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#1
第075回国会 科学技術振興対策特別委員会 第11号
昭和五十年六月十八日(水曜日)
    午前十時二十三分開議
 出席委員
   委員長 八木  昇君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 竹中 修一君
   理事 石野 久男君 理事 米内山義一郎君
   理事 瀬崎 博義君
      加藤 陽三君    羽田  孜君
      三宅 正一君    山原健二郎君
      近江巳記夫君    北側 義一君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      佐々木義武君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     片山 石郎君
        科学技術庁原子
        力局長     生田 豊朗君
        科学技術庁原子
        力局次長    福永  博君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       井上  力君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       井上 五郎君
        参  考  人
        (東京工業大学
        名誉教授)   大山 義年君
        参  考  人
        (京都大学教
        授)      柴田 俊一君
        参  考  人
        (三菱原子力工
        業株式会社社
        長)      石原榮太郎君
        参  考  人
        (石川島播磨重
        工業株式会社副
        社長)     永野  治君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所東海研究所
        原子炉工学部主
        任研究員遮蔽研
        究室長)    宮坂 駿一君
        参  考  人
        (立教大学教
        授)      田島 英三君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団理事
        長)      島居辰次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力船むつの
 放射線漏れに関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○八木委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 原子力船「むつ」の放射線漏れに関する問題調査のため、本日、東京工業大学名誉教授大山義年君、京都大学教授柴田俊一君、三菱原子力工業株式会社社長石原榮太郎君、石川島播磨重工業株式会社副社長永野治君、日本原子力研究所東海研究所原子炉工学部主任研究員・遮蔽研究室長宮坂駿一君、立教大学教授田島英三君及び日本原子力船開発事業団理事長島居辰次郎君、以上七名の方々に参考人として御出席願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。どうかそれぞれの立場から、忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。
 なお、参考人の御意見の開陳は、お一人十分程度にお願いすることとし、後刻各委員からの質疑の際、十分お答えくださるようお願いいたします。
 それでは、最初に、大山参考人よりお願いをいたします。
#3
○大山参考人 大山でございます。
 「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の委員長といたしまして、調査結果につきまして御報告申し上げます。
 先生方のお手元にすでにこの報告書はお届けしてあるように伺っておりますので、一応お目通しをいただいていることと存じますので、細かいことは抜きにいたしまして、概要、特に私どもが重要と感じております点を簡単に申し上げてみたいと思います。
 調査の目的及び経緯等は省略して、直ちに本文に入りたいと思います。
 「むつ」の放射線漏れの事情について正確な判断を得るためには、本来ならば、調査委員会自身が改めて漏れ自体の観測測定をし直すということが望ましいと考えられますが、そのこと自体は、現在の情勢では不可能でございます。しかし、すでに放射線漏れ当時、「むつ」放射線しゃへい技術検討委員会において、運転できた範囲において測定をされまして、それにつきましてかなり詳しい検討が行われておりましたので、その詳細の説明を伺って判断の資料といたしました。
 その結果、今回の放射線漏れは、主として高速中性子が第一次遮蔽体の間隙を伝わって漏れて出る、いわゆるストリーミングと称する現象に起因するものであります。局部的には予測した線量率をはるかに上回っておりましたが、全般的に見て、新しい形状あるいは材料を用いた遮蔽体の場合には、時として起こり得る程度のものと言えないことはないのであります。
 また、このような放射線漏れが起こることになったのは、「むつ」の原子炉設計当時、約十年前になりますか、当時には遮蔽設計の実例が少なく、経験、蓄積が設計上に重要な資料となるこの分野において、遮蔽設計専門家がいまだわが国においては育っていなかったという背景があります。したがって、複雑な形状をした遮蔽体の遮蔽能力について、その判断力がいまだ未熟であったということが、この原因の一つとも言えるのでございましょう。
 そのような条件下で、経験の不足を補い、計算コードをチェックするためにJRR4を用いて遮蔽効果実験を行ったということは、適切であったと存じます。しかしながら、この遮蔽実験によって中性子ストリーミングの現象が一応とらえられ、実験目的の一つが得られているにもかかわらず、その成果が設計に効果的に生かされなかったということは、まことに残念なことでございました。いろいろ技術的に申し上げたいこともございますが、また御質問がございましたらそれに触れることといたします。
 そのような状態で、この実験結果を何ゆえに効果的に遮蔽体設計に適用し得なかったかということに関しまして、われわれは、その原因が那辺にあるかを検討を重ねた結果、次のような結論に達しました。
 今回の問題は、たまたま表面にあらわれた一つの技術的な問題とも見ることができますが、調査委員会といたしましては、これを単なる偶発的事象と見るよりも、むしろ、現実に放射線漏れ問題を起こすまでに至った過程の間に内在していた本質的な諸原因を解明することが、この際重要であると考えたわけでございます。
 よって、これらの問題の発生原因を、単に技術的に限らず、国の政策面、原子力船開発事業団の組織と運営、研究開発面あるいは契約面等を含めて、可能な限り広範囲な見地から調査を行ったわけでございます。それによって、この問題には多くの要因となり得る因子が存在することを知りました。
 さらに、これらの問題点を整理して、政策、組織、技術、契約の四点にしぼって指摘を行いました。これらの要因はそれぞれ相互に関連し合って、いずれが従か主かということを容易に判断しがたいのでございますが、程度の差はあるにしても、それぞれの問題に責任があるものと言い得るでありましょう。
 原子力船「むつ」は、研究開発過程にこのような誤りはあったにせよ、全体としてかなりの水準に達しており、適当な改善、改修によって、十分所期の技術開発の目的に適合し得るものと判断いたしております。
 なお、報告書の最後に、結論といたしまして、今後「むつ」の研究開発を進めるとした場合考慮しなければならない事項について、提言を行いました。
 この報告書は、あくまでも委員会自身の手でこれをつくり上げるという立場から、起草委員会をつくりまして、われわれの手でまとめたものでございますので、文章、表現等については、大変素朴と申しますか、粗野な点がございますが、どうぞわれわれの真意をおくみ取りの上御審議をお願いいたしたいと存じます。
 なお、政府関係当局、関係諸機関においても、われわれの提案につきまして虚心坦懐に検討を行って、今後の技術開発の実行に映されることを希望して、私の意見といたします。
 ありがとうございました。
#4
○八木委員長 ありがとうござました。
 次に、柴田参考人にお願いいたします。
#5
○柴田参考人 ただいま大山調査委員会委員長から御意見がございましたが、私は大山委員長を助けて仕事をしてまいりましたので、そのことについて御報告いたしますが、内容につきましては、委員長からただいま御説明がございましたので、側面的な御説明をいたしたいと思います。
 個人的なことになりますが、私ども二十年前から原子炉についての勉強を始めておりまして、その当時から、重要なのは原子炉による基礎研究であるというふうに考えまして、御承知かと思いますけれども、京都大学原子炉、これは研究炉でございますけれども、これを建設することに努力いたしました。なお、この建設に当たりましては、地元関係者の御心配等がございまして、なかなか決めることができませんで、五年間おくれましたことは、原子力関係者でございましたら多分御承知かと思います。
 しかしながら、関係の研究者は、この研究炉をつくって基礎研究を進めていくということの重要性を十分認識いたしまして、根気強く話し合いを進めてまいりました。幸いにして完成いたしましたが、その後約十一年を経過いたします。その間運転、管理、研究等に携わってまいりましたが、この研究炉はいわゆる共同利用、つまり全国の大学関係者あるいは公的な研究機関の研究者の共同利用に供されておりまして、いろいろな面で、研究はもちろん、管理面でも、そういった多くの研究者の意見が入るような諸システムになっております。そういった経験から申しまして、改めて基礎研究の重要なことを、現在でも身をもって感じておる次第でございます。
 数年前、東大にも小型の研究炉が完成いたしましたし、それから、幸いにいたしまして、昨年私のところにも炉心を研究するための臨界実験装置が完成いたしました。
 今回の「むつ」の調査委員会には、実はこういった各大学の原子炉の関係者としては、比較的現場に近い人たちが当たったわけでございまして、もしこういう報告がいささかでも参考になる、そういう点があるといたしますと、こういった研究あるいは経験の場を与えていただきましたことが、大きな原因であるというふうに考えます。
 しかしながら、反省といたしましては、大学全体として見た場合、まだはなはだ不十分な面が多うございまして、これは実は多分に研究者の意識にもよるものかと考えます。
 具体的に申し上げますと、たとえば研究論文を書くといったような仕事には非常に興味を示しますけれども、本当に必要な意味でのじみちな基礎研究ということには、比較的興味を示さないといったような傾向が見られますので、それは大学に限らず、現在でも一般の研究者に見られる傾向でございますけれども、こういったようなことは今後十分反省いたしまして、この基礎研究についての重要性を自覚いたしまして、一層努力いたしたいというふうに考えております。
 経験に基づくいろいろな意見もございますけれども、具体的な問題につきましては、また後ほど御質問に応じていろいろお話し申し上げたいと考えます。
 以上、簡単でございますが、意見といたします。
#6
○八木委員長 ありがとうございました。
 次に、永野参考人にお願いいたします。
#7
○永野参考人 永野でございます。
 私のおります石川島播磨重工業株式会社が、この船体をつくったんでございますが、当社が、昭和四十年四月、造船工業会のごあっせんによりまして原子力第一船の船体部の建造契約について、日本原子力船開発事業団と折衝を開始しまして、技術面、船価の面などに関して種々お打ち合わせを重ねました。当社の立場としましては、本船の建造を引き受けることは、期間利潤追求というふうな見地からすれば犠牲的要素が大きいけれども、社会的使命感、それからこの技術開発が長期的意義を持つという認識の見地から、こういう犠牲を払っても、株主の期待にもこたえ得ると判断しまして、本船の建造をお引き受けすることにしまして、四十二年の十一月に建造契約の締結を完了し、同時に、原子炉部の契約を完了されました三菱原子力工業株式会社とも密接な技術的連携を保ちながら、この建造作業を始めたのでございます。
 本船の船種につきましては、事業団と契約折衝を開始した際は、海洋観測船型実験船でございましたけれども、折衝の途次にこれが変更されまして、第一船の「むつ」は貨物船型の実験船として建造されることになりましたことは、「むつ」の放射線漏れ問題調査委員会で、その他の経緯とともに詳細報告されておるとおりでございます。
 「むつ」の建造の際の当社の所掌範囲を簡単に申し上げますと、まず船体構造及び船内諸艤装から成るところの船体部、それから推進用の蒸気タービン、諸補助機械、補助ボイラーなどによって構成されます機関部、それから発電装置、もろもろの船内電気艤装から成る電気部などのほかに、原子力船特有の設備でございます原子炉の格納容器、それから放射線の二次遮蔽装置、これらが当社の所掌範囲でございました。
 これらの造船所所掌部分の設計、建造に当たりまして、原子炉メーカー所掌の原子炉部分に関連するもろもろの設計条件、それから両メーカー所掌の境界部分におきましての両者の所掌区分などは、契約仕様書に具体的にはっきりと定められておりますが、さらに建造業務の円滑化を図るために、全建造期間を通じまして、事業団の主導のもとに両メーカーの間で緊密な技術的連絡を保ちながら、順調に設計、建造の諸業務を進めることができたわけであります。
 当面問題になっております本船の放射線遮蔽装置は、原子炉格納容器内部に設けられております一次遮蔽と、格納容器の外に設けられております二次遮蔽装置から成っておりまして、私どもは、このうち二次遮蔽装置を分担しておるのでございますが、その性質上、仕様書に規定されました計画に従ってこの二次遮蔽材の構造、強度の両面を主体とする詳細設計、その製作及び船体への取りつけを担当したのでございますが、遮蔽効果に関する三菱原子力工業株式会社の総合計画の一環をとり行った形にして進めました。
 本船の建造の目的は、申すまでもなく原子力船建造技術確立のための実験船、すなわち技術開発のための実験装置として活用することを第一の目的としてつくられたものでございます。したがって、すでに確立された技術に基づいて建造する普通の船の場合と異なりまして、研究開発を目的として建造される場合には、初めに定められた仕様に加えて、設計、建造の段階で利用し得るあらゆる最新の研究結果、技術情報などを取り入れて、極力万全を期することができる体制にすることが必要であったと考えます。さらに、実験船として試験運転を行う段階で、予期しなかった問題を新たに見出すことは、新技術確立の道程においては普通当然あり得ることでございまして、この発見された技術的問題を一つ一つ改善していくことで、初めて高度の新技術の確立を図ることができると考えております。開発を目的とするプロジェクトの円滑な遂行のためには、改良のための変更を積極的かつ効果的に実施できる体制が不可欠でございますので、今後の施策においてこれが実現するように要望する次第でございます。
 以上申し上げましたように、「むつ」は技術開発を目的として建造される実験船でありますので、当社におきまして船体部の設計を行った際には、この点を十分留意の上関係作業を進めてまいったと考えております。
 たとえば、計画面においては、一般に船舶の性能及び経済性を極力向上させるために、構成要素、搭載機器などの大きさや重量をなるべく切り詰めて、その船の本来の使用目的、たとえば貨物船の場合には、できるだけ貨物をたくさん積めるようにと工夫をこらすのが通例でありますけれども、「むつ」の場合には、実験船として原子炉並びに付帯設備を搭載して、洋上での諸試験並びに実験航海を行うのが本来の目的でありますので、船体設計に際しては、この目的に沿うことを主眼として、船内のスペースや重量の配分などは、原子炉装置等に対して優先配分を配慮いたしました。たとえば、「むつ」の原子炉の部屋や原子炉補機室などは、船体のほぼ中央部のスペース上きわめて有利な場所に置かれておりまして、また二次遮蔽装置については、約二千トンに及ぶ重量をこれに充てておりますが、これらの設計は、実験船としての性格上初めて可能になっておるものでございます。
 将来の実用原子力商船の開発のためには、原子炉の安全性の確保並びに性能上の技術の確立はもちろん必要でありますが、実用船としての経済性の確保のためには、原子炉並びに二次遮蔽を含む関連装置の重量及び容積の節減は、解決すべき大きなテーマとして取り上げる必要があるのであります。
 舶用原子炉及びこれを搭載する原子力船建造技術の確立を見ていないわが国としましては、まず「むつ」による技術開発を一日も早く軌道に乗せる必要を痛感しておりまして、今後の実用原子力商船の開発計画が迅速に確立されるように要望する次第でございます。
 「むつ」放射線漏れ問題調査委員会におかれましては、原子力船開発を軌道に乗せるために、幅の広い見地からの提言をされておりますけれども、私としましては、これに深く敬意を表しますとともに、同感の意を表する次第でございます。その後書きにも指摘しておられるように、今回の放射線漏れの事件が原子力船開発をおくらせることのないように、関係者のすべてが協力して次のステップを進めなくてはならないと考えております。
 以上で私の意見を終わります。
#8
○八木委員長 ありがとうございました。
 次に、石原参考人にお願いいたします。
#9
○石原参考人 三菱原子力工業の石原でございます。
 今回、「むつ」放射線漏れ問題の調査に当たられました大山先生以下の大山委員会におかれましては、多大の御努力を重ねられまして、先般報告書を政府に御提出になったと伺っておりますが、種々適切な御指摘をいただきまして、深く感銘いたしております。なお、本日は、国民を代表されます諸先生方に対しまして、私どもの見解を述べる機会をいただきましたことは、まことに感謝にたえないところでございます。
 すでに御案内のとおり、原子力実験船「むつ」は、わが国におきましての原子力船に関する諸技術の研究開発を主目的とされました、わが国第一号のナショナルプロジェクトの計画に基づきまして建造されたものでございますが、この設計、建造、運航につきましてはまだまだ未知、未経験の分野を開発するという要素が多くあったわけでございます。
 このために、政府におかれましては、昭和三十八年八月に日本原子力船開発事業団を設立されまして、本事業団が本船開発の中心となられまして、当時におけるわが国の原子力関連技術の総力を集めるということから、原子力研究所、船舶技術研究所等の諸機関及び関連学界、業界の協力によりまして、実験研究及び技術開発を進められたというふうに承知いたしております。私どもも関連業界の一員といたしまして、事業団の御要請に従いまして、その一端を分担させていただいたという次第でございます。
 当社は、昭和四十二年十一月、事業団と本船の原子炉部の製作に関しましての契約に調印いたしまして、事業団から提示いただきました仕様書及び基本設計に基づきまして、本船原子炉部の詳細設計及び製作を請け負った次第でございます。
 繰り返すようで恐縮でございますが、「むつ」はわが国の原子力船の開発を目的とされた実験船でございますため、事業団とされましても、その建造という仕事には、メーカーとして大きなリスクを伴うであろうということを御理解なさいまして、その建造契約の内容については、一部通常の商業契約とはやや趣を異にした点もあるのでございます。
 当社といたしましても、当時世界的にも技術的経験の少ない舶用原子炉の設計、製作というむずかしい仕事をすることであったわけでございますが、本船開発の国家的御趣旨を体しまして、誠心誠意事業団に御協力申し上げ、与えられた仕事を遂行いたしまして、昭和四十七年八月二十五日に引き渡しを完了いたした次第でございます。
 次に、今回問題となりました遮蔽に関しまして、少々申し述べさせていただきたいと存じます。
 昨年の九月初め、「むつ」の洋上におきましての低出力試験に際しまして放射線漏れの現象が起こり、これが大きな社会問題にまで発展いたしまして、わが国原子力船第一船の開発が停とんするに至りましたことは、私どもといたしましてまことに残念に存ずる次第でございます。
 この放射線漏れの技術的原因につきましては、調査委員会報告書にも御指摘のとおりでございまして、速中性子が原子炉圧力容器と一次遮蔽の間隙を伝わって漏れ出る、いわゆるストリーミング現象によるものと私どもも承知いたしております。もともと舶用原子炉におきましては、船に搭載するということから、容積、重量など厳しい制限がございまして、遮蔽構造をいかに合理的に構成するかということが重要な課題となっておったのであります。
 「むつ」の基本設計が行われました当時の遮蔽計算法は、その当時の電子計算機の発達状況とも大きな関連があったかもしれませんが、恐らく関連があったと存じますが、現在の計算法ほどには進歩しておりませんで、単純な形状の場合は別といたしまして、やや複雑な形状になりますと、計算に乗りにくいといった状況であったのであります。
 このような背景から、「むつ」の開発のために日本原子力研究所に新設されました遮蔽研究用実験炉JRR4を利用して「むつ」の遮蔽についての実験が、事業団、原研、船研の共同研究という形で実施されたわけであります。この実験には民間七社も協力いたしまして、実験、解析などの専門技術者を事業団の協力職員という形で派遣いたしておりました。
 この実験につきましては、調査委員会報告書の中で、遮蔽効果確認実験は、「計算コードのチェックが主目的であった。」と御指摘になっていらっしゃいますが、私どもといたしましては、計算に乗るところはもちろん計算コードのチェックということもあったでありましょうが、計算に乗らないところを直接実験で確かめるということも、この実験の目的の一つであったであろうと考える次第でございます。
 「むつ」の遮蔽構造の詳細設計をいたしますにつきましては、この遮蔽効果実験の成果を反映したものでございまして、今回ストリーミングの起こりました個所につきましても、本実験の結論に従いまして設計いたしたものでございます。
 しかしながら、現在、結果的にこれを振り返って考えてみますと、JRR4によります実験で中性子のストリーミング現象が一応計測はされましたものの、実験が水タンクの中で行われましたために、速中性子は減速されまして熱中性子としてとらえられ、なおかつ、速中性子は直進性が強いという当時の先入観もございまして、これがそのまま設計に反映されたということでございます。この点は、調査委員会の報告書にも御指摘のとおりでございます。
 なお、上部遮蔽リングの設計に関しましてのウエスチングハウス社のチェック・アンド・レビューにつきまして、その経緯を少々申し上げさせていただきますと、もともと上部遮蔽リングの設計につきましては、基本設計のいわゆる修正設計の段階におきまして、鉄製リングとコンクリート製リングの両案につきまして検討されておったのであります。昭和四十三年八月にウエスチングハウスの第一回のチェック・アンド・レビューを受けました際には、三百ミリ厚さのコンクリート案の図面を提示いたしたのでありますが、これに対しましてウエスチングハウスは、ストリーミングに対して、このコンクリート遮蔽リングで十分であろう、ただし、リモナイトコンクリートを使えばさらに有効であろうというふうにコメントいたしております。その後、重量、容積その他の上部構造などの関係から、熱中性子に対しまして、三百ミリ厚さの重コンクリートと同等の遮蔽効果を持つ厚さ百五十ミリの鉄製リングを採用することとなりまして、昭和四十四年七月の第二回チェック・アンド・レビューに際しましては、この遮蔽構造に変更した案を提示いたしましてチェックを受けたのでございますが、ウエスチングハウスといたしましては、これに対しまして、遮蔽全般について一応妥当であるとのコメントがございました。なお、二、三の示唆もございましたが、当時これを検討の結果、この設計で進めてよかろうと判断されまして、この設計を最終案といたしまして事業団に提出し、御検討の結果、御承認をいただいたという次第でございます。
 最後に当たりまして、「むつ」についての今後の問題について、私どもの見解を述べさせていただきたいと思います。
 エネルギー源を多様化するという意味から、将来原子力船を必要とする時期が必ずや参るであろうと私どもは確信いたしております。このときに備えまして、今後も原子力船についての研究開発を進めていかなければならないであろうと存ずる次第でありますが、その第一歩といたしまして、適当な改修工事を実施して「むつ」を完成させ、所期の目標を達成することが肝要かと考える次第でございます。
 「むつ」の開発計画を今後円滑に遂行いたしますために、委員会報告書の提言の御趣旨に沿いまして、広く国民の御理解と御信頼を得ながら計画を取り進めなければならないと存ずるわけでございます。私どもといたしましては、今後事業団におかれまして取り進められる「むつ」改修計画にできる限り御協力させていただき、一日も早く「むつ」開発の目的が達成されることを期待いたすものでございますので、この上とも諸先生方の御指導をお願い申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。
#10
○八木委員長 ありがとうございました。
 次に、宮坂参考人にお願いいたします。
#11
○宮坂参考人 この問題に関しましては、すでに大山先生の委員会において調査報告書という形でまとめられております。また、大山先生からもいまお話がありました。私はちょっと方向を変えて、遮蔽設計の一般的なお話から入りたいと思います。
 遮蔽設計において要求される精度というのは、放射線防護の立場から言いますと二ないし三倍以内、また放射線が材料に当たりまして材料の発熱、または放射線が材料に当たりましてその材料の放射線損傷、ラジエーションダメージと言いますが、そういうものに対しては二〇ないし三〇%の設計精度がなければいけないと普通言われております。しかし、現在の設計計算コード、これはわれわれがいま使っています最高と言われるものでも精度は二ないし三倍から、使い方によっては十の自乗、要するに百倍くらいの誤差が出てくる、そのくらいの精度しかないと言われております。
