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1949/04/24 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 水産委員会 第36号
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1949/04/24 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 水産委員会 第36号

#1
第007回国会 水産委員会 第36号
昭和二十五年四月二十四日(月曜日)
    午前十一時三十五分開議
 出席委員
   委員長 石原 圓吉君
   理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 平井 義一君 理事 松田 鐵藏君
   理事 林  好次君
      小高 熹郎君    川端 佳夫君
      田口長治郎君    田渕 光一君
      玉置 信一君    冨永格五郎君
      永田  節君    福田 喜東君
      井之口政雄君    水野彦治郎君
 出席政府委員
        農林事務官
        (水産庁次官) 山本  豐君
 委員外の出席者
        参議院水産委員
        長       木下 辰雄君
        衆議院参事
        (法制局第三部
        長)      鮫島 真男君
        参議院参事
        (法制局第三部
        長)      中野 哲夫君
        衆議院水産委員
        会専門員    杉浦 保吉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律
 案(参議院提出、参法第五号)
    ―――――――――――――
#2
○石原委員長 これより会議を開きます。
 日程を変更し、漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案、参議院提出第五号を議題といたしまして、提案理由の説明を求めます。なお参議院水産委員長木下辰雄君、水産庁次長山本豐君、衆議院法制局第三部長鮫島真男君等御出席であります。参議院水産委員長木下辰雄君。
    ―――――――――――――
#3
○木下参議院水産委員長 漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を簡単に御説明いたします。
 この法案は、長崎県、熊本県、福岡県及び佐賀県より切なる陳情、請願がありまして、前国会の漁業法の御審議の場合に、これも合せて改正する予定で進みましたけれども、何分七十数箇所の改正でありますので、これは次の改正にいたすことにし、なおその節もオーケーはとつておりましたけれども、今回再びオーケーをとりました法案であります。
 御承知の通りあの海区は非常に複雑な海区でありまして、四県の間で絶えず紛擾がありまして、どうしてもこれを円満に解決するためには連合海区調整委員会を常置して、事務局をつくるということが一番いい方法であるという結論に達しまして、提案いたした次第であります。
 法文はきわめて簡単でありまして、有明海連合海区漁業調整委員会と有明海漁業調整事務局というものを法案に掲げるだけであります。有明海と称するのは、長崎県口之津町瀬詰崎から熊本県湯島中央三角点を経て、三角町柴尾山西南に至る直線及び陸岸によつて囲まれた海面でありまして、これに調整委員会をつくりますが、調整委員の数は、海区漁業調整委員会から互選されたものが県に一名ずつ、都合四名であります。それに学識経験者二名を加えて、六名をもつて委員会を組織することに相なつております。それから事務局の職員でありますが、これは大体六名程度の人員であります。これに対する経費が約八百万円ばかりいりますが、これは水産庁の方で都合をつけて、すでに出すことに決定いたしておるのであります。定員法の問題でありますが、これは六名の増加のことは政府に要望いたしておりますが、もし要望が通らぬ場合においては、水産庁の方で都合をつけてもらうということに相なつております。
 水産庁設置法の一部を改正する法律案は、この改正に附帯して、水産庁設置法の一部を改正するだけであります。ほかに複雑な問題はないのでありまして、この案に対しましては、四県が一致して要望しておる問題でありまして、私どもその願意を十分に尊重いたしまして、今回提出いたしましたのであります。どうかひとつ衆議院におかれましても、慎重御審議をお願いしたい、至急法案の通過をお願いしたいと思います。
#4
○石原委員長 提案理由の説明を終ります。これより本案について質疑を行います。鈴木善幸君。
#5
