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#1
第075回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第11号
昭和五十年六月三日(火曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 渡辺 惣蔵君
   理事 田中  覚君 理事 登坂重次郎君
   理事 林  義郎君 理事 藤本 孝雄君
   理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君
   理事 木下 元二君
      戸井田三郎君    八田 貞義君
      阿部未喜男君    井上 普方君
      岩垂寿喜男君    角屋堅次郎君
      岡本 富夫君    坂口  力君
      折小野良一君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (太協水産株式
        会社代表取締
        役)      近藤 三二君
        参  考  人
        (兵庫県家島漁
        業協同組合組合
        長)      中村 与助君
        参  考  人
        (香川県漁業協
        同組合連合会会
        長)      浜野 春男君
        参  考  人
        (三重大学助
        手)      安達 六郎君
        参  考  人
        (香川大学助教
        授)      岡市 友利君
        参  考  人
        (東京大学教
        授)      丸茂 隆三君
        参  考  人
        (水産庁南西海
        区水産研究所漁
        場研究室長)  村上 彰男君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任         補欠選任
  角屋堅次郎君     井上 普方君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 普方君     角屋堅次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 公害対策並びに環境保全に関する件(赤潮問
 題)
     ――――◇―――――
#2
○渡辺委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件、特に赤潮問題について調査を進めます。
 まず、本件に関して、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日、参考人として太協水産株式会社代表取締役近藤三二君、兵庫県家島漁業協同組合組合長中村与助君、香川県漁業協同組合連合会会長浜野春男君、三重大学助手安達六郎君、香川大学助教授岡市友利君、東京大学教授丸茂隆三君及び水産庁南西海区水産研究所漁場研究室長村上彰男君、以上の方々の御出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○渡辺委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○渡辺委員長 この際、申し上げますが、本日は、議事の整理上、午前中は、近藤参考人、中村参考人及び浜野参考人から、まず御意見を承り、続いて、以上の参考人に対して質疑を行うことにいたします。また、午後は、安達参考人、岡市参考人、丸茂参考人及び村上参考人から御意見を承り、続いて、質疑を行います。
 この際、委員会を代表いたしまして、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、遠路にもかかわらず本委員会に出席をいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 本委員会におきましては、海洋汚染対策、特に赤潮問題につきましては、去る昭和四十七年の大きな被害を契機に、瀬戸内海環境保全臨時措置法を全会一致で立法するなど、鋭意努力を重ねているところでありますが、先ほど播磨灘地方において、例年に見られぬほど早期に大量の赤潮が発生し、漁業に大きな被害を与えて問題になったことは御存じのとおりであります。
 いまや赤潮の被害は、防止の決め手も模索の中で、瀬戸内海のみならず全国にも及んでおり、一刻も早くその対策を樹立する必要があると存ずる次第であります。
 本日は、参考人の皆さん方から貴重な御意見を承り、もって、本問題の解決のため、万全を期する所存であります。
 何とぞ、参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。
 なお、御意見の開陳は、おのおの二十分以内に要約してお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただくようお願いいたします。
 それでは、近藤参考人からお願いいたします。近藤参考人。
#5
○近藤参考人 こうした権威ある場所に、私のような者を人選していただきまして、諸先生方の御好意に厚くお礼を申し上げます。こういったところに略装で参りまして、大変失礼いたしております。
 私、赤潮被害に関する意見を率直に述べたいと思いますので、諸先生方、どうぞお聞き賜りたいと思います。
 私の住んでおります鳴門市北灘町は、徳島県鳴門市の北西に位し、香川県に接し、阿讃山脈の北ろくにあり、東西に走る国道十一号線を隔てまして播磨灘に面している、風光明媚な、約五千人ぐらいで生計を保っております。半漁半農を主としておる静かな帯状の町でございます。
 昭和三十八年ごろの私たちの職場の海は、さながら日本画の一幅を見るような美しい景色でございました。ずっと前方に対岸の播磨灘の沿岸の山が見えます。早朝、漁船に乗りまして作業しておりますと、大火事かと思われるような火の手がばっと燃え盛っているのがよく見えました。製鉄会社の溶鉱炉の火の手です。小豆島が目の前にくっきりと見えました。一番近い香川県引田町の三つ島が、大きな屋敷の中庭のように美しい姿が目の前に浮かびます。カモメがたくさん飛び交っております。そんな美しかった景色も、きょうこのごろでは見えなくなってしまいました。
 十二年前は、水も空気も大地も清かったのです。いまでは飲む水も汚れ、吸う空気も大地も汚れてしまいました。十二年前ごろから、私たち北灘の美しい海の色が次第と汚れていきました。たくさんおりました魚が次第と減っていきました。太公望が釣り糸をたれましても、その戦果は全然期待できないときが来てしまいました。次第と海の色は汚れていきました。
 よもや昭和四十七年夏、養殖中の魚が一挙に目をむいて、三百二十万匹も死ぬとはだれが予想したであろう。しかし、あったのだから仕方がない。七月下旬、八月上旬、北灘の海流が小潮回りの大惨事でございました。網の目からわれ先に逃げ出すかっこうで死んでいった魚の目が、二年有半過ぎた私の脳裏から忘れさせない。魚の狂い死にです。
 対岸の播磨灘沿岸には、大企業が櫛比して操業しております。中には、人体に害を与えるPCB製造の会社もある。それらの企業の使用した排水を、私たち漁民の職場であり、天賦の資源である瀬戸内海の美しい海に、さも自然を装いまして、たくさん毎日排出してくれました。青い海には国民の幸がある。魚が遊んでいることも知らずにか、岡山市、高松市も、これら企業群と一緒になりまして、小豆島東沖合いに生屎尿をたくさん投棄してくれました。美しい海を汚物の捨て場と考えたのでしょう。このような実情を瀬戸内海沿岸の自治体の首長や政府のえらい人も知っていた。が、しかし、所得倍増のかけ声と工業立国政策一本やりで、知りながら放置して今日になりまして、私たち漁業者は、切り捨て産業的な立場に置かれてしまっております。
 昭和四十七年秋の第二回船上会談の席上におきまして、工業開発のおくれを取り戻したいと力説いたしまして新聞だねになった、内山という副知事もおりました。日刊大新聞が、青い海を返せの一大キャンペーンを張っている秋のことでございました。これが一例でございますが、漁民は、国、地方自治体、企業によって泣かされました。魚の死んだのは天災だと言って、天災融資をしてくれました。そうして今日になります。昔から士農工商といった階級の差がございましたが、不幸にして漁という階級がない。その証拠に政府でも、農林大臣はあっても水産大臣がない。それだけに漁民の数は農民の数と比較いたしましても少ないのです。企業の利益をカットするよりも、数の少ない漁民を抑えた方が得になる。その会社には多くの人々が働いております。また、多くの家族もついております。
 国会の諸先生方、私は企業をつぶしてしまえとか、労働組合をどうこうと言っているのではないのです。政治が力を十分発揮できたならば、企業も漁民も共存共栄の道はあるはずなのです。現時点では、一方的に私たち漁民を苦しめております。弱い漁民も、いつまでも一億人の繁栄の犠牲になりたくありません。私たちも安心して働ける職場が欲しいのです。国民の皆さんが安心して食べられる魚をつくりたいのです。たん白源の供給者としての責任があります。義務があります。また、父祖伝来の漁業権を経済発展のみの犠牲から守りたいのです。
 一部の人が、魚の死んだのは、業者が必要以上に魚を飼い過ぎ、必要以上のえさをやり、その残滓が海底に沈んで、それが原因で酸素欠乏になって魚が死んだのだと言いました。ただ、言いわけ的に当時の異常降雨による低鹹、日照りが続いての水温上昇を加味し、天災と人災をミックスする人もおりました。そんな説が本当だったならば、ついお隣の香川県引田町安戸池養殖場の魚が余り死なずに、大海につながる流れも、水の色も、はるかに条件の整った沈下小割り方式の養殖の魚がなぜ大量に死んだのだろう。安戸池養殖場は、戦前、戦中そして戦後、日本の養殖漁業の発祥地であり、築堤方式で、水深もわずか四メーターないし五メーターしかない、文字どおりの浅い池なのです。
 過ぐる昭和四十八年三月三十日で、岡山市、高松市、香川県東讃八カ町村、兵庫県の家島、淡路島の一部の町村が、長年続いた生屎尿の小豆島沖合い海上投棄をぷっつり中止して、現在の和歌山県潮ノ岬沖合い、太平洋の投棄に転進しております。なぜ転進したのだろうか。そのためかしらん、海の表面は次第と昔に返りつつありました。私たちも昭和四十八年と四十九年と、恐る恐る信用性のない海で、借金返済のため、高い保険料を支払って魚を養殖いたしました。が、昭和四十七年夏のようには死ななかった。どうしてだろう。屎尿投棄の場所転進と企業の自省のためだろうか。それとも瀬戸内海環境保全臨時措置法が施行されたためであろうか。そんな法律なら、臨時でなく永久性の法律にしてほしいのです、昔の青い海、心のふるさと、美しい瀬戸内海が取り返せるのであれば。
 昭和四十九年秋、海上保安庁も瀬戸内海沿岸の企業の排出口を調査いたしました。その一部で六十一件の悪い点を摘発いたしております。私たち漁民が違法行為で魚を一匹でもとれば、刑事犯人になります。企業の廃液のたれ流し、国、地方自治体のこれの黙認、今日瀬戸内海は死の海となっております。
 諸先生方、海を汚した者が平気でおられて、職場を奪われた漁民が泣かなければならないこの現況を、どうぞ御理解ください。過去の責任の追及、また、すでに存在する公害の即時除去、将来発生する公害の予防が焦眉の急なのです。私たちは安心度の深い海が欲しいのです。保険金の要らない昔の海が必要なのです。公害発生源を一日も早く政府の力でとめなければ、瀕死の瀬戸内海は完全に死の海と化し、赤い海になってしまうでしょう。連休明けの海が美しいのに目を向けてください。大企業が休むと海がとても美しいのです。昭和四十八年の環境週間に、当時の長官であられた、現在の総理大臣三木武夫先生が、「海の汚染は政治の怠慢だ」と喝破して、新聞にでかでかと大写真入りで外人のマスキーさんと出ております。この発言によっても、瀬戸内海が汚染されているのは確かに政治の怠慢が原因です。あれから約二カ年、それ以上に瀬戸内海は汚れております。汚れに汚れております。どうして政府はこの現況をごらんにならないのでしょうか。
 昭和九年三月十六日に、私たちの職場、瀬戸内海が国立公園に指定されているのです。海の自然公園を、利益追求のみの企業の工場廃液と、地方自治体の長年続いた生屎尿投棄で汚してしまったのです。大量の養殖魚が狂い死にして大被害を受けた私たち家族は、総出で海辺に出て、沖の海面をながめて号泣いたしました。その日から私たちは大きい借金を抱えました。親子、夫婦間の紛争、親戚、知己との仲違い。何よりつらい思いは、最愛の子供の学業成績が、その日から下がり始めました。子供心に親の心配をしていてくれたのです。
 諸先生方、私は何度も申し上げます。私たち漁民は海が欲しいのです。安心した職場が欲しいのです。政治の力で返してください。
 昭和四十七年夏は第一次赤潮大被害、四十八年初夏は、有名な九州水俣と、昨日新聞に出ておりました徳山湾の水銀、PCB事件による魚価の大暴落、そして続いて問題の昭和四十九年十二月に発生した、コンビナートの優等生とまで言われました三菱石油重油流出事件。ひしゃくとむしろで、その重油清浄が何十日か続いて、くたくたになって疲れ果てたところへ、本年三月から襲来してきた第二次赤潮の猛威。果たして来年、昭和五十一年はと思いをめぐらすと、私たち漁民は途方に暮れております。漁民だけが、どうしてこんな状態を耐え忍ばなければならないのでしょうか。海には区画もなければ、もちろん県境、国境もありません。海には戸障子もつい立ても要りません。海は一つです。だれかがどこかで不用意に汚水を流すと、必ず潮流、恒流に乗って、時差、分差、秒差で海を殺してしまいます。瀬戸内海を殺してしまいます。ぜひ守ってください、政治の最高機関で。
 魚のすめない、魚の遊べない瀬戸内海、汚物の捨て場と化した海なんか全然必要ないので、私は、全部埋め立ててしまえ、国民の必要な人に安く宅地造成して売ってしまえ、本四架橋三本なんか要らないという、一時自暴自棄的なことを発言したことを記憶いたしまして、私、反省しております。なぜ反省したかと申しますと、率直に申します。昨年から本年三月まで続いた、NHK朝昼放映されましたテレビドラマ「鳩子の海」のテーマソングの一部に大いなる感動を受けたからです。「日本よ日本、愛する日本、青い海、まだ守れるぞ、時間はあるぞ、ドドンガドン」この歌を聞きまして、また見て、私は反省すると同時に、逆に、死の海寸前の瀬戸内海を守ってみたいと決心いたしました。
 遠洋漁業、近海漁業の規制、いまここで沿岸漁業を守らなければどうするのだということを私は反省したのです。まだ守れます。政治も法律も学者も企業も地方自治体も、そして私たち漁民も、また国民全部が一体となって英知をしぼるなれば、瀬戸内海を死の海から、赤い海から守れます。いまでは学童の図画の海の色を見ましても、赤、茶で海の色をかいております。恐ろしい事実です。
 本年三月から停滞している赤潮は、風のない日しかも小潮回りの、海水の流れが緩やかな日に、真っ赤に海の色が変わります。南風が吹けば、赤潮は沖に向かって拡散します。本年は、三菱石油重油流出事件の後遺症と第二次赤潮襲来で、往年名高い鳴門のタイも、その収獲は昨年の何分の一に減量になってしまいました。その証拠として、北灘漁業協同組合所属の生き魚運搬船約五十トンが、荷がないので一日も阪神市場に出荷できておりません。天然魚の減獲で、せめて養殖魚にと活路を見出していたのに、第一次赤潮発生大被害、PCB、水銀事件、石油流出事件、第二次赤潮発生。何年続くこの現況に、私たち漁民はどうすればいいのでしょうか。諸先生方、一日も早く視察して、漁民とともに歩いてください。そして行政に反映してください。私たち漁民は、いまの瀬戸内海の現況と同様、死の寸前にあります。漁民は海とともに生死をともにする運命共同体の位置にあります。
 幸い、本日開会されました権威ある国会の委員会に出席の人選に入れていただきまして、私、過去十二年ぐらい前の海の状況、また、今日の汚染されている海の状況を、後先に乱れて、多分先生方にはお聞き苦しい点が多々あったと思いますが、瀬戸内海で生活する漁民の苦衷の一端を率直に申し上げまして、時間の制約上、私にお聞き返しの点がありましたならば、時間の許す限りどうか聞いてください。幸いです。
 なおまた後日の参考として、その上、権威ある席上で申し上げました責任上、この私のつたない意見書を、本委員会に資料として提出させていただきます。乱文乱書、加えて浅学非才、誤字もたくさんあると思いますが、ぜひともに御判読くださいますよう、伏してお願い申し上げます。
 最後に、重ねて諸先生方に、こうした漁民の意見を述べさせていただきました御好意を忘れません。政党政派抜きの瀬戸内海を守るために、国民全部の財産、魚の宝庫、瀬戸内海を守るために、どうか、格段の御配慮をいただきますよう深くお願い申し上げまして、私の意見をこれでとどめます。
 本当に先生方ありがとう存じました。
   昭和五十年六月三日
        太協水産株式会社取締役
          文責任者 近藤 三二
  衆議院公害対策環境保全特別委員会
   諸先生方
 以上でございます。(拍手)
#6
○渡辺委員長 ありがとうございました。
 次に、中村参考人にお願いいたします。
#7
○中村参考人 本日は、この委員会に私を参考人としていただきまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げます。
 私は、兵庫県飾磨郡家島町におります中村与助でございます。本年は六十六歳になりますが、幼少のころより地元家島町で漁業に従事し、以来五十有余年の間、漁業一本で生きてきました。若いころは一本釣りなどをして生活を営んでおりましたが、昭和三十七年から、当時国の施策として呼ばれておりました、とる漁業からつくる漁業への呼びかけによりまして、私も魅力を感じて、ハマチ養殖漁業に転換し、今日に至っております。兵庫県では、私を含め現在三十八経営体の個人または会社あるいは生産組合などが、この養殖をやってまいりました。従事者は約三百八十名であり、今年の養殖計画は、私の場合、一年魚を十五万匹、兵庫県全体では一年魚を二百五十万匹でありますが、主体となる漁場は家島群島周辺で、その他は淡路島南西部であります。
 ハマチ養殖を始めまして以来、昭和四十六年ごろまでは、心配といえば台風などの天災でありましたが、技術的な工夫によって台風被害を避けられるようになり、漁場の管理、魚の生育状態も比較的順調で、経営もどうにか成り立っていき、養殖漁業に転換したことに誇りと楽しみを持っていました。
 しかし、いまにして思えば、高度経済成長のひずみとしわ寄せが、目に見えないまま、ひしひしと私たちの足元に押し寄せてきていたのでした。昭和四十七年の八月に、突如として悪性の赤潮が播磨灘東部全域を襲い、香川、徳島、岡山四県のハマチ養殖が空前の大被害を受けたことは、先生方も御記憶のとおりでございます。私もあのとき、瞬時にしてハマチ六万七千匹を死滅させ、残ったのは借金三千万円だけとなりました。茫然自失の中から、救済と再起のための対策を願うべく奔走しまして、やっと得たのは、天災融資法による融資、一人百万円のみでありました。それでも、県の利子補給による系統機関からの借り入れ一千四百万円と合わせて、何とか再起の目途が立ったので、今後に期待をつないだ次第であります。
 翌四十八年は、全国的に騒がれた水銀、PCB汚染問題の影響を受け、魚価は低落、むしろ借金が重なる結果となりました。しかし、昭和四十九年には魚の生育も順調で、値段も相当上がりました関係上、久しぶりに黒字経営となりまして、この分だと、あと二、三年がんばれば、何とか借金も返済できて、立ち直れるのではないかという期待を持てるようになりました。この間、四十七年の教訓を肝に銘じて、できるだけ無理をしないように、養殖尾数も全国あるいは県かん水組合の指示に従って少なくし、赤潮に強いタイ養殖をあわせるとともに、赤潮に弱い二年魚を最小限に減らし、その養殖時期も、赤潮発生のおそれのある夏までには売ってしまうなど、経営には工夫と苦労を重ねてまいりました。
 さて、今回の赤潮被害の状況を申し述べます。
 私は愛媛県下波漁協から二年物ハマチ三万匹を購入し、五月一日と五日の両度にわたり家島の漁場に持ち帰り、養殖をしていました。その二年物ハマチは、えさ代等運転資金の関係上、必要最低限の数量を、先ほども申し上げましたとおり、赤潮の心配のある時期、すなわち七月までに売ってしまう計画でありまして、まさか水温の低い五月下旬に赤潮が発生するなどとは、とうてい考えていなかったのであります。
 五月十九日に急にえさを食べる状態が悪くなりましたので、調べてみますと、海水も相当汚れているように見えました。急遽、県水産試験場に連絡いたし、二十一日以降、漁場の調査を受けましたところ、海底で最悪状態であると聞かされました。一時は全滅と思いましたが、二十三日以降アクアラングによって、それの取り上げ作業を続行いたしました結果、斃死したものが約二万匹、辛うじて約一万匹足らずのものが殺さずに済み、出荷はいたしましたが、価格は現場の相場の六分の一で、それも市場にいま現在凍結されているような状態であります。
 私のほかにも二年物をやっていた者が二名、同じような経過で、養殖尾数一万四千匹中一万匹が死にました。私だけでも、その被害は約四千万円となりました。せっかく立ち直りのチャンスを、再びこのようなことで踏みにじられては、まさに前途暗たんたるを得ない心情であります。
 聞くところによりますと、水産庁瀬戸内海漁業調整事務局において、五月二十六日、兵庫、徳島、香川三県を招集、開催された播磨灘海域赤潮被害対策協議会の結果、赤潮関係研究者の調査により、果たしてこの海域でハマチ養殖ができるのかできないのか、また、赤潮と水島重油流出との関係はどうなのか、六月中には結論を出されることを知りました。また、私たちがすでに買い付けているハマチの種については、購入先の県に対して、水産庁と全かん水が、結論が出るまで現地に置いてもらうよう手配していただけると聞いております。
 このような心配、御配慮に対しましては、先生方を初め国の方には感謝を申し上げますが、一方、私たち養殖業者の立場は、皆、大なり小なり多額の借金を抱えたまま、転業、転職など不可能であり、海の状態が悪いからといって、簡単に養殖をやめるというわけにはいかないのであります。養殖ができなければ、首をくくるか夜逃げをするしかないのであります。私はもちろん、兵庫県の養殖漁業者は皆同じ気持ちで、たとえ危険はあっても、何としてでも養殖をやらなければ仕方がないという悲壮な覚悟でありますので、何とぞ、私たちが安心をして漁業ができるよう、全力を挙げて善処くださるようお願い申し上げる次第であります。
 何か事が起きると、一方的に被害を受けるのはいつでも私たち漁業者であり、しかも、受けた被害はいつも泣き寝入りであります。去る四十七年の赤潮災害のときにも、全国かん水養魚協会から、赤潮被害に対する救済措置に関する陳情書が提出されているはずでありますが、私たち漁業者が苦しみ考え、窮状を訴えた陳情も、そのうちどれだけが実現を見たのでしょうか。私はむずかしい法律のことはわかりませんが、罪もない私たち弱い漁業者だけが、何ゆえいつも泣き寝入りをしなければならないのでしょうか。
 私は、先生方のお力によって、かねてから私たちがお願いをしております。
 赤潮等による被害について補償措置をしていただきたい。
 大幅な長期低利の資金を融資していただきたい。
 漁業災害補償制度を根本的に改正して、養殖共済を十分なものにしていただきたい。
 赤潮発生抑止対策並びに赤潮被害防止対策をもっと強いものにしていただきたい。
 一日も早い実現を重ねて強く要望をして、供述を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#8
○渡辺委員長 ありがとうございました。
 次に、浜野参考人にお願いいたします。
#9
○浜野参考人 香川県漁業協同組合連合会会長の浜野春男でございます。
 今回起こりました赤潮の問題につきましては、委員長様初め委員の先生方には、いち早くこの問題を取り上げていただきまして、本日は、私どもを参考人として意見を聴取せられるような会議を開いていただきましたことを、厚く御礼を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
 先ほど近藤参考人から、かつての美しかった播磨灘のことを申し上げておられましたが、播磨灘は鳴門海峡、明石海峡を受けまして、私どもにとりましては魚の宝庫といいますか一大漁場で、これはもうなくてはならない漁場だというような認識のもとに、慈しみ、はぐくんできた漁場でございます。
 香川県の場合には、西に燧灘がございまして、これは先生方も御存じのとおり、製紙の汚水によりまして、東燧灘につきましては、ほとんど壊滅の状態になっておるわけでございます。
 香川県の中心部、岡山県と向かい合わせになりますところの、私どもが中門と呼んでおる漁場につきましては、この前の三石の流出事件でいち早く問題が起こりましたが、水島から流れた油は全部中門を覆って、それから東に、あるいは一部は西にいく、そういうような形の漁場でございまして、これも私どもにとりましては現状維持がやっとという漁場でございます。そういう意味合いにおきましては、播磨の漁場はなくしてはならない漁場なのでございます。戦前から、あるいはずっといにしえから、代々続きました形の漁業の場所でございます。
 率直に申し上げまして、戦争以前は、その区域の漁民は、部分的には大きな漁業者もございましたけれども、全体的には富んでおりませんでした。それが戦後、いち早く兵庫も岡山も香川も徳島も、養殖漁業を基盤にしなければいけないということを一つの大きな柱として、ハマチの養殖あるいはノリの養殖あるいは真珠貝の養殖等を取り上げました関係上、非常に大きな収入をもたらす宝の海、それも漁民全般に収入が均てんするところの、大きな収益を生むところの漁場になったのでございます。そういう意味合いにおきまして、私どもは最後に残された、しかも最後まで残していかなければいけない漁場だというように考えておるわけでございます。
 しかしながら、率直に申し上げまして、私自身の仕事から言って、漁業者にとってよい経済的な基盤を、あるいはよい漁場の提供を、いろいろな形でアドバイスし、あるいは先行的に私どもがいろいろな施策を行っていくという立場にあるわけでございますけれども、いろいろな事情で四十七年の赤潮からこっち、本当のそういう仕事をすることができないで、いろいろと起こってくる問題を、それぞれ処理する仕事に忙殺されておるのが現状でございます。そういう意味合いにおきまして、私は本来の仕事に早く帰りたい、漁連の会長として、単協あるいは漁民の指導をもう少し積極的に、細かいところまで配慮がいく形の指導をやっていきたいというのが念願でございます。しかし、残念ながら、いまのような漁業の状況では、それは夢のような話でございまして、身辺の雑事に追われておるのが現状でございます。
 今回起こりました赤潮につきましては、私どもの香川県にとりましては、兵庫県と同じように五月二十日ごろから一応その徴候が見えておりましたけれども、現実に表面に出てまいりましたのが五月二十三日でございます。先生方のうちには、いち早く現場の方においでになった方もいるようでございますけれども、香川県の場合には小豆島の内海湾、その地区におきまして問題点が出たわけでございます。若干の被害を伴いましたけれども、私どもはいち早くこれに対しまして対応策をとりました。
 申し上げますと、現物の清浄なる海域への移動でございます。それから二番目には、予想される危険水域からの他地区への移動でございます。それからモジャコ、これはハマチの当年魚の稚魚でございますが、すでに手当てが終わっておりまして、それぞれの産地で確保しておるわけでございますけれども、これをもうすぐに持って帰らなければならない時期になっておるわけでございます。向こうへ置いておくのも危険でございます。だんだん大きくなっておりますので、狭い場所に飼っておくということは非常に危険ではございますけれども、いま搬入するよりはその方がいいということで、いまのところは搬入の時期を延期をいたしております。
 それから、私どもにも活魚の運搬船を漁連自身が二隻持っておりますけれども、採算を度外視いたしまして、これを応急の応変の動作に移れるように、張りつけをいたしております。
 そのような形の中で、一応国のアドバイスも受けましたし、県、地元の市、町とも相談をいたしまして、現在のところ一応鎮静という形になっておりますが、いつこれが再び火を吹くか、私どもは細心の注意をもって見守ってはおりますけれども、いまのところ、はっきりした成算はございません。
 全般的な情勢を申し上げますと、昨年の十二月十八日に起こりました三石の流油事件以来、約半年にわたりまして、これの排除作業、回収作業、それと補償を伴います問題でございますので、補償問題がやっとこの間、一応の解決点を見出したという形でございますが、その後遺症的なものは、先生方も御心配になっておられますし、学者もそれぞれの立場から、非常に危険だということで警告を発しておられますが、薄い皮膜状のものが海面を覆っておるわけでございますし、なおかつ、海中には油塊あるいは防除作業に使用いたしましたところの油を含んだ資材が残っておるのが現況でございまして、いまからさらに、その撤去作業にかからなければいけない情勢でございますが、そういう形の中で、海面を覆っております油あるいは石がきの穴の中に入っている油が、だんだんに溶け出してくる現況は、非常に危険な要素があるわけでございます。
 次に、俗になたね梅雨と言われますが、先ほども参考人の方から言われましたこともありますけれども、大量の雨が非常に危険な状態を現出する、あるいは赤潮の引き金になるということは、一種の定説のような形になっておりますが、本県の場合には、四月ごろにたくさんの雨量がございまして、ちょうど気象の条件が、四十七年の赤潮が出た年の気象条件に非常によく似ておるという形があるわけでございます。二月ごろから栄養塩等の調査をいたしますと、これも増大いたしておりまして、四十七年の状況と同じでございます。
