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#1
第075回国会 建設委員会 第16号
昭和五十年五月三十日(金曜日)
   午前十時十三分開議
 出席委員
   委員長 天野 光晴君
   理事 内海 英男君 理事 梶山 静六君
   理事 唐沢俊二郎君 理事 服部 安司君
   理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君
   理事 浦井  洋君
      小沢 一郎君    大村 襄治君
      三枝 三郎君    野中 英二君
      林  義郎君    松野 幸泰君
      渡辺 栄一君    清水 徳松君
      中村  茂君    山崎 始男君
      柴田 睦夫君    瀬崎 博義君
      北側 義一君    渡辺 武三君
 出席国務大臣
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
 出席政府委員
        建設大臣官房長 高橋 弘篤君
        建設省計画局長 大塩洋一郎君
        建設省都市局長 吉田 泰夫君
        建設省道路局長 井上  孝君
        建設省住宅局長 山岡 一男君
 委員外の出席者
        建設委員会調査
        室長      曾田  忠君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月三十日
 辞任         補欠選任
  柴田 睦夫君     田代 文久君
同日
 辞任         補欠選任
  田代 文久君     柴田 睦夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 都市再開発法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、第七十二回国会閣法第八一号)
 大都市地域における住宅地等の供給の促進に関
 する特別措置法案(内閣提出、第七十二回国会
 閣法第九一号)
     ――――◇―――――
#2
○天野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、都市再開発法の一部を改正する法律案及び大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
#3
○井上(普)委員 都市再開発法案について質問をいたしたいと思います。
 この法律は昭和四十一年に提出されまして、そして参議院先議で三回継続審議になり、四十四年に自民党の横暴なる理由なき強行採決によりまして成立をされたと称する法律であります。しかしながら、この再開発法の審議に当たりまして、特に衆議院側におきましては、いろいろと自民党、公明党、社会党、民社党で修正案の用意までなされたのであります。
    〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕
しかしながら、その修正案も自民党の無暴なる強行採決によって吹っ飛んでしまったのであります。したがいまして、その当時の建設省当局といたしましては、修正案の合理性というものを各政党が認めて一応合意に達しておったのでありますが、吹っ飛んでしまった、したがいまして、その当時各政党が考えられておった修正案が今度の改正案の中にどれだけ生かされておるか、この点ひとつお伺いいたしたい。
#4
○吉田(泰)政府委員 はなはだ恐縮でございますが、当時の修正案の内容をちょっと承知しておりませんので、御了承いただきたいと思います。
#5
○井上(普)委員 それは余りにも無責任なやり方じゃございませんでしょうか。当時のいきさつというものは、各政党が一応合意に達した、しかもその中には当時の都市局長竹内君でしたかも入って実は修正案が用意されたのであります。したがって、これらの諸問題についての議会の意思というのは内々、表向きにはなっておらない、表向きにはなっておらないけれども、実は建設省当局は知っておらなければならない。しかも、この改正案を出すということになれば、それだけの御勉強はされてしかるべきであったと思うのであります。これは当時のことを知らないとおっしゃいますけれども、実はきょう私こちらに出てくるときに議事録を持ってまいっております。このときの議事録に各党の修正の要点というものは実は出ておるのであります。
 第一点は、都市全体の機能を生かすために再開発地域と全体の段階的計画と実施方法をどのようにして明確にしていくかというところが第一点であります。すなわち、言いかえますと、このたびの本委員会におきましても問題になっておりますところの人口集中、特に夜間人口と昼間人口との差が余りにも多過ぎるこの都市の状況は、この法律にいう健全なる都市機能を発揮するものじゃない。したがって、健全なる機能を発揮さすためには、都市再開発地域における都市全体における夜間人口と昼間人口との比率を一体どの程度にするかという案も具体的に出さなければならないんじゃなかろうかということが論議されておったのであります。それはそのときにおきましても、審議の過程におきまして、政令でその点は明確にいたしましょうという建設省当局の御答弁であったのでありますが、遺憾ながらその後出されました建設省の政令の中にはそれは出されておらないのであります。第二点といたしましては、不良居住住宅あるいはまた機能麻痺の中小企業の地域を最優先的に再開発、これを法律の中でうたおうでないかということが言われたのでございます。これは行政指導でやりたいという自民党さんの当時御意見ではありましたけれども、
    〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
しかし、これはやはり法律の中に明確にすべきであるということが一応合意になったのであります。したがって、住民の日常生活に直接密接な関係を持っておるところの公園であるとか道路であるとかあるいは広場、集会所、保育所、運動場というのもやはり再開発法のこの法律の中でつくる義務を取り入れるべきじゃなかろうかということで、これも合意に達しておったのであります。
 さらに、都市計画決定の権限は都道府県知事にあるけれども、一番、最も密接に関係いたしておるのは市町村当局である。したがって、これをいかにしてこの計画に参加せしめるかということが、これも懸案の事項としていろいろと論議されておったのであります。
 こういうような諸問題、いま挙げました四つの問題でございますけれども、この四つの問題は、実は各政党ともほぼ合意に達しておったときに、突如として強行採決になったのでありますが、この改正案が出てきたのは、この四つの点、これが改正の骨子であろうと私は思っておったのでございますが、どうも出てきておらないように思われるのですが、この四つの点についてどういうように具体的に改正案の中に盛り込まれておるか、お伺いいたしたいのであります。
#6
○吉田(泰)政府委員 先ほどは大変恐縮でございました。
 都市再開発を各個ばらばらに局部的な個所を取り上げてやるという以前に、全体の再開発の方針、なかんずく昼夜間人口の差が余りにも大きくなり過ぎているものを抑えるべきだという点につきましては、今回の改正案でも、一定の規模以上の都市につきまして全体のマスタープランのようなものを市町村がつくるということを制度化することも考えたわけでございますが、実行上、現在の市街化区域の開発整備、保全の方針の中に、今後はそういった再開発の基本方針、マスタープランのようなものを書く、できるだけ書くようにするというような指導を行い、さらに相当規模の人口のある町では、必ずそういう町全体の何らかの方法による再開発ということが必要でありますから、そういったものをぜひともつくった上で行うというような指導を行うことにいたしまして、法律の明文化は行わなかった次第でございます。
 次に、不良住宅地区とか中小企業地区を最優先に行うべきだということは、御指摘のとおりでありまして、ただ、これを実施する場合には、そういった地区は、なかなか地区内の既存の建築物の評価も低いでしょうし、個々の方々の資金力というのも不十分であろう。したがいまして、やはり相当の助成をいたしませんと再開発事業が成り立ちにくいのではないか、こういうことから、予算の面でそういった地区についても採算のめどがとれ、国庫補助金及びその裏負担である地方負担を合わせた公費が相当程度つぎ込まれることによって、従来、駅前とかあるいは中心繁華街のようなところに事実上限られておった再開発事業が、住宅地区や中小商工業者の集まっておられる商業地帯、こういったところにも適用できるようにしたいと考えた次第でございまして、これにつきましては、四十八年度の予算以来、四十九年度、五十年度と各年度にわたり、公共団体施行につきましても新たに一般会計補助を創設する、あるいはその内容を改善する、さらには諸種の減税措置を講ずる、あるいは住宅金融公庫等の融資措置を講ずることを行うとともに、道路整備特別会計からの補助対象につきましても、従来十二メートル以上の幅員がなければ補助対象にしていなかったものを、同様に四十八年度以来区画街路も含めて幅員八メートル以上の道路をすべて補助対象にするというようなことによって、事実上行ってきたつもりであります。
 公園、道路、広場等はこの法律の再開発事業の中の公共施設としてまさに位置づけられているわけでありますが、その他の集会所、保育所等につきましては、これを公共施設としては位置づけず、したがってそういう意味の法律化は行っていないわけでありますけれども、たとえば保留床を、いたずらに大きなスーパーとかデパートを誘致するような仕方でなくて、そういったものをあらかじめ設計士集会所とか市役所の出張所のたぐいの公共公益的な施設に充てるべく、あらかじめ設計を打ち合わせておきまして、そういう形で保留床をつくり、それをそういった主体に譲渡するということが、あちこちの事業で現に行われつつあります。今後はそういう方向を強力に指導したい、こう考えております。
 次に、都市計画決定の権限は、こういった面開発事業である性格上、知事といたしておりますが、実際の運用上市町村が事実上の主体とならざるを得ないわけでございますし、私どもも市町村の意思を十分反映すると申しますよりも、市町村の発意に基づいて知事がこれを決定するという方法を事実上とらしてきているわけであります。なお、今改正法案における再開発促進区域の指定は市町村が行うことといたしました。
 以上のようなことにより、法律上明文化したものは少ないわけでありますが、事実上のその後の事情及び今改正案提出に当たっての私どもの考え方というものは、大体御指摘の方向に向いて措置してきたものと存じております。
#7
○井上(普)委員 この四つの点を私挙げたのでございますけれども、また一つ重要な問題がありまして、あとで申し上げましょう。
 ただいま昼夜間人口問題であるとかあるいはまた再開発指定地の重点地域への問題であるとかいうのは全部指導でやっているのだ、こうおっしゃいますけれども、われわれはこれこそ法律に書き込むべきである、こう思うのであります。これは私どもが強く要求しておったのでありますし、また一応各政党とも合意に達しておったところであります。したがって、再開発の改正案がなされるときに、私は当然入ってくるべきであったと思うのでございます。大臣、どうでございましょう。ちょっとこの点、建設省当局勉強不足じゃございませんか。大臣、いまのお話だけで、行政指導でやっているんだ、あるいはまた助成措置でやっているんだというよりも、やはり明確に法律にうたい込むべきじゃなかったかと思うのですが、どうでございます。これは各論じゃございませんで総論でございますので、これはやはり大臣……。
#8
○仮谷国務大臣 この法律案ができた経緯を私も実は不勉強でよく承知をいたしておりません。さきに言った各党が話し合いで一応修正案もまとまっておったのが、自民党の一方的なことで可決されたという経緯もあるようでありますが、それなのになぜそれが採択されなかったかという過去の経緯、その精神を十分生かしながら法の運営は考えなければならないし、新しく改正する場合にはそういう問題も十分取り入れた上で検討されなければならぬことは、これはもう役所としてもわれわれとしても当然の責務だと実は思っておりまして、そのことについて職務怠慢だというおしかりを受けるとすれば、これはもう甘んじて受け、さらに今後自戒をしていかなければならぬと思っております。
 ただ、この問題についていろいろ議論をされております問題は、根本的には人口の過密、過疎の問題をどう対処していくかという高度の政治問題でありまして、高度成長に伴う大都市への人口集中というものをどうして排除しながらよりよき環境の都市をつくっていくかということ、反面過疎地域にどういう対策を立てるかという問題、そういう問題は大変大きな問題でありまして、その意味においては、都市機能を十分に有効に発揮するための方策としては、私は、この法案そのものはいわば対症療法だ、こういうふうに申し上げていいと思います。これは率直に思います。そういう意味で、大きな面においてはいろいろ施策を講じておりますけれども、それが十分な効果を発揮しておらないし、御説のとおりに御批判を受けることはやむを得ないと思いますし、その問題についてはさらに大きな観点で積植的に努力をしていかなければならぬというふうに考えておるわけであります。
 そういうことから考えてみますと、この法律はそういう大きな目的の中の、大都市の中の一つの部分的な対症療法として取り上げられておるということは、これは率直に私どもそう考えておるわけでありますが、しかし第二点としてお話のありました不良環境の整備、あるいは防災、あるいは不良住宅、そういうふうなものに対する積極的な対処が必要であるということは、むしろこの法律の一番の目玉であり、柱であるというふうに私は考えております。何と言っても大都市の中の防災対策、これは捨てておけない大きな問題であります。さらにはまた厳しい悪い環境、これを整備していかなければならぬということも、これも大きな問題の一つであるし、やはりそれと付随して住宅も改良していかなければならぬことは当然のことでありまして、これがむしろこの再開発法の中の一つの大きな目玉であり、柱であり、むしろその方面に積極的な努力が続けられていかなければならぬと思うのであります。その中の細部にわたって法文化されておらぬ問題があるとすれば、これは行政だけでやると言ってもそれは不都合じゃないかと言われれば、あるいはそういった面は十分に検討する必要があると思っておるわけであります。
