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1949/04/27 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 水産委員会 第39号
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1949/04/27 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 水産委員会 第39号

#1
第007回国会 水産委員会 第39号
昭和二十五年四月二十七日(木曜日)
    午前十一時五十九分開議
 出席委員
   委員長 石原 圓吉君
   理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 夏堀源三郎君 理事 平井 義一君
   理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君
      小高 熹郎君    川端 佳夫君
      田口長治郎君    田渕 光一君
      玉置 信一君    冨永格五郎君
      福田 喜東君    小松 勇次君
      水野彦治郎君    井之口政雄君
      中原 健次君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 森 幸太郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  坂本  實君
        農林事務官
        (水産庁次長) 山本  豐君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        長)     松任谷健太郎君
        農林事務官
        (水産庁生産部
        統制課長)   奥田  孝君
        農林事務官
        (水産庁生産部
        加工水産課長) 水野  榮君
        農 林 技 官
        (水産庁漁政部
        漁港課長)   林  眞治君
        專  門  員 杉浦 保吉君
        專  門  員 齋藤 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 水産資源枯渇防止法案(内閣提出第一四九号)
 港湾法案につき運輸委員会に申入の件
 水産物集荷配給並びに水産貿易に関する小委員
 長より報告聴取漁業制度に関する小委員長より
 報告聴取
 水産行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○石原委員長 これより会議を開きます。
 鈴木善幸委員より発言を求められておりますので、この際これを許します。鈴木善幸君。
#3
○鈴木(善)委員 今回政府提案にかかります港湾法案が運輸委員会に付託されまして審議中でございますが、その法案の第三條の條文に、「この法律は、もつぱら漁業の用に供する港湾として他の法律によつて指定された港湾には適用しない。」と規定してあるのでありますが、これはきわめて限定されましたところの漁港を意味するように誤つて解釈されるおそれがあるのであります。そこで漁港法と適用において混淆をしないようにいたしますために、同條を、この法律は、漁港として他の法律によつて指定された港湾に限り適用しない。こういうぐあいに修正してもらいますことが必要であるのであります。そこでこのことを当委員会におきまして方針を決定され、本委員会の総意といたしまして、委員長より運輸委員会に申入れをしていただくことが適当と考えるのであります。これは港湾法案の審議が、ここ一両日中に委員会を通過する情勢にございますので、きわめて火急を要する事柄でございます。つきましては、この委員会としては、ただいま申し上げましたように、この法律は、漁港として他の法律によつて指定された港湾に限り、適用しない。この決定をすみやかに運輸委員会に申し入れをされますよう、委員長においておとりはからいを願いたいと思うのであります。なおそれは委員長名により、文書によつて運輸委員会に正式に申入れをいたしますのみならず、本日中にでも、委員会より代表を送りまして、運輸委員会にこの本委員会の意思をすみやかに伝達される御措置をとられたい。以上の提案と御希望を申し上げたいと思います。
#4
○石原委員長 この場合政府当局より発言を求められております。林漁港課長。
#5
○林説明員 ただいまお話のありました港湾法第三條との関係でありますが、これは先ほど成立いたしました漁港法との関係におきまして、当初私どもが事務的に漁港と一般港湾との区分と申しますか、線を引く問題につきましていろいろ協議いたしました。その結果に基いて、港湾法といたしましても、去る二十五年一月十三日に閣議決定を見ました案におきましては、港湾法第三條におきまして、この法律は漁港の区域には適用しない。前項の漁港の区域は、漁港に関する法律で定めるところによる。こういうふうにはつきりいたしまして、お互いに了解をつけたわけでございます。ところが今回提案になりました港湾法におきましては、先ほどございましたように表現がかわつて参りました。「この法律は、もつぱら漁業の用に供する港湾として他の法律によつて指定された港湾には適用しない。」こういうふうになつておるようでございます。このもつぱら漁業の用に供する港湾として他の法律で指定するということが、われわれとして問題になつて来るのではないかという心配があるのであります。つまり「もつぱら漁業の用に供する港湾」ということになりまするならば、一つの港湾が百パーセント漁業の用に供されているとか、あるいは八十パーセント程度供されているとか、要するに大体におきまして、その港湾の全体が漁業の用に供せられておるものだ、こういうので誤つた解釈になる場合もあるのじやないかと思います。これは最初から事務的に話合いをして参りました線とは少しかわつて参りました。漁港としまして利用されておる、漁業の用に利用されておりまする区域につきましては、これを漁港として指定することによりまして、漁港法の適用を受ける、こういう線で今まで参つておつたのであります。これとただいま提案になりました第三條の関係等から見ますと、われわれとしても、その解釈によりましては、ちよつと困る問題が出て来る、こういうふうに考えます。そこで先ほど鈴木委員からお話のございました修正の條文によりますれば、その点もはつきりして来るのではないか、こういうふうに考えられるわけであります。なるべく委員会の方の御決定によりまして、ただいまの修正ができますようにお願いを申し上げたいと存ずる次第であります。