 そういう見積もりの違いが、遮蔽設計の段階で出てくるというのはどこに原因があるかと申しますと、大きく分けて三つくらいあると思います。
 一つは、中性子やガンマ線の線源の見積もり方、これが二倍違えば、結果としては二倍違ってくるわけです。ここら辺は非常にむずかしい問題がいろいろ含まれております。
 それから第二は、遮蔽計算に使います中性子やガンマ線の遮蔽定数と言われるもの、これは別には核データとも言われておりますが、物理屋さんがいろいろ測定から求めるデータをわれわれが使う。ところが、そのデータは実験によって求めるわけですけれども、測定上のいろいろな制限、不確定性原理というようなものもありまして、誤差が二ないし三%くらいはどうしても入ってくる。非常によくやられてもそのくらいの誤差は入ってくる。遮蔽で使われます普通の材料なんかになりますと、その誤差というのは五%から一〇%、または全く誤差がわからないというようなこともあります。そういうデータを使って遮蔽計算をする。遮蔽体の厚さが二メートルとか三メートルとか非常に厚くなりますと、その誤差がだんだん積もり積もって二倍とか三倍とか、場合によっては十数倍、数十倍というような誤差になってくる。
 それから第三番目は、実際の遮蔽体は非常に複雑な形状をしております。ところが、現在理論的に開発されている計算コードというのは、取り扱える幾何形状が、球体形ですとか、円柱形状、平板形状、そういう比較的単純な形のものしか扱えない。そうしますと現実問題として、その現実の遮蔽構造をどういうふうに計算機に乗るように形状を変更していくかというような問題があります。遮蔽設計の立場から言いますと、その線源、定数、幾何形状、そういうものをいかにうまく取り扱って計算をするか、そこに計算結果の精度というものが大きく響いてくると思います。
 われわれ遮蔽研究者は、こういう問題一つ一つについて、実際問題に適用したときに、設計者がそういろいろ考えなくても済むように、設計精度を上げるという面からいろいろな研究を行っているわけです。また設計の面からでは、要するに現状の遮蔽の理論、そういうものを踏まえて、設計上のマージンといいますか、安全率というものを見込んでいく。ただその場合に、むやみに厚くすればいいということではない。やはり経済性というものもありますし、原子力船の場合ですと、遮蔽重量とか空間をなるべく節約してスペースをとるとか、そういうような問題もあります。それから、これは陸上炉でも舶用炉でも同じですが、当然原子炉の保守ですとか点検に人間がその近くまで立ち寄らなければいけない。そうすると、そういう保守、点検の容易さということも考えて遮蔽設計しなければならないということになります。
 それで、遮蔽設計は、結局遮蔽単独の問題ではなくて、原子炉炉心から機器構造まですべて含んだ一連のシステムとして考えていかなければならぬ。そこら辺が、いままでの遮蔽設計という立場からは非常に見落とされていた。遮蔽は、後で遮蔽すればいいんだというような考え方が非常に強かったような気がします。
 そういう今回のような問題が起きないようにするための一つの方法としては、やはり遮蔽研究の現状というものを十分踏まえて、研究者と設計者との間で常に問題意識を持って、お互いに情報交換をするということが大切かと思います。テクニカルノーハウとか企業秘密とか、また研究者サイドで、先ほど柴田先生からもお話がありましたように、いわゆる現場的なサイドでの問題というのは、どろ臭い仕事であるし、論文にならない、成果として評価してくれないというようなことで、なるべくそういう問題からは遠ざかろうとする研究者のあり方、そういうものをここで十分反省してみなければならぬと思います。
 それからもう一つ、これは日本全体の考え方ではないかと思うのですが、遮蔽に対する考え方が非常に甘い。現実に漏れれば後で足せばいいのではないかというような議論もあります。ところが、実際に漏れてみると、こういうふうな非常に大きな問題になってしまう。そういう安易な考え方では、とてもこれからの原子力開発というものは進めていかれないのではないか。そういう基礎研究、特に遮蔽みたいな、平常運転時の安全というものに非常に大きなかかわりを持っているものに対する研究投資、研究者の数の増加ということは、非常に必要なことだと思います。
 それから最後に、遮蔽設計は、先ほどのようないろいろな誤差、不確定要素が入っている。それでマージンをとって設計をします。施工をします。その施工の段階で、たとえばコンクリートを使って遮蔽体をつくる。コンクリートは非常にいろいろな材料のものをまぜ合わせてつくるということで、コンクリートの中に空隙ができたり、またはその埋め込み物の下側にすき間ができたりというようなことが往々にしてあります。また、安全率を見込んだけれども全体として厚さが足りなかった、または今回のようなストリーミングからの放射線の漏れというものもあるわけです。そういうものに対しては、遮蔽性能を確認するという意味での測定、これを施設を動かし始める段階で必ずやらなければいけないということです。もし何かそういう欠陥が見つかったときに、それに対してはどういうふうな対策を立てるかということを、常に考えていかなければならぬと思います。私は、こういうことは、原子炉研修所とか放医研の養成訓練部というところへ遮蔽の講義に行っておりますが、そういうところでも常にお話をしていることなんです。こういうことが今回は十分に行われていなかったというような気がいたしまして、非常に残念なことになったと思います。
 今回の問題は、一面残念な問題ではありますけれども、われわれ遮蔽研究者を含めて、原子力関係者全体にとってのよき反省材料であった。単にこれをこのままの問題として過ごさずに、今後の研究に官民一致して当たっていきたい、いってもらいたい、そういうふうに一遮蔽研究者として思います。
#12
○八木委員長 どうもありがとうございました。
 次に、田島参考人にお願いいたします。
#13
○田島参考人 田島でございます。
 私が原子力船「むつ」と初めてかかわり合いを持ちましたのは、昨年の十月、例の放射線漏れ事件が起きましたときからであります。青森県の漁連の依頼を受けまして、立教大学の服部氏とそれから水産庁の東海区水産研究所の敦賀君の三人で「むつ」を視察いたしまして、入港に際して放射能の汚染が生ずるおそれがあるかないかということを判断したときであります。それ以来、私自身は現地の放射能監視委員会の委員長などもしておりまして、「むつ」の事件の今後の成り行きには格別の関心を持っております。
 さて、今回、政府の「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の報告書が発表されまして、それを拝見いたしましたのですが、この報告書には、この事件が発生した原因がいろいろと書かれておりまして、この報告書で検討されました事項は、単に技術的面ばかりでなく、国の政策面とか原子力船事業団の組織あるいは運用の面等にわたって、詳細にしかも明快に書かれておりますので、私、高く評価いたしております。
 ただいまもお話がございましたように、一般に舶用原子炉は、陸上の発電原子炉と比較いたしましてかなり異なった厳しい条件を満たさなければならないことは御承知のとおりでありまして、すなわち、船の動揺に対して耐えなければならないとか、重量もスペースもまさに非常に厳しい条件下に行われるわけであります。
 ところで、いまの日本の原子力発電炉は、大ざっぱに申しますと、すべて外国からの輸入に頼っておりまして、これは一応でき上がった商品を輸入しているというようなことも言えるのではないかと思いますが、これに対しまして、「むつ」の舶用炉は日本の独自の自主技術によって開発されたものであるということが非常に特徴的であります。したがって、原子力船「むつ」の開発に当たっては、当然、技術開発を中心に据えて国家的事業として総合的な体制のもとに進められるべきであったと思うのであります。
 ところが、この「むつ」放射線漏れ委員会の報告書を拝見いたしますと、この開発に関連した組織は、舶用炉は小型であるというようないろいろな理由からして、技術的に容易であるというふうに判断されたようであります。言うならば、完成された商品をつくるというような考えに立っているかのような姿勢があったのではないかというような気がいたしまして、もしそうとすれば、これは基本的に姿勢の問題としてまことに残念であったと思うのであります。
 しかし私は、「むつ」事件がよって来るところの原因は、この報告書に非常に明らかに書かれているところの諸種の原因のほかに、その根底をなすところの日本の原子力開発体制にも原因があったのではなかろうかと思うのであります。これは報告書の行間にあるいはにじみ出ているものでありますが、原子力開発一般に対して自主技術開発の意欲が欠如していたのではないだろうか、あるいは安全に対する甘さがあったのではないだろうか、あるいは責任分担のあいまいさ等々がその根底として災いしていたのではなかろうかと思うのであります。これが今回の「むつ」の事件を契機といたしまして、原子力行政に対する社会の不信となったものと思うのでありますが、この不信の念を取り除かない限り、「むつ」の事件の解決はあり得ないし、また日本の原子力の健全な開発も望み得ないのではなかろうかと思うのであります。
 そこで、政府は総理府に、御承知のように原子力行政懇談会なるものを設置いたしまして、私もその委員の末席を汚しておりますが、今後の原子力行政のあり方について検討を行っております。この結論はまだ出ておりませんで、いましばらく時間がかかると思いますが、結論が出ましたならば、ぜひともその結論の線に沿って必ず実現されますよう、日本原子力開発のために、この席をおかりしてお願いする次第であります。
 私は、日本のエネルギー事情から見まして、当面、核分裂エネルギーを代替エネルギーとせざるを得ないという立場をとっておるものでありますが、原子力船の開発については、実は私自身それほど知識がありませんので、自信のある意見を述べることができません。
 ところで、五月の十八日から五日間ニューヨークで開かれました原子力商船に関する国際会議というのがありますが、その概要報告書を拝見してみますというと、フランス、ドイツ、アメリカ等の意見を総合いたしますと、原子力船は原子力商船として一九八〇年の当初、恐らく二、三年ころだろうと思いますが、そのころから就航するということにほぼ意見が一致しているようであります。そのために、いま申し上げましたこれらの国は、これに備えて周到な開発計画を立てておるのであります。
 アメリカの代表の発言を見ますというと、今世紀中の終わりころには、恐らくアメリカの海運界には、少なくとも二百隻の原子力船が就航するだろうと言っております。ただし、同じ代表が、いまの時点ではアメリカは原子力船の建造には着手しないとも言っておるのであります。ただし、ここで注意しなければならないのは、アメリカ、フランスは軍用として舶用炉の研究を大いに進めているということでありまして、各種の艦船を常に建造しておるわけであります。一方ドイツは、潜水艦等の建造計画はもちろんありませんですが、これに対しましてオットー・ハーンの運航実績を積み重ねておるわけであります。
 こういう中において、日本は一体原子力船の開発計画をどう考えるべきであるかということを、私は非常に重大な国の問題として、この際見直す必要があるのではなかろうかと思うのであります。この問題については恐らく、原子力委員会の原子力船懇談会というのができているようでありますが、その懇談会でこの役目を果たしていただけることを期待しておるわけです。もし日本が再び原子力開発の決心を新たにするならば、平和利用に徹する日本としては、軍事利用している国に比して、この開発は一層の困難と一層の努力を必要とするということを覚悟して、独自の開発計画を立てなければならないと思うのであります。そして何よりも安全性を第一に据えた研究開発計画を立てられることが、特に望まれる次第であります。そしてこの計画の中において、現在の「むつ」をどう位置づけるか、どう対処するかということを検討していかなければならないと思うのであります。この根本的な方針なくしては、原子力船「むつ」は現在大湊港に係留されておりますが、「むつ」事件の解決策は、依然として漂流を続けるのではなかろうかと存ずる次第であります。
#14
○八木委員長 ありがとうございました。
 以上で、各参考人の意見開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#15
○八木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹中修一君。
#16
○竹中委員 きょうは、専門家の各参考人の先生方にわざわざお越しをいただきまして、それぞれのうんちくあるお話を伺ったわけでありますけれども、これからお尋ねをするといっても、私の方が素人でございますので、お許しをいただきたいと思うのです。
 大山先生を中心とされるいわゆる大山報告書が五月に出されまして、私どももこれをよく読ましていただきました。「むつ」の計画から先般のトラブルが起こった時点まで、いろいろ関心を持っておりましたので、報告書の内容を読ましていただきまして、まことに同感な点が非常に多いわけであります。全く私どももこのとおりだと思います。こういう報告が残念ながらトラブルが起こった後に出てきた。もし途中でこういうことがいろいろ国会あるいは世論等に出てくれば、もう少し「むつ」の実験結果が違った方向に行ったのじゃないかと、非常に残念に思うわけであります。しかも、きょう御意見の御開陳をいただきました各参考人の方々、すべての方々が、やっぱりこれからは核分裂の時代であるし、原子力商船を動かしていかなければいけないという前提のもとに、現在大湊港に停泊しております原子力船「むつ」、これを何とかしてむだにしないであれを生かしていかなければいけない、そのためにみんなで努力しろというお話を伺いまして、まことに心強いと思ったわけです。
 報告書を読ましていただきますと、いままで国会論議をいろいろ重ねましたが、従来の政府の御答弁と違う点が二、三あったわけです。
 それは技術問題のところでございますけれども、ウエスチングハウス社のチェック・アンド・レビュー、これについて今日は非常にはっきりした御報告があるわけですけれども、過程では、ああいうはっきりした報告がなかった。われわれもこれをわりに安易に見過ごしていたような気がするわけです。もう一つは、JRR4の試験が私どもとしては完全なものであったというふうに認識しておったわけですが、あそこに非常に大きなミスがあったということが、いまはっきりわかったわけでありますが、それはさておき、時間がございませんので、総論はお話をしませんで、各論でいろいろお話をしてみたいと思うのです。
 一番最初に大山先生にお伺いしたいと思うのですが、結局、いま大湊港につながれておる「むつ」ですけれども、詳しくは「むつ」放射線しゃへい技術検討委員会ですか、その目下検討中の結論を得なければわからないと思うのですけれども、あれをもっと細かく点検をする、さらには修理をしなければいけないと思うのですが、結局、そういう場合に燃料棒を抜かなければいけないのかどうか、燃料棒を抜くとすればどういうふうな手段があるかということです。結局クレーンが必要になってくる、キャスクも必要になってくる。そうすると、現在大湊港ではクレーンが使えないようになっているわけです。そうしてまたキャスクも大湊にはないわけです。そういうことで、「むつ」の修理のためには燃料棒を抜く必要があるのかどうか、私よくわかりませんけれども、大山先生と柴田先生にお伺いしたいと思うのです。
#17
○大山参考人 私、御質問に対して御返事申し上げるその方面の知識を持ち合わしておりません。
 ただ、いろいろ御意見を専門の方に伺いますと、抜かなくても修理ができるのではないかというお話もございますし、その点につきまして、専門の柴田参考人から御答弁をさせていただきたいと思います。
#18
○竹中委員 いまの点は柴田参考人にお願いしたいと思います。
#19
○柴田参考人 お答えいたします。
 いまの問題は、私どもそれほど詳細に測定したわけではございませんので、いずれとも結論を出しかねます。したがいまして、これはもし何か技術的にやるといたしますと、もっと詳細な検討をした上で決定すべきであるというふうに考えます。
#20
○竹中委員 いま柴田参考人から、現在のデータでは軽々に結論を出せないのだ、もっと詳細な資料が要るのだというお話がございましたが、先ほども申し上げましたように、「むつ」放射線しゃへい技術検討委員会が検討中ということですし、また大山報告書にも出ているわけでありますが、これはどなたに伺ったらよろしいのでしょうか。この技術検討委員会の結論というのはいつごろ出るか、どなたか御承知の方ございませんでしょうか。
#21
○福永政府委員 お答えいたします。
 いま先生の御質問は、改修計画をどういうふうに進めているかということだろうと思いますが、改修計画につきましては、原子力船事業団がただいまやっている最中でございます。
 それで、そのベースになっておりますのは、先生ただいまお話がございました「むつ」放射線しゃへい技術検討委員会、きょう宮坂先生がお見えになっておりますが、通称安藤委員会の報告書の数値を技術的なベースにいたしまして、それに対してどういうふうな遮蔽の方法があるか、その方法が決まりますと工作の方法等が進められていくわけでございます。ただいまのところ、事業団では二、三の案をつくっておりまして、それぞれの案につきまして計算機等によります計算をいたしまして、どの遮蔽が一番適切であるか、どの方法が将来の工作上一番有利であるかといったところを詰めている段階でございまして、その結論は、きわめて近いうちに出されると思っております。
#22
○竹中委員 燃料棒を抜くかどうかということは、まだはっきり計画は出ていないということで、現在の段階では、燃料棒を抜くのか抜かないのか、抜かなくても改修ができるのかどうか、宮坂参考人、何かお考えございませんでしょうか。
#23
○宮坂参考人 燃料棒を抜くか抜かないか、これは遮蔽の改修工事の点からと、それから燃料自体の問題と、それから燃料棒、制御棒、駆動機構なり安全性の問題、そういう点から総合的に判断しなければならない。私は遮蔽の専門家ですので、燃料棒の問題というのはよくわかりませんが、それを一応除いて考えますと、遮蔽の改修には燃料棒を抜かなくてもできると私は思っております。
#24
○竹中委員 はっきりした結論は出ないわけですけれども、燃料棒を抜くとなるとまたいろいろ問題が起こってまいりますので、お尋ねしたわけであります。
 そうしますと、いま事業団の方で改修計画を三案くらい練っているというようなお話でございましたが、その改修計画の内容にもよると思いますけれども、改修計画が出された場合に、これが原子力委員会のいわゆる安全審査にまたかかるべきものであるどうか、この点について田島参考人にお伺いしたいと思います。
#25
○田島参考人 私は、原子力委員会の安全審査にかかるべきものだと思います。
#26
○竹中委員 安全審査にかかるべきものであるというふうにお答えをいただきましたので、非常に安心するわけですが、従来のやり方は、この大山報告書の中にも、安全審査について、二元的であるとか、また基本設計、詳細設計についてばらばらであるというような御指摘がいろいろあるわけですが、安全審査にかかるべきものであるという田島参考人のお話でございました。そうしますと、相当程度の時間がいままでの経験から見るとかかると思うのです。これは改修計画の内容にもよると思いますが、全然最初からやり直すと同じような経過あるいは手続が必要なものでございましょうか。田島参考人にお伺いしたいと思います。
#27
○田島参考人 これは改修計画だけのことを考えまして、それの安全審査という場合を考えまして、それが通常原子炉の場合ですと、それほど時間はかからないかと思います。ところが、実際いま現実の「むつ」の状況を見まして、一方では、それを再審査と呼ぶか呼ばないかは別にいたしまして、全体に再検討してほしいという国民の声があることも事実であります。それにこたえるためには、やはりかなり時間がかかるというふうに考えます。
 特に、「むつ」の安全審査報告書にありますのを読みますと、当時の緊急冷却装置に対する温度が、現在の基準といいますか、それより高目に出ておりますので、この辺を、一回安全審査を通ったものをどう解釈するかという、その今度検討するための態度を初め検討しないと、全体の検討は進まないんじゃないかというふうに考えております。
#28
○竹中委員 田島参考人のお話を伺いますと、最初からやり直しするくらいの手続あるいは検討が必要になってくるということで、非常に時間がかかる問題だと思うのです。そういうふうに認識してよろしゅうございましょうか。
#29
○田島参考人 もうちょっと正確に申しますと、修理に関する安全審査だけで十分と政府が考えるならば、これはそれほどかからない。ところが一方には、総点検をしてほしいという国民の声も私、無視できないだろうと思う。それにこたえようとしますとかなり時間がかかる、そういうふうに考えます。
#30
○竹中委員 石川島播磨の永野参考人にお伺いしたいのですが、先ほどの御説明の中で、船体、あるいはタービンエンジン、それから二次遮蔽、これを石川島播磨で設計施工した、建造したという御説明でございましたが、結局、現在言われているのは一次遮蔽に設計上のミスがあったというふうに言われているわけですけれども、二次遮蔽の設計というものは、一次遮蔽までの三菱原子力工業との、何というのですか、計算とか資料のすり合わせというものはどういうふうにして行われておったものでございましょう。
#31
○永野参考人 一次遮蔽と二次遮蔽とは関連のあるものでございまして、遮蔽計算の全体の構想は三菱原子力でおやりになった。私どもは、それの二次遮蔽の部分の与えられたデータをもとにして、遮蔽効果に関する計算はすべて三菱でおやりになりましたけれども、これの強度計算、要するに、品物につくり上げるための設計計算は私どもでやりました。そのとおり施工いたしました。
 先ほどもいろいろな方から御指摘がありましたけれども、当時の知識では、その総合遮蔽効果の見積りが実情と合わなかったという点があると思いますけれども、工事そのものは計画どおりやられたと考えております。
#32
○竹中委員 もう一度永野参考人にお尋ねしますが、そうしますと、二次遮蔽のいわゆる計算設計というものは、三菱でしたということでございますか。
#33
○永野参考人 遮蔽効果に関しましては、三菱原子力で見積りをなされて、それをどういうふうな実体にまとめるかを石川島でやったということでございます。
#34
○竹中委員 先ほどもいろいろ遮蔽計算についての御説明があったわけです。特にウエスチングハウス社のチェックを受けて、二度目のチェックで大体よろしいということでやったということだったのですが、大山報告書の中にもありますけれども、ウエスチングハウス社とのチェック・アンド・レビューの契約について、何か不備とかちょっとうまくないことがあったということが大山報告書に触れられてあるわけです。そのことで先に大山さんにお尋ねしたいのですが、何ページかに確かにあったですね。
#35
○大山参考人 ただいまの御質問は、チェック・アンド・レビューの契約の件についてでございますか。
#36
○竹中委員 はい、そうでございます。
#37
○大山参考人 私どもの意見といたしましては、チェック・アンド・レビューは三菱原子力工業とアメリカのウエスチングハウスとの間に結ばれておりますが、もし事業団が責任を持つならば、事業団とウエスチングハウスと契約された方がよかったのではないかと申し上げているわけでございます。
#38
○竹中委員 いま御説明を伺いましたが、五十ページに、「ウエスチングハウス社に設計のチェックアンドレビューを依頼したが、十分な追跡質疑が可能な契約ができなかったことは、効果を薄くしたと思われる。」こういうふうな御指摘があったわけです。石原参考人にお伺いしますが、この点についてどういうことだったのでございましょう。
#39
○石原参考人 お答えいたします。
 一般的に、チェック・アンド・レビューということを他の会社に頼むことは時たまあるわけでございます。いま、大山委員会報告書で御指摘のような追跡質疑ができなかったということでございますが、一般的なチェック・アンド・レビューの契約におきましては、追跡質疑をやりますと、どこまで広がってくるか、期間としてどこまで延びるかということがはっきりいたしませんものですから、このチェック・アンド・レビューの契約では、追跡質疑を認めないというのが一般的でございます。
 なお、事業団とウエスチングハウスがおやりになるのがよかったのじゃないかと、先ほど大山先生のお話がございましたが、当時の状況からいたしまして、私どもウエスチングハウスと技術契約をやっておったということが一つの条件になりまして、ウエスチングハウスがチェック・アンド・レビューを引き受けたということになったんであろうというふうに承知いたしております。
 以上でございます。
#40
○大山参考人 ただいま石原参考人から御発言がございましたが、現実はそのとおりだと存じますが、私どもの考えておりましたことは、この「むつ」を技術開発する全責任を現実的に事業団が持っているならば、またそうあってほしかったということでございます。
#41
○竹中委員 わかりました。
 大変また石原参考人に細かいことをお尋ねするのですが、そうすると、結局チェック・アンド・レビューですから、大体こちらから出したものについていろいろ意見を出されて、こういうふうにしたらいいだろうという勧告が――勧告までいかなくともレビュー、チェック、そういうことで二回修正したそうでございますけれども、最終的にこれはウエスチングハウスが責任を負うとか、そういうことは全然ないわけでございますか。
#42
○石原参考人 これは一般的なお話で、今回のウエスチングハウスのチェック・アンド・レビューにも当てはまることでございますが、一般的には、チェック・アンド・レビューをいたしました結果は、ウエスチングハウスは責任を持たないということでございます。
#43
