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#1
第075回国会 石炭対策特別委員会 第9号
昭和五十年七月二日(水曜日)
    午後三時十三分開議
 出席委員
   委員長 田代 文久君
   理事 金子 岩三君 理事 菅波  茂君
   理事 田中 六助君 理事 三池  信君
   理事 岡田 春夫君 理事 多賀谷真稔君
   理事 多田 光雄君
      三枝 三郎君    楢橋  進君
      鬼木 勝利君    松尾 信人君
      小官 武喜君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       渡部 恒三君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   高木 俊介君
 委員外の出席者
        通商産業大臣官
        官房参事官   下河辺 孝君
        資源エネルギー
        庁石炭部鉱害課
        長       西中真二郎君
    ―――――――――――――
六月二十六日
 石炭鉱害関係法の改正に関する請願(諫山博君
 紹介)(第四三六三号)
 同(田代文久君紹介)(第四三六四号)
 同(多田光雄君紹介)(第四三六五号)
 同(三浦久君紹介)(第四三六六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
六月二十八日
 新石炭政策確立に関する陳情書外二件(大牟田
 市議会議長堺親義外二名)(第四五八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 石炭対策に関する件
 請 願
  一 石炭鉱害関係法の改正に関する請願(諌
    山博君紹介)(第四三六三号)
  二 同(田代文久君紹介)(第四三六四号)
  三 同(多田光雄君紹介)(第四三六五号)
  四 同(三浦久君紹介)(第四三六六号)
     ――――◇―――――
#2
○田代委員長 これより会議を開きます。
 まず、請願の審査に入ります。
 今会期中、本委員会に付託されました請願は、本日の請願日程に記載してありますとおり四件であります。
 請願日程全部を議題といたします。
 その趣旨につきましては、すでに文書表によって御承知のところであり、また、理事会においても協議いたしましたので、この際、各請願について紹介議員の説明聴取を省略し、直ちに採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 これより採決いたします。
 本日の請願日程中、第一ないし第四の各請願は、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#6
○田代委員長 なお、本日までに、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してございますとおり産炭地域開発就労事業の改善等に関する陳情書外三件でございます。念のため御報告申し上げます。
     ――――◇―――――
#7
○田代委員長 次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。
 石炭対策に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員の人選、派遣地等、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 また、閉会中審査におきまして、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#11
○田代委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。質疑の申し出があります。これを許します。多賀谷真稔君。
#12
○多賀谷委員 昭和四十年に夕張炭鉱、伊王島炭鉱さらに山野炭鉱と、いわば爆発事故が連続して起こったわけであります。
 先般、山野炭鉱の爆発事故について福岡地方裁判所は、会社側の業務上の過失という判決を出したわけであります。それで判決について、従来鉱山保安局の方でとられた見解と、それから検察庁がとっておった見解とは、同じであったものかどうか、これをまずお開かせ願いたい。
