くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第075回国会 商工委員会 第19号
昭和五十年五月三十日(金曜日)
   午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 山村新治郎君
   理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君
   理事 萩原 幸雄君 理事 武藤 嘉文君
   理事 佐野  進君 理事 中村 重光君
      天野 公義君   稻村左近四郎君
      浦野 幸男君    小川 平二君
      越智 通雄君    近藤 鉄雄君
      谷川 和穗君    橋口  隆君
      林  義郎君    深谷 隆司君
      藤井 勝志君    山崎  拓君
      板川 正吾君    岡田 哲児君
      加藤 清政君    加藤 清二君
      勝澤 芳雄君    上坂  昇君
      竹村 幸雄君    野間 友一君
      近江巳記夫君    松尾 信人君
      玉置 一徳君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  河本 敏夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局長    熊田淳一郎君
        科学技術庁原子
        力局長     生田 豊朗君
        外務省アジア局
        次長      中江 要介君
        外務省経済局次
        長       野村  豊君
        通商産業省立地
        公害局長    佐藤淳一郎君
        通商産業省生活
        産業局長    野口 一郎君
        資源エネルギー
        庁長官     増田  実君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       井上  力君
        資源エネルギー
        庁石油部長   左近友三郎君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 大永 勇作君
        中小企業庁長官 齋藤 太一君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力局原子力開発
        機関監理官   中戸 弘之君
        大蔵省関税局企
        画課長     松尾 直良君
        運輸省船舶局造
        船課長     神津 信男君
        運輸省船舶局首
        席船舶検査官  謝敷 宗登君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月三十日
 辞任         補欠選任
  粕谷  茂君     林  義郎君
  八田 貞義君     谷川 和穗君
同日
 辞任         補欠選任
  谷川 和穗君     八田 貞義君
  林  義郎君     粕谷  茂君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 中小企業に関する件
 資源エネルギーに関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山村委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
#3
○中村(重)委員 通産大臣にお尋ねをいたします。
 新聞報道等によりますと、灯油の指導価格を撤廃するということが伝えられているわけです。ところが、これに対しまして、灯油の価格の上昇につながるという反対運動も活発であるようであります。私もそれは当然なことだと思うのでありますが、なぜに撤廃をしなければならないのか、その理由等について、また具体的な方針についてお聞かせいただきたいと存じます。
#4
○河本国務大臣 家庭用の灯油につきましては、昨年の六月一日以降、元売り仕切り価格の引き上げ限度額を、キロリットル当たり一万二千四百円にとどめるよう指導してきたところであります。四十九年度の需要期におきましては、需給の緩和もございましておおむね良好な結果を得ております。そこで、四十九年度の需要期が終わりました現在では、どうすればこの冬の需要期における家庭用の灯油の供給の確保、価格の安定を図ることができるかということが中心的な課題になっておるわけでありますが、通産省といたしましては、この問題に対処するために、これまでの指導にかえまして、六月一日以降、新たに以下申し上げますような方針に準拠することにいたしたわけであります。
 その第一は、家庭用灯油の元売り仕切り価格を市場の実勢に任せよう、そして次の需要期に十分な供給量が確保されますよう、流通段階を含めまして適正な在庫の積み増しを指導していきたいというふうに考えております。
 第二といたしましては、家庭用灯油の元売り仕切り価格及び末端価格が、そのために不当に引き上げられることのないように十分監視、指導を行っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#5
○中村(重)委員 いまのお答えもわからないではないのでありますけれども、いま不需要期に入った、また秋になりますと需要期に入ってくる、それまでの間に積み上げをしていなければならないのだ、そうしなければ需要期になってから品不足ということによってまた価格が暴騰するというような考え方のようでありますから、それなりの理解ができるとは申しながら、価格の行政指導と回しように、生産についての行政指導ということもできることであるし、また現に通産省が今日までやってきたことであるわけですが、指導価格を外すということは青天井になるわけでありますから、価格上昇につながるということについては、十分警戒しなければならないと思うのですが、そこらあたりは具体的にどのようにお進めになるお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#6
○増田政府委員 灯油の現状について簡単にまず御説明して、いまの御質問に対してお答え申し上げたいと思います。
 灯油につきましての価格指導でありますが、ほかの石油製品については昨年の八月に全部凍結解除をいたしたわけでございますが、灯油が国民生活に直結する品物である、また生活費の中にも、ことに北海道地区、東北地区の方々には相当大きな比率を占めるということで、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、昨年の六月に従来の指導価格に対しまして一万二千四百円の値上げ限度を一応認めまして、これは結果的には二万五千三百円という数字で元売りの価格指導を行ってたたわけでございます。これによりまして、一応昨年の冬は石油の需給が緩んだという関係もありますし、また灯油の供給につきましては潤沢な供給ができたわけでございますが、この価格につきましては、それ以後石油の原価が相当上がっております。そのために、灯油がほかの品物に比べまして非常に安い価格で抑えられている。その結果、灯油の生産につきましてどうしても得率が落ちるという状況が出てきておるわけでございます。
 数字で御説明申し上げますと、昨年の三月末の在庫が二百二十万キロリッターありまして、昨年の九月末、つまり需要期に入ります直前の在庫が五百九十万キロリッターで冬を迎えたわけでございます。これにつきましては、通産省から相当行政指導ということで増産を指示いたしまして、この積み増しを行ったわけでございます。ところが、本年の三月末の在庫は、二百万キロリッターを切っておる。このまま放置いたしますと、ことしの九月には私どもは五百九十一万キロリッターを積むようにということで各社に指導いたしておるわけですが、これの実現が非常にむずかしいという状況になってきておるわけでございます。そういう意味で、今回、従来の行政指導価格を外しまして、灯油の積み増しができるような措置を行ったわけでございますが、先生のお尋ねのこれが青天井になるのじゃないかということでございますが、私どもの方は今後の灯油の元売り価格につきましては指導価格を外しましたが、これにつきまして十分監視をし、報告をさせ、またそれが不当に上がるようでしたら、これにつきまして強い行政指導を行っていきたい、こういうふうに思っております。
 それから、もう一つお尋ねの、灯油の積み増しにつきまして、生産、出荷について、強い生産指示をすれば、これができるのではないかということでございますが、私どもも灯油につきましては、先ほど申し上げましたように、本年の九月末に五百九十一万キロリッター積めということで行政指導を行ってきているわけでございますが、現実に三月末の在庫が二百万キロリッターを割っておる。これにつきまして、いろいろ原因その他各社を呼びまして究明いたしているわけでございますが、やはり二万五千三百円というこの元売り指導価格というものがほかの品種に比べましていかにも安い。
