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#1
第075回国会 交通安全対策特別委員会 第8号
昭和五十年三月二十日(木曜日)
    午前十時十一分開議
 出席委員
   委員長 下平 正一君
   理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君
   理事 野中 英二君 理事 勝澤 芳雄君
   理事 平田 藤吉君
      足立 篤郎君    加藤 六月君
      久保 三郎君    紺野与次郎君
      沖本 泰幸君    小濱 新次君
      渡辺 武三君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      竹岡 勝美君
        警察庁長官   浅沼清太郎君
        警察庁交通局長 勝田 俊男君
 委員外の出席者
        警察庁交通局参
        事官      鈴木金太郎君
        行政管理庁行政
        管理局管理官  山本 貞雄君
        大蔵省銀行局保
        険部長     徳田 博美君
        運輸省自動車局
        参事官     宇津木 巌君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 自動車安全運転センター法案(内閣提出第三一
 号)
     ――――◇―――――
#2
○下平委員長 これより会議を開きます。
 自動車安全運転センター法案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案の審査に資するため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、日時、人選及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○下平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○下平委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。紺野与次郎君。
#5
○紺野委員 自動車安全運転センターの設立の行政機構上の問題、最初にその点について質問します。
 このセンターは、五条で資本金は政府が全額出す、監督は国家公安委員会が第四十条によって行うということになっておりますけれども、実際には民間人にこれをつくらせる、そして国家公安委員会が認可をする、こういうふうになっておりまして、これは大変あいまいな性格ではないか。これについて行政管理庁にお伺いしたいのですけれども、このような認可法人は現在幾つぐらいあるのか、どのようなものがあるのか、そしていわゆる特殊法人と言われるものとどういう点で違うのかという点について最初お聞きします。
#6
○山本説明員 お答えいたします。
 行政管理庁が審査の対象といたしております法人は、設置法二条四の二によりまして「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人」でございまして、これがいわゆる先生仰せの特殊法人でございます。
 認可法人と言っておりますものがございますが、特殊法人と認可法人の違いは、特殊法人というものはいわゆる国が必要といたします事務を国がみずからの手で直接強制的に設立きせるという法人でございます。したがいまして、事業の性格は国の事業の代行といった性格を持っております。これに対しまして認可法人は、特別の法律をもって設立される点では特殊法人と同様でございますが、しかしながら、それは本来国以外の業務を行うために民間等の関係者が任意に自主的に設立する法人でございます。その点において両者は異なります。
 したがいまして、認可法人の場合は、当該法人を設立するか否か、また設立するとした場合に、時期、定款の内容等は、もっぱらそれが準拠しておる法律の規定と主務大臣の認可の基準の枠内において民間等の関係者が自主的に決定するものでございますが、特殊法人の場合は、これが国の意思どおりに必ず設立されるという点において基本的に違うわけでございます。
 しからば、一般に民法法人とせずになぜ認可法人とするかという理由は、これは認可法人の事業の性格上国が特別の財政助成をする、あるいは特別の監督規制をする、もしくは法人の職員に守秘義務を課する等の必要のために特別の法律が必要となっておる、こういう点にございます。
 認可法人につきましては、行政管理庁の審査の対象ではございませんので十分には存じませんが、現在数十あるやに存じております。まあさまざまでざいますが、相互扶助的ないろんな共済組合的なものだとか、あるいはいろんな各団体の連合会的なものだとか、そういったものが代表的に挙げられるかと思います。
#7