#6
○石原委員長 ただいま鈴木委員の御発言に対しまして、林漁港課長よりも発言があつたわけでありますが、ただいまの鈴木委員の御発言についてお諮りいたします。鈴木委員の御発言の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○石原委員長 御異議なければ、運輸委員会にさよう申し入れることに決します。なお申し入れの方法については委員長に御一任願いたいと思います。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
#8
○石原委員長 次に冨永委員より発言を求められております。冨永君。
#9
○冨永委員 先般カン詰行政の所管を水産庁に移管するという問題につきまして、小委員会に御付託になりました内容の中間報告をいたしたのでありますが、この機会に、さらにその後の経過等について簡単に御説明申し上げておきたいと思うものでございます。
 この問題は、御承知の通り、昨年の十月業界から強い要望があり、またカン詰の公団行政の廃止、カン詰需給調整規則の撤廃等により、水産庁にカン詰行政の所管を移すということで、食糧庁に申し入れたことに始まつたのでありましたが、必ずしも意見の一致を見ず、今日に至つたことは、先般報告の通りであります。その後、御承知の通り鮮魚介の統制も撤廃になりましたし、またカン詰業がほとんど自由企業になつたということ、及び食糧事情の緩和によりまして、カン詰を食糧統制の一部として考えて来た従来の考え方は、全然是正する必要を生ずる。しかも輸出を第一義とする考え方に転換することが、きわめて緊要になつて参りましたので、この場合総合輸出対策の一環として、水産カン詰を考えるという見解が強まりまして、しかも御承知の通り、水産庁の機構改革もある機会でもありますので、この場合この実現を進めたいと考えておつたのであります。水産庁におきましても、食糧庁に積極的にいろいろ折衝いたしているように、小委員会でも水産庁当局からの説明も拜聴いたした次第であります。大臣におかれましても、移管を適当とするというお話もされておるのでありますが、政務次官からは、はつきり賛成するという御答弁もいただいているような次第であります。なおこうなりますると、結局食糧庁と水産庁の間に、多少人員問題に関する関連性が生じますけれども、これは幸いに農林省内の問題でありますだけに、大臣の考え方だけである程度話合いがきまるものと考えておる次第であります。近い機会にこれが実現するものと思うのでありまするが、これに関して水産庁の次長からも、一応のお見通しを承つておければ、たいへん都合がよいと考えております。なおあわせてお尋ねを申し上げておきますが、委員会におきましては、こうした機会に、食糧庁の油脂課で扱つておる魚油もやはり水産庁に移管することが適当だ、しかも魚油は今日の状況では、ただ配給だけを扱つておる実情等をも考えます場合に、これをひとつお取上げを願いたいと考えておりますので、次長の御意見を承つておきたいと思います。
 なお小委員会の報告に合せて申し上げたいことは、鯨油の問題でありますが、これは現在国際価格が八万円から九万円というような、全然採算の引合わない価格に相なつておりまするけれども、幸いに南氷洋の分だけは四月十八日にトン当り十三万五千円に決定いたした状況に相なつております。なお鯨肉は、遺憾ながら食糧事情の点等から検討いたしまして、相当大幅に旧マル公価格を割つていて、値下りになつておる実情であることを、この場合簡単ながら御報告を申し上げておきます。
 なお先ほどの水産カン詰の移管の見通し並びに食糧庁所管の魚油を水産庁に移管するということに対する私の小委員会の報告に関連して、次長の御意見を承つておきたいと思います。
#10
○山本(豐)政府委員 カン詰行政の移管の問題につきましては、この前の委員会でもお答えいたしましたように水産庁といたしましては、ぜひ水産庁に持つて参りたいと考えまして、いろいろ折衝いたしておるのであります。その方向については、食糧管理局の方でも大体の了解はただいまついておるように思うのであります。ただ今もお話にありましたように、具体的な人の問題でありまして、それに関係する人を引取つてくれというふうな話も出ております。ところが定員の関係でやりくりを若干はまだつけなければならぬのですが、水産庁としては、余分な定員はないわけであります。しかしごく少数の程度であれば、何とかこれもこちらの方でもくめんいたしまして、ぜひ円満に引取りたいと考えておるわけであります。
 それから鯨油の問題についてお話がありましたが、それはわれわれの方といたしましても、将来研究して、そういう方向に向けたいと思うのであります。ただいまのところ、やはり油脂公団の問題も、行く行く廃止いたすことに相なるわけでありますが、現在のところまだ確定していない事情もあります。また油脂課としての仕事は現状のままあるわけでありますので、これはひとつ将来研究いたしまして、考慮して行きたいと考えておるのであります。
#11
○冨永委員 今の御説明で、大体了承した次第でありますが、角油の問題はある程度そういう問題もあるのでありましようが、カン詰の方はほとんど睡眠一歩前に来ていると考えますので、これをひとつ急速におきめになるよう、特に要望しておく次第であります。
 それから小委員会の報告としてつけ加えて申し上げておきますが、委員各位のお手元に、水産物輸出統計とあわせて、水産物の輸出振興対策の水産の方針等をも御配付申し上げておりますので、追つて御検討願いまして、また小委員会でもありますときに、御意見を拜聴できるようにいたしたいと考えてあわせて御報告申し上げておきます。
#12
