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#1
第075回国会 予算委員会第一分科会 第1号
本分科会は昭和五十年二月二十日(木曜日)委員
会において、設置することに決した。
二月二十二日
 本分科員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      荒舩清十郎君    木野 晴夫君
      黒金 泰美君    櫻内 義雄君
      笹山茂太郎君    西村 直己君
      石野 久男君    田中 武夫君
      青柳 盛雄君    近江巳記夫君
二月二十二日
 笹山茂太郎君が委員長の指名で、主査に選任さ
 れた。
    ―――――――――――――
昭和五十年二月二十四日(月曜日)
   午前十時一分開議
 出席分科員
   主査 笹山茂太郎君
      木野 晴夫君    櫻内 義雄君
      石野 久男君    田中 武夫君
      山口 鶴男君    青柳 盛男君
      東中 光雄君    近江巳記夫君
      沖本 泰幸君
   兼務 阿部 助哉君 兼務 上原 康助君
   兼務 大出  俊君 兼務 高沢 寅男君
   兼務 山本 政弘君 兼務 湯山  勇君
   兼務 瀬崎 博義君 兼務 野間 友一君
   兼務 坂井 弘一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      井出一太郎君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 小沢 辰男君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 海部 俊樹君
        人事院事務総局
        管理局長    長橋  進君
        内閣総理大臣官
        房管理室長   島村 史郎君
        内閣総理大臣官
        房同和対策室長 山縣 習作君
        公正取引委員会
        事務局長    熊田淳一郎君
        警察庁長官官房
        会計課長    金沢 昭雄君
        宮内庁次長   富田 朝彦君
        行政管理庁長官
        官房会計課長  關  言行君
        北海道開発庁予
        算課長     高瀬 昌明君
        防衛庁参事官  平井 啓一君
        防衛庁長官官房
        長       斎藤 一郎君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  石田  徳君
        環境庁長官官房
        長       信澤  清君
        環境庁長官官房
        会計課長    竹谷喜久雄君
        沖繩開発庁総務
        局長      山田  滋君
        沖繩開発庁総務
        局会計課長   隈   健君
        沖繩開発庁振興
        局長      井上 幸夫君
        法務省人権擁護
        局長      萩原 直三君
        外務省経済局次
        長       野村  豊君
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵省主計局次
        長       高橋  元君
        自治省行政局長 林  忠雄君
 分科員外の出席者
        衆議院事務総長 藤野 重信君
        衆議院庶務部長 荒尾 正浩君
        参議院事務総長 岸田  實君
        裁判官弾劾裁判
        所事務局長   西村 健一君
        裁判官訴追委員
        会事務局長   大迫 藤造君
        国立国会図書館
        副館長     鈴木平八郎君
        人事院事務総局
        管理局会計課長 亀山  悠君
        公正取引委員会
        事務局官房庶務
        課長      内木場一郎君
        大蔵省主計局主
        計企画官    岩崎  隆君
        通商産業省機械
        情報産業局産業
        機械課長    安田 佳三君
        建設省住宅局住
        宅総務課長   吉田 公二君
        自治大臣官房参
        事官      大畑 耕治君
        会計検査院事務
        総長      石川 達郎君
        日本専売公社営
        業本部長    佐藤 健司君
        日本専売公社営
        業副本部長   飯田 頼之君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十四日
 辞任         補欠選任
  石野 久男君     山口 鶴男君
  田中 武夫君     兒玉 末男君
  近江巳記夫君     小濱 新次君
同日
 辞任         補欠選任
  青柳 盛雄君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 鶴男君     川俣健二郎君
  小濱 新次君     渡部 一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  渡部 一郎君     沖本 泰幸君
同日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     青柳 盛雄君
同日
 辞任         補欠選任
  川俣健二郎君     石野 久男君
同日
 辞任         補欠選任
  兒玉 末男君     田中 武夫君
  沖本 泰幸君     近江巳記夫君
同日
 第二分科員阿部助哉君、上原康助君、山本政弘
 君、瀬崎博義君、第三分科員大出俊君、湯山勇
 君、第四分科員野間友一君、第五分科員高沢寅
 男君及び坂井弘一君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十年度一般会計予算中皇室費、国会、会
 計検査院、内閣及び総理府所管(経済企画庁、
 国土庁を除く)
     ――――◇―――――
#2
○笹山主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。
 私が、本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。
 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府及び法務省並びに他の分科会の所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁及び国土庁を除く所管について審査を行うことになっております。お手元に配付してございます日程に従って審査を進めたいと思います。
 まず、昭和五十年度一般会計予算中、皇室費を議題とし、政府から説明を求めます。富田宮内庁次長。
#3
○富田(朝)政府委員 昭和五十年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。
 皇室費の昭和五十年度における歳出予算要求額は二十一億四千五百七十七万六千円でありまして、これを前年度予算額二十億一千四百十八万一千円に比較いたしますと、一億三千百五十九万五千円の増加となっております。
 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。
 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費一億六千七百万円、宮廷に必要な経費十八億七千六百二十六万六千円、皇族に必要な経費一億二百五十一万円であります。
 次に、その概要を御説明いたします。
 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三千三百万円の増加となっております。
 これは、内廷費の定額一億三千四百万円を本年度において一億六千七百万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。
 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費二億五千四百四十五万七千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費十六億二千百八十万九千円でありまして、前年度に比較して七千五百五十四万二千円の増加となっております。
 なお、皇室用財産維持管理等に必要な経費には、皇族殿邸建設に必要な経費三億九百五十八万一千円が計上されております。
 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して二千三百五万三千円の増加となっております。
 これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額一千二百十万円を、本年度において一千五百三十万円に増額改定することを予定していること等によるものでありまして、増額改定に伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。
 以上をもちまして、昭和五十年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。
 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
#4
○笹山主査 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○笹山主査 これより質疑に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、皇室費については質疑を終了いたしました。
    ―――――――――――――
#6
○笹山主査 次に、昭和五十年度一般会計予算中、国会所管を議題といたします。
 まず、衆議院関係予算の説明を求めます。藤野衆議院事務総長。
#7
○藤野事務総長 昭和五十年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、二百三十五億九千四百九十六万四千円でありまして、これを前年度に比較いたしますと、十六億九千九百二十六万四千円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、二百十八億二千百三十一万七千円を計上いたしております。この経費は、議員、議員秘書及び職員の給与に関する経費、旅費、庁費、議案類印刷費、通信費等の事務費及び庁舎等の維持管理に必要な経費でありまして、前年度に比し十九億八千百二十七万二千円の増加となっております。
 増加した主なものは、立法事務費の月額十二万円を二十万円に増額し、総額十一億七千八百四十万円を計上いたしております。
 また、永年在職表彰議員には、議長の指定する者を除き、専用自動車等の使用にかえて、新たに特別交通費として月額二十万円を支給することとし、その経費一億三千四百二十万円を計上いたしております。
 海外派遣に必要な外国旅費につきましては、一億一千四百八十五万円を計上いたしております。
 議員秘書につきましては、第一秘書の給料月額を秘書官五号俸相当額から六号俸相当額に、第二秘書の給料月額を行(一)六等級十一号俸相当額から秘書官二号俸相当額に、それぞれ引き上げることとし、総額三十三億五千七百十二万一千円を計上いたしております。
 第二は、衆議院の施設整備に必要な経費といたしまして、十七億六千六百六十四万七千円を計上いたしております。このうち主なものは、九段議員宿舎第二期工事分の建築費一億七千五十一万二千円、第一及び第二議員会館の冷房用冷凍機の改修に必要な経費三億七千三百十四万円、第二議員会館の議員室の内装整備に必要な経費一億二千五百九十五万九千円、国会周辺整備に必要な不動産購入費として五億五千万円等であります。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
    ―――――――――――――
#8
○笹山主査 次に、参議院関係予算の説明を求めます。岸田参議院事務総長。
#9
○岸田参議院事務総長 昭和五十年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、百四十五億五千百九十四万九千円でありまして、これを前年度に比較いたしますと、七億七千二百六十万八千円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、百三十億九千五百六十五万五千円を計上いたしております。
 この経費は、議員、議員秘書及び職員の給与に関する経費、旅費、庁費、議案類印刷費、通信費等の事務費及び庁舎等の維持管理に必要な経費でありまして、前年度に比し、九億九千二百四十二万六千円の増加となっております。
 増加した主なものは、立法事務費の月額十二万円を二十万円に増額し、総額六億四百八十万円を計上いたしております。
 また、永年在職表彰議員には、議長の指定する者を除き、専用自動車の使用にかえて、新たに特別交通費として月額二十万円を支給することとし、その経費千六百万円を計上いたしております。
 海外派遣に必要な外国旅費につきましては、七千四百四十七万一千円を計上いたしております。
 議員秘書につきましては、第一秘書の給料月額を秘書官五号俸相当額から六号俸相当額に、第二秘書の給料月額を行(一)六等級十一号俸相当額から秘書官二号俸相当額に、それぞれ引き上げることとし、総額十七億一千三百一万三千円を計上いたしております。
 第二は、参議院の施設整備に必要な経費といたしまして、十四億五千百二十九万四千円を計上いたしております。
 このうち主なものは、事務局庁舎新営費八億八千二百五十八万四千円、議員宿舎の第二年度工事費二億三千八百七万六千円、議員会館の議員室の内装整備に必要な経費一億三千二百二十五万七千円等であります。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
    ―――――――――――――
#10
○笹山主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。鈴木国立国会図書館副館長。
#11
○鈴木国立国会図書館副館長 昭和五十年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、四十四億七千八百八十二万五千円でありまして、これを前年度予算額四十億五千九百九十万円と比較いたしますと、四億一千八百九十二万五千円の増加となっております。
 要求額を事項別に概略御説明申し上げますと、その第一は、国立国会図書館の管理運営に必要な経費でありまして四十三億二百五万八千円を計上いたしております。
 これは、職員の給与に関する経費、立法調査業務に要する経費、図書の収集及び利用に要する経費、目録・書誌等の作成刊行に要する経費、図書の製本、印刷カードの作成・頒布に要する経費、図書館協力業務に要する経費並びに図書館業務の機械化に要する経費等でございます。
 第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、一億六千二百三十九万円を計上いたしております。
 第三は、国立国会図書館の施設整備に必要な経費といたしまして、一千四百三十七万七千円を計上いたしております。
 これは、非常放送設備・電子計算機室改造及び立法資料用書架の設置に要する経費でございます。
 以上、簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
    ―――――――――――――
#12
○笹山主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。大迫裁判官訴追委員会事務局長。
#13
○大迫裁判官訴追委員会参事 昭和五十年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は五千七百三十五万八千円でありまして、これを前年度予算額五千百二十万六千円に比較いたしますと、六百十五万二千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費の増加によるものございます。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
    ―――――――――――――
#14
○笹山主査 続いて、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。西村裁判官弾劾裁判所事務局長。
#15
○西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は五千九百八十一万八千円でありまして、これを前年度予算額五千四百七十五万七千円に比較いたしますと、五百六万一千円の増加となっております。
 この要求額は、当裁判所の裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち、主なものは、庁舎移転関係経費及び職員給与関係経費の増加によるものでございます。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#16
○笹山主査 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#17
○笹山主査 これより質疑に入ります。
 この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りたいと思います。なお、政府当局におかれましても、答弁はでき得る限り簡単明瞭にお願い申し上げます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
#18
○山口(鶴)分科員 国会関係予算について幾つかのお尋ねをいたしたいと思います。
 昨年の参議院選挙の結果、特に参議院におきましては、文字どおり保革伯仲、常任委員会の中にも四つほど、委員長を除けば野党委員が一名多い、こういう院の構成にもなったわけであります。
 そういう意味では、かつてこの委員会でも問題になったわけですが、ある大臣が、国会というのはところてんみたいなものだ、すうっと突けば自然に法案も予算も成立をするんだ、こういうような暴言も当委員会で問題になったわけでありますが、まさにそういった時代ではなくなった、文字どおり国会は、保革伯仲という新しい時代に突入をした、私はかように考えております。そういう意味では、国権の最高機関たる国会の権威というものも、当然より高められなければなりませんし、立法府としての重要性というものもますます高まってきた、かように私は考えております。
 そこで、お尋ねしたいのでありますが、ただいま衆議院、参議院の予算につきまして御説明いただいたんですが、衆議院、参議院の予算の増加額は承りましたが、伸び率はそれぞれ一体幾らになっていますか。
#19
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 本院予算の本年度の伸び率と申しますと、四千九年度当初予算に比較いたしまして、二四・七%でございます。昨年の補正後の予算に対します場合には七・八%の伸び率と相なっております。
#20
○岸田参議院事務総長 参議院の予算の伸び率を申し上げますと、四十九年度の当初予算に比較いたしますと、伸び率は二二・四%でございます。ただし、昨年は列国議会同盟という臨時費がございましたので、その臨時費を除きますと二四・七%に相なります。
#21
○山口(鶴)分科員 本年は異例でありまして、一般会計の伸び率とほぼ肩を並べて伸びた。これは最近にない現象だったのじゃないかと思いますが、衆議院だけでも結構でありますが、ここ数年の一般会計の伸び率と国会の予算の伸び率を比べて、どういう傾向になっておりますか。
#22
○藤野事務総長 的確にお答えをいたします数字をただいま持ち合わせておりませんが、昭和四十五年度の本予算が約百七億でございまして、これを一〇〇といたします場合に、自後の伸び率を申し上げますと、四十六年度が一二二、それから四十七年度が一三四、四十八年度が一五五、四十九年が一七六、五十年が二二〇、こういうふうな伸び率でございます。
#23
○笹山主査 一般会計との対比率でしょう。だから答弁はちょっと……。
#24
○藤野事務総長 一般会計の伸び率の点につきましては、少々時間を拝借いたしましてお答え申し上げます。
#25
○山口(鶴)分科員 本年はいろいろな要素で国会の予算が伸びた、昨年もまたIPUがございましたから比較的予算が大きかったと思いますが、それ以前の伸び率は、国の一般会計の伸び率に比較いたしますと、相当低かったのではないだろうかということを、私も議運におりまして国会の予算審議に参画している過程で、常にそういう感じを持っておったわけでありますが、その点は後で数字で明らかにしていただきましょう。
 そこで、お尋ねしたいと思うんですが、衆議院の法制局は一体幾人ぐらいの方が働いておられるか、名簿を拝借して数えてみたわけでありますが、六十九名であります。ただいま申し上げたような保革伯仲時代ということになりますと、当然、私はアメリカのようなというふうには申しませんけれども、政府提出の予算に対しまして、これからは議員立法の重要性というものが、私はますます高まってくるのではないかと思います。従来から私どもは、何かわが国の国会は政府提出の法案ばかりを審議している、こういうような、まあ悪しき習慣があったわけでありますが、逐次この議員立法の数というものをふやしていきたいということを常々考えておりまして、これからは私は、国会の情勢から申しましても、必ずそういう傾向になるんじゃないだろうか。昨年の国会でも例の土地問題に関する法律につきましては、文字どおり議員立法によって成立をしたという経過もございます。
 そういうことを考えました場合に、現在の衆議院法制局、まあ参議院法制局も同様だろうと思いますが、果たしてこれだけのスタッフで、議員立法が重要になる新しい国会の時代に対応できるのだろうかということを、私は考えざるを得ないわけです。もちろん、内閣法制局も、人員としてはそんなに多いスタッフを抱えているのではないということを承知をいたしております。しかし、政府の場合は、関係各省が主として法律案の作成に当たられまして、そうして他の法案との整合性その他を、いわば精査するのが内閣法制局の仕事だということになっております。したがいまして、内閣の場合は、文字どおり数十万のスタッフを抱えて政府の法律案作成の作業をやっていると言っても、私は過言ではないと思います。
 そこへいきますと、衆議院法制局六十九名、参議院もほぼこれに近い数ではないかと思いますが、こういったもので、新しい時代に対応できるとお考えでありますか、その点をまずお聞かせをいただきたいと存じます。
#26
○藤野事務総長 ただいまの御意見でございますが、まことにごもっともでございまして、もしそういうことが今後恒久的な現象として行われます場合には、現在のスタッフではいかにも手不足という感じは、直観的でございますけれども一応いたすわけでございます。その点、いま私の感じとして申し上げておきます。
#27
○山口(鶴)分科員 確かに、議員立法が増加していく傾向の中では、現在のスタッフでは不備ではないか、こういう趣旨のお答えを賜ったわけです。
 単にこれは法制局の問題ばかりではないと思います。後からわが党の山本委員から多分お尋ねがあると思いますが、たとえば、ここにおいでの、速記をしておいでの方々ですね。一昨年非常に長い国会が開会をされましたために、しかもまた、各種委員会の開会時間も非常に長時間にわたったということのために、頸肩腕症候群というのですか、腕が上に上がらなくなるというような症状の方が多数出たというお話も聞いております。当然、速記者の方々の人員が現在十分であるかと言えば、いま申し上げたような、国際電電あるいは電電公社の職員と同じような職業病が多数発生をするというこの事実を見ても、私は非常に無理な状況を強いておるのではないだろうかという感じもいたすのであります。
 さらに、議員外交の問題です。昨年IPUの東京大会がわが国会で開かれまして、議員外交に新しいページを加えた、非常に結構なことであったと私は思っております。特に、昨年の東京大会の場合は、朝鮮民主主義人民共和国の国会議員も政治家という肩書きで、初めてわが国に多数の方々が入国をされました。その問題につきましても、私、昨年の予算委員会の当分科会でお尋ねをしたことがあるわけでありますけれども、ともあれ、政府と政府との間ではなし得ない交流というものが、このIPUあるいは議員外交という場で実現をするということは、高く評価をしてよろしいのではないかと私は思います。
 そのようなことを考えました場合に、私は、各国の国民を代表する議員と、またわが国の国民を代表するわが国の国会議員との交流というものは、もっともっとより拡大強化していく必要があろうと思います。ただいま説明をいただきましたが、この今回の国会の予算の旅費でもって、果たしてそのようなことが十分行えるのかどうかということについても、私は危惧を持つものであります。
 さらに、施設整備の問題でありますが、実は、国会の選挙がございまして、与党が減って野党がふえますと、どうしても議員宿舎を必要とする議員の方々の数というものがふえていくわけです。昨年の参議院選挙の結果におきましても、参議院の事務総長さんもここにおられますけれども、与党が減りまして野党が大幅に増大した結果、議員宿舎を希望する議員の方々が多くて、入居者を制限するのに多分、非常に御苦労したんじゃないかと私は思います。二年前の衆議院選挙の結果でも同じような事態がございまして、わざわざ三宅坂仮宿舎というようなものをつくって、そうして議員の方にお入りをいただいた。そのような三宅坂仮宿舎というような非常に粗末な施設を一時的につくりましても、なおかつ、それでもまだ議員宿舎に入れないという議員が、実はわが党にはおるわけであります。
 そういうことを考えました場合に、私はやはり、少なくとも重要な任務を持つこの国会、国民の代表として選出された議員、その方々が宿舎を確保するのにも非常に困難をするというような状態は、私はやはりこれは一考する必要があるのではないかと思います。もちろん、九段にいま宿舎が建設中で、近く落成をするということも聞いておりますけれども、しかし、将来、先ほど言いましたような保革伯仲、あるいは保革逆転、現在の野党の立場にある議員の方々がふえていくという傾向が今後続くだろうと私は思いますが、そういう傾向が続く限り、この問題はより深刻になるということを、私は指摘せざるを得ないわけであります。
 そういう意味で、いま申し上げたような問題に関連をいたしまして、少なくとも、これから国権の最高機関たる国会の果たすべき役割りというものが、より広く、より深められていく状況の中で、国会の予算というものの現状が果たして十分であるのかないのか、このことは、十分ひとつ当局も御反省をいただく必要があるのじゃないかと思います。
 いま私が触れました具体的な問題について、また、先ほどお答えございませんでした一般会計予算との伸び率の比較につきまして、お答えがいただけるならばお答えをいただきたいと存じます。
#28
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 第一点の、外国議員団との交流の関係でございますが、おっしゃるとおりでございまして、私どもも最大の努力をもってその計画を進めておるわけでございますが、本年度といいますか、五十年度といたしましては、新たに一班を増加できる程度、金額で一千万以上の額が増額になっておりますので、まあ御期待には必ずしも十分とは申し上げられませんけれども、今後のわれわれの努力の方向としてお認めを願いたいと思います。
 次は、第二点といたしまして、議員宿舎の関係でございますが、御案内のとおり、五十年度早々をもって完成見込みとなっております九段議員宿舎の第二期工事が終わりますと、六十三戸の増加となります。したがいまして、現在二百五十九でありますものが三百二十二となりますので、現在の議員数に対して、全部とまでは申せませんが、かなり緩和された形になるんじゃないかと思います。
 おっしゃるとおり、今後の見通しも考え合わせまして、自後の計画についても万全の準備をいたしたい、かように考えております。
#29
○山口(鶴)分科員 いまの国会に政治資金の規制、それから公職選挙法の改正というものが上程をされることが予定されております。特に昨年末の国会におきまして、選挙の明正に関する決議が各党一致でもって上程をされ、満場一致議決をされました。あの決議を作成する過程で、定数是正、選挙の公営の拡大、それから政治資金の規制という順序でこの問題は解決をすべきだということも、各党の問で意見が一致をした経過もあるわけです。
 定数是正ということになれば、多分二十名くらいの定員が増加をするということも考えられるわけであります。現在四百九十一でありますが、さらに二十ふえるという可能性も今後あり得るわけです。しかも、先ほど私が申し上げましたような傾向というものを考えまするならば、九段の宿舎が完成したことをもって議員宿舎については足れりとすることは、私はやはり問題があるのではないかと思います。今後計画を立て、取り組むという御答弁もいただきましたので、この点は、ひとつ十分対処をいただきたいと思います。
 それから、国会職員の方の中にまだ行口該当の方もあるということを聞いております。これはなくすべきだということは、前々から繰り返し議論になってまいりました。
 それからさらに、先ほど申し上げました速記者の方々の職業病、そのこともありました。私は、やはり速記者の方の問題につきましても、このような職業病が多発する状況を一日も早く解消する必要があると思います。その点、具体的なお答えがあれば、ひとついただきたいと思います。
#30
○藤野事務総長 第一点は、行(二)の解消の問題でございますが、本院といたしましても、これを最大限に行(一)に転換すべく数年来やってまいりまして、一昨年でしたか、三百数名いた中から六十名残して、これをもって打ち切るというような、一応ストップした段階を経験したのでございますが、これはそのころにも御説明申し上げたとおり、現在の給料表の取り扱いその他の面から、採用する場合に著しく支障を来す者があるということで、その大体の数字が六十ということから、それだけ残されているわけでございます。しかし、これは必ずしも六十名を置かなければいけないというものでもないし、また、不合理な面があるとすれば、できるだけ解消しなければいけないと考えておりますことでございますので、その後も逐次できる限り縮小してまいりまして、来年度におきましては、四十八名にとどめるべく努力してまいったわけでございます。
 それから、第二点といたしましては、頸肩腕症候群のことでございますが、いろいろ御心配いただきまして大変ありがとうございます。おかげさまで、その後の治療その他、努力のかいがありましたか、その後の発生はまずないということが実証されまして、それから、そのかかられた十五人の方々も、半数は平常の勤務になって、あとの半数はややまだ正常な状態とは申せませんが、極力注意して全快すべく努力いたしております。今後、そういうことの発生がないように、万全の処置を図るべくなお検討いたします。
 いろいろと御心配いただきまして、ありがとうございました。
#31
○山口(鶴)分科員 大蔵政務次官にお見えをいただいているわけでありますが、いま私、申し上げましたように、国会というのは、まあ与党さんから見れば、あるいは好ましくない状態かもしれませんけれども、われわれから見れば、大変好ましい保革伯仲時代です。
 そういう意味では、さっき私が申し上げましたように、ところてんのように、後ろから突けば予算も法案もどんどん通っていくというような、そういった時代ではなくなっているわけです。予算につきましても、当委員会で修正をどうするかという話し合いも、これから持たれると存じます。また、各種法案につきましては、当然与野党の話し合いで、修正すべきところは修正をするということは、これからますますふえていくと思います。また、議員立法も、従来とは違って、多数になると思います。さらに、国民を代表する議員同士の交流、議員外交というものもますます盛んになることは当然だろうと私は思います。
 しかも、私が幾つかの問題で具体的に指摘もいたしましたように、国会の予算というのは大変貧弱なところもあるわけであります。まだお答えがないので、数字的に明確でないので恐縮ですが、少なくとも、国会の予算の伸び率が一般会計の予算の伸び率を下回っているというような状況が続いてきたということは、言いかえれば、行政府に対して立法府の地位というものが、予算の面からは相対的に低下した、こう言わざるを得ないと思うのです。
 私は、もっと行政府に対して立法府の予算というものが増加し、立法府の機能というものがより強化されていくということが、議会制民主主義の国の傾向として好ましいことじゃないかと思うのです。この辺に対する政務次官のお考えをお尋ねしたい。
 それからさらに、今後とも、国会の予算につきましては、私は、他の省庁が要求する予算とはちょっと性質が違うんじゃないかと思います。少なくとも、国会は国権の最高機関たる立法府として予算を議決する権能があるわけであります。したがって、国会が与野党一致をして、これはこうすべきだと要求をいたしました場合、他の省庁から予算要求が出たと同じような形で、大蔵省が勝手にこの予算を査定し減額するということは、私は問題ではないだろうかと思います。
 この点に対する、立法府の予算要求と他の官庁との予算要求との関係を、大蔵省としてはどうお考えでありますか。また、立法府の機能を強化するという観点から、国会予算につきましてはどのようなお考え方をお持ちでございますか、あわせてお尋ねをいたしたいと存じます。
#32
○森(美)政府委員 山口先生のおっしゃるように、国会が国の最高機関であるというのは、これはもう基本理念でございます。
 したがいまして、今後とも、院の方で全会一致でいろいろな要求がございましたら、これはもちろん、憲法やあるいは財政法の趣旨にのっとりまして、私ども当然尊重してやっていかなければならないということを思っております。
#33
○山口(鶴)分科員 さっき私がお尋ねしたのは、数字的にわかりますか。
#34
○藤野事務総長 失礼いたしました。
 昭和四十五年度一般会計を一〇〇といたしますと、昭和五十年度の一般会計では二六七でございます。それから、国会予算全体を昭和四十五年度を一〇〇ととりますと、昭和五十年度は二二二でございます。
 以上でございます。
#35
○山口(鶴)分科員 もう時間がないから、これで最後にしたいと思うのですが、いまお話がありましたように、予算を見まする限り、立法府よりも行政府の方が予算は伸びているわけですね。そういう意味では、予算の面における行政府と立法府との地位というものは、むしろ立法府の方が低下をした、こう言わざるを得ないと思うのです。
 私は、こういう傾向は好ましくないと思います。何もむだ遣いの予算をふやせということを言っているわけではありません。国権の最高機関たる国会の機能を十分果たし得るように、私は、やはり大蔵省は考えていただかなければならぬと思うのです。
