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#1
第075回国会 決算委員会 第16号
昭和五十年六月二十五日(水曜日)
    午前十時二十分開議
 出席委員
   委員長 井原 岸高君
   理事 唐沢俊二郎君 理事 中尾  宏君
   理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君
   理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君
   理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君
      葉梨 信行君    三池  信君
      高田 富之君    安井 吉典君
      浅井 美幸君    坂井 弘一君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      井出一太郎君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 清水 成之君
        文部大臣官房会
        計課長     宮地 貫一君
        文部省大学局長 井内慶次郎君
        文部省体育局長 諸沢 正道君
        文部省管理局長 今村 武俊君
        文化庁長官   安達 健二君
        文化庁次長   内山  正君
 委員外の出席者
        環境庁自然保護
        局鳥獣保護課長 相馬 昭男君
        文部省学術国際
        局審議官    笠木 三郎君
        林野庁指導部森
        林保全課長   野辺 忠光君
        会計検査院事務
        総局第一局長  高橋 保司君
        会計検査院事務
        総局第二局長  柴崎 敏郎君
        決算委員会調査
        室長      東   哲君
委員の異動
六月二十五日
 辞任         補欠選任
  菅野和太郎君     葉梨 信行君
同日
 辞任         補欠選任
  葉梨 信行君     菅野和太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十七年度政府関係機関決算書
 昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (内閣所管、文部省所管)
     ――――◇―――――
#2
○井原委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、内閣所管及び文部省所管について審査を行います。まず、内閣官房長官から概要の説明を求めます。井出内閣官房長官。
#3
○井出国務大臣 昭和四十七年度における内閣所管の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 内閣所管の昭和四十七年度歳出予算現額は四十二億九千六百十八万円余でありまして、支出済歳出額は四十二億二千七百四万円余であります。
 この支出済歳出額を歳出予算現額に比べますと六千九百十四万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用と相なったものであります。
 以上をもちまして、決算の概要説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
#4
○井原委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。高橋会計検査院第一局長。
#5
○高橋会計検査院説明員 昭和四十七年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
#6
○井原委員長 次に、文部大臣から概要の説明を求めます。永井文部大臣。
#7
○永井国務大臣 昭和四十七年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。
 まず、文部省所管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額二億七千九十三万円余に対しまして、収納済歳入額は四億九千百二十七万円余であり、差し引き二億二千三十三万円余の増加となっております。
 次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額一兆二千四百二億一千九百三十八万円余、前年度からの繰越額三十三億九百九十六万円余、予備費使用額六億三百八十万円余を加えた歳出予算現額一兆二千四百四十一億三千三百十五万円余に対しまして、支出済歳出額は一兆二千二百七十七億二千九百六十一万円余であり、その差額は百六十四億三百五十四万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は六十四億六千三百四十八万円余で、不用額は九十九億四千五万円余であります。
 支出済歳出額のうち主な事項は、義務教育費国庫負担金、国立学校特別会計へ繰り入れ、科学技術振興費、文教施設費、教育振興助成費及び育英事業費であります。次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。
 第一に、義務教育費国庫負担金の支出済歳出額は六千四百七十五億一千百五十万円余であり、これは、公立の義務教育諸学校の教職員の給与費等及び教材費の二分の一を国が負担するために要した経費であります。
 第二に、国立学校特別会計へ繰り入れの支出済歳出額は三千四百二十一億三千九百三十八万円余であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源の一部を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために要した経費であります。
 第三に、科学技術振興費の支出済歳出額は百四十四億三千九百一万円余であり、これは、科学研究費補助金、日本学術振興会補助金、所轄研究所の運営等のために要した経費であります。
 第四に、文教施設費の支出済歳出額は八百十四億七千三百九十一万円余であり、これは、公立の小学校、中学校、特殊教育諸学校、高等学校及び幼稚園の校舎等の整備並びに公立の学校施設等の災害復旧に必要な経費の一部を国が負担または補助するために要した経費であります。
 第五に、教育振興助成費の支出済歳出額は八百六十七億一千六百二十九万円余であり、これは、養護学校教育費国庫負担金、義務教育教科書費、初等中等教育助成費、産業教育振興費、学校給食費及び私立学校助成費に要した経費であります。
 第六に、育英事業費の支出済歳出額は二百二十六億二千八百五十二万円余であり、これは、日本育英会に対する奨学資金の原資の貸し付け及びその事務費の一部補助等のために要した経費であります。
 次に、翌年度繰越額六十四億六千三百四十八万円余についてでありますが、その内訳の主なものは、文教施設費で、用地選定の難航、気象の関係、設計変更、建築資材の入手難等により、事業の実施に不測の日数を要したこと等のため、年度内に支出を終わらなかったものであります。
 次に、不用額九十九億四千五万円余についてでありますが、その内訳の主なものは、義務教育費国庫負担金で、給与費の国庫負担金を要することが少なかったこと等の理由により、不用となったものであります。
 次に、文部省におきまして、一般会計の予備費として使用いたしました六億三百八十万円余についてでありますが、その内訳の主なものは、文教施設費で、台風等によって災害を受けた公立の学校施設等の復旧費の一部を国が補助するために要した経費であります。
 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。
 国立学校特別会計の収納済歳入額は四千百四十三億七千六百十二万円余、支出済歳出額は三千九百二十七億五千六百一万円余であり、差し引き二百十六億二千十一万円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により七億一千九十三万円余を積立金として積み立て、残額二百九億九百十八万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 次に、歳入につきましては、歳入予算額四千八十八億九千五百十九万円余に対しまして、収納済歳入額は四千百四十三億七千六百十二万円余であり、差し引き五十四億八千九十三万円余の増加となっております。
 次に、歳出につきましては、歳出予算額四千八十八億九千五百十九万円余、前年度からの繰越額十九億四千五百六十二万円余、昭和四十七年度特別会計予算総則第十条第一項の規定による経費増額二億二千八百八十三万円余を加えた歳出予算現額四千百十億六千九百六十五万円余に対しまして、支出済歳出額は三千九百二十七億五千六百一万円余であり、その差額は百八十三億一千三百六十四万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は五十三億六千四百六万円余で、不用額は百二十九億四千九百五十八万円余であります。
 支出済歳出額のうち主な事項は、国立学校、大学附属病院、研究所及び施設整備費であります。
 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。
 第一に、国立学校の支出済歳出額は二千三百六十二億七千五百万円余であり、これは、国立学校の管理運営、研究教育等に要した経費であります。
 第二に、大学附属病院の支出済歳出額は七百二十六億九千三百七十五万円余であり、これは、大学附属病院の管理運営、研究教育、診療等に要した経費であります。
 第三に、研究所の支出済歳出額は二百七十五億六千三百三十六万円余であり、これは、研究所の管理運営、学術研究等に要した経費であります。
 第四に、施設整備費の支出済歳出額は五百五十一億三百九十二万円余であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の施設の整備に要した経費であります。
 次に、翌年度繰越額五十三億六千四百六万円余についてでありますが、これは、施設整備費で、用地の関係、設計変更等により、事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。
 次に、不用額百二十九億四千九百五十八万円余についてでありますが、その内訳の主なものは、国立学校で、退職手当を要することが少なかったこと等の理由により、不用となったものであります。
 なお、昭和四十七年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から不当事項六件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。
 指摘を受けた事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後、この種事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図るとともに、国立大学における病理解剖に係る経理に関して受けた処置要求についても、指導を強化し、事態の改善に一層の努力をいたす所存であります。
 以上、昭和四十七年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#8
○井原委員長 次に会計検査院当局より検査の概要説明を求めます。柴崎会計検査院第二局長。
#9
○柴崎会計検査院説明員 昭和四十七年度文部省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明申し上げます。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項六件、是正改善の処置を要求した事項一件、本院の注意により当局において処置を講じたもの一件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 検査報告番号六号は、国立大学において大型電子計算機センターに設置されている電子計算組織のラインプリンターに使用するためのインクリボンを購入するに当たりまして、材質についての検討が十分でなかったため、不経済になったものであります。
 また、七号から十一号までの五件は、いずれも補助事業の実施及び経理が不当と認められたもので、その内容は、公立文教施設整備費及び文化財保存事業費関係の国庫補助金にかかわる事業におきまして、全部または一部が補助の対象とは認められない事業を実施したりしていたというものでございます。
 次に、是正改善の処置を要求した事項について御説明いたします。
 これは、国立大学の医学部病理学教室等が私立病院等から依頼を受けて病理解剖を実施する際に、教官等が依頼者から任意に金銭を受領し、これを予算外に経理しているので、関係規程を整備し、これを教官等に周知徹底するよう適切な処置を講じ、経理の適正を期する必要があると認められたものでございます。
 最後に、検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものについて御説明いたします。
 これは、文部省及び国立大学が施行している鉄骨工事におきまして、鉄骨の現場加工費、鉄骨を工場で溶接する場合の溶接費、あるいは鉄骨の工場組み立て費、建て方費、現場加工費等の積算が施工の実態に適合していない事例が見受けられまして、これは、文部省の積算指針単価算出要領の整備が十分でなく、近年一般に使用されるようになった工法等の実態に適合した歩掛かりが定められていなかったことなどによると認められましたので、当局の見解をただしたところ、文部省では四十八年十月、同要領を改定し、新たに施工の実態に適合した歩掛かりを定めるなどの処置を講じたものでございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
#10
○井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
#11
○井原委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。唐沢俊二郎君。
#12
○唐沢委員 時間がございませんので、ただいま会計検査院から御指摘のありました受託研究のことについてお伺いをいたします。
 最初に、清水官房長にお伺いをいたします。昭和四十三年度の会計検査で、国立大学の受託研究の経理が適正を欠き、改善を要するとの指摘を受けまして、文部省は四十五年に二度通達を出されて、経理の適正を図るよう要請をせられたわけであります。しかし、またまた、四十七年度の会計検査において検査対象となりました十三校のうち北海道を含めて十二大学で、同年に公私立病院等より医学部病理学教室等が依頼を受け病理解剖を九百二件実施をした。ところが、そのうち五百二十件は正規の手続によらないで、病理学教室及び教官において直接依頼者より費用を受け取り、予算外として経理してきたもので、再度検査院から改善の処置要求があったことは、大変に遺憾でございます。
 ところが、またまた、今月の四日と十九日各紙一斉に報道されました、東大の宇宙研究所のやみ研究それから原子核研究所の架空請求書による不正経理でございます。この点につきましては、私どもは新聞の記事は読んでおります。「象牙の塔“乱脈バイト”」「私腹こやす研究者」等々でございます。
 そこで、いままでに大体つかんでおられます本件についての実情を、官房長から簡単に御報告いただきたいと思います。
#13
○清水政府委員 ただいま御指摘を受けましたように、東京大学の研究所の教官をめぐりまして捜査当局の手を煩わせましたり、あるいは疑惑を招き、不明朗な事態が起きておりますことにつきましては、私どももはなはだ遺憾に存じております。
 ただいまお尋ねの件でございますが、東京大学宇宙航空研究所の点から先に申し上げますと、これまた、はなはだ残念なことでございますが、東京天文台の汚職事件がその時期に発生をしておりまして、その捜査の過程におきまして、宇宙航空研究所の航空力学部の一教官がある電線会社から金員三十万円を収受している、こういうことをめぐりまして警視庁のお取り調べを受けたわけでございます。これにつきましては、同教官がその会社から正規の手続を経ずに私的に研究費を受け入れているのではないか、こういう疑いをただいま持ち、また、持たれているところでございます。
 さらに、東京大学の原子核研究所におきます問題につきましては、これは現在そこにおりませんが、かつて原子核研究所に所属当時のことでございますが、一教官が業者に研究用のフィルムとか乾板の物品代につきまして空の請求書をつくりまして、大学から物品代金としまして約二百万円を業者の方に払い、その物品代金でもって自分の研究費なり国際会議の出席旅費等に使っていたのではないか、こういうことでございます。これにつきましては、大学当局としましていま調査をしておってもらいますので、細かいことまでまだ私ども承知をしておりませんが、一方、警視庁から私どもの方へ向けまして、これらのことについてのお話があり、規律の確保という見地から文部省がひとつ毅然として善処するように、こういう申し入れを最近受けておるところでございます。
 なお、この事態に対しまして、二十一日、特に異例でございますが、事務次官名をもちまして東京大学学長あてに、内部監査を含めまして、ひとつ実態の調査を報告していただくと同時に、規律確保の点での方針を聞かしてもらいたい、ただいまこういう通達をいたしたところでございます。
 以上、簡単でございますが、御報告をさせていただきました。
#14
○唐沢委員 ただいま御報告を受けました。一日も早く真実を解明して、適宜措置をとっていただきたいと思います。
 その次は、文部大臣にお伺いをいたします。
 いまのお話を、まだはっきりしておりませんが、伺っておりまして、私どもの想像を絶する、われわれの、いままでの常識を覆すような事件でございます。
 そこで、四十七年度みたいに非常に神聖なる教育の場で会計法十六条の違反という法律違反が見られる、しかも数多く見られるということが、まず第一、問題でございます。しかし、これはある意味では手続の問題であって、知らないでやった人もあるかもしれない。しかし、今回の原子核研究所の場合は、確かにこの資金を私的目的に充てたのではないかという疑惑が持たれておりますし、ただいまのお話にはなかったのですが、新聞紙上で報ずるところによりますと、宇宙航空研究所の場合は、某助手が十年間で二千万円にも上る謝礼を受け取っている、さらに、その監督の立場にある教官が数百万円の黙認料を取っていたと報道されておるのであります。仮にこれが本当だとしますと、もはや道義的な問題、刑法上の問題、背任か横領か知りませんが、刑法上の問題になる。本当に、公務員のみずからの使命と自覚を忘れた、絶対に許すことのできない問題であろうと思います。そして、いろいろ弁解をしておられる。それが正しければ結構でありますが、そうでなければ、弁解は本当に空虚な弁明であって、その教官の良心すらわれわれは疑うのであります。
 そこで大臣に、大学に対する監督強化でございますが、相手は象牙の塔でありまして、非常にお答えしにくいかもしれませんが、そこは英明なる永井文部大臣でございますので、あえて、三点について御質問をいたします。
