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1947/10/22 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第25号
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1947/10/22 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第25号

#1
第001回国会 農林委員会 第25号
  付託事件
○農地調整法の改正に関する陳情(第
 一号)
○物價是正及び肥料、作業衣、ゴム底
 足袋配給に関する陳情(第十号)
○農業保險法の改正に関する陳情(第
 十三号)
○農業復興運動に関する陳情(第十四
 号)
○水利組合費賦課に関する陳情(第二
 十二号)
○食料品配給公團法案(内閣送付)
○油糧配給公團法案(内閣送付)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第四十六号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第五十一号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第五十九号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第六十一号)
○薪炭生産のあい路打開に関する陳情
 (第六十二号)
○茶業振興に関する陳情(第六十三
 号)
○農業用電力料金の引下げ及び換地処
 分経費の全額國庫助成等に関する陳
 情(六十七号)
○東北及び新潟地方の特殊事情に立脚
 せる食糧供出対策改善に関する陳情
 (第六十八号)
○農林省所管の治山治水事業の一部移
 管反対に関する陳情(第七十号)
○農地委員会の経費を全額國庫負担と
 することに関する陳情(第七十三
 号)
○林道飯田、赤石線開設に関する請願
 (第十七号)
○主食需給計画の根本的改革に関する
 陳情(第七十四号)
○養蚕協同組合法の制定に関する陳情
 (第七十六号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第七十七号)
○農業会の農業技術者給與を國庫負担
 とすることに関する陳情(第八十
 号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第八十四号)
○愛知縣豊川沿岸農業水利事業経費を
 國庫負担とすることに関する陳情
 (第八十九号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第九十一号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第九十七号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第百二号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第百五号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第百九号)
○蚕繭の増産に関する陳情(第百十五
 号)
○養蚕協同組合法の制定に関する陳情
 (第百十六号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第百十九号)
○飼料配給公團法案(内閣送付)
○農業協同組合法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○農業團体の整理等に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○函館営林局の管轄区域変更に関する
 請願(第五十四号)
○藥用入参試驗場設置に関する請願
 (第六十六号)
○米價改訂に関する陳情(第百二十八
 号)
○民有林野制度の確立に関する陳情
 (第百三十号)
○養蚕協同組合法の制定に関する陳情
 (第百三十一号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第百三十三号)
○開拓者資金融通に関する陳情(第百
 三十八号)
○米穀供出に対する報奬制度の廃止並
 びに肥料の配給に関する陳情(第百
 四十九号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第百五十号)
○遲配主食の價格に関する陳情(第百
 五十二号)
○岩手縣下の三農業用水改良事業を國
 営とすることに関する請願(第八十
 八号)
○福島縣安達郡大山村内の開墾事業を
 中止することに関する請願(第九十
 五号)
○北海道てん菜糖業の保護政策確立に
 関する請願(第百二号)
○薪炭の價格に関する陳情(第百六十
 二号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第百六十三号)
○食料品配給公團法に関する陳情(第
 百七十六号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第百八十七号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第百八十八号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第百九十二号)
○市営競馬の施行に関する陳情(第二
 百二号)
○北海道開拓事業に関する陳情(第二
 百七号)
○岩手山ろく國営開発事業に関する陳
 情(第二百九号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第二百十三号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第二百二十号)
○未墾地の開拓事業に関する陳情(第
 二百二十二号)
○群馬縣古馬牧村外三ケ村のかん漑用
 水路に関する請願(第百二十一号)
○蒜山演習地の返還並びに開拓計画変
 更に関する請願(第百三十五号)
○食糧配給確保に関する陳情(第二百
 二十六号)
○林業振興対策に関する陳情(第二百
 二十七号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第二百二十八号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第二百三十一号)
○水利組合法の改正及び水利事業費國
 庫補助に関する陳情(第二百三十二
 号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第二百三十五
 号)
○米麦需給計画の根本方針に関する陳
 情(第二百三十六号)
○農業保險法制定に関する陳情(第二
 百四十四号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第二百四十五号)
○岩手山ろく國営開発事業に関する陳
 情(第二百四十八号)
○薪炭需給調節特別会計法を改正する
 法律案(内閣送付)
○未利用地耕作臨時措置法案(内閣送
 付)
○青果物の統制撤廃に関する請願(第
 百七十六号)
○開拓対策に関する請願(第百七十七
 号)
○旧軍馬補充部十勝支部用地内山林拂
 下げに関する請願(第百八十三号)
○十勝種馬育成所用地開放に関する請
 願(第百八十五号)
○昭和二十二年度産米價格並びに供出
