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#1
第075回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第12号
昭和五十年六月五日(木曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 渡辺 惣蔵君
   理事 田中  覚君 理事 登坂重次郎君
   理事 林  義郎君 理事 藤本 孝雄君
   理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君
   理事 木下 元二君
      阿部未喜男君    岩垂寿喜男君
      江田 三郎君    米原  昶君
      岡本 富夫君    坂口  力君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 小沢 辰男君
 出席政府委員
        警察庁刑事局保
        安部長     荒木 貞一君
        環境庁長官官房
        長       信澤  清君
        環境庁水質保全
        局長      大場 敏彦君
        通商産業省立地
        公害局長    佐藤淳一郎君
        資源エネルギー
        庁石油部長   左近友三郎君
        運輸省船員局長 山上 孝史君
        海上保安庁次長 隅  健三君
        建設省河川局長 増岡 康治君
        自治政務次官  左藤  恵君
        消防庁長官  佐々木喜久治君
 委員外の出席者
        内閣官房内閣審
        議官      加山 文男君
        水産庁研究開発
        部長      佐々木輝夫君
        運輸省港湾局技
        術参事官    鮫島 泰佑君
        建設省都市局下
        水道部長    久保  赳君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月五日
 辞任         補欠選任
  角屋堅次郎君     江田 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  江田 三郎君     角屋堅次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公害対策並びに環境保全に関する件(瀬戸内海
 汚染対策及び赤潮問題)
     ――――◇―――――
#2
○渡辺委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江田三郎君。
#3
○江田委員 水島の三菱石油の事故が起きまして半年たつわけであります。すでに漁業補償も行われ、企業の方は操業の再開を急いでおる、そういう段階に参りまして、これはただ一水島地区の問題というだけでなしに、非常にスケールの大きい問題であり、国会でも取り上げ、政府の方もいろいろおやりになっておるわけですから、最終段階になって政府としてどういうお考えなのか、そのことをお尋ねしたいのであります。
 まず第一に、この事故が起きて以来、政府として直接にどういう措置をおとりになったか、あるいは企業なり地元に対して、どのような指示なり指導をされてきたか、その点からお伺いしたいわけです。
#4
○左藤政府委員 水島で油が流出をいたしましたのが昨年の十二月でございまして、その後、現地対策本部として、政府として本年の一月十三日に岡山県庁の中に対策本部を設置いたしまして、十三省庁から大体四十数名ずつ、現地で関係のいろいろな問題につきまして調査し、視察し、指導に当たったわけでございます。
 そのやり方といたしましては、一つは回収、防除の点、二番目が被害補償対策、それから環境影響調査、そして防災対策と、四つの班に分けまして、それぞれ副本部長を置きまして、積極的な活動を図ったわけでございます。
 具体的な活動といたしましては、まず回収、防除の点につきまして、関係県に自衛隊の支援要請を指導いたしまして、陸上自衛隊、海上自衛隊の御協力を得まして、大規模な流出油の回収作戦というものを展開したわけでございます。さらにまた、三菱石油の会社の方にも督励いたしまして、二次的な浮遊油、それから付着油の原因となりますノリ、ワカメの回収、撤去をしたわけでございます。その他、対策本部が現地にあります間にも、ドラムかんの回収とかバラ油の回収、そういった問題についてそれぞれ努力をいたしたところでございます。
 それから漁業補償につきましては、第二次の内金払いの問題につきまして、四県の各漁連からの要望がございまして、一月三十一日に、当時の四漁連と会社側との間の折衝というものをあっせんをいたしまして、そのときは六十億円の支払いというものをいたしたところでございます。
 さらに間接補償の問題につきましては、これに対応いたします基本方針を会社側に指示いたしまして、関係各県と十分連絡をして、県があっせんするという体制を整備させて、ただいま大部分が、この間接補償の問題についても解決を見ておるところでございます。
 その他環境影響調査の問題、これも水質、底質、水中汚染調査、海岸、河川調査、魚介類等の影響調査、油汚染の人体影響、それから水産物市場等の実態調査、いろいろ十四項目にわたります調査項目ということで、これはすでに第一回の調査を実施いたしまして、ただいま、その整理をやっておる段階でございます。
 それから、そのほか漁業再開に関連いたしまして、油臭魚調査とか、そういったものの調査方法を現地で指導いたしまして、漁連の自主的な調査によって試験操業をして、漁業再開を今日は完全に実施しておるところでございます。
 さらに防災対策といたしまして、これはそれぞれ対策本部員が、それぞれの専門的な見地から検討を加えまして、今国会に提出を予定いたしておりますコンビナート法案の作成のためのいろいろな問題点の検討、さらに、そのほか防災上のいろいろな問題点の指摘ということをしておるところでございます。
 そうした作業というものをいたしまして、現地対策本部といたしましては、被害が非常に範囲が広かったものでございますから、被害各県の窓口の一元化と、それから応急対策という面、各県の連絡調整というものを機能的に行うために設置されたものでありますので、そうした意味におきまして、一応の見通しが立ちました段階で、二月八日をもって組織、人員はそのまま東京に移しまして対策本部といたしまして、その後、引き続いて対策の万全を期して、各県からの連絡も十分受けまして、すでに連絡会議といたしまして三回、対策本部の会議として五回、東京で行っておる。
 以上が、最近までの政府といたしましてのとりました対策の概要でございます。
#5
○江田委員 そこで、先ほど申しましたように、企業の方は再開を急いでおる。再開の許可を申請をしておるというように私は聞いておるのでありますが、この際、再開の許可というのはどこがオーケーをすればいいのか。
    〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕
 さらに許可するとすれば、どういう条件が整えばいいのか。いままで対策本部としていろいろおやりになったことを、いまお話がありましたが、その調査あるいはいままでの経過から見て、もう許可していい条件になっておるのかどうか、そのことをお聞きいたします。
#6
○左藤政府委員 今回の水島の事故の発生と同時に、倉敷市の消防が、そういった緊急事態の発生と同時に操業停止をいたしておりますので、そうしたことで操業を再開するためには、倉敷市が停止いたしておりますものを解除すると申しますか、ということだけで、法的には操業を再開することができるものと私は考えております。しかしながら、いまお話がございましたような、政府全体まで取り組んで対策を講じなければならなかった非常に大きな事故でもございます。いろいろな影響もございますので、そうした倉敷市だけの判断ということでいいかどうかという問題、これは法的にはそれだけでいいと私は思いますが、実質問題といたしまして、岡山県当局あるいはまた政府の対策本部といたしましても、こうした判断のことにつきまして倉敷市だけでなくて、政府としても十分この問題について指導をしていかなければならない、このように考えております。
 それから現段階におきまして、いまお話がございました水島の製油所の操業再開が、どういった条件が整えば再開していいというふうに政府として判断するかということでございますが、現時点におきましては、まだそうした操業再開をさせてほしいといいますか、というようなことについての政府に対します、対策本部に対します連絡は、現段階におきましてはございません。しかしながら、いろいろ客観情勢といたしまして、二度とそういった事故が起こらないように、そしてまた、安全対策というものが十分行われているかどうかという配慮があって、初めて操業再開することができるのではないかと思います。その点につきましては、対策本部と申しますよりも自治省の消防庁が、十分この問題についての指導をすべきもの、このように考えております。
#7
○江田委員 法的には倉敷市ということになる。しかし問題の性格、その影響の大きさから見て、当然政府が指導をする、こう言われましたが、まずその前に、被害を受けたのが岡山、香川、徳島、兵庫、私は最小限この四県の了承が必要ではないかと思いますし、また、いまおっしゃったような政府の指導――指導というのはいろいろな解釈ができますけれども、四県とともに政府の了承が必要だ、そう考えてよろしゅうございますか。
#8
○左藤政府委員 法的には倉敷市だけでございますけれども、いま申しましたようなことで、了承と申しますか、そういった点の十分の配慮というものが私は必要ではないかと思います。それから四県につきましても、別に法的に四県の同意とかあるいは承認を得るというような性格ではないと思いますけれども、こういった事態につきまして、それぞれの県に十分連絡をとるという必要はあろうかと、このように考えております。
#9
○江田委員 まだ再開の申請はないということでありましたが、倉敷消防本部の方へは申請がされておるのじゃないでしょうか。消防庁の方、連絡はありませんか。
#10
○佐々木政府委員 まだ私どもの方にも倉敷市の消防本部から、再開申請というものが出てきたという連絡はございません。
#11
○江田委員 ないと言えばそれまででありますが、私が先日、水島の工場の方に参りまして、工場の責任者に聞いたところでは、そういう申請をすでにしておるということでございました。さらに岡山県としても、再開にオーケーを与えるとすればどういう条件で認めるべきかということを、すでに県議会の中でも意見の交換がなされておるような状態でありまして、私はいままでの経過から見て、現地対策本部までつくられたのに、そういうあなた方を抜きにして、地元だけでやっているようには思わぬのでありますが、ないと言えばそれで結構でしょう。なければないでよろしいが、もし申請があったならば、どれだけの条件が満たされればいいというようにお考えになるか、それを明らかにしてください。
#12
○左藤政府委員 これは連絡会議を開会、開催いたしまして、国としてどういうふうに検討すべきかということについては、連絡会議の結論によって国の立場を決定すべき性格のものであろうと考えておりますが、国の立場ということを離れまして、私個人ということでいま考えて、いろいろ考えられる問題の一、二点を申し上げさせていただきたいと思います。
 それは流出事故が発生いたしました三菱石油の責任というものはきわめて大きいことは申すまでもございませんが、その後のいろいろな状況を見てみまして、ただいままでのところ、油の回収とか、それに伴います清掃の完了とか、漁業補償その他の補償が大方終わっているとか、そういった一つの客観的な事実がございます。それからもう一点は、倉敷市とただいま防災協定を結ぶという問題が進んでいるように聞いております。この内容の問題。それから会社側が自主的な防災体制を整備いたしております。それが妥当かどうかという問題。それから過日、約一カ月にわたりまして点検運転をいたしました。それで安全の確認と補修をいたしましたが、その結果をもう少しいろいろと調べてみたい。そういった問題などを考えました上で、安全性は確保されているかどうかとか、そういった問題を十分配慮した上で決定すべきものであろう、このように考えております。
#13
○江田委員 いまおっしゃったことについて若干疑問がありますので、お尋ねしますが、まず、流出した油の回収という問題でございます。
 これは、たとえば岩の割れ目に油が入っているとか、あるいは砂の深いところに浸透しているとか、そういうものが、気温が上がってまいりますと、だんだんと出てまいるわけです。現にまた出つつあるわけであって、完了はしていないと思うのですが、そういうことは一体どうされようとするのか。あるいは、もう一つもっと大きな問題は、流れたC重油がかたまりになって海底に沈でんしているのではないかということが言われておるのであります。これについては先ほどの環境影響総合調査の中でも取り上げられておると思うのでありますが、これは一体どうなっておるのか。環境影響調査の方は近く発表される、整理中だということでありましたが、いまの段階において海底にC重油は沈でんしておるのかいないのか、これはもうはっきりしていると思うのであります。そういう点はどうなっておるのか。
#14
○大場政府委員 環境庁が中心になりまして、環境影響調査をかなり広範な項目にわたって実施して、いまちょうど生データを集計中で、この十九日ごろに学者諸先生に集まっていただきまして、いろいろ検討を加えていただき、評価していただきまして、月末までには発表いたしたい、かように作業を進めている段階でございます。
 いま先生からお尋ねがありました底質はどうなっているかということでありますが、これは環境庁、海上保安庁、水産庁というぐあいに共同で調査しております。私どものところで聞いている限りでは、まだ断定的なことは申し上げられない段階でございますが、かなり広範囲にわたって底質というものは油によって汚染されている、しかし、これはかなりむらがありまして、一面べたにということではございません、非常にむらがあるという形であります。
 それから、今回の水島流出事故との関係はどうかということにつきましては、われわれも一番気にしているところでございますけれども、残念ながら現在までの知見では、どの程度流出重油が底質汚染に影響があったかということについては、判然としたデータは出ていません。たとえば流出域と思われる以外のところにもかなり高い底質の汚染がある。具体的に申し上げれば、大阪湾とかそういったところにもあるようでございます。そういったことで、水島との関係で底質の汚染がどのような形になっているかということにつきましては、もう少し、これは先生のお知恵をお借りして判定いたしたいと思っているわけであります。
    〔田中(覚)委員長代理退席、委員長着席〕
#15
○左藤政府委員 いまお話ございました気温が上昇してきてから、砂浜とかあるいはテトラポットの中から油がにじみ出てくるのではないかということでございます。
 大体清掃のめどがつきました三月十日から四日間、対策本部といたしまして四県を回りまして、清掃状況の現地視察を行いまして、清掃の不徹底な部分を具体的に指摘いたしまして再清掃させましたが、その後、御指摘のような気温の上昇とともに流出する油の監視につきましては、パトロール隊を会社側と四県にそれぞれ編成させまして、ずっと月に二回、三回という頻度でもって巡回させております。そして応急措置を講じておりますほかに、さらに砂浜におきましては、ボーリングをさせまして油の状況を調べさせて、その徹底的な防除、回収に努力しているところでございます。
#16
○江田委員 瀬戸内海に沈でんしている油の問題について、水島と関係のない大阪湾の方にもある、そんなことは言わぬでもわかった話なのであって、あの水島の油が流れた範囲というのはわかっているのですから、その範囲内でそういうようなことがあるのかないのかということをはっきりしてもらえばいいのである。そんなことについて先生のお知恵をお借りしたいなんて、ふざけたことをおっしゃらない方がいいと思うのです。とにかくあることははっきりしているのですが、そういうものが残っていることについては、今後だれの責任で、どういうようにしようとするのか、これをはっきりしてください。
#17
○大場政府委員 水島の油が流出した範囲におきましての底質につきましては、底質の汚染状況は、一面べたということではございませんで、むらがあるという形で汚染されている。しかし、ただいま申し上げましたように、それが果たして今回の水島油による汚染であるかどうかということにつきましては、まだはっきりと断定ができないということでございますので、そこは今後の検討にまたなければならないということを申し上げたわけであります。
#18
○江田委員 そのことについては後でまた触れますが、先ほど政務次官のお話では、防災体制を会社がとった、それが妥当かどうかということをおっしゃいましたが、この防災体制というのは、倉敷市消防本部、それとつながりのある消防庁が指導してやられたのではないですか。
#19
○佐々木政府委員 防災体制につきましては、現在倉敷市の消防本部とそれから岡山県とで協議をしながら、防災協定の内容の検討を行っております。
 その内容につきましても、現在、草案的なものが私どもの方にも参っておりますので、私どもの意見も、県の方から正式に上がってまいりました場合には、申し上げるつもりでございます。ただ、この防災協定の内容は、現行法のもとにおいて可能な限りの防災体制をとらせるというような内容のものでございますので、いま私どもの方でこれから提案いたそうと思っておりますコンビナート災害防止法の制定ができました段階におきましては、そのコンビナート防災法の規定に基づく必要な防災体制は追加せざるを得ないのではないかという感じがいたしております。
#20
○江田委員 何とも歯がゆい思いですが、あの事故が起きて、現行法には大きな欠陥があるということははっきりしたわけでしょう。そこで法律の改正をしなければならぬということになったわけでしょう。それをいま防災体制をつくるのに現行法の範囲内でつくらしておる。そんなことで一体住民感情が許すかどうかということなのであります。しかし、私は後からまたもっと触れますが、先へ進みます。
 被害の補償というものは、漁業組合とは四県おのおの成立をしたわけです。そのほか、たとえばおすし屋さんとか、ノリの施設をつくっている人とか、いろいろな間接的な補償というのが行われておりますが、瀬戸内海で海水浴をしたり瀬戸内海へ釣りに行ったりする沿岸の住民に対する補償というものは一体考える必要はないのか。私は従来いつも疑問に思うのでありますが、たとえば海の埋め立てをするという場合に、漁業組合とは補償の話し合いがあるけれども、住民に対しては何もない。しかし、住民は実は大きな被害を受けるわけなのであります。これは非常にむずかしい問題であります。むずかしい問題だけれども、沿岸住民全体に対して何らかの形で――一人一人に金を出すといってもできるものではないですが、何らかの形でそういうことを配慮しなければ、本当に被害補償をしたことにはならないのではないかという感じがいたしますが、現地対策本部としては、その点はどういうようにお考えになったのか。
#21
○左藤政府委員 いまのお尋ねは非常にむずかしい問題で、客観的にたとえば金で補償することができるかどうかとかいうことになりますと、その算出根拠はどうなるのかということで、非常にむずかしい問題であると思います。三菱石油会社としては誠意をもって、とにかく今日までは一応努力してきたことは、当然のことではありますけれども、また、ある程度の評価が与えられるだろうと思いますけれども、いまお話がございましたような全体的ないろいろな問題につきましては、現段階においては会社としましても、油の回収、防除そして漁業補償、あるいはいま御指摘のございました間接補償というものを支払うだけで精いっぱいではないかというふうに私は思います。具体的に今後、会社自体がどういうふうにするかということにつきましては、さらにいま御指摘のようなことも十分考慮した配慮というものが必要かもしれませんけれども、現段階におきましては、非常にむずかしいのではないか、このように私は考えております。
#22
○江田委員 いままでそういうことをやってはいないのですけれども、しかし、埋め立てられて海水浴ができなくなった住民に対しては、いままで何の補償というか償いもなかったわけなので、それは私は間違っておると思うのです。何も海というものは、そこで漁業を生業にしている人だけの海ではないのであって、もっと多くの人の共有財産だ。そのことがはっきりされなければ、今後もどうも環境の問題を扱うのに大きな手落ちができるのではないのか。この際、漁業補償だけで三百億円というようなことになって、会社の台所の苦しいことはよくわかりますけれども、私は金額の問題を言っているのでなしに、そういうことについてこの機会に、将来のためにもきっちりとした方向が示さるべきではないかと思うのです。これは環境庁長官はどういうようにお考えになりますか。
#23