 なお、都市計画の権限の問題でも、これはもう局長からも話しましたように、知事の権限にはなっておりますけれども、実質的に都市計画を進めていくためには、その市町村の発意に基づいて、むしろ知事はそれを承認するという形で、現実にはそれぞれの地域の市町村の実質的な計画に基づいてやらなければならぬ、これはそれをやらなければできないのです。これは当然なことでありまして、趣旨は十分に生かされていくべきであるし、また、私どもはそういう方向で進めておりますということは申し上げておきたいと思うのであります。
 御答弁になったかどうかわかりませんけれども、一応考えとして申し上げたわけであります。
#9
○井上(普)委員 この法律、再開発法の目的と、いまの三点について大臣の御答弁がございましたけれども、いずれも実際実行する上において指導でやっているのだというのじゃちょっと私はおかしいと思うので、たとえば市町村長の発意のもとに知事が指定するのだというようなことでございますならば、なぜそこまで市町村の参加ということを明確にしなかったか。実際やっていいならそこまでやったらいいじゃないですか、法律の上におきましても。それを行政指導でやるのだというようなところに、いまの行政のあり方それ自体に私は大きな問題があるのじゃなかろうかと思うのでございます。この点は私はなはだ不満でございます。
 さらには法律の本文におきましては、都市の健全なる発達を図るため、ということが目的の一つになっておるのであります。健全なる発達というのはどういうことか私にも十分わかりませんけれども、常識的な考え方とすれば、中小企業あるいは住宅地の不良住宅が密集しておるところ、これらに最重点的にやらなければならぬという趣旨であろうと私は思うのであります。しかしながら、いまも都市局長が答弁の中で申されましたように、採算のめどというものが中心になってこの再開発事業というのが行われておるのであります。でありますから、駅前であるとかいうような採算上合うところばかりが中心になって、江東地帯のような非常に防災の面におきましても、あるいは環境の不十分さにおきましても、これらの地帯がおくれておるのじゃございませんでしょうか。これを最重点的にやるように、もちろん予算措置までもここで私は法律でくくる必要があると思うのであります。
 たとえて言いますならば、江東の白鬚地区の再開発が非常におくれておる。どういたしましても、防災の面からいたしましても早急にやらなければならないのですが、遅々としてはかどっておりません。これはもう十年来やっているのですが遅々としてはかどっていない。なぜかというと、あそこの地価はいま聞きますと、あの付近では坪十七万円ぐらい。ところが基礎三十メートルまで地盤をつくらなければならないので、建築費に五十五万かかるというのです。こういうようなところこそこの法律でやらなければならないことはわかっておるのだから、助成措置を予算の上で固める必要もありますし、かつまたここらを最重点にするんだということを法律の上でなぜ書けないのか、私どもははなはだ不満に思うのであります。
 大臣、この間江東の白鬚地区をごらんになったという御答弁がございましたので私はあえて申すのでございますが、あの地区におきましても地価が十七万円、しかも建物の費用が非常に高くつくのでその権利変換ができない、だから遅々として進まないのだということを、いま私ども耳にいたしておるのであります。そうすれば当然最も必要なところなのでありますから、これに対してはどうすればいいか、四十八年からは助成措置がついて一般会計補助がついたとは言いますけれども、これも微々たるものであります。ここらに重点的に仕事をやるためにも、法律の内容において明確にさす必要があるんじゃないだろうか。これは当時の各政党の指摘というものは私は正しかったと思う。ここをひとつこのたびの改正案の中へ盛り込むべきじゃないか、私はこう思うのですが、大臣、どうでございますか。いまから修正してもいいんじゃございませんか。
#10
○吉田(泰)政府委員 江東防災地区のような住宅地区で、しかも防災上非常に急ぐという場所につきまして、確かに法律上助成の程度に差を設けるような特別の規定はありませんが、これも予算措置で恐縮でありますけれども、特に江東地区の防災拠点につきましては、昭和四十九年度から新しく防災性能強化費という国庫補助制度を設けました。これは火災のときに建物を火から守るために窓の上から一斉に水を散水するというドレンチャー設備工事と、それから、いま御指摘になった特殊な強化された基礎工事が必要でありますから、そういう太い長いパイプを多量に打ち込むためにかかります基礎工事費につきまして補助対象にしようというものでございます。従来の常識から見れば、建築物そのものの建築費でありますから、これらは補助対象になりにくい性格のものでありますが、防災拠点につきましては、いやが上にも強固な建物にしなければなりませんし、建築物自体の付帯工事もがんじょうなものにしなければならない、それだけ基礎工事も十分しなければならないという特異性がありますので、特殊基礎工事費を補助対象にする。白鬚東の例で試算いたしますと、この特殊基礎工事費だけでも全建築費の三割にも達するという数字でございます。これが補助されるということになっております。
 その他、これは江東地区に限りませんが、公的住宅が、これは金融公庫融資の住宅も公的住宅に含めるわけですけれども、これが保留床の三分の一以上あるというようなものにつきましては、かねて懸案でありましたクリアランス費、つまり従前の建物の価格補償相当額あるいは移転補償費、仮住居費、こういった新しいビルを建てるのには必要欠くべからざる費目ではあるけれども、実際には従来の建物を補償するという意味で新しい建築物に価値増として反映しない、しかし実際にはかかる、こういう費目につきましてすべて補助対象にすることにいたしております。重ねて予算措置で恐縮でありますが、そのようなことは逐次実施してまいりましたし、今後も事業の進展と対応いたしまして、ああいった地域でも十分事業が執行できるように、またそのために権利者が非常に不当な不利益をこうむらないよう、相ともに喜んで生活ができるようなことをぜひとも実現したい、こう考えております。
#11
○井上(普)委員 局長、揚げ足をとるようなことじゃないのですけれども、やはりあなた方の頭の中に潜在的にあるのだからぽこっと言葉が出てくると思うのです。いまあなたはああいった地区こそとおっしゃいました。ああいった地区こそ再開発をやらなければならぬといって法律で最重点的にしておるのでしょう。防災地域ということがはっきりと目的に書いてある。しかし、この法律全体が採算性が立たなければともかくできないような法律になっているのです。しかし国が、江東地区のように防災上非常に問題があるし、あるいはまた環境衛生上も問題があるところに最重点的にやるというのがこの法律の趣旨じゃございませんか。そうでしょう。法律の目的を見てごらんなさい。そうなっている。ここを最重点的に行えるような方式が出されておらないじゃないか。補助金にいたしましても四十八年、四十九年からでしょう。しかも補助金ですから、三割かかる基礎工事について、余分にかかる部分について全部持つわけじゃない。私は再開発法ができたときに、白鬚地区あるいは江東地区、あの付近がとにかく一番りっぱになるだろうと期待しておった。遅々として進まないのは、先ほど申しましたように採算のめどがつかない、商業ベースでこのことを考えざるを得ないというところに問題があるのであって、国家の意思とかあるいは行政機関の意思が働くような法律にここを変えてしまわなければいかぬじゃないかというのが私の質問の趣旨でありますし、ああいう江東地区のようなところをまず第一番に重点的に再開発ができるような措置を講じなければならぬと思うのであります。駅前広場であるとかあるいは池袋の前であるとか新宿とかというようなところも必要でありましょうが、ああいうような地価の高いところは採算上間に合うからほっておいてもできると私は思うのです。しかし、最も人命が尊重されなければならないときに、江東地区のような最も危険な地域、これらに最重点的に事業ができるような法律体系に直さなければならぬのじゃないか。権利変換が白鬚地区ではスムーズにできないというのは、採算ベースばかりを考えるから、この法律のたてまえがそうなっておるからでございまして、これは国があるいは地方自治体が重点的にそこに資金を流し込んで防災地域あるいはまた環境不良地域を直す必要があるのじゃないか、大臣、私はこう言っているのです。それを法律の中になぜ織り込めないか。どうでございましょう。
#12
○仮谷国務大臣 事務的な問題でありますから、私がただいいかげんな政治発言をしてはいけませんものですから……。
 確かに再開発とか駅前広場とかいったようなそういう面は、防災対策の面からいっても、これはまた大義名分も立てやすいです。そういう意味から案外進めたと思うのですよ。実質的には市街地の中のおっしゃるような地点が防災の面からいっても環境対策の面からいっても本当は最重点に考えられなければならぬ。それが再開発法の使命でなくちゃならぬということも同感であります。
 ただ、この間私も白鬚地区を見てきましたが、採算ベースが立つとか立たないとかいう問題のみであれはおくれておるようには考えませんでした。大変な広いところが用地を何年もそのまま遊ばしてあるのですね、しかも、どうしてこれができないのかと聞いてみると、やはり居住者の権利変換といいますか、権利交換といいますか、そこに問題点があるようでありまして、俗に言う等価交換だけじゃ困るのじゃないかというのですね。床面積をある程度持っておってそこで何か仕事をしておる人が等価交換で半分しか床面積のないものをもらっても仕事ができないのだという考え方もありますから、等価交換かむしろ等床交換か、この問題は改めて検討しなければ前進ができないのじゃないかということを私は切実に感じたわけですよ。そういうふうな権利者の交換の問題等についてもさらに再検討をする必要があるし、採算ベースはこれは度外視してはいけませんが、むしろ採算ベースができるような高率補助を考えるということが今度の法律の改正の目的でもあるし、またそうでなくてはならぬと思います。そのことを、そういうふうな特定地区だけを法文化する、明文化するということの問題については、これは法文の技術的な面からいって私ども素人が余り立ち入ってはどうかと思いますけれども、御趣旨としてはそういうものを重点的にやるという考え方でいかなければならぬ、法律を運営しなければならぬということは当然であります。
 それから、その前にもちょっとお話がありました実質的には市町村が実施をしておるじゃないか、それをなぜ市町村まで権利をおろさないかという御意見もあったようでありまして、これも事務当局といろいろ話をしたのですけれども、私の方も率直に言って、委任事務も知事までいまいっているのをそれを市町村までおろせないかという問題で、これを単純に考えればおろせぬことはないのじゃないかというふうにも思っておるわけですけれども、これにはこれなりに都市計画のいろいろほかの横との連絡の問題もあるようでありますし、ほかの政策との関連性もあるようでありますから、そういった問題は今後十分検討する必要がある、かように存じておるわけであります。
 いずれにしても、井上議員さんのおっしゃること私どもはよくわかるし、現実の問題としていまのものをどういうふうにこれから前進せしめるかということを考えると、いろいろ問題がありましたけれども、現在の再開発法では行き詰まりが来ておるから、もう一遍改正をして、さらにその問題点を掘り下げていけるような改正をしていこうということが改正の趣旨には間違いございません。不備の点はあるかもしれませんけれども、そういう趣旨でございますから、そういう意味でひとつ御理解賜りたいと思います。
#13
○井上(普)委員 それは、各政党とも合意した事柄なんですから、いまから考えても一応常識的な線としては、私はいまでも通用すると思うのです。それがなぜこの改正案の中にあらわれなかったか、はなはだ残念に思うのであります。これがまず第一点です。
 それから、いま大臣おっしゃいましたが、この改正でそういうような都市再開発がどんどんできるようにしたんだとおっしゃいますけれども、一番重要なところは私は江東地区だろうと思うのです、東京近郊で考える場合には。あるいは川崎もございましょう。あそこを一体どうするんだということに焦点を合わせて考えますと、補助金だけでは解決できないでしょう。行政措置だけでは、これは解決できないでしょう。これを一体どうするんだ。あのときにその問題についての指摘がなされておるのです。したがって、このたびの法改正によって、江東地区がどういうように進められるのか、この点ひとつ具体的に御答弁願いたいと思います。
#14
○吉田(泰)政府委員 江東地区のような防災拠点の計画立案に非常に時間がかかる、遅々として進まない最大の理由は、非常に多数の権利者がおられ、地域も非常に広大である、しかもいわゆる採算ベースに乗りにくいというようなことであります。
 今回の法改正の中には、たとえば第二種再開発事業の制度を設けたり、あるいは高度利用地区制度を改善しまして、あえて再開発事業を待つまでもなく長期的に十年、二十年見れば建てかえがおのずから行われるような地区については、そういった建てかえの機会を利用して再開発に準ずるような結果をもたらすということを期待しているとか、そういった意味の再開発の促進に資する制度を織り込んだつもりでありますが、防災拠点のようなところにつきましては、やはり制度の仕組みとしては一般の再開発と変わるというわけのものでもないのではないか。要はそういう採算性の低いところを採算性を補う意味で新しく建設するためのビルに要する費用、あるいはその前提となる土地の整備費、クリアランスの費用、こういったものに極力公的な費用をつぎ込みまして、権利変換を計算する場合の新しいビルの床の評価額から控除できるシステムをつくっていく、こういうことではないかと思います。