 それから、ただいまお答えをいただいたのですが、どうも余り歯切れのいいお答えでなかったわけでありますが、少なくとも、いま申し上げたことを御念頭に置かれて、立法府の機能を現代の立法府の置かれた状況に合わせて強化をしていく、また、そのために与野党が一致をして要求いたした問題につきましては、他の官庁の予算要求とは違った観点で大蔵省としては対処をするということぐらいは、明確にお答えをいただきたいと思うのです。この点はいかがですか。
#36
○森(美)政府委員 もちろん、そのことは十分尊重して当然のことと私は考えております。
#37
○山口(鶴)分科員 結構です。
#38
○笹山主査 次は、山本政弘君。
#39
○山本(政)分科員 国会の機能を十分に発揮するためには、事務局の体制が整備されなければならぬ、同時に、そこに働く職員が職務に専念できるような体制をつくることが必要だ、こう思うのですけれども、同時に、国会というそういう性格から見ましても、職員の職務内容とか、あるいは勤務の形態というものも、一般の行政官庁の職員とは違った面があるだろうと思うのです。そういう中で、実情に適した処置というものが、職員の労働条件に対して考慮されなきやならぬと思うのですが、そういう意味で、ひとつ、きょうは定員関係の問題についてお伺いしたいと思うわけであります。
 最近、国会の会期の長期化、あるいは審議時間の増大、あるいは調査事務量の増加、警備体制の強化、こういうようなことがありまして、事務局の職員の業務量が大変増大をしていると思うのです。
 そういうところで見ますと、衆議院の予算の定員が、昭和四十五年に三名の増員があっただけで、その後増員はありませんね。五十年度の予算を見ましても、内部の入れかえといいますか、振りかえといいますか、そういうものはありますけれども、定員はプラス・マイナス・ゼロだ、こういうふうになっていると思うのです。恐らくこれはやりくりに大変御苦労なすっておるだろうと思うのですけれども、私は、そういうやりくりには限界があるだろうと思うのです。
 そういう意味で、衆議院の当局は、この前の私の質問に対しまして、この分科会で、昨年でしたか、定員の削減計画に衆議院は拘束をされませんと、こういうお答えをいただいたと思うのです。
 ですから、そういう意味で考えますと、週休二日制、これは後でまたお伺いいたしますけれども、そういうものによる業務量の増加というものとは別個に、本来の業務量の増加に見合う予算定員というものが、私はやはり必要だろうと思うのですけれども、その点どうお考えになっているのか、まずお伺いいたしたいと存じます。
#40
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 おっしゃるとおり、衆議院、本院職員の勤務の体制は、各省に比較して格別考慮を払わなければならない面が多々ございます。したがいまして、これに対して十分な手当てをすることは当然と考えます。
 ただ、定員増の問題につきまして、政府の削減計画には直接拘束されないということも、ただいまお話にありましたとおりでございます。私どもも、自主的に判断して、もし今後とも必要がある場合には、それに備うるべく妥当な要求をしていきたい、かように考えております。
 ただ、現在の段階で、一方において業務の性格あるいは機能の合理化、あるいは機械の使用というようなことで、できるだけ節約するということも、また考えておるところでございまして、したがいまして、その後は、この節約面と増加面とが均衡を維持してきた状態でございます。しかしまた、別途事務量などが増大してきた場合に、これに拘束されるということは、私どもは考えておりません。
 以上でございます。
#41
○山本(政)分科員 それでは、具体的な問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、速記者の適正な出務回数というのは、どれくらいなんでしょうか。
#42
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 御承知のように、速記者の勤務につきましては、伝統的に速記者自体の勤務体制はこの程度という目安がございまして、これにのっとってやってきております。私どもの理解では、三、四回ではないかと思うのでございますが、そういう問題につきましても、もしそれが、著しくということが恒常的に続けば、先ほどのように、事務量の増大に対して特段に考えなければならないことであろう、こういうふうに考えております。
#43
○山本(政)分科員 私は、この前の分科会でもお伺いしたのですけれども、御承知だと思いますけれども、過去十年間の出務状況というものがこの表に出ておりますけれども、いま総長は三、四回とおっしゃった。私は三回ぐらいだというふうに理解をしておりますけれども、四十九年は十回ですね。四十八年は九回なんです。そして、たしか四十八年に十五人の頸肩腕症候群の方が出られた。いま患者のお話によりますと、快方に向かわれておる、その後そういう、状況が出ておらぬというお話がありますけれども、しかしこれは、先ほどもお話があったように、臨時の速記要員の委嘱だとか、あるいは養成所の研修生の応援だとかいうことで、それこそやりくりをしている。これは、総長のおっしゃる節約といいますか、そういうものじゃないだろうと私は思うのですよ。きわめてテンポラリーなやり方だと思うんですけれども、七十二国会、ここでは一日の速記時間が七十七時間二十五分、三月七日ですが、そして出務回数が十回になっている。そして平均は、さっき申し上げたように十回だということになれば、そういう意味では、これは著しくぼくは出務回数はふえていると思うです。おっしゃることから考えれば、二倍以上でしょう。二倍以上の出務回数ということは大変な量だと思うのですけれども、そうすると、そういう点について、一体どういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#44
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 そういう著しく、九回とか十回とかというようなことが恒常的に出ている場合には、これは非常な問題でございますが、そういうふうな数字が出るというのは、ごく忙しい、たとえばきょうのような状態というのは最高でございます。分科会が各分科に分かれまして開かれる、ほかの委員会もそういうときには行われる、こういうことで、たまたまある日が非常に著しい負担になるということがある場合がありますが、そういうときのためには、先ほどちょっと先生もおっしゃられましたとおり、臨時に、言うなればOBを頼むとか、あるいは外部の人を頼むとか、あるいは養成所の、現在最高の段階に達している研修生を頼むとか、こういうことをして切り抜けるわけでございますが、現状におきましては、特に四十八年が忙しかったようでございますが、昨年大分緩和されましたし、これとともに、またテープレコーダーみたいな機械をたくさんあれして、時間的に拘束感を感じさせ、それが神経的に影響するということのないような手配等をいたしまして、万全の策を講じているわけでございます。
#45
○山本(政)分科員 総長、ちゃんと数字を確かめて御返事を願いたいと思うのです。七十一国今は、二月が二百五十時間三十六分、三月が五百七十七時間二十六分なんですよ。七十二国会は、二月が四百七時間三十三分です。二百五十時間と四百七時間と比べたら大変な時間の差じゃありませんか、審議時間というのは。七十一国会の三月は五百七十七時間だけれども、七十二国会は七百七時間ですよ。そうすると、審議の時間というのは少なくなっていないじゃありませんか。一昨年に比べて、どこに昨年が少なくなっておりますか。そういうことをおっしゃっちゃだめですよ。ふえておるじゃありませんか。
#46
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 私が、四十九年度に緩和されていると申し上げましたのは、年間の速記時間でございまして、四十八年では三千三百三十時間でございますが、昨年は二千四百六十三時間であった、かようなことを申し上げているわけでございます。
#47
○山本(政)分科員 時間がありませんから先に進みますが、要するに、三木さんも対話と協調、こう言っているわけですよ。そうすると、審議時間というのは、当然ぼくは長くなるのが常識だと思うのですね。
 そういうことに備えて、一体事務当局はどういうふうにお考えになっておられるのか。つまり、年を追って労働量がふえているということは事実でしょう。そうすると、それに対する大幅な増員というのは必要だろう。それに対して、一体どういう計画をお立てになっているのか、これが第一点。
 第二点は、やはり衆議院の速記者養成所に人が集まるようなことをやらなければいかぬだろう。そのためには、生徒手当の増額だとか、あるいは施設の充実だとか、そういうことが必要だろう、こう思うのです。そういうことについて格段の考慮を払っていくべきだと思いますが、そういう点についてどうお考えになっているのか。簡単で結構であります。
#48
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 山本分科員のおっしゃるとおりでございまして、私どもも増員につきましては、多大の関心を持っております。しかしながら、養成所に採用します人員が十五名ないし二十名ございまして、実際に本院に採用し得る能力がその間に認められて合格するという者が、その半数以下なのが実情でございまして、ただ数を伸ばすだけでは、御承知のように、非常に重要な国会速記の事務に携わる職員としては認めがたいものがございますので、そういう意味におきましては、仮に十五人採用した者が、十五人全部が全部能力の基準に達し得ると認められる場合におきまして、これを定員増によって十分吸収していくというような覚悟は考えております。
 それから、第二点の、それなら養成所にもっといいのが集まるような施設、準備をしたらどうかということでございますが、おっしゃるとおりでございます。
 これにつきましても、年々増額を図ってまいりまして、五十年度におきましては、養成所の生徒手当として、一年生六千円を七千円、二年生七千円を八千円に、それから研修生は一万二千円を一万三千五百円に上げるというような手当てをしたわけでございます。またそのほか、生徒が地方から来る場合を予想いたしまして、寮の施設等も完備いたしまして、これに対しては、十分収容する能力を持って構えているわけでございますが、必ずしも集まる状況は、われわれの期待するようでないということは、まことに遺憾と存じております。
#49
○山本(政)分科員 それじゃ、議警職の増員についてお伺いしたいのですけれども、採用試験とかなんとかということで各地に出張し、そして募集に努力されていることは大変だと思いますが、四十六年から特別勤務体制というのが実施されておりますね。そして、いろいろ事件もございました。そういう中で、特別勤務体制というものが、話を聞けば常時化をされておる、こういうこともあるでしょうし、それから、これはいたずらの電話でしょうが、怪電話なども来るということがあって、勤務時間というのが、あるいは業務量と言った方が正確かもわかりませんけれども、それが多くなっていることは事実だと思うのですが、それに伴う増員が一体どうなっておるのか。実際に職場ではかなり私は労働が強化されておるのではないだろうか、こう思いますが、この点についての増員計画はあるのかないのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
 もう一つは、調査室の事務量が増加をしてきておる。常任委員会は十六、特別委員会が八つありますが、すでに特別委員会ももう常任化されておる、こう言っていいんじゃないだろうか。沖繩特別委員会、それから物特、こういうものを除きますと、他の特別委員会の問題というのは常任委員会の方に調査を依頼している、こういうのが常態だというふうに伺っております。とすると、これもまた増員の必要があるんではないだろうか。同時に、いろいろ社会の現象が多様化されておるといいますか、そういうことに伴って議員の活動も、ますます細分化されるというようなこともあるでしょう。
 そうすると、調査室にもそれに対応する体制といいますか、そういうものが当然私は必要になってくるだろうと思うのですが、そういうことに対する増員計画は、一体おありになるのかどうか。この二点をお伺いしたいと存じます。
#50
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 まず議警職でございますが、数年来、諸般の情勢上、かなり警備体制の強化をしていることは事実でございます。これに対して、増員計画があるかとの御質問でございますが、ただいまのところは、現在の体制でやっていくつもりでございます。
 と申しますのは、警戒を厳重にいたしますということは、そのために特に立番個所がふえるとかという問題ではなくて、従来は厳しい点検をしなかったのを、数年来の特別な情勢に即するごとく、規則どおり厳しくやっていくということで、もちろん精神的な負担は、御心配になるように、職員にとって大変なものであろうかと存じますが、現在まだこれをふやすというほどの事務量の増加とは考えておりません。
 しかしながら、必要があれば、もちろん増加を考えるのでございまして、過去でも議警職の増加というのは、一番最近では、四十四年に三十人ふやしたのが最後でございますが、こういう特別な必要がある場合において、それを黙っているということは、私どもは考えておりません。
 それから、常任委員会、特別委員会の問題でございますが、ただいまの御意見のとおり、常任委員会もこのごろなかなか忙しくなっております。したがいまして、現在の段階では、いまの定員の節約と、それから増加のやりくりの範囲でございますが、常任委員会等には格別の配慮をして、できるだけそっちに回す。来年度も数名でございますが、常任委員会に配置するということも考えております。
 それから特別委員会につきましても同様でございまして、昨年は物価の調査室を特に増設したわけでございますが、特別委員会の恒常性という点から、今後ともそれを拡大強化するということの御意見でございます。
 私どもも、おっしゃるとおり、ごもっとものことと思いまして、実はその方向に検討しておる段階でございまして、ただいまの御意見によりまして、ますますこの必要性を痛感するわけでございます。
 以上でございます。
#51
○山本(政)分科員 言葉じりをとらえて大変申しわけないのですけれども、厳しい点検が必要である、だから規則どおり厳しくやっていきたいということは、従前は規則どおり厳しくやってないということなんですか。私は、規則どおり厳しくやるということは、昔からやっておるのじゃないかと思うのですよ。しかし、条件というのは変わってきている。いろいろな電話がかかってくる、それに対してやはり即応しなければならぬ。けさの新聞じゃありませんが、たとえうそだとわかっておっても、そういう電話がかかってくれば、安全体制をしがなければならぬということで、伊勢丹のああいうことがあったわけですね。
 ぼくは衆議院だって同じだろうと思うのです。いろいろな電話がかかってくれば、これは仮に信頼できないと思っても、しかし一応体制をきちっとすることは必要だと思うのです。それは、要するに従来どおりの、規則的にやることのほかに、もう一つ負担が加わってくることじゃないだろうか、そう思うのです。
 ですから、そういう点で、私は、ぜひ増員の問題については、議警職の方々の努力というものもあるでしょうし、大変だと思うのです。そういう意味で、ひとつぜひ再考を促すというか、お考えをお願いしたいんですが、いかがでしょう。
#52
○藤野事務総長 御意見に従いまして、さらに検討いたしたいと存じます。
#53
○山本(政)分科員 ありがとうございました。
 それじゃ、最後に、週休二日制のことについて若干質問したいと思いますが、いま民間企業では、大体半数を超える週休二日制が実施されております。そういう中で、公務員の労働者が取り残されているんではないだろうか、そう私は思うわけでありますが、公務員共闘というものも週休二日制に対して早急に取り入れてほしいということで、人事院との交渉を行ってきております。御承知のことだと思います。そして、人事院の方も昨年七月の勧告の中で、当面、時間短縮を伴う隔週または月二回を基準とする週休二日制の実施を昭和五十年を目途として考えていきたい、こういうことになっております。
 そういう趨勢というものがあるわけでありますが、事務当局でいかがでしょう、試行的といいますか、試しといいますか、そういうことで閉会中から実施するというような方法もあるだろう、全面的にするということになりますと、制度改正ということもあるかもわかりませんが、試みに行ってみるというようなこともあり得るのではないだろうか。これは、十二月五日の総長の交渉のときにも、閉会中のときには前向きに考えておるということをおっしゃっておる。それからもう一つは、十二月十八日の庶務部長の交渉のときにも、来年度の閉会中から実施できるように積極的に検討してみる、こういうお答えがあるようでありますが、その点、いかがでございましょう。
#54
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 週休二日制の問題につきましては、御案内のとおり本院の職員の職場の体制というものは、各省に比べても非常に複雑でございますので、すぐこれを実施するということが妥当かどうかは、多少問題があろうかと思いますが、こういう全般的な社会情勢、それからまた、先ほどの人事院の勧告の中に示されました意図等を勘案いたしますと、でき得れば、今度の閉会にでもなりましたら、試行的にでも実施の一歩をやっていけたらと、こう思うのでございますが、そういう場合におきましては、議員諸先生方の御協力も必要と存じますので、何とぞよろしくお願いいたしたい、かように考えております。
#55
○山本(政)分科員 いまから具体的にどうするかというようなことをお聞きするのは、少し早過ぎるかもわかりませんが、そういう場合に、交代制勤務、それから宿日直勤務などという職場がありますが、そういうところに対してのお考えというのは、やはり考慮をされておるのだろうと思いますが、具体的にお答えが、いまできないかもわかりませんが、もしお答えできる範囲があればお聞かせをいただきたい。
 それからもう一つは、週休二日制というものの本旨を考えると、それが実施された場合に、職員の労働条件が逆に悪化するということではないはずで、週休二日制は、労働条件を改善する方向への週休二日制であるべきでありますので、その点もひとつお考えをいただいて、労働強化にならないように、組合の方とも十分にひとつお話し合いをしていただきたいと思いますが、一つは要望、一つは質問になるわけですが、お答えいただければと思います。
#56
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 交代制勤務その他の点につきましては、もちろん週休二日制の何らかの措置を試行的にした場合に、こういう方が均てんできないということは、これは当然おかしいことでございますので、そこらもあわせまして、どういう形で持っていったらいいかということを、早急にやはり検討いたしまして、先ほど申し上げたように、でき得れば試行的に今国会終了後には、もう今度の閉会には実現できるようにいたしたいと考えておるわけでございます。
 それから、もう一点の御要望でございますが、もちろん、週休二日制は職員の待遇改善といいますか、その一環として行われるものでございますから、そのために労働が過重になる、あるいは、それがために不必要な摩擦を起こすということのないようには万全の措置をしなければならぬ、かように考えております。
#57
○山本(政)分科員 実は、私は、職員の労働条件の問題について、七年間くらい続けていろいろと質問もし、御要望も申し上げてきたわけですが、増員の問題、そして週休二日制の問題、きょうはこの二点でございましたけれども、事務当局の方でお考えをいただいて、ひとつぜひ前向きで処理をしていただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#58
○笹山主査 次に、高沢寅男君。
#59
○高沢分科員 山口委員それから山本委員に引き続きまして、私も、この国会で仕事をされている職員の皆さんの待遇の問題に関係することでお尋ねをしたいと思います。
 たとえば、衆議院であれば、この衆議院で仕事をされている方の数は約千八百名、この皆さんの、たとえば人事の異動や交流というふうなことも、その千八百という枠の中で動いておるというふうなことで、たとえて言えば、非常に小さいたらいの中での異動ということになっておりますから、したがって私は、そういう条件から、国会の職員の皆さんの人事というものは、一般的に言って非常に停滞しがちになるということは、これはある程度やむを得ない、そういう前提の事情はあると思うのです。
 しかし、そうだからといって、やむを得ないということでおいておいたのでは、やはり仕事をされる職員の皆さんの士気にも関してくるというふうなことにもなり、あるいはまた、意欲にも関してくるということになりまして、この国会が議会制民主主義の機関としての機能を十分に発揮するという点において、またいろいろな支障が出てくるということを憂慮するわけです。
 そういう点で、枠があるということは一応前提にしながらも、その中で、そうした人事の交流あるいは昇進、昇格がスムーズに進むというふうなことで最大の努力をお願いいたしたい、こういうふうに考えるわけです。
 それで、現状の職員の皆さんの給料表における等級、号給の実態を見ると、特に戦後の新しい憲法ができて、そして、議会制度においても新しい出発がなされる、その時期に非常に多くの方が採用されて国会の職員になる、その人たちが、いまや時間の経過の中で、それぞれ中高年の段階へきておられる、こういうふうなことでありますが、したがいまして、国会の職員の方でいま行(一)、行(二)、速記、議警という四つの給料表が適用されておりますが、そのどれを見ても、いずれも給料表の中で中高年齢の方が、この一定の等級のところへたまってきて、そして、その一つの等級の中でも、また高位号給のところになってくると、年々の昇給の間差がダウンしてくるというふうなところへ大ぜいの方がたまっているというふうな状態にあるわけですが、ここのところを、私は、何といいますか、風穴をあけて、そこのところが昇准をし、昇格をしていく、そのための階段を広げていくということが、いま特にこの国会の関係では非常に重要じゃないか、こう思うわけであります。
 そういう点において、今度の五十年度予算を拝見すると、その面ではかなり、定数のそれぞれ上位等級への移しかえということは、確かに実績として出てきております。私は、皆さんの御努力がそういうふうにあらわれているということは評価いたしますが、しかし、まだ現状から見れば、足りないというふうな状態だと思います。そこのところを将来に向かって改革をし、是正をしていくということについて、まず、これは一般論ということになりますけれども、初めに事務総長のお考えをお聞きしたいと思います。
#60
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 ただいまの御意見のとおり、ちょうど各上位等級の上位号俸というものが、いまやわれわれの職場ではかなり多数の人が占めている。しかも、そこに間差ダウンの線が来ているということは事実でございまして、これがためには、毎年相当の努力をもって運用的に解消するごとくやってまいりました。本年もただいまのお言葉のとおり、まあいろいろ努力の結果があらわれているわけでございますが、私どもは今後ともこの努力を続けていきたい、かように考えております。
#61
○高沢分科員 ぜひそういう努力をお願いをしたいと思いますが、やはりこれも一般論に属する問題として、行e表の適用の、特に女子職員の場合、六等級から五等級への昇格、これが実態として、かなり男子の職員よりもおくれが見られる、こういう点があるわけであります。
 この点については、もちろん男女の違いということでもって、そういうおくれを認めていいということにはならぬわけでありまして、この点については、その実態をどのように総長はお考えなのか、改善策をどのようにお考えになるか、お聞きをしたいと思います。
#62
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 御承知のとおり、現在の俸給表というものが、かなり職階制的な構成をとっております関係で、職務の内容からして、女子の職員が男子のように進んでいけないという面は確かにございますので、それは事実としてお認め願いたいと思います。しかしながら、そうかといって、同じような経歴でやってきた者が不均衡の状態が現実にあらわれている場合に、これに対処する手だてをしないということも、これまた私どもの本旨とするところでございません。
 したがいまして、女子につきましても、できるだけの配慮はいたしてまいりました。昨年はかなり思い切ってその点の是正を図ったつもりでございますが、今後とも、御意見を体しまして、なおできる限りの努力をいたしたい、かように考えております。
#63
○高沢分科員 以下、私、今度は個別なそれぞれの給料表についての具体的なことでお尋ねをしたいと思います。
 これは、行(二)表の関係のことでありますが、先ほど山口委員もこのことでお尋ねをしていたわけでありますが、行(一)、行(二)という、そういう給料表の区別があるということはよくないということで、従来からそういう議論がありまして、行(二)表は撤廃すべきである、こういうふうな要求もなされ.議論もなされて進んできたわけであります。
 この点については、われわれは、いまでもそういう基本的な立場を持っているわけでありますが、ただ、実態として、この行(二)表を撤廃していくそのプロセスとして、昭和四十一年から次第に行(二)表の定数を行(一)表の方へ移しかえていくという、こういうふうな過程、あるいはその努力が進められてきたわけであります。それで、昭和四十七年度は、行(二)表の定数は、さっきも総長言っておられましたが、六十名ということになっている。それからその後五十二になり、五十年度の予算では四十八というところまで来ているわけであります。
 そこで、私はお尋ねしたいのですが、特に自動車の運転をされる方、そういう技術職の方の場合には、結局、採用のときには行口で採用する方が初任給の有利性がある。そこでもって採用して、一定の時間の経過の中で行(一)の方へ移していくという、こういうふうな措置がとられておりますけれども、その採用の際の初任給格づけの有利性を確保するために、この行日表というものは、やはり一定の役割りがあるんだ、こういう当局の立場もわかるのでありますが、そういうふうな立場から見た場合、この行日表が四十八まで来ましたけれども、しかし、大体どのくらいの数があったならば、そういう初任給の格づけの有利性を確保するために適当な数だ、こういうふうに総長はお考えか、どのくらいの数が妥当であるとお考えか、それをお尋ねをしたいと思います。
#64
○藤野事務総長 四十七年におきまして、六十で一応ストップという形になったわけでございますが、今回、四十八のところまで毎年数名ずつ削減していった、こういうことでございますのは、一つには、やはり運転手なら運転手の採用の条件といたしまして、その経験年数その他を勘案するために、行(一)へ持っていくと非常に不利になるが、行(二)で採った場合には、その経験年数が十分勘案されるためによくなる、待遇的に有利であるということから残していることでございますので、何名が適正かというような基準は、ちょっと申し上げにくいのでございますが、六十名から数年を経て四十八名まで来たということから見ましても、やはり四十数名ぐらいのところは残しておかないと、そのやりくりに困るんじゃないかというふうに現在の段階では考えておる次第でございます。
#65
○高沢分科員 大体総長の腹づもりは、四十名台あるいは五十名前後、ここら辺のところは、そういう運用の面からいって、実態として妥当である、こういうお考えと見ていいわけですね。
 それで、その上に立って、そういうふうなものがあるその意味づけが、いまおっしゃったように、そういう技術職の人の採用に当たって、経験年数その他の条件を有利に生かす、こういうふうな目的でそれを置いておるということであれば、それで採用がなされた、そして、あと今度は行(一)へ移すというふうな場合に、その行(一)への移行は、やはりなるべく早く移していくということが、またその該当者のためにもいいんじゃないか、こう思うわけです。現在は行口で採用して、約一年たってから、こういうことのようでありますが、私は、そこはあえて一年という時間を条件にしないで、採用されたその年度のうちに行(一)へ移しかえるということも、当然あって差し支えないのじゃないか、こう思いますが、この点は、総長、いかがでしょうか。
#66
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 御趣旨ごもっともでございますが、有利性がどのくらいあるかということと、つまり、経験年数があればあるほど有利性があるという結果になりますので、そういう方を直ちに行(一)に持っていく場合に、それじゃ行(一)の方の基準から言ったらどうかというと、まるで不利というか、認められない、通常の場合ですね、行(一)へいきなり持っていった場合には認められないような、そういう表の上の取り扱いになっている者が、採用されて、入ってきて、すぐに同じ取り扱いになるということになりますと、やはりそこに行(一)本来の職員との不均衡も出てくるのじゃないか、こういうことで、悪い言葉で言えば、脱法行為のようになるほどまで余り運用で行くことにつきましては、もう少し慎重に扱わざるを得ないのじゃないか、私はそう考えておるのでございますが、いかがなものでしょうか。そういう現在の気持ちです。
 今後とも検討はいたしますけれども、その点は、表がある以上は、やはりやむを得ない最小限の、これも固まって、何年でなければならぬというものでもございませんけれども、というものがあるのじゃないか、現在かように考えております。
#67
○高沢分科員 結局、給料表というものは、確かに一つのそれぞれ体系としてあるものですけれども、これを生かすのは、今度は人間の仕事でありますから、ですから、その運用の面では、確かにそれをただトンネルに使っているということでは、また問題も出るかと思いますが、運用の面では、やはり該当者の希望ということもありましょうし、それから、該当者が、早く行った方がより有利であるという事情の場合には、当然それも実態を生かして運用していただきたい、こう思うわけです。
 それで、技術職の大多数を占めている自動車運転者の人たちの場合ですが、現在の実態として、その人たちの数の約半数の人たちが五等級というところに現在在級しているわけです。その五等級に在級されている人のまた四分の一が、十五号給以上というところに在級をしておる。五等級に至る間の昇格の過程も、各等級における在級年数は長い。したがって、上位の等級に上がっても、その場合問差ダウンの号給というものを歩かなければならぬというふうなことになって、実態として在職二十五年の表彰も受けているような人が、現在年にわずかに三千円足らずしか昇給しないという、非常に間差の少ないところに置かれているというふうな実態もあるわけであります。こういうふうな状態は、やはり早く打開をしてもらわなければいけない、こう思います。
 そうすると、結局五等級でそれだけ大ぜいの人が、いわば詰まっているという状態であるとすれば、それは四等級の枠を拡大して、そこへ上がっていく道を広げるということしか、結局ないわけでありますが、ぜひ有資格者の昇格を、四等級に向かって進むことができるような、そういう定数の是正をぜひひとつやっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。
 この四等級のところでは、確かに五十年度の予算を見ると、七名という定数増がなされている。これは私、やはり皆さんの努力の結果だということは認めるわけでありますが、しかし、それでも、最初に申し上げたように足りないという現状であるわけですから、だから、ここのところをさらに拡大をしていただくということ、さらにはまた、その上の三等級というところへも有資格者は進むことができる、そういう道をぜひ、これは五十年度のいま予算の審議でありますけれども、当然また五十一年度に向かってそういう努力もやっていただきたい、こういうふうに考えるわけですが、総長のお考えをお願いします。
#68
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 ただいまの御意見のとおり、四等級をできるだけ増加すべく努力してまいりまして、本年もかなり成果をおさめたわけでございますが、今後とも、特にいまお話の出ました職場の関係におきましては、四等級が増加するように努力し、また、その先につきましても検討を加えてまいりたい、かように考えております。
#69
○高沢分科員 次に、速記職の関係ですが、いずれも問題は皆同じ性格の問題です。
 速記職では、速記職表の二等級から一等級への昇格の資格があって、しかし昇格できないというふうな人たちが、非常にたくさん二等級上位号給に滞留をしておるわけであります。これを一等級へ上げる、こういうふうに考える場合に、そこに速記監督というそういう職務との関係もまた出てくる。その監督ということになってくると、第一線の速記の仕事をしない、こういう関連が出てきて、そこをふやせば第一線の速記者の人の数が減る、そういうジレンマがある、これは過去に山本委員が質問されたことに対して、前の知野総長がそういうふうなこともお答えになっておるということも承知しておりますけれども、その関係では、実際にその仕事をやっている皆さんの中には、監督という立場になって、そして実際第一線の仕事はやってよろしい、それもやむを得ないというふうな考えも非常にあるやに聞いているわけです。
 そうすれば、この際、一種の現業監督、監督という立場で第一線の速記の仕事もされる、そして、給与としては一等級というふうな、そういう扱いが当然出てきていいのじゃないか、こう考えるわけですが、事務総長のお考えもお聞きしたいし、また、そのためには速記一等級の定数も当然ふやさなければならぬということになりますが、ぜひその努力のお考えをお聞きしたいと思います。
#70
○藤野事務総長 ただいまの御意見の件でございますが、これは私どもの方といたしましても、今後の問題として十分検討していきたい、かように考えております。
#71
○高沢分科員 これはぜひひとつ実現の方向で努力をしていただきたいと思います。
 それから次は、今度は議警職の関係ですが、警職の給料表では、昭和四十三年に特一等級の新設が行われたわけであります。
 現在、特一等級の運用を見ると、衛視長に昇任された後、一等級に約一年在級してから特一等級に昇格する、こういうふうな運用がなされているわけであります。最近、行(一)表において、全体としてランクアップが進められているということから見れば、衛視長に昇任された場合、その場合、同時に特一等級に昇格するということも当然あってしかるべきじゃないか、こう考えるわけですが、この点は、ひとつ総長のお考えをお聞きしたいと思います。
#72
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 議警職の場合におきまして、特一等級と一等級、これは衛視長にランクされる等級でございます。そして、特一等級の方は、業務が著しく困難な衛視長という形でありますので、これを全く無視するということも、実はおかしいわけでございますので、現在のところでは、従来の一等級在職年限を考慮いたしまして、大体一年で特一等級の方へ行けるというふうなことにしておるわけでございますが、本来からいけば、もっと三、四年かかるというところを特にそういう扱いで運用してきているわけでございます。この点は、やはりある程度の期間をもたせないで、いきなり特一等級と一緒にするということはいたしかねるのじゃないかと考えております。
