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#1
第075回国会 内閣委員会 第8号
昭和五十年五月八日(木曜日)
   午後一時九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤 武徳君
    理 事
                世耕 政隆君
                林  ゆう君
                片岡 勝治君
    委 員
                岡田  広君
                源田  実君
                寺本 広作君
                戸塚 進也君
                中村 太郎君
                八木 一郎君
                山本茂一郎君
                野田  哲君
                秦   豊君
                太田 淳夫君
                峯山 昭範君
                河田 賢治君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       植木 光教君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        松本 十郎君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   佐々 成美君
       総理府人事局長  秋富 公正君
       宮内庁次長    富田 朝彦君
       皇室経済主管   石川 一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       警察庁警備局参
       事官       中村 安雄君
       宮内庁長官    宇佐美 毅君
       外務省大臣官房
       儀典官      大井  浩君
       外務省アメリカ
       局外務参事官   深田  宏君
       外務省中近東ア
       フリカ局外務参
       事官       村田 良平君
       日本国有鉄道旅
       客局長      馬渡 一眞君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤武徳君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○野田哲君 皇室経済法の問題に入る前に、総務長官の所管事項について、緊急な問題について若干政府の見解を伺いたいと思います。
 それは、いま御承知のように春闘が非常に重要な山場に差しかかっているわけでありますが、この問題について、特に公務員の給与問題をこれからどう扱っていかれようとしておるか、こういう点についてまず伺いたいと思います。
 まず第一点、先般、大蔵大臣の発言が新聞にも報道されております。それは、税収の落ち込みによって財政が硬直化の様相を示している、そこでこの対応策として、公務員の給与のあり方、あるいは米価のあり方について見直す必要があると、こういう発言をされたということが新聞にも報道されております。恐らく総務長官も御承知であろうと思うんです。この大蔵大臣の発言は、現在の公務員の給与を決定していく制度、つまり、人事院の勧告制度、これに立ち入る内容を持っております。公務員の給与を決定するに当たっては、公務員によって原則が定められているわけであります。すなわち、公務員以外の労働者との均衡の問題、あるいは経済情勢に対する情勢適応の原則、こういうふうに原則が立てられております。それを踏まえて人事院が必要な調査を行って勧告を行う、こういう制度があるわけであります。この制度に大蔵大臣の発言は非常に重要な干渉を行う内容を持っていると思うんです。
 そこで、まず第一に伺いたいのは、給与担当国務大臣として、本年度の公務員の給与の決定に当たっては、この大蔵大臣の発言に見られるような方向で新たな見直しを行おうとしておるのか、あるいは従来どおりの公務員の給与の決定の原則に立って公務員の給与の問題を取り扱っていこうとされておるのか、この点についてまず伺いたいと思います。
#4
○国務大臣(植木光教君) 御指摘のとおり昭和四十九年度の歳入問題につきまして大蔵大臣から御発言があり、同時に、本年度につきましても財政事情が非常に悪化をしているという説明がありましたのは事実でございます。しかしながら、いまお話ございましたように、人事院勧告があり、それを尊重するということは公務員制度を適正に運用してまいります基本となるものでございまして、給与担当大臣といたしましては、従来と同様に、人事院の勧告につきまして本年も完全実施のために最大の努力をいたすという考え方には変わりはございません。財政事情につきましては、関係当局と十分に協議をしながら、ただいま申し上げましたような基本的態度で臨む考え方でございます。
#5
○野田哲君 それでは、引き続いて公務員の給与問題の第二点について問題点を伺いたいと思います。
 昨年の公務員の給与の決定に当たって、七月の二十六日の人事院の勧告、これについて、特に昨年の当時臨時国会が開かれておったにもかかわらず、審議がされないままに十二月の二十三日まで延引をされた。このことについて、当委員会でも、公務員給与法の改正についての審議を行うに当たって、御承知のように一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議という形で、早期に公務員の給与を決定をして支払うように支給手続の改善を行うべきである、こういう附帯決議が行われております。これは各党一致で行った決議であります。この精神については、当時総務長官としても、決議の趣旨を尊重する、こういう態度を表明されておりますが、この考え方は現在もそういう立場で対処されようとしておるかどうか、まず、その点を伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(植木光教君) 公務員給与の支給手続の改善につきましては、当委員会において附帯決議が付され、それに対しまして「慎重に検討いたしたい」ということを申し上げたのは仰せのとおりでございます。その決議を受けまして、また私自身、早期に支払われるべきものであるという考え方に立ちまして、この改善のために努力をしているところでございます。
#7
○野田哲君 そこで、この問題について引き続いて伺いたいわけでありますけれども、ことしの公務員の給与につきましても、いま私鉄の問題あるいは公労協の問題が非常に重要な山場に差しかかっておりますけれども、恐らく数日中には公務員の給与を決定する基礎となる民間、公労協の賃金の引き上げの内容はほぼ固まっていくと思うんです。そうして、少なくとも六月ないしは七月ごろまでには、恐らくこの四月からの引き上げ分がそれぞれの労働者の手に支払われる、こういうことになっていくと思うんです。公務員の場合には、けさの新聞でも人事院の考え方が報道されておりましたけれども、八月十日ごろには勧告を行いたい、こういう目標が人事院の総裁から発表されておりましたけれども、そういたしますと、この国会の中で、政府がこの支給制度の改善についてどういう考え方を持っておられるか、こういう点についてある程度具体的に考え方を明らかにされておかなければ、具体的な対応策がとられていかないと思うんです。その問題が決着がつかなければ、公務員の春闘の問題はけりがついていかない、こういうことだと思うんです。そこで総務長官に伺いたいのは、この支給制度の改善について、具体的に現在どういう方法が検討をされているか、この点について伺いたいと思います。
#8
○国務大臣(植木光教君) 総理府といたしましては、総理府部内でいろいろ検討いたしますとともに、関係省庁とも協議を重ね、さらに各界の有識者の御意見も伺いながら、具体的な成案を得ますように努力をしてまいったところでございます。
 私どもが考えております案というものが四つございます。具体的に申し上げますならば、勧告を予備勧告と本勧告とに分けて年二回行い、それを受けて年二回法律を改正する案、これは昨年五月概算ベースアップがあったというような例もございます。そういう案を一つ考えております。それからさらに、人事院の本勧告の処理につきまして、俸給表の改定を政令に委任するという案がございます。さらに、従来の勧告のやり方を改めまして、勧告は毎年予算編成前に行うこととし、政府はそれを受けて給与改定原資を翌年度予算に計上するとともに、翌年度実施の給与法改正法案を通常国会に提出する。さらに、従来の勧告処理方式は変えずに、勧告後できるだけ早期に国会を召集して給与法を改正する。こういう四つの案を考えまして、そして結論を得べくただいま努力をしているわけでございますが、ただいままで検討を重ねてまいりましたところでは、現行制度の改正による支給手続の改正は、法制上及び財政上きわめてむずかしい問題を含んでおり、その実行が非常に困難であると認めざるを得ないのでございまして、この点につきましては、それぞれいま申し上げました各案について問題点があることは御承知のとおりでございますが、したがって、当面といたしましては、現行制度のもとでできるだけ早期に給与改定を図っていくというのが最も適当であろうという結論を持つに至りつつあるのでございまして、この点につきましては、まだ最終的結論を持ったというわけではございませんけれども、先ほど申し上げました四つ目の案が適当ではないかというような結論に達しつつあるという状況でございます。
