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#1
第075回国会 本会議 第10号
昭和五十年四月二日(水曜日)
   午後五時三十三分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第十号
  昭和五十年四月二日
   午後三時開議
 第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、国土総合開発審議会委員の選挙
 一、昭和五十年度一般会計予算
 一、昭和五十年度特別会計予算
 一、昭和五十年度政府関係機関予算
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、欠員中の国土総合開発審議会委員一名の選挙を行います。
#4
○細川護熙君 国土総合開発審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名されることの動議を提出いたします。
#5
○安永英雄君 私は、ただいまの細川君の動議に賛成いたします。
#6
○議長(河野謙三君) 細川君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、国土総合開発審議会委員に山内一郎君を指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#8
○議長(河野謙三君) この際、一日程に追加して、
 昭和五十年度一般会計予算
 昭和五十年度特別会計予算
 昭和五十年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長大谷藤之助君。
   〔大谷藤之助君登壇、拍手〕
#10
○大谷藤之助君 ただいま議題となりました昭和五十年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和五十年度予算は、物価の安定を最重点の政策目標とし、引き続き抑制的な基調のもとに財政運営を行う必要があるとの考え方から、一般会計予算及び財政投融資計画の規模の抑制、公債の減額、公共事業の圧縮などを行うとともに、財源の配分については、社会的公正の確保に配意して社会保障の充実等、国民福祉の向上及び国民生活の安定のための施策に重点を置くという基本方針のもとに編成されております。
 その内容につきましては、すでに大平大蔵大臣の財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。
 委員会においては、一月二十九日、大蔵大臣から予算三案の提案理由説明を聞き、三月四日、衆議院からの送付を待って、翌五日から審査に入りました。自来本日まで委員会を開くこと二十回、その間多数の参考人の出席を求めて当面する経済問題、社会福祉、地方財政など重要政策課題についての重点項目別総合審査を三日間行ったほか、それぞれ二日間の公聴会及び分科会を開くなど、終始慎重に審議を重ねてまいりました。
 以下、委員会における主な質疑についてその要旨を申し上げます。
 まず、三木内閣の基本的な政治姿勢に関し、三木首相の政党人としての行動を見ると、保守合同に反対しながらあとで参加するとか、岸、佐藤、田中各内閣に入りながら、その後途中で反発し辞任するなど見通しのなさが目立つ。三木内閣は、成立時点、あるいは施政方針演説で、公職選挙法の改正、企業献金からの脱却、独禁法や排ガス規制の強化、核防条約の批准等々、言葉の上では前進の姿勢をとりながら、いざ実行という段階に入ると、自民党内や財界からの反対で、いずれも後退に次ぐ後退を示し、国民は失望と憤りを感じている旨の指摘がなされました。
 これに対して三木内閣総理大臣から、政党人としての自分の行動は、原則を持っての行動であり、それを踏み外したことはない。その原則は、思想的には自由民主主義、政治においては議会主義、対外政策では平和主義である。三木内閣が成立時点で公約したことは、政治資金の規制を初め着実に前進している。その現実的な処理の方法として、多少妥協のあるのはやむを得ないことであるが、原則を曲げたり、公約を後退させたりしたわけでないことは御理解願いたい旨の答弁がありました。
 次に、経済財政問題については、政府は、物価抑制の目的が一応達成されたとしながら、何をねらいとして総需要抑制策を堅持しようとしているのか。現在の不況について国民は不安を感じているが、景気はいつごろから回復に向かう見通しを持っているか。公定歩合の引き下げについてはどのように考えているかなどの質疑があり、これに対して、福田副総理並びに関係各大臣より、物価は一応鎮静化してきたとはいえ、経済界の空気を見ると、機会があれば値上げしようとする気配がかなり旺盛であるので、引き締めを完全に緩めてしまうわけにはいかない。また、今後、わが国経済を長期にわたって低成長体制へ誘導しなければならないという点も、抑制策のねらいの一つである。景気の状況は、いまが底にきていると思われる。しかし、直ちにV字型に上昇するということはなく、しばらくはなべ底状態が続き、夏ごろから緩やかに上昇していくという感触を持っている。公定歩合の引き下げは、長期的に見ればコスト要因を取り除くという意味で好ましいことであるが、引き下げの時期は日本銀行が四囲の情勢を見て判断すべきことであるとの答弁があり、これについて森永日本銀行総裁からは、公定歩合はいずれ下げなくてはならないが、いまは物価鎮静を本物にし、インフレ心理を除去する最後の段階であるので、現在のところは考えていない。しかし、今後の経済情勢の推移を見て、遅からず早からず、適当な時期に決断する旨の発言がありました。
 また、経済の長期見通しに関連して、今後の経済成長の目標を静かで控え目なものとすれば、それによって具体的に国民生活はどう変わるのか。また、低成長の中で国民の衣食住、その他文化生活のナショナルミニマムを保障する考えが必要と思うが、そのために社会保障の長期計画をつくるべきではないかとの質疑があり、これに対しては、低成長ということになると、日本経済は三つの面で変わらざるを得ない。
 その第一は、経済の成果をいままでのように次の生産につぎ込むのではなく、生活周辺の整備につぎ込むという点である。第二は、低成長期にはパイが大きくならないので、所得の低い層のレベルアップには特に分配問題に留意しなければならないという点である。第三は、経済全体を通じ省エネルギー、省資源の経済体制に誘導するという点である。
 こうした変化を踏まえ、次の新長期計画においては、福祉国家、ナショナルミニマムの考え方を根底に置いて転換をはっきり打ち出していきたい。社会保障の長期計画は、新経済計画と符節を合わせてセットしていかなければならないと考え、検討を進めている旨の答弁がありました。
 これに対してさらに、低成長と同時に高福祉という約束であるが、成長率が低くなれば国庫の収入も減るわけで、その間に必ずギャップが生ずる。政府は不急不要経費の見直しをすると言っているが、福祉充実に要する経費の大幅増加が期待されているのに、見直しだけで必要財源を生み出せるものかどうか。五十年度の税収見積もりはどうかとの質疑があり、これに対して大平大蔵大臣より、低成長経済では財政が苦しいことは指摘のとおりであり、今後は選択を一層厳しくする必要が生ずる。いま歳出を見ると、弾力性を喪失して、歳入いかんにかかわらず増大する傾向が強い。この硬直化を打開するには、必要な歳出であっても歳入が十分でない場合には遠慮してもらうという問題意識が必要であり、財政硬直化の打開策については五十一年度予算編成に間に合うよう各審議会で検討を願っている。一方、歳入面においても歳入体系全体について、今後の経済の展望との関連において検討を進めている。所得税中心の体系を崩すということはないが、間接税の見直しや付加価値税の導入も含めて、財政のあり方を探求する必要を考えておる。五十年度の税収見積もり額については、経済指標などの状況から見て微妙な情勢にある旨の答弁がありました。
 次に、国民生活の不公正是正の観点から、政府は、インフレーションの犠牲者を、年金生活者、老人等に狭く限定して弱者対策を考えているようであるが、インフレ不況下の犠牲者は、日雇い、臨時工、零細企業労働者など、広範に及んでおる。年度平均二二%の物価上昇がある段階で賃上げを一五%に抑えようとする政府の態度は、インフレ被害を低所得者に押しつけるものと言わざるを得ない。また今日、中小企業の倒産、自殺者などが全国的に見られるが、物価の抑え込みが、こうした中小企業の犠牲の上で行われていることは許せないことである。さらに、国民の住生活の部門で、持つ者と持たざる者の格差が拡大し、マイホームのための貯蓄は減価する一方、建築費は上昇するといった社会的不公正に対して政府の対応策は全く欠けており、住宅政策は五十年度においてむしろ後退している等の質疑が行われました。