 その一つは、その監督指導強化でございます。相手が大学だから、できるだけ干渉はしたくないという文部省のお考えはよくわかります。また、学問の自由と独立は、これは絶対に守っていかなければならないのであります。しかし、最近の事例を見ておりますと、文部省は教官の良識を信頼しておられた、その信頼が裏切られているのですね。したがって、経理等の事務について、これは学問とは別でございますから、強力な指導をされるべきではないかと思うのです。一事が万事でございまして、経理がずさんである、これが学内の乱脈化を引き起こすのだ、また風紀の紊乱も惹起するかもしれない、かように思いますので、その大学に対する事務面の監督指導というものをどのようにお考えになっているか、これが第一点であります。
 第二点は、受託研究の取り扱いでございます。文部省は、昭和四十五年四月三十日に「受託研究の取扱いについて」という通知を出しておられます。これを拝見しますと、「受託研究は、当該研究が国立学校の教育研究上有意義であり、かつ、本来の教育研究に支障を生じるおそれがないと認められる場合に限り行なうこと。」このように書いてございますが、たとえばいまの某助手の場合は、研究所が果たして学校の研究所なのか、企業のサービス機関なのじゃないか、本来の研究は一体どうなっているのだろうか、どっちが本職なのだろうか、こういうような疑問を生ずるわけでございます。でございますから、この際、受託研究のあり方をもっと明確にされるお考えはないか、受託研究のあり方を明確にすると同時に、教官の皆さんに対して、正々堂々と受託研究をやる、また、それがやりやすいように手続を改善するお考えはないか、これが第二点であります。
 次は第三点でございます。このような事件がこれだけなら結構であります。いまの宇宙研のやみ受託研究の問題は、東京天文台の収賄事件から、いまの御説明のように尾を引いてきたわけでございます。人によりますと、これは氷山の一角だということすら言っている人があって、われわれとしてはそうは信じたくないのでございます。
 そこで第三番目にお伺いいたしますのは、このような不祥事件を起こさないための予防策についてお伺いするのであります。相手は社会的に非常に信望のある、先生でございます。ですから、事前に余りうるさく言うのもどうかと思うわけでございますが、この際は特別予防といたしまして、初めは先生の良識を信じてお任せをいたします、しかし、一たび不祥事が発生した場合、これは厳重に処分する、厳罰に処するんだ、そういう責任の明確化をぜひ図っていただきたいと思うのですが、どうお考えになっておられるのか。
 また、先生方の大多数は、もちろんりっぱな方であります。しかし、そういうりっぱな先生方まで、今度のような事件が起きますと白眼視される、まことにお気の毒だと思うのです。この際メリット・デメリット制を導入されたらどうなのか。不祥事の起きた学校には研究費は大幅に減額しますよ。しかしお行儀のいいまじめな研究をしておられる先生の多いそういう大学には、思い切ってその分を、研究費を増額するんだ。ちょっと我田引水になりますが、私の地元の信州大学というところは、本当に皆さんまじめに、規則を守って研究にいそしんでおられる。こういうところには十分な配慮をしていただくということが非常にいいみせしめになるのではないか、かように思うわけでございまして、大学に対する事務面の指導監督と受託研究のあり方、それから三番目はメリット、デメリット制、教官の責任の明確化、この三点について、簡単で結構でございますが、大臣の明確な御答弁をお願いしたいと思います。
#15
○永井国務大臣 ただいま唐沢先生御指摘の点は、すべて重要な問題でございまして、まず最初に、国民から信頼してしかるべき国立大学におきまして不始末を生じて疑いを抱かれているということに対して、文部省といたしましてまことに遺憾でありまして、その点指導監督が行き届いていなかった点についておわびを申し上げたいと思います。
 その問題の三点、どういうふうに考えていくかということでございますが、経理を適正にする上での指導強化の問題でございますが、やはり非常に重要なことの一つは、たとえば今度の東京大学のような問題が起こってまいりました場合、これはもう次官通達も出しておりますけれども、本当に具体的な事実がどういう姿で、どういう経路で、そしてどういうふうに不適正なことが行われたか、こうしたことを徹底的に明らかにすることであるかと思います。でありますから、うやむやになってしまうということなく、東京大学から私たちはその御報告を得たいと考えておりまして、また、それに基づいた適切な行政、必要ならば処罰が行われる等の方法が必要であろうかと考えております。
 また、大学の経理事務に関しましては文部省所管の行政職員がおりますけれども、こうした経理担当の事務関係を非常に強化するということも重要な問題であろうかと考えております。一般に、大学におきまして教官と事務官との関係が十分に緊密でないというおそれもございます。それは、私も国立大学におりましてそういうことを経験いたしておりますが、したがいまして、大学教官の中にいろいろそうした法制上の規定があるということを御存じなく、全く悪意もなく、わりにのんきであるという場合もありますから、そういうことがないように、事務官とそれから教官との関係というものをより一層、こうした問題に関しましては緊密にいたしますことが、私は、経理の面での適正を図るための指導強化上必要なことではなかろうかと考えております。
 第二に、先生御指摘の受託研究の問題でございますが、受託研究というのは、これは大学で研究をいたしてまいります場合、非常に必要なものでありまして、特に私がおりました東京工業大学のような工業関係の大学におきましては、受託研究によるよい研究が事実上開発されているということは多々ございます。ただ、その場合に一番重要な原則でありますのは、大学における研究、教育、これが本務でございますから、その本務の方がおろそかになって受託研究の方が盛んになってしまうということは、本末転倒でございまして、この点、文部省も注意をいたしておりますが、この原則というものが少しも逸脱されることがないように、われわれとしてなお一層努力していかなければならないと考えております。とりわけ重要であると考えておりますのは、受託研究の内容が、企業からの受託研究が行われます場合に、企業の利益に傾斜したりするというようなことが起こります場合には、国立大学の研究として不適当でございますから、そうした点について十分注意をいたしていかなければならないことと考えております。
 受託研究のあり方につきましては、昭和四十五年度以降は、年度を超えて使用できるというような形で研究者の要望も生かしてきておりますが、私は、受託研究というものは非常に重要でありますだけに、確かに今後にも残っている問題があるかと考えます。それはいま申し上げましたように、第一の原則は本務に沿っているということでございますし、また、第二の原則は企業の利益というようなものに奉仕するのではなく、大学の使命に沿った研究でなければならない。そこで、大学においてもいろいろ受託研究のあり方について御検討を続けておられるということは、私は東京工業大学などにおりまして、そうした問題についての検討は進んでいるということは承知しておりますけれども、これらの方々と文部省も十分に話し合いまして、先ほどから申し上げましたような原則を逸脱することがないように、そしてよりよい制度がつくられていくように、なお一層検討を続けるべきであろうかと考えております。
 次に、予防策をどうするかという問題でございます。これは非常に大事でございますが、予防策の非常に重要な点は、私は、明らかに不正が行われたものに対してうやむやにしてはいけない、そこで、不正が行われたものに対してはしかるべき処分を行うということ、そのことが非常に重要であろうかと考えております。さらに、受託研究などの場合におきましても、この研究費の制度によって大学における運用というものが良識の目にさらされるようにするということも、予防策として大事であろうかと考えております。
 また、先生、積極的にメリット、デメリットということをおっしゃいましたが、私は、いま申し上げた予防策は悪いものは処罰していくということです。それから、そういう受託研究制度の運営を公開していくということ。しかし、さらに、いいものをどうしていくかという問題でありますが、こういうものについては、事実いま、研究助成費というものが個人あるいはグループなどに出ております。その出ておりますのは、やはりすぐれた研究をなさっておられる先生方、それがまた先生方の審議において、この人ならばよりよい研究をするであろう、文部省が直接教育、研究の内容に干渉するのでないという形で進んでおりますが、私は、こういう研究助成のあり方というものが正当にまた原則に基づいて運営されますならば、それこそ、学者としてりっぱな理想を持って、そして厳正に国民の金を使いましてよい研究をなさっていく方を励ますことができる。でございますから、そうした姿でメリットというものを伸ばしていくようにしなければならぬ。これも東大とか京大というような古くからの大学だけに偏るということなく、先生、信州の例をお出しになりましたが、すべての大学におきましてやはり非常にりっぱな御研究をなさっていらっしゃる方、そして適正に予算を使って効率的によいお仕事をされる方、こういう方々に対してむしろ恵まれる状況をつくり上げていく。
 以上、先生の三点の御質疑に対しまして私が考えていることを申し上げた次第でございます。
#16
○唐沢委員 終わります。
#17
○井原委員長 原茂君。
#18
○原(茂)委員 きょうは、最初に、特に長野県に関係の深いニホンカモシカの山林の食害を中心に、文化庁、環境庁の御意見を聞きながら、大臣のこれに対する対策をお聞かせいただきたいと思います。
 大体、すでにお調べいただくように申し上げてありますから、おわかりだろうと思いますが、つい先ごろ、長野県の林業指導所におきまして、各地方事務所の協力でこの問題の調査をいたしました。全県的には、ヒノキを中心にしまして約五百八十ヘクタールの被害が現に起きておりまして、金額も的確にはわかりませんが、約七千五百万円程度ということになっておりますが、これは年を追って増大する被害ということになるわけであります。最もひどい地域というのが中央アルプス山系、特に南端に位する下伊那中心に、標高約千から千五百メーターの伊那谷の側にずっと被害が広がっているというのが現状でございます。この特にひどいところだけでも二百三十ヘクタールぐらいが現に食害を受けておりますし、金額にしても相当の額に現在上っています。
 何とかしなければいけないというので、一昨年来、この被害が顕著になってまいりましてから、いろいろと官民一緒になって手当てをいたしておるわけでありますが、現在、わずかな補助金等もつきながら県が中心で調査を進めているわけですが、どうも的確な対策というのが樹立できないでいる。そのいろいろな対策がありますけれども、一番手っ取り早いのはこれを捕獲してしまうことが一番いい。もっといいのは殺してしまうのがいい。文化庁の側から言いますと、特別天然記念物という指定をしまして、確かに大事でございますから、この種の動物の保護育成というものにわれわれも関心を持ち、将来ともに、繁殖できるようにしてやりたいという気持ちはあります。裏から言いますと、平たく言うなら、勝手に天然記念物だという指定をしておきながら、えさの問題は知らないよ、食い物は食いたいほうだい、どこへでも行って食ってこい。食われた方は民間の山林であり国有林であり、その被害は年々増大をする。しかも、取り返しのつかない、一年から二年、三年、まあ五年生ぐらいまでの間に葉を食いむしるように食いちぎっていく。歯形が特徴的な歯形ですから、カモシカによる被害であることはもうすでに確認をされていますが、こういうようなことで、せっかく新しい葉が、芽が出てくると、次の年また、食い物がないというのでこれに食害を与えていくということで、結果的には、たとえばひどいところ、飯田の松川入り森林組合の管轄下における地域では、約一〇〇%のうち五〇%は全然もう材にならない。これはもう捨てるものだと思いながらもそのままいま植生をさしている。五〇%これはだめだということがわかっていて、なおかつどうしようもない。というようなところが随所に見られるようになってきたわけであります。
 この分布の状況、被害の状況を見ますと、いわゆる自然林というものが周りにたくさんあるところは、その被害が非常に少ない。自然林の少ないところにおいて顕著にこの被害が出ているというようなことも、一つの特徴でございます。したがって、周りの自然林というものを非常に大事にして、その中に特定の地域を造林するというようなことも一つ考えられるけれども、もう一つは、造林をするということによって、御存じの伐採を行う。そうして造林が行われますと、下草というものがほとんど皆無の状態になってくる。この下草が、このカモシカ類の非常に好むえさである。こいつがなくなりますから、造林をするということ自体がもうすでにカモシカの生息条件を剥奪する。しかも実際には、いまの行政を見てみると、造林したところが特別区に指定をされるというような矛盾を犯していますから、造林をされた中で食いたいものがない。仕方なしにカラマツからヒノキあるいはその他に移っていった、その大事なヒノキその他をえさとして食わざるを得ないという、もう当然そうなることの決まっている行政的な措置が、ついにカモシカをして、文化庁が勝手に天然記念物だという指定をしておいて、えさは勝手に食えという言いぐさがあるか、これじゃたまらないという結果がいま起きて、しかも、その被害が非常にいま顕著になりつつあります。なりつつある。
 で、前段にも申し上げたように、一番いい方法は何かというなら、これは捕獲、特に殺してしまうのが一番いいのですが、これはできない。やっちゃいけない。それでは捕獲をすることが大事だ。捕獲していいかというと、捕獲はまた、たとえば麻酔銃などを使うことは、動物園の中にいる動物などには麻酔銃を使っていい、自然のこの動物に対しては麻酔銃を使ってはいけないということにいまなっているのでしょう、法律で。それはできない。やむを得ず、現段階では忌避剤、カモシカが一番いやがるようなにおいを発散する薬を使って、これを塗っておこうということをやってみたり、ポリエチレンでできた網袋をかぶして、それによって保護をしようというようなことを現に及ばずながらやっている。ところが、この忌避剤を塗ったものは、どうもまだ的確な効果が上がったようには思えない。結局、網袋をかぶしたものが、大体かぶさなかった地域とわざわざ設定してやってみますと、かぶしたところは一六%の被害、かぶさなかったところは九四%、従来どおりの被害があったというので、網袋をかぶしたことによってこれは防げるということが、いまの段階ではわかりました。わかったのですが、さて、人手が、あるいは費用、この問題がありますので、これはまあまあ自分の林だからといってやろうとしても、なかなか自分ではそれができません。県単位でもできない。あるいは森林組合単独でもできない。国の補助を思い切ってもらわない限りこいつはやれないというような現状になっていることを、一々お伺いすると皆さんからもっと詳細のお答えがあるはずですが、林野庁にも来ていただいておりますが、私の知っている範囲ではそういう状況にいまなっている。ここを出発点にして二、三お伺いをしたい。
 現在のこの状況の中で、いま申し上げました対策の一つとして、麻酔銃を使って捕獲をするということが可能にできないものかどうかが一つであります。私は、やはり捕獲をして、ある特定の地域にこれを放してあげる。たとえば、結論的に言いますならば、これは大臣のお考えをお聞きしたいのですが、いわゆるこういう天然記念物、動物を特に生息させる自然公園というものを特定地域を限ってつくって、そこに放してあげるということ以外にはないんじゃないかという気がするのです。自然公園というものを思い切ってつくる、これ以外にはないと思うのですが、そこへ持っていくにしたって、私は、麻酔銃を使って捕獲をするということがなぜ許されないのか。どうして一体、何の理由でそんな法律があるか知りませんが、動物園においては使っていいのだけれども、自然林においてはこれは使ってはいけないということが、矛盾じゃないかと思いますから、この点に関して、きょうは専門家がおいでですから、いや、そう言っても、原、おまえの言うようなわけにいかない、かくかくの理由でと、私が納得する理由があるのかどうかを――ただ決まっているからそのとおり守っているんだというなら、大臣から非常な決意で、そういうものはやはり早期に使うことのできるようにしてもらう以外ないだろうという問題をひとつ先に、まず麻酔銃の使用についてお伺いをしたい。
#19
○相馬説明員 現在、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律によりまして、毒薬、劇薬などにつきましては、それを用いて鳥獣を捕獲することができないということになっておるわけでございます。ただし、この法律は非常に古い法律でございまして、それを改正すべく、現在、自然環境保全審議会に諮問中でございますが、当時の事情と、たとえば毒薬、劇薬と申しましても、ただいまの麻酔銃のようなものは当時余りなかったというようなこともございますので、有害のけもの類を捕獲するというような場合には非常に有効な方法であるということが、当時と事情も変わっておりますので、この件も含めて、現在審議会においては検討中でございます。
#20
○永井国務大臣 私は麻酔銃というものの専門家でないので、麻酔銃を使うとどういう害があるかというようなことはよくわかりませんが、ただいま環境庁の方から説明がありましたように、確かに法律も古いというような問題があるようでございますから、そこで審議も進んでいるそうでありますが、こうしたことは重要な研究課題だと思います。そして、もし、そういう審議会などで適切であるということであるならば、一つの問題の解決方法として十分に検討しなければならないことと考えております。
#21
○原(茂)委員 現にそのことを含めて、それに類することが必要な段階にいまもう来ています。来ていますので、申請があれば、文部大臣すなわち文化庁なり環境庁は、この法律第十五条によっても特別に許可することができることになっているわけですから、申請があれば、いまでも特別に許可をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#22
○安達政府委員 カモシカは日本特産のものでございまして、特別天然記念物に指定をされておるということで、貴重な動物であるわけでございます。したがいまして、私どもの立場から言いますと、まずもって、これをやはり大事にして保存したいという念願が第一でございます。しかしながら、同時に、被害があるとすれば、その被害をいかにして防ぐかということをまず第一考えるべきことだろうと思うわけでございまして、その対策につきましては、もうすでに先生からもいろいろ御指摘ございましたように、いろいろなことがごさいますけれども、さらに本年度におきまして青森県、長野県、岐阜県で総合的な調査をいたしたいということでございますので、この調査の結果を待ちまして、環境庁、林野庁とも協議してひとつ抜本的な対策を立てたい、こういうことでございまして、その抜本的対策といたしまして、先ほどお話ございました忌避剤の問題、そういうもののあれもございましょうし、あるいはまた、いま被害があるのはヒノキの幼齢期と申しますか、そういうものでございますけれども、ほかのサワラとか杉とか松はほとんど被害が少ないというようなことで、そういう造林木をどうするかという問題もございましょうし、それから、御指摘ございましたように、非常に大規模な伐採が行われると、その場合に非常に之が不足するためにカモシカの害が起こるということでございますので、そういう大面積の伐採ということは、同時に、土砂崩壊を起こして国土保安上も問題がございますので、そういう点での検討もあるわけでございまして、いろんな可能な方法によりまして被害を最小限に食いとめるということを努力いたしまして、なおそれでもどうにもならないという場合におきましては、個体の調整をするという意味での捕獲ということも考えざるを得ない状況にもなるだろうかと思うわけでございますので、その場合の問題としていまの麻酔銃の問題等もあるだろうということで、私どもの現在の考え方としては、何とかしてこの被害を少なくする、そのための方策を何とかして検討し、そのために必要ならば財政的措置も講じながらそこに重点を置くことがまず先決ではないだろうかと、かように考えておるけでございます。