 に関する陳情(第二百六十二号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第二百六十七
 号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第二百六十八号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第二百七十一
 号)
○自作農創設特別措置法及び同法附属
 法規の一部を改正することに関する
 陳情(第二百八十号)
○勤労大衆の食糧危機突破対策に関す
 る陳情(第二百八十二号)
○日本競馬会に関する陳情(第二百八
 十三号)
○農村指導農場開設に関する陳情(第
 二百九十四号)
○昭和二十二年度産米價格並びに供出
 に関する陳情(第二百九十五号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 実施に関する陳情(第二百九十九
 号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第三百号)
○農地開発営團の行う農地開発事業を
 政府において引き継いだ場合の措置
 に関する法律案(内閣提出)
○臨時農業生産調整法案(内閣送付)
○重要肥料統制法等を廃止する法律案
 (内閣送付)
○小阪部川貯水池改良事業を國営とす
 ることに関する請願(第二百七号)
○旭川合同用水工事促進等に関する請
 願(第二百九号)
○農地改革促進に関する請願(第二百
 十三号)
○東京都内の食糧配給に関する陳情
 (第三百七号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第三百十三号)
○種卵及びひなの價格撤廃並びに養鶏
 用飼料増配に関する陳情(第三百八
 十号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第三百十九号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第三百二十五号)
○開拓融資金増額に関する陳情(第三
 百三十号)
○農地法による山林開墾行過是正に関
 する陳情(第三百三十二号)
○農作物の「栄養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第三百三十五
 号)
○千葉縣長生郡茂原乾繭所の設備を縣
 蚕糸業会に還元することに関する陳
 情(第三百三十七号)
○農業協同組合法案に関する陳情(第
 三百四十二号)
○三方原揚水事業に関する陳情(第三
 百四十五号)
○富士山ろく開発農業用水事業促進に
 関する陳情(第三百四十九号)
○こうじ類の一般製造に関する請願
 (第二百四十六号)
○茨城縣下北浦干拓事業促進に関する
 請願(第二百四十八号)
○茨城縣下のかん害対策助成に関する
 請願(第三百七十六号)
○大池用水幹線改良に関する請願(第
 二百九十号)
○主食配給に関する陳情(第三百六十
 号)
○農業協同組合法案に関する陳情(第
 三百七十八号)
○農地調整法並びに自作農創設特別措
 置法の改正に関する陳情(第三百八
 十号)
○奈良縣下のかん害対策に関する陳情
 (第三百八十七号)
○農業協同組合法案に関する陳情(第
 三百九十号)
○農業会の農業技術者給與國庫補助に
 関する陳情(第三百九十二号)
○農業共済保險法案中の農家負担等に
 関する陳情(第三百九十三号)
○食糧緊急対策に関する陳情(第三百
 九十九号)
○養蚕協同組合独立強化に関する陳情
 (第四百号)
○農業協同組合法案の一部を削除する
 ことに関する請願(第二百九十七
 号)
○観光都市に対する自作農創設特別措
 置法の実施延期に関する請願(第三
 百十六号)
○熱海観光地帶を農地法の適用より除
 外することに関する請願(第三百二
 十四号)
○森林治水並びに災害防止林造成事業
 拡充強化に関する請願(第三百三十
 号)
○民有林施業案編成國庫補助増額に関
 する請願(第三百三十五号)
○鹿兒島縣に國立茶業試驗場九州支場
 を設置することに関する請願(第三
 百三十六号)
○樟腦製造事業を森林組合に許可する
 ことに関する請願(第三百三十七
 号)
○農業協同組合法案に関する陳情(第
 四百十七号)
○農業協同組合法案に関する陳情(第
 四百二十四号)
○邑知潟干拓計画反対に関する陳情
 (第四百二十六号)
○福岡縣三池郡高田村地先その他の干
 拓事業を國営とすることに関する陳
 情(第四百三十六号)
○農業災害補償法案(内閣送付)
○農村指導農場開設に関する陳情(第
 四百三十八号)
○主食の均てん配給に関する陳情(第
 四百四十号)
○新発田市旧町裏練兵場拂下げに関す
 る陳情(第四百四十一号)
○食料品関係の公團制反対に関する陳
 情(第四百四十九号)
○農地開発営團の解散に伴う開発事業
 の都道府縣移管その他に関する陳情
 (第四百五十号)
○民有未墾地買収計画の樹立その他に
 関する陳情(第四百五十二号)
○農業協同組合法案に関する陳情(第
 四百五十四号)
○邑知潟干拓計画反対に関する陳情
 (第四百五十五号)
○東京都の薪炭増配に関する陳情(第
 四百六十号)
○農業協同組合法案に関する陳情(第
 四百六十八号)
○元御料林拂上げに関する陳情(第四
 百七十号)
○米價問題に関する件
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月二十二日(水曜日)
   午後三時五十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○米價問題に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) これより委員会を開会いたします。
 農林大臣から、米價問題について、発言を求められておりますので、これを許します。農林大臣。
#3
○國務大臣(平野力三君) 本日臨時閣議におきまして、米價問題の最後的決定が行われまして今日これを公表することになりましたので、参議院の農林委員会に対しまして、大体の今日までに至る米價問題に関する経過とその決定の内容を御報告いたしまして、御了解を得たい、かように思つて参つたのであります。尚その点については、総理大臣も出席せられてお話があるはずでありますが、便宜総理大臣より、私に出席をして話をするようにということでありましたので、併せて附け加えておく次第であります。米價問題が正確に閣議の議題となりましたのは、今月の七日からであります。それ以前物價應と農林省の食糧管理局との間に、いろいろ折衝を重ねておつたのでありますが、具体的に閣議の議題になつたのは十月七日であります。その理由は、今月の五日、全國の知事会議において、三千五十五万石の割当を政府が敢行いたしましたときに、その席上総理大臣よりも、米價は最も速急に、遲くも二十日ごろまでには決定するという言明がありましたので、米價問題は單に事務当局の間の折衝等を待つべきものではなく、閣議の議題とし一論議すべきものであるということを、七日の日に農林大臣から提議をいたしたのであります。このとき農林大臣が提議いたしましたのは、米價は物價應が決定をして、閣議において了承するということでは困る。閣議が決定をして、これを物價應の方において関係その他の点の折衝をして決める。こういうことでなければいけない。かように希望するという点を主張いたしまして、その希望原則は七日の閣議の決定となつたのであります。爾來この問題について、閣議におきましては、安定本部長官よりは、新聞で御承知の通り、パリテイ計算、而もこのパリテイ計算は、從來のパリテイ計算より更に高度の、極めて精密なる数字に基くところの計算でありまして、いわゆるフイツシヤー方式というものをとつて、この計算方法によるならば、物價の均衡というものは、世界的に正確であるという権威ある主張をひつさげまして、安定本部よりはこのパリテイ計算の議論が展開せられたのであります。農林省といたしましては、農民の生産費を基調として米價を決定すべきものである。又同じパリテイ計算をとるにいたしましても、農林省には農林省のとり方のパリテイ計算がありますので、我々の方は二本建で、パリテイ計算と農家生産費を基調とするものと、二本建で閣議に臨んだのであります。爾來、安定本部のパリテイによるところの計算と、農林省の主張いたしまするところの米價の間においては、相当大幅な食い違いがありますので、遂にこの点においては決定を見るに至らなかつたのであります。