 これに対しては、政府側から、一般に低所得層がインフレの大きな被害者であることは事実である。それゆえにこそ、国民生活の安定を図るという意味で物価の抑制目標を立てているわけで、政府が介入してベースアップを抑えるために一五%という数字を出しているわけではない。しかし、賃金がもし高水準に決まればコストに影響し、物価上昇の要因となることは明らかであるから、賃金の決定に当たっては労使とも国民経済の見地から節度を持って対処してもらいたい、というのが政府の態度である。
 わが国経済の安定を図る上で、不況現象が経済界に生ずることは避けられないとしても、それが中小企業に偏ってしわ寄せされないよう特別の配慮を払っている。そういう立場で二月に不況対策十項目を打ち出したが、さらに三月末にも第二次対策を定め、実施の段階に入っている次第である。
 住宅面での格差拡大は、過去のインフレに基づく不公正であるが、格差の是正には、総合的な政策で長きにわたって施策を行う必要がある。昭和五十年度においては、公共事業経費を圧縮している中で住宅部門の財政投融資をふやすなど、政府が精いっぱいの努力を傾けているごとは理解していただけると思う旨の答弁がありました。
 最後に、地方財政の問題につきましては、地方財政は、過去においても不況期に危機に見舞われたが、今日の財政危機も、中央集権的な行財政構造の上にインフレと総需要抑制による不況が重なっているところに原因がある。この根本問題に触れずに、政府が比較の根拠に乏しいラスパイレス方式を持ち出して国と地方との給与費差を攻撃したり、人件費の増加を革新自治体のせいにしたりするのは見当違いもはなはだしい。また、国が法律に違反して出すべき金を出さないため、やむを得ず地方公共団体が肩がわりして経費を負担しているのがいわゆる超過負担であって、これを福祉の先取りとか、行政の行き過ぎだとか非難するのは全く不当である。問題の本質にメスを入れ、政府は補助金制度の洗い直し、超過負担の即時解消、国と地方の財源や事務配分の根本的改善などに努力すべきではないかとの質疑がありました。これに対し政府側から、これまで地方財政は、高度成長の中で起きた一時的不況のため三回も危機に見舞われたが、今回の場合はいささか性格を異にしている。低成長期に入って財源に厳しい制限があるにもかかわらず、高度成長になれた地方自治体のルーズな職員定数や人件費の増加と、住民の過度なサービス要求が超過負担の形で今日の財政危機をもたらしたものである。ラスパイレス方式による給与の比較は統計技術上認められている手続であって、そのまま人件費の過大を示すわけではないにしても、国家公務員と地方公務員の給与に大きな差があるのは何としても是正してもらわなくてはならない。人件費の増加が地方財政を圧迫しているのは事実であって、保守とか革新とか差異をつけて言っているわけではない。
 超過負担の解消については、四十九年度補正でも是正したが、五十年度でもさらに上積みして改善を図っており、今後も解消に努力していく方針である。福祉や難病対策など、国でも地方でもやらねばならぬことは当然やらなくてはならないが、老人医療の無料化拡大や出産費用の一律支給などが、全体から見て福祉の均衡ある充実と言えるかどうか疑問の余地があり、財源を十分考慮した上で福祉の内容を慎重に検討し、低成長期に対応して施策の選択が必要であるというのが政府の基本姿勢である。補助金の単価は実情に合わせて算定すべきであるが、何でもかんでも超過負担だ、中央地方の財源配分が不合理だということは、地方財政の問題について責任ある態度ではない。いずれにせよ、今日見る地方財政の危機は一時的な応急措置で解決されるものではなく、是正策は長期にわたる展望のもとに総合的見地から解決に努力すべきものであると思う旨の答弁がありました。
 このほか質疑は、田中金脈・脱税問題、元号、国旗・国歌、憲法改正、公職選挙法、政治資金規制、春闘対策など国内政治問題を初めとし、中東和平、インドシナ情勢、南北朝鮮問題、核拡散防止条約、日韓大陸だな協定、日ソ漁業交渉、対外援助・経済外交のあり方など国際情勢、外交問題、防衛基本計画の考え方、ポスト四次防、非核三原則、安保事前協議、沖繩の米軍部隊行動などの防衛問題、あるいは銀行融資のあり方、日銀法の改正、預貯金の目減り対策、たばこ専売、酒税の引き上げ、減税、国鉄再建などの財政金融問題、独禁法改正、消費者保護、食糧自給率の向上、和装産業保護など経済問題、教育行政のあり方、入試制度の改善、大学院大学構想、私大並びに高校の助成、幼児教育、学歴偏重の是正など文教政策、老人福祉や身障者、精神薄弱者、公害被害者対策、石油たん白の安全性と新たん白の開発、医療制度の抜本的改善、医薬や歯科医療問題など広範にわたる社会問題さらに原子力の開発と安全性、同和対策、便宜置籍船、石油及び食糧の備蓄、水資源対策、排ガス規制、地震対策、全国一律最低賃金制、男女平等、母性保護など婦人の地位の向上、政府広報活動のあり方等々広範にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局した後、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの共同提案による、予算三案に対する修正案が議題とされました。修正の要旨は、予算規模を変更しない範囲内で委員会の審議の過程において明らかになった問題点を取り上げ、福祉年金の増額、介護手当の支給の繰り上げ、公正取引委員会の強化など数項目の歳出の追加を行う一方、航空機購入費、予備費を減額するなどというものであります。
 修正案には、特別会計等において予算総額の増額修正が含まれているので、国会法第五十七条の三に基づき内閣の意見を求めたところ、政府としては反対であるとの発言がありました。
 次いで、原案と修正案をあわせて討論を行いましたところ、日本社会党を代表して宮之原委員が原案に反対、修正案に賛成、自由民主党を代表して中山委員が原案に賛成、修正案に反対、公明党を代表して矢追委員が原案に反対、修正案に賛成、日本共産党を代表して岩間委員が原案、修正案ともに反対、民社党を代表して柄谷委員が原案に反対、修正案に賛成の旨意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、まず修正案につきましては賛成少数をもって否決、政府原案につきましては可否同数となり、国会法第五十条に基づき委員長が原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 続いて矢追委員から、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの共同提案として、物価に配慮を加えた総需要抑制策の一部手直しなど十六項目にわたる附帯決議案が提案されましたが、採決の結果、賛成少数で否決されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#11
○議長(河野謙三君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。宮之原貞光君。
   〔宮之原貞光君登壇、拍手〕
#12
○宮之原貞光君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっています昭和五十年度予算三案に対して、反対の討論を行うものです。
 私ども日本社会党は、一月に及ぶ予算委員会の審議を通じて明らかになった政府の施策の欠陥、予算案の問題点のうちで、特に緊急を要する国民的課題の最小限の要求を盛った修正案を、公明党、民社党、第二院クラブと共同して予算委員会に提出をして政府予算案の手直しを求めるとともに、附帯決議の採択をも要求したのでありますが、政府・自民党は、日本共産党とともに、これに一顧だに与えなかったのであります。加えて、政府予算三案は採決において可否同数となり、委員長の一票の強引な行使によって可決されたのであります。このような事態は、三木内閣の対話と協調の政治姿勢が単なるゼスチュアだけのもので、国民の目をごまかす偽りのものであることを立証したものと言わなければなりません。(拍手)そうして、それは同時に、良識の府、参議院の尊厳と国民の信託にこたえるべき任務を、主導権をとるべき与党みずからの手によって放棄したものとして、きわめて遺憾に存ずるものであります。特に、委員長一人の決裁による政府案の固執という事態は、決して国民の期待にこたえる議会民主主義のあり方ではないということをお互いは銘記すべきだと思うのであります。この点、「議会の子」をみずから任ずる三木総理、並びに各閣僚、与党自民党、さらに委員長に対して、まず冒頭に反省を求めるものであります。