○小沢国務大臣 江田先生の御指摘の点は、まさに私どもの気持ちとしても理解をいたしますけれども、何分どうも補償という概念には、権利、義務の関係から見ましてなかなかずばり当てはまってこない。しかし一方において、おっしゃるように当然広範にわたって、そういう海水浴ができなくなるとか、大事な海岸、砂浜がなくなるとかということに間接的に影響を受ける、住民のいわば潜在的な権利といいますか、そういうことに対して全く考慮しないということは、確かにおっしゃるようにどうも何らかの不満感といいますか、そういうものが残ることは事実でございますので、非常にめんどうな問題でございますが、なおそういう気持ちを一緒にしながら、検討させていただかなければならぬ。いま的確にお答えするものを持っておりませんので、その気持ちだけを申し上げておきたいと思います。
#24
○江田委員 そういう気持ちで検討してみてください。たとえばこの事故を記念と言ってはおかしいけれども、この事故にかんがみて三菱石油が、従業員のためのではなしに、一般大衆のための海水浴場を開発するということであるとか、あるいは皆さんのためにひとつ環境のいい釣り場をつくりましょうということであるとか、いろいろな行き方が私はあるのではないのか、そういうことをこの際、一歩前進をすべきではないかと考えます。
 そこで、先ほど底へ沈でんしているC重油のことがまだわからぬということでありましたが、漁業補償協定の第三条で、一応これで話はついた、こうなっておるが、その三条のただし書きに、「現在国が実施中の水島重油流出事故関係環境影響総合調査の結果により漁業に永続的影響があることが明らかになった場合及び将来本件重油流出事故に起因する予測できない重大な漁業被害が発生した場合は、甲乙協議する。」ということになっておりますが、私は実はこういうことをつくる前に、環境影響調査の方のデータがはっきり出てくればよかったと思うのです。何だかこの協定ができてしまって、そういうデータが出されるというのは、いかにも漁業者諸君には納得がいかないのではないかと思います。たとえば油がたまっておる、そこでイカナゴのようなものが産卵しない、イカナゴが減る、そうなるとイカナゴをえさにする回遊魚は減ってくるというようなことになってくるわけで、永続的な影響というものがこれから出てくるのではないかと思いますが、そのようなことが多少あったところで、もうこの漁業協定で万事終わったという解釈をされておりますかどうですか。
#25
○佐々木説明員 いま御指摘の永続的な影響につきましては、当然そういうこともあり得るという前提でいろいろな調査を進めているわけですけれども、かなり調査に期間を要します。いろいろな生態系の中での変化を追跡しなければいけませんので、当面のはっきりした被害について、漁業者のいろいろな経営上の問題もございますので、まず始末をつけた上で、今後の調査結果によって因果関係が非常に明確になった場合には、やはり当然それについても当事者間で話し合って善処をする、こういう趣旨でただし書きを特に加えた、こういうふうに私どもも報告を受けております。
#26
○江田委員 当委員会においても赤潮の問題が取り上げられておるのでありますが、学者の中には、あの流出した油によって赤潮の発生が今後大きくなるのではないかということを指摘されておる人もありますが、そういう問題についてはどういうお考えでしょうか。もし、そんなことで赤潮が多発して、漁業に被害があった場合には、やはり第三条ただし書きによって、両者の協議の対象になると考えていいですか。
#27
○佐々木説明員 香川大学等で、油の流出と赤潮との関係について因果関係があるのではないか、そういう疑いをもって検討すべきだということの御意見を出されているのは、私どもも承知をいたしております。ただ、従来の経験で言いますと、むしろ油そのものがいろいろなプランクトンの増殖に有害なのではないかということで、実験結果等ではマイナス効果が出ている場合の方が、むしろ普通でございましたし、それから同時に、わが国周辺の海域で、毎年、残念なことですけれども百件以上の油の流出事故がございます。それについて、その後に直接、油との因果関係で赤潮の発生なり、それによる漁業被害が出たという経験を、いままで実は余り持ち合わせておりません。しかし、私どもとしては、そういう新しい実験に基づくいろいろな提言があれば、これは当然検討しなければいけないということで、今回の影響調査の中にその問題も織り込んで、環境庁を中心に検討してまいりたい、かように考えております。その結果で、もし、はっきりした因果関係がつかめれば、当然先ほどのただし書きの適用の問題になってくる、こういうふうに考えております。
#28
○江田委員 そうすると、いまのところ、この補償協定がなされる段階においては、赤潮との関係は一応わからぬけれども、まずないという前提でできているわけですね。それから、先ほど私が具体的な例として触れましたようなことも、今後、調査をしてみなければわからない、生態系の問題は時間を要するのだということで、それらのことが出てくれば、当然再交渉の問題になるわけですね。そうでしょうね。
#29
○佐々木説明員 いま御指摘のように私どもも考えておりますが、ただ一言つけ加えさせていただきたいのは、たとえばイカナゴなどのいろいろな資源の変動にしましても、過去にも自然条件の変化で、年々かなり大きな変動がございます。それから、赤潮の発生につきましても、基本的には富栄養化が基盤になっていると思いますけれども、自然条件なりいろいろな刺激物質の効果といったことが複雑に絡まり合っておりますので、その中で一体どの程度、油による影響が分離できるかということは、相当むずかしい問題があると思いますけれども、そういったことが客観的に詰められた場合には、当然いまのようなただし書きで当事者間で協議をすべきものである、こういうふうに考えております。
#30
○江田委員 なかなかそうきっぱりと答えは出はしないので、今度の徳山湾の問題を見ても、何かあいまいな形で事件を解決しなければならぬということなのですが、少なくとも水産庁は魚のことを本気で考えてくださいよ。問題をあいまいにすることを本旨としないように。
 それから、この補償の問題について、四県自治体ではこの問題について相当金がかかったわけなのでありますが、その中には会社が補償したものもありますが、しかし、まだ補償できない多くの問題があるわけで、間接、直接に自治体としては影響を受けているわけですが、そういうことについては、政府として何らかの穴埋めをなさるお考えですか。どうでしょう。
#31
○左藤政府委員 過般、こういった性格のものについては、直接に今回の流出事故のために県が支出したものであるというふうに考えられるものは、大体こういうグループのものではなかろうかというようなものについての一応の指導と申しますか、そういう形のものはいたしました。ただ全般的な、間接的に今回の事故が影響いたしまして、民生の安定というようなものに府県が支出いたしたものにつきましては、そういった会社側からの請求の対象にはしていないということで、そこにつきましては一応の指導をいたしまして、区分をしておるところでございまして、現時点におきまして、これ以上どうするかということについては考えておりません。
#32
○江田委員 問題はいろいろあるのですが、時間の制約もありますから、もう少しほかの問題をお尋ねします。
 工場の方では再開に備えて安全点検をされたわけですが、その安全点検の中で、タンクの安全点検というのはやったのかやらぬのか、やるとすればどういう方法でやるのか。ただ異常沈下があるとか、バルブが漏れているとかいうようなことならば簡単にできるわけでありますが、問題はそれだけではないのでありまして、たとえば事故原因調査の木原さんが中心になっておやりになっているあの中間報告を読んでみましても、いろいろ問題が出ているわけです。軟弱地盤の上にAPIの基準のタンクをつくったところで、それは非常に不安があるということ、あるいは基礎工事にも不完全な面があるとか、あるいは直立階段を設置しましたあのことについても欠陥があるとか、いろいろ触れられておるのでありますが、今度の安全点検に当たって、消防の方ではタンクの点検をどれだけの角度からおやりになったのか、そのことをお聞かせください。
#33
○佐々木政府委員 昨年の暮れに全国の消防本部に指示いたしまして、緊急な点検を実施をいたしたわけであります。その点検項目は、タンクにつきましては漏洩の有無と不等沈下の検査、それから防油堤につきましては亀裂、破損の状況あるいはまたパイプの貫通部の埋め戻しの状況、あるいはまた従業員の保安教育ないしその実施の状況、その他、消火設備なり配管等の状況の検査、こういうことで点検を実施いたしまして、一万キロリッター以上のタンクにつきましては、すでに報告を受理しておるわけでありますが、この結果といたしまして、タンクの本体及び付属物について不良個所のあったものが三十一、不等沈下の特に著しいものが百九基、防油堤に亀裂などの不良個所がありましたものが三百十八という報告が出ておるわけであります。
 この結果に基づきまして、防油堤等に欠陥がありました部分につきましては、直ちにその補修を行わせたわけでありますが、タンク自体につきまして、特に不等沈下が二百分の一以上ございましたタンクにつきましては、その内部を開放して非破壊検査等の検査を行わせたわけでございます。そうした不等沈下が二百分の一未満であるタンク、それからまた開放して検査を行った結果、異常のなかったものにつきましては、使用をさせておりますが、それ以上のタンクにつきましては地盤修正。並びに底板等に非常に著しい不等沈下がありましたものあるいは腐食のありましたものにつきましては、底板の取りかえ並びに底板の取りかえと関連いたしまして地盤の修正ということを行わせておるのでございます。
 この三菱石油の水島製油所におきましては、緊急点検を行いました一万キロリットル以上のタンクは、その対象が八十四基あったわけでありますが、そのうち十基につきまして不等沈下が非常に著しいというものがございましたので、これにつきましては内部の開放検査を行わせております。この十基のうち四基につきましては、すでに内部点検が、非破壊検査等の検査が終了いたしまして、これにつきましては異常が認められなかったのでございます。二基につきましては、現在内部の非破壊検査を実施中でございます。それからまた四基につきましては、内部の開放が終わりまして、いまクリーニングを終わりまして、明日ごろから非破壊検査を開始をする、こういうふうな予定になっております。
#34
○江田委員 そうすると、その点検の終わらないものについては、操業再開になっても使用をさせないということですね。そうですね。それはそれでいいのですけれども、ところが一体、消防庁にタンクの安全性を言い切るだけの自信があるのかどうかということが、私は問題だと思うのでありまして、この木原委員会の中間報告を消防庁の方
 でももちろんお読みになっておるわけでありますが、これを読んでみるというと、とにかく軟弱地盤の上に不完全な基礎工事をし、APIの規格を入れて建設されているタンクに対して、いろいろ不安が表明をされておるわけです。これは最終的に九月か十月に報告書が出るのでしょうが、いま二百分の一とかなんとか、それにパスするとかしないとかいってみたところで、将来地震もあり得ることなので、いままでのあなた方がおやりになっている水漏れ一点張りの検査ではどうにもならぬ、もっと大きな課題が、すでにこの中間報告で出ておるわけなのでありまして、これを一体どういうようにお考えなのか。現行法の範囲内で防災体制をすればいい、いままでやってきておることだからこれでいいではないかというようにあなた方はお考えになっておるのか。さらに今後、この中間報告なり、あるいはやがて出てくる本報告を受けて、タンクのあり方についてもっと抜本的な再検討をされようとしておるのかどうかということなのです。
#35
○佐々木政府委員 タンクの安全性という問題につきまして、現在の消防法令の規定というものが非常にあいまいであり、そしてその安全性の追求に欠けておったという点は、私ども深く反省をいたしております。この事故の結果、この事故調査委員会の結論にも基づきまして、私ども、いまタンクの技術基準についての再検討を、いわば基本的な検討のし直しを行っております。このタンクの技術基準の改正の作業は恐らく一年半ぐらいかかるのではないだろうかというような感じがいたしておりますので、その間に、さらに現在の消防法令の規定の改正を行いますまでの間のつなぎといたしまして、タンクにつきましては特に地盤の問題、基礎工事の状況を中心にいたしまして、その規制の強化を図っていきたいというふうに考えております。現在のようにタンクが特に埋め立て等の非常に軟弱地盤の上に建設される事例が多いという観点から、特に地盤につきましては相当厳しい規制を今後行ってまいりたい、こういうふうに考えておりまして、近く、その技術基準が制度化される前におきましても、その地盤についての工事方法等についての指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#36
○江田委員 それから、この防災体制の問題でありますが、これは現行法の範囲内で指導している、将来国会に提出されるであろうコンビナート防災法が通れば、また、そのときに手直しをするのだということでありましたが、私どもが非常に不安に思うことは、現在の防災の法律にいたしましても、あるいは今度新しくつくられようという法律にいたしましても、陸上の防災と海上の防災というものが、何らつながっておらぬということなのであって、きのうもああいう東京湾の事故がありました。あるいは鹿島においてでも、あるいはその他においてでも、今後も絶えず事故を心配しなければならぬのでありまして、一たび港内で油事故が起きて、それが火災でも起きたならば、下手をすると、その周辺のコンビナートというのは全滅するのではないでしょうか。そういうことについて今度のコンビナート防災法も十分問題を取り上げておられないことを残念に思うのでありますが、あるいは私の勘違いであって、そういうこともかっちりおやりになろうとしておるのか。
 私がことしの予算委員会でお尋ねしたのも、陸と海とのつながりがないではないかということを言っておるのでありまして、縦割り行政の弊というものがはっきり出ているではないか。そのことについては政府の方も同意を表されたわけでありますから、私は当然コンビナート防災法にはそのことが取り入れられるものだと思って、今日まで期待をしておるわけです。海で油が燃えたところで、それは海上保安庁だ、消防庁は知ったことではない、あるいは陸の企業は、海で油の事故が起きても手をかざして見ておるということでいいのかどうなのか。これだけの事故が起きたのを契機に、やはりここの一番の欠陥というものを是正しなければ、かっこうだけ法律をつくったところで何にもならぬのではありませんか。
 さらに、私ども非常に不安に思うのは、あの大型タンカーの問題なので、東京湾の問題については、いずれ同僚議員から後で質問がありますから、私は触れませんが、一体三菱石油の六号桟橋というのは何トンの船を許可されておるのですか。実際には何トンの船があそこへ入るのか、あそこの代表的な桟橋、六号桟橋はどうなっておるのか。海上と陸上とのつながりをどうするのかということとあわせて、いまの六号桟橋のことについてお聞きしておきたい。
#37
○佐々木政府委員 今度の水島事故におきましては、陸と海との関係というものが非常につながりに欠陥があったということは、御指摘のとおりだったと思います。
 今回私どもがコンビナート等災害防止法ということで立案いたしました法案の中では、海上の部分につきましては特に触れておりませんけれども、まず基本的には、陸上における災害というものを海の上に及ぼさないということを前提にして、これを一つの基本にして、防災施設等についての規定を行ったわけであります。しかしながら、やはり災害でありますから、どういう事態が起こるかもわからないというようなことで、海との関係におきましては、自衛防災組織あるいは共同防災組織等に備えるべき防災資器材というものの中に、油回収船でありますとかあるいはオイルフェンスというような、海上における防災のための資器材を含めるということにいたしますと同時に、こうした防災資器材の整備内容あるいは防災組織の内容というものは、常に海上保安官署に連絡をする、あるいはまた事故が起きました場合には、海上との綿密な連絡を行う、あるいはまた自衛防災組織等が海上における防災活動を実施する場合には、海上保安官署の長が必要な指示を行うというようなことにいたしまして、できる限り海上と陸上の接点の防災というものにつきまして、十分対処し得るように考えたわけでございます。
 なおまた、海上自体だけの災害発生というものにつきましては、現在、運輸省におきまして海上防災法というものの立案化を準備されておるということを伺っておりますので、さらにそうした新しい立法の段階におきまして、コンビナート等災害防止法の規定との調整を十分行ってまいりまして、陸と海との間において、いわば防災面における欠陥のないように対処していきたいと考えております。
#38
○江田委員 時間がありませんから、いずれその問題は、今後コンビナート防災法が提出されたときに、さらに触れたいと思うのでありますが、いまのようなことはちょっとお上手過ぎますよ。恐らく海上保安庁だって、今度の法律でいいとは考えておらぬだろうし、消防庁だってそうではないのですか。それがなかなか思うようにいかぬから、適当な逃げ口上を言っているだけだというように私には聞こえるわけであります。
 ところで、さっきの桟橋はどうなっているのか。
#39
○鮫島説明員 お答えいたします。
 設置の際に考えておりましたのは、十万トンクラスの船を対象としての設計がございます。その後二回にわたりまして桟橋の北側及び南側のドルフィンの補強をしておりますけれども、現在でき上がっております形の結果といたしましては、船の接岸の速度が十五センチメーター以下であれば十分に安全だというふうに考えられます。そこで、現実には桟橋に接岸する速度をはかります接岸の速度計というものをつけておりまして、それによりまして着桟の指導をしているというふうに聞いております。
#40
○江田委員 何トンの船が着いているのか。
#41
○鮫島説明員 現実には二十万トンを超える船も着いております。
 これはちょっと技術的にわたって恐縮でございますけれども、桟橋の強さというものは、まず船の長さ、それから喫水、重量というようなものに関係をするわけでございますけれども、この桟橋の使用に当たりましては、積み荷を途中でおろしまして、喫水を浅くして入っているわけでございます。一方……。
#42
○江田委員 いいです。とにかく二十万トンの船が入っているのですよね。あるいはもっと大きい二十三万トンの船が入っているのではないですか。そこで、二十三万トンなら、喫水の関係からフルに油を積んでおってはどうにもならないので、途中の川崎かどこかでおろして入れているわけでしょう。それも十五メーターですか、いま何とか言われましたね。
#43
○鮫島説明員 一秒に十五センチの速度でございます。
#44
○江田委員 とにかく途中で油を抜いて、ぎりぎりの船を入れようとしているわけですよ。そこに今度の東京湾の事故と同じような問題が出てくるのではないのか。ここは深い、しかし、ちょっとへりへ寄ったら浅瀬へ乗り上げるのだ。ぎりぎりの船を持ってきて、向こうから船が来たり何かすると、あそこだって岩礁もあれば浅瀬もあるのですよ、同じことが起きるのではないかということです。もともと十万トン設計のところを、少々掘ったとかなんとかいったところで、あの辺の海全体が掘れるわけではないのですから、そういう大型タンカーのいままでの航行の仕方というものを根本的に改めなければいけないのではないか。この東京湾の問題に絡んで、大型タンカーの規制ということが当然問題にされなければならぬと私は思いますが、同時に水島においても同じことだと思う。そんなことを抜きにしておいて、陸の上のことは陸の上でやります、お互いに防災体制をきちんとやるのだと言ったところで、なかなか納得はできないわけです。
 そこで、私はいろいろなことを聞きたいけれども、時間がありませんから飛ばしまして、最後にもう一つお聞きしたいのは、この問題について刑事責任ということがいろいろ言われてまいりましたが、これはどうなったのか。刑事責任というものはないのか。一般の庶民感情からすれば、あれだけ迷惑をかけた事故で、だれ一人刑事責任を問われないというのは不思議な気がするのでありますが、これは一体どうなったのか。あるいはこれに絡んで法改正の必要があるとお考えになっているのか。そのことだけ最後にお聞きしておきます。
#45
○荒木政府委員 お答えいたします。
 本年当初の予算委員会において、江田先生の御質問に対して国家公安委員長の福田大臣が、刑事責任の問題につきましては一罰百戒、今後このような事故が起こらないように、こういうようなたてまえでお答えをいたしておるわけでございます。警察といたしましてもそういう立場に立ちまして、水質汚濁の問題あるいは消防法の問題、漁業調整規則の問題等、いわゆる罰則を適用できる構成要件等について、現在、実情を調査しております。御承知のとおり、政府の行っております事故原因の調査結果が出ました段階において、どこに事故原因があるかということを明確にしながら、その結論が出せるものと思っております。関係者からの事情聴取あるいは警察官の実情調査の報告書等、相当多数整理しておりますので、御了承をいただきたいと思います。
#46
