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#1
第075回国会 物価問題等に関する特別委員会 第7号
昭和五十年三月二十七日(木曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 横山 利秋君
   理事 竹内 黎一君 理事 橋口  隆君
   理事 山下 元利君 理事 松浦 利尚君
   理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君
      加藤 紘一君    三塚  博君
      山本 幸雄君    加藤 清政君
      中村  茂君    野間 友一君
      有島 重武君    石田幸四郎君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      福田 赳夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局長    熊田淳一郎君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        経済企画庁物価
        局長      喜多村治雄君
        通商産業政務次
        官       渡部 恒三君
        通商産業審議官 天谷 直弘君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 大永 勇作君
        運輸省自動車局
        長       高橋 寿夫君
 委員外の出席者
        物価問題等に関
        する特別委員会
        調査室長    芦田 茂男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○横山委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
#3
○松浦(利)委員 きょうは久しぶりに経済企画庁長官、副総理がおいでになりましたから、最近の経済情勢あるいは物価全体について、政府の施策等をお聞きしながら、見通しその他をお聞かせいただきたいと思います。
 ただ、その前に一つだけ運輸省の方にお尋ねをしておきたいのでありますが、運輸省が昨年、御案内のとおりに、政府が行っておる物価対策の中で、やむを得ないということでトラックの運賃の値上げを認めたわけであります。ところが、御承知のように政府が許可した運賃の基準というのは、上限、下限、一〇%、二〇%の幅があるように認可されておるわけでありますが、そういった大変物価問題で苦労しておる政府あるいは国民の世論の中で認可した運賃料金であるにかかわらず、それを悪用いたしまして、上限、下限があるその上限に張りつけるということで、一番貨物輸送の多い東海道路線連盟というものがやみカルテルを結んだわけてあります。――失礼しました。自動車局長が入っておられぬそうですから、説明員の人で答弁できるものと思いましたが、来ておられないそうですから、これは後にさせていただきます。
 それでは、まず副総理にお尋ねをいたします。
 三月二十四日に経済対策閣僚会議を開催いたしまして、地方債発行に配慮等の第二次不況対策を発表なさったわけでありますが、この不況対策によってどれだけの効果を期待しておられるのか、そしてまた、このことによって鎮静しかかっておる物価そのものを刺激するというおそれはないのか、あるいはこういう不況対策によってどれくらい景気が回復すると政府は見ておられるのか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
#4
○福田(赳)国務大臣 いま非常にデリケートな段階の経済情勢でございます。それで一歩誤りますと、これは非常に深刻な不況になるおそれがある。それからまた、一歩誤りますと、物価上昇を再燃させるというおそれがあるのです。そこでまあ綱渡りのような作業というか、施策になるわけでありますが、物価の方はある程度鎮静の方向だ、こういうふうに認識しております。ところが、企業の操業度、あるいは就業の状況、こういうことを見ますと、なかなか深刻な問題がいろいろ起きておる。
 そこで、物価の動きに対しましては、いまは鎮静であるけれども、しかし先行き不安要因がある。そこでそれから目をそらすわけにはまいりません。しかし、同時に、かたがた物価に配慮しながら景気対策の側面も考慮しなければならない、こういうふうに考えておるわけでありまして、物価政策は本当に熱意を持って進めますけれども、同時に、いわゆる不況対策、これもとろう、こういうことで、この間、経済対策閣僚会議におきまして、十二の項目につきまして対策を決定したわけです。その主軸をなすものは、これは財政の支出でございます。
 この財政、特に公共事業でございますが、これは七兆七千億円ぐらい予算があるわけでありますが、それを六五%程度上期に契約する、こういうことにいたしたわけです。その相当数字は、昨年は五二%ぐらいであったわけですが、今度は六五%。そこで、六五%というと五兆円ということになるわけでありまして、これはかなり需要を喚起する力を持つであろう、こういうふうに考えておるわけです。
 景気が非常に沈滞している これを少し勢いをつけるということを考えてみますと、まず個人消費需要、これはとにかくいま鎮静しておりますが、なぜ鎮静しているんだということを考えてみますと、高値安定といいますか、物価は鎮静しつつあるけれども、高値になっておる。非常に高い。さあ買おうとして店に行ってみると、余りにも高いというので、その高値に対する拒否反応という現象があの消費の沈滞にあらわれておる、こういうふうに見ておりますが、急にその拒絶反応が解消するというふうにも考えられない。そういうことを考えますと、景気浮揚の主導力を消費需要が担当するというふうな見方は、これはできないのです。
 それから、第二の需要要因であるところの産業設備投資はどうだ、こういうことを考えてみますと、これは一昨年までのあの勢いの経済情勢を背景としまして、企業におきましては相当先を見た設備投資をしておるわけです。でありますから、今日、さあ需要の方が少し減ったということになると、二割、三割、四割というふうな設備過剰の状態が出てくる、こういうような現状でございます。したがって、そういう状態のもとにおきましては、仮に金融政策を緩めましても、設備投資需要というものは起こってこない。特殊なものにつきましては、それはある。しかし、総体として設備投資需要が景気盛り上がりの主導力を担当するかというと、そうじやない。
 さて、それじゃ輸出の方はどうだろうかというと、世界がこういう混乱状態です。これに大きな伸びを期待するということはできない。
 そうすると、結局、これは財政の需要に景気振興の任務を持たせるほかはない。それから個人住宅需要。この二つがやはり景気を浮揚させるための力を持ち得る、私はこういうふうに判断をいたしまして、そして財政は、ただいま申し上げたとおり、六五%を五十年度におきましては上半期に執行するということ。それから個人の住宅需要を刺激するために、住宅ローンに対しまして金融政策上配慮をする。こういうことを中心とする施策を打ち出したわけでありますが、経済の状態をずっと見ておりますと、そういう施策なんかを背景といたしまして、今日はなおなべ底状態、これがかなり続くと思いますけれども、大体の判断といたしまして、夏ごろから経済は上昇過程に転ずる、こういう見通しでありまして、ぜひこの見通しを実現いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#5
○松浦(利)委員 いま副総理から、夏ごろから景気は上昇するだろうという予測の御発表があったわけでありますが、それに関連をいたしまして、通産省にちょっとお尋ねをしておきたいのであります。
 実はこれは二月でしたか、朝日新聞が各企業に対してアンケートを出しまして、値上げ等の動きについて調査をしておるわけでありますが、この調査によりましても、実は値上げの出番を、鉄鋼、石油、自動車等が待っておるという調査結果が出されておるわけであります。同時に、三月二十六日に経団連が大手の企業に対して調査をいたしましたところが、六四%の企業が産業界に製品値上げの動きを示しておる。あるいはまた、経済企画庁が調査をしてみたアンケートの集約によりましても、約七〇・五%が値上げを予測しておるという事実。こういうデータが出そろってきておるわけであります。
 そこで、通産政務次官にお尋ねをするのでありますが、最近の主要商品の市況というのは一体どういう状態にあるのか、そしてどういう傾向を示そうとしておるのか、その点をまず第一点としてお聞きしたいと思うのであります。
 それから、時間がありませんから重ねて第二点の問題をお尋ねしておきたいのですが、こうした調査結果を裏づけるように、日本の有力銀行が  これは外部に発表しておらぬわけでありますが、この有力銀行の調査によりますと、四月−六月にかけて値上げを予定している品目が相当大量にあるわけですね。これは有力銀行の調査による数字でありますが、具体的に申し上げますと、鉄二五%、合繊糸一〇%、セロハン一〇%、石油製品が六%、エックス線装置が八%、普通トラックが一一%、クレーンが一五%、汎用内燃機関が一〇%、染料二〇%、塗料六%、ナフサが一三%から一五%、合成ゴムが一五%から二〇%、といしなどが五%から一〇%、石綿ストレートが一五%、陶器、壁タイル等が一〇%から二〇%、これらが四月−六月にかけて値上げを予定しておる。これが実際に全体に値上がりをいたしますと、卸売物価に対する寄与率は一・五%程度になるという計算が出されておるわけです。さらに、秋になりますと、紙、機械、発電機、普通鉄鋼等が一五%値上げが見込まれておる。トータルすると、卸売物価を約二%程度押し上げるのではないかという予想を有力銀行が調査結果として立てておるわけですね。
 ということになると、現在の市況、そして、これから景気対策にある意味で転じようとする――転ずるというよりも傾斜しつつある経済政策から見て、一体どういう市況状況になると通産省は考えておられるのか。仮に夏以降景気回復するという仮定があるとすれば、現実にこうした値上げ意欲というものが潜在的に存在をしておることに対して、どのような対策を講じようとしておるのか、この二点について明確にお答えをいただきたいというふうに思うのですね。
#6
○渡部政府委員 ただいま松浦先生の御指摘のとおり、業界で値上げの動きがありますのは、御承知のように、物価抑制のための総需要抑制というか、物価値上げを抑制することが何にも増して優先であるということの経済政策が行われて今日まで参りましたから、経済界、産業界の中で、かなり需給の中で無理に値段が抑えられておるというか、採算割れの状態にあるような業種の方が値上げの動きをしておるということは、現在の経済界の実情に立って十分考えられることであります。
 通産省としてはそこがむずかしいところでありますが、直接いま当該業界に対して事情を聴取するということをすることがいいか悪いかということになると、また別な問題等もありますので、いまも当該業界に直接事情を聞いておるということはやっておりませんけれども、先生御指摘のような動きがあることは、これは在庫がたまれば当然そこに倉庫料が加わる、あるいは金利の負担が重なるというようなことで、ある意味では、これは非常にむずかしいところでありますが、この物価抑制のための厳しい総需要抑制政策というものが将来の値上げ要因をはらんでおるということも、経済の実情の中で否定できないのでありますから、先生の御指摘の問題、非常にむずかしい問題であります。
 いま副総理からもお話がありましたように、こういう時期に今度は景気の回復ということをやっていけば、そこに当然これに乗ずる値上げのすきを与えることになりますから、いわば綱渡りのような状態になるわけでありますが、通産省としては、いま通産大臣が経済対策閣僚会議に出て何遍も訴えているように、金利を引き下げるとか、あるいは在庫を少なくするとか、需要を喚起するとか、あるいはいま遊休している生産設備をもっと稼働できるようにするとかいうことで、できる限りコストアップの要因を抑えるようにして、そのような心配のないように努力をしてまいりたいと思います。
#7
○松浦(利)委員 副総理、いま政務次官からお話があったわけですが、こうした一連の各調査結果、あるいは銀行等の調査の結果を見ましても、一斉に、さあ今度はおれたちの出番だという、値上げムードというのが現実的にあるわけですね。これは先ほど副総理からお話があって、非常にむずかしいということはよくわかるのですが、せっかく物価が鎮静しかかっておるときに、また逆な意味の摩擦が起こるというのは、私はいまから対策を講じておかないと逆の目になるという危険もあると思うのです。そういう点について、副総理としての御見解を承っておきたいと思うのであります。
#8
○福田(赳)国務大臣 御指摘の点が非常に対処の仕方のむずかしいところなんです。いま総需要を抑制し、管理するという体制をとっておりますので、これを解放するということになれば格別でございますが、その管理抑制体制の中におきましては、需給がいま非常に緩んでおる。そこで各企業は、御指摘のように製品価格の値上げを希望しておるのですが、その希望のとおりに値上げをするというようなことになればますます売れない、こういう事情もあるわけでございます。それでありますから、御指摘のとおり、六割、七割の企業がその製品値上げを希望しておる、そういう状態でございますが、実際はそうはならぬ、こういうふうに見ておるのであります。
 それにいたしましても、不況対策を考えますと、景気の側面もこれを盛り上げるということになりますから、その盛り上げ方をどの程度にするか、これはよほど気をつけてやらなければならぬだろう。これを一歩間違って行き過ぎになりますと、その希望した各企業というものがわあっと値上げをしてしまう。そうすると、これはなかなか収拾が困難になる。そこで、第二次不況対策と言いましても、とにかく財政を通じて徐々にこの景気対策が浸透をするというような行き方がいいのではないかという選択をいたしたわけであります。
 なお、その間におきまして、通産省は通産省で、各物資につきまして、これは法的な統制はできませんけれども、できるだけにらみをきかすというか、行政指導、これに万全を期す、こういう体制をとっていただくことになっております。
#9
