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1949/04/25 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 水産委員会 第37号
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1949/04/25 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 水産委員会 第37号

#1
第007回国会 水産委員会 第37号
昭和二十五年四月二十五日(火曜日)
    午前十一時二十四分開議
 出席委員
   委員長 石原 圓吉君
   理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 平井 義一君 理事 松田 鐵藏君
   理事 林  好次君
      小高 熹郎君    川端 佳夫君
      田口長治郎君    田渕 光一君
      玉置 信一君    冨永格五郎君
      永田  節君    福田 喜東君
      井之口政雄君    水野彦治郎君
 出席政府委員
        農林事務官
        (水産庁次長) 山本  豐君
 委員外の出席者
        農 林 技 官
        (水産庁生産部
        遠洋漁業課長) 兼友 大助君
        農 林 技 官 尾崎順三郎君
        專  門  員 杉浦 保吉君
    ―――――――――――――
四月二十四日
 委員川端佳夫君及び玉置信一君辞任につき、そ
 の補欠として淵上房太郎君及び圖司安正君が議
 長の指名で委員に選任された。
同月二十五日
 委員圖司安正君、淵上房太郎君及び畠山重勇君
 辞任につき、その補欠として玉置信一君、川端
 佳夫君及び小松勇次君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
四月二十四日
 松川港湾施設拡充費全額国庫負担の陳情書(福
 島県相馬郡中村町議会代表太田眞像外一名)(
 第八五〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員及び小委員長の補欠選任に関する件
 臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一〇七号)(参議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○石原委員長 これより会議を開きます。
 議題に入ります前にお諮りいたします。去る三月三十一日に小松勇次君、昨二十四日に川端佳夫君及び玉置信一君が委員を辞任いたされましたが、おのおの本日再び水産委員になられましたので、この際これらの方々をそれぞれ従来つかれていた小委員並びに小委員長に補欠選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○石原委員長 御異議なしと認めます。よつて水産金融並びに漁業災害補償に関する小委員、漁業制度に関する小委員及び漁港に関する各小委員に川端佳夫君、玉置信一君及び小松勇次君を、水産物集荷配給並びに水産貿易に関する小委員及び漁船並びに水産資材に関する小委員に、玉置信一君及び小松勇次君を荒廃漁場復旧に関する小委員に川端佳夫君を、しかして荒廃漁場復旧に関する小委員長に川端佳夫君をそれぞれ補欠選任いたします。
    ―――――――――――――
#4
○石原委員長 それでは臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案、内閣提出第一〇七号、参議院送付を議題といたします。
    ―――――――――――――
#5
○石原委員長 念のために申し上げますが、本法案参議院において次のように修正されました。
  第一條の改正規定中「膃肭獣ノ獣皮若ハ」を「膃肭獣ノ獣皮又ハ」に、「製品ノ所持」を「其ノ製品ノ所持」に改める。
  第二條の改正規定中「第二條を次のように改める」を「第二條及び第三條を次のように改める」に改め、同條の改正規定の次に次のように加える。
 第三條削除。
  第六條の改正規定中「並ニ」を「又ハ」に改め、「及び第八條」を削る。
 右のように修正されたのでありますが、本案について御質疑のある方には、この際これを許します。――小高熹郎君。
#6
○小高委員 本法案はらつこ、おつとせいの繁殖保護の実効を期するためという、この趣旨は一応了解できるのでございますが、ただいま問題となつておるところの遠洋漁業といわず、また沿岸漁業といわず、魚類の繁殖保護という問題が非常にやかましく論議されておる実情にかんがみまして、この法案が沿岸の魚類の繁殖保護に及ぼす影響が、はたして支障なきかいなかということについて、私非常に憂うるものでございますが、この点に対して、政府の答弁を願いたいのであります。
