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#1
第075回国会 本会議 第12号
昭和五十年五月二十三日(金曜日)
   午前十時九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十二号
  昭和五十年五月二十三日
   午前十時開議
 第一 国民年金法の一部を改正する法律案(趣
    旨説明)
 第二 酒税法の一部を改正する法律案及び製造
    たばこ定価法の一部を改正する法律案
    (趣旨説明)
 第三 文部省設置法の一部を改正する法律案
    (内閣提出、衆議院送付)
 第四 文化功労者年金法の一部を改正する法律
    案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 道路運送車両法の一部を改正する法律案
    (内閣提出、衆議院送付)
 第六 勤労者財産形成促進法の一部を改正する
    法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百九十八番、地方選出議員、愛知県選出、福井勇君。
   〔福井勇君起立、拍手〕
    ―――――――――――――
#4
○議長(河野謙三君) 議長は、本院規則第三十条により、福井勇君を法務委員に指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○議長(河野謙三君) 議席第九十五番、地方選出議員、茨城県選出、郡祐一君。
   〔郡祐一君起立、拍手〕
    ―――――――――――――
#6
○議長(河野謙三君) 議長は、本院規則第三十条により、郡祐一君を法務委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#7
○議長(河野謙三君) 内閣総理大臣から、憲法問題について発言を求められております。この際、発言を許します。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(三木武夫君) 稻葉法務大臣が、五月三日、自主憲法制定国民会議に出席したことは、たとえ本人が個人の資格のつもりで行ったことであっても、閣僚の地位の重さからして、その使い分けには無理があり、閣僚の行動としては、慎重を欠いたと言わざるを得ない。
 また、五月七日、参議院決算委員会における発言は、国の最高法規である憲法の持つ重要性にかんがみ、不適当な発言であり、はなはだ遺憾である。
 私は、稻葉法相に対し厳重に注意したが、法相自身もこれらの点を深く反省し、今後は十分その言動を慎むと誓約している。
 三木内閣の閣僚が憲法改正を推進する会合に出席することは、憲法改正をしないという内閣の方針について誤解を生ずるおそれがあるので、三木内閣の閣僚である限りは、今後は出席させない。
 自民党は、結党時の政綱において、憲法の自主的改正を図ることにしているが、三木内閣は、国会でもしばしば言明しているとおり、憲法改正を行わない方針である。したがって、改憲運動のリーダーシップをとることはない。
 現行憲法は、高い理想を掲げて現実政治の向かうべき目標を設定していることは、すぐれたものと思う。
 三木内閣としては、現行憲法の理想を政治の上に一層具現していくよう最大の努力を払う決意である。
 なお、憲法記念日については、憲法の施行を記念し、国の成長を期するという記念日の趣旨に沿って、内閣の責任において、意義ある記念行事を行う。(拍手)
     ―――――・―――――
#9
○議長(河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、原子力委員会委員に御園生圭輔君を、
 国家公安委員会委員に橘善守君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、国家公安委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#11
○議長(河野謙三君) 次に、原子力委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#12
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#13
○議長(河野謙三君) 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について、提出者の趣旨説明を求めます。田中厚生大臣。
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(田中正巳君) 国民年金法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 年金制度については、昭和四十八年に厚生年金及び国民年金を中心に、給付水準の引き上げと物価スライド制の導入を柱とする改善充実が行われ、昨年においても福祉年金額の引き上げ、物価スライド制の繰り上げ実施などの改善が行われたところでありますが、その後における経済社会情勢の変動にかんがみ、最も受給者の多い福祉年金の内容をさらに充実させるとともに、拠出制年金についても物価上昇に対処した措置を講じていく必要があります。
 今回の改正法案は、このような趣旨にかんがみ、福祉年金額の引き上げ、厚生年金、拠出制国民年金等の物価スライドの実施時期の繰り上げ等を行うとともに、拠出制国民年金の保険料の適正な改定を行い、年金制度の充実強化を図ろうとするものであります。また、本法案は年金福祉事業団に政府が出資できることとするための所要の改正を行うことといたしております。
 以下、改正法案の内容について、概略を御説明申し上げます。
 第一に、福祉年金の額につきましては、老齢福祉年金の額を月額七千五百円から一万二千円に、障害福祉年金の額を一級障害について月額一万一千三百円から一万八千円に、二級障害について月額七千五百円から一万二千円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を月額九千八百円から一万五千六百円に、それぞれ引き上げることといたしております。あわせて老齢特別給付金の額を月額五千五百円から九千円に引き上げることといたしております。
 第二に、昭和五十年度における物価スライドの実施時期を、厚生年金及び船員保険については昭和五十年十一月から同年八月に、拠出制国民年金については昭和五十一年一月から昭和五十年九月にそれぞれ繰り上げ、あわせて国民年金の五年年金の額を昭和五十年十月からさらに一万三千円に引き上げることにいたしております。
 第三に、厚生年金または船員保険の被保険者で、六十歳以上六十五歳未満の低所得者に支給する在職老齢年金につきまして、支給対象者の標準報酬月額の限度額を四万八千円から七万二千円に引き上げることといたしております。
 第四に、拠出制国民年金の保険料につきまして昨年に引き続き段階的に引き上げを行い、その額を現行の月額千百円から三百円引き上げ、千四百円とすることといたしております。
 第五に、年金福祉事業団につきまして資本金の規定を設け、政府が予算で定める金額の範囲内において出資できるものといたしております。
 なお、福祉年金の額の引き上げは本年十月から、厚生年金及び船員保険の改善は本年八月から、拠出制国民年金の保険料の額の引き上げは昭和五十一年四月から、年金福祉事業団に関する改正は本年九月から、それぞれ実施することといたしております。
 以上をもって改正法律案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
#15
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。月黒今朝次郎君。
   〔目黒今朝次郎君登壇、拍手〕
#16
○目黒今朝次郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました国民年金法等の一部を改正する法律案について、三木総理大臣並びに関係大臣に若干の質問を行うものであります。
 最近における物価の情勢は、一時の狂乱状態を脱しつつあるとはいえ、現在、なお、その上昇率は対前年同月比一三%を超える大幅なものであり、加えて酒、たばこ、郵便料金の値上げなど本国会に提案され、さらに新聞報道によれば、私鉄運賃の二三%前後の値上げ、国鉄運賃の倍額値上げ、消費者米価の大幅値上げ、地方公共料金の大幅値上げなど、三木内閣の公約と逆行するいわゆる政府指導型による物価大幅値上げの動向にあり、依然として国民生活を圧迫しております。
 いまさら言うまでもありませんが、物価高騰の国民生活に対する影響は、第一に、勤労者の所得を不断に目減りさせていくことによって生活を圧迫することであり、第二に、持てる者と持たざる者との間に大きな所得、資産面の不公正を生み出すことであります。第三は、賃金上昇を受ける人とそうでない人との差が出ている点であります。その典型は年金生活者であり、また、母子家庭、身体障害者などいわゆる社会的弱者と呼ばれる方方にそのしわが寄せられている点であります。第四は、インフレヘッジを持たない零細預貯金の目減りであります。一方に債務者利得を発生させているわけでありますから、その不公正さはますます拡大されていきます。以上、三木総理の掲げた不公正の是正というスローガンに反して、低所得者層ほどその損失が大きいことであります。これらのひずみは、国民生活の安定、社会的公正の見地から放置し得ない緊急の政策課題であると思います。
 三木内閣は、発足以来社会的不公正の是正を標傍してきましたが、所得再分配の機能をよりよく果たすべき税制改正においても、また、大企業を中心とした寡占支配の弊害を除去すべきものと期待された独占禁止法の改正案においても、大幅に公約は後退し、会期はあと二日を残すのみに至ったのであります。
 このような情勢を踏まえて、緊急生活法案である年金制度について、以下若干具体的に質問してまいりたいと存じます。
 第一は、今日では、一国の福祉水準はその国の高齢者福祉のあり方によって判断できるとされております。高齢者の多くは、過去においてさまざまな仕事を通じて社会に貢献してきた人々であります。したがって、現在の経済活動によって得られた所得は、過去の社会で貢献した人々にも十分配分することが当然であり、高齢者は経済成長の成果の配分を受ける権利があり、同時に憲法第二十五条の生存権があると私は考えます。高齢者の対策ははなはだおくれております。総理は、現在の高齢者の窮乏化の実態、あるいは老後に対する国民の不安感についてどのような認識を持っておられるか、まず明らかにしてもらいたい、このように考えます。
 第二点は、わが国の社会保障費は、GNPの比率でヨーロッパの三分の一程度、年金給付費の比率では十分の一以下にすぎません。今後の安定経済成長のもとで、高福祉、高年金がどこまで確保されるか、大いに心配されるところであります。かねて社会保障の長期計画の必要性が叫ばれ、政府はその早期作成を約束してまいりましたが、老齢年金について賦課方式など、財政方式の改善も含めて至急計画を立てる必要があると考えます。その点、見通しはいかがでありましょうか、お伺いいたします。
 さらに、高木大蔵事務次官が、五月の二十一日、慶応大学において、「当面する経済状勢と財政政策」と題する講演の中で、「四十六年から増加してきた福祉予算は今後圧縮する」と言明されました。われわれは、少なくとも福祉予算は今後とも拡大充実すべきと考えておりますが、この高木発言の真意について総理の答弁を求めます。
 第三に、現在の高齢者にとって最優先すべき対策は、生活保障としての年金の充実であります。特に、七十歳以上の高齢者に支給される無拠出の老齢福祉年金の給付額の充実であります。この制度は、申すまでもなく拠出制国民年金制度の発足がおくれたために、これに加入する機会を与えられなかった方々が受けておるのでありますから、当然、今日では生活保障の意味を持つものであると考えます。このように考えますと、福祉年金の額を生活保護基準以上にしなければなりません。ただいま提案があった政府提案の五十年十月に一万二千円に引き上げられても、一級地の生活扶助基準の四〇%にすぎないのであります。福祉年金を生活保護基準以上に合致させ、高齢者は例外的にしか生活保護法による救護を必要としない状態に早く持っていくべきと考えますが、いかがでありましょうか。この際、老齢福祉年金の性格をさらに明らかにするとともに、生活保護基準との関係について明らかにしてほしい、このようにお願いいたします。
 また、今国会の予算委員会でわが党が当面ぎりぎりの線として、公明党並びに民社党の皆さんの協力を得て提案した月額二万円、四月実施の問題について、今日の物価上昇の情勢から再考すべ史と考えますが、総理の見解をお願いしたいと存じます。
 第四に、現在、各方面で公的年金制度の統合化が言われており、その方向については異論がないと考えます。しかし、わが国の公的年金制度は、その沿革的な理由があって、現実の姿としては幾つかの制度が並存しているのであります。これに対して、今後、各制度相互間で、年金給付額の基礎給のとり方、最低保障のあり方、年金額の賃金スライドを軸としたスライド方法などに関して相互の調整を図っていくべきと考えますが、この問題に対する構想を明らかにしてもらいたいと考えます。とりわけ第一段階として、老後の最低生活保障部分を横断的に統合していくべきと考えます。この問題は直ちに実施すべきと考えますが、厚生大臣の見解をお願いいたします。
 第五に、昨年一月の厚生省調査によりますと、厚生年金の遺族年金受給者の九四%が妻であり、その妻の年齢は、五十歳以上が全体の七六%を占めているという結果があらわれております。この遺族年金の実態は、妻の老齢年金と言っても過言ではない状態であります。しかるに、わが国の遺族年金は、本人給付額の五〇%と規定されており、今国会で批准承認を求めている社会保障の最低基準を定めたILO百二号条約の水準にも達しておらず、国際的に見て非常に立ちおくれが目立ち、社会保障における妻の座が極端に冷遇されていることが明らかであります。本年は国際婦人年としてきわめて意義ある年であり、この際、ILO百二号条約の基準に合致することを目途に思い切った制度の改善に直ちに踏み切り、妻の年金権確立のために大きく前進させるべきと考えますが、いかがでありましょうか。
