学校の比率がもっと高まるといいのでありますけれども、なかなかそれも容易にはできないということであるならば、私立高等学校というものに財政的な助成をするというようなことも考えております。それで、また事実その線で動いてきております。こういうことも一つでありますが、何とかしていまのような病的な状況、つまり、入っている学校をやめていくという状況は非常に憂慮すべきでありますから、これを変えていかなきゃならないと思います。
 今度は第一の方の学校群に賛成か反対かということでありますが、これについては、私個人の断定的な意見というものを差し控えさせていただきます。なぜかというと、私は小尾教育長がこれをお考えになってからいろいろ御苦労になったことを知っていますし、さらにまた、現在あの制度をめぐって非常に東京都で熱心な検討が行われているということを知っています。相当複雑な諸面が含まれておりますから、どういう問題が含まれているかという問題点を指摘せよとおっしゃれば申し上げますが、最終的には、これは文部省が決めるべきことではなくて、いろいろ複雑な問題というものを多角的に検討して東京都でお決めになることでありますから、その詳細な問題というものを、東京都の方々ほど徹底的に検討する立場にありにくい文部省として、これはどっちをとりなさいということは申すべきではないと考えているわけです。
#19
○上田哲君 それじゃ質問をかえます。
 東京都は学校群を廃止する方向でありますけれども、廃止するということについては賛成でありますか。それから、いま大臣が言われた言葉ですけれども、問題点を指摘せよというならできると、その問題点をかいつまんでで結構ですから。この二点をひとつ。
 これで終わります。
#20
○政府委員(安嶋彌君) 問題点ということでございますので私からお答えをいたしますが、大臣からも御答弁申し上げましたように、東京都におきましては、都立高等学校入学者選抜研究協議会というものが持たれておるわけでございますが、この中間報告におきましてこういう問題点が指摘されております。
 その第一は、その群内の学校間の格差は是正されたけれども群格差が生じておるということが第一。それから第二は、その中学校の進学指導の重点が群の選択にしぼられている。しかもその判定の基準が、いわゆる業者テストというものによって、業者テストの結果によって進学指導の振り分けが行われるという弊害が起こっておるということ。それから第三は、遠距離にある群を選んだり、あるいは群内でも遠い学校に配分されたりすることのために通学上の不便を感ずる者が少なくない。それから第四に、特定の高等学校への志望が認められないために志望する高等学校に進学できないことからくる不満や、またそれによる学習意欲の減退、学校に対する愛着心の欠如など、生徒指導上の問題が見られるということ。それから第五は、大臣からもしばしば申し上げておりますように、大学入試競争との関連、こうした問題点が指摘されておりまして、さらにつけ加えますならば、この協議会におきましてただいま合意に達しておりますことは、学区は現在よりも縮小をする、それに伴い現行の学校群制度は廃止をすると。次に選抜の方法につきまして何らかの方法で生徒の希望を生かすように工夫するとともに、学校間の格差を是正するように努力すると。中間的に合意に達したという点はただいまの二点でございまして、さらに具体的な検討が続けられておるというふうに承知をいたしております。
#21
○上田哲君 大臣、そういう問題点を伺えば、大臣としては賛成か反対かということは、学校群そのものには言えないけれども、しかし廃止されるというのであればそれについては異論はない、こういうことですね。
#22
○国務大臣(永井道雄君) 特に私が申し上げたいのは、東京都の御検討というものも、高等学校並びに中等学校の教育の正常化ということを目標に置いて学校群というものの再編成を考えておられるわけです。で、もし目標がもう一層競争を激甚にしても結構なんであるというような姿で学校群の再編成を考えておられるとすれば、これはやはり文部省としても相当質問をしなければならない立場にあると思いますけれども、そうではなくて、理想とするところは全くわれわれ文部省におります者と東京都で御検討になっておられる方々と同じだと思われます。その理想に向けていろいろ学校群でやってみたけれどもいまのような問題が出てきたということで、実情を踏まえての制度改革を進めていかれるわけでありますから、実情については自治体の方々が詳細に御存じであり、その中で御苦労をされるわけでありますから、そういうふうにして導かれた結論というものを私たちは尊重する立場にあるというふうに考えております。
#23
○委員長(加藤武徳君) 暫時休憩いたします。
   午前十一時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午前十一時四十七分開会
#24
○委員長(加藤武徳君) それでは委員会を再開いたします。
 質問を御続行願います。
#25
○上田哲君 委員長から十分な、説明が納得できなければそれはできませんよ、御説明をいただきたい。
#26
○委員長(加藤武徳君) どうぞ質問を続行願います。
#27
○上田哲君 質問、続行できないですよ。あなたに議事運営について説明を求めているのに、そんなばかなことないじゃないですか、御説明をいただきたい。
#28
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#29
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こしてください。
#30
○上田哲君 質疑の途中で、委員長及び与党理事の不手際によりまして質問が中断をされました。採決を理事会の合意事項として、野党側の理事が二人質問している最中にこういう事態が起きるということは、私も六年間この委員会にいさしていただいておりますけれども初めてでありまして、こういうことは、野党側の質問であれ与党側の質問であれ、委員会運営の立場からすればみだりに行われてしかるべきことではありません。これは質問の流れがとまるということだけではなくて、厳重にひとつ申し上げ、不満を表明した上、二度とこのようなことがないことを申し上げて、時間を節約して質問に入ります。また、私はお約束の時間が一時間でありまして、もうあと、そのことからすればロスタイムをどうとるかは知りませんけれども、ほとんどありません。しかし、全体の状況があるようですから、審議には協力をいたしまして、あとぜいぜい十分ぐらいでやめるようにいたしますから、ぜひひとつ、今後ともこういうことは断じてないようにお願いをしたいと思います。