○紺野委員 そうすると、今度の自動車安全運転センター、この間われわれは警察庁なんかも見たわけですけれども、非常に国の必要とする業務というものですね。これはコンピューターにぎっしり詰め込まれていて、交通警察行政というようなものと非常に不可分なものであるというふうな印象を受けたわけです。
 したがって、そういう国が実際上必要で欠くべからざる業務というものを今度は特殊法人としないで民間人にやらせるという形で、行政管理庁の方も直接の監督は余りしないというふうなものにするということになるのですけれども、そうなんですか。これは非常に国の必要とする業務だとわれわれ考えるわけですけれども、それはいろいろそのほかのものはくっついてはおりますが、しかし主たる根幹となる業務というのはやはり国の必要とする業務、それをこういうあいまいな、責任の余りないようなものにするというのはどうかと思うのだが、そういうふうになるのじゃないのですか。非常にあいまいじゃないですか。
#8
○山本説明員 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたことを自動車安全運転センターに即して申し上げますれば、これはおそらく警察庁からお答えになった方があるいは適切かもわかりませんし、また先生後ほど詳しくお伺いになると思いますので、私の承知している限りで簡単に申し上げたいと思います。
 安全センターが行いますたとえば違反点数の通報業務でございますが、これはもしこういった法人をつくらずにやるとすれば、おそらく自治体警察、つまり地方自治体がやることになるだろうと思います。それから運転経歴証明、これも現在必ずしも義務的業務ではございませんが、もしやるとすれば恐らく自治体警察が行うと思います。さらにまた、事故証明等は現在事実上各所轄の警察署が行っておるようでございますが、これもいわば自治体警察がやっておる事実上の業務でございます。それからまた、もう一つの柱でございますいわゆる運転者に対する高度の教習でございますが、通常自動車教習というものは民間の自動車教習所でやっておりますが、こういった高度のものにつきましては現在一部民間で行われているかと聞いております。
 したがいまして、このセンターの業務というものは、本来国以外のものが行う性質の業務でございますので、こういった業務は国が直接みずからの手で強制設立するよりは、民間等の関係者が自主的に設立するのが適当である、こういうふうに考えております。
#9
○紺野委員 いまの説明にも出ておりましたけれども、結局これは地方の警察の業務が非常に日常的に多いということが仮にあるとしても、やはり警察業務なんですね、内容それ自体は非常に警察、特に交通警察の行政に関するものですから。そういうものを今度のセンター法案によると警察の業務からはずす、そして民間の安全センターというものにまるっきり移すということは非常に納得いかない。一体これはどういうわけでそういうふうに警察業務を民間に移すのか、この点ひとつ今度は警察庁からお伺いします。
#10
○勝田政府委員 御指摘のように、この安全センターで行おうとします業務は、警察の業務に非常に関連の深い業務でございます。ところで、警察の、特に交通警察の仕事はきわめて多岐にわたっておりますし、警察としてはできる限り第一線の警察の業務、交通規制とかあるいは交通の指導、取り締まり、こういった業務に専念をしてまいりたい。どうしても警察でなければやれないというような業務に積極的に当たっていきたい。この安全センターで考えております業務は、必ずしも警察が直接やらなければできないという業務ではなく、サービス的な性格の強い業務でございます。こういった業務につきましては、他に適当な機関があって、これが効率的にやり得るということになるならば、両々相まって交通事故の防止に役立てるように努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
 こういった例といたしましては、従来いろいろな交通情報でございますけれども、こういった交通情報につきましては、いろいろ警察に入ってくるわけでございます。この情報を一般の運転者に提供いたしまして安全運転を促進する業務、こういった業務につきましては、道交法の規定によりまして、日本道路交通情報センターに委託をして運転者に対する情報の伝達をやっていただいておりますが、センターではいろいろと工夫をして、運転者により利便なような方法を考えていただいているわけでございます。このように、専念してそういった運転者のサービスを考えていただくということによって効率が上がる、こういった面で両々相まって運転者の利便、事故防止に一層の効果が上がるのじゃなかろうかと考えているわけでございます。
#11
○紺野委員 ちょっと聞きますけれども、警察庁にあります運転者管理センター、あの膨大なコンピューター、あれはセンターに移管するのですか。
#12
○勝田政府委員 運転者管理センター自体は警察庁の施設でございますし、管理センターといたしましては、警察の直接の行政分野であります不正運転者の免許取得の排除、あるいは行政処分に直接結びます点数制度の運用ということに貢献しているものでございまして、府県警察からの照会に応じてそれに回答するという機能を果たしているものでございますので、警察庁で管理をいたす考えでございます。