#23
○原(茂)委員 皆さんの答弁というのはいつもそういう答弁なんで、ぼくは、永井大臣は違うだろうと思うのですよ、感覚が。
 調査をする、調査費をつけました、今年環境庁その他で一緒にいま調査をやっています、去年もやってきました、来年その結論が出ます、その後から、じゃあこういう方法がよかろう、審議した結果こういう方法に決まりました、じゃあこういう手当てをしましょう。見てごらんなさい、黙っていたら三、四年かかりますよ。その間は、この山林における被害というものはぐんぐん広がっていきます。ことしもこの秋口から冬にかけて、いわゆる雪の降った時期に特にその被害は多くなるわけですから、しかも、御存じのように、だんだん高いところへ高いところへといま被害が行っているわけです。高いところほど非常に大事なんです。そこにまでどんどん被害が及ぶようになってきているということを考えると、もう焦眉の急なんですね、これは。
 ですから、特別許可申請があった場合には捕獲することを、その中の手段としては麻酔銃を使うことも、できるなら含めて、とにかく、特別に申請があったら捕獲することを許可をするという前提がないと、現在、調査は調査でいいんですが、被害を防ぐための手段として必要な第一の手段がそれにあるとするなら、まずそれに対して十分に慎重に配慮をするが、その上で、なおかつ申請があったときには調査をして許可をすることがあるということをここではっきり前提としてお決めいただけば、大変、対策の前進が見られる。調査をしています、去年もやりました、また、その結論は来年出ます、それからやります、こんなばかなことをいつでもやっていたのじゃだめだと思うのですよ。ですから、いま大事なことは、殺そうというんじゃないんです、少なくとも予見される食害の起きる地域から他の地域へ移したいというようなことぐらいはできる手段を、申請があったら許可しますよというぐらいの、きょうお歴々が集まったら、文部大臣以下決意をして、そのことが決められない限り、何もこれは前進がないんです、こんなこと。後で林野庁からお伺いしますが、このまま放置して、将来予見できる被害はどのくらいかということを後でお伺いしますから準備をしておいていただきますが、私は、こんなことをいまのようなおざなり答弁でやるくらいなら、大臣が出てきてまで審議をする必要はないと思うのです。こんなことはわかっているんです。現に被害が年々拡大をしているんです。調査をしています、来年でなければ結論出ないじゃないですか。再来年じゃないですか、どうにかやっていいというのは。それまでの間に最小限度の手当をしたい。やればできるんです。その方法の一つとしてまず第一にお伺いしていることを、特別許可の申請があったら許可をするという決意がない限り、えさは食いっぱなしにしておけ、被害は幾らあってもしようがないんだ、後でゆっくり決めますから、というのと同じことになるんじゃないかと言うんです。どうですかね、大臣、こういう私の見解に対して。
 これは担当の皆さんが実際にいま調査をして、一生懸命やっていることはわかりますけれども、現に被害の起きているものを少しでも防いでいきたい。しかも、先ほどもちよりと触れましたけれども、ニホンカモシカなどを中心に考えてみますと、これがまた自然死というよりは、伐採だ、林道の開発だ、山地開発だというものが行われているおかげで、いるところがなくなりまして、栄養失調で死んでいるものがずいぶんある。白骨となったり死体となったり、瀕死の状態になっているカモシカをつかまえ、至るところでいま調査をいたしておりますけれども、その結果は栄養失調が一番多い。その次は肺虫にやられているというように、決してカモシカの方の側になっても、確かに保護すべき鳥獣の一種であるし、ニホンカモシカは特に天然記念物として大事だと思いますが、このカモシカ自体もいまや生息地がなくなっている。だんだんに食うものがなくなって、必死になっていま食っているんです。現在のまま放置しておきますと、保護をすべき天然記念物のカモシカそのものもだんだん自然死などをするという危険がある。下伊那の松川入の森林組合だけでも、あの管轄している山林だけでも約五百頭いま生息しているだろうと言われていますが、恐らく、これがだんだん減ることはあってもふえることはないだろうと予測されているのです。しかも、めちゃめちゃに荒されているんだけれども、幾ら荒らしても、なおかつ、カモシカはふえるというよりは減ることの方が多いだろう。他の地域においてはもっとカモシカは減っていくだろう。現に病気もあり、栄養失調もあり何もあり、あるいは葉っぱなどの音を聞いてばっと飛んでいって、がけから落っこって、健康体なやつが死んでいるのも発見されているというふうに、保護すべき天然記念物ニホンカモシカが、カモシカの側から言うなら完全な保護の状態にはなっていない。必死になって生きようとして、その被害はまたわれわれの側に大きく及ぼしている。
 だから、調査は結構で、しなければいけません。いけないんだが、現在、最小限度何とかして被害だけは食いとめながらそのカモシカも保護するということを考えたときに、第一、許可の申請があったときには特別、第十五条の規定があるにもかかわらず許可をいたしますよということがはっきり、関係官庁、皆さんを中心にお答えがあれば、大変この手段あるいは方法が前進をすると思うのですが、もう一度お答えをいただきたい。
#24
○安達政府委員 先ほどの、麻酔銃によるところの捕獲の問題でございますと、これは法律改正を要すると思われますので、麻酔銃によるところの捕獲は法律改正を待っての問題であろうと思うわけでございますが、その他の方法によるところの捕獲ということにつきますると、私どもといたしましては、まずもって何とかこの妨害対策をするということでございますけれども、なおそれでは処置し得ないというような場合におきましては、先ほどお話にも出ておりましたけれども、特別な地域を除きまして、農地にまでおりてきたというような個体は捕獲をするとか、あるいは地域を定めて、それ以外では捕獲することができるというようなことも当然考えていかなければならない問題であろうというように考えておるところでございます。
#25
○原(茂)委員 ですから、法律を改正することが必要だろうと思いますと、もしそう思ったら、大至急に法律の改正をして麻酔銃の使用ができるようにしたい、いたしますという御決意が述べられることが一つです。
 それから、いまのように、農地まで荒らすようになってきたら捕獲することもやむを得ないというんじゃなくて、荒らされるのを待ってないで――現に生息地がある程度わかっている。冬になるとこれがある程度捕捉できるんですよ。積雪中に捕捉ができるんです。その地域に予定される食害を防遏するための移動を行うことが可能な手段として申請があったら許可をする。遅まきながら、麻酔銃を使うことを法改正が必要なら法改正をいたします、する決意ででも、麻酔銃を使うことをも含めて、とにかく申請のあったときには許可をするということが前提にならないと現在やるべき手当てができないんだということで、もう一度お答えいただきたい。
#26
○永井国務大臣 私は、この種の問題につきまして、先生がおっしゃいますように、三年も四年も調査をしていて、そして結論が出ないというのはよくないと思います。早急に結論を出すべきであると考えます。麻酔銃の専門家でないからちょっと申し上げかねる、しかし前向きに検討したいと申しましたのは、私、専門家でありませんから、こういうことは検討課題だと思いますが、たとえば麻酔銃の使用が許可されるというような場合、そのことが明らかになったときにどんどんそれを人が使うということも起こり得るわけです。そうすると、場合によっては一種の乱用的になるということもあり得る。そこで、そうした面も勘案して、環境庁でもいま調べておられるそうでありますから、これは三年も四年もほっておくというようなことではなくで、この問題では早急に結論を出しますように、私たち関係省庁で検討さしていただきたいと思います。
#27
○原(茂)委員 そこで、林野庁にお伺いしますが、現在、長野県ばかりではない、隣接の県に起きていますが、他の鳥獣はともかくとして、カモシカによる被害の予想が一体どういう程度になりそうかということが一つと、現在非常に大きな被害を受けております地域に自然公園を設定するといたしますと、自然公園を設定するような隣接の地域がありそうなところは一体どこですか、林野庁の立場で二つお答えをいただきたい。
#28
○野辺説明員 ただいまカモシカによる造林地の被害は、四十九年度でおよそ千七百ヘクタールと見込んでおりますが、これは頭数をはっきりつかまえておりませんので、年々増加傾向にはございますけれども、将来どの程度になるであろうかということについては、はっきりした見通しを持っておりません。
 また、自然公園等のそういう特定の地域を限って適地みたいなものがあるかというお話でございますが、これにつきましては、たとえば国有林等において一定の区域を限ってそういうことを考えてみるというのも一つの方法ではなかろうかというふうに考えております。
#29
○原(茂)委員 課長さんは一番専門家のトップだからおわかりだろうと思うのですが、国有林などにおいて自然動物園という特定地域を設けようとすることも考えられるという御答弁ですが、私は、どの地域ならそれが考えられそうかということを質問したわけですから、的確にお答えをいただきたい。ありそうだ、この地域ならできそうだというのをひとつお答えいただきたい。
#30
○野辺説明員 御質問の件につきましては、後刻、十分検討いたしましてお答え申し上げたいと思います。
#31
○原(茂)委員 そうですか。先に調べてくるように言えばよかったですね。私はやろうと思えばここら辺だということが、林野庁ではもうとっくにわかっていなければいけないし、わかっているだろうと思っていたんですが、いま私の方から申し上げませんが、大至急に検討をしていただいて、ここら辺なら自然動物園として国有林の中にできそうだという地域が、何カ所か選定あるいは考えた結果として出てくるのはいつごろになりますか。
#32
○野辺説明員 仮にそういった地域を設けるということになりますと、やはり頭数であるとかあるいは的確な飼育の方法であるとか、あるいは生態とか、そういった全般的なカモシカの調査等が必要でございますので、十分そういう内容について検討した上で適正な個所なりあるいは広さなり、そういったものを検討いたしたいと考えております。
#33
○原(茂)委員 文化庁にお伺いします。やはり文化庁としても、このカモシカの保護は何が何でも徹頭徹尾やるという方針だろうと思うのですが、その方針かどうかをひとつお伺いしたいのと、結論的に冒頭に申し上げたように、私は、自然公園なり自然動物園という方式以外にはどうもないように思う。ポリエステルというんですか、何かポリエチレンの網袋をかけるなんということを、これをずっとやれと言ったって、なかなか、費用の点からもできそうにない。なかなか大変です。こういうことを考えると、やはり自然動物園という構想にぎりぎり、私のような素人が考えると落ちつかざるを得ないだろう。ですから、文化庁としても大体の方向としては、自然動物園という方式によってこの特別天然記念物の保護をやっていくようなことにしたいという御意思だろうと思うのですが、いかがでしょうか。
#34
○安達政府委員 私も専門家でないのでよくわかりませんけれども、現在カモシカにつきましては、実は生息地として一定の地域を、新潟県の南蒲原郡の下田村に指定をいたしておるわけでございまして、こういうところが一種の自然公園と言えばそういうようなものといいますか、生息地としての保護を図るというような面では一つの考え方だろうと思うわけでございます。ただ、カモシカはもともと密林を好むというような性格があると伺っておりますので、いわゆる自然公園というような形がどういうものであるか、明快に私も存じませんけれども、そういう方法も一つ考えられると思いますが、できれば被害を最小限にして現在いる密林の中で保護していくという、そういう自然状態での保護ということも、天然記念物の保護のあり方としては当然そうあるべきと思うのでございます。先生の御指摘の問題点、自然公園のことにつきましては、なおいろいろ検討したいと思う次第でございます。
#35
○原(茂)委員 カモシカの一番好むのは灌木それからシダ類です。ですから、自然林が一番いいことは間違いない。ですから自然公園、特別に手を加えた公園じゃないのが一つ。
 それからもう一つは、生息地として特別に新潟県に御指定があった。しかし、現在一番大きく被害を受けているのはどこかということを中心に考えると、いま新潟県に全部持っていくなんというわけにいかないわけですよ。現在のところ、長野県にたくさんある。長野県が一番被害を受けているのですから、これを新潟県に生息地だから持っていくなんということはできっこないんです。現在、相当な被害それから相当の頭数のいることがもう林野庁の調査でもおわかりでしょうが、民有林、国有林に分けましても、とにかく長野県、岐阜県が筆頭ですよ。ということになりますと、俣野県の現在被害を受けているこの地域の近くに国有林があり、その国有林のある特定の地域を限って自然動物園、自然公園にするという方向以外には、将来の方向としては幾ら検討したってないと私は思うし、文化庁としてもそのくらいのことは考えているだろうと思うのですが、そのことを方向としては考える、そういう方向で行く以外にない、こうお思いになっているかどうかをお聞きしている。もう一度お答え願いたい。
#36
○安達政府委員 私も、いま先生の御提案、非常に貴重だと思うわけでございますけれども、そういう方向が将来のあるべき方向であるかどうかにつきましては、なお一層慎重に検討さしていただきたいと思います。
#37
○原(茂)委員 文化庁の長官あるいは次長さんも来ているのですが、そのほかにどなたかおいでになったら、現在考える範囲で――調査してからのことを言っているんじゃない。現在考える範囲で、一体、このニホンカモシカを本当に傷をつけずに天然記念物として保護したいといったときに、現在考えられるわれわれ人間の考えで、何かほかに方法がありますか。考えがあったら言ってもらいたい。現在考えたらこれ以外にないと思ったら、ないと言ってもらいたい。考えられることを言ってごらんなさい。考えられないはずがない。それを聞きたいのであります。
#38
○安達政府委員 もちろん私も、それは十分考えられる案だと思うわけでございますが、(原(茂)委員「そのほかの案を言ってください、ほかにあるなら」と呼ぶ)私は、天然記念物の保護というのは、何よりも自然の状態において保護するということが理想的な姿である。そのためには、そういう駆除対策といいますか、被害を最小限にとどめる対策をまず優先的にやるべきである。そうしてその上におきまして、なお先生の御指摘のような案等も十分考えるべき問題である、かように考えるわけでございます。
#39
○原(茂)委員 いまの私の言っているようなことも考えるべき案であるというなら、まだほかにもありそうな言い方ですが、そのほかにもまだこういう方法がある、こういう案があるということを、当局者だからお考えになって当然だから、それをお聞かせいただきたい。ほかにあるなら聞かせてもらいたい。いま考えられる範囲で一番いい方法は……。
#40
○安達政府委員 先ほど御指摘のございました忌避剤の開発、そういうことで相当数の被害が防げるわけでございまして、それにつきまして国としても財政措置を講ずるとか、そういうことも当然やるべきであると考えるわけでございます。
#41
○原(茂)委員 申し上げている途中で言ったか言わないか、ちょっと覚えてないのですが、忌避剤の使用というものを実際にやってみましたが、実はその効果はほとんど上がったように見られていないのです。やってみましたが、ほとんどその効果らしいものは出ていない。一番いいのは、ニホンカモシカの目の下から出してくる変な液体があるんですね。これをカモシカは、自分の生息しようという、そのなわ張りみたいな木のところへ自分でくっつけるんですよ。ほかのカモシカは、その違ったカモシカの出した液体のにおいをかいで、これはどこかの違うなわ張りだというので寄りつかない。忌避剤の一番いいのは、その目の下から出す液体を固めたものによって木を全部やれば一番理想的なんです。これに類するものをいまつくろうとしてなかなかできないんですよ。
 で、御存じのように、雄雌子供三頭で一年間にどのくらい食うかというと、カモシカというのは約二トンぐらい必要なんですよね。そしてそのなわ張りの広さはどのくらいかというと、一つの沢全体をなわ張りにするくらい非常に広い範囲のなわ張りがないと、冬二トンの食糧というのはないわけですね。ということになりますと、この忌避剤というものをつくるのが困難だし、実際にやってみたんですが、どうも効果がないことはもうある程度実証されたわけです。効果が顕著にあらわれているのは、いまのポリエステルの網袋が一番効果があったということなんで、そのことはそのことで研究もするし、やっていけばよろしい。
 いまくしくもおっしゃったように、財政の問題からいっても、手間の問題からいっても、なかなかこれは大変なことです、どっちをやるにしても。これは、いままでの実験からいっても膨大な金が要るんですよ。ニホンカモシカ保護のためにそれだけの予算がこれから出せるかというと、理想的な予算の支出というのは非常に困難。したがって、国だけでめんどうが見られないから自治体も持ちなさい、民間も持ちなさいというなことになる。そうすると民間、自治体というものは、国が天然記念物に指定をした、えさはおまえたちがめんどうを見ろと言われたのと同じことで、平たく言って、出費をさせられることになるわけでしょう。
 このことが非常に財政的な問題があることがわかっている限り、このことの大まかな計算と同時に、国有林の中の特定地域を指定する自然動物園というようなものを考えたときに、これは私の考えでは、いま考え得る方法としては一番いい方法ではないかというふうに考えているわけです。あなたは、そのほかにも忌避剤を塗ることがいいだろうという一例を言われた。私は、その忌避剤は余り大した効果がないように考えるし、なかなかにこれは大変なことだと思う。したがって、いろいろ考えてきた末に、やはり自然動物園というものが必要だろうと思う。
 で、将来調査をしてから自然動物園というよりは、いま林野庁にもお願いをしたんだが、自然動物園、自然公園というものの地域がいつごろになったら――案をつくろうと思えばできないはずはないんですからできる。そのできるのをできるだけ早く文部省としても進めるように、ひとつ連携をとりながらそうしてそれが進んでいく。片方では調査も十分しながら、いま言った忌避剤もあるだろう、網袋もあるだろう、何もあるだろうというようなことを同時に進めていくようなことでやることが、最大いまやるべき手段だと私は思う。ですから、自然公園、自然動物園というものに対しての積極的な姿勢が、この問題解決のために現在考えられるいい方法としては一つの手段であるのですから、これも積極的に推進するということにしない限り、やはりおくれて仕方がない、だめだと思う。
