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#1
第075回国会 本会議 第4号
昭和五十年一月二十九日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和五十年一月二十九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、北海道開発審議会委員及び鉄道建設審議会
  委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、北海道開発審議会委員、鉄道建設審議会委員各一名の選挙を行います。
#4
○安永英雄君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#5
○細川護熙君 ただいまの安永君の動議に賛成いたします。
#6
○議長(河野謙三君) 安永君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、北海道開発審議会委員に川村清一君を、鉄道建設審議会委員に阿具根登君をそれぞれ指名いたします。
     ―――――・―――――
#8
○議長(河野謙三君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。二宮文造君。
   〔二宮文造君登壇、拍手〕
#9
○二宮文造君 去る一月二十七日、衆議院本会議におきます自民党政調会長松野頼三君の代表質問の中で、「日台航空路線の途絶は両国間の国益を損なう」との発言部分は、きわめて不穏当であると思うのであります。この表現は明らかに台湾を国家として認めた上での発言であり、一九七二年九月二十九日の日中共同声明の趣旨並びに大平談話を根本的に否定したものであります。与党の政策最高責任者がかかる認識を持っているとするならば、きわめて重大であると言わなければなりません。代表質問は各党派を代表して行うという従来の慣行から考えてみましても、松野氏個人というよりも自民党の認識と言わなければなりません。また、「日台両国間の国益」とは一体いかなるものなのか、単なる言葉だけの間違いとは考えられないのであります。国権の最高機関である国会において、しかも与党代表者によるかかる不穏当な発言がそのまま放置されるとするならば、日中関係はもとより、国際信義の上からも、わが国が国際的信頼を失う結果になると心配がされます。三木総理は、この発言に対し何ら言及されておりませんが、改めて政府のこの点に対する見解を明らかにするべきだと思いますし、また、自民党総裁としての立場から、代表質問の内容に対する不審は適切な措置を講ずべきことが必要であろうと思うのであります。質問に先立って、この件、総理にお伺いをする次第であります。
 さて、私は公明党を代表して、さきの政府演説について若干の質問をいたしますが、初めに、ぜひとも総理の見解をただしておきたいことがあります。
 その一つは、すでにマスコミなどの話題にも上っております、さきの政変にからむ新党構想についてであります。当時、後継総裁の選任といういわゆる密室の謀議をめぐって、自民党内の熱気と混乱は頂点に達したようであります。その中である領袖は、保守の革命、新党結成も辞せずと言い、ひそかに派閥の間の盟約もできて、革新自由党という党名も用意して、総裁選任の動向を見守ったとのことであります。また一方では、保革連合と称する一部の動きもあったと指摘されており、これら二つの工作に三木総理が有力なメンバーないしは中心者に擬せられて参画していた、というのであります。総理は、かねてから自民党の持つ金権的体質を憂い、さらには一党支配の限界を自覚して、それが新党構想への高まりとなったと見る向きもあります。こうした中での三木総裁誕生は、自民党分裂の危機を回避するため、三木さんを封じ込めるということであったとも言われております。総理の、「信なくば立たず」との言葉はあまりにも有名であります。しかし、その本意が、よって立つところが自民党であれ、保守新党であれ、はたまた保革連合であれ、いずれにしても、要は政権の座につくためにすぎなかったとする見方は総理の真意ではないと私は思います。やがて総理の政治姿勢、その実績が国民各位の正しい評価につながるとは思いますが、この際、総理自身から、その間の経緯、その真意を明らかにしていただきたいのであります。
 その二は、政治姿勢、信条についてであります。
 総理は就任に当たって、党内には体質改善とその近代化を要請し、野党には対決ではなく対話と協調を、そして国民各位には社会の公正を確保することを約束して、政治の信頼回復が最大の急務であるとその所信を述べられました。総論としてはそのとおりでしょう。しかし今日、国民の政治不信、政治危機に対する認識と憤りはまことに深刻であり、その総論についてさらに説明を求めるのではないかと思うのであります。すなわちそれは、うそと不正のない政治、たてまえと本音が変わらない政治、公私を使い分けない政治ということであります。具体的に問題を提起して見解を伺います。
 まず、田中前総理の金脈問題の処理であります。田中氏自身、断じて不正はない、やがて公表すると明言しましたが、今日までそのような措置はありません。総理は税法上の守秘義務を盾に、国政調査権に基づく国会の資料提出要求を拒否するという政府の統一見解を指示しました。わずかに先日、本院決算委員会で大平蔵相並びに国税当局から中間報告を受けましたが、それとても、三月をめどに鋭意調査をしておりますということにとどまる内容であります。これでは国会は国民の信を失います。政府も国税当局もまた信を失うことを私は恐れます。うそと不正を許さないとする総理はこの問題をどう処理されるのか、答弁をいただきたい。
 また、総理は、昭和五十年度予算案編成を前にして野党党首と会談をいたしました。いわゆる対話路線というのでしょうか。しかし、でき上がった政府予算案は、旧態依然とした自民党案そのままであります。野党との対話はたてまえ、本音は相変わらず一党独裁では総理の所信に反するではありませんか。したがって、国会審議の場を通して、国民の要請に基づいた修正に応ずる姿勢を党内に指示し、いうところの対話と協調路線を貫く決意がありますかどうか。総理は、一昨日、この予算案は野党の希望もできるだけ盛り込んだつもりだから、修正する考えはないと答えましたが、この姿勢もまた自民党の歴代総理と全く変わっていないのであります。改めて答弁を求めます。
 さらに、自民党政府のこれまでの各種年次計画の策定、各種審議会の運営はまさにたてまえ論の最たるものであります。国民生活にきわめて関係の深いわれわれの提案に対しては、政府は常に審議会ないしは調査会の議を経て云々と答弁をしてまいったのであります。その年次計画は実績とのずれが余りにも大きく、また審議会は政府の隠れみの的な存在となってきたのが通例であり、その中で多少自主性のある答申は、これまた政府の手で握りつぶされてきたのが実情であります。年次計画の策定と実績、審議会運営の抜本的改革についての所信を承りたいのであります。
 また、さきの臨時国会で、政治資金問題、特に総理の系統と思われる政治団体の届け出、収支報告について問題が提起されました。その際総理は、後援団体のことなので知らない、調査すると答弁をされました。公私にわたり厳正な総理のことですから、直ちに調査し、処置されたと私は信じます。未届け団体はどうなりましたか、収支報告書は提出されましたか、答弁を求めたいと思います。
 関連して、政治の信頼回復は、政治資金規正法の改正が不可欠の要件であります。そして、政治資金は個人に限る。その年間限度額も制限する方向で改正すべきであります。しかし、政治資金規正にかかわる総理の発言を、国民は、総裁以前と以後、それも日一日と後退していくような印象で受け取っていないでしょうか。総理の決意を伺いたい。
 また、現行法規によりますと、政治団体は収支を報告することになっておりますが、政治団体が議員ないしその関係者に渡した資金は、それがどのような目的に使われましょうとも、政治活動に使われたものとして処理され、所得申告の必要もないことになっています。一般国民の所得や、その使い道についての税務署の厳しい追及に比べて、これら政治資金の収支については、余りにもずさんであり、国民の政治不信の大きな原因となっていると思います。この点についての総理の考えをお聞きしたいのであります。
 以下、順次項目を追って、内政を中心に質問を進めます。
 まず、インフレで破壊された国民生活をどのように守り、どのように救済するかということであります。政府は、当面の施策として、総需要抑制、金融引き締めを徹底することで、三月末の消費者物価を前年比一五%上昇に抑える。そして春闘の賃上げを抑制をして、賃金と物価の悪循環を断ち切ることが国民生活の不安解消につながる。また、国民に対しては、今後の経済が安定成長とはいうものの低成長路線であることを警告し、勤倹政策を要請するという、まさに高度成長下にとってきた同じ景気調整策を堅持していく方針のようであります。総理、いま国民は言い知れぬ不安とむなしさに覆われています。端的に言いますと、高度成長の夢から覚まされてみると、石油も食糧も海外に依存するだけ、資源もない、人口は多く、しかも国土は狭いという日本の現実を見せられたからであります。そしてインフレと不況、相次ぐ倒産と未曽有の失業者、物価高、公害、住宅・交通難、低福祉と、手かせ足かせに縛られた生活にあえいでいるというのが実情ではないでしょうか。インフレに苦しんだ国民が、いままたそれを克服するためと言われる総需要抑制の波をもろにかぶって助けを求めているのであります。
 第一点、物価の鎮静は必要であります。しかし、それは鎮静それ自体が目標ではなく、国民生活の福祉を高めるための手段でなくてはなりません。総理は、経済体質を変革するためには高度成長時代の制度、慣行の見直しが必要と言われておりますが、産業構造、税制、各種補助金、社会保障、行政機構など、変革を促す体制づくりの具体的方針、将来のわが国経済のビジョン、それに至るスケジュールを国民の前に明らかにすべきではないでしょうか。
 第二に、先ほども指摘しましたが、三月末の消費者物価上昇を一五%程度にとどめるという政府の方針は、国民生活を守る、救済するというよりは、むしろ春闘対策と言うべきでしょう。政府演説が異常なほどの熱意で春闘問題に論及をし、労使の協調を望むとはいいながら、その本音は、何が何でも賃上げを低位に抑え込もうとの姿勢は、財界の番人型、対決型そのものです。
 政府は、あれほど国民が願った公共料金の完全凍結という要求も退け、春闘以後の五月以降になし崩しに大幅値上げを決定をしています。これもまたきわめて意図的であります。勲労者世帯の生活の窮迫は、総理府統計局の家計調査が明白に実証しています。低所得世帯の飲食費、エンゲル係数はすでに四〇%を超えています。この際、高物価を調整する賃上げが勤労者の生活実態に照らした賃金値上げであるし、その要求は支持すべきと思います。春闘に対する考え方、あわせて公共料金凍結について政府の考えを承りたい。
 第三に、食糧問題は重要課題であり、さきのローマ会議においては、将来にわたる深刻な食糧事情が討議されました。今日、日本は、食糧を海外に依存し、穀類だけの自給率はわずか四三%、飼料、砂糖はほとんど輸入であります。高度成長政策が農業の荒廃を促し、農業人口を都市に、工場に集中させました。つくれる米も財政のやりくりから生産を制限し、しかも、いまは食糧の備蓄を国際会議の議題にする時代を迎えております。農業政策の見直しは焦眉の急となっておりますが、政府の対策はどうですか。
 政府は、昭和六十年度農産物需給見通しにおきまして、総合自給率七五%、穀物は現在よりもさらに少ない三七%としています。四十七年度に比べて、農家戸数は八十万戸も少ない四百三十万戸、就業人口も二百五十万人以上も少ない四百万人から四百三十万人と想定をしております。米の生産は現状どおり、すなわち生産制限を続けることとしています。要するに、輸入依存の現体制を維持ないし拡大するにほかなりません。この国際情勢の中で、世界の工場という、いままでの高度成長の仕組みを追うような、このような想定でいいかどうか。二百数十万人の離農者をどう吸収する計画なのか。専業農家の指導、育成をどうするつもりか。また、農家の所得を保障する、いわゆる食べられる農業を目指しての経営規模、価格支持政策など、生産者対策をどのように織り込んでいく方針なのか説明をいただきたい。
 また、深刻化を予想される世界の食糧事情を考えましたとき、総理の言う国際協調の面からも、日本が問題解決に積極的に寄与する、たとえば発展途上国の自力更生に寄与するという意味での農業の技術援助、技術移民も検討すべきだと考えますが、どうでしょうか。
 あわせて、重要なたん白資源と言われる漁業に関連をしまして、国連の議題になっております領海十二海里、経済水域二百海里説に対し、政府はどう対処するのか、所見を伺いたいのであります。
 第四は、中小企業対策であります。
 総需要抑制に係る不況は、繊維、建設、家電業界を初めとして全業種に広がり、民間調査機関による倒産件数は、昨年十月以来三カ月連続して一千件を上回り、負債総額も戦後最高を示しております。しかも、二、三月危機説はより以上の規模になることを警告をしています。春闘をめどとしての政府の強硬策が、春闘には直接関連を持たない中小零細企業や未組織の働く人たちを最大の犠牲者にしているのであります。中小零細企業は不況に対して全く抵抗力を持ちません。経営者も働く人も、ともに金融緩和よりは仕事を要求しています。この際、中小企業を重点に、国民の生活環境改善に役立つ公共事業を促進するなど、細心の注意を払いながら、実需を拡大する方向に運営を切りかえるべきだと思いますが、どうでしょう。
 関連して、発展途上国の追い上げによる中小企業製品の輸入の急増、輸出の伸び悩みは深刻であります。ニット、縫製品など繊維製品では、輸出、内需ともに決定的な打撃を受け、転廃業の危機にもさらされております。構造改善など企業努力も必要でしょうが、輸入秩序も含めて、政府の抜本的な指導育成が要請されておりますが、対策はどうでしょうか。
 要するに、全企業の九九・四%を占め、大企業の下積みの中で日本経済を支えてきた中小零細企業に対する政府の施策は、これまでの実績では二次的、三次的にすぎません。施策を強力に推進するため、中小企業省を設置して、金融、税制、雇用者対策等々、日本経済の変革に対応し得る体制をとるべきですが、どうですか。
 総理は、昨日の竹入質問に、機構をつくるだけでは云々と答弁をされておりました。しかし、機構が一元的あるいは強力でなかったがゆえに政策のおくれが出てきたこともここで思い起こしていただきたいのであります。また、連日大企業の臨時工の打ち切り、大量のレイオフ――一時帰休が報道されております。現在の段階では、下請の中小零細企業はすでに切り捨てられた後であります。下請中小企業に対しどのような仕事量を確保するのか、政府としてあっせんは考えられないか伺いたいのであります。また、有効求人倍率は〇・八まで低下し、完全失業者は百万人に達しております。統計にあらわれてこないパートタイマー、季節労務者などを合わせますと、その数は数倍に達するものと考えられます。政府は、摩擦やひずみの傷口は最小限にとどめると述べていますが、これら失業者、また、ささやかなその収入によって生活を支えてきたパートタイマー、季節労務者にどのような対策をとるのか。あわせて、当面問題となっております全国一律の最低賃金制実施について見解を伺いたいのであります。
 第五に、地方自治の問題です。
 府県市町村は、住民サービスの窓口であり、国民生活に密着した機関であります。福祉、教育など生活全般にわたる多種多様な要望を処理するのが地方自治体であり、民主政治の基盤とも言えようかと思います。ところが、その実態は、三割自治、一割自治のその名が示すとおり、地方財政の破綻は行政の硬直化を招く結果とさえなっています。革新自治体誕生の全国的な広がりは、地方行財政の硬直からの、自民党政府の中央集権反対という住民の切実な叫びとして受けとめるべきであります。総理は演説で見直しを公約しました。私は数行にわたるその演説に、総理は政治生命をかけるかの勢いを感じたのでありますが、残念ながら各論の説明はありません。先般も、全国知事会から指摘された五十五項目以上にもわたる是正を要望する事項について、本院決算委員会でわが党委員から質問をいたしましたが、各省庁とも現状改革の意向は全く見受けられない状態であります。各種委任事務の整理、超過負担の解消、補助金行政の改革、交付金を含む自主財源の拡大など、三割自治の悪名を払拭し、地方公共団体本来の住民福祉に貢献できるよう、まさに変革を実施すべきでありますが、どうでしょうか。
 さて、クリーン三木、三木総理と公正の確保、これは今日総理のキャッチフレーズとして知られております。しかし、それがコマーシャルに終わってしまうか、有言実行の人として後世に残るかはまさにこれからでありますし、私の質問の第二の柱もその社会的公正の確保という問題であります。
 現在、インフレに伴う社会的不公正の拡大は、およそ次の諸点に見受けられます。
 まず、物価の急上昇で勤労者の実質賃金が低下し、すでに前年を下回っております。特にお年寄り、低所得世帯の打撃は大きく、インフレは法人企業に有利に働き、債務者利潤を得たのはやはり大企業法人です。
 次に、地価、建築費の上昇などに伴い、不動産所有者は資産価値を増し、その譲渡者は多くの売却収入を得ております。一方で零細預貯金者は、その預金が実質的に目減りをしています。いわゆる持てる者と持たざる者との格差は拡大をしております。さらに老齢、母子年金など社会保障給付金、厚生年金その他年金生活者は、物価値上げによりその年金は相当に目減りを生じており、所得分配上の、また経済生活上の地位は極端に悪化しているのであります。したがって、総理の言う社会的公正の確保は、まずこの点から始まらなければならないはずであります。総理、五十年度政府予算案はこれにこたえておりますか。少なくとも国民の期待は落胆に変わったと私は思います。たてまえと本音の変わり方に、国民は、やっぱりなあ、とため息をつくばかりではないでしょうか。総理の率直な見解を求めます。
 以下、具体的に伺います。
 第一に、税制の不公平であります。今回の税制改正の誤りは、所得減税がミニ減税に終わっていること、大衆課税である酒、たばこの大幅増税を図ったこと、医療報酬の課税の特例を税制調査会の答申程度の改善もしないまま実質的にたな上げをしたこと、土地譲渡所得に対する課税も不徹底であること、妻の座優遇などに名をかりた相続税、贈与税の免税点引き上げと利子・配当所得に対する課税の特例等々、金持ち優遇、大衆課税強化のこれまでの自民党税制をそのまま延長していることであります。総理は御存じでしょうか。この改正でサラリーマンの標準世帯の課税最低限は百八十三万円ですが、配当所得者のそれは三百八十四万一千円、実に二・一倍弱と計算がされます。この点につきまして、先日は四百四万円云々との試算を挙げての質問もありましたが、政府はこの不公平な実態を公表をする責任があります。そして利子・配当課税の特例を廃止し、あわせてサラリーマンの課税最低限を二百八十万円程度に引き上げるべきではないでしょうか。また、東京都新財源調査会の所得階層別にどのぐらい所得税を負担しているかについての調査があります。それによりますと、昭和四十八年、現行課税方式では、所得二百万円から三百万円は一五・二%、五百万円から一千万円では二二・二%、二千万円以上では一七%の負担率となり、二千万円以上の超高額所得者にきわめて有利になっています。これを総合課税方式を実施しますと、それぞれ一六・四%、三四・一%、六七・九%となって、所得がふえるに従って税金の占める割合がふえてくるのであります。総合課税方式を取り入れてこの不公平を改めるのは当然であります。また、相続税など資産課税及び医師・土地課税についても、国民が納得できるよう是正する必要があります。総理は、このようないわゆる金持ちや高額所得者を優遇する現行税制ないし税制改正案は今国会で修正すべきであると思いますが、どうでしょうか。
 第二点は、社会保障の不徹底であります。
 すでに両院を通じて白熱の論議を呼びました。それほど低福祉であり、それほどに政府の取り組む姿勢が手ぬるいということであります。老齢福祉年金月二千円のかさ上げで弱者救済――このことばは適当でないと思いますけれども、弱者救済の目玉が入ったと考えたり、制度発足当時の考え方から言えば大変な増額であると説明をするところに問題点把握のずれがあると言えましょう。昭和五十一年度に賦課方式を含めて制度全般の洗い直しをするとのことであります。国民は老齢、母子を初め各種年金、身障者、生活保護費など社会保障制度のすべてについて、これまでの救貧的な考え方から一歩進めて、貧乏にならないようにするという防貧的な立場での洗い直しを要望しているのであります。そこにおのずから財政に占める社会保障費の割合、その制度、対象者、金額などのナショナルミニマムが計算されると思うのであります。また、実施のための年次計画も必要であります。政府は、五十一年度から基本計画を検討するようでありますが、問題の焦点をどこに置いて検討するのか伺いたい。
 関連して、医療保険制度は暗礁に乗り上げたままです。政府の怠慢を指摘する声も高まっております。特に国保は、地方財政の窮迫とともに早急な改善が望まれます。診療報酬の抜本的改正、医薬分業の推進の面からも、問題を避けているような政府の姿勢は許されません。医療保険の各制度間のプール制採用はどうですか。少なくとも国保を市町村単位から府県単位に拡大をして、国の財政援助を強化する必要があると思いますが、どうですか。
 また、医師、看護婦など医療体制の整備が強く要請されていますが、対策を伺いたい。
 これについて、総理、私大、特に医学、歯学系大学の入学寄付金、最近では施設整備費と呼んでいるようでありますが、二千万円、三千万円ということであります。こんな状態では、もはや教育の機会均等も人間教育も通用しません。現状のままでやむを得ないのでしょうか。総理の見解と対策を伺います。
 第三に、預貯金の目減り対策が放置されているということであります。国民一世帯当たりの平均貯蓄額は二百三十五万円と発表されております。相次ぐ物価上昇で、その目減りはそれこそ莫大なものです。昭和四十五年一月の百円は、昨年十一月には食料費では五十九円二十銭、住居費では六十三円五十銭、被服費では五十六円の値打ちしかありません。お年寄り、働く人々の預貯金の目減りは早急に対策を決定すべきですが、どうでしょうか。実施のめどをどこに、いつに置いて検討されておりますか、お伺いしたいのであります。
 第四に、住宅、土地政策のおくれです。
 政府はかつて、戦後千九百万戸を超す住宅建設があり、単純計算では一世帯一住宅になると発表しましたが、今日住宅難世帯、すなわち家族二、三人で九畳未満、四人以上で十二畳未満という過密世帯は全世帯の九・六%、二百七十五万世帯になっています。ほかに、住宅に困っているというのは同じく三五・一%、一千三万世帯にも及んでいます。大都市勤労者世帯の平均年収は、四十八年で二百十一万円です。そして、首都圏では土地百十平米、建物五十五平米の小住宅を購入するには一千万円以下ではとうていできない相談でありまして、近ごろでは、少し居住性をよくすれば一千七百万円以上とのことであります。飲まず食わずで五年も、それ以上もかかるのです。もはや政治に期待するよりほかにありません。総理、国民の願いはこうです。東京あるいは大阪で一戸建ては可能なのか、可能な土地をどういうふうに供給し、価格はどのようになるのか。大都市が不可能ならどこへ行けば建つのか、その費用は――という青写真が欲しい、総合的な国土利用を踏まえた計画を提示してほしいというのであります。そのための住宅基本法、基本計画をつくる考えはありませんか。また、総理、いま東京都内で公務員宿舎を高層化すれば、国または公有地で二千六百ヘクタールの用地ができ、三十万戸以上の住宅建設が可能になると言われております。国有地の転用についてどう考えられますか。
 さらに、公団住宅の入居制度、家賃の原価主義から入居者の所得に応じた家賃制度への転換、公庫融資の増額、超過負担解消による公営住宅の増加等々、住宅政策の改善が望まれるのですが、どうですか。
 第五は、独占禁止法改悪のおそれであります。
 国民が狂乱物価に苦しむ中に、大企業法人は空前の利潤を得ました。総合商社の市場支配、金融機関の企業系列化は今日もなお強烈に働いております。さらに、内外の経済情勢は、競争よりも協調という、管理価格の形成を容易にする傾向にあります。いま独禁法に対して国民の寄せている期待は、第一に製造原価、販売原価の公開であり、第二に不当な価格に対する引き下げ命令であり、第三に独占、寡占によって国民に不当価格を押しつける企業、その利得を大幅に得る企業の分割ができるようにするということであります。この三点もなし得ないようならば、三木内閣は、まさに反国民的、財界擁護、不公平拡大の旗頭としてのそしりを受けざるを得ないでしょう。総理はどうするのか、その決意を伺いたい。
 関連して、大企業の交際費課税の強化、法人税の累進税率適用、土地再評価税の取り入れ等について政府の見解を伺いたいのであります。
 総理、ことしは沖繩海洋博が開幕をいたします。沖繩の本土復帰を記念し、百万県民のための沖繩発展の跳躍台にするとのキャッチフレーズで進められたものです。しかも、国際条約に基づいた国家的行事のはずであります。しかし、総理の演説はそれに一切触れておりません。これは一体どう理解すればよいのでしょうか。沖繩県民は、ポスト海洋博の不安から、賛否相半ばする意見の中で、国家的行事ということで今日まで協力もし、苦労をしながら経過を見守っております。前景気も、大阪万博に比べて格段の相違であります。これは明らかに政府の責任です。米軍基地に悩まされ、戦後復興の立ちおくれた沖繩であり、その犠牲が多くの県民の負担となっております。海洋博ないし基地返還など、沖繩が抱える諸問題に取り組む総理の決意を伺いたいのであります。
 これに関連して、ラロック証言あるいは在日米軍基地の実態に照らして、核兵器をめぐる国民の不安は覆うべくもありません。事前協議についても、日米両国政府ともに、関係者の発言は微妙な食い違いを見せております。総理は、改めてわが国の非核三原則を確認するとともに、日米両国間において名実ともに権威づけられるよう努力をすべきであります。さらに、戦争抑止力という、いわば戦争不可避論的な発想を転換して、核兵器を廃棄させる、そのための国際協調、運動を精力的に展開すべきであると思いますが、いかがですか。
 総理はわれわれに、議会政治のほんとうにあるべき姿を打ち立てよう、と呼びかけられました。いまは国民参加の時代であります。議席の数だけで決定する時代は終わりました。総理の提言が、政策の実行において、国会の運営において、変革の時期に即応した、また国民参加の真意に沿うものであれば、われわれもまた国民の皆さんとともにその道を歩むにやぶさかではありません。しかし、今日ただいままでの総理の姿勢あるいはその演説、あるいはその行動には数多くの疑問が残っていることも申し添え、この際、初心忘るべからずと要望する次第であります。
 終わりに臨んで、今回の三菱石油水島製油所の事故により多大の被害を受けられた関係者の皆さんに心からのお見舞いを申し上げますとともに、政府は被害者救済、事故防止のためのコンビナート総点検に全力を尽くすよう申し入れ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(三木武夫君) 公明党二宮さんの御質問にお答えをいたします。
 最初の御質問は、保革連立工作などの問題に触れて、私が今回総理、総裁に選ばれました経緯について、二宮さんがいろいろと真意をただされました。私のこの三木内閣というものは、工作によって生まれてきた内閣ではない。保革連合工作というお話でございましたが、最近毎日新聞紙上でしたか、佐々木前民社党書記長も、こういう話には慎重であって三木さんは乗ってはこなかったという意味の談話が発表されております。保革連合工作に私が参画をしたということはございません。また自民党においても、椎名副総裁は、神の啓示であると言って私を推薦した。したがって、工作によって三木政権というものが生まれたものではない、まあ時代の必要が生んだものである、かように御承知おきを願いたいのでございます。(拍手)
 また、田中前総理の金脈問題をどう処理するのか。まあ、田中総理自身が国民の理解を求めるために、みずから全貌を明らかにすると言われて、いまその調査をされているということだと思います。私はこの田中総理御自身の、一番詳細に知っておるのは田中総理ですから、どうか一日も早く田中前総理自身のこれに対しての、国民に対して疑惑を持たれないような御報告がなされることを期待しているのです。非常に期待しておる。また、これは田中総理自身がやるべき責任も私はあると思います。また政府としては、国税庁を初め関係政府当局は調査検討中であります。これが法律に照らして処理をいたすことは、これは申し上げるまでもないことでございます。さらに、国会においていろんな調査をおやりになるということでございますならば、それが重大な国益に反せない限り、できる限り国会の御要求には協力をいたしてまいる所存でございます。
 また次には、野党との対話協調路線という意味から言っても、予算の修正――組み替えも含む修正に応ずるべきではないかという、こういう御質問でありましたが、御承知のように、この予算の編成というものは、当初において党首会談もいたした、大蔵大臣と政調会長と言われるような立場におる方々と各党との間にお話もいたしまして、できる限り、野党側の御主張の中で取り入れられるものは取り入れようとして努力をした予算であることは事実でございます。野党の諸君からおっしゃるならば、どうも気に入らぬとおっしゃるかもしれませんが、それはやはり、項目としてこれは必要だという項目はほとんどこれは網羅したつもりでございます。ただ、その金額が、どうもその金額は少な過ぎるという御不満はあると思いますが、やはり予算は財源とも見合わせなければなりませんので、この与野党の予算編成前の話し合いが、財源というものも頭に入れた与野党の話し合いというものができるならば、もっと効果的な結果が生まれるものであろうと私は思うわけでございます。しかし、いまの段階としてできるだけの努力は払ったつもりで、この条件のもとにおいては最善の予算である、こういうことで政府は提出をいたしておるわけでございますから、これを修正するという考え方は持っておらないのでございます。