#73
○高沢分科員 これは、議警職給料表で全体的に頭打ちの傾向が見られますし、それから特に二等級においてその傾向が強い、こう思うわけですが、二等級のところを、いわば上へ行くその道を広げるには、結局それは一等級にぶつかる、一等級の道をあけるには、また特一等級にぶつかる、こういうような玉突きのような関係にもなっているわけで、私が最初に特一等級の運用のことで申し上げたのは、そこの下からの関連も当然考えて申し上げたわけであって、したがって、二等級で特に頭打ちになっているという打開の関係において申し上げたわけですが、その関連も含めて、もう一度総長のお考えをお聞きしたいと思うわけです。
#74
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 実は、議警職の場合には、おっしゃるとおり、下の等級からの圧迫といいますか、押し上げるような情勢が年とともに強くなるのでございまして、この点につきましては、とにかく上位等級の定数を一人でも多くとっていく、それからまた、はけ口のスムーズに行くように、運用で幾らかでも処理するというようなあらゆる努力をもって、いま、たまたま詰まっている付近の運用をスムーズにしていく、こういう努力をいままでもやってまいっておるわけでございますが、今後とも、さらに強めていきたい、かように考えております。
#75
○高沢分科員 以上、私、それぞれ昇格問題を中心に、要するに風通しをよくするというための努力についてお尋ねしてきたわけでありますが、この点は、これから皆さんが大蔵省に対して当然折衝され、要求される過程があるわけで、われわれも側面的にも幾らでもお力添えする考えがありますので、ぜひひとつ御努力を願いたいと思います。
 最後に衆議院の庁舎の関係ですが、参議院の庁舎はすでに本年中には完成するというところまできているわけでございますが、衆議院の事務局庁舎の建設については、非常に職員の人たちの要望も強いし、これはいつごろから着手して、いつ完成の予定であるか、また、どの程度の規模の建物を予定されておるか、お尋ねをしたいと思います。
#76
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 実は、私どもの方の事務局の庁舎の建設が、参議院に比較いたしましておくれておりますのは、先ほどちょっとお話が出ましたが、例の議員宿舎優先という、たまたまちょうど解散後の特別の事情がございまして、両立てでやっていけないという諸般の事情がありましたので、九段の議員宿舎の六十三戸増設ということを優先した。したがって、かなりのおくれをとったわけでございますが、本年度の計画といたしましては、敷地の整理等基礎工事に必要な予算といたしまして、ちょっと一億に足りませんが、入れております。本格的な工事は大体五十一年度からとなろうと思いますが、設計を今後具体化するわけでございますが、いまの見込みといたしまして考えておりますのは、地上九階地下四階、大体三万四千平米ぐらいの程度を見込んで、工期も三、四年を想定して、これの具体化のために、いま計画を進めたいと考えておるわけでございます。
#77
○高沢分科員 以上で私の質問を終わります。
#78
○笹山主査 次は、東中光雄君。
#79
○東中分科員 最初に、事務総長に二、三の問題をお聞きしたいのであります。
 先ほど来の審議でも出ておりました速記の問題でありますが、私たちは、国会は国政審議の場であって、審議を尽くさなければいけない。しかもそれは、憲法の規定しておりますように、公開の原則、会議録の作成ということが、憲法上の要請となっておるわけであります。そういう点では、会議録の作成、そのための速記というのは、その仕事の面から言って、憲法五十七条で、会議録を作成し、保存するということを規定しておりますような、憲法上の要請によってやられておる非常に重要な仕事だと思うのであります。
 ところが、先ほど来の質疑の中で出ておりましたように、速記者の仕事が非常に過重になっている。一日一人三、四回ぐらいが適切であるはずなのが、十回も九回も、倍以上にもなっておるという状態を事務総長も言われておるわけでありますけれども、これは、正確に、しかも労働者の労働過重にならないように速記が確保され、国民の前に会議録が示されなければいけない、この大きな憲法上の要請を、個々の速記者の犠牲で、たとえば頸肩腕症候群が発生する、こういう肉体的な犠牲で憲法上の要請が果たされるというふうな体制では、まことに体制として非常にまずいのじゃないか、こう思うわけでありますが、速記者の増員という点について、具体的にどういう計画なり処置を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
#80
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 速記者の増員につきましてどういう計画かということでございますが、御承知のとおり、本院といたしましては、長い伝統といたしまして、これは数十年来の伝統といたしまして、速記士の養成につきましては、速記養成所において本院独自の速記法によりまして速記教育をし、その中から、特にいまおっしゃった重要な国会の速記の職務にたえ得るという認定に達した者を研修生といたしまして半年教育し、それをさらに採用試験を通した上で採用するという、非常に慎重な採用の仕方をとっているわけでございまして、現在の速記士は、先ほどのお話に出ました速記監督から一番最近入った職員まで、ことごとくそういう系統の出身者でございます。ごく例外といたしまして、昨年はそれだけではどうしても充足できないということから、外部の人を試験によりまして採用しております。さように、昨年は十二名でしたか、つまり二けたを採用したという、近来まれな多数な採用者を出しているわけでございますが、今後とも私どもは、そういう能力がある場合には、決して定数の枠等にとらわれることなく、できるだけそれを採用していく、貴重な人材であるという見地から考えておるところでございます。
 しかしながら、御承知のように、十五人、あるいは十五人以上の養成所の入所者が、二年たって判定した場合に、本院の速記事務にたえ得るとして、さらに半年の研修科課程に入る生徒の数が半数にも達しないという実情でございます。
 募集その他についての問題があるのじゃないかという先ほどの先生方の御意見もございましたが、とにかく入所試験になりますと、数十倍という多数の応募者がございまして、その中から選んで何十分の一かという十五人、十六人の者が、二年研修して、本院の執務にたえ得るという認定に達する者が五名ないし六名という現況でございますので、これは計画と申しますよりも、いかにしてそういう優秀な人材を確保するかということが最大の問題でございます。
 先ほども申し上げましたとおり、本院の伝統的な速記者の養成の機構、これは古い言葉でありますけれども、大家族主義的に、とにかく、先生から生徒までみんな一体をなしてやってきておる、こういう状況におきまして、ただ数の問題ではないということを一言申し上げまして、お答えといたします。
#81
○東中分科員 権威のある優秀な速記者の養成に努力されておる、これは当然のこととはいえ、よいことだと思うのでありますが、だからといって、人数が少なくて、その人たちが肉体的に故障が起こるというふうな状態は、放置されておくべきことではないのじゃないか。
 それから、非常に倍率の高い応募者の中から十五名、あるいはそれ以上の養成所への入所ということでありますが、さらにその面での特段の配慮をやって増員する、確保する。人がふえたから技能的に弱くてもいい、こういうことではないことは明白でありますけれども、優秀な速記者を、しかも増員することが必要だということで、一層の努力をしてもらいたい。国会審議がストップ状態で、実際上審議されていないというふうな事態が過去によくありましたけれども、そうではなくて、やはり国会は、国民の前に政治の実態を明らかにし、国民の要求を国会で反映さしていく、そのための審議を尽くす、それを国民に知らせるというのが国会の任務でありますし、これは議会制民主主義の基本にかかわる問題でもありますので、それを支える重要なポストとしての速記者の増員という点で、格段の努力をしていただきたいということを要請しておきたいと思います。
 次に、自動車運転者の待遇の問題でありますが、先ほども話に出ておりましたので簡単に申し上げますが、行(一)表の四等級の技術職の定数が、昭和四十九年度に初めて五名設置された、五十年度は七名の増員を要求していますが、十二名という定数は職員の実態から見ると、大きくかけ離れているのではないか、大幅な定数増を行う必要があるのじゃないか、こう思うのであります。自動車運転者の場合だけを見ましても、五等級にいま七十七名、全体の半数近く、四六%が文字どおりひしめき合っているという状態になっています。この職員の平均年齢五十二歳、平均勤続二十一年というふうになっておるようであります。
 それで、五等級七十七名の内容を見てみますと、昇給額がダウンをしていく人たち、十五号から二十号俸に該当する人が四十二名いる。この人人の平均年齢五十五歳、平均勤続二十四年というふうになっておるようであります。この四十二名という数字は運転者全体の四分の一、こういう四人に一人の割合で、ここでいわばストップさせられるというふうなかっこうになっておるわけですが、五等級十五号俸から二十号俸に該当しているこれらの人たちを四等級に昇格できるような定数増をやるべきじゃないか、こう思うのでありますが、そういう点についての事務当局の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#82
○藤野事務総長 お答え申し上げます。
 御承知のように、四等級と申しますと、現在は技術の職務に属しています自動車の運転手等も、ここ一両年の努力によりまして、四等級まで行くということが認められたわけでございますけれども、従来の経過から申しますと、御承知のように、当初は、四等級というのは、行(一)の一般職事務職に比較いたしますと、課長補佐の職務でございまして、やはり監督管理、管理職ではございませんけれども、相当の部下を持って、これを指揮監督するという要素が含まれている職でございます。したがいまして、すべての運転手が四等級に該当するというふうに考えますことは、そういうたてまえ上にかなり問題があるのでございまして、これを私どもは、車庫において他の運転手を監督するとか指導するとか、そういう管理するという面を考慮しての数字として五名、本年は十二名というような形で伸ばしてきているわけで、御趣旨はおっしゃるとおりでございますので、今後、もちろん努力を続けてまいるつもりでございますけれども、そういう基本的な問題を前提として考えていかざるを得ないということもひとつ御了解願いたい、かように考えております。
#83
○東中分科員 五十年度の四等級昇格者は、増員の七名と四十九年度退職による空白三名、合計十名が可能だと思うのですが、それを配慮して昇格者を決めるというふうなお考えがないかどうか、そういう点で検討されるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
#84
○藤野事務総長 それは一応技術職からいける四等級の数字でございまして、それがすべてが運転者だけで満たせるかと申しますと、やはり一人人検討した上、適格者を選ぶということになりますので、その点はひとつ御了承を願いたいと思います。
#85
○東中分科員 これは昇格させる場合ですが、特別の問題がない限り、五等級の高位号俸にある者から順次に昇格させていくというふうな、これはいま適格者とおっしゃいましたけれども、外形的基準による公正というものを確保するべきだと思うのです。そういう角度での人選をやられるべきだと思いますが、ひとつ、どうでございましょうか。
#86
○藤野事務総長 できるだけ御趣旨に従いたいと思いますが、御承知のように、そこに至るまでの経過、それからそれぞれその職員が現に担当している職務の内容その他も違う場合がございますので、一律的に先任順だというわけにもまいらないかと存じますが、何と申しましても、大体共通性のある職場でございますので、できるだけ御趣旨に即してやってまいりたいと考えております。
#87
○東中分科員 問題がごろっと変わりますが、「国会職連ニュース」というのを見ますと、国会職員のスト権について、事務総長の見解が、昭和四十八年の十二月十四日、四十九年の三月三十日、いずれも交渉の過程で言われたように出ておるわけですが、これを見ますと、事務総長の考えは、「国会職員がストをやって議会活動がストップしたとすると、その影響は大であり、公共の福祉に反する典型ではないか。現状で良いと思う」これは四十八年。四十九年では「正当に選挙された議員活動に支障があってはならない。国会職員には「全体の奉仕者」の規定が最も良く当てはまる。国会職員は一般職に比べ待遇が良い」こういう発言があり、「正当に選挙された議員活動に支障があってはならない。国会職員には「全体の奉仕者」の規定が最も良く当てはまる。行政官庁において問題が解決しても国会職員はその後となろう」、こういう趣旨の発言をされたというような報道をされておるわけですが、国会の審議権の問題、それから国会の性格から見て、ストライキをやるべきであるかないか、どういう時期にやるかという、ストライキを実際にやるかやらぬかという問題とは別に、憲法二十八条にいう勤労者としてのストライキ権の問題が、いま公務員全体の問題として問題になっておるわけでありますので、実際にストライキをやるかやらぬかという問題とは別に、ストライキ権の問題としては、これは国会は特別なんだという論ではなくて、慎重に検討されなきゃいかぬ問題ではないか、こう思いますので、いま総長見解としてニュースで出されておるような問題について、これはストライキ権の問題として考えるというふうに、これはストライキをやった場合のことについて言われておるわけですから、そういう問題ではないのだということを、私は当然のことだと思うのですけれども、その点について、総長の見解を簡単に聞かしていただきたいと思うのです。
#88
○藤野事務総長 ただいまストライキ権としての問題と振り分けてお考えになられているような御意見でございましたが、私のいままで持論として申し上げていることは、それもまた含まれての上でのことでありますので、その点はそのように御承知願いたいと思います。
#89
○東中分科員 これは総長の個人的見解、持論、こういうようにいま言われたと思うのですけれども、国会の制度の問題として、これは憲法二十八条の問題としてという場合は、総長の個人的持論の問題ではなくて、制度の問題として、これは使用者としての議長といいますか、そういうサイドで、あるいは国会自体が考えるべき問題だと思いますので、個人的見解は結構でございますけれども、問題の立て方が違うということをここで指摘させていただきたいと思います。
 時間がございませんので、次は図書館にお伺いしたいのですが、調査及び立法考査局の問題で若干お聞きしたいのであります。
 いま国会が唯一の立法機関として立法活動を活発にやらなければいけない。政府提出法案だけがやられておる、あるいはそれが中心になっておるというふうな現状というのは、むしろ伝統的な官僚政治的なにおいを持ってくる、解決されなければいかぬ問題だと思うのですが、そのための調査及び立法考査局の活動というのは、私、非常に重要だと思うのであります。
 図書館法の十五条によりましても、たとえば「立法資料又はその関連資料の蒐集、分類、分析、翻訳、索引、」あるいは報告その他の準備行為、非常に広範にわたっているわけであります。
 ところが、その陣容を見ますと、これは非常に少ないのですね。どうしてやっていけるのかと実は思いました。たとえば、政治行政調査室、専門員一人、課長一人、調査員九人、これだけの陣容で憲法、議会、政党政治、行政制度、公務員制度、選挙、地方自治、その他、これだけの広い分野をやるというわけですから、これは大変なことだと思うのです。あるいは商工調査室を見ますと、七名になっておりますけれども、そこでやる担当事項というのは、貿易、商業、エネルギー、鉱業、製造業、企業、中小企業、科学技術、工業所有権経済計画、その他。一応内部の担当を聞いてみますと、商業一人、エネルギー一人、製造業あるいは工業所有権等を含めて一人、企業一人、こういうかっこうになっておるのですね。これは調査官の体制としては、この図書館法は翻訳法みたいな言葉を使ってあるわけですが、そのもとと比べても非常に弱体ではないか。この点、強化する方向、これは当然打ち出さなければいかぬと思うのですが、図書館としてどうお考えになっておりますか。
#90
○鈴木国立国会図書館副館長 先生には議運の委員として、また、図書館運営小委員会の委員としていろいろ常日ごろお世話になっております。この席をかりてお礼を申し上げます。
 ただいまのお尋ねの調査局の人員のことでございますけれども、ただいま調査局の人員といたしましては、百五十四名おります。確かに先生の御指摘のように、このごろ国会筋からの御質問、あるいは調査依頼が非常に多くなります。また、その内容自体も非常に多岐にわたって複雑な様相を呈してまいりました。そういう状況でございますので、いろいろ大変なことは大変であるわけでございます。
 で、この数で十分ではないだろうというようなお話でございますけれども、確かに、私どもとしてこれで十分だというふうには考えておりません。しかしながら、図書館の職員はいま八百四十五人おりますけれども、全部が一応国会の方を向いておるという姿勢をとっておりますので、百五十四人で足らない場合、あるいは、その百五十四人が消化できない分野、たとえば科学技術関係汁どの場合では、科学技術の職務を担当している他の部局の職員がお手伝いをするというような、いろいろそういう工夫をこらしておるわけでございます。
 それから来年度の予算といたしましては、なるべくそういう調査マンに雑務をさせない、そういう配慮をいたしましたり、あるいは、館外の学識経験者などを利用といいますか、お手伝い願いまして、お助けいただいてやっていくというような方策も講じておるわけでございます。
 ただ、先ほど先生御指摘のような事情でいろいろ業務量が増大してくるというようなことも、将来としては考えられることだと思います。ことしは現有勢力でやってまいりたいと思いますけれども、諸般の事情をいろいろ考究いたしまして、先先のことについては、先生方のお力を得まして、いろいろ考えていきたいと思っております。
#91
○東中分科員 調査マンがこの五年間に、国立大学へ二名、私立大学へ二名、あるいは民間調査機関へ一名、こういうふうに出ていっているわけですね。アメリカなんかの例を聞くと、逆に、大学の学者といいますか、先生が国会図書館へ入ってくるというふうになっているわけです。これは実際に立法をやっていく国の学問といいますか、あるいは調査結果を国政に反映させていく非常に重要なポストであるわけです。そういう点では、図書館の当局としても、もっと自信を持って、やらなければいかぬことについて増員を要求していく、そういう検討をこの際し直すべきではないか。それから待遇の問題も、出向やら転職で、どんどん出ていくというようなことでないような改善が、当然必要なんじゃないかということを思いますので、これは特に強くその点を再検討してもらうように、この際要請をしておきたいと思います。
 それからもう一つ、時間がありませんので、図書館の蔵書点検の問題ですが、これは非常に異常な状態になっているのじゃないかというふうに私は思います。
 一般に大きな図書館は、いわゆる休館にして定時点検をやりますね。ところが、国会図書館はそうなっていない。国会図書館自体の立場からいえば、図書館法の二十四条、二十五条の規定によっても、官庁出版物や民間出版物を網羅的に収集して、文化財として蓄積する、そういう職務を持っているわけですから、蔵書の点検というのは、非常に重要な意味を持っておる。特に中央のセンターの図書館としていえば、一層そうだと思うのです。
 ここで、図書館の方で調べてもらったのを見ますと、昭和三十七年には、和書不明本が三千八百四十六冊、洋書が四百八十二冊、合計四千三百二十八冊、四十三年には、やはり不明本の和書が二千七百十八冊、洋書は書いてありませんが、そういう状態になっておる。ところが、四十五年以降は、和書、洋書合わせても、四十五年は三百五冊、四十六年は二百十冊、四十七年が二百五十七冊、四十八年が百五十冊、こうなっています。不明本が少なくなったというのは、これを見るといいように見えますけれども、不明本であるかどうかがわからないというようになってきておるわけですね、点検ができないから。実際上、常時点検ということがなかなかやれていないということで、三十七年には四千三百冊以上もの不明本がわかったのに、四十五年以後は二、三百あるいは二百切れておるとか、こういう状態になっているというのは、図書館の蔵書のカードと蔵書との不一致についての点検ができてないから、発見される前に不明本として認識される量がうんと減ってきておるという状態だと思うのです。数字がもう明白に示しているわけです。三十七年は一応一斉点検をやられた、その後はやられていない。
 これは私、図書館のあり方として、非常に重要な問題を含んでいると思うのです。特に国立国会図書館としては、蔵書ということについての責任と職務があるわけですから、国会開会中でない適当な時期にそういう総点検をやる、休館にしてでもやるというふうな処置をとらなければ、文化財としての蔵書をやっていくという責務が果たされていないようになるのではないか、こう思うのですが、その点についての考え方をお聞きしたいと思います。
#92
○鈴木国立国会図書館副館長 いまの御指摘の不明本のことについてお答えいたします。
 三十七年にやりましたときは、ちょうど第一期の建築工事ができまして、赤坂や何かにあったものをこちらへ持ってくる、そういう期間がございましたので、若干、館の業務をやめて、蔵書点検を行ったわけでございます。そのとき、御指摘のように大分不明本が発見されたわけでございますが、その後、第二期工事が完成したときにもやりましたけれども、そのずっと後になりますと、やっておりません。やっておりませんで、いま先生御指摘のような常時点検というふうな方法でやっておるわけでございます。
 でございますが、先生いま、ある一定期間全部出納をやめて点検をやったらどうかというようなお話でございます。確かにそれも一つの方法だろうと思いますが、私ども現在検討しておりますところによりますと、いま蔵書の数が二百九十万冊ございますので、それを一斉にその業務をやめて点検をいたすということになると、大体一年以上は出納業務を閉鎖しなければいけないというような計算になりまして、まあ国会図書館がそういう長期間出納を停止するということはいかがかと思いまして、大分頭の痛いところでございます。それよりは、現在行っておる常時点検をもう少し質的にいろいろ考慮していった方が、大方の方々の御迷惑にはならないのじゃないかというふうにいまのところは考えておるわけでございますけれども、先生御指摘のことでございますので、この点、いろいろ研究さしていただきたいと思います。
#93
○東中分科員 時間が過ぎておりますので、要望だけ申し上げておきたいのですが、昭和三十七年に出された業務改善調査会答申の線から言っても、いまの状態は後退しております。それさえやられていないという状態であるということが一つ。それから、一年間もかかるんだということを言われましたけれども、一年間もかかるからほっておいたのでは、これはもう後、収拾つかなくなります。
 だから、計画的に、部門別にやるとか、とにかくナショナルライブラリーとしての蔵書ということについての配慮というものをやらなければいかぬのじゃないか。それの点検がなおざりにされたままでいけば、先になったら、たとえば十年先、二十年先になった場合に、もう何が何だかわからなくなってくる。だから、不明本の発見という問題じゃなくて、不明であるのかないのかがわからないという――不明本のうちの発見されておるのは、ほんの一割か二割ぐらいですね。
 その不明本がどれだけあるのかわからないという状態を長期にほっておくというのは、これは図書館の一つの責務を完全に放棄している結果になりかねない、こう思いますので、時期、あるいは期間とかいうようなものについての検討はしなければいかぬでしょうけれども、そういう点についての計画を定めてやるべきであるということを強くここで要請しておいて、時間がありませんので、質問を終わります。
#94
○笹山主査 以上をもちまして、国会所管の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#95
○笹山主査 次に、昭和五十年度一般会計予算中、会計検査院所管を議題とし、会計検査院当局から説明を求めます。石川会計検査院事務総長。
#96
○石川会計検査院説明員 昭和五十年度会計検査院所管の歳出予算につきまして説明申し上げます。
 昭和五十年度会計検査院所管一般会計歳出予算の要求額は、五十五億二千九百五十六万一千円でございまして、これは、会計検査院が、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づきまして、会計検査を行うために必要な経費でございます。
 いま、要求額の主なものについて申し上げますと、
 第一に、職員の俸給、給与、手当等といたしまして四十九億五千百二十二万六千円を計上いたしましたが、これは総額の九〇%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、定員四人を増置する経費及び調査官七人を増置する経費も含まれております。
 第二に、旅費といたしまして三億二千九百五十三万円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が三億一千五百八十八万二千円、外国旅費が四百九十六万三千円でございます。
 第三に、施設整備費といたしまして四千二百三十万七千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎給水施設改修工事費及び別館内部塗装工事費でございます。
 次に、ただいま申し上げました昭和五十年度歳出予算要求額五十五億二千九百五十六万一千円を前年度予算額四十八億九千七百七十五万二千円に比較いたしますと、六億三千百八十万九千円の増加となっておりますが、その内訳について申し上げますと、職員の俸給、給与、手当等におきまして五億三千七万二千円、旅費におきまして五千三百三十六万九千円、その他におきまして四千八百三十六万八千円となっております。
 以上、はなはだ簡単でございますが、昭和五十年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額の概要の説明を終わります。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#97
○笹山主査 以上で説明は終わりました。
 これから質疑に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、会計検査院所管については質疑は終了いたしました。
 この際、午後一時まで休憩いたします。
    午後零時二十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#98
○木野主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 昭和五十年度一般会計予算中、内閣、総理府、ただし、経済企画庁及び国土庁を除く所管を議題とし、政府から説明を求めます。総理府総務長官植木光教君。
#99
○植木国務大臣 昭和五十年度における内閣及び総理府所管の歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。
 内閣所管の昭和五十年度における歳出予算要求額は、七十七億四千百六十万五千円でありまして、これを前年度歳出予算額六十五億六千三百十八万三千円に比較いたしますと、十一億七千八百四十二万二千円の増額となっております。
 次に、総理府所管の昭和五十年度における歳出予算要求額は、二兆八千八百二十七億四千七百八十五万円でありまして、これを前年度歳出予算額二兆五千七百五億三千百七十六万三千円に比較いたしますと、三千百二十二億一千六百八万七千円の増額となっております。
 このうち、経済企画庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について、予定経費要求書の順に従って主なるものを申し上げますと、総理本府に必要な経費七千二百八十六億百三十八万八千円、警察庁に必要な経費九百四億八千十五万三千円、行政管理庁に必要な経費百二十九億四千九百七十七万六千円、北海道開発庁に必要な経費三千百六十八億三千六百五万八千円、防衛本庁に必要な経費一兆一千九百七十四億三千七百七十九万九千円、防衛施設庁に必要な経費一千二百九十七億九千三百七十三万四千円、科学技術庁に必要な経費一千六百九十八億五千七百三十一万円、環境庁に必要な経費二百二十六億九千七百六十三万九千円、沖繩開発庁に必要な経費八百三十三億七千七十一万九千円等であります。
 次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。
 総理本府に必要な経費は、総理本府一般行政及び恩給の支給等のための経費でありまして、前年度に比較して一千六百五十五億七千五十万円の増額となっております。
 警察庁に必要な経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関の経費及び都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して九十九億七千四百十三万三千円の増額となっております。
 行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁所掌の一般事務処理費、都道府県に配置されている統計専従職員費、国連アジア統計研修の実施に対する協力及び行政情報処理の調査研究等のための経費でありまして、前年度に比較して十八億五千二百五十万一千円の増額となっております。
 北海道開発庁に必要な経費は、北海道における土地改良、農用地開発、漁港、住宅、林道、造林等の事業の経費及び治山、治水、道路整備、港湾整備等の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して八十六億八千二百八十七万七千円の減額となっております。
 防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して八百二十一億四千三百七十六万六千円の増額となっております。
 防衛施設庁に必要な経費は、防衛施設周辺地域の生活環境の整備等を一層拡充することにより、関係住民の生活の安定、福祉の向上に寄与するための経費並びに基地従業員対策の充実及び駐留軍施設の整理統合の推進等のための経費でありまして、前年度に比較して百九十五億九千三十二万六千円の増額となっております。
 科学技術庁に必要な経費は、原子力開発利用、宇宙開発及び海洋開発の推進、福祉、防災関連科学技術の振興、その他の重要分野の研究開発の推進並びに科学技術振興基盤の強化等のための経費でありまして、前年度に比較して三百三億七千五百五十五万四千円の増額となっております。
 環境庁に必要な経費は、大気、水質、土壌等に関する公害規制基準の強化、公害監視設備の整備、公害健康被害の補償、公害防止事業団の助成、公害の防止等に関する調査研究等の公害対策に必要な経費及び自然公園等の維持管理、交付公債による特定民有地買い上げ、自然公園等の施設整備、鳥獣保護等の自然環境の保護整備対策のための経費でありまして、前年度に比較して七十億六千二百七十二万二千円の増額となっております。
 沖繩開発庁に必要な経費は、沖繩における教育振興、保健衛生対策、農業振興に要する経費並びに沖繩開発事業に要する海岸、漁港、住宅、環境衛生施設、都市計画、土地改良、造林等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して十一億四千三百四十万九千円の減額となっております。
 また、以上のほかに継続費として、防衛本庁において六百三十二億六千九百八十三万九千円、国庫債務負担行為として、総理本府において二百八十三万四千円、警察庁において九億九千二百二十二万二千円、北海道開発庁において六十九億四千二百六万六千円、防衛本庁において二千六百八十五億七千七百九十六万二千円、防衛施設庁において百七十七億二千百四十九万四千円、科学技術庁において八百三十九億三千三百六十万一千円、沖繩開発庁において二十七億四千四百十万四千円を計上いたしております。
 以上をもって、昭和五十年度内閣及び総理府所管の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。
 よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
#100
○木野主査代理 これにて説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#101
○木野主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
#102
○山口(鶴)分科員 官房長官にお尋ねをするのが趣旨なんですが、まだお見えでありませんので、違う問題からお尋ねをいたしましょう。
 実は当予算委員会の総括質問の際に、わが党の楢崎弥之助議員からお尋ねをした問題の引き続きであります。防衛庁は、福岡県の岡垣射爆場を移転するための候補地を現在お探しだと聞いております。その候補地に、鹿児島県大島郡三島村にございます竹島を候補地といたしておりますかどうか、まずお尋ねをいたします。
#103
○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねの福岡県に所在する岡垣対地射爆撃場の移転は、御承知のように地元との約束もございまして、かねてから防衛庁で移転先を考えておるところでございます。
 そこで、移転先については、九州方面を中心に十数ヵ所の候補地を検討してまいっておりますが、その中の一つに、ただいまお尋ねの鹿児島県三島村に所在する竹島が挙がっております。
#104
○山口(鶴)分科員 この竹島を、防衛庁の内局のある課長さん及び空幕の関係の相当高い地位にある方がひそかに訪問いたしまして、調査をしたやに聞いているわけでありますが、そのような事実はございますか。
#105
○斎藤(一)政府委員 ただいまお答え申しましたように、竹島については、候補地の一つとして考えておることは事実でございますが、まだ全く机上検討の段階でございまして、現地に調査のために係官が出向いていくといったような段階にはまだとても至っておらないので、お尋ねのようなことは絶対にございません。
#106
○山口(鶴)分科員 ないというわけですね。しかし、現地の住民の方々の間には、防衛庁の相当重要な地位にある方が調査に来られた、こういううわさがあるやに聞いているわけであります。ないというお話でありますが、そういたしますと、昔から火のないところに煙は立たないと言います。何らかの方が竹島を調査し、いわば防衛庁の関係者であるかのごとき言動をしたということも、これは推察できないこともないだろうと思うのですね。住民の間にそのようなうわさが流布されたということについて、斎藤さんの方で何かお考えというものはございませんか。
#107
