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#1
第075回国会 本会議 第17号
昭和五十年六月二十五日(水曜日)
   午前十時三十一分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第十七号
  昭和五十年六月二十五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(昭和四十八
  年度決算の概要について)
 第二 船舶料理士の資格証明に関する条約(第
  六十九号)の締結について承認を求めるの件
  (衆議院送付)
 第三 中小企業近代化促進法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 航空法の一部を改正する法律案(第七十
  一回国会内閣提出、第七十五回国会衆議院送
  付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、北海道開発審議会委員の選挙
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一より第四まで
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(鉄
  道労働組合関係)(衆議院送付)(委員会審査省
  略要求事件)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(国
  鉄労働組合関係)(衆議院送付)(委員会審査省
  略要求事件)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(国
  鉄動力車労働組合関係)(衆議院送付)(委員会
  審査省略要求事件)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
  国鉄施設労働組合関係)(衆議院送付)(委員会
  審査省略要求事件)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
  国鉄動力車労働組合連合会関係)(衆議院送
  付)(委員会審査省略要求事件)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(日
  本電信電話労働組合関係)(衆議院送付)(委員
  会審査省略要求事件)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
  国電気通信労働組合関係)(衆議院送付)(委員
  会審査省略要求事件)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
  日本郵政労働組合関係)(衆議院送付)(委員会
  審査省略要求事件)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
  逓信労働組合関係)(衆議院送付)(委員会審査
  省略要求事件)
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、北海道開発審議会委員一名の選挙を行います。
#4
○安永英雄君 北海道開発審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#5
○細川護熙君 私は、ただいまの安永君の動議に賛成いたします。
#6
○議長(河野謙三君) 安永君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、北海道開発審議会委員に川村清一君を指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#8
○議長(河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、公害等調整委員会委員に上原達郎君、若林清君を、
 土地鑑定委員会委員に有泉亨君、樺山俊夫君、櫛田光男君、黒澤清君、嶋田久吉君、三澤勝君、吉野公治君を、
 中央更生保護審査会委員長に勝田成治君を、
 日本銀行政策委員会委員に小倉武一君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、公害等調整委員会委員、中央更生保護審査会委員長、日本銀行政策委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(河野謙三君) 次に、土地鑑定委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(河野謙三君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(昭和四十八年度決算の概要について)
 大蔵大臣から発言を求められております。発言を許します。大平大蔵大臣。
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(大平正芳君) 昭和四十八年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 昭和四十八年度予算は、昭和四十八年四月十一日に成立いたしました。
 この予算は、わが国経済の国内均衡と対外均衡の調和を図りつつ、長期的視野のもとに国民福祉の充実に努めることを基本として編成されたものであります。
 さらに、その後における人事院勧告の実施に伴う公務員の給与改善等について措置するほか、経済情勢の変化に伴い特に緊要となった経費について所要の措置を講ずるため、昭和四十八年十二月十四日補正予算が成立いたしました。
 この補正によりまして、昭和四十八年度一般会計予算は、歳入歳出とも十五兆二千七百二十六億千六百六十四万五千円となりました。
 以下、昭和四十八年度決算についてその内容を数字を挙げて御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は十六兆七千六百十九億円余、歳出の決算額は十四兆七千七百八十三億円余でありまして、差し引き一兆九千八百三十六億円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和四十九年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、昭和四十八年度における財政法第六条第一項の純剰余金は六千八百九十一億円余となり、財政法第六条第一項の規定によれば、その二分の一を下らない金額を公債または借入金の償還財源に充てなければならないわけでありますが、さきに、本国会において御審議いただきました昭和四十八年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律に基づき、その五分の一を下らない額に相当する金額を公債等の償還財源に充てなければならないこととなるわけであります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額十五兆二千七百二十六億円余に比べて一兆四千八百九十三億円余の増加となるのでありますが、その増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額六千四百二十億円余が含まれておりますので、それを差し引きますと、昭和四十八年度の歳入の純増加額は八千四百七十三億円余となるのであります。その内訳は、租税及び印紙収入、雑収入等の増加額八千九百十一億円余、公債金における減少額四百三十八億円となっております。
 一方、歳出につきましては、予算額十五兆二千七百二十六億円余に、昭和四十七年度からの繰越額千八百六十五億円余を加えました歳出予算現額十五兆四千五百九十二億円余に対しまして、支出済み歳出額は十四兆七千七百八十三億円余でありまして、その差額六千八百九億円余のうち、昭和四十九年度に繰り越しました額は五千六百十三億円余となっており、不用となりました額は千百九十五億円余となっております。
 次に、予備費でありますが、昭和四十八年度一般会計における予備費の予算額は六百五十億円であり、その使用額は六百四十九億円余であります。
 次に、昭和四十八年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十一でありまして、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。
 なお、これらの特別会計の歳入歳出の決算額を合計いたしますと、歳入決算において二十七兆千三百七億円余、歳出決算において二十三兆百六十五億円余であります。
 次に、昭和四十八年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は十三兆六千二億円余でありまして、その資金からの歳入への組み入れ額等は十三兆五千七百八億円余でありまして、差し引き二百九十三億円余が昭和四十八年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。
 次に、昭和四十八年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。
 以上、昭和四十八年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。
 なお、昭和四十七年度及び昭和四十八年度の特別会計歳入歳出決算に添付して国会に提出いたしました輸出保険特別会計の財務諸表等につきまして、保険料計算事務の遅滞のため、計数の一部に推計額を含んだまま作成いたしましたことは、まことに遺憾でございます。
 これにつきましては、去る四月二十五日付をもちまして訂正をお願いいたしましたが、今後、このような事態が再び生ずることのないよう、より一層配慮してまいる所存でありますことを申し添えます。(拍手)