 さて、わが国経済は、いまやスタグフレーションという厳しい事態に見舞われております。物価は前年度に比して二二%という高い水準にあり、経済の実質成長率はマイナス一・七%、国際収支は基礎収支において五十五億ドルという大幅赤字が見込まれ、国民生活はインフレの山と不況の谷間にさらされ、将来への生活設計すら立てられない状態にあります。持てる者と持たない者との資産格差、高所得者と低所得者との所得の格差等々、強い者と弱い者との間の格差が今日ほど開いていることはなく、社会的公正が今日ほど損なわれているときはありません。
 日本経済を今日のような状態にしたのは、直接には、田中前内閣の日本列島改造論による産業優先の開発政策と財政金融面からの調整インフレ政策にあることは、いまさら言うまでもないことでありますが、その根本は、歴代自民党政府のインフレを容認をする大企業優先の高度経済成長政策にあったことは、だれの目にも明らかであります。三木内閣が、真に田中前内閣の政策を批判し、出直し的改革を掲げて登場した内閣であるとするならば、当然に従来の政策を改め、国民生活の当面する物価、不況の問題や社会的不公正の是正の問題に対し速やかに対応策を明示をし、これを解決するための予算措置を行うべきであります。
 ところが、五十年度予算案は、旧態依然の官僚主導型予算案であり、その対策はきわめて不十分で、国民生活の実情を無視した予算案となっておるのであります。三木総理の施政方針演説におけるあの美辞麗句とは似ても似つかぬ予算三案であり、まさに総論あって各論なし、名目あって実質なしのヤマブキ予算案と言わなければならないのであります。私ども日本社会党の断じて容認できない予算案であります。
 以下、主なる点についてその理由を申し上げます。
 その第一は、本予算三案は、インフレによって名目的金額だけはふえているが、前向きな施策はほとんどなく、実質的な事業量はすべて後退をしておるということであります。すなわち、予算規模は二十一兆二千八百八十八億円という戦後最大の規模ではありますが、増加額の八割以上は当然増経費で、新規施策に充てられたところの経費はわずかに七千億にも満たない額であるのであります。また、その内容も、社会保障、文教、地方財政に重点を置いたと言っておりますが、社会保障費も文教予算もほとんどが従来の施策によるものであり、地方交付税交付金に至っては、前年度の補正で過年度の精算分を先食いしており、実質的には大幅な減少であるのであります。三木総理は、財政硬直化のために何もできなかったと弁明をされておるのでありますが、この水ぶくれ予算こそ歴代自民党内閣の施策の失敗の集積であり、顧みて他を言うもはなはだしいものと言わなければなりません。
 その第二は、物価、不況に対するところの対策であります。今日の物価高は自民党内閣の政策の失敗によるものであり、不況もまた狂乱物価の招いた国民の生活防衛の結果であり、個人消費の停滞によるものであります。したがいまして、物価の安定に最重点が置かれなければならないことは当然であります。ところが、政府の物価対策の総需要抑制政策とは形ばかりの公共料金の一部の凍結を行っただけで、その反面で不況によって実際にしわ寄せを受けておる中小企業や弱い立場の人たちには何ら効果的な対策は講じられていないのであります。福田副総理は、今年度の物価目標を一五%にとどめたことを唯一の手柄のように言っておりますが、実態は狂乱物価の前年度に比べて上昇率が鈍ったということだけでございまして、世界一高い物価高であることは変わりなく、言葉の上のごまかし以外の何ものでもないのであります。また、インフレと不況の中での最大の被害者は、賃下げ、首切り、果ては生活水準の切り下げで苦しんでおりますところの低所得者層であり労働者大衆であるにもかかわらず、インフレの責任を賃金に転嫁してこれを抑えるごとに躍起になっているという姿勢は、本末転倒もはなはだしいと言わなければなりません。私どもの断じて許すことのできない政治的姿勢だと言わなければなりません。
 その第三は、社会的不公正の是正に対するところの対策であります。インフレ下における財政として最も重視をしなければならないことは、社会的公正の確保であり、すべての施策を通じてこれを実現することでなければなりません。しかるに、本予算三案はこの点に対するところの施策はきわめて不十分であります。すなわち、社会保障費は三五・八%で史上最高の伸びだと言っておりますが、そのほとんどが従来の施策によるものであり、唯一の目玉といわれる福祉年金の一万二千円への引き上げでさえその実施時期は十月からで、昨年度の場合の九月実施よりもさらに後退をいたしておるのであります。また、公共事業費については、これまで圧倒的に高い比率を占めていた産業関連事業の比率を引き下げ、生活関連事業の比率をこそ高めなければならないのにもかかわらず、わずかに二一%程度にしか引き上げられていないのでございます。また、住宅政策は、今日最も緊急を要することは、大都市勤労者及び低所得者層向けの公団、公営住宅の建設であるにもかかわらず、これをそれぞれ一万戸減じて持ち家制度重点政策をとっておりますが、これはまさに社会的弱者切り捨ての住宅政策と言わなければなりません。さらに、零細な貯蓄者や老後の備えのために貯蓄をいたしておる老齢者にとっては、インフレによる預貯金の目減りの問題は深刻な問題であるにもかかわらず、これに対する補償や対策はきわめて消極的であって、すべて金融機関まかせにしておるという態度はきわめて遺憾であるのであります。
 その第四は、地方財政についてであります。インフレと不況のもとで戦後最大の財政危機に見舞われているのは地方自治体であります。今日の地方財政悪化の原因は、不況による税収の鈍化と政府の福祉面におけるところの施策の怠慢にあることは、超過負担が保育所、屎尿処理施設、学校等福祉対策のあらゆる面で問題になっているととろの事実を見ても明らかであるのであります。もし、本当に住民の福祉を願っているなら、行政事務の再配分や財源対策をこそ真剣に考えるべきであります。ところが、このことには全く目をつぶって、ひたすらに革新自治体の福祉の先取り政策や地方公務員の給与問題をその犯人に仕立て上げようという卑劣な態度は、断じてわが党は許すわけにはまいりません。この態度は、春闘や地方選挙を意識した党利党略以外の何ものでもないと言わなければなりません。(拍手)本予算三案における地方財政に対する施策は、財政支出、地方債等々、すべての面にわたってきわめて不十分であるのであります。
 その第五は、税制についてであります。インフレ下の税制改正の主眼は、名目所得の増加によって生ずる租税負担の実質的な増加を調整をするということと、税制面の不公正を是正をするということでなければなりません。しかるに、政府の所得税減税はわずかに二千四百八十億円であり、その反面で逆進的な性格を持つ酒、たばこ等の間接税を三千五百六十七億円を増徴することといたしておるのであります。これでは、物価調整減税というどころか、大衆増税以外の何ものでもないのであります。また、社会的不公正を是正をする上で今日重要な課題となっておりますのは、利子・配当課税やいわゆる医師優遇税等々の不公正税制の手直しこそ先決でなければならないのであります。しかし、これらはほとんどがそのままに、温存されたままになっておるところに大きな問題があると言わなければなりません。
 その第六は、公債政策についてであります。本予算三案は口に総需要抑制を唱えながら、二兆円にも上る公債を発行いたしております。公債発行額と公債対象経費との差はわずかに一兆円という状態にあり、不況の結果により一たび租税収入に歳入欠陥でも生ずれば、政府の言う建設公債の枠さえも守られなくなることは明白であるのであります。
 以上、具体的に指摘してまいりましたように、本予算三案は、自民党内閣の政策の失敗による後始末を間接税の増徴という大衆増税によって賄おうとするものであり、インフレと不況の両面からくる社会的不公正を強いられている国民の要望に沿うものでは全くなく、私どものとうてい賛成できぬ予算案であります。
 日本経済はいまや資源問題、環境問題、産業政策等あらゆる面から高度経済成長政策の転換が迫られております。三木内閣の安定成長路線は、るる指摘をしてまいりましたように、高度成長政策への深刻な反省と打開策も何らない口先ばかりの政策であるだけに、これらの課題に対する対応は自民党内閣ではもはや不可能であると言わなければなりません。
 われわれは、今後とも三木内閣のこのような政治姿勢と経済政策を厳しく追及をし、監視をし、国民生活擁護のために渾身の努力を傾倒する決意を明らかにしつつ、ここに昭和五十年度予算三案に対するところの反対討論を終わるものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(河野謙三君) 岩動道行君。
   〔岩動道行君登壇、拍手〕
#14
○岩動道行君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度一般会計予算三案に対し賛成の討論を行うものであります。