 そこで、大臣、高等学校の問題は、特に東京ということを集中的な現象としてとらえるならば、このままでは憂慮すべきである、大いにひとつ改善のために努力をしなければならぬところにあるという御認識が出された。学校群についても、この廃止の方向を、権限としてではなくて、何といいましょうか、心中同意するというふうな御意見でありました。ここにはいろんな議論があると思います。あると思いますが、いま私は、大臣がしばしば問題にされた、もう一つ前の源である大学入試の問題、私は大臣が、大学入試の問題についてのいま出されている提案、試案ですね、一期校、二期校の問題とか、共通テストの問題とかということがあれば、高等学校は潮が引くようにこの問題が解決するだろうというふうには私は思わないんだと。一つの試みであるだろうとは思うんですが、さてその試みの内容、やはりかなり不安があるわけです。たとえば共通テストですね、いままでの能検とか、進学適性検査とか、そういうものがやっぱり行われて廃止されたという経緯を考えるなら、その共通テストというものもどうもそのたぐいに陥ることはないのか、一体、共通テストの使い方ですね、それから各大学別に行われる二次テストというものの性格のあり方、そうした問題が、全くいま、よくわかりません。そういう形の中で、何か新しい試みというものに踏み切ることに非常に大きな不安が受験生にはあると思うんですよ、その辺は大丈夫ですか。
#31
○国務大臣(永井道雄君) いまの問題でありますが、確かに、この進学適性テスト、それから能検というものを数えますと今回のが三つ目であります。前の二度はうまくいっていないのに、今度はまた三度目の失敗をするのではないかという懸念が社会に広くあるんでありますが、私は、実はこの点を社会にも御理解いただくようにいろいろ説明をしています。どこが前と違うかといいますと、やはりいままでの二つのテスト、いろいろ問題点がありましたけれども、政府主導型であるということがあるんです。わが国の大学の場合に、これはまた当然大学にそうあってしかるべき性格があると思いますが、どうも政府に引きずり回されるのではおもしろくないという考えが相当強い。特に能検のときに強かったと思います。そこで今度の共通学力テストのやり方の場合、どこが違うかというと、大学主導型であるということが一つ。で、大学主導型、言葉をかえて言いますと、大学の自治というものを重んじて、そうしてまた、大学が高等学校側などとも話し合い、また、高等学校の人たちをも含めました入試改善会議とも話し合いながら、いわば教育界の自主性において入学試験制度の改善を行おうとしている点が、前二回と全然異なっている点でありまして、その意味では、文部省は今度はお世話役になっているということであります。
 で、次に、そういう次第でありますから、一刀両断、文部省が全部、共通学力テストはこういう種類のものですが二次テストはこういう種類のものであるということを決めて、かさにかかって進めていくというのではなくて、大学の方でまず共通学力テストのことを、これも国立大学だけでありますが、まずお決めになる。しかし、これも方々の大学の意見を聞いてこれから最終的な決定に進んでいくという段階である。二次テストの問題はさらにその次の段階に、共通学力テスト後の関係において決めていくということでありますから、そこで現段階では、明断にどういう二次テストだということをなかなか言えないということから不安が生じるんであります。これはいわば民主的プロセスとも言うべきものだと。私はこの民主的プロセスというのは時間がかかるんでありますけれども、わが国の国民は民主的に相当成熟しておりますから、私たちの方が進め方についてよく御説明を申し上げると、今日までのところ、ああ、なるほどそうですかと、それでは私たちの方も大学にいろいろ注文を出したりしながらよい方向に進んでもらいましょうと言う方が多いので、そういう方々の、いわば支援も得ながら、われわれは教育に奉仕する機関としてやっていけば、今度こそはできるんではなかろうかと、そういうふうに考えている次第でありますので、改めてその全体の仕組みについてここでも一言さしていただいた次第です。
#32
○上田哲君 私は、それはもう非常に不安だと思うんですよ。私はこう思います。
 これは大学の入試問題の第一の問題は、やっぱり大学入学希望者の数と、それを収容する側のアンバランス、第二の問題は、その部分が解消されるとしても、やっぱり基本的に大学間にある格差、そして第三は、それを誘引するものとして学歴偏重主義というものが大きく足を踏まえていると。この問題を全然別にして、入学試験の技術論を非常に、何といいましょうか、荒れている範囲の中での民主主義ルールにゆだねるというようなことにすべての解消をかけるというのは、もうロマンチシズムそのものであると私は思う。教育にロマンチシズムは失うべきではないけれども、教育行政をロマンチシズムだけでやったんでは、受験生の深刻な表情を救ってやることにはならぬのじゃないかという気がするんです。まあこれは総論ですがね。そういうことからすると、いま、民主的にと言われる中で、政府主導型、国家主導型、文部省主導型ということを避けるというのは結構です。それは結構なんですけれども、しかし逆に言ってしまえば、もう死にもの狂いの青鬼、赤鬼の戦いになっている大学入試問題を、たとえば共通試験の使い方や二次試験の内容について、たとえば国大協にしたってガイドラインを示すことができない、こういう状況。示すことができないという言葉はまずいかもしれない、示すものではないというようなことの中で、自主性に任すというようなことが大変きれいな言葉ではあるけれども、しかし、第一関門の共通テストが何らかの形でスムーズに進んだとしても、それを受け取って、今度はその二次試験で非常に専門的な、激甚な競争というものが実はそこに集約されてしまうということにもなるのではないか、そういう部分がたとえば一つ指摘されるわけです。その辺を掘っていくと切りがありませんから、たとえばそれを一つの例として、技術論的には非常に困難が私はあると思うんですけれども、どうでしょうか。
#33