#13
○紺野委員 だからそういう点で、運転者管理センターは運転者のすべての人たちの結局管理をしているわけでしょう。そしてそこでは事故歴あるいは違反歴、そういうものを全部ここに登録をして、管理しているわけですね。そうすると、それはいま話がありましたように、行政処分とかあるいは刑事処分ですか、そういうものとも関連のある、そういう行政と関連のある管理システムなんですね。
 そうすると、もともと交通警察業務の心臓とも言うべきこの業務、これは運転者全体のプライバシー、個人の秘密だと思いますけれども、そういうものを警察官は守っている。そして行政処分とか刑事処分に十分にそれが関連性を持たせて、秘密を守っているそういう膨大な組織なんですね。それを民間組織に半ばというよりも、そのすべての心髄をそのままオープンにする。秘密にしておくべきプライバシーを民間機関に出すことによって、民間機関に対しては秘密を守らなければいけない。二十七条で役員及び職員の秘密保持義務を課しておりますね。そういうことで秘密保持を要求しているのですけれども、警察こそがそういう秘密を守れる大きな装置なのに、結局はこれをオープンにする。こういう歯どめをしているとしても、民間の、しかも行政管理庁の責任のないような機関にこれを任せるというのは、やはりこれは問題だ。民間を下請にするということでは、国民に対する責任を本当に負うということにならないのではないかというふうに思いますけれども、その点どうでしょうか。
#14
○勝田政府委員 先ほどお答えいたしましたように、コンピューターそのものを移管するという考えではございませんで、それぞれ運転者の要請に応じまして、それに対して回答するということでございます。
 それから、この法人につきましては、法人は一つしかつくらない、ほかにそういった名称も使わさない、あるいは仰せのように、職員につきましては守秘義務を課しておる、あるいは刑法等の適用も公務員に準じて適用をするというような厳重な規定を設けております。それから国家公安委員会が厳重に監督をするということになっておりますので、このセンターによってプライバシーがみだりに侵害されることは絶対にあり得ないと考えております。
#15
○紺野委員 きのうの質問でも大臣も言っていたそうでありますけれども、これは多分に警察の古い経歴の人たちの救済的な性質を持っている。天下りですね、そういう器としてこれはつくられるという性格もあるのだということを言われておったそうですけれども、これについてどうお考えになりますか。
#16
○勝田政府委員 法律の第一条の目的に書いてありますように、あくまでも交通事故の防止、道路交通に起因する障害の防止と運転者の利便に資することを目的として提案いたした法律でございます。
#17
○紺野委員 はっきりしません。天下り的な性格があると大臣が言っているのですよ。あなたもそう思いますか。
#18
○勝田政府委員 法律自体をお読みいただければわかると思いますが、法律の趣旨は、あくまでも運転者の道路交通に起因する障害の防止と、それから運転者の利便の増進に資することを目的とすると、第一条に法律の目的が書いてございますが、その目的に資するためにこの法案を提案いたしておる次第でございます。
#19
○紺野委員 だから、たてまえと実際がやはり食い違うということだね。執行者である、あるいは国家公安委員長である福田国務大臣が、警察にもそういう天下りの救済措置もあってもいいのじゃないかということを言われたそうです。それは人情としてはそうかもしれないけれども、一つのアリの穴から堤が決壊するというたとえもあるように、国家公安委員長とか警察の長としては、こういうことについては厳正に、厳格にその原則を守るということが私は必要だと思う。その点で非常に甘いし、疑問があるし、たてまえから言っても、あの膨大な運転者管理センターの持っている事実の集積ですね、それをきちっと警察の力で管理しておくということにこそ私は本当はたてまえとしてはあるのだと思うのです。それをしり抜けにするような機構を人情論か何かでもってすれば、また国民の税金によってそういうことをやるということになれば、必ずもとが狂っていろいろなことが起きてくる可能性が大いにあるということなんです。それは後で言いましょう。そういうことは絶対にしませんね。起こり得る可能性が大いにある……。
#20
○勝田政府委員 しり抜けとおっしゃることは、どういうことをおっしゃるのかよく理解はできないわけでございますけれども、この法律の目的の趣旨に従いまして、効率的にその目的に沿うように運用されるものと考えております。
#21
○紺野委員 じゃ具体的に聞いていきましょう。
 昨日も私どもの平田議員が質問をされて、この安全センターは結局損保業界に対してデータを提供するデータバンクというふうな性格を持ってくるのじゃないのかという不安を表明したと思います。私もそういう点で大いに疑問がある。一たびこのことが制度的に行われれば、いわゆるセンターのコンピューターに蓄積されている警察の莫大な事故歴及び違反歴、こういうものがやはりどんどん知られてくる。そしてまた、それをいろいろな業界が利用するということになることはいまの状態のもとではもう必然です。