 そこでこの問題は、経済閣僚墾談会に移して、もつと精密なる檢討を加うる要ありということになりまして、経済閣僚墾談会をその後引続き開催したのであります。経済閣僚墾談会において先ず議論となりましたのは、農林省側といたしましては、安定本部のとつておりますところのパリテイ計算のその品目、その内容について、我々は鋭く檢討を加えたのであります。安定本部において農林省側のとつた資料に加えられたところの檢討は、農家の労働賃金をいくらにみるかという部面については、相当辛辣なる批判がありまして、この両方の意見は、新聞によつて御承知の通り、かなりお互いに激しく論議を戰わしたのであります。而して問題と相成りました点を簡單に申上げますると、先ず農林省の主張する米價を以てすれば、千八百円の標準賃金ベースとしうものが壞れている。この点において先ず農林省案に対しては、非常に大きなる反対があつたのであります。農林省といたしましては、それはそうではあろうけれども、千八百円ベースというものを基準として、農民の生産費を割る米價を決定するということでは承認できない。あくまで農民の生産費は生産費と認めて、そうしてその上に供出制度を完遂して、遲配、欠配をなくして、食糧面から現在の経済を安定するということが、これがいわゆる國民生活安定の基本である。從つて生産費を割る米價については賛成できない。こういう議論を進めたのであります。併しその議論からいえば千八百円ベースが壞れるのではないかという二つの議論の上に立つて、遂にこの問題については結論を得なかつたのであります。
 次には、我々といたしましては、なるほどパリテイ計算によつて出ておりますところの計算は正確ではあろうがそのパリテイの線に乘つておるところの七十一品目が、公定價格で以て農村に配給せられる事実の上のパリテイ・システムというものは、大体においてこれは是認できるのであつて、若し農村に配給せらるるところの品物がマル公で入らんということであつては、パリテイ計算というものは理論であつて実際には当て嵌らないという点について、私共は相当にこの点を深く追究したのであります。
 そこで問題は、それでは現在生産の任に当つておるところの商工省が、農村の必需物資についてどれだけの物を持つておるか、これに対する檢討を加えようということになりまして、商工当局からこれに対する資料を要求して見たのであります。併しながらこの資料については、我々が見まして極めて不十分でありました。十分これを以て満足するところの数量は得られなかつたのであります。具体的に申しますならば、地下足袋が農村に対して五年目に一足より農家に配給できない、又農機具用の鉄は農林省の必要とするものが三万七千トンであるのに、僅か二千トンの配給よりない。かような状況であつては、農村の再生産を確保する資料はないのであるから、單にパリテイという計算の上については我々は是認できないという主張を以て立つたのであります。併しながらかようにいわゆる議論をいたしておつたのでありまするが、先刻も申上げましように、若し農林省主張の米價を決めるならば千八百円ベースは壞れる、併し千八百円の基準というものは内閣総理大臣はじめ現内閣のとつておりますところの基本的なる政策でありましてこれを如何ともすることができないということになりまして、遂に安定本部長官と農林省との間には、この米價問題に関するところの一致と結論を見るに至らず。ついに日にちは段々と遷延いたしましたので、閣議におきまして、かような重大問題は結局総理大臣一任の形において決定すべきであるという形に相成りまして、実は最後に総理大臣一任となつたのであります。総理大臣といたしましては、関係閣僚の意見を微せられることは固より、あらゆる関係方面の意見も十分に考慮をせられまして、遂に本日の午前十一時半に至つて結論を下されました。その内容は米價は千七百円、俵代は五十円、農村の供出奬励金として五十円、この供出奬励金は百%の供出を完遂した者に対して、その供出の全額を拂う、いい換えますると、十石供出いたします人は、十石供出いたしましたときに、十石分でいわゆる一石五十円の金を貰う、こういう判定が今日十一時に下されたのであります。これについて私といたしまして申上げたいと思いますことは、米價問題は常に非常に深刻な問題でありましてこれが決定については毎年多大の苦心をいたすのでありまするが、農林当局といたしましては種々述べることは述べ、主張することは大いに主張したのでありますが、遂に本日かようなる米價決定の断案が下されました以上、又これについて総理大臣に一任いたしました以上、更にこれを云々するということは、現在の食糧問題その他経済上の諸般の問題から見ましてこれは適当ではない、かように考えまして、この與えられましたるところの米價によつて飽くまで我々は供出運動に邁進するということに大体決意をいたしました次第でありますので、この点何卒ひとつ御了承を願いたいと思うのであります。
 最後に御了解を得たいと思いますることは、かような経緯によりまして大体決定いたしました米價でありますが固より農村側の主張といたしましては相当に深刻なる議論も多々あつたのでありますので、我々は三千五十五万石の供出を完遂するには、尚十分愼重なる檢討を加うる必要がありということを考えまして、本日米價が閣議で決定をいたしました直後、農林省といたしましては、これから申上げまするところの項目について閣議の御了承を得たのであります。
 その第一点は都道府縣に対し供出督励のために要するところの経費及び報奬物資の配給確保のための機構整備に関する経費を助成する、こういうことについて大体了承を得ました。その金額の内容は供出督励のために必要といたしまするところの経費六千万円、これはどういうように使うのかと申しますると、單に現在供出割当を行つて、市町村食糧調整委員の諸君が活動しているという程度であつては十分でないので、新たに供出督励のためにこの費用を使つて、各農村においていろいろな運動を試みる、こういう費用であります。
 第二は報奬物資配給確保のための経費、これは一府縣の割当一万円、一町村の割当二千円、合計いたしまして二千四十七万円でありまするが、これはどういうように我々は考えたかと申しますると、政府が配給いたしました報奬物資が農村には届いておらない。多くは農村側においては、政府が出したといつても來ておらん。こういう非難がありますので、この経費を使つて果して報奬物資がそこの農家に届いているかどうかということをはつきり見極めまして、届いておらないという報告を受けましたときには、それに対するところの最も急速なる手配を試みる。こういう意味におきまして、ここに二千万円の費用を計上いたしたのでありまして、この点御了承願いたいと思うのであります。