#13
○下河辺説明員 四十年六月に災害が起きましてから、司法捜査を福岡鉱山保安監督局が実施してまいったわけでございますが、その結果に基づきまして、四十一年の十月にこの事件を送致いたしております。
 その内容でございますが、まず鉱業権者である山野鉱業株式会社並びに保安統括者、保安技術管理者、副保安技術管理者、それから開発係長をやっております坑内保安係員、それから首席の係員でございます坑内保安係員を、鉱山保安法違反で送致いたしたわけでございますが、このうち保安統括者と保安技術管理者につきましては、不起訴になっておるわけでございます。
 今回の判決におきましては、以上の二名を除きました、法人とそれから副保安技術管理者、坑内保安係員二名が有罪という判決を受けておる次第でございます。
#14
○多賀谷委員 会社側のいわば弁護の主張というのは、旧係員詰め所前で爆死した機械工が、キャップランプを分解して、接点をドライバーなどでこすっているうち、その熱か火花かがガスに引火した、こういうことを会社側が抗弁をしておるわけであります。このために、その家族は、今度の判決があるまでの間、実に長い間ぬれぎぬを着せられておる。あそこのお父ちゃんがああいうことをしなければ、自分の主人も死ななかったであろうというのですね。しかも、もし、その機械工がそういうことをしたとしても、その人は亡くなっているわけですから、全く死人にむちうつような糾弾をしておる。この事実は、鉱山保安局ではどういうようにとらえておられたのか、これをお聞かせ願いたい。
#15
○下河辺説明員 火源が何かということが、一番大きな争点だったと思います。福岡鉱山保安監督局の送致の根拠といたしましたのは、巻き上げ機の電磁開閉器から出た火花が火源であるという観点に立ちまして、送致いたしておるわけでございます。したがいまして、監督局といたしましては、キャップランプの電灯を詰め所で修理したことが原因であるというような観点には立っていないわけでございまして、その点に関しまして、鉱山側の主張とは全く相反しているということでございます。
#16
○多賀谷委員 当時の実情はつまびらかでないわけですけれども、犯人を仕立てて、そして責任を免れるという、こういうことは、どうもちょっと私は社会的にも許されないという気持ちがするわけであります。しかも、その人はもう亡くなっているわけですからね。ですから、十年ぶりにぬれぎぬが晴れたということを奥さんは言っておられるわけですけれども、こういう大事件で、しかもそれはキャップランプを分解するなんということは、ちょっと考えられない。あれは御存じのように、普通はいま簡単に外せるような状態になっていないわけです。電磁石か何かじゃないと外れないような状態になっておるわけです。ですから、ちょっと考えられなかった、そういうようにわれわれは思うのですけれども、この点について鉱山保安局と立場が違うわけですけれども、会社としては、精神的打撃というものに相当の見舞いといいますか、補償というか、やはりすべきではないか、こういうように考えるわけであります。これは会社はどういう態度で出るのか。新聞によりますと控訴するということも書いてあるし、そのまま判決をのむのか、こういう点が役所の方でわかりましたら、お聞かせ願いたい。
#17
○下河辺説明員 通産省といたしましては、会社側が今後どういう方針でこの裁判に臨むかという点については、いままで何も聞いておりません。
#18
○多賀谷委員 恐らくこの刑事事件で業務上の過失ということになると、それに伴う民事訴訟が起こるのじゃないかという気持ちを持つわけですが、これは山野鉱業所と三井鉱山との関係をどういうように見るのか。これは実際、山野鉱業所というのは、もう全部精算をしましたといってみても、全株三井鉱山ですからね。ですから、そういう会社を分離しておって、もし、そういう責任が起こった場合には、当該分離した会社だけに責任を負わせるということになると、われわれとしては、今後一切分離はさせない、もう分離まかりならぬ、そういうものは全部親会社も責任を負えと、こう言わざるを得ないわけですよ。
