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#1
第075回国会 本会議 第18号
昭和五十年六月二十七日(金曜日)
   午前十時十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十八号
  昭和五十年六月二十七日
   午前十時開議
 第一 自動車安全運転センター法案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第二 鉄道敷設法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第三 水先法の一部を改正する法律案(衆議院
  提出)
 第四 飼料の品質改善に関する法律の一部を改
  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 商品取引所法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第六 地方交付税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一より第六まで
 一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正す
  る法律案(趣旨説明)
 一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関す
  る法律の一部を改正する法律案(閣法第六五
  号)(趣旨説明)
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 自動車安全運転センター法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。交通安全対策特別委員長吉田忠三郎君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔吉田忠三郎君登壇、拍手〕
#4
○吉田忠三郎君 ただいま議題となりました自動車安全運転センター法案について、交通安全対策特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近の交通事故の減少傾向を定着させるための施策の一環として、自動車安全運転センターを設立し、交通事故等の防止及び自動車の運転者等の利便の増進に資するための業務を行わせようとするものでございます。
 その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、自動車安全運転センターを政府の全額出資により設立すること。
 第二に、本センターの業務として、道路交通法の規定等に違反したことにより、運転者の累積点数が運転免許の効力の停止を受ける直前の段階に達した者に対して、その旨を通知すること。
 運転免許を受けた者の求めに応じ、無事故無違反などの運転経歴を記載した書面を交付すること。
 交通事故の被害者等の求めに応じ、交通事故証明書を交付すること。
 運転免許を受けた者で、高度の運転技能及び知識を必要とする者並びに青少年に対し、運転に関する研修を行うこと。
 安全な運転に必要な技能に関する調査研究を行うこと。
 以上が本センターの業務であります。
 その他、本センターの組織、財務、会計、監督等に関する規定を設けております。
 委員会におきましては、本センター設立の必要性及び今後の運営方針、交通安全対策の実施状況等、交通安全問題全般にわたり熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了いたし、別に討論なく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#5
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(河野謙三君) 日程第二 鉄道敷設法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 日程第三 水先法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長宮崎正義君。
   〔宮崎正義君登壇、拍手〕
#8
○宮崎正義君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、鉄道敷設法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案は、鉄道敷設法の別表に定められている、京都府宮津より河守に至るいわゆる宮守線の終点を福知山まで延長しようとするものであります。
 委員会におきましては、総合的な交通体系から見た国鉄新線建設のあり方、宮守線延長の必要性とその効果等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
 次に、水先法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案は、衆議院運輸委員長提出によるものでありまして、その内容は、船舶交通の安全を確保するため、強制水先の港及び水域のうち一定のものについては、船舶交通の状況等を考慮して、水先人を乗り込ませなければならない船舶を別に政令で定めることができることとしようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院運輸委員長、政府委員に対して質疑が行われましたが、その主なるものは、本改正案提出の背景、水先業務の現況及び今後の拡充強化の方針、その他海上交通安全対策に関する諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
#9
○議長(河野謙三君) これより両案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#11
○議長(河野謙三君) 日程第四 飼料の品質改善に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長佐藤隆君。
   〔佐藤隆君登壇、拍手〕
#12
○佐藤隆君 御報告いたします。
 本法律案は、最近における飼料をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、飼料の安全性の確保を図るため、法律の題名及び目的を改め、定義規定を整備し、飼料及び飼料添加物につき基準または規格を設定してその製造、販売等の規制を行うとともに、飼料の品質の改善に資するため、飼料登録の制度にかえて公定規格適合表示の制度を設け、並びに飼料の栄養成分に関する品質の表示制度の拡充を図る等の改正をしようとするものであります。
 委員会におきましては、飼料、飼料添加物及び畜産物の安全性の確保、飼料の栄養成分等の表示の基準のあり方、試験研究機関及び検査体制などをめぐって各般の質疑が行われ、この間参考人の意見も徴し、慎重に審査を行いました。
 質疑を終わりましたところ、公明党及び日本共産党より修正案が提案され、また、公明党より原案及び日本共産党修正案に反対の討論があり、続いて順次採決の結果、両修正案は賛成少数をもって否決、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、現行の飼料添加物公定書収載品目の見直し等八項目の附帯決議を行いました。
 以上であります。(拍手)
#13
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#14
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決ざれました。
     ―――――・―――――
#15
○議長(河野謙三君) 日程第五 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長林田悠紀夫君。
   〔林田悠紀夫君登壇、拍手〕
#16
○林田悠紀夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、現在の商品取引所制度における弊害を防止し、その改善を図るための措置を講じようとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、商品取引員の受託業務の許可を四年ごとの更新制とするとともに、外務員の行為についての商品取引員の責任を明確化すること。
 第二に、受託業務保証金制度を強化するとともに、商品取引員の受託債務を代位弁済する指定弁済機関の創設等により、商品取引員に対する委託者債権の保全措置を強化すること。
 第三に、商品取引所に対して、大口売買取引について主務大臣への報告を義務づける等、商品市場における売買取引についての監督の強化等であります。
 委員会におきましては、委託者債権の保全、過当投機の多発と紛議の実情、上場商品の適格性等、商品取引所の実情とあり方全般にわたって質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、商品取引所制度の一層の改善、一般大衆の過度な参加の防止及び商品取引所制度についての正しい理解等について政府は努力すべき旨の附帯決議が付されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#17
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#18
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#19
○議長(河野謙三君) 日程第六 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。
 地方行政委員長原文兵衛君。
   〔原文兵衛君登壇、拍手〕
#20
○原文兵衛君 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本法律案は、児童福祉、老人福祉対策の充実等社会福祉水準の向上、教職員定数の増加、教育施設の整備等教育水準の向上、公共施設の計画的な整備並びに過密過疎対策、交通安全対策、消防救急対策等に要する経費の充実を図るため、昭和五十年度の普通交付税の額の算定に用いる単位費用を改定するとともに、臨時土地対策費を基準財政需要額に算入しようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人より意見を聴取する等慎重に審査を行いました。その間、国税三税の歳入不足に伴う交付税の過剰交付分の精算方法、地方交付税率の引き上げを含め一般財源の強化、地方交付税の算定方法の合理化、超過負担の抜本的解消、公営競技収益金の均てん化の方策等について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ることを御了承願います。
 質疑を終わりましたところ、日本共産党を代表し神谷委員より、地方交付税率を八%引き上げて四〇%とするとともに、都等の特例を改める修正案が提出され、次いで日本社会党、公明党を代表して野口委員より、特別交付税の割合の変更、都等の特例の改正、人口急減急増市町村対策としての地方債の元利償還金の基準財政需要額への算入措置を講ずる修正案が提出されました。日本共産党の修正案は経費を伴うものであり、福田自治大臣より、政府としては反対であるとの意見が述べられました。
 討論に入りましたところ、日本社会党を代表して赤桐委員より、日本共産党提出の修正案及び政府原案に反対、自由民主党を代表して金井委員より、政府原案に賛成、両修正案に反対、公明党を代表して上林委員より日本社会党、公明党共同提出の修正案に賛成、日本共産党提出の修正案に反対、修正が行われない場合の政府原案に反対、日本共産党を代表して神谷委員より、政府原案に反対、日本社会党、公明党共同提出の修正案に棄権、日本共産党提出の修正案に賛成の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終わり、日本共産党提出の修正案及び日本社会党、公明党共同提出の修正案についてそれぞれ採決の結果、いずれも賛成少数をもって否決、次いで原案について採決の結果、賛成少数をもって否決され、本案は否決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#21
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#22
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#23
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#24
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十二票
  白色票            百二十票
  青色票            百十二票
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十名
      宮田  輝君    寺下 岩蔵君
      平井 卓志君    吉田  実君
      中西 一郎君    山本茂一郎君
      園田 清充君    山内 一郎君
      久保田藤麿君    前田佳都男君
      最上  進君    望月 邦夫君
      森下  泰君    梶木 又三君
      藤川 一秋君    福岡日出麿君
      鳩山威一郎君    夏目 忠雄君
      永野 嚴雄君    林  ゆう君
      青井 政美君    有田 一寿君
      井上 吉夫君    石破 二朗君
      中村 登美君    藤井 丙午君
      桧垣徳太郎君    原 文兵衛君
      中村 禎二君    高橋 邦雄君
      細川 護煕君    寺本 廣作君
      林田悠紀夫君    佐藤  隆君
      石本  茂君    中山 太郎君
      小林 国司君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    内藤誉三郎君
      玉置 和郎君    高橋雄之助君
      楠  正俊君    岩動 道行君
      西村 尚治君    鍋島 直紹君
      新谷寅三郎君    上原 正吉君
      郡  祐一君    青木 一男君
      迫水 久常君    徳永 正利君
      小川 半次君    八木 一郎君
      丸茂 重貞君    塩見 俊二君
      志村 愛子君    片山 正英君
      柴立 芳文君    嶋崎  均君
      棚辺 四郎君    中村 太郎君
      戸塚 進也君    高橋 誉冨君
      坂野 重信君    斎藤栄三郎君
      糸山英太郎君    岩男 頴一君
      岩上 妙子君    遠藤  要君
      大島 友治君    大鷹 淑子君
      斎藤 十朗君    古賀雷四郎君
      黒住 忠行君    川野 辺静君
      金井 元彦君    今泉 正二君
      土屋 義彦君    山崎 竜男君
      上田  稔君    初村滝一郎君
      長田 裕二君    久次米健太郎君
      鈴木 省吾君    世耕 政隆君
      江藤  智君    藤田 正明君
      大森 久司君    岡本  悟君
      平泉  渉君    橘直  治君
      町村 金五君    加藤 武徳君
      安井  謙君    剱木 亨弘君
      吉武 恵市君    増原 恵吉君
      神田  博君    伊藤 五郎君
      大谷藤之助君    小笠 公韶君
      亘  四郎君    橋本 繁蔵君
      佐藤 信二君    亀井 久興君
      岡田  広君    上條 勝久君
      稲嶺 一郎君    矢野  登君
      安田 隆明君    山崎 五郎君
      高田 浩運君    増田  盛君
      二木 謙吾君    源田  実君
      熊谷太三郎君    植木 光教君
      木村 睦男君    温水 三郎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百十二名
      太田 淳夫君    矢原 秀男君
      野末 陳平君    喜屋武眞榮君
      下村  泰君    塩出 啓典君
      青島 幸男君    市川 房枝君
      内田 善利君    峯山 昭範君
      桑名 義治君    三治 重信君
      上林繁次郎君    阿部 憲一君
      三木 忠雄君    藤原 房雄君
      和田 春生君    栗林 卓司君
      黒柳  明君    矢追 秀彦君
      原田  立君    藤井 恒男君
      木島 則夫君    山田 徹一君
      宮崎 正義君    柏原 ヤス君
      田渕 哲也君    二宮 文造君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      多田 省吾君    中尾 辰義君
      中沢伊登子君    向井 長年君
      福間 知之君    矢田部 理君
      案納  勝君    久保  亘君
      青木 薪次君    野田  哲君
      対馬 孝且君    秦   豊君
      浜本 万三君    赤桐  操君
      大塚  喬君    小山 一平君
      片岡 勝治君    田  英夫君
      宮之原貞光君    鈴木美枝子君
      神沢  浄君    前川  旦君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      村田 秀三君    小野  明君
      野口 忠夫君    栗原 俊夫君
      茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君
      森  勝治君    羽生 三七君
      戸叶  武君    田中寿美子君
      竹田 四郎君    戸田 菊雄君
      森中 守義君    志苫  裕君
      森下 昭司君    近藤 忠孝君
      山中 郁子君    粕谷 照美君
      片山 甚市君    目黒今朝次郎君
      橋本  敦君    安武 洋子君
      内藤  功君    寺田 熊雄君
      辻  一彦君    小巻 敏雄君
      神谷信之助君    小谷  守君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    小笠原貞子君
      立木  洋君    沓脱タケ子君
      鈴木  力君    中村 波男君
      杉山善太郎君    沢田 政治君
      加藤  進君    渡辺  武君
      塚田 大願君    安永 英雄君
      吉田忠三郎君    鶴園 哲夫君
      松永 忠二君    小柳  勇君
      須藤 五郎君    星野  力君
      阿具根 登君    野々山一三君
      中村 英男君    秋山 長造君
      藤田  進君    加瀬  完君
      河田 賢治君    野坂 參三君
      上田耕一郎君    春日 正一君
     ―――――・―――――
#25
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。坂田国務大臣。
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(坂田道太君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊五百十七人、航空自衛隊三百三十六人、計八百五十三人増加するための改正でありまして、海上自衛官の増員は、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛官の増員は、航空機の就役等に伴うものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 これは、航空自衛隊第三航空団の司令部の所在地を愛知県の小牧市から青森県の三沢市へ移転するものでありまして、当該部隊の任務遂行の円滑を図るためであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
#28
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中村太郎君。
   〔中村太郎君登壇、拍手〕
#29
○中村太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま提案されております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、少しく御質問をいたしたいと存ずる次第でございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今日、国防は独立国家の基本である、安全保障は日本の独立と平和の存続にあるという言葉が、果たしてどれほど切実に国民の共感を呼んでおるでありましょうか。残念ながら、きわめてむなしい、うつろな響きしか返ってこないと私は思うのであります。戦後三十年間、アメリカの安全のかさにすっぽり入り込んでしまって、国際緊張をはだで感ずることもなく、高度経済成長に浸り切ってきた日本国民に、自然発生的な国防意識や愛国意識を求めること自体無理であることも了解できます。加えて、戦争経験者としての戦争忌避感、あるいは原爆体験者としての核アレルギー感が意識的に国防から目をそらしてきたことも否定できないところでありましょう。しかし、だからといって、やむを得ないでは済まされない事態に立ち至っておりますことも、これまた事実でございましょう。
 いま、世界の流れは大きく変わろうとしております。ポスト・インドシナ問題は日本の前に大きく立ちはだかってまいりました。インドシナの激変はわれわれに多くの示唆と教訓を与えたと理解しなければなりません。その一つ、自由主義陣営の大宗アメリカは、どう弁解しようとも、同盟国南ベトナムを裏切り、放棄したことは事実であります。このことを思うとき、日本はこのままで大丈夫であろうか。アメリカを信じ切って、すべてをあなた任せで、果たして日本の安全は将来とも保障されるであろうか。独立国である以上、国家の安全をそっくりそのまま他国にゆだねてもいいものであろうか。本来的に、みずからの国はみずからの力で守る独立国家の基本原則を改めて見直す必要はないでありましょうか。これは私どもの素朴な感慨であります。しかし、いずれにせよ、国の安全保障に対する国民のコンセンサスを真剣に求めるときが来たことだけは間違いないと存ずる次第でございます。心情論や戦争怨念論、あるいは平和への期待感、願望論、それだけでは、押し寄せる危険を排除する何らの役割りを果たすものでないことをはっきりこの際自覚しなければならないときが来たと言えると思うのであります。いまこそ国民の防衛意識の喚起を図らなければならないと存じますが、それはしょせん、やはり政府の責任に帰すべきであろうと存ずる次第でございます。しかし、日本の政府はいままで、歴代を含めて、本当に自信を持って国防政策を訴えたでありましょうか。たとえば国会論議の場におきましても、日本国の安全のために真剣に裸になっての論議を尽くしたでありましょうか。ただ単に、国会乗り切りのための手段として、一時逃れの答弁やごまかしに終始したきらいはなかったでありましょうか。あいまいな答弁があいまいを生んで、真実に立ち戻る機会を失ったような傾向はなかったでございましょうか。野党の追及をかわすだけの不毛の論議に終わったのではなかったでありましょうか。核アレルギーの中へ政府自身浸り込んで、核アレルギーそのものを排除する積極的な努力を果たして惜しまなかったでありましょうか。今日、国防問題にベールをかぶせたり、核問題をタブーとする余裕は許されません。避けて、よけて通れる問題でもございません。政府は、この際、真実を国民に訴え、裸になって日本のあるべき国防の姿を示し、その共感を得るための最善の努力を払うべきだと存じますけれども、総理の御所見はいかがでございますか。
 私は、以上の観点に立ちまして、具体的問題について二、三お伺いをいたします。
 まず第一に、南ベトナムの敗北とその影響をどう評価しますか。一部では民族自決の歴史の流れにアメリカが抗し得なかったとも言っております。また反面、国際内戦における共産側の勝利に終わったとも言っております。政府自身、このような評価に対しましてどのようなお考えを持っておられますか。