 話が長くなりますが、たとえばA重油それから軽油というのがいわゆる中間留分で灯油と一緒に扱われる品種でございますが、灯油が最も品質が高くてA重油、軽油がそれより品質的には当然低いものであるというのにもかかわらず、現在A重油、軽油が大体二万八千五百円から二万九千円以上している。ところが、それより品質の高い家庭用灯油につきまして二万五千三百円にしているということで、やはり非常に不自然な価格になっているということから……(発言する者あり)
#7
○山村委員長 不規則発言は禁じていただきます。
#8
○増田政府委員 私どもはことしの冬の灯油の供給というものを確保いたしたいということから、今回、先ほど大臣から申し上げましたように、指導価格を外すということにいたしたわけでございますが、これらにつきましての十分なる監視それから行き過ぎのないように、私ども責任をもってやるつもりでございます。
#9
○中村(重)委員 私は、行政指導価格であるとかあるいは標準価格というものが、あるときは価格の高位安定というようなこともありましたし、これが最善のものであるとは考えません。しかしながら、灯油についてはいわゆる生活必需物資であるということで、通産省が関心を持ってこられたことも事実であるわけですから、やはりこの指導価格を撤廃した結果が価格の大幅上昇という形にならないようにしなければならない。私は、石油業界が、業界の赤字というのは灯油の指導価格があるからだ、すべてこれに転嫁をしておること等を考えてみると、相当大幅の引き上げになるのではないかという感じがしてならないわけですから、その点は十分ひとつ留意をされる必要がある、このように思います。
 同時に、通産省は業界の報告というのをうのみにするきらいがある。実態を十分把握しておられないというようなことから、いわゆる現実遊離の行政を行うことによって国民の負担というものを非常に強めていくというようなきらいが十分あると私は思うのです。その点は十分留意をしていかれるように注意を喚起しておきたいと思います。
 同時に、プロパンの標準価格は、今後とも続けていくお考え方なのかどうか。
#10
○増田政府委員 プロパンの標準価格につきましては、私どもはこれを続けていきたいと思っております。現在十キロ当たり千五百円になっておりますが、この標準価格につきましては、現在の事情が変更しない限りは続けていきたい、こういうように思っております。
#11
○中村(重)委員 生田原子力局長にお尋ねをするのですが、「むつ」の放射能漏れというのが国民の大きな不安という形に発展をしてまいりました。そのことが原子力発電に及ぼす影響というものは私はきわめて大きいと思うわけであります。したがいまして、原子力政策といったようなことについてもお尋ねをしたいのですが、その前に、端的に、この「むつ」の問題についてお尋ねをいたします。
 きょう私は大臣の出席を要請いたしておきましたが、大臣が何かの差し支えのために御出席になっておりません。いまからの私のお尋ねに対するお答えが科学技術庁の態度であると理解してよろしいかどうか、その点をまずひとつお答えをいただきたいと思います。
#12
○生田政府委員 ただいまの仰せのとおりで結構でございます。
#13
○中村(重)委員 それでは、「むつ」の新母港の選定作業は、その後どうなっているのですか。
#14
○生田政府委員 昨年の秋から、運輸省と共同いたしまして事務的な作業を続けてまいりました。本年の四月の初めに、科学技術庁長官と運輸大臣の間で一応候補地の内定をいたしまして、その後、統一地方選挙等がございましたので、地元への打診は差し控えていたわけでございますが、連休明けから、地元、これは対馬の三浦湾でございますが、地元に対する打診を始めたわけでございます。
 その打診を始めました段階で、先生御承知と思いますが、地元の漁連その他からの反対の声が高まってまいりまして、長崎県の久保知事がお見えになりまして、事態が多少紛糾しているので白紙還元してほしいという御要望がありましたので、大臣から対馬を候補地として交渉を進めることは白紙還元しようという御返事をいたしましたので、ただいま静観している状態でございます。
#15
○中村(重)委員 この長崎県の対馬の三浦港を新母港として内定をし、かつ非公式の折衝を続けてこられたのは、いつごろからですか。
#16
○生田政府委員 内定いたしましたのは四月の初めでございます。で、ただいま申し上げましたように、その後、統一地方選挙等がございましたので、地元の打診を始めましたのは連休明けでございます。
#17
○中村(重)委員 そうすると、長崎県知事がこれは反対であるという意思表明をしたので、いまこれをストップして静観をしておるということですが、あなた自身も長崎県知事にお会いになった――佐々木長官にも知事が会われたのかどうかよくわかりませんが、佐々木長官の新聞談話等が出ているわけですが、その点は知事に対して非公式要請というものは前からしておられたわけですか。
#18
○生田政府委員 科学技術庁といたしましては、公式にも非公式にも、それまでは要請は一切いたしておりません。
#19
○中村(重)委員 知事の反対表明と、お答えになりましたように地元の漁民を中心とする反対運動が非常に活発になってきた。そこで、科学技術庁は白紙還元をするということを決めて、その旨知事に伝えたということはいまのお答えでも明らかになったわけですが、ところがそうなってくると、佐々木長官の談話でちょっと理解できない点もあるわけです。長官は、白紙還元をする旨回答をしたが、三浦湾が除外されたのではないと語っているわけですが、これはどういうことを意味するのですか。
#20
○生田政府委員 久保知事の御要請がありまして、白紙還元するという御返事をしたわけでございますが、私どもの考えといたしまして、知事に御返事いたしましたのは、対馬を原子力船新定係港の候補地として交渉を進めることは白紙還元しようということを御返事したわけでございます。
 ただいま先生御指摘の大臣の発言でございますが、いろいろ国会その他の場で御質問がございまして、白紙還元ということは、今後、将来にわたって対馬を候補地のリストから全部落としてしまうのかというような御質問がございましたので、そこまでは考えていない、候補地のリストから落としてしまって、今後対馬には全くタッチをしないということではなくて、いままでの地元を打診してきたその経緯は全部白紙還元しようということだというように大臣が答弁されたわけでございますので、そういう趣旨が報道されたものと考えております。
#21
○中村(重)委員 いまのお答えからも感じられることですし、また新聞報道等によりましても、依然として三浦湾が本命であるというようなことが伝えられているわけですが、やはり科学技術庁としては対馬の三浦湾を最有力候補地であるというお考え方を持っておることに変わりはないわけですか。
#22
○生田政府委員 白紙還元いたしましたので、いままでの打診あるいは根回しの経緯は一応白紙に戻したわけでございますが、それ以前の段階、すなわち事務的に原子力船の新定係港として必要な条件、各種の物理的な条件でございますが、そういうものを検討いたしました段階では、対馬の三浦湾が最適であるという結論を一応事務的に持ったわけでございますので、そういう限りにおきましては、現在でも対馬の三浦湾は新定係港の地点として非常に適したものだ、かように考えております。
#23
○中村(重)委員 そうすると、時期はいつごろになるかわかりませんけれども、今後知事に正式要請をしたり、地元に対する説得工作を行うということもあり得るわけですね。
#24
○生田政府委員 いままで私ども行いました地元の意向の打診あるいは根回しが、残念ながら非常に不手際に終わってしまいまして、そのやり方につきましてもいろいろ御批判を賜っているわけでございます。それから、先ほど申し上げましたように、久保知事からも白紙還元をしてほしいという御要請もありましたので、どういう時期に、あるいはどういう方法によりまして、また地元の意向を打診するかということは、これは改めて検討しなければいけない、かように考えておりますが、もしそのような時期あるいは方法が熟してまいりました段階では、ただいま先生御質問のようなこともあり得るかと考えております。
#25
○中村(重)委員 それから、佐々木長官は、白紙還元しても説明会をやらないということではないが、説明会を押しつけたり、無理に交渉を進める態度は絶対にとらないと語っているわけですが、これはいまのあなたのお答えとも結びついてくるわけですが、これはどういうことを意味しますかね。地元から話し合いに来いと言わない限り、知事に対して正式要請をしたり、地元の説得工作に科学技術庁みずからが乗り込んでいくということはないというように理解をしてよろしいわけですか。
#26
○生田政府委員 その点が、今度のケースのように地元との関係が紛糾いたしました場合のアプローチの仕方と申しますか、これが非常にむずかしいわけでございます。この点、先生も十分御承知のことだと考えておりますけれども、したがいまして余り簡単な方法でいたしますと、事態をさらに悪化させる、かように考えております。
 ただいま御質問の大臣の発言でございますけれども、地元で、たとえば先般長崎県の漁連の代表がお見えになりまして、私お目にかかったわけでございますが、安全性が問題だとおっしゃいますので、安全性に関する説明会をやりたいと私は申し上げたわけでございますが、いや、いまのところは説明も聞きたくないという御返事でございました。そういうようなところで無理やりに説明会を強行するということをいたしましても、かえって逆効果になるかと思いますので、その点、地元からぜひ来てくれ、あるいは説明会をやってくれということを意思表示があるかないかは別問題といたしまして、何らかの形でそういう説明会なり何なりが余り摩擦なしに受け入れられるような、そういう時期が熟するのを待つ以外にないということで大臣が発言されたものと考えております。