○江田委員 いろいろ問題がありますけれども、私の与えられた時間がなくなりましたから、これで終わりますが、最初の政務次官のお答えだと、操業再開の申請が出たとはまだ聞いていないということでありまして、そういうものが出てくれば、政府としても、指導というのでありますか何というのでありますか、とにかくタッチされるということのように聞きましたが、そういうように受け取っていいわけですね。この申請が出たら最終的に、まあ法律上のオーケーではありませんけれども、実務的には政府の方がこれでよろしかろうということにならなければ、再開はされないというように受け取っていいわけでしょう。
#47
○左藤政府委員 冒頭にもお答え申し上げましたとおり、法律的には倉敷市が消防の問題といたしまして操業再開を許可するという形になると思いますが、いまお話ございました点、政府といたしましても対策本部としてどうするかということで、十分その状況を調査いたしまして、その上で指導をしていく、その指導によって倉敷市が判断をして、最終的な決定をするということになろうと思います。
#48
○江田委員 終わります。
#49
○渡辺委員長 田中覚君。
#50
○田中(覚)委員 最近の水質汚濁の問題は、一つは水銀、PCB等による魚介類の問題であり、もう一つは閉鎖的な水域における赤潮発生の問題、こういうふうに二つに分けられると思いますが、前者の特定物質による被害につきましては、どちらかといえば因果関係が直接的である。ところが後者の赤潮の問題等は非常に間接的で、迂回的であり、非常に複雑であるというようなことから、従来これに対する研究調査等がはなはだしくおくれておって、そのために赤潮の問題というのは、いわゆる自然災害といいますか天災として受けとめられ、対策もそういう観点からなされておったきらいがあるわけでありますが、いまや赤潮の問題も、社会、経済的な問題としてこれをとらえなければいかぬという段階にきたのではないかというふうに私どもは見ておるのであります。
 そういう観点から、去る六月三日、参考人の方々の意見を伺ったわけでありますが、果たせるかな、参考人の御意見を伺った結果を集約いたしますと、要するに、この赤潮というのは海水中に無機態の窒素、燐などの栄養塩類あるいはビタミン等が蓄積をして、そしてこれが日照だとかあるいは水温だとかあるいは降雨だとかいったような自然条件によりまして、特定のプランクトンが異常に発生をすることから起きる現象であるということが明らかにされたのであります。なお、瀬戸内海でいま起きておる赤潮につきましては、先般の水島の重油流出の影響を無視することができない、こういうような御所見も伺ったところであります。したがいまして、これを掘り下げて申しますと、最初の無機塩類等の集積、いわゆる海の富栄養化の問題でありまして、これは工場排水あるいは都市排水等々が主要な原因であることは明らかであり、まさに人為的な要因であります。日照だとか水温あるいは降雨、こういったことはもちろん自然的な要因であるわけでありますが、油の流出といったようなこういう新たなる人為的な事故もこれに加わるということになってまいりますと、赤潮の現象というのは自然的あるいは人為的な要因が複雑に絡んでいるということははっきり言えると思います。しかしその中で、何といってもわれわれがこの際大きく取り上げていかなければならないのは、こういった人為的な要因に対する問題ではなかろうか、かように考えるわけでございます。
 そういう観点から、この赤潮の問題というものは、日本におきましては、瀬戸内海とかあるいは伊勢湾とか東京湾、こういったどちらかというと閉鎖性の高い海域、こういうところが中心の地域でありまして、したがって対策もこういう地域に重点的に講じていかなければならぬというふうに思うわけであります。しかし、赤潮というものはもうこの地域に限られるというふうに一体、考えていいのか。あるいは赤潮が北上する、あるいは南下をする、極端なことを言いますと、四面海に囲まれておるわが日本が、全面的に赤潮の被害を受けるというような事態は、一体、予想されることはないのか。地域的、全国的に見た赤潮問題に対する環境庁あるいは水産庁の考え方というものを、まず最初に承りまして、これに対するいわばマクロ的な取り組み方というものをひとつ伺ってみたいと思います。
#51
○大場政府委員 赤潮発生のいわば土壌といいますか、そういう基礎的な要件として、人間の産業活動あるいは生活の活動が非常にかかわり合っているという御指摘は、先生の御指摘のとおりでございまして、そういう意味におきまして、今後の水質保全行政の重要性ということを指摘されたものと拝聴するわけであります。
 ただいま赤潮の発生する地域というのはどういうところかというお尋ねがあったかと思いますが、それについてお答えいたしますと、四十九年の数字で申し上げますと、百七十五件のうち、伊勢湾、東京湾、瀬戸内海、これで、ちょっと正確な数字は別にいたしまして百五十件ぐらい、それがこの三つの水域に集中してございます。しかし、単にこの三水域のみに限らず、ひいては北海道の沿岸にも、数は少のうございますが発生しておりますし、あるいは日本海それから南西海域につきましても発生している、件数は若干ではございますが、出ております。したがいまして、赤潮の問題につきましては、まあ程度の差というものはもちろんございますけれども、残念ながら、かなり普遍的に起こりつつある現象であるということが申し上げられると思います。
#52
○田中(覚)委員 そういうふうに赤潮の被害がだんだんと拡大をする。北海道だとかあるいは日本海あるいは九州西部、こういう地域の海岸というものは、どちらかというと開放的な地形のところが多いし、従来から開発がおくれておったというところで、余り赤潮の心配がなかったということが言えるかと思います。しかし、だんだんとこうして地域が拡大をするおそれもあるということになりますと、ここでやはり関係庁としては赤潮に対する総合的な抜本的な取り組み、対策というものを考えていただく時期にきておるのではないかというふうに思うのであります。
 ことに瀬戸内海の播磨灘を中心に起こっております赤潮現象というのは、例年に比べると二カ月も早く出ておる。またきょうの読売新聞でございますか、新聞の報ずるところによれば、伊勢湾にも東京湾にもすでに赤潮の現象が出ておるというようなことが言われておりますが、全般的に例年より早目にこうして出てきた。その原因が一体どこにあるのかというようなことも、これはひとつ真剣に御検討を願わなければならぬ問題だと思いますが、とりわけ先ほど江田委員からのお話にもございましたし、私ども参考人からもいろいろ聴取をしたところでございますが、この瀬戸内海のことしの早期に発生をしておる赤潮というものが、やはり水島の油の流出に影響を受けておるところがあるという点についてでございまして、私ども大きな関心を持っております。
 すでに徳山湾で起きておる赤潮の被害について公害等調整委員会が示した調停は、必ずしもメカニズムは明確でないけれども、しかし、何らかの意味で工場排水が影響があるだろうというようなところから、この赤潮被害についての補償を認めた、そういう調停をしておることは御承知のとおりでございます。
 そういうようなこともございまして、今後この瀬戸内海の赤潮に対しまして、油の流出事故との関連が追及をされることは、これは当然だというふうに私も理解をいたします。しかし、この瀬戸内海の赤潮問題を、ただ単に水島の油の流出だけの問題として処理することは、必ずしも正しい受けとめ方ではなかろう、かように私は思うのであります。そのわけは、今度瀬戸内海で起きておる赤潮の発生地域と水島の重油の流出の経路とは、必ずしも一致をいたしておりません。ことに水島の油の流出と全然関係のない大阪湾等にも赤潮が発生をしておるわけです。でありますから、私は決してこの油の流出の影響を否定するわけではございませんけれども、やはり赤潮に対する基本的な取り組み方といたしまして、瀬戸内海の富栄養化、これにメスをもっと入れていくことが必要ではなかろうか。
 そういう意味で四十八年に瀬戸内海の環境保全の臨時措置法が制定をされたわけでありまして、私はこの臨時措置法のねらったところは決して間違っておらぬというふうに理解をするものでございますが、水島の油の流出によりまして、すっかり瀬戸内海の状況が撹乱をされてしまったものですから、せっかくつくった法律の成果とか使命というものが、ややともすれば軽視されてしまうおそれもないわけではございません。
 そこで私は伺いたいことは、一体この臨時措置法が施行されてから、瀬戸内海の環境は若干でも改善されたのかどうか。ことにCODなどは、その負荷量を半減するということで関係県に割り当てがなされておりました。先般、発表になりました四十九年度の公害の状況に関する環境庁の年次報告を見ますと、どうもせっかくの法律が余り成果を上げておらない。むしろ逆に瀬戸内海の状況は悪くなっているというふうにしか実は受け取れないのであります。ことに瀬戸内海の赤潮の発生件数を見てみますと、被害を伴う赤潮の発生件数の比率は低下しておりますけれども、その発生件数は年々増加しておる、こういうことが実は出ております。そういう点から申しまして、一体この臨時措置法の成果といいますか、あるいは逆に、一体どういうわけで成果が上がらなかったか。水島の油の流出事故によっていろいろ撹乱をされたという問題はございますけれども、それとは別に、この法律の成果とか、あるいは掲げた目的が達成できなかった原因がどこにあるのかということについて、一体、環境庁御当局はどういうふうなお考えを持っておられるか。そしてまたこれが三年後の五十一年末には失効するわけでありますが、その事後の対策、これを一体どういうふうにお考えになっておられるか、この点をひとつ大臣からお伺いをいたしたいと思います。
#53
○小沢国務大臣 瀬戸内海の環境保全臨時措置法の制定後、効果があったかないか、ほとんどないのではないかというようなことでございますけれども、CODにつきましては、私どもが調査した結果を見てみますと、昭和四十五年以前と四十八年の調査、四十九年それぞれ比較してみまして、大阪港、水島港、三田尻港あるいはその他洞海湾の調査等を例にとってみますと、やはりCODは相当低減をいたしていることは事実でございます。それで御承知のように三年間で汚濁負荷量を二分の一にする計画をつくりまして、それぞれ各県でそれに基づく規制の具体的な計画、方針の示達というものは完了しているわけでございまして、逐次改善されつつあったことは事実だと思うのでございます。水島事故によりまして、それがまたいろいろ影響をされたわけでございますが、先ほど来お話を聞いておりまして、この赤潮問題は、私はやはり人為的ないろいろな原因と、それから自然現象というものと重なり合った結果起こった現象だと思うのですが、しかし、何といっても燐と窒素というものを規制していかなければ対策にはなりませんので、そういう点から見ますと、いわば人災的な面が非常に強いというふうに考えて、私どもがこの問題を一生懸命にひとつ燐と窒素の規制をやっていかなければよくならぬと思っております。
 臨時措置法が三年で切れるわけでございますが、三年を経過したときに、法律をもってこれの生き死にを決定するようになっておりますので、自動的に切れるわけではありませんけれども、後の始末の法律をどうするかということにつきましては、もうしばらくいろいろな状況を見まして、そして具体的にはどういう措置をとっていかなければいかぬのか。法律の内容の中に、そうした具体的な規定を幾つか盛っていかなければならないというようなことも十分検討した上で、後続法についての中身を決めていかなければいけませんので、当然、瀬戸内海は私ども何とかしてきれいにしたいという願望を持っておりますから、そのために必要な法律上の規制は続けていかなければいかぬと考えております。
 それからこの機会に、先生もお時間がないでしょうから、ちょっと申し上げておきますと、先ほど最初に御質問の中で、徹底的な原因の解明をやらなければいかぬではないか。過去一回、二年ばかり続けて赤潮発生のメカニズムにつきましての原因調査をやったことはございますが、どうも不十分であるという認識でございますので、今年度、私どもが持っております研究調整費の中で必要な予算を支出いたしまして、どうしても早急に、根本的に赤潮発生のメカニズムについての研究を進めていきたいと思って、いま準備をいたしております。これだけつけ加えておきたいと思います。
#54
○田中(覚)委員 私もこの臨時措置法によってCODが若干下がった地域が面積的にふえているということは、この報告で承知をいたしております。しかし全般的に見て、瀬戸内海の環境がよくなったかというと、必ずしも結果的にはそうなっておらぬことは事実だと思います。そういう意味で、この臨時措置法の掲げた目標というものなり取り上げ方は、間違っておらぬということを私は確信いたしておりますので、いま大臣お話しのように、この三年後の期限満了の時点で、またさらにこれからの継続的な対策を検討していきたいというお話は全く同感でございまして、ぜひそうしていただきたいと思います。その際には、先ほども申し上げましたように、瀬戸内海だけでなしに、東京湾、伊勢湾はやはり共通の問題が大分あると思いますので、地域的に少し拡大をして、三大重点地域に対する赤潮対策を一歩でも二歩でも前進をさしてもらいたい、このことを強くお願いをしておきたいと思います。
 それから次に伺いたいのは、この三日の参考人の御意見を伺ったときに、被害漁業者から異口同音に、自分たちは踏んだりけったりであるというお話がございました。ことに、そうなっておることについての政治的な責任というものを強く訴えられたわけでありまして、そういう政治的責任が果たされておらぬから、今度徳島でああいう訴訟に持ち込んだのだというようなお話も実は伺ったのであります。これは確かに政治、行政の責任があることは間違いないのですが、ただ、私が参考人の方にもちょっと申し上げたのですけれども、ハマチの養殖を水産庁は大分指導、奨励されておるわけでありますが、御承知のとおり、このハマチの養殖自体が、水質の汚染を起こす一つの原因になっておるわけですね。ことに密殖をやっておるような地域におきましては、余ったえさであるとか、あるいはハマチのふんだとか、そういうものが堆積をいたしまして、これが逆に赤潮を起こす原因にもなっておるのではないかというふうに思われる地域が、実は若干あるわけであります。そういう意味におきまして、水産業の立場から言えば、当然これは加害者は別にあるという立場に漁業者は立たれると思いますけれども、同時に水産業の内部にも、赤潮問題に取り組む際の一つの考え方として、お考え願わなければならぬ点があるのではなかろうかというふうに思うわけであります。そういう意味で、ハマチ養殖等の立地条件を指導されるときに、もう少しお考えを願う必要があるのではなかろうか。
 また、ハマチ養殖の経営のやり方ですね、できるだけそういう海水の汚染を起こさないような経営の仕方というものも、もっと研究されてしかるべきである。いまのようにやたらとえさをやって、それから起きる海の汚染というものに目を覆っているようなやり方では、私はこれからのハマチの養殖は前進できないのではないかと思うのでありまして、そういう意味で、水産庁のハマチ養殖を中心にいたしました養殖漁業全般に対するこれからの取り組み方あるいは考え方といいますか、そういうものをまず第一に伺いたい。
 それからさらに、従来漁業共済にハマチの赤潮被害というようなものも加えられておりますけれども、伺ってみますと、どうも実情に即しない、適用が受けられないというようなことを漁業者の方々は訴えておりました。なお、従来から行われておる制度金融その他被害の際に講ぜられておる金融対策、こういったものが一向に実情に即しておらぬ。従来の考え方は、赤潮の被害はやはり一つの天災であるというような考え方が非常に強く出ておる。しかし、最近のように人為的な要因が非常に高まってきておるということになりますと、赤潮の被害に対する救済対策も、それに即応した前進を図ってもらわなければいかぬのではないかというふうに思うわけでありまして、この点につきまして水産庁の考え方や今後の対策を伺っておきたいと思います。
#55
○佐々木説明員 最初にお尋ねのございましたハマチ養殖自身も富栄養化に寄与していると申しますか、水質汚濁の原因になっているのではないかという御指摘でございます。これは確かに実態としてもそういうことがあることは否定できません。過去にも都市排水とか工業排水の影響がほとんどないと思われる豊後水道あるいは紀伊水道の、やや水が停滞している内湾であるとか、あるいは三重県下でも五ケ所湾等で、そういった長年の養殖に主として起因すると思われる排せつ物、そういったものの底質への堆積が、いわば一種のヘドロ状態になって、そこから栄養塩等がまた海中に溶け出してくるということがわかっております。
 私どもとしては、これについてやはり地域の生産力に見合った、それから浄化力に見合った適正な規模で養殖を進めるべきであるということを、県を通じまして強く指導してまいりまして、現在ハマチ養殖につきましては、一方で種苗の需給状況もございまするし、それから全体の市況等、いろいろな需給関係もございますので、そういうものを総合的に考えて、原則として前年以上に養殖尾数をふやさない、各県に一応種苗の大体の割り当て数を、団体を中心にして自主的に協議をさせまして、その範囲内で養殖規模を抑える。漁場におきましても、狭い海面に養殖生けすをたくさん置くとか、一つの生けすにたくさんの魚を入れて、水質をみずから悪化させることがないようにということを強く指導してまいっておりますけれども、今後、特に内海のようなやや環境の浄化が十分行われてないところにつきましては、そういった面の指導を、科学的な根拠も求めまして、一層徹底してまいりたい、さように考えております。
 それから二番目の当面の被害救済の問題でございますが、これは昨年来、漁業災害補償制度に基づきますハマチの養殖共済の中で、赤潮の発生原因が一々何であるかということをチェックするのは非常に大変でありますので、赤潮によって被害を受けた場合は特約で救済するという制度を設けまして、それに見合います掛金につきましては、国が三分の二を負担し、残り三分の一を都道府県に負担していただくということで、漁業者の負担によらずに、そういった赤潮被害を救済する制度を実は発足させたわけでございますが、たまたまことしの五月の家島を中心にしましたハマチの被害につきましては、県の共済規程で、ハマチの一年物の共済責任期間を、養殖を始めます大体六月ないし七月から三月三十一日までというふうに、平均的な経営の実態に合わせて終わりを切っておりました関係上、不幸にして救済ができないというような事態が出てまいりました。これにつきましては、私どもの方でも、すぐ県の方を通じて関係の県の漁業共済組合を指導いたしまして、最近の養殖の実態に合うよう共済責任期間の改定を検討しろということで、現在、指導いたしておる段階でございます。当面、被害を受けました三形態の漁業者につきましては、いまの制度改正では間に合いませんので、兵庫県の系統金融機関から必要な融資をし、兵庫県の公害対策基金からまた利子補給をする、こういうことで当面の対処をいたすつもりで、県の方を指導いたしておるわけでございます。
#56
○田中(覚)委員 この赤潮の問題というのは毎年起きる問題でございまして、季節的に時期が済んでしまうと、えてして線香花火に終わってしまうようなことが、従来非常に多かったと思うのです。私は冒頭に申し上げましたように、この水質汚濁の問題は、一つは重金属、PCB等の蓄積被害、これは個別的に原因を追及するよりほかないわけでございますが、こういった赤潮というような広範な複雑な現象による被害につきましては、どうしても原因の究明等がおくれがちでございますので、先ほど環境庁長官のお話の中に研究対策にことしも相当力を入れるのだというお話がございましたが、どうか総合的な対策を、ぜひひとつこの機会に確立をしていただきたい。政府全体として赤潮対策に取り組む姿勢というものを、はっきりひとつ打ち出していただきたい、このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#57
○渡辺委員長 岩垂寿喜男君。
#58
○岩垂委員 一昨日、赤潮問題を中心にいたしまして参考人の意見を承って、大変、勉強させていただきました。赤潮が瀬戸内海だけではなくて東京湾にもあるいは伊勢湾にも発生をしているということ、とりわけ東京湾一円の赤潮の発生というのは、冬にすら発生している事態というのは、まさに異常な事態だと言わなければなりません。特にけさの新聞で拝見をいたしますと、環境庁が東京湾や伊勢湾の調査をなさった結論として、両湾とも沿岸工場の排水や河川を通して流れ込む家庭汚水で、海水が富栄養化の状態にあって、もはや魚がすめなくなるCOD三ppm以上の死の海が東京湾全域、伊勢、三河湾の沿岸部を覆っているということが明らかにされております。特に赤潮に関係のある窒素の濃度は〇・七ppm、燐が〇・一ppmという数字は、赤潮発生基準の七倍も上回っている。湾全体が基準を超えているということが明らかにされたわけであります。そこで、瀬戸内海のことも伊勢湾のこともありますけれども、私は特に東京湾の問題、そしてあらわれた現象についての対策だけではなくて、その原因というものをここに少ししぼって見詰めてみたい、こんなふうに思うのです。