○小高委員 生鮮魚介類の統制撤廃後における市場関係の事柄でございますが、最近非常に生産者は迷惑をしております。ことに最近のにしん漁の状態あるいはさば漁の状況が、これを如実に物語つておるのでございます。今までの荷受け機関そのままのようなことをやられておつたのでは、生産者はとうてい立ち行かない。一貫目百円から売り始めて、七十円、六十円という相場が出ますと、その六十円で全部二千貫とか、三千貫とかを一口の荷物として引取られてしまうというようなことがあつて、はなはだ困る。かつ市中に販売されておりまする小売価格を見ますと、生産者が考えると、ほんとうにばかばかしいほどの高価で売られておる。こういうことでは、生産者は今日の資材及び租税の負担、あらゆる海上の危険等から考えまして、とうてい成立たないという声が、ただいまほうはいとして全国各地から起つておるのでございます。これにつきまして、生産地では入札制度による売買をしておるのでありますが、しかし東京へ参りますと、仲買人制度が復活しておりませんために、入札をしてくれないということから、やはり東京へ出しますと、地方で入札したものも委託で販売にかけるというような結果になつてしまいます。従いまして京浜地区のごとき大消費地が地方のような方法に行かないために、やはり産地でも委託で生産者から引取つて東京へ送らなければならないというような事情が、幾多ここに現われておるのでございます。さようなことから考えまして、東京の市場においてもすみやかに入札制度を施行してもらいたいということから、仲買人制度を至急復活してもらつて、生産者の利便をはかつてもらいたいということが一つ、いま一つは、生産者が結合したところの市場を大消費地に設置することに対して、ぜひこれを許可してもらいたいというような意向があるのでございます。この二点について、当局はどういうお考えをなすつておるか、お考えを承りたいのであります。
#13
○山本(豐)政府委員 最近にしん、さばの非常な豊漁の関係と、しかも一般金詰まりの関係も作用しまして、非常に産地で価格が暴落しておるという状況は、われわれも承知しておるのであります。これもあるいは一時的の現象であれば幸いでありまするが、今後相当にこういう方向に参るのでなかろうか、そこで根本的な対策を考えなければならぬと考えておるのでございます。その一つとして、ただいまお話のございました、いわゆる仲買人の問題でありまするが、これは東京都におきましては、他の地方に少し遅れておりますが、ただいま仲買人を至急きめるべく、市場当局の方でも選考中のようであります。おそらくごく近いうちに仲買人制度が復活するであろうというように考えております。
 それからいわゆる生産者が市場に進出するということにつきましては、水産庁といたしましては反対はないのでありまして、どういう形でそれに参加して参るか、これらの方法をなおよく親切に考えてやらないと、実際問題として、実現が困難であろうとは思うのでありますが、その方向については、水産庁としても十分考えておるわけであります。市場法をただいま研究中でありまするが、それらの具体化の際にもその問題を十分考慮いたしまして、善処して行きたいと考えておるのであります。
#14
○小高委員 ただいま次長からの御答弁で、大体了承いたしましたが、そのうち生産者の意向を多分に取入れた市場法を設けたいというようなことは、私もまことに賛成でありますが、どうか生産者を殺さないような線をはつきりさせた市場法を、すみやかに立案してもらいたいということを、希望意見としてつけ加えて、質問を打切つておきます。
#15
○田口委員 昨今日本のあらゆる漁業を見てみますのに、どの漁業も非常に危機に瀕しております。これは金融関係もありますけれども、一つは、ただいまのお話のように販売機構、これがはなはだ不合理にできておる。統制時代そのままのことを消費地において商人がやつておる。最近一つの例といたしまして、下関で以西底びきでとりますいかが、一箱二百円でどうしても地元の商人が引受けません。やむを得ず生産者はトラツクに魚を積みまして、下関から山口まで、トラツクの上からずつと販売をいたしますと、二百円で引受けなかつたいかが、平均四百円程度で、山口まで行く間に各自動車のものがすつかり売れてしまつた、こういうような事実がございます。これは私がいつも申し上げますように、統制時代に、価格の関係で鉄道沿線だけにしか売れなかつた。これを価格が撤廃なりまして鉄道から奥にまで運賃をかけて売らるべき今日、なお商人はその点の努力をいたしませんで、従来通りの範囲内で売つておる。こういうような実情でございますから、どうしてもわれわれは、従来の沿線だけに売れておつた品物を、奥地にまで売るような方法を講じなければならぬ。このためには、ただいまのお話のような仲買制度を設けまして、仲買人に努力させるよりほかに方法はないと思いますが、その点について、水産庁としても格段の努力を要望したいのであります。
 それから第二の問題は、生産費の問題でございます。大勢として魚価が上らない。これは大勢上やむを得ないわけでございますが、この実情に生産者として合せるためには、どうしても生産費を低下させる、この問題が最も重要であると考えるのであります。各種の漁業ともに魚油あるいは氷、あるいは魚貝、こういうものが生産費のおもなる構成になつておりますが、かりに油を一つ取上げましても、おそらくあの油は、一千何百円程度で輸入をされておると思うのでありますが、われわれがこれを使用する場合は、一トン九千幾らということになる、氷にいたしましても、一トン千三百円で現在売られておりますけれども、この千三百円は、最近建設をいたしました最も高い建設費を要した氷工場で、生産がまかなえるような価格をとつておるのでございます。これもうんと切り下げてしかるべきだと考えるのであります。資材の問題につきましては、業者自体がいろいろなくふうをいたしまして、できるだけ経費を省くことにしておりますが、とにかくあらゆる方面から生産費を低下させるということについて政府も民間も努力しなければならぬと思うのでございますが、この販売価格をできるだけ高く求める。そうして生産費をできるだけ安くする。このことが実際においてできなければ、日本の漁業というものは、各漁業とも成立たないような状態にあるのでございます。こういう点から申しまして、漁業を破滅させてしまうということが、国家的にも大いに考えなければならぬ問題であるといたしますれば、われわれはこの販売と、そうして生産費を低下させるという問題について、ほんとうに真劍に研究をし、思い切つた政策を実施するということでなければ、取返しのつかないようなことに、まさにならんとしておるのでございます。業者としても、おそらく生産費の低下という点につきましては、あらゆることを研究すると思いますけれども、油の価格その他について、一トン三千何百円で行つておるものが、九千何百円で業者が使つておる。こういうような実情でありますから、政府としても、何らかの方法が打てるだろうと思うのであります。従来は漁業用の油というものは免税で使わせておつた。漁業が以前の形になりますれば、別に免税だとか何とかいう、そういうことは考えないでいいと思いますけれども、今のような実情でございますと、何らかそういう方法もお考えになつてしかるべきだ、こういうことを考えるのであります。先ほどのお話のように、生産者の息のかかつた消費地の市場、そうして漁業生産費を低下させること、この問題について、役所としても真劍に考えていただくことを要望する次第でございます。