#27
○中村(重)委員 大臣はそういう気持ちで発言をしたということでしょうが、冒頭、私の質問に対するお答えは、科学技術庁の態度であると理解をしてよろしいかと言ったら、そのとおりだということにあなたはお答えになったわけですから、またあなた自身が知事との折衝にも当たっていらっしゃるわけですから、まあなかなか微妙でして、どういうことで機が熟してくるのかなかなかわかりにくいわけですけれども、少なくとも科学技術庁がみずから進んで知事に正式要請をやったり、あるいは呼ばれもしないのにみずから乗り込んでいって、そうして地元の説得工作を積極的に行うなんというようなことはありませんね。
#28
○生田政府委員 現在の段階では、改めて知事に正式の交渉を始めたいという申し入れをするとか、あるいは地元に乗り込んでとにかく説明会を強行するということは全く考えておりません。
#29
○中村(重)委員 それから、先ほど私の質問に対して、経過としてお答えになったいわゆる非公式折衝を連休後に行ったということについて、私の方にも局長あるいは次官がお越しになって、正式に三浦湾を内定したので協力をしてもらいたいという要請がありましたが、地元選出の国会議員に対しましても長官あるいは政府委員の方々が協力要請に回られたということは、そのとおりでございましょうね。
#30
○生田政府委員 そのとおりでございます。
#31
○中村(重)委員 それから、局長は、各候補地の地元折衝を並行して進める方針だと語っていらっしゃるわけですが、この地元というのはどこどこなんですか。
#32
○生田政府委員 候補地として正式に内定いたしましたのは対馬だけでございますので、その正式交渉に入りますのも白紙還元でやめてしまったわけでございますが、その以前の段階としては、まず対馬に対してできれば交渉に入りたいというように考えたわけでございます。
#33
○中村(重)委員 そうすると、対馬だけだとおっしゃるのだけれども、あなたの談話として、各候補地の地元折衝を並行して進めるということになってくると、これはやはり複数があるというように考えられるわけだけれども、その点どうなんですか。
#34
○生田政府委員 どうもその私の談話はよく正確に記憶しておりませんけれども、対馬を候補地と申しますか、第一候補地に決定いたしましたときに、念のために幾つか予備地点も考えておこうということで検討を進めてきた次第でございます。これはやはり第一候補地と予備地点でございますので、そういうものを並行して交渉するということは考えられないことでございますので、先ほど申し上げましたように、まず対馬ということでいままで来たわけでございます。ただいま先生御質問の私の発言がちょっとよく思い出せないわけでございますけれども、恐らくほかに幾つか予備地点があるので、そこは交渉ではございませんけれども、必要な調査があればそれを並行してやっていきたい、そういう趣旨で言ったことではなかろうかと考えております。
#35
○中村(重)委員 ほかに幾つかあるとおっしゃったわけですが、この長崎県では、三浦湾以外に候補に上がっている港はほかにありませんか。
#36
○生田政府委員 四月の初めに候補地、それから予備地点という形で決めました段階におきまして、長崎県では対馬以外にございません。
#37
○中村(重)委員 そうすると、三浦湾を選定された条件というのか、理由はどういうことなんですか。
#38
○生田政府委員 昨年の秋「むつ」の漂流問題、それから大湊への入港問題が御承知のように非常に紛糾いたしまして、一応解決したわけでございますが、その結果として新母港の選定が必要になってまいりましたので、運輸省と協力いたしましてプロジェクトチームをつくりまして、全国のほとんどすべてと申し上げてもよろしいほどの港湾につきまして検討、これはもちろん資料によりまして机の上で検討したわけでございますが、その結果だんだんしぼってまいりまして、二十数ヵ所にしぼりまして、それについてさらに詳しく検討するという作業を進めたわけでございます。
 細かく申し上げますと大変長くなりますので、要約いたしますと、物理的な条件といたしまして、たとえば水深あるいはある程度の大きさの船を操船するのに十分なスペースあるいは水路が確保できること、あるいはこれはただ港だけではいけませんので、ドックを将来つくるとか、あるいは原子力施設をつくるとかいうような構想がございますので、後背地がある程度なければいけない、それから交通の便あるいは電気、水道の便あるいはその周辺の人口集中の程度、そういうものを総合的に検討いたしまして判断したわけでございますが、事務的に一応そういう机上の作戦といたしまして検討いたしました結果は、対馬の三浦湾が最適であるという結論に達したわけでございます。
#39
○中村(重)委員 私が伺いますと、「むつ」は八千四百トンぐらい、第二船は二万トンクラスの試験船をつくるかあるいはタンカーであるとかコンテナ船、いわゆる実用船を建造するかまだ決まっていないということを伺っているわけですが、新母港の選定はそうした将来の拡張計画を含めて選定をしているわけですね。
#40
○生田政府委員 お説のとおりでございまして、現在の「むつ」は約八千トンでございまして、原子力船の試験船としても非常に小型でございます。アメリカ、ソ連あるいは西独におきます原子力船はいずれも二万トン以上のものでございますし、ただいま先生御指摘のように、将来実用船として実用化されました場合は、十万トン内外あるいはそれ以上の大型船が予想されるわけでございますので、そういうことも考えまして、現在直ちにということではございませんが、将来拡張計画が必要になりました場合に、その拡張計画の実現の可能性があるようなところでないといけないということで、その点も考慮に入れて検討した次第でございます。
#41
○中村(重)委員 そうすると、将来の計画はいつごろ大体決まるのですか。
#42
○生田政府委員 当面の段階といたしましては、ただいま原子力委員会に原子力船懇談会という機関をつくりまして、原子力船第一船の今後の開発計画をどういうふうに進めるか、第二船以降の計画をどういうふうにするか、それを御審議いただいている段階でございまして、七月ごろをめどにして結論を出したいと思っております。
 ただ、第二船計画につきましては、これは御承知のエネルギー問題を中心にいたしまして、世界各国とも原子力船の実用化を図りたいという意欲は非常に強いわけでございますけれども、まだ各国とも具体計画が熟しておりませんので、わが国におきましても第二船計画が具体化いたしますのはしばらく後になろうかと考えております。
#43
○中村(重)委員 御承知のとおり長崎県は被爆県であるわけでありますが、そうしたことと、それから「むつ」の放射能漏れから、長崎県に新母港の選定をするということについて強い抵抗が起こってくるということは予想しておりませんでしたか。
#44
○生田政府委員 私どもも長崎県が被爆県であるということは重々承知しておりますし、その関連でいろいろ御意見があろうということはかねがね考えておりました。ただ、私どもといたしましては被爆県であるということを考えまして、これは軍事利用ではございませんで、原子力の平和利用でございますので、むしろ私どもは平和利用に徹する態度をとっておりますので、その点で御理解をいただけるのではないか、かように考えていた次第でございます。
#45
○中村(重)委員 原子力の平和利用とおっしゃるのだけれども、「むつ」の放射能漏れといったこと等から考えてみましても、これはいわゆる設計ミスである、それから原子力船事業団のリーダーシップも発揮することのできないようなずさんな状態であるといったようなことから考えてまいりますと、平和利用であるからということでこれを安易に考えられることには実は問題があったように思うのですが、この安全対策を講じないまま新母港の選定を急がれるということは、これは逆立ちした考え方ではないかと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
#46
○生田政府委員 ただいま御指摘の点が非常に重要なポイントでございます。
 実は原子力船「むつ」の安全性の問題につきましては、二つ局面がございまして、一つは、現在大湊港に係留されておりますような状態で、すなわち原力炉を凍結いたしまして、船をそのまま岸壁に係留するという段階で安全か安全でないかということになりますと、これは昨年「むつ」の問題が青森で起きましたときに、われわれ政府側といたしまして、専門家の委員会をお願いいたしましてその安全性について検討していただきまして、そういう状態では安全であるという結論をいただいておりますし、それと同時に、青森の県漁連におきまして、前原子力委員の田島先生を委員長にされましてやはり専門家の委員会をつくられまして、同じような検討をされた。その結果、やはり同じく安全であるという結論をいただいておりますし、さらに念のため、青森県の漁民の方が「むつ」にお乗りになりまして、自分の手で線量計、実はメーターでございますが、それを持って全部その放射線をはかって、全くない、これなら安全だということを漁民自身が確認をされたわけで、そういうことでございますので、現在の状態で安全だということは問題がないというように考えております。