 そこで、赤潮の原因としての、たとえば多摩川などの流入河川の汚濁物質といわれるものについても、検討を加えておく必要があるのではないだろうかというふうに思いますので、その点について質問を集中させていただきたいと思います。
 これは東京都の調査でありますけれども、赤潮の原因として大きな役割りを持っているところの栄養塩類が、多摩川の中流の調布ぜきで、たとえば燐、窒素の量が三・五ppmというわけであります。これは御存じのとおりに、自然界の燐〇・〇二ppm、窒素の〇・二ppmの十数倍という数字であります。
 ちなみに昭和四十八年の多摩川の汚染状況というのを指摘してみますと、東京都の上水道の取水口である羽村ぜきでBODが三・五ppmというわけですから、水道三級の三ppmを超える状態がもうここにあらわれています。それが昭島とか立川市内を流れる浅川の合流する日野橋付近では、実は七ppmということになっている。さらに府中排水の流入する多摩川原橋では一一・三ppmといういわば悪臭限界一〇ppmを上回る汚染状況にある、こういうふうに言わなければならないと思うのであります。この現象を見ますと、つまり都内あるいは川崎の市内を流れる支流が都市排水溝になってしまって、それが多摩川を汚染して荒廃させてきているという原因を、どうしても私はここで指摘をしておかなければならぬと思うのであります。
 さらにそれをさかのぼって私なりに、素人でありますけれどもいろいろな人たちに聞いたりして調べてみますと多摩川について言えば、青梅以東の流域の自然を破壊して開発し尽くしてしまった。自然の浄化能力を奪った上に、そこへ多くの住民が居住している。それに対応する下水道などの都市施設が立ちおくれている。こういうことが一つの問題点であります。
 第二は、多摩川というものを利水目的だけに利用してきている。たとえば小河内ダムなどのコントロール機能は別としても、さっき申し上げた羽村のせきで、本流の原水そのままそっくり全部取水してしまっているわけであります。ということは、つまり下流にはもはや水源となる場所がないわけでありますから、空っぽになった多摩川に都市の排水を流し込んでいる、こういう状態が実はあるわけであります。
 そこで、きょうは建設省の下水道部長に実は御出席をいだだいているわけですが、多摩川の下水道計画はどんなテンポで進んでいらっしゃるか。東京側、川崎側、これはかなり大ざっぱで結構ですが、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
#59
○久保説明員 多摩川流域に係る下水道整備の現況ということでございますが、主として左岸側は東京都であり、右岸側は上流部が東京都、下流部は川崎市、こういう状況でございますが、左岸、右岸両面の下水道整備は、流域下水道並びに関係市の公共下水道ということで進行いたしておりまして、昭和四十九年度現在での普及率でお示しいたしますと、東京都区部が人口に対する普及率でございますが五三%、区部外をも含めました、いわゆる東京都下を含めました普及率で申し上げますと五〇%でございます。川崎側はこれに比べますると著しく低い状況でございますが、二七%の状況になっております。
 なお、五十年度末はかなりの整備が予想されますので、ただいまの数字を若干上回る数字になるのではないかというふうに考えております。
#60
○岩垂委員 いまお伺いいたしましたけれども、御承知のように東京の側は、太田、世田谷の面的な整備は五十三年度、それから上流の狛江、調布の面的な整備というのは五十六年に完成する予定だというふうに承っておりますが、これを可能な限り早めるということについて御協力をいただきたいと思うのですが、その点についてはいかがお考えになっていらっしゃるか。
#61
○久保説明員 下水道整備の投資の重点を環境対策、環境基準が決められた流域内での下水道整備ということに置いておりますので、限られた予算の中でも、ただいま先生御指摘の地域等については、重点的に整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
#62
○岩垂委員 東京側の整備と川崎側の整備のアンバランスがかなり顕著なのでありまして、これは東京だけやっても、川崎の方がおくれていますと、川はきれいにならぬわけであります。こういうところでそういうことを申し上げるのは恐縮ですが、川崎の方の、たとえば等々力の下水処理センター、それを結んでの等々力下水幹線というものは五十八年度の完成予定なのでありますが、これはやはり東京のレベルに合わせて、できるだけ促進をするというおつもりをお持ちいただくわけにはいかぬかどうか。あるいは五十一年度から始まる第四次下水道五カ年計画の規模というものを、いま検討中だそうでありますが、できるだけ大きくしていただいて、多摩川流域の浄化ということについて、下水道の対策を促進していただくわけにはいかぬかどうかという点について、承っておきたいと思います。
#63
○久保説明員 多摩川につきましては、先生御指摘のように、東京都が神奈川県側よりもかなり進んできておるわけでございますが、これは下水道事業を始めました歴史的な沿革等が累積をされて、そういう姿になっておるのが、その原因の一つかと思いますが、一方だけ整備されて、一方が整備がおくれることによって、その地域から出てくる汚濁が多摩川流域に入ってくるわけでございますから、御指摘のように流域全体が平均的に整備が進むということが理想形でございますので、今後はおくれたところを一歩でも早く進めるように考えてまいりたいというふうに思っております。
 なお、現在の下水道整備は、第三次下水道整備五カ年計画の今年度が最終年度になるわけでございますので、第四次下水道整備五カ年計画を現在、準備中でございまして、国が定める経済計画の中で、できるだけこの種の環境対策に投資することを希望しつつ、準備中でございまするし、その中で先ほど申しましたように、環境基準を達成するための施策というものに重点を置いて考えてまいりたいというふうに思っております。
#64
○岩垂委員 続いて伺いますが、富栄養塩類であるところの燐や窒素というものは、流水中から除くことは非常にむずかしいというふうに言われておりますけれども、だとすると、従来の下水道の方式では、多摩川ひいては東京湾でありますけれども、汚染を救うということはかなりむずかしいではないかという見解があるわけであります。東京都などの試算によりますと、下水道排水が現行の二〇ppmではもちろんですが、五ppm以上のBOD値を示す有機汚濁物質が入ると、東京湾の改善は不可能だというふうに実は伺っているわけですが、このような超高級処理というのは実際上可能であるのかどうか、これは技術的な問題を含めてでありますが、下水道部長に見解を煩わしておきたいと思います。
#65
○久保説明員 現在行われている処理は、いわゆる二次処理と言われておるものでございまして、二次処理の処理水の一応のめどは、BODにいたしますと二〇ppmでございます。しかし、御承知のように、東京あるいは多摩川の流域から排出される下水を二〇ppmで処理する二次処理では、多摩川の環境基準が確保されないということも明らかでございますし、さらには多摩川あるいはそれ以外の地域から流入する富栄養の原因となる窒素もしくは燐というものの除去もされなければ、東京湾の富栄養化対策にはならないというのもそのとおりであろうかと思います。
 ただ問題は、富栄養化の原因となる窒素、燐というものの発生源、どこからどういうふうに発生するかという問題でございますが、下水道の系統を伝わって出てくる二次処理では、全然窒素、燐が取れないというのではなくて、私どもの調査によりますと、入ってきた窒素、燐のほぼ二割から四割ぐらいが落ちるわけでございます。しかし、それ以上は無理でございます。したがいまして、現状は二次処理もまだ完全には実施されておりませんので、二次処理を実施をして、少なくとも二割なり四割なりの窒素、燐を落としていくということが、まず当面必要でございますが、それだけでは十分ではなかろうということから、さらに高度の処理をして、窒素、燐をも落としていくという検討を、実験的に、あるいは調査研究の段階でやっておるわけでございます。ただ、下水処理でどの程度窒素、燐を落としたらいいか、こういう一つの目標数値は、実は環境基準になるわけでございまして、環境庁の方で環境基準項目の中に窒素、燐を水域ごとに定めるということを準備しておられますので、その作業と並行して実用化できるようなことを、現在準備しておるわけでございます。
 その三次処理もいわば二通りございまして、一つはBODあるいは浮遊物質を現在の二次処理よりもさらに高度に処理をするというものと、それからさらに窒素並びに燐を落とすという二種類のものがあろうかと思いますが、前者の方は、ほぼ技術開発等も検討が終わりまして、今年度からその種類の三次処理を、多摩川の流域におきましても実施するようなことを予算化されまして、すでにスタートをいたしております。
 それから窒素、燐の問題でございますが、この窒素、燐の問題をさらに高度処理によって落としていくといううち、燐につきましては、ほぼ実用化のめどがついてまいりましたが、窒素の問題につきましては、なお検討すべき多くの問題がございますので、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
 技術上から言いますとそういう段階でございますが、なお、窒素、燐をも落としていく三次処理を実現をするには、処理場用地の確保の問題であるとか、あるいはまた建設費並びに維持費の確保の問題とか、実際に実用化していく前に問題点を煮詰めておかなければいけない問題等もございますので、それらのことを現在検討している段階でございますが、いずれにしましても、環境基準項目の中に窒素、燐が入って、その環境基準が決められる時期に合わせて、実用化の方向を考えてまいりたいというふうに思っております。
 なお、つけ加えますと、燐の発生源は、家庭下水の中から、われわれの排せつ物、屎尿等の中にも、窒素、燐が当然入っておるわけでございますが、それ以外に洗剤から燐がかなり出てまいっておりまして、生活排水の中の約四割が洗剤に起因しているという調査等もございますので、それらの対策をもあわせて、窒素、燐の対策をすべきものであろうということで、関係方面にもそれらのことを要請をしている段階でございます。
#66
○岩垂委員 洗剤のことを伺う前にお答えをいただいたわけですが、現行の下水道法では御存じのとおりに水質汚濁防止法よりも緩い基準になっている面がある。企業は重金属などの有害物質を下水道に実は流してしまっているというふうに批判されているということで、私たちは批判をしてきたわけですが、この際、下水道法を改正して、現行の届け出制を事前承認制に変えて、重金属を含む有害物質は下水道の管理者が受け入れを拒否することができるような、あるいは下水道法にない罰則をつくること等々について、その改正を求められてまいりましたが、建設省が内部でその検討を加えられておられるようですから、その準備の状況、それから、これはいつまでも時間を待つわけにはいきませんので、たとえば次の国会ぐらいのところを目指して、下水道法の抜本的な改正についての提案を、そのくらいのテンポで考えてほしいというふうに思うわけでありますが、これは国会で全然教わったことのない問題ですから、ぜひこの際、聞かしておいてもらいたいと思います。
#67
○久保説明員 下水道法の改正の検討状況あるいは検討の方向いかん、こういう御質問でございますが、建設省としましては、現在、工場排水を下水道に入れる場合の工場排水の規制に関して、下水道法の改正を検討しているわけでございますが、その方向といたしましては、まず水質汚濁防止法の特定施設の設置については、公共下水道の使用開始に当たりまして、その下水排除に関する計画を下水道管理者が事前にチェックする、こういうことを検討しておるわけでございます。
 また、下水道法と水質汚濁防止法の両方を比較いたしますと、現行の下水道法では、一定の基準を超える水質の下水を公共下水道に排除しようとする工場に対しまして、除害施設の設置あるいはその他必要な措置をしなければならないということにしておるわけでございます。これは現行法でございますが、水質汚濁防止法と比較をした場合に、現行の下水道法の方がより厳しい規制をしている、こういう面も実はあるわけでございます。また一方では、下水道法の除害施設その他は、政令で定める範囲内の基準において、条例で定めるところによって水質規制が行われるというふうに、条例事項に移っておることとか、さらには水質違反者、この違反者に対する直罰の規定がない、こういう点は水質汚濁防止法との差異のあるところでございます。いわゆる健康項目については条例の制定を待つまでもなくて、法律上直接に規制されるようにしたい、あるいは悪質下水の排除者に対する直罰規定、これらにつきましても水質汚濁防止法並みに下水道法の改正をしたいというふうに考えておるところでございます。
 そのほか、たとえば水質汚濁防止法よりも下水道法の方が若干厳しいという趣旨のことを申し上げましたのは、水質汚濁防止法では一日の排水量五十トン以上を対象にしておりまして、下水道法ではそれ以下のものをも対象にするという点がございますので、それらの点は法律改正の際に、実際に水質汚濁防止の実効が上がるような方向で、両法の調整といいますか検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 なお、その時期の問題でございますが、目下法律の改正案を十分煮詰めまして、次期国会を目指して法律の改正を進めてまいりたいというふうに予定をいたしております。
#68
○岩垂委員 これは久保さんの御専門ではないのかもしれませんが、小金井市などを流れる野川、御存じですね、あれは汚濁物の流入では最悪の状態だけれども、実はこの河川が多摩川に入るところでは、九〇%近く自然の浄化力によって浄化されているというデータがあるのです。つまりこれは、多摩川の自然を取り戻すためにはこういう手法もある、つまり自然浄化力というものを最大限に生かしていくという手法もあるということを、私は示しているのではないだろうかと思うのです。
 そうした意味で、たとえば多摩川の河川敷の人工の工作物をできるだけ抑えまして、そして可能な限り自然の状態にしながら、広い河川敷を利用して原水に近いものへの還元を考えるべきときがきている、またそのことは可能だ、そういうふうに野川の事実は示していると思うのです。これは中小河川にも適用できると思うのですが、そういう自然の浄化力を増大させていく手法について、どこがやっていくのかよくわかりませんけれども、ぜひ考えていただきたいし、そのことについて検討をする用意があるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
#69
○久保説明員 御指摘のように、河川そのものは自浄能力、自浄作用というものを持っておるわけでございまして、一度河川に出たものが流水の時間の経過とともに河川敷の中で浄化される、こういう作用はございます。
 野川の具体的な浄化能力がどれほどかというような問題につきましては、細かなデータをただいま持ち合わせておりませんが、先生おっしゃるような浄化が野川の河川敷でなされていることは予想できるところでございます。したがいまして、河川敷の中でそのような浄化能力を増大せしめていくような人工的な仕組みを、水質汚濁防止事業の中で考えていくということは必要なことであろうと思っております。私どもの所管ではございませんが、建設省の内部の河川事業関係者の間にもそういう議論がございまして、現在もたとえば淀川の河川敷の一部で、その種の実験が行われてきておりますが、これらのいろいろな調査実験をも今後積極的に取り入れながら、その種のことを考えていくべきだろうというふうに思う次第でございます。
#70
○岩垂委員 下水道部長、ありがとうございました。
 次に、河川局長に伺いたいと思うのですが、河川行政のあり方について、少し御意見を承りたいと思うのです。
 これまでの河川行政というのは、どちらかといえば水というものに焦点を当ててきたと思うのであります。水を治める者は国を治めるということわざのように、確かに治水、利水ということは河川行政のかなめであることを、私も否定しません。しかし昨今では、そして特に都市河川では、治水、利水ということとあわせて重視すべき幾つかの課題があるだろう、私はこういうふうに思うのです。特に先ほどから申し上げましたとおりに、都市河川というものはもはや水路ではなくて汚水路だ、あるいは排水路だと言われるような状態、水質が悪化しているという状態が進行しています。死んだ川という形容詞は、あるいは少しオーバーだとしても、それに似た状態が実は多摩川を含めてあるわけであります。そこで、河川行政というのは、生きた川を取り戻していく、そういうことに努力の対象を求めなければいけない。水を浄化するという問題が当面の重大な課題だというふうに思います。
 これはある学者の言葉でありますが、日本人の水に対する精神的なつながり、また情緒空間としての水面というものは非常に大切なもので、これが失われたら日本というのは砂漠になって、日本ではなくなってしまうと言ってもいいぐらいに思っていると指摘をされておりますが、私もそのように思います。そうした発想に立ったときに、公害対策によって水をきれいにするということから、さらに進んで、できれば人間生活にプラスになる環境を創造することが差し迫った問題になっている、こんなふうに思います。
 そこで、そうした意味で、国民が要求している価値観に対応する河川空間をつくっていくというための河川行政、そこでは当然のことながら治水、利水という問題あるいは下水道計画や工場排水や家庭排水の規制を含めた公害対策の課題、三番目は自然保護ということ、これは決して治水、利水というものと対立するものではなくなっている、こういうふうに私は考えます。あるいはその川を中心にしたレクリエーションゾーンとでもいいましょうか、たとえば多摩川はいま日曜日一日で、この川に出る人たちの人数というものは十万を超えますね。そういう多様化した国民のニードというか、そういう要求に対して、河川行政というものは十分こたえていなかったのではないだろうか、こたえ切れていなかったのではないだろうかというふうに思うわけですが、この河川行政のあり方についての一種の反省とそれから見直し、それから河川局がこれらの課題にこれからどう対応していくかということ、基本的な姿勢の問題でございますが、これを最初に承っておきたいと思います。
#71
○増岡政府委員 お答えいたします。
 今後の河川行政のあり方ということでございますが、すでに先生がおっしゃいましたとおりの基本姿勢を今後も続けてまいりたい、もうそれだけでございます。まあ、先生おっしゃいましたように、かつての河川行政は人間の生命、財産ということが中心になりまして、やはり治水、利水という言葉に表現される言葉が中心的課題でありました。しかしながら、今日振り返ってみますと、先生がただいま申されたとおりでございます。人間というものは自然とともに共存すべきであるという中で、やはり川というものが最も水と緑を持っておるという一つのオープンスペースの問題があるわけでございまして、これらにつきまして建設省が今日まで考えてきたことを若干申させていただきますと、昭和三十三年の隅田川のヘドロしゅんせつの事業が始まったのがきっかけになりまして、現在、河川事業の中で汚濁河川のしゅんせつ事業をやっておるわけでございます。多摩川を初め、全国で五十五河川の汚泥のしゅんせつ事業を開始しております。多摩川でございますと、一億八千万もことしは計上しておる。まあ、そういう仕事がございます。あるいはまた、小さい川が汚れた場合、大きな川から多量の水を導入するという、いわゆる浄化事業というものも、今日、全国で十一河川をやってきたとか、それから、いま先生からお話がありましたような河川環境整備事業というものを、いま盛んにやっておるわけでございますが、これもやはり昭和四十一年に多摩川が先頭を切りまして、今日までやってまいったわけでございまして、これらが今日、全国で百十五河川に及んでおる。そういうことの経過がございます。また川だけではいけないということで、上流のダム群ですね、ダムあるいは砂防施設等につきましても、五十年度からおのおのの環境整備事業を始めることにいたしたわけでございます。
 しかしながら、これらをやりましても、いま先生が最後におっしゃいました自然保護との問題はどうかという問題が今日、残っておるわけでございます。これにつきましては、最近でございますけれども、やはり多摩川等を中心といたしますこういう動きの中で、動植物の河川における生態調査というものを、私どもは実施してまいったわけでございまして、今日、五十年度におきましては、五十の河川につきまして、この調査費が一億一千万に上る、こういうような姿で、実際の予算面におきましても、治水と利水と大きな意味の環境というものを、どうして調和しようかという点に焦点を合わせて、最近は非常に努力をしてまいったということでございますし、今後も先生のおっしゃるような方向で、まだ調査中のものもございますし、まだ物になっていないものも、わからないこともいろいろございますが、しかし焦点は、基本姿勢は、いま先生のおっしゃった方向に今後持っていくのが、河川行政のあり方であろうと考えておるわけでございます。
#72