○鈴木(善)委員 参議院提案にかかります漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案を審議するにあたりまして、この法律案は、さきに衆議院を通過いたした漁業法の一部を改正する法律案と、非常に条文上関連があるわけであります。すなわちさきに衆議院を通過いたした漁業法の一部を改正する法律案の改正点でありますところの第八十二条第二項、あるいは第百九条の見出し及び同条第一項から第九項、あるいは第百十条、第百十一条、第百十六条、第百十七条等、衆議院の提案いたしました法律案と同じ条項の改正に相なつておるわけであります。そこで主として法制技術的な面から、衆議院の法制部長並びに参議院の法制部長に対しまして、法制上の取扱いについて御意見を伺いたいと思うのであります。衆議院の漁業法の一部を改正する法律案では、第八十二条第二項中瀬戸内海連合海区漁業調整委員会の下に「及び紀伊水道連合海区漁業調整委員会を加える」こういうぐあいにいたしておるわけであります。この衆議院の改正は院議をもつて決定を見ておりまして、現に衆議院としては、この法律案は案として生きていると解釈いたしておるのであります。そこで私どももこの参議院提出の法律を審議いたします場合には、瀬戸内海連合海区漁業調整委員会、紀伊水道連合海区漁業調整委員会の下に「及び有明海連合海区漁業調整委員会を加える」、こういうぐあいにいたさなければ、さきに院議をもつて通過いたしました衆議院の法律案が生きておるという建前をとつております関係から、取扱い上困難を感ずるように思うのであります。これは、その他の条項においても同様なことが言われるわけでありますが、これに対する法制部の御見解を承わりたいと思うのであります。
#6
○鮫島法制局第三部長 お答えいたします。さきに衆議院を通過いたしました漁業法の改正法律案は、これはすでに成立しておりますところの、現行の漁業法を中心として改正を加えたものであります。それからただいま議題になつておりますところの参議院から送付になりました漁業法の改正案も、すでに成立しておりますところの現行漁業法を基礎にして改正しておりますので、さきに衆議院を通過した漁業法の改正案と、ただいま議題になつております参議院から参りました漁業法の改正案とは、現在のままでは多少法律技術的に見まして矛盾している点が見られるのでございます。ただ、ただいまお述べになりました第八十二条について申しますと、これはどういうことになるかと申しますと、もし衆議院側から提案しました漁業法の改正案も、それから参議院から提案になりました漁業法の改正案も、いずれも議案のままで通過しましたとしますならば、結局どちらが先に施行されるかということによつて多少かつこうはかわつて来ますけれども、いずれにしても八十二条自体は、規定の体裁は多少悪くなりますが、法律的にいつてさしつかえないじやないか、もう少し具体的に申し上げますと、衆議院提出の法律案が先に法律として成立して施行になる、それから参議院の方があとから通過してあとから施行になつたといたしますと、でき上つたかつこうは、多少普通の場合と違いまして、体裁は悪くなるのではございますけれども、その場合には第八十二条のところはその両方が二つとも施行された最後の段階においてどういうことになるかと申しますと「瀬戸内海連合海区漁業調整委員会及び有明海連合海区漁業調整委員会及び紀伊水道連合海区漁業調整委員会」というかつこうになります。またこの通過と施行が逆でございまして、参議院の方が先に成立して先に施行される、次に衆議院の方があとから通過して、あとから施行になりますと、この両法律が施行になつたあかつきにおきましては、そこの関係が今度は「瀬戸内海連合海区漁業調整委員会及び紀伊水道連合海区漁業調整委員会及び有明海連合海区漁業調整委員会」というふうになろうかと思います。ただこういう場合には、普通でございますとA及びB及びCという形にはしないのでありまして、A、B及びCあるいはA、C及びBとということになるのでありますが、この場合はA及びB及びCというぐあいに、普通とちよつと違つた体裁になりますけれども、しかし法文として全然読めないということはないかと思います。それで八十二条は法文の体裁は先ほどから申しますように、多少普通の場合と違つた体裁になりますけれども、問題はむしろ次の百九条にございまして、この百九条は両法律が通過して施行になりますと、この関係はこれはもう何とも救いがたい、もう少し具体的に申しますと、衆議院の提案になつております百九条は現行の百九条を全面改正して法文ができておるのでございます。この衆議院の法律が先に通過して施行になりますと、現行の百九条は、先に衆議院で改正になつたようなふうに改まるわけでございます。ところが今度参議院の提案によりますと、やはり百九条の一項を全面的に改めているのであります。そういう関係で、衆議院の方が先に成立して施行になり、あとから参議院の方の法案が成立して施行になりますと、衆議院側からの法律で改正されましたところの百九条の第一項の「瀬戸内海に瀬戸内海連合海区漁業調整委員会を、紀伊水道に紀伊水道連合海区漁業調整委員会を置く。」