#14
○議長(河野謙三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小山一平君。
   〔小山一平君登壇、拍手〕
#15
○小山一平君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十八年度決算外二件について、三木総理初め関係大臣に質問いたします。
 まず、昭和四十八年度の財政・経済運営についてどのような反省を持っておられるかをただしたいと思います。
 申すまでもなく、昭和四十八年度予算は田中前総理による初めての自前の本予算でありました。予算を編成するに当たっての政策目標と言うべきものは、国際収支の均衡、物価の安定、国民福祉の向上であります。特に、物価の安定、福祉の向上は、国民にとって最大の期待と願望であり、政府にとっては、最高の政治課題であったはずであります。
 田中内閣はあえて超大型予算を編成いたしました。一般会計十四兆二千八百四十億円で、前年度当初予算比二四・六%の増、また、財政投融資六兆九千二百四十八億円で、前年度当初計画比二八・三%増と、それぞれドルショック後の景気浮揚をねらった昭和四十七年度予算を上回る伸び率を示すものでありました。
 この大型予算は、日本経済や国民生活にどのような効果や影響をもたらしたでしょうか。一口に言えば、狂乱物価と呼ばれる悪性インフレをつくり出し、大企業の悪徳商法と国民生活の極端な混乱を引き起こす大きな要因となったのであります。
 昭和四十七年、田中内閣の出現とともに、登場した列島改造論と、円対策のためにとられた調整インフレ政策によって、ただでさえインフレ基調にあって、四十八年を迎えたときには明確に過熱の徴候を示していた日本の経済は、この大型財政によってさらに物価の高騰に拍車がかけられ、四十八年度の財政運営は、経済白書も指摘いたしておりますように、出発早々から大きな壁に突き当たっていたのであります。政府はこれに対処するため公共事業の繰り延べのほか、公定歩合の引き上げ、預金準備率の引き上げ、窓口規制の強化など金融引き締め策をとったにもかかわらず、物価の上昇はやまなかったのであります。そして、十月の中東戦争を契機としてもたらされましたいわゆる石油危機は、商社や大企業の買い占め、売り惜しみを誘発し、石油を初め諸物資の不足、狂乱物価というパニック状態が国民生活を襲うことになりました。田中内閣は、これを単なる海外要因と片づけ、いわゆる石油二法などで急場をしのごうとしたのでありますが、即効薬となるはずもなく、石油業界や大企業は、千載一遇の好機とばかりに、便乗値上げによる不当利得の獲得に狂奔するありさまだったのであります。また、住宅や社会福祉施設、教育施設は、資材や用地費の高騰によって、その計画は大きく後退し、年金その他社会保障関係におきましても、予算額における若干の増額や制度の改正がありましたが、インフレ物価高騰でその措置も無に帰し、老人、母子家庭、生活保護世帯、心身障害者等社会的弱者に最大の犠牲をかけることになり、社会的不公正を極度に拡大いたしました。
 このような事態は、田中内閣が声を大にして売り込んだ福祉経済への歴史的転換による福祉元年というかけ声を全くむなしいものにし、国民の期待と願望を裏切り、不信と不満の声は日本全土を覆うことになったのであります。国際収支については、基礎的収支において約百三十億ドルもの赤字を出し、国際収支の均衡は保たれず、円相場の安定も確保できなかったのでございます。かくして、昭和四十八年度の財政に課せられた三つの政策目標は、以前から識者やわれわれが懸念をしていたとおりすべて破綻し、インフレとその弊害のみを残して、そのしわ寄せはすべて国民に持ち込まれるという結果を招いたのであります。大企業の横暴を許し、弱い者を苦しめる大企業優先の政治、経済の実態をここにはっきり見たのであります。このように財政経済運営を誤ったことは明白でありまして、田中内閣の責任でありますが、田中内閣成立以来、副総理の要職を占めていられた三木総理もその責任を免れることはできません。四十八年度財政経済運営に対する総理の御所見を明らかにしていただきたいのであります。また、総理はどのように反省し責任を感じておられるかを伺いたいと思います。
 また、田中前総理がいわゆる金脈問題で退陣されたのは、田中氏個人の金権的体質と権力の乱用が世の指弾を浴びたことによるものではありますが、税金問題や資産形成の経過等について、国会において十分な調査を尽くしその真相を明らかにすることが政治や税務行政に対する国民の信頼を得る道であるにもかかわらず、三木総理、大平大蔵大臣ともに国税庁官僚の守秘義務を盾とする資料の提出拒否、国政調査権の軽視等を許し、田中前総理のみずから資産内容を公表するという言明も今日まで実行されず、結果において、検察当局により関連企業一部の違反行為が起訴されるにとどまり、田中前総理及びその周辺の人々に多くの疑惑を残したまま、うやむやにするようなおそれなしといたしません。
 決算委員会は、引き続き四十八年度決算審議の中でこの問題を調査することにいたしておりますが、このままでは政治に対する国民の不信を助長し、クリーンを売り物にしている三木内閣の政治モラルにきずがつくと思うのでありますが、いかがでありますか、総理の御所見と今後の方針について承りたいと思います。
 なお、以上の諸点については大蔵大臣からもその見解を承りたいと思います。
 次に、対外経済協力について外務大臣にお伺いいたします。
 昭和四十八年の石油危機を契機といたしまして、対中近東を主軸とする産油国外交が脚光を浴びてまいりました。従来からの政府の外交姿勢は、対米追従、対先進国優先であり、中近東に対してはきわめて冷淡な態度をとってまいりました。しかし、原油供給をめぐって特にOAPEC加盟国の強硬な態度にあわてた政府は、四十八年十二月以降、当時の三木副総理、中曽根通産相、小坂善太郎氏等を特使として中近東に派遣し、経済技術協力の見返りに石油の安定的供給を要請してまいったのでありますが、将来にわたって産油国との関係及び石油の供給関係はわが国死活の問題であることは明らかであります。にもかかわらず、日本の経済技術協力の実行は遅々としてはかどらないようであります。たとえば、石油供給先の大手であるイランの石油化学プロジェクト、サウジアラビアの銅鉱山開発など、日本が協力を約束した大型プロジェクトが、政府ベースと民間ベースとの違いはございますが、なかなか実効が上がらないのはなぜでございますか。その実情と見解を伺いたいのであります。また、これに関連して、ごく最近、河本通産大臣の中近東訪問をめぐって、外務省と通産省の対立が伝えられております。対外経済技術協力の資金は、国民の税金とか財投資金で行われるのが主でありますから、その使途は国益に寄与するように効率的に使われることはもちろんでありますが、約束したことは、実行することによって国際的信頼とその地位の安定を図らなければなりません。こういう初歩的な論理さえ通用しない政府の外交姿勢や閣内不統一の姿は問題でございます。発展途上国に対するわが国の外交は、常に自国の経済力を過信し、相手国の立場や民族感情を無視して反日感情を激化させてまいりましたが、現在もなおその姿勢は改まっていないのではないかと思われます。これらの点についての見解と御所見を承りたいと思います。
 次に、昭和四十八年八月八日には、金大中事件という世にも不思議な事件が日本国内で白昼堂々と行われました。以後、太刀川、早川逮捕事件、文世光事件と、奇々怪々な事件が次々と起きており、いずれも朴政権の恐るべき弾圧と陰謀であるとの観測も行われているのであります。金大中事件のようにわが国主権にもかかわる事件を初め、これらの事件について日本政府は、民主主義をじゅうりんし強権による弾圧に狂奔している朴独裁政権に対し屈辱的姿勢をとってきたことはまことに遺憾でございます。日韓関係の経済協力は見直しを必要とする局面を迎えております。特に最近ではインドシナの政情の急変などがあって、対韓問題は慎重を要するのであります。南ベトナムのかいらい政権に対する有償・無償の援助だけでも約三百三十億円に上る供与実行額でありますが、この経済協力の功罪が問われなければなりません。韓国に対する経済協力も、朴政権の腐敗や不正が問題となっており、国費のむだ遣いと朝鮮民族に対する犯罪的行為に終わりかねないことを指摘しておきたいのであります。また、崩壊の運命をたどろうとする反動特定政権のてこ入れにすぎないのではないかという心配もございます。したがって、これらの疑いがある限り、対韓経済協力は当分これを見合わせるべきであると思います。政府は、当分見合わせるという約束をこの場でしていただきたいと思いますが、所信を承りたいのであります。
 日本が、分断国家に対し、一方を敵視し一方に加担してきた外交政策は、ベトナムにおける民族統一の偉大な勝利によって、それが誤りであることが明らかになりました。アメリカのベトナム侵略戦争に追従して、巨額の国費を浪費したばかりでなく、国際正義に反し、世界の歴史の流れにさお差すばかげた役割りを演じたことに対し、どのように反省しておられますか。政策の転換等、今後どのように処していこうとしていらっしゃいますか。御答弁を求めたいと思います。
 また、朴政権は、朝鮮民主主義人民共和国の武力侵略を宣伝しておりますが、政府はまさかこれを信用するはずはないと思います。朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視政策は早急に転換し、友好関係の促進を図るべきであると思いますが、政府の御見解を承りたいのであります。