○岩垂委員 それに関連して、これは河川の浄化ということと直接関係ないのですが、河川敷のゴルフ場の開放の課題、企業の運動場の開放の課題については、昨年の衆議院の予算委員会の分科会で、私、当時の亀岡さんとやりとりをいたしまして、河川敷のゴルフ場の開放をやっていきたい、こういう御答弁をいただきました。建設省が管理する一級河川の河川敷が一平米で一年間何と七円というわけで、排他的に一定の人たちに占用されていることは少しおかしいのではないかということを指摘をいたしまして、いままで二年契約だったものを一年に短縮しました。それから多摩川には、その上で早期の開放、荒川や江戸川はパブリック化、私企業の運動場も少なくとも週三回は一般に公開させるというお約束をいただいたわけであります。その後小沢大臣、前大臣でありますが、そして現在の大臣の御努力を私は評価をいたしますが、ことしの三月三十一日に多摩川の三つのゴルフ場を、それぞれ三分の一よりちょっと狭いのですが、約十万平方米でありますが、開放をすることになりました。しかし、その中の一つの企業が、それは不当だということで訴訟に入っているわけであります。そういう訴訟を起こす方こそ不当なのですけれども、建設省は最初の予定どおりに、そして私と約束をいたしましたように、五十二年度までには多摩川の河川敷を全部民間に開放する、民間というか企業から開放する、取り上げるということについて、方針を変えておられるかどうか、おられないかどうか、その決意を貫くおつもりかどうか、これが一つ。
 それから荒川、江戸川のパブリック化の課題も、私この前お約束をしたわけでありますが、委員会で議論をしたことがございませんものですから、この機会に建設省の姿勢を承っておきたい。また、これは淀川にも関係があることでございますから、できれば全国の一級河川の使用状況というふうなものを含めてお伺いをしたいわけです。時間がございませんので、恐縮ですが決意のほどを承っておきたいと思います。
#73
○増岡政府委員 お答えいたします。
 多摩川のゴルフ場の開放につきましては、国会でお約束申し上げたとおりでございまして、五十年度におきましても多摩川の三ゴルフ場につきまして、十ヘクタールにつきましては開放を進めることにいたしました。しかしながら、その中で川崎パブリックコースにつきましては訴訟問題が起こりまして、これはまことに遺憾なことでございます。建設省といたしましては、この訴訟におきましても今回の措置の正当性を十分主張してまいりたいと思っておりますし、五十二年度までに多摩川につきましての全面開放という既定方針は変えておりませんし、実行するつもりでがんばっていきたいと思うわけでございます。
 それから荒川、江戸川のゴルフ場のパブリック化につきましても、いま先生がおっしゃいましたとおり、ことしの四月から、一週間のうち、従来二日のものを三日、これは都市区間の場合でございますけれども、都市区間以外の場合は、従来の一日を二日というように開放いたしまして、一般の方々が参画できるチャンスが多いようなことを努力しております。また、引き続きこれらについては、まだまだ努力の目標がございますので、その線に持っていきたいと思います。
 それから、全国的にこういう問題がございますが、その中で淀川のゴルフ場につきましては、ちょっと申し上げますと低水路事業だとか淀川の河川公園整備事業に関連いたしまして、ゴルフ場の一部を返還させた処置を、もうすでに講じたものがございますし、また今後とも、必要があるならば、いま多摩川等で行っておるような手法をとる場合もあるのではなかろうかと思っておりまして、全体の河川行政の中から、ゴルフ場のあり方、特に市街区域の中のゴルフ場については十分検討して、必要に応じてはやはり開放していくという方向を、いま堅持しておるわけでございます。
#74
○岩垂委員 その開放したゴルフ場の管理のために、河川緑地センターというものの設立が進められているようでありますが、私、この前お約束をいただきましたように、その運営、管理について、地方自治体や市民の参加のいわば保障を求めてきたわけでありますが、それについても、このセンターの運営について考慮が払われているかどうか、一言で結構ですから承っておきたいと思います。
#75
○増岡政府委員 開放されたゴルフ場の跡地利用につきましては、財団法人河川緑地センターというのを最近発足する予定でございますけれども、同センターの中に委員会を設けまして、多摩川全体の河川敷利用についての検討をしたいと思っておるわけでございます。このセンターの理事の中にも地方公共団体の長が予定されておりますし、また、先ほど申し上げました委員会等を通じまして、住民の意見を計画に反映するよう努力していくつもりでございます。
#76
○岩垂委員 東京都は、この多摩川の流域を含めた乱開発を規制する、そして自然を守っていくために河川敷を中心とした自然環境保全地域を指定したいという希望を持っております。これについて建設省にぜひ御理解をいただきたい。
 実は私は何回か多摩川を河口から秋川付近まで調査をしてきましたけれども、自然保護団体から、そこにある自然環境を利用して、言うところの生態学的な自然の維持管理を行いながら、国民に憩いの場所を、あるいは子供たちにいわば自然の教材とでもいいましょうか、教室とでもいいましょうか、そういうものをつくっていきたい。そして具体的には、こういう自然公園のようなものを目指して、府中の付近では野鳥が多いから野鳥の楽園、浅川の付近では遊水地を中心にした自然、昭島の付近では野生動物がいるからそういう生息地を保護していく、あるいは日野の付近でも野鳥が多いし、福生の付近は植物の宝庫で、これは世界でも珍しい植生があるということでありまして、そういうものを保護しながら、それをつないでサイクリングロードや、歩いて見にいくようなそういう歩道をつくっていきたいという夢のある計画を持っているわけでありますが、これにぜひ建設省も協力をいただきたいのです。そういうことをこの機会にお答えをいただきたいと思います。
#77
○増岡政府委員 ただいまのお話でございますけれども、東京都、地方公共団体でどういうような御計画をお持ちか、私、十分知りませんけれども、いまおっしゃいましたような夢のある計画がいろいろとあるようでございます。私どもはできるだけ治水事業と調整といいますか調和を図る努力をいたしまして、そういうものがうまくいくような御後援も申し上げたいという感じでございます。
#78
○岩垂委員 これは自然保護の問題に関連するのですが、自然保護団体が、この植生は残してほしいとか、ここは昆虫がいるからブルドーザーを入れないでほしいということを建設省の窓口と話し合って、非常にスムーズにいっているところもあるのです。つまり私は、建設行政、とりわけいまの河川行政というものが開かれた行政であってほしいということを申し上げました。そういう点で、そうした住民あるいは自然保護団体と建設省の窓口が常々懇談会を持っていくような機能を、多摩川に限らず全国的にぜひ御考慮をいただきたい、このことをまず私はお願いしたいと思うのです。と申しますのは、いま子供たちが、危ないからとか汚いからとか、学校の教育の上で多摩川に入れないようになっているのです。しかし、自然保護団体が子供たちを連れて定期観察をしている。そうしますと、お母さんも連れていって、どうしてこんなに汚れているのというところから、多摩川をされいにしようじゃないか、あるいは洗剤を使うことをやめようじゃないか、そういう自発的な、つまりモラルを伴った運動が起こっているというように私は理解しているのです。私は、人工的に浄化への努力もさることながら、こうした住民の河川行政へのかかわりというものを一層深めていく姿勢が、河川行政のあり方の上でも非常に重要ではないか、このように思います。したがってそういう点の窓口を開いて、自然保護団体やそういう住民との対話をできるだけ組織的にと言っては言葉が強いかもしれませんけれども、そういう窓口をきちんと開いていただくように、この際、河川行政の責任者である局長に伺っておきたいと思います。
#79
○増岡政府委員 窓口を開放しろというお話でございますけれども、従来から、特に多摩川だとか淀川は、私ども一番窓口を開いたつもりでおったわけでございますが、やはりまだまだ不十分なような感じがありますものですから、今後こういうものに対してどういうようにしていくか、もう一度さらに検討さしていただきたい。なおそのためには、先ほど申し上げました緑地センター等を通じて、さらにそういうものを深めていく手段もあろうかと思います。ひとつよろしくお願いいたします。
#80
○岩垂委員 オートバイや自動車の乗り入れ規制みたいなことも早急に考えてほしいのです。子供たちが自由に遊べないという環境でもありますので、その辺についてもぜひ御答弁を煩わしたいと思います。
#81
○増岡政府委員 乗り入れ規制の問題で実はむずかしい問題が一つございまして、もしそれを完全に禁止いたしますと、その周辺の住宅の前にどんどん自動車等をとめるということで、同時に住民としての反対の問題が起こっております。どちらがデメリットがあるのかという問題を、一つ一つのケースにつきまして研究していきたい。多摩川につきましては、そういう実際にそこの住居の前にいろいろまた新しい公害が発生しなければ、そういうものは規制していくべきだと考えておるわけでございますが、ケース、ケースの問題が若干あるように思います。
#82
○岩垂委員 河川局長、ありがとうございました。
 最後に環境庁長官に伺いたいと思いますが、昨日発表になり、けさ新聞で明らかにされましたように、東京湾や伊勢湾の汚染というものがかなり深刻だ。どうしても水質の総量規制という問題が必要ですし、さっき下水道部長も言われましたが、窒素、燐の環境基準というような問題も早急に検討をいただかなければならぬと思うのですが、やはり七十二年をめどという一つの水質の総量規制の方向が出ているようでありますが、それをぜひ貫いていく決意のほどを、この機会に承っておきたいと思います。
#83
○小沢国務大臣 窒素、燐の環境基準、排出基準が決まっていないのは、どうもそれを決めましても、窒素、燐を出さないという技術の方がまだめどが立たないわけでございますので、それでおくれておるわけでございますが、私どもは何としてでもこれをひとつやっていかなければ、実際に下水を整備をいたしましても、第三次処理だけでなおかつ窒素の方が解決をしない、四次処理以上の高度処理をやってもらわなければ、下水を幾ら整備しても赤潮等の発生原因を防ぐことはできないということにもなりますので、いま鋭意この技術的な検討を急いでいただいておるわけでございます。私は閉鎖性水域の浄化問題には、どうしてももっと構想を新たにした、しかも非常に高度の技術の開発を促進するような対策をとっていかなければだめだと思っております。ことに下水は重点的にやっておりますけれども、下水道部長、全国を相手にして、少ないといいますか、政府部内では一番大きい予算なのですけれども、非常に苦労しております。私はどうも瀬戸内海とか東京湾とか伊勢湾とかの海を守るためには、特定のそういう重要な地域、しかもまさに死に瀕しているような海の周辺は、もっと何か特別な措置をやっていかなければいかぬのではないだろうかということで、まだはっきり決まりませんが、私自身これはいろいろ考えまして、一番大事な厚生省の屎尿処理関係の環境衛生局長、建設省の下水道部長、私どもの方と協議をして、これは現在の制度に合わなくとも、一つの案ができれば、大蔵省とも事前にひとついろいろ話し合いをしてみたいと思っているようなわけでございます。異常な決意をもってやらなければ、これはいつまでたっても解決をいたしませんので、できるだけいまの基準も、技術的な即刻できる技術の見通しではなくとも、ある程度、二、三年先にはできそうだなという程度でも、思い切って基準をつくり上げるというぐらいの腹構えでやってみたいと考えておるわけでございます。
#84
○岩垂委員 最後の、これは質問ということよりも決意を承りたいのですが、先ほどから建設省とやりとりをいたしてきました。これはぜひ長官にお願いをしたいのです。
 きょうから環境週間が始まりました。ことしの週間の中で、環境行政の意気込みを示すような目玉が実は見当たらないことを、私は非常に残念に思っております。それはいろいろやっていらっしゃると思いますけれども、やはり環境週間ということの中で、それが持っている意味を国民に知らせながら、国民が国民運動をつくっていくようなテーマと行政の姿勢を示さなければならぬと私は思うのであります。
 そこで一つ提案をいたしたいと思うのであります。先ほどから指摘をしたように、川は日本人の心のふるさとであります。きれいな川というのは人間の心を非常に強くとらえるものであることは言うまでもないところであります。そういう意味で、多摩川を一つのモデルとして日本じゅうのきれいな川を取り戻す国民運動を起こしてほしい、こういうふうに思うのです。多摩川をきれいにすることができれば、私は日本の川のきれいさを取り戻すことができるし、多摩川をきれいにすることができれば、東京湾を浄化する道のりは五十歩、百歩というふうに前進をすることになるだろうと思うのであります。しかし、きれいにするということだけではなくて、さっきから私が言いましたように自然保護の課題、レクリエーションゾーンの問題あるいは、ある意味で人間のモラルを取り戻していくというような課題を含めて、あるいは教育の教材というような意味を含めて、総合的な多摩川の総合計画というものが実はないのです。地方自治体でばらばらにつくっている。河川局もそれなりにつくっていらっしゃるけれども、しかし、それをいま申し上げたような総合的な一つの多摩川のあり方というものを見詰めていく、そして計画を立てて進めていくという、そういういわば組織と言えば言葉が強いのですけれども、行政機関が縦割りであるがゆえに、なかなかその問題がスムーズにいかないという実態があるわけであります。私はいまの日本の行政のことをそもそも思うのですけれども、役所が仕事を規定するのではなくて、仕事が行政をむしろ機能させていくということがいま求められている、そういうソフトな行政というものが、日本の政治の中に非常に強く期待されていると私は思うのであります。そういう点でこの際、環境庁長官が呼びかけていただいて、建設省と厚生省それから東京都、美濃部さんや神奈川の長洲さんや川崎の伊藤市長。いいじゃないですか、革新と中央政府が、革新の自治体だって、政府の悪口を言っただけで、いつまでも政治がやれるわけではないのですから、政府だって革新自治体と対決したってどうにもなるわけではないのですから、やはり国民のためにいいことを前向きに一歩でも進めていく。そういう意味で多摩川流域の環境保全の協議会といわれるようなものをぜひひとつつくっていただきたい。できればこの環境週間の中でぜひ大綱を環境庁の中で御議論いただいて、そしてひとつまとめていただきたい。そのことを私はお願いしたいのです。それが一点。
 それからもう一つは、やはり環境週間なのですから、最中にというわけにいかぬかもしれませんが、長官ぜひひとつ多摩川を下から上までずっと一遍ごらんいただいて、そしてそのことに関連をして、そのことが議論の対象になっていけば、必ず私は東京湾の取り組みというものも、自治体と政府の関係の中で真剣に一つのめどが出てくる。私は行政はやはり動かなければならぬと思うのであります。動きを始めるときだと思うのです。結論が得られるところを見詰めて、それまで待っているというのではなしに、歩きながら国民や都民や県民や市民の気持ちを大きく結集しながら世論をつくっていく、その世論の中に行政の対応を求めていく、そういうソフトな行政の対応を期待をしたいと思うのですが、この際、ひとつ小沢環境庁長官のこういうイニシアチブをとるということをおっしゃっていただきたい、このことを最後に、これは私は要請をいたしたいと思います。
#85
○小沢国務大臣 私は全国の河川の浄化の責任者でございますが、そのきっかけになる意味においても、先生の御意見のように東京で最も大事な多摩川の浄化のために、あるいは周辺全体を含めた自然環境の保全のために、そういう協議会をぜひひとつ美濃部さんや長洲さんの御了解を得てつくって、それをとっかかりにできれば、またそれが非常に国民の協力を得るような一つの運動に、全国的な盛り上がりをするきっかけになれば、非常に幸いでございますので、ぜひやりたいと思います。
 なお環境週間中に私もぜひ見たい。十日には、全国の河川をされいにする会ですか、民間団体がございますが、この方々のプランの一つに、隅田川からずっと河川を調査に行くという計画がございます。私、国会の御了承を得れば、ぜひ建設、厚生の担当の責任者それから東京都、神奈川県の最高責任者の方も時間ももらって、ひとつぜひ見たい。現場に出かけてそれを一つのきっかけにできればというふうに思いますので、具体的にいま局長と、それではいろいろ連絡をし、また両院の委員長にも御了解を得て、国会の関係がお許しをいただければ、時間をとってやってみたいと思っております。
#86
○岩垂委員 最後ですが、大変ありがとうございます。そういう形でやはり前向きの姿勢を示していただきたい。そして、そのレベルでということは言いませんけれども、この流域にはいろいろな自然保護の団体がございまして、これは建設省の皆さんもよく御存じなんです。そういう話し合いながらやってきている経過があるわけですから、市民参加というのは、そういう自然保護団体の人たちもいろいろな形で加えて議論をしていく場所をぜひいただきたいものだ、このようにお願いをして、私の質問を終わります。
 どうも失礼いたしました。
#87
○渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四十二分開議
#88
○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。米原昶君。
#89
○米原委員 瀬戸内海の汚染の問題は、先日の赤潮発生を見るまでもなく、もともと深刻であります。加えて昨年暮れの三菱石油重油流出事故の後遺症がさらに心配されているわけでありますが、政府が行った重油流出事故関係環境影響総合調査の結果の概要はどんなものか、まず、お聞かせ願いたいと思います。
#90
○大場政府委員 いま環境庁が中心になりまして取りまとめ中でございますが、いま生の過程の分析結果がいろいろそろい始めている、こういう段階でございまして、今月の中旬に大体出そろいますので、それを学者諸先生の検討、評価をしていただきまして、でき得れば今月中に発表申し上げたい、こういう段階でございます。
#91
○米原委員 それでは大体今月中にまとめが出る、こういう理解の上でお聞きしますが、おとといの参考人の方々の意見でも明らかなように、第一には、この重油流出の影響については、引き続き調査、監視を行うことがどうしても必要だと思います。
 第二に、油のプランクトン発生に対する影響に関する研究が必要だと思うわけでありますが、この点はどのように考えていますか。
#92
○大場政府委員 おとといの参考人のいろいろ御意見ございまして、油流出事故とことしの赤潮との関係については無関係とは考えられない、それから赤潮はことしの夏に発生しやすいのではないか、こういう警告を重油流出事故と関係づけてなさっていらっしゃるわけであります。その油の流出の問題とそれから赤潮の問題、これについてはまだ参考人の方の御意見も推論の域を出ていない段階でございますし、いずれにしてもまだ科学的知見というものを得られていない段階でございます。しかしながら、事柄は決して等閑視すべきものではないと思いますので、その赤潮の油の問題とプランクトンとの関係、それから赤潮との関係、こういった関係につきましては、引き続き知見というものを高める必要があろうというぐあいに考えておりまして、調査は各省と協力して実施いたしたいと思っております。
#93
○米原委員 環境の復元、浄化ですね、瀬戸内海で言えば水をきれいにするのがもちろん原則であります。しかし、この問題については後でまた聞くことにしまして、当面まだきれいにすることが行われるまでは、十分な監視体制を確立して、被害を最小限にすることが重要だと思います。
 そこで聞きますが、この赤潮の予報、監視体制が現在どのようなものになっているか、この点、水産庁に見解を聞きたいと思います。
#94
○佐々木説明員 現在瀬戸内海を中心にとっております赤潮等を含めた漁場環境についての監視体制をかいつまんで御説明申し上げます。
 まず一つは、国の水産研究所が広島にございます。南西海区水産研究所と申しますが、そこと関係府県の水産試験場とが共同いたしまして、それぞれの県の地先に観測定点を決めまして、大体原則としては月に一回調査船を出して、決められた場所の観測をやっております。
 観測項目といたしましては、一般的な項目として、海の水の透明度であるとか、表面あるいは深い方の水温、塩分濃度それからプランクトンであるとか卵稚子などの組成、こういったものを主体にいたしまして、このほかに、この海域の漁場の環境の問題と関連して特殊項目として、CODそれからアンモニア態の窒素、亜硝酸態の窒素、そのほか燐酸態の燐等の調査をやっておりますが、この特殊項目につきましては相当に手間がかかりますので、大体年に四回観測をやっております。
