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#1
第075回国会 石炭対策特別委員会 第3号
昭和五十年三月十二日(水曜日)
    午後三時四分開議
 出席委員
   委員長 田代 文久君
   理事 三池  信君 理事 岡田 春夫君
   理事 多賀谷真稔君 理事 多田 光雄君
      愛野興一郎君    加藤 紘一君
      篠田 弘作君    上坂  昇君
      渡辺 惣蔵君    鬼木 勝利君
      松尾 信人君    小宮 武喜君
 出席政府委員
        資源エネルギー
        庁石炭部長   高木 俊介君
 委員外の出席者
        通商産業大臣官
        房参事官    下河辺 孝君
    ―――――――――――――
二月二十二日
 産炭地域開発就労事業の改善等に関する陳情書
 (福岡県田川都添田町議会議長進藤清吾)(第
 一七一号)
 石炭鉱害復旧事業の早期促進に関する陳情書(
 田川市議会議長星野重一)(第一七二号)
 朝日炭鉱株式会社の新鉱移行に関する陳情書(
 北海道議会議長高橋賢一)(第一七三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田代委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 この際、政府より発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、資源エネルギー庁高木石炭部長。
#3
○高木政府委員 現在までの石炭鉱業審議会におかれまして審議されております状況につきまして、中間報告をさせていただきます。
 御高承のとおり、昨年十月一日に、新総合エネルギー政策のもとにおける石炭対策はいかにあるべきかということで、大臣から石炭鉱業審議会に諮問があったわけでございます。
 当日、総会といたしまして、今後の審議を総合部会で実施するということになりまして、総合部会の円城寺部会長に一任ということで、円城寺部会長の御指示によりまして、その下に専門委員会というものを新たに設けたわけでございます。これは日本エネルギー経済研究所の所長をしておいでの向坂先生、それに毎日新聞の田中洋之助先生、日経の阪口昭先生、各論説委員でございますけれども、この三人の方を専門委員に任命いたしまして、なお、その下に作業部会ということで、これは各需要業界、鉄鋼、電力、ガス、あるいは石炭業界あるいは労働組合等々の方々で、いわゆるワーキンググループをつくったわけでございます。
 そういう組織のもとで審議をずっと重ねまして、十月一日に諮問を受けましてから、十一月二十八日に総合部会を一回開いております。その間、いわゆる専門委員会におきましては六回、作業部会におきましては七回開きまして、昨年の十一月二十八日に総合部会を開きましたときの資料が、一部「需要見通し」ということでお手元にお配りしてございます。後ほど簡単に御説明申し上げますけれども、その後同じように専門委員会を五回、作業部会を五回開きまして、今年の二月二十一日に第二回の総合部会を開いております。そのときの資料もお手元にお渡ししてございます。
 資料につきまして簡単に御説明いたしますと、今回の見直しは、いわゆる長期的に五十五年度、六十年度ということを目標にして、いろいろ作業を進めておるわけでございます。
 まず、五十五年度、六十年度の需要がどうなるかというようなことで、いろいろ試算いたしました資料を、お手元にお配りしてございまして、四十九年度は、国内炭二千二百六十万トン、輸入炭六千三百十六万トンというような数字を入れまして、八千五百七十七万トンからの需要がある。これを五十五年度、六十年度に引き延ばしましたときに、輸入あるいは国内炭を入れまして一億一千四百万トンあるいは一億三千万トンの需要が見込めるということでスタートしたわけでございます。ただし、この数字は現在エネルギー調査会の需給部会の方である程度見直しいたしておりますので、一部微調整が出てくるかもしれませんので、その点、お断りいたしておきたいと思います。
 こういう需要に対しまして、供給サイドの方はどうなるかということも試算いたしました。現在の生産能力といたしましては、二千百万トン弱の規模は山としては持っております。ただし、本年度、四十九年度の生産は二千五十万トン弱ではなかろうかと思われます。規模といたしましては二千百万トンの規模は持っておりますけれども、災害あるいはスト等々によりまして、ある程度の減産もいたしておりますので、本年度の生産は二千五十万トン弱ではなかろうかと思われます。この生産の中にも、御存じのように露天掘り等の出炭が約百六十万トン含まれておりますし、そういうことをいろいろ試算いたしますと、現有鉱だけによる将来の二千万トンという数字はちょっと無理ではなかろうかと思われます。