 次に、財政の執行について大蔵大臣に伺います。昭和四十八年度の財政執行について見ますと、会計検査院の検査報告によりましても、件数にして百七十六件、金額にして十三億九千万円余りの不当事項が指摘されております。大蔵大臣も御承知のように、これらの不当事項は氷山の一角であり、毎年のように租税収入の徴税額に過大な過不足があったり、補助事業を初めとする支出面でのむだ遣い、行政の監督責任の体制的欠陥などが指摘されております。一体これらをどう受けとめておられますか。大蔵省は予算を組み、それを配賦したら後は知らぬという態度は許されません。会計法第四十六条には、大蔵省の監査が規定されているのでありますが、どのように監査の任を果たしておられますか、この点についてもお答え願いたいと思います。
 次に、四十八年度一般会計決算額は、歳入歳出差し引き一兆九千八百三十六億円の大幅な歳入超過となっています。この大幅な歳入超過の中には、公債発行による収入が一兆七千六百六十二億円含まれております。財政執行の繰り延べ策等による四十九年度への予算の繰越額五千六百十三億円、地方交付金等の財源に充当すべき二千七百七十七億円を差し引きましても、なお一兆一千四百四十六億円の剰余金となります。公債という名の借金をし、金利を支払いながら、一兆円をオーバーする巨額な剰余金を出すというのは国費のむだ遣いにはならないでしょうか。経済見通しを誤り、歳入見通しが甘かったことと公債発行を安易に考えた点に問題があると思いますが、政府の御見解を承りたいのであります。
 また、四十九年度は歳入欠陥を出しましたが、五十年度は年度早々から巨額の歳入欠陥が取りざたされております。本年度の経済及び歳入の見通しにおいて見込み違いの心配はないのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
 また、公債発行のうわさも出ておりますが、政府の公債発行に対する基本的な考え方と公債発行に対する今後の方針についてお伺いしておきたいのであります。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(三木武夫君) 小山議員の御質問にお答えをいたします。
 昭和四十八年度の財政経済運営が誤ったのではないかという御質問でございます。昭和四十七年度から八年度にかけての経済混乱につきましては、国際通貨制度の動揺あるいは石油危機などの海外の要因が大きかったことも事実でございます。しかし、いわゆるこの過剰流動性対策が結果的に見て適切でなかったという経済運営については、必ずしも妥当でなかった点は、これは率直に反省をいたします。したがって、三木内閣としては、物価安定を最重点政策といたしまして、今年三月末には一五%以下に消費者物価を抑えるという公約を果たしたわけでございますが、しかしさらに、一五%以下ということでも消費者物価としてはこれは正常な状態ではございませんから、さらに適正な物価安定を図るために、総需要抑制政策を伴うこの景気の過熱を抑えながら、一方においては不況対策なども講じて安定成長を図るように日本経済を持っていきたい、こういうことによって過去の反省を生かしていきたいと考えておるわけでございます。
 第二の御質問は、いわゆる田中金脈問題という点について政府はどう対処していくのかということでございます。前総理といえども、法律の前において平等であることに変わりはございません。したがって、政府は法規に照らして国税庁関係においては調査をいたしておりましたが、処理は終わりましたが、なお未処理の問題については適切な処置をいたしたい。しかし、小山議員の御指摘のごとく、政治家は、法律ばかりではありません、政治のモラルの問題もございますから、この点については田中氏自身が国民の前に真相を明らかにして理解を求めたいという約束をいたしておりますから、そういう日が一日も早く実現をして、国民の疑惑というものが一掃されることを私は期待をいたすものでございます。
 また、石油危機の際に私は中東に参りました。中曽根あるいは小坂両大臣等も参ったわけでございますが、御指摘の経済協力案件については、プロジェクトの選定などにいろいろ時間がかかって、まだ協議中のものでありますので、交換公文の締結には至っていない問題もございますが、エジプトとの商品援助とか、スエズ運河の円借款とか、ジョルダンの電話やアルジェリアのテレコミュニケーションのプロジェクトについてはすでに交換公文を締結しており、また、イラクとの経済技術協力協定も締結されましたし、今年三月でありましたか、サウジアラビアとの経済技術協力協定も締結を見たわけでございます。そういう意味で、私どもが中東に参りまして先方の政府と約束したことは、着々と実行されております。
 ただ、民間協力の面につきましては、必ずしも予定したとおりにいかないということは、これは民間同士の話し合いでありますから、今後、そういう民間協力の面では、政府もできるだけ協力をしてそういう問題の解決を図っていく次第でございます。今後とも、中東関係は、何と申しても日本の石油の供給地としてきわめて重要な国々でございますから、われわれは約束したことは必ず守るということで、中東諸国と日本との信頼関係を維持してまいることに努めたいという所存でございます。
 また、分裂国家の問題についていろいろ御発言がございました。分裂国家の一方を敵視するということは、これは誤っているではないかということでございますが、日本は、どこの国に対しても敵視政策というのはとってないわけであります。しかし、分裂の国家については歴史的な経過があるわけです。これは第二次大戦後こういう形が初めて生まれてきた。一方の国とは外交関係を有して、他方の国とはまだ承認してない場合もあり得るわけです。この承認をしてないことがすなわち敵視をしておると言うことは、私は当たらないと思うのでございます。現に、東独でありますとか、北越については外交関係を設定をいたしました。また、北鮮との間には人間、文化、スポーツ、経済等の交流を積み上げていって、可能な限り友好関係を維持していきたいという政策をとっておることは御承知のとおりでございます。今後とも、日本の平和共存ということが日本外交の一つの基礎になっておるものでございますから、いかに政治の体制が異なっても、あらゆる国との友好関係は増進をしてまいる方針でございます。
 また、南ベトナム援助について、それは南ベトナムの民族統一を妨害するような結果になったのではないかということでございましたが、わが国のこの南ベトナム援助は、特定の政権を支持するというためではなくして、南ベトナムの国民の民生の向上に寄与することを目的としたものであって、その意味においては実績を上げたと思っております。今後とも、新政権のもとに、そういう日本の援助というものが有効に活用をされていくものだと考えております。
 それから、朝鮮の問題について触れておられましたが、やはり、韓国というものは日本の一番の隣国であって、韓国の民生安定、向上というものは、われわれとしてもできるだけの協力をいたすことが適当であると考えますので、韓国の国民経済の発展に貢献するという見地から従来実施してきたわけでございまして、今後ともこの方針のもとに韓国側の要請を十分に検討を行っていく方針でございます。
 北鮮については、先ほども申し上げましたごとく、今後、北鮮の承認問題は、朝鮮半島をめぐる国際情勢の推移を十分に見きわめて慎重に対処してまいる所存でございます。現情勢のもとでは、当面、北朝鮮を承認するという考え方は政府は持っていないわけでございます。
 以上お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(大平正芳君) 四十八年度の財政経済の運営についての反省、田中金脈問題の処理につきましては総理大臣からお答えがございました。けれども、私からも見解を述べろということでございますので、簡単に考えておるところをお答えいたします。
 四十八年度におきまして政府が大型な予算を組みましたことは御指摘のとおりでございまして、これは内外にわたりましてわが国の経済の均衡を維持して、生産第一主義から福祉第一主義への転換の年にしようという善意の願望を持ちまして組んだ予算でございましたことは御案内のとおりであります。しかしながら、またそれができる環境でもあったわけでございますが、不幸にいたしまして、途中におきまして石油危機に代表されるような対外要因の急激な変化がございまして、この遂行が阻まれたわけでございます。したがって、政府といたしましては、直ちに財政金融を軸といたしまする総需要制抑策を講じましてこれに対応してまいって、前内閣の末期から、すでに御案内のように物価の鎮静が始まっておりますことでございますので、政府の苦心のありましたことも御理解をいただきたいと思います。
 それから、第二の田中金脈問題でございますが、政府といたしましては、この問題につきましては、与えられた権限を駆使いたしまして事実を精細に調査して、その結果について厳正な処理を行ったつもりでございます。国税関係につきましても必要な措置をすでに完了いたしたわけでございます。政府の方針といたしましては、田中さんであろうとどなたであろうと、一納税者といたしまして処理するという方針を終始貫いたわけでございます。したがって、守秘義務につきまして、特定の地位にあるお方だから例外を認めるという措置は講じなかったわけでございます。これは国税庁に寄せられている国民の期待にこたえるために、職務上知り得た秘密は口外しないということをかたくなに貫いたわけでございますが、これは申告納税制度を国民の信頼のもとで維持したいという一念でございまして、田中金脈問題を隠蔽しようなんという根性でないことは御理解をいただきたいと思います。
 それから、第三の財政の執行でございますが、小山さんも御指摘のように、会計検査院から多数の不当事項の指摘がございまして、私どもも大変責任を感じておるわけでございます。これに対しまして、財政当局といたしましては、会計検査院、行政管理庁等と協力し、また各省庁の内部監査の充実と相まちまして、不当事項の再発防止のために懸命に努力をいたしておるところでございます。