 また、いろいろと政府の年次計画などの策定と実際との間に大きなずれがあるではないか。言われるとおりで、どうも政府の年次計画、その実績と非常なずれがあることは二宮さんのおっしゃるとおりだと思います。ただしかし、大きな時代の変革期でもあるわけですね。たとえば石油の危機が起こるというようなことは、ちょっと予期せないようなことが起こったりして、どうも計画を策定する時点で予想する内外の情勢というものを頭に入れて計画をつくるものですから、どうしてもずれが起こりやすいことになるわけですが、これからは、将来起こるべき情勢の変化も的確に把握するという、そういう能力ももっと持つ必要があると思います。そういうことで、今後の計画を立てる場合に、いろんな起こるべき将来の情勢を予測して、実績との間にずれを少なくするように努力をすることは、これはもう必要であるという反省もいたすわけでございます。いま、社会経済基本計画というものは、これは一番大きな計画であります。五十一年度からこれはスタートすべく努力をいたしておるわけでございます。
 それから、私のことに関して臨時国会で坂井さんでしたか、公明党の、御指摘になりました未届け団体の収支報告について御質問がございました。これは臨時国会での御質問にもお答えいたしましたごとく、未届け四団体というのは、まだ四団体という、政治結社というような、そういう組織が熟したものではなく、政策懇談会と近代化研究会が大きな問題ごとにプロジェクトチームのようなものをつくったわけですね。その費目を細かく区分して経理するのが適当だと思います。それをプロジェクトチームで一括して経理をしたということは、これはやはり不手際だと思います。しかし、政治資金を皆届け出してあるわけですね。そのまたプロジェクトチームの支出も届け出をしておるんですが、その経理を小さく区分をしないで一括に処理したということが、これはやはり不手際であると私は思う。やはり細かく経理を届け出することが適当だと思いますが、それを一括して届け出してしまった。これは不手際でありますから、そういうような四つのグループは即刻解消してもらって、今後はよほど注意をしてもらいたいと――私の後援団体でありますから、私自身がやっておるわけではないわけで、その会計責任者にこれは厳重に注意をして、そういうものは、即刻そういうグループは解消をしてもらうような手続をしたわけでございます。これは今後気をつけなければならぬことは、これは申すまでもないことでございます。また、その収支の報告については、大分こう昔にさかのぼるわけでございますので、鋭意整理しておりますけれども、まだここで提出をいたしますまでには至っておらないのが実情でございます。
 それから、政治資金規正法がそれとともに論じられたわけでございますが、まあ、今日の政治資金規正法にはいろいろな不備の点があると思います。そういう点で、政治の信頼を回復するためには、金にまつわる不信をなくするということが必要であると、私は二宮さんと同じ意見。それで、これをなるべく国民から見ても、まあ、現在の段階としてはこれはやはり適当な改正であるというぐらいの政治資金規正法の改正案をこの国会に提出をいたします。そういうことでいま検討を加えておるわけでございます。これは各党の御協力も得なければなりませんので――大変に政治に金かかることは事実ですからね、金かかるわけです。それをどのようにして国民から疑惑を受けないで、節度と公明正大と、こういうことで必要な政治資金――金がかかることは事実ですから、その金を、どのようにして政治資金を集め、どのようにしてこれを使うかということを、できるだけ公明正大のものにいたすような、まあ、精いっぱい政治資金規正法を私はいいものにしたいと努力をいたしておる次第でございます。国会には提出をいたします。
 それから、制度、慣行の見直しが必要であると私が申しました。これはもう大変なことだと私は思うのですよ、いままで高度経済成長でなれてきたわけですから。高度経済成長ですから、二%も毎年経済が実質に伸びていけば――実質の伸びが一一%も毎年伸びていけば、いろんな要求というものも高度経済成長の中で吸収されるわけです。これが今度はもう、まあ、世界並みから言えば正常な成長ではありますけれども、半分程度に成長率が落ちていくわけですから、そういう、経済がまあ世界並みな経済の成長ということになりますならば、いままでとすっかりこれは様子が違うわけですから、産業構造も、あるいはまた国民生活も、あるいはいろんな社会保障制度にしても、また労使関係にしてもそうだと思うんですね。そういう安定成長期における産業や国民生活、こういうもののあり方をどのように適応していくかということは大変なことである。そのために、これは全般的な見直しが必要である。制度、慣行、そういうものに対しての見直しが必要であって、いま二宮さんの御指摘になりました産業構造については、産業構造審議会、これはやはり民間も衆知を集めて、むずかしいことですから、すぐにやはり産業構造を転換させよといっても無理で、計画的に年月をかけて、できるだけ資源を消費することの少ないような、頭脳とか技術によった産業構造に変えていかなきゃならない。これはやっぱり十分検討もしてもらっているわけでございます。
 また、税制については、税制調査会、財政制度審議会、地方制度調査会、これはもうすでに私が諮問を指示してございますから、各省においてこれは諮問をすでにしておるところもございます。こういう点で税制というものの見直しをする。
 社会保障については、これはもう五十一年度から長期的な社会保障の計画を立てる。その年その年でなしに、もっと長期にわたって社会保障制度というものに対してのあり方を、長期計画を策定して長期的に日本の社会制度を見直していく。来年度の予算などに関しては、年金制度をとりあえず全般的に見直す作業を厚生省でやっておるわけでございます。
 行政機構については、行政管理庁の方で、従来のやはりいろんな行政機関に対して検討を加えた成果もございますから、そういう成果を踏まえて、そうしてこれは行政機構についても検討を加えていく。その全体をひっくるめて、先ほど申したように、経済審議会で新経済計画というものを、五十一年度からこれは実施すべくいま作業を進めているという次第でございます。こういうことによって、制度や慣行というものを衆知を集めて見直してみたいと考えておる次第でございます。
 また、春闘に対する考え方、三月末に消費者物価の水準を一五%程度にするということは、春闘目当てであるのじゃないか。そんなことはないわけで、国民生活を安定さすための物価の鎮静ということであります。しかし、春闘というものが、二宮さんもむろんおわかりのとおり、どういう賃金ベースで決められるかということのその結果は、日本経済に大きな影響を与えます。物価に対しても影響を与えることは、これは申すまでもないわけでございますから、労使間において、物価が幸いに鎮静の方向にあるわけですから、労使間に節度のある賃上げの交渉が妥結をすることを政府は希望しておる。賃金の交渉に政府が介入する意思はないわけでございます。
 また、公共料金の凍結についていろいろお話しになりましたが、財政的な面から言えば、公共料金というものの凍結は無理があるわけです。いつかその凍結しておるものをもとへ返すというときには、大変そのとき無理がくる。だから、公共料金はやはり利益を受ける方々に御負担を願うということが私は原則だと思いますが、今日は異常事態であるというごとにかんがみまして、たばこと酒と郵便料金も、六カ月延ばしてある程度の値上げを、それも抑えながらしたわけで、いずれも、原案よりも相当圧縮してしたわけで、しかし、電信電話、麦、塩などを一年間凍結することは、これはもう明らかでございまして、春闘が済んだらもう待っていたとばかりに次々に公共料金を上げていくというような考え方はございません。
 それから、農業に対してのお答えは農林大臣の答弁の要求がございますので、農業に対する御質問は農林大臣からお答えをいたし、また、中小企業などに対しては通産大臣の御要求もございますので、通産大臣の答弁にゆだねることにいたします。
 労働大臣のなにがございませんから、これはお答えをいたしますが、まあ失業者とか、パートタイマー、季節労働者に対する対策、これは二宮さん御指摘のように大事なことでございます。こういう厳しい環境のもとでできるだけ失業を防止するということが第一番の大前提でございますが、それでも失業をされる人がこれはあるわけですから、雇用対策法、失業保険法、また、昨年の末に皆さんの御協力を願って通過をいたしました雇用保険法等を活用して、できるだけそういう人々の生活の安定に資したいと思うわけでございます。
 また、地方自治というものは、私も特にやはり地方自治というものが今日の時代において重要である。国民の福祉とか、国民のいわゆる環境問題などを考えるときに、地方自治体の果たす役割りというものは次第に大きくなる。一番地方と密着しておるのは自治体ですから、政府がそういう問題をやるよりももっと地方自治体がやる方がきめ細かい対策ができるわけでありますから、地方自治体の役割りは非常に大きくなる。そういうときに、一体、国と地方との事務の再配分はどうあったらいいのか。また、地方の自主財源というのはどう考えたらよいのか。とにかくこれからは地方自治体の役割りは大きくなりまして、やはり自主性を持つことと、責任を持った地方自治行政をやってもらわなければ困る。そういうことで、むやみに地方自治の世帯が膨張するということも、これはなかなかやっぱり破綻が来るわけですから、そういうことを含めて地方制度調査会なども、それ全部でございませんが、財政面から検討してもらうことになっておりますが、地方自治のあり方に対しては全面的に検討をいたす所存でございます。
 それから、社会保障の関係については厚生大臣からお答えをいたします。税制については大蔵大臣からお答えをいたします。
 私立学校については、私立学校の医大とか歯大などに対しては、二宮さんのおっしゃるように、何千万円も寄付があるということは、これは非常に異常なことでございます。各国にもないことです。こういう事態は好ましいことではございませんから、政府も私立の大学に対する経常費を、国庫補助をだんだんとふやしてまいっておる次第でございますが、その中でも特に医科・歯科に対しては配分を厚くして、特別な配慮をいたして、そういうむやみな、過大な寄付などを求めなくてもやれるようにしなければならぬと考えておる次第でございます。
 住宅については、これは御指摘のとおり、一番大事な問題は都市においては住宅だと思います。それで住宅政策というものは、これはいままでの政策、いろいろこの問題もやっぱり再検討をする必要があるということは、二宮さんの御指摘のとおりだと思います。基本的な方針は、いま、住宅宅地審議会というので住宅政策の基本的なあり方というものを検討を願って、答申をそう遠くない時期にいただくことになっております。その答申も参考にいたしますし、また、御指摘になった公営住宅を増設せよということは私も同意見です。国有地で利用できるものがあったら利用すべきだと思います。また、公団住宅の入居制限とか家賃などに対しても、こういうものもいま申した審議会で一緒に検討を願うことにいたしております。
 独禁法の問題にお触れになりましたが、これは大企業に有利にするような改悪をするようなことをするな。そういうことは考えていないんで、むしろ自由経済を守っていくためには、大企業というようなものが、そういう寡占体制のもとで異常な、ルールに反するようなことのないように、やはり自由経済が、今日の社会的制約の中に長く国民の支持を受けられるような社会体制となるためには、相当厳しい規制が必要である。そのために、いま内容を申し上げるという段階ではないわけで、いま政府の中に置いておる懇談会においても、各方面の方々が衆知を集めて御検討を願っておるわけでございますから、そういうことも参考にしながら、できるだけ国民の納得のいくような改正案を、これも今国会に提出をしたいと考えております。
 沖繩海洋博を私の施政方針演説の中に入れなかったのは軽く見ておるんではないか。軽く見ておるんではないんですけれども、施政方針演説、何もかもというわけにはいかなくてこれは入りませんけれども、ぜひとも成功してもらいたい。海洋博は沖繩の福祉向上のためにもと思って計画したものでございますから、政府は全面的に協力をいたす所存でございます。
 また、基地の問題なども、これは沖繩の人口が七〇%は中南部におるわけで、そこに基地があるということは、いろんな点で摩擦が生じますので、できるだけ整理統合に努力をしてまいる次第でございます。
 また最後に、非核三原則、これはやはりもう少し権威づけたらどうだというんですが、もう日本の非核三原則というのは世界的にもある意味において権威づけられておる。この間も、佐藤さんでも、ノーベル賞は非核三原則でもらったんですからね。これほどやっぱり日本の国会においても、昭和四十六年の十一月ですか、衆議院の決議で、これはもう日本の非核原則は世界的に有名で、その意味において権威を持っておると思っておりますが、それは努力はいたしますけれども、これは相当な権威を持った日本の国の基本的方針であると私は考えております。
 また、核兵器の破棄のための運動を展開せよ。これはやはり日本は核開発――核兵器を持たないということを世界に宣言して、これは国民の強い決意でありますから、これは単に日本が持たぬというだけではなくして、核軍縮、やがては核兵器を破棄する、こういうことは日本としては絶えずいろいろな場において日本が主張することは、日本が核兵器を持たないということは、核兵器のような人類を破滅に陥れるような兵器をなくしたいという日本民族の非願に出発するわけですから、この運動を展開するという御趣旨に対しては、あらゆる機会にわたって日本はそういう主張をできるだけ世界に向かってこれを広げていくという御趣旨には賛成でございます。
 お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(安倍晋太郎君) お答えを申し上げます。
 二宮さんの御質問は農林水産業多岐にわたっておるわけでございますが、第一問は、昭和六十年に約二百数十万人の離農者が出るが、農林省、政府はこれに対してどういうふうに対処する考えかということでございますが、昭和六十年を目標年次とする農産物の需要と生産の長期見通しの試算の中では、農業就業人口の減少率が、安定成長に移行するに伴いまして、これまでの五%から三%台に移っていくというふうに見ておるわけでございます。したがって、十年間で二百数十万人減少することに推定をいたしておるわけでありますが、これは今後の農業の生産性の向上あるいは規模拡大等によりまして、農業の依存度の低い兼業農家等の農業への就業時間が減少していく姿を示したわけでありまして、離農を考えておるというわけではございません。
 それから第二点は、食べられる農業を目指して農政全体の見直しを行って、生産対策、価格対策を確立せよという御指摘でございますが、まさにそのとおりであると思います。現在、農政審議会におきまして、今後の食糧政策のあり方について基本的に検討していただいておるわけでございますが、この結果に基づきまして、今後の施策を打ち立て、農業の振興あるいは自給力の向上を図っていくために、生産対策あるいは価格政策を充実していかなければならないと考えております。
 第三点は、発展途上国の自力更生に寄与するための農業の技術援助、技術移民を行うべきであるという御指摘でございますが、わが国は従来から開発途上国の要請に応じまして、専門家の派遣、あるいは技術員の受け入れ研修、技術協力センターの設置等の協力実施をいたしてきておるわけでありますし、最近できました国際協力事業団等を通じまして、さらに協力体制を強化していくわけでありますが、いま御提案がございました技術移民という問題は、これは新しい方法でございまして、これにつきましてはひとつ積極的に研究して、できればぜひとも実現をしたいと考えております。
 それから第四は、海洋法会議における経済水域二百海里の問題でございます。昨年の夏のカラカス会議におきまして世界の大勢が経済水域二百海里を認めるという方向になっておるわけでございます。これはもう遠洋漁業の重要性から見まして、きわめてわが国にとって重要でございます。今後の海洋法会議はもちろん、関係各国とも十分協議をいたしまして、わが国の漁業の操業の確保、資源確保のためにひとつ最大限の努力をいたしてまいりたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(河本敏夫君) お答えをいたします。
 先ほど中小企業に関連をいたしまして、一連の御質問がございましたが、基本的に申し上げますと、過去およそ二年間の間総需要の抑制を続けてまいりましたので、そのひずみ現象が非常に各方面に出ております。特に年末年初にかけましてその落ち込みは非常にひどいように見受けられます。
 そこで、まず第一番に御指摘になりましたのは、中小企業の仕事の量を確保すべきであると、こういうお話でございますが、現在は、中小企業の場合は、資金よりもむしろ仕事が欲しいと、こういう状態になっておるわけでございます。そこで、総需要の抑制という基調は崩さないで、この不況に対して個別的な対策が必要になるわけでございますが、特にこの公共事業の円滑な推進、これが必要かと考えます。さらにまた、この公共事業の繰り延べを弾力的に運営することが現時点では私は必要であると、かように考えまして、関係の各省と相談をしたいと、かように考えておる次第でございます。
 それから第二は、繊維不況について、特にニットと縫製品の不況についてのお話がございましたが、繊維不況は非常に深刻であり、かつ広範な現象を呈しております。そこで、輸入秩序をつくれと、こういうお話でございますが、まずこのためには、第一番に、輸入の実情というものを正確に把握すること、これが必要かと思います。それから、輸入業者に対する行政指導、それから、特に繊維品は近隣の諸国から入っておりますので、近隣諸国との情報の交換、こういうことが必要かと考えます。そういうことをしながら輸入秩序を確立していきたいと、かように考えております。
 なお、一般的な問題といたしましては、金融面でいろいろお世話をするとか、あるいは構造改善についていろいろ指導するとか、そういう問題があろうかと思います。
 第三の問題といたしまして、下請中小零細企業の仕事を確保せよと、こういうお話でございますが、これに対しましては、御案内のように、下請取引のあっせんのために、下請企業振興協会というのが現在三十一ございます。昭和五十年度にはこれを五つ増加いたしまして合計三十六にしたいと思っておるわけでございますが、これによる仕事のあっせんのほか、親事業者に対しまして、親事業の仕事が減りましても、下請企業に対しては一遍に仕事を減すと、そういうことのないように行政指導をいたしております。
 さらに同時に、官公需の増大ということにつきまして、昨年よりも若干ふえるようにいま手続を進めておるところでございます。
 最後に、中小企業省をつくれというお話でございますが、中小企業対策というものは国の最大の政策だと思いますが、そのためにいろいろこれまでも機構を強化してまいりました。たとえば昨年は、小企業対策のために小規模企業部と、こういうものをつくる等いろいろ強化してまいったわけでございますし、今後もその必要はあろうかと思います。ただ、いまここで中小企業省をつくるということは、これは現在の段階では私は考えておりません。むしろ、通産省の中に中小企業庁というものが現在あるわけでございますが、これを強化していく、こういう形で中小企業対策というものを推進していくのが望ましいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑は、税制改正を中心にして多岐にわたる御質問でございました。
 第一は、利子・配当所得の源泉分離選択税率の特例でございますが、これについて撤廃すべきでないかという御意見でございますが、きのう阿具根議員にもお答え申し上げましたように、ことしは二五%の税率を三〇%に引き上げることで五年間延長を認めていただきたい。何となれば、利子・配当所得の捕捉がただいまの行政能力で十分でないからでございまして、この捕捉が十分できました暁におきましては、二宮さんの御指摘のように、これを廃止するに政府としてはやぶさかではございません。
 第二は、課税最低限を二百八十万に高めよという御主張でございます。これは本院におきましてもたびたび申し上げましておりますように、課税最低限は今日世界で一番高くなっておるわけでございまして、アメリカが百二十九万、フランスが百五十万、ドイツが百十二万、英国が九十五万という中におきまして、わが国が百八十三万を確保できたことは、むしろほめていただきたいと思っております。したがって、いま直ちに御指摘のようにこれを引き上げるつもりはございません。
 第三に、高額所得者につきまして重課すべきでないかという御指摘でございます。いま申しましたように、課税最低限を漸次引き上げるという姿においてわが国の過去の減税が行われてまいりまして、高額所得者は相対的に手つかずにおりました関係上、先進国との比較におきましてむしろ高目になっておるわけでございます。国税と地方住民税を合算いたしたところ、二宮さんの御指摘もございましたので調査させたのでございますけれども、ただいまアメリカより日本の方が若干高いわけでございます。ドイツはほぼ日本と同様でございます。フランスよりも日本は高くなっております。一番高いのは英国でございますが、いずれにいたしましても、先進国の中で相当高いところまでいっておりますことでございますので、ただいまさらにこれを重課するという考えを政府は持っておりません。
 相続税についての御指摘でございますが、相続税は四十一年以来全然手がついていなかったわけでございまして、最近の経済状況、物価状況に深く考えまして、相当思い切った改正を行いまして御審議をお願いいたしておりますこと、御案内のとおりでございます。
 土地譲渡益の課税につきましては、きのうも阿具根議員にお答え申し上げましたように、この中で一番批判の多い長期の譲渡益、長期保有しておりました者の譲渡益でございますが、これは優遇いたしておりましたけれども、今度は二千万円までは一律に二〇%を取る、二千万円を超える譲渡益につきましては四分の三を総合するという制度に改めまして、この制度を撤廃いたしましたよりは重税を課するということにいたしましたので、御理解をいただきたいと思います。
 お医者さんに対する社会保険診療課税の特例でございます。これは税制調査会の報告からもたびたび御答申がございましたし、政府におきましても一応の案を考えたわけでございますが、これはもともと社会保険診療報酬と関係がございますので、次の社会保険診療報酬の改正を機会に実行さしていただきたいと考えております。
 法人課税の問題につきまして、交際費の損金不算入の強化をすべきでないかということでございます。これはもうすでに御案内のように、三十九年に三〇%であったものを今日では七五%まで引き上げておるわけでございまして、さらにいまこれを強化するという考えはただいまのところ持っておりません。
 それから法人税の累進課税、それから法人所有の土地再評価税につきましても、阿具根議員にお答え申し上げましたように、累進税そのものがこれは法人になじまない制度であるということ、それから土地再評価税になりますと、再評価税はあくまでも未実現利益に対する課税でございますので、税率そのものがどうしても安くならざるを得ないわけでございます。したがいまして、一度再評価税を取りまして、その土地を転売するということになりました場合に、法人税率より低いような税率でございますれば、むしろこういう制度を設けたために税金が取れないということになりかねないわけでございますので、ただいま政府といたしましてはそういう考えは持っておりません。
 それから第二の御質問は、これまた本院ですでに問題にされておりまする貯金の目減り対策でございます。この対策の根本は、申すまでもなく、目減りを新しく起こさないという意味で、インフレ対策を強化し、堅持してまいることが第一であることは申すまでもないことでございます。政府は、そのためにいま鋭意インフレ対策を進めておるわけでございます。しかしながら、預金者の立場を考えなければならぬというたてまえにおきまして、一昨年来五回の預金税率の改定を行わしていただいたわけでございます。しかし、これで私は十分であるとは決して考えていないのでございまして、金融機関が負担できる限度内において何か預金者に報いる道がないかと、限定した範囲でございましても、それが実現する方途なきやということを中心に、鋭意政府でいま勉強いたしておりますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
 最後に、自治体財政についての御質問でございました。これは自治大臣の問題でございましょうが、私の関係する点についてお答えしておきたいと思います。
 まず、地方自主財源の供与でございますけれども、政府としては、地方財源の充実には極力努めてまいりましたつもりでございまして、今年度におきましても、事業所税の創設を決意いたしておりますことは二宮さんも御承知のとおりでございます。また、交付税交付金につきましては、ことしは四兆四千億を超えるお金を差し上げることになっておりまして、去年に比べまして三〇%を超える交付でございまして、私といたしましては、これは相当五十年度の地方財政を潤すに違いないと確信をいたしておるわけでございまして、交付税率を上げるというようなことはいま考えていないわけでございます。
 第二に超過負担の問題でございますけれども、これは従来、実地調査をいたしました費目につきまして十分検討の上実施単価を改定することによりまして、財源を付与しながら漸次是正をはかっておりますことは御案内のとおりでございまして、今後も鋭意そういうラインでこの解消に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(田中正巳君) お答えいたします。
 老齢年金の見直し等、これに関連する社会保障費の年次計画策定についてのお尋ねがございましたが、先ほど総理が申しましたとおり、老齢年金に限らず、年金制度全般については相当根本的な再検討を実施する所存でありまして、目下厚生省において鋭意作業中であります。
 なお、社会保障全般に関しましては、今後、負担の問題を含めて昭和五十一年度を初年度とする新経済計画と符節を合わせて策定をいたすべく、これまた鋭意作業中でございます。
 ナショナルミニマムに基づいてということでございますが、この概念の受け取り方は人々によって区々でございますが、要するに、財政と国民負担との関連を考慮しつつ国民が今後の生活に不安のない社会をつくるということがその目標であろうというふうに考えられます。
 診療報酬の改善と医療保険の各制度のプール制についてのお尋ねがございましたが、診療報酬の改善については、従来から技術料の尊重を中心のテーゼといたしまして、その都度適正化を図ってきたところでありますが、今後とも中医協において十分御審議を願いつつ、適正に対処をいたしていきたいというふうに考えております。
 また、医療保険制度のプール制についてでございますが、各制度がそれぞれの沿革を持って発足をいたしておりまして、なかなかこの問題については簡単ではございませんが、各制度がこのようなふうにプール制度をとることについてはきわめて望ましいことでございますので、したがいまして、それぞれの制度の沿革を踏まえつつも、なお関係者に対し必要な説得と御理解を願いつつ、余り既得権にこだわることのないようお願いしつつ、その方向に進めていかなければならないというふうに思っております。
 また、国民健康保険につきましては、仰せのとおり、この中には老人、つまり医療受診回数の多い老人が非常に多く占めておられるということから、財政は相当窮迫をいたしております。しかも、これについては、これ以上保険税、保険料を増徴するということがなかなか簡単ではないということを考えるときに、これについては相当な再検討を必要としなければならないというふうに思っております。老人医療の給付のあり方を含めて、またいま二宮さんがおっしゃいました経営主体を今日の市町村から都道府県に移すなどということも、一つの大きな示唆に富んだ御意見だと思いますから、こういうことを含めて、ごく近い将来実現ができまするよう、この点については検討を進め、作業を急いでおる次第でございます。
 医薬分業の推進につきましては、昨年十月の診療報酬改定の節に、これを契機といたしまして、にわかにこの機運が盛り上がってきたことは二宮さん御存じのとおりであります。しかし、これにつきましては、いろいろとその受け入れ体制を整備しなければならないわけでありまして、たとえば調剤用医薬品の整備とか、あるいは施設等の整備、既存薬局の調剤体制の充実を図る等、いろんなことをやらなければ、やはりこれに対応する体制が今日のままでは不十分だと思いますので、そういったようなことを含めて今日やっておりますが、全般的に日本国じゅうで今日関係者の間でいろいろ話し合いをしておりまして、比較的話し合いがうまく進んでおるところもございますので、話し合いの済んだところから逐次これを進めていきたいと思っておりますが、いま一つの問題は、国民一般が医薬分業に対してどのような理解を示すかということでございます。わが国におきましては、昔来、お医者様からお薬をいただくということが医療だというふうに考える風潮もありますので、こうした国民的なコンセンサスの面を含めてわれわれは努力をして、医薬分業が推進するようにいたさなければならないと思っております。
 最後に、医療の供給体制の問題でございますが、これには二つの面が考えられると思うのであります。
 一つは、医師、看護婦が絶対的に不足をするという問題と、たとえば休日、夜間、救急等の特殊な時間帯や、特殊なニードに対して不足をするという二つの問題があるようでございますが、一般的な問題につきましては、医科大学の増設等を図ってまいりまして、今後医師の充足は急激に進むものと思っております。今日、十万人について医師は百二十八名というのがわが国の現状でございますが、欧米等のように十万人について百五十人にすることができるのもそう遠い将来ではないというふうに思っております。
 看護婦については、問題はもう少しめんどうのようでございます。これについては、看護婦さんの養成と定着と退職者の再就職という問題等、いろいろと絡んでおりますが、こういう点については、まず養成の問題につきましては、従来、医療機関で診療報酬の中から養成費を出していただいておりましたが、こんなことでは余り大したこともできないということでございますので、診療報酬に余り頼らずに看護婦の養成ができるよう、補助制度等を最近非常に拡充をしておるわけであります。また、再就職をさせるためには、ナースバンク制度などを活用してこれについて努力をいたしておりますが、実効を上げるのにはいま少しく努力を重ねなければならないというふうに思っております。
 また、処遇の改善等につきましては、これは定着と再就職に非常に役立つわけでございますが、夜間看護手当の増額等を含めまして、これについていろいろと努力をしていきたいと思っております。
 また、僻地、救急、夜間診療体制等につきましては、いろいろな助成策をもってやっておりますが、これについては仰せのとおりさらにひとつ努力を進めていかなければならない面があるというふうに私どもも感じておりますので、さらにその方向について努力を払う所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