 さらに、ポスト・インドシナは朝鮮半島であると言われておりますけれども、政府の現状認識はいかがでございますか。韓国の安全は日本の安全につながるとお考えですか。それとも一部意見のように、韓国と日本は全く別個である、韓国の危険に巻き込まれないようにすべきであるという意見もありますけれども、政府は、これらの意見に対しましてどのようにこれから対処するのか、御方針をお伺いをいたしたいと存じます。
 次に、客観情勢の変動に対応するとしまして、今後の日本の防衛の基調をどこに置くか、お尋ねをいたしたいと思います。
 三木総理は、しばしば有事の発生しないように全力を挙げるべきだと強調されております。しかし、この発言は、ともしますると、有事はあり得ないというニュアンスにも受け取られておるわけでございます。有事の回避は万人の願いであります。有事回避への不断の努力を重ねながらも、なおかつ有事予見に立ってこそ国防論は成り立つと言わなければなりません。アメリカのシュレジンジャー国防長官はいみじくも喝破されました。「デタントは与えられるものではない。みずからのたゆまざる国防努力が抑止力となり、デタントになるのであって、この間に対立はあり得ない」と強調されておるのであります。この観点からながめますときに、日本の自衛力はどうあるべきか考えなければなりません。世界最小限の、国民総生産の一%以内に防衛費を抑える、そういう枠組みをつくること自体が果たして妥当でありましょうか。ポスト四次防は、従来のような考え方、テンポでよろしいのでございましょうか。この際、思い切ってポスト四次防を見直すべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
 さらに、防衛の基本は人であります。魂であります。いま、名実ともに冷遇されておりまする自衛隊員の士気高揚の方策を具体的にどうお考えになっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
 次に、日本の自衛力の現状は、残念ながら十分とは言えません。いろんな批判、意見はあろうとも、しょせん、現状では日米安保体制に依存し、アメリカの核抑止力に頼る以外道はないと思うのであります。そうだとすれば、核にはすがるが、核はいやだという甘えが今後とも許されるでしょうか。安保ただ乗りの身勝手な振る舞いで、果たしてアメリカとの信頼のきずなが一層固まることになるでありましょうか。私は、みずからの分に応じてみずからを守る、日本の責任を明確にする、これが第一点、同時に、安保体制が十分に機能するよう、従来タブーとされておった点を明確にする、これが第二点、その上に立って、防衛の機能分担をはじめといたしまして、細部協定を早急に急ぐ必要があると思いますけれども、お考えはいかがでございますか。
 次にお尋ねしたいのは、いま話題になっておりまする核防条約の批准をなぜ急がなければならないかという点でございます。
 申すまでもございません、日本政府は、昭和四十五年二月三日、核防条約の批准のための三要件を閣議決定いたしております。いわく、核保有国の核軍縮、非核保有国の安全保障、原子力平和利用の平等性であります。政府は現在、これらの三要件が完全に具備されたという御認識でありましょうか。御承知のように、五月三十日に終わりました再検討会議におきましても、英国のエコノミスト誌は次のように報道しております。「非核兵器国の要望を満足させる何物もなかった。核兵器国への信頼の欠如が会議の基調であった。大国が力に任せて小国をねじ伏せた会議でもあった」としておるのであります。再検討会議の終わった直後、御案内のように、六月二日、リビアに対しましてソ連が原子炉の提供を発表いたしました。六月の二十七日には、ブラジルと西ドイツの間に原子力協定が締結されました。また一方、韓国に対しまして英国、カナダが原子炉創設に資金援助を申し出たことが発表されました。
 ニューヨークタイムズによれば、近く核武装する予想国として、ブラジル、アルゼンチン、リビア、ベネズエラ、イラン、 エジプト、サウジアラビア、イスラエル、インドネシア、韓国、台湾、パキスタンの十二カ国を名指しております。また、ロンドン国際戦時研究所は、プラトニウムを製造できる実用炉を持つ国は現在二十カ国を超えていると発表しておるのであります。核兵器国は、一方では核拡散防止を唱えながら、一方では核技術の輸出を競っておるのが現状であります。核軍縮は今日定着していない、むしろ、潜在的には核拡大の方向に進んでいるというのが実態だと言われますけれども、外務大臣の御所見はいかがでありますか。
 非核兵器国の安全保障にいたしましても、再検討会議におきまして最終宣言はいたしましたけれども、それはただ単に従来の立場を確認したにとどまっておるわけでございます。常任理事国の拒否権は依然として存在し、何ら実質上の効力は前進しておりません。いまや国際情勢は大きく揺れ動いております。五年先、十年先は予測できません。こういうときに、たとえ批准国が百を数えるに至ったといたしましても、日本は独自の判断でみずからの道を選ぶべきでありましょう。何のために、われわれが結果について責任を負い切れない、行き先二十年間拘束される条約をこの際あえて批准を急がなければならないのか。国際情勢の推移を十分見きわめてからでも遅くはないであろう。かりそめにも、一時の政府の功名心のために将来にわたって過ちを犯すようなことのないよう、私はこの際御要望申し上げると同時に御意見を承っておきたいと思うわけでございます。
 最後に一言申し上げます。私どもはいまの自由主義国日本を守っていきたいのであります。そのために国防はどうあるべきかということを主張しておるのであります。日本の現体制を破壊して社会主義国家を誕生させようとする人たちとはおのずから国防観は異ならざるを得ません。(「そうだ、そのとおりだ」と呼ぶ者あり、拍手)しかし、政府はこれにたじろいてはなりません。堂々と所信を貫いていただきたい。是は是、非は非として毅然たる態度を持してほしいと思います。そうでなければ、国民は国防に対する選択を誤りますことを申し添えまして私の質問を終わります。
   〔国務大臣二木武夫君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(三木武夫君) 中村君の御質問にお答えをいたします。
 国防意識というお話がございましたが、まあ、いずれの国でも国の安全を確保するということが、その国の政策の最優先事項になっておるわけでございます、いかにして国の安全を確保するかということ。日本は大陸国家でもございませんから、島国的な、地理的な条件もあって、国防問題というのはあんまり大きな関心にはなっていない面がございますが、しかし、この問題は重要な問題でございますから、国会の中においても、もう少しきめ細かく防衛問題というものは論じてしかるべきだと思います。そういう意味で、民社党あるいは公明党も、国会の中に安全保障問題を論議する特別の委員会を設置したらどうかという御提案、私は非常にごもっともな提案だと思います。(「やればいいじゃないか」と呼ぶ者あり、笑声)国防問題は、単に軍事面だけではなくして、政治、社会、経済の安定等も国の防衛には、国の安全には影響を持ちますきわめて広範な重要な問題でありますから、国会の中でも論議するような機会があり、政府としても、今後国民の一つの合意を得るように積極的な努力をする考えでございます。
 第二は、南ベトナムの敗北の原因などについてどういうふうに評価するかというお話でございましたが、私は、やはりベトナムのあの情勢を振り返ってみて、そしてやはり最後に物を言うのは民族の意思である、民族の意思というものが最後に物を言う。(「そうだ」と呼ぶ者あり)だから民族自決というものを、これをやはり無視して国の安定はないということを非常に強く感じました。
 もう一つは、国民の生活の安定向上というものがなければ国の混乱を呼び、そのことがまた戦争を呼ぶ一つの大きな動機にもなるわけでありますから、この二つの問題民族自決の原則というものが、これはやはり尊重するということ、(「それだけじゃない」と呼ぶ者あり)国民の生活安定向上を図ると、こういうことが、(「そのとおり」と呼ぶ者あり)今後アジアの安定を図るためにはきわめて重要な要素である。このように南ベトナムにおけるこの情勢の急激な変化を私は見ておるものでございます。
 また、インドシナの情勢と朝鮮半島との関連について御質問がございましたが、朝鮮半島においては、アメリカが米韓の相互防衛条約で、そしてコミットメントを遵守するということをアメリカの首脳部が繰り返し繰り返し言明しているし、先般もフォード大統領が韓国に参りましたときにもそれを述べておりました。また、南ベトナムと韓国では事情が異なっておりますので、インドシナの変化がそのまま朝鮮半島の情勢変化に結びつくとは考えてはいないわけでございます。しかし、朝鮮半島における平和と安定の維持というものがわが国の安全に重要な影響を持つことは、もうこれはだれも否定することはできないわけでございます。やはり朝鮮半島における人たちの願いは、平和的に南北の統一、だと私は思う。この悲願が達成されるということが一番好ましいわけでございまして、一九七二年に南北の共同声明が出て、その精神に沿って南北間の対話が始まったわけですが、いまはまあ停滞をしておるわけでございますが、私は、こういう南北の接触、対話と、あるいはまた相互理解というものが増進をされて、朝鮮半島に緊張がなくなるような事態が起こるようにわれわれとしてもできる限りの努力をしなければならぬと考えております。
 それから、今後のわが国の防衛ということでございますが、中村議員も御指摘になりましたごとく、やはり国土を防衛しようというみずからの意思ということはきわめて大事であります。したがって、日本は国力に相応した自衛力を持つことは当然でございますが、しかし、今日の世界で一国だけで自分の国を防衛できる時代ではないわけであります。どこをごらんになっても、集団安全保障体制が今日のこの防衛体制であります。もう世界のどこを見てもそうであります。したがって、日本はみずからの自衛力を持つと同時に、集団安全保障条約、集団安全保障体制、その一環をなす日米安保によって日本の防衛力をさらに安全なものにしておる。核の脅威に対しては、日本は核兵器を開発しないというわけでありますから、日米安保条約によるアメリカの核の抑止力に依存をすることは当然でございます。
 また、四次防に対してどういうふうに考えておるかということでございますが、わが国の安全を守るために防衛力の整備はきわめて重要でございますが、しかし、防衛力の整備といえども、そのときの経済、財政の事情を無視するわけにはいかないわけでございますから、四十八年度以来の経済、財政事情の変化を考えますれば、四次防の一部については未完成にならざるを得ないと考えております。
 また、日米安保条約を有効化するためにいろんな細部の協定のお話がありましたが、やはりこの日米安保条約は日米の協力ということが根幹になっておるわけでございますから、何かこう防衛分担というような、ここまでは日本、ここまではアメリカの分担というのでなくして、全般としての日米の協力のあり方については絶えずアメリカと話をしなけりゃいかぬ、いままでは話がしな過ぎたと私は思っておるわけでございます。そういう点で、日本には、やはり協力といっても、できることとできないことがある。限界があるわけです。その限界をお互いに明らかにしてないと、お互いの不信感情が起こることは協力にひびが入るわけでありますから、そういう意味で、細部の協定というようなことは考えておりませんが、絶えず協力のあり方について話し合う必要があると考えておる次第でございます。
 また、核防条約の批准をどうして急ぐかということでございますが、まあ中村議員も振り返ってお考えになってみればわかりますように、日本は広島、長崎で原爆の被害を受けたわけです。そのときの願いは、核の脅威のない世界をつくりたいというのが国民の願いであったわけです。また、その敗戦で虚脱状態になった国民が平和国家で一遍日本を再建しようということが新しいエネルギーを国民に与えたのである、この初心を日本は忘れては私はならぬと思うのであります。再び日本は核兵器を開発しては、私はならぬと思っております。そういうことであるとするならば、そういう決心を持っておるとするならば、やはり日本がこの核防条約の条約に対して、日本が五年ぐらい前ですね、五年前に調印をしておいていまだに批准をしないということはなかなか国際的には説明がつかないんであります、核兵器を開発しないと思っているんですから。いま核兵器を持っておる国を固定化するという不平等性はありますが、だからと言って、核兵器がもう世界に拡散されていいというわけではないわけですから。このいま持っている核兵器の国々に対しては、核軍縮を日本が一方から強く促進をしていくと。そして、できるだけもういまの五カ国以上に核兵器を保有する国々がふえないように――日本は核兵器をつくろうと思ったらつくれる国ですから、このつくれる国がみずからつくらないという決意をするということは、日本は大きな発言力を持ちます。その発言力に後ろめたさのない発言力を国際的に持つことが、平和外交を推進する上に私は必要である。日本と同じような立場であるドイツもすでに批准をいたしたわけでございますから、そういう意味で、私は、日本が一番問題にしておった原子力の平和利用に対して不平等な差別を受けるのではないかというような点は解消をされて、欧州のユーラトム――原子力機構と同じような査察の待遇を受けることになったわけでございますから、一番不安になった問題が解消したんですから、この問題は国会において御審議を願って、そうして結論を出していただきたいと願うわけでございます。これこそが日本の平和外交の出発点になる。そういうことがないと、いろいろ平和外交を言っても、自分のやることというものに対して一点の後めたさもない発言力を日本が持つことが必要である、こういう感じでございます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(坂田道太君) 中村議員にお答えをいたします。
 日本の防衛ということを考えました場合に、何が一番大事かと言うならば、やはり国民の理解と支持と協力、これがなければどんなに優秀な兵器、船、戦車、あるいは飛行機を持ちましても日本の防衛を全うできないというふうに私は考えます。
 私は三つのことを考えているんです。
 一つは、やはり国民の抵抗意思と申しますか、拒否意思と申しますか、それを持つということ。国を守るという気概が国民に失われたらだめだと思っています。これはベトナムの教訓としても考えなければならないと思います。
 二番目には、自衛のために必要最小限度の防衛力は持たなければならないと思っています。
 三番目には、核の攻撃、これには無力であります。したがいまして、三木総理がたびたびお答えをいたしておりまするように、わが国は非核三原則を堅持いたしております。したがいまして、どうしても日米安保条約がなければ日本の独立は全うできません。お互いの生存と自由というものを守ることはできません。私は、この三つの柱の一つを欠いても日本の国防は全うできないと考えております。(拍手)
 経済の低成長下における防衛費のあり方についてのお尋ねでございますが、防衛力の整備は長期間を要しますので、平素から計画的に進めていく必要があると思います。この場合、基本的には、一方で他国に脅威を与えないよう、他方では社会福祉などの民生諸施策を圧迫しないよう、十分配慮しながら防衛力の整備を計画的に着実に進めたいと考えております。
 ポスト四次防計画につきましては、現在検討中の段階でございますからここで詳しくは申し上げにくいのでございますが、しかし、GNPのやはり一%以内にとどめたいと考えております。
 ポスト四次防の方針についてでございますが、大幅な増強は困難でございます。しかし、老朽化していく装備品の更新、近代化等、効率的に行うということ、隊員の処遇改善を推進するということ、防衛施設等の攻撃に対する耐久性の向上に努めること――抗たん性という言葉で言っております。民生協力体制を整備することのいわゆる質的向上を重点としたものになるだろうと思います。
 それから四次防の完遂をどう考えておるかということでございますが、主要項目の一部につきましては未達成となることは避けられない状況でございますが、わが国の平和と安全を守るために防衛力の整備が国の重要な施策であることは論をまたないことでございまして、四十八年以来の経済、財政事情の変化を考慮すれば、これもやむを得ないものと考えております。
 隊員の士気高揚の方策でございますが、平素からこれは最も重要なことだと考えております。隊舎の改善、そのとおりでございます。宿舎の整備、任期制隊員の特別退職手当の増額、退職予定隊員に対する技能訓練の強化などを考えております。陸上自衛隊の意識調査を最近結果が発表になりましたが、隊員の約四分の三が毎日の仕事に生きがいを感じておるという答えでございまして、一応この結果に私は満足をいたしております。今後とも処遇の改善、教育訓練充実等の施策を推進して、自衛隊に対する国民の理解と信頼を高めるよう努力するつもりでございます。
 それから、防衛分担協定を早急に取り決めるべきではないかという御質問でございます。すでにこれは総理からお答えになりましたが、有事に際しましては、自衛隊と米軍が整合のとれた作戦行動を実施し、効果的な対処行動がとれるよう、平素から日米両国の防衛の責任者同士が直接意見を交換をし率直な会話を絶やさないようにすることが必要でございますし、将来要すれば、わが国防衛のための日米協力に関する何らかの合意を得ておきたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(宮澤喜一君) ベトナムの敗因の問題と韓国とわが国との関連につきましては総理大臣から御答弁がございました。省略をいたします。
 核防条約についても総理から御答弁がございましたが、その中で補足をいたすべき点は、いわゆる核軍縮の進行が満足なものであるかどうかということについての問題でございます。この点は、見る立場によって判断が分かれるところでございますけれども、米ソ間に関して申しますならば、政府としては、不満足ではあるけれども、努力の跡は認められるというふうに申し上げるべきかと考えております。すなわち、この条約ができましてから以後、米ソ間に核軍縮あるいは軍縮一般をめぐりまして、数個の条約、取り決め等が現実に結ばれておりますし、またSALTの交渉もとにかく第二段階にまで来ておるということでございます。もっともっと、われわれの立場から申せば、早いテンポで、大きな幅でやってもらいたいということは確かにそうでありますし、われわれも軍縮委員会等ではそういう主張をいたしておりますが、事柄の性質上、多少やはりこういうことには時間がかかる、傾向として軍縮の方に向かっているという点をとらえて、まず、不満足ではあるが、努力の跡は認められると申し上げるべきではないかと考えております。
 それは米ソ間の問題でございますが、もう一つ御指摘になりましたのは、今度は原子炉を供与いたします場合に、それがやがて供与を受けた国の核軍備につながらないかという問題でございます。アメリカのニクソン大統領の時代に、イスラエル、エジプト等に炉の供与を約束をいたしたわけでございますけれども、これは今日まで、御承知のように実現を見ておりません。と申しますのは、その後米国内でいわゆる保障措置――セーフガードにつきまして心配が起こってまいりまして、非常にきつい保障措置を供与国――供与を受けます国、すなわちイスラエル、エジプトに対して米国が要求をしておるわけでございます。燃料棒の再処理につきましても非常にきつい要求をしておりまして、万一これが核軍備につながらないようにという配慮からでございますが、したがって、この供与がまだ実現をしていない。あるいは御指摘になりましたように、ブラジルに対して、または韓国に対しても、それぞれの供与国とこれらの国との間に同様な問題が起こっておりまして、保障措置はやはりかなり従来のものよりきつくなりつつございます。このことはやはり、伝えられるインドにおけるようなこととの関連において、供与国が相当真剣に考えつつございますので、この点でもかなりの進歩があると申し上げていいのではないかと存じます。
 それからもう一点は、この条約の背景になりました他の問題としてのいわゆる非核兵器国――核兵器を持っておらない国の安全――わが国のような場合でございます――についてのお尋ねがございました。これにつきましては確かに安全保障理事会の決議が十分ではない、それは仰せられるとおりであると思います。ただ、わが国のような場合にはこの決議に、国連憲章五十一条による自衛権というものをこの決議でも触れておりますので、わが国の場合には、したがいまして、安全保障条約との関連がそこで認められているということでございますから、わが国にとってはまずまず問題が少ないのではないか。一般的に非核保有国の安全につきましては、やはり背景となっております世界情勢の変化、デタントがある程度永続性を持っておるように見える、そのことは非核保有国にとっても安全性を高めておる背景になるのではないかというふうに判断をいたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○副議長(前田佳都男君) 野田哲君。
   〔野田哲君登壇、拍手〕
#34
○野田哲君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明が行われました防衛力設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、三木総理並びに関係大臣に対して数点にわたって質問を行い、政府の所信を伺いたいと思います。
 まず、その第一点は、日本の防衛構想の背景となっている世界情勢に対する認識、なかんずく最近のアジア情勢の認識と、それに対する外交、防衛上の基本姿勢について三木総理の所信を伺いたいと思います。
 三木総理、あなたが総理に就任され、この席からその抱負を国民に訴えられ、引き続いて昭和五十年度の施政方針を開陳されてから約半年が経過いたしました。その半年の間は、アジアはまさに激動の半年であったと言えましょう。激動の中から新しいアジア情勢が生まれている今日、総理の所信表明、施政方針演説を振り返るとき、まず冒頭に指摘せざるを得ないことは、今日のアジア情勢に対する洞察と先見性を一言半句も読み取ることができなかったことであります。
 いま、アジアは大きく変わりつつあります。南ベトナム、カンボジアにおいては、アメリカのアジア侵略政策の一環として、その軍事力によって辛うじて支えられてきたかいらい政権が敗退をし、人民の手による新しい政権が誕生いたしました。そうして、南北両ベトナムは、ベトナム人民の長い悲願である民主的平和統一に向かって着実な足取りがいま進められつつあります。まさに、民族独立、反植民地闘争の輝かしい勝利であります。このようなベトナム、カンボジアにおける解放闘争の勝利は、東南アジア全域に対しても新しい情勢を生み出しています。日本、韓国、フィリピン等の諸国とともに、アメリカに軍事基地を提供してその侵略政策を支えてきたタイが、先般のシャム湾におけるマヤゲス号事件を契機に急速にアメリカ離れの道を歩み始めたことであります。また、東南アジア諸国連合は、この新しい情勢の中で南ベトナム、カンボジアとの友好関係を進めつつあります。フィリピンのマルコス大統領夫妻は、先ほど北京を訪問して中華人民共和国との間に新しい友好の道を開きました。
 このようにアジアは大きく変わりつつあります。その目指している道は、いずれの国においても平和と独立、民族自決の道であります。このアジアの大きな変貌の中で、日本はアメリカの同盟国として巨大な軍事基地を提供してアメリカのインドシナ侵略戦争に手をかし、ベトナム、カンボジア、ラオスの人民の独立への道を阻む重要な役割りを演じてきました。
 三木総理、あなたは、このようなアジアの新しい情勢に対して、今日どのような認識を持っておられるか、また、アメリカの無謀な軍事行動に対してその基地を提供してこれに加担してきた一国の総理として、南北両ベトナム、ラオス、カンボジア等の諸国民に対していまどのような責任を感じておられるか、明快な見解を示していただきたいと思うのであります。(拍手)あわせて、このような新しい情勢の展開、すなわち、アメリカのアジア政策の失敗、敗退がこれほど明確に示されている今日でもなお依然として時代錯誤の日米安保体制にしがみついて、これを基軸とした軍事体制の強化に進もうとされるのかどうか、改めて総理の見解を示していただきたいと思うのであります。
 次に、宮澤外務大臣に対して、アジアの新しい情勢に対する具体的な外交展開の方向と日米安保体制との関連について伺いたいと思います。
 先般、五月十二日から数日間展開をされたシャム湾におけるマヤゲス号事件は、ベトナム戦争終結後のアジアにおけるきわめて衝撃的な事件であったと思います。この事件におけるアメリカの作戦行動に対してとった日本政府の外交措置はきわめて重要であり、今後、日本国内のアメリカ軍がその基地を拠点にして展開をする作戦行動の根幹に触れる内容を持っていると言わなければなりません。また、今後の日本のアジア外交の展開に当たってもきわめて重要な関連を持っていると言わなければなりません。