 次には農村に還元すべき空俵は政府において輸送すること、農村に対して我々が還元するところの空俵の運賃というものは政府負担、この費用といたしまして二千万円、こういうものを計上いたしたのであります。ここで一曽御説明申上げたいと思うことは、農村から供出いたします場合におけるところの俵は一俵五十円、こういうことになります。還元いたしまする場合におきましては、政府が運賃を全部見込みまして、政府負担であつて、農村の方は十円六十銭で俵を受取る。一俵の俵において農村は新らしい俵を出して古俵を受取りまするならば、そこに四十円の差額を得る。こういう処置を講じたのであります。このことは金額といたしましては、非常に沢山ではないようでありますけれども、農村の実情から申しますると、空俵を還元しろという運動が非常に農村には深刻にあるのでありまして、今囘の供出に当りまして、我々が閣議決定の下に空俵輸送というものを政府の責任において行うということを決定いたしましたることは、これは米價は相当御不満であろうけれども、この制度の上においては相当容認せらるべきものではなかろうかと考えておるのであります。
 尚、最後に本日の閣議におきまして、農林省は商工省に対して紺織物四百万反、これを農村に対して配給するところの計画を立てて、これを明かに農林省に対して返事をせられたい。四百万反というのは、大体供出農家が約四百万戸ありますので、一戸一反という平均であります。現在農村において最も困つておるのは木綿でありまして、これを一反づつ、この米價決定に当つて日本政府が農村に負うということは、米價は安く決まつておるといたしましても、この裏付物資において補償いたしますということは、これは非常に供出制度においてよいことでありますので、私共といたしましては、先刻申上げた通りに、このパリテイ計算というものを実行して米價を決めた限り、そのパリテイの上に載つたところの必需品目というものは、必ず農村に間に合せる、今後農林省といたしましては、米價がかように決定いたしました以上は、農村の必需物資については、飽くまで商工省、物価應及び安本に対して交渉いたしまして、この品目だけは飽くまで取る。ここに米價の比較的安い決定ではありますけれども、我々はこの面において農村の要求を満足して行こう。かように考えておりまして、本日私は紺織物四百万反というものを要求をいたしたのであります。尚、私共といたしましては、例えば地下足袋一千万足増産計画、こういうものを商工省が立てまして、眞に農村の必要といたしまする物資を公定で農村に配給する。これをやるかやらないかということがこのパリテイというものを理論と実際を合せるかどうかという岐路であるという点について、極めて深刻なる考え方を持つておりますので、我々は今後は從來のように報奬物資を漫然と考えるのではなくして、農村必需物資の獲得については、全努力、全誠意を以て行きたい、かように考えております。こういう点を御了承を願いたいのであります。
 尚私といたしましては、今囘の米價決定に当りましていろいろ努力をいたしましたが、農村の皆さんに対しては未だ十分な御満足を得るにいたらなかつたということは、誠に遺憾に思いまするが、しかし決定いたしました以上はこの米價の線に沿つて、飽くまで現下の食糧問題打開のために勇往邁進しなければならない責任があります。この点、米價決定の経緯は勿論農村に対してラヂオ、新聞等で報道いたしますことは固よりでありまするが、進んで供出運動に、私も近く全國に出掛けることになつておりまして、この米價の線に沿つて、飽くまで供出完遂を願う、こういうように全力を捧げておる次第でありますので、どうか参議院の農林委員会の皆さま方におかれましても、この決定の途上に色々御不満の点も多多あろうと思いますが、何とぞ今日にいたるまでの経緯について十分御了承願いまして、今後の供出運動について満腔の御援助といわゆる御協力を願いたいということをお願いしまして、簡單でありまするが、米價の大体の決定の経緯と決定の結果について、この際御報告をして御了承願う次第であります。以上。
#4
○委員長(楠見義男君) 後程簡單に質疑して頂きたいと思いますから、その前に物價應から、このパリテイ計算のやり方について簡單に御説明を伺うことにいたしたいと思います。
#5
○政府委員(大原總一郎君) この度の米價決定につきましては、最後に総理の断案で決定いたしたわけでありますが、その総理の断案の第一は、米價パリテイ計算による方式で決定するということがございますので、パリテイ計算の基礎デイターを作り上げ又その計算をいたしました物價應といたしまして、一言御説明をいたします。米價の算定の方法には種々のものがありまして例えば生産費計算ということも考え得ることでありますが、生産費の計算につきましては、例えば自家労賃のような非常に取り方の困難なものがございます。又これはいろいろな見地からまちもちの結論が提出されます。又物價應で計算しましたところによりますれば千五百円ぐらいの計算も出て來るようなことになるのでありまして、この計算方法によることは必ずしも妥当でない。むしろパリテイ方式によるべきであるという結論を得まして、この方式を採用したわけであります。パリテイ方式と申しますのは、要するに基準年次と今年次の農家の製品とその購入物資の價格が均衡を得たような米價に決めるということでありまして、この決定の方法は米價の決定の結果が、國民生活、生計費の中にも非常に大きな影響を持ち、又それが賃金として他の工業生産の方に轉嫁されれが更に次の價格変更の原因にもなり、そういうふうな循環を繰返しておれば、又物價の惡循環を招來させる虞れがありますので、一定の方針として飽くまでこの度の経済緊急対策に盛られたインフレ防止の基本計画によりまして、賃金物價の惡循環を絶ち切つて、飽くまで実質的な流通秩序の確立によつて経済の基本的の建直しをやろうという線に沿つて、ものを考える時に、消費者の立場と工業生産の立場、農業生産の立場を最も均衡した状態において再現する價格は結局パリテイ計算によるより外はない。パリテイ計算の結果は取りも直さず消費者、生産者、他の産業部門との均衡を得たものであるという立場からパリテイ計算を採用いたした次第であります。尚このパリテイ計算につきましては基準年次の價格と今年次の價格との比較によつてものを決するのでありますが、基準年次の價格につきましては昭和九年から十一年までの平均を取り、今年次、今年次と申しましても昭和二十一年度でありますが、その両方の年度につきまして、昭和二十一年度は農業家計調査によりまして、品目も從來六十四品目を取つておりましたのを七十一の品目を選ぶことに改めました。又最近の價格は新物價体系による新物價の最近の價格を織込んで計算することといたした次第でありまして、その結果は基準年次の米價は二十七円十六銭でありまして、その倍率は六十二倍五五になりましたので、これを基準年次の價格に掛けまして千六百九十八円八十五銭という結論を得ましたので、これを千七百円に切り上げまして米價一石あたり價格と算定した次第であります。尚かねての御要望によりまして俵を別に計算することといたしました。この俵代はお手許に差上げました表で御覧頂きます通りに、複式三本編俵一俵十七円四十銭、叺三十三円三十銭、單俵十三円ということに決定いたした次第であります。
 尚甘藷につきましては米との比率を重んじまして新らしい米價との均衡の取れた甘藷の價格を算定するという方針によりまして、最近数ケ年間の米と甘藷との比率を計算いたしまして、米一石の値段と甘藷十貫目の値段との比率は百と五・五になりますので、つまり五%五分になりますので、俵こみの新米價一千七百五十円に百分の五・五を掛けまして端数を四捨五入いたしまして九十六円という数字を得たわけであります、これを以ちまして甘藷一等品の生産者價格十貫目の價格といたしました。裸賣の場合は、これは包裝が入つておりませんので、裸賣の場合は八円五十銭を差引することにいたした次第であります。