 それで、私どもといたしましては、前から御説明いたしておりますいわゆる事業団の保有鉱区あるいは消滅鉱区、こういうところの新規開発、再開発ということもいろいろ調査いたしまして、予算要求時には五地区十六地点ということが一応いま考えられております。まだこのほかに、いろいろ開発の可能性のあるところは出てくると思いますけれども、一応予算要求時には五地区十六地点を対象にいたしまして、今回二億五千万の調査費をいただいたような次第でございます。こういう開発可能性のところの調査もいたしまして、規模的には五百万トン強というものは、すべて条件がそろえば可能であろうと思われます。ただし、鉱害問題、保安問題、いろいろございますので、この辺、安全を見まして約半分というような生産が可能であるとするならば、現有鉱の生産と新規開発をしつつ二千万トン以上の生産は可能であるという考えに立ちまして、先ほどの需要との見合いにおきまして、昨年の十一月二十八日に、二千万トン以上の生産を確保するんだということを認めていただいたわけでございます。
 その後、では、二千万トン以上を確保するための一つの根本的な問題といたしましては、供給する方も必ず二千万トン以上供給するという、いわゆる供給義務というようなもの、あるいは引き取ってもらう方の需要業界の方におきましては、一定の金額で引き取るという両者の結合が必要ではないかという点に重点を置きまして、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、需要業界等を呼びまして、今後の価格の見通しあるいは長期引き取りの見通しということについて詰めたわけでございます。そういうことを詰めまして、一応めどが立ちましたので、二月二十一日に、お手元にお渡ししております「新石炭政策の基本的方向」ということについて、一応御承認をいただいたということになっております。
 内容を簡単に御説明いたしますと、基本的方向につきましては、六項、十八目につきまして一応御審議いただいております。
 「政策の目的」あるいは「政策の実施のための見通し期間」、先ほども申し上げましたように、五十一年度から六十年度までということの十年間を見通ししております。ただし、技術開発につきましては、より長期的観点に立って検討すべきであるという考えを持っております。
 なお、「政策の実施計画」でございますけれども、
 「石炭供給及び石炭企業経営の安定化を図る」ということからいきますと、三年程度の具体的な計画のもとに、これもローリングプランでやった方がいいのではないかというようなことで、3の(2)のところに書いてございますように、一年ずつ延ばしていくようなローリングプランにしたらどうだろうかというようなことでお諮りしたわけでございます。
 なお、「国内炭についての考え方」は、これはもう申すまでもないことでございますけれども、「国内炭生産維持の必要性」あるいは「国内炭生産の曲制約条件」というようなこともいろいろ御審議いただいております。
 三番目に、「国内炭の経済性と安定供給」の問題でございます。これは、いわゆる経済性というものもある程度考慮しなくちゃならぬ、無条件に高価な石炭というのも、これは問題があろうと思います。ただし、判断に当たりましては、国内資源の安定供給というメリットを十分尊重してもらうということで、需要業界ともいろいろ詰めているわけでございます。
 「国内炭の安定供給」につきましては、先ほども申し上げましたように安定的な供給と引き取りを確保するという方策を確立しなくちゃならぬと思います。
 なお、「調整」問題といたしまして、たとえば短期的な石油価格の変動等によった場合の競合財の価格変動というものに対しましても、石炭企業の安定経営というものが阻害されないような措置を設けるべきであるという判断のもとで、「調整」という項目も入っております。
 なお、「国内炭の経済性の維持・改善及び安定供給の確保」というようなことで、「石炭生産者の責務」という問題を一つ掲げてございます。これは石炭企業経営に関する密接な労使の協力体制も必要ではないかということもうたってございます。