 すなわち、シャム湾のマヤゲス号事件に出勤したアメリカの海兵隊一個大隊は日本国内の沖繩から出撃をしている事実はすでに日米両国政府も認めているところであります。明らかにこの作戦行動は、日米安全保障条約第六条の実施に関する交換公文に定める「日本国から行われる戦闘作戦行動」として事前協議の対象となるものであることは疑いの余地がありません。しかるに政府は、この作戦行動は途中タイ国内のウタパオ基地に立ち寄っているということを口実に、単なる部隊の移動として事前協議の対象外という見解をとっていることは、まさに詭弁もはなはだしいと言わなければならないと思います。事実の経過で示されているように、この作戦行動は、出発の時点からシャム湾のマヤゲス号に向かっての作戦行動として命令が発せられていることは明らかであります。タイのウタパオ基地は、輸送機から戦闘用のヘリコプターに乗りかえるための中継基地にすぎなかったことは明確なる事実であります。この作戦行動を事前協議対象外の行動と認め、しかもその行動範囲は、従来政府が繰り返し説明をしてきた日米安保条約に定める極東の範囲をはるかに超えているではありませんか。このような態度を今回政府がとったことは、アメリカ軍の基地使用について、その態様をチェックする機能として政府が繰り返し国民に説明してきた事前協議制度が全く空文化し、日本の基地を使用してのアメリカ軍の作戦行動について完全なフリーハンドを与えたことになり、日米安保条約体制に対するかねてからの国民の疑惑に対して、これを欺く行為であると言わざるを得ません。あわせてまた、このアメリカの作戦行動に強い反発を示したタイを初めとする東南アジア関係諸国との間の友好関係にも大きな障害を残すことになるのではないでしょうか。これに対する宮澤外務大臣の明快な見解を求めたいと思います。
 次に、坂田防衛庁長官に対して、日本の防衛構想に対する見解を承りたいと思います。まずその第一点は、防衛庁は最近庁内にFX分室を設置して、次期戦闘機の機種選定を急いでいると言われております。そしてその調査団をすでに欧米に派遣しておりますが、ポスト四次防についてその構想さえも明らかにされていない、国民に何らの合意も得られていない段階で、次期戦闘機の機種選定について既成事実をつくり上げる行為は、シビリアンコントロールの原則を覆す制服組の越権行為と言わざるを得ません。さらに、そのFXの選定基準は、特定の国の戦闘機の能力を対象としてそれに対抗し得る能力を持ったものとして、すでにその候補機種がしぼられていると言われております。その選定の基準、能力は、専守防衛という基本原則を超えていると言わざるを得ないと思います。このように今回のFX選定についての空幕の行動は、シビリアンコントロールを無視し、これを超えて、より強大な軍事力を求めての制服組のひとり歩きと言わざるを得ません。これについての防衛庁長官の見解を承りたいと思います。
 次に、日米防衛分担構想なるものについて、総理並びに防衛庁長官の見解を伺いたいと思います。総理は去る五月二十九日、坂田防衛庁長官を初め防衛庁幹部と協議し、従来制服組の構想としてひそかに持たれていた日米防衛分担構想に了解を与え、みずからも八月渡米の際の三木・フォード首脳会談の主要テーマにすると同時に、今秋には坂田・シュレジンジャー会談によって具体的な取り決めを行うまでに煮詰めることを確認したと言われています。
 このような政府の動向と前後して、国会審議の場を通じて、断片的ではありますけれども、具体的な日米共同作戦行動、シー・レーンの設定等の構想が示されています。坂田防衛庁長官は、さきの本院予算委員会においてシー・レーンを指摘をされた際は、その存在を否定をし、一カ月後の予算委員会では、一転して、わが国の周辺海域で日米の防衛分担の取り決めを結ぶため、シュレジンジャー国防長官と協議することを表明をしています。ところが、衆議院に場を移して、内閣委員会の審議では、さらに二転して、海域分担でなく機能分担であると発表しています。引き続いて本院予算委員会においてはさらに三転して、取り決めはしないと言明したにもかかわらず、続いて舞台が衆議院に移ると四転して、「分担」を「協力」と言いかえながら、京浜、阪神を基点とするシー・レーン設定の構想を明らかにしています。
 これらの経過は、制服組が独走して、すでに事実上取り決めに至っている海域分担を政府が追認するというシビリアンコントロールの放棄の典型とも言えるゆゆしき姿ではないでしょうか。防衛庁長官のこのような変転ぶりは、まさに国会審議権に対する公然たる黙殺であり、この構想自体は驚くべき、かつての三矢計画の実行版とも言えるものではないでしょうか。防衛庁長官の確たる答弁を求めます。
 さらに、政府並びに防衛庁当局の日米防衛分担構想が具体化することと並行して、アメリカ政府からいま衝撃的な東北アジアにおける戦略構想の一端が明らかにされています。それは、日本政府の意図している日米防衛分担構想がアメリカの核戦略構想に完全に組み込まれたものであることを指摘せざるを得ません。シュレジンジャー国防長官による「北東アジア地域において、核兵器の使用もあり得る」という言明は、このことを明確に物語っていると言わなければなりません。昨年来のラロック証言に引き続いての先日のシュレジンジャー発言は、どのように強弁しようとも、日米安保体制が明確に核安保であり、日米防衛分担構想はその一翼を担うものであるという指摘を政府は具体的な事実をもって否定することができますか。今国会においてみずから憲法を守ることを国民に誓約をされ、また、非核三原則は国是であることを言明をされた三木総理並びに坂田防衛庁長官の見解を求めたいと思います。
 最後に、坂田防衛庁長官に対して、ポスト四次防の策定についてどのように考えておられるか、その見解を承りたいと思います。
 去る昭和三十二年五月の国防会議において「国防の基本方針」が決定をされ、以来この基本方針に基づいてその後の防衛力整備長期計画が策定され、一次防から四次防に及び日本の軍事力は飛躍的に拡大強化されてきております。この拡大の一途をたどってきた一次防から四次防までの二十年間のその長期計画遂行の背景となってきた国内情勢も国際情勢もいま大きく変化していることは、総理並びに防衛庁長官も認めざるを得ないでしょう。国内的には、膨大な防衛費を支えてきた経済の高成長はいま失速状態となり、今日、低成長時代を迎えており、中小企業の倒産の増大、失業者の増大など社会経済情勢は大きく変化し、今日の政治の最優先課題は何よりも国民の生活の安定、社会保障制度の確立にあることは政府もしばしば言明をしてきたところであります。国際的にも、すでに述べたように、新しいアジア情勢が展開される中で何よりも明確に示されていることは、アメリカの軍事力を背景にしての世界戦略の時代はすでに終わりを告げ、その戦略構想と結びついた日本の防衛力整備計画も大きく軌道修正を迫られていると認識することが必要なのではないでしょうか。一次防が終われば二次防、二次防から三次防、三次防が終われば四次防、四次防が終われば五次防へと、当然のごとく際限もなく拡大をする軍備増強は、今日の国内の社会経済情勢から見ても、国際情勢から見ても……
#35
○副議長(前田佳都男君) 野田君、時間が超過しております。簡単に願います。
#36
○野田哲君(続) その時流に逆行するものではないでしょうか。坂田防衛庁長官としては、ポスト四次防についてどのような構想を持っておられるか、この際、防衛庁整備長期計画を白紙に戻して……
#37
○副議長(前田佳都男君) 野田君、簡単に願います。
#38
○野田哲君(続) はい。
 非武装中立の立場に立ったわが国の進むべき道を検討する意思を持つことはできないか、坂田防衛庁長官の所信を伺って私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#39
○国務大臣(三木武夫君) 野田議員の質問にお答えをいたします。
 今日のアジア情勢、どういうふうに考えておるかという御質問でございますが、今後のインドシナ半島全体に北越の影響力が強まることは予想されますが、南北両ベトナムの統一がいつごろ行われるか、インドシナ各国の自主性などの対外姿勢がどういうふうになるかなどについては、なお、今後の推移を見きわめる要があって、いま当面考えられることは、周辺地域には混乱と不安定をこれ以上もたらすことはないと見ております。また、ASHAN諸国の動向について、これは次第に米国を離れてきたというふうな野田議員は御観察ですが、私はそうは見てないんです。米国との友好関係を維持しながら、体制の異なる国々との関係を調整して、近隣諸国との関係をより密接にしようとする外交努力のあらわれである、こういうふうに見ておるわけでございまして、マルコス大統領の北京訪問もそういう角度から見ておるわけでございます。
 また、アメリカのベトナム戦争に協力したではないかというお話でございましたが、わが国はパリ協定一九七三年成立以前から、ベトナム紛争というものはベトナム国民の自決権に基づいて平和的に解決さるべきである旨を表明し続けてきたわけでございます。パリ協定成立後も、関係者の平和的話し合いによって解決されるべしとの同協定の精神にのっとって、協定が遵守されることと、これを尊重して、これを関係諸国に呼びかけて、この地域の平和と安定を希求する立場をわが国は貫いてきたわけでございまして、アメリカに加担したという表現は、われわれとしても当たらないと思っておるわけでございます。
 アメリカのアジア政策が失敗をしたにもかかわらず、安保体制をこれを強化していこうとしておるのはどういうことかということでございますが、安保条約というものをまあ野田議員は軍事面だけからごらんになりますけれども、安保条約というものは、名前からして、日米の相互協力及び安全保障条約ということになっておるわけでございまして、これは広範な日米間の協力を約束したものでございます。軍事面だけでなしに、食糧面でも輸入食糧の四〇%はアメリカから輸入しておるわけですからね。原油でもまたアメリカから五〇%を輸入しておるわけです、メジャーを通じて。そういうことでございますから、日米関係というものは単に軍事面ばかりで見るのではなくして、全般の経済面などももう少し広く日米間の関係を考えてみれば、日米関係というものはきわめて緊密な関係にあるわけでございますから、わが国がこの協力関係を維持していくということは、日本外交の私は一つの大きな基盤であると考えておるわけでございます。日米のこの協力関係を維持していくことが、国際政治の大きな世界の安定という枠組みの上からも重要であるし、この体制を維持していくことが、安保体制を維持していくことが、日本だけでなく、アジア、ひいては世界の平和と安定に貢献するものと考えておりますから、野田議員の御指摘のように、安保体制を破棄するという考え方は全然持っていないわけでございます。
 また、私の訪米のときのフォード大統領との話し合いにも関連して、日米の防衛分担の具体的な内容等が憲法と関連して御質問があったように思いますが、やはりこの日米の安保、日本のこの防衛に関する日米間の関係は、お互いに協力し合うということでございますから、分担と言って、ここまでは日本、ここまではアメリカという分担ということは私は適当でないと。日米間で協力し合う。むろん日本は協力の限界があるわけですから、お互いにアメリカとの間に当然にこの当事者間でよく話し合いをしておくようにと私自身からも申しておるわけでございます。しかし、それは憲法の枠内であるということはもう当然のことであります。憲法の枠内を超えて、日米間で話し合いができるものではないのであります。また、八月の訪米の際のフォード大統領とどういう問題を話すかということは、まだ具体的に煮詰まってはおりません。
 それからシュレジンジャーの発言については、外務大臣からお答えをいたします。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(宮澤喜一君) マヤゲス号の関連でお尋ねがあったわけでございますが、日米安保条約の第六条に基づきます交換公文の中におきまして、米軍がわが国の基地から戦闘行動に発進する場合には事前協議の対象になるということが述べられております。したがいまして、わが国の基地から海外の基地へ移動したということ自身はこの「戦闘行動」とはならないということは、政府が伝統的にとっておる解釈でございまして、今回何も新たにそういう解釈をいたしたということはございません。
 それからシュレジンジャー発言についてのお尋ねであったわけですが、これは朝鮮半島において不測の事態があった場合に米国が核兵器を使うことがあるということにつきまして、私どもは、この発言はフォード大統領も似たような発言をしておられるわけですけれども、アメリカの同盟国に対する安全保障上の義務を履行する、そういう意図について関係国が何かの誤解を、誤算をして、それによって戦争が現実に起こるという可能性を防ぐためにアメリカの決意をああいう形で言っておるのであろう、いわば抑止的な意味で言っておるのであろうというふうに私どもは解釈をしております。
 それから、同じくこの核問題とわが国との関連でございますが、これはことしの四月に私とキッシンジャー米国国務長官との間で、米国のいわゆる核のかさがわが国にとって抑止力になっているということ、及びわが国に仮に攻撃が加えられた場合、それが通常兵器によるものであれ、あるいは核兵器によるものであれ、米国は安全保障条約上の義務を履行するということを確認いたしておるわけでございますが、このことはいわゆる非核三原則と少しも矛盾するものでないと私どもは考えております。むしろ、こういうことがございますから非核三原則というものが現実の原則として守り得るものになっておるというふうに考えておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(坂田道太君) 野田議員にお答えをいたします。
 FX調査団派遣の問題でございますが、次期戦闘機につきましては、現在欧米に海外資料収集班を派遣しております。今後これらの資料の分析作業を行いまして、要すれば数機の機種を選定いたしまして、五十一年度にはさらに詳細な調査、検討を実施した上、ポスト四次防の一環として国防会議等に諮りまして決定する予定でございます。
 シビリアンコントロールと何か関係があるようなことをおっしゃいましたけれども、私は、こういう戦闘機について、その機能あるいはその値段、いろいろ詳細にわたって資料を収集することが国民のためであり、そのことがやはりシビリアンコントロールの趣旨に沿うものだと考えております。
 二番目の問題でございますが、ベトナム以後の米国の北東アジア政策と日米共同作戦行動との関連でございます。これは、実は四月二日、社会党の上田委員からのお尋ねに私が答えまして、そのとき「海域分担」ということは言っておらないことは、この前の予算総会で明らかになったわけでございます。ただ、その以来の私の言いましたことは、ずっと本委員会及び参議院の内閣委員会、予算総会、全部速記録をお読みいただけば、私の考え方は四月二日当時と何ら変わっておらない、一貫をしておるということがおわかりになれると思います。
 これは、有事に際しまして、日米安保条約に基づきまして共通の危険に対して米国と共同をして対処するというふうになっておりますが、その際自衛隊と米軍が整合のとれた作戦行動を実施し、効果的な対処行動がとれるよう平素から日米両国の防衛責任者同士が直接意見を交換して、そうしてフランクに、率直に、できることはできる、できないことはできないということをやはり私がお話をするということが非常に大事なことだというふうに私は考えるのでございまして、将来、要すれば、わが国防衛のための日米協力に関する何らかの合意を得ておくことが純軍事的には望ましいというふうに考えているのでございます。
 それから、ポスト四次防の問題につきましてのお尋ねでございますが、これは去る四月一日、事務当局に対しまして防衛庁案の作成に着手するよう長官指示を出しました。現在種々の角度から検討しているところでございますし、具体的な整備の方針といったものはまだ手元にはございません。今度の防衛力整備には経済、財政事情の変化等種々の制約が予想されますが、防衛力は万一の事態に備えて保持するものでございますし、一朝一夕に建設できるものではございませんので、ポスト四次防につきましても、経済情勢、それからアジア情勢ということを十分配慮しながら、この防衛力整備を計画的に推進してまいりたい。たとえば先ほどもお答えいたしましたように、防衛施設等の攻撃に対する耐久性、そういった問題、あるいはまた後方支援体制、そういう質的充実ということに重点を置いていま指示をいたしておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(前田佳都男君) 太田淳夫君。
   〔太田淳夫君登壇、拍手〕
#43
○太田淳夫君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法並びに自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、三木総理並びに関係大臣に質問を行うものでございます。
 まず、第一にお伺いしたいのは、極東の軍事情勢についてであります。インドシナ半島における米軍の撤退、その後の朝鮮半島におきます緊張の激化、東南アジア諸国の中立志向、アメリカ離れの現象など、いまやアジアは大きな転換期を迎えております。それにもかかわらず、アメリカはインドシナ解放の教訓を忘れ、むしろこれを逆手にとって、朝鮮半島の安全を理由に日本の防衛力の強化、韓国防衛への責任分担、日米安保体制の一層の軍事同盟化などを強く迫ってきつつあります。それに対し、わが国がいまだにアメリカの冷戦型アジア戦略に追随従属していくことは、アジアでの緊張を醸し、アジアの孤児にみずからを陥れることは必至と言わざるを得ないのであります。そこで、政府は、一体極東の軍事情勢及び南北朝鮮の軍事情勢についてどのように考えておられるか、御所見をお伺いしたいのであります。
 次に、フォード大統領は、北朝鮮からの侵略に対し核兵器の使用を否定しなかった。また、シュレジンジャー長官は、日本の防衛にも核を使用する旨の発言をしていますが、これは日米安保条約の本質を露呈したものであり、非常に危険であると思いますが、政府の見解を承りたい。
 また、日本の防衛のために核の使用をアメリカに要請することもあるのかどうか、総理並びに外務大臣にお伺いいたします。
 次に、シュレジンジャー米国防長官は、去る五月一日の記者会見で、韓国軍の近代化五カ年計画の完了とともに、在韓米軍の削減と撤収の方針に再検討のあり得ることをほのめかしております。ところが、マンスフィールド米上院議員は、韓国から時期を見て段階的に米軍を撤退させるべきであると述べています。しかも、今秋の国連総会では在韓国連軍解体決議案が可決されるのは確定的と言えるのであります。これに対して政府は、在韓国連軍解体決議案の阻止はしないとの態度を表明していますが、在韓国連軍をどのように政府は評価しておられるのか、御答弁願いたいのであります。
 また、今秋の国連総会で同決議案の可決により、韓国より国連軍が撤退するような事態の発生があった場合、日本にいかなる軍事的影響があると考えられるのか、御所見をお伺いしたいのであります。
 次に、日米防衛分担についてお伺いいたします。
 フォード米政権は、ベトナム以後のアジア軍事戦略の展開に当たり、日本を北東アジアにおける米戦略のストロング・ポイント、すなわち重要拠点と位置づけ、五月十九日のUSニューズ・アンド・ワールド・レポート誌で、シュレジンジャー国防長官は、日本に対して、対潜水艦戦闘能力、海上交通路の確保、防空面の強化等を挙げ、日米の防衛分担と防衛力強化を要請しているのであります。このほど坂田長官は三木総理に対し、有事の際の日本周辺海域の防衛について、日米間の政治レベルで防衛分担の話し合いを進めるべきだと進言し、総理の了承を得たわけでありますが、日米の防衛分担については、これまで制服レベルで非公式に進められたことはあっても、防衛庁長官や内局幹部は関知しないという態度をとっていた。それが何ゆえに急に必要になったのか、その理由を具体的に説明していただきたい。
 この防衛分担について坂田長官は熱意を示し、シュレジンジャー国防長官との協議を望んでおられるが、このシュレジンジャー長官との会談は、日米両国の防衛の最高責任者の会談として重要な意味を持つと言わざるを得ません。長官は、いかなる決意と構想をもってこの会談に臨まれるのか、御答弁を願いたいのであります。
 さらに考えるならば、アメリカよりの防衛分担の要請は、日本の肩がわりを前提としたものであり、韓国有事の際には自動的にわが国を戦争に巻き込み、アメリカの先兵としての役割りを担わせるものと言えるのであります。したがって、防衛分担の取り決めがされるなら、軍事同盟と同じ性格を有し、アメリカ軍の傘下に自衛隊が組み込まれる危険性を有すると思うが、明確な御答弁をお伺いしたいのであります。
 次に、アメリカの防衛分担要請で特に注目されるのは、わが国の軍事力強化とその活用であります。
 シュレジンジャー長官の示した要求は、対潜水艦戦闘能力、海上交通路の確保、防空面の強化であるが、四次防以後の自衛隊の装備能力とその方向性は、その要求に沿った形で具体化されていると言わざるを得ないのであります。すなわち、四次防での漏滴型潜水艦は原潜に通ずるものでありますし、初のヘリ空母の導入は、周辺海域や外洋での対潜対艦戦闘能力の飛躍的な強化を物語っていると言えるのであります。また、ファントム戦闘爆撃機による沖繩・南西航空混成団の新設は、まさに防空面の強化にほかならないと思いますが、防衛分担取り決めは海上自衛隊のみでなく、航空、陸上各自衛隊にわたるものを構想されているのか、明らかにされたい。
 次に、アメリカによるこの分担要求は、決して韓国防衛のためでもなく、日本防衛のためでもない。つまり、米国自身の問題であるということであります。すなわち、七四年国防報告のリチャードソン戦略は、これを、「同盟諸国の防衛責任は、第一次的に当事国が負う、アメリカの支援は、アメリカの利益、あるいは義務上当然とみなされる場合に限る」と明記しています。アメリカの支援は、あくまで米国の利益優先とするならば、日米安保条約は日本の防衛のためではなく、アメリカの防衛のためにあると言っても過言ではありません。したがって、こうした日米安保体制の欺瞞性と危険性を排除することが必要であります。そのためには速やかに日米安保条約を廃棄し、軍事同盟関係を排除した日米友好不可侵条約の締結を行うべきであると確信するが、明確な答弁を求めるものであります。
 次に、ポスト四次防についてお伺いいたします。
 坂田長官は、このほど四次防以後の防衛力整備計画の作成について指示されています。長官は、わが国に対し、差し迫った軍事的脅威が存在するとお考えかどうか、明快な御答弁を願うものであります。
 現在、インフレによる人件費、主要装備の価格上昇によってその調整が困難となり、陸上では国産戦車約八十両、艦艇では二十隻、三万三千五百トン、航空機七十七機が四次防の最終年度の五十一年に持ち越されています。したがって、経済事情の変化に見合ったポスト四次防の検討が必要であると思うが、長官の所見を伺いたい。
 さらに長官は、防衛費は国民総生産の一%以内に抑える旨の発言をされています。しかし、五十年度予算の防衛費は、GNPの〇・八四%であり、その予算規模は実に一兆三千二百七十三億円であり、これは世界第七位の軍事予算であります。このような強大な防衛予算に対し、国民はこれ以上の軍事力の肥大化は少しも望んでいないことは明白であります。むしろ、防衛費の大幅な削減こそが国民の要求であります。社会的な弱者の救済、社会的な不公正の是正、これこそ三木総理、三木内閣の国民への約束でありました。低成長時代における福祉財源の確保などが問題になっている現在、政府は、防衛費はGNP一%程度は当然という態度を正し、その大幅削減をなすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 わが国の周辺には新しい局面が展開されつつあります。このときに、日本のとるべき安全保障政策の方向は、外に対しては平和を定着させるための積極的な等距離外交の推進、内にあっては社会福祉の充実による内政のひずみの是正、民生安定による住みよい国づくりが何より優先すべきであると思います。政府の軍事増強政策は、時代の流れに逆行する時代錯誤の産物と言わざる得ないし、その推進の一環であるこの両法案を撤回することを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(三木武夫君) 太田議員の御質問にお答えをいたします。
 最近のインドシナ情勢が極東の軍事情勢にどういう影響を与えたかというお話でございますが、必ずしも極東の軍事情勢にそう大きな影響を与えたとは考えていないわけでございます。
 次に、フォード、シュレジンジャー氏の、韓国の防衛に対してのいろいろ御発言がございましたけれども、やはりアメリカとしても望んでおることは、朝鮮半島に大規模な軍事的な衝突が起こらないということをアメリカは願っておるわけでございますから、したがって、いろいろな発言というものは、やはり韓国の防衛のためには米韓条約があるんだと、そういう点で、その情勢というものを誤認せないようにという、戦争を抑止しようという意図から出た発言であるとわれわれは受け取っておるわけでございます。私どもは、朝鮮半島に大規模な軍事的衝突が起こるとは見ていないわけです。南北の朝鮮の人たちも望んでもいませんし、また、アメリカとしても、日本としても、あるいはソ連、中国としても、そういう大規模な軍事衝突を望んでないわけでありますから、各国があらゆる外交努力を払って戦争を防止するための努力をすることは当然のことであり、ことに重大な関連を持つわが国としては、あらゆる外交的努力を払ってそういう軍事的衝突を避ける努力をしなければならぬと考えております。