○国務大臣(永井道雄君) 誤解を避けるためにまずロマンチシズムの方から一つ申し上げておきますと、このわが国の大学入試をめぐる混乱、大変なことでありますから、私はこの大学入試制度の改善、しかも現段階では国立大学の入試制度の改善というところまでしか来ていないと思いますから、これによって入試から起こってくる教育界のゆがみというものが直るなどということは一度も言ったことがないし、また夢にも考えていないんです。で、この入試、受験地獄というものを解消していくためには、先生御指摘のように、大学間の格差をどうするか、あるいは私学助成をどうするかと、いろいろな面から検討していかなければいけないし、また事実検討しているわけです。ですから、大学入試制度の改善は、いわばワン・オブ・ゼムといいますか、重要な事柄の一つでございます。これもまた強調し過ぎることがない重要な点であるかと思います。
 次に、そのことを認識した上で民主的手続で進めていただいているんですが、これがなかなかうまくいかないんではないかという御懸念でありますけれども、大学局長から、必要でしたら詳細にいままでのプロセスを御説明いたしますが、もう国立大学協会の先生方も大変な熱意でありまして、去年も三千人の高校生に予備テストをやりまして、二百五十人の大学の先生方がこれにかかわって、そしてその結果についての詳細な分析をやって、どこに問題点があるか、その隘路をどうやって克服していくか、いままでの能検や進適のときには考えられなかったもう並み並みならぬ熱意を持って仕事を進めていてくださっているわけです。それから、本年度中に二次テストをどうしていくか、そういうふうなことも考えるという詳細な報告書が実はここにあるわけでありますが、そういう形で進めておられ、そして全国に八十の国立大学がございますので、そのそれぞれの場でもって先生方の理解を得るために検討会というものを催すというような角度で進めておられますので、この点は私は、国立大学の先生方のこれまでの御活動に基づく相当の御決意でありますから、もちろん文部省も是が非でもそれを実らしていただくように全力を挙げて助けますが、この点は詳細にも御説明したいぐらいでありますが、相当私は国立大学協会の先生方の御努力というものを国会においても高く評価していただきたいという気持ちを持っているわけでございます。
#34
○上田哲君 これはかなりな意欲ですね。文部大臣が非常に、常にない意欲を示されているという感じを受けます。五十三年度からやると、そしてそれは絶対に成功さしてみせるという意気込みと受け取りましたが、そうですか。
#35
○国務大臣(永井道雄君) 五十三年をめどとして、是が非でも成功さしてみせるという考えです。
#36
○上田哲君 わかりました。
 じゃ、私二つの面だけにしぼって申し上げておきます。私の二つの面は、一つは大学の内容上からする格差です。入試の技術論で、どのように調整しようとしても調整し切れない大学の内容から発する競争論というのは残るだろうということですね。もう一つは、大学を卒業した後に、どの大学を卒業したかということを、単なる学歴ではなくて大学名歴尊重社会があるということをどうするかということ一この二つだと思うんです。
 その前の問題ですが、たとえば一期校、二期校というのは、端的に言えば一期校というのは旧七帝大を中心とするユニバーシティーであり、それから二期校というのは旧制高校ないし専門学校を中心にする併合大学ということでありましたね。これは今日そういう区分というのが、これまでの慣行――過程上からはなくなっただろうということはあってもいいと思うんですよ。しかし、その内容の格差は依然としてかえって固定化されてきているということは、これまた厳然とした事実であって、あえて二つの問題と言っておるのは、学歴社会ということが裏になくたって、やっぱり向学の徒はいい大学へ行きたいということを、これはもう拒む理由はないと思いますね。そういうことで言うと、たとえば旧帝大一期校はほとんど講座制であると、そして教授、助教授、助手の教官組織というものが完備しておる。これに対して二期校というのは学科目制であって、研究費は講座制の三分の一というような目安ではないか。つまり、一期校は旧帝大ユニバーシティー中心で講座制であり、二期校というのは、まあ駅弁大学というような言葉ではもうないにしても、いずれにもせよ、これはやっぱり新造新制大学の学科目制の構造だと、こういう格差が厳然として存在している以上、これはやっぱり単に試験期日を一緒にしても、受験生にとっては受験のチャンスが半分になったということのみにとどまって、先ほどの能検になるんではないか、進学適性検査になるんではないかという、そのことは省いてしまったとしても、この問題というのはやっぱり厳然として残るんではないか。だから、たとえば講座制、学科目制の区別の廃止とか、あるいはこれに伴う財政上の格差の廃止ということをやはり内容的には全力を挙げてやると、断固として成功してみせると言われたそのことは、この点についても努力をされて、一期校、二期校の内容的格差を解消するということでなければならぬと、私はそう思うんですが、この具体論についてどうでしょう。
#37
○国務大臣(永井道雄君) 私、共通学力テストを一期校、二期校の別なく一元化でやるということだけで一期校、二期校の別がなくなっていくというようなロマンチックな考え、毛頭ございません。私、教育を勉強してまいりましたけれども、それほどロマンチストではないわけです。現実に非常に差がございますから、これを変えていかなければいけない。
 まあどういう角度で考えていくか、一つは地方大学というものをでき得る限り予算上強化していくという方向を何とか実現したいということで検討中でございます。もう一つは、共同利用研究所という形で、どの学校におりましても、まあこれは五つできるわけですが、本当に研究の上で有利、不利がなくなるようにしていく、この線を強めていくということでございます。またさらに、四月に発足いたしました大学院問題懇談会の中心は正田建次郎先生にお願いいたしておりますが、今後独立大学院をつくっていくという場合には、正田先生の御見解も、いままでのように東大、京大というふうなものに傾斜するという考えを必ずしもとらずに、まだもちろんこれから御検討でありますし、また文部省が正田先生の懇談会というものにわれわれの意見を押しつけては、これは懇談会の自主性を損ないますからいけないことであると思っておりますが、たまたま正田先生がお考えになっていることを御報告しますと、やはり旧帝大に傾斜しないで独立大学院をつくりたいと言っておられる。こういう一つ一つのことを確実に実現していく、そうして試験制度の上でも一元化をやっていく、これが並行いたしますというと、私は決してロマンチシズムではなく国立大学の中での格差がその場合にも漸減する、一遍にこれがなくなるというようなことはなかなか考えにくいのは、明治から百年の間にできた峰があるわけですから、そしてまた、峰のよいものについてはこれまた尊重すべきである、私は東大撲滅論というような、そういう思想を持っているわけではないのですから、そこにあるいいものは生かしながら、しかも、たくさんよい峰をつくっていきたいというのでありますから時間はかかると思います。しかし、考え方、それから政策の進め方というのは、いまある程度は動き出しておりますし、また国会の御協力を得てこれを動かしていかなければいけないと思っておりますから、この点はなお必要がございますと、学科目や講座制に関連して大学局長から御説明申し上げますが、決してロマンチックな考え方ではなく、現実に学校を変えていくという方向で私たち取り組んでいるということを御報告さしていただきたいと思います。