 以上申し上げましたように、海域の環境が非常に悪化しておる情勢でございまして、何遍も申し上げますが、四十七年のあの赤潮事件を思い起こすような状況があるわけでございます。これらの状況につきましては、自然発生のものを除きましては、人為的なものでございまして、これは私ども漁民がそのしわ寄せを受けるべき性質のものではないということを、特に申し上げておきたいと思うわけでございます。
 四十七年の赤潮のときには、七月中旬から八月下旬という形で一大発生を見たわけでございますが、私どもは、三菱の重油事故以後、ことしの場合の赤潮は早く来るのではないかというような心配をいたしておりましたが、それが予想のとおり五月というような非常に早期に来たということは、予想が当たったというような単純な気持ちではなしに、私は本当に貧乏くじを引き当てたような感じがするわけでございます。
 四十八年、四十九年につきましては、先ほど申し上げました燧灘等におきましては、若干の被害を伴うた赤潮の発生を見ましたけれども、播磨灘におきましては、そう大きな被害を伴うた赤潮はなかったということで、四十七年に次いで、本年は本当に心配する年に当たるわけでございます。
 なお、四十七年の事件発生以来、その後、水質の汚濁防止法あるいは海洋汚染の防止法あるいは四十八年に制定せられました瀬戸内海の環境保全臨時措置法等を通じまして、大方の枠組みは、私どももまだ十分とは言えませんけれども、できたように思っております。先生方の御努力が実りまして、いろいろな形で私どもがその利益が受けられるような形に、総体としてはなったとは思いますけれども、本当の中身、これが実際上私どもの経営状態に直接つながってくるという面になりますと、予算の関係その他で、私どもはまだ手が届かない、くつの上からかゆいところをかくような気持ちで、早く予算的な、あるいは実質的な効果が上がるような施策が望まれる現在の状況でございます。
 先ほど私は、種苗の買い付け手当てが一段終わりまして、モジャコの搬入時期になっておるということを申し上げましたが、それと同じように二年魚ハマチ、中村参考人が申し上げましたように、一・二、三キロに他の地域で大きくなったものを、さらに瀬戸内海に持ってまいりまして、それを短期間育成をいたしまして、市場に供給をするという仕事も、瀬戸内海におけるところの養殖の特性でございますが、すでに買い付けを終わっておる当年魚あるいは二年魚の搬入の時期をいつにするかということにつきましては、先ほど来申し上げましたように非常に大きな問題が残っておるわけでございますけれども、これは私どもも水産庁の指導のもとに、それぞれの官庁と御相談を申し上げ、あるいは私ども自身の判断によりまして、やっていきたいとは思いますけれども、現在行われておりますところの漁業共済そのものが、私どもの瀬戸内海におけるところの養殖漁業の実態と合うていないのが実情でございます。
 一例を申し上げますと、二年魚につきましては一応六月一日から以降だということで、瀬戸内海の現況から言いまして、これは大体十二月いっぱい、遅くとも一月十日、十五日ごろまでに出荷を終わる養殖漁業でございます。当年魚につきましては七月十日から共済の始期が始まるわけでございます。これも養殖の時期につきましては同じように、遅くとも翌年の一月十日ごろまでにいわゆる養殖の実態が終わりまして、いまこのくらいの小さいものでございますけれども、その時期が来ますと、平均いたしまして、香川県の場合には大体一・三キロぐらいになるわけでございます。したがいましてハマチとしてブリの下側につきますけれども、市場価値としては、一応刺身等につきましては最高の形のものができ上がるわけでございますが、いまの時期ではその共済の適用は受けられません。したがいまして、県等を通じまして水産庁のそれぞれの所管部門あるいは共済組合等に、実情に合うた形で共済が適用できるようにお願いいたしたいということを、この事件が発生いたしました直後に、県を通じて申し上げておるわけでございます。まあこれは消極的な対策ではございますけれども、私どもの経営基盤というものは非常に弱うございますので、できたらそのような形の適用が一日も早くでき上がるような形で、いろいろの御高配を願いたい、こう思うわけでございます。
 それから、屎尿の海洋投棄等につきましては、一応先生方の御尽力によりまして、外側ということで、万全の策ではございませんけれども、少なくとも瀬戸内海のような閉鎖的な環境のところには投棄されないという形ができましたけれども、現実の問題として、運搬船によって太平洋に搬出する分は別といたしまして、下水道処理あるいは屎尿処理という形で処理されますところの実態は、いまの形では瀬戸内海の富栄養化に貢献する以外の何物でもないということは御存じのとおりでございますが、できるだけ早い時期に、二次処理あるいは三次処理、このような形のものが行われるような形で、ひとつ政策的な御立案をお願いいたしたい、かように思うわけでございます。最近、特に合成洗剤の点がやかましく言われますけれども、新聞等を見ていますと、大きなメーカーあたりの強引な施策に押されて、承知をしていながら、国の施策がそれに伴わないというような形もあるようでございますけれども、悪いと思われるものは、ひとつ早急に改善されるような処置をお願いしたいのでございます。
 それから昨日、宿舎におきまして、香川県の試験場から来ておる者と一緒になったのでございますが、きのう何か水産庁の方で集まりがあったようでございますけれども、これは第一回の会合で、さしたる成果はなかったとの話でございますが、瀬戸内海の沿岸、これは国あるいは県等の施設の中にも、あるいは大学等の中にも、有能な先生方がたくさんおられるわけでございますが、できたらこの人たちの頭脳をおかりできて、打って一丸となったような形のチームづくりができないものだろうかというのが、私ども漁民の悲願でございます。それぞれの教室で、あるいはそれぞれの試験場で研究をせられるのは、それはそれでまた確かに実効が上がる問題もあるとは思いますけれども、十分に情報交換ができ、十分に学術上の意見の交換ができる機会、これは当然予算が伴わなければ十分な働きはできないと思いますけれども、早急にそのような形ができ上がることを、私は特に先生方にお願いいたしたいと思います。
 それから、予算上の措置につきましては、私は、もう大蔵省に対しましては、何を言っていっても、収入に見合わした支出しかできないのだということで、いつも削減という形で物をやられますけれども、でき得れば、屎尿処理を完全にやっていないような市、町もあるわけでございますから、罰則的に、罰金的に、そのような形のところから一部の財源を得られるようなことがないだろうかというようなことを、素人目に考えておるわけでございます。施設ができていない県あるいは市、あるいは町等から、若干の研究費の吸い上げというような形のものができないだろうか。これは私は素人としてのことを申し上げておるわけでございますけれども、財源がないからできないのだ、財源がないからできないのだと言われますと、そのしわ寄せは全部私どもに来るような感じがいたします。私どもへのしわ寄せを除去していただけるような形で、ひとつできるだけ予算的にも御配慮を願って、何らかの形で実質的な赤潮に対する対策が進められるように御処置をお願いいたしたい。形だけつくっても内容が伴わなければ、私どもはいつまでも待たなければいけないのが現状でございますが、そういう意味合いにおきまして、特に予算を伴うところの実質的な動きができるような形のものをお願いいたしたい、そういうことを申し上げたいと思います。
 いろいろ申し上げましたけれども、予想いたしておりましたように、本年も早期に赤潮が発生いたしまして、被害を伴ったわけでございますが、今後なおかつ、どのような形の被害が起きてくるのか、予想に苦しんでおるのが現況でございますが、できるだけひとつ政策の面で、あるいは政治の面で改善策を講じていただくようにお願いを申し上げまして、私の陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
#10
○渡辺委員長 ありがとうございました。
 以上で、午前中の参考人からの意見聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#11
○渡辺委員長 引き続き参考人に対する質疑を行います。
 なお、本日の質疑時間につきましては、理事会での申し合わせに御協力をお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸井田三郎君。
#12
○戸井田委員 近藤、中村、浜野参考人、御苦労さまでございます。
 私は、いま参考人のお話を聞きまして、今回の赤潮と養殖漁業との関係についてお聞きしたいと思います。
 いま近藤参考人も、かつては大変美しかった瀬戸内海ということを言われておりましたが、私たちが子供の時分でも、富士山と瀬戸内海というものは日本の美しい財産であったことを教育されております。いまは瀬戸内海が大変汚染されているということは、各界の方々はもちろん、政治をやる者としては政党政派を超越して、この問題に対して頭を痛めているわけであります。
 そこで、瀬戸内海環境保全の立法がされましてから、この一年、以前と比較して瀬戸内海の水質が、皆様方の目から見てきれいになっただろうか、それとも汚くなった、一向に変わらないとお考えになっておられるか、近藤参考人、中村参考人、浜野参考人、簡単で結構ですから、御意見をお述べくださったら結構だと思います。
#13
○浜野参考人 お答えをいたします。
 私どもが昨年の十二月十八日以前までに使っておった言葉は、ここ二、三年来非常にきれいになった、だんだんに透明度もよくなってきた、こういうことを申し上げておりました。
#14
○中村参考人 昭和四十七年、八年、これは大変に水が悪かったです。四十九年度に対しては、そういう規制が適用せられたためか、水は相当にきれいだった。本年は特に四十七年、八年にまさる悪い水に変わったように思います。
#15
○近藤参考人 ことしの赤潮の襲来は、先ほど香川県漁連の参考人から言われましたが、私たちの漁場である北灘の海は、三月二十六日にこのように真っ赤でございます。写真を後で参考に置いておきます。このように真っ赤です。これも真っ赤です。こういうふうな状態です。
 屎尿投棄が終わってからは、四十八年、四十九年、私の意見書の中にもありますように、表面上は本当に透明度がもとに返りつつありました。しかし、網はもううちの使用人が困るぐらいだんだん汚れていきます。ことしはその汚れが非常にひどいです。
 それともう一つ、四十七年度のハマチが死んだカラー写真も、これは業者が撮ったものでございますので、参考に置いておきます。
 以上でございます。
#16
○戸井田委員 ありがとうございます。
 大体昨年の十二月以前は、前年あるいはそれ以前から比較して、大変きれいになったように思う。しかし最近、特に三月ごろからはむしろ以前より悪くなった、こういうふうにお認めのようでございます。
 そこで、この一年間きれいになったのに最近汚くなった。汚くなったのは、いまのお写真で見ると赤潮のように思います。全体として水質がどうも最近汚くなったとお考えになっているその理由は、これも一言でこれだと思いますというように簡単にお答え願いたいと思います。浜野参考人、中村参考人、近藤参考人、お一人お一人ちょっと簡単に。
#17
○浜野参考人 お答えをいたします。
 私どももまだ検討中でございますので、はっきりしたお答えはできませんけれども、表面に出ておる赤い色のいわゆる赤潮、これでなしに、海面から下にいわゆる水塊として、通称はやはり赤潮という形で言われておりますけれども、赤い色じゃなしに、この部屋の板壁のような感じの色、あるいは青みを帯びた黒い感じの水塊、それらがたくさんできておるように思われますので、そういう意味合いから言いますと、その原因を私ども早く探求をしなければいけないという感じ方はいたしておりますけれども、いまのところ、はっきりしたこれだという決め手はございません。赤潮と同じような形のものが水面下にある、そういう形で海が汚く見える、そういうふうに私どもは考えております。
#18
○中村参考人 昭和四十七年度の赤潮ともう少し色が違って、中身にちょっと白い傾向が見えております。私は学者とは違いますけれども、それがどういうような赤潮かということは、それはちょっと判明できないけれども、今度ハマチ三万匹のうち二万匹は先に死んだ、あとの一万匹は底にはっておったということは、上の水が悪くて、底の水で辛うじて一万匹足らずのものが泳いでおったように思いますので、上の方のちょっと白みがかったものが、それが今度の死んだ原因と思います。
#19
○近藤参考人 私は漁民でございますので、学術的なことはわかりませんが、漁民として考えますのには、瀬戸内海のうち播磨灘はすりばちのような状態でございまして、長年続いた新産都市から工特法、そういう関連で大企業がいっぱいできた。自分のところには公害企業は全然一つもないのです。煙突も一本もないところなのですが、すりばちのような播磨灘に長年放流したかつての汚水、また何年も続いた屎尿投棄が海底に沈んで、播磨灘というところは六時間満ち引きで行ったり来たり、行ったり来たりしておりますが、ほとんど水が変わらない、そういう状態でございます。
 以上です。
#20
○戸井田委員 それでは、中村参考人にお伺いいたします。
 中村さんのいまのお話では、大体十九日ぐらいまでは何でもなかったように思う、しかし、その後ハマチがえさを食べなくなったというお話をされ、浜野さんは、二十日ぐらいからそういう状態が出た、大体十九日から二十日にかけてそういう状態が察知されたというわけでありますが、これは中村さんどうお考えですか。何かそのころに急に変化がありましたですか。
#21
○中村参考人 いま先生おっしゃるように、十九日からえさを急に食べなくなったのです。それで、早速水産試験場の方に連絡をいたしまして、急遽、来てくれましたところ、四十七年の赤潮と同じようなものだというようなことを言われたのですが、私の考えでは、あの年は大方全滅だったのですが、今度の一万匹ほど残ったのは、水深はうちの小割りは十メートル以上ありますけれども、その残っておったものが底の方に泳いでおったということであるから、上の方の三メートルないし四メートルぐらいまでの水が非常に悪かったように思うのでありますけれども、私のところの養殖漁場が一番北の端になっております関係上、私のところが十九日、それから宮養殖さんの方が二十日午後です。それから岡田さんの方が、あれも二十日ですか、そういうような時期ですから、ずっと水は北から南の方に流れたような感じがいたします。
#22
○戸井田委員 私は現地へ行ってみて、現地の人の話を聞くと、ちょうど十九日に北西の風が吹いてきたということを聞いております。北西の風と養殖したハマチの大量に死んだというものが関係があるように聞いたのです。風が吹いて、それが関係あるわけはありませんから、その風が吹いて、何かハマチ養殖の上に害のある、あるいは赤潮発生に関係のあるものを潮流が運んできたのかどうか。
 もう一つは、ところが、その潮流が運んできたとするならば、その潮流が流れたのは、北から西ですから、南の方ですね、そちらの方の養殖ハマチ以外の魚が死んでいるのかどうか。養殖ハマチだけが死んで、それ以外の魚が死ななかったとすれば、その養殖をするということの中に何か無理があるのではないか、こういうことも考えられるわけですが、中村参考人の御意見をお伺いします。
#23
○中村参考人 それでは申し上げます。
 私の組合には釣り舟漁業だとか底びき漁業、それからいさり漁業、定置網漁業、それと養殖漁業とがあります。私がハマチを殺す当時には、現在、私の子供も定置網漁業をやっているのですが、それが、きょうはタイが五枚おった、それを喜んで持って帰る途中に、そのタイが死んでしまったというような例もあります。ある一本釣りの方が、沖でメバルとかアゴとかいうようなものをつって、楽しんで持って帰ったところが、これも半分以下になったというようなことで、あの当時は、あの十九日から今度の南の風が吹くまでの間は、家島周辺には悪い水が相当多量に発生をしておったように感じます。養殖だけと違うのです。沿岸漁業、あらゆる漁業が皆相当な被害を受けておるような状態でございます。
#24
○戸井田委員 タイは大変強い魚ですが、ハマチばかりでなく、そういう魚も一部死んだということは、いま聞きました。私、現地を見てまいると、大体十メーター四方か十二メーター四方に囲って、深さは大体十三メーターぐらいに、小割りの網はなっているように聞いております。そうすると、大体この部屋の六分の一ぐらいの中に一万、二万という魚を飼っている。もちろんこれは養う魚ですから、広いところでやるよりも狭いところでやった方が、人手もかからない、あるいは管理もしやすい、いろいろなことがあると思うのです。しかし、網も魚が逃げないような網であるというと、目もそんなに広いものではない。そうなってくると、潮の流れがその箱の中で一つの遮断をされる、しかも一万という魚がそこで泳いでいるということになると、外の潮流より異常に強い流れが、その箱の中で起こると思うのです。そういうような中に相当多量のえさをやる、しかも赤潮が流れてくる、環境は悪い、そういう関係が一つの相乗効果を起こして、ハマチを大量に殺すのではないか。私は素人の考えで、それは現地へ行ってみて感じたわけです。
 ハマチを養殖する漁法というものは、まだ歴史は非常に浅いのですね。赤潮は江戸時代あるいはそれ以前からずっとあったのですけれども、ハマチ養殖というものは最近行われて歴史が浅い。赤潮の後に起こっているわけです。そういう中で、ハマチ養殖というものが果たして適当なのだろうか。一つは、瀬戸内海というところは非常に浅いのですね。特に養殖しているところは、この間聞いてみますと、大体二十メーター前後、浅いところは十七メーター、その中に十三メーターという深さの網が張られるというと、網の底から海底までが五メーターか六メーター、こういうようなところに大量のえさを与える、そういうような漁法というものが果たして適当なのだろうか、こういう御研究はされたことがございましょうか。浜野参考人も近藤さんも、同じような養殖をされておるのですが、簡単に御意見をひとつお伺いしたいと思います。
#25
○近藤参考人 反論をさせていただきます。
 いま発言席におられる先生は、養殖ハマチの歴史が浅いのだろう、こういうことでございますが、いま後ろにおられる香川県の安戸池の養殖場は戦前からあります。しかも築堤方式、囲いをこしらえまして、すのこで私のところの北灘の海の水と交換するわけなのです。水深が四メーターないし五メーターの浅い池なんですよ。えさも自分のところのものではないから、ただでないのですよ。お金が要るのですよ。これを大きな経営者だからばさっとトロ箱に移すわけです。そこの魚は死なずに、私のような北灘の海の沈下小割り方式、これは非常に高度な方法です。沈下小割り方式というのは網を宙づりです。網はそんなに小さいものではないのです。小さいときは細かい網目から順番順番に大きくなっていくのですから、発言席の先生の言われるようなそんな御心配はないということです。
 以上です。
#26
○浜野参考人 お答えをいたします。
 養殖技術につきましては、これは各県の水産試験場もともに漁業者と一緒になりまして、技術の開発に努めておるわけでございますが、四十七年の赤潮発生以来につきましては、一小割りの中に入れる尾数につきましては、それぞれの県が独自の制限を加えまして、被害が出ないような形に措置をしておるのが現状でございます。私どもの方も同じような形で、総体の尾数、香川県としての尾数の制限と、一小割り当たりの収容量を制限する、これは行動を制限した形が養殖漁業の本来でございますので、そういう形でやっております。
 それから先ほどの御質問の中に、そのころに何か変わったことはなかったかというようなお言葉がございましたが、ことしの場合には、非常に天候、気温が不順でございまして、ちょうどそのころまでは、朝晩がまだはだ寒い感じがするころでございました。それが蒸し暑さを感ずるようになったのは、大体そのころだった。気温がかなり上がってきたということは一つあるわけでございます。
#27
○戸井田委員 時間がございませんので、これで終わります。
#28
○渡辺委員長 土井たか子君。
#29
○土井委員 まず、本日はお忙しい中を、お三人の参考人の皆さんが、遠いところを本委員会に御出席いただきましたことに、御礼を申し上げたいと存じます。
 さて、時間が限られておりまして、わずか三十分の間に二人質問をするわけですから、もう前置きも一切省きまして、率直にお尋ねをしたいと思うのです。
 徳島の近藤さん、国と自治体を相手取っての訴訟に踏み切られたわけなのですね。先ほどの御発言の中には、NHKの朝のテレビドラマの「鳩子の海」に出てくる「日本よ日本」から始まる「ドドンガドン」に大変感激をして、提訴に踏み切ったといういきさつのお話がございましたが、それ以外、何かどうしても裁判に訴えて出なければならなかったといういきさつをお持ちであったら、お伺いをしたいのです。
 特に、昨日も新聞で大きく出ましたとおり、徳山の方は公害等調整委員会に調停の申請をいたしまして、その結果、昨日、赤潮の原因の一つは企業排水にあるという向きの裁定が出たようないきさつもございますから、そういう調停申請に訴えないで、国を相手取って、あるいは地方自治体を相手取っての裁判に踏み切ったと言われる、そのいきさつを、できたらお聞かせいただきたいと思います。
#30
○近藤参考人 私、先ほどの意見書の中で申し上げましたが、現在の総理大臣の三木先生が環境庁長官のときに、「政治の怠慢許されぬ」こういうことが日刊新聞に大々的に出ております。にもかかわらず、あれからわれわれ漁民に対する措置を講じてくれたことは、たった瀬戸内海環境保全臨時措置法ですか、これだけであった。余りわれわれには効果がなかったというような感じで、政治も、ひょっとしたら、われわれ漁民の切り捨て作業をしたのではなかろうか、もう最後のとりでは法律しかない、こういうことで、まず瀬戸内海はわれわれ漁民にとっては、先ほども言いましたとおり運命共同体にある、法律でもって守らなければ、政治も、どの政党も、われわれに余り応援していただけなかったということで、最後のとりで、法律を選びました。
 以上でございます。
#31
○土井委員 最後のとりでという大変悲壮な気持ちで、いま裁判を係争中でいらっしゃるという事情が、私にはよくわかる気がするのですが、先ほど御発言の中に第二次赤潮という言葉が出てまいりましたね。第二次赤潮とおっしゃる中身は、昨年の十二月末のあの岡山の水島の三菱石油のC重油の流出事故に原因があるとお考えになる赤潮の状態を指して、第二次赤潮というふうにお呼びになっていらっしゃるのか、その点はどうですか。
#32
○近藤参考人 私は、油も何%かは影響してくる、かように思っております。というのは、いま参考に提出いたしました写真の赤いところを見ますと、かつての十二月末から北灘に押し寄せました重油のこってりついたところと浮いておるところがやや似ておるのです。ほとんど一緒です。
#33
○土井委員 それでは、その事柄について、三菱石油の方に対して何らかの話し合い、あるいは補償に対してのいろいろな取り決めなどについての対策なり御努力を、いま現になさっていらっしゃるかどうかということを、ちょっと一言お聞かせくださいませんか。
#34
○近藤参考人 三菱石油の方には私、四十七年度の養殖ハマチの被害については申し入れはしておりません。油というのはある程度風の方向でぱっと走る。私の訴訟の原因と申しましょうかは、播磨灘の沿岸企業から出された廃液と屎尿投棄による原因ということで、油はある程度また風で走る。私の赤潮訴訟は、潮流、恒流によって沿岸企業の廃液で殺されたということで、私が四十七年の天災融資を借りるときの、これは人災だという自分の観念でございます。以上でございます。
#35
○土井委員 いまちょっと油の問題が出ましたので、中村参考人にお尋ねをしたいことがございますが、昨年のあの水島の三菱石油から出ましたC重油が家島付近には来なかった、家島付近に対してはC重油の影響はなかったという向きの、海上保安庁からの実は報告がありました。そのことによって、家島にはあの問題は無関係だというふうに考えられている向きが非常に大勢を占めておりますが、聞くところによりますと、あの三菱石油の代表の方とそれから中村参考人との間で、当時あのC重油の流出のためにノリの栽培に対して大変な被害があったということで、これについての確認書を双方で取り交わされているという事実もあるやに承っております。また当時のありさまを家島の方々に聞きますと、決して無関係でないのだというふうな声も聞いております。そうといたしますと、海上保安庁からの報告は事実に反するということもございますので、本当にその当時の状況というものが、果たしてノリの被害があったかどうか。それからC重油の影響が家島に全くないというふうに言い切れるかどうか、その辺について少しお聞かせをいただきたいと思います。
#36
○中村参考人 その話は確かにあった話でございます。私は、日にちはちょっと忘れましたけれども、水島から油が流出したということで、徳島県から兵庫県の淡路の方面に油流出の報告が入った日に、うちのノリにも被害があったのです。あったから早速、私が現場に行きましたところ、相当ノリ網に油がついておりました。早速、私の方から海上保安庁の方にも連絡し、あらゆる方に連絡をいたしましたところ、三菱の方からもうちに四人か五人来られました。県の方からも来られましたところが、それが水島の油とちょっと色が違うということで、その油を持って帰られて試験をいたしました結果、あれは三菱の重油でなかったというような判定が出たので、うちの組合も、それは原因不明の油で、もうどこからも、三菱からも補償は取れず、それで県の公害対策委員の方から、ちょっとの見舞い金というような程度で、現在いただいておるような状態でございます。あの日には、三菱の油だと思って、向こうの会社の方からも、マットとかオイルフェンスとかドラムかんなんというものを大きな船に積んで、うちの漁業組合の浜へたくさん揚げていたのですけれども、これは後で調べた結果、三菱の油とちょっと種類が違っておったというような結果になったのでございます。
#37
○土井委員 あと二問、私、簡単にお聞きをして終わりにしたいと思います。
 一つは、政府と自治体が、いわゆるとる漁業からつくる漁業へという漁業構造の改善計画に従っていろいろ指導をされて、そして後、こういう養殖漁業というのが非常にあのあたりで盛んになっているといういきさつが実はあるわけなのですね。古い歴史を持ってやっていらっしゃる地域もあるかと存じますけれども、むしろ政府や自治体が指導した形で、こういう改善計画に従っての漁業構造の転換というものがだんだんなし遂げられてきたわけですね。ところが赤潮が出て、それに対しての被害が、このつくる漁業場に出た場合、被害地に対して国や自治体というのは実態調査を、果たして皆さんがお考えになっていらっしゃるとおりに十分にやっているかどうか。あの転換についての指導はやったけれども、被害が出た場合のいろいろな措置についてこたえているかどうか。私はこの辺、大いに問題があると思うのですが、赤潮の原因は一体何だということをお考えになっているかということに対して、端的に一言お答えをいただき、また、いまのことについて実感をもって日ごろ考えていらっしゃるところを、遠慮なく忌憚のない御意見として各参考人から承りたいと思います。
#38
○浜野参考人 お答えいたします。
 戦後、養殖業を推進された県や地元の市、町が、同じような形で埋め立て地を推進し、工場誘致を推進せられるという事実があるわけでございまして、その意味におきまして、見通しが、私どもももちろんでございますけれども、地方の政治的な感覚というものが実態に合っていなかったという反省はあるはずでございますが、現実の問題として、いまの県あるいは市、町の機構の中では、検査するぐらいがやっとで、それも具体的に出た分の検査ぐらいができる範囲内の規模しか、試験所あるいは試験の課を持っておりません。そういう意味合いにおきましては、養殖漁業を推進したあと、いろいろな問題が起こりつつある現況においての対策は、何ら十分にとられていないということは申し上げておきたいと思います。これは国も同じだと思います。
#39
○中村参考人 私も先ほど申しましたとおり、昭和三十七年からやっておりますが、当時は水がきれいだったから安心でしたけれども、この十年ほどから、こういうような水に変わってしまった、というのはやはり工場から流される排水が原因と思うし、それに対しての措置を余り十分にとっていただいておらぬように思います。今回のこの件につきましては、早速、水産試験場の方からは来ていただいたのですけれども、ただ昭和四十七年度の赤潮によう似たような赤潮やというだけのことで、それからも何匹死んでおるか、後に何匹残っておるかというようなことだけで、水産課の方からも水産試験場の方からも、何らその後の対策をしてくれたことはないのです。私の方から一々問うたら回答はしてくれますけれども、いま現在私は、一万のやつを何とか食いとめて何とかせねばならぬと思うて、いろいろと考えておりますのですけれども、何らの手は打ってはいただいておりません。中西一郎さんが、何か石灰で赤潮を吸収する、今回それを一遍やってみい、そういうようなことを言いにうちへ来てくださったのが、きのう、おとといでございました。
 以上のようなことでございます。
#40
○近藤参考人 お答え申し上げます。
 意見書の途中で申しましたが、天然魚がだんだんとれなくなってきた。そういうところで国、地方自治体が養殖しなさい、それで活路を見出しなさいと言われまして、私たちはやったわけなので、水産試験場が調べに来られましても、聞きますと、調べるだけ調べてもう県水産課の方へ報告が行きました、試験場の方は漁民に発表する責任の段階でない、こういうことでございます。だから、われわれはどういう結果を発表していただいたのか、いまだ私いただいたことはありません。