 これが恒常的な環境の基礎調査でございまして、この上に立ちまして、実際に今度は赤潮の方の問題につきましては、各漁業協同組合に協力を依頼しまして、瀬戸内海で大体全部で百十一漁協に依頼をし、そこで監視場所を分担を決めてもらいまして、そこの様子を毎日行き帰りに見て、異常があればすぐ水産試験場に連絡をしてもらう。それからまた海水等もチェックして、そのうちの六十組合ぐらいには顕微鏡を配置しまして、一応プランクトンをのぞいてみて、鞭毛虫類ですと、細かい種類はわかりませんけれども、鞭毛があって泳ぎ回るということでわかりますので、そういうものが見つかったらすぐに知らせてくれというような体制をとっております。それから昨年から改良普及員が各県に配置されておりますが、そのうち約四百人ぐらいの人に、そういった異常事態が出たときに、現場での簡単な観測と漁業者の側に立って指導をしていただいて、直ちにまた県水試に連絡をとってもらう、こういう作業を改良普及員にも分担してもらうということで、必要な経費を都道府県に助成をいたしております。漁業協同組合から、いまのような異常がありましたときに、県の水試にその情報が電話等で入りますと、直ちにそれを、瀬戸内海の漁業調整事務局が水産庁の出先機関として神戸にございますので、そこへテレファックスで、大体漁場の位置を含めて図面を全部すぐ送り届けてもらう。それを研究所の方といまの神戸の事務局と両方で受信をいたしまして、これは赤潮がかなり広範に発生するおそれがあるというような心配がありますときには、直ちに関係の府県にテレファックスでまたそういう情報を伝えて、各県の水産試験場を通じて、必要な警戒体制なりあるいは養殖中の魚の避難、移動というようなことを指導してもらう、こういったような体制で現在、対応しておるわけでございます。
#95
○米原委員 お話を聞きましても、その程度の調査で一体大丈夫だろうか、余りにもお粗末ではないかという感じがするのです。浅海定点調査ですか、わずか月一回ですね、あるいは十一カ所にブイを置いて調査されているということも聞きましたけれども、調査項目がいまおっしゃった水温とか塩分とか、そんな程度だし、一体こういうことで十分な予報、監視ができるだろうかという感じを受けるわけなのです。一部の地方自治体では予報を出しているところもありますし、確かにまだこの予報については十分な研究がなされておりませんが、昭和四十六年から四十八年にかけて水産庁の行った赤潮についての研究報告を見ますと、「赤潮生物の増殖状況を観測測定して、水産被害に対する警戒を予報しているところもあるが、これについても、プランクトンコミュニティーの変遷、赤潮生物の生理、生態の面がさらに明らかになれば、水産被害を防除するために予報としては役立つかもしれない。」こう明確に述べておられました。国が責任をもって体制を確立し、赤潮生物の増殖状況などを常時監視するなら、ある程度の予測は行えるのではないかと思うのであります。こうした観測体制をすぐにでも整えて、被害を最小限に抑える措置をとることが、まず必要ではないかと思いますが、この点、どうでしょう。
#96
○佐々木説明員 私どももいまの監視体制と申しますか、調査体制で十分であるとは思っておりません。ただ、赤潮の発生機構につきましては、地域ごとにどういう要因が一番きくかということが、みんなそれぞれ違ってまいりますし、赤潮が一般的に出そうだということがわかっても、その中でどういう種類の、つまり漁業に有害な種類のどういうプランクトンが出そうかということを予察することが、いまの技術段階では非常にむずかしゅうございます。したがって、その観測項目等もどこら辺に重点を置いて調査設計をしていいかということにいろいろ問題がございますので、私どもとしては当面、赤潮が出ましたときにそれをなるべく早く速報の形で、まずその関係者に伝える、そこに最大の重点を置いて、逐次可能なところから予察ができる体制に持っていきたい、かように考えて、今後もこの監視体制あるいは調査体制の充実に努めたいと考えております。
#97
○米原委員 瀬戸内海浄化の問題では、二年前に議員立法で瀬戸内海環境保全臨時措置法がつくられました。そして、この法律の第三条で、政府は瀬戸内海の環境保全の基本計画をつくることになっております。しかしこの法律は、三年間の時限立法であるにもかかわらず、二年を経過しようとする現在に至っても、まだこの基本計画がつくられてないのはどういうわけか、聞かしていただきたい。
#98
○大場政府委員 御指摘のように瀬戸内海臨時措置法は、政府に瀬戸内海の環境保全に関する基本計画をつくれという要求をしておりまして、それができるまでの間の水質の汚濁の進行を防止するためのこれこれの措置をしろ、こういったことになっているわけでございます。
    〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕
 根本は、御指摘のとおり早く環境の保全の基本計画をつくるということでございまして、私ども、すでにことし二月に、瀬戸内海の環境保全の審議会を開催していただきまして、その審議会に計画部会を、そのために設置していただいたわけでありますが、その審議会に基本計画を諮問して、現在われわれが事務段階において、その検討を願う素材を固めつつあるという段階でございます。
#99
○米原委員 三年間の時限立法で、もう二年たとうというところですから、もっと急ぐのが当然だと思うのです。非常に遺憾です。
 それから、この計画の内容ですが、水質汚濁の総量規制の問題あるいは赤潮の原因といわれる窒素や燐の規制を当然含んだ、そういう計画とすべきだと思いますが、この点、どうでしょうか。
#100
○大場政府委員 ただいま申し上げましたように、計画の中身につきましては、いま検討の過程でございますし、審議会でこれから御審議を願うという過程でございますので、まだ固まっておりません。
 いま御指摘になりました総量規制なり、あるいは窒素、燐の規制の問題につきましては、これは同臨時措置法にもありますように、早く総量規制を導入しろということは法律で要求してございますから、その準備はしなければならないと思っております。それからまた、単なるCODの規制だけでなくて、富栄養化を防止するための窒素、燐の規制の導入を急がなければならないということも、御指摘のとおりだろうと思うわけでございますが、しかし、それを具体的な計画の中身に入れるかどうかということにつきましては、これはまだちょっと考え方が決まっておりませんので、そこまではまだ決めておりません。しかしいずれにしても、計画にするかしないかは別として、そういう制度は早く導入いたしたいと考えておるわけであります。
#101
○米原委員 いままでの四十九年度までの経過を見る限り、部分的には若干改善されたところもありますが、全体としては水質改善の傾向を見出すに至っていないという結論を出されているわけです。要するに水質汚濁防止法が制定されたものの、瀬戸内海の水質の改善はほとんど進んでいない。逆に海洋汚染の発生状況などは、若干であるが、四十七年、四十八年、四十九年と増加してきております。現状はこういうことですが、環境庁として改善の見通しを持っておられるのかどうか。このままではむしろ悪化している。この点の見通しを伺いたいのです。
#102
○大場政府委員 いま御指摘になりましたように、瀬戸内海の水質の汚濁が進行がとまったかということにつきましては、残念ながら、とまったと申し上げたいわけですが、そこまでは私は言い切る勇気はございません。ただ一部の水域、非常に汚濁が進行しておりました洞海湾だとか大阪湾だとかあるいは燧灘だとか、そういった汚濁の極度に進行していた水域につきましては、やはり水質が回復してきている、回復の徴候が見えてきているというところがございます。しかし、それでは全体として瀬戸内海の水質が改善の方向に向かったかということを申し上げますと、これはやはりそうは言えない。やはり過去の蓄積された汚染というものが、汚染が汚染を生むというような悪循環で、水質は依然として悪化の方向にあるということは、残念ながら申し上げざるを得ないと思います。
 今後の水質の改善の見通しはどうかということでございますけれども、一昨年、先生方のお力でつくっていただきました環境臨時措置法は、CODを三年間に段階的に四十七年当時の二分の一にするという措置を政府に要求しているわけでございますが、いまその措置を法の趣旨に沿って実施中でございます。ただ、先ほど発表いたしました水質の測定結果というものは、まだその措置の効果が、率直に申し上げまして出切っていない、ほとんど反映されていないという段階での水質でございますから、今後同法のドラスチックな――私は率直に申し上げまして、やはり三年間で二分の一にカットするということは、かなりドラスチックな措置であろと思いますが、その効果は期待し得るものと思っております。
#103
○米原委員 いまお話しになったこの臨時措置法で決まったCODを五十一年十一月までに二分の一とするために、関係十一府県で条例を決めることになっております。昨年末までですべての府県が条例を制定したそうでございますが、これで確実に五十一年十一月にCODは二分の一になるかどうか、もっと端的にそこを聞かしてもらいたい。そういうことが言えるかどうか。
#104
○大場政府委員 昨年の二月に各県別の汚濁の限度量というものを国から割り振りまして、各県におきましてその限度内にその県の汚濁をおさめる、こういった措置を実施するわけでありますが、具体的な担保といたしましては条例で実施しております。その条例は県によって早い遅いはあるわけでございますが、いずれも昨年末までにその手当ては完了しております。その条例で四十九年末にはこれだけ、五十年末にはこれだけ、あるいは五十一年末にはこれだけというぐあいに、だんだん期間の経過とともに段階的に汚濁量を削減するように規制を強化しているということが条例の中身でございます。
 その条例の中身を積み上げて物を申し上げますと、四十七年当時の負荷量は千三百四十五トン、これは産業排出にかかる負荷量でございますが、それを半分にするというのが法の要求しているところでございます。四十九年末にはそれを千百四十五トン、つまり八五・一%に下げる、それから五十年末には九百二十トン、六八・四%に下げる、そして五十一年末には六百七十三トン、つまり五〇%に下げる、こういった形で条例で担保しているということでございます。
#105
○米原委員 いまの問題ですが、本委員会でも昨年の四月に木下委員がこの問題を質問したわけです。たとえば広島県の条例は、この条例が実施されたとしても、割り当てられた量だけではとても削減ができない。そして広島県は不足分を指導目標と称して、個別企業との公害防止協定で改定を行って、それで不足分を埋めることにしておりました。しかし、公害防止協定は何ら強制できるものではありませんし、互いの合意によって成り立つものです。これらの合意も成立しないうちに、割り当ての削減を達成しないような条例をつくるというのは、この臨時措置法の四条二項の「法律の施行の日から三年以内に同項の規定により定められた当該府県に係る汚濁負荷量の限度まで段階的に減少させることを旨として、」定められなければならないという、そのことに抵触しないかどうか、こういうことを伺いたいのです。
 さらに広島では、その後、条例の穴埋めをする公害防止協定が成立したのかどうか。またその協定にはそれが必ず実行されるという保障があるのかどうか、そういう点を伺いたいと思います。
#106
○大場政府委員 昨年の当時、私どもの説明がどうも不十分であったように聞いておりますが、ただいま例として挙げられました広島県の場合には、条例で段階的に四十九年、五十年、五十一年の十一月というぐあいに、CODの汚濁負荷量を減少する措置を担保してございます。ただし先生がまた同時に御指摘になりました公害防止協定というものも同時にございます。条例でこういうぐあいに段階的に下げて、五十一年末には指導目標にまで広島県の総量をカットするということを規定しているわけですが、それと同時に、たしか大きい十社であったかと思いますが、十社につきましては、特に公害防止協定を県と個々に結びまして、そしてカットの仕方の傾斜を、条例よりもさらに少しスピードアップするような形で担保しているというのが実態でございます。
#107
○米原委員 それでは、広島県以外の、その残りの府県の問題です。
 CODの削減の割り当てを達成できるのかどうか伺いたいのです。さらにこの条例を制定するに当たっては、水質汚濁防止法第三条の規定で、あらかじめ各府県から環境庁へ報告がなされ、それぞれ割り当てされた削減が可能となる根拠を明示してあると思いますが、それを資料としていただきたいのですが、どうでしょうか。
#108
○大場政府委員 資料として提出申し上げます。
 例を、いまこの場で御説明申し上げましょうか。たとえば兵庫県の場合には、第一年目には二一%カットし、最後には三四%カットするというような形で段階を決めておりますし、山口県の場合には、第一年目には二八%、その次には四七%カットし、最後には六四%カットするというぐあいに、それぞれ条例でカット率を決めて規制の強化措置を図っておるというようなことでございます。具体的な資料につきましては後刻提出させていただきます。
#109
○米原委員 これを聞いたのは、そういう具体的な資料をいただかないと、私たちが調べた範囲ではどうもあいまいなところが大分あるように思うからなのです。いまおっしゃった山口県の場合などは、暫定基準と称して倍の値もの暫定基準を設けるとか、大変疑問のある点が多いからであります。ですから、ぜひその資料を出していただきたい。これらの点について、昨年の木下委員の質問の際に、当時の三木長官が、指導を強化する、こういうことをこの委員会で約束されているので、ぜひその資料を出していただきたいと思います。
 いままで私たちが聞いたのでは、昨年木下委員が指摘した点がどうも十分には改善されてないように思うのです。特に大きな県は軒並み経過措置などによって、排水基準の強化は早くて五十年の後半、遅くて五十一年の十一月のぎりぎりのところであります。これではことしの夏もまた赤潮が出るのではないか、来年の夏も赤潮が出るのではないかという感じがするのです。そういう点がどうなっているか、資料で明確に示してもらいたいと思います。(「しっかりしないとだめだぞ」と呼ぶ者あり)これがしっかりしないと、せっかくの臨時措置法も何の意味もなくなってしまいます。もともとCODの一日当たりの量を規制するといっても、その実施方法は濃度の規制であるという欠点もあるわけでありますから、これら十一府県の削減計画と条例を十分吟味し直して、この法律制定の目的が十分達成されるよう各府県を指導してもらいたい、こう思うわけでありまして、この点について長官の決意を聞きたいと思います。
#110
○小沢国務大臣 三木長官がどういう趣旨で答弁されたかわかりませんが、指導を強化するという約束をしておったのに、それができないではないかという御趣旨のようなお尋ねでございますけれども、私どもは、先ほど局長が言いました三年間で二分の一にする計画を各府県に示し、各府県はそれに基づいた条例の完了をいたしておりますから、逐次その条例に従いまして指導し監督をして、CODについては、他の事故等によって――思わざる水島事故等もございましたけれども、とにかくその計画は各県との打ち合わせに基づいて逐次やっておりますから、私は、いまさら何か不十分だからさらに指導を強化しなければいけないとは考えてないわけであります。がしかし、もし御指摘のような点があれば、当然調査をいたしまして、指導を強化しなければいけないと思いますが、その点は、そう変える必要はないのではないかと思うくらい、各県はちゃんと目標数値をそれぞれに割り振って、条例をつくってやっておると信じております。
 ただ、先ほどちょっとお言葉がございましたが、COD汚濁負荷量を二分の一に、三年間にすることができても、赤潮の発生がそのためになくなるというものではございませんで、赤潮の発生のメカニズムというものは、主として燐と窒素の問題が中心でございますので、そういう面は別途対策を、午前中からの御議論にございますように、進めていかなければならない、かように考えております。
#111
○林(義)委員長代理 木下元二君。
#112
○木下委員 ことしの夏は三菱石油の流出重油の影響で、瀬戸内海に大規模な赤潮の発生するおそれがあると、学者、専門家が指摘をし、予測をいたしました。その指摘が的中するように、先般、播磨灘、家島周辺などに大きな赤潮が発生をしまして、養殖ハマチに大きな被害を与えました。しかしこの赤潮は、さらにこれから発生する大規模な赤潮の単なる前ぶれにすぎないという不吉な予感さえするわけであります。これは予感というよりも、一昨日も当委員会で岡市参考人が言われましたが、七月、八月における大規模赤潮が発生するという予測をされ、警告をされました。そしてそれは三菱流出重油による赤潮鞭毛藻の異常繁殖を原因としての予測であります。またそれは、三菱石油の重油をもとにして検体をつくり、赤潮鞭毛藻を培養するという科学的実験を根拠にしたものであります。環境庁は、この三菱流出重油を原因とする大規模赤潮発生の予測をどのように受けとめていられるか。先ほども少し、単なる推論にすぎないというようなお話もあったわけでありますが、これを一体どのようにとらえていられるか、伺いたいと思うのです。
#113
○大場政府委員 岡市参考人の御指摘は、ことしの瀬戸内海におけるプランクトン等の発生状況、パターンを見ると、たとえば珪藻類から夜光虫類にいき、それから夜光虫類から鞭毛藻にいく、こういったプロセスを経ている、こういう過程はどうも油との関係なしというぐあいに片づけることはできないのではないかということと、それから岡市さんが実験室で実験なさった、海水に重油あるいは風化油等の濃度をだんだんふやしていった場合に、ある一定の濃度、つまり〇・〇二ppmになったときに鞭毛藻類が一番発生しやすい状態になった、したがって今後、岩の間に付着している油とかあるいは砂に深くひそんでいた油が、水温の上昇に伴って流出した場合に、一定の適当な濃度になって、そしてそれが赤潮発生の要因になり得る、こういう危険があるから注意しろ、こういう御警告だったと思うわけであります。先ほど私が推論という言葉を使ったのは、表現として決してそういう警告を軽く見たという意味ではございませんで、それは言葉が悪かったら訂正させていただきますけれども、私どもはやはりそういった警告は警告なりに受けとめさせていただきたいと思っております。その岡市さんのシンポジウムにも、私どもの職員を早速派遣して聞かせに行ったくらいでございますから、そういった点は十分、警告は警告として注意していきたいと思っております。
 それから、そういった重油の問題につきましては、先ほど米原先生からの御質疑のときに、例の環境影響調査の検討会を今月中旬に開くと申し上げましたが、岡市先生にも仲間に入っていただきまして、岡市先生の研究も加えまして、今後の研究の素材として十分に活用させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#114
○木下委員 いまの家島周辺の赤潮の問題に対しまして、水産庁あるいは環境庁はどういう対策をおとりになろうとしておるのかということを、もう少し、簡単で結構ですけれども、述べていただきたいと思います。
#115
○佐々木説明員 今回の事故が発生しまして、直ちに水産庁の方へも兵庫県の水産試験場の方から連絡をもらいまして、現地にあります瀬戸内の事務局とそれから私どもが現地に参りまして状況を見まして、これが相当広範にすぐ広がるようだと大変だということで、二十六日に直ちに兵庫、香川、それから徳島三県の担当者を呼んで、それまでの被害状況についての情報交換と、それから今後についてどんな見通しを持っているかというような第一次の打ち合わせを神戸で行いました。
    〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕
 その段階で、いろいろ今回の赤潮の発生機構について、もう少し徹底した調査をやる必要があるとか、その他、ことしの本格的な養殖開始時期までに検討しなければいけないいろいろな問題点が指摘されましたので、私どもとしてはそういう問題にすぐ備えるために、六月二日に専門家に一応集まっていただきまして、これは水産研究所だけでなくて、関係の各大学等の赤潮関係の専門家にも御参加いただき、いろいろいままで試験場で調べました観測データ等をもとに討議をしていただいたわけですけれども、なかなか簡単には結論がまとまりませんで、改めてもう一回近いうちに会合を持って、今後やはり究明すべき問題点と、それから当面とるべき対策というものを固めていこう、こういうことで現在検討中でございます。
 それからもう一つ、現実に家島の周辺で起きました漁業者の被害につきましては、これは兵庫県の方で、いろいろな経営上必要な資金のあっせんと利子補給をやるということで当面は措置しております。本来的にはこれは漁業共済制度で救うことを予定して、昨年からそういう制度を発足させておりますけれども、まだ若干実態に合わない面もあるようなので、この点は早急に県段階で、将来に備えて手直しをするように指導をしておるわけでございます。
#116
○木下委員 いま五月二十六日の神戸で開かれた緊急赤潮対策協議会のことを言われましたが、そこでは当面の緊急対策として、新聞報道によりますと、一つは、三菱石油流出重油事故の後遺症調査の一環として、今回の赤潮発生原因を徹底的に究明する。二つは、流出重油中和処理剤と今回の赤潮との関連を明らかにするため陸上実験をする。三つ目が、約一カ月問、播磨灘でのハマチ稚魚養殖を一時中止するというふうなことが決められたというふうに聞いておるのでありますが、これは間違いありませんか。
#117