#9
○野田哲君 わかりました。その点では、それではそういうことでさらに具体的に早期に措置がされるように要望して、この問題については終わりたいと思います。
 そこで、皇室経済法の問題を審査するに当たりまして、皇室の問題と非常に重要な関係を持っている元号の問題について引き続いて総務長官に伺いたいと思います。
 現在、昭和という元号が使われております。すでにこの昭和の年代に入って五十年を経過をしております。恐らくこれは日本の元号の中では最長の記録であると思うんです。現在の昭和、さらにその前の大正、明治、こういう日本独特の一世一元号の制度を定めたものの根拠といたしましては、明治元年の九月八日に行政官布告、こういうのが出されていると承知をしているわけです。元号は一世一元号とする、一世一元とする。さらにこの精神が引き継がれて皇室典範、旧の皇室典範の十二条で「践祚ノ後元号ヲ建テ一世ノ間二再ヒ改メサルコト明治元年ノ定制二従フ」、こういうふうになっています。さらにまた、登極令の二条、こういうような幾つかの法規、規定があって、これが根拠になっていたと思うんです。ところが、これらはいずれも旧憲法によるものであって、昭和二十二年の五月の三日の日本国憲法の施行と同時にその法的根拠は消滅した、こういうふうに私どもは考えているわけでありますけれども、公的制度連絡会議の担当の総務長官として、元号問題について、現在法的根拠についてはどういうふうにお考えになっているか、その点を伺いたいと思います。
#10
○国務大臣(植木光教君) 年号制度につきましては、ただいま御質問の中にありましたように、行政官布告により公布せられました詔書によりまして、いわゆる一世一元の制が確立をせられました。その後、皇室典範、登極令により法制化されるに至ったのでございますが、新憲法施行に際しましては、法令上の根拠を失い、その後は事実たる慣習として使用されているというのが現在の姿でございます。
#11
○野田哲君 法的には新憲法の施行によって根拠がすでに消滅をしておる元号でありますけれども、慣習によって使われている、こういう点で、現に法律的にも根拠がないわけでありますけれども、法律なり政令の施行とか、その他官公庁の文書においても昭和という元号が一般的に使われております。国民生活の上でも、戸籍あるいは住民登録、選挙権、債権債務、不動産登記、こういうふうに国民の日常生活に欠くことのできない重要な関係を持っておるこの年月日の表示について、昭和という年号が使われているわけです。いわゆる初めも終わりもない一つの時の経過を区切るという、区切って表示をする、こういう意味で何らかの年号がなければならない、こういう点はすべての共通の認識であろうと思うんです。そこで、この年号の表示が、法的には根拠が失われている現在でも、先ほど申し上げましたように、非常に広範に明治、大正、昭和という元号が使われているわけです。
 そこで、国民の直接、権利義務にかかわる問題について伺いたいと思うんですが、戸籍の取り扱いについて、戸籍法の十三条では戸籍の記載事項を定めています。そして、それには「出生の年月日」、こういう規定があるわけでありますけれども、この出生の年月日については、昭和を使わなければならないとか、あるいは西暦を使わなければならないとか、そういう点は特に触れてないわけでありますけれども、施行規則の三十三条、この中では、戸籍の記載については附録の第六号のひな形に定める相当欄にこの出生年月日を記載しなければならない、こういう形でひな形に表示をされておる形式としては、具体的に昭和という年月日を記入するようになっているわけです。もし、この昭和という一世一元号の制度に対して、この昭和という字句を使いたくない、年号を使いたくない、こういう人がいたとして、出生あるいは婚姻等の届け出に、そこのところを千九百何年、こういうような表示で出生届や婚姻届を出してきたときには、一体これをどう扱うことになるのか、こういう点について、西暦――昭和以外のものを使ったときには、これは受理できないということになるのかどうか、この点をまず伺いたいと思います。あるいはまた、国勢調査ですね、これも総理府がやっておるわけでありますけれども、国勢調査では、調査員に対して、出生年月日については昭和とか、大正とか、明治という形で記入させるように総理府令かなんかで定めてあるように伺っているわけです。こういうふうに、実際的には、法律的には根拠がないにもかかわらず官公庁の取り扱いで国民の権利義務に重要なかかわりを持っておる届け出等について、昭和を使うことをかなり強要しているといいますか、強制しておるといいますか、そういう形が現にあるわけでありますけれども、こういう点については、一体どうお考えになっていますか。
#12
○国務大臣(植木光教君) 先ほど申し上げましたように、元号は現在法令上の根拠を持っておらないわけでございますが、事実たる慣習として国民の間に広く定着をいたしておりまして、各種の書類におきまして元号をもって年の表示をすることが通例となっております。昨年の十二月行いました世論調査でございますが、一万人を対象としてこれを行いましたところ、通常使用する年号につきまして、主に昭和と答えましたのが八四%でございます。主に西暦と答えましたのが四%、昭和と西暦の併用が一一%、その他が一%でございました。そのように、国民の間に定着をしているわけでございますが、いまお話ございましたように、たとえば戸籍について、あるいは債権債務の関係、不動産の登記について、あるいは国勢調査につきましては、年の表示といたしましては、年号によることが最も一般的でございまして、大多数の国民がこれになれ親しんでおりますので、官庁でこれを統一しようといたします際には、その様式は年号を用いることといたしているのでございます。
 いま具体的に、たとえば西暦をもって戸籍上の届け出をしてきた場合はどうするかということでございますが、これはすでに法制局の見解も出されておりますが、受理をいたすことにいたしております。しかしながら、官庁におきます様式の統一性の保持ということが必要でございますので、したがって、各官庁におきましては、それを元号に書きかえているというのが現実の姿でございます。
#13
○野田哲君 いま大臣の方から、一万人を調査した結果八四%が昭和になじんでいるという数字が発表されたわけですけれども、これはやはり、そういう表示でなければ通用しないようなリードを国なり地方公共団体でやっているから、結局なじんでいると思うんですよ。市役所の窓口に置いてあるすべての届け出用紙を見ても、そこには初めから出生年月日等についても、明治、大正、昭和という元号を印刷をした用紙を初めから使っておるから、それを使わざるを得ないようになっているからなじんでいる、こういうことだと思うんです。その問題、後でまた触れたいと思うんですげれども、国際関係について伺いたいと思うんです。
 条約について、戦前の条約では二国間の条約は西暦と日本の元号を併記をするという方式がとられているというふうに聞いております。外務省などの外交官の中には、そういう昭和というのと西暦と併記をするという条約の年月日の表示の仕方については、かなり抵抗感を持っていたという人の話もある文書で読んだことがあるわけでありますけれども、そういうふうになっていたと思うんです。それから、多国間の条約では西暦一本を使っていた、戦後は西暦一本で処理されている、こういうふうになっているんだと思うんです。この点も間違いないかどうか伺いたいと思うんです。
 それから、きょうはエリザベス女王がお見えになっておるわけですが、天皇が外国の元首等にあてて出される天皇の親書、最近は天皇の親書というのは余り例がないんだと思うんですけれども、天皇が外国へあてて文書を出される、こういう場合には一体どういう年月日を表示されておるのか、こういう点について、国際的な問題で伺いたいと思うんです。
#14
○国務大臣(植木光教君) 先ほど、政府がリードしているから八四%のものが主に昭和を使っているという答えをしているのではないかと、こういうお話でございましたが、同時に行いました世論調査におきまして、存続すべきかどうかという存廃の問題を問いましたところ、ぜひ続けていくべきだ、どちらかといえば続ける方がよいというのを合わせますと八〇%に達するのでございまして、そういう意味において政府といたしましては、国民に定着をしているというふうに認識をしているのでございます。
 次に、国際関係でございますが、大変野田委員いろいろ該博な知識を持っておられまして敬服をいたします。外国の紀年法につきましては十分に明らかではございませんけれども、駐日特命全権大使の信任状、解任状における年の記載方式について見ますと、これは外務省調べでございますけれども、八十八カ国中六十八カ国が西暦のみを使用いたしております。十八カ国が西暦と回教暦、仏教暦等の宗教暦、建国暦等との併記という状態でございます。
 条約を結びますときには、多数国条約につきましてはわが国も西暦を使用いたしております。二国間条約におきましては当事国間の協議によることを原則といたしまして、通例は西暦のみを用いておりますが、場合によっては西暦、相手国の紀年法及びわが国の年号を併記するという使い方をいたしているのでございます。
 また、わが国からの外国政府に対する公文書につきましては、正文、これは日本語で書かれるわけでございます。これにつきましては原則として元号のみで表記をしているというのが現実の姿でございます。
#15