 わが国をめぐる内外の環境は急速な変化を来し、わが国の外交はもちろん、経済、社会福祉、教育、文化等あらゆる面において厳しい試練に直面いたしております。これまで高度経済成長を支えてきた、豊富な資源を低い価格で欲しいだけ手に入れることができた時代から、資源エネルギーの高価格化の動きに見られるように、わが国経済は、これらエネルギー資源の制約のほか、労働事情の変化、環境、公害問題により厳しい制約を受け、掛け値なしに転機を迎えております。わが国の経済体質を高度成長から安定成長へ、量的拡大から質的充実の時代へと、静かで控え目な成長ということがこの調整転換期の中で求められております。すでに四十九年度の経済成長はマイナスとなり、五十年度もなお高い成長を期待することもむずかしく、低成長経済は今後相当長きにわたると考えられるのであります。
 組閣間もない三木内閣の財政の最大の課題は、不況下における物価高という異常な事態の中で物価の安定、福祉の充実を図ることにあったのであります。したがって、五十年度予算が、その規模は極力圧縮し、中でも公共事業の伸びを二年にわたって抑え、物価の鎮静に努める一方、社会保障関係費を大幅に増額し、経済の安定と福祉に重点を置く姿勢を明確にされたことは当然ではありますが、その編成に当たりきわめて勇断をふるわれたことは多とするものであります。
 以下その主な項目について若干申し述べてみたいと思います。
 まず、予算の規模についてであります。一般会計の規模は二十一兆二千八百八十八億円としておりますが、対前年度補正後予算額に比べると一〇・九%の伸びにとどめており、これは過去十年間の予算と比較しても最も低い方に属しております。しかも、その内容を見ますと、大半は給与の大幅引き上げに伴うものと、当然増を余儀なくされている経費であり、極度に切り詰めた厳しい緊縮予算であります。このことは中央、地方を通ずる政府の財貨サービス購入の伸び率が国民総生産の伸び率を下回っていることや、需要創出効果の大きい公共事業など政府投資がおおむね前年度と同額にとどめられたことによっても端的に証明されるのであります。予算の規模と並んで公債の発行額も五十年度は二兆円に抑え、国債依存度を四十七年度以降初めて一〇%を割り九%台にとどめられたことは、節度ある基準を示したものとして評価できるものであります。
 次に、物価の抑制についてでありますが、ただいま申し述べたとおり、五十年度予算においては、物価抑制に資するため、予算規模の圧縮及び公共投資の抑制を図ったほか、個別の施策においても特段の配慮が払われているのであります。まず、公共料金については、財源難の中で経済ベースを離れ、電報、電話、塩、麦価の引き上げを見送り、郵便料金も引き上げ幅を最小限度にとどめ、かつ、半年間の値上げ凍結を図ったなど、その配慮のほどがうかがえるのであります。また、一般会計、特別会計を通ずる物価対策関係費として一兆七千二百六十八億円の巨額を計上しておりますが、これは政府の物価安定に対する並み並みならぬ決意を示すものとして高く評価するものであります。いまや、政府のこれまでの必死の物価対策によって消費者物価及び卸売物価はともに鎮静化の傾向が定着してまいりました。本年三月末の消費者物価の上昇率を前年同月比一五%以内にとどめるという政府の最大の公約であった物価安定の目標は、東京都区部の消費者物価がぴたりと一四%にとどまり、みごとな実績を示したのであります。このことは、政府与党の政策の適切だったこととともに、国民各位の理解と協力のたまものであり、いざというときの日本国民の自己制御、節度を示したものとして、国民各位に対し深甚なる敬意と感謝の意を表するものであります。しかしながら、総需要抑制策の浸透などによってインフレの克服はいま一息の段階に到達し、不況も底をついたと判断されるものの、この過程で生じている最近の摩擦現象に対しては、財政、金融や雇用対策などできめ細かい配慮を加えつつ、本予算の基本姿勢はなお堅持して、五十年度の物価は対前年比一けた台の上昇にとどめ、もって国民生活の安定を期していくべきものと考えます。次に、社会的不公正の是正と社会保障の拡充についてであります。インフレ、核家族化、人口老齢化などの経済的、社会的変動の中にあって、社会的公平を求める政策課題は、物価高などによって深刻な影響を受ける人々、ことに社会的、経済的に弱い立場の人々の生活を守る政策を進めていくことであります。五十年度予算における社会保障関係費は三兆九千億円と、前年比三五・八%の増で、公共事業費と比べて格段の重点が置かれております。内容的にも、特に弱者対策として老齢年金が月額七千五百円から一万二千円に引き上げられ、わが党の公約を大幅に上回っており、年金への物価スライド制の導入、障害福祉年金、母子・準母子年金の大幅引き上げ、さらに在宅重度障害者福祉手当や原爆被爆者保健手当などが創設され、福祉政策全般にわたって大きな前進を見ております。しかしながら、これらの財源調達等のため、大幅な所得減税は微調整に終わらざるを得なかったのであります。つまり、高福祉、高負担は言うにやさしいが、その財源をどこに求めるか、そこには福祉の増大を要求するだけではなく、国民が連帯感に目覚めて、負担の責任を回避しないという隣人愛の確立が求められていることを知らなくてはならないと思うのであります。
 次に、文教政策も一段と充実されております。五十三年度予算の教育関係費は対前年度比三五・四%と昭和三十年度以降最高の伸び率であります。このような充実が図られたことは、教育への道程の長きを思い、資源のない日本の二十一世紀への展望に基づく与党の要請にこたえた三木内閣の聡明さを示すものであります。(拍手)その主なものは、私学助成であります。私立大学に対する経常費助成を四十九年度比五七・四%と飛躍的に伸ばし、一千億円台に拡充するほか、八十億円ではありまするが、高等学校以下幼稚園に至る私立学校についても国庫補助の道を開くなど、私学に対する国の積極的な姿勢を示すものとして高く評価するものであります。教育界にすぐれた人材を確保するための人材確保法に基づく給与の引き上げについては、財源難にもかかわらず五十年度予算においても、これを計上したことは、教育改善に必ずや実りあるものとなることを信ずるものであります。
 この際、特に申し述べたいことは、中央、地方を通ずる財政硬直化問題であります。国の財政制度の見直し及び行政改革は長年の懸案とされてきたところでありますが、いまだ顕著な効果が上げられておりません。ことに経済の低成長下における財政の硬直化は変化の多い内外情勢に対応する力を失い、政策面において未来への展望を欠くおそれが生じつつあります。財政硬直化の最大の原因は、年々のベースアップに伴う人件費の増大であり、さらには当然増経費等によってその大半が占められているところにあります。いまにして行財政の根本的見直しを行い、年次計画のもと、効率ある行財政の改革を図らねば、自由・民主主義の日本の沈没もまた免れ得ない危機さえ感ずるものであります。
 また、このことは地方財政にも言えることで、特に国家公務員の給与水準を大幅に上回る給与の支給など、人件費による地方財政の窮迫は地域住民の福祉に密着した地方自治の発展を阻害していると言わざるを得ません。(拍手)
 また、超過負担の問題も重大であります。政府におかれては、五十一年度予算を出発点として地方自治体の行財政のあり方についても、大胆な改革が行われるよう強い姿勢で対処されんことを切に望むものであります。
 以上、五十年度予算の内容は、マイナス経済成長の年度の後を受け、インフレと不況が混在する中で経済の安定と社会福祉への針路を切り開いていかなければならない命運のもと、必ずしも国民の要望に完璧にこたえるものではないにしろ、総需要抑制という基本路線を貫く予算としては高く評価さるべきものと確信をいたします。(拍手)
 討論を終わるに当たり、一つに、食糧自給体制への農業政策の基本対策、二つに、資源エネルギーに対する長期的、計画的対策、三つに、社会福祉、医療等社会保障制度の長期的対策、四つに、公害、生活環境整備、自然環境対策等生命と自然対策、五つに、地方自治の確立等においていま一歩の配慮が望ましかったことなどを指摘しておきたいと存じます。
 五十一年度以降もなお総需要管理型の予算編成にならざるを得ないかもしれませんが、政府は今回の予算審議を通じ、無理な要求は断固として排除しつつも、与野党の意のあるところをくみ取り、長期的展望に立ち、国民の多様化された要望にこたえていただきたく、また国民の側におかれても、連帯感の中において節度ある行動を期待するものであります。