 そういうことで、ちょっとお聞きしますが、いわゆる事故違反証明ですね、こういうものを要求して年間どれくらいのものが処理されているのかという点についてちょっと知らせてください。
#22
○勝田政府委員 交通事故の証明のお尋ねでございますが、交通事故につきましては、現在の自賠法が制定されました当時に、その施行令によりまして事故を証明する書類を添付しなさいということで、当時いろいろと協議しました結果、信憑性のある証明書というのはやはり所轄の警察署で出されるのが一番よかろうということで通達を発しまして、事故を起こした所轄地の警察署長が証明書を発することになっているわけでございます。その証明書の発給状況でございますが、年間ほぼ百万件ということでございます。
#23
○紺野委員 そういう点から警察庁の方は、こういう事故歴の要求、本来ならば地方警察がやるのが一番好ましいというように指導された時期もあったわけですね、そういう点から見てどうです。
#24
○勝田政府委員 他にそういう証明書を発する適当な機関がない、そういう状況のもとにおいて、やはり警察署長の証明書が被害者の救済という面から必要とするということであれば警察署長の証明書を出しましょうということになったわけであります。
#25
○紺野委員 警察の資料によりますと、はっきりと、交通警察業務のうちいわゆる公権力の行使にわたらないサービス的な業務はできる限り安全センターに行わせることにして、そして将来、警察の運転者管理センターはいろいろな意味において運転者データバンクというふうに整備して、それで警察の方の業務は公権力の行使に主として純粋に保っていきたいということを言っているけれども、そういうふうなお考えなんですか。
#26
○勝田政府委員 警察でなければやれない業務と、そうでなくて一般の機関がやってもやれるという業務、先ほど申し上げましたような情報提供業務というようなものは現に委任してやらしているわけでございますが、そういった適当な機関があるならば、それにやらしたらよかろうということでございます。いま警察はいろいろな業務を、第一線でいろいろと要望があるものですから、それぞれやっております。やっておりますが、そういう中でそういったものを受け入れてくれる適当な機関があるならばやらしていく。両々相まって警察の目的を達成するように努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#27
○紺野委員 だから、結局警察の考え方はサービス警察、特に交通事故というのは日本の最大の災害の一つだと思います。交通戦争と言われておりますからね。ですから、これをなくしていく方向に警察は大きな努力を注ぐことが私は警察の最大の任務の一つではないかと思うのですけれども、そういうことについてのサービス精神、サービス行政、そういうものが厄介だという考えはないのですか。
#28
○勝田政府委員 そういう考えは毛頭ございません。警察の仕事の、サービスの一番大きなものはやはり国民の生命、身体、財産の保護であり、警察が街頭に出ていろいろと指導をする、あるいは登校時にお巡りさんが街頭に立って学童の指導をする。街頭に出て警察官でなければできない仕事をできるだけ積極的にやっていきたい。そういうところにできるだけ精力を割くためにも、どうしても警察でなければやれないという仕事以外で、適当な機関があってそういったことに専念してくれれば、あるいはよりサービス的な業務ができるというところがあれば、そういうところに任してやる。両々相まって交通事故防止の目的を最大限に果たしたいと考えておるわけでございます。
#29
○紺野委員 その点で、サービス的な業務を他の民間機関に任せるということは、やはりサービス警察行政というものを非常に軽視していると私は思うのです。そしてもっぱら公権力的な警察の立場を堅持するということの方に傾いて警察が反動化するという危険が私はあると思うのです。その点について、絶対にそういうことはないというふうに言えますか。
#30
○勝田政府委員 警察の仕事は国民の理解と協力がなければとうてい達成できないわけでございます。そういった面で、国民のための警察という考え方で運営されることは今後とも毛頭変わりはないと考えております。
#31
○紺野委員 では、今度はそのセンターの方の仕事のことについての不安ですが、第一に不安に感ずることは、とにかくこれは本人が要請することによって事故歴とかあるいは違反歴を出してもらうということになっていますね。しかし、こういうことが一たび制度化すれば、われわれが生きている社会はやはり勤労者は使われる身分にあります。そういう点からいって、これが就職上の一つの条件にされる。自動車が運転できる、そうすると、あなたの事故歴及び違反歴をとってきてくださいというふうに就職のときの条件にされた場合、やはりなかなか拒めない立場にいまあるのです。そういうことになれば、一目瞭然、あなたは採用しませんだとか、いろいろ就職についての悪い条件にこれが使われるということが大いにあるということです。この点についてどう考えますか。