○野田哲君 いま、総務長官は八四%という国民がなじんでいるという点を、これは政府のリードによるものじゃなくって自然にそうなっているんだという点、ずいぶん強調されたわけですけれども、ただ国民がなじんでいるからということであれば、かつて尺貫法をメートル法に統一をした、こういう措置なんかはとり得なかったわけですよ、国民がなじんでいるからそれでいいんだということであれば、恐らくこの尺貫法、まあ私どももかなり年ですから、やはり土地の面積なんかは一平方メートルという表示の仕方よりも、やはりまだ坪の方が、あるいは一反とか一町とか言う方がぴんとくるんだけれども、これはやはり国際的に統一をしていかなければいけないということで、思い切ってメートル法に変えたと思うんです。イギリスでも、あの古いしきたりを守る国で通貨の十二進法という、私もずいぶんイギリスで難渋したわけでありますけれども、イギリスの国民が長年なじんでいたあの通貨の十二進法というものを思い切って十進法に数年前に変えたわけですから、やはり世界の潮流というものについて、この問題はやはりあわせて考えていかなければいけないんじゃないか、そういう発想がなければいけないんじゃないかと思うんです。
 そこで、このなじむなじまないという問題で私は具体的な事実を挙げたいんですけれども、学校の教育の問題です。私も子供が中学校へ行っておりますから、中学校で使われている教科書、それから小学校の教科書、高等学校の教科書、調べてみました。そういたしますと、おおむね現在の使われている教科書の中では、たとえば社会の中の歴史の記述等は、これは日本の歴史を記述しているくだりでもやはり西暦を使っていますね、いまの教科書は。具体的にはこういうのがあります。「足利尊氏は、一三三六年京都に幕府を開き、ついで、征夷大将軍になった。」これは世人に「室町幕府とよばれている。」、こういうふうに書いてあります。これは私、子供の中学校の教科書を現に見たわけです。あるいはまた、「一八五三年、四隻の黒船が」「浦賀の沖に突然姿をあらわした。」そして、「アメリカの使節ペリーが、」「開国を要求してきた」、こういうふうに書いてあるんですよ、いま使われている歴史の教科書は。ですから、いまの戦後の教育を受けた青少年の間では、明治、大正、昭和、こういう元号の使い方と同程度に千九百何年という西暦の方についてもなじんでいる、こういうふうに見ていっていいのではないかと思うんです。そういうふうに教育上、日本歴史の記述等についてもそういう形で教科書なんかでは西暦でほぼ統一された形で使われているという現状について、総務長官はどういう認識を持っておられますか。
#16
○国務大臣(植木光教君) 教科書等におきましてそういう記述をするということは、特に歴史の場合には、西洋の歴史との対比におきましてその年代はどのようなことが起こったかというようなことを明確にさせますために使っているのではないかと思うのでございますけれども、まあ日常生活におきましては、先ほど申し上げましたように元号が使われているというのが日本の現状であろうかと思うのでございます。ただ、天皇が元号を定めることとされておりました旧憲法時代とは、元号の性格が変わってきていることは当然でございます。新憲法にふさわしい形で元号制度を存続させていくにはどのような手続でどのような機関が決めるのがよいか、あるいはまた、元号制度を法律上のものとして行うのか、あるいは慣習として続けていくのがよいかなどというようなことについては、早急に検討を要すると思うのでございまして、私といたしましては、公式制度連絡調査会議がございます。最近はこの会合は開かれておりませんで、元号につきましては、総理府、宮内庁、内閣法制局あるいは文部省などとの間で随時打ち合わせを行っているという状況でございますが、公式制度連絡調査会議を開催をいたしまして、この元号問題につきまして検討をしようという考え方をただいま持っております。
#17
○秦豊君 関連をして。
 総務長官、お時間が余りないようですから詰めて質問をしたいと思うんです。ただ、皇室のあり方とか、あるいは宮内庁のあり方論は、先ほど委員長が提起されましたように、私、改めてゆっくりやりたいと思います。ただ、いま同僚委員の質問に関連し、特にいまの総務長官の答弁にかかわって確めておきたいことがあるんですが、おっしゃったように公式制度連絡会議というのは三十七年に設けられて、いま休眠状態ですね。しかし、いまの御答弁は、それを何らかの機会に開いて意向をただしたい、ぼつぼつ方向づけをしたいというふうに伺ったわけなんですが、しかし、今度の七十五国会に限定をしても、植木総務長官の元号問題についての御答弁と三木総理とは次のように違っているんですよね、私の理解では。私の理解が間違っていればこの機会に補ってもらいたいし、訂正をしてもらいたいんですが、具体的には今後の国会の三月五日に三木総理は質問に答えまして、元号というものは維持したい、しかしこれを法律で制定化をするのか、あるいは慣行のまま維持するのかは検討をさしてもらいたいという答弁をたしかされております。ところが、植木総務長官は三月十八日の衆議院の方のこれは内閣委員会なんですけれども、天皇崩御の際に元号というものを残すとするならば、前例に従って内閣が即時に告示によって決定することになるという、これは粗筋をつまんで私言いましたから、一〇〇%ニュアンスが伝わらないかもしれませんが、大体いまのような趣旨のことを述べられたわけですね。そうすると、総理は検討をしたい、総務長官は内閣による告示によって元号は決められるんだというふうな筋道に論理的にはなるわけですよ。三月十八日の同じ衆議院の内閣委員会で内閣の法制局第一部長は、確かに総務長官おっしゃったように元号には法律的の基礎はない、しかし事実としての慣習として存在をすると、こういういかにも法理論家らしい答弁をしていますね。それからもう一つは、ずいぶん古い話ですけれども、衆議院の内閣委員会、昭和三十四年二月六日の衆議院内閣委員会で林修三政府委員が、元号というのはやはり明確に法律事項として決めたい、新しい元号を立てるという場合にはやはりこれは法律で決めるべきであると、こういう認識を展開していらっしゃる。かなり長い答弁をしているんですよ。そうすると、林さんの見解は別としまして、ずいぶん古い話ですから。しかし、七十五国会に限定して聞きましても、やはり植木長官の答弁の趣旨、内閣事項、政令事項だという答弁のニュアンスと、三木総理の検討中という中間的な問題とは違うと思うんだが、その点を植木長官から改めて伺っておきたいと思うんですよ。
#18
○国務大臣(植木光教君) 確かに三木総理がおっしゃいましたのは、国民世論としては年号は置くべきだという意見が多いと思うが、置く場合に法律上の制度として考えるか、慣習として考えるかについてはもう少し検討させてほしい、こういう御答弁でございました。私もこの趣旨と同様の考え方でございます。そして、その趣旨に基づきまして衆議院の内閣委員会で答弁をしたつもりでございます。ただ、あの場合の質問の仕方は、と申しますか、質問は、元号を置くべきであるという前提のもとの御質問であり、また、仮にいま直ちに、きょうにも万一のことがあったならばどうするのかという畳みかけられた質問でございました。そこで私といたしましては、仮にという前提と、さらに前例を尊重をするとするならばという、この二つの前提を置きまして、そして、従来のようなやり方が適当ではなかろうかということを答弁したのでございまして、元号を仮に置くということと、それからもう一つは、いま申し上げましたような、いま直ちにやるとするならば、それから前例を尊重するとするならば、そういう種々の仮定のもとに基づいて御答弁を申し上げたのでございまして、総理との間には食い違いはございません。
 なお、あの答弁は十分ではございませんで、先ほど野田委員からお話がございました登極令によりますと、内閣が内閣案をつくりまして、そして枢密顧問に諮問をし、そして詔書をもって公布する、そして内閣告示によるというのが前例でございます。ただ、この登極令はいまございませんし、法制上の根拠はございません。前例によるとしますならばということで申し上げたのでございます。
#19
○野田哲君 総務長官、二時までということでありますから、もうはしょって、新たな問題を提起するという立場で私の見解も述べて、それに対してもあわせて見解を伺いたいと思うんです。
 私は、この問題については新たな発想によって考えていくべきではないか、こういう見解を持っております。その理由としては、現在の一世一元号制度というのは、これは旧憲法に基づいての制度であって、天皇が国家の統治者である、その象徴というような形でこういう一世一元号の制度が立てられていたと思うんです。現在の新たな日本国憲法の制定によって、その根拠は法的にも精神的にもすでに失われている、こういうふうに考えるべきではないかと思います。
 それから二つ目には、先ほど話もありましたように、国際的に見て一世一元号というような制度を使っておるのは日本しかないわけです。圧倒的多数は西暦千九百何年、こういうふうになっておって、国際的にも交流が非常に激しくなった現在にすでにこの制度はなじまないのではないか、こういうふうに思うんです。
 それから第三には、先ほども言われましたように、国際関係の業務についてはすでにもう西暦を使っているし、国でも使っているわけなんです。教育の場でもそういう形で西暦による記述が非常に広く使われておる。こういう点からも、すでに千九百何年という西暦を使うことについても、これはなじんでいく要素が多分にある、こういうふうに考えていいのではないかと思うんです。
