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#1
第075回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
昭和五十年五月七日(水曜日)
    午前十時六分開議
 出席委員
   委員長 小澤 太郎君
   理事 奥野 誠亮君 理事 吉川 久衛君
   理事 久野 忠治君 理事 小泉純一郎君
   理事 小山 省二君 理事 阿部 昭吾君
   理事 山田 芳治君 理事 津金 佑近君
      石井  一君    小島 徹三君
      佐藤 孝行君    笹山茂太郎君
      福永 健司君    村田敬次郎君
      大柴 滋夫君    佐藤 観樹君
      山本 幸一君    林  百郎君
      林  孝矩君    小沢 貞孝君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 福田  一君
 出席政府委員
        自治省行政局選
        挙部長     土屋 佳照君
 委員外の出席者
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  秋山陽一郎君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  山本  武君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第六〇号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第六一号)
     ――――◇―――――
#2
○小澤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び政治資金規正法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより両案に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。石井一君。
#3
○石井委員 ただいま議題となっております公選法、政治資金規正法、どちらも国民のサイドから見れば最も注目をいたしております今国会の案件でございます。私は、いわゆる金のかからない選挙、明朗な資金、それからさらに不均衡な定数の是正というものを期しまして、国民の負託にこたえたい、そういう観点から若干の質問をいたしたいと存じます。
 まず最初に、まことに基本的な問題でございますけれども、この両案件を提出された政府の基本的な姿勢、見解というものをお伺いしたいと思います。
#4
○福田(一)国務大臣 御案内のように、この選挙法、また選挙に関係のある法案の問題につきましては、従来選挙制度審議会におきましてしばしば論議が行われ、また一応の答申がされておるのでありますけれども、しかもこれを国会にも提出いたしておるのでありますが、今日まで御案内のように実っておらないわけであります。
 たまたま昨年の参議院の選挙におきましては、非常に国民から選挙をもう少しきれいなものにするというか、国民の疑惑を招かないような公正な選挙が行われるようにすべきではないか、あるいは企業選挙とかいろいろの批判も出ておるような状況でありまして、したがって内閣といたしましては、これはどうしても選挙の改正を行って、多年の懸案であったところの定数是正の問題、あるいはまた一種の新聞といいますかビラの配布の問題、これなどもいろいろ議論のあるところでありますけれども、従来やはり無制限にビラを配布するようなやり方は好ましくないという意見が多かった、こういうようなこと、あるいはまた立札とか看板とかというようなものをむやみにふやして、選挙がないのにかかわらず町の美観を損したり、その他いろいろの問題が起きておるというようなこと等を踏まえまして、選挙法の改正をする。一方におきましては、いわゆる金を使わないで、そしてきれいな選挙をするという意味では、政治資金の問題をひとつここで解決をすべきである、こういうようなことがございまして、政治資金の問題につきましては、いわゆる企業献金の問題もありますが、組合等が行います場合の献金の問題等も含めて、この際ひとつ精巧な、国民が納得するような案をつくるようにすべきであるというたてまえからいろいろ研究をいたしまして、そうしてただいま提案をいたしましたような内容で法案を立案して、御審議を願っておるということでございます。まあ詳しいことは提案の理由で御説明申し上げておりますし、各案についてはこれからの御審議をお願いすることになりますので、考え方を一応お話し申し上げたわけでございます。
#5
○石井委員 選挙の公営の拡大その他については、後刻数点お伺いすることにいたしまして、まず基本的な問題をお伺いするわけでございますが、今回は衆議院における定数の是正を行おうといたしておるわけですが、当然参議院においてもそれ以上の不均衡というものが存在をいたしております。参議院の問題については今回は手をつけずに、衆議院にしぼられた、この背景はどういう事情であったのか御説明をいただきたいと思います。
#6
○福田(一)国務大臣 衆議院の定数是正の問題におきましては、すでに当委員会におきまして昨夏来いろいろと御審議を願っておりまして、大体の数の問題につきましては一致を見ております。そういうこともございますので、これはもう長年の懸案でもありましたので、今回の法案に入れたわけでございます。
 ところが、参議院の問題になりますと、各党それぞれ意見がございまして、自民党の方では、参議院のいわゆる比例代表制の問題とかみ合わせて定数是正の問題を処理をいたしたい、衆議院の定数是正も処理をいたしたいという御意見もありまして、自民党だけではございません、各党の御意見もいろいろ承っておったのでありますが、大体定数の問題とか選挙区の区割りの問題というようなものは、何といってもこれは選挙というひとつの競争をするというか、たとえは適当ではないかもしれませんが、お互いが角逐する土俵をつくるということでありますから、やはりある程度各党間においての話し合いがまとまった形でありませんと、かえって混乱を起こす可能性もある。そこで、法案提出までの間にいろいろと詰めをいたしてみたのでございますけれども、一党が賛成をすれば他の党が反対であるというようなこともありまして、なお十分機が熟しておらない。これを急にいま出してみても、どうもかえって混乱を起こす可能性があるということでございますので、ひとつ今後も各党間においてこの問題について十分御審議を願って、そしてたとえば衆議院の定数是正のごとく御意見の一致するようなところがありますれば、ひとつこれは実現をするようにいたすということにいたしまして、今回の法案には入れなかったというのが実情でございます。
#7
○石井委員 そうすると、ただいまの答弁で参議院の方の定数是正という問題は、各党の意見が一致すれば可及的速やかに改正をしたい、政府はそういう希望を持っておる、こういうふうに了解をさせていただきたいと思います。
#8
○福田(一)国務大臣 いまお話があったとおりでありますけれども、ただ各党の一致ということはなかなかむずかしい問題ですから、いま一応参議院では無所属も入れて六つばかりの派があると思いますが、それが全部一緒にならなければだめというわけではありません。やはりある程度、大多数の者が、まあまあこういうことでいこうではないかという合意が得られるということを目途にいたしたいと考えておるわけであります。
#9
○石井委員 衆議院の定数是正が今回二十名増ということで出されたわけでありますが、私も小委員としていろいろ参画をいたしておりまして、各党の合意が得られ、ほかにも不均衡なところはたくさんあるわけですけれども、この程度で今回は一応の目安をつけた、こういうふうに了解をいたしておるわけでございます。
 過去の経過を振り返ってみますと、昭和三十九年にやはり同じように二十名前後の増員を行ったわけでございます。そしてそれから後約十年経過いたしまして、ここに新しく改正案を提出されておる。本来から言えば、定数減ということもあってもいいわけでありますけれども、これも政党政治でありますから、いろいろの事情でそれができないということでありますけれども、そういたしますと、また後十年ほどの年月がたちますと、そうはっきり期限を切るわけでございませんが、また不均衡のところがかなり出てくる。そうなると、大体こういうパターンに従って衆議院は増員されることによって定数の是正が行われる、こういうふうに考えるべきなのか、それとも過去二回行った改正というのはやむを得ざる、いたし方のない措置であって、それの方が例外的な行為であるというふうにお考えなのか、どちらが通常の政府としての考え方なのか、この点はどういう御見解をお持ちでございますか。
#10
○福田(一)国務大臣 今回の提案はさしあたりの問題として出したわけでございまして、この定数の問題につきましては、人口を基準にして考えていきますので、ここでどうしても人口が減った場合とふえた場合の両面を考えるのが公平ではなかろうかと思うのであります。しかし、イギリスの例等を見ますと、やはり既得権というものを相当尊重するというような国もございまして、いま急にこの問題を取り上げていきますと、かえって混乱を起こす可能性がございますので、さしあたりはやはり特に目立って人口がふえたところは増員をする、こういう態度で臨んだわけでございまして、将来の問題、今後五年、十年後どうするかということになると、これはやはり各党間でよくお話し合いを願わなければならないと思います。そこまで言っていいかどうかわかりませんが、こういうように人口がふえるので、減ったところはそのままにしてふえるところはどんどんやるということになりますと、果たして議席が議場内で十分確保できるかどうかという問題、物理的な面も一つは考えねばいけないのではないかということがあります。
 いずれにいたしましても、これらの問題を十分参考にいたしまして、今後はまた検討を進めてまいりたい、かように考えております。
#11
○石井委員 大臣としてはその程度しかお答えができにくいかと思いますが、過去二回――二回と申しますと、今回も含めましてやりました改正の措置というのは、どちらかと言うと暫定的なものである、いずれはもう少し議場その他の関係もあり、抜本的な改正ということも考える時期が来るだろう、今回はとりあえずの措置である、そういうふうに理解をさせていただきたいと思います。
#12
○福田(一)国務大臣 先ほど申し上げたようなわけでございまして、一応暫定的な措置としてこれをやってこの提案をいたした、こう御理解を願いたいと思うのであります。
#13
○石井委員 分区の作業の問題が非常に微妙な段階でございますから、私としてはきょうは突っ込んで質問をする気持ちはございませんけれども、今回は第三者機関とかその他を設けずに自治省案によって、この法律案がまとまる時点に提示をしたい、こういう考え方で作業が十分進んでおるのかどうか、その点だけひとつお伺いしておきたいと思います。
#14
○土屋政府委員 分区の問題につきましては、先般小委員会におきましても自治省として試案を検討してみたらどうかということでございましたので、いろいろ検討しておるわけでございますが、国会審議の日程の関係もございますので、五月上旬までには自治省としての試案を取りまとめたいということでお答えをしたわけでございます。そういったことで、目下それに間に合うように検討調整中でございます。小委員会への提出をいつするかということになりますと、諸般の情勢を見て適当な時期に提出をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#15