 以上です。
#41
○土井委員 これで質問を終えさせていただきたいのですが、最後に一言だけ、これだけは確認をしておきたいと思うことが残っておりますので、これを申し上げて簡単にお答えいただいて、私は終えたいと思います。
 先ほど近藤さんの方から見せていただきましたあの赤潮の四十七年当時の写真、実は昨日、私は家島へ行きまして、そしてやはり波打ち際に押し器せている赤潮のありさまというのがあれと同じだということで、昨日も現場でひどい、ひどいという気持ちを新たにして帰ってきたやさきです。恐らく木切れなどでかき回しますと、その部分がぼこっとあくようなどろどろのありさまです、あの赤い部分というのは。幾らこういう問題について論議を深めていきましても、いわば漁業の構造の改善、改造というふうなことで進められた、つくるための漁場があそこの場所につくられるということ自身間違いではないかという気が、実はするわけであります。つまり海がきれいな海に変わらない限りは、つくる漁業というのは、恐らく被害なくしてあそこの場所に居続けることはできない、そういう実感を非常に強くして帰ったわけです。
 四十七年のときには天災融資法の適用をいたしまして、スズメの涙とか焼け石に水という言葉がございますが、それにも足らない、むしろ後は借金、借金で追いかけられて、それを返済するのもできるかできないか、めども立たないような融資をしたのが精いっぱいでございました。この天災融資法に従っての融資というのも、四十七年の場合は特例だと言われておりますから、今回はそういうことになるのかどうかさえ、一切はっきりいたしません。けれども、私はこの融資ということ自身に大変疑問を感じているのです。つなぎ融資であるとか、返済時期を延ばせるとか、利子を非常に安くするとか、いろいろな配慮を加えましても、融資ということ自身に非常に私は疑問を感じているのです。あの天災融資の結果、四十七年から今日に至るまで、それに対してのいろいろな疑問なりあるいは矛盾を痛切にお感じになっていらっしゃると思いますが、そのことについて、近藤さん、中村さん、浜野さんからお伺いして、私は終えたいと思います。
#42
○近藤参考人 お答え申し上げます。
 当時、政治の力によりまして、天災融資ということで、個人は百万、法人の場合は五百万、五年でございますが、年々それを等分して支払っていく。ことしのような、海があんな状態で飼えない、事業ができない。本当にこの十二月にどうして払おうか。事業ができないのに、政府からお借りした資金を払わなければならぬ。また親戚、知己を頼って、何か処分をして、天災融資の政府資金をお返ししなければならないという時期が、もうまた六カ月たてば来ます。私はもうあの汚れた海で養殖はできない。いま稚魚もよそへきのう買いに行っておりますが、果たして持って返れるか。持って返ったって、やはり何百万捨ててしまうようなものでなかろうか。そうした中で天災融資をどうしてことしの十二月に払おうか、それが心配でございます。
 以上であります。
#43
○中村参考人 私ども家島の養殖業者全部、天災融資でお借りしておりますけれども、このような今日の、いま土井先生の言われた家島の海では、とうてい養殖は不可能と思います。しかし、これをこのままやめてしまったら、借金をしていますから、どこかでまた養殖をやらしてもらわなければしようがない。何かの方法でまた養殖をやらなければ、これはもうこの借金は、なかなか小さな商売しておってはとうてい払われぬです。これをこのまま家島でできぬからわきへ行くということも、とうてい不可能な問題ですから、やはり何とか、この全国かん水養魚協会から出した陳情書のこれを、先生方のお力によってひとつやってもらいたい、私はかように感じます。
#44
○浜野参考人 お答えいたします。
 四十七年当時、私が水産庁の方へ陳情に参りましたときに、水産庁のある高官が、三百万円、五百万円、一千万円という金額になると、それはもう零細漁業者でないというような意味のことを言われたわけでございますが、その当時その高官の月給あるいは年俸が幾らだったか私は存じませんけれども、少なくとも現在の経済基盤というものは、前と違ってかなり大きなものになっておるというように考えておりますが、若干認識の程度が水産庁の高官にして足らなかったのではないかというように私ども考えております。
 それから、私どもが一番困るのは、天災融資も制度融資等も含めましても、利子補給という形になりますと、国からお出しになる分、県がお出しになる分あるいは市、町が負担する分、いろいろ負担区分があるわけでございますが、私どもが一番困るのは、市、町の負担区分、これがそうスムーズに出してもらいにくいという一つの問題点があるわけでございます。そういう点につきましても十分に考慮願いたいと思います。
 終わります。
#45
○渡辺委員長 井上普方君。
#46
○井上(普)委員 私は、時間がございませんので、簡単にひとつ質問いたしたいと思います。
 先ほど近藤参考人が「鳩子の海」の歌の文句を言われまして、非常な決意をもって漁業に従事されておる。しかも時間があるぞということで、特に赤潮訴訟を提起されておりますことについて、心からその決断に敬意を表するものでありますが、四十七年に天災融資を受けられた。その金額もわずかであったけれども、現状におきまして、これを支払いする能力が、またまた赤潮が起こっておるのでむずかしいのではなかろうかという気がするのでございます。これに対する天災融資を受けられた皆さん方としては、今後どういうようなお気持ちで、また、どういうようにしてほしいということを、ひとつお述べ願いたいと思うのでございます。
 それから第二点といたしましては、三菱石油事件以降、しばらく操業を休止しておりましたけれども、これは再開されました。しかし、再開されましたけれども、現場では漁獲が一体どうなっておるのか、恐らく減っておるのではなかろうかと思いますが、この実態についてお知らせ願いたい。
 第三点といたしまして、このような瀬戸内海の現状のもとで、恐らく漁業者に対する後継者が非常になくなるのではなかろうかと私どもには憂えられるのであります。何を申しましても、たん白資源といたしまして、瀬戸内海の漁場といいますものが、日本の食糧に対しましての重大な任務を持っておるわけでございます。その中で後継者対策が一体どうなってくるか、私ども、大きな関心を持たざるを得ないのでございまして、この三点につきまして、ひとつ御意見を承りたいと思います。
#47
○近藤参考人 お答えいたします。
 まず、融資の問題につきましては、先ほど土井先生に申し上げましたとおり、いまのような海の状況では、何かを売らなかったならば、どこかで借りてこなかったならば、天災融資は払えません。それでもとの清浄なる瀬戸内海に戻って、事業ができるまで御猶予をしていただきたい、かように率直にお願いを申し上げたいと思います。
 なおまた、私、定置網が本職でございますが、本年の定置網の魚、特に底物ではタイ、また、上に浮いているスズ、サヨリと申します口の長い、おすしにすると非常に高級品ですが、これが物すごく少なくなりました。私のところの漁獲では、とれぬ、とれぬと言うた昨年の六分の一でございます。
 また、後継者の問題につきまして、私のそばの家の人は、お父さん、こんな海でわしに漁業を継げと言うのだったら、家出をしたい、こう言うております。以上でございます。
#48
○渡辺委員長 島本虎三君。
#49
○島本委員 時間の関係で、ほんの一、二問にしぼります。
 いまの場合、赤潮は直接工場排水の被害だという結論が、中公審以外は学術的には出ていないわけです。今度の公害等調整委員会の結論でも、これはもう工場排水が一因となり、徳山の水質汚濁、漁業を営む漁民の漁獲減になったということの補償になっているわけです。しかし、皆さんに率直に伺いたいのは、この原因ですが、こういう現象だから間違いないのだという、皆さん自身がいままでずっとやってきたその現象だけ、ちょっと
 知らしてください。それが一つです。
 それともう一つ。赤潮の厚さがどのくらいになるのか、これもいままでの経験で、それだけ知らしてください。午後の先生に対する質問の関係上、ぜひ必要なのです。
#50
○浜野参考人 お答えをいたします。
 赤潮の厚さにつきましては、四十七年のとき、あの当時の私どもの常識では、赤潮の退避対策としては、小割りを海の底へ沈めるという形でいけるのだというのが、その当時までの養殖技術の常識でございました。ところが海の底から同じような潮の状態があるということでございますので、その厚さにつきましては、その海の深さによって若干違いはありますけれども、かなり深い層まで、そういう水塊があるというように、ひとつお考えを願いたいと思います。したがいまして、昔言われておったように、台風が来たり、赤潮が来たりしたら、海の底できんちゃくのひもを締めるようにして口を閉じて、海の底へ沈めたらいいのだという形では、もう退避ができなくなったということでございます。
 それから現象的には、総体的に漁獲減という問題が起きてはおりますけれども、時期、時期には、それぞれの形で新しい魚が外から入り、あるいは地元で生まれるという形がいままでの状態でございましたけれども、何かこう自然のサイクルの中に変動を来したような形のものもありますので、いまの段階で、はっきり私どもがこうだという言い切り方はできないのでございますけれども、いわゆる赤潮というものが、毎年同じような形で各所に出てくるという状態は、ある程度海の浄化が進まなければ、これはなくならないのだということで、一つの運命だというような考え方ではなりませんけれども、一つの宿命的なものとして、当分の間はそれを克服する準備を、私どもはやらなければいけないのだ、そういうように考えております。
 現象としては非常にむずかしい問題がございますし、学者の先生方も説は出されますけれども、決してそれは他を納得さすに足る資料にはならないようでございます。私は、燧灘のときに、製紙のヘドロで訴訟の代表者として中公審の方へ参りましたけれども、結局いまおっしゃいました判決ですか調停は、小澤委員長が出されたのですが、その当時やはり小津委員長も、あなた方がお出しになった資料では納得するわけにはいかないので、ひとつ仲介の労をとるから和解をしてくれぬかということで、それに服した前例がございます。
 終わります。
#51
○島本委員 他の方、簡単に現象だけ。
#52
○中村参考人 私は、昭和四十七年の当時は、もう赤潮は全部底の方も同じだったように感じます。ことしの五十年は、大体底がちょっとよかったように思います。というのは、底におった魚が、たとえ何匹後に残っておるか知らぬけれども、それが残っておったということは、私の素人考えでは、赤潮は一番底の方は余りきついことはなかったというような感じがします。
 そこでうちの方は、底びき漁業者から定置網、あらゆる漁師が数多くありますけれども、天然の魚というものは、もう昔と変わって徐々にいまは減少してしまって、いますでに底びきも定置網も、生活に苦しいような状態に追い込まれておるというような現状でございます。
#53
○近藤参考人 お答えいたします。
 私のところの海は香川県と同じ海でございますので、ただ、県が違うだけでございまして、海は隔たりはございませんで一緒でございます。四十七年のときは、非常に赤潮の層が深うございました。ことしの赤潮は、つるべでくみますと大体この水差しくらいの層が赤潮です。底は濁って、大体十メートルくらいまで濁っておるそうです。
 以上です。
#54
○島本委員 これ一問で終わらなければならないのですけれども、これを御三人さん、簡単でいいのです。
 先ほどの陳述を聞いておりまして、私ちょっと疑問な点がございました。まず近藤参考人、これは香川安戸池養殖場の問題、戦前からこれは養殖事業をやっていて、魚は死なない。宙づりの他の池のものは死んでいる。だから、これはもう必ず赤潮のせいだ、こういうふうに聞きました。
 またハマチの養殖は、えさの関係、いろいろな関係で、底の方が汚れていて育ちがよくないので、やめる傾向がある。これはある本で全漁連の会長の及川孝平さんがおっしゃっている。それから東海大学の教授の岡部史郎さんは、鹿児島の錦江湾一帯はきれいであるけれども、汚いのは桜島の後ろの方のハマチ養殖場の付近だ、こういうふうに言っているわけであって、これは何かそれぞれ意見が全部違うようなのですが、これに対して簡単に意見だけ、ちょっと伺わしてください。
#55
○近藤参考人 お答えいたします。
 全漁連の会長の及川孝平さんの説、私いつか反論いたしました。安戸池というところは池でございます。そこで何十年と養殖しているのです。養殖漁業の発祥地です。にもかかわらず、そこから発生せずに、余り死んでいない。これは裁判で立証に立つ人もおります。なぜ大海につないだ私たちの海で、宙づり、しかも一番高度な漁業方式でやっておる魚が死んだか。安戸池というところは、いかぬと思うと外海でぱっとシャットアウトすればいいのです。下は浅い池なんですよ。魚も二十万もおります。私のところの小割りよりよけいおるのですよ。えさもトロ箱ごしにぱしゃっと移しておるのです。私のところは金がかかるから、魚が食わなかったらやめるのです、えさはただじゃないから。ばらばらとちょうど自分のところの観賞魚みたいにえさをやるのですよ。食わなかったらやめるのです。その魚が死んで、ばさっとトロ箱ごしほうり込む魚は死なない、どうも不思議だ、これは裁判で解明したい、さように思います。
#56
○浜野参考人 安戸池は私どもの方の漁場でございますので、お答えをいたしますが、私どもにはその実態がよくわからないのでございますけれども、いま徳島の参考人が申し上げたとおりでございます。
 四十七年のときには、赤潮が近所に来るに先立ちまして、水門を閉鎖して遮断いたしました。ことしの場合には、安戸池の近辺には赤潮に類するものは近寄っていないというのが現況でございます。安戸池が助かって、その外側は大分やられたのですが、どういう意味でその外側がやられたかということになりますと、いまのような理由だけしか考えられないということ。したがいまして、安戸池の中には赤潮が発生しにくい何らかの状況があるのだというように私どもはとっております。
#57
○島本委員 どうもありがとうございました。
#58
○渡辺委員長 木下元二君。
#59
○木下委員 中村参考人に伺いますが、水産庁なり兵庫県の水産課なり、あるいは水産試験場は、このハマチ養殖の被害が起こった後、十分な対策をとっていないということは、これはもう明らかであります。私がここで伺いたいのは、この赤潮が発生した状況のもとで、つまりまだハマチの被害が起こっていない、赤潮が発生した状況下で、どのような対策がとられたかということを伺いたいのです。
 この家島の養殖ハマチ二年物が四万五千匹全滅しましたのは五月二十三日午後と聞いております。家島周辺で赤潮が発生いたしましたのは五月十九日ごろであります。もっとも、もう一カ月、二カ月前から、この周辺一帯の海が汚染をしまして、赤潮があっちこっちで発生をしておったのでありますが、この家島のごく周辺に発生したのは十九日、そして先ほどもお話がありましたように、ハマチの様子がおかしくなったのも十九日ごろということでございます。えさを食べなくなったり、元気がなくなったということです。そして、あなた方は直ちに県の赤潮対策本部に連絡をされた。二十一日に調査にやってきた。二十一日にはこの赤潮が養殖場に実際に浸入しておるということも聞いております。そうしますと、赤潮が発生しましてからハマチの被害が起こるまでに、幾らか時間的余裕があったようでありますが、この間には県の水産課あるいは水産試験場などからも人が来ていたと思うのです。二十一日に調査に来たというお話がありましたが、ここで一体どのような指導なり助言があったのでしょうか。
#60
○中村参考人 いま木下先生が申されたとおりでございます。二十一日に私が水産試験場の方に連絡をいたしましたところ、県の水産普及課の方と県連の佃さん、水産試験場の片島さん、こういう方らがおいでくださりまして、現場を見てもらったようなぐあいでございます。それから後は水産課長さんも来られるし、県連の会長さんも来られましたけれども、県の水産課としては、どうせいとか、こうせいとかいうようなことの指導は全然なく、ただ中の魚をさわったらいかぬ、全然動かすなという言葉と、それからえさは絶対やったらいかぬ、当分やるなというような訓示だけを水産試験場の方から聞いただけで、それから何の対策も何の指導もしていただいたことはない状態でございます。
#61
○木下委員 魚をさわったらいかぬとか、動かしたらいかぬということのようですが、これは先ほども浜野参考人から説明がございましたけれども、小豆島の方では、同じころに赤潮が発生した際に対応策がとられて、魚を移動させておるのです。それによって被害を免れておるのでありますが、そうした指導なり助言がなくて、対応策がとられなかったということが明らかなのです。四十七年夏には大規模な赤潮がやってきて壊滅的な打撃を受けられました。そのときの教訓を生かして、たとえば窒素や燐、こうしたものの規制といった根本的な事前の予防措置、これが必要であったと私は思うのでありますが、そうしたことはさておくといたしましても、この赤潮が発生した段階でも、避難措置について指導すべきではなかったかと思うのでありますが、これが全くなかったということですか。そう伺ってよろしいですか。
#62
○中村参考人 そういうような指導は全然なかったということです。
#63
○木下委員 それから二年物ハマチ、これは全部で四万五千匹、七千万円の損害というふうに聞いておりますが、そのほかにこれからどうするのかという今後の問題が控えておるわけなのですね。家島の養殖ハマチ業者はほかにも相当数あるというふうに聞いておりますが、これらは四国、九州からハマチの稚魚四百万匹、約五億円をすでに買い付けておる、これをどうするのかという問題であります。
 水産庁の方では赤潮専門関係者による協議会を発足させ、これによって、今後のハマチ養殖が可能かどうか、六月末までに結論を出すというふうに聞いております。ハマチ養殖ができない、やれても危険だという結論になれば、養殖業者はどうなるのか。まさにこれは生業を奪われることになると思うのです。これは家島ばかりではなくて、淡路島の業者にも、あるいはまた徳島、香川の業者にも、まさに死活問題であります。この点、業者の生の声なりあるいはこれからの見通しといったものがあるのかどうか。これは中村参考人、あるいは浜野参考人も最初の説明の段階で幾らか言われましたけれども、御意見があれば伺いたいと思います。
#64
○浜野参考人 お答えをいたします。
 二十六日に私どもは県試験場、漁連、それぞれの関係組合長、その上に生産者が加わりまして、検討会を持ったのでございますが、その席に私、呼び出されまして、すでにもう種は買うておるのだ、早く持ってこなければいかぬ時期が来ておるのだ、しかし、持ってきて順調に生育できるという保障はないのだ、漁連の会長、何とかしてくれぬかという悲痛な発言があったのでございますけれども、私どもも指導はいたしますけれども、損害を補償するだけの体制はできておりません。ただ、共済に入っていただいて、一部でもそういう形で国の援助を受けられるようにしてもらうより仕方がないので、一応そういうお答えだけはしておきました。もう悲痛な叫びでございます。いま鹿児島に置いてある分あるいは高知に置いてある種を、いつ運んで来たらいいのか、運んで来て、それでいままでの借金払いができるような形で、順調な生育ができるという保障をだれがしてくれるのだという発言があったわけでございますけれども、私は答えができませんでしたということを率直に申し上げます。終わります。
#65
○中村参考人 家島の場合は、大体の計画はそういうような計画で立てておりましたけれども、ハマチをそういうようなぐあいで四万五千匹も殺しましたので、そのハマチを先方の方で買う約束はしておりましたけれども、それを返した人間が多分あるらしいようなぐあいでございます。その稚魚の方もまだ持ってきてはいかぬということで、向こうの買い付けたところに置いておかしてもらっておるような状態でございます。
#66
○近藤参考人 一言参考に申し上げます。
 私はお二人のように漁業組合長ではございません。一漁民でございまして、お聞き賜りたいと思います。私のところのことしの赤潮の襲来で、死にかけて、よそへ逃げたのは大体二十二日ごろからです。私は瀬戸内海をあくまでも守って、自分の海で勝負したい。というのは、ある地方自治体の人が、一言物を言うたら漁師は補償、補償と言う、だからいっそ海を汚してしもうたら勝手にやめるだろうと言った、その思うつぼに入るので、どうしてでもしがみついて瀬戸内海を守りたい。以上でございます。
#67
○木下委員 大変深刻な状態です。そこで中村参考人にもう一つ伺いますが、今度のハマチ被害は四十七年のときと比べまして、ハマチの死にざまといいますか変死の状況が少し違うようであります。この点はどうかということを伺いたいのです。たとえば四十七年のときは、ハマチが浜辺に突っこんできたり、あるいは飛び上がったりして狂い死にしておる。今度の場合はだんだんと元気がなくなって、えさを食べなくなって、海底に沈んで死んだりしておるということで、何か聞きますと、手で魚がつかめるような状態もあったということを聞いております。こうした状況も少し述べていただきたいと思いますが、同時に一体どうしてこういうことになるのか、私もよくわかりませんけれども、あなた方、直観的に勘で何かお感じになる点がもしあれば、述べていただきたいと思います。
#68
○中村参考人 いまの木下先生の言われるのはもっともでございます。これは四十七年度の折には、もう苦しまぎれに池の中で飛び上がってから、それが仕切り網でやっている場合には、おか、陸岸へも相当打ち上がって死んだのです。今回のやつは全然そういうような死に方と違うて、もう自然に、何か私らが酒にでも酔うたような状態で、体がうろうろと一つも力もなしに、何かそういうような態度で死ぬ、これがどうしても不思議でかなわぬのですけれども、試験場に聞いても、まだこれは肝臓はりっぱなものや、それから腹をあけても病気は全然ない。どこかまだもう一つわからぬ。帰って水質を十分調べてみると言うたなりで、私ら見たら全然わかりません。どういうようなぐあいであんなことになるのか、四十七年と五十年とのハマチの死に方は全然その死に方が違うので、私もはっきりとしたことはわかりません。これは水産試験場や大学の先生方にも一遍特別研究をしてもらう必要があると思います。
#69
○木下委員 それでは、その点はもう時間がありませんので、結構です。
 最後に、あなた方が借金に借金を重ねてハマチ養殖をやり、大変な苦労をし、手塩にかけて大きくしたハマチを一遍に死なせてしまったわけであります。私も現地に行きまして、りっぱに育ったハマチの山のような死骸を見まして、それだけに業者の方々のたまらないような、やりきれないようなお気持ちが身にしみてよくわかるわけであります。兵庫県はこの被害救済といたしまして、昨年から発足をしました水産公害対策基金を初めて適用する方針だということを聞いております。しかし、これは融資でありまして、枠も一件二百万円まで、利子のうち六割を国と県で補給をする、残りは本人負担というものでありまして、これでは被害救済にはほど遠いものであります。あなた方被害者といたしまして、どのようにしてもらいたいのか、これは先ほどの御意見で述べられましたけれども、何よりも一番これだけはどうしてもしてもらいたいというのは一体どういうことでしょうか、もう一度伺います。簡単で結構です。
#70
○浜野参考人 私どもは冒頭の陳述のときから、一応利子補給というような形で、制度金融あるいは天災融資という形でいただいておりますということを申し上げましたが、漁民自身の声は、ある部分については、私ども自身の原因によって死んだものじゃないのだから、加害者の方あるいはそれを統括しておる国の方から、根本的に問題をすぱっと解決してくれぬかという声が上がっておるのが実情でございます。非常に言いにくいことでございますので、私は申し上げなかっただけでございまして、漁民本来の考え方というものは、自分の責任に属する分は自分でしまいをする、そうでない分はそちらでしてくれ、これがいわゆる公害の原則だ、そういうことを私どもに直接ぶつけてくるわけでございます。
#71
○中村参考人 私といたしましても、いまの養殖をわれわれがした当時は、あのくらい水がきれいな時期で、安心しまして操業ができておりました。今日のこんなような状態に追い込まれたのは、国の方ではこれは天災というようなことを言われておりますが、これに対して何とか救済の手を伸べていただきたい。天災融資で四十七年は一人に対して百万円だというようなこんな枠では、とうていわれわれは借りた金が払われぬ状態です。今回殺した私個人だけのハマチでも、大体四千万円以上というような数字が出ておるのです。これを一人百万円なんかで、これだけの融資を貸してもらったところが、何ら手の施しようもないような状態でございます。先生方もその現場を見ていただきまして、なるほどこれではかわいそうだということも十分思われたと思いますから、何とかこの融資の額をもっと大幅にアップしてもらいたい。そして天災というようになっておりますが、われわれは人災が何かまじっておりはせぬかということも感じられるのです、今度の死に方を見た場合に。ハマチがああいうような異様な死に方をすると、私は何か人災がまじっておるのではないかというような感じもいたしますので、この点十分ひとつお考えいただきまして、学者の人には十分これは研究をしていただきたいと思います。
#72
○近藤参考人 融資をしていただくことはもう焦眉の急でございますが、私が意見に述べましたとおり、海さえ清澄に返ったならば、何年かの間に借金が払えますので、ぜひひとつ漁民が働く職場を政治の力で返してほしいと思います。お願いいたします。
#73
○木下委員 御要望に沿うようにがんばりたいと思います。
 以上で終わります。
#74
○渡辺委員長 岡本富夫君。
#75
○岡本委員 参考人の皆さん大変御苦労さまです。もう私一人でしまいでございますので、もうしばらくおつき合い願います。
 四十七年の夏だったと思いますが、当委員会から瀬戸内海の調査に参りました。そのときには、中村組合長さんにずいぶんあっちこっち連れて行ってもらったということをいま思い出しておりますけれども、先般家島へ参議院の矢原さんとそれから地元の新井代議士が参りまして、私たちに報告があったわけですけれども、四十七年に私たちが参りましたとき、それからすぐに超党派で、皆さんで一緒に瀬戸内海環境保全臨時措置法をつくったわけです。そしてたとえ少しでもきれいにしなければならぬということで対策を立てておったわけであります。ところが、昨年の十二月、あの三菱石油の重油の流出事件があった。そしてまたもとへ戻ってしまうのではないかというように非常に心配しておりましたが、ことしの赤潮、これが三菱石油の重油の流出と何らか関係があるのではないだろうかというように考えられるわけですけれども、この点についてひとつお三人から御意見を承りたいと思います。
#76
○浜野参考人 お答えをいたします。
 三菱石油の流出事件と直接関係があるかないかというお問いかけに対しては、なかなか返事がしにくいのでございますけれども、少なくとも私どももそう考え、指導を受けていますところの学者の先生方も、赤潮の引き金になり得るということを従来から主張されておったわけでございますが、そういう意味合いにおきまして、これは単純にそれそのものが原因だというわけではなしに、いわゆる公害の実態から照らしまして、その引き金になった、こういうように理解いたしております。
#77
○中村参考人 私は、先生が言われるのはもっともだと思います。というのは、四十七年のハマチの死に方と本年のハマチの死に方が全然違うので、三菱のあの大きな事件、あれから中和剤をまかれた、そういうような影響が家島の方向きに流れてきておりはしないか、私はかように思うのです。これはやはり学問的な先生に一応調べてもらわなければわからないけれども、私の素人の考えでは、多少結びついておりはせぬか、かように思います。
#78
○近藤参考人 私は、本日の参考人に呼ばれるときに、太協水産株式会社代表取締役という名前で出ておりますが、赤潮訴訟団の団長もいたしております。四十八年の十月二十五日に裁判で決着をつけたいと考えましたときには、最初の名前は昭和四十七年度養殖ハマチ被害者同盟会でございました。なぜこの年度を入れたかというと、そのときは三菱事件はございません。なぜ四十七年度という年度をことさらつけたかと申しますと、先ほど申しました播磨灘沿岸の企業から流した汚水が堆積、そして屎尿投棄、それが全部海底に沈んで、必ずこうした被害がまたあるであろうと予見したから、昭和四十七年度養殖ハマチ被害者同盟会、赤潮訴訟団の前身の名前でございます。
 以上でございます。
#79
○岡本委員 次は、ハマチの稚魚のモジャコですね。大体五グラムから十グラム、こういう供給源、これが鹿児島、宮崎、大分、高知、それから三重にも一部ありますね。この付近から皆さん方がモジャコを買ってきて、そしてここで養殖するわけですが、そのモジャコを生産しているその付近では、瀬戸内海のいま皆さん方に来ているような赤潮、こういうことによって被害を受けているということはお聞きになっておりませんか。この点についてひとつ。
#80
○浜野参考人 いまのところございません。ただ、モジャコの採捕地域はかなり沖合い遠くに出てまいりますので、必ずしも沿岸は関係ございませんけれども、沿岸には先生がおっしゃいました県、それぞれみな養殖事業をやっておりますが、特別な大きな問題はございません。ただ、三重県の場合に、真珠養殖との関係で、真珠付近のあの辺で赤潮という問題はありますけれども、赤潮で特に大打撃を受けたという形のものはございません。
#81