 第六に、わが国の高齢者の就労状態を見ますと、六十五歳以上の男子の場合、約五〇%の方が就労しているのに対し、アメリカの場合は二〇%、西ドイツは一五%と、極端にその相違を示しています。この労働力率の高さは、食べるために働かざるを得ないという状態に高齢者が置かれていると言っても過言ではありません。しかるに、厚生年金の受給権を有する在職者は一部支給停止けを受ているのであり、また、再就職による低賃金がその給付の算定基礎とされるため、給付額も減額されるという二重の損失を受けている事例が生まれております。この年金受給権が奪われている事実を政府は果たして正確に認識しているでありましょうか。高齢年金受給者の納得し得るような積極的な改善をすべきと考えますが、御答弁を願いたいと存じます。
 第七に、現在、国民年金、厚生年金、船員年金の保険料の積立金の運用は大蔵省の資金運用部で行われております。これには、社会保険審議会、国民年金審議会の公益委員が資金運用審議会のメンバーに入っておるだけで、保険料拠出者の意向が十分に発揮されておりません。また、年金福祉事業団には参与という名目で労働組合の代表が関与しておりますが、これも運営に参加しているとは言えません。
 年金問題は、給付と同時に、積立金がどのように民主的に運用されるか、保険金掛金者のための年金になるかどらかのかぎを握っていると言っても過言ではありません。積立者の意見が反映されるよう、積立者自身が構成メンバーに入った積立金運用委員会とでも言うべきものを設置する考えはないか。また、積立方式から賦課方式に移行するための、十兆円を超えた積立金の運用を含むプログラムを協議するために民主的な検討委員会を設置する意思がないかどうか、考え方を聞かしてもらいたい、このように考えます。
 第八に、年金制度の今後の動向は、ますます増加する高齢者の生活保障として決定的な意義を持ち、その経済的、社会的機能のいかんが多くの人々の老後の生活のあり方を規制していくことになりましょう。それにつれて、年金の果たす政治的意義も高いものとならざるを得ません。さらにまた、多額の年金財政のあり方は、国民経済に対して大きな影響を持つものと考えるのであります。このような政治的、経済的及び社会的意義を勘案いたしますと、既存の行政機構では不十分であると考えます。新たに年金庁とも言うべき機構をつくり、内閣としてより積極的にこの問題に取り組む考えはないか、明らかにしてもらいたいと考えます。
 最後に、できるだけ広く国民に年金に関する理解と協力を得られるよう、もっと詳細な基本的な資料を国民の前に明らかにして、年金制度の前進と国民全体の合意が得られるよう積極的な政策を要望いたしまして質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(三木武夫君) 目黒君にお答えをいたします。
 私が高齢者の困窮化の実態や老後の生活をどのように認識しているかという御質問がございました。物価高騰や核家族化等の社会的原因によって、高齢者の生活が安定を欠き、不満、不安を抱いておる方々が少なくないということを深く認識をしております。政府としては、今後とも、高年齢者の雇用の促進、年金制度の改善、保険医療対策など、各般にわたる施策の推進を図って、高齢者の生活の安定に資してまいりたい考えでございます。
 第二に、今後の低成長下で高福祉をどのように実現するかという意味の御質問があったと思いますが、今後人口の高齢化が急速に進むなどが予想されますので、将来の国民福祉というものに対しては、これはできる限りビジョンを明らかにする必要があると思います。そして、各般の施策が全体として合理的、効率的なものとなりますことが必要でございますので、こういう点については、一方においては、財政、経済の長期的な見通しとか国民負担の能力などの関連なども考え合わせて、財政面からもこれは十分検討しなければならぬ。そういうことで国民の合意を得ながら、施策をこういう非常に窮屈な財政下の中で推進してまいるようにできる限りの努力を払っていきたいと考えておる次第でございます。
 それからまた、各種の公的な年金制度はいろいろに分かれているので、まあ、せめて生活保障部分を横断的に統合したらどうかという御意見でございます。確かに一つのお考えであることは認めますが、わが国の年金制度はそれぞれの目的と沿革を持って発展してきたものであって、いま直ちに制度を一本化することはなかなか困難でありますが、いま目黒さんの御提案というようなことも頭に入れまして、今後各制度間を通じて、一つのバランスのとれた受給権の確保を図るため十分検討していくことにしたいと思うわけでございます。
 最後に、年金の財政方式を積立方式から賦課方式に変えていくのはどういうふうに考えているかという御質問があったと思いますが、年金制度の財政方式については、今後制度の成熟化に伴って受給者が急増いたしますから、いま直ちに賦課方式に切りかえるということにはいろいろ問題があります。これは将来の財政方式の問題として検討してまいりたいと考えております。
 あとの御質問には関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(田中正巳君) 目黒議員にお答え申し上げます。
 第一に、福祉年金の額についてのいろいろな所説がございました。福祉年金は、拠出制年金に対しまして経過的、補完的な性格を持つ無拠出年金として始まったものであります。その後国民の要望を踏まえて、逐年給付額の改善を図ってまいりましたが、拠出制年金とのバランスの問題もありますし、また全額一般会計に依存する仕組みのもとでは、残念ながら生活保護基準を上回る額とすることは困難だろうと思います。特に今年度は予算の追加要求まで行って月額一万二千円への引き上げに最大限の努力をしたところでありますので、三党共同修正案のとおり実施することは考えておりません。
 なお、福祉年金の給付水準を抜本的に改善するためには、その財源に従来と異なった特別の方式を考えない限り、私は困難だというふうに思っております。
 遺族年金の支給額についてのお尋ねがございました。遺族年金については、各公的年金制度を通じまして、その額は老齢年金の二分の一という基準になっております。その支給率に関しましては、妻の年金権のあり方とも関連をいたしますが、基本的には、関係各省と十分連絡調整をとりながら、これについてはできる限りの改善を図っていきたいというふうに、いませっかく検討中でございます。
 厚生年金の在職老齢年金についてのお話がございました。厚生年金の老齢年金というのは、退職者の老後保障を目的とするものであるものですから、一般的に退職ということを支給の要件としておったのでありますが、近年、老齢在職者のためを考えまして特例的に在職者にも、つまり、働いておる方にも年金を支給する道を開いたのであります。その節にはそれなりに大変喜ばれたのでありますが、いろいろと御批判も出てまいりました。そこで、これを何とか改善をいたしたいと思いますが、しかし、在職者は退職者と違って、多少にかかわらず勤労による収入を得ておるものでございますから、それとの均衡上、支給の割合や支給対象者の所得について一定の限度を設けており、これらを全面的に、全般的に撤廃することは適当ではないというふうに考えられますが、諸般の角度より検討を加えまして、こうした制度の改善についてできるものから私は前進をさして、制度の改善に努めていきたいというふうに思って目下検討中でございます。
 積立金の運用に関しましては、いろいろ所説がございましたが、国民生活の安定、福祉の向上に資するよう運用されているところでありますが、被保険者の拠出による保険料から成っていることに十分留意をいたしまして、国民生活の安定向上に役立つよう一層努力を重ねるとともに、その運用に関しては、保険料拠出者の意向を反映させるため、昭和四十九年度から労使代表を含めた関係有識者を委員とする年金問題懇談会を設けました。今後とも懇談会において労使代表を初めとする各界の御意見に沿った積立金運用が行われるよう十分配慮していきたいというふうに思っております。
 最後に、年金を扱う行政庁の機構の問題についてお話がございました。わが国の公的年金制度は、先ほど総理が御説明申し上げましたとおり、それぞれの目的と沿革をもって発展したものであり、これらの事情を全く無視して制度の統合を図るということは困難であります。行政機構についても、このような公的年金制度の実態を離れて一元化することは困難だと私は思いますが、今後、公的年金制度のあり方を見きわめつつこれは検討をしていかなければならない問題であると考えております。
 最後に、年金に関する広報――プロバガンダにつきましては、国民が一般的な制度の仕組みを理解するとともに、個人の具体的な年金額を知るためにも重要なものであるというふうに思っておりますので、今後ともこれについては先生のお説も踏まえまして十分努力をしていきたいと、かように思っております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(大平正芳君) 厚生年金、国民年金の運用についての御質疑でございました。
 現在こういった政府資金は、資金運用審議会の審議を通じて運用されておるわけでございますが、目黒さんからは、積立者がメンバーに入りました積立金運用委員会と言うべきものを設けるべきでないかという御提案でございます。これも一つの考え方であろうと思いますけれども、政府といたしましては、こういった年金ばかりでなく、郵便貯金、簡易保険その他の政府資金全体を管理いたしまして、これを確実かつ有利に運用するために、国全体の立場に立ちまして、中立、公正な立場から適正な判断をお願いする意味におきまして、資金運用審議会なるものを設けて、これにお願いをいたしているわけでございまして、積立者の利益もその立場において十分くみ上げていただいておるわけでございますので、現在、仰せのように、積立金運用委員会にこれを改組するということは考えておりません。
 それから第二に、高木大蔵次官の講演についてのお話がございました。高木君から本件につきまして私は報告を受けておりません。しかし、日ごろの彼の考え方から申しまして、福祉財政につきまして可能な限り財源を確保しなければならないことは当然でございますけれども、低成長下におきまして財源の確保がままならない状況におきまして、安易に、福祉予算といえども、これを増額してまいることは容易でないという趣旨を述べたものと思います。大蔵省といたしましては、福祉予算の重要性にかんがみまして、資源活用の意味で、十分他の費目について厳しい査定を通じて、福祉財源をできるだけ確保するように努力してまいるつもりでおります。(拍手)
#20
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#21
○議長(河野謙三君) 日程第二 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 両案について提出者の趣旨説明を求めます。大平大蔵大臣。
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(大平正芳君) 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 すでに成立を見ました昭和五十年度の予算は、前年度に引き続き抑制的な基調のもとに編成したところでありますが、その中にありましても、福祉年金の改善を初め、国民福祉の向上と国民生活の安定のための施策をできる限り推進することといたしておりますことは御承知のとおりであります。また、税制の面におきましても、所得税につきまして各種人的控除の引き上げを図りますほか、相続税等についても減税を実施することといたしております。これらの施策及び減税を実施いたしますためには、租税収入、税外収入を通じてその財源の多様化に配慮しつつこれを確保することが必要でございます。
 ところで、現行の酒税の税率及びたばこの定価は、昭和四十三年の改正を経て今日に至っておるのでありますが、その大部分がいわば従量税でありまして、その税率がその間における所得水準の上昇、物価水準の変動にかかわらず定額に据え置かれており、税負担が相当程度低下しておりますので、その調整を行う必要があると考えました。
 以上の状況に顧み、ここに酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案を提出いたしました次第でございます。
 まず、酒税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 第一に、酒税の税率につきまして、清酒特級、ビール、ウイスキー類特級及び一級、果実酒類の一部、スピリッツ類、リキュール類並びに雑酒について二二%程度、清酒一級について一五先程度、その従量税率を引き上げることといたしております。具体的に申し上げれば、通常の容器一本当たりで、清酒特級は百十五円程度、清酒一級は四十七円程度、ビールは十五円程度、ウイスキー特級は百五十円程度、ウイスキー一級は六十九円程度の増税になります。
 なお、清酒二級、合成清酒、しょうちゅう等につきましては、その消費の実情等を考慮し、税率を据え置くことといたしております。
 第二に、酒税の諸制度につきまして、納期限の延長制度に特例を設けることとするほか、戻し入れ控除制度の適用範囲を拡大する等、所要の整備を行うことといたしております。
 次に、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 この法律案につきましては、製造たばこの小売定価を引き上げるため、種類別、等級別に法定されている最高価格を、紙巻きたばこについては十本当たり十円ないし二十円、刻みたばこについては十グラム当たり十円、パイプたばこについては十グラム当たり二十円ないし四十円、葉巻きたばこにつきましては一本当たり三十円ないし百二十円、それぞれ引上げる等所要の改正を行うことといたしております。
 以上、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
#23
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。辻一彦君。
   〔辻一彦君登壇、拍手〕
#24
○辻一彦君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対し、質問いたします。