○斎藤(一)政府委員 ただいま申し上げましたように、防衛庁の相当な係官――相当でなくても、かなり末端の人でも、そういう現地の調査に赴くということになりますれば、私ども絶対承知いたす仕組みになっておりますので、当方の係官が行っておらないということは責任を持ってお答えできますが、こういう問題については、ともするといろいろな風聞が飛びまして、ことに不動産関係のことでございますので、関係業者などがいろいろと介在するということは過去においてもよくあることでございますので、いまお尋ねのような風聞があるということでございましたら、そういったたぐいの、わが方とは関係のない思惑その他が伝わったものではないかというふうに推察いたします。
#108
○山口(鶴)分科員 いまの斎藤さんのお答えをお伺いしたわけでありますが、そうしますと、だれかが率直に言って防衛庁の名をかたったということがあったかもしれない。また、不動産業者が介在をして、あるいはそのような話が流布されたのかもしれないということであります。
 防衛庁は、当然いろいろな関係で土地の取得が必要であるという場合はあり得ると思います。自衛隊独自の必要な施設というものもありましょうし、また、調達庁以来、米軍に対して必要な土地の提供等も行ってきたという経過もあるでしょうが、そうした場合、防衛庁御用達の不動産会社というようなものは過去においてあったのでしょうか。また、現在はどうなんですか。
#109
○斎藤(一)政府委員 防衛庁が土地を取得しなければならない場合というのは、いま御指摘のように多々ございますが、こういった場合に、法律的に申しましても、土地の所有者と話をしなければいけませんし、あるいはまた、諸般の運営のことを考えても、直接土地の所有者と交渉することが最も望ましいのでございまして、そういった意味において、過去においてもいろいろ先ほど申しましたような風評が立つことがございますが、防衛庁としては、なるたけ不動産業者などの介在を排して、特に営利のために悪用されるということなどがあってはならないのでございますから、そういうことのないように努力いたしておるところでございます。
#110
○山口(鶴)分科員 防衛庁の姿勢というものはわかりました。ぜひそういった不動産業者の介在等は許さぬという姿勢を今後とも堅持いただくことを強く要望したいと思うのですが、ただ、残念なことは、この竹島に先ほど申し上げたようなうわさがあるということを私、指摘いたしました。
 さらに突っ込んで言いますと、ある不動産会社がこの土地を買収して、相当な金額のようでありますが、買収をして、そうしてこれを自衛隊に転売をする、これによって相当莫大な利益を上げるのではないかといううわさも現にあるわけであります。そのようなうわさは絶対に誤りだと、こういうふうに断言できますか。また、そのようなうわさが流布されるというところに、私は今日までの防衛庁の姿勢に若干の問題があったのではないかという気もいたすのであります。その点に対するお答えをお伺いしておきましょう。
#111
○斎藤(一)政府委員 御指摘のように、非常に広大な土地の売買でございますので、この売買に絡んで不当な利益を得るというチャンスがすこぶる多いのでございますので、そういった意味で、私どもも大変迷惑をしながらも、不動産業者が介在する公算というものは過去においても全くないことはございません。そこで、先ほどもお答えしたように、防衛庁の立場としてはいろいろ迷惑でもございますし、あるいはまた、国費の適正な使用という観点からいっても適当なことではないので、極力こういうものの介在を排除するというつもりでやってまいりたいと思っております。
#112
○山口(鶴)分科員 官房長官、お忙しいところをお見えいただいたので、それでは防衛庁に対するお尋ねの方はこれで打ち切っておきましょう。
 まずお尋ねいたしたい問題は、今日まで政府が地方自治体の議会というものをやや軽視をしておったのではないかという問題であります。
 自治省もおると思いますが、地方自治法の第九十九条第二項に、地方議会は、議会において議決をいたしまして、政府関係機関に対して意見書を送付することができることになっております。ところが、現実にその処理の状況はどうかということを点検をいたしてみますと、たとえば昨年、私、文教委員会で奥野文部大臣にお尋ねをいたしました。
 御案内だと思いますが、奥野文部大臣は長らく自治省にお勤めでありまして、自治省の財政局長、事務次官を歴任をされた方であります。いわば地方自治には一番詳しい方なのであります。ところが、文部省に、たとえばいま超過負担ということがよく問題になっています。義務制の諸学校の改築、新築等をやって、国から補助金が来る。三分の一なり二分の一という補助率というのが法律で決まっております。ところが、現実に校舎建築をいたします場合に、補助金が参りましても、二分の一、三分の一と決まっておりましても、実際にかかった経費の四割、あるいは三割、あるいは二割、あるいは一割五分といったきわめて低い額しか来ない。ですから、こういった不当な超過負担は排除してもらいたい等々の意見が文部省には多数の議会から来ているはずだ、一体何の意見書が来ておるか聞きましたところが、さっぱりわかりません、こういうことなんです。
 ですから、せっかく地方議会――地方議会といっても、これは地域住民の意思決定機関であります。国会には多数の請願、陳情が参ります。特に請願の審査に当たりましては、これを審査いたしまして、代表者に対してその請願がどう処理されたかをはがきで回答する制度があることは、大臣も御存じだろうと思うのです。請願、陳情に対してそのような手順をやっていながら、せっかく都道府県議会、市町村の議会というものが議決をして意見書を出しても、ナシのつぶてだ、どこへ行ったかわからぬ、こういうことでは、まさに政府というのは地方議会を軽視しておる、かように言わざるを得ないということを私はうるさく申しました。
 実は、かつて予算委員会の一般質問で私はそのようなお尋ねをしたことがあるわけであります。その際に、PR雑誌というものを政府官庁はみんな持っております。それに必ず意見書がどうなったかの処理の状況について発表するようにいたしましょうということを、当時政府を代表いたしまして、自治大臣であったかと思いますが、お答えになったのです。しかし、その後の状況を点検してみると、全く不十分なんですね。
 行政局長もここにおられるのですが、自治省にも、起債の問題だとか、交付税の問題だとか、超過負担の解消の問題とか、ずいぶんたくさんの意見書が地方議会から送られてきていると思うのですね。一体、昭和四十八年度、四十九年度、何ぼぐらい意見書というのが自治省に来ているか、御存じですか。
#113
○林政府委員 お答えいたします。
 前の国会で、秋田自治大臣がそういう趣旨のことをお答えをいただいているということは、私はよくは存じておりませんですけれども、私の省に関する限りは、地方団体の問題もございますし、どういうふうに処理されたかの処理状況をつけまして、印刷物を発行しております。それによりますと、たとえば、財政関係で四十八年度一年間で九百八十一件、それから税関係で百八十九件、消防関係で二十件、行政関係が三百三十七件、件数とそれぞれの処理状況を一応明らかにしております。
#114
○山口(鶴)分科員 自治大臣に意見書を出すときには、必ず内閣総理大臣、当時だったら田中角榮殿とか佐藤榮作殿というのが大体セットでついているのが普通だと思います。したがって、各省に行っております意見書というのは、必ず総理大臣のもとに来るはずだと思うのですが、大体一年間にどのぐらい地方議会からの意見書というのが来ているか、内閣官房では把握をいたしておりますか。
#115
○井出国務大臣 山口さんの御意見、私もずっと伺っておりまして、まことにごもっともな、私も同感する点が多いわけであります。
 そこで、内閣官房へどれぐらいのものが来ておるか、これはきちんとそれぞれ保管はしておるわけでありますから、調べればわかりますけれども、いまここでちょっとお答えいたしかねるわけであります。
#116
○山口(鶴)分科員 自治省は、秋田自治大臣がお答えになった経過もあるから、きちっと書類の整理をやっておられるようですが、回答はそれぞれどうしていますか。
 それから、文部省きょうは来ておりませんが、私、昨年うるさく言ったものですから、文部省は意見書に対して回答するということを昨年から実施をいたしておるようであります。
 私は、この点は官房長官からひとつ各省大臣に十分御連絡をいただきまして、少なくとも住民の代表である地方議会が具体的な問題について意見書をせっかく送付をしてきた、それを把握することと同時に、方法はいろいろあろうと思います。一々文書で回答を申し上げるのが一番丁寧だとは思いますが、そうでなくても、各省庁いずれも雑誌を持っているわけでありますから、その際に、一ヵ月なら一ヵ月、二ヵ月なら二ヵ月ごとに整理をして、その処理状況がどうなったか、要望の趣旨は実現されたとか、あるいは検討中であるとか、そういう形でお答えをすることが、私は地域住民を尊重するゆえんだと思うのです。せっかく議会の子ということを言われる三木総理大臣も実現をしたこの機会であります。各省にもその趣旨を徹底させる、また、内閣官房としても何らかの方法で処理をきちっとやるということが必要じゃないかと思いますが、お考えはいかがですか。
#117
○井出国務大臣 適切な御提言だと存じます。そこで、具体的にその方法論は少し検討させていただきまして、できるだけ御趣意に沿いたい、かように考えます。
#118
○山口(鶴)分科員 自治省は処理はどうやっていますか。
#119
○林政府委員 お答えいたします。
 一つ一つについての文書回答をやっておりませんけれども、ここにございます、こういう私の方の文書広報課から出しておる「自治の動き」というのがございまして、これに一年間集計しまして、意見書の要旨と、それに対してこういう処理ができた、あるいはこういうように検討中であるということを詳細に書いたものをお送りすることによって、回答しておるつもりであります。
#120
○山口(鶴)分科員 官房長官からお答えがありました点は、ひとつ必ず実現をいただくようにお願いをいたしておきます。
 そこで、次にお尋ねしたいのは、実は議運で問題にいたしまして、予算委員会に処理をお願いした問題なんです。
 毎年、予算につきましては、年内編成か、あるいは年内編成ができなくて、年を越して編成になるか、いずれかでありまして、印刷をされて国会に出てまいりますのは、大体早くて一月二十日ごろ、遅い場合は一月末あるいは二月の上旬というようなこともあったかと思いますが、そういう形であります。ところが、財政法二十七条によりますと「内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の十二月中に、国会に提出するのを常例とする。」とございます。「常例」という言葉は余り法律の中にない言葉であります。「常例」というものがほかにないかと思って探しましたら、ございました。それは国会法であります。国会法第二条に「常会は、毎年十二月中に召集するのを常例とする。」と、こうございます。実は国会はこの「常例」という言葉を文字どおり忠実に守ってきております。今度の通常国会も、たしか十二月の二十七日だったと思いますが、その日に召集をされました。
 国会の方ではこの「常例」という言葉を文字どおり守ってきておる。同じこの「常例」という言葉を行政府である内閣の方がお守りになっていない。おかしいとお思いになりませんか、いかがですか。
#121
○井出国務大臣 国会法と財政法と、同じ「常例」という文句が平仄が合わない、これは御指摘のようにかねがね問題にはなってまいった点でございますけれども、まあこれに事情はあるにいたしましても、平仄が合わぬという点は、そのとおりだと思います。
#122
○山口(鶴)分科員 同じ「常例」という言葉が、国会では守られておるが、行政府の方ではさっぱり守られていないという御認識はいただいておるようであります。実は財政法二十七条の問題は、当予算委員会でしばしば議論になった課題であることは、私も承知をいたしております。ただ、ことしの議論の仕方は若干違ったわけです。いままでは、この財政法二十七条に「常例」ということが書いてあるにかかわらず、十二月中に出たことがないじゃないか、けしからぬ、まあこういう議論だったわけです。今度私どもが提起をいたしましたのは、そういうけしからぬこともあるが、さらに問題なのは、国会法二条に「常例」という同じ言葉があって、こちらは文字どおり厳格に解釈をして十二月中に通常会というものは必ず召集をしておる。国権の最高機関たる国会が「常例」という言葉を守っておるのに、行政府の方が同じ「常例」という言葉をないがしろにするということは問題ではないのか、実はこういう議論をいたしたのであります。
 私も議運の理事会でも申し上げたのですが、いままで十二月中に出したことがなかったという言いわけはもうたくさん聞いておりますが、少なくとも議会の子を自称される三木さんが総理大臣になった。そういう状況のもとにおきまして、立法府の方は「常例」を守っているが、行政府の方は守らぬでもいいというようなルーズなあり方が果たしていいのか悪いのかということを実は問題にした次第であります。この点、どうお考えであり、今後どうされるおつもりでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
#123
○井出国務大臣 これは、余り理屈を申し上げても、万端おわかりの山口さんのことですから、多くは申し上げません。政府としましては、これはもう事情の許す限り速やかに予算編成を行いまして、そして国会に提出するように努力をしておるつもりでございまして、これは決して国会を軽視しておるというふうなことではありません。したがいまして、今後といえども、できるだけ早く予算を策定いたしまして、国会に提出して御審議を願う、できるだけの努力をする、こういうふうにひとつ御了承をちょうだいしたいわけであります。
#124
○山口(鶴)分科員 小学校でも入学式のときにはちゃんと教科書をもらって帰るわけでありまして、国会だけが、開会はやった、本ももらわぬでのこのこうちへ帰るということでは、国会は何か小学校以下ではないかという感じさえいたすわけであります。私どもは、やはりこの「常例」を文字どおり解釈して、国会召集のときには予算案も一緒に出てくる、そして、正月中は自然休会になるのが例でありますから、その間、選挙区に帰りまして、あるいは東京でも結構だと思いますが、各階層の国民の御意見というものを十分聞いて、その上で開会式に臨み、予算審議に臨んでいくというのが私はあるべき姿じゃないかと思うのです。そういう意味で、いつまでたってもこの「常例」が守られぬで、国会軽視が続いているということのないように強く要請をいたしたい。また、この問題は、予算委員会理事会でさらに扱いについて相談するということになっておりますので、一応私はこの程度でやめておきます。
 最後に、一つお尋ねしたい。それは内閣提出予定法律案の問題であります。ことしは法律案をしぼりまして、六十二法ということでございました。それで、私どもお尋ねしましたら、予算関係法案は二月の中旬、その他の法案は三月中旬にできる限り出しますと、こういうお答えでございました。実はきょう、私、第三分科会、自治省のところでお尋ねしたのですが、地方自治法の一部を改正する法律案というのが自治省所管の予定法案に入っております。この問題は地方事務官の問題であります。
 実は私、官房長官が議運の理事会に参りましたときに、六十二件にしぼった予定法案は必ず出しますねとお伺いしましたら、官房長官は、必ず出しますと、こういうお答えでございました。ところが、きょう第三分科会で私が福田自治大臣に、この地方自治法の一部改正案、地方事務官の問題は必ず出しますかと聞きましたら、労働省、厚生省、運輸省等に反対がございまして、また、自民党内にもずいぶん問題があって、前向きには検討いたしますが、出せるか出せぬかわからぬというような実は御答弁があったのであります。この地方自治法の一部改正案は、予定法案の中に入っております。必ずこれはお出しになりますね。どうなんですか。自治大臣の言うことと官房長官の言われることと違うんじゃ困る。これはいかがですか。
#125
○井出国務大臣 提出予定法案はいまおっしゃったとおりでございまして、その地方自治法の改正案につきましては、いませっかく各省との間の調整をやっておることでありまして、できるだけ取り急いで提出をしたい、いまこういう考え方でおるわけであります。
#126
○山口(鶴)分科員 じゃ確認しますが、出すわけですね。必ず出しますね。各省に異論があるという法案はよくあります。しかし、問題は、そういうときこそ総理大臣が断を下して――出すと、こう官房長官、約束されたのですから、それが出ないなんということになれば、これは問題ですよ。必ず出しますか、その点だけ確認していただきたいと思うのです。
#127
○井出国務大臣 まだどうももう少し調整に時間と努力を要するようでございまして、できるだけ申し上げるような方向でいませっかく努力をしておると、こういうことでございますから、御了承いただきたいと思います。
#128
○山口(鶴)分科員 どうもそういうあいまいな答弁では困るわけなんです。これは経過がありまして、昨年、地方行政委員会で、自民党さんを含めて各党一致で、この地方事務官の問題は昭和五十一年の三月までに必ず解決せよという決議も行っておるわけなんです。やはりそれだけ問題のある法案であります。自治大臣は、前向きには答弁するが、出せるか出せないかわからぬと言い、議運の理事会で井出官房長官は、必ず予定法案は出しますと言われた。一体どっちなのか。
 肝心な官房長官の御答弁が、できるだけ努力をしてというようなことでは困りますので、これはひとつ主査にお願いしたいのですが、予算委員会審議中に、地方自治法改正案については出すのか出さぬのか、この問題だけは明確にひとつ政府でやっていただくように要求しておきます。この衆議院の予算審議中ですよ。主査、お願いします。
#129
○木野主査代理 山口君の趣旨につきましては、後刻理事会で検討いたしまして決定いたします。
 次に、上原康助君。
#130
○上原分科員 限られた時間でございますので、今回は予算委員会で余り沖繩問題が取り上げられておりませんし、私もその機会がなかったこともありまして、きょうは、総理府総務長官であり、また沖繩開発庁長官である植木長官に、沖繩問題にしぼってお尋ねをさしていただきたいと思うのです。
 問題がたくさんございますが、まず、復帰前からそうですが、復帰後の、特に歴代の開発庁長官なり政府全体の沖繩問題についての取り組みといいますか、姿勢というものを、復帰三年目に入っていろいろ考えてみた場合に、政府関係省庁、なかんずく沖繩開発庁にいろいろな面で御努力をいただいていることを評価することにやぶさかではございません。しかし、正直に申し上げて、復帰前に増して県民のいろいろな不安なり解決していかなければいけない諸問題が山積していることも、これまた事実なんです。私はかねがね言っていることですが、もちろんこれら万般について政府だけがやらにゃいかぬという問題でもないし、県なり関係者がそれぞれの立場で努力していかなければいかぬということも、十分理解いたします。かといって、その基本を流れるものは、何といったって政府の政治姿勢あるいは施策のいかんにかかわっていることは、これまた否定できません。
 そういう前提で、具体的にお尋ねをしたいのですが、長官は、御就任なされて、去る一月十七日から二十日まで沖繩現地を訪問なされて、県民の五つの不安解消というものを特に指摘をしておられます。医療問題、物価問題、自然保護、雇用対策、あるいは離島苦の解消ということ、どの一つをとらえても、確かに現在の県民の切実な要求であり、また、政府がやらなければいけない問題でもあると思うのですが、この五つの不安解消というものを具体的には一体どのような方向で進めていこうとしておられるのか。
 また、帰られましてからかなりの日時が経過いたしましたが、現地でこの五つの不安の解消について万全を期していくのだということを公にした以上、それに伴う開発庁長官としての方針なり事務当局に対しての指示などがあってしかるべきだと思うのですが、それがまだ必ずしも十分でない。
 そこで、次年度の予算とも関連いたしますが、開発庁としては、一体これだけ山積する諸問題にどう対処していこうとしておられるのか、その基本的な考え方と、いま私が挙げた五つの解消について具体化をしていくために、どのような措置をとっておられるのか、お答えをいただきたいと思うのです。
#131
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 いま上原分科員からお話しのように、私も一月末に沖繩本島を訪れまして、現地をつぶさに視察いたしますとともに、各界の方々から御意見、御要望をお聞きしてまいりました。その現地視察をいたしまして、非常に多くの不安あるいは不満を持っておられるということをはだで感じてまいったのでございます。
 私どもの沖繩県の振興開発に関する基本的な姿勢につきましては、もうすでに法律により、あるいは長期計画によりまして策定せられているところでございますけれども、県民福祉の向上を図る、そしてまた、民生の安定を図ってまいる、子のためには、何よりも本土との格差の是正をしかければならない、同時に、県民の皆さんたちに自立発展のために立ち上がっていただく、その基礎条件を整備しなければならない、これが私どもの基本的な考え方でございます。したがって、それぞれの施策をいたしているわけでございます。
 ただ、現在、日本のみならず世界的にも、いろいろな経済上のあるいは社会的な激動期にございまして、沖繩県だけではなしに、日本全体が非常な苦難の道を歩いているのでございます。しかしながら、何と申しましても、長い間沖繩県の皆さん方は苦渋に満ちた歴史を持っておられ、そして、本土との格差は非常に大きいわけでございますから、そういう困難な中にありましても、特に政府としては、沖繩県の持っている経済的、社会的、地理的な特殊な条件というものを克服するために最大限の努力をしなければいけない、しかもそれは、地方の県民の御意向を十分にくんだ、地域の実情に合ったものでなければならない、このような考えのもとに施策を講じていきたいと決意をいたしておりますし、また同時に、ただいまそのために努力を展開しているのでございます。
 私は離沖に当たりまして、いま上原分科員からお話がございましたように、医療の問題、自然環境と文化の保護の問題、それから離島苦の問題、雇用の問題、物価の問題等についての五つの不安の解消に努めるということを申してまいりました。不安はこの五つかと言えば、決してそうではありません。その他にもいろいろ持っておられますけれども、特に開発庁としてこの五つを挙げたのでございます。
 帰りましてから直ちに、翌日であったかと存じますが、閣議におきまして私は、沖繩の持っているこの五つの不安を含めまして、私が見聞をいたしましたことをそのまま発言いたしまして、開発庁自身が努力をすることはもとよりでございますけれども、これら五つの不安について各省庁に協力をしてもらわなければならないことは申すまでもないところでございますから、その協力方を要請したのでございます。
 五つの不安解消についてどういうような努力をしているかということにつきまして申し上げますならば、もう私から申し上げるまでもなく、医療につきましては、沖繩県が非常に僻地でありますし、また、本島を初めとして、離島と言ってもよろしいというような状況でございますから、いわゆる無医地区が大変多うございます。また、医師が非常に不足をしている。また、復帰に伴いまして皆保険体制がしかれましたので、医療需給がアンバランスになってまいりました。また、公的医療機関の整備も立ちおくれている、こういう状況でございますから、これを克服するためには、私は沖繩県においても申し上げたのでありますけれども、やはり政府は長期的な計画を立てまして、それを積み上げながら一つ一つを解決していかなければならないという考え方でございます。そして、そういう計画的な施策というものを講じてこの医療問題の解決に当たるようにということを、庁内においても指示をいたしますとともに、厚生省にも協力を要請しているところでございます。
 医師の派遣等は従来からもやっておりますが、五十年度におきましては、海洋博覧会もあることでございますから、派遣人員の増加を考えているということはもう御承知のとおりでございます。また、病院や僻地診療所等の公的医療機関の整備につきましては、五十年度もいろいろ取り組んでいきたいと考えております。
 さらに具体的に申し上げますならば、おおむねこの医療に関係いたします開発庁予算といたしましては六億五千九百万円でございまして、これは前年度比二六%増でございます。
 それから、この内容の医師あるいは歯科医師等の派遣費は一億八千九百万円でございまして、これは一〇五%の増になっております。また、無医地区医師派遣に対する補助は五千三百万円を組んでおりまして、これは三二%の増でございます。また、公的医療機関等の設備補助は四億二百万円でございまして、七%の増でございます。なお、宮古病院の整備、沖繩赤十字病院の救急施設の整備、伝染病院の隔離病舎あるいは僻地診療所等々に対する施策につきましては、すでに御承知のとおりでございます。そしてさらに、医療従事者の資質の向上を図りますために、医療福祉センターを建設することになりましたことも御承知のとおりでございます。
 厚生省の計上いたしております主なものは、国立沖繩病院の施設整備でございますが、結核三百五十床、一般二百五十床の整備のために六億円を計上いたしております。また、愛楽園や南静園の国立らい療養所の施設整備といたしましては二億三千九百万円を組んでおります。なお、その他備品費としても一億円以上を計上しているというような状況でございます。
 これは生命に関する非常に大きな問題でございますから、今後とも努力をしてまいります。
 自然環境と文化の保護につきましては、これはもう非常に美しい自然とすばらしい文化を持っている沖繩県でございますから、私はそのすばらしさを体験をいたしてまいりましたし、どんなことがあってもこれを保護していかなければいけない。沖繩海洋博の関連事業等によって起きております、あるいは憂慮されております公害等につきましては、これは環境保全のために最大の努力をすべきだし、文化財もすばらしいものが最近発見をせられたわけでございます。貝塚が発見をされまして、これも十分に保全をすべきであると考えているのでございます。
 それから離島につきましては、離島苦の解消のために、特に五十年度からは重点施策を講じてまいることになりまして、問題は交通の確保であり、農業の振興であり、生活用水の確保であり、医療、教育施設の充実等でございまして、この離島での生活を継続していけるように、県民の方々にわれわれは何をなすべきであるかということはもう十分わかっていることでございますから、これを積み上げていく必要があると思うのでございます。
 雇用につきましては、全国の平均の失業率に比べまして非常に高い失業者が出ておりまして、現在五%を示しておるわけでございますが、これは地元の産業の脆弱な点もございます。また、その他いろいろな要件がありますし、特に在駐米軍基地からの離職者もふえているというような状況でございます。さらにまた、こういう経済状況でありますから、中小企業の方々も大変困っておられる、農業もいろいろ問題になっている、こういうところでありますから、何としても地場産業を振興させる。そのためには、一次、二次、三次産業をそれぞれ均衡ある発展をいたしますように配慮をしていくということが大事だと思うのでございまして、農業は沖繩の特殊性を十分に生かしたものを振興していくこと、また工業は雇用効果が大きいわけでございます。また、観光産業は、やはりこれから沖繩県の大きな、中核的な産業として育成をすべきものだと考えております。これらのことについては、それぞれの機関においていま精力的に取り組んでいるところでございます。
 最後の五番目の物価でございますが、これは復帰後大変高い率で上昇をいたしました。これはもちろん復帰によるいろいろな摩擦があったわけでございますが、同時に、生産基盤や流通基盤が非常に弱いという点も作用したわけでございます。最近は少し鎮静をしてきておりますけれども、海洋博覧会が行われることによって物価上昇が大変心配でございますので、私は沖繩県におきましても、経済界の方々あるいは県民の方々に、海洋博覧会が行われることによって物価が上がっては大変であるということでそれぞれ御協力をお願いしてまいりましたが、政府といたしましても、生産基盤の充実あるいは流通機構の整備等に努力をいたしますとともに、生活必需品、特に生鮮食料品の確保に努めることによりまして、物価が安定をいたしますように、最大限の努力をしなければならない。これは本土においてもそうでございますけれども、沖繩では特にその施策というものに万全を期していくべきである、こういうふうに考えているのでございます。
#132
○上原分科員 いまいろいろ御説明があったのですが、わずか三十分で各論についてここで議論するわけにはまいりませんのであれですけれども、一般論としては理解できないこともないわけですよ。そこで、冒頭、政府もそれなりに努力をなさっているということは評価するにやぶさかでないということも申し上げたのですが、私はいま、医療問題にしましても、あるいは離島苦の解消問題、その他基地問題――大臣の不安解消の中に基地問題が抜けているのは、これは大変大きな目玉を抜いたようなもので納得しがたいのですが、それは別としましても、いろいろな問題を解決をしていくには、政府の総合性のある、整合性のある制度の見直し、政策の立て方、あるいは行財政、予算の編成等において、もっと考えてみる必要があるんじゃないかという感じを持つわけですね。
 医療の窓口は厚生省になっているわけでしょう。開発庁だけではできない。特にパイン問題、農業問題、サトウキビの問題になりますと農林省、離島になりますと運輸が絡むし、もちろん開発庁、通産も絡む。そういうようなことを、本当に県民の不安というものを解消していくということであるならば、私は開発庁長官が窓口になって、もし本当に政府が沖繩問題を忘れていない、重要視をしているということであるならば、少なくとも関係閣僚会議ぐらい持って、これらの重要問題に対して各省庁でできる面と、全体で協力、連絡を取り合ってやっていかなければならない問題とをえり分けてやるくらいの姿勢がないと、いま大臣がおっしゃるようなことは、とでもじゃないが、そう簡単にいく問題じゃないと思うのですね。しかし、復帰までの沖繩返還協定とか沖繩特別措置法の諸法案を審議する過程では、沖繩問題は一緒だ。だが、二年たち、三年たちしている間に、いや、これは開発庁です、これは防衛庁です、これは通産省ですというように、みんな縦割り行政でばらばらにされていっているというようなことがあるわけです。
 そこで、きょうは各論まで議論ができませんが、少なくとも不安を解消し、基地問題を含めて、政府がもう一度沖繩問題に対して積極的にやるということであるならば、定期的とは言わないにしても、必要に応じて関係閣僚会議を持つくらいの熱意を示さぬと、不安解消にならぬと思うのです。これは一つの提言として、そういうことをやって、事務レベルに指示をするというぐらいの施策の立て方、予算執行問題、あるいは県との窓口の問題等をやってこそ、私は前進をすると思うのです。きょうは、そういう基本的な問題についてお尋ねしておきたいのですが、そういうことは私は大変重要であるし、当然あってしかるべきだと思うのですが、大臣の御所見を賜っておきたいと思うのです。
#133
○植木国務大臣 ただいま基地問題についてもお話がございましたが、沖繩の振興開発を進めてまいりますためには、やはり基地の縮小、整理というものが非常に大切な課題であるということを私も深く認識をいたしております。したがいまして、このためにも今後努力をしてまいります。
 いま御提言がございましたものにつきましては、現地におきましては総合事務局になっておりまして、各省庁から出ました職員がそれぞれの分野を担当いたしております。これは北海道開発庁とは違った形になっておりますので、その点については、現地におきましては県民の御要望を吸収し、そして政府の施策をしていくという点については一本の形にほぼなっている、こういう状況でございます。
 私が訪沖をいたしまして、帰京後直ちに閣議におきまして各省庁の協力を得たいということを発言をいたしましたのも、いま上原委員が御指摘になりましたように、政府として一体的な運営をやっていかなければ、どの問題も解決しないということを認識したからでございまして、したがって個々の問題についても、あるいは私が直接に、あるいは事務次官や担当局長等を通じまして、各省庁に対してそれぞれの問題点について協力を求め、また事実各省庁も協力をしてくださっているわけでございますけれども、いまの御提言のように、各省庁の者が沖繩県の問題の一つ一つの解決に当たって協議をし、一体的な形での問題の処理に当たるということは、大変重要なことであると思いますので、それが関係閣僚会議の形になりますか、あるいは各省庁の連絡会議になりますか、その辺のところは、ひとつ検討をさせていただきまして、できるだけそれぞれの問題を一体的な形で処理することができますように配慮いたしてまいります。
#134
○上原分科員 これはぜひお考えになっていただきたい。特に、七月二十日から海洋博が始まるのですが、海洋博を成功させましょうということで、いろんなことが政府なり関係団体からよく言われているのですが、成功とは一体どういう中身かということも議論せねばいけないわけですね。少なくとも国家行事であるならば、海洋博の問題を初め、もう少し関係閣僚が親身になってこれらの問題に取っ組んでいく、あるいはいまさっきの五つの不安解消の問題を含めてやるというならば、事務レベルよりは、関係省庁がばらばらでやるのでなくして、やはり閣僚が、責任ある方々が集まって、これらの問題について協議をし、それぞれの関係においてやっていくという方向をこの際、新たにしていただきたいと思うのです。これはぜひ実現をさせていただきたいと思いますし、いま大臣のお答えも否定的ではないと私には受け取れますので、時間がありませんから、そのように進めていただきたいと思うのです。
 そこで、特に一点だけ具体的にお尋ねしておきたいことは、離島振興ということでもかなりいろいろ言われておりますが、私は大蔵委員会でもちょっと問題を取り上げたんですが、たとえば離島航路の問題ですね。交通税の問題なども大蔵はその意思はないと言っているわけですが、沖繩から宮古、八重山の先島の方々の航路の問題にしましても、そういった税制面においても開発庁自体がもっと検討すべき問題があると思うのですね。燃料税の問題にしましても、特別措置でせっかくなされておるんだが、もう今年の三月三十一日で切れる問題もあるわけです。しかし、これらの問題については、ほとんど政府の方からは出されていない。これらの問題も含めて、制度的に延長するとか、税制で見直しをするというようなことも含めて沖繩問題というものは考えないと、決していま大臣がおっしゃったような方向に行かないと思うのです。この点も御検討いただきたい。
 もう一つは、時間がありませんから、ついでに申し上げますが、海洋博の跡利用の問題について、一体どの省が窓口になって検討されておるのか。県はいま協議会を設置して、いろんな跡利用構想を打ち出しつつありますが、それを受けてやる政府の窓口は通産省なのか、沖繩開発庁なのか。閣僚会議ぐらい持ってやりなさいということも、むずかしい問題になると、どの省庁も、いや、これは私たちじゃない、あれはあっちですよということになるんで、これはどこが窓口になってやるんですか、その点をひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。
#135