 ですから、これは仮定の話で非常に恐縮でありますけれども、鉱害の場合等についても、やはりもとの鉱業権者の責任追及というものもありますし、あるいは分離された場合に、当該炭鉱の鉱害でも、親会社が必ず持ちなさいということを、地元住民は一札とるという形に事実上なっておるわけです。でありますから、こういった場合に、ただ山野鉱業所はもう会社としてなくなりました、全く無資力でどうにもなりません、こういうことで、私どもが分離を認めたわけじゃないのですけれども、結局、役所として分離をさした責任があると思うのです。ですから、そういう問題を一体どういうようにお考えであるか。それは鉱害問題もあるし、また、いま申しますような、こういういわば労災の損害補償の問題もあるけれども、これについては、やはり三井鉱山にも十分責任を感じていただかなければ、全株三井鉱山ですから、結局あらゆる人的にも物的にも三井鉱山が経営していると同じですから、この点はひとつ十分、会社の方にそういう処置をとるように要求してもらいたいと思います。ちょっと仮定の問題でありますけれども、一体になって今後は、被害者あるいは罹災者に対しては当たってもらわなければならぬと思うのですが、ひとつ石炭部長並びに立地公害局、保安局の方ではどういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。
#19
○高木政府委員 ただいまの先生の御指摘の会社の分離ということにつきましては、ただいま御指摘の三井も分離しておりますし、その他、数多くの分離会社が子会社として存続しているわけでございますけれども、少なくとも生産面におきましての鉱害関係の責任ということは、生産関係の方では明確にしておるつもりでございます。ただし、いま御指摘の災害関係についての問題というような点は、正直のところ、私の方ではいままでそういうことを考えておりませんでした。生産関係といたしましても、御指摘の点は十分理解できますので、私の方からも会社の方には一応連絡したいというふうに考えております。
#20
○下河辺説明員 ただいま石炭部長がお答えしたとおりでございますが、保安の方から見てみますと、法律的な問題と一般的なそういう親会社、子会社という関係があると思いますが、法律的な問題としては、やはり山野炭鉱の責任であろうというふうに考えます。しかしながら、ただいま石炭部長がお答えいたしたような問題がございますので、その点につきましては、エネルギー庁とも協議いたしまして、会社の方に相談したい、こういうふうに考えます。
#21
○多賀谷委員 それは形式論的に言いますと、会社は別会社ですけれども、事実上は全株三井鉱山が持ち、それから職員も役員も全部三井鉱山から派遣をされ、資材費でも全部、三井鉱山が買って山野の方に供給をしておる。それで石炭も全部、山野鉱業所が出した石炭は、山野鉱業所が販売をするのではなくて、三井鉱山が販売しておるわけですから、結局、事実上はこの一部門になっておるわけですから、やはりそういう場合には、おのずから罹災者等についても違うのじゃないか、こういうように思うのです。現実、この災害が起きたときに、見舞い金の支出なんかは、御存じのように開発銀行は三井鉱山に出して、三井鉱山が山野鉱業所に貸して、そして見舞い金その他を払ったのです。事実そういうことをやっているのですよ。ですから、私は今後、どういうようにこれが展開をするか私もわかりません。わかりませんけれども、ただ会社は別だということで、自分の方は責任はないのだということでは、社会的責任を全うすることができないのじゃないか、こういうように思いますので、ひとつ御善処方をお願いいたしたい、こういうように思います。
 そこで、先般からずっと保安のいままでの事例を精細に資料にしていただき、また、関係議員からも質問があったわけですが、残念に思いますことは、災害が起こって、その教訓で次の対策をやる。ところが、その次の対策がまだ十分浸透しないうちに事故が起こるということが、やはり繰り返し行われたわけです。ここにも若干その面が書いてありますけれども、たとえばCOマスクの設置義務というのは、最初は大辻炭鉱で、救命に行った所長以下が全員死亡したという事件が起こった、そこで少なくともCOマスクもつけないで救命に行ったのかというので議論になって、つくったわけです。そして危いのは中小企業からだというので、中小企業に優先的にCOマスクの配給をしておった。というのは、日本には残念ながら生産能力がないのです。ところが三池の大災害が起こったわけです。三池は非常に優良炭鉱だから、大きな炭鉱だからというので、COマスクを後回しにしておった。ところが三池の大災害が起こったときに、だれもCOマスクをつけた者がないじゃないか。