 高度成長経済がいかに勤労国民の生活を圧迫してきたかは、今日の高物価と、百万人を超える失業者、多くの人命を奪いつつある公害の存在を見れば明らかであります。特に、インフレ、高物価は、経済的貧困層、社会的弱者層から厳しい収奪機能を果たす弱い者いじめであり、社会的格差と不平等を一層拡大するものであります。しかるに政府は、三月の消費者物価上昇率を対前年同月比一五%以下に抑えたと大々的に宣伝をしておりますが、これは、二〇%を超える異常な上昇と比較しただけのものであって、決して誇示されるものではありません。一五%の物価上昇率は、定期預金金利の二倍の高さであり、貯金の目減りは相変わらず激しく、庶民のわずかな資産を盗奪しておるのであります。
 そこで、まず総理及び経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。
 政府の五十年度経済見通しによれば、消費者物価上昇率は九・九%とされておりますが、この目標達成の時期をまず明らかにしてもらいたい。また、預金金利を下回る物価上昇率にはいつの時点で到達ができるのか、その決意と可能性を聞かしてもらいたいのであります。
 また、三木内閣の最重点政策課題は、物価の安定と社会的不公正の是正となっておりますが、この二つの重点政策に対して税制の果たす役割りはきわめて大きいのであります。大企業の独占価格、管理価格に対する課税の強化、インフレ利得の吸収とインフレ被害者に対する救済措置がいまほど必要とされているときはありません。しかし、今年度税制改正を見ますと、相続税、法人税、所得税、租税特別措置法の各法のいずれを見ても、不公正是正のための積極的姿勢は見当たりません。社会的不公正是正のため、税制の改革を行う決意はないのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 一方、ここに提案された酒、たばこの両税による三千六百億円に上る巨額な間接税の増徴は、不公正拡大の税法改正を行うもので、断じて許すことのできないものであります。最近の物価情勢は、決して安定とは言えない流動的状況にあり、物価高騰の再現さえ否定できず、現に四月の消費者物価は、三月に比べ二・五%も上昇しております。いまこそ物価抑制の最大の施策である公共料金、酒、たばこの凍結の姿勢を打ち出すべきであり、公共料金が何でも値上がりをする中で、せめて一つ、政府が決めるたばこぐらいは値上げをせずにほしいというこの庶民大衆の声にこたえる考えが三木総理にないのか、お伺いをいたしたいと思います。
 言葉巧みな者は思いやりがないといいますが、議会の子を自認する総理も、改憲を公言し改憲を信念とする閣僚を罷免することもできない昨今の政治姿勢を見ますと、やはり三木総理も残念ながら口舌の徒と思わざるを得ないのであります。その上また、せめてたばこだけはというこの国民の声を踏みにじって五割値上げの悪政を重ねるつもりなのか、重ねてその考えをお聞かせいただきたいのであります。
 次に、まず、たばこの値上げに関して五点をお尋ねします。
 今回の値上げ理由は、葉たばこ価格など原材料費が上がったこと、そのため、たばこ専売益金率が六〇%を下回り、財政寄与率が低下するので、それを防ぐこととされております。したがって、赤字であるからではなく、超黒字であり、四十九年度は一兆二千五百億の売り上げで、六千七百八十億の益金をかせぐ見込みであります。値上げの最大の理由は財源確保にあることは言うまでもなく、税金の取りやすいところから、弱いところから取ろうとする大衆課税の重課、悪税の最たるものであります。このような財政対策では勤労国民が承服できないのは当然であります。専売益金率六〇%維持の主張は、明治から始まったたばこ財政専売制度の延長であり、財政収入策としての大衆重課の持続と言っても過言ではありません。したがって、今後ともこのような財政専売を続けるのか、あるいは、たばこは今日勤労国民大衆の生活必需品となっている現状から、公共性を重視する専売制度に変える必要があると思いますが、どうか。総理及び大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
 第二に、今回の値上げは専売納付金を高める措置とされ、一方で現行のままでは地方たばこ消費税の割合が高まるので、その不合理を正すとの理由も指摘されておりますが、わが国の経済社会の改革には地方自治体の強化育成が必要であり、税財源対策はなお一層の充実が求められております。したがって、たばこ税に関しても、いま以上に地方への還元が求められており、地方たばこ消費税の比率を引き合いにしての議論は何ら妥当性がないものと言えるのであります。地方の財源対策として、地方たばこ消費税部分を引き上げることは、たばこ税の国、地方の配分関係を変えることとなり、税財政改革の一環としても位置づけられるものであると考えますが、政府の見解を示していただきたいと思います。
 第三の点は、たばこの製造、販売、消費者に対する今後の基本的政策についてであります。特に、現在、三〇%程度の原料葉たばこを外国産に依存しているが、今日の国内葉たばこ生産状況を見るならば、この依存率はさらに高まる傾向にあると考えますが、今後もこのような方策をとり続けていくのかどうか。
 私は、昨夏、本院の派遣でインドネシア・スマトラの日本大手商社の農業開発を見たのでありますが、その中で、専売公社が発展途上国を中心に海外進出を意図した試験調査を進め、原料の海外依存を図ろうとしていることは、発展途上国の最近の動向や資源問題などが深刻に論じられている今日、わが国にとって得策とは考えられないのであります。私は、このようなことから、国産葉育成、国内原料確保こそが基本に据えられてしかるべきと思いますが、大蔵大臣の見解並びにたばこ耕作農民対策の観点から農林大臣のお考えを承りたいと思います。
 第四は、専売公社が内定している第二次中期経営計画に関してでありますが、この計画は焦点のぼかされた責任不在の経営計画で、はっきりしたい点が多いのであります。その最大の特徴は、市場拡大計画、工場近代化計画等に盛られている、やみくもな販売促進の意欲と近代化、合理化万能主義であり、企業の社会的責任の自覚に欠けていることであります。これは高度経済成長政策時代の落とし子であり、それが終えんを告げた今日、安定成長経済のもとでは、第二次経営計画を根本から見直すべきであると思いますが、どうか。お伺いをしたいと思います。
 また、大蔵省と公社間で定められている益金率について、公社が自主的な当事者能力を欠いている現在、覚書交換方式という非民主的措置を廃止し、国会の議決を要する法改正の形をとるべきと思いますが、どうか。明快な答弁を願いたいと思います。
 次に、酒税の値上げに関して、税負担の逆進性はすでに明らかなことで、この点は割愛し、次の二点を伺いたいと思います。
 その一つは、二二%の税率引き上げが予定されておりますビールであります。ビール業界はガリバー型寡占と言われ、一社が六〇%を超える市場占拠率を有し、しかも、四社で市場を一〇〇%を支配しており、独禁法違反が絶えず論議されてきた注目の業界であります。ビールの価格は、自由価格とはいえ、大蔵当局が実質的に価格指導をしているものでありますが、今回も去る三月、二つの会社が値上げを発表しています。しかし、値上げ後にも実際には引き上げた価格で売ってはおりません。これ自体は結構なことでありますが、これは値上げをしなくても企業努力でやっていけることを逆に示しているものであり、大蔵当局はビール業界の便乗値上げを何の厳しいチェックもせずに黙認したものと受け取らざるを得ないが、どうか。また、他の会社の値上げも早晩実施されると思いますが、物価対策上政府としてどう指導していくつもりなのか。加えて、同一時期同一幅の値上げとその処置について独禁法との関連でどのような態度で臨まれるのか、心構えをお聞かせ願いたいと思います。
 いま一点は、清酒の級別の不明確さであります。現在清酒は材質の区別について明確な基準もなく、級別審査も色、香り、味等の官能検査に頼っております。一方、級別認定に出される製品もメーカーの販売計画及び販売量によって判断されています。したがって、同一品質でも級別が異なり、税金も違うといった不明確な問題があります。また、大手酒造メーカーは、地酒を「おけ買い酒」として安く買いたたき、その地酒を特級、一級のレッテルを張って販売をしており、大手二十社の酒の六五%はこの「おけ買い酒」を使用していると言われております。これらの問題こそ緊急に改善される必要があり、酒税引き上げの前提と考えるべきでありますが、大蔵大臣の姿勢を明らかにされたいと思います。
 最後に、今後の税財政改革と物価問題についてお聞きをいたしたい。
 政府は、四月十五日の閣議で、いわゆる財政危機宣言を行い、四十九年度、五十年度の税収不足を明らかにし、歳入欠陥のキャンペーンを開始しています。伝えられるところでは、歳入不足額は四十九年度で約八千億円、五十年度で一、二兆円にも及ぶとのことでありますが、まずその見込み不足額を項目別、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 五十年度予算成立後二カ月足らずで膨大な歳入欠陥が明らかになったことは、政府の見通しの大きな誤りであり、その責任はまことに重大であると思います。その責任をどう考えているのか、これをお伺いいたしたい。
 また、膨大な歳入欠陥は三木内閣の基本的な政策の運用にもかかわる重大問題であり、早急に予算委員会を開くべきであると思うが、どうか。その点をお伺いをいたします。
 また、今後の歳入補てんのための付加価値税の導入が一部で伝えられておりますが、付加価値税は導入すべきでないと考えるが、政府の基本方針を明らかにしてもらいたいと思います。
 さらに、十月実施予定という郵便料金を初め、国鉄運賃、電信電話料金、消費者米価等の公共料金の値上げを今年度後半以降来年にかけて行うことは絶対にあり得ないのか、明言をしていただきたい。
 総理並びに関係各閣僚は、国民生活優先の経済、財政はどうすべきであるか、これを念頭に置かれまして御答弁を願いたく要望して私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(三木武夫君) 辻君の御質問にお答えをいたします。
 政府の消費者物価上昇率九・九%の目標達成はいつごろ可能かという御質問でございますが、これは来年の三月末を目標にして九・九%を達成するよう万難を排して努力をしていく所存でございます。また、預金金利を下回るような物価上昇率を達成するのはいつごろかというお話でございます。三月末に九・九――一けた台、いわゆる一けた台といいましても、これはやはり政府の目標は、少なくとも定期預金の金利の水準程度までは物価上昇率を押し下げていく必要があると考えておるわけでございますが、なかなかこれは三月末に一けた台ということも容易なことではないことは、それは辻君もおわかりのとおりでございますが、それを定期預金の金利の水準ということは容易なことではないわけでございますが、したがって、いつからという期日を明らかにすることはできませんが、できるだけ早い機会にそういう水準に持っていきたいと考えておるわけでございます。
 それから、公共料金の引き上げは当分凍結すべきではないかという御意見でございます。しかし政府は、公共料金については、本来、利用者がその利用によって受ける便益の程度によって相当の負担をするということがこれは原則だと思うのでございます。したがって、応分の御負担は願わなければならぬわけでございますが、今年度の予算編成に当たっては、異常な措置として、真にやむを得ないものに限って料金改定を実施することにいたしておるわけでございまして、電信電話の凍結、郵便の改定幅の圧縮、実施時期の延期なども行ったのもそういう趣旨からでございます。ただ、しかし酒、たばこについては、酒税の税率は四十三年度以来据え置かれておるために、その後における価格の上昇を反映して税負担率は相当低下しております。たばこについても、定価が四十三年以来据え置かれているため、その後の原価の上昇などの結果、定価の中に占める税負担の割合は相当低下しておるわけでございます。今回の改定は、以上の事情を考慮して、負担の調整を図るために行う側面があるものでございまして、この点については御理解を願いたいと思うのでございます。いまこれを取りやめる考えは持っておりません。
 それから、予算の編成をし直して国会の審議を仰ぐべきだというわけですが、まあ、そういう考え方は政府は持っておりませんが、詳細は大蔵大臣からお答えをいたします。
 また、地方のたばこ消費税は地方団体にとって重要な財源であることは承知してはおりますが、また、専売納付金は国にとっても重要な財源でありますので、辻君の御指摘のような配分の割合をいま考える考え方は持っていないということをお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(福田赳夫君) 五十年度の消費者物価九・九%は達成可能か、その後預金金利以下までの引き下げは可能か、それはいつごろかと、こういうお話でありますが、物価は御承知のとおり今日かなり鎮静化の動きでございます。ただ、これから先を展望しますと、賃金の問題また企業家側からの価格引き上げの動き、そういう問題があります。賃金につきましては、私はなだらかな解決ということを希望しておりましたが、まあ、そういう方向で動きつつあるように思われます。それから企業家側の値上げの動きにつきましては、まあ、なだらかな春闘ということを考えますと、来年の物価、これは大変だと、このことを考えますと、これはもう企業家はここで忍びがたきを忍ぶというくらいな態度、決意を持つべきだと、こういうお願いをいたしておるわけでありまして、このお願いはこれはまあ広く深く理解されつつあると、こういうふうに考えております。これらの労使の協力、これを背景といたしまして総需要の管理政策を慎重に運営してまいります。また、個別の物資につきましても、これは注意深くその成り行きを見ておる。まあとにかく九・九%、一けた台というこの目標、これは万難を排してこれを実現をするという決意であるということを御理解願いたいのであります。
 それから五十一年度の問題ですが、いま総理は非常に慎重な発言をされておりますが、私といたしましては、五十年度の一けた台というこの事態を踏まえまして、五十一年度のなるべく早い機会に定期預金の金利以下の水準に消費者物価を抑える、こういう考えであります。これは可能である、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、専売制度運営の基本的方針とも言うべきものと思いますが、政府といたしましては、従来、現行専売制度を消費税制度に切りかえるべきでないかという御答申もいただいている経緯がございますけれども、ただいまのところ専売制度を変えるつもりはございません。関係方面の十分な理解と協力がないといけないわけでございまして、まだそういう理解と協力が熟しておると判断いたしていないからでございます。