#15
○議長(河野謙三君) 答弁の補足がございます。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(三木武夫君) 二宮さんの御質問の中で、全国一律の最低賃金制の実施というのがございましたが、答弁漏れがありました。
 全国一律の最低賃金制というものは、検討はいたしますけれども、地域的にも企業別にも賃金の水準が違うときに、これを全国一律の賃金制度ということには日本の実情に照らして無理があると思うので、政府の方としては、いますぐ最低賃金制を実施する考え方は持っておりません。
 また、最初に日台問題に対する松野発言について御質問がございました。この日台関係というものは、これは日中の一昨々年九月でしたか、共同声明のこれをもう誠実に日本は守る責任があるわけでございますし、この内閣もあの中に盛られたる諸原則をこれはもう忠実に守っていこうと思っておりますから、したがって、その枠内で台湾問題も処理せなければならぬことはもう申すまでもないことでございます。松野発言、いろいろ不穏当な点があったという御指摘でありますが、十分その点については注意深く私も調べることにいたします。(拍手)
#17
○議長(河野謙三君) 三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#18
○国務大臣(三木武夫君) 私の発言でないものですから、松野君の発言でございますから、私も、よく調べるというのは少し言葉が足りなかった。よく松野君の真意というものをただしてみたいという考えでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(河野謙三君) 星野力君。
   〔星野力君登壇、拍手〕
#20
○星野力君 日本共産党を代表して、国政諸般の問題について三木総理並びに関係大臣に質問いたしますが、一昨日来の総理の答弁をお聞きして、どうしても見過ごすことのできない問題がありますので、まず、その方からお聞きいたします。
 昨日、衆議院でわが党の津金議員が、自民党の外交、防衛政策を継続しなければ野党に政権を渡せないという総理の発言は、
   〔議長退席、副議長着席〕
国民主権と議会制民主主義に挑戦する暴言であると追及したのに対し、総理は、憲法論ではなく政治論を述べたにすぎないと釈明しました。しかし、この釈明は、逆に外交政策の継続という政治論を憲法に優先さしている総理の立場を重ねて裏づけたにすぎません。なぜなら、憲法が厳粛に宣言しておる国民主権、国民の意思による政権交代、国の基本政策決定は単なるたてまえであって、実際には、外交、防衛政策の転換は混乱をもたらすという政治論こそ大事であるというのでは、国民主権は空言になるからであります。この種の政治優先論こそ危険きわまるものであります。戦前の日本が、国策優先論のもとでファシズムと侵略戦争の道を突き進んだことを総理はお忘れではないと思う。戦後の日本もまた、安保条約と日米協力こそ基本であるという自民党の政治論によって、アメリカのベトナム侵略への加担、協力を押しつけられてきたではありませんか。総理は、政権交代によって外交、防衛政策が転換した例はどこにもないと言われたが、そんなことがあるものですか。一九五四年、フランスのマンデス・フランスは、インドシナ戦争即時休戦という政策転換を掲げて総選挙に勝利し、ジュネーブ協定を締結しましたし、ドゴール政権は一九六六年、NATO軍事機構から脱退しました。外交、防衛政策の継続が前提というのは、吉田内閣が占領下に国民に押しつけたあの日米軍事同盟を国民に半永久的に押しつけようとする口実にすぎません。こうした安保の道を拒否する自由を否定し、一体何の国民主権でありますか。私も総理の暴言の取り消しを求めます。しかも、新しい重大な問題は、総理が安保廃棄をあたかも革命であるかのようにみなした発言であります。安保条約を廃棄して中立日本を、という主張は、共産党だけではなく、民社党を除く野党三党がそれぞれ掲げておるものであります。安保廃棄の道を革命と称して共産党、社会党、公明党の外交政策を何か恐ろしいもの、議会政治を破壊しかねないものであるかのように国民に信じさせようとしておる総理発言というのは、恐るべきこれはデマゴギーであります。安保廃棄が革命というなら、条約十条によって廃棄の手続をきめた安保条約自体が革命を指向する条約とでもいうのでありましょうか。この暴言の取り消しをもあわせて要求いたします。明確な答弁を求めるものであります。
 また、津金議員の政治資金規制についての質問に対して総理は、個人献金が理想であるけれども、そこへ移るには、それまでに経過的な期間が要ると終始一貫言っているのです、こう答えられました。しかし、あなたは、昨年九月の「中央公論」では、企業は政治献金を行わず、個人献金とする、これはきわめて簡単で、しかも現実的な提案である、観念的な理想論ではない、とはっきり言っておられる。総理はどうも後ずさりしておられる。言葉を左右にするのではなく、真っすぐ前向きでひとつ御答弁願いたいのであります。
 外交問題についてお聞きします。
 施政方針演説で、中東問題はあくまで対話と協調により解決されなければならないと述べられた総理は、津金議員の質問に対して、中東政策でアメリカ政府との間に食い違いはない、こう答えられた。これは全く奇怪な矛盾した態度であります。工業国が石油価格問題で首を絞められるような場合には武力行使があり得るというキッシンジャー国務長官の発言を、総理は、仮定に立った発言として片づけられた。しかし、総理、石油価格問題は仮定の問題ではありません。現在の世界の最も生々しい現実問題であります。フォード大統領やキッシンジャー国務長官は、アラブが油の値段を上げたら戦争に訴えると言っておるのであります。そして、アメリカ政府は、第六艦隊、第七艦隊、これを東西から中東水域に布陣をさせ、アラブ産油国に軍事的圧力をかけているのであります。アメリカはイスラエルに続々と新型兵器を送り込んでおるのであります。中東に新しい戦火が燃え上がれば、わが国の平和と安全、国民生活に重大な影響が及ぶのは必至であります。政府がアメリカのこの露骨な力の政策をこのまま黙って承認されるというなら、それは三木内閣もまたアメリカの侵略と戦争の政策の協力者、加担者であるということを世界に証明するだけであります。政府には、多くの日本国民の要望にこたえて、アメリカ政府に危険な軍事脅迫行動を直ちにやめるように申し入れる考えさえもないのかどうか、重ねてお聞きいたします。
 政府は今回の外交演説で、インドシナについても、外部からの干渉なしに、平和的な話し合いにより和解が実現するよう強調しておられる。政府のその立場が真実ならば、アメリカのベトナムヘの再介入に反対し、米軍のサイゴン政権に対する一切の軍事支援、日本を拠点とする侵略行動を停止するようアメリカ政府に要求すべきと思うが、総理にそういう考えがあるかどうかお聞きいたします。
 総理は、昨日の衆議院で、アメリカは北ベトナムの偵察飛行はやってもよろしいのだと言われた。パリ協定の当事者であるベトナム民主共和国政府が繰り返し抗議しておる戦略偵察機SR71のスパイ行為を、総理は何を根拠にしてそのように言われるのか。福田副総理はかつて外務大臣時代に、SR71が日本の基地から他国の領空に侵入することは、事前協議以前の問題である、国際法違反である、さような任務を持った飛行機をわが国の領域内に置くことは絶対にさせない、とはっきり言われたのでありますが、総理並びに福田副総理は現在の事態をどう見ておられるのか。私は、SR71を速やかにわが国土から撤去させることを厳しく要求するものであります。
 政府がパリ協定を尊重するというなら、何よりもまず、パリ協定の調印者である南ベトナム共和臨時革命政府の正当な地位を承認すべきであります。それが、日本がベトナムの平和に貢献することにも通ずると思います。政府はパリ協定の尊重を口にしながら、実際には、パリ協定の調印者である南ベトナムの二つの政府のうち、サイゴン政府だけを一方的に支持、援助し、南ベトナム共和臨時革命政府を敵視し、あるいは無視する態度をとってきております。このような政府の態度こそ、パリ協定を踏みにじるアメリカやサイゴン政権を力づけているものであります。昨年ジュネーブで開かれた国際人道法の外交会議で、日本政府はアメリカに追随して臨時革命政府の参加に反対した。同政府は一票差で会議への参加を拒否されたんであります。政府は、そのような敵視的態度をやめるとともに、臨時革命政府の旅券によるわが国への入国を認めるなど、臨時革命政府の地位を正当に承認すべきだと思うが、政府の見解をお聞きいたします。
 総理は朝鮮半島の現実をどのように認識しておるのでありましょうか。今回の外交演説が、朝鮮半島においては、依然として緊張要因は除去されるに至らず、こう述べている背景として、三木内閣が、韓国の安全は日本の安全にとっても緊要という、あの一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明と同じ認識を持っておられるのではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。今日、朝鮮民主主義人民共和国と外交関係を樹立した国の数はほぼ八十、実質的な外交関係では韓国と伯仲するに至っております。去る臨時国会の所信表明で総理は、全アジア諸国との間も友好関係を一層強めていく強い決意である、こう言われました。総理のそのような決意からすれば、世界の流れに沿って、最も近いアジアの国家である朝鮮民主主義人民共和国と速やかに国交を樹立するのが当然と思われるのでありますが、総理の見解をお聞きいたします。
 明白な国家主権と人権侵害事件である金大中問題を日本政府としてはまさかこのまま放置するわけにはいかないと思うのでありますが、新内閣のもとで日本と世界が本当に納得できる解決を行う決意があるかどうかを総理にお伺いいたします。
 また、国際常識からすれば、法律でない法律、裁判でない裁判によって二十年の刑を宣告され、韓国の獄中にある早川嘉春、太刀川正樹の両氏を政府は救出する意思があるのかどうか、お聞きいたしたいのであります。
 総理は、物価の鎮静、社会的不公平の是正を公約しておられるのでありますが、その公約を盛ったはずの五十年度予算政府案は、公共料金大幅引き上げ、二兆円もの赤字公債発行を含むインフレ促進予算ではございませんか。総理が目玉政策とした弱者救済も、老齢福祉年金わずかに一万二千円など、住宅建設も、公営、公団住宅は前年度より二万戸も減らされております。その上に、生活に苦しむ国民に対して事実上の大増税をやろうとさえしております。総理は、財政硬直化だ、財源難だと弁解しておられます。しかし、その財政硬直化自体、政府が予算の骨格として歴代自民党政府と同じく高度成長型、軍事優先の仕組みを維持しているからではございませんか。大企業に膨大な税金をまけてやる租税特別措置その他の特権的減免税の制度は手つかずに残されております。また、年々膨大な赤字公債を発行し、五十年度予算には新規発行額の半分、一兆円の国債償還費を組まなければならない仕組みになっております。こういうところに財政硬直化の原因があるとはお考えにならないのでございましょうか。さらに、いまの国民生活にとって最も不急不要とも言うべき防衛費が、戦後最大の伸び率で一兆三千億円にも達しているのであります。総理、これでは空前の大型膨張予算を組みながら、あなたの不公正是正、福祉優先、みんな空中楼閣になるのも当然ではありませんか。
 政府は、歳入歳出両面にわたる高度成長型、大企業優先、軍事優先の税制、財政、金融の仕組みを根本的に改め、大企業からは正当に税を取る、国民にとって不急不要の支出を大胆に削る、これを国民福祉のために回すべきであります。その意思がおありかどうか、明確にお答え願いたい。
 福祉問題についてお聞きします。
 総理は、施政方針の中で、相互扶助の精神に基づく高福祉、高負担の福祉政策を進める方針を言明された。これは重大な発言であります。激しい生存競争のもとでおびただしい社会的、経済的弱者が生み出されるこの二十世紀社会では、十九世紀流の相互扶助では対応できないとして、国の制度としての社会福祉、社会保障制度が生まれたことは総理も御存じのことと思います。日本国憲法第二十五条も「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と 国の社会的使命について定めております。また、社会保障の財源を国と資本家が負担するのは近代社会保障の基本理念であり、西欧諸国ではすでに制度として打ち立てられているのであります。このことは、たとえば年金保険料の労働者と資本家の負担割合が、わが国の労資折半に比べて、フランスでは三対七・七五、イタリアではほぼ一対二と、労働者は資本家の半分あるいは半分以下というふうに軽くなっているのを見ても明らかであります。総理の高福祉・高負担論は、相互扶助、隣人愛などのきれいごとの煙幕の陰で、日本国憲法の精神に背き、近代社会保障の基本理念に逆らって、国と資本家の責任を捨てて、一般国民に負担を押しつけようとするものであると言わざるを得ませんが、今後の福祉政策のあり方をどのように考えておられるのか、財源の問題も含めて、総理の見解をお聞きいたします。
 老齢福祉年金を今年十月から一万円にすることは、一昨年田中内閣時代に、すでにきまっていたことであります。その後の物価の上昇を考えるならば、三木内閣が、二千円上積みしたのを善政であるかのように言っておられるのがおかしいのであります。総理、この物価高の中、月一万二千円でどれだけ老後の命の支えになるでしょうか。わが党は、老齢福祉年金をいますぐ二万円に、厚生年金は一人最低五万円、夫婦で八万円に、国民年金は一人四万円に早急に引き上げることを要求します。また、保険料の労資負担割合を西欧並みの三対七に改めることを要求いたします。また、総理は、年金財政の賦課方式について検討しておると言われたが、わが党は、国と資本家の負担をふやす方向で、積み立て方式から賦課方式へ改めることを要求いたします。総理の見解をお聞きいたします。
 五十年度予算案では、生活保護は、大都市など一級地で七十歳の老人の一日の食費は三百五十円、養護老人ホームの一日の食費は三百三十円、失対賃金は全国平均で二千二百二十二円、平均二・二人世帯と言われますが、一日一人の生活費はわずか五百五十五円であります。三百五十円というのは、大衆食堂のどんぶりもの一杯の値段であります。中央大学江口教授などの研究者は、生活保護世帯、失対労働者の生活を克明に調査した結果、国民栄養審議会の答申した基準に比べて六〇ないし七五%の栄養量しかとっていないと報告しております。政府は、五十年度に達成すべき国民の栄養基準量、食糧構成基準量について国民栄養審議会からの答申を受けておるのでありますが、生活保護者、失対労働者などの栄養摂取量が、この基準までになっているかを調査したことがあるかどうか、お聞かせ願いたい。
 次に婦人の問題であります。
 ことしは、平等、発展、平和をスローガンとする国際婦人年であります。ところが、わが国の婦人は自民党政治のもとできわめて不平等な扱いを受けてきました。厚生年金など、被用者年金の現行制度では、夫が死亡した場合の遺族年金は、妻には従来の五〇%が渡されるだけであります。これでは暮らしていけません。それまでの生活水準を維持できるように八〇%に改定すべきであると考えるがどうか。厚生年金などの妻への加給金はわずか二千四百円であります。これは余りにも妻の地位を無視するものであります。とりあえず、速やかに加給金を大幅に引き上げるべきでありますが、総理の御見解をお聞きします。
 いま、農業経営の中心的な担い手となっている農村婦人の健康破壊がきわめて憂慮すべき状態になっています。和歌山では、ミカンの消毒をしていた若い主婦が幼子を残して急死するという事故がございました。そこの農協婦人部が調査したところでは、百人中七十二人が貧血という結果が出ております。ところが、政府の成人病対策によりますと、農村地域対象者六百万人中、四十八年度は五十四万人が診断を受けたにすぎません。政府は、現行施策のがん、成人病検診の充実と、全国農協婦人部の強い要求でもある、年一回の健康診断を国民健康保険の給付対象にすることを法制化するなど、施策の思い切った充実を図るべきであると考えますが、見解をお聞きしたい。
 中小企業についてお聞きします。
 総理も言われるように、中小企業はわが国の事業所の九九%を占め、従業者全体の八〇%、三千万人を超える労働者が働く場所であり、わが国経済の基幹分野であります。中小企業の経営の安定と繁栄なくして日本経済の安定と発展を語るわけにはいかないのであります。総理は、中小企業融資をふやしたとか、指導員をふやしたとか言われます。しかし、今日、経営と生活の破綻がきわめて深刻になっておる中小企業への対策費は、五十年度一般会計予算のわずか〇・六%、これでは、政府は中小企業を見殺しにするのかと言われても当然ではないでしょうか。中小企業にとっては、低利、長期の融資とともに、仕事の保障が急務であります。政府と政府関係機関の中小企業向け発注はずっと二〇%台に停滞しています。官公需の中小企業向け比率を五〇%以上に引き上げるべきであります。
 また、大手スーパーによる一般商店への圧迫など、大企業の中小企業分野への進出、これに対して直ちに強く規制すべきであります。総理は中小企業団体法の適用について考えていると言われましたが、対策は急を要するのであります。具体的な構想を示していただきたいのであります。
 さらに、今日、韓国産つむぎなどの輸入が重大な問題になっておりますが、不況業種の中小企業や伝統的工芸品産業を脅かしておるその種の類似商品、競合商品の輸入を規制する緊急措置をとるべきと思うが、これも見解を伺います。
 わが国の農産物輸入は、昭和四十三年の一兆二千五百億円から四十八年の二兆四千六百二億円と、五年間に二倍になっております。その結果は、穀物の国内自給率は四一%にまで落ち込んだのであります。対米従属と大企業本位の高度成長のこれは痛ましい結果であります。日本は世界一の食糧輸入国でありますが、金さえ出せば安い食糧が幾らでも買えるという時代ではなくなった今日、そして、アメリカが食糧の戦略物質としての位置づけをますます強化しておる今日、世界でも異例に低い穀物自給率は、わが民族にとってきわめて危険なことであります。また、地球上で数億の人類が飢餓にさらされているとき、日本が、みずからは食糧の国内生産に努力せず、経済力に物を言わせて世界の食糧を買いあさっておるのは、国際正義の上からも許されることではありません。総理は、農業を国の基幹産業と考え、食糧の国内自給率を高めることを真剣に考えておられるのかどうか、食糧自給率をいつまでに、どうやって、どこまで高める方針なのか、特に穀物の自給率を高める方針と成算が本当にあるのか、はっきりお聞かせ願いたいのであります。
 農地問題は農業生産の大前提であります。昭和四十八年の農地減少は七万五千ヘクタールという史上最大の耕地取りつぶしでありました。総理は、農地取りつぶしは行なわないと言われたのでありますが、こうした耕地減少にストップをかけ、今後は農地拡大をはかる方針であると理解してよろしいかどうか。当然、新土地改良長期計画は根本的に再検討されなければならぬと思うが、その点どうか。昭和三十五年水準に日本の耕地面積を回復するために、五十万ヘクタールの農地拡大を目指す緊急三カ年計画を立てて実行する考えがあるかどうか、あわせてお答え願いたいのであります。
 教育問題についてお聞きします。早急に対策を求められている教育問題として高校増設の問題があります。高校進学率が九〇%を超え、高校教育が重要な国民教育となっておる現実、また、中学卒業者の増加に対処するため、全国で大量の高校の新増設が必要になっており、特に大都市周辺でそれは差し迫った問題になっております。専門の学者の試算によりますと、たとえば埼玉県では、昭和四十八年度並みの進学率で計算しても、昭和五十五年度までに現在の八十六校よりも多い九十六校を増設しなければならない、そうしなければ対応できない状況であります。しかし、いずれの都府県でも、用地難に加えて、用地取得費、建設費の暴騰や、地方財政の危機のため、高校新増設は大きな困難に直面いたしております。私立高校の経営難は深刻であり、五十年度から始まる国庫補助も、その経営難を救うにはほど遠い状態であります。このまま事態が放置されれば、大量の中学浪人が生まれる。受験地獄は一層無残なものになるのは明白であります。私立学校への助成を一層強めるとともに、公立高校の新増設に対して、用地確保のための特別の対策、用地取得費を含む建設費への国庫補助など、国としての援助がどうしても必要と思うが、それについて政府のはっきりした見解をお聞きいたしたい。高校新増設に対する国の補助は、昨年に続いてことしも文部省が要求したにもかかわらず全面的に削られてしまった。高校新増設の起債枠を五倍にふやしたからといっても、結局はこれは自治体の負担であります。問題の根本的な解決にはなりません。この問題は文部大臣だけでなく、総理、大蔵大臣の見解もあわせてお聞きいたします。
 総理は、施政方針の中で、教育を本来あるべき場に引き戻すことが必要と、こう言われた。教育を政争圏外の静かな場に移さなくてはならないとも言われた。総理は、どのような状況を指して、教育が政争の場に引き込まれていると言われるのか。また、何によってそのような状況がつくり出されたと考えておられるのか、説明をお願いいたしたい。
 私は、日本の教育のあるべき姿をゆがめてきたのは、たとえば田中前総理の教育勅語の賛美などに見られるように、教育を軍国主義の手段に利用し、政争の具に供し、憲法、教育基本法の民主的原則を踏みにじってきた歴代自民党政府の教育政策であると考えるものであります。(拍手)また、一部勢力の教育行政への不当な介入、トロツキスト暴力学生の破壊行為や、トロツキスト教師と言われる連中の偏向教育を放置してきた文部行政の責任が問われなければならない。(拍手)
 そこで最後に、同和教育の問題について質問します。
 わが党、は未解放部落の子供たちの教育の機会均等を完全に保障し、憲法に反する一切の部落差別の誤りと基本的人権の大切さを自覚させる自主的、民主的な同和教育の確立を求めるものであります。しかし、部落解放同盟朝田派と言われる連中は、学校教育は部落解放運動の要請に従えなどと要求して、学校教育の民主的原則に乱暴な攻撃をかけております。兵庫県八鹿高校教職員に対する集団暴行事件や、彼らが全国各地で実行し、最近では、東京都にも要求してきておる朝田派講師による全教員の研修やPTAに対する啓蒙活動、すべてそのあらわれであります。このような学校教育への乱暴な介入、干渉を放置するならば、子供たちの教育全体が大きくゆがめられていくだけでなく、その影響が学校教育、国民生活の全般に及ぶことが憂慮されるのであります。
 一昨年四月、福岡県豊前市にある築上中部高校の入学式で村田驥一郎校長が、築上中部高校は、豊前築上の名門校と言われてきた学校であります、と述べたその一言を解同朝田派がとらえて、それは周辺の学校を差別するものだと激しい糾弾を加え、校長は降任願を書き、後に校長職から他の職へ移されたという事件があります。県の教育次長とか同和教育課指導主事が、解同朝田派との交渉で、校長の発言は差別であると認めておるのであります。もう何たることでしょうか、これは。解同朝田派の連中は、差別者に人権はない、犬ころだ、こう称して、校長の腰に長いロープを結んで、白昼、他の高校に連れていき、そうして、犬が逃げるかもしれぬと、なわの端をいすにつながれた状態で校長は生徒に陳謝させられたということもありました。文部大臣、これで教育ができますか。このような事件に対して、県教育委員会が朝田派に屈服し、事件の処置をあいまいにし、文部省をそれを許してきた責任というものはきわめて重大であります。この事件について文部大臣の責任ある見解をお聞きいたします。
 昨年の八鹿高校事件について、文部省はその後、兵庫県教育委員会に対してどのような指導をなされておられるのか、御答弁願いたい。兵庫県教育委員会の態度というのは少しも改まってはいないと思われるのであります。一月十八日、八鹿町で、部落解放同盟朝田・丸尾派による南但中学校解放研集会というものが、町長や中学校長の積極的な協力のもとに開かれた。この集会は、八鹿高校職員に対する糾弾、逮捕された丸尾らの法廷闘争の支援などを目的としたところのものであります。との件について十七日の閣議で文部大臣は、県教育委員会に対し事実の確認と適切な措置をとるよう指示したと、こう報告されたというのであります。十六日に指示したと、こう報告されたというのでありますが、文部省はどのような指示をされたのか。また、文部省の指示にもかかわらず、教育の中立性を大きく逸脱したこの集会に、生徒を駆り出すなど積極的な協力をやった校長などの行為について、文部大臣はどう考え、今後どのような措置をなされるつもりか、お答え願いたいのであります。文部大臣、総理は、教育を静かな場に置くのがあなたの使命だと、こう言っておられる。しかし、教育を静かな場に置くということは、暴力者たちの教育への不当介入を教育行政機関が黙って放置することであってはならないし、まして、彼らに屈服、迎合、加担することであってはならないと思うのであります。必要な措置は必ず実行する、言ったことは必ず実行するということをしっかり腹に踏まえて、はっきりした御答弁を文部大臣に求めるものであります。以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(三木武夫君) 共産党の星野君の御質問にお答えをいたします。
 私が、社会党の成田委員長の質問に答えて、議会政治においては円滑な政権の交代ができる基盤が生まれることが好ましい、ということをとらえていろいろきつい御質問でございましたが、私は、憲法論を言ったわけではないんですから。それで、それだけの力がおありになれば、私が政権を渡すとか渡さぬとかいうわけではなくして、当然に政権は移るわけでございます。ただ、政治論としてこういうことが星野さん、言えるんでないでしょうか。成熟した議会政治というものをお考えになった場合に、それは成熟した議会政治では円滑な政権交代が行われるというルールがやはり生まれておるんじゃないでしょうか。政権交代ということで、内外の政策というものが非常な大きな変革を伴うということでは、やはり何かそのことから非常な混乱も起こる場合もありますから、好ましい形としては、円滑な政権の交代が行われることが好ましいという私の政治論は、憲法違反などというものでは私はない、議会政治家として当然の発言であると思うのでございます。また、なぜそういうことを言うかというと、そのことがいい悪いというのではないですけれども、安保条約廃棄、いまの自衛隊は廃止と、これは相当大きな変革であります。そのことの私は価値判断をしておるわけじゃない。いずれにしても、非常に根本的な変革を伴うような政権の交代というものは、まあ、安定した国の議会政治としては余り好ましい姿じゃないわけですから、この点はできる限り、これは野党ばかりでは私はないと思いますが、与野党ともに何とか共通の基盤ができないかといって努力をすることが議会政治家として必要だということを申し上げたのでございます。だから、それは憲法違反などというものではないということを御承知願いたいのでございます。
 それから第二は、中東問題についていろいろお話がございましたが、アメリカのとっておる現実の政策は、産油国と消費国とでよく話し合って問題の解決をしようという態度であることは明らかでございます。昨年の十二月に、フランスのジスカールデスタン大統領とアメリカのフォード大統領が会っておりますが、この三月には、産油国も交えて予備会談が行われるわけでありますから、そういうことから考えてみても、武力によって中東問題を解決しようとするのがアメリカの現実政策だとは私は思わない。私もまた、石油問題というものを力によって解決できるとは思ってないんですよ。だから、私は一昨年の十二月に、石油問題などの問題も解決したいと、アラブに特使として参りました。そのときにも、その旅行が終わると直ちにアメリカに行ってキッシンジャー国務長官とも会って、この日本の立場というものをよく説明すると同時に、キッシンジャー国務長官が中東和平のために果たせる役割りというものは非常に大きいですから、アメリカの立場は。一層の努力をしてもらうことを要請をしたわけでございます。まあ、そういうことから考えてみましても、そのときにも、これに対して私の意見とキッシンジャー国務長官の意見とは食い違いはございませんでした。したがって、アメリカも話し合いによって解決したいということがアメリカの真意である、かように私は考えておるわけでございます。
 第三は、ベトナム問題についてアメリカが非常に介入しておるではないかということでございますが、星野さん御承知のように、一九七三年六月でしたか、アメリカの国会において、米軍の軍事行動というものはベトナムに対して禁止されておるわけです。だから、再介入というような形の軍事行動というものをアメリカが起こせるわけはないのでございます。また、国際管理監視委員会なども、なかなかいまうまく機能をしていないようでありますが、こういうことに対しても監視をする役割りを持っておるわけでございます。だから、いま御指摘のように、アメリカが再介入をしておるというようなこととは私は見てないのでございます。したがって、アメリカにこれを忠告したらどうかというような必要はないと考えております。
 また、SR71の嘉手納基地から発進しておるというお話ですが、この事実関係はまだ私、承知していないのです。ただ原則として言えることは、安保条約の枠内でアメリカが偵察飛行をするということはそれは可能ですけれども、それは事実に即していろいろこの問題は考える問題もございましょうが、原則として申し上げたのであるということを御承知願いたいのでございます。
 それから第五問は、政府はパリ協定の尊重ということを言いながら、ベトナムの臨時革命政府に対しては敵視しておるじゃないか、敵視するような政策――承認はしていないわけですから、それは敵視政策とは言えないと私は思います。だから、臨時革命政府からわが国に入国しようとする場合には、必要な場合には入国を認めますし、ケース・バイ・ケースで処置をしたいと考えておりますから、これを初めから敵視するという態度ではないのでございます。
 第六問は、朝鮮問題に対して三木内閣は朝鮮の認識が佐藤内閣時代と変わらぬじゃないかということでございますが、やはりだれが考えても朝鮮半島の状態が日本の安全と無関係であるとは私は言えないと思うのです。これはだれでもそう――お考えになってもそのとおりだ。ただ、私どもの願いは、朝鮮半島というものが平和的に統一をされて、あそこの地域が、平和と安定というものがあの地域にもたらされることが全日本国民の願いであります。したがって、日本の行動ができるだけそのことに寄与するような行動をとりたいと願っておるものでありますが、朝鮮半島の安定が日本の安定に関係あると、無関係ではないと考えておるわけでございます。また、その場合に、星野さんは、朝鮮民主主義人民共和国を承認をすべきではないかという御意見でございますが、いままだ、北鮮を承認するというほどこの問題は客観的に見ましても成熟していないと思います。だから承認はいまはいたしませんけれども、この北鮮との間にはいままでも経済的にあるいは文化的に人的な交流はいたしておるわけでございますから、これを今後も積み上げて接触を維持していきたいと考えておる次第でございます。