 そういう意味から、これは大臣に、自然動物園という、いま私と長官との間で話をしたことをお聞きになって、やはりこういう方向に対する強い推進を決意していただかないと――調査した結果、自然公園、自然動物園というものは要らなくなりましたというようなことにはならないと私は思う。しかし、念には念を押して調査をすることはいいんですが、現在必要だということに後でなってからやるんでなくて、自然公園を設定するならどこだというような作業もどんどん進めて、文化庁、林野庁が環境庁と一緒に連携をとりながら、現在考えられる一番いいと思う方法に関しては、やはりこれも推進できるような準備をすぐにやりますというような決意が大臣としてあって、それを推進していただくようにお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
#42
○安達政府委員 大臣からお答えいたします前に一言申し上げたいと思いますが、先ほど、忌避剤につきましての効果がなかったというお話がございました。これは聞いてみますると、野ウサギについての忌避剤を試みに使用したということでございまして、やはりカモシカに対する忌避剤をぜひ開発すべきであるということで私申し上げたつもりでございます。これが第一点でございます。
 それから、いまお話しのございました自然公園の中におけるカモシカの保護というようなことにつきまして、これは私どもといたしましても、御指摘のとおり、カモシカの問題は調査でじんぜん日を送るべきものではございませんので、これは早速ひとつ関係省庁と相談をし、また研究を開始したい、前向きに検討していきたい、かように考えていることを申し上げさせていただきたいと思います。
#43
○永井国務大臣 自然公園の問題は、いま文化庁の長官が申し上げたとおりでございまして、文部省だけでできることではありませんから、関係省庁との協議が必要と思いますが、一つの解決方法として私たち検討に努力をしていきたいと思います。
#44
○原(茂)委員 次いで、ユースホステルの問題についてお伺いをしたいと思います。
 青少年のための清潔な宿舎をと、これがユースホステルの大きな設立の目的なわけであります。現在、ユースホステルが文部省直轄というか、民間約五百八十カ所ぐらいありますものに関しては、文部省が多少の補助をしながら日本ユース・ホステル協会との間で、この運営に対する指導なり監督なりをやっておいでになる。運輸省が地方自治体営その他、あるいは国営が一カ所ありますが、大体八十カ所前後のものを見ているという状況でございますが、きょうは、その民間約五百八十カ所のユースホステルの現況についてお伺いをしたいと思うわけであります。
 ユースホステルの看板をかけている宿舎が経営されている反面、ユース・ホステル協会の認定といいますか、会員でない施設、たとえば京都の右京区における桂ユースホステルですか、これらのごときは、四十八年の何月かに一度認可を受けながら、三カ月後には、どうも利用者のいろいろな投書その他があって取り消しをしているというような、日本ユース・ホステル協会あるいは京都ユース・ホステル協会あるいは東京ユース・ホステル協会という協会の正式会員でないものが、いまどのくらいありますか。
#45
○諸沢政府委員 お答えします。
 ただいま御指摘のように、ユース・ホステル協会の直営ないしは契約をいたしましたユースホステルは五百八十あるわけでございますが、いま御指摘のように、普通の宿泊所でありまして、ユース・ホステル協会と直接関係がないような施設でありながらユースホステルという名称を使うことは、これは道義上はともかく、法律上は制約がないわけでございますから、御指摘の事例のごときものがあろうかと思うのでございますが、その数が幾つかというようなことにつきましては、私どもは現在調査いたしておりません。
#46
○原(茂)委員 ユース・ホステル協会、ユースホステルというものが運営されている趣旨からいって、その会員でない、ある意味では協会が認めていない、それが全く同じユースホステルという看板をかけて使っていることは、好ましいことですか、好ましくないことですか。
#47
○諸沢政府委員 その施設がユースホテルのおっしゃるような目的に奉仕するものでないのにそういう名称を使うことは、私は好ましいことだとは思っておりません。
#48
○原(茂)委員 中身がユースホステルの趣旨に沿った、あるいは設備にしても運用、経営の仕方にしてもペアレントの資格にしても、まあまあ他の、協会員であるユースホステルと同じように、落ちていないということになれば、ユースホステルという看板をかけていても、これは好ましい、こうお考えになりますか。
#49
○諸沢政府委員 もちろん、その中身がユース・ホステル協会が定めるような施設設備の基準に合致し、あるいはペアレントといわれるお世話をする方がりっぱな人物であるということであれば、実質的にそれは好ましくないということは言えないかと思いますけれども、一般論としては、無制約にそういうことを放置することは、そういう施設があることは、やはり望ましいことではなかろうと思うわけでございます。
#50
○原(茂)委員 このユースホステルに対しては準拠法みたいなものは何もないのですか、施行令なり何なり何か――運輸省の側で言いますと、これは観光部みたいな観光の側、一般旅館その他を考えると同じような立場で考えているらしいんですね。文部省の場合には体育スポーツという観点からこれをとらえているというか接触をしているということになって、そこにもちょっと違いがあるんですね。この違いはなぜなんでしょうね。地方公共団体あるいはまた大津に国営のやつが一カ所ありますね、こういうものの考え方、それから文部省が考えている考え方。ユースホステルというもの、これは国際的なルールがあって運営されているのですから、そのユースホステルに対して、日本では何か根拠法らしいものが何もないということになるのでしょうか。何かあるのか、それをちょっと……。
#51
○諸沢政府委員 私の承知いたしております限りでは、ユースホステル運動というものはヨーロッパに起こった青少年の野外活動運動でございますから、それを日本の民間において取り上げまして、これの中核となるのが、現在、財団法人日本ユース・ホステル協会でございます。したがいまして、その活動自体を規制するような法的なものは何もございません。
 なお、文部省と運輸省の関係はどうかという御質問でございますけれども、この法人の目的というところを読みますと、要するに、青少年に簡素な野外旅行運動をさせまして、その運動を通じて各地の風物、文化、産業、地理、歴史というようなものについて知識を深め、団体行動の規律やよき日常生活の習慣を養うことを目的とするんだという趣旨でございますので、大筋といたしましては文部省所管の法人としてこれを認可しておるわけでございますが、いま申しましたように、各地を旅行しいろいろな知識を集めるという意味で運輸省の観光行政の一端にも関連をしてくる、こういうことではなかろうかと思うわけでございます。
#52
○原(茂)委員 これは余り多く申し上げる時間がないようですから、大臣に簡単にお答えをいただきたいのですが、いままでやりとりしましたように、ユースホステルというものが、言われた趣旨によって運営をされている。しかも国内を見ますと、運輸省の管轄で言うと正式な財団法人何々の会員、文部省で言うといわゆる多少の補助を行っている日本ユース・ホステル協会の参加会員という、その会員と、会員でないユースホステルがあって、利用者、ホステラーの側から言うなら、これは本当に会員なのか、正規に認められたものなのかそうでないのかが全然わからない。看板は会員であると全く同じような、桂何とかあるいは原何とかいうように勝手にくっつけて看板をかけている。利用者から言ったら全然わからない。利用者といっても、会員制度をとっている、全国で約六十万人の利用者がある。その利用者ですら、日本ユース・ホステル協会の会員の経営なのかそうでないのかが全然わかっていない。ですから、正式に認められないようなものがユースホステルの看板を、正式のと全然違わない看板をかけて経営しているために、そこへ宿泊し、利用をする人は、先ほどは逆のことを言いましたが、質の悪い、あるいは本来のユースホステルの運動に適当していない運用の内容をやっているような場所で、知らないで利用をさせられているということが現に行われているのですよ。このことはいいことじゃないと私は思うのです。しかし、根拠法がないのです。ただ、日本ユース・ホステル協会に入っている約五百八十の会員全体に対してだけはわずか二、三百万円ぐらいの補助をしているという程度で、金額からは大したことはないのですが、その補助を受けている協会であるということによって格づけができる、資格が認められている。全然その傘下にない、資格を認められていないものが同じ看板をかけてやっていることに対しては、何かの整理をしなければいけないと思う。どういう方法があるかは私はわかりません。しかし、文部省としては何らかの措置を講じ、整理ができるようにいたしますという方針がぴしっと確立をされて、早期に整理さるべき問題だろう、こう思いますが、大臣いかがですか。
#53
○永井国務大臣 先生おっしゃいますように、私も、正規のユースホステルでないところがユースホステルの看板をかけてやっているということは、望ましくないと思います。ただ、これを法的に罰することはなかなかむずかしいのだと思います。たまたま私の親戚の人間で非常にユースホステル好きの者がおりまして、絶対ユースホステルばかり使っているのですけれども、そういう人たちの話を聞いておりますと、ここに持ってきておりますが、ユースホステルをしょっちゅう使っている連中は、ユースホステルの全国一覧表というのがありますし、ユースホステルの方で出している新聞がありますし、使いなれてきますと、一覧表を見ればすぐわかるし、旅行計画なんかも非常に立てやすいのでございます。でありますから、どちらかと言えば、実際的な方法としては、そういう人は相当ふえてきているようですから、本来のユースホステルの広報活動を、いまもやっておりますが、積極的に盛んにして、それの利用者に周知徹底させていくようにする、そうすれば、そうでないユースホステルが看板をかけてやっていくことは非常にやりにくくなっていく、そういうふうな形が、いま先生が言われましたような問題に対処する方法としては妥当なんではなかろうかと考えております。
#54
○原(茂)委員 大臣のおっしゃるリストもここにあります。そのとおりです。私のおいっこも好きで歩いています。そこできょうも御質問したのですが、そうでなくて、知らずに、こんなものを一々見ないで利用するのがいるのですね、おっちょこちょいが。これは、それが悪いんだというのではなくて、何らかの措置を講ずるということが研究されなければいけないと思いますよ。正式の会員でないものが同じ看板をかけていいというようなことでほうっておいてはいけないように思う。現にそれがあるのですから、問題が起きないうちにこれに対して何らかの措置を講ずる検討をしてもらわなければいけないと思うのですが、その点もう一度どうですか。
#55
○永井国務大臣 先生のおいの方も非常に利用者だそうですが、メンバーになっておりますね、メンバー制ですから、そっちの方を強めていく。先生がおっしゃいますのは、そうでない人が利用していくときどうするかということなんですが、私も直ちに名案がないのです。少し考えさせていただきたい。実際問題としては、学生や何かで話をしている連中でユースホステルを利用している人たちは、これはだんだんお互いに知り合ってきていると思います。確かにおっしゃる問題があるのですが、さしあたって名案がありませんので、大変恐縮ですけれども、検討課題にさせていただきたいと思います。
#56
○原(茂)委員 次に、第二国立劇場の建設についてお伺いします。
 四十七年度以降予算がある程度ついているはずですが、今年度までの予算を簡単に……。
#57
○安達政府委員 第二国立劇場の関連の予算は四十六年度から計上されておりまして、四十六年度が設立準備協議会、資料収集及び調査というので百五十八万円、四十七年度は同じ項目で五百四十六万円、四十八年度も同じ項目で六百九万円でございますが、四十九年度はさらに基本計画が加わりまして千二百五十六万円、五十年度は二千二百八十万円となっております。
#58
○原(茂)委員 四十九年度から基本計画に入ったということになりますが、現在、基本計画ができたのですか、基本構想ができたのですか。基本計画ができて基本設計がその次にできるんだろうと思うのですが、基本設計まで行っているのでしょうか。時間の関係で簡単に言いますが、基本計画、基本設計を一緒にひっくるめて、何といっても一番大事なのは土地だ。土地の選定がむずかしい、土地がない、したがって基本計画、基本設計ができない。したがって、基本構想というような言葉でいまのところ何となく逃げているというように聞いていますが、その状況の真相を言ってください。
#59
○安達政府委員 基本構想、基本計画というものも中身が必ずしも明快でないところがございますが、要するに基本的な考え方と基本計画が具体的なものになるためには、その敷地というものが一つの前提になりました上で基本計画というものが出てくるだろうと思うわけでございます。そこで、四十九年度は基本計画になっておりますけれども、基本構想的な基本計画であった。そして五十年度におきましても引き続き、そういう意味での基本構想的な基本計画を練っておる、こういうようにお答えせざるを得ないと思うわけでございます。
#60
○原(茂)委員 いまの基本計画に四十九年から移っていきますと、全体の予算、建設費というのは、土地は外してどのくらいかかりそうなんですか。
 それからもう一つ、大体の骨組みの構想はできているのでしょうね。オペラハウスだとか何だとか、演劇も入れるとか入れないとかというような、三つなり四つなりに分けた骨組みぐらいはできているのかどうか。二つ目ですね。
 それから、いつごろまでに本当の基本設計というものができそうか。すなわち、土地の選定もある程度やり始めているのか、皆目わからないでいるのか、ある程度どこかに目をつけて考えているんだとかいうのを、三つに分けてずばりお答えいただきたい。
#61
○安達政府委員 まず第一番目に、第二国立劇場の中身と申しますか、その劇場の内容及び規模というようなものにつきましての考え方は、一応基本構想の事業専門委員会等が検討をいたしておりますが、その段階におきましては、劇場の一つの群とそれから養成施設の群それから舞台芸術の情報センター、大きく分けまして三つでございまして、劇場群としてまず考えなければならないことは、たとえば入場者数二千人程度の収容できるオペラ、バレー、現代舞踊のための大ホール、それから音楽の演奏のためのコンサートホール、それから主として現代演劇のための中劇場。コンサートホールとしては二千五百人くらい、それから現代演劇のための中劇場としては千人程度を入れるようなものが欲しい。その他それに付帯するところのけいこ場とか倉庫とか、そういうようなものを含めたものをひとつ考えたい。それから、先ほど申しました、そのほかに芸術家の養成施設、それから舞台芸術情報センター、こういうようなものを一応の基本の考え方に置いておるというところが第一点でございます。
 それから、この敷地の問題につきましては、すでに四十九年度もまた五十年度におきましても、その敷地等につきましてのいろいろな検討を続けておるというところでございまして、そういうある程度敷地の見通しが出ました段階におきまして基本設計というような段階に入り、そして実施設計、工事施行というように進みたいということで考えておるわけでございます。
#62
○原(茂)委員 わかりました。
 最後に一つお伺いしたいが、結局は五十五年ごろにはこれをつくり上げたいという目標になりますか。
#63
○安達政府委員 敷地の問題、予算の問題等もございますけれども、私どもといたしましては五十五年くらいにはという一つの目標を置いて努力をいたしておるところでございます。
#64
○原(茂)委員 次にお伺いしたいのは、たとえばこの間、明治学院大学で、重度重複身障者の新しい入学に対して、昼間三名、夜間一名あって、なおかつ、その後学部としても、とてもじゃないがいろいろな意味で費用の負担がやっていけない、めんどう見切れないというので、実際には試験は受けたけれども一人も入れなかった。成績が合格点ではなかったという理由ですが、それまで二年間やってきた聴講生についても、とにかくこれはもう受け入れられないというようなことで、支援学生グループのハンストがあったりなんかしていろいろ大騒ぎをいたしましたが、結果的にはどうも明治学院大学も、重度重複身障者などの車いすによる学生の勉学の道を断つというようなことになりそうだし、いまなりつつあると思います。
 これは、現段階におけるわが国の弱者と言ってはあれですが、政治の大きな眼目である問題の一つとして、慎重に考えなければいけない問題だと思うのです。数が少ないからいいやというような問題ではない。この道が開ければ、この種の学生がもっともっと勉学の府に入ることができる、したい、こう思っていながらなかなかに受け入れるところがないという、明治学院大学の例を一つ申し上げたのですが、このような状態が、他の官公立あるいは私立の学校を問わず、現在どういう趨勢にあるのか。あるいは今後、明治学院大学の例で言いますならば、ある種の国の思い切った助成を特別に行ってでもこういう問題の打開を行って、これらの人々に対するいわゆる勉学の道をつけていってやるという方針をとるべきだと思いますが、そういうことをお考えになれないかどうかという三つに分けた、ひとつ現状とあるいは公私立両方の全体の趨勢と、それから今後の方針、その問題の三つ目については大臣の方針もお伺いをいたしたい、こう考えて質問します。
#65
○井内政府委員 ただいま、重度身障者の大学におきます勉学をめぐりまして起こっております件に関連いたしましてお尋ねが幾つかございましたが、まず最初に、身体に障害のございます身体障害者の方の大学進学の問題につきましての全般的な状況を私から御報告をさせていただきます。
 身体障害者の大学進学につきましては、大学の入学、その能力、適性に応じた学部等への進学の機会をあくまでも広げていくというのが基本的観点であろうということで、受験の機会を確保するように、入学者選抜の際におきます要領を国公私立大学に文部省から毎年指導通達を出しておるのでございますが、この点を特に最近明記するようにいたしまして、各大学におきましてもその方向に沿いました配慮が漸次検討され、実施に移されておると承知いたしております。
 昭和四十九年度の入試におきまして、四年制の昼間部に入学を許されまして進学をいたしました身体障害者の状況をちょっと申し上げますと、四十九年入試における四年制大学昼間部の身体障害者の入学者数は、国立におきまして盲者、聾者、肢体不自由者三十八名、公立におきまして肢体不自由者二十名、私立におきまして盲者、聾者、肢体不自由者二百七十一名、計三百二十九名が、四年制の昼間部に入学を許可され、入学をいたした総数と相なっております。
 文部省が直接責任を持っております国立大学の状況で申しますと、最近のこの問題に対します状況にかんがみまして、四十九年から――身体に障害のおる人の受験の際には、入学試験の経費そのものが通常よりもかさむ面がございます。入学試験経費並びに学生を教育いたします場合の学生教育経費につきまして、四十九年からある措置を講ずるようにいたしました。