#38
○上田哲君 おっしゃるようなところが着実に布石されれば、それはもう大変、ロマンチックではなくて、リアリスチックな構造の上にロマンチックな花が咲くのだと申し上げていいです。
 そこで、いまのお話をもう一遍詰めますと、大臣のお言葉をかりるなら、旧帝大傾斜というようなものでない方向に、まあ大学院大学問題はちょっと私は別に考えますが、旧帝大傾斜でない、あるべき大学像というものをつくっていくということとあわせて入学試験技術論を考える、こういうことですね。したがって、それはさっき大いに意欲を示された、五十三年目途を断固成功させるということには、いまおっしゃることが計画的に一緒に入っていって五十三年スタートということがもくろまれている。その中には、当然講座制、学科目制というような問題の格差解消ないし財政格差解消というようなことも含まれている、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
#39
○国務大臣(永井道雄君) ただいま先生御指摘になりましたように、全くそうなんであります。つまり、五十三年めどというのは、大学入試制度の改善だけを五十三年めどにしているというのではないんです。そうではなくて、大学間の格差是正というものも来年度予算からいろいろ工夫をしていきますというと、五十三年まである程度変わっていく、さらにまた、小中高の教育課程というもののいま検討をしておりますが、それが五十三年から移行措置に移り得る。それでありますから、幾つかの改革、私はいま四頭立ての馬車を仕立てて日本の教育を変えると言っておりますが、その四頭立ての馬車が、試験制度の改善、小中高の教育課程の改革、大学間の格差是正と多様化の尊重、さらに社会における学歴偏重を打破する、この四頭の馬が、あるものは速く走ってあるものは遅く走りますと馬車がひっくり返りますから、五十三年をめどにいま足並みそろえて動き出して、五十三年が第一の峠と、そしてさらにまた遠路を考えまして、第二の峠、第三の峠を越えると日本の教育はいよいよよくなっていく、そういう考えでございますから、決して一つだけ取り上げてこれを五十三年に変えればあとはめでたしというような考えではないのでございます。
#40
○上田哲君 片岡理事から五分間時間をいただきましたから、私はあとその間二問いたしますから、五分間でひとつ充実した御答弁をいただきますが、そうしますと、もう一遍確認をしますけれども、四頭立て結構です。そこで、その五十三年大学入学試験体系の変更ということの中には、表裏一体として、いま私の申し上げた問題がくっついていくのだということですね。そうしますと、講座制と学科目制の問題、それからそれに伴う財政上の格差の解消の問題、これが具体的にどうなっていくのかというところをひとつ御説明をいただきたい。
#41
○国務大臣(永井道雄君) その点について政府委員から御説明いたします。
#42
○政府委員(井内慶次郎君) ただいま講座制、学科目制の問題につきましてのお尋ねでございましたが、現在講座制、学科目制の区分がございますのは、当該大学の当該学部等に大学院の課程が置かれておるかどうかによりまして予算上の取り扱いが別に相なっております。すなわち、博士課程の置かれておりまする場合の講座の組み方、修士課程のみの置かれております場合の講座の組み方、それから博士課程、修士課程……
#43
○上田哲君 いや、そこは時間がないからいいですから、五十三年に向かってどうするかということにしぼってください。
#44
○政府委員(井内慶次郎君) はい。したがいまして、講座制、学科目制の問題は、大学院の課程との関連においてそのような予算積算になっておりますので、今後の問題といたしましては、国立大学、特に地方の大学におきまする大学院の整備充実を今後本格的に図っていくという観点からこの問題には対処をしてまいりたい、かように考えております。
#45
○上田哲君 それじゃちょっとよくわからないのだな。そうすると、地方に大学院が百も二百もできるのですか、そういう話じゃないのですよ。大学院が頭に、帽子に乗っかっていなければ大学へ行っても意味がないというところをつくっちゃ意味がないのでしょう。そうじゃないことを言っているのだ、大臣は。だから一般論、抽象論で終わってしまっちゃいけないので具体論として承っているので、大臣、細かいといったってそんなに事務的に細かくなくたっていいです。いまのおっしゃった趣旨を、どういう考えでというところでいいですからひとつ説明してください。
#46
○国務大臣(永井道雄君) まあ全般的に考えますというと、旧帝大というふうなところで学科学部の新増設というふうなことは考えるべきでないということ、これは万やむを得ざるものは別である。むしろ地方大学というものが拡張し、充実していくという方向にわれわれは予算措置を工夫すべきである。さらにまた、いま大学局長から申し上げましたように、もし研究ということを考えていくという場合には、やはり地方の大学院というものを重視しなければいけない。さらにまた、先ほど申し上げましたように共同利用研究所というようなものが、地方大学に便なるように今後考えていかなければいけない。
 そのほかに、私は国立大学というのはいままで余り夜間の大学というようなものを考えないのです。そして、大体そういうふうなものについては私学に依存という形をとってきておりますけれども、大学学生人口が増大いたしておりますから、その増大した学生人口に対して国立大学がどう対応していくかというようなことも大いに検討しなければならない。これはまだもちろん決定しておりませんけれども、検討しなければならない方向として重視すべきだと思っております。
#47