あれは設置義務をすでに省令で、保安法規で決めたはずだというので、いろいろ議論をしてみましたら、実は三池には届いていなかったということがあった。そこであれだけの大災害が起こったわけであります。四百五十八名という死亡者を出したわけです。それから次に、今度は自己救命器は、COマスクは自己携帯にしなければならぬということにわれわれは気づいて、そういうように改正をしたわけです。これらをずっと追いまして、後々に政策がなっておるということは、非常にわれわれとしては残念であります。すなわち、山野の災害にいたしましても、自己携帯にしておりませんでしたから、COマスクの設置義務は課したけれども、何ヵ所かに置くことにしたものですから、それを取るのに間に合わない。若干持った人もおるわけですけれども、それからは御存じのように自己携帯義務ということになったわけです。ですから、大きな災害の教訓を生かしながら、次々と法律あるいは規則を改正していきましたけれども、残念ながら間に合わなかったというところにやはり問題があると思うのです。
 そこで、いまCO自己救命器はかなり完成されたのですか、どうですか。どのくらいいまはもつのですか。
#22
○下河辺説明員 COマスクにつきましては、日本の場合には、開発に着手いたしましたのが三十年ごろであると思います。それから三十二年から一社が発売を開始したというような状況にあるようでございます。それで三十六年に保安法上の型式検定に合格いたしまして、ようやく一応何とか鉱山の坑内で使える品物ができたということで、三十六年の省令改正によりまして設置義務を法律上義務づけたわけでございます。しかしながら、まだ当時のCOマスクにつきましては、薬剤の耐用年数と申しますか、特に、携帯した場合の振動に対して薬剤が粉化するというような問題点があったようでございます。その辺の研究をその後、続けてまいりまして、四十二年ごろにようやく携帯にたえるような薬剤ができて、これで一応一人前のCOマスクというものが完成したのではないかというふうに考えておるわけでございますが、それを待ちまして、四十三年の省令改正で実はCOマスクの携帯義務を新設いたしたような次第でございます。
 それで、マスクの耐用の時間でございますけれども、これも昔の物は公称三十分というように言われているようでございますけれども、最近の物は大体一時間と言われているようでございます。ただし、これもたしかCOの濃度がある一定の高濃度の場合での時間でございますから、事故が起きて装着いたしましても、その濃度が低いところであれば、当然、化学反応が進まないわけでございますから、耐用時間は長くなるのじゃないかと思います。現在、大体そういうことで携帯マスクができて完成に近づいておる、こんなふうに理解しております。
#23
○多賀谷委員 三池であの大爆発が起きた後に、やはりガス事故が起こりましたときに、われわれも調査しましたが、すばしこい人といいますか、二つぐらい一遍に持っていった人は助かっておるわけです。一つだけ持っていった人は亡くなっている、こういう事実をわれわれは現実に知ることができて、ちょっと愕然としたのです。ですから、やはりこれはだんだん炭鉱が少なくなって、それだけ需要もないわけでしょうけれども、こういう人命に関する機器というものは、十分ひとつ研究をしてもらいたい、こういうように思います。
 そこで、この間から参考人からいろいろ出されておりますが、保安に対する研究所を、もう少し国の責任で統一的にやってもらいたいという議論が非常に強いわけであります。私も直方にあります工業技術院の研究所へ行きましたけれども、御存じのように分研究所というのが碓井にあるわけです。これは爆発研究所なんですが、最近はあの辺は炭鉱もなくなっておりますから、むしろ一般の公害の騒音であるとか、あるいは汚水の検査とか、そういうものをやられておるわけですけれども、北海道の研究所あるいはまた石炭技研、こういうものをひとつ統一して、徹底的な研究体制に入る必要があるのじゃないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#24
○下河辺説明員 われわれといたしましては、いまございます大学あるいは通産省の公害資源研究所それから石炭技術研究所でございますか、こういう研究所を統合するのは必ずしも効果的ではないのじゃないか。かえっていろいろ人事面、予算面、それから役所と民間というものがまじるということで、果たして能率的なものができるかどうかという点では、かなり疑問を持っておるわけでございます。
