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#1
第075回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号
昭和五十年五月二十八日(水曜日)
    午後零時二十一分開議
 出席委員
   委員長 小澤 太郎君
   理事 奥野 誠亮君 理事 吉川 久衛君
   理事 久野 忠治君 理事 小泉純一郎君
   理事 小山 省二君 理事 阿部 昭吾君
   理事 山田 芳治君 理事 津金 佑近君
      石井  一君    小島 徹三君
      佐藤 孝行君    笹山茂太郎君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      村田敬次郎君    大柴 滋夫君
      佐藤 観樹君    山本 幸一君
      林  百郎君    浅井 美幸君
      林  孝矩君    小沢 貞孝君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        自 治 大 臣 福田  一君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        内閣法制局第三
        部長      茂串  俊君
        自治省行政局選
        挙部長     土屋 佳照君
 委員外の出席者
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  秋山陽一郎君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  山本  武君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第六〇号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第六一号)
     ――――◇―――――
#2
○小澤委員長 これより会議を開きます。
 ただいま日本共産党・革新共同及び公明党両党の出席がありませんので、理事に連絡していただきます。
 速記をとめて。
    〔速記中止〕
    〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
    …………………………………
    〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
#3
○小澤委員長 速記を始めて。
 ただいま両党の出席がありましたので、議事を進めます。
 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び政治資金規正法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、大柴滋夫君の質疑に際し、放送関係者に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。
 また、ただいま決議いたしました参考人とは別に、両案の審査のため、学識経験者等に参考人として出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#8
○小澤委員長 前回に引き続き質疑を続行いたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津金佑近君。
#9
○津金委員 私は、まず最初に、福田自治大臣に今回提出されました政府案と従来審議が続けられておりました小委員会との関連の問題について、冒頭若干質問をいたしたいというふうに思います。
 御承知のように、昨年の七月三十一日の理事会におきまして、自民党側の提案で小委員会が設置をされたわけであります。この当時、自民党国対委員長は福田さんがやっておられたと思いますので、その間の事情はよく御承知のことだと思います。以来十一回の審議が今日まで続けられまして、その間衆議院の定数是正における基本的な合意など幾つかの大きな成果を上げながら今日に至っておることも、御承知のとおりであります。こうした中で、政府案が提出される直前の三月二十六日の小委員会におきまして、小委員会における従来の経過を十分尊重するよう政府に要望することが与野党一致、満場一致で決定をされました。この要望は久野小委員長代行によって政府に伝えられたことだと思いますが、この際、この小委員会一致の要望に対する政府のお考えを改めてまずお伺いしておきたいというふうに思います。
#10
○福田(一)国務大臣 確かに私が国対委員長をいたしておりましたときに委員会を開き、そしてまた小委員会ができて大変いろいろ御審議を願いました。小委員会においては大体、衆議院において総数二十名定員を増加する、それからふえた選挙区が、いわゆる中選挙区制をとっておりますから、六名以上になった場合には分区をするというような趣旨のお話を承っております。そういうことも含めて今回の法案を作成したつもりでございます。
#11
○津金委員 小委員会は、大臣も御承知のように、すでに五つの議題を決定いたしまして、その議題に沿って審議が続けられておるわけであります。現在までに基本的な合意を得たものは、衆議院の定数是正に関する問題でありますが、引き続いて参議院の定数是正、政治資金規正法などなど予定された議題に従って今後も審議を続ける、しかも、それは本委員会における審議と並行して審議を続けるということが小委員会で確認をされておるわけでありますが、そういう今後の小委員会の審議の経過、そこで出された結論というものを基本的に尊重するという姿勢を貫かれるおつもりかどうかお伺いしておきたいと思います。
#12
○福田(一)国務大臣 委員会の運営は委員会においてなさることでございますから、委員会において小委員会をおつくりになってそこでお決めになるということは、その自主性を私たちは認めなければなりません。しかし、政府はできるだけ尊重はいたしますが、委員会で決まったものは全部何でもお引き受けするというわけにはこれまたいかない。それは立法府と行政府との間における一つの区別といいますか、国政に関する仕事の分担がございますから、小委員会でお決めになれば何でも私たちがそれをお引き受けするということをここで申し上げるわけにはまいりません。しかし、委員会でお決めになればできるだけこれを筋が通っておれば尊重をするということは、われわれとしてはお約束できることだと思っております。
#13
○津金委員 現在この小委員会において論議が行われている問題は、いわゆる一般重要法案という問題とは性質を異にする、いわば選挙制度にかかわる問題でございます。この問題は、議会制民主主義並びに政党政治の根幹にかかわる重大な問題であることは、私がここであえて強調する必要はないと思います。したがって、これらの問題は、党利党略的な立場から論じられるものではなくて、各党がこれらの問題に関する意見を率直に出し合い、小委員会のような自由な討論、いわば円卓式で意見を互いに交換し合って、その中で譲るべきものは譲り合い、意見の一致点を見出していく、こういう中で全体の合意をかち取るというのが最もふさわしい方法ではないかと私は思うのです。衆議院の定数是正の問題につきましても、いろいろな問題に関する意見の違いがあったわけでありますが、何はともあれ二十人の定員増という点で大きな一致を見たのも、そういう小委員会における審議の一つの成果であったと私は考えるわけであります。
 そういう意味において、今後議題として予定されている問題はきわめて重大な問題ばかりでありますので、やはり小委員会における審議の経過とその一致点というものを尊重されていくということがきわめて大事であるし、また、これがこうした選挙制度の問題を論議する上で最良の方法ではないかと感ずるのであります。
 そういう意味で、先ほどの意見を申し上げているわけでありますが、その点に関してもう一度御意見を伺っておきたいと思います。
#14
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、小委員会で全会一致で決まったものであれば、それは極力尊重いたしたいと私は考えております。
#15
○津金委員 ところが、御承知のように、今回政府は政府案を出されました。この中には、いま自治大臣が申されましたように、衆議院の定数是正問題など小委員会において合意をかち得た問題も取り入れられておるということは事実であります。しかし同時に、これらの問題の中には、小委員会においてまだほとんど論議もされていない、かつまた、重大な意見の対立をもたらすことが当然予想されるような問題も含まれているのであります。しかも、これらの問題については、小委員会においてすでに議題が予定され、その審議が継続されていくということが明らかになっているにもかかわらず、その審議の促進を待たずして、大きな議論の対立を招くことが明らかな問題を含めて政府は政府案をお出しになった。もちろん政府に法律提案権があることは一般論としては承知しておりますが、先ほど来申し上げている選挙制度という問題の本質から考えて、やはりこの点は小委員会のいままでの経過を結果的には無視するという事態になりはしないかと私は考えるわけであります。
 その点、福田さんは当時自民党の国対委員長として小委員会の設置とその審議を大いに促進されるという立場にあり、今度はその小委員会の審議経過を待たずして、議論の対立が明白な問題を含む政府案を出されて、審議をどんどん促進される、こういう点は、こうした問題を論議する上で好ましくない、やはり小委員会を軽視する結果にならざるを得ないのではなかろうか。
 その意味において、さっき申し上げたような、小委員会における合意をあくまでももとにしてこれらの法案の成立を図るために努力さるべきだと私は考えるわけでありますが、この点についての御所見を承りたいと思います。
#16
○福田(一)国務大臣 ただいまいろいろの問題について、そのうちの一つが決まっておった、そのほかの問題はまだ決まっておらない、それが決まってから政府は提案をしたらいいではないかという御質問のように私は受け取ったわけであります。もしそうだといたしますならば、小委員会で話がつくまで法案は出せないということになって、せっかく小委員会で満場一致で決まった定数の是正が実現されない。果たしてこれでいいものかどうか、これはよほど皆さんにも考えていただきたい。
 小委員会で決まったものはできるだけ尊重して実現するという態度をとりますと同時に、やはり政府には法案の提案権があるのでありますから、政府の見解としていろいろな問題について案を出して皆さんに御審議を願うということは、私は小委員会を無視したものではないと思っております。小委員会で議題が決まるまでは一切法案の提案をしてはいけないということでは、果たして小委員会をつくった目的が十分に完遂できるかどうか、問題だと思います。
 私は、小委員会で決まったことは極力尊重いたします。各党で話が決まったらですね。ところが、いまあなたもおっしゃったけれども、完全に意見が対立する問題がある、その対立した問題が解決するまでは法案の提案をしてはいけない、言葉を返して恐縮ですが、そういうことにもなるのではないかと思います。われわれとしては、決まったものはもちろん尊重いたしますが、その他の面においても政府は提案権を持っておるのでありますから、法案を出して皆さんに御審議を願う。私は本会議でもそういうことを申し上げたわけでありますが、御審議を願って、そして皆さんの一致した修正の案でもあれば、これはまた当然われわれとしても考えなければならない。
 しかし、最後にどうするかといえば、国会は多数決の原則を認めなければ民主主義政治というものはできないと思う。また現在の憲法はそれをちゃんと認めておるわけでありますから、そういう趣旨に基づいて国会の運営をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#17
○津金委員 いま自治大臣も言われたと思いますが、もう一度お伺いしておきます。
 小委員会において審議を尽くして、定数是正の問題のように、いろいろな困難があっても意見が一致したものを取り上げていく、それが非常に好ましいということはお認めになりますか。
#18
○福田(一)国務大臣 そういうものを無視するということは絶対できません。小委員会で一致したものならばということでありますが、私は実を言うと、その小委員会が本委員会の中においていかなる地位を占めておるかということについてはまだ明らかに話を聞いておりませんが、小委員会はこれからもおやりになるのかどうか、おやりになるということであれば、小委員会で決まれば、それはもう尊重いたすべきである、かように考えております。
#19
○津金委員 その問題についてもう一つだけお伺いしておきますが、小委員会の議題は、先ほども申しましたようにすでに決定されておるわけです。その中には論議を尽くすことによって十分与野党の一致をかち取り得ると思われる問題もたくさんあります。そして、そういう形で論議を尽くした方がよりいい結果が生まれるであろうと予想される問題もたくさんあるわけです。
 ところが、そういうふうな方向にまだ審議が進んでいないのです。しかもその審議が進んでいない最大の原因は、定数是正問題をめぐって十一月十九日から三月二十日までの四カ月間にわたって小委員会は中断をした。これは定数是正問題をめぐる自民党側の態度の決定がおくれたことによって、四カ月間の事実上の中断が起こったのです。したがって、小委員会をもっと予定どおり進めていけば、小委員会自身もっと大きな成果を上げられたということも予想され得るわけであります。
 そういう現実の条件を考え、そうしてしかもそういうことが小委員会の論議が十分尽くされれば、よりよい成果が上げられるということが明らかであるにもかかわらず、今日のような明白に意見の不一致をもたらすような問題を出すことは、私はやはりこの選挙制度の審議のあり方から見て適切な方法ではないというふうに考えざるを得ないのでありますが、そういう時日の経過、それからその中での自民党の責任の問題を含めて、この点について最後にもう一度御意見を伺っておきた
 いと思います。
#20
○福田(一)国務大臣 小委員会の審議が数カ月間停滞をしたというようなお話がございますが、それは各党の間でひとつ円満にやっていただきたいということを申し上げたいのであります。
#21
○津金委員 各党じゃない、自民党です。
#22
○福田(一)国務大臣 それから、いまあなたは、私がまるで自民党の代表としてここでお答えをせなければならぬようなお話ですが、それは私は与党から出てはおりますけれども、しかしやはり政府というものと国会というものは、たとえそういう形で内閣というものができるにいたしましても、これは一つのけじめというものがあってしかるべきだと思うのでありまして、小委員会で決まったものをそのままにしておいてはいけませんから、われわれはそれを実現するためにこの法案を出すと同時に、小委員会で決まっておらない面も入っておると思います。しかし、これはあなた方小委員会の意見を尊重しているというたてまえでやっておるのでありますが、もし皆さん方の間で、これからでも話し合いをされて一致することがあれば、私はこれを修正することはやぶさかでないということを本会議においても申し上げておるわけであります。
 でありまして、今度の国会でだめならば、あるいは次の国会になることもあるかもしれません。しかしいずれにしても、各党の間でできるだけ話し合いを詰めて、一致したものを実現していくというのが、いわゆる選挙に関する土俵をつくっていくのでありますから、やはりそこで選挙運動あるいは優劣を争うということであれば、私はできるだけ各党の意見を尊重するということで、まとまったものから実現をしていくというのが私は筋ではなかろうかと考えておるわけであります。
#23
○津金委員 それでは問題を先へ進めたいと思いますが、この衆議院の定数是正の問題について、区割りの問題がまだ残っておるわけでありますが、この点について区割り案の作業を小委員会が自治省に一定の条件、考え方の基準を明らかにして、その試案の作成を依頼しておるわけでありますが、この区割り案はできましたですか。
#24
○土屋政府委員 小委員会のお話もございまして、私どもかなり作業を進めてまいっておりました。かなりなところまででき上がっておりますが、二、三の詰めが残ったままで、もうその点が解決すればできるという段階ではございます。最終的に完全なものとしてでき上がってはいないわけでございますが、提出する時期がいつになるかわかりませんが、出さなければならない時期にはちゃんと整理をして出したいというつもりでおるわけでございます。
#25
○津金委員 前回の小委員会においてこの問題について土屋選挙部長は、大体五月上旬をめどに作業を完了する、ただ関連の資料その他を整備するということもあるので三、四日の余裕が必要かもしれない、こういう趣旨の発言をあなたはされたことを覚えておられると思うのです。そういうことからすると、現在すでに五月の末でありまして、当然もう作業は完了をしているはずではないかというふうに思うわけでありますが、小委員会側から提出せよという要望があればすでにできていなければならぬはずでありますが、その辺はどうなっておりますか。
#26
○土屋政府委員 ただいま仰せのとおり私お答えもいたしました。したがいまして、かなりもう完成に近いところまで来ておったことも事実でございます。ただ、その後、いろいろ国会状況等もございまして、私どももその詰めが最終的にできていなかったということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、二、三の点が残っておるというところでございまして、今後そのために大変日数を必要とするといったような状況にあるわけではございません。最後の詰めのところへ来ておるという状況でございますので、先ほども申し上げましたように、提出する必要が生じましたときは、それはどんなことをしてでも私どもとしては整理をするという覚悟を決めておるわけでございます。
#27
○津金委員 提出する時期が来たらと言いますが、あなたはそれをどういうふうに判断しておられますか。
#28
○土屋政府委員 先般のお話のとおり、小委員会に自治省の案という形で出せということでございます。
 私は、先般もお答え申し上げましたが、自治省案ということになれば、当然これは私一人で決めるわけでもございませんので、一応いつまで作業を進めていつの小委員会に出すかということを大臣と相談をしてお答えいたしますということを申し上げておったわけでございまして、その小委員会に出す時期ということを考えて、必要なときに間に合うように出したいという気持ちは変わらないわけでございます。
#29
○津金委員 そうすれば、小委員会がその提出を求めればいつでも大体出せる、こういうふうに判断してよろしいですか。
#30
○福田(一)国務大臣 私は、小委員会というものの運営が、当委員会の中でどういう運営の仕方をされるのかということをまだはっきり存じておりませんが、これは委員長から私のところへお話があれば、これは出さなければならないものである、こう考えてはおります。
 しかし、この問題は、ひとつ皆さんにもお考えを願いたいのでありまして、たたき台として出すというような形では私は困難であると思っております。お任せを願えるならばわれわれとしては出しますけれども、たたき台として、みんなで各党がこれをよこせ、あれをよこせというような奪い合いをすることになるようなことでは、私はかえって出すことが非常に混乱を招く道になるかと考えておりますので、出すというのならば、われわれも責任を持って出すわけであります。一応これが一番いい方法であるという案を出すつもりでございますから、それを認めていただけるのかどうかということが問題だと思うのであります。
 そこで、意見の相違等々は、いろいろまた出た場合に、意見が完全に一致しなかったらどうなるかというようなことについても、よくお話し合いを、小委員会においてもあるいは当委員会においても、お詰めを願っておきませんと、そういうものは、御案内のように人口をいろいろ分ける分け方は幾通りも出てくるものです。それを一々、一つの党が反対だからといって、それを直すとか、この党にはプラスであるからこうするんだとかというようなことになっては、私はかえって案を出して混乱を導くことになると思いますので、そこらは、自治省案を出せということでございますれば、われわれをある程度信頼をしていただけるのかどうかということは、ひとつ皆さんの間で御相談をはっきりしておいていただきたいと思います。
#31
○津金委員 いまの自治大臣の発言は非常におかしいですね。というのは、小委員会の結論は定数是正問題についていろいろな紆余曲折があったが、二十人増というところでみんなが歩み寄って結論を出した。問題は、区割りの問題が残った。この点については、その人口比あるいは地理的条件それから行政区の歴史的な経過等々、一定の基準を小委員会で設定をいたしまして、その基準に沿って社会常識的に見てまた国民の大方が納得できる合理的な案、これに基づいて自治省で試案をつくる。しかし、この最終的な確定は、小委員会の責任において決定し、本委員会に提出する、こういうことに今日なってきているわけであります。
 あなたのいまのお話を聞いてみると、自治省側に白紙委任しなければ出せない、こう聞きかねないような発言ですが、そういう意味ですか。
#32
○福田(一)国務大臣 私が申し上げたのは、いまあなたが提示されたような要件、たとえば人口上か行政区とか、いろいろそういうような面を考慮してやりましても、いろいろまたやり方が選挙区によっては二通りも三通りも出る可能性がございます。そういうことがありますから、いまあなたが申されたような条件を無視して区割り案をつくるなどということは毛頭考えておりません。
 しかし、そういうことを考慮して出すのでございますが、出したのを一党が反対だ、おれの方はだめだ、こう言われて、ほかの方はみんな賛成だと言われたという場合にどう処理するのか、こういうことを小委員会としても当委員会としても十分に御検討をいただきたい。われわれは筋のないことをむやみに頭から押しつける、もちろんそういう考えはございません。それは人口の問題とか従来の行政区の問題であるとか、そういうことも十分勘案をいたすべきであると考えております。
#33
○津金委員 小委員会の決定は、あなた先ほどから小委員会の様子がよくわからぬということを言われますが、それでは困るのです。その間の事情はそんなむずかしいことはありませんから、よく調べていただけばすぐ明快にわかることなんです。
 問題は、小委員会の決定はいまあなたがおっしゃったような、これは議員一人一人のいろいろな利害に直接かかわるからそういう議論をやってはいかぬということは、小委員会のメンバーはみんな自覚しておるのですよ。だから、さっき言ったような一定の判断の基準というものを小委員会側から提示して、それに基づいていわば第三者である自治省の方で、直接議員がタッチしないところで一応の試案をつくって、それを小委員会がいまの大局的見地から判断し、責任を持って決定する、こういう申し合わせになっておるのです。そのことは土屋さん百も承知のことです。
 それをいまのあなたのお話では、小委員会は信用できない、小委員会をやればもうああでもない、こうでもないということになってしまってまとまらぬ、だから自治省に白紙委任をしていただけるのかということですが、これは筋が違います。それこそ小委員会を信頼しない、小委員会を尊重しない態度だと言わざるを得ないのですが、そういう小委員会の決定であるということを踏まえてお出しになるつもりがあるのか、それとも、あくまでも自治省側に白紙委任だ、小委員会では文句をつけずすぐ満場一致で決めるということを条件にしなければ出せない、こう最後まで言い張られるのですか。
#34
○福田(一)国務大臣 われわれといたしましては、いまあなたがおっしゃったような条件を入れて、そして案を出すつもりですが、その案を出した後にそれを認めていただけるのかどうかということ、一応は信頼していただかなかったら、区割りの仕方は二通りも三通りもところによってはございますから、それをここのところをこういうふうにすればいいじゃないかというようなことになりますと、これはほとんど決定が困難になると思うのであります。だから、いまあなたのおっしゃった条件は必ず満たすように努力はいたします。だから一応われわれを、あなたが言われたように第三者として公平な立場で決めたというものを信頼していただきたい、こういうことを申し上げておるのであります。
#35
○津金委員 あなた方がそういう公正な立場で試案をつくるであろうということをわれわれは期待して自治省に作業を依頼したのです。ですから、あなた方が出したものの最終的決定は、小委員会を信頼してそしてその審議の結果に基づいて決定するというのが当然の筋じゃないですか。長い間議論をしてもしようがない、もう一度聞きます。
 要するに任してもらうということがはっきりしないうちは出さない、こう言われるのですか。
#36
○福田(一)国務大臣 私は、まだ全部決まっておりませんから、実は小委員会に出す前に一遍委員長とか小委員会の委員長とよく御相談をしたいと思っておるわけですが、その点をまだつまびらかにいたしておりません。私は選挙部長からは、小委員会で何かそういうような意味で案をつくって試案を出せ、試みの案を出せというふうにおっしゃったという、その試みの案というところに私は一つのあれを感じておるわけです。試みの案ならばいつでも直せるのですからね。一応はそれは尊重するのだという意味が入っておれば、試みの案では、ちょっと私としては出しかねるということを申し上げておる。試みの案ということは、これはどうにでも動かせるということが入っておるわけでしょうね。
 いま、たたき台というお話も出ましたが、たたき台ということは、そのまま認めるというのじゃなくて、すべてそれは直すことあり得るということがちゃんと条件になっておると思うのであります。それはたとえばその場合小委員会の多数決でお決めになるのか、一人でも反対したらそれができないのか。(「そんな心配要らない」と呼ぶ者あり)いや、心配しないことじゃ……、そんなことあなたとやっておるわけじゃないんだが……(津金委員「私が質問したんだから、こっちを見て」と呼ぶ)こういう問題はお互いの間だからこう言って私はやっておるわけなんです。何も四角張って問答しようと思ってないからこういうふうにお話をするのです。
 試み案とかたたき台というのでは非常にやりにくいので、その場合はたとえば小委員会に出したらそれは小委員会の方で多数決で決めていただけるのか、あるいは小委員会で一人でも反対があればいけないのか、そこいらの点を明らかにしておいていただきませんと、かえって混乱を招くのではありませんか。そういう点もよくお伺いしてから出すようにいたしたいと思うのでありまして、まだ私のところへは選挙部長から何ら具体案を持ってきておりません。
#37
○津金委員 あなたのいまの意見は非常におかしいですね。小委員会がどのような方式をもって最終結論を出すかということはあなたにとやかく言われる問題じゃないですよ。これは小委員会の自主的な責任によって決定すべきなんです。あなたは、さっき小委員会の問題を言ったらすぐ政府と委員会というのは違うのだ、政府は政府のおのずからの権限というものがあるのだといって、そういう主張をされたでしょう。それと同じように、小委員会がどういうふうに決めるかということは小委員会の自主的責任によって決めるべきで、それをあなたがいまのような条件をつけるなんというのは小委員会に対する政府の不当な介入ですよ。
 ですから、もう一度申し上げますが、小委員会が出せと言った場合はお出しになりますか、それともいま言ったように、あくまでもあなたがいま言ったような条件について小委員会がオーケーを言わなければ出さない、こう言われるのですか。はっきり答えてください。
#38
○福田(一)国務大臣 その場合に小委員会がどういうような――いまこれはあなたは小委員の一人として御質問しておいでになるわけでありますが、与党の委員の方たちの御意見もよく聞いて、そして委員長等とも相談をして、その上で出すようにいたしたいと思います。
#39
○津金委員 それとの関連において一言お聞きしておきたいことは、あなたはいま申し上げたような小委員会の満場一致の決定を無視するような――小委員会はそういうことは決めてないのです。自治省に白紙委任する、そこで決めたものについては無条件でのむということは小委員会は決めてないのですよ。さっき申し上げたように決めている。これは小委員会の与野党満場一致の決議ですよ。それに対してあなたがそういうことをいろいろ、あくまでも条件めいたことを言われるということは、これは小委員会の尊重という先ほどの話とは全く違う結果に相なるわけです。
 しかもあなたは、一方においてはそういうことを主張し、先般も社会党の佐藤観樹議員の質問に対して同様の趣旨の答えを言われました。そのときの議事録も私読んでまいりました。しかし同時に、一方において、自治大臣は、前回の自民党石井委員の質問に対しては、大体定数の問題とか選挙区の区割りの問題というようなものは、何といってもこれは選挙という一つのお互いの土俵をつくるということなんだから、やはりある程度各党間において話し合いがまとまった形でないとかえって混乱を起こすことがある、こういうことをあなたは石井さんの質問に対して答えておられるのですよ。
 この立場、各党間の話し合い、いまあなたのお話では、与党の人たちには相談すると言ったが、野党と相談するというお言葉はなかった、いまの言葉では。各党間の話し合いの場というのは小委員会じゃないですか。あなたの石井さんに対するお答えといまの答弁は全く矛盾しているじゃないですか。これはどういうことですか、どちらが本心ですか、お答え願います。
#40
○福田(一)国務大臣 私は小委員会の与党の――与党も野党も、あなただけではなくて、ほかのお方の意見もどういうことになるのでしょうかということは聞くつもりであるということを申し上げたわけです。
 それから石井さんにお答えしたことはそう矛盾ではないので、できるだけみんなで一致するという立場をとりたいものである。しかし、できるだけ一致すると言っても完全にみんなが一致しなければ、じゃできないのかということになると、私は、区割りの問題は非常にむずかしいのじゃないか、こう思っておるわけでありまして、そういう点についても一応皆さん方が御相談があったのかどうかということも各党の委員の方にも一応お聞きしたいと、こういうことを申し上げておるわけで、それでその委員会でわれわれが出した案をお認めになると言うか認めないと言うか、それはあなた方の自主性の問題になるでしょう。しかし、そういう場合の措置の問題も一応はひとつお考えおきを願わないと非常に混乱をすることになりはしないか、はなはだ失礼なことを申し上げたかもしれませんが、私はそういう点をいささか心配をいたしましたので、先ほどのようなお答えをいたしたわけであります。
#41
○津金委員 あなたは自分の言われたことを矛盾してないと言われますけれども、いま言ったこの二つの問題はどこから考えても矛盾をしているのですよ。いま、ここに書いてあるように、各党一の話し合いがまとまることが必要だと言っておられますが、この話し合いの場というのは小委員会じゃないのですか。
#42
○福田(一)国務大臣 小委員会の場合でも、まとまる場合とまとまらない場合とあり得るのじゃないのですか。委員会というものは必ずまとまるとは決まっておらないと思うので、まとまる場合もまとまらない場合もあり得るのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけであります。
 私は、そのまとめ方の問題をやはり一応はお考えを願っておかないと非常にやりにくいのではないかということを申し上げたのでありまして、小委員長を信頼しないとかあるいは皆さんを信頼しないとかということではありませんけれども、われわれとして責任をもって出す以上はひとつできるだけ原案を尊重していただきたいという気持ちを含めて申し上げておるわけであります。
#43
○津金委員 こればかりやっておるわけにいきませんが、この点については、先ほど申しましたように、小委員会における与野党一致の決議に基づいて自治省に試案をつくってもらうということで作業を依頼しておるのです。そしてそういうことで今日まで作業を進められているということであります。あなた自身もこうした問題について各党の話し合いが必要だ、望むべくはそれがまとまることが望ましいということはお認めになっているわけだから、このことについては小委員会を信頼し、そして小委員会の論議を経て最終的な成案を見るために協力すべきだと思いますが、それでよろしいですか。
#44
○福田(一)国務大臣 私は小委員会を信頼しないなどとは考えておりませんから、どういう事情になっておるのかということも皆さんに聞いて、それから出すようにしたいと思っておるし、まだ案は私の手元に来ておりませんから、先ほど言ったようなことを申し上げておるので、小委員会を信頼しないという意味で申し上げておるわけじゃないのですから、私の気持ちはひとつくんでいただきたい、かように考えておるわけであります。
#45
○津金委員 それでは先に進みます。
 次に、今度の公選法改正案の中の最も重要な問題であるいわゆる機関紙などの規制の問題ですね、この点について御質問をいたします。
 今度の改正案によれば、選挙中選挙に関する報道、評論を行う機関紙誌及び一般紙、この無料配布の禁止並びに機関紙号外、ビラの配布の全面的な禁止、こういう問題が加えられているわけであります。私どもはこの問題は言論、表現の自由、政治活動の自由にかかわるきわめて重大な問題であるというふうに考えておるわけでありますが、どうして今度の改正の中にこのような条項を取り入れたか、その理由を具体的に述べていただきたいと思います。
#46
○土屋政府委員 選挙に関する報道、評論を掲載いたしました新聞紙あるいは確認団体の機関紙は、通常の方法で頒布しなければならないということは現行法でもあるわけでございます。しかし、最近におけるいろいろな選挙の実態というものを見てまいりますと、特定の候補者の写真とか氏名等を大きく掲載した新聞紙あるいは機関紙等が、特に号外という形を利用いたしまして、各戸投げ込みとか、あるいは街頭あるいは駅前広場、そういったところで配布をされるということで、大量にまた無償で無差別に配布をされるといったような状況が出ておるわけでございまして、こういった行為が通常の方法であるのかどうかということがなかなかわからない場合が多い。しかしながら、そういう形で配布されますと、果たして通常の方法かどうかわからなくても、一般の人にとってはこれは非常に問題がある、公正な状態ではないのではないかというような意見もかなりあるわけでございます。特に政党の機関紙の号外につきましては随時発行されるといったような性格からこういった弊害が出てくるおそれが多いわけでございます。そういった弊害を防止するためになかなか実効ある手段の確保ということもむずかしい。また一般紙とは異なる性格であるということにかんがみまして、選挙の公正を確保するために、選挙期間中はこれを禁止することとしておるわけでございます。
 しかし、政党の機関紙の本紙というのは号外と違って定期性があるわけでございますし、またこれは本来、現行法でも有償性というものが前提とされておるものでございますから、それは有償で配ってもらうということでございますけれども、別に禁止はしてない、そういうことで、申し上げるまでもないことでございますけれども、選挙期間中に限ってこの号外等の発行を禁止しておるわけでございますから、選挙期間以外のときは発行することはもちろん規制をされてないし、また本紙そのものも禁止しておるわけではございません。選挙期間中に限って号外で報道、評論をすることができないということでございます。もちろんその選挙に関する報道、評論が書いてなければ号外が禁止されておるわけではないわけでございます。また、そういったこともございましたので、御承知のように、新たに政党の新聞によります政策広告というものも公営で実施をするといったようなことも考えておるわけでございまして、全体的な選挙の公正を確保しながら、一方ではそういった手段も講じておるということでございます。