○竹中委員 わかりました。
 宮坂参考人にお伺いしたいのですけれども、先ほどの御説明の中でも、遮蔽というものは日本は非常に劣っているということです。これは日本だけではなく、世界的に遮蔽というものは計算に乗りにくいんだというふうに私ども素人はいままで聞かされているわけです。そうすると、原子力発電の場合は遮蔽について比較的問題は起こっていないと思うのです。ところが、わが国の最初の国産である舶用炉において遮蔽に問題が起こった。その辺のことをもう少し御説明していただけませんでしょうか。
#44
○宮坂参考人 お答えいたします。
 現在の商用発電炉と称されている軽水炉については、私は余りよく遮蔽の問題を知りません。というのは、これはある程度既成の原子炉であるということで向こうから入ってきている。それらの中でも、われわれが外から見ていまして、いろいろ問題があるのではないかというふうには思っておりますけれども、具体的に問題として提起はされていない。舶用炉の場合は、これは遮蔽としては、アメリカが一番最初に原子力潜水艦というもので遮蔽がかなり進んだ、それで実績があるわけであります。そこら辺のことは、テクニカルノーハウとして向こうから潜水艦の情報というのは入ってこない。ただ、われわれが遮蔽の勉強を始めたころは、そういう原子力潜水艦の遮蔽というものをもとにした教科書がAECから出ておりまして、それをもって勉強を始めた。
 それで原子力船の遮蔽のときも、これは自主開発であるということで、当時の遮蔽屋さんと称される方々が集まって、一体どういう実験をすればいいか、どういう遮蔽計算コードがあればいいか、舶用炉の遮蔽というのはどういう構造になっているかというようなことから勉強を始めて、四号炉の建設、モックアップ実験というような一連の開発体制というか、研究開発に従事してきたわけであります。
 それで、現在の商用発電炉についてはわかりませんが、動燃がつくっております新しい高速実験炉、それからまた原研でこれからやろうとしています高温ガス炉、また将来の問題としての核融合炉、ここら辺ではかなりの遮蔽の問題があるということはわれわれも認識しておりますし、そういう問題についての研究をこれからやらなければいけない。そのためにはどうも、先ほども申し上げましたように、日本の遮蔽に対する研究投資が非常に少ない。遮蔽研究屋さんが非常に少ない。これは非常に問題だと思います。原子力船「むつ」を始めたころは遮蔽研究屋さんはかなりいました。ところが、遮蔽をやっていたのでは偉くなれない、飯が食えないということでどんどん転向していくというのが現実であります。私としては、こういう状態ではいけない、困ったものだというふうに思っております。
 そんなところでよろしいでしょうか。
#45
○竹中委員 この前の出力試験のときも、乗り組んでいるのは炉物理の技術者が乗り組んで、遮蔽屋さんは一人もいなかったわけですけれども、この前は、陸上試験ではなく洋上試験なものですから、やむを得なかったと思うのですが、そうしますと、いま宮坂参考人のお話を承って、現在の時点において日本の遮蔽の技術レベルというものは、結局、実験に実験を重ねていかなければならない段階だということでしょうか。計算上でずっと出ていくのか、それとも、現物で実験を重ねていかなければ遮蔽効果が確認されないという現実の状況でございましょうか。
#46
○宮坂参考人 対象とする問題によって違うと思います。理論的な考察から十分追っかけていける問題もあります。それから、非常に基礎的な、いわゆるベンチマーク実験といいますような、形状が非常にシンプルな実験条件で実験をする程度でも間に合うもの、それから、モックアップ実験と言われるような、かなり大きなものまでつくってやる必要もあるかと思います。それはケース・バイ・ケースです。
 特に、原子炉の遮蔽では大きく分けて、原子炉炉心を取り囲むバルクの遮蔽というもの、それからそのバルクの遮蔽を貫通する配管とか制御棒、駆動装置とか、いろいろなものが大きな遮蔽体の中を貫通するわけであります。そういう貫通孔については、これは基礎的な実験では非常にむずかしいところがある。これはある程度実物に模擬した、それに非常に近いような模型実験をやり、それと理論との重ね合わせで実際に適用していくということはやらなければいけない。これは各国とも現状でもやっておると思います。
#47
○竹中委員 わかりました。
 時間がなくなりますので、話を変えますけれども、大山報告書で一貫していることは、原子力船事業団の体制が時限立法であるために、技術者もその他の職員もスタッフも、何かしょっちゅう、借り物と言っては大変恐縮ですが、寄せ集めのようなかっこうになっていたということについて、非常に強く指摘されているわけです。いろいろありますけれども、たとえば航海に立ち会った関崎機関長が、ことしの春でございましたか交代になりまして、また荒舩長もついせんだって交代になったわけです。私は機関長、船長は、実験ができるまで大変時間がかかるかもしらぬけれども、あの方々にまたやってもらいたかったと思うのです。いま現実に機関長、船長が交代になっているわけですけれども、どういうふうにお感じになりますでしょうか。
#48
○大山参考人 ちょっと御質問に対して、私として……。荒舩長にもお目にかかったことはございますし、もちろんおかわりにならない方がベターだとは存じますが、それが原子力船のいまの問題として、舶用原子炉の運転、それから修理の問題を含めて、現実の問題といたしましては、私どもとしては、この報告にも多少触れておりますけれども、現在のようなこれから開発していこうという原子力船と申しますか、原子炉の運転のやり方と申しますか、それについては、やはり原子炉の主任技術者に責任を持たせるというのが、これも私、素人でよくわかりませんが、船舶の方の長い習慣との直の関係とかなんとかそういう問題は、これが開発された後の問題は別といたしまして、現在の時点においては、そういう点の方がより問題が重要であると私は存じております。
#49
○竹中委員 まだまだお尋ねしたいことがたくさんございますが、もう時間がなくなりましたので、これでやめさせていただきますけれども、きょうおいでの各参考人の先生方に、「むつ」があのままなくならないように、ひとついろいろな御教示あるいはまた御指導をお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#50
○八木委員長 午後零時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
    午前十一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時四十三分開議
#51
○八木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。米内山義一郎君。
#52
○米内山委員 実は私、青森県の者なんですが、「むつ」の問題が出るまでは、原子力の問題というのを直接に深く感じたことがないのですが、あれができてからいろいろ、これは容易なものじゃないという感じがしました。特に今回も、諸先生方からいろいろ貴重な御意見を承りまして、私どもも素人ながらも、何とかこれからの原子力開発というものをまともなものに発展させる必要があるのじゃないか、こういう感じを持つわけです。
 そこで、私は大山先生に感想というような程度でお伺いしたいと思うのですが、いままでの報告書を見ますと、原子力開発体制、特に行政の問題には非常に問題がある、要すれば原子炉の欠陥と同じ程度の欠陥があるのじゃないかということは、御指摘にもあるとおり受けとめております。ただ、いまいろいろお話を聞いてみると、もっと根深いものもあるのじゃないか。第一は、基礎研究というものがこれで十分なのかどうか、科学的な研究というものが不十分なままに、実用化あるいは実験というような方向に突っ走り過ぎているのじゃないかというような感じがするわけです。
 この点、もうすでにアメリカなどでは、舶用炉としましても潜水艦などにたくさん使われている。しかも、三菱原子力工業がチェック・アンド・レビューという契約をしたウエスチングハウスというのは、アメリカの原子力船炉の最大のメーカーだとも聞いている。これらにこんな初歩的なミスが、トラブルが起きたということは、軍事機密でしょうからそう世間に触れないとしても、かなり安全性といいますか、故障の心配のないものができておる、そういうのと、そういうチェック・アンド・レビューというような契約をしながら、あんな初歩的な事故が起きるというところあたりが、何だかわれわれとしては理解できかねるわけです。
 ですから、この問題について、基礎的な研究はこれでいいのかどうかということです。いまはりっぱだとは言えないかもしれないが、積み重ねの状態が、外国の研究と比べていいのかどうかということを、先生から御感想をお伺いしたいと思います。
#53
○大山参考人 大変むずかしい御質問でございますが、御感想としてそういうふうに感じるということはごもっともだと存じます。
 ただ、基礎研究と申してもいろいろございますし、やはり純粋な基礎研究と目的基礎研究というのがあると思います。そういう点におきまして、基礎研究は必ずしも十分であるとは決して申せないと存じます。
 話は少し違うかもしれませんが、日本の研究投資もGNPの二%ということで、ほぼ欧米並みになっておりますけれども、そのうちの七〇%は民間投資でございまして、国からの投資が三〇%というようなことを考えますと、思い切った国からの研究投資というものがぜひ必要ではないかと思います。ただ、日本のエネルギー事情その他によりまして、ことに石油ショック以来原子力が非常に大きく浮かび上がっているという点で、原子力によらなければ日本のエネルギー問題は解決できないというような点で非常にあせり過ぎている点など、私の感じとしては感じる次第でございます。
#54
○米内山委員 田島先生のお話を承りながら特に痛感したわけですが、原子力の研究並びに開発というものは人類の問題だ、そういうふうに私は先生のお話を受けとめたわけです。したがって、これは単に国家間で競争するだけでも問題があるし、ましてや企業間が、いわゆる技術的な問題を、企業秘密などというような狭い枠の中でこういう開発を考えている場合は、いろいろなむだな障害が多発する可能性があると私は感じました。
 そういうことで、今後の原子力の研究開発というのは、やはり一定の原則はあるわけですから、公開とか民主とか、そういう原則をあくまでも堅持しながら強めていくならば、今後の開発においてこのような初歩的なミスが、かなりな程度まで防止できるじゃないかという感じを持つのですが、先生いかがなものでしょうか。田島先生にお伺いします。
#55
○田島参考人 全くと申しますか、私も同感な点がございます。日本は、振り返ってみますと、開発研究というのがなじまないといいますか、そういう傾向がありましたので、そういう一つの欠陥が今度の「むつ」の問題に出てきたのじゃなかろうか。したがって、冒頭に申し上げましたとおり、これは「むつ」問題に限らず、原子力全般に関連のある問題がひそんでいるというふうに私は受け取っております。
 先ほどの先生のお話に、日本の原子力開発についておのずから基本となっている三原則というのがあるけれども、これについてどう思うかというお話ですが、そもそも三原則というのが学術会議で言い出されましたのは、当初の第一の目的は、日本の核開発が平和利用に制限されるということのために言い出されたものでありますが、いまやその三原則、その中でも公開という問題が、非常にこの安全性の問題と結びついておると私は受け取っております。安全性という問題は、公開でないと安全性自身が達成できないばかりでなく、国民の納得も得られないという状況がありますので、いまや三原則の役割りは、核兵器を禁止するという役割りに加えまして、安全性を担保するという意味で非常に重要な役割りを果たしておる、そのように考えております。
#56
○米内山委員 次に、柴田先生からちょっと御意見をお伺いしたいのですが、この報告書に、原子力発電はすでに実用の段階に入ったという言葉があるわけです。しかし、けさの毎日新聞を見ますと、現在、国内にある八つの原子力発電炉のうち五つが休んでおる、故障のために運転をやめているという、こういう段階でも実用化と言えるのかどうかということなんです。しかも、この炉の故障というのは、遮蔽の問題じゃなくてもっと中身に故障があるというわけです。「むつ」の問題も、ほんの上昇試験のわずかの段階で放射線が漏れたという。もっと度が上がっていくと、いまの発電炉の中に起きているようなああいう故障がないということは言えるものでしょうか。私はこの点に非常に疑問を持たざるを得ないわけです。この点について、先生の御感想なりを承っておきたいと思います。
#57
○柴田参考人 非常にむずかしい問題が回ってまいりましたのですが、実は私が最初に申し上げました意見をもう一度繰り返す形になるかと思いますが、要するに、先ほども田島先生から御意見がございましたが、私としては、三原則のうちの自主ということがかなり重要であろうと考えております。
 そういう観点から考えますと、もちろん民主、公開ということは当然でございますけれども、わが国ではいままで自主技術の開発ということがまともに行われるという空気はやや希薄でございまして、御指摘のように、発電炉でも大体既成品を導入するという傾向が強かったわけでございます。したがいまして、これは発電炉のことに言及するのは多少問題がありますので、私どもの研究用原子炉で十年間やっておりました経験から申しまして、その程度の原子炉であっても、やはり技術的には、机の上で勉強し、教えてもらったこととはまた違ったいろいろな問題が起こってまいりますので、そういうことを積み重ねて初めて最終的な目標に到達すべきであるというふうに考えます。
 したがって、この実用化という言葉の意味は、もう何も問題がなくなったということと同義語に考えるかどうかということについては若干問題があるかと存じますが、現に大規模なものがとまっているとか動いているとかいうのは、私どもはそういう情報は余り正確に伝えられておりませんので判断はできませんけれども、そういうものがつくられてすでに経験を積み始めたということで、これは幾ら実用になったからといって、その扱い方、これは自動車なんかもそうでございますけれども、全く故障も何もないという、そういうものではない。しかし、完成されたという表現と受け取られるとすれば若干問題があるかと思いますけれども、その程度のことであります。
#58
○米内山委員 次に、三菱原子力工業社長である石原参考人にお尋ねしたいが、チェック・アンド・レビューという問題です。これはそうしなければ炉の安全な開発ができないためにチェック・アンド・レビューということをウエスチングハウスと契約なさった。これはどういうふうなものですか。この炉全体の問題についてのものですか、それとも遮蔽関係についての契約なんですか、このチェック・アンド・レビューというのは。この点をお尋ねしたい。
#59
○石原参考人 お答え申し上げます。
 私どもウエスチングハウスにチェック・アンド・レビューを依頼いたしましたのは、事業団からの御要請、御指示もありましたことではございますが、チェック・アンド・レビューの対象といたしましたのは遮蔽だけではございません。炉全般についてでございます。細かいことを申し上げますと、計測制御系統の問題でありますとか、主要系統設計の問題でありますとか、そういったようなところまで含めまして炉全般でございます。
#60
○米内山委員 そうしますと、炉全般についてこっちからレビューを求め、向こうからチェックを受けた件数というのは、どういう部分について何件ぐらいあるのですか。
#61
○石原参考人 その内容をここへ書いたものがございますので、ちょっと申し上げますと、九つの項目になっております。先ほど申し上げましたように、計測制御系統に関連することが一つ、主要系統設計のレビューが一つ、主要制御系、安全保護系のチェック・アンド・レビュー、核熱設計の問題、遮蔽設計の問題、起動手順及び運転方案に関する問題、高温、高出力運転時の臨界質量の問題、炉心構造強度の問題、動特性の問題、以上九つの項目を対象といたしました。
#62
○米内山委員 その九つの点について、私は専門家じゃないから詳しく聞いてもようわからぬのですが、相手方の回答と申しますか、これならもう完全だというのですか、この辺はもう少し何とかしなければならぬというような指摘等は、どういう状態でありますか。
#63
○石原参考人 私ども、本件に限らず、時たまチェック・アンド・レビューを他社に依頼することがあるのでございますが、もともとチェック・アンド・レビューということにつきましては、こちらからこういうふうなやり方で設計をいたしたい、こういう考えで進みたいと言うことに対して、それならよかろうとか、あるいはこれに対してはこういうふうな点を考慮しなさいというふうなことの回答をもらうことが普通でございます。
#64
○米内山委員 最後に、長官にお尋ねしたいのですが、先ほどの御意見の中に、燃料棒を抜かなくても修理ができるだろうとか、そういう可能性があるという御意見もありました。そうしますと、あれを修理する場所はどういうことになるのですか。むつではすでにクレーンも使えないし、キャスクも運搬している、キットも壊したわけじゃないが使用できないような状態にしていますから、他の原子炉を修理し得る場所とか、あるいはドックにも間もなく入れて船体そのものも修理とか塗装がえをしなければならぬ時期だと思うのですが、修理の場所として、一体どういう条件の場所をいまお考えになっていますか。
#65
○佐々木国務大臣 去年、「むつ」の問題を最終的におさめるときには、新定係港を建設して、そこに「むつ」を移して、しかる後に修理というふうなお話と私は記憶しておりますが、もし間違いであれば後で原子力局長から、立ち会っておりますから、当時の状況をはっきり御説明いただきたいのですけれども、しかし、現状をもってしますと、「むつ」そのものの船体等の定期検査でありますか、あるいは補修も急がなければいけないんじゃないかというふうな感じもいたしまして、せっかくただいま事業団で改修計画を関係者が集まりまして検討中でございますので、その結論によって、修理の程度等おのずから決まってくるかと思います。それを見た上で、いままでの考え方でよろしいか、具体的な検討に入ってみたいと思っております。
#66
○米内山委員 最後に、ひとつ大臣の決意をお伺いしたいんですが、あの「むつ」の事後処理につきましては、青森県その他と政府との間に約束がなされておる。これは「むつ」を他へ移転させるということが中心になるわけですが、この点については、いまのところはこれをかたく実行するという御決意でありますか、ひとつお伺いしておきたい。
#67
○佐々木国務大臣 その点は毛頭変えてございません。そのとおりの考えでございます。
#68
○米内山委員 では、私の質問を終わります。
#69
○八木委員長 次に、内海清君。
#70
○内海(清)委員 田島参考人は御用事で中途退場されるそうでありますので、一問だけお伺いさせていただきたい。
 田島参考人はかつて原子力委員もやられましたし、安全審査等の問題につきましては、いわば専門家の部類だと思うのでございます。そこでこの報告書の中に、安全審査に遮蔽の専門家がいなかった、こういうことも指摘されておるわけでございます。この問題は、安全審査の現在の制度の上に問題があるかもしれません。制度上の問題と関連すると思うのでありますけれども、この審査それ自体についてどうこう言うべきではないかもしれませんけれども、問題は、審査と現実的な設計、この間に工学的あるいは技術的な空隙と申しますか、間隙と申しますか、そういうふうなものが存在する可能性がある、こういうことが指摘されておるように思うのでございます。このことは、いろいろな他の審査にも共通して言えることではないかと私は考えるのであります。
 つきましては、現在の安全審査の審査体制についてどういうふうにお考えになっておるか、そしてどうあるべきだとお考えになっておるか、参考までにひとつ御所見をお伺いいたしたい。
#71
○田島参考人 ただいま御質問いただいた点は、別の委員会、原子力行政懇談会でやっております。まさに重要な課題の一つだと思います。したがって、いろいろな方々のヒヤリングを実行しておりますが、非常にその点は問題を提起されております。原子力行政懇談会におきましても、この点に対して意見をまとめなければいけないと思っております。しかしながら、現在のところその意見がどの方向に行くかというまでは固まっておりません。
 したがって、私から私見なりとも余り詳しく申し上げるのは、委員をしておりますので、差し控えたいと思いますが、問題となりますのは、安全審査に関しましていろいろな問題がございますが、一つは、いまのような原子力委員会の性格、と申しますのは、原子力委員会というのは諮問委員会でありますので、原子力委員会の中でやったものが、そのまま実質上行政でやったようなかっこうでいくのがいいのかどうかという問題がございます。
 それからもう一つ、原子力委員会の安全審査会の中でやりますのは基本的設計についての安全審査でありまして、いろいろな言い方がございますが、設計の基本的性格について審査をする。それの詳細設計については、発電炉に関しては通産省に回ってから、そこで詳細設計の許可が出る。それから船に関しては、御承知のように運輸省に回る。そこで、基本設計の段階においていろいろ条件がつく場合でありますが、その条件が必ずしも他省庁、通産省あるいは運輸省にいく場合に、伝達されていない、あるいはその意が含まれていないという場合があり得るということが一つの問題であります。通産の場合には、お話によりますと顧問会というのがございまして、実際上は円滑にいっておりますが、運輸省の場合には、たまたまそういうケースが現在までありませんでしたから、その条件が運輸省の方に伝達されていなかったというのが、今回の「むつ」事件の一つの原因になっているように聞いております。
 そこで、今後一体どうしたらいいかということについては、いろいろ御意見があろうかと思いますので、具体的にどう対処すべきかというのは今後の議論になりますが、概括して申しますと、安全審査の責任が明確になっていないという点が非常に大きな点だと思います。規則どおりに申しますと、原子力委員会でやっているのは諮問であるという性格を持ちますので、諮問はどのくらいの法律的な責任があるか知りませんが、要するに、責任が余り明確になっていないのを、責任を明確にする必要があるだろうというふうな問題点が指摘されております。そういういろいろな問題に対してどういう体制が十分であるかということは、今後の問題であります。
 もう一つは、現在安全審査をやっている方ですね、その報告書の言葉をかりて言えば、多忙にして著名なる大学の先生、こういうふうな表現がされておりますが、まさにそういう方々がやっておりますので、こういう方が、一体責任をとり得るのかどうかという問題が内実的な問題としてございます。
 今後、いろいろ多くの安全審査をやらなければいけないと思いますが、そういう点を解決する答案をいま議論しているところというふうに了解していただきたいと思います。
#72
○内海(清)委員 大体わかりました。ありがとうございました。
#73
○八木委員長 次に、石野久男君。
#74
○石野委員 私は、おくれて参りましたものですから、参考人の皆さんのお話をほとんど聞いておりませんので、皆さんのお話しになったことに重複するようなことを聞くかもわかりませんが、その点はあらかじめ御容赦いただきたいと思うのです。
 この報告書で見ますと、「結論」のところから提案がなされているわけでございますが、特に提案の趣旨としましては、六十一ページの「結論」の中で、自主開発を積極的にやるべきだということが書いてございます。
 そこで大山参考人にお尋ねいたしますが、この場合、国は自主開発のためにどういうようなことをしなければならぬという考えでこの趣旨が書かれたかということ、その場合に民間企業に対してはどのように国は要求すべきであるというような考えでこういう趣旨のことが書かれてあるのかということを、まず最初にお聞きしたいと思います。
#75
○大山参考人 先ほどから、日本の原子力開発は、従来技術導入という点が主で、自主開発の点が非常におくれているということがたびたびお話に出ております。自主開発をいたします以上、当然のことでございますが、基礎的研究から始まって、目的基礎研究という順に移るでありましょう。そういう場合におきまして、こういう仕事は企業体にお願いするには余りにも負担が多過ぎるという意味で、国がそういう研究に対しては積極的に開発に努力すべきだと考えております。
 それから、民間研究と申しますか、企業体にどういうことを期待するかという御質問でございます。当然のことでございますが、国といたしましても工学的な研究にも力を注ぐべきでございますが、物をつくるあるいは建設するという問題は、やはり大きな、長い経験を持っている企業体に期待すべきであると存じております。
#76
○石野委員 原子力船「むつ」は、主として自主的な立場で、特にわが国の技術で開発したということが言われております。実際問題として、船の中で、これはわが国の技術なんだと積極的に言えるものはどういう部門なのか、そして今度起きた問題との関連で、わが国の技術はどの程度そこで役立っておるのか、あるいはまたわが国の技術の欠陥が出てきたのか、そういう点はどのようにお考えになっておりますか。
#77
○大山参考人 この点につきましてのお答えは、私よりも柴田参考人の方が適当と存じますが、いかがでございましょうか。
#78
○石野委員 結構です。
#79
○柴田参考人 この報告書にも書きましたように、技術と申しますのは、単に絵をかいて物をつくるというだけではございませんで、それが完成して、それから十分な運転経験を積んで、その成果を見て、それはよかったとか悪かったとか、その段階まで参りましてから、これが自主技術である、独自の技術であるということが言えると考えておりますので、まだ単なる工夫とかなんとかいう段階では、それは御質問のような世界に誇れると申しますか、他に誇れるような自主技術というふうに挙げるのは、ちょっと無理ではないかと考えます。