○岡本委員 赤潮の原因と申しますか、赤潮ができる条件と申しますか、これは調査によると、過剰な富栄養化、それから入り江とかの海水の停滞、水温、それから日照の時間、これが相当影響するのだ。海水が甘くなる。これは海に汚水がよけい入ると海水が甘くなるのです。このたびは鞭毛藻類ですか、このモが非常に多かったということでありますけれども、昨年はこういった赤潮が非常に少なかったわけですね。昨年と比べて若干気温が高かったということでありますけれども、ことしは赤潮の発生が早いわけですね。そこで、昨年と比べてどういう点でこんなに早く赤潮が発生したのかということについて、皆さん方は絶えず漁業をやっていらっしゃるのですから、御経験があると思うのですが、この点ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#82
○浜野参考人 はっきりした御答弁はできないのですが、例年七月、八月ごろに来る分が、ことしの場合どうも早う来る可能性があるのだということを、自分でも自覚いたしておりますし、いろいろ御指導を受ける形の先生方の御意見等も承って、そういうふうに考えておりました。その中で考えられるのは、香川県、岡山県の間から徳島県、家島群島の方は別といたしまして、播磨灘の半分ぐらいは、ある一定の時期海いっぱいを油が覆っておったわけでございますが、そういう状況の中で、ことしは異変として赤潮の発生が早くなるのではないかというように考えられておった。そういうことでございまして、まことに申しわけございませんけれども、本当の理由は私どももいま解明中でございまして、お答えするわけにはまいりませんので、ごしんしゃく願いたいと思います。
#83
○中村参考人 私は、どういう理由で赤潮が出たかというようなことは全然わかりませんので、そういうことがわかったら、知らせてもらえたらよろしいと思います。
#84
○近藤参考人 私もこの解明ができるのだったら、漁業をいたしません。そういうことで、学者でないのでこれの発生の機構というのは全然わかりません。
 ただ、先ほど申しました三菱石油事件、また播磨灘の沿岸企業の廃液、屎尿投棄の残滓、これらは覆水盆に返らず、一たん新しい畳に墨をまいたら、何ぼふいてももとに戻らぬ。だから赤潮発生のもとになるということをはっきり申し上げておきます。
#85
○岡本委員 新聞報道を見ますと、「昨年十二月三菱石油水島製油所から大量の重油が流出し、現在も海底や岩場、海岸線に相当量がたい積、沈着し、海面にも肉眼ではみえない薄い油膜が広くただよっている事実が、航空機による遠隔探知写真の解析で確認されている。」こういうように出ております。私、これが今度の赤潮に非常に影響して早くなったのではないかということをつくづく感じておるわけですが、皆さん方、絶えずその方に携わっていらっしゃいますから、お聞きしたわけであります。
 そこで、先ほどから聞いておりますと、赤潮というのは天災ではないのだ、公害なのだ、こういう御意見でありますが、天災融資法というのは自然の天災ですから、これは天災融資法の適用というのはちょっとおかしいわけですね。天災融資法を受けるにしても、確実にお金になるのは大体半年ぐらいかかるそうですね。非常にむずかしいらしい。それで兵庫県では、これではぐあいが悪いというわけで、水産資源公害対策基金というのをつくったわけですけれども、四十七年の天災融資法を受けて、いまもう全部払ってしまったのですか、まだこれから払うのですか。
#86
○浜野参考人 各県大分まちまちになっておるとは思いますが、私どもが先般調査をいたしました関係では、割り分で二分の一終わっております。いい分は大体三分の二ぐらい償却が終わったという段階で、ことし何とかしてその借金を抜きたいという気持ちが強いようでございます。ただし、いま申し上げましたのは制度金融あるいは天災融資法等を通じてのもので、市中銀行からの借金のものは含んでおりませんので、さよう御理解を願いたいと思います。
#87
○近藤参考人 自分のところは株式会社でございますので、四十七年十二月に五百万借りまして、現在残っておりますのは三百三十三万でございます。
#88
○中村参考人 私らの場合は、あれは一年据え置きで五年償還だったものですから、まだ全部は終わっておりません。一回払っただけですから、あとまだ四回の支払いが残っておるような状態だと思います。
#89
○岡本委員 よくわかりました。こういった被害を受けたわけでありますから、これはどうにもならないということで、次の委員会でまた政府に対して、われわれは皆さん方の御要求をいろいろと詰めてみたいと思っております。きょうはまた午後、学者の方の御意見がありますので、これで終わります。どうもありがとうございました。
#90
○渡辺委員長 以上をもちまして、午前中の参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人各位には御多用中のところ、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 この際、午後一時まで休憩いたします。
    午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
#91
○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前中に続いて、赤潮問題について参考人から御意見を聴取いたします。
 この際、委員会を代表いたしまして、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、遠路にもかかわりませず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 本委員会におきましては、海洋汚染対策、特に赤潮問題につきましては、去る昭和四十七年の大きな被害を契機に、瀬戸内海環境保全臨時措置法を全会一致で立法するなど、鋭意努力を重ねているところでありますが、先ほど播磨灘地方において、例年に見られぬほど早期に大量の赤潮が発生し、漁業に大きな被害を与えて問題になったことは御存じのとおりであります。
 いまや赤潮の被害は、防止の決め手も模索の中で、瀬戸内海のみならず全国にも及んでおり、一刻も早くその対策を樹立する必要があると存ずる次第であります。
 本日は、参考人の皆さん方から貴重な御意見を承り、もって、本問題の解決のため、万全を期する所存であります。
 何とぞ、参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。
 なお、議事の整理上、御意見の開陳は、おのおの二十分以内に要約してお述べいただくようお願いいたします。
 また、丸茂参考人は、所用のため午後三時に退席いたしますので、御了承をお願いいたします。
 それでは、安達参考人からお願いいたします。安達参考人。
#92
○安達参考人 現在、日本に方々で赤潮が出ておりますが、すでに先日来、播磨灘に赤潮が出まして問題になっているところですが、私は、それに先立ちまして日本の赤潮の種類、日本列島各地に出ておりますが、そういうものの流れをまとめてまいりました。約二十年かかりまして百四十例、一九七〇年までの種類などをまとめますと約四十数種類、日本沿岸各地に出ております。それで、その出てくる種類はいろいろなものがございますが、先ほど問題になっております播磨灘に出ております赤潮の優占種、そういうことに関しまして、五月二十三日の兵庫県水試で採取しました潮を同定いたしました。そんなことに関係しまして、それをここで公表したいと思います。
 それはプロロセントラムミニマムという種がございます。約十八ミクロン内外の半円形のような形の、丸いような感じで、少し先端に小さなとげがありますが、そういう種が一つと、あとは非常に赤色を呈色させました夜光虫ノクティルカメリアリスというのがございますが、そういう種類。さらにペリディニウムという種類がございます。さらにもう一つはヘテロシグマとも言われていますが、私の場合に見ておりますのはオリソデスカス、そういう四つの種類が混在しております。そのほかにも種類は少数例入っておりますが、特に多い種類としてはプロロセントラムミニマム、あと特徴的に赤い呈色をさせて海面をつくっておりました方がノクティルカメリアリス、この二つの赤潮と私は考えております。
 それで、この赤潮の場合に問題になりますのは、被害を起こすかどうかという問題が一つ関連してくると思いますが、往々にして被害を起こす種類というものは、ある特定の種類に限られております。しかし、非常に濃度が濃くなりますと、いずれの種類においても被害発生までになることはなりますが、低濃度、たとえばプロロセントラム系統ですと、十の三乗以上で一応赤潮状態を示して、褐色状態から、濃いときには数十万に至って暗赤褐色までたどるようですが、そういうものと、あとは、先ほど言いました夜光虫、ノクティルカメリアリスと言いましたが、この場合には、およそ一CC中に十の二乗、百個体ですね、十の二乗以上で肉眼的に少し赤潮に近いような色、区別できるほどの色から、これは数千個体、事によっては十の四乗まで達するようですが、いずれにしても、そのような赤潮に出る種類の密集の度合いによって、その色が異なります。それで、今回の被害原因種は、私はまだそこまではわかりませんが、優占した種類はそういう種類であること、そこまでわかっております。
 それで、さらに局所的に真っ赤ないわゆる夜光虫の赤潮のブロックと、あとはさらに黄褐色のブロック、そういうものと分かれておる場合と、また、混合して一緒な状態でおる場合とあるように承っております。このような播磨灘の場合に関心がありますのは、昭和四十七年夏にハマチの大発死がございました。その当時、海産ミドリムシという名前で報道されて、大きな被害を起こしましたが、その当時は、私、その試料を入手できませんので、そのままにしておりましたが、半年後にその試料を拝見しまして、それで、従来言われている種の同定をいたしましたところ、ホルネリア・マリーナという種類であることがわかりまして、その新和名と種名に関しては、昨年の秋の水産学会で公表いたしましたが、この種類は、一九五〇何年ですから、いまから二十年ですか前に、すでにインドの沿岸に出まして、その都度、魚類を斃死させております。その場合には異常な死に方をするというふうに聞いておりますが、再三にわたってインドでは、そのために沿岸の魚が死んだという報告例がございます。それと同じ種類であるというふうな結論に達しまして、昨年の秋にその種名を公表いたしました。ですから、先ほど言いましたように被害を大きくする種類と、たとえばスケルトネマ、これは珪藻類と言いますが、そういうもので通常、被害をほとんど起こさないような種類、そういうふうに区分ができるということをここで報告したいと思っております。
 そのような赤潮を起こす種類の中で問題になる、被害を起こす種類というのは、まだ整理されておりませんが、やはりその中で、播磨灘の場合には、先ほども申しましたようにホルネリアというのが四十七年に出て、私はウミミドリムシモドキという和名をつけておりましたが、いずれにしてもミドリムシと非常に色が似ておりますし、形としてもそのような外形をしております。ですが、分類上は全然違うところのものでございまして、そのためにモドキという名前を後ろにつけまして、ウミミドリムシモドキというような形で出しております。
 それで、こういうことに関連しまして、あと被害を起こすものは、従来、日本よりも外国で報道されておりますが、たとえばアメリカのフロリダとかそういうところでは、ゴニオラックスという種類がございますが、そういうもので猛毒な種類があったり、また、ギムノデニウムというもので代表されるのはブレーべ、ギムノデニウム・ブレーべですが、これが出ますと、あそこのメキシコ湾流一帯の魚介類、多いときには無脊椎動物まで累々として死ぬという報告があります。これはもうすでに三十数年来、何回かにわたってアメリカでは報道されておるところであります。さらに、太平洋沿岸ではカリフォルニア沿岸でも出現いたしますし、やはりわが国も同じく面する太平洋沿岸でございますので関連性もございますし、そういう面で、今後そのような毒の種類という点でもチェックする必要があると私は思っております。
 このほかに被害を起こす種類として、播磨灘の関係から少しそれますが、先ほど種類によっては猛毒なプランクトン、赤潮の生物があることを話しましたが、わが国でもすでにそれが出ていることは知られております。特にことしの一月に三重県の尾鷲湾の湾奥でゴニオラックス・カテネーラという種類が出ました。これはいわゆる猛毒な種類として知られておりまして、フグの毒とほぼ匹敵するものとされております。それでこのときには、特に魚類の斃死は顕著ではなかったのですが、非常にえづきが悪くなり衰退したといいますか、そのときのアサリとか貝類を調べてみますと、これは測定されたのは東京大学農学部橋本教授のところで毒性のテストをされたのですが、むき身一グラム当たり六十マウスユニット。一マウスユニットといいますのは、結局ネズミ一匹を殺す単位でございますが、アサリむき身一グラムでもって六十マウスユニット、それほどの強い毒性を示した例もございます。ですから、こういうものが貝類と関連しまして、今後、被害を起こす種類に入ってくると考えられます。
 あと、先ほども話しましたカリフォルニア沿岸に出るギムノデニウムの類では、特に魚類の方を早く斃死させることがある。貝類ももちろん斃死しますが、そういう種類があることが知られております。そういうものの出現を今後チェックすることが重要ではないかと思われます。
 長年日本に出てくる種類をチェックいたしておりましたが、最近の例まで含めますと、概略このような赤潮の出てくるものの種類または被害を起こすグループ、その点での内容の説明となると思います。(拍手)
#93
○渡辺委員長 ありがとうございました。
 次に、岡市参考人にお願いいたします。岡市参考人。
#94
○岡市参考人 香川大学の岡市でございます。いま安達さんから、魚類の斃死を伴う赤潮についての概略の御説明がありましたので、私は、こういう赤潮が特に播磨灘を中心にして、なぜ発生したのかということについての考えを述べさせていただきたいと思います。
 赤潮というのは、よく御承知のように無機態の窒素、これは硝酸塩とかアンモニウム塩とかそういったものと無機態の燐酸塩を主として栄養源にしまして、これにビタミンとか、その他の成長促進因子を取り込みながら、鞭毛藻が増殖して、海の色が変わっていく現象でございます。こういう鞭毛藻が大量に発生するためには、いろいろな成長促進因子というのが関係することは、よく学会でも指摘されておるところでございます。こういうものが、果たして播磨灘その他でどういう形で入っているのかということが、今回の赤潮発生の一つの大きな焦点になるだろうと思うわけでございます。
 海水中の有機物、つまりこういった鞭毛藻の成長を促進させるような物質というのは、一般にCODという形であらわされております。瀬戸内海環境保全臨時措置法で、海水中に流入するCODは昭和四十七年の流入量の二分の一に、今後三年間で減少させるというふうにうたわれておりますが、このCODが現在ではただ量だけで考えられている。その中身の問題が考えられていない。そこに一つ、この法律の持つ、何といいますか弱点のようなものがあるかと思います。
 水島から重油が流れまして、私たちは香川大学その他で、この辺の海域をいろいろ調査してまいりました。これは二月二十八日の参議院の環境及び公害特別委員会でも意見を述べさせていただきましたが、二月になりますと海水中に珪藻類、これは魚のえさにもなるような植物プランクトンでございますが、これが非常に増殖しておりました。ふだん瀬戸内海の二月で、これほど多量の珪藻類が発生するというのは、四十七年以前ではありましたけれども、余りないことでございます。そういう珪藻の赤潮に引き続きまして、実は恐らく夜光虫の赤潮が出現するだろうということを、そのとき指摘しておいたわけでございますが、二月の中ごろから現在に至るまで、播磨灘一帯にわたりまして夜光虫赤潮が増殖しております。
 いま委員の先生方には図を一枚お渡ししてございますが、まず、珪藻類が二月に、無機態の窒素や燐、それからある種のものにつきましてはビタミンを用いまして、増殖してきた。このときに重油がどういう役割りをしたかということについては、十分な資料はございません。ただ、アメリカのゴードン、プラウズという人たちの、珪藻類の培地の中に重油を〇・一ppm以下加えますと、油の種類によりましては珪藻の光合成、有機物合成を促進させるという報告がございます。ですから二月の増殖に関しまして、重油が全く無関係ではないというようなことはちょっと言い切れないかと思いますが、実はその珪藻類を食べまして、あるいは珪藻類の死骸を摂取しまして、夜光虫が増殖いたします。今回問題になっております播磨灘の赤潮というのは、この夜光虫とともに生じた、
 先ほども話のありましたプロロセントラムミニマムの赤潮が、魚類に影響を与えていると思われるわけです。
 鞭毛藻がふえる場合に、珪藻と同じように無機態の窒素とか燐を必要としますが、そのほかに有機物としまして鉄やマンガンを含んだ有機金属、それからわれわれの生体成分にも入っております核酸塩基と言われるようなもの、こういうごく基礎的な成分と同時に、工場排水がやはり影響しているということは疑わざるを得ないわけです。私たちの研究室でいままで研究しておりますのは、主としてパルプ廃液、それからこのたびの重油の問題でございますが、いずれも、ごく微量を鞭毛藻の培地へ加えますと、鞭毛藻の増殖を促進することが知られております。播磨灘におきましても、北部に播磨工業地帯がございますので、こういうところから入ってくる排水の中に、無機態の窒素や燐以外に、こういった成長促進因子が入り込むおそれがあるわけです。ただ、現在こういう方面の研究者が非常に限られておりまして、十分実態が明らかにされてないといううらみがございます。今後こういうふうなプランクトンの研究におきましては、ぜひ海水中のCODを構成するようなこういった工場排水の中のいろいろな成分を分析し、また、プランクトンを培養して、プランクトンに対する作用を一つ一つ調べていく必要があるのではないか、そういうふうに考えるわけです。
 こういう考え方から今度の播磨灘の赤潮を考えてみますと、大体播磨灘を北と南に分けて、私たち、海洋学的にも考えられるのではないかと思っておりますが、北では非常にそういった工場なり都市の影響を受けた形で赤潮が発生する。南の方ではもちろんその影響を受けながら、しかも西側の備讃瀬戸あるいは水島につながるわけですが、そういうものの影響を受けて、赤潮の発生環境というものがつくられてくるわけです。
 赤潮の発生要因というのは、何も画一的に決められるものでは決してありません。それぞれの海域でもって発生の仕方が異なっております。昔から赤潮はありましたし、それから非常に広い、太平洋の真ん中でも赤潮を見たという報告が幾つもございます。そういう赤潮と、現在の瀬戸内海の赤潮を、全く同じ理屈で解釈するわけにはいかないわけです。それぞれの地先の赤潮を、それぞれの背景から考えていかなければならないわけです。というのは、パルプ工場に隣接した海域では、やはりその廃液の影響を受けた形の発生があるでしょうし、直接そういうものを受けないにしても、間接的な影響を受けていく場合もあり得ると考えられるわけです。
 五月の赤潮につきましても、まず二月に、南の方では珪藻がよく増殖しまして、それから夜光虫が発生し、夜光虫の周りにプロロセントラムが非常に増殖した、そう考えられるわけです。現に私が五月二十九日に、小豆島の南に大角鼻というところがございますが、そこで調査したときには、夜光虫が表面に一万いる中にプロロセントラムミニマムが三万四千入っているわけです。ですから、一応この海域の赤潮というのは夜光虫に随伴して起きたと考えられるわけです。ただ家島の赤潮につきましては、すでに夜光虫が消滅した後、魚が死に、赤潮となったというふうに言われておりますので、これを南と全く同じ条件で考えるのが適当なのかどうかについては、まだかなり検討の余地があるように思います。
 いろいろな海域でいろいろな赤潮の増殖条件というものを調べていかなければいけないわけですけれども、私たちがいま本当に必要としているのは、赤潮を果たして全く天災として考えるのか、あるいは人為的な影響が、人災とまではいかなくともそれが非常に入り込んだものとして考えるか、その立場で非常に研究のあり方も異なってまいります。瀬戸内海では、この問題は明らかに人間の生活が影響したと考えて、その解決策を図らざるを得ないというふうに考えております。
 四十七年度で屎尿投棄は中止されました。そのために、沖合い部の汚染がかなり軽減されてきたことは事実でございます。そのために四十八年、四十九年は大きな赤潮被害がなかったわけです。五十年に至りまして、しかも非常に早い時期に漁業被害が出てきた、ここに問題点があろうかと思います。これからまた梅雨に入りまして、さらに夏に向かうわけでございますが、例年であれば赤潮の遷移といいますか、移り変わり方というのは、夜光虫の赤潮が四月から五月初めぐらいまでで消えまして、梅雨になりますと少し鞭毛藻が出ますけれども、大した被害もなく、そのまま夏になりまして、ときに大きな赤潮になる、そういう経緯をたどるのが普通でございます。ことしは、全体に瀬戸内海でのプランクトンの増殖の仕方が早い時期にずれていると考えております。つまり、夜光虫の赤潮にしましても二月の中ごろから発生しております。まあ夜光虫の赤潮は二月の中ごろよく出ることは出るのですが、それがずっと長い間継続しまして、六月の初めまできている。そういうふうなことを考えてみますと、八月にこういう夜光虫の赤潮の影響を受けた形で、大きな被害を伴うような赤潮の発生を考えておく必要があろうかというふうに思います。
 科学的にその発生を予想させるようなデータがそろっているかと言われますと、これは決して十分ではございません。ただ、そういうふうな考え方で、瀬戸内海の魚類養殖については対処していく必要があるのではないかというふうに考えるわけです。普通、学者というのはデータがそろってからやっと口を開くものでございますけれども、ことしは、そういうふうな手順を踏んでおきますと、ちょっと間に合いかねるのではないかと考えて、多少データの不足のまま赤潮のおそれがあるということを述べさせていただいているわけでございます。
 重油と赤潮、プランクトンの増殖との関係については、現在、私たちの研究室で研究を続けております。プランクトンの培地の中に適当に薄めた重油を加えて、それを一定期間、一週間から十日間置いておきまして、その培地の中でふえたプランクトンの数を数えるわけですが、そうしますと、非常に薄いところ、私たちの研究室では〇・〇二ppmという濃度で、鞭毛藻が一番よく増殖しております。この濃度は非常に低い濃度ですが、〇・一ppmでも多少の増殖がありますので、重油の影響というのはやはり見逃せないのではないかと思います。ただ、その重油があったから赤潮になったのかというと、これはまだ検討の余地があるのは事実でございます。重油が赤潮発生要因の一つであり得るということを明らかにしたというふうにお考えいただきたいわけです。瀬戸内海の赤潮の発生の要因の中に、先ほど申しましたようないろいろな排水が入り込んでおります。その排水の中で、こういうふうな赤潮増殖を促すようなものを一つ一つ洗っていかなければいけない。そのものの一つとしてパルプ廃液があり、重油があったのだというようにお考えいただきたいわけです。こういう研究は私たちの研究室でも今後続けていきたいと思いますが、これは国の機関においてもそういう立場で早急にお調べいただきたい、そういうふうに考えております。
 以上で、私の参考意見の陳述を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
#95
○渡辺委員長 ありがとうございました。
 次に、丸茂参考人にお願いいたします。丸茂参考人。
#96
○丸茂参考人 私は東京大学の丸茂でございます。本日は播磨灘の問題が主題だそうでございますけれども、私は東京湾の問題につきまして、若干お話しいたします。
 内容は、東京湾の水とプランクトンがどういう関係にあるかということと、東京湾のプランクトンが過去から現在までどういうふうに変わってきたかという、どっちかといいますとかなり基本的な、基礎的な問題についてお話しいたします。当然この中には赤潮の問題が入ってくるわけでございます。
 資料といたしまして四ページつづりのものを急いでつくってまいりましたので、これを中心にお話を進めてまいります。
 第一図でございますが、これは東京湾のプランクトンがいかに多いかということを示した図でございます。一九七二年六月に観測いたしました結果でございますが、取り上げた種類は植物プランクトンの中の珪藻の一種類でありますスケルトネマという種類で、これは現在東京湾の赤潮の最も代表的なものでございます。それを東京湾の湾の奥の方から浦賀水道を通って南の黒潮の方までステーションを設定してございます。たとえばステーション1と申しますのは、品川と千葉を連ねた線の上にございます。ステーション4が横浜と木更津をつなげてございます。こういうふうにしますと、細胞数で、一ミリリッター中に十の四葉以上、場合によっては十の五葉以上を示すところもございますが、そういう海域が木更津−横浜の線よりも北の方に、しかも、これはそろそろ夏に近づいて成層し始めている時期ですので、二十メートル以浅の浅い層に集中して、きわめて顕著な東京湾の水がここで示されているわけであります。この量は、浦賀水道――浦賀水道というのは普通横須賀と剣崎の間をそう申しますけれども、その辺で十の三乗から十の二乗に減少し、浦賀水道の南、これは黒潮水が入ってくるところでございますけれども、ここへきますと非常に減って、館山沖以南では全く出ておりません。東京湾の水は、この代表種によって示されるように、きわめて植物プランクトンの量が多いということが、これからわかるわけでございます。
 次に、二ページの第四図、一番下の図でございますけれども、これはスケルトネマが昔からいままで、どんなふうに変わってきたかという図でございます。ステーションは羽田沖に設定いたしまして、ここで水をとりまして、その中のスケルトネマの一ミリリッタ一中の細胞数を数えたわけでございます。一九二七年、昭和二年でございますけれども、これは十の二乗以下。一九五三年、昭和二十八年には、大分季節的に変化するのですが、横軸は月を示してございますが、十の三乗前後。一九七二年、昭和四十七年には十の四乗前後と、きわめて顕著な増加を見せております。特に、量的な増加だけでなくて、季節的な変動にも、一九二七年と五三年以降とは差が出てきまして、変化が逆になっております。一九二七年には、冬にピークがあって夏にボトムがあるという変化ですが、一九五三年には、それが逆転いたしまして、夏にピークがあって冬にボトムがあるという変化に変わっております。この傾向は現在も続いておりますけれども、もう少し申しますならば、現在は一年じゅうのべつ幕なしに出ているというところが、非常に大きい特徴でございます。
 いままでのお話は量の問題でございますけれども、プランクトンの群集構造を考える場合に、その種類の問題が非常に大きいわけでございます。それは二ページの第二図に示してございます。一九七一年八月の調査では、珪藻と申しますと植物プランクトンの一つのグループですが、東京湾では四種類しか出ていないのに、浦賀水道では二十六種類出ております。近年、著しく東京湾では種類数が減ってきている。また外洋水に比べて著しく少ないという結果でございます。同様な結果は、カイアシ類と申しますのはミジンコの仲間でございますが、これが東京湾では十一種類、浦賀水道では二十七種類出ております。さらに一九七一年から七二年の間に何回かにわたって観測した結果では、先ほど申し上げた珪藻類は東京湾十八種、浦賀水道三十八種、年間を通じてですから、全体としてはもちろん多くなっておりますけれども、大きい差がございます。それに対して一九四七年から一九四八年、昭和二十二年から二十三年、終戦直後でございまして、ここに来ておられます村上さんがお調べになったのですが、東京湾のヤムシ類は十二種類出ているのに対して、浦賀水道では十五種類で、湾の中と黒潮の水とで大差がない。したがって、この時点では東京湾の水はかなりきれいであったという一つの推定を与えることができると思います。
 さらに、真ん中の第三図でございますが、いままで赤潮のお話がたくさん出てきました。それは主としてふえる方の側面からのお話だったのですが、もし、赤潮が幾らふえても、これをどんどん食うものがあれば、赤潮という状態はないわけでございます。私はそういう側面の研究も非常に重要だということを強調するためにこんな変な図をかいてみたわけでございます。
 それで、栄養塩とか刺激物質あるいは海況、気象状態、そういうものがみんな出そろって赤潮ができるわけでございますけれども、もし、これを植物プランクトンを食うミジンコの類がどんどんみんな食ってしまったら、赤潮は消えてしまうはずでございます。ところが実際にはそうならない。それはここにございます食物ピラミッドあるいは食物連鎖の形が、東京湾を初め内湾ではバランスしていないということになるわけでございます。生態系のバランスという非常に重要な、学問的に非常におもしろい問題ですが、そういう問題と非常に関連があるわけでございます。
 たとえば黒潮の食物ピラミッドを考えますと、非常にきれいな正三角形をしております。一番底にありますのが基礎生産者といわれる植物プランクトンで、これをミジンコ類が食ってくれます。この場合に普通、一つの栄養段階が移動するごとに、量的には十分の一になるということが言われております。それからミジンコを食うヤムシという類がございます。さらにこれを食う小魚がおります。さらに大きい魚。大きい魚のころになりますと、たとえば十分の一を四回か五回掛けますから、その量はきわめて少なくなる。そういう形で一般に外洋水では、各栄養段階の生物の量がバランスして調和がとれているわけでございます。
 ところが東京湾などになりますと、底辺がうんと大きくて高さが非常に小さい平べったい三角形になっておるわけでございます。実際に東京湾でプランクトンネットを引いてみますと、入ってきますのはミリメートルのオーダーのものしかとれません。その下のミクロンのオーダーはネットではとれないのです。水をくんでとるのですが、それとネットを引きますと、ミリメートルのオーダーのプランクトンしかおりません、センチメートルのオーダーのプランクトンはいないのです。これは黒潮と基本的に違うところ、生態系の構造の非常に違うところで、食物連鎖という立場から赤潮の問題を見てみる必要があろうかと私は考えております。