 しかしながら、いまわれわれがこの試験研究関係をどういうふうに進めているかということを簡単に御説明いたしますと、まず、その技術開発の方向づけとか、あるいは重点開発課題の選定という問題につきましては、立地公害局の局長の諮問機関的なものでございますけれども、たとえば深部保安対策部会とかガス突出山はね防止対策部会とかというような委員会が五つ六つ設けてございまして、それらで基礎的な問題の摘出というような点を重点に置きまして、検討を進めているわけでございます。それに基づきまして基礎的なあるいは先導的な研究というようなものを公害資源研究所にお願いしまして、たとえばガス爆発のモデル研究というようなものとか、突出が起きるときのその発生機構というようなものを、この研究所を中心にしてやってもらう、それをもとにしまして、結局、炭鉱の場合には個々の炭鉱ごと、特にまた炭鉱の中でも一つ一つの切り羽の場所、位置によってかなり自然条件に差異がある場合が多いわけでございますが、現場の調査研究、現場適用試験というようなものを石炭技研にお願いいたして進めているわけでございます。
 このような三段階の方式をとって進めているわけでございますが、このような方式が現在、最も効率よく進められるのではないかというようなふうに考えておりまして、この方向に沿って今後とも努力していきたい、このように考えておる次第でございます。
#25
○多賀谷委員 ことに、いまからの重点開発地域は、山はねとかガスとか高温とか、まあ深部に伴う地域あるいはかなり炭層が乱れている地域も開発しなければならぬ。でありますから、これはやはりアイデアは確かに、私は個所の多い方がいいような気もするのですけれども、しかし、重点的に研究するということになりますと、やはり重点的な予算と体制がなければできないのじゃないか、こういうように思うわけです。いろいろな発想を展開する場合は、あちらこちらでやった方が、あるいはいいかも知れませんけれども、しかし、本当に本格的な研究に取り組むとなりますと、やはり私は、相当の金をつぎ込んでいかなければならぬのじゃないか、それにはやはり研究体制というものが必要ではないか、こういうように考えるわけです。これは関係者の方で、ばらばらにやっておるのはどうだろうかとか、あるいは予算が少ないのじゃないかとか、いろいろ不安が依然としてある。そして試験炭鉱というのを一つつくってもらったらどうだろうかというような話もある。たとえば閉山いたしました朝日炭鉱、あそこを試験炭鉱として実際に出炭をするわけですね。そういう試験炭鉱、保安の試験なんだけれども、しかし実際は炭を出しながらやる、こういう方法もどうだろうか、いろいろ意見が出ておるわけですけれども、ひとつ十分、研究体制というものを重点的にやっていただきたい、推進していただきたい。
 そこで、試験炭鉱構想というのはどうなのですかね。やはり条件が名山とも違うから、必ずしも試験炭鉱でやったことが、他の炭鉱に当てはまるというわけにはいかないから、余り意味がないと見るのか、現実どういうようにお考えですかね。
#26
○下河辺説明員 先日の参考人の先生方の御意見の中にもあったと思いましたですが、やはり日本の炭鉱は、平層もあるし、急傾斜もあるし、深いところもあり、厚さもいろいろでございますし、ガスの状態等もいろいろあります。それから炭質そのものもいろいろあるわけでございまして、やはり、一つでよかったから全部にいいのだというようなことはなかなか言いがたいのじゃないかと思っております。したがいまして、試験炭鉱をつくって、一つのどこかでやれば、すべてそれで解決だというふうにはいかないのじゃないかというふうに理解している次第でございます。
#27
○多賀谷委員 次に、時間もありませんが、私は鉱害について質問してみたいと思うのです。
 いま現実に十ヵ年計画のうち、どのぐらい推進をしておるのか、これをお聞かせ願いたい。
#28
○西中説明員 お答えいたします。
 四十七年度に鉱害復旧長期計画を御存じのように策定いたしまして、当時の価格で千七百五億という鉱害量があるというふうに見たわけでございます。その後、鉱害復旧をもちろん進めてまいっておるわけでございますが、他方、その間の物価の上昇等で鉱害量がふえておる点もございまして、その辺を差し引いて勘定いたしますと、大体現在の時点、五十年度当初の時点で約二千億をちょっと超す程度の鉱害、これは五十年度価格でございますけれども、その程度の鉱害が残っておるというふうに見ておる次第でございます。