 そういうことで、これを支えるものは国庫補助あるいは減税、あるいは金融措置、それに若干制度的にも従前の権利者については保留床あるいは増し床というものを優先譲渡できる規定の明文化をしたとか、多少のことはありますけれども、やはり基本的にはそういう計算の問題でございますので、そういった採算がとれるという中でも、採算に乗せなきゃならない金額そのものを控除していくということをやることが中心になるのではないか。それは、当面のところ私どもそういった予算措置、行政措置によってやっていけるのではないか、こう考えておる次第であります。
 なお、今後さらに本格的に進んだ場合に、いろいろな制度的な特例も必要だということになれば、私どももその時点でそういった方向の再検討はもちろんやぶさかではございませんが、今日のところはこういうことでいきたいと思います。
#15
○井上(普)委員 大臣、どうですか、これは。私は、再開発法の改正が行われておるので、遅々として進まぬ、国として再開発事業の最重点地域を開発するのにどういうような手法を講じておるのかと思って、期待してこの改正の案を見たのでございます。私らはいま、東京におきましては江東地区、あれは地震があれば一体どうなるか、あるいは異常なる高潮が来た場合はどうなるかということで非常に心配いたしておりますし、かつまた、環境にいたしましても、ゼロメートル以下でしょう。ここらの環境をともかく整備しなければならぬということは、これはだれが見ても明らかなところでありますし、もし一たび関東地震みたいなことが起これば江東地区は一体どうなるだろうかというのが、まず私どもの頭の中に浮かぶ事柄なんであります。したがって、ここ十数年来白鬚地区で防災建築を再開発と一緒にやっておる。ねらいは非常に私はいいと思うのです。しかし、遅々としてはかどっておらない。それはあくまでも再開発法の法の精神というものが、ああいう地帯でもともかく採算ベース、権利交換ということが中心になって物事が考えられておるところに大きな問題があるのじゃなかろうかと私どもには考えられるのであります。それについてはいろいろな処置が講じられておると言いますけれども、どうもこれでは不十分であって、四十八年からこっち、そのような税制の処置あるいはまた会計補助、住宅公団の金融、あるいは街路の補助対象に道路もしたのだというような処置をやっておるけれども、何も進まない。遅々として進んでいない。これは根本的にこの法律全体が採算ベースということを中心にしてやらざるを得ないところに問題があるのじゃなかろうかと私は思うのであります。はなはだ不満に存じます。将来このような防災地域につきまして大臣はどういうような考え方で対処せられるか、この点ひとつお伺いいたしておきたいと思います。
#16
○仮谷国務大臣 再開発そのものはそれぞれの市町村が、この場合は東京都がやっておる問題でありまして、率直に言って、私はこの江東地区を調査いたした場合には、東京都のそれぞれの責任者も一緒になってずっと調査をしてきましたのですが、国は皆さん方が計画をつくっておやりになろうとすれば最大限の努力をしましょう、補助率のかさ上げも考えましょうし、融資の問題も考えましょう、こういうこともいろいろ話したのです。皆さん方はどう考えるのですかという話もお聞きしてみたのです。それからさっきの権利変換の問題がありますが、高層住宅を仮に建てるとしたら、床の保留分を一体どう処置しますか、これは公営住宅に全部買い上げていきましょうといったようなことも言っておりましたが、そういう面で、これはただ私どもがいろいろ積極的な前向きの姿勢だけ示しましても、受けざらの方にも問題があるわけなんですよ。何さま膨大な費用が要るわけでありまして、しかしそれかといって、あそこまでいったものをあのままでずるずるいつまでもほっておくわけにはいきませんから、ひとつこの問題は、都の方も大変でしょうけれども、ひとつあなた方も真剣に考えてください、取り組む姿勢をまず改めてください、そして相談しながら、われわれも最大限の努力をしましょうと言って実は別れたことでございましたが、私どもは、局長からの答弁も不十分かもしれませんけれども、従来のやり方が、単なる権利交換だけではなかなか進まない、大体のものができ上がっても、そこに何人かの権利交換で不満で納得しない者があれば、結局その仕事は進まないわけですから、今度の場合は買収方式で、一応まとまって承知したところは買収する、買収したものにまず建物を建てる、そしてその周辺の人はそれに人ってもらうという形にすれば、かなり前進していけるのじゃないか。いままでのように大変な貴重な広い土地を寝せたままで何年もほっておくようなことはなくて済むんじゃないか、一つの突破口じゃないか、こういう考え方を持っております。
 やり方にはまだ不備な点もあるかもしれませんけれども、私どもはそういう積極的な考え方を持ってこの法案と取り組んでおりますし、そして受けざらの方の、これは今度の場合は都のことですから、都ももう少しこの問題について姿勢をもう一遍改めてもらって、お互いにひとつ責任の転嫁でなしに、一緒になって処置しましょうということを実は話しておるわけでありまして、いろいろ足らない点もあるかと思いますが、今後は御協力も得、お知恵も拝借しながら、ぜひひとつこの重大問題は乗り切っていかなければならぬ、そういうふうに考えておるわけであります。
#17
○井上(普)委員 大臣の、あるいは建設省当局の熱意のほどはわかります。しかしながら、それが法律の上にいかにあらわされておるか、これに出ていないのをはなはだ遺憾に存ずるのであります。
 さらに重大な問題といたしまして、私どもはその当時から指摘いたしておったのでありますが、公権と私権の関係でございます。民間の三分の二の同意があれば、他の三分の一の人々はこれは土地収用法までも適用できるような強権が発動できることにもともとなっております。この間うちからこの問題につきましては非常に問題が指摘せられたようであります。本委員会においてやられておる。特に私はこの点について、ところが今度は個人が開発する面までもこれを広げていっておるのであります。個人が、ともかくデベロッパーが再開発もできるというような方法を開いたことについて、採算ベースを重んずるいまの社会、いまの経済情勢、これが中心になってやられておるのであって、あるいは小さな権利を持っておる者は踏みにじられてしまうんじゃなかろうか、このようなおそれを私は思うのであります。
 特に、この法律では借地人についての権利は認めておりますけれども、借家人の権利を認めておらないのであります。これは非常に私らは問題にしておったところであります。私は四十四年のこの法律を審議する際に、新橋の駅前再開発を実は視察いたしたことがございました。表向きはいかにもきれいなことを言っておりました。ところが、ある日のこと、その後になってある飲み屋へ行きますと、再開発法賛成だ、こう言う。どうしたんだと言いますと、私はあの再開発のおかげで二回ほど補償金をもらってこのようなりっぱな家を建てることができましたと言って、違うとこでやっておる。もちろんそういうようなごね得をする連中もありましょう。私は、ごね得がないとは言いません。しかしながら、それはそういうような例外はあるにいたしましても、やはり借家人の権利というものは明確にしなければならないというのが、この四十四年の当時の、これは各党の一致した意見でございました。これらについては、今度の法律改正によっても何ら触れてない。これじゃ弱い人たちが踏みにじられる結果をまたまた招くんじゃなかろうか、このように思うのですが、どうでございます。
#18
○吉田(泰)政府委員 まあ事実上の問題として、借家人の方がその地区に住み、営業しておられるわけでありますから、この方々の事実上の同意なくして事業が進められるわけはないわけでありまして、過去の実際の事業例から見ても、すべて借家人との話し合いを十分詰めて、しかる後に初めて事業が行われているということであります。
 しからば、法律上借家人を借地人並みぐらいに地位を高める、言うならば組合員となれるような資格を与えるべきではないかという御指摘につきましても、私どもも本改正案を提出するに当たり十分さらに検討いたしました。しかしながら、いかんせんこの再開発事業と申しますものは、従前の土地を整備した上、従前ある建物をすべて除却いたしまして、その跡に新しい建物を建てる、そういう事業であります。したがいまして、民法あるいは借地法等によりましてこういった権能が認められている、そういう民事法上の権能から見まして、どうしても、でき上がっている建物に住み込んでその用法に従って使用するという権利であるところの借家権者というものが、その建物を除却したりまた新しく建てるという専業に加わり得ないという結論に達しまして、今回の改正でもそういった意味での改善は行えなかったわけであります。
 もっとも、別の角度から借家人対策は最も重要であることを考えておりますので、たとえば借家人などでこの際持ち家を持ちたいというような方に対しましては、保留床が取得できるよう、それが優先的に取得できるような制度改正を行ったり、その場合の保留床購入についての住宅金融公庫の融資の拡充を図ったり、あるいは四十九年度から再開発住宅建設事業補助金の制度を設けまして、従来公営住宅とか改良住宅と抱き合わせでやっておったものにつきまして、そういった収入制限があることが支障になっておりますので、収入制限に関係なく、既存の借家権者であればいかなる所得者であっても必ず入れるという国庫補助住宅の制度を設け、これにつきましては第一種公営住宅並みの補助と、さらに用地費がかさばります場合には用地費についても補助金を投入するというようなことを実現してまいりました。
 以上でございます。
#19
○井上(普)委員 局長、いまの御答弁、借家人をともかく除外する理由は、いまの理由だけでははなはだ乏しいと私は思うのです。いまの理由というのは理由らしい理由になっていないと思うのです。やはりこれは借家人の権利を認めるべきじゃないですか。それは保留床を認めてそこに優先的に入れるとかいうような道を開いたという、それはお情けですよ。やはり権利としての借家人の権利というものを明確にしておやりにならぬから、これはなかなか再開発が進まないのじゃないですか。ここらあたり、民法上問題が――土地はそれはいかにも借地人でなければならぬでしょうけれども、建物を壊さなきゃ、借りておる借家人が権利を持っておるその家を壊さなきゃ、新しくできないんでしょう、再開発事業というのは。私は当然それは認めるべきだと思うのですよ。ここらあたりの問題があるから、なかなか再開発も進まないのじゃないか、あるいは法外な費用がかかるのじゃなかろうかと私どもには思われるのでございますが、どうでございますか。
#20
○吉田(泰)政府委員 借家人はもちろん他の権利者と同様に新しいビルに入居したいという方は必ず入居できるようにいたしております。そして、そういう意味では別に何らの差はないのですけれども、組合員の資格が与えられるかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたように、土地と建物を根本的に整備し直しまして、建物は取り壊し、さらに新築するという事業でありますから、そういった権能が建物所有者である借地人には当然あるわけですけれども、建物が建っているところへ入っているというだけの借家人にはそういった権能が与えられていないという理由でありまして、そういった民法上の仕組みから洗い直しませんとなかなかこの問題は解決しにくいのではないか。ただ実際には借家人の方との協議会等を設け、事実上は組合員となる場合と違わないような運営はなされているはずでありまして、そうなれば事業はできないわけですから、法律上の位置づけというものの限界については御了解いただきたいと存ずる次第でございます。
#21
○井上(普)委員 われわれ、民法上の問題があるんだからと言うけれども、その民法上がわからないんですな。それはいかにも借家人というものは、その家の建物についての権利は私はある程度持っておると思うのです。かなりの部分を持っておる。そうすると、その事業を推進する上においてはその建物を壊さなければ次はできないのですから、借家人の権利というものを私は権利としてやはり持たさなければならぬと思うのです。それは再開発した新しい建物の中に入らしてはおります。申し込みはさせることができるというような恩典的な事柄では、借家人がこれはしんぼうできないし、さらにまた、それで借家人をその計画に参加させなければ実際の事業というのは進まないんじゃないですか。そしてまた先ほど私が申しましたように、新橋の再開発事業にしましても、二遍も私は補償金をもらったという借家人も出てくるのです。ごね得をここらあたりでチェックするためにも借家人に権利を認めさすことが、私は再開発事業をスムーズに行わしめるゆえんであろうと思うのです。
 局長先ほど来、民法上の限界がある限界があるとおっしゃいますけれども、私にはどうも納得できないのです、ここら。局長は建設省きっての学者だと言われておるんで、ここらあたりなかなかお考えになっておられるとは思うけれども、ここらあたりの借家人の権利というものを明確にしなければ、これは私はなかなか、この借家人自体も納得しないし、再開発の事業も大きなおくれをとるでありましょうし、かつまた費用も大きくなってくるんじゃなかろうか、このように思うのです。当然借家人の権利というものはここらあたり明確にしなければならぬと思うのですが、どうも私、局長は民法上の問題民法上の問題と言いますけれども、私にはどうも納得ができません。ここらあたり明確にさす必要があるんじゃないでしょうか。
#22
○仮谷国務大臣 この問題は私も実は素人でわかりませんものですから、この法律の問題を進めていくためにいろいろ私も聞いたわけです。
    〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕
地主と借地権者とそれから家主ですね、これだけが構成員になって借家人はその構成員になれない。これは何があると言ったら、やはり民法上の問題があっていろいろ議論がある、こういうことです。私は法律のことは全く暗いから、それがいいとか悪いとかは言えないけれども、これは一つの問題点でありますから、これは討論せなければいかぬ問題だと思うのです。
 ただ借家権を保障するということはこれははっきりしておりますよ。申し出があったらやってあげましょうというそんな恩典的なものじゃありません。それは家が一切つぶされてそれで希望がない場合にまで言うことないのですから、これは取り壊されれば新しい入居ができるという権利はあくまでも保障しております。これは私ははっきりした保障だと申し上げていいと思うのですが、ただ構成員になれるかなれぬかの問題にいろいろ法律上の疑義があるということで、いま執行部の方でもそういった面の答弁を申し上げておるわけでありまして、これは今後の大きな課題として十分に検討せなければいかぬ問題かと思っておりますす。
#23
○井上(普)委員 この借家人の権利の問題ですが、これは法的にもう少し明確にしていただきたいと思うのです。
    〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
そうでなければ――これは大臣どうです、もっと明確に、これは「法は常なり」という言葉がございます。「法は常なり」という言葉がある。これは常識的に考えて法律はそのように運営さるべきであるし、また常識の方が優先するものです。したがって、民法上の問題民法上の問題とおっしゃいますけれども、実際問題としては、私らは常識的に考えても、この借家人の権利を一切認めてないのが大きなネックであるし、かつまた借家人の不満の存在するのもここにあろうと思うのです。したがいまして、ここらあたりはもう少し明確にひとつ御答弁をやっていただきたい。民法上のどんなところに問題があるのだということをはっきりさせていただきたいのです。
#24
○仮谷国務大臣 法律問題私は本当に素人ですから、その問題明確なお答えを私はよういたしません。ただし、これは検討はせなければならぬと思います、そこまでやれば。
 ただ、借家人の保障とは、権利とは何かという問題、家がつぶされたらその跡へ入居さす権利というものが確保されれば、それ以上の権利とは何かという問題もこれは議論の余地があるのじゃないでしょうか。これは現実にやっていくために、たとえば再開発を進めていくために、借家人の権利だからおれは絶対に反対でそこは前進は一切困るのだ、旧建物取り壊しは困るのだと言って一人が権利を主張されてきたら、一切この仕事は進まないということになります。そういうふうな権利だったらもう少し私どもは、むしろ借家人については、建物が取りつぶされても新しい入居は優先して考える権利は十分にあるわけでありますから、そういう面からいったら相当私は権利は保障されておる、こういうふうに申し上げておるわけであります。
 これはいろいろ議論はあるところでありましょうけれども、借家人の権利そのものについては、これは民法上の問題もあるということですから、もっと法律家がひとつ検討してもらうということはこれはやぶさかでございません。
#25
○井上(普)委員 だから、民法上の問題をもう少し明確にわれわれはしていただきたい、そのことを要求しているのです。
#26
○吉田(泰)政府委員 再開発事業は、土地の形質を変更し建築物を除却し新しい建築物を建てる、こういう事業でありますから、これの機能を私法的に本来持っているのは土地所有者、それから借地権者である建物所有者、こういうことで、それを一致させたというのがこの法律の考え方であります。
 私ども考えれば、これが一致していることが限界のような気もしますが、基本的な問題でありますから、御指摘の趣旨に沿いましてなお十分時間をかけてこの問題については検討を続け、私法上の限界とのぶつかりがどこで打破できるのか、あるいは同じいろんな地位づけをするにしても、組合員という形とは別の、何かしかしながら明確なものを考えるか、いろいろなこともあり得ると思います。決してこれをもって終わりということでなくて、十分、ただし時間をいただきまして研究させていただきます。
#27
○井上(普)委員 どうもその唯一の根拠である民法上の問題についてもう少し研究させてくれとおっしゃいますから、私は次にもう一問あるようでございますから、それまでこの問題は質問を保留させていただいて、そのときに明確に文章で表現して、ともかく御返答をいただきたい、こう思うのです。
 いずれにいたしましても、私どもが帯開発事業というのは必要なことである、やらなければならない。しかし、そこにはいろいろの問題点がある。たとえば人口問題が一つ。あるいはまた職住近接という問題、当然これは出てくる。職住近接という問題がございます。四十四年の会議録を私読み返しまして、いかに当時職住近接というものが重大な問題であって論議されたかというのを改めて痛感いたしたのであります。いまでも同じであります。この大都市の中に夜間人口と昼間人口とがこれだけ大きなアンバランスができてきた。しかしやはり再開発事業をするに際しては、この職住近接の精神にのっとってやらなければならない。これを明確にさす必要があるのじゃなかろうかと私どもは考えるのであります。
 いろいろと問題がございます。時間も参りましたのでこの程度にしておきますけれども、私、委員長にお願いしておきたいのですが、いまの後の借家権利関係につきましてはもう一度質問させていただきたいということをお願いいたしまして、この程度でやめさせていただきます。
#28
○天野委員長 瀬崎博義君。
#29
○瀬崎委員 都市再開発の進みぐあいについては、全体的に見て余り順調ではないというふうに政府側の答弁でも言われてるわけなんですが、特に一般的な傾向として、必要なところでというよりはやりやすいところでの域を出ていないように私ども思うわけなんですが、まずこの点についての大臣の現状に対する見解からお伺いをしていきたいと思うのです。
#30
○吉田(泰)政府委員 御指摘のように、再開発事業は従来実際に行われているところを拾いますと、先ほど来議題になった江東地区の防災拠点等の一部の場所を除きましては、駅前地区とか商店街の繁華街、こういったところにかなり偏っていることは事実であります。
 事業の見通しというような点から、地元側にかなり資金的な意欲があり、あるいは再開発のメリットが非常に直接判断しやすいというような、そういった地区が中心になってきたわけでございますが、近年の各種助成の強化によりまして、今後は私どもは、そういった場所だけでなくて、もっと広く町全体を見渡した防災上あるいは環境保全上枢要な場所は、商業地区に限らず実施していきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
#31
○瀬崎委員 比較的やりやすい特殊な場所と言ってよいかどうかわかりませんが、そういうところが進んで、必要なところがおくれてきている要因としては、これも全体的に見て現在の都市再開発法とか都計法などの関係法の内容の方に主要な問題があるのか、法律の運用に問題があるのか、どちらだということなんですか、これは一遍大臣の評価も聞いておきたいと思うのですね。
#32
○吉田(泰)政府委員 地区が広く関係者が多ければ多いほど事業計画あるいは権利変換計画の試案を固めていくまでに非常に時間がかかる。しかも、ほとんどの方の意見一致を昂るというところまで細かく詰めていきますから、この間なかなかちょっとしたことでも煮詰まり方が時間がかかるということが主たることだと思います。制度的には再開発事業は、その地区内に残留される希望の方が残留するようなシステムでありますから、土地を取り上げてしまう、どこかほかに替え地を探しなさいという事業に比べればすぐれているはずでありまして、制度的な面というよりは、運用及びそのバックになる資金のいろいろな計算上の目当てというもの及びその基礎になるような採算計算、収支計算というもの、こういったものが絡まって実際に行われる場所が従来までは限られてきた、こういうことだと思います。
#33
○瀬崎委員 いまの局長の言っていることはよくわからないのですが、大臣はいまの二点についてはどうお考えですか。
#34
○仮谷国務大臣 法律が十分でなければならぬことは当然でありますけれども、法律がいかにりっぱなものができても、問題は法の運用は人にあるわけでありますから、運用する者の姿勢にもよりましょうし、これは運用と法御とが両々相まっていかなければならぬと思うのですが、ただ、発法といったような問題は、御承知のとおりやりやすいところからやっておるという言い方もありますけれども、それはそのとおりなんです。やはり話し合いがついて、そうしてやれるところからやっていくというのが当然で、一番やらなければならぬむずかしいところが残っておるのは、それだけその地域の人々の権利の問題が絡んでおりますから、生存権の問題、住居権の問題いろいろあるわけであります。そういう問題がすべての人が合意に達しなければ出発できないというところにこの問題の非常なむずかしさがあることは、これは御理解いただけると思うのでありまして、問題はそういう人々に理解してもらうように積極的に努力をし、この運用をしていくことが一番大事な問題だ。そういう点に欠ける面があったと言えば、それはあるいは反省しなければいかぬ問題もあると思います。
#35
○瀬崎委員 私は主として第一種の方について、ではその非常にむずかしい条件のある、しかし必要なところについて、それを前進し得るような新しい要件が生まれてくるかどうか、そういう点について、以下質問を具体的にしたいわけなんです。もちろんわれわれも、すべてにけちをつけようとは思わないし、成功と評価されているものに対してはそれなりのやはり教訓も前向きにくみ取っていくことにやぶさかではないわけなんですね。
 そこで、現在都市再開発の工事完了例は非常に少ないのではありますけれども、その工事を終わっております例の一つに、東京都の江戸川橋の再開発がありますね。これについては、特にこれが比較的スムーズにいったと言われるのはどういう要件を備えておったことによると建設省の方は考えておるわけですか。
#36
○山岡政府委員 江戸川橋地区につきましては、土地区画整理事業実施地区内にあったのであります。したがいまして、区画整理事業との同時施行であったという点、それから地下鉄八号線の新設計画がありまして、新駅開設が予定されておりました。それから地区の立地条件から見まして、参加組合員としまして首都圏不燃公社の参加を見たということでございます。首都圏不燃公社がその技術力、資金力の提供をいたしたという点がございます。それからなお、工事の際に当たりまして、仮設店舗用地といたしまして区画整理事業が同時に施行されていたので、道路拡幅予定地がございまして、そこでスムーズに仮設店舗を開くことができたというような点が特徴でございます。ただこれらの点は、これに類似のところは方々にもあるわけでございます。私はやはり何よりも関係権利者の努力と強調、それから公共団体の熱心な指導ということが江戸川橋成功の一番最大の原因であったと思っております。
#37
○瀬崎委員 もちろんいかなる場合でも、やろうとされるところでは関係権利者の努力はあると思うのですけれども、その努力が比較的実を結びやすかったという意味では、いま挙げられた条件のほかに、私どもはそもそも参加組合員がいま言われた首都圏不燃公社を含めて十六人と非常に少なかったということもその理由の一つであるように聞いておるわけなんですね。ですから、いま言われた基本には関係権利者の熱心な努力や公共団体の指導があったと言われるのだけれども、常にそれさえあれば、あとの幾つか挙げられました江戸川橋の場合の特別な条件がなくても一体可能なのかどうか、この点についての建設省側の判断を、これは基本的な評価の問題になりますから改めてお聞きしておきたい。
#38
○吉田(泰)政府委員 確かに比較的小規模で関係権利者も少ないというところでは、従来の方式の第一種再開発事業というもので今後も十分やれると思います。十分やれると言いましても、やはり現在の生活が激変しますからある程度の時間はかかりますけれども、市町村当局側の熱意あるいは地元住民側の熱意、こういったものがぶつかれば、個々の詳細な点は逐次解決されて、権利変換計画及び着工というところまで進むものと考えます。
 ただしかしながら、非常に広大な地域を一挙にやらなければならない、しかもそれが防災拠点等非常に緊急な場合であるというときには、どうも実際に考えましても、非常にたくさんの方々と一斉に権利変換計画を協議し固めてしまうというには非常に時間がかかるわけでありまして、こういう面ではやはり何か新しい方式が考えられないか。特に防災拠点のようなところは工場跡地をかなり広く先買いしておるわけでありまして、そういうものは都有地になっているわけでありますから、そういった更地をまず活用して、まず再開発ビルを建て、そこに地区内の希望者を募って入っていただくというような事実上の転がし方式を加味すれば、相当全体としての事業の進み方も違うのではないか、そういう意味では、広大なところでしかも急ぐような場合には、権利変換方式だけでは行きにくい点も十分考えられる、これは制度上の問題かもしれないという意味で、今回御提案申し上げたわけでございます。
#39
○瀬崎委員 私の言っているのは主として第一種ですから、そういう広大な地域の場合でなくても、やはり明確に区画整理が終わっていて、改めて移転補償等の問題が起こらない条件にあったとか、あるいは放射七号線の予定地があって、営業仮店舗などもつくりやすかったとか、あるいは地下鉄新線の新駅が生まれてきた。こういうふうな条件があったればこそ成功したというのは、区の方でも言っていることですね。こういう条件がなくて果たしてうまくいったかどうかという点については、はなはだ疑問であるということは、現行法並びに改正案も含めて、こういう条件のあるところになら当てはめても比較的スムーズにいくであろうという一つの教訓を示している。逆にこういう条件のないところで、じゃあうまくいくかどうか。やれば下手すると暗礁に乗り上げるというふうな危険性をも教えているのじゃないかと私ども思っているわけなんですね。現にこういううまくいった例の中にも、相当やはり問題が出ており、指摘されております。