 で、繰り返して申し上げますが、選挙の期間中、選挙の報道、評論をした号外というものだけしばらくそれは勘弁を願いたいというようなことでございます。それは先ほど申し上げましたように、むしろ選挙の公正を害するおそれがあるという実態に基づいて判断をされたものでございます。
#47
○津金委員 選挙の公正を欠くという点を言われたわけでありますが、同時に、先般の質疑で福田自治大臣は、金のかからない選挙のためにもそういうことが必要だという趣旨のことを言われておるわけでありますし、また、この法案の趣旨説明の文章の中にもビラ公害云々というような言葉もありますが、そういうことも今度の処置をとられた理由の一つになっておるわけですか。
#48
○福田(一)国務大臣 選挙をなるべく金のかからないようにするということなどは一つの付随的な問題だと私は心得ておりますが、そういうことは確かに申し上げました。しかしビラ公害というのは、この前の前の知事選挙の問題のときには大変なことで、新聞その他からもビラ公害ビラ公害といってさんざんわれわれは非難を受け、そういうことを何か考えたらいいじゃないかという意見もあったわけであります。そこで今度の場合においては、ビラ、号外は認めませんが、新聞紙に一定の各党の政策というものを数次にわたって公示をできるようにし、スペースもよけい取るようにいたしまして、できるだけ政党の政策というものを、各党の政策を徹底させるという考え方をいたしております。
 まあ一部には、そういうことだけではないので、何か個人の意見も述べるようなチャンスを与えてはどうか、こういうような御意見も一部にあるようでございまして、その他の点もいろいろわれわれとしては場合によっては勘案せねばならないかと思いますが、いずれにしても、選挙というのは、私はふだんから政党もそれから候補者になる人も、できるだけ選挙区の人たちと接しで、自分の属しておる政党の考え方、あるいはまた自分の政治信念というものをみんなにわかってもらうように努力するということでございまして、選挙のときだけが運動といいますか理解を求める方法ではないと思うのです。
 それから、今までのを聞いてみますというと、やはりテレビ、新聞と、それからビラ、号外というようなふうに、ウエートが何といってもテレビにかかっておるようでありまして、テレビなどもできるだけもう少しふやすような工夫はないかということをわれわれとしても考えておるわけでございますが、いずれにしても国民によく理解をしてもらう、しかも公正な立場において理解をしてもらうという、そういう選挙運動に持っていくのがいいのではないかというのがわれわれの考えでありまして、言論の自由を拘束するというような意味でこの考え方を法案の中に入れたわけではございません。私たちとしては選挙を公正に行うという立場から、ビラ公害というような言葉がなくなるようにし、しかしまた、それを補うような施策も中に取り入れながらこの問題の解決を図ってまいりたい、こういうふうな趣旨で法案を提案いたしたということを御理解いただきたいと思うのであります。
#49
○津金委員 この選挙というのは、国民が主権者である立場に立って、自己の自主的な意思に基づいて政治に参加する重要な機会であることは、これはもう申すまでもないわけであります。したがって、選挙に際して政党が正々堂々たる政策論争を展開する、そして広範な国民はそれを通じて各党の主張、政策、こういうものを十分に知り、そして自己の判断に基づいて国の政治に自己の意思を正しく反映させる、当然なことだというふうに私は考えるわけであります。そういう点から見ると、機関紙による政策宣伝活動を一段と強化させる、その内容を充実させていく、これは私はやはり近代政党として当然努力すべき行為ではないか、こういうふうに考えるわけであります。
 こういうのに反して、こういう努力をせず、そして従来のようなそういういわゆる買収、供応、こうした形によって選挙を進めるということは、むしろ政党として克服しなければならない問題である、むしろ政党が、いま申し上げたように、機関紙の政策活動に関する能力を高めるということは、これはやはり近代政党としてむしろ奨励さるべき当然の任務ではないか、こういうふうに考えるわけであります。自民党自身、五十年度の運動方針の中にも自由新報を飛躍的に強化せよというふうな方針を掲げておられるのでありますが、この点に関する自治大臣の基本的な認識をお伺いしておきたいと思います。
#50
○福田(一)国務大臣 自民党におきましても自由新報をより一層充実をしていくということを決めておることは当然だ、いまあなたがおっしゃったように当然だと思う。しかし、それは何も自由新報というものは選挙期間中だけが任務ではございません。選挙期間以外のときにおいても、たとえば国会の運営その他についても、そういうことをよく知ってもらうという意味で努力をしていくということは必要である。
 それから、いまあなたがおっしゃったように、政党の主義、政策というものをより一層徹底して知らせるという意味においては、まあわれわれはビラ公害という問題がありましたから、そこで一般紙誌に相当なスペースを割いて、そして各党の意見が十分わかるように数次にわたってそれを出して、そして国民の皆さんに理解を求めるような新しい方途も考えたわけでございまして、決して政党の主義、政策を国民に知らせることが必要ないというような考え方ではございません。むしろそれはしなければならないが、しかし、そのことによって公害というような言葉が冠せられたのである以上は、これは一応ひとつここいらで禁止をしてはどうであろうか、しかも選挙期間中だけでありますから、選挙の前にお出しになることについてはわれわれはまだ何ともこれを禁止はいたしておりません。その選挙期間中だけであります。
 いま見てみますと、もう五人も六人も駅の前へ並んで、そしてお互いにビラを配りっこするなどというような姿は、私は余り好ましい姿ではないと思うし、実際そういうことをもうやめる、そしてやはり堂々と政策等々によってやる。いまあなたからもお話がありましたけれども、買収だとか供応だとか、そういうことでやるのはけしからぬじゃないか、私は買収や供応をやろうなんて考えたり、またそういうことを奨励したり、そういうことを認めたりしたことはございません。私は国家公安委員長でありますから、そういうものを厳重に取り締まれということを、昨年の暮れに各警察にも指示をいたしておるようなわけでありまして、そんな変な選挙運動を奨励するなどということは毛頭考えておりません。
 私たちとしては、いまそういうふうにビラの禁止をするかわりには一般紙にちゃんと、一般紙というのは各戸に入るわけでありますから、それに政策をみんな載せたスペースを一つとって、ある程度相当大きいスペースをとって、そして国民に周知してもらうようなことをやっておりますから、ビラにかわる方法として、駅の前くらいでまくとかあるいは各戸に配布すると言っても限度がありますが、新聞紙に出すということになれば全国各地へ行き渡るわけでありますから、われわれがとった方法のことの方こそが、いわゆる選挙の公正を期しつつ、各政党の主義主張を国民に徹底する方法ではないか、そうしていわゆるビラ公害と言われたようなものはこの際ひとつやめよう、こういうことを私は申し上げておるわけでございます。
#51
○津金委員 いまあなたも機関紙による政策宣伝活動を強化するということは、これは近代政党としては当然のことだということは認められておるわけでありますが、われわれがこれを日常不断にやるということは当然であります。われわれもそれはやっておるわけです。同時に私どもは、選挙という最も政治に対する関心が高まり、国民が知る権利を最大限に発揮し得るそういう場において、こういうものが保障されるべきだということを主張しているわけでありますが、そういう活動をすることを公正を欠くと言われましたが、これはどういうことですか。
#52
○福田(一)国務大臣 私は、ビラ公害というような言葉が出ておるから、ひとつそういうものを改めていくことが正しいのではないかという意味で申し上げたわけでありますが、機関紙はふだんも大いに宣伝広報をおやりになりますし、それから選挙期間中も本紙でおやりになることについて何ら差し支えないわけであります。しかし、もう候補者の顔写真やら何やらを入れて、全く選挙運動になるようなものを多数に街頭あるいは各戸に配布するというようなやり方は世間一般から非難を受けておりますので、ひとつこの際はそれを差し控えていただきたい。そのかわり、各戸に入れなくても新聞はもうほとんど日本では各戸に入っておりますから、その新聞にちゃんとある程度のスペースを割いて、そこに政策その他を掲げた宣伝の方法がありますから、この方が非常に公明な、だれから見てもいやがられないことになりはしないか、だから今度は公害と言われるような選挙期間中の号外はひとつやめるようにしてもらいたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
#53
○津金委員 いや、私が聞いているのは、ビラ公害という状況が非難をされておるか、迷惑であるかどうか、これはこれとして明らかにしなければならぬ問題だと思いますが、私は、近代政党としての当然の任務である機関紙活動を活発に行うということが、しかも国民がそうした問題に対する関心を非常に高めている選挙中に、それを行うということがなぜ公正を欠くということになるのか、そこを聞いているのです。
#54
○福田(一)国務大臣 公正を欠くという意味は、先ほども申し上げたように、公正というのはみんながどういうふうに見るかということで決まっていくわけで、公害というような言葉が出るようなものを出すことはこの際差し控えた方がいいのではないか、私はこういうことを申し上げておるわけであります。
#55
○津金委員 公害というふうにみんなが言っていると言いますが、それはだれが言っているのですか。みんなというそういうあいまいなことを言わぬでください。根拠を挙げてください。
#56
○福田(一)国務大臣 実はそういうことでございますが、これは四十八年の東京都議選なんかにおきましても、「一方的すぎる選挙ビラ配り」という投書が朝日新聞にあります。それから「ビラの押しつけはご免」であるとか「選挙ビラの後始末こそ大切」とか「めいわくな都議選ビラ」とか「都議選に厳しい青い目 無関心が過熱生む」「ビラ戦術にはもう食傷気味」とか、こういうような読者の意見が相当出ておりますし、それから実際問題として、毎日新聞あたりでは……(「みんなじゃないじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、私が申し上げておるのは、そういう意見があるというので、そういう言葉の一部のことだけを言わないで、私の真意をお互いに理解していただきたいと思う。もしみんなという言葉が間違っておるなら私は取り消してもよろしゅうございますが、新聞にはそういうふうに、たとえば毎日新聞なら「物量戦紙の山 四十五万人が三億枚」こういうような記事もあります。それから「興奮のタイム・アップ」というので毎日新聞に「帰宅の群集へ」云云というようなことがありますし、「ビラ洪水」というのが朝日新聞に出ておる。「足引っ張り合いむき出し あきれかえる有権者」こういうような記事が出ております。サンケイ新聞にも「連呼もカラ回り」とか「口害、紙害有権者、食傷ぎみ」こういう言葉がいろいろ出ております。
 そういうわけで、これは私の調べたものの一部ですけれども、だからそういうことがあったことは皆さんもおわかり願ったと思うし、今度の地方選の場合にも一部ではやはりそういうような問題も言われております。したがって、この際はひとつそういうものは差し控えるようにした方がいい、こういう意味で本紙は結構でありますけれども、しかし、ビラ、号外は選挙期間中はやめにした方がよろしい、こういうことを申し上げておるわけであります。
#57
○津金委員 どうも大臣のそのみんなというのは新聞の切り抜きをお集めになったそれが根拠のようでありますが、あなたがお挙げになったその新聞紙自身も、あなたがいま挙げたようなこととは違った角度からの論評その他がたくさん出ておるわけであります。私もそれに類するいろんな新聞を持っておりますが、あなたとここで両方でその新聞をぶつけ合ってみたところで意味はないと思いますが、たとえば、一つだけ申し上げておきますが、「自民党などは紙爆弾、ビラ公害と誇張しすぎるきらいがあるが、むしろ陰湿な形で行われているゼニ爆弾、ゼニ公害の方にこそ徹底的にメスを入れるべきであろう。」これは毎日新聞の社説でありますが、こういう論評もたくさんあります。御希望とあらば、そればかりやっておられませんから、そのとじ込みをあなたに差し上げてもよろしい。こういう点もある。
 それから、あなたは先ほど都議選におけるビラの問題についての投書を挙げられましたが、これもあなた自身御存じかどうか知りませんが、昭和四十八年の東京都議選における東京都選挙管理委員会の世論調査において、政党の機関紙、号外、ビラなどを投票の判断の基準にした、これが第一位という調査結果も出ております。いろんな調査結果があると思うのです。
 だから、ここでどちらの調査結果が正しいかということをあなたと論争する意思はありませんけれども、いずれにしても役立ったというふうに考えている国民もかなりおるということは事実です。あなたのようにこれが迷惑だ、こんなものは役に立たないというのが国民のすべてだ、こう言うのはあなたの一方的な論断なんです。やはりこういうものを役立てて投票をしている、そういう国民が少なからずおるというこの事実、これをお認めになりますか。
#58
○福田(一)国務大臣 私は、そういうことによって判断をした方がないとは申し上げません。しかし、先ほどのみんなというのは、私、少し言い過ぎであったと思うので、かなりの人というか、そういうふうに、あなたが言われたと同じ言葉でかなりの人が公害ということを言っておるわけなんです。かなりの人は、あるいはこれも一つの考え方であると言っておるかもしれません。しかし私は、買収だとかなんとかいうようなことをしてはいけないという新聞の御意見はごもっともなことだと考えております。したがって、新聞紙上においてビラ公害というようなことがいままで言われておったことをひとつ御認識をいただいて、私たちとしては、そういうことがやはり公害と言われておったのであるから、この際はひとつ差し控えて、そのかわり新聞紙上に、各新聞――各といいますか自分の望む新聞紙上でありますが、各党がある程度のスペースを割いてちゃんと政策をはっきり出すようなことを新しく、これは新しくですよ、しかもあれは三回かないし四回、いまは三回となっておりますが、どういうふうになるか、四回にせいという御意見もあるようですが、とにかく三回号外を出したのと同じですから、大したものですよ、全国に三回も号外を出しちゃうんだから。
 私はそういう意味からいって、決して言論の自由を圧迫することが目的でやっているのではなくて、むしろ公平に国民の皆さんにこの政党の政策というものをお知らせする道はこの方が、非常にやかましいこともなければ騒々しいこともないし、一部から非難を受けることもなしにやれると思うので、このやり方の方が正しいと考えたからいま提出をいたしたような法案にいたしたわけでございます。
#59
○津金委員 いま自治大臣もみんなというのは少し言い過ぎであったということを認められましたが、少なくともあなた自身のいまの答弁の中でも、あなたのような、そういうあなたが引用されたような意見もあれば、私が述べたような意見を持っている、それを十分選挙のときの判断の重要な材料として役立てている人も少なからずおるということをあなた自身認めておるわけです。認められたわけです。
 そこで、私が言いたいことは、こういうビラの、政党機関紙という問題については、このビラが必要であるかどうか、これが役に立つかどうか、こういうふうな問題については、これは何よりも主権者である国民の、有権者の判断によって決定すべきことであって、それをあなたのようにまさに一方的な判断で、これは国民が迷惑をこうむっておるということを一方的に断定している。その根拠は、大体新聞の切り抜きの程度であるということがわかりました。そういう判断でこのビラを法律をもって禁止するということは、私は重大な問題だというふうに思うのです。
 ビラについては、迷惑か迷惑でないか、いろいろな人があるでしょう。迷惑と思う人は受け取らなければいいのです。読まなければいいのです。しかし中にはそれを読んでなかなか役に立った、こういうふうにする人もいるわけです。それは法律をもって禁止するものではなく、主権者である国民の判断によって決すべきだ。これが私は当然の筋だと思います。
 あなたは新聞を出しましたが、この点については多くの新聞が一致して、いろいろなニュアンスはありますが、この点は一致して主権者の判断によって任すべきであり、法律によって規制すべき筋の問題ではないという点は一致した論調になっておるのですよ。そういう世論についてどう考えられるか、御意見を承りたい。
#60
○土屋政府委員 大臣からまたお答えがあろうかと存じますが、先ほど最初に趣旨を聞かれました関連において答えさせていただきたいと存じます。
 それは御承知のように、機関紙の号外その他でいろいろと政策等を浸透させるといったようなことも、確かにそれは考えとしてございましょうし、そういった政治活動というものの必要性もあろうかと存じます。また、選挙時になれば政治活動というものが活発化してくることも、これも争えない事実だと思うのでございます。しかし一方では、わが国は、いろいろと意見もございますけれども、選挙の公正を確保するという見地から、選挙運動についてかなりな規制を加えておることも事実でございます。
 しかしながら、余り政治活動が活発化してまいりますと、そういった選挙の公正を確保するということで選挙運動にいろいろと加えております制限というものが害される、そういった事態が、先ほどもお話し申し上げましたが、果たして報道、評論というのか、これはもう選挙運動用文書といったかっこうになるのではないかといったような内容のものまで多量に無差別に無償で頒布をされるといったような形態がございますので、そういったものはどうであろうか。
 だから、号外という形のものが、非常に形態上そういうことが行われやすいということもございますので、選挙の期間中に限っては、本紙は別に禁止するわけではございませんが、号外についてはひとつそういう問題が起こるので、選挙の公正を確保するといういまの全体の制度のたてまえの中でお考えをいただいて御遠慮を願ったらどうであろうか、そういう趣旨でやったわけでございますから、そういったものを本紙まで全部禁止をしたりどうこうということではございません。その期間中の問題として御理解をいただければと思うわけでございます。
 もちろん言論、出版、結社、表現の自由というものはあるわけでございますけれども、決してこれは無制限というわけではないし、公共の福祉という観点から一応の制約は受けるべきものであるというふうには考えられるわけでございます。
 そこで、それをどうするかという問題になってくるわけでございますが、全体のその状況から見ますと、かなり選挙の公正ということに影響しておるという点で、公正確保という点から最小限の合理的な規制はやむを得ないのではないか、そういった趣旨から今度の改正点が入っておるということでございます。
#61
○津金委員 だから、あなたに答弁していただかなくてもいいと私は言ったのです。私はそんなことを聞いているのじゃないのですよ。いま言ったように、こういうことについては国民の判断にゆだねるべき問題ではないか。それを国民が迷惑している、大多数の人が迷惑している、そういう一方的判断を下してこれを法律をもって禁止する、これは間違いではないか。国民の判断によってこれは決すべきものではないか。
 当然政党の側の自主的な規制という問題も起こります。あなたがおっしゃるように迷惑を受けるのなら、迷惑になるようなことをやる政党は国民の支持を失うはずですよ。当然政党の自主的な規制というものも起こり得る。基本的にこれは事は国民の自主的判断によって行うべきだ、それが世論の一つの大きな声としてある。これに関する意見を聞いているのだ。大臣、答えてください。
#62
○福田(一)国務大臣 機関紙の問題等につきましても、現行法律では通常の頒布の方法は認めておるわけであります。ところが、いままで通常の頒布は認めるといっておるのに、通常の頒布以外の、駅頭において配るとか、あるいは各戸へ投げ入れるとかというようなことは、これは通常の頒布の方法でないという意味で、これまでもいわゆる法律を誤って解釈された動きであると思っておりますし、また同時にそれが公害というような一部から非難が出ておるということから考えてみて、この際は選挙期間中だけはそれはひとつ差し控えるようにいたしまして、そのかわりとして、新聞紙に政党の意見というものとか政党の政策というものを数次にわたって広告するというか、明らかにするということで国民の理解を得るということが好ましいことである、われわれから見て好ましい、こう考えましたので、ただいま出したような原案を皆様に御審議を願っておるわけであります。
#63
○津金委員 選挙中だけ禁止するからいいではないか。そうではない。選挙中こそこういう各党の政策が国民に正しく判断される材料を与えることが必要なんです。あなたの考え方は、そこは大きに逆立ちをされておる。それが公正を害するというその論理がはっきりしない。あなたのような一方的な判断でこれは迷惑だという断定を下し、また事実上それによって役立つとする人間もおる、この事実も認めながら、これをいま言ったような形で法律をもって禁止するという、これこそまさに選挙の公正を害することにならざるを得ないと思うのです。国民の判断にゆだねる、そういう態度に立てませんか、あなたは。
#64
○福田(一)国務大臣 すでに法律でいままで決まっておった通常の頒布の方法はよろしいということになっておるのに、通常でない頒布の方法をしたというのは、言うならば法律を誤って解釈をされて行動をとっておられたと思うのであります。これは私は必ずしも法のたてまえからいって正しいことではなかったと思うし、このことによって公害というようなことが言われることになっておるので、そこで選挙期間中だけはこの公害というものはやめていただくが、そのかわりとして一般紙に政党の政策をちゃんと載せるのを三回なり四回なり出せるような工夫をしておりますので、号外にかわって非常に効果があると考えましたので、これはわれわれはその方が国民もよく政党の意見というものを理解していただける、こういう考え方に立っておるわけであります。
#65
○津金委員 ではちょっと具体的な問題についてお聞きしたいと思いますが、現行法においては国政選挙の場合に、確認団体は三回の法定ビラが認められておるわけでありますが、これは改正案においても変わりませんか。
#66
○土屋政府委員 変わっておりません。
#67
○津金委員 それでは、たとえばこの三回のビラが配布を認められている。そしてその三回のビラの最後のビラで事実に反するデマ中傷のビラが広く頒布されておる。ところが、その不当な中傷を受けた側は、すでに三回ともビラは出してしまった、こうした場合もあり得るわけであります。こうした場合、これにどのように対応してこのような中傷に対処すればよいか、その方法は何か、お答えいただきたい。
#68
○土屋政府委員 御指摘のように、三種類のビラが配れることになっておるわけでございますが、ただいまのように法定ビラで中傷するものが書かれたといったような仮定のお話でございました。それはあわせて、たとえばそういうものでないいわゆる怪文書というものが出たときでも、一体どうするのだという問題も含めて問題になるだろうと思うのでございます。そういった点で、しからばそれに対応して何ができるかということになりますと、一応法律上は許された文書というものは決まっておるわけでございますから、なかなか対応はできない。そういうものを前提に、そういうときはこうするのだということはなかなかやりにくいわけでございますが、いわゆる機関紙そのもの、本体そのものもあるわけでございますし、また、そういったおかしげなものが出ると、おのずから国民の批判というものが出てまいりましょうし、こういうときはこういう対応の仕方をするのだと一々限りなくやって決めていくということも、なかなかこれはむずかしい問題だろうと思うのでございます。ほかにはいろいろと方法もあろうかと思いますが、それじゃぎりぎりの前日に、夕方に怪文書が出たというときには、まことに残念ながらなかなかそれに対応する方法は見つけにくいといったようなこと等もございまして、万全の方法というのはなかなかむずかしいかと思いますけれども、と言って、それで全然ほかに方法がないのだと言い切ることもどうかというような気がするわけでございます。
#69
○津金委員 だから、私はどうしたらいいかということを聞いておるのです。いまの言葉はさっぱりどうしたらいいかということはわからぬ。だめなんですか。方法があるなら、他にもないとも言えないと思いますと言われましたが、それはどういう方法があるのか、具体的に言ってください。
#70
○土屋政府委員 文書で直ちにはそういう方法がない場合もあるかもしれませんが、それは一般的には街頭演説もございますし、個人演説会もございますし、それに対抗するいろいろな方法はあるわけでございます。文書でそういう場合はこういうものでやるのだと一々何かそういう方法を法律上考えておくということは、なかなかやりにくいであろうということを申し上げたわけでございます。
#71
○津金委員 たとえば、その中傷ビラが選挙区内にかなり多数にわたって頒布された、その全戸にわたって頒布されたというふうな場合、あなたのおっしゃるようにそれは演説会もあれば、宣伝カーもあるだろう、そういうものによる反論というものも一つの方法だというふうに考えますが、しかし、こういうビラによって、文書によってまかれたこうした中傷デマ、まさに選挙の公正を害するような中傷デマ、そういうものに対する当然の反論を徹底させる手段があるかどうか、このことを聞いているわけであります。ありますか、あったら教えていただきたいと思います。
#72
○福田(一)国務大臣 いまお話しのあるような問題ですと、これは怪文書ということになるので、それは名誉棄損の問題とかいろいろなことはそういう意味で処理をしなければならぬ。もしまた、それが間に合わないと言っても、それじゃどういうふうにして取り締まる工夫があるか。私は、そういうふうに悪意で物事をやるという場合は、警察その他あるいは信用を害されたとかという意味で取り締まっていくよりほか方法はないと思うわけであります。しかし、大体において、選挙のときにはいろいろなそういうデマが飛ぶであろうというようなことを皆考えておりましてね、中気になって倒れたとか、いやどうなったとかいうようなことは間々あることでありますが、そんなことで、私なども実はそういうことを言われたことがありますけれども、やはりちゃんと当選してきておるところを見ると、それほど悪宣伝だけで物事が解決されるというものではないと思っております。(「仮定の質問には……」と呼ぶ者あり)
#73
○津金委員 仮定ではないんです。こういうことは選挙の中でしばしば起こった現実の問題なんです。こういう例はたくさん具体的に挙げることができるわけであります。また、こうした問題については、いわゆる怪文書に類したものから、全く事実に反した中傷ビラ、こういうものもあり得る。こういうものが法定ビラによって行われないという保障は全くありません、法定ビラに対するそういうチェックの機関はないわけでありますから。
 そうした場合の具体的な反論徹底の方法があるかということを聞いておるわけですが、いまのお話を聞いてみると、それはないわけですか。警察当局の告発その他によって解決すべきであって、具体的な言論戦において、そういう不当な、明らかに選挙の公正を害する、事実に反する中傷ビラ、怪文書の場合はなおさらでありますけれども、そういうものに対して適切な反論の方法はない、こういうことですか。
#74
○土屋政府委員 いろいろとその時期にもよるわけでございますが、たとえば三種類のうちで、残っておる場合はほかの残ったビラでもやれる場合もございましょうし、いよいよない場合には機関紙本紙そのものは書けるわけでございますね。そういった方法もございますれば、言論による方法もあるということでございます。街頭でそれは言うこともできるわけでございますし、方法はいろいろあるというわけでございますが、それじゃ翌日が投票日という前の夕方ばっと出たときはどうするかといいますと、仮に文書があってもなかなかやりにくい場合もあるかもしれませんし、いろいろなケースがあろうと思いますので、全部に対応するということはなかなかやりにくい、悪質なものは取り締まりなりあるいはまた国民の批判なりということで解決するということになるのだろうと思いますが、その方法が全然ないわけではございません。まさに機関紙は全部禁止しておるわけではないわけでございます。言論の自由もあるわけでございます。そういったことで対応するということはできると存じます。
#75
○津金委員 あなた、いま私が聞いていることは、広範な地域にビラがまかれた。こういうものに対して、たとえば宣伝カーを使うという方法、これも一つの方法でしょう。しかし、宣伝カーの及ぼす範囲というものはおのずから限度があるわけです。あなた機関紙で許されると言っておるけれども、機関紙の場合はあなたの言うように有償である、こういうことになっておるわけですが、この点については当然ごく限られた範囲しかその反論を及ぼすことはできない、こういう事態になるのは当然だと思うのです。
 そこで、誤解のないように、もう少しはっきりさせるために聞きますが、デマ、中傷のビラがまかれた場合に、同じ効果で反論し得る適切な方法があるのかないのか。どうもお話を聞くとないようでありますが、そこはもう一度念のためにお伺いしておきます。
#76
○福田(一)国務大臣 私は、同じような方法で反論する……
#77
○津金委員 効果です。
#78
○福田(一)国務大臣 同じ効果で反論する方法があるかないかということになりますと、具体的な選挙の場合を私が想定してみますと、もしたとえば私がどろぼうをしたとか、たとえばですよ、あるいは私が病気で倒れたとかいうようなことになると、もう後援者は私に対して、その選挙の終わりになったような時分ですと、それは大変な反応を起こしまして、電話でもって選挙事務所その他に、僕の後援者等々にどうだどうだというようなことを聞いて、それはうそだということがわかって、こういう悪質なことをやっておるのだというようなことが出てくるわけでして、それに対応するビラその他でもってこれに対応する工夫はないけれども、今日では、電話その他の方法あるいは宣伝車等々である程度それをやり得ると思っております。大体もうどこでも、皆さんのところでも、たとえば共産党のどなたかを中傷するというようなビラが出てごらんなさい、それはもう一偏に選挙事務所へは電話その他が殺到したり、人が飛んできたりする。本当に倒れたかとか、本当にそんなことがあったかとか、そういうことを言いましたり、いろいろやりますから、それ自体がそれほどの効果があるかどうか問題だと思う。
 これがまた一週間前くらいですと、こういう悪質なことをやったやつはけしからぬというので、取り調べる工夫もあるかもしれぬし、いろいろなことがあると思う。それはいまあなたが言われるように、手紙なんかでもっていろいろな中傷を出すような場合もあるが、そういうものを出したのをとめる工夫があるかというと、これはなかなかむずかしい問題ですね。とにかくわれわれは自由に手紙を出すことができるわけですから、それをとめるわけにいかぬ、郵政省でそれを取り締まるわけにもいかないし、どうにもならない。そういうことをやった場合にはすぐ選挙関係者に連絡があって、どういうことであるかということで、これを打ち消していくことによってかえって――私なんかの場合は、そういうことを言ったのならもっと運動をがんばってやらなければいかぬというような空気が出てきたりします。
#79
○津金委員 私は、福田自治大臣の選挙区における経験談を聞いておるのじゃないのです。私は、そういう不当な中傷ビラをまかれた場合に同じ効果をもたらす反論の方法があるかというこの一点だけを聞いているのですよ。そんな余分なことは聞いていない。あなたのいまの御発言の前段の方で、同じ効果をもたらす方法はないが、いろいろあるというふうなことを言われましたが、同じ効果をもたらす方法はないわけですね。
#80
○福田(一)国務大臣 私は、いままでそういうような問題を受けたこともないし、あれでありますから仮定の問題でありますが、それに対処する工夫が即時にできるかということになれば、非常に私は困難であろうと思います。
#81
○津金委員 事実上それはできないんですよ。しかし、そういうふうなデマ、中傷のビラをまかれたということによって、それが選挙の当落に決定的な影響を及ぼして、そのことが原因になって落選する、こういう場合は現実にあり得るでしょう。どうですか。
#82
○福田(一)国務大臣 それが非常に悪い効果を出す場合もあるし、時と場合によってはいい効果を出す場合もあるだろうと私は思っております。
#83
○津金委員 人が聞いていることに答えてください。そういうデマ、中傷をまかれたことによって、それが当落に決定的に影響を及ぼして落選する、こういう場合もあり得るだろうなということを聞いているのですよ。あるかないか、はっきりさしてください。あなたはどう考えているかということですよ。ほとんどそんなことによって落選する人なんかない、こうあなたは言い切るのか、そこを聞いているのですよ。
#84
○福田(一)国務大臣 効果があるかないかということになれば、それはその場合場合によって度合いは違うと私は思いますが、全然効果のない場合もあるし、少しは効果がある場合もあるし、いろいろだろうと思います。
#85
○津金委員 どうもはっきりお答えされないようでありますけれども、いずれにしても、いま言ったように、効果のある場合もあるということもあなたは認められておられるわけです。そのことによってやはり落選する、当落に決定的な影響を及ぼすというふうな事態がある場合は、これは当然救済されなければならない。事実に反する中傷ビラ、こういうものによってその人が落選をさせられるという事態はまさに選挙の公正そのものを害する行為だと言わなければならない。これに対しては当然適切な救済、そして対抗する処置というものが講ぜられてしかるべきだと思いますが、そういう場合の方法はどう考えておられますか。
#86
○土屋政府委員 先ほど申し上げましたように、そのときどきの時期にもよるわけでございますが、ぎりぎりの場合には、そういった悪いことをしようということでやられた場合は、最終的な場合にはなかなかそれに対応しにくい、そういうことを考えて、その場合はこういう方法でやるのだといったこともなかなか前提として決めるわけにもまいりませんので、なかなかむずかしい場合があるだろうと存じます。
#87
○津金委員 事実上、そういう場合の適切な方法がないということをいまの答弁では認められたというふうに考えるわけです。
 ところが、この問題は、かつて国会においてすでにこうしたデマ、中傷に対する反論の機会及び方法ということで、これは言論の自由の重要な一構成部分をなす問題として論議をされたことがあります。すなわち、この問題は、昭和四十五年十二月十八日の参議院における公選法特別委員会において、当時京都の知事選において、自民党田中幹事長がハイジャック問題についての一つのデマ、中傷の見解を述べ、これが国会の大きな議論になったときに、こういうデマ、中傷に対抗し、そして正しい事実を選挙民に伝えるその方法の確保の問題について論議が行われたことがあります。