 なお、「労働環境の改善とコストの監査」という問題もうたってございます。これは石炭企業に、企業だけではございませんけれども、現在石炭対策ということで千百億、これをトン当たりに簡単に直しますと五千円になりますし、なお、そのうちの石炭鉱業対策費といたしましてはトン当たり約三千円につきますが、こういう金も突っ込んでおるわけでございますので、十分監査的なものも必要になってくるのではないかという考えに立っております。
 なお、「財政措置」といたしまして、今後の財政措置に関しましては、財源問題あるいは各種助成の制度ということについても検討すべきであるというふうにうたってございます。
 また、石炭企業を長期安定さすためには、当然需要業界の協力が必要でございますので、四番目に書いてございますように「需要者の協力」ということで、「エネルギー源の多様化・分散化及び安定供給の観点から、需要者においても、」と、この「需要者において」というところで、直接需要者だけでなく最終需要者も含みまして、御協力をお願いしたいということをうたってございます。
 なお、「地方公共団体の協力」、これは石炭火力の立地問題あるいは石炭産業従業員の生活環境の整備のためのいわゆる住宅建設等についての、公共団体の協力ということをお願いしておるわけでございます。
 「国内炭との調整」問題につきまして、これは海外炭の輸入でございますけれども、当然、国内炭の供給の安定を阻害しないという歯どめを考えるべきであるということをうたってございます。
 なお、海外炭につきましては、「海外炭の開発輸入」も必要であるということ、これは需要との関係によるわけでございますけれども、国内炭だけで不足する石炭の需要量に対しましては、当然、海外炭の輸入ということも考えるべきであるということでございます。
 五番目に、「保安確保」あるいは「鉱・公害の防止」、これはもう当然のことでございまして、第一番目は「保安確保」でございます。
 なお、二番目に「鉱害防止及び自然環境保護」ということをうたってございます。
 また、「公害防止」といたしましては、「脱硫装置の設置、NO、対策を進める」というようなことも当然進めるべきであるということでございます。
 なお最後に、「石炭生産・利用技術の研究・開発」という点も、これは当然長期展望のもとに立ちまして、石炭の生産、利用技術の研究開発を推進するべきであるというようなことで、二月の二十一日にお諮りしたわけでございます。
 大方はこの線に沿いまして御了承いただいたわけでございますけれども、石炭業界、組合あるいは需要業界等から、それぞれの御意見が出ております。今後、この御意見あるいはここへ書いてございます基本的方向のいわゆる肉づけを実施するということでございまして、そのためには組織の問題も必要になってまいりますし、あるいは機構の問題あるいは財政の問題ということを今後詰めさせていただきまして、お約束しております六月末までには答申を出していただきたいということで、鋭意努力しておる次第でございます。
 簡単でございますけれども、説明を終わらせていただきます。
#4
○田代委員長 次に、通商産業省下河辺参事官。
#5
○下河辺説明員 石炭鉱山の災害状況とその対策につきまして御説明申し上げます。
 私どもで用意してまいりました資料が二つに分かれておりますが、一つが「災害状況と対策」と書いた資料でございます。もう一つが「重大災害事例」と書いた二つの資料に分かれておりますが、まずこの内容につきまして、骨組み等につきましてごく簡単に御説明いたしまいと思います。
 「災害状況と対策」の目次をごらんいただきますとおわかりいただけると思いますけれども、まず、「石炭鉱山の災害推移と対策」につきまして、ごく簡単な一枚の表にまとめたものがございます。そのあとで「死亡者十名以上の重大災害の発生状況」ということで、「総括表」、その次に「事由別発生状況」という表が一枚ついております。そのあとに、各一件ごとにごく簡単な災害の状況を書きました「災害の概況」という資料が数ページにわたってついております。そのあと「付属資料」といたしまして、まずこの間、法令の改正がどういうふうに行われたかということが、順序のとおり並べてあるわけでございます。そのあとに保安融資制度あるいは保安補助金制度等の助成策の推移を説明した表が用意してございます。一番最後に、技術対策の問題としまして「保安技術対策調査の推移」並びに「保安専用機器開発費補助金の推移」をまとめたものが添付してございます。
 なお、もう一つの資料「重大災害事例集」の方でございますが、こちらでは、十人以上の死亡者の出ました災害がこの間五十一件ございますが、その約二割に当たります十件を選びまして、簡単ではございますが図面をつけまして、概況の説明、対策等を説明した資料になっております。