 尚パリテイ計算の最終の指数算定表をお手許に配付いたしておりますが、これにつきまして少しく御説明を申上げたいと思います。農家購入品の價格と農産物價格とのパリテイを目途として農家購入品の價格の基準年度即ち昭和九年から十一年までの基準年度に対する騰貴率を加重平均した数字を以て農産物價格の基準年度に対するパリテイ指数とするということが原則であります。これを少しく御説明申上げますが、結局このパリテイ指数と申しまするのは六二・五五になつて、先程の計算の基礎になつたわけであります。基準年度の取り方は從前の通りに昭和九年から昭和十一年までの二ケ年といたした次第でありますが、これは昭和八年頃までは恐慌の余波が尚相当認められておりますのと、それから昭和十二年には北支に事変が起りましたので、比較的安定しておると目せられるこの三年間を基準年次として採用いたしたわけであります。そうして秤量年度といたしましては基準年度及び昭和二十一年度を採つたのでありますが、昭和二十一年度は、最近極めて最も新らしい資料をとり得る最新の年度であるために、昭和二十一年度を採つた次第であります。その両年度につきまして代表品目を挙げまして各項目を作り、その項目の中に品目を挙げて、それのウエイトを決定したわけでありますが、そのウエイトの決定の方針は、項目及び品目につきましては、どういう品目をとり、どういう項目をとるかということにつきましては、農林省の農業経済調査に準拠いたしまして農家の実際の購入品の價格の変動を適正に反映するように分類した、語り代表的な品目をとつておけば、その間の値上り値下りの基準に最も適当であるというふうな品目を選んだという意味でありまして、その方針で選んだ品目が別表に載つているわけであります。この項目につきましては、例えば小作料のごときものにつきましては、当時の小作料と今日の小作料とは、その社会的経済的な維持が非常に変つておりますので、それを倍率の基準に決めるということは不適当であろうと思いましたので、その種類のものは除去いたしております。そうしてウエイトの付け方は、実際に農業経済調査に基きまして集計いたしたものを、例えば肥料、農機具とか、光熱費というような分類に分けまして、事実上のウエイトを出しているのであります。そうして、項目の次の各品目につきましては、その項目を代表するような品目を選んで、代表品目として挙げたわけでありまして、この項目のウエイトをこういうふうな品目によつて代表させようという意味であります。農家の主要消費物資がここに挙げられたものだけであるという意味ではなく、ここに挙げられたものがその代表的な品目であるという意味であります。從つて、先程農林大臣からお話のありましたこの七十一品目は是非とも確保しなければならんというお話がございましたが、確保しなければならんのはここに揚げていない品目も確保しなければならないのであります。この品目だけ確保すればいいというわけではありません。これは、單にそのウエイトを代表させる品目としてここに挙げたものであります。私共物價應といたしまして、そのあらゆる品目が適正に配給されなければならないということにつきましては、農林大臣の御意見と全く同一の考えでありますその品目の價格指数は、現行の公定價格、尚最近近い將來に必ず上るというものは、予想價格によつておりますがそういう公定價格によつてこのウエイトに加算いたしまして、これを両年度の比較の基礎としたわけであります。公定價格によつて算定するということは、かねて物價体系を作る時に一貫して定められている閣議決定の方針に從つたものであります。こういうふうにして両年度のウエイトをその当時のそれぞれの時期の價格によつて價格指数を出しまして、この両年度のすべての價格の指数の総合計を、單に算術平均するのではなくて、幾何平均をすることによつて、即ちこの場合に、フイツシヤーの理想算式という算式の方法を用いまして、最後の指数を出したわけであります。その最後の指数が六二倍五五になつたということを意味するのであります。項目、品目の選定ということにはできる限り公正を期する意味で両極端のものは排除いたして、これを以てほぼ間違いない両年度の比較をなし得る資料を作り得たと思つております。更に両年度の平均をとる時にフイツシヤーの理想算式によるということは今日人智の到達している最も理想的の算定方法であるという既存の事実に則つて、これを算定いたした次第であります。從いましてこの物價應で算定いたしましたパリテイ計算の結論はすべてのものに対して均衡を得ていると既存の新物價、他の新物價に対する総てのものと均衡を得ているはずであるのであります。私共農村の供出その他の点につきまして可能なる限界の價格決定の算定方法によつたものであると考えて物價應案といたしましたわけであります。これにつきまして最後に総理からボーナスが附加されまして、政治的な裁量決定に移つたわけであります。物價應の計算の基礎につきまして簡單ながら御説明申上げまして御了解を得たいと思うのであります。
#6
○委員長(楠見義男君) これから簡單に質疑をいたしたいと思いますが、岩木さん。
#7
○岩木哲夫君 この際お尋ねいたしたいことは元來この米價を決定するまでの経緯につきましては縷々承りますし御当局の御苦心のほどもお察し申上げるわけでありますが、農林当局が初めこの米價は何んぼを主張されておつたのか、安本当局は何んぼを主張されておりましたか、その両主張点の價格を承ることが第一。第二は政府はこれで再生産増強と申しますか、経済は農村といたしまして可能か、成立つて行くという御見解を有されているかどうか。並びにこれで供出完納が十分遂げられるという自信があられるかどうかということを承りたいというのが第二。第三はパリテイ計算の諸種の方式或いはそれらのウエイトのつけ方、基礎等につきましての縷々説明を承りますが、どうも我々におきましてはこれは余りにも先程農林大臣の御所信の如く、同樣の見解を以ちまして極めて実質上疑問を有しているのであります。通貨の膨脹面等又理外の理の作用する面等も含まれていることにつきましては説明を承らないのであります。これにつきまして我々どうしても疑問を持つ。又將來米價というものがこうした方式で決められるということを今御当局から承りましたが、これはなかなか由々しい問題であります。農村経済、生産増強の上におきまして重大なる方途を投げたものとして、我々は大いに研究しなければならんと思いますが、飽くまで政府はこの方式を以て將來の米價を決めて行く御所信であるかどうか、これを承りたい。それから更にパリテイ計算の諸種のことにつきまして承りましたが、ウエイトの幾何的平均の盛り方につきまして、今年度の米を作つたいわゆる原價計算、諸種の経費明年度再生産する場合の物價に対するこうした比率、通貨の膨脹、物價の騰貴率等の事情からそこに相当の疑問が起るのでありますが、これについて物價應当局の御意見を承りたい。それから第五番は閣議で決定されまして、いろいろの報奨金、助成金、或いは資材等が府縣町村單位に御計画をされておりますが、從來これがお説の通りに実際農家の方の手に渡つておらない、いろいろな方面にこれが惡用利用されることがありまして、実際に農家に霑つておらないのでありますが、本年度は特にこれに対する監査につきまして御注意を願いたいと思うのでありますがこの閣議決定の資材或いは報奬物資、助成金等が、現在の大凡千八百円の米價にどれ程更に附け加かられるという一石当りの計算になりまするかどうかについても、政府の御計算を承りたいそれからもう一つ承りたいことは、小賣價格は、從來は二重價格制度でありましたが、今後も二重價格制度によるのか、どうするのかいづれの場合におきましても、すべて米價はパリテイ計算によるということをいわれましたが小賣價格の場合におきましてもこのパリテイ計算を、二重價格と否とに拘らず採られるのかどうか、この場合に千八百円ベースというものの基礎というものにつきまして、動搖を來たさないのかどうか、これらの点に関しまして承りたいのであります。