#32
○勝田政府委員 この法律の目的は、運転者の利便に資することを目的にしておるわけでございます。そういった観点から、あくまでも本人の要請によってやるというたてまえにしておることは法律に明文で書いてあるとおりでございます。そこで、就職の際にそれが排除の要件になるのではないかということですが、これは法律の趣旨とするところでございません。そういったことのないように十分指導してまいりたいと考えております。
#33
○紺野委員 その指導ですね。指導するということは、就職の場合にこういうことを要求するということをさせないというふうな指導ができますか。
#34
○勝田政府委員 それぞれ何台か以上の車を使っている状態、それには安全運転管理者というものが置かれております。それにつきましては、警察では安全運転管理という面からいろいろと指導しておるわけでございます。そういった人を通じまして、この法案についての趣旨というものを十分に説明をしていきたいというふうに考えております。
#35
○紺野委員 重ねて言いますけれども、就職上の場合は、これを要求するというふうなことをさせないと言えますか。どうです。
#36
○勝田政府委員 現実にそういう問題が起こるかどうかわかりませんけれども、そういったことのないように、法案の趣旨というものを十分に理解していただくように指導をしたいと考えております。
#37
○紺野委員 それからこれが保険関係に利用されることはもう疑うことはできないと思うのです。任意自動車保険の場合のメリット及びデメリット、それから自賠責におけるメリット及びデメリットですか、そういう料率というものを導入するということが、最近自賠責の審議会でも検討する余地があるとか導入した方がいいんじゃないかとかいうふうなことが言われておりますけれども、このことが契機となりまして、これが導入されるというふうなことになる危険が大いにあるのですけれども、これについて一体そういうことはどうなんだ、どういう意見であるかということを、まず運輸省の方から意見をお聞きしたいと思います。
#38
○宇津木説明員 お答えいたします。
 自賠責にメリデメ制を導入することにつきましては、従来からいろいろと検討されてきたわけでございますが、現在のところ、以下申し上げるようなことによりまして、導入はさしあたり困難であるということになっております。
 まず一つの理由といたしまして、申し上げるまでもなく、自賠責は車単位の保険になっておりまして、これが車検制度にリンクされておる、こういうことになっております。事故を起こすのは車ではなく運転者でございますし、車の保険事故歴というものが車の危険度に対応いたしませんので、これにつきましてはメリデメ制になじまない、こういうことになっております。
 車単位の保険をやっております理由は何かということになるわけでございますが、これはくどくどと申し上げるまでもなく、強制保険のたてまえからいきますと、無保険車対策というものは最も重要な問題になるわけでございまして、無保険車対策といたしましては、わが国の現状から見まして、現在やっております車検制度にリンクされた車単位の保険というのが一番いい方法であろう、こう考えておるわけでございます。
 さような趣旨、それからそのほかメリデメ制を導入した場合の実益、あるいはまたその本来の趣旨のいろいろな意見もございますし、きような点いろいろと勘案いたしまして、現在のところ、メリデメ制の自賠責、車単位の保険に対する導入は困難ではなかろうかと考えておるところでございます。
#39
○紺野委員 警察庁のものを読むと、大変これにほれ込んでいるようなんですが、あなた方はどうなんです。
#40
○勝田政府委員 交通事故歴なり違反歴というものが保険の面で活用されるということになりますならば、運転者に対しましてはできるだけ無事故、無違反の運転をするように心がけるようになるであろうというふうに考えまして、事故防止の面からは効果が多いんじゃなかろうか。諸外国の例から見ましても、そういった効果があるというふうに聞いております。
#41
○紺野委員 そうすると、やはり警察は運転者管理センターにできた財産に対してもうむずむずして、さあこれで何とかやりたいということで、自賠責の本来被害者救済的な性格を持っているものにメリット・デメリット制を持ち込んで、そしてやりたい、そういう被害者救済的なたてまえをも崩す危険のあるメリット・デメリット制を導入したいということだというふうに判断していいのですか。
#42
○勝田政府委員 被害者救済ということは非常に大事なことであり、われわれも被害者救済ができるだけ厚くなることを期待しておるわけであります。その前に被害者が出ない、交通事故が少なくなるということがまず第一に大事だろうと思います。そういった交通事故の防止に役立つ制度であるならば、できるだけそういった制度が採用されることが望ましいというふうにわれわれは考えております。
#43