 それから四十八年度たくさんの剰余金を出しながら、同時にたくさんの公債を出すということになっておることに対しての御指摘がございました。御指摘のとおりでございます、事実は。しかしながら、四十八年度補正のときに五千三百億の公債の発行減、二月末で四百三十八億円の発行の減額をいたしたわけでございますけれども、三月の確定申告が、われわれ予想以上にたくさんの申告がございました。とりわけ、土地の譲渡所得が大変ふえた年でございまして、そういったことが三月末に結果いたしたわけでございますので、三月末までに発行する公債によってそれを調整できなかったことは技術上の理由でございますことを御了解いただきたいと思います。
 それから次に、四十九年度の見込み違いが大きく出たが、五十年度の見込み違いが起こるのではないかという御指摘でございました。御指摘のように、四十九年度七千六百八十六億円という税の減収が生じましたことはまことに遺憾に存じておるわけでございますが、そのときのデータを基礎にいたしまして五十年度の歳入予算を組み立てておりまする関係上、小山さん御指摘のように、五十年度に歳入不足が生じないという保証はないわけでございます。したがって、私どもことしはよほど緊張した財政の運営を図ってまいらなければならないと考えておるわけでございますが、年度が始まったばかりでございますので、いましばらく時間の経過を見さしていただきまして、この問題の処理に対応するにつきましては、十分の用意を持ちまして対応さしていただきたいと思いますので、いまの段階におきまして、これだけの見込み違いが生ずるであろう、これに対してこのような措置を講ずるということを具体的に御答弁申し上げる用意がないことを御了承いただきたいと思います。
 最後に、公債発行についての考えという御質問でございまして、いろんな手だてを講じましても、結局不足は公債発行によって賄わなければならぬ、ことしのように歳入の不足が憂慮されておるときに、これは公債発行によってつじつまを合わせばいいじゃないかという議論がないわけではございません。しかしながら、政府といたしましては、公債発行に安易に依存してまいりますことは、財政の健全性を破壊し、財政インフレの糸口を開くことに相なりますので、極力警戒していかなければならぬと考えておるわけでございます。したがって、予算の中における公債依存の度合いというものは十分慎重でなければならぬと考えておりまするし、市中で健全に消化できる建設公債の枠をできるだけ守らなければならぬと思っておりまするし、また、公債に対する市場の信用というものを損ねないように、いざとなった場合に公債が発行できるだけの信用を常に保持していかなければいかぬと考えておりますので、あくまでも健全な公債政策というものを堅持すべく、いま極力努力をいたしておるところでございます。
 何分の御協力を願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済協力の関係につきまして、すでに総理大臣からかなり詳しくお答えがございましたので、補足のみをさせていただきます。
 中近東諸国に一昨年の暮れから昨年の一月にかけていたしました経済協力の約束のその後の実行ぶりでございますが、概して申しますと、たとえば商品援助でありますとかあるいは政府関係の公共事業でありますとかは、案の内容が具体化しやすうございますので、それらは比較的早く進行しておりまして、それが、先ほど総理からお話のございましたエジプトの商品援助であるとか、あるいはスエズ運河の円借款でございますとか、電話のプロジェクト、これはジョルダン等でございますが、これらのものは比較的早く円滑に今日までまいっております。
 で、他方で、先ほど御指摘のように、イラン、サウジなどにつきましてかなり長いこと足踏みがございまして御心配をかけておったわけでございますが、サウジにつきましては、今年三月に先方の中央企画庁長官が見えまして、先方の長年の希望でございました経済技術協力協定が締結をされたわけでございます。先方としては、やはりこういう法律上の協定の枠組みの中で接触の場をつくりたいという強い希望でございました。で、私どもそれに応じたわけでございますが、最近に至りまして、サウジのいわゆる五カ年計画がほぼ完成――計画として起草が完了をいたしましたので、五カ年計画に基づきまして、この経済技術協力協定の話し合いの場で話が具体化をしてくるのではないか。ただいまのところ両国とも、そういう場ができましたことで、いわゆる前向きにこの問題に、経済協力の問題に対処できるという考え方を深めております。これはサウジにおいてもそのように観察をいたしております。
 それから、イランでございますが、これも実は長いこと足踏みをいたしましたが、最近になりましてようやく石油化学のプロジェクトの見積もりの見直しというものが両国で合意をいたしました。相当大きなプロジェクトでございますが、近く両国間で交換公文をいたしたいということで、ただいま準備をいたしております。いっとき、多少不信感のようなものがございましたことは事実でございますが、ようやく円滑に動き始めたという感じがいたしております。
 なぜ、しかし、このようなぎくしゃくした状態がいっとき生まれたのであろうかというお尋ねであったわけでございますけれども、やはり、一つは、石油ショック以来の原料あるいは資本財等々の高騰によりまして、見積もりがいっとき困難になったという事情があったように存じます。あるいは前にした見積もりに対して何倍かの新しい見積もりを要するというようなこと、こういう問題が一つございました。これは大体、しかし、ただいま落ちついてまいりましたので、まずまずお互いに客観的に考え得るような見積もりができるような状態になりました。
 それから、もう一つの理由は、やはりお互いにふなれであったということ。ことに、これらの産油国が、大産油国が従来大きな工業のプロジェクトをいたしたことはございません。しかし、こうなりますと、いわば国威をかけて、できるだけ大きなものをやろう。石油化学にいたしましても、鉄鋼にいたしましても、そういう傾向がございまして、しかも、お互い相手の、隣国のことを余り考えずに、自分の国の国威というふうに考えるものでございますから、大きな同じようなプロジェクトが、いわば各国で考えられるというようなことになります。そういたしますと、その将来の需要がどうであろうかということが当然心配されるわけでございますけれども、各国ともなかなかそこまでは考えずに、自分の国の国威というようなことを主体に――無理もないことでありますけれども、――考えやすいといったようなことが、やはりいっときございました。そのようなことが一つのおくれの原因であったのではないかと考えておりますが、だんだんそういうことも、事態を知るにつけまして、お互いになれてまいっておりますので、いっときの足踏みに伴います焦燥感といったようなものは現在なくなりつつあるように考えております。なお、私ども誠実に約束を履行してまいりたいと考えております。
 河本通産大臣が中近東を訪問されるということにつきましては私も承っておりまして、ひとつぜひそうお願いしたいと考えております。この間に両省間の意見の相違はございません。ただ、国会後の御訪問でございますから、七月、八月となりますと、御承知のように、あの地方の国の首脳部はほとんど避暑のために国を出ておりますので、あちらとの会談の約束をいまどのようにいつの時期にいたすかということで、外交ルートを通じまして相談をいたしておるところでございます。
 それから、ベトナムの経済援助につきましても、総理からすでにお答えがあったのでございますが、実情を申しますと、南ベトナムに対しまして私ども今年の初めから経済協力を考えておったわけでございます、九十億円の内容でございますが。しかし、三月から四月になりましてああいう情勢の急変がありまして、南ベトナムでこの経済協力を現実に実行し得る能力というものは、まあ日とともに実は疑わしい状態になりましてああいう結果になったわけでございます。したがいまして、この経済協力はなされないままに現在なっております。
 それから、他方、北ベトナムとは五十億円の無償供与の相談をずっといたしてまいりましたが、さしずめ五十億円ということでございます。インドシナ半島の情勢が急変いたしましたので、いっとき中断をいたしておりました。しかし、ごく最近でございますが、この十日間ほど、その交渉を再開するということになりまして、ラオスのビエンチャンにおきまして、ただいまハノイ政府の代表とわが国の代表とが交渉を再開いたしたところでございます。報告によりますと、交渉はきわめて友好的な雰囲気で行われておるようでございますので、遠からず経済協力の実行、あるいはそれに伴いましてわが国のハノイ大使館開設等々に立ち至るのではないか。当面、いずれにいたしましても、インドシナ半島、ことに南におきましてのこれからの援助の焦点は、とりあえずは難民救済ということを中心に考えてまいりたいというふうに考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(河野謙三君) 田代富士男君。
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
#20
○田代富士男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十八年度の概要説明について若干の質問を行いたいと思います。
 質問の第一は、昭和四十八年度予算の執行の効果を政府はどのようにとらえているかということについてであります。
 昭和四十八年度予算の編成に当たって、政府は、「経済の安定と物価の抑制を図りつつ、国民福祉の向上、国際収支の均衡回復という課題に積極的に取り組まなければならない」という経済見通しに立ちながらも、十四兆七千七百八十三億円という超大型予算を組み、これを執行したのであります。そして、その結果、卸売物価は前年度に比べて二二・六%、消費者物価は一六・一%と大幅に上昇し、消費者物価は世界一高いとまで言われるに至ったのであります。この物価高騰は、当然のことながら国民生活を悪化し、とりわけ老人、身体障害者など社会的弱者と言われる人々の生活を著しく圧迫していったのであります。