 それから第三ページでございますが、少し赤潮の問題に触れたいと思いますが、先ほど岡市さんからお話がございましたように、東京湾の赤潮も出てくる種類に変化があったわけでございます。遷移と申しますけれども、移り変わりがあったわけでございます。これは千葉の内湾水試の菅原さんという方のデータですけれども、一九〇七年から一九六五年までにどんな種類の赤潮が出たかという表でございます。一九三九年、これは昭和十四年でございますが、このころまでに出た赤潮と申しますと、渦鞭毛藻に属する赤潮でございまして、珪藻赤潮というのは一度も報告されておりません。こういう古い時代には、赤潮が出たと申しましても、実は現在のように湾一面に出ているのではありませんで、東京、横浜、そういう大都市のごく近くに出ているということでございまして、そういう点では本質的に違うわけでございます。一九三九年と一九五〇年、これは昭和二十五年ですが、この間のデータの不足、観測の不足は、ちょうど戦争に関連して観測がなかったというように理解されております。一九五一年になって初めて珪藻赤潮というのが東京湾に出てきております。この表では、アンダーラインをしたのが渦鞭毛藻で、しないのが珪藻赤潮でございます。特に珪藻赤潮の中でも、現在最も原因になっておりますのは、先ほどから申し上げてある、ここでSKEと書いてあるスケルトネマと、その左の方にあるタラシオシラという二つのグループでございます。それから、渦鞭毛藻の中に、プロロセントラムとエグジュビエラという二つのグループが、現在やはり重要な赤潮原因の生物となっております。
 なお、この表にはございませんけれども、ごく最近の報告によりますと、ミドリムシのユートレプチエーラという種類が赤潮を起こしているという報告が出ております。それからさらに、黄緑色藻類に属しますオリソデスカスというのが出ております。この辺の事情は、東京湾の赤潮状態が相当悪い方向へきているということを示しているというふうに理解されます。
 それから、その下の第六図でございますけれども、これも先ほどの菅原さんが、昭和四十一年から昭和四十三年にかけて、七月から九月の九十日間、毎日、赤潮調査のために水をくんで、その中のプランクトンを調べたわけでございます。それで、そのうちどのくらいが赤潮状態であったかという表でございまして、それをパーセンテージとして示されておりますが、たとえば一九六六年、昭和四十一年には、五三%、六三%あるいは五七%というような数字が三カ所出ております。それから一九六七年、昭和四十二年の数字ですと、三カ所において七一%、三七%、三八%、それから一九六八年、昭和四十三年には、この三カ所において二二%、三九%、六一%、こういう数字が出ておりまして、赤潮の出現回数の非常に多いということを示しております。しかも、一九六七年、六八年の資料におきましては、これを濃厚赤潮、赤潮、やや赤潮、やや赤潮気味というふうに四段階に分けておりますけれども、このうちの濃厚赤潮、赤潮という進んだ状態のものが、多くの場合半数以上を占めているという状態でございます。
 それで、私は東京湾の仕事は数年前に始めたばかりで、大変経験が浅くてデータも少ししか持っていないのですが、過去に諸先輩が出されたデータを参考にしまして、第四ページ第七図に東京湾の浮遊性珪藻群集の遷移の模式図というのをつくったわけでございます。これも、生物群集というのを量の立場と種類の立場、両方から見て、どんなふうに変わってきたか、それからどんなふうに変わるか、変わるかというところまでいきませんで、こういうふうに変わる可能性もあるということを考えてみたわけでございます。
 それで、下の方の図は量の変動でございますが、昭和二年から戦争の終わった昭和二十年ころまでは、プランクトンの量は漸増はしておりますけれども、著しい増加はございませんでした。そして外洋性の黒潮種が湾の中へどんどん入り込んでいたのでございますが、一九五一年、昭和二十六年に初めて珪藻の赤潮が出現したわけでございます。それで、恐らく戦後数年間は東京湾の周りの人口は大変少なくて、工場などもまだ壊滅状態にあったわけでございまして、かなりきれいな、まあ、いその香のする東京湾があったわけでございますけれども、その後プランクトン量が著しく増大してきたわけでございます。
 さらに、これを種類で見ますと、昭和二年ごろは相模湾のような水が東京湾にあったというふうに考えられますが、その時点では外洋性の種類が非常に多く入っておりました。それから沿岸種、内湾種、こういうものが混在している、非常に種類数の多い組成であったというふうに理解されるわけです。それが戦後数年たった時点では、外洋種が東京湾に全く入らなくなり、沿岸種の弱いものはなくなってくる。それから先ほど申し上げた内湾種のスケルトネマというような種類だけが、あるいは、だけというのではなくて、これを中心として内湾種だけが非常に栄えたわけでございます。現在は、これがどんどん進みつつある状況でございます。
 それからもう一つ著しい特徴は、これは先ほどユートレプチエーラとかオリソデスカスのところで申しましたけれども、新しい種類が出てきているという事実、これは珪藻の方で申しますとタラシオシラ・マラという種類が、近年になって東京湾に出たという報告がございますが、下の方にちょびっと書いてあるふくらみは、このタラシオシラ・マラのつもりでございます。こういう新しい種類が出てくる。
 さらに、これがこのまま進むとどういうことになるかということでございますが、これから先は全くわれわれが東京湾を適正に管理するかしないかということにかかっているのですが、もし、このままいけば、生物量はまだ多くなるでありましょうが、やがて生物が全然いない事態、この事態というのは、東京湾は底が浅いために、表層で非常に生物がふえますと、それが下へ落ちて、それが分解するために酸素を食って、酸素がなくなって生物が住めなくなるという事態でございますけれども、こういう事態を水が腐った状態というわけでございまして、ベントスあたりでは、すでにこういう傾向が出ておることは御承知のとおりです。また青潮というような現象もこれに関連した現象でございます。それで、現在はまだ過栄養な時代ということが言えるかと思います。
 このような私のプランクトン群集によるその遷移の推定というのは、アンモニアとか燐とか、それから透明度とか酸素とか、そういう物理化学的な要素からの推定と非常によく合うわけでございます。
 以上です。(拍手)
#97
○渡辺委員長 ありがとうございました。
 この際、本会議開会のために暫時休憩いたします。
    午後一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十四分開議
#98
○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 参考人からの意見の聴取を続行いたします。
 それでは、村上参考人にお願いいたします。村上参考人。
#99
○村上参考人 水産研究所の村上でございます。私は、赤潮全般に関しましての意見を申し述べさせていただきます。
 御承知のように、赤潮の成因と申しますか、これは従来までにいろいろ言われておりまして、基本的には、その成り立ちが解明されていると申して差し支えないと思います。
 すなわち、まず第一点が、海の富栄養の問題であります。
 御承知のように、大きな人為負荷、汚染負荷の流入によりまして、瀬戸内海を初め各地の内湾で、窒素や燐の濃度が非常にふえた。これを一口に富栄養状態と申しておりますが、それとともに、海の底にそういうものがたまりまして、少なくとも瀬戸内海などでは、赤潮を起こすに十分なだけの栄養を備えているわけであります。こういったことがございませんと、赤潮というのは本質的に生まれないわけなのです。
 しかしながら、この富栄養だけで、それでは必ず赤潮が出るかと申しますと、そこにはまだほかの条件がございまして、たとえば海そのものの条件、水の停滞であるとか、あるいは夏になりまして上と下の水が入れかわらない、これを成層と申しておりますが、そういった問題、あるいは台風などによりまして、その入れかわらない水が上下攪拌されてしまうといったような、海そのものの条件、さらには日射であるとか雨が降るとか、あるいは気温が高いとかいった気象の条件。もちろん、この赤潮というものが、主として光合成を行う植物プランクトンによってなされる以上、日射が必要なことは当然でございますし、また、雨が多いということ、つまり現在赤潮をつくっております生物は、やや低い塩分、たとえば太平洋の真ん中の水に二、三割方真水を入れたような濃度の塩分、こういったものに一番適したものが多いわけで、そういう塩分の低下、あるいは陸上から川にたまったもろもろの栄養物質であるとかあるいは有機物を溶け込ます問題、あるいは海の水の動きを弱らせるというような問題、そういうようないろいろなことに関係してくるわけでありますが、いずれにしましても、日射であるとか雨であるとかあるいは気温のような気象条件がございます。
 さらに、今度は生物の側の条件といたしまして、赤潮をつくっている生物は、いままでに諸先生からいろいろお話がございましたが、一つとして全く同じ生理条件が適しているといったものはございませんで、それぞれに特有の生理条件を持っております。したがいまして、増殖を一時に刺激するような要因となる物質あるいは現象もさまざまございまして、あるものは有機物であるとか、あるものは金属であるとか、そういう刺激的な要因が必要であると同時に、もう一つ、現在問題になっておりますような大型の赤潮、発生の範囲も広く、持続期間も長い、したがって弊害と申しますか、被害が起こりやすい赤潮、それをつくる赤潮の生物、これも先ほどからいろいろ御説明がございましたが、一体どういう種類の生物がそういう大きな赤潮になるのか。これはいままで申し上げましたような条件のほかに、元来が赤潮のごく初期の状態というのは、赤潮になるようないろいろな生物がわりにふえてまいりまして、その中から一つあるいは二つのものがぴゅっと急激にふえるといったようなことが多いわけです。それでは最終的に何が飛び出すかということ、それを解くかぎが、生物間の共存あるいは競合の問題でございますが、そういった条件がございます。
 そこで、以下申し上げます赤潮は、現在問題になっております。被害を伴うような大型の赤潮に限って申しますが、こういったものの発生を予測するということが一体できるだろうかということであります。
 いま申しました条件から申しますと、結局基盤になる富栄養、こういう状態がある。それから気象条件のうちで日射はともかく、雨などというのは、これは降り方によって非常に作用が違ってくる。たとえば四十七年に播磨灘で大規模赤潮があったときには、集中豪雨があった。四十八年、九年の場合にはそういった条件がなかった。それでは、その集中豪雨ということを予測できるかどうか、あるいは台風というものを予測できるかどうかといったような点がある。それから最後に申し上げましたように、プランクトン間の競合問題がある。つまり、そういった予測し得ない、し得たとしても非常に確率の低いもの、不確定要因というものがあるために、最終的にはいつ幾日どんな赤潮が出るという予測は、学問的にもきわめて困難であるということになっております。
 しからば、ことしは瀬戸内海では一体どうなるだろうか。現在までの状態は、いろいろお話があったところでございますが、今後どういうふうに考えていったらいいかということを解析したいと思います。
 まず、その第一の条件である富栄養化の状態、大規模赤潮の発生を支持できるだけの富栄養化の状態、これはどうかと申しますと、確かに臨時措置法によってCODは半減された。しかしながら、一方でNとかPとかいうものはまだ規制されていない。そこで、近年ここ二、三年の瀬戸内海の水の中にある栄養物質の濃度を比較してまいりますと、残念ながら、これは決して減っているとは申せない。特にふえたわけではないのですが、ここ二、三年大体同じである。屎尿投棄が禁止になっても、なおかつ、それだけでは不十分だということを物語っているようであります。したがいまして、現在の瀬戸内海では、富栄養条件から申しますれば、大規模赤潮の発生にたえ得るだけのものは十分あると申さなければならないわけであります。
 次に、水の停滞の問題でありますが、四十七年の播磨灘赤潮の場合には、先ほど申しました集中豪雨と、それから黒潮の紀伊水道への接岸、これによりまして、播磨灘、紀伊水道方面の水が外海への搬出を阻まれまして、ちょうど水が滞ったような形になった。しかも集中豪雨の結果、海の表層が甘くなって、下の方まではそれほど影響しませんから、上下にも滞ってしまった。この滞るということが実は大規模赤潮の一つの要因でありまして、御承知のように赤潮というのは、非常に細かい、一ミリの何十分の一あるいは何百分の一というような生物が数多く、一ミリリットルの中に数万あるいは数十万というような大きな数でふえるわけですから、水がもしどんどん外へ運ばれていくのならば、そういうふうな濃度になるはずがない。これは動くということと交換ということと別でございまして、たとえばそういう濃度の水を同じところをぐるぐる回している分には、どんどんふえる、ところが、これが一方通行でどんどん出ていってしまったならば、そういったふえるということは起きないわけであります。これは栄養塩の問題にしても同じことなのですが、そういった水の停滞、この点から申しますと、これは気象庁の予測によりますと、今年これからの時期に、雨量は平年よりやや多目で、豪雨と申し上げていいかどうかわかりませんが、集中多雨の危険性があるということでございまして、その意味から申しましても、水の停滞条件というのは予測されるわけであります。あるいは海中の擾乱、これは下の方にたまった栄養物質を上へ運んでくるという作用がございますが、これに関しましても、台風がことしは、いつものように来るのではないかという予測がされているようであります。
 したがいまして、瀬戸内海の例から申しまして、今後、つまり六月から高水温期、大体十月ごろまでと思いますが、そういった期間において問題となるような種類、たとえば渦鞭毛藻類であるとかミドリムシのたぐいとか、あるいはホルネリアとか、いままで諸先生方から述べられておりますような問題になる種類が出る可能性は否定できないわけであります。さらに、そういうものが出た場合の被害はどうか、こうなりますと、主としてハマチなどがいままで被害にかかっておりますが、出るものの種類によって、そのものが毒性を持っていたならば、当然そういったことも考えられるだろう。ただしかし、これは可能であるということでございまして、それが果たしていつ幾日、何が起きるか、また、どのくらいの確率でそれを予測できるかと申しますと、冒頭に申し述べましたように、現在のレベルでは不確定要因が多過ぎて、そういった予報をいたしかねる状態でございます。
 さらに、問題を播磨灘にしぼって考えますと、先ほど岡市先生からもお話がありましたように、実は、昨年の暮れに水島から一万キロリットルという大量のC重油が流れ込んだ、そのものが大部分備讃瀬戸から播磨灘へ来たわけでございます。
 そこで、こういったことがプランクトンにどういう影響があるかということでありますが、実は昨年の三月に出されました、これはマックギル大学の海洋科学センターというところでおまとめになったのですが、海洋における油汚染の生物学的考察という総説が出されております。その中で、プランクトンの項目を見ますと、植物プランクトンに関しましては、かの有名なトリー・キャニヨン事件のときに、これは海上の調査では、植物プランクトンが死んだということは非常にわずかであった、軽微であったというふうに報告されておりますが、ただし、これは現地で調査するという非常に悪条件が重なったために、必ずしも確かではないのだというふうに述べられております。一方、室内の実験ではどうかと申しますと、これは早くも一九三五年にガルトソフという人が、カキを培養する場合に、ニッチアという珪藻、これをえさに使ったのですが、そのニッチアを育てるのに油がどういう影響をするかということを実験をしておられる。そうしますと、そのニッチアの培養液に油を入れて油膜をつくってやりますと、一週間ほどでニッチアの増殖が阻害されたという報告がございます。さらに一九七〇年にソ連のミロノフという方がおやりになった実験では、植物プランクトンを十一種類使って油の影響を調べられたのですが、大部分は油の濃度が一〇〇ppmぐらいでは、分裂をしないかあるいは遅くなる。まあ種類によって違いまして、ごく鋭敏なものでございますと〇・〇一ppmぐらいで、成長と分裂の速度に影響があるというように言われております。動物プランクトンの場合には、油で全滅したということはいままで観察されていないのですが、しかし、いまの室内で行った実験によりますと、多くの動物プランクトンが油に非常に鋭敏であるというふうに言われておりまして、たとえば一〇〇ppmの濃度では、ミジンコのたぐいは二十四時間以内で死ぬのですが、しかし、一ppmぐらいの濃度では、多くの種類の親は大丈夫だ、しかし、子供の方は一ppmでも三、四日以内に死んでしまうといったようなことが述べられております。
 時間の関係で、そのほかは略しますが、いずれにしてもこれまでの実験というのは、外国ではわりに害作用があるというような点にしぼって実験が行われておりまして、先ほど岡市先生が御紹介されましたような増殖の促進ということの効果に関する実験、これはわりに例が少ないようでございます。いわんや、赤潮の発生を促進するかどうかということに関しましては、私も不学でありまして、ただいまの岡市先生が申し述べられました実験以外に、その例を知らないわけであります。しかしながら、実験からもおわかりのように、ある濃度においては多分に増殖促進というか、赤潮を誘発せしめるような作用があるということは疑うことができないと思います。
 しからば、今回の水島の流出によって、播磨灘が一体どういうプランクトンとしての影響を受けたか。この政府の調査による結果はまだまとめの段階にございますので、その詳細を申し述べる自由を持っておりませんが、概括して申し上げますと、先ほど岡市先生も指摘されましたように、今年の瀬戸内海の植物プランクトンの増殖というのは、きわめて早い時期から、きわめて大量にあった。これは何も油の流れた瀬戸内海東半分に限りませんで、全域を通じまして、その状態が認められます。ふだんの年の数倍の増殖量があった。ところが、私ども一月に調査したのでありますが、その調査した時点で見ますと、播磨灘の南部、つまり大きな油のかたまりがどんどん流れた地域では、北部に比べまして数分の一程度しかない。つまり、流出直後の非常に油の、まあ濃度というより、これはもう御承知のようにもちみたいになって流れたわけですから、そういった条件下では、せっかく増殖していたプランクトンが、絡まって死んでしまった、あるいは毒性で死んだといったような結果、主に油の通った播磨灘南部は、余り通らなかった北部に比べて、植物プランクトンの存在量がきわめて減ってきたということが明らかになっております。さらに、その後三月にいたしました調査では、その格差がやや薄められたものの、しかし、依然として残っていた。一方、そういう濃い油ではなしに、先ほどの岡市先生のお話のような薄い油、二〇ppb――ppbというのはppmの千分の一になりますが、二〇ppbであるとかあるいは一〇〇ppbであるとかといったような濃度でございますと、物によってはやはり増殖促進の作用があるわけでございますから、したがいまして、今年の播磨灘に夜光虫の赤潮が、比較的長い間、しかも広い区間にわたって続いたということに、やはりこの方面の影響を考えないわけにはいかないわけであります。
 次に、それではこういった赤潮の被害に対しまして、どういう対策があるだろうかということでございますが、いままで申し述べたところからおわかりなように、まず、研究の部面から申しますと、たとえば今回の播磨灘の赤潮にいたしましても、赤潮の発生の状況の調査あるいは、何がどこでどういう作用をしたかというようなことに対しまして、少なくとも播磨灘一円で共同の調査体制を組む必要があろう。これは何も播磨灘に限りませんで、どこの場合でもそうなのですが、たとえばA県の地先、B県の地先、C県の地先というふうに限ってやった調査では、その接点のところの問題で、つまり全体としての像がなかなか浮かんでこない。やはり当初からA、B、C全部、その海域全部を対象にいたしまして、調査陣営がA、B、Cあれば、それをひっくるめたような調査体制というものを組んでおく必要がある。そういう点が一つ。
 それから、安達先生のお話にもありましたように、赤潮を起こす生物の種類というのは、学問的にもきわめて分類のむずかしいものでございまして、当初エグジュビエラマリーナですか、そう言われた種類が実はプロロセントラムミニマムといったようなことでございまして、このほか、いろいろ現在問題になっております赤潮生物種の同定には非常に困難がある。専門家といえども十分にわからない点がある。やはりこういった点、現実に一番困りますのは、第一線で赤潮をくんで顕微鏡で見て決めなければならない人、その人たちが一番苦労するのでありまして、こういった赤潮生物種の査定ということに関する進歩あるいは普及がなければならぬと存じます。また、赤潮の生物の種類によりましてはその毒性が云々されるものがございます。従来その毒性に関する生物試験はなされておりますものの、次から次へと新しいものが出てくる状況では、毒性の疑いのあるものに対して、その毒性がどういうものなのかという生物試験をしっかりやらなければいけない。当然油による促進作用も、これまで諸先生述べられておりますように、これも実験によってこれを確かめる必要があろうと存じます。さらに、何が飛び出すかわからないということを申しましたが、生物間の競合の問題、どういう条件になったら、このうちからどういうものが飛び出してくるのだといったような生物間の競合の問題の研究というようなものも必要であろうと存じます。
 次に対策の面でありますが、これは一言にして言えば、赤潮を絶対なくす方法というのは富栄養化の解消にあるのです。ところが、現実の問題として、これがとても一年やそこらで達成できない。となれば、それが達成できる日までは、少なくとも大規模な赤潮というものを考えざるを得ない。そうしますと、それに対処するためには、予測は占いみたいにいつ幾日と言うことはできなくても、見ていれば大体危険だなという時点をつかめるわけでありますから、その時点をできるだけ早く発見して、そうして時間をかせいで、その間に被害防除の対策をとっていくという、早期発見のための努力が必要であろうと存じます。そのほか、赤潮が出てしまった場合に回収するとか、あるいはかきねをつくって入らないようにするとかというようなことがいろいろやられておりますが、やはりこれもオールマイティーの施策ではございませんで、そういった対策を時と所に応じて選んでいく必要があろうかと思います。
 それから富栄養化の解消の一因として、その一つの根源である、いわゆるヘドロと言われている海の底にたまったどろ、富栄養物質をいっぱい持ったどろ、それが底から溶かし出されるということが非常に困るわけでありますから、そういうものを除いていくといったような対策も進めなければなりません。
 さらに行政的に申しますと、先ほども触れられておりましたCODの半減――実はCODというものも大体わけがわからないのですが、CODだけ半減すれば富栄養が解消するか、これはきわめて問題でありまして、やはりその規制にN、Pというものを考えなければいかぬ。さらに最近の研究によりますと、N、Pがふえれば赤潮のように植物プランクトンが増殖する、それが結局は海の中のCODを増殖させることになりますので、つまりN、PはCODに直結しているわけでございますから、その総量規制、負荷削減にいたしましても、当然そういうことを踏まえましてN、Pというものを削減していくということが必要になろうと思います。
 さらに、現在行われております埋め立ての規制にいたしましても、水の停滞ということが赤潮の発生条件の一つである以上は、やはり埋め立てが停滞域を増すということ、あるいは肝心の有機物を分解する能力の強い浅海を喪失するといったようなことから、埋め立ての規制を進めるということも必要であります。
 最後に、ハマチの方から考えますと、その養殖方法を考えていかなければならない。つまり、赤潮の被害に遭わないような養殖はどうやったらいいか。幾ら赤潮の被害に遭わないといったって、養殖する以上、養殖が不可能な方法では、これは困る。だから養殖技法の点から十分に研究する必要があるだろう。あるいは一時提唱されておりました、赤潮が来たら網を破ってハマチを逃がしてやったらどうかといったような点も、もう少し行政的にも突き詰める必要があろう。さらにはハマチを養殖することによって起きる養殖場周辺の汚染の問題、これは主として食い残しのえさによるものでありますが、富栄養化の促進に一役を買っております。あるいはハマチを飼い過ぎる、一定の海面にいっぱい入れ過ぎてしまうといった密殖の被害、こういった養殖法そのものの検討、それを改良していく必要があろうかと思います。
 以上で私の意見を終わらせていただきます。(拍手)
#100
○渡辺委員長 ありがとうございました。
 以上で、参考人からの意見聴取を終わりました。
    ―――――――――――――
#101
○渡辺委員長 引き続き参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中覚君。
#102
○田中(覚)委員 午前中は赤潮被害を受けられた漁業者の方々から、その実態についての御陳述をいただき、午後は学者、専門家の四人の参考人の方から、大変学術的なお話を承ることができまして、私どもも複雑な赤潮現象に対する認識を深めることができまして、心からお礼を申し上げたいと思います。
 先ほど来ずっと伺っておりまして感じましたことは、この赤潮現象というものは、従来、科学的にまだ十分解明されておらないというふうに承っておったのでありますが、しかし、先ほどの御説明を伺いますと、その原因であるとか、あるいは生成のメカニズム、そういうようなものがかなりはっきりと解説をされまして、私どももなるほどとよくわかったのであります。しかしまだ、その反面におきまして、何しろ赤潮生物というものがきわめて種類が多い。そしてまた海の条件、気象条件等によりまして種々雑多に変化をしておるというようなことから、今後に残された研究課題がはなはだ多いということもよく承知をいたしたのであります。
 その中で特に私がお伺いしたいと思いますことは、この赤潮と先般の水島の重油流出事故との関連の問題でございますが、率直に申しまして、先ほど来のお話を承っておりますと、まだどうも両者の因果関係については推論の域を出ないというような感じを持ちましたが、私の受けとめ方は間違っておらないのかどうか。特に、岡市先生は油の影響を無視することはできない、これは原因の一つであるということをはっきりと述べられておるわけでありますけれども、その根拠ですね。先ほど伺いますと、実験室で油を入れて鞭毛藻類の繁殖をさせると、〇・〇二ppmの非常に薄い濃度だけれども、一番よく増殖をするとか、あるいはアメリカで、油が成長の促進に関係があるというような実験もあるというようなお話も、実はございましたけれども、そのほかに、なおもう少しこれをはっきりと推論をさせるような根拠があるのかどうか、この点をまず第一番にひとつ伺いたいと思います。
#103
○岡市参考人 その点についてお答えいたします。
 先ほど村上さんからもお話ありましたように、この辺に関する研究は非常に少ないわけです。これはいままで汚染研究のあり方が、非常に被害面が強調されてきた。生態系の変化というのは、被害が起こると同時に、流れ込むそういった化学物質その他のものが薄くなったときには、逆な作用をするという考え方が、学界の中にも現在余り浸透していないということ、そういう背景もございまして、実験は実は余り進んでおりません。これは事実でございます。
 ただ、実は私、出てくる前に、筑波大学の生物化学系の原田教授の方から文献をいただきました。原田教授がフランスで研究されたときに、やはり石油の中に植物を成長させるオーキシン様の物質が含まれているという文献を寄せていただきました。単にプランクトンにだけでなくて、石油はもとはプランクトンから生成されたと言われているわけですから、そういった植物の成長を刺激するような物質が含まれていても不思議はないというふうに考えております。この点については、まだ私たちの研究室でも研究を続けていきたいと考えております。ただ、こういった実験室的な観察だけではなくて、海洋生態学的な調査、先ほど村上さんの言われたような事実、そういうものとあわせて考えますと、やはりこれは重油との因果関係を無視して考えるわけにはいかない、そういうふうに考えております。
#104
○田中(覚)委員 四十七年のハマチが壊滅的な影響を受けたあの赤潮被害、あのときと今度の状況と比べて、共通した条件というものはないのでしょうか。
#105
○岡市参考人 四十七年の赤潮の発生時期は実は七月の中から八月いっぱいにかけてということで、非常に水温が高かったわけでございます。ですから、発生したプランクトンも、現在、五十年のいまの赤潮とは種類が全く異なっております。ただ、全体の海の汚染の面から考えていきますと、当時も当然瀬戸内海に油汚染はあったわけでございます。いろいろな赤潮の発生を促す物質の中に、そういうものがごく薄い濃度で幾つも幾つも入り込んできて、これの総体としてのCODと申しましょうか、有機物がプランクトンに影響している、そういうことは考えられます。これはそういう意味では四十七年と五十年五月の赤潮との間に、水の中のそういった化学物質について、ある共通性はあっただろう。ただ、そのほかの水温であるとか、それから気象条件であるとか、そういうものについては大きく違っております。それは種類の違いにもあらわれているということです。
#106