○石井委員 それでは五月の上旬までということは、きょうはもうこういう日ですから、自治省案としてはまとまっておるが、政治的な配慮を考えて、いつ出すかということは、今後委員会の決定を待ちたい、こういうことで、案はできておる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
#16
○土屋政府委員 作業は進んでおるわけでございますが、もちろんいま上旬と申しますと、まだ二、三日あるわけでございます。若干問題になっているところもございますので、そういった点について詰めをやっておるわけでございまして、十日ごろまでにというめどで一生懸命作業を進めておるということでございます。
#17
○石井委員 政党中心の金のかからない選挙ということを考えますと、やはりこれは物議を醸す問題でございますけれども、小選挙区制というのが、反対賛成は別にいたしまして、最も理論的には正しいものだと思うのでありますけれども、これに対して政府の見解がありましたら、ひとつこの際お聞かせいただきたいと思います。
#18
○福田(一)国務大臣 小選挙区制をやることが政党政治という立場から見ますと、私は一番望ましい姿であると考えております。しかし、これについては、まだいろいろ各党間にも異論のあるところもございますし、どう実現するかという方途についてまだはっきりしためどをつけておりませんので、今回はこれを見送らしていただいておるというのが実情でございます。
#19
○石井委員 こういう問題の最後にお伺いしたいのは、参議院の全国区制でございますけれども、これは昨年の選挙におきましても一番問題になったところでありまして、一番金もかかるし、一番浪費の多い、ある意味では問題の多い、一番最初にメスを入れていただきたい制度ではなかろうかと思うのでありますけれども、これは要するに、政党間の意見の一致を見ていないという点もわかるわけでありますが、政府としては、この全国区制に対して、大臣としてはどういう御所見をお持ちになっておるのか、ひとつこの際お伺いしておきたいと思います。
#20
○福田(一)国務大臣 私の意見をということでございますが、私は、やはり皆さんの御意見を聞いてやるというのが、これが選挙法についての私のたてまえなのでございます。個人としての意見はありますが、大臣としてそういうことを発言することは、かえって問題を混乱に陥れる可能性があると思います。したがいまして、この全国区の問題について今後いかなる方途をとればいいかということについては、なお研究を続けさしていただきたい、かように考えております。
#21
○石井委員 そういう問題もう少しやりたいですが、この程度にいたしましょう。
 それでは次に、今度の公選法の条文について多少細かい点をお伺いしていきたいと思うのでありますが、まず選挙の公営の拡大というものがあらゆる項目でここに相当含まれておるということであります。これらを確実に履行していくということを考えますと、一番やはり必要なことは選挙管理能力というものを相当強化しなければいけないではないかと思うのですが、この充実ということに関して何か具体的なことを考えておられるのだろうかどうか、この点はいかがでございますか。
#22
○土屋政府委員 ただいまお話がございましたように、選挙公営等も拡充をいたしますし、また、年々選挙事務というものも複雑になってまいっております。またさらに、今回提出しております政治資金規正法が通過をいたしますれば、それに関連するいろいろな選挙事務というものが複雑になってくるわけでございまして、私どもとしてもできるだけこれを円滑に処理をするために中央地方を通じまして機構あるいは機能というものを充実したいということで努力はしたわけでございます。第六次の選挙制度審議会あたりでも、中央地方を通じて機能ないし機構を充実するようにというような意見は出ております。しかし、現実問題といたしましては、実際上のやり方、たとえば地方におきましては選挙のときだけ非常に多くの人手がかかるというようなこと等もございまして、一挙に人員を増加するというわけにもまいらない。そのかわり、逆に機械力を入れるとかどうとかいったようなこと等も考えまして漸次強化を図りたいと考えておるわけでございますが、抜本的に、どういうふうに機構等を変えていくかということについては、今後、私どもだけで解決する問題ではございませんので、いろいろな方面にも相談をして十分検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#23
○石井委員 具体的に人員の増員とか予算の増額というふうな措置はない、こういうことですか。
#24
○土屋政府委員 具体的に人員の増加といったようなことは、今後の情勢を見まして、次の国会等でどういうふうにするかということで、今回は予算その他も全部済んでおるわけでございまして、中央では若干の人間が認められましたが、あと地方全体を通じてどうするかということについては、それぞれの地方団体の実情もございますので、こちらだけで割り切って決めていくというわけにもまいりません。なお、将来の問題として、方向としては充実の方向で参りたいというふうに考えておるわけでございます。
#25
○石井委員 候補者なり公職にある者の寄付の制限ということ、これは政治に金がかかり過ぎるという問題からすれば非常に結構な方向だと思うのでありますが、現在余りにも慣例化し過ぎてしまっておる。一般国民の中にはそういうふうなものが何か日常茶飯事の中にそれを受け入れるという体質がある。法律でこれを決めましても、よほど当事者が勇断をもってこれを実行しなければいかぬということもありますし、それから一般国民に対してこれを十分に浸透さすということも非常に重要なことであろうかと思うのでありますけれども、こういうふうな問題に関しても何らかの対応策というものを考えておられるのかどうか。法律案自体は非常に結構であっても、それを徹底するためにはやはり長年のいろいろしきたりというものがあるわけですから、いまの選管の能力も問題だと思いますし、私が指摘しておる点も非常に問題だと思いますが、これは具体的に何か対応策を持っておられるのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
#26
○土屋政府委員 具体的な対応策ということになりますと、法律上こういった禁止規定ができますと、それに対しての取り締まりその他というふうになってくるわけでございますけれども、それよりもやはり基本的には、そういった寄付等が余りにも無制限に行われるといったようなことで、選挙の浄化という点からどうかという点もございます。そういうことで法律で決めてみんながそれを守っていこうという遵法精神というものがなければうまくいかないというのが基本であろうというふうに考えるわけでございます。
 そういった意味では、御承知のように現在でも、たとえば明るい選挙推進協議会といったような団体の方々を通じ、われわれもまたいろいろとその啓発を進めておるわけでございますが、今回こういった法律が、通過いたしまして成立いたしますれば、十分これをPRし、また当然のこととして取り締まりの方でもそれは注意をされるということになろうかと存じます。いろいろな方法を通じ、そして結果的には政治家なりあるいは国民の方自体がこの法の趣旨に従って行動していくというところが基本ではなかろうかというふうに感じておる次第でございます。
#27
○石井委員 ただいまの寄付行為の禁止というのは、現在公職にある者には当てはまるけれども、いわゆる立候補を予定しておる新人というものには適用されないのではないか。ということになりますと、これは非常に片手落ちになるのではないかというふうに思うのでありますが、この点はどうお考えですか。
#28
○土屋政府委員 寄付の禁止は現職にあられる方はもちろん、公職の候補者等についても当然当てはまるわけでございます。事前にいろいろと、何と申しますか選挙の準備等の意味を含めて寄付を頻繁にされるといったようなことがあってはこれは困るわけでありますから、法文におきましても、「公職の候補者となろうとする者」等も禁止をするということになっておるわけでございます。
 この「公職の候補者となろうとする者」というのは、必ずしも立候補をする意思を表明している者だけではなくて、本人の立候補の意思表明がなくても、いろいろとその人の行動等から見まして、客観的に立候補の意思を有しておると認められる者も該当するわけでございまして、寄付の制限を受けるということになるわけでございます。
 それではいつから立候補と見なされるのだということで、少しあいまいではないかという御疑問もあろうかと思いますが、実際には何もやらなければこれはわからないわけでございますが、現実に頻繁に寄付をされるとかいったような客観的な行動が出てくれば、そのときから実際上立候補をするものとして「公職の候補者となろうとする者」であるという点で規制を受ける、取り締まりを受けるということでございますから、その間には何ら差異はないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#29
○石井委員 その期間の問題で、たとえば参議院の場合には何年が経過した時点から以降とか、あるいは衆議院の場合には二年経過した以降とか、こういう条文は全部外されたわけです。その理由はどういうわけですか。
#30
○土屋政府委員 政府としてそういった案があったわけではございませんが、私ども聞いておるところでは、いわゆる三木試案といったものが出された段階で、一定の時期から選挙の期日の一定の期間、たとえば衆議院の場合は任期の満了前二年あるいは参議院の場合は任期の満了前一年、そういうあたりからそういう制限をするといったような考え方もあったようでございます。
 しかしながら、そういうことになりますと、その時期からで、その前はそれじゃいいのか、その前にもう立候補の意思を持っていろいろ活動してもそれはいいのかとなりますと、現職の方は全部だめであるのに、そこらは問題があるということにも相なります。そしてまた、その禁止されている期間以内になりましても、立候補の意思がはっきりしていない限り、それは取り締まるということもできないわけでございますから禁止もできない。結局は現職以外の方は、現実に活動をされて立候補すると申しますか、公職の候補者となろうとする態様が出てきて初めてそこで取り締まるということになるわけでございますから、一応全般的にそういう禁止規定をかけておくということが適当ではあるまいかというふうに判断をいたしまして、こういう法文案にしたわけでございます。
#31
○石井委員 次に、実費弁償と報酬の基準単価を引き上げる、それは政令で決めるとかというふうに書いてありますが、この点は昨今の物価の動向その他も考えまして、自治省、政府当局としてはどの程度の単価を引き上げることを想定されておるのか。
#32
○土屋政府委員 実費弁償等の額につきましては、昨年の通常国会で改正案をお願いいたしまして、その際にかなりな額を引き上げたわけでございます。しかしながら、その後もいろいろと物価の上昇等の状況もございますので、今回それを引き上げたいということでございます。かたがた、法律で一々これを規定しておるいまのやり方でございますと、状況に応じて適時にこれを変えるということも非常にできにくいので、政令で決めさせていただくということにさせていただくということにしております。そしてその額はおおむね全般的に見まして三割ないし四割程度というふうに考えておるわけでございます。具体的には政令で規定をいたしたいと考えております。
#33
○石井委員 同じ費用の問題で、選挙運動費用の支出制限額の引き上げ、この問題についてもどの程度のアップを考えておられるのか。
#34