 なおまた留意すべきことは、歳入面において落ち込みも懸念される状況も見られ、五十年度の財政運営はきわめて困難な事態に陥るおそれもあります。いまや、安定成長は高度成長を抑えることによるものでなく、下から支えてやらなければ予定の成長率すら達成ができないような深刻な経済状況にあると思います。つきましては、繰り越された四十九年度予算及び五十年度予算の執行に当たっては、物価のつり上げに厳重な監視を払いつつ、また国際収支の推移を見つつ、公共事業の発注、在庫調整、雇用の促進、公定歩合など金利の引き下げなどを機動的、弾力的に運営され、中小企業、小規模事業者等弱い立場にある者に対してはもちろんのこと、経済活動全体に希望と自立の意欲を持たせていただくよう適切な対処を特に期待して、五十年度予算三案に賛成するものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(河野謙三君) 桑名義治君。
   〔桑名義治君登壇、拍手〕
#16
○桑名義治君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十年度予算三案に反対の討論を行います。
 まず最初に、三木内閣の政治姿勢について申し上げます。保守党の悪い体質を余すところなく露呈し、日本政治史上かつてなかった総理のモラルが問われるという汚点を残して引退を余儀なくされた田中内閣から政権を交代した三木総理が、その政治姿勢として、保守党の近代化、政治の信頼回復を掲げて出発したのは昨年の十二月でありました。その後の二回にわたる国会での施政方針演説では、対話と協調、社会的不公正の是正、高度成長のひずみからの国民生活防衛等を約束されました。しかし今日、国民大衆は、三木総理がこれらの約束を本当に実行する民主的大衆政治家であるか疑問を深めているのであります。総理就任四カ月間の言行不一致の数々、特に予算審議を通じ確認したものは、発言のたびごとに従前の公約から後退し、当面を糊塗するかっこよさだけを求め、一段と政治の不信と危機を深める総理の姿勢でありました。すなわち、政治資金規制に対する総理の態度であります。三木総理、あなたは政治資金のあり方として、企業との癒着を批判し、企業献金は諸悪の根源であり、日本のためにならないと痛烈に批判をし、閣僚を辞任したことをよもやお忘れではないでしょう。ところがその舌の根も乾かぬうちに、企業献金は悪ではないという参議院予算委員会でのコペルニクス的転向発言は、まさに国民を愚弄するものであります。三木総理のその態度、行動こそ新たな政治不信をつくり出すものであることを指摘しなければなりません。
 次に、クリーン三木内閣の踏み絵の一つである独占禁止法改正の後退についてであります。石油危機における便乗値上げや商社の悪徳商法によって国民大衆の生活は破壊され、これら国民大衆を守る意味で公正取引委員会の独占禁止法改正案が提出されたのであります。原価公表、企業分割等主要な五つの柱が立てられておりましたが、政府素案ではことごとく骨抜きにされたのであります。自民党内でさらに骨抜き素案さえ、営業の一部譲渡に見られるごとく、多くの段階で所管大臣との協議を盛り込み、公正取引委員会の独自性をも侵し、公正取引委員会を内閣の完全な監督と指揮命令下に置くことを実質的にやってのけようとしておるのであります。これが三木総理の言う、原則は貫くが現実との妥協が必要という発言の現実の姿なのであります。これでは公取権限の整理縮小こそが三木さんの原則であったということをみずから暴露しているものと言われても仕方がないでありましよう。
 さらに、自動車排気ガス規制問題でも三木内閣の後退は明々白々なのであります。三木内閣は、企業の利益を国民の健康よりも重視しており、いまやクリーン三木内閣は排気ガスですすぼけた内閣へ変貌したのであります。
 以上の国民無視の政治姿勢のもとにつくられた予算に対する具体的な反対理由を申し上げます。
 第一は、予算編成方針に書かれたインフレ、低福祉及び不況という三悪克服の目標が単なるスローガンとして掲げられただけで、予算の中身として実現されていないということであります。
 抑制型予算の編成方針は、戦後最大の膨張予算といわれたあの列島改造予算の伸び率二四・六%に匹敵する二四・五%となっております。国民総生産に対する比率も一三・四%で、四十八年度の一二・三%、四十九年度の一三%を上回っており、大型膨張予算と言うほかはありません。こうした予算の膨張は、インフレによる水ぶくれにあることは言うまでもありませんが、いまや経済運営の悪の根源となったインフレが財政をもむしばみ、膨張予算が次のインフレ刺激を準備するといった形の悪循環が定着してしまったと断ぜざるを得ません。真の抑制型予算にするためには、インフレ被害の救済を行う一方で、防衛費や不急不要の列島改造残渣等の既定経費の思い切った削減が必要であったのに、圧力団体の圧力と票田培養に目を奪われ、三悪克服の編成方針実現の努力の跡はほとんど見られません。何よりの証拠は、四十九年度に対する歳出の増四兆一千八百九十四億のうち当然増に三兆六千億をも食われ、新規政策費はたったの五千八百億円にすぎず、その対策をとらうとしない三木内閣の責任こそ問われなければなりません。
 第二は、物価対策についてであります。三月の消費者物価は一応対前年同月比で一五%増を下回りそうでありますが、これは昨年三月の二〇%を超える狂乱物価と、昨年の冬以来天候が順調で野菜が豊作だったことが大きいのであります。すなわち、その一半は政府の施策とは何の関係もない、まさに天の恵みの結果なのであります。そしてまた一方では、不況の深刻化により完全失業者を統計上で百三十万人にも増加をさせ、食べていけない人たちをつくり出して、何が国民生活安定への物価対策と言えるでしょうか。弱き者をいけにえにした結果であります。五十年度予算には従来と異なる物価対策強化の予算は計上されておりません。このことは、政府の財政経済政策に機動性、柔軟性が全くないということを如実に示すものであります。さらに、このように勤労者や中小企業等の弱者に犠牲を強いて、他方では、たばこ、郵便料金、国立大学の入学金や受験料などの公共料金値上げをどしどし強行し、政府主導型の物価上昇をもたらそうとする弱者無視の政策を推し進めているのであります。
 第三に、税制改正が不公正の拡大に向かっていることであります。一般勤労者が最も恩恵を受けるはずの所得税減税は、平年度分でわずかに二千四百億円という超ミニ減税である一方、酒税の引き上げ、たばこの値上げを提案しており、実質上の増税となっていると同時に、逆進的な課税の傾向を強めているのであります。この他、一般大衆には縁の薄い相続税、贈与税の調整を行ったり、利子・配当選択課税や土地譲渡所得課税の特例など、租税特例措置の温存を図っているのであります。弱い者から取り立ててこれを分配するという貧しい者同士の平等化を進め、強い者はぬくぬくとしている。これが自民党政権の考えている所得再配分であり、三木内閣の言う社会的不公正是正なのであります。このような見せかけの不公正是正に強く反対するものであります。
 第四に、三木内閣が看板としている社会的不公正の是正が有言不実行だということであります。社会保障関係費について見ますと、五十年度は前年度対比三五・八%の増加となったことを政府は宣伝しておりますが、伸び率では四十九年度の三六・七%を下回っており、一般会計予算に占める構成比一八・四%も、公共事業費の構成比、四十七年度一八・七%、四十八年度一九・九%には及びません。さらに、その中身を調べてみますと、インフレ、物価高に伴う必要不可避の増額で、ちょっとでも手を緩めれば生活の切り下げを引き起こすというもので、三木内閣が特に福祉に力を入れて予算を編成したとは認めがたいのであります。たとえば、目玉商品と騒がれた老齢福祉年金は月額一万二千円、しかも実施は十月からという内容であり、この金額で今日の物価高の中でお年寄りが生活できるでありましょうか。狂乱物価から異常インフレによって、この二年間に三四・五%も消費者物価が上昇しております。老齢福祉年金は相変わらず実質あめ玉年金であると言っても決して過言ではありません。また、生活保護費は、一級地で夫婦子四人世帯で七万四千九百五十二円となっておりますが、一人一日に換算すると、わずかに六百二十五円であります。これが果たして健康で文化的な最低生活を保障できる金額でありましょうか。
 次に、住宅対策費、生活環境施設整備費についてであります。政府は、公共事業を抑制した中で、住宅対策、生活環境施設整備は配慮したと言っているが、住宅対策費でも二〇%増、生活環境施設整備費はわずか三%でしかありません。四十九年度から五十年度にかけての建築資材や労務費の値上がりを考えれば、実質上は減少ということになるのであります。たとえば公営住宅建設予定戸数は九万一千戸で、四十九年度より一万二千戸も減少しているのであります。
 次に、郵便貯金特別会計についてであります。この会計内で建設される郵便貯金会館は、わが党の黒柳委員が予算委員会で指摘したとおり、違法の疑いが非常に強いものであります。このように違法の疑いのあるものを含む予算には賛成できないのであります。