 そこで、この専売益金は従来六〇%内外長く維持さしていただいたわけでございますが、最近それがだんだんと低下してまいりまして、このまま放置いたしますと、本年度は四六%程度に低下するのではないかということでございますので、今度法律案をお願いいたしておりますのも、これによりまして五六・九%程度に戻さしていただこうという考えでございます。諸外国のたばこに対する税金の状況を見ておりますと、大体七割程度のようでございまして、わが国といたしましては、それでもまだ低位にあるものと判断いたしております。
 それから第二に、地方たばこ消費税を引き上げるべきでないかという御意見でございます。御案内のように、いま中央に対する専売益金の納付と地方たばこ消費税がほぼ同額に配分されておるわけでございます。で、これは中央、地方を通じまして非常に定着した、そして弾力的な財源として定着してまいっておりますこと、御案内のとおりでございまして、ただいまこの率を変えるという考えを政府は持っておりません。
 第三に、外国産の葉たばこを輸入することによって国内産の葉たばこを圧迫するというようなことはないかという御指摘でございまして、仰せのとおり、確かに最近外国産の葉たばこの使用率は引き上げられつつありますこと、御指摘のとおりでございます。しかし、これは国内産の葉たばこの不足分を補い、かつ国内でできない葉たばこの輸入に限っておるわけでございます。国内におきましては各種の奨励策を講じまして葉たばこの増産に努力しておりますことは御案内のとおりでございまして、今後もできる限り国内産で賄うように努力してまいりたいと思います。
 第四に、専売納付金について法改正を行うべきでないかと、どのような方式で政府に納付するかということについて、法律で規制すべきでないかという御提案でございます。で、これは先ほど冒頭に申し上げましたように、消費税制度によらない、現行制度によるという基本の方針を政府は堅持いたしておりますので、ただいまの法制の中で納付金を納付していただく以外に道はないものと考えております。
 次の問題は、ビールの値上げ問題でございます。ただいまのビールは、御承知のように石油危機以前の値段が据え置かれておるわけでございまして、石油危機を経過し、原材料、人件費等の値上がりのために、いまのビールの値段では長期にわたってこれを押え込んでいくということは大変私は困難だと判断いたしておるわけでございまして、会社側が最小限度の値上げをせざるを得なかった事情は理解に苦しいところではないわけでございます。しかし、政府といたしましては、絶えずあらゆる場合にこれを最小限度に抑制いたしますよう行政指導を怠っていないつもりでございます。辻さん御指摘のように、この新価格がまだ行き渡っていないじゃないかという御指摘でございます。仰せのとおりでございますが、これは漸次新価格に移行しつつある過程であると御承知願いたいと思うのであります。
 次に、酒についてのおけ買い制度を改むべきじゃないかということでございます。今日のおけ買い制度は、十分品質管理をいたしまして、みずからの分工場において生産されると同じ程度に品質管理が行われておると承知いたしておりますし、需給調整上評価すべき制度であると思いますので、政府としていまこれを改めさすという考えは持っておりません。
 それから、歳入欠陥についての御指摘でございます。四十九年度巨額の税の減収を招来いたしまして、私といたしましていたく責任を痛感いたしております。で、これはいま八千億内外――五月末になりませんと正確な数字が出てまいらぬわけでございますけれども、ただいま源泉所得税におきまして千二百億程度、申告所得税において三千九百億程度、法人税におきまして千二百億程度、その他千七百億程度が予想されておるわけでございます。で、去年は御案内のように大幅な二兆円減税が行われた年でございますし、また予想以上の深刻な経済の停滞を見た年でございました。それからまた、土地取引というものが非常にいんしんをきわめた事態から急に冷え込んできた時代でございました。そういう過渡期でございましたので、この事態がどういう経過、どういう理由で招来したかということにつきまして、目下われわれといたしましては慎重に分析をいたしておるところでございます。これが五十年度にどのように響いてまいるか、今後の財政運営につきましてどういう点を私どもとして考慮しなければならぬかということを鋭意いま検討をいたしておるところでございまして、ただいま、直ちに補正予算をお願いするとか、予算委員会をお願いするとかという考えは持っていないわけでございまして、財政当局といたしまして、いまそういった事態を克明に検討いたしまして、事態に処する施策を固めた上で御相談を申し上げたいと考えております。
 それから最後に、付加価値税についての、これ、やらない方がいいじゃないかという御指摘でございます。私ども、現行の日本の税制は十分所得の配分機能を果たしておると思うわけでございまして、現行の税制に頼って、これを活用いたしまして税収を確保してまいることに全力を挙げたいと思うのでございます。付加価値税というようなものに、いまわれわれが頼らざるを得ないというような状況にあるとは判断いたしていないわけでございます。直接税の比重が諸外国に比べまして日本が非常に高くなっておりますことは御案内のとおりでございます。間接税に補完的な役割りをもっと持ってもらう必要があるのではないかという議論は承知いたしておりますけれども、付加価値税を初め、そういった大きな改正をいま私どもの頭には持っておりません。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(安倍晋太郎君) 辻さん御質問の葉たばこ生産に関する対策につきましては、農林省といたしましても、地域特産物としてのたばこ作の重要性にかんがみまして、かねてから特産物生産団地育成事業、農業構造改善事業等によりまして、その生産性の向上を図っておるところであります。また、個々の農家が葉たばこ生産の合理化、近代化を行う場合にも、農業近代化資金等の制度資金の融通措置を講じておるところでございまして、今後とも、日本専売公社と連携を密にいたしまして、たばこ耕作農家の経営の安定を図っていきたいと存じております。(拍手)
#29
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。大平大蔵大臣。
   〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#30
○国務大臣(大平正芳君) ビールの値上げにつきまして、独禁法の関連において問題がないかという御指摘でございました。辻さんも御案内のように、まず「朝日」が値上げを発表いたしてまいりまして、その後しばらくたちまして、「サッポロ」が値上げに追随したというように私は承知いたしておるわけでございます。「麒麟」はまだこれに追随をしていないこともあなたが御案内のとおりでございまして、この三者が語らってカルテルまがいの行動に出ておるものとは、政府は承知いたしておりません。
    ―――――――――――――
#31
○議長(河野謙三君) 矢追秀彦君。
   〔矢追秀彦君登壇、拍手〕
#32
○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたします。
 昨年秋以来、政府が春闘の賃上げ率のガイド的役割りを果たさせようとしてきた、五十年三月の消費者物価上昇率を四十九年三月に比べて一五%におさめようという政策は、最近発表された消費者物価指数で見る限り、一四・二%と確かに実現はしました。
   〔議長退席、副議長着席〕
しかし、本年三月との比較時点になっている昨年の三月は、まさに狂乱インフレの最中であり、この異常なインフレ期と比べると、ことしの三月は対前月比の上昇率がこれまでのテンポで続いたとしても、対前年同月上昇率がかなり低下するのは当然であり、政府の自画自賛するほど努力した結果ではないのであります。
 われわれが消費者物価の動向を問題にする場合、三月というわずか一カ月だけの動向で判断するわけにはいかないのであります。昨年来の消費者物価の動きを見ると、昨年の四月から今年の三月までの対前年度比は二一・八%に達しているのであります。これは四十八年度の一六・一%をはるかに上回った数字であります。したがって、ことしの三月という特定の月の上昇率がわずかに低下したことを誇大に宣伝している姿勢は、国民を欺瞞する以外の何物でもありません。
 このような消費者物価上昇の結果、昨年来、庶民の家計は全く苦しいものとなっております。総理府の家計調査においても、昨年一年間の平均では、勤労者の世帯は実収入、消費支出のいずれをとっても実質マイナスになっているのが実情であります。
 それは、世帯主の時間外収入、妻の内職収入などの減少によるものであり、また、消費支出の実質減は、生活水準が全般に落ち込んだことを物語っております。
 このような国民の生活の実態を認識した上で、以下、具体的な質問に入りたいと思います。
 初めに、不況下においても依然上昇を続ける物価対策について伺いたい。
 最近、値上げになった主なものを見ても、ビール、カメラ、フィルム、プレハブ住宅、乗用車、ホテル料金、砂糖、複写機及びそのレンタル料金等々、メジロ押しであります。さらに値上げが予定されているものとしては、郵便料金、米価、麦価、都市ガス、電気料金、電信、電話、NHK受信料、鉄鋼、石油製品、自動車、灯油、セメント等々、枚挙にいとまがありません。
 さらに、金融緩和を含めた景気刺激策によって企業は全般的に材料や製品の値上げをもくろんでおります。これでは、再びインフレが国民の足元にさらに厳しく忍び寄ってくることは間違いありません。これでは、五十年度末までに前年同月比で一けたにするという政府の目標は達成できないことは火を見るより明らかであります。政府の明確な見通しと対策、そしてそれが実現しなかったとき、どのような政治責任をとるのか、伺いたい。
 第二は、政府の税制に対する基本的認識についてであります。
 そもそもインフレ下の税制の役割りは、まずインフレ過程で不公平となっている所得配分を是正するため、名目所得の上昇分を累進構造を持った税率によって吸収することが第一義であります。
 しかるに、今回の税制改正は、四十三年以来据え置かれていることを理由に、逆進性の強い酒税・たばこの定価の引き上げといった間接税の強化を打ち出す一方、二千億円にも満たない所得税の課税最低限の引き上げを図って、景気調整的な面を強調しているのであります。政府は、インフレのもたらした所得格差、資産格差に対して税制の所得再分配機能を十分活用するような税制改正をなぜ放置するのですか。間接税の増税そのものが大衆課税の強化ともなり、税の所得再分配機能を弱めるものであると考えますが、今日のような厳しい生活の折に、わざわざどうしてこのような増税を強行しようとするのか、明確にお答えいただきたいと思います。
 第三に、公共料金のあり方についてお伺いいたします。
 現実の所得分配が不平等であり、現実の税制と社会保障による再分配が不完全であって、いまだ公正な所得分配がなされていない限り、公共料金についても価格政策によって社会的公正を考慮に置くべきだと思うのであります。
 今回のたばこの値上げ、酒税の引き上げは、税制において大衆負担を強化し、一方、価格政策の上から言っても、大幅な公共料金の引き上げとなり、二重の社会的不公正の誤りを犯していると言わざるを得ないのであります。社会的不公正是正を果たすべき税別、公共料金政策において、三木内閣の公約違反が余りにも明らかに表面化しているのであります。この事実を国民にいかに説明するのか、公共料金における価格政策をどのように認識しているか、この際明らかにしていただきたいと思います。
 第四は、安定成長のもとでの財源確保対策としての売上税としての付加価値税の導入についてであります。大蔵大臣は、直接税と間接税の税収の割合をヨーロッパ並みに移行するため事務当局に検討を指示していると伝えられております。その際、高率課税を適用するためには、今回、酒税の引き上げ、たばこの定価値上げが必要であり、多くの反対を押し切って強行しておこうとする態度とも思えます。
 所得分配が平準化し、間接税がそれほど逆進的な効果を持たず、また、社会保障が十分完備していて、ある程度の逆進性に耐え得るといった一定の社会的条件をつくることが先決であり、その意味で付加価値税の導入はきわめて疑問でありますが、その他の財源対策、すなわち租税特別措置の洗い直し、インフレ利得に対する資産課税等と勘案し、間接税に対してどの程度依存するおつもりか、基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思います。
 そもそもたばこ専売制度は、たばこの販売を通じて、国民から間接的に税を徴収するという点では消費税と同様であります。すなわち、専売納付金と地方たばこ消費税を合わせたものが消費税負担として国民により負担されるのでありますが、これは特に各種の間接税の中でも負担が低所得階層により多く分担されていて、間接税中、最も逆進性の高いことを示しております。それはまた、多量消費銘柄に高い税負担という収入至上主義の立場が貫かれております。さらに、たばこ原価や人件費等のコスト上昇を価格に転嫁させないでその価格を据え置く場合には、意図せざる実質的減税が実施されると宣伝を繰り返しておりますが、事実は、その過程で定価の高いたばこへの国民の嗜好の誘導が行われ、これにより収入の増加と増税が行われてきたところであります。
 また、たばこ専売益金率が目立って低下しているかどうかも疑わしく、たばこ事業純利益とたばこ消費税を加えた益金のたばこ総定価代金に占める比率が六〇%台を維持している実態を見れば、安易な増税は許されないことになるのではないでしょうか。