○佐々木説明員 いま御指摘のあったようなことが、いろいろ論議の過程で各県の担当者等から出たことは事実でございますし、そういった報告を私ども聞いておりますが、要は、そこで一つの確定した方針を決めるということではなくて、情報交換と同時に、今後に備えてどういう検討をしなければいけないかという、まあ第一回の打合会でございましたから、いまお話ありましたような今後の原因究明のための調査等について、いまの水島油との関係も含め、環境庁なりあるいは水産庁で本格的にそういう問題を取り上げるように今後推進をしていこう、要望していこうという形で取りまとめられたというふうに理解しております。
#118
○木下委員 そこで、この赤潮発生原因の調査、ことに三菱流出重油との関係の究明をどこでどのようにして行っていくのかということですが、これはいかがでしょうか。
 私が聞いておりますのは、環境庁、水産庁、海上保安庁、その他各省庁が水島重油流出事故環境影響総合調査を進めておるということでありますが、その中で特に赤潮発生原因、ことに三菱流出重油との関係を究明していく、こういうふうに聞いておるのでありますが、これはこのとおり確認してよろしいでしょうか。
#119
○大場政府委員 重油との関係につきましては、水島というぐあいに限定する必要もないかと存じますけれども、いずれにいたしましても、現在の環境調査は一まず中間的な発表をいたしまして、その後引き続き、いま先生の御指摘のありました重油と赤潮発生との因果関係、それから底質等がはっきりいたしますれば、その底質の汚染状況が果たして水島のものであるかどうかということも踏まえまして、水島重油との関連ということもあわせて必要に応じて調査してまいりたい、かように思っております。
#120
○木下委員 そこで今回の赤潮とそれから重油一般ではなくて――重油一般ももちろんこの前提にあるわけでありますが、三菱流出重油との関係をどうとらえるか、これが一番問題になるわけであります。岡市助教授らの研究、実験の成果、これらをひとつよく踏まえて、あるいはこれらを利用して研究、検討を進めていただきたいと思うのです。このことは強く要請をいたしておきたいと思うのでありますが、どうですか。
#121
○大場政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもが御意見をいろいろ伺う学者諸先生のグループの中には、いま御指摘のありました岡市さんも御参加願うことにしておりますし、この間、本委員会で御招致になりました参考人の方々も入っていただく予定にしてございます。
#122
○木下委員 そこで、その点はそのように確認をしておくといたしまして、次の問題でありますが、播磨灘でのハマチの稚魚の養殖を約一カ月間ストップをするということが、この五月二十六日の対策協議会でも出された対策であるということでありますが、これは結局六月末には、どうするかを決定して方向づけをしなければならない、こういう問題にぶつかると思うのです。結局のところ、稚魚の養殖を全面中止をするか、あるいは大幅縮小をするか、あるいは従前どおり計画どおり放流して養殖を進めるか、この三つのうちの一つだと思うのです。このいずれの方向になるのか、その見通しはいかがでございましょうか。
#123
○佐々木説明員 これは一つは瀬戸内海の漁場環境条件が区域によっても相当差がございますのと、同時に漁業経営上のいろいろな経営計画と申しますか、それとの関連もございますので、両面から考えなければいけないというふうに考えております。瀬戸内の事務局ではっきり打ち合わせしましたときに、方針をそこで決定して、それで強制しようということではありませんけれども、集まりました担当者の意見で、少なくとも一カ月ぐらいは様子を見る方が安全であるということで、可能であれば、できるだけそういう線で漁業者の方も指導していこうということを一応話し合ったというふうに聞いております。
 今後の問題でございますけれども、やはり家島の周辺でのいろいろな環境調査なり、それからそこでのプランクトン組成等を逐次監視をしてまいりまして、大体いま持ってきても大丈夫だ。しかし先へいっても絶対大丈夫かという問題になりますと、地域、地域ごとにやはりそれなりの不安が残っているわけでございますから、その後の監視体制を強化しながら、赤潮のかなり被害がありそうな場合には早目に警報を出して、できるだけ魚を影響のなさそうなところへ避難させるとか、あるいは可能であれば外海の方へしばらくの間でも夏場ごろまで置かして、内海へ持ってくる量を場所によっては少し減らすとか、そういったことを実態に応じて組み合わせて指導していく必要がある、かように考えておりますけれども、これも個々の漁業者の経営事情等を十分しんしゃくしないと空論に終わりますので、その点についても現在、県の水産課が中心になっていろいろ実態等をさらに詰めております。近くまた、それも関係者が集まって、外海各県との関連もございますので、協議の上で、被害が起きた場合にもできるだけ被害が少なくて済むように、安全に退避ができるようにというようなことを組み合わせて考えてまいりたい、かように思っております。
#124
○木下委員 実態を踏まえて考えていくということでありますが、この問題は非常にむずかしいと思うのです。夏に向かって赤潮発生の見込みはどうなのかということが一つ大きくかかっておると思うのです。もし仮に大規模に赤潮が発生するという予測があり、これはもう現にあるわけでありますが、しかも、その予測が非常に強い。そしてこの赤潮に有効に対処する方法が立たないというようなことになれば、これはもうこの稚魚を養殖するわけにはいきません。全面ストップしかないように私は思うのです。そうではありませんか。
#125
○佐々木説明員 確実に赤潮の被害を受けるということがはっきり予見されているところでは、いまのように養殖を見合わせるという以外には方法はないと私も思いますけれども、内海の全域について、確実にそれが予見されるかどうかということは、地域によって必ずしも一様ではございませんので、たとえば徳島県のようなところであれば、万一そういう事態が発生をしたときにも、かなり早目に外海の方への退避ができますし、それから同じ兵庫県下でありましても、淡路周辺と家島周辺とでは相当事情も違うというようなこともございますので、今後予想されます確実さの程度と漁業経営の実態というものを両方にらみ合わせて適切な指導をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
#126
○木下委員 全面中止あるいは大幅縮小の見通しもあるということだと思います。問題は、そういうときに一体関係漁民はどうすればよろしいかということなのです。継続して養殖がやれれば、これは結構ですが、できないということになったらどうするのか、その見通しもあるということをいま認められたわけであります。長年にわたって養殖事業をやってきた漁民が、それからほうり出されてしまうということなのですね。しかも、これは漁民が勝手好き好きにやってきた養殖事業ではありません。とる漁業から育てる漁業へということで、水産庁などの音頭取りで、その政策に乗っかって進められてきた養殖事業であります。これがだめだということで、漁民が路頭に迷うというようなことでは困ると思うのです。漁民に対する仕事の保障あるいは生活の保障は、仮にこのハマチ養殖の全面中止というふうな事態になっても、確実にしなければならない、私はこう思うのです。この点について環境庁なりあるいは水産庁のお考えを伺っておきたいと思います。
#127
○佐々木説明員 ただいま申し上げましたように、たとえば何月にこういう漁業に有害な赤潮が確実に発生するから、いまから絶対にその養殖をストップしなければいけないという非常にシビアなところが、いまの時点で確実に線引きができるかと言われますと、これも非常にむずかしゅうございます。結局、確率の程度のようなことでございますので、それに応じて、また漁業者の経営事情から言いましても、かなり昔から外海の方といろいろな関連がございまして、外海の方で相当期間、たとえば夏場いっぱいくらいまでハマチを置いておける業者もございますし、それから同時に、かなり早目に内海へ持ってこざるを得ない業者もございます。そういった事情を考えながら、万が一、大体大丈夫だと思ったところへ持ってきて被害が生じたような場合には、現在の漁業共済制度に、ともかくできるだけみんな加入するように指導して、そこで漁業者の方の損失の補てんができるような万全な歯どめはやはりどうしてもしなければいけない、かように考えておるわけでございます。
#128
○木下委員 いま言われた共済制度で救っていくということはぜひやってもらいたいと思うのですが、ただこれは、養殖を継続してやっていくという前提で、その中で災害が起こった場合の問題なのですね。そうでなくて、一カ月ほど検討する、そしてその検討の結果、いろいろ状況を見て、これではもうとてもやっていけない、だめだ、ストップするしかないという場合、これはもう漁民は養殖できないということになるでしょう。その場合には共済制度の適用ということもありませんね。そこで私は伺っているわけなのです。やはりそういう最悪の事態ということも十分考えられることなのですから、そういう場合には漁民をどのようにして救済していくか、これはぜひ考えていただきたいと思うのですよ。そんな悠長なことを言っておられません。そういう最悪の事態がもうすぐくる、そういうおそれが非常に強いわけなのです。これは、ではいまひとつどういうことをするという具体的なことは言えないと思います。けれども、一番大事なことは漁民の暮らしを守る、方法はいろいろありましょう。長期低利の融資あるいはその他、道がありましょうけれども、そうした方法を講じて、漁民の暮らしだけは守っていく、このことをやはり政府としてはきちんとひとつ言明をしていただきたいと思うのです。いかがですか。
#129
○佐々木説明員 水産庁といたしましては、当然、漁業者の経営の安定ということが、今後、漁業の振興の上でも一番の基本の要因でございますから、第一にまずそれを考えなければいけないということは、肝に銘じているつもりでございます。先ほど申し上げましたように、共済制度の活用であるとか、あるいは実情に応じまして危険を幾らかでも少なくする方法とか、そういったことを当面の対策として考えながら、やはり基本的には瀬戸内海の中でのいろいろな富栄養化の問題に対する諸般の対策を関係省庁と共同して進めて、一日も早くそういうリスクの少ない環境の中で漁業生産ができるように、われわれとしては努力をしなければいけない、かように考えております。
#130
○木下委員 その点、余りお尋ねしておりませんので、環境庁長官、そういう最悪の事態に至っても、環境庁としても漁民の暮らしが守れるように、ひとつ努力をしていただくということをお約束願いたいと思うのです。いかがでしょうか。
#131
○小沢国務大臣 ただいま水産庁の研究開発部長が言われたとおりでございますが、閣僚の一人として当然、被害者を守るという立場が、私ども環境庁の直接の権限ではありませんけれども、環境汚染によって生ずる財産被害ということになりますので、御承知のようにそれらの問題についていかなる方法をとるべきかということを、今年から大々的に調査いたしまして、一つの結論を今年度いっぱいには何とか見たいということでやっている省でもございますから、当面、いま緊急のそういう被害者の救済のためには重大な関心がございますので、閣僚の一人としても農林大臣にお願いをいたしまして、万全を期するように努力をいたしていきたい、かように考えます。
#132
○木下委員 次の問題ですが、この家島のハマチの大量死の点でありますが、貴重な水産資源であるハマチが大量死に至りまして、これは漁民の死活問題であると同時に、大きな社会的損失でもあると思うのです。このハマチの大量死に至る前に、もっと対策はなかったのかという点で私は疑問を感ずるわけなのです。
 この経過についてはもう詳しく申しませんが、御承知のように家島のごく周辺に赤潮が発生しましたのは五月十九日であります。二十一日に各養殖業者から、ハマチに食欲がなくなった、衰弱化が目立っておるという連絡を県対策本部にいたしております。そして厳戒体制に入る。また赤潮はこの養殖場に侵入してきております。県の方からも人が来ております。被害が生じましたのは二十三日の午後のことであります。赤潮が発生してハマチに異常が見られた、その初期の段階で対応策はなかったものかということなのです。これは小豆島では四十七年のときの教訓を生かしまして、ハマチをほかに移動しております。これによって被害を免れております。家島ではなぜ小豆島でできたことができなかったのか。この点、中村参考人は、県からやってきた人は何ら指導助言はしなかった、こう言っておるのです。私は、県水産課なりあるいは水産庁が、今度の問題を一つの反省として受けとめ、一つの貴重な教訓にしてもらいたい、こう思うわけなのですが、いかがでしょう。
#133
○佐々木説明員 私どもも、十分な指導ができないで結果的に被害が出たということは、非常に残念に思っております。今後はそういうものを生かして、十分漁業者を指導していきたいと思いますが、やや補足さしていただきますと、漁業者の方から連絡を受けて、すぐ県の試験場の方で現地に出向きまして、プランクトンの分析等をやりました。そのとき県の方の判定では、鞭毛藻類の中でもエグジュビエラというものが大体主体になっておるという判定をいたしまして、これは分類上ちょっと専門家の中で異論があるようですけれども、いずれにしてもこういった種類のプランクトンで、従来、広範に大規模なハマチ養殖被害が出たことがございませんでした。四十七年のときは御案内のように海産ミドリムシというのが主体で、かなり形態も生理も違っております。県の方では、見通しが甘かったと言われれば確かにそのとおりなのですけれども、あるいはそのまま生き残るのではないかという期待もあって、しばらくは魚を余りいじらないで、下手に動かすとかえって魚が弱るから、そのままにしておけ、それからえさも余りやるなという指導をして、様子を見ているうちに魚が死に始めたというのが実態でございます。ただ、ここで三形態で四万四千尾のハマチを養殖しておったわけですけれども、そのうち四千尾ぐらいは生きている間に取り上げて、市場に出荷をしております。それから、そのうちの一万尾は、まだ現在生き残って、えさ等はまだやっておりませんで、やや弱っておるようですけれども、現在も網生けすの中で生存をしているということなので、県の指導が全く間違っておったかと言われますと、必ずしもそうも言えなかったので、今後は十分そういうものを生かして、十分な指導をしたいと思います。
 それから先ほどお話にありました小豆島の方へは、実は香川県を通じて兵庫県から連絡をとりましたので、かなり距離もございまして、小豆島の方では適切に避難をして難を免れたということで、こういったことを考えながら、今後もまた十分な指導の参考にしたいと思っております。
#134
○木下委員 いろいろ言われましたが、たくさんのハマチを殺したということは、判断、見通しが甘かったということなので、やはりその点はひとつ謙虚に総括し、これは水産庁を中心にして総括をしていただいて、今後の教訓にしていただきたい、こう思うわけです。
 それから次の問題ですが、これは総理府関係の方に伺いたいと思います。
 去る二月に、淡路島の西海岸、一宮町などの沖合いでありますが、大量の油が漂着をしてきまして、養殖ノリに甚大な被害を与えた問題が発生しました。この問題は当委員会でも私、前に取り上げましたが、この件については三菱側との話し合いの機運も熟してきておるように思います。ひとつ水島重油流出事故対策本部といたしまして仲介の労をとっていただいて、この三菱側と漁民の方が話し合いができるように、そうしてできる限り円満裏に補償を済ませて解決ができるようにしていただきたいと思うのです。いかがですか。
#135
○加山説明員 先生お尋ねの件につきましては、五月に鑑定結果が出まして、会社並びに漁連それから県当局立ち合いのもとに検体を採取いたしましたので、その科学的な結果に基づいて、現在、会社側と県漁連と話を進めております。今回の事故全般につきましては、やはり被害者補償の原則に基づきまして、当面は会社側が誠意をもって漁連関係者と交渉を進める、こういう原則的な立場を私どももとっております。
 この問題につきましては、鑑定結果は鑑定結果といたしまして、十分参考の上、話し合いを進めていただくことを、私どももお願いしておるわけでございますが、すでに仄聞するところによりますと、会社側もそのような私どもの指導にこたえる形で対応しておりますし、漁連側との歩み寄りもございまして、話が相当煮詰まってきておるというように聞いております。また、その方向で早期に解決するように私どもも希望しておるところでございますし、そのように今後、側面的に進めていきたい、このように考えております。
#136
○木下委員 もうここでは時間の関係もあり、いま言われました鑑定の科学的な結論の当否については、私の方からも触れませんが、ひとつ円満な解決のために努力をいただきたいということを重ねて要望いたしまして、次の問題に移ります。
 最後の問題でありますが、瀬戸内海の底質の問題です。瀬戸内海の汚染問題の核心は、一つには底質の汚染だと言われております。その汚染除去は現在どのように進められているか、概要を伺いたいと思います。
#137
○大場政府委員 底質の問題につきましては、二つ問題があるわけで、一つは水銀だとかあるいはPCBだとか、そういった有害物質を含んでいるヘドロの除去の問題、それから有害物質を含まないけれども、いわゆる有機汚染につながる、環境汚染につながるようなヘドロの問題というぐあいに分かれるわけであります。
 前者の問題につきましては、四十七、八年、ここ二、三年来いろいろ各省庁協力いたしまして、環境調査も実施いたしましたし、それからそれに基づきまして、底質の除去基準も、水銀、PCBにつきましては設定して、現に着手中のところがかなりございます。
 ただ、いま恐らく御指摘になりましたのは後者の方の問題ではなかろうかと想像するわけでありますが、それにつきましては、水銀、PCBの方を先行させました関係で、この次の課題として、いまわれわれが取り組んでいる事柄でございますが、現在までの進行状況といたしましては、全国的に有機ヘドロの環境調査を実施いたしまして、その次には、さらにいろいろ科学的データを集めまして、その有機ヘドロの除去基準の策定をできるだけ早く急ぎたい。それに基づきまして、有機ヘドロの除去作業を展開していきたい、かように考えているわけであります。
 一方、瀬戸内海につきましては、環境庁とは別にまた水産庁が、いわゆる漁場の掃除という意味におきまして、ヘドロの回収技術事業化試験というものを実施中でございます。
#138
○木下委員 いまの除去基準というのは、油分を含んだヘドロというふうに限定して基準を決めようとされているというふうにも聞いておったのですが、そうではございませんか。
#139
○大場政府委員 油分を含んだヘドロの除去基準ということも、実は検討をいましている最中でございますが、必ずしも油分だけに限定せず、有機ヘドロの除去基準というものを、もっと幅広くつくろうと思っております。
#140
○木下委員 それは大体いつごろまでにつくられるのでしょうか。それと、ヘドロ除去のために、その分布あるいはヘドロの質と量、そういったものの概要をつかもうということで、調査を進めておられるということでありますが、これはどの程度進行しておるのでしょうか。
#141
○大場政府委員 有機ヘドロの賦存状態につきます環境調査につきましては、有害ヘドロの環境調査に並びまして、四十八年度から主要湖沼あるいは内湾、この内湾の中にはもちろん瀬戸内海は入っております。東京湾も入っておりますし、伊勢湾も入っておりますが、そういったところにつきまして底質の環境調査を実施しております。
 それから、有機ヘドロの除去基準の問題につきましては、結局は今後どの程度あったら、さわるかということになるわけでありますけれども、有機性ヘドロがふえ、結局問題は水質を汚し、富栄養化現象をもたらすということになるわけでありますから、それに対する影響の問題、それから有機性の底質の腐敗によって硫化水素等が発生するといったこととの関係、そういったことにつきましての知見をさらに求める必要があるわけでありまして、五十年におきましても、そのほか先生が先ほど御指摘になりました油の問題もあるわけでありますから、そういったものの知見を急いで集めまして、できるだけ早くこの問題につきましては基準を設定いたしたいと思っております。しかしながら、もちろん基準ができなければ仕事ができないというわけではございませんで、これはすでにある一定の目安というものは各地区、各地区でつくって、水銀、PCBの有害ヘドロの除去とは別に、有機ヘドロにつきましても、瀬戸内海等におきましては事業を実施中のところもございます。
#142
○木下委員 水産庁の方は、その点は並行してやっておるというふうに聞いておりますが、簡単で結構です。
#143
○佐々木説明員 先ほど環境庁から御説明がありましたように、漁場に特に関係のあります底質の問題について、水産庁でも瀬戸内海、伊勢湾、三河湾といったような内湾の、特に有機汚染のひどいと思われるところを中心に、現在調査を実施中でございます。
 一応瀬戸内海につきましては、調査を四十九年度に終わりまして、いま取りまとめ中でございますが、先ほどお話が出ました除去基準その他については、環境庁と十分打ち合わせをしながらやりたい、そのための技術開発も並行して進めておるという状況でございます。
#144