 ただ、問題は、その「むつ」をいつまでも現在のままで、原子炉を凍結し、岸壁に係留しておくということでは無意味でございますので、これから開発計画を続行するということになりますと、当然原子炉を動かしていわば出力試験をもう一度やる、再開することが必要でございます。その段階でまた同じようなことが起きるのではないか、安全が確認されていないではないかという御指摘が主な点であろうかと考えております。私ども実はその点は重々承知しているわけでございまして、ただいま先生のおっしゃいました大山義年先生の検討委員会の報告書もございますし、そのためにはまず、これからもう一度原子炉を動かしても安全であるということを確認したいということを考えております。なるべく早く確認したいということでございますが、そのためには原子炉の総点検を行う、それで総点検の結果、修理あるいは改修が必要な点が出てまいりましたら、その修理、改修も全部完全にいたしたい、そこまでいたしますと、われわれといたしまして、これからまた原子炉を動かしても十分安全であるということがはっきり断言できるわけでございますので、そこまでなるべく早くやりたい、そこまでやることによって新定係港の地元の方にも御納得いただきたい、かように考えております。
#47
○中村(重)委員 いまの答弁と関連してくるのだけれども、全漁連が大会を開いて、安全性を確認しなければ日本じゅうのどこの港にも受け入れぬという態度を打ち出したようでございますが、その点はどうお考えになりますか。
#48
○生田政府委員 実はその点が非常に困っているわけでございます。と申しますのは、ただいま御説明申し上げたような次第でございまして、まず安全性を確認したいということはわれわれの非常に強い希望でございます。安全性を確認するためには、設計段階から始まりまして、もちろん原子炉の実態に即しまして総点検をする。それで、必要な修理をする。そこまでいって安全性が確認される。われわれとしましても自信ができるということでございますが、これは船を海の上に浮かしたままできないわけでございます。これはもう専門家の検討によりまして不可能ということでございますので、どこかの港に置きましてその総点検と修理をするということをしませんと、安全の確認ができないわけでございます。
 ところが、たとえばただいま先生のおっしゃいましたような全漁連の決議でございますが、安全性を確認しなければどこの港へも入れない、これは実は非常に矛盾したことになるわけでございまして、どこかの港でなければ安全性の確認ができない、しかし安全性の確認ができなければ港へ入れないということになりますと、これは循環論法のようなことになってまいりまして解決がつかないわけで、実はそこで非常に困っております。何とかそのところをどこかで打開いたしませんと、そういう御趣旨にも沿えませんし、われわれとしても安全性の確認、これはなるべく早くやりたいと思っておりますが、それに手がつかないという段階でございます。
#49
○中村(重)委員 あなたの方の苦悩はわかりますけれども、これの受け入れを拒否するというような住民の感情、また主張というものも、これはもう当然であろうと思う。
 そこで、地元が受け入れる適当な港がないということになってくると、これはどういうことになるのですか。「むつ」を廃船にしてしまうということも考えなければならないのではないかと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
#50
○生田政府委員 ただいま先生の御質問のようなことになりますと、実はどうにもならないわけでございまして、私どもは、そうならないように何とかこれから全力を尽くしてまいりたいというように考えております。
 廃船にしたらどうかということでございまして、私ども廃船にすることは全く考えていないわけでございますが、仮にその廃船にするといたしましても、どこかの港に置きまして廃船にするようにいろいろ作業を行いませんと、廃船にできないわけでございまして、太平洋の真ん中で撃沈するというような極端な話は別にいたしますと、廃船にするにしましても、どこかの港でないとできない。安全性を確認するにしましても、どこかの港でないとできない。それから、今後開発計画を進めるにしても、これは母港が必要であるということでございまして、どれもいかぬということになってきますと、実はどうにもならないわけでございますので、何とかそういう点を解決して話を進めたい、かように考えております。
#51
○中村(重)委員 だから、いまあなたのお答えから感じられることは、これはもうやめる以外の手はないというように思われますよ。(発言する者あり)
#52
○山村委員長 お静かに願います。
#53
○中村(重)委員 これは非常に乱暴な議論だというようにお考えになるかもしれませんけれども、ソ連を除いて実用船を建造する計画というものはないのですよ。アメリカにしても西ドイツにしても、現状においてはそうなんですね。また、これは大臣は一番詳しいんだろうと思うのでございますけれども、造船界におきましても海運界におきましても、これは果たして原子力商船というのが期待が持てるのかどうかということに対する疑問というものもあるだろうというように私は思っているわけです。
 してみると、いまあなたは、努力をするんだと、こうおっしゃる。しかし、努力をするにしても、港を先に決めなければその方法がないんだというような答弁のように受け取れる。そうではなくて、安全性を確保するためには、これはいろいろな方法があるであろう。だから、抽象的に、ともかく安全性を確保するために最大限の努力をしたいというようなことではなくて、いまどうお考えになっていらっしゃるのか。また、「むつ」問題以来今日まで相当期間がたちましたが、その間どのように体制を整備されてこられたのか、その点いかがですか。
#54
○生田政府委員 原子力船の開発計画に関連いたします全般の問題につきましては、大山義年先生を委員長にいたします総理府の「むつ」放射線漏れ問題調査委員会、これが昨年の十二月から五ヵ月間にわたりまして検討いたしまして、今月の半ばに報告書が提出されております。御承知かと思いますが、これに開発計画の問題点がいろいろ列挙してございます。今後の改善のための提言もその中にしるされておりますので、私どもはそれを受けまして、その全般の計画の改善を進めてまいりたいということでございまして、すでにその幾つかの項目につきましてはもう取りかかっております。
 そういうことでございまして、原子力船開発計画あるいは原子力船事業団の体制、人事その他につきまして、早急にいまその改善を講じている次第でございますが、もう一つ、それはそれといたしまして、じゃ一体どうするんだということでございますが、とにかく原子炉の総点検をすることが第一でございます。これは設計段階からいたそうかというように考えておりますので、設計段階の総点検は、これはもうすぐに始められるわけでございまして、その打ち合わせも始めている段階でございます。問題になりました放射線漏れでございますが、これはいわゆる原子炉の一次遮蔽が不十分であったということでございます。したがいまして、まずその一次遮蔽を直さなければいけない、これはまず第一段階として必要なことでございます。この一次遮蔽が、その原子炉の横の遮蔽と下の遮蔽と両方問題があるということでございますので、相当の大作業になるかと思いますが、まずこの一次遮蔽の改修を行いたいということが第一でございます。
 それから、大山委員会の報告書にも指摘してありますが、念のため原子炉全般の点検を行う必要があるということでございます。私も昨年のような問題は二度と起こしてはならないというように考えておりますので、そういうことが絶対ないように、先ほど来申し上げましたように、原子炉の総点検をほかの部分についてもやりたい。もしも問題が発見されましたら、その部分についても事前に修理、改修を行いたい、かように考えております。
 その作業を早くやることが必要でございますが、先ほど申し上げましたように、どうもなかなかそこで話が行き詰まってしまうということでございますので、ただいま考えておりますことは、これは特に対馬ということではございません、その地元がどこの地元であるかということはまだ考えておりませんので抽象的にしか申し上げられませんけれども、しかるべきその地元に対しまして、その原子炉の総点検、それから改修、この作業はやっても安全であるということをまず理解していただくということが第一だと思います。そのためには、昨年青森でいたしましたように、政府側だけではありませんで、たとえば地元の側から選ばれた学者、専門家の御意見を伺ってももちろん結構だと考えておりますが、そういう形で、まずその総点検と修理につきましての安全性を地元に十分御説明いたしまして御納得いただいて、それをまず先にやりたいというように考えております。
#55
○中村(重)委員 青森県の陸奥湾地域において、「むつ」はそのまま置いてほしいというような署名運動も起こっているやにも伺うのですが、行き詰まってしまってどうにもならないということになってくると、再びこの陸奥湾を母港として、そのまま存置をするというように再要請をしようとするお考え方はないのですか、あるのですか。
#56
○生田政府委員 青森の地元におきましても、ただいま先生御質問のように、「むつ」の母港を返上するな、そのまま「むつ」の母港として存続すべきであるという御意見の方がおいでになりまして、青森市を中心にいたしまして署名運動をやっておいでになります。先般約四万人の署名を集めまして、私どもの大臣のところに持ってこられました。まだ署名運動を継続中だと聞いております。