 そういう意味から、実は全体の体質として、報告書にも書きましたように、ありふれたものだという認識がやや強過ぎて少し安易に流れたのではないか、そういう指摘をしたわけでございます。まだとりたててそういう大きい特徴があるような原子炉でもございませんし、強いて言えば、遮蔽材料とかそういうものについては独自の工夫がなされまして、材料の基本的な性質についてなどは、原研のJRR4などを使って基礎的な研究は行われた、それが特徴かと思いますけれども、これもやはり、成果まで見て初めてそういうことが言えるのではないかと考えます。
#80
○石野委員 「むつ」の問題について、私たちが炉自体の問題あるいは船の問題を論議するほかに、「むつ」の出港に当たって住民の反対運動がございました。そしてこのことは、「むつ」の問題を解決するあるいはまた将来にわたってよい方向に解決していくために、欠落させてはいけない事実であったと思うのです。私はそういう意味から、地元の反対運動という問題を、大山委員会はどういうふうにとらえていたのだろうかと、率直に申しまして若干の疑問を持つのですよ。
 たとえば九ページに、「予期しない地元住民の反対にあい、低出力で原子炉を運転して行うこととしていた係留試験および湾内試運転の実施は、不可能な状態となったのである。」これは事実をここに書いておるわけでございますけれども、読み方からすると、反対運動があったために、やろうとすることもできなかったものだからこんなことになっちゃったのだ、こういう読み方もできるわけなんです。しかし結果から見ますと、地元の運動があったということが、またこういう問題について関心を高める非常に大きな要素になった、私はこう思います。そういう点で地元の反対運動というものをどういうふうにごらんになっていたか、ひとつ御所見を聞いておきたいと思います。
#81
○大山参考人 ただいまの御質問の件につきましては、三十四ページあたりに情報交流の欠陥があったということを指摘しております。事実私どもが調べた点におきましても、地元住民との間にもっともっとお互いに理解し合うような機会等を持つべきであったということを指摘しております。
#82
○石野委員 地元住民の運動に対して最初に私が感じたような、どうも地元で反対運動があったために、仕事が進まなかったのだということでないとするならば非常に結構なんです。けれども、九ページに書かれているようなことを素朴に読みますと、どうも反対運動があるためにやろうとしてもできないのだ、こういう読み方をされるということになると、これは非常に過ちを拡大していくようになっていくと思います。そういう私の考え方が間違っているのかどうか。実は私これを読みましたときに、率直にそういう読み取り方をしたのですよ。どうなんでしょう。
#83
○大山参考人 前の概要に出ております点は、御指摘のとおり、あるいは誤解を招くかもしれないような表現でございますが、概要できわめて簡潔に表現したという意味で、われわれの考え方といたしましては、先ほど申し上げましたように三十四ページ以降の、もっともっと地元と情報の交換あるいは了解をとるお話し合いをすべきだったというふうに考えております。
#84
○石野委員 これは地元の方々だけの問題ではないのです。六十二ページに皆さんが非常に的確に指摘なさっておりますように、「当然批判されるべきことでも、それが批判されると、あたかもその批判者を原則的なことまで反対しているかのようにとる傾向が、原子力関係の当事者にはありがちである。」こういうふうに指摘なさっていらっしゃる。私は、これは本当に大胆によく報告していただいた、こう思うのです。こういうことが反対運動と無関係ではないのであります。
 したがって、地元の方々の反対運動というものとこういうものとのつながり合わせというものをじっくりと踏んまえていきませんと、「むつ」問題の解決について方向は出てこないだろう、私はこういうふうに思うのです。この問題は、わが国の原子力行政あるいは技術開発というようなものを含めて、将来にわたって、政治の側面から言いましても、学術、技術の研究の上から言っても非常に大事なことだと思っておるわけでございまして、この件につきまして、私の感じておることについて、きょうおいでになっている参考人の皆さんの所見がありましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
#85
○大山参考人 六十二ページの下の四行目辺から記述してございますが、一般の国民が放射線に対して不安感を抱いていることは事実でございますが、しかし、いままで何となくこわいとか何となく信頼できないとかいうのから、だんだん脱却しつつある状態になりつつあるというふうに考えております。
 ただ、これにはやはり相当の年月と、お互いの情報交換と、原子力の問題に対して、現実的な問題を的確に表明するということが、非常に大事ではないかと存じております。
#86
○柴田参考人 私は、午前中に多少申し上げましたが、そういうような問題については、実は最初の原子炉を建設いたしますとき、私ども京都大学の原子炉実験所でございますが、地元の方の了解を得られなくて五年間敷地が決定いたしませんでした。そのときから地元の方々とは熱心に話し合いを続けておりまして、その経験から、大阪府で最初に原子炉問題審議会というのをこしらえていただきまして、その研究の内容あるいは安全性等について御審議をいただいております。
 そういう経験から申し上げますと、まあ私どもは研究炉ということでもあるし、そしてわれわれ自身が設計し建設に携わった者でございますし、国立大学の原子炉ということでもありますので、特段の秘密というものは当然ございませんので、そういう秘密というものを抜きにして完全に公開というような形でやっております。そういうように話し合いを進めてまいりますと、この報告書にも記載されておりますように、確かに一般の方々は不安はお持ちではあるけれども、やはりこういう仕事については重要な意味があるので御理解いただきたい、そういう話をいたしますと、かなりわかっていただけるようなこともあり得る。もちろん、何でもかんでも公開すれば理解されるというふうに一概には言えないかと思いますけれども、まあ私どもとしては経験上そういう形も必要ではないか、個人的にはそう考えております。
#87
○石原参考人 本船開発といった新しい開発をやります際、広く国民の皆さんの御理解なり御信頼をいただいて進めるべきであるというふうに感じます。
 なお、調査委員会報告書にお書きになられましたように、「むつ」の場合には、地元住民の皆さんとの情報交換が不足であったのではなかろうかというふうに感じておる次第でございます。
#88
○永野参考人 一般論を申し上げて恐縮でございますが、開発というものは、本来わかっていない未知の開拓という面を持っておりますので、こういうものには、いわゆる競争と協力の関係、先ほどもいろいろお話がございましたけれども、協力の要素が競争の要素よりもはるかに大事で、その協力の程度も、これが開発にどういう形で関与しているかというと、それを不安なものとして見ている人もあれば、迷惑なものとして見る人もあれば、それに大変な期待をかける人もあれば、そういうすべてが、情報をそれぞれの立場から流通させるように努めて、賛成も反対もみんなくるめてそのものに含まれている弱点を見抜くチャンスをふやす、これがそのものの成功のためにも必要なことであるし、あるいはそれが本当に進めるべきかどうかの評価をするためにも必要であるし、いずれにしても、開発に対してそういう広い範囲の協力が最も大切と思います。
 そして、もう一つの要素は、そうではあるけれども、とにかくちょっとぐらいのぐあいの悪いことはすぐそれで目的を変えない、目的意識だけはできる限り長く保持する、それも賛成、反対、すべてを含めて、全体の総合的な長期の意思として目的意識は変えないこと、この二つの点が最も大事なことと折あるごとに考えております。
 その意味で、ただいまの意見は非常に重要なポイントの一つだと考えております。
#89
○宮坂参考人 私の感じを申させていただきます。
 原子力は次の世代のエネルギーだということで、原子力一般に関係している者は、次代のエネルギー源を担っているのはわれわれであるというパイオニア精神でいままでやってきたと思います。そういうパイオニア精神というものは非常に貴重なものだと思うのですが、ただ、そこでその精神だけが非常に先走ったのではないかという気がします。
 原子力というものは非常にむずかしい、いままで聞きなれない単語がいろいろ出てくる。放射線とか放射能とかミリレントゲンとか、そういうことについて国民は余り十分な理解がない。何か非常にむずかしいことをやっていると思う。一方で、日本は原子爆弾という洗礼を受けていて、放射線とか原子力というものについての非常に大きな恐怖感なりアレルギーを持っておる。われわれがただ単にエネルギー源として必要だということで進んでいるだけでは、やはり納得されないのではないかという気がいたします。まず本質的にいろいろな問題点を含んでいる。それは技術レベルとして現状ここまではわれわれとして解決できているんだ、ここはまだわからないんだ、ここは未知の分野でこれからやらなければならないのだということを、十分国民にわかるようなかっこうで話をしていく、原子力の関係にはそういうような意味での翻訳者といいますか、インタープリターといいますか、そういう者がいない。われわれだけが非常に宙に浮いたようなかっこうになっているというところに、こういうような問題があるのではないかという気がいたします。
 われわれがもう少し謙虚に、一体皆さんがどういうことでわからないのか、どういうことが不満であるかということを十分把握をしながら、研究を進めていくことが必要ではないかという気がいたします。
#90
○田島参考人 安全性の問題というのが、「むつ」の事件を見ましても、それからほかの商業炉の場合を見ましても、単に工学的な安全性だけでないことを自覚しなければいけないと思うのであります。工学的な安全性のほかに、いわゆる社会的な安全性というものが入ってこないと、これからの原子力開発はいかないのではないか。それが証拠には、従来は安全であったにもかかわらずいまは安全と思われない、そういう例がたくさんあるわけです。
 したがって、いわゆる安全性という問題には、単に工学的な安全性が確保されるということだけでは、これからの開発なり事業は、これは原子力に限ったことではないだろうと思いますけれども、社会的なものを含めた安全性ということが重要になろうかと思います。そのためには、当然ながら社会的な安全性を得るためにいろいろな努力をする。いま申されましたように解読者ということもありますけれども、とにかく努力するという、そういう社会的な立場からの安全性を含めた意味の努力が、従来の原子力開発には欠けておったのではなかろうかという気が私はいたします。
 それが端的にあらわれたのが今回の「むつ」の事件であり、「むつ」のあの騒動であった、そういうふうに思いますので、これからは何としても、単に工学的に安全性が保たれたというだけでは済まない時代であるということを認識しなければいけない、そう思っております。
#91
○石野委員 安全性の問題について、やはり学者や技術家の方々がいろいろ御心配になる、あるいは研究を重ねていかなければならない問題が数多くあるだけに、地元、いわゆる施設、これは船にしても陸上炉にしましてもそうですか、その施設に関連する地域の住民が不安感を持つということをぬぐい去るだけの完成点にまでまだいっていないということが現実であろうと思います。それであるとするならば、やはりそういうような信頼感を得られるように、われわれとしてはいろいろ、行政的にもあるいは技術的にも策を練らなければいけない。
 この報告書は、組織制度の問題について、特に行政機関については、「今後安全性の確保を含めて技術的な裏付けが十分に行われることを期待する。」こう書いているわけです。この場合、たとえば今度の場合ではっきりしたように、基本設計と詳細設計との間で、管理監督の面で、指導の面でどうも連携がうまくいかなかった、技術的にもあるいは行政的にもうまくいかなかった、そういう問題を含めて、これは舶用炉だけの問題ではございませんで、陸上の発電炉にしましてもそうでございますが、それを管理監督するための一貫性というものを確立するために、率直に言って、政府はいま安全局というものをつくろうとしておるわけですが、科学技術庁に安全局というものができた場合にそれが可能なのか。あるいは原子力委員会で基本設計の問題で一つの見解を述べるけれども、詳細設計では運輸省の方に行ってしまう。こういうふうな問題の管理監督を、科学技術庁の安全局でうまくやれるのかどうかという、こんな問題について実は私は疑問を持っておるのでございますが、そういう点について、これは田島先生に所見をひとつ聞かせてもらいたいのです。
#92
○田島参考人 安全局がどういう役割りをするか、私、明快でないと思うのですが、いろいろな考え方があろうかと思います。したがって、これから申し上げますのは、別に私の考え方でもないし、固まった考え方でもないというふうに受け取っていただきたいのです。
 一つの考え方といたしますと、従来科学技術庁が基本設計の安全審査をやって、通産省なり運輸省なりその関係局に渡りますが、そのシステムはそのままにしておいて、それを今度ずっと一貫して見ているところとして原子力委員会の役割りを果たす。要するにだれかが一貫したものを見ている。従来はどちらかと申しますと、法律上のことは別にいたしまして、原子力委員会がやや科学技術庁だけの安全審査に多くかかわり合って、それ以後の詳細設計なりその他に関してはかかわり合いが少なかったわけですが、そこのところを改めまして、とにかく事務局を持ったところの原子力委員会が全体を通して見るというのが一つの考え方かとも思います。
 それから、もう一つの考え方は、もっとドラスチックに分けまして、商業用原子炉は従来通産がやっておりますから、通産に初めからしまいまで全部渡す、それから舶用炉は運輸省がやっておるから、運輸省に全部渡す、あるいは医療用のものは厚生省なら厚生省、それから研究用炉は科学技術庁なら科学技術庁というふうに炉型によって分ける。それの全体を見ているのが、元締めとして原子力委員会が全部目を光らしているというようなことも、考えの上であり得るわけなんですが、そのほかにも案があろうかと思います。
 これは、全く私の思いつきを申し上げただけなのですが、アメリカのようにERDAとNRC、二つに分けてやるという方法も、第三の方法としてあろうかと思いますが、これはかなりの陣容を要する。いまの陣容の十倍ではきかないだろう。規制局だけで千二百人か千五百人ぐらいおりますから。そういう考え方もあろうかと思いますが、とにかく要点は、途中で目を離してしまうということのないように考えなければいけないと思っております。
 再度お断わりしますが、いずれも全く煮詰まった案でもない、その点を御了解願いたいと思います。
#93
○石野委員 「むつ」に学ぶという観点から私は質問をいたしておりますが、「むつ」が、非常に初歩的なものであったかもしれませんが、こういうような事態になってしまった。問題は、もっと燃料をふやしたらどんなになったろうかという問題もまだあると思うのです。そういう問題には、いまのところこの報告書は触れていないと思います、率直に申しまして。この大山報告書でそういう点に触れなかった、あるいはそういう点にまで及んだ一つの報告をなぜ出さなかったのだろうかということについて、御所見を聞いておきたいと思います。
#94
○大山参考人 ただいまの点、触れていないとは申せないと思います。私どもの報告では、遮蔽以外の点についても今後検討をすべきだ、炉全体について一応見直しをすべきだということを報告しております。
#95
○石野委員 そういう意味では確かに触れているかもしれませんが、私は、非常に初歩的な段階でこういう放射線の漏れがあったということについて、率直に申し上げれば、炉だけの問題なのかあるいは船との関係があるのか、そしてまた炉の占める容積の関係から、遮蔽漏れを防ぐことのできなかった技術的な問題があったのか、そういう船と炉との関係などもいろいろあるだろうと思うのです。そういう問題について、やはりもっと深めなければならないのではなかろうか、こういうように思いますけれども、そういう点についてはどういうふうな感じでございましょうか。
#96
○大山参考人 御説のとおりだと存じます。
#97
○石野委員 そういうような観点からいたしまして、今日に来るまでの間にJRR4におけるところの遮蔽についての若干の意見が出ておる。若干というより、相当強い意見も出ておった。それからまた、ウエスチングハウスとの間におけるチェック・アンド・レビューの中でも意見があった。それを押し切ってやったこの現場の安易な考え方、こういうものに対する責任です。過去の責任は余り触れないように、こういうことは書いてはおりますけれども、過去の責任に触れないで将来に対する注意が生きるのだろうか、どうだろうかという問題について、私は率直に言ってまたここでも疑問を持つのです。過去の問題に対する責任を全然問わないままに、将来にわたってこの効果が出てくるだろうか、この点については大山参考人、どういうふうにお考えになりますか。
#98
○大山参考人 あえて過去の問題に触れないと報告にも書いてございます。むしろ前向きにやっていこうということであります。
 ただ、具体的の問題として、そんなことで実際にやれるだろうかというのがいまの御質問かと存じますが、ちょっとそれは私どもが云々する問題ではないと私は解釈しております。
#99
○石野委員 これは大臣にお尋ねしますが、この「むつ」の問題については、税金も相当使っておりますし、それから関係する人々は期待もしておるし、あるいはもっと注意をしなくてはいけないということのいろいろな意見があって、この報告書にも書いておるように、JRR4の経験にも学ぶことを拒否した、と言っては言い過ぎかもしれませんが、結果的にはそうなっておる。それから、ウエスチングハウスの一つの注意事項についてもそれをはねて、この段階で急ぎ過ぎた仕事をした、それでこういう結果が出たということについて、責任をはっきりと明確にしておかなければいけないのではないか、こういうふうに私は思いますが、行政の立場から、そういう問題についてはどういうふうにお考えになりますか。
#100
○佐々木国務大臣 いま大山先生からもお話がございましたように、個人の責任という焦点のしぼり方でなくて、機構あるいは組織、あるいはそれの運営方法等に責任があるというふうに大きくしぼって、しかもその責任の所在が大変錯綜しておるという御報告のように私、思っております。
 ただ、そうは申しても、おのずからそこには個人的な責任も、当時はそれをだれがやっておったのだろうかというような問題もあるだろうと思います。そういう点を考えていきますと、ほとんどその当時の人はいますっかりかわっておりまして、むしろ二度とそういう過ちを繰り返さぬように、新陣容でただいま取り組んでおる最中でございますので、現在の段階では、当時のだれだれがどうだったということよりは、それも必要かもしれませんけれども、しかし、むしろこの報告の指摘するとおり、今後その過ちを繰り返さぬためには、どういう組織、どういう陣容でやったらよろしいかという点に思いをいたしてただいま進めつつございます。
#101
○石野委員 私は、過去のことで、何も追い打ちをかけるようなことはせぬでもいいと思いますけれども、しかし、明確にすべきものは明確にしておきませんと、将来の規律が出てこないだろうというふうに思います。
 時間もございませんから、次にお聞きしますが、石原参考人とそれから永野参考人に、いまむつにあります原子力船「むつ」、これを修復するといいますか、改修するといいますか、具体的に船をつくった石川島播磨さん、それから炉をつくられた三菱さん、それぞれ皆さんの常識からして、「むつ」を前進させるためにやろうとするには、当面炉を改修しなければならぬけれども、その炉を改修するのには、約束ではあそこじゃ何もできないはずですからね。それじゃ、自分たちも関係しておったのだけれども、率直に言って、どこでどういうふうにしたらいいのだというような知恵があるのですかどうですか、ちょっとこの際聞かしておいていただきたいのです。
#102
○石原参考人 「むつ」の今後の改修問題につきましては、現在原子力船開発事業団におかれまして種々検討されておられるように伺っております。
 先ほどの先生の御質問で、どこでやったらよろしいかという御質問があったかと思うのでございますが、これはやはりどこかの港に入れていただいて改修工事をやるのが適当かと存ずるわけでございます。
#103
○永野参考人 いま石原参考人からお話がありましたように、現在これは事業団を中心に関係の方々が全部集まりまして、知恵をしぼって遮蔽の改修計画を進めておるわけです。私どもの会社の中にも、この問題で特別に技術者のグループを組織しまして、これにお手伝いしております。それほど大騒ぎをしないでも、適当な基地を見つければ、順調な改修工事ができると思っております。
 これにどういう場所を選ぶかにつきましては、これは政府を中心に選定しなくちゃならぬと思いますけれども、一たび見つかれば、改修工事そのものはそれほどむずかしくないと思うのです。それが一発で現在のもくろみどおりにいくかどうか、これは多少の疑問はございますけれども、やはりトライアルアンド・カットの要素は残るかもしれません。これはすべての開発につきものでございます。非常に困難な問題とは考えておりませんのです、適当な基地さえ見つかれば。この点からも、今後は一層の協力関係が大事になると思います、そういう基地を選ぶにしましても。そんなふうに考えています。
#104
○石野委員 いま永野参考人から言われた、協力関係という協力というのはどういう意味でございますか。
#105
○永野参考人 あらゆる安全に対する見通し、要するに先ほどちょっと申し上げましたが、いろいろ立場を異にする者が同じ問題を観察すれば、弱点の見つけ方がそれぞれ立場が違うために、適切なところにいくチャンスがふえると思うのです。そういう意味での、みんながそれぞれの情報をもとにしての判断、それを集めるという協力、それで先ほど申しましたように、みんなが結局においては原子力船を完成するという目的を忘れないでやる、こういう前提条件が必要かと思います。
#106
○石野委員 いま石原参考人と永野参考人から言われた点は、結局は、とにかくどこかに港を求めてくれということが一つあることと、それからもう一つは、炉について協力体制をつくってやれば簡単だ、こういうようにお聞きしました。
 そこで大臣、ちょっとお尋ねしますが、この港を探すということは、母港をどういうふうに選定するかという問題になりますので、いまここで、あるのかどうとか言ったってなかなかちょっと、ここでは時間がなくなるばかりですから申しませんけれども、後からいま永野参考人から言われたその協力という問題ですね、現場で仕事をしておる方々の協力要請というのは、ここで言えば三菱さんと石川島さんとが相互に協力、こういうことだろうと思うのです。
 しかし、私どもから見ますと、やはりこの協力というのは、報告書の六十二ページに書いておりますように、「当然批判されるべきことでも、それが批判されると、あたかもその批判者を原則的なことまで反対しているかのように」こういうような一つの意見を持っている人たちに対しての協力の必要、それを含めての協力でなければいけないというように私は思うわけなんです。だから、石川島さんと三菱さんとがただ仕事をしておるだけの協力でなしに、問題を持っている方々の協力を要請する、こういうことでないと、「むつ」におけるところの教訓が生きてこないだろう、こういうふうに思います。そういう点で私は、政府がこの「むつ」の開発の問題について、その点についての着意を今後具体的にどういうふうにしていくかということについての意見を、ひとつ聞かしてもらいたい。
 それからもう一つは、やはり「むつ」問題については、これが実用船、商業船というような形にまでいっていないで実験船であるということは、大方の判断でやはりそこへいっていると思うのです。そうでありますとする場合に、次の開発が、もうすぐ第二船ということが出てくるわけですね。いまその第二船を、実験段階を越えて実用船まで第一船がいっているというなら、第二船はすぐ大型へいってもいいのですけれども、聞くところによると、第二船への要望は、今度は十数万トンのようなものにでもやらなければいかぬだろうというようなことまでちょっと耳にするわけです。第一船でこういうような情勢が出ておるのに、第二船をすぐ大型のものへ持っていくということについて、場所が大きいから仕事がしやすいんだという意見も一つありましょうけれども、その点についてはどうなのかということについて、これは参考人の皆さんにひとつまた聞きたいことなんでございますが、まず最初に大臣の方から。
#107
○佐々木国務大臣 これはもうこの委員会で何遍となく私、同じ答えを繰り返し、皆様方また御要望もございまして、「むつ」の経験等にも徴し、一方的に政府で権力等で問題を処理して、地元の了承を得ないままに問題を進めないでもらいたい、あくまでも円満に地元との話し合いをつけて、それから問題を進めてもらいたいというお示しでございますし、私どももその根本的な態度を変えてございません。今後もそのつもりでやっていくつもりでございます。
#108
○石野委員 大臣にその協力の問題で、企業間の協力ということだけじゃなしに、学者の中で意見を持っている人たちを、この開発のために政府がどういうふうに協力させるような仕組みをしていくかという問題についての、政府の考え方をちょっと聞かしてもらいたい。
#109
○佐々木国務大臣 ただいまは、「むつ」の修理に限っての問題なのか、あるいは今後原子力船開発あるいは原子力発電を進めていく上におけるそういう審査、検査等の、いわば民主的な運営をどうするかという問題か、その点私はっきりしませんけれども……。
#110
○石野委員 同じですよ。
#111
○佐々木国務大臣 同じだとすれば、いまの前者の事業団の問題は、いわば大変具体的に問題を進めている最中でございますので、私は、先ほど永野さんからお話ございましたような行き方で、それぞれ関係者が協力して、批判し合って問題を進めていけば、それでよろしいんじゃないかと思いますけれども、今後大きく進めていく上におきまして、いままでの原子力委員会等における審査、検査の仕方が果たしてよろしいかどうか。さっきも田島先生からお話ございましたように、片手間で、その人柄あるいは識見がどうこうという問題以前に、そういうお忙しい皆さんが参加をしてやるという、こういう行き方がどうだろうという問題の提起の方がむしろ主であるようでございますので、そういう点も大変重要な点だと思いまして、これは逃げるわけではございませんけれども、せっかく有沢機関でただいま検討中でございますから、それが済みますれば、その方針に従いまして進めてまいりたいと存じます。