○土屋政府委員 法定費用の引き上げにつきましても、基礎となりますのは、ただいま申し上げましたような実質弁償、宿泊費とかあるいは人夫費とか、そういったものが基礎になってまいりますし、そしてまた事務所費その他いろいろな問題についても値上がりがございますので、そういうものを考えていきますと、おおむね全般的には支出制限額は現行の三割ないし四割程度になるというふうに考えられておるわけでございます。
#35
○石井委員 次に、問題になっております機関紙の多量の配布、一説にはビラ公害などといわれておる問題でございますけれども、今回この規制措置というものが特に織り込まれております。われわれとしては、これは非常に当然のことだというふうに考えておるわけでございますが、それはそれとして、今回のこういう規制がなくても、いわゆる選挙時に特定の候補者の写真や名前が大きく入ったものが不特定多数の人々に無償で通常の方法を逸脱して配布されておるものは、従来、改正がなくても、既存の法律ですでにこれは違反になり、規制されるべきものではないかというふうに解釈するのですが、この点はどうお考えになっておりますか。また、それでは規制できないから今回このような改正案を新たにつくってこられたのか。この現存の法律と改正案との関係についてひとつ御説明いただきたいと思います。
#36
○土屋政府委員 御承知のように、選挙時になりますと、確認団体の機関紙では選挙に関する報道、評論の自由というものが認められておるわけでございます。そういったことで、選挙に関する報道、評論がなされるわけでございますけれども、現実の状況を見ますと、特定の候補者の写真とか氏名というものを大きく掲載をする、そしてまた投票依頼にわたる文言も記載をされておるといったようなことで、選挙運動文書と変わらないようなものがある。そういった意味で、従来からいろいろな訴訟形態でも問題が、そこの判定というのは非常にむずかしいところでございますけれども、選挙運動文書違反であるとかというようなこともございまして、非常に内容的に問題があるという点もございます。
 それ以外に、そういった報道、評論を載せた機関紙というものは、本部が発行するものを通常の方法で頒布するということでございまして、やはり通常の方法でやる以上、そういったものは一般的な意味では有償性といったようなものが基本になっておると考えざるを得ないと思います。したがいまして、たとえばPR等をするために時たま無償のものもあるということはございましても、本質的にもう無償で全部無差別に配布をするといったようなことが通常の配布であるかどうかということになりますと、従来から問題があったわけでございます。
    〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
 そういったことで、いろいろ議論はされておったわけでございますけれども、最近の選挙の実情はますますそれがエスカレートしてきておるといったようなことから、いろいろと批判もございます。そういったことで今回の改正案をつくったという次第でございます。
#37
○石井委員 ちょっとはっきりしない面がありますが、要するに、従来の規定では解釈の問題その他においてどうしても徹底しないので、これをさらに強化した、こういうふうに理解をして、次へ進ましていただきたいと思います。
 いずれにしても、金のかからぬ選挙ということを志向しておるわけですから、向こうがやればこっちもやるというような行為に相なるわけで、この問題は当然こうあるべきだというふうに私たちは考えておるわけですが、その問題は野党の皆さんがどんどんやられると思いますから、私はこの程度にいたしまして、いま政府委員から御答弁になりました、選挙のための目的のビラあるいは新聞、そういうふうなものに対しては、公正を期すためにこれを規制したい、こういうことであろうかと思うのでありますが、現行の法律の百四十八条に新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由という項目があり、ここに一、二、その中でイ、ロ、ハに規定されております問題は、結局そのときに急に紙をつくってばらまくということが非常にある。それを制限するために、選挙の告示一年前から毎月三回以上発行されておる新聞で第三種郵便物の認可をとったもの以外の新聞は選挙に関する評論なりなにはできない、こういう枠をはめておるわけですね。
 これは一般的にこうあるべきだと思うのですけれども、たとえば一般の商業紙等で、有償で購読されておるというふうなもので、選挙の時期になりますと、当然公正な選挙報道、政治記事を載せなければいけない。ところが、いま申しました百四十八条に抵触するということでこれができないということになってくれば、これはこの立法の趣旨が少し間違った、ゆがんだことになってくるという一面がありはしないだろうか。ちょっとはずれた議論かもわかりませんけれども、こういうことによって、正当な、公正な商業紙というふうなものが規制されるということになりはしないか、これは立法の趣旨に反しないかという問題があるのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
#38
○土屋政府委員 ただいまお示しの百四十八条の規定というのは、社会の公器としての新聞の選挙に関する報道、評論の自由が保障されておるということを明らかにしております反面、選挙の公正を確保する見地から、選挙期間中選挙に関する報道、評論の掲載ができる新聞紙というのは、一定の条件を具備するものに限るということにされておるわけでございます。
 その趣旨は、いまお触れになりましたように、一つには選挙目当てのまぎらわしいものが急に出てきていろいろとやるということになると、選挙の公正を害するということもあるので、やはり具体的な客観的な資格、条件というものを定めておいて、それに該当するものでなければならないということを決めたわけでございます。
 そこで、いまお話のように、それではいま有償で配っておる一般の商業紙という表現でございましたけれども、そういったものとそうでないものというのは一体どういうふうになっておるのだろうかということになるわけでございますが、やはり選挙に関する報道、評論ができるといったたぐいのものは、客観的に一定の資格、条件というものがなければならぬという考え方に立ちますと、いろいろな新聞をすべてそういった基準に当てて考えざるを得ないということになろうかと思うのでございます。第三項は、まさにその意味で具体的な条件を定めておるわけでございまして、第三項の規制というのは、したがって一切の新聞紙が対象となるものでございまして、いわゆる選挙目当ての新聞紙はもとより、一般の新聞紙も含まれるものであるというふうに考えるわけでございます。
 そこで、新聞といっても多種多様でございますから、常識的に言われておりますいわゆる一般紙というのは、選挙目当ての新聞紙とは異なる扱いをしたらどうかといったような御趣旨だったようにお聞きしたわけでございますが、そういうものは一年というような期間が要らないのではないかといったようなことも考えられないかということでございます。御意見の趣旨は十分理解できるものでございますけれども、選挙目当ての新聞紙と、あるいはそうでないもの、いわゆるりっぱな一般紙というものをどういった基準で区別をするのか、また、だれがそういったものであるかという判定を下すのか、そこらが非常に実際的にも、あるいはまた制度としてもむずかしい点を含んでおるわけでございまして、せっかくの御指摘でございますが、いろいろ検討はしてみますけれども、いま申しました意味で、なかなか困難な問題があるという点もお含みをいただきたい。やはり選挙に関する報道、評論ができるという以上は、客観的に何か資格、要件というものがなければならぬのではなかろうかという法律の現行のたてまえでございますから、ただいまのお話については、簡単にはどうも割り切れない問題が残るのではなかろうかという気がいたしておるわけでございます。
#39
○石井委員 いまの御答弁は全く納得できないような気がするのです。一般的に区別ができないと言うが、常識的に考えたって当然区別のできる問題ですよ。片一方はある政党なり思想なり、何らかの根拠を持って特定のものを売り出そうとする新聞である。それに対しては、選挙目当ての問題であるから、特定の期間を設けたり何かをして規制をしょう。片一方の方はそういうことではなく、中立的な立場に立って通常の方法でこれを購読してもらって、無料で配布をしていないのです。はっきり区別が出るわけですから、その辺の区別が出ぬという考え方の方がおかしい。それはいかにも何か官僚的な逃げ答弁みたいに思う。それよりも、そういう問題は確かに問題があるから今後考えなければいかぬという答弁であれば、解釈論として理解できるけれども、どちらか区別できぬと言うのは、常識的に考えて区別できるのじゃないですか、いかがですか。
#40
○土屋政府委員 確かに私ども常識的に考えまして、一般的に申しますと、非常に特定なまぎらわしい一定の目的を持ったその場限りの新聞というものと、それからいまおっしゃいましたようないわゆる一般のりっぱな新聞というのは、これは常識的にはわかると思います。客観的にもまあまあそうかなということが一般にもわかると思うのでございますけれども、しからばそこをどういうふうな基準で分けるのかということになりますと問題がいろいろある。新聞と申しましても、本当に雑多な、多種多様なものがあるわけでございますから、そこをどういうふうに割り切るかということになりますと、法律上はなかなかむずかしい問題をはらんでおるということでございまして、その点は十分私どもとしても今後のあり方としてどうあるべきかということについては検討をいたします。ただ、にわかのお尋ねでございますので、すぐこういう基準でこういけるというのは、法律上なかなか十分検討しなければならない問題が多いだろうという意味で申し上げたわけでございます。
#41
○石井委員 大臣に一言この問題について御見解をただして次へいきたいと思いますが、要するにこの既存の百四十八条というのは、選挙目当ての新聞を規制するために立法の趣旨があるわけです。ところが、この一項だけはそうでない新聞まで含まれてくる、そういう問題があるわけで、これは立法の趣旨と非常に違ってきておる一面があろうかと思うので、今後こういう例は余りないと思いますけれども、やはりこういうことは改正していくべき一つの問題だ、常識的に考えて私はそういうふうに感じるわけでございますが、大臣の御所見はいかがですか。
#42
○福田(一)国務大臣 ただいま事務当局からも説明をいたしておりますが、何らかの区別を設けなければならないということは、これは当然だと思うのでありますが、しかし、当然一般的に認められておって、常識的に規制をする必要がないというようなものまで、この百四十八条によって規制しておるということになれば、これはわれわれとしても考えてみなければならないかと思っておるわけであります。
#43
○石井委員 そうすると、要するにこの条文の本来の趣旨は選挙規制である、それに入るようなものがもし将来起こり得た場合には、これはやはりこの法律の趣旨に反するものである、こういうお考えですね、いまの御答弁は。
#44
○福田(一)国務大臣 いや、選挙の規制という形で一般の紙誌が規制をされないように考えることも必要であるということを申し上げておるわけであります。
#45
○石井委員 それでは、この点は私の主張としては、やはりこの条文というのは評論なり報道の自由を守る、そういう趣旨によってできておるものでありますから、この点今後検討を要する事項であるというふうに考えますので、御指摘を申し上げて次に移りたいと思います。
 今度は、連座制が新しくここへ含まれてきておるわけでありますけれども、連座制を改めた理由はどうかということ。それから近代法の原則によると、他人のやったことによって罪に服するというのは適当でないという法理論もありますけれども、この点について、この連座制についてどういうお考えなのか、ひとつ伺っておきたいと思います。