 そういうことでございますけれども、私どもといたしましては、この青森からの母港移転につきましては、昨年の秋の段階で、鈴木善幸先生が政府代表として、いわゆる四者協定に調印されまして、二年半後をめどにして母港を移転するということを約束しておられますので、この四者協定の当事者の方が、また考えが変わったということになりました場合は別でございますけれども、四者協定の当事者の方のお考えが変わらないのに、地元でそういう運動があったからといいまして、一方的に従来の方針を変えるということは一切考えておりません。
#57
○中村(重)委員 通産大臣の見解を伺いたいんですが、この「むつ」の放射能漏れというのは、原子力発電所の反対運動というものに、火に油を注いだという感じを持っているわけです。いま進めているいわゆる新母港探しを最優先していくというようなやり方ですが、私は安全性の確認というような面等まだまだ幾多やらなければならない、必ずしも新しい母港というものをつくってからでなければならないというのではなくて、現状において私はやれる点、またやらなければならない点が多々あるんではなかろうかと思うのですが、いま科学技術庁が進めていることは手順が少し間違っているのではないかというように思うのですが、大臣はどうお考えになるかという点が一点。
 もう一つは、第二船以降については科学技術庁はコンテナ船であるとかあるいはタンカーであるとか、実用船というものが好ましいというようにお考えになっておられるようでございますけれども、海運界の権威でいらっしゃる大臣としてはその点の感触はどういうことでしょうか。
#58
○河本国務大臣 原子力船が商船として実用化されるということになりますと、これは海上輸送に革命的な変化をもたらすということでございまして、石油を初めエネルギーの面で大変苦しんでおります日本にとりましても非常に大きなプラスになると思います。そういう意味におきまして、この「むつ」の問題が手際よく解決されるということは、われわれとしても非常に希望をしておるわけなんです。
 海上輸送のことだけを申し上げましたけれども、なおこの問題が手際よく解決されるということになりますと、原子力発電等にとりましてもやはり非常に大きなプラスになるのではなかろうか、こう思いますので、私どもといたしましては、この問題が手際よく解決されるということを期待いたしておる次第でございます。
#59
○中村(重)委員 大臣もなかなか苦しい答弁であるわけですが、そこで生田局長に、それから運輸省からもお越しでしょうからお答えをいただきたいんですが、三菱造船所の香焼ドックに「むつ」をドック入りさせるということの打診をしておると伝えられておるのですが、これは事実かどうか、まずそれぞれお答えをいただきます。
#60
○生田政府委員 政府といたしまして、打診をしたという事実は全くございません。
#61
○謝敷説明員 運輸省としましても公式、非公式にこの問題については全然関与しておりません。それから、船舶の修理を担当いたします船舶局として三菱重工業に確認をしましたところ、三菱重工業としましてもそういう事実はないというお答えを得ております。
#62
○中村(重)委員 生田局長が、政府としてということを非常に声を大にしておっしゃったんですが、私は新聞は読んでないのですけれども、香焼町長に対してある民間人を通じて打診をしてきたということを町長が語っておるということであるわけですが、原子力商船はこれは民間の船ではない。これがドック入りをするということになってくると、政府みずからが打診工作をやらなければならないというように私は思うのですが、「むつ」の問題について大変波乱を呼んだということ等から、民間人を使って打診工作をやったということが真相ではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#63
○生田政府委員 ただいまの私の答弁が不適切でございまして大変申しわけございませんが、政府といたしましてと申し上げましたのは、その点私ども自分ですることでございまして、非常にはっきりしておりますのでそう申し上げたわけでございます。あるいは民間かというような気が私どもいたしましたので、科学技術庁といたしましては、原子力船事業団それから三菱原子力、この両方に対しまして、そういう打診をしたことがあるかということを聞いたわけでございますが、そういうことはないという返事でございました。
 それから、運輸省は、ただいま首席検査官の答弁にありましたように、三菱重工業に聞いたけれどもそういう事実はないということでございますので、政府、民間を通じまして打診はなかったと考えております。
#64
○中村(重)委員 そうすると、原子力商船は二年に一回ドック入りをさせなければならないようになっている。それから、新母港を選定するに当たって安全性、いわゆる原子炉の総点検をやらなければならないということで、政府は焦っているというようにも考えられるわけですが、このドック入りをする場合は会社だけではなくて、地元の知事であるとかあるいは町長に正式要請をしなければならないんだ、手続としてはそうであろうと思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
#65
○生田政府委員 形式的な手続は別にいたしまして、こういう種類の問題でございますので、地元の知事あるいは市長町長の御了解をいただくのは当然と考えております。
#66
○中村(重)委員 それでは、香焼ドックにドック入りをさせるということは毛頭考えていないと理解してよろしいですね。
#67
○生田政府委員 現在の段階まで、私どもといたしまして全く考えたことはございません。
#68
○中村(重)委員 それでは、時間が参りましたから、ほかの問題も質問したかったのですけれども、最後に私の考え方を申し上げますが、原子力の平和利用というのは、私は頭から否定するものではないわけです。ですけれども、先ほど来申し上げましたように、政府が進めておるところの原子力対策というものは、「民主、自主、公開」の原子力基本法の精神を全く軽視しているというのか、全くこれから逸脱しておるといったような感がある。この「むつ」の放射能漏れの問題も、その結果として起こってきたのではないかというように思います。政府のそうしたずさんな態度によって大きな事故を引き起こす、そしてその安全性というものを確保しないまま、事もあろうに被爆県長崎の港を候補地に挙げたということについては、まことに非常識きわまる、こう申し上げざるを得ません。あなたの方では、まだ対馬三浦湾に相当執念を持っておられるようでございますし、またそうした機が熟してくるであろうというような期待も持っておるようでありますけれども、長崎県民は絶対に新母港を受け入れることはないんだという認識を持って、直ちに断念をされるように私は進言を申し上げたい、そのように思います。
 これで終わりますが、最後に、新聞報道によりますと、歓迎をするという言質を得ておるというようにも伝えられているわけですが、そういったようなことから、あなたの方ではまだ「むつ」を断念していないということなのかどうか、その点をお答えを願って、私の質問を終わります。
#69
○生田政府委員 歓迎しているという言質を得たといま先生おっしゃいましたのは、対馬で歓迎するという意味でございましょうか。
#70
○中村(重)委員 対馬ではなくて、長崎県のあるもの。
#71
○生田政府委員 その点につきましては、いままで特に対馬に対する打診を除きましては何もやっておりませんので、そういう歓迎するという言質も特に得ておりません。
#72
○山村委員長 加藤清二君。
#73
○加藤(清二)委員 お許しを得まして質問をいたしたいと存じます。
 河本大臣は、三木内閣でも大黒柱といわれる大幹部であると承っておりまするし、また委員長はやがて予算委員長にも、あるいは大臣にもなっていただける前途有望の親友でございます。こういう両者おそろいのところで、ことしになって初めて私は質問をさせていただきます。感謝感激でございます。たまにしか質問をいたしませんから大臣もよくそれをわきまえた上、明確に答えていただきたい。しかも、質問の材料はたくさんございまして与えられた時間が短うございまするので、簡潔に質問をいたしますから、大臣もそれに相呼応して簡潔に答えていただきたいとお願いいたします。
 第一番。きのうの名古屋毛糸、大阪綿糸、横浜乾繭は幾らでございましたか。
#74
○野口政府委員 いま調べますので、ちょっとお待ちください。
#75
○加藤(清二)委員 なぜ私がこういうことを聞かなければいけないかというと、いま繊維は大変な不況に追い込まれまして、またその不況がなべ底ではなくていつ抜け出せるかわからないという混迷の状態に陥っているわけです。倒産は続出です。機屋のおじさんがニコヨンに行って道路でぶっ倒れて死んだ人もあれば、首吊って死んだ人もございます。これに対しての対策を練るには具体的事実を正確に把握した上でなければ、いかなる対策も砂上楼閣になるからです。
    〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
 それで、大臣にお尋ねしておる。幾らですか。大臣に聞いておる。
#76
○河本国務大臣 いま調べまして御報告をいたします。
#77
○野口政府委員 どうも失礼いたしました。
 昨日の商品取引所の相場でございます。大阪の綿糸四十単糸につきまして、当限がポンド当たり前場第一節が二百九十円でございます。それから、毛糸の方は名古屋毛糸をとらせていただきます。一キロ当たり前場第一節が千八百六十円。それから、乾繭は豊橋乾繭を例にとらせていただきますが、これが一キロ当たり前場一節で四千五百四十四円となっております。