 その一つは、これは改正案で是正されるならばそれは結構なんですが、さてどうかという問題で、周辺住民の意見が反映できるかどうかという問題。私どもが考えるのに、この種の規模のものが、今後改正案でいけば個人施行制度に該当しやすくなるのではないか、そういうふうに考えるわけなのですけれども、江戸川橋の場合についても、区の方の説明によりますと、施行区域外の住民の意見を反映させようがない、これをやはり現行制度の欠陥として指摘したい、このように言っております。これがさらにどんどん個人施行として促進されることになると、施行区域内については全員同意ですからまあよいといたしましても、周辺環境については現状よりもなお周辺住民の意見が反映されなくなるのではないかという心配を持つのですが、そういう危険はありえませんか。
#40
○吉田(泰)政府委員 個人施行といえども、組合の場合と同様、規準とか規約をつくり、事業計画を立てまして知事の認可を受けることになっているわけでありまして、その認可に際して、地区内の問題はもとよりのこと、そういった周辺との調和も十分図ることができると思います。もともと個人施行の事業も再開発事業である限り、高度利用地区内でしか行えないわけでありまして、高度利用地区につきましては、今回の改正によりまして、従来の最低容積率等のほか、建蔽率の限度を低く抑え、あるいは道路に面した壁面の位置の制限等を行うようにいたしますので、そういった意味からも、この高度利用地区の都市計画決定のところから、都市計画の手続により町全体としてのあるいはその周辺の方々の意見も含めた意見調整が図られる、こういうふうに思います。
#41
○瀬崎委員 それはあくまで間接的な話であって、直接的に周辺の住民の意見を入れなければならないということには現在もなっていないし、それから特に個人施行の場合、いま言われている第一種市街地再開発事業に関する都市計画は、今度は免除されてきて、これの理由は、できるだけ自由裁量の幅を持たせて再開発の促進を図ろう、そういう意図なんだというふうに説明を聞いているわけなんですが、そうなりますと、やはりできるだけ可能な限り有利なビルを建てていきたい、有効に使えるビルを建てていきたいということ、あるいは保留床の処分等についても、それこそできるだけ有利な、採算がとれることというふうにならざるを得ないし、なってこそ初めていわば民間の力を利用した促進ということになるのだろうと私は思うのです。ここにやはり周辺環境の公共性との調和とかあるいはその建物そのものの公共性の拡大という点では相反する傾向になるのではないかしら、こういうように思うわけですが、局長はそう考えませんか。
#42
○吉田(泰)政府委員 まあ特に個人施行の場合に限らず、再開発事業全体について、地区内の権利者の方と同様な意味での周辺の方との意見調整の規定はないわけでありますが、これもその前提となる都市計画の段階等では、当然周辺の方も含めましてこれを対象とした縦覧、意見書の提出、意見書の処理ということがあるわけであります。
 なお、個人施行の場合、都市計画事業としないでもやれる道を開いておりますが、これは、必然的にかなり小人数の方が寄り集まって行われる場合が多いと思いますので、そういった場合にあえて都市計画事業と位置づけなくても、事業計画以下、いまの規準、規約等の認可も含めまして、すべてこの再開発法によって、他の組合施行と同様、知事の認可、以後厳しい監督について同様な規定を置いておりますので、まあ省略できる道を開いたということであります。そのために特に周辺の住民の方の意見調整が組合施行の場合よりも劣るということもないと思います。
#43
○瀬崎委員 われわれは何も個人施行がすべていけないとは考えないのですけれども、しかしまあ平たく言った場合、この制度を導入しようとすることは、やはり現在よりもやりやすくしようと、う意図からではないのですか。
#44
○吉田(泰)政府委員 おっしゃる意味も当然あります。土地区画整理事業では早くから個人施行の道がありましたので、再開発事業についてもそれにならいたいということ、及び促進区域の制度を設けまして促進区域内でなるべく権利者に再開発事業を行ってもらいたい、その場合に組合を結成しなければやりようがないという制度だけでも不十分だろう、やはり個人施行という形で全員同意のもとに行うという簡易な方法、これも促進区域の促進になるという位置づけをしたい、こういうことでございます。
#45
○瀬崎委員 これはもうしばしば認められているように、都市再開発をやりますと、たとえ小さな限られた地域であっても、そこでは権利者の生活環境はもちろんのこと、一般的に社会的な環境が激変する、そういうわけですから、いやおうなしに周辺の商店街あるいは居住者に対して一定の影響を与えることは当然なんで、この面からもやはり地方自治体などには苦情が出るという点で、こういう周辺住民の意見が制度的に直接に再開発の計画に反映される道がないということについて、改善の必要を感じていないのか。これはひとつ大臣の御答弁をお聞きしたいと思うのです。
#46
○仮谷国務大臣 個人の問題は、特定の業者や企業を何か救済するためではないかとか、あるいはそれの特定の利益を擁護するためではないかといったような一般論として議論を受ける場合もあります。そういうような問題でこの制度を取り入れるかどうかという問題は十分に慎重に検討をいたしたわけでありますが、私は率直に言って、再開発の趣旨、その法案の趣旨が十分に徹底をし、それが守られて、そしてその目的が達成されるということになれば、必ずしも組合でなければならぬという考え方は余りにもえこじではないかという感じを持っております。特に最近はどっちかと言えば、土地の所有者というのが、これは率直に申し上げまして、特定の業者や企業にある程度まとまっておるといったこともあります。本当はそれを国家のために有効に、という言い方はおかしいかもしれません、開発のために、あるいは区画整理のために、住民のために、宅地行政を進めていくために有効に活用する方法があれば、むしろ活用することをこの際は積極的に考えることも現在の場合必要じゃないかという感じを持っております。
 ただ、それをやらすために周辺の住民に迷惑をかけるとか、意思を無視して勝手気ままなことをやらすということは、これは断じてあってはなりません。したがいまして、やらす場合においては法の趣旨に十分沿って、そして周辺の住民の意見も十分聞きながら、そしてそのまとまった意思に基づいて問題の処理に当たっていくということは、これはやらなければならぬ当然のことでありまして、そういうことについては今後は抜かりのない努力をしなければならぬ、かように思っております。
#47
○瀬崎委員 それが現行法はもちろんのこと、改正案にも盛られていない。が、そういうことを今後必要とするというふうな考えはないかということなんですがね。
#48
○吉田(泰)政府委員 法律の制度として書くということは考えておらないわけですが、任意に行われる高層ビルの建築の場合に比べれば、その場合は建築基準法等の法律しかないわけでありまして、それに比べれば、そういった事業に類するような同じようなビルを建てる場合にも再開発事業として位置づけ、そのための厳重な監督に終始服せしめ、その裏には全体の都市計画のあり方というものを絶えずにらみつつ指導し、いい設計に持っていかせるということができるという意味で、内容的には個人施行の道を開いて、できるだけ任意の事業によらず、再開発事業の制度に乗れるものは乗るということは相当の前進ではないかと考えております。
#49
○瀬崎委員 相当の前進という評価をみずからして、そこから先きちっと制度化するという考えはない模様であります。その点ではやはり自治体側の意見もよく聞いて、そういうことがどの程度の必要性を求められているのか、これは一遍建設省も研究してほしいと思うのです。
 それから問題の第二は、先ほども大分触れられました弱い権利者の保護の問題なんです。江戸川橋の場合も借家権者が四人しか残らなかったという問題があるわけです。これは区画整理の段階では三十六人、そのうち十一店舗があり、他は居住中心の借家権者であったため地区外転出をされてしまっている。もしもこれが商店が多いということであったならば営業補償というふうな問題なども絡んでまいりましてきわめて複雑になったと思うのですけれども、借家人中心であったために、しかも通常の居住者であったために、身軽に地区外転出という問題で表面的には解決の形になった。これもここの特殊性の一つだと思うのでありますが、他の面から見ますと、家主と借家人との賃貸内容には自治体が、区なども立ち入れないところから、文京区当局も現行法では借家人は救えない、こういう発言をしておりました。こういう点ではやはり問題を残している現行法だ。しかも改正点でも、先ほど若干のいろいろな改憲点を挙げられましたけれども、根本的にはこの権者を保護する形になっていない。こういう点で、やはり都市再開発の一つの問題点としては、あらゆる機会にあらゆる人々がこの問題を指摘しているわけですから、特に私はやはり大事だと思うのです。その点で、特にさっき協議会等をつくって組合員と同等の権限を保障しているような話もあったのですが、これは実情に相反する認識じゃないかと思うのです。現に江戸川橋の場合でも、また後で述べます金沢の武蔵ケ辻の場合でも、ほとんど市に聞いて、じゃ借家人と家主との関係は一体どうなっているかということについては立ち入れないのでわからない、こういう回答しか返ってまいりません。ですから、そういうことが決してスムーズに進んでいないことの実証に私はなっていると思う。ですから、こういう点では行政指導の面でももう少し注意しないと、ただ協議会がつくられているからということで済まされない問題が一つあると思うのです。
 もう一つは、いろいろ公団住宅とか改良住宅に入居権を保障しているんだとかなんとか言うけれども、結局現状よりも負担が実際重くなる、こういう点でこれもまた二の足踏まれてくるわけです。
 この二点が、先ほどの民法との関係云々の問題以外にもあると思うのです。そういう点の建設省の考え方と、今後せめてこういう面だけでもどのように解決しようとしているのか、ひとつ考えを聞きたいと思います。
#50
○吉田(泰)政府委員 制度的には、借家権者でもすべて他の権利者と同様再開発ビルへの入居は保障されているわけであります。ただ、工場などでその再開発ビルにどうしても入れないようなそういう業種の者が例外的にあるということでございます。しかしながら、その制度的なことと離れまして実態を考えますと、おっしゃるように家賃が急上昇するというところが非常に大きな問題点になっておりまして、これに対しましては、私どもまず基本的には家主の方に、いわば等価のたてまえの中で事実上等床、同じ床面積の確保というような国及び地方公共団体による助成、これを投入する。そうなりますと、同じような床面積か権利変換で与えられるわけですから、あえて家賃を上げる理由にもならない。家賃の話は家主と入居者、借家人とでまず協議するたてまえですけれども、協議調わないときにはこれを裁定する制度がありますから、そういう裁定基準としては、原価が上がってもいないのに家賃を上げるという理由にはならないというふうに裁定できると思います。
 なお、いろいろな事情から従来の家主とともに行きたくないというような方のためには、施行者がこれを再開発住宅等あるいは公営住宅等の抱き合わせの施行によりましてこれを入居させるということでありまして、これはかなり手厚い国庫補助がありますからそれだけ家賃は安いわけですけれども、いずれにしても従前の家賃が非常に安く、以前の家賃のまま推移してきて最近も値上げされていないというような場合に、若干の値上げが倍率としてはある程度あっても絶対額として応じ切れないものでもないということもありますけれども、この家賃の問題は借家権者が再入居する際の大きな問題でありますから、私どももあらゆる手を講じまして、借家権者が制度の予定どおり再開発ビルに入居できるよう今後とも努力したいと考えます。
#51
○瀬崎委員 結局この問題についての解決は、若干の形式的な解決策は講じたけれども、実態の面から見れば改善は期待できないといういまの改正内容なんですね。
 次に、三つ目の問題としては、経済変動に対する対応の問題です。江戸川橋の場合は、あの例の石油ショックとその後の総需要抑制などの影響を受けることは比較的少ない時期に工事が行われて、その被害は余り受けなかったのでありますが、それでも当初の事業費十四億に対して若干あの石油ショックの影響を受けて、二億四下万計画より超過したそうでありますが、結局、組合ではこの分を上乗せの住宅八十八戸にかけて、一坪につき四十六万円分譲価格が上昇、こういうことになったわけであります。この場合権利変換でありますと複雑な手続を経なければならないので、工事が場合によっては一時ストップする、こういう危険もあるので、最も簡便な方法として住宅部分に負担させた、そして矛盾の表面化を防いだ、こういうことじゃないかと思うのです。これはここの恵まれた条件が、先ほど住宅局長の話にもありましたとおり、地下鉄の新線、新駅などができたというきわめて有利な条件がかみ合ってこれが余り問題にならなかったわけでありますが、しかし、わが国の場合は常にインフレとか物価高騰の不安がっきまとうわけですから、そういう点では今後も、せっかく計画はしたけれどもその後の経済変動で大きく予算がふくれ上がるというふうな事態がないとは言えない。こういう点に対して今度の改正案が何らかの保障を与えているかどうか、この点はどうですか。
#52
○山岡政府委員 市街地再開発事業を施行いたします際に、組合の設立に当たりましては、事業を遂行するために必要な経済基礎及びその他の能力が十分であることというのが認可の条件になっております。法の第十七条でございます。個人施行の場合におきましても、事業計画等の認可に際しましてそれと同様の基準を設けております。法第七条の十四でございます。認可の時点で資金力、技術力につきまして十分検討し、事業計画についても健全なものとするよう指導するということが第一であろうかと思います。ただ、江戸川橋の成功の例に見ますように、公的団体が参加するということが非常に有効だと思います。したがいまして、今後もできる限り公団、公社等公的機関が参加をして、事業が円滑に行われるように指導してまいりたいと考えております。