 それから四つ目は、きわめて具体的な問題なんですけれども、引き続いてこの一世一元号という制度を今後継続していくということになれば、失礼な言い方になるかもわかりませんけれども、近い将来、日本の国民の生年月日は四種類の元号が使われていくことになるわけです。現在、官公庁、地方公共団体の窓口などの届け出用紙、これには印刷してあるわけですよ、明治、大正、昭和と。そこにもう一つ新たな印刷をつけ加えて四種類の生年月日による記述を使うことになるわけで、これは非常に煩瑣なものになるわけです。ここにおられる皆さんも、先代、先々代、先々々代と、こういう扱いを受けることになるわけです。しかも、別の観点から言えば、いままでの元号というのは非常に古い中国の文献を引用して、そしてその意味するものとしては、天皇家の繁栄とか理想を示す、こういう形をもって制定をされていたと思うんです。国民の価値観というものが非常に変わった現在、国民的にコンセンサスを得られるような表現、字句を生み出すということは、これは非常に困難だと思うんです。それは幾ら総務長官が知恵をしぼられてみても、国民的に合意を得られる、何といいますか、元号の名前というのはなかなか出てこないと思うんです。戦前の場合、いままで制定されておるのは枢密院の会議というような形、国民とは全く無縁に決められて、国民は黙ってそれに従っていたわけでありますが、今日ではそうはいかないと思うのです。こういう点からも、私はやはり新たな発想に立つべきではないか、こういうふうに考えているわけで、この点についてどういうふうに考えておられるかということと、最後に、もう時間ですから一言簡潔に申し上げますが、この問題の審議が進まない段階、まだ結論も得ていない、手続も経ていないという段階で、非常に不幸な事態が起こって昭和が終結をしたという段階が突如として訪れたときには、一体政府としてはどう扱われるわけですか、この点を結論として伺っておきたいと思います。
#20
○国務大臣(植木光教君) 先ほど申し上げましたように、この問題は御指摘のような種々の問題を抱えているわけでございますので、早急に公式制度連絡調査会議を開催をいたしまして、検討を積極的にさしていただきたいと存じます。
 それから、最後に申されました万一の場合どうするかということになりますと、これまたこの間の衆議院の内閣委員会と同じことになるのでございまして、前例を尊重しますならば内閣が元号案を決定するということになろうかと思うのでございます。これは予測できない事態でございますので、仮定の問題としてそのように答えさしていただきたいと存じます。いずれにいたしましても、会議を開きまして検討を進めてまいります。
#21
○戸塚進也君 私は、ただいま議題になっております皇室経済法の一部を改正する法律案について若干お尋ねをいたしたいと思いますが、その前に委員長に一言申し上げておきたいと思います。
 一昨日、上田委員からこの委員会の運営の問題で御所見が述べられましたが、私も実は、一昨日は午後から自分自身の質問があるというふうに予定して、関係の皆さんにも長くお待たせをして、自分なりにもうおとといの時点で必要だと思われることを準備しておいたわけですが、不幸にしてそれができずしてきょうに持ち越されました。これはもちろん委員長、理事、先輩の皆さん方の高度な政治判断そのほかの事情があるものと思いますから、私はこれについてとやかくは決して申しませんけれども、若輩の出てきたばかりの者から申しますと、やはり予定している審議はそのまま時間の許す限りは続行していただきたい。私たちもまた、そのつもりで準備もいたしますし、政府の当局も忙しい時間を割いて待機をしていただいておりますので、心情的には非常に私はつらく思いましたので、委員長にお願いしておきますが、今後ぜひそういう委員会の進め方についてまた御一考をいただきたいと思います。
 そこで、この皇室経済法についてお尋ねをするわけでございますが、たまたまきょうはエリザベス女王御夫妻も国会にお見えになりまして、国を挙げての歓迎ということで、非常にお元気で訪日の目的を達成されるために御夫妻もいま努力をしていらっしゃるし、また、政府においてもそのことに対して万全を期していただいていること、非常に結構なことだと思います。関係の皆さんに心からその努力に対して敬意を表するわけでございますが、十二日まで、きょうも入れますとまだ五日間ぐらいあるわけでございまして、ぜひひとつ、これだけ一億一千万の国民がみんなもう何党何派を問わず、非常に歴史のあらゆる意味で日本とイギリスとの間というものは深い関係に、友好関係にもあるわけでありますし、女王御夫妻が本当に快適な日本での御旅行ができるように、きょうお出かけいただきました政府の関係の当局に最善を尽くして努力していただきたい、そのことをお願いをいたすわけでございますが、お忙しい中を警察庁、国鉄の方にもお出かけいただいておりますから、この法律のお尋ねの前に、エリザベス女王御夫妻の問題といいますか、御訪日のことにつきまして一、二、感じておることを申し上げて当局のお考えを伺いたいと思っております。
 まず、外務省にお尋ねをいたしたいわけでございますが、昨日お着きになりまして順調にスケジュールもこなしていらっしゃるようでございます。今後の十二日までのスケジュールについても何ら問題なく進めていただけると思いますが、その態勢、それからさらに、現在課題になっておる問題点がもしありましたらこの際お聞かせをいただき、同時に、この場を通じて、国民に対して今後何か協力を呼びかけることがあったら御答弁をいただきたいと思います。
#22
○説明員(大井浩君) お言葉、大変ありがとうございました。お説のとおり女王御夫妻の御訪日は日英関係の歴史の上でも画期的なことでございますし、また今後の日英友好親善関係を一層増進するものでございます。したがって、私どもといたしましては、国民の皆様方とともに、でき得る限り、この上とも温かくおもてなしをいたしたいと考えております。最善の努力を払うつもりでおります。
 なお、問題と申しますと、当面十日に新幹線に御乗車になる御予定でございますけれども、この問題が実は頭の痛い問題でございます。何とか労使関係各位の良識に基づく御配慮によりまして、この御乗車が実現できればと願っております。
#23
○戸塚進也君 ただいま外務省からお話のございました新幹線の御乗車の問題でございますけれども、私がきのう夜、これはテレビでございますが、何か女王御夫妻の新幹線は特にどういう状態があっても動くんだというような、そんなことも、これはただテレビ報道として伺ったわけでございますが、現状はどういうふうになっておるのか。それから、仮にこれを、もしどうしてもあらゆる情勢的にむずかしいということになった場合は、どのようにして京都の方にいらっしゃったり、お帰りになったりなさるのか、そういう態勢は十分できているのか、この点についてまず外務省からお尋ねしたいと思います。
#24
○説明員(大井浩君) 新幹線がどうしても利用できないというときには、別途対策を講じております。これは女王特別機を使用いたしまして大阪へ参ります。その準備はできております。
#25
○戸塚進也君 伺いますと、今回エリザベス女王御夫妻の御訪日に際して、日本で特に御希望のものはということを伺いましたら、ぜひ新幹線に乗ってみたい、こういうお話があったそうでございます。私たち国民一人一人ができるだけひとつ正常な情勢のもとに新幹線に御乗車いただいて、日本の風土を見ていただいたり、あるいはまた、日本が世界に誇る新幹線というものにぜひ女王御夫妻をお乗せしたいものだと毎日夢にも見ておるわけでございます。そこで、国鉄の旅客局長、お出かけいただいたわけでございますが、現在の状態の中で、この問題、どのように進行していらっしゃるか。また、国鉄当局のこの問題に対する取り扱いの態度、今後の方針等を伺いたいと思います。
#26
○説明員(馬渡一眞君) 御説明申し上げます。
 私どもといたしましても、ぜひ御乗車をいただきたいという気持ちはもうみんな持っておるわけでございます。その中で、ただいま御承知のような国労、動労等のストライキが行われておりまして、計画しておりますとおりでまいりますと、十日いっぱいストライキということになっております。しかし、現在の私どもの判断といたしましては、国鉄の組合のみならず、これはほかの三公社五現業とも同じだと思いますけれども、公労委の場においてできるだけ早い事態で解決のめどがつきますれば、十日の日の御乗車について、私どもとしては御期待に沿えるような形に持ってまいりたいものだということで、むしろ正常な、その労使関係という方の解決をまず前提にして十日の日に備えたいという気持ちでおります。なお、直接当事者、相手方の当事者でございます組合側にも、私どもの意のあるところを伝えて、極力最大限の努力を払っておるというのが現状でございます。
#27
○戸塚進也君 そういたしますと、国鉄としては、今後最終的に、この御乗車ができるかどうかということの判断を決定されるのはいつでございますか。
#28
○説明員(馬渡一眞君) 外務省の方とも打ち合わせをさせていただきまして、明日の午前中まで、判断をする時間を余裕を与えていただきまして、明日の午前中というのが期限になっております。
#29
○戸塚進也君 よくわかりました。ひとつぜひ、ただいま御答弁のように、国民的な期待というものがある、これはもう恐らく何党何派を問わないと私は確信をいたしております。どうぞあしたの午前中ぎりぎりまで、正常な形で御乗車ができるように、ひとつ国鉄としても最善を尽くしていただきたいことを御要望申し上げます。