○植木国務大臣 第一点の、税制を含めましてのいろいろな見直しといいますか洗い直しと申しますか、その点につきましては、関係省庁と十分協議をさせていただきたいと存じます。最近も南西航空から税金問題についての御陳情もございまして、運輸省とも協議をしているところでございますけれども、本土復帰に伴います特別措置の期限切れのものもあります、あるいはやがて参るものもございます。こういうものもひっくるめまして、沖繩県に対する施策の洗い直しと申しますか再検討というものは、さらに進めさせていただきたいと思います。
 それから、沖繩海洋博覧会の跡地利用の問題でございますが、五十年度の予算におきましては、通産省に後処理関係調査のための経費が計上されております。したがいまして、通産省がこの跡地利用についての計画に当たるという立場にあるわけでございますけれども、しかし、海洋博覧会が終わりますまでというよりも、むしろ始まりますまでに私は跡地利用の計画を立てるべきであるということを痛感いたしておりますので、もうこの間の沖繩視察の直後に、この点について閣議でも発言をいたしましたし、その後通産大臣にも二回にわたりまして、跡地利用計画を早期に策定するための努力をしていただきたい、開発庁としても、これに全面的な協力をいたしたい、こういうことを申し述べているのでございます。ただいま事務次官が沖繩県を訪問いたしております。この機会に、県としての跡地利用計画についての意見というものを十分に聴取してくるようにということを指示いたしておりますので、県の御意向も十分に尊重をしながら、何とかして早期にこれが策定されますように努力をいたしたいと存じ出す。
#136
○上原分科員 時間がなくなってしまったのですが、私が通産省にこの問題で質問をするという通告をしたら、これは開発庁ですからという御返事だったんですね。一事が万事そういうことがありますので、先ほど言いましたような窓口の問題等は、私はこの際、真剣にお考えになっていただきたいと思いますし、同時に、開発庁がその気にならなければ各省庁もならない面があるわけです。その点、念を押しておきたいと思うのです。ぜひ早急にそういった問題を確立していただくように強く要求して、時間ですから、きょうはこの程度にとどめておきます。
#137
○木野主査代理 次に、湯山勇君。
#138
○湯山分科員 私は、同和対策の関係でお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、来年度予算で実態調査のための経費が組まれておりますが、従来、答申の出る前に実態調査をいたしました。それから、御存じのように、それでは不備だというので四十六年にもいたしております。今回の調査というのは、これは同和対策事業は四十四年を初年度として発足しておりますから、もう今度は七年目に入るという段階ですが、この調査の目的、費用あるいは方法、調査の期間、これらはどういう計画なのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
#139
○植木国務大臣 ただいま湯山委員から御指摘ございましたように、全国の地区調査は三十八年、四十二年、四十六年と三回にわたって行ってまいりまして、今回は四十六年度の調査の後を受けまして、四年余の時日が経過いたしておりますので、その後の社会、経済の情勢の変動等を考慮いたしまして、全国的にこれを行うということにしているのでございます。全国の同和地区の実態及び関係府県、市町村の同和対策の現況等の把握というものは非常に重要でございます。それが今後における同和対策事業の推進を図ってまいります基礎資料になるわけでございますから、これを実施しようとするものでございます。
 なお、この概要でございますけれども、前回の調査とほぼ同様の調査を予定しておりますが、同和対策事業の所管各省が実施をしておりますいろいろな施策を推進する上におきまして、その実態を明らかにするということを主眼といたして調査を行うものでございます。
#140
○湯山分科員 過去の調査で大変不十分だと言われる点が多々あると思います。たとえばいま出ておるのでは、全国三千九百七十二地区で、地区住民数は百四万八千五百六十六人ということになっておりましたが、これはその後変動ございませんか。
#141
○植木国務大臣 政府委員から答弁させます。
#142
○山縣政府委員 先生の申されました地区の数等でございますが、御承知のとおり、いわゆる未報告地区と私ども称しておりますが、そういう地区もございました関係で、その後各県を指導いたしまして補完調査を実施しておるところでございまして、現在の段階におきましては、十三の県におきまして補完調査を現に実施中でもございますし、また、報告が上がってきておるところがあるという状況でございます。
#143
○湯山分科員 特に私どもがいま考えなければならないと思いますことは、東京都などは非常に混住地区であって、ここではそういう同和対策というものは余り問題にされないだろうと思っておりました。ところが、御存じのように大変大きな問題になっているというようなことから考えてみまして、これは事務当局の御答弁で結構なんですが、東京都については現状どういう御把握になっておられるか。
#144
○山縣政府委員 四十六年の調査の際におきましては、やはりこちらが要望いたしておりました調査結果がまとまってこないというような関係におきまして、いまいわゆる未調査地区と申し上げましたが、未調査地区というような考えで進んでおるところでございます。
#145
○湯山分科員 長官、いまお聞きのとおり、これだけ大きい問題になっておって、しかも政府としては未調査地区で、実態がわかっていない。したがって、指定地区にもなっていませんから、特別措置法の対象にならないということですから、あるいは今日起こっている問題の一つの責任は、こういう実態把握がよくできていなかった政府にあると言っても、決してこれは言い過ぎではないというように思うのですが、言われておるところでは、東京都は同和地区出身者が約四十万ぐらいいるんじゃないかとも言われております。あるいはそれはとても掌握ができないだろうけれども、とにかく混住地区というものは大変むずかしくて、私どもも東京都で今日のような運動が起こったり、あるいは問題が起こったりするということは予想していませんでしたけれども、事実そういうことである。
 それから、似たようなことは愛知県もそうだと思います。愛知県では、昭和八年に調べたところでは三十八地区ございました。それが今日の政府の掌握しておられる四十六年調査あるいは四十二年調査では、わずかに四地区しかないんです。そうすると、残りの三十八地区というものは、あるいは三十八の中の四ですから三十四地区と、きちっとはいかないにしても、とにかく二、三十というものは、まだ掌握されていない。したがって、この事業からも取り残されているということであって、こういう特徴的なものを挙げてみますと、今回の調査というのは、四十二年、四十六年あるいはもっと前の三十八年、それらの調査で出てこなかったものを徹底的にひとつ調査するということになると、従来の方法とか従来のような経費ではできないんじゃないかということを心配しております。特に当初は一億一千万という予算を要求なさったのが、大体半分ぐらいですよね、調査費。
#146
○山縣政府委員 四十六年の際、定かにはいま承知いたしておりませんが、予算としては三千万円程度の予算で実施いたしておるところでございます。(湯山分科員「今度は」と呼ぶ)来年度の予算案におきましては、六千二百九十万を予定いたしております。
#147
○湯山分科員 当初総理府が欲しいと言ったのは、これについては一億一千百万ですね。そうすると、半分程度しか組まれていないというのは、それを言ったわけです。四十六年が三千万で、調査はこういうふうに不十分なままで来ている。それ以後かなり物価も上がっておりますし、それから細かく調べていくと、現在未調査地区、未報告地区というのは、やはりそういう混住地区とかむずかしいところが多いわけですから、従来のようなやり方では、なかなか実態がつかめないということになると、これは相当費用もたくさんかかるのじゃないかということを心配いたしておりますが、その辺、長官いかがでしょう。
#148
○植木国務大臣 お説のとおり、現在同和対策事業の対象府県は三十三府県でございます。これは報告がありましたものに対しまして事業補助を執行しているのでございまして、ただいま御指摘ございましたように、東京都だとか、あるいは愛知県等は、その対象になっていないという状況でございます。
 そこで、五十年度にこの地区調査を行うわけでございますが、これはいずれも地方公共団体に参託をいたしまして行うことになっておりまして、六千二百九十万円というのは少ないではないかということでございますが、私どもといたしましては、これで現在の実態は把握できるというふうに考えているのでございます。
#149
○湯山分科員 決まった予算ですし、政府から出しておりますから、長官がそういう御答弁をされるお気持ちはわからぬでもありませんけれども、実際はとても足りないのです。そうすると、実態調査が不完全であるということは、いま東京、愛知で申し上げましたように、結局措置法の対象にならないということから、自治体も持ち出しがずいぶん大きいし、また、当然受けなければならない利益を受けない住民がたくさんあるということにつながってくるので、特にそういう点について、残ったならば、さらに五十二年度にかけて補完調査をするというような必要があるのじゃないかと思うのですが、その点だけ簡単に。
#150
○植木国務大臣 前回も非常に強く地方公共団体を指導いたしまして、十三県が補完調査を行い、その実施の対象になったという経過がございましたことは御承知のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そのような努力をさしていただきたいと思います。
#151
○湯山分科員 次に、法務省の方、見えておりますね。――総理府から出ました同和白書によりますと、差別問題として人権相談に持ち込まれた件数、これが四十五年には一万七千幾ら、四十六年には二万幾ら、四十七年は三万一千六百八と、ここまで出ておりますが、四十八、四十九年の件数、これがおわかりでしたら、お知らせ願いたいのと、同時に、その中で処理した件数、これもわかっておれば、ひとつお示し願いたいと思います。
#152
○萩原政府委員 お答えいたします。
 まず最初の御質問の御趣旨は、「同和対策の現況」の二百六ページの第八十一表に載せてあります開設回数、取扱件数のその後の数字だと思いますけれども、四十八年度は開設回数が五千六百六十九回でございます。取扱件数が三万五千三百四件でございます。なお、四十九年度は、この関係におきましては会計年度でやっておりますので、まだ数字が出ておりません。この点、御了承願いたいと思います。
 次に、この数字は、ここに書いてございますように、同和問題に対処するために開設された特設人権相談所の開設状況でございますが、ここで取り扱いましたものは、すべてが差別事件、差別事象につながるものではございません。同和地区住民の方々が日ごろ抱いておられますその他の問題、たとえば登記、戸籍あるいは民事上の事件等についての相談も持ち込まれておりまして、それについていろいろ対処しているのでございます。
 次に、同和関係の人権侵犯事件の受理件数と処理件数について御報告申し上げます。
 四十八年度の受理件数は三十八件でございます。四十九年度は三十五件でございます。処理件数につきましては、四十八年度が三十四件、四十九年度は三十七件、こういう数字になっております。
#153
○湯山分科員 いまおっしゃった点、たとえば登記の問題とかいろいろありますけれども、その底流、基本的なものは、やはり同和問題、差別問題の相談ですから、そういうことにつながっておると思います。ただ、非常に処理件数が少なくて、これは非常に問題だというので指摘もしておったのですが、極端に言えば、千分の一程度しか処理されていないという状態がなお続いておるようです。そこで、そのための人をふやすという問題、とても手が回らないでしょうから、人をふやしてほしいということを私どももしばしば申し上げておりましたし、また法務省御当局も、それはそうだということでやっておられたと思うのですが、以前に話しておられたのでは、四十七年の担当者というのは、法務局並びに地方法務局合わして約二百名ということであったと聞いております。今度は何名ふえるのですか。
#154
○萩原政府委員 この人権擁護関係を取り扱います法務局の人員でございますけれども、全国の法務局及び地方法務局を合わせまして、事務官が百九十一名でございます。さらに、その下に支局がございまして、これが合計約二百四十六でございます。この支局におきましては、専任の職員はございません。支局長とかあるいは総務係と申す者が、他の事務とともにこの処理に当たっているわけでございます。
 それから次に、五十年度の増員関係でございますが、五十年度の予算案におきましては、三名増員が認められる予定になっております。
 以上でございます。
#155
○湯山分科員 要求は幾らなさったのですか。
#156
○萩原政府委員 十七名増員の要求をいたしました。それは法務局関係が八名、地方法務局関係が九名という数字でございます。
#157
○湯山分科員 件数もだんだんふえて、三万五千件というような数になっている。その中で処理されたものは三十五件程度にしかすぎない。やはり千分の一くらいが処理されたということになっております。
 そこで、これはもっともっと人をふやして、これに当たらなければ、結局、せっかく相談に行った、しかし処理されないで泣き寝入りするということが非常に多くなっておりますし、それから、そうだからと言って糾弾ということをやっていけば、これまたそのために、いろいろなことで告発されるというようなことにもなって、二重の被害を受けているということは、以前にもこの予算委員会で指摘いたしましたけれども、その状態というものは、今度の予算面から見ても解消されない。わずか三名ふえただけで能率が上がるというふうなことは、とうてい考えられないことなのです。
 現に、答申には、こういう状態ではいかぬから、そこで差別に対して法的に規制する、そういう措置をとるべきではないか、むしろ「差別に対する法的規制」つまり「差別から保護するための必要な立法措置を講じ、司法的に救済する道を拡大すること。」というのが答申の中にあります。これは長官御存じでしょうか。
#158
○植木国務大臣 承知しております。
#159
○湯山分科員 その前提として、それは必ずしもいい方法であるとは私も思いません。しかし、それならばそれで、この人権相談にもっと対応できるように、幾ら定員の問題が問題になっておっても、そのための増員というようなものがこういう状態では、とうてい用をなさないということになると思いますので、それらを含めて責任官庁である総務長官のところで、ひとつ例の協議会ですね、各省事務次官を集めて御協議いただいて、そしてそれらの点を徹底さして、一つは、いまのような人権相談の機能を高めるための措置をおとりいただく。
    〔木野主査代理退席、主査着席〕
いま一つは、これも一体それがいいかどうかの点等も含めて、これを法的に差別に対して規制する、つまり司法的に救済する道、その必要の有無から、やるとすればどうするというようなことを、ぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#160
○植木国務大臣 憲法に保障いたします基本的な人権にかかわる問題でございますから、政府といたしましても、この問題につきましては積極的、精力的に取り組むべきであると存じます。同時に、国民の理解と認識を深めることが必要でございますので、啓発活動をさらに積極的に進めてまいりたいと存じます。
 御承知のとおり、一昨年十二月の人権週間に当たりましては、いわゆる同和白書を発行いたしましたが、これも御指摘のような趣旨に基づくものでございます。今後そういう啓発活動を続けてまいりますとともに、司法的に救済する方途といたしましては、いまも法務省の方からいろいろ答弁ございましたけれども、私どもといたしましては主務官庁の意見を十分に聞き、また同時に、政府全体でこの問題に取り組み、人権擁護のために、あらゆる機能を発揮してまいりたいと考えます。
#161
○湯山分科員 政府内部にも、この同和対策を進めていく上から改めなければならないという点非常にたくさんありまして、実は昨年はその点だけ指摘いたしました。そういう指摘から、たとえば、厚生省は大阪府へは一般地区の保育所を一つも割り当てていませんでした。しかし、それは差別の拡大につながるということを申しまして、厚生省は直ちに全国から拾い集めて三ヵ所、一般地区を大阪府へ割り当てました。が、とにかく警察庁あるいはそのほかの省庁、自治省あるいは建設省、いろいろ意図的じゃないのですけれども、知らず知らずのうちに、それが差別の拡大につながっているということが多いので、もっともっとやっぱり政府部内の啓蒙もちろん大事です。
 それから、おっしゃいましたように、一般の啓発活動、何と言っても差別をする側は、これは地区出身者でない大多数の国民ですから、そちらが改まらなければ差別はなくならないということで、ぜひその啓発活動をしていただきたい。そういう意味から、昨年も、白書は非常によくできている、まだ数が少ないから、もっとたくさん出してくれという要望をいたしました。
 そこで、きょうはせっかく長官そういう御答弁をいただいたのですから、この白書もさることながら、今度は人権週間とか、あるいは措置法ができた日とか、そういうときに、全国民にひとつその啓蒙のためのテレビを通じて、できれば総理大臣みずから、あるいは総務長官が全国民にそういうことを訴える。そうして自覚してもらって、差別をなくするというためのそういうことを、ひとつぜひやっていただきたいというように考えておりますが、その点お約束いただけるでしょうか。
#162
○植木国務大臣 御趣旨に沿いまして、あらゆる機会をとらえまして国民の啓発、啓蒙のために認識と理解が得られますように努力をして、検討いたしてまいります。
#163
○湯山分科員 もう時間がありませんが、こんなのは御検討じゃなくて、総理がやるように努力しますと、できなかったら私がやりますと、ひとっこれぐらい答えてくれないと、どうも同和対策担当大臣として少し弱いように思いますから、もう一遍いまのようにはっきりお答え願います。
#164
○植木国務大臣 積極的に取り組んでまいります。
#165
○湯山分科員 終わります。
#166
○笹山主査 次は、阿部助哉君。
#167
○阿部(助)分科員 時間が大変少ないので、要領よくお答え願いたいのでありますが、わが国経済の対外進出に伴って、進出地域の環境汚染が問題になっております。内外の批判が高まっております。汚染防止に関し、政府はどのような機関が担当しておるのかを、まずお伺いしたいのであります。
#168
○小沢国務大臣 海外進出の企業の公害問題は、ずばり環境庁でもなければ、非常に関係するところが多いわけでございます。元来が相手国の国内問題でございます。国内の諸法規、諸取り締まりあるいは行政基準にのっとって、その企業がいろいろ具体的な仕事をやらなければいかぬわけでございますから、相手国の国内問題だと思います。ただ、おっしゃる内容によっては、それぞれいろいろな、たとえば相手国の公害技術について協力をするのは、どういうようなことになるか、外務省も絡んでくると思いますし、いろいろ関係がありまして、まだ一概にそのものずばりで、これを主管する官庁というものは決まってないと私は思います。
#169
○阿部(助)分科員 三木内閣は、少なくとも看板は前の内閣とは違いまして安定成長だ、社会的不公正の是正というものを高々と掲げておられるわけであります。総理は、施政演説の冒頭にも「世界各国の相互依存性はますます深まり、地球はますます小さくなりつつあります。全人類は、地球船という同じボートに乗った運命共有者であります。」こう言っておられる。また、この施政演説の中で、環境問題には触れておられるわけであります。
 そして四十九年二月二十二日、この予算委員会において、当時環境庁長官だった三木総理は、こう答弁をしておられるわけです。「これだけ日本が公害問題で、公害先進国とまでいう汚名を受けておるわけでありますから、この経験に徴しても、低開発国などに対する経済協力、あるいは企業の進出、こういうものに対して、公害を輸出する国であるというような、そういう非難を受けるようなことがあってはならないので、通産省とも相談をしておるわけでありますが、これはやはり強い行政指導をしてもらって――行動基準のようなものが要るのかと考えたのですが、行動基準というのも、何か抽象的な面もありますから、通産省の強い行政指導のもとに、公害輸出国という汚名を受けるようなことのないように今後していかなければならぬ問題だと思います。」こう答えておられるのです。
 これは答えてはおられるのだけれども、現在どの役所が一体担当するのか、それもない、それに関する法令も何もないというようなことで、一体これからの日本の企業の進出というのはどうなるのか。政府は、進出企業の公害問題に対する現状をどう把握しておるのか、ごく簡単にひとつ御答弁願いたい。
#170
○野村政府委員 ただいま先生のご指摘されましたとおり、この海外進出企業の公害問題、きわめて重要な問題かとわれわれ考えておるわけでございます。もともと民間企業の海外進出という問題は、受け入れ国の社会との協調融和を図りまして、かつまた、その国の経済開発、あるいはまた、その福祉の向上に努めるということでございますけれども、同時に、その問題は、あくまでも相手国の法規なり規制というものに服するということがあるわけでございまして、そういった意味から、この民間企業の進出問題ということは、当然民間企業の自主的な判断と責任においてやられなければならないというふうに私たちは了解しておるわけでございます。
 そこで、先ほど長官からもお話しございましたとおり、この問題は国内官庁といたしましても、非常に多岐にわたって関係しておるわけでございますけれども、私、外務省といたしましては、そういった海外におきます事業活動につきましても、いろいろと、たとえば現地の商工会議所その他の経済団体とかそういったところとも、在外公館を通じまして情報を把握するなり実情の調査に努めておるというふうなのが現状でございます。従来から、われわれ了解しておりましたところでは、もちろんいろいろ海外進出の問題について問題がございますけれども、公害問題という面に限りますれば、若干の国で特定企業の公害問題が二国間でいろいろ取り上げられた、つまり政府間の問題として取り上げられたというふうな事例はなく、おおむね、それぞれの国の規制に従いまして設備を改善する等によりまして、問題が解決されているというふうにわれわれ了解しているところでございます。
 なおかつ、われわれといたしましては、そういった特に開発途上にある国からの要請があれば、わが国といたしましては、公害に関しましていろいろ経験なり知識、技術等を持っておるわけでございまして、国際協力事業団を通じますところの技術協力その他によりまして、そういった国の公害問題の解決に協力していくということは、われわれとしては十分考えておるところでございまして、すでに過去におきまして国際協力事業団を通ずる研修生の受け入れその他のいろいろな活動をやっておるというのが現状でございます。
#171
○阿部(助)分科員 公害企業が国内の規制、住民の反対運動に追い立てられて、海外進出を志向していることは周知の事実であります。いろいろな人のいろいろな発言を挙げれば切りがありませんけれども、一例を挙げれば、一昨年六月十八日、韓国機械工業等韓国産業長期開発計画調査団、こういうのが派遣された。この団員である日産自動車の車谷省三氏は、その報告の中でこう言っておる。「「産業公害」「労働力不足の慢性化」に悩む日本との補完関係は、たしかに成立するのではないかと思う」こう述べておる。こういうことはもう挙げれば切りがないほどあるのです。こういう風潮に対して、三木内閣はこれをこのままにしていくのか、あるいはこれを何らか防止しようとする努力をなさるのかどうか、その決意をお伺いしたいと思うのです。
#172
○植木国務大臣 民間企業の海外進出活動につきましては、民間の自主的な判断と責任のもとに行われるべきでございますが、政府としても、いろいろこの問題には取り組んでいかなければならないと考えます。
 昭和四十八年の六月に、経済関係の五団体が、受け入れ国の環境保全への配慮も含めまして投資行動の指針をつくりまして、公表をし、その実践に努めているということは、阿部委員も御承知だと存じまして、政府もこれを評価しているのでございます。そして、この評価に基づきまして、外務省は在外公館を通じ、あるいは通産省はジェトロを通じまして、いろいろその公害問題解決の支援をしているというのが実情でございます。また、在外企業協会というのがございまして、約三百五、六十社が四十九年の七月から、これまたこの指針に基づきまして努力もいたしているということは御承知のとおりでございます。
 なお、それでは政府として具体的にどういうことをやっているんだということでございますが、これは昨年の十月に、対外経済協力審議会の二十一回の総会におきまして、内閣総理大臣から「国際協力をめぐる最近の経済環境等の変化にかんがみ、今後わが国対外経済協力を進めるに当たり留意すべき基本的事項について貴会の意見を求める。」という諮問を行いました。この諮問の中には、いま御指摘の、いわゆる海外事業活動に伴います公害排除の問題等も含まれているのでございまして、これにつきましては、それぞれの部会におきまして、諮問事項につきまして協議をしていただいているというのが現状でございます。
#173
○阿部(助)分科員 準備の過程でもそうなんでありますけれども、出てしまえば外国の企業になってしまう。そうすると、それにむやみやたらと物を言えば、内政干渉になるということで手が触れられない。国際的問題になれば、外務省出先機関が調査をするということは可能なんです。
 しかし、皆さん、いまいろいろと審議会に諮問したとか、あるいはまた五団体の行動指針、これを見ましても、その裏表に書いた文字の中に、受け入れ国の環境の保全に十分努めることと、こういう文句が出ております。だけれども、皆さん考えてみてください。一体国内においても、公害問題を企業が先に対処し、そうして解決していったことがあるのか、政府が先に手をつけて問題解決に当たったことがあるのか。ほとんどすべては、その公害に悩まされた住民運動によって、それも本当に苦労に苦労を重ねた住民運動によって、いやいやながら政府も企業も何がしか手をつけてきたというのが公害対策なんですよね。それをこんな業者団体の指針、しかも一々挙げれば切りがないほど、時間がないから挙げませんけれども、企業はいまや国内を追われては田舎へ行く、田舎を追われては韓国へ行く、あるいはよその国へ行くという、こういう姿なんです。
 私は、もう少し皆さんが外国での公害問題というものを真剣に調査もし、対策も立てられておるんじゃないか、こう思っていたんだけれども、そうではない。いまのような答弁で、こんなことをやっておったら、地球がめちゃくちゃになります。その上にまた、外国から日本人は指弾を受けます。もう少し私は真剣に問題を考えてもらいたいと思うのであります。
 韓国の学術環境問題研究委員会が、六七年から七二年、この期間にわたって、水質汚染のはなはだしい地域、釜山、蔚山、群山、牙山、麗水、光陽、康津、鎮海、仁川、こういうようなところを十二ヵ所調査した。その発表がありまするけれども、西南海岸は大単位臨海工場の相次ぐ建設によって、廃水、廃油などから大きく汚染され、中でも深刻なものは仁川湾と蔚山湾である、こう言っているのであります。もっとこれを具体的に申し上げるならば、皆さん、これは本当に深刻なんですよ。
 「蔚山地域には、石油化学コンビナートだけでも、三井グループと合作した韓国合成ゴム、丸紅と合作した大韓油化をはじめ、三井物産の借款企業である共栄化学、韓国肥料、三菱商事の借款企業の三養社、東洋綿花の韓国アルミニューム、伊藤忠の東洋ナイロン、安宅産業の東洋合繊など、軒並みに日本資本が導入されている。アメリカ系資本の嶺南化学や蔚山精油などを含めても、日本企業の進出は圧倒的だ。これらの大工場からたれ流される廃水量は、じつに一日平均二五万七〇〇〇トン以上。しかもこれらの工場は、公害防止のための廃水処理施設を殆ど備えておらず、僅かに備えている工場も、それを使用していないというありさまだ。このため、蔚山湾一帯の海は無残にも腐り果てて、どす黒い海面から吐気をもよおす悪臭が湧きあがり、まさに生物の住めない死の海と化している。」こう報告しているのですね。
 こういうことを考えますと、企業の問題であるとか何だとかいうことではなしに、企業が進出する前にこれを解決する手を打たなければ、いまのようなことが、あらゆる日本の企業の進出地域で起こってくると私は思うのです。国によっては、多少公害が起こってもいい、産業を興すためには企業の誘致が先だ、こういうお考えの国もあるいはあろうかと思います。また、いままで公害という体験のない人たちは、公害の恐ろしさというものをよく知らない。それよりも、何か企業を興して産業をやりたいという気分があるかもわからない。しかし、それをいいことにして、日本の企業が進出するなんということは、私は、これは許されないと思うのです。しかし、企業にそれを求めてみたって、これは無理であります。それを規制するのが政治であり、政府の私は務めだと思う。それに、一体政府はどの機関が担当するのかわからぬ。
 これは名前言いません。ある役所の人は、私がこの質問をするというので来たときに、どこがチェック機関だと、こう言ったら、日本銀行と大蔵省だ、こうおつしゃる。なぜ大蔵省や日本銀行が公害事業の規制なんだと、こう言ったところが、この資本を出すときに外為の関係でチェックする、こう言う。そんなことはないのです。いま大概自動承認制ですよ。大体自動承認制で判を押すのですよ。その日銀と大蔵省が公害企業の進出のチェックをするなんというに至っては、私は、大臣、もう一遍ここへ出てもらって、本当に顔を見にゃいかぬと、こう思ったくらいがっかりしたのです。
 しかし、これは本当に笑い事じゃなしに、住民運動が起きて、初めてこの公害問題というものが問題化され、政治問題となり、解決への一歩を踏み出すといういままでの例からいきますと、ここで、本当に三木内閣は地球船という運命共同体だとこうおっしゃるならば、私は政府が一つの機関をつくりチェックする、水際でこれを防ぐ、出て行く前に防ぐ。出てしまえばこれは外国企業であります、内政干渉という問題も起きますから、出る前にチェックする機関を持つべきだと思うのですが、長官、いかがですか。
#174
○植木国務大臣 先ほどお話ございましたチェック機関はどこだということに対して、大蔵省だ、日銀だ、こう言った者があったということでございますが、これは恐らく海外投資に関しまして、そういうところが扱っておりますという関連措置に関する窓口を申し上げたのだと思います。海外経済活動におきます公害問題は、申すまでもなく、第一義的には相手国側の公害の規制法令の問題であろうと思います。しかし、そのような法令の不備な開発途上国がある、あるいはまた、先ほどおっしゃいましたように、むしろ公害というものの恐ろしさを知らないで、産業の方が優先だというようなところもある。そういう多岐にわたる国におきまして、わが国の経済活動が行われるわけでございますので、十分に公害を輸出しないように配慮をしていかなければならないということは申すまでもないところでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、審議会におきまして御協議をいただいているわけでございますが、この点について特に審議会で早く答申を出していただきますようにお願いをいたしたいと存じます。
 それからもう一つ、私から申し上げるのはどうかと思いますけれども、政府といたしまして、五十年度の予算におきまして、これは通産省関係でございますけれども、海外事業活動円滑化相談事業費の補助金というのをつけまして、これはジェトロがいま予定いたしておりますのは、韓国でありますとか、タイとか、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ブラジルの六ヵ国でございますが、ここに海外事業活動相談員というのを二名置きまして、そのうち一名は現地の有識者に委嘱をするという予定でございますが、そういうものを置きまして、海外に出ますわが国企業の活動につきまして、常時実態の把握に努める、それに対して助言をしたり相談をするというのが、新しい措置として五十年度の予算の中に措置をされております。
 それから、海外事業活動円滑化啓蒙事業といたしまして、わが国業界で相当の影響力を持っております財界人を海外事業活動巡回指導委員に委嘱をいたしまして、東南アジアでありますとか、中南米でありますとか、アフリカというような地域に派遣をいたしまして、投資行動の指針の遵守徹底を図りますとともに、在外公館あるいはジェトロ等とともに、在外日系企業の指導に当たるというようなことを考えているのでございまして、こういうような措置をとることによりまして、いま御指摘のようなものを防除していこうというような考え方でございます。
#175
○阿部(助)分科員 出てしまった企業の指導をされるのも結構です。しかし、私が申し上げるのはそうではなしに、出る前にこれはチェックをしていかなければ、出てしまってからはこれは外国企業なんですよ。しかも政府の手はなかなか及ばないですよ。だからまず、出る前にチェックをする機関を設けるべきだ。
 もう一つ、私はあなたの意見にいささか不満なのは、大体私自身、審議会、調査会というのは全面的にどの審議会も全部不信任なんです。本当にあれならば、審議会なんというのは大体政府の皆さんの意向を受けてやるじゃないですか。皆さん自体がどう考えておるかということであって、審議会審議会なんか言うよりも、まず皆さん自体の態度を私は聞いておるのです。
 たとえば、今日問題になっておる企業があります。たとえば富山化学というのは、これは御承知のように赤チンを製造しておった。水銀を使っておる。それが富山では製作の継続は困難になって韓国へ行こうとした。しかしこれは住民運動でつぶれました。ところが、今度は日本化学、これは韓国資本と折半で蔚山無機化学という新会社をつくって、すでに許可も得、建設工事に着手しております。
 この日本化学というのは、御承知かもわかりませんが、東京の江戸川区小松川で染料や顔料の原料になる重クロム酸ソーダなどというものをつくっておる。これは都市開発もあったでしょう、あるいはまた公害問題もあったでしょうが、これが山口県の徳山市に工場を移しました。ところが、これが徳山市でまた問題を起こす。徳山市の議会では、きわめて重大な背信行為であるということで、操業停止の満場一致の議決をしておる。山口県でも、この工場はけしからぬということで、三十九日間の操業停止処分を行った。いま山口県では、工場新設条例の適用、これは恐らく工業誘致条例でありましょう、税金免除等の。そういう条例の適用を受けておるのが二百九十一工場あるけれども、これの取り消し処分を受けたのは日本化学が初めてなんです。しかも、この日本化学というのは、戦争中、昭和十七年には強制連行した韓国人労務者を酷使した歴史もある。そういうのが東京を追われて徳山へ、徳山も工場拡張ができなくなったから今度韓国へ、こういう形でいま工場建設をしておるわけです。
 こういうことを認めておいて、そうしてでき上がってしまってから、まあ派遣員なんか、財界の有力者か何か知らぬけれども、やってみたって、そんなもので日本の公害の進出を食いとめるわけにはいかぬわけであります。環境庁長官も、国内の環境問題も大切でありましょう。しかしまた、この環境問題、汚染問題というのは人類の問題だという崇高な気持ちに立って、内閣が本腰を入れて、出る前にもう少しチェックをするという方策を何としてもこれは立てるべきだと思うのであります。