 さらに国立大学の場合、受け入れました身体障害者の方々を教育するに当たりましては、施設設備の面等におきますある配慮がどうしても必要になります。これも先生御案内のように、大学学部、学科によりましてそれぞれ状況も異なっておりますので、それぞれの大学の学部、学科の方針によるわけでございますが、身体障害者を受け入れました大学学部、学科から施設設備の面につきましての特別な配慮方の要請が文部省にございます。それで、国立大学では、いま東北大学が一番その点はいろいろな配慮をしてくれておるのですが、具体例で申しますと、やはり図書館等の利用の際におきますスロープの問題でありますとか、あるいはエレベーターの問題でありますとか、それからトイレの問題でありますとか、そういう施設設備の面等におきます配慮も個々具体の大学の御相談に応じまして、予算の執行上の配慮を国立大学ではいたしておるところでございます。
 それで、身体障害者の各大学への受け入れにつきましては、学部、学科の教育内容、障害の種類、程度、教育研究条件の整備状況等を総合的に考慮して判断を各大学でまずはやっていただくということに相なりますので、一律にこれを措置し、対処するということは非常にむずかしいのでございますが、四十九年以降この点につきまして、現在、国立大学で組織しております国大協の自主的な検討もいま促進をしてもらっておりまして、身体障害者の大学進学の機会を広げていくという観点に立ちまして、ただいま文部省といたしましては具体の問題に即しながら検討を進めておる、これが全般的な状況でございます。
 なお、明治学院大学の重度身障者をめぐる問題につきましては、ただいま先生御指摘のように、聴講生の方の問題が具体の問題と相なったようでございます。それで、その聴講生をめぐりましていろいろな問題が起こり、大学当局との間におきましてもむずかしい問題も存在してきておるようでございますが、五十年度、大学といたしましては、受講許可申し込みがあったのでございますが、教授会、理事会でもいろいろと検討をいたした結果、現在の明治学院大学ではどうも十分な対応が責任を持ってできないということで、聴講生としての許可をいたさなかったようでございます。
 なお、明治学院大学としましては、この問題に関しまして全学的な委員会を設けまして今後の対応策を検討されておるようです。
 それで、盲人学生が現在、全学で五人在学をしておられるようでございまして、五十年度からは入試の際も点字によって受験させるというような配慮をしておられたようでございますが、五十年度は三人受験をして合格者がなかった、こういうふうに明治学院大学からは報告を聞いております。
 国立大学の場合、公私立大学の場合、私どもも対応の仕方にどうしても若干ずれが出てくる点はまことに恐縮なんですが、全般的方向といたしましては、先ほども申しましたように、国公私立大学全体を通じまして、こういう方々に対する、まずは入試のチャンスをできるだけ広げるようにしたらどうかという全般的な方向を示し、国立大学につきましては、ただいま国大協ともその点についての検討を取り進めておる。
 全般状況につきまして、私から以上答えさせていただきます。
#66
○永井国務大臣 この種の問題に対して文部省としてどう考えるかという先生の御質疑でございますが、私は、実は大学に限らず、特殊教育というものの充実はきわめて重要であると思っております。一国の教育が本当に充実しているかどうかということの一つの物差しは、特殊教育というものが十分に行われているかどうかということであろうかと思います。そういう観点から、小中の段階においては義務化を目指して長期計画で進んできております。
 そこで問題は、いま先生が御提示になりました大学のところに来ているわけでございますが、一般的状況は大学局長が申し上げたとおりでございます。
 私たちとしては、政策の基本原則としては、国公私の別を問わず、こうした障害を持っておられる方が十分に学習ができるように、そしてそういうふうなものの財政的な裏づけを、特に国立においては考えてきているということでございますが、これは強化しなければいけない方向であろうと考えております。たまたま明治学院大学の場合には私学でございまして、私学の問題をどうしたらよろしいかということが検討課題として残っておりますが、こういうことは、私たち自身、国公私全体にわたって行われるべきことであると考えますから、十分前向きに政策の原則を生かすように、この問題というものには、入学試験だけでなく、その後の学習というものもしやすい状況をつくるように努力したいと考えております。
#67
○原(茂)委員 終わります。
#68
○井原委員長 庄司幸助君。
#69
○庄司委員 先ほど唐沢委員から、国立大学の問題につきましていろいろ御質問があったわけですが、それに対する文部当局の答弁について、関連質問したいと思います。
 これは、私が通告した旅費問題とも関連がありますのでお聞き願いたいと思いますが、あの問題がいろいろな新聞に書かれましたが、大変遺憾な事態だと私も思っております。また、これは私だけじゃなくて、あの新聞が出てから、やはり相当広範な科学者の間、研究者の間であの問題が問題になっております。これは、天文台の係長さんの汚職問題とかあるいはやみ受託研究で、何か新聞報道によりますと生活費に使ったとか、そういう問題は別として、一つは、正常な国際会議の出張ですね、何かこれが冷遇されているような節も聞いておるわけです。その辺の一つの事例として、東大の原子核研究所の問題を取り上げてみたいと思うのです。
 それで、これは官房長に伺いますが、先ほどの御答弁で、目下調査中であるというお話でしたが、これは警察庁も名前をわざわざ隠しているわけですから、名前については、私もそのような趣旨で、ここではせんさくしないことにします。それで、新聞によりますと、何か、東大原子核研究所のA研究者というのがありますが、その方が、いわゆる架空伝票でお金をつくってプールしておいて、研究費や国際会議に出張に使った、こういうことが報道されております。その研究費というのは、新聞によりますと何か計算機を買ったと言われておるようでありますし、国際会議にも出張した、こう言われておりますが、その辺、何に使ったのか、もしおわかりなら御答弁願いたいと思います。
#70
○清水政府委員 ただいまの点でございますが、現在私どもが承知しておりますところでは、先生いま申し上げられましたように、また、先ほど唐沢先生にお答えいたしましたように、研究費それから国際会議の出席旅費、この程度以上に私ども、現在のところ承知をいたしておりません。
 そういうことにつきまして、先ほども申し上げましたように、東大当局に対しまして、大学自体としてまず調査をしていただきたい、こういうことを通達をもっていま督励をしておる、こういう最中でございます。
#71
○庄司委員 これも新聞の報道ですが、その方がこういうことを述べられている。国の研究費が足りない、研究したさの一心で、国に返納すべき研究費の一部を架空伝票でブールした。その中身として、これも新聞の報道ですが、外国大学の研究講義のため自費出張した、このため使った、それから計算機を買った、それからもう一つは、アメリカの国際学会の旅費に使った、残余は預金してある、こういうふうに新聞には報道されております。
 唐沢委員は、非常に空虚な言いわけに感ずる、こう言われたようでありますが、私は、新聞の字づらだけで見ますと、日本の科学者の惨めさを感ずるわけですね。その意味で空虚という言葉は当たるかもしれません。その点で、ひとつどういう経過でこういうふうな事態になったのか、その辺御答弁願いたいと思うのです。
#72
○清水政府委員 いろいろなそういう背景の問題であろうと思うわけでございますが、一つは、もちろん研究者個人のモラルの問題、それからまた大学という、研究所という組織の問題としまして、そこに会計経理上のチェックシステム、納品等の確認とかそういうようなチェックシステムの現実の履行の問題点があろうと思うわけでございます。
 なお、私ども行政当局として考えなければなりませんのは、この研究費あるいは教官の旅費等につきまして努力はいたしておりますが、なおまだそういう点につきまして努力を重ねて、研究条件の改善、充実に努めなければならぬ、こういうことを背景として感じるわけでございます。
#73
○庄司委員 東大原子核研究所、これは同じ学内で、二月二日の新聞によりますと、何かそこにいらした方が大変な世界的な発見をなさった。これは新しい物理学への道を聞くものだというような見出しが出ておりますが、ただ、中身を言いますとお名前が出ますから言いませんけれども、そういうすぐれた方もいらっしゃるようなんですね。この事件に該当するAという方はどういう方か、私もわかりませんが、こういった人の国内的な評価や国際的な評価はどうなんでしょうか。
#74
○清水政府委員 その点、私自身からお答えしますよりも、学術国際局の審議官が詳しゅうございますので、お許しいただきたいと存じます。
#75
○笠木説明員 ただいまの件につきましては、個別の業績の内容につきまして申し上げること自体が、先生御指摘のように、具体的にその人物を指すということになる可能性もございますので、それは差し控えさせていただきまして、一般的な御説明という形で申し上げたいと思います。
 いまのお話にございました教授の方などを含めまして、日本の大学の研究者の中には、世界的な知見の発見等、国際的にも大変名声のある研究者が何人もおられるわけでございます。ただいまの該当の教授の方もそのお一人というふうに見て差し支えないと思っております。
#76
○庄司委員 それで、二月二日の朝日新聞を見ますと、ある学者は大変な発見をなすった。その場合、発見するに当たって、国内でも確かに発見した。だけれどもこれ一事例にすぎないため、国際的な評価を受けるに至っていない。つまり、国際的な学界での評価を受けていない。そのため、アメリカのシカゴにありますフェルミの研究所の加速器を使って実験なすった。そして日本に持ち帰って、博士課程の方がその実験データを分析してみたら、まさしく世界的な大発見だったということになったのですね。それで、中村誠太郎さんという日大の教授が、この発見については新しい物理学を切り開く可能性がある、こうおっしゃっているわけです。
 それで、これはフェルミの研究所に行かないと、優秀な能力がありながら世界的な検証を受けられないという事態が日本にあるようですが、これはやっぱり国内ではどうしてもできない問題なんですか。この加速器の問題。
#77
○笠木説明員 ただいま御指摘のアメリカのフェルミ研究所の加速器は、いわゆる巨大加速器でございまして、エネルギーにつきましては世界で第一級の規模のものというふうに了解しておるわけでございます。現在日本では、たとえば筑波にございます高エネルギー物理学研究所で日本における最大規模の加速器を建設中でございますが、それができましても、なおそういう国際的に第一級の規模の加速器というところまでにはまいりません。したがいまして、この種の大加速器を使いましての実験研究ということになりますと、これはただいまお話しになっておられます該当の教授のほかにも、他の大学からも共同研究なり共同実験でアメリカの加速器、場合によりましてはヨーロッパにございますCERNというところの国際連合の経営しております研究所の加速器を使って実験をやるという例は、ほかにも多々ございます。
 しからば、日本でそれ自体の大加速器をさらにつくるかどうかという問題でございますが、この点につきましては、御案内のとおり、大変巨額な予算を要しますことと、それから研究者、技術者の厚い層を要するということなどがございますので、将来問題としては当然検討さるべき問題でございますが、ただいまの段階ではそういう巨大な加速器を使いましての実験研究につきましては、海外の装置を利用するというのが現状でございます。
#78
○庄司委員 そうすると、これは海外に行かないと実験できないということになりますね、巨大加速器を使う場合。これに対して海外派遣旅費、これは昭和四十八年ごろの事例のようですが、海外研究旅費は当該学者に対して出ていたのですか。
#79
○笠木説明員 ただいまの該当の方につきまして、四十八年当時海外の出張に対しましての御要請があり、それに対して予算措置をしたかどうかということにつきましては、ただいま調査中でございますので、具体的な案件については現在お答えすべき材料がございません。
#80
○庄司委員 それから、外国から講義を頼まれた、それから研究も進めたかった――これは別な人かもしれませんが、こういう旅費は出たのですか。今度はA研究者の場合。
#81
○笠木説明員 この点につきましても、先ほどお答え申し上げましたと同様でございまして、現在調査中でございます。
#82
○庄司委員 経常研究費、これは当たり校費から出るわけですね。経常研究費で海外旅費は出る仕掛けになっているのですか。経常研究費の旅費の積算の根拠、これをひとつお知らせ願いたいと思います。
#83
○笠木説明員 ただいま御指摘になりました経常研究費としての教官当たり積算校費には、いわゆる海外旅費の経常部分はございません。海外へ研究者が出ます場合の予算措置といたしましては、いろいろございますが、たとえば、いわゆる在外研究員経費というふうなもの、それから国際研究集会に対する派遣旅費というふうなものがございます。そのほか研究所につきましては、たとえば海外において特別な調査なり実験をいたします場合の経費をその都度事業に即応して計上するということにしてございます。
#84
○庄司委員 私が伺ったのは、経常研究費で海外旅費は出ないのだという点を明らかにしてもらいたかったわけです。これは積算の根拠にないのですね。
 これはおたくの方から聞いた話ですが、たとえば講座制の教授の場合だと積算が一年間八万四千五百九十円だ、それから学科ですと七万一千円だとか、これは昭和三十年ごろに、学会が年に二回ぐらいあるだろうということが莫然たる根拠になって、それに旅費法の改正が年々歳々あって上積みされていって、いまのようなかっこうになっていると伺ったわけです。どうも、一応新聞情報ですが、受託研究でもなかったようだ、このAという方の場合は。それから、受託研究じゃなくて、一般のいわゆる積算校費の研究費であったということになると、この研究では海外出張はできないような研究費だということになっちゃうのですね。こういう問題点が一つあるんじゃないかな、こう思うのですが、文部大臣、こういう点どう思われますか。
#85
○永井国務大臣 私も国立大学に長くおりまして、そして何回も海外出張をいたしておりますから、この種の問題についていろいろ考えてまいっております。
 いま当該の先生の問題を出されておりますが、私は、当該の先生の問題と、それから先生がいまお尋ねになっております全体的な予算の編成の問題というのを一応切り離して考える方が、かえってわかりやすいのではなかろうかと思っております。
 当該の先生の問題につきましては、これはよく事情を調べませんと、具体的な事柄でございますから、なかなか明快なことはこの段階では申し上げかねるのではないかと思います。しかしながら、一般的に申しまして、一般的な話として先生が問題を提起していらっしゃるというふうに私理解させていただきますといたしますと、これは講座当たり研究積算あるいはその中の旅費の問題、それから海外派遣、国際学会、出張、その種の問題につきましては、確かにわが国は非常におくれておりまして、つらい時期が長かったわけでございますが、これは先生も御案内のとおり、次第にこれが増額されてまいりました。また、その海外出張の場合に、いろいろな形で海外出張の費用というものをめんどうを見るということも可能になってきております。
 そこで、私は今後ともに、もちろん、いい仕事をされる先生方には、国内の学会のための旅行であるとかあるいは調査、さらにまた外国において研究に従事されるあるいは講義をする、学会に出られる、こういうことのための財政的な裏づけというものを改善していく努力は大いに重ねていかなければならない問題であると考えております。また、そういう方向で進んできておりますが、確かにおっしゃいますようにこれは足りない面もありますから、こういう点を、どこが財政的な政策として不適当なところか、また、どこが比較的伸ばしやすいところか、こういうことは十分研究していかなければいけないと思っております。ただ、それを当該の先生の問題とは一応別個に考えていくべきではなかろうか。特に現在の段階では、そういうふうにしてこの問題を検討させていただきたいと考えております。
#86
○庄司委員 私も、これは当該の先生の問題と別個に考える、これは結構だと思うのです。
 それで、大臣もおっしゃったし、それから官房長もおっしゃったわけですが、研究費や旅費改善の努力、これが努力はしていたのだが、まだやはり追いつかない、そういう点で研究条件の改善、これは一生懸命努力するという御答弁もあったのですが、今後どういうふうに改善していくか、ここが大事な点だろうと思うのですね。
 それで、少し具体的な問題を伺いますが、国際会議の旅費、これは四十七年、八年、九年、五十年度、これは予算ですね、それぞれの年度ごとに、こういう国際会議が何回ぐらい開かれて、日本から一体何人ぐらい参加したのか、これはいまおわかりならお答え願いたいし、わからないなら調べて、後で資料としてひとつ提供してもらいたいと思うのですが、御答弁を願います。
#87
○笠木説明員 まず、昭和五十年度予算での計上の状況につきまして申し上げまして、あと手元にあります限り、過年度にわたりまして御説明を申し上げます。
 昭和五十年度におきましては、わが国の国立大学が中心でございますが、その他の大学の者も若干含めまして派遣総数に対しましての文部省関係の予算措置は、おおむね千三百人程度を海外に派遣できる経費を用意しているわけでございます。金額で申し上げますと、四十九年度の実情から比べまして約四割近くの増、人数で二百人程度の増を実現しているわけでございます。
 それから、過年度につきましていま手元にございます数字で申し上げますと、四十七年度におきましては、派遣の予算上の人員の数は約五百人でございます。四十八年度が約六百人、四十九年度が約八百人というふうな経路で進んでいるわけでございまして、このほかに共同研究等で参加いたします者が海外に出てまいりますケースもございますので、実勢はこれを上回る状況ということが実情でございます。
#88
○庄司委員 いまのは文部省直轄の海外派遣旅費ですね。四十七年五百人、八年六百人、九年八百人、こう実績があったわけですが、これに対して、いわゆる希望者といいますか、そういう方はそれぞれ何人ぐらいあったのですかね。
#89
○笠木説明員 ただいま、申請の件数につきまして正確な材料を手元に持っておりませんので、大変恐縮でございますが私の記憶で申し上げさせていただきますと、事項によりましてやや違っておりますけれども、たとえば国際研究集会に対しましての派遣要請というようなものは、大体この予算措置の五割から倍までの間ぐらいの申請があるというのが実情でございます。
#90
○庄司委員 これは科研費で出張する場合もありますね。これは何人ぐらいなのかお伺いしたいのですが、時間もございませんので、これはひとつ後から教えていただきたいと思うのです。
 それで、今度お伺いしたいのは、文部省直轄の方は大体わかりましたが、日本学術会議、ここでは四十七年、八年、九年、それから五十年はこれは予算となるでしょうが、それぞれ何人派遣しているか、海外出張しているか、この点ひとつお答え願いたいと思います。
#91