 そこで、警察庁にお尋ねをいたしたいと思います。今回の警備態勢につきましては、特にイギリス側からもいろいろな御要望があったという中で御苦心のほどがあるわけでございまして、本当に一番大事なことは、国を挙げて御歓待申し上げる、女王御夫妻が無事に御帰国をいただくということが一番大事だと、そのために、かねてからあらゆる綿密な計画をお立てになって警備態勢を整えていらっしゃる。また、そのことによっていま安全が確保されている、大変ありがたいことだと思います。ただ、新聞等でも、一部関西等に、何かこれに対して不穏な動きがあるというようなことも承りましたし、それから、この問題に日本の国内の目が向けられている最中に、まだ例の爆弾事件も犯人の輪郭すら浮かんでいない、こういう今日の中で、必ずしも手放しで安心だと思っていられない国内情勢だと思います。そういう中にあって、警察庁としてはどのような態勢をもって警備に臨んでいらっしゃるか、内容等はもちろんお聞かせいただく必要はありません。ただそのお心構えと、それから関西等の不穏な動きというものがどういう状態であるのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
#30
○説明員(中村安雄君) 女王陛下御一行の警備を担当いたします警察としましては、大変光栄に存じておる次第でございます。警察としましては、両陛下並びに御一行の身辺の安全と関係諸行事を円滑に実施する、それを確保するということが警備の基本方針である、かように考えておるものでございます。そうして、具体的には女王陛下と国民とのなごやかな交歓というものを確保する、そのために表面的にはできるだけソフトにやわらく、同時にすきのない警察活動を行うということでなければならないというふうに考えております。
 先生ただいま御指摘のように、一連の爆弾事件というようなものも一部にございますし、また、中には、いたずらだろうと思いますが、電話等も、ごく一部でございますが、そういうこともございますので、具体的に警備を担当する警視庁初め神奈川、京都、三重、そういった府県警察では、警備本部を設けまして全力を挙げてそれに取り組んでおる次第でございます。
 それから、警察庁といたしましては、次長を長とする委員会を早くから設けまして、関係府県に対する指導調整はもとよりでございますが、全国の警察の組織を挙げまして治安を確保して、一行が無事に日程を消化されるように努めておる、こういった状況でございます。
#31
○戸塚進也君 お尋ねするまでもありませんが、先ほどお話がございました、いわゆる西の方へ、関西へいらっしゃる際の新幹線か飛行機かというのが、まだ九日の午前中でなければわからないという状態でございますが、いずれの方法になってもこれは万全だということで解釈してよろしゅうございますね。
#32
○説明員(中村安雄君) 新幹線を利用される、あるいは専用機で大阪まで行かれる、両方の態勢を警察としてもとっておりますので、どちらになっても大丈夫だというふうに考えております。
#33
○戸塚進也君 よくわかりました。関係の皆さんの御労苦に感謝するとともに、ぜひひとつ無事な女王御夫妻の楽しい有意義な訪日の旅ができますようにお願いしたいと思います。
 そして、この問題の最後に、総務副長官にちょっとおいでをいただきましたので、一言だけ政府としてその所信といいますか、ただいま外務省の方からも今度の女王御夫妻の御訪日について新幹線御乗車の問題がまだ解決できなくて非常に苦慮しておるというような御答弁がございました。国鉄当局も非常にこの問題に努力しておられるようでございますが、政府としても、やはり九日の午前中ぎりぎりまで、正常な形でこの御希望がかなえられるように、予定どおり新幹線で御旅行ができるように最善の努力をしていただきたいと思いますが、この御決意のほどを伺いたいと思います。
#34
○政府委員(松本十郎君) イギリスのクイーンの新幹線の御利用につきましては、内閣官房を中心にしまして、総理府も、さらに運輸省を初め関係省あるいは公社等とも十分連絡をとりながら、御希望に沿って、ひとつストがない上で御乗車願えるように万全の努力を続けてまいりたい、そして実現したい、この願いで目下のところ鋭意努力中でございます。
#35
○戸塚進也君 国鉄の方、警察の方、どうぞお引き取りください。
 それでは、この法律のことについて少しお尋ねいたしたいと思います。
 宮内庁長官にお尋ねをいたすわけでございますが、私、若輩なるがゆえに皇室用語そのほか十分わきまえない点がございますから、失礼のことがございましたらお許しをいただきたいと思います。
 そこで、まず内廷費、皇族費の改定に当たっての積算方法、考え方でございますが、御説明によりますと、物価の趨勢、及び国家公務員給与の引き上げ等にかんがみ、ということでございまして、さらに内閣調査室の資料を拝見いたしますと、これは東京都消費者物価の上昇率二二・七%、さらには公務員の給与改善率二九・六%、そうしたものをそれぞれ従来の金額に乗じて得た額、そして一割を予備費として加えて算出している、こういう御説明があるわけでございますが、こうした積算方法というものは、従前からずっとこのような方法でやっていらっしゃるのか、便宜的にこういう方法をおとりになっていらっしゃるのか、さらには法律で、内廷費、皇族費を改定する場合は、もちろんこうして一々法律に出さなくちゃならないということだと思いますが、きちんと決められているものならば、毎年毎年こうして出すということもどうかというふうにも考えられるわけでございまして、要はこの積算方法というのがこれで妥当なのか、もう少し詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
#36
○説明員(宇佐美毅君) 内廷費、皇族費は、申し上げるまでもなく昭和二十二年の四月に、法律の制定と同時に、当初内廷費が八百万円、皇族費が百五十万円というのが基礎でスタートしたわけでございます。その後、四十九年までにたしか十六回改定をいたしております。それはいずれも、ただいま御質問にもございましたとおりに、そのときの物価の上昇あるいは給与ベースの改定というものをほとんどそのまま率を掛けて増額になってきておりまして、その間、特別の意味を加えると
 いうことはほとんどなかったわけでございます。今回もまた、最近の急激な物価の趨勢あるいは給与ベースの改定等に伴いまして、ただいま仰せになりましたような率をもって今回御審議を願うことになったわけでございます。別段ほかの理由を付加してはおりません。それだけを申し上げます。
#37
○戸塚進也君 もちろん、これは法に定めたとおりに、宮内庁としては、政府としてはやっていらっしゃることですから、現状についてとやかく言うのじゃありませんが、決められたように、同じように毎年毎年やっていくことを、そのたびごとに法律で施行していく、そういうことについてはどういうふうに長官お考えになりますか。
#38
○説明員(宇佐美毅君) この皇室経済法の考えますところは、恐らく皇室の内廷費、皇族費というものは、毎年変えるというような考え方でなく、法律でもって一定の額を決める、できるだけそういった経済情勢その他の変化がなければそのままでいくという考え方ではないだろうかと思うのでございます。したがって、従前、二十二年からすでに二十数年たっておりますが、その間十七回ということは毎年やったわけではございません。できるだけ情勢を見ておったのでございますが、昭和四十三年に、当時国会の委員会でもいろいろ御質問もございまして、この趣旨に基づきまして皇室経済会議のメンバーがお集まりになりまして、それに総務長官も加わられまして、将来どういう基準でもってこの改定に当たるかということを審議されましたわけでございます。そういうわけで、そのときの答申に基づいていたしておりますが、そのときには同時に、よけいなことでございますが、皇族様の殿邸というのは非常にひどいという状態から、これに対しても一定の企画を持って検討すべきではないかということが決められたわけでございます。そういう次第で、そのときの懇談会の趣旨に基づきまして、事務当局としては案を立てて委員会の御審議を願い、政府から国会の方にも御報告する法律の手続によって進んでまいったわけでございます。
#39
○戸塚進也君 内廷費は、天皇並びに皇后様初め内廷にあるそのほかの皇族の日ごろの費用、そのほか内廷諸費に充てるもので、お手元金とし、これを宮内庁の経理に属する公金としないというふうなことが定められているわけでございますが、この一億六千七百万円、この使途の中で、もちろんこれは私的な点が多いわけでございますから、余り明細にというわけにはまいりませんでございましょうが、大体、概略してどのような内訳に使われているのか、差しさわりのない範囲でお聞かせをいただきたい。
#40
○説明員(宇佐美毅君) ちょっとそのお答えの前に訂正いたしますが、先ほど昭和二十二年の皇族費が百五十万と申し上げましたのは私の誤りで、十五万円でございます。訂正をいたします。
 内廷費は、ただいま仰せになりましたように、これは宮内庁の公金としない、いわゆる私的な経費ということで、この内容につきましては一般的にいままでも説明をいたしてはおりません。しかし、御審議を願う意味からある程度の御説明はすべきものと考えておりまして、ここで大体のことを申し上げますが、内廷費は、いま仰せのとおり日常の通常の経費、内廷に属せられる方というのは、申し上げるまでもなく天皇、皇后両陛下と皇太子殿下、同妃殿下、それからお子様方お三方、現在ではそれだけの方の御日常の経費でございます。