    ―――――――――――――
#16
○石原委員長 水産資源枯渇防止法案を議題といたします。
 本法案は漁業制度に関する小委員会の審査に付してありますので、この際同小委員長より、本案の審査の経過について報告を求めます。鈴木善幸君。
#17
○鈴木(善)委員 ただいま議題となりました水産資源枯渇防止法案の、小委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この水産資源枯渇防止法案は、限られた魚区内におきまして、将来にわたつて最高度の漁獲率を維持するために、水産資源の枯渇を防止しようという趣旨の法律でありまして、わが国がマツカーサー・ラインの範囲内におきまして、将来にわたつて最も計画的な恒常的な漁獲をあげて参ります建前からいたしまして、適切なる法案であると私ども考えるのであります。この法案の各條項につきまして、数回にわたり小委員会を開催いたしまして、慎重審査を加えて参つたのでありますが、その審査の際におきまして各委員から強く論議されました点は、第四條の補償金の額並びに補償金の交付方法についての問題であります。この水産資源枯渇防止法案は、その内容をつつ込んで検討いたしますと、予定されますところの以西底びき網、あるいは将来考えられておりますところの以東の底びき網等の整理にあたつての補償法案とも称すべき内容を持つものであります。漁業整理の補償法案とも称すべきこの法律案の、最も重点でありますところの補償金の額が、いまだ決定を見ていない。予算的措置もいまだ見通しがついていない。また交付方法等につきましても、十分なる腹案が当局にできていないようであります。これは本国会の劈頭以来、政府も非常に努力され、また当委員会におきましても、自由党の政務調査会あるいは国会対策委員会等を通じまして、大蔵省その他に強く折衝して参つた経過を持つものでありますが、漁業法の実施に振り当てられておるところの予算の不用額二千万円程度の財源しか、今のところ目安がついていないというような状況にあるわけであります。二千万円程度では、一隻当り予定されますところの三百万円程度の補償を基礎にいたしますと、七、八隻分にしか当らない。こういうような少額のものでありまして、どうしても急速に、この法案実施に対する予算上措置を講じなければならぬ事情にあるわけであります。しかも政府当局の意見を徴しまするに、以西底びき網は六月末日をもつて第一次の整理をやらなければならない至上の要請に迫られておるような逼迫した事態にありながら大蔵当局等の認識が足らないために、いまだに補償の問題が固まつていないということは、法案審議の上からいたしまして、私ども小委員会において、一番問題として検討を加えたのであります。また補償の方法につきましても漁業権証券を交付いたしまして、これを三箇年間に分割払いをいたすといたしますならば、漁業の転換等に対する業者の転換資金にもならないわけであります。三百万円程度のものが一時にまとまつて交付されてこそ、初めて他の漁業への転換その他の措置ができるのであります。しかしこれがなしくずしに少額ずつ交付されるようでは、補償の効果が十分期せられない。こういう問題もありまして、補償の額及び交付の方法を、急速に御決定を願わなければならぬ事情にあるわけであります。しかしながら、今ここへ農林大臣が御出席になりまして、この問題について御即答が得られないにいたしましても、この法案を成立させまして、そうして以西底びきの整理を六月末日までに断行するというような措置を講じませんならば、国際間にいまだにわだかまつておりますところの、わが国の漁業のあり方に対する考え方を改善いたすことが、困難であろうと思うのであります。私どもはこの法律の実施によりまして、日本の漁民は国際信義を守り、限られた漁区内において誠実に国際協約を遵守して、秩序ある漁業をやるということを、中外に宣明することができるわけであります。それによりまして、将来わが国の漁業は国際間の信用を高め、全漁民の要望でありますところの漁区の拡張等も、さらに明るい見通しに達し得るものと考えるのであります。これらの国際情勢国際的な輿論等から考えまして、この際この補償の問題等が、今日ただいま農林大臣の御言明がかりに得られなくても、切迫いたしました今会期中には、ぜひとも成立せしめなければならぬ、こう私ども考えるのであります。そういう意味合いにおきまして、小委員会としては、本委員会においてすみやかにこれを議決せしむべきものと認めておるものであります。
 ここに小委員会の審査の経過並びに結果を御報告いたします。
#18
○石原委員長 本法案に関し、農林大臣に対する御質疑を願います。
#19
○夏堀委員 本法案は、申すまでもなく、わが国の漁業の将来にとつて非常に重要な問題であつて、国際関係において、特にこの問題は取上げられつつあるのであります。今小委員長より報告のありました通り、どうしても本国会においてこれを通さなければならぬ、こういうことになつておることは御承知の通りであります。ただこの内容を見ますと、以西底びきその他の整理はどうしても断行しなければならぬが、これに対して何ら具体的なものを織り込んでおらぬということであります。この法律案は予算と並行して進んで行かなければならぬものであつた、これが予算と切り離されて、この案だけを通すということは、非常に困つた問題である、これはその通りだろうと思います。しかし、こうした段階において切り離されて、そのまま切り離されぱなしということになりますと、今後の以東底びきあるいはその他この法案によつて実施せられるいろいろの漁業は、一体どうなるか。