○松浦(利)委員 副総理、いま副総理のお話を聞きましたが、実は産業界の一部に、いま操業度が落ち込んでおるのだ、だから多少需要を追加しても物価の値上がりには影響ない、こういう声があることも事実だと思うのですが、こういう産業界の考え方というのは、副総理という立場では正しいというふうにお考えになりますか。
#10
○福田(赳)国務大臣 私は理論的にはそのとおりだと思うのです。いま設備が非常に過剰になっておりますから、操業度を上げましても、これは物価に対して悪い影響というよりは、むしろコストを引き下げるというメリットの方があるのではないか、そういうふうに考えますが、一方、物の需給という方面から考えますと、これはまた需要がついたということで、物価を引き上げる要素があるということなんです。
 ですから、需給とコストの関係、これが絡み合って、非常にむずかしい状態になっておる、こういうふうに考えておるわけですが、コストだけの面から見ますれば、まさに、産業界ですかが言っているように、これは製造業につきましては製造の量がふえるのですから、したがってその単位当たりのコストは下がる、こういうことになるのですが、需給が活発になるわけでございますから、これがまたこわい物価引き上げの要因とならないかという問題があるわけなんで、その両々相にらみまして、そうして徐々に景気が回復をする、もう急速なV字型の景気回復なんというのは、絶対これは避けなければならぬ、徐々に、なだらかに景気が回復するというふうに経済界を誘導しなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
#11
○松浦(利)委員 政務次官、通産大臣がおいでいただけば通産大臣にお聞きしようと思ったのですが、いま副総理が言われたように、操業度が上がればコストが下がるはずなんですよ。ところが逆に、操業度を上げても値上げをするという動きが鉄鋼業界あたりにあるわけです。しかも、原料になる鉄鉱石の輸入価格というのは、輸入統計を調べますと、最近下がりぎみなんですね。
 操業度を上げればコストが下がる、しかも輸入する原料そのものは非常に安いということになるにかかわらず、なお値上げ意欲というものが非常に強い。これはどこに原因があるというふうに通産省は把握しておりますか。特に鉄鋼などは、常に値上げを政府に迫ってきておると思うのですが、一体そういう動きに対してどういうふうに対処しようとするのか、その対処の仕方、それをひとつ通産行政の立場でお答えいただきたいと思います。
#12
○渡部政府委員 操業度が上がれば当然にコストは下がっていくわけでありますけれども、いま御指摘の鉄鋼の場合は、これは鉄鉱石は先生おっしゃるとおりでありますが、その製造の場合のかなり大きな面を占める石炭が上がっておりますというようなことで、いまおっしゃるような動きも出ておるわけであります。
 ですから、先ほども申し上げましたように、総需要抑制で、何と言っても物価抑制が最優先だという政府の政策に従って、産業界の活発な働きが抑えられておるような形になっておりますから、そういう意味でコスト割れになって、実質的にもいまコスト割れになっておる物、当然にある程度――当然という言葉が適当かどうかわかりませんが、値上げ要因のやむを得ざる物、あるいはいまおっしゃられるような問題等も関連して、そういう景気回復に向かう時期に、すきに乗じて値上げしようというような物、そういう面をよく見きわめて、先ほど副総理が言ったように、行政指導を強力にして、先生御心配のような、景気回復に乗じて値上げをするというようなことをしないように進めていくのが、私どもの役所の仕事であると思っております。
#13
○松浦(利)委員 結局私は、操業度が上がっても値上げをしようとする動きがある、だから独禁法の改正が必要だ、独禁法というものの強化が必要だという問題だと思うのですね。従来、通産省というのは、ややもすると独禁法の強化について消極的だったわけですよ。これからの立場は、そういった意味から言うなら、安定成長下における経済運営のあり方としては、独禁法の強化という方向がむしろ経済運営の一つの柱になっていくべきだというように私は思うのです。もちろん政府が間もなく閣法を決定するでありましょうが、いま通産省は独禁法の改正については積極的なんですが、依然として消極的なんですか。
#14
○渡部政府委員 いままでお話ししたように、値上げ要因というものの中で、全部が便乗値上げだとか、あるいはすきにつけ入って値上げするとか、断定できない面もあるわけですね。いままで物が売れないために、実質的に完全にもうコスト割れ、千円の生産費がかかっておる物も、売れなければ首をくくるしかないから、七百円、六百円で泣きながら売っている中小企業の実情というようなのも今日の不景気のさなかにあるわけですから、そういう意味で、いま値上げの要因が全部悪だと断定できない面もあると思います。しかしまた、先ほど申し上げたように、そういうすきに乗じて不遇の考えを持つ者もあるというような場合は、これは当然行政指導、また行政指導で足りないような問題が出てきた場合は、国民生活安定緊急措置法とか、あるいはその他の関係の法律とかもあるわけですから、できるわけであります。
 いま独禁法の話が出ましたが、通産省としては、原則的に独禁法の改正に反対であるとか賛成であるとかいうことでなくて、日本の産業経済を担う責任ある立場から、この独禁法の改正が日本の産業の自由で活発なコストダウンの合理化の努力を妨げるようなことになってもならないとか、あるいは日本は御承知のように資源のない国でありますから、外国から資源を買ってきて、これに付加価値を加えて外国に売っていく以外に、一億一千万人の国民は生きていけないわけですから、そのための一番大事な国際競争意欲をこの独禁法の改正によって失わしめてはならないとか、そういう意味で、日本の産業経済の責任ある立場で、そういう二つの原則に立っての種々の意見を述べてきたわけでありますが、最終的に、御承知のように総理府総務長官と通産大臣の間に合意ができて、総理府素案というものができておるわけであります。これは通産省も含めた政府の基本的な考え方でありますから、それに至るまでは通産省として日本の産業経済を守るための立場でいろいろな意見を申し上げてきましたが、それ以後、その素案についてどうこうという考えは持っておりません。
#15
○松浦(利)委員 政府の独禁法が出た段階で、本委員会でもさらに通産省を含めて議論をさしていただきたいと思うのですが、ただいま政務次官が言われた中にちょっと気になることがありますから、副総理にお尋ねをしておきたいのですが、最近、卸売物価が若干マイナスになってきておりますね。そうすると、企業家の中には、製品価格がそのこと自体から下がることになるので、そういうのは非常に好ましくないのだ、そういう発想というのがあるんですよ。若干マイナスになることは、製品価格を押し下げることになるから、それは問題なんだという――言葉の表現は違うが、総需要抑制下におけるコスト割れとか、そういった意味の発言をしておられますね。そういう点を物価大臣としてはどういうふうに受けとめておられるのか、そういう発想というのは経済企画庁としてはどういうふうに理解をされるのか、それと物価対策との関連はどうなのか、その点をひとつ副総理からお聞かせいただきたいと思います。
#16
○福田(赳)国務大臣 狂乱当時以後、物価には一つの大きな課題があったわけです。あの当時は、水ぶくれ、つまり需要が出てきた、そして需給が非常に逼迫する、そこで適正な価格の水準を超えまして物価が暴騰をする。その水ぶくれの物価、その水抜きでございます。その作業というものはもう大体昨年の春ごろまでに済んだ。大体です。しかし、それが全然残っていないかというと、これはやはり尾は引いておる。その水ぶくれの残滓、その水を除去するという問題がずっと、多少ではありまするけれども、なお残っておった。その水が抜かれておるという現象が、最近、この卸売物価の低落というところにも一つあらわれてきておる。
 また、水ぶくれのその水の除去作業、つまり総需要抑制、これが効き過ぎましたというか、非常に効果が出まして、そして需要が非常に沈滞をしてしまった。そこで、企業によりましては、コストを割ってもこれを処分しなければならない、売らなければならぬ、こういうものも出てくる。そういう要素もまた非常に、二、三カ月の卸売物価の下落、これに影響をしておる、こういうふうに思うのです。
 その後に、後者、つまり需給管理政策、これが効き過ぎまして、その結果、コスト割れというような状態、そういうようなものにつきまして、私は、これは妥当ではない、これが長続きすることは許されない、そういうふうに思いまして、そしてそういう見地から景気のなだらかな回復、こういうことも考えなければならぬ、こういう立場をとるに至っておるわけでございますが、そういうむずかしい問題はありまするけれども、とにかく水ぶくれの水が、ほとんど完全にこういう卸売物価下落の現象を通じまして抜き切れたということは、非常に好ましい状態であった、かように考えております。
#17
○松浦(利)委員 いま大臣の方から、水ぶくれが取れたことは好ましいことだ、そのことは私は認めます。ただ問題は、そのことによって製品価格が下がることは問題があるんだ、そこまでいくのは行き過ぎだ、こういう声があるわけですよ。そのことについてどう思われるかということについて、ひとつ簡単で結構ですから。
#18
○福田(赳)国務大臣 ですから、いま申し上げましたように、水ぶくれの水が抜かれたということがその中に含まれておるわけなんです。それは私は非常に満足すべき、歓迎すべきことである。しかしながら、それが行き過ぎまして、コスト割れになって、企業の存立を危うくするという状態になることは好ましくない。その辺の調整をどういうふうにしていくかということが、非常にデリケートなこれからの経済対策になってくる、こういうことであります。
#19
○松浦(利)委員 大体わかりました。
 それでは、また違った角度から質問さしていただきたいのですが、最近、通貨の供給が急ピッチで進んでおるわけですね。それから、円高を反映して、外貨の流入というものも私は最近になく活発だと思うのですね。実際にこういう状態を放置しておくと、過剰流動性という危険性が再び生まれてくるのではないかという危惧があるわけです・が、こういう点については、副総理としてはもう大文夫だ、現状のような状態であれば過剰流動性を再発する危険はないというふうに解釈しておられるのかどうか。
 それと、もう一つは、現状のような状態であれば物価を刺激するという可能性もない、ですから、極端に言うと、通貨の供給量は適当であるというふうにお考えになっておられるのかどうか、その点をひとつお聞かせをいただいておきたいと思うのです。
#20
○福田(赳)国務大臣 通貨の供給量は大体妥当だ、こういうふうに見ております。
 外資が流入する、また外資を導入する、そういうことによって流動性が増加されるわけでありますが、それは日本銀行を通ずる金融操作によりまして完全に吸収しておりまして、過剰流動性を生ずる余地はない。ただいまの状態におきまして特別な対策をとる必要はない、こういうふうな判断です。
#21
○松浦(利)委員 それと逆な面で、過去の物価高、インフレの元凶であった土地ですね、この土地対策というものは現状のままでいいというふうにいま思っておられるかどうか。ある意味で、土地対策というものをさらにこれから見直しておく必要があるというふうにお考えになっておられるかどうか。
#22
○福田(赳)国務大臣 これからの景気対策とすると、どうしても財政、金融両面、多少対策をとらなければならぬ。そこで第二次不況対策をとったわけでありますが、その際、一番心配しているのは土地なんです。金が少し緩んだというと、すぐ土地に立ち向かうわけです。ですから、対策の末項にも特に書いてありますが、この対策によって放出される資金、財政、金融、それが土地に立ち向かうことのないように、関係各省各庁は厳重に配慮する、こういうふうに書いてありますが、金さえあれば土地に向かうという傾向に対しましては、これはもう本当に目を光らしていかなければならぬ。
 しかし、制度的に何をしなければならぬということはないと思うのです。これは行政運営上、あるいは金融機関の窓口の規制、そういうようなことで十分目的には到達し得る、こういうふうに考えております。
#23
○松浦(利)委員 私自身はちょっと危ないんじゃないかという気がしてならないんですよね。現状のような土地対策ではどうも問題があるという気かするのです。しかし、副総理が責任を持って大丈夫だと言うのですから、大丈夫ですか、いや大丈夫だと言っても水かけ論ですから、結果が出てみなければまずいのですけれども、しかし、結果が副総理が考えておる逆の目に出たときには、もう遅いわけですよ。
 ですから、抽象的な言葉で表現されておるけれども、私は、土地対策というのは一歩誤ると大変なことになる。ですから、副総理としての自信、そのことをいま開陳されたわけですから、ぜひ、金ができたら土地に向かうという、それは三木内閣の責任においてやらせませんぞと言われたのですから、結果において再びそういう批判が出ないようにしていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。
 そして、最後になるのですが、きのう、三・二七の春闘は政府あるいは労使の積極的な協力によって最悪の事態を回避することができたわけですね。そこで、副総理が言うように、これからいよいよ本番である賃金というところにいくわけですね。これが結果はどうかわかりませんよ、結果はわかりませんが、副総理の言うようななだらかな線に落ちつくというふうに仮定をしますね、なだらかな線に落ちついたということを、私の場合は仮定として申し上げておきたいのですが、なだらかな線に落ちついた。そうすると、その後に、先ほどいろいろと話を申し上げて、通産省も経済企画庁長官も、企業側の値上げについては、これは行わないように対策を立てて指導していくのだ、こういうふうに言っておられる。それはわかりますね。
 ところが、問題は、そういう値上げをしないようにということについて、労働者に対してと同様な、要するに値上げ自粛というものが呼びかけだけで果たしてできるものかどうか。副総理がこれから、春闘がなだらかな線で落ちついた後、具体的に、先ほどは冒頭、いろいろな呼びかけをしていくとか、あるいは通産政務次官からもいろいろお話がありましたが、究極のところ、一体企業家に対して、労働者に対してと同様、どういう働きかけを、呼びかけをするのか、その点をひとつお聞かせをいただきたい。
#24