○田中(覚)委員 水島から流出いたしました油の流れた経路、あるいはその油によって汚染された海域と、今度の赤潮の発生しておる海域との間に、大分食い違いがございますね。たとえばいま問題になっている家島にしても、あるいは大阪湾のど真ん中にも、やはり赤潮が発生しているわけです。こういうところは水島の油の流出が余り影響なかったというふうに理解をしているのですが、こういった点はどういうふうにお考えでございましょうか。
#107
○岡市参考人 赤潮の発生は、先ほども申しましたように必ずしも画一的にはとらえられない、それぞれの海域が持っている性格があるわけでございます。大阪湾はもちろん水島の重油汚染の直接的影響はなかったわけですが、大阪湾自体が持っている性格というのが赤潮を発生させているわけです。夜光虫の赤潮が、実は現在の五月のハマチの斃死につながっていると私は考えております。夜光虫の発生の要因というのは非常にいろいろなものがございまして、いろいろな経路をとっても、その夜光虫は発生し得る。ですから家島のところとか大阪湾とか、あるいは播磨灘南で、同時に赤潮が発生したとしても、それを何も共通の原因で律する必要は必ずしもないし、そういうわけにもいかないだろう、そういうふうに考えております。
#108
○田中(覚)委員 丸茂先生、お時間の御都合がおありのようでございますので、一言お伺いしたいと思いますが、先ほど東京湾についての大変学問的な解析の結果を伺いまして、よくわかったのでありますが、その中で、東京湾の赤潮の状態が非常に悪くなってきている。その悪くなっている原因の一つに、発生している赤潮生物の種類が、たとえばミドリムシだとかあるいは黄緑色藻ですか、こういうものがふえてきているというのは、これはやはりこういう赤潮生物は非常に有毒的なものであるのかどうか、その点が一つ。それから季節的にピラミッドがだいぶ違ってきておりますね。これは先ほどのお話でちょっとよくわからなかったのですが、一体どういう原因によるものでございましょうか。
 なおあわせて、この赤潮の科学的な解明の中で一番おくれておる問題、それを推進するには一体どうしたらいいのか、これについてのお考えを、簡単にひとつ伺いたいと思います。
#109
○丸茂参考人 お答え申し上げます。
 最初のミドリムシそれから黄緑色藻が東京湾に出たのは、実は大学院の学生が、博士論文でここ二、三年東京湾の赤潮を追跡しているときに出た結果でございまして、以前に東京湾ではそういうものは出なかったわけです。それで、瀬戸内海でそういう種類の赤潮が出たのが恐らく七、八年前だったと思います。そういうプランクトンの遷移をながめますと、瀬戸内でそういうものが出たということは、いろいろな条件から海の状態が悪くなっているという推定がされているわけですけれども、それと同じパターンを東京湾へ持ってくると、東京湾の水の状況は、そういうものを発生させる環境になってきたという意味で、大変気になるというふうに理解したわけでございます。
 それから第二点のピラミッド、私、説明が悪かったかも存じませんが、季節変化の図でございますね。それが一九二七年当時は夏に少なくて冬に多いというパターンだったのが、戦後はそれが逆転したということでございまして、実はなぜ逆転したかということについては、はっきりいたしませんけれども、暖海で富栄養化が進まないような場合には、夏に少なくて冬に多いというパターンが一般でございます。その辺の事情については、実は栄養塩の問題とか、それから水の滞留の問題とか、そういう問題から一応は説明されていますけれども、必ずしも十分な説明がついているわけではございません。
 それから第三の点で、東京湾の赤潮の今後の研究の課題ということでございますが、やはり東京湾はいろいろな側面から、赤潮という問題だけでなくて環境としての調査がされておりますけれども、各省庁、大学も含めて、大変ばらばらにやっております。それから細かい数字は存じませんが、それに投ぜられておる金は莫大だろうと思いますが、こういう点を横の連絡を十分よくして、問題点を整理して研究を進め、あるいは調査を進めると、非常にいい成果が出るだろうという期待を持っております。
 以上です。
#110
○田中(覚)委員 もう一つだけ。先ほど安達参考人からは、赤潮生物の種類等につきまして解明をなされたのでありますが、せっかくおいでをいただいたので伺います。
 伊勢湾も従来から赤潮現象でずいぶん悩まされて、いろいろの問題を起こしておるわけですが、その伊勢湾の赤潮の特色というか、あるいはそれについての対策といいますか、特徴的なことを、ひとつこの際、簡単に御披露を願いたいと思います。
 それから同時に、いま東京湾それから瀬戸内海のお話もございましたが、いまの丸茂参考人のお話を伺っておりますと、瀬戸内海が赤潮現象では状態が一番悪い、東京湾がそれを追っているような状況でございましたが、伊勢湾はそれをどういうように位置づけしておられるか、これからの対策も含めて、ひとつお述べいただけたらありがたいと思います。
#111
○安達参考人 それでは、伊勢湾の赤潮の特徴というのを簡単に述べてみたいと思います。
 伊勢湾に大きな赤潮が出ましたのは、昭和四十九年九月に伊勢湾一帯、伊勢、三河一帯に出た赤潮がございます。これはギムノデニウム・ネルソニーの赤潮でございまして、その当時約二週間、松阪、白子、なお三河の方では三谷、点々として赤潮が出て魚介類の変死が続いていました。そういうときがありまして、その当時、消失しましてから調査などいたしております。(田中(覚)委員「伊勢湾の赤潮の一番大きな原因は何ですか」と呼ぶ)それで、いまの原因ですが、その原因にいく前に背景をちょっと話しておいた方がと思いまして、いま進めておりますが、昭和四十七年に赤潮の出るのを船と空から立体調査といいまして、両水産試験場から応援を得まして、あと情報を得まして、それで一月から十二月まで緻密に伊勢湾一帯の赤潮の出る状態を調べました。
 これはすでに第二回の国際海洋開発会議のシンポジウムで発表しておりますが、赤潮というのは伊勢湾では周年出ている、そういう事実がある。それで、さらにそのときの出るパターン、分布ですが、それは種類によって異なります。大きく分けますと、先ほど来のノクティカル、夜光虫ですが、こういうものは伊勢湾において周年の形でまとめますと、津から伊勢、鳥羽、そういうふうな三重県の中部から湾口に向かった地点に非常に多く出るパターンを示します。さらに先ほど来出ましたオリソデスカス、こういう種類がございますが、こういうものですと、湾の奥から湾中央に向かった全体に分布をする。これは周年の統計的にとったデータでございます。さらにスケルトネマ、そういうものですと、完全に湾の奥、たとえば名古屋港、四日市を含むような奥の方からの分布のパターンとなります。そうしまして、これをなお周年の形で全部のデータをまとめてみますと、年間赤潮の出た日にちを全部、ステーション、これは伊勢湾及び三河含めた定点ですが、数十点をチェックいたしますと、年間を通じて三十日以上赤潮の出てくる海域がございます。そういうところは赤潮の多発海域と考えられますが、そのところは伊勢湾において四日市よりもやや南下した白子付近から津、松阪付近に、相当濃い出現度、高い頻度で出ている事実がわかります。さらにそれを中心としまして、出現度の高さが等高線になっておりますが、この結果から見ますと、問題になっている汚染的な意味で排出される、四日市とか名古屋のいわゆる臨海の百万近い人口がございますが、そういう都市下水、そういうものよりずっと南下した地点にございまして、これは伊勢湾の海流を振り返ってみますと、反時計回りに大きな流れをしておるように伺っております。それに乗りまして、伊勢湾の赤潮の場合には、名古屋及び四日市、そういうものの汚染の富栄養化したものが、そこの周辺よりもむしろ南下したところで頻発しているという事実が、伊勢湾での特徴となっております。
#112
○田中(覚)委員 私、お尋ねしたのが少し抽象的過ぎたかもしれませんが、一番伺いたかったことは、要するにこの赤潮の問題というのは、今度の瀬戸内海の水島の流出油などによって、大いにアクセレレートされたところもあることは、われわれもよく理解をいたしますが、やはりその点は都市排水とかあるいは工場排水とか、そういったことによる富栄養化の問題に根本のメスを入れると同時に、特に私が伊勢湾で伺ったのは、ハマチ養殖の古い漁場で従来しばしば赤潮が発生しているわけですね。そういう点から見ますと、ハマチの養殖自体が、残ったえさだとかあるいはふんだとか、そういうようなものによって海が汚染をされて、そのこと自体によって赤潮を起こしているというようなことがあるのではなかろうかということになりますと、やはりハマチの養殖対策そのものから根本的に取り上げていかないといけないのではないかという感じが、私はいたしまして、実はお尋ねをしたようなことでございます。そういった点に、これからの研究というかそういったものも十分ひとつ重点を遣いでやっていただきたい、こういう趣旨でございまして、実は時間があれば、もう少しお伺いしたいのですが、私に割り当てられた時間も大分過ぎましたので、大変中途半端になりましたけれども、これで私の所見を最後にちょっと申し上げて、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#113
○渡辺委員長 島本虎三君。
#114
○島本委員 村上参考人に初めにちょっと。問題は早く解決したいというために質問するのでありまして、その手だてを含めて、行政的な立場からも結構ですから、お伺いしたいのです。
 まず赤潮発生、この要因等いろいろ御高見を拝聴した中で、発生の予測はできるかということで、これはなかなか学問的に困難だ、こういうようなことがお話がございました。しかし、その要件として、富栄養化の問題であるとか、水の停滞の予測の問題であるとか、また、海中の擾乱と聞こえましたが、こういうような要件であるとか、その他いろいろ申されたわけで、そういうような要件がわかっておる場合には、学問的に困難だとしても、たとえば初めは天気予報もなかなか当たらなかったそうでありますが、最近はなかなかよく当たるようになったわけであります。赤潮の発生ということは、かつてはやはり天災と思われたこともあったわけですが、最近はそれからずっとその要因もわかってきているわけですから、そういうようなことからして、やはり瀬戸内海、同時にこの東京湾その他の湾もございます。いまはもう北海道にまで及んでいるようでございますが、こういうような要因を含めて、観測というものから含めて、この一つの予報というものが不可能なものでしょうかどうか。また、現在の学術的な一つの立場からしても、私は何かできるような気がしながら聞いていたのでありますが、それができたならば対策が生まれますが、これができない以上、対策も、被害の救済も、何ら行われないということになりがちでありますので、この点ひとつ御高見を賜りたいと思います。
#115
○村上参考人 最初に赤潮ということの定義なのですが、私、先ほど申し上げましたように、つまり被害を伴うような大きな赤潮、たちの悪い赤潮、これを一体予測できるかどうかという問題でございます。そこで先ほど申しましたように、私はある確率をもってこれを予報するということは不可能だということを申し上げたのですが、しからば、それではそれにかわるべき警報といいますか、どうも出るかもしれないぞといった程度のことは私は可能だと思います。そのためにはやはり早期の発見、あるいは発生し出した赤潮の動向を注意深く見守る、それから過去の経験に照らして、それが被害に結びつくかどうかということの予測といいますか予想、この程度はできると思います。ただし、再々申し上げておりますように、これはあくまでそういうことがあり得るぞということなのでありまして、起きるか起きないかは、これはその当たる確率というものは全くいまのところ不確定だ、天気予報あるいは地震予報の域にもいかないのではないか。
 したがいまして、実は対策面でちょっと懸念いたしますのは、そういった警報なり、あるいは確報をした場合、たまたまこれが空振りに終われば、結果的にこれは非常に幸せなのですが、空振りに終わった場合の混乱といったことの手当て、これが当然伴わなければならない。これは研究の問題でなしに、もうそれは行政と申しますか政治の問題になってまいると思いますが、その点だけはひとつ十分な手当てをいただきたい。その確保があれば、私は確報あるいは出るかもしれないぞという警報、その程度は可能であろうと思います。
#116
○島本委員 先ほどから安達参考人の御所見を拝しまして、有毒な赤潮の中で、フグの毒に匹敵するような、こういうような赤潮の構成物質もある、こういうようなことがお話があったわけです。そうすると、そういうようなものは、工場排水との関係が十分これはもう考えられるものではなかろうか、こう考えるわけです。自然現象としてそういうようなのが起きるならば、昭和三十五年以前にもずうっと、そういうふうなフグの毒にも匹敵するような赤潮があったかどうか、私は不明にしてわかりません。しかしやはり私は高度経済成長の中で、工場排水や現在のような環境破壊の中から、こういうような赤潮の発生の現象が生じたのではないか、こういうふうに一応思うわけです。そうすると、赤潮と工場排水との関係は、一因くらいではない、ほとんどの大きい一つの要素である、こういうふうにも考えられるのではないか、こう思うわけでありますが、いまのフグの猛毒にも匹敵するようなプランクトンもあるのだ、こういうような話を聞いて少し唖然としたのであります。こういうようなものは在来からあったものか。たとえば昭和三十五年に線を引いて、その以前の状態と以後の状態で、おわかりになっている点だけは、この際、ひとつ教示願いたい、こう思うのであります。
#117
○安達参考人 確実でありません、年号が少しあやふやかもしれませんが、いま記憶しているものについてお答えしたいと思います。
 すでに日本で一番古いそういう中毒事件として扱われたものに、浜名湖の事件がございます。これは昭和十八年か二十年と思いましたが、そのころの浜名湖で約三百何人中毒いたしまして、死亡者が百十何人おったと記憶しております。これはそのころほぼ中毒症状で死んだと考えられる事件でございます。
 その次は、いまから約十年くらい前になりますが、岩手県の大船渡湾でやはり数十人が中毒して、一人死亡しております。この場合には、完全に貝に毒がたまりますために、その貝をとって毒の強さもはかっております。私は実は、次の年に試料をいただきまして調査に当たったものですが、そのころのものですと、その当時のマウスユニットの単位はちょっとわかりませんが、いずれにしても、そういうことがあったことを知っております。
 どうも前後しましたが、浜名湖の場合には、はっきり言いますとアサリ中毒であります。今度大船渡の場合にはアカザラガイという貝でございます。
 その次、今度は年代を追いますと、京都の宮津湾というところで、これは年号をちょっと忘れておりますが、やはりなくなられた人がおったと聞いております。
 さらに、ことしの一月、私はそのときに携わったものですが、一月末にゴニオラックス・カテネーラが出まして、これは毒素をはかりまして、先ほどこのことについてはお話ししたと思いますが、その四件が、そういう毒のプランクトンに付随する事件として、いま知られている範囲のものでございます。
#118
○島本委員 そこなんですが、その猛毒を持つプランクトンそのものが、どういうふうにして発生したものか、または、その要因をなしているのは工場の排水が大部分かどうか、こういうようなところまで御検討できませんでしょうか。
#119
○安達参考人 この問題ですが、まだそういう科学的な解明、恐らく日本では緒についたばかりだと思っております。なぜかといいますと、十年前の大船渡の場合でも、そこは余り工場らしいところはないと思いますが、そういう貝類の漁場でございます。今回出ましたところ、いわゆる尾鷲湾の矢口浦ですが、その場合にもやはり漁村でございまして、この一例を見ますと、昔から毒のある種類は出ている可能性はあると私は思っておりますが、工場排水とか、そういうものとの関連というのは、現在のところわかっておりません。
#120
○島本委員 私はそれをもう少し他の方面からも詰めて、対策の方に重点を置いてお伺いしておるわけなのでして、私どもの方としても、この赤潮の問題と関連して、いまや瀬戸内海だけの問題ではなくて、東京湾にも、寒くて発生のおそれが余り予想されないような北海道にまで、たとえば伊達市の有珠の、本当に水の清い、北海道の湘南と言われている場所にもそれが発生しているのであります。もちろん室蘭のあの工業地帯もあるでしょうし、伊達市のあの電力会社の工事着工の原因もあっただろうと思うのであります。しかし、やはり赤潮の発生ということは、まだ究明できないままに放置されているわけであります。こういうようなことからして、暖かい寒いの問題だけでも解決できないのではないか。
 ことに、きょうは、いま残っておりますお三人の先生に、これは簡単にお伺いしたいのですが、いま北海道に支笏湖が国立公園内にあります。あれは生活環境の基準はAAですから最高の基準であって、達成期間はイ、ロ、ハのイですから、これは即座にこれをなしでおく、いまもきれいだという想定のもとにある国立公園内の支笏湖です。これはヒメマスの種苗湖、日本にただ一つしかないものであります。その中に、ヘドロや下水、こういう汚いところに発生するという水カビが発生して、六十万匹を予想されているヒメマスが四十五万匹もそれで変死したという事件があったわけです。原因は不明であります。水はきれいだと言われているところであります。そういうようなところにも、こういうふうな水カビが発生するという要因については、原因不明ということなのですが、この点について諸先生に、今後の国立公園の維持にもなりましょうし、また赤潮といいながらも、それに類したものが他の方面にも発生するおそれがあることに関連すると思いますので、この要因に何か考えられること、ここできちっと出なくてもいいのですが、何か思い当たることがあったならば、ひとつお聞かせ願いたい。安達先生から三人の先生に、順次お願いしたいと思うのであります。
#121
○安達参考人 いまのヒメマスに関する水カビの問題の話なのですが、私はいま初めて伺いますのでちょっとわからないのですが、よく上水道で、上水道といいますと水道の水源池ですから、大抵山の中にございますが、そういうところで臭水、カビが生えたりプランクトンが発生したりして臭い水が出ますが、そういうのと関連するのではないかと思っておるのですが、カビがそういうきれいなところで異常繁殖したために魚類が変死したということについては、いまのところちょっと返答に困っております。
#122
○岡市参考人 私も支笏湖の現状をよく知りませんので、明確なお答えになるかどうかわかりませんが、実はよく水域の汚染度を調べる場合に、何カ所かの地点をとってきて、これでAAが達成されているというふうな数字が発表されます。しかし、それはあくまでそういう水域の平均値でございまして、場合によっては非常に汚染されている場所を調査し損なえば、そういう数字は出てこないことがあり得るわけです。水カビの発生しているような場所は、恐らく何らかの形で都市の排水あるいは生活排水その他が流れ込んでいる周辺からまず出てきているのではないか。そういう意味で言えば、やはり海域における富栄養化と一連の関係をしているように思います。ただ、水カビが出てくるような条件というのは、その富栄養化をさらに通り越した条件下でよく見られることですから、あるいはもっと悪い水が何カ所か入っているのではないかというような気もいたします。それ以上のことは調べてみないとわかりません。
#123
○村上参考人 おっしゃる水カビというのは、私も実はデータが全然ございませんのでわかりません。ただ、水カビというのは、仮にスフェロティリスあるいはズーグレア、硫黄細菌、そういったものを意味するといたしますと、こういった種類は元来有機汚染度の高い、しかも流れがかなり速いところで発生しております。したがいまして、支笏湖にそういうような条件のところがあれば、たとえ局部的でもあれば、そういうものが発生し得る可能性はあると存じます。
#124
○島本委員 もう時間にもなったようでありまして、最後に一つの今後の想定の問題を聞くわけですけれども、いま赤潮発生にいろいろな問題点のございますことがよくわかりました。それは要件としてはわかりましたが、行政上の問題としては下水道の整備の不完全の問題であるとか、または終末処理も遺憾の点が多いとか、または屎尿をいままでは投げていたとか、今度は投げないとか、いろいろの問題もあったようであります。
 いま日本周辺に親潮と黒潮がある。黒潮の場合には熱帯水域の方から出て、南からだんだん日本の方にずっと来て、この黒潮は全部富栄養ではなく貧栄養だということを聞いているのであります。日本の周辺へ来て若干富栄養化して、それが東京を通って北の方の三陸方面や北海道の方へ行ってカツオ、マグロがとれるようになる、こういうふうに聞いているのであります。もし、そういうふうなことが事実だとするならば、対策として、現在、水洗などにしておりますが、全部、昔のように肥だめにして、そしてそのまま持っていって黒潮に乗せてやったならば、魚もとれるし、また、この近辺もよくなるし、瀬戸内海あたりもよくなるというような想定が成り立ちませんかどうか。昔に戻るわけであります。現在のは幾らやってもだめだという想定ではございませんが、もし黒潮が貧栄養的な要素のものであるとするならば、そういうような発想ができるかどうか。これは私のくだらない発想でありまして、まことに申しわけありませんが、イエス、ノーだけで結構でありますが、これは村上先生に。
#125
○村上参考人 おっしゃるように、黒潮は昔から貧栄養と言われております。しかし、これはたとえば深いところですと、かなり栄養分が多い。先ほどの沿岸からのそういう富栄養が黒潮にまじるのではないかというお話なのですが、これは理屈の上からは確かにそういうことは考えられます。しかし、果たしてそれが黒潮本流の富栄養を支えるほど多量かどうか、これはやや疑問があると思います。むしろ、それが三陸沖へ行って栄養分の高い親潮にぶつかる、そういうところで漁場が形成されているというのが昔からの定説であります。ただ、言えますことは、瀬戸内海に黒潮の分派が入ってくる。そうしますと、確かに現在の瀬戸内海の海水に比べれば黒潮の栄養レベルというのは非常に低い。その証拠には、黒潮の突っ込みがある豊後水道あるいは伊予灘、安芸灘、こういうところでの赤潮発生というのは、瀬戸内海では例外的に低いということでございまして、御質問の黒潮の富栄養が沿岸の汚染で支持されているかどうかという点は、やや疑問でございますが、後段のそういった差し込みが瀬戸内海に多ければ富栄養度は下がる、そういう海域では下がっているのは事実であります。
#126
○島本委員 ありがとうございました。
#127
○渡辺委員長 阿部未喜男君。
#128
○阿部(未)委員 きょうは先生方、お忙しいところを非常に貴重な意見を聞かせていただきまして、大変ありがとうございます。まことに稚拙な設問ですけれども、二、三点ひとつお教えを願いたいと思います。
 まず、先ほども質問があったのですけれども、昨年の十二月の三菱石油のC重油の流出の後遺症が、今回の赤潮の発生に因果関係があるかどうかという点について、これは断定的なことはきわめて困難だと思うのですけれども、岡市先生のお話では、昭和四十七年に生屎尿の瀬戸内海投棄をやめて、四十八、四十九の二年間にわたっては、いうところの大規模な赤潮の発生がなかった。それが四十九年の十二月にあの事故が起こって、そのためにわりあいに早い時期に赤潮の発生の徴候があらわれたのではないかというふうにお伺いしたのですが、先生の御見解は大体そういうところでございましょうか。
#129
○岡市参考人 そういうふうにおとりいただいて結構でございます。
#130
○阿部(未)委員 村上先生にお伺いしたいのですけれども、あの油が非常にかたまって流れた播磨灘の南の方と瀬戸内海全般の関係についてお話があって、これは必ずしも即断しがたいというのですが、村上先生のとらえ方はどういうことでございましょうか。
#131
○村上参考人 植物プランクトンに対してマイナスの要因があるということは、事実がはっきり示しております。今度プラスの要因の方なのですが、私は水島の油がそうしたのだということを断定する根拠を持ち合わせておりません。なぜならば、瀬戸内海というところは元来、岡市先生の実験で示されたような濃度の油は存在していたわけであります。したがいまして、今回の三菱の油が加わりまして、これがさらに増加したということは認めます、事実、油分を測定しますとそうなりますので。ただし、元来そういうものがあって、そういう促進作用があったところへ、三菱の油が増加してどれだけの役割りをしたか、この点の判定がむずかしい。それから、仮に現在油をはかって、そのうちのどれだけが三菱によった油か。実は油の場合どれでもそうなのですが、フィールドにある油が、成分がよほど特殊であれば別なのですが、今回の三菱C重油に関しましては、それをフィールドにおいて三菱のものだとはっきり断定し得る解析の方法が、残念ながらございませんので、そういった意味で、私は三菱のものと断定することはできない。しかし、そういう作用を強めたということは考え得ると思います。
#132
○阿部(未)委員 それでもう一つ。
 確かに油が若干の原因であることは、そうだろうと思うけれども、三菱の油がその原因であったかどうかははっきりしない、それは私もそのとおりだと思うのです。そこで、いろいろな原因をお伺いしましたけれども、四十八、四十九年に大規模な赤潮がこの地域で発生をしなかった、それは一体どういう原因だろうというふうにお考えでしょうか。
#133
○村上参考人 先ほど申し上げましたように、四十七年に比べて八、九年は、少なくとも富栄養の状態ばちっとも変わってない。しからば、なぜ大きなのは発生しなかったか。ただし、申し上げておきますが、四十八、九年の赤潮の発生件数は、決して四十七年を下回っておりません。むしろ上回っております。問題は大きなのが出なかった。これは私、先ほど申し上げましたように、非常に偶発的な要因が加わる。たとえば集中豪雨であるとか台風であるとか、あるいは生物間の競合とか、そういったメカニズムとしてはわかっていても、いつ起きるかどうかということの判定に関しては、偶発的であるとしか言えないような要因が加わっているということで、結局はそういうものの作用によっているのだろうというふうに私は考えております。
#134
○阿部(未)委員 それから岡市先生、私も大分前から先生の赤潮に関する研究をいろいろ読ましていただいておるわけでございまして、この委員会でも、赤潮対策を早くやらなければ大変なことになるということを、何度も申し上げてきたのですが、やはり赤潮の発生を防ぐということはなかなかむずかしいことだということを、きょうもしみじみ感じました。しかし、どの先生からお伺いしても、少なくとも瀬戸内海の汚染が富栄養の原因になっておる、このことについてはもう大体の先生の御意見が一致しておるように承ったわけでございます。したがって、瀬戸内海の汚染をとめなければ、瀬戸内海赤潮を防ぐことは、まず基本的にむずかしいのではないか。たしか先生の本だったと記憶するのですが、瀬戸内海汚染に寄与しておる工業用水とか生活用水の関係のデータを拝見したように思うのですが、どの程度の寄与率がそれぞれあるのか、ちょっと教えていただけぬでしょうか。
#135
○岡市参考人 私もそういうデータは方々へ引用させてもらっておりますが、これはどちらかというと村上さんの方がよくお調べになっております。それはそれぞれの海域によって、たとえばN、Pについては違いがございます。大ざっぱに窒素についていえば、工場排水と都市排水と田畑から出てくる農業排水の割合が一対一対一で、同じ寄与率になる。燐については、それが家庭排水というか都市排水の割合がかなりふえてくるということでございます。ただ、これは私の見解でございますけれども、赤潮の発生の場合に、ただN、Pだけではなくて先ほど申しましたようなCOD成分も考えなければいけない。COD成分になりますと、もちろん都市下水からも来ますが、工場排水から来る分についても考えざるを得ない。ただ、その中での配分というのは、いまのところ明らかではございません。
#136
○阿部(未)委員 それから先ほどもお話があったのですけれども、率直に言って、これだけ大きい漁業被害あるいは生活に対する脅威があるのに、この対策が遅々としてなかなか進まないような気がするのですが、一つは村上先生にお伺いしたいのですが、いわゆる害虫に殺虫剤をもって当たるような、そういう特効薬的な方法はないものかどうか。
 それから二点目は三人の先生からお伺いしたいのですけれども、先ほど丸茂先生のお話では、かなりの予算は出しておるのだけれども、横の連携が悪いために、予算がむだになっておるのではないか、もっと横の連携をとりながらということでしたが、いま先生方がこの研究を続けられて、なるべく早い時期にいい結論を見出すために、国に、たとえば予算的には、人間の面ではとかいうふうな、いろいろな御要望があるのではないかという気がいたします。もし、それがおありでしたら、国の行政に対してこういうことをやってもらいたいということを、それぞれの先生からお漏らしを願いたいと思います。
#137
○村上参考人 最初のお尋ねの特効薬でございますが、私は一言にして申し上げますと、特効薬はございません。ないのだろうと思います。
 ただ、それに類することで、ただいま水産庁が水産資源保護協会に委託しております赤潮回収事業というのがございます。その仕事の一部で、超音波を使ってミドリムシ類を破壊するということを試みております。ただ、これには問題がございまして、確かに超音波を当てると、ミドリムシというのはねばねばなものですから破壊されてしまう。そうしますと、少なくとも実際にハマチを一緒に置いておきまして、それで破壊されたミドリムシを入れてやると、破壊されないミドリムシのような弊害を起こさない、つまりハマチは助かる。ただ、ここでその次の問題は、それではミドリムシを破壊してしまえば、それで後遺症は残らぬか、破壊すれば、当然そういった成分がそこにあるわけですから、次のものを誘発するだろうということで、これなどはわりに見込みのある特効薬なのでございますが、それですら、やはり実際問題としてそれをやる場合に、いろいろ問題があるだろうということで、それ以外のものは、まあ特効薬と申します以上、後遺症があっては困りますので、後遺症のない特効薬は、私はやはりないと申し上げるより仕方がないと思います。