 また、在韓の国連軍の問題についていろいろお話がございました。今秋の国連の総会において、国連軍の解体ということが問題になり、こういうことが実現をする形勢にあることは御指摘のとおりでございますが、そのことは国連軍の解体ということであって、朝鮮の平和を維持しておる、朝鮮半島の平和を維持しておる休戦協定を破壊しようとするためにそれをやるわけではないわけでございますから、どこの国もあの休戦協定が維持されて、朝鮮半島に平和が維持されることを望んでおるわけでございますから、在韓の国連司令部が解体されても、休戦協定は維持されなければならぬわけでありますので、これを維持するための適当な処置が講ぜられる必要があると考えておるわけでございます。
 また、在韓の国連軍の司令部の要員と参加国の連絡要員のみがおるわけでございますが、このことが、引き揚げたからといって、わが国の軍事力のバランスの上に大きな影響はないと考えております。しかし、国連軍の司令官は朝鮮半島の平和維持に重要な役割りを果たしてきたわけでありますし、休戦協定の一方の当事者であるわけでありますから、国連軍の解体というものは休戦体制の維持に悪い影響を与えないよう重大な関心を持つ必要があると思っております。
 また、日米の防衛分担のお話がございましたけれども、先ほどからの御答弁で申し上げておるように、防衛分担というような、何か地域的に分担するという考え方よりかは、米国との安保条約のもとにおいて協力体制というものを日米間で絶えず話し合っておく必要がある。無論、それは現行の憲法の枠内であるし、また安保条約の枠内で行うことは当然であります。そのために絶えず日米間で話し合いをして、お互いの協力の限界ということを話し合う必要があると考えておるわけでございます。
 また、日米安保条約というものは日本の安全のためでないという御指摘でございましたが、われわれとは全然その認識を異にするためで、われわれは、日米安保条約というものは日本の安全のために必要であるとして結んだものでございます。したがって、これを廃棄する考え方は持っていないわけでございます。ただ、この日米安保条約というものを、私は国民にも願いたいのは、ただ軍事面だけでなくして、広範な日米協力を規定した条約であるという、均衡のとれた解釈を日米安保条約にされることを強く望むものでございます。しかし、安保条約は、これは引き続いて維持していくことが必要であって、これを廃棄する考えはございません。
 また、わが国に対して軍事的脅威の存在というもののいろいろ御質問がございましたが、いま、差し迫った軍事的脅威が顕在化する可能性は少ないと考えております。
 他の御質問に対しては関係大臣からお答えをいたすことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(坂田道太君) 防衛協力の問題についての御質問でございますが、防衛庁といたしましては、従来から日米の幕僚間におきまして意思の疎通を図り、緊密な関係の維持に努めてまいりましたが、制服レベルの、しかも、在日米軍司令部出先部隊レベルの話し合いではおのずから限度がございます。やはり、日米両国の防衛の責任者同士が安保条約の円滑な運用に関しまして直接意見を交換し、率直な対話を絶やさないようにするということが必要だろうと考えます。将来、要するならば、いわゆる有事の際のわが国防衛のための日米協力に関する何らかの合意を得ておくことが純軍事的には望ましいと常に考えてきておりましたので、その趣旨を述べたものでございます。
 あのアメリカのブラウン報告によりますと、対潜水艦能力を高めよとか、あるいは高めるとか、あるいは海上輸送、船舶の輸送ということについて防衛をするとか、あるいは防空とかいうようなことが書いてございます。書いてはございますけれども、こういうものも責任者から直接はっきり私が伺い、そして私どもとして憲法の制約のもとにおいてどれだけできるのかというようなことをはっきり申し上げるということ、そして理解を持ってもらうということが日米の国益の上において大事だというふうに私は考えておるわけでございまして、その意味合いにおきまして、防衛協力についての話し合いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。先ほどから申し上げますように、自衛隊と米軍とが、有事に際しまして整合のとれた作戦行動が実施できる、そうして効果的な対処行動がとれるように、たとえば作戦調整機関のあり方であるとか、あるいはアメリカが日本に対する支援・期待その内容等を明確にするということが必要であると考えますし、そのワンステップとしてやはり話し合うということが私は必要であるというふうに考えておる次第でございます。
 また、従来やっておりましたユニフォームの研究等も、やはりわれわれが目の届く、ちゃんと確認された形においてやるということがシビリアンコントロールの私は道であるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、これは海上だけかというお尋ねでございますが、いや、そうではございませんで、海上のみならず、航空、陸上につきましても配慮しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 また、経済の低成長下における防衛力整備のあり方あるいは防衛費のあり方ということについてのお尋ねでございます。差し迫った脅威があるかどうかということについてのお尋ねでございましたが、すでにこれは総理からお答えになったとおりで、私もいま朝鮮半島で事が起こるというふうには考えておりません。しかしながら、防衛力の整備はやはり長期間を要しますので、平素から計画的に進めていく必要があるというふうに考えるわけでございますが、しかし、やはり他国に脅威を与えたり、あるいは民生を著しく圧迫するというようなことについては十分な配慮が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
 さらに、ポスト四次防計画については、やはり申し上げましたとおり、GNPの一%以内にとどめたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから四次防計画そのものをもうやめてしまったらどうか、あるいは縮小してしまったらどうかということでございますが、しかし私は、これは四次防計画は進めさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(宮澤喜一君) 在韓国連軍の問題だけを補足をさせていただきます。
 現在の朝鮮半島の平和維持の法律的な枠組みは一九五三年の休戦協定でございますが、この休戦協定の当事者に国連軍司令官がなっておるわけでございます。したがいまして、国連軍が解体されてしまうということになりますと、当事者を欠くことになるわけで、そうなりますと、朝鮮半島の平和維持の法律的な枠組みがなくなってしまうばかりでなく、ときたま停戦違反のようなことがございますと、協定違反のようなことがございますと、板門店でともかくそれを話し合って、大ごとにならないように解決をしてまいっておるわけですが、そういう仕組みも実は失われてしまうということになってはならないと、こういうふうにわが国としては考えておるわけでありまして、したがいまして、わが国は国連軍の撤退そのものに反対するという態度はとりませんで、そうではなくって、いまのような平和維持の枠組みをどのようにして残しておくかということに外交的努力を集中いたしたいと考えておるわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#47
○副議長(前田佳都男君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#48
○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、ただいま上程されております防衛二法の一部改正案について、若干の質問をいたします。
 去る六月二十日、シュレジンジャー米国防長官は、韓国への戦術核兵器配備の事実を公然と認めるとともに、日本や韓国が敵の攻撃を受けた場合、米軍は核兵器による先制攻撃をも辞さないと述べているのであります。さらに、フォードアメリカ大統領は、一昨日の内外記者団との会見でこれを確認し、その恫喝的政策をさらに推し進めようとしています。このことは、インドシナ半島での敗北によるアジア情勢の大きな変化にもかかわらず、依然としてアメリカは、米軍の海外配備と核戦略の展開を軸とする力の政策をますます強化しようとする以外の何ものでもありません。事はきわめて重大と言わなければなりません。
 そこで、三木総理に伺いますが、総理は、最近ますますその侵略性を露骨にしつつあるアメリカの核政策をこのままに容認し、その体制下にあってこれに協力し、その一切の犠牲を国民に押しつけようとするのであるかどうか、総理並びに外務大臣の所信を伺いたいと思います。
 第二に、これと関連して重要なことは、シュレジンジャー長官は、USニューズ・アンド・ワールド・レポートのインタビューの中で、「日本が共通の防衛において、その役割りを真剣に果たすことを期待する」として、対潜水艦戦争、輸送路の防衛、防空などの任務を日本に押しつけようとする意図を露骨に表明しているのであります。
 一方、海上自衛隊は毎年、米原子力潜水艦を標的にした対潜訓練を日本周辺で展開するなど、すでにアメリカの要求にこたえ、極東戦略に組み込まれているのが実態ではありませんか。
 そこで、総理並びに外務大臣、防衛庁長官にお聞きしますが、シュレジンジャー長官の表明は、まさに自衛隊の戦闘能力の一層の強化と責任分担を迫っているものと考えられますが、どうですか、明確な答弁を求めるものであります。
 第三の点は、いわゆる有事における日米共同作戦の問題についてであります。政府は、これまでの国会答弁でもしばしば日米共同作戦協力の大綱を初め、補給、支援や情報交換などを協議する日米の連絡調整機関なるものを設置する考えを明らかにしてきました。その機関は、まさに米軍のアジア戦略に日本を巻き込む日米共同作戦体制強化拡大の機構としてきわめて危険な性格を持つものであります。このような危険きわまりない日米間の重要な取り決めを政府は事前に国会に諮らず、事後報告で処理すればよいと考えていられるのでありますかどうか、総理並びに防衛庁長官の答弁を求めるものであります。
 第四の点は、米軍と自衛隊の基地の共同使用の問題についてであります。
 在日米海軍司令部は、さきに佐世保基地の機能を縮小し、日本側に返還するという方針を明らかにしました。ところが、米側はそのすべてを民間に開放するのではなく、大部分の施設を自衛隊に使用転換させ、事あれば米軍が自由に使用できるという形の、いわゆる有事駐留方式をとろうとしているのであります。この自衛隊との共同使用は米軍の再使用の道を切り開くものであり、結局のところ、基地の恒常使用につながることはきわめて明らかであります。しかも、横須賀の場合を見れば、旧軍港を平和都市に転換させるという法律の規定にもかかわらず、一部返還された基地を引き続き自衛隊に肩がわり使用させているのであります。その上、費用は日本側に負担させ、しかも、必要に応じていつでも米軍が使用できるというきわめて不当なやり方がまかり通っているのであります。このようなアメリカ流のこうかつきわまりない方法を佐世保や他の基地においても今後これを認めようとするのであるかどうか、防衛庁長官の責任ある答弁を求めるものであります。
 第五は、日米防衛分担の中でのいわゆる有事の際の後方支援体制の問題についてであります。総理は、去る四月十六日、陸、海、空自衛隊幹部会同に出席され異例の対話をされていますが、その際ある幹部から、いざというときには物資動員計画や道路の優先使用などを法制化してほしいという要求が出されたと聞いております。
 そこで伺いますが、総理は具体的にそのような話し合いをしたのか。そうして、そのような戦時動員体制については一体どのような考えをお持ちになっているのか、その構想を持っておられるなら、ここで明らかにされる必要があると思います。さらに、陸、海、空自衛隊は、このほど戦略上の重要地域の一つである津軽海峡を想定した大規模な統合演習を展開しておるのであります。この演習は図上演習だとはいえ、一九七一年のヘリボーン大演習に続く大がかりなものだと言われています。さらにまた、新聞報道によれば、防衛庁はポスト四次防で、自衛官定数について海、空の定数をそれぞれ五万人に増強するという構想を出しているのであります。これはまさに米政府が強く要求している海、空の防衛分担に符節を合わせるものであり、その目的はきわめて明白であると言わねばなりません。この構想と日米防衛分担の関係について防衛庁長官の答弁を求めるものであります。
 最後に指摘いたしたいことは、本法案が海、空自衛官の増員だけの問題でなく、「基地の効率的運用」と称して、自衛隊基地の一層の拡大、強化を図ろうとしていることであります。政府は、今回の改正によって、第三航空団を小牧から三沢に移し、小牧には新たに美保基地から航空輸送団の飛行隊を配備しようとしているのであります。第三航空団が移されようとしている三沢基地では、現在でも米空母ミッドウェー艦載機の離着陸訓練などが頻繁に行われており、市民の生活環境は騒音を初めとする基地公害に絶えず脅かされているのが現状であります。しかも、三沢市の場合、防衛施設周辺の生活環境整備法に基づく騒音被害区域の指定さえいまだになされていないのが現状であります。住民被害をこれまで以上に増大させるおそれのある航空自衛隊の移駐は断じて許されません。政府は、地元民の強い反対を押し切ってまであえて移駐を強行しようとする考えなのかどうか、防衛庁長官の明確なる答弁を要求するものであります。
 わが党は、アメリカの核安保体制に組み込まれた自衛隊の増強に反対し、安保廃棄と中立、平和の日本の建設が緊急に必要となっていることを強く指摘して、私のこの質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(三木武夫君) 岩間君の御質問にお答えをいたします。
 私に対する第一の質問は、シュレジンジャー国防長官等の発言をとらえていろいろ御発言がございます。私は、やはり核というものの、核兵器というものの本質的意味は抑止力にある。実際に大規模に核兵器を使って、そして大規模な戦争が起これば人類は全滅するわけですから、抑止力にある。そういうことで、シュレジンジャー氏のいろんな発言も、やはり戦争を防止したいという抑止力の行使というものに重点が置かれておると受け取るものでございます。
 また、第二の有事の際の日米の共同作戦体制について政府はどのようにするのか、どう考えているのかということでございましたが、有事の際にわが国が米国との間に安全保障体制を基調として対処することになるわけでございますが、そういう場合、いろんな場合が考えられますから、日米の協力というものについては、やはり当事者間でよく話し合っておくことがいいと私も指示しておるわけでございます。日本としても、協力するにしても限界があるわけで、できることもあれば、できないこともある。こういうことをよく話し合っておく必要がある。いままでは話し合いの仕方が少なかったと私は思っております。しかし、その話し合いというものが憲法の枠内で行わなければならぬことは当然でございます。
 また、有事の際のいろいろお話がございましたけれども、この有事の際のいろいろ鉄道などの優先輸送の法制化などに対して御懸念があるのかもしれませんが、そういう考え方は持っておりません。
 他は、関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   (国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手)
#50
○国務大臣(宮澤喜一君) USニューズ・アンド・ワールド・リポートの中で、シュレジンジャー国防長官がこういうことを言っておるがというお尋ねであったわけでございますが、海上交通路の保護であるとか、対潜水艦あるいは対防空等の強化ということをわが国に期待しているということをシュレジンジャー氏がこのインタビューで言っておりますことは、私も読んで承知をしておりますが、実は、わが国に別段こういう要請があったというわけではございませんので、具体的にそれ以上のことはちょっと私にもわかりかねるわけでございます。わが国としては、自分の安全保障上必要なことは、わが国の所信に基づいて行うということに変わりはないと存じます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#51
○国務大臣(坂田道太君) シュレジンジャー長官がいろいろ発言をしております。しかし、シュレジンジャーが言う言わないにかかわらず、わが国の安全を守るために、やはり私は対潜能力を高めていくということ、それからもう一つは、日本の防空、これは日本がやるということ、そしてまた、海上交通の保護につきましても、憲法の制約のもとにできる限りの努力をするということは当然なこととなっておるのであって、しかし、向こうがそういうことを要求してまいった事実は今日までございません。
 それから、日米共同作戦の問題もうしばしばお答えをいたしておるわけでございますが、やはり自衛隊と米軍が、有事に際しましてそれぞれの指揮のもとに整合のとれた作戦行動が実施できますようにいたしたいということでございまして、連絡調整機関等のあり方等についても検討をいたしております。やはりこれは国防会議にも諮りますし、また、このことにつきましては、その後内容がもし合意に達しました場合においては、国会にお知らせしなければならないというふうに考えております。
 それから、佐世保の海軍基地縮小の意図とその自衛隊引き継ぎ、米軍有事駐留の可能性の問題でございますが、五月二十三日に米海軍が発表いたしました佐世保海軍基地の縮小は、人員及び装備の節減計画の一環として行われるわけでございます。施設の返還等の内容は今後具体化いたしますので、現時点では自衛隊の使用範囲等は決まっておりません。また、米軍の有事駐留の態様が意図されているとは考えておりません。
 それから、有事の際の交通機関確保の問題。総理もちょっとお答えになりましたが、わが国を防衛する際に、自衛隊がその能力を発揮するために、輸送補給等を含めた後方支援体制に万全を期すべきことは当然でございます。これまでも、通信補給等の整備を図るとともに、たとえば輸送機でありますC11輸送機の整備等、自衛隊輸送能力の向上に努力をしておりますが、御質問のような優先的な交通機関確保の法制化等につきましては、現在考えておりません。――現在です。
 海空自衛官の定数の問題でございまするが、これもまた、わが国の安全のためには、アメリカがどうだ、こうだじゃなくて、日本の独立と平和を守るために私はやはり必要であるというふうに考えておりまして、航空自衛官については、艦艇、航空機の就役等に伴いまして若干の増員が必要であるというふうに思っております。しかし、全体といたしましては、私、もう量というよりも質的充実を主眼にいたしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、第三航空団の三沢移動等につきましてでございまするが、これはどういたしましてもひとつ法案を通していただきまして、そうして第三航空団の小牧基地から三沢基地への移動は、やはり当該部隊の任務遂行の円滑を図るためでございますし、この移動によりまして、戦闘機部隊の配置の調和と第三航空団の訓練環境の改善などが期待できるわけでございます。また、一方、受け入れ先の地元におきまして種々の御意見があるということは承知をいたしておりますが、しかし、地元の実情を踏まえまして周辺対策等には積極的に取り組む、そうしてその理解と協力を得てまいりたいというふうに考えておるわけでございます。御案内のとおりに、防衛施設周辺生活環境整備法に基づきまして努力をいたしてまいっておりまするが、今後におきましても、航空機騒音対策に重点を置きまして、障害防止対策事業、民生安定事業を積極的に推進するとともに、総合して住民の生活の安定及び福祉の向上のために、なお一層努力する考えでございます。
 また、なお関係漁民の受ける損失等につきましても、適正に補償する考えでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#52
○副議長(前田佳都男君) 中村利次君
   〔中村利次君登壇、拍手〕
#53
○中村利次君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました防衛二法案に関し、わが国の安全保障、防衛問題について、総理並びに関係閣僚に質問します。
 今日の国際政治は、いわゆる五極体制と言われ、その中で米ソを中心としたデタントが進行していると言われていますが、このような見方は、必ずしも国際政治への正しい認識とは断じがたいものがあると思います。すなわち、さきの資源エネルギー危機や最近のインドシナ情勢に徴しても、いわゆる第三世界への配意を欠いた国際政治はとうてい存在し得ないと考えなければなりますまいし、また、この趨勢は今日以降巨大な歴史の流れとしてさらに強まるものと認識すべきでありましょう。石油をめぐる国際的な課題は、ただ単に、消費国による石油消費量の停滞や産油国側の原油値上げという因果関係や、両者の基本的対立にとどまらず、工業製品価格の高騰を伴って、発展途上国をも含めた国際政治の不安要因に発展する要素を持っていますし、カンボジア、ベトナム以後の東北アジア、特に朝鮮半島の動向は、わが国の安全のみでなく、世界平和に大きなかかわり合いを持つものとして、当然政府の積極的な対策が求められるべきものと考えます。
 そこで、総理にお伺いする第一点は、このような国際環境の新しい動向を総理はどうとらえ、どう認識されているのか、対策を含め、その基本姿勢を伺いたいと思います。
 米国はインドシナ以後の問題として、もし朝鮮半島に動乱が起きた場合、戦略核、戦術核を使用する方針であることを繰り返し強調していますが、この場合、わが国の安全にどのような影響を及ぼすのか。先ほどから総理も外務大臣も、このことは動乱抑止のための発言という希望的観測に立っておられるようでありますけれども、私は、米国が核兵器を使うのか使わないのかという質問ではなくって、使った場合の影響についての質問をしておりますので、その意味での、影響についての明確な御答弁をお願いをしたいと思います。
 また、朝鮮半島の不安要因は、わが国の安全のみでなく、世界平和にも大きなかかわり合いを持つものと思われますが、その解消に対するわが国の役割り、さらに、米中ソ三国にわが国を加えた四国による朝鮮半島の平和保障体制確立への方途について、総理及び外務大臣の決意と所見を承りたい。わが国の安全を守るためにも、平和憲法の精神に照らした積極的な外交の展開が強く求められるべきでありますので、その決意と対策を具体的にお答えいただきたいと思います。
 第三に、ベトナム戦争終結時における米国の態度、米国議会、世論の動向を見ますと、日米安保体制下におけるわが国の安全が、果たして保障されるのかという不安を覚えざるを得ません。大統領の約束はアメリカ合衆国の約束にあらずという論旨は、わが国の安全を日米安保による米国の抑止力にもっぱら依存し、その姿勢に終始してきた政府に冷や水を浴びせたことにならないのかどうか。この際、日米安保を根本的に再検討し、日米ともに両国の世論に支えられた、真に両国国民の友好親善を基盤とする新しい安全保障体制への発展、改善をする用意があるかどうかをお伺いをいたします。
 わが国の安全と防衛については、遺憾ながら不毛の対立が続き、国民的合意を得られる状態にないのでありますが、しかし、国民のすべてがわが国の安全と防衛に強い関心を持ち、このことを希求してやまないこともまた事実であります。そこでわが民社党は、国民合意の安全保障政策を求める手法として、国会に安全保障委員会の設置を提唱してまいりました。去る六月の十日、衆議院の予算委員会で三木総理は、国会に安全保障委員会をつくるという民社党の提案に賛成する意向を表明されましたが、このことは実は故佐藤元総理、田中前総理もわが党の提唱に賛同する旨の答弁をされているのでありますが、にもかかわらず、政府・与党ともに歴代総理のこの方針を裏づける姿勢が全く見られないのはきわめて遺憾と言うべきであります。この際、改めてお伺いいたします。総理は、このことについて努力をされていらっしゃるのかどうか、また、腹を据えて具現化をする御決意がおありかどうか、明確な御答弁を求めます。
 第四に、基地問題についての政治レベルでのリーダーシップについて伺います。特に沖繩の基地問題につきましては、四十七年一月のサンクレメンテ会談で米側に理解を求め、それを受けて翌四十八年の安保協議委員会で検討されるなどの実績もあるわけであります。私は、基地問題を処理するに当たっては、総合的な安全保障観、戦略、戦術に対する政治的判断、そして、それに基づく基地の配置、運用構想などが当然あってしかるべきものと考えるわけでありますし、そのことがあって初めて国民の合意も米側の理解も得られるものと思いますが、いかがでしょう。総理並びに防衛庁長官の姿勢をお伺いいたします。