 また、韓国の獄中にある早川、太刀川両氏については、これは韓国の国内法によって処理される問題ではありましょうけれども、在留氏の保護という日本政府の立場を考えて、できるだけ早く帰国されるように政府も努力するつもりでございます。
 第十問として、政府は大企業本位であるということで、高度経済成長期の政府のやり方をいろいろ御批判になりまして、まあ、社会福祉などに対してはあんまり考慮していないという、全体としていろいろ御批判がございましたが、政府のやっておることは大企業本位ということは、それは一方的断定にすぎません。政府が考えておることは国民全体のことであって、政府が大企業とかあるいは一部の階層に偏って政治をやろうということは、今日の民主社会においてできることではないわけなんです。政府は国民全体の間に、しかし均衡は保たなければならぬ、バランスは持たなければいかぬ。だれも憎しみを持った政治をやろうとしていないのですから、国民全体に対して均衡のとれた政治をやろうと考えておるのでありまして、それは大企業中心の政治ということは独断に過ぎると思うのでございます。ただしかし、こういうインフレの進行もございますし、インフレの進行がなくても、これからの政治というものは、えてして弱い立場に立たされる人々というものに政治の目を向けていかなければならぬことは御指摘のとおりでございます。
 社会保障などについても、こういう抑制型の、できるだけ抑制しようとした予算の中においても昨年度に比べて一兆円社会保障関係の予算はふえたのですから。また、この福祉年金にしても、星野さんはたった一万二千円とおっしゃいますけれども、これは掛金なしでありますから、一万二千円といってもこれは全部国の財政的負担でありますから、七千五百円から一万二千円にしたのですから、まあよくやったというぐらいのお言葉があってしかるべきだと思うのでございます。(拍手)これをさらに二万円、三万円ということになりますと、これは財源も考えねばなりませんので、したがって、これが十分だとは思ってないのですよ。年金全般に対してこれは見直しをいたしまして、できるだけ五十一年度の予算には反映さしたいということを申し述べておるのですから、その点は御了承を願いたい。まあ、いま御指摘になった福祉年金、厚生年金、いろいろな点についてもこれは十分に検討さしていただくわけでございます。ただ、いろいろとの細目にわたった御質問は厚生大臣からお答えをいたすことにいたします。
 通産大臣の要求がないようですから私がお答えをいたしますが、中小企業の官公需、これをふやせということはごもっともであります。私も通産大臣の時代からこの問題にはかなり私自身が力を入れまして、そのための立法もいたしたわけでございます。それはまあ星野さんの言われるように、五〇%ぐらいまで持っていけないかということで、それを目標にして努力したいと思うわけですが、まだ二八%ぐらいだったと思うのですが、そういうところまでまいらないことは残念でございますが、今後とも中小企業の官公需の発注に占める割合は増加していきたいと考えております。また、大企業が中小企業の分野へ進出するということはよくないと思う。何でもかんでも大企業がやるということはよくない。中小企業の分野というものは残さなければなりませんので、中小企業団体法、これを厳重に施行いたしますならば相当なことはできるわけです。地域の人たちが同意しないとなかなか進出はむつかしいことになるわけでございますから、これを厳重に施行して、中小企業がどうしても生きていかれる分野は確保したいと考えておる次第でございます。
 韓国からの類似商品を、これをもう規制して入れないようにしてしまえというようなことでございますが、それは適当ではございません。やはり、発展途上国というものの立場を考える必要もございますから、輸入の段階でこれを規制するということは適当ではございませんが、国内の問題としてこれは処置したいと思うのでございます。
 農業問題については農林大臣からお答えをいたし、あるいは高校増設は大蔵大臣、教育問題は文部大臣から答弁をいたすことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(田中正巳君) 社会保障給付費について、その財源についていろいろお話がございました。国と使用者だけというわけにはいきますまい。やはり、国、使用者、被用者、一般国民的視野に立って、これについて費用を負担しなければならないと思っておりますし、また、これについての費用負担の割合等については今後検討すべきものがあろうかと思いますが、全国民的な協賛がなければこの問題は前進できないというふうに思っております。
 それから、生活保護者の栄養摂取量についての御質問がございましたが、現在の生活保護基準は、一般国民の消費水準の格差是正という見地からこれを策定しておるわけでありまして、昔のように飲食物費がどう、被服費がどうといったような、いわゆるマーケット・バスケット・システムというものを今日はとっておらないわけであります。しかし、金額の面から調べてみますると、大体第一・十分位、まあ、生活保護者でない世帯の、一般世帯の最低の方々との比較においては、それほど格差がないという調査が出ております。もっとも、この点については被保護者がエンゲル係数が高いという問題が露呈されているかと思いますが、いずれにしても栄養摂取量においてはそれほどの格差がないようでございます。
 第二は、栄養そのものの面からいろいろ調査をいたしておりますが、国民栄養調査の結果によりますと、被保護世帯の栄養摂取量は一般世帯の九六%となっておりますので、特に低いという傾向は現在のところないようでございます。
 遺族年金は各種公的年金制度を通じ、現在老齢年金の二分の一であるということで、これについて低いではないかという御議論でございますが、これはどうも従来から各種年金を通じて全部二分の一になっております。旧恩給法等の思想が入っているものかとも思われますが、御時勢の推移等も見まして、これについては改善をいたすべく、次の抜本的な改善期において改善を図りたいと思いますが、八割という御説でございますが、ここまでいくかどうかはわかりませんが、今後再検討すべき一つの課題であるというふうに認識をいたしております。
 また、妻の加給金でございますが、これは一般的に勤労者のいわゆる扶養手当、妻の扶養手当を勘案して大体決めておるところでございますが、これについては被用者の妻の年金保障権の問題等と絡んで、なかなか実は問題があります。特に、この点につきましては、年金制度のいわゆる学識経験者の間にも、学説やあるいは議論のかなり分かれているところでございますので、今後、年金の抜本策との関連において解決を図っていく所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(安倍晋太郎君) 星野さんの御質問の第一点は、農業の自給率の問題でございますが、やはり農政の基本は、何といいましても国内生産体制を整備して自給力を高めていくということであることはもちろんでございますが、しかし、わが国の生産条件に合わない農産物、たとえばトウモロコシ、コウリャン、こういった飼料穀物につきましては、やはりこれはどうしても今後とも外国に依存せざるを得ない。そういうことで、これらの農産物については外国から安定的に輸入をしていくということが、やはり今後の農政の一つの大きな課題であろうと思うわけでございます。現在全体的に自給率、自給力の問題については農政審議会の御答申を得まして、長期的な視点に立って自給率を高めるための努力を続けていきたいと考えております。
 それから第二点は、農地の取りつぶしを行わないと言うが、農地の拡大を図る方針があるのか、あるいは新土地改良長期計画を再検討する意思はないのかという御指摘でございます。現在農林省の試算では、大体開発可能の面積は百五十万ヘクタールあるというふうに試算をいたしておるわけでございまして、新土地改良長期計画では、このうち七十万ヘクタールを十年計画で開発するということで事業を進めておるわけでございますことは御承知のとおりでございます。しかし、現在農政審の御検討もございますし、またさらに、新全国総合開発計画等につきましても、五十一年度から再検討されるということでございますので、それに合わして土地改良計画の検討をしなければならないというふうに考えております。(拍手)
   〔国務大臣永井道雄君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(永井道雄君) 星野議員の御質問に対して答弁申し上げます。
 まず第一は、非常に原則的な問題についての御質問がございました。それは、教育の場に暴力というようなものが入って、それによって教育がゆがめられることはいけないであろう、これは全くそのとおりであると考えます。したがって、教育からあらゆる暴力というものを排除するというこのお考えについて、私は全く同じ考えを持っております。
 次に、教育というものを静かな場に置かなければならないと言うが、しかしまた、政争に巻き込まれているというふうに言うけれども、それは何を意味するのか、そしてまた、それのよって来るところは何であると考えるかという御質問がございます。政争に巻き込まれていて、静かな場で教育が議論されていないということを申しますのは、こういうことでございます。
 私、考えますのに、わが国の国民、特に子供の立場に立って考えますというと、非常に共通に、政治的な立場を異にする人々も考えなければならない多くの問題がある、これは具体的にあるかと思います。たとえば、学校教育におけるダイヤの過密化と申しましょうか、教育課程の過密化の問題がございます。また、そういう中で正しく美しい日本を学習するのにはどうしたらいいかという問題もございます。また、わが国におきましては、戦後、体格というものは非常によくなったのでございますが、しかしながら、それに伴って体力というものが必ずしも向上していないという多くの報告がございます。こうした事柄というものは、私は政治の立場を離れまして、本当に国民の立場、とりわけ学習している子供の立場に立ちまして議論をできるはずであるのに、それが十分に深められていないということは、政争というものによって必ずしも教育が静かな場で論じられていないということの意味でございます。そのよって来る理由は何であるか。そのよって来る理由は、これはどこの国にもあることですが、当然政治というものには保守、革新の対立というものがございます。わが国においてもこれがあるのでございますが、その対立というものが、いささか不必要なまでに教育の場に持ち込まれたきらいがあったのではなかろうか、かように考えているわけでございます。(拍手)
 次に御質問の点は、同和教育に関する問題がございます。これはきわめて多岐にわたっている問題でございますが、まず八鹿高校の問題あるいは南但馬における中学の問題、さらにまた福岡県における校長先生の問題、こういう点についての御質問がございました。で、この同和教育につきましての考え方というのは、これは私も繰り返し申し上げておりますように、まず教育の中立性というものが大事であることは申すまでもないんでありますが、それと同時に同和対策審議会の答申というものがあるのでございます。私はそれは非常に重要であると思いますから、その答申のきわめて原則的な部分を答申の中から申し上げたいと思います。それは、「法のもとの平等の原則に基づき、社会の中に根づよく残っている不合理な部落差別をなくし、人権尊重の精神を貫ぬくことである。」というのでございます。この立場に基づいて私たちは八鹿高校の問題その他に対処していかなければならないと考えております。
 そこで、まず八鹿高校の事件につきましては、山崎政務次官を兵庫県庁に派遣するという方法をとりましたし、また兵庫県教育委員会からの報告を繰り返し受けるという方法をとることによりまして、学校運営の正常化を図って授業の回復ということを目標といたしましたが、授業は回復されるに至りました。
 ところが、さらに御指摘のように南但馬中学校解放研集会というものが一月十八日に開かれるという問題があったわけでございますが、これについて校長などが関与したのではなかろうかという御質疑がございましたが、私どもが兵庫県教育委員会から受けました報告によりますと、一月十八日に開催されました但馬青少年解放研交流学習会は、中学校の解放研生徒の自主的な集会でございまして学校はこれに関与しなかった。したがって、校長がこの集会に協力するといったことはなかったという報告を受けております。しかし、文部省といたしましては、中学生がこのような社会的な行動の場に参加することについても、それは適切でないと考えて、こうした立場からの指導を引き続き兵庫県教育委員会を通じて行っております。
 さらに、次に福岡県豊前市築上中部高校の校長先生の訓示、これは昭和四十八年四月に行われたものでございまして、その後、その校長先生の訓示についていろいろの見解がある、さらに校長先生の異動があったことについてのさまざまな見解があったが、これについてどのように考えるかという御質疑でございますが、これについて教育委員会から受けております報告によりますと、校長先生の人事は通常の異動であって、そしてそれは委員会の自主的な判断に基づくものであるということであります。われわれといたしましては、任命権者である教育委員会というものが、人事を進める上において判断と責任を持って行わなければならない、そしてまた、それは繰り返しになりますけれども、教育というものの内容を尊重し、そして中立性に基づいていかなければならないという考えをとっております。
 次に、公立高校の用地あるいは建物などの問題でございます。これは御指摘のとおり、わが国の人口急増地域におきましてきわめて深刻な高等学校増設問題が起こっている。そしていろいろな推計もございますが、私たちが用いております推計でも、昭和四十九年度から五十六年度にかけまして、人口急増の都府県におきまして高校増設の必要が生じている。そこでこの問題をどうするかということは非常に重要な問題であることは御指摘のとおりでございます。そこで、まず国としてどうするか、昭和五十年度におきましては、地方債計画の中で一般単独事業の中に新たに高等学校整備事業という新しい明確な枠を設けまして、前年度六十億円に対して二百四十億円増しの三百億円を計上いたしまして、この措置によって昭和五十年度開設校などの高等学校建設の円滑な実施が図られることを期待いたしております。
 さらに用地につきましては、これは従来から起債措置が行われてきたものでございますが、その主管省において適切な措置を講じているという、そのような形において公立高等学校の急増状況に対する対策をとってこの問題の解決に当たっているということを御答弁申し上げて終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(大平正芳君) 公立高校の建物並びに用地費につきまして国が助成すべきでないかという御意見でございました。国といたしましては、いま文部大臣からお話がありましたような措置を講じておるわけでございます。すなわち、地方債計画で対処いたしておるわけでございまして、何となれば、高校に要する経費は、地方の交付税の配分基準になりまする基準財政需要の中に盛り込まれるたてまえになっておるわけでございまして、国として特別に直接に助成措置を講ずるということは財政制度を乱すことになりまするので、そういう道を避けまして、地方債計画でもって対応することにいたしております。しかしながら、地方債計画で対応いたしましても、その元利の支払い、償還という問題が将来起こってまいるわけでございますが、そういったものも当然基準財政需要の中に配慮することによってこの高校増設問題に財政的に今後対処してまいりたいと考えております。
#26
○副議長(前田佳都男君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(三木武夫君) 政治資金規制についていろいろお話がございました。私は、原則としては党費と個人献金で賄うべきだということは、私は原則としてさように考えておるものでございます。しかし、それにいくまでの過程にある経過規定が要るということは、実情に即してそういう便宜的な手段もとらざるを得ないということであって、原則についての考え方はいまも変わらないものでございます。便宜的な措置がある期間要るということだけでございます。原則の変更ではありません。
 また、金大中問題について、どうも私、聞き漏らしたんで、答弁漏れということでございますのでお答えいたしますが、外交的には、金大中氏の事件というものは一応いろいろな経過が、いままで話し合いの経過があったようでございますが、国民の感情としては、まだ何かこう割り切れないものが残っておるわけで、やはり金大中氏の人権問題というものは、われわれも重大な関心を持たざるを得ないわけでございますから、今後とも、金大中氏の人権問題を中心とした問題については政府は関心を持ち続けて、一日も早く、一般市民としての自由――いま、いろいろな選挙違反なんかの事件があるようですけれども、金大中氏の自由が回復され、人権問題に対するわれわれの懸念が解消されることを政府は願うものでございます。(拍手)
#28
○副議長(前田佳都男君) これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十九分開議
#29
○議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
#30
○向井長年君 私は、民社党を代表いたしまして、総理並びに三大臣の所信演説に対して、国民の生の声を取り上げ質問をいたします。
 三木総理、国民は五十年のこの新年をすがすがしい気持ちで迎えられたと思いますか。何となくどんよりとした陰うつな重苦しい正月を迎えたのではなかったかと思います。新年おめでとうのあいさつは、例年になく明るさが見られませんでした。続いて出る言葉は、苦しい年末でした、ことしはどうなるのでしょう、という私たちに対する問いかけであります。家庭の主婦の皆さんは、物価は何とかなりませんか、毎日の生活が大変です、と言われます。中小企業、零細企業の皆さんは、もうどうにもなりません、全くお手上げです、と悲痛な訴えです。また、どこか働くところはありませんかと頼む人たちも少なくありません。これらは皆切実な国民の声です。総理、この国民の悲痛な叫びをどう受けとめられますか。この人たちが何かいけないことをしたというのでしょうか。彼らをこの窮地に追い込んだのはだれなのか。よって来る責任はどこにあるのか、まず総理にお聞きいたしたいのであります。
 今日の情勢を生み出したことについては、私たち野党の議員としても国政に関与する以上、国民に対してこの責任なしとは考えておりません。しかし、だれが何と言っても、私は今日までの自民党政府の政策の失敗と断ぜざるを得ないのであります。ここでその責任の所在を明確にし、同時に、心からの反省を促すものであります。
 インフレ、不況、狂乱物価、さらには金脈問題で国民の大きな批判を受けた田中内閣が崩壊の後、国民の政治不信回復への一大決意のもとに三木内閣が誕生されたのでありますが、三木内閣に対する国民の期待も大きいかと思います。しかし、一方では、だれが内閣を担当しようと、同じ自民党のたらい回し、派閥均衡内閣だという不信感がいまの国民感情ではないかと思います。
 総理あなたが発足当時提唱された金権政治の打破、社会的不公正の是正、弱者救済といった一連の社会正義にかかわる主張は全く私たちも同感であります。緊急の問題としてインフレの克服、物価の抑制、国民福祉重点を取り上げておられますが、これらは当然のこととはいえ、私たちも国民的視野に立ち、その実現にともに努力しなければならないと考えておるのであります。
 しかし、今回提案された本年度の予算内容を見たときに、また、先日の総理初めそれぞれ関係大臣の施政方針を聞いたときに、不況の克服、社会的公正、国民福祉とはほど遠く、国民は失望していることでしょう。私も、総理の施政方針及び今日までの両院においての各党の代表質問に対する答弁は、歴代総理に見られない真情込めた熱意は高く評価いたします。しかし、総理、国民は熱意ある演説だけでは満足しませんよ。あすからの生活です。あなたの熱情をきめ細かく実行に移すことであります。総理、これはあなたの本意なのですか。有言実行、すなわち、言ったことは必ず実行するというあなたの国民に訴えた政治姿勢に対して、私は大きな疑問を抱かざるを得ません。総理の所信をお伺いいたします。
 以上、あなたの政治姿勢をただし、以下、物価、経済、福祉、エネルギー、食糧教育、外交等七項目を中心として、提言を含めて具体的に質問をいたします。
 第一点は経済と物価問題であります。政府は、インフレは世界的動向であると言っておりますが、わが国のインフレと物価高は、諸外国に比べても飛び抜けて高いことは周知のとおりであります。わが党と同じく福祉国家建設を目指す西ドイツ、スウェーデン等と比較しても、日本の物価の上昇率は約三倍近い高騰を示しておるのであります。この事実は、現在のインフレが単に石油価格の大幅上昇という国際的要因だけでは説明できないことは明らかであります。すなわち、総需要管理政策の機動的運用の欠如、安易な公共料金の引き上げ、大企業体制の強化による対応策のおくれ、消費者保護の軽視等であります。これらはいずれも経済運用の問題であると同時に、経済構造そのものに根差す深刻な問題であります。総理、インフレについて、よって来る原因に対する反省と認識についてお伺いいたします。
 私は、以上の観点から端的に質問をいたしますが、第一に、政府は、この三月に物価上昇を一五%にし、来年五月には一〇%以下にしたいと言っておられます。恐らく単なる努力目標ではなく、責任を持って実現することと考えておると思いますが、いかがですか。もし達成できなかった場合は、国民にその責任を明確にされますか、お伺いいたします。同時に、これが実現のための手順、方策についてどのような具体策を用意され、実行されるおつもりなのか、内容を示していただきたいのであります。
 第二に公共料金問題であります。わが民社党は、公共料金について、何が何でも長期凍結すべきだというような暴論を主張しておるのではありません。政府がまず、物価安定の実を上げることが先決問題であります。そのためには、当面する賃闘において、労働者が実質賃金重視の良識的な賃上げを行うことを期待することは、わが民社党といえども人後に落ちるものではありません。この観点から、電話、郵便、たばこなど主要な公共料金は、少なくとも消費者物価上昇率が一〇%以下に定着するまで値上げを凍結すべきであると主張しておるのであります。これは実現可能な具体的な政策であり、また、国民も期待いたしておるところであります。同時にこの際、国鉄、郵政等三公社五現業の経営内容を徹底的に洗い直すため、学識経験者、民間代表による経営合理化審議会を直ちに設置し、その答申に沿い、経営の近代化、合理化を進め、赤字の縮小を図るべきであると考えますが、総理の明快な御所見を承ります。
 第三点は、大企業体制の改革であります。わが党の目指す経済改革は、アメリカのような自由競争万能型ではなく、また、官僚と財界の癒着した大企業体制でもなく、ソ連、中国のような国有化一辺倒でもありません。われわれは、労働者、消費者の意見が制度として十分経営に反映される産業民主主義と、国民の規制が行われる新しい経済秩序の確立であります。わが国が五十年代に新しい展望を持ち得るならば、この道しかないと断言しても過言ではありません。総理の所見を承りたいのであります。
 そこで、具体的に提案を行いますが、独禁法は、少なくとも公正取引委員会の改正試案を中心として今国会で実現することはもちろんでありますけれども、この他ビール、ガラス、フィルム等のような数社による寡占価格規制法の制定をわれわれは提唱いたしておるのであります。通産大臣、大蔵大臣のこれに対する所見を承りたいのであります。
 次に、銀行法の改正並びに重要産業基本法の制定であります。銀行法については、これを行政指導することによって法改正を行う必要がないという一部財界あるいは官僚の意見がありますが、これは旧来の惰性的考え方以外の何物でもありません。現に金融機関において、大企業集中融資、過大な歩積み両建て、中小企業の金利のしわ寄せ等が行われている現状を見るときに、この際総理は、検討すると言うだけではなく、早急に銀行法改正を金融制度調査会に諮問すべきであると思いますが、総理の決断のほどをお伺いいたします。
 第四点は、中小企業の経営の基盤の確立であります。経済成長の低下に伴い大企業と中小企業の関係はおのずと変化することは当然であります。今後の中小企業政策の基本は、大企業との経済秩序をいかに調整するかであります。具体的には産業秩序法の制定、中小企業分野確保の制定並びに下請代金支払い遅延防止法の改正等、当面する最大の課題であります。通産大臣の答弁を求めます。
 第五点は、社会的不公正の是正についてであります。三木総理もすでに社会的公正の確保については、大きな政策課題の一つとして取り上げておられますが、それが本当に実現するのであればまことに国民として結構なことであります。しかし、私は、三木総理の態度に二つの疑問を抱かざるを得ないのであります。その一つは、社会的公正の確保が、依然として弱者への救済、インフレによる被害の救済というように、従来の政府・自民党の発想と同じく、お上からの慈善事業的救済の考え方が濃く残っていることであります。これがため、ことしの実際の福祉対策費においても、予算の制約を理由にことごとく国民の要求が削られ、社会的改正の確保が美辞麗句に終わっていることであります。これはいわば自民党の限界と言っても過言ではありません。もはや、社会的公正の確保と所得の平等化の推進は、慈善事業でもなく、一時的救済でもない、国民の安定のための憲法で保障された権利であります。国家としての義務であります。確固たる哲学の問題であると思います。すなわち、いかなる国民といえども、どのような状態にあろうとも、まじめに働く者である限り、勤労者の平均所得の六割は最低限国家の責任において保障する体制を確立することであります。いまこそ、このような精神を盛り込んだ生活保障憲章を制定することが昭和五十年の画期的な意義をもたらすものであると私は確信をいたします。総理にその決意ありや否やお伺いいたします。
 私はこの観点から、具体的に四点を挙げて質問をいたします。
 その一つは、年金についてであります。しばしば答弁をされておりますけれども、検討ではなく、どうするか明確に答弁を願いたいのであります。
 無拠出の福祉年金は、すべての国民にナショナルミニマムとして、三年計画で月額四万円を保障する最低保障制度の創設を図ることであります。
 その二は、一般庶民の預貯金の目減り対策であります。すでに政府の国民生活審議会の答申においても、この対策が急務の課題であることは当然と言わなければなりません。また、保険審議会の生命保険部会は、昨年十二月二十五日の中間報告で、物価上昇にスライドした物価指数保険の採用を提案いたしております。さらにイギリスでも老齢者少額貯蓄の物価スライド制を実施に移そうといたしております。また、先日の報道では、わが国の佐々木全銀連会長も、老齢者の預貯金に対して目減り保障を行う用意があることを発表しておるのであります。いまや小口預金の目減り対策は天の声と言っても過言ではありません。その方策について政府自身が決断をすれば直ちに実行できることが二つあります。その一つは、国債について、少額貯蓄国債に限り、その金利を一〇%に引き上げることであります。いま一つは、一般預金のうち、百万円以下の少額貯金に物価スライド制を導入するために、臨時金利調整審議会に諮問することであります。このようなことさえもしできないというのであれば、何ゆえできないのか、国民の前に明確にしていただきたいのであります。総理、大蔵、厚生大臣から確たる答弁をお願いいたします。
 その三は、これら諸政策に伴う財源確保とその実現の手順を明らかにした社会保障五カ年計画の策定であります。福祉向上には、莫大な予算が必要なことは当然であります。社会保障の基本には国民の強い相互助け合い意識がなければならないことは、自明の理であります。これを具体的に言えば、所得に応じ、また利益に応じて税を負担する原則を確立することであります。ところが、いまの税制は、自民党政治のもとでは、根本原則を軽視してあらゆるところでゆがみを生じ、福祉財源の不足を来しているのであります。政府の言う財源不足の口実は、物理的財源不足ではなく、まさに意図した人為的財源不足であります。その一例を挙げますと、法人税を何ゆえ外国並みに四二%に引き上げないのか。高額所得者にまでなぜ減税をする必要があるのか。また、インフレによって生じた巨額の利益に対してどうして富裕税を設けて資産再評価税を課さないのか。さらに、政府自身が資源節約やむだの排除を唱えながら、その有効な対策である企業の交際費課税の強化、広告税の新設等を行わないのか。これら以上の諸点について、一つ一つ明らかにしていただきたいのであります。
 これらをすべて本年度に実行することは困難性もありましょうが、でき得るものから実行するとして、その方向を明確にすべきであると思います。すなわち、今後五カ年の社会保障政策のプログラムとその予算を国民に明示し、それに対応する税制改革の手順を示すことであります。そのことが最も必要不可欠なことではないでしょうか。私たちが主張する社会保障充実五カ年計画の策定は、まさにこのことであります。真に社会的公正の確保と福祉の向上を図る道は、これら諸政策を実現する以外はないと確信いたします。総理の決断のほどと大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
 次に私はエネルギー問題について一点質問をいたします。石油問題とあわせて電力の安定確保は重要緊急な課題であります。石油確保が将来の見通しも決して安定したとは言えない今日、総合エネルギー対策の一環として、原子力開発を初めとし、最近では水力の見直し、すなわち、揚水発電所等が促進されなければならないのであります。しかるに、今日までの開発に対する政府の姿勢が那辺にあるのか質問をいたしたいのであります。たとえば、昭和二十七年七月制定された電源開発促進法に基づいて、総理大臣が会長となり、それぞれ関係大臣並びに学識経験者を含めた電源開発調整審議会なるものが発足をいたしておるのであります。その性格と目的、使命は、電源確保のため促進することが立法精神と言わなければなりません。しかるに現状は、促進どころか、開発にブレーキをかけている状態があらわれているのであります。原子力の場合は、もちろん安全性の確保が第一義でありますが、それぞれの開発地点での円満な話し合いがつくまで手をこまねいてそのまま放置している姿勢は納得できません。今日まで、問題解決のためいかなる努力を果たしてきたのか、お伺いいたします。少なくとも開発計画、開発時点を決定している以上、問題点を調査し、意見の調整と理解を得るための努力がなされるのが当然かと思います。私は、総合エネルギー確保の立場から、総理、通産大臣からこの所見をお伺いいたします。