 なお十件の選び方でございますが、過去の災害件数、罹災者数等を勘案いたしまして、ガス爆発から七件、坑内火災から二件、ガス突出から一件、それぞれ死亡者の一番多い災害から選定してございます。
 また出水災害につきましては、ガス爆発に次いで件数が多いわけでございますが、ほとんどが古洞水の出水というような特殊な事例でございますので、今回の資料からは除いてございます。
 またガス爆発災害七件につきましては、発破によるガス爆発が三件、電気その他に起因する爆発災害が三件、自然発火に起因するものが一件というふうに選定してございまして、なお、若干古くなります二十九年以前の災害は、一応事例集からは除いてある次第でございます。
 なお、この「重大災害事例」につきましては、概況を御説明申し上げるその都度、こちらに基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 まず、「災害状況と対策」でございますが、この第一ページに「石炭鉱山の災害推移と対策」と表題を打ちました表が一表ついてございますが、二十五年から四十九年までの鉱山労働者数、罹災者数、そのうちの死亡者数、それから稼働延べ百万人当たりの災害率とありまして、次に対策とございますが、これは主として法律、省令関係の改正等の推移をごく大ざっぱにまとめたものでございます。そのやや詳しいものは後ほど出てまいりますので御説明いたします。なお最後のところに法令改正の動機となった災害ということで、左に書いてございます省令、法律等の改正の原因になった災害が、ごく簡単に書いてあるというような次第でございます。
 これで見ていただきますとおわかりいただけると思いますが、鉱山労働者数も二十五年以降減少してまいっております。四十九年におきましては約四万人になっております。また罹災者数も減少しておりますし、死亡者数におきましても、この表にございますような形で一応減少はいたしておるわけでございます。労働者数が一番多かったのは二十七年でございまして約四十三万人、これをピークにいたしまして、その後減少しておるわけでございます。
 なお、この表にはつけてございませんが、炭鉱数につきましては同じく二十七年が約千炭鉱ございまして、これがピークになっているわけでございます。
 なお、出炭量につきましては、それより若干下がりまして、三十六年が約五千四百万トンに達しておりまして、その年が最高の生産を上げた年になっております。これがごく大ざっぱな概況でございます。
 次に二ページをおあけいただきますと、十名以上の重大災害が発生した、そのごく簡単な事由別にこれを分類したものでございます。総計が五十一件ございまして、ガス、炭じん爆発が三十三件で六四%になっております。次に坑内出水が七件、一四%、坑内火災が六件で一二%、そのあとガス突出、自然発火、落盤と続くわけでございます。
 その次の三ページは、各事由別に分類いたしました災害の死亡者数の多い順に並べたものでございます。
 四ページにまいりまして、十名以上の災害の発生した発生年月日と炭鉱名、その事由別、死亡者数、災害の概況、それから備考欄にこの事件を送致したかどうかということを書いてございます。
 まず、二十四年には四件ございまして、新入炭鉱、これは電気のスパークによる爆発でございます。大和田炭鉱、これは火災でございます。忠隈の落盤、それから魚貫でガス爆発が起きております。これは導火線発破に起因する爆発でございます。
 なお、二十五年には三件ございまして、茂尻がガス爆発、若沖が坑内出水、鹿町がガス爆発でございまして、茂尻は電気、鹿町につきましても電気のスパークでございます。
 それから二十六年、二件ございまして、上嘉穂の坑内出水、大島のガス爆発でございます。
 二十七年は、後藤寺炭鉱の一件でございます。
 二十九年は四件ございますが、新原炭鉱のガス爆発、それから久恒志岐炭鉱の坑内出水、大平洋それから武内宇美のガス爆発と続いております。
 それから三十年には三件ございまして、ガス爆発が二件、突出が一件となっております。
 三十一年は二件、香焼と常盤とございますが、ガス爆発と自然発火によるものでございます。
 三十二年、これは堤炭鉱と東中鶴炭鉱で、ガス爆発と坑内出水でございます。
 三十三年には三件でございますが、江口炭鉱の坑内出水、それから三井砂川と大昇炭鉱のガス爆発でございます。
 三十四年は一件、歌志内炭鉱のガス爆発でございます。
 三十五年にまいりまして五件続いておりますが、新入炭鉱と夕張炭鉱のガス爆発、豊州炭鉱の坑内出水、それに籾井炭鉱と庶路炭鉱のガス爆発と続いております。