という規定は、今度参議院側の法律によつて、全面的に改正されまして、「瀬戸内海に瀬戸内海連合海区漁業調整委員会を、有明海に有明海連合海区漁業調整委員会を置く。」ということになりまして、あとから通つた法律によつて、前の法律の中の文句は全部かえられる関係で、紀伊水道の関係が消えて行くわけであります。それからもし、参議院側からの法律案が先に通過して施行になりますと、この百九条一項は「瀬戸内海に瀬戸内海連合海区漁業調整委員会、有明海に有明海連合海区漁業調整委員会を置く。」こういうふうに条文がきまるわけであります。そうしたあとで、衆議院側の法律が成立して施行になりますと、衆議院側の法律で、また百九条を全面的に改正しておりますので、参議院側で提案になりましたこの百九条一項が、また消えてしまうということになりますので、このままではどうも百九条は困るのではないか。やはりもしこの両法律の内容をいずれも成立させるということになりますならば、いずれかの法律を修正しなければならぬ、こういうことになるのではないかと思います。
#7
○鈴木(善)委員 参議院の法制部長の御見解も、鮫島部長の御見解と大体同じでありますかどうか。
#8
○中野参議院法制局第三部長 大体鮫島部長が申されたと同様でございまして、現行法に対する改正法律案は、参衆両院の議院がそれぞれ独立して提案されるわけでございまして、この場合、あたかも同じ条文の改正を両方から独立してお出しになつたわけでございますから、国会としての決定は、いずれを先にやられるかということは、それは政策の問題でございますが、法律的に申しますと、初めに一院から提案されました現行法に対する改正案を、他院の政策を盛り込んで修正される、こういう形になりますから、参議院か衆議院のものを修正されても、衆議院が参議院の改正案を修正されても、けつこうなわけであります。それは法律的にまつたく同様であります。
#9
○鈴木(善)委員 法制当局の御見解はわかつたのであります。そこでこの問題は、どうしても両院の委員会の合同の協議会によつて善処しなければならぬ問題に相なるかと思うのでありますが、この際私が私見を申し上げますならば、先に衆議院を通過いたしました漁業法の一部を改正する法律案は、すでに二週間以上参議院に送付されてから経過いたしているわけであります。でありますから、参議院の側におきまして、衆議院の法律案を可決されるなり、あるいは否決されるなり、あるいは修正されるなり、さきに送付された衆議院案を基礎とされまして、参議院側において、この有明海の問題をも含めた総合的な案をおつくりになつて、衆議院に御回付いただくことが適当であつたと私ども思うのであります。これはオーケーの手続等の関係もあつたろうと思うのでありますが、主として参議院側において、この両法案の調整をお考えをいただくということが、私の率直なる希望であるわけであります。もしも参議院側において、衆議院側の案を否決なり、あるいは修正なり、早くそういう態度が御決定になりますれば、それに基いて、衆議院側としても、この案を修正ないし調整いたしまして、成立せしめることができると思うのであります。この点について、参議院の木下委員長の御所見をお伺いしたいと思うのであります。
#10
○木下参議院水産委員長 衆議院からまわつて来ました一部改正案は、現在議中であります。これは重要な問題でありまして、あらゆる機関に嘱託をして、目下慎重資料を集めておるのであります。また、ただいま委員二名が現地へ参りまして、二十五日に帰つて参ります。二十八日に証人喚問をいたします。こういう手続をいたしておるのでありまして、これはすでに衆議院で決定した案でありまして、それに対して、私どもの方では十分敬意を持つて、慎重審議いたしておりますが、参議院から出しましたこの案は、これは私どもの立案しましたのは、第六国会中でありまして、これまた私どもの方では、十分慎重審議して立案したのであります。ただいま法制当局のお話によりますと、とにかくおのおの独立して審議し得るというような御発言だつたと私は聞いております。それで今参議院においては、参議院を通過したこの案について、これを再び修正して、あるいはこの案を変更して、また参議院に出すというわけに行きません。それでこれを衆議院におかれまして、とにかくおのおの二院制度でありますから、衆議院の見解もありましよう、この見解に従われて、適当な御処置を願いたいと思います。
#11