○紺野委員 刑事罰も行われ、そして違反の問題についても必ずしも個人の責任とは言えないような環境のもとで起こっておるという場合が非常に多い。日本のような場合、勤労者の地位というものも弱いというところから、たとえば過積みの問題にしても、過積みがいけないということがわかっている、しかし会社の方ではできるだけやれというようなこともある。これはこの委員会でも問題になった。あるいは交通施設その他いろいろな点の不完全さからもくるというふうなこともあると思うのです。
 ですから、そういう処罰主義的な交通行政というものをもって、そしてプライバシーを多分に侵害するようなやり方を導入してやるというのは、私はやはりもっと前提にすわるべき問題がある。そこを軽々に、あなた方警察の方では、そういうことは何とも思わないようなことがあるのじゃないか。そういう点では違反や事故等々の根本的な原因を単に運転者だけの責任においてすべてを解決しようというのではなくて、もっと施策というものを全体として総合的に完備して、そうして絶滅を期すというふうにすべきではないか。政治はそう動いております。この委員会にしてもあれにしても。それを背番号のシステムができたからすべてそれで解決しようというふうに考えることは、私は本末を転倒するのじゃないかと思うのです。
 そういう点でいまの話を比べますと、私は運輸省の方はもっと政治的だと思いますけれども、そういう点何かちょっと反省してもらいたいと思うのですが、どうですか。
#44
○勝田政府委員 交通取り締まりの面において適正を期せということはまず御要望だろうというふうに思いますが、そういった点についてはわれわれも非常に努力をしておるところでございます。たとえば御指摘がありました過積みの問題につきましても、背後責任の追及ということには鋭意努力をしてやってまいってきているわけでございます。交通の取り締まりというのは、三千万人のドライバー、歩行者を含めると全国民を対象とした仕事である、そういった面で交通の業務の適正ということについては、われわれ日ごろから鋭意いま努力をしておるわけでございます。またこの制度は、何も保険制度のためにつくった制度ではなくて、第一条の目的にありますように、運転者の中で自分の経歴について知りたいとか、そういったいろいろな要望もございますので、そういった運転者の利便に資するということを目的とした制度でございます。
#45
○紺野委員 だからそういう点で、運転者のためにと言ったけれども、運転者の犯しておる事故とか違反とか、そういうものの背景、運転者管理センターに登録されておる莫大な事実の根底に、もっと深く分析され手が打たれなければいけない多くの問題があるということをやはり考えてもらいたいと思いますね。そういうことの前提を抜きにして、ただ結果だけ、これだけを短絡的に何かに活用しようということは、非常にあさはかじゃないかとわれわれは考えます。どうですか。
#46
○勝田政府委員 管理センターに保管されておる資料、それについてどういう面に活用されるか、その資料については、いろいろな背景があるのではないかという御質問でございますが、この経歴証明というのは、あくまでも本人の要望によって出すという性質のものでございます。そこで先ほど言われましたプライバシーの問題ということも、そういうことは、法律の明文を読んでいただけばわかるようにありませんし、その趣旨とするところも、あくまで本人が自分のためにそういった資料が欲しいという場合に提供するものでございますので、おっしゃるような御心配はないのじゃなかろうかというように思います。
#47
○紺野委員 それは、その上にこれを要求する者があるから、そういうことが起きる、あるいは自賠責そのものが、いまのような形に変えるというふうなことがあれば、またそういうことになるということであるから、これを運用する側にとっても、やはり国民の権利というもの、プライバシーというようなもの、そしてまたもっと交通安全全体の対策というものは、総合的に立てるという上に立ってやはりやらなければならないのじゃないかというようにわれわれは思います。
 時間がないからそれくらいにして、自賠責に対して、大蔵省の意見はどうですか。
#48
○徳田説明員 お答えします。
 自賠責に関するメリデメ制の採用についてでございますが、実は自賠責審議会で四十四年十月七日に答申が行われておりまして、その際にはメリットデメリット制度の導入につきまして、「事故車と無事故車との間の保険料負担の公平と事故防止とに資するため、責任保険においても、今後、無事故車に対しては保険料を割引きし、事故車に対しては割増しするいわゆるメリット・デメリット制度を導入していくのが適当である。」このような答申が行われたわけであります。
 その後いろいろ技術的な検討を重ねたわけでございますが、いろいろな問題点もございましたので、四十八年十一月十六日の答申には、若干ニュアンスが変わりまして、「メリット・デメリット制度の導入については、自賠責保険が車両単位の保険であることなどから事故歴等を基準とする制度の導入には種々困難な問題が含まれているが、各方面から強い要請があることを考慮しなお引き続き検討すべきである。」このような答申になっているわけでございまして、このような答申に基づきまして、現在検討は重ねておりますけれども、先ほど運輸省からお答え申し上げましたように、技術的にはかなりの難点がある、このように考えております。