#112
○石野委員 じゃ大臣、もう一遍お聞きしますが、その問題は特に原子力委員会の問題にも絡んでの御発言であろうかと思いますけれども、そういうふうに私は聞いたのですが、そうじゃないんですか、どうですか。
#113
○佐々木国務大臣 そういう立案あるいは審査、検査の過程において、広く技術あるいは科学の知識を吸収したらどうかという御質問かと存じます。それはもちろんそのとおりでございまして、そういうふうに進めなければいかぬと思っております。
#114
○石野委員 いまの問題について、特に私は、原子力行政の中で一つの方向に対して意見がある者について、その意見を、むしろ原則的に反対しているんだということで、それを取り合わないような体制はよくないというこの報告書の趣旨ですが、これを生かしていくために、いま特にどういうことを考えなきゃいかぬかということです。報告書を書かれた大山委員会では、そのことについてどういうふうなことをお考えになっておられますか。
#115
○大山参考人 ただいまの御質問につきましては、私としては具体的なソリューションを持ってはおりません。
 ただ、たびたび先ほどから参考人の方々からも御意見が出ておりますように、原子力技術あるいは原子力発電の現状等をわかっておること、わかってないことを率直にはっきり表明して、話し合いによって進めるというようなことぐらいを、時間をかけてやるほか方法がないのではないかと私は思っております。
#116
○石野委員 たとえば舶用炉だけに限って申しますと、舶用炉の場合は、率直に言って、私もサバンナが艤装されるような段階のときにドイツであれを見たことがある。いろいろな話も聞きました。あれは、あそこへいくまでの間にはいろいろな実験過程を経ておりますし、それから艤装されるまでの間にもずいぶんやはり運転実験をしておるわけでございますね。今度の「むつ」の炉の場合、もう遮蔽以外には問題はないというようなお話がこれには書かれておりまして、したがって、やはりもう陸上での炉の実験とかなんとかというようなことの必要はないのだろうかどうだろうかという疑問を私は実は持つのです。こういう点について率直に、つくられた三菱さんの方にもひとつお聞きしたいし、それから委員会の方の柴田さんにもそのことを聞きたい。それから田島先生にも、そういう問題についての御意見がおありになられるだろうと思いますから、ひとつ所見を聞きたいのです。
#117
○柴田参考人 いまの問題は調査委員会でも大分議論がございまして、それで率直に申しますと、十年前であったら、あるいはその段階に議論を戻すといたしますと、陸上炉をつくってやるべきであったかもしれないが、しかし、現時点でもう一度そこに戻ってやるべきかどうかについては、これは先ほど御質問の中にもございましたが、すでに同型炉が陸上で動いておりますし、技術的経験は乏しいながらも得ておる、むしろ舶用炉として問題なのは、振動、動揺に対する耐久性と申しますか、動作の確実性、そういったようなことがむしろ問題になるので、一般の炉型そのものとしてはもう余り問題はないのではないか、これから考えていく上では、恐らくそのまま進めればよろしいであろうという考え方でございました。
 ただ、先ほどお話にもございましたように、第二船に進むかどうかにつきましては、委員会報告書にもはっきり書いてありますように、できるだけ早い時期に運転を始めて、そうして経験を積んで、その上で技術上の問題点を的確につかんだ上で次の設計計画にそういうものを生かすべきであって、できたから、はいもう終わりと言って次に進むというようなそういう態度は、これは新しいものを開発する上では問題であります。
 ただ、そのときに重要なのは、やはり私どももそういうことを十分自身の原子炉そのほかの研究では心がけておりますが、そういったいろいろな起こってきた問題点はできるだけ広い範囲に広げて議論をいたしまして、そうしてそれに対する十分な討論をして正しい方向を見出していく、そういうことが必要でございまして、現在、いまの御質問の中にもありましたけれども、規制とか審査とか、それだけでは済まない問題がございます。新しいものを進めていくときには、世界じゅうだれもわからない問題があるわけでございますので、そういうことについてはやはり国民的合意の上で、しかしながらそれは自主的にやっていきませんと、これは将来大問題が起こる可能性がある。それは率直に恐れずに討論を進めて、それだけちゃんとやって失敗したのなら、これはしようがないから直しなさい、そういうことにもなろうかと思います。これは、今後起こります新しい原子炉の問題については特に必要でございまして、報告書にもその点は――これもかなり新しい要素を含んでおりますので、十分御注意をいただきたい。審査、検査、監督だけで事が足りるのは、たとえば建築とかあるいは普通の船とか、数千年来やっておるものでありましたら、それはそれでよろしいと思いますが、そういうことでは困るのではないか。つまり、そういった実質的な技術的な組織というものを、何らか国民的合意の上でつくる必要があるであろう、そういうふうに考えております。
#118
○石原参考人 実はけさほど冒頭にもちょっと申し上げたのでございますが、本船「むつ」を開発いたしました当時、いわゆる未知、未経験の分野を開発するという面が多くあったわけでございます。しかしながら、炉心部と申しますか、原子炉本体と申しましょうか、それにつきましては、先般「むつ」の洋上試験ではございますが、臨界試験及び低出力試験でのデータからいたしますと、必ずしも設計で予想いたしました性能と大きく離れておりませんでした。
 したがいまして、調査報告書の十三ページにも御指摘いただきましたような、全体としてかなりの水準に達しておるというふうな御指摘かと思うのでございます。しかしながら、先ほど先生御指摘のように、この炉を一〇〇%の負荷まで持っていったらそのときはどうなるであろうかということにつきましては、これは試験炉でございますので、逐次負荷を上げ、データを取り、開発ということで、一般の開発につきものと考えていいかと思うのでございますが、ふぐあい点を探し、これを修正し、完成に持っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#119
○田島参考人 最初の御質問で協力という問題がございました。その具体的な方法というのはいろいろあろうかと思いますけれども、一つの最小限度の前提は、やはりできる限りの資料を公開するということが協力の第一歩ではなかろうか。それは全部公開するのは、ノーハウその他の問題もあろうかと思いますが、とにかく資料を出してだれでも議論ができるというかっこうにするのが、私は協力の第一歩ではなかろうか、そのように考えております。そこから先はいろいろなやり方があろうか、そう考えます。
 それから第二船についてと、こういうお話がありましたが、十万トンというのは、私はいま伺いまして大変びっくりしたわけですけれども、第二船の場合には、恐らく単に実験船だけでなしに、いろいろな経済性その他のことも十分考慮され、それから国際的な問題、普通の商業用原子炉と違いまして原子力船は国際的な、何といいますか、理解が深まらないというと、せっかくつくってもだめなものですから、そういうことを考えなければいかぬと思います。そういたしますというと、かなり厳しい条件がますます加わってくるんじゃなかろうか。かなり厳しくしないと、国際的にも経済性でもやっていけないのじゃなかろうかということで、第一船の「むつ」から一体どれだけのそれに対する資料といいますか、データが得られるかというのは、必ずしも楽観は許せないんじゃなかろうかと私は考えているわけです。
 したがって、少なくとも原子力船「むつ」を運転する、航海に出すということだけでは、恐らく第二船は、十分な設計にまで到達できるかどうかちょっと疑問な点がありますので、やはりそれなりに全体の、モックアップとは言わないまでも、かなりの陸上研究開発の部分が付随しないと、第二船は出てこないんじゃないかというふうに、私は私見を持っております。
 以上です。
#120
○石野委員 炉については、結局軽水炉としての経験を踏まえてこれはいくわけでございますから、当然のこととして舶用炉としては、先ほど来言われておるように、振動だとかそれに対する強度だとかいう、波の上でやる特殊な部門のそれに対する検討を加えなければなりませんが、同時に、陸上炉として、いわゆる発電炉として持っておる問題も付随的に出てくるわけでございます。だから、陸上でもやっているのだから海上ではその問題は問題じゃないのだというわけにはいかないだろう。
 そういうことになりますと、先ほど石原参考人から言われたように、テストを重ねながら、そこで問題を踏まえていかないというと、負荷量を多くしていくにしたがっての問題の掌握はできない、こういう観点はひとつ明確にしていただきたい。
 そういうことを踏まえながら、まあ時間もありませんので、次に、十五ページの6のところに、「今後、地元の住民に、責任をもって積極的に接触、交渉し、正確な情報を伝え、理解を深めるよう努力をすること。」こういうふうに書かれておることを政府はどのように理解しておるか、この点をひとつお聞きしたい。
#121
○佐々木国務大臣 これこそ私が常々申し上げておるとおりでございまして、そういうことで努力したいと思っております。
 ただ、最近の対馬の例は、この段階に入る前にああいうことになってしまったので、どうにも進めなかったということでございます。
#122
○石野委員 実はこの文章も、「責任をもって積極的に接触、交渉し、正確な情報」という言葉の意味は、これは非常にいいことを言っているわけなんだけれども、内容がどうかということになると、実を言うと非常に問題が出てくるのですよ。「正確な情報」といったって、これはどれが正確なのか実はわからないのがたくさんあるわけで、そうなってきますというと、率直に言いまして、これは、ややもすれば政府の言うことが正しいのだという受け方が地元民にはあるのです。政府が持ち込んだものはみんな正しいのだという見方を、報告書を書いた委員会の方々はそうはとらなくとも、読んでいる方々からするというと、政府から持ってきたもの、お上から持ってきたものは正しいのだ、それを批判する者はだめなんだという考え方が国民の中に実はあるのです。そういうことと、それから学理的な側面から言ってまた意見を持つ人とがあるわけです。そうなりますと、やはりここに書かれております6の読み方を、政府がもし従来のように、自分たちの言うことだけが正しいのだというような意見でこの文章がそのまま通っていきますと、地元で運動が非常にこじれてくるだろうと思います。したがって、この文章の書き方などについても、私は特に地元での運動が、「むつ」でああいう状態になったことにかんがみても、この文章の読み方というものは非常に大事だと思いますので、まず大山委員会のこの文章を書いた真意というものを、ここで明確にしておいていただいて、そうして、大臣がいまお答えになりましたような、あの当時は違うのだということじゃなくて、この段階でもう一遍、この文面に対してどういうような心構えでこれを読み取るかということを後で聞かしてもらいたい。まず大山委員会の考え方だけを聞かしてもらいたい。
#123
○大山参考人 ただいま御指摘がございましたように、私どもとしては、行政的とかあるいは実際の住民の動きとかということを踏まえて書いたわけではございません。あくまでも、理論的と申しますか、正しいことという意味で表現していることでございます。
#124
○石野委員 政府はいまのようなことに対して……。
#125
○佐々木国務大臣 答えは同じだと存じます。
#126
○石野委員 いまのことはきわめて簡単でございますけれども、具体的には、この文章というのはいろいろな響きを持ってまいります。たまたま大山委員会の意見というのは、理論的な問題を軸にしてこの文章が書かれているということでございますので、政府に私は、この文章の読み方、特に原子力委員会なんかにもそうでございますが、やはり理論的に意見のある場合に、一方の意見を否定する立場で行政指導しないようにしてもらいたいということだけを、これはこの際大臣にもお願いしておきたいと思いますので、ひとつ大臣からもう一遍所見を聞かしていただきたい。
#127
○佐々木国務大臣 そうしたいと思います。
 ただ、むつ市の港湾のときのように、それが何年か積もると爆弾のように破裂するなんということは、これはやはり反対意見としてもちょうだいできませんので、それは間違いであるということはやはり正しく教えないと――教えると言うとおかしいですけれども、話し合わなければいかぬじゃないかと思います。
#128
○石野委員 爆弾であるとかなんとかというような宣伝とか、何か誤った宣伝は、これはお互いに慎まねばなりませんが、しかし、十分安全性のないものを安全だというようなことを堂々と書くようなことがあっても、これは困っちゃうのですよ。私がいま言いたいことは、その衝に当たっている人々が、自分が安心だからといって、いろいろとそれに対して不安感を持っている人たちの意見を無視して、安全だ安全だというような宣伝はやってもらっちゃ困る。この条項がPRの方向へ、積極的にPRしなさいなんというようなことだけに受けとめられたのでは、過ちを犯すからというので私は申し上げておるのですから、大臣がいま言うように、とんでもないことで私どもの意見をむしろ封殺するようなことであっては困る。
#129
○佐々木国務大臣 もちろん、私もそういう正確度を持った、理論的にも正しい情報を伝えるのが本務と存じます。
#130
○八木委員長 次に、瀬崎博義君。
#131
○瀬崎委員 参考人の方々御苦労さまでございます。
 「むつ」問題を引き起こしたそもそもの原因は、日本の原子力行政全般の欠陥に起因する、こういうことがこの報告書の行間ににじみ出ている。こういう根が深いものだからこそ、引き起こした社会不信というものも非常に大きい、これはたしか田島参考人の御指摘であったと思います。私どもも全く同様な認識を持っております。容易なことではこの不信は回復できない。まさに抜本的な改革が求められている、こういう趣旨で本日も参考人各位に御足労をいただいた次第だと私どもは理解しているわけであります。
 そこで、まず永野参考人にお伺いをしたいのでありますが、これは重ねての質問になるのでありますが、二次遮蔽の構造計算、製造そのものはおたくの力にかかっているわけでありますけれども、起こりました遮蔽の欠陥について、設計、製造にわたってその責任は一切石川島播磨にはないのだ、こういうお考えですか。
#132
○永野参考人 遮蔽効果については、私どもはこれの担当はしておりません。ですから、それに責任を感じなくはありませんけれども、実際問題としてはそれを分担していなかったのであります。
 この責任を持つか持たないかということは、われわれも日本の知識の一翼は担っておるわけで、そういう意味ではもちろん感じております。ただ、契約上はそれが入っていない、そういうことでございます。
#133
○瀬崎委員 時間が制約されておりますので、恐縮ですが、簡潔な答弁でお願いしたいと思うのです。
 起こりました今度の事故について、石川島播磨は責任を持っているのか持っていないのか、改めて回答を願いたいと思います。
#134
○永野参考人 契約上は、遮蔽効果については持っておりません。
#135
○瀬崎委員 この「むつ」の契約に至りました過程を見ますと、昭和四十年三月一日、二日と、大手造船七社が入札に参加したけれども、応じなかったのかどうか知りませんけれども、だれも応札するものはなかった。三月二十三日に、日本造船工業会佐藤会長のあっせんで、まず石川島播磨が建造契約の折衝に入ることになった。その後、業界の意向等もあって、船体は石川島播磨、炉は三菱、こういう分離契約になったというふうに記録されているわけであります。だから、当初はずっと造船界あるいは石川島播磨重工が窓口になって契約折衝をしながら、最終段階で、結局造船業界を通じた形の分離ということになっているというふうにわれわれは理解するわけなんですが、この業界の意向があったと記録されているのは、どういう意向であったのですか。
#136
○永野参考人 これは、きょうの冒頭の御説明にも述べましたけれども、分離契約になった当時、この仕事について、会社の原価と契約値段との関係、こういうものについて、当時のコスト要因からの集計は非常にきつい状態であった。それでみんなしり込みをしたと了解しております。
 それを私どもは、期間利益のみを上げるために会社が存在するのではなくて、社会的の使命もあり、それから長期に見れば、こういう技術開発が将来の事業の確保につながる、こういう見地から、株主の期待にもこたえ得るものと考えて、この契約に踏み切ったわけでございます。
#137
○瀬崎委員 ダブる答弁は避けていただきたいのでありますが、私が引用しておりますのは、これは三菱原子力工業がいままでの経過について出された記録の付属の文書としてついておったものであります。これは原産会議が発行しているものです。ここには、「佐藤尚会長のあっせんで三月二十三日、石川島播磨重工業と建造契約について折衝することになり、」とまずあり、「その後業界の意向で船体は石川島播磨重工業に、原子炉は三菱原子力工業に分離して折衝することになった。」こういういきさつなんですね。ここで言われている業界の意向あるいはおたくがこれを分離することに踏み切ったそもそもの原因、それだけ答えてください。
#138
○永野参考人 われわれ石川島には、船炉一体、全部をやる能力はありません。一方で、ウエスチングハウスと契約関係にあられた三菱原子力は、炉について設計、製造する能力がある。ですから、船炉別々にやるのは当然の帰結であったわけです。
#139
○瀬崎委員 さらに、あのサバンナ号の場合に、いわゆる分離契約が行われた、そのことが非常にまずい結果を引き起こして、結局は、最終的に造船メーカーが炉メーカーを再下請の形で組み入れることとして完成を迎えた、こういういきさつがあるのは御存じですか。また事業団としては、できたばかりで事業団自身にも能力がないので、なるべくならばこういう形態を希望した、こういうことも御承知ですか。
#140
○永野参考人 すべて承知しております。それで、朝の冒頭の説明でも言及しましたけれども、確かにサバンナは結果はよくなかったかもしれない。しかし、それが本当に悪いかどうかは、これはただ推測にすぎないのでございます。われわれとしては、分離したことがこういう事故の原因になったとは毛頭考えておりません。
#141
○瀬崎委員 おたくの方はそう考えていないでしょうけれども、こういういきさつを今日振り返ってみるならば、結局、石川島播磨側としては最大のリスクを避けて、力のない事業団側に、あるいはおたくは大丈夫だと考えられたかしれないけれども、いま見れば、まさにその能力が問われるに至った三菱原子力に、その一番危険なリスクをかわした。こういうことが起こり得ることは、いまのお話からも、承知している、こういうふうにおっしゃったのではないかと思うのです。私はこの点で、船体にはあたかも問題がなかったかのように言われている点についても、一つの国民の側の警告ははっきり申し上げておきたいと思うのです。
 次に、第二番目の問題として、この報告書が指摘しておられる遮蔽設計計算手抜きの責任の問題であります。
 略して大山報告と申し上げますが、一次遮蔽の外における放射線量について、「はっきりした見通しなしに、希望的観測を含めつつ、二次遮蔽まで含めた全体としての遮蔽効果で逃げようとした」という御指摘がありますけれども、一体だれがこういう希望的観測をしたというふうにお考えなんですか。これは大山さんにお願いします。
#142
○大山参考人 だれがしたかというお尋ねでございますが、私どもは、結果と申しますか、その当時の情勢から見て、第一次遮蔽でこれだけ減らすというような点がはっきり出ていないままに行われたというふうに解釈しております。
#143
○瀬崎委員 しかし、希望的観測があったと言われる限りは、だれかがその観測を持っていたということを前提にしてのこれは文章だと思うのです。主語なしにこういう問題は生まれてこないと思うのです。
 起草委員会の方は柴田先生であったとお伺いしておりますが、いかがでしょう。
#144
○柴田参考人 実は問題の本質がその辺にあるわけでございまして、だれが責任を持って判断したかというのは、後から調べても非常にわかりにくいということでございまして、これは主語はと申しましても、事業団であるのかあるいはそのメーカーで集まった技術の委員会であるのか、その辺はよくわかりませんですが、これは調査委員会でも確認はできませんでした。ですから、これは主語はちょっと書けないということでございます。
#145
○瀬崎委員 しかし、これを設計計算並びに詳細設計及び製作を担当した三菱が、これから免れることはできないと私は思うのです。その三菱原子力において、こういう希望的観測があったのは事実なのですか、そういうことがなかったのですか。これはひとつ石原参考人に伺います。
#146
○石原参考人 先生のいまの御質問、一次、二次一緒にして逃げようとしたということでございますが、これは三菱としてさような行き方をやるのがよかろうというふうに発案したのではないと聞いておるわけでございます。
#147
○瀬崎委員 それはいずれ後ほど結論に到達したいと思います。
 次は、実験と設計との関連において、ではその責任はどこにあったのかという点であります。
 大山参考人にお伺いしたいのでありますが、初期の計算コードでは計算に乗らない現象があるので、これを実験で補うという目的から見れば、まず実験は不十分であった、こういう御指摘があります。次に、後日進歩したコードが開発されたときには実験の見直しが必要であったという御指摘があります。そして三つ目に、実験体系と実際の体系との相違点についても処置方針が立っていなかったという御指摘があります。
 つまり、この実験というのは、単なる実験ではなくて、実際の設計や製作に付随した実験であったと私どもは考えるのでありますが、御指摘の実験に伴うこの不十分な三点、この責めは一体だれに帰すのか。もし、当時こういう不十分な実験に気づく、あるいは見直しに気づくとするならば、最も手近なところにいたのはどういう機関であったのか、この点をお伺いしたいと思います。
#148
○大山参考人 ただいまの御質問でございますが、あくまでもその当時は、遮蔽計算に対する計算コードが不十分であった時代でございます。したがって、午前中も申し上げたのでございますが、こういう遮蔽の問題には経験的な要素が非常に大事な設計の資料になるのにかかわらず、当時は遮蔽設計の専門家というのがおらなかったという時代で、これを実験によって確かめ、かつ計算コードのチェックをやったという実験でございます。
 ただし、その実験は、事業団、日本原子力研究所、船舶技研の三者で共同研究としておやりになって、どこが責任を持つという立場でなくおやりになったという点で、いまの御質問の責任をとられたという場所は、私どもにははっきりいたしません。
#149
○瀬崎委員 では、当時の実験そのものについてはさておくといたしまして、後日進歩したコードが開発されたときの問題としてなんですが、ここに述べられている「進歩したコード」というのは、わが国ではいつごろ開発されておるわけでありますか。大山先生、あるいは柴田先生でも結構です。
#150
○柴田参考人 ちょっと記憶は正確ではございませんが、三、四年前ということでございます。
#151
○瀬崎委員 それでは、その三、四年前にわが国でも進歩したコードが開発されたということについて、三菱原子力工業がその開発したコードというものを知った時点、あるいはみずから開発されたかもしれませんが、この時点はいつですか。
#152
○石原参考人 遮蔽に関する計算コードにつきましては、先ほどのお話のコードについて私どもが知りましたのはごく最近でございます。
 なお、この遮蔽計算コードの開発ということ自体非常にむずかしいものであるやに聞いておりますが、私ども自体としては開発したものはございません。
#153
○瀬崎委員 それじゃ、先ほど柴田参考人の御意見に出ておりました、三、四年前にはわが国でも開発されておったという事実そのものも知っていなかったのか、またそれを取入れるべきだという考えも持っていなかったのか、この点はどうですか。
#154
○石原参考人 繰り返すようで恐縮ございますが、遮蔽に関する新しいコードを、私どもはごく最近まで知りませんでした。したがいまして、「むつ」の当時は実験によって得られたデータを設計に応用するということを考えておったのでございます。
#155
○瀬崎委員 私は常識では考えられないことなんですがね。柴田先生どうでしょうか。少なくとも原子力第一船を請け負った、言うならば日本で初めて舶用炉を国産化しようというこの三菱が、ここで指摘されている発達したコードについて、ごく最近まで知らなかった、こういうお話について、いかがでしょう、あり得ることでしょうか。
#156
○柴田参考人 感想でよろしければ……。
#157
○瀬崎委員 感想でよろしいです。
#158
○柴田参考人 まあちょっと考えられません。
#159
○瀬崎委員 まことに重大な問題があったと思います。
 次に、その実験を十分設計に取り入れたかどうかという問題なんです。
 この点では、JNSレポート一九六七年六月号で、三菱原子力工業の豊田行雄氏らも参加されております論文で、次のように言っておられますね。「炉心に対して斜上方向では、複雑な要素があるため、実規模の大きさのモックアップ実験が必要である」また、「時間的、技術上の制約から残された問題点も多い。遮蔽体の背後に水のない系で実験することが望まれる」こうあるわけなんです。ですから、これは当然おたくもこういうことを承知しておられたと私たちは考えざるを得ないのであります。
 こういうふうな報告があるのにかかわらず、これを実際にやろうとされなかった理由はどこにあったのですか、石原参考人。
#160
○石原参考人 ただいまの三菱原子力の社員でありました豊田は、当時は原子力船開発事業団の職員として派遣しておったと思いますが、その事業団の要員として仕事をしておった時点であったかと私は思います。
#161
○瀬崎委員 だから言いたいことは、当社には責任がなかった、こういうお話なんですか。