○鈴木(善)委員 参議院の委員長の御意見はわかつたのでありますが、この参議院の御提案になりました案を、衆議院側で可決いたしまして、そうして参議院側において、もしも不幸にして衆議院から送付されました案が否決されますれば、この参議院の案通りで成立するわけでありますから、手続上そう困難なこともないと思うのであります。しかしながら、もしも参議院側においても、衆議院から送付されました案を適当なりとして、可決されますときには、おそらく先ほど鮫島部長が御説明になりましたような、百九条の関係等からいたしまして、衆議院の送付いたしました案を取入れました大幅の修正になりまして、またそれが衆議院側へ回付される、こういうことに相なるのではないかと思うのであります。そういたしますと、会期が非常に切迫しております関係から、はたしてこの瀬戸内海、紀伊水道及び有明海の、この地方的に非常に重大な問題が、本会期に成立しないというようなことに相なるおそれがあるわけであります。でありますから、こいねがわくば参議院の側におきまして、先ほど申し上げましたように、きわめて近い機会に、両三日中に否決なり可決なり修正なり、衆議院案に対してはつきりした態度をおきめいただけば、衆議院側として、またこれに対する対策も立つのではないか。こう考えておるわけでありまして、衆議院案に対する参議院側の態度を早急におきめいただくようにお願いしたいと思うのであります。
#12
○木下参議院水産委員長 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、衆議院からまわつて来ました法案は、地元に非常に重大な関係がありますので、慎重審議をいたしております。そうして二十八日に証人喚問を予定しております。証人は大体六名でありますから、二十八日中に終了いたすつもりであります。二十九日にさらに委員会を開いて、証人喚問その他のことについて検討いたしたいと思います。その証人は紀伊水道側から三名、瀬戸内海側から三名、六名であります。公平な見地から審議いたしておりますから、ここ二、三日中に否決するとか、何とかするわけには、今のところ参りません。私どももの方から出しましたこの案は、何ら別に反対者もなく、すべて地元の要望によつてやつておりますから、きわめて簡単だと私は思つておりますが、衆議院からまわつて参りましたのは、六対七で、非常なる争いをしております。毎日々々陳情者が来まして、私は朝から晩まで非常に苦んでおります。そういう案でありまして、これを急速にどうこうするというわけにもなかなか行かないのであります。私は衆議院の方たちには、提案する前にすでに申しておきました。こういう案をやる場合においては慎重にやつてもらいたい、これは瀬戸内海側が反対するのはわかつておるじやないか、わかつておるものについては、十分納得の行くようにしてやつてもらいたいということを、私は再三申し上げております。ところがはなはだ失礼であリますけれども、衆議院の方においては、委員会を通過し、急速に本会議も通過して参つた。そうしてその後において、参議院はいろいろな方面から非常な陳情があり、電報だけでもたくさん来ております。また陳情書も非常に参つております。また毎日々々十数人の人が詰めかけて参りまして、私の私宅までも来ておるというような、きわめてやつかいなことに申し上げにくいけれども、私としてはそういうふうに感じております。そういうわけで、なかなか速急に処分せよと言われても、私どもとしてはこれはいたしかねます。委員各位も従つて慎重な態度で、十分現地を見、また調査も十分して、納得の行く結論を出そうじやないか。そうして両方の人に来てもらつて、何らかの妥協点を見出そうということで、決してあなたの方の案を、私の方でむやみに握りつぶすとか、否決するというようなことをしようとは思つておりません。これは天下に声明してもはずかしくないということをやりたいと思つて、せつかく苦慮いたしております。このことだけを申し上げま
#13
○石原委員長 ちよつとこの場合委員長より一言発言を求めます。ただいま木下参議院水産委員長より、反対があるということを大いに申されましたけれども、衆議院においては、反対があろうが賛成があろうが、これが正しい、これが適当であるという見地のもとにきめたのでありまして、反対とか、賛成とかいうことを考慮して制度を定めるというような、根拠のないやり方はしていないのでありますから、その点は御了承を願います。
 それからこの際法制局の方にお尋ねをいたします。参議院の案は、漁業法の一部改正と水産庁設置法の一部改正が一つになつております。この場合に、むろん水産庁設置法は内閣委員会にかけなければならぬと思うのであります。その内閣委員会にかける場合に、衆議院の水産委員会の態度が決定しない以前に、内閣委員会にかけても、きまらないと思うのであります。そういう点につきましては、どういう見解を持つておられますか、この際ただしておきます。
#14
○中野参議院法制局第三部長 お答え申し上げます。この法律の改正は、漁業法あるいは水産庁設置法、こういうふうに一つの形式の法律で改正して行きますので、衆議院におかれまして、参議院提出のこの法案を、どの委員会におかけになるかという場合には、おそらく議院運営委員会でおきめになると思いますが、この際はこの法律が二つに内容がわかれて、二つの委員会にかかるのではございませんので、水産委員会にかかるといたしまするならば、水産庁設置法のこの行政制度改革の方については、おそらく内閣委員会との合同審査等によつて御審議に相なると思いますので、水産委員会といたしまして、この水産庁設置法についての審査が手間取れば、それだけ延びるということだけで、今御心配のような内閣委員会が先にきめるというような事態は起らないと思います。