#7
○山本(豐)政府委員 ただいま御質問の通り、最近おつとせいの数は相当にふえつつあるわけであります。これもその繁殖を保護した結果でありまするけれども、相当数ふえておりますので、あるいはさけの養殖であるとかいうふうな関係からみまして、心配な点がなきにもあらずというふうには考えられるのでありますが、おつとせいにつきましては、御承知のように国際的な保護條約がありまして、その條約ではやはり保護する立場をとつておるわけであります。従いまして、ひとり占領下にある日本がそれをさきがけて堂堂ととるというのは、現在のところなかなか言うべくしてむずかしい問題があろうと思うのであります。もう一つは、おつとせいははたして有用魚類を食うかどうかという問題につきまして、昨年あるいは一昨年来、アメリカと共同調査もやつているのであります。ところが、この調査の時期その他の関係もあろうかと思うのでありますが、有用魚類、特にさけ等が胃袋の中から出て来たという証明が、まだつかないのでありまして、今後それらの実際の証明をするデーターをつくりまして、関係方面にも了解を求めるようにはして参らなければならぬと思うのでありますが、そういうような情勢下にありますので、現在のところ、やはり関係方面の考えられる通りに、わが国としましては、将来を期待する意味において、国際信用を高めるという観点から、現在こういう方法に出ることは、やむを得ないのじやないかと考えられるのであります。ただそうは申しましても、今後の問題としましては、そういう調査も持続いたしまして、なるべく早い機会に、有用魚類を食うのだという実証もあげ、またそのおつとせいのふえつつある状況の数字等も、相当明確につかみまして、そうして関係方面と折衝いたしたいと考えておるわけであります。
#8
○小高委員 ただいまの水産庁次長の答弁で、大体趣旨は了承いたしましたが、ただ一点、おつとせいが有用魚類をはなはだしく食用とするために漁場を荒すのではないかということは、かねがねわれわれ委員会においても問題となつておるのでございますが、実際にさけ、ますを中心とする沿岸魚類の繁殖保護に影響のある場合には、基礎資料を明らかにして、また折衝するというお言葉がございましたが、さようなことが期し得られるとするならば、その点を特に調査を早めて、しかるべき措置をとつてもらいたいことを、希望意見としてつけ加えておきます。
#9
○石原委員長 井之口君。
#10
○井之口委員 二、三お尋ねいたします。政府は今までらつこ、おつとせいの取締りのために、相当の費用を組んで、沿岸並びに遠洋方面を相当調査されておつたことは事実でありますが、今までの費用の点、並びにそれからあがりました調査の結果がどういうふうになつているか、簡単に御説明願いたいと思います。
#11
○山本(豐)政府委員 このおつとせい関係の調査その他の予算でありまするが、実は調査よりむしろ取締りという方面に重点を置いているわけであります。終戦後昭和二十一年ごろから、この関係の関係方面からも示唆があり、取締りを主にいたしまして、あわせてアメリカと共同調査をやつて参つたのであります。予算を申しますると、昭和二十三年には約二百七十万円、二十四年には当初予算がなかつたのでありますが、関係方面からの強い慫慂がありまして、途中で他の予算を流用して、約四十五万円ばかりの予算でやり、そうして二十五年度の予算としては九百八十三万円ばかり計上いたしておるのであります。この二十五年度の関係を申しますると、この金で大体取締船を二隻、調査に当る船を一隻、この三隻で取締り並びに調査に当るという計画であります。それから既往における調査の結論でありまするけれども取締りが主でありまして、調査はきわめて附随的なものでありますので、先ほども小高委員の御質問にお答えいたしましたように、まだ結論が出るほどのはつきりしたものは出ていないのであります。この調査の観点は、おつとせいがどれくらい回遊するかという問題でありますとか、回遊する区域はどの地方であるか、またそのおつとせいはどの方面から来たものであるか、さらにそのおつとせいはどういうものを食べるか、こういうような点についていろいろやつて参つたのであります。しかし最近の共同調査では、たとえば魚類の問題でありまするが、そのとれたおつとせいの胃袋から、さけでも出て来ればいいのでありまするが、いわしが出て来たりというような関係がありまして、大した確証をつかむというほどの結論に達していないのであります。
    〔石原委員長退席、川村委員長代理着席〕
#12