 最後に、地方財政の危機に対する対応策が見られないということであります。政府は、地方自治体の人件費増加を攻撃することのみに専念をしており、委任事務の軽減、超過負担の解消、交付税率の引き上げ、ギャンブル収益金による地方公共団体間の格差是正等を放置しているだけでなく、法人事業税の超過課税に上限を設けたり、電気消費課税の特例減免措置を撤廃しないなど、全くの後ろ向き姿勢を続けているのであります。以上、社会的不公正是正を看板に掲げながら、かえって不公正を増長拡大する施策を盛った本予算には反対せざるを得ません。あわせて公正取引委員会の機能強化、公害防止対策の強化、年金の引き上げ、全国一律最低賃金制度実施のための調査費、超過負担解消臨時特別交付金の新設などの内容を含む公明党、日本社会党、民社党、二院クラブ共同提出の予算修正案が予算委員会で否決されたことはまことに遺憾であり、国民に背を向けた政府・自民党の姿勢は厳しく糾弾されなければなりません。政府は、野党共同の修正案の趣旨を体し、公正な予算を執行されんことを望みます。わが党はこうした国民不在の政府案に強く反対するものであります。
 以上をもって反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(河野謙三君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#18
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている五十年度予算三案に対し、反対の討論を行います。
 わが党は、五十年度予算を国民生活の防衛と福祉の向上、つり合いのとれた経済の発展、平和・中立の経済外交政策への転換の第一歩とすることを強く要求してきました。しかし、両院の審議を通じて明らかになったことは、三木内閣が従来の自民党政治に何ら根本的な反省をしないばかりか、しばしばこれまで以上に対米追従、大企業本位の姿勢を露骨に示していることであります。田中金脈問題について、三木首相は、かつての「国会で決着をつけなければならない」という公約をほごにし、また、株転がし、船転がしなど悪徳商法で巨大なもうけを上げ、疑惑に包まれている河本前三光汽船社長を依然として通産大臣として抱えています。さらに、財界からの政治献金を最高一億円までは認めるという政治資金規正法改正案や、選挙に関する報道評論を掲載した政党機関紙の無料配布を禁じるという、あの田中内閣さえやらなかった公職選挙法改正案の実現をたくらむなど、金権腐敗の政治の容認に加えて、かつてない反動的な姿勢をあらわしてきているのであります。
 三木内閣はまた、不公正の典型である大企業への特権的減免税には手を触れようともせず、一方、最悪の大衆課税であり、当然物価値上げをもたらす付加価値税の導入を積極的に目下準備しています。さらに自動車メーカーの言い分をうのみにした五十一年排ガス規制を実施し、さらに公取試案をさえほとんど骨抜きにする独禁法改正を強行しようとしています。未曽有の危機にさらされている地方財政に対しては、欺瞞的で無責任な人件費キャンペーンを繰り返すだけで、過去五年間でも一兆円に上ると見られる超過負担の抜本的解消の措置を放棄するなど、地方自治体の緊急切実な要求を無視し続けています。自治体が国に先駆けて行おうとする福祉行政に対しては、福祉の先取りなどという言いがかりをつけて、財政調整交付金の削減などあくどい攻撃をさえ行っているのであります。このように三木内閣の大企業擁護、国民生活軽視の姿勢はいまやきわめて明白だと言わなければなりません。
 さらに安保、核問題に対する政府の反動的姿勢は明らかであります。今日、アメリカはベトナムヘの公然たる軍事再介入を強行する危険があり、そのために沖繩を中心に日本がその大がかりな根拠地に仕立て上げられようとしています。三木内閣が日米安保条約を日米協力の基本憲章とうたい上げたことは、アメリカの侵略的行動に積極的加担の態度を示したものとして、とりわけ重大であります。しかも、非核三原則を厳守すると言いながら、沖繩の核攻撃部隊とその核投下訓練を容認し、また国際海洋法会議での領海十二海里説が大勢となっていることを利用して核積載艦船の通航を事前協議の対象から外し、非核三原則を放棄する策動を強めています。これらのことは、三木内閣が安保、核問題など、国の基本路線で歴代自民党内閣よりさらに後退した姿勢を示すものにほかなりません。三木内閣のこのような対米追従と大企業本位、国民軽視の政治姿勢は五十年度本予算案に貫かれており、日本共産党はこの予算案を断じて容認することはできません。
 第一に、本予算案は、たばこ、郵便など、公共料金の大幅値上げを初め、酒税引き上げによる酒の値上げも織り込み、二兆円にも上る巨額の赤字公債の発行を予定していることであります。また、産業基盤中心の三兆円もの公共事業費、前年度比二一・四%増の一兆三千億円を超える四次防推進費の計上など、物価安定、インフレ抑制とはおよそほど遠い予算だと言わざるを得ないのであります。一方、未曽有の財政危機に陥っている地方自治体に対し、総需要抑制の名によって、かえって締めつけを強化しているではありませんか。
 第二に、三木内閣の社会的不公正の是正は口先だけのものとなり、老齢福祉年金は月額一万二千円に抑え、生活保護費も実質で一四・四%の引き上げにとどめるなど、激しいインフレでますます低下の一路をたどっている福祉の水準をようやく維持するにも足りない施策しか盛り込まれていないのであります。しかも、被爆後三十年が経過しようとしているにもかかわらず、広範な被爆者の一貫した願いを踏みにじり、国家保障の立場に立つ被爆者援護法の制定をいまもって行っていないのであります。
 また、百九十万人の児童の父母が切実に望んでいる学童保育の制度化について、政府は「五十年度には実現するよう最大限に努力する」という昨年の約束をさえ投げ捨てて、予算措置を何ら講じてはいないのではありませんか。
 第三に、本予算案は従来どおりの高度成長型の財政、税制、金融の仕組みを基本的に温存するものとなっていることであります。大企業、大資産家に対する特権的な減免税は温存され、中小企業よりも資本金百億円以上の巨大企業の方の税率がはるかに低いという逆累進制を依然としてまかり通らしているのであります。こうして資本金十億円以上の大企業や大資産家には約三兆円にも上る税金を免除しているのであります。また、第二の予算と言われる財政投融資計画なども含め、公共投資については産業基盤二に対して生活基盤一というやり方は基本的には従来と何ら変わってはいないのであります。
 第四に、産油国への軍事侵略をたくらむ危険なキッシンジャー構想に追従し、その枠組みの中で石油備蓄体制づくりのため千百五十六億円の政府資金を石油大企業へつぎ込むことにしています。これが第五次石炭対策に基づく石炭産業取りつぶしの政策と並んで、わが国のエネルギー問題の解決を一層困難にすることは明白であります。
 第五に、横田、嘉手納など米軍基地集中強化を進めるためのアロケーション費三百四十三億円、すなわち事実上の防衛分担金の計上を初め、四次防推進の自衛隊増強費、さらには韓国、インドシナ援助などを中心とする新植民地主義的対外進出を目指す経済協力費は千七百六十七億円に上っております。これらのことは、三木内閣がアメリカのアジア侵略政策への積極的な加担とともに、対米従属的な軍国主義の復活を推進しようとしていることを示すものにほかなりません。
 以上のように、この予算案は、これまで自民党政府が推し進めてきた大企業本位、高度成長促進型の仕組みを温存し、国民の災厄を広げるものであることは明らかであります。わが党は、国民の緊急、切実な要求と政策を掲げて、審議を通じてその実現を求めてきました。三木内閣は口に対話と協調を唱えながら国民の要求には耳をかさず、このような予算案をあくまで押し通そうとするところにこそ、自民党三木内閣の反動的な本質がはっきりあらわれていることを指摘せざるを得ません。
 また、社会党などの提出した予算修正案に反対したのは、その内容がきわめて部分的なものであって、社会党自身が先ほどここで糾弾された本予算の反国民的性格を変えるものでも、国民の切実な要求にこたえるものでもなかったからにほかなりません。
 わが党は、今日のインフレ、不況のもとで切実緊急に求められている国民本位の予算にすることを強く主張するものであります。
 第一に、高度成長型の仕組みをできるだけ徹底的に取り除くことであります。大企業、大資産家優遇の特権的な減免税制度を根本的に再検討すること、公共投資の大企業本位のあり方に改め、産業基盤整備と生活基盤整備の割合を一対二に逆転させることであります。また、国民の零細な預貯金を原資とする財政投融資を大企業中心に回すやり方を改め、中小企業金融や生活基盤整備を最優先にし、国民のために使うことであります。
 第二に、物価安定、福祉重視の予算にすることであります。たばこ、郵便など公共料金、酒税の引き上げをやめ、さらに、地方選挙と春闘の後に一斉に持ち出されようとしている電報、電話、電力、国鉄の特急、寝台料金、大手私鉄運賃、麦、塩などの公共料金の引き上げ計画を取りやめることであります。