#46
○土屋政府委員 御承知のように、現行の連座制は、総括主宰者とか出納責任者等が買収等の罪を犯して刑に処せられました場合に、その当選を無効と認める検察官が、検察官の方から当選無効訴訟を起こし、その当選無効訴訟の結果をまって初めて当選が無効となるといったような仕組みになっておるわけでございます。そういった意味では、過去選挙の公正を推進する見地から何度か改正をされて拡充が図られてきたわけでございます。しかしながら、これらの訴訟手続には実際上は相当な手続を要しておるわけでございまして、連座制の実効性を確保する上においていろいろと問題がございますので、今度総括主宰者あるいは出納責任者あるいは地域主宰者等に係る連座事件につきましては、検察官の提起による訴訟を要しないということにいたしまして、当選人から、これらの者が総括主宰者等であるという認定について不服があるという場合に限りまして、訴えを提起し得るという仕組みに改めたわけでございまして、そういった形で連座制の強化と訴訟の促進を図ろうということにいたしたわけでございます。
 それが一つの趣旨でございますが、一方、いまのお話のように、連座制というのは本来本人が犯した罪ではない、そのために当選人が当選を失うということで近代法の原則に反するのではないかといったようなお話があったわけでございますが、ただ、この連座制そのものは、総括主宰者等が、候補者と一体的な関係にある者が買収等の悪質な選挙犯罪を犯した場合には、その犯罪は当選人の当選に相当の影響を与えておるものと推測されるわけでございます。したがって、その得票というものが選挙人の自由に表明された意思によるものとは言いがたいということがございますので、選挙の公正を確保する見地から設けられておる制度であると思うのでございます。したがって、その効果というものは、当選人の当選を無効ならしめるということにとどまるわけでございまして、それ以上一般の人に比して特別な不利益を与えるものではない、まして刑罰を科するものではございませんので、近代法の原則に反するものとは考えていないわけでございます。
 連座制については、もう少し強化をしたらといったような意見もございますし、いろいろな考え方があろうかと思いますけれども、ただいまおっしゃいましたような近代法の原則等も考えながら、なおかつ現行の制度を一歩前進させるということが必要であるということで今回の改正案のような形にいたした次第でございます。
#47
○石井委員 あと二、三点この公選法でお伺いをいたします。
 シンボルカラーの規制やらのぼりその他の規制、こういうのも、ビラに対する規制をされるのなら、同時にこういう気勢を張る行為についても何らかの措置が行われてもよかったのではないかとも考えるのですが、こういう点は検討されたのか、またこれが含まれなかったのはどういうことか、お伺いをしたいと思います。
#48
○土屋政府委員 最近の選挙の実態というのは、いろいろと変化をいたしております。数年前まではいわゆるシンボルマークというものも禁止されていなかったわけでございますけれども、たとえばシンボルマークといったようなものがいろいろと使われ始めて、それが選挙に利用されるということで、シンボルマークについても規制を設けるといったようなことにされたわけでございます。
 そういう意味で、シンボルカラーというものがあっちこっちはんらんしておる、あるいはシンボルカラーを打ち出したのぼりとかそういったものがはんらんしておるという事実は私どもも承知しておるわけでございます。しからばそういったものが一体どの程度選挙に影響があるのかというようなことになりますと、いろいろと議論の存するところでございまして、ただ選挙運動等についてある程度公正を確保する見地からいろいろな規制を設けておるという点に照らしてみますれば、余りにもそういったたぐいのものがはんらんをするということは、あるいは選挙に好ましからざる影響を及ぼすのではないかという御意見もあろうかと思います。そういったことで私どもも議論は一応はしたわけでございますけれども、いま直ちにそれではどういう形でそれが違反ということになるし、どういうことで取り締まりをしなければならぬのか、いろいろと問題が出てまいります。結論的なものは出ませんでしたので、今後まだどういった形でそういうものが行われるか、実態を見ながらなお問題があればあるいはまた議論するということはあり得るというように考えます。そういったことで今回は改正法には載していないわけでございます。
#49
○石井委員 そうすると、この問題は今後の検討の一つの項目だということに理解をいたします。
 さっき個人が寄付をする行為のところで一つ聞き漏らした問題がありますが、それはたとえば代理人の名義で、あるいはもっと名義人の名義で寄付行為を行うというふうなことは当然あり得ると思うのであります。たとえば公職にある人はできないけれども、その人の奥さんが寄付行為をどんどんと行うとか、あるいは何らかの会社なり企業なり法人というふうなものができておってその名義によってどんどんと行う。これも言うなれば当然同じように取り上げられるわけであって、何か法から抜けてしまうという一面があるのではないかと思うのでありますが、この点についての配慮をしたことがありますか、いかがですか。
#50
○土屋政府委員 本人以外に、お示しのございました候補者の夫人の名前であるとか、あるいはその関係の会社、あるいは後援団体、そういったもの等の名義による寄付というものは一体どうなるのだろうか、そういうかっこうでやればどんどん底が抜けていくのじゃないかという御質問でございますが、一つは今回の改正によりまして候補者はその選挙区内にある者に対しまして特定の場合を除いていかなる名義をもってするを問わず寄付を禁止されておるということでございますが、そのほかに、これらの者の関係会社等は候補者等の氏名を表示して寄付をすることが禁止されておるということが一つあるわけであります。また、こういった候補者等の氏名を冠した団体が選挙に関してする寄付というものも禁止されておる。そしてまた、後援団体が一定期間内にする寄付についても、これも現行法上明文をもって禁止されておるということで幾重にも厳しいことになっておるわけでございます。
 したがいまして、たとえば後援団体について申しますれば、いかなる名義をもってするを問わず一定期間内、たとえばその任期満了の前九十日以内というものは、これは絶対にいかなる名義をもってしても寄付ができないということでございますし、またそれ以外の時期におきましても、当該後援団体の名称が候補者等の氏名あるいはそれが類推されるようなものであれば、百九十九条の四の規制を受けまして、選挙に関して寄付はできない、こういうことになっておるわけでございます。
 また、例示をされました候補者夫人等の名義による寄付でございますが、それは一応候補者夫人という形、その人の名義で寄付をされます限り一般的には問題がないというふうに言わざるを得ないと思うのでございます。ただ、そうでございますけれども、候補者等が選挙に関しまして本人の名義外の名義を用いた寄付あるいは匿名の寄付をするということは従来から禁止をされておるわけでございますから、一応奥さんの名前で出したと言われましても、それが実態によりまして現実には候補者のかわりにやっておるのだ、そういう実態が明らかになりますと、候補者等のする寄付として、ただいま申し上げましたような規制を受けるということもあり得るわけでございまして、脱法的な意味でやるということはいろいろな面からチェックができるものというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#51
○石井委員 一番最後のところの法解釈が非常に問題だと思うのであります。再度確認だけしておきたいと思いますが、それじゃ公示九十日以前のだれだれ後援会、福田一後援会という名前における寄付行為は合法なのかどうか。
 第二に、奥さんなり子供なりあるいはそれに関連した兄弟なりの名義でする行為というものに対しては、何条の何項によって規制できるのか。この点はいかがですか。
#52
○土屋政府委員 たとえばその九十日以内という期間以外の場合でも、百九十九条の四の規定がございまして、後援団体の名称そのものが、候補者等の氏名あるいはこれが類推されるもの、いまおっしゃいましたような形のものでございますれば、選挙に関して寄付をしてはならないということにされておるわけでございます。
 それから候補者夫人のほかに、たとえば秘書の名前とか、いろいろおっしゃいましたが、それもその人個人が実質的にも名義の上からもやられる場合もございましょう。ございましょうけれども、本質的には候補者自身がやるということになりますと、二百一条で「本人の名義以外の名義を用いた寄附及び匿名の寄附をしてはならない。」ということでございますから、実際上その候補者がやっておるのに他人の名義でやったり、匿名で――匿名ということはいまの場合関係ございませんが、本人以外の名義を用いた場合は規定違反ということになるわけでございますから、そういった面で取り締まりができるわけでございます。
#53
○石井委員 それでは公職選挙法の問題はこの程度で終えまして、政治資金規正法の一部を改正する法律案についてほんの数点だけお伺いをして、同僚議員に譲りたいと思います。
 まず、この政治資金規正法におきまして、会社や法人、団体の規模によって制限枠を設けられた。これはわかるような気がするのですが、政府はこれに対してどういうお考えだったのか、御答弁をいただきたいと思います。
#54
○土屋政府委員 ある団体の寄付の能力といいますか、今回の政治資金規正法の改正の場合は相当性という原則を一つ考えておるわけでございまして、その能力に応じた寄付を考えるということでございます。したがいまして、きわめて大きいところも小さいところも同じというわけにはまいりません。やはりその能力に応じたものを段階的に考えて制限の枠を決めたらいいのではないかということでございます。そういった意味で、どの程度の段階にすればいいかということが一つの問題ではございましょうが、従来からの政府案の考え方に従って団体ごとに規模に応じて枠を設けたということでございます。
#55
○石井委員 それから、いわゆる税制上の優遇措置というのが講じられるようになっておるわけですけれども、寄付を受ける側が国会議員、知事、都道府県会議員までに限られておるのはどういう理由なのか。
 ここで御指摘を申し上げたいのは、たとえば政令指定都市の市会議員等でありますけれども、これは自治省でもいろいろな範例があろうかと思いますが、都道府県の県会議員と同等な扱いを受けている面がいろいろな面で非常に多いわけです。たとえばその待遇におきましても、選挙の告示の期間その他投票日というような問題におきましても、そのほかいろいろの問題があります。特に私が指定都市の出身であるから申すわけではございませんけれども、指定都市のほとんどは小さい都道府県より大きいというふうなことであり、財政的にも税制的にも非常に独立した性格を持っておる。そういうことを考えますと、これまでいろいろな形の上でこれらの議員に対してこういう優遇措置なり特別措置を与えておきながら、この法律でこれが含まれておらないというのは非常に片手落ちではないか、こういうふうに考えるわけですが、この点はいかがですか。
#56
○土屋政府委員 今回の改正案におきましては、政治資金の個人拠出を促進するという見地から、個人のする献金で一定の要件に該当するものに限って税制上の優遇措置をとるということにいたしておるわけでございます。優遇措置というのは、要するに所得税法に言う寄付金控除の中に入れるということでございますが、この所得税法に言う寄付金控除というのは、国や地方公共団体に対する寄付金、あるいはこれに準ずる程度に公益性の高い事業を行う公益法人その他の団体に対する寄付金で、特に大蔵大臣が指定したものというものを対象としておるわけでございます。