#49
○紺野委員 じゃ大蔵省の方は、難点があるからそう簡単にはいかないということですか。
#50
○徳田説明員 御指摘のとおりでございます。
#51
○紺野委員 それじゃこの問題と関連して、今度は自動車と関係の深い自転車について関連して私質問をいたします。
 これは昭和四十八年の九月二十五日にこの委員会で私が触れたのですけれども、特にそのときに問題にしたのは、京浜急行電鉄の三浦半島でのサイクリング、これは観光業務として行われておるものです。そこで相次いで事故が起こって死者も出る。あるいは瀕死の重傷を負う人もある。ところがほとんどこれが会社の方は賠償の責任にも応じないし、紛争があっても、ほとんど泣き寝入りという形が続いたり、安全対策上きわめて危険であるということから聞いたのですが、そのときにこのサイクリング、これはたとえば最近軽井沢でも事故が起きておるようですし、そのほか日光とか、いろいろな有名なところにはほとんどあると思いますが、こういうサイクリングに対する監督官庁はどこかと私聞いたのですが、そのときに実ははっきりしてないのだということを言っておるのです。今度それをはっきりしましょうということを言っておられたのですけれども、それはどんなふうにはっきりしたのでしょうか、ああいう取り締まりは。
#52
○竹岡政府委員 お答えいたします。
 前に先生の御質問がございました直後に、関係官庁の課長が皆集まりまして、いろいろ討議いたしました。とりあえず総理府が中心になりまして全国のレンタサイクリングの実態調査を自転車普及協会に委託いたしましてやってみたわけでございます。やりましたら、全国で沖繩を除きまして六百十一のレンタサイクリングがございます。このうち、いわゆる公共団体が経営しております公営のものが百九十四で、それから民間がやっておりますものが四百十七というのがはっきりいたしました。公営のものは、主として新たに開発されました専用のサイクリングコース、いわゆる他の車も何も通らない完全な専用のサイクリングコースでレンタサイクリングをやっておる、貸し自転車をやっておるというのが大半でございますが、民間がやっております貸し自転車につきましては、必ずしも専用のサイクリングコースだけではなくて、一般の公道等を使っておる。
 私の貸し自転車には二つの態様がございます。一つは、たとえば山口県の萩市とかあるいは岐阜県の高山市といったような小さな町全体が観光都市になっておって、町の一般の道路を自転車で観光用に利用するというものと、それからもう一つは、そういう狭い町というよりも、たとえば御指摘の三浦半島を一周するようなサイクリングコースとかあるいは大津の琵琶湖を一周するような長い郊外の道路をサイクリングコースとして指定して貸し自転車をやっておる、こういった業態があることがわかったわけでございます。
 この民間の貸し自転車を営業するという者の許可とか認可をどこの官庁がやるかということは、これはやはりいまのところは法的にはどこにもないと思います。問題は、この貸し自転車をやります業態につきましての自転車の安全というものに対する指導監督をどうすべきかという問題があろうと思います。これはやはり従来から地元の警察あるいは市町村が中心になって指導していくのが筋ではないだろうかというように考えております。現に軽井沢は、御承知のように、年間約四万人の利用者があるわけなんですけれども、この軽井沢では、軽井沢警察署あるいは安全協会それから軽井沢町の観光課等が中心になりまして、昨年の六月にサイクリングの安全対策会議というものをつくって業者を入れまして指導しておるというような方針を打ち出しておりますけれども、今後も私は、このサイクリング業というものに対しましての業態の許認可という形での指導というものはなかなかむずかしいものがあろうと思いますけれども、営みましたサイクリング貸し自転車業界に対します安全の指導というものにつきましては、今後も警察並びに地方自治体が中心になって指導していくのが一番いいのではなかろうか、このように考えておりますけれども、さらに十分に詰めてこの調査の結果が出ましたので、検討してまいりたいと思っております。
#53
○紺野委員 あのときに、いろいろ関係省庁が協議して具体的な対策、方針を打ち出したいと言っておりましたが、何か新しい対策、いま言いましたような実情に即して、こういうことをというふうな何か対策がありますか。
#54
○竹岡政府委員 たとえば、先ほど申し上げました軽井沢で設けられましたサイクリング安全対策会議では、業者に対しまして、自転車を貸し出す場合に、コースの案内図等、あるいは自転車の乗り方の安全の注意等のパンフレットを配るとか、あるいは貸し出す自転車の整備を十分にしておくとか、あるいは危険なコースにつきましては警告看板を出すとか、あるいはヘルメットを整備しておくとかいったような指導をきせております。