○上田哲君 まあ、問題はやはり財政なんですよね。この教授陣の問題は教育の面では小さい問題では決してありませんけれども、つまったところ、金がなくちゃやはり建物もできない、研究室もできない、研究そのものも進まない。したがって教育も実効を伴わないということになってくるわけで、まあ教育行政ですから、文部省としては大臣の言われる四頭立ての、大学に関して言うならば入試方法と、それから大学間の格差是正ということは表裏一体として五十三年に一定の成果を上げる、それができなければスタートもさせられないですわね。そういう御決意をお持ちだということで私はまあここのところは締めくくっておきたいのですが、それでいいですね。
 ついでにちょっと、入試法という発想がありますね、入学試験法、入試法、その問題もくっつけてひとつ。
#48
○国務大臣(永井道雄君) 法律ですね。私どもとしましては、予算措置の上でいわゆる一期校、二期校の別なく国立大学の峰をいままでのものに傾斜しないで強化していく、そして、そうすることによって共通試験というものが実現していく段階において試験の方も一元化、それから学校教育の内容は単純に一元化とは言いませんけれども、その方向に向かっていく、そういうふうに計画を進めていきたいと考えます。そういう決意であります。
 次に、入試法というお言葉がありましたが、これを考えているかということでありますが、現段階においては私たちは法律的の規制によって行うという考えはございません。
#49
○上田哲君 じゃ最後に、さっき分けましたもう一つですけれども、これはもう精神論でもいいです。たとえば経団連に話をして、大学卒業生を大事にしてくれるなと頼んでいるというような話では、これは私は具体論ではなくてやっぱり精神論としても余り好事ではないと思いますから、だからそういう意味の問題、抽象論、精神論ではなくてもっと基本的な心構えといいますか、意気込みでも結構ですけれども、学歴偏重社会というものはこのままに放置する、あるいはさらに加重させていくということに対して手をこまねいていながら、その入り口のところだけを一生懸命何とか方法論考えてみても、これはまあ若者はやせ細るだけだと思うんですね。これをどうするのか、この辺はわれわれもなかなか、やっぱりこういう社会に住んでいますから、自分たち自身の頭の中にも長い慣習なり感覚なりがこびりついていると思うので、われわれはなるべくそういうことがないようにということを思いつついる側にいると思っていますよ。思っているし、そういうものをかなり捨てているつもりになっていても、どこかにやっぱりそういうものがあるんでしょうね。で、よほど思い切った提案なり気構えがなければ、この問題は私はお経になると思うんです。私が抽象論と申し上げているのは、実効が上がらなくても責任をとらなくていいという言い方ではなくて、とにかく具体的な非常に細かい細目が出てもかえってうそになるかもしれないが、そうでなくてもいいから、学歴偏重社会というものをどうやって変えていくのか。こういうところを、それはもちろん具体論があるならば結構でありますけれども、これもさっきおっしゃるように、一方に入試の方法論であるとか、あるいは大学間の格差であるとかを解消するとしても、これがなくてははかりに乗らないわけですから、それと同じレベルのはかりに乗せなきゃなりませんね、それをどうやっておやりになるのかというところを、これは私の最後の質問ですから、どうかひとつうんちく傾け、見識を問われる立場で、大いにひとつ民間文部大臣の御見解を承っておきたいと思います。
#50
○国務大臣(永井道雄君) いま、わが国の学歴偏重あるいは学閥主義というのは非常に特有なものだと思います。私は経済同友会、この間は大阪の関経連に行ってお話しをしましたが、実はそのとき学歴を尊重しないでくださいというような精神論を申し上げたんではないんです。そうではなくて、実はそういうことを言えば、ああそうですかということで終わることになってしまうと考えましたので、ともかく現状をですね、職種、業種、年齢別で学歴との関係がどうなっているかということを調査していただきたいということをお願いしたわけです。この調査結果が、経済同友会と文部省との協力で――問題はわれわれの方でつくりまして経済同友会の協力を得たわけですが、調査結果が出てまいりますのは八月中旬の予定でございます。それが出てきますと、ある業種では実はそれほど学歴というものにこだわらないで実力主義でやっているということはわかるはずなんです。これは仮説でございます。また、他の業種では、非常に学歴を重んじているじゃないか、あるいは職業によって必要であるからという説明がきくかもしれないし、きかないかもしれない。そこで、八月中旬の段階におきまして、昭和三十五年、四十年、四十五年に大学を出た人がいろいろな職種、業種でどういうふうに学歴との関係で散らばっているかという結果が出てきます。そうすると、結果が出てくると、企業界の方々も、なるほどある種の企業に比べるとわれわれの方は少し学歴尊重し過ぎているではないかという反省も、また自己批判というものも出てくるのではなかろうか。これは仮説でございます。そうすると、その段階において考えていただきたいということを私たちの方として言いたいつもりでございまして、観念論で学歴尊重するなと言えば、なるほどそうですと言って何にも起こらないと思っておりますから、まず最初にそういう形での調査をやって、どこに問題点があるかを明らかにする、その上でその次に進んでいくという考え方をとっております。
 次に、企業だけではだめなんで、官庁の問題も進めていくべきだと、いう御意見が各方面にありまして、私もそうだと思いますので、この質問書の調査というものがある程度進みました段階において官庁の調査というものも進めていく考えでいるわけですが、その場合の趣旨も先ほど申し上げたことと同様でございます。
#51
○上田哲君 その調査はいいんですけれどもね、その調査をどう生かすのですか。
#52
○国務大臣(永井道雄君) ですから、調査をやりませんと、たとえばNHKが学歴を偏重しているかどうかということはわからないんですね。たとえばNHKと民放というふうなものを比較して、そしてどの職種、部門において非常に学歴というものを考えて管理職にしているとか、あるいはプロデューサーにしているということが出てくる。そうすると、あるプロデューサーというふうな職業の場合に、そう学歴ということにこだわらないで実力主義でいけるはずであるのにそうでないということが仮にわかれば、それは変えていくということが望ましいではないか、事実ある種の民放ではここまでいっているではないかということが言えるわけですけれども、一般にただ学歴というものは……
#53
○上田哲君 それを文部省がやるわけですか。
#54