○笠木説明員 日本学術会議は御案内のとおり総理府の所管でございますので、私ども、直接にはそのデータを持っておりません。そういうことでございます。
#92
○庄司委員 文部省はこうやって、年々歳々少しずつふえております。ところが、これに反比例して、日本学術会議からの派遣人数が減ってきているということを私は聞いているわけです。
 これは一例だけ申し上げますが、たとえば学術会議の第四部、これは理学ですが、全体として五十年度は七十人になっちゃったというのですね。学術会議全体です。そのうち四部の理学、これは十一人、さらにそのうち物理は二人だけになっているのですね。これに対して四部の派遣要請は百七十四会議に派遣したい、こういう要請が出ているのですが、これでまいりますと大体十六分の一ぐらいの割りでしか出席できない、これがだんだん、こういう傾向で減ってきたというのですね。そうしますと、この傾向が続くと、日本学術会議が学術会議法に基づいて自主的にしかも公正に、民主的に選んで行ける研究者がだんだん少なくなってくる。これに反して文部省がだんだんふえてくる。ということになると、これはあるいは少し言い過ぎかもしれませんが、文部省、選定の基準はどうなんですか、これは伺わないとわかりませんが、文部省で希望者が出る、申請が出る、それをひとつ派遣しよう、あるいはこれは該当しないという選定基準、これを聞かしてもらいたいのですが、結局、文部省の選定にかなった人だけが今後は海外派遣できるということになりはしないかと恐れているわけです。
 この学術会議が減ってきた問題、私はこれは非常に重要だと思うのです。その点文部大臣、所管は違うだろうと思いますが、しかし日本の科学振興のため、文部大臣は民間出身でございますから、特にこういう点では関心がおありだろうと思うのです。その点でひとつ大臣の所感をお伺いしたいと思います。
#93
○永井国務大臣 ただいま先生が御指摘になりました、学術会議の方の人数が減ってきたということ、それから特に四部の数字をおっしゃったようでございますが、私、実は四部の数字がそうなっているということは、いま伺うまで、よく存じませんでした。これはもちろん総理府の方でお考えになっている学術会議との関連がございますが、そういうふうなことも私たちとしてよく検討させていただきたいと思います。
 ただ、一般的に申しまして、どういうふうにして学者の方に海外に行っていただくかという問題、なかなかむずかしい面が含まれていると思います。それはもちろん、重要な会議があって、その方が学術研究上行かれることが望ましいということで、それがまた日本の学術に貢献する、そういうことが何より基準でなければならないと私は考えております。ただ、その場合にむずかしいとなぜ申し上げたかといいますと、そういうことだけを考えておりますと、いままですでに何回も世界的な会議に行かれた方が繰り返し行かれるようになるという傾向も出てきやすいわけです。そうすると、むしろ若い方で、これまではそれほど活動していないけれども、しかし今後活動されるであろう方にむしろ行っていただくというようなことも工夫しなければいけない。そういう組み合わせの問題というようなものをどう考えていくか。これは私の理解しているところでは、これまでも文部省でいろいろ工夫をこらしてこられたことでありますけれども、今後も、私自身これに当りまして、やはりそういうふうな多角的な検討というものをいたしまして、国費を有効に使うようにしなければならないと考えております。
 ただいま御指摘の、学術会議との関連において文部省の国費というものを有効に生かした方がいいということも、御指摘のとおりでございますから、そうしたことでは各省庁の連絡も必要でございましょうし、そのほか外務省所管の国際交流基金、これは主として日本についての研究、また日本を海外に知らせるということに限定されておりますが、この種の学者の方々を外務省所管の機関から送っているというようなこともあり、その他また、農林省であるとか科学技術庁であるとか、そういうようなところがいろいろ国際的に必要な会議に学者を含めた団体を送るという問題もあり、これはいま世界が学術の分野におきまして、また文化の交流において非常に国際化してきておりますから、私は相当広く、政府でお互いに各省庁連絡をとっていくべきことと考えております。
 ですから、先ほど申し上げましたように、基準というものを十分考えなければいけませんが、その基準の考え方というものも多角的にして、そして各省庁の特色を生かしながら、全体的には日本の文化そしてまた世界の文化の向上に日本人が貢献するという角度から努力すべきものと考えているわけでございます。
#94
○庄司委員 大臣、その点で選定の基準ですが、これは簡単にお答え願えればいいのですが、研究者というのは、いわゆる官庁側の枠とかひもで縛られたのじゃ自由な研究はできないだろうと思うのですよ。その点、せっかく学術会議が設定されておりますから、そういう学者、研究者が集まって自主的に討論なすって、公開の上でやられる、しかも民主的に選ばれる、こういう方向をこの選定の基準に当たって大いに加味していただきたいと思うのですが、これは一言でいいですからお答え願いたいと思います。
#95
○永井国務大臣 まことに先生の御指摘のとおりでございまして、文部省がこの人をピックアップしたり、この人をだめであるというような形でわが国の学術の内容を支配するようなことがあってはならないことは言うまでもございませんし、文部省に限らずどこの省庁もそういうふうな考えを持って臨むべきではないと考えております。学術会議が、そういう意味合いにおいて、民主的な姿で先生方の中からこういう人をというふうにお考えになるのは、大変結構なことだと思います。
 ただ、文部省について申しますと、各国立大学などから御推薦がある場合、これもまた、決して、文部省の方がこの人を送ろうという形ではなく、大学の方から大学における討議を経て出してこられる、この御意向というものを尊重して、私たちは海外の御調査ないしは出張、そうしたものを生かしていくようにしてまいっておりますし、今後も特にそういう点は注意すべきであると考えております。
#96
○庄司委員 それから文部大臣、過般ユネスコの勧告があったはずです。中身は、一定額を国際学術会議出席のためリザーブしなさいといった趣旨の勧告があって、これは文部省は受け入れられたはずですが、この点はどう具体化されておりますかね。
#97
○永井国務大臣 ユネスコ勧告は、あれは各省庁にわたっているような問題を含んでおりますが、文部省に該当いたします問題というものがあり、それは先生の御指摘のとおり、国際的な科学者、学者の活動というものを容易にするようにその条件を整えよということでありますので、これは私たちももちろん尊重して、その勧告の趣旨というものを重んじて政策を進めていく考えでおります。
#98
○庄司委員 これはまあ前のことですから、当然何らかのかっこうで具体化されているだろうと思っていま御質問申し上げたのです。これからの方向を伺ったんじゃなくて、どういうふうに具体化、進んでいるのかという観点での質問だったのですが、どうやら、御答弁の内容ですとこれからのようだというふうにうかがわれます。
 次にお伺いしたいのは、日本学術会議が七期提案といって、これも勧告やっているわけですが、これも科学研究基金をつくって、基金から国際会議に派遣すべきだという提案がなされていると思うのですが、なぜこれが実現しないのか、その辺御答弁願いたいと思います。
#99
○永井国務大臣 まず、先ほどのユネスコの問題でございますが、これは、勧告が出ましたのは昨年でございます。わが国で窓口は、あれは外務省になるわけでございまして、それが整理されまして各省庁でこなしている段階でありまして、そういう意味合いで私は今後に生かしたいということを申し上げたわけであります。
 なおまた、学術会議からの科学基金の問題でございますが、これも一つの考えと思います。
    〔委員長退席、森下委員長代理着席〕
しかし、こうした基金をつくりますにつきましては、いろいろな問題をはらみますから、一つの検討課題として、決して――ですから、まだ、その問題を直ちに取り上げるという段階に到達していないわけでございます。
#100
○庄司委員 これは、ユネスコの勧告や学術会議の提案、ぜひ前向きにひとつ御検討願いたいと思います。これは要望しておきます。
 実は学術会議の問題、きょう総理府出ておりませんから余り論じたくはないのですが、これは閣僚の一人として文部大臣に聞いていてもらいたいのです。
 この昭和五十年度予算の総需要抑制に基づく節約ですね、これが示達されているわけですが、この中で外国旅費、これは二〇%削減の対象になっている。それから委員等の旅費が二〇%削減の対象になっている。それから招聘外国人の滞在費、これは御招待したあれですね、この予算はたったの百九十七万一千円だけなんですね、予算が。これで国際的な学術交流、日本の学者が胸を張ってやれるような予算か、こういうふうに私は痛感するのですよ。こんなお粗末な状況にしておいて、しかも湯川秀樹さんのようなああいうノーベル賞学者も出ているわけですが、非常に貧困な状況の中でいろいろ苦労しながらああいう業績を上げておられる。あるいは新聞報道にある、ある学者のような世界的な研究も、こういう貧困な条件の中からやはり出ているということですね。どれだけ学者の方々が苦労なすっているかという一例になるのじゃないかと思うのです。ぜひ、この問題、ひとつ閣議の際でも総理府長官と話し合われて、日本の学術研究が世界にひけをとらないで、肩を伍して進めていける、その中で研究者や学者が胸を張って研究できる、つまらないことに時間をとられて心配したりしないでやれるようにしてやらないと、日本の科学は発展しないだろうと思うのですね。その点、ひとつ強く御要望申し上げておきます。
 少し結論的なことになりますけれども、実は今度の新聞でいろいろ取りざたされている問題ですね、経理面でやはり不正があってはならない。これは私もそう思います。しかし、研究者が研究に専念できないで、いわゆる外部からの受託研究を受け入れたり、先ほどの御答弁の中で本務から外れるようなことまでやってみたり、あるいは各省庁間の受託研究もあるわけですね。そういう専念ができない状況が客観的にあるのじゃないか。それから経理の面でも、文部大臣は先ほど、のんき者が相当いる。私も大学におりましたから、そういう空気はわかるわけです、これは。たとえば解剖なんかした場合、大抵、清めの式と称して後で一杯やるなんということが、これは通例になっていますね。ところが、そういうものは予算はないんですね。どこかで酒一升買ってきて飲んだなんというのも、これは経理面で何ともできないという実態もあるだろうと思うのです。
 それから今度は、大学院生のいわゆる学会派遣旅費、これは文部省の昨年の通達でだめになった。認められないということになったため、教官が非常に苦労なすっている。若手を育てるといみじくも文部大臣おっしゃいましたが、これはやはり院生ですね、博士過程、修士過程いろいろありますが、そういう人を学会の生の空気に触れさせて育てていくということ、大事なんですね。そのため教官がどういう苦労をしているかというと、飛行機の旅費が出たのを、院生の旅費に充てるために汽車で行く、夜汽車で行く。あるいはホテルに泊るところを夜汽車で行って車中泊で済まして、ホテル分の旅費をもらってこれを院生の旅費に充てるというような苦労をなすっているんです、これは実際。
 それから、この研究費の問題でも、年度末には必ず打ち切られる。継続研究もあるでしょうがね。そういうものが年度末打ち切りだ、何とかかっこうをつけなくてはならないということで、おかしな経理操作をやってみたくなるような気が起きる。それで、経理と教官の間でその辺が、これは長い伝統で意思疎通をしている場合もあるでしょうし、そういうこともあるのです。だから、もしこういう問題まで、今度の事件を契機にしていろいろあばき立てられる。会計検査院が今度はそういう点でウの目タカの目で大学当局を検査していくということになると、もう足がすくんで研究もできないというような、気の弱い学者の気分があるのですね。こんなことでは、日本の研究というのは大変なことになると思うのですよ。経理の不正は不正で、やはりこれは正さなければなりませんけれども、何が学者、研究者をこういう状況に追い込んでいるのかという点も、やはり考えてみなくちゃならない重要な課題じゃないかと思うのですね。
    〔森下委員長代理退席、委員長着席〕
 まあ私は、当該事件については余り触れたくありませんが、しかし、具体的な御答弁の中で処罰もほのめかされたわけですね。実際悪いことをすれば処罰されるのは当然ですから、それはやむを得ませんが、しかし、こういう処罰者を出すような背景が、これは官房長もおっしゃったような背景があるのですね。だから、こういう研究者がその新聞報道にあるような事態に陥っている事態、これはひとつ文部大臣、他人事のように見ちゃならないだろうと思うのですね。やはり身内の問題なんです。私は、文部大臣の任務は、まさにこういう研究者、それがいろいろな繁雑なやりくりなどをやらなくて済むように、このやりくりから解放して、日本の研究者が本来の研究に専念できるような仕組みをつくって、予算的にも、旅費の面でいま申し上げましたが、やはり裏づける、研究費でも裏づける、ここが一番大事な点じゃないかと思うのですね。この事件の反省として、一つは御本人にもモラルの問題で考えてもらうと同時に、やはり文部当局、われわれとしても、この辺の反省が必要じゃないかと思うのですね。そして同時に、日本の科学者が世界の水準に追いつき、追い越していく努力をしている、これをやはり正しく評価して伸ばしていくこと、これが大事な点じゃないかと思うわけです。とにかく、この事件で一番ショックを受けているのは、いわゆるやりくりというと語弊がありますが、のんき坊主でいろいろやってきた方も相当いらっしゃると思うのです、そういう方が一番ショックを受けて、これじゃもううっかり研究もできないと言われる気分が出てくるのが一番こわいわけですね。その点で、いま私るる申し上げましたが、文部大臣から今後の改善方向、処罰処罰とだけ言わないで、こういった実態の奥にあるもの、この点についての文部大臣の考え方、これをひとつ端的にお伺いして、私の質問を終わりたいと思うのです。
#101
○永井国務大臣 まず最初に結論を申し上げますと、先生が御指摘のとおり、わが国の学術を発展させるために行政というものは貢献しなければいけない、これはまことにそのとおりでございまして、私はそういう角度から行政に臨むべきであると考えております。とりわけ旅費あるいは国際的な交流というような問題についてもそのような角度が必要ではないか、これまた、私も同様に考えております。ただ、そのことと、問題をどういうふうに解決していくかという具体的な問題になってまいりますと、幾つかの問題点を生じてくるわけでございます。やはり国民の税金によって賄われているものでございますから、国民の大事なお金を有効に使うべきであるという点におきましては、国立大学と他の機関とを問わず、私たちはまず国民に対して敬意を持たなければいけないと考えております。
 そこで、そういう金の使い方について不当なるものがある、あるいは不適正なものがあるという場合には、これは十分に究明しなければいけない。これは国立大学と否とを問わないものでございます。そして、それが不適正であるという場合に処分というものがあるべきだというふうに私は申し上げました。ただ、誤解を避けるために申し上げておきますが、私は、先ほどから先生御指摘になりました当該具体の件につきまして、処分をした方がいいということをほのめかしたのではございません。そうではなくて、先ほど申し上げたのは、政策の基本的原則としてそうしたやり方を今後進めていくことは必要であろうと申し上げたわけでありまして、この点はちょっと念のために申し添える次第でございます。
 他方、そういう予算の、要するに使途について目を光らすだけではかえって自由を失わしめる、つまり角をためて牛を殺すごときことになってはいけないというお言葉でございますが、まことにそのとおりであると思います。とりわけ大学の場合におきましては、やはり自由に研究をしていくという雰囲気が必要でございますから、そういう角度から予算が使われていくということでなければならないことは申すまでもございません。私も大学におりまして経験がございますから、先生もその点まさに御同意いただけると思いますが、わが国の国立大学の先生の大多数の方々に、不正もなければ不正をしようという気持ちもないわけでございますから、不正について処分をいたしましても、そのことによって身がすくむような方は、私はわが国の国立大学にはほとんどおられないと考えますので、処分の問題が出ても、わが国の学問の自由というふうなものがそれによって濶達な精神を失うどころか、自信に満ちた先生方は堂々として仕事をしていかれるに違いない。私たち文部省は、そういうふうな先生方の自由濶達な精神の後ろ盾となって、国民の税金というものを有効に使って学術を伸ばしていただくように活動いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#102
○庄司委員 終わります。
#103
○井原委員長 坂井弘一君。
#104
○坂井委員 最初に、永井文部大臣、あなたの率直なお考えとして承っておきたいと思いますが、いわゆる学校給食にリジンを添加することの是非の問題であります。具体的な内容につきましては逐次お尋ねするといたしまして、結論から申し上げまして、いわゆる発がん性物質と言われるベンツピレン、これがきわめて微量であるとはいえ、これを将来を担う学童に強制的に摂取させるということ、恐らくや将来において非常に有害なもの、有毒というかこれをはらんでおるという化学物質を与える、これは断じて文部行政の中で、学童の体育向上ということを考える中でとるべき道ではない。百歩譲っても、たとえばリジンを、必須アミノ酸が不足しているからという理由でもって、人為的につくられたこの化学物質、これを摂取させるという行為、これは発想そのものがきわめて非人間的である、こう思うわけであります。少なくとも食品衛生を考える場合に、その栄養性、効率性・効用性、さらには安全性、この三つの点から申しますと、一番重点を置かなければならないのは安全性の問題であろう、私はこのように考えております。文部大臣、いまの私の考え方に対しまして、あなたの率直なお考えをお聞かせください。
#105
○永井国務大臣 学校給食にリンジを用います問題につきまして、まず一番最初に申し上げておかなければいけないのはその事の経緯でございまして、これはWHO、FAOなどの国際機構におきましても、リジンというものを使用いたしますことが子供の栄養の補強のために望ましいという、そういう勧告が出ていて、これは学者の研究に基づいたものであるということでございます。そういう結果、わが国もそうした考え方に立ちまして今日までリジンを使用してまいりましたのは、たん白質を増強する、これがいろいろな効果を生じる、たとえば病気に対する抵抗力を持っている、かような経過を経てリジンを学校給食について用いてまいりました。いまいろいろな問題が起こってまいりますときに、事の始まりの点がともすれば見失われがちでございますが、この点をまず申し上げておきたいわけでございます。
 昨今起こりました問題は、しかしながらということで、リジンというものに悪い結果を伴うのではないかという学者の中からの御指摘があったわけでございます。こうした問題に対処いたします場合に、私たちの考えといたしましては、要点は二つあるかと考えております。