 皆さんは投資行動の指針なんという経済界の人たちのこんな紙っ切れの申し合わせみたいなものを頼りにしておるようで、しかもこの人たちは、より利潤を求めて、より低賃金のところを求めて、より公害防止の投資の金のかからないようなところを求めて出てきておったといういままでの経緯からすれば、この人たちに頼っておるなんということでは、三木内閣の公害防止の政治責任なんというものは解消されるわけじゃないと私は思うのであります。
 時間がないから終わりますけれども、どうかこれは環境庁長官にも一言、これから閣議で御相談いただいて、水際で、日本の企業が出る前に、出るときにこれをチェックする機関、法令というものを整備していただきたいということを要望するわけでありますが、お答え願いたいと思うのであります。
#176
○小沢国務大臣 おっしゃることは大変重要なことだと思いますが、出るときに、たとえば日本の企業が当然日本においては受けなければならないいろいろな有害物質の排出の基準を向こうで守らなければ、たとえば許さぬぞとかどうとかというような規制をすることが果たして法的に可能なのか、また、現実的に効果を上げ得るのか、そういうこともございまして、非常に重要な問題ではありましょうが、なかなか現在の政府の、あるいはまた法律の中で御希望どおりできるのかどうか、これはよく検討してみなければならない、軽々には私は、いまおっしゃるとおりだから何とかしますと言うわけになかなかいかない、非常に複雑な問題を含んでおるようでございます。しかし、先生のおっしゃることはよく理解できますので、もう少し検討させていただきまして、新しい問題の提起でございますので、十分傾聴して、私ども政府内部でもよく検討してみたいと思います。
#177
○笹山主査 次に、野間友一君。
#178
○野間分科員 私は、きょうは同和問題について総理府総務長官並びに関係者に若干の質問をしたいと思います。
 御承知のとおり、同和対策事業特別措置法、それからこれに基づきますところの同和対策長期計画が策定され、ことしで六年目であります。同法は十年という時限立法、期限つきのものでありまして、残す期問わずか四年というのが現実でありますが、その過去六年間、これを振り返ってみて、この法律五条には目標が挙げられておりますけれども、この目標に対して政府はこれまでどのように取り組んでこられたのか、また、どのような効果をもたらしたのか、あるいはさらに、どのような問題点があるのか、こういう点について、まず簡潔に御答弁を求めます。
#179
○植木国務大臣 今日まで、お話のように特別措置法及び長期計画を基本といたしまして、憲法に保障された基本的問題でありますこの同和問題の解決に当たってまいりました。お話のように計画を毎年積み上げてまいったわけでございますが、それぞれの地方の実情に応じまして、政府が今日までその対象事業の増大も図り、また、いろいろな単価のアップなどもいたしまして、物的面での充実を図りますとともに、同時に、教育あるいは就職問題等々、物的施設以外の面についても努力をしてきたことは御評価をいただけると存ずるのでございます。
#180
○野間分科員 私、お聞きしておるのは、長期計画を作成されて、そして前期の五年、後期の五年というように、前期の五年が終了した時点で、いままでの効果とか、あるいは問題点、こういうものを掘り下げて、そして後期に備えたいということであれこれやってこられた。特にこの四十九年度でこれらの調査もされております。そういうことを踏まえて、その効果、いままでの成果と、どこにどういう問題があるのか、そういう点について、調査の結果どういうことになっておるのか、そういうことをお聞きしておるわけです。
#181
○山縣政府委員 お答え申し上げます。
 先生の御質問でございますが、御案内のとおり、昭和四十九年度におきまして、同和地区の過去の状況と今後のあり方を調査するという意味合いにおきまして、同和地区精密調査を現に実施中でございまして、現地の調査は終わっておりますが、これから調査の結果の整理、検討等に入ることになる予定でございます。
#182
○野間分科員 地元のことで恐縮なのですけれども、九府県九ヵ所というのが調査の対象であったというふうに私は理解しておりますけれども、その中で和歌山が入っておるのかどうかですね。
#183
○山縣政府委員 お答え申し上げます。
 九府県の中の九市町村、これもいろいろ都市型でございますとか、農村型、中都市型等で調査したわけでございまして、おっしゃいましたように、和歌山市内のある地区を調査の対象にいたしておりましたし、調査もやったところでございます。
#184
○野間分科員 長官は先ほど、物的な側面では努力してきたというお話ですけれども、振り返ってどうなんでしょうか、それが順調にいっておるというふうに評価されておるのか、あるいは不十分だという評価をされておるのか。
#185
○山縣政府委員 先ほど長官がお答え申し上げましたように、措置法が制定されましてから、当初、四十四年度でございますが、二十七億円が、四十九年度におきましては御承知のとおり二百四十八億円と、一般会計の平均的な伸び二〇%に対しまして一同和対策予算につきましては平均五五%程度、さらに同和対策関係予算といたしまして、公営住宅の建設でございますとか農業基盤の整備等を含めますと、これは単なる累計でございますが、千七百五十億円にもなっておる状況でございます。さらに国庫補助対象の事業につきましても、当初の十三事業が、四十九年度におきまして三十九事業ということでございまして、各分野におきましてそれぞれ相当の成果が上げられているというふうに私どもは了解しておるところでございます。
#186
○野間分科員 次にお聞きしますが、この調査の結果、これは大変曲がり角にある現在、つまり半分折り返し地点にある今日、非常に重要だと思いますので、この調査の結果はいつまとまるのか、まとまれば、それはすぐ発表されるのかということと同時に、さらに、四十六年度に調査をされて、それから四十七年から五十三年にかけての、これはそれぞれの計画を積算して、たしか金額では四千七百三十三億ですか、こういう金額もはじき出しておられる。今度は五十年度でさらにこれの具体的な計画等々を調査して、その上でこれを見直すという話も私は聞いておりますけれども、これは具体的にどのように進められるのか、この点についてもあわせてお答え願いたいと思います。
#187
○山縣政府委員 精密調査の問題でございますが、現段階ではまだ報告等が作成の段階でございまして、これの扱いにつきましては、私どもも関係省庁と十分打ち合わせいたしまして、どういう発表方法をとるか等につきましては、検討させていただきたいというふうに存じております。
 次に、全国調査でございますが、来年度の予算が成立いたしますれば、昭和四十六年度に実施いたしましたとほぼ同様な形におきまして、全国の同和地区の実態、それと都道府県、市町村が行います同和対策事業というものを調査いたすことにいたしておりまして、調査時期等いま関係省庁相談し合っておりますが、いまのところ、六月一日現在で調査ができればというふうに考えておる段階でございます。
#188
○野間分科員 いまのお答えの前半については、ぜひ早期にまとめてその調査の結果を発表されるように、これは強く要求しておきたいと思います。
 それから後の御答弁につきましては、やはりいま実態がどうであるのかということを正確に知るためにも、ひとつ正確に調査をしていただきたいと思います。
 というのは、先ほどから長官あるいはあなたは、物的な側面では効果を上げておるというようなことを言われましたけれども、私も地元の問題について調査をしたわけなんです。これは住宅とか下水道、それから道路、これなどを見ましても非常にひどい状態にあるというのが現状であります。この同和地区の住民から私も百項目以上に上る要求を受けておるわけであります。
 たとえばその中で、和歌山市で一番大きな部落、これは芦原という地区、御承知のとおりでありますが、ここでは皮革工場の公害対策について何の対策も立てられていない。悪臭が付近の民家を襲う。それから雨が降れば汚水が家の中へどんどん流れ込んでくる。生活環境はきわめて悪い状態にあるわけであります。これに対して地区の方々は、悪臭とかあるいは汚水の処理、これらを根本的に改善するために、たとえば事業者への公害の防止対策についての指導、それから汚水処理施設の建設、そういう強い要求が現に出されておるわけです。
 さらに住宅の問題についてもここで若干触れてみますと、同じ芦原地区でありますけれども、ここでは千四百世帯、四千五百人の大きな地区でありますけれども、そのうち、いまでも三百世帯を超える方々がいわゆる不良住宅に住んでおる。少し具体的にある例を挙げてみますと、ある住宅は皮革工場を改良したアパート、ここへベニヤ板一枚で仕切りをつくっておる。それから窓など一つもない。昼でも真っ暗で、電灯をつけなければならぬ。屋根は穴があいておる。それを古テントで屋根をずっと覆っておるという現状で、こういう中で毎日暮らさなければならぬし、一たん雨でも降れば大変なことになるわけですね。しかも六畳と二畳に四人ないしは六人の方がここに住んでおるというのが現状であります。
 このように、皮革工場から出てくる騒音とかあるいは悪臭、さらに日の差さない暗い部屋で子供たちが目を悪くしておる、体も損ねておるという実態が現に依然として残っておるのですね。これはとうてい人間が住むにたえないものである、こう言っても過言ではないと思います。低家賃の住宅をたくさん建ててくれ、こういう切実な要求がたくさん出てきておる。先ほど物的な側面では云云と言われましたけれども、いまなおこのように、いま申し上げたような公害の問題とか汚水の処理の問題、それから住宅問題、現にこういうのが実態なんです。ですから、こういう実態を考えた場合に、もう後半、六年目を迎えておる今日、まだまだ切実な住民の要求、これはかなえていないというのが実態であります。
 一方、予算委員会等で私たちは常に強く主張してまいりましたけれども、大阪等では一つの学校に四十億から五十億の金をかける問題とか、あるいは同和対策協議会、それから金融公社、さらには建設協会、こういうのを使って、いわゆる朝田派の人たちが行政を私物化したり、あるいは利権あさりに走っておる。これは当然厳しく規制しなければなりませんし、私たちは許すわけにはまいりません。一方ではこのようにこういう状態が野放しにされながら、片方ではこういうふうに、いま申し上げた住民の切実な要求がそのまま残されておる、これが実態であります。ですから、物的側面で云々ということを、効果を上げたというふうに言われますけれども、現実の問題として実際その実態を調べた場合には、とうていそういうことは言いようがないのが現実だというふうに、私はこの地元の調査やあるいは住民の皆さんの要求を聞いた上ではだで感じるわけであります。
 そこで、このような実態を踏まえて考えた場合に、先ほどから申し上げておりますように、六年を迎えた今日、まだこういう状態である現状ですから、これは早期に何とかもっと抜本的にやらなければ、とうてい住民の要求をかなえることはできない、これは当然だと思うのです。
 こういう点で、私は先ほどから申し上げておりますように、四十九年度の調査やあるいは五十年度の調査、これは単に数字の上でいじるだけではなしに、実態をつぶさに見た場合にはこういう問題があるのだ、こういうことでありますから、長官にひとつお答え願うのは、こういう実態が依然として残っておるという事実をどうお考えになるのか、あるいはこれを解消するために、いままでのような方法でいいのかどうか、こういうことについては抜本的に施策を十分見直して、早期にこれらの住民の要求を実現するようにしなければならぬ、こういうふうに私は考えます。その点についての長官の御所見を承りたいと思います。
#189
○植木国務大臣 先ほど同和対策室長がお答えをいたしましたように、昭和四十四年度の事業予算は二十七億円でございましたけれども、昭和四十九年度には二百四十八億円に増加しておりまして、毎年度ほぼ五五%の伸びを示しているのでございます。したがって、公営住宅建設事業あるいは街路事業、農業基盤整備事業等合わせまして、過去六年間千七百五十億円という予算を施行しているのでございまして、また対象事業も増加をさせ、昭和四十九年度においては三十九事業に拡大をして、施策を進めていくという状況でございます。相当の成果が上がっていると存じますけれども、しかし、いまお話のございましたような実態もあるということも私ども承知をいたしているのでありまして、そこで四十九年度の精密な調査及び五十年度に行います調査におきまして、できるだけ早期に実態を把握いたしたいと存じます。
 四十六年度に調査を行いまして以来、すでに経済、社会情勢もだいぶ変わっておりますし、ここで全国の同和地区の実態及び関係府県や市町村の同和対策事業を行っております実態も把握をいたしまして、今後政府としては何をすべきであるか、そしてまた、地方自治体にはどのような事業の取り組み方をしていただくべきであるかということの基礎資料を得まして、それによっていまお話のございましたような実情を打開してまいりますために、それぞれの地区の実情に応じましてきめ細かい施策を講じてまいる、これが私どもの基本的な考え方でございます。
#190
○野間分科員 室長、五十年度の調査の中で、ぜひいま申し上げたことを正確に調査していただきたいと思うのです。おそらくこういう具体的な事実についてはまだ御存じじゃないと思うのですけれども、こういう事実について御存じであるかどうか。この和歌山の実態ですね、これをもし御存じでないとすれば、これはぜひ正確に把握をして、そしてこれらに対して同和対策事業特別措置法あるいは答申の線からしても、早期にこれを開始しなければならないという点から考えましても、正確に事実を調査した上で正確な抜本的な施策を講じていただく、こういうふうにならざるを得ないと思いますので、この点についてひとつ。
#191
○山縣政府委員 先生申されました地区でございますが、確かに地区の広がりがない、あるいは伝統産業とリンクしているというようなことを私どもよく承知もいたしておりますし、それぞれの地区の水準も先生申されましたように一律でないことも承知しているところでございまして、精密調査の結果によりまして、あるいは全国調査の結果につきましてはできるだけの調査を進めるようにいたしたいと思っております。
#192
○野間分科員 時間の関係で次に進みますが、ぜひそれは正確に調査をして、何度も申し上げておりますように抜本的な施策を講ずる、こういう取り組みをやっていただきたい。
 それから関連して、超過負担の問題であります。同和対策事業と超過負担との関係は何度も問題になっておりまして、私たちも要求もしておるわけでありますけれども、これまた和歌山の具体的な事例を申し上げますと、たとえば那賀郡那賀町、ここの改良住宅でありますけれども、一戸当たり実施建設費が四百五十二万四千円、ところが国庫補助基本額が三百八十二万一千円、したがってこれの三分の二になりますから国庫補助が二百五十六万、義務負担が百二十七万、この中で一戸当たり六十九万四千円の超過負担が出てくるわけですね。さらに同じ那賀郡に打田町というのがありますが、ここの改良簡易耐火の住宅でありますが、これは一戸当たり実施建設額が四百五十八万円、ところが国庫補助の基本額が二百八十八万五千円で、あれこれしますと超過負担が一戸当たり百六十九万五千円、これだけの超過負担が生まれてくる。これは国の基準どおりやったものであります。基準どおりやってもこれだけのものが出てくる。これがいまの現状であります。
 で、和歌山県でいろいろ聞いてみますと、四十八年度の総事業費八十四億九千万、このうちで国庫補助の対象は五十五億二千万、非常に大幅に下回っている。そして国庫補助はその三分の二でありますから三十六億円、となりますと四十九億円は自治体が負担しなければならぬ。よく聞きますけれども、ほんとに一生懸命まじめに部落解放、同和対策事業をやろうとすればするほど赤字が出てくるということで、何とかこの超過負担を解消しなければならぬというのが強い要求になっておることは御存じだと思うのです。
 そういう意味での超過負担の問題、さらにこういう具体的な実態を踏まえた上で、過去のこのような超過負担に対してどのように対処されるのか、あるいは今後このようなことが起こらないようにどのような施策を講じられようとするのか、この点についてお答え願いたいと思います。
#193
○植木国務大臣 野間委員も御承知だと存じますが、同和対策事業につきましては、非常に重要でございますので原則として三分の二の高率な国庫補助を行いますとともに、地方公共団体が必要といたします財源につきましては地方債をもって賄っております。さらに、そのうち自治大臣が指定したものにつきましては、地方交付税の基準財政需要額に算入する等の措置を講じておるのでございます。
 しかし、それでも地方公共団体の財政負担が増大をしているという事実は私も承知をいたしております。そこで、政府といたしましては、年々国庫補助の増額と補助対象事業の拡大また補助単価の引き上げ等、予算等の措置の充実を図ってきているのでございます。
 そこで、国庫補助単価でございますが、これは資材費、労務費が急騰いたしております実情にかんがみまして、四十九年度の予算が成立しましてから後も、公立文教施設、社会福祉施設、公営住宅等について実態調査を行いまして、その結果に基づきまして、同和対策事業についても保育所あるいは住宅の是正措置、さらには集会所、隣保館等についても類似の施設に準じてそれぞれ是正措置をとったのでございます。五十年度におきましても、是正後の補助単価に対しまして八%ないし一〇%の引き上げを行うことにしているのでございます。
 政府としましては、いま御指摘のような点がございますので、国庫補助、地方債、地方交付税等の措置につきまして、それぞれの地方公共団体の実情を勘案をしながら充実を図ってまいりたいと考えております。
#194
○野間分科員 御答弁を聞いておりますともっともなことを言われるわけですけれども、これは具体的にこういう事実を踏まえた場合どのように解消していくのか。現にいままで生まれておりますし、また今後もいまのような状態では生まれるのは当然であります。ですから、こういうものを解消するために何とか努力をしたいということはわかりますけれども、それはそれなりとして、具体的にこういうものをどうするのか、いままでに生まれた部分についてどう解消していくのかということについて具体的な答弁がないわけであります。
 しかもこれに関連して、一つは十条適用の問題がございます。これでは、たとえば先ほど挙げました改良住宅とか、あるいは公営住宅の建設事業、こういうものについては、これは実際には十条適用にはいまなっていないわけであります。問題は、土地なども特に切実でありますけれども、こういうものについては家賃収入があるとか、あれこれ理屈を私は聞くわけでありますけれども、実際いま地方自治体の中でネックになっておるのはこれであります。適用事業を幾つか私も承知をしておりますけれども、いま申し上げたような住宅建設あるいは用地取得の造成事業、これ等々については適用がないわけでありまして、これが非常に大きなネックになっておる。
 ぜひこれについて十条適用をしろという要求が、これは各自治体から強く要請されておりますけれども、これについては政府はいまなお適用されようとしない。私は強くこれについても適用するように、ひとつ実現するようにやっていただきたいということを要求するわけですけれども、いかがですか。
#195
○植木国務大臣 四十九年度のいろいろな事業につきまして単価が非常に上がりました分につきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれ実情を調査をいたしまして、保育所については二七・六%でありますとか、住宅一六・七%、あるいは集会所や隣保館につきましては一六%程度、それぞれ是正措置を講じたのでございます。五十年度には、さらにその上積みといたしまして八%ないし一〇%を追加をしていこう、こういう積極的な姿勢をとっているのでございます。
 さらにいまの第十条の適用問題でございますが、これはもう御承知のとおり、自治大臣が指定をいたしますのは公営企業、準公営企業など事業の収入を地方債の元利償還金に充てることができる事業に対するものを除き、かつ本法の国庫補助金を得て行った事業に対するものについて行うものということとされておりまして、これは、これができ上がりましたときにすでに自治大臣としてはそのようなことを質疑の中で申し上げているところでございます。
 こういうように第十条の適用につきましては、その法の制定の趣旨と経緯に基づいて運用しているわけでございますが、四十五年度は四事業、その後国庫補助の特別措置が拡大されるに従いまして、四十六年度は五事業、四十七年度は四事業、四十八年度は二事業と、それぞれ適用範囲を拡大をしてきておりまして、現在は累計いたしますと十五事業となっているのでございます。第十条の適用につきましては、立法の趣旨に基づきまして運用を図っているのでございまして、なお今後この適用事業の拡大についてはいろいろ検討してまいりたいと存じております。
#196
○野間分科員 もう時間が参りましたので、やむを得ませんけれども、ぜひ真剣に検討していただきたい、これも強く要求しておきたいと思います。
 建設省あるいは自治省もきょうお呼びしておったけれども、時間の関係でこれで終わりますけれども、さらにひとつ、これらの問題との関連で私は指摘しておきたいのは、同特法そのものが、国の責務と地方公共団体の責務をうたいながら、実際の運用の実態は地方自治体が全部責任を持つ、それに対して補助金をやる、こういう仕組みの中ですべて地方公共団体が苦しんでいる。国は非常に実態にそぐわない、実勢単価に見合わないような補助金をして糊塗するというところに根本的に大きな問題がある。私たち常に指摘したとおりであると思うのですね。
 こういう意味で、国がもっと積極的に、こういう本当に切実な要求を実現するために、本当に部落完全解放をするために、どうしてもやはり国が全面的に積極的にやらなければ、私は本当の部落の解放はできない、こう確信しておるわけです。これは確かに法律上は国の責務は書いてありますけれども、実態はそうじゃない。これを踏まえて、ぜひこの点についても積極的に解放を進めるという立場から検討をさらにされたいということを強く要求して、最後にそれらについての長官の御答弁を願って、終わりたいと思います。
#197
○植木国務大臣 同和対策問題の推進につきましては、国に大きな責任があることは申すまでもございません。事業の執行に当たりましては、それぞれの地区の実情がございますので、その実情を十分に勘案をしてまいらなければなりませんし、それに即応したものでなければなりません。したがいまして、国といたしましては、地方自治団体と十分に連絡を密にいたしまして、公正な事業の執行ができますように努力をいたしてまいりたいと存じます。
#198
○笹山主査 次に、沖本泰幸君。
#199
○沖本分科員 私も野間さんと同じように、同和に関して問題点をしぼって長官にお伺いしたいと思います。
 総理府の方でまとめられました「同和対策の現況」という中の「同和対策事業特別措置法の制定と同和対策長期計画の策定」この中に述べられておるわけですが、「昭和四十年八月、同和対策審議会の答申が行われると政府は、その趣旨にそって同和対策の推進を図るため、具体的施策の検討に入った。民間においても、この答申を一つの契機として同和問題の認識が高まり、部落解放同盟、全日本同和会等を中心として、同答申の完全実施についての要求が、広範な層の支持を得つつ強まっていった。同時に、国会においても、同和対策に関する論議があらためて活発となり、「特別措置法」立法化への動きがしだいに高まっていった。」こういう経緯を経ながら、同和対策事業特別措置法ができ上がったということになるわけですけれども、これははっきりした基本的なものをとらえておきたいというために改めて申し上げておるわけでございます。
 そこで、この措置法案要綱の三に「国及び地方公共団体が同和問題のすみやかな解決に努めるべき責務を有することを明らかにすること。」こういうことで、先ほど野間さんの御質問の中にも、ほとんどその責任が地方公共団体に偏ってしまっておるということなんですが、国と地方公共団体、責務を有するという点では国も完全に責務を有しておるということになるわけでございます。
 そこで、最近当予算委員会の席上でも、テレビの生中継で問題になっていったり、いろいろな事件が起きて紛争が高まったりしている中で、一般的に国民がこの問題をとらえてよくおっしゃるのですが、よくわからないということがあるわけですね。この措置法案要綱の四の中にもあるわけですけれども、「政策の目標」として「同和問題に関する国の政策の目標は、国民のこの問題に対する正しい認識の確立、同和地区の生活環境の整備、社会福祉の充実、産業の振興、職業の安定、教育の向上等を図ることによって、同和地区住民の社会的経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因の解消を図ることにあるものとすること。」こういうことになっておることは御承知のとおりであるわけです。
 そこで大事なことは、ここに述べられておるとおり、「国民のこの問題に対する正しい認識の確立」という問題なんですが、そこで先ほど述べたとおりに、よくわからないという点があるわけです。ですから、国民に差別という問題あるいは同和問題ということに対する認識を深めるためいまが一番時宜を得ておる、こういうふうに私は考えるわけです。そういう観点に立って、財政的な問題もいろいろ問題が起きておるわけです。しかし、認識を高めるための方法ということは、国においても責務が十分あるわけです。
 一例といたしますと、政府関係のいろいろなPRに関して、総理府が十分予算もお持ちであるということになるわけですから、テレビあるいはいろいろなマスコミを通じて、総理府の方でおやりになる仕事の一環としてでも、差別ということは何によって起こっておるか、あるいは同和対策事業特別措置法ができ上がる経緯について、こういう経過を経てこの法律があるのだとか、だからこういう点について国民は差別に対する正しい認識をしていただきたいというような点について、この際ですから、より国民に周知徹底し、問題を正しく認識するような内容の徹底方が、いまが一番よきときではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 それについてこれから先、私が申し上げていることは五十年度予算外のことになるわけですけれども、予算の中にもそういう問題が幾分かは含まれておるとは思いますけれども、それをよりよく、昔差別はこういうことがあったのだ、いまもあるのだ、たとえば結婚に関してはこういう問題があるし、あるいは就職に関してこういう問題があるし、あるいは就学についてもこういう問題があるし、あるいはスラムといわゆる部落問題との違いという問題とか、この点だけはやはり国民が十分認識していただかなければならない問題で、これは国民の基本的な人権を中心として考えるときにこういう問題があるのだ、これは認識して、国民こぞってこの問題の解消に努力してもらわなければならないというような内容のものをわかりやすく国民に認識さしていただくような方法をとっていただくべきである、こう私は考えるわけですが、その点について大臣、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
#200
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいま沖本委員から非常に貴重な、根本的な問題についての御所見を交えての御質問がございました。国民の基本的な権利に係る重要な問題でございまして、何と申しましても国民のこの問題についての深い認識と理解がございません限り、根本的な問題の解決というものはあり得ないと思うのでございます。そういう意味におきまして、今日までもいろいろ啓発運動等をいたしてまいりましたし、あるいはまた各省それぞれいろいろな事業をいたしております。
 たとえば文部省は文部省といたしまして、地方教育委員会と連絡をとりながら、学校教育の中におきましても、こういう問題の解決のためのいろいろな指導や助言も行ってまいりましたし、地方でもそういうことを行ってきてくださいました。また政府といたしましては、たとえば先ほども申し上げたのでございますが、いわゆる同和白書を出しまして人権擁護に係るこの問題についての国民の啓発に当たりましたり、あるいはまた講演会等を開催いたしまして、その周知のためにも努力をしているところでございます。
 政府が持っておりますいわゆる広報の媒体活用のための予算をこの面に使ってはどうかという御指摘でございますが、ひとつこの点につきましては広報室におきまして検討いたしまして、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ等のいろいろな媒体がございますその中で、どのように効果的に啓発ができるか、ひとつ十分研究をさしていただきたいと存じます。
#201
○沖本分科員 重ねて言うようですけれども、たとえば触れる触れないという問題は別にいたしまして、兵庫県の八鹿問題というような問題が起きまして、その紛争の中野だけが国民の前にクローズアップされているということなんですね。紛争の原因というよりも、よって来るところ、同和教育のあり方なり、この問題は特別措置の中でこういうふうに取り上げられて、具体的に各行政機関としてはこういう仕事をやっているというような内容とか、あるいはいわゆる同和事業としてはこういうことが行われておるのだ、その行われる同和事業に対しては、こういう問題があったから法律で取り上げたのだというふうに、いまもなお残る差別問題という形で広く国民の中に徹底していただくことがこの法律制定の一番根本的なところに触れていると考えるわけでございます。
 ただ、各省の予算の中には講演会であるとか研究会であるとかいろいろな、白書も大臣お述べになりましたけれども、そういう中身のものは、その同和地域あるいは関係のありそうなところ、あるいは行政機関に携わる人、あるいは地域のそういうふうなものをいろいろとはかっていただける民間団体、そういうところが主体になっておるわけなんです。国会でのいろいろな論議の、紛争の種になるとか、そういうふうなものをいきなり国民の前にぶつけられているわけですね。国民は具体的にわからないわけです。わからないこと自体が問題であるという点に係るわけでございますから、いわゆる判断というものはそれぞれの考えるところによりいろいろ違ってくると思いますけれども、この問題を正しく認識させていくという上からは、やはり正しい問題のとらえ方というものは政府に責任がある、こう考えるわけです。
 その点を大臣が検討していきたい、十分その面もやってみたいというお考えでございますから、その辺は十分くんでいただいて、より広く国民がこの問題をとらえる。少し広げて言及申し上げますと、インドにはカースト制がある。そのカースト制というものはこういうものなんだ。あるいはアメリカに黒人問題が起きておる。いわゆる黒人問題の起こっているところはこういうことなんだ。日本の国の中には、単一民族であり同じ民族の中で、血の色が変わっておるとか違った民族が入っておるとかではなくて、同じ日本民族の中に差別問題が起きているという深刻な問題、それをお互いによけて通ろうとしておる現状ですね。
 それはいまはないのだ。そういう問題をわれわれは心の中で、いわゆる戦争が終わって新しい憲法ができて、同じ立場に立って平等なんだ、みんながそう考えているんだから、そういうことはあり得るわけがないとお互いに考えているけれども、さて問題や紛争を起こしてくるところにはそれだけの種が十分あるということになるわけですから、この点をなくしていくための基礎的な問題として十分御検討していただきたいと考えるわけです。
 それからもう一つの大きい面としてお伺いしたいわけは、この同和対策長期計画で前期と後期に分けて、前期が終わったら後期の段階でいままでの問題をもう一つ把握してみて、そしておくれたところを是正していく。そして十年の時限立法の中で完全にこの法律が効力を発揮するように後期において改めるということがこの長期計画の中に述べられておるわけでございますけれども、五十三年いっぱいで終わりということになるわけでございますから、あと残っているところ四年、前期は終わったわけです。前期の終わった段階で各省それぞれにもう結論が昨年度当たり十分できて、五十年度には前期の五ヵ年に従って、後期はこうしなければならないというものがはっきり出ていると思うわけなんです。各省間を取りまとめてこの対策を進めていく中心的な役割りは総理府がお果たしになるわけでありますから、そういう点について、具体的な前期の見直しが行われたかどうかという点についてお答えいただきたいと思います。
#202
○植木国務大臣 四十六年度に全国の調査を行いましたことは御承知のとおりでございまして、これに基づきまして事業の推進の基礎資料を充実させたわけでございますが、その後まだ十分に実態が把握せられていないということにかんがみまして、四十九年度は精密調査を行っておりますし、それから五十年度にはさらに全国の調査を行いまして、社会経済変動に伴います施策の改め方の基礎資料、あるいはまたそれぞれ地方自治団体がやっております同和対策事業というものの実態を把握いたしまして、さらに何をどういうふうにすべきかということの調査を行おうとしているのでございまして、そこで、十ヵ年計画で五十三年度に目的を達成できるかどうかということでございますけれども、五十年度は予算編成に当たりまして三百七十九億円を計上いたしておりまして、また新たに事業項目を十一追加するというような措置をとろうといたしております。いろいろな事業、すなわち公営住宅建設事業だとか、街路事業とか、農業基盤整備事業等を加えますと八百二十三億円という予算を組んでおりまして、これは厳しい五十年度予算編成の中におきましても、格段の配慮を行っているところでございます。
 そこで、物的施設面の充実を図りますとともに、人権擁護活動、同和教育、雇用促進等物的施設外の施策等につきましても、従来以上に積極的に進めていく所存でございまして、私どもといたしましては、特別措置法の理念を常に念頭に置きまして、所期の期限内にこの問題を解決するために鋭意努力をしているところでございまして、先ほど申し上げましたように、精密調査及び五十年度に予定をしております全国の同和地区調査の実施に基づきまして、さらに一層計画目標を達成しますために努力をいたしてまいりたいと考えております。
#203
○沖本分科員 いま大臣がお述べになったとおりで、四十四年の七月にこの法律が施行されたわけです。施行された段階で、初年度はこうである、あるいは十ヵ年の長期計画によって毎年段階的に計画が遂行されていって、十年目にはこういう形で差別問題、同和対策特別措置法の完全実施が一応は行き届くんだ、こういうふうなかっこうになっていれば別なんですけれども、おっしゃったとおり、最初の調査ができたのが四十六年だ。二年おくれになっているわけですね。そしてまた、いまお答えいただいたとおり、ことしになってもう一度見直してみるということになるわけですから、あと残っているのは、五十三年度予算に盛り込んで初めて十ヵ年の全部が終わるということになると、ずっとずれ込んできている。計画そのものがずれ込んでいるし、実態把握についてもずっとずれ込みがあるということになるわけです。そしてその法律は十年の時限立法ですから、十年たてば終わりだということになると、これはもう完全に積み残しが起こってくるということになるわけですね。五十年度に調査したものがはっきりわかるのは、内容を見てみても五十一年度にこれができてしまうということになりますから、あと残っている年限は、あるいは一年とか二年とかしか残らないということになると、後に対して、政府から言えば莫大な予算ということになるわけですけれども、相当思い切った予算措置なり計画というものが実施されない限りには、これは実現不可能ということになるわけです。