○国務大臣(永井道雄君) いや、ということを一まず調査結果が明らかにならなければいけないのです。現在言っているのは、一般に学歴が大事だということを議論し、他方においてはいや偏重しているのだということを議論します。しかしながら、具体的にどこが問題点なのかということがはっきりしない形で討論されておりますから、まず問題点を非常にはっきりさせる必要がある。そうすれば、文部省は会社の雇用形態について当然指揮命令権というものがあるわけではございませんから、そういうことをするわけではないけれども、その調査に御協力願った含蓄は、そこまで進んでいけば他との関連において自分たちの雇用形態というものも考えてみようではなかろうかということを、すでに私と話した段階においても意見を述べておられるわけです。そうすると、結果が出たときには一層それを考えていただけるであろう。そういう形での社会の協力というものを得なければ、これは学校教育は変えられない。したがって、しゃくし定規に言えば、文部省がそういう社会の方々の協力を得て調査をするというところまで文部省の仕事の範囲であるかどうかということに多少の疑問は生じますけれども、しかし、あえてそこに踏み切りましたのは、そういう形ですでに企業界においても学歴無用論というようなことを言って経営をされている方もあるわけでありますから、そういう方向を一層強める傾向というものを具体的にどこで生み出し得るかという線が出てくる。そういう考えで調査をしているわけでございます。
#55
○上田哲君 もう一言。
 大臣ね、企業に向かっては命令権もないし、監督権もないと思いますが、国家公務員は、文部大臣が閣議で提案されて、この際ひとつ隗より始めよで、国家公務員の任用なり、あるいは昇進なりということに対して、学歴撤廃とは言わないけれども、偏重があるとするならば、これはほかにあってここにはないということはないはずですから、そういう部分は少なくとも撤去するということを始めるということについて御決断はありませんか、やってみたらどうですか、それを。
#56
○国務大臣(永井道雄君) 閣議で発言するかどうかというふうなことを特に考えてきたことはありませんけれども、私は官庁におきましても、学歴というものを尊重するけれども偏重しないという方向を何とかして出していかなければならない。そのために、私としてできるだけのことをしたいと考えております。
#57
○上田哲君 じゃ、その公務員についての結果が出たら、ぜひ発言してくださいね、そのときは。これは約束してください。
#58
○国務大臣(永井道雄君) 結果が――結果というのは何かの考えというものを導くために出すわけでありますから、結果が出れば当然それについて発言すべきものと思います。
#59
○片岡勝治君 今度の法律案は、国立少年自然の家の設置にかかる問題でありますけれども、この問題について若干、政府から出された青少年白書というのを見まして、大変私どもは考えさせられる幾つかの問題点がこの中に記載をされております。基本的にはいま上田委員の指摘されております点等の解決がやっぱりこの際必要だというふうに考えるわけでありますが、時間がありませんので、この青少年白書、これは政府から出された青少年白書でありますが、こういうことが指摘をされております。
 まず、国立青年の家の利用状況、昭和四十四年から四十八年まで、昭和四十四年と昭和四十八年の間の利用状況について、勤労青年と在学青年の利用状況が逆転をしておるということが出ております。つまり、当初は勤労青年が五三・六%であったけれども、四十八年度では約三〇%、在学青年の方が飛躍的に利用状況が拡大をしているという実態が出ております。それから、NHKの世論調査所の調査による在学青少年の実態というものが、やはりこの青少年白書の中に資料として出されておりますけれども、これによりますと、学業時間、つまり勉強する時間は、大学生は一日四時間、しかし高等学校及び小学校五年生、六年生は八時間、つまり、高等学校と小学校の高学年、五、六年生の学習時間は大学生の倍勉強している、こういうことが資料にこれも明確に載っておるわけであります。そして青少年、つまり高校生や小学校、中学校の睡眠時間は、成人、つまり大人の睡眠時間よりも短いと、こういうことも出ておるわけであります。
 で、私はこの国立青年の家、特に今度できます国立少年自然の家ですか、これは一体、この役割りというのは何だろうかということを静かに考えてみたときに、こういう特に小学校高学年あるいは高等学校の生徒、いま申し上げましたような実態の中に置かれておるそういう点と、今度の少年の家を考えてみると、本当に目的にあるごとく情操を高める、あるいは社会性を豊かにする、そういう目的ではないんじゃないかというふうに考えるんですよね。つまり、いま上田さんも指摘されたような、いまのようなこういう実態の中に置かれている青少年、どんなに少年の家をたくさんつくっても私は根本的な問題の解決を図り得ないんじゃないかというふうに考えるわけであります。この点、ちょっと見解をお聞きしたいんですけれどもね。
#60
○国務大臣(永井道雄君) 私も、先生が御指摘になりましたように、国立少年自然の家、まず最初の一つは室戸に来年の一月にできるんですが、その室戸に一つできたら日本の子供の情操というものがよくなる方向が出てくる、あるいは日本の子供が自然に親しむようになるというようなロマンチックなことを考えているわけではないんです。国立少年自然の家が全部完成いたしましても十二です。そして十二の場所に行ける子供の数というものは非常に限定されておりますが、わが国の小学校で勉強している子供の数はおよそ一千万人でございますが、その一千万人の方向というものが十二の少年自然の家で一挙に変わるということは考えておりません。そこで、国立少年自然の家のほかに公立少年自然の家というものもある、あるいはそれぞれの学校において体育というものも重んじていく。その全体的な学校におけるいままでの教科活動以外のものを強化していくというものの一環として国立少年自然の家に一つの役割りを認めているわけでございます。しかし先生が言われるように、そういうことを言ってもいまの小学生は大学生以上に試験勉強に忙しくて、勉強時間が長くて大変じゃないかということがいまの白書にも出ているわけです。それをどうするのかということを考えなければ、そもそも自然の家がたくさんできても、そこに行って鍛練するだけの精神的、時間的余裕がないということもあるでしょう。そこで、私はその面で申しますというと、やはりこの場合にもわが国の試験地獄をどうしていくのかということを考えなければいけないし、さらにまた、小学校における、あるいは中学における教育課程をどうしていくのか、そういうことを考えて改善を図っていかなければいけない。でありますから、いままで都市集中、工業化、そういう中における、とにかくしゃにむにの試験勉強のための競争という勢いが非常にあるわけです。その方向というものを是正しながら、いままでにないような、自然と親しみ心身を鍛練していくというような施設をつくってそこでの教育を強化していく、そういう全体的な構造の中で一つの重要な役割りを果たし得るものとして、国立少年自然の家に期待をかけているわけでございます。