○福田(赳)国務大臣 これから賃上げがあるとか、公共料金の値上げがありますとか、あるいは採算割れの企業の採算をどうするか、こういうような問題がありますから、これはどうしても物価は多少上がります。しかし、その上がる勢いというものを、年度間を通じて卸売物価は七・七%以内、それから消費者物価は九・九%以内、これはもうぜひ万難を排してやっていきます。
 私は、賃上げに対しましてはなだらかな解決ということを期待しておるわけでございまするが、そのなだらかなというのは、これは賃上げ率がゼロだとか、あるいは二、三%だとか、そんなことを言っているのじゃないのです。そうなれば、物価を押し上げる要因というものはないわけなんですがね、もう現実の問題とすると、すでに過去において物価は上がっておる。そういうようなことをいろいろ考えますと、ある程度の賃金の引き上げというものはやむを得ないのです。やむを得ないとすれば、これはどうしたってそれが物価を押し上げる要素になるわけです。それからいま法律案をお願いしておりますが、公共料金でも万やむを得ず御協力をお願いしなければならぬものもある。そういうことを考えますと、多少の上がりはあるのです。ありますけれども、その上がりというものを最小限に食いとめまして、そうしてただいま申し上げたような目標は実現をする。そのためには、これはもうどうしても企業に協力をお願いするほかはない。
 企業に対しましては、すでに配当についてはこれを自粛してもらいたいというお願いをし、かなりこれに協力をする空気も出てきておるわけであります。あるいは諸経費節約、これもずいぶん経費節約の線も出てきておるわけであります。そういうふうにして、売り値あるいは製品価格、そういうものになるべくしわ寄せを持っていかないように、企業に対しましては最大の努力をしてもらいたい、かように期待をいたしております。
#25
○松浦(利)委員 企業に対して呼びかけていくということだけで企業が同意するかどうか、大変疑問でありますけれども、これも結果ですから、仮定のことでこれをどうだこうだとここで議論してみても始まらぬと思うので、結果を見させていただきたいと思うのです。
 そして、副総理が言うようになだらかなところで全体的に落ちついたら、そうすると結局、五十年度の物価を押し上げるものは、政府が言うところの公共料金、逆に言うと、五十年度の値上げは公共料金主導型の値上げというものがあり得るのじゃないか。たとえば、酒、たばこ、あるいは郵便料金、あるいは許認可料金である電気、ガス、あるいは運賃、これから恐らくメジロ押しで出てくると思うのですが、確かになだらかな線に落ちついた、しかし、あと残っておるのは公共料金ということになってくるわけでありますから、法定料金であり、許認可料金という政府の枠に入っておる料金をどうするかという問題になってきますね。そうすると、五十年度の物価値上げは、公共料金主導型の物価値上げということが起こり得る可能性が存在をしておる。私は、副総理のその発想をずっと突き詰めていくと、そういうふうになるのじゃないかという気がしますが、その点は大文夫ですか。決意のほどをお聞かせいただくと同時に、いま出されているもの以外は全然範疇にないんだというふうに考えておられるのかどうか、この点をひとつお聞かせいただきたい。
#26
○福田(赳)国務大臣 ことしの物価の動きは、公共料金主導型という性格じゃありません。大きく言いますと、やはり賃金が一つある。これはどうしても経済成長率、あるいは生産性の上昇、それ以上に私は上がると思うのですよ。それはやむを得ない、こういうふうに思います。そういうことを考えますと、賃金の上昇、これはやはり物価には影響する。
 それから、いま御指摘の公共料金、これはもう軽微の程度であります。酒、これはいわゆる公共料金じゃありませんけれども、税が上がりますから、これは上がるでしょう。それからたばこ、これは公共料金です。それから郵便、これも公共料金です。これらがさほどの影響力があるとは思いませんけれども、これはしかし物価押し上げの一つの要素であります。
 それからもう一つは、企業の採算割れというか企業体制を是正する、こういう意味の物価調整、こういう問題があるだろうと思うのです。
 主な物価を押し上げる要因といいますと、そういうところじゃないかと思いますが、賃金につきましては、とにかく労使の御協力を得なければならぬ。公共料金につきましては、いま国会に御審議をお願いいたしておりますけれども、その他のものにつきましては、極力これを抑制するというふうにしなければならぬ。こういうふうに考えておりますし、また、企業採算の是正というような点につきましても、これが道を誤らないように企業に協力をお願いしなければならぬ。みんなして協力し合って、物価が、ことしの年度末くらいに至ったら、よくなったな、来年はもうこれで物価も混乱以前に戻るなという御感触を持っていただけるようにぜひいたしてみたい、かように考えております。
#27
○松浦(利)委員 抽象的なことですから、これ以上議論をしようとは思いませんが、いずれにしても、これからの経済運営いかんによっては、またインフレに逆戻りするという可能性もあるかという気が私はいたします。ですから、誤りなきようにお願いをしたいということを申し上げて、初めに自動車局長がおられなかったので質問を保留いたしました一番最初の問題に入ります。
 これは先ほど申し上げたのですが、昨年七月、物価対策を強力にやっておる、あるいは総需要抑制政策を強力にやっておる中で、路線トラック等の運賃の値上げの許可を運輸省が行なったわけであります。ところが、この許可は、上限、下限一〇%ずつ、二〇%の幅があるわけでありますが、これを悪用いたしまして、上限で全部トラック運賃は決めるべきだというカルテルを東海道路線連盟というのが結んだわけであります。これは運輸行政を逆手にとったものだと私は思うのですね。
 そこで、公正取引委員会にこれはすでに出されておる問題でありまして、新聞等にこの東海道路線連盟が、このカルテルを破棄いたしましたということを自主的に広告したわけですけれども、現状これが公取でどういうふうになっておるのか。目下調査中なのか、あるいはもう結論を出して不問にしたのかどうか、その点について事務局長にまずお尋ねをしておきたいと思うのです。
#28
○熊田政府委員 ただいまの東海道路線連盟の問題でございますが、これはただいま調査中でございまして、調査もほぼ終わりに近づいております。まだ最終的な結論は出ておらない段階でございます。
#29
○松浦(利)委員 そこで、高橋自動車局長にお尋ねをいたしますが、実は業界の人たちの話を聞きますと、この認可料金に上限下限一〇%ずつの幅がありますから、下限の方で料金を決めた場合は、新しい運賃改定の申請をする場合に、運輸省から、おまえの方は下の方に張りついておるのだから、まだ上の方に認可料金の中で幅があるじゃないかということで許可をしてくれぬ、だから、許可があった二〇%の幅の上限で実は運賃をすべて決めておかないと運輸省が認可をしてくれぬのだ、だから困るんだ、こういう業者の意見がある。現実に私も聞いたし、公取の取り調べでもそういうことを言った業者があったというふうにちょっと聞いたのですが、これは事実なんですか。
#30
○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。
 事業者の方にはよくそういうことをおっしゃる方がいるようでございますけれども、私どもが路線トラックの運賃を決め、かつそれに対して、いま先生御指摘のように上下一〇%ずつの幅を設けております趣旨というものは、やはり路線トラック運賃はバスやタクシーの運賃と違いまして、お互いに荷主さんも商売人ですから商売人同士で、そのときどきの景気の上がり下がり、荷物の多い少ない、こういったことによって自由なネゴシエーションがあってしかるべきじゃないかというふうな趣旨から、確定額をもって決めるということでなくて、一〇%ずつの上下の幅を認めておる、これがいま、その幅の中での自由競争といいますか、それを認めておる趣旨でございます。
 そこで、いまのお尋ねの点でございますけれども、これは路線トラック事業者に限らず、すべて事業者はそういったビヘービアになりがちでございますけれども、とにかくもうかっておるなんて言ったことがないわけです。ぼくらに向かって。もうかっていません、赤字でございます。いまの運賃じゃ食えませんということが、事業者の方が顔を合わせば時候あいさつがわりに言う言葉であるぐらいでございます。
 ところが、私どもその事業者の運賃収支の実態をよく調べてみますと、私どもがこの運賃を収受すれば必要な経費が全部償えて、適正なサービスが遂行できるというふうに認定いたしまして認可した料金を、必ずしも十分に収受してない。いわゆる幅の、たとえば下の方の運賃でずっとやっている。そういった段階にあるときに、すでにもう運賃額を上げてくれというお話がある場合には、いや、運賃には当然幅があるのじゃありませんか、したがって、幅の一番下のところしか収受しないということは、それでやっていけるということなんだから、まだあなた方の業界は運賃改定する必要はないのです。というようなことを申し上げて、私どもはできるだけ運賃改定をいつまでもしたくない、するときもできるだけ小幅でやりたいという気持ちを持っておるものですから、そういったことを言うわけであります。本当に認可運賃でできないのかどうかということは、この事業者が収受しておる実際を見ればわかるわけでありますので、まだまだ下の方でかなりの業者がやっている場合には、これは認可運賃に相当幅があるわけでありますから、まだやれているはずなので、運賃を改正する必要はない、こう判断をするわけでありまして、そういったことを事業者流に解釈して言っているのだろうと思います。
#31
○松浦(利)委員 いま自動車局長の言われたことは裏表だと思うのですよ。下の方におる業者があったら、まだそれはやれるのだからということで料金改定をしないというようなやり方をとっておるということが、業者からすれば、それじゃ上限の一〇%、一番高いところで全部やろうじゃないかということがいつの間にか慣行的にずっとやられておったんですね。
 ところが、たまたま今度、東海道路線連盟の者から内部告発があって暴露されたわけです。これを見ると、内容的に大変に厳しいんですね。要するに、違約金を積め、そして違約をした者は違約金を取るのだ、あるいはダンピングをするために荷主が移動するのも禁止するのだ、Aの荷主がBに移ったときには、それは何かあったというふうに理解をして、そのトラック業者は連盟から糾弾を受ける、あるいは誓約書をとられる、こういうふうにがんじがらめにして、上限に張りつくというやり方をしたのですね。
 そこで、私は、この際、物価担当大臣である副総理にお尋ねしておきたいのですが、これはいま公正取引委員会が入って調査中であります。昨年の七月といえば、物価問題で政府も四苦八苦しておったし、国民もいろいろと政府に物価抑制を要求しておった。しかし、やむを得ないからというので、運輸省が運賃の値上げを認めてやった。ところが、その運賃値上げを認めてやった親の心子知らずか知りませんが、こういうふうにやみカルテルをやる、私は、これは明らかに政府の善意を踏みにじったやり方だと思うのですね。副総理として、物価担当大臣としてこういう行き方をどういうふうに思われますか。
#32
○福田(赳)国務大臣 政府といたしましては、お話のように、業界の立場も考え、また、物価対策を弾力的にというような考え方でやったわけですが、話を聞いてみると、上下幅の上限に大体張りついてしまった、こういうようなお話でありますが、これは当局が考えておる趣旨とそぐわないものであります。好ましくないものである、さように考えるわけでありますから、その事実を踏まえて今後の処置をいたしたい、かように考えます。
#33
○松浦(利)委員 もう時間が参りましたが、実はこの東海道路線連盟というのは全部大手なんですね。確かに中小零細企業はたくさんあって、こういう人たちが苦しんでいることは事実です。そして、ダンピングがあることも事実です。しかし、東海道路線連盟に入っている各社は大手ばかりですね。
 その中に、トナミという運輸会社があるのですが、これがいつも情報を出しておる。これは一月十七日のトナミの部内の営業ニュースなんですが、この中に、「トラック業界がカルテル行為を破棄、公取委に上申書 運賃のヤミカルテル問題は不問処分の公算大に」とある。ですから、逆に言うと、見つかった、見つかったからもうやめたんだ、もうやめましたと言って公正取引委員会に通知した、通知したら公正取引委員会は不問にしてくれるのだということが、ちゃんと情報の中に書いてある。だから、やみカルテルを結ぶこと自体が悪だとは思っておらないのですよ。逆に言うと、悪かったから、公正取引委員会の方にもうやめましたと言って投げ出せば、問題は解決するというような感覚で、私は路線トラックのことを申し上げているのですが、たまたまこういうふうにやみカルテルというのは見つかったら悪だが、見つからなければやり得という発想がある。
 しかも、調べてみると、現実にこの東海道路線連盟の支部が各県にある。そうすると、各県支部ごとにまたそういうがんじがらめのものを結ぶのですね。私のところにあるのは岐阜県トラック協会のものですけれども、各県ごとにまたこのカルテルを結んでおる。これがどうなっておるかというのは、公正取引委員会はまだお調べになっておらない。東海道路線連盟だけ。ですから、連盟が破棄しても、各県ごとには残っておるという状態。しかも、ばれたのだから放棄したというふうに表面的にはつくろっているわけですね。こういうことだから原状回復命令は必要なんだ。やみカルテルはばれたら悪だけれども、ばれなかったらやり得だという発想があるから私たちは原状回復命令というのは必要だというふうに主張しておるのですよ。
 この際、副総理としてはこういうものについてどういうふうに考えられるか、しかもこういう情報内容、これは一つの例でありますが、これについてのお考え方をお聞かせいただいて、そのお答えによっては次の独禁法が出されたときの参考にさせていただきたいと思います。
#34
○福田(赳)国務大臣 ただいまの御設例のケースは、余り好ましくないことかと思います。とにかく法があって、それに違反してそれで利益を得る、違反はやり得だ、こういうような状態であっては相ならぬ、こういうふうに考えるわけでありまして、さらばこそ今度の独占禁止法の改正におきましても、この違反者に対する処罰、こういうものを厳重にするということを考えておるわけであります。とにかくそういうようなケースはなるべくないようにしなければならぬだろう、かように考えます。
#35