 一方、この間における大企業の実態は、それとはきわめて対照的でありました。資本金一億円以上の大企業の申告所得総額は四兆八千九百億円にも上り、前年に比べ三二・三%も増加し、銀行、大企業、商社等は巨大な収益を上げたのであります。もちろん、この狂乱物価の背景には、石油ショックという海外要因が大きく影響を与えているという否めない事実があるでありましょう。しかし、何よりも、主要産業におけるやみカルテルの横行など、独禁秩序を無視し、もうかることなら何でもするという、高度経済成長に浸り切った大企業の需要姿勢こそがその最大の根本原因であるということは、紛れもない事実であります。こうした物価の異常高騰と企業姿勢に対する厳しい批判と、さらには、国民が最も期待した政治不信の回復という大きな課題を担って登場したのがすなわち三木内閣であったはずであります。総理は、いま、三木内閣成立当時におけるそうした立場を踏まえながら、列島改造と高度成長で吹き荒れた田中内閣の時代に編成、執行された昭和四十八年度予算とその決算をいま顧みて、いかなる評価と批判と反省をもって見ておられるのか、まずお伺いしたいと思うのであります。
 また、四十八年当時におけるこうした企業批判の反省から、一つにはいま論議されている独禁法の改正問題が提起されたのでありますが、さらにもう一つ忘れてならないことは、銀行法の改正問題なのであります。大蔵大臣は、すでに五月十四日、金融制度調査会に諮問されたばかりのところと承っておりますが、現在検討を加うべき点はどのような点か、答申を得て改正案を国会に提出する見込みはあるのか、あるとすればその時期はいつかを、この際明らかにしていただきたいのであります。
 第二は、昭和四十八年度決算の中における特に中小企業問題についてであります。初めに、小規模事業に対する政府の援助についてお伺いしたい。
 四十八年度決算において、政府は、小規模事業指導費補助金の歳出予算現額七十六億二千二百七十七万円のうち、使用しなかったものが一・九%に当たる一億四千五百七万円としているのであります。しかるに、中小企業の窮状を最も端的にあらわす倒産件数を見れば、昭和四十八年には、その前の二年間の減少傾向から一変して増勢に転じ、年間八千百五十九件も記録し、これは全倒産件数の九九・五%を占め、さらに資本金五百万円以下の小企業の倒産件数六千七百七十九件は、全倒産件数の八三・一%に相当しているのが実情であります。こうしたことを考えれば、この貴重な補助金のたとえ一・九%といえども使用しなかったということは、まことに遺憾とするものであります。通産大臣にこの間の事情について説明を求めるものであります。
 次に、中小企業設備近代化資金についてお尋ねしたい。
 都道府県が行う中小企業設備近代化融資に対する国の補助金については、会計検査院が毎年度の検査報告でその使途が不当である事例を指摘しており、まことに問題の多い補助金制度であります。しかるに、四十八年度決算には、この補助金について、四十二億一千七百五十万円の歳出予算現額に対して実に二二・四八%に当たる九億四千八百四十四万円という多額の不用額が計上されているのであります。その理由は、決算参照書の説明によれば、都道府県の融資に対する申し込み件数が少なかったことなどによるとされているのであります。政府は、申し込み件数の減少の原因をどう把握しておられるのか。また、減少したとしてそのまま放置できると考えておられるのか。スタグフレーション下の設備近代化融資促進のため、従来の制度よりもっと拡大、充実した特別措置として、本日の日程で成立する予定の中小企業近代化促進法の一部改正法の運用についてどのように臨まれるのか。さらには、高度成長期における中小企業対策から低成長期の中小企業対策への転換の基本方針をどのように考えておられるのか、総理、大蔵大臣並びに通産大臣の所信を伺いたいのであります。
 第三は、いわゆる推計決算の問題についてであります。
 昭和四十七年度と、続く四十八年度の二カ年にわたり、輸出保険特別会計決算に推計金額が記載され、国会に提出されていたのであります。このことは、国民の代表として政府の決算を審査すべき立場にある国会の権威を軽々に見ることに通じ、ひいては政府の予算執行と決算について国民に一層の不信を抱かせることになるものと考えるのであります。かかる不祥事は、明治憲法、現行憲法下を通じ、いまだかつてなかったのであります。まことに遺憾とするものであります。もちろん、このことは、われわれ国政を預かる者としても深刻に受けとめるべきであります。しかし、特に決算の作成者であり、国会への提出者である政府においては、より猛省されるべきであると思うのであります。決算の閣議決定の最高責任者たるべき総理並びに大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
 第四は、会計検査院の検査体制の拡充についてであります。
 憲法第九十条には、「國の収入支出の決算は、すべて毎年會計檢査院がこれを檢査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを國會に提出しなければならない。」と定められております。また、これを受けて、会計検査院法第一条においては、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と規定されており、会計検査院の責務はまことに重要であると言わねばなりません。しかるに、この重責を負う検査院の職務の遂行が十分に保障されているとは言いがたく、早急に改善していかねばならないと考えるものであります。
 すなわち、財政規模は膨張の一途をたどり、一般会計歳出決算額は、昭和四十四年度の六兆九千百七十八億円から、わずか四年後の四十八年度には二倍強の十四兆七千七百八十三億円となり、その傾向は今後ますます顕著になっていくものと思われるのであります。また、検査院が検査した計算書とその証拠書類の量も増大しており、検査対象となるべき官公署の数も、毎年のようにふえ続けているのが実情であります。ところが、検査院の定員は、検査担当職員が多少増加したものの、全体としては戦後一貫して一千百人台の横ばいを続けているのであります。
 検査院は、こうした厳しい制約のもとにありながら、みずからの努力によって検査の質の向上に努めてきており、高く評価できるものと思うのであります。それは、先に挙げた輸出保険特別会計の推計決算の発見など、検査報告の指摘内容の充実傾向によって明らかであります。しかしながら、いかに優秀な検査院といえども、当然そこには限界があることは明らかであります。検査院の業務量の拡大化とその果たしている役割りを考え合わせるならば、さらに組織の拡充強化を図るべきが至当と考えるものであります。三木総理の「量から質への転換」という政治理念はもとより大切にしていただかねばなりませんが、検査院に関する限り、質の確保は当然のこと、量の拡充こそが最も急務であると思うのであります。その実行の成否は、ひいては国会における厳正な決算審査の成否につながり、国民の負託にこたえる道であると言っても決して過言でないと思うのであります。総理の御所見を賜り、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(三木武夫君) 田代君の御質問にお答えをいたします。
 四十八年度の経済運営について政府はどういうふうに反省しておるかということでございますが、さきの小山議員の御質問にもお答えいたしましたごとく、海外の要因が非常に大きく日本経済に影響したことは事実でございますが、過剰流動性対策などに対して、政策の運営について、結果的に見れば適切を欠いたという反省はいたします。そういうことで、インフレというものの高進にも一つの関係を持ったと思いますが、そういう反省を踏まえて、三木内閣のもとでは、どうしてもインフレを克服しなければならぬと、こういうもとに、総需要の管理政策、あるいはまた、そのもとにおいて不況対策なども講じつつ、何とかして物価を定期預金の金利ぐらいの程度までは持っていかなければ経済は安定した姿とは言えないということで努力をいたしておるのは、その反省を踏まえての結果でございます。
 次に、輸出保険特別会計について一部の推計を含む決算を国会に提出した責任、これはまことに相済まぬことだと思っております。決算に対して添付した書類を、推計額を含んで提出したことは、非常にこれは遺憾なことであって、去る四月二十五日だと思いますが、訂正を願ったのでございますが、政府としては、再びこのようなことのないように、われわれとしても十分戒心をいたすつもりでございます。
 それから会計検査院の重要性、これは田代議員の御指摘のとおりだと思います。やはり会計というものが、国民の側から考えても、やはり適正な会計検査院というものの機能というものは、これは非常に重要な問題でございますので、そういう点を認識して、今後とも会計検査院の組織、人事の充実については、会計検査院の意見なども徴しまして、そうして可能な限り予算面で配慮をいたす考えでございます。
 他は関係諸大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(大平正芳君) 銀行法の改正問題についての御質疑でございました。御指摘のように、銀行法は昭和二年にできました、古い、前の立法でございまして、その後、環境が大きく変化してまいりまして、−とりわけ、最近、成長経済の転換、福祉型社会への志向に際会いたしておりますので、この際一遍見直して全面的な改正を図るべきであるという御所見に私も賛成でございます。御指摘のように、五月十四日に金融制度調査会に諮問いたしまして、すでに今日まで二回、総会で論議を願ったのであります。いつまでにこの御審議を願って国会に出すような手はずにするかという御質問でございますが、私といたしましては、相当時間をたっぷりかけて、行き届いた御審議を願った上で国会にお諮りするというようにしなければならぬと思いますので、まだ、いま、いつお願いするかというようなところまでは決めていないのでありまして、じっくり時間をかけて審議を願いたいというのが、いま、私の立場でございます。