 まだ若干気になりますのは、この調査によりますと、先ほど言いました非常に長い距離のサイクリングコース、琵琶湖周辺とかあるいは三浦海岸、こういうような所には、場所によっては非常に危険な所もあるようなんです。こういう非常に危険な所はサイクリングコースからはずすようにというような指導をきせておるようでございます。
#55
○紺野委員 例の京浜急行は、最初のうちは事故で瀕死の重傷を負った人に対して、七人の弁護士が連名で社長の代理をして、そして一切の賠償上あるいは道義上にも何らの責任はわれわれにない、こういうおどかしの手紙をよこしております。一切の賠償請求はするなという圧力をかけておったのですが、私がここの委員会で問題にしてから、去年の三月にそれを撤回してきました。会社と代理人の間の連絡上の行き違いで、会社の真意でないので、文書を撤回して深くおわびをするということなんですね。百八十度転換したわけなんです。そして去年の暮れの十二月二十六日に、物質的、精神的な損害に対し賠償金を支払いする義務があることを認めて支払うということに変わった。そして遺憾の意を表明して、さらにサイクリングの事故防止のために安全対策を実施するというふうに京浜急行は変わりました。
 もちろんこれは総理府等でも対策を立てて、そういうことが影響したのだと私、思いますけれども、そういう点で、自動車の方については、自賠責とかその他いろいろなことができておりますけれども、非常に莫大な、いわば国民的なサイクリング、こういうようなものについては、まだ損害賠償というようなことは法的にむずかしいというふうな答弁もこの間あったほどでありますからね。しかし、実際にはよく実態に即して検討し論議すれば、やっぱり賠償の責任もあるというふうなことになるわけでありますから、そういう点について、賠償面についてもこれを補償するような指導の仕方をやってもらいたいということが一つ。
 もう一つは、安全対策の上で、京浜急行はかなり変わってきたのですね。これを皆さんちょっと見てもらうといいのですけれども、これによると、片っ方は最近の新しいもの、片っ方は前の状況をあらわしたものですけれども、やはり一つは、みんなヘルメットをかぶるようになったということですね。みんな頭蓋骨折とかその他が大変死亡する原因になっておりますから、やはりヘルメットをかぶらせるとか、もう一つは、危険個所が全部危険なわけではないので、いま話もありましたように、長い坂があるとか、突然曲がるとか、そういう危険個所で事故は集中して起こっているんですね。だから、そういう所では、ここにも書いてありますが、危ない、サイクリング車からおりること、おりなさいと書いてあるのです。これは加速度がつきますから、乗っていたのじゃ危ないのです。そういう所はおろすということがやはり一番いいことなんですね。本当ならば人がいてそこで指導すればいい。できない所は、だれの目にもわかるように、こういうおりなさいというふうな注意をするとか、ここの所からは危険個所であるとか、こういうふうな要所要所についての具体的な標識、これは京浜急行でやって改善された点だと私は思います。
 そういう点、これはいまのお話から見て、私、まだちょっと不安な感じを受けましたので、こういう問題が起き、そして改善をし始めているようなところを調べてもらいまして、そういう点から積極的に全国のこういう有名な、いまたくさんできておりますから、そういうサイクリングの企業体に対して、指導のための通達なんかをぜひ出してもらいたい、こう思いますが、どうでしょうか。
#56
○竹岡政府委員 実態がわかりましたので、近く関係官庁集まりまして、交対本部の申し合わせ事項で、各地方自治体、業者等に流して指導したいと思います。
#57
○紺野委員 そういうことで、私の質問はこれくらいにしますけれども、先ほどの許認可がどこだかわからないというのは、おかしな答弁だと私は思いますがね。首のない行政がやはりあるということですね。そしてまた、いわゆる安全指導の場合も自治体と地方警察、しかし国としても、それを一応監督するところは結局自治省と国家公安委員長ということになるのですか、その点はどうですか。
#58
○竹岡政府委員 私は、この自転車の一般の安全な乗り方という観点からいきますならば、総理府が警察庁の協力を得まして指導していきたいと思います。
#59
○紺野委員 許認可については、これは地方のあれですか。
#60
○竹岡政府委員 許認可と申し上げましたのは、貸し自転車の業を営む者を、どこかの官庁なり地方自治体の長なりが許可しあるいは認可をしてまで、これを拘束しなければならないかどうかにつきましては、まだ疑義を持っておる、こういう意味で申し上げたわけでございます。
#61
○紺野委員 安全のためにしかるベき善処をしてもらいたいと思います。
 以上をもちまして終わります。
#62
○下平委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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