#15
○石原委員長 内閣委員会にかけることは、水産委員会の方でこの法案を可決するかしないかということがきまらなければ、内閣委員会にかける段階に至らない。私はそう解釈するのでありますが、その点をただしておるわけであります。
#16
○木下参議院水産委員長 ちよつと私から申し上げます。この前の漁業法においても水産庁設置法の一部改正がありました。これは主なるものが漁業改正でありまして、それに附帯した水産庁の改正でありますから、これはやはり水産委員会が主として審査に当つて、そうして場合によつては内閣委員会との合同審査というふうに、こちらが主導権を持つておやりになつたらよいのではないか。参議院においてはさようにいたしまして、別に内閣委員会と合同審査をやらなかつた。了解は求めましたけれども、水産委員会においてこれをやりました。そのことだけを申し上げておきます。
#17
○平井委員 衆議院の水産委員会においては、紀伊水道の事務局設置、有明海の事務局設置は、すでに決定事項となつておるのであります。私は有明海問題に対しましても、再三陳情いたした一人であります。今日紀伊水道の問題が参議院において解決を見ない、見なければ有明海もこれを衆議院において審議するわけには行かないというような事態が生じておることを、はなはだ遺憾に考えておるのであります。私は先ほども紀伊水道の設置問題には賛成した一人であります。衆議院の水産委員会には、有明海の問題には一人の反対もないと、こう確信いたしておるのでありまして、この紀伊水道の問題が解決しないために有明海がつぶれるというような事態が生ずることを、非常に遺憾に感ずるのであります。もちろん、私も紀伊水道が解決した後において、この有明海設置問題が衆議院の方によつて上程される、こう思つたのでありますけれども、はからずも参議院の方からこの改正法律案が出たのであります。私といたしましては、紀伊水道の設置問題をすみやかに参議院が解決すると同時に、これとまた別個の見地から、有明海の調整事務局設置を、衆議院の水産委員会においてもすみやかに取上げていただきたい、こう考えておるのでありまして、衆議院の石原水産委員長の所見をお伺いしたいと考えるのであります。
#18
○石原委員長 委員長も、この問題は少くともこの会期中に、両方を同時に可決することの運びになるように、参衆両院の諸君の絶大なる御協力を願いたいと考えております。
#19
○田渕委員 この法案の衆議院を通過いたしましたのは、先ほど鈴木委員から二週間というようなお話がありましたが、三月の十四日に本院を通過いたしておるのであります。すでに一月と十日以上経つております。その間参議院の木下委員長は、最も公平に、御熱心におやりくださつたことに、私は敬意を表しておりますが、少くともわが党の一部に、参議院に向つて反対の運動をしたボス幹部があつたのであります。かようなことが非常に参議院の審議を遅らせたということの一つの原因でございます。もう一つ、参議院は反対はなくやつたというお話がございましたが、参議院は参議院おのずから審議権は独自であります。衆議院は衆議院おのずと審議権は独自でありますから、平井委員のお話の通り、この両案を、また委員長の御希望の通り、当第七国会で通過するならともかくも、少くとも二十八日に六人の証人を呼ぶ、二十九日が天皇誕生の日、三十日は日曜日、五月一日がメーデーその他、もちろんやつても一日、二日だけで、この国会は終わます。おそらくこの間にこれができるかどうかということがありますので、私は紀伊水道の問題が何日もかかつたことについて、決して参院だけに責任を持たせるものではありません。與党たるわが自由党のボス幹部が、参議院に策動したことは事実である。これは速記録に載せてよろしい。かような意味において、少くともこの問題を衆議院として慎重審議する以上は、やはり参議院が慎重審議をとられたと一緒に、われわれも慎重に、つぶさにこの有明湾を調査させていただきたい。これと同時に、参議院に反対がなくても衆議院に反対があるやもわからぬ、もし妥協がつかないなら、そういう点を私は相当ひとつ強硬にやつてもらいたいということを、お願いしておきます。
#20
○井之口委員 この紀伊水道の問題につきましては、わが党は徹底的に反対したのでありますが、これがむりに押し切られて出て参つて、あとでこれは大衆の悶着を起すということは、もうすでにそのときに予言した通りであります。自由党の中からも、この問題に対して反対が起るということは……(発言する者あり)そこでこういうふうなことが将来も起りませんように、ひとつ参議院の木下委員長におきましても、慎重審議なされるように大いに慎重な態度をとられて、そうしてみんなが納得するようなふうに解決されましたならば、これはもう、日本のすべての漁民の方々の喜びこれに越したことはないと思つている次第であります。
#21