政府が一旦許可したものに対してただ無條件にこれを取消すということは、おそらくできないでしようけれども、どうしても整理しなければならぬという場合に、お前の船はやめろ、お前の船は残れと言つたところで、これになかなか割切れる問題じやないのです。やはりこの法案の精神は、どこまでも資源枯渇の防止であり、資源の愛護である限り、政府がこれに対して予算面に織り込んで特段な処置をしなければならぬということは、当然であろうと思います。これまで大蔵省との折衝はかなりおやりになつたではありましようけれども、全然予算が盛られていないということになると、今申し上げた通り、今後に残される大きな問題でありまするので、きようの委員会で、農林大臣に、この問題に対して将来約束すべき何らかの具体的方法の言明をしてもらはなければ、私ども委員としても、この法案の取扱いをした、いわゆる責任の立場において、漁民にまみえる顔がないのであります。どうぞ本委員会において、農林大臣として、こういう措置をとろうというような、金額に対してはつきり申して下さればなおけつこうでありまするけれども、もしどうしてもそこまでの段階に行つておらないということになれば、ある程度の御趣旨を述べていただきたいと思うのであります。どうぞ農林大臣に御答弁をお願いいたします。
#20
○冨永委員 ただいま夏堀委員が大体申されたようでありますし、先ほど鈴木小委員長がいろいろ詳細に報告をせられ、また農林大臣の御意向もただされたのであります。もちろん私どもは委員の一人といたしまして鈴木小委員長が非常に含蓄のある報告をせられ意見を述べられたのに対して、必ずしも不満を持つ者ではありませんが、ただ一点、やはり今夏堀委員から述べられました点でありますが、先ほどの報告の中の、きよう必ずしも農林大臣から即答がなくてもという事態に置かれていることは、了承できないとは申し上げません。しかしながら二院制度である限りにおいては、必ずしも本院が院議をもつて決定いたしたからというて、これが国会の議決になるとも限らぬという点をも考え合せました場合にどうしてもこの場合、私どもが本法案を今期国会で可決しようとする強い熱意を持つ以上、この機会に、今夏堀委員から述べられました、いわゆる予算的措置の内容等につきましては、ぜひとも農林大臣の確信ある御所見を承ることによつて、私どもはこの法案を全面的に賛成いたしたいと考えておるのであります。これは必ずしも小委員長の考え方に不賛成だというのではありませんが、小委員長がこの問題を特に熱心に取扱つておりまする関係から、政府の立場、また党の立場というようなものを、非常に思い過されたのではないかというふうにも、考えられないこともないとい思ますので、私どもは、この点をやはり夏堀委員の考え方の通りに、農林大臣におかれましては、そういう点を御考慮せられて御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
#21
○田口委員 今回の資源枯渇防止法は、われわれから考えますと、今の日本の漁業情勢からいたしまして、あらゆる漁業について、あらゆる方法をもつてこの資源を保護するという立場の法律でなければいけないと考えるのでありますけれども、時間の関係からいたしまして、広範囲の法案としてはどうしても成立できませんから、ただいまお話のような、結局以西、以東の底びき整理案、こういう意味において成立することもやむを得ないと思うのでございますが、この以西底びきの漁区の問題につきましては、従来農林大臣が非常に御努力をしておられましたにもかかわらず、今日までこの問題が解決せないということは、結局日本の漁業の計画性の問題であり、そうして日本の漁業の国際的信用の問題が主としてそこに至つておる、こういうことが考えられるのであります。この点から申しまして今回の資源枯渇防止法は、非常に重大な意義がありますので、できるだけ早く実施をしなければならぬ立場にあると考えられるのであります。ただしかし、この法案の内容は、ただいま夏堀委員及び冨永委員からお話がありましたように、結局補償なしには、なかなか実施しにくい法律でございますから、この予算的措置その他を並行的に審議すべきものと考えるのでございます。いろいろな事情もありますが、国としては、資源の枯渇を防止しなければならない。水面の生産と漁獲とを一致させなければならぬ。こういうような立場にありますが、現在実際に従業しておる業者の立場から申しますと、ただいま夏堀委員が申されましたように、あるものをやめさしてあるものを継続させる。こういうような立場になるのでございますから、ただちに何らかの国家的補償がなければ、非常にむずかしい問題が起ると思うのであります。ただいま業者の金融の問題は、建設資金というものは、ほとんど全部を銀行から融資を受けております。そうして運転資金は地元の銀行から融資を受ける。こういうことで事業を継続しておるのでございます。そういう状態において事業をただちにやめるということになりますと、結局仕事があるために金融がついておるのが、金融がとまつてしまう。のみならず、建設資金というものがあとにそのままに残る。かかる場合におきましては、少くともこの借入れをした金額だけは、仕事をやめると同時にある程度整理をしてしまわなければならない。このことが、業者の立場から申しますと非常に重要でございます。仕事はやめる、借金は一年か二年の後に、しかも分割的に払う、こういうような状態では、なかなかれ仕事をやめてしまうということが、実際においてむずかしいことでなかろうかと考えるのであります。この点から申しまして今ただちに農林大臣がここで、その問題についてはかくのごとき方法を取る。そうして必ず実現する。こういうようなことはむずかしいと思いますけれども、業者の立場といたしましては、仕事をやめる以上は、どうしても借入金の整理問題をある程度つけなければ、実施できないような実情にありますから、できるだけその点を、業者の立場を一度お考え願いまして、そうして整理は必要であるから、整理はする。そうして業者の方もその点の問題を解決する。こういうような点について、できるだけつつ込んだ御答弁を煩わしたいのであります。
#22
○森国務大臣 いろいろ御質問がありましたので、まとめてお答えいたします。