 次に、食糧問題についてお伺いいたします。食糧確保の憲法として、畜産物のみならず水産も含めた総合的な食糧自給化を目指す食糧基本法を制定し、自給度目標の設定、農用地の拡大、漁港の整備等、強力な食糧自給化政策を推進しなければならないと考えます。農畜産物の総合自給率は基礎カロリー八〇%を目標として、特に現在過度に海外に依存している小麦、大豆、飼料作物等を自給度向上の重点作物として一定の目標を設定し、地域の適地を生かして分担の農業生産を行うため、総理大臣の諮問機関として生産者、消費者、学識経験者による国民食糧会議を設置し、国民合意による食糧基本政策を実施すべきであると考えますが、政府の所信を伺います。
 次に、教育問題について一点だけお伺いいたします。三木総理は、教育を政治の圏外に置きたいと述べておられますが、一月二十一日の閣議で、昨年の八月期限切れとなったままの大学運営臨時措置法の延長あるいは廃止のための法的措置を講ずることを報告いたしております。しかし、本法は、期限切れ直前に開かれた参議院選挙後の特別国会において、延長あるいは廃止について何らかの法的措置が必要であったにもかかわらず、政府は、廃案前の措置が必要だとは必ずしも考えておらない、五年以内に廃止するという規定はあくまで原則規定であり、廃止のための法的措置が講ぜられない限り本法の効力はそのまま存続すると勝手な解釈をして、そのまま放置しておるのであります。それをいまになって措置するというのはいかなる理由に基づくのか、また、特別国会で措置しなかった理由は何か、また、通常国会において文相が講じようとしている法的措置というのは廃止のための措置であるのか、それとも延長のための措置であるのか、明確にお答えを願いたいのであります。もし延長のための法的措置を講ずるというのであれば、総理の施政方針とは矛盾することになり、われわれは断固として反対せざるを得ないのであります。
 本法は、御承知のとおり、大学紛争を国家権力と力でもって解決することを目的としたものであります。しかし、今日の大学問題は、永井文部大臣が就任前から指摘されているように、大学の量的拡大に対応した新しい大学制度を打ち立てることが根本的に必要であると言われております。したがって、大学運営臨時措置法は直ちに廃止し、問題の解決を力に頼る態度を改め、大学を社会に開かれた大学として再編成すること、国立、公立、私立の格差を根本的に解決すること、学生参加を制度化することなど、大学の大衆化という新しい時代に対応した大学制度の確立を目指すべきであると思うが、どのように考えられておるのか、明快な答弁をお願いいたします。
 次に、時間がございませんから、外交問題は一点のみにしぼって質問をいたします。わが国の中東諸国に対する経済協力についてであります。
 一昨年の石油危機の際、わが国は中東産油国との友好を増進するため、三木総理を初めとする特使を各国に派遣し、各種の経済と技術協力を約束してきたことは、周知のとおりであります。この金額は、政府借款だけで千四百億円を上回ると言われております。しかし、三木総理が約束一年目の昨年の十月には、約束の実行が不十分だ、私がいいかげんなことを言ったようにとられたのでは日本の信用にかかわる、その後も政府にやかましく注文したが、なかなか思うように動いてくれないと、あなたは苦情を述べられておるのであります。これではわが国の信用にかかわる一大事であります。いまはあなたは総理大臣としての地位にあるわけであります。この公約は実行しますか。来年度の予算案でどこまで消化できるのか、お伺いいたしたいのであります。
 最後に、難局に対処する総理の決意のほどをお伺いいたします。政府は、不況対策には、総需要抑制の枠内で不況対策を講ずると言われておりますが、国民には深刻な問題であります。これに対して三木総理は、物的生活は簡素に、精神的生活は豊かに、福田長官は、いましばらくのしんぼうですと訴えられておるのであります。私は理解できないことはありませんが、このことは、国民の協力を願うのであれば、実のある具体的な政策と、その時期的な見通しを明確にして、国民に将来への希望を与えるべきであります。そのためには、総理・総裁として信念に基づいてリーダーシップが十分発揮されなければ実行不可能と思います。総理の決意のほどをお伺いいたします。
 ここで私の質問を終わるに当たって、ただ私は政府批判のみではなく、建設的な提言を含めた質問をいたした次第であります。総理は、国民の声として可能な限り実現に努力されんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(三木武夫君) 民社党の向井さんにお答えをいたします。
 第一番に、今日の物価騰貴、一体責任をどう考えておるかということでございます。もちろん、われわれも責任を回避してはいけない、われわれも従来の経済政策に対して反省するところがあってしかるべきだと考えるのでございます。しかし、一方において、石油を初め――石油のごときも一挙に四倍になったわけですから、しかも、日本はエネルギーの七〇%は石油に頼っておるわけでありますから、こういうコストの中の中心の一つである石油がこういう値上がりをした。これは、このために、日本ばかりでなしに、世界各国ともインフレ、不況、これは同時に、こういう経済的な困難に直面して、程度の差はあるけれども、どこでも世界各国ともこの問題に悩んでおるわけでございますから、われわれも責任を感じますけれども、こういう大きな予期せざる経済条件の激変ということも、これはやはり今日の物価騰貴を呼んだ原因の一つであるということは否定できません。そこで、とりあえず物価を抑制して国民生活の安定をはかるということがこの内閣の当面の一番大きな課題でもあるし、国民に対する責任でもあるわけですから、それには目標を設定することが必要である。国民としても目安が立ちませんから、まあ、少々大胆ではございましたけれども、三月末に消費者物価を前年同月比一五%程度にしよう。来年が来ると三月には一けた台にする。これは政府の努力目標ではございますけれども、今日では国民に対して責任を持ってやる数字である、こういうふうに考えておるわけでございます。万難を排してこれは実現をしたいと考えておるわけでございます。まあ、ほかの国々に比べましても、日本の物価水準はまだ高い状態でありますから、苦しい点もございますが、総需要抑制政策というものは当分これを続けていく。その間、財政、金融政策、機動的に、弾力的に運営をして、枠は崩さないけれども、失業、倒産などをできるだけ防いでいく努力はいたしていこうと思う次第でございます。
 公共料金の問題についていろいろ御批判がございましたけれども、まあ、向井さんやっぱり御承知のように、精いっぱいのところをやったんですよ、あれはね。なぜかというと、財政の面から見れば、公共料金を抑えるということは、将来のことを考えると、相当やはりこれは無理なことでもあるわけですね。その状態を一遍に回復しようとすると、いろいろな無理が起こるわけですから、できるだけ抑えようということで、御承知のように電信電話、麦、塩などは抑える。郵便も程度を、上げ幅を少なくして、しかも六カ月延ばして十月からということ。酒、たばこだけはこれももとの原案よりも上げ幅を少なくして上げたわけで、まあ、公共料金をできるだけ抑制しようという態度であったということは、これは御理解を願いたいのでございます。
 それから三公社五現業経営合理化審議会、民社党の従来強い御主張であって、私どもも三公社五現業の経営内容というものはこの機会に徹底的に洗い直す必要があるということを考えるものでございます。これに対しては、既設のいろいろな審議会があるので、そういうものを活用してそういう目的を達成できぬかということを検討してみて、まあどうしてもそれでは無理だというならば、こういう向井さんのおっしゃるような調査会といいますか、審議会といいますか、そういうものの設置も検討せざるを得ないことになると考えておるわけでございます。
 それから独禁法というものに対して、これは公取試案というものを中心にしてというお考えでございますが、確かに公取試案は重要な参考にはいたしますが、これが絶対のものであるとも考えていないわけで、各方面の意見をよく――政府の部内に懇談会もできておることでございますから、よく徴しまして、できるだけ国民が納得できるような案をつくって、三月には国会に提出をしたいと思っておるわけです。また、いろいろ企業と組合との関係に関連して、西ドイツの経営協議会のようなことを頭に入れた御質問ございましたが、これからの企業というものは、社会的責任というものを自覚しなければなりませんから、労働者、使用者の意向などをくみ取れる、何かこう、そういう新しいシステムができないかということは、今後も研究をいたすことにいたします。
 それから重要産業基本法を設定をしたらどうだということでございましたが、向井さん御承知のように、政府は社会開発計画のこれをもう一遍五十一年度から、情勢が変化しましたから、新しい長期計画を立ててみようということで経済審議会にお願いをして、つい数日前にも、陣容も多少変わりまして新しくスタートしたわけで、そういうことで、いますぐに基本法ということは考えてはいないわけでございます。
 それから、大蔵大臣、厚生大臣、通産大臣、外務大臣も答弁のために出席を求められておりますから、その所管に属することは譲りたいと思います。
 農林大臣の答弁要求ございませんので、食糧問題だけお答えをいたしておきたいと思います。
 食糧は、向井さんのおっしゃるように、自給力を高めなけりゃならぬ。穀物の自給率というのは四三%ぐらいですから、これはいかにも少ないわけでございますけれども、そういって、食糧を全部自給せよと言ったら、いまの農地の三倍ぐらいの農地を持たなきゃならぬ。それは不可能でもあるし、それは、そういう政策というものはまた賢明でもないと、また実情にも適さない、こういうことで、ある程度日本にできないものは輸入に仰がなきゃならぬ。だから、その食糧が安定的に供給できるように、食糧輸入先との関係というものは、安定的関係は維持していかなけりゃならぬ。その上、またどういうことが起こるかもしれませんから、食糧がいつでも増産できるような潜在生産力といいますか、培養しておく必要がある。そういう点で、農業の土地基盤整備というものは、これはやっておく必要がある。この点については、抑制予算の中においても予算もふやしまして、土地基盤の整備というものは農業政策の中心の題目の一つであると、かように考えておる次第でございます。しかし、自給率というものを、これをもっと高めなきゃなりませんから、そういうためには裏作を奨励したり、できるだけの処置をとろうと考えておるわけでございます。
 私に対しての御質問は、最後に、大いに信念を持ってやれということでございましたが、まあ私も、向井さん御承知のように、至らぬ男ではございますけれども、この難局というものは、この一年、日本のかじ取りを誤ればこれは大変なことになる。国際的に見ても、あるいは国内的に見ても大変にむずかしいときでございますが、この難局、しかも、日本の運命にも大きな影響を与えかねない今年、皆さんの御協力を得て、まあ、日本丸のかじ取り、誤りのないようにいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する第一の御質問は、ビールのような寡占業種に対する独占禁止法の改正問題でございますが、この問題は、ただいま政府で懇談会を設けて検討をいたし、今国会に御審議を願う予定でございまして、ただいまの段階で御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 第二の御質問は、銀行法の改正でございます。御承知のように、昭和二年にできました法律でございまして、この法律は預金者を保護する組織法のようなものでございまして、銀行の機能自体には大きな制約を加えていない法律でございまして、大蔵省といたしましては、行政通達をもちまして事態の変化に時々刻々対応してまいったわけでございます。しかし、このままでいいかと申しますと、いま問題になっておりまする週休二日制みたいなものが仮に実施されるというようなことになりますと、どうしても法改正ということに踏み切らざるを得ない状況もあるわけでございますので、この問題につきましては、政府部内におきまして検討を急がせていただきたいと思います。
 それから預貯金の目減り対策につきまして重ねての御質問でございました。これはたびたびこの議場におきましてお答え申し上げましたとおり、基本はやはりインフレ対策をまじめに、じみちに、執拗にやってまいることが目減り対策の第一であると心得ております。したがって、政府がいま国民に御不自由を忍んでいただきながら総需要抑制策を堅持いたしておりますゆえんのものもこの趣旨にほかならないわけでございます。しかしながら、インフレ下における預金者の立場につきましても十分留意しなければならないという立場で、かねがね申し上げましたとおり、昭和四十八年から四十九年にかけまして短期間の間に五回にわたる預金金利の改定を行ったわけでございます。しかし、これをもってまだ十分といたしませんで、金融機関の負担力の許す範囲内におきましてどれだけの範囲において預金者に還元ができるか、いま鋭意検討中でございますので、しばらく時間的余裕を賜りたいと思います。しかし、あなたが御指摘のように、保険の問題でございますが、保険審議会の御答申もございまして、昭和二十年代に契約いたしました保険金につきましては、いま大幅な改正をいたすべく準備をいたしておるところでございます。
 少額の国債の金利は少なくとも一〇%以上にすべきではないかという御提案でございます。この問題はせっかくの御提案でございますけれども、金利体系上非常に重大な問題でございまするし、範囲をどこまでしぼるかという問題も大問題でございますので、直ちにいま政府としてそういう考えは持っておりません。
 それから百万円以下の預貯金に物価スライド制を採用してはどうかという御意見でございました。これまた、非常に大胆な御提案でございまして、私どもといたしまして、これは大変大きな問題でもございまして、いま預金の目減り対策について述べたような考え方で当面のインフレに対応いたしましての金融措置をしぼっていきたいと考えておりますことを御了承いただきたいと思うのでございます。
 それから社会福祉の財源に充当するために法人税率を上げたらどうか、その他若干の御提案がございますので、逐次お答えいたしますが、法人税率は四十九年に三六・七五%から四〇%に引き上げさしていただいたわけでございます。法人住民税、法人事業税を加えましていまの法人の実効税率は五〇%に相なっておるわけでございまして、諸外国に比較いたしまして軽くないわけでございますので、目下のところこれを改定するつもりはございません。
 高額所得者に対して基礎控除その他の控除はやめたらどうだという新たな御提案でございます。基礎控除等の制度は、いわば基礎的な生計費を、所得計算から、課税所得から外すという制度でございまして、高額所得者からそういう基本的な権利を奪うということにつきまして、遺憾ながら私は賛成できません。
 富裕税を創設したらどうかということにつきましても、たびたび今議場を通じましてお答え申し上げましたとおり、これは一つの財産税でございまして、わが国におきましてもこれは実行いたしましたことは御案内のとおりでございます。まず財産の所得捕捉が完全でなければならぬことでございますが、わが国の行政能力、まだとても財産を正確に掌握するだけの力を持っていないわけでございまして、不完全な掌握のままで富裕税に踏み切るというつもりは目下政府は持っておりません。交際費の損金不算入割合を引き上げて徴税を強化したらどうかということでございますが、仰せのとおり、二宮さんにもお答え申し上げましたように、これは三十九年から漸次引き上げましていまは七五%まで損金に不算入いたしておるわけでございます。これ以上、ただいまのところ、さらに引き上げるというつもりを政府として持っておりません。
 最後に、広告税を創設したらどうかということでございます。そして、福祉財源に充てたらどうかということでございますが、向井さんお考えのとおり、過大広告でございますとか誇大広告というようなものはもちろん忌むべきものでございますけれども、広告という機能は、消費者に新たな情報を与えたり、あるいは新規参入の企業に参入の機会を与えるというものでもございまして、一概にこれを抑圧し去ることが適切かどうかということにつきましては、なお十分検討せなければいかぬ問題であると思うのでございまして、引き続き政府としては検討さしていただきたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(河本敏夫君) お答えをいたします。
 まず第一番に、中小企業の基盤強化のために大企業との仕事の分野の調整をすべきである、そのためには特別立法をも考慮すべきであると、こういう趣旨のお話でございますが、現状を申し上げますと、まず第一番に、実態の常時把握にいま非常な努力をいたしております。そのためには、今回特別の予算もついておりますし、さらに、各都道府県ごとに、そういうふうな大企業と中小企業との分野についての紛争が起こりましたときに紛争処理をする、こういう機関を各都道府県ごとにつくるように指導をしております。
 それから、さらに大企業が実質上支配しております中小企業が中小企業の分野にも出ていくと、こういう場合には行政指導でチェックをする、そういうことをいたしておるわけでございまして、ただいまのところは、以上申し上げました方法を十分活用いたしますと特別立法をしなくてもやっていけると、かように考えておるわけでございます。
 なお、電源開発のやり方が不十分である、こういう御指摘がございました。ごもっともな御意見でございますが、現在いろいろとっております方法は、まず第一番に環境の保全対策、これについて十分注意をいたしまして、そして、地元の方々の御理解を得る。さらにまた、この原子力発電の問題につきましては電気事業法によりまして検査を十分いたします。そういうことによって安全性を確認をする。それから同時に、安全性を立証するための調査、これも十分な予算がつきましたので、この面についても、今後徹底をいたしまして、原子力の安全確保ということについてよく御理解をいただきたいと、かように考えておるわけでございます。あわせて、先般成立いたしました法律もございますので、発電所周辺の公共用施設の整備、こういうことも行いまして、そうして地元の方々の御理解をいただく、こういうことで発電――電源関係の整備を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
 なお、独禁法の改正に関連をいたしまして、二、三の寡占業種についての御提案がございましたが、先ほど大蔵大臣が答弁いたしましたように、ただいまの段階ではまだ申し上げる段階でございませんので、御理解を賜りたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(田中正巳君) 向井さんにお答え申し上げます。
 ナショナルミニマムとして三年以内に計画的に月額四万円の老齢福祉年金を支給せよとの御主張でありますが、ナショナルミニマムとして老齢福祉年金月額四万円を支給することが金額として妥当であるか、また、この財源確保が可能であるか否かということについては諸説の分かれるところだろうと思います。少なくとも現行の一般会計にすべてを依存する福祉年金制度では、このような高額の福祉年金を支給することは困難かと思われますので、最前から申し上げるとおり、年金制度全般との再検討の上に立って今後福祉年金の支給をどういたすかということについて鋭意詰めてまいりたいというふうに思います。いずれにいたしましても、どこまで国民が租税または保険料負担でこうしたニードに御協力願えるかということにかかっているものというふうに思われるわけであります。
 社会保障長期計画についていろいろお話がございました。仰せのとおりの趣旨を生かすためには、負担の問題、各制度のあり方等につき長期的視野に立って合理的な推進の道を開くため、いろいろといま検討いたしておりますが、具体的には新経済計画と符節を合わせながら五十一年度を初年度とする社会保障の長期計画が策定できるように今日作業中でございます。
 また、御提案の生活保障憲章の制度については意義あるものとは思われますが、長期計画の策定の方がより実際的と考えられる次第でございます。(拍手)
#35
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(三木武夫君) 文部大臣の要求があると思っておりましたが、ございませんので、私からお答えをいたします。
 一つには、昨年来検討をしてまいりました大学運営の臨時措置法、これは昨年来いろいろ検討をしました。参議院選後の臨時国会、次の臨時国会ともたいへんに期間が短かったので法案の提出は見送らざるを得ませんでしたが、この国会で所要の法案を提出すべく、いま検討を進めておるのが実情でございます。
 それから、大学というものに対して、私は、今日の大学に限らず、教育の場が、何かこう政治の争いに巻き込まれている、こういう環境のもとでは教育の目的は達成できないのではないか、まず、教育界の雰囲気を一新することが日本の教育改革の第一歩であると、私、そう強く考えておるわけでございます。しかし、その大学の改革にしても、やはり各大学の自主的な改革を、それに対してわれわれが助けるという形の方がよろしいと思います。そういうことで、大学がまず第一にいまのような雰囲気が一変して、静かなる大学、日本の中で一番静かで一番美しい場所が大学であるというふうにして、そして大学の改革が行われるということを目指すべきだと考えておる次第でございます。
 また、中東の問題についても御質問がございましたが、中東は、私は、一昨年の十二月に参って、緊急な問題に対する私の約束はほとんど果たしたと申していい。セメントなどもいままだ輸送を継続中でございますが、約束はほとんど果たしたわけでございますが、経済協力ということになると、長期にわたりますから、まだこれが、向こうの希望があったけれども、民間協力ですから、話し合いがまとまってないものも相当にございますが、とにかく中東に対しては、日本が今後経済、技術の協力をいたすことによって、中東の経済的自立――石油はあるけれどもほかの産業の開発はできていないわけですから、その経済的自立を助けるために、まあできるだけ誠心誠意、中東に対しての協力というものを進めていく必要があると考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(河野謙三君) 鈴木力君。
   〔鈴木力君登壇、拍手〕
#38
○鈴木力君 私は、日本社会党を代表し、三木総理の施政方針演説と予算その他の具体的施策の関係につきまして、若干の質問をいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 申すまでもなく、いまわれわれは、激動の時代、七〇年代の後半に踏み込もうとしているのであります。しかも、現実の歴史の進展は、人々の予想をはるかに上回る変革の渦の中に巻き込んでいると思うのであります。総理も、ことし、一九七五年は、わが国にとって一つの区切りをつける時期であることを施政方針の冒頭に述べておられるのでありますが、しかし問題は、どのように区切りをつけるかであります。確かに一つの時代が終わりを告げ、新しい時代の幕あけであることについては、国民ひとしく認識するところであります。こうした認識の上に立って、一つの時代をどう終わらしめ、新しい時代をどう始めるかということが、今日の政治に問われている最大の課題であろうと思うのであります。三木総理が提起している高度成長時代の制度、慣行の見直し、行財政のあり方について全面的に見直しは、まさに国民的な焦燥の課題と言えるのであります。では、一体それらをどう見直すのか、これこそがいわば今日わが国政治の最大の焦点であろうかと思います。しかるに、一昨日からの国会における総理の御答弁は、何らそれを明らかにされていなかったのはきわめて遺憾でございます。
 総理、あなたが真に議会のためであり議会を愛すると言うならば、今日の政治不信を一掃し、日本の議会制民主主義を前進せしめるために、一つには、だれのためにこれまでの制度と慣行の何を断ち切り、二つには、いかなる長期展望と具体的道筋をもって区切りをつけるのか、言葉ではなく内容をもって明確に本院を通じ国民の前に明らかにすることを私は強く御要請申し上げるのであります。(拍手)
 以下、私はこうした立場に立って、国民がいま政治に求めている経済問題など内政の幾つかの重要問題に焦点をしぼって総理並びに関係大臣にお尋ねしたいと存じます。
 改めて指摘するまでもなく、わが国経済はきわめて重要な事態にあります。インフレと不況が共存するという最悪の状態にあるのであります。いま私がここでお尋ねしようとしていることは、わが国経済が直面しているこの深刻な経済危機についての単なる解明ではなくて、国民が国会と政府に求めている政治的責任であり、政策的方向とその実行の問題についてであります。いま国民は、一方ではインフレ、物価高によって台所が火の車となり、零細な預貯金も目減りさせられて、生活不安は著しく増大しているのであります。他方では、総需要抑制のしわ寄せをまともにかぶって労働者は仕事を奪われ、また、不況の深刻化とともに中小零細企業は容赦なく切り捨てられてあえいでいるのであります。つまり、八方ふさがりの状態にあると言っても過言ではありません。今日のインフレ、物価高は、二十年にわたる自民党政府の高度経済成長政策の必然の結果であり、田中前首相の列島改造案、石油危機を千載一遇のチャンスと利用して価格の引き上げに狂奔した財界の行動に原因があることは何人も否定し得ないところであります。そして、この異常なインフレ過熱に驚いて政府がとった総需要抑制政策が今日の不況を引き起こしている、明らかに政策不況であると言えるのであります。つまり、一昨年来の異常インフレ、不況という事態は、自民党政府と財界がもたらしたものであって、国民に一かけらの責任を押しつけることは許されないと思います。それなのに国民はいまインフレで大きな生活の犠牲を受けました。そしてまた総需要抑制政策による不況で二度目の犠牲を強いられているのであります。インフレ、不況によって犠牲を受けず、逆にもうけている者も他方にはございます。異常インフレ下で記録的な利益を計上した者、不況での中小企業倒産によって逆に独占的支配力をますます強めている者など、つまりそれは大企業であります。今日、政府は、総需要抑制は続けていく、国民、勤労者は賃金引き上げを自粛するなどがまんをしろという施政方向を打ち出しておられるのでありますが、これは、まさに責任を国民に転嫁し、国民に二重の犠牲を強要するものと言えるのであります。こうした事態をそのまま許していくのであるとすれば、私は、三木総理の施政の方向は、そのお言葉とは全く逆に、つまるところ、弱肉強食の道と断ぜざるを得ません。総理、あなたが社会的不公正の是正を本当におっしゃるのであれば、総需要抑制政策の実施の過程で、社会的に弱い部分に国が手厚い施策を行い、絶対にしわ寄せの犠牲をもたらさないということが政治の基本姿勢でなければならないと思うのでありますが、いかがですか。総理が言う社会的不公正の是正は、どのような不公正をどのように是正し、生活苦にあえぐ国民の台所にどんな転換をもたらすのか、具体的にこの際明らかにしていただきたいと存じます。
 特に、インフレ、不況の共存下で著しく犠牲を強いられる社会的に弱い部分、つまり中小企業、社会保障、地方財政についてどのように取り組もうとされていらっしゃるのか、その姿勢いかんで、社会的不公正是正に本当に真剣であるのか否かを問われていると思うのであります。そのような意味で、私は以下問題をしぼってお尋ねしたいと思います。
 最近の中小企業は、インフレの高進と不況の深刻化する中で大変な事態にあることはさきにも述べました。昨年一年間の倒産は一万一千六百件にも及び、戦後最高を記録しております。金融の逼迫、原材料コストの増大、在庫の急増、操業率の低下、売り上げの不振など、中小企業がいま抱えている問題はきわめて多岐にわたっております。これに加えて、下請企業は、親企業による支払い手形サイトの大幅な延長、不当な検収期間の設定、また、割り引くこともできない手形まで抱えざるを得ないなど、過酷な状況を強いられているのであります。その上、中小企業の事業分野へ大企業が進出し、営業の範囲をも脅かされているのであります。この結果、繊維などは、地方から出てきて工場に働きつつ夜間定時制高校に通っている子弟までもが大量に解雇をされ、泣く泣く学業をあきらめざるを得ないという悲劇も起こっておるのであります。また、農村からの出かせぎ者の仕事も次々と奪われているのであります。中小企業の経営不振、倒産に加えて公共事業の縮小、延期が下請関連企業の仕事を奪い、出かせぎ労働者の切り捨てにそのままつながって、私の出身県である岩手県においても、数千人もの出かせぎ労働者が職を失い、ほうり出されようとしているのが現実であります。私は、高速道路、鉄道新幹線工事等、延期あるいは再検討をしていることはやむを得ないと考えるのでありますけれども、問題は、それにかわる事業の確保や、下請関係、出かせぎ者に対する仕事の確保など、きめ細かい配慮とその具体策がなければならないと考えているのでありますが、いかがですか、お伺いいたします。
 さらに、以下私が提起する次の諸政策について、総理並びに関係大臣は真剣に検討されて実施するつもりがあるかどうか、お尋ねしたいのであります。
 第一、中小企業に適しているばかりでなく、消費者へのサービス向上にも役立つ事業分野に大企業が進出することを防ぐための中小企業の事業分野確保の制定。
 第二に、国や地方自治体の行う公共事業などのいわゆる官公需について、中小企業の枠の拡大、また、中小企業向け官公需の入札制度について公正な取引秩序を確立するための立法措置。
 第三、下請を制度的に保護し、取引条件改善の要求に対して、たとえば、親企業の報復手段を防ぐために、下請代金支払遅延等防止法の改正と厳正な運用。
 第四、中小企業労働者対策として、不幸にして倒産に伴う解雇問題が発生した場合の賃金、退職金、社内預金等の未払い労働債権の先取特権の法的制度化、健康保険、厚生年金など社会保険の補償適用、さらには、再就職に至るまでの職業訓練、失業保障の制度化などが最小限度必要であると考えるものであります。
 中小企業の以上の緊急対策につきまして、関係閣僚の明確な御答弁を期待したいのであります。