 また、四十六年五月に大蔵省当局と専売公社間に覚書が交わされ、専売納付金率制度が約束されているといわれていますが、その全貌を明らかにしていただくとともに、これが経費節減のために葉たばこ耕作農民及び専売労働者に犠牲を強いるおそれはないか、また、たばこ消費税制度移行の手がかりになることはないか。この際、大蔵大臣の明快な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、酒税の引き上げと小売価格の改定との関連であります。ビールに例をとりますれば、ここ数年毎年のごとく、一本大びんで二十円程度の小売価格の値上げがなされており、本年においても一部銘柄においては二十円の値上げが行われており、酒税の引き上げに際しては再び引き上げ分が小売価格に転嫁され、さらに価格上昇に伴うマージン部分の増加も図られることが予想されるわけでありますが、この点、どのような見通しを持っているのか、お伺いしたい。
 以上、今回の値上げ改正案は、不況下のインフレという二重の苦しみにあえぐ国民生活をさらに圧迫し、三木内閣の公約である社会的不公正の是正にも反する悪法であり、直ちに撤回されることを強く要求して私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(三木武夫君) 矢追君の御質問にお答えをいたします。
 第一に、五十年度末までに物価上昇率を一けた台にするということはなかなか実現ができないというお話でございましたが、政府としては、物価の安定は国民生活安定と経済の安定成長の基盤である、全力を尽くさなければいかぬ、したがって、明年三月を目標として消費者物価上昇率を一けた台にするということに対しては強い決意を持っておるということを申し上げておきたいのでございます。
 それから、資産所得に対しては税制の改正をやらないで間接税に対して増税をすることは公正を欠くのではないかということでございます。わが一国の所得税の累進度は、欧米諸国に比してむしろきついものとなっておることは事実であります。五十年度の税制改正においては、土地譲渡所得に対する課税強化などを図ってまいりました。今回の酒、たばこの改正は、四十三年度以来の負担の水準を、低下をしておるのを、こいつを回復しようとするものであって、真にやむを得ないものでございます。
 公共料金に対する政府の考え方ということでございますが、公共料金を大部分一般会計で負担するということはこれは非常に不公正でございますから、どうしても公共料金については受益者が負担をしてもらうということを原則とせなければならぬと考えております。まあ、しかし、今日の物価上昇の状態から考えまして、五十年度予算の編成に際しては極力引き上げを抑制をしたわけでございます。酒、たばこは、財政収入の確保を図るためにやむを得ずこういう値上げをいたしたものと御承知を願いたいのでございます。
 それから、付加価値税に対しての御質問もあったと思いますが、付加価値税は、大蔵大臣も先ほど申し上げておりましたように、将来の課題としてはこれは検討を要しましょうけれども、しかし、こういう物価問題がやかましいときに、いま付加価値税をすぐに実施するという考え方は持っていないわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(福田赳夫君) 矢追さんにお答え申し上げます。
 まず、これからの物価政策をどういうふうに進めていくかということでありますが、先ほど辻議員にもお答えしたところでございますが、いまは物価が非常に鎮静化の方向に動いております。ただ、今後のことを考えますときに、賃金問題、また企業家側の値上げの動き、こういう二つの問題があるんです。
 まず、賃金問題につきましては、私が御理解を求めつつあったなだらかな傾向、これに私は落ちつくのではあるまいか、そういうふうに見ております。また、企業家側におきましても、ことしの春闘がなだらかな解決をした、しそうだ、そういうようなことを考えるときに、来年三月時点における物価問題、これに非常に責任を感じなきゃならぬというような構えでございます。そういうことを考えますと、企業家側の物価問題に対する御協力、御理解、これを私は得られるのではあるまいか、そういうふうに考えております。そういう労使双方の御協力を背景といたしまして政府が総需要につきまして慎重な配慮をする。また個別の物資、その物資の需給また価格の動き、そういうものに注意してまいりますれば、私は、三木内閣が申しておる五十年度中の消費者物価上昇率九・九%、つまり、一けた台の消費者物価水準、これは実現可能である、かように考えまして最善を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
 また、第二点は、物価やまた社会的不公正、そういういろんなむずかしい問題があるし、この際に公共料金を上げることは妥当じゃないんじゃないか、そういう御意見でございますが、私はそういう御意見わかります。特に、物価問題が厳しいそういう際に公共料金をどうするかということにつきましては、私は深く御共感を覚えます。さらばこそ、今回の予算におきましても、当面やりたいような気持ちになる電話につきましても、電信につきましても、国鉄につきましても、また塩につきましても、いずれもこれを凍結をするということにしたんです。ただ、緊急やむを得ないたばこ、酒、郵便料金、この三つにつきましては御審議をお願いせざるを得ない、こういうことにいたしたわけでございますが、それはそれなりに理由のあることであることを御理解賜りまして御協力くださるようお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(大平正芳君) 現行税法の所得再配分機能をどう評価し、それに対して、どういう対策をいま政府は考えておるかという御質問が第一でございました。
 先ほどの御質疑にもお答え申し上げましたとおり、私は、日本のいまの税制、所得再配分機能は十全に果たしておるものと承知いたしております。累進度も諸外国に比してむしろ高い水位にあるものと思います。しかしながら、それでもなおことしの税制改正におきまして、土地譲渡所得でございますとか、利子配当でございますとか、そういう点につきまして是正をお願いいたしましたことは御案内のとおりでございまして、今後も毎年毎年洗い直し、見直しはやってまいる考えでございます。
 で、今度の酒税並びにたばこの値上げ問題でございますけれども、これは、先ほどの趣旨説明でもお聞き取りいただきましたように、大部分が従量税でございまして、長く七年間現行のまま据え置かれておりましたので、従価税によっておるものとのバランスが崩れてきておりますので、ここで調整さしていただくことは無理でなかろうと判断いたしたわけでございます。
 第二に、直接税と間接税の比率についてどう考えておるかと。欧米並みの比率にすべく事務当局を督励しておるかのようなお話でございましたが、そういうことはございませんで、私といたしましては、直間の比率に固定的な考えは別に持っておりません。どういう比率でなければならぬとは考えていないのであります。ただ、直接税に対しまして間接税が十分補完的な役割りを果たすことができるようにありたいものと念願をいたしておるわけでございます。
 付加価値税その他につきましても、直間間の比率を是正するためにどうしてもこれを導入しなければならぬといま考えておるわけでは決してございません。
 それから第三の問題といたしまして、酒類の値上げにいたしましても、たばこの値上げにいたしましても、庶民の生活を圧迫するということについての配慮が足らないじゃないかという御指摘でございました。もとより政府といたしましては、これをお願いするにつきましては、その点につきまして十分配慮を加えておるつもりでございまして、たとえば最低収入階層別第一分位に位する方方をとってみますと、四十三年度から四十九年度の間におきまして、収入は二倍になっております。消費支出が一・九倍になっておりますが、これによりまして、今度の酒、たばこの値上げによりましてどれだけの負担増になるかというと、一・三四倍になるということでございまして、絶えず私どもは低目低目に抑えなけりゃならぬということを心がけておるつもりでございます。
 それから第四番目の問題として、専売納付金率に対する政府と専売公社との間の覚書の内容を明らかにせよということでございました。これは第一種納付金と第二種納付金に分けておりまして、第一種納付金は、国内販売総定価代金の額の五六%に相当する額から地方たばこ消費税の額を控除した額、それを第一種の納付金としてお願いする。第二種納付金といたしましては、当該事業年度の決算上の利益から第一種納付金を控除した金額の五〇%に相当する金額をお願いするということにいたしておるわけでございます。ただし、昭和四十六年度以降三年間は塩事業の会計が経常の損失を記録いたしておりまするので、第二種納付金の率を三七・五%とするということにいたしておるわけでございます。
 で、矢追議員はさらに、こういう覚書は耕作農民、さらには公社の職員の利益を犠牲にするおそれはないかという御指摘でございます。これにつきましては、葉たばこ収納価格につきましては、耕作者代表を含みます耕作審議会の御答申を受けて、生産費を補償するように配慮いたしておりまするし、専売公社の職員の給料につきましては、申すまでもなく、民間給与との比較を考えまして、公共企業体等労働委員会の仲裁裁定によって行っておりますことは御案内のとおりでございます。
 さらに矢追議員の、これによって、これは政府が消費税制度に移行する下心を持ってやっておるんじゃないかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、消費税制度導入についての答申はいただいたことはございますけれども、ただいまこれは公社の経営に与える影響、これを支持する耕作層あるいは消費者等、いろいろな考え方がまだ十分熟した状態にございませんので、政府といたしまして、いま消費税制度に切りかえるというような考えは持っておりません。(拍手)
#36
○副議長(前田佳都男君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(三木武夫君) 確かに矢追君から、三月末に物価一けた台にせないときの責任はどうとるかという御質問がありましたが、私の心境としては、万難を排して一けた台に持っていきたいと、そのために国民各位の御協力を願いたいということが私の心いっぱい考えておることでございまして、そういうことでそれに対してお答えしなかったことでございますが、政府が設定をした目標が達成できないということは政府として大いに責任を感ぜなければならぬことは言うまでもないということでお答えをしなかったわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○副議長(前田佳都男君) 安武洋子君。
   〔安武洋子君登壇、拍手〕
#39
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、製造たばこ定価法及び酒税法の各一部を改正する法律案について総理並びに関係大臣に質問します。
 いま物価の値上がりが国民の暮らしを激しく圧迫していることは言うまでもありません。実情を正しくあらわしていない総理府の消費者物価指数で計算した国民の実質収入でさえ、昨年は前の年より五%も下がっているというありさまではありませんか。特に、その日その日の買い物に少しでも安い物をと心を砕く主婦の苦労は並み大抵ではありません。このようなときに、政府が酒税とたばこ価格の大幅引き上げを行うことは、どんな口実を設けようとも、絶対に許すことはできません。酒、たばこは嗜好品ですが、その値上げが消費者米価などと同様、家計の大きな負担になることは経済企画庁の最近の委託調査の結果を見ても明らかではありませんか。
 総理が、いま最も売れ行きの伸びている銘柄を中心に大幅な値上げを行いながら大衆品の値上げを抑えたなどと言い張ることはずるい言いわけにすぎません。総理が少しでも国民の家計の苦しさを考えるなら、酒、たばこの値上げをやめるべきだと思いますが、答弁をお伺いいたします。
 もともと今回の値上げには国民の納得できる理由は何一つありません。
 第一に、政府は葉たばこの収納価格や資材費の高騰などによる総原価の上昇をたばこの定価引き上げの理由とされています。しかし、専売公社は、今年度のたばこ事業の益金が、定価を上げない場合でも四千二十一億円にも上る見通しであると述べております。国民が定価の据え置きを要求するのは当然ではありませんか。しかも政府は、衆議院大蔵委員会にたばこの原価を記載したページを破った資料を提出し、わが党議員の要求にもかかわらず、いまだにその内容を報告しておりません。これは、国会の審議権を無視する不当な態度と言わなければなりません。またこのことは、原価の上昇を値上げの理由とする政府の主張の根拠の乏しさを物語るものであります。政府は、本院での審議に必要なたばこの総原価及び各銘柄別の詳しい原価とその算出方法についての資料を提出されるかどうか、総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
 第二に、政府は税の公平負担と国の財源確保の多元化を図ることを引き上げの理由としております。しかし、たばこ価格や酒税のような物品税が、所得税を免除されている低所得の人々からさえ税を収奪する悪質な大衆課税であることは総理も認めざるを得ないところではありませんか。ところが、政府は他方では大企業や大資産家を中心に悪名高い租税特別措置で今年度も五千六百十億円もの特別の減税を行うこととしております。もし大企業に認めている過大な退職給与引当金、貸倒引当金その他による特権的な減税を含めれば、この額は、資本金十億円以上の大企業と大資産家だけで約三兆円にも上ります。これで税の公平負担などとどうして言うことができますか。国の財源を確保するためならば、このような不公正なやり方ではなく、大企業、大資産家に対してこそ正当に課税すべきではありませんか。政府は、租税特別措置その他大企業、大資産家に対する特権的な減免税の制度を廃止し、酒税とたばこ定価の引き上げをやめるべきであると思いますが、総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
 また、総理は、さきの本会議での答弁の中で、付加価値税制というものについても検討すると述べておられます。今回の酒、たばこの物品税の大幅引き上げがその方向に沿ったものであることは多くの人々の指摘しているところであります。商品の販売の各段階で課税する付加価値税が国民に与える打撃はきわめて重大です。昨年の国民生活審議会の報告でも、生活必需品の間接税引き下げを指摘しており、政府は、このような間接税重視、付加価値税導入の政策をやめるべきです。総理並びに関係大臣の明確な答弁を求めます。