#61
○片岡勝治君 現状では、端的に言って、この試験地獄の息抜きということであって、本当に自然の中で情操を高めるとか、あるいは共同生活を営むことによってよりよい人間性をつくるというような本来の目的ではないような気がするのです。ですから、もっと基本的な問題にメスを入れた上でなければ、本当にこの少年の家あるいは青年の家というものの成果というものは上がらぬだろうというふうに私は考えるのです。いま上田委員の方の指摘もありましたけれども、いま考えておる教育界における重要な問題大学入試の問題あるいは教科課程の改編の問題、格差是正、学歴偏重、いろいろ四頭馬車というお話がありましたけれども、この日程がちょっと何か若干ずれているような気がするのです。したがって、たとえば大学入試問題の解決、まあ具体的に日程に上っておる共通学力テスト、文部大臣の答弁によれば昭和五十三年をめどにやりたい。ところが一方、いま文部省でも作業を進めておるカリキュラムの改革、改定の問題については、これは新聞報道によりますと、十一月に答申が予定されていたけれども、これは間に合わないと、来年の夏ごろになるのではないかとか、仮にその答申があったとしても指導要領の作成、教科書会社の教科書づくり、教科書が子供の手に渡るまでは、編集、検定、採択で三年かかる。教科書の検定、小中高別に三年ごとの周期となっているので、いまのスケジュールでいくと五十五年からの改革だ。
 それからもう一つ、これは教育現場にとっては、直接これは文部省の管轄ではありませんけれども、週休二日制の問題、恐らく公務員でも来年実施はもう、避ける避けられないという表現はおかしいのだけれども、これはもう日程に上ってきているわけですよね、恐らく来年あたりから実施になるのじゃないか。そうすると、これはもちろんやり方についていろいろあると思うんですよ、週休二日制と学校教育の授業を六日制ということだってできるじゃないかということはあります。しかし、これを実際にやった場合には、この教科課程とは非常に重大な関係を持ってくるわけですね、学校の授業時間なり先生の勤務時間。そうすると、これは来年ないし再来年から実施されると、週五日制が。大学は五十三年、しかし五十三年度実施してもいまのカリキュラムでいけば大変むずかしい。仮に共通学力テストといっても今日のカリキュラムを土台にしてやるわけじゃありませんから、この日程をもう少しできれば早めるということ、それから、合わせるということですね、大学の入試が五十三年度であれば高等学校の教科課程の方も、その大学入試共通学力テストの対象となる者は新しいカリキュラムでやっていくという、日程的には無理かもしれませんけれどもね、文部省で考えている、あるいは各大学で考えているいろいろな改革の日程が大変ずれているという点、私は心配するんですよ。これをひとつ項目的に日程上どうなるのか、この点をお聞きして私は終わりたいと思うのです。
#62
○国務大臣(永井道雄君) いま先生が御指摘になりましたタイムテーブルの問題は、実は非常に重要でございまして、最近文部省でいろいろ検討している点でございます。大学入試は五十三年めどでございます。それから教育課程は、まず審議会を終えて、そして指導要領をつくって、それに基づいて教科書をつくってということになりますと、いま先生が御指摘になりましたように五十五年になるわけです。非常に先の話です。そこで、それでは間に合いませんから移行措置というものを考えまして、そして、大学入試制度が変わるころに、つまり五十三年にもう新しい教育ができる、その移行措置というものを考えておりますが、詳細もし必要でございましたら初中局長が御説明申し上げます。
 さらに、最近に教育長などの会議も催されますので、変化していく場合にどういうふうに変化に対応しながら指導していくか、これは現場でそれぞれ相当柔軟に対応していただかないといけませんので、そういうことも話し合っていく。つまり、確かにすべてのものが連動しないといけないわけでありますから、これを全部タイムテーブルで置きまして、なるべくそれが歩調が合うように――完全に合うというふうにはいきませんけれども、私は五十三年というところで、少なくも大学入試制度と、それから教育課程をいまの形と違うものに変えていく移行措置というものは歩調を合わせるようにしなければいけないというので、いま作業を進めている段階でございます。詳細必要の場合、初中局長からちょっと補足説明させていただきます。
#63
○政府委員(安嶋彌君) 教育課程の改定のタイムテーブルにつきましては大臣がお答えになったとおりでございますが、週休二日制の問題につきまして私からお答えをいたしておきたいと思います。
 一般公務員につきまして週休二日制の制度がとられました場合に、学校の教職員だけが別であるということは不適当であるというふうに考えておりますが、しかし、具体的な実施の仕方といたしましてどういう形をとるか、これは学校という特殊性にかんがみまして相当考えなければならない問題であろうかと思います。まず、一般公務員の場合に、いわゆる開庁方式、閉庁方式というものがあるわけでございますが、これがどういう形で選択されるかということがいわゆる判断の一つの前提になろうかと思います。それから、仮に一般公務員につきましてはいわゆる閉庁方式がとられた場合に、学校で同じように閉庁方式がとられるか、つまり、週休二日制を学校五日制というふうに直ちに置きかえることが教育的に見て適当であるかどうかという問題があろうかと思います。でございますから、一般公務員について閉庁方式がとられた場合にありましても、学校につきましては開庁方式をとるということがあり得るであろうと。別に結論じゃございませんが、あり得るであろうと。それからもう一つは、開庁方式をとりました場合にどういう形をしからば具体的にとるのか、たとえば楽しい土曜日といったようなアイデアが現に一部あるわけでございますが、そういう考え方をとっていって先生方は隔週に半数ずつ交代で休むという形にするかどうか、そうした場合に、残った半数の先生で楽しい土曜日というものの中身がどういうものになるであろうかというような問題が一つあります。また、楽しい土曜日ということではなくって、週平均四十二時間の勤務時数ということを考えますならば、たとえば水曜日の午後休むというような方法もあり得るわけでございますが、水曜日の午後休むという場合に、その午後全体のカリキュラムがどういう姿になるかというようなこと等、これはかなり詳細に検討しなければならないということで、現在私どもの方におきまして検討いたしておるわけでございます。