 大企業やメジャーの不当な価格つり上げや、価格操作を規制するとともに、大企業製品の原価などを調査する特別な委員会を国会に設け、独禁法に価格引き下げ権や原価公開を盛り込むことの必要性はますます今日大きくなってきているのであります。
 また、福祉年金を直ちに月額二万円に、福祉施設の整備拡充と施設の措置費の大幅増額、生活保護費の五割引き上げなどは目下緊急の課題であります。
 第三に、四次防を中止し、一兆三千億円に上る莫大な軍事費を初め各種の大企業向けの補助金、不要不急の経費を大幅に削減することであり、米軍に対する特権的減免税を廃止することであります。
 最後に、特に強調したいことは、地方財政危機の打開を緊急に図ることであります。超過負担の完全な解消、地方交付税率の四〇%の引き上げなどは、今日、自民党首長下の自治体を含め、すべての地方自治体の切実な要求となっています。この願いに即時にこたえるべきであります。また、部落解放同盟朝田派に対する同和財政の不公正と乱脈な支出を是正する措置をとるべきであります。わが党は、革新自治体の人件費の膨張が地方財政危機の最大の原因だという欺瞞に満ちた不当な政治的攻撃を許さず、同時に、住民本位の行政を効率的な機構で行う積極的な立場に立ち、自民党の地方政治の遺産を一掃することによって、地方政治の真の革新の波を大きく広げることを目指して奮闘するものであります。
 以上の立場から、日本共産党は、政府提出に係る昭和五十年度予算案に反対の態度を明らかにして、私の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(河野謙三君) 三治重信君。
   〔三治重信君登壇、拍手〕
#20
○三治重信君 私は、民社党を代表して、政府提出の昭和五十年度一般会計予算案及び特別会計予算案、政府関係機関予算案に対し、一括して反対の討論を行います。
 政府・自由民主党の高度経済成長政策は、公害の多発、生活環境整備の著しい立ちおくれと、さらに一昨年末の石油ショックによる狂乱物価、インフレの激化に見舞われ、福祉の向上を積極的に阻害するというような深刻な事態となっております。さらに最近では、その上に深刻な不況に陥り、中小企業の倒産、レイオフ等が新聞の紙面に載らない日がないというきわめて危険な現状にあります。また、国際面では、新たに石油等エネルギー資源を初め原材料や飼料等を含む食糧等の海外からの輸入が産業や国民生活に重大な支障を招くおそれが出てきたことであります。このような内外全般にわたる政策の一大転換が要求されているのであります。
 三木内閣は、平和、福祉、公正、そして新しい国際的依存関係を確立することを目的として真の政策転換を断行する使命を課されているのであります。しかるに、三木内閣の手になる昭和五十年度予算案には、こうした政策転換につながるものが一つも発見することができないのであります。一般会計において、前年度に対し二四・五%という前古未曽有の予算二十一兆三千億弱の予算増の中身は、人件費、単価改定等の当然増経費に財源のほとんどが食われ、社会保障費等従来の福祉対策に若干の上乗せをした平凡な予算案と言わなければなりません。新規政策には、既定の経費の合理的整理、節約を図り、その財源を捻出する努力を必要とすべきではないでしょうか。三木新内閣に何かを期待した国民に対し、財政硬直化を理由に、まさに冷や水をもってこたえたと言っても過言ではありません。
 次に、政治の改革について、三木内閣はわれわれの提案を認めながら、現実には何もしないか、仮に手がけるにしても当面の糊塗策でお茶を濁すといった政治姿勢であります。三木総理の対話の政治は、野党の主張において理のあるところは率直に認め、予算案の修正に応ずることであります。それは時代の変化を受け入れ、政府の原案に固執することなく、また、多数を頼りに押し切らんとする態度であってはなりません。政府は、重要法案について若干の修正に応じ、その通過を図っているところであります。こうした政治のあり方に照らしてみるとき、われわれ三党の共同提案にかかるきわめて良心的な、控え目なとも言うべき五十年度予算一部修正要求さえ受け入れず、かたくなな態度で終始したことは、きわめて遺憾のきわみであります。
 次いで、予算案について二、三の具体的な問題について申し述べたいと思います。
 その第一は、三木内閣の公約である社会的公正の確保という見地から、何よりも税制の不公平是正を行うべきであります。大衆課税の標本であるたばこ専売益金、酒税の引き上げを行いながら、一方では利子・配当の優遇課税の抜本的改正を怠っております。また、交際費課税、広告税等の改正、創設を見送るほか、高額資産家に対する富裕税の創設というインフレ利得の是正策をもとらないで、一体どこから社会的公正という言葉が出てくるのでありましょうか。高福祉、高負担と一口に言いますが、高福祉を実現するためには大衆課税負担は当然だという考えであるならば、政府の言う高福祉はまやかしのものと言わなければなりません。高福祉は何よりも所得の再配分の機能を果たすものとして高負担を考えなければなりません。政府の真摯な反省と積極的な検討を促してやみません。
 第二は、異常インフレに苦しみつつある国民に対し政府として直接なし得る手段は、各種の公共料金を厳しく抑制することであることはわが党の早くから強く主張しておるところであります。政府は、昨年十一月以来国鉄運賃、バス料金、消費者米価、都市ガス等の値上げを軒並みに認可したのみならず、今年はさらにたばこ、はがきの値上げ等、公共料金を数限りなく値上げして行おうとしている事実に対し、国民のがまんもいまや限界を超えんとしております。
 わが党は、少なくとも消費者物価の上昇率が一〇%以下に定着するまでは公共料金の凍結も当然であると主張するものであります。一方、三公社五現業を初めとする公共企業体等及び水道、交通、病院の三事業の地方公営企業の経営の合理化と労使関係の正常化に真摯に取り組むよう再三にわたって提案してきたところであります。政府は、赤字を理由に料金の引き上げ等大衆の犠牲を強いる必要を言うならば、政府、企業体等もまた困難な合理化、正常化に一大決心をもって改革に着手すべきであります。いまや公営の企業等は、コストプッシュの嵐に吹きまくられております。少々の公共料金の値上げではとても経営の再建は望めません。国有鉄道の例で申しますと、五十年度一カ年のみで一兆円の長期負債の増加、償却前欠損が四千二百二十六億円、人件費のみで運賃の収入のほとんどを占めるという大赤字の異常事態であります。受益者負担の原則のみでは処理できないのではないかと思われます。当年度の赤字を一般財源や財投で穴埋めするというその年限りの手当てにすぎません。赤字は累積に累積を重ね、中央、地方を通じてその総合計は天文学的数字に上ることでありましょう。これらの赤字に対処する対策は何一つとられておりません。
 第三に、社会保障関係費は三木内閣の看板予算であります。四十九年度に対し三五・八%、一兆三百六十億円の増であるにもかかわりませず、物価の上昇率を差し引きますと、四十九年度より伸び率が、すなわち実質的改善の程度は落ちるのであります。住宅建設や生活環境整備費の増加もまた同じことが言えるのであります。
 食糧の自給率の向上と農民の自立経営対策との関係や、中小企業者の大企業に対する事業分野の確保対策等、問題が山積をしております。
 こうした点を考え合わせますとき、残念ながら三木内閣は、ムードではやや前進したとしても、本質においては自由民主党の本来の政治から一歩も前進してはいないと考えるところであります。内外の事情がますます激動する今日、大いなる不安を感ぜざるを得ないのであります。激動期の政府は将来を予見し、国民の多様な要求に対処して、合理的な解決と実現を図りつつ、国民大衆の信頼をかち取る不動の信念に徹することが重要であります。政府の十分なる反省を求めつつ、私の反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#21
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
 これより三案を一括して採決いたします。
 表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#22
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございいませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#23
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#24
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百四十票
  白色票         百二十二票
  青色票          百十八票