#78
○加藤(清二)委員 当月限は納会落ちですよ。だから、きのうは相場は立っていないのです。どこをどう調べてみえるか知らぬけれども、あなた、そんな二十七日過ぎてもう納会落ちになっておるのに相場が立つはずがない。
#79
○野口政府委員 どうも素人で失礼いたしました。
 二月限でございます。
#80
○加藤(清二)委員 六月限でしょう、いまあなたのおっしゃったのは。
 そこで、いま綿糸に例をとってお尋ねいたしますが、この相場でペイしますか。
#81
○野口政府委員 これは各企業の設備とかあるいは技術とかいろいろな状況がございますし、使っております原綿が幾らのものであったかというようなことにも関連いたしますけれども、まず採算には達していないというふうに考えてよろしいのじゃないかと思います。
#82
○加藤(清二)委員 そのとおりです。大臣よく聞いてください。紡績でつくっている糸は採算割れ、ウールはやや伸びていますが、先日二千円を割りました。こうなると、これも採算割れでございます。原料が採算割れであるにもかかわりませず、三越や松屋で消費者がこれを買いますと、糸値の何倍になっていますか。
#83
○野口政府委員 これはいろいろそれを原料にしてつくられるものでございますけれども、ワイシャツ等を例にとりますれば、四倍とか五倍とかいう数字になっておるのじゃないかと思いますが、これは物によって違うので、詳しいことは私つまびらかにいたしません。
#84
○加藤(清二)委員 だから、実態を正確に把握しなければ対策は砂上楼閣であると申し上げておる。そういうことを繰り返し繰り返し行われまするから、どうなるかと言えば、構造改善ですでにこの国会で何回も審議し、一兆円になんなんとする血税が使われているにもかかわらず、なお産業部門、生産部門においては倒産倒産ということなんです。それほど安かったらその安い分が消費者に分配されるというならば、これはまああきらめもつくでしょう。しかし、消費者が末端で、デパートで、スーパーで買いまするときには、いま局長が三倍、四倍とか言いましたけれども、そんなものじゃありませんよ。私の調べでは去年四十番単がポンド五百円のときでさえも紳士はだ着は七倍から十倍になっておるのです。これがきょうの相場からいきますと、三越でアンダーシャツが約千円の余しておる。八階の特価品売り場で日清紡の三ツ桃、これでつくられた糸でさえも、これは五百円換算にしてもなお四倍の余になっておる。それがきのうの相場でそろばんをはじけば、明らかにはだ着だけでも十倍の余になっておるのです。どこがどうもうけたのですか。だれがもうけたのですか。不況だ、不況だというやさきに、片やその不況を笑っている人がある。笑いがとまらぬという人がある。これはどういうことなんです。ここにメスを入れなければどんなに材料を安く提供しても消費者はその恵みを受けることができない。このことはすでに何回も何回も申し上げておる。きょうは現物を持ってきませんでしたが、私はわざと毎月現物を買います。大臣、もっていかんとなされる。
#85
○野口政府委員 原料価格、それから製品ができ上がった価格、つまり卸価格、それから最終の消費者が買う小売価格、これらの問題の関係、特に買い入れの問題は、先生が御指摘になられたとおり非常に大きな問題でございます。卸物価の方は、これは全体的な景気の動向を受けますものですからかなり低下をしてきておりますけれども、小売り価格につきましては、先生御指摘のように卸価格が下がったわりには下がっていないということが一般的に言えるかと思います。だれがもうけたんだ、こういうお話でございますけれども、一つ言われておりますことは、繊維製品の流通構造の複雑さ、長さあるいは入り組んだ錯雑している状況というようなことが前から指摘されているわけでございます。もちろんそうなるにはそれだけの理由があったわけだと思いますし、繊維製品というのは非常に流行が激しい、速いものでございますので、あるいはユーザー、その使用者がいろいろ多様性を好むというような問題等から、非常にリスキーな産業である。したがって、そのリスクをだれかが負担する、それは流通過程で主として負担するというようなこととかいろいろな要因が重なりまして、この流通面におけるマージンと申しますか、これが他産業、他の製品に比べれば多いのではないかということで、付加価値の適正配分というような問題は従来からも言われている問題でございます。われわれも生産構造と同じように流通構造の改善に対してメスを入れ、何とかこれを合理化あるいは近代化の方向に持っていこうと心がけている次第でございます。
 一例を申し上げますると、昨年の暮れから、その取引慣行あるいは取引条件の合理化あるいは近代化等を図るために役所の中に委員会をつくりまして、現在、その取引のあり方につきメスを入れ、問題点を指摘し、将来のガイドラインをつくるべく努力中でございますけれども、そういうことを含めまして、流通過程あるいは流通問題の合理化を図るということは、繊維産業全体の構造改善のための一つの大きな柱になるということで、今後とも大いに力を入れてまいるつもりでございます。
#86
○加藤(清二)委員 繊維が不況になり、物価が狂乱してからもう何年もたっておる。構造改善が言われるようになってからはもう二十年近い年月がかかっている。毎年同じ答弁を聞いておる。メスを入れます、努力します、一向に効果が上がらない。どういうわけでしょう、大臣。
#87
○河本国務大臣 先ほど局長が答弁をいたしましたように、日本の産業の最大の弱点といいますか、立ちおくれておる分野は、これは単に繊維産業だけではなくして、流通部門が非常におくれておるということが指摘されると思います。これの改善が叫ばれましてからずいぶん時間がたちますが、いまもって実効が上がっていないということは、私どもの力の足らないということにもなりますので、今後ともさらに努力を続けていきたいと思います。
#88
○加藤(清二)委員 どんな努力をなさいますか、具体的に承りたい。
#89
○河本国務大臣 たとえば繊維部門におきましては、先ほど局長も申し述べましたように、通産省の内部におきましても委員会をつくりまして、これにメスを入れる、こういうことをやっておるわけでございます。
#90
○加藤(清二)委員 それで効果が上がりますか。
#91
○野口政府委員 大臣が流通面における改善のための努力の一端を述べられたわけでございますけれども、それに補足させていただきますと、私は生産構造ももちろん大事だと思います。従来は、いま先生御指摘のように、二十年にわたりまして……
#92
○加藤(清二)委員 答弁が違う。私はいま流通部門における欠陥の是正という問題でお尋ねしておる。その具体的事例を、ただ一例だけを申し上げた。ここに二十品目の実例を持っておる。しかし、それをやっていたら時間がかかるので、流通部門におけるメスの入れ方、それで委員会をつくったとおっしゃる。委員会をつくったらそれで効果が上がりますかと聞いておるのに、生産部門のことをあなたは答えようとしておる。生産部門のことはまた後でゆっくり聞きます。
#93
○野口政府委員 お答えいたします。
 流通面、流通構造あるいは日々の取引のあり方、慣行、取引行動の面につきましては、昨年構造改善のための法律を国会で通して成立させていただいたわけでございますが、そのときの議論あるいは附帯決議等を尊重いたしまして、その趣旨に従いまして昨年の十二月の中ごろ、商工中金の理事長の高城氏を委員長にわずらわしまして学識経験者の方々を集めまして、逐次問題を取り上げ、どういう問題が現在あるか、それに対してどういう改正あるいは要望を関係業界は持っているかという点のヒヤリングを四月まで進めてきたわけでございます。そのヒヤリングは一段落いたしたものですから、今度は、山のようにいろいろ要望が出ておりますけれども、それを重点的に整理いたしまして、その整理された問題について関係者同席の上で、どういうふうにあったらいいかということの検討、そしてガイドライン、それからガイドラインができた場合、それをどうやって守っていくかということについての検討を進めてまいる予定でございます。さしあたって返品問題を取り上げたわけでございますが、次回は派遣店員の問題を取り上げる、こういうふうに逐次進めてまいるつもりでおります。
#94
○加藤(清二)委員 末端消費部門における努力がなかったとは言いません。特に効果のあったのは公取さんの指示です。そこで、ある程度の効果は発揮しましたが、値段が、ひどいものは元値の五十倍になっているんですよ、大臣。船でそういうことがございますか。五十倍になっているものがあるんですよ。そういうふうに質問すると、先ほどのように、それは付加価値がついたとかあるいは技術が加わったと言いますけれども、技術は何も加わっていない。たとえばカタン糸のごときは、紡績でつくった糸を買うてきて、こんなちっこい紙に巻きつけるだけなんだ。それで四十七倍になっておるんですよ。どこに技術が要りますか。明らかにこれは流通部門の欠陥である。通産省は過去、私が体験したところによりますと、頭のいい人がたくさんお集まりで大変な努力をしていただいたが、その努力は主として生産部門に向けられていた。流通部門がおろそかになっていた。流通部門に対するメスあるいは貿易部門に対する努力が必ずしも満足ではない。生産部門における努力は、これは大変な御努力をされたことは私も認めます。