 したがいまして、今回の場合にどういったものを対象にするかという場合は、政党や政治資金団体に対する寄付については、いま申しましたようなものに匹敵する程度の高度の公益性があるということで、それに準じて取り扱うということができるといたしましても、その他の政治団体に対するものについては、その態様も千差万別でございます。すべての政治団体に対する寄付についてまで同程度の公益性を認めて同一の取り扱いをするということが果たして適当であるかどうかということは、いろいろと問題があったところでございます。やはりある程度の高度の公益性が認められるものに限定すべきであろうと思うのでございますけれども、先ほど申しました個人献金を促進するという意味合いを考え、そうしてまた現実の政治団体の実情にかんがみまして、かたがた税務当局の処理能力といったこと等も勘案しながら、国会議員や広域的な政治活動を必要とします都道府県知事、都道府県議会議員に係る政治資金の拠出については、枠を広げてこれを寄付金控除の対象とすることが適当であると判断をいたしたわけでございます。市町村長あるいは市町村の議員に係るものは除外をした次第でございます。
 確かに、いまおっしゃいましたように、指定都市というのは一応一般の市と同じような市ではございますけれども、性格上は自治法上大都市の特例といったようなものが認められておりますし、いろいろと特別な制度もとられております。しかし性格の上は市でございまして、私どもとしては、先ほど申し上げましたような見地から、ある程度枠を広げる、公益性という見地をもう少し広げていくということにいたしましても、やはり広域的な政治活動を必要とする都道府県段階までということが適当ではないかというふうに判断をいたした次第でございます。
#57
○石井委員 いまの政府委員の答弁は、申しわけないが非常に問題があると思うのです。一々議論をしておってもきりがありませんが、要は大臣、この指定都市の議員は、たとえば供託金一つとりましても、普通の市と違う、金額を多く払っているという面が多いのですね。これは選挙制度上、選挙の期間にしても都道府県と同じ時期に行われておる。あらゆる面でそういうふうなものがある。いまの公益性なんという言葉は、公益性はどこにもありますよ。一般の市にもありますから、それがどういう意味か、全くわからぬ。
 そうなってくると、たまたまこれが大蔵省との折衝で漏れたのか、あるいは意図的に漏れたのかわからないが、漏れたのだということであって、この間も横浜市議会で定員がふえたという話で座席が困るるというふうな報道がありましたけれども、人口がどれだけになっているか。もう二百万以上超えておる。二百万以上超えておる都道府県がどこにあるか。余りない――それはたくさんあるにしましても、二百万以上の都道府県というのは幾つあるかということを考えた場合に、それは百年一昔の都道府県制度というものでなく、こういう面ではもうすでにあらゆる面で、ずっといろいろな形の運用面におけるものがどんどんと取り入れられておるわけでありますから、今回の改正にそれと逆行するようなことはやはり避けていただくべきではなかろうか。
 この私の主張は何も与党の利害とかなんとかということでなく、野党もすべて含めて当然の主張ではないか。そういう意味では、場合によってはこの政府提案に政令都市というふうな言葉をもう一つこの下に加えていただいても当然順当ではないかと思うわけでございますが、大臣の御意見はいかがでございましょう。
#58
○福田(一)国務大臣 まあ物事をどこかで区切りをつけるというときには、その境目になったところではいつでも、四・五と五・五の場合に、四・五を認めたが五・五は認めないというとき、それでは五・四九というのはどういうわけで認めないのだというようなことが出てくるわけでありまして、われわれとしてもどこまでこれを制限、適用するかということについては考えたわけでありますが、一応今回はこの程度にとどめておいてはいかがであろうかということでそのようにいたしたわけでございますので、ひとつ御了承を願いたいと思います。
    〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕
#59
○石井委員 いや、この点はいまの御意見も一つの御意見だと思いますけれども、余りにも差が、四・五でなしに五以上だということなんです。あらゆる面から考えて、法律上からも実質上からも五以上だから、四・四九だとか四・五という議論ではないんじゃなかろうか。ほかにもたくさんの例があるのだ、したがってこの改正案のときに御配慮をいただきたい、こういうことを私強く要望をしておきたいと思います。
 いろいろ申し上げたいことがございますが、ちょうど一時間経過いたしましたので、きょうは私はこの程度にさせていただきたいと思います。
#60
○小澤委員長 小泉純一郎君。
#61
○小泉委員 今回提案されました公職選挙法改正案、そしてまた政治資金規正法改正案、これは三木内閣並びに三木首相自身の長年の主張、そして政治姿勢、これをこの法案によって示したものである。特に、昨年の七月の参議院選挙以来急速に高まってきた金権政治に対する批判が直接の刺激剤となって、今回の改正案が出されたものだと私は解釈しております。そういう観点から、現行法と比べれば、両改正案は百点満点とは言えなくてもかなり前進している、何とか両法案を通すべきだ、私はその観点から若干質問したいと思うのであります。
 政治資金の規正法、これはやはり政治資金こそが政治を動かす一番大きな要素だと私は思っております。そういう面から、その資金を国民の監視のもとに置く、収入、支出、その流れというものを国民の前にさらけ出して、どういうふうに政治が動いていくのかということを国民とともに考えていくという意味において、やはり規制というものは行っていかなければいけない。
 今回の改正案について、最後の方に「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」という項目が入っております。これは三木首相の言をかりるとすれば、三木首相の意図というものは、本来政治資金というものは個人献金によってすべて賄われるのが理想であるというふうに三木首相自身唱えられておりますが、私自身、確かに個人献金で全部賄われれば結構だと思います。しかし、だからといって企業の献金は果たして悪かどうか、これも私は論議の余地が十分あると思います。
 企業の献金というものは、いま社会通念上ですか、マスコミからもあるいは野党の諸君からも企業献金は悪であるというような一部の宣伝が行われておりますが、私は必ずしも企業献金のすべてが悪だとは思っていない。望ましい姿といえば個人献金だと思いますが、この五年後において勘案する、検討を加えるものというのは、やはり企業献金は悪であるというそういう観点があるかどうか、果たして本当に個人献金だけで全部を求めるのが理想であるのかどうか、この点、どういうふうに政府としては思っておるのでしょうか、そこをお聞かせ願いたいと思います。
#62
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘になりましたところは、政府としても一つの大きな課題であると思っておるわけであります。
 そこで、ここではっきりどちらが正しいか、いわゆる個人献金オンリーにすべきであるか、あるいはまた企業献金も含めて考えていくべきであるかということになれば、あるいは人によって意見の相違が起きてくるのもやむを得ないところであろうと思うのであります。しかし、将来の問題として考えた場合には、できるなら個人献金でやりたいというこの三木総理の考え方というものも、私は決して間違ったものだとは言えないと思います。同時に、あなたが指摘されたように、企業というものが社会的に占めておる活動の範囲あるいはその責任というようなものを考えると、企業が献金するからそれは絶対に悪であるというふうに断定できるかどうか、私はこれは問題点があると思います。
 したがって、これらの問題を含めて、考え方としては将来は個人の献金ということでなるべくしたいけれども、しかしいま言ったような企業献金は必ずしも悪でないという意見もあるのでありますから、それらの問題を含めて、今後五年後までにいろいろ勉強して、そうしてその研究の結果、順次これはもっと直した方がいいのだという意見になればそれはその方向に行くしということであって、それは今後の研究課題にしたいというのが附則につけたところでございまして、いまここではっきり割り切って、これはもう絶対こちらでなければという考え方に立っておるわけではありません。理想と現実を踏まえて法案を立案いたした、こういうふうに御理解を願いたいと思うのであります。
#63
○小泉委員 私自身もできることなら、この個人献金により全部賄えるなら、それが望ましいと思います。しかしながら行き過ぎがあった。確かにいままでの企業献金には行き過ぎがあったと思います。行き過ぎがあったからもう企業献金は悪である、これはかえって逆の方の行き過ぎであると思うのであります。やはり本来なら、政治資金規正法にしても公職選挙法にしても、私は法律がない方がいいと思います。なくて公正な選挙が行われる、これがやはり一番いいのでありますけれども、やむを得なく法律をつくらざるを得ない。できることなら法律が少なければ少ないほど、その社会というものはより安定していい社会だと思う。あんまり法律が多いというのはよくないことだと思います。
 そういう問題から、この政治資金規正法にしても公職選挙法にしてもいろいろ問題点があると思うのでありますが、その法律でどうしても規制せざるを得ない、この法律の網の目をくぐるとか、あるいは余りにも社会の常識を逸脱して行き過ぎがある、そこでやむを得なく禁止しなければいけないというのが今回の政治資金規正法であり、また公職選挙法である。本来なら、私は、余りあれをやるな、これをやるなという、そういう余りにも国なり政府が干渉するような法律は望ましくないというのが私の立場でありますけれども、やはり行き過ぎがあった、これをどうしてもある程度規制をしなければしょうがないという、こういう立場からも、ある面におきましてかなり厳しい規制案が今回盛られていると思いますが、そういう点について私は現在を考えてやむを得ない、またかなり前進したものであるということで、この法案に賛意を表するものであります。
 特に、今回のこの政治資金改正案において重要なことは、かなりの節度を設けた。たとえば収支の公開でありますけれども、現行法であったならば、寄付は公開しなければならないけれども会費は公表する必要はなかった。当時、これができたときは会費なんというものは微々たるものであり、政治資金はやはり寄付に多く依存をしていた。それで個々の会費を一々公表するのは煩しいということで、それほど会費の収入というものは問題はなかったと思います。ところが、この政治資金規正法ができたときに、会費というものは公表しないということで本来重点が置かれたところをねらわれて、いわゆる法の網の目ですね、実際規制しようと思ったものは規制されましたけれども、この会費の規制がなかったために今度は会費がかえって網の目をくぐるような形になって、現在では自由民主党にとってもその収入の九〇%以上は会費収入ある。それで、今回会費も寄付も収支を公開するという立場に立って、しかも個人献金を奨励するような税制優遇措置もとられている。
 そういう観点からすれば、今回の政治資金規正法案を通すならば、いままでの政治の金の動き、また政治を動かしている一番大きな要素である資金についても国民に理解されるために一歩前進である。何とか政府はこの政治資金規正改正案についてもう強固な意思を持って通過させるべきだと私は考えております。