○松浦(利)委員 公取の事務局長にお尋ねしておきますが、カルテル行為を自分の意思で破棄する、もうやめましたと言って公正取引委員会なら公正取引委員会に上申書を出しますね、その段階で、公正取引委員会はまだ調査中で、結論が出る前、しかもこれは新聞広告をもうすでにやっちゃったわけですね。そういうものに対しては、公取としての最終的な破棄勧告とかそういったものは、現行法体系の中で法的に可能なんですか。その時点でもうおしまいになってしまうということになるのじゃないですか、その点はどうですか。
#36
○熊田政府委員 これは、自主的にカルテルを破棄したという申し出がございまして、本当に破棄されておるということが確認されますと、これは勧告の対象にはできないというのが現行法でございます。
#37
○松浦(利)委員 時間が来ましたので、私の質問は以上で終わります。
#38
○横山委員長 野間友一君。
#39
○野間委員 ガス料金の問題について少し質問したいと思いますけれども、公益事業部、見えていますね。
 ガス事業法解釈例規集というのが帝国地方行政学会から出されておりますけれども、これは御存じですね。
#40
○大永政府委員 手元にいま持っております供給条件についての資料かと思いますけれども、これを読み上げるのでございますか。
#41
○野間委員 質問を聞いてくださいよ。ガス事業法解釈例規集というのが帝国地方行政学会から出されておりますけれども、これは御存じかどうかということです。
#42
○大永政府委員 承知いたしております。
#43
○野間委員 これは通産省のガス事業課が監修されておる、こういうふうになっておりますけれども、間違いありませんか。
#44
○大永政府委員 間違いございません。
#45
○野間委員 これはいつつくられましたか。
#46
○大永政府委員 毎年改訂をいたしておりますが、最初は四十五年に法改正をした後であったと思います。
#47
○野間委員 そこでお伺いをするわけですけれども、このガス料金制度の中に、大口用の特別料金制度ですか、こういうものがあるようですけれども、それはどういうものか、まず最初に少しお聞かせ願いたいと思います。
#48
○大永政府委員 これはガス事業法第二十条ただし書きの規定によりまして、通常の供給条件につきましては供給規程で決めることになっておりますが、特別の事情がある場合には、通産大臣の認可を受けて供給規程以外の供給条件で供給することができるという規定がございまして、この規定に基づきまして認可をしまして供給しておるものでございまして、一定規模以上の使用量でありまして、しかも年間を通じましての稼働の条件――負荷率というふうなことを言っておりますけれども、これが一定以上のものであるような場合に、個別に審査いたしまして適用しておるものでございます。
#49
○野間委員 この特約料金制度が設けられたのはいつごろからなのかということと、いま法的根拠について二十条のただし書きという話がありましたけれども、それは間違いないかどうか。
#50
○大永政府委員 ガス会社によっても違いますが、東京瓦斯、大阪瓦斯等につきましては、大体三十六年ごろからでございます。
 それで、先ほど申し上げましたように、このガス事業法二十条の規定に基づくものでございます。
#51
○野間委員 法的根拠としては二十条のただし書きというふうに言われましたけれども、これはこの法律ができたのは昭和二十九年ですね。このころからこの二十条もあったわけですが、いまの話によりますと、三十六年から大口特約料金というものが実施されたということですけれども、二十九年にできて実施されたのが三十六年、こういうことになるわけですか。
#52
○大永政府委員 そのとおりでございます。
#53
○野間委員 二十条のこのただし書きでその大口特約料金ができるのかどうかということなんですが、いま部長のお話では、そういう趣旨の答弁がありましたけれども、ガス事業法の先ほど冒頭に申し上げた解釈例規集、これによりますと、そういうことは書いてないわけですね。
 十七条では、一般的な供給規程があるのは私ども承知しておりますけれども、これについては、たとえば適正な原価に適正な利潤を加えたものであるとか、あるいは不当な差別的取り扱いをしてはならぬとか、申請の中身について基準が設けられておりますが、いまの問題は、十七条の例外としての二十条、これなんですけれども、これによりますと、こういうふうに書いてありますね。「特別の事情がある場合」として、これは「臨時的事項で、しかも緊急の必要のあるときにのみ適用すべく、」こういうような解釈になっておりますけれども、これはどうなんですか。
#54
○大永政府委員 御指摘のように、例規集によりますと、臨時的事項で、緊急の必要のあるときに適用すべきで、それ以外の場合には供給規程変更等の措置をとるべきであろう。それから、工業用の特約料金制度との関係につきましては、「今後料金体系のあり方と関連して検討することが必要である」というふうに書いてございます。
 ただ、法律の解釈としましては、ここで言う特別な事情は、御指摘のように、天変地異といったような特殊なケースが含まれるほかに、ガス供給の実態にかんがみまして、供給規程に定める供給条件をそのまま適用することが合理的でない場合というのが含まれるというふうに考えております。ただ、これを一般化していく場合におきましては、この例規集に書いてございますように、なるべく早い機会に、やはり供給規程の中に料金体系のあり方と関連いたしまして含めていくことが適当であるということではないかというふうに考えております。
#55
○野間委員 ガスそのものは、電気と同様で、これは公益事業、まさに公益性を持っておる。そういう点から、だれかれなしに差別をせずに、そうしてこれを供給規程という形で、しかもこれを通産大臣の認可事項にしておるわけですね。しかもこれは公開しなければならないというふうになっておりますね。だから、十七条のこの供給規程の例外としては、特別の場合でなければならない、こういうふうに思うのは当然なんで、これは先ほど申し上げた例規集の中にも、そういう趣旨のことが書いてあるわけですね。
 「たとえば災害を受けた地域については、緊急に料金を割り引く必要があり、しかし公聴会等の変更手続をとる暇のない場合等には不都合が生じるので、ただし書をもつて、例外的に通商産業大臣の認可を受けて弾力的に措置できる道を残したものである。」そうしてその「特別の事情がある場合」とは、先ほども若干引用しましたけれども、「天災地変等により災害を受けた地域について緊急に、かつ、臨時的に料金を割り引く必要が生じた場合、石炭不足または卸供給事業者である天然ガス事業者のストライキにより一般ガス事業者の供給ガスに不足を生じ、時間供給を行なうのやむなきに至った場合特殊な需要であって供給規程を適用することが著しく困難または無意味な場合等をいう。」こういうふうにして、ガス事業課そのものが「特別の事情がある場合」としてあげたのは、これはまさに、本当にごくまれな例外で、しかも「天災地変等により災害を受けた地域」云々、こういうような引用があるところから考えましても、本当にただし書きそのものの適用というものは、供給規程によるところがここにありますけれども、例外を全く認めないことは不都合が生ずるというようなことから出てきたものですね。だから、公益性との関係で、これはごくまれな場合に限るというのは当然だと思うのです。
 先ほど部長が言われた「工業用の特約料金制度と本条との関係について」云々のところですけれども、このただし書きの中にこれが入るというふうには書いてないわけですね。「特約料金制度と本条との関係については、近年における国民生活水準の向上と各種産業の著しい発展等によりガスの使用の態様が多様化し、使用料も著増している現状にかんがみ、今後料金体系のあり方と関連して検討することが必要である」つまり、工業用の特約料金制度は、今後料金体系のあり方と関連して検討しなければならぬということが書いてあるだけで、このただし書きの中身に入るということは書いてないわけですね。ところが、実際には、特約料金制度を電気と同じようにやっている。これは法律違反でなくて何であろう、こう言わざるを得ないと思うのです。どうでしょう。
#56
○大永政府委員 先生御指摘のように、「今後料金体系のあり方と関連して検討することが必要である」ということが書いてあるわけでございますが、その趣旨は、やはりそういう料金体系のあり方として検討して、その結論が出るまでは、当分の間はいまの二十条のただし書きの規定によって認可をして運用していくということを意味しているものというふうに、われわれとしては理解しておるわけでございます。
#57
○野間委員 事業部が監修されて、責任を持ってつくられたものの中に、「特別の事情」に該当するという中に入ってないわけでしょう。入ってないのに、現実にはこれを使って大口にはずいぶんまけてやっている、これはあとから触れますけれども。二十九年にできたもので、実際にこれを適用したのは三十六年という話ですけれども、通産省の中でも、いま大口特約料金はこの中に解釈としては含まれない、こういうふうに解説の中には書かれているわけです。私はこれは真っ当だと思うのです。
 いま申し上げた、災害を受けた地域について緊急に料金を割り引く必要がある、こういうこととか、石炭不足等々で、あるいはストライキがあって供給ガスに不足を生じたとか、時間供給を行うのやむなきに至った場合、こういうような特別例外と、何で大口の特約料金と関連があるのか。解釈の中身としても、通産省としてはそういうことは認めていないんじゃないでしょうか。認めていないのに、何でこれが特別な事情に当たると考えるのか。
 これは二十九年の、できたころの議事録を読みましても、この点の論議はないわけですね。私、寡聞にして、読んだところではないわけです。これは論議になっていないわけですね。というのは、これはごくまれな場合、先ほど言いました、臨時的でかつ緊急に必要のある場合、この場合に公聴会を開いてあれこれでなくて、適切に処置をしなければならぬ、特にこれは公益事業ですから。それを前提として私は二十九年の法律ができたんじゃないかと思うわけです。しかも二十九年にできたころ、いまの大口について全くこれが適用されていない。突如として三十六年から適用されるようになった、これはやっぱりおかしいじゃありませんか。
#58
○大永政府委員 先ほど御説明申し上げましたが、この例規集の解釈は、将来の料金体系のあり方としては、そういった工業用の特約の件数がたとえば非常に増加いたすといたしまして、一般化し得る場合には、全体の料金体系のあり方の検討とからみまして、供給規程の中に取り込んでいくことが適当であろうという趣旨のことを書いたものというふうに理解したわけでございまして、この解説におきまして、この二十条が、そういった工業用の特約制度そのものをただし書きの規定で運用することを否定しているものというふうには、われわれとしては考えていないわけでございます。
#59
○野間委員 否定しているものと解釈はしないと言うけれども、この工業用の特約料金制度と本条との関係は、料金体系のあり方と関連して検討することが必要だということが蛇足として書いてあるだけで、このただし書きの中身の解釈は、その前に書いてあることになるわけでしょう。これは普通まともに読んでみれば、それとしかとれないわけですね。
 それじゃ聞きますが、三十六年に、何で突如としてこの大口特約料金制度ができたのか、これは、どうなんでしょう。
#60
○大永政府委員 お答え申し上げます。
 ちょうど当時は三十五、六年ごろであると思いますが、石油の価格が非常に低落をいたしまして、それ以前におきましては、工業用の需要というのは都市ガスでも大体二割程度あったわけですけれども、都市ガスがどんどん石油に食われるというふうな状態が発生したわけでございます。ところが、ガス事業から見ますと、この大口の需要というのは、先ほど申し上げましたように、非常に負荷の状況もよろしゅうございますし、非常に貴重な需要でございまして、それが食われてしまいますと、全体の設備効率が落ちまして、コストも上がり、ひいては一般家庭のガス料金にまで影響するというふうなこともございまして、何とかこういった大口需要の減を食いとめる必要があるというふうなことから、先ほど申し上げましたように、当時非常に石油の価格が低落したものでございますので、一種の防衛策といたしまして特約料金制度ができたものというふうにわれわれとしては承知しておるわけでございます。
#61
○野間委員 われわれは承知しておるということでなくて、私は特約料金の基準資料を、大阪とか東京瓦斯等持っておりますけれども、すべてのガス会社が三十六年に突如として出してきたわけですか。もしそうだとすれば、ガス会社の要求によって、通産省がこれを二十条のただし書きの中に入れる、そういうふうにしたのか、あるいは通産省の方が指導して、ただし書きでいけるということでやったものかどうか。
#62
○大永政府委員 ガス会社は現在二百五十ぐらいありまして、それから私営、公営……(野間委員「大手」と呼ぶ)大手につきましては大体あると思いますが、すべてというわけではございません。
#63
○野間委員 三十六年からという話なんで、大手の場合が、一斉に三十六年から、あるいはその前後からこれを利用してやったものかどうかということです。
#64
○大永政府委員 先ほど申し上げましたように、東京、大阪は三十六年ごろからでございます。その他のガス会社、特に通産局所管のものについては、現在詳細に承知しておりませんが、一斉にということではございません。大体そのころから、こういうことでございます。
#65
○野間委員 これはガス会社からの申し入れによってただし書きでいけるというような経過でこれを認めるようになったのかどうか。
#66
○大永政府委員 先ほど申し上げましたように、ガス会社が、当時石油価格が非常に低落いたしまして、LPG等の大攻勢を受けまして、どんどん需要が逃げていくというふうなことから、ガス会社からの申請によって認めることになったものでございます。
#67
○野間委員 いみじくも三十六年と言いますと、池田内閣の所得倍増政策が始まりかけたころですね。だから、私は勘ぐってみると、全く使えないものを無理してこのただし書きの適用をして、そして割引料金を使うことによって大企業を育成していこう、こういうような政治的な魂胆、配慮から、まげてこんな二十条のただし書きの中にはうり込む、こういうことをしたに違いないと思われてしようがないのです。そう言っても、いや決してそうじゃないという答えが返ってくると思いますけれども、いまでも、二十条のただし書きの中で、この特約料金制度は解釈としても当然いけるんだ、今後もこれでやっていく、こういうことですか。