 それから第二に、低成長下の中小企業対策についてのお尋ねでございました。中小企業は、そうでなくても体質の弱い関係上、困難な局面に置かれておるわけでございますが、最近のように、仰せのように低成長下になってまいりますと、ますます大きな試練に逢着しておるわけでございます。したがいまして、財政当局といたしましては、まず財政面からその近代化、構造政策に御協力を申し上げねばならぬと思います。五十年度予算におきましても千二百七十八億円という中小企業対策費を計上いたしてあるわけでございますけれども、今後、財政の許す限りその充実を図ってまいらにゃいかぬと考えております。
 第二に、税制面でございますけれども、所得税、法人税等にわたりまして、たとえば事業主の報酬制度でございますとか、特別償却制度あるいは各種の準備金制度等で相当行き届いた配慮をいたしておるわけでございまするし、昭和四十九年の法人税率の改正におきましても、中小法人につきましては、据え置くばかりでなく、その据え置き税率の適用範囲を拡大するという措置も講じておるわけでございます。こういう困難な局面でございますので、税制面からの配慮につきましても、周到に注意してまいるつもりでございます。
 第三の御質問は、輸出信用保険特別会計の不始末でございます。で、この国会に提出いたしまする書類の中に、一部推計数字がありましたこと、大変残念でございます。これは保険料の計算事務が遅滞いたしましたことによるものとはいえ、仰せのとおりゆゆしい問題でございまして、こういうことがあってはならないわけでございまして、通産省におきましても執務体制の刷新をおやりになっておると聞いておりますけれども、政府全体といたしまして官紀を振粛いたしまして、こういったことが起こらないように十分戒めてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手〕
#23
○国務大臣(河本敏夫君) まず初めに、中小企業関係の諸問題でございますが、四十八年度の小規模事業指導費補助金予算額が七十六億円余りであったが、不用額が約一億四千五百万円出ておると、これは約一・九%の比率であって、どういうわけであるかと、こういう御質問でございますが、この金額が不用になりました理由の一つは、石油の危機等が起こりまして諸物価が急に高騰をいたしました。そういうことのために指導施設の建設が見送られると、こういうケースが若干ございまして、このことのために、商工会あるいは商工会議所等の補助金に一部この不用の金額が出たと、こういう次第でございます。しかし、小規模事業対策の重要性にかんがみまして、今後とも十分戒心をいたしまして、予算の有効な活用に努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
 次の御質問は、中小企業の設備の近代化資金及び近代化制度の問題でございますが、この設備近代化制度には、中小企業近代化資金等助成法に基づきまして、設備近代化資金貸付制度及び設備貸与制度の二つがございます。この両制度とも、事業規模は毎年着実に増加しておりまして、中小企業者の要望にはこたえていっておるところでございますが、なお今後とも十分留意をいたしまして、本制度の充実に努力をしてまいる所存でございます。
 さらにまた、この安定成長期の中小企業対策はどうかと、こういうお話でございますが、先ほど大蔵大臣もこれに関連する御答弁がございましたが、通産省といたしましては、この安定成長期にはそれなりにやはりこの中小企業の新しい発展というものがあり得ると、こういう考え方のもとにいろいろ対策を立てておるわけでございますが、今回も、これに関連をいたしまして中小企業近代化促進法を一部改正をすることをいまお願いをしておるわけでございまして、まあこれによりまして、従前は、この近代化の目標といたしまして国際競争力を主眼として指導をしてまいりましたが、今後は、もちろん国際競争力の強化ということも必要でございますけれども、国民生活の安定に重点を移すと、まあこういう考え方のもとに今度の法改正をお願いしたわけでございますが、そういう角度から安定成長期における中小企業対策というものを今後指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
 最後に、輸出保険特別会計の問題でございますが、これも先ほど大蔵大臣が御答弁になりましたとおりでございまして、財務諸表の一部の推計があったということにつきましては、作成の責任者といたしまして深く反省をいたしておるところでございます。その後滞貨の処理に努力を払いました結果、ことしの三月の末には全案件の作業を終了いたしました。それによりまして昭和四十八年度の財務諸表の訂正を行いましたが、今後の対策といたしましては、保険料をできるだけ早く徴収すると、事務処理を改善すると、こういうこと等を中心といたしましていまいろいろ努力をしておるところでございますが、省内にも業務改善委員会というものをつくりまして、この改革のためにいま取り組んでおるところでございます。今後ともこういうことのないように十分気をつけてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(河野謙三君) 加藤進君。
   〔加藤進君登壇、拍手〕
#25
○加藤進君 私は日本共産党を代表して、昭和四十八年度決算について若干の質問をいたします。
 最初の質問は、昭和四十八年度の財政、経済運営こそ、自民党政府の高度経済成長政策を極端に推し進め、日本経済と国民生活に重大な危機を招いたという問題であります。わが党は、四十八年度予算に対して、この予算が国民生活に破壊的な影響をもたらす大企業の超高度成長のための列島改造予算であり、インフレと大企業の横暴を一層はびこらせる予算であることを指摘して、強く反対いたしました。大企業による土地、商品投機と悪性インフレの高進、公害と大規模な自然破壊、農漁業、中小零細企業の経営危機の進行などは、まさに四十八年度予算の執行と経済運営の不可避的な結果であると言わなければなりません。加えて四十八年秋からの石油危機が重なり、時の大蔵大臣福田氏をして「狂乱物価」と形容せしめた情勢となったのであります。大企業の横暴は野放しにされ、あくどい買い占め、売り惜しみなどの悪徳商法が途方もないもうけを上げる一方、卸売物価、消費者物価の大幅上昇などで国民生活が塗炭の苦しみに追いやられたことは周知のとおりであります。
 三木総理、あなたは当時副総理として四十八年度予算の編成とその執行に重大な責任を負うておられる方であります。このような事態をもたらしたその責任について今日どのように考えておられるのか、まず明確な答弁を求めるわけであります。
 次に、大企業の高度成長を促進するための税制、財政、金融の仕組みについて質問いたします。
 たとえば税制では、大蔵省の資料によってすら、四十八年度で資本金一億円以下の中小企業の法人税負担割合が三三・四%であるのに対して、百億円以上の大企業は三二・五%という逆累進になっていることであります。これが大企業の内部留保を大きくふくらませる原因の一つであったことは言うまでもありません。
 総理、あなたが「社会的不公正の是正」を口にされるというなら、いまなお温存されている税制面でのこの逆累進の根絶、準備金、引当金など大企業への特別減免税の廃止など、税制、財政の仕組みの抜本的な転換に踏み切るべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
 ところが、政府の行おうとしているのは、それとは反対に、酒税、物品税率引き上げ、さらに付加価値税の創設など、国民負担を強める政府の計画がいよいよ進行しようとしております。まさにこれは言語道断と言わなければなりません。この点について総理の明快な見解をお伺いいたします。
 また物価問題は、五月の東京都消費者物価を見ても、前年同月比、一四・四%も上昇し、これが大企業製品の値上げの動きと絡んで狂乱物価の再燃さえ危惧されているという状態であります。いま、政府が強行しようとしている酒、たばこ、郵便料金など公共料金の値上げをやめ、大企業製品価格の凍結の措置を直ちにとることこそ緊急な課題だと思うが、三木総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
 次に独禁法の問題であります。独禁法改正は、狂乱物価の元凶である大企業に対して、その横暴を抑えるための国民的要望に基づくものであります。近く、本院に送付される改正案は、政府原案に比べれば一定の改善であります。わが党は、この改正案の審議を十分に尽くして、本国会で成立させるべきだと考えますが、三木総理は自民党内の反対の声を抑えて、あくまで本法案の成立を期するつもりであるかどうか、決意をお伺いしたいのであります。
 次に、対外経済援助についてお伺いします。
 金大中事件は、今回審議中の四十八年度決算とまさに時期を同じくして起こった事件であります。ところが、政府は二年近く経過した今日においてさえ、金大中事件での重大な主権侵害に対して、何ら解決のための措置をもとっておりません。しかも、このような中で日韓定期閣僚会議は断じて開くべきではないし、朴独裁政権てこ入れのための、去る四月に取り決められた二百三十四億円の韓国への新たな借款供与は直ちにやめるべきだと思うが、三木総理はその決意がおありかどうか、お聞きいたします。次に、ベトナム援助についてであります。
 三木内閣は、アメリカのベトナム侵略戦争に協力、加担を強め、ベトナム解放直前に、ベトナム民主共和国との間に進められてまいった無償経済援助五十億の問題についても情勢の急変を理由にして取りやめながら、その一方では、崩壊寸前のチュー政権に九十億円に上る緊急援助協定を結びさらに難民救済と称して五億円の支出を決定するなど、ベトナム人民の民族自決と和解に敵対してまいりました。政府は、いま歴史的な破綻が明白になっておる対米追随の外交を根本的に反省し、べトナム民主共和国に対する五十億円の無償経済援助を直ちに実行すべきであります。また、チュー政権に約束した九十億円を南ベトナム臨時革命政府に対して実施すべきでありますが、その意思があるかどうか、お尋ねいたします。