#162
○石原参考人 責任と申しますか、豊田がそういう発表をしたということにつきましては、三菱の人間ということよりも、むしろJRR4の実験に参画した要員としての発表であったかと、こういうふうに思う次第でございます。
#163
○瀬崎委員 そんな社員の参画のさせ方で満足に実験を反映させることができるでしょうか。これはまさに重大な問題だと思うのです。
 さらにこの報告書では、チェック・アンド・レビューの詳しい問題は、後ほど山原議員が質問されますが、ここの指摘で、「鉄製遮蔽リングの効果推定計算書が三菱原子力工業にも残っておらず、」こういう指摘があります。この点を私がせんだって生田原子力局長にただしましたら、「なぜ残っていなかったのか、あるいは初めから計算しなかったのか、その点はわかりません。」 「十分私どもで調査をいたしたい」こうお答えになっている。
 そこで、どういうふうな政府からの調査を三菱の方はされていらっしゃるのですか。政府からどういう調査が来たかということですよ。このことはすでに本委員会で政府に質問してあるわけなんです。そうしましたら、いま申し上げましたように生田局長が、「十分私どもで調査をいたしたい」こう答えております。これは二週間ほど前の話なんです。ですから、この二週間の間に科学技術庁からおたくの方へどんな調査がありましたか、こう聞いているわけであります。
#164
○石原参考人 私の知ります範囲においては、伺っておりません。
#165
○瀬崎委員 長官、これは一体どうです。二週間たって、国会で約束したことをやってないじゃないですか。これにどう答えますか、長官。――長官ですよ。
#166
○佐々木国務大臣 私は、その後の事実を知りませんので、局長から答えさせます。
#167
○生田政府委員 私の方からは、三菱に照会を出しております。
#168
○瀬崎委員 私のところへ何にも届いてないじゃないですか。結果はどうなったのですか。
#169
○生田政府委員 照会は出しまして、まだ返事をもらっておりません。
#170
○瀬崎委員 この問題については、また後ほど山原委員の追及がありますから、とにかく政府がそういう状態であるということがここでわかったということにしておきたいと思います。
 第五点目は、詳細設計に問題があったことはもう明らかであります。しかも、その中に三菱側の重大な手落ちのあることももうほぼわかってきたと思うのでありますが、では基本設計に問題があったのかなかったのか。もし問題があったとするならば、これに伴う、これをパスさせた安全審査にも当然問題があったということになると思うのであります。この点についてもきわめて意見がまちまちであります。
 たとえば内田氏は、これも国会で、基本設計の安全審査には問題なしと言い切っておられます。それから井上五郎原子力委員長代理は、「当時安全審査会が決定をされました結論というものは、今日考えてみましても正しいものであった」、これもそういうふうに言い切っておられます。それから前森山長官は、「もし基本設計に問題があったといたしまするならば、これは安全審査体制自身が問題になる、もし詳細設計の段階に問題があるといたしまするならば、これはまた別の見解が出てまいる」こう言っておられます。なお参考人としてお見えになりました田島さんは、その当時、材料に何を使うかはまさに基本設計の一部であるだろう、遮蔽という問題は核設計と同じように非常に重要な問題であり、これは基本設計の中に入る、こういうふうな発言をしていらっしゃいます。こういうこと自身が国民を不信に陥れるわけでありますから、何としてもこれははっきりさせる必要があると私は思うのです。
 そこで、かつて原子力委員でもあった田島先生に改めて、いま原子力委員会としてはどういう判断をするのが正しいと個人的にお考えか、聞きたいと思うのです。
#171
○田島参考人 基本設計が何であるかというのは、確かに問題であろうと思うのですが、私は、「むつ」の審査報告書は拝見いたしましたが、それの申請書はついに拝見することができないので、あるいは的確な判断は欠けるかと思いますが、基本設計には材料が指定さるべきだと私は考えております。
 そういう意味において、いつかの国会で参考人として述べた、いま先生からお読み上げいただいた考え方は、変わっておりません。
#172
○瀬崎委員 そういたしますと、たとえば安全審査会の会長さんとかあるいは原子力委員長代理が問題なしと言い切っておられるこの態度については、どういうふうにお考えですか。
#173
○田島参考人 それは見解の相違としか答えようがないのですけれども……。
#174
○瀬崎委員 私は、もしも現在田島さんが原子力委員会に残っていらっしゃったら、まさにそういう見解の相違が委員会内部において論議の対象になったと思うのです。こういう過程が公開されることが、いまの原子力問題の解決にとっては一番大きく役立つ問題ではないかと思うのです。この点について、原子力委員会自身の体質あるいはこれ自身をどういう委員会に改革するのが正しいのか、こういうことがいま大きく問われていると思うのです。
 それで、今日までの原子力委員会の議事録内容等については、どのような形でその記録が残されているのか、これは政府側に聞きたいと思うのです。
#175
○生田政府委員 原子力委員会の定例会議につきましては、その会議の内容を一応事務当局において記録しております。議事録は、これをまとめまして原子力委員会の御承認をいただいて保存しております。
#176
○瀬崎委員 それはいつでも公表できるのですか。
#177
○生田政府委員 原子力委員会の承認をいただきました議事録につきましては、いつでも公表いたします。
#178
○瀬崎委員 それでは、原子力委員会の承認のない議事録というようなものがあるのですか。
#179
○生田政府委員 そういうものはございません。
#180
○瀬崎委員 ないのですか。絶対にありませんね。
#181
○生田政府委員 議事録をつくります前の材料は、当然私どもでございます。しかし、正式の議事録としてまとまったものは、それ以外にはございません。
#182
○瀬崎委員 実は、いま論議いたしております公開の問題について、そもそも原子力委員会が議論をされた議事録メモがあります。ですから、この議事内容をちょっと紹介してみましょう。これは四十八年六月五日の原子力委員会定例会議審議経過であります。ですから、国会に十人の学者の方々がおいでになりまして、非常に原子力問題で大きな論議が起こり、公開をやかましく言われたその後の原子力委員会だと思われます。大坂次長が、「原子力委員会の参考メモも、外に出せというような話が出たらどんな扱いにするか問題が多い。」これに対して、武藤委員が、「参考メモは公開しないという約束になっているのではないか。」こんなものが当時約束のもとにあったのでしょう。どうですか。
#183
○生田政府委員 私は、当時原子力局におりませんでしたので、その会議の模様は承知しておりませんが、かつてその参考メモというようなものをつくった時代があったということは聞いております。
#184
○瀬崎委員 あなたはさっき絶対にそういうものはありません、こう言ったじゃないですか。
#185
○生田政府委員 議事録として正式なものはそれ以外にないと申し上げたわけでございます。そのほかの資料……
#186
○瀬崎委員 これは議事録じゃないと言うのですか。
#187
○生田政府委員 議事録じゃございません。
#188
○瀬崎委員 これを続けて読みますと、さらに大坂次長が、「委員会では、そういう約束はしているが、国会から要求があれば出させられると考えなくてはならない。」こう言っている性質のものですよ。この中で、田島先生を前に置いて恐縮でございますが、田島委員が、「印刷部数は何部か。」こう問われて、事務局が、「四十五部程度である。」こう答えていますよ。四十五部もこれは刷っているじゃないですか。これはどういうことですか。
#189
○生田政府委員 私が参りましてから、その参考メモというものはございませんので、ちょっと理解をいたしかねるわけでございますけれども、正式の議事録は、先ほどお答え申しましたようにございます。そのほかに、おそらくそれを多少詳しくしたものを、別にメモとして原子力委員の方にお配りしたのではなかろうかと考えております。
#190
○瀬崎委員 田島委員がその後、「それだけの印刷部数だと外部に出るのは防げないだろう。」事実上半公開になるということをおっしゃっているわけです。しかも田島委員は、「現在公けにしている議事録を工夫するのも一つの方法である。」もっと詳しいものを出すべきである、こういうお話なんですね。
 お時間お急ぎのようなんですが、田島参考人としては、こういう原子力委員会の議事の公開ということについてどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
#191
○田島参考人 私の経験ですと、会議の模様がもう少し、何と言いますか、議論された要点の骨子というか、要するにそれは公開さるべきだと思います。と申しますのは、だれがどう言ったかということでなしに、その会議がどういうふうに進んで、どうしたのかということは公開さるべきだと思います。
 それで、それを私どう申しておりますかと申しますと、私、ある国際会議に十年ばかり関係しておりましたのですが、そこの会議はいつでも、議論されたところは漏らさず書いてあります。そのかわり、だれがどうこう言ったという逐一は書いてございません。そういうかっこうにするのが一番いいんじゃなかろうか。要するに内容自身は、それを見てとにかく全体がわかるというようなものを書くべきじゃなかろうか。多分いまお読みになった発言の中は、そういう意味で言っているんだと思います。
#192
○瀬崎委員 どうも田島先生ありがとうございました。
 これは三菱原子力工業にお尋ねしたいんですが、おたくがこの詳細設計を担当されて、これで問題になったことは明らかになりましたが、おたくは基本設計に基づいてということをさっきおっしゃいましたね。この基本設計に問題があったという立場をとっていらっしゃるのですか、なかったという立場をとっていらっしゃるのですか。
#193
○石原参考人 基本設計に間違いがなかったと私どもは承知いたしております。
#194
○瀬崎委員 そうすると、もっぱらそれ以後の段階での問題である、こういう理解にならざるを得ませんね。先ほどから事業団の責任という問題も出ておりますし、またこの報告書は、往々にして事業団の責任を大きくクローズアップしていらっしゃるのです。
 そこでお伺いをしたいわけでありますけれども、報告書の四十ページ、ここに事業団の技術責任者がくるくると変遷して、実際には系統的に責任の持てるような体制になかったということを、大山先生が御指摘になっていらっしゃいますね。その中の一番原子炉に関係の深い原子炉部長、この表でいきますとBであります。この方が三十九年から四十四年まで在籍なのでありますが、このBと書かれた原子炉部長さんは、三菱原子力工業からの出向者ではないのですか。
#195
○石原参考人 そうでございます。
#196
○瀬崎委員 その上、これはおたくの会社と言っていいのか、社長さんと言ってよいのか存じませんが、これは前の社長さんの村田さんでしたか、この方もそうだと思いますが、この原船事業団の顧問をしていらっしゃいますね。
#197
○石原参考人 まことに申しわけないのですが、私、当社に参りまして日がまだそう長くありませんので、当時のことはよく承知いたしておりません。
#198
○瀬崎委員 全くもって困った話なんですね。ちゃんと原船事業団年報にも出ている。四十九年三月三十一日現在、顧問は、五人の研究団体出身者を除きまして、あとは全部日本船主協会だとか、鉄鋼連盟会長だとか、第一原子力産業グループ会長だとか、こういう財界が並んで、その中に三菱原子力工業社長さんがちゃんといらっしゃるわけでしょう。これは御存じないのですか。
#199
○石原参考人 私、存じませんでした。
#200
○瀬崎委員 これは長官にお尋ねします。この顧問の任命は、法律上総理大臣の認可を経てということになっていますね。ちゃんと認可されているのですね。
#201
○生田政府委員 そのとおりでございます。
#202
○瀬崎委員 なっている本人の方が御存じなくて、政府がこれは認可している。一体どういう事態ですか。
#203
○佐々木国務大臣 ただいまの石原さんのお話は、自分は入社して、その当時のことはよくわからぬから、こういうことで、事情に詳しい方であればわかっているはずであります。
#204
○瀬崎委員 この顧問というのは勝手に理事長が任命できないのですよ。ちゃんと原船事業団法によって総理大臣が認可しなければできないのですよ。それほど重要なポストなんです。そういうポストにいらっしゃる会社の社長さんが、それもずっと昔の話を言っているのではないですが、御存じない。御存じないような人を認可している方も認可している方だ、こう思いませんか。
#205
○生田政府委員 顧問になっておられますのは石原さんではございませんで……。
#206
○瀬崎委員 前社長の話を言っているのですよ。
#207
○生田政府委員 ですから、石原社長はおそらく自分では御存じないということだろうと思いますが、顧問になっておられます村田さん御自身は、当然御承知だろうと考えております。
#208
○瀬崎委員 こんないいかげんな話なんですね。ですから言えることは、事、原子炉部分に関して言うならば、ちゃんと顧問として三菱原子力工業が入り、原子炉部長としておたくの社員がお入りでしょう。責任の持っていくところがないはずですよ。つまり、事業団の責任イコール三菱原子力工業の責任、こういうことを、社長さん、はっきり認めますか。
#209
○石原参考人 先ほど御指摘の原子炉部長に三菱原子力から出向させましたら、出向させました上は事業団の職員としてその職務をしておったわけでございますので、三菱の人間としての仕事をやったのではなしに、事業団として仕事をやったというふうに考えております。
#210
○瀬崎委員 私は、こういうことを申し上げるのは残念だけれども、社長としての責任をちっとも自覚されていない。遺憾千万だと思います。国民もおそらくこういう態度を許すものじゃないと思うのですね。こういうことで、先ほどの田島先生のお話じゃないけれども、「むつ」の漂流は続くだろうと思う。
 最後に、現在この「むつ」について、遮蔽を改修するのなんのというような条件は全くないと私は考えます。しかし、今後仮定の話として、原子力行政の見直しが行われるとか安全審査体制が確立されるとか、こういう経過を通じて遮蔽設計のやり直しあるいはそれに基づく改造というふうな段階になったとき、これは仮定としてでありますが、それらの費用について、三菱原子力工業としては自己負担でやる意思なのか、改めてそれはそれでまた事業団や国に要求しよう、こういうお考えなのか、どうでしょうか。
#211
○石原参考人 先生もすでによく御案内のことと存じますが、私どもの事業団との間の請負契約は、その保証期間をすでに過ぎておりますので、契約上の補償責任というものはすでに切れておるかと承知いたしております。
#212
○八木委員長 次に、山原健二郎君。
#213
○山原委員 参考人の皆さん御苦労さんです。いまの契約の問題について聞きたいんです。
 先ほど石原参考人は、四十八年の八月二十五日に引き渡し完了したというお話がありましたが、いまの御説明によりますと、この八月二十五日の完了のときに、事業団と三菱原子力工業との契約はこれで完了、ここで関係が断ち切れたのですか。事業団の方へ伺っておきたいんです。
#214
○島居参考人 事業団、うちとの契約はもう切れておるということでございます。
#215
○山原委員 一般に船舶にしてもどんな工事にしても、たとえば性能保証というものがあるんですが、この契約の中には性能保証はなかったのですか。
#216
○島居参考人 保証はございますが、それは出力と速力、そういうことでございます。
#217
○山原委員 けさほどから参考人も言っておられるように、未知の世界に取り組むという問題ですね、その中で当然故障とか事故とかいうものが実験中にも考えられるわけですね。それについて、それが起こった場合の取り扱いというのは契約書になかったのですか。
#218
○島居参考人 瑕疵担保時期については契約書の中にございます。
#219
○山原委員 ちょっともう一度言ってください。聞こえなかったです。もうちょっと大きい声で言ってください。
#220
○島居参考人 担保の問題につきましては二点ございまして、契約の第十六条でございますが、瑕疵担保の問題は契約の第二十二条であります。メーカーとの折衝を行いまして、当初事業団は、核燃料による運転によって所定の精度、いわゆる性能でございますが、所定の精度を確認し、さらにその確認後十二カ月を保証期間とするように主張したのでありますが、メーカーは、核燃料による運転が事業団の所掌範囲でメーカーのコントロール外であるということのために、これらの期間が引き渡し期日と無関係に延ばされる可能性があり、これを避けるために、性能確認後十二カ月か引き渡し後十八カ月ということで最終的に契約した模様であります。
#221
○山原委員 それではこういう事故、故障と言いますか、これが発生しても、何らメーカー側に対して事業団としては契約の不履行ということで、その責任を追及することはできないという立場ですね。
#222
○島居参考人 一応期間が過ぎたということを、いま申し上げたわけでございます。
#223
○山原委員 期間が過ぎたということは、契約上もう何もできないということですか。
#224
○島居参考人 法律的な立場、契約上から言いますと、そういうことだと思います。
#225
○山原委員 去る参議院の運輸委員会におきまして、事業団の堀理事は、これは議事録を私ここへ写して持ってきておりますけれども、明らかにメーカー側に責任があるということを指摘しているのですよ。責任の指摘はしてももう手おくれだということですか。
#226
○島居参考人 当時の話、私も堀さんがどんなことを言ったかよく存じませんけれども、いま解釈いたしますと、私の解釈では、契約上の問題としてはいま申し上げたとおりだと思います。
#227
○山原委員 ここは重大な場所ですからね。私もわざわざ三菱原子力工業の社長さんにおいでいただくように委員長にお願いした一人でもありますし、問題を少し明らかにするために質問をしているわけですが、堀理事は、ほんの最近の参議院の運輸委員会ですよ、日にちは忘れましたが、六月に入ってからです。それでメーカーの責任をもうはっきりと指摘しているのですよ、メーカーに責任があるのだと。たとえば、「ストリーミングについては特に気をつけるようにという設計条件を与えてございます。ですから、それにもし反しているとすれば、これはメーカーの責任と考えます。」これだけじゃないのです。そのほかにも、設計上の問題、放射線量の点につきましてもメーカーの責任と考えます、こういうふうになっている。これはメーカーの責任という、この事業団の理事の堀さんの発言ですが、三菱原子力工業の社長はどういうふうに受け取っていますか。
#228
○石原参考人 けさほど冒頭にも申し上げましたのでございますが、今回の放射線漏れの原因はストリーミングであると、これは大山先生の報告書にも御指摘のとおりでございますが、当時ストリーミングの計算方式がございませんでしたものですから、これを解明するために、原研に新設されましたJRR4という実験炉で遮蔽実験をおやりになられました。これは先ほど、柴田先生でしたかのお話にもございましたように、事業団と、原研と、船研の三者共同の形でお進めになりました。私ども、設計に反映いたしますために、先ほど申しましたように、的確な計算法もありませんし、計算コードもなかった時点でございましたので、実験結果を反映させて設計をいたしました。
 結果的に考えてみますと、当時速中性子は直進するという先入観もありましたし、実験そのものが水タンクの中で実施されまして、計測された米のが熱中性子としてとらえられたということ、これを設計のデータにいたしました点に問題があったかと思うのでございます。
 したがいまして、現在、その開発の一端を分担いたしました当社といたしましても、技術的に未熟な点があったということについて、反省いたしておるところでございます。
#229
○山原委員 事業団はどうですか。メーカーの責任というのはあるといま思っていますか。いま私、堀理事の議事録を申しましたけれども、これは最近じゃないのです。昨年のことなんですね。昨年問題がありましてからですが、現在どう思っているのですか。メーカーに責任があると思っているのですか。
#230
○島居参考人 法律論としては先ほどのとおりでございますが、今後実際にやっていく場合においては、法律論以外の問題も含めまして御協力を仰いでいかなければならないかと思っております。
#231
○山原委員 論議をするために、その契約書は提出できますか。
#232
○島居参考人 はい、提出いたします。
#233
○山原委員 その契約書の受け取り方ですが、私の調査したところでは、三菱との関係では、三菱は請負契約の形で引き受けることは、メーカーとして危険負担が多かったので、通常の船舶建造契約とは、次の点で趣を異にする内容で契約を締結したということで、何点か出ております。その中で予測しがたい技術上の障害を契約の変更の協議条件としている、こういうのはありますか。――時間がないものですから、大変残念ですけれども、その契約書を出していただいて見てみたいと思うのです。
 それから、それに対して三菱原子力工業の責任者が、原子炉開発という未知のものであるにもかかわらず、性能保証担保が一般契約と同じくらい厳しい、こういう発言をしているのです。一方では事業団が、メーカーの方に責任があるのだ、こう言い切っていますね。それに対して、三菱の社長はそういう受け取り方はしていない。反省はしているという意味の発言なんですよ。それで契約はどうなっておるのか、この辺どうですか。そういうシビアな契約条件をつけておったのですか。そこへ契約書はお持ちですか。
#234
○島居参考人 契約書はございます。
#235
○山原委員 事業団の方はたくさんおられるのに、その中にないのですか、私の言っておるようなことは。
#236
○島居参考人 契約の内容を読みましょうか。
#237
○八木委員長 いずれであったか、お答えいただければいいのです。
#238
○山原委員 私の指摘したようなことはありますか。ないのですか。
#239
○島居参考人 契約の変更という第十二条の第三項に、「天災地変、著しい経済情勢の変動、予測しがたい技術上の障害等により、この契約の履行が困難となったときは、」云々という言葉はございます。
#240
○山原委員 それは今回適用するのですか。
#241
○島居参考人 これは検討いたしたいと思います。
#242
○山原委員 時間がありませんから、今度は三菱とウエスチングハウスとの契約について聞きたいのです。
 それは、けさ石原さんの御発言の中で、第一回のチェック・アンド・レビュー、それから第二回のチェック・アンド・レビュー、第二回のときには鉄製リングの問題を出しているわけですが、全般的にはそれでよかろうというようなことがあり、そして、二、三点と言いましたか、二、三点のコメントがついておった。そのコメントを発表してください。
#243
○石原参考人 いま御指摘のとおり、第二回のチェックにおきましては、遮蔽全般について一応妥当であろうというコメントにつけまして、圧力容器の横へパイプを引き出しておるのでございますが、これは蒸気発生器の方へ持っていきますパイプの引き出しのところ、その部分につきましてはストリーミングがあることが予想されるから、それについて十分注意をしなさい。要するならば、それに関する計算をやるべしということ、また先ほど申し上げましたように、速中性子の直進性に関連があるかと思いますが、一次遮蔽外側における二次ガンマについても注意をしなければならない、そういったようなコメントがあったのでございます。
 これらにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、必要のものについては計算もいたしましたし、その手当てをいたしまして、その結果、この設計でよかろうということになったのでございます。
#244
○山原委員 福永原子力局次長が委員会における答弁の中で、ウエスチングハウスからのコメントといたしまして、直訳的だがということで、「遮蔽の弱いところは完全に除去することはできない、しかし、このギャップからのストリーミング量を計算して遮蔽補償を決定すべきである、こういうようないわば抽象的なコメントがあったやに承知しております。」という、こういう答弁をしています。中身はこういうことですか。それは出せますか、その二、三のコメントを。
#245
○石原参考人 いま先生御指摘のギャップからのストリーミングということは、いまおっしゃいましたとおりでございまして、先ほども申し上げましたパイプの抜けるところと一次遮蔽との間のギャップのストリーミング、それに注意をしなければならないということを言ったことであるかと承知しております。
#246
○山原委員 この問題、正確に出していただけますか。ウエスチングハウスからのコメント、これを出していただけますか。
#247
○石原参考人 ウエスチングハウスとのチェック・アンド・レビューの契約からいたしますと、全文をお出しすることはできないのでございますが、いま御指摘の点は、お出しできるかどうか検討いたしたいと存じますが、いかがでございましょう。
#248
○山原委員 これはあいまいなことではだめだと思うのですよ。これは福永さんも、やに聞いておりますがなどという、皆間接的な聴取によって行われているのですね。
 大山先生に伺いますが、今度のこの報告書作成に当たって、この部分は、明確に提出をされて、それを検討された上でしょうか。
#249
○大山参考人 われわれは見せてはいただいております。
#250
○山原委員 ウエスチングハウスとの間でこの追跡の質疑ができないような契約であったという指摘がございますね。これはどういう意味ですか。その辺の部分も含まれているわけですか。たとえば、鉄製リングについて、全般的にはよろしいけれどもコメントが二、三ついた。このコメントは、大変いろいろな解釈をしているけれども、問題があると思うのですよ。しかも、先ほどの瀬崎さんに対する答弁の中では、三菱原子力工業というのはそれほど多くの実績を持っていないというお話があったわけですからね。そういう中でこの問題が後に残ると思うのですが、追跡の質疑のできるような契約でなかったという指摘は、どこから生まれているのでしょうか。