○井之口委員 これだけ多額の費用を使つて、いまだおつとせいが何を食べておるかわからないという調査のやり方は、まつたく怠慢そのものであるとわれわれは感じます。たといおつとせい、らつこの胃のふの中にさけが入つていないにしましても、こういう海獣は危害を加えることが常習であり、またこの海獣の遊戈によつて、近海の魚族が非常な恐慌をこうむり、遁走してしまうということもあり得るので、これは常識上考えても、相当な調査ができていなければならないものと思うのであります。それを取締りを中心とするということでこの調査を怠つているのは、まつたく予算の浪費とわれわれには感じられます。なお幾分の調査報告書が水産庁にあるに違いないと思いますが、そういうものを御発表願えますかどうですか。
#13
○山本(豐)政府委員 予算の浪費とおつしやいましたが、実は二十五年度の予算は、これから使うわけでありますし、二十四年度なり二十五年度の予算は、そう大した予算でもないのでありまして、この予算の大部分は、先ほど申しましたように、嚴重に取締れということが中心問題でありますので、むしろそういう方面に主として使われておるのであります。そしてそれに合せて、若干の調査費で、先ほど申しましたような点を調べたわけであります。従つて最後は、これは推定でありますけれども、何頭くらいのおつとせいが回遊して来ておるだろうというような数字は、相当つかんであるわけであります。また先ほども申しましたおつとせい自体の体内の調査ということも、ある程度やつておるわけであります。詳しい資料は、実は私申し上げられないのでありまするが、係官の方に何かありますれば、御説明いたしたいと思います。
#14
○井之口委員 一体どれくらい回遊して来て、どれくらいとつておりますか。
#15
○尾崎説明員 昨年の調査は二月から始めて三月に終つております。その間二十一頭のおつとせいをとりまして、その結果をとりまとめておつたわけであります。主として三陸沖合いの調査をしたのでございますが、その時期はちようど有用魚族の回遊時期に当つておりませんでしたので、食餌も主としてはだかいわし程度の食餌しか発見できなかつた。本年はさらに北上いたしまして、ちようどさけ、ますの回遊時期に当ります三陸の北の方から北海道にかけまして、目下調査を進めております。そうなりますと、従来からしばしば発見されておりましたさけ、ますの食餌、あるいはにしんの食餌、それからたら、すけそう、いわしの食餌というものが出て参ると思うのであります。今までから行きますと、はだかいわし程度で、そう重要な餌料は出て参らなかつたのでありますが、北海道の調査に期待をかけて今進めておる次第であります。
#16
○井之口委員 調査する前にこういう禁止令を出すというのは、どうも物事が逆転しておると思うのであります。はたしてどれくらいの頭数が日本沿岸に回遊して来るか、あるいは日本で現在どれくらい捕獲しておるか、先ほどの二十一頭というのは調査のために捕獲された分と思いますが、全体として日本で現にどれくらい捕獲されておるか、現在のらつこ、おつとせい猟に対するところの行政面はどうなつておるか、これは農林大臣の許可によつてするということになつていますが、全然今許可していないのでありますかどうか、その辺も御説明願います。
#17
○山本(豐)政府委員 このおつとせいの回遊して来る数字でありますが、これは皆様に御配付してあります経過概要の中にも大体のことが出ておるのであります。もともとこれは四百万頭以上ありましたものを、このおつとせい保護條約の締結当時には、わずか十四万頭ぐらいに激減したのであります。そこでこういう保護條約が締結になつたのでありますが、これがちようどわが国では昭和十五年かにこれを破棄いたしまして、その後こういう許可方針をとりまして、ある数量を限定して許して来たわけであります。その結果昭和十五年には二百二十万頭おつたのが、大体現在では四百万頭ぐらいが回遊して来ると、これも推定でありますけれども、思われるのであります。そういうう状況であります。ところが二十四年八月八日に、天然資源局から水産庁長官あてに書簡が参つたのであります。それには、この保護様約の趣旨にかんがみて、この密猟を嚴禁せよというような意味合いの強い要望があつたわけであります。この要請の中に現われておるところによりますと、これはわが方の考えではないのでありますが、関係方面の見方によりますと、現在密猟者が相当あるというふうに見ておられるのであります。そういう意味で、国際信用の高揚というような意味合いからして、どうしてもこれを嚴重に取締つてもらわなければ困るというような意味合いの、強い覚書が参つたわけであります。それに基きまして、将来のいわゆる保護條約等に加盟するような場合のことを考えまして、今日の立場といたしましては、この覚書の趣旨を体しまして、今度の改正案のような方向にならざるを得ないというような事情になつたわけであります。
#18