#68
○大永政府委員 現段階におきましては、二十条のただし書きの規定の運用によってやっていけるものというように考えております。ただ、先生先ほどから御指摘になりましたように、将来の問題としましては、こういった特約料金制度を一般化しようとする場合には、やはり料金体系のあり方ともからめまして検討していく必要があるんじゃないかというふうに考えております。
#69
○野間委員 どうも私は解釈上、天然資源と同じように、大口にたくさん使う人に料金を割り引いてやるということも含めて解釈するのは間違いだ、これは法律違反だ、こう言わざるを得ないと思うのです。
 そこで、そういう観点から少し聞いていきますけれども、大口用の特別料金の運用基準なるものがガス会社によってつくられております。そして、それに照らして個別の大口需要家と契約を結んで通産大臣が認可する、こういうことになっておるわけですね。大阪瓦斯あるいは東京瓦斯の場合、この大口用特別料金の基準は一体どうなっているのか、簡単にひとつ御説明をしていただきたいと思います。
#70
○大永政府委員 具体的に言いますと、ガス事業者ごとに、特約料金を適用する場合の基準、特に負荷率、それから最低責任使用量率、作業時間、契約期間、割引率等を決めまして、それに基づきまして運用をしているわけでございます。
#71
○野間委員 それじゃ、東京瓦斯の場合、どういう基準を立てておるのか。
#72
○大永政府委員 東京瓦斯の場合でございますが、対象といたしましては、特別料金の適用は下記対象事項のすべてを満たすものとするということで、月の使用量が五千立米以上、それから負荷率が八〇%以上、最低責任使用量率が七〇%以上のものにつきまして、期間は一ヵ年ということで、それぞれの負荷率、最低責任使用量率、それから作業時間等につきまして、評価点をつけましてその評価点の合計点で割引率を決めておるというふうなことでございます。
#73
○野間委員 割引について評価点をつけて割り引いているということですけれども、その割引率の最高と最低、それから平均、これはどうなっていますか。
#74
○大永政府委員 最低の割引率が、これは評価点が四十五から四十九点の場合に二%、それから最高の割引率が、これは評価点が九十一から百点の場合に四五%ということでございまして、平均はちょっと出しておりませんけれども、大体東京瓦斯の場合で三〇%程度、それから大阪瓦斯の場合は二〇%弱ぐらいであろうかと思います。
#75
○野間委員 いや、これを見て驚いたのですが、赤字だから上げろというようなことでどんどん上げていくけれども、割引率が最高は四五%ですね。もう半額弱ですね。こういうべらぼうなことで大口の需要家に奉仕しておる。これを見て実は本当に驚いたのです。
 そこで、お聞きしますけれども、東京では平均三割、大阪では二割、こういう話ですが、東京瓦斯、大阪瓦斯、これらが大口需要家として特約料金の契約をしておる企業の数、あるいは工場の数と申しますか、それから業種別でどういうものが特徴的に多いのか、ひとつ簡単に御報告を願います。
#76
○大永政府委員 東京瓦斯の場合でございますが、四十九年におきまして件数で九十一件でございます。それで、ガスの販売量に占めます割合が五七%でございます。それから大阪瓦斯の場合が二百二十七件で、六・七%でございます。業種別の数字はちょっと出しておりませんが、機械、金属関係、それからガラス関係、この辺が多いというふうにわれわれとしては理解しております。
#77
○野間委員 大企業はこの中でどのくらいの割合を占めておるのか。
#78
○大永政府委員 大企業が大口のいまの特約の中では大体七割ぐらいで、あと三割ぐらいが中小企業等であろうと思います。
#79
○野間委員 大阪の件数が抜けましたが……。
#80
○大永政府委員 大阪瓦斯のトータルの特約件数は、大口でございますが、四十九年度で二百二十七件でございます。
#81
○野間委員 私は資料を通産省から受けて見ましたけれども、東京瓦斯が九十一件、大阪瓦斯が二百二十一件というふうに聞いたのですが、二百二十七件ですか。
#82
○大永政府委員 失礼しました。資料がちょっと間違っておりまして、二百二十四件というのが計算し直しますと正確でございます。
#83
○野間委員 そこで、たとえば機械、金属、これが非常に多いということのようですけれども、対象企業と、大口特約料金の特典を受けておる企業、これは大体どの程度の割合になるのか。
#84
○大永政府委員 ちょっといま手元にその数字をはじいておりません。
#85
○野間委員 特約料金の特典を受けておる企業の場合には、大体一年更新というか、期限は一年ですね。それでずっと継続してやっておるわけですけれども、大体切れずにずっと継続して、東京瓦斯の場合には三十六年からですけれどもそういう特典を受けておる、こう理解しておりますけれども、間違いありませんね。
#86
○大永政府委員 大体はそうであろうと思います。ただ、割引率は年度によってまた変わってまいります。
#87
○野間委員 そうすると、いま対象企業の中でこの特典を受けておる企業の数、割合、それはいまよくわからないということですが、いずれにしても、東京の場合には九十何件、大阪の場合には二百二十何件というのがこの特約料金制度の適用を受けて、大幅な割引を受けてこれの供給を受けておるということなんですね。しかも、先ほどの話では、これは正確ではないと思いますけれども、大企業は七割ぐらいだということでしょう。私は大部分というか、ほとんどが大企業だというふうに考えておりますけれども、それはそれとして聞くとして、しかも供給を受ける期間は一応一年という年限はあるにしても、これが三十六年からほぼ継続して一年更新で今日まできておるということですね。これがなぜ「特別の事情」になるのか。これは二十条のただし書きに返るわけですけれども、何でこんなになるのか、どう考えておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#88
○大永政府委員 一般論でございますけれども、ガスの料金制度につきましてはいろいろな議論がございます。昨年も学識経験者からなります都市ガス事業料金制度懇談会を開きました際にいろいろ議論が出たわけですが、理論的な見地からいたしますと、電気料金のように二部料金制ということにいたしまして、固定費の部分は基本料金で取り、それから比例費の部分は従量料金で取るという形が一番理論的にすっきりするだろうというふうに学者の方々は言っておられるわけでございますが、そういうふうにいたしますと、家庭用の料金というのが負荷率が非常に悪いものですから、二部料金制にいたしますと非常に料金が上がるという問題がございまして、現在のガス料金制度のようないわゆる一本料金がなかなか変えられないというふうな問題があるわけでございます。
 そういうところで出てまいりますのが、大口につきましての他競合燃料との関係の問題でございまして、先ほど申し上げましたように、将来、料金制度を検討いたします際には、こういった二部料金制度をどの程度取り入れていくかといったような問題とも関連しまして、この取り扱いを考えていく必要があるのじゃないか、それまではやはり暫定的に、二十条のただし書きの規定の運用によりまして対処することが適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#89
○野間委員 だから、そのただし書きで、もうこれは何度も読みますけれども、臨時的事項でしかも緊急の必要のあるとき、これがただし書きの中身として、ガス事業課でもそういう解説をしておる。ところが、三十六年から、ことし五十年ですから十数年間、こういう割り安の料金が一年契約の更新で続いておる。これが何で特別な事情になるのか、これは特別じゃなくて一般じゃありませんか。
 だから、こんなものを利用して、何でこんなに大口に安くまけさせる必要があるのか。いま料金体系の問題、一本とか二本とかそれはともかくとして、何でこういう特別のものに対してまけてやらなければならぬのか。そういうまける合理的な理由があるのかないのか。しかも、いま申し上げたようなこの利用の形態からして、これをただし書きの中に入れて適切であるのかどうか。いまの実態を踏まえても、やはりそういう考え方は変わりませんか。
#90
○大永政府委員 都市ガスの場合は、熱エネルギーの供給源として、重油、灯油、LPG等、他燃料と非常に激しい競合状態にあるわけでございます。それで、もしいまの特約をやめまして高い料金にいたしますと、そういった都市ガスを現在使っております大口需要というのが、いま申し上げましたような重油とか灯油、LPG等の他燃料に逃げると言いますか、代替していくことになるわけでございまして、その結果といたしましては非常に優良なる需要が逃げてまいりますので、全体として都市ガスのコストを引き上げる効果をもたらすであろう。そうなりますと、やはり家庭用の都市ガス料金その他にも悪影響を及ぼしますので、われわれとしては、そういった大口需要はなるべくキープしておくことが、そういう全体の都市ガスコストを下げる意味から言いましても適当ではないか、そういうことでこの制度を存置しておるわけでございます。
#91
○野間委員 ぼくはそれは理由にならぬと思うのですよ。これは仮定の問題でしょう。三十年ごろに若干逃げたということは私も聞いておりますけれども、しかし、合理的な理由はないのにこういう割引制度をつくって、そしてこれをやめろと言えば、やめたらほかの燃料に切りかえる、逃げるかもわからぬ、私はこれほど無責任なことはないと思うのですね。だから、聞きたいのは、こういうものをつくる合理性があるのかないのか、二十条のただし書きとの関係でどうなのかということが中心になるわけですね。
 しかも、大口の特約調べ、これは通産省からもらった資料ですけれども、企業の数からしますと大阪の場合では〇・〇七%ですか、東京の場合は〇・〇二%、これが使う量が大阪の場合六・七%、東京の場合には五・七%、こういう数字をもらっておるわけですね。だから、わずかな企業でずいぶん使っておるとこの比率から言えば言えるわけですけれども、しかし、全体から考えてみますと、六・七%とかあるいは五・七%、こういうことですね。だから、これらに割引せずに使わすことによって、それがそのほかの料金にはね返ってくるということはもう考えられもしないし、しかも基本的に考えて、何度も言っておりますように、こういう制度自身がやはり大企業奉仕ということにしかならないということを言わざるを得ないと思うのです。
 何か負荷率の問題について聞きますと、要するに冬場と夏場とバランスのとれた使用者、これは最低責任使用量率がありますね。それから負荷率としては七五%とかあるいは八〇%とありますけれども、これは分母が冬場の使用量でしょう、それから分子が平均ですね。そうすると、冬場よりも夏場の方がよけい使う、これがぐっとアンバランスの場合にはともかくとして、冬場よりも夏場の方がよけい使うという場合に負荷率が高くなる、これは当然のことですね。この場合だけ特別料金割引制度がある。しかし、逆の場合だって考えられるわけでしょう。冬場にどんどん使う者だって考えられるわけですね。
 通産省でいろいろ聞いてみますと、総括原価の中に占める原料費、製造設備費、あるいは導管費、これはアンバランスの場合には導管費が非常に高くつくのだ。太いパイプをしなければならぬ、しかし、夏場については、太いパイプを敷いたところで、実際には使用がそうないのだ、こういう話ですけれども、この総括原価の中に占める原料費、あるいは製造設備費、それから導管費、これを聞きますと、原料費が三二%、製造設備費が一五%、導管費が二〇%、こういう割合になっておるようですが、これは間違いありませんか。
#92
○大永政府委員 会社によって多少違います。東京瓦斯の場合ですと、いまの従量原価が三八%程度ということになっております。
#93
○野間委員 だから、正直のところを聞かしていただきたいのですけれども、こういう割引制度をどうしてもしなければならぬ、また、するのが相当だという合理的な根拠というのは本当にどこにあるのか。いろいろ聞きますと、夏場もやはり使ってもらわなければならぬとか、できるだけ使ってもらうようにとか、あるいは導管費がアンバランスの場合には高くつくとかなんとか、いろいろ聞きますけれども、本当のところはどういう根拠でこういうものを残していかなければならぬと思っておるのですか。
#94
○大永政府委員 非常に率直に申し上げまして、こういった大口の需要というのは、ガス会社としてはもうかっているわけでございます。したがいまして、そういう大口の需要でもうけを得ることによって全体としてのコストを低下させるという効用を持っているわけでございます。
 それで、先ほど申し上げましたように、昭和三十六年以前ごろまでは、大体工業用の消費というのは全体の二割程度あったわけでございますけれども、現在では一割程度に落ちております。しかも、落ちた中で、先ほど申し上げましたようにLPGとか重油とか、そういったものと非常に激しい競合をしておりまして、少しでも上げれば先ほど申し上げましたような比較的もうかる需要がよそに逃げてしまう。そうすると、やはりガス料金全体のコストを引き上げるというふうなことになりますので、非常に率直に言わしていただければ、われわれとしてはこういった制度はやはり残しておいた方がいいのじゃないかというふうに考えております。
#95
○野間委員 私は、こういう制度をやめろ、これは法律に照らしても違反しておるというふうに思うわけですが、それはそれとして、あなたは撤回しない。しかし、そうであれば、これは長期にそういう供給関係がずっと続いておるわけでしょう。だとすれば、何で個別のそういう特約の制度を設けておるのか。むしろ供給規定の中にこれをほうり込んで、そしてやはりこれを公開することによって、これはガス会社が別にこそこそと秘密の中で悪いことをしておるのじゃないのだと、国民の批判にさらさなければだめでしょう。私たちが何度も個別のこういう中身について教えろと言っても、これは教えてくれませんね。
 しかも、一般の供給規定の場合には、これはつくって、公聴会を開いて、通産大臣が認可するわけでしょう。ところが、この場合はまさに密室の中で、個別の企業との取引で、そうして通産大臣が認可する。これを外から全くうかがい知ることができない。こういう全く不公正な、しかも国民の立場から考えてもわけのわからぬ制度をなぜ残していく必要があるのか。これが、たとえば一ヵ月とか二カ月とか、臨時特別の場合に、公聴会を開いてあれこれする時間がないとだれが考えても納得できる場合にはともかくとして、こういう場合に何でこういう制度を残しておくのか。もしそれだけのあなたが言われるような合理的な理由があるなら、これは一般の供給規程の中に当然含めて、そして国民の批判にさらす、これはあたりまえじゃありませんか、いかがですか。