 そこで、内地の流通部門の問題はいずれ別な機会にいたしますが、この糸は安いけれども小売市場が非常に高いという現状を逆手にとって、商社が大変なもうけをしているという事実があります。なぜかならば、発展途上国からなお低賃金、なお進んだ設備これでつくり上げたものを日本へ敵前上陸させてくる。利幅は内地でつくらせたよりもなお多い。それをよいことに次から次へと輸入が行われ、これが一層生産部門を抑圧しているという具体的事実。
 そこで、お尋ねする。去年、おととし、いかほど輸入が行われましたか。
#95
○野口政府委員 お答えさしていただきます。
 物量ベースですとちょっと集約が困難だと思いますので、金額で申し上げさしていただきます。去年は、昭和四十九年でございますが、製品全体、糸、織物、衣類、二次製品等合計でございますけれども十七億七千万ドルでございます。またその前の年、四十八年でございますけれども、四十八年は十六億八千万ドル、四十七年は製品の合計で五億四千万ドルという状況でございました。
#96
○加藤(清二)委員 それはどこの数字ですか。
#97
○野口政府委員 日本の製品の輸入額でございます。
#98
○加藤(清二)委員 だれがつくったデータですか。私は、ここに通産省がつくったデータを持っているんですよ。
#99
○野口政府委員 大蔵省の通関統計に基づいてつくっております。
#100
○加藤(清二)委員 しからば、余り期近では計算間違いということもあるでしょうから、過去のことでお尋ねする。四十八年ないしは四十九年、銘柄別に言っていただきたい。これは私が何回もここでやったことなんですよ。いままで通産省もそれは認めているんですよ。
#101
○野口政府委員 先生のおっしゃる銘柄という意味がちょっとわかりかねるのでございますけれども、糸とか織物とかあるいは二次製品とか、そういう意味でしょうか。
#102
○加藤(清二)委員 そうです。それでいい。
#103
○野口政府委員 四十八年を申し上げますと、端数を少しはしょってと言いますか百万ドル単位で申しますと、糸の合計が二億二千八百万ドルでございます。織物の合計でございますが、七億一千七百万ドル、それから衣類が合計で五億五千万ドル、その他の二次製品が一億八千四百万ドルでございます。
#104
○加藤(清二)委員 それは借り物のあれですね。私はここに通産省にちゃんと調べていただいた数字を持っている。これは私は暗唱いたしております。それによれば、四十八年度は三十九億ドルの輸入のうち原料は約二十億ドルから二十一億ドルの間です。数字、細かいのがあるけれども、そういう説明にしておきます。したがって、製品の輸入は、三十九から二十前後を引いた十八億ドル余になっている。この時期において、私は、余りにも多過ぎるではないか、日本は繊維の輸出国かと思ったら、もはや輸入国に転落をしているではないか、制限すべきであると言ったら、中曽根通産大臣も大平外務大臣もごもっともでございますから、そのように努力すると言われました。しかし、翌年を見ますと、翌年は製品の輸入がなおふえているのでございます。それは上期だけで二十一億ドル入りました。そのうちの、原料が約十億ドルでございます。したがって、上期だけで製品が十億二千五百二十三万ドル入っております。この時点において私は、上期は薄物の入る時期である、下期になれば目づけの多いものがなお入る、こうなれば年間を通じたら前年の十八億ドルよりもふえるではないか、努力する、チェックするとおっしゃったが一体何をどこでどうチェックなさいましたかと聞いたところ、先物契約であるという答弁が返ってきた。しかし、繊維の製品の先物契約を一年も前からやるというばかは世界じゅうどこにもおりません。そんなことでは答弁にならないと申し上げたことでございます。それをどのように認識し、どのように把握していらっしゃるかを検討するためにお尋ねしたわけです。まあしかし、それは間違いではない、トータルのとり方はいろいろございますから。あなたのが間違いであるとは申し上げません。とり方はいろいろあるが、あなたのとり方は大変控え目になっておるということです。
 そこで今度、新しい具体的事例を申し上げます。今度は間違いないようにお答え願いたい。ついこの間、二〇〇三からできた製品が三千万スクエア輸入されたはずでございます。それは事実か。事実でありとするならば、どこから、だれが輸入したか。
#105
○野口政府委員 いま先生が言われましたのは、綿織物の最近のことだろうと思います。(加藤清二委員「二〇〇三は綿の銘柄でございます」と呼ぶ)私、綿織物のことじゃないかと思ってお答え申し上げるわけでございますが、三千万平方メートルというのが輸入されたということにつきましては、それは事実ではございませんので、新聞紙上等に出ましたのは、そのくらいの額のものが契約されたのだ、こういうように新聞紙上で言われたわけでございます。したがいまして、通常、通関を輸入というふうに考えますると、それは将来にわたってそれに近い、匹敵するものがその契約に従って輸入される予定と申していいかと思います。
#106
○加藤(清二)委員 答弁漏れがある。
#107
○野口政府委員 私どもの方、現在調査中でございますが、その大部分は中国でございます。三月の成約が約二千八百万平方メートルほどあるわけでございますけれども、そのうちの二千三百万平方メートルほどのものが中国でございます。
 だれがどうということは、現在調査中なので申し上げることは差し控えたいと思っております。
#108
○加藤(清二)委員 だれが輸入契約を結んだのですか。
#109
○野口政府委員 これは調査中のことでもあり、お答え申し上げられないわけでございますが、これは私ども考えまするに、商社とかメーカーとか、こういう輸入に関連するいろいろな方々であろうというふうに考えます。
#110
○加藤(清二)委員 そんな調査でどうしますか。そんなものは業界はみんな知っているのですよ。はっきり言うておきましょう。二〇〇三の輸入契約が一ヵ月以内に、つい先日だ、三千万スクエアヤール契約が行われた。契約が行われたということはやがて輸入されるということである。あなたのおっしゃるとおり、ほとんど中国だけと言っていらっしゃるが、それもそうです。が、中国だけからそれが契約できたとなると――一体中国の生産量は何ぼありますか。これは大変なことですよ。この数量は日本の二〇〇三の布地、いわゆる金巾、ブロードとか、これは日本の生産の何に当たりますか。大変なことですよ。
#111
○野口政府委員 先生の第一の方の問題でございますけれども、中国はいろいろ統計等を発表しておりませんものですから、中国における同種の生産がどのくらいあるのか、私どもの方、残念ながらつまびらかにいたしておりません。ただ、人口等から考えますと、七億ないし八億という膨大な人口のある国でございますし……(加藤(清二)委員「想定はいいですよ。想定はいいから具体的にお答え願います。」と呼ぶ)
 それから、第二の御質問であります日本で金巾がどれくらい生産されたかということでございますけれども、四十九年の一月から、昨年の年間でございますけれども、三億一千五百万平方メートルでございます。ことしになりましてから月平均大体二千六、七百万平方メートル生産されております。
#112
○加藤(清二)委員 その内地生産のデータは正しい。
 大臣、これは日本の一ヵ月余の生産量に当たるわけですね。そうでしょう、いまお聞き及びのとおりで。日本の一ヵ月余の生産が一回の契約ででき上がったということになると、これは大変なことになる。これが前例になって次々といかれたらどういうことになる。私はコール天、別珍のときに最初にこのことを申し上げた。このままでいったら天竜社も静岡もつぶれてしまいますよということを言った。それと同じことがまたここに出てきておる。中国だけじゃございません。幾ら中国でも、一回にそんな三千万も契約するとなれば、これはストックを何ヵ月分も持っていなければならぬはずなんです。そんなことできっこない。したがって、どうなっているか。これはその他からあれこれ契約が行われた。商社は一体だれか。伊藤忠、丸紅は、これは通産省の指導が効いたのかやや遠慮をしておりまして、これには参加しておりません。しかし、抜け穴を――利幅がありさえすれば、ケインズの経済学を追求することができさえすれば、おのれ一人がもうかりさえすればという商社が日本のこの混乱に乗じて勝手な輸入をやっている。その結果どうなったか。今度これが輸入されて安いというなら、デパートのはだ着が安うなればいいですよ。女用のはだ着やら女用の製品が安うなれば何をか言わんや。これは安うできますか。できないでしょう。さすれば輸入業者とこれを扱うデパートだけがもうかる、こういうことになる。ゆえにスーパーマーケットはますます太っていく、こういうことになる。百貨店法を何遍つくっても、これは太る一方だ、こういうことになる。そうでしょう。あえて名前は伏せますが、それはT商社でありK商社である。これをこのままに放置しておいてよろしいですか。おかげで糸相場はやや持ち直しましたけれども、綿布の加工の関係、大阪から愛知から静岡にかけては機屋の工賃がどんどん切り下げられた。しわが弱いところへ寄っておる。これ、ほっといていいですか。大臣に承りたい。ますます倒産がふえる。
#113
○河本国務大臣 三月にいまお話しの程度の輸入成約があったということは私も承知をいたしております。これは大変な数量でございますので大問題だというので、先般来通産省の内部におきましてもこの問題をいろいろ検討したわけでございますが、四月になりましてからは若干減りまして三月のほぼ六割ぐらいに減ったようでありますけれども、それにいたしましても、国内の生産量から比べますと非常に大きな数字でございますので、この動向を至急分析いたしまして対策を立てる必要がある、こういうふうに判断をいたしまして、いまいろいろ作業をしておるところでございます。