#251
○柴田参考人 そのように三菱の方から調査委員会で説明がございましたので、そういうふうに報告書に記載いたしました。
#252
○山原委員 先ほどの三菱の方の説明では、何か延びるので、ウエスチングハウスとしては、そういう質疑の追跡というのはいやがっておるからできなかったのだというような説明がありましたね。延びるとは一体どういうのですか。
#253
○石原参考人 先ほど申し上げましたとおりございますが、一般に、チェック・アンド・レビューをやります際には、最初の案を彼らに見せましてチェック・アンド・レビューをしてもらいます。それに対して、こういう点はこういうふうに変えるべし、ここはこういうふうに計算をしなければならぬとかいうふうなコメントがありまして、それに対しまして、じゃ、こういうふうにやりましたよということをもう一度出して、それでよかろうということでおしまいになるのが一般的なチェック・アンド・レビューの契約の方式でございます。今回の「むつ」に関しましてのチェック・アンド・レビューは、いわゆるワンススルー方式と彼らは言っておるのでございますが、ただいま私が申し上げたような方式でございます。
 先ほど先生御指摘の、延びるとはどういうことか、こういう御質問でございますが、いま私が申し上げたようなやり方でございませんで、また何かを持っていってチェックをしてもらう、それに対してまたコメントがあって何かやるというふうなことをやりますと、何回も何回も行われるかもしれないということをおもんぱかってかと思うのでございますが、一般的には先ほど私が申し上げたような方式でやるのが普通でございまして、「むつ」のチェック・アンド・レビューのやり方もその方式を使ったということでございます。
#254
○八木委員長 次に、近江巳記夫君。
#255
○近江委員 まず、石原さんにお伺いしたいと思いますが、この放射線漏れの問題でございますが、いわゆるJRR4を利用して実験が行われた、そのときストリーミングが計測された、しかし熱中性子としてとらえた、そこに大きな間違いがあったというふうにおっしゃっているのですが、三菱さんともあろうところが、当然高速中性子が伴うということはその時点でわからなかったのか、私は非常に疑問に思うのですが、その点、どうなんですか。
#256
○石原参考人 けさほどにもちょっと申し上げましたように、特に遮蔽につきましては、当時計算方式が十分確立されておりませんでした。したがいまして、この計算方式の確立されていないものに対しましては、何らかの経験を積み上げてやって設計をしていくか、あるいはそれに関する実験をやってデータをとって、それをもとにして設計をいたすか、いずれかの方式があるかと思うのでございますが、今般「むつ」に関してましては、いま先生御指摘のJRR4を使いましての実験、これのデータをもととして設計をしたわけでございますが、けさほどもちょっと申しましたように、当時速中性子は直進するという先入観を一般的に持っておりました。
 一方、今回発見されました速中性子のストリーミングの部分、これは圧力容器と一時遮蔽との間のギャップを通じてのストリーミングであったわけでございますが、非常に複雑な形状をいたしておりました。速中性子が直進するということをもとにして考えますと、まずまず速中性子は出てこないであろう、出てくるのは熱中性子が出てくるであろうという先入観を持っておったわけであります。一方、実験から出ましたデータは、熱中性子としてとらえられておったものですから、それをもとにして計算をいたしたというのが実情でございます。
#257
○近江委員 この問題につきまして、当然科学技術庁も原子力委員会も事業団も同じ報告を受けておられると思いますし、また、このウエスチングハウスとのチェック・アンド・レビューの問題にしましても、やはり常に連絡を密になさっておられるわけですから、当然三菱側からも報告も受けておられると思うわけですが、その辺は、こういう問題があるぞという点を指摘できなかったのですか。局長、それから事業団、原子力委員会の井上さん、三者からお伺いしたいと思います。
#258
○生田政府委員 大体のお話は報告があって聞いております。
 ただ、科学技術庁は、試験あるいは建造を直接行っているわけではございませんので、細目につきましては事業団、メーカーでございます三菱原子力その他の試験関係者に任せまして、私どもは大要は承知いたしていた程度でございます。
#259
○島居参考人 私、当時おりませんけれども、聞くところによりますと、当時共同して実験をやっておりましたので、問題の所在はわかっておったようには思っておるわけであります。
#260
○井上説明員 私、当時原子力委員を仰せつかっておりませんので、当時のことをよく存じておりません。またごく最近になりましてから、特にその問題に関して、事前に原子力委員会の方に報告を受けたという記憶はございません。
#261
○近江委員 島居さんはその存在についてはわかっておったというようなニュアンスの発言があったわけですが、その問題について三菱の方に厳重に注意するように、対策をとるようにということは指摘したのですか。
#262
○島居参考人 当時のことは、いま聞きましたら、三菱さんも一緒にやっておったので、当然知っておったというような――当時のわれわれのところの技術水準は、そう高いものではなかったようでございまして、理論的にはわかるべきだったのでありますけれども、実際問題としてはよくわからなかった、こういうことであります。
#263
○近江委員 理論的にはわかるべきであったけれども、実際にわからなかった。それでは頼りないということですか。そうすると、いまあなたはわかっておったということを初めに発言なさって、また答弁が食い違っておる。どっちが本当なんですか。それはあなたも新しく理事長に就任されて、その間のいきさつは十分お知りでないということはわかりますけれども、初めのお答えといまと全然違いますよ。
#264
○島居参考人 ストリーミングについてはわかっておったのですが、その対応策は、まだその当時の技術的レベルではわかっていなかったということであります。訂正いたします。
#265
○近江委員 ですから、その技術の点につきましては、いわゆるメーカーである三菱さんが担当なさっているわけでしょう。ですから、その点が気がついたならば、その点を三菱と十分詰めたのですか。それを聞いておるのですよ。
#266
○島居参考人 まことに相済みませんが、いま聞きますと、三菱さんと協議はしてきたということでございます。
#267
○近江委員 そうすると、三菱さんは事業団の方から、そうした問題点がある、こういう点を何とか今後考えなければ大変だという指摘を受けておられるわけですよ。それをなぜ生かさなかったのですか。この点について率直な反省、またその間におけるとった態度等についてお答えいただきたいと思うのです。
#268
○石原参考人 私どもが遮蔽を設計させていただきましたベースになるデータは、先ほど申し上げたとおりでございます。言いかえますと、的確な計算方式も計算コードもなかったというふうなこと、及び速中性子の直進性ということを強く考えたということもございましたし、なお実験の結果、実験のデータその他につきましては、事業団さんとの情報交換と申しますか、情報は始終いただき、種々御指示もいただいておったわけでございますが、結果的に、これは一九六七年三月に事業団さんで発行されました原子力第一船遮蔽効果確認実験報告書の五十ページにございますことが、その結論ということになったかと思うのです。
 それで、それをちょっとここで読ませていただいてよろしゅうございましょうか。――「本船の設計では、上に述べたボイドからのストリーミングを抑えれば、一般に安全側の設計となっていると考えてよい。現設計では上部遮蔽は図三――一に見られるように、圧力容器上面よりも高く、厚さ十五cmのドーナツ型の鉄板を置いているので、これらは、ストリーミング防止に有効」であろうという実験結果の設計への関連というところの結論と申しますか、それに従ったわけでございます。
#269
○近江委員 事業団がそのように、六七年の三月ですか、この五十ページのいま読まれたところですけれども、そう言ったということは、これは事業団もそういうような問題を知っておりながら、なぜそういう安易ないわゆる結論的なものを出したか、また、そう言ったからといって、それに安易に従ってメーカーがいわゆるその作業に入ったか、これは無責任ですよ、事業団も三菱も。また監督しておる政府も何をやっておるのかと私、言いたいのです。この間のいきさつについては、原子力局は知っておったのですか、どうなんですか。
#270
○生田政府委員 詳細は承知しておりません。
 ただ、現在の時点で反省いたしまして、役所と申しますか、政府の側から、こういう新しい問題点が出てきているのでこの点について十分注意するようにという注意をすべきであったのではなかろうかという感じを持っておりますけれども、先ほども申しましたように、これは政府の直轄工事ではございません。事業団が主体になりまして、原子炉につきましては三菱原子力が設計、三菱重工が製作ということになっておりますので、その細かい段階のところまで、科学技術庁といたしましては関与しなかった次第でございます。
#271
○近江委員 局長は、政府が直轄じゃない、間に事業団が入っておるということを盛んに言っておりますが、舶用炉としても第一号ですし、原子力船は第一号でしょう。しかも、原子力の問題があれだけ大きな問題になってきているわけです。当然、やはり一つ一つをカバーして、どうなっているんだと、それをいろいろと検討するのがあたりまえじゃないですか。そんな無責任なことを言ったらだめですよ。この点は政府が非常に無責任なんだ。三菱さんは、ウエスチングハウスの方からもチェック・アンド・レビューでいろいろそうした情報も入っておるわけです。それを、事業団がこのように指摘しておるからということでやった。まあ、コードもなかったというようなその間の事情もおっしゃっておられるわけでありますが、事業団もそういうことがわかりながらこういう安易な文をつくった、やはりその背景というのは、いわゆる原子力委員会の安全審査でこれは基本的にはパスしておる、そういう気持ちがやはりあったからですか。その点ひとつ事業団から……。
#272
○島居参考人 そんなことはないと思います。いまから考えると、恐らく当時、今朝来、大山委員長からの御報告にもございましたように、科学技術の進歩というものは非常にラピッドにいっておりますが、当時はそのような高度な技術までいっていなかったのではなかろうか、それでそういう結果になったのじゃなかろうかと思うのでございます。
#273
○近江委員 先ほど田島先生からも指摘されておりましたが、原子力委員会の安全審査について非常に無責任である、多忙にして著名な先生方がやっておられて、実際に責任をとってもらえるのか、こういったお話もあったわけですが、井上さんはその当時おられなかったと言えばそれまでですけれども、これはやはりあなたの方をパスしておる、こういう基本的な安心感といいますか、そういうものが事業団、あるいは三菱、石川島、あるいは運輸省、科学技術庁全部に、基本的にこれはパスしているからという気持が流れておる。そこに安易さがあり、お互いが無責任だった。その間隙にこういう重大事故が発生しておるわけであります。そういう審査会のあり方について、どういうように井上さんは思っておられますか。
#274
○井上説明員 大変ごもっともな御指摘でございまして、先般、大山委員会の報告が出ました後に、原子力委員会は原子力委員会としての見解を表明いたしました。
 それは、大山委員会で御指摘を受けました点を尊重して、具体的に申しますと、「むつ」の改修、改善につきましては、六項目にわたる前提をもって取り組むべきである。その中には、先刻来いろいろお話が出ております協力という問題もございまして、それは官庁間の協力、具体的には科学技術庁と運輸省、それからまた官民と申しますか、製造業界との協力、またその他の一般の方との協力というものを含めて、しかも委員会で御指摘がありましたように、ひとり遮蔽の問題だけではなくて、やはり原子力船というものを総点検してやるべきである、それにはかくかくの方針ととるべきであるという見解を出したわけでございます。
 先刻来再々出ておりますように、これに着手をいたしました当時の技術水準が、今日考えて不十分であったと申しますか、若干幼稚であったというようなことは否めない事実であるかと思います。技術に対しては、常に進歩をしておるわけでありまして、それのフォローアップが完全でなかったじゃないかという御指摘については、私ども率直に反省をしなければならない点があると思いますけれども、どうも過去においてこの問題がどうであるということよりか、私どもは、あの当時において原子力船を自主開発するという当時の方々の決意、あるいは大山委員会で御指摘があったように、この自主開発の技術の蓄積が将来の日本の原子力開発につながるべきものである、こういうことにつきまして、私どもが全面的な責任――もちろんこの実際の業務は原子力船事業団が担当するわけでございますが、これをひとり原子力事業団の責任のみに負わせるのではなく、先ほど田島参考人からも御指摘がありましたように、恐らくこの問題は原子力委員会にかかるでありましょう。仮にそれが法律的にかかる、かからないにかかわらず、やはり国として十分な検討を加えていきたい、こういうふうに考えております。
#275
○近江委員 井上さんは、過去のそうしたことよりも、その当時はまだ技術も未熟であった、むしろ自主開発という心意気というものをもっと買ってもらいたいというような、今後はもっと注意するというような意味の発言をいまなさっておるわけです。そうしてまた、あの当時に三菱さんはそうしたコードもなかった、そうした説明をなさっておるわけですが、「むつ」が昨年いわゆる強行出港したわけですね。その昨年あるいは一昨年の時点では、当然ストリーミングのそうした問題であるとか、そういうコードにしろ、私は十分なデータというものはそろっておったと思うのです。
 そこで、なぜ政府は、そのように見切り出港をさせるそれまでの段階において総点検をして、これは非常に心配があるという点で手直しもやらないのですか。またそういう安易な姿勢は、いわゆる洋上試験のときにおいても遮蔽専門家も置いておらないとか、いろいろな問題点に出てきておるわけです。ただ単なるいわゆるデータがなかったというようなことは、あの出港時点から考えれば通らぬ話でしょう。なぜそれ以前に総点検をして、関係の人は指摘をしてそれをやらさなかったのですか。これはひとつ生田局長、原子力事業団、原子力委員会、大臣、簡潔に答えてください。
#276
○生田政府委員 ただいま御質問の点につきましては、私どもが原子力局に在職いたしましてから後のことでございますのでお答え申し上げられるわけでございますが、その点は先生御指摘のとおり、政府といたしまして非常に重大な過失であったというふうに考えております。少なくとも、一つは、当時もうすでに先生御指摘のストリーミング現象につきましての新しいデータがあったわけでございますから、それにつきまして原子炉の見直しをするということをやるべきではなかったか、これはただいま私は非常に深く反省しております。
 それからもう一つは、先ほど来御質問の点でございますが、数年以前どうであったかということにつきましては、その辺の新しい理論の開発が実際の試験にどういうふうに反映されるべきかというところにつきまして、率直に申しまして、事業団も三菱原子力も技術水準が不十分であった、不満足であったということを言わざるを得ないと思います。したがいまして、特にその事業団につきましては、昨年の「むつ」の出港時におきまして、特段その後技術水準が向上された、あるいは陣容が一新されて非常に充実したということはないわけでございますので、これはむしろ事業団の技術水準を含めました全般の陣容の刷新を早く行いまして、その事業団の主体でございます事業団の強化を図った上で出力上昇試験をやるということにすべきであったと考えます。多少弁解がましいわけでございますが、私自身は当時そう考えましてそういう意見具申をいたしましたが、諸般の情勢でその実現に至りませんでしたのははなはだ遺憾でございまして、その点、私の責任も痛感している次第でございます。
#277
○島居参考人 私のような途中から引き受けた者といたしますと、全くいま先生のおっしゃることもごもっともだと思うのであります。と言うと、はなはだどうも、いままでやっておった人に対してはまことに冷たい意見のように思われるのでありますが、先生の言われることもごもっともだと思うのでございます。しかしまた一方、いままで一生懸命やっておった方々の、いま局長もおっしゃいましたような技術水準その他から考えますと、やむを得なかったのではないかなという気もいたすのでございます。
 そこで私といたしましては、報告書にありますようなことを本当に踏まえまして、今後いままでのようなことがないように、心を新たにしてできるだけのことをやっていきたいと思っておる次第でございます。
#278
○井上説明員 当時の措置につきまして、私の記憶では、昨年の十月の初めだったかと思いますが、当科技特の委員会で、原子力委員としても大変遺憾であったということを申し述べたと思います。今日にして考えれば、当時、島居現理事長の前任者である佐々木原船理事長は、どうしても定係港でそのままある程度の出力試験をしたいという希望をわれわれにも述べられましたし、われわれも全く同感であったのでありまするが、いわゆる石川書簡、それは考えようはいろいろございましょう。それにしても、諸般の事情から言ってああした形になったということそれ自体は、若干の不備があった。
 したがいまして、先刻申しましたように、私どもといたしましては過ちを繰り返さないと申しますか、先刻来、新しい技術開発には若干ながらトライアル・アンド・エラーと申しますか、若干のミスと申しますか、そごは起こり得ない、起こらないとは言い切れないのでありまするが、であるからそれを繰り返していいとは決して私ども考えておりません。万全の対策を講ずべきであると考えておりますが、その当時の措置として、果たしてそれが万全であったかどうかということにつきましては、私は、この席では弁解は申しません。
#279
○近江委員 いわゆる新技術にはミスがたまたま起こる、それは私は認めますよ。だけれども、それは予測はできない場合において言えることであります。このストリーミング現象ということは、この時点ではわかっておるわけですよ。わかっておりながら、ずるずると何の手も打たずにやってしまった。そこに本当の、政府を中心とした無責任さというものが露呈しておると私は思うのです。
 三菱さんも、この時点ではそういうことはわかっておられたわけですよ。なぜメーカーとして、実はこういう心配があるからということを言われなかったのですか。
#280
○石原参考人 御指摘のことはよくわかるのでございますが、率直に申し上げまして、当時私どもの知識の中にはなかったということを申し上げざるを得ないのでございます。
#281
○近江委員 事業団なり政府なりメーカー、そういう皆さん方が、本当に連絡の体制を十分とっておられれば、そんな重大なことが通じていないということはないわけですよ。いまあなたが答弁席に立って苦しい答弁をなさったのは私もわかりますけれども、そうすると、そういう大事なことを、メーカーである三菱に連絡しなかった政府も事業団も何しているかということになるわけですよ。ところが、そういうことはもう伝えているということを言っているわけです。これ以上私は深追いはしませんけれども、十分な反省をされるべきだと私は思うのです。
 それから、石川島造船の永野さん、あなたの方は原子炉というのはほとんどおわかりになっておらないと思いますけれども、少なくとも原子力第一船をつくるわけでしょう。日本でも有数の造船会社ですよ。やはり初めは各造船会社が予算の面等でなかなか応じない、そういう中を三菱さんと石川島さんで、いわゆる国の事業であるという心意気によってそれを受けられた。であるならば、幾ら部門が違うといえども原子力船ですよ。あらゆるそういう情報をとり、交換し、やはり心配な点については三菱さんとも連携をとって煮詰めてやっていかれるのが当然ですよ。そういう遮蔽の心配というものはいままで全然わからなかったのですか。この点をお聞きします。
#282
○永野参考人 私が先ほど申し上げましたのは、契約上責任がないと申し上げたのであって、われわれが関心がないとは言っておりません。関心は持っておりますし、同じようにこの原子力船に将来関与しようという会社として、われわれ自体でも炉に関する知識もかなり当時も勉強しておりましたし、現在も引き続きそういう人間の養成もやるし、実験もやっております。これは軽水炉に限らず各種の原子炉についてやっております。関心は持っておりますし、遮蔽についても、多くの専門家は持ちませんけれども、実験研究に参画しておったのです。
 しかし、先ほど皆さんからお話がありましたように、その計画の時点ではまだ十分な情報の流通はなかった、これは認めざるを得ません。昨年のこれが実際に起こった時点にも、われわれは強い関心でこれの対策にも参加したわけでして、いま、船をつくるのに遮蔽についてはただ工事をやっただけだと考えられるかもしれませんけれども、単純に鉛の遮蔽を重ねていく、あるいはプラスチックの遮蔽を上に重ねていくにも、これは非常に綿密な製造の実験、それからガンマ線に対する効果の実験、こういうものをわれわれとしてもやった上で、遮蔽効果の基本的配置以外の細かいすき間をどういうふうに調整するとか、数多くの実験を重ねてやったものであります。
#283
○近江委員 原子炉専門のところと比べると、そこまでは突っ込めなかった、その種の事情はわかりますが、いずれにしてもこれはもう連帯責任です。
 それぞれ皆さん思っておられると思いますが、原研の宮坂さん、このJRR4でそういう現象がわかった、しかし、確かにその間における数値というものは確としたものじゃなかった、そういう中でやってこられた、それは私も評価するわけです。しかし、現実にそれが本当に反映されて対策を講じられる、そこまで行って初めてこれは本物に生きたということが言えると思うのですね。ただこういうことがありましたということだけでは、私は非常に残念であったと思うのです。その点もう少し、政府なり事業団なりメーカーなりにも、こういう重大な心配がありますよというアプローチをどうして原研としてなさらなかったのですか。
#284
○宮坂参考人 お答えいたします。
 遮蔽実験の結果、そこから放射線が漏れている、しかも速中性子もあるということは、一応実験結果としてわかっていた。それでいま御指摘の、なぜその後事業団ないしはメーカーさんの方にそういうことについて指摘しなかったかということですが、まあ研究契約の形態からいきまして、あの実験が終わった時点ですべてあとは縁が切れてしまったという、私としては非常に不満足なかっこうで研究が中断されたということはございます。ただ私は、これは私個人で遮蔽の問題として、ここのところから漏れるのではないですかということを、かなり初期の段階にお話をしたことはあります。それはかなり古いことなので、どなたにどこでお話をしたかはちょっと覚えていないのですが、そのときに、こういうことをやっておりますというふうに非常に概念的なお話を伺い、とにかくいま三菱さんとしてはお考えになっているのだなというふうな印象を持っておりました。
 それから出力上昇試験、実験航海が近づいてきたということで、モックアップ実験をわれわれがやった、それがどういうふうに最終段階でできているかということは、やはり研究者のレベルでチェックする、実践でのチェックをする必要がある。それから、最近われわれのところでもいろいろなコードが整備されてきましたが、それを実際のものにアプライしてどのくらい計算精度が出るかということで、出力上昇試験ないし航海実験でそういう測定をし、かつ予備計算及び実験データ解析のための計算をやりたいということで、これは原船団の中にそういう委員会ができまして、二年か三年ずっと計画を立てておりましたが、ただ、惜しむらくは、強行出航のときにそういう配置が全然できなかったということは、私としては非常に残念に思います。
 われわれとしては、これは遮蔽研究者として、また私が原研でそういう遮蔽研究室長という地位につきましてから、「むつ」だけではなくて、常にその他の原子炉の遮蔽ということについても、研究成果というのは必ずプラクティカルなものに反映しなければならぬ、そのためには実際に測定し、それを研究にフィードバックするということが必要である、それがぼくの信念であったものですから、常にお話はしてきたのですが、結果としてそれが通らなかったということについては残念に思います。
#285
○近江委員 柴田先生はたしか熊取の研究所におられると思うのですが、基礎研究が非常に不十分であるというような意味のそうしたお話があり、われわれとしても、今後そうした研究費の充実であるとか、研究体制の充実等をしなければいけないということを前々から主張しておりますが、一層その感を深めたわけですが、先生方は、こういう現象なりそういうような問題点ということは、今度調査団に加わって大山さんのもとで指摘されているわけですが、その以前に気がつかれなかったわけですか。
#286
○柴田参考人 そういう情報は一般には流れませんので、今回の調査委員会に参加させていただいて初めていろいろな事情を知り得たということでございます。
 それはわれわれ、いろいろ研究炉で研究しておりますが、何でもかんでも皆耳に入れ、目に入れて判断するというそれだけの余裕もちょっとございませんし、それは一応御了承いただきたいと思います。
#287
○近江委員 やはり私たちが常日ごろから、資料をできるだけ出しなさい、公開しなさい、そういうことが本当に行われておれば、そういう研究者の方々も目にして、そういう指摘もされるということもあるわけでありますし、やはりこれは非常に大事なことであります。それを、どうかすると科学技術庁は、秘密性といいますか、いわゆる企業秘密であるとかなんとかいうことでかばう、こういところに大きな問題があるわけであります。宮坂さんから、個人的にも言った、機関を通しても言った、しかし聞き届けてもらえなかったという訴えがいまあったわけですが、こういうことは政府としては重大な反省をしてもらいたい。熱心にやっておられる研究者が提言するそういう問題については、本当に真剣に受けなければだめですよ。それはあなた方はただ聞きおく、そういうところにこういう重大な問題が発生するのです。もっと研究者を大事にして耳を傾けてもらいたい、こう思うのです。