 また、昨秋、山中前防衛庁長官は、沖繩基地の整理縮小構想、いわゆる山中メモなるものを米側に示してその実現を図る旨言明されましたが、その後このことはどうなっておりましょうか、国民の期待にこたえる御答弁をお聞かせ願いたいと思います。
 第五は、ポスト四次防について伺います。長官指示の中で、陸海空自衛隊の統合的運用体制の整備をうたっていますが、このことは軍事的にいっても当然のことであり、自衛隊の効率的運用からいってもきわめて重要な課題だと思います。カナダは三軍を一体化することによって、軍事的にはより機能的に、また財政的にも大きなコスト減を図ったと言われておりますが、三十万足らずのわが国自衛隊の一体化は、まさに検討に値すると思いますが、防衛庁長官の御所見をお伺いいたします。
 最後に、文民統制と国防会議のあり方について伺います。文民統制の実は、自衛隊の最高指揮権を有する首相みずからの姿勢によって定まることは言うまでもありません。同時にまた、総理を議長とする国防会議の役割りも重視すべきであります。長官は、国防会議の活用を繰り返し強調されておりますし、さきには、四十七年の四次防先取り問題を機に国防会議の強化、拡充が叫ばれ、政府は国防会議構成法を改正しようとしたわけであります。しかし、その後の経過、今後の方針についてその考え方をお聞かせ願いたいと存じます。あわせてFX、PXL等、装備の選定に当たって果たして文民統制が生かされているのかどうかきわめて疑しいものを感じますので、最新にして強力なものを求める制服組の要求、本能は、これは私は当然だと思う。それを、安全保障に対する基本的な思想と四囲の政治的諸状況の判断に基づく文民統制が正しくどのように行われるかということが、これが文民統制に関する重大な問題であると思います。国防会議の活用を絡めて、その手法をお伺いいたしまして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#54
○国務大臣(三木武夫君) 中村議員の御質問にお答えをいたします。
 今日の国際環境をどういうふうに見ておるかという御質問でございましたが、いまや世界の政治経済は構造的な変化を起こしておる大きな転換期であると思います。その中でやはり一番大きな問題は、私は、一九七〇年代の四半世紀の問題はいわゆる南北問題だと思っております。先進工業国と発展途上国との格差が拡大していく、しかも、圧倒的に発展展上国の方が人口の上にも多い。この問題をどのようにして解決していくかということが世界の平和に大きな関連を持っておると考えております。人口問題、食糧問題、海洋会議、もうすべてこの問題と関連を持っておるわけで、したがって、これを、私の言っておるような対決によって解決することはできない。やはり三木政治のモットーである対話と協調ということで、国際協力によってこの問題に対して調和のある国際関係を今後は維持して、そうしてできるだけ南北間にある格差を縮めながら人類の生活の安定、向上を図っていくというふうな方法を見出すことだと考えております。
 また、朝鮮半島のことについていろいろ御質問がございましたが、やはり一番問題は、南北の両方の当事者が、一九七二年ですか、共同声明にあるような南北の話し合いによって統一を解決するということでございます。中村議員の御提案のありました日米ソ中の四国による平和保障体制の確立という問題は、そういうことができれば好ましいでございましょうが、まだその国々の、関係諸国の間に問題を解決するための協調体制ができ上がっておりませんから、御指摘のような体制は実現が困難だと思うわけでございます。
 それから、日米安保条約というものについては、日本はこれを信頼をいたしておるわけであります。アメリカは信頼に値する国でありますし、アメリカの首脳部からも日本の防衛に対する義務については確認をする発言がしばしばございましたので、いまこの安保体制をここで再検討するという考え方は持っておりません。ただしかし、御指摘になりましたような、防衛問題というような、こういう問題が、与野党間の間に百八十度物の考え方が違う国は日本以外にはないわけです。これは非常に特殊な日本の不幸なことでありまして、国の重要な、安全に関するような諸問題が、お互いに与野党間の合意もできないという状態は、日本の政治としてきわめて不幸なことでございます。安保反対は反対で結構ですけれども、国の安全について関心を持たぬ政党があるはずはないわけでございますから、民社党の言われるような、安全保障に関する、まず安全保障に対しては共通の土俵があるはずでありますから、この問題について国会においてそういう特別委員会ができて、もう少し話合う場面ができることは好ましいと私は考えておるので、これは自民党は賛成をする用意を持っておりますが、これは各党がこういう話し合いで、国会の問題でございますから、私の一存でどうこうというわけにもまいりませんが、こういう特別委員会が設置されることを私は希望をいたすものでございます。努力もいたしたいと思っております。
 日米の防衛分担については、しばしばお答えしておりますように、防衛分担というよりかは、日米の協力ということが私は適切だと思います。日米の協力については、当然にそれは憲法の枠内でなければならぬことでございますが、日本の安全について日米間の条約を結んでおるのですから、もう常に密接に話し合っておく必要があると考えております。それを防衛分担という形で協定を結ぶというような考え方は持っていないわけでございます。
 また、文民統制ということが重要であるというお話は、まさにそのとおりでございまして、国会の自衛隊に対するいろいろな統制、あるいは通常予算、法案等の審議を通じて行われておることもシビリアンコントロールの一面だと思いますが、この点はきわめて重要なことで、今後重視していかなければならぬと考えております。国防会議も今後いろいろ、国防会議というものは余りいままで開かな過ぎたわけでございますが、懇談会等ももう少しやっぱり開いて、この運用は充実してまいりたいと考えております。
 その他の問題については、関係大臣からお答えをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#55
○国務大臣(宮澤喜一君) 朝鮮半島における核兵器の問題についての米国首脳の発言は、私どもは抑止的な意味合いを持っているというふうに考えておりますことは先ほど来申し上げておるとおりであります。もし、しかし朝鮮半島で核兵器が使われたときにはわが国はどうするのかというお尋ねであったわけですが、それはいかにも異常な事態における異常な出来事、全く仮定の出来事でありますし、どういう状況でという状況の設定も実はお尋ねの中にございません。全く仮定のことでありますし、かつ、米韓条約との関連のことでございましょうから、第三者であるわが国が仮定の場合について論評をすることは、私は差し控えさしていただくべきだと考えております。
 それから、同じく朝鮮半島について、日米ソ中のいわゆる安全平和保障の問題でございますが、結局この話を詰めてまいりますと、日米が朝鮮――北側を承認し、中ソが韓国を承認しという、いわゆるクロス承認と言われる問題になっていくわけでございますが、しかし、それにつきましては、特に北側が、現在の分裂国家状態を恒久化するものであるという見地から反対をしておるというふうに私は承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういう問題を含めまして、先ほど総理が答弁されましたように、そこへ行くまでの間の各国の協調体制がなお不足をしておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#56
○国務大臣(坂田道太君) 中村議員にお答えを申し上げたいと思います。
 基地の問題についての御質問でございますが、私、就任いたしましたときに、この日米安保条約の義務履行という側面から見ますると、この基地ということについては、非常に日本がアメリカに対してこの義務履行をしなければならない一面があるが、しかし同時に、この基地周辺の対策ということについては、摩擦がないように、トラブルがないように、できるだけ努力をすべきものと私は考えるわけでございますことを申し上げたわけでございます。まあそういうわけでございますが、一方、日本の国防という見地から基地がいろいろあるわけでございまして、この点は、そういう観点で地域的な配置が行われておるわけでございまして、縮小をいたすにつきましても、その日本の独立と安全を守るために必要な限度において縮小をしていく、整理をしていくという基本的な立場をとっておるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、沖繩その他におきまして山中長官がおっしゃいましたこともございますが、政府といたしましては、基地周辺住民の民生安定及び関係市町村の開発計画等に配意をし、これと日米安保条約の目的達成との調整を図りながら、米軍施設・区域の整理統合を進めていくべく、第十四回及び第十五回日米安全保障協議委員会におきまして、在日米軍施設・区域の整理統合につき合意を成立せしめた次第でございます。目下その実施に全力を挙げておるわけでございまして、また今後におきます米軍施設・区域の整理統合につきまして現在事務的に検討をしておるところでございます。
 それから、文民統制と国防会議のあり方につきましてすでに三木総理からお答えがございましたが、国防会議は国防の基本方針、防衛計画の大綱、防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否、その他国防に関する重要事項につきまして内閣総理大臣に対し諮問に答え、あるいは意見を述べることを目的とする機構でございます。その趣旨は、国防に関する事項は、各政府機関に関連するものであるので、政治の軍事に対する優位と国防関係諸施策の総合調整を確保するため、広い視野から総合的に審議し万全を期そうというものであると思うのでございます。私は、日本の防衛を担当いたしますが、やはり広い視野、外交、経済、民生安定、その中においてどういうふうに防衛力を維持していくかということがやはり必要でございまして、やはりこういう国防会議におきまして実質審議をやっていただくということが望ましいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、この三軍を――三軍ってこの自衛隊、三自衛隊を統合したらどうかというようなお尋ねであったと思いますが、これにつきましては、それぞれのやはりこの自衛隊の発足の経緯もございますし、機能も違いますし、いまのところ三軍――三自衛隊を統合するということは考えておりません。カナダにおきまする三軍の統合ということも私は聞いております。そして先般、防衛庁の職員が向こうへ参りまして、この点について、私は特に調べさせたんでございますが、どうもやはりこれはうまくいってないというような状況の報告がございました。しかしこの点は、御意見は御意見として、もう少し研究をさせていただきたい。しかし、ただいまのところそういう考えはないということは明白にいたしておきたいというふうに思います。
 それから、防衛協力につきましては、もうすでに何回もお答えを申し上げましたし、それから総理からもお答えになりましたが、とにもかくにも防衛の責任者同士、日米間の責任者同士がやはり話し合うということは、両国それぞれの国益のために必要なことであり、大事なことであるというふうに考える次第でございます。(拍手)
#57
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#58
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第六五号)について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。植木国務大臣。
   〔国務大臣植木光教君登壇、拍手〕
#60
○国務大臣(植木光教君) 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 独占禁止法については、昭和二十八年以来、実質的な改正は行われておりません。この間のわが国経済は、競争の中に生かされた民間経済の活力に支えられ、目覚ましい発展を遂げてまいりましたが、最近における経済を取り巻く環境は著しい変貌を遂げるに至りました。したがって、今後のわが国経済の一層の発展を図るためには、情勢の変化に適応し国民の理解の得られるルールを確立して、公正かつ自由な競争を促進し、自由経済に新しい活力を与えることが必要となったのであります。このような背景のもとに、今回、政府は独占禁止法を改正しようとするものであります。
 この法律案は、以上の観点から、不当な取引制限等について課徴金の納付を命ずる制度及び独占的状態が生じた場合における競争回復のための措置に関する制度を新設するほか、会社の株式の保有の制限、違反行為に対する排除措置等を強化する等により、公正かつ自由な競争を促進しようとするものであります。
 次に、この法律案の概要を御説明いたします。
 第一に、不当な取引制限等について課徴金を国庫に納付することを命ずる制度を新設することといたしております。これは、いわゆる違法カルテルの発生の状況等にかんがみ、禁止規定の実効性を確保するための行政上の措置として、違法カルテルにより得られた経済上の利得について、その納付を命じようとするものであります。課徴金の額は、違反行為の実行期間における売上額に、業種に応じ、一定の率を乗じて得た額の二分の一に相当する金額とし、一定額未満の場合は、その納付を命じないことといたしております。この一定の率及び一定額につきましては、衆議院において修正が行われております。
 第二に、独占的状態が生じた場合における競争回復のための措置に関する制度を新設することとしております。すなわち、一定の規模以上の事業分野において、一定の市場構造があり、価格、利益等の面での弊害があらわれているという独占的状態があるときは、競争を回復させるための最後の手段として、営業の一部の譲渡その他必要な措置を命ずることができることといたしております。これは、競争を経済運営の基本に置こうとするものであります。なお、この措置の重要性等にかんがみ、その要件、手続等につき配慮を加えておりますが、手続の一部について衆議院において修正が行われております。
 第三に、大規模な会社及び金融会社の株式の保有の制限を強化することとしております。すなわち、大規模な会社に対しては、その資本の額または純資産の額を超えて他の会社の株式を保有してはならないようにするとともに、金融会社に対しては、他の会社の株式を保有することができる限度を現行よりも厳しくすることといたしております。なお、規制を強化するに当たりましては、株式保有制限に国策的見地等からの例外を設けることとするほか、証券市場や中小企業への影響等を考慮して、所要の経過措置を置くこととしております。
 第四に、違反行為に対する排除措置の内容を強化することとしております。事業者や事業者団体の行う不当な取引制限に対して、原案では単にその排除を求めるだけではなく、違反行為の影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届け出等に関する措置を命ずることができるものといたしておりましたが、衆議院において、違反行為によって生じた影響を排除するために必要な措置を命ずることができるものとする旨の修正が行われております。このほか、既往の違反行為に対する措置、不公正な取引方法に対する排除措置についても、その強化を図っております。
 第五に、違反行為に対する罰則を強化することとしております。すなわち、他の経済関係法律との均衡をも考慮し、たとえば、違法カルテルに対する罰金の最高額を引き上げる等の所要の措置を講ずることとするほか、違反行為者が法人である場合は、その最高責任者である代表者に対しても罰金を科することができるようにすることにより、責任の所在を明確にすることとしております。
 このほか、違反事実についての報告者に対する通知に関する規定を設けることとするとともに、所要の整備を図ることといたしております。
 以上が、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
#61
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。青木一男君。
   〔青木一男君登壇、拍手〕
#62
○青木一男君 私は、自由民主党を代表し、独禁法と憲法の関係について政府に質問します。
 今国会において、稻葉法務大臣が憲法改正を目的とする会合に出席したこと、国会で現行憲法に欠陥があると述べたことの二点を理由として、野党は稻葉大臣の罷免を要求し、これがため約二週間国会の機能は停止した。私は、憲法の尊重と改正は両立するものと考えるが、憲法に欠陥があるという表現をも許さないという野党とこれに頭を下げた政府当局の憲法尊重の熱意には驚いた次第であります。(拍手)
 しかし、憲法尊重といえば憲法全体の尊重でなくてはならない。自分の好む条文は尊重するが、他の条項はどうでもよいというのでは憲法尊重ではない。いわんや、憲法に違反する法律制度が自分の政治目的に都合がよいというので憲法違反に目をつぶるのは、これまた憲法尊重ではありません。私は、先般の予算委員会で独禁法と憲法の関係で質問し、総理並びに法制局長官の答弁をいただいたのであるが、憲法違反の疑いを晴らすことができなかった。ここに改めて数点お尋ねします。
 第一点。まず行政権が内閣に属し、内閣総理大臣は行政各部を指揮監督し、内閣が行政権の行使について国会に対し責任を負うという憲法の規定は国家統治の根本原則であり、いやしくもこれに違反があってはならないと思うが、政府の見解を伺います。
 第二点。予算委員会で私は、憲法に規定された機関のほかに統治権の最高権威として行使する機関は存在するはずがないと思うがどうかと質問したのに対し法制局長官は、憲法第六十五条、第七十二条の趣旨にかんがみ、会計検査院等憲法上明文の根拠がある場合は別として、それ以外に内閣から完全に独立した行政機関を設けることは憲法違反の疑いがあると答えた。また長官は、独禁法の施行、運用は行政権であると答えた。行政権であるとすれば、独禁法の施行は内閣の権限に属し、公正取引委員会は内閣総理大臣の指揮監督に服し、内閣は独禁法の施行について国会に対し責任を負うこととなるがと質問したのに対し、総理並びに長官から答弁があったけれども、私は承服ができなかった。
 第三点。そこでまず憲法上の指揮監督の意味について政府の見解を伺います。長官が予算委員会で引用された学者の中で、宮沢博士は、指揮監督とは、上級機関が下級機関に対し、後者の事務処理に関し一定の行動を命ずることをいうと定義しておる。佐藤功教授は、指揮とは、上級機関が下級機関に対して、その所掌事務について方針、基準等を示し、これに従わせることをいい、監督とは、ある機関が他の機関の行為について、その機関の遵守すべき義務に違反しないかどうか、また目的達成上不適当かどうかを監視し、必要あれば指示命令することをいうと説明しておる。他の学者の説も大同小異であるが、いずれの説によるも、指揮監督は行政機関の職務上の行為についての関係であるという点では一致しておる。これは法解釈の常識であると思うが、政府の見解を伺いたい。
 高橋公取委員長は私の質問に対し、職権の行政については内閣の指揮監督を受けておらない、その根拠は独禁法二十八条にあると答えた。職務権限の行使、すなわち委員会の職務上の行為について内閣の指揮監督を受けないとすると、完全な独立機関であると思うが、政府の見解を伺いたい。
 第四点。総理も法制局長官も私の質問に対し、内閣は公取委員会に対して任命権と予算編成権を持っているから、一般行政機関より軽度ではあるが、指揮監督権を持っておると答弁された。宮沢博士の指摘しておるように、もし任命権と予算編成権を握っているから指揮監督権があるとするならば、最高裁判所についても長官、裁判官の任命と予算編成権は内閣の手にあるから、最高裁判所は内閣の指揮監督下にあると言わねばならない。これは容認しがたい解釈であります。この点、政府の見解を伺います。
 また、公取委員会の委員は法律上身分が保障されており、人事監督権の働く余地もない。かように、任命権と予算権が指揮監督権でなく、人事権も働く余地がないとすれば、内閣の公取委員会に対する指揮監督権は、弱いというのでなく、ゼロであり、公取委員会は完全な独立機関ということになると思うが、政府の見解を伺いたい。もしゼロでないとするならば、何が残るか伺いたい。
 次に、第五点。法制局長官は私の質問に対し、行政事務の性質上、政治的な支配を排除して、政治的中立、公正な立場から事務を処理することが社会的にも要請されるというようなものについては、内閣総理大臣の指揮監督権が制限される、それは独禁法第二十八条の規定によって明らかにされておると説明しておる。しかし、憲法の「行政権は、内閣に属する」という規定、「総理大臣は、行政各部を指揮監督する」という規定は無条件であり、例外を認めておらない。法律で憲法に反して例外をつくるのは許されないと思うが、政府の見解を伺いたい。
 長官は、同じ答弁の後段で、公取委員会の職権行使の独立性は職務の本質に由来するのであって、第二十八条があって初めて認められたものではないと前段と異なる説明をしておる。一体、どちらが独立権限の根拠であるか、改めて長官の考えを伺いたい。
 高橋公取委員長は、独禁法第二十八条によって独立に職権を行使していると答えておる。これは当然の解釈である。法律を離れ、政治上の中立という職務の本質が独立権限の根拠であるならば、だれがそういうことを決めたか伺わねばなりません。また、仮に第二十八条が廃止されても、公取委員会の独立権限は残ることとなる。そういうことがあってはならないのであります。私は、長官の言う政治上の中立というのは、第二十八条の立法理由であって、法律を離れた独立権限の別の根拠ではないと思うが、長官のはっきりした見解を伺います。
 また、政治上の中立公正を確保するため公取委員会に独立権限を与えるということは、内閣が不公正をするものであるとの前提に立っており、議院内閣制の本旨に反すると思う。これがため内閣の権限を縮小し、国会に対し責任を負わない独立機関をつくることは憲法の本旨でないと思うが、政府の見解を伺います。
 また、あらゆる行政は公正でなくてはならない、独禁法の分野に限ったことではないと思うが、この点も政府の見解を伺います。
 次に第六点。法制局長官は、独禁法第二十八条と同じ規定が公害等調整委員会、公安審査委員会、公害健康被害補償不服審査会、航空事故調査委員会等にもあって、独立して権限を行使している。いずれも事務の性質に基づくものであり、公取委員会の独立権限もこれと同じで憲法違反ではないと主張された。私は、これらの委員会は二つの点で公取委員会とは全く性格を異にし、同列に論ずるのは誤りであると思う。
 第一は、これらの委員会の関連する事務全体について所管大臣が存在し、その事務の目的をよく達成する手段として、一部の事務を独立機関に扱わせておるのである。公害等調整委員会の例をとると、公害対策基本法によって政府は公害の防止対策の基本を定める義務を負い、その施行機関として、内閣の外局として環境庁を設け、国務大臣をもってその長とし、公害行政の責任の所在を明らかにしておる。ただ、公害紛争の迅速適正な解決を図るため公害等調整委員会を設け、独立して権限を行使させているのである。その仕事が一種の裁判であるからである。独禁法については、その法文中にも、各省設置法にもどこにも独禁法施行を担当する大臣が存在しておらない。独禁法施行の唯一の機関は公取委員会であり、その点が他の委員会と全く異なる点である。
 第二は、委員会の職務の本質の差異である。長官の指摘しているとおり、問題の委員会の多くは行政処分に対する不服審査をする機関であり、その本質は裁判に類するから、独立して職権を行うこととなっておるのは当然である。宮沢博士は、一般行政権に属する国家作用でも、国会のコントロールに適しないもの、たとえば異議、訴願等の争訟の裁決、技術上の能力の試験採点のようなものは、性質上独立に行わるべきもので、内閣から独立の機関でなされても憲法違反ではないと説いておる。要するに、事務の性質上、内閣の指揮監督を受けなくとも憲法違反とならないのは裁判に類する行為、国家試験等を指すのであって、これは常識の認めるところである。しかるに公取委員会の職務には、違反事件についての審判手続、審決のような裁判に類するものも若干はあるけれども、大部分は強力な自由裁量による行政処分である。これらの行政処分は、問題の委員会と異なり、性質上当然に独立性を与えらるべきものではない。公取委員会の職務中審判、審決の部分に独立権限を与えるということであればこれは問題がない。一般行政処分を含む全部の職務に独立権限をも適用しておるから憲法違反の問題が起こるのである。公害等調整委員会の独立権限の条項を法の改正で削除しても、裁判の実体を持つ委員会の業務に干渉する内閣はないでありましょう。独禁法第二十八条が廃止されたときは、高橋委員長といえども独立権限は主張しないでありましょう。これが両者の異なる点であります。他の委員会の独立権限の例をもって公取委員会の独立権限を正当化することは誤りであると思うが、政府の見解を伺います。