 それから、公職選挙法改正案でありますけれども、今回、衆議院の定数是正だけでなく、いろいろな改正案が盛り込まれております。この定数是正案というのは、何も参議院選挙が終わった直後に起こったものではなく、ここ十年来選挙が行われるたびに一票の価値について多くの論議が戦わされた。もっと早くやってしかるべきだったのですけれども、この前の参議院選挙が終わってから、金権選挙批判と同時に、長年の懸案であった定数是正の問題にも手をつけて、ようやく今回の法案を見るに至った。私自身、定数を積極的に是正すべきであるという主張をとった者の一人でありますが、今回の定数是正案についても、先ほど石井議員の質問にもありましたけれども、暫定的なものである、減らすところは減らさないでふやすところはどんどんふやしていくと、これまた片方の定数の不均衡をつくり出す、当然だと思います。
 ですから、いままで政府は、特に政党本位の選挙制度と定数是正とをできたら一括してやりたいという希望でありました。しかしながら、今回切り離してやるということになった。私は、一歩でも二歩でも前進するならば、あるものに不備があるから全部できないということですべてだめにするというよりも少しずつ前進さしていく、そういう姿勢も大事だと思います。今回の定数是正に関して、将来、歯どめというもの、より定数の不均衡を是正していくという立場において、大枠、根本方針を政府は持ってそれを積極的に働きかけていく態度がさらに必要だと思うのであります。特に今回の定数是正においても、過少代表と過剰代表の差はかなり大きいのです。やはり衆議院と参議院、いま日本の政治制度の中で二院制度がある限り、両方それぞれ関連があると思いますが、衆議院の場合は、その根本的な基準は人口基準だと私は思うのです。そういうことを考えますと、中には衆議院の場合でも地理的とか領土とか、まあ面積も入れろと言う方もおられると思いますが、やはり衆議院の場合は人口を基準にして、しかも最少の人口と最大の人口の偏差を一対二あるいは一対三、どこまで持つか、この二点を明確にして、五年後、十年後にもこういう改正がなされないならば、今回の定数是正をしても近い将来においてまた新たな不均衡が生まれる。減らす方は非常にむずかしいと思いますが、こういう考え方について政府はどういうように思っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
#64
○福田(一)国務大臣 全体として定数をどのくらいに人口の面から見てやっていくべきか、そして定数是正の基本観念を人口というところに置いて問題の処理をしていかなければならないというお考えだと理解いたすのであります。
 これにつきましては、人口を主としてとるべきであるという意見が多数ではありますが、同時にまた面積というようなものも考えていくべきではないか、過去の事情も考慮の要素のうちに加えるべきであるという意見も、実は選挙法の審議をいたします審議会等においても出たことがございます。
 今日、私たちがこの法案を出しましたのは、ただいま冒頭にもお話がありましたけれども、これが絶対のものであるというような考え方に立っておるわけではございません。一応定数の問題につきまして各党の問でお話し合いがまとまっておる面があるので、これを取り入れてそうして実行に移すという意味を含めて、今回の法案では定数問題についてはそういう措置をとっておる。しかし、将来においてこれをどういうふうにしたらいいかということは、今後大いに研究をなすべき課題であると私は考えております。幾ら選挙民が減っても同じような定数をその区から選出すべきであるかどうかという問題も一つの研究課題になるであろうと思うし、またその差がどこまできたらばこれは当然やるべきものであるというのも一つの考え方であろうと思うのであります。
 ただ、私は大きく見てみますと、いままで高度成長をいたしますために産業経済構造を変えまして、そうして人口の移動の姿が非常に際立っていままでは行われておったわけでございますが、これから低成長ということになると、それほど人口の増減というものが地区によっていままでのような率で起こるとは私は考えておらないのであります。しかし、どんな事情によって人口の差が出てくるかわかりませんから、いま御指摘のような点も十分今後政府としては研究をいたしたい、かように考えておるわけであります。
 なお、この両法案につきまして、実は冒頭に申し上げればよかったかと思うのでありますけれども、これが完璧であってもうこれ以上のものはないというようなことではございません。けれども、政治資金規正法のごときはいままでしばしば俎止に乗せられておりながら実現を見ておらないということでございます。そこでこれは何としても、一歩でも二歩でも前進をさせるということが必要である、私はこういう観点に立っておるわけでありまして、ただ国会において論議が行われておったというだけでは少しも前へ進みませんから、十の目的を達するのにせめて五つでも実現をいたす、そしてその次にまたこれに追加をしていくというような物の考え方、そういう考え方に立って両法案を提出いたしておるのでありまして、いま定数是正の問題についても御質問がありましたが、私は、そういう意味で一つの前進として考えていただいて、しかし、今後またもっと根本的に研究をもいたしていかなければならない、かように存じておるわけであります。
#65
○小泉委員 ただいまの大臣の答弁から判断いたしますと、定数是正問題と選挙制度の抜本改正は別に一体として考えないということで解釈してよろしいですか。
 ということは、今回の定数是正、これもたびたび定数是正問題が起こるたびに、選挙の定数是正は選挙制度の抜本的改正と一緒にするのだというような議論が多く行われましたが、私自身、選挙の定数是正と選挙制度は別に一体とする必要もない、してもいいと思うけれども、何も切り離せない問題とは思っていないのです。これは現行の選挙制度の中で制度をいじっていないのです、不均衡だけを直すのであって。今回の定数是正が終わっても、また将来十年たてば当然制度をいじらなくても不均衡が必ず出てくると思うのです。そういう場合、また選挙制度の改正と絡めてじゃないと定数是正をやらないのか、あるいはもっと柔軟に、選挙制度の改革と現行選挙制度の定数是正とは全く切り離していいのかどうか、これはどうでしょうか。
#66
○福田(一)国務大臣 私はこの法案の成立をこいねがうものでありますけれども、この法案が成立したから来年改正してはいけないとは私は考えておりません。すべてその実情に応じて法律というものは改正するなりあるいは廃案にするなり、いろんなやり方があると思うので、実情に合わせるということが一番大事、そしてまたみんなの考え方に沿うように措置をしていくということが大事だと思うのでございまして、選挙制度全般についての改正の問題は、これは私は今度の法案の中には確かに盛り込んでおりません。したがって、暫定的なさしあたりの問題を解決したというだけでございますけれども、そういうような根本的な問題はこれからもひとつ大いに研究を進めさしていただきたいというのがわれわれの考えでございます。
#67
○小泉委員 定数是正の問題とは離れまして、よく政党本位の選挙制度を考えるとか、あるいは余り政党化は好ましくないとか、いろいろ政党という言葉が使われます。地方選挙におきましては政党隠し、政党の名前を表面に出すと知事選挙とか市長選挙が余り芳しくないということがある。また、ある一面においては政党を育成しなければいけない、健全な政党として発展させなければならないと言いながら、同時に参議院なんかの改革を見ますと、余り政党化は好ましくないという議論も行われておる。
 私はこれはおかしいと思う。政党の健全な発展なくしては民主政治の健全なる発展もあり得ない。政党は本来善であり、公共性を考えるなら一番公共性の高い存在が私は政党だと思う。一方では政党本位の選挙制度、政党を育てると言いながら、参議院の改革などを見てみますと、マスコミでも、政党化は余り好ましくない、また知事選挙、市長選挙においても政党を隠した方がいい。これは非常にいろいろと論議の余地がありますけれども、やはり本来政党というのは善である。多くの人々が自分の考えに近い政党に参加して、その政党を育成することによって民主政治の健全な発展もあり得るのだということを考えれば、参議院にしても衆議院にしても、政党を育成するというふうな方向の選挙制度に前向きに取り組んでしかるべきだ。参議院で政党化が進むというのをあえて避ける必要はないと思うのです。多くの国民が政党に参加してもらう、政党に理解を持ってもらう、これによってやはりこれからの選挙制度なりあるいは民主政治なりのよりよい方向を求めていかなければならぬと思うのですが、この政党に関して、大臣はどういうように考えておられますか。
#68
○福田(一)国務大臣 私も自由民主党に属しておる一人でございまして、政党政治ということが本来の議会政治の姿であるべきであるという考えでございます。したがいまして、参議院の場合においても、これは衆参両院においては政党政治というものを中心にした制度の改革でなければならない、こう考えておるわけでありまして、これは地方選挙とは相当違いがあると思っておるわけでございます。地方選挙の場合はいろいろと政党隠しというようなこともあるようでありますけれども、それが起きてくる理由はまた一つ考えてもいい面があると思いますけれども、いやしくも中央の政治ということであれば、政党政治ということでその真意を貫いてまいりたいというのが私の考えであり、政府のただいまとっておる考え方であると思っております。
#69
○小泉委員 定数是正問題は、今回の改正だけでなくて、これからも将来にわたる問題を含んでいると思います。でありますから、今回の改正で終わったという感じではなく、将来も一票の価値というものが地域によってはなはだしく不均衡にならないような、衆議院の場合においては特に人口の基準、そして過少代表と過剰代表の偏差をどこに、何倍ぐらいに置くか、これを考えながらこれからも定数の不均衡を改めていくという方法を政府はぜひ講ずべきだと思う。
 そして参議院の制度におきましても、いまの定数是正問題を含めていろいろな議論があると思います。全国区制、あるいは参議院の場合は必ずしも人口の比例に合わないという選挙制度も考えられる。地域、県代表あるいは都代表、府代表、一県からそれぞれ二名ずつ一律にやるという場合も考えられると思います。
 そういう問題を含みまして、今回のこの定数是正問題が一段落――一段落は一段落でありますけれども、将来引き続き継続している問題だという考えを持って、これからの政府はより公正な選挙制度を目ざして努力していただきたい。
 それで次の問題に移りますが、今回の公選法改正案の骨子、主な柱であります、できるだけ公営を拡大していく、まあ金のかからない選挙ということでありますけれども、今回の改正案で、選挙運動用自動車を無料で使用することができる、ポスター等について無料で作成することができるとなっておりますけれども、大体どのくらいの額を政府は候補者に与えようと思っておるのですか。
#70
○土屋政府委員 ただいまお話のございました選挙運動用自動車の使用でございますがこれについてはいろいろな態様がございます。会社によってもいろいろ違うわけでございますが、私ども、まだ最終的に詰めた額を持っておるわけではございませんけれども、いろいろと検討いたしました結果、一日借り上げて大体五万円前後ということになるのではないか。それは政令で最高限度を決めまして、その範囲内で業者に支払いをするというような形で考えておるわけでございます。
 それから、ポスターにつきましては、これはいろいろ考え方がございます。たとえば全国区のように一回で十万枚も刷るような場合は、これは単価がぐっと変わってくるわけでございます。そしてまた、衆議院のような小さな選挙区のある場合、これはポスター掲示場があるわけでございますが、一番少ないのは千にも満たない数百というところもあるわけでございます。そうなってまいりますと非常に単価が高くなってくるわけでございます。