 もう一つ最後に、供出完了後の米や芋に対しまして、先に政府は特別の物資或は報奬金制度によつて、供出完了後の米麥、芋類に対しまして、特別の集荷をする意図を発表されておりますが、これらに対しまする具体的な点を承りたい。以上お尋ねいたしたいと思ひます。
#8
○國務大臣(平野力三君) 第一の安定本部がいくらの金額をいい、農林省がいくらをいうたというこの金額を、この際ここで申上ぐるということが、実際の食糧政策の上に、よいか惡いかという判断を考えまして、これは一つ留保させて頂きたい。いずれこの経過等については、詳しくあらゆる機会において申上ぐる機会は無論あろうと思いますが、今日この際は、お互いにいくらいくらというて結局こうなつたという経過の発表を避けまして、結局総理大臣がかような裁定をしたので、これを了解したいという形に御諒解を願いたい。次に供出がこれでできるかどうかこれは固より私どもも非常にこの点を憂慮をいたしまして、長い間米價論をいたしたのでありますが、私どもといたしましては、かようになつた以上はその線に副つてあくまで供出を完遂するためにはどうするかということをこれからの重要課題として努力をする。こういう方針であります。從つて先般申上げました空俵還元の問題も、報奬物資配給等に関してそれぞれの経費を見たことも府縣町村等について一万円或は二千円等の金を支給するということを考えたのもすべてこの米價の上において供出をするにはこういう努力を拂わなければならんかように考えておるのでありまして固より供出は容易の業ではないと考えておるのであります全努力を傾倒するという覚悟を持つておるということを、この際申上げておきたいと思います。それから閣議で本日決定して、これから尚いろいろボーナスその他報奬物資等が計算をされて実際の米價はどうなるかという御質問でありまするが、取り敢えず本日のいわゆる米價決定といたしましては、千七百円に俵代が五十円、供出報奬金が五十円、農家の手取りは千八百円、こういうことに一應お考えを願つておきたい。尚その他報奬物資等の問題について今後供出を促進する等のことについては、これは今後の問題に属するのでありまして、今日は米價といたしまして先般報告した通りになつた、かように御解決を願いたい。それから最も重大なることは今後パリテイ方式をとるかどうかという問題でありますが、現内閣といたしましては、先刻物價應から説明があつた通りに、総理大臣がパリテイをとる、こういつた以上、飽くまでパリテイ計算をとる、かように御解決を願いたい。そこで農林省といたしましては、パリテイ計算をとる限りは、その裏付となる物資を公定で農村へ配給するという事実の上に、パリテイというものが生きて來るんだ、これはもうしばしば我々経済閣僚墾談会においても、閣議においても強調し、米價決定の最後まで、この点は特に商工大臣等にも念を押しておることでありまするから、この米價で供出を推進する限り農村の必需物資は飽くまでこれはもう政府のあらん限りの力を盡して努力をする。この面においてパリテイというものを活かして行きたい。こういうふうに御解釈を願うことが妥当ではなかろうかと思います。それから小賣の價格は本日は決定をいたさなかつたのであります。特に決定をいたさなかつた。從つて今後のお考え方といたしましては、大体生産者價格はすべて消費者負担こういうふうになつて行くものを御解釈を願うことがよかろうと思います。その場合、然らば千八百円ベースという問題は当然起りまするが併しそれでも千八百円のベースは擁護できるであろう、こういう見地の上に、現在一應閣議は決定をいたしておるのであります。尚供出対策といたしましては、我々といたしまして、今後あらゆる皆さんの御協力も十分得なければなりませんが、大いに苦心をいたしまして、今日日本の食糧問題の重要性に鑑みて、最善を盡したい、こういうことを本日は申上ぐることによつて御了承願いたい。その他の点は物價應の方から御答弁願いたいと思います。
#9
○政府委員(大原總一郎君) 大体農林大臣の御答弁ですべて盡しておると思いますが、物價應の立場からこれで供出ができるかという問題に関しまして現在の價格ですでに千八百円基準の問題につきましては、ぎりぎりのところまで來ておると考えます。これに多くの報奬金を附加いたしまして、仮りに現在一見供出の意欲をそそるような價格をつけたといたしましても、その價格は新物價体系を全部破壞するような價格であつたならば、賃金は上り同時にマル公も全部上つてしまいますので、その時に予定されておつたような價格では、再び農村の需要に返つて行かない農村で今度物を買おうとする時に、非常に高い價格で買わなければならないようなことになつて、更に米價を又上げなければならない、そういうふうな惡循環の源になると思いますので、そういう新物價体系堅持の限界点も考えて、それは決して農村の犠牲のみではなく、廻り廻つてはやはり農村に取つても決して原則的に不利益な基本方針ではないと考えておるものであります。その外の点につきましては、農林大臣から御答弁がありました通りですが、大体今後も物價應といたしましてはパリテイの基礎によつて計算をいたしたいと思つておりますということとそれから今後の物價の変動につきましては、できるだけ物價の変動は、物價の改訂に立ち至らないように、流通秩序の確立、その他の面に向つて全力を挙げて行くべきだという氣持を物價應としては持つております。その他の点につきましては、農林大臣の御答弁ですべて御説明があつたと存じますので……。
#10
○門田定藏君 簡單に農林大臣にお伺いしたいと思います。本年の供出につきまして、数日間に亘つて努力されたことにつきまして敬意を表しまするが九月の予想よりか現在我々土地を調べて見た結果、本年は昨年より一割以上の減收と確かに見ております。そこで供出の増加と、この一割を加えると、約三割以上の昨年より減收になるだろうと思います。供出の殖えたのと一緒にしますれば、三割以上の増加になると思います。非常にこの供出は至難な問題であると思います。そこで昨年は藷の代替が認められておつたのです。今年は甘藷を米の代替とすることを認めんということでありますが、これは是非本年の供出にありましては、甘藷を米の代替に認めて貰わんことには到底農家は完全な供出はむつかしいのではないか、こう考えております。これについて大臣のお考はどうでありますか。
 尚物價應の方にお尋ねしたいと思いますが、六十何倍ということでありますが、我々の農業必需物資は七十倍や百倍じやない。現に実例を挙げて申しますと、昭和十年頃五円であつた農機具押切りが今六百円、一円六十銭くらいしておつた鍬が百五十円、三十銭の鎌が百円もしておる、五円五十銭の鋤が今は六百円もしておる、こういう状態で、農村の必需物資その他は推して知るべしであります。六十倍や、七十倍じやない、百倍どころじやない、どんどん上りおる。今後この農村必需物資は尚昂騰するのじやないかと考えております。米價は、今のパリテイ計算でこれより仕方がない、こういうことであるならば、我々は國民の糧食供出をするということについては、この米價を是非上げねばならんということは申しませんけれども、この日々昂騰するところの物價を何とか我々の米の價格と均衡の取れる方法をとつて貰わねば今後の農業の経済は立ち行かないと思うのであります。そこで今後の物價の均衡に対する、こうして昂騰するところの物價に対する物價應の方針はどういう方針をとつておられますか、これについての御意見を承りたいと存じます。
#11