 いま全国で約三千と言われる中小酒造業者の過半数がこの不況下で赤字経営に苦しんでおり、との上酒税の引き上げが強行されるなら致命的な打撃を受けることは明らかです。また、全国二十万を超える零細たばこ小売店も、値上げによる自動販売機の改作費や仕入れ資金の増大により一層の経営逼迫が予測されております。ところが政府は、何の有効な対策も講じようとしていないのです。政府は、これら中小零細業者にどのような助成策を講じようとしておられるのか、大蔵大臣の答弁を求めます。
 さらに一層許すことができないのは、政府が財界と一体になって、一方で労働者の賃上げを極端に低く抑えながら、すでに砂糖の大幅値上げを強行し、さらに酒、たばこに続いて郵便料金、塩その他の公共料金の引き上げ、国鉄料金に至っては二倍以上という未曾有の値上げを予定し、その上に今年度の歳入欠陥を口実として、各種社会保険料から消費者米価、麦価の引き上げまで行おうとしていることであります。総理は、就任早々、一大物価作戦を展開すると公言されましたが、これでは一大物価値上げ作戦ではありませんか。
 いま政府は、公定歩合の引き下げなど景気刺激政策に重点を移し始めておりますが、これでは物価値上がりに対し何の歯どめもない景気刺激政策であり、歴代自民党政府と変わりないインフレ政策ではありませんか。
 すでに四月の東京都区部の消費者物価指数は、三月より二・五%と大幅な値上がりを示し、また鉄鋼、灯油など大企業の七割もが、景気回復とともに製品の値上げを予定していることは経済企画庁の調査でも明らかであります。物価の値上がりほど、国民の苦しみと大企業のもうけを大きくし、社会の不公正を激しくするものはありません。政府自身が物価値上げの口火を切って、社会的不公正の是正などがどうしてできますか。政府は、今後の物価値上がりの歯どめをどうおつけになるのか。社会的不公正の是正のためにこそ、まずすべての公共料金を凍結し、さらに、大企業の製品価格を凍結する具体的措置をとるべきだと思います。総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
 以上述べてきたように、酒税とたばこ定価の大幅引き上げは、物価上昇に拍車をかけ、国民に増税を強制し、国民生活を一層窮迫させるものであることは明らかであり、本二法案の撤回を強く求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(三木武夫君) 安武君の御質問にお答えをいたします。
 国民の嗜好品である酒、たばこの値上げはやめろ、また、大衆品の値上げを抑えたと言っておるけれども、事実に違うのではないかというようなお話でございます。酒、たばこについては、その税率及び定価が四十三年度以来据え置かれているために、この間における物価上昇を反映して負担水準が相当低下しておることはしばしばお答えしておるとおりでございます。したがって、この際負担の調整に当たっては、国民生活に及ぼす影響を十分考慮したつもりでございます。たとえば清酒の二級、合成清酒、しょうちゅうなどの税率はこれを据え置きました。また、等級の低いたばこの値上げは幅を小さくするというような配慮を加えた次第でございます。
 また、第二の御質問は、すべての原価の内容を明らかにせよというお話でございます。まあ、個別原価のすべてを明らかにするわけにはいきませんが、審議のために要求された原価に対する資料についてはすべて提出をいたしておりますし、今後ともできる限り提出する考えでございます。
 また、租税特別法などのような、そういう特恵的な減免税を廃止をして、たばこ、酒の値上げをやめろというお話でございます。酒、たばこに関しての値上げの理由は先ほど申したわけでございますが、租税特別措置は一定の政策的目標を達成するために税の機能を活用するものであって、一概に廃止すべきものとは考えておりません。ただし、それが既得権のようなものになり、あるいは慢性化していくようなことを排するために絶えず見直しをしていく必要があると思っております。
 また、付加価値税について次に御質問ございましたけれども、付加価値税は将来にわたる一つの検討の課題だとは考えますが、しかし、この制度をいま直ちに導入することは、物価に与える影響などを含め、これは大変問題が多いわけでございますので、いま直ちにこれを実施する考えではなくして、検討すべき課題といたしたいと考えるわけでございます。
 それから公共料金について御質問がございました。すべて公共料金の値上げは凍結せよというような御質問でございましたが、先ほどから申し上げておりますように、公共料金についてはそれぞれの利用者が、その利用を受ける便益に応じて相当な費用を負担するといういわゆる受益者負担が原則だと思っております。しかし、政府は物価安定を最重要な課題と考えておりますから、このような観点から、五十年度の予算編成にはできるだけ抑制しようという方針のもとに五十年度の予算は編成をしたわけでございます。これをすべて安武君の御要請のごとく凍結する考え方は持っておりません。
 ほかは関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(大平正芳君) たばこの製造原価の公表を拒んでおるのはどういうわけかということでございます。これは申すまでもなく、全世界にわたりまして、専売国であろうと非専売国であろうと、いずれの国もたばこのメーカーの製造原価の公表はその企業の最高の秘密になっておりまして、公表しないことに徹しておるわけでございまして、わが国だけが公表していないわけではないのであります。もしわが国だけがこれを公表するとなりますと、わが国のたばこ事業が国際的に不当に不利な立場になるわけでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
 それから第二に、たばこ事業は大変な益金を上げておるのであって値上げする必要はないじゃないかという御指摘でございます。仰せのとおりでございまして、財政専売といたしまして相当の益金を上げておりますことは御指摘のとおりでありますが、この益金率が最近急激に低下してまいりまして、四六%にも達しようとするという実情でございますので、これを五六%程度に上げさしていただこうという御審議をいま願っておるわけでございます。この理由は、申すまでもなく、たびたび申し上げておりますように、諸外国におきましても、たばこにおきまして七〇%程度の負担を国民にお願いいたしておるのが実情でございまして、わが国が五六%をお願いいたしましても、私は決して無理でないと判断いたしております。
 それから、そういう値上げによらないで、租税特別措置の改廃等を通じて財源を調達すべきではないかという御指摘でございます。これは、これもたびたび本院においても政府側から見解を御披露申し上げておりますとおり、租税特別措置、これは税の持っておる促進的な、あるいは抑制的な機能を、特定の政策を実行する場合に活用しようという仕組みでございまして、今日では所得税の領域で主として活用されておる制度でございます。大企業、大資産家擁護の制度であるという御指摘は誤りであると思います。貯蓄の奨励でございますとか、あるいは技術の発明、技術の改良等の促進でございますとか、あるいは公害防止の促進でありますとか、そういった政策目的に貢献する制度になっておるわけでございます。政府といたしましては、そういう政策目的に奉仕する限りにおいて、この制度を活用いたしておるわけでございます。この制度にあぐらをかいて、そういう機能をもう十分果たしたにかかわらず、この特権の上にあぐらをかこうとするようなことは許さないつもりでおりますことを御理解いただきたいと思います。
 それから、付加価値税はとるべきでないということでございます。付加価値税を採用するとは、政府は申し上げたことはないのでございます。現行の税制に頼りまして、可能な限り、われわれは必要な財源を確保いたしたいと考えておるわけでございます。
 それから自動販売機の改修、または買いかえについて、これは小売業者の負担に任せられて放置されておるのではないかという御疑問でございますが、これはマージンの改定を通じまして業者と専売公社の間にお話合いがつきまして、小売業者が御負担になるという約束に相なっております。しかし、政府として、公社といたしましても、この改修ないし買いかえが円滑にまいりますように側面的な援助は惜しまないつもりでおるということを承知いたしております。
 それから最後に、国民の負担との関係についての御指摘でございました。先ほど矢追さんの御質疑にもお答えいたしたわけでございますが、国民全体の率から申しますと、たばこについての支出を四十三年度と四十九年度と比較いたしますと、収入が四十三年度に比べて四十九年度は二・六倍になっておりますが、たばこの支出は一・七倍になっておるわけでございます。今度改正をいたしましてそれが一・九倍になるわけでございまして、常にそういった点につきましては政府も極力抑えていく方向で処理いたしておりますことをこの際念のため申し上げさしていただきたいと思います。
 それから、酒につきましても、こういう値上げをやって酒類業者の経営を圧迫するようなことがないかという御心配でございます。今度の改正によりまして、たとえば特級酒で七・三%の小売価格の改定、引き上げが予想されますし、一級酒で四%程度の改正が予想されるわけでございまして、私ども、今日の状況におきまして、この程度の引き上げをお願いすることによって関係業者の経営が非常な圧迫を受けるというようになるとは考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 安武さんは、物価の安定なくして社会的公正はない、こういう御主張を強く展開されておりますが、それは私も全くこの点だけは一〇〇%そういうふうに考えております。ただ、細かい点になりますると、いろいろ所見の違う点もあります。
 第一に、物価安定がそのように大事であるならば公共料金はこの際凍結すべきではないか、こういう御所見、先ほど来るる申し上げておりますが、公共料金はこれは受益者負担原則、こういう立場にあるわけでありますので、このような変動期におきましては多々公共料金の改定すべきものはあるんです。しかし、物価政策を考えますと、公共料金はそう簡単には考えられない。そこで、御承知のように塩や電話や電信、国鉄、いずれも値上げを抑制しておる、こういうことでございます。ただ、たばこ、郵便料金につきましては、これは価格並びに料金の改定をする、また酒につきましては増税を行う、こういうことにいたしたわけですが、これはそれぞれるる申し上げておるとおりの事情があるわけでありまして、私どもの考え方は物価をとにかく重視しておるということにつきましては御理解を賜りたい、かように存じます。
 それから、大企業の値上げをどういうふうに抑制するかという御質問ですが、確かに大企業側には、いま経営が非常に困難である、その困難をどういうふうに脱出するか、値上げによって脱出しよう、こういう動きが非常に旺盛です。しかし、その点につきましては、物価問題がこれからいよいよ重大な山にかかるんだということにつきまして、さような動きが現実化することは、これは大変なことです。そこで、企業家側に対しましても、この物価対策に御協力を願いたいという要請をいたしておるわけでありまして、この要請はかなり深く理解されつつある、かように考えております。なお、政府側におきましても、企業家側のそういう動きに対応いたしまして、総需要の管理体制、それから物資、商品ごとの需給価格の動き、そういうものにつきましては深甚な配慮をしてまいる。かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#43
○副議長(前田佳都男君) 栗林卓司君。
   〔栗林卓司君登壇、拍手〕
#44
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました、酒税法及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 今年度の税制改正案が税制調査会に諮問されたのは昨年の十月、答申が作成され内閣に提出されたのが同じく昨年の十二月であります。以来今日までの約半年間を考えてみると、さま変わりに近い状況の変化があったと思います。
 酒、たばこの値上げが検討されていた当時は、今年の賃上げ率は二〇%を超えるというのが一般的な見方だったと思います。たとえば国民経済研究協会の予測が二五%、日本経済研究センターが二〇%から二五%、野村総合研究所が二三%であり、政府の見通しでさえ一七%でした。しかし現実は、平均して十数%であり、ゼロあるいは一けたの賃上げ率、さらには、ことしの秋まで延期という例も決して少なくありません。
 そこで、総理にお尋ねをします。賃上げ率が二〇・%を超える場合と一〇%前後にとどまる場合では、酒、たばこの値上げに対する国民の受け取り方も違ってくるとお考えになりませんか。また、これほど状況が違っていても、酒、たばこの値上げだけは予定どおり実施するおつもりですか。酒もたばこも、概して国民の小遣いの中から支出されるものであります。収入の増加も思うに任せず、しかも物価高の中に暮らしている小遣いの悲哀は総理もお認めだと思います。そこにまで、増税の手を伸ばすということはよくよくのことであります。したがって、もし、国民にそのせつない負担を強いるというのなら、せめてその前提条件として、税負担の公平が図られていなければなりません。では総理は、国民の小遣いの中から支出されるものにまで増税できるほど、税負担の公平化が進んでいるとお考えでございますか、お尋ねをしたいと思います。
 次に、昭和五十年度予算の問題についてお伺いをします。
 すでに昭和四十九年度において約八千億円の歳入不足が見込まれ、昭和五十年度においてはこれを大幅に上回る歳入不足が予測されております。この意味で、昭和五十年度予算は、物の役に立たない存在になりかけているといっても過言ではありません。しかし、これは単に予算編成の技術上の問題ではありません。この事態をもたらした重要な原因が、政府みずからの総需要抑制策にあるわけですから、政府の見通しの悪さも相当なものだと言わなければなりません。
 この意味で、いま政府が取り組むべき緊急課題は、昭和五十年度予算の基本的な見直しのはずであります。したがって、酒、たばこの増税案も、一度白紙に戻すべきだと思いますが、いかがですか。