 その問題に関する共産党の岩間正男議員の質問に対して、当時の秋田自治大臣は、そうしたもの、事実に反するデマ、中傷というものはこれは許されないことである、こういうものについてはきちっと正しく処理されなければならない、それに対する反論の機会というものが当然与えられなければならない、その一つの重要な方法として、たとえばビラなどのほかにも機関紙の配布ということも許されておる、そしてまたそういうチャンスを使ってこうした事態を防ぐことが考えられる、こういうことをその中ではっきり述べているわけであります。
 この場合は、当然、この段階でありますから、機関紙の配布というものはいわゆる有償配布ということに限定された問題として提起されていることでないことは、議事録の前後を読めば明白なことです。もう一々長く読みません。そういうことが当時の国会の中で政府の自治大臣の見解として述べられています。そういうデマ、中傷に対する反論の一つの有効な方法として、機関紙を配布する、すなわち機関紙の号外などによってこれを反論する機会があるではないか、こういうことを自治大臣は述べておられるわけであります。
 ところが、政府の今度の改正案は、こういう機会まで奪ってしまう、こういう結果になるわけであります。秋田自治大臣のこうした当時の考え方、これらの問題についてどう考えられますか。自治大臣、答えてください。
#88
○福田(一)国務大臣 私は、これはいろいろこういうことを申し上げると誤解を生むかもしれませんが、その当時自治大臣がどういう感触でお答えになったのかは一度その御本人に聞いてみないとわかりませんが、しかし、そういうような間違ったことがあれば……
#89
○津金委員 ここに議事録がありますよ。
#90
○福田(一)国務大臣 いや、その気持ちです。私の言うのは、そこに出されたことではなくて、どういうことでそういうことを言われたのか、田中さんが何かやったり言ったことに対して何かやはりここいらで言うておかなければいかぬというような気持ちで言われたのか、実際にそういうことでできるという意味で言われたのか、そこいらはちょっと判断いたしかねる。
 しかし、私の申し上げておることは、どういう気持ちで言われたかは存じませんが、私としては、そういうようなことが、たとえば総理が全然無実のことを発言したということになったら、そのこと自体を新聞は決して無視はいたしません。新聞はそういう場合には公正な立場において、総理がいけないとか、あるいは私がもし間違ったことをするようなことを言えば、そういう中傷をしたとかいうようなことは新聞の紙面に出ております。いままでも間々そういう中傷のあれがありますと、新聞が社会の木鐸という立場でちゃんとりっぱにやはり批判をして、また脱法も書いてくれておると思うのでありまして、そのような大変大きな問題ならば、間違いなく新聞は取り上げてくれると私は思っております。
#91
○津金委員 私の聞いていることにちゃんと答えてもらいたいと思うのです。新聞がどう取り上げるか、新聞のあり方がどうか、これをあなたに聞いているのじゃないのです、私は。こういうデマ、中傷に対して、当然これに対する反論をする機会、これが正しく保障ざれる、これが大事なのです。言論の自由というものは、当然批判の自由、それに対する反批判の自由、こういうものによって言論の自由というものが構成されるのです。ましてや選挙の場合においては、こうしたものが正しく保障されてこそ正々堂々たる政策論争というものは実りあるものになるのです。国民の政治的自覚を高めるための大きな手段、場所になるわけです。
 そういう問題として、少なくともあなたと同じ自民党の自治大臣である秋田自治大臣は、そうした問題に関する一つの反論の方法として機関紙の配布の方法というものも一つの方法だ、こういうふうに明確に述べているのですよ。そのときの気持ちはどうか、そういうことより、ちゃんとそれは議事録に書いてあるのだ。この事実に基づいて私は大臣に質問しているわけです。こういうことは当然認められるべきじゃないですか。(「マイクだって街頭だって一つの方法だよ」と呼ぶ者あり)あなたに聞いているのじゃない、大臣に聞いているのです。
#92
○福田(一)国務大臣 秋田自治大臣が言われたことを私は否定はいたしませんが、そういうことがあった場合でも、それはもう電話でみんなに知らせる方法もあるし、あるいはまた宣伝車を使ってする場合もあるし、私はそういう方法で十分に効果を減殺することはできると思います。それからまた、そういうことをやれば、やったこと自体がその人あるいは中傷をしようと思った政党に非常に大きなマイナスを与える、そういうことで、いやしくもいま政党、いわゆる五大政党と言われているような党ではまさかそういうようなことは行われないものと私は考えております。
#93
○津金委員 どうもあなた私の聞いていることにお答えないようですが、少なくとも今度のあなたの方からお出しになった改正案なるものは、当時自治大臣がそういうデマ、中傷に対する反論の有効な方法の一つとして認めた機関紙の配布ですね、そういう方法をなくする、そういう内容を持った改正案であるということをお認めになりますか。
#94
○福田(一)国務大臣 物事には必ず一利一害というものがあって、いい場合もあるし悪い場合もある。だから、いま言われたようなのは、一つの方法としてはいいんだということを秋田さんが言われた。しかし、それによって、それを認めてどんどん号外を出すということによる弊害というものをわれわれは主張をいたしておるわけでございまして、しかし、これは……(津金委員「それはあなたの主張です」と呼ぶ)ちょっとお待ちなさい、私の言うことを聞いてから質問してください。それはやはりそういうような号外をよけい出すことによる一つの弊害と、またそれを出すことによるプラスをどう考えるかということの判断の問題になってくるわけですね。その判断は、われわれとしてはこれは弊害の方が多いという判断をいたしておりますと、こう言っておるわけでございまして、それについて皆さんがそうではないのだと言われれば、それは反対されるよりほかに仕方がないでしょう。
#95
○津金委員 私はそのどちらが害が大きいかという判断に対するあなたの意見を聞いているのではないのですよ。そういう自治大臣が認めている反論の有効な方法の一つである機関紙の配布ということを、今度の改正案はそれはなくすることになるのだという、あなたがお出しになった改正の実質的効果についての説明を聞いているので、どちらの判断という問題じゃないのですよ。そういうことができなくなるのでしょう。今度のあなたの改正案ではそれはできなくなりますね。そういう場合はやっていいのですか。
#96
○土屋政府委員 今回の場合でも、そこで機関紙となっておりますが、機関紙全体を禁止しておるわけではもちろんございませんで、通常の頒布ということを越えて、そして号外で無差別に出ておる、それを禁止しておるわけでございますから、機関紙そのものはあるわけでございます。ただ、非常に多量に号外をまくという方法は今回はないわけでございますから、そういった方法は今回はとりにくいということでございますけれども、ただ自治大臣から申し上げましたように、そういうこと自体が、それを認めること自体とそれから認めない場合とのその全体の比較考量の問題として、通常の頒布を越えて無差別にあるようなそういった号外は禁止をするということになっておるわけでございますから、そういう方法はこの改正法案が通りますとできないということでございます。
#97
○津金委員 そうすると、あなたは改正案によってはできないということをはっきり認められたわけでありますが、現行法の場合ならできますか。
#98
○土屋政府委員 現行法でも、先ほども申し上げましたとおり、機関紙の配布というものは通常の方法でございますから、一応原則的にはこれは有償性というものを原則としておるわけでございます。したがいまして、中には、現行法ではPR等のために若干完全に有償でない場合もあり得るけれども、そういうことが全体として通常の頒布だということでやっておる場合に認められておるわけでございまして、いまのように無償の方が原則的に多くなってしまっている、そういうことでむやみに大量に頒布をするということは現行法でも許されていないわけでございますから、その点はあるいは取り締まりの問題がどうかということは起こるかもしれませんけれども、いまやっておる方法が全部現行法上の解釈上よかったので、それが今後全部なくなるのだというふうに解釈するわけにはまいらないというふうに考えます。
#99
○津金委員 それでは聞きますが、通常の配布方法をめぐってはいろいろな議論がいままでありました。私も前町村自治大臣のときにその問題については論議したことをあなたも覚えておられると思うのです。しかし、現行法の場合は、通常の配布方法であるならばこういう方法は認められたわけですね。
#100
○土屋政府委員 本部が通常の方法で直接発行するものについては認められております。
#101
○津金委員 それは今度の場合ではそういう機会が奪われる、こういうことになるわけですね。
#102
○土屋政府委員 先ほどから申し上げておりますように、もともとが現在のその通常の方法で配布する通常の頒布というものは、有償性というものが前提となっておるわけでございますから、無料で無差別に多量に出すということは、これは現行法でもできないという考え方をとっておるわけでございます。したがいまして、有償で出す文書を中心として出すもの、そういったものが基本になっておるということは現在でも変わらないというふうに私どもは解釈いたしております。したがいまして、今度禁止するということは、もともとどうも問題がある、逸脱しておるものがはっきりしないから、その点はこういうものでございますよと、むしろその法律に反してまかれることをはっきりと指して禁止をしようということでございますから、本質的な意味ではそう大きく変わらないのではないかというふうに考えております。
#103
○津金委員 結論的に言って、いまの答弁では、少なくとも今度の改正案によって、機関紙というものの号外を利用してそういう不当なデマ、中傷に対する反論の機会というものは持てない、これは法律上明確にされたということは、いまの答弁からも明らかだと思うのです。そうだといたしますと、先ほど来私が申しているように、このことによって同じ効果をもたらす反論の機会、方法というものが奪われたということによって、たとえ万が一であれその中傷ビラによって落選する場合が起こってもこれはやむを得ない、こういうことにならざるを得ないと思いますが、そういうお考えですか。
#104
○福田(一)国務大臣 選挙運動の方法はビラだけで――ビラを認めるわけじゃありませんが、ビラだけでやれるものではございません。ちゃんと立会演説もあれば、あるいは相当いろいろな方法があるわけであります。そういうことがあったとしても、それによって受ける被害といいますか、損失といいますか、弊害といいますか、そういうものと、それをよけい出すことによってわれわれが考えておる弊害というものとの比較の問題になると思うのであります。したがって、私たちはそういう意味で、比較の問題としてそちらの方をとるということを申し上げておるのです。
 これはあなた、議論を幾らしても、それは意見の相違になるのですよ。意見の相違を幾らここで申し上げても……(津金委員「違うよ」と呼ぶ)そうです。意見の相違です。
#105
○津金委員 私が聞いておるのは、あなたと私の間に意見の違いがあるということは最初からわかっている。意見の違いがあるから、こうやっていろいろ聞いているのです。ですから、私は先ほどから申し上げているように、こういう事実に反する中傷ビラが行われることによって、大変不幸なことだけれども、それが当落に決定的影響を及ぼすという場合もあり得るということは、先ほどの答弁の中からもその可能性があり得ることは出されているわけです。しかも今度の改正案によって、そういうデマ、中傷のビラが大量にまかれた場合に、それと同じ効果をもたらす反論の方法というものがないのだ、こういうことも明らかにされてきたわけであります。そうした状態の中で、中傷ビラがまかれた、そしてそれに対する、秋田自治大臣も強調しているような反論の方法というものが今度の改正案によって禁止された、その結果この不当な中傷ビラによって落選するという事態が生じても結局やむを得ないということに結果としてなるのじゃないか。あなたが言う両方とるということは、そうなってもあなたの言うビラ公害を抑えることが大事だ、こういう認識だというふうに承っていいのですか、その比較論をされるならば。
#106
○福田(一)国務大臣 私は、それはわれわれとちょっと見解が相違すると思います。そういうようなビラをまくということは犯罪行為であります。それは明瞭に犯罪行為。だから取り締まりをしなければいけません。しかし、そのことによってそれが選挙に影響を与える可能性がないかということになれば、全然ないとは言えないでしょう。それは全然ないとは言えないかもしれませんが、そういうようなことをする政党があったとしたら、あるいはそういうことは政党の間ではほとんどない。たとえば自民党とか共産党がまさかそういうことをされるとは私は思わない。そういうことはあり得ないと思います。そういう意味で、政党ではない。そうすると、個人がそういうことを考えてやるという場合はないとは言えないと思いますけれども、それは一種の犯罪である。しかし、そういうような犯罪であれば、なかなかそういうものをよけいまくということもできないと思うのであります。
#107
○津金委員 結局いまの私の質問に対して、論点を意見の相違だということで、この問題に対して明確なお答えをどうしてもなさらないようでありますけれども、今度の改正案というものは、どこから考えても、結局いま私どもが指摘したようなことにならざるを得ないのです。これは結論的に言えば、まさに選挙の公正を害するデマ、中傷、こういうものに対する有効な反撃の方法を全部奪ってしまう、こういう問題も含まれておるのでありまして、これは結果的に、選挙の公正を害するそうしたデマ、中傷を事実上容認するということにならざるを得ないのであって、こういうことこそむしろ選挙の公正を害する、こういうことにならざるを得ないというふうに私どもは考えるわけであります。
 あなたがお出しになった今度の改正案の提案理由などを読んでみますと、いままで選挙の公正を害されておったから、この公正をいままで以上に確保する、そういう必要があるからこの改正案を出したということを、この提案理由の中でも強調されているわけでありますが、結局いまの論議の中で明らかなことは、結果として公正が害される、言論の自由の最も重要な構成である批判と再批判の自由というものが正しく保障されない、こういうものだというふうに言わざるを得ないのです。
 そういたしますと、いまの自治大臣の答弁、そしてその改正案の内容というものは、あなたが出された公正を確保するというこの法案提案の根本的な理由と全く矛盾する、こういうふうに感ぜざるを得ないのでありますが、この点についてどう考えられますか。
#108
○福田(一)国務大臣 私は、号外を出すことによってあるいは妨害をすることも場合によっては起こり得ると思うのですよ。号外というものを認めておけば、それはそういうこともあり得る。選挙というのは苛烈ですからね、いよいよになるともう手段を選ばないような場合も起こり得る。それからそれは出せるということになると、たとえばおたくの方の赤旗の名前をかたって出すというような場合もないとは言えない。そういう意味で、号外というものは一切認めないのだということにした方が、かえってそういうような弊害が起きないことになるのじゃないか。逆の場合があります。どうしてもそういうことになると思うのであります。(津金委員「言論抑圧だ」と呼ぶ)私はそれは言論抑圧だとは考えておりません。言論を抑圧するというのは――方法がたくさんあるのですから、そのたくさんある方法をみんな抑えておるわけではないのですから、全部が全部を制限するという意味ではないのですから、そういうふうに御理解をしていただきたい。
#109
○津金委員 いまの自治大臣の発言は非常に重要でありまして、いまのような方法から言えば、そういうものがむしろ全く出ない、そういうものが一切なければないほどいいということにさえ発展しかねないのでありまして、そういうのは言論の自由に対するきわめて敵視的な考え方だというふうに言わざるを得ないわけであります。
 これでは選挙の公正どころか、選挙に際して確保されなければならない言論の自由、そしてその重大な構成をなすところの批判並びに反批判の自由、選挙の公正を害する不当なデマ、中傷に対して同じ効果を持つ反論の方法と手段、これを全面的に奪って、結局こうしたデマ、中傷を事実上容認するという結果にならざるを得ないのでありまして、これは私たちとしては断じて容認することのできないものだというふうに考えるわけであります。この点については私どもは、そうしたデマ、中傷に対する効果的な反論の手段としてのこうしたものを確保するというこのことが当然必要である、こういう立場を重ねて強調をいたしたいと思います。
 この問題につきましては、私の質問に対してどうも明快な態度をおとりになりませんが、少なくともいままでの論議を通じては、そうしたものに対する反論の機会というものが今度の改正案によって、どちらが従だとか主だとかいう価値判断の問題ではなく、事実行為として、そういうものに対する反論の手段、方法というものは事実上なくなる、こういうふうに判断せざるを得ないと思うわけですけれども、そのこと自身についてだけは、あなたはいろいろな方法があると言うが、いろいろな方法があるということを私どもは聞いているのではないのですが、事実関係として、その問題についてだけはもう一度最後にはっきりさしておいてもらいたいと思うのです。できるのか、できないのか。できないでしょう。
#110
○土屋政府委員 号外の形ではできません。
#111
○津金委員 それでは時間もありませんので、少し前に進みたいというふうに考えます。
 先ほど自治大臣も言われましたように、この政党の機関紙並びにビラを規制するもう一つの理由として、先ほど金がかかるということも一つの――副次的という言葉を使われたかもしれませんが、そういうことを言われました。三木総理も他のところで、ビラは金がかかる、こういうふうなことを言われているわけでありますが、今日の金のかかる選挙の主要な原因がこのビラの配布にある、こういう認識を持っておられるのですか。
#112
○福田(一)国務大臣 私は、主たる原因がビラの配布にあるとは思っておりません。
#113
○津金委員 主たる原因はどこにあるというふうにお考えですか。
#114
○福田(一)国務大臣 それは、たとえば自動車を使わなければならないとか、あるいは人をある程度雇わねばならない、筆耕を雇わねばならないとか、いろいろのことがあるわけで、選挙運動にはどうしても経費というものが必要であります。なるべく選挙運動の経費を少なくして、公正な選挙が行われるようにするということが望ましいというのがわれわれの考えであります。
#115
○津金委員 私は、いま自治大臣自身もビラそのものが主たる原因ではないということをはっきり認められたわけでありますけれども、今日国民の大きな批判を浴びたこの金権選挙、金のかかる選挙と言われている根本的な要因というものは、企業からの献金、いわゆる企業と自民党との結びつき、あるいは大きな世上の批判を浴びましたところのいわゆる企業ぐるみ選挙、あるいは参議院選挙において大きな批判を浴びました糸山派に代表されるところのあの買収、供応、こうしたものこそが今日国民の批判を浴びた金権選挙の最も重要な要因である、こういうふうに考えるわけでありますが、この点についての自治大臣の認識をお伺いしたいと思います。
#116
○福田(一)国務大臣 企業からの献金が相当あったということで御批判を仰いでおりますので、今度はある程度制限を加えなければいけないということを考えておるわけであります。
 また、よく企業ぐるみの選挙ということもおっしゃいますけれども、私は企業ぐるみという意味がわからないのですが、あのときにはたとえば三菱の社長が何か言ったとか言わないとか、あるいは重役会で何か言ったとかというようなことだと思うのですけれども、私は厳密な意味であの企業ぐるみの選挙という定義がまず問題になるかと思うのであります。幾ら社長が言っても、課長が言っても、それですべての人が言うことを聞くなどというような現代は時世ではありません。やっぱり社員といえども、恐らく三菱の社員でも、共産党に入れている人もあれば社会党に入れておられる人もある、組合もあれば何もあるのですから、そんなことを上から、これはひとつぜひ自民党になどと言って、それが全部徹底するということは、言うことは言っても、いわゆる企業ぐるみの選挙が本当に弊害を出すということであれば、社長が言ったときに下まで通ればそういうことになるでしょう。そういうようなことは、たとえそういうことがあったとしても、私は全部がそんな企業ぐるみで――ぐるみというのは全部という意味ですからね、言葉は。ぐるみでは、そんなことがあるとは私は考えておりません。
#117
○津金委員 この企業ぐるみ選挙あるいは企業献金の問題等々についてはいま大きな国民の批判があることは事実であります。いま大臣は企業ぐるみ選挙の問題についてとやかく言われたわけでありますが、この問題につきましては、従来当委員会においても大きな問題として取り上げられ、これに対する政府の態度というものが従来からもただされてきたわけであります。
 金のかかる選挙というものを明らかにする上で、この企業ぐるみ選挙の問題を解明するのは、私は避けて通ることのできない一つの重要な問題点だというふうに考えておりますが、この点に関しては、昭和四十九年の八月二十日に開かれました衆議院の当委員会の質疑において、私と林百郎委員の質問に答えまして、町村自治大臣は、この問題に対しては、政府といたしましても、このことについては重要な問題であるので明確な統一見解を速やかに出すということにしたい、こういうことをこの委員会で確約をされておるわけであります。この点において、一体この統一見解はどうなりましたですか。
#118
○土屋政府委員 町村自治大臣の際にそういった話があったことは承知いたしております。その後長い間委員会が開かれなかったといったようなこともございまして、延びておったわけでございますが、その後政府内部で詰めたものがここにございますので、大臣がお答えなさるかわりにこれを読ましていただきます……(津金委員「それはおかしい、大臣だ」と呼ぶ)
#119
○福田(一)国務大臣 政府の統一見解としてまとめてありますのは、
  いわゆる企業ぐるみ選挙の態様は千差万別であると思われるが、現行法上企業が選挙運動を含め相応の政治的行為を行うことは許されているものと考える。
  具体的な行為が公職選挙法その他の法規に抵触するかどうかは、その行為の実態によって個個に判断されるべきものであると考える。これが政府の統一見解でございます。
#120
○津金委員 それはいつの閣議その他において決定された統一見解でございますか。
#121
○土屋政府委員 政府の統一見解ということでございますが、閣議にかけて決定したものではございませんで、私どもが内部で意見をまとめますときは、法制局を中心に関係省が寄ってその意見をまとめるということをいたしておりまして、その結果がいまのような形になっておるわけでございます。
#122
○津金委員 時期はいつですか。
#123
○土屋政府委員 昨年の十月ごろだったと思っておりますが、日をはっきりと、いまここに日付がございませんので、調べてみたいと思っております。
#124
○津金委員 大臣、念のためにお伺いしておきますが、これは非常に重要な問題なんです。企業ぐるみ選挙というのはどういうものか、これは企業が個人と同様にそういう政治行為をすることができるかどうかということもあり、町村自治大臣は、これは憲法の上からも明らかにしなければならないという立場から統一見解の提示を委員会で表明されたわけなんです。そういう意味で、これは金のかかる選挙という問題を論議する上で非常に重要な政府の一つの論議の基準になるものでありますが、いま聞いたらいつ決めたのかはっきりもしないようでありますけれども、これは私は政府の正式な統一見解であるということで承ってよろしいですか。
#125
○福田(一)国務大臣 私も閣僚の一員でございまして、ここで閣僚として発言をして、これが統一見解でありますと言った以上は、政府の統一見解と御理解を願って結構でございます。
#126
○津金委員 時期についてはいまどうもお忘れのようでありますから、これははっきりさせておいていただきたいというふうに思います。二の中身の問題については、さらに別途論議を進めたいというふうに思います。
 現在問題になっている、いわゆる金のかかる選挙というものの実態を明らかにするということはきわめて問題解決の上で重要な問題ではないかというふうに思います。あなたもお認めのように、たとえば糸山派の違反というものは国民の大きな批判を浴びました。その買収資金というものは、伝えられるところではもう十億に達するとさえ言われておりまして、国民の大きな批判を浴びた。まさに買収選挙、これに関する、大きく金が使われているということこそ金がかかる選挙の中でも最もこれは究明さるべき問題である、このように考えるわけでありますが、そういう点において、私この際、福田自治大臣にも重ねて要望をしておきたいというふうに思うのであります。
 今日、昭和四十七年度に行われました衆議院選挙の結果、当局の報告によりましても、選挙違反として挙げられた事犯は三万二千五百六十三人、そのうち買収事犯として摘発されている者が何とその九二・五%に及んでおるわけであります。これは当委員会に正式に報告された数字であります。同時に、昭和四十九年度の参議院選挙に際しても九千五百六十三人の選挙違反が挙げられ、その中で買収事犯として処理されているものはそのうちの六三・四%に達している、こういう数字が出されているわけであります。これこそまさに選挙の公正を害し、金権選挙の最悪の姿だというふうに言わなければならないと思う。私どもは金のかかる選挙というものをなくしていくためには、どこにその一番根源があるのかということを事実に基づいて明らかにして、これを解明をしていってこそ、問題の核心に迫る方向を明らかにすることができると思います。
 私は、こういうものの一環として、従来この委員会におきましても二回にわたってこうした問題を客観的事実に基づいて問題を解明する一つの具体的資料として、この最も追及さるべき買収事犯の党派別の内訳、これを率直に明らかにして、金のかかる選挙のそういう責任、最も克服されなければならない買収選挙というものがどういう事態の中で行われておるのかということを検討する資料として、こうした買収事犯の党派別内容をこの際国民の前に明らかにし、事態の解明の一つの重要な資料として提出するよう二回にわたって要求したことがありますが、これまた言を左右にされまして明らかにされないわけであります。
 福田自治大臣はいま言った金のかかる選挙の解明、またこうした買収、供応を克服することについては非常な熱意をお持ちであるというふうに判断いたしますが、この私の要望に対してこれをお出しになる、こういうおつもりがありますか、これをお伺いいたしたいと思います。
#127
○土屋政府委員 犯罪の問題でございまして、直接選挙部からお答えするのはどうかと存じますが、同じ委員会でいまのようなお話があったことも存じておりますが、捜査側の御意見では、犯罪が挙がってもそれはそういった個人が犯罪を犯し、そういった犯人としてつかまえているわけでありますから、党派別とかどうとかいう形ではこれは判別ができないということで、それはそういった形の資料はできないというようなことであったように私聞いておるわけでございます。
#128
○津金委員 自治大臣、あなたは国家公安委員長も務められておるわけでありますが、それがわからないというようなことは、そんなことは常識的に考えてあり得ないことなんですよ。だから私はいまここですぐその資料を出せ、こういうふうに言っても、あなたはいまはお持ちになってないと思うのです。しかし、そういうことをこの際明らかにして、率直にそういう問題を提起して、各党がやはりこうした問題を明らかにして、そしてこういうものを克服する方向、こういうのをやはりこの委員会の論議を通じて明らかにするということは、まさに金のかかる選挙を克服して、清潔、公明な選挙を実現する上の私は一つの重要な指針になる、こう考えるわけでありますが、そういうことについてのあなたの基本的考えはどうか。いますぐその数字を出せと言っているのではない。あなたの基本的姿勢を聞いているのです。これは当然じゃないですか。
#129
○福田(一)国務大臣 お答えをしますが、その選挙違反が相当あることは事実でありますが、それを党派別には……(津金委員「買収のですよ」と呼ぶ)買収のケースを党派別には警察では調べておらないといま事務の者が言っておりますが、私はまだ聞いたことがありませんから、ひとつ一遍調べてみることにいたしましょう。
#130
○津金委員 調べてみるというふうにおっしゃいましたが、調べてみた結果についてこの委員会に報告されますね。
#131
○福田(一)国務大臣 警察でその点を調べておらないということになりますと、御報告はいたしかねます。
#132
○津金委員 これはもし調べていないということであれば、当然これは調べさして――これは全くわからないなんということはない問題ですから、調べさして明らかにして報告されますか。
#133
○福田(一)国務大臣 一遍調べてみないと……。調べてみた内容は、それはそういう御質問があれば私はやはり報告していいと思うのです。(津金委員「報告してよい」と呼ぶ)それは内容は、数字が出るかどうかは別問題として、報告は、あなたが調べろとおっしゃるのに私が調べないと言えないですから、当然、議員の御要望ですから、それは調べることはいたします。そしてその報告はいたします。
 それから問題は、あなたはそういうことをおっしゃるけれども、私はたとえば自民党等にそういうような問題は多いかと思いますが、やはりそういう問題も含めてわれわれとしてはやはり反省をしていかなければならない。私も党員の一人でありますから、そういうことはひとつ反省をして、できるだけ少なくするような努力をしたいと思うので、そういうことについては私自身は努力をしたいと思っておるということを申し上げておきます。
#134
○津金委員 いまのお答えで、調べさせる、そして報告してもよろしい、こういうふうに理解をいたします。そしてこれは私が申し上げた問題のきわめて重要な資料をなすというふうに思いますので、この問題に関する質問はそのお答えを聞いた上でさらに行いたい、こういう意味でこの問題についての質問は留保させていただきます。
 それから、時間もありませんから、言論規制の問題に関して最後にひとつ聞いておきたい問題があります。
 この今度の政府案の中では、一般新聞雑誌に無償配布を禁止する条項を適用するということになっていると思いますが、この一般新聞雑誌というのはどの範囲までを指すのですか。
#135
○土屋政府委員 一般紙誌という場合は政治団体等の機関紙等以外の新聞全部でございますから、いわゆる一般時事を報道する新聞もございますし、あるいはまた業界紙もございましょうし、新聞紙というものが法律上はっきりと定義されたものもございませんので、一般的な全体の新聞であるというふうにお考えいただいて結構かと存じます。
#136
○津金委員 なぜこうした一般紙誌にまで拡大する必要があるのですか。
#137
○土屋政府委員 一般的な意味で新聞というものは、先ほども申し上げましたとおり基本的に継続性なりあるいは有償性ということも前提となっておるわけでございまして、全般的にその有償性ということをはっきりさせるという意味で機関紙等も含めて有償性ということをはっきりさせる。それが無料で余り出回るということになりますと、全般的に選挙に関する報道、評論というものが大量に無差別に出てしまうということがございますので、公正を確保するという意味から全般的な意味でそういった規定をしたわけでございまして、本来そういった定期購読者を相手にやっておられるところは別に大した問題はないと思うわけでございますが、そういう逸脱をするようなものがあっては困るということで全般的な意味で有償性ということをはっきりした次第でございます。
#138
○津金委員 それではこうした一般新聞の拡張のためのいわば宣伝紙、見本紙、こういうものの活用も禁止されるわけですね。
#139
○土屋政府委員 通常の場合、いろいろな新聞によって事情は違うかと思いますが、販路拡張といった意味でのPRということはあり得ることでございますし、現にやっておるところも多いと思います。したがいまして、その選挙期間中以外は従来と変わることはございませんけれども、選挙期間中に特に選挙を目当てにいろいろとPRの名目で無差別にやられる、大量にやられるということになりますといろいろと問題も生じてまいりますので、その選挙期間中はひとつそういったPR等はお控えを願いたい、全般的な意味でひとつ選挙の公正という観点からお控え願いたい、こういうことでございます。
#140
○小澤委員長 津金君に申し上げます。大分時間が超過いたしておりますので急いでいただきます。
#141
○津金委員 もうすぐ終わります。それでは答弁も短くやってください。
 それでは具体的にお伺いいたしましょう。
 たとえば地方のローカル紙なんかの場合に、広告その他の収入を基本にしながら無料運用というふうなことをやっているケースがたくさん現実にあると思うのですね。こういうふうな場合、こういうものも選挙の報道が書いてあれば禁止されるわけですか。
#142
○土屋政府委員 今回の改正法では、選挙の報道、評論をする場合は有償だということになっておりますので、いまおっしゃったようなものはできないということになるわけでございます。
#143
○津金委員 たとえば労働組合の機関紙などが家族版をつくって、そしてそれを組織の家族に配布をして啓蒙宣伝活動の一助に役立てているというふうな例も多々あるわけでございますが、こういうケースも禁止ですか。
#144
○土屋政府委員 今回の規制は選挙に関する報道、評論を載せたものが禁止ということでございますから、家族版というのは内容がよくわかりませんけれども……。
#145
○津金委員 選挙の問題に関してですよ。
#146
○土屋政府委員 選挙の問題に関したものでございますと、一般の新聞でございますから同様な規制になるわけでございます。
#147
○津金委員 できないわけですね。
#148
○土屋政府委員 同じでございます。
#149
○津金委員 これは非常に重要ですが、事実関係をもう一、二聞いておきたいと思います。
 あなたは有償だと言われますが、たとえばこれは一つの具体的な例でありますが、ある場合に団体がまとめてそれを買って、そしてその構成員に配布するというふうな場合はどうなりますか。
#150
○土屋政府委員 通常の方法と申しますのは、発行主体がその販売のルートを通じてやる場合が通常の方法でございますから、ある特定の人が買ってそれを使うということになりますと、場合によってはその特定の部分だけを配るということになると、選挙運動用の文書を配ったということになろうかと思いますので、それは通常の方法ではないというふうに感ぜられます。
#151
○津金委員 有料配布か無償配布かということですね、こういうことの認定はどうやってだれが判断するのですか。
#152