○鈴木(善)委員 大体法制上の両案の関連性もはつきりして参つたわけであります。法制上は一応先ほど来私が申し上げたように相なると思うのでありますが、政治論といたしまして、先ほど参議院の委員長からお話がありましたこの有明海の問題については、参議院においても第六国会の際からこのような案を用意され、衆議院におきましても漁業法の修正案に、この有明海がやはり同様取扱うことにいたしておることは事実であります。ただ政治論といたしまして、参議院が衆議院の漁業法の一部を改正する法律案を御決定にならない前に―この決定と申しますのは、否決でも修正でも可決でもあらゆるものを含んでおるわけでありますが、態度を御決定にならない前に、衆議院の側において、参議院回付のこの案を決定するということは、衆議院の院議でもつて紀伊水道連合海区漁業調整委員会を置くということに相なつておりまして、第百九条が根本的に参議院の案と違つておるわけであります。そこで参議院において衆議院案をいかように取扱われるかを後日にまつことにして、それと切り離して、衆議院側がこの案を通そうといたしましても、院議ですでにこういうぐあいに、瀬戸内海を紀伊水道と瀬戸内海の二つにわける。また連合海区調整委員会も、二つの連合海区調整委員会にわける。こういうことに決定を見ておるわけでありますので、この第百九条に対する衆議院の案と根本的に違うところの参議院の、第百九条のこの案、これを衆議院のさきに決定した院議を無視して、違うこの案を通すということは、一事不再議の建前からいいましても、どうしても衆議院としては取扱いかねる条項だと思うのであります、そこでどうしてもこれは、繰返して言うようでありますが、参議院側におきましてまず態度をおきめいただきまして、しかる後でなければ、衆議院側としてはこの取扱いができない、こういうように私は結論いたすものでありますが、これに対しまして両院委員長の御見解を承りたいと思うのであります。
#22
○石原委員長 ちよつと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#23
○石原委員長 速記を始めて。
#24
○平井委員 不幸にして今国会で両方ともつぶれましても、次の臨事国会におきましては、有明海を第一番目に出していただきたい、こう私は念願するのでありますが、委員長の所見をはつきりとお伺いしたいと思います。
#25
○石原委員長 委員長としては不可分の処置をとらねば―今順序として紀伊水道が、こつちが先にきめられておるのであつて、どうもそれをどつちを先にする、あとにするということは申しかねるのでありまして、この会期でも、次の会期でも、ぜひとも両方を実現したい、せなければならぬ、こう考えております。
#26
○木下参議院水産委員長 とにかく一院で通つた法律案を他の院へ送つた場合においても、他の院は独自の考えで御審議を願う。またその意味において、衆議院で通過しました漁業法の一部改正案は、参議院においては独自の考えから慎重審議して、決してうつちやつておるのではない。それで、有明の問題のこの改正案も、衆議院において、この案そのものについてよしあしの御判断を願つて、審議を願いたいと思います。どうせ紀伊水道問題も行く先長くやらなければならぬ問題であると思う。もしもこの調査が完了いたしまして、これが賛成すべきものなら、喜んでわれわれも紀伊水道に賛成したいと思います。何ら私は利害関係がありませんが、その辺は公平にやりたいと思います。そういう意味から、虚心坦懐に御審議を願いたいと思います。もしこれを通さなければこつちも通さないというようなことがあつてはおもしろくないと思つております。私ども感情でこういうことを取扱われないように、切にお願い申し上げておきます。
#27
○鈴木(善)委員 この衆議院の委員会の態度をはつきりと申し上げたいのでありますが、それは今参議院の委員長が憂慮せられておるように、感情問題でこの案を取扱おうという考えは、ごうまつもないのであります。先ほども申し上げましたように、衆議院としては、この会期中に院議をもつて、瀬戸内海は紀伊水道と二つにわけ、連合海区調整委員会も二つにわけるという決定をいたしておるわけであります。ところが、たまたま参議院から出て参りました案が、その案とは違う案であります。その案を衆議院で同じ国会中に議決しよう、虚心坦懐に議決したらよかろう、こう言われましても、これはさきの院議の建前上できることであるかできないことであるか、こういうことであります。これは非常に厳粛な院議の建前から、そういうことが衆議院としてはとりにくいという、その立場を御説明申し上げておるのでありまして、一方通さぬから一方も通さぬという感情論ではないということを、繰返し表明しておきたいと思うのであります。
#28
○石原委員長 虚心坦懐ということから行けば、私個人としては有明海を現地調査をしたいのであります。紀伊水道は現地調査をしましたが、有明海は衆議院の方はしていないのであります。従つて、虚心坦懐という木下委員長の言葉から行けば、一応有明海も現地調査をいたしたい。しかしそういうことはおいて、なるべくこの会期に両方通過させたい、こういう熱意を持つている次第であります。