 以下、さらに理由を述べながら、お尋ねをしたいと思いますが、その前に、まず副総理に、予算編成の基礎となった経済見通しをどのように修正しますか。二、一人当たり給与額の対前年度増加率について政府見通しを一七%とした理由、及び、ことしの賃上げと比べて、見通しと違う原因がどこにあると考えますか。
 次に、大蔵大臣に、昭和五十年度予算について、全面的な見直しと修正をする具体的な用意があるかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
 続けてお伺いをしますが、酒、たばこの増税案を白紙に戻した場合、さしあたってどんな問題が起きるのですか。酒、たばこの増税による増収は約三千六百億円と見込まれていました。しかし、増税を見送ったからといって、との見積もり金額が自動的に歳入不足になるわけではありません。従来の政府の説明に従えば、予算に計上した歳入額は、たとえば昭和五十年度予算の場合においても単なる見積もりであり、それ以上のものではありません。すなわち、歳入不足とは、予算の問題ではなくて決算の問題であります。来年の七月、昭和五十年度決算の帳じりを合わせる段階で、どのような歳入、歳出の状況になっているかは、酒、たばこの増税という問題を超えた、より広範な政府施策にかかわりのある事柄だと言わなければなりません。この意味で、酒、たばこの増税の見送りと歳入不足の問題を簡単に結びつけて考えることはできません。一方、財政赤字を回避する方法の一つは、言うまでもなく歳出面におけるむだの排除でありましょう。
 ところで、昭和五十年度予算のうち、補助金、補給金及び委託費は、一般会計、特別会計及び政府関係機関を合わせて総額約六兆四千億円であります。酒、たばこの増税分約三千六百億円は、その六%にも達しません。補助金等の支出について、従来から抜本的な見直しが要請され、指摘されてまいりました。
 では、補助金、補給金及び委託費について、酒、たばこの値上げを回避する見返りとしてわずか六%を減額する努力もできないのでございましょうか。また一方、増税を見送った場合、酒の業界や専売公社の経営に悪い影響があるのでございましょうか。また、今年度のたばこ消費税を確保するのに問題となるのでございましょうか。増税、すなわち値上げをすれば販売量は当然減少するものと見なければなりません。したがって、酒の業界や専売公社の経営の面でも、今年度のたばこ消費税を確保するためにも、値上げをしない方が好都合なのではありませんか。もっとも、政府としては国税収入をふやすことができないと主張されるでありましょう。しかし、私はこの問題について、昭和四十九年度決算の問題に触れながらお伺いをしたいと思います。
 昭和四十九年度、すなわち当初約八千億円の歳入不足が見込まれた決算を見ると、歳出は十二カ月分、すなわち一年分で当然のことでありますが。肝心の歳入は一年分を超してプラスアルファであります。ごく大ざっぱに考えれば十三カ月分と言ってよいでありましょう。なぜ、このような都合がよい決算ができたかといえば、政令を改正して、従来の規定では次の年度に入る歳入の一部を、昭和四十九年度の歳入に繰り入れたからであります。その額は約四千億円と聞いております。しかし、四千億円の歳入の出入りが政令の改正一つでできるぐらいなら、酒、たばこの増税の見送りに伴う歳入問題について、あまり心配する必要はないと言いたくもなるではありませんか。
 以上、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、酒、たばこの税負担のひずみの問題について若干触れておきたいと思います。
 これまでの物価上昇の過程で、酒、たばこの税負担は事実相対的に安くなってまいりました。しかし、これは何も酒、たばこに限った問題ではありません。特に、いわゆる狂乱物価以降、価格の相対的な関係にひずみが生じてまいりました。たとえば、土地価格や建築単価の急激な上昇の結果、勤労者の所得水準が相対的に低くなってきたのもその顕著な例の一つでございましょう。いまから十数年前には努力をすればまだ手が届いた持ち家の夢は、いまや一般的勤労者にとって全く高ねの花であります。このようなひずみの是正は、物価安定の努力とあわせて急がなければなりません。同時に、どのひずみ是正をまず取り上げるのか、その優先順位を決めるのも重要な現実的課題だと思います。この意味で、酒、たばこの税負担のひずみ是正を他に先駆けて取り上げる理由は何か、大蔵大臣に伺います。
 また、このひずみ是正の問題について、政府はどのような展望と優先順位で取り組もうとされるのか、副総理にお尋ねをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 最後に、酒、たばこの値上げと今後の物価政策との関連についてお伺いをいたします。
 今回のたばこ値上げは、平均四八%という大幅なものであります。たばこ事業の益金率、平たく言えば利益率をおおむね六〇%に維持したいというのが大幅値上げの理由の一つでありましょう。では、利益率をなぜ六〇%にしなければいけないのか、積極的な理由を大蔵大臣に伺います。
 次に、副総理にお尋ねをします。
 必要利益を確保するのに値上げをすることが国営事業で許されるのなら、民間企業が同様の態度をとっても構わないのでありましょうか。民間企業の利益もまた国と地方の財政を支えるものであり、同時にまた、そこで働く労働者の雇用の安定と生活の向上を担保するものであり、これらのものが失われたとしたら地域社会の平和も存在しません。しかし、だからといって、民間企業が値上げに解決を求めたら一体どんな事態が起きるとお考えになりますか。
 最後に、総理にお伺いをします。
 総理は、消費者物価上昇率を来年三月までに一けたにするという目標に対しどのような責任を自覚されておいでですか。この目標を達成するか否かは、単に三木内閣の責任であるにとどまらず、政治に対する国民の信頼がかけられた問題になってきたことを銘記していただきたいと思います。これまで政府が民間部門に求めてきたものは、言葉として出さないまでも、損益分岐点の引き下げでありましょう。言いかえれば、高度成長になれた体質の思い切った改革であります。しかし、民間部門にその苦労を求めるなら、総理みずから行財政の分野で徹底したぜい肉の排除と、公正な秩序の確立に率先して努力をすべきではありませんか。
 総理の御所見をお伺いして質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(三木武夫君) 栗林君の御質問にお答えをいたします。
 今年度の春闘が節度のある水準で妥結を見たことに対して、労使双方の努力に深い敬意を表するものでありますが、この賃上げ率と、たばこ、酒の値上げとを直接に関係させては政府は考えていないわけでございます。酒、たばこはしばしば申し上げますように、昭和四十三年度から七年間これを値上げをいたさなかったわけでございまして、物価、コストの上昇などを反映して負担の水準が相当に低下したと、こういうことでその一部を回復したいということで、賃上げ率と直接に結びつけては考えていないということでございます。
 また、税の負担の公平ということについては、栗林君の御指摘のとおりでございますが、政府は、五十年度の税制改革におきましても、利子・配当課税の特例及び土地譲渡所得の課税の特例などについて是正を図って、資産所得に対しても税負担の公平には配慮をいたしてまいったわけでございます。
 酒、たばこの間接税の引き上げは、先ほど申し上げましたような理由で今回値上げをいたしたいと思うわけでございますが、増税である――これは増税であるという表現はどうも適当でないのではないかというふうに考えるわけでございます。
 また、一けた台に消費者物価をするということに対しての、そのためにはどういうふうに責任を感じ、どのように総理は率先してやろうとしておるのかというお話でございます。とにかく、政府が目標としておった一五%以下ということは目的を達成されましたけれども、これで目的は達成されたといっても、やはり一けた台に持っていかなければ、これは物価問題というものは解決をある程度見たとは言えないわけでございます。そうでなければ国民生活の安定というものは図られるわけではないわけでございますから、万難を排してこの目標の達成に努力をする決意でございまして、政府は大いなる責任を感じておることは申すまでもないわけでございます。また、そのためには、もう行財政については既定の経費なども、あるいは従来の制度なども見直しを行って行政能率というものを高め、行政のコストの軽減に努力しなければ、こういう財政難のもとにおいて国民の福祉を増進する必要もございますし、またその他の財政需要というものも当然にあるわけでございますから、よほどそういうことをいたさなければ、財政の運営はもとより、いま申したような政府の物価の水準を一けた台にしたいという目的は達成できるものではないという重大な決意を持っておるということを申し上げてお答えにいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 昭和五十年度の経済見通しを修正すべきではないか、こういう御所見でございますが、との五十年度の経済見通し、したがって予算、これをつくりましたときから多少私どもの考えたところよりも変化がありますのは、景気の回復のテンポが多少ずれてきておると、これが一つ、それから、物価の方はあの当時展望したよりはやや鎮静化の方向が強く出されておると、こういうことでありますが、総体として、まだ年度が始まって早々でございます。この段階において経済見通しを訂正するという必要もなく、また、したがって、これを変える考えもありません。
 一人当たり雇用者所得増加率を一七%とした理由いかんということでございますが、これは申し上げるまでもございませんけれども、一人当たりの雇用者所得というのは、雇用者所得を雇用者数で除したものです。雇用者所得の見通しにつきましては、経済見通しにおきまして、生産、労働力の需給、企業収益などの諸指標との相関関係などから客観的に算出されたマクロ的な予測値でありまして、参考として掲げたものであります。したがって、雇用者所得と賃金改定との間には直接的な関係はありませんです。
 次に、狂乱物価以降の価格の体系を一体どういうふうにするか、その展望はどうかというお話でありますが、まあ、私企業における価格は大体私は粗ごなしは今日すでにできたと、こういうふうに見ておるのです。しかし、物価がむずかしい、むずかしいというので、公共料金部門、これが順応が行われておらぬと、こういう状態にありますので、どういう順序でこの問題を処置していくかということになれば、まず公共料金から新しい基準を求めるというところにならざるを得ないと、こういうふうに思います。しかし、そうは申しましても、物価がいま非常に変動しておりますので、全体の物価安定対策、その中において可能な限度において公共料金の改定はこれをとり行う、こういうふうにいたしたいと、かように考えます。
 それから、たばこ事業の値上げが許されるならば民間企業も同様というような主張が出てくるのじゃないかというその御懸念でございますが、これは、私は、そういう御懸念はあり得ると思うのです。さればこそ、このたばこ、あるいは郵便料金にいたしましても、あるいは酒にいたしましても、これは本質的に税のようなものである。また、先ほど申し上げましたように、価格変動に対する対応がこの部面では立ちおくれておるんだというような特殊な事情があることをこれはよく理解してもらわなければなりませんし、同時に、物価対策が非常に大事なこの段階において企業側が値上げの動きをするということは、これはまた企業自体にとっても重大な問題になるんです。御協力願いたいという説得をいたしておりますが、これは私は成功すると、そういうふうに思っております。なお、この上とも努力してまいりたい、かように考えます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(大平正芳君) 三千六百億に上る酒、たばこの収入を、この際一応見合わせて、五十年度予算全体について見直しをするつもりはないかという御質疑でございました。御案内のように、歳出は国会によって歳出権が政府に付与されるわけでございますが、歳入はなるほど見積もりにすぎないことは御案内のとおりでございます。しかし、予算案全体といたしまして、国の事業のもくろみを数字的に表現したものでございまして、これが忠実に実行されますことは、国の経済にとりましても、行政にとりましても大きな問題でございます。したがって、政府としては、歳入歳出ともせっかくお認めをいただきました五十年度予算の忠実な実行に専念いたしたいと考えておるわけでございまして、この際、これを部分的に見直すというようなことは、いま考えていないのであります。
 それから第二に、歳出につきまして、補助金でありますとか、補給金でありますとか、委託費でございますとか、そういったものを洗うべきじゃないかということでございます。これは御指摘のように、毎年洗い直しておるわけでございますけれども、財政の硬直化がいまいろいろ云々されておるときでもございますし、さらに一層洗い直しを徹底する意味におきまして、財政制度調査会の御審議とも並行いたしまして、精力的に洗い直しに努めたいと考えております。
 それから第三の問題でございますが、酒、たばこの値上げを他に先駆けてやろうとしておるじゃないかという御指摘でございますが、これはそうではないのでありまして、七年間も長く据え置いておったわけでございまして、従量税である性質上、他とのバランスがとれなくなっておりますので、最小限度の調整をさしていただこうということにすぎないものであるということを御理解いただきたいと思うのでございまして、むしろ、後追いのものであるというように御理解をいただきたいと思います。
 それから、六〇%の益金に根拠があるかということでございます。これは特に六〇%でなければならないという根拠はどこにもないわけでございますが、諸外国の例を見ましても、大体七〇%程度のたばこに対する税が負担されておるという実情でございまして、わが国も長い間六〇%内外の負担が専売益金の姿において財政に対してなされておりましたことでもございますので、一応の目安として、六〇%を大きく割らないところを私どもは考えておりますことを御理解いただきたいと思うのであります。