 したがいまして、衆議院の場合、実際にポスター掲示場に張られた、それをもう一回ぐらい張りかえるといったような枚数があるという計算をいたしました場合にどれくらいになるかというのは、その単価いかんにかかるわけでございますが、少数の場合は印刷するのと紙代で五十円以上はかかるであろうと考えております。しかし、参議院の十万枚の場合は、私ども会社で調べてみますと一枚大体三十円ぐらいで終わりそうな感じがしておるわけでございます。大体そういう感触で、もう少し精査をいたしまして、政令でどの程度のものにするか決めたいというふうに考えておる次第でございます。
#71
○小泉委員 選挙用のポスターの場合、特に衆議院の場合は公営掲示場に張る以外は実際にはできない。数も非常に少ないですね。そして一枚幾らという場合でも、個人によって、どういうデザインで、またどういう形でポスターをつくるかによっても額はすごく違ってくると思うのです。その場合はやはりどんなポスターをつくっても、どんなにデザインにこっても大体一枚幾らという形で支給するわけですか。
#72
○土屋政府委員 ちょっと漏らしましたが、確かにポスターの場合、紙代のほかにデザイン料というものがございます。そういったものも私どもとしては一応考えておるわけでございます。しかし、いまのお話のように、きわめて芸術的なりっぱなものをおつくりになって相当な額がかかるという場合とそうでない場合とでは非常に差がございますが、それを実際かかったものを全部というわけにまいりませんので、一応公営で公費で見ます場合には、大体このくらいの水準ということで関係方面を当たりまして、大体一応の額というものは考えておるところでございます。
#73
○小泉委員 大体の基準というものもいろいろあると思うのですけれども、公営掲示板ですから、候補者によっては選挙が始まってから終わるまで一種類のポスターしか使わない候補者もいる。そして候補者によっては五日ごとにあるいは一週間ごとに選挙期間中に二回も三回も四回も変える場合もある。そういうのは別にして、大体のある平均を出して、その基準に合った一部を支給するという考えですか。
#74
○土屋政府委員 そこらの基準を政令で定めることになっておるわけでございますが、たとえば、先ほども申し上げましたが、衆議院の場合は三回も四回も張りかえをなさるというものまで全部見るわけにはまいりませんので、大体一回二枚、張りかえ一回というくらいなことを基準に置いておるわけでございます。
 それから、先ほどはっきりしていなかったわけでございますが、デザイン料は大体十五万ぐらいあればいいのではないかという見方がございます。そういうものは紙代のほかに別途考えるということでございまして、そういったものが候補者と業者の間で契約をされまして、そしてしかるべき書類をもって業者から請求がございますと、一応政令で決めた額の範囲内であればそれを最高限度としてお支払いをする、こういうことになるというふうに考えておるわけでございます。
#75
○小泉委員 今回はポスターの作成とか自動車の使用の公営に関しては触れているが、選挙はがきについては触れてないのですね。いま衆議院の場合、選挙はがきか選挙区内で許されているのは二万五千枚でしたか、全選挙区、どんな人口の少ないところでもどんな人口の多いところでも一選挙区二万五千枚。そうしますと、人口の多い、有権者の多い選挙区と少ない選挙区――いま二万五千票で当選できる選挙区は奄美大島を除きましてどこもないと思うのであります。公営の拡大ということを考えれば、しかも今回非常に規則の多い選挙法である、その中で大っぴらにできると言えば、文書の場合は選挙はがきというものが非常に大きな位置を占めてくると思うのです。その場合に、もっと二万五千枚だけじゃなくて当選に必要な票、そのくらいの数までふやしてもいいと私は思うのですけれども、その辺どういうふうに考えておられますか。
#76
○土屋政府委員 いまお話がございましたように、確かに衆議院の選挙の場合では一律に候補者一人について二万五千枚ということでございますので、有権者の数の多いところと少ないところでは差を設けてはどうかということで、そういった議論があるということは承知をいたしております。私どもとしても、その点についてはかねがね議論もしておったわけでございますけれども、全般的にこういった法律で許されているもの、その他のいろいろなものもあるわけでございますが、そういう全体の中でどうしていこうかということでもう少し研究しようということで、実は今回の改正には間に合わなかったわけでございますけれども、いろいろと実情を研究して、ひとつ今後の問題とさせていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#77
○小泉委員 それと公営の中で、立会演説会というのは、選挙民から見れば、一つの会場に行けば各候補者全部の政見を聞くことができる。各政党、それぞれ各候補者比較検討できるという利点があると思うのであります。ところが最近テレビが非常に発達してきた、いろいろな情報もたくさん入ってくる。立会演説に行きますと、特定の候補者の演説が終わってしまうとぱっと退場してしまったり、ある特定の候補者が入ってぐるとどっと入ってきたりして、実情は各候補者の政見というものをまじめに、静かにそれぞれ比較検討して聞こうと思っておる聴衆が迷惑する場合が非常に起こっている。
 それで、これからより多くの有権者に対して、いままでの立会演説会本来の趣旨を生かそうと思えば、私はラジオなりテレビなりの利用というものをもっと大幅に活用すべきじゃないか。現在テレビにおきましては五分間以内で政見放送されておりますけれども、これまた一どきに候補者が集まるというわけにはなかなかいかない。ですから今後の選挙におきまして、これだけテレビが発達しているのですから、本来の立会演説会の趣旨、立法の精神、そういうものを生かすとすれば、やはりもっとテレビに対して各候補者がそれぞれの見解を述べ合い、あるいは討論する、議論するというような場、機会をもっと積極的に与えるべきじゃないかと思うのですが、今回それが抜けておりますけれども、政府はどういうふうに考えておりますか。
#78
○土屋政府委員 確かに立会演説会のかわりにテレビという意見はあろうかと思うのでございます。現にテレビの政見放送が数年前できました際に、従来の立会演説会を三分の一に大体減らすということをいたしたわけでございます。特に最近の立会演説会の状況を見ますと、それはそれなりで意味はあろうかと思いますけれども、これに参加する、いわゆる聴衆の参加する率、それがきわめて少ないわけでございます。前の衆議院選のときには全有権者の一・四%ぐらい、それから前の前の参議院のときはわずか〇・四%しか参集してない、そういったようなこともございますので、かなりな労力を使ってやるわりにはどうも効果が少ないのではないかといったような意見もあるわけでございます。そこで、それをどうするかということは別といたしまして、それにかわってもっと候補者の政見というものを国民に知らせるという方法がないかということで、テレビの活用などは一つのりっぱな方法であろうと思っておるわけでございます。
 ただ、テレビは御承知のように、特に民間放送の場合は半年ないしは一年契約というものもございます。そういった時間帯のとり方というのが非常にむずかしい点がございますのと、東京あるいは中京あるいは大阪地区、近畿地区、そういったところでは、いわゆる大電力圏ということで、中心部でやったのがその圏域に全部流れるという仕組みになっております。いろいろな技術的な問題もございますので、確かに拡充すること自体に異論を申し上げるわけではございませんが、技術的にどういうふうにやっていったらいいかということにはなお研究を要する問題がたくさんございますので、今後の課題としてひとつ検討さしていただきたいと思っております。
#79
○小泉委員 現在でも地方のテレビ局などでは、立会演説会の模様を録画して、それを放映しているところがあります。ところがそういうチャンネルをつけている世帯というのはまだわずかですね。やはりNHKなりほかの大きなチャンネルに対して、この立会演説会の模様を録画してこれをいい時間に放映させるという、こういうことを盛ることはできないですか。
#80
○土屋政府委員 若干の例を最近私も聞いておるわけでございますが、それを全般的に公営としてやるというようなことになるには、まだなかなか技術的な問題があろうかと思うのでございます。確かに大電力の地区では、いわゆるU局あたりを使えばある程度狭い地域にもできるといったようなこともございます。そういった利用の方法というのは、これは一つの方法だろうと思います。U局もずいぶんふえてまいっております。しかしながら、それをいま申しましたように全国的な問題として公営というかっこうでやっていくとかどうとかということになりますと、いろいろとまた技術的な問題がございます。御指摘の点は私どももある程度は承知しておる問題でございますので、今後なお検討させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#81
○小泉委員 公営の拡大というか、有権者に対してそれぞれの政党、候補者の意見というものをよく知ってもらう、理解してもらうという面において、いまの状況から考えればテレビが一番です。選挙公報もありますけれども、それよりも比較にならないほどテレビは活用ぐあいによっては各有権者に対して非常に理解を深める大きな手段でありますから、このテレビの活用について一段と積極的に取り組んでいただきたい、そういうふうにお願いしたいと思います。
 次に、町では何々後援会連絡所というポスター、看板がいまはんらんしております。現行法でも選挙期間中には実際の事務所としての、連絡所としての実体がないとやっちゃいけないことになっておりますけれども、取り締まれないですね。どれが本当に後援会の連絡所であるか、事務所であるか、全く実体がなくても、ただ候補者の名前をよく人に見てもらおう、宣伝してもらおうという目的でそういうようなたぐいの看板がはんらんして
 いる。これが今回できなくなる。これはいままでにやってあるのも今回の法案が通ると撤去しなければならないわけですね。そうですか。
#82
○土屋政府委員 お話のような立札、看板等が非常にはんらんをいたしておりますので、今回立札、看板等については一定の場合を除いて禁止の規定ができたわけでございますが、この点については、もちろんある時期に候補者となろうとする者等が自分の名を示すためにかけるものはできないものでございます。それ以前に適法にされておった、たとえばこの法律施行前に適法にされておったというものがございましても、それは撤去命令というものができるように今度改正をいたしておるわけでございます。それに従わなければこれは違反だということになるわけでございますから、その点は不公平のないように措置をするということにいたしておるところでございます。
#83
○小泉委員 今度はああいう立て看板ができなくなる。撤去しなければいけない。そうしますと、いまポスターでもベニヤ板をつけてありますね。中には厚いボール紙でつくっているポスターもありますね。これまた非常に金がかかる。この法律が通ると、そのようなポスターにベニヤ板を張ったり、しっかりした厚いボール紙でつくったポスターも外には張れなくなるわけですね。
#84