 学者の御指摘でありますから、これは確かに十分検討しなければいけない。そこで、いろいろな研究者、機関、そうしたところにお願いをして研究をしていただいて、果たして安全性という点で問題がないかどうか、このことについていろいろ研究をいたしまして、安全性という点について、まず私たちは、学校給食で用いていくことが、初めに申し上げましたような意味における子供の栄養の補強という原則とのからみ合いにおいて妥当である、こういうことをまず証明するということが一つの課題であります。
 他方は、しかしながら、人々がそのことを十分に理解いたしませんで不安を生じます。不安を生じますというと、これは大事な子供さんの問題でありますから、御父兄が御心配を持たれるということはまことにごもっともなことでありますし、そしてまた文部省のように、全国のお子さん方の安全はもちろんのこと、その体が丈夫になっていくということを考えていかなければならない役所といたしましては、十分に納得のいく御説明をするということが大事なことであろうかと考えております。そういう角度から、私たちは先週二十日に、詳細にわたりまして研究の結果というものを示しまして、そして全国における御父兄の不安を除いていただくために教育委員会を通して各学校への広報をいたした、そういう次第でございます。
#106
○坂井委員 大臣よく御存じと思いますが、アメリカの一九五八年食品添加物法修正には、発がん性が判明した添加物は安全という範疇に入れてはならぬという、いわゆる有名なデラニー条項があります。食品添加物を考える場合に、安全性を第一としなさい、つまり、疑わしきはこれを使用せずというのが私は大原則であるということを申し上げたわけでありまして、いま大臣の御答弁によりますと、安全性の確認がされた、したがって六月の二十日に通達を出した、こういうことでございますが、この安全性は一〇〇%の安全性でなければならぬ、私はそういう見解に立ちます。
 そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、一体いつ、だれが、どの工場に検査に行かれたか。及び、リジンは味の素、それから協和醗酵、この二社でつくられているわけでございますが、そのどの工場をお調べになったのか。同時に、リジンの生産量、このつくられたリジンが学校給食にそのうち数量としてどれだけ、それから輸出がございますが、どの方面にどれだけの輸出があるか、その他国内向け、まずこの三つに分類いたしまして、その生産量、販売量をお教えください。同時に、輸出用のリジンは、御承知のとおり東南アジア等に対して相当量輸出されております。この輸出用のリジンは飼料の添加物として輸出されております。学校給食用のリジンと飼料用のリジンの原料の違いを教えてください。
#107
○永井国務大臣 政府委員から答弁いたします。
#108
○諸沢政府委員 ただいま安全性の問題について御指摘がございましたので、その点からまずお答えをさしていただきたいと思います。
 御指摘のアメリカのデラニー条項の問題でございますが、これは一九五八年に、上院のデラニー議員の提案によって、食品添加物についての法律の修正をしたわけでございますが、確かに「人畜による摂取の結果、がんを誘発することが判明した場合」云々「いかなる添加物も安全とみなすことはできない。」こういたしておるわけでございますが、御指摘のベンツピレンにつきましては、文部省で日本食品添加物分析センターに調査を依頼した結果によりましても、確かにリジンの中に、ごく微量ではありますけれども含まれておるのは事実でございます。しかしながら、このようなベンツピレンの食物に含まれておるという事実は、高橋氏が発表なさいました資料にもありますとおり、その他ホウレンソウであるとかキャベツであるとか、ネギであるとかシイタケであるとかいうような野菜類にも、あるいはかつおぶしやノリのようなものにも相当含まれておるということは事実でございますし、また最近、公衆衛生院の白石氏の発表したところによりましても、リンゴ、バナナ、ミカン等の果物あるいはサケ、するめ、サンマといった魚類にもすべてと言っていいくらい含まれておるわけでありまして、そういう意味におきましては、ベンツピレンの学校給食における安全性との関連ということで言えば、おそよ学校給食において使いますところの献立、それに基づく具体的食品の大部分のものにこれが含まれておると言ってよかろうかと思うのでございまして、そういう意味からいたしますれば、リジンにありますところのベンツピレンは、リジンそのものが八十五グラムの一個のパンに対しまして、その中の〇・二%であり、それのまたコンマ以下のppbということになりますから、量的には、相関関係において考えました場合には問題にならない量ではなかろうか、かように思うわけでございます。
 ただ、御指摘のように、微量であっても、食品に添加するという意味でそれをやめたらどうかという御質問であろうと思いますけれども、私どもは、一面におきまして、このリジンの有効性というものを高く評価しておるわけでありますから、それといまの若干のベンツピレンが含まれておるということ等をはかりにはかって考えました場合に、やはり添加をすべきではなかろうか、かように思うわけでございます。
 そこで、そのベンツピレンの製造の状況でございますが、味の素と協和醗酵の二社において製造いたしておりますことは御指摘のとおりでございまして、私どもは去る六月の十六、十七日の両日にわたりまして、文部省の体育局の玉木学校給食調査官及び日本学校給食会武本監査主幹、この二人と地元の佐賀と長崎の国立大学の醗酵学の専門教授を御同道いただきまして、まず製造の原料について確認をいたしたわけでありますが、原料は、学校給食用のリジンにつきましては糖みつまたはでん粉ということでございまして、それぞれ糖みつまたはでん粉を購入したという確かな発注の伝票等をもって確認をいたしたわけでございます。
 なお、ただいま御指摘のように、これらの会社においては飼料用のためのリジンも生産しておるやに聞くわけでありますが、その点につきましては、私ども直接の目的ではございませんから調査をしたわけではないのでありますが、たしか、後追いで確めましたところによれば、飼料用のリジンにつきましては、その原料を酢酸等を使っておるということでございます。しかし、学校給食用とそれは峻別いたしまして、その両方の工場におきましてこれを製造しておる、こういう事実を確かめたわけでございます。
 以上でございます。
#109
○坂井委員 数量等は明確にお示しいただけません。かつ、学校給食用のリジンのこの製造の原料、これは糖みつ、でん粉ということであります。しからば、鶏とか牛とか豚とか、そういうものの飼料として輸出しておるところのリジンの原料、これは何ですか。
#110
○諸沢政府委員 リジンの生産実績につきましては、私ども、通産省を通じて調査いたしましたところ、昭和四十九年度におきましては食品添加用九百二十五トン、医薬用七百十六トン、飼料用一万六千三百二トン、こういうふうな数字でございます。
 なお、その飼料用のリジンの原材料は何かということでございますが、私どもの聞きますところでは酢酸及び若干の糖みつということでありまして、三割程度が酢酸を使っておる、こういうことでございます。
#111
○坂井委員 石油系物質を原料としているという事実はございませんか。つまり、高橋講師が指摘しておりますことは、発がん物質でありますところのノルマルパラフィン、これを使った疑いがある、こういう指摘であります。
 なお、いまの問題に関連いたしまして、それぞれこの二つのメーカーのどの工場、何工場かということをお答えください。
#112
○諸沢政府委員 ただいま御報告申し上げましたように、係官を発して調査した結果によりますれば、一つは佐賀にございます味の素九州工場、それからもう一つは山口にございます協和醗酵の中国工場、そのいずれの工場におきましても原材料は糖みつまたはでん粉であり、石油合成品であるノルマルパラフィンを使ったという事実はないのであります。なお、私どもはこれをさらに確認する意味におきまして、両製造会社から、いまの糖みつまたはでん粉以外のものは原料として使っていないということを念書として取っておるわけでございます。
#113
○坂井委員 その問題についてはなお触れておきたいと思いますが、その前にまず聞きましょう。
 今後リジンの需給の拡大、それから安定、その暁には、石油系のシクロヘキサンからカプロラクタム、これをつくりましてそこからリジンをつくるという、いわゆる化学合成の企業化の準備をいま完了しておりますが、このような事実について文部省は承知しておられますか。
#114
○諸沢政府委員 そのような事実については承知いたしておりません。
#115
○坂井委員 お調べください。
#116
○諸沢政府委員 調査いたしてみます。
#117
○坂井委員 私が申し上げたいのは、学校給食用、学童の口に入るリジンと、それから飼料用、つまり鶏だとか豚だとかそういうものに入るリジンと、そのつくられた原料、いま飼料につきましては糖みつ、酢酸という御答弁でありました。これらがこの二つのメーカーで、いずれにもせよ学童用と飼料用とがっくられておる。それが厳密に峻別されておるという、その保証はどこにありますか。
#118
○諸沢政府委員 私は専門家でございませんので、この目でそれを見たわけではございませんが、報告を聞きますと、飼料用のリジンと食品添加をするためのリジンでは、その製造過程も違いますし、また、でき上がりました製品を外観から見ましても、色合いその他において識別ができる、こういうような報告でございました。
#119
○坂井委員 では、その問題はなお触れるといたしまして、次の質問の前段として、あらかじめお伺いしておきたいと思います。
 いわゆる特殊法人日本学校給食会、この日本学校給食会につきましては、学校給食の小麦粉にリジンを添加すべし、こういう結論を得まして文部省体育局に申請されて、五十年四月十八日、文部省は各都道府県に、安全であるからリジンを添加しなさい、こういう通達を出されております。
 そこで、この日本学校給食会、まず確認をしておきたいと思いますが、一つ明らかにしていただきたいと思いますことは、役員構成、七人の役員がいらっしゃいますが、この役員について明らかにしてください。
#120
○諸沢政府委員 日本学校給食会の役員といたしましては、理事長一、業務担当、物資担当の常務理事一、庶務担当の常務理事一の三人と常勤監事一名、以上の四名が常勤でございまして、そのほかに非常勤の理事二名、非常勤の監事一名ということになっております。
 なお、その経歴につきましては、理事長はかつて文部省に勤務した方であり、理事のうち一人は農林省の経歴があり、一人は文部省の経歴がある、こういう方々でございます。
#121
○坂井委員 理事七名、その七名のうち、一人は前身は日銀、あと六名いずれも全部文部省、農林省、大蔵省の天下りでしょう。明確にしてください。
#122
○諸沢政府委員 全員について申し上げますと、理事長文部省、業務担当常務理事農林省、庶務担当常務理事文部省、理事のうち非常勤理事一は日本銀行理事、常任監事農林省、非常勤の監事東京都の教育長、非常勤の理事もう一名大蔵省ということになっております。
#123
○坂井委員 前身は全部お役人、全部天下りなのです。そういう役員で構成された日本学校給食会。先ほど申しましたように、ここから、学校給食用小麦粉品質規格の一部を改正することの申請がございましたですね、先ほど言いました四月十八日。日本学校給食会理事長名義でもって文部省に申請が出された。それを受けまして文部省では、学校給食用小麦粉品質規格の一部を改正することを承認した旨の通知書を体育局長名でもって、各都道府県教育委員会教育長あてに出されております。
 この通知書を見ました。その内容を見る限りにおいては、非常に強圧的に、このリジンを添加しなさい、使いなさい、こういう通知の内容としか私は受け取れません。つまり「毎食事ごとにバランスのよいアミノ酸組成とし、」云々とか、あるいは「一方において、製パン適正が高まるという副次的効果の存するところでもある。」つまり、これを添加しますとパンが焼きやすくなる。一体何でこういうことが必要なんだ。さらに「L−リジンの急性経口試験による結果からみると、その安全度は砂糖や食塩とほぼ同一である。」こうなっております。したがって、文部省はわざわざ通達を出しまして、学校給食用にリジンを添加しなさい、こういうことになっているわけであります。
 一点だけお伺いいたしますが、慢性毒性試験はおやりになりましたか。
#124
○諸沢政府委員 リジンの毒性検査につきましては、この最初の通知を出しました段階では、日本国内において発表されました毒性検査は急性の経口試験だけでございまして、亜急性ないしは慢性の毒性試験の問題につきましては外国の実験例をもってお示ししたわけでございますが、その後、去る六月十九日の日に、慢性毒性につきましても、公衆衛生院の中川一郎氏らが一九七一年に外国の栄養学の雑誌に発表されました結果がございましたので、それをアミノ酸研究委員会において検討されまして、同委員会の報告として発表されましたので、これも後ほどあわせて各県の教育委員会に連絡をしたわけでございます。
#125
○坂井委員 続けてまいりましょう。
 「学校給食用パンのリジン強化に関する実験報告」なるものが私の手元にあります。一九六七年一月、これは必須アミノ酸研究委員会アミノ酸強化に関する小委員会の実験報告書であります。この実験報告書によれば、結論して申し上げますが、これはまさに人体実験を学童に強いた、こうとしか言いようがありませんし、また、そのことが歴然であります。
 お尋ねいたしますが、これによりますと、三十九年四月から東京都品川区内の小学校二校、すなわち大井第一小学校それから芳水第一小学校で実験が開始された。四十一年四月まで。さらに全国で青森地区、山梨地区、四国地区、大阪地区、合計五地区、小中学校児童生徒約三千人を対象とした実験であります。この実験の結果は、安全性という面についてはまず問題なし、ということであります。
 そこで、この必須アミノ酸研究委員会は、その実験の結果を四十二年一月にまとめまして各方面に配っております。この実験結果の安全であるという、各方面に配ったそれを受けまして、四十三年に初めて群馬県が給食用パンにリジンの添加を採用した、こういうことになっているわけであります。
 私は結論として申し上げました。この実験はまさに人体実験である、こう断定して申し上げたわけでございますが、文部省はこの実験を御承知かどうか。また、私がいま申しましたことについて反論があれば、簡潔におっしゃっていただきたい。
 なお、この必須アミノ酸研究委員会、この委員会のメンバーの中に、いま問われているところの味の素、それから協和醗酵、この二つがあるかどうか。及び文部省はこの必須アミノ酸研究委員会に、あえて申しますが、手をかしたかどうか。さらに、この必須アミノ酸研究委員会のこのような実験報告が出ておりますが、この実験の費用等についてはだれが負担したか、明確にしていただきたいと思います。
#126
○諸沢政府委員 まず、必須アミノ酸研究委員会の報告でございますが、ただいま御指摘によりますれば、これは安全性を試すいわゆる人体実験のようなものではないかというような御指摘であったかと思うのでありますが、この報告書の冒頭のところをごらんいただきましても、そういう趣旨ではないのでございまして、ここにありますように、その調査の以前におきましても、実は私ども今日調べたところでも、外国はもちろん、日本におきましても、相当たくさんのアミノ酸の研究家が何度も何度も、そのリジンの栄養効果という点からの調査を行っておるわけでございますが、それらの調査の結果はいずれも、ある程度の効果は上げておるけれども、そのやり方が結晶リジンの錠剤を補足しておるのだ、そこで今回はさらに進めて、食品添加として使用する場合どのような栄養上の効果があるかを見るのだということでございまして、当時すでにリジンは、厚生省の法律によりまして食品添加として認められておる物質でありますし、関係の方にお聞きいたしましても、リジンというものが人体の構成上必要不可欠のものであり、それが安全なものであるということをいわば前提として、そういう栄養上の効果を測定するために行った調査であるということでございますので、その趣旨は御理解いただきたいと思うわけでございます。
 ところで、この必須アミノ酸研究委員会というものがこの調査に当たり、直接にはその研究委員会の中にアミノ酸強化に関する小委員会というものをつくって調査をされたわけでございます。必須アミノ酸研究委員会といいますのは、現在、名簿を拝見いたしますと、委員として二十二名、これは国立大学の先生あるいは国立公衆衛生院あるいは国立栄養研究所等の専門の方々、こういう方々をもって構成しておるわけでございます。さらに客員というのが二十九名おりますが、これらもいずれもそれぞれの専門家でございますけれども、客員という地位は、伺いますと、要するに、正規の委員が主体的に研究の活動に従事するのに対しまして、客員の方々は現在においてはそう深く研究にタッチしておらないというような方が、客員という身分でこれに参加しておるということのようでございまして、その中には企業の関係者として三人入っておるようでございますけれども、いずれもその立場は、言ってみればそれぞれのアミノ酸研究の研究者という立場において参加しておるものと考えるわけでございます。
 なお、この研究について文部省はどういう立場であったかということでございますが、いま申しましたように、このアミノ酸研究委員会の中にさらにアミノ酸強化に関する小委員会をつくりましてその調査をしたわけでございますが、その小委員の方々はいずれも大学の先生あるいは国立栄養研究所の職員と、専門家でございますが、具体的の調査をお願いする学校との連関という意味で、若干文部省の当時の学校給食課におりました専門職員がお手伝いをしたという事実はあるようでございます。
 次に、その調査の費用は一体どこから出たかということでございますが、このアミノ酸の研究機関に対する援助、あるいはその啓蒙宣伝というような趣旨のもとに、社団法人として日本必須アミノ酸協会というのが設立されております。この公益法人が、いま申しましたような法人設立の趣旨に照らして、アミノ酸研究の一助に資するという意味でいまの調査に必要な経費を、必須アミノ酸研究委員会を通じて小委員会の研究担当者に資金を提供したというように聞いておるわけでございます。
#127
○坂井委員 明確に申し上げましょう。いま資料として私が手元に持ってお尋ねをしております必須アミノ酸研究委員会アミノ酸強化に関する小委員会、これは確かにお答えのとおり、ほとんどが専門的な学者の立場の方々で構成されております。この中に客員として企業代表が三人――私は、いま問われておるところの味の素、協和醗酵、これが入っているかいないかということをお尋ねしたわけでありまして、その三人の中にこの味の素、協和醗酵、これが入っておる。そして、この研究実験の費用につきましては必須アミノ酸協会から出されておる。必須アミノ酸協会の有力なメンバーじゃありませんか。そして文部省が加わった。そして実験研究の結果、リジンについては安全である、学校給食に添加しなさいということにこれが結びつくわけであります。
 しかも、この実験はまさに人体実験であるということを申し上げた。つまり、冒頭に述べております。「二年間給食パンとして二、三年の学童に与え発育に及ぼす影響を観察した。」きわめて微量ではあれ、発がん性物質を含む有毒なものであります。学童に与えて、二年間これを観察をしたというのは、まさに人体実験である。
 さらに、それに対して証拠を挙げましょう。今年六月一日に出されました「学校給食広報」、御存じでしょうか。その中に人体実験ということがきわめて明確に記されております。御承知でしょうか。
#128