 先ほど野間さんからも御指摘があったとおり、政府からは計画が打ち出されていくけれども、裏づけの財政の措置というものがほとんど十分でないために、しわ寄せが全部地方自治体にいってしまう。地方自治体が地域から起きてくる要求を満たすためには、相当財政的窮迫の中に追い込まれてしまうということになるわけですから、そこに大きな摩擦を起こしたり、それからそこでいろんな誤解が生じていったり、紛争が起こったりする原因にもなっておるということは、大臣がよく御承知のとおりだと思うわけです。
 そういう点についても、これはもう明らかにその辺に大きな食い違いが出ておるわけですから、そういうものをこれから先どういうふうにして解決の方向に向かっていただくか。より紛争がクローズアップされてきているということになるわけですし、相当重要視してこの問題を取り上げていただかなければ、解決しそうにもないということになるわけです。
 それから、十分でない場合には、いわゆる最終年度あるいはその前年度ぐらいから、一体時限立法で果たせなかったものは、パーセンテージの中で具体的に出していくと、事業計画でこうあったけれども実際面ではこれだけしか実施されてないから、こんな大きな問題が残ってくる、それを時限立法で後は打ち切ってしまうのですかというようなことから、後に対する問題が相当紛争を起こしてくるということが考えられるわけです。その辺に対して、いまから十分対策をお立てになっていただかないと、これは大変なことになると私は考えるわけでございますが……。
#204
○植木国務大臣 全国の調査は三十八年、四十二年、四十六年と、こう続けてやってまいりまして、四十六年の調査に関連をいたしまして未報告地区の問題がございまして、補完調査を行いまして、十三県が対象府県になったというような実情等があったことは御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、この十ヵ年計画を完成いたしますために、地方自治団体の協力を得て事業の推進をやっていきたいということで、大変努力をいたしているところでありますが、まだまだ十分でない。
 そこで、先ほど来申し上げておりますように、五十年度に全国の実態調査をもう一度いたしまして、実態の把握をいたしたいと考えておりまして、この五十年度の実態調査によりまして、後の五十一年、五十二年、五十三年度と行います十カ年計画の末期三年間の同和対策事業を、どういうふうに進めていくかという基礎資料を得るわけでございます。
 したがいまして、現時点では法の改正は考えておりません。今後の推移を見きわめ、この五十年度の実態調査というものを基礎資料といたしまして、同和対策協議会等の御意見を聞きながら、何とかしてこの十ヵ年計画を完成するための努力を真剣にしてまいりたい、このように考えているのでございます。
#205
○沖本分科員 もうあと残り時間三分ぐらいでございますけれど、いま大臣の御答弁でも、年次的に考えても無理が当然起きてくるということになりますし、あと残りの三年でということも大臣おっしゃっていましたけれども、残りの三年で政府予算を盛り込んでみても、今度地方自治体にかかってくる負担というものは、もっと大きなものになってきますし、いままでの分だけでも地方自治体が悲鳴を上げているような実態があるわけですね。そういうことを考えていくと、当然年を追うごとにこれは重大な問題になってくるということになってきますから、おまけに政府としては閣僚会議までお持ちでこの問題に対処していらっしゃるというわりには、中身というものが十分でないということが言えるわけです。
 そういう点を考えていきますと、これはもう大変な努力で取り組んでいただかなければなりませんし、また、この問題は各省別に分かれて仕事をしていかなければならないということになるわけですし、総理府だけの予算で解決できる問題でもありませんし、果たして総理府が打ち出すだけの計画で消化されていくかということにも、いろいろ問題点があるわけでございますから、この点は、やはり大臣も、大臣の選挙区にこの問題があることは十分御承知でもありますし、実態調査そのものにも、地域の各種団体がそれぞれの形で協力してやっているという面で、漏れたとか漏れないとかいう点も、四十六年度のときにもいろんなところから、実態調査が不備であるという点が問題視されておるわけです。
 ですから、この法律ができた段階で十分の調査ができていなかったことから、そのスタートに長期計画ができていなければならなかったのが、スタートのときには何にも準備がなくて、法律ができてスタートしてから準備を始めたというところに問題があるので、準備期間というものは十分見ておかなければならない。それが十年間の中に食い込まれてきて、それだけずっとずれ込んできているということは、過去の事例が全部示しておるわけでございますから、その辺をお考えになっていただいて、今年度十分問題を把握していただいて、そして相当な決心でこの推進を図っていただかなければ、むしろ問題は逆の方向に行ってしまう恐れがあるということも考えられるわけでございますから、ちょうどいま国民の認識が、いい面につけ悪い面につけ高まっておるときに、十分政府の方としてもこれに見合っただけの対策と、五十三年度に完全に解消ができるだけの措置を図っていただかなければならないと考えるわけです。その点について、大臣からさらにお答え願います。
#206
○植木国務大臣 ただいま仰せのとおりでございまして、私どもといたしましては、問題の解決はいわば国家的、国民的な課題であると深く認識をいたしておりますので、御趣旨に沿いましてあらゆる努力をいたします。
 また、五十年度の予算が成立をいたしました段階で、各地方団体の主管の方々にもお集まりをいただきまして、特別措置法の趣旨の徹底を図りますとともに、地方自治団体の協力を得まして、国と地方団体とが一緒になって問題の解決に当たってまいりますように、最大限努力をする所存でございます。
#207
○沖本分科員 以上で終わります。
#208
○笹山主査 次に、大出俊君。
#209
○大出分科員 動物の保護及び管理に関する法律に基づきまして、短い時間ではございますが、少し承りたいのであります。
 これは総理府の皆さんが御存じのとおりに、私自身の立案でございまして、委員会発議の形をとっていただいて成立をさせていただいた法律でございまして、そういう意味では、実は私も共通の責任を負わなければならぬ一人でございます。
 ただ、この法律が通りまして、大変たくさんの方々の関心がこの法律にございまして、手紙、電話引きも切らぬようなことに実は今日なっておりまして、できた結果として、こんなにもたくさんな方々に関心があるのかということに、かえって予想以上に私、驚いているわけでありますが、それだけにまた反面、批判もたくさんございます。総理府の皆さんには大変お骨折りもおかけいたしております。特に、自治体で戸惑っている方々もたくさんありまして、逐一整理をして進めていかなければならない責任を感ずるのでありますが、そういうことで少し承りたいのであります。
 その前に一点、これは総務長官に承りたいのですが、たしか沖繩の海洋博は総理府所管だったと思うのでありますけれども、メキシコ闘牛を持ってきて沖繩で闘牛を見ようというキャッチフレーズで、会場をつくる地鎮祭のようなことがかつて行われた、昨年のたしか十一月ごろでございましたか。これが、その後どういうことになっているかという点をちょっと承りたいのです。
#210
○植木国務大臣 この法律制定に当たりましては、大出委員が大変お力を尽くされたこと、私も十分承知をいたしております。
 ただいま御質問のございました沖繩海洋博問題でございますけれども、海洋博覧会の運営は通産省の所管になっております。しかし、私も沖繩開発庁長官をいたしておりますので、先日沖繩を訪問いたしました際に、ただいまお話しのようなメキシコ闘牛を沖繩へ持ってきて興行をしようとする者があるということを聞きまして、その事実問題についていろいろ調べたのでございますけれども、現在のところ、私の個人的な見解といたしまして、メキシコ闘牛は日本人の国民感情から申しますときわめて残虐でございます。したがいまして、これはやるべきではないという意見を私は申しております。
 その後、まだ的確なことは聞いておりませんけれども、メキシコ闘牛ではなしにポルトガル闘牛にかえてはいかがであるかというようなことをいま申し出ているようでございまして、この点につきましては、いまのこの法律の趣旨を生かしたものでなければなりませんし、これにかかわるものでございましたならば、私といたしましては、そういう残虐な興行は行うべきでないということを強く主張いたしたいと存じております。
#211
○大出分科員 実は新聞の記事によりますと、これは四十九年十一月十二日でありますけれども、非常にかっこいいキャッチフレーズになっておりまして、フェスティバル式に写真入りで載っております。スペイン闘牛というのは旧植民地等にたくさんございまして、メキシコもそういうわけでありますが、目の前で牛が殺される、時には闘牛士が死ぬという関係にございます。日本古来の闘牛というのもございますが、新潟であるどか愛知であるとか、もちろん沖繩にも古来の闘牛があるんでありますが、これは牛の角を合わせて押し合いをさせる、囲いの中にもちろん入れるのでありますが、この前後に牛の品評会がありまして市が立つ、そして品種改良と抱き合わせて進めてきているという歴史がございまして、もちろん牛が死ぬわけでも何でもございません。力の強い方が片一方を押し出すという競技であります。実は当時いろんな人から意見も、質問もございまして、日本古来の闘牛は歴史的な背景があるので認めていきたいということを私も答えておりますので、メキシコのような場合は、あるいはスペインのような場合は、これは認めるべきでない。
 その理由は、各国にスペインの闘牛の形のものを入れようという方々がおりまして、国が法律で残虐行為だというので厳禁をしている、そういう国がたくさんございます。ある意味の国際常識みたいになっているわけでありますので、何とかこれは御遠慮をいただけないものか。沖繩にもあるわけでありますから、古来の日本の闘牛であればそれなりに認められる、そういう性格のものでありますので、またこれは非常に深い意義がありますから、そこらのところはぜひひとつ、所管の相違等はございましょうが、愛護法そのものは――通称愛護法でありますけれども、総理府の所管になっているわけでありますので、ぜひその点は特段の御注意をお願い申し上げたい、こう思うわけであります。
 次に、この法律に基づきまして、三回ばかり地方自治体等に文書で通知をお出しになっているわけであります。そこで、これは四十九年四月九日の通知、内閣総理大臣官房管理室長さんの名前で出されておりますが、この中で、二ページ目のところでございますけれども、「動物の飼養及び保管に関する基準」これは四条二項でございます。「犬及びねこの引取りを求められた場合の措置に関する必要な事項の定め」これが法第七条六項でございます。さらに、「公共の場所における犬、ねこ等の負傷動物等を収容する場合の措置に関する必要な事項の定め」これが法律第八条三項でございます。四番目に、「動物を殺す場合の方法に関する必要な事項の定め」法律の十条二項でございます。さらに五番目に、「動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置に関する基準」これは法律の十一条の三項でございます。大きな問題、これは五つあるわけでありますが、現状変革を余り極端に求めることは混乱を起こします。したがって、保護審議会等で十分な専門家の御意見を集約していただいて、逐次という形に実は私は考えてきたのであります。したがいまして、保護審議会でいろいろ御論議をいただいているところであります。
 そこで、この五つの点について、どこまでいまお進めをいただけたのか、かつ、これからどういうふうに動いていくのかという点を、時間がございませんので簡単で結構でございますが、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
#212
○植木国務大臣 ただいまのお話の犬とネコの引き取り状況でございますけれども、都道府県等が行います引き取りについては、まず犬につきましては、従来狂犬病予防法がございましたので、これによりまして引き取りが行われておりまして、昭和四十八年度におきましては全国で五十二万頭でございます。
 ネコの引き取りにつきましては、動物保護法が施行せられまして新たに引き取り義務が都道府県に課せられましたので、逐次各県においてその業務を実施しているところでございますが、これはまさに新しい画期的な事業でございます上に、いろいろ技術的な問題がありますために、東京都と京都府、さらに大阪市を除きます指定都市におきまして、引き取り業務を実施しているというのが現状でございます。他の府県につきましてはまだ実施をいたしておりませんが、四十九年度からは、青森県等五県におきまして引き取り業務が実施されるようになったと伺っております。昭和四十九年度四月から六月までの第一・四半期におけるネコの引き取り数は、二万匹であるというふうに数字を把握いたしております。
#213
○大出分科員 このほかに、大都市なんかにおきましても、獣医師の方々、獣医師会の方々の御協力をいただいて、獣医師会に全面的に委託をしてやっているところなどもございます。ところで、そうなりますと、獣医師さんの方からいろいろ意見の出てくるところでありまして、ここにも、獣医師さんの非常に細かい文書になった意見等も実はあるのであります。
 そこで、いまの点につきましては、その後負傷動物の問題とあわせまして、四十九年の八月十九日に同じく総理府から、「ねこの引取り等について」の通知というのが出ております。この両方をめぐりまして、保護審議会の側で、ネコの引き取りにつきまして、できればもう少し詰めた議論がほしいと実は思っているわけであります。
 ここに、板橋区に配られているものがあります。「動物保護管理法制定第一回動物愛護週間記念行事」ということで、「ネコの出産率 生後六ヶ月のメス猫は、人間の十四−十五才に当ります。うみながら成育し、年間三−四回(一回に三−五匹)の仔ねこをうむのです。」こう書いてありますが、したがって、十匹から二十匹ぐらい子供を産んでしまう、こういうことになる。
 したがって、やむを得ぬということで、その後どうなったか聞いておりませんが、板橋区では、おそらく区議会にお諮りになったのでしょうが、たくさんのネコとり器を用意されて貸し出してネコをとるということで相当大きな騒動になりまして、板橋区で、飼いネコを守る会というようなことで、全国から署名が集まったり、区と住民団体の間でいろんなやりとりが続いて尾を引いている、こういうことであります。
 ここらのことも、やはり何らかの道筋を立ててあげませんと、区長さんは区議会に諮ったとすればそういう意思もあるわけでありますから、いたずらにトラブルが絶えない。私は立案者ではありますけれども、この法律の立法の趣旨についてと総理府に承ると、実は法律をつくったのは私のところではなくて大出代議士がつくったのだと言う。したがって、立法の趣旨となると私のところへ連絡がかかってくるわけでありまして、それなりのことを申し上げておりますけれども、やはり運用は、法律ができますと政府がおやりになるわけでありますので、そこらあたりなかなかむずかしい問題がございますけれども、この辺について、この通達の引き取りの問題とからみますので、どういう御見解をお持ちかという点で、できる範囲で少しお述べをいただきたいのです。
#214
○島村政府委員 お答えいたします。
 板橋区の問題につきましては、実は御承知のように、のらネコが金魚なんかをとるというので非常に迷惑をかけるということで、板橋区の区役所の方で、そういうネコとりのかごを無料で貸し出しまして、そしてのらネコをとるということを考えたようでございますが、これにつきましては、非常に反対意見が多うございまして、したがいまして、去年の末にとうとう板橋区の方でも、これを取りやめたというふうに私どもは承っております。
 私どもとしましては、基本的には、やはりネコを引き取って、そしてそれを処分していくということを実は考えておるわけでございまして、いまさっき先生が言われましたように、私どもは、ネコ及び犬の引き取りにつきまして一応基準を、審議会の答申を得まして作成をいたしました。近く課長会議等を開きまして、これについてさらに詳細に各県及び地方公共団体に指示をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#215
○大出分科員 専門家といろいろ相談をいたしますと、のらネコというのは非常に警戒心が強いものですから、ネコとり器に意外に入らないのですね。したがって、のんきに飼われている飼いネコがほとんど入ってしまうのです。だから、区で貸し出しをする、仕掛ける、入るのは飼いネコであるということになるものですから、そこらじゆうでかわいがっていたネコがいなくなるということで、小学校の先生まで動員されて子供の騒ぎになるということになる。ここらも、つまり正しい飼養といいますか、動物の習性といいますか、そこらが非常にPRが足りないというのですね。法律上はそういう飼養のあり方を国が明らかにするように書いてある法律でございます。
 犬なんかでも、紀元前八〇〇〇年という時代にすでに飼い犬でございますが、集団で穴の中に住んでいた穴居生活をしていた動物であります。世の中が複雑になって、コンクリを流してきれいな犬小屋を置いてそこに犬を置いておく、御夫婦共かせぎである、あと留守番は犬だけがやる。最近のビタワン式のものを買ってきて置いておくだけだという。本来土の上にいないと安定しない動物であり、動くものは追う性格を持っておるわけでありますから、安定しない。コンクリの上ですから。ついに綱を切って飛び出す、隣の奥さんが逃げるから追いかける、動くものは追う性格がありますからかむ、なお逃げるから大きな被害になる、そうすると犬が悪い、こういうことにこれはなるわけでありますが、本来これは人間が悪いわけでありまして、つまり、そういう正しい飼養のあり方を、保護審議会等を使っていただいてなるべく早く表に出していただきたい。いまのような、区長さん以下習性を余り御存じないから、やたら飼いネコをとってしまうということになったのでは、これは騒ぎが起こるのはあたりまえでありまして、本来屋根の上や町中にいるネコというのは、飼いネコかのらネコかわかりませんから、そういう騒ぎが起こってしまう。これは笑えない社会問題でございますから、そこらを、ぜひひとつ早目におつくりをいただきたいというお願いをしておきたいのであります。
 あわせて予算と絡んで――どうも藤井さん等おいでになって、そちらに承るのじゃないのでありますが、少しそこらを考えていただきませんと、なかなかやる気があって、聞いてみると、引き取る気持ちはあるわけでありますけれども、獣医師さんに委託をすると、必要な金ということになります。獣医師会の方の方々も、町で小動物を扱われるりっぱなお医者さんでありますから、逆に今度は、そういう意味で何か協力をしようという気持ちでやっても、それが獣医師さんの利益につながるという意味で、一つの大きなプライドを傷つけられるということであってはやりにくいという問題も出てくるわけであります。したがって、早くそこらの整理をしてあげたいものだという気がするのであります。予算との関連等がございますが、そこらを踏まえて、せっかくお出しをいただいたわけでありますから、特にネコの引き取り等について通知、こういうわけでございますので、そこらのところまでちょっと入ってお考え方を聞かせておいていただきたい。
#216
○島村政府委員 お答えいたします。
 いまさっき先生が申し述べられました五項目の点でございますが、すでに私どもの方は、ここに書いてございます二と三の項目については、昨年の十一月に審議会の答申を得まして、それで近く課長会議を開きまして、細部の指示をしたいというふうに実は考えております。
 それから、一の「動物の飼養及び保管に関する基準」につきましては、現在犬及びネコについて、この審議会におきまして議論を何回か賜っておりまして、これにつきましても、近くこれを決定してまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、四、五につきましては、これはできるだけことしじゅうに決めてまいりたい、こういうことで、現在鋭意準備を進めているというのが現状でございます。
#217
○大出分科員 狂犬病予防法と保健所という旧来の関係がございまして、犬の引き取りはやっている。そこでネコを扱っている団体もございました。ところで、全国的にながめてみまして、引き取り施設、これは県知事さん等に責任を持っていただいて関係市町村を指導するような形になっておるわけでありますが、それが、熊本の例があったり、広島でいろいろ研究されている例があったりいたしますが、その後、施設の問題等につきましては、予算的なものを含めましてどんなふうに動いておりますか、ちょっとお知らせいただきたい。
#218
○植木国務大臣 動物の保護及び管理に関する法律の施行費といたしまして、五十年度は一億二百四十一万円計上をいたしておりますが、そのうち、ただいま御指摘のありました動物収容施設整備費の補助金といたしましては九千三百三十二万五千円を計上いたしているのでございまして、これは都道府県に対しまして、犬、ネコの引き取りに関する暫定基準を示しまして指導を行いながら、こういう収容施設に収容いたしますように五十年度は配慮をいたしているのでございます。
#219
○大出分科員 わかりました。大体本年中ということで、四、五というところまで事が進みそうであります。
 ところで、ここで一つ大きな問題は負傷動物の件でありますが、これは意外に最近多いわけでありまして、人間が毎日交通事故で亡くなったりけがをされたりする方があると同じ意味で、飼い犬、飼いネコの非常に大きな被害もある。これは警察庁あたりも非常に力を入れておられた点なんでありますけれども、外国の法律にはずいぶん細かい規定をしているのがございます。
 お出しになったこれを見ますと、ちょっと一般的に非常にわかりにくい表現が使われている感じがするのであります。この負傷動物の取り扱い、この公共の何とかを占有している人の云々と、こう書いてあるわけですが、ここらは、具体的に言うと、負傷動物の扱いはどうしろと言っているのか。
 たとえば、フランスなんかの場合ですと、交番のお巡りさんに言えば、お巡りさんが見て再起不能であるかないかを判断する、助かりそうならすぐ獣医師さんを呼んで、治して収容する。そして登録犬というのは、日本でも登録犬の方がはるかに多いわけでありまして、三百万頭以上登録犬でございます。野犬が五十七万頭しかいないわけであります。未登録が八十万ぐらいおります。したがって、この持ち主が、犬の場合は比較的わかりやすいわけであります。したがって、そういう手続を経た場合には持ち主にその費用は負担をさせる、こういう法律になっているわけですね。そこらとあわせまして、ここで言わんとするところは一体何なのか、ちょっと御説明いただきたいわけであります。
#220
○島村政府委員 負傷動物につきましては、一応大体普通の犬、ネコと同じように取り扱うということが中心でございまして、負傷動物を見つけた場合には、それを早急に県及び政令で定める市に届け出てもらう、そこにおいて適当な処置をすると同時に、それがもし飼い犬でございますならば、警察を通じてそれを返還するということを示しておるわけでございます。
#221
○大出分科員 もう一つの大きな問題は虐待防止でありますが、国際的にもいろんな会議が開かれておるわけであります。私も昨年ちょっと外国歩きをいたしまして、二、三話もしたことがあるのですが、特に国外からすると、日本の動物実験その他には大変な批判があるわけでありますが、ここらのところは、最終的にどういうふうなまとめ方になりそうでございましょうか。
#222
○島村政府委員 動物の虐待につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、各国ともいろいろ法律で規制をいたしておりますが、実は各国によってそれぞれ違います。私どもといたしましても、この問題につきましては審議会等に相談いたしまして、そして具体的に内容を定めていく必要があるというふうに実は考えておるわけでございます。
#223
○大出分科員 まだそういうアウトラインが決まっていないということなんだろうと思うのでありますが、これも実は扱い方によっては、いろいろまた社会問題が起こってくる。
 たとえば、これは産業動物とからみますから、この席ではあまり申しませんが、ブロイラーなる鶏、食用の鶏、これを、小さい体いっぱいのところに入れて動かさない。言うならば強制肥育ですね。くちばしをやすりですって短くする、そしてえさをついばんでも飛ばないようにする。病気になればそれだけ収入の面で減るから、えさには薬剤を多量にほうり込む。だから中には奇形が起こる。奇形が起こっても、これは肉にして売るのですから買う人にはわからない。だから獣医師さんから言わせると、薬剤をよけい入れ過ぎて肥育させるから、動かないですから病気になると言う。そのことは知らずに食べているわけです。三菱商事だけで年間七千万羽扱っていますけれども、たくさん奇形がある。だがしかし、それを知らずに食べていると言う。したがって、獣医師法を改正して――そこらの面は、獣医師に相談なしに勝手に肥育者がやってしまうという二つの面が出てくるわけですね、虐待ということと。それがテレビに映された途端に、食べるのがいやになった人はたくさんいるのですからね。これは牛の場合も同じことが言えるのですけれども、角は切っちゃって。ですから、そういう相関関係なども考えてみなければいかぬ。そこで、いまの点は産業動物とも関係がありますから、農林大臣の方に獣医師法改正問題とあわせて承ろうと思っておりますから、ここではよろしゅうございますけれども、一遍御検討おきいただきたいという点を指摘しておきたい。
 あわせて、特に問題は、最近非常に顕著なのは、ペットが多過ぎまして、犬なんかでも六軒に一匹ぐらいいるわけでありますが、ふえる一方であります。また、爬虫類を含めてのたくさんのペットがやたら無性に、これは異なところと思うようなところから日本は輸入してくる。ところが、人間と共通の病気がそれぞれたくさんあるわけであります。犬なんかであっても、ウイルスであるとか回虫であるとか非常に多い。ハトなんかでも、クリプトコッカスという症状などは人が死ぬ。あるいはトキソプラズマなんというのは、三百例からすでに臨床例が出てきている。あるいは鳥のオウム病もある。
 こういうわけでありますから、保護、愛護あるいは管理、自然保護、虐待防止、いずれも国際的に見てもやらなければならぬことなんでありますけれども、特にそこらのところを、やはり獣医師さんのような専門的な方が入っていただいている審議会でありますから、やはり早目に、正しい飼養という意味を含めて明らかにしていくべきである。動物を見れば、それが病気にかかっていて菌を持っていることはわかるわけでありますから、媒体になっている動物はたくさんいるのでありますから、すぐ獣医師に相談をする、やはりそこらのことをきちっとやっておきませんと、本来この法律は人に被害を与えないことが目的なんですから、そういう意味で、いまのあり方が私は非常に心配になるわけであります。
 したがって、そこらのことをぜひこれは御注意をいただいて、皆さんの方で早く、正しい飼養のあり方とあわせて明らかにしていく必要がある問題こう思っておりますが、そこらのところいかがでございましょう。
#224
○島村政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、犬及びネコの飼養管理の基準を、現在審議会にお願いをいたしまして、実は作成をしておりますが、それにつきましても、基準に基づきましてさらに細かいいろいろの、たとえば畜舎の問題でございますとか、いろいろの細部の点について、さらに注釈等の説明書をつくりまして、そしてそれを配付してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#225
○大出分科員 実は、立案をしたのは私でございまして、非常に聞きにくいことなんでございますが、しかし、昨年九月初めての動物愛護週間もございまして、それなりに、公立保育園だと思いますけれども、三人に一人ずつとかステッカーその他を含めまして、いろいろ御配慮いただいているわけでありまして、御努力いただいているのでありますから、言うことないのでありますけれども、この法律ができたことによる新しい混乱が方々にございます。おサルの電車から始まりましてたくさんあるのでありますが、これは動物園の前園長古賀さん等とお目にかかったときに承りましたら、国際動物園協会の会合を開いたときにすでに指摘されていた、だから動物園側で何とかしなければならぬ、だが、しかし子供がということで、期間が延びていたのだということもおわかりいただいておるわけでありますけれども、そこらはなるべく新たな混乱は起こしたくないし、小さくしなければならぬ、そういうことで御努力願っているのはわかるのでありますけれども、ひとつ何とか早目に、飼養のあり方その他を含めましての一つの基準をお出しいただきますようにお願いをいたします。
 共通の責任を感じておりますので、質問させていただいた次第でございます。よろしくお願いいたしておきます。大変どうも……。
#226
○笹山主査 次に、坂井弘一君。
#227
○坂井分科員 すべて国民は法のもとには平等でなければなりませんし、同時にまた、お互いに人間として基本的人権を尊重し合わなければならないということは、申すまでもないことでございます、
 しかるに、今日なお現実の問題として、人間が人間を差別するという、いわゆる差別問題が残存しておるということ、このことは非常に恥ずべきことであると同時に、またきわめて遺憾なことでございます。
 私、率直に意見として申し上げたいと思いますことは、いまこの差別ということに対する認識の問題といたしまして、これは当然国民的課題であると同時に、基本的にはすべからく国の責務である。このことをなお端的に具体的に申しますならば、国と地方自治体との関係において差別の完全解消という責務においては、国がまず第一義的に踏まえなければならないことではなかろうか。そうした精神というものは、同対審の答申の中にもこれはあることではございまして、国はそのような基本的な認識の上に、なお欠けるところが今日まであったのではなかろうか。つまり、具体的な行政のあり方、同和対策事業の進展の状況等、現実に見てまいりますときに、そのような実は私は感を深くいたしております。つまり、これは単なる社会問題でもありませんし、あるいは政治の上だけで議論すべき問題でろありません。生きる人間の根本的なところを問われている問題でございます。
 したがって、いま申し上げたいことは、そうであるならば、行政、なかんずく国がまず何よりも、今日までのこの部落完全解消ということに対する基本的な認識に欠除があったのではなかろうか。具体的な対策というものが、今日なお目標にはほど遠いものがある。つまり、国が部落差別完全解消のために第一義的には一番の責任があるのだ、私はこういう認識に立っていただきたい。それを前提として踏まえまして、数点お尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど沖本委員から質問がございまして、いわゆる同和対策事業特別措置法に基づくところの長期計画、本年は後期二年目でございます。そこで、五十三年度まで余すところ四年でございますが、この間に、果たして完全実施が可能なのかどうなのかということについてでございますが、先ほど総務長官は、五十年度におきましても実態調査をやって、これを踏まえてという御答弁でございました。ここでひとつ明確に長官の御答弁をちょうだいいたしたいと思いますことは、一言で、五十三年度までに、つまり十年の時限立法の最終年度までに、これが完全実施、実現ができるのかどうなのか、そのことの確約がいただけるかどうかということであります。
 あわせて、その問題に関係いたしまして、私は、少なくともいままでの見直しを行うと同時に、五十三年度に至る年次別の事業計画、これをはっきりすべきではないか。同時にまた、地方財政がこれまた大変な状態にあることは、もう先刻御承知のところでございますから、地方自治体に対する財政援助計画等もより具体的にすべきではないかと思いますので、いまの点につきまして御答弁をちょうだいいたしたいと思います。
#228
○植木国務大臣 坂井委員が御指摘になりました、国の第一義的な責任ということにつきましては、私ども十分その自覚のもとに施策の推進に当たっているのでございまして、法第一条に書かれております目的を実現いたしますために、具体的に第六条には国としてやるべきことが明記されておりますし、また、すべての事業にわたりまして、国が地方公共団体と一体となってやらなければならないということで、国といたしましてはその使命を達成するために最大限の努力をいたしまして、部落差別の解消のために努力を続けてまいりますことを、まずもって申し上げます。
 ただいま御指摘のございました、十ヵ年計画を達成するために年次計画を立てるべきではないか、こういうお説でございますが、五十年度におきまして各地区の実態の調査をするわけでございますが、これを待ちまして、私どもとしてはそれ以後の計画を立ててまいりたいと存じております。
 ただ、年次計画ということになりますと、それぞれの地区の実態というものがいろいろ多岐多様にわたりますために、その地区の実情に合った施策を遂行してまいりませんと成果を上げることができないわけでございます。したがって、年次計画を綿密に立てるということは大変困難な事業でございます。しかし、十ヵ年計画を達成するための最大限の努力をいたしますためには、やはり総合的な計画を立てまして、今日までやってきましたいろいろな事業の見直しなどもやり、これから行うべき施策について綿密に計画を立てていかなければならないということも当然でございますので、いまお話がございましたような年次計画を詳細にわたって立てていくということは大変むずかしゅうございますが、地方の実情に沿った施策を行うための政府としての、大まかなものであっても、最終目標に達成できますような計画を立てるための努力はいたしてまいらなければならないし、やっていこうと存じているのでございます。
#229
○坂井分科員 私がいま年次計画云々と申し上げたのは、これはもう長官、いままでの経緯を踏まえられましておわかりのとおり、だんだんだんだんとおくれてきた、果たしてこれで五十三年度までに完全実施が可能なのかどうなのか非常に危ぶまれる、こういう問題が現実にあるわけですね。したがって、この完全実施、完全解放ということを国の責務においてやるのだという基本的認識がおありであるならば、これはきわめて重要な決意を長官がされませんと、五十三年度になってできなかった、それではまた次を考えなければいかぬというようなことになりますと、せっかく今日までこの差別の解消のためにとして、そしてそれぞれの立場で曲がりなりにも取り組んできたこともこれまた事実でございますから、そのようなことが、五十三年度に至ってまたまた蒸し返されるというようなことがありますれば、これはもう最初に戻って本当に基本的認識に欠けておったのではないかということになるわけですから、そのようなことを繰り返したくない。少なくとも毎国会、関係の委員会等において何回も何回も議論し尽くされてきたことでございますので、非常に大事な時にいま至っておりますので、私、そのような年次計画というようなことでもって御質問申し上げた。