 この金融の問題につきまして、この法案の成立当時の事情は、先日内容を申し上げたいと存じておりますが、今回の漁船の整理、いわゆる水産資源枯渇防止と名前はきれいに書いておりますが、結論は減船せよという至上命令であります。この命令に対しまして、政府がこういう法案を考えなくても、減船は実行せなければならぬのであります。しかしそれでは業者の立場が非常に苦境に陥るのでありますので、至上命令として承わらなければならないが、それに対して、何とか政府は業者に対しての方法を考えたい。こういう立場からこの法案の成案を考えたのであります。しかし先日申しました通り財務当局としましては、至上命令に対して、そういう補償を政府があくまでもやるということについては、相当議論もあつたのであります。従つてこの法案の提出が遅れたというのはそこにあるのであります。もしこの法案が予算措置の裏づけがないからというので、提出をすることができ得ないといたしましても、やはり減船は実行せなければならぬ立場にあるのであります。そこでこの法案の提出の間ぎわにあたりまして、とりあえず現在編成されておる予算の範囲内においてやりくりのできる、合法的な措置のできる範囲内において処置をするという、財務当局との了解のもとに、実は閣議の決定を見るに至つたのであります。従つてここにこの法案が成立しますと、政府はこの補償に対して約束をいたした責任を持つことになるのであります。先ほど申しました通り、この法案がなくても、減船は六月にせなければならぬことになつておるのでありますが、それでは業者に対して気の毒であるというので、この法案を出しだのであります。この法案を出した以上は、いわゆる政府として責任を背負うわけでありますが、今申し上げましたような徑路で、予算措置ができ得なかつたのであります。しかし今申しましたような事情のもとに、現在漁業法の施行の過程等より考えまして不合理な予算の措置でなしに二、三千万円程度のものはできるのであります。しかし今政府におきましては、一隻に対してどれだけの補償をせなければならぬかということも、まだはつきり決定しておらないのであります。今回の整理に対して、総額がどれだけいるかということを目当てをつけまして、それに対しまして補正予算等の時期が必ず来ることと考えますので、そのときに適当な処置をとりたい、かように考えておるのであります。打明け話としては、今申しましたように、この法案を出さなくても、減船は事実として行わなければならない。それでは業者に対して気の毒であるから、ここに法律といたしまして、そうして政府が責任を背負う、こういう立場におきまして、法案を提出いたしたのであります。法案を提出いたしました以上は、この責任を遂行するために、必ずこの補償に対しての政府の責任を果したい、かように考えておるわけであります。
 なお一面におきましては、今田口委員からも御質問がありましたように、その間における借入金に対する金融の道であります。これも漁業手形等の関係もありますけれども、これは年度等の関係がありまして、ただちにこの手形を流用するというわけには参りませんが、その他の方法によりまして、金融の道を考慮いたしまして、業者の損害をできるだけ軽くいたしたいと考えておるわけであります。
#23
○夏堀委員 政府の責任ということに対しての御答弁はよくわかりましたけれども、責任といつたところで程度の問題であるのであつて、たとえば今おつしやつたように、二千万円云々ということも、あるいはその責任内において処置したいといえばそれまでであります。私どもが、水産庁からいつかの機会に承つたことは、一そう三百万円程度ということであります。私どもはそれはあながち妥当とは思つておりません。あれだけの事業計画を立てて、今三百万円程度の補償金をもらつたところで、それで一そうの船に当るということは、おそらくないだろうと存じております。そうした関係で、三百万円程度でもやれないとは、今のところでは考えておりません。三百万円を目標として一応借入金の形において、次の予算の編成の際に、これを考慮するという程度の御答弁を承りたいと、率直に私は申し上げたいのであります。この点に対していかがでありましようか、ひとつ御答弁を願います。
#24
○森国務大臣 一隻に対して三百万円の程度にすべきか、二百万円程度にすべきか、あるいはさらに増額すべきかということについては、関係方面との関係もありますし、また業者等の意向もあるのでありまするけれども、どの程度にこれを決定すべきかという、この整理の内容につきましては、まだはつきりつかむことはできません。かりに三百万円ときめましても、約六億円ほどの金がいるわけであります。それの何割を政府が盛り得るかという問題も、研究せなければならぬと存じます。しかし一応政府として責任を背負うという立場に立つた以上は、その金融の処置につきましては、今夏堀委員のお話のごとく、政府として当然それを補償すべき責任があるということに考慮いたした場合においては、金融の道もおのずからつきやすくなると考えておるわけであります。いずれにしましても、どの程度を補償するかということの検討を加えまして、その金額に対しましては政府が当然責任を果すべき金額でありますから、それに対しての金融の道も、おのずから考慮し得られると考えるのであります。
#25
○鈴木(善)委員 この補償の問題につきまして、先ほど農林大臣から、政府が補償しなくても、至上命令によつて減船は断固としてこれを行わなければならないのであるが、それでは業者が非常に困るのであろうから、政府として、親心からこういう措置をとつたという趣旨のお話があつたのであります。政府の気持はまことにその通りであろうかと思うのであります。しかし漁業法によりまして、指定漁業等の減船整理を行う場合には漁業法の明定するというところにより、補償しなければならないということに相なつておるのでありまして、これは漁業法に基いて、政府は当然補償すべきものになつておるのであります。この点まず明確にいたしたいと思うのであります。
 その次に「通常生すべき損失を補償しなければならない。」と第四條にうたつておるのでありますから、政府の一方的な予算の範囲内でとかいうようなことは許されないわけでありまして、農林大臣は中央漁業審議会の意見をお聞きになりまして、そうして合理的な、通常生すべき損失を補償しなければならないわけであります。でありますから、逆にこれを申し上げますならば、正当なる補償の額を決定され、それによつてそれをまかなうに足るだけの予算措置を、政府は当然この法律によつて講じなければならぬと、私ども考えておるのでありまして、ただいま農林大臣の御答弁にありましたように、次の臨時国会等において、補正予算等の措置によつてぜひともこの通常生ずべき損失は補償されるよう、政府の責任において御措置を願いたいという、希望を申し上げるものであります。