 なお、中小企業倒産のうち、いわゆる誘致企業の倒産が目立っているのでありますが、それに対する行政責任は免れないと思いますが、いかがですか。
 次に、社会保障問題について申し上げます。
 私は、三木総理が、社会的公正を確保するために福祉政策を重視するとおっしゃいました。そうおっしゃいますならば、老人、障害児者、傷病者が社会から置き去りにされてきた政治の一新を図るべきであると思うのであります。ところが、政府予算案は、こうした期待を全く踏みにじっていると思います。きのうのわが党の阿具根議員の質問に対する御答弁も、該当する対象国民の要求には全くほど遠いものであり、どうしても納得できません。いわゆる弱者と言われている日陰の人たちの立場に立って、総理、真剣に再検討されることを強く要望いたしたいのであります。
 また、今日預貯金の目減りが問題になっておりますけれども、老後の生活計画を立て、養老・生命保険等を長年掛け続けた老人が、たった数カ月の生活資金にもならない給付金で泣いております。この保険に入れば心配がないということで長期の保険金を掛け続けてきた。この目減りに対する責任はだれがとるのでありますか。また、これらに対する対策についてお伺いいたします。
 次に、僻地医療対策についてお伺いします。この問題は、中核病院の勤務医をどうやって確保していくのかという問題でありましょう。医療は、改めて述べるまでもなく、国民生活の最も基礎的分野であります。医療の谷間の中で医療を受けられないまま放置されている僻地の診療体制の確立は、大都市の休日、夜間におけるそれと同様に、国民の医療不安をなくする上で緊急な課題であります。むろん、この問題の解決は国公立の機関の拡充によることを基本としなければなりませんが、公的病院がきわめて少なく、しかも、安上がり医療行政で公的病院は相対的に減少している今日の状況のもとで、一体政府はいかにしてこの課題を実行していくのか、お尋ねしたいと思います。
 次に私は、深刻化する地方財政の危機についてお尋ねいたします。
 いま地方財政は未曽有の事態を迎えております。このため、地方自治体において軒並みに赤字予算を組まざるを得ない状況であり、住民の福祉はいまや風前のともしびと言わざるを得ません。地方財政がこのように危機的状態になった原因は、何よりも十分な自主財源を与えず、補助金操作などによる地方財政の中央集権化を図ってきた歴代自民党政府の政策にあることは申すまでもありません。大企業優先の高度成長に従属させられ、自主的財政運営を否定された上に、インフレと不況のしわ寄せをすべて押しつけられた結果であると思います。この地方財政の危機を打開するためには、まず自主財源の保障、国、地方自治体の負担区分、調整財源の確保と民主的運用、地方自治体の自主的課税権、住民主導の財政自主権などなど、こうした諸原則の確立がまず緊急に必要と考えますが、この点について政府の明確なお答えをいただきたいと考えます。
 次に、住民負担の問題についてお尋ねいたします。
 わが党は、住民税の課税最低限を少なくとも百七十万円まで引き上げるとともに、この減税による減収から地方自治体の財政を守るため、減収補てん財源として第二交付金の創設を主張しております。今日の過疎市町村の財政実態からすれば、現行地方交付税制度による財政調整のみでは過疎市町村の財政を充実するには全く不十分であり、第二交付金制度の創設は当然なことと考えますが、率直な御答弁をいただきたいと思います。
 なお次に、昨年十月、全国革新市長会が強く超過負担の解消を要求し、また、大阪府摂津市においても厚生省を相手取って超過負担訴訟を行っておりますように、膨大な超過負担はいまや地方財政をむしばむ最大のがんであります。過去五年間の超過負担は一兆円に上るとされており、地方財政危機を打開するためにも、この起過負担については真っ先に解消措置が講ぜられなければなりません。しかるに、政府はこうした過去の超過負担に対して何ら解消措置を講じないばかりか、実勢単価とはほど遠い国庫補助単価を地方自治体に押しつけているのであります。地方財政法を空洞化し、地方財政にすべてをしわ寄せし、膨大な超過負担を押しつけている内閣が、地方公務員の給与にだけ責任を転嫁しようとすることは断じて許せないことであります。全国革新市長会と自治大臣との覚書をさらに発展さして、超過負担の調査とその解消方法並びに今後の国庫補助基準について定める超過負担解消委員会を国と地方自治体の代表によって設置すべきことを提案をいたします。この点について政府の明確な御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、教育について二、三お尋ねいたします。
 総理は教育を本来あるべき姿に戻すとおっしゃり、また教育を政争圏外の静かな場所に移すために永井文相を起用したと述べられております。お言葉どおりでありますなら、私も心から賛意を表したい次第であります。しかし、私は、その教育の本来あるべき姿の基本認識にいささか疑問を感じますので、この点についてまずお伺いいたします。
 今日、教育界にさまざまの問題がありますが、その根本原因は、政党内閣制に名をかりて、自民党政府が一方的に党の政策を押しつけ、支配者としての思想と論理から一連の管理体制の強化を図って教育の場を行政優位の対立の場と化し、その場から自主性、民主性、創造性を奪い取ったことにあると思います。国会においても、教育委員の任命制や教育長の承認制、大学管理法を初め多くの法案を強行採決で押し切り、力で支配するという態度をとり続けてきたのは自民党ではありませんか。いわば教育を政争圏内に引きずり込んだ仕掛け人が自民党であったことをまず反省すべきであると思います。
 そこでまず私は、総理に対し、文相を自民党の党是によって拘束せず、永井文相の主体的な文政を総理・総裁として保障することをはっきりここで約束すべきであると思いますが、いかがでございますか。その上で、政府は従来の行きがかりや偏見を捨てて、憲法、教育基本法の原点に立ち戻って教育のあるべき姿を本当に追求をしていくべきものと考えます。
 永井文相がなぜ日教組の教育研究集会に祝辞を贈らなかったのかお尋ねいたします。
 日教組教研は、かつて天野文部大臣が日光で、補助金を出したいくらいだとおっしゃったことがあり、また、松田文部大臣が千葉の集会で、現場の先生たちがどんなに苦労しているのかよくわかって勉強になった、役人が行くなとなぜ言うのか、そのわけがわからないという所感を述べられたことがありますように、そこに行かれた文相はすべて皆高く評価しておられたのであります。もし日教組憎しの偏見を持つ自民党や官僚に気がねしたとするなら、総理の所信とも背馳し、まことに遺憾なことであると思うのであります。いま教育界に最も求められているのは対話と協調であります。文部大臣がこうした機会をその対話と協調に生かそうとするなら、どれほど教育界を激励をすることになり、また教師をして自主的な創造的な情熱を誘い出すかわかりません。文部大臣の率直な御所見を伺いたいと思います。
 次に、総理は、教師に安んじて教育に専念できる待遇を保障すると述べられております。そのとおりと思いますが、もしその意味が、人確法に基づく給与で事足れりとするならば、認識不足もはなはだしいと言わざるを得ません。いま教師、教育界が本当に望んでいるのは、給与ももちろんでありましょうが、教員定数、教育施設、設備の充実、教師の自主的な教育活動の保障であることを忘れてはならないと思います。いかがですか。総理、文部大臣の御所見をお尋ねいたします。
 次に、学歴偏重時代、自由競争時代の社会が入学試験問題を深刻にしておるのでありますけれども、これの具体的な対策についてもお伺いいたしたいと思います。また私は、このためにやるべきことは余りにもあるのでありますけれども、特に学校間の格差を是正することが何よりも急務であると思いますが、いかがでございましょう。大学におきましてはまた地方のいわゆる駅弁大学と言われておったそういう地方の国立大学の旧制大学並みの拡充が何よりも優先されなければならないと思います。その方策について新構想大学とか新しい方向ばかり模索をすることなしに、まずこのことを最優先することを提案いたしますが、御所見をお伺いいたします。
 私学に対する助成が来年度予算に大幅に伸びたことが伝えられております。このことにつきましては、長年関係者からの強い要望事項であっただけに、一定の評価はできると思います。しかし、今日各地域で多くの私学が授業料を初めとする幾多の学費値上げ計画を発表をし、このことがまた新しい学園に問題を引き起こしているのでありますが、この助成の大幅な伸びと合わしてその計画を是正する学校が皆無と聞いております。これでは、さらに学生、父母側の負担が、国公立との格差が拡大するのであって、全く片手落ちと言わなければならないと思いますが、いかがでございますか。もちろん、インフレの重圧で経営難に陥っている各学校が、これだけの助成で直ちに学費軽減ができるとは思いません。そこで、政府は国公立との格差是正を最終目標に具体的な年次計画を立て、将来の助成計画を抜本的に計画を立て直しながら、私学側の学費軽減計画を含めた全体の将来のプランを国民に示して、その将来の展望を納得させることによらなければこの助成の効果がないと思いますが、いかがですか、お伺いいたします。
 なお、文部省は傾斜配分をすると伝えられております。端的に伺いますが、それは学校のランクづけをすることになり、また対象外の学校の切り捨てを意味すると思われますが、その真意を伺いたいと思います。この助成策が、力の弱い学校の改善に力を差し伸べる役割りを果たさずに学校閉鎖に追い込むものであるならば、設立認可をした政府の責任はどうなるのでありますか、お答えをいただきたいと思います。
 最後に、障害児教育についてお尋ねいたします。
 総理は、すべきの人に、いかなる環境に生まれるようとも、その潜在能力を十分に引き伸ばすための教育の機会均等はぜひとも保障しなければならないと述べられております。全く賛成であります。しかし、今日のこの問題は余りにも不行き届きであるとは思いませんか。昭和四十八年五月一日現在、障害児童生徒の就学率はわずかに三二・四%、その後も幾らの進歩も見られません。来年度予算でも、十年計画の年度計画分がわずかに三十八校のみの計上であります。これでは、先ほどの総理の述べられた方針と具体的に計画どおりに進められていることとあわせ考えますと、全く見せかけの空念仏と言いたいのでありますが、いかがでございますか。政府は、学校教育法第二十三条で心身障害者の教育猶予、免除を規定しておりますが、これは、一方では心身障害児の教育を受ける権利を奪うことであり、一方は政府の教育責任を逃れることを意味すると思います。今日までこの種の教育が遅々として進まなかったのは、免除に名をかりた政府の怠慢であると言いたいのでありますが、いかがです。もし、総理の演説が見せかけでなく、熱意のこもっているものであるならば、私はこの規定を廃止して、全責任をもって全く重点的な施策に転ずべきと考えます。その意思がおありでありますか、お尋ねいたします。さらに、十カ年計画という悠長なあの特殊教育拡充計画はこれを捨てて、抜本的に練り直し、計画期間を短縮し、施設、設備の充実と完全な就学率引き上げのために直ちに着手しなければならないと思いますが、総理並びに文部大臣の決意を込めた御答弁を御期待いたします。
 なお、最近、同和教育についてさまざまな問題が起こっており、暴力問題にエスカレートするなど、憂慮にたえません。同和教育の基本的方針並びにこれらに対する政府の具体的対策をお伺いいたしたいと思います。
 以上、私は、激動の時代と言われる七〇年代後半に当たって、一昨日来の総理及び関係大臣の御答弁、演説に対し、特に光と陰と言われておる陰の部分、そうした部分についての具体的な施策についてお伺いしたわけでございます。どうか明快な率直な御答弁を御期待申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(三木武夫君) 鈴木さんにお答えをいたします。
 最初に、私の施政方針演説の中で、いまは一つの区切りをつける時期だ、ということを御引用になりまして、高度経済成長から安定成長へ、社会的不公正ということを踏んまえてどういうふうにしていこうとしているのかということでございます。これは、鈴木さんがお考えになっても、大変な大きな、いろんな意味において変革を伴うことは明らかでございます。産業においても、いままで燃料、原料、何でも金さえ持っていけば自由に買えたわけです。そうはいかなくなる。しかも値段も高くなる。したがって、できるだけ資源を節約するような産業構造に変えていかなきゃならぬ。すぐに変えるったって、なかなか容易なことじゃない。時間をかけて、頭脳とか技術、とにかくまあ付加価値の高いものに変えていかなきゃならぬ。長期的な計画を要するわけです。これは産業構造審議会などでも、この問題はこれから一番大きな、検討するべき問題になる。国民生活も、いままで何でも物は豊富にあったわけですから、使い捨てであった。そうはいかない。やはり簡素な生活――何も耐乏生活をするというわけではありませんが、まあ、いいものを長く使うという、国民生活の中にも生活の態度に変化が起こらなければならない。また国としても、もう財政、行政の面を、いまのままではいかないんですから、財政の硬直化、あるいは行政――いま鈴木さん地方行政など、いろいろお触れになりましたけれども、やっぱり中央においても同じことであります。行財政の改革という問題この問題も大問題でございますから、これは財政の硬直化、行政の簡素化、こういう問題については、それぞれの部門ですでに研究を開始しておるところもございますし、今後検討を加えて、全面的に一つの変化を来さなければならぬわけでありますから、全面的に改革をしなければならぬわけでありますから、こういうことで今後の改革を推し進めていくという考えでございます。
 中小企業などについては通産大臣の御要求がございますから、通産、労働、文部、自治に関することは各大臣に譲りますが、厚生省に関することは私からお答えをいたします。
 僻地医療という問題をお取り上げになりました。われわれも頭を痛めておる問題でございますが、予算も前年度の三倍に今年はなっておる。予算を三倍にした。僻地の中央病院を整備して、無医村、無医地区に対し保健婦を配置したり、僻地の診療所の機能を強化するなど、補助率も高めまして、できるだけ無医村の方々の医療の機会というものを与えることにできるだけの配慮をいたした次第でございます。
 また、生命保険の目減り、きわめて大きいので、これに対する補償措置ということに対しては、物価指数、保険及び既契約の中途の増額ということを検討中でございます。これは保険審議会、この審議会などにおいても検討を加えておるわけでございまして、これに対して、その審議会の答申などを待って、この問題は一つの問題として検討を加えておる次第でございます。
 最後に教育に対してのお話が私に対してございましたが、私はやはり教育、ことに大学というものは、世界の中で一番美しい静かな場所は大学であってほしいと、こう願っておるわけです。ところが、日本はそうは――ごらんになっても、世界の中で一番美しい静かな場所では大学はないわけです。これはなぜかというと、余りにも大学というものが政治の争いの中に巻き込まれておる。こういう点で、政治の中に、争いに巻き込まれておるのが――自民党がそうしたんだと言いますが、それは当たりません。自民党は自民党という考え方を日本の教育の場に押しつけようという考えは全然ないです。私は総理・総裁として約束してもいい。自民党の考え方を教育に押しつける考えは全然ない。どうか偏見にとらわれないで、次の時代を背負うような青年が、何か教師の偏見などによって左右されないで、何でも自由に受け入れて、自分の選択のできる、自分の思想の選択のできるような、そういう若者を教育してもらいたい。これは自民党の願いで、自民党の考え方を押しつける考えは全然ありません。今後もありません。どうかそういう意味において、教育というものを政治的に中立の場に置いて、まだ思想的にも固まってないのですから、いろいろ先入的なものを与えることには無理がありますよ。そういう意味で、われわれは全然自民党の考え方を押しつけることはないと。また、永井文部大臣は、そういう意味からも党人でない永井君を特に起用したわけでございますから、教育というものを政治の争いの圏外に置いてほしいと、この私の強い願望が永井君を起用した理由でございまして、永井君は大いに自由にやってもらいたい。しかし、永井君も三木内閣の閣員の一員でありますから、閣議の拘束は受けることは当然でございます。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(河本敏夫君) お答えいたします。
 中小企業に対しまして幾つかの御提案がございましたが、御案内のように、中小企業対策は政府の最も力を入れております政策の一つになっておるわけでございます。ただ、二年間に及ぶ総需要の抑制で非常な打撃を受けておるということも事実でございますが、それを受けましての御提案でございますが、親企業からの支払いがおくれないようにやっていくということ、それから大企業と中小企業の分野の調整については十分気をつけるということ、それから官公需の中小企業の枠を拡大するということ、こういう点についての御提案でございますが、これはごもっともでございますので、こういう点につきまして十二分に配慮していきたいと考えておるわけでございます。そうして中小企業の経営基盤の強化と育成に努力してまいりたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(長谷川峻君) 鈴木さんにお答えいたします。
 終身雇用制あるいは年功序列ということで完全雇用を誇っておった日本のこういうものも、御承知のように有効求人倍率が〇・八、こういうところになりまして、おっしゃるように、出かせぎの問題一つにいたしましても、働く諸君の問題は、いまから非常に大変なことだと思っております。私は、ただいまの完全失業者が七十万を数え、それから三月以降は、三月末までにはそれがもっとふえると、こういうことから見ますというと、内閣全体の問題として勤労者問題は大いに研究していかなければいかぬ。しかも、その間に、最近は大企業と中小企業とを問わず、一時休業や人員整理といった雇用調整が行われておりまして、一定規模以上の休業を実施した事業所は十二月現在で二百七十五件、対象人員で十二万二千になっております。この失業を防止することが雇用対策の基本でございまして、幸いに前国会で御可決いただきました雇用保険法、これによって中小企業の場合は三分の二の一時休業に対する補給金が出る、このことによってまず失業者ということにならないようにしてもらっております。そして、その助成、その要件等についてなおよく整備をいたしまして、これをカバーしてまいるつもりであります。
 出かせぎ者の問題についての御心配ありましたが、私も、労働問題というのはこれは理屈じゃいけない。上野の出かせぎ相談所にもときどき参ります。いまのところ来た人は就職ができる、こういう形。しかし、いままでのところにすぐ行けるか、こういう形ではなくなっております。いずれにしましても、それもだんだん厳しくなると思いますので、こういうときにこそ私は役所の諸君に、一万五千名職安がおりますが、何遍となく会議を開きまして、人に親切をされて喜ぶとき、こういうときこそしっかりと職安関係の諸君は御親切をするように、あっせんするようにということを何遍となく督励をしているわけでありまして、なお機動的にこれをやろうと、こう思っております。
 さらに賃金不払い、これも残念ながら最近ふえております。しかし、この場合といえども、労働基準監督機関を通じていろいろな督励をして、御承知のとおり、いろいろな債権の前にまず賃金を押さえる、社内預金を押さえる、そしてまた退職金も押さえる、こういう手段を講じております。しかし、何といっても賃金は勤労者自身、家族の大事な糧でございますから、この問題に対しましては、将来ともに不払いの発生することを未然に防止を図るとともに、不払いが発生した場合に、私は、その事件に対しましては救済の方途を別途講じようと、こういうふうにいま検討中でありますことも御理解いただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(福田一君) ただいま鈴木さんから、地方自治を充実、確立していきます上に最も大事な財源の問題を中心にして御質問がございましたので、以下お答えをいたしたいと思う次第であります。
 財源の問題につきましては、まず地方交付税というのを今回は四兆数千億円交付することにいたしました。昨年に比べて三〇%以上の増加でございまして、かなり努力をいたしたつもりでございます。それから新しい財源といたしましては、事業所税というのを今度創設したことは御承知だと思うのであります。
 一方、いつも問題になるのでございますが、この超過負担、すなわち、国と地方の負担の区分が明確でございませんために地方が非常に損をしておるということがあります。これには施設費と運営費と両方あるのでありますが、施設費につきましては、学校でありますとか保育所というような施設費のいわゆる超過負担がありますことは、これは四十九年度の補正予算において大体解消をすることにいたした次第でありますが、なお今後もこれでは足りないということもありますので、今後また十分に努力をいたしたいと存じております。それからもう一つ、国庫補助金というのがいろいろございまして、それに伴う運営費が不足しておるということがございます。これは確かに地方としても問題でありますので、今後十分にこれが解消に努めたいと思うのでありまして、こういうことを含めて、まあこの超過負担の問題等についてひとつ委員会でもつくってはどうかという御提案がございましたが、私たちもこれは非常に大事な問題だと思いまして、財政の硬直化を解消いたしますために、地方制度調査会に財政の硬直化をどうしたらいいかということをいま諮問をいたしておるところでありまして、この結果を待って考えさしていただきたいと思うのでございます。
 なお、第二地方交付税をつくってはどうかという御質問でありますが、御質問の趣旨が交付税が足りないからということであれば、これは交付税をふやす工夫をいたさなければなりませんが、地方の団体間の不公正を是正するということでございますれば、いまの地方交付税の運用によってこれは解決できると思いますので、ただいまのところすぐにそういう制度を創設する考えはございません。
 また、住民税の減税の問題で非常に大胆な御提案がございました。われわれも住民税の減税、できるだけしたいと思いますが、何といっても環境が変わってくるにつれて住民の要望が強くなり、それに要する経費もふえておりますので、かれこれ勘案をいたしまして、できるだけ努力をいたした結果、まあ、これは税調のこの案にもあるのでございますけれども、それに従いまして、昨年に比べて約二十万円余、すなわち昨年はこの住民税の最低限は百一万六千円でございましたけれども、今度はこれを百二十一万八千円まで引き上げまして、その結果として四千二百億円の減税を断行するようにいたした次第でございますが、今後もこの点については努力をいたしてまいりたいと考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣永井道雄君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(永井道雄君) 鈴木議員にお答え申し上げます。
 非常に多岐にわたっておりますが、まず、私が基本的に文教行政にどういう立場で臨むかということでございます。これはもちろん教育の中立性ということですけれども、しかしながら、過去相当の年月にわたりまして、わが国にやはり教育をめぐる政治的な対立というものはあったんでございますから、私は実際のところ、自分の仕事を進めていくということは、非常にたやすいこととは思っておりません。そこで、しかしどういうふうに考えるか、これは国民の立場に立ちますし、それから、その中で何よりも子供たちの立場というものに立って、学習する人たちが学習ができやすいようにという立場で微力を尽くしていきたいつもりでございます。で、考えますのに、この部屋の中で、民間出身で、選挙の洗礼を経ないのは私だけだということを非常に強く感じます。そこで、これからの仕事をしていくのには、根気よく着実に、また具体的に、本当に対話、協調というものを進めなきゃならない、こう考えております。
 そこで、教研集会ですけれども、教研集会、ちょうど開会の日が国会開会の日に当たりました。そこで槇枝委員長からお便りをいただきまして、だから、出席することはできないだろうからメッセージをくれないかという、そういうお話でございました。私は今回はメッセージを差し上げなかったんですけれども、しかしそれは、いま申し上げた、根気よく、確実に、具体的にいこうという方針に毫も反するものではないんです。そのことをそう書きました。内容、方法はよく考えました。といいますのは、非常に具体的にやっていくということになりますと、メッセージを出すというようなことで解決するほど、日本の教育状況はいま私は楽なものでないと思います。で、私が伺って、そうして具体的に話をするという方法がいいと思いましたし、それがまず第一の点です。
 それから、日本の教育制度というものが中央集権的になっているんではないか、これについて、任命制制度あるいは教育長承認制度というものはどうかというような意味の御質問がございましたけれども、これもやはり地方自治というものを原則にしているわけでありまして、地方自治の中での教育行政というのは、一般行政と協調しながら、しかも教育というものを専門的に行うという立場でございます。そこで、それについて、任命制ではなく公選制という考えもありますし、また、教育長承認、これのやり方などについても議論がありますが、現在のところ、私はこの制度を変えていくということよりも、現行制度というものをほんとうに中身のあるものにしていって、中央集権的にしない、そして地方自治体における教育の行政というものを強めていくのがいいんじゃないか、こう考えております。
 次に、人確法というようなことで待遇の改善をするだけでは問題は解決しないんで、先生方は職場において自主性というものがなければ生きがいがないと。教師としての本当に楽しみというか、本当のやりがいというものが出てこないという御意見がございました。これは全く私そう思います。私は教師をしてまいりましたから、本当に強くそう思うんであります。そこで、自主的な研究、また自主的な実践というものを重んじていかなければならないんでありますが、その場合に、やはり学習指導要領あるいは教科書というものは非常に重要なものとしてあるわけです。で、問題は、たとえば教科書をとりますと、教科書で教えると、教科書を教えるということだと思います。で、教科書を教えるというのは、暗記教育に傾くんですが、教科書で教えるというのは、本当に自主的な教育の方向だと、こういうふうな問題を私たちは今後具体的に詰めていかなければいけない。
 次に、学校間の格差の問題。これは国立の大学の格差の問題と私学の問題を御指摘になりましたが、いずれも重要であるということについて同感でございます。で、国立の大学にも格差がございます。それがどういうところから生じてきているかというと、たとえば規模、それからこれまでの歴史的経過、あるいはまあいわば沿革と申しましょうか、そういうふうなものとの関連においても生まれてきているんでありますが、しかし、格差をなるべく是正するということは一般的な方向でございまして、そのためにいろいろ苦労をしてきております。まあ、共通学力テストというふうなものを考えるというようなこともそういうことの一つでありますし、あるいは一般教養というような場面において、どこの国立大学も同じように、非常にいい一般教養をやっていく条件というものをつくらなきゃいけないというように考えているようなことも一例でありますが、それ以上細かくは申し上げません。
 私学の助成につきましては、私学の助成ということをやって、本当にこの私学というものを強めていくということになるかどうかということなんでございますが、これは本当に大問題なんでございます。私は、大問題だと申しますのは、日本の私立の専門学校というものが大学に昇格いたしましたのは大正七年でございます。そして、私学の助成というものが始まりましたのは数年前でございますから、要するに、半世紀以上にわたって日本の私学というものは財政の面でもって相当苦しんできたという歴史があるんです。そこで現在、私学の大学に対する助成がございます。あるいはまた、高校以下というものについてことしは新しい方法を考えることになりました。そのほか、幼稚園の就園奨励費というものがございます。あるいはまた、育英資金というものもございます。そこで、総合的、多角的に考えて、そういうふうにすることによって私学を強めていこうというのが方針でございますが、しかし、これだけで十分だなどと思っておりません。これは、なお勉強させていただきますし、各方面の御見解を承りたいと考えております。その場合に、傾斜配分をやって一部の私学というものを切り捨て的な方向に向けていくんではなかろうかという御質疑がございましたが、傾斜配分というものを事実やっております。それは決して、一部の学校というものを切り捨てしようということではないんでございます。そうではなくて、こういうことだと思います。公共資金というものを使う――それは国民のふところから出るんでございますから、最も有効に使っていかなければならないという問題があります。それが一つの原則である。もう一つは、その私学というものが本当に私学の建学の精神というものにのっとって、一層研究、教育の面において発展するということを私たちは望むし、それもまた国民の願いではなかろうかと思うんです。で、どうして傾斜配分というようなこと行われますかというと、相当の水増し入学というふうなものが行われる場合、こういうふうなものについて傾斜配分を行わざるを得ない側面があることは御理解願えるかと思います。
 次に、障害児教育の問題でございますが、これにつきまして、就学猶予、免除の規定というものが、特殊教育をしっかりやっていくことを怠ける口実に使われるようなことがあってはいけないという御指摘がございました。全く同感でございます。全く、そういうことがあっては絶対にいけないんでございます。そこで、特殊教育というのは、御指摘がございましたように、大いに強化しなければならないと思います。これは申し上げるまでもなく、非常にいろいろな計画がございます。先ほど御指摘がございましたように、のんびりした十カ年計画ではいけないというお言葉がございましたが、ともかく特殊学校の設置計画あるいは養護学校設置計画、養護学校幼稚部の設置、そのほかに重度・重複障害児というので在宅しておられる方たちがあるのですが、その方たちに対しては、訪問指導によって教育を進める施策というものを、五十年度予算対象にいたしまして、その子供の数が三千九百人でございます。しかしながら、私は、この特殊教育の計画というものもまだ十分検討しなきゃいけないと思います。しかしながら、先ほどのこの免除規定ですね、これを廃止しちゃったらいいかどうか、これは非常に問題だと思います。なぜかなれば、医学的に考えたりして、そうして、そういう理由からどうしても学校に行きにくい人、そういう場合に、この就学猶予、免除規定というものは、やはり十分に慎重に扱っていかなければならない。ただ、おっしゃるように、これを口実に特殊教育を緩めるようなことがあってはゆめゆめならない。