 次に第七点。独禁法の施行についての内閣の国会に対する責任について予算委員会で総理のお考えを伺ったのであるが、答弁は明瞭を欠いておるので、改めて伺いたい。任命権、予算編成権の分野だけで国会に対し責任を負うのであるか、それとも独禁法施行の全部について責任を負うのであるか、この点を明らかにしていただきたい。総理のお考えは、独禁法施行全部について責任を負われる意味であると解しますが、それならば、内閣が行政権の行使について責任を負うという規定は、内閣が行政各部を指揮監督するという規定と表裏をなすものであり、指揮監督権はないが責任を負うというのは、憲法の精神に合致しないと思う。総理のお考えを伺います。
 次に第八点。最後に総理にお伺いします。いまの独禁法は、終戦直後日本の産業が壊滅し、独禁法の必要などは全然なかったときに、占領軍の基本的対日政策である日本弱体化の一環として、日本が経済強国として再起できないようにするための立法であった。そうしてアメリカの法制をそのまま日本に移したものであり、当時の国会の諸君は、独禁法とはどんなものか理解できないままに、占領軍の指示に従って通した法律であると思う。占領軍の指示による法律は憲法に違反しても問題はなかった。しかし、わが国が独立を回復した後には再検討すべき法律であった。
 憲法との関係で同じ問題のある国家公安委員会については、委員会の委員長に国務大臣をもって充てるという法の改正で委員会の独立権限を弱め、憲法との抵触を緩和し、内閣の行政上の権限との調整を図っておる。しかるに公取委員会についてはこれと逆行し、公取委員会の権限を強化し、産業構造に介入させ、政府の産業政策との摩擦の種をまくような改正を行う必要はどこにあったか伺って私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#63
○国務大臣(三木武夫君) 青木議員の御質問にお答えをいたします。
 私に対する第一問は、憲法第六十五条、七十二条、六十六条、国政上の重要性についてどう認識しておるかということでございましたが、御指摘のようなこの六十五条、六十六条も、七十二条も、行政権は内閣に属し、あるいは内閣の責任、総理大臣の権限、責任等を規定した国政のあり方に関するきわめて重要な規定であると考えております。
 第二の御質問は、内閣から独立した行政機関の存在が憲法上許されるかという御質問でございますが、憲法第六十五条及び第七十二条の規定の趣旨から見て、会計検査院等、憲法上明文の根拠がある場合を除いて、内閣から完全に独立した行政機関を設けることは、憲法違反の疑いがあるということでございます。
 第三には、独禁法の施行について、内閣の国会に対する責任についていろいろ御質問がございました。公取委員会は内閣の所管のもとに属しており、内閣は、人事、予算等に関する一定の監督権を行使するものであります。これらを通じて国会に対して責任を内閣は負っておるものと考えるものでございます。
 他のいろいろの憲法上の疑義については、主務大臣あるいはまた総務長官、あるいは法制局長官がお答えします。
 最後に、この独禁法は憲法に違反しわが国の産業に致命的な打撃を与えるのではないかという御懸念に対しては、私からお答えをしていく必要があると考えます。私は、この独禁法が憲法に違反しておるという考え方は全然持っておりません。また、日本の産業に非常な致命的な打撃を与えるとは思ってない。むしろ、わが国の産業に大きな活力を与えるものであるというのが私の認識でございます。青木議員は、私がまだ一議員として衆議院に議席を持っておったときに、すでに国務大臣として御活躍になっておりました。そのときは、戦前、戦中という特殊な時期ではありましたけれども、統制経済時代である。私はその統制経済時代というものを経験して、その矛盾と欠陥というものを身にしみるほど知らされたのであります。自由経済の体制こそがわが国経済に活力を与えて発展を促すものだという信念を非常に強くしたのであります。私は今後も自由経済体制を守り抜きたいと考えておるのであります。守り抜きたいがために、そのためには自由経済体制というものが国民の理解と支持を得なければ、これは体制を維持できるものではありません。ことに今後の経済運営については、従来にも増して国民の理解と支持というものが要請されるのが今日の時代でございます。今日、自由経済体制を支持しようとする国民の多数も、公正な自由競争のルールなしの自由経済を支持するものではありません。皆やはり自由経済を支持するけれども、自由経済が公正な自由競争のルールは確立してくれというのが国民の声だと私は思うのでございます。それなるがゆえに、今回国民の要望にこたえて独禁法の改正案を提案して御審議を願っておるわけでございまして、これは新しい自由競争のルールを設定して、わが国経済の発展を願う多数の国民の声にもこたえるものであるし、また私は、国民の多数もこの重要法案の行方に対して非常なやっぱり関心を持っておると思うのでございます。だから、この改正法律案が産業に致命的な打撃を与えるなどという考え方は私は一切持ってない。私は、日本のこの大規模な産業というものが生産性を向上し、技術を開発し、国際競争に勝ち、雇用の吸収など日本の経済発展の原動力になったと考えておりますから、これに対して正当な評価をするものであります。こういうこの近代的な大規模の産業の存在を否定して今日の社会は成り立たないと思っております。その評価を持つがゆえに、私は企業というものがやはり国民の納得を得て、そして公正な自由競争のルールを確立することによって、わが国経済が一層発展してもらいたい。発展を促進してもらいたい。また民間も、自由競争のルールが確立するんですから、独占的な体制というものが排除されるんですから、自由にみんなが創意工夫をこらすことができるのでありますから、それによって初めて自由競争の妙味が発揮できるんです。そういうことで民間の創意が発揮できて、新しい日本経済の活力というものがこれによって生まれてくる。安定成長の時代になったわが国経済にとっては、どうしてもこういうふうな新しい活路を見出すことが必要である。そういう点に役立つものであって、この産業界に不安を与えようなどという考え方は全然持っていないということを申し述べておきたいのでございます。(拍手)
   〔政府委員吉國一郎君登壇〕
#64
○政府委員(吉國一郎君) 第一の問題は、憲法第七十二条の内閣総理大臣の指揮監督権についてのお尋ねでございました。御指摘のように、憲法第七十二条は、内閣総理大臣は行政各部を指揮監督する旨を規定いたしております。この「指揮監督」と申しまするのは、憲法学上あるいは行政法学上申しまするならば、上級の行政機関が下級の行政機関に対して一定の行政上の行為をなし、またはなさざるべきことを命ずることを言うものであろうと思います。ただいまの宮沢東京大学名誉教授、あるいは佐藤功上智大学教授の御説を御披露になりましたけれども、全く私も同意でございます。この憲法七十二条の規定は、憲法第六十五条によって内閣に属するものとされておりまする行政権の行使につきまして、終局的に内閣が国会に対して責任を負うという憲法第六十六条第三項の義務を全うすることができるようにいたしますために、内閣の首長たる内閣総理大臣にこのような権限を付与いたしまして、行政が全体として統一的に処理されることを期待する趣旨に出たものであると理解いたしております。
 次に、内閣は公正取引委員会に対して指揮監督権を持っているかどうかという御質問でございました。公正取引委員会は、その職務の性質が政治的な配慮を排除いたしまして公正、中立に行われることを必要とするものでありますことからいたしまして、その職権は独立して行使することといたされておりまして、私的独占禁止法の施行に関する職務につきましては、内閣総理大臣は通常の下級の行政機関に対しまするような指揮監督権を有しておりません。しかしながら、公正取引委員会は内閣総理大臣の所轄に属する行政機関とされておりまして、内閣は委員長及び委員の人事、あるいは財務、会計その他の事項に関して一定の監督権を行使するものでございまして、これらを通じて国会に対して責任を負っておるものでございます。
 次に、公正取引委員会の権限行使の独立性は何であるか、独立性の根拠は何であるか、また、他の独立的な行政委員会とは性格が異なるではないかというような御指摘でございましたけれども、この点は予算委員会においても申し上げましたように、公正取引委員会の行うべき職務は専門的分野に属しておりまして、しかも、公正かつ中立に行うことを要するものでございますので、政治的な配慮に左右されるべきものではございません。独占禁止法の第二十八条が公正取引委員会の職権行使の独立性を規定いたしておりますのは、公正取引委員会の職務のこのような性質によるものであると考えます。内閣総理大臣または各省大臣が下級の行政機関に対して通常持っておりますような指揮監督権が及ばないとされております職権の独立性を有する行政機関は、公正取引委員会のほかに、ただいま御指摘もありましたように、公害等調整委員会、公安審査委員会等、また行政委員会でない国家行政組織法の第八条の機関としては多数の審査会等がございますが、その職務はそれぞれ異なっておりますけれども、これらの機関の職権行使の独立性はその職務の性質に求められるべきものでございまして、公正取引委員会も、また他の行政委員会も、専門的分野に属する事項を政治的な配慮を排除して、特に公正かつ中立に行うことを要する点において、全く異なるところはないと考えております。
 これに関連いたしまして、この職権行使の独立行使の規定が、独占禁止法第二十八条の規定をまって初めてそうなるものであるか、あるいはその規定をまたなくて、本質上そういうものであるかということでございますが、もちろん、法律上の規定といたしましては、第二十八条の規定をまって公正取引委員会が職権行使の独立性を有することは、法律の制度としては疑いはございません。ただ、現在行政委員会として最も典型的なものであると学者において挙げられております人事院でございますが、人事院につきましては、このような職権行使の独立性の規定は設けられておりません。また、三者構成で最も公正に仕事が行われるべきことについてどなたもお疑いになりませんような中央労働委員会、あるいは船員労働委員会、公共企業体等労働委員会についても、このような職権行使の独立性の規定は別段設けられておりませんけれども、この職権行使については、私的独占禁止法第二十八条があたかもあると同じように中立、公正に行われるべきものであるということは、皆様どなたも御異議はないだろうと思います。そのような意味からいたしまして、私的独占禁止法第二十八条の規定は、もちろん法律上の制度といたしましては、この規定をまって初めて公正取引委員会は職権行使の独立性があるということに相なると思いまするけれども、それは公正取引委員会の職務の本質に内在するものであると言うことができると思います。
 以上、お答え申し上げます。
    ―――――――――――――
#65
○議長(河野謙三君) 小柳勇君。
   〔小柳勇君登壇、拍手〕
#66
○小柳勇君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました独占禁止法改正案に対して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず冒頭に、けさの新聞報道によりますと、参議院自民党の一部の中に、ただいま議題となりました本法成立に反対する勢力があると報じています。衆議院を全会一致で通過し、しかもいま総理も発言したように、国民熱望のこの法律をもしも術策を弄して成立を阻むような政治勢力があるならば、われわれは重大な決意をもってこれに対決しなければならぬのでありますから、自民党総裁としての総理の見解を聞いておきたいと思うのであります。
 独禁法の母国アメリカに範をとった昭和二十二年制定のこの原始独禁法は、経済民主主義の実現を目指すものとして、政治的民主主義の章典である日本平和憲法と相まって、わが日本に真実の平和を築くべき崇高な使命を帯びておったのであります。したがって、原始独禁法は、カルテル、企業合併、株式保有などの行為を厳しく禁止するだけでなく、不当な事業能力の格差の排除、すなわち、企業分割という構造規制の措置をも用意して、財閥と軍閥との再現を防ぐ厳然たる決意を示しておったのであります。
 この間の道理を独禁法研究会会長の金沢良雄教授は次のように言っています。「自由経済を基調とする経済民主主義は、まさに政治的民主主義の重要な基盤をなすものである」、こう申しておるところであります。これを簡潔に表現いたしております。私たちはいま独禁法改正を考えるに当たって、その原点、すなわち原始独禁法の意義と精神とに立ち返ることがすべての大前提でなければならぬと考えるのであります。この点について三木総理大臣の信念を伺いたいのであります。
 この原始独禁法の守り本尊である公正取引委員会が二十二年七月、くしくも旧三井財閥の本拠である日本橋の三井ビルにおいてスタートしたことは、まさに歴史の皮肉と言うべきであります。ところが、その後わずか一年余りで民主化政策は早くも転換を強請され始めました。すなわち、昭和二十三年末、国家公務員法は改正され、公共企業体等労働関係法が制定されました。これによって官公労働者の労働基本権は大幅に制限されたのであります。由来、政治的民主主義の後退は、労働基本権の抑圧に始まるのが常道であります。この動きが二十八年八月のスト規制法制定につながるのは当然の成り行きであります。そして、日本資本主義が基本権を剥奪した労働者を動員して、夢よもう一度と産業復興を図るには、何としても厳しい独禁法の力をそがなければなりません。こうして、労働基本権抑圧と歩調を合わせて進められたのが独禁法の改悪であります。すなわち、二十四年五月、早くも株式保有規制の緩和などを内容とする第一次独禁法改悪が行われ、次いで二十八年には合理化カルテル、不況カルテルを認め、不当な事業能力格差を排除する規定を削除し、株式所有、企業合併、役員兼任などの制限を大幅に緩和する第二次独禁法改悪が行われました。わが国の独禁政策はまさに百八十度の転換を遂げたのであります。独禁法がこのような後退を余儀なくされた背景に、独禁法及び公正取引委員会に対する財界、産業界の反感と攻撃があり、勧告操短カルテルや適用除外カルテルを積極的に指導して、独禁法に穴あけを図る政府の産業行政の圧力などがあったことは申すまでもありません。これらの事情は、公正取引委員会の職員に対して、ある産業人が、「いまは黙って服従するが、やがて占領が終わるときこそ、本当にわれわれが物を言うときだ」と語ったエピソードがあります。また、ある産業官庁が、「もし公取委が操短を認めないなら、恐慌が起こったときの責任は公取委にあるぞ」と警告して、公取委の勧告操短否認の姿勢を挫折させた挿話もあります。その後も、不成立に終わったとはいえ、カルテル規制や合併制限の大幅緩和をねらう独禁法改正が企図されたのは、すべて産官一体となっての独禁法攻撃のあらわれにほかなりません。
 このように、本来独禁法の違反となるべき行為を行政指導という外皮でカムフラージュして今日までまいったのが産業政策の実態であり、その後は、多くの独禁法適用除外領域を設定、拡大するとともに、今回の改正に当たっても、企業の活力を失わせるような改正には賛成できないとして、終始独禁法強化に最も強硬に反対したのは通産省であると言われている。通産大臣は、原始独禁法以来独禁政策に対してとってきた産業政策を反省しておられるのかどうか。そして現代の日本経済が、自由経済の立場から見て、まさに体制的危機に瀕しているとき、その危機から抜け出すためには独禁法の強化が不可欠のものであること、その独禁法の強化は、当然のことながら、独禁政策を産業政策に近づけることではなくて、産業政策を独禁政策に近づけることであることをしっかりと認識しておられるのかどうか、通産大臣に伺いたいのであります。
 次に、インフレと独禁政策について質問いたします。現在は世界的なスタグフレーションの時代であることは御存じのとおりです。各国ともこれから脱出するための対策に苦悩しておるのが現状です。この対策として独禁政策がいかなる役割りを果たすかについて政府の認識を確かめたいのであります。
 この対策として、先進諸国はおおむね総需要抑制政策を対策の中心に据えておりますが、これだけでは今日のスタグフレーションを解決することはできないのでありますので、補完的に多面的な対策をとっております。その場合、各国とも独禁政策に大きなウエートを置いている事実を見逃すことはできません。たとえば西ドイツは、一昨年、合併の事前規制、独占の推定、カルテルの情況証拠など、独禁法の大幅な改正強化を行いましたが、この措置は、「自由競争こそがスタグフレーションを回避し、西ドイツ国民のプラスになるのだ」という信念に基づいているのでありまして、事実、西ドイツの物価上昇率は先進諸国の中で最も低いのであります。
 また、米国においては、昨年十月、フォード大統領が新経済政策の中で、「産業界に競争機能を回復させ、インフレ抑制に役立てる」という一項目を盛り込み、十二月二十三日、罰則などを強化する独禁法改正案に署名いたしたのであります。また、産業構造の変革を求めるハリス法案の提案理由は、「この法律を実施すれば平均二〇%以上の価格引き下げが可能である」と指摘しておりまして、連邦取引委員会は「自由競争、消費者擁護という聖地奪回の使命に燃え立つ十字軍のように活躍している」と伝えておるのであります。
 ところが、わが国においては、政府も財界も、独禁政策は本来物価対策とは無関係であり、独禁法改正に物価安定の機能を期待するのは誤りである、という考えに取りつかれておる。この点においては、独禁政策強化に物価引き下げの役割りを期待する欧米諸国の為政者及びわが国国民大衆の方が正しい物の見方をしておると思うのでありますが、総理大臣並びに経済企画庁長官にはいかにお考えであるか、お伺いをいたしたいのであります。
 さらに、国際カルテル対策についてお伺いをいたします。
 独禁法は、国内企業が不当な国際カルテルの当事者となることを禁止しており、国内企業に対しては協定破棄を命じることができますが、その命令の効力は外国の企業には及ばないという欠陥があるのであります。
 これについては、第一に、国際機関において、あるいは各国間の法的な取り決めによってコントロールすることが必要であると考えます。第二に、不当な国際カルテルの存在を探知する機能において現在の公正取引委員会はきわめて弱体であります。その原因は、公取委がOECD以外に海外駐在員を認められていないこと、及び他の行政官庁が海外及び国内の情報の提供について公取委に非協力であるということの二点であります。早急に公取委自身の海外情報網の充実を図るとともに、行政官庁の公取委への協力を指示すべきだと考えますが、総理並びに外務大臣の見解を承りたいのであります。
 次に、日本経済のひずみの集中的表現である企業集団の規制対策について質問いたします。
 二十四年、二十八年と改悪されて原始独禁法の厳しさを失った独禁法から、まさに生まれるべくして生まれてきたのが日本経済の独占化、寡占化の進行であり、日本列島のカルテル化であります。敗戦後の経済民主化措置によって戦前の財閥は解体されました。ところが現在は、総合商社及び大銀行を中核とする企業集団が形成されておるのであります。特に三菱商事、三井物産、住友商事を中核とする旧財閥系三グループ及び芙蓉、第一勧銀、三和の各都市銀行グループの六大企業集団は、社長会メンバー百七十四社で八千五百の企業を傘下に押さえ込んでおります。日本全体の資本金の四一%、総資産の三一%に支配力を行使しておるのであります。戦前の三井、三菱、住友、安田の四大財閥が五百四十四社、資本金で二五%を支配していたのに比べれば、すでにかつての財閥の力をはるかにしのいでいると言わなければなりません。そして、その支配力は価格操作、不公正取引、経営介入などによって日本経済に競争制限という大きなひずみを生じさしているのであります。しかも、その支配力の源は株式の持ち合い、役員派遣及び系列融資にあるのでありますから、何よりも株式の持ち合いを規制することが必要なのであります。しかし、政府案には、株式保有の総量規制は盛られておりますが、個別規制が削られておるのであります。総量規制では、企業集団内の株式持ち合いも大企業の支配的な株式保有も規制することは不可能であります。したがって、株式持ち合いの規制や個別規制をも総量規制とあわせて採用する必要があると考えますが、今後このような規制強化に取り組む決意がありますかどうか、総理に伺いたいのであります。
 いま独禁法改正の政府案提出に至る今日までの経過を振り返ってみますと、公取委試案を出発点として総理府素案、そして政府案と、前進にあらずして後退、強化にあらずして骨抜きの道程をたどってまいりました。しかし、幸にも衆議院において合意による幾つかの修正が行われたことは同慶の至りであります。しかしながら、わが党初め野党の改正案が示しておりますように、まだまだ数々の問題点を残しておるのであります。
 その主なるものを挙げますと、第一に、独占的状態の排除措置として会社の分割があります。寡占価格対策としては、構造規制が必要であるという独占禁止懇話会の意見が大勢を占めて、公取委試案では会社分割の規定が盛り込まれていたことをよく考えてみるべきであります。そして、排除措置を商法の株主総会の特別決議との関係で宙に浮かせることのないようあらかじめ法律の整合を図るべきであります。また、排除措置をとるに当たっての主務大臣との協議は本来有害無益であります。さらに、経済力集中の防止措置として企業合併の規制を強化すべきであります。株式の持ち合いを規制する必要についてはさきにお尋ねをいたしました。
 第二に、カルテル規制措置としては、原則禁止を前提とし、価格の不当な引き上げ、または維持に対する引き下げの措置をとるとともに、不当利得そのものを課徴金として徴収すべきであります。
 第三に、寡占商品の価格引上げについては、原価などの届け出ないし公表の制度を設けるべきであります。
 第四に、消費者保護措置として、再販売価格維持制度を廃止すること、だれでも公取委の告発を請求できること、損害賠償の請求をしやすくすることなど実現すべきであります。
#67
○議長(河野謙三君) 小柳君、時間が経過いたしました。簡単に願います。
#68
○小柳勇君(続) アメリカの独禁法の強みは国民に対して開かれていることにあることを忘れてはならないのであります。
 以上の改正について、今後早急に検討する用意があるかどうかを総理にお尋ねいたします。
 最後に、衆議院の修正点について、一点、総務長官にお尋ねをいたします。政府案の第四十条の二、すなわち、価格の同調的引き上げに関する報告徴収の規定が衆議院修正で削除されましたが、そうすると、現行法第四十条の公正取引委員会の権限によって削除された四十条の二の規定と同じ権限を行使することは可能でありますかどうか、確認のためにお尋ねをいたしまして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#69
○国務大臣(三木武夫君) 小柳君の御質問にお答えをいたします。
 自民党のこの問題の取り扱いについて御懸念が表明されましたが、自民党という政党は、私は世界でも珍しいと思っております。(笑声)これはきわめて自由な政党である。自由な政党――何でももう議論は自由であって、そして外へ聞かしたくないというようなことでも全部こう外へ出る。これほど自由な政党は世界にも珍しい。名前のごとく、自由民主党という名前のごとく自由な政党でありますが、しかし、議論がある程度終われば、小異を捨てて大同につく大政党の大きさを持っておる。大政党としての大きさを持っておりますから、小柳さんの御懸念のような御心配はないということを御理解を願いたいのでございます。
 また、次には、諸外国のスタグフレーションの中で独禁政策が大きなウエートを持っておるというような御指摘がございました。やはりアメリカとか西独とか、経済が発展していっておる国は、皆やっぱり独禁法の改正が行われて、そして競争政策を強化しているのですね。やはりこれは一つの世界的な要請だと思うのです。したがって、そういう意味でこの自由競争というもののルールを確立するということがいかに自由経済の発展のために必要であるかということは世界的な要請だと考えるわけでございます。この問題がすぐに直接的に消費者に結びつくものではありませんけれども、しかし、究極的には公正な価格が形成されるわけですから、独占的な価格が排除されるわけで、自由な競争によって公正な価格が形成されることにおいては、究極において利益を受ける者は消費者である。これだけの私はこの独禁法は重大な関係を国民に持っておると思うのでございます。
 国際カルテルの問題については、外務大臣からお答えをいたします。