 まとめて大臣から、反省の言葉なり所感を述べていただきたいと思うのです。
#288
○佐々木国務大臣 まさしく仰せのとおりだと思います。先ほど石野委員からも御指摘ございましたように、いろいろな貴重な御意見を尊重して、間違いないように問題を進めていくということだと思います。
#289
○近江委員 それから、「むつ」を今後どうするかという問題でありますが、この根本的な解決に着手しないまま、いま新母港探しを、政府も地元との約束もしているということで、一生懸命その問題を中心として努力されておるわけですが、方々でいろいろなことが耳に入ってくるわけですよ。たとえば沖繩の西表島でそういう話が出てきたとか、紀伊水道の四国のどこかでそういう話が出てきたとか。この問題につきましては、鈴木善幸さんが、八月に決定をする、「むつ」は年内移転の見通しであるということを語っているわけでありますが、こういうニュアンスからしますと、これは相当煮詰まってきた感じに私、受け取るのですが、この母港について、いま西表島等も私、申し上げたわけですが、どうなっておりますか。
#290
○佐々木国務大臣 外務委員会でございましたか、皆さんの党の渡部先生からもおしかりがございまして、政府では答弁のないのに、ほかから何月何日に決めるというような話があるけれども不見識じゃないかというようなお話がありました。これは、別に私、決めたわけでも何でもございませんので、ただ、鈴木先生はこの問題をおさめた方でございますから、心配なすってそういうことをお話しなすったんだと思います。ただし、ただいま何月何日までに決めるなんということは考えておりません。
 ただ、御承知のような状況で、一応正式交渉はその後の事態の冷静を待っておるのでございますけれども、その間、いろいろ希望等を申してくる向きもございますので、そういう点に関しましては、いろいろ余り騒ぎ等が起こらぬような方式で、机上調査と申しますか、これを進めたりなどして、ただいまいろいろ、そう多方面ではございませんけれども、研究を進めているところでございます。
#291
○近江委員 時間がありませんから終わりますが、最後に、いま申し上げた西表島とか紀伊水道のいわゆる四国の一端であるとか、そういうところは候補に上がっているわけですか。いま特に候補地としてほぼそういう範囲の中に入っておるというところはどこですか。差し支えなければ御答弁いただきたいと思います。
#292
○生田政府委員 ただいま御質問の西表島、それから紀伊水道、その二カ所は、私ども全く考えたこともございません。
 候補地といたしましては、これまでもたびたびお答えいたしましたように、対馬三浦湾を候補地にしまして打診いたしました結果、先生御承知のような事態になりましたので、ただいま大臣の御答弁のように、事態を静観している段階でございます。
#293
○近江委員 終わります。
#294
○八木委員長 次に、内海清君。
#295
○内海(清)委員 参考人の皆さんもお疲れと思いますが、私が最後でございますから、もうしばらくごしんぼう願いたいと思います。
 原子力船「むつ」のトラブルが起きまして、私どもこの委員会でいろいろ論議したわけでございます。しかし、それは当時のいろいろ情報がつかめたものについて論議したのでありまして、今回この調査団でこの報告書にまとめていただきましたことは、大変ありがたいことであったと思うのであります。非常に適切な問題点の指摘がございまして、皆さんの御努力に対しまして心から敬意を表する次第でございます。
 私は、「むつ」に対する報告書でありますから、一番大事なことは、この報告書が「むつ」、ひいては原子力船の今後の開発過程の中でどうこれが位置づけられるか、言うならば、この報告書がどういう取り扱いをされるかということが、一番重要な問題だと思うのであります。
 きょうは時間がございませんので、この問題につきましては、科技庁なり、原子力委員会なり、運輸省と原船団に来ていただいて、あしたの委員会に譲らしていただきたい。したがって、きょうは直接委員会につきましてのいろいろな問題を考えてみましたが、すでに同僚委員の諸君から多くの質問ございまして、なるべく重複しないような意味合いで御質問申し上げたいと思います。
 ただ、この報告書につきましてひとつ長官にお伺いいたしたいと思いますのは、これは先ほど申しましたようなことから、いろいろと考えさせられる問題が多く出てきて大変参考になったということで、これはただ単に原船事業団ないしは「むつ」に限られたことでなしに、その他の、たとえばナショナルプロジェクトとして推進しておりますようなATRとかあるいはFBRの開発などにつきましても、十分参考になることと思うのであります。そういう意味合いから、この報告書を見て政府はどういうふうな感じを持っておられるか、その御所見をまず一応お伺いいたしたい。
#296
○佐々木国務大臣 前々から申し上げておりますように、この短期間の間に大変精力的に勉強してくださいまして、非常に尊重に値するりっぱな報告書を出してくだすったことに対しまして、心から敬意を表し、また感謝しておる次第です。
 したがいまして、各示されました問題点の解決に際しましては、すでに私どもの方で着手しつつある問題もございますし、中にはまだ、これから指示に従いまして発動するような問題もございますので、いずれにいたしましても、この報告の趣旨に沿って今後進めてまいりたいというふうに考えております。
#297
○内海(清)委員 いまの長官の御答弁のとおりでありまして、これはただ一片の報告書で終わってはどうもならぬのでありまして、これがどう生かされるかということが最も重要な問題だと思いますので、この点につきましては、ひとつ政府としても十分対処していただきたい。強く要望しておきたいと思います。
 それでは、報告書について一応の御質問を申し上げたいと思いますが、報告書を読ましていただきますと、いろいろ問題点を指摘されております。私は、今度の問題は、ずっと突き詰めていくならば、あるいは原点にさかのぼると言いますか、そういうことから考えると、これの中の多くの問題は、原子力委員会の責任に帰するのではなかろうかという気がいたします。あるいは見方が誤っておるかもしれません。
 ところが、この報告書には、委員会の責任というふうな問題については余り大して触れておられないように、突っ込んでおられないように私は感ずるのであります。これはもちろん御遠慮なさったということはないと思いますけれども、その点についてひとつ御所見を伺っておきたいと思います。これはそういうことをお考えになっておれば率直にお述べいただくことが、今後に最も大事なことだと、私はかように思いますがゆえにお尋ねするわけであります。
#298
○大山参考人 ただいまこの報告書について、原子力委員会の責任と申しますか、そういうような点に触れていないのは、遠慮しているからかというような御質問がございましたが……
#299
○内海(清)委員 いや、遠慮しておられるのじゃないと思いますが、と申し上げた。問題がなければいいわけですよ。
#300
○大山参考人 われわれの方といたしまして、特に遠慮したとかいうようなことはございません。しかし、前文にもございますように、どの官庁がとか、どの機関がと特に申し上げなくても、はっきり申し上げますれば、どの機関にも責任があるというようなふうに解釈しております。
 ただ、問題が非常に複雑でございますから、いろいろな問題が絡み合っておるという点で、特にどこがどうこうということを名を挙げてはおりません。それでよろしゅうございますか。
#301
○内海(清)委員 まあ、そういう御見解のようですからあれですが、原子力船を開発するという問題は、これは古い問題でございますけれども、それをいよいよ開発しようという段階では、まずそれに対する発想と申しますか、事業団にしてもその他のものが、大体原子力委員会ですべてまず考えられる。それは政府の名によって行われるわけであります。そこに、あるいは御承知のような時限立法であるような問題にしても、すべて私は突き詰めていけば、そっちに返ってくるのじゃないかという気がするわけであります。まだいろいろ問題はございますけれども、時間がございませんから、一応承っておきたいと思います。
 次にお伺いいたしたいと思いますのは、この報告書の六十五ページですかにございますが、「今後の進め方についての提言」のうち3でございます。3についてお尋ねしたいと思いますが、その中ほどから、「変更、改善などの方針決定などに際しては、所要期間、経費などについても慎重な検討を行い、正確な判断に基づく適切な措置が必要である。」こう述べられております。この点に関しまして、言われておる意味でありますが、これは船価の問題から、これは三十ページにまたそういう意味のことがございますが、船価の問題から、観測船から安易に貨物船に方針が変更されたというようなことなどをこれは指さしていると思うのでありますが、もし船価でそういうことになったとするならば、これはいままで私どもがいろいろな問題を尋ねましたときに、予算の問題ではないという大体答弁が出ておるわけです。でありますが、ここではこういう御指摘がある。そうだとすれば、この船種の変更などのほかにどういうふうな問題があったとお考えになられるか。もしそうでないということであるならば、どんなことをこれは指さしておるのか。私は、恐らくこの予算問題に関連してお考えになったことだと思うのであります。
 予算制度については、こういうふうな大きなプロジェクトについては、われわれも意見を持っておりますが、いまの財政法ではなかなかむずかしいわけで、これは今後、単年度予算ということが問題になるわけであります。しかし、こういうふうな大きいものを開発するときには、それは財政的にはどうあるべきだというお考えを持っておられるか、これをあわせてお聞かせいただきたい、こう思うのであります。こういう大きなプロジェクトについては単年度予算でなしに、総括予算と申しますか、そういうふうなものを私どもは主張してきておるのでありまして、これは政府もいろいろ考慮はしておるようであります。しかし、プロジェクトの開発に当たりまして、いつも予算の面で問題になってくるのであります。そういう点についてのひとつ御意見をお伺いしておきたいと思う。
#302
○大山参考人 ただいまの御質問は、この六十五ページ第三項についての、中ほどから後についての御質問でございますが、御指摘のとおりに、ただそれだけではございませんが、船種を変更したというような問題が、財政上の理由だけで、ナショナルプロジェクトというべき大きなプロジェクトが変更されるというようなことについて、われわれは本末転倒という感じを持っているわけでございます。
 ほかの点につきましては、例示して特にこれと申し上げることはないのでございますが、せっかく大きなプロジェクトを持っていて、ただ金の理由でそれが変更されて目的の遂行に大きな支障を来たすということは、はなはだ遺憾であるという意味で申し上げたつもりでございます。
#303
○内海(清)委員 予算制度の問題につきまして御意見があったら……。
#304
○大山参考人 予算の問題につきまして、私ども大学におりました時代からいつでも問題になるのは、いわゆる単年度予算しかつかないというのは、研究開発において非常に大きな支障を来たしております。少なくとも、債務負担行為とかなんとかというものはないことはございませんが、やはりロングレンジの予算というものがつかないと計画が立たないという点がございます。もしそういう単年度以外の予算をお認めになるようになれば、研究開発に非常に大きな貢献をするかと存じます。
#305
○内海(清)委員 それでは次に、事業団の島居理事長にお尋ねしたいと思いますが、これは事業団関係でございますが、「むつ」の一件に当たって地元との関係が非常にまずかった、これは御承知のとおりであると思う。まず第一に、これは実験船でありますからいわゆる試運転であるという、この認識に欠けておったのじゃないか。地元民に対しましてすべてが万全という理解を与えておった。これは石川書簡と言われておるようなもの、まあいろいろな問題が出てきておるわけであります。そこに問題があったわけです。これが地元民の非常な不信感を買ったわけであります。
 私が考えるのには、実験であるから万全にやることはいいけれども、時にはトラブルが起きるかもしれぬということは予想しなければならない。思わぬトラブルが起きるかもしれぬということは予想しなければならない。ただし、地元民に対して十分理解させなければならぬのは、地元民に健康その他の迷惑、これは一切かけないということであります。このことが私は非常に大事なことだと思う。それが正しい地元民に対するPRであったと私は理解するのであります。ところが、事業団としてはそういうふうに行われなかったというところが、地元民の非常な不信感を買ったということを私は思うのであります。
 これにつきまして私が思い出すのは、たしか四十五年か六年ごろでしょう、敦賀の発電所でもってコバルト60が見つかったという大問題がありました。これもまた発電所が、放射能は出さない、こういうことを言ってきた経緯があったわけであります。だから、地元民からすれば、うそを言ったではないか、こういうことであります。
 そこで、こういう問題を契機にしてPRのあり方については、確かに当時、政府も含めまして当事者は慎重に対応しなければならぬ、こういうふうになったと私は思うのであります。ところが、そういう苦い経験があるにもかかわらず、事業団ではそのことを忘れて、万全だ、一切トラブルはないんだというふうなPRをしたことに問題があると思うのであります。島居理事長は当時おいでになりませんので大変あれでありますが、こういうことに対して事業団としてのひとつお感じというもの、お考えというもの、大いに反省して今後はやっていただかなければなりませんが、そういう点をお伺いいたしたいと思います。
#306
○島居参考人 私も、着任しましていろいろ当時のお話を承っておるのでございますが、ある程度といいますか、できるだけのことはやったというふうなことを現場で言っている者もございますが、しかし、現実にいろいろああいう一つの事象を起こしたということは、やはりわが国民のほかの国と違う一つの特殊な歴史的の経験がございますので、そういうことを反映して、それを踏まえて、もっと懇切丁寧に、そうしてわかりよくお話をするとかあるいは打ち合わせするとかいうことも必要じゃなかったかと思うのであります。また、同じことを言うのにもいろいろ言い方があるかと思うのであります。その言い方によっては、自分では正しいことを言ったと思いましても、相手によっては非常に気にされる場合もございますので、私は途中から引き受けましたけれども、今後の問題といたしましては、そういういろいろな事象を踏まえまして誤解のないように、そうして本当に原子力船というものがすくすくといくようにできるだけのことをやりたいと思っております。
 ことに、この報告書にはいろいろ提言がございますので、非常にごもっともなことも書いてございますので、それを踏まえまして、それにのっとっていくように心構えを持っておる次第でございます。
#307
○内海(清)委員 十分ひとつ反省して、前の轍を踏まないように今後対処願いたいと思います。
 関連して政府に、ああいうふうなPRが行われたということは、政府の方は御存じなかったのか、あるいは行政指導を適切に行わなかったのか、その辺のところがあればちょっとお伺いしておきたいと思います。
#308
○生田政府委員 絶対安全だというPRは必ずしも私どもはしなかったわけでございますけれども、現在から考えますと、いわゆる試験船でございますし、炉自身もいわゆる試験段階にあるものでございますので、技術的に開発され尽くしまして実用段階に達した炉とは違うわけでございます。そこのところの違いをもっと十分に説明し、試験であるけれども大きな事故はないと思うというように言うべきであった、かように考えております。
#309
○内海(清)委員 これは議論しませんが、確かに当時の地元民は、いまあなたの御答弁になったようには受け取っていなかったというところに問題があるわけです。
 それから次に、これは宮坂参考人と石原参考人になると思いますが、お尋ねいたしたいと思いますのは、大体原子力船の遮蔽の問題は前から研究があった。つまりJRR4というのはこのためにつくられたわけです。これはたしか三十四年ごろからの問題だと思います。したがっで、ストリーミングの問題は、大体もうこういうことがあるだろうということは予測できた。これはそういうふうなJRR4の実験でも予測できたわけでありましょう。ところがそれが反映されなかったということですね。
 そこでお尋ねしたいのは、この実験結果は、どのような形で報告をまとめてどこにお出しになったのだろうか、こういうことであります。それとまた、三菱でやられましたいわゆるウエスチングハウスのチェック・アンド・レビューの問題でありますが、この結果はどのように手続上処理されたのであろうか、こういうことでございます。
#310
○宮坂参考人 お答えいたします。
 四号炉におけるモックアップ実験は原船団、原研、船舶技研の共同研究で行って、それぞれから研究実施責任者というのを出しまして、その責任者のもとにわれわれ研究員がグループに分かれまして、一次のモックアップ実験、それから二次のモックアップ実験、それからその他の実験というふうなグループに分かれてそれぞれ実験をいたしました。私はそのときは一次遮蔽のモックアップではなくて二次遮蔽の方に参加したのですけれども、それぞれのグループにおいてその前から、原船調といわれた時代からいろいろの研究計画がありまして、それが日本原子力船研究協会に引き継がれております。それから原船団の方へ引き継がれて、非常に大きな研究計画で、それが、タイムスケジュールとか予算とか、それから四号炉でどれだけの試験ができるかということでだんだん煮詰まってきて、必要最低限これだけのものが必要だというのが、それぞれのグループに分かれまして実施をいたしまして、出てきた結果をそれぞれのグループにおいてディスカッスし、最終的にまとめて原船団に報告するというかっこうで行われました。
 一次の方は私、参画していないのですが、当時の担当者に聞きますと、やはりストリーミングについては、相当の問題意識を持って討論はされておった。ただ、報告書の中では、熱中性子に関することは熱中性子という表現でまとめ、それから熱中性子を含めてエネルギーの高い中性子、全部のエネルギーに対する中性子については、速とか熱とかいう分け方をせずに、ただ中性子ということでまとめて話をいたしました。そして問題のストリーミングのところについては、在来のやり方ではだめであるという提言をし、それからさらに追加実験が必要であるということまでまとめて、報告書として第二篇にまとめました。
 それから、報告書の出た時点では。これは一篇から六篇までずっとありますけれども、それぞれのグループがまとまった時点で別々に出しておりますから、一巻から六巻という順番には出ておりません。
 一応モックアップのまとめ方は、報告書についてはそういうことで、それで契約が終わった時点で、先ほどもちょっとお話をしましたが、一応その実験グループは解散ということで分かれてしまって、その後のフォローアップはなかったということであります。
#311
○内海(清)委員 ちょっと石原参考人の前に、これは原船団に報告書は提出したということでありますが、原船団はそれをどういうふうな手続で処理されましたか。
#312
○宮坂参考人 私は、その当時責任者でなかったので兵隊の一人としてやっていたものですから、具体的な文書上のやりとりというのは、どういうふうにやったかよくわかりませんが、最終結果としてはJNSレポートという水色の表紙の報告書になって印刷物として発表されております。それから後、これはちょっと思い出したのですが、それぞれの研究グループでやった研究成果については、学術論文として学会誌ですとか、それから「ニュークリア・サイエンス・アンド・エンジニアリング」というアメリカの学術論文雑誌があります。そういうものに投稿しております。
#313
○内海(清)委員 わかりました。
 原船団の方を……。
#314
○島居参考人 お出しになったものは、事業団といたしましては、事業団のJNSレポートというものにして出しました、ということに伺っております。
#315
○内海(清)委員 そうすると、それは今度は三菱原子力工業の方との関連はないのですか。
#316
○島居参考人 そのレポートは、三菱さんの方へも行っていると思っております。
#317
○内海(清)委員 それじゃひとつ石原参考人から……。
#318
○石原参考人 ウエスチングハウスのチェック・アンド・レビューにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、四十三年の八月と四十四年の七月に、二回に分かれてやりました。ウエスチングハウスの勧告をその都度受けておったわけでありますが、これは全面的に検討をいたしまして設計に取り入れたということでございます。
 先ほど先生の御質問は、手続上どういうふうに処理をしたかということであったと思いますが、勧告を受けましてすぐ、その都度事業団にも御相談申し上げ、それを取り入れた設計につきましては事業団へ提出し、御検討をいただき、御承認をいただいた、そういう手続でございます。
#319
○内海(清)委員 それから、いまの原船団からのJRR4、その報告書を受け取られたのでしょうが、その点についても……。
#320
○石原参考人 ただいま宮坂参考人からのお話の報告書は、私ども原船団からいただいております。それを十分検討いたしまして、その実験結果の成果をもとにいたしまして設計に反映させるということでございます。
#321
○内海(清)委員 時間がなくなりましてあれですが、いまの点は、もう少し詰めぬと私は十分得心いきませんが、これはあしたの委員会でもう少しつけ加えさせていただきましょう。三菱がやられたのはそういうことですね、両方とも。
 それでは次に、永野参考人に一つお尋ねしたいのですが、この事業団の地元に対するパンフレットで見ますと、あの頂部までポリエチレン遮蔽があるように書いてあったわけです。ところが、実際には頂部にはなかったということなんですね。これは私どもも、あの事故がありました後のこの委員会でもいろいろ論議いたしました。これは、初めは頂部まですべてポリエチレンを張る、当時の答弁によればこういうふうな設計になっておったということでありますが、途中から変えたということです。ところが、パンフレットに出す分に、それをそのまま間違うて出したのだということでありますが、途中から、これは技術的に見て大丈夫と判断してなくしたのか、あるいは予算との関係というふうなことでこれはなくしたのか、そういう点について。これは予算にしてもわずかなものだと私は思うから、恐らくそういう問題ではないんだろう、技術的によろしいということだろうと想像いたしますけれども、実際にそれを施工されるに当たってどういうことであったのか、どういう事情によってああいうことになったのか、この点についてまずひとつお伺いいたしたいと思います。
#322
○永野参考人 ただいまのお話は、予算のために変えたのではございません。実際の人に対する危険というか、頂部に対しては幾何学的の構造上必要がないと判断をして、これは事業団の指示によって変えましたので、予算と関係ございません。先ほど申しました犠牲云々は、これぐらいのものは問題にしておりませんです。
#323
○内海(清)委員 それはわかりました。この点についても明日また事業団にもお尋ねしたいと思います。
 あの問題が出た折、ボロン液で御飯を炊いて握り飯にしてあれをやったということで大変関心を持たれたのでありますが、いずれにいたしましても、当初計画されたものが途中からなくなったというのは、ほかに何か原因がありますか。どうもそこがはっきりしない。現実の問題としては、ああいうふうな放射線漏れがあったわけですが、その点を重ねてちょっとお伺いしておきたいと思う。
#324
○永野参考人 これはストリーミングに対する当時の認識の不十分であったことの一環でありまして、当時の知識では、安全上頂部には要らないというのが全体の意見だったのでございます。
 それから、パンフレットに出ておりましたのは、実は私も当時の武安次官の部屋で、上を見まして、そこにプラスチックがあるのを見て驚いて、これは事実と違いますよと言ったら、これはだれかが勘違いしたのだ、こういうことがございました。これは確かに勘違いでああいうパンフレットが出たんだと思います。
#325
○内海(清)委員 あれをあなたもごらんになって、それは事業団の方へは御注意があったわけですな。
#326
○永野参考人 これはもうあの事故があって後のことでございまして、事故の対策に狂奔しておるころ、武安次官のところで拝見したということでございます。
#327
○内海(清)委員 わかりました。時間が参りましたが、これは当時事業団からも、あれはきわめて軽率であったという答弁が当委員会であったわけであります。これは事業団がきわめて軽率であったと言わざるを得ない。しかも、実験船を試運転するに当たって一番大事な時期でありましょう。これらにつきましては、きょうはもう時間が参りましたからこれで終わりますが、またの機会でできるだけお伺いしてみたいと思います。以上で終わります。
#328
○島居参考人 いま永野参考人からお話がありました点につきましては、伺いますと、海洋観測船当時の設計ではあったんだそうであります。それから貨物船に変更したときに変わった、こういうことだそうであります。それだけ追加訂正させてもらいます。
#329
○内海(清)委員 はい、結構です。
#330
○八木委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のため大変参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 次回は、明十九日木曜日、午前十時理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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