#53
○瀬崎委員 私が聞いているのは、そういうふうな趣旨のことではなくて、公的機関がかもうとかむまいと、日本のように物価が下がる気遣いはない、上がる気遣いが常にあるというふうな状態の場合、その上がった部分、予算を超えてくる部分をどうするかという問題が出てくる。結局、これが保留床などに上乗せさせられて、そこが吸収できるような条件のところはいいが、庶民向けの場合には庶民の負担になる。このようなことを回避する国の方の責任が、今度どこかに入ってくるのかどうか、この問題なんですね。
#54
○吉田(泰)政府委員 公共団体施行でありますと、公共団体の負担ということもあえていたしまして最後の結末をつけることができる。その点では心配ないことになりますが、組合施行、個人施行の場合に、確かに御指摘のように、最終的な負担が原則としてはその施行者である個人なり組合に帰属するわけでありまして、したがいまして、経済情勢か非常に不安であって、一たん立てた収支の計算、全体の計画というものが果たして事業着手後何年かの間に動かないものかということは、非常に危険がある場合があります。幸いにして従前、ここ二、三年前まではそのようなことは余りありませんで順調にやってまいりましたが、先回の狂乱物価の時期には各地とも大変困難を生じたわけであります。そういうところには私どももできるだけ国庫補助を優先的に配分し、その裏負担としての地方公共団体の応援と合わせまして、何とか所定以上の原価の上昇を最小限度に食いとめるべく実施してきたわけでございます。今後も組合施行といえども、再開発事業として位置づけられた事業でありますから、思わざる事態によってこれがとんざを来すことは許されませんので、そういった事態に即したあらゆる応援をしたいと思います。
#55
○瀬崎委員 あらゆる応援ということになると何もかもということになるのだけれども、それこそ逆に言えばきわめてあいまいで、しかも実行される裏づけは少ないと思うのですよ。ですから、そういう国の援助を講じようという意思があるなら、組合施行はもちろんのこと、今後起こり得るであろう個人施行についても、国がそういう経済変動の時期に応援するという大義名分を片一方にやはり立てておく必要がある。この点に都市再開発の公共性との調和というものが個人施行も含めてきちっとうたわれて、しかしこういう場合には国が援助するということによって安心して事業ができるようにする、これが必要になってくるのじゃないかと思うのです。
 ですから大臣、どうでしょう。今後規模が少しでも大きくなればなるほど期間も長くかかる。そうなればなるほどやはり立てた計画が経済的な情勢の変化の影響を受けやすくなる。こういうことの心配のないような制度というものも法律的につくっておく必要があるとはお考えになりませんか。
#56
○仮谷国務大臣 経済の変動、物価の変動によってもろもろの問題が計画の時点と実施の時点とにおいて非常に違ってきておる。その時点で国がそういう問題に対する対処を考えるべきじゃないかということは、これは単に都市開発の問題だけに限らず全般的に考えなければいかぬ問題であります。
 先ほど答弁にもありましたように、公共事業で見れば、その年々の物価状況を考えながら単価を構成いたしていきますから、大体それで私どもは吸収消化できていけると思っております。それから、地方団体の場合には、裏負担が要る場合には裏負担に対する起債等を考えるといったような方策も講じておりますことは御承知のとおり。ただ、公的住宅の場合は何といっても原価主義で行っておりますことも御承知のとおり。問題はその原価ができるだけ高くならないような、コストを下げていく方向に全力を挙げなければならぬ。それに対して国がやるべきことは、さっきも言ったように、補助率のかさ上げの問題あるいは地方団体に対しては起債の問題、利子補給の問題、そういう問題が積極的に講じられておりますことはすでに御承知のとおりでありまして、これは住宅の問題を取り上げてみましても局長からいま御答弁申し上げたとおりでありまして、なかなかそれが、すべてが国民の要望にこたえるようにいけないところに苦労のあることは御承知のとおりでありますが、そういう事態に対応するような国の万策をいろいろ考えております。
 それは具体的にはさきに申し上げましたような補助率のかさ上げの問題にしても、起債の問題にしても、利子補給の問題にしてもあるいはもろもろの問題に努力をいたしておりますことは御承知のとおりでありまして、この再開発の問題に限ってこれはどうしますという具体的な問題を特別に制度化するということについては、これは全般的な行政とにらみ合わせて非常にむずかしい問題があろうかと思うのでありますが、新しい時代に適応してやるための苦労というものがいまの政治の大きな問題である、さように思っております。
#57
○瀬崎委員 四つ目の問題は、これも江戸川橋成功の特殊条件の一つと住宅局長が言われておった問題なんですが、首都圏不燃建築公社がかんでいる。結局、この公社が資金、技術、事務処理等で大きな役割りを果たしたわけなんです。恐らくこの公社がかみ合わなくてあれが成功したかどうかはまた一つ疑わしい。このように技術プラス資金プラス事務処理の能力にたけた者がかみ合わないと、複雑なしかも大きな金の要る再開発はたとえ小規模のものでもなかなか成功しないのではないかと思うのです。
 ですから、個人施行になった場合、その個人がこうした能力を持っているかどうかということが大変問題になるし、だから限られてくるのじゃないかと思うし、また大手デベロッパーなどと組んだ場合しか実行できないことになるのではないかという心配も持たれる。という点で、この改正で持ち込まれた新しい制度などが本当に関係権利者に役に立つのならばいいけれども、逆に大手不動産業者の進出を許すような結果にならないかという心配もある。こういう点はどうでしょう、大丈夫なんですか。
#58
○仮谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、そういったようないろいろ懸念がされておるわけでありまして、これはもう私どもは断じて防がなければならぬと思います。ただ、どこまでも再開発法という法律の中での個人施行でありまして、法律に基づいてそれなりの制約は受けるし、それなりの指導も受けるはずでありますし、その趣旨に反する場合においては問題にされない、取り上げないということであります。またそうせなきゃなりません。そういう意味において、あくまでも善意に協力されて、そして法の目的が遂行されるということなれば、個人といえども組合といえどもこれは考えるべきだと思っております。
 ただ、先ほども少し申し上げましたように、これから住宅問題、宅地問題を解決していくために、土地の所有者というものは、かなり大手なんかに一応握られておることは、これは率直に申し上げます。私は、そういうものをむしろ公の目的のために活用するということをこの際考えなければならぬのじゃないか。大手だからだめだといってほっておいてはならない。むしろ、それを宅地の少ないときに、住宅の困窮しておるときに大いに活用することを工夫せなきゃならぬのじゃないか、そういうふうに思っております。妙な言い方になりますが、口も出すがそのかわり援助もする、むしろ逆に、援助もするが口も出す、国もそのくらいの覚悟でこの問題を取り上げていく必要があるのじゃないか。これは一般論としてです。
 そういう意味で、この個人施行の問題はいろいろ議論の余地はあります。ありますけれども、あくまでも法律の中の個人施行としてその制約のもとに行わすべきであって、その趣旨に沿わないものに対しては、われわれは決して援助もしないし、あるいはそれを取り上げてやるべきでない、こういう考え方を持っておりますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
#59
○瀬崎委員 大体いま大臣の考えている方向で個人施行はどういうものをこの際生かそうとしているかわかりました。
 ただ、現実の問題として、普通一般に考えるそういう不動産業者外の関係権利者ということになると、いまのこういう再開発を実行し得るような技術とか資金とかあるいは複雑な事務処理をやる能力はないんだということも認識してほしいし、さて、援助はするが口は封じられるということになりはしないかという心配は依然としてつきまとうということは申し上げておきたいと思うのです。
 結局、こういう江戸川橋の例を見ておりますと、この成功要因は特殊的であり、問題点の方は一般的である、こういうふうに一言で言えば言えるのではないかと思うのですね。こういう点がもっと明瞭に出ておるのが金沢市武蔵ケ辻の第二街区、第三街区の場合だと思うのです。しかも、この場合は第二街区は一応表面的には成功し、すぐ隣の第三街区が暗礁に乗り上げて、そういう点でも一地方都市の問題ではあるけれども、全国的にも注目されるに至っているのではないかと思うのです。
 まず、一応工事の完了をしました第二街区なんですが、これについても建設省はそれなりの評価はしていると思うのです。ここがとにかく完了にこぎつけ得た要因というものはどのように考えておるか。
#60
○吉田(泰)政府委員 武蔵ケ辻の第二地区の再開発事業は、金沢の都心の一つを形づくるという枢要な地位にありまして、市当局としても、あるいは地元の地区の方としても、挙げてこれを実現したいという熱意に燃えていたというところでございます。特に武蔵ケ辻を取り巻く四つのブロックの中で最も重要な地位を占めるということから、いわば武蔵ケ辻全体の繁栄の原動力、この核となるという期待が込められて、それなりの強い協力一致の要請がこの完成を見たものと考えております。再開発ビルに入りましたキーテナントとしましても、ちょうど道路向かいの隣接地にあった地元の百貨店が入居しております。そういう意味でも評価できる事業ではないか。ただ、地区外転出者がかなりの数に上ったということは、再開発法の趣旨から見て残念でありますが、これは結果としてそうであったということでありまして、いろいろな要因が基盤にあって、地元権利者も市も全面的に努力を傾けたというのが完成に至った要因だと思います。
#61
○瀬崎委員 江戸川橋のような明確な要因というものをつかんでいらっしゃるのかどうか疑問に思うのですが、私もこの現地へはいままで三回も行っているのであります。市当局者並びに関係権利者等からも事情は聞きましたが、大体第二街区がとにもかくにも成功にこぎつけ得た理由のまず第一は、もともとここに市場があったのですね。これが移転をいたしましたために、土地だけ残っておった。建物もついておりましたが、人が住んでいないので、幽霊屋敷とかなんとか言われておったのだそうであります。ですから、こういう点では結局所有権と建物はあるけれども人は住んでいなかったという事情から、事務的にも処理が非常に早くいった。これは何よりもこの地域の成功にこぎつけ得た第一要因であった。これはだれもが言っております。
 第二は、いま局長の話のあった、片町に中心を奪われつつあるので、武蔵ケ辻にもひとつ大きな商業中心地をつくりたいという、確かにこういう熱意があった。
 三つ目は、ここは交通量の非常に多い交差点なので、道路整備の必要に迫られていた。
 それから四つ目は、これは商店街的な中心部をつくるという、それとかみ合うわけですが、そのキーテナントとして、核として名鉄丸越百貨店を、これは市が誘致したと言っておりますけれども、この第二街区に組み入れることができた。
 大体この四点がこの第二街区成功のいわば主たる原因であるというふうに聞くわけなんですね。ですから、この点でも果たしてこの第二街区の成功がたとえば隣接地の第三街区に結びつく、あるいはその他の金沢市一般で計画している都市再開発に当てはまるかどうか、この点は非常に大事な点だと思うのです。建設省はこれをどう見ますか。
#62
○吉田(泰)政府委員 御指摘のように、この地区の特殊性から来る成功の要因と、金沢市あるいはこの地区周辺の一般性から来る要因と、両方あるわけでございまして、一般性の方の要因は他の地区についても共通している面が多いわけですけれども、特に再開発前の現状において差のある場所については、ここがうまくいったからといって、同様にいくという保障はないと考えております。
#63
○瀬崎委員 特に中小都市の場合、あるターミナルにこのような非常に有力な資本を持った大きな百貨店、と同時にここはホテルも人っておるわけでありますが、こういうものができたときに、すぐその隣接地に第二、第三の同じタイプの再開発が可能だろうか。この点はどうでしょうか。
#64
○吉田(泰)政府委員 これは武蔵ケ辻を片町香林坊と並ぶ都心として育てていきたいという市当局の気持ちでもあり、地元の地区の方の気持ちでもありますので、そういう意味ではいま計画されている程度の再開発及びその再開発による主として商業機能の集積というものは、当然期待されてしかるべきではないかと考えます。
#65
○瀬崎委員 そこの認識がずいぶん現地と違うのですね。あれだけの大きな百貨店が、ほかにもあるわけなんですが、とにかく一つ片町にできて、相当有力なホテルもできたとかいう場合に、隣にスーパー形式のものとかあるいは専門店街的な商店街をつくるにしても購買力その他の点から考えて、一番角っこにつくられた現在の第二街区のスカイビルに押されてしまって成り立ちにくくなるのではないか、恐らくよほど発想を変えた再開発であるとしても、そういうことにならないとそれこそ成り立たないというのが現地の偽らざる実態のようなんですね。ですから、私はやはりこの点第二街区の成功の評価というものは非常に大鵬になってくると思うのです。さらにこれは市が公共施行でやっているわけなんですね。公共施行でやりながら、中へ入ったものはいわばその地域の大手企業ばかりではないか、そんなものに公共機関が手をかしたのかというわれわれの批判に対しては、公共施行の理由として、道路整備を強力に推進しなければならないというのが市の使命であった、先ほど言いました交通の要衝だからというので。こういうことが公的機関が再開発手法をとる場合の主たる要因に一般的になっていいものかどうか、こういう点は一体どうでしょうか。
#66