#29
○多賀谷委員 金額としては二千億というお話ですが、事業量としてはどのくらいいっているのですか。
#30
○西中説明員 もともとの千七再五億という数字と、その後の復旧の実績と両方にらみ合わせてまいりますと、大体四十九年度終わりましたところで、二二%程度の復旧というふうに一応見ております。
#31
○多賀谷委員 そうすると、量でいくとまだ約八割残っておるということですね。しかも、これは現実に第二次鉱害が出ているわけでしょう。
 それで、第二次鉱害というのは、まあいろいろな類型があるわけですけれども、一つは、当時は坑内に水を引き落としたということで、井戸がかれるとか、そういうような状態の中で、いわばたんぼの原形復旧をした。ところが、いまや筑豊炭田は地下は満水をしておる。ですからむしろ湿地地帯になる、こういう問題があります。若干これは手直し等をされておるようですけれども、そういった一つの問題があるし、総合計画ができていなかったために、ちぐはぐな状態になって、効用すら回復してないという地域がある。あるいはまた、かつて特鉱であるとか、その前のプール資金であるとか、臨鉱でやったという地域が、一つは工事が十分でなかったという点、あるいはやはり実際に地盤が安定をしてなかったのだという問題、あるいはその地域に別の方から水等を引き落として、さらに陥没をしたとか、そういう幾多の要素で、第二次被害が出ておるという問題があります。これをどういうようにするかという問題が一つあります。必ずしも第二次被害でありませんけれども、最近やはり湿地地帯になるというのと同じような現象で水が吹き出ておる、それが坑内の赤い水等が噴出してきたという問題、こういう問題をどうするか。それから、炭鉱では閉山をするときに離職者や関係者に払い下げておるわけですね。それがその後だんだん破損がひどくなってきた、しかもそれは鉱害であるという問題、これらを一体どういうようにするのかという問題がありますが、これらの点についてはどういうように今後、処置をされるつもりであるか、お聞かせを願いたい。
#32
○西中説明員 ただいま先生御指摘ございました一つは、一たん復旧いたしましたものの再復旧というふうな問題かと思いますが、現在の私ども所管しております臨鉱法におきます鉱害復旧におきましては、やはり鉱業権者に鉱害賠償債務が残っておるという鉱害を対象にするという考え方に立っておりますので、一度復旧したものを再復旧するということは非常にむずかしいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。もちろん、今後の問題としていろいろ問題意識は持っておるわけでございますけれども、最初の御質問に対してお答えいたしましたように、まだ手つかずで残っておるような鉱害もたくさんあるような状況でございますので、まず、そういったものを片づけるのが先決じゃないかというふうにも考えるわけでございます。なお、一たん復旧いたしました場合でも、その後でまた新しい鉱害現象が起こったというふうな場合には、これは当初予想していなかった事態でございますから、新規鉱害として必要な鉱害復旧等の処置をとるということは、これは十分可能なのじゃないかというふうに考えております。
 それから赤水の問題でございますけれども、確かに筑豊地帯、かなりそういう問題が出ておるようでございまして、私どももいろいろ勉強しなければいかぬと思っておるところでございますが、こういったふうな観点から、昨年度から石炭鉱害事業団の九州支部に古洞水調費委員会という調査組織を設けまして、主に九大の先生でございますけれども、外部の専門家の方に入っていただきまして、現在、その古洞水の湧水の状況でございますとか、あるいはどういう水質であるか、どういう原因であるか、あるいは今後どういうふうに対策を講じたらいいかというふうな問題につきまして、昨年度、今年度、明年度と三ヵ年計画で調査をお願いするということで、現在調査を進めている段階でございます。
#33
○多賀谷委員 新しい鉱害現象といいましても、それは新しい採掘による鉱害現象を言われるのですか。それとも一回復旧したけれども、やはり鉱害が続いておるから、さらに沈下した、こういうのですか。その点はどういうのか、いまお話のあった意味を教えていただきたい。