○木下委員 もうこれで終わりますが、この底質の汚染の除去は、伺いましても、これからの問題という感じがするわけです。底質がどんな状態なのか、その調査さえ、あるいはその基準の設定さえ、これからという段階のようであります。しかも、この底質の状態というのは、硫化物の蓄積など大変ひどい状況があるようであります。ずいぶん立ちおくれております。しかし、瀬戸内海の浄化と水産資源の確保にとって、この問題は緊急に強力に対策が進められなければならないと思います。ひとつ本腰を入れてこうした問題に取り組んでいただくようにお願いをしたいと思います。環境庁と水産庁、その点について最後にもう一言だけ決意のほどを伺いたいと思います。
#145
○小沢国務大臣 いま、あなたは、調査もまだ十分ではないし、実際の基準もまだだと言われましたけれども、実は基準は、先ほど局長が言いましたように、いま鋭意作成中でございますが、ただ、それかといって手をこまねいているわけにいきませんから、現実にはあちこちでこのヘドロ除去の作業はやっておるわけです。瀬戸内海でもやっておりますし、その他の地区でもやれるところはやるようにいたしております。
 それから底質の調査については、特に瀬戸内海は今度総合調査を実施しておりまして、今月の十八日には、大体学者その他いろいろ集まっていただいて、この総合調査の結果の判定をやっていただこう、今月中にはその結果を発表したいと思うのですが、ただ、先ほど来いろいろ聞いておりますと、水島の流出油事故に絡んでのお話が多いのでございますが、遺憾ながら瀬戸内海は、昭和四十五年から今日まで約三千五、六百トンの油が流れております。したがって、四十九年の水島の事故はその約二倍ちょっと超えるような大きな事故でありましたけれども、歴年のそういう状況等を考えてみますと、油と赤潮の関係は十分究明しなければいけませんけれども、水島の三菱石油の油だけに限定して、これが赤潮との関係がどうかというような区分がなかなかできない。やはり油全体の問題を、赤潮との問題で研究もしなければいけません。
 底質等については、先ほどもちょっと江田さんの質問でお答えがありましたように、いろいろ、ところによって非常にまばらな状況で、全部一様に油の影響があるような状況ではないわけでございますが、いずれにいたしましても、もっと総合調査をさらに徹底していかなければならない。六月発表いたしまして、それで終わりというわけにはいきませんので、徹底的に瀬戸内海の水質、底質の調査については、今後もいろいろと究明をしていかなければいかぬ問題がたくさんありますから、私どもは特に赤潮の原因究明ということを、この総合調査とはまた別にひとつやっていきまして、あわせて例の排出基準の強化を、それぞれ生活排水にしても工場排水にしても実行していきたい、かように思っているわけでございます。
#146
○木下委員 もう少しお尋ねしたい点は残りましたけれども、底質の問題あるいは埋め立ての問題等について、また機会を改めまして質問することにしまして、終わりたいと思います。
#147
○渡辺委員長 坂口力君。
#148
○坂口委員 一昨日、今回の赤潮による被害者の皆さん方のお話や、あるいは研究者の皆さん方のお話を聞きまして、現在の赤潮なるものの研究の状態について、あらあら理解をさせていただいたわけでありますが、いろいろお聞きしますと、かなりむずかしい問題も中には含まれていると思わざるを得ないのであります。特に赤潮発生に対する原因にはいろいろな条件がありますし、けさからいろいろ議論されております窒素、燐だけではなしに、CODの問題もあり、また自然環境のいろいろの条件もこれに加わるという、非常に複雑な形で発生してくるということがわかってきているようであります。
 そこで、自然条件はいままでからあったわけでありますので、それに人工的と申しますか、自然条件以外の条件というものがだんだんと出てきた。その一つに油の問題もあり、あるいはまた家庭における洗剤の問題があるということだろうと思うわけでありますが、問題は、瀬戸内海だけではなしに、きょうの新聞等を見せていただきますと、東京湾や伊勢湾にもまた多量の赤潮が発生してくるということでありまして、年々歳々、赤潮による被害または件数というものが、だんだんと段階的にと申しますか、かなりなテンポでふえてきておることも事実であります。
 そういうことを考えますと、先ほど木下さんの御議論にもありましたけれども、いままでのとる漁業から育てる漁業へという漁業の考え方を、今後このまま進めていっていいのか。一昨日、被害者の皆さん方のお話を聞いておりまして、切実にそれを感じたわけであります。これも非常にむずかしい面を含んでいると思いますけれども、現在の海の汚染状態等を考えてみますと、このまま育てる漁業というものを推進していって、果たしていいのであろうかという大きな危惧を、私は持たざるを得ないわけでありますが、その点、あらあらのところ、どのようにお考えになっているか、まずお聞かせいただきたいと思います。
#149
○佐々木説明員 瀬戸内海は、現在でも沿岸の海面養殖業では大体生産額で三割ないし四割を占める非常に重要な漁場で、豊度も非常に高いという条件、それから消費地に非常に近いといういろいろな利点を持っております。私たちは瀬戸内海だけでなくて、今後日本漁業の進むべき方向として、沿岸でのそういったつくる漁業と申しますか養殖業の推進というものを一層図らなければいけないということで、諸般の施策を進めているわけですが、しかし、それには当然前提がございまして、そこである程度安定して養殖生産ができるような環境を保持するということが、当然非常に重要な前提条件になります。その面について努力をしながら、同時にいまのような養殖技術の開発、種苗確保等を進めていくことによって、私は瀬戸内海でも十分今後の養殖業の発展というものは期待できる。ただ、過渡的に、いまのような環境の浄化のための目標が達成されるまでの間に、いろいろ変動もあろうかと思いますので、それに対応する対策として、できるだけ被害を軽減する、それから万が一出た場合にも、その被害を救済する、こういったような用意をしながら、環境の浄化を一日も早く達成して、その中で瀬戸内を中心にした日本沿岸の養殖業を育てなければいけない、かように考えておるわけでございます。
#150
○坂口委員 この年度別の赤潮による漁業の被害状況の数字を見せてもらいますと、四十五、六年から年々歳々かなりふえてきておりまして、先ほど申しましたように件数もふえてきている。この現状を考えますと、今後、ことしも含めて、赤潮はさらに一層発生してくる、こう考えざるを得ないいろいろのデータがあると思うのです。特に公共下水道等の普及率も、日本においてはまだまだ低いわけでありますし、特にいま問題になっております瀬戸内海沿岸の府県は日本全国の平均にも及んでいない、こういう実情であるわけであります。公共下水道の普及は、恐らく計画的に進められていると思うのですが、これが二年や三年のうちに欧米並みにそぞろ進んでいくとも考えにくいわけであります。そういたしますと、窒素とか燐を海水、特に近海の海水の中から減らしていくということは至難なわざに感じられるわけでありますが、公共下水道普及に対する計画、そして今後もしも計画を変更して、さらにこれを前進させるというような御計画がありましたら、ひとつこの際、お聞かせいただきたいと思います。
#151
○久保説明員 公共下水道事業に対する普及対策の問題でございますが、瀬戸内海環境保全臨時措置法にもございますように、この地域における下水道の整備に努めるということにもなっておるわけでございまして、現在のところは、全国の下水道事業の約三〇%を、この地域に投入いたしまして下水道の整備を進めている段階でございますが、現状では必ずしも普及の状況がよくございません。瀬戸内海沿岸地域の府県によって若干整備の率が異なりますけれども、瀬戸内海に面する一府十県の普及率を平均いたしますと、約二五%程度でございます。したがいまして、ただいま実施をいたしております第三次下水道整備はことしで終了いたしますので、昭和五十一年度から第四次下水道整備五カ年計画の策定を準備中でございますので、もちろんこの計画は国全体の経済計画の決定作業と調整を図りつつ決めていかなければなりませんが、その中で建設省といたしましては、環境基準が決められ、特に水質保全のために下水道整備を進めなければいけない地域を重点的に下水道整備を進める予定にいたしておりますので、その計画の中で十分瀬戸内海対策を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
#152
○坂口委員 いまお聞かせをいただきました下水道の普及状態でございますが、これは二次処理までの多分お話だろうと思うのですが、きょう午前中にもいろいろ御質疑がありましたように、この窒素、燐というのは二次処理の段階ではなかなか取れにくいという非常にむずかしい問題があるわけでございますが、この窒素や燐を取り除ける三次処理、これを含めました場合に、たとえば瀬戸内海に限って結構でございますが、これをなくする計画というのは、いま立てておみえになる計画、それから今後の計画でも結構でございますが、これはどのくらい先になるのでございましょうか。あるいはまたそういう計画が立ってなければ立ってないで結構でございます。
#153
○久保説明員 先生御指摘のように、ただいま私が御答弁いたしました瀬戸内海地域の普及率が二五%というのは、現状の二次処理の状態でございます。富栄養化対策として窒素、燐をも除去するという必要性があることは十分認識をしておるわけでございますが、それを進めるめどといたしまして、一体窒素、燐の環境におけるレベルはどのくらいであるかということが、一つの大きな処理の目標になるわけでございますので、現在、環境庁の方で窒素、燐をも含めた環境のレベルを作業中であるというふうに聞いておりますので、それに合わせて窒素、燐の除去を含めた三次処理計画というものを、下水道整備五カ年計画の中へ盛り込んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。したがいまして、現在のところ瀬戸内海地域で三次処理をどれだけの量五カ年計画の中に盛り込むかということを申し上げる段階ではございませんけれども、ただいま申し上げましたような環境基準の制定に合わせて、それに必要な下水道投資をしてまいりたいというふうに考えておるところでございまして、それに必要な研究なりあるいは調査というものは実施しておるところでございます。
#154
○坂口委員 環境庁の長官に一言お伺いをしておきたいわけですが、人口もこれからまだだんだんとふえてくることでありますし、下水量というものはふえこそすれ減るということはなかなかしばらくの間はないだろうと思うわけであります。しかも、この公共下水道の今後の見通しといいますのは、いま建設省の方から御答弁いただきましたとおり計画を立てていただいておりますけれども、しかし、なかなか早急にこの海をきれいにする段階まではほど遠い、こういう実情にあると思うわけであります。現在の汚染度、いろいろの赤潮を発生せしめる要因を含めて、その状態、それから今後の見通し等を考えましたときに、赤潮は今後しばらく、数年になるか十年の単位になるかわかりませんけれども、このままでいけばかなりな頻度で発生してくる、こう予測せざるを得ないのではないかという気がするわけでありますが、この点に対して長官、どのようにお考えになっているか。
#155
○小沢国務大臣 遺憾ながら、私はそういう懸念を持って、当面は対策を進めていかなければならぬというふうに考えます。結局学者のいろいろな意見を、まあ確定的な意見ではございませんが、聞いてみますと、燐と窒素、どちらかが減るということになると、場合によって二つの影響というものが強いように思うから、あるいは燐なら燐の対策が十分にいきました場合には、場合によっては赤潮の発生原因の相当部分をなくすることができるのではないかという説等もございますので、窒素は排出基準をつくることが非常にめんどうでございます。そこで燐の方を当面第一義的になくするような方法をとった方が早道ではなかろうかということで、この燐をなくするためにはやはり基準をつくらなければいけませんから、何とかこの一年くらい、来年のいまごろまでには燐の環境基準を設定をするように急いで、そして燐の方を出すものは、工場排水等については、そういう基準によって排出基準を強化して出さないようにすると同時に、生活排水の中の燐は、洗剤等の寄与の割合が相当高うございますから、洗剤も非常に高いときには二一%であったものが最近は一五%に減らしました。これを通産省といろいろ連絡をとって行政指導をお願いしておりまして、大体一二%までは減らせるのではないかということのめどが、メーカーの方でもついておるようでございますので、もっと減らさなければいけませんけれども、実際はなるべく使用しない方向でいかなければならない、そういう瀬戸内海地域の住民全体の協力も得て、燐を減らすような努力もやっていかなければならない。
 それともう一つは、いま久保下水道部長は非常に努力をして、下水道の全国的な促進を図っております。瀬戸内海環境保全臨時措置法では、この前提出して流れました富士保全法と違いまして、補助率のかさ上げ等が入っておりません。したがって瀬戸内海とか、あるいは伊勢湾とか東京湾とか、あるいは琵琶湖とか霞ヶ浦とか、重要な閉鎖的な水域の環境保全のためには、何かもう少しいままでの下水道事業のやり方等をさらに一歩でも二歩でも、あるいはうんと進めた発想の転換をやって、いま瀬戸内海全体が二五%の普及率だというのですけれども、このうちで非常に進んでいるところ、五割以上のところが大阪とか神戸とかございますので、それらを除きますと、一般の瀬戸内海の方は二五%にはとてもいってないわけです、そういう高いところを入れて二五%でございますから。これは建設省を責めるわけにいかない。予算がないからやはりそういうことになる。同時に、地元の相当の負担になりますから、なかなか推進していきませんので、そういう両面から飛躍的な事業ができるような方途をどうしても考えていかなければいかぬのではなかろうか、こういうように考えるわけでございまして、私も職責上、環境庁長官の予算折衝では、下水にうんと力を入れた大臣折衝を実はやったような状況でございます。ことに来年は新しい五カ年計画か十カ年計画をつくらなければいかぬ段階でございますから、私も建設大臣に協力しまして、公共事業の中で最優先の、もっと飛躍的に伸びるような努力をこれからも続けてみたい。大蔵省にも体当たりでやるつもりでおります。そういうような対策を積み重ねて、できるだけ早く瀬戸内海の環境浄化のために努力していきたい、かような決意を一応申し上げて御了解を得たいと思います。
#156
○坂口委員 さすがは元建設大臣、非常に下水道の方がお詳しいわけでございますが、もう二つ、長官にお聞きしたいと思います。
 一つは、いまおっしゃいました下水道の整備に絡みまして、これもよく議論されるところでございますけれども、下水道が整備をされてまいりますと、工場からの廃液が水質汚濁防止法から下水道法の方に移ってしまうということで、いままでの厳しい基準というものが外れてしまうのではないか、この問題が一つございます。
 それからもう一つは、いま家庭で使いますところの洗剤の問題が出ましたが、いままで洗剤は、それを使われる奥さん方の手が荒れるとか、体に害があるというようなことで、あるいはまたそれに付随することで、いろいろ問題になっていたわけでありますけれども、改めて別の角度から洗剤の問題がここに出てきたわけです。洗剤をできるだけ使わないようにするというような話し合いというのは、厚生省あたりとある程度話が進んでいるのでしょうかどうか。長官がこの洗剤を使わぬというようなことになると、圧力がいろいろかかってくるのでしょうけれども、いずれにしましてもかなり大きな問題になってきているわけであります。その辺の、これを使わないような方向への話し合いというようなものがあるのかどうかということと、初めの下水道法へ変わってしまうことによって、いろいろ弊害が出る、この二つのことについてお伺いしたいと思います。
#157
○小沢国務大臣 私は、洗剤そのものが悪いというより、その中の燐の問題を問題にしているわけでございますので、したがって国民の協力を得ないと、これは私ども、厚生省あるいは通産省と話し合っただけでは、なかなかうまくいかないわけです。何となれば、もし洗剤を使わないで今度石けん類にこれが変わりますと、また別の汚濁負荷量等の問題で相当影響が出てまいりますものですから、その点は通産省とお話し合いをしまして、できるだけ燐分を少なくするような方法をメーカー等の間に指導していただくように、こちらも強く要請をし、やっていく。メーカーそのものとの直接的な話し合いは、たしか大場局長の方でもいろいろやっていただいておるわけでございます。なお、今後ともできるだけ、特にそういう地域の住民運動等と一緒になりまして、効果を上げるようにいたしていきたい、かように考えます。
 それから下水道等の問題は、久保部長の方が適当だと思いますので、久保部長の方からお答えさせます。
#158
○久保説明員 下水道法と水質汚濁防止法との関係だと思うわけでございますが、水質汚濁防止法は、御承知のように、公共水域に流す場合における排出基準を決めて水質規制をするわけでございます。下水道区域内の工場につきましては、下水道法によって、下水道に工場排水を流す場合でございますが、その基準は、おっしゃるように違うわけでございます。と申しますのは、違う項目は主として有機物質等をあらわす、たとえばBODのような数値が違うわけでございますが、これは逆に、工場排水を受けまして下水道で処理をして、処理水を公共水域に出す場合には、水質汚濁防止法がかかるわけでございますから、公共水域全体に対しましては、やはり水質汚濁防止法がかかっておるわけでございます。工場が下水道に流す場合には、下水道法による基準でございますから、かなり汚いものであっても、下水処理場できれいにして水質汚濁防止法に基づく基準で出す、こういうことでございます。ただし、それを無制限に受けるということではございませんで、たとえば重金属等につきましては、下水道で処理をするというよりも、むしろ工場側で除害をして、その上で下水道に流す。除害をする場合の基準は、重金属等に対しましては水質汚濁防止法と同じでございます。もちろん有機物等につきましては、下水道で工場排水を受けて処理をいたしますので、その処理に要した費用等は、これは工場で、下水道の使用料という形で負担をしていただくということで処理をいたしておりますので、費用負担の上からは、妥当なやり方を今後とも一層明確にしてまいりたいという考えでおるわけでございます。
#159
○坂口委員 ちょっとこのことに対しては意見があるわけですけれども、時間がありませんので、きょうこの問題はこれだけにしまして、最後にもう一つだけ水産庁の方にお聞きをして、終わりにしたいと思いますが、初めにも申しましたとおり、この育てる漁業というものが、こういうふうな環境で非常に危機に直面をしている。今後、いままでのようなハマチ養殖等を続けていくというのは、はなはだ困難な条件が整いつつあると私は思うわけであります。果たしていままでのハマチ養殖をしておみえになったような地域で、今後このままやっていっていいのかどうかという非常に危惧を持つわけであります。
 それから、昨年五月に発足いたしました漁業災害補償法の問題、これも責任期限というものが六月一日から翌年の三月三十一日というようなことがあって、ことしのように年がら年じゅう赤潮が出るということになりますと、これが受けられないというような問題がございます。この辺のところでどう改革されていかれるかということをお伺いして、終わりにしたいと思います。
#160
○佐々木説明員 前段の、今後の養殖業の進み方でございますけれども、これは何といっても環境が今後逐次浄化されていくということを前提にして、当面あるべき姿にいくまでの間、被害をどういうふうに少なくするか、特に内海等では余り過密な養殖をして、養殖自身もまたいろいろな富栄養化の一因にもなり得る、局地的にはそういう問題もございますので、そういったことをきめ細かく指導しながら、養殖業の発展を遂げていきたい、こういうふうに考えております。
 その間、被害が起きましたときの救済措置として、いま御指摘の共済制度がございますが、確かに現実に家島で起きた被害について、これで救済ができないという問題がございますので、県の共済組合での共済責任期間の決め方等を再検討するようにということで、いま県を通じて指導中でございます。近く末端の共済組合の結論を得まして、しかるべき適切な対応措置をとりたい、規程改正等を指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
#161
○坂口委員 これで終わらせていただきますが、そういたしますと、漁民の方々の何らかの救済措置というものが、もう少しとられなければならないと思うわけです。一昨日お聞きをしたところによりますと、ほとんど何にもないと言った方が当たっているという現状にあるようでありますので、この救済方法、単に先ほど話の出ました漁業災害補償法だけではなしに、別途何らかのこの人たちに対する補償というものを考えていただければ、大変ありがたいと思うわけであります。お願いをいたしまして、終わらせていただきます。
#162
○渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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