○吉田(泰)政府委員 一般的に申せば権利者相番ってやれるところは極力そういう形でやるのが筋でありますし、あえて公共団体が乗り出すまでもないわけでありまして、公共団体はいろいろな意味で援助、指導するということが適当だと思います。ただ、地区がかなり大きくて、それを一挙にやるべき必要があるような場合、さらにはいまのような道路整備等と絡みまして民間権利者の手によることを期待することが困難なような場合に、公共団体がみずから施行してできるだけ早急にこれを仕上げるということもあり得るのじゃないかと考えます。
#67
○瀬崎委員 でき上がった結果が、先ほどから繰り返しておりますように、結局デパートとホテルと貸し店舗会社である武蔵開発株式会社の専門店街、中に入っているのは大きく分ければこの三つなんですよね。もともとの権利者がみずからの生活のためにみずから営業をしているというのは、私どもの聞いたところでは現在三人しかない。だから、もとの権利者でなお残った人というのは、みずからの店舗を貸しているかあるいは武蔵開発株式会社の役員という形で入って共同でその店舗の権利を持ちながら貸しているか、どちらかの形になっているわけです。しかも出ていった人は圧倒的に多いわけなんです。こういうことを金沢は非常に成功例として宣伝するわけなんですが、果たしてこれが公共施行の再開発のお手本と見ていいのかどうか、この点も大事な点だと思うのです。この点どうでしょうか、大臣でも局長でも結構です。
#68
○吉田(泰)政府委員 御指摘の事業につきましては、見た目にはかなりスムーズにでき上がっております。でき上がりの形も都心部にふさわしいような形態になっております。また、これを核として周辺地区全体が商業的にも繁栄に向いているというようなことで喜ばれているようでありますから、そういう意味では成功でありますが、再開発法がねらいとした再開発事業というものは、追い出す事業でない、できるだけ権利者に残っていただいて同じ地区の中で新しい生活、営業に切りかえていただくことにより、再開発後も従前に引き続きその地区の繁栄を担っていただくという趣旨から見れば、結果としてかなりの方が転出されたということでありまして、それぞれの御事情があっての転出希望を抑えるわけにもいきませんけれども、決して再開発法が本来ねらった線には即していない、そういう意味で一概に成功だと言い切ることもいかがかと考えている次第でございます。
#69
○瀬崎委員 そういうふうな第二街区のいきさつを踏まえながら、問題の第三街区の計画が暗礁に乗り上げた問題も検討しなければならぬと思うのです。いま暗礁に乗り上げております第三街区の具体的な問題に入る前に、現行法の運用に当たって建設省が行政指導上最も意を用いてきた点はどういう点か、これを何っておきたいと思うのです。
#70
○吉田(泰)政府委員 権利変換方式という新しい方式をひっ提げまして都市再開発法を提出した、これは前回のことでございます。そういうことでありますから、再開発事業というのは確かに街路や公園も整備し、オープンスペースをとり、防災上も役立て、あるいはできるだけ住宅も供給するというような公共的な目的のほかに、ほかならぬそこに住んでおられる地元の方々の新しい生活設計をそこの中で築くということでなければならない、こういうことでありますから、地区外への転出はもちろん希望により制度化しておりますけれども、それは例外であると考えるべきでありまして、そういう意味の再開発本来の使命に即して実施されることを、私どもは行政上の配慮としても最も重要なことと考えておる次第であります。
#71
○瀬崎委員 公共団体が一応みずから施行者になる場合には公共目的を掲げるわけなんですが、その意図する公共団体側の目的と、それからいま言われている尊重しなければならないというその地元の権利者の、言うなら描いている構想とが全く対立するようになった場合、この地元関係権利者の意見の尊重ということについてはこれを第一義的な問題と考えますか。それとも公共目的が第一義的あるいは公共団体側の意見が第一義的、地元関係権利者の意見は第二義的なものという形になるのですか。その点の行政指導の実態をお聞きしたいのです。
#72
○吉田(泰)政府委員 これは公共団体施行の場合は施行主体が公共団体ですから、公共団体の意向無視ということももちろんできませんが、確かにおっしゃるように、ほかならぬ地区住民の方の意向というものが第一であるべきでありまして、私どもも個別のいろいろな相談にあずかり、行政指導をする場合には、たとえば地元から非常に反撃されているような計画素案などにつきましてつぶさにこれを審査し、もっと意に即するようなやり方があって、しかも公共団体の公共目的も達せられるような計画変更ができないでもないじゃないかという意味から、公共団体を指導しているというのが実情でございます。
#73
○瀬崎委員 第三街区についてはどの点で対立しているかといいますと、まず心当局側の考えているイメージというのは、これは局長も御承知だと思うのですが、もともとはスカイビル、第三街区にできたような形の再開発を考えたわけなんですね。もちろんこれには前の道路の拡幅という問題が絡んでいる。つまり武蔵ケ辻を一体のものとして再開発事業をやりたいというのが市の希望、これに対して地元関係権利者側は、前の国道百五十七号線の拡幅については、再開発手法によらないでやってもらいたい。道路として拡幅するならば協力する。これが一つ。それから第二点は、土地共有の相乗りビルは御免だ。第三は、スーパーの導入には、もう第二ができ上がった現時点ではなじまない。第四は、住宅を乗せるにしても採算の問題から金沢では無理だ。第五は、現在地元で営業していらっしゃる業種から考えて、ビルに入って祖先から受け継いできた営業の続行は不可能になる。第六は、土地共有御免だというのと関係あるのですが、相当銀行などから土地を担保に金を借りている人は、その担保力が下がって銀行融資に非常に大きな影響を与える。そういうふうな形で意見が全く相対立してしまったわけですね。
 今日まで建設省は具体的にこの問題について相談を受けておられると思うのですが、どういう指導でこられたのか、まず伺っておきたいのです。
#74
○吉田(泰)政府委員 まず第二地区と同じようなスカイビルにして、地元の従前の営業形態の方が初めからどうも設計上入りにくいようなことになっているという点につきまして、私どもも地元の権利者の方々の意見も伺いましてよく検討いたしましたところ、そういう節が見られましたので、これにつきましては再開発事業の趣旨をよく念を押して伝え、それが非常なネックになっているという場合に、市の当初案を固執することは適当でない、だから地区の中におられる方でビルに入居される方は入れるような、そういうビル構造、間仕切りのあり方というもの変えて、新しい案で地元と折衝をしたらどうですかということを指導いたしました。
 ただ、道路買収には応じるが出開発の中で道路拡幅をするのは反対だという御意見につきましては、これはまあそういう方もおられますけれども、逆に道路用地に引っかかって川地買収方式ではいやでも移転せざるを待ないという方もいるわけですから、こういう人はやはり再開発方式であれば中に残れるわけでありまして、全体の意見というわけでもありませんし、また再開発ビルの建て方、その構造とか間仕切りのあり方につきましてはさっき申したとおりでありますけれども、やはり密集した中心街としてふさわしくないような現状は、これはやはり再開発事業によって面的に改善するという必要性があるのではないか、そういったことから買収方式に切りかえて用地にかかった人を買収してしまうということは、私どもとしてもとれないと考えておるところでございます。
#75
○瀬崎委員 さらに市当局に私どもがいろいろ説明を聞いた中で、今日一種の膠着状態に入った要因として、市の言葉をそのまま使うなら、第一の挫折となった理由は、オイルショックで土地の値段や建材が高騰し、土地と建物の資産評価ができない状態になった、権利変換計画及び資金計画が立たないことが決定的であるんだ、このように言っているわけなんですね。果たしてオイルショックという経済情勢の変化があったからこの第三街区は挫折の第一歩が生まれたのかどうか、ここらの認識も私は非常に重大な問題だと思うのです。むしろそれよりも、一体としてどうしても整備するんだという都市計画決定の基本的なあり方に問題があるのではないか、あるいはこの都市計画決定時点に問題があったのではないかというふうにも考えられるのですが、その点まで建設省の方ではいろいろこの問題について検討してみておりますか。
#76
○吉田(泰)政府委員 このオイルショックは全国的に、ひとり金沢に限らず襲った重大問題でありまして、その中に巻き込まれて、金沢市当局としても大変めどが立ちにくかったことは事実だと思います。ただ、私どもは、その理由も小さくないとは思いますが、それがもう最大、唯一と言ってもいい理由というわけにはいかない。やはり先ほど申したように、当初の市の再開発ビルの構想自体に地元が受け入れにくい要素があり、その間の十分な理解と同意を得るべく積み重ねなければならない努力が不足しておって、ために暗礁に乗り上げたのではないか、その要因の方がむしろ強いぐらいではなかろうかと思います。ただ、都市計画の決定あるいはその時点につきましては、私どもは別段のことはないんではないか、むしろその都市計画を踏まえて、同じ再開発をするにしてもその仕方、特にそのビルのあり方というところに一番の問題があるのではないか。したがって、これにつきましては現在、市も新しい案を素案として示しているようでありますから、そういったものを土台とし、さらに意見を十分煮詰めて協力が得られる体制にして、一日も早く実行に移れるように持っていくべきものと考えます。
#77
○瀬崎委員 これは、私どもが今後民主的な都市再開発が進むことを期待する場合、非常に大事な点だと思う。その一つになるのですが、都市計画決定前に、金沢のここの場合も関係権利者から意見書が出されておったわけなんです。これに対して市当局がほとんど答えなかったという実績が残っているわけなんでありますが、こういう点で、もしも建設省の方でその当事の事情について詳しい検討がされていないとするならば、ぜひ一度、どういう意見書が出て、この意見書がどう処理され、どのように都市計画決定に、まあこれに反映されなかったのですが、反映されない状態になったのかということを明らかにしてもらう必要もあろうかと思うのです。その点、よろしいですか。
#78
○吉田(泰)政府委員 都市計画決定の際の意見書及びその書類については承知しております。もしそれ以前に何らかの意見書が別途に出されているというのであれば承知しておりませんので、早急に取り寄せ検討したいと思います。
 都市計画決定の際の意見書というものは、いろいろ個別意見も出ておりますが、一つには住宅建設の目標が少ない、だから追い出しに初めからなるようになっているのじゃないか、二番目が資金計画すら不明であって、建築物の規模から見て権利者に過大な負担がかかり、スムーズに入居できるとは思えないというような趣旨のものでありまして、これにつきましては、住宅建設の目標は、都市計画決定に先立って実は地区住民の方の意向を打診した、その結果に基づくようでありますが、これはもちろんその後、住宅としての入居希望者がふえればそのふえたように変更するという処理ができるわけであります。また、そうしなければなりません。それから資金計画などは、都市計画決定の段階ではなかなか決まらないわけでありまして、事業計画というその後に続く具体的な場合に計画の中で取り込まれてきます。いずれにしても都市計画そのものの可否ということの判断要素ではなく、その後の事業計画のあり方の要素と考えまして、採択しないという処理をしたようでありまして、私どもも都市計画決定の性格から見まして不当なこととは思っていないのでございます。
#79
○瀬崎委員 いま挙げられた二点の中に、暗に、関係権利者が都市再開発方式そのものに非常に難色を示しているという意味が、地域の事情に通じた人なら読み取れたのではないかと思うんですね。ですから、現行法で言う都市計画決定時点の意見書の扱いがもしよいとするなら、むしろこれは今後そういう意見書が出たときの実情調査などを含めて、もし少し慎重な扱いにしなければならないような方式に法律の方が改められなければならないんじゃないかという感じを私たちは持っているわけなんですね。この点は今後われわれも大いに検討をしたいと思っている点なんですが、金沢市当局のこういうふうな態度、方針等に対して、結局建設省は最終的に事業認可の段階ではないという判断で行政指導をされているし、市当局もそういう指導を受けている、こういうことなんです。この指導が実際にあったのかどうかということと、この段階ではないということは、いいつかかそういう段階が来ることを予想しているのかどうか、こういう点について建設省の意向を聞いておきたいのです。
#80
○吉田(泰)政府委員 まだ事業計画の段階でないという……。
#81
○瀬崎委員 知事の事業の認可の段階ではないということですね。
#82
○吉田(泰)政府委員 そういうお話でございますが、これは先ほど申しました、第二地区的な何か大きな間仕切りで大きなものを入居させるようなことを前提としたようなそういうビルの設計、それを土台とした当初の事業計画というものは適当ではないんじゃないか、その点をまず改めることから始めなければ円滑に進まないではないかという意味で、私どもから市当局に指導したことはございます。昨年暮れごろでしょうか、新しい素案ができまして、それもまだ一つの案に固まっているのかどうかわかりませんが、いろんな考えられる案、要するに地区住民の方が入居しやすい形のビルの案を示しておりますから、それによって納得が今後得られるのならば、やはりいつまでも放置しておくということは好ましくないわけでありまして、事業計画の速やかな決定を望みたいところであります。要は、事業計画の決定ができる段階まで地元権利者間の話を煮詰めてもらいたい、その土台となるものは現にできてきたと思いますから、それを基礎にさらに詰めてもらいたい、こういう意味でございます。
#83