○土屋政府委員 有償という場合でも、これはきわめて多々様相は物によって違うと思うわけでございますけれども、たとえば、その都度金を出さなければいかぬという意味での有償でもございませんで、たとえば組合員が組合費を払って、そして当然その組合で発行する新聞が来るという場合は、それは有償性ということが前提となっておるというふうに解釈されるわけでございます。個々の事態によって判断されると思いますけれども、その都度金を出さなければいかぬ、あるいは一カ月ごとに金を取りに来て払うという形でなくても、全体として構成員が組合費を払い、それに組合で出しておるものが配られるということであれば、それは当然有償性が前提となっておるというふうに考えるわけでございます。
#153
○小澤委員長 津金君、重ねて申し上げますが、時間が大分超過いたしておりますので、急いでいただきます。
#154
○津金委員 私はシステムを聞いているのじゃないのです。組合費で払ってそれに対して配ったときは有償性だというのじゃなくて、有償か無償かということの判断ですね。たとえば一つの例を挙げれば、戸別的に行って売ったことはあり得るでしょう。そういう有償か無償かということの判断をだれがするのです。無償だということになれば今度は法律違反ということになって、これは処罰の対象になるわけでしょう。だから、それが有償であるか無償であるかということの判断というのは非常に重要なんです。その本人にとっては犯罪の対象になるかならないかの問題です。その判断はだれがするのですか。警察ですか。
#155
○土屋政府委員 実際問題としては、販売するときに有償という場合は金のやりとりがあるとかいうかっこうで判断されるわけでございますが、現実問題としてそのときに有償であったかどうかという問題になれば、それは法律の解釈上の、あるいは罰則等の問題もかかわってまいりますから、それは最終的には司法当局であり、裁判で判断してもらうということにならざるを得ないと存じます。
#156
○津金委員 警察が最終的には判断するということになるのですか。
#157
○土屋政府委員 それは告発等がどこへ行くかということ等もございましょうし、いろいろな事例があろうかと思います。
#158
○津金委員 最終的には警察が判断することになる、こういうことですね。
#159
○土屋政府委員 全般として司法当局だということでございます。警察、検察等でございます。
#160
○津金委員 たとえばそういう場合に、無料配布はいかぬ、有料配布だといって戸々訪問をして新聞を売る、そして買ってもらうというケースがありますね。こういうふうな問題のときに、これが有償であったか無償であったかというふうな問題の判断も警察がするわけですか。
 たとえば機関紙がありますね。有償機関紙、これをたくさん配ってはいかぬとあなたの方は実は言うわけでしょう。しかしそれは個別売りであっても、持っていって一つずつ定価どおりに買ってもらえばいいわけですね。それが無償であるか有償であるかということの判断も、そういう場合も全部警察がやるのですか。たとえば一部一部の機関紙を全部ばあっと町内にばらまいたということになれば、そういう場合は無償配布でいかぬということになっているわけでしょう。しかし、一部一部の機関紙を持っていって、そして一部売りで買ってもらうことはかまわないわけでしょう。今度の法律によれば。その場合にそれが有償であったか無償であったかということの判断は警察がするのですか、そういう個々の認定は。
#161
○土屋政府委員 有償でございますから、買ってくれということで、買ってもらうことはこれは差し支えないわけでございます。
#162
○津金委員 その有償か無償かということの最終的な判断は警察がするわけですね。
#163
○土屋政府委員 特定な場所で買ってくれというようなことについては警察が一々見ているわけではないわけでございますから、それは法の趣旨に従って行動していただくということでございますが、問題が起こったときは、それはやはり司法当局ということになります。捜査当局ということになると思います。
#164
○津金委員 これは私はきわめて重大な問題になると思うのです。言論の自由に対する抑圧というのはこういう形で始まるのですよ。これはあなたとここで議論してもしようがないけれども、今度の問題は、私どもが非常に重視するのは、言論の自由というのはあした、翌日から一発で言論の自由がなくなるなんということはないのです。こういう形で治安当局がこういう問題に対する干渉の道を開いていくというところから事態が重大な問題に発展する、これがわれわれの歴史の教訓なんです。そういう意味において、いまのあなた方の答弁は非常に重大な問題をもたらすということをこの際率直に指摘をしておきたいと思いますが、そういう事態が絶対に起こらないということが断言できますか。
#165
○福田(一)国務大臣 実は組合の機関紙の問題についてはほかの党の方からもいろいろお話がありまして、先ほどもそういうことについてあれがありましたが、一応機関紙という以上は有償になっておりますから、それを配られることはわれわれは当然なことだと思っております。しかし、組合の機関紙というのは一体定価は幾らになっておるのか、そういうこと等いろいろございますから、それを組合員以外のところへ方々行って有償で配ることが認められるかどうかということになると、これは一つの疑問があると思います。しかし、有償ということであれば、これは一応認めておるのでございますからいたし方ないと思いますが、私は、組合の機関紙というものは、大体組合員の方にお配りになるのが筋でございまして、それ以外のところへお配りになることは少ないと思います。したがって、組合員に徹底させるという意味でお配りになるということは、当然認めていいのじゃないかと私は考えておるのでありまして、先ほども実は、こんなことを言うてはおかしいのですが、社会党のある方からもそういう要望がございまして、組合の人とも一遍御相談をするということにしております。
#166
○津金委員 私の聞いていることにどうもあなたはお答えいただけません。いまのあなたの答弁については不満であります。
 もう時間もありませんからこれで終わりにしますが、最後に、この問題については、御承知のように大きく世論も分かれております。国会においても、本来選挙制度の問題というものは与野党の一致が望ましいということは当然でありますが、少なくともこの問題については、事は憲法上の問題にもかかわり、少なくとも本院におきましては二つの政党がこれに対してはっきり反対であるという意思を表明しております。また多くの団体、そういうものも反対の方向を打ち出しております。いま労働組合の家族版の話を申しましたが、わが国最大の労働組合である総評もこれに対しては反対の意思を表明しておる。さらにまた、新聞世論その他においても、こうした問題については国民の判断に任せるべきで、法律で決めることはおかしい、さらにまた新聞の中では、これらの問題については削除して、そうして与野党が一致できる問題にのみ一致点を見出すことができないか、こういう意見もあります。また学者、法律家、専門家のこれらに対する反対意見もきわめて多いということはあなたも御存じのとおりだと思います。こういうふうな問題を十分検討せず、これがいわゆる選挙作戦上自党に有利かどうかという角度からだけこれを見るならば、私はこれは近代政党としての自殺行為になる、こういうふうに憂えざるを得ないのであります。
 そういう意味において、これだけの大きな世論の反対、意見の対立をもたらしている問題を、あなた方はこういう世論の動向を強引に無理押ししても、多数で強行されてこれを成立させるおつもりですか。私どもはそういう態度をあなた方がやめられて、そうしてこのような言論の自由にかかわるこうした制限条項は全面的に削除する、そういうことを強く要求いたしたいと思いますが、その二点、強行されるおつもりか、それともこれを削除し、与野党一致の点でこの問題の成立を図る努力をされる意思があるか、この点お伺いをいたしておきたいと思います。
#167
○福田(一)国務大臣 法案を出しました以上は、これは出すのはわれわれ提案権を持っておるからでありますが、それをどう取り扱いになるかは国会においておやりになることであります。そうして国会において多数で決まればそれを認めていくというのが公正な姿であると思っております。
#168
○津金委員 削除される意思はあるのかどうか、これはあなた提案者です。
#169
○福田(一)国務大臣 提案者としては皆様方の御判断に任せることにいたします。
#170
○津金委員 それではこれで私の質問は終わります。
 先ほどの企業ぐるみ選挙に関する問題につきましては、時期その他の問題についても明らかになっておりませんので、この点についてはそういうことについての明確な報告をいただいた上で解明をいたしたいというふうに考えます。したがって、この問題についても一応留保するという点を最後につけ加えて私の質問を終わりたいと思います。
#171
○小澤委員長 林孝矩君。
#172
○林(孝)委員 私は四月十八日の本会議におきまして、総理に対する質問として、公職選挙法の一部改正のことで発言をいたしました。この改正なるものが憲法で保障する表現の自由を侵し、国民の政治の真の姿を見ようとするそうした意思を遠ざけて、問題は国民主権の内容を骨抜きにしかねない、こうしたきわめて重大な問題を含んでいる改正案だ、そういう私の指摘、またそうした問題提起にかかわらず、総理の答弁というものは、いわゆるサギをカラスにするような、誠意ある答弁ではありませんでした。本委員会において、その本会議における質問を前提として自治大臣にお伺いしていきたいと思います。
 そこで、改めてこの公職選挙法の改正案について、他日総理に質問いたしますけれども、自治大臣にお伺いしたいわけでありますが、まず第一に、公選法の百四十八条第一項、この立法趣旨をお伺いしたいと思います。
#173
○土屋政府委員 百四十八条の趣旨は、選挙運動に関しては御承知のとおりいろいろと選挙の公正を確保する見地から制限規定があるわけでございますけれども、社会の公器であるその報道機関、新聞紙というものについては、選挙に関していろいろ報道、評論することの自由を妨げないという趣旨でございますから、公器としての報道は、特に事実を歪曲したりあるいは自由を乱用して公正を害しない限りは報道、評論の自由があるということを明記しておるわけでございます。
#174
○林(孝)委員 いまお答えがあったように、いわゆる新聞紙または雑誌が、選挙運動に関する種々の制限規定が公職選挙法にあるわけでありますけれども、あるにもかかわらずなおそれらの制限から自由に選挙に関し報道できるようにしているというのが、いま答弁があったとおりこの百四十八条第一項の立法趣旨、すなわち表現の自由というもの、国政批判の自由というもの、そしてさらにあすへの一票のためにこうした自由権が存在するということであると私は解釈するわけであります。
 そこで、この百四十八条一項は表現の自由を保障するものであるとして、それでは憲法二十一条の表現の自由は何のためにあるのか。表現の自由が憲法二十一条に規定されているその立法趣旨、制定理由は何なのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#175
○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、新聞等についてその性格からまさに報道、評論の自由ということが許されておるわけでございますけれども、その点についても御承知のように二項、三項等をごらんいただきますと、幾ら報道、評論の自由があるといっても、にわかづくりに、特定の選挙目当てににわかにつくった新聞等については一定の制限があるわけでございます。機関紙についても、同じように確認団体についてのみ選挙運動期間中は選挙に関する報道、評論ができるということで、この一般紙に関する百四十八条一項の規定の準用をしておるわけでございまして、そういった意味で御趣旨のように憲法についても言論、出版、結社、表現の自由というのが認められておるわけでございますが、これはもう基本的な人権として、個人の表現の自由と申しますか自分の考えておることは束縛されないという自由というものを規定しておるわけでございます。
 しかし、いま申しましたように、一般の新聞についても一定の制限がございますように、こういった憲法の規定も公共の福祉という観点から制約を受けるということはあり得る。自由であるから何でもいいのだ、社会の福祉に反するようなことでも、公共の福祉に反することでもいいのだ、そういうものではなかろうというふうに考えておるわけでございます。
#176
○林(孝)委員 それは、いわゆる公共の福祉に反しない限りにおいてはいいということは報道される内容の問題である、そのように解釈していいですね。
#177
○土屋政府委員 憲法における言論等の自由というのは、それはいまおっしゃったような中身ということにもよろうかと思いますけれども、全般としての選挙に関する報道、評論という場合には、それは中身もさりながら選挙法に規定しておるいろいろな規制というものとの関連において、そういった面からも判断されるべきものだというふうに考えます。
#178
○林(孝)委員 ですから、憲法二十一条の表現の自由というものの立法趣旨はどのように考えられておるのか、制定の理由はどういうように考えられておるのかということを最初にお伺いしたいわけです。これをまず明確にしておいていただきたい。自治大臣、お願いします。
#179
○福田(一)国務大臣 この二十一条には、御案内のように「集會、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」こう書いてありますね。それはあなたも御承知のとおりであります。しかし一方において、十二条によって「この憲法が國民に保障する自由及び権利は、國民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、國民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」こういう一つの条文でもって、いわゆる公共の福祉ということによって制限を受けておる。また、十三条では「公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」だから、自由は認めるけれども、しかし公共の福祉に反しない限り認めるのであるということがここに明記してあるわけでございまして、その条文との関係において理解をしていくべきものである、こう考えております。
#180
○林(孝)委員 それは二十一条の解釈だと私は思うのです。私がお伺いしておるのは、その立法された趣旨はどういうことなのか、制定の理由はどういうところにあったのかということをお伺いしておるわけです。文言の解釈ではなしに、それをどう解釈されておるか。
#181
○土屋政府委員 これは国民の一人一人の思想と申しますか信条と申しますか、そういったものの自由というものをだれにはばかるところなく表現するということは基本的人権として自由である、そういった基本的な考え方からこれはできておるものと思います。
 ただ、実際問題としてこの二十一条の精神がどういうふうに生かされていくかということになりますと、憲法全体の問題として、いろいろな立法措置の中では全体の中で考えられていくものだと思いますが、二十一条そのものは、個人のそういった思想、信条といったようなものは尊重さるべきである、そういう基本的な考え方があるということであろうかと存じます。
#182
○林(孝)委員 では申し上げますと、憲法二十一条の表現の自由というものの保障は、いわゆる表現の自由を保障することが憲法の究極の目的であるかどうか。それが究極の目的だから保障するということではなしに、憲法が表現の自由というものを保障しているのは、憲法第一条の国民主権というところと非常に重大な関係があると私は思うわけです。その国民主権を全うするために、国民主権を真の国民主権たらしめるために表現の自由というものを保障している。この原点に立ったときに、百四十八条一項のいわゆる表現の自由の保障というものが、憲法上においてもいかに重大な意味を持つかということになると私は思うわけです。
 したがって、今回の私の指摘というものは、なぜこういうことを言うかといいますと、いわゆる今回の公選法改正の中に含まれておりますところの号外の規制あるいは一般紙誌の規制、こうしたことが、あるいはまた政党の公認する候補者の数によって政党の政策の掲載回数を差別する、そうしたさまざまのことがこうした憲法上の意味において重大な問題を内在しておるという意味において私はいまこうした指摘をしているわけなんです。
 国民主権を全うするための表現の自由、それができなければ、たとえば時の為政者の思うがままに言論が規制されるというようなことであるならば、国民は本当のことを知り得ない、また必要なときに知り得ない、こうした問題が生じてくることは当然なんですね。そうした意味においてこの表現の自由という問題を考えていかなければならない、このように私は思うわけでありますが、大臣は私の考え方に対して御異論があるか、それともまた別の考え方をお持ちになっておるのかお答えを願いたいと思います。
#183
○福田(一)国務大臣 表現の自由というものはこれを認めるということは憲法で明らかにしております。しかし、表現の自由を認めるが、何でもやっていいという意味じゃなくて、公共の福祉に反しない限りという制約が常にある。憲法でいろいろな条文がございます。いろいろの条文があるけれども、すべての条文はやはり公共の福祉というものを考えて、それに反しない限り認めるという趣旨であると思うのであります。それは団体行動をし、あるいは国家というものをやっていく場合において個々の人々が自分の自由意思で何でもできる、自分が考えれば何を言ってもいい、人の信用を害するようなことやあるいは不名誉なことでも何でも言えるということを憲法は保障しておるのではないので、やはり公共の福祉という一つの制約をもって表現の自由、公共の福祉に反しない限りは表現の自由は認めていかなければならない、こういう趣旨であると私は解しております。
    〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
#184
○林(孝)委員 それならば、往々にしてこうした権力を持った人たちサイドのものの考え方は、批判する者を退けるとかあるいはきらう、そうしたところから地位を保全するために規制というものが起こってきたのは歴史の数々の事実が示しているわけでありますけれども、いま大臣が答えられたいわゆる公共の福祉に反しない限りにおいて自由というものが保障されなければならないというならば、今回のこの改正案の、先ほど指摘いたしました機関紙の問題、一般紙誌の問題、号外の問題、こうしたことはどこに公共の福祉ということを一線を引かれてそしてこうした規制を考えられたのか、その物差しはどこなのかということが非常に重大になってくるわけです。その点について明確にしておいていただきたいと思います。
#185
○土屋政府委員 確かにおっしゃるように表現の自由ということも保障されておりますし、また選挙法上報道、評論の自由ということも認められておるわけでございますけれども、そういった事柄は、それぞれの法律の体系の中でその法が目的としておるものの中でどう扱うかということになろうかと思うのでございます。選挙法の場合はまさに選挙を行う場合に公正を確保するということが一つの大きな命題でございますので、選挙の公正を確保する意味で一定の秩序と申しますか、一定の規制をつくっておるということでございます。
 そういった規制の中で考えていきます場合に、本来自由下であるのに規制をするのはいけないのだというような考え方もありましょうし、いろいろございましょうけれども、たとえば金を持った者だけが自由にやれるといったようなことでは困るので、何かそこに一定の秩序を設けていく。平等と言いますか公正を図るといったような、機会の均等ということを与えるということで一つの規制というものがあるわけでございます。そういった意味で、規制がとられておる中でその規制を破るような状態が起こるということは非常に困る。
 たとえば政治活動でございましても、それが選挙時において選挙運動ときわめて紛らわしいというようなことになってまいりますと、せっかく公正を確保するために設けられた選挙法上の規制というものが崩れてしまうということがあるわけでございまして、そういった意味で先ほどの機関紙の号外等につきましても、これが一般の、通常の頒布を越えて非常に大量に、無差別に、しかもまた内容が報道、評論の域をあるいは逸脱しておるのではないかといったようなことが書かれたものが出されておるということで、せっかく選挙運動について一定の規制を加えておるにかかわらず、それがその面から崩れてしまった。そういった面では選挙の公正が崩されるということがございますので、そういった意味でやはり公正の確保ということが出てくる。
 そこでいろいろ報道、評論なりあるいは表現の自由ということもございますけれども、それは全体のそういった法の趣旨、ということはそれが全体の福祉につながる問題であろうかと思うのでございます。公共の福祉という全体的なとらえ方ができる、そういった面から問題があるということで、最小限の規制というものはやむを得ない、こういった考え方に立って改正案を出した次第でございます。
#186
○林(孝)委員 そうしたら、たとえば正しい政治のあり方であるとか、あるいは現在の政治の実情であるとか、あるいは現在の政治のあり方の正確な真相を国民に知らせるとか、いま選挙部長が言われたような虚偽のものであるとか、あるいは誹謗、中傷のたぐいであるとかいうのではなしに、真実を国民に知らす、国民もそれを知りたい、そうしたものは先ほどから答弁のあるいわゆる公正の確保の中にあるものなのか、外に置かれるものなのか、あるいはそれは公共の福祉という観点から考えて行われるのが当然であるという考え方なのか、それさえも公共の福祉に反するということになるのか。この公正ということ、それから公共の福祉ということを盛んに先ほどから答弁されておりますのでお答え願いたいと思います。
#187
○土屋政府委員 公正の確保ということをいろいろ申し上げたわけでございますが、今回禁止しておりますのはまさに選挙期間中の問題でございまして、いまの機関紙号外というものについて禁止をしておるわけでございます。したがって、その号外の中でもいまおっしゃいますように、よく実態を国民に知らせるという面で有益な面もあろうかと思います。それは否定をしておるわけではございません。しかし、全般としてそういうものが無制限に出ていって、選挙でせっかく公正を確保する意味で選挙法上こういった一定の規制をお互いに守りましょうということでできておる規定というものが壊れてしまう、そういったような実態になってきておる。
 したがいまして、本来自由濶達にやって、それで問題がなければ、私は方法としてはそれが一番いいと思うのでございますけれども、なかなかそのとおりにいかない。そこで規制を加える。その規制の裏をかいていくといったようなこと等が起こってまいりますので、そういうことではせっかくのルールが壊れてしまうというので、公正の確保という問題でいまのような規制という問題が新しく出てきたというふうに御理解願いたいと思うのでございます。
#188
○林(孝)委員 そういう真実を報道する、そうしたものはいい、しかしそれが無差別に、多量にということだったら困る、こういうことですね。
#189
○土屋政府委員 比較考量の問題だと思うのでございます。それじゃいま号外が出ておるものがみんな悪いのだとは決して考えていないわけでございますが、いまのような形でございますと、全体として見た場合により大きな公正が害されるのじゃないかということでございまして、しかもこれが全部の手段を奪ったわけではございませんで、選挙期間中そういうところを慎んでいただきたいというようなことでございますし、また、機関紙本紙そのものはこれはそのとおり有償ということではございますが、本来有償性をもとにしたものでございますので、その点は大きな変化はないと思いますけれども、機関紙本紙は配れるということでございます。
 そのほかに先ほども大臣からたびたび答弁いたしましたように、たとえば政党の政策というものは新聞広告によって何回かを公営で行うといったような手段等も講じまして、全体としていまおっしゃいましたような国民がいろいろと政策等を知る機会というものはなるべく失われないようにしようという配慮等もあわせて加えておるところでございます。
#190
○林(孝)委員 自治省がいわゆる公正の確保ということを言われるならば、現在公正の確保がされてない、あるいは選挙期間中において公正の確保がされなかった、そうしたデータ、資料というものは全部お持ちですか。
#191
○土屋政府委員 率直に申し上げまして、出された機関紙号外というものは全部私どものところにあるわけではございません。それは全般的に見て、私個人の経験もございますが、一般的な人々の意見等も聞きましても、あるいはまた街頭等で私も現に見聞いたしておりますけれども、そういった実態というものが認められますので、それをもとにしておるわけでございまして、もちろん幾つかは持っておりますが、全部そういうものを私は持っておる、そしてそれがいけないとかどうとかと全部を批判をしておるわけではございません。
#192
○林(孝)委員 そうしたいわゆる主観的なものでこうした重大問題を判断されるということは、私は後々に非常に禍根を残すことになると思いますけれども、冒頭に申し上げましたように、いわゆる国民主権が果たしてこれで全うされるというお考えを持っておられますか。法律でこういうものを規制して、それでも国民の主権は全うされると考えられますか。私は先ほど憲法第一条、それから二十一条の関連について私の考え方を言いました。そうしたことを前提にしてこういう法律的な規制というもの、これで果たして国民主権は全うされると思われるかどうか、この認識をお伺いしておきたいと思います。
#193
○土屋政府委員 国民主権ということは、もう仰せまでもなくそのとおりでございまして、国民がこの国政の中で主体となっていくということはもう言うまでもないことでございます。したがいまして、選挙におきましても国民、特に有権者が代表を選び、あるいはその選ばれた代表が政府をつくっていく、そういう一つのシステムがあるわけでございまして、その場合にその国民の主権というのが確立されるためには、国民自身がよくそういった選挙等において判断ができる、そういう機会がまた多く与えられるということが必要であることはこれはそのとおりだと思うのでございます。
 しかしながら、それでは国民が知る権利があるからといって何でも選挙の場において認めることがいいかということになりますと、そこには一つのその選挙のルールを決める際の公正の確保といった意味でのルール、規制というものが出てくると思うのでございます。そういった全体の中で考えて一定の規制もやむを得ない。すべて自由濶達で自由に野放しでやっていいというわけにもまいらない面があるだろうというふうに考えるわけで、今回の規制がすなわち国民主権というものを乱しておるのだというふうには考えていないわけでございます。
#194
○林(孝)委員 では逆に規制をするのではなしに、各政党が大いに選挙期間中も選挙期間外においても日常においても、号外もあるいは機関紙もそうしたものをフルに使って、また実際対話という中から国民に政治の真実を知らせ、あり方を知らしていく、そうした活動をしていくということが、これが近代政党の役割りではないか、方向ではないか、このように考えるわけでありますけれども、これは自治大臣どのような認識に立っておられますか。
#195
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 いま仰せになったとおり、そういう意味で極力宣伝をやっていくということはこれは当然認めなければいけないと思うのでありますが、ただわれわれが言っておりますのは、選挙期間中の号外というものだけはいろいろ弊害もありますので差し控えていただきたい、そういう意味で法の規定をいたしましたと、こう申し上げておるわけでございます。
#196
○林(孝)委員 選挙期間中の弊害ということはどういうことを想定されておりますか。
#197
○福田(一)国務大臣 先ほども実はお答えをいたしたところでございますけれども、ビラをむやみに配ってビラ公害というようなことが出たり、そういう声が相当出ております。
    〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕
したがって、そういう意味で何も号外を出さなくてもいいように新聞紙に数次にわたって各党の意見が述べられるスペースをとって、そしてこれを選挙期間中に配るというか、新聞が出ることになりますから、その意味で号外にかわるものとしてわれわれとしては各党としては宣伝活動ができるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
#198
○林(孝)委員 そうしますと、いままでの議論を要約しますと、いわゆる表現の自由はこれは期間であろうと期間でなくても認められなければならないものでしょう。しかし期間ということになると、選挙期間ということであったら一定のルールというものが必要だ。これはすでに一定のルールというものが規定されて、いままで選挙がずっと行われてきたわけですね。なおさらそこから規制をしていこうというためには、そこに事情がなければならないと思うのです。その事情を要約すると、答弁を要約すると、それはビラ公害であるということを聞いたり、あるいは非常に無差別に各戸に配布されるということに対する世論がそうだとかというようなことなんですね。
#199
○福田(一)国務大臣 現在の法律においてもこれはビラ、号外を出すということは、通常の頒布の方法という範疇には入っておらないのでありますから、そこで法の解釈がいままでルーズに行われてそうして号外が出されておった。そこでそれが公害というようなことで批判も受けることになりましたから、そこでこれは今回は明記をいたしまして、選挙期間中は号外を出さないようにするという、言うなれば従来の解釈を明快にしたというわけで、ここに新しく号外というものを出してはいけないということにしたわけではないわけであります。
#200
○林(孝)委員 それでは号外の規定というものが新しく出たわけではなくて、いままでもやってはいけなかったのだ、しかし今回それを明文化したということですね。これは間違いないですね。これは選挙部長、間違いないですか。いまの大臣の答弁どおりでいいですか。
#201
○土屋政府委員 従来から御承知のように、政治活動というものは本来自由であるべきなんでございましょうけれども、選挙時になるとこれが非常に活発化し過ぎる、そして選挙運動にまぎらわしいというようなことになるので、御承知のように二百一条の五以下は選挙運動期間中になりますと政党その他の政治団体の運動というものを、政治活動というものを非常に規制しております。ただし、それでは余りにも政治の中核である政党というものの運動が局限されるということから、そういったいわゆる確認団体については一定の範囲内での政治活動の自由を認めておる。その中で機関紙というものも一つに限って選挙に関する報道、評論の自由が認められておるというわけでございますが、それは通常の頒布ということになっております。ところがその通常の頒布というものが有償性といったような前提をも越えて、非常に無償で大量に、無差別に頒布をされて、せっかく選挙運動文書等について規制が加えられておる、ルールがつくられておるものが壊れてしまう、そういった状況が出てきておるので、それでは選挙の公正を害するので、その期間中は、機関紙はできるのだけれども、その号外については問題があるからお控えを願いたいというのが今度の趣旨でございます。
#202
○林(孝)委員 ですから、大臣のおっしゃったことと少し違うのですよ。いままでもだめだったのではないのですよ。それは違うでしょう。
#203
○土屋政府委員 通常の方法というものの解釈でございますけれども、これは大臣がいま申し上げましたように、一応私どもとしては、従来からわれわれの解釈として出しておりますのは、有償性ということも前提となるし、継続的な発行ということも前提となるというようなことで解釈をしておるわけでございまして、ただ何でも無償でその時期になるとよけい出すのだから、それが通常の頒布なんだというのでは、それはわれわれの解釈と合わないということでございます。したがって、そういうかっこうで出ておるものはいままででも通常の頒布とは言いにくい、それがそのままに見られておるということでございます。
#204
○林(孝)委員 号外そのものが今回初めてこういう規制になるということではなかったんで、いままでもだめだったんだという答弁でしょう。
#205
○土屋政府委員 号外そのものも、いまのような形で無償で大量に頒布されるということは、これは通常の頒布とは言いがたいという解釈をいままでもとっておったわけでございます。
#206
○林(孝)委員 通常の配布の中で行う号外というものは、これはいままでよかったわけでしょう。
#207
○土屋政府委員 その通常の配布というものが、たとえばいまのように無償に大量に出していくということは通常の配布ということに考えられないという言い方をしておったわけでございます。したがいまして、ただ、ある選挙の時期に多量に無償でまいたというそういう経験があるから、それがうちの機関紙にとっては通常の頒布であるのだというふうに直ちには認められない。当然無償で大量にまくのがいいのだという前提ではないのだ、通常の配布の解釈が。そういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
#208
○林(孝)委員 そうすると、無償で多量にまくのは通常の頒布ではないと、いままでそういう解釈に立っておったということですね。そうすると無償でというのは、先ほどから議論がありましたけれども、確認するのは非常にむずかしいことですね。多量にというのはどういうのが多量なんですか。
#209
○土屋政府委員 本来この有償性というものが原則になっておるわけでございますから、結局、月決めで金を払う場合もございましょうし、あるいは会費を取った会員に新聞を配るといった場合も、これも有償性が基礎になっておると思うのでございます。
 しかし、基本的には、そういった新聞というものはもともとそういう性格のものでございまして、まあ大量にというのも、その量で幾ら幾らというわけじゃございませんが、本来新聞の大部分が有償性というのを無視するに至る程度に無償部分が多くなるようなことになりますと、これはやはり問題があるということでございまして、それはその通常の頒布というものを逸脱しておるのではないかと私どもとしては考えざるを得ないわけでございます。
#210
○林(孝)委員 法案要綱の中に「選挙に関する報道、評論を掲載した確認団体の届出機関紙誌又は一般紙誌の頒布については、選挙運動の期間中及び選挙の当日においては、当該新聞紙又は雑誌の定期購読者以外の者に対しては有償でする場合に限る」と、こういう形での機関紙の規制の仕方。それから二のところの「政党その他の政治団体の機関紙誌の号外等」ということにして、その選挙運動の期間中における報道、評論の掲載されたもの、それを頒布することを禁止しておる。こういうことでの禁止では、いままでなかったわけでしょう。
#211
○土屋政府委員 それは今回の改正でございますから、今回は従来とは変わったやり方でございますけれども、かなりの部分が共通しておる部分もあるということはあろうかと思います。
#212
○林(孝)委員 そこで、その号外の頒布の禁止、この一つの事実を取り上げてみても、また機関紙誌の規制というものを、一般紙誌の規制、これは有償に限るという規制でありますけれども、こういうものを考えてみても、しょせんこうした規制がなぜ必要かということについては、公共の福祉とか、あるいは公正を保つためということを言われますけれども、これを規制することによって本当に公正が保てるものなのか、また公共の福祉というようなことが保たれるのか、もっとほかに規制すべきことがたくさんあって、そうした根源を、源をとめないで、解決しないで、そして本当にその憲法に言うところの表現の自由というものを守るならば、あるいは国民主権を全うするために、どうしてもこうした知る権利あるいは報道、表現の自由というものを守っていく、そうしたことを貫くためには、守っていくためにはしてはならないこうした規制というものを法律でやろうということ、これには非常に私は片手落ちな面があると思うのです。