○國務大臣(平野力三君) 本年の割当が非常に過重になつておるところが特にあるという点は、私どもよく認めております。從つて原則といたしましては、甘藷の代替を成るべく認めないようにという方針をとつたのでありますが、無論甘藷の代替は認めるということに方針を定めております。
#12
○政府委員(大原總一郎君) 基準年度の倍率の比較の問題でありますが、六十二倍と申しますのは、全体の加重平均の結果でありまして、個々の物につきましては低いもの、高いもの種々雜多であると存じます。特に小作料金の如きものはパリテイ計算から除いておることは、先程申した通りであります。低いものとしては、電力料の如き倍率の非常に低いものもこの中に入つております。併しながら農機具等の問題は、非常に重要な問題でありますので、私どもの立場、物價廳の立場といたしましては、現在の比率、現在の闇價格をそのまま認めて高い價格をつけるということが決して経済を囘復せしめる途ではない、飽くまで正しい製品を、正しい價格で、正しく配給することに全力を挙げることによつてのみ日本の経済は囘復するものであると考えまして、先ずその方面に政府は重点を置くべきであるということは、物價廳は農林省と共に強くその線に副うべきことを主張して、その成功を期待してこの價格決定の基礎をマル公によつたものであります。
#13
○太田敏兄君 この米價の決定の基礎は、農家の必要といたします生産資材乃至生活用品がマル公で手に入るということが前提になつておると思いますが、果してそれが可能であるかどうかということにつきまして、私は一抹の不安を感ぜざるを得ないのであります。勿論肥料なりその他の僅少の生産資材はマル公で入ると思いますが、生活必需品の多くは、現に街に出まして、その店頭を見ましても、平氣で闇の價格を唱えておるのであります。又事実におきまして、例えば牛肉について申しましても、マル公が十五円がいくらかあるのでありますが、併しこれは恐らく都会におきましても農村におきましてもマル公で購入したというようなためしはないと思うのであります。そういうようなわけで、多くの生活必需品は平氣で街で、店頭で闇値が、而も堂々と札を立つて賣つておるのであります。こういうようなものが絶対に廃止されなり限り、このパリテイ計算の基礎というものも怪しいものになると思うのであります。これにつきまして、今後この米價を決定されましたこの機会に、政府におきましては、こういつた生活必需品に対する闇賣を絶対に禁止、廃止せられるところの御確信がありや否や。
 それから第二点は、只今御発表になりました米價が確定的であるとしますならば、この米價は向う一年間は変らないのであります。ところで問題は、この價格が一應他物價との均衡が取れておると仮定いたしましたときに、今後向う一年間に、他の諸物價が上るような場合があつたときには、直ちに均衡を失するのであります。これにつきまして、私は先程農林大臣の熱意ある御説明によりまして、農林大臣の御意思のあるところはよく了承いたしましたけれども、事実におきまして、果して他物價との均衡が途中において均衡を失するようなことがありはしないかどうかということを憂うるのであります。二毛作の地帶におきましては、米の外に麦なり藷なりを穫りますから、若干緩和する方法もあるのでありますが、併し一毛作の地帶におきましては、年一囘穫れるところの米の收入において生活し、且つ次の再生産を行うのであります。この場合に途中で他の物價が値上りする。マル公が改訂になるというような場合がありますと、只今申すように、直ちに均衡を失する。この場合どうするということであります。私この委員会におきまして、前にこのことを質問いたしましたら、御出席の政府委員から、若しそういうような場合には、途中で訂正するというようなことを御答弁になつたのでありますが、農相もやはり同じ意見でありますかどうか。若し訂正するとするならば、その差額の金はどこから出すかという問題であります。すでに配給を終つた消費者から、これを取られるということも不可能でありましようし、ましてその差額の金を政府の負担に帰するというようなことでありますれば、その際にはどうすべきかというような問題が起つて來ると思うのであります。これにつきまして農林大臣並びに物價廳の方のはつきりした御答弁をお願いいたします。
#14
○國務大臣(平野力三君) 御尤もな御質問でありまして、私もこの点については、特によく念を押して置いたのであります。第一点の農村の必需物資が農家が闇で買つておる限りは、この米價に対しては、どうしても了承できぬこういうようになろうと思います。具体的に申すならば、実際一万トンの鉄を使つておつて、二千トンの政府配給であれば、あと八千トンの鉄というものは、農家が闇で買つておる。この部分が米價に換算されなければ、こういうパリテイ・システムに合はないということはこれは当然であります。そこで私共といたしましては我々がパリテイ方式を取つた場合は、農村の必需物資は飽くまで公定で行く。この面で全努力を拂つて行かなければならんということであれば、結局私からいえばこういう計算方法の現実性も乏しいということにならざるを得ない、飽くまでも政府としましてはパリテイ方式をとる場合には公定値段で配給することに全努力を拂う、今日はさように申し上げて置きたいと思います。
 それから他物價との関係でありますが、私は安定本部長官から、この米價を決定した基礎資料となつておるところの品目の値段は上げない、この年度内には上げない、こういう言明を得ております。この際そういう言明を得ておりますので、上つたらどうするかという裏のことを今考えて議論をするということになると非常に複雜になりますから、上つたときは又考える。逆のことをいうならば、他の物價が上れば米價も変動せざるを得ない。そういうことになれば甚だ議論が複雜になるので一應物資は上つて行かない、こういうことを原則として考えて行きたい、かように考えておるのであります。
#15
○政府委員(大原總一郎君) 農家の必需物資がマル公で適正配給されるということに努力すべしということに努力すべしという点につきましては、農林大臣と物價廳とは全然同じでありますことは先程申し上げた通りでありますが、併しこのパリテイ計算による農産物の算定の結果は、ウエイトの取り方、項目の取り方によつて甚だしく不利なものは除去してあるというような点、その他の理由からマル公で計算する場合におきましての原價計算よりは相当開きがあると思います。若しもマル公のみで米價を算定いたしますればこの千七百円よりも相当下廻つた結果が出て來ると思います。從つてこのパリテイ計算による價格はマル公で計算してはありますけれども、原價計算のみによつてやつたものよりはマル公に関する限りは余裕があるものとなつておるのが、結果であります。それから一つの物價が変つても米價が変るという点につきましては、勿論その原則はその通りでありますが、それではこの中の一つの値がほんの僅かばかり変つたからといつて僅かばかりの米價をその都度変えるというような煩瑣なことは事実上できないと思いますが、これを若し全物價に対して重大な変更があるときには考えざるを得ないということであろうと思います。
#16
○西山龜七君 米以外の農作物は現在におきましては、マル公はあつてないかのような実情でありますが、米價をかように引き離しまして、尚米以外の蔬菜或いは果実がこういうようなものに対しまして現在の実情が続きますと結局米の減産になる、かように考えざるを得ないのでありますが、この点につきましては、いかなる方法を以ちまして政府の要する米を將來獲得して行くかということに対して御方針を承りたいと思います。
#17
○國務大臣(平野力三君) 米以外の農作物については、私の考え方は大体米價を基準としてこれに整頓するということでよかろうと、かように考えております。
#18