○土屋政府委員 今回の改正は、先ほども申し上げましたように立札、看板等目に余るもの、金のかかるものを規制しておるわけでございまして、一般的な意味では政治活動用のポスターについては規制をしていないわけでございます。しかしながら、ポスターでございましても、その掲示の形態が、ただいまのお話のようにベニヤ板で裏打ちしたものとか、あるいはプラスチック等で裏打ちをしたというかっこうで使用されますものは、その使用の態様からも何ら普通の立札、看板等と変わらないということでございますし、また、立札及び看板の類と同様に大量に掲示をされて選挙に金もかかるといったような原因ともなっておりますので、こういった掲示態様によるポスターは、この立札、看板の類ということで同じように規制をするというふうにいたしておるところでございます。
#85
○小泉委員 そうすると、この法案が通った後は、もう一切、通常の国会報告会とかその他の会合も、ぴらぴらのビラ以外外に張っちゃいけないという
 ことになりますね。
#86
○土屋政府委員 政治活動用ポスターでございましても、候補者の氏名等が掲示されておりますものは、プラスチック板等で張ったかっこうではできない。一般のポスターとして壁に張るといったようなことは許されるわけでございますけれども、ベニヤ板、プラスチック板等で特にそれを張るためにこしらえたものに貼付したもの、それは
 できないということでございます。
#87
○小泉委員 金のかからないということで今回の選挙法の一つの柱の中に公職の候補者等の寄付の禁止に関する事項があります。これも従来ならば社会の常識に合致するものは認められていた。選挙に関してはという禁止条項があったわけでございますけれども、選挙に関するのと実際の政治活動の区別をどこで引くかというのが大変むずかしいと思います。しかも現状から考えると、社会通念上からも、どこで選挙に関しての政治活動、あるいはどこが実際の特定の友人なり知人か、どこで不特定か非常にむずかしいということで、今回は一切選挙に関しても日常の政治活動に対しても寄付はできないことになっております。普通からいくと公序良俗に反するような法律かもしれませんけれども、これはやはりできるだけ政治家に金を使わせない、金がなくても立候補できる、金がなくても政治家になれるのだというようなそういう風潮を育てる意味においては、いわば画期的法律だと思うのであります。
 特に、いままでだったのならば自分の支持者、よく知っている友人、知人なりの亡くなられた場合などには、弔電だけでなく花輪とか香典も認められていた。しかし今回のこの法律が通りますと、よく知っている友人でも、もちろん単なる支持者でも花輪もできなくなる。しかも香典もだめなわけですね。あるいは病院に見舞いに行こうというときに、見舞いのお茶菓子も水菓子も、もちろん見舞い金も、よく知っている人でもだめになるわけですね。
#88
○土屋政府委員 いまいろいろお話がございましたように、寄付の禁止ということになりますと、寄付という概念が非常に広うございます。寄付というのは御承知のとおりでございますが、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。」ということでございますから、いま細かい点までお尋ねいただきましたが、そういったものも概念としては寄付には入るということになってくるだろうと思います。
 もちろん、考え方としてはいま一定のものは除外してございます。たとえば政治団体等に対するものとか、親族に対してするものとかいうようなものは除外してございますけれども、それ以外のものに、こういうものがいいという基準というものはなかなかできにくい。そこで何か一定の考え方を取り入れて区別するといたしますと、せっかく寄付を禁止した趣旨というものが今度はなくなってしまう。そこらで非常にむずかしい問題が出てくるわけでございますので、一応全般的に寄付に当たるものはやってはならないということにいたしたわけでございます。
#89
○小泉委員 常識からすると、いま大体政治家なり普通の人が行っている寄付行為、お見舞いもそうでありますけれども、亡くなった場合の花輪あるいは結婚式のお祝い金、あるいはアルバムとかを贈る人もいます。それから開店した場合には何かお祝い花を贈る、これも一切だめ。そしてよく知っている人にお歳暮とかお中元というのは、いま日本の社会では贈るのはある程度常識になっています。こういうものも公職にある限り一切できなくなるわけですね。
#90
○土屋政府委員 いろいろな形態が考えられますので、これは千差万別でございまして、いろいろな事態に応じて判断せざるを得ないと思うのでございますけれども、たとえば、ただいまのお歳暮といったたぐいのものは寄付になるので、選挙区内にある者についてはやれないということにならざるを得ないと思うのでございます。ただ、たとえば結婚式等で祝儀等出すのはどうかというようなこともございましたが、その場合も通常そこに出ておるものに対応して、大体通常考えられるようなものを出すというものであれば、そこを寄付とまで言えない場合もあろうかと思うのでございます。ただ実質以上のものを出したときには、その人のいろいろな社会的身分等から、通常なら寄付と言えないものを越えて必要以上によけいなものを出したという場合は、それは寄付とみなされざるを得ない。
 しかし、たとえばこういった例もあろうかと思うのでございます。一つの集会なり行事等で参会者の身分等に応じて、この程度の人は何千円、この程度の人は一万円といったかっこうで、特別に余分の会費を取るということがございます。そういった場合は、それじゃ低い人に比べてよけいに出しておる分は、オーバーした分は寄付かというようなことにもなろうかと思いますが、そういった場合には、全体としてその会の行事というものをその会費全体で賄うといったようなことで、たまたまそういうランクをつけたというようなことである場合は、特に寄付としては考えられないという場合もあろうかと思いますので、いろいろな事例に応じて、これは判断すべきものだというふうに考えておるわけでございます。
#91
○小泉委員 そうしますと、忘年会とか新年会の案内状をもらう場合、公職――市会議員も県会議員も国会議員もそうですけれども、会費幾らとか書いてないですよ。そうすると、手ぶらで行くと、あいつ気のきかないやつだというのがいままでの常識ですね。公職にある者はやはり幾らか御祝儀なりを包んでいなかければならない。忘年会とか新年会とか、敬老会でも運動会でも、いろいろな行事に招待の案内をもらっても会費が全然書いてない。その場合に、御祝儀袋に祝儀等を入れて持っていくのも寄付になるのですか。
#92
○土屋政府委員 いろいろと形態によって違うと思うのでございますけれども、そういった忘年会とかいったようなときに、招待を受けて行って飲み食いもするわけでございます。通常それに対応するものとして出すものは、実費的なものと考えられるものも多いわけでございますから、それを一々寄付であるといってとがめ立てをするということは必要はないだろうという気がするわけでございます。いろいろな例によって、またそのやり方によって変わってまいりますので、一々全部ここで申し上げるわけにもまいりませんが、実態に応じて判断せざるを得ないというふうに考えております。
#93
○小泉委員 もう時間が参りましたから終わりにしたいと思いますが、この法案に書いてないのですけれども、余りにも禁止禁止、あれもしてはいけない、これもしてはいけないとなると、やはり自由な国民の精神というか、出したい、あの人に出てもらいたいな、そういう素朴な観念までも封じ込めてしまう。現在、戸別訪問も禁止されております。ところが、選挙はよく足であるということが言われる。ということは、いろいろ足で訪ねて回って人を説得して入れてもらう。この戸別訪問がいま禁止されておりますけれども、戸別訪問というのは余り金がかからないですね。ビラみたいに大量につくって、金がないとできないというわけじゃない。そうすると、少しでも、あの人に当選してもらいたい、出てもらいたいと考える人ならば、自由に訪ねていったり頼みに行く、こういう戸別訪問を許すような方向を考えてもいいと思うのですけれども、これはどういうふうに考えていますか。
#94
○土屋政府委員 ただいまお話のございましたように、何でもかんでも禁止禁止ということが多いことは、これは決していいことではないと思いますし、おのずから自主的に、公明に、明るく選挙が行われるということは、これは必要なことだと私どもも考えておるわけでございます。
 そこで、戸別訪問の自由化についてのお尋ねがあったわけでございますが、これも賛否両論がいろいろございまして、過去の選挙制度審議会においてもいろいろ議論されたわけでございまして、御承知のように、第五次の審議会のときには、一定の範囲内での戸別訪問を認めるべきであるという答申まで出ておるわけでございます。その後、最近の第七次選挙制度審議会においても、いろいろと議論をされたわけでございますが、その中では、原則として自由化すべきであるという意見が多かったけれども、買収の機会を与えるということ、大量動員のために著しく金がかかる、あるいは一般国民に迷惑をかけるおそれがあるといったような理由で、禁止すべきであるという意見も述べられたということでございますが、全般的には戸別訪問というものが本来有効な選挙運動の手段であるということ、実際問題として禁止をしても実効ある取り締まりをすることはきわめて困難であるということ等の理由から、戸別訪問の禁止は原則として撤廃するといったような意見の方が強かったようでございます。
 ただ、その際にも、自由化しても一応、訪問人員、訪問時間、訪問場所、退去義務等について、必要な規制を設けるほか、戸別訪問する者の総数を制限するといったようなことにしてはどうかという意見の方が強かったように聞いておるわけでございまして、全般的に見れば自由化すべきであるという意見もかなりあるということでございます。
 ただ、現在までは、選挙の公正とかいろいろな意味合いもございまして、禁止をされておるわけでございますけれども、将来、政党本位の選挙制度なり何なり、そういった検討をされる中で、選挙運動そのものをどういう形のものに持っていくか、選挙運動のあり方全体の中で戸別訪問もどうするかということを十分検討すべきであるというふうに考えておるわけでございます。結論が出ておるわけではございませんが、今後の検討事項であろうというふうに考えております。
#95
○小泉委員 今回のこの両法案、ともに行き過ぎから来ていると思うのです。過ぎたるは及ばざるがごとしと言いますけれども、私は思うに、過ぎたるは及ばないよりも悪いと思っていますけれども、すべて行き過ぎから、今回何とか政治に対する信頼を回復しようということで両法案の提出を見た。いろいろ問題点はありますけれども、やはり法律がすべてではない、法律も限界があるわけです。社会的道徳観あるいは倫理観、あるいは国民の政治に対する教育というか啓蒙活動、これにもまたなければならないわけですから、いろいろ問題はあると思いますが、やはり行き過ぎを是正しないと、選挙全体、政治全体に対する不信がますます広がってくる。
 政治不信についてだれも得するわけじゃないと思うのです。自民党も、政治不信があれば何も得になるわけではない、損をする。社会党も、その他の野党も、政治不信で喜ぶ政党はいないと思うのです。まあ強いて言えば、政治不信を喜んでいるのは、独裁者とか現行の議会政治を否定する勢力というのは、政治不信があればいいかもしれませんけれども、だれだってこの政治不信を何としても少しでも取らなければいけないという、そういうことから来ている。
 今回の両法案、ともに節度を保とうというのが、この精神の骨子だと私は思います。そういうものから考えれば、百点満点とはいかなくても、現行よりも数歩前進したものである。でありますから、この両法案の成立に政府も確固たる、不退転の決意を持って通過させよう、積極的な努力を期待して、質問を終わりたいと思います。
#96
○小澤委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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