 たとえば先ほどからの答弁を聞いておりますと、非常にビラ公害であるとかいうようなことを言われますけれども、私たちの調査あるいは知り得る限りにおいて、本当に国民がどういうもので選挙のときに政策を知り、あるいは候補者個人の公約を知ることになるかということにつきましては、これはもう機関紙も必要であろうし、また号外も必要であろうし、もちろんテレビも必要であろうし、あらゆるものが使われて、そして国民にそういうことを知らしていかなければならない、これはもう全く常識的なことであり、原則だと私は思うのです。そうした数が多過ぎるだとか、無差別だということだけで、最も原則的なこと、守らなければならないことを法律で規制するという、ここの考え方に私はもう非常に大きな問題があるのではないか、こういうように考えるのです。大臣、いかがですか。
#213
○福田(一)国務大臣 先ほども申し上げておったのでありますけれども、選挙運動というものはいろいろの方法があるわけでございます。そうして、まあこれは内閣の調べ等によりますと、特にテレビというものが非常な重大なウエートを占めておる、それから新聞、それから機関紙、号外というような、いろいろな面になっておると思うのでありますが、私は選挙運動自体を言えば、立会演説会もあれば、あるいはまたテレビによるわれわれの報道もある。それからまた政党の立会演説といいますかお互いに意見を述べ合うということ、それからまた宣伝車によるところの街頭演説あるいは演説会場における演説等々、いろいろなたくさんの方法があるわけでありまして、私はそういうような機関紙の号外などというのはその一部であると考えておるのであります。
 しかし、その一部といえども制限をしない方がいいではないかという御意見かと思うのでありますが、しかし、それについてはいままでにビラ公害というような問題があって非常な批判を受けております。したがって、そういうような批判を受けたようなものは、これは選挙期間中だけはやめていただくようにしたい、こういう意味で今度の改正案を出しておる、こういうことでございます。
#214
○林(孝)委員 さらにこの問題を続けてお伺いしていきますけれども、公職選挙法の二百一条の十四の第一項、これは政党その他の政治団体の発行する新聞紙及び雑誌については、衆議院議員選挙、参議院議員選挙等国政に重大な影響を及ぼす選挙に関して百四十八条第一項の規定を準用していると思うわけであります。この立法趣旨はどのようにお考えですか。
#215
○土屋政府委員 これは実は先ほども若干触れたわけでございますけれども、御承知のように、この政治活動というのが自由にやられることはけっこうでございますが、選挙運動期間中に余りにも活発になるということになると、いろいろ選挙運動の規制との関連において問題が出てくるので、二百一条の五以下にございますように、ここに掲げてございます選挙については、一般的に政党その他の政治団体の政治活動というものは制限をされるわけでございます。
 しかしながら、政党の役割りというものは無視できないので、それまでみんな規制するのはどうであろうかということで、一定の候補者数を持った確認団体というものについては一定の政治活動を認めたわけでございますが、そういった中において、一般の政党その他の政治団体の新聞紙については、その確認団体が直接本部で発行して、そして通常の方法によって頒布をするというものだけについて選挙に関する報道、評論を認める、そういう形になっておるわけでございまして、機関紙の中で全体がそういうことができるというわけではございません。確認団体の機関紙のみがそういう報道、評論の自由があるということでございまして、それに関しては、先ほどからおっしゃいますように、そういった政党の立場から見ても、政治活動も一般的には抑えるのだけれども、その確認団体であるものについてはそれは認めていいじゃないかという趣旨で、これは解除されておる、解禁されておる、そういった趣旨で書かれておるものであると解釈しております。
#216
○林(孝)委員 そのように政党の活動の重要性、またその機関紙の重要性、あるいは国民の知る権利を、国民主権を全うするという意味で擁護しなければいかぬし、またそれを奨励していかなければいかぬし、そうしたいろんなことは、憲法を生かすための一つのことで、全部表現の自由というところで集約されていると私は思うのです。だから規制というものの枠の中でどうしてもこういうものは規制しないでいこうというようなことが、この公職選挙法の数々の制定の理由として挙げられておるわけでしょう。ところが、それと今回の規制という問題は全く逆行しておるということを先ほどから私は指摘しておるわけなんです。
 というのは、政党が機関紙を持ち、それを配布する、これは有償でなければならないとか、あるいは号外に政治評論等が載っているのを期間中において頒布できないとか、これはこの百四十八条の趣旨であるとか、あるいはいま申しました二百一条との関連、こうした現在の公職選挙法の立法趣旨というものから考えれば、今回の改正案というものは非常に変な趣旨で、全く逆の発想において行われておる。逆な発想とは何かというと、権力を保つためにはこうしたことを規制しよう、そして地位を保全しようという、そうした意図以外の何物でもないようなこと、これはイコール本当に憲法上の問題として表現の自由というものに大きく抵触するような禍根を残すことになると私はそのように考えて、いまこうしてこの問題を取り上げているわけなんです。
 さらにその次にきますと、もう一つは、現代の政治というものは政党政治であります。したがって、一人の議員であるとか政治家というものによって政治が行われるわけではないわけですね。これを今度は国民の側から言うと、いわゆる国民主権というものも政党によって、その政党の政治によって実現されていく、こういう形になってきておるわけなんです。ですから、国民の意思の反映というものはそうした政党を通して反映されていく、こう私は思うわけです。大臣はどう思われますか。
#217
○福田(一)国務大臣 原則としてそうだと思います。しかし、政党に属さない無所属の方も、たとえば参議などにおられますから、全部が全部そうだとは考えられませんけれども、原則として、いまあなたがおっしゃったとおり政党によって現在は政治が行われておる。政党によって代表されてそして政治が行われておるということは、仰せのとおりだと思っております。
#218
○林(孝)委員 そうしますと、そうした政党政治である以上は、政党が国民に政治の実情を報告したりあるいは正すべき点を指摘したり、あるいはみずからが行おうとする国民のための政治というもの、方向性というものを国民に知らせるということは、私は政党の義務だと思うのですよ。その上で国民に是非の判断を願う、これが私は民主政治ではないかと思うわけです。
 そうしますと、これは後からまた申しますけれども、これはいま政権を担当している政党であれ、どの政党であれ、こういうことは政党としての国民のためにする当然の義務である、私はこのように考えるわけです。この点は、大臣はいかがですか。
#219
○福田(一)国務大臣 基本的には、いまおっしゃったとおりだと思います。
#220
○林(孝)委員 だからこそ、先ほど挙げました公職選挙法二百一条の十四の第一項、これは百四十八条第一項を準用して一般紙誌が選挙運動の制限規定を受けないで自由に選挙に関する報道、評論をすることを認めておる。と同様に、政党あるいは新聞紙をもその使命の重大性にかんがみて自由に選挙に関する報道、評論をすることを認めているのじゃないか、このように私は思うのですけれども、いかがですか。
#221
○土屋政府委員 結局、政治活動と選挙運動との問題に絡んでくるのだろうと思うのでございますが、おっしゃるように、政党の役割りというものは民主政治の中では非常に重要でございます。国民の政治的意思形成にまさに寄与しておるわけでございますから、そういった政党等がいろいろとその政策を国民に知らせ、また国民の意見というものをそこで吸収していくというやり方は、民主政治の中では重大なことだと思うのでございます。そういった意味で、先ほどからおっしゃいますように、どの機関紙等の発行ということももちろん重大な意味を持つものだと思っております。
 ただ、たびたび申し上げますように、選挙運動等との関連から、選挙運動期間中に限っては政治活動についても一定の規制をしておるけれども、しかしながら政党について、正確にはいまでは確認団体ということになるわけでございますが、それについては一定の範囲内で認める、その中でこの機関紙についても報道、評論の自由を認める、こういう形をとっておるわけでございます。したがって、それならそれで、それは十分やらしたらいいじゃないかという御意見でございましょうし、またそういう考え方も成り立つと思うのでございます。
 ところが、いまの現実の実態というものが、通常の頒布でやるべきだというにかかわらず、どうもそれを逸脱した形でやられておるし、またその中身自体も、どうも選挙運動用文書と紛らわしいと思われるものが非常に多量に無償で頒布されておるというようなことでございますから、そういったものについては、通常はともかく、少なくとも選挙期間中はひとつお控えをいただけぬだろうか、こういうのが今度の改正の趣旨でございまして、基本的な報道、評論の自由、表現の自由といったことに決して反対をしておるわけではございません。それはいま申しました全体の選挙の公正といったこと等との絡みからそういった問題を提起して改正案に盛り込んだ、こういうことでございます。
#222
○林(孝)委員 そちらはこれは通常の頒布でないと思われるかもしれませんけれども、やはり政党によっては、それは通常の頒布であるというように考えてやっておるわけであって、それをどうかということは、法律で規制するということではなしに、先ほども申し上げましたように、国民にその是非を問うべきことではないか。これをどうしても法律で規制しなければならないということは現代の政党政治の中でもう不可欠のものですか。
 これはどう思われますか。
#223
○福田(一)国務大臣 それはどちらがいいかという選択の問題で、われわれとしてはその方が選挙の公正が保たれるという考え方で提案をいたしておるわけでございます。
#224
○林(孝)委員 国民の判断よりも法律で規制する方が正しいということは非常に重大な問題だと私は思うわけです。これは指摘しておきます。
 現在の二百一条の十四第一項の規定は、先ほど申し上げましたように、政党政治であるということを踏んまえた上での政党の言論活動を保護している規定であると私は思うのです。したがって、国民の意思が正しく国政に反映されること、すなわち先ほど申し上げました憲法第一条の国民主権の規定が真に生かされるようにした条文としてこの二百一条を評価しなければならないと私は思うのですけれども、いかがですか。
#225
○福田(一)国務大臣 二百一条の規定はいまおっしゃったような意味で規定されておると思いますが、選挙期間中におけるビラの問題につきましては、選挙の公正を保つという意味でその方が公正を保つ道であるとわれわれは考えて提案をいたしておるわけでございます。
#226
○林(孝)委員 二百一条の趣旨がそうであるならば、今回の改正案は、国民に本当のことを知らせる政党の言論活動、政党にとっては命ともいうべき言論活動をこうした形で封殺しようということです。これは先ほど言われたように、国民の判断よりも法律で規制する方がいいということと全く共通して、非常に専制主義的なものの考え方である、これはもう非常に重大であるということを申し上げておきたいと私は思うのです。それはまた、反面から言えば、はっきり言って、民主主義に反することであると私は考える次第です。
 問題点のもう一つは、そういうことが結果的に何を呼び起こしていくかというと、国民に対して、政治にベールをかけてしまって本当のことが伝わらないということです。そしてこうした規制がだんだんエスカレートしていきますと、いわゆる外堀が埋められていくことによって何が起こってくるかというと、その時期において権力を握っている人たちが、その人たちのためにするものは国民に知らせるけれども、それと逆のこと、それを批判する、あるいは反対する行動だとかそういう事実については国民に知らせない、こういうところにまでエスカレートしていくことを私は心配するわけであります。
 したがって、今回の公選法改正案の中にある法律によるこうしたものの規制に対しては私たちは同意できないし、この法律案の中にある、私たちが公職選挙法の委員会あるいは小委員会において合意した事項、選挙の公営化という問題、金のかからない選挙というこうした非常に大事なことまでもつぶしてしまうことになるのではないか。本当にまとまるものをまとめていこうという趣旨に沿っていくならば、憲法上非常に重大な問題を内在しているこの規制という事項は削除すべきである、このように私は考える次第です。自治大臣の答弁を伺っておきます。
#227
○福田(一)国務大臣 先ほど申し上げたように、いわゆる選挙の公正を保つために選挙期間中のビラの配布は禁止するという規定にいたしましたが、それにかわるものとして、新聞にビラに相当する宣伝文を載せた広告が三回も四回もできるようにしてあるわけでありまして、これは不公平というか、言論の自由を抑えたというよりは、新聞を通じて伸ばしたというふうに考えていただいて結構だと私は思うわけです。
#228
○林(孝)委員 問題意識の違いといいますか、そういうものがあることは事実であります。しかし、これは大臣、選挙の公営化というものでカバーされるような、数だとかそういう問題として私は言っているのではないのです。基本的なものの考え方として、言論をこうした形で法律で規制するということの重大性を私は大臣に話しておるわけですよ。これと同じ土俵で比較できるものではないのです。公営化は当然やっていかなければならないことです。しかし、言論を法律で規制するということの重大さを先ほどから指摘しておるわけで、これを比較して考えるということは間違っておる。もっともっと公営化すべきところを公営化しなければならないということもあります。
 もう一つは、号外だとか機関紙だとかいうものは何のためにあるかということにも関連するわけですが、これは先ほど来私が指摘し、またそういう面においては公選法二百一条もその趣旨であるというふうにお答えがあったように、何のためかというと、結局、国民がそのことによって知る権利を全うできる、国民主権を全うできる、国民がそのことによって判断し、それが政治に反映されるということです。そうした意味において私は、言論規制ということがあってはならない、それがいまなされようとしているということを指摘しておるわけです。ですから勘違いをしないでいただきたいと思うわけです。
 それから、先ほど広告掲載云々の問題が答弁の中で出ましたけれども、この法案によりますと、政党が公認する候補者の数によって党の政策掲載の回数が異なる、これまた重大な問題なんです。あえてこうした差別をしようとする立法趣旨はどこにあるのですか。
#229
○土屋政府委員 新聞による政策広告の回数でございますが、御承知のように、先ほどからるる申し上げましたように、選挙運動期間中は、政党その他の政治団体の中で確認団体だけについて一定の形で一定の範囲内で政治活動を見ておるわけでございますけれども、現行法におきましても政治活動用自動車の使用台数あるいは政治活動用ポスターの枚数については、所属候補者の多寡に応じて実は差をつけておるわけでございまして、そういったことから所属候補者の多い団体ほど選挙時における政治活動も広範囲にわたらざるを得ない、そういった基本的な考えがある。そういうことから考えまして、一応候補者の多いところには回数をふやすというような趣旨で提案をいたしたわけでございます。十人ぐらいのところとあるいは百人出すところとではおのずから広報の仕方というもの、浸透のさせ方というものも違ってくるだろう。それが現在の自動車でありあるいはまたポスターについて差異をつけておることにも通ずるということで、今回もそういった方式を踏襲をいたしたわけでございます。
#230
○福田(一)国務大臣 法案はいまあなたがおっしゃったようなことになっておりますが、その問題についてはわれわれは柔軟な、場合によっては考えてもいいという考え方を持っております。
#231
○林(孝)委員 柔軟な考え方ということは公正にするということですか。
#232
○福田(一)国務大臣 そのように御解釈願って、いまこれは皆さんと、やはりいろいろ与党とか野党でお話があるでしょうから、その間でまとまればそれに従おうという柔軟な姿勢を持っておるということであります。
#233
○林(孝)委員 大体法案に出す前にそういうことは気がつくべきだと思うのです。法案に出してから、それで気がつくようなことじゃ私はこの法案に対する熱意のほどがうかがわれる。
 それからもう一つは、戸別訪問に関してお伺いします。
 この戸別訪問は、いわゆる国民一人一人の有権者とじかに触れて、その中で政治の実際を語っていくもの、私は非常に民主政治の基本をなしておると思うわけです。そしてその国民の意見を正確に吸い上げて国政にそれを反映していく一つのルールがそこに生まれてくるものだと思います。
 こうした非常に大変な労力でありますけれども、最も望ましい一つの型の政党活動、これを私が四月の本会議の質問において申し上げましたときに、総理大臣は、違反を誘発するのではないか、こうした疑念を持たれておったことも事実であります。しかし、そのいわゆる違反ということは買収、供応等につながる金権選挙、金脈活動に関する違反ではないか、それがなければ一番望ましい選挙活動、政党活動ではないか、このように私は考えるわけでありますけれども、自治大臣はどのように理解されておりますか。
#234
○土屋政府委員 戸別訪問ということも政策を伝える意味では一つの有効な方法であろうということは御指摘のとおりだろうと思うのでございます。
 ただ、この問題につきましては、従来から選挙制度審議会あたりでもいろいろと議論がなされたわけでございまして、第七次に至るまでの選挙制度審議会の中でもいろいろ議論されまして、一応政党本位の選挙というものに持っていく、そういった政党本位の選挙というものをつくり上げていく形の上では、これは一つの有効な方法だろうという議論がかなりあったようでございます。
 第七次の審議会については最終的な答申がなかったわけでございますが、第二委員会でございますかで検討された際も、戸別訪問を原則として自由化すべきであるという意見もあったし、ただ、買収の機会等を与えるとか、あるいは大量動員のために著しく金がかかるといったようなこと、あるいは国民に迷惑をかける恐れがあるとかいったようないろいろな意見がございまして、賛成も反対もあったようでございます。ただ当時のその意見としては、戸別訪問の禁止というものは撤廃するという方向も考えられるが、しかし自由化しても一般国民に迷惑をかける恐れのないように訪問人員、訪問時間、訪問場所、退去義務等について必要な規制を設けるといったようなこととか、戸別訪問をする者の総数を制限するといったような方法で考えることもできるのではないかというようなことであったようでございます。
 こういったように、いろいろとこれについては意見の差異がございますし、評価もいろいろでございますが、政党本位の選挙に持っていくという過程では、いま申しましたように、ある程度肯定的な意見もあったようでございます。しかし、現実問題としては、あれこれ意見もございますので、直ちに踏み切るのはどうかということについては、今回の改正法案の中ではそこまで練り上げて入れるということまでには至らなかったということでございます。
#235
○林(孝)委員 あれこれ意見があるのは、最も意見があるのはこの機関紙の関係であって、それが入っておって戸別訪問の自由化が入ってないということ、これもまたおかしな話なんです。先ほどの表現の自由の問題、あるいはこの機関紙規制、号外の規制等も関連しますけれども、本当に正しい政治の当否の判断というのは、やはり健全な国民の意識、そこによると私は思うわけです。それはこの戸別訪問ということに関しては、やはり国民一人一人との対話の中から生まれてくる、そしてその中である人は目覚め、また広がりを持ち、充実し、そうしたことが新しい政治というものを生み出していくのではないかと思うわけなんです。
 したがって、この戸別訪問ということはそうした意見をまとめるという努力、意見があるということだけで傍観するのではなしに、やはりもっと積極的にその意見をまとめて、そして真の民主政治の拡充のために沿う活動をしていかなければならないのではないか、このように私は思うわけであります。
 これは自治大臣に答弁をお願いしたいと思います。
#236
○福田(一)国務大臣 選挙運動自体の中においてそれをどの程度のウエートとして見るかという問題になると思うのでございまして、われわれとしては、先ほども申し上げましたように、新聞紙上に党の政策というものを三回も四回も出せるような方法を今度は新しくつくり出して、そして国民の皆さまに確認政党、あなた方の政党も十分に理解をしていただけるように政策を述べる機会を新しく与えておるわけでございますからして、決していわゆる報道の自由を制限したということでなくて、逆に私はある意味では報道の自由を拡張した案になっておるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#237
○林(孝)委員 報道の自由を拡大したということになると、またこれ報道の自由の話になりますけれども、私が先ほどから何回も言っていることは、報道の自由というのはだれのためにあるのか。大臣は、与えているとか、こういう機会を与えているとか、拡大してやっているとかいう、そういう覆いかぶせるようなものの考え方で判断をされております。
 しかし、それはだれのためにあるのかということですよ、原点は。表現の自由は一体だれのためにあるのか、それを規定したのは、先ほど言ったように、国民主権を全うすることであるということでしょう。そうならば、知る権利というものに対する判断も、また機関紙あるいは一般紙の存在というもの、選挙期間中における号外の存在価値というものも、おのずからこれを法律で規制すべきであるかどうかということは判断できるはずだと私は思う。
 話を次に進めますけれども、一般新聞紙の定義のことでお伺いしたいわけです。
 公職選挙法の百四十八条第三項は一般新聞紙の定義をしていると私は思うわけであります。これはある選挙目当ての、その選挙限りの新聞、いわば選挙を食い物にしようとするそうした、新聞と称するものですけれども、そうしたものを排除していきたい、そういう目的があって規定されたものだと思うわけであります。したがって、今度は逆にそのような心配のない新聞、たとえば一定の題号を用いて、そして時事に関する事項を掲載する日刊新聞であって、また客観的に見て選挙を食い物にするおそれの全くない新聞紙、こうしたものについては百四十八条第三項の定義の枠を緩めて考えるという、そうしたことが必要ではないか。
 たとえば一つの選挙が行われておって、今度は逆に、その地域にある報道は、ここに規制される対象であるいわゆる食い物にするような報道ばかりが行われておる、それに対して正論でもって今度は言論活動をしようとしたときに、この三項の規定で、たとえば一年未満であったとかということでできない。そこの選挙は、選挙はというよりも選挙報道、こうしたものは、その悪い意図を持って行われておるいわゆる百四十八条三項のこの規定の対象となるようなこうした出版物によって毒されたままで終わると、こういう心配が一つ。
 もう一つは、たとえば新聞の企業が大きくなりまして企業分割ということが独禁法等で行われるという二とになった場合に、新しく支社ができた、その地域にローカル的な新聞をつくった、解散というのはいつ行われるかわからぬわけでありますから、その解散が行われたという時期がその新聞が新しい支社ができて一年未満であった場合は、この新聞社は選挙報道ができないということになりますね。
 そうした意味等々考えますと、やはり本当にこの新聞はだれが見ても全くそうした選挙を食い物にするような新聞ではないと言われるようなものに関して、この百四十八条の第三項のただし書きのところ、これを改正するという考え方はあるかないか、この点についてお伺いしたいと思います。
#238
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘のあったような問題については、いわゆる公共の福祉にそれほど反するものとも認められないし、報道の自由を認めるという意味もございますから、われわれとしては何らかの方法を考えてみたいと思っておるところでございます。
#239
○林(孝)委員 次に、法案の中身に入りたいと思いますが、この公職選挙法の法案を見ておりまして、いわゆる政令事項ということが非常に多いわけですね。たとえば選挙運動用自動車の使用の公営ということで「政令で定める額の範囲内」ということが出てきますし、第二のポスターの作成の公営というところで「政令で定める額の範囲内」ということが出てきます。その他政令事項というものがあって、また具体的に第三の政策広告の公営ということにしても、同一寸法とは一体どの寸法を言うのかという問題であるとか、その他数々の法案の中で明確になっていないところがあります。その一つ一つについて明確にしていただきたいと思うわけであります。
 まず最初に、先ほど申し上げました選挙運動用自動車の使用の公営というところでありますけれども、「政令で定めるところにより、政令で定める額の範囲内で」というところがありますね。この具体的内容について伺っておきたいと思います。
#240
○土屋政府委員 まだこの政令案の内容まで固まっておるわけではございませんが、自動車を無料で使用できるという公営の拡大をいたしておりますけれども、この自動車の使用形態というものがいろいろあろうかと思うのでございます。自動車運送業者から直接借り上げて全部それを使うという場合もございますれば、あるいは友人から借りてきた自動車を自分で運転する場合もございますし、あるいはまた自分の自動車を人を雇って運転するという場合もございましょう。いろいろケースによって異なる場合がございます。
 したがいまして、一律に書くということもできませんので、実態に応じて政令で定めようということにしておるわけでございますが、たとえば自動車の運送業者からの借り賃は、大体一日五万円程度あれば借り上げられるというようなことでございますので、そういったケースについてはそういった程度の額を考えておるわけでございます。
 なお、その「政令で定めるところにより」というようなことは、そこの条文の最後にございますように、供託物を没収される人、法定得票数以下の方については国庫負担をしないということでございますので、時期的には選挙が済んだ後の適当な時期だということにもなりましょうし、どこにその請求の手続をとればいいかということ、そういったことを規定をいたしたいと思っておるわけでございます。
 具体的に申し上げれば、その点につきましては本人に直接差し上げるわけではなくて、借り上げた場合は、その運送業者が直接国なりあるいは府県の方へ請求をして、そしてそこから業者に払うといったようなことを考えておりますが、そういった手続等を考えておる次第でございます。
#241
○林(孝)委員 その次に、第二のポスター作成の公営のところで、「供託物が国庫に帰属することとならない場合に限り、政令で定めるところにより、政令で定める額の範囲内で」というのがあります。これは参議院全国区、地方区、また衆議院、こうしたことが考えられると思うのですが、それについて明らかにしていただきたいと思います。
#242
○土屋政府委員 この点については、まだ政令案が固まっておるわけではありません。ただ、このポスターにつきましては、全国区の場合と衆議院あるいは参議院地方区の場合とは違うわけでありまして、衆議院と参議院の地方区についてはポスター掲示場がございます。しかもそれは選挙区によって非常に数が違うわけでございます。私どもは、その数についてはそのポスター掲示場の数の二倍、すなわち、一回の張りかえができるという枚数を考えておりまして、それに単価を掛けたものが限度だというふうに考えております。
 ただ、その単価が、東京都八区みたいに掲示場が五、六五しかないような非常に小さいところもあれば、島根県みたいに六千六百ぐらいもあるようなところもございます。そういった点で単価が違いますので、そこらをどういうふうに決めるかといったようなことでなお検討中でございます。参議院の全国区につきましては、これは十万枚ということになっておりますので、一応限度としては十万枚の、大体三十円くらいで上がるようでございますので、その程度のことを考えておりますけれども、そういった実態に応じて最高の額を決めたい。あとは先ほど申し上げました自動車と同じような手続上の問題等を政令で規定したいというふうに考えておるわけでございます。
#243
○林(孝)委員 三番目のところの新聞による政策広告の公営、この中で広告の枚数、それから寸法。「自治大臣の定めるところにより、同一寸法で、いずれか一の新聞において行う」。そのあとのことについては、先ほど柔軟な態度というところに入るわけでありますけれども、まず、この二点明らかにしてもらいたいと思います。
#244
○土屋政府委員 寸法がまず決めなければならない事柄でございますが、いまのところ考えておりますのは、いわゆる普通の新聞の三段抜きと申しますか、約三十八・五センチございますが、それを三段分ということで、かなりのスペースになるわけでございます。そういった規格を考えておるわけでございまして、「いずれか一の新聞において」ということでございますので、全国紙であろうと地方紙であろうと、政党が選んで広告をされて、そしてそれば無料でできまして、その載せた新聞社の方から、いまの個人の選挙運動用の広告と同じように国庫の方へ請求をされて支払うというような形にもっていきたいというふうに考えております。
#245
○林(孝)委員 それから第四の後援団体等に関する文書図画の掲示に関する事項、この中で立札及び看板のたぐい、この定義はどのように考えられておりますか。
#246
○土屋政府委員 立札、看板というのは、一般的な意味での立札であり看板であるわけでございますが、のたぐいというようなものもございます。したがいまして、いまのいわゆる立札とか看板のほかに、広告塔とかといったようなものも含まれるというふうに考えておるわけでございます。
#247
○林(孝)委員 たとえば、立札というのはどういうものを言うのですか。
#248
○土屋政府委員 立札というのは、たとえば一枚の板のようなもの、あるいは棒にきれを張ったような、そういった態様のもの。かけるのではなくて壁なり何なりに立てかける、そういったものが立札といったふうに考え、あるいはまた足をつけて立てておくというようなものが立札でございます。
#249
○林(孝)委員 材質は関係ないですか。
#250
○土屋政府委員 この定義自体については、材質は特別関係はございません。
#251
○林(孝)委員 看板の場合も材質は関係ないですか。
#252
○土屋政府委員 看板というのはまさに板でございますが、昔は板が多かったと思いますが、いまはいろいろな材料がございます。いわゆるかけて使っておる通常言われる看板というものでございますから、特別に材質に関係はないというふうに考えております。
#253
○林(孝)委員 それから「総数の範囲内で」というところがありますが、この「総数の範囲内で」というのは、後援団体あるいは選挙事務所、こうしたものに分けて考えた場合に、どのような状態を言うのか、また、その総数はどうなっておるのか、明確にしてもらいたいと思います。
#254
○土屋政府委員 今回の法案の中では、一つは候補者個人の名前を表示した立札、看板等というものと、それから本人とは無関係であるが本人を支援しておる後援団体の名称を表示した立札、看板、これについて総数を決めることになっておりますので、それぞれ別個に総数は決める予定でございますが、まあまだ政令できちっと決めておるわけでもございません。
 ただ、いま考えておりますのは、衆議院での御審議でございますので衆議院について申し上げますと、一応皆さんが事務所を持たれるときに一カ所について二枚が限度ということになっております。したがいまして、まず少なくとも五カ所は要るであろうといち考えを持っておりますので、総体としては十枚程度という考え方でございます。したがって、十枚で一カ所に一枚ずつ十カ所おつくりになっても結構でございます。そういうふうに、それぞれ十枚ずつ程度と考えております。
 もちろん、これは事務所そのものをこれで制限しようというわけではございません。この規格に合うものでかけられるものはその程度の総数であるというふうに考えて、政令で決めたいというふうに考えております。
#255
○林(孝)委員 公職選挙法の残余の質問については、これはまだ相当ありますので他日に譲って、政治資金規正法の問題に入りたいと思います。
 最初に、政治資金規正法の中に、個人のする会費については無制限になっております。限度枠が決まっておりません。寄付についても確認団体にするものについては年間百万円までなら公表されないというふうになっておるわけでありますが、性格不明の団体を政治団体として届けておけば、そこに集まる会費は全く出所不明であったり、あるいは政治団体がする寄付については制限していないものですから、無制限に派閥に献金できるのではないかという疑問があるわけです。この点についてお答え願いたいと思います。
#256
○土屋政府委員 個人の会費とおっしゃいましたのは、いわゆる党費、会費といったようなものであろうかと存じますが、これについて限度はございません。それはいわゆる党費、会費というものは寄付とは違いまして、当該団体の構成員がその団体を維持する意味において、いわば義務として債務という形での義務として負担をするものでございます。それぞれの会員が負担をすることによってその団体を維持していこうという性格のものでございますから、それはもうその団体を維持するには当然必要なことでございます。それはもう義務的に必要なものでございますから、その限度はあえて限定をしてないわけでございます。
 二問目の、政党、政治団体から政治団体へ出すという場合は、ある政治団体に寄付等がありました場合は、それはそれとして経理もし、また公開もして、はっきりしておるわけでございます。そういうところが別の政治団体へ出すということになりましても、いずれにおいてもその収支というものは政治団体の公開を通じましてはっきりいたしますので、その点は別に制限をする必要はないという考え方から、そういうことになっておるわけでございます。
#257
○林(孝)委員 この政治資金規正法に関して、これも四月の十八日に本会議で取り上げたわけでありますが、その政治資金規制を行おうという話が活発に議題になってきたのは、昨年の七月、参議院選挙が終わった時点であります。あのときにいわゆる金権選挙というものが問題になった。そうした各政党の積極的な取り組み、またそうした金権選挙の反省というものが端緒となったと私は記憶しておるわけです。そういうことから考えますと、今回の政治資金規正法というものが果たして国民のそういう政治資金規制に対する要望にこたえるものであるかどうかということについては非常に重大な疑義を感ずるわけであります。その一つは、やはり政治献金というものは個人に限るべきではないか、このように考えるわけでありますが、大臣はその点に対してどういう意見を持たれておるか、将来の展望等も踏んまえた上でお答え願いたいと思います。