 三十六年でございますが、上清炭鉱で坑内火災、これは「重大災害事例」の方の一ページにその概況、二ページに簡単な坑内図の略図をつけてございますが、坑内のコンプレッサー室から出火いたしまして、消火弾、注水等によって消火に努めたわけでございますが、その濃厚な煙が坑内の奥部へ流入いたしまして、当時入坑しておりました九十一名のうち七十一名が罹災したという事故でございます。
 このような多量の罹災者を発生した理由としましては、火災の発見者等が消火に気をとられて連絡がおくれた、あるいは戸門の開放による通気短絡も行われたわけでございますが、坑内深部の補助扇風機が停止されなかったというようなことで、坑内の奥に有毒ガスが吸引されたというようなことが原因と指摘されております。
 なお、対策といたしましては、ここに書いてございますようなことでございます。
 それからこの資料で若干御説明いたしますと、「その他特記事項」といたしまして、調査団が派遣された、その他省令改正、こういう改正が行われたということでございますけれども、これは後ほど一括して御説明いたします。
 それからどういう行政措置がとられたかということ、それから最後にこの炭鉱の将来の操業がどうなったかということが簡単に付記されておるわけでございます。上清炭鉱につきましては、こういう状況でございます。
 同じく三十六年に大辻炭鉱でも坑内火災が発生しております。これも坑内のコンプレッサーの油から火がついて坑内火災を発生したというような事故でございます。なお福住炭鉱のガス爆発が起きております。
 次に三十八年に三件の重大災害が発生しております。一つが大浜炭鉱の坑内出水でございます。その次に三十八年の十一月に三池炭鉱で炭じん爆発がございました。この状況につきましては「重大災害事例」の方の三ページ、四ページにわたって記載してございます。四ページの図で見ていただきまして、右の上の方に第一斜坑、第二斜坑と書いてございます。これが三川坑でございますが、この三川坑の第一斜坑の下部から十一両編成の列車を巻き上げ中にその連結リンクが切断いたしまして、鉱車八両が逸走いたしました。それが坑道途中のアーチ枠を倒して、そのアーチ枠を倒したことに基づきますケーブルのスパークあるいは車輪とレールとの摩擦によるスパークというようなものが発火の原因になったであろうと推定されるわけでございますが、逸走した鉱車によって巻き起こされた炭じんの雲に火がつきまして、炭じんが爆発したという事故でございます。この爆発によりまして十数名の方が直撃によって死亡されたわけでございますが、たまたま一、二番方の交代時でもあったために、入昇坑者がたくさんおったということで、多数の方がCO中毒によって罹災されたというような事故でございます。
 なお、三十八年には糒炭鉱で同じくガス爆発が発生いたしております。
 次に、四十年でございますが、夕張、伊王島、山野炭鉱でガス爆発が起きております。その概況につきましては、まず夕張炭鉱でございますが、資料の五ページに説明文が書いてございます。そのあと若干図面も添付してございますが、この概要は、右三片六尺ロングというところでガス爆発が発生いたしまして、その付近にいた八十六名中六十二名が死亡、十八名が重傷を負ったという事故でございまして、跡ガス(一酸化炭素中毒)並びに爆風によって罹災した事故でございます。
 災害の原因といたしましては、採掘跡の自然発火によりまして付近に停滞していたガスに着火して爆発したものと推定されております。
 次に、伊王島炭鉱でございますが、これは事例集の八ページから書いてございます。これも同じくゲート坑道で採炭作業がほぼ終了しておりまして、残業予定者を除きまして昇坑の準備中であったところに爆発が発生いたしまして、三十名が死亡、十三名の重傷者を出した事故でございます。
 それで原因といたしましては、信号用のキャブタイヤケーブルに鉄梁が落下いたしまして、その重みでキャブタイヤケーブルが引き抜けて、その引き抜けたときの火花が停滞ガスに着火したものと推定されております。
 次に、山野炭鉱の事故が続いて起きております。これも大変大きな事故だったわけでございますが、これにつきましては十一ページから説明がつけてございますが、掘進作業現場におきまして枠入れ、残炭硬の積み込みを終わった後に発破を行ったわけでございます。その後、係員は異常を感じまして、全員に避難所に退避するよう指示をし、電源の遮断等行ったわけでございますが、その他坑外事務所等への連絡を行っているときにガス爆発が発生したというような事故でございまして、十二ページの図面で見ていただきますと、ちょうど中央の上にございます大焼卸のガス突出ヶ所と書いてあるところでガスが発生いたしまして、それが坑内の気流に乗りまして、左の方にございます杉谷一卸巻場(爆発場所)と書いてございますが、そこに流れていったガスに、巻き上げ機の開閉器の火花から着火して爆発したというように推定されておる事故が起きております。