#96
○大永政府委員 御指摘の点はまことにごもっともだと思います。近く、総合エネルギー調査会のガス部会というのがございますが、これを開きまして、ガス料金制度のあり方、それからほかに中小都市ガスの体制問題等ございますけれども、そういった基本問題を検討したいというふうに考えております。先ほど例規集の中にもありましたように、、これは全体のガス料金の体系の問題とも絡む問題でございますけれども、そういったガス料金体系の全体のあり方の検討等も含めまして、やはりこういったものは一般供給規程の中に包含することが方向としては正しいわけでありますので、そういうことで検討してまいりたいというふうに思っております。
#97
○野間委員 時間が参りましたので、最後に副総理にお聞きしたいと思います。
 いまお聞きのとおり、電気についても私はやったのですが、ガスについてもこういう制度がございます。電気の場合には、大口と小口の場合には送電する場合のコストの問題がありまして、あれこれそういう理屈も私は聞いたことがあります。ところが、それはそれとしても、ガスの場合には、産業用も、民生用、家庭用も一本にして料金が決められている。その例外として、いま申し上げたように、個別の大口需要家との間の特約料金というものがあるわけですね。先ほど部長も、これについては検討しなければならぬし、供給規程の中に入れなければならぬ、こう言われましたけれども、大口に対しては最高四割五分まで料金をまけてやっている。小口はこれだけ物価高の中であえいでおる。本当にまけてほしいのは小口だと思うのです。国民だと思うのですね。これはいま部長も約束されましたけれども、物価担当大臣、副総理も、この点について、やはり国民に公開して批判にさらして、こういう不公正のないようにぜひ早急に検討していただきたい。これについて答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
#98
○福田(赳)国務大臣 ただいまの問答、私も拝聴しておりましたが、ただいま通産当局の方で、近く調査会に諮りましてガス料金制度全般の見直しを行う、こういう話でございます。その際には、いま御指摘の特約料金制度、これにつきましても篤と検討していただいて、そして妥当な結論を得るようにいたしたいと存じます。
#99
○野間委員 終わります。
#100
○横山委員長 有島重武君。
#101
○有島委員 公取の方、来ていらっしゃいますね。――きのうの新聞によりますと、公正取引委員会が中部読売新聞の事件について緊急停止命令を出したと報ぜられていますけれども、現段階でこの事件の立ち入った内容については恐らく言えないんじゃないかと思いますけれども、事件の概要について説明していただきたい。
#102
○熊田政府委員 三月二十五日に中部読売新聞社に対する緊急停止命令の申し立てを行ったわけでございますが、この問題は、同業者からの申告に基づきまして、ことしの三月六日に臨検調査をいたしました。これは読売新聞社と中部読売新聞社の両社に対しまして臨検をいたしたわけでございます。
 その被疑事実でございますが、これは中部読売新聞を月決め五百円で発行するということが不当廉売の疑いがあるということと、それから、同じ新聞と見られるものに地域によって異なった定価をつけておる疑いがある、こういう二つの疑いでございます。
 それで、この疑いによりまして調査を続けておりますけれども、三月二十五日に、先ほど申し上げましたように中部読売新聞を月決め五百円で発行ずることが不当廉売に相当する疑いがあるというふうに考えまして、これは通常の手続による排除措置を命じます審決を待っていたしますと非常に時間もかかりまして、東海三県の新聞の販売業におきます公正な競争秩序、これの回復がむずかしいような侵害を受けるおそれがあるというように考えられましたので、独禁法六十七条によりまして、審決があるまでの間、少なくとも一ヵ月八百十二円を下回るような定価で販売することを一時停止すべきであるということを命ずるように、東京高等裁判所に対しまして申し立てを行った次第でございます。
#103
○有島委員 企画庁長官、副総理に伺いますけれども、消費者の立場から申しますと、商品が安いということはいいことなのであるというふうに単純には受け取られますけれども、この点についてはどのようにお考えになっていますか。
#104
○福田(赳)国務大臣 消費者といたしまして、安い新聞を読むことができるということは、これは歓迎すべきことだろう、こういうふうに思います。ただ、それが会社間の過当な競争、そういうような中で不当廉売だということになりますれば、それはまたそれなりに問題があるのだろう、こういうふうに思いますが、とにかく、これはいま業者が大いに競い合っておるその中での一つの現象としてあらわれておるので、私といたしましてこの是非を論断する立場にはない、かようにお答えするほかないのであります。
#105
○有島委員 じゃ、公取の方にもう一遍伺いますけれども、「不公正な取引方法」の五に当たるのかと思いますけれども、「不当に低い対価をもつて、物資、資金その他の経済上の利益を供給し、または不当に高い対価をもつて、物資、資金その他の経済上の利益の供給を受けること。」これが不公正な取引方法の第五番目に当たっていると理解するわけでございますけれども、これに当たるということになるわけでございましょうね。で、「不当に高い」というのはまあわかるような気がするのですが、「不当に低い」というのは一体どういうことなんですか。
#106
○熊田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、これは「不公正な取引方法」として一般指定をいたしております。その一般指定の五号に当たると考えたわけでございますが、その中で「不当に低い対価」と申しますのは、これはその価格では企業経営を維持していけないような赤字販売、これによりまして競争者を排除するおそれがある場合、こういうふうに考えるわけでございます。それで、通常、商品の場合には製造原価あるいは仕入れ原価を割る価格、これを原則として不当であるというふうに考えておるわけでございます。
#107
○有島委員 念のために伺いますけれども、「不当に低い対価」をこのように取り締まるということならば、今度は「不当に高い対価」をこれ以上に厳しく取り締まるべきであると思いますが、じゃ、この一般指定でもって現在のビールの問題なんか――ビールの問題は後でまたやろうと思いますけれども、そういったことも、当然審決を待たないで、緊急に取り締まるということも可能なんですね。
    〔委員長退席、松浦(利一委員長代理着席〕
#108
○熊田政府委員 これは「不当に低い対価」の場合と「不当に高い対価」の場合と両方規定してございまして、先生ただいまおっしゃいましたように、「不当に高い対価」の場合を取り締まるべきだということでございますが、この「不当に高い対価」の場合というのが考えられますのは、市場価格を無視したような著しく高い価格で原材料などを買い占めをする、それによって競争者を排除するおそれがあるという場合を考えておるわけでございます。「不当に低い対価」につきましては、先ほど御説明したような場合を言うわけでございまして、私どもは、この「不当に低い対価」に当たる場合、それによりまして競争者を排除するおそれがある場合には、やはり不公正取引として規制をしていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。
#109
○有島委員 といたしますと、今度の場合には、不当に低い価格に対して一種の価格引き上げ命令というふうに受け取られるような感じがいたします。そういたしますと、今度の改正について、「不当に高い対価」、カルテルその他によって不当に高くつり上げられた価格に対して、引き下げ命令も当然これは行われなければならない、そういうふうに思いますけれども……。
#110
○熊田政府委員 これはただいまも申しましたように、不当に高い場合ももちろん不公正取引に当たる場合があるわけでございまして、そういう場合にはその不公正取引を排除していくというのが独禁法の考え方でございます。
#111
○有島委員 それで、独禁法の改正の問題に移りたいと思うのですけれども、きょうの新聞でもっていろいろ報道されているようですが、独禁法の改正の経過、現状、今後の日程、そのことについて御説明いただきたい。
#112
○植木国務大臣 御承知のように、昨年の暮れから独禁法改正のための懇談会を開きまして、各界有識者の方々の御意見を承ってまいりまして、三月五日に関係省庁の閣僚会議を開きまして政府素案というものをつくりまして、与党でございます自由民主党の調査会との調整に入ったわけでございます。非常に大きな改正でございますので、日時が経過をいたしまして、大体本日、政府素案につきましての党の調査会としての一応見解が出されるという状況になっているのでございます。
 そこで、私どもといたしましては、できるだけ早く改正案を提出いたしたいという考え方のもとに、この調整作業を行いつつ、非常に多くの項目にわたるわけでございますが、調査会におきまして了承を得ましたもの、あるいは御意見が出されましたものを、逐次法案化すべく作業を並行的に続けております。今後、精力的に法案要綱をつくり、法案といたしまして閣議決定を得ました上、提案をいたしたいと存じているのでございますが、いま、何日に提案ができるということはまだ申し上げられない状況でございます。と申しますのは、御承知のように法制局とのいろいろな協議等もございますものですから、本日の段階ではまだ何日とは申し上げられませんが、できるだけ早く提案してまいりたいというふうな考えのもとに鋭意作業を進めているところでございます。
#113
○有島委員 要綱は四月上旬には発表になりますか。
#114
○植木国務大臣 ただいま申し上げましたような状況でございますから、私どもといたしましては、要綱はもう早急につくり上げたいというふうに考えております。できましたならば直ちに発表いたします。
#115
○有島委員 直ちにといいますと、三月中にということですか、それとも四月上旬になるのですか。
#116
○植木国務大臣 要綱ができ上がりましたならば直ちに発表すると申し上げたのでございまして、要綱ができ上がりますのはほぼ四月の上旬であろうというふうに考えておりますので、それを目途にいま努力をしているところなんでございます。
#117
○有島委員 中身に入りますけれども、いま話題になっておりました価格引き下げ命令でございますが、これにかわるものとして、違法カルテルの排除措置の徹底というように政府素案では言っていらっしゃる。ですけれども、これは現行独禁法の第七条に「排除措置」というのが出ております。それからもう一つ、第四十八条にも「違反者に対する措置の勧告、勧告審決」という項目が挙がっておる。この現行の七条、四十八条でどうしてできなかったのか、この辺はどうなりますか。
#118
○植木国務大臣 御指摘のとおり、価格引き下げ命令と申しますか、価格の原状回復命令につきましては、懇談会におきましていろいろ御意見を承りました結果、非常にいろいろな問題点がございますのて――これは必要がございましたら申し上げますけれども、諸般の御意見を勘案いたしました結果、カルテルの排除措置の徹底という見地から、事業者に対しまして、排除後にとるべき具体的措置とその実施の状況の報告ということを求めるということにしたわけでございます。
 そこで、この違法カルテル排除措置は現行法でできないかということでございますが、ただいま第七条の御指摘がございましたが、違法カルテルの排除措置の徹底を図りますために、公取は事業者に対してその具体的措置を求めることというふうに私どもいたしましたのは、実は現行法で命じ得ますことは「違反する行為を排除するために必要な措置」ということになっておりますので、価格協定上、事件の審決というのが一例ございます。新たに販売価格を設定するため取引先と交渉すべきであるというような命令を出した事件がございますが、これが現行法で言う「排除するために必要な措置」に該当するのかどうかということについては、法解釈上、必ずしも疑問がないわけではないのでございます。したがいまして、この際、排除措置の徹底ということが大切であるということで、ただいま申し上げましたように、措置命令を出すことができますように法を明確化するという規定を設けるということにしたわけでございます。
#119
○有島委員 いまのお話、ちょっと歯切れが悪いお話なので、もう一遍聞きますけれども、現行法でもやろうとすればできるはずであった。それをあえて何か新しく排除措置ができるというようなことを言って、あたかもこれでもって大いに大改正をしたがごとき錯覚を起こさせるということは、私は危険であろうと思うのです。しかも、そのことによって、従来の七条ないしは四十八条に盛られていた一つの排除措置の可能性というものが、かえって狭められるのではないかというようなおそれがないか。
 そこで、従来の七条、四十八条ではどうしてもできないのか。何か疑問があるからなんておっしゃいましたけれども、それは一体どういうことになっているんですか。
#120
○植木国務大臣 現行法でできますことは、あらゆる場合に公正取引委員会が法の運用、執行を行われるわけでありますから、これは当然今日までもやられてしかるべきでありますし、今後もそうであると思うのでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、違法カルテルの排除措置というものにつきまして、現行法では解釈上明確でないという点がございますので、私どもはこの際、排除措置の徹底をはかりますために、ただいま申し上げましたように、排除のための具体的な措置を決定し、届け出、しかもその実施状況を報告するということを公正取引委員会が命ずることができるようにしたのでございまして、私どもといたしましては、現行法上問題のあるものについて、この際、明確化することによって、競争政策というものを推進いたしたい、こういう考え方でありますから、その点は御理解をいただきたいと思うのでございます。
#121