#258
○福田(一)国務大臣 政治献金は理想としては個人に限るというのが総理の考え方でございますが、同時にまた総理は、それだからといって企業の献金が悪であるとは言っていない、こういうことも述べておられるのでありますが、われわれも同じような考え方でございまして、政治献金というものが大きく問題になったのは、確かにおっしゃるとおり昨年の参議院の選挙が一つの重大な契機になったと思います。しかし、あのときに取り上げられたのは、一つの会社でもって三億とか四億とかいうような金を出しておるとか、一つの団体がそういうような金を出しておるというのはひどいではないか、何とかそういう問題をひとつここで制限を加えなければならぬ、こういうことでございます。
 そこで今度は一応最高限を一億五千万ということにいたしました。しかし、これも一億五千万出さなければいけないということを規定したのではないわけでありまして、それまでは寄付する人の自由意思で出せるということでありまして、それ以上は絶対に、いかに意思があっても出せないが、しかし一億五千万と規定しておっても、その会社なりが、うちは百万円しか出しませんと言ったときに、私たちはそれに対して請求する権限はないわけであります。政党としてはそういうことを請求する権限はないわけであります。
 そういうことでありますが、それがまたやはり依然として大きいものになりはしないかという御疑問もあるかと思いますが、大体いまの選挙の実態を見ますと、これが政党政治になっておって、確認団体だけでやれるような、そしてその団体だけがやるという形になっておれば、それはわれわれもこういうような形では、また別な形でやったかと思うのでありますが、現在のような、個人も選挙運動をやっておるし、政党もやっておるし、個人の後援会もあればあるいは派閥の後援会もあるというような場合、このことを無視して、ここで急に政治資金の問題を決めますと相当なやはり問題といいますか、現実と離れた事態、結果において、政治形態といいますか、政治の姿を変えるといいますか、異常にむずかしくするというか、困難な選挙運動といいますか、いずれにしても現状と非常にかけ離れたことになるというようなことを踏まえまして今度は出したわけであります。
 でありますから、これについてはいろいろの御批判もあると思いますが、われわれとしてはとにかくいままで政治資金の問題は、それは昨年の七月に大きくクローズアップされましたけれども、前からずいぶんあるわけなんです。すでにいままで国会にもその法案を出しておるわけであります。しかし、そのたびに反対があって実現いたしませんで今日に至っておりますので、今度は一応この程度において認めていただいて、そうして将来またそれに弊害があれば直していただくというふうにする。
 理想的なものが何であるかということをいま急にここで決めるわけにはいきません。人によってこういうのが理想的だというお考えもあるでありましょうが、われわれから見てはこれで非常に理想的な案になったというだけの考えではなくて、まあ一応この程度にてひとつ認めていただく、そしてまたこれを直すべきときがあれば今後も直していくということで、個人献金の問題は、これは五年後に見直すというような附則もつけておりますけれども、そういうこととは別に、私は何もこの法案が通ったから来年改正していけないとはちっとも考えておりません。また実情に合わないということであれば毎年変えていってもいいわけでありまして、順次理想に近づけていく、その一歩を踏み出す方法としてこれを一応認めていただいて、現実の姿からいってこの程度が一応いいのではないかというふうにわれわれは考えておりますから御了承願いたいという意味でこの法案を出しておるということを御理解を願いたいと思います。
#259
○林(孝)委員 一つは、それならば、答弁の中にありましたように、出さないということならば出さなくてもいいということでありますけれども、いままで割り当てをしておりましたですね、そうしたことは今後やられないということなのかどうかという点、その点まずお伺いします。
#260
○福田(一)国務大臣 それは政府が金を集めるわけじゃないのでございまして、御案内のように各党が集めるわけでありますから、各党が余り非常識なことはこれからばもうしないようにしていただけるだろうと私は思うし、国民がみんな見ておるのですから、余り無理な請求をして、そしてこれをやっていくというような形は今後はとりにくいのではないか、またとらないだろうと思っております。私は自民党を代表しているわけじゃないからちょっと言えませんが、そういうことはだんだんできなくなると思っております。
#261
○林(孝)委員 企業の資本金別限度額は何を基準にして算出されたのか、お伺いします。
#262
○土屋政府委員 お尋ねのように、会社のする寄付については資本金をもとにしておるわけでございますが、これは御承知のように、第五次の選挙制度審議会でいろいろ議論をされたわけでございます。やはり資本金というものが一つの企業の負担能力と申しますか、そういった点では一番いい指標であろうということで、それをもとにして、当時は資本金の千分の二・五といったようなこと等が基準にあったようでございます。そういったこと等を勘案して、過去三回提案をいたしました政府の原案におきましても、十億未満と十億から五十億、あるいは五十億以上といったような段階を設けておりまして、今回も実はそれを踏襲をしたわけでございます。最初に政府案を出したころは、もっとこれをたくさんの段階に分けておったわけでございますが、余りにもこれを複雑に分けましても、かえって国民からもわかりにくいといったような点もございますので、簡明にしたいということで、最近出しました政府提案と同じような三段階に分けたという次第でございます。
#263
○林(孝)委員 各段階別の会社数はどうなっておりますか。
#264
○土屋政府委員 手元にあるはずでございます。すぐ調べてお答えいたします。ちょっとお待ちを願いたいと思います。――どうも失礼をいたしました。これは四十七年における事業所統計の調査報告でございますので、数としてはあるいは正確でないかもしれませんし、またきわめて小企業等が抜けておるかもしれませんのですが、企業総数七十七万四千五百というこの四十七年の調べでいきまして、一億から十億の企業が七千四百七十二、十億から五十億の間が千百九十八、五十億円以上が三百七十といった結果がこれでは報告されております。
#265
○林(孝)委員 これは選挙部長に伺いますけれども、資本金別企業数を計算して、可能な最高献金額を計算されましたか。それをするとはっきりすることは、最初確認した趣旨とは全く違ったものになっておると思うのです。
#266
○土屋政府委員 ここで規定しておりますのは、それ以上は出してはいけないという意味での制限額でございまして、したがいまして、企業が出すのはそれぞれの実情に応じて、またいろいろなことを勘案して寄付をなさるわけでございますから、これだけ全部出せばこうであるということはできませんし、また、五十億円以上の会社とかいうことになりますと、いわゆる積み増し金というものが、限度額を調べるにしてもあるわけでございますので、一々の企業について全部それを計算しなければならないわけでございまして、それもなかなかやりにくい。基本的に、いま申しましたそれだけ全部出るものだという前提には立っておりませんので、そういった計算を特別いたしていないわけでございます。
#267
○林(孝)委員 私の方でした計算、時間がないのであれですけれども、たとえば昭和四十九年上半期の国民協会の寄付実績と本改正案に基づく最高の許容限度額とでは、改正案の方がはるかに超えるわけです。したがって、これはわれわれ何でこの政治資金規正法というのは規制ではなく奨励であるかというと、こうして比較していきますとはっきりすることは、今回の改正による基準によってかえって献金を奨励する、こうした形が暗黙のうちにこの政治資金規正法の中で行われておるということは数字ではっきりするのでございます。自治省として一回これを試算して比較したものを資料として提出していただきたいと思います。
 私は持ち時間がありませんので、結論を申し上げますけれども、この政治資金規正法というもの、まだほかに問題がたくさんあります、この質問も後ほどまたしますけれども、いわゆる今回の政治資金規制というものは、先ほど大臣が答弁された趣旨と違って、このからくりは、これはもう規制ということではなく完全に奨励ということになっておる。したがって、こういう政治資金規正法の法案というものが与える影響というものは、過去において大きな黒い霧の問題であるとかいうことで論じられた造船疑獄の事件であるとか、ああした形の問題を今後起こしていく可能性を含んでおる、こういうことを心配するわけです。
 したがって、私たちは、こうした政治献金についてはやはり個人献金に限る。その趣旨は大臣も了とされておるということでありますけれども、五年という一つの経過を見て、勘案してという法律案の内容になっておるわけですね。やはりこれをはっきり個人献金に限るということにすることによって、大きく政治資金規制というものの前進が見られると私は思うわけです。そうした意味において、さらに今回の政治資金規正法の問題、それから先ほどから質問してまいりました公職選挙法の改正の問題、この審議においてますます重大な疑問というものも出てきておりますし、他日に私は再びこの両法案について質問を留保して、きょうの私の質問を終えたいと思います。
#268
○土屋政府委員 ただいま資料の要求といった形での御発言がございましたのでお答えいたしますが、御承知のように、いままでは企業の場合は、たとえば党費、会費という形の場合は、これはもうその他収入ということで――その他収入と言いますか、党費、会費ということでございますから、寄付には出ておりません。そういった意味で、現実にどうなっているかということもわからぬわけでございますし、したがいまして、比較もできないわけでございます。それになお、今回の制限額というのは、先ほども申し上げましたように、それ以上は出してはいけないということでございまして、実績としてはそれはそれほど出していないから、小さく寄付だけ見ても出ておるのだろうと思うわけでございまして、そういったこと等で、いまの企業自体も、自治大臣届け出団体だけでも二千団体、政治団体があるわけでございますが、そういったものの中のすべての企業というのを洗うということも、これもなかなか不可能なことでございまして、基本的には、最初申し上げました企業の党費、会費、これは含まない。今度改正案が通れば出てまいりますが、現在では出ていないということ等もございまして、資料としてはとてもちょっとつくりかねますので、その点は御了察を願いたいと思うのでございます。
#269
○小澤委員長 小沢貞孝君。
#270
○小沢(貞)委員 予定にはなかったわけですが、先ほど来の質疑を聞いておって、私、疑問に思う点があるので念を押しておきたいと思います。
 今度の改正に当たっても、選挙の報道、評論のない場合は機関紙の号外については自由に出せる、こういうふうに理解していいわけですか。
#271
○土屋政府委員 そのとおりでございます。
#272
○小沢(貞)委員 どうもそれがゆがめられて、答弁も十分じゃないわけです。選挙の報道、評論が載っている号外はいけない。いままでの機関紙の政策その他の号外ならば、これには何らの規制はないのだから無制限に出せる、こういうように答弁が明確でないものだから、先ほど来何か誤解がたくさんあったような気がするわけです。
 それから、いま一点確認をしておきたいことは、選挙の報道、評論が載せてなければ一般紙及び機関紙においても、通常と言いますか、いままでどおりやっていることはいままでどおりよろしいのだ、それ以外のところへ持っていくときだけは有償でなければいけない、こういう理解で私はいいと思うのですが、どうも何か、一般・機関紙でも何でもみんな有料でなければならないみたいな問答が続けられておるように感ずるわけです。これも選挙の報道、評論がなければ、通常やっていた方法ならば自由自在だ、こういうことでいいわけでしょう。
#273
○土屋政府委員 先ほどのお答えをします際に、私その点ははっきり申し上げたつもりでございまして、禁止されておるのは、選挙に関する報道、評論を載せたものであって、そうでないものは許されておるのだということは、はっきり申し上げたつもりでございます。
 いまの御意見に関連しまして、たとえば一般の組合が組合活動をやるという場合に組合紙というものを出しておりますが、これはいわゆる正当の機関紙というものではございませんので、それが律せられるのは、この百四十八条での一般紙誌というかっこうで、一般の新聞紙等という範疇でやれるわけでございます。したがいまして、あそこの関連によりまして、選挙運動期間中も一般紙としての制限を受けるというだけでございます。ましてや選挙に関する報道、評論の規制のないものは、これは別に制限はないわけでございます。
#274
○小沢(貞)委員 それで一つ明確になったわけです。
 先ほどの問答の中で、私また疑問に思う点が出てきたわけです。たとえば、何々候補が倒れたとか何とかしたというような誹謗の文書その他のことがある、こういう場合に、それを防ぐのは取り締まり当局が、いままでだってこの選挙法の中で、一般紙にしても何にしても、誹謗したり中傷したり、そういうことをしてはいけないというのがたしか公選法百四十八条か何かにあるわけですから、それは当然いままでだって取り締まる。これは取り締まるところは別個のところで取り締まる、こういうように理解していいわけでしょう。
#275
○土屋政府委員 法令の規定に反するようなことをやりましたら、これは当然取り締まりの対象になるものと考えます。
#276
○小沢(貞)委員 それを何か機関紙の号外でやらなければならない、こういうような理解のようですが、私は機関紙の号外といえども、選挙の報道、評論が載っていない限りは、そのデマを粉砕し、何をすることは幾らでもできる、こういうように理解するわけです。
 先ほどの問答から考えて、私はこのことをどうしても確かめておかなければいけない。選挙の報道、評論が載っていなければ、デマの粉砕その他については機関紙の号外で幾らでもできる、こういうように理解できるわけであります。どうでしょう。
#277
○土屋政府委員 先ほどのいろいろ問答がございました際に、そういった選挙に関する報道、評論の載ってないものはできるわけでございますから、そういうやり方はあろうと思うのでございます。
 しかしながら、その中で取り上げ方いかんによっては、やはり選挙に関しての報道、評論というかっこうで中傷等が載っておる場合、それに対応するものを書いた場合はやはり選挙に関する報道、評論ではあるまいかといったような議論も出てくるので、そこがはっきりしなかったと申しますか、実態によっていろいろ変わってくるので、一律にお答えをしにくかったということでございます。
#278
○小沢(貞)委員 そこで問題になるのは、選挙の報道、評論とば何ぞや、こういう問題になってくると私は思います。
 私の記憶が確かであれば、選挙の報道、評論というものは昔はある程度制約があった。ところがそれがだんだん、特に社会党の勝澤裁判以来かと思いますが、最近の選挙の報道、評論というのは、本人の名前が載っている程度ではなくて、本人の顔写真も載っている。大きく大々的に報道される。そうして報道、評論という言いわけの中にするためには、何々何兵衛、それは当然候補になっておる者でありますが、都知事に保育園の要請をいたしました、何とかの要求をいたしました、これはきわめて小さい字で書いてありながら、顔写真か何かは堂々と出ているから、最近の選挙の報道、評論というのは、もはや選挙活動と全く変わらないほど枠が拡大されてくるような傾向にあるので、今度の改正が出なければならなかった、そうでなければ選挙の公平を害する、こういうようにその経過からかんがみて理解できるわけであります。大臣どうでしょう。
#279
○福田(一)国務大臣 仰せのとおりでございます。
#280
○小沢(貞)委員 だから問題は、その選挙の報道、評論がいまや限界ぎりぎりに、いわゆる選挙活動と全く変わらないほどに拡大されたところに、機関紙の号外は、選挙の報道、評論が載っていなければ、これは自由自在、いまでも自由自在、この法律が通っても自由自在、が、しかし、全く選挙の運動と同じようなものが載るようになったがために、選挙期間中は機関紙の報道、評論の載っているものはいかぬ、明確にそうなった、こういう経過を明確にしておかないと、この法改正の意義がわからないわけでございます。どうでしょう。
#281
○土屋政府委員 先ほどからたびたびお答え申し上げておりますように、選挙に関する報道、評論でございますから、事実の報道かあるいはその事実についての評論ということであるべきものが、現実問題としては選挙運動用文書に紛らわしいということがあるので、そこらから選挙の公正を害するということになるのではないかということで、問題としてこういう規定を置いたのだということをたびたび申し上げておるわけでございます。そのとおりでございます。
#282
○小沢(貞)委員 わかりました。
 そうすると、先ほど大臣が言っておられたが、従来は通常頒布の方法ということで規制ができておったものが、今度はそこを、有償でする場合に限る、うんと簡単に言えばそういうように変わってきたわけであります。だから通常頒布の方法ということをきちっと制約できれば、この有償という言葉はなくてもこれは規制ができたはずであります。ところが通常頒布の方法ということでもってだんだん崩れてきてしまった、その経過というものをまず第一に聞かしていただきたい、こう思います。どういう経過があってこの通常頒布の方法というものがだんだん崩れてしまったか、このあたりの経過をひとつ。
#283
○土屋政府委員 通常の方法による頒布というものは、一つには有償性というものが前提であるということ、あるいは継続的にその発行がされておるということ、そういったこと等が主な内容であろうと思うのでございます。そういった点から見ますと、従来はおおむね日刊であれば日刊、月刊であれば月刊、大体その発行の方法に従ってやっておられたわけでございますけれども、通常の方法というのがだんだん広く解釈されたと申しますか、自分たちはこの時期においてはこういう形で発行しておるという事実をつくれば、それがすべて通常の方法だというふうに誤って解釈されるという向きがあるようでございました。それが次第にエスカレートしてしまったという実態になっておるわけでございまして、やはり新聞である限りは一定の有償性というものを前提としていかなければ成り立たないはずでございまして、全部無償でもやれるというのは、これは特別なものだろうと思うのでございます。
 ただ、それにつきましても、全部それじゃ有償でなければならぬかということになりますと、いろいろ有償の形態もありましょうけれども、やはりその新聞を広げる意味で、一種のPR紙としてただで配るとかというように、全体としての有償性を損なわない限度においてやるということは、これは通常の方法に含まれるという程度の解釈があったわけでございますが、それがPRとかそういったものだけが広がってしまって、そういうのに名をかりて、現実的にはむちゃくちゃな発行がされる、頒布がされるということになってきたようでございまして、本来の趣旨を若干逸脱をしておるというふうに考えておるわけでございます。
#284
○小沢(貞)委員 大臣、いまのところは非常に大事なところであります。いま何か野党修正によってその辺に手を加えようというがごときことが新聞に出されておるようでありますが、私はもとの原点に戻って、通常頒布の方法ということが守られる道が講ぜられるならば、私は従来のまま通常頒布の方法だけでいいと思うのだが、選挙前にPR紙をどんどんやって歩くことも、たび重ねれば、選挙期間中もそれは通常頒布の方法だと、こういうことになると、通常頒布の方法とは何ぞやというきちっと枠を決めておかないと、この通常頒布の方法の改正を、有償にするというのを取りやめると私は重大なことになりはしないか、法改正の意義が失われるのではないか、こういうように考えるわけであります。もし有償という文字をもとの通常頒布の方法というぐあいに修正によって直すとするならば、そこを明確にしておかないと今度の法改正の重大な意義が失われる、こういうように感じます。大臣どうでしょう。
#285
○福田(一)国務大臣 ただいまの御指摘は非常に重要な問題を含んでおると思いますので、ひとつ検討をさせていただきます。
#286
○小沢(貞)委員 私がいま部長に経過を聞いたその経過にかんがみて、通常頒布という方法はなし崩し的に崩されてきた、だから、いわゆるビラ公害だか新聞公害だか、選挙期間中といえども拡大してしまった、そういうことから有償というめどを次はつくろう、こういうように実は法改正ではなってきたと思います。
 ところが、その有償を改正してもとにするというには、いわゆる通常頒布の方法というものが崩されたような過去を顧みて、これで崩されないのだ、そういうきちっとした枠ができるならば、有償というものを削ってもとの通常頒布にして結構だ、私はこう思います。これはこの法改正に当たって重大なところだと思いますので、いま大臣が検討されると言いますから、ここは十分検討していただくようなぐあいにお願いをいたしたいと思います。
 それから、次に質問をいたしたいことは、この選挙法の改正によって自動車のある程度の負担、ポスターの負担等々、国で負担をするという傾向は、私たちは金のかからぬ選挙という意味において最初から主張していたことで、大変ありがたいことであります。
 この前の四十七年の衆議院選挙のときには、国が各候補者に負担しておった額は、私の聞いたところでは、たしか二百七十八万、二百八十万前後であったと思います。無料はがきだとかテレビの広告だとか新聞広告だとかその他掲示場を設定する等合わせてたしか二百八十万前後であったと記憶しております。
 今度はこれによって二つの条件があるわけであります。一つは、公営の拡大によって自動車やポスターのある額を国が負担をするという積極的なこともあると思います。それからまた物価が上がって労務費、日当その他、この法律改正でも今度は政令でやろうということで、これは三割ないし五割値上がりがするということもあると思いますが、――それは法定選挙費用の方でしたが、その他の物価高等の要素もあると思いますが、一体幾らの国は負担になるであろうか。この法改正によって候補者一人当たりの負担は幾ら。かつての二百八十万前後が正しいか、今度はどのくらいの負担になるか、そこをお聞かせいただきたい、こう思います。
#287
○土屋政府委員 四十七年の衆議院選挙の例で申し上げますと、おおむね二十五億選挙公営に費用がかかっておるわけでございまして、それを立候補者数で見ていきますと、一人当たり二百七十九万一千、約二百八十万ということでございます。今回の自動車、それからポスター等の改正をいたしますと、総体的には、まだ政令で細かく決まっておりませんのではっきりした数は申し上げかねますが、衆議院の場合で全体としては十五億前後ということになるわけでございますから、この二十五億にさらにその十五億ぐらいが重なってくるということになるわけでございます。したがいまして、約二百八十万の六割ぐらいの額がさらに一人当たりとしては積まってくる。これは候補者の数によって変わってまいりますからわかりませんが、そういう勘定になろうかと思います。
#288
○小沢(貞)委員 二百八十万円ぐらいなのが今度は六割負担増、こういうことになるわけです。
 それから、この法律で自動車の一定額を国が負担する、ポスターの一定額を国が負担する場合に、供託金が没収されるような候補についてはこれはいかぬ、こういうことになるわけです。そこで泡沫候補の立候補を防ごうということから、供託金等は三倍にふやそう、こういうことになってきていると思いますが、その供託金没収の条件というものは、従来と変わらず同様な法律によってやるのか、その辺はどうです。
#289
○土屋政府委員 従来の方法で計算をすることになります。
#290
○小沢(貞)委員 実費弁償及び報酬の額の基準に関する事項、これはいままでは法律でもって実費弁償の額その他がみんな法定されておったわけであります。今度は一切政令にゆだねようというわけであります。いままでは、これじゃ高過ぎる、安過ぎるということをわれわれはチェックできたわけなんだが、今度は一切合財そういうことは政令でやります、こういうことです。
 たとえば、ことしの秋か来年の春か知りませんが、次の衆議院選挙を想定した場合に、一体実費弁償や報酬の額はどういうような上がり方をするであろう、どういうことを想定をしておるか、その点を具体的に二、三わかったら明確にしていただきたい、こう思います。
#291
○土屋政府委員 まさに政令事項でございますので、まだその準備をしておるわけではございませんが、前回、四十九年の通常国会で、御承知のように、かなり、三割程度引き上げたわけでございますが、その後の物価の上昇等を勘案しながら今回政令で決めるということにしたいと思っておるわけでございまして、総体的に見れば現行の大体三割ないし五割ということでございます。
 まだ明確に、決定的な意味で申し上げるわけではございませんが、一、二の例をということでございましたので申し上げますと、たとえば宿泊料が一夜につきいま四千円ということでございますけれども、これを五千ないし六千円、これは国の旅費法の改正等にマッチしてやるということになります。それから大きな点では報酬の基本日額が現行が二千円以内でございますが、これを五割ぐらい上げて三千円以内というふうにしたいと考えておるわけでございます。その他茶菓料も倍に引き上げたいというようなことで考えておりますが、なお政令をつくる段階で十分検討いたしたいと思っております。
 なお、政令でわからなくなるのではないかということでございますが、政令に額ははっきりと示されておるわけでございますし、法律でなくてもその額が実態に合わないということになればいろいろと御意見も出ようと思います。それに応じて適時改正をしていくということに相なろうかと思います。
#292
○小沢(貞)委員 これは大臣、私は先ほどの林委員の質問に関連して質問したいと思いますが、今度、言論のより一層の進展のために政党の宣伝を新聞に出せるようになった。新聞に出せるようになったその新聞の広告の枠の大きさは、私の聞くところによればたしか三段抜きで三十八・五センチということでしたが、これはいいわけですな。それをこの法律では一番少ない政党が三回、自由民主党を計算してみると、この計算方法によれば多分七回、こういうことは大変不平等だからということで、なるべく平等に一定にしたいという、これは野党側の主張であって、新聞の報道するところによれば、それに政府・与党は応じよう、こういうようなぐあいに理解しておるわけですが、この場で明確に御答弁いただきたいことは、最低の三回ぐらいで合わせるのではなくして四回か五回ぐらいなところで一定にして新聞広告が出せるように、こういうようにわれわれは要求をしたいと思うわけです。大臣、どうでしょう。
#293
○福田(一)国務大臣 各党の間で御相談をなさってそれがよかろうということになれば、御趣旨に従ってやらしていただくつもりでございます。
#294
○小沢(貞)委員 大変含みのある答弁で、各党の御相談によって決めれば平等に四回ないし五回でよろしい。もう一回確認しておきますが、各党意見が一致すればよろしいわけですな。すでに一致しているやに報道がされているのでそういたしますと、大臣は御答弁いただけると思っておったわけです。
#295
○福田(一)国務大臣 この問題はわれわれとして原案を出しておるのですから、修正の問題に相なろうかと思うのであります。だから修正の問題については、また皆さんで御相談あろうかと思いますので、その御相談が決まればわれわれとしてはそのようなふうに考えたいと思っておるわけであります。
#296
○小沢(貞)委員 わかりました。
 それから、これはわれわれの日常のことと大変関係があるので気になるのでこの場で聞いておきたいと思いますが、今度は花輪とか供花とか香典、祝儀については、一般慣習で行っている場合も公職の候補者等は禁止されるのかどうか。そうすると、公職の候補者になれば親戚、知人その他に香典その他御祝儀、花輪、そういうものも出すことは、とにかくこれを読んでみる限りはいかぬと、こういうことになるわけです。これは大変重大なことで、その辺のことをまずお尋ねをしたいと思います。
#297
○土屋政府委員 確かに花輪、香典、祝儀といったようなものは一般慣習でございますが、今回の禁止では親族に対するものは除いてございますけれども、それ以外、親族以外の人に対しましてはこれは禁止をするということでございます。
#298
○小沢(貞)委員 実際にそれを禁止した場合に、これは全く困ってしまうことが出てくるのではなかろうか、こう思います。
 一つはこれは「公職の候補者」とあるから、公職の候補者とは立候補したその日からが公職の候補者だから、立候補した日以内のことか、投票日までのことか、例のなににも「任期満了の日前九十日」とこうあるが、一体その公職の候補者はいつからなのか。
 それから、これは実際に取り締まることが一体可能であるかどうか、このあたりも立法に当たってどういうことでこれを取り調べる、こういうように想定をしたか、その辺もひとつ……。
#299
○土屋政府委員 公職の候補者となろうとする者というのは、これは公職にあるものを含んでおるわけでございますから、まさに公職にある人は常にそうであるということでございます。そこで、なろうとする者はどうかということでございますが、これは従来から法律上そういう表現がされておりますけれども、現実に公職の候補者となるためにいろいろと政治活動をされ、あるいは意思表明をされる、あるいは公認が決まるとかいったようなことになりますと客観的にそういうことがわかりますので、その時期から公職の候補者として禁止をされるということになるわけでございます。
 確かにこれは、いまおっしゃいました日本の慣習その他から見ればいろいろとむずかしい問題を含んでおります。しかしながら、寄付の禁止をするという場合に、これはいいとかあれは悪いとかと言いますと、なかなかこれは問題が多いといったような議論もございまして、全般的にひとつ公職の候補者になろうとする者等は、親族とかあるいは政治団体等に出す場合、あるいは特別な政治集会等を除いては寄付はやめるようにということにしたわけでございます。
 そこで、これはどうして担保をするのだといった問題は確かに出るわけでございますが、基本的にこういったものはまさに寄付をする人ともらう人、その間で十分御判断を願いたい問題でございまして、罰則については特に選挙に関する場合だけ罰則規定がございますし、そしてまた通常一般の社交の程度を越える部分ば選挙に関するということになっておって、罰則がかかっております。しかしながら、そうでない場合に、この前もある例を申し上げましたが、親類以上に親しい人が亡くなったときに、その奥さんが本人の意向を受けて香典をやられた、それが見つかって罰則を受けて公民権まで停止になったというようなことは、これはやはりおかしいので、そういう点は罰則ではある程度配慮がされておる。これはほかの刑罰体系の中での並びで当然そういうように考えられておる。
 しかしながら、その罰則がそういうことであるからということで、それでなければ担保できないという問題ではなくて、やはり法の趣旨はこういうことはひとつみんなでやめましょうということで規定されておるわけでございますから、それは受ける方、やる方、お互いにそこは十分法の趣旨をくんでやっていただくということが、これが一番法の趣旨にかなうものであろうというふうに考えるわけでございます。
#300
○小沢(貞)委員 わかったようなわからないような、これが果たして守られるかどうかのまだ自信も、実はいまの答弁では受けないわけですが、時間の関係で先に進ませていただきたいと思います。
 大臣に明確にお尋ねをいたしたいと思いますが、与党自由民主党の中でも政治資金規正法を提起するまでには大変ないろいろの論議があったようでありますし、この政治資金規正法には昭和何年のときか、黒い霧事件以来たびたびの歴史的な経過があるわけであります。ここまで出すには大変な苦労もあったであろうと思いますが、端的にずばっと答えていただきたいが、先ほどの公選法については野党側の修正に応じますと、こういうように明確であります。政治資金規正法についても同じですか。
#301
○福田(一)国務大臣 この問題については、各党と申しますか、自民党とあるいはその他の党との間でお話でもあって、こういうことがよかろうということがあれば、われわれとしては十分考慮をいたすつもりであります。
#302
○小沢(貞)委員 与党がそれに応ずるという体制ができれば野党修正に応ずる、簡単に言えばそういうように理解をして先に進ませていただきたいと思います。
 時間の関係で一、二だけ事務当局でいいからぴしっと答えていただきたいが、今度の場合に個人の最高二千万円、こういうように出ております。これは昭和四十九年なり四十八年で二千万円以上寄付した人はあるか、あればだれとだれであるか、まず個人の方からお尋ねをしたいわけです。
 それからいま一つは、この前段と後段を合わせると、法人においては約一千億前後の資本の会社は最高限の一億五千万を限度ですが、寄付することができる、こうなっているが、現在の日本の会社でこの最高限一億五千万まで寄付できる会社はどことどことどこであるか、その二つをお答えいただきたい。
 片方は、二千万以上個人が出せるところは、過去昭和四十八年か九年の実績で個人が幾ら、だれが寄付したか。
#303
○土屋政府委員 昭和四十九年度は、下半期分がまだ公表されておりませんので、昭和四十八年の届けられたものだけで見ますと、中尾宏氏、川井春三氏、吉岡勝利氏の三名でございます。それからいわゆる最高限度額一億五千万円が適用される会社ということでございますが、会社につきましては東京電力、新日本製鉄、関西電力、中部電力、日立製作所、三菱重工の六社が一応計算上は一億五千万円の限度額にかかるところでございます。
#304
○小沢(貞)委員 今度の場合には最高限度額を規定するために、会社の資本金は五十億、労働組合の組織人員は十万人、その他の法人については六千万円、こういうことで会社と労働組合とその他の何とか法人の枠をつくったわけです。それからそれ以上寄付できる場合に、会社であるならば資本金五十億飛び、労働組合であるならば五万人飛び、その他の団体であるならば経費が二千万円飛び、こういうことで五百万円ずつふやしていってよろしい。これは何か客観性があるがごとく、この資本金と組織人員と経費六千万あるいは飛ぶときには二千万とこうつけたのだが、これには何か客観性があって、こういうことをするならば会社法人や労働組合と平等性が得られるとか何か、そういう客観性があったわけですか、何となく考えてこうやったものか、その辺はどうでしょう。
#305
○土屋政府委員 まあ政治資金の寄付につきましては、会社その他の団体の規模に応じた相応性ということを考えるべきであるということでございますので、量的制限の基準については資本または出資の金額、それから組合については、自主性を示すものとしては組合員数が一番適当である、それからその他のものにつきましては年間経費というものを見るのが適当であるということで、その規模、自主性の尺度としてそれに応じて段階別に区分をしたわけでございます。
 そこについては、客観的にぴったりとした数はないわけでございますけれども、考え方としては、前の第五十八国会、第六十一国会の政府案と同様でございまして、考え方の基礎には第五次の選挙制度審議会の答申が、会社についてはおおむね二千万円を限度としておりましたことから、まあ前回の政府案でも一応二千万円というのを限度額としておったわけでございます。そのところを基準としたから、その後の物価の動向等考慮して三千万円ということにやったわけでございます。