○井之口委員 らつこ、おつとせい海獣の保護というものは、そもそもこれが濫獲されて、絶滅するという危険を防止するための保護だろうと思う。しかるにこれが無制限に繁殖して、かえつて他の漁獲物を荒すようになつてしまつたら、これは保護でなくして、あべこべに妨害になるのであります。その意味において、たとい国際間の條約があるにいたしましても、ある程度日本の自主性というものは当然なければならない。とりわけ今日日本はらつこ、おつとせいの繁殖するところの基地を持つていないのであります。他国において無制限に繁殖して来て、日本の領海内にどんどん入つて来て、日本の魚族を破滅させて行くということになつたら、これは国家存立上の建前からいたしましても、当然にある制限を加えなければならぬ性質のものだ。また国際間の條約においてもこれは当然認められる性質のものであると思います。しかるにそういう点の根本方針もなくして、ただ向うからの指令のみによつて、盲目的に一切の日本のらつこ、おつとせい行政というものは、なるがままにまかしておくということは、これは政府としてとるべからざる態度であると思うのであります。密猟というものに対しては、当然制限を加えなければならぬ、取締りをしなければならぬ、しかし農林大臣が必要によつては許可するという規定でさえあるのですから、それを濫獲にならない範囲において、魚族に対して被害を与えないように、これを制限して、らつこ、おつとせいを捕獲するとか、あるいは地域をきめてこの地域内に入るものはとつてもよいとか、何とかいうような、魚族並びに漁獲保護の政策をとるべきだと思う。ただこれはらつこ、おつとせいのいたずらなる保護のための保護でないのでありまして、もとよりこれはわれわれ日本の漁師その他日本の全国民の権利としての立場から考えなければならぬ。こう思うのであります。そういう方面に対しましては、政府は何らかの努力をこれまでなさつたのでありますか、どうでありますか。
#19
○山本(豐)政府委員 ただいまのお話は私もよくわかるのでありますが、ただ御承知のように、このおつとせい保護條約というものは、これは国際的な條約であります。現在は日本の置かれておる立場から申しますと、まだ加入というような域には達しておりませんが、この四箇国間の條約の関係からいいますと、この四箇国は、要するに海上のおつとせいは原則としてとらない、陸上においてある程度のものをとるというふうな條約の内容をなしておるわけであります。そういうような国際情勢のもとにおいて、ことに占領下にある日本が、いかに資源保護という理由があるにいたしましても、これを堂々と正面からとるということを主張することは、これはむりだと思うのであります。しかしながらわれわれといたしましても、国際信義を高めるということにまず手を打ちまして、近い将来の問題としましては、今お話のように、よく日本の現状等に理解をいただくように努力いたしまして、そういう方面に持つて参りたいと考えておる次第であります。
#20
○井之口委員 その点は国際上の信義を無視するものでもなし、当然国際上において、そういう日本の主張が許さるべきものだとわれわれは考える次第であります。その点をよくこれから心がけて、単にもう日本の漁民はらつこ、おつとせいに対しては、禁断の木の実で、手も何もつけることができないというような狭いりようけんにならないで、ひとつ大いに勇気を出して、政府の方においてもやつてもらいたい。
 それから次に、もしも今網なんかにひつかかつて来るようなものがございましたら、これはどうなつておりますか、将来またこれはどうなりますか。
#21
○山本(豐)政府委員 もちろんそういうものはよろしいわけであります。ただ将来所持の関係もございますので、そういうものにつきましては一応届出をさせまして、そうして検印といいますか、知事の証明になると思うのでありますが、そういう証明を得ますれば、所持をしてさしつかえないことになると思います。
#22
○井之口委員 今度もしこの販売も禁止され、製造加工一切が禁止されるということになりますれば、今までらつこやおつとせいを猟獲していた会社で、打撃をこうむるのはどの程度に及ぶか。なおそこの従業員はどのくらいの人数に及ぶのでありましようか。
#23
○山本(豐)政府委員 かつては日本海獣会社というふうな会社があつたようであります。戦前には相当数――むろん制限を受けた範囲での猟獲でありますが、それを取扱つておつたのでありますが、戦後はその数量も非常に減つております。今日においてはきわめて少いと思うのであります。ただ先ほど申しましたように、既往において存在いたしまするものを販売業者が取扱うという場合には、一定の手続を経ますれば、それは当然できるのであります。問題は既往において骨董的に私人が持つておるものまで一々この改正を実施する場合に検印を受けるとかいうようなことになりますと、これはほんとうの善意の指示も、国民に対しまして申訳ないことになりますので、それらの点はひとつフリーにできるように、省令の場合には関係方面とも了解をとりつけて、善処したいと考えておるわけであります。
#24
○井之口委員 このらつこ、おつとせいの製品の販売は、アメリカやそのほかの国においては禁止になつておりますか。禁止になつているものであつたら、やはり日本においても、国際上の関係で当然だろうと思いますが、どんなものですか。向うにおいても禁止させるような運びに行きますか。