 なお、四十一年には二件ございますが、空知炭鉱、奔別炭鉱のガス爆発でございます。
 四十三年に入りまして美唄のガス爆発、同じく坑内火災、それから平和炭鉱の坑内火災でございますが、四十一年の奔別炭鉱の爆発の状況につきましては、同じく事例集の十三ページ、十四ページに書いてございますが、この事故も坑道掘進の発破がガスに着火いたしまして、これによって爆発を起こしたというふうに推定されておりまして、原因といたしましては、二回の発破を行っておるわけでございますが、一回目の心抜き発破の後に切羽面の奥にあったガスに、二回目の払い発破の火が着火したのではないかというふうに推定されておる事故でございます。
 なお、平和炭鉱につきましては十六ページから書いてございますが、この災害は、ベルトコンベアが偏りましてベルトがスリップを起こして、結局駆動プーリーのラッキングゴムが過熱をして、それから火が出て坑内火災になった。その一酸化炭素の中毒によって罹災者を生じたという事故でございます。
 四十四年に三件出ておりますが、まず、四月にございました茂尻炭鉱のガス爆発でございますが、これは資料の十九ページから説明してございます。払いにおきまして、切替昇の発破によりましてガス爆発が発生したという事故でございます。
 原因につきましては、発破孔の検査が不十分であったために、一回目の発破の穴じり付近に二回目の発破の穴が接近し過ぎたということから、発破の火災がガスに着火をしたというふうに推定されている事故でございます。
 なお、四十四年のあとの二つの事故は、歌志内炭鉱、下山田炭鉱のガス爆発でございます。
 四十五年は一件でございますが、三井砂川炭鉱のガス爆発でございます。
 四十六年は歌志内炭鉱のガス突出事故がございます。これは事例集の二十二ページに書いてございますが、採炭作業中に払いの下部から中央部にかけてガス突出がありまして、その突出した炭に埋没あるいは噴出したメタンガスによって窒息死亡したという事故でございまして、原因といたしましては、断層が奥の方で他の断層と交差する等複雑化しておりまして、高圧状態になったガスが包蔵されていた近くで発破を行ったために、その衝撃によって多量のガスが粉炭とともに噴出してきたということが原因と考えられておる事故でございます。
 次に、四十七年でございますが、四十七年に石狩炭鉱の爆発がございました。これは二十五ページに概要が説明してございますが、これは目抜きに石炭がびっしり詰まっておって、その周りを拡大するか、あるいは振動発破を行わなければ、炭抜きができない状態にあったところへ、これも推定の域を出ないわけでございますが、その振動発破をかけたところ、その火災によりまして付近に停滞していた可燃性ガスに引火爆発するに至ったものであろうと推定されている事故でございます。
 四十九年、昨年につきましては、三井砂川炭鉱のガス爆発事故が一件発生しております。
 以上が大体この数年間にわたっての重大事故の概要でございます。
 その後、この災害等を含めましてどのような対策がとられてきたかということを、一つは法令の推移からまとめたものでございますが、括弧して省と書いてあるのは省令でございますが、二十五年八月に部長指定乙種炭坑の制度をつくったということがございます。二十五年の法律改正でございますが、これは鉱業法の改正に伴いまして、条文の整理とかあるいは鉱業法と同様の規定を保安法上も整備するというようなことで行われた改正でございます。
 二十六年に長孔発破に関する規定が追加になっております。
 二十七年施業案、それから二十八年には副保安管理者、それから技術職員の遵守事項の明確化とか、あるいは部長指定乙種炭坑の規定の強化というようなものが行われております。
 二十九年につきましては、ガス誘導施設、鉱山救護隊等の規定の強化がございます。
 それから、三十年に乙種炭鉱における規制の強化、それから三十二年には、同じく可燃性ガス検定器の備えつけの義務とか、自然発火密閉個所の取りあげの規定の強化などが行われておるわけでございます。
 三十三年には、これは鉱区外に侵掘している者に対しても命令することができるというような条項の追加、あるいは被災者を救出するために必要があるときには、鉱業権者に対して必要な措置を命ずることができるというような規定を法律上に明確化したという改正でございます。