#29
○平井委員 この問題はこの程度にいたしまして、両院協議会を開かれまして、これでひとつ協議して決定いたしたい、こう考えます。
#30
○石原委員長 その点に対しては、よく研究調査して、なるべく平井君の御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
#31
○川端委員 ただいままでいろいろ御議論を伺つておつたのでありますが、先ほど田淵君からもお話がありましたように、衆議院で決定されて一箇月以上にもなつて、衆議院からの回付された件について、なお参議院の態度が決定しておらないということで、私は非常に不可解に思うのであります。われわれは、あの法案は、すでに参議院の委員の方々も御承知のように、十分に審議されて、そうして一応大義名分の立つた理由を、われわれ独自の見解によつて――先ほど参議院の委員長からお話がありましたが、陳情その他も聞きましたけれども、委員会は是なるものとして、一応決定されたものと了解しているし、あの理由も十分われわれ了承しているのでありますが、この衆議院から回付された件について、権威ある参議院の委員会における議論になつた問題点は、どの点であるか、そうしてどの程度まであの案を審議されているのかということを、参考に伺つておきたいのであります。
#32
○木下参議院水産委員長 この法律案は、相当委員会を開いまして、その委員会を開きました結果、資料を集めるということになりまして、各地の水産試験場、大学研究所、国立の研究所、そういう方面に向つて照会いたしました。またそういうエキスパートの人々の知恵も求めて、親しく聴取もいたしました。その間に大分日もとりましたが、大体国会の承認を受けるひまがなかつたので、二人先に委員を派遣いたしまして、今度再び正式に国会の承認を得て、二度目の委員派遣をいたしております。専門調査員も二名ほど派遣いたしました。それから和歌山、徳島、香川、兵庫各県の陳情団も委員会に招致いたしまして、いろいろ陳情も聞きました。また最後に大体結論をつけたいと思つて、証人を喚問いたしまして、証人の意見も徴する。それも公平に紀伊水道側から三名、瀬戸内海側から三名、六名の証人を喚問いたしまして、そうして大事の上にも大事をとつて今審議をしておる次第であります。そういう経緯でございます。
 それから問題点とおつしやいましたが、これは私からあらためて申し上げることもあるまいと思いますが、瀬戸内海側の意見は、紀伊水道は魚の保存場所である、これを大事にしなければ、瀬戸内海におる二十五万の漁民は死んでしまうという、切ない請願であります。徳島側の方では、ここで現在密漁が非常に行われておる。それで二十五馬力ないし三十馬力程度の装備を認めてもらいたいという陳情がありました。和歌山側からは反対で、ここは装備なんか許すべきではない。保護区域にしなければならぬという陳情もありました。それからいろいろと私の方でも考えまして、瀬戸内海の事情、紀伊水道の事情を十分確かめて、どういう結論を出したら一番いいかということを、今せつかく検討中であります。それが問題点であります。
#33
○川端委員 今参議院の委員長のお話を伺つて、私ちよつと意外に思つたのでありますが、私どももあの案の説明を聞き、了解しておる点は、紀伊水道を特別海区にするということは、あの地帯を保護海区にして行き、保護繁殖地帯として特別扱いをして行くんだ、こういうふうに了解しておるのであります。従つて密漁その他を助長して行くようなことは寸豪も考えずに、われわれはあの案に取組んだのでありまして、衆議院の本委員長も、すでに委員会で決定したこの案について、私はおそらく同じようなお考えを持つておられると思います。参議院で最近問題点として、徳島あるいは和歌山の地帯から、密漁をやめさせたいという陳情があつて問題になつておるような点を、衆議院の本委員長は御承知であるのかどうか、伺いたいのであります。
#34
○石原委員長 私はさようなことは知りません。なお考えておりません。現在のままであれば、たとえば由良の港などは、公然と底びきの密漁を集団的にやつておるのであります。従つて現行の法律のままでは、とうてい保護繁殖の取締りの徹底は期せられないというのに根拠があるのでありまして、その意味からこの法律が衆議院を通過することになつたというわけであります。断じてその点はかわらないのであります。
#35
○小高委員 いろいろ双方の議論があるようでございますが、本問題は、先ほど平井委員からも御意見がありましたように、このまま時間をとるというのはどうかと思いますので、両院協議会において、双方の意見を十分に闘わした上で決をとつていただきたい。これにつきまして委員長のおとりはからいを願いたいと思います。
#36
○石原委員長 その点は平井君からも発言がありまして、そのとりはからいをつけようと考えております。
#37