#25
○山本(豐)政府委員 アメリカでもやはり検査を受けたものでないと販売できぬことになつておるそうであります。
#26
○井之口委員 それなら日本でもこの法案は検査を受ければ販売できるというふうな意味になつておりますかどうですか。
#27
○山本(豐)政府委員 そうであります。
#28
○井之口委員 どういう検査をやりますか、その手続を……
#29
○山本(豐)政府委員 これは先ほども申しましたような、既往のものには触れないのでありますが、今後の問題につきましては、知事にそれを届け出まして、そうして検印といいますか、そういうものを押していただければ、そういう品物はそう数多くもないかと思いますが、相当まとまつても取引をしてさしつかえないことになると思うのであります。
#30
○井之口委員 これは店頭においてですか。その検印さえあれば店頭において自由販売してかまわないものかどうか。
#31
○山本(豐)政府委員 そうであります。
#32
○井之口委員 アメリカにおいてもそうなつておりますか。
#33
○山本(豐)政府委員 よくわかりませんが、アメリカでも多分そうだろうと思います。
#34
○川端委員 ただいまのこの法案につきまして、総括的に私が今までの御議論を拜聴しておりましての了解し得た点を申し上げて、これでいいかどうかの御意見を伺いたいと思うのであります。らつこ、おつとせいの取締りをやるという法案が、こうして一層強化されるということになるのでありますが、このらつこ、おつとせいの棲息地、帯と魚族の棲息地帯こういうものが、あるいはうわさに聞くと、かなり別の地域になつておるというような話も聞くのであります。将来もしこの法案が通りまして、先ほどからの議論のように、らつこ、おつとせいが魚族の繁殖あるいは棲息を著しく脅かすというようなことがあれば、将来研究の上これに対する処理を講じて行つて、そうしてその調節をはかつて行くつもりであるというふうに了承いたしたのでありますが、そういうことに了承してよろしゆうございますか。まずこの点を承りたい。
#35
○山本(豐)政府委員 さようでけつこうだと思います。
#36
○川端委員 そうしてこの魚族の棲息地帯と申しますか漁場と、らつこ、おつとせいの棲息地帯とが、大体において別の地帯であつて、むしろらつこ、おつとせいが魚族のいるところへ進出して来ることがあつて、魚族が脅威を受ける、こういうことをうわさに聞いておるのでありますが、そういうことになつておるのでありましようか。
#37
○山本(豐)政府委員 その点もらつこは大したことはありませんが、おつとせいは群をなして回遊して参りまして、その回遊する地域に魚族が相当におる場合には、あるいはその魚族に影響を及ぼすということになると思います。
#38
○川村委員長代理 別に御質疑がないようでありますから、討論に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○川村委員長代理 御異議ないようでありますから討論を行いたいと思います。討論の通告がありますので、その順に発言を許します。井之口君。
#40
○井之口委員 わが党はこの臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案に対して反対いたします。
 大体政府においては、いまだ十分なる調査も遂げず、そうして現実上どれくらいのらつこ、おつとせいが、北洋の方から日本近海へ回遊して来るか、そういうことも十分にわからずに、しかも近海においてはひんぴんとして漁獲は荒されて、漁民は非常に難儀しておることを、われわれはしばしば聞いております。こういうときにおいて、われわれはらつこ、おつとせいの合理的な捕獲ということこそ、これからやらなければならぬものだと思う。濫獲に陥らないようにこれを保護しつつ、そうして適当なる猟穫をやらなければならぬと思う。これがわれわれのとるべきところのらつこ、おつとせい行政でなければならぬと思うのであります。しかるに今まで幾分農林大臣の許可によつて、これを合法的にとることもできておつたものを、さらにこういうふうな製造、販売、加工一切を禁止してしまうような法律をつくつて参りましたならば、これはまつたく日本国民からして、らつこ、おつとせいというものを禁断の木の実のごとく、われわれの手にも何も一切触れることもできなくなつてしまうような結果に立ち至ると思うのであります。これは自主的な日本の独立を将来確保する上において、こういう法案を自分みずからつくるということは、まつたく自繩自縛に陥るような結果になるのもでありまして、われわれはあくまでも合理的ならつこ、おつとせいの取締りと猟獲というふうな法制をこしらえてこそ、初めて日本の水産行政というものが、独立国としての面目に恥じないものができると思うのであります。その意味におきまして、こういう制限法に対しましてはわれわれ反対いたします。