○有島委員 私もそう理解したいような気持ちもあるけれども、なお言いますと、現行法でやっておることは、公正取引委員会はもう精いっぱいぎりぎりいっぱいまで全部やっておるんだ、にもかかわらずできなかったからというようなお話であったけれども、それは本当かどうかというような気がするわけですね。法の拡大解釈というようなことになるかどうか。現行法どおりであっても本当はできるはずであった。だが、それは他の要素によって、いろいろな圧力と申しますか、ないしは昔やられておったカルテルの形態といまとは非常に違ってきたとか、非常に巧妙になってきたとか、そういうようなことがあるかもしれないけれども、本当に厳密に、従来のものでは絶対にできなかった、だから新たにこうするのだというふうに総務長官としては言い切られますか。
#122
○植木国務大臣 第七条の運用につきましては、先ほど申し上げましたように一例でございます。一例ございますけれども、これは実は運用上の問題でございますから、むしろ公正取引委員会に、第七条で違法カルテルの排除措置が十分にできるのかどうかということを聞いていただきたいとも思うのでございますが、私どもとしましては、見ましたところ、現行法で命じ得ることは違反する行為を排除するための必要な措置ということになっておりますので、きわめていろいろな解釈ができる。したがって、私どもとしては、この際、明確に命令が出せるようにしましょう、さらにこれだけではありませんで、課徴金の制度を設けましたり、あるいは罰金等も引き上げるというようなことをいたしまして、違法カルテルというもののやり得というようなことをさせないという考え方でこの新しい規定を盛り込もうとしているのでございまして、私はこの際、明確に、いま御質問のように、非常に思い切ってこういうふうに新しい措置を講ずることにしたのだということを言い切ることができるのでございます。
#123
○有島委員 いま総務長官が言われましたように、第七条のところですね。「届出を命じ、又は当該行為の差止、営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」こうあるわけですね。この「必要な措置」というものの範囲は、いままで何となく暗黙のうちに決まっていたみたいなものであって、今度の政府素案では、この「必要な措置」というものをさらに限定していく、そういう脈絡として受け取ってよろしゅうございますか。
#124
○植木国務大臣 第七条は七条でそのまま残るわけでございますから、したがって、必要な措置は公正取引委員会でとられるわけでございます。さらに、私どもといたしましては、価格その他の取引条件に関することにつきましては、いまのような新しい規定を盛り込むことによって違法カルテル排除措置というものを強化していこう、こういう考え方でございますから、御理解をいただきたいと思います。
#125
○有島委員 わかりました。そうすると、必要な措置というのは今後も公取の判断によって十分決められる、そのほかに違法カルテル排除措置の徹底ということがもう一つ加わる、そういうことになりますね。
#126
○植木国務大臣 必要な措置というものはいろいろ公取においてお考えになることでございます。その必要な措置の中に、明確なものが一つ入ったということでございます。
#127
○有島委員 次にいきますけれども、政府案で「カルテル破棄後にとるべき具体的措置を決定し、」とあるわけでありますが、その中の「具体的措置」というのは一体どういうことなのか。この「具体的措置」の中に価格引き下げということも含めるかどうか、これはいかがですか。
#128
○植木国務大臣 これは命じますのは公正取引委員会でございますので、カルテルを排除いたしました後、その拘束を解除する等いろいろな具体的なものにつきまして、企業あるいは事業者団体が、具体的に、このように排除措置をいたしますということを決定いたしまして、それを報告するわけでございます。決定をしましたことはもちろん届け出しますし、また、実施状況も公正取引委員会に報告しなければならないわけでございますから、違法カルテルを行いました企業なり事業者団体は、この規定によりまして強い排除措置を行わなければならない、こういうことになるのでございます。
#129
○有島委員 私が伺っているのは、その措置の中に価格引き下げを含み得るか、含んでいるかということなんです。
#130
○植木国務大臣 事業者がこのようにいたしますということを決定いたします中に、価格を引き下げるということも含まれるのでございます。
#131
○有島委員 次にいきます。
 原価公表のかわりに、価格の同調的引き上げがあった場合、報告を求めること、こういうことになっておりますけれども、これは現行法の第四十条で十分できるのではないかと思うのですけれども、従来どうしてできなかったのですか。
#132
○植木国務大臣 仰せのとおり、価格が同調的に引き上げられた場合、違法カルテルの疑いがございましたならば、現行法の第四十条により公取は調査することができます。しかし、違法行為でない同調的引き上げ一般につきましては、強制的に報告を求めることができるかどうかということについては疑問があるわけでございますから、この際、制度的に、価格等の引き上げの理由の報告を求めるということにつきましては、法律の中にはっきりと盛り込んだ方がよろしかろうということで、私どもは新しくこれを設けることにしているわけでございます。
#133
○有島委員 いまのお答えの中で、違法行為でない云々とございましたね。ということは、違法であるという物的証拠が得られないという意味ですね。にもかかわらず、現象的には同調的であったという場合には、いままでの四十条では効力がない、だから、今度はそれを強化するために、同調的引き上げの場合に報告を求めるようにした、受け取り方はそのようなことでよろしゅうございますか。
#134
○植木国務大臣 違法カルテルの疑いがございましたならば、これは四十条によりまして調査することができるわけでございますから、この規定はそのまま残りますので、公正取引委員会としては調査できます。ただ、その疑いまでいかない、どうも違法行為とまでは断定できないけれども、同調的な引き上げが行われて、それによって自由かつ公正な取引が確保できない、こういう場合が非常にあるわけでございます。
 公取といたしましては、疑いがあるということであれば四十条でおやりになればよろしいわけでありますが、違法カルテルでないものにつきましても、どうも同調的引き上げが行われて、これはもう何か規制しなければいけないということを公取が考えました場合には、現行法ではその措置がとれないわけでありますから、これも先ほどと同じように明確に、そういう場合には一定の条件のもとで報告をとることができるようにすることによりまして、価格の同調的引き上げについて規制をしてまいろう、こういう考え方でこの案を考えたわけでございます。
#135
○有島委員 いまのもお話がちょっとおかしいのですね。違法行為ではないけれども、違法行為の疑いがあればいままでの四十条でもいいのだ、こういうことでございましたね。四十条というのは、念のために言えば、「公正取引委員会は、その職務を行うために必要があるときは、公務所、特別の法令により設立された法人、事業者若しくは事業者の団体又はこれらの職員に対し、出頭を命じ、又は必要な報告、情報若しくは資料の提出を求めることができる。」ここまでしっかり書いてあるわけです。いまのお話では、疑いがあればそれはできるということなんで、この四十条が発動できるわけですね。ところが、いま、疑いはないんだけれども、公取がおかしいと考えたらばというような話なんですね。おかしいと考えるということは、すなわち疑いということではないですか。
#136
○植木国務大臣 御承知のように、四十六条には、疑いがはっきりしている場合には公正取引委員会は措置をすることになっているわけでございます。疑いがある場合には四十条によって調査をしているわけでございます。ところが、私どもは、高度寡占対策の一つといたしまして、同調的な引き上げが行われる場合、これは御承知のように管理的な価格が同調的に設定せられるという場合が非常に多うございますから、そういう場合には、いま申し上げたように、四十六条も四十条も適用できないものについては、新しい規定によって、「報告を求めることができる」ということによりまして規制を強化するという立場をとっているのでありますから、その点、御理解をいただきたいと思います。
#137
○有島委員 私が心配しているのは、一番最初に申しましたように、現行法でも、その運用によっては十分できるはずであったものを、新しいものをつけ加えて、あたかもそれが一歩進んだような装いをして、かつ現行法のいままでの可能性をかえって縛っていくということがあっては困る、そのような立場からいま伺っているのです。
    〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕
四十条でも四十六条でもどうしてもできない部分がある、それで今度新しい要素を加えたということでございますから、四十条、四十六条はいままでどおり、ないしはいままで以上に公取としては十分活用する、そういうことでございますね、これは念のため。
#138
○植木国務大臣 仰せのとおりでございまして、法律の運用、執行に当たりますのは公正取引委員会でございますから、四十六条も四十条もそのまま残りますので、いま申し上げましたように、違法カルテルだという疑いがはっきりしておりますものについては四十六条で、疑いがあるという場合は四十条で、そして、そうでないものでいま行うことができないものについては、新しい規定を盛り込みまして、公正取引委員会に新しい報告命令という措置ができるようにしたのでございまして、これは、はっきりと申し上げますけれども、独禁法の強化でございます。
#139
○有島委員 そうすると、ビールのさみだれ値上げというような場合に、今度の政府素案どおりにすればあれを取り締まることができる、そういうようになりますか。
#140
○植木国務大臣 いま素案をつくり、そして法案を作成中でございますから、ここで個々の業種でありますとか企業について私から申し上げることは、差し控えさせていただきたいと存じます。要するに、価格の同調的値上げが行われる場合に、いろいろな要件を付しておりますが、その要件に該当するものでありましたならば、公正取引委員会はただいまのような措置を命ずることができることになるわけでございます。
#141
○有島委員 じゃ、ビールに限定しないで、さみだれ値上げというようなもの、同調的なものですね、それをいままでは取り締まれなかったけれども、今度からは取り締まることができるということですね。
#142
○植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、公正取引委員会は、事業者に対しまして、価格等引き上げの理由の報告を求めることができるとしているのでございます。そして、これを国会に対して公正取引委員会が報告するという措置をとるというのが、ただいま考えている素案でございます。
#143
○有島委員 次へいきます。
 消費者保護の規定として、違反事実の報告があった場合に、「速やかに報告者に通知する」というふうにございますけれども、この通知というのは、その報告者にだけ通知するのか、これは公表をするということと同じように考えてよろしいのか。まあ告発などの措置があったという場合に、これをやはり通知する、公表する、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#144
○植木国務大臣 現行法では、独禁法違反事実につきまして消費者なり国民なりが公取に対して報告をします。それに対して公取はいろいろな調査なり何なりをするわけでございますけれども、いままでは、これに対しまして報告の結果についての通知義務というものがございませんでした。そこで、新たに、そういう報告をしました人に対しましては文書で通知をするというのが政府素案でございます。
#145
○有島委員 その通知が、結果としては公表と同じことになっても構わないということになりますか。
#146
○植木国務大臣 通知を受けた方が一般に知らせられるという方法もあろうかと思いますけれども、それは特異な例といたしまして、現行法第四十三条に、公取は、必要な事項につきましては、事業者の秘密を除いて、一般に公表することができるということになっているのでございまして、公取が必要だと思った場合には、現行法で公表することができることになっております。
#147
○有島委員 じゃ、通知者が公表するのは自由。
 それから、公取委の告発は従来とも公表しておったわけでございますけれども、訴状は公表できるのですか、できないのですか。
#148
○熊田政府委員 勧告あるいは審決をいたしました場合には、当然に公表いたしますけれども、それ以外の方法の場合、これはもちろん警告というような正式の処分ではないようなやり方がございますが、そういう場合には、公正取引委員会の判断によりまして、公表する場合もございますし、しない場合もございます。
#149
○有島委員 これは公取の判断によってできる、そういうことでございますね。
 それから、「不公正な取引に対する排除措置の規定を整備する。」こうあるのですけれども、これには違いないのですけれども、具体的にはどういう措置を考えていらっしゃるのか、総務長官。
#150
○植木国務大臣 ただいま検討中でございます。素案の中にもその内容を盛り込んでおりませんけれども、第二十条の差止を差止、契約内容の変更、その他当該行為を排除するために必要な措置を行う、というように改めようというのが、ただいま考えている案でございます。
#151
○有島委員 それも二十条では不足なわけですね。だから、もっとこれも厳しくする、そういうことになりますか。
#152
○植木国務大臣 仰せのとおりでございます。
#153
○有島委員 次に、競争会社の持ち株の規制ですね、これをどうしてやらないのか。これは第十条、第九十一条がその関係になると思うのですけれども、この持ち株規制をどうしてやらないのか。
#154
○植木国務大臣 競争会社の株式保有の原則禁止ということにつきましては、懇談会でもいろいろな御意見が出ました。そこで、競争会社というものの概念でございますけれども、これは非常に広いではないか、少しでも事業活動が競合するならば競争会社に当てはまる、また、もともと子会社が競争会社に当てはまる場合もあるというようないろいろな御意見が出まして、実情に合わない点が指摘されましたので、これは持ち込まないことにいたしました。しかしながら、第十条によりまして個別の規制ができることになっておりますので、この点につきましては、現行法を活用してしかるべきであるというのが私どもの考え方でございます。