 それから、政令の改正によりまして収入の確保を図る手だてを講じたことに対する御批判がございました。仰せのとおりでございまして、ことしの四月において徴収になるものでございますけれども、歳入の権限が三月に発生したものにつきましては四十九年度の歳入にさしていただくという政令を施行させていただいたのであります。これは国会に新たに国債の発行について御相談を申し上げるべきか、あるいは政府に残された手段を講じてこの減収に対処するか、いろいろ苦慮いたしました結果、政府として残された手だてを最大限講ずべきでないかという判断でそのようにさせていただいたわけでございまして、いろんな手があるけれども、これもひとつやってみるというようなことではなくて、政府にほかによるべき手がなくて、こういう手だてによるはかなかったという窮余の一策でありましたわけでございまして、しょっちゅうこういうことができるわけでは決してないことは、栗林さんも御案内のことと思います。(拍手)
#48
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#49
○議長(河野謙三君) 日程第三 文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長加藤武徳君。
   〔加藤武徳君登壇、拍手〕
#50
○加藤武徳君 ただいま議題となりました文部省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告を申し上げます。
 本法律案は、少年を自然に親しませ、団体宿泊訓練を通じてその健全な育成を図るため、文部省の付属機関として国立少年自然の家を設置しようとするものであります。
 委員会におきましては、国立少年自然の家について、その設置の趣旨や運営方法及びその設置の計画並びに社会教育の充実、既存教育施設拡充の必要性、入試制度の今後のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 以上御報告をいたします。(拍手)
#51
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#52
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#53
○議長(河野謙三君)日程第四 文化功労者年金法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長内藤誉三郎君。
   〔内藤誉三郎君登壇、拍手〕
#54
○内藤誉三郎君 ただいま議題となりました法律案について、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、近年における社会的、経済的事情にかんがみ、文化功労者に支給すべき年金の額の改定を速やかに行うため、これを法律の改正によらず、政令で定めようとするものであります。
 また、衆議院において、施行期日についての修正が行われました。
 なお、文化功労者の年金額につきましては、昭和四十九年度に百五十万円から二百万円に引き上げられましたが、昭和五十年度一般会計予算では、さらにこれを二百四十万円に引き上げるのに必要な経費が計上されておりますことを申し添えます。
 委員会におきましては、年金額の改定を政令に委任する理由、年金の性格と年金額決定の根拠、文化功労者の選考基準作成の是非、文化功労者に大衆文化等の分野からも選考することの必要性等の問題について、熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと思います。
 質疑を終わり、加藤委員から日本共産党を代表して、文化功労者の年金額を現行どおり法律で定めることとし、年金額を二百四十万円に引き上げることを内容とする修正案が提出されました。
 別に討論もなく、採決に入り、まず修正案は賛成少数をもって否決、結局本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#55
○議長(河野謙三君) これよりを採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#56
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#57
○議長(河野謙三君) 日程第五 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長宮崎正義君。
   〔宮崎正義君登壇、拍手〕
#58
○宮崎正義君 ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果について御報告を申し上げます。
 本法律案は、自動車の登録、検査等に関する事務を円滑に遂行するため、それに要する経費の財源を確保することができるよう、自動車の登録、検査等に関する手数料の最高限度額を引き上げようとするものであります。
 委員会におきましては、自動車需要の動向、手数料改定の必要性、自動車検査登録特別会計の運用状況、排気ガス及び保安基準の規制強化に伴う検査要員の確保、検査施設の充実強化等、自動車の検査体制に関する諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
#59
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#60
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#61
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#62
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十六票
  白色票          百二十四票
  青色票           百十二票
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十四名
      宮田  輝君    寺下 岩蔵君
      平井 卓志君    吉田  実君
      中西 一郎君    山本茂一郎君
      園田 清充君    山内 一郎君
      久保田藤麿君    前田佳都男君
      最上  進君    望月 邦夫君
      森下  泰君    梶木 又三君
      藤川 一秋君    福岡日出麿君
      鳩山威一郎君    秦野  章君
      永野 嚴雄君    林  ゆう君
      安孫子藤吉君    青井 政美君
      有田 一寿君    井上 吉夫君
      石破 二朗君    中村 登美君
      藤井 丙午君    桧垣徳太郎君
      原 文兵衛君    中村 禎二君
      高橋 邦雄君    細川 護煕君
      寺本 広作君    林田悠紀夫君
      佐藤  隆君    菅野 儀作君
      石本  茂君    中山 太郎君
      小林 国司君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    内藤誉三郎君
      玉置 和郎君    高橋雄之助君
      楠  正俊君    岩動 道行君
      西村 尚治君    鍋島 直紹君
      新谷寅三郎君    上原 正吉君
      郡  祐一君    青木 一男君
      迫水 久常君    徳永 正利君
      小川 半次君    八木 一郎君
      丸茂 重貞君    塩見 俊二君
      志村 愛子君    片山 正英君
      柴立 芳文君    嶋崎  均君
      棚辺 四郎君    中村 太郎君
      戸塚 進也君    高橋 誉冨君
      坂野 重信君    斎藤栄三郎君
      山東 昭子君    糸山英太郎君
      岩男 頴一君    岩上 妙子君
      遠藤  要君    大島 友治君
      大鷹 淑子君    斎藤 十朗君
      古賀雷四郎君    黒住 忠行君
      河本嘉久蔵君    川野 辺静君
      金井 元彦君    今泉 正二君
      土屋 義彦君    山崎 竜男君
      上田  稔君    初村滝一郎君
      長田 裕二君    久次米健太郎君
      鈴木 省吾君    世耕 政隆君
      江藤  智君    藤田 正明君
      大森 久司君    岡本  悟君
      平泉  渉君    橘直  治君
      町村 金五君    加藤 武徳君
      安井  謙君    剱木 亨弘君
      吉武 恵市君    増原 恵吉君
      神田  博君    伊藤 五郎君
      大谷藤之助君    小笠 公韶君
      亘  四郎君    橋本 繁蔵君
      佐藤 信二君    亀井 久興君
      岡田  広君    上條 勝久君
      稲嶺 一郎君    矢野  登君
      安田 隆明君    山崎 五郎君
      高田 浩運君    増田  盛君
      二木 謙吾君    源田  実君
      熊谷太三郎君    木村 睦男君
      温水 三郎君    福井  勇君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百十二名
      太田 淳夫君    矢原 秀男君
      喜屋武眞榮君    相沢 武彦君
      塩出 啓典君    青島 幸男君
      市川 房枝君    柄谷 道一君
      内田 善利君    峯山 昭範君
      桑名 義治君    三治 重信君
      上林繁次郎君    阿部 憲一君
      三木 忠雄君    藤原 房雄君
      和田 春生君    栗林 卓司君
      黒柳  明君    矢追 秀彦君
      原田  立君    田代富士男君
      藤井 恒男君    木島 則夫君
      鈴木 一弘君    山田 徹一君
      宮崎 正義君    柏原 ヤス君
      中村 利次君    田渕 哲也君
      二宮 文造君    白木義一郎君
      小平 芳平君    多田 省吾君
      中尾 辰義君    中沢伊登子君
      向井 長年君    福間 知之君
      矢田部 理君    案納  勝君
      久保  亘君    青木 薪次君
      野田  哲君    対馬 孝且君
      秦   豊君    浜本 万三君
      赤桐  操君    大塚  喬君
      小山 一平君    片岡 勝治君
      田  英夫君    宮之原貞光君
      鈴木美枝子君    神沢  浄君
      前川  旦君    竹田 現照君
      山崎  昇君    村田 秀三君
      小野  明君    野口 忠夫君
      栗原 俊夫君    茜ケ久保重光君
      瀬谷 英行君    森  勝治君
      戸叶  武君    田中寿美子君
      竹田 四郎君    戸田 菊雄君
      森中 守義君    志苫  裕君
      森下 昭司君    近藤 忠孝君
      山中 郁子君    粕谷 照美君
      片山 甚市君    目黒今朝次郎君
      橋本  敦君    安武 洋子君
      内藤  功君    佐々木静子君
      辻  一彦君    小巻 敏雄君
      神谷信之助君    小谷  守君
      工藤 良平君    和田 静夫君
      小笠原貞子君    立木  洋君
      沓脱タケ子君    鈴木  力君
      中村 波男君    杉山善太郎君
      沢田 政治君    加藤  進君
      渡辺  武君    塚田 大願君
      安永 英雄君    吉田忠三郎君
      鶴園 哲夫君    松永 忠二君
      須藤 五郎君    岩間 正男君
      星野  力君    阿具根 登君
      野々山一三君    中村 英男君
      藤田  進君    加瀬  完君
      河田 賢治君    野坂 參三君
      上田耕一郎君    春日 正一君
     ―――――・―――――○議長(河野謙三君) 日程第六 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長村田秀三君。
   〔村田秀三君登壇、拍手〕
#63
○村田秀三君 ただいま議題となりました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案につきまして、委員会の審査の経過と結果を御報告いたします。
 本案は、勤労者の財産形成促進制度を改善するために、第一に、財形貯蓄の範囲を拡大して、新たに一定の郵便貯金、生命保険などを加えるほか、勤労者が転職した場合の財形貯蓄の継続措置を講ずること。
 第二に、事業主の拠出金による財産形成給付金制度を新設するとともに、中小企業に対してこの制度の導入を容易にするため、中小企業勤労者財産形成助成金制度を創設すること。
 第三に、勤労者の持ち家建設の推進策として、財形持ち家個人融資制度を新設すること等を主な内容としております。
 委員会におきましては、異常な物価の高騰による貯蓄の目減り問題を初め、勤労者の住宅建設の負担軽減措置及び公営住宅建設の促進策、財形貯蓄制度の将来の見通し等の諸問題について議論が展開されました。
 質疑を終了し、討論に入りまして、まず、日本社会党、日本共産党の代表がそれぞれ反対、公明党、民社党の代表がそれぞれ賛成の立場を表明しました。
 採決の結果、賛成多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、財形貯蓄の目減り及び貯蓄資産増大を目的とする財政、税制面での優遇措置、持ち家融資の貸付条件の改善、社内預金の管理の適正化等を内容とする附帯決議を付することに決定いたしました。
 以上報告いたします。(拍手)
#64
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#65
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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