#34
○西中説明員 新しく掘ったという意味ではございませんで、新たな鉱害現象が起こったという意味でございます。たとえばたんぼが地盤沈下ということで、復旧した。地盤沈下は一応それで終わるわけでございますけれども、別途、赤水が湧き出したというふうな場合でございますとか、あるいは別途、浅所陥没が起きてきたというふうな場合でございますとか、新たな鉱害現象という甘味でございます。
#35
○多賀谷委員 そうしましたら、安定したであろうと思って復申しておったら、さらに沈下した場合はどうなりますか。
#36
○西中説明員 ケースにもよると思いますけれども、現在までの取り扱いといたしましては、地盤の沈下に対するかさ上げというようなものにつきましては、一たん工事が終わりましたら、それで一応、鉱害賠償請求権は消滅するという考え方に立っております。
#37
○多賀谷委員 ですから、それは予想をしておった地盤の安定ができていなかったわけですね。でありますから、全然別の鉱害が起こったわけじゃなくて、それはもう安定したであろうと思って復申しておった、ところがその後さらに沈下した、こういう場合は、われわれは第二次鉱害といっているのですけれども、これはやはり認むべきじゃないかというふうに思うわけですよ。現実にそういう個所があるわけですね。それは一回もうプール資金でやりました、特鉱でやりましたから、もうだめです。こういういま返事なんです。それは全体的な鉱害復旧が終わった後に考えようというのでは、きわめて不親切であるし、全体的に終わるのは、いま、まだ二二%しかいってないのですから、かなり時日を要するわけであります。しかし、鉱害の被害現象はかなり厳しいわけであります。ですから、そういう場合には、二次復旧の問題も制度的に乗せたらいいのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
#38
○西中説明員 今後の問題としては十分検討していかなければならぬ課題であると考えております。
#39
○多賀谷委員 非常に急ぐ問題が、かなり個々的にあるわけです。急ぐというのは危険性のあるところですね。ですから、被害の程度がかなり深刻であるという場合には、何らかの適応措置を講ずべきではないか、こういうように私は思うわけであります。これが純然たる鉱業法に基づく賠償の場合には、果たして免責をされるかどうか、私はちょっと疑問だと思うのですよ。途中で臨鉱法というものが入ってきますから、その臨鉱法による場合には、それは責を免れるかもしれないけれども、そのもとへ返って鉱業法上見ると、十分な復旧ができていないわけですから、その場合にはこれは鉱業法のもとへ返って議論をすれば、それは会社の責任がある。ただ、政府としては、そういうものには一回やったから金を出せないという議論になるのかもしれませんけれども、私はそれによって鉱業権者が責任を免れるというのも、どうも納得ができない問題がある、こういうように考えるわけであります。もっとも臨鉱法の中には、それをもって会社の賠償の限度とするという条文も見当たらないことはないわけですけれども、どうもそういう点がすっきりしないのじゃないかと思います。そして、ましてやこの場合は、鉱業法がきかないわけですから、むしろ、この場合も非常に放置されて困っておるという問題がありますから、これはひとつ早急に研究してもらいたいと思いますが、どうでしょうか。二次復旧の問題を全体的に早い機会に調査をして、そして対策を立ててもらいたい、こういうように思いますが、ひとつ石炭部長、どういうようにお考えですか。
#40
○高木政府委員 国としましては、復旧済みの物件につきましては、復旧の対象とすることは困難ではございますけれども、関連復旧あるいは追加工事というようなことの対象にいたしまして、再被害の場合にもできるだけそういう措置を、現在もとりつつございますし、また今後も重点的にそういうことを考えていきたい、こういうように考えております。
#41
○多賀谷委員 とにかくプール資金でやりました、特鉱でやりましたということで、ぽんと窓口でけられるわけですよ。ですから、これはもうどうにもならないのです。これはプール資金でやった復旧ですから、これは特鉱でやった復旧ですからということで、全部けられてしまうというのはどうも不合理である。被害者からすれば、きわめて安定しているからといって復旧してもらったところが、まだ安定していなかった。そうしたら一回で打ち切られたという、こういう件数は枚挙にいとまがありませんから、ひとつ十分研究してもらいたいと思います。