#41
○川村委員長代理 鈴木善幸君。
#42
○鈴木(善)委員 自由党を代表いたしましてこの臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案に対しまして賛意を表するものであります。
 まず今回の改正法律案で、私ども政府当局にいろいろ質疑を行い、また慎重に審議いたしました結果、最も問題にいたしましたのは、陸上におけるらつこ、おつとせいの獣皮またはその製品の製造、もしくは加工または販売等につきまして、制限または禁止の面を拡張し、しかも個人の所持にまで及ぼすという点であつたのでありますが、当局の説明によりまして、この所持の制限または禁止の條項は、施行規則において個人には及ばない、こういうぐあいに規定されることが明確になりましたので、この改正に対する私どもの疑問の点はおおむね解決されたわけであります。この改正法律案は、客観情勢上これを可決すべきものと私ども認めるものであります。そもそもらつこ、おつとせい猟穫の取締りを徹底的に行いますことは――かつて米、英、露三国と日本の四箇国で、らつこ、おつとせいの保護條約を結んでおりましたが、わが国は単独でこれを脱退いたしまして、戦時中積極的に海上猟獲を行い、人類にとつて非常に貴重な資源を相当濫獲しておつた。終戦後、わが国が国際間におきまして信用を回復し、日本の漁業者も国際間の平和な同僚として仲間入りをする必要に迫られておる現在の客観情勢と、この貴重な資源の保護をはかります建前から、私どもは取締りの完璧を期するために、この取締りを、海上における取締りからさらに陸上にまで及ぼすことは、当然日本国としてとるべき措置と考えるものであります。
 ただいま共産党の井之口君から討論があつたのでありますが、米英のみならず、共産党の諸君の非常に信頼しておるところのソ連も加入しておるこの臘虎膃肭獣保護條約に、私どもがこのような措置を講じまして、将来再び復帰加入したいという念願から発しておる今回の法律案につきまして、ソ連に非常な尊敬と敬意を払つておる共産党の諸君が反対することを、私ども意外に感じた次第であります。なお井之口君の御発言の中に、らつこ、おつとせいのわが近海での回遊状況がいまだ調査不十分であり、つまびらかでないからという御言葉がありましたが、この調査を徹底的に行いまして正確なる回遊の状況、その頭数、また海上猟獲が今後のらつこ、おつとせいの繁殖に与える影響を生物学的にも十分研究を遂げ、そういう成果がはつきりいたしました上で、陸上あるいは海上において計画的に捕獲するという順序に進むべきものでありまして、調査不十分の今日の海上猟獲を依然として続けることは資源の保護上相当危険を伴うおそれがあるのであります。私どもは、事前に調査を徹底的に行い、しかる後科学的な立場において適正なる捕獲をなす、こういう順序で進まなければならぬと考えるものであります。
 この際私は、自由党の立場から希望意見を申し述べます。それは、この法律によりましてらつこ、おつとせいの繁殖保護が十分期せられました上は、すみやかにもとの四箇国の臘虎、膃肭獣保護條約に復帰加入する機会を迎えたいという熱願を持つていることであります。次はわが国の沿岸に来遊いたしまするらつこ、おつとせいが、はたしてプリビロフ群島からのものであるか、あるいは海豹島からのものであるか。またこれらのらつこ、おつとせい群が、わが国の近海における貴重なさけ、ますその他の有用水族をどの程度捕食いたし、漁業の面にどういう悪影響を及ぼしているかという事情を、十分調査研究を遂げられまして、その調査の結果、適当なる隻数によつて海上猟獲を行つても、資源の保持上大した悪影響がないという科学的結論に到達いたしましたならば、陸上捕獲のみならず、海上においても一定限度の捕獲を認むべきものであると思いますが、これは一にかかつて今後の調査の結果にまたなければならぬと思うのであります。私どもは、らつこ、おつとせいの資源の保護上、今日の一部を改正する法律案に対しまして、希望を申し述べまして、全面的に賛意を表するものであります。
#43
○川村委員長代理 これにて討論は終局いたしました。本案の採決を行います。本案に原案の通り賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#44
○川村委員長代理 起立多数、よつて臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案は、原案通り可決いたしました。
 なお委員会の報告書の件は、委員長に御一任願います。
 本日はこの程度で散会いたします。
    午後零時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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