 最後に、同和教育についてお言葉がございましたが、これについては余り繰り返し申し上げませんが、やはり私は、同和対策審議会の原則というものに基づく法のもとにおける人権尊重の平等、そしてまた、教育の中立性、この角度でもって同和教育というものは進めていかなければならない、かように考えているということを申し上げて答弁を終わります。(拍手)
#44
○副議長(前田佳都男君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(三木武夫君) なるべくこういうことのないようにと思うんですが、質問が何分にも多岐にわたって、こういう答弁漏れがあることは申しわけございません。
 失業者に対する社会保険の継続適用についてと、こういう御質問があったようでございますが、御承知のとおり、わが国における国民皆保険体制がしかれておりますので、失業したような場合には、健康保険の適用を離れました場合にも、国民健康保険によって医療保障が行われるのが原則的なたてまえになっております。
 なお、健康保険においても、失業等の際においては制度の経過的な継続適用の道が開かれているところでございます。
 お答えをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#46
○副議長(前田佳都男君) 工藤良平君。
   〔工藤良平君登壇、拍手〕
#47
○工藤良平君 私は、日本社会党を代表いたしまして、主としてインフレ抑制政策、税制、環境保全、農業の問題について質問をしてまいります。
 まず、質問の前提といたしまして申し上げたいことは、これから政治を担当するに当たっての総理の決意についてであります。
 過去、池田、佐藤、田中と、十余年、三代にわたって続いてまいりました高度成長の大企業優先体制は、その本質がそのままに田中内閣によって引き継がれ、金脈的腐敗の政治もまた田中内閣の退陣によっていま崩れ去ったのであります。四十七年夏、田中内閣の出現は今太閤とはやされ、庶民宰相として国民から大きく期待をされたのでありますが、その業績は、国民に幸せをもたらすのでなく、異常な物価高と不公正をつくり出し、結果的に国民の政治不信を招き、国際信用までも失うこととなりました。この田中内閣の出現に手をかし、副総理として入閣した三木総理は、本来であれば謹慎すべき立場にこそあれ、政権担当の資格はないと考えます。もし、政権担当の資格と意欲があると判断なさるならば、速やかに国会を解散し、国民に信を問い、再出発すべきが議会制民主主義のルールであると思いますが、いかがでございますか。
 さて、わが国の物価問題が決定的に新しい局面に入りましたのは四十六年の円切り上げ後、とりわけ四十七年夏以降のことであります。そもそも物価上昇の要因は、上昇を引き起こした契機にはその時々の差異はありましても、基本的には市場における不完全競争と需要の超過をもたらす超大型財政と金融緩和に主要な原因があることは御承知のとおりであります。
 第一の問題は、四十七年八月からの長期にわたる不況カルテル、物価値上げによる利潤拡大を目的とした共同行為による供給制限、それによって引き起こされた卸物価、大企業製品の価格上昇、さらに、それに便乗した物不足、パニックという物価上昇の基本的背景をなしていたことであります。
 第二は、今回の狂乱物価の主役を演じた総需要の超過は、外貨の急増がその引き金の役割りを務め、超大型財政と金融の緩和という過剰流動性、調整インフレと続く誤った財政金融政策にあったのであります。四十七年の秋、景気が本格的に上昇に転じ、卸物価が急騰し始めたにもかかわらず、引き締めを行うどころか、列島改造を振りまき、六千五百十二億という大型補正と財政投融資の追加が行われ、四十八年はさらに前年度比二四・六%の予算規模の拡大が行われたのであります。投機的動きに対しての金融緩和政策転換のおくれは需要超過をもたらし、物価上昇は取り返しのつかない結果をもたらしたのであります。
 反面、このインフレーションの結果は、財政自体がその政策運営に重大な障害を受けることとなり、福祉志向型経済への転換の契機として編成された四十八年度財政は、公共事業関連の繰り延べが行われるという厳しい局面に追い込まれたのであります。四十九年度において財政金融面からの需要抑制は行われたとはいえ、時すでに遅く、その成果は十分に果たされ得ないままに、危機的要素をはらみながら今日まで推移しているのであります。このように田中内閣の経済政策は完全な失敗でありました。いや、むしろ大企業のためには故意であったとさえ言えるのであります。インフレの危険がすでに具体的に表面化しようとする時期に、金に執着した高度成長のチャンピオン田中総理の出現は、国民にとってきわめて不幸な出来事であったのであります。昭和五十年、この半世紀の区切りに登場した三木総理が、過去の失政是正のために、政治経済の新しい時代への転換をめぐってその責任と決意について伺いたいのであります。
 三木総理は就任に当り社会的公正の実現を公約をしております。今日の日本経済はインフレと不況の混在するいわゆるスタグフレーションという、わが国経済がかつて経験したことのない危機的様相の中にあると言われています。今日まで高度成長とインフレ進行の全過程を通じて富と資本の偏在が社会的不公正を生み、総理みずから公正の旗印を掲げざるを得ないところまで追い込まれていると見なければなりません。政府演説によれば、本年度経済成長率は平均実質四・三%、卸物価七・七、消費者物価九・九%の上昇が予測されております。もちろん、その前提として総需要抑制が続けられることが条件であるとされていますが、それは春闘を控えての政府の表面的発言であって、大方の見解は、不況の深化はこれから春にかけての窓口規制の枠が緩められ、春闘後、預金準備率や公定歩合の引き下げなどの政策上の手直しが行われることを前提として回復のきっかけを総需要抑制策の緩和に求めていると判断しています。言いかえますならば、自律的回復力はほとんど期待できず、したがって、いま一度需要刺激策への転換というV字型回復のコースを描いているのであります。総理自身微妙な変化を示していますし、河本通産大臣が日銀に対し窓口規制の弾力運用を求めるなど、若干の動きが出つつあります。需要抑制の緩和が行われ需要が盛り上がるとした場合、鎮静ぎみに推移している物価は刺激を受け、加えて、これからの相次ぐ公共料金の値上げによって再び物価は上昇し、社会的不公正は一層激しくなると思われます。現在の危機が、いままでの政策矛盾が大量に蓄積されたことの総合結果であるという事態を深刻にとらえ、総需要抑制政策と公共料金引き上げについて慎重に扱うべきであると思いますが、その見解を伺います。
 社会的不公正の是正は、各般にわたって行われなければなりませんが、当面する緊急の課題は、このインフレのもとで進む所得の不平等の根源的貧困の深化を一日も早く解決することでなければなりません。現在われわれの直面する経済政策の目的は、環境保全を骨格として、その枠組みの中でインフレと深化する貧困問題を解決し、社会的福祉を確立することであります。
 現在わが国のインフレの原因は独占とそれを全面的に支えている政府・自民党の政策の誤りにあります。
 大企業は七〇年代に至って寄生的性格を強め、財産所得やインフレ利得に依存する傾向が一般的となってまいりました。四十六年以降の大企業の行動を見ますと、土地、株式などの取得とその譲渡所得による利益が増大し、さらに四十八年秋以降は、海外資源、特に石油の価格上昇に便乗した商品買い占めや価格のつり上げによるインフレ利得によって収益を増大したのであります。四十八年実施した不当利得に対する法的措置も結局効を奏せず、むしろ底流としてその傾向は継続されているのであります。政府は速やかにインフレ対策や環境政策の上で独占の規制を急ぐべきであり、それは独禁法改正のみならず、具体的には最大の環境汚染源としての重化学工業の改造を含めての改革を図るべきであると考えます。そのために資源、環境の二つの観点から、素材供給型の重化学工業中心の産業構造の行き過ぎを改めること、個別資本の利益増大を優先させてきた交通体系を改善すること、無計画でむだな大量消費生活様式の改善をする必要があります。
 戦後の高度成長は史上空前の大都市化をもたらし、公害、交通混雑、清掃麻痺など過密という現代的貧困が大都市圏を中心に爆発し、一方農漁村では、農林漁業の相対的衰退とともに人口は流出し、生活様式の都市化に行政が対応できず、過疎問題に代表される現代的貧困が進行しているのであります。
 以上、経済政策の基本的問題の一部について伺ってまいりましたが、引き続いて税制改正について伺いたいと思います。
 インフレの収束を図ることは当面の緊急課題ではありますが、インフレはそれ自身が所得分配に大きなひずみをもたらすものであります。分配の不公正はインフレ過程の中で得られる資産所得に対する課税がきわめて不徹底であることによってさらに拡大されます。インフレの弊害及びその被害に対する税制面からの対策は、激しいインフレのもとではインフレそのものを収束する手段ではありませんが、インフレ対応策としてはきわめて重要であります。
 本来租税こそは公平の原則が貫かれ、所得再分配の機能を発揮し、社会的貢献度を高めるという目的を達成しなければなりません。しかしながら、わが国の税制は、租税公平の原則を犠牲にし、資本蓄積に重点を置き、税制面から経済の高度成長を促進助長し大企業や高額所得者をきわめて徹底的に優遇してきたのであります。また、国庫支出金制度や税制を通じて、国の意向を地方財政に貫徹させる装置をも拡大したのであります。このため所得分配上の著しい不公正が逆累進課税を通じてもたらされるとともに、また一方では、地方財政の自主性に対する厳しい制約が醸成されたのであります。所得格差の拡大の中で特に特徴的なものは、勤労所得と資産所得の格差の拡大であります。政府の今回の税制改正において資産所得等課税強化は皆無ではありませんが、それは不徹底に終わっているのであります。四十八年度における租税特別措置は百五十一項目に及び、その減免税額は、四十九年度において、国税だけで実質七千二百七十億、地方税へのはね返り分を合わせれば一兆一千七百四十四億円と推計されております。さらに、実質的な特別措置と見られる支払い配当軽課措置や、受取配当益金不算入、各種引当金、配当控除、あるいは寄付金、交際費を加えれば、政府推計の二・五ないし三倍にも達すると見られているのであります。特に本年度の予算編成の特徴とされました福祉財政の志向に対し、その費用負担が今後どのような展開を示すか注目されるところでありまして、福祉面での財政支出の増大と費用負担の関係で、その基本に据えられなければならない理念は、税負担の確保ということであります。その具体的あり方として、資産所得への過度の優遇措置の撤廃が長期的かつ構造的な改革として実施されることが重要な要件となります。(拍手)そのため、われわれが従来から主張してまいりました土地利得税の総合課税、有価証券のキャピタルゲインに対する課税の創設強化、所得税の補完税としての富裕税の課税制度、医師優遇税制についての改善であります。
 特に医師税制については政府税制調査会の答申に対して医師会が医師総引き揚げの手段に出るという事態がありました。その辞任の理由はきわめて厳しく書かれておりますが、それは省略いたします。これらから判断されることは、その改正の困難性を物語るものでありますが、したがって、まず相互の不信感を取り除くための努力が必要であります。診療報酬問題や看護婦不足など解決すべき問題について積極的な取り組みを行うことはもちろん、税調でも提言していますように、診療問題と切り離し、税は税として取り、手当てすべきものは手当てするという方針を堅持して問題の解決に当たっていただきたいと思います。(拍手)
 税の公平の原則は、税の捕捉率の向上が必要であります。税の自主申告制のたてまえから税の秘密性を撤廃し、高額所得者の資産公開の原則についても一日も早い対策を要求するものであります。(拍手)
 次に、公害、環境保全の問題についてであります。この問題はコンビナートを初め輸送船舶の大型化などによって事故を頻発し、大気を初め水質への環境破壊が進み、海の資源は壊滅的打撃を受けているのであります。今回、水島で起こった三菱の重油流出事故は、いま無数に広がった公害問題への貴重な警鐘として受け取らなければなりません。(拍手)
 今回の水島事故は、去る十二月二十六日、本院の合同調査で私どもがすでに指摘をしてまいりましたように、公有水面埋め立て時における調査の不十分さ、工場建設の段階においての軟弱な地盤で行うタンクの建設のパックドレーン工法等の事前調査などの不十分さを露呈をしているのであります。年間二億七千万キロリットルという大量の油を消費している日本で、まさかと思われた巨大タンクの底が抜け、油が海に流れ出る。そこには一隻の油回収船もいない。被害を受けた漁民が涙を流しながら瀬戸内海に広がった油をひしゃくですくう。企業は手をこまねいて見ている。この光景こそ、まさに昭和の漫画ではありませんか。いまどきこんなことがあっていいはずはないのであります。しかし、過去を責めたといたしましても、起こった事故は返ってはまいりません。要は再びこのような事故を起こさない対策を一日も早く達成することであります。そのために、まずマラッカ海峡における巨大タンカーの座礁は、今後における海上輸送に大きな教訓を与えていますが、巨大化したコンビナート、巨大化したタンク、巨大化したタンカーに対する安全確保のための規制、法改正を行うべきであること、海岸、海底に広がっている油の除去、浄化の方法、二次公害を含む水産物への影響、さらに、沿岸漁業振興策の強化による沿岸漁民の救済対策について措置すること、今回の事故を契機としてコンビナートの総点検機構の整備を行うとともに、油回収船の建造配置、消防防災機関の充実を図ること、三菱に対する刑事責任の追及と漁民の完全な補償を確保すること。以上の諸点について万全を期し、漁民の一日も早い操業のできることを期待するものであります。(拍手)
 なお、自動車排ガス規制については一日も早い対策が必要でありますが、二十七日アメリカの環境保護局が発表いたしました、触媒型は公害源になり危険であるとの見解が出ておりますが、これが規制の後退にならないかどうか伺っておきたいと思います。
 次に、農業問題について伺います。
 都市と農村の格差の増大、ここにも不公正是正の緊急性が要請されるのであります。高度成長のこの十年間、農村は大きく変わりました。それはおよそわれわれの期待とは逆に衰退の一途をたどり、極論する人は、いまや農業は一つの産業としての形態を失ったとさえ言われているのであります。農業生産は年ごとに後退し、農外収入は六〇%にも達し、食糧自給率もまたオリジナルカロリーでは五〇%を大きく割るという結果であります。
 現在、海外からの食糧輸入は、四十七年の一兆七千億円から四十八年二兆四千億円、四十九年は三兆円に達し、驚異的に増大しています。わが国の食糧危機は、表面的には平静であっても、現実は、日本人のうち五千万人の胃袋が外国食糧によって満たされるという悲惨な現状であります。
 もちろん、食糧危機がここまで落ち込んだ原因は、わが国の工業製品を外国へ、安い食糧は外国からという政府、財界の一貫した国際分業論と、農業政策をサボってきたことがその根本的原因であります。わが国の飼料穀物がアメリカに支配された今日、供給の不安定と価格高騰によって、畜産を初め日本農業は壊滅的打撃を受けたのであります。危機に直面している食糧問題を解決できるかどうかは、われわれ人類の文明が生存できるかどうかを意味している、このワルトハイム国連事務総長の言を待つまでもなく、世界の食糧問題は今年も楽観を許さない状況にあります。食糧の国際分業論は、経済理論としては成り立ち得ても、政治論としては成り立ち得ないのであります。いまここに、真に日本農業の発展と食糧確保に対する熱意のほどを明らかにしていただきたいのであります。
 戦後わが国は、食糧の安定供給を安易にアメリカに求めてきたのでありますが、昨年の米国における作況不良、カナダの小麦の減収、インド、バングラデシュ、アフリカなどの凶作によって、世界の食糧在庫はほとんど底をつき、再び危機的要素を増大しているのであります。今後とも、世界の食糧危機の推移からして、発展途上国や国連の強い要請によって輸入量の変更を余儀なくされ、それが外交上の重圧となり、価格暴騰の理由となることも必至であります。食糧はいまや、われわれが意図すると否とにかかわらず、したがって、最も強力な戦略物資となっているのであります。かつて、フランスの農業地理学者ピエル・ジョルジュは、食糧の輸入国は食糧の供給国の意のままに至る、主要食糧を供給する国が世界の支配者であって、他の諸国の独立はもはや幻影にすぎないと、この警告を私は政府に提言をいたしたいと思います。
 食糧自給率の低下は、本国会におきましても再三にわたって論議されてきたところでありますが、いまだその決定的対策を示し得ないままに推移しています。しかも、一方においては、昨年六月、カラカスの国連海洋法会議における専管水域二百海里の提言は、沿岸漁業を放棄し、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという国際漁業中心に進め、資源を遠く海外に求めてきたわが国といたしましては、二重の圧力に危機は一層深まっているのであります。国際的に先進諸国の中でひとりわが国のみがその自給率において年々低下の一途をたどっていることはきわめて遺憾なことであります。われわれはここに世界の食糧農業情勢を的確に展望するとともに、FAOに対しても、その国際連帯の中における日本の負うべき役割りについて積極的に明確にすべきであると考えるのであります。
 わが国の食糧対策を論ずる場合に、必ずと言っていいほど、食糧の安定供給確保が、アメリカ圏からの輸入の安定と東南アジアなど後進地域の開発輸入に依存するとの考え方が多くあります。もちろん、それが後進諸国の生活、文化の向上に見合った、そしてそれが国際食糧の確保という大きな観点からの援助であれば否定するものではありませんが、過去の高度成長の安上がり食糧確保という政策からして、夢よもう一度という危険性も心配されるのでありまして、わが国の生産農民の希望と要求にこたえ、農漁民が生産に意欲的に取り組める条件をつくることを第一義として日本農業を考え、このことを通じてわが国の食糧確保を安定させるという基本に立たなければなりません。わが国の国土は狭小であり、農地も少ないのでありますが、米作の生産制限によって優良農地まで荒れ果て、かつて裏作によって支えられた麦やなたねや大豆も姿を消し、過疎の進行によって山は放置されているのであります。大量の食糧が、安いからといってむだに使われ、捨てられ、広大な土地が生産を休止して遊んでいます。このような光景を見るとき、国民の多くは食糧への危機感を持つはずはないのであります。食料品を有効に消費すること、食糧を増産し自給する、これを国民全体の重大関心事としなければならないと思います。
 次に、具体的農業発展政策について伺います。
 日本農業が国内食糧の確保という大前提に立ち、しかもそれが国際的食糧情勢の上からも不可欠の条件を持つものであるならば、農業用地こそ重要な国家的資源として位置づけられ、さらに環境、国土保全の重要な役割りを果たすものとしてとらえなければなりません。農業の基盤の整備は、農業の近代化−農業生産の増強−食糧確保−生産農民の生活向上という図式のみならず、深刻さを増している水資源の確保、無政府的に進む乱開発によって、それから起こる災害の頻発という中で、二百四十億トンという偉大な水の保留力を持つ水田の防災機能は、災害防止の大きな決め手となるものであります。したがって、農業こそは、経済計算の上からも、全産業の基礎的要素を持つものであるとの考え方に立たなければなりません。日本農業のおくれ、国際農業に対応できない原因はこの基盤整備のおくれにあります。農民負担の軽減の中で進められる基盤対策が一日も早いことを望むものであり、いま農村には若い担い手は残らないと言われています。確かに現状はそのとおりであります。しかしまた、数少ないながらも農業に打ち込み、働くことに喜びを感じている青年もいます。新しい技術を身につけ、規模を拡大し、生産力を高めるという目標を達成し、中核農家としての地位を確保した農家に対して、それを壊す外的要因を除去しなければなりません。
 外的要因とは異常なインフレの影響であります。すなわち、農機具、農薬、肥料等、農業用資材の暴騰はこの一年間に八割から十割の上昇を示し、とりわけ飼料穀物の暴騰は日本農業に決定的な打撃を与えたのであります。これらは稲作、果樹、畜産を問わず、わが国農業の中心となる重要部門で生産物の価格が生産資材の価格上昇に追いつけず、そればかりか、インフレによる一般消費者の食料品の消費力減退として影響し、生産費高の販売安の現象となり、農家の生産意欲の減退、離農という危機的様相を示すに至っているのであります。したがって、農業用購入資材への緊急対策は、農産物の価格支持対策とともに速やかに措置されることが必要であります。食糧自給率向上という、食糧危機に直面して今日までとられてまいりました政府の基本姿勢は、農林省の「昭和五十年度農林漁業関係重要施策」という文書、また、三木総理の施政方針に貫かれている内容に代表されると思われます。それは、国民の主要食糧のうち、国内生産が適当なものは極力国内でまかない、自給度の維持向上を図ることが必要である。また、海外に依存せざるを得ない農産物についても、備蓄政策や国際協力の一環として開発輸入政策などを進め、その安定的供給を確保していく、こう言っているのであります。これから読み取れる政策の基本は、あくまでもアメリカの食糧のかさへののめり込みであり、国内農業の縮小後退もやむなしとする一貫したものと解さなければなりません。日本農業の持つ宿命的弱さ、それからの脱皮こそがいま望まれるのであります。アメリカを初め、農産物輸入に対する圧力は今後一層激しくなるでありましょう。日本農業を危機に追い込む輸入自由化、それを少しでも排除し得る道を求めなければなりません。とりわけ飼料用作物の安定供給対策は、わが国においてもその可能性を求めなければなりません。今日まで見過ごされてきたバガスあるいは稲わら、もみがら等がリグニンの除去によって飼料化が実現しようといたしておりますし、根室、北岩手、阿武隈、阿蘇、久住飯田などを初め大規模開発の可能性を持つ地域、さらに小規模といえども開発可能な地域も無限大の可能性を秘めて存在しています。要は狭い国土をどうして何に有効に利用するかにかかっています。農業を工業や他の産業と同じ経済観念で思考することは誤りであります。
 いままで述べてまいりました農村環境の整備を行うとともに、低利長期の農業金融の特別措置を行うことによって無限の可能性をつくり出すことを私は確信するものであります。(拍手)
 最後に、重ねて私は主張いたします。農業は国土を保全し、国民の生命を維持する食糧を供給し、国民の健康に必要な緑の場を提供し、人間の精神生活に安らぎを与えるということ、それははかり知れない社会的価値を持っています。農村や山村に人が住まなくなり、農業が失われた場合、山河は荒れ果て、国土は砂漠と化するでありましょう。人類の文化は農業から始まり、耕作し生産する喜びもまた農業から始まったのであります。私どもは、近代化された文明文化の中でいま農業の持つ本来の意味を改めて考え、新しい農業の哲学を学ばなければなりません。わが国の農業を新しい発想によって考え、日本の農業の新しい発展のために積極的な政策樹立と実行について一層の精進を心から期待をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(三木武夫君) 工藤君にお答えをいたします。
 私が田中内閣の副総理であったことに関連して、その責任から解散を早くやれというお話です。一昨々年の七月、田中内閣ができましたときに、田中、ここにある大平、三木、三人が政策協定を行ったわけであります。それは日中の国交正常化をやる、これが第一点。これが一番最大の一つの目標でした。次には、正しい方向に政治の流れを変える。この二つの約束――政策協定をいたしまして、だれが総裁になろうとも、これはこの方向で協力するということを約束したことは事実であります。
 最大の目的である日中の国交正常化は、これはなし遂げることができたわけでありますが、政治の流れを変えるということで、いろいろな金権政治ということは私の意見とも違いますし、一緒にやっていけなくなったので、私はやめたのであります。まあ、私は私なりの所信に向かって出処進退をいたしたつもりでございます。
 解散の問題については、これはいまはインフレ、物価の問題で私の頭はいっぱいであります。いつかは国民の審判を受けたいと考えております。
 それから、第二点については、いろいろ工藤さんお挙げになりまして、引き締めをやらなければならぬときに、列島改造、大型財政、金融の緩和と、いろいろ誤った経済政策をとったではないかという御指摘であります。まあ、その当時としては最善を尽くしたわけでありますが、後で考えてみると、確かに反省をしなければならぬ点は私はあることを率直に認めます。ここで、この反省というものも含めて、これから高度経済成長から安定成長の段階に円滑に入っていかなきゃならぬ。この安定成長に入ると、切りかえていくということは大変なことであります。産業も国民生活も、いろんな面において大きな変化を受けるわけでありますが、要は、高度経済成長から安定成長へということは、量的拡大から質的な充実、こういうことの面に向かってこれから日本の経済政策は切りかえていくというのが大きな方向だと思うんであります。
 次に、総需要抑制政策は春闘対策ではないかということでございますが、総需要抑制というものは物価安定のためにやっておるわけで、春闘対策のために物価安定を図るということではない、国民生活の安定のためにやるわけです。しかし、春闘というものが日本の経済に与える影響というものは、これはやっぱり無視することはできません。せっかく物価も鎮静傾向にあるわけですから、われわれとしても、労使が、置かれておるこの経済的な環境というものに思いをいたして、節度のある賃金の決定がなされることを強く願っておるものでございます。しかし、総需要抑制策が春闘対策というような、そんな考え方でないことは御了承を願いたいのでございます。
 公共料金に対していろいろ工藤さんおっしゃられましたが、あの段階では精いっぱいのことをしたんですよ、財政的に見れば相当無理なことをしたんですからね。工藤さんから言えば、全部凍結してしまったらいいというわけですが、しかし、財政面のことも考えなければならぬわけでありますから、まあ、あの段階としては精いっぱいのことをやったというふうに、少しお考えを願いたいのでございます。
 独禁法は、これは改正を行います。内容はまだ申し上げる段階まで至っていない。
 それから、コンビナートのことについては、これは環境保全の面から言っても捨ておけないわけで、総点検を行うよう指示いたしました。また、将来コンビナートをつくる場合には、環境に及ぼす影響というものを調査して、簡単には認めない方針でございます。
 それから、資源、環境の観点から産業構造、これは改める必要があるのではないかということですが、全くそのとおりで、こんなに資源消費型の産業というものは、資源の面からも、環境の面から言っても行き詰まってくることは明らかですから、これから日本人のすぐれた頭脳、技術、情報、こういうものをつくって、もっと省資源的な、何といいますか、知識集約型といいますか、そういう産業に切りかえていかなければならない。これは一年や二年でできるわけじゃないですから、これは長期の計画を立てて、そしてこういう方向にいかなければならぬことは申すまでもございません。
 それから、交通体系は運輸大臣にゆだねます。農業問題は農林大臣にゆだねます。それから、税制については大蔵大臣が答弁をいたします。
 それから、通産大臣の御要求がないと思うわけですから、私がお答えいたします。
 石油タンクの問題ですが、これは総点検をするように、これは危険でありますから、消防機関に対して指示をいたしました。それから都道府県に対しても、この石油タンクの事故というものは非常に地域の安全性を害しますから、都道府県においてもこれに対する安全性の確保というものは絶えず注意してもらいたいという指示をいたしたわけでございます。
 三菱に対しての補償問題などについては、これはいま原因を関係行政機関で調査中でございます。犯罪があれば当然にやっぱり適切な処置をすることは申すまでもございません。また、補償は、汚染者負担の原則、これは厳重に守ります。そして補償が完全に行われるような指導をいたしたいと考えております。
 原子力発電のお話がございましたが、これは、日本は、やはり石油というものには、新しいエネルギーの開発というものも行われるでしょうが、それには相当な時間がかかって、どうしてもやっぱり原子力発電の時代というものは考えざるを得ない。しかし、安全性というものがこんなに疑われては、原子力の発電といっても立地というものにやはり困難を来すわけでありますから、私は、行政機構の上で局を置くということはしなかったのですが、科学技術庁だけには安全局というものを設けたわけです。そして安全局を設けたということだけでは意味がないので、安全の確保というもの、安全の研究といいますか、安全技術の研究と申しますか、そういうことについて、国民が安全というものに対して不安を持ったのでは原子力発電の開発はできませんから、これに対して一段と力を入れてもらいたいと思うのでございます。そういう点で、この点は特に力を入れてまいります。
 自動車の排出ガス規制の問題については、これは五十年度の規制は厳しい規制をやったわけです、硫黄酸化物は。窒素酸化物は、これは世界的にも技術が開発されてない。もし開発できれば日本が世界で先鞭をつけるわけで、それだけにまあむずかしい点もあって、これは私の予定した〇・二五、これが二年間延期をしたわけで、しかし、その中間値というもので、大型車には〇・八五、小型車には〇・六という、こういう中間値で二年いかなければならなかったということは残念ですが、なるべくその期間を縮めるように努力をいたしまして、窒素酸化物も世界でどこにもやってない、アメリカも五年延ばしたのですから、それが日本というものはこういうアメリカと違って自動車の状態もやはり非常な過密状態でもあるということでこれをやったわけでございますが、できるだけ当初の方針に近づけるように努力をいたしてまいりたいと思う次第でございます。