 また、銀行とか商社などの株式の個別規制もあわせて行ったらどうか、株式の持ち合い規制も強化することが必要ではないかというお話がございましたが、近年、大企業による他の会社の株式取得を通じて企業の系列化とか企業集団が形成されることを防止すべきだと考えているわけです。大会社及び金融機関の株式保有制限の強化はこのような観点から必要であると考えて行ったわけですが、株式の保有による事業の支配力の集中を避けるために、個別規制ということも、小柳委員の言われるような一つの考え方だと思いますが、しかし、個別規制だけでは不十分なんで、総量規制は、公取により立ち入って点検することを避けて、全体としての経済の支配力の集中を防止しようという意味で総量規制を行ったわけでございまして、個別規制をいまやろうという考えは持っておりません。株の持ち合いについては、商法との関連もあるから、今後の研究課題にいたしたいと思うわけでございます。
 それから、会社の営業の一部譲渡について主務大臣との協議に対して、削除すべきであるというような御意見でありましたが、この企業の営業を一部譲渡するということは重大なことでありますから、これは余り公取だけの自由裁量にすることは私は賛成しない。やはりそれだけのことをするだけの要件はちゃんとしておかないと、最後には公取の判断にゆだねるんですから、その判断に至るまでの間の要件を厳しくいたしておくことは当然でございます。それで、主務大臣との間には、これは産業構造、産業政策と関連を持つものでございますから、十分な調整を行うことが必要であって、協議をすることは必要である。しかし、最終的な判断は公取にゆだねるわけでありまして、その要件の中の一つに主務大臣との協議を入れることは当然であると考えるわけでございます。
 また、合併の問題については、現行法の第十五条、合併の制限という規制がございますので、その規制の適正な運用によってこれは措置、対処すべきものだと思うわけでございます。
 カルテル規制の強化で、価格の引き下げ命令あるいは課徴金の強化という問題がございましたが、私は公取が価格形成に深く介入することに反対なんです。価格を幾らに決めるかということは市場が決めるのが自由経済ですから、それが公取が入ってきて価格の介入を――公権力が決めるという考え方には賛成しない。そういうので、今日も価格の引き下げ命令などはこれは採用しなかったわけでございます。課徴金については、衆議院の段階において修正で強化されたので、さらに強化されることはいまは考えておりません。
 それから、この他のいろいろと細かい点がございましたのは、主務大臣からお答えした方が適当と思いますので、私に対する質問は以上でお答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣植木光教君登壇〕
#70
○国務大臣(植木光教君) お答え申し上げます。
 まず、第四十条の解釈についてでございますけれども、一次的には独占禁止法の運用に当たる公正取引委員会がこれを判断することは当然でございます。しかしながら、政府といたしましても、今回の独占禁止法改正法案の作成に当たりましては、この四十条の調査権についての一定の理解のもとに作業を進める必要がありましたので、一般的に行政庁の権限行使のあり方を考えながら、公正取引委員会の従来の運用の考え方等を勘案いたしまして、四十条についての一定の理解を持つに至ったものでございます。そこで、政府の四十条についての理解でございますが、現行四十条の権限は、公正取引委員会の職務を行うために必要があるときに行使されるものでありまして、「職務を行うため」とは、独占禁止法の規定の具体的運用に関する職務を言うものと解されるということでございますが、必要性につきましては、四十条の調査権限が任意の調査と異なり、罰則により担保された強制的調査権限であるということを考慮しつつ、一次的には公正取引委員会がケース・バイ・ケースに慎重に判断すべきものと考えております。
 なお、四十条の二の規定は修正で削除されましたが、これと全く同じ権限を現行四十条で行使できることはないと考えております。
 次に、再販価格維持制度の廃止問題でございますけれども、公正取引委員会が対象品目の見直しを行っていることでもありますので、その運用を見守ることといたしたいと存じます。
 消費者問題についてもお触れになりましたが、独占禁止政策については、専門的立場から公正にその運営を図ることが必要でございます。独占禁止法は、このような観点から、各規定の適用についての判断を、独立性を持つ合議体としての公正取引委員会に集中することといたしているのでございます。このような考え方に対し、いろいろな立場からの意見があることは承知しておりますが、公正取引委員会の地位、権限の全体に関連する問題として慎重に検討すべきものとは考えますが、現在直ちにこれを改めなければならないものとは考えておりません。
 以上でございます。
   〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#71
○国務大臣(河本敏夫君) これまでの産業政策の目標でありますが、これは国際競争力を強化するために技術の革新、あるいはまた規模の利益等による合理化を目標として進めてまいりました。その結果、近代的な産業をわが国に築くことができたわけでございまして、雇用の拡大であるとか、国民所得の増大、こういうことが実現をしたわけでございます。したがいまして、私どもはこれまでの産業政策が間違っておるとは考えておりません。ただしかし、高度成長時代からこれからは安定成長の時代に移りますので、どうしても新しい自由主義経済のルールが必要でございまして、そのために今回の独占禁止法の改正という問題が起こってきたわけでございます。
 この独占禁止法の改正問題に関連をいたしまして通産省といたしまして最も留意をいたしましたことは、この改正によりまして産業界の活力が失われる、こういうことがあっては困りますので、こういう観点に立ちまして、通産省からいろいろな意見を申し述べた次第でございます。
 しかし、紆余曲折がありまして最終の改正案がここにでき上がったわけでございますが、私は、総合的に判断をいたしまして、現時点ではこの改正案が最も妥当であると、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#72
○国務大臣(福田赳夫君) 小柳さんから、物価対策として独占禁止法を活用すべし、こういう御意見を交えての御質問でございますが、その御趣旨は私も賛成でございます。
 ただ、御承知のように、独占禁止法は、自由にして公正な競争を通じまして一般消費者の利益を確保する、こういうことでありますので、独占禁止法の物価政策に及ぼす影響、これは間接的でございます。ですから、直ちにこれが運用によって何%物価を下げるとか、そういうことは期待できない。ただ、間接的であるにいたしましても、長期的にはそういう機能が期待できますので、この独占禁止法の効果的運用をしてまいるべきだと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#73
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、国際カルテルに対処することは非常にむずかしいのでございますけれども、いろいろな努力がなされておらないわけでは必ずしもありませんので、一九四八年のハバナ憲章にこの問題が出ておりますのを初め、現在、OECDには制限的商慣行に関する専門家委員会というものが設けられておりまして、事前通報制度であるとか、あるいは協議調停手続などもあるのでございますけれども、実は、やはり余り活発に動いておりません。
 国連におきましても、一九七三年から専門家の会合を開きまして、そして今年から、いわゆる多国籍企業委員会なるものを設置いたしたわけでございます。今後会合を重ねて報告を出すことになっておるのでございますが、御指摘のように、具体的に対処をするということが非常にむずかしいのは、一つは、やはり各国の独禁法の法制の違いがかなりあるということからきておるように承知をいたしております。
 それからもう一つ、在外公館で国際カルテルの情報など入手いたしましたときには、遅滞なく公正取引委員会に伝達するということになっておるのでございますけれども、小柳議員の御指摘ではそれが十分でないということでございます。よく注意をいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#74
○議長(河野謙三君) 中尾辰義君。
   〔中尾辰義君登壇、拍手〕
#75
○中尾辰義君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部改正案について、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 独禁法は、二十二年の制定以来、二回の後退のための改正を見ましたが、今日ほど国民がこれに重大な関心を持ち、その改正強化が時代の要請として大きく叫ばれたことはないのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 御承知のように、一昨年の石油ショックとその後の狂乱物価の際、石油業界に代表されるようにやみカルテル行為が横行し、商社、大企業は物不足につけ込み、製品の大幅値上げを行い、巨額の利益を上げ、国民生活は激しい物価高に追いやられたのであります。このような商社、大企業の目に余る行動への国民的反発が激しく爆発したことは、いまだ記憶に新しいところであります。その背景には大企業の寡占化、旧財閥、商社、銀行による産業支配など、自由主義経済の発展を阻害する幾つかの要因がわが国に醸成されつつあることが明らかになったのであります。
 三木総理は、こうした国民の不満と要望にこたえて、独禁法の改正に取り組み、自由経済のもとにおける最も公正な経済ルールを確立することを最大の公約の一つとして約束をされたのであります。ようやくにして、その改正案は衆議院での修正を経て参議院審議までたどりつけたことには、一応公約実現への三木総理の執念に対し、率直に評価することにやぶさかではありませんが、しかし、会期末まであと余すところ一週間では、その成立が非常に心配な面もありますが、幸いに骨抜き法案と批判されました政府案も、衆議院での与野党一致の修正によりまして、十分とは言えないまでも、前向きに強化されたこと、さらに、成立を望む国民の期待にこたえるためにも、わが党は最優先して法案成立の促進を図ってまいりたい。
 そこで、具体的質問に入る前に、総理に、自由主義経済体制の基本的な新しい秩序の確立を目的とするこの独占禁止法の改正案が、異例とも言える衆議院の全会一致の可決を得たことをいかに評価し、今国会において成立を図るかたい決意があるのかどうか、その政治姿勢と政治責任を明らかにされることを求めるものでありますが、三木総理のお考えはどうか、まずお答えを願いたいのであります。
 以下者干の問題について、総理並びに植木総務長官にただしておきたいのであります。
 第一に、現行法ではやり得になっている違法カルテルの排除措置として、わが党は、企業が違法な値上げをした場合、価格の原状回復命令、つまり値下げ命令の導入を強く主張したのでありますが、政府案ではこの点に全然触れずに、むしろ、自由競争を守る独禁当局が価格に介入することに問題があるとの見解を示しておるのであります。
 しかし、一般消費者から見ると、違法なカルテル行為で値上げをされた価格が、そのまま何ら法的制約もなく市場をまかり通って手をつけることができないことは、何といっても納得ができないことであり、こうした素朴な国民感情に対してどう説明ができるのか。また、アメリカや西独、イギリスなどの自由主義国では価格介入が行われていると聞くが、実情はどうであるか。さらに、現行第七条を修正の結果、違法カルテル等の当該行為によって生じた影響を排除するために必要な措置を命ずることができるとなったわけでありますが、これは広く解釈をすれば値下げ命令まで含まれると思うがその点はどうか。
 また、不法カルテルによって起こる一般消費者にもたらす値上げ等の不利益は、この法改正によって具体的にどう是正されるか、明確なる答弁をいただきたいのあります。
 なお関連いたしまして、一昨年の石油ショックによる狂乱物価の際、買い占め売り惜しみによって業界代表が国会の予算委員会等に呼ばれまして国民に約束した事項は数多くあるわけでありますが、その後どのように約束は履行されたのか、河本通産大臣に伺っておきたいのであります。
 第二に、違法カルテルの課徴金や罰則規定についても一応前進をした形にはなっておりますが、課徴金の基準はカルテル実行期間中の売上高に対し修正案では、製造業は四%、小売業は二%、卸業は一%を掛けた二分の一を原則として、罰金は五百万円まで限度額を引き上げられておりますけれども、米国の場合は企業に対して百万ドル、約三億円、個人に対して十万ドル、約三千万円以下であり、同時に損害に対しまして三倍まで賠償をさせられる。西ドイツさえ十万マルク、約千二百万円以下の額、または超過利益の三倍まで科せられることになっており、これらと比較すれば、この程度の日本の課徴金、罰金などでは今後も違法カルテル行為が横行すると懸念されるが、その点はどうか。
 また、公取委員会の職員は三百七十六名でありますが、その中で実際に現場に携わる審査部はわずか七十人と聞いております。この程度では、事業団体に対する複雑な課徴金の計算及び徴収によって公取機能を麻痺されると思わざるを得ません。そこで公取の機構の拡充、さらに定員の増員についてどうお考えになるか伺いたい。
 第三に、同調的値上げの予防措置として、原価の公表は寡占企業のリーダーシップによる値上げが堂々と行われている現状に歯どめをかけるものとして、有効な手段として考えられていたのであります。しかるに、それを財界の圧力で国際競争力等の問題にすりかえてこれを削除されたが、同調的値上げの予防措置としてのこの原価の公表制度さえも認めないという理由は何かお伺いをしたい。
 さらに、同調的値上げが行われた場合、違反被疑事実があるか否かを問わず、現行第四十条の公取委員会の調査のための強制権限が発動できるのかどうか。
 第四に、独占的状態の排除措置として会社分割は見送り、営業の一部譲渡に厳しい条件をつけて、これらの規定を実質的に発動できないようにしておるのであります。審決の直前の協議は削除されたものの、独占的状態の認定に当たり、企業の規模の利益、経理の健全性、国際競争力を著しく損なうかどうか等について主務大臣と協議した上でなければ審判開始ができないのであります。
 また、公取委の命令は株主総会の意思を拘束することができず、株主総会で公取委の命令を否決すれば営業の一部譲渡はしなくてもよいことになっており、率直に言って、構造規制としての営業譲渡の規定は単なる訓示規定にすぎないと思われるのでありますが、どうか。
 また、改正案第八条の四に規定された独占的状態の排除のための措置は、その発動要件を厳しく制約したために、現行第七条の私的独占に対する排除措置の発動要件を制約することとならないか。この点は現行法の後退をもたらすことになるか否かの問題であり、明確な答弁を求めるものであります。
 第五に、株式の保有制限措置についてであります。
 一般事業会社の株式保有の総量制限は今回の改正で初めて実現をされるわけでありますが、規制の内容がきわめてあいまいであり、しかも、猶予期間が一律に十年間と長期間にわたっておるのであります。これでは総合商社、銀行を中核として現実に形成されつつある企業集団グループの市場支配力を効果的に規制できるかどうか、はなはだ疑問であります。その猶予期間を十年間としたのはなぜか、私は五年間で十分であると考えるが、どうか。
 また、株式の保有制限が資本金の額、または総資産で規制されているいわゆる総量規制であるため、総量の枠内でも支配的な株式保有は可能であります。したがって、株式保有の総量規制とあわせて競争関係にある株式の相互持ち合いを制限するのでなければ、旧財閥系企業グループによる株式の相互持ち合いが依然可能であり、すでに形成されている。これらの企業グループの産業支配にメスが加えられないのではないか。
 さらに、保険業を株式保有制限の対象から除外をしてありますが、その理由は、業務の主体が資産運用であるということであります。しかし、保険業界を全般的に見て、ほとんど大部分の会社が大量に株を保有しておるのであります。さらに、都市銀行を上回るというのが実態と聞いており、しかも貸付金に至っては莫大な額に上っているのであります。あくまでも実態に即して進めることが重要であり、規制の対象に入れるべきであると思うがどうか、お伺いをしたいのであります。
 最後に、公取委員の構成について伺いたい。公正取引委員はかつて七名でありましたが、何ゆえ五名になったのか。現在は通産、外務、大蔵、法務、日銀の官僚出身者で占められておりますが、これを七名にしてアメリカの例にならって一般民間人を入れるべきであると考えるがどうか、御見解を伺いたい。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#76
○国務大臣(三木武夫君) 中尾議員にお答えをいたします。
 衆議院において全会一致で可決を見ましたことは、議会制民主主議が国民の要望を正しく受けとめたものとして、私は高く評価するものでございます。この国会で成立を強く期待するものでございます。ただ、審議日数が少ないことが、この重要法案の審議として懸念をいたしますが、どうか能率的な御審議を願いまして、成立を期待するものでございます。これは、しかし、むしろ、中尾議員は責任はどうかということでございましたが、皆さんの手にゆだねられておるわけですから、この法案は。どうか御審議を促進を願って成立を期してもらいたいと思うわけでございます。
 また、違法カルテルの排除措置としての価格の原状回復命令に触れていないということでございましたが、価格の原状回復命令には、問題は大変に多いと。たとえば、カルテルの行為を破棄した後の価格には、その後の需給関係やコストの変化などは反映せざるを得ないので、日がたって――日が経過した、日時が経過した以前に単純に戻せないという点があります。また、価格の形成に公権力の深く介入するということは、私は、やはり自由経済のルールを定めるというこの改正の趣旨からして好ましいものではないということで採用しなかったわけでございます。
 違法カルテルの課徴金や罰金が諸外国に比べて非常に低いというお話でしたが、違法カルテルの対策としては、各国により制度がまちまちであります。今回の改正の一つのねらいは、課徴金をできるだけかけて課徴金を取ろうといったり、営業の一部譲渡を次々にやろうという意図ではないのです。予防的な措置ということがこの一つの立法の大きなやっぱりねらいで、そういうことのないように皆がやはり公正なルールを守って、そうしてそういう罰則にかかることのないようにしてもらいたいということでございますので、私は、これは相当な、違法カルテルの発生に対しても、やはりそれを抑える効果を持っておると考えておる次第でございます。
 それから、公取の機構の、人員についてお話がございました。これは今後とも機構の整備、増員については努力をしていきたい。七人を五人にしたのは何かという――公取の委員を昭和二十七年に七人から五人にしたのはどういう意味かということでございましたが、これは講和後における行政簡素化の一環として行われたものであると聞いておるわけでございます。委員の任命については、今後公取委員会というものは非常に重要な意味を持っておりますから、今後とも各方面から人材を求めたいという立場で検討をいたしたいと考えております。
 他の問題については、植木総務長官からお答えをいたすことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣植木光教君登壇、拍手〕
#77
○国務大臣(植木光教君) まず、違法カルテルで値上げされた価格についてでございますが、現在の独占禁止法の考え方は、違法カルテルについては、これを破棄することにより相互の拘束を解くという点をカルテル排除の基本としておりまして、これにより事業者の自由な競争による価格が形成されることを期しているのであります。改正案はこの考え方を徹底いたしまして、競争による価格形成を促進しようとするものであります。
 次に、アメリカや西ドイツ、イギリス等の国々との比較がございましたが、イギリス、西ドイツでは市場占拠率の高い企業による地位の乱用行為のあった場合に価格を規制することができる制度を持っております。また、アメリカでも、制度というものではございませんが、一部同意審決において新価格の設定を命じた例がございます。しかしながら、欧米においてこうした例があるからといって、わが国の独占禁止法に価格引き下げ命令を導入すべきものであるとは直ちに考えていないのでございます。
 それから次に、第七条の修正案でございますが、政府改正案の趣旨を明確にしたものでありまして、これにより公正取引委員会は、たとえば価格カルテルの場合、その価格が市場の実勢からかけ離れたものであれば、カルテルによらない価格を決定するための交渉を行うことを命ずることができることとなります。しかし、この結果定まる価格を指示することまでは認められないと理解をいたしております。
 次に、違法カルテルに対する対策といたしましては、今回の改正法案では、排除措置の徹底、課徴金制度の新設、罰則の強化など、格段の強化を図っておるところであります。これによりカルテルの発生が減少し、また、発生したカルテルの排除措置が徹底することが期待されますので、消費者の利益の増進に資するものと考えております。
 原価公表でございますが、原価は競争の最大の要素であり、この秘密を公開させることはかえって競争を阻害する、また、国際的にもわが国のみが原価公表するのは問題が多い等、多くの問題がございますので、取り上げておりません。政府案によります同調的値上げに関する報告徴取等の規定は種々の問題があり、衆議院の修正により削除されましたが、政府としては、今後、企業が節度ある価格形成を行うことを期待するものでございます。
 次に、第四十条についての理解でございますが、この点には先ほどもお答えをいたしましたが、四十条の調査権限が、任意の調査と異なり、罰則により担保された強制的調査権限であるということを考慮しつつ、一次的には公正取引委員会がケース・バイ・ケースに慎重に判断すべきものと考えております。
 次に、独占的状態に対する措置は、国民経済に悪影響のない限りで、競争回復のために最後にとられる措置として位置づけられているものでございます。このような性格から、独占的状態の成立要件、措置命令の発動要件、配慮事項などにおいて、かなり複雑な内容を持つものとなり、手続も慎重さを要求されるようになっております。これらの要件、手続の構成は、独占的状態に対する措置の性格から来るものでありまして、歯どめと呼ぶべき性格のものではないと理解をしているのでございます。次に、独占的状態に対する措置の私的独占との関係についてお尋ねがございましたが、現行の独禁法では他の企業を支配、または排除して競争を制限する私的独占に対しまして、行為の差止め、営業の一部譲渡を命ずる等の排除措置をとり得ることになっております。しかし、通常の事業活動によって独占的な状態が生じ、国民経済に弊害をもたらすようになりましても、現行独禁法は、このような状態を排除して、競争を回復させるための措置をとることはできません。このような場合に、独禁法を有効に機能させるためには、従来の私的独占に対する規制にとどまらず、競争の抑圧による弊害が現実に生じている独占的状態に対しましても、営業の一部の譲渡等の措置を命ずることにより競争を回復させる措置をとることができるようにするものでございます。独占的状態に対する措置を新設することにより、現行三条及び七条の運用が異なるものではございません。
 次に、株式保有の総量規制でございますが、保有株主の総量を基準として、経済支配力の過度の集中を防止しようとするものでありますが、急激な総量規制の導入の証券市場、中小企業への影響等を考慮いたしまして、所要の経過期間を置くこととしたものでございます。経過期間内においては、通常の基準額を超えて株式を保有している会社は、その株式保有の増加が抑制されること、及び経過期間の間に漸次通常の基準額に近づくことになりますので、本措置は有効に機能するものと考えております。
 次に、株式の持ち合いでございますが、これが一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、現行法第十条により規制が可能でございます。しかし、持ち合い一般につきましては、将来の問題といたしまして、商法その他の関係法規も考えながら研究をさしていただきたいと存じます。
 保険業を含む会社の問題でございますが、企業との間に預金、為替取引を通ずる密接な関係を持つことがなく、また、融資的にもスポット的な長期資金提供の域を出ず、いわゆる資金限界供給社的な性格を持っております。したがって、他の会社支配及び経済力の集中という事態は起こりにくいものであると考えます。また、保険会社は、機関投資家として、資産運用としての株式の売買を行っておりまして、このような観点から、二十八年の改正前においても、他の金融会社とは区別されて一〇%とされておりましたので、今回も一〇%の制限のままとしたものでございます。
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#78
○国務大臣(河本敏夫君) 先般の物価上昇に際しまして、企業の代表者が国会でいろいろ約束をしたわけでございますが、幸いにその後、物資の需給関係も大幅に緩和をいたしまして、同時に価格も安定的に推移をいたしておりますので、大部分の約束は実現できたものと考えておりますが、政府といたしましても、今後十分その動向に注意をしてまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#79