 一つは、御服装とかお身回り品でございますとかで、ですからお服でございますとか、それに付属品その他必要な経費というようなものが入ってまいります。それから第二には、お内輪の私的なお集まりのときのお食事、たとえば御親戚あるいは旧皇族方あるいは現皇族方、少数のお集まりのときのお食事とか非公式のその他の御会食、あるいはお内輪のいろいろなお誕生日のお祝いその他に、きわめてまあ世間から言うとずいぶん質素な御贈答がございます。そういうような経費でございますとか、その他お茶会とか、それに伴う厨房関係。それから第三には、いろいろな外部に対して私的な意味での奨励、災害のお見舞いその他御交際の費用でございまして、たとえて申しますと、学士院、芸術院の恩賜賞あるいは日本赤十字、社会事業団体等への賜り物とか何かが入っております。その他風水害のお見舞い金その他の御交際の経費でございます。第四が、御教養の図書あるいは御研究、それから私的な御旅行、たとえば葉山とか那須とか下田においでになるときのような私的な意味の御旅行の経費。それから第五が、いわゆる宮中三殿の神事に関する経費でございます。それから、その他、挙げました以外の医療費、お医者さんの薬の関係とか、その他御所持になっておりますいろいろな絵や何かの修理、補修その他の経費、そういうようなものが入っております。それだけでございます。
 これも要するに基準的に申し上げたわけで、その年々で動きはもちろんございます。ございますが、大体申し上げましていまのようなことに使われておるわけでございます。
 そのほか人件費としましては、内廷に属する人、たとえば生物学御研究所とか、宮中三殿に仕える掌典その他約二十五名の人の人件費というようなものが内廷費の中に入っているわけでございます。でございますから、毎日の経常経費であって、非常に何か臨時の大きなものがありますとちょっと困る場合も出るわけでございますが、そういうような意味で、これも予算でございますから過不足が生ずるので、その全体に対する一〇%程度の予備的な経費というのを初めから組んでございます。これは、それがそのままやれるときには改定の法案を出さないという考え方が当時の懇談会で決まったわけでございます。近ごろのように、非常に人件費も上がり物価が上がりますと、とても追いつきませんので、昨年からまたお願いするようなことになっておるわけでございます。まあ、いまいたしますのは昨年のベースアップあるいは物価騰貴等が基礎で、要するに一年おくれでございますけれども、お願いをいたすわけでございます。
#41
○戸塚進也君 長官、率直にお尋ねいたしますが、この内廷費の今回の改定額は、日本国の天皇の地位にふさわしい額であるとお考えになりますか。私は、これはなかなか比較することがむずかしいんだと思うんです。で、自分自身も、お尋ねする前に各世界の王室関係がどのようにお賄いしていらっしゃるかということも調べたいと思ったんですが、たとえば、いまいらっしゃっているイギリスの王室などの場合には、王室の財産といいますか、そういうものが元来おありになって、その中からの果実とかいろいろなもので賄っていらっしゃるようでございますから、日本とは全然体制も違うようでございますし、ですから、比較といってもなかなかこれは長官、むずかしいと思いますが、まあこの地位にふさわしい額であるか、お感じを伺いたい。
#42
○説明員(宇佐美毅君) まず外国との比較でございますが、ただいま仰せのとおり非常にその内容、それから組み方が変わっておりますので、なかなか比較ができません。そういう御質問をかつていただいたこともございましたけれども、いろいろ勉強いたしましてもぴしゃりと出てこないわけでございます。
 ただ、イギリスも戦前から、大戦の途中にはむしろ減額をされたときもあり、ずいぶん長い間据え置きになっておりましたが、その後非常に窮迫をされたという趣旨でございますか、そういうことから、昨年、ことしと重ねて大きな増額があったようでございます。その際、伺いますと、いわゆる私的財産のうちからその財源の一五%をお出しになったということが報道されておりますが、そういうような大きな私的財産というのは、どのくらいあるかというのはとてもこれはわかりませんし、わが皇室の方では、御承知のとおりに新憲法のときにすべての財産の調査が約三十七億ということでございまして、そのうち財産税として三十三億ですか、それから残るものを憲法八十八条で、すべて不動産等の、要するに陛下のお手回り品とかその他は別としまして、すべて国有とすとなりまして、そういった財産がございません。ただ、そのとき千五百万円という有価証券等が、当時占領中の占領軍にも承認されて、それがあるだけでございます。ですから、陛下の御位置に適当かどうかというなかなかむずかしい問題で、皇族についても、よく皇族様から、ぜいたくと皇族の品位を保つということとどういうふうに考えたらいいかという御質問があって、ちょっとなかなかお答えにくいんでございますが、そういうようなことで、私どもは内廷におられます方の御生活が非常に困窮してお困りだということにはもうしたくないと思いますが、しかし、昔から皇室は非常に質素をとうとんでいらっしゃいますので、私どもは特にぜいたくをあそばしているとは決して思いません。なかなか洋服の新調なんかもお許しを得なくて、おそばの者が困っておるようなぐあいでございます。ですから、ふさわしいかどうかという点は何を標準にして言っていいかよくわかりません。ただ、私どもの務めとしましては、非常にお困りにならないように、そして正当に象徴としてのお働きができるようにいたしたいというふうに考えているわけでございます。
#43
○戸塚進也君 長官のお答え、私のお尋ねがまずかったのかもしれませんが、ぜひひとつ天皇の国事行為そのほが非常に重要なやはりお役目を持っていらっしゃるわけでございますから、やはりそういうことに支障のないような形でこの改定を行っていただきたいと、そういう趣旨でございました。
 それでは次に、宮内庁関係の懸案の営繕等について概括的に伺いたいと思いますが、この五十年度の予算では、皇室用財産維持管理等に必要な経費十六億二千百八十万九千円計上されております。その中にいろいろ御改築等の費用も実は入っていると思うんでございますが、今後の懸案の問題、桂離宮の問題等もあるやに伺っておりますが、現在宮内庁関係で懸案になっております営繕関係、主たるものだけ御答弁をいただきたいと思います。
#44
○説明員(宇佐美毅君) 宮内庁の施設に関する経費というのは、大体維持という点が主でございまして、新しい建設というのは比較的少ないわけでございます。ただいま御指摘になりましたとおり、最近ずっと新宮殿ができました後の問題といたしましては、先ほど申しましたとおりに、池田内閣当時に問題になりました各宮家がひど過ぎるという御議論でございましたが、ようやくそれが最近になりまして、三笠、秩父、高松宮殿下の公邸、皇室用財産として完成をいたしております。残るのは常陸宮殿下でございます。これはたしか大正十四年に伏見宮殿下の妃殿下のお住まいとしてできたものでございました。その後を、戦争中に焼夷弾を受けて屋根が壊れて雨が吹き込んだ建物でございますが、皇太子殿下のお住まいがなくてそれを修理いたして使っていたわけでございます。東宮御所ができましてから、いまの常陸宮様がお住まいでございますが、とにかくそういうような建物で、ドアなんか何回直してもまたあかなくなるような、あるいは材木にコケが生える、キノコが生えるというような状態もございまして、何とか今度は常陸宮様ということで予算を、昨年から調査費いただき、ことし第一年度が予算で御審議いただいたわけでございます。明年度で解決する予定でございます。
 それから、あとは桂離宮の問題でございます。これも最近非常に建物が傷みまして、あるいは床がでこぼこしたり、ひねりが出てきましたり、いろいろ支障がございまして、これをどうするかというのは、重要な文化財でもございますので、建築界、美術界、各方面の識者二十名にお集まりいただいて、基本的にどうしたらいいかということを文化庁の方の方にも参加していただいて検討をいたした、第一回をこの間いたしました。その結果、やはり解体改築修理をすべきじゃないかということで、まあごく最近も、現地でもう一遍よく調べようということでその会合をいたす予定でございますが、大体いまのところ、まだどういう方法で、どういう方式でというところまでいきませんが、今度の第二回ので大体見当がついて、できますならば明年度の予算から五カ年ぐらい少なくともかかるだろうというふうに思います。で、非常に慎重に昔の形をいろいろ残しながらいたしたいと思います。ただ、お庭の方は、その間、参観の人は多分通せるだろうということでいま考えておるわけでございます。まだ何年度かかるか、どのくらいの予算がかかるかというのが出てまいりません。よく検討の上で、いずれ御審議をいただくときがあろうかと思う次第でございます。
 そのほか、もう一つは那須の御用邸が大分もう手を入れなきゃならぬことにもなっておるわけでございますが、これは陛下のおぼしめしで、こういうときでございますので、那須の御用邸はしばらくやめたいということで、予算の提出を引っ込めておるわけでございます。まあこれ、どうなりますかわかりません。
 それからもう一つは、葉山の御用邸がこの前に、火災のために御本邸が全焼いたしました。これは衆議院の方でも、多分参議院でも御質問があったと思います。大体、方針といたしましては、地元の熱心な希望もございまして、御本邸を何かの形で再建したい、ただし、付属邸とか、あるいは公園として町に一応貸してございます辺は、そういうときにはひとつ公共のためになるようにしてもらうようなことをしてはどうかというような、いま宮内庁としては考えを持っております。これも御用邸でございますので、こういう経済あるいは財政のときに、すぐ出すかどうか、これはよく検討した上で将来考えたいと思っております。
 以上でございます。
#45