 あとの問題については、関係大臣、しかも御要求がございますので、関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣木村睦男君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(木村睦男君) 私に対します質問、四点ほどございますので、順を追ってお答えいたしたいと思います。
 個別資本の利益の増大が優先されて、交通体系の改革をさらに図らなければいかぬじゃないかという御質問でございますが、戦後の、最近の特に経済の高度成長、それからそれに伴います国民生活の向上の結果、一番われわれの日常生活の足として便利のいいマイカー、値段は高いが、それが買えるようになったということで、非常にマイカーの普及ということで交通事情というものが変わってまいったことは事実でございます。十年前の陸上交通のシェアを見ますというと、鉄道によるものが五十数%で自動車は四十数%でございましたが、最近ではこのモータリゼーションの影響を受けまして、鉄道のシェアが三〇%程度ぐらいに下がって、その格差が非常に大きいのでございます。そういうふうな状況の中で、国有鉄道は非常に収入が減少したと、また過疎地域のバスは非常に経営の危機を迎えておると、また過密地帯、大都市では道路交通は一層混雑いたしますし、そのために大都市のバスの――大量交通輸送機関であるところのバスの輸送というものが停滞、それから利用者が減ったというふうな現象がますますひどくなってまいっておるのでございます。これが現在の御指摘のような交通政策上の大きな問題であるわけでございます。
 そこで、運輸省といたしましては、この大量交通機関の整備をやらなければならない。そして新しい輸送体系の改善に向かって必要な措置をとらなければならないということでございまして、特に大都市のバス輸送等につきましては、バスレーンを設定するとか、あるいは停留所の整備についてもこれから十分やっていかなければいかぬということで、五十年度予算でもそれがある程度見込まれておるわけでございます。
 また、過疎地帯のバス事業、これは大変ないま危機を迎えておりまして、過疎地帯に住む住民の人に大変迷惑をかけておるのでございます。これにつきましても、従来とも相当な予算をもって補助をいたしてまいったのでございますが、ことに五十年度――今回御審議をいただきます五十年度予算につきましては、四十九年度に比べまして三倍に近い五十八億程度の予算を組んでおるわけでございまして、ほかのものの予算が二〇%を割るというときに、かなり思い切った措置を講じ得たものと思っておるわけでございます。私といたしましては、交通関係の社会資本というものは、社会経済基盤の整備という観点よりも、生活道路や、あるいは通勤、通学輸送、生活の必需物資の円滑な輸送というふうな観点から、むしろ国民生活の基盤の充実であるという観点で、今後とも整備を続けてまいりたい、かように考えております。
 次の水島の事故に関連いたしまして、公有水面の埋め立てに問題があるのではないかという御指摘でございます。今回の水島の事故につきましては、その原因は、事故原因調査委員会でもって現在調査中でございますから、その結果を見ないとわかりませんが、公有水面の埋め立てにつきましては、その地域が住宅に今後使われるか、あるいは工場として使われるかというふうなことを全般的に着目をいたしまして埋め立てをするわけでございます。しかも、埋め立てます前に、その水面の水底の地下の状況、あるいは埋め立てる場合に砂をどのくらい入れて埋め立てたかとか、あるいは粘土を入れたかとか、あるいはバラスを入れたとかいうふうなこと、全部わかるように埋め立て後もなっておるわけでございます。したがって、宅地ということでやったといたしましても、ビルディングをつくる場合、あるいは普通の住宅をつくる場合、それぞれ重圧その他が違うわけですから、いわんや工場地帯として造成いたしました場合でも、このような大型なタンク等を設置する場合等には、それぞれ違うわけでございますので、それらの建設をする者が責任を持って、周到な計画と調査によってやってもらわなければいけないのではないかと、一にかかってその建設する者が本当に責任を持ってやるということを強調すベきではないかと、私はかように思うわけでございます。
 それから巨大タンカーの運航について、安全確保上、法規制等の改正が必要ではないかという御指摘でございます。現在、海上交通の安全を期する法律がいろいろあるわけでございます。たとえば海上交通安全法でありますとか、あるいは港則法でありますとか、あるいは水先案内人に関する法律等がございます。で、この巨大タンカーの運航の安全確保につきましては、船舶安全運航上の指導、規制等を従来ともやっておりますし、またパイロット、つまり水先案内人につきましても、これは指定された水路を通る場合には強制して乗らすことにしておりますが、これらの点がいままでの事故にかんがみますというと、もっと水先人を強制的に乗せてパイロットをさすような地域をふやしてもいいんではないかというふうなことも考えられます。これらの問題につきましては、海上安全船員教育審議会というのがございまして、そこに目下諮問をいたしておりますので、近く答申を得られましたら、それに従って努力をいたしたい、かように考えておるのでございます。また、航行管制システム、あるいは航路標識等の施設の整備も推進をいたさなければならないのでございまして、これにも、五十年度予算で、合計いたしまして約百三十億程度の予算を計上をいたしておるような次第でございます。
 なお、今度は船舶自体のほうで安全のためのいろんな設備の改良が必要かと考えるのでございます。現在でも二万総トン以上の船にはレーダーを設備するように行政指導をやっておりまして、逐次つけております。
 それから特にタンカーにつきましては、その構造の設備につきまして国際的な基準をつくろうということで、IMCOという国際会議があるのでございますが、ここでいろいろといま検討をされておるのでございます。まあ、たとえて言いますというと、タンカーの中の一つのタンクが余りに容量が多いと、衝突して破れた場合に大量の油が流れますので、一個一個のタンクの大きさをどの程度にしたらよろしいか、また、一番衝突しやすいところの船側の方面に面しておるタンクについては、さらにそれを小さくするとかどうするとかいうような問題をいま検討いたしております。その国際会議の結論が出ますれば、それに従って善処をいたしたい、かようにも思っている次第でございます。
 それから油の回収船の建造、配置、それから消防・防災機関の充実を図る必要があるという御指摘でございます。油の回収船につきましてはいろいろ御指摘がございましたが、実はこの油の回収船はわが国でもいろいろ開発をいたしておりますが、世界各国ともやっておるのでございますが、なかなか完全に効果を発揮するというものがいまだ開発されていないというのが実情でございます。今後効果的なものが、さらにいいものが開発されましたときには、それを直ちに実施するように法令の整備、あるいは関係企業への備えつけ等、積極的に推進をいたしたいと思っております。現在、御参考に申し上げますというと、いま、わが国に四十三隻の回収船があるわけでございます。運輸省が持っておりますのは非常に少のうございますが、ことしは二隻、来年は大型しゅんせつ船に油回収装置をするべく現在調査、研究を進めておるのでございます。
 それから消防・防災体制につきましては、かねてから石油コンビナート等の所在地におきましては、海上保安庁、それから地方公共団体、民間――これは関係の船会社、それから石油企業等でございますが、これらの関係機関でもって流出油の災害対策協議会というのを昭和四十三年からつくっておりまして、いま全国に約六十三カ所ございます。今回の水島の事故もそれが発動をいたしたのでございますが、さらに防除体制につきましては十分しっかりやるように今後とも指導をし、工夫をこらしてまいりたいと、かように思っておりますので、よろしく。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑の第一は、租税特別措置を思い切って改廃すべきであるということでございます。
 工藤さんも御承知のように、この法律は税の持っておる政策を推進する場合の抑止的な働きと申しますか、あるいは誘導的な機能というものを活用しようというもので、毎年毎年、政策の整備が進むに従って膨大になってまいります。いま九十条ばかりの法律でございますが、第何条の一、二、三、四とだんだんできてまいりまして、ますます厚くなってくるのを、あなたとともに私も憂えておる次第でございます。しかし、この機能が時勢の推移とともに退化してまいりますならば、いち早く改廃すべきでありますことは御指摘のとおりでございまして、私ども、これが慢性化するとか、あるいは既得権化することのないように十分戒心してまいりたいと思います。
 第二の問題は有価証券の譲渡益の課税でございます。これはたいへん申しわけないんでございますが、この実際の捕捉が非常に技術的に困難なために、昭和二十八年以来、一定の継続的な取引から生ずる譲渡所得以外は非課税になっておるわけでございます。したがって、この技術的な困難を解決いたしまして課税の場に持ってまいらなければならぬわけでございまして、今後引き続き検討を重ねてまいりたいと思います。
 それから、さらに社会保険診療報酬課税の特例はいち早く廃止すべきでないかということでございました。これは、ここにおきましての御答弁でも申し上げたとおりでございまして、税制調査会におきましても御意見が出され、政府においても一応の案ができたわけでございますけれども、これは診療報酬の問題と分離して考えろというあなたのお説でございます。ただ、政府といたしましては、診療報酬とこの問題を全然分離して考えるということが困難でございますので、次の診療報酬改正のときに取り上げさしていただきたいと思っております。
 それから、富裕税を所得税の補完税として設けよという御提案は、工藤さんばかりでなく、ほかの方々からもいろいろございました。けれども、これは私がそのときも申し上げておきましたように、これまた財産の捕捉がいま十分でない、またそれだけの行政能力をわれわれは手にしていないというゆえをもちまして、ただいま実行がむずかしいということを申し上げたことで御理解をちょうだいいたしたいと思います。
 最後に、税の捕捉ということを徹底してやらなければならないじゃないかという御激励でございます。いまわれわれは申告納税者、八百万人ことしはあるわけでございまして、約一万人がこの仕事に当たっておるわけでございます。それから法人が百三十五万ございまして、一万一千人が担当いたしておるわけでございます。したがって、これだけの要員でこれだけの課税対象の所得を十分捕捉するということは、これは大変なむずかしい仕事でございますので、何としても国民の皆様並びに各法人からできるだけの御協力、御理解を得なければただいまの税制はなかなか実行が困難でございますので、民間の御協力、御理解を得ながら、鋭意御期待に沿うべく努力してまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#51
○国務大臣(安倍晋太郎君) まず、水島の油流出事故についてでございますが、沿岸漁民に多大な被害を与えたことはまことに憂慮にたえない次第でございまして、漁業の被害の補償につきましては、これは汚染者負担の原則のもとに三菱石油が当然補償すべきものでございます。いま農林省といたしましては、三菱石油と漁業組合等、当事者間の話し合いにより、適正、円滑な補償が行われるように指導をいたしております。また、瀬戸内海のこの汚染の復元を一日も早くいたしまして、漁場の復元をして、瀬戸内海が何としても日本の沿岸漁業の四分の一の漁獲高を持っておる海域でございますので、これから強力な復元に努めて、栽培漁業あるいは漁業の構造改善事業等、積極的に進めていきたいと思います。
 次に、農政の基本の問題につきましての工藤さんの高い立場からの御意見を拝聴したわけでございますが、自給率向上と安定輸入につきましては、お話がございましたように、やはりわが国の農業と食糧問題の現状及び将来のあり方につきまして、十分なるやはり国民的理解を求めていかなきゃならぬことは当然でございまして、われわれとしても、今後とも努力したいと思うわけでございます。また、同時に、安易な国際分業論に陥るべきでないことも、またこれは当然であろうと思うわけでございます。今後とも自給力の向上を図るために努力をいたす次第でございます。麦、大豆、飼料作物については、これは積極的に自給力の向上のための努力をいたします、また、これがある程度できると思うわけでございますが、しかし、畜産のための飼料穀物につきましては、御承知のように、わが国の生産条件が合わないという点もございまして、どうしてもやはり今後とも外国に依存しなければならないわけでございますので、これにつきましては、長期輸入契約といった措置等によりまして安定輸入を図っていかなければならないわけでございまして、御理解をいただきたいと思うわけでありまして、現在の農政審議会の答申を得て、長期的な視点に立った総合的な食糧政策を打ち立てたいと思っております。
 また、具体的な問題でございますが、農業の生産基盤の整備の推進を図れという御意見、まことにそのとおりでございまして、今後ともその推進にはひとつ努めてまいる考えでございます。
 また、農村の生活環境の整備を図れということでございまして、現在農林省として実施しておる農村総合整備モデル事業、これはなかなか評判がいいわけでございますが、これを積極的にひとつ今後とも推進していきたいと思います。
 また、農業用生産資材及び飼料の価格安定を図れという御意見でございました。農業用の生産資材並びに肥料については、強力な行政指導によりまして現在安定をいたしておるわけでございますが、飼料につきましては、価格安定の特別基金等を活用いたすとともに、今後備蓄の推進あるいは長期輸入取り決め等によりまして、飼料の価格の安定を図っていきたいと考えておるわけでございます。
 また、残存農産物の自由化の問題でございますが、私たちとしては、大事な産品につきまして、残っておる残存輸入制限の品目につきましてはこれ以上自由化を認めることはできないと、こういうふうに考えておるわけであります。
 また、飼料作物の生産と供給の安定対策につきましては、農用地開発公団によるところの事業によりまして草地の開発事業を進めるとともに、ことしの予算で獲得をいたしました緊急粗飼料増産総合対策事業等も積極的に推進して飼料の増産を図っていきたいと、こういうふうに考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#52
○副議長(前田佳都男君) 喜屋武眞榮君。
   〔喜屋武眞榮君登壇、拍手〕
#53
○喜屋武眞榮君 第二院クラブの喜屋武眞榮でございます。
 私は、質問に入ります前に注文をつけておきたいと思います。と申しますのは、私の持ち時間がきわめてわずかでございまして、十分に意を尽くせませんので、どうか総理初め関係大臣、はっきりと御答弁をお願いいたし、また、国民の前にはっきりとお約束をしていただきたいということをあらかじめ御要望いたします。
 それでは、まず第一に総理の対米姿勢についてお伺いいたします。
 総理は、日米の安保条約は日米協力の基本憲章として評価され、そして継続の意思を明らかにしておられますが、しかし、一方ではまた善隣友好を推進することがアジア・太平洋地域の安定に貢献するものとおっしゃっておられますが、このことは明らかに矛盾するものではないでしょうか。と申しますのは、安保条約により一方の体制にくみし、そのかさの中に入るということは、他方の体制にくみする国々に脅威を与えることになりはしないかと思われてなりません。
 また、総理のおっしゃるような日米安保条約維持の対米姿勢が続けば続くほど、犠牲に泣き、犠牲を忍ばなければならない国民もあることを、よもや総理は御存じでないはずはありません。それは軍事基地に泣く人々であります。たとえば、日本の基地全体の五三%を占める沖繩の場合を考えてみてください。沖繩県議会は、基地は諸悪の根源であると確認いたしております。基地犯罪、基地公害は枚挙にいとまがありません。もはや県民の生命、財産、人権の侵害、抑圧ががまんならない状態にあります。生活中心、福祉重視の質的充実をおっしゃるならば、まず日米安保条約を廃棄し、基地を撤去すべきではないでしょうか。人間の生活を最も破壊し、福祉を阻害するものは戦争であり、そのための軍事基地であることは何人も否定することはできないでありましょう。そこで、総理並びに外務大臣のこのことに対する御答弁を求めるものであります。
 第二に、国民に対する総理の政治姿勢についてお伺いいたします。
 総理は国民に向かって、私生活は簡素に、精神生活は豊かにと訴えておられます。今日ほど指導者の率先垂範を求められておるときはないと思います。乏しきを憂うるのではなく、等しからぬことを憂うることが政治の要諦でありますということはいまさら申し上げるまでもございません。社会的不公正の是正を強調しておられる総理が、政策面からの是正にも、花はあるが実のないことを遺憾ながら指摘いたしたいのでありますが、さらに私がここで問いたいことは、たとえささやかなことでありましても結構、私はこのように国民に訴えたいことを実行しております、だから国民もこうしてほしいと、こう言っていただけることがありましたら、この際、御披露をしていただきたい。そのことが、百万言を訴えなさるよりもはるかに国民的共感を呼ぶことを信ずるからでございます。
 第三は、教育の問題でございます。
 多くの方々から私に寄せられましたことしの年賀状は、例外なく、物価、インフレ、公害、そして金脈政治に対する怒りの声でありました。その中でこういうものがございます。一つ御紹介いたします。この年賀状の一節に、「諸悪の根元は総裁公選にあった、国民に幾ら道徳教育を説いても、釈迦に説法と言ふもの、模範となるべき代議士が此の態では、日本の民主化は有得ない、金も名誉も地位も欲せず、国民の為に命を惜まず、此の様な人が欲しい、教育さるべきは政治家であった。」、こういう年賀状でございます。代議士に対する痛烈な批判であり、政治家のモラル、教育の本質に触れる重大な問題であると私は理解いたします。
 国家永遠の発展は、総理のおっしゃるように教育にあります。その教育が今日荒廃しているのではありませんか。多くを申し上げません。日本の教育が現状のままではいけないということは、与野党はもちろん、広く国民も認めているところであります。
 そこで問題は、教育を今日のように荒廃さした原因は一体何であるのか、また、教育を荒廃から救う道は何であるのかということを明らかにすることであります。ここに問題の岐路があると思います。この原因と具体策について、総理並びに文部大臣に、納得のいく御答弁をいただきたいと思います。
 第四に、日本の農政について質問いたします。
 日本の農業は、いままさに一大転換期に迫られておることはいまさら申し上げるまでもございません。資源の乏しいわが国は、食糧の安定確保が最も重要な課題の一つであります。いかなることがあっても、食糧問題については不安のない国にせねばなりません。ところで、わが国の農産物の自給率は、残念ながらたった四三%にすぎませんということは先ほど来強調されております。また、大豆は九六%、麦が九五%、砂糖は八〇%以上を外国に依存している現状ではありませんか。これでは国民生活に不安があり、ましてや農産物資源が戦略物資の意義を持つようになった現在におきましては、日本の将来にもいよいよ不安が高まってまいります。それゆえに、自分の国でつくれる食糧は自分の国で最大限につくるという農政のあり方に大きく転換していかねばなりません。総理も農林漁業の増産対策に力を入れるとおっしゃっておられますが、遅まきながら当然のことだと思います。そのためには、単にかけ声だけでなく、魅力ある農政を打ち立てる必要があると思います。農業では食っていけない、農業では暮らしていけないという社会はまさに異常であります。顔や手足にどろをつけ、汗みどろの労働に対する報いが余りにも採算がとれないならば、若者たちを農業に引きとめることはできません。総理並びに農林大臣に、具体的な農政の転換と自給率の引き上げの施策を承りたいと思います。
 第五に、基地問題についてであります。特に私は沖繩選出議員の立場から、どうしてももう一度基地問題について触れておきます。
 前にも述べましたが、基地は実に諸悪の根源であります。沖繩は祖国復帰を果たし三年目を迎えました。しかし、基地はほとんど返還されず、依然として太平洋のかなめ石の役割りを果たしめられております。しかも、請求権は放棄され、地籍の測定は進まず、疎開船対馬丸遭難者の処遇の問題は未解決、伊江島における米軍人による日本人狙撃事件の発生も未解決、いつ火を噴くかわからない米軍の老朽パイプラインや不発弾の上での生活を余儀なくされ、県道封鎖の米軍演習に通行の自由を阻まれ、さらには、軍事基地の縮小につながらない軍雇用員の大量解雇が進行しております。沖繩における戦後処理はまさにこれからであります。
#54
○副議長(前田佳都男君) 喜屋武君、時間が経過しております。簡単に願います。
#55
○喜屋武眞榮君(続) 復帰によってすべては終わったのではなく、まさに復帰によって始まったのであります。沖繩の戦後処理をどのように考えておられるか。
 さらに、地籍の調査、そして復元補償の問題につきましては、どうしても現状のままでは解決できない。政府において特別立法してもらわなければいけないという、こういう困難な状態であります。そのことについて総理並びに防衛庁長官にお伺いいたす。立法の意思についての御見解も賜りたい。
 最後に、今日の日本が……
#56
○副議長(前田佳都男君) 喜屋武君、簡単に願います。
#57
○喜屋武眞榮君(続) 平和憲法の精神に照らしてもとらない政治が行なわれ、国民の権利が完全に保障されているものとは毛頭考えられません。いまこそ平和と民主主義と人権保障を柱とする日本国憲法の原点に立ち返って日本の政治を行うべきであると思われてなりません。総理、確たる所信を求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#58
○国務大臣(三木武夫君) 喜屋武さんにお答えをいたします。
 喜屋武さんは日米協力と、及び安保条約、これによって基礎づけられた日米友好、これと善隣友好とは矛盾するじゃないかというお話ですが、矛盾するどころか、善隣友好のこれは一番の最たるものがこの日米協力であります。(拍手)これを太平洋というものに対する安定といいますか、これなくして日本の安全も平和もありません。だから、どうか日米関係を余り軽く見ない方がいいと私は思うんですよ。日米関係というものは、貿易の面からいったところで――この安保条約の面もありますけれども、いろんな点で経済協力、技術協力、貿易の協力、これだけの深い関係を持っておる国際関係はないんですよ。だから、アメリカに対して自主的な態度を持てということは、これはもう私も同じなんです。しかし、アメリカに対して、反米的な感じはお持ちにはなっていないと思いますけれども、日本の国益に沿うものではないということでございます。(拍手)
 それから、安保条約の点については、これは私は、安保条約というものは戦争抑止のために――核兵器の時代の国防というものは戦争をやるためでないんですよ。やれば人類おしまいですからね。戦争を防ぐということが核兵器の時代の国防ですから、日米安保も戦争をやるためにこんなものをやっているのじゃないのです。戦争の抑止力として、日米安保条約というものの一つの値打ちを私どもは評価しておるわけで、そういう点で、沖繩には一番多くの基地をお持ちを願って、しかも、中南部という一番人口の密集しておるところに基地が多いんですから、よくわかるのですよ、われわれは。そのいろんな摩擦が起こることはよくわかりますが、いま申したように、この問題は戦争抑止という日米の安保条約の役割りというものを評価して、これはそういう点でごしんぼう願わなければならぬ点もございますが、できるだけ基地は今後整理統合していくことに私は努力をしたいと思っておるわけでございます。
 それから、国民に何か訴えることばないかということでございますが、私も至らぬ人間ですから、こういうことをやっておるから国民もやってくれというような厚かましいことは申し上げませんが、とにかく、いま必要なことは国民の連帯感ということじゃないでしょうか。環境問題一つを考えても連帯感というものが必要なんで、たとえばある場所をきれいにすると言っても、皆がその気にならないとやはり美しい環境は生まれない。だから、これからはやっぱり、お互いに快適な社会生活を送ろうとするならば、一番必要なのはこの連帯意識というものでないかと考えておるのでございます。
 教育については、私は、教育を荒廃さした原因というものはいろいろあると思います。教育だけが、独立して教育の社会だけがあるわけじゃないんです。社会のいろいろな影響を受けるのですが、やっぱり一番心配するのは、教育の場がもっと静かな場にならないか。何か政治の争いの中心のように学園がなっていく事態は憂えています。もう少し――恵まれた時代ですからね、学生時代。もうこんな恵まれた時代は人生にないんですから、いろんな政治運動をやりたければ卒業してやったらいいんですから、その間やはり静かに、いろいろな学問あるいはいろいろ体を鍛える場合もあるでしょうし、そういう点で、人間の成長のためにこの貴重な人生が使われないかと、余りにも政治の争いに学園を巻き込んでおることが、日本の教育というものが、何か軌道を逸していく大きな原因だということは、私は、非常にそういう感じを持っておることだけを申し上げて、あとはほかの大臣に答弁を譲ります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#59
○国務大臣(宮澤喜一君) 日米安保体制が、わが国を侵略から守る抑止力であるということばかりでなく、アジアの国際政治の枠組みの中の一本の大事な柱であるというふうに考えておるわけでございますが、この体制がアジアの近隣諸国との友好を損なっておるのではないかというふうに仰せられました。私の見ますところでは、わが国の近隣諸国の、ことに最近の発言なり態度なりは、むしろ日米の友好関係が持続することを非常にかえって重視しておるようになりつつあるというふうに見ております。(拍手)
   〔国務大臣永井道雄君登壇、拍手〕
#60
○国務大臣(永井道雄君) 教育の荒廃という非常に大きな問題ですので、委曲を尽くせないと思いますが、私一つ申し上げておきたいことは、教育の非常にむずかしい状況のの中で、実はわれわれが頭の下がるようなりっぱな先生方というものが幼稚園から大学に至るまでおられること。また、非常にしっかり勉強しておられる児童、生徒、学生がいるということ、これは私はぜひ申し上げておきたい。といいますのは、そういう方々にお役に立つのが私どもの仕事ですし、また政治であろうかと考えますので、その点は申し上げておきたい。
 しかし、荒廃いたしております。その荒廃のよって来るところは何か。首相は政治との関係かおっしゃいました。そのほかに、私はやはり経済との関係もございまして、今日までの発展の中で必ずしも教育が恵まれることはなかった。そこで、待遇あるいはいろいろな条件がございますね、こういうふうなものをしっかりやっていかないといけないんじゃなかろうか。また、そういう中で非常に学歴偏重というようなものがあって、それも荒廃の一つの重要な要因になっている、かように考えて、それらの問題に対するいわば解決の方法というものを樹立すべく努力している次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#61
○国務大臣(安倍晋太郎君) 世界的に食糧が不足していく状態は、今後恒常的に続いていくのではないかと思うわけでございます。したがって、二、三年前までのわが国の農業を取り巻く情勢とは客観的に違ってきているわけであります。したがって、やはりわが国としては、まず第一に農業の自給力を高めていくということが第一でございます。そのために今回の予算等もいろいろと措置したわけでございますが、生産対策あるいは価格対策等を樹立していかなければならないことは当然であるわけでございます。しかし、国内的に自給できない農産物については、やはり外国に依存せざるを得ないことでありまして、これについてはやはり外国との間の友好関係を保ちながら、安定的な輸入を図っていくということは当然のことであろうと思うわけであります。いずれにしても、農政審議会の答申を得て総合的な食糧対策を樹立して、今後の農政をひとつ進めたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#62
○国務大臣(坂田道太君) 喜屋武さんにお答えを申し上げます。
 ただいま総理大臣からお答えを申し上げましたとおりに、基地提供というのは日米安保条約のかなめであろうかと思います。しかしながら、一面におきまして基地周辺における住民との関係を考えました場合には、十分この点国民感情というもの、住民の感情というものを考えてまいらなければならないというふうに私は思いますし、特に沖繩につきましては、全国の基地の大部分を占めておるということにかんがみまして、できるだけ摩擦のないように考えていかなければならないと思います。
 たとえば、伊江島の狙撃事件につきましてお話がございましたが、ただいま、それが公務執行中に生じたかどうかにつきまして、現在、日米合同委員会において検討をしておるところでございまして、その決定があり次第被害者の方々に対する救済措置を講ずることといたしております。
 それからパイプラインの撤去につきまして、これは二本の幹線からなっておりますが、これらを全部撤去、返還させることはできませんけれども、米国、米側は浦添市以南につきましては、代替施設の提供を条件に返還してもよいというような意向でございます。しかしながら、代替施設の規模、移設先等、困難な問題もございます。その解決にはなお相当の期間が要るかと思いますけれども、撤去につきましては前向きに検討いたしたい。
 なお、嘉手納飛行場から読谷飛行場へ通じておるパイプラインにつきましては、使用されていないようでございますので、無条件返還について今後、米側と折衝いたしたいというふうに考えております。
 それから地籍の問題跡地利用できないような部分返還の問題についてございましたが、政府といたしましては、沖繩県及び市町村の地元利用計画並びに地元住民の要望を踏まえ、かつ、日米安全保障条約の目的達成に配意しつつ、沖繩県における施設及び区域の返還について対処していく考えでございます。
 立法措置等につきましては、もう少し考えさしていただきたいと思います。(拍手)
#63
○副議長(前田佳都男君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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