 三十四年には、乙種共同鉱山救護隊制度の新設、あるいはガス爆発防止についての規定の強化等を行っておる次第でございます。
 三十六年には、同じくCO自己救命器あるいは電話または警報装置等の設置義務というような改正を行っております。
 三十七年に法律改正がございまして、保安委員会の職務の強化と申しますか、そのような改正、あるいは請負作業に関する規定の新設あるいは鉱業の停止命令をかけることができるようになったというような改正が行われております。
 三十七年に保安監督員に関する規定を整備しておりますし、三十九年には、これは三池炭鉱との関連がございますが、法律改正が行われておりまして、保安統括者、保安技術管理者、副保安技術管理者制度等を新設いたしております。
 三十九年の省令改正は、当時の災害等に基づきまして、退避訓練、救護隊、通気、ガス、炭じん等に関する規定の強化が行われているわけでございます。
 四十三年は、一酸化炭素自己救命器に関する規定、あるいは空気供給設備等を備えた避難所を設ける等の規制の強化、あるいは乙種炭坑においても電話装置を設けるというような規制を行っております。
 同じく四十三年の十二月に退避訓練、救護隊、誘導無線等の設置についての規定の強化、四十六年には、可燃性ガス自動警報器の設置についての規制を行っております。
 次に、四十七年にガス突出防止についての規制、四十八年には、シュート等における発破の禁止の規制を行なっているわけでございます。
 以上が法律関係でございますが、次に十一ページ、十二ページにわたりまして、保安の融資制度がどういうふうに変わってきたか、あるいは補助金制度がどうなったかということでございます。
 まず、保安の融資制度でございますが、これは三十六年に七機種を対象といたしまして、融資先は中小炭鉱、融資比率は四〇%ということで発足いたしたわけでございますが、それ以降、融資対象、いわゆる融資先、融資比率等に少しずつ拡大が行われてきているわけでございます。たとえば三十九年には可燃性ガス自動警報器というようなものが対象になっておりますし、それから融資先に大手炭鉱が加わっております。四十年度におきましてもかなり大幅な機種の増加がございまして、特に予備費によりまして融資比率の向上が行われております。四十一年も若干の機種の増加が行われておりますが、四十八年からは融資比率を七〇%に上げている次第でございます。
 次に、十二ページにまいりまして、補助金制度の推移でございますが、これは四十年に、対象の工事といたしまして四工事を指定いたしまして発足しております。その後、対象工事あるいは補助率等を拡大しておるわけでございますが、四十年にはガス自動警報器、自動消火装置、異常気圧警報器、ガスクロマトグラフを対象といたしまして、二分の一の補助率で中小炭鉱を対象としたわけでございますが、四十四年には対象を全炭鉱にいたしまして、補助率も三分の二に上げておる次第でございます。その後ガス抜き工事とか密閉工事、充てん工事等々対象工事も拡大しておりまして、四十八年には補助率を四分の三に増加いたしております。
 次に十三ページでございますが、これは通産省といたしまして鉱山保安技術対策調査のためにどういう調査を行ってきたかというものをまとめた表でございますが、これは四十年にガス突出対策として発足をしたわけでございまして、その後ボタ山対策、坑廃水対策、作業環境対策等にその範囲を広げてきておりまして、四十九年からは深部開発対策といたしまして、ガス突出、山はね、自然発火対策等を調査研究しているところでございます。
 次に十四ページでございますが、十四ページは、保安用の専用機器につきまして、早急にその開発を図らなければならないというような機種につきまして、開発費の補助金を交付するということによって、その開発を促進するために設けられた制度でございまして、四十二年から実施されております。その内容でございますが、ここに一覧がついてございますが、ガスの警報器、ガス検知器、誘導無線機あるいは自己救命器等が主力になってございますが、このようなものにつきまして補助金を交付して、その開発を図ってきたというような次第でございます。
 なお、十五ページに石炭対策の概要がつけてございます。これは説明を省略させていただきます。
 以上でございます。
#6
○田代委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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