 また先ほどの私の報告につけ加えたいと思うのでありますが、第四條の第二項及び第三項の補償の額及び交付の方法ということは、報告で申し上げましたように、種々の事情から、政府でもいまだ最後的な結論を出しておられぬわけでありまして、その面において十分なる審査ができたとは申されないわけであります。でありますから、この法案は、成立さすべきものと考えるのでありますが、補償金額及び交付方法を御決定になります場合には、当局はそういう事情を勘案されまして、本委員会に御相談いただくことを、大臣の御了解を得たいと思うのでありますが、大臣の御所見はいかがでありますか。
#26
○森国務大臣 これは慣例もありますし、適当な措置をとりたいと思います。
#27
○井之口委員 大臣に二、三御質問を申し上げます。
 この水産資源枯渇防止法というものはなかなかいろいろな複雑な内容を持つておると思います。ただいま大臣も言われました通り、表面は水産資源の枯渇防止だけれども、実際は補償法であるというようなことをおつしやられたのでありますが、まつたくその通りであると思います。しかしやはり一面、これが水産資源の枯渇防止にも関係して来ると思うのですが、そういう方面から特に考えてみますると、第一以西底びきが、非常に船が多くなつて、そうして資源が枯渇を来しておるということでありますが、戦前から漁区等の関係をよく見てみますと、従来黄海方面、朝鮮の近海、並びに沿海州、あるいは北日本というふうにできておつたところの漁業権が、かなり狭められて来ておる。そこで最込はいろいろ拿捕事件のような不祥事さえも起つておるわけでありますが、やはりこれは将来の講和の問題が、非常に大きな影響を持つと思うのであります。もし将来の講和が、単独講和かあるいは全面講和かという、講和状態のいかんによつて、本問題が非常に影響されて来ると思うのですが、講和会議と漁区の関係について、大臣の将来のお見通しを、ひとつ聞かしてもらいたいと思います。
#28
○森国務大臣 講和会議の内容がどういうようになりますか、日本といたしましては、こちらからかれこれ考えられないのであります。従来黄海方面は中国の方であまり漁業をいたしませんために、渤海湾までも日本の船は行つておつたのであります。ことに朝鮮の北方におきましては、現在のマッカーサー・ライン以上に進出しておつたのでありますが、御承知の通り、ああいうラインを引かれまして、この範囲内において許すということで、現在認められておるわけであります。将来中国とともに漁業を営むような場合になりますれば、合弁によりまして、さらに北方に拡張し得られるかもしれませんし、いずれの場合におきましても、自由な漁獲ができるようになるかもわかりません。しかし講和條約にどういうふうに、ひとり以西底びきだけではありませんが、南方のあるいは北方の漁区を容認されるかということは、向うさんの考え方でありまして、こちらとしましては、申すまでもなく、従来許されておつたような、公海として、いずれへ行つても漁業のできるような状態に置いてもらいたいということを、熱望してやまない次第であります。しかし講和條約において、日本は漁区に対してこういうことを主張するとか、ああいうことを主張するとかいうことは、日本として言い出すことは許されないのであります。ただ世界の平和の上から、また世界人類の食糧の生産の上から、公正な立場で連合国が裁断を下されることと考えておるわけであります。
#29
○石原委員長 井之口君、委員室の関係がありますから、どうかなるべく簡単に……
#30
○井之口委員 中ソ條約によりますと日本との講和を一日も早く締結したいというようなことを、向うでも希望されております。しかるに、もしこれが単独講和というようなことになりますと、たといこれで一時枯渇防止のために減船したにいたしましたところで、やはり船を武装するとか、あるいは拿捕されるとかいう、さまざまの不祥事が起つて来ると思うのであります。決して枯渇防止法の目的を達することはできないと思うのであります。それで、どうしてもこれはやはり全面講和をして、新中国並びにソ同盟との平和的な協定のもとに、日本の漁業を合理的に営むというふうでなければいかぬと思いますが、その点につきまては、単独講和なんかしておつては非常な妨害になる、全面講和にあくまでも持つて行つた方が、水産上においてもよろしい、こういうふうに大臣はお考えになりますか、どうですか。
#31
○森国務大臣 御意見として拜聽いたすわけでありますが、講和問題につきましては、総理大臣とし、外務大臣として、たびたび声明いたしておるわけでありますから、その線によつて政府は善処すべきである、かように考えておりまして、講和問題が単独か全面かということに対しては、私からは意見は差控えたいと思います。ただ水産漁業におきましては、過去における通り自由な漁獲の許されることを、私として望んでやまない次第であります。
#32
○井之口委員 それでは、その点はいいといたしまして、この漁船の整理の問題でありますが、漁船の整理をするための調査費用として二千万円組んでいらつしやることは事実であります。これは調査費用でありますか、これが一つ。
 それから先ほど、三百万円ぐらいずつやれば、約六億ぐらい必要となつてこれは補正予算か何かでできるだけ努力しようというお考えのようでありますが、それの分配の内容いかん。
 また、こういうふうな減船のためのいろいろな協定というふうなものは、今日本遠洋底曳協会が、被整理者の側から、事業団体法違反として今告発されているのではありますまいか。これはやはり昔の紡績会社の操業短縮の形を持つものではなかろうかと思いますが、もしそうといたしますれば、この場合に補償を与えるというふうなことをするのは、その他の中小企業がみな自分の計算によつてやつているのにそれが操業短縮する場合に、これに対して一々補償しなければならぬというふうなことは、矛盾して来はしないか自由党の自由経済の建前からいたしましても、利益を得る場合には利益は得て、そうしてこういうふうに減船しなければならぬような場合には、国家補償によつて減船して行くということになれば、これはあなたの方の政策に反するのではないか、こう考えるのでありますが、その点ひとつお聞きしてみたいと思います。
#33