 なお、教育課程の改定の問題に関連をいたしまして、現行の指導要領に定めておりまする授業日数あるいは授業時数というものが少し多過ぎるんではないかというような御議論がございます。したがいまして、これをどういうふうに整理をしていくかということが制度上の問題になるわけでございますが、その問題を考えます場合には、やはり週休二日制というものを念頭に置きながらそういう問題とも取り組んでいくべきであろうというふうに考えております。しかし、ただいま大臣から申し上げましたように、指導要領につきまして最終的な結論が出るのは若干先になるわけでございまして、公務員について週休二日制の制度がとられるのがそれより若干早くなるという際には、現行の指導要領の中で週休二日制の問題を取り扱っていかなければならないということでございまして、そこにはいろいろな困難が伴うわけでございますが、先ほど申し上げましたような問題点をめぐりまして、私どもの方で鋭意検討をいたしておるということでございます。
#64
○片岡勝治君 私どもの予測によれば、やっぱり週休二日制制度が第一発に出てくるだろう、これは教育関係とは別の、公務員全体の、日本の労働者全体の問題としてね。ですから、これは好むと好まざるとにかかわらず、カリキュラムなり何なり教育の内容について検討せざるを得なくなるだろうということが出てきますわね。それから、大学の入試が五十三年ということですから、まあ教科課程を根本的に再検討するということはなかなかの作業であるということも、私も若干教育の経験者ですからわかりますけれども、この日程をできるだけ早く繰り上げていくということをしませんと、私は週休二日制の採用をどういう形にしても相当、いまお答えがあったように困難な問題が教育現場に出てくると思うのです。そういう点で、この教科課程の改編その他いわゆる改革の日程についてスピードを上げるということ、それから全体のいろんな関係をあわせてスムーズに移行措置がとれるような配慮をぜひお願いをしたいという意見だけを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#65
○委員長(加藤武徳君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 文部省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#66
○委員長(加藤武徳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認め、さように決定いたします。
#68
○政府委員(安嶋彌君) 前回の当委員会におきまして中村太郎先生から御質問がございました東京都杉並区立高井戸第二小学校の問題につきまして御報告を申し上げます。以下申し上げるところは東京都教育委員会からの報告に基づくものでございます。
 高井戸第二小学校におきましては、昭和四十九年度におきまして次のような問題があったというふうに報告を受けております。
 その第一は卒業式の問題でございまして、去る三月二十五日、卒業式が行われましたが、これに先立ちまして卒業式の運営方法をめぐって校長と教員側の意見が対立をいたしまして、その結果、当日は教員の出席のないまま、校長、教頭のみにより父母参加のもとに卒業式が行われました。卒業式は校長のあいさつの後、校長から卒業生一人一人に卒業証書を手渡し、その後、杉並区教育委員会の教育長代理の祝辞等がございまして終了をいたしております。一方、教員側は卒業式終了後、その場で卒業を祝う会というものを行ったということでございます。このことにつきましては、父兄の一部から、こうした学校運営のあり方について批判が出ておるということでございます。
 第二はプール監督の拒否事件でございまして、杉並区の小中学校におきまして夏休み中、区の教育委員会が各学校ごとにプールの指導員を任命して学校プールの開放を行っておるのでございますが、高井戸第二小学校におきましては、このプールの指導監督の実施計画をめぐって校長と教員側との間に意見の相違がございまして、教員側は夏休み中にプールの監督指導を拒否をいたしました。その結果、プールの監督指導は、校長、教頭等により十日間実施をしたということでございます。
 それから第三は、運動会の事件でございまして、昨年の十月、同校が工事中のために運動会ができないということで、校長は近くのNHKのグラウンドを借用したのでございますが、このことについて、教員側から事前に職員会議に諮らなかったという理由によりましてこの運動会の実施に反対をいたしまして、結局、一、二年生と三年生が別々の会場で運動会を実施したということがございます。
 それから第四番目に、新入学児童の健康診断事務が拒否されたというような事件もございます。また、ストーブの後始末につきまして、校長と教員側との連携がうまくいかなかったというようなことが報告されておりますが、東京都の教育委員会といたしましては、直接の設置者であり監督者であるところの杉並区教育委員会を通じまして、この学校の運営について指導をいたしておるということでございます。杉並区の教育委員会におきましては、特にこの小学校の指導に当たる指導主事を定めて、絶えず連絡をとりながら学校の正常な運営に努力をしておるということでございます。去る四月の人事異動におきましては、校長、教頭初め十二名の職員が他の学校に転任をいたしておりまして、新校長が四月一日に赴任をいたしておりまして、学校運営の正常化に努力をしておるということでございます。今年度になりましてからは、教員側は新校長に対して協力的な態度を示しており、入学式、始業式等は平穏に行われ、また身体検査事務等につきましても円滑に実施されておるということでございます。
 以上、御報告を申し上げておきます。
#69
○委員長(加藤武徳君) 午前の審査はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。
  午後零時五十三分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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