#114
○加藤(清二)委員 よく検討して至急対策を練る、こう受け取っていいですね。大臣、いまそうおっしゃいましたね。よく検討して至急対策を練る、そうおっしゃられましたね。これは倒産につながるのですから、武藤さんいま委員長席にいらっしゃるが、岐阜の機屋にも倒産が続出するのですから、よく心得てやっていただきたい。口で努力するの何のとおっしゃったって、倒産が絶えないのは、努力が足りないからです。いわんやこれは日本内地のオール生産の一ヵ月の余、四十日分にも匹敵するものです。しかも、内地は不況のゆえに独禁法の抜け穴をつくって不況カルテルを結んでいる。好況で足りない、端境期だといえばこれはやむを得ないでしょう。あり余っている。あまり余り過ぎているから生産を制限しなさいと言っているという時期なんです。そうでしょう。出血生産だから生産を制限しなさいと言っているときに、うちにある物をなぜ買わなければならぬのです。なぜうちにある物をそんなに買わなければならぬのです。しかも、このことは一朝一夕でできる数量ではありません。長期にわたって下準備が行われておるのです。それを日本の生産はやめさせて外国の機屋のつくった物は次から次へと買う、それを黙って許しているという大臣はどこの大臣でございますかと疑問を持ちたくなる。機屋は苦しまぎれにそう言っておるのです。私はそう言いません。機屋がそう言っておるのです。三木内閣の人気を増すどころか、ますます交代劇につながることになっては、大黒柱のあなたの任務も疑われることになるでしょう。これはひとつしっかりと腰を据えてかかっていただきたい。
 そこで申し上げる。輸出は制限されて、輸入は野放しであるという国が先進国のどこにございますか、お尋ねします。
#115
○野口政府委員 不勉強で、個々の国ごと全部つまびらかにはいたしておりませんけれども、大体先生のおっしゃるとおり、先進国に限って考えますると、どうもほかにはないのではないかというふうに考えられます。
#116
○加藤(清二)委員 名答弁です。そのとおりです。日本だけこういう特徴がある。日本の大臣は一体どこの国の大臣だろうかと当業者が疑うのも無理からぬ状況でございます。
 そこで、これは政務次官に聞きたいことなんですが、つい先だって嶋崎政務次官とおっしゃる方が韓国へお渡りになったようですね。目的は何で、結果はどうでございましたか。
#117
○野口政府委員 第一の目的は、実は大島つむぎ、特に本場大島つむぎの問題でございます。先生よく御存じのように、近来、本場大島つむぎ類似のものが韓国で生産されて日本に輸入されております。このために、奄美大島を初め鹿児島地方におります生産業者が圧迫を受けているという訴えがございました。その問題を処理するために、韓国に対しまして、日本に対する本場大島つむぎ類似品の輸出につき自粛を求めるために参ったのが主要な目的でございますけれども、それに関連いたしまして、生糸あるいは撚糸等の問題につきましてもいろいろ意見交換をしてきたわけでございます。
#118
○加藤(清二)委員 それが結果ですか。輸入はどうなりますか。
#119
○野口政府委員 一番問題になっております本場大島つむぎでございますけれども、このことにつきましては幾つかの懸案があるわけでございます。
 その前に繊維担当の審議官が二月に行っておったわけでございますけれども、その両方をあわせましての話し合いの結論でございますが、第一の問題は表示の問題でございます。この韓国から入ってぐる本場大島つむぎの類似品に、はっきり明確にこれは韓国産であるという旨の表示がなかった物もかなりあったわけでございますが、この点ははっきり韓国産とかあるいはメイド・イン・コリアというような表示を反末等に行うという点が、合意を見た第一点であります。
 それから第二の問題は、将来にわたりましてどんどん本場大島つむぎ類似品の生産及び日本に対する輸出がふえるのじゃないかということに対する非常に強い懸念でございますけれども、それに対しましては、韓国政府としては、セマウル運動の目玉にして大島つむぎの生産を奨励するようなことはしないとか、あるいは大島つむぎの生産設備の増設も当面は抑制するというようなことを約束したわけでございます。
 それから、当面の対日輸出量の問題につきましては、前回審議官が行ったときには、この輸出量についてはできるだけ自粛をするということでございましたし、第二回目に政務次官が行きまして、日本に対する輸出量のレベルにつきまして話し合いをしたわけでございますけれども、大体日本に対する輸出量は、ことしは三万五千反から四万反ぐらい、多くとも四万反を超えない範囲内に抑えるようにする、こういう話がまとまったわけでございます。
#120
○加藤(清二)委員 大臣、聞いてもらいたい。韓国からいま入っているしぼり、西陣、友禅、大島、これは日本の伝統産業で、先年この委員会でそれを発展させようという法律までつくって、通産省が援助をして育成をしようとしている銘柄ばかりです。しぼりはいまや内地需要の八割が韓国物です。大島は約五割です。西陣は三割です。いま友禅が次々と食われまして、三割になんなんといたしております。そこで、業界が次から次へと苦況に立って、村山大島のごときは全滅の危機に瀕しました。先日自民党の地元の代議士の方がここでその苦況を訴えられました。これはもはや党次元の問題ではないのです。与党も野党もないのです。いかにして日本の伝統産業を守るかということなんです。
 あなたにお尋ねしたい。あなたの会社のお客を八割とられたらどういうことになりますか、あなたの会社は。五割とられたらどういうことになりますか。これが具体的事実なんですよ。それで、与野党挙げて陳情これあり、それに相呼応して通産省では政務次官を派遣された。しかし、四万反、五万反、これは現状維持なんですよ。じゃ、つぶれてもよろしいということか、もっともっとつぶれていっても、日本がつぶれていっても。これは現状維持なんですよ。
 同時に、最も不可解なことがあるからお尋ねする。私はここに東亜日報四月十七日付の新聞を持っています。それによりますと、昨年実績の水準で自主規制をするということになったと書いてある。しかも、その昨年実績の中に四万反として、それに括弧して九十八万メートルと書いてある。
 そこで、お尋ねする。大臣、一反のメートル数量は何ぼですか。
#121
○河本国務大臣 韓国との間の繊維関係の取引の中で、いろいろ問題があるわけでありますが、一番大きな問題になりました大島つむぎの問題につきまして、先ほど局長が答弁いたしましたように、これを解決するために先般政務次官を派遣したわけでございます。
 私どもはもう少し少ない数量で抑えたかったわけでありますが、いろいろ折衝がありました結果、四万反という数字、四万反以下という数字におさまったわけでありますが、大島つむぎ、全体が約八十万反の生産になっておるわけでありまして、それに対して約四万反以下に抑える、同時にあわせて紛らわしい表示は一切つけない、こういうことを確約して、同時に先方の政府もそれぞれ必要な手続をしておるようでございます。
 そういうことでございますので、関係者の方々から見ればあるいは御不満かとも思いますけれども、ただいままでのところ政府といたしましても精いっぱいのことをやってきたわけでございまして、今後とも十分動向を見守りながらこの監視を続けていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#122
○野口政府委員 ただいまの先生の数字的なことについてお答え申し上げます。
 一反というのは長さで十二・二四メートルでございます。先ほど私もあるいは言い落としたのかもしれませんけれども、数量的に言えば三万五千ないし四万反を限度とする、それはほぼ前年並みであるということでございます。ですから、東亜日報で前年並みという点につきまして、その点は間違いではございません。ただ、それを数量で九十八万メートルというのは、これはどうも何か誤報あるいは間違いではないかという感じがするわけでございまして、われわれ通産省といたしましては一反というのは十二・二四メートルであるということで、韓国側の方で話し合いがついたものというふうに了解をしております。
#123
○加藤(清二)委員 そういういいかげんなことをやるから、この前田中という通産大臣のときにテーク・ドゥ・ノートで、後で問題になったのです。これで日米の間で大変な裁判ざたにまでなったのですよ。しかし、あなたは、さすればこの東亜日報は誤報であると言えますか、言い切れますか。
#124
○野口政府委員 これは繰り返しになりますけれども、私どもが考えていることとは全く違っております。ここに報道されております九十八万メートルというのは間違いだと思います。
#125
○加藤(清二)委員 それでは、話し合いが行われて共同声明が行なわれたか協定文が交換されたでしょう。その原文をいただきたい。なぜかならば、四万反と書いて括弧をして内訳が書いてあれば、これは国際常識としても法律用語の記載例から言ったって内訳の方が正しいとされるわけなんです。正確を期するためになぜ一反とは何メートルであるかという内訳を書かれないのです。恐らくや政務次官のようなりっぱなお方が行かれましたから、その契約書かあるいは共同声明か何か知らないけれども、その文章にはその十二メートルということが入っておるでしょう。日本では木綿なら二丈八尺、絹なら三丈二尺、こんなことは常識で決まっておる。しかし、