 ただ、そこの資本金等の額に応ずるというあたりには、明確なぴったりと割り切れるものはございませんけれども、先ほどもお答えいたしましたとおり、最初は資本金の千分の二・五といったようなところが一つの基準というふうに考えられておったようでございます。それに応じていろいろと段階が考えられたりした時代もあったわけでございますけれども、やはり全体としては簡明にした方がよかろうということで、規模に応じて三段階の区分にしたわけでございまして、大体会社全体の数から見て、また現実の常識的な判断等も加えながら資本金の額をいまのようにやったわけでございまして、労働組合等についても、古い当時の組合費の実態等見ながらその実情というものを勘案して、いまのような数字の段階に分けられたということでございまして、おおむねその段階をくみながら制限額だけを若干物価上昇等に応じて変えたということでございます。
#306
○小沢(貞)委員 これについてもいろいろ意見があるのは別として、大臣にお尋ねをしたいが、寄付の質的制限、こういうことで国から補助あるいは基金、いろいろの援助、その他を受けている会社は、何か契約した後一カ年間はいかぬとか、いずれにしても質的制限があるわけであります。これは私は、そういう制限をつけたことはやはり前進だ、こう思います。これは評価できる部分だと思います。
 いままで公職選挙法についても、選挙に当たっての寄付についてはこういう質的制限があったわけであります。選挙についての寄付についてはたしか公職選挙法の方であったわけで、今度は政治資金規正法の方についてもそういう質的制限をやろう、こういうわけですが、これは一体果たしてどういうように――あの会社は通産省から技術改善の補助金をもらっている、この会社はどういうことをしているという、これは国から大変な援助、補助、出資を受けている会社があるのだが、こういうものを一体どうやって公示をして、どうやってその会社に知らしめて、あるいは寄付を受ける側の人にもどういうようにして周知をして、これが守られるようにできるであろうか、このことが一つであります。
 もう一つは、これは事務当局に聞きたいが、いままでも公職選挙法にはそういう質的制限があったが、一体選管はチェックしていたか。それに違反した者を見つけ出すことを何かやったか。これは事務当局でいいから、その実績についてお尋ねしたいと思います。
#307
○福田(一)国務大臣 ただいまの御質問でございますが、この質的な制限は、この法律ができましたときにはそういうような関係の会社等には特に注意をいたしまして、自分のところで、これは法律をつくった以上は国民としては法律を見なければいけないのです。だからその義務は、補助を受けたりあるいは何らかの援助を受けておるという、制限を受けておる会社が責任を持ってしなければいけないので、そういう会社が法律を知らないからといって寄付をすれば、それはしかし知らないということでもって罰則を免れるわけにはいきません。その会社に責任を持たせるということでございます。
#308
○土屋政府委員 現行の公職選挙法の百九十九条の適用関係につきましても、当然にいま大臣がお答えしたとおり、会社等が当然法の趣旨に従ってやるべきことだというふうに考えておるわけでございまして、従来からその収支報告書の確認の際にそういった点を注意をしてみまして、中にはつけ間違い等があって、こちらでこれはおかしいのではないかということでよく調べられたら、間違いだったといったような例もあるようでございます。そう数は多くないようでございますが、そういった確認等はいたしておるところでございます。
#309
○小沢(貞)委員 今度は租税特別措置法を改正して、個人の寄付については所得税の減免をする、こういう道が開かれたわけであります。それはなるべく個人党費とか会費とか、個人の寄付によってこれから政治資金というものは拡大していくべきだという方向性の結果ではないか、これはわれわれもまた、ある意味においては前進だと評価できるわけであります。ところが一番好ましいのは、やはり会費とか党費とか、そういうものによって賄われる方がよりよい方向だ、こういうように考えるわけです。
 ところが、債務負担行為として会費その他としてやるものについては、今度は税の減免、所得税の特典がない、寄付に限る、こういうことになっておって、その間私は矛盾を感ずるわけで、党費とか会費とかそういうことによって賄われる方が、先進諸国に比較してみてなるほどそうだと私たちは思うのだから、その方向こそが減税の対象にならなければならない。それを寄付だけが減税の対象になっている。これは一体どういうわけでしょう。
#310
○土屋政府委員 個人の党費、会費というもので支えられるということは、それは確かに結構なことでございますが、党費、会費というのはそれぞれの政治団体の構成員として当然義務的に負担すべきものでございまして、そういうものをみんなが出すことによって団体を維持していくわけでございますから、寄付とは本質的に性格を異にするわけでございまして、寄付金控除の対象とはしないということにいたしたわけでございます。
#311
○小沢(貞)委員 まだこれから総理に対する質問もあろうと思いますし、私もまたそちらに質問を残しておきますので、これで質問を一応終わりたいと思いますが、最後に大臣に一言だけお願いをしておきたいが、公職選挙法については途中で政府のある大臣が、反対だか慎重審議の署名をやった、政務次官が先立ちでそういうことをやった、こういうことが出てきたわけであります。
 ところが政治資金についてはなかなか、提案する過程から考えてみて、これが審議が進んでいって、先ほど大臣の言ったように、与野党で修正ができるという事態になってくれば与党自民党の中はもとより政府の中からもまた出てこないとも限らぬので、与野党が修正ができるという事態になったら政府当局もきちっとこれに応ずるように、そういうことを希望としてつけ加えて質問を終わりたいと思います。
#312
○福田(一)国務大臣 御趣旨に沿って善処いたしたいと存じます。
#313
○小澤委員長 九時十分再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後八時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後九時十六分開議
#314
○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより両案について内閣総理大臣に対する質疑を行います。質疑の申し出がありますので、これを許します。村田敬次郎君。
#315
○村田委員 私は、お許しをいただきまして、今国会においていわゆる国内三法ということで最重要法案に数えられております三法のうち、公職選挙法及び政治資金規正法の改正について総理に御質問を申し上げたいと思います。
 今回の両法律の改正は、言うなれば三木内閣の新しい姿勢を示す非常に重要な法律案であるということが指摘をされ、したがって、会期の延長がされまして、何とかこの国内三法を成立させたいということで私どもも一生懸命になっております。
 と申しますことは、非常に世の中が変わってまいりまして、言うなれば高度成長時代から安定成長時代に変わってまいりました。そして、いわゆる狂乱物価、買い占め、売り惜しみといったようなことに対する答えとして独禁法の改正が出てきたわけでありましょうし、それからまた、昨年の参議院の選挙等を一つの契機といたしまして、金のかからない選挙、クリーンな選挙、したがってきれいな政治ということで三木首相が標榜をされる公正な政治、対話の政治、そういったような新しい理念の政治というものがいま出発をしようとしておる。その一つの契機になるのが、私は公職選挙法であり、政治資金規正法の改正であろうと思います。私自身もかつて自治省に職を奉じておりまして、これらの法律を手がけてまいったものの一人でありますけれども、私の知る限りにおきましては、この二法がこういった大きな改正を行うのは戦後初めてであろうと思います。
 したがって、これは画期的な改正であると言ってよいと思いますが、しかしながら、この国会の会期を考えてみますると、後三十数日といういわば非常に短い日にちしか残っていない。したがって、この二法を通すことについては、三木総理自体の並み並みならぬ意欲というものがなければ通すことはとうてい困難であろうと思います。私どもも与党の一員としてもちろんこの成立に全力を上げるわけでありますが、三木総理のこの二法の成立に寄せる意欲につきまして、この際しっかりと承っておきたい。まず、それを伺いたいと思います。
#316
○三木内閣総理大臣 村田君御指摘のように、三木内閣は、金にまつわる政治不信、また狂乱物価等にあらわれた一部企業に対する疑惑、こういう中で一つの改革といいますか、これを粛正、改革せよという宿命を背負うて出発したわけです。だから、国民に対しても私はその期待にこたえなければならぬわけであります。議員各位におかせられましても、理想からすれば非常に物足らないものがあると思いますよ。私なども、やはりもっと根本的改革というものをいたすことが理想ではありましょうが、やはり現実を踏まえなければならぬ。私の役割りは橋渡しの役かもしれない。やはりもっと根本的な改革を次々にやって、そして、政治も選挙も国民の目から見てやはり非常に公正な形で映るようにしなければならぬわけですが、いまは百歩前進でなければ気に入らぬと言われる方もあるかもしれませんが、五十歩でも六十歩でも前進するということに、やはり委員の各位もそういう前進については御異存はなかろうと思いますから、御支持を得てこの法案は成立するものと期待をいたしておるわけです。
 この内閣はやはりこういう宿命を背負ってきた内閣で、三法案というものは、そういう私の出発からしてどうしても成立を図らなければならぬわけでございますから、特に委員各位におかせられましても御協力を願いたいと願っておるものでございます。
#317
○村田委員 この法律案について、実は自民党そして野党は、党利党略というものを超えてひとつざっくばらんに話し合わなければならないということで、私どももきょうも開会までに数時間を要したようないろいろな一こま一こまがあったわけでございますが、懸命の努力をしておるわけであります。
 特に、たとえば日本共産党は、不破書記局長が二十六日国会内で記者会見をいたしまして、「公選法、政治資金規正法改悪をめざして国会の会期延長を強行するなど、最近の三木内閣は議会制民主主義をみずから破壊しようとしている。三木内閣打倒をかかげ、国政の刷新を行う、そういう時期にきたと述べ、共産党が三木内閣打倒に踏み切ることを明らかにした。」ということが報道をされております。それと同時にまた他の野党の最高幹部におかれましても、たとえば、三木内閣はその「公約はすべて幻想」であり、「有言不実行の無能内閣として、もはや国民の期待に価するようなものでないことが明白であり」「かえって事態の悪化を招く」存在だと断言、「倒閣運動を展開し、一日も早く衆院解散に追い込み、国民のための政治を実現させることが今日の政治の最大課題」であると激しい調子で訴えたと伝えられております。
 しかし、私は、これらの現在の時点における共産党等の一部の野党の考え方の底には、なお十分お互いに話し合いを尽くして歩み寄れる余地がたくさん残されておると思っております。公明党等につきましてもきわめて良心的な態度を私どもは期待をしておるわけであります。しかしながら、やはりこれは議会制民主主義でございますから、そのコンセンサスに到達することができるか否かというのは、今後の総理並びに政府の閣僚またわれわれの努力、お互いの努力にかかっておると思います。たとえば今回の改正におきましても、衆議院の定数是正でございますとか公営の拡大でございますとか、そういっただれが見ても完全に前向きの施策というものがあるにもかかわらず、たとえば日本共産党のごときは公選法の改悪絶対反対と叫んで、大きなキャンペーンを展開をしておるわけであります。
 したがって、こういった野党の一部に十分話し合いを尽くした上でなお越え得ないものがあったとしても、なおこの二法を成立をさせたいという御意向で当然あろうと思いますが、これについての三木総理の考え方を聞いておきたいと思います。
#318
○三木内閣総理大臣 国会は、厳しい御批判を受けることは当然のことでございます。ただしかし、議会制民主主義の破壊者であるということは承知するわけにはいかない、私の三十八年の歴史はそれを守るための歴史であったわけであります。それは共産党でも大きく私の歩みを考えてみれば、議会政治の破壊者どころか擁護者である、三十八年の歴史はそういうことに言えると思います。
 したがって、共産党の方々、ビラの問題をいろいろ言われておるのだと思いますが、これは御質疑を通じて明らかにしたい。私の真意を誤解していられると思います。私は憲法で規定されておるその条章に最も忠実たろうとしておるわけでございますから、そういうことからこの問題を、機関紙号外と称するビラを取り扱うべきではない、御質問を通じて真意を明らかにいたしたいと思うわけでございますから、これはやはり一つのルールでもあるわけですが、できるだけ各党の一つの意見が一致することが好ましいわけですから、内閣打倒も結構ですけれども、これはやはりこういう共通のルールとして、自分の思うとおりにもいきませんわけですから、そういう点で歩み寄ってお話し合いができれば、私はまことに結構なことだと考えております。
#319
○村田委員 したがって総理は、話し合いを尽くすべきは尽くし、そしてあくまでこの両法の成立を必ず会期内にし遂げるという決意だと承ってよろしゅうございますか。
#320
○三木内閣総理大臣 私が、内閣が出発した使命はこういうことを手がけるということですから、共産党がお考えになってもこれが前進の法案であることは間違いありませんよ。これは前進であることは間違いない。したがって、その前進の仕方が百歩を望まれる方に百歩ではないと言われるかもしらぬけれども、やはり一歩一歩前進するために、一党の思うようにもいかない場合もあるわけですから、そういう点で、ビラが歩み寄って、これが前進であるならば、それが百歩でなくても、六十歩でも七十歩でも、それはやはり日本の政治、日本の民主政治のためにプラスであるという大局的な判断で、政党というものの立場もありましょうけれども、それを超えられて、議会制民主主義の健全な発展のために、政治のために御協力を願いたい。
 私もこれはきょうは何時でも参りますと、これは皆さんがこうやって夜遅くまで御審議を願っておることに敬意を表しますとともに、私もどんなに遅くなっても参りますから、どうか審議だけは促進していただかないと、四十日の会期延長という限られた枠ですから、そういうこともございますわけですから、どうか審議を促進していただきたいと願うわけでございます。
#321
○村田委員 審議を促進していただきたい、またひとつぜひこの成立について、たとえきょうは十一時になっても十二時になってもお待ちしておると言われた総理の熱意はよくわかります。
 ただ、この際、もう一つはっきり言っていただきたいのは、どんなことがあってもおれは成立させるのだ。たとえば自民党の中にも一部反対があるというような報道もあるわけです。しかし私は、そのことは民主主義でありますから、民主主義というのは最小公倍数あるいは最大公約数を集約するものでありまして、したがって、同じ自由民主党の中でも、その全体に対して全面的に賛成という方々ばかりでないということは了解ができるのです。まして日本共産党のような、いわゆる社会体制の前提が違うわけでありますから、野党の一部にそういう反対があることもよくわかる。そういったことを乗り越えて必ず成立をさせるのだという決意をひとつ述べていただきたい。
#322
○三木内閣総理大臣 私はどうしてもこれは成立させたい、内閣の成立の大きな使命の一つですから、これはぜひとも成立させたいという熱意には変わりありませんが、また皆さんも、やはりこれはお互いのための前進であることは間違いないですから、どうか御協力を願いたいと思うわけでございます。
 自民党の中にも、これは自民党というのは、名前のごとく自由な政党ですから、いろいろな議論があることは当然ですけれども、党議で決定して、自民党内閣が国会に出した法律に対して、自民党が異論があるはずはないわけです。そういうことは、いろいろ世間で言われておりますけれども、それは自民党の真意を伝えるものではない、さように御承知を願いたい。
#323
○村田委員 したがって、先ほどの私がお伝えをした野党の宣言の中にも、解散を賭しても闘うのだというようなことが言われております。この法律案の成立は三木内閣にとって政治生命をかけたものでありますから、もしこれが通らないならば総理自身が衆議院を解散してでもその信を問うべき重大な法律であると私は思っております。したがいまして、万一この法律が通らない場合は重大な決意をもって臨むという考え方がおありですか、ひとつ伺いたいと思います。
#324
○三木内閣総理大臣 私は、国会議員の方々はいずれも良識のある方々であると思っております。したがって、この法案に対して、審議の過程ではいろいろ議論がありますけれども、最終的に日本の議会制民主主義の健全な発展のためにこれはプラスかマイナスかという判断で、大局の上に立ってくださると考えておりますから、御協力を得られると信じているのです。そういうことで、その後のことはいまはもう考えが及ばないわけでございます。
#325
○村田委員 総理はきわめて重大な決意で臨んでおられると理解をいたします。
 さて次に、今度は法律案の内容に入ってまいりたいと思いますが、今回の改正の中で、わけてもこれは新聞報道等で、どの新聞も挙げて賛成をしておるものの一つに、衆議院の定数是正の問題がございます。
 この衆議院の定数是正の問題は、全国の一人当たりの人口で申しますと、一人の議員に対して二十一万三千百六十七人というのが平均であります。そして現在の全国最高は、よく言われますように大阪三区の一人当たり五十四万五千百三十六人、最低は兵庫五区の十一万二千七百一人である。その間、全国の最低で最高を割るならば、四・八倍にもなる。したがって、一票の重みが非常に違うということがわかるわけであります。
 日本の衆議院の定数というのは、大正十四年に四百六十六名で定められましてからずっと、若干の変動はございましたが、四百六十六で戦後まで来ております。その後、総理も御承知のように、昭和三十九年と四十五年の改正で現在の四百九十一人となりました。そして今回もし二十名を増大するとなれば、五百十一人ということになるわけであります。五百十一人という数は、大体人口二十万人見当に一人の議員ということになるわけでありますから、この議員の数は外国の議員一人当たりの人口に比較して、決して日本の衆議院の数が多いということではありません。
 たとえば一例を挙げますと、アメリカは四十八万人に下院議員一人、西ドイツは十二万人、に一人、フランスは十万六千人に一人、イギリスは八万八千人に一人、また高福祉高負担で知られておるスウェーデンに至っては一院制でありますが、二万三千人に一人の国会議員ということになっております。
 したがって、二十名の定数増が決して多いとは申しません。しかし二十名の増加をいたしましてもなお、全国最低と最高との差は二・八倍という数字である。まだそういったアンバランスというものは一挙に是正されるわけではないのであります。そのアンバランスというものがまた過密過疎というような現象によって起こってきた場合に、今回のように減員する区はなく、ただ増員ばかりである。そういった、何と申しますか、歯どめというものを総理は考えておられるか。五百十一人にふやしたならば、これからはふやさない、その中で定数の是正をやっていくというような歯どめの考え方がおありであるかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
#326
○三木内閣総理大臣 村田さんの御指摘のように、余り極端になったのと、それから一度各党間の意見が一致を見て二十名の定員増、それで今回はいたしたのですが、こうやって次々に定数是正をしていくことを私は適当だとは思わない。もう少し区割りを考えて、過密のところもあれば過疎のところもあるのですから、やはり区制なども考えてやるべきで、人口が非常にアンバランスになったから、また何十名、また何十名と、そういうふうに無制限に定員増だけを次々に繰り返すことは適当だとは私は思わない。もう少しやはり区制全体も考えてやるべきだと思いますので、これを繰り返すという考え方は持っていない。もう少し根本に、選挙制度というものを区制などもひっくるめて考えてみる必要があるのではないか、こういうふうに思います。
#327
○村田委員 選挙制度全般を考えて、五百十一人以上ふやすことは考えない、今回の定数是正によって、あとはその範囲内において考えていきたい、アンバランスを是正していきたい、そういう考え方ですね。
#328
○三木内閣総理大臣 そういうことです。これをアンバランス、アンバランスと言って次々にふやしていったら、もう定員はどういうことになるか。そういうことで、そのごとが適当だと思いませんので、もう少し区制もひっくるめて考えてみる必要があると考えておるということでございます。
#329
○村田委員 今回の改正案では、参議院の改革は見送られたわけであります。この見送られた中には、与野党議員の大変な御努力があり、全国区制についても、地方区の定数是正についても、十分な検討が行われたのでありますけれども、何としても時間的に制約がありましたためにそれがででなかった。
 しかし、参議院の場合は、御案内のように現在たとえば東京は参議院議員一人について百四十二万六千人の人口であります。また、日本で人口の一番少ない鳥取県は五十六万八千人に二人でありますから、したがって二十八万四千人に一人の参議院議員ということになります。このことはその格差が五倍ということであり、また、最もよいアンバランスの例として引かれる北海道の五百十八万人で八人区、神奈川県の五百四十七万人で四人区、これはまことに、アンバランスの最も大きな例であろうと思いますし、また金のかかる選挙という意味では、これは検討の一番対象になった全国区制の問題につきましても、何としても、今回の改正では見送られたのでありますが、近い機会にこの是正あるいは再検討ということが考えられなければならないと思います。これについての総理のお考え方を聞いておきたいと思います。
#330
○三木内閣総理大臣 できれば、こういう公職選挙法の改正の機会に参議院の改革も一緒に扱えれば、それが一番理想的だったと思いますが、参議院には、定数制の問題のほかに、全国区の問題があるわけです。全国区の問題でも、金がかかり過ぎる、また有権者としても候補者の選択というのはなかなか困難である、あんなに全国に、短期間の選挙運動というのはなかなか容易なことではないとか、全国区の弊害というものも指摘されておりますし、また、地方区の定員についても、あれは第五次でしたか答申の中に、参議院は地域も考えてみることも必要であるというようなことも出ておりまして、必ずしも、人口の比率で定数をふやしていったら参議院はいいかどうかという根本の問題もございますし、これは全国区と地方の定数の問題もひっくるめて、各党の意見もまだ一致しませんし、また与党の内部においてもこれはいろいろな意見がありまして、まとまっていないことは事実ですが、そういう段階で、これは重大な問題ですから、これをこの国会に提出をいたしますことはやはり少し軽率であるということで、提出をいたさなかったわけでございます。
 全国区の問題、地方区の定数の問題というものは引き続いて検討いたしますと同時に、各党においても、この問題については御検討を願いたいと思うわけでございます。
#331
○村田委員 したがいまして、今国会においては参議院の制度改革は行わないが、近い機会に与野党が一致してこの問題を真剣に検討をして、ひとつぜひその改革を図りたい、こういう意思と考えてよろしゅうございますか。
#332
○三木内閣総理大臣 そういう意思とお受け取りくださって結構でございます。
#333
○村田委員 時間が非常に限られておりますので、この問題をもっと突っ込みたいのですが、先へ進みます。
 次は、選挙公営の拡充の問題であります。
 御案内のように、現在の選挙公営は、選挙公報、氏名掲示、立会演説会、演説会、ポスター掲示場あるいは新聞広告、無料はがき、政見放送等、多くの公営制度が実施されております。これは世界にも例を見ないぐらい日本の選挙公営の制度は進んでいると言っていい。選挙制度あるいは政治制度につきましても、それぞれの国に独特のカラーがあるわけでありますが、日本はこういった超過密社会であり、また非常に情報化社会が進んでおりますから、選挙についての規制も他国に比べて非常にきちっとしておりますし、同時に公営も拡充をしておるということであろうと思います。
 自治大臣に対する質疑の中で明らかにされたことでありますが、たとえば四十七年の衆議院選では、立候補者一人に対して二百七十九万円の公営費用がかかっておる。参議院の全国区の場合は、四十九年の場合一人の候補者当たり八百五十八万円の経費がかかっています。地方区の場合はもっと高く九百七十六万円という公営経費になるわけでありますが、なおこの公営の重要性をこの改正においては考えまして、選挙運動用の自動車についての公営、それからポスターの作成費についての公営等を決めたわけでございます。
 同時に無料はがきの拡充あるいはテレビの非常な重要性、これはたとえば公明選挙連盟等の実施しております調査でも、政見放送等によって候補者を知るという度合いは抜群に高いわけであります。したがって、これは法律改正ではありません、規程の改正になるわけでありますが、法百五十条に基づく政見放送及び経歴放送の実施規程を改正して政見放送をさらに拡充するとか、あるいは無料はがき、衆議院議員の場合無料はがきは二万五千枚まで許されております。これをたとえば枚数を増加するとか、そういったことについて、総理の口から、こういうことも十分検討に値する、もし各党の合意が成るならばやってみたいというようなお考えがございましたら、伺っておきたいと思います。
#334
○三木内閣総理大臣 国会議員の選挙というものはある意味において政府を決める選挙でもあるし、きわめて重要な意味を持っておるわけであります。国として重要な意味を持っておる。したがって、公営を拡大するというのもそれなりに理由のあることで、御指摘のように、日本ではよその国に比べて公営というものは範囲は広いわけであります。今度また候補者の自動車とかポスター等も拡大したわけであります。
 しかし、いま言ったように、国会議員の選挙は国として重要な意味を持っておりますから、いま御指摘になったはがきをもう少しふやしたらどうか、テレビも確かに効果はあるのですけれども、時間帯の関係もありましょう。だから、こちらの主観的な意図だけでもいけない、技術的に検討も要しますが、御指摘のような提案は検討に値するものだと考えております。
#335
○村田委員 ひとつぜひ総理、前向きで検討していただきたいと思います。
 さて、時間がございませんので、今度は政治資金規正法について要点だけ伺いたいと思います。
 今回の政治資金規正法、これはいままでの法律に比べてはるかに前進であります。まさにこの法律が制定をされるならば、これは私は三木内閣の新しい政治姿勢を示すものとして非常に歓迎をされていい、国民的な意義を持っておると思っております。
 すなわち、政党への献金の制限、政治家個人への献金の制限、あるいは政党収支の全面公開、それからまた個人献金を奨励するための税制面の優遇措置、あるいは派閥、個人講演会等への寄付規制など、非常に重要な改革が含まれておると思うのでありますけれども、しかし、これらの改革に対して、これは自己規制でありますから、自民党にとってもきわめてつらいことがございますし、あるいは野党にとってもつらい面があろうかと思うのであります。
 私はひとつここで御紹介をしたいものがあるのでございますが、これは文芸春秋の六月号です。この文芸春秋の六月号に特別レポートというので「政治家における金の研究」というのを殿岡昭郎氏が紹介をしております。紹介によれば、これは昨年十一月号、「政治家の収入篇につぐ詳細な支出篇を公開する」こうなっておりまして、十一月号というのはすなわち田中角榮研究で世界に有名になったあのレポートでありますから、その続篇ということで非常に興味をもって読みました。
 この中に、現在の政治には非常に金がかかるという具体的な話をいろいろと紹介をしておるわけであります。そしてその結びにこういう言葉があります。これはぜひ聞いていただきたいと思いますが、「これはいいとか、悪いとかの価値判断の問題ではない。日本における政治家と選挙民のありのままの関係であり、我々の政治はこの実態を避けては論じられないのである。」実態は非常に金がかかるということです。
 「こうしてみると、三木総裁に代表される党近代化グループは、いったい何を考えているかが問題になる。金はかかり続け、有権者は貰う側に回っているのである。そこで企業献金を否定するということは、もし本気だとすれば自民党政治を否定する以外の何ものでもないのである。」これは本に書いてあるのです。私が言っているのじゃないのです。
 「三木総裁はもっと率直に国民に訴えたらよいのである。民主政治、政党政治には莫大な金が必要であると。その金は、民主政治であればこそ、政治家と有権者の接触に欠かせないものであると。そして政治とは相対的な善の追求でしかないのだから、少々の欠陥には目をつぶらなければならないところもある、と呼びかけたらどうであろうか。それは理想を弄ぶよりも勇気のいることである。しかしマスコミに迎合し、人々の心に不満の小鬼を育てているうちに、民主政治や政党政治のかけがえのない良さを失ってしまうことだってありうるのである。」こういう言葉で結ばれているわけであります。
 私は、この論文は非常に逆説的な意味を含んでおりますので、いま紹介した部分をそのまま受け取るべきであるとは思っておりません。またこれは三木総理の政治姿勢から考えてみても、いろいろな疑問点があるだろうと思います。したがって、こういう政治に金のかかるという実態について、政治資金規正法を通じて三木総理はどういうふうに改革をしていかれる決心であるか、この際、承っておきたいと思います。
#336
○三木内閣総理大臣 実際、政治に金がかかるということは、それはもう言われるとおりだと思います。こういう時期に、しかも大衆社会であるし、しかも政党というものの活動は国民相手ですから、範囲も広いし、対象も広い。金がかかるわけでありますが、私は長い政治生活を通じて、こんなに金のかかる時代は知らぬですよ。これはやはりいまが一番私は金がかかり過ぎると思うのですよ、長い政治生活の中でね。そこにやっぱり節度というものも要るのではないか。便利ですからね、金は。多いにこしたことはないといっても、そのことが政治に対する国民の不信を招いている。いま政治の中で幾つかの不信がありますが、金にまつわる不信というものは相当にやっぱりこのものは国民に対して根深い不信があると思いますよ。政策の点では皆立場が違うですけれども、この金にまつわる不信というのは、政治倫理に関係をしておるから、広範な国民のそういう感じというものは無視することができない。
 だから、そこにやはり節度を設けて、金も今度は一つの限度を設けてある。多いにこしたことはないけれども、そこにみずからの節度を設けて、しかもそれを公開主義によってガラス張りの中になって、そのことに対して国民の前に、国民の批判を受ける、責任を明らかにする、それだけの公明正大な態度、また政党自身が、金があれば便利だけれども、余り――国民一般に訴えるのはいいのですよ。われわれも今後そういう形で自民党の資金を集めていきたい。なるべく支持層を広げて、そしてしようと思いますが、ある大企業なら大企業に集中して、政治の資金というものを集中して受けることは、弊害も起こらぬとは言えません。また、国民にそういう誤解を与えることは事実ですから、そこに一定の節度といいますか、そういうものを設けることは必要だ。そこに書いてあることで、金がかかることは否定しませんが、しかし政党自身という立場から、それは非常に政党に対していろいろな意味で理解のある言葉でしょうが、それに甘えてはいけないのだ、政党自身はみずから厳しくするだけのそういう姿勢が必要だということで、政治資金規正法の改正案を提出いたしたわけでございます。
#337
○村田委員 したがいまして、私は三木総理のおっしゃる意味はよくわかるのです。現在日本には百六十万に及ぶ自由企業があると言われております。そしてその自由企業は現在の自由主義社会の存続というものを望み、そして政治に最低限度のきれいな金がかかるということを理解をしておる。そういった人々から個人献金、企業献金というものを、広くそして完全な合意の上で集めるということについては、総理は異論はないわけですね。
#338
○三木内閣総理大臣 異論はありません、いま現にそういうことで動いておるわけですから。そういうことは、やはりそれを切りかえるにしても、個人献金といっても、なかなかやはり相当な時間を要すると思います。いますぐに切りかえることに無理がある。企業というものは、自由社会といいますか自由企業の原則を守っていこうというわけですから、そういう点で自民党という党の信条と合致するわけですから、応分の政党に対して寄付をしたいということを考えることは、これはやはり自然なことだと思います。
#339
○村田委員 時間が参りましたのでこれで終わります。
 私は、最初に申し上げましたように、この二法の成立というものが、現内閣にとって、またわれわれの日本にとってきわめて重要な改正であるということを心から信じております。したがいまして、野党の諸君とも誠心誠意話し合って成立を期するつもりでありますが、総理も勇気を持って進まれることを期待いたしまして、質問を終わります。
#340
○小澤委員長 山本幸一君。
#341
○山本(幸一)委員 簡潔に質問いたします。だからあなたの答弁も簡潔にしてもらいたい、そういうことです。
 いまも話があったように、過去の金権、腐敗の政治、選挙、こういうものは大変な批判を受けておるわけですね。三木内閣はその後を受けて、少なくとも不明朗な政治献金は改めたい、かつまた選挙についても金のかからぬ選挙法をつくりたい、このほかに、先ほど話のあったように独禁法の改正、こういうことをあなたは約束しておられるわけですね。これは言うまでもなく国民は大変注目しておるわけです。ところが実際に出てきたものは、残念ながら、ちょいと私どもは納得しかねるものばかりである、こういう現状なんです。
 そこで私は、きょうは時間の関係もありますから専門的なことは専門家の同僚の皆さんにやっていただくことにして、公職選挙法に限って、しかもそのうちの全国区の問題と参議院の地方区の定数是正の問題、この決意をひとつあなたに伺っておきたいと思うのです。
 まず最初に、参議院の地方区の定数是正です。これは理屈抜きに、国民は単に衆議院の定数だけを要求したのじゃない。衆参あわせてアンバランスを是正しろ、こういうことになったわけです。こういう要求です。
 そこでいま話があったように、衆議院においては、私はまだ不完全だと思いますよ。率直に言えば私どもの出してある提案は、増減主義を採用する、それからなお二十名の増員だけでは不満である、こういうことでありまするけれども、しかし私は、衆議院ではやはり前進だという評価は一面できると思うのですよ。
 ところが参議院では、政府及び自民党は――まあ自民党はと言っては失礼ですけれども、衆議院だけ食い逃げして参議院は放置しておる。これは大変な非難が起きておるのです。そればかりでなく、私どものところへしょっちゅういろいろ要望、申し入れ等がございますが、なぜ参議院の定数を一緒にやらないのか、こういうのが少なくとも私どもが会う人々、国民のほとんどの意見です。なぜ参議院の定数是正ができないのか、それをひとつまず伺ってみたいと思うのです。
#342