○北村一男君 米價の決定につきましては、私の読んだ新聞に誤りがなければ、総理大臣は國会の意思を尊重するということを御発表になつたように記憶いたしております。こういう國を挙げての大問題について、唯政府でパリテイ計算というようないろいろまだ論議のあるものを基礎にして御計算になるよりも、國会の意思を今後尊重される意向ありやなしかこの点について、承りたいと存じます。尚パリテイ計算につきましては、私は本委員会におきまして再三基準年度の取り方が当を得ておらんということの質問をいたしたのでありますが、この際重ねてお伺いして置きたいと存じます。それはこの基準年度でありまする昭和九年から十一年は、満洲事変が相当進行いたしまして物價が、必需物資が相当上つている。それを今日のマル公に比較しますのでございますから、倍率が比較的少くなる。それから米は一方におきまして昭和九年には最低米價を設定せざるを得ないという……これは同僚木下君から言われましたが、余り農家に取つては利益でないとしてある。そういうので最低米價を決めんければならんというのでありますから、それを最低米價を決めなければまだ滑り落ちるというような時でございますので、米の値は私は不当に安い年ではなかつたか。安い米と倍率の低いものを掛け合せますれば、これは必然的に安くならざるを得ない。それから昭和九年から十一年に朝鮮、台湾から相当米が入つて來た。それから國外に相当の人が出ておつた。ところがそれが今日では逆になりまして、米は入つて來ない人は帰つて來た。こういうような事実は、儼然たる事実でございまするけれども、パリテイ計算には私は現われんと思います。そういうものを御考慮になつておるかどうか。それからこれは農林大臣も物價廳当局も再三仰しやいましたがパリテイ計算に基くのを正しいとすれば裏付け物資が確保されなければならんと言われましたが、パリテイ計算をするに当つて、当時の自由物價と今日のマル公とを比較することは妥当であるかどうか。こういう点について物價廳当局の御所見を承りたいと存じます。私はこれは妥当でないと考える者であります。それから先般私が政府委員に、農林省で一應御決定になつておる本年度の米の生産費について質問いたしましたら、直ぐお示し下さるということでございましたが、これは岩木委員からお尋ね申し上げた農林大臣と安本長官の値段の点に触れない。農林省の御覽になつておる生産費でございまするから、この席上においてあらましのところを御発表願いたいと存じます。
#19
○國務大臣(平野力三君) 総理大臣が國会の意見を尊重して米價を決めるというような趣旨はお述べになつたことがあろうかと思います。併し私は本日総理大臣のこのことについて、私が総理大臣を代表して、総理から米價決定に当つてどういうような方法をとり、どういう手段をおとりになつたかということは私から申し上ぐべき筋合ではないのでありまして、その点は一つ適当な機会に総理大臣からお話のあることであろうと考えます。ただ私は先般申し上げたように、本日は今までの米價決定にいたるまでの経緯について私は報告するということで、御了承願いたいと思います。それから最後にお尋ねになりました農林省の今度の米價決定に当つて提出をいたしました種々なる資料については、私は適当の機会に一つ皆さんに御覽を願いたいと思つております。ただ先般も申し上げました通りに、今日米價を決定いたしましたこの席上で、我々がいくら主張して、これはこうであつたかということはここで申上げること自体の影響ということを考えまして、この席上では一つ遠慮することを御了承願いたい。尚農林省ばかりでなく農業團体のあらゆる方面から米價はいくらが正当であるかという生産費調査の資料は、我々の手許に十分ありますので、これは委員長の方へお届けいたしておきまして、委員各位に御覽を願うことに御了解を願います。
#20
○政府委員(大原總一郎君) 最初の総理の御裁断の点につきましては物價廳の見解は、千七百円であつたということを申上げるに止めたいと思うのであります。
 それから基準年次のとり方についての御質疑でありますが、大体農村経済にとつて有利であるかどうかということが、パリテイ計算の中に現われて來る場合には、他の生産と、工業生産その他のものと比較してどうであるかということが現われて來るわれであります。何となればこの倍率で決めるわけでありますから、比較的農村に有利な時期をとつた方が農村には有利であるという結果になるわけであります。この点につきまして農林省の米價指数、つまり一般の物價指数と米價との比率を見まして、これを米價率といつておりますが、明治三十三年以來の米價率の変遷の統計がございますが、明治三十三年の一般物價を百として、米價率も百として計算いたしますとその後にそれを一倍と考えますが、その一倍を超える年次もあり、又それを下廻る年次もあるわけであります。今昭和九年十年、十一年をとつて見ますと、昭和九年は一・一八五になつております。昭和十年は一・三七三、昭和十一年は一・三二七であります。これを他の年次に比較して見ますと、一・三を超えておる年次は非常に少ないのでありまして、この昭和十年、十一年の他には大正二年、十四年、十五年、昭和二年と極めて寥々たるものであるわけであります。從つてこの九年から十一年の間を取るということは、比較的他の物價に対して有利なる米價を維持しておつたと考えていいと存じます。從つてこの基準の米價は、比較的有利であるものに対して、他の諸物價、つまり米價よりも不利であつた諸物價が今日騰貴しておる倍率を、比較的有利な元の米價に掛けてありますから、この年次を取るということは、決して農村に不利な年次を取つておることにはならないと考えております。
 最後の物價の比例を、自由價格と今日のマル公價格によつて取るということは不公平ではないかという、不都合ではないかという御意見に対しましては、政府の方針といたしまして原價の中にはマル公以外のものを算入しない方針を一貫して取つておりました、原價計算主義による場合にせよ、パリテイ計算による場合にせよ、マル公嚴守の一貫した方針によつてこれを決定しておりますので、この場合もその例外を許さなかつたわけでありますし、又先程申しましたパリテイ計算の方式は、原價計算主義によつて嚴格に原價を査定したしますれば、或いはこれよりも相当下廻るのではないかと思つておりますが、そういう点につきまして理論的に許し得る限り、農村に有利な計算方法を採用したものであると考えます。
#21
○委員長(楠見義男君) 本日は米價決定の経緯並びに結果を伺つたのでありますが、これに関連しまして、尚いろいろ御質疑もあろうと思いますが、農業生産調整法その他の機会もございますので、そのときに譲つて頂きたいと思います。本日はこれで散会いたします。
   午後五時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           木下 源吾君
           高橋  啓君
   委員
           太田 敏兄君
           門田 定藏君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           西山 龜七君
           岩木 哲夫君
           木檜三四郎君
           竹中 七郎君
           石川 準吉君
           河井 彌八君
           寺尾  博君
           松村眞一郎君
           廣瀬與兵衞君
  國務大臣
   農 林 大 臣 平野 力三君
  政府委員
   農林政務次官  井上 良次君
   物價廳次長   大原總一郎君
ソース: 国立国会図書館
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