○諸沢政府委員 ただいま御指摘の必須アミノ酸研究委員会の客員の中にあります三人の業者の関係の方というのは、味の素、それから田辺製薬、もう一人は湧永薬品、その三人でございますが、ただ、この中に設けられました調査のための小委員会には、業者の方はもちろん入っていないわけでございます。そういう意味では、直接調査に当たられたのは大学の専門家という方々になるわけでございます。
 なお、最後におっしゃいました「学校給食広報」というものにつきましては、私具体的に承知いたしておりません。
#129
○坂井委員 では申しましょう。
 「学校給食広報」、手元にございます。この「学校給食用小麦粉へのL−リジンの強化の経緯について」問題のくだりだけ申します。「経緯 一、昭和三十七年二月十四日栄養審議会から厚生大臣に対し、リジンは必須アミノ酸の一つとして栄養上重要な意義をもつものであり種々の人体実験、動物実験例によって」云々。種々の動物実験、人体実験等によって「好結果をおさめたので、食品のアミノ酸強化の基準について答申がなされた。」つまり、前段申しました「学校給食用パンのリジン強化北関する実験報告」ここで示されました学童に対して二年間にわたってこれを投与してそれを観察をした、この実験の経緯を踏まえて、人体実験を行いました、安全でございます、ここから発しているのです。否定されますか。
#130
○諸沢政府委員 人体実験という表現は私もきわめて適当でないと思います。しかし、その趣旨といたしますところは、先ほど私が申し上げましたように、リジンそのものが非常に有害である、あるいは有害かどうかわからぬというような前提に立った調査ではないのでありまして、あくまでも、これは人間、特に青少年の発育のために必要なものであるということは、早くから栄養学上明らかなことでございまして、しからばこれを実際に学童に与えた場合どのくらい効果があるかということを測定するための調査であったわけでございます。
 そこで、いまも申しましたが、この調査をする前にも外国、日本等で二十数例にわたって、乳幼児あるいは児童、学童に対しリジンを与えてその発育に及ぼす結果を調べたことがあるわけでございまして、そういうことを踏まえて、これはあくまでもその発育上の効果がどのくらいあるかということを調査することに主眼点を置いて調べた結果、それが大体有効であるという結論を得たので、いまの保健体育審議会等においてもこの問題を前向きに考えた、こういうことのように聞いておるわけであります。
#131
○坂井委員 「学校給食広報」はだれが出されているのですか。
#132
○諸沢政府委員 「学校給食広報」というのは日本学校給食会で出しております広報でございますから、日本学校給食会の担当職員が普通はその原稿を書いておると思います。
#133
○坂井委員 繰り返し、事の経緯を申す京でもございません。私は前段申しました。いわゆる日本学校給食会から文部省に対して申請が出された。それを受けて文部省は、各都道府県教育長に対してリジンを添加しなさいという通達を出したのです。その日本学校給食会の役員の構成たるや、全部天下りであるということも前段で触れました。そして、日本学校給食会が出したところの「学校給食広報」には明らかにここに、人体実験を経由しております、安全であります、こう言っている。それをごらんになっていない。これを委員長に提出したいと思います。確認してください。――そこに書かれていること、私がいま申しましたことは事実かどうか、そのとおりかどうか、それだけで結構であります。お答えください。
#134
○井原委員長 これは委員長から……。
 ただいま答弁にあったように「学校給食広報」だから、これを製作した人を文部省で一応呼んでもらって、この内容をよく調べて、納得できるように。体育局長、どういう意味でこういうことを書いておるのか。
#135
○諸沢政府委員 繰り返して申し上げますけれども、この人体実験という表現でございます。実は、その当時であると思いますが、昭和三十七年の二月に、栄養審議会の委員長の木村忠二郎氏から当時の厚生大臣に「食品のアミノ酸強化の基準についての答申」という答申が出ておりますが、その強化するのが適当だという理由として、「リジンは必須アミノ酸の一つとして栄養上重要な意義をもつものであり、種々の人体実験、動物実験例によって体重増加等の好結果をおさめている。」というような表現がございまして、恐らくそれをとったものと思われますが、この表現でもおわかりのとおり、これはいわゆる動物実験、生体実験というような趣旨ではなしに、あくまでも栄養上どの程度の効果が上がってきたかということを指すものと考えるわけでございます。恐らくその表現を使ったのではなかろうかと思います。
#136
○坂井委員 あなたの見解を求めているのではありません。だれが見ても、だれが考えても、これは明らかに人体実験である。二年間投与して観察をした、どうなるかということを観察をしたわけであります。つまり、少なくても、ごく微量ではあれ、あるいは栄養学的に言って必須アミノ酸が不足をしている、どうしても学童に投与したいという要請はあったかもしれない。しかしながら、このリジンの中にいわゆる発がん性物質、これが微量であれ含まれるということは、今回の実験結果によっても、調査によっても明らかになっているところであります。最初からそのような有害、有毒のおそれのあるものを含むものを学童に二年間投与した、そしてそれを観察をした、それを学校給食会の広報では人体実験を経ました――だれだってそれを聞けば、そういう事実を目の前にすれば、これは人体実験でしょうと言うのは当然でしょう。私は決して無理なことを申し上げているのではない。
 今回文部省が六月二十日に出されました通達、これはまさに安全宣言でありますと同時に、全国の学童に対して、心配ないからこれを与えなさい、ある意味では強制的に摂取させなさいというにも等しい文部省の通達であります。だれが考えても、どこから見ても、なぜいま学童に――少なくとも将来においてこれが結果としてどうあらわれるかもわからない。非常に有害の心配がある、発がん性の心配がある、催奇形性の心配がある。慢性毒性試験においても、的確なものを今日、試験の結果で得たわけでは決してありません。ましていわんや、そのような一部の地域の学童に対しまして、二年間にもわたっての人体実験を行ってきたということは、これは人道上からも私は許すべからざる行為であるということを実は断ぜざるを得ないわけであります。
 なお伺いますが、協和醗酵それから味の素、この二社に対して役所からの天下りはありませんか、あればお教えください。
#137
○諸沢政府委員 他省庁は知りませんけれども、文部省では全然関係ございません。
#138
○井原委員長 ちょっと委員長から御注意を申し上げますが、体育局長のただいまのいろいろの説明は、体育局長としての見解あるいはごもっともかとも思うのでございますが、当委員会でこういう問題になって、国民も非常に不安を持っておりますから、経過また現状を、ひとつわれわれの信用できるような専門的な学者で検討してもらって、納得のいくような説明を出してもらいたいと思います。
#139
○永井国務大臣 ただいま委員長から御指摘がございましたように、調査することは非常に大事でございますので、先週も調査報告を出しましたが、その後また調査を続けておりますから、念には念を入れということで、御趣旨に沿う線で進んでおります。
 なお、国民の方々に御理解を得る上で非常に大事でありますのは、不安というものが本当にあると困るということでございます。先ほどから先生のいろいろな、人体実験というお言葉が出てまいりましたので、これについて私ぜひ一言申し上げておきたいわけでございます。
 学校給食会の給食ニュースに人体実験という言葉が使われておりまして、これは使わなかった方がいい言葉だと思いますが、と言いますのは、人体実験と一般に言われますのは、また先生が人体実験で困ると言っていらっしゃいますのはどういうものであるかというと、これは一九六〇年代に心臓移植の実験がございました。それが死に至らしめることがあるのではないか、そういうことから人体実験と心臓移植の関係というふうなことで非常に論争があったことは、だれでも知っていることでございます。もっとさかのぼりますと、いろいろな医学など、非常に独裁的な政権下において人体実験があったというようなことがいわれております。
 そこで、二年間観察したという、先ほどから先生が御提示になっております資料でございますが、これは資料の最初の緒言、それからまとめのところを見てもおわかりいただけますように、安全性についての実験ではございません。そうではなくて、どのくらい栄養をつけられるかということについて調べようと思った、そして二年間観察、やってみたところ栄養効果が上がった、これも実験という言葉でございます。でありますから、誤解を招きますから、本当は給食会のニュースの方も、人体実験と言うよりは、ただ実験と言った方がよかったかと思います。
 ただ、先生もこの点は御理解いただいていると思いますが、先ほどの報告書というのは、いわゆる動物実験をやります。動物実験の場合には、人間に実験をしては危険がある、そういうときにたとえばネズミを使って、ある種の発がん性のものはどうなるか、こういう場合にはもちろん死の危険性というようなものもあったりするわけであります。その意味合いにおける人体実験というものがあってならないことは言うまでもなく、また、当時考えられていなかったことも言うまでもございません。仮にもさような考え方があって、人体実験をそういうことでやりましょうということでその二年間の観察があったというようなことであれば、断じて許すべからざることであって、私は、先生がそういう意味合いでお読みいただくはずはないということは、その報告書の緒言とまとめのところを見ていただけばきわめて明瞭だと思います。ただ、御指摘がありますように、そういう誤解を招きやすい言葉が給食会ニュースのところで入っておりますから、そういうことから混乱を招いているのは非常に困ったことだと思います。その点で御質疑の問題点が出てきたというふうに考えておりますが、先ほどから申し上げますように、過去の実験というのは、栄養はどのぐらいつくでしょうかということのために実験、調査をいたしたものである。そういたしませんと、何か本当に、いわゆるいやな意味における人体実験の意図がどこかにあったんではないかというようなことは、これは人道上の大問題でございます。そんなことでないことは、それはもう先生はお読みになっていらっしゃるから私申し上げるまでもないのですけれども、しかし、その点はもしも誤解があるといけませんので、一言申し上げさせていただく次第でございます。
#140
○坂井委員 私ははっきりと人体実験と申し上げました。大臣は、人体実験というような言葉を使うことは好ましいことではなかったのではないか、こうおっしゃる。私はきわめて正直に人体実験と言った。きわめて正直です。なるほど、栄養学的なそういう観点で学童に与えながらこれを観察したんでしょう。しかし、そうであれば前提があります。つまり、少なくとも発がん性物質は一〇〇%含まれていないということ、絶対人体には無害であるということ、その前提に立った、栄養性を考えながら学童に投与したというんならば話はわかります。厳然とあるわけです。発がん性物質が含まれている。わかっているのです、最初から。それをあえて二年間にわたって学童に試験的にこれを与えて、それを観察したことは、まさに人体実験であるし、また、それを裏づけるものはいま出しました。人体実験ということをそこで正直に述べておる、こういうことであります。私は、いま大臣の御答弁をそっくりそのまま申し上げましょう。これは人道上まさに許すべからざる行為だということを、私は怒りを込めて申し上げたいわけであります。
 なお、協和発酵及び味の素に天下りはということに対して、文部省は直接関係がない。確かに文部省からの天下りはございません。御参考までに申し上げましょう。協和発酵には国税庁から一人、厚生省から一人、農林省から一人、合わせて三人。味の素には厚生省から二人おいでになっています。私は、このこと自体をここでもって、これをけしからぬという立場で、これを非難しようとしてこの天下りを取り上げているんでは決してありません。だれが考えても、児童、学童、生徒に対して――未来を担う発育盛りの大事な子供たちであります。最初から、幾ら微量だとはいえ、発がん性物質が含まれておるというものをなぜわざわざ添加しなければならないのか。父兄の声をよくお聞きください。不安だ不安だを解消しなければいけない。そうです。不安は解消しなければいけません。不安を解消するためにはどうするか。リジンの添加を即時おやめになったらいかがですか。自然食の中に含まれているリジンと人為的に合成されたリジンとは、これは長い経緯を見なければ、その毒性についてここで直ちに判別できるものではない、私はそう思っております。たとえばサリドマイドの例でもそうじゃありませんか。当時厚生省が、大日本製薬等の最高の学問水準をもってして、催奇形性、その心配は全くなし、こういうことであった。外国にもなかった。そのときの検体は一千ぐらいです。千ぐらいの検体でデータは出ない。今度はネズミ五匹じゃありませんか、わずかに。これが動物実験。そして学童には二年間にわたって人体実験。サリドマイドはその後、いま恐らく千数百人に上るであろうと言われておる。現在、厚生省がサリドマイド禍として公認しようとしている数が三百人にも達しようとしておる。こういう過ちが起こってからでは遅いわけであります。あわてていま一万体の検査をしたならば、なるほどサリドマイド禍を生むその根本原因を突きとめた。もはや遅いじゃありませんか。いまあなた方が、文部省がとっている態度は、これからもなお学童に対してこのリジン、発がん性物質を含んでおる、これをどんどん投与していこう、与えていこう、強制的に摂取させる、これは栄養を考えているんだと。結構です。しかし、安全性をなぜお考えになりませんか。一〇〇%安全だと言い切れますか。あるんです。含まれておるのです。百も御承知なんです。それをあえてなぜそのように強行されるかという背景には、つまり日本学校給食会、あるいはまたこの必須アミノ酸研究委員会、これと文部省あるいは国、それが渾然一体となっておるこの天下りの実態、こういうところに根本的な疑義があるのではないかということを私は勘ぐらざるを得ないから、あえて申し上げているわけであります。
 時間が間もなく参りますので、簡単にお答えください。
 いま日本の学童に必須アミノ酸がどれだけ不足をしておるのか、数値をもってお挙げくだささい。
#141
○永井国務大臣 必須アミノ酸の数値の問題は、後ほど政府委員の方から申し上げます。
 その前に、ちょっともう一つつけ加えさせていただきたいと思いますのは、先ほど私が申し上げましたように、この二年間の実験というのは、栄養をどのぐらいつけられるかというための実験であったということでございます。先生は、それはベンツピレンを含む発がん性ということを承知の上での実験ではないかというような、そういう意味合いでおっしゃいましたのですけれども、これは申し上げるまでもなく、時間に前後関係がございます。ベンツピレンの問題が出てまいりましたのはごく最近のことでございまして、その報告書をごらんいただけばわかりますように、その報告書のときには安全性についての議論は全くないわけでございます。そうではなくて、安全性のことはこれは完全に前提されておりました。そこで、栄養をどうやってつけようかという種類の実験でございましたから、先生のおっしゃいますような意味において人体実験を行おうという意図はなかったことは明らかでございますし、また、そんなことはあったらば、それは私も先生に賛成ですが、人道上許すべからざることでございますが、時間の前後関係がいまのようになっておりますので、仮にも混乱が起こるといけませんから、ちょっと念のために申し上げておく次第でございます。
 なおまた、今日の時点においては、ですから、安全性ということを改めて考えるという問題が出てまいりましたから、そこでそれを調べなければいけないということで、私たちは各方面の調査庁いたしましたこと、体育局長が先ほど御説明申し上げたとおりでございます。
 なおまた、アミノ酸の数値の問題については体育局長から御説明申し上げるようにいたします。
#142
○諸沢政府委員 どの程度のリジンが必要かという御質問でございますが、具体的には、パン一個に対しその〇・二%に当たる重量のリジンを添加するという規格になっておりますから、それが望ましい添加量というふうに考えていただいてよいわけでありますが、しからばその根拠は何か、こういうことになるわけでございまして、およそ必須アミノ酸と言われますところの八種のアミノ酸は、リジンを含めましてその人体への摂取に当たりましては、最も調和よき形で必要な分量が摂取されるときに、食物からとりますたん白質が効率的に体たん白化する、こういうことが言われておるわけであります。
 そこで、効率よくリジンをとるわけでありますが、肉類、魚類等の動物性たん白質には比較的多くリジンが含まれますけれども、穀類を主とした場合には、この他の七種の必須アミノ酸に比してリジンの摂取量が少ないということが計数上は出ておるわけでございます。そこで、現実に小学校の子供の学校給食の献立というものを分析いたしまして、その献立に載っておりますところの穀類とか野菜とか動物性たん白質とか、そういうものに含まれますところの各種の栄養素というものを数値に換算し、その際いまのリジンの含有量を調べますと、百例の献立を見まして、そのうちの七十の献立におきましてはリジンが最も不足をしておる、これは学問上第一制限アミノ酸というふうに言うそうでありますが、その第一制限アミノ酸に該当するのがリジンである場合が七〇%である、こういうことでございますので、そこでいまの〇・二%のリジンをパンに添加いたしますと、そのリジンの不足量がある程度解消いたしまして、第一制限アミノ酸となる場合が四〇%くらいになる、こういうような結果が出ておるわけでございます。そこで、一般的に申しまして、リジンの添加量を〇・二%として、より一層たん白質の効果を高めよう、こういう趣旨でございます。
#143
○坂井委員 時間が参っておりますので、大変恐縮ですが、最後に大臣から簡明に御答弁ください。
 一つは、東南アジアに輸出をいたしております飼料用のリジン、これを取り寄せて実験、試験、検査をしてみる必要があると思います。それをおやりになるかどうか。もう一点、六月二十日の安全宣言、これを撤回なさる意思ありやいなや。この二点について簡明に御答弁ください。
#144
○永井国務大臣 東南アジアに輸出いたしておりますのは飼料用リジンでございますから、飼料用リジンといま問題になっております食品の添加のリジン、これは生産工程も違っておりますし、見たところも違っているというのは先ほど申し上げたとおりでございますので、私、特に先生の方が飼料用リジンを調査せよという、そういうお申し出がありますれば改めて考えなければいけませんが、ちょっと御趣旨を理解しかねる次第でございます。
 次に、安全性の問題でございますが、安全性につきましては、私たちの調査をいたしました結果は、先ほど詳しく体育局長が申し上げましたように、安全であると考えましたので文部省はリジンの使用をお勧めしているわけでございます。
#145
○坂井委員 きわめて遺憾であります。
 終わります。
#146
○井原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後二時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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