 それから国に対する要望、私は水産庁の人間で、これは自繩自縛になってしまうので、はなはだ申し上げにくいのですが、先ほど研究面でこういうことをしなければならないだろうということを三、四点、指摘いたしましたが、これらはいずれも相当の組織と相当の粘り強さ、衆知を集めたしっかりした体制でやらないと、従来の赤潮研究がともすれば専門家の先生方の局部的なお仕事になった、これはそうならざるを得なかったわけで、やはり国としてやる以上、そういう総合的な調査研究、これをしっかり考えていただきたいと思います。
#138
○岡市参考人 赤潮の研究は、実は組織立った研究というのは昭和四十一年から始まったわけですが、それが四十七年に終わっているわけです。これは大学関係の研究が終わっているわけですが、その後は、各研究者のいわば名人芸みたいなものに支えられまして、単発的に報告が出ている。それはなかなかまとめにくいという事情が一つございます。ですから、こういったかなり長期間の研究を要するような問題については、課題はそれぞれ変わるかもしれませんが、長期の研究体制が必要であろう。
 それが一つと、それから播磨灘について言いますれば、実は播磨灘は瀬戸内海の中では一番調査が遅れていた海域でございます。というのは、多少我田引水みたいになってくるわけですけれども、瀬戸内海の研究所なり水産関係の大学というのは、ほぼ中央から西にございます。村上さんの南西海区の水産研究所は現在宮島の向かいにありますし、広島大学の水畜産学部は福山にございます。そういう事情で播磨灘はなかなか調査がしにくいということで、四十七年の秋までは、播磨灘の組織立った調査結果はなかったわけでございます。そういう中で実はハマチ養殖が大規模に行われていた。香川大学はその東側に属しておりますので、今後そういうところで、われわれが何とか微力を尽くしてやっていきたい。ただ現在のところ、まだ研究体制は非常に貧弱でございます。
#139
○安達参考人 研究体制のことについてですが、こういう赤潮の公害的な意味でのいろいろな諸因を含んだものというのは、最低十年単位ぐらいの仕事のテンポになると思うのです。それで先ほどのように、個人プレーとか、いろいろな年次ごとにやっておりましたが、これを何とか、たとえば赤潮研究所みたいな形にして、ある一つの研究機関をつくっていただければ、それに対処できるようなものができるのではないかと私は思うのです。
 たとえば、これは私はアメリカにすでに一度でき上がったという話を伺っていたのですが、ある程度のスタッフで、そういう問題が起きた場合にすぐ対処できるような意味での研究所、たとえば研究者が最低百人以上で、いろいろなパートがあると思うのですが、そういう面でのものができると、たとえば今度のような油の問題にしろ、すぐ対処して、その人たちが当たっていける問題だろうと思うのです。
 またさらに、先ほど私、申し上げましたように、人間の死亡事件にかかわるようなことになりますと、率先してすぐ対処しなければならない問題で、そういうことがすぐにいつでもできる体制をつくる、しかもそういうことに携わる、行えるような人を育てていかなくてはならないと思うのです。そういう面では、ばらばらの個人プレーで、各大学なり研究所なりで、ある年次に数年もしくは十年携わったとしても意味はないと思うのです。やはり系統立てた形にして持っていかないことには、総合的な研究のテーマと思われます、こういう赤潮とかいうものは達成できないのではないかと思います。それだけです。
#140
○阿部(未)委員 どうもありがとうございました。終わります。
#141
○渡辺委員長 土井たか子君。
#142
○土井委員 本日は、お忙しい中をおいでいただきました参考人の諸先生に、まず御礼を申し上げます。
 御承知のとおりに、養殖業として典型的なハマチやノリなどの栽培は、瀬戸内海一円に大変盛んになってきたわけでありますが、きょうお話を伺っていても、私はつくづく思うのですけれども、いまのような状態を繰り返し繰り返し毎年進めてまいりますと、瀬戸内海それ自身が、一体つくる漁場として適当であるかどうかという問題があろうかと思うのです。いまの養殖漁業ということを考えました場合に、いまのようなあり方ではどうも漁民の方々が浮かばれない。きょうも被害者の方から午前中御意見を承ったわけでありますけれども、つくる漁業、つまり養殖漁業のあり方として、もちろん抜本的に赤潮対策というものを考えながら、何とかそっちの漁業のあり方も、瀬戸内海域においては考えていくべきではないかという気がするわけでありますが、岡市先生、村上先生、安達先生から、そういうことに対しての何か御所信がございましたら、ひとつ承りたいと思います。
#143
○村上参考人 私、実は育てるあるいは飼う漁業のことは余り詳しくございませんので、どうすればいいというようなことは申し上げられないのですが、先ほど申しましたように、瀬戸内海では少なくとも大規模な弊害を伴う赤潮が今後も起こり得るということを前提といたしますと、やはり養殖漁業そのものが、そういう前提に立って行われなければいかぬ。ある年にはばかっとやられる、その次の年はたまたま出なかった、これはしめたというので、またやるということになると、お説のように繰り返しにすぎない。したがいまして、富栄養化の解消に至る期間、これは容易なことではないと思いますが、その期間は少なくともそういう危険性ということを前提にしてやっていただきたい。もう一つは、それとマッチする対策といたしまして、危険をどうすれば最小限に抑え得るか。これは私は個人的には、危険が全くなしに養殖を行うということは不可能だと思います。したがいまして、これはいかにして危険を最小限に食いとめるか、これが実は養殖技法としての、少なくとも瀬戸内海においては今後の対処すべき重大な点であろうというふうに思うわけであります。
#144
○岡市参考人 私も瀬戸内海でハマチ養殖などを見ておりますと、いま村上さんの言われましたような、かなり危険を承知の上でやっているというふうに考えざるを得ないわけですが、現在ハマチはかなり密殖されているのは事実のようです。
 それからもう一つは、各県の水産試験場の指導が果たして十分であったのかという点には、やはり多少の疑問を持っております。播磨灘でこれほど大きな赤潮があり得るということ、こういう前提になるような調査が十分ないままにハマチ養殖が行われていたということです。これから瀬戸内海をどう利用するかという形で考えていくときに、もう一度その大々的な調査をして、どこが養殖適地であるか、そういうことを踏まえてやっていかなければならないだろう、そう考えております。
#145
○安達参考人 ハマチ養殖についての意見ですが、私はそういう関係の仕事と専門分野が大分違いまして、余り答えることができませんので、失礼します。
#146
○土井委員 今回何か愛媛大学の沢田教授が研究結果を発表されて、油が流出した際によく使われる処理剤というのは、実は重油と相乗作用を起こして毒性を増すというふうな意味の警告を出していらっしゃるわけですが、昨年末の御承知の三菱石油の水島製油所の重油流出事故に際しても、流出した量の約九分の一に当たるという大量の処理剤が、実はもう使用されてしまっているわけであります。この油が流出するというのは、今回のようなあの大事故はもちろんでありますけれども、海の上を走っている船からも油は流出をされるという例が多々あるわけでありますし、またコンビナートに油を注入する際に、やはり油が漏れるというふうなこともあるわけであります。これは海についてはいつも油が流出するということを前提に、海洋汚染防止法あるいは水質汚濁防止法も考えていかなければならないわけでありますけれども、この油を処理するのに対して、油を処理するための処理剤を使うというのは逆効果だというふうな意見について、どういうふうに考えていらっしゃるかという点を、お三方から承りたいと思うのです。
#147
○村上参考人 油処理剤、いわゆる分散剤のことでございますが、おっしゃるようにこれは洗剤の一種でございますので、毒性がないとは申されません。ただし、今回使いました処理剤につきましては、たとえばトリー・キャニヨン号のときに使ったものの毒性に比べて一万分の一くらいの低毒性であるというふうに承知しております。今回使われた処理剤そのものの影響、これは近日中に環境庁からそういったデータが全部公表になるということでございますが、私どもの存じている範囲では、明らかにそれだと指摘し得るようなものは、残念ながらつかまれておりません。問題は、私は、処理剤を使う場合に、これは絶対に使ってはならぬということなのか、それともプラスマイナスを比較して、プラスの方が多ければ使ってもよろしいということなのか、やはりこの点が一番のキーポイントであろうと思います。御承知のように、油の後遺症というものを防ぐためには、少なくとも油というものをなるべく早く海域から取り去らなければならない。そのための手段としてやむを得ず使う場合は、私は個人的にはやむを得ないだろう。プラスマイナスを勘案してプラスの方が多ければ、これはやむを得ないだろう。ただし、無制限な使用は絶対にこれは困る。したがいまして、十分事前調査して安全性を確かめ、あるいは安全度の少しでも上がるような使用法をするということを守るべきだろうというふうに考えております。
#148
○岡市参考人 このたびの重油汚染に関しまして使われた処理剤は、水島の港の中で約千キロリットル、外の香川県側で七十キロリットルぐらい、そういうふうに言われております。あの場合、処理剤を使うことは適切であったかどうかということについては、私は非常に疑問を持っております。というのは、C重油に対して処理剤を使っても効果がないという報告が一つございます。余り役に立たないだろう、ことに油のかたまりになって流れたときにまいたとしても、余り効果は期待できなかっただろう。ただ、毒性がそれで発揮されたかどうかについては、これは多少調査の結果を待たなければいけませんけれども、まず十二月の末であって、海産生物の稚子、子供がかえるような時期ではなかったということ、これは一つ幸いしたと思います。その後、今度使われた処理剤というのはわりあい分解されやすいものですから、徐々に分解されていって、直接的な大きな影響を与えなかったというのは考えられるところだと思います。
 それから使用法に関しましては、まだ沿岸についている油がございます。そのために、今後場合によっては取らなければいけないだろう。そのときに処理剤をどういうふうに使うかについては、これはやはり漁業者とか、あるいは後遺症についてある見解を持っているような生態学者の意見に従って使っていただきたい。現在見ておりますと、むしろ業者段階の判断でもって使われているような場合が多いのではないか、そういうふうに考えております。
#149
○安達参考人 油処理剤に関してですが、実は私はそういう関連の資料なり、そういう関係をやったことがございませんので、余り参考になるような意見は持っておりませんので、失礼します。
#150
○土井委員 最後にあと一問。実は瀬戸内海環境保全法というのが施行されて二年目、三年の時限立法ですから、あと一年で、またさらにこの中身を強化して、恒久的な法律を国会で制定するかどうかという意味も、一つは含めてお伺いをしたいわけですが、一年ほどたったころに、漁民の方々から、いなくなったザリガニが帰ってきたという声が聞こえてきたり、昨年に比べて、気のせいか何か知らないけれども、一年たってみると、やはり努力をすればしただけのことがあるということを、海を見た場合に思いますという声を聞くと、私はもう胸が躍ってくるわけなのです。ところが、今回のあの水島事故以来、あの重油に対して、また、それが原因となっての大変な赤潮というものが、ことしはふえるのではないかというようなことも、漁民の方々は言い出されている。例の瀬戸内海環境保全臨時措置法ですが、先ほど御発言の中に、岡市助教授は、これはCODを考える場合に、量だけを問題にして質を問題にしていなかったということは、言ってみれば、この法律の持っている一つの弱点というか、欠陥というか、そういうものではあるまいかという御発言がございましたですね。この瀬戸内海環境保全臨時措置法をごらんになって、ある一定の効果があるに違いないのだけれども、もう一つ、赤潮対策も含めて効果を大きなものにしようとすると、この点はぜひ考えてもらわなければ困るという、お気づきの点があったら、お聞かせいただきたいと思うのです。お三方の先生からいかがでございますか。
#151
○村上参考人 先ほど申し上げましたように、私はやはり項目をふやすこと、つまりNとかPとかを、ぜひとも規制として入れていかなければいけないということでございます。と同時に、これから総量として規制していく段階でございますが、瀬戸内海全体に対して日量何トンという言い方と同時に、ある海域、海域にとって何トンだということを決めなければならない。先ほどのお話の中にザリガニが帰ってきたというような漁民のお話の御紹介がございましたが、確かに局部的には、たとえば日量何百トンものCOPを入れていたパルプ工場の排水口の周辺、これは明らかにきれいになっております。しかし、それがそれでは即、瀬戸内海全域のCODなりあるいはN、Pの解消に役立っているかというと、これは問題が違う。やはり局部的な回復と同時に、全体としての回復ということを主眼に置いた規制方法、これをやっていただきたいというふうに考えております。
#152
○岡市参考人 私は先ほど申しましたように、CODを量で規制しているわけで、確かにその効果はあると私は思うのです。あの法律は一つは精神的な、汚染者に対して海をきれいにしなければいけないのだぞという一つの規範を示したという点、それからCOD負荷が現実に減少していくという方向がはっきりしてきているということで評価しますが、その中身を結局、各県に割り当てたために、各県がCODの量を減らしやすい企業にそれをまた割り当てている、そういう事情がございます。特殊な化学工場その他については、CODの排出量が少ないからという形で、見直されている場合もあるのではないか。そういうところはCODの持っている意味をもう少し詳しく研究していく必要があるのではないか、そういうふうに考えております。
#153
○土井委員 参考人から御意見がなければ、これで終わります。
#154
○渡辺委員長 木下元二君。
#155
○木下委員 重油と赤潮との関係につきまして、岡市参考人に伺いますが、海水中に広く、薄く溶け込んだ重油の状態、これが赤潮発生に最も都合がよい条件をつくっている、このことが参考人の実験の結果によって明らかになっていると思うわけです。赤潮鞭毛藻の数が、〇・〇二ppmというところで二十万という驚異的な繁殖を示すというデータの実験の結果も伺っておるわけでありますが、この実験に基づいて、ことしの夏、広い海域にわたる赤潮発生の危険性を指摘し、警告をしていられます。つまり、実験されたような状態、海水中に広く薄く溶け込んだ重油の状態が瀬戸内海にあるということだと思うのです。この実験によって、大規模な赤潮がいつ発生するかもわからないという、このことを明らかにされ、警告をされたと思うのであります。そして、現にこの播磨灘に赤潮が発生をいたしました。とすれば、この赤潮は、実験のとおり、海水中に広く薄く溶け込んだ油が原因になっている疑いというのはきわめて濃いと言えると思うのであります。それがただ一つの原因かどうかということは別といたしまして、少なくとも重要な原因であるという疑いがきわめて濃いと思うのでありますが、これは再々言われましたけれども、そのことを確認しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#156
○岡市参考人 重油が何%寄与したとか何十%寄与したということは、数字の上では言えませんけれども、私は、今回の赤潮に関しても、ことに播磨灘南部では影響したというふうに考えております。ただ、これは先ほどお渡ししました図からもわかりますように、場合によっては間接的な、一段階、夜光虫というプランクトンを経て出ている可能性はあるわけです。
#157
○木下委員 この重油が原因ではないという、つまり因果関係を否定するデータは何もないと思うのです。この重油によって赤潮発生に最も都合のよい状態がつくられた。そして重油が原因になっているということが、少なくとも科学的には推定できるのではないかというふうに、先生のお話を聞いておりまして思うわけでありますが、そう伺ってよいわけですか。
#158
○岡市参考人 実は学問的には、まだ私自身としては非常に不十分であると考えているわけです。これはどうもわれわれは、どなたから質問されても完璧に答えられるような状態までデータを集めて、発表するのが常でございますが、今回に関しては、やはりハマチの養殖に影響を与えるだろうという考えで、緊急に出しているわけです。ですから、そのデータだけで、あらゆるものが判断できるとは私も考えておりません。この辺の研究を私も充実しますので、ほかの研究者の方も追試していただきたい、そういうふうに思います。
#159
○木下委員 岡市参考人が指摘をされておるのですが、今回の瀬戸内海で発生した赤潮につきまして、その直接的な重油流出との因果関係は明らかにされていないわけでありますけれども、この赤潮が今後、香川、徳島の沿岸で連鎖的に発生するおそれがあるというふうにも言われておるようであります。この連鎖的に発生するというのも、これは重油が原因であるという前提に立って言われておることではないのでしょうか。
 それから、さらにもう一つ、香川県沿岸の赤潮は夜光虫類で、家島群島周辺のは悪質な鞭毛藻類と考えられ、今後この悪質な赤潮が香川、徳島の沿岸で連鎖的に発生するおそれもあるというふうにも言われておるようでございますが、これも重油が原因であるという前提で、一層そのおそれが強いというふうに見ていられるのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#160
○岡市参考人 そういうおそれはあると思います。で、夏の赤潮がなぜ発生すると言ったかと申しますと、やはり二月の珪藻の増殖、これがまず重油によって促進されたのではないか。珪藻とか珪藻に由来する懸濁物を食べて夜光虫が増殖した。夜光虫の周辺に現在のプロロセントラムの赤潮が発生している。家島の種類と、それから香川周辺、それから徳島で現在出ている鞭毛藻の種類は全く同じでございます。そういう意味では連鎖的にずっと赤潮が発生するのではないか。また、播磨灘南部でそういうものが、ある意味では増幅される可能性はある、そういうふうに考えております。
#161
○木下委員 大体この瀬戸内海の植物プランクトンは、春、秋にピークを持って、毎年ほぼ同じサイクルで増減をしておるようでありますが、水島事故の直後の昨年末からことし初めには、植物プランクトンの季節外れの大量発生が報告をされております。海中微生物の生態系に何らかの狂いが生じたことが予想されるわけであります。このままいくと、ことしは大変なことになる、夏の終わりごろが最も危険な状態になるのではないかという予測もあるわけでありますが、岡市参考人も先ほど、八月が赤潮の大量発生の危険があるというふうな趣旨を言われたように思いますが、ことしの見通しについて、さらにもう少しお述べいただきたいと思うのです。
#162
○岡市参考人 これは先ほど村上さんも申されましたけれども、その見通しについては、一つは気象の長期予報、こういうものも参考になるわけでございます。梅雨の終わりごろに、これは六月の末ごろから非常に多雨になるだろうという予報を聞いておりますが、そういう海水中のいろいろな赤潮発生要因物質がたまってくる。たまってくることが、雨だとか台風が、また瀬戸内海近辺に一つや二つ、ことしの夏には近づくだろう、そうなると海水が乱されるだろう、乱された結果、底の方に沈んでいる赤潮発生要因物質が表面に運ばれてきて、そこで全域の赤潮になるおそれがある、そういう趣旨でございます。ですから、八月というよりもむしろ私は七月の中くらいから危ないのではないかと考えております。
#163
○木下委員 三菱石油の重油でありますが、これは一部は海岸に流れ着いて、砂浜などにこびりついたり、砂の中にも相当量入り込んだりしておるということですが、これが潮流によってまた流れ出す、こういう事態も起こっておるようです。この砂の中に入った油と海の汚染あるいはこの赤潮との関係はいかがでございましょうか。また、その砂の中に入った油の除去方法としては、どういったことがあるでしょうか。これは岡市参考人に伺いたいと思います。
#164
○岡市参考人 その海岸や岩についた油の流出というのは、三月ごろ一時ちょっととまった感があったわけですが、それが四月、五月、水温が高くなってきますと、やはり島の周りだとか、王越という油でかなり汚染された地域がございますが、その半島では油膜が広がってきているわけです。そういうところではやはり植物プランクトンの生態系に影響が出てくるだろう、私たちもそういう観点で実は調査計画をいま立てております。
 それからもう一つ油の除去方法でございますが、見ておりますと、砂浜の中でだんだん油は下の方に沈んでいくような気もいたします。下といいましても、すぐにはわれわれの手の届かないような下までは行くはずはないので、やはりこれは砂を取り除いて油を取り出すより仕方がないような気がいたします。処理剤も恐らく砂浜では使いにくいと考えます。
#165
○木下委員 それでは、もう一つ岡市参考人に伺っておきますが、この瀬戸内海東部海域における生物環境変化に関する研究が進められておるようです。これについては文部省の方から四十九年度、五十年度それぞれ三百万円当て研究費が出ておるというふうに伺っておりますが、これはそれで十分だということはないと思いますけれども、どうでしょうか。この三百万円で足りるでしょうか、あるいは忌憚のないところを伺いたいのでありますが、もっとどの程度必要か、そういったことについての御意見を承りたいと思います。
#166
○岡市参考人 特定研究という研究班がございます。これは香川大学、岡山大学、広島大学、徳島大学で編成されて、現在十四名でございます。その研究班に対しては四十九年度、五十年度、それぞれ三百万ずつ割り当てられましたが、そのほかに実は四十九年度の緊急予算としまして、香川大学に八百八十万、それから広島大学に四百万割り当てられております。実はそれでもっていろいろな分析器械を買い、私たちで、リモートセンシングと称しまして飛行機を借り上げまして、実は油分の拡散調査に充てたわけでございます。それは四十九年度でございまして、五十年度は三百万でやる。一応現在、五十年度でその研究費は打ち切られております。基礎的な研究については、私たちもまだ継続したいということを考えており、研究班の中でも今後の再組織化ということを考えております。
#167
○木下委員 油処理剤の問題ですが、先ほど土井先生からもお話がありましたが、この油処理剤の使用は逆効果を招くおそれがあるということです。これは先般の瀬戸内海環境改善シンポジウムでの発表にもあったわけでありますが、ことに先ほどもお話がありましたように、水島等で局部的に大量にこれがばらまかれておる。港湾部など比較的潮流の影響の少ないところでは、海の生物に深刻な影響を与えるおそれがあると思うのです。この点は瀬戸内シンポジウムでの発表によりますと、これは実験もされた。ウニを使っての実験の結果が出ておりますが、油処理剤だけの毒ということでなくて、油処理剤とそれから重油と一緒に混合した場合の害毒という点が非常に大事だと思うわけであります。その結果を見ますと、油処理剤だけ一〇ppmを超えますと、ウニの受精率が下がり、受精が阻害される。重油と処理剤を混合すると、さらに受精率が下がる、相乗的効果をもたらす。特に二〇PPmと濃くなると、大幅に毒性を増すという結果が出ております。
 先ほどのお話では、今回使った処理剤がどうもプラスの面は余りないのではないかというお話もありました。マイナスの面はどの程度なのか、この点もまだ十分研究がされていないように思いますが、この処理剤の及ぼす影響あるいは特にこの赤潮発生との関係、こういったことについても、さらに研究が進められるべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
#168
○岡市参考人 確かに現在、何カ所かのところでは処理剤についての研究が進められておりますけれども、それは決して十分ではない、そういうふうに思います。ことに実験室内の研究が行われておるわけですけれども、実際のフィールドでの調査はかなり不足しておるというところが事実です。
 それから赤潮との関係についても、これは全く研究がございませんので、これは新しく研究課題として組まざるを得ないだろう、そういうふうに思います。
#169
○木下委員 村上参考人に伺いますが、この赤潮の観測体制の点です。これは水産庁の調査船「しらふじ丸」というのが調査に当たっておりますが、きわめて不十分だと思うわけであります。また、海況自動観測装置というのがつくられておりまして、これは四十八年、水産庁が明石海峡に設置をいたしておりますが、これがもうほとんど役に立っていないという状況が出ております。潮流の早い明石海峡の陸上近くにこういうものをつくっても意味がないというふうに言われておるわけです。播磨灘の鹿ノ瀬であるとか、あるいは家島付近であるとか、あるいは淡路島周辺にも、もっと設備の整ったものをふやすべきだ、こういったことが漁業関係者から要望されておるわけであります。定点で定期的に観測をする、そういうふうな機敏に対応できる観測体制がどうしても必要だと私は思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
#170
○村上参考人 最初の「しらふじ丸」の赤潮観測でございますが、現在は「しらふじ丸」は赤潮そのものだけに限定した観測というのはやっておりません。もちろん、その赤潮関連事項の調査はいたします。それよりも現在の赤潮の観測体制として一番主になっているのは、各県の水産試験場がおやりになっている赤潮監視あるいは調査体制であります。
 元来この赤潮調査というのは、先ほど私申し上げましたように、船の上で、ある区域だけを回っていくということでは不十分でありまして、その点では原則的に申し上げましても、「しらふじ丸」で瀬戸内海全体を一回回りますと、最小限二十日かかってしまいます。そういう点からも赤潮の観測あるいは監視、これには船舶と同時に、先ほども岡市参考人から御紹介がありましたような航空機も併用する、現在そういう体制をとりつつありますが、そういう体制でないと、なかなか調査船一杯が動いたからどうのということでは追いつかない状態であろうと思います。
 それから、次の自動観測のことでございますが、実はこの前、神戸に瀬戸内海関係の自動観測をやっている方々の技術検討会を持ちまして、その席でも出されたことでございますが、現在、瀬戸内海に自動観測ブイが十二基入っております。御指摘のように播磨灘、兵庫県の場合に明石海峡、そのほか主として地先の局部的なところに入っております。こういったことが、現状で、それでは赤潮の監視にどれだけの役に立つかということでございますが、もちろんこの十二基、広い瀬戸内海に十二基ばらまいただけでは当然対応し切れません。しかし局部的には、そこの自動観測ブイ周辺の海況なり、あるいは赤潮の予測、これは主としてPHであるとかあるいは溶存酸素でやっておりますが、そういったことには十分対応していると存じます。ただ欲を言えば、そういうものをもっとふやしたい。それからさらに根本的には、瀬戸内海の全体の海況がどうなっているかということを刻々把握することによって、その上に立って赤潮ということを予測あるいは捕捉していくという方法が最良でございまして、この意味では沖合いへもそういうものを設置したい。私、これは個人的にかなり昔から、瀬戸内海にたとえば三十基ほどのブイを沖合いにばらまけば、瀬戸内海全体の海況というものは時々刻々把握できるのだということを主張しているのでありますが、ただ現実の問題として、沖合いへやった場合の自動観測施設の保守、それがきわめてむずかしい。実はそういうような現実的な条件がございまして、やむを得ず沿岸に入っているというのも一つの実情でございまして、この点はそういった沖合いを含めて、瀬戸内海全体に対して自動観測をどうするか、さらにその保守をどういうふうにやるか、これは単に水試あるいは水研のペースだけでなしに、もっと広く、海を取り扱っている人々が相互に協力し合って、そういう体制を組んでいくということが必要であろうと存じております。
#171
○木下委員 結構です。
 それから、もう一つ伺いたいのは底質の問題であります。瀬戸内海の底質がどのような状態にあるか。ことに底質の中の硫化物の蓄積をどうするのか、これは非常に深刻な問題であります。ところが調査の方がずいぶんおくれております。したがって、対策もとられていない現状だと思います。瀬戸内海の浄化なりあるいは水産資源の確保の上からも、緊急に抜本的対策がとられるべきだと思うのでありますが、この点について、村上参考人あるいはほかの参考人からも御意見がありましたら、伺いたいと思います。
#172