○三木内閣総理大臣 山本さん御承知のように、自民党もこれは参議院と一体でやれというような、最初はそういう意向であったのです。参議院の方が、全国区の問題もあるでしょう、全国区と地方区の定数と参議院の改革というものを一本にして考えてみることは必要なんじゃないかということで、その間いろいろ与野党間の話し合いも衆議院のようにはまとまってないし、与党内部にも御承知のように意見がいろいろあるものですから、やはりもう少し検討時間を置いて、しかしこれは食い逃げを決していたしません。参議院の方も全国区、地方区の定数も含めて、これはできるだけ速やかにその問題を解決するために、これは自民党はもちろん、政府の方としても十分今後とも検討いたしまして、そういつまでもこのまま放置する考えはないのです。
 参議院の方が意見のまとまるまで衆議院の方を一緒に延ばしておくという考え方もあるでしょうけれども、これはせっかく各党の意見が一致したので、一緒にはならなかったけれども、こういう一致したものから今回解決しておく方が問題の処理としては一つの行き方ではないかと思ってしたので、衆議院の方を食い逃げする考えは全くないということを申し上げておきます。
#343
○山本(幸一)委員 あなたの御答弁はよく理解できますが、しかしあなたは全国区と定数とを一体化で結びつけておる。これは理想的には全国区も定数も同時に改正されることが好ましいことです。しかし、どうしてもいけなければ、せめても衆議院で定数是正するのですから、この機会になぜ参議院の定数是正ができないのか、こういうことです。やれることをやったらいいじゃないか、こういう議論です。
 私の聞くところでは、あなたのような理由じゃないのですよ。少なくとも自民党さん、特に参議院においては、衆議院の定数の是正は五年ごとの国勢調査を基準にしておる、参議院には基準がありません、したがって定数是正なんかやる必要はない、一つはこういう議論ですね。これは私どもいただけぬのですな。政府は一体そういうことを考えておるのかどうか、三木さんは一体そういうことを考えているのかどうか、これはちょっと念のために伺っておきたいと思います。
#344
○三木内閣総理大臣 村田君の質問のときには、衆議院とは――第七次選挙制度審議会でも、何か地域というものを参議院は頭に入れるべきではないか、単純な人口比だけで参議院がいくのは適当でないという御意見があったことは御承知のとおりですね。そういう根本の問題もあるわけです。しかし、やはりこれは問題になっておることは事実ですから、何らかの結論を出さなければならぬ。そういう場合に、全国区の問題もあり、これは別々の問題かもしれませんが、あるいは参議院全般の選挙制度として関連がないとは言えないわけですから、これを全体として、この問題は結論を余り延ばさないで出したいという意向でございます。
#345
○山本(幸一)委員 それでは私、もう一つ突っ込んで申しますが、あなたは先ほど村田さんの答弁に、何としても成立さしたい、これに自分は全力を挙げる、こういう御答弁でした。しかし、率直に申し上げて、参議院の地方区の定数是正をしないで、場合によればそれは野党側の意見をある程度取り入れて大幅な修正ができるなら衆議院は可能かもしれません。しかし、参議院へいって、食い逃げした食い逃げしたと言って大変な攻撃があるのですから、参議院で成立するということはちょっと私どももその可能性をはっきりここで申し上げることはできない。これは私ばかりではなく多くの人がそうだと思うのです。そういう状況にあるのですよ、いま参議院が。そこのところをあなたが甘く判断したりしたら大変な間違いを起こすのじゃないか。したがって、少なくともこの国会で参議院においても定数是正に積極的な姿勢を示さなければいけない。
 私も多少は知ってますよ。これは衆議院と違って小委員会の成立が遅かった、おくれた、こういう事情も存じております。そういうことは認めておりますが、最近は、私の聞くところでは、野党全体が定数是正の数についてはおおむねまとまったんです。自民党だけが断じてこれに応じない、参議院の自民党は応じない、こういう状況なんですね。そうだとするならば、これはやはり総裁として、そういうときにはリーダーシップを発揮しなければいかぬのですね。私は、仮に衆議院が上がっても、参議院で上がるとはとても考えられない。だから、よほどあなたが積極的なリーダーシップを発揮して参議院定数是正に積極的な姿勢を示さなければ、残念ながら失敗に終わるのじゃないか、私はこういう見通しを持っております。
 だから、どの程度あなたが積極的な姿勢を示されるのか。もうそんな、全国区と組み合わせだとか全国区と一本だとかというような議論じゃありません。全国区と切り離してでも参議院の定数是正をしろ、こういうのが参議院全野党の要求なんですから、したがって私は、あなたが最も積極的な姿勢を示さなければいけない、ただ抽象論だけでは私どもは納得できぬ、こういうことです。
#346
○三木内閣総理大臣 私も参議院では前向きの答弁をするつもりです、この問題については。ただ、いま言ったように、ここですぐに参議院を提出するというようなことは、これはやはりそこまでの準備ができてないことは事実ですから、したがって、ただ食い逃げにするものではないということは、誠意を披瀝するつもりでございますし、また山本さんも、参議院といっても別の団体ではないわけです、社会党の方々もいられるし、各党がおいでになるわけですから、これが一歩前進であることは、いろいろ御批判はあっても前進であることは間違いないのですから、そう言って、これを私が食い逃げしないと言っておるのですから、非常に影響力の強い山本さんですから、その点はどうか参議院の方にもその政府の意図をお伝え願って、ひとつそういうふうに、いまいろいろ御意見は承りましたけれども、できるだけ、一歩でも前進のことは、皆が歯車を前へ回していくということがやはり国会においては必要なのではないでしょうか。そういう点で御協力を賜りたいと思います。(発言する者あり)
#347
○山本(幸一)委員 あなた前進だ前進だとおっしゃるが、それは確かに衆議院の定数は前進ですよ。これは私も認めております。しかし、これが逆に参議院を刺激しておるということ、それを考えなきゃいかぬということですよ。衆議院だけ勝手にやって、参議院を放置しておるじゃないか、これがむしろあなたが評価される前進に反する現象なんですね。そこのところを認識しておかないと、仮に衆議院で成立してもむずかしいですよと、こう私は申し上げている。
 いま三木さんの答弁はまゆつばものだからつばつけてよく聞けというやじがありましたが、私は、あなた食い逃げはしないとおっしゃるが、食い逃げしないとするなら具体的にどうしようとなさるのか、それを聞かしてもらいたい。もっと突っ込んで言うなら、あなたの御答弁をいま聞いていると、この国会では時間的にはむずかしい。しからば、次にはどうしようとするのか、その具体的なお答えをいただきたい、こう思うのです。
#348
○三木内閣総理大臣 これは重大な問題ですから、あんまりこう意見のまとまらぬものを、拙速はよくないと思うわけですから、慎重を期したいと思いますが、次の参議院選挙までにはむろん結論を出さなければならぬという考えでございます。
#349
○山本(幸一)委員 私どもは立場上、それはあなたの御答弁そのものについては一歩前進しておると思っておりますが、私どもはこの国会でやってもらいたい、こういう考え方です。しかし、前進した御答弁であることだけは私は率直に認めていいと思います。そういうことです。
 次に全国区ですが、これはもう私が言うまでもない、選挙で一番金のかかるのは買収、供応ですよ。どの党がやっておるか知らぬが、一番金のかかるのは買収、供応ですね。こういう違反を除けば、衆議院選挙、参議院選挙のうちで地方区の選挙と全国区の選挙、この三つに分けますと、全国区が一番金がかかるのですね。
 御承知のようにたとえば事前運動にポスターを一回張る。三十万枚お張りになるか五十万枚お張りになる人もあるが、これはあなた三色刷り程度のポスターで、裏打ち、つまりベニヤ板なりプラスチックなり裏打ちして、さらに針金をくっつけて張り賃を含めたら三百円から最低二百円かかりますよ。三十万枚張ったら三百円で九千万ですよ。一回ポスターを張るのに一億以下じゃできぬというような現状なんです、事前運動一回やるだけで。
 ようございますか、それは中には十億、二十億と使われたあなたの党の人もおられますが、私は革新といえども、事前運動を含んだら率直に言ってやはり億の声がかかると思うのですよ。そういう全国区をこのままにしておいて金のかからぬ選挙制度をつくりますと言ったって、それは私、国民は理解しないと思うのです。一番金のかからぬ選挙は全国区をどうするかということ、買収、供応等そういう非合法は除いて、これに全力を挙げなければならぬと思うのですよ。
 これにはもちろん私は、それぞれ議員によって意見もいろいろ違うし、案も違うと思います。少なくとも政府が、あるいは第一党の自民党が、こういう案なら一番いいんだという案を示すべきです。全然示していない。これはやる気がないということじゃないですか。金のかからぬ選挙制度をつくるつくると言ってそれは大うそだということでしょう。
 そこで、私どもは御承知のように、ともかくいろいろ異論はあろうけれども、金のかからぬ選挙としてやるなら比例代表で拘束名簿方式、つまり政党一票投票、これをやってはどうですか、これなら個人の事前運動の資金も選挙中の資金も大変軽減できる、こういう意味でわれわれは提案したのですよ。一時期には自民党の幹部の人々もよかろうという積極的な姿勢であったわけですよ。いつの間にやらどこかへ消えてしまった。三木さん自体が金のかからぬ選挙をやろうとするなら、もし私どもの案がいけなければどういう案をお持ちなのか、構想でもいい、それを示す責任があると私は思うのですよ。それはどう思いますか。
#350
○三木内閣総理大臣 社会党の案は一つの全国区に対しての検討すべき案であるということを私は否定しません。それで、自民党の中でもやはり全国区というものが弊害があるということはだれも認めておるわけです。金のかからぬ選挙と言っておいて全国区をいまのような状態では、これは国民も納得しませんからね。
 しかしまだここで、私は、国会においてこういう案はどうだろうかと考えておるということを申し上げる段階でないですが、金のかからない選挙をやろうというときには全国区の問題は放置できない問題です。自民党としても、国会後においてこの問題は真剣に取り組みます。できるだけ早くこの問題に対して自民党としての案を出しますし、また各党においても、社会党の案も各党の間にもいろいろ意見がありまして、全会一致ということにいかないのですよ、全政党。なるべくこういう問題については、まあ全部が全部といかぬかもしれぬけれども、ある程度やはり賛成もあることは必要ですから、各党においても検討してもらいたい。自民党もこれは重大な課題として検討いたします。
#351
○山本(幸一)委員 三木内閣ができてから何カ月になるんでしたかな。
#352
○三木内閣総理大臣 六カ月です。
#353
○山本(幸一)委員 六カ月たっているのですよ、あなた。あなたが公約したのは成立と同時に公約なすっていらっしゃる。社会党はよかれあしかれ、異論があっても案を出している。あなたの方はちっとも出していない。それをこれから急いでやります、積極的にやりますと言ったって、それは私は多くの人はそういうことを正直に受け取らぬと思うのですよ。六カ月もあるのですから、なぜいままでに本当にあなたがやる気なら案を示さなかったか。あるいは案ができないにしても政府の内部でしさいな検討が続けられておるか、続けられていないと思うのですよ、率直に言って。
 だから、先ほどもちょっと村田さんが触れられたのだが、共産党の諸君や公明党の諸君が三木内閣打倒、これを宣言された。私たちはまたちょっと意見が違いますね。これはやはりもう少し国民の生活に関連する諸案件を具体的に審議したり、重要な外交案件等を具体的に審議して国民にいずれの意見が正しいかを明らかにしていく。その後の情勢によってあるいは両党と同じような姿勢をとるかもしれませんよ。私どもまずとりあえず審議をして国民にこれを答えなければいけない、こういう姿勢であることは間違いありませんが、少なくとも両党の三木内閣打倒の宣言をしたということを私は軽視してはいかぬと思うのですよ。軽視してはいけない。それは言うならば、率直に言うとあなたがやるべきことをやっていらっしゃらない。それからしょっちゅう右往左往して腰がふらふらしている。だからもっとしっかりしなさいと、こういう意味が私は村田さんの意見だと思う、それは派閥がどこの派閥に属しておられるか存じませんけれども。だから、あなたが本当に決意しなければいかぬということですよ。
 参議院の定数是正についてはわかりましたよ。それはわかりました。あなたの姿勢はわかりましたが、全国区についてももっと積極的な姿勢をお持ちにならなければいけない。これを持たないと国民にこたえる道がない、私はこう思うのです。まあ余り時間を費しては同僚諸君に御迷惑ですからこれ以上申しませんけれども、これはぜひひとつ参議院の全国区に手をつける、これをもう一遍ここで決意を明らかにしてください。
#354
○三木内閣総理大臣 いろいろのお苦言はありますけれども、私は三木内閣の成立に関して、政治資金規正法とか公職選挙法とか独禁法とか、これはやはり国民の期待にある程度こたえた法案を、これは山本さんがごらんになってもこの法案というものがなかなかやはり私自身が苦心をしておることはおわかりのとおりでございます。私は私の公約に対して、これを公約しておいてすぐ忘れてしまうというたちでないのですよ。なかなか執念深いのです、公約に対しては。あきらめないんです、私は。したがって、いろいろお気に召さぬ点もありますけれども、私の言った原則というものはやはり曲げてないのですよ、これは。その間のいろんな方法論について、これは私の思うとおりにいかぬわけですからね、したがって妥協はあってもやはり私の信念、原則というものは曲げてない。野党の諸君のいろいろな御批判は承りますけれども、そういういかにも有言不実行という批判に対しては私も少々不服でございます。
 そういう点で全国区の問題はこれはやはり私も研究――簡単に考えたのですよ、私自身も実際言うと。しかし、これは党員全体の、選挙制度というものはそんな法案とはまた違った性質がありましょう、党員自身の、選挙をやっておる人たちの。そういう点でなかなかむずかしさもあったということは百も山本さん御存じのとおりですが、これは捨ておけない問題である。金のかからないような選挙をやろうというときに、全国区をそのままにしておけませんから。ただこの場として私がその場逃れのことを言っておるのではない。この問題は、真剣に取り組みます、全国区の問題は。
#355
○山本(幸一)委員 それじゃ結びにちょっと一言だけ申し上げてやめますが、ぜひ私はあなたにお願いしたいことは、三木内閣、内閣総理大臣に便々としがみつくような態度はやめてもらいたい。ようございますか。あなたは、いつでもおれはやめるのだという決意であの公約の実行に着手されるなら、できるはずです。党内のリーダーシップをとれるはずです。(「かわりがいない」と呼ぶ者あり)かわりがいないとおっしゃる。いないからこそよけいなんだな、これは。問題は、だからあなたがいつでもやめるのだ、国民のために、この決意で党内をまとめる努力をしていただきたい。このことを申し上げて、これ以上は遠慮します。
#356
○小澤委員長 阿部昭吾君。
#357
○阿部(昭)委員 いまわが党の選挙制度の特別委員長であります大先輩の山本先生の方から御質問がございました。そこで私は総理に対する質問でありますから、ごく限定をした重要な問題をお尋ねをしたいと思います。
 一つは今度の選挙法改正の中に連座制の問題が改正案として出されております。それから選挙違反というものに対するあり方、こういう問題について、たとえば今度改正をやったと言っておるのでありますが、これは全くざる法なんであります。言うまでもなく今度の改正ではこれは改正とは言えない。現行の連座制では、刑事裁判で総括主宰者等の刑が確定した後、検察官による当選無効訴訟が提起され、その判決によって当選無効が決まる仕組みになっている。ところが今回これを、総括主宰者等が刑に処せられた旨の通知を受けたときは、これらの者が総括主宰者等に該当しないことを理由として当選が無効とならないことの確認を求める訴訟をその当選人が提起しない限り当選無効になる。ですから、当然に従来のいろいろな例から考えますと、当選無効にならない訴訟を提起することは明らかであります。
 従来、選挙違反事件が起こる。しかし選挙違反事件によってその任期の最中にたとえば公民権停止などの処分によって当選が無効になったという例は、その任期の期間内においては全く絶無に等しい。今回のこの改正だなどと言ってわざわざ提案説明の中に一項起こしておる。これも全くしり抜けなんであります。国民は、選挙法に対してこれを守らない、買収供応事件が横行しておる、選挙のたびに、終わるたびごとに捜査やその他が行われるのでありますが、いま申し上げましたとおりで、その任期中に当選が無効になるようなことはほとんど絶無に等しい。こういう状況に対して、今回のこの改正案は明らかにざる法であります。総理は一体どういうふうに考えておりますか。
#358
○三木内閣総理大臣 従来であれば検察官が当選無効の民事裁判を起こすわけですね、もとからやり直しになってくるわけです。今度の場合は、一点だけ、総括責任者あるいは出納責任者あるいは地方の選挙総括責任者ですかね、そういうものに該当しなかったという、この訴訟だけなんですね。初めからやり直すわけでない、この一点についてだけ不服を申し立てられるというわけですから、前よりも連座制の規定は、よほど厳しくなっていると私は思いますね。裁判もやっぱり迅速になるでしょう、いろいろやり直しやらないのですから。その一点についてだけの不服の申し立てしかできないわけですから、連座制の強化ではあるということで、いま御指摘のように、大きな選挙違反をやっておって任期中に何も裁判が片づかぬというようなことは、これは国民から見てもおかしいことですから、これはやはり促進には私はなると思うのです。
#359
○阿部(昭)委員 三木さん、実はあなたの選挙区で、あなたが田中内閣に三くだり半をたたきつけた原因になったのは、あなたのいわば派に属する方に対して、前総理の田中さんの関係の人が立って、そして金権選挙を戦い合った、双方それぞれ大変な金権選挙を戦わしたと、こう新聞で報じておるのであります。
 ところで、今回あなたは、いまの御答弁では連座制は強化をされたと言っておりますけれども、これは今回改正を本当に、クリーン三木と宣伝をして、いわばこの選挙違反に対する国民の批判というものにこたえるような法改正をやろうというのでありますれば、判決確定した段階で当然に当選無効になる、しかも、その裁判等についてももっと、従来の例で言いますると任期中に当選が取り消されたなどという前例が絶無にひとしい、こういう状態を、国民が納得するような形で期間短縮をやる、これならば私は筋が通ると思うのであります。今回のものは一歩前進だとおっしゃるのでありますが、私どもは、一歩前進と認めることはできない。
 私は、三木さんに申し上げたいのでありますが、あなたは三十八年間議会におった、議会の子だと、こうおっしゃっております。私は、実は国会にはまだ九年目でありますけれども、地方議会に初めて立候補いたしましてからちょうど二十年であります。私自身六回の選挙を戦っておりますが、私及び私の陣営からは、私の支持者の中からは選挙違反者を一切出したことがない。将来もこの記録を更新していこうという、そういう念願を持っておるのであります。あなたがどんなにクリーンだと言っても、今回このようなことで買収、供応、選挙違反、これは実際上はしり抜けなんです。このことに明快な態度をとることなしにクリーン三木などと幾ら言っても、これは国民は信用しないと思う。
#360
○三木内閣総理大臣 そうですがね、私の評価は違うんですがね。これは、判決は総括責任者として有罪の判決を受けたわけですから、それでなおかつ、いや総括責任者というものには該当しないのだという不服の申し立てというものは、そんなに長い裁判かかりませんよ。だから、こういう連座制、こういう今度の改正案によっては、必ず私は失格者も出るような結果になると思いますね、これは。むろん前の裁判が長引いてくれば別ですよ。そうでなければ、今度の場合は、その判決が該当しておるということであったのに該当者でなかったのだという、それをひっくり返すための異議の申し立てというものは、なかなか通らぬですよ。私はこれは強化だと思うのですね。連座制の強化だと思いますよ。
 やはり私自身も選挙違反というものはないのですよ。選挙がいまのような状態であるということは、非常に悪い影響を一般の者に与えることは事実ですから、国会議員の選挙というものは地方議会の選挙にも非常な影響力を持ちますね。国会議員の選挙で姿勢が正されてくれば、いろいろなことを言わなくても地方議会の選挙にも姿勢を正す結果になる、影響を与える。そういう点で悪質な選挙違反というものはなくさなければならぬことは私も人後に落ちぬですけれども、まあ現実を踏まえた改正でなければならぬので、それとしては現在の段階では連座制というものは、まあその程度の強化ということが現実を踏まえた改正であるということで、いたしたわけでございます。
#361
○阿部(昭)委員 三木さん、実はぼくら長い選挙の間に、いろいろ自民党の皆さんともいろんな議論をすることがあります。そういたしますと皆さんこうおっしゃるのです。責任者、出納責任者は飾り物を立てなければいけない、実質的な選挙運動をやらぬ者を立てなければいけない、こうおっしゃるのです。そして本当の選挙の体制をつくったり動かしたりするような者は責任者とか出納責任者とかということにしない、こうさえやっておけば候補者の身辺の当落に、当選無効やその他に及ぶようなことにはならぬのだ、こう話されておる皆さんがたくさんいらっしゃるのです。これが現行法の問題点だと私は思います。したがって、今回のこの総括責任者の認定までが、また長い長い裁判上の争いになるのです。したがって私は、今回この程度の改正で一歩前進の法律という認識では、クリーン三木の公約は問題にならない、こう考えるわけです。
#362
○三木内閣総理大臣 まあ選挙で当選してくる国会議員を失格さすんですからね、だから、ある程度その当然の裁判手続というものを経ないと、簡単に――イギリスなんか十九世紀のときには一審制度でやったようですけれども、いまはそうはいきませんからね、憲法の規定からいっても。そういうことで、まあこういう今度の連座制の強化、これでまた選挙の取り締まりももっと強化しなければいかぬわけですね、いま野放しみたいな面もありますから。そういうこととも相まって選挙の粛正を図っていくべきで、いま簡単に連座制をかけて全部失格ということには、なかなか慎重にせなければならぬ面もあるのではないかというふうに考えるのですよ。やはり将来の課題だと思います。
#363
○阿部(昭)委員 時間がございませんので、この問題だけ申しておるわけにはまいりません。
 そこで、今次のこの公選法改正案審議の中で最大の問題になっておりますることは、ビラ問題であります。先刻大変議論になりましたのは、投票日いよいよ明日と、こういう段階のときに、デマ、中傷、誹謗等のビラや宣伝が行われる。ある意味で言えば、これは違法文書であります。これに対抗して救済する道が先刻の審議の中で議論になりました。したがって、従来の無制限配布の機関紙、ビラの方式を認めておかないと、デマや中傷の違法文書によって当選することができないという状況が起こる、これは選挙の公正を害するではないか、だからそういう誹謗や中傷によって当選できないようにされるという状態を起こさせない担保のためにビラ無制限配布が必要だ、こういう議論等が先刻起こっておるのであります。
 選挙の公正を害する最たるものはむしろ買収、供応だと私は思っております。買収、供応によって当選すべからざる人が当選する。もし買収、供応という不法行為、違法行為がなかったとすればもっと公正な人が当選する可能性がある。私は、そういう面を考えますと、買収、供応、選挙違反、これに対する制裁規定が厳格でなければ選挙の公正を担保することはできないと思うのです。将来の課題だなどということでは、国民に対してクリーン三木とかなんとかいって盛んに言ってきておることと筋道が一貫しないと私は思うのです。
#364
○三木内閣総理大臣 連座制の問題についていま言ったので、これはやはり将来検討すべき課題であると申したわけです。
 いまの問題については、これはどうせ選挙用のビラの問題が御質問があろうから、私の見解を述べたいと思いますが、いまのは、たとえば、もう候補者は死んだ、あの人間は死んだというようなときに、おれは死んではいないんだというそんなことは――選挙に関してのビラなんですからね、だから、選挙に関してのビラはやはり規制していこうということで、選挙に関してないビラは何も関係ないのです。選挙用の文書は、はがきの端までも実際細かい制限をしていますが、皆が自由にやれるということになったら、選挙用の文書は、はがきが何枚、ポスターが幾らといって細かい制限をする必要はないわけですからね。自分の選挙用の文書が配布できるわけです。そういう点で選挙用の文書は規制したらどうだ。それ以外に、政党なんかのものは、政党の機関紙にしても、選挙の法定ビラにしても、自由に幾らでもまけるのですからね。
 そういうことでありますから、それを救済する、そういうデマを飛ばすようなことは、ビラをいまのようなやり方を変えようじゃないかというのですから、そういうことになれば起こらないですね。そういう違ったことを、ビラでもまいたりするというようなことを取り消さんならぬという必要は起こってこないですよね。そういうビラを規制したらどうかというわけですから。そういうものを取り消すために選挙用のビラを自由にするというわけにはいかぬのではないかという感じが私はする。
#365
○阿部(昭)委員 いま、私はそのことをお尋ねしたのじゃないのです。
 時間の関係で多くをお尋ねするわけにはまいりませんが、私たちは今度の公選法に対しては修正案を準備いたしております。したがって、この法案を実現さしてまいりますためには、私どもの修正意見を重要な点において実現しなければというふうに考えておるのであります。その中で、私たち社会党は幾つかの問題点を持っておるのでありますが、特に、いま総理が、私がお尋ねをする前に答弁されましたビラ問題であります。
 現在、機関紙のビラと称して選挙の期間中に無制限にビラが配布される、これは確かに選挙の公正を担保するという意味においてはいろいろな弊害がある、こういう認識を私たちも持っておるのであります。機関紙号外の名において他候補、他党の誹謗、中傷などもしばしば繰り返されてきた。そういう意味ではたくさんの弊害があった。しかし、選挙の活動の中においても、政党の政策なりあるいは候補者の政策なり、いろいろな考え方を国民に対して周知徹底させる方法はできるだけ多く保障されなければならないと考えておるのであります。そういう意味で私たちは、特に最近の公明選挙連盟のアンケート調査等によりますと、すでにテレビなどによって有権者が候補者の選択を判断するという率が非常に高い、したがってテレビ放映の公営を拡大すべきである、こういう修正意見もいま強く主張いたしておるところであります。
 同時に、問題のビラにつきましても、特に自民党や私たち社会党の場合になりますと、一つの選挙区に単数の候補者でない立候補者を出す、そういたしますと、政党の政策宣伝といいましても、それは三種類という限定を受けておりますから、あるいは従来のビラのような方式をとりましても、候補者個人の名前を出すことは違法であるというふうに私どもは認識をしております。そういたしますと、候補者個人と有権者との媒体にならぬ場合が多い。しかし、単数しか立候補さしておらない党の場合になりますと、党の宣伝がそのままその党の候補者全部、ビラやその他が媒体になるという関係になる。したがって候補者個人の選挙文書というものを拡大すべきである、こういう判断で、従来の政党の法定ビラ以外に、三種類の、各戸配布のできるいわば個人公報といったようなもの、これをいままでいろいろ論議をしてまいりますと、選挙管理委員会がこれをやるというのには、選管の力の限界として困難性がある。それならば、それぞれの候補者及び選挙事務所において――まさか全選挙区といっても、そう簡単には手が回らぬでしょう。しかし、特に複数立候補するわけでありますから、自分の主要なる基盤にそういう文書を配布できるような新しい道をつくることによって、一方において政党機関紙の無制限ビラ配布という今日の弊害と取ってかわる新しい道を見出そう、こういう提案をいたしておるのであります。
 これ以外にもいろいろな提案を私ども行っておるのでありますが、こういう提案に対して三木さんの方は、今回のこの審議を通じて具体化をしていく、実現をしていく、こういう前向きな考え方を持っておられるのか。たとえば衆議院の場合で言えば二十名増員、先ほど山本さんが提起をされました参議院の定数の問題もございますけれども、そういう問題の展望も含めて前進的な面を私ども評価をしながら、なおかっこの法案を今国会でまとめていくためには、われわれのそういう前向きな主張に対して、政府の方におかれても前向き、積極的な態度を私どもは要求しておるわけであります。それに対する御見解を承りたい。
#366
○三木内閣総理大臣 阿部さんのいまの御提案はまことに傾聴すべき意見だと思います。したがって、われわれとしても前向きに検討をいたしますが、どうかいろいろ審議を通じてこういうみなの意見が一致するような方向に持っていっていただきたい。われわれも十分検討いたします。
#367
○阿部(昭)委員 もう一つ、政治資金の問題であります。
 三木さんは私の記憶では、田中政権崩壊過程、それから三木政権誕生の過程、その段階までは、政治献金は個人に限るべきである、こういうことを明らかにされた。そうして今度椎名副総裁の祈るような気持ちのウルトラCの裁断によって、はからずも三木政権の誕生となった。
 そういたしますと、今度は理想としては個人献金、しかし企業献金も悪ではないと、ここでまず大幅な後退をしたわけであります。理想は個人献金だとおっしゃるのでありますが、今回のこのクリーン三木という宣伝に対して国民が期待しておるのは、三木さんがやはり田中政権崩壊過程から三木政権誕生のあのころまでに言明されておったイメージというものに、まだまだ国民は幻想を抱いておると思います、あるいは期待を持っておると思います。その以降だんだん変わったなという感じを最近国民は相当強く持ってきておる。したがって今回の政治資金規正法は残念ながら三木さんの、先ほどのお話では公約に対しては執念を持っておると言われましたけれども、その執念はどうもほとんど入れられていないというふうに私は思うのです。
 そういう意味で、一体政治資金の問題、三木政権誕生のあの前後の段階までの、それは理想だ、企業献金も悪ではないなどと言って後退をしたわけでありますが、理想の追求に対して、三木政権はいつまで続くのか私どももわかりません。先ほど先輩の御指摘のように、この国会終盤段階の総理の政治姿勢いかんによっては、わが党も共産党、公明党とともに倒閣運動に立ち上がる場合もあり得るかもしれません。そういう観点から見ますと、いまの政治資金の問題に対して一体どういうふうに――理想だなどと言いわけをしておるわけでありますが、どういう展望を持っておるのか。
#368
○三木内閣総理大臣 阿部さん、まあそういうふうに言われますが、これは厳しいものですよ。こめ段階としてこの政治資金規正法は非常にやはり厳しいものがある。これはやはり限度も設けられるし、また全部公開主義ですからね、政党の献金は。いままでは会費というような形で公開されてないのがこれを全部公開ですから画期的なことですよ、この改正は。そんなにこれはちょっとした手直しではありません、非常な画期的。
 ただ、個人献金というものについては、私も三年ぐらいでそこへ持っていったらどうか。いままでの選挙制度審議会においても五年という期限でしたかね、五年後にはそういうふうに持っていくべきだというような答申が出ておったわけですが、まあそれから日もたっておるから三年ぐらいでやるべきが理想だと考えました。しかしやはり現実はなかなかそこまでいかない。私は自民党に党議の決定を求めたわけです。五年後は党の経常費についてはやはり党費並びに個人献金によってこれを賄うことにして企業献金は辞退する。
 これは、企業献金というものが悪だとか法律違反だとか、そういうふうな問題では私はない。この問題は、やはり政党が余りにも企業の献金に甘え過ぎてはいけない。政党はやはりみずから資金などに対しても苦労してしかるべきだ。自分の主義、信条を実現したいという燃えるような者が政党をつくったのですから、政党がやはり苦労しないというわけはないわけですから、したがって五年後には政党の経常費については党費と個人献金によって、個人の寄付ですね、献金という言葉もどうか、個人の寄付によって賄うという党議の決定をいたしたわけです。
 それは三年と言っておったのが五年と延びたことは事実でございますが、私は山本さんの御質問にも答えて、私の信念、私の一つの原則というものは、東に向いておったものが西に向くというようなことではないわけです。(「原則で終わっちゃうからなんだ」と呼ぶ者あり)いえ、原則を割ったことはない。原則を割ったことはない。そういうことでございますから、どうかそういう点は御理解を願いたい。この政治資金規正法というものは大変に厳しいものである。阿部さんの評価というものはそう厳しくないようです。これは厳しいです。実際これは相当に厳しいものである。
#369
○阿部(昭)委員 そこで私は、時間の制約がありますのでこれで終わりますけれども、この法律を先ほど三木さんは、三木内閣の使命である、こう申されました。しかし、この政治資金規正法あるいは公職選挙法というものが今次国会において成立をするか否かは、私はかかって私たち野党が考えておりまする前向きな修正案に対して自民党与党が、あるいは政府が、本当に前向きに対応するかどうかということにかかっておると思います。与党の中では、この両案が今次国会で通ることができなかった場合は解散か総辞職以外にないであろう、しかし残念ながら三木内閣には伝家の宝刀の鯉口を切る力もないと思う、こういうような意見を言う人さえあります。私たちは先ほどわが党の山本先生が指摘をいたしましたように、参議院の問題も含めて、私どもはいまこの法律の最終的な段階に対していろいろな協議を進めております。したがって、野党の修正に対して政府も与党も本当に前向きに積極的に対応する、こういう態度なしには私は解決はできないと思っているのであります。そういう意味での総理の強い決意を求めて私の質問を終わりたいと思います。
#370
○三木内閣総理大臣 福田自治大臣もこれを提案したときに、いろいろ傾聴すべき意見については自民党もこれを取り入れることにやぶさかでないという答弁を最初にいたしました。その考え方は変わらないわけでございます。建設的な御意見に対しては、われわれとしても前向きに対処していきたいという考えでございます。私もこれは重大な、どうしてもやはりこれは成立さしたいという決意であることは間違いないのですが、また、各政党においても、これは前進であることは間違いないのです。だから皆さんも御協力を願いたい。私一人が力むだけでは、これは国会でございますから、そういうことですから、各党においてもどうかこの法案の成立に御協力を願いたいということを最後に申し述べまして、お答えといたします。(拍手)
#371
○小澤委員長 次回は、来る三十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後十時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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