 最後に四十八年度決算に関連して指摘する必要がある問題は田中金脈問題であります。これまでの審議を通じても明らかにされていたように、その規模の大きさ、醜悪さ、公的地位の利用と詐欺的行為など、わが国政治史上先例のないものであります。すでに本院においても全会一致で政府に対する異例の警告書を採択し、その全貌を明らかにすることを強く求めています。
 そこで、三木総理にお伺いいたしますけれども、警告書に従い、田中金脈の重大な疑惑を絶対にうやむやにさせず、総理みずからが進んで田中氏の国会出席を求め、疑惑解明のために具体的な措置をとられる決意があるかどうかをお伺いしたいと思います。
 田中金脈の中でも私が昭和四十一年国会で初めて取り上げました信濃川河川敷買い占めの問題は最大の事件であり、田中角榮氏の地位利用と詐欺的行為の典型的なものであります。当時、大蔵大臣であった田中氏は、河川法改正についての情報を十分に知り得る立場にあり、その情報に基づいて、幽霊企業である室町産業を設立し、農民から土地を計画的に詐取したものであり、刑法上の詐欺罪に該当すると考えられています。政府は、行政管理庁が現在実施している調査などを通じて田中氏の地位利用、詐欺行為が明らかになれば、法的措置を含めて厳正な措置をとられるかどうか、お聞きいたします。
 また、三木総理は、さきの決算委員会で国民の納得のいく解決を図りたいと言明しておられますけれども、納得のいく解決とは、時価三百億円とも言われる土地をみすみす室町産業に渡すことなく、これらの河川敷を血のにじむ思いで開拓し、耕作を続けてきた農民に直ちに返すべきであると思うが、その点について総理並びに関係大臣の明確な答弁を要求して私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(三木武夫君) 加藤君の御質問にお答えをいたします。
 四十八年度の経済、財政運営に対する責任問題は小山、田代両議員の御質問にも答えましたごとく、いろんな理由はあるにしても、財政金融対策の運営で、結果的に見れば過剰流動性の対策などに対して適切でなかった点を反省している。そういう点で今後、三木内閣がインフレの克服、不況の打開ということに懸命に努力しておることは、そういう反省の上に立った経済政策の転換であると御承知を願いたいのであります。
 また、狂乱物価、生活破壊などをもたらしたと加藤議員は御指摘になる高度経済成長、高度経済成長が安定成長に伴うについては、税制などを根本的に考え直すべきではないかという御指摘でございますが、私は、これは大変な大きな日本の転換期であると。今日までの高度経済成長を適正な安定成長ということに切りかえていって、再び高度経済成長の時代は帰らないんだと、これで日本経済がこの安定成長の中でいろんな国民的な要望を満たしていかなければならぬわけでありますから、これは大変な転換である。そのために税制ばかりに限らず、財政も金融も教育も社会保障も、全般にわたって見直しをせなければならぬ時期だと思います。まあしかし、それには短兵急にはそれだけの大きな転換をできませんから、相当時間をかけて、腰をしっかり据えて、誤りなく日本のこの転換期のかじ取りをやらなければならぬと強く責任を感じておる次第でございます。
 付加価値税をやろうとしておるというようなお話でございましたが、まだそういうふうな段階にはなってはおらないわけでございます。
 また、公共料金についていろいろお話がございましたけれども、公共料金というものを極力抑制したことは御承知のとおりであります。しかし、公共料金を全部据え置きにしてしまって、その後における処理というものは大変にこれは大問題になってくるわけでありますから、最小限度公共料金については利用者に御負担を願うということは政府としてやはり適当であろうということで、最小限度の値上げに対していま国会で御審議を願っておるわけでございます。
 独禁法の改正についてお話がございましたけれども、私は、日本の経済がここまで発展をしてきたということは、自由経済体制のもとに、自由競争というものが非常に日本の各事業家に対して、競い合って創意工夫をこらしたその結果が日本経済のバイタリティというものになったんだと私は信じている。これからも私はそうだと思う。新しい安定成長期における経済の活力は、やはり公正な自由競争のルールを設定して、その中で企業がおのおのやはり創意工夫を発揮するということでなければ、いわゆる一部の人が独占的な形態というものをつくり上げたならば、一部の人はよくても、他の人々は創意工夫が発揮できる余地はない。そういう点で、日本経済が新たなる活力を取り戻すために独禁法の改正は必要であると考えておりますので、ぜひとも参議院においても、会期は非常に少ないけれども、御審議を十分願って、成立を図りたいと願っておる次第でございます。
 金大中事件についてのお話がございましたけれども、御承知のように、金大中氏は合法的に日本に滞在を許された旅行者である、その人権を保護し得なかったことに対して責任を感じておるわけでございますから、金大中氏自身が、完全な市民としての自由を回復することに対して重大な関心を政府は持っておると、韓国政府も、出国を含めて一般市民としての自由を有する旨を韓国政府からの確認を得ておるわけでございます。この確認が完全に実施されることに対してわれわれが今日も関心を持っておるものだということを申し上げておきたいと思うわけでございます。しかし、この問題と日韓の閣僚会議とは直接には結びつきません。しかし、日韓の閣僚会議は、やはり閣僚会議を開く以上は、日韓両国が何か相互理解という一つの環境というものが、好ましい環境のもとに開かれることがよろしいと、韓国は一番近い隣国でありますから、韓国との友好関係を維持していくことは必要であるし、韓国の国民経済の健全な発展を願うものでありますから、そういう意味において両国が話し合うことは非常に必要である。その会議を開くについては、その環境ができるだけ好ましい環境のもとに開きたいということでございます。いま、いつ開くということを時期的に予定はいたしておらないわけでございます。金大中事件の決着までは韓国援助は少し見合わせいというお話でございましたが、政府はこの問題と直接に結びつけては考えていない。
 それから南ベトナムの問題についていろいろお話がございましたけれども、外務大臣の答弁に譲ることにいたします。
 それから、いわゆる田中金脈問題については、先ほども申し上げましたごとく、田中氏が前総理であっても、何人といえども、法の前にこれは平等であることはもう明らかでございますから、法規に照らして今日まで国税庁においても調査をいたし、国税庁の調査は完了いたしましたが、他の法規において十分厳正な処置をいたすことは申すまでもございません。しかし、いろいろなその他の問題については、田中氏自身がみずから、自分の疑惑はみずから解きたいということを約束されておるわけでございますから、政治家として当然のことであると存じますので、そういう機会が一日も早く来ることを私は期待をいたしておるわけでございます。
 また、信濃川の河川敷の問題については、これは国会でもこれほど問題になったわけでございまして、目下建設省あるいは行政管理庁においてもこれを調査するということでございますので、これに対しての処置は、国民の疑惑を受けないような適正な処置をいたしたい考えでございます。
 お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(大平正芳君) 大企業に対する特別措置についての御質疑でございました。この問題につきましては、本院におきましてもたびたび申し上げておりますとおり、現行の租税特別措置は企業の規模――大、中、小、零細にかかわりませず、特定の政策目的を達成するために、税の持っておりまする促進的なあるいは抑止的な機能を活用する制度でございまして、加藤さんがおっしゃるように、逆累進的であると私は考えておりません。ただ、政府としても、これまたたびたび申し上げておりますとおり、これが慢性化するとか、あるいは既得権化するとかいうようなことがないように、毎年これを見直して改正をいたしておるわけでございますし、今後もそういう方針で対処してまいるつもりでございます。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(宮澤喜一君) 韓国関係につきましては、総理大臣から御答弁がございましたので、私からはベトナムの関係について申し上げます。
 九十億円の南ベトナムに対する経済協力でございますが、先ほど小山議員にも申し上げたが、インドシナ半島の情勢があのようになりましたので、本来の援助の目的を達し得ないと考えまして、この金額は支出をいたしてございません。なお数億円――先ほど五億円というふうにおっしゃったように承りましたが、六億円であろうかと思います。これは国際赤十字を通じまして、難民救済のために南越PRG、カンボジアに出しました金額を仰せになったと思いますが、これは国際赤十字にわれわれが難民救済のために拠出をいたしたものでございます。この九十億円をPRGに今度は援助として、経済協力として支出をすべきではないかという御指摘がございましたが、わが国はPRGを承認いたしましたけれども、まだ大使の交換等々、外交関係はそこまで進捗をいたしておりません。今後PRGとわが国とがどのような外交関係を持つかということにも関係をいたしますし、また、PRG自身がこの経済協力を十分にこなすだけの行政能力を持つに至るであろうかどうかということについても、ただいまとしてははっきりいたしておりません。したがって、この点は慎重に推移を見守るべき問題であると思います。
 第三の問題は、ハノイと交渉中のさしずめ五十億円の無償援助の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、二週間ほど前にビエンチャンにおいて交渉が再開されまして、ただいまのところ両者ともまとめ上げたい、友好的な雰囲気で進められておりますので、遠からず御指摘のような方向で実施ができるものというふうに考えております。(拍手)