 それから、これは新しい課題ですけれども、やはり現実に離職者や関係者が炭鉱から住宅を受けた。ところが鉱害がだんだんひどくなってきたということで、復旧する資力もないという場合に、これはどういうようにするか、住宅政策から言っても放置されて非常に問題の個所が多いのです。そこでやはり鉱害によって起こったことは事実でありますし、そういうところは炭鉱はほとんどが無資力になっているわけです。ですからそれらの点についても、今後の検討課題に入れていただきたい、こういうように思いますが、どうでしょうか。
#42
○西中説明員 ただいまのは払い下げの社宅のケースかと思いますが、先ほどのお答えと多少重複するわけでございますけれども、損害賠償請求権を持っておるということを一つの前提にして考えておりますので、たとえば鉱害がもともとあるということで、いわば鉱害つきの家屋ということで、非常に安い値段で払い下げを受けたといったような場合に、それが果たして鉱害があるということだけで復旧ができるのかどうか、それはいろいろむずかしい問題があろうかと思いますが、ケースによりましては復旧し得るケースもあり得るかと思いますので、ケースに即して考えてまいりたいと思います。
#43
○多賀谷委員 その払い下げを受けたとき、若干あるいは鉱害現象があったかもしれませんが、その後、著しくなっておるという問題ですよ。ですから最初から鉱害現象があって、そして相当破損しておる、あるいは被害があるというならば問題はないのですね。それを前提に買える。そうでなくて、その後、非常に破損をしてきた、あるいは被害が大きくなってきたというような場合が一番問題になる、こういうように思います。家屋の払い下げを受けたときにあった鉱害を、じゃすぐ復旧してくれと言っているのじゃなくて、それ以後に鉱害が進行してきたという場合が、私は問題だと思いますので、この点もひとつ十分検討していただきたい、かように思います。
 それから田代委員長等も非常に御努力を願いました新入の例の中山の新橋の商店街の復旧の問題です。これは三菱鉱業はソーダ層だと言って非常にがんばった地域であります。ところが現実には少し雨量が出ると依然として水浸しになるということで、当委員会にも請願が採択されたわけであります。これについてはその後どういうように進捗をしておるか、お聞かせを願いたい。
#44
○西中説明員 鞍手町の新橋地区の問題かと思いますが、先生のお話がございましたように、一たん三菱鉱業セメントが賠償をした、あるいは復旧をしたというふうな地域でございまして、正面から再復旧というかっこうで取り上げるのはなかなかむずかしいわけでございます。そういうことで非常に時日を要したわけでございますけれども、その地区の上流に農地がございまして、小橋農地と申しますけれども、その農地につきまして鉱害復旧をやる必要が生じてまいりまして、その農地を上げてまいりますと、その関係で下流の新橋地区もかさ上げをいたしませんと、この農地との関係でぐあいが悪くなるということもございまして、現在、上流の小橋農地の復旧工事の関連工事というかっこうで、新橋地区についても実質的に再復旧ができないかということで、地元で検討しておる段階でございます。方向としては大体固まっておりまして、上げ高を実際にどの程度にするかというふうな点につきまして、現在、通産局あるいは地元の被害者の代表の方等と調整が進みつつある段階であるというふうに聞いております。
#45
○多賀谷委員 この地域は三菱鉱業側はソーダ層だと言っているのですよ。あれは何も鉱害ではない、ソーダ層で、日によって上がったり下がったりする地域だ、こういうことを言っておるわけですね。そこで被害者の方は現実に水浸しになって、これはもう十数年、非常に困っておるわけです。でありますから、これはいま実際のかさ上げ高を検討しておるということですから、これもひとつ早く結論を出して、長い間の紛争の種でしたから、解決をしていただきたい、こういうように要望して質問を終わりたいと思います。
#46
○田代委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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