○川村委員 私の申し上げることも、大体平井君並びに小高君と同じであります。ただ一言これに補足して申し上げたいことは、先ほど有明海の海区調整委員会の設置につきまして、いろいろ木下参議院水産委員長から御説明がありましたが、一応ごもつともだと了承いたします。ただこれと紀伊水道と問題がからんで参りまして、いろいろ委員長からも各委員からも意見が出たのであります。もちろん紀伊水道の問題については、相当の反対も来ておることは今日事実であります。しかしまた紀伊水道内で、ぜひ瀬戸内海の海区から切り離して、あそこを保護地帯として設置してもらいたいという意見が、相当に強かつたのも事実であります。紀伊水道の特別海区の問題につきまして賛成いたしましたのは、先ほど平井君からも言われたようでありますが、ただわれわれは感情に走つて、これをぜひやるというのではないのであります。私が実は港湾法の問題でヨーさんのところに行きました際に、一体今紀伊水道の特別海区を設定するということについて、いろいろこちらにも交渉があるが、君は一体どう思うか、こういう質問をされたのであります。そのときに私は、外海とも内海ともつかぬあの紀伊水道も、瀬戸内海にとつては最も重要な所である。従つてあの紀伊水道について保護政策をとらない限り、瀬戸内海は全面的に資源の枯渇をしてしまう。であるから、あの紀伊水道は特別海区にして、十分の保護政策をとり、さらに現在乱脈に行われているあの密漁を絶滅しなければならないと思うから、紀伊水道を特別海区にするということは妥当である。それにつけ加えて、私は北海道の噴火湾の例をとつて参つたのであります。噴火湾は時間がないのであまり詳しく申し上げませんが、御承知でもございましようが、ほんとうの内海であります。それであの地球岬と砂崎の間でずいぶん密漁をされた時分には、一時あの方面の漁業が成立たないとまで言われたので、いわゆる禁漁区域を拡大し、さらに特別の取締りをしたので、あそこが救われたという詳しい実情を申し上げましたが、それではオーケーをやつてもいいのかという意味のことを言われました。それで私としては、あそこもぜひ特別海区として、実際に保護に重点を置き、そうして取締りを厳重にしてもらいたいということを申し上げて参つたのでありますが、いずれにいたしましても、今や衆議院を紀伊水道の問題は通過いたしまして、参議院にまわつて四十日になる。これの審議は、独立の立場において参議院水産委員会が審議いたしておるのでありますから、われわれはそれに対してとやかく申しません。ただ各委員のお考えといたしましては、ぜひ両院の協議会を開いて、まとめた方がいいのではないかという御意見が強いのであります。平井委員からも石原委員長に対して、そういう取扱いをしたらどうかという意見に対して、委員長は、なるべく近い機会にそういう運びにいたして、期待に沿うという御答弁があつたのでありますが、参議院の木下委員長においては、独自の立場で審議するのであるから、衆議院も独自の立場において審議した方がよいではなかろうかといつたような意見でありましたが、そうしますと、一方の衆議院の水産委員会では協議会を開こうとしても、参議院の方では開かないということになりますと、協議会が成立たないのでありますが、参議院の木下委員長におかれましては、衆議院の委員長の言われるように、協議会を開いていただく御意思があるかどうかということをお伺いし、またぜひ開いてもらいたいということを、御要望申し上げる次第であります。
#38
○木下参議院水産委員長 お答えいたします。両院協議会を開くことは、私決して不賛成ではございません、賛成であります。しかしいたずらに議論に陥るのではないか、かように思つております。たとえば、紀伊水道を特別海区にするためには、取締り規則でできるので、分離しなくてもいいのでありますから、そういう問題でいたずらにここで対立をして、議論をして、互いの感情をそこなうということは、両院の今後の運営上おもしろくないと思いますので、その点は十分お考え願いたいと思います。
#39
○川村委員 私は、こうして長引かせておけば、かえつて陰に何かのひそみがあつて、いわゆるものを言わざる議論になつて解決がつかない。それよりも、この委員会の空気を見ますと、双方成立するように妥協しようではないかといつたような空気が見受けられますので、一応は議論は出ましようけれども、まとめるためには、やはり両院の協議会を開いた方がいいと思いますので、木下委員長の意見を確かめて、でき得ればすみやかな機会に、すなわち明日か明後日からでも開いてもらつた方がいいではないかと思いますので、もう一応お考え願いたいということを御要望いたします。
#40
○石原委員長 お諮りいたします。時間の関係もありますので、本日はこの程度にとどめたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○石原委員長 それでは、次会は明日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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