   〔国務大臣仮谷忠男君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(仮谷忠男君) 信濃川河川敷問題につきましては、しばしば委員会等においてもお答えを申し上げてまいったところでありますが、御承知のように、現在廃川処分に必要な調査を実施中であります。また、新たに行管庁の方でも調査が行われるように相なっておりますので、その処分につきましては、総理の指示等も十分に受けながら、特に慎重を期してまいりたいと存じております。(拍手)
#30
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#31
○議長(河野謙三君) 日程第二 船舶料理士の資格証明に関する条約(第六十九号)の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長二木謙吾君。
   〔二木謙吾君登壇、拍手〕
#32
○二木謙吾君 ただいま議題となりました船舶料理士の資格証明に関する条約につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 この条約は、一九四六年に国際労働機関の総会で採択されたものでありまして、船舶料理士資格証明書を有していない者を船舶料理人として従事させてはならないということを定めるほか、試験の実施及び資格証明書の付与のための一定の要件等について規定しております。
 なお、わが国においては、船員法及びこれに基づく省令により条約の趣旨は充足されております。
 委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#33
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#34
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#35
○議長(河野謙三君) 日程第三 中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長林田悠紀夫君。
   〔林田悠紀夫君登壇、拍手〕
#36
○林田悠紀夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、中小企業をめぐる環境の変化に対応しつつ、業種業態に応じた中小企業の近代化を促進するため、本法の近代化施策の対象業種に国民生活との関連性の高い業種を加えること、特定業種に属する中小企業者が行う構造改善事業を関連事業者と共同して実施できるようにすること、中小企業の新規分野への進出の円滑化を図ること等を主たる内容とするものであります。
 委員会におきましては、参考人の意見を聴取するとともに、本法改正の背景、今日までの中小企業の近代化及び構造改善事業の成果、小規模企業者に対する近代化のための具体的施策を初め、中小企業の現況及び今後の不況対策、大企業の中小企業分野進出等、各般の問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、中小企業関係諸法律の厳正な運用、近代化施策の小規模企業者への一層の配慮、従業員の福祉向上対策の強化、新分野進出先での事業活動の適正な確保等について政府は努力すべき旨の附帯決議が付されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#37
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#38
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#39
○議長(河野謙三君) 日程第四 航空法の一部を改正する法律案(第七十一回国会内閣提出、第七十五回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長宮崎正義君。
   〔宮崎正義君登壇、拍手〕
#40
○宮崎正義君 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本法律案は、最近における航空機の大型化及び航空交通量の増大に対処して、航空交通の安全を確保するとともに、航空機の騒音の減少を図るため所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、航空機の衝突事故を防止するため、航空交通管制を行う空域において操縦練習飛行、曲技飛行等の特殊な飛行を原則として禁止するとともに、一定の空域における航空機の高度変更の禁止、速度の制限等を行うなど航空機の運航に関する規制を強化すること。
 第二に、航空機の操縦者の見張り義務を明確化するとともに、航空機の異常接近が発生した場合の報告を義務づけること。
 第三に、一定の航空機には、航空交通管制用自動応答装置、気象レーダー、飛行記録装置等の装備を義務づけること。
 第四に、自衛隊機に対する規制を強化することとし、以上述べました第一から第三までの規制を、原則として自衛隊機にも適用すること。
 第五に、航空機の操縦を練習する方法に関する規制を強化すること。
 第六に、一定の航空機は、騒音基準適合証明を受けているものでなければ、原則として航空の用に供してはならないことといたしております。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取、現地視察を行うなど慎重に審査いたしましたが、質疑の主なるものは、雫石事故後の航空交通安全対策の実施状況、民間機の航行安全確保の見地から見た米軍機及び自衛隊機との関係、第三次空港整備計画の構想と今後の航空政策、航空機騒音対策についての諸問題、その他航空問題全般にわたり熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して岩間委員より反対、自由民主党を代表して黒住委員より賛成の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#41
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#42
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#43
○議長(河野謙三君) この際、お諮りいたします。
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件(鉄道労働組合関係)
 同 (国鉄労働組合関係)
 同 (国鉄動力車労働組合関係)
 同 (全国鉄施設労働組合関係)
 同 (全国鉄動力車労働組合連合会関係)
 同 (日本電信電話労働組合関係)
 同 (全国電気通信労働組合関係)
 同 (全日本郵政労働組合関係)
 同 (全逓信労働組合関係)
  (いずれも衆議院送付)
 以上九件は、提出者要求のとおり委員会の審査を省略し、日程に追加して、一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 まず、提出者の趣旨説明を求めます。長谷川労働大臣。
   〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件(鉄道労働組合関係)外八件につきまして、一括してその趣旨を御説明申し上げます。
 昭和五十年二月以降、公共企業体等関係労働組合は、昭和五十年四月一日以降の賃金引き上げに関する要求を各公共企業体等当局に対し提出し、団体交渉を重ねてきましたが、解決が困難な事態となり、五月二日から七日にかけて関係組合または当局の申請により公共企業体等労働委員会の調停段階に入り、さらに五月十日同委員会の決議により仲裁手続に移行し、同委員会は、六月九日、日本国有鉄道当局と鉄道労働組合、国鉄労働組合、国鉄動力車労働組合、全国鉄施設労働組合及び全国鉄動力車労働組合連合会、日本電信電話公社当局と日本電信電話労働組合及び全国電気通信労働組合並びに郵政省当局と全日本郵政労働組合及び全逓信労働組合に対し、本件各仲裁裁定を行ったのであります。
 本件各仲裁裁定は、職員の基準内賃金を、本年四月以降、一人当たり基準内賃金の八%相当額に四千六百円を加えた額の原資をもって引き上げることなどを内容とするものであり、現状におきましては、その実施が予算上可能であるとは断定できませんので、本件各仲裁裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められます。よって、同条第二項の規定により、国会の御承認を求める次第であります。
 公共企業体等労働委員会の仲裁裁定につきましては、昭和三十二年以来、いずれも、裁定どおり実施されてきたところであり、政府といたしましては、本件各仲裁裁定につきましても、可及的速やかに裁定どおり実施されることが望ましいと考えますので、一日も早く国会の御承認が得られますよう強く希望する次第であります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願い申し上げます。
#46
○議長(河野謙三君) これより九件を一括して採決いたします。
 九件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#47
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、九件は全会一致をもって承認することに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十人分散会
ソース: 国立国会図書館
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