○村上参考人 御指摘のように瀬戸内海の底質の有機汚染というものはかなり著しい。近年、水産庁で全域にわたっていわゆる有機汚染泥の調査をして、それから、そのどろがどのくらいの厚みになっているかということの調査を全域にわたっていたしましたが、そういうような調査あるいは従来の調査から見ましても、御指摘の硫化物の問題、これは実は海の底のどろでありますと、〇・二ミリグラム・パーグラム、これは乾いたどろ一グラム当たりに〇・二ミリグラムの硫化物がある、硫黄があるという意味なのですが、それ以上のところは有機汚染泥とみなさなければならないのですが、現在はそれを一けたも、場合によっては十ミリ・パーグラムくらいまでのところがございます。しかし、御承知のように、底質汚染というのは全面的にそういうものが進むのでなしに、そういったパーティキュレートのもの、粒子状のものが集まって沈降する、そういうところに発達するわけであります。その意味におきましては、たとえば播磨灘の中央部であるとか別府湾の奥部であるとか周防灘の南であるとか、こういったところが近年急速に底質が悪化しております。したがいまして、これは一時的にあるところに入ったものがすぐに底へあらわれるという意味ではなしに、長年かかって底へ移動して沈積していくという性質を持っておりますので、汚染源との直接の対応というよりも、従来そうひどくなかったところが、汚染の急激な増加によって急激に底質汚染が進行するという性質を持っておりますので、やはりそういったところの集中域におきましては、有機汚染泥を主とするそういったものの除去、これはぜひ実行しなければならないことだと存じております。
#173
○岡市参考人 有機汚染泥の問題をSだけで、よく調べられるわけですけれども、これは工場排水の質のところで私、しつこく申しましたけれども、やはりそういう問題はどろにあるわけです。ですからもちろん、どろの中の硫黄の量を一つのメルクマールとして、それを除くことはできると思うのですが、除くことの意味というものをやはりいろいろ考えてみなければいけないだろう。早急には、いま村上さんが言われましたような三カ所の有機汚染泥、それから、あとは漁場老化と関係しましてハマチ養殖漁場の有機汚染泥の除去、そういうことが必要であろうと思います。
#174
○安達参考人 大分方向が違うことからお話ししますが、有機汚染泥、どろと関連しまして、赤潮がいわゆる大発生しておって消えてしまった場合、やはり胞子、種ですね、胞子という形でどろに埋没します。そういう生物的な面でも、やはりどろでのチェックが必要ではないかと思うのですが、先ほどの汚染というような意味と、またちょっと違いまして、生物的な意味でお答えします。
#175
○木下委員 もう最後でありますが、政府はこの赤潮問題に対しまして、やれ情報交換事業であるとか、あるいは被害防止施設の設置であるとか、こういうふうないわば対症療法的施策を進めてきたのです。こういう消極的対応をしてきたわけでありますが、今回の赤潮問題というのは、こうした対応の仕方の破綻を示しておると思うのです。同時に、最悪の赤潮多発期である七月、八月の恐るべき赤潮の大発生を示唆しておると思うのです。すでに三年前の昭和四十七年にこの瀬戸内海の沿岸養殖ハマチ約千五百万匹が死滅し、七十四億の被害を受けたばかりなのです。いまこそ緊急な抜本的対策が必要であると思います。これを放置しますならば、日本の漁業の中心的役割りを果たすべき沿岸漁業というものは壊滅をいたします。漁民の生存が奪われるばかりではなくて、これは国民の動物たん白源の確保ができなくなるという大変な問題になるわけであります。
 そこで、ではどのような抜本的対策が必要かという点であります。たとえば工場立地にいたしましても、あるいは埋め立てにしましても、これは企業の立場ではなくて、国民の生存と健康、瀬戸内海の保全の確保、こういう観点から根本的に見直すべき段階がきたというふうに私は思うのですが、参考人の方々の御意見を最後に承っておきたいと思います。
#176
○村上参考人 現在、水産庁などでとっております赤潮に対処する対策、これが果たして有効か、あるいは有害であったか、このことの論議はさておきまして、いまおっしゃられました抜本的な対策をやるための姿勢、これは私も同感でございます。
#177
○岡市参考人 先ほども申しましたように、私は、瀬戸内海沿岸の工場排水の一斉調査、これは赤潮の観点からの調査を早急にやっていただきたい。いままで赤潮の研究というのは、主にN、Pに焦点を合わせられていた。工場排水に関しましても、徳山湾に関しては非常にあいまいな形で解決がついているように思うわけです。その辺をはっきり見据えておく必要はあるかと思います。
#178
○安達参考人 やはり村上さんと同じように、抜本的な形で対処していただければ私はいいと思います。お答えいたします。
#179
○木下委員 結構です。終わります。
#180
○渡辺委員長 坂口力君。
#181
○坂口委員 参考人の皆さん方にお礼を申し上げて、質問を続けさせていただきたいと思います。
 まず、安達参考人にお聞きをしたいわけでありますが、きょう最初、田中先生がちょっと最後に触れられて、時間がありませんために質問を中断されましたけれども、この養殖そのものが赤潮発生を呼ぶという因果関係があるのかどうかということが一つ。
 それからもう一つは、先生が、種類によりまして害を起こす赤潮と、そうでないものとがあるということをおっしゃいましたけれども、これは多量にと申しますか、広範囲に発生する赤潮でも害を起こさないものがあるのかどうか。これは私の聞き間違いで、先生がおっしゃったのは、フグの毒のような非常に強烈なものが一部分にあるという意味でおっしゃったのかどうか、ちょっと聞き漏らした点がありますので、その点をひとつお答えをいただきたいと思うわけです。
#182
○安達参考人 最初のハマチ養殖との関係だと思いますが、伊勢湾においては現在ハマチはほとんど養殖されてないと思いますが、ハマチ養殖としては尾鷲湾の方で、別な方でやっております。それで赤潮との関係ですが、私は実は二年ほど前から尾鷲湾で調査しておりますが、まだ、これといった明確なところは出ておりません。ただ、問題になりますのは、去年の結果から少し見ますと、尾鷲港と、あとやはりハマチ漁場に近いところで赤潮が出る種類が発生していたことを記録しておりますが、ただ、それが赤潮状態まで発達しておりませんので、その辺のところは明確ではありません。
 二番目のことですが、種類によって分布が違うことを話しました。それは、実は伊勢湾で一年間、週に何回となく、飛行機の場合には毎日の調査を集積しておるわけですが、その結果を見てみますと、ごく一部分、話したと思うのですが珪藻類のスケルトネマとかそういうものは湾奥にありまして、それは赤潮状態になっても特に余り被害と結びつかない種類でございます。むしろ被害と結びつく種類というのは、ごく限られたグループでございまして、そういうものが発生しますと、養殖業、たとえばハマチなりそういう漁業とか、または貝類とか、そういう面での対処の仕方、水産上の対処の仕方も含めてですが、そういうことが必要だと思いますが、これは分けて考える必要があると思います。
#183
○坂口委員 いま先生がおっしゃった、非常に害の大きいものと申しますか、害を与える種類ですね、これの発生する原因というものを、先ほどもちょっとお話が出ましたが、これの研究というのはまだ進んでいないわけでございますか。特に害を起こす方の赤潮の発生の特別な要因と申しますか条件と申しますか、その辺のところは現在進行中でございますか。それともある程度わかっているのでしょうか。
#184
○安達参考人 実はこれは現在進行中と言った方がよろしいと思うのですが、ただ、ここで言えますのは、ギムノデニウム・ナガサキという種類がございますが、これは大村湾で大分前に魚介類に影響を及ぼしたギムノデニウムでございます。それを現在尾鷲湾で追っておるわけですが、そういうものが一つあります。さらにあと、先ほどの瀬戸内海で四十七年に大きな被害を受けましたホルネリアという種類がございますが、その発生しているのを私は実際に観察してないのですが、資料から見ますと、あそこに至るまで、山口とか方々で発生しながら、あそこに至っていると承っておりますが、結局、発生するときの条件なり、そういう分布パターンをやはり集積して、今後に対処しなくてはならないのじゃないかと思いますが、いまのところ系統的な意味での分析はまだ明快にしておりません。
#185
○坂口委員 ありがとうございました。
 次に、岡市参考人に二点お伺いをしたいわけでありますが、一点は、重油が赤潮発生に対する大きなファクターとして存在するということについて、先生は学者としてのお立場から、データ等の積み重ねもこれからしなければならないというような、非常に慎重なお答えをしてお見えになるわけでありますが、私ども素人が先生のお話を承りますと、どこから流れ出た油であるかということは別にいたしまして、油というものが赤潮発生に対して非常に大きな影響力を持つものであるという感じが一つはするわけであります。そのことと、それからもう一つは、先ほど村上参考人が少し述べられましたけれども、すでにいままでも、海水中にはかなりな油が含まれている、しかし、それにもかかわらず赤潮が起こらなかったのに、今回こういうふうな赤潮が起こったということは、いわゆる三菱の流出の油が影響しておるかどうかということは非常に疑問であるというような御発言ではなかったかと思うわけでありますけれども、先生、先ほどおっしゃいました〇・〇二ppmでございますか、この濃度の油が存在するということが、赤潮の発生に非常に大きな影響を与えるというお話でございましたが、この〇・〇二ppmという濃度そのものが、これは影響をするのでございましょうか。それとも、何もなかったところに〇・〇二ppmぐらいの濃度の油が入り込む、いわゆるこの濃度差と申しますか、落差、これが影響をするのでしょうか、その辺のところもあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
#186
○岡市参考人 最初の水島重油と赤潮との関係は、これは先ほどからも述べておりますように、明らかに何らかの因果関係がある、しかし、その因果関係を一つの培養実験だけで言うには、これは学問的にはまだ不十分だということを私は申しているわけで、私自身の考えとしても、それをそういう方向でもって研究していきたい。これは、学問の研究というのは、最初に立てる目的設定によって、かなりその結果も変わってくると言うと変な言い方ですけれども、出し方が違うわけです。ですから、そういう方向で進めていきたい。
 それからもう一つ、二番目、村上さんは必ずしも昔は赤潮がなかったのだと言っているわけではなくて、昔の赤潮の中で重油が、重油と言わなくても、一般の石油汚染がどういう役割りをしているかが、余り明らかではなかったのではないかというふうな御指摘かと思うのですが、私は、これは海水中のCODであらわされる成分の中に一括して含まれていたのだ、瀬戸内海で昔からといいますか、この十年来、瀬戸内海で赤潮がよく発生するようになったその元凶の中には、一般に船舶がたれ流しをするような油にも責任があったのではないか、そういうことでございます。ですから、水島の重油汚染は、非常に短期間に大量に一地域に流されたために、その地域への影響が大きかった。瀬戸内海全般に対しては、計算してみると、いままで年間一万トンから三万トンぐらい石油が流れていると言われていますが、それは全体的に影響しているのだ、そういうことです。
 それからもう一つ、濃度の件ですけれども、これは私たちの結果で、新聞では〇・〇二ppmのことだけが取り上げられているわけですが、〇・一ppmでも、入れないよりはずっとよくふえているわけです。ですから、全体的に油が入ることが問題で、その中で特によくプランクトンがふえるのが〇・〇二ppmだということでございます。
#187
○坂口委員 それから、村上参考人にお伺いをしたいと思いますが、赤潮が起こりましたときの海水あるいは気候の状態というものと、それから起こっていないときの気候あるいは海水の状態というような比較研究と申しますか、もう少し広範囲なマクロな研究というものがなされているのかどうか。もしもなされておりましたら、お教えをいただきたいと思いますのと、それからもう一つは、赤潮が発生をして、今度は赤潮が消えていく、この消えていく要因というのは何かということですね。大変素人なものですから失礼なことをお聞きいたしますが、ひとつお教えをいただきたいと思います。
#188
○村上参考人 最初に、先ほどの御質問の中に、私の発言の趣旨をやや違って受け取られている点がございましたので、ちょっと訂正といいますか、補足させていただきます。
 私、先ほど岡市さんも申されましたように、従来の瀬戸内海の油の濃度で赤潮が起きていないとは申し上げておりません。当然起きていたわけです。ですから、そういった従来の濃度でも、仮に重油が赤潮発生促進作用があるとすれば 従来でも起きていた、それに今回さらに加わったのだという意味の発言をいたしましたので、この際、補足させていただきます。
 それから、ただいまのお尋ねの気象あるいは海象のマクロな研究はないかということでございますが、これは実は当時の科学技術庁の研究費によりまして、四十二年から三年間、徳山湾で内湾赤潮に関する総合的研究というものを私どもでいたしております。その中で、たとえば気象につきましては、降雨の状況によって、それが赤潮発生と密接に結びついている。たとえば一週間に五十ないし百ミリ程度の降雨があった場合には、徳山湾では必ずと言っていいほど赤潮の発生を見ている。まあ一例でございますが、そういった点はマクロ的にも研究しております。
 それから、消えていく方に関しましては、やはり同じ徳山湾で、発生の前から、発生して、盛期になって、だんだん衰退していくという状況を、フィールドで詳細に観測しております。
 それで、消えていく要因といたしましては、これはいずれにしても異常増殖なので、一つの制限要因が働く。その場合の制限要因というのは、特に栄養塩の不足によるのではないかというふうなことをやっております。ただし、これはかなり過去の研究でありまして、今後もやはりそういった点を詳細に突きとめる研究が必要であろうと存じております。
#189
○坂口委員 重ねて村上参考人にお聞きをしたいと思いますが、先ほど、最近起こります赤潮というものを食いとめていきますためには、埋め立ての問題、それから富栄養と申しますか、こういった問題を提起されたわけでありますが、栄養が豊富であるといいますと聞こえはいいわけでありますけれども、逆に言えば海水汚染ということだろうと思うわけであります。このN、Pにいたしましても、それから先ほど岡市参考人がおっしゃいましたようにCODの問題にいたしましても、あるいはそれぞれの集積によって起こってくるのであろうと思いますけれども、これらを赤潮を起こさない程度に下げることが、果たして技術的にでき得るのかどうかということと、それからもし現状が続くといたしましたならば、いままでわかっておりますデータからしまして、ハマチの養殖というものが本当に今後続けていけるのであろうかどうか。先生方のいろいろのデータをお聞かせいただいておりますと、どうも今後もどんどん引き続いて起こってきそうな予感がしてならないわけであります。もしそうだといたしましたら、ハマチ養殖というものを今後いままでのように続けていくとしたら、絶えず今回のような事故を繰り返し繰り返ししていかなければならない。その補償たるものがきちっとできればいいわけでありますけれども、何もできないような現状では、いまのような海の状態が続くとしたら、もはやハマチの養殖というのは続けられない。これはむしろ先生方の方は警告を発したいお気持ちではないかという気もするわけでありますが、その辺のお気持ちを聞かせていただいて、終わりにしたいと思います。
#190
○村上参考人 第一点のN、Pなどの濃度を下げることができるかどうかということでございますが、これは理屈の上からは、ほかから入るものをカットすればできるはずであります。先ほど申しましたように、黒潮から運ばれてくる量というのは、こんな異常な濃度はございません。現在のオリジンというのは、おかから入るもの、それから海の底から溶け出すもの、これでございますので、これをカットあるいは除去すればよろしい。それはもうわかり切ったことなのでございますが、問題は、そうすることが果たして現実に可能かどうか。一つには処理技術の問題があると存じます。もう一つには、もちろん生活排水の処理体制の問題、こういった条件が整えば、理屈の上からは下げることは当然可能だろうと思います。
 それから第二点の、今後ハマチ養殖を続けていけるかどうかという御質問ですが、これははなはだむずかしいことでございまして、これもやはり理屈の上からは、先ほども申しましたように、富栄養状態が解消しない限り、続けるとすれば斃死の危険を念頭に置いてしなければならないとしか申し上げられないわけでございますが、ただそれでは、そういった赤潮多発という状況に対するハマチの養殖の特殊な方法と申しますか、そういうものの開発、これはまだ可能な部分があろうと存じます。たとえば、先ほども岡市参考人が触れられましたが、瀬戸内海どこもここも全部富栄養というわけではございません。それから、そういった大規模赤潮がどこもここもあるというわけではない。つまり比較的富栄養化の少ない、あるいは汚染の少ない海域、そういうところが残されている。したがって、そういうところでの養殖はかなり昔の時点と同様に可能であろう。しかし、これはもちろんハマチ養殖そのものの技法から言って、たとえばそういう深いところでやるにはどうすればいいかという問題は技術的には残りますが、とにかくそういう可能性はある。逆に申しますと、現在、比較的低汚染の程度で残された海域を、今度は本当に守っていくということも当然必要になるというふうに考えます。
#191
○坂口委員 ありがとうございました。終わります。
#192
○渡辺委員長 折小野良一君。
#193
○折小野委員 最初、安達先生にお伺いをいたします。
 赤潮の被害といった場合におきまして、多くの場合においては、それによって魚介類が斃死するということが出てくるわけでございますが、その斃死の直接の原因は、中毒によって、それもプランクトンの種類によって、特に毒性のはなはだしいプランクトンによって、そのような斃死が起こるのだというお話、いろいろお伺いをいたしましたが、一般的には、そういうような状態のほかに、いわゆる酸素が欠乏して大量斃死を来すというような場合、あるいはプランクトンが魚のえらその他にひっかかって、いわゆる機能障害を起こして斃死をするのだとか、いろいろな場合が考えられると思います。したがいまして、赤潮の種類あるいは赤潮の態様がどういうような被害を直接及ぼしていくのか、そういう点、一般的なことにつきましてまず、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
#194
○安達参考人 赤潮の被害について申し上げたいと思いますが、先ほど有毒な場合のお話をいたしましたが、御指摘のように通常ですと酸素欠乏状態。先ほどおっしゃいましたように物理的にえらとかそういうものが詰まってしまう、べとべとした、すぐ破壊するような生物については、えらが詰まってしまうということがあります。さらに、そういう生物が分解するためにアミン類とか二次的に毒性物質が出たり、またはバクテリアの繁殖などの二次的現象で死ぬ場合。赤潮の被害という場合には、これはケース・バイ・ケースでその死因判定になってくると思うのです。ですから、先ほどの説明で毒性があるというような話をしたために、少し誇張されて聞かれたのではないかと思います。
#195
○折小野委員 いろいろな被害の態様というのがあるわけでございますが、わが国の近海におきまして最近起こっております赤潮、それによる被害、それはどういうような態様の被害が最も多いのでしょうか。それぞれケース・バイ・ケースによって違うと思いますけれども、一般的にはどうなのでしょうか。
#196
○安達参考人 一番多い被害例数から言いますと、私は前に百四十例の赤潮について、被害が出たものについて幾つかまとめたのがありますが、その当時一番多かったのはノリ養殖がございますが、ああいうときに出る赤潮の場合には、ノリにべとべとついていろいろ被害を起こしている、それが一番件数としては多かったと記憶しております。その次は魚類になってまいります。貝類の被害というのは比較的少ないものですが、たとえば赤潮を食べたために貝類の肉質分に色がついたり、そうしますと市場に卸せない、そういうようなことから出荷できないということとも関連します被害、そんなこともございますが、一番多いのはやはりノリに対するものだと思います。それはなぜかといいますと、ちょうどノリひびを張る幼体というのでしょうか、あのころに赤潮が伊勢湾では比較的多く出るし、ほかでも二、三ありますので、ああいうノリの網ですか、網についたばかりの幼体、あのときに被害を受けますと、その網が全然使えなくなったり、いろいろいたしますので、そういう被害がございます。
#197
○折小野委員 次は、岡市参考人にお伺いいたしますが、この赤潮の被害の態様、先ほど安達参考人からいろいろ御説明がございました。瀬戸内海の場合におきましては一般的にどういう態様の被害がございますでしょうか。それから播磨灘における四十七年度と今回の赤潮の被害はどういう態様でございましょうか。
#198
○岡市参考人 播磨灘といいますか瀬戸内海全体で多い被害というのは、やはり魚類の斃死ということでございます。もちろん赤潮で斃死することもありますし、その赤潮の起きる前あるいは起きた後で、先ほどお話のありましたような非常な溶存酸素不足でもって、貝類だとかカレイのような底棲魚が死んだことがございます。これは四十七年に愛媛県の沿岸でございました。四十七年のハマチの大量難死につきましては、これはいわゆる海産ミドリムシによると言われておるわけですが、現在、私たちの研究室でこれの毒性の研究をしております。従来これは生理的に酸素不足によってハマチが死んだのだと言われているわけです。ところが実際には、このプランクトンを培養しまして、少し油を溶かすような薬剤、クロロホルムのようなもので抽出して実験していきますと、明らかに毒がございます。ですから、従来無害というか余り害がないと思われていたようなものについても、隠れた毒の存在というものがあり得るように思います。
 五十年の赤潮につきましては、こういった海産ミドリムシのような毒は、いまのところまだわかっておりません。夜光虫の中に非常にアンモニアが多かったり、夜光虫自身が有機物が多いものですから、そういうものが海の中で酸素を吸収して、酸素不足を起こさせる、そういうことはあり得るように思います。
#199
○折小野委員 いろいろと御意見を伺っておりまして、結局赤潮発生の原因につきまして、工場排水その他いろいろなものが考えられるし、またいわゆる天然現象、気象条件、そういうものも考えられるわけでございます。したがいまして、一般的に人為的な要素とそれから自然的な要素、こういうものが原因としていろいろ考えられております。その赤潮につきまして、特に最近、瀬戸内海におきまして多発しておる赤潮の原因を分析いたしました場合に、個々の原因の寄与率というものもいろいろあるでございましょうが、人為的なものと自然的なものと分けて、果たしてどちらがどの程度寄与しておるのであろうか。これはもちろん個々のケースによって必ずしも一様ではないとが思います。しかし、一般的に言って、どの程度人為的な寄与率があるのか、こういう点についてひとつ岡市先生の御意見をお伺いしたいと思います。
#200
○岡市参考人 非常にむずかしい御質問ですけれども、たとえばN、Pの負荷量を基準にして考えれば、もう人為的な影響というのは三分の二以上。それからもう少し科学的でない言い方をさせていただければ、昭和三十二年以前の赤潮の発生状況と現在の赤潮発生状況と比べて見ていけば、恐らく九〇%以上人為汚染によると考えても差し支えないかと私は思います。
#201
○折小野委員 ただいまの御意見でございますが、私どもも先生方の御意見をいろいろお聞かせいただいておりまして、赤潮の原因、それに対する人為的な要件の寄与率というのが非常に高いということを感じております。といたしますと、結局そこに人為的なものと赤潮という現象との間の因果関係というものがいろいろ考えられるわけでございまして、結局いろいろな対策を講じていく上に、因果関係というのは非常に大きな要素になってくるというふうに考えられるわけでございます。
 実はけさほど漁業関係の参考人の方の御意見がございました。四十七年度の播磨灘における赤潮被害に対しまして、政府が天災融資法を発動して、結局被害対策として融資をしたということなのです。おっしゃったその問題は一応別といたしまして、少なくも政府の対策として、赤潮対策に天災融資法を発動するということは、現在の赤潮の発生原因等から考えるとこれは間違いだ、こういうふうに言っていいのではなかろうかというふうに考えますが、この点、各参考人の方々の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#202
○村上参考人 私は実は法律のことは全然存じませんので、天災融資法というのはどういう性格のものか存じませんが、少なくとも、大規模な被害を伴うような赤潮の発生に関して、人為的な条件を除いては考えられない。しかし逆に今度は、人為的な条件だけでああいうものが必ずできるかというと、それに自然的な要因、たとえば集中豪雨があるとか台風があるとか、そういうものが加わらないと大きな赤潮が出ないケースもあるということで、実は先ほどおっしゃいましたどちらがどのくらいの比率かというのは、私はそういうような考え方ではなしに、現在問題になっているような赤潮は、少なくとも人為的な要因を抜きにしては起こり得ない、ただし、必ずそういう条件があれば、つまり富栄養化その他の条件があれば起きるという性格のものではない、そこにやはり天然的な要因というものが加わる必要があるというふうに考えております。
#203
○岡市参考人 私が先ほど申しましたのも、かなり村上さんの趣旨と似ているわけですが、ただ、台風があったり雨が降ったりしても赤潮は起きないわけでございまして、要するに、そういった場合に赤潮が起きるということの前提に、人為汚染が全部あるというわけでございます。
 天災融資法にこれが当たるのかどうかということについては、これは学問的な判断でなくて、むしろ皆さんの御判断だろうと私は思いますが、赤潮に対するある対策は、少なくとも養殖漁業を続けるのであれば、そのための何らかのそれにかわる対策が必要だろう、そういうことは常々考えております。
#204
○安達参考人 いまの件はいろいろ考えられると思うのです。ただ、天災融資法の件ですが、人為的か、それは先ほど岡市先生がおっしゃったように、そういう学者で言うような言葉ではないと思うのです。ただ、たとえば私は現在の伊勢湾の赤潮をよく見ているわけですが、そういうことから見ますと、非常に人為的な背景が強いとは思っております。
#205
○折小野委員 天災融資法を適用するかどうかというような問題よりは、それを天災と見るかどうかという認識の問題、これが一番基本的な問題ではなかろうかというふうに考えております。
 最後に、実は私は九州の出身なのでございますが、私のところの近所におきましても各水産関係の研究機関がございます。それを見ておりまして、もっともっとお互いに連絡協調を十分やって研究をしていただくならば、もっともっと研究が進むのではなかろうか。それは一つは、県の水産試験場、国の研究所、それから大学の研究関係のいろいろな組織、こういうようなところが、同じところでいろいろな調査をいたしておるわけでございます。ところが、組織が違いますので、やはりそれぞれの立場における研究というのが行われておる。したがいまして、場合によっては一つの問題についての見解も相違するということがございます。私は、相違することが必ずしも悪いこととばかりは言えないと思うのでございますが、しかし、そのことがその地域の水産業者その他の信頼感をなくする。そのことによりまして、研究調査あるいはそれに基づくいろいろな行政の効果を阻害をしておる、こういう面が非常に多いように感ずるわけでございます。
 ところで、村上参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、瀬戸内海関係のことについては、そういうことはなかろうかと思うのでございますが、お互いの研究機関がひとつ十分協力をしていただいて十分な成果を上げていただく、こういう面について何かお考えがございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
#206
○村上参考人 瀬戸内海関係で、おっしゃるような水試あるいは水研、大学との研究の協力、これは私、率直に申し上げまして、最近はずいぶんそういった体制が進んできたと思います。ただ、現状で必ずしも満足すべきところまではいっていない。もちろん水試、水研、大学、それぞれお得意のパートがございまして、そういったパート、パートの特徴を生かすということは大切でございますが、それを総合するような一つの研究集団、これをつくり上げていくということには、私も異存はございませんし、また、それを私自身切望するものであります。
#207
○岡市参考人 私は、いままで水試、水研関係と大学との関係が非常に悪かったと考えております。というのは、水試、水研関係の調査は非常に起きた事件に対応的である。ところが大学の研究はかなり基礎的な立場で行われている。との両者のドッキングと申しますか、連絡がいままで非常に悪かった。ですから、水研、水試の見解と大学の見解とはかなり違う場合が多々あったと思っております。この辺につきましては、大学側にも多少問題もございましたでしょうから、今後は両者合わせていけるような体制、これは先ほど安達さんが言われましたような赤潮研究所というようなもの、現在、香川大学でも浅海域の環境研究施設の予算要求もしております。そういうものができてまいりますと、一つの核になり得るのではないか、そういうふうに考えております。
#208
○折小野委員 時間が参りましたので、これで失礼します。ありがとうございました。
#209
○渡辺委員長 以上をもちまして、参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人各位には御多用のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 次回は、来る五日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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