○山本(豐)政府委員 この補償の予算でありまするが、先ほど大臣から申されましたように、調査費用としての二千万円はあるわけであります。しかし大蔵省との了解は、単に二千万円程度で割当をするのは非常に困るのでありまして、ひとつ少くとも一億円近いものを、ぜひ何とか出してもらいたいということを強く要望しておるのでありますが、これはひとり水産庁の予算だけではありませんで、農林省全体の予算を通じて、余るものをできるだけしわ寄せして出してやろうというふうに大蔵省の係官も言つてくれておるのであります。現在年度の初めでありますので、幾らということは、先ほど大臣から言われましたように、ちよつとここでは金額は申せないのでありますが、われわれとしては、でるだけ多額のものを、ぜひ何とかいたしたいと考えて、大蔵省にもそういうふうに話をしておるわけであります。
 それから日本遠洋底曳協会の関係について、お話がちよつとありましたのですが、これは今ちよつとそういう話も聞いております。ただこの整理は、初めはやはり国が補償金を出すということではなくて、民間の方で相互扶助の関係で整理をしまして、そうして残つたものが、そのやめる方に補償金を出すという建前でやろうではないか、それに対して政府が、事情の許す範囲で予算的に若干カバーしよう、こういうふうな建前で出発したのであります。このときのいろいろなきもいりをその協会が当つたのであります。それらについての疑義がありまして、今のようなお話が出ておるのでありますが、これは現在出ております法律のように、そういう方法はよくないというので、今度は正々堂々と、政府の責任でやるということにかわつたわけであります。
 また減船の指定の問題でありますけれども、これはあるいはその協会が選んだ、協会が指定したのだというふうにお考えがあるかと思いますが、これも政府の責任で、政府が指定しておるのでありまして、ただいろいろ意見を聞く必要があるという意味で、そういう協会の意見もいろいろ聞いたわけであります。そういう事情でありますから、今問題にはなつておりますが、多分解決をするだろうと思います。
#34
○井之口委員 提訴されている事実がありますか。
#35
○山本(豐)政府委員 提訴ですか何ですか、最近ちよつとそういう事実は聞いております。
#36
○井之口委員 その判決はまだないのですか。
#37
○山本(豐)政府委員 まだありません。
#38
○石原委員長 この際暫時休憩いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○石原委員長 御異議なければ、これをもつて暫時休憩いたします。
   午後一時十五時休憩
     ――――◇―――――
    午後四時五十六分開議
#40
○石原委員長 これより再開いたします。
 この際鈴木善幸君より発言を求められておりますから、これを許します。
#41
○鈴木(善)委員 先般の委員会におきまして、かつお、まぐろ漁船保険組合設立の件につきまして、当局にこの取扱いをお尋ねしてみたのでありまして、その際松任谷漁政部長より、この問題は非常に関係するところが大きいので、慎重に当局としても取扱いをしたいという御答弁があつたのでありますが、その後かつお、まぐろに業者の協会におきまして、四月七日の会議で全国を地区とするかつお、まぐろ漁船組合設立の件が付議せられまして、近い機会にこれが設立認可の申請をいたそうという、具体的な動きがあるように仄聞いたしておるのであります。もしこの保険組合が当局によつて認可されるといたしますならば、
    〔委員長退席、松田委員長代理着席〕
 岩手県におきましては、岩手県保険組合に加入しておりますものの三九%がかつお、まぐろ漁船でありまた宮城県におきましては、宮城県保険組合の取扱つておりますものの五一%がかつお、まぐろであり、秋田県におきましても四四%、また茨城県におきましても五五%、東京都におきましても五一%、静岡県に至りましては八三%、和歌山県におきましては四五%、徳島県では六四%、また九州の大分県におきましては四七%、宮城県では五六%、鹿児島県が四〇%、こういうぐあいに、保険組合の取扱いの約半分程度のものがかつお、まぐろ漁船の保険契約によつて、各県の保険組合が成立たつておるようなわけであります。そこでこれらのかつお、まぐろ業者が全国を地域とするところの保険組合を結成いたしましたならば、各県の保険組合はほとんど壞滅的な打撃をこうむるでありましようし、それに伴いまして、かつお、まぐろ漁業以外の中小漁船の保険事業というものは、おそらく成立たなくなることは、火を見るよりも明らかであります。このような状況にあるわけでありますが、かつお、まぐろ漁業者協会の最近における具体的な設立促進の動きに対しまして、御当局はいかなる御方針でもつて臨んでおられるか、またいかなる御指導をなさつておられるか、この点につきまして当局の所見を伺いたいと思うのであります。
#42
○山本(豐)政府委員 この問題は、一月ほど前から私たちの方にも入つておりまして、ただいま鈴木委員の申し述べられたように、全国の保険組合との関係も非常にデリケートなものもあるわけであります。と申しますのは、この保険組合の今までの業績と申しまするか、そういう点につきましても、若干これまた批判をする点もあろうかと思うのであります。それらが十分に完全に発達し得ますれば、必ずしもしいてかつお、まぐろの独得の組合をこの際つくる必要もないのでなかろうかというふうな考えのもとに、関係の人とも一、二度いろいろ懇談をしたこともあるのであります。しかし、かつお、まぐろの方でいろいろ検討して、ぜひという希望がある場合に、それをむげに押えるわけにも参らないので、ただいま申されましたような、協会自体としては、そういうことにもなつて参つたのかと思うのでありますが、しかし認可申請が出ましても、われわれといたしましては、十分よく検討した上でないと、これをそのままうのみに認可するという考えは、毛頭持つていないのであります。何とか両方の話合いをうまくつけまして、協調して、そういう新しい組合を認めずして行ける方法もあるのでなかろうか、なおこの点につきましては、検討を要すると思うのでありますが、さような考えをもちまして、慎重にこの点は処置して参りたいと考えておるわけであります。
#43
○松田委員長代理 他に質疑はありませんか。――なければ本日はこれにて散会いたします。
    午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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