○戸塚進也君 総務副長官と宮内庁長官にお尋ねいたしますが、衆議院の内閣委員会の中で、明年が御即位五十年ということになる、ついては、やはり国家的にもこの祝賀行事というものを考えてはどうか、総務長官からも、これは前向きに考えたい、検討したい、こういう御答弁が出ているやに伺っております。この問題について、総理府として、また宮内庁長官としていまどのような方向で検討されていらっしゃるのかお尋ねしたいと思います。
#46
○政府委員(松本十郎君) 昭和五十年に当たって何か行事を行ったらどうかと、こういう御意見が出ておりまして、五十年の行事につきましては、内閣で行うのが適当ではないかと考えておりますが、現在のところ、行事を行うかどうかについてまだ具体的に詰めていないというのが実情でございます。そして、いま戸塚委員のお説のように、来年が天皇御在位五十年に当たりますので、御在位五十年という意味で何かやってはどうかということでございますが、これにつきましては、宮内庁を初め関係省庁と十分相談する必要があるわけでございまして、いまのところまだ決定には至っておらないと、これから検討を続けてまいりたいと、こういうところでございます。
#47
○説明員(宇佐美毅君) ただいま総理府副長官からお答えのとおり、政府として検討中でございまして、いずれ宮内庁にもそういう場合には御協議があると思います。われわれとしましても、歴代五十年というのは非常に例の少ないことでございます。外国におきましてもいろいろ例があるようでございまして、ごく最近ではオランダの女王陛下が治世二十五年、御年六十五歳になられるときに国を挙げて九日間ぐらいお祝いをされた例があるようでございます。しかし、わが国ではそういった元号でございますとか、御在位何年というのは余り例がないのでございますが、国民の間からそういう熱心な声が出ることについて私どもは反対することもないと思いますが、いま申し上げたとおり、これは政府としてよく御研究なさることで、われわれもその際御相談申し上げたいと、かように考えております。
#48
○戸塚進也君 ぜひ前向きにひとつ検討していただきたいと思います。
 そこで、最近の天皇、皇后両陛下あるいは皇太子様、そのほか宮様の最近の御活動状況といいますか、国民的にも非常に信頼を受けて毎日お元気で御活躍なさっていらっしゃると思いますが、その概括の状況についてお尋ねをいたしたい。なお、これはもちろん法律に基づいてやっていらっしゃることでございますし、また承るところによりますと、現在の日本の法律では、天皇の御意思で皇太子にその位をお譲りになるとか、そういうことはでき得ないということにも伺っておりますし、陛下もただいま非常に御健康でございますから、全く現在国事行為を遂行するについては何ら支障はない、こういうふうにも思うわけでございますが、しかし、皇太子様も非常にああして健やかに御成長をなさって、そうしてまた、国民的にも世界的にも大きな信頼をかち得ていらっしゃる。したがいまして、やはり私ども若い者から見ますと、やはり皇太子殿下の御活躍の場といいますか、そういうものをできるだけひとつ広い範囲にしていただいて、さらに日本国民のために御活躍いただきたい、こう考えておるわけでございますが、長官として、そうした考え方についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
#49
○説明員(宇佐美毅君) 一般的に申し上げまして、皇太子殿下、同妃殿下、あるいは各皇族様方は、やはりいろいろな意味で御活動になって、折々報道もされるわけでございます。しかし、中には相当間違った報道もたくさんございまして、われわれの職務といたしましては、そういう点をできるだけいろいろな機会に直すようにしたいと思います。皇太子殿下はもうすでに御年四十二に達せられました。しかし、いま仰せのとおりに、日本の皇室典範においても、位をお譲りになるということはできないというたてまえになっておりますし、それから、臨時代理、委任事項、国事行為を委任されるというようなことも、いわゆる憲法上の国事行為だけに関する規定でございますし、それから、それにはやっぱり陛下の身体あるいは精神に御異常があるという前提がございます。ただいま陛下はすでに御年七十四歳にお達しになりましたけれども、きわめて御壮健で、痼疾というものは何もございません。あくまでもその義務を果たそうというお覚悟でなさっているように私は拝見をいたします。皇太子殿下はやはり皇太子殿下としてのお立場で、それにふさわしい御活動を願うのがいいと思いますし、殿下御自体も国民のためなら何でもやるといつも仰せになるわけでございます。災害が起こりますと、すぐそういうことをおっしゃいまして、自分でよければすぐ行くよということをよく仰せになる方でございます。将来、日本の象徴としての御地位を継承されるお立場におられますので、われわれとしても、そういう点からりっぱなそういう御修養をいただきたいし、御活動もしていただきたいと、常に考えるところでございます。殿下も国民とともにありたい、何でもしようということで、外国においでになりましても、ずいぶん厳しい日程でありますけれども、たとえば、ブラジルで日本人の部落が遠いところにあると言いますと、朝五時ぐらいから起きて、ごく少数の者とそこまで飛んで行って会ってこられるというような、非常な努力をしていらっしゃいます。そういうわけでございますが、日常いろいろな御修養も、それから行事もやっておりまして、たとえば国体にもよくお出かけになりますし、全国の高等学校の体育大会、これなんかもいつでも真夏でございますが、毎回出ておられます。それから、全国の身障者に対しましては特別の御配慮でございまして、このスポーツ大会には必ずおいでになります。ボーイスカウト、あるいは献血運動、海外にいる日系人の大会でございますとか、自然保護憲章の宣誓式とか、自然保護のことについては特別いろいろ心を使っていらっしゃいますし、まあ数えれば非常にたくさんそういう御活動もございます。それから御視察その他、いろいろな展覧会で激励をなさるとか、社会福祉事業なんか、必ず地方へお出ましになると寄って激励をなさっておるわけで、いろいろな点から国民と深く触れ合う、農村に行きましても、日中御視察で、夜になりまして二時間も農村青年と御懇談なさるようなのが例になっております。いろいろ農業問題も非常にお詳しいので、農村の人たちもびっくりするくらいであるように伺っているわけでございます。その他、日本青年の海外協力隊とか、数々の外国関係についても努力をなさっておるわけでございます。ずいぶんお忙しい日夜を送っておられるわけでございます。御勉強の方も憲法、経済、国際事情、内外の歴史、こういうものを定期的に御勉強になっておりますし、間にエネルギーの資源の問題とか、食糧問題とか、現下の日本の重要な問題についてもそれぞれの識者を呼んで非常な研究をしておられる。
 そういうわけで、あらゆる機会を通じて国民との接触を図る、あるいは諸外国との親善協調の進展のために御努力なさるということでございます。御結婚後を数えましても十二回、十九カ国に陛下の御名代等としてお出ましになって御努力をなさっておられるわけでございます。こういうことが国民の皆さんにもわかっていただいて、りっぱな皇太子として御成長になるように国民の方からもひとつ御接触をなさっていただきたいとわれわれは思うわけでございます。
#50
○戸塚進也君 それでは、新聞そのほかから伝えるところによりますと、この秋、天皇、皇后両陛下が御訪米になる、日米親善と世界の平和。ともかく御訪米ということを抱えていらっしゃるわけでございますが、現在この御計画はどのように進んでいらっしゃるのか。もちろん天皇陛下も皇后陛下も御高齢でもございますし、そうした御日程そのほか健康の問題も十分御配慮もいただかなければならないところでありますし、さらにまた、日米親善関係というような非常に大きな課題も抱えられての御訪米でございます。外務省は日程を御担当なさっていらっしゃると思いますが、どのように進めていらっしゃるか、あるいはまた宮内庁長官として、どのように受けとめて現在準備を進めていらっしゃられるかお尋ねをいたします。
#51
○説明員(深田宏君) 宮内庁長官からも御説明があろうかと存じますが、外務省といたしまして、ただいまの御準備の状況を概略御説明させていただきます。
 御案内のように、本年二月二十八日の閣議におきましてアメリカ合衆国御訪問が決定を見たわけでございますが、その後、米国政府とも協議を進めました結果、御日程の概要につきましては三月の二十日の閣議で総理府総務長官から御報告をいただいた次第でございます。
 詳細は省略いたしますが、十月の一日にお立ちになりまして、約二週間の御予定で、ワシントン、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ホノルル――ハワイと、これらの各地をお回りになる御予定でございます。各地での行事の詳細につきましては、アメリカ政府関係当局とも緊密に協議を進めておる最中でございまして、現在の時点でも担当の者を現地に派遣をいたしておるような状況でございますが、詳細そのものはいまだ確定を見るに至っておらないわけでございます。一方、アメリカ側の歓迎の準備も、またその歓迎の意向も非常に盛り上がってまいっておりまして、先般の外務大臣の御訪米の際にも、フォード大統領以下アメリカ側関係政府首脳初め、陛下の御訪米をお心待ちにしておるということを口をそろえて申しておる次第でございますし、またアメリカの主要な新聞におきましても、この行事が、長い日米関係の歴史の上で初めての陛下の御訪米ということで非常に有意義なものであるということを、そろえて報道しておるような次第でございます。また、外務省自身といたしましても、宮内庁初め関係御当局と緊密な連絡をとると同時に、外務省の中でも準備のための委員会、本部等を設けまして、鋭意お手伝いをさせていただいておる次第でございます。