#155
○有島委員 競争会社といいますか、じゃ、協力会社という概念もあってよろしいわけですか。
#156
○植木国務大臣 協力会社というものがどういうものを指しておられるのかちょっとわからないのでありますけれども、競争が実質的に確保せられなければならないというのが私どもの考え方でございますから、したがって、競争を阻害するというようなことがあってはならないということで、いわゆる過度の経済力の集中の排除対策を考えたのでございます。御承知のように、政府素案におきましては、企業の系列化でありますとかグループ化というものが競争を阻害することがあってはならないという考え方のもとで、株式の総量規制等の措置を講ずることにしたわけでございます。
#157
○有島委員 先ほど、総務長官、下請等の場合にこれはもう避けられないというようなニュアンスのことを言われましたが、そこら協力関係を是認していく方向というふうに私は先ほどのお話を聞いたものですから、そういうことがあっていいのかどうか。
#158
○植木国務大臣 私、先ほど申し上げましたのは、子会社ということを申したのでございまして、下請とは申し上げておりません。下請会社の独禁法上のいろいろな保護につきましては、御承知のように下請代金の遅延防止法等も競争政策上つくられているわけでございまして、子会社と申しましたのは、もともとその子会社でありますものが親会社と同じような製品をつくりまして競争関係に入っていくというのが具体的にあるわけでございます。そういうものがある実情でございますから、ここで競争会社という考え方で、株式の保有の原則禁止ということを行いますのは問題でございますから、先ほど申し上げましたように、企業のグループ化、系列化というものが競争原理を阻害するようなことがあってはならないということで、株式保有の総量規制ということにいたしたというのが私どもの考え方でございます。
#159
○有島委員 そうすると、子会社関係というものは是認していくという方向ですね。
#160
○植木国務大臣 経済の実態をごらんになりましたらおわかりのように、親会社、子会社というものがございます。その親会社、子会社というものがそれぞれの特色を生かしながらいろいろな企業活動を行っているのでございまして、独占禁止法というものは、御承知のように、自由で公正な競争の原理を確立することによりまして企業に活力を与え、それがひいては一般消費者の利益を確保し、国民経済の発達に寄与するということを目的としているのでございますから、親会社があり、子会社があるということ、この実情というものは否定できませんし、そしてまた、それがあってはならないということにもならないのでございまして、自由で公正な競争というものが行われるかどうかということが問題だと思うのであります。したがいまして、親会社、子会社があるという経済の実態というものを私どもは否定する立場をとりません。
#161
○有島委員 一般的に競争というと、同種のものをつくっておる、ないしは同種の業態を持っておる、その競争相手というふうにとれますけれども、それからもう一つは、管理価格の系列をつくっていく、これもやはり排除していかなければならないということになりますでしょう。
    〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
それで、子会社であるのか、それとも競争会社であるのか、それは実態がと言われるけれども、子会社がいいのだとすれば、今後はみな子会社を名のればよろしいことになりますね。それが一つ。
 それから、一つ聞いておきたいのは、今度は競争会社の株の持ち合いをやっても競争を阻害しないという場合があり得るのかどうか、そういうことをひとつ。
#162
○植木国務大臣 子会社がありましても、その子会社というものがあることによって実質的に競争が阻害をせられるという場合は問題でございますけれども、そうでない場合には、これはもうそれぞれの企業活動でございますから、独禁法がこれに踏み込むということはいかがかと存じます。
#163
○有島委員 時間が来てしまいましたので、これはここで打ち切りますけれども、それでは、あと副総理に二、三承って終わりといたします。
 景気回復を図るために、公共投資の支出増大、それから公定歩合の引き下げという、これはもう日程に上っている問題である、いまそのように私も承知をしているわけでございますけれども、公定歩合の引き下げはいつごろになさるのか、その引き下げの幅はどのくらいのことをお考えになっていらっしゃるのか、もういまの時点ではほぼおっしゃってもよろしいのではないかと思います。
#164
○福田(赳)国務大臣 公定歩合は、これは日本銀行の専決事項なんです。そういうことで、政府でとやかくというわけにはいかぬ立場にあります。
 まあ一般論といたしましては、いま公定歩合を下げなければならぬという事情はございません。しかし、公定歩合の引き下げは、企業のコスト そういうようなことを考えまするときにこれは望ましいことである、こういうふうに考えますが、ただ、公定歩合を引き下げますということが、世間でこれが非常に大きな金融上の処置というふうに受け取る傾向がありますので、非常に機微な段階で公定歩合の引き下げをやったというようなことになって、景気政策、大変これは緩むなあ、こういうような印象が強く出過ぎても困るのです。
    〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
そういうようなことで、非常にデリケートな問題になってきておるわけでありますが、いずれにしても、これは政府が関与する問題ではないのでありまして、日本銀行の専決事項である、さように御理解願います。
#165
○有島委員 景気回復に伴っての物価上昇ということ、これが危惧されるわけでございますが、現在、政府の方では、物価は安定してきているのだというふうに評価をしていらっしゃる。これは政府の発表なさる数字を見ますと確かにそのように見えますけれども、これは力によって圧縮された物価の値下がりであって、いままでよりもコストが非常にかかっておる。それで、潜在的にはもうかなり高いものですね。出血され、しわ寄せをされて押しつけられたいまの物価状態ではないかという面も、私どもは身近に見ているわけであります。この景気回復に伴っての物価上昇、これに対して政府はどのような措置、手を考えていらっしゃるか、いかがですか。
#166
○福田(赳)国務大臣 景気は夏ごろから回復過程に入る、また入らせる必要がある、こういうふうに考えておるわけですが、その回復に伴って、御指摘のように物価上昇現象を起こすということであっては断じて相ならぬわけであります。その辺をどういうふうにするか。一番大きな考え方は、やはり景気回復ということを景気急上昇というところへ持っていかないことである、こういうふうに考えます。まあ、そういうことでなくて、なだらかな上昇、そういう過程に夏ごろから移るということを期待しながら、財政金融を中心といたしましたかじ取りをやっておる、こういうのが現況でございます。
 なだらかな上昇でありますれば、いま設備には余力が相当ありまするから、生産活動がなだらかな回復過程に入りましても、これはコスト引き上げ要因というふうにはならないし、うまくいけばむしろコスト引き下げ要因にもなる。これがわあっと急上昇ということになると、今度は思惑を呼びまして、物価には非常に重大な影響があるだろう。要は、なだらかな回復過程に入るというふうな考え方、これが非常に大事であり、それにぜひ成功しなければならぬ、そういうふうに考えております。
#167
○有島委員 そうすると先ほどの、これは日銀の所管事項であるとは言いながら、公定歩合の引き下げ幅というものは徐々に低く――低くといいますか、わずかな差で何段階かに分けて引き下げていくべきであるというようなお考えを、経済企画庁としては持っておられるのかどうか、それが一つ。
 もう一つ、もう時間がないから一緒に聞いてしまいますが、預金の方の金利の引き下げがそれと同時に行われなければならないというようなことを銀行側は言いたいのではないかと思いますけれども、この貯金の金利は引き下げてはならないというように私たちは思います。
 それから、預金の目減り対策を行う行うということをおっしゃってきたのですけれども、これは具体的には一体どうなるのか、この辺を伺っておきたい。
#168
○福田(赳)国務大臣 公定歩合の引き下げ幅につきましては、これも引き下げ自体が日本銀行の専決事項であるから、幅の方もやはり日本銀行の判断による問題なんで、どの辺が適当であるかというようなことを私から申し上げることは妥当でない、こういうふうに考えます。
 それから、目減りの問題につきましては、これはいま大蔵省で鋭意最後の詰めをいたしておるわけでありまして、まあそう時間はかからぬと思いまするけれども、これを発表するということに相なるであろう、かように私は考えております。
 それから、一般の預金金利の引き下げを行うか。これは公定歩合に関連しての問題だと思いますが、これは公定歩合を引き下げる、その引き下げ幅の問題が非常に大きく関連してくると思うのです。大幅な引き下げをするということになりますれば、やはり預金金利の方も連動して引き下げる必要が出てくる。ですから、その辺をどういうふうに判断してやりますか、これも日本銀行が総合的に判断して結論を出す、こういう性格のものでありまして、私から申し上げることは妥当でない、かように考えます。
#169
○有島委員 日銀の判断の基準というものと、それからいま副総理として、ないしは経済企画庁長官として国民生活を守るという立場からの御意見とは――それは決めるのは日銀が決めるに決まっているけれども、しかし、経済企画庁長官として、このようにすべきが望ましいというような御意見はおっしゃってもよろしいんじゃないんですか。
#170
○福田(赳)国務大臣 先ほどから申し上げておりますが、長期といいますか、一般論といたしまして、この段階で公定歩合が今日九%であるという状態は好ましい状態じゃない、こういうふうに私は考えているのですが、それを日本銀行がいついかなる時点で、いかなる幅において実行するかということは、これは私が申し上げるといろいろ支障もありますので、申し上げかねます。お許しを願います。
#171
○有島委員 お許しを願うと言われると言いにくいけれども、いままでの大体のニュアンスを要約いたしますると、公定歩合の引き下げは、なるべく小さく抑えて順次下げるべきだと思う、これが一点。それから、それに伴っての預金金利の引き下げは、国民生活を守るためにすべきでないというようなニュアンスだと私は受け取りますけれども、それでよろしいですか。
#172
○福田(赳)国務大臣 どうも、有島さん御自身の主観を交えての御判決のようでございますが、公定歩合の問題は日本銀行の専決事項であって、政府の介入すべき問題ではない、かように御理解願います。
#173
○有島委員 じゃ、最後に、副総理の御発言になったデノミネーション、これについてもう少し突っ込んでお話しいただけませんか。
#174
○福田(赳)国務大臣 デノミネーションはデバリュエーションと違いまして、これは通貨の呼称の変更にすぎないのです。実体的には何らの変更もないのです。いままで三百円持っていけば一ドルが買えた。その円の力、これはデノミネーションをいたしましてもそれには何ら変更はないわけであります。
 ただ、このデノミネーションとデバリュエーションは非常に混同されて受け取られておる。そういうようなことで、このデノミネーション論議というものはきわめてデリケートな問題になるわけでございますが、私の考え方は、これも一般、抽象的なことでございますが、戦後貨幣価値が下落いたしまして、いま、とにかく億だとか兆だとかというような単位にわが円がなってきておるということは、国民の計算上の利便というようなことを考えましても、これはもう是正した方がいい、こういうふうに私は思います。
 また、諸外国を見ましても、ドルに対しまして三けたの勘定というふうになっておりますのは、イタリアのリラとわが日本の円だけなんです。そういうようなことを考えましても、私は、いつの日にかデノミネーションを行って国際水準並みのものにしなければならない、こういうふうに考えておりますが、いま物価が非常に浮動しておる。そういう物価政策のむずかしい時期におきましてデノミネーションを行うということになりますと、これはやはり物価政策に非常に機微な影響があるだろう、こういうふうに思うのです。
 これは実際、冒頭に申し上げましたように、何ら実体の変化ではないのです。呼称の変更というだけの問題でありますけれども、さあデノミだなんと言うと株の値が上がったりするような状態でございまして、どうも正確にこのデノミネーションというものが理解されていない、そういう段階でこういうものを行いますと、物価に不測の事態を呼び起こさないとも限らぬ。これは物価が安定し、そしてデノミネーションというものはこういうものだという理解が国民に徹底する、そういう段階以外にこの問題を始末する時期というものはない、こういうふうに考えております。
#175
○有島委員 それでは、最後に一言だけ。
 いまのお答えですと、デノミネーションを行う意思は十分ある、望ましい、それには、一つには、国民にデノミネーションの真意を今後PRする意思がおありになるようだ、それから、物価が安定次第これを行うという御意思がおありになる、そういうように受け取ってよろしゅうございますね。
#176
○福田(赳)国務大臣 こういうことです。まず、物価が安定状態にならなければならぬ、もうこれで物価は動かぬという、そういう時期以後の問題。同時に、このデノミネーションというものはこういうものである、通貨の実体価値には影響ないんだということについての理解が徹底しなければならぬ、こういうふうに思います。
 それでは、現在、デノミネーションはこういうものだという理解を求める行動を起こす時期かというと、そういう時期としては今日は非常に適当でないと思うのです。そういう理解を求める行動を起こしましたら、ああデノミネーションが行われるかというのでまたいろんな思惑を呼ぶ。ですから、この問題は今日私どもは現実の問題としては全然考えておらぬ。物価が安定し、ここで動かぬ、こういう事態になった後において静かに考え、国民に理解を求める、こういうことでございます。
#177
○有島委員 終わります。
#178
○横山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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