○瀬崎委員 その、いまの、小さな間仕切りにして現在の店舗を張っているのに比例したような形の配置という図面もわれわれも見たけれども、それも現在では検討に入ろうというふうな機運が私どもにはあるように見れないのですね、関係権利者の間では。二十六人中現在十三人の権利者が地区外に転出をされているわけなんです。この地区外転出をされた権利者に対しては、市が土地を買い上げる形式をとっております。全体の事業に対する全権利者の意思統一がないまま、市当局が切り崩しととられるような形の用地買収を個別に進めたことは、再開発の趣旨から言って本流のやり方かどうか、この点はどのようにお考えですか。
#84
○吉田(泰)政府委員 まあこの地区は市としては再開発事業の方式でぜひやりたいと言っております。先ほど申した理由から、私どもも画開発方式そのものは最も適切ではないかと考えますから、そういう意味で、再開発ビルのあり方等を基礎とした練り直しによって、関係権利者との合意を得べく最大限の努力を続け、その成果を待って再開発事業に踏み切る、着工するということを考えているわけであります。
 ただ、いろいろ当初の案を出し、それまでにも時間がかかった上に、かなり基本的な練り直しを行いましたその間に相当の時日を要しまして、地区外に出て新しい生活設計を考えた方がいいというような御意向の方も次々と出られまして、そういう方のためには、やはりもう少し待てということもいかがかということから、市は積極的にこれを先行買収したという経緯であります。いかにも切り崩しのように見られるかもしれませんが、必ずしもそういう意味ではなくて、やはり再開発事業といえば本来残れる事業なのでありますから、残りたい人の分まで買うはずもありませんし、また買えないわけでありますから、これはやはり地区外に転出を希望される方、それがすべて決着がついてからしか買えないというわけにもいかないということで先行買収した。要は、計画を決めましてから実際に着工するまでに時間がかかり過ぎているところからも出てきているものと考え、今後のいろいろなあり方については十分反省の素材といたしますけれども、この地区に関する限り、そういう結果としての姿になっているわけでございます。
#85
○瀬崎委員 それが皮肉な結果を招いたわけなんですね。結局、その地に残りたいという希望者十三人、あるいは十三人とも言われますが、本来ならそれらの人々の自発的意思が基礎になって再開発は進められなければならないのに、それらの残りたいと言っている人々全員の反対を受けるということになってきて、現在残っている関係権利者に再開発の推進希望者がないという状態が生まれ、市だけが推進者だという、こういう関係でいま残ってしまっているんですね。しかも市は、そういうふうに約半分の人の土地を買い上げていますから、ここまで来たらやめるという即断はできない、こういうふうに言う。しかも、言っている一方で、市は、権利者の意見はよく聞かなければならず、地元権利者が反対であればやれないとも言っているわけであります。これはもう都市局長も、三分の一の反対があったらとうていやれない、ほぼ全員同意がなければこんなものやれるものじゃないと言っていらっしゃるから、これはあたりまえのことだと思っている。では解決はどうするのかといえば、もうここまで来たら国にお任せするしかないという発言とか、あるいはこういうケースが解決できるように法律の方を考え直してもらうしかない、こういうふうに市は言うんですね。建設省においては一体どう法律をこの場合運用をしていこうと考えるのか、あるいはまた、改正案を含めて考えてでも、解決の方向がげたを預けられた国にあるのかどうか、この点は一体どうですか。
#86
○吉田(泰)政府委員 御指摘のように、むしろ再開発やむを得ないというような態度の方がむしろ先行買収を受けまして地区外に出てしまったということで、残っている方は、数は減りましたが主として反対の方になったということであろうと思います。しかし、再開発そのものも反対ということもあるでしょうけれども、これもやはり、要はその再開発のあり方、再開発による非常な生活の激変とか権利床の評価の比較の問題とか、そういったところが詰まっていくべき主たる事項ではなかろうか。理由なしに再開発に反対するということでも必ずしもないと思いますから、内容をその意向に即していろいろ修正し、是正していくかたわら鋭意折衝を続ければ、これは何が何でも反対ということでもないと私どもは思います。そういう意味で、仲立ちになって役立つものなら私どもも仲裁役を逃げる気持ちもありませんけれども、しょせんは市の事業でありますし、また、事業の対象となる地区の方はほかならぬ権利者でありますから、両者で十分成り立つような話をする場は今後の努力によって持ち得るはずと確信いたしております。
#87
○瀬崎委員 はずと確信とおっしゃるわけですけれども、すでに建設大臣あて直接に地元権利者十四人、現在ここから一人は外に出られましたから十三人ですが、全員の陳情が出ているわけなんです。これは御存じだと思います、都市局長が会われましたから。全体としてはもう一遍白紙還元してほしいこと、それから国道百五十七号線の拡幅には協力するということ、それから現在のすし屋とか、菓子屋とか、ブリキ屋とか、理髪店等は営業の継続は困難であるというふうな点が反対陳情になっているわけです。これはちゃんとやはり政府も受け付けているわけです。
 さらに都市再開発法についての施行についての次官通達が昭和四十四年に出ております。この中にも「市街地再開発事業の施行が予定される地区については、法定手続に入る前に説明会の開催等により、法の趣旨及び当該地区における再開発計画の概要を関係権利者に十分かつ具体的に周知させ、事業に対する積極的な協力体制が確保されるように努めること。」、わざわざ建設省もこういう指示をしておる。ところが先ほどから局長も認めておられるような市当局のいろいろな不手際も重なりながら、全体としては相反する方向に向いてしまっている、こういう現状を考えられたとき、局長の考えはすでに出ておりますが、大臣にお尋ねしたいのです。確かにこれは暗礁に乗り上げたということになっていると思うのです。この地域に、せっかくの建設省の通達なども踏みはずして相当無理な方法で都市再開発法を適用したいというふうに考えられるかどうかということ。そもそも現在の状況でこの都市再開発を推し進めることに無理があるのではないかというふうにお考えになるか、それともこういう場合の打開の道を示していない都市、再開発法や現在の改正案の方に問題があるのか、どうお考えになりますか。
#88
○仮谷国務大臣 いろいろお話を承りましたが、都市再開発法にしましても、あるいはその他の問題にいたしましても、地元住民が、いわゆる権利者が納得をし、了解をして、そしてやろうということにならなければできないことは、これは申し上げるまでもありません。私どもは、そういうふうに地元の権利者が一致してやろうということでまず態度が決まって、そのためのあれこれ条件がいろいろあって、その条件が市当局と十分相談をして聞けるものならできるだけ最大限聞こう、こういう考え方を持っておるわけでありますが、私この問題、直接のところも現実の問題もよく知りませんけれども、いまあなたの話を聞く限りにおいては、地元の関係者は全部反対だ、要するに再開発は反対だ、こういうふうに聞き取れるわけでありまして、地元が全部反対だというものをやれるはずはございません。ただ、市当局の意見も聞いておりませんが、市当局はまだ全く反対じゃなしに、何らかの方法でこの問題を進めたいという気持ちがあると私は承知をいたしております。その場合に、地元と市との考え方がどこまでギャップがあるのか、話し合いをして一致点を見い出すことができるのかできないのか、これは私よくわかりません。この問題はもう少し当局の意見を調整してみる必要があると思うのでありまして、そうして話し合いがある程度まとまって、そしてそれに対して国が聞けることならそれは最大限の努力はしなければなりません。ただそれかと言って、この再開発法はその地区だけの再開発法じゃございません、全国一律にやらなければいかぬ問題でありますから、その地区の特殊事情のためにこの法律を特別に改正しなければならぬということはあるべきことじゃございません。いずれにいたしましても、この問題は市当局が十分努力をされて、そして一致点を見出すなればその方面に向かって努力をしてもらいたい。われわれは聞けることなれば最大限の聞く用意は持っております。ただし関係者がおっしゃるように、いまあなたが言われた範囲とすれば、これは全く反対だということなれば、これはやれるはずはありません。地元の住民が全く反対だということを私どもはやる意思は持っておりません。
#89
○瀬崎委員 結局この問題は、金沢市当局が公共の施行者になった、そうして一定関係権利者の意思に何らかの強制力を加えてまで事業を遂行しようとするにしきの御旗は、今日ではもう国道百五十七号線の拡幅ということだけになってしまったのですね。最初考えておったビルの様式その他は、もう局長言われたように、全部これは崩れてしまっておるわけなんです。そうなってくると、国道百五十七号線の拡幅に対して、権利者側は買収方式でやってくれるなら協力しよう、これは直接買収に当たるところの人も裏側の人も含めて、そういう趣旨の陳情を政府に行っているわけなんです。ですから、あえてその中に違う態度の人もあるんじゃないかと言われるのは、また違った陳情書が出れば別として、現状ではそう政府が考えるのは妥当じゃないと思うのですよ。ですから、もしも建設省の方で、これは道路局になると思うのですが、再開発地域について現在は都市計画決定がされていますが、こういうものがまた変えられるということになってくるならば、道路としての拡幅を考えましょうということになるならば、これも今後の話し合いの進展には大変役立つのではないかと思うのです。こういう点で、まずひとつ国道を管理する道路局の方にこれは聞きたいと思うのです。
#90
○井上(孝)政府委員 この先生の御指摘の武蔵ケ辻区間は、御承知のようにかつては国道八号線が通っておりました。非常に交通が渋滞したところでございます。したがいまして、国道整備事業といたしましては、数年前から金沢バイパスをつくりまして、昭和四十七年に二単線完成し、昨年ようやく四車線のバイパスができまして、国道八号はこのバイパスの方に切りかえたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、渋滞いたしておりました金沢を縦貫するこの国道の第一段階の整備事業は終わったというふうに考えております。しかしながら、八号線はバイパスへ切りかえましたが、実は金沢市から鶴来を通って白峰の方に参ります元二級国道の百五十七号線が重用しておりましたので、それがいまの道路に残っておるわけでございます。したがいまして、私どもとしてはこの道路を国道事業として拡幅していくプライオリティーといいますか優先順位は数年前と非常に変わりまして、非常に低くなったわけてございます。したがって、いま五カ年計画等では、道路事業としてはここの拡幅は考えておらないわけでございます。しかしながら、先ほども御質問がございましたように、この町づくりと一緒に百五十七号をこの区間広げようということで都市再開発事業が始められたというふうに心得ておりますが、もしいろんな事情でこの第三地区の都市再開発事業が実施不可能であるということになりますと、現地を御承知のように、第二地区のところがすでに広がっておりまして、この第三地区のところの数十メートルだけがボトルネックになっておりまして、非常におかしなかっこうになります。したがいまして、万一この都市再開発事業が実施不可能だ、廃止されるということになりましたならば、やはり百五十七号国道事業あるいは街路事業で、この区間だけは少なくとも拡幅せざるを得ないんじゃないかというふうに考えております。そういった事情になった段階で、道路事業としても考えてまいりたいと思っております。
#91
○瀬崎委員 そういうことですから、結論としては地元側の考え方が変わればそれに対応して建設省は道路事業としての拡幅はやる、こういうことなんですね、大体そういう趣旨に受け取ったのですが。
#92
○井上(孝)政府委員 地元といいます中には、やはり施行者であります金沢市も含め、あるいは場合によっては県も含め、この都市再開発事業、いまやりかけのものが完全に廃止されて中止になるという段階であります。
#93
○瀬崎委員 これは大臣に、先ほどの答弁と合わせてお願いしておきたいのです。一度われわれは住民側の意見も自治体側の意見も両方聞いてきて、確かに自治体はまだやろうとしている、地元側は、残った人はますますやってほしくないというふうに固まってきていると感じるのです。道路は道路として整備することも将来考えるという話も出ましたから、これらをかみ合わせて、あの地域が住民の要望を基礎にしながら公共性を十分に加味した姿に変えられるように、建設省としてもここまで来た以上、調整の役割りを果たしていただきたいと思うのですね。
 最後に、現在までの私の論議の経過から見て、都市再開発事業を都市計画として決定する以前に、住民本位の町づくりの立場からは住民が何らかの形で参加する、こういう方式をとる都市計画が作成できるような法改正が必要ではないかというふうに第一点考えますし、第二に、法律に基づく都市再開発では、周辺地域の居住環境整備が十分に行えないというか、その調和を何らか制度的に遂行するという保障がない、あるいはまた周辺住民の意見を直接的に都市再開発に反映する道がないという点でも、住宅関係法を含めた関連法律のさらに抜本的な見直しが必要なんではないかと考えますし、第三には、しばしば指摘される弱小権利者への優遇措置、それから再開発後の家賃高騰の防止措置、防災上緊急な整備を要する住宅過密地域での整備事業の推進等々に対して、大幅な国の助成を行い得るような制度改正という点で不備がある、こういうふうな感じがしました。以上の点から、今回の改正は、まず第一に不十分だということを言わなければならないし、運用のいかんによっては個人施行の問題など、逆用される面もあるのではないかというふうにも感じ、こういう面で後退しなければいいがという感じを持ったわけであります。
 こういう点を指摘して、一応私の質問は終わりたいと思います。
#94
○天野委員長 次回は、来たる六月四日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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