○副議長(前田佳都男君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#80
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に関し、総理並び関係閣僚に質問をいたします。
 わが党は、独禁法の改正に当たり、経済民主主義の立場から、大企業の横暴を抑えて国民生活を守り、日本経済の民主的発展を目指す独自の抜本的な改正案を発表し、国会に提出してまいりました。同時に、わが党は、事実上経団連見解を取り入れた政府案には反対する態度を明確にし、これを厳しく批判するとともに、国会の審議を通じても問題点を具体的に糾明してきたのであります。この基本的立場を貫きながら、わが党は、現行法より大企業に対する規制をさらに厳しくすること、改悪部分を取り除くことなど、国民の立場に立って奮闘してまいりました。
 今回、本院に提案された独禁法は、当初の原案と異なり、カルテル行為の影響排除命令が挿入され、また、公正取引委員会の権限を縮小する改悪部分を取り除くなど、政府原案より前進したことが明らかであり、よって、わが党はこれに賛成したのであります。
 言うまでもなく、独禁法改正は、石油危機、狂乱物価に苦しめられてきた国民が、その苦々しい経験を通じて強く求めてきたところであり、そのことは総理もよく御承知のことであります。今国会における審議の日数は余すところわずかでありますが、この責任が、法案提出をおくらせた政府にあることは言うまでもありません。今国会において必ずその成立を図ることは、国民の強い要望にこたえる上からも、五党一致で賛成している法案である点からも、当然のことであります。ところが、自由民主党などの一部には、いまなお本改正案の成立に根強く反対する意見が存在する旨報ぜられております。
 私は、まず第一に、三木首相に対し、総理として、また自由民主党の総裁として、独禁法改正に対する見解を求めるとともに、今国会において責任を持って本改正案を成立させる決意がおありかどうかお尋ねいたします。あわせて、関係閣僚に対しても明確な答弁を求めるものであります。
 第二に、私は、修正され本院に提案されている独禁法の運用上の問題についてお尋ねいたします。
 その一は、公正取引委員会の機構の民主的強化の問題であります。公正取引委員会委員は、従来官僚出身者が起用されてまいりましたが、わが党はかねてから、真に国民に開かれた委員会にするため、日本学術会議、消費者、労働者、中小業者、農民の諸団体が推薦する者を委員に加えることを主張してまいりました。公正取引委員会を民主的に強化し、その権限を強めてほしいというのは国民の強い要求であります。総理も衆議院において、今後改善する旨述べておられますが、公正取引委員の選任をどのような方針で実行されるのかお尋ねいたします。もしその構成を、衆議院で修正された本旨に従って強化するのでなければ、独禁法の実行を十分期待することはできません。このことは、今後の公正取引委員会の活動にとってきわめて重要な問題であり、端的に明快な答弁を求めるものであります。
 あわせて、公正取引委員会の機構を強化拡充することも必要であります。いま公正取引委員会の職員は不足しており、昨年二月の事務局職員組合の臨時総会決議によると、事務量の増大のため、職員の過半数が労働過重による疲労と業務の停滞を訴えております。このことが公正取引委員会の機能を発揮させることを妨げてきたことは、衆議院の審議を通じても明らかにされております。政府は、いまこそ勇断をもって、その機能が十分発揮されるよう定員の大幅増加を実施すべきであります。もしそうでなければ、総理の独禁法改正も言行不一致のそしりを免れないでありましょう。総理並びに関係閣僚の答弁を求めるものであります。
 その二は、公正取引委員会の調査権についてであります。独禁法四十条により公正取引委員会は強制調査権を持っており、わが党は、国民の要求を実現するため、その調査権限の強化を主張してまいりました。公正取引委員会は、すでに同条項に基づいて、バター、合成洗剤などの管理価格調査を初め、家電製品の二重価格、紙の価格形成、大豆、木材等の買い占め、売り惜しみの調査、また総合商社の実態調査など、多くの価格調査、事業調査を実施してまいりました。この公正取引委員会の調査権を拡大し、運用すべきことは、物価安定政策会議が繰り返し提言し、衆議院の審議においても強調されてきたところであります。そこで、私は、政府が今後公正取引委員会の調査権を狭め、圧迫するのではなく、どのように強化しようとしているのか、総理並びに関係閣僚の具体的な答弁を求めるものであります。
 最後に、独禁法改正の重要な課題である巨大企業、独占企業集団、多国籍企業の系列支配並びに横暴な反社会的行為の規制についてお伺いいたします。
 今日巨大企業、独占企業集団や多国籍企業は、歴代自民党政府の高度成長政策に支えられ、わが国経済のすみずみまで支配し、巨大な資本力に物を言わせて横暴な反社会的行為を繰り返し、国民をこの上なく苦しめ、国民経済を破壊し、中小企業に耐えがたい苦しみを与えております。総理はこのことをどう考えておられるのでございましょうか。これら巨大企業等の横暴を規制して国民生活を守り、国民経済を民主化して中小企業の危機を打開することは当面の急務であるとともに、今後の独禁法改正の重要な課題であります。ところが、本改正案は、寡占業種における大企業の同調的値上げに対する原価の公表命令を削除し、また営業の一部譲渡命令での多段式の歯どめ、株式保有制限における十項目にわたる例外措置や長期の経過措置等、今日の経済の実態に照らしてきわめて不十分なものとなっております。
 これに対してわが党は、巨大企業や独占企業集団の系列支配を規制するために、企業分割、株式保有制限、役員兼任の禁止はもとより、中小企業分野への不当な進出をやめさせ、系統的な経理の公開によって反社会的行為の民主的な規制等を盛り込み、国民の要求に全面的にこたえた画期的な改正案を提起しております。
 政府は、本改正案の運用についてその基本的立場を明確にするとともに、これら原価の系統的公開を初め、わが党の提案を将来の独禁法改正の重要な課題とし……
#81
○副議長(前田佳都男君) 須藤君、時間が超過しております。簡単に願います。
#82
○須藤五郎君(続) 独禁法をさらに発展させることが必要だと考えているかどうか……
#83
○副議長(前田佳都男君) 簡単に願います。
#84
○須藤五郎君(続) 総理並びに関係閣僚の答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#85
○国務大臣(三木武夫君) 須藤議員も、小柳議員でしたか、同じような自民党に対する懸念を表明されましたが、先ほども申したように、自民党はもう何らの制限なく自由に議論をする政党でございまして、しかし議論が終われば、小異を捨てて大同につく大政党としての大きさを持っておる政党でございますから、そう他党のことに対しての御懸念は無用だと思います。
 この改正案はぜひとも今国会で成立さしたいと願っておるわけでございまして、参議院の皆さんの良識に期待をいたす次第でございます。
 公取委員会の委員の構成は、今後とも各方面から人材を求めるという立場から検討いたしてまいりたいと思う次第でございます。
 公取の人員不足、機能――人員不足という問題もお取り上げになったと思いますが、公取の機構、定員については従来とも充実してきておりますが、五十年度でも、審査部の拡充を図ったわけでございます。今後とも機構の整備、人員の充実については努力をしてまいりたいと思っております。
 公取委員会は、独禁法第四十条によって種々の調査を実施しているが、この四十条をどのように運用、強化していくのかという重要な御質問ございましたので、これはお答えをしておきます。
 政府の四十条に対しての理解は、現行四十条の権限は、公正取引委員会の職務を行うために必要があるときに行使されるものであり、職務を行うためとは、独占禁止法の規定の具体的運用に関する職務を言うものと解されるということでございます。第四十条の二の規定は修正で削除されましたが、これと全く同じ権限を現行第四十条で行使できることはないと考えておる次第でございます。
 それから、今日の大企業の系列支配で中小企業の危機が加わっているというお話がございましたが、須藤議員と日本の経済の実態について私は認識は違うわけでございます。しかし、中小企業というものが日本経済の中で安定した基盤を確立せなければ、日本経済の近代化というものは、これは完成しないんだと思う。きわめて重要な地位を占めておりますから、これは今回は自由競争の公正なルールを設けて自由経済に新しい活力を入れようとするものでありますが、この独禁法ばかりでなく、中小企業政策というものを今後とも充実してまいりたいと考えておる次第でございます。
 共産党の改正案については、わが自民党とは立場の相違がございまして、一つの意見としては承っておくことにいたします。
 あとは関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣植木光教君登壇、拍手〕
#86
○国務大臣(植木光教君) 法案成立についての決意はいかがであるかというお話でございましたが、これは総理が御答弁せられたとおりでございます。総理がほとんど御答弁になっておりまして、将来の展望等についての御質問についてお答えをいたしておきます。
 政府といたしましては、今回の改正が自由経済に新しい活力を与え、国民経済の一層の発展に寄与するものであることを期待いたしております。そのためには、独禁法の規定が適正に運用されることが必要であることは当然でございますが、それ以上に国民各層、とりわけ事業者に公正かつ自由な競争を尊重するという意識が徹底することが必要であると考えます。政府といたしましても、このような方向で努力を続けてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#87
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど大企業についてのお話がございましたが、わが国は貿易立国をたてまえといたしておりますので、どうしても激しい外国との貿易競争に打ち勝たなければならぬわけでございますが、そのためには、新しい商品の開発であるとか、新しい技術の開発と、こういうものを次から次へと打ち出していかなければならぬわけでありまして、そのためには大きな資本と技術力というものが必要でございます。そういう関係で、どうしても企業が大きくなるわけでございますが、この場合に必要なことは、公正にして自由な競争をあくまで確保するということが大事でありますし、特に海外に出ていきました場合には、一定のルールを守っていくということが必要であります。この第一の、公正にして自由な競争を確保するという意味におきまして、今回の独禁法の改正が生まれたわけでございますし、海外における行動基準につきましては、昨年来海外に出ていっております企業が、一つの行動のルールをつくりまして、それを守っていこうと、こういうことで、昨年来行動をいたしておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#88
○国務大臣(福田赳夫君) 独占禁止法の改正について熱意を持っておるかと、こういうお尋ねでございますが、これはもちろん熱意を持っております。
 何とぞよろしく、速やかに本案の成立に協力されんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#89
○副議長(前田佳都男君) 藤井恒男君。
   〔藤井恒男君登壇、拍手〕
#90
○藤井恒男君 私は、民社党を代表し、ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、若干の質問を行い、三木総理並びに関係大臣の所見をただしたいと思います。
 その第一は、今後の産業、経済政策のあり方と、独占禁法との関係についてであります。
 申すまでもなく、自由主義経済体制には一つの大きなパラドックスがあります。すなわち、企業は競争相手より先に出ようと努力し、このプロセスを通じて、すぐれた企業が生き残り、劣った企業が淘汰される。これはいわば資本主義経済の必然的傾向であります。しかし、同時に、その結果生じは寡占または独占は、競争の喪失とともにバイタリティを失い、幾多の弊害をも生じていることは明らかであります。同時に、強く指摘しておかなければならないことは、わが国経済が従来の高度経済成長から安定成長に移行するに伴い、これまでの企業による無秩序かつ無計画な行動は許されなくなっていることであります。たとえば、設備投資一つをとっても、国全体の長期的見通しに立った計画的な設備投資が必要になることは明らかであります。このように見るならば、これまで、ともすれば、独禁政策と産業政策が相対立するかのごとく議論され、片方ではあたかも独禁政策が万能であるかのごとく、かつまた、片方では独禁行政を邪魔者扱いにし、産業政策万能のごとく振る舞う態度は、いずれも偏狭な間違った態度であると言わなければなりません。私は、独禁法によって自由競争の体制を維持する政策にはおのずから限界があることを厳しく認識し、それを国民的立場からの産業、経済政策によって補完することこそ、いま国民が最も政治に要請している課題であると確信するものであります。
 そこで、私は三木総理並びに通産大臣にお伺いしたいのでありますが、今後の新しい産業政策のビジョンとしていかなる方策を用意されようとしているのか。また、これまでの官僚中心の産業行政を改め、広く労働者、消費者代表が参加した行政、並びに、西独でも行われているような労働者の経営参加制度を実施する決意をお持ちになっているのかどうか。さらに、具体的には、現在の産業構造審議会を抜本的に改組して、広く国民代表を参加させるおつもりがあるのかどうか、お伺いしたいのであります。
 私は第二に、価格カルテル、寡占価格問題について質問を行いたいと思います。
 すでに、衆議院においてもこれらの問題については相当の議論が行われておりますが、なお疑問点が残っているのであります。すなわち、政府改正案の課徴金の性格は、当初の公取試案に盛り込まれていた不当利得の徴収という性格がほとんどなくなってしまったことであります。したがって、公取試案の課徴金に比べ、今回の課徴金は著しく低いものになり、その抑止効果が本当にあるのかどうか疑わしいのであります。衆議院では、この点について、政府案の基準率千分の三十を修正し千分の四十に引き上げておりますが、なおこの点について修正の余地があると思うのでありますが、三木総理並びに植木総務長官の御決意のほどをお伺いいたします。
 次に私は、今回の衆議院段階における修正で非常に重要な問題を残していると思います。それは、同調的値上げ対策が欠如していることであります。いまさら申し上げるまでもなく、値上げカルテルは悪であり、全く同情の余地はありません。しかし、少数の大企業しか存在しないがゆえに、カルテルを結ばなくても同調的値上げでカルテルと同じ効果を上げている寡占企業に対しては、何ら罰則もなければ課徴金もなく野放しにしておくということは、全く法のもとの平等という大原則に反することと言わなければなりません。その証拠に、三社七〇%以上のいわゆる寡占業種は七十四業種ありますが、これらのほとんどの業種ではカルテルは行われていないのであります。行う必要がない。それは、カルテルを結ばなくとも、カルテル以上に効果的な同調的値上げを行っているからであります。まさにこれら寡占企業に対する規制こそ、いま最も必要なことと言わなければなりません。三木総理のよく言われる、社会的公正の確保の見地からしても、この対策こそは不可欠のことと言わなければなりません。
 そこで、三木総理並びに福田副総理にお伺いいたしますが、もし寡占価格対策がいまの独禁法上からはなじまないと言われるのでありますならば、独禁法とは切り離してでも、たとえば寡占価格規制法を制定し、必要に応じて値下げ勧告ができるような体制を確立すべきであると思うのでありますが、政府の明確な御答弁をお願いいたします。
 第四に、私は株式保有制限について質問します。
 わが国の経済は、戦前からの特徴として、企業集団の影響が陰に陽にあらわれていることは申すまでもありません。特に最近はこの傾向がますます強くなっております。たとえば三菱、住友など六大企業集団は、総資産でわが国全体で二四・二%、資本金で二五%を占め、企業集団内の相互株式持ち合い比率も約一五%にまでなっているのであります。この結果、わが国の株式所有状況を見ましても、個人の比率は年々低下し、法人所有、なかんずく銀行の比率が高まっているのであります。この状況は、資本主義の立場から見ましても全く不健全な姿であると言わざるを得ません。この現状を改革することは緊急の課題でありますが、今回の政府案は、規制基準を超えて株式を保有している会社の数は、公取試案の四十九社から十五社に減少し、その保有株式額も九千百二十六億円から三千八百十三億円に減少しているのであります。また、経過措置につきましても、五年が十年になっていることは御承知のとおりであります。
 私は、この際、現在のこの激しい経済情勢の変化を考えますと、十年の経過措置は余りにも長過ぎるものであり、少なくとも五年程度にまで短縮すべきであると思うのでありますが、植木総務長官の御答弁を求めます。
 私は、本法の改正について数点の質問を行ってまいりましたが、最後に総理にお伺いいたしたいと思います。実は、私はここが一番聞きたいことでございまして、総理は本心から本法を参議院で通すおつもりであるか否か。総理は、本法が総理就任の際の公約の第一号であり、かつまた、本法成立に強い願望を持つ国民世論を糊塗するために、とにもかくにも衆議院を通過せしめ、後は参議院にほうり込んでおけば責任を免れると考えておられるように思えてならないのであります。なぜならば、衆議院の審議期間は五月八日の趣旨説明から六月二十四日の採決まで四十八日間、参議院は本日を含めて会期末まで八日間しかございません。この間に慎重審議して参議院を通せと言うのなら、それは余りにも参議院を軽視することにならないか。(「そうだ、そのとおり」と呼ぶ者あり)しかし、それはともかくとして、この短期間に審議議了して採決というためには、まさに自民党の積極的な審議促進以外に現在手はありません。先ほど小柳議員や須藤議員に対して総理は、皆さんにゆだねたのであるから、ひとつ慎重に審議してくださいということでございますが、この短期間にこの法案を通そうと思うのなら、まさにそれは自民党が審議促進する以外に手がないわけですから、あなたは自民党総裁として、具体的にどのようにみずからの自民党に対して施策しておるのか、このことを率直に私はお伺いして質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#91
○国務大臣(三木武夫君) 藤井議員にお答えをいたします。
 高度経済成長から安定成長への移行に伴って新しい産業ビジョンを持たなければならぬではないかという、私もさように考えるわけであります。これからの新しい産業というものは、消費者である国民あるいはまた企業の周辺の住民、企業の中で働く労働者などの広い支持を受けなければ、これからの企業は私は発展をしないと思うわけでございます。したがって、消費者の保護とか、環境の保全であるとか、労使関係とか、いままで以上に、産業政策については全面的に時代の変化に即応し、対応したような新しい方式が要るのだと私は思うわけでございます。政府の方としても、いろいろな審議会、政府の機関などを通じてこの問題は研究をいたしておる次第でございます。
 それから課徴金の問題について、行政上の措置として実効が上がらぬのではないかというお話でございましたが、課徴金制度は、違法カルテルがたくさんに起こり、累犯も多いという現状にかんがみて、禁止規定の実効性を確保するために、行政上の措置として違法カルテルによる経済上の利益を納付させる、やみカルテルではもうもうけさせないと、こういうことを目的とするものでありまして、行政処置であるために簡明なものとしたわけでございます。そういうことで、そうでないといろんなケース・バイ・ケースで異なるわけですから、余り複雑なものであってはいけないということで、行政上の処置であるために簡明なものといたしたわけでございます。衆議院での修正も全会一致のものでございますから、さらにこれを修正する考えは持っておらないということを明らかにいたします。
 それから、同調値上げの問題と株式保有の問題は植木国務大臣からお答えをいたします。
 また、最後に、この法案を本気で通すつもりかという、いまさらそういう御質問は心外に思うわけでございます。この法案を政府が決定をして、そうして衆議院で御審議を願い、参議院に送ってまいったわけでありますから、ぜひとも成立を図りたいと願っておることは申すまでもないわけですが、審議日数も少ない、いま藤井議員からおしかりを受けたこと、おしかりごもっともだと思いますが、そこは良識の府としての参議院の良識に期待をいたしまして、会期内に成立を期待しておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#92
○国務大臣(河本敏夫君) 質問は二つあったわけでありますが、一つは、産業政策と独禁政策との関係でございますが、これからは高度成長時代から安定成長時代に移っていくわけでございますが、こういう場合に、企業の競争制限行為あるいはまた市場支配力の乱用等、こういう好ましくない事態が発生する懸念もございます。そういうことから今回の独禁法改正ということが起こったわけでございますが、こういう事態を防止いたしますためには、私は、ただこの独禁法という法律だけに依存するだけではなくして、買い占め防止法等既存の法律もございますが、こういう法律の活用等を含めまして、幅広い観点から産業政策の展開が必要であると、かように考えておる次第でございます。
 それから第二の御質問は、今後の産業政策の進め方の問題でございますが、現在通産省は、産業政策を進める際に、産業構造審議会にそのあり方を諮問をいたしております。そうしてその答申を得まして、それを参考といたしまして今後の政策を決めておるわけでございますが、これからは産業構造審議会の委員の構成も、事情が大分変わっておりますので、労働者代表であるとか、地域の代表、それから消費者の代表、中立的な専門家、こういう方々に入っていただきまして、そうしてこういう方々の比重を高めまして、国民の要望の動向等を的確に反映をしながら、特定の分野に偏らない、バランスのとれた人選を行いながら今後の産業政策というものをつくっていただきたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#93
○国務大臣(福田赳夫君) 寡占価格規制法などを制定したらどうかという御提案でございますが、御指摘のように、これからの日本経済は、どうもいままでのような高度成長が許されない。そういう際におきましては、寡占化による弊害というものにつきましてよほど注意をする必要があるだろう、かように考えます。
 経済の運営に際しましては、寡占価格の動向を十分把握をいたしまして行政努力をしなければならぬと、こういうふうに考えております。そういう事態に対処しまして、この際、寡占価格規制法とも称すべきものをつくったらどうだと、こういう御提言でございますが、まあ、いまのところは行政措置で対処し得ると、こういうふうに考えております。そういう建設的な御提案が必要となるかどうか、これは今後の推移を見て決めていきたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣植木光教君登壇、拍手〕
#94
○国務大臣(植木光教君) 課徴金につきましては総理からお答えになりましたが、この算定方式を立案するに当たりましては、全産業のそれぞれの経常利益率を勘案し基準率を決めたものでございまして、また、課徴金は税法上損金に算入できないということになっておりますので、相当の額になるわけでございまして、したがって、衆議院の修正による抑止力と相まちまして効果を発揮することができると考えるのでございます。したがって、修正を加える必要があるとは考えておりません。
 同調的値上げの問題でございますが、これは報告徴取等の規定を考えたのでございますが、種々の問題がありまして、衆議院で修正され、削除となりました。政府といたしましては、今後、企業が節度ある価格形成を行うことを期待いたしております。
 次に、株式保有制限の導入につきましては、証券市場でありますとか、中小企業への影響等を考慮いたしまして、所要の経過期間を置くこととしたものでございます。経過期間内におきましては、通常の基準額を超えて株式を保有している会社は、その株式保有の増加が抑制されること、及び経過期間の間に漸次通常の基準額に近づくことになりますので、本措置は有効に機能するものと考えている次第でございます。(拍手)
#95
○副議長(前田佳都男君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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