#52
○説明員(宇佐美毅君) 天皇陛下、皇后陛下の御訪米につきましては、ただいま外務省の御説明がありましたとおりでございます。天皇陛下は、五十数年前にヨーロッパに六カ月お出ましになりまして、ヨーロッパの各地を六カ月の間いろいろごらんあそばしたときにもアメリカにお回りになる話が出ましたけれども、いろんな事情で取りやめになりまして、そのことは陛下も非常に残念に思っていらっしゃったようであります。すでにもう半世紀を越えておりますが、このたび、アメリカの前大統領以来、しばしば御招待がございまして、陛下は常に、これは政府に伝え、各種の事情がよければ自分個人としてはできたら伺いたいという、いつでもそういう御返事をなされます。で、いよいよ今回それが実ったわけでございまして、大体十月の初めごろからお出かけになるわけでございまして、ただいま外務省が、アメリカ当局と日本の安川大使のところで各総領事を総動員して日程の調査、準備を進めていただいておるわけでございます。時々御連絡をいただいて、われわれの考えを申し上げるわけでありますが、両陛下は別段お体に御支障がないといいながら、すでに、だんだんお年を召すわけでございます。余り無理な御日程は私どもとしてはなるべく避けていただきたい。しかし、御訪問になる以上は、その目的を本当に両国の親善のためにお尽くしになるということも大事でございます。ですから、余り楽なことばかり申し上げるわけではございませんけれども、ワシントンにおける公的な行事が二日ぐらいございますが、これがやはり中心で、あとは幾らか地方をごらんになるという意味で、余り朝早くなく夜遅くないことをわれわれは望んでおるわけでございます。そうして、アメリカの特徴ある姿をごらんになることを通して、アメリカ各層の人とも親しく触れていただく。ことに日系人もたくさんおることでございます。しかし、アメリカ訪問でございますから日系人ばかりとお話もできない点もあろうかと思います。そこら辺はよく外務省ともお話をいたしまして、調和のとれた御旅行をお願いいたしたいと思います。いままでも、各都市の市長からずいぶんいまだに招待状がまいりますが、すべてをお受けすることもできないかと思いますが、いずれ外務省で取りまとめていただいた上で、陛下にもごらんに入れて、それから準備ができましたら、事前にお打ち合わせにアメリカに代表が行くということも起ころうかと考えます。夏をはさみますと休暇の問題等ありまして、大分急ぐ模様もございます。これから、イギリス女王陛下御訪問が無事済みましたら、すぐにかからなきゃならぬというふうに考えております。
 以上でございます。
#53
○戸塚進也君 長官に一言だけお伺いをしますが、御訪米以外に、天皇、皇后両陛下が外国に御外遊なさるというような御計画はほかにないかどうか。
 それから、総務副長官、外務省にお尋ねしたいことは、たとえば先般のアラブの問題等見ておりましても、これはあくまでも私個人の私見でございますが、石油の問題が起こったときには、できれば三木総理御自身がアラブにいらっしゃるべきではなかったかなというふうにも実は思っておりますし、また、その後の御葬儀の問題も若干あったわけでございますが、アラブに限ったことではありません。しかし、たまたま私はいま一点考えるならば、石油問題もまだ完全に片づいたわけではない、今後の非常に大きな日本の国民として考えなきゃならない問題も抱えているこのアラブ諸国、せめて両陛下が御高齢で御無理であるならば、先ほど長官からも、皇太子殿下がもう国民のためなら何でもしようと、こういうお話があるくらいでございますから、当然やはりこれは日本の将来ということを考えました場合も、政治問題というだけでなくて、世界の平和というようなことを考えた場合でも、皇太子様にもお願いをして、アラブ初め関係の世界各国との友好親善のために引き続いてやはり御外遊いただくということも一つの方法ではないかと、こう考えておりますが、その点政府としてどのようにお考えになっていらっしゃるか、また、具体的な御計画がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#54
○政府委員(松本十郎君) 皇太子殿下を初め皇族各位の方々の御親善の外遊等については、先刻宮内庁長官から御答弁がありましたようなわけでございますが、まあ石油を初め資源あるいは当面の外交問題で御外遊となれば、いろいろ問題もあろうかと思いまして、そういう意味では、御所見の御趣旨はよくわかりますが、いろいろと慎重に検討を加え、また熟慮しなければならない問題だと思いますので、これまた宮内庁初め関係の方面とも十分連絡をし、また協議を重ねまして、慎重な配慮のもとに善処してまいりたいと、こういう考えでございます。
#55
○説明員(宇佐美毅君) ただいま、アメリカの御訪問後にいずれかの国においでになる計画があるかということでございますが、現在何もございません。いま総務副長官も言われましたとおり、いわゆる政治的な意味に絡まれるのは陛下のお立場でございません。ですから、たとえば石油問題でいろいろ説をなす人も外にはございますけれども、私どもはそういう意味で、特に早くおいでになるとか、特にお出になるというようなことは私は避けていただきたいと思っております。自然に親善というような意味だけでおいで願うなら、御健康であります限りは今後ないとは申し上げかねますけれども、いまは計画されているものは一つもございません。それははっきり申し上げます。
#56
○説明員(村田良平君) 対象を中近東地域に限りますと、この地域は最近ますます重要になっておりますが、さきに皇太子殿下が、これは昭和三十五年でございますけれども、イランを御訪問になり、また四十六年にはアフガニスタンを御訪問になっております。で、われわれ、将来わが国とアラブ諸国との関係を一層緊密にするということは非常に重要な政策目標と考えております。したがいまして、天皇陛下あるいは皇太子殿下、その他皇族の方々が、これらの国を御訪問なさる機会がもしありましたならば、それはわが国と中近東諸国、特にアラブ諸国との間の友好関係をさらに増進するという意味において非常に有意義であるというふうに思いますけれども、具体的には、今後政府の関係各方面、特に宮内庁と十分御相談して検討してまいりたいというのが外務省の考え方でございます。
#57
○戸塚進也君 長官、決して私は、政治的に天皇あるいは皇太子にこれに巻き込まれるようなことをというような意味は毛頭ございません。ただ、国際親善、世界平和、こういう高い次元から、ぜひ天皇家の御活躍といいますか、皇太子殿下も含めて今後お考えいただきたい。先ほどの外務省のお考えのとおりでございますから、その点ひとつ私の言い方が足らなかったらおわびをいたします。
 最後に、冒頭エリザベス女王の問題についてお尋ねしたわけでございますが、宮内庁長官に最後に、まあ昨晩もああして晩さん会も国民の、衆目といいますか、ああしてテレビ中継もございました。大変なごやかに行われたようでございまして、非常に陛下もお喜びじゃないかと思っておりますが、おそばにいらっしゃった長官としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。さらに、まだ宮内庁として御担当いただかなければならないエリザベス女王の御訪日に関する御日程もあるようでございます。万全を期していただきたいと思うわけでございますが、最後にその点を伺って質問を終わりたいと思います。
#58
○説明員(宇佐美毅君) 昨年十一月以来、フォード大統領、その後ルーマニアのチャウシェスク大統領がお見えになりまして、またここにイギリス女王をお迎えするわけでありますが、つくづく考えますことは、それぞれの国がそれぞれの特徴があるということでございまして、日本人がただ日本流に考えて済まないことがたくさんあるということをつくづく感ずるわけであります。もっとわれわれは他国のことも勉強したいと思うわけでございますが、昨日は非常に天候に恵まれまして、先ほどもBBCの人が本国向けに宇宙中継やって放送しているときの話を聞きましたら、天皇陛下がいらしたときは曇っていた天気がみごとに晴れて、天皇日和という言葉が向こうにもはやったわけです。今度またお天気がいいというのは非常にありがたいことだということを真っ先に放送しておりますし、いろいろ非常に喜んで、言葉を尽くして放送しているそうでございます。それから、ちょっとこれは漏れ承ると、沿道に人が非常に出ておるので女王陛下も非常にお喜びになったそうで、何か陛下もつり込まれて、最近私もこんなに出たのは見たことがないと仰せになったぐらいだったそうでございます。それから、今度はなるべくやわらかいところもということで、公式に宮殿においでになるお帰りに、宮殿の芝のあります、いまツツジのきれいに咲いている庭におりていただいて、そこでまたテレビ写真班に撮ってもらいましたが、この光景はまた、イギリス側でも、非常になごやかで実にりっぱなおもてなしだということを放送していたそうでございます。われわれはそういう反応もいろいろ聞いた上で、今後にもいろいろ勉強して、各国の方をお迎えする以上は喜んで帰っていただくように一層努力をいたしたいと、これだけを御報告申し上げます。
#59
○委員長(加藤武徳君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめたいと思います。
 本日はこれで散会いたします。
   午後三時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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