 よって、三案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十二名
      平井 卓志君    林  ゆう君
      寺下 岩蔵君    中西 一郎君
      寺本 広作君    林田悠紀夫君
      山本茂一郎君    前田佳都男君
      最上  進君    望月 邦夫君
      森下  泰君    梶木 又三君
      岩上 妙子君    宮田  輝君
      藤川 一秋君    福岡日出麿君
      鳩山威一郎君    秦野  章君
      安孫子藤吉君    青井 政美君
      有田 一寿君    井上 吉夫君
      石破 二朗君    糸山英太郎君
      中村 登美君    吉田  実君
      松岡 克由君    藤井 丙午君
      桧垣徳太郎君    原 文兵衛君
      中村 禎二君    細川 護煕君
      佐藤  隆君    菅野 儀作君
      上田  稔君    石本  茂君
      長田 裕二君    中山 太郎君
      小林 国司君    宮崎 正雄君
      久保田藤麿君    山内 一郎君
      柳田桃太郎君    内藤誉三郎君
      玉置 和郎君    岩動 道行君
      西村 尚治君    鍋島 直紹君
      新谷寅三郎君    上原 正吉君
      青木 一男君    迫水 久常君
      小川 半次君    徳永 正利君
      八木 一郎君    神田  博君
      丸茂 重貞君    塩見 俊二君
      志村 愛子君    片山 正英君
      柴立 芳文君    嶋崎  均君
      棚辺 四郎君    夏目 忠雄君
      永野 嚴雄君    中山 太郎君
      戸塚 進也君    高橋 誉冨君
      山東 昭子君    岩男 頴一君
      遠藤  要君    大島 友治君
      大鷹 淑子君    岡田  広君
      上條 勝久君    斎藤 十朗君
      高橋 邦雄君    古賀雷四郎君
      黒住 忠行君    河本嘉久蔵君
      金井 元彦君    川野 辺静君
      土屋 義彦君    山崎 竜男君
      久次米健太郎君    初村滝一郎君
      鈴木 省吾君    高田 浩運君
      増田  盛君    江藤  智君
      藤田 正明君    高橋雄之助君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      平泉  渉君    橘直  治君
      安井  謙君    剱木 亨弘君
      吉武 恵市君    増原 恵吉君
      伊藤 五郎君    鹿島 俊雄君
      大谷藤之助君    小笠 公韶君
      亘  四郎君    温水 三郎君
      橋本 繁蔵君    坂野 重信君
      斎藤栄三郎君    亀井 久興君
      佐藤 信二君    今泉 正二君
      稲嶺 一郎君    山崎 五郎君
      安田 隆明君    矢野  登君
      町村 金五君    加藤 武徳君
      二木 謙吾君    植木 光教君
      木村 睦男君    源田  実君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百十八名
      太田 淳夫君    矢原 秀男君
      野末 陳平君    喜屋武眞榮君
      下村  泰君    相沢 武彦君
      塩出 啓典君    青島 幸男君
      市川 房枝君    柄谷 道一君
      内田 善利君    峯山 昭範君
      桑名 義治君    三治 重信君
      上林繁次郎君    阿部 憲一君
      三木 忠雄君    藤原 房雄君
      和田 春生君    栗林 卓司君
      黒柳  明君    矢追 秀彦君
      原田  立君    田代富士男君
      藤井 恒男君    木島 則夫君
      鈴木 一弘君    山田 徹一君
      宮崎 正義君    柏原 ヤス君
      中村 利次君    田渕 哲也君
      二宮 文造君    白木義一郎君
      小平 芳平君    多田 省吾君
      中尾 辰義君    中沢伊登子君
      向井 長年君    矢田部 理君
      案納  勝君    久保  亘君
      青木 薪次君    野田  哲君
      対馬 孝且君    秦   豊君
      浜本 万三君    赤桐  操君
      大塚  喬君    小山 一平君
      片岡 勝治君    田  英夫君
      宮之原貞光君    鈴木美枝子君
      神沢  浄君    前川  旦君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      村田 秀三君    小野  明君
      野口 忠夫君    栗原 俊夫君
      茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君
      森  勝治君    羽生 三七君
      戸叶  武君    田中寿美子君
      竹田 四郎君    戸田 菊雄君
      森中 守義君    志苫  裕君
      森下 昭司君    近藤 忠孝君
      山中 郁子君    粕谷 照美君
      片山 甚市君    目黒今朝次郎君
      橋本  敦君    安武 洋子君
      内藤  功君    寺田 熊雄君
      佐々木静子君    辻  一彦君
      小巻 敏雄君    神谷信之助君
      小谷  守君    工藤 良平君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    小笠原貞子君
      立木  洋君    沓脱タケ子君
      鈴木  力君    中村 波男君
      杉山善太郎君    沢田 政治君
      加藤  進君    渡辺  武君
      塚田 大願君    安永 英雄君
      吉田忠三郎君    鶴園 哲夫君
      松永 忠二君    小柳  勇君
      須藤 五郎君    岩間 正男君
      星野  力君    阿具根 登君
      野々山一三君    秋山 長造君
      藤田  進君    加瀬  完君
      河田 賢治君    野坂 參三君
      上田耕一郎君    春日 正一君
     ―――――・―――――○議長(河野謙三君) 日程第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長内藤誉三郎君。
   〔内藤誉三郎君登壇、拍手〕
#25
○内藤誉三郎君 ただいま議題となりました法律案について、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、富山医科薬科大学、島根医科大学、千葉大学に看護学部、弘前、京都、鳥取の三大学に医療技術短期大学部及び分子科学研究所を設置しようとするものであります。
 委員会におきましては、医師、歯科医師及び看護婦の計画的養成、私立の医科及び歯科大学の現状とその改善策、富山医科薬科大学の創設の経緯、技術科学大学院の構想に関する問題等について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終わり、久保委員より五党共同提案に係る施行期日についての修正案が提出されました。討論もなく、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本法律案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#26
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
 本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#27
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって委員長報告のとおり修正議決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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