 同時に、地方自治体の財政逼迫という問題ですね、これも先ほど議論がございました。確かに四十八年度を見てまいりますと、地方負担金、あるいは超過負担額、あるいはまた地方の単独事業、これで一千八十九億二千百十一万、全体では千五百四十三億五千八百十九万でございますから、実体的に七〇・六%を地方が負担する、つまり国が二九・四%、こういうことですね。そうすると、果たして国の責務は一体どこに行ったのだろう。地方公共団体とともにやるんだ、また国民的課題である、地方公共団体にも行政上の当然責任の一端があるんですよというような考え方が、非常に強く出ておるのではないか。地方公共団体もそれは知らぬ顔をするわけには当然いかぬでしょう。それはあたりまえです。国と連携する、国民的課題、国民全体の問題でしょう。しかし、少なくとも国の責務だということを明確にうたった以上は、こうした事業費等についても、これは本末転倒しておるんではないか、こう言いたいわけです。恐らくやそう私が申しますと、長官は次のようにお答えになるでしょう。それは同和行政を推進してくれるのは非常に結構だけれども、これは必ずしも同和事業という範疇にないものにまで手を広げて、地方の方があまりにも御熱心のために、というようなお答えが返るのではなかろうかというような、実は危惧を抱きながら御質問をしているわけでございます。
 このような、私がいま申しましたような数字について御批判あれば聞かしていただきますが、一体五十三年度までに、こうした地方財政の負担等も考え合わせて国はどうするかということにつきまして、お聞かせをいただきたいと思います。
#230
○植木国務大臣 地方自治団体がいろいろ事業を展開せられるに当たりまして、国としては高率の補助率をもちまして事業補助を行っておりますし、また、事業の枠の拡大もしてまいりましたし、単価も上げてまいりました。また、地方債あるいは地方交付税によりましていろいろ事業が円滑に行われますように力を尽くしてきたのでございますが、一方、単独事業として地方がおやりになるものがございますし、それから国の基準以上の、それはいま坂井委員が、おまえはこういうふうに答弁をするだろう、こうおつしゃいましたけれども、たとえば施設等につきまして、非常にデラックスなものをおつくりになるというような面もございまして、国としてはできるだけの努力はしているのでございますけれども、地方団体における負担が増加をしているという実情は事実としてあるわけでございます。
 今後は、政府としましては、国庫補助、地方債、地方交付税の措置についてさらに一層努力をいたしまして、地方の負担が軽くなりますようにできるだけのことをするということで御理解をいただきたいと存ずるのでございます。
#231
○坂井分科員 実は最近しばしば耳にするんですが、地方財政が圧迫されるということでもって、一般行政にまでしわ寄せがあるというのですね。それで、いま長官おっしゃいましたが、デラックスなものとかどうとかということで、余りそこまで出し過ぎるのではないかというような意見も一方にはこれあり、つまり逆差別ということがある。このことにつきまして、私は基本的に、これは率直に申しますが、そういう議論の出ること自体がこれはもうすでに差別でございまして、本当に部落の完全解放、差別の完全解消ということは、何ものにも優先して当たらなければならない国の責務であり、国民的な課題である。行政外行政ではない、何よりも真っ先に行政が最優先して取り組むべき課題であるとするならば、今日、少なくともいまのような実態が、またそういう実態に基づく地方財政の逼迫という事態を惹起したこと自体が、これがもう根本的に間違いだ、同和行政に対する国の取り組み方に、きわめて実態に即応した前向きの行政がなされていなかったということをむしろこの際反省しなければならないのではないか、私は実はそうした認識に立っております。
 そのことはさておきまして、さらに具体的に、地方財政、自治体の超過負担の問題もございます。同和事業に対する国庫補助基本額が低いんですね。この国庫補助基本額というものを、地域の実態に即応した基本額にする必要があるのではないかと思うんですけれども、この基本額につきまして、基本的にいかがでしょうか。
#232
○山縣政府委員 超過負担の基本額という点でございますが、それぞれの施設の建築単価につきましては、四十九年度当初、四十九年度の補正、それと五十年度、いずれも実態の調査に応じまして、それに見合うように引き上げておるところでございます。規模その他につきましても、あるいは住宅の例を申し上げますと、最近の生活事情等も勘案いたしまして、その規模等も逐次増大しつつ対処しておるところでございます。
#233
○坂井分科員 細かい議論をする時間がございませんので、いま申しませんが、やはり現実には基本額が低いのですね。それはいまこうだから、いますぐそれに行政が対応してそれなりの基本額を出すんだというようなことができれば話は早いんですが、そうはいかないという面がある、これはわかります。わかりますが、少なくとも今日までの物価の動き、建築資材等々、そういうものの動きの中で、それを先取りしていくぐらいの積極性が私はほしい。後追い後追いになっては、基本額に見合うようになりましたといったときは遅いということを言いたいわけですね。そういう点も、長官、今度の実態調査の中から十分に把握されて、基本的にはいまのような姿勢を構えて、長官としては大蔵省初め関係各省に対して強く臨んでいただきたい。これは御決意だけ一言聞きたい。
#234
○植木国務大臣 十ヵ年計画を完遂するための最大限の努力をいたさなければならないと、強く決意をいたしております。五十年度における地区の実態調査というものは貴重な基礎資料でございますので、この資料をもとといたしまして、関係各省庁の協力を得ながら問題の解決のためにあらゆる努力をしていくことを、ここでお約束申し上げます。
#235
○坂井分科員 同じく国庫補助対象、これを拡大してはどうかという要請がございますね。つまり、建物の用地取得あるいは造成費、これは一部を除きまして補助対象となっていないわけでございますけれども、今度隣保館等は補助対象にしようというようなことを聞いております。もっと国庫補助対象の枠を広げたらどうでしょうか。いますべてにというわけにはいかぬといたしましても、なお広げるというお考えはおありでしょうか。
#236
○山縣政府委員 お答え申し上げます。
 国庫補助の対象、先生御案内のとおり、四十四年には十三事業でありましたが、五十年度予算案を含めますと四十八事業というふうに増加さしておるところでございます。今後におきましても、普遍的あるいは統一的に、国の補助になじむものにつきましては努力してまいりたいというふうに考えております。
#237
○坂井分科員 それから、法第十条の適用でございますが、先ほど長官御答弁になっていらっしゃいました、十五までふやしたということですがね、もっとふやしたらどうでしょうか、法第十条の適用範囲を。今後においてもなお前向きな検討をするんだという趣旨の御答弁であったかのように聞いたわけでございますが、具体的にどういうものを今後の法第十条の適用に加えていこうとお考えになっていらっしゃるのか。もしそうした案等お持ちであれば、ここでひとつお述べいただければと思います。
#238
○山縣政府委員 十条適用、これは国庫補助対象になりました事業、それと収益等を伴わない事業ということで、毎年その国庫補助対象事業の増加に見合いましてふやしておるところでございます。
#239
○坂井分科員 私いま申しましたのは、建物の用地取得、それから造成費、これは全部十条適用をするように広げられないか、こう聞いたわけです。
#240
○大畑説明員 お答え申し上げます。
 先ほどから御説明しておりますように、十条関係と申しますのは、国庫補助事業、これがまず拡大されるというのが前提になってまいります。いま総理府の方からもお答えいたしておりますように、順次拡大してまいっておるわけでございますが、五十年度の新規予算の中では、たとえば土地取得に対しますもの三事業が国庫補助事業として新たに入っております。こういうものについて前向きに検討してまいりたい、かように考えております。
#241
○坂井分科員 同じように、関連いたしまして地方自治体が実施しますところの同和事業、これを全部特別措置法に基づく同和対策事業として認定してもらいたいという要請もあるわけですね。これは大変なことだと思いますが、しかし、自治体としてはこれは無理からぬ要請だと思いますね。そして、すべて法第七条に規定いたしておりますところの特別助成、これの対象として、さらに法第十条を適用してもらいたい。
 地方自治体は、とにもかくにも完全解消のために、十年の時限立法がもう間もなくといういまの段階に至りまして、この際でき得る限りの努力をしようということでやっているわけですね。そういう中で、いまのような切実な要請が国に対してなされるということ、これは単に国と地方との財政上のバランスの問題であるとかなんとかという次元でとらまえる問題ではなくて、この際、国が相当思い切った財政的な措置をやるということを真剣に地方自治体から問われている問題ではなかろうかと思うわけでございます。
 時間が迫っておりますので、なお最後に一つお尋ねをいたしたいと思います。
 同和事業団、公社、これをつくろうという動きが県によってはあるわけですが、これは同対審の答申の結語に示されておりますところの事業団の創設ということに端を発しているわけでございます。つまり、行政が行うところの同和対策に対応して、補完的な立場から産業対策あるいは環境整備を推進して問題解決を図っていこうというのが趣旨でございますが、国が創設できない場合、府県でこの同和事業団あるいは公社を設立した場合に、その運営資金に対する国庫補助あるいは事業資金の長期低利の融資制度、こういうものをつくるべきではないか。そうすれば、非常に結構な趣旨でございますから、県によってはこれが実現可能であるということでございますが、いま言ったような国の運営資金に対する国庫補助、あるいは事業資金の融資制度というようなものは考えられないでしょうか、いかがでしょう。
#242
○植木国務大臣 いま坂井委員がお話しになりましたような事業団あるいは公社をつくろうとしている府県があるということは、私も承っておりますが、現在のところ、国といたしましては、この同和対策を推進しますのにはいろいろな方策がございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、国庫補助の増額でありますとか、対象事業の拡大とか、補助単価の引き上げ等の措置をするということで臨んでいるのでございまして、地方自治団体の同和対策事業が円滑に推進されるように国も対処してまいる姿勢でございますが、現在のところ、まだいまの事業団に対しまして補助や融資を行うという考え方は持っておりません。ただ、いませっかくの御要望、御発言でございますので、一つの御要望として承らせていただいておきたいと思います。
#243
○坂井分科員 時間が参りましたが、最後に私、意見だけ一言申し上げまして終わりたいと思います。
 いませっかく長官の御答弁でございますが、これはやはり前向きに検討される必要が大いにあると思うのですよ、私の認識からすれば。つまり、現行の金融制度そのものの助成措置、これが資金面、あるいは環境面、あるいは手続上において、同和地区産業の進展、発展のために対処し得るような配慮がないのですね。したがって、どうしてもこうした事業団あるいは公社をつくらざるを得ない。そのことによって地区産業の発展ないし環境の整備を進めていこう、現実に進めざるを得ない状態であるから、そのようなことを地域によっては切実な声として府県が取り上げようとしているわけでございますので、そういう点に対して幾らかの国の配慮があれば、これは府県の自主性によって設立できるわけでありますから、十分ひとつ前向きに御検討いただきたいと思います。
 同時に、どうか総理府が単なる調整、連絡の窓口ではなくて、もっと企画あるいは立案、推進、こういう主体性、積極性を持っていただきたい。せっかく総務長官、かなり意欲的に取り組もうとなさっているということを私はかねがね伺っておりますので、この機会に、総理府が指導的な立場と同時に、実効を期せられるような同和対策に対する権限の強化、そういうこともひとつしてもらいたいと思うわけであります。その限りにおいては、われわれも総理府に最大の理解をいたしまして、ともに部落の完全解消のために取り組んでいきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#244
○笹山主査 次に、瀬崎博義君。
#245
○瀬崎分科員 三木内閣が物価大作戦と称しながら、政府の意思と権限で直接抑えることのできる公共料金について、今回たばこ、酒の値上げ法案を出してきたことについて、結局三木内閣も物価値上げの内閣であることを証明したと思いますし、私は冒頭に値上げに強く反対をして、質問に入りたいと思うのです。
 まず、専売公社にお伺いをしたい。今日、たばこの自動販売機を備えている小売店はどのくらいの割合になっているのか、また、自動販売機の台数は全国でどのくらいあり、たばこの定価がもし改定された場合、改造か買いかえを余儀なくされる台数はそのうちどれくらいあるのか、答弁をいただきたいと思います。
#246
○佐藤説明員 たばこの小売店でございますが、この数は大体現在のところ二十四万店でございます。それで、そのうち自動販売機を持っておりますものが、販売店の中で約半数くらいというところが自動販売機を持っておるわけでございます。その自動販売機の台数でございますが、これは十六万三千台ぐらいというところが現状でございます。
 定価改定をお願いしておるわけでございますけれども、もしこれがありました場合にどうなるかということでございますが、このうち約五万台近くのものは、現在でも百五十円以上のものも売れるというような販売機でございますが、今度上がります主要な銘柄でございますところの百七十円あるいは百五十円、大体百五十円以上のものが現在の銘柄の中で今後大きく伸びていくだろうと思われるわけでありますが、そういうものに使えなくなるというものが、やはり改造あるいは買いかえというようなことが必要になってくるわけでありますが、これは約十二万台ぐらいではないかというふうに推定をいたしておるわけでございます。
#247
○瀬崎分科員 今度のたばこの値上げは、たばこを愛する国民一般だけではなしに、いまのように十数万の小売店にも非常に大きな影響を与える。この値段というのは、政府が国会の審議を経て決定する以外には小売店ではどうしようもないものなんですね。いわば、もし値上げになりますと、小売店は半強制的に自動販売機を改造するか買いかえしなければならない。それ以外に道がない。しかも、ある一定の時期に集中をしてやらなければならない。うちは改造費に金をかけるくらいだったら、ひとつ定価は据え置きで売りたいとか、あるいは値上げの時期を少しずらしてやろうなどということは、全く許されない性質のものである。そして、改造費、買いかえ費が全部小売店持ちなんだから、小売店がどうしたらよいのか大変心配をし、またこの業界が混乱をしてくるのは、これはもうだれだって考え得ることだと思うのです。
 ところが、一方、いま説明のありましたように、改造しなければならない、あるいは買いかえしなければならない台数が十二万台ともいうことになれば、改造費を平均五万円としたって、実に六十億円の金額になるわけです。しかも、これを強制的に、いっときに小売店はやらなければならぬ、こういう事態。ですから、これを自動販売機のメーカーの側から見ると、これほどありがたい話はない、こういうことになってくるわけです。ほっておきますと、政府のたばこ値上げ政策のために、たばこの消費者大衆と小売店の犠牲で自動販売機大メーカーだけが大もうけをして喜ぶ、こういう事態になってくることはわかり切っております。
 自動販売機大メーカーが、すでに千載一遇の好機とばかり、小売店の混乱や心配をさらに深めるような激しい動きをしておることに対して、専売公社は、要はたばこさえ売れればよい、値上げさえ通してもらえばそれでよい、こういう立場なのか、実情を調べて、それなりの対策をとっているのか、お聞きしたいと思います。
#248
○佐藤説明員 たばこの定改によりまして、相当な台数のものが改作あるいは買いかえということになってくるわけでございますが、この問題につきましては、国の必要によりまして定価改定をやるわけでありますので、この改作費等につきまして国が負担すべきである、そういう非常に強い要望が業界から出ておったことは事実でございますが、ただ、自動販売機そのものは、小売店がいろいろ省力化の問題でございますとか、あるいは売り上げを増大するというところで、個人の営業手段といいますか、そういうもので設置してあるものでございますので、そういう点から見ましても、また、先ほど申し上げましたように、小売店の中で半分程度のものが自販機を持っておる、そういう点もございますので、これに補助金を出すというようなことはやはり適当でないというような関係から、業界との間におきまして、業者の方でこれはやるというふうに話し合いが現在ついておるわけでございます。
 ただ、私の方といたしましては、この自販機の改作あるいは買いかえという問題につきまして、小売の業界には零細な人が相当多くおるわけでございますので、これをどうするか、できるだけ早い機会に、またできるだけ安い、そういうやり方がないかということで、業者の団体であります全国たばこ販売協会というのがございますが、こちらの方でそういう点非常に現在努力を続けておるわけでございます。私どもとしましては、この全国たばこ販売協会が現在非常な努力をしておるわけですが、それに対しましてできるだけの援助と申しますか、協力をしてまいりたいということで、いろいろな情報の提供でありますとか、そういう点におきましてできるだけのことをしておるというのが現状でございます。
#249
○瀬崎分科員 これはだれが考えてもわかり切ったことなんですけれども、たばこは本来国会の審議を経なければ値段はきまらないものですね。しかも、今回の値上げについては国民は強く反対をしている。もし政府や公社側が、あらかじめこの値上げ法案を前提にしてものを考えているとするならば、そのこと自体、三木内閣の対話と協調がにせものであることを示すものだと私は思うのです。
 そこで、長官に政府を代表してお答えをいただきたいのでありますが、政府は強行してでもこの値上げを通そうとしておるのであるか、それとも、政府としては国会の十分なる審議に従っていくつもりなのか、御答弁をいただきたいのです。
#250
○植木国務大臣 総理府というのは大変幅の広い役所でございますけれども、たばこの値上げにつきましては直接の所管庁ではございません。ただ、せっかくの御質問でございますからお答え申し上げますが、言うまでもなく、この問題につきましては国会の審議によるものでございまして、行政府といたしましては、立法府の意思を最大限に尊重していくということは、この問題のみならず、すべての問題について当然のことでございます。
#251
○瀬崎分科員 再び公社にお尋ねしたい。
 いまお聞きのとおり、これは国会の審議で決まるものなんですね。立法府の意思を尊重すると行政府も言っている。それを早々と、どのたばこは幾らになるとか、どのたばこの値段に合わせて改造すればよいとか、その改造費はこれだけだ、こんなことを主要メーカーが言って小売店に売り込みに回る、何ともこれは国民から見れば憤激にたえない話なんだ。公社がもしこれを放置しているとするならば、事実上国会無視もはなはだしいということになるし、同時に、国民から見れば、大手企業が公社と癒着して値上げの情報をとってやっているのだろう、今国会でも五十一年規制問題で自動車公害専門委員会の審議内容が大企業に筒抜けになっているという問題がありましたけれども、このたびの専売公社と主要自販機メーカーとの関係も似たようなものだ、こういうことになってくるのじゃないかと思うのですね。私、公社の方から若干この点の説明を求めましたら、グロリーとかなんとか、いささか悪徳な企業もあるので、注意はしているのだという話なんですけれども、ここではっきりと、公社はそんなふらちなことは許していないと言えますか。
#252
○佐藤説明員 現在やはり全協が主体になりまして、そういう関係のあれをやっているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、できるだけ安く、しかも早くそういう改作あるいは買いかえということができまして、一般の消費者に御迷惑のかからぬようにということで、全協の方で一生懸命やっておるわけでございます。なかなか自動販売機による売り上げの関係は、やはり私どもとしても一般消費者に御迷惑がかかっては……
#253
○瀬崎分科員 そんなことを聞いているのじゃないよ。聞いているのは、勝手にどのたばこが何ぼになるとかということを早々と言って回っているメーカーのことを聞いているんだ。
#254
○佐藤説明員 それはやはりそういう自動販売機のメーカーの方の動きもあるようでございますが、先ほど申し上げましたように、小売業者というのは相当零細な方もおるわけでございますので、これが個々に折衝いたしますよりも、やはり全協という組織があるのでございますから、これを中心にしまして、そういうことのないように、できるだけ安く、そして早くということを現在努力をしてもらっている状態でございます。
#255
○瀬崎分科員 一体あなた、何を答えているのですか。私が聞いているのは、先ほど大臣が答えられたように、国会の審議を経なければ値段というものは決まらないのです、たばこは。それを早々と、どのたばこは幾らになるんだ、どのたばこの値段に合わせて改造しておけばまずだいじょうぶだろう、その改造費は幾らだ、こういうことを言って、あなたたちがいかに全協どうこうと言おうと、現にメーカーは小売店のところを走り回っているわけなんです。こういう事態に対して、専売公社は、要は値段さえ上がればいいんだ、売れればいいんだ、こういう態度なのか、それとも、この好機を逃さず、千載一遇の好機として暴利をむさぼろうとしているメーカーに対して、何らかの手を打っているか、このことを聞いているのですよ。はっきり答えてください。一言だけ、やっているか、やっていないか、それを答えてください。
#256
○笹山主査 簡単明瞭に願います。
#257
○佐藤説明員 むしろ私どもの立場といたしましては、小売業者の方を擁護していかなければならぬ立場でございますので、そういうメーカーとの間に妙な関係というものはあるわけはございませんし、私どもはできるだけ小売業者の味方ということで、全協を中心とした活動というものをできるだけ援助してまいりたいということでやっておるわけでございます。
#258
○瀬崎分科員 こういう自販機の主要メーカーが、仮にも、先ほど私が言った、大体たばこの具体的な値上げがこうなるのだろうとかああなるのだろうとかいうふうなことが外部に対して言える時期は、一体いつごろなんですか。
#259
○佐藤説明員 こちらの方からは、別に自販機メーカーの方にそういう情報を提供するとか、そういうことは絶対にないわけでございまして、やはり定価改定ということになりますと、これは国会の御審議にかかる問題でございます。
#260
○瀬崎分科員 しかし、現にメーカーは動いているのです。では、あなたはそのメーカーが動いているという事実を全く知らないのですか、公社は。答えてください。
#261
○佐藤説明員 そういう自販機メーカーの動きというようなものは、これは恐らく自販機メーカーがそれぞれの思惑で何かやっているのだろうと思います。ただ、私どもとしては、全協というものがやはり小売業者の団体でございますので、これを中心とした一つの団結した動きというもので、これを私どもがバックアップしていくということが、いまのところは一番大事だというふうに思っておるわけでございます。
#262
○瀬崎分科員 幾ら言っても私の言うことに答えないのですね。基本的な専売公社の態度というのは、たとえば今度の値上げの改定を利用して自販機の売り込みを図っている、こういうメーカーに対して、われわれから見れば、本来わかりそうもないような値段を勝手に決めて、上がりますよ、上がる値段はこれですよと売り込みに回っている、こういう事態をあなたたちはちゃんと察知しているのかどうか、知っていて対策を打っていないのか、全く知らないで対策がほったらかしになっているのか、そこを聞いているのです。
#263
○飯田説明員 メーカーと公社との間に、情報の提供なんかは一切ございません。一切ございませんが、ただ、昨年の十二月二十七日だったと思いますが、たばこの値上げ案につきまして政府案が発表になりまして新聞に出ましたということで、メーカーとしては当然その情報を入手したというふうに思います。その後といいますか、その前後、いろいろメーカーが策動しておるということは、情報として聞いております。そのやり方について目に余ると申しますか、行き過ぎたようなものについては、警告を発しております。
#264
○瀬崎分科員 そうすると、十二月二十七日以降はそういう動きが出たとしてもあえて不思議とは思えないが、その以前にもしも、大体たばこの値段はこうなるというふうなことを言って売り込みに回っておったとしたら、これはまさにけしからぬことになるのですか、あり得ないということですか。
#265
○飯田説明員 たばこの値上げをしたいということは、専売公社は九月の初めの時点で発表いたしました。それで、専売公社の値上げの案というものは十二月の初めに出しております。これが新聞の記事になっておるということで、メーカーがいろいろ動いておるということになると思いますが、ただ、先ほども佐藤本部長の方から御説明いたしましたように、現在でも百五十円以上のたばこが売れる機械の台数は五万台程度と推測されるわけで、メーカーとすれば絶えず、定価改定があろうがなかろうが、安いだけのたばこの機種ではなくて、高いものを売っていきたいという願望は当然あるわけでございます。そういうこともありまして、その定価改定のムードと合わせて、いろいろな思惑で動いたのだというふうに思っております。
#266
○瀬崎分科員 そのことに対して、あなたたちは警告を発してきたというわけなんですね。ですから、もしも本当にそういう動きがあった業者がここにいたら、当然それなりの制裁はあなたたちはやっぱり加えますね。それを聞いているのです。
#267
○飯田説明員 制裁を加えるに値するような行為があった場合には、それは当然考慮いたします。
 ただ、もう一言言いますと、メーカーに対して、専売公社といたしましては、公式的にも非公式的にも、行政権限というものは持っておらないということで、制裁という強いところまでいけるかどうかは、別の問題だと思います。
#268
○瀬崎分科員 ここに久保田鉄工株式会社のコピーがあります。非常に薄いので読みにくいのですが、自動販売機関係の課が出している「たばこ自動販売機改造価格の件」という通知書があるわけなんです。これは久保田鉄工が京滋地区の代理店に出したものであります。この中には、たとえばCH5全協型、五コラム共同価格設定、改造費六万二千円など、改造の一覧表が出ております。「首記の件」つまりたばこ自動販売機改造価格の件については「下記の通り御連絡申し上げます。」として、一覧表があるわけです。これの出されている日付は去年の十一月八日であります。ですから、いまあなたがおっしゃった十二月二十七日はおろか、十二月の初めの専売公社の値上げの具体的な意思表示以前に、しかも一月も前にこれは出ているわけですね。
 こんなものがあるからこそ、専売公社と自販機メーカーとは筒抜けじゃないか、裏でちゃんと情報が流れているんだろう、こういうことになってくるわけなんです。こんなことがあっていいんですか、必要なら後でこれをごらんなさい。
#269
○飯田説明員 そういう文書といいますか、案内が出ておるということ、その件については私ども承知しておりませんが、それに類似したようなことが、いろいろなメーカーから情報として小売店に提供されておるという事実は存じております。それにつきましては、先ほど来佐藤本部長が申しますように、たばこの業界の中央の団体であります全協というところが、現在、個々の小売店の規模などを取りまとめまして、メーカーと鋭意交渉いたしております。ということで、いま先生がお示しになりましたようなメーカーの個々の動きというのは、適当ではないと思います。
 そういうことで、先ほど専売公社が警告したと申しますのも、全協とメーカーとが一対一の交渉をしておる中で、力の弱い小売店に対してそういう情報等を与えて混乱させるというのは適当でないと思っております。
#270
○瀬崎分科員 全協との間にしろ、まだ値上げが全然雲をつかむような事態でこんなものを出せるわけがないと私たちは思うのですよ。各種別に、きわめて具体的な内容で改造費の明細が書いてある。これがその後相当変わっているというのなら、また話はわかりますよ。値上げの幅が明確になった、どのぐらい改造があるかということが推定できるようになった、それなら確かに原価の計算もできるだろう。しかし、きわめて莫然とした十一月八日の時点の改造費が、あなたたちが持ってきた、今年二月に小石川たばこ商業協同組合が出しているこの改造費一覧表とぴたり一致しているわけです。ここのクボタの欄と、去年の十一月八日の一覧表とは全く違わないのです。ですから、きわめて正確な情報に基づき、きわめて正確な改造の見通し、需要の見通しを立てて、久保田なんかはちゃんとこれの販売に乗り出しておったということをこれは証明しておる。こんなことで、あなたたちは警告して何の効果があったんですか、責任を全部全協にかぶせる気ですか。
 長官、こういう事態が現に起こっているわけであります。ですから、もし専売公社にこれを取り締まる行政権限がないと言われるのなら、一体どこに行政権限があるのか、はっきりおっしゃってください。私はそこに処置を頼みましょう。その一言だけ言ってください、どこに行政権限があるのか。
#271
○佐藤説明員 自動販売機につきましてのいわば行政的な所管ということになりますと、私ども恐らく通産省になるだろうと思います。
#272
○瀬崎分科員 通産省、おいでになっていますね。――いまお聞きのような事態が起こっておるわけです。どうですか、一度主要なメーカーの実情を調べて、いまのような全く議会制度を無視している、また小売店の混乱も無視している、本来あり得べからざるような情報がちゃんとキャッチされて、要は千載一遇の好機でもうければよい、こういう態度になっている、こういうことに対して、具体的な措置をとりますか。
#273
○安田説明員 お答え申し上げます。
 自動販売機の生産等につきましては通産省が所管いたしておりますが、同時に、たばこの値上げ等がありました場合におきますたばこ販売業者の需要に即した供給を行うことも肝要だと存じております。そういった意味で、値上げ等の動きが予想されました場合におきましては、事前に準備してその時期に間に合うことが、また供給責任の一端になるかとも思いますので、その点につきましては、メーカーが国政の面まで関与することは許されないことでありますが、担当の部局とも連絡をとりまして準備をするのはやむを得ないところかというふうに存じております。
#274
○瀬崎分科員 いま専売公社の話では、少なくとも、どのたばこがどうなるかということは曲がりなりにも十二月の初旬以前にはわからないはずだ、こう言っているわけだ。それがちゃんとわかって、こういうものを出しているわけです。だから、なぜこういうものが出せたのか、そういう事情を調べること、そういう情報は一体どこからとっているのかというような点について調べろと私は言っているわけです。そういう点では、あなたの答弁は全く的外れだ。しかも、これは全然上がらないかもわからない。メーカーが内輪でいろいろな準備をするのは勝手だ。しかし、こういうものを持ち回って代理店に通告し、また代理店が売り込みをやる、こういうこと自身が混乱のもとだ、これを一体どうするのか、こう言っているのです。
#275
○安田説明員 メーカーが不正の手段で入手したかどうかという点につきましては、当省で調べる事柄ではないと存じます。ただ、メーカーが販売活動といたしまして行き過ぎた販売活動を行ったとすれば、それはその販売活動について業界を指導しなければならないというふうに考えております。
#276
○瀬崎分科員 こういうふうな事態なものですから、たまりかねた一業者が、公正取引委員長あてに手紙を出しておられるわけですね。これは公正取引委員会に行っているはずですから、御存じだと思うのです。
 簡単に要点だけ読んでみますと、いま小売店は自動販売機の改造を余儀なくされてきている。――皆困って、あっちこっちいろいろ情報をとっておられるのだと思います。京都、名古屋、静岡地方に聞きましても、業者は口をそろえたように改造費は六万から七万円だと申しておる。改造代というのは、部品代、工賃、旅費等で決まるもので、メーカーが代理店に指示することは考えられない問題であり、このようなことをあえて実行して暴利をむさぼろうとするものは許せない。全協型の改造費が六万二千円であるし、他のメーカーの一例では、同じ全協型で、サンヨーが六万二千四百円、ナショナルが六万八千円で、申し合わせたように差がない。このサンヨー、アンリツを扱っている富士高工業は、昨年の十二月二日――だから、これも専売公社の意思表示の前ですね。十二月二日に工場見学をさせて、このとき、いま言ったような改造費の数字を発表している。思いまするに、メーカーはたばこの値段の改定を公社よりいち早くキャッチして、九−十月ごろ寄り合い、価格等を協議して代理店に通知したものと考えられます。だから、ぜひ何とかしてほしい、こういうことなんです。
 通産省も、どこからどういう情報が流れたか、自分のところで調べられないということになれば、恐らくこの手紙を出した方  これは小寺謙治さんという方で、滋賀県の八幡たばこ商業協同組合の理事と八日市のたばこ販売推進会長か何かをされておる方です。公取へこれを出したけれども、返事がちっとも来ない、一体どうなっているのか、こういうことをぜひ国会で聞いてほしいということで、私のところにこれを送ってこられた。
 公正取引委員会、熊田事務局長見えていますね。お答えをいただきたいと思います。
#277
○熊田政府委員 このたばこ販売機の改造の問題に関連をいたしまして、その改造料金について業者間の話し合いといいますか、協定といいますか、そういうようなことがもしあるといたしますと、これは独禁法上問題でございます。ただいま先生からもそういうお話ございましたし、申告もございますので、私どもといたしまして、これを事件の端緒といたしまして検討させていただきたいと思います。
#278
○瀬崎分科員 長官にもお願いしておきたいのです。
 本当に国民が上げないでほしいと言っているこのたばこの値上げに、逆に便乗してもうけようという魂胆、田中前首相ならたくましいと言うかもしれませんが、こういうことをいまの内閣も許すのかどうかも、これは三木内閣の一つの試金石だと思うのですね。関係各省相当幅が広いものですから、この際、長官代表して、いまの公取の委員長の趣旨を体しながらもっと通産にも厳しく行政指導するように、また専売公社の態度もいまお聞きのとおり、あんな態度でたばこをつくっていてもらっては本当に国民は不安でならない。ひとつ政府のはっきりした意思表示をして、まとめていただきたいと思うのです。
#279
○植木国務大臣 独占禁止法の運用につきましては、これは公正取引委員会が当たることでございますので、この点につきましては私からは発言を差し控えさせていただきたいと存じます。
 経済活動は自由かつ公正でなければならないと考えているのでございまして、そういう原則にのっとった経済活動が行われるということが本来あるべき姿であるというふうに承知をしているものでございます。
#280
○瀬崎分科員 最後に、大体こういう混乱が起こってくるもとというのは、国民の意思に反してたばこを値上げするということから起こっているわけですから、私はそういう値上げを撤回されることを強く希望して、質問を終わります。
#281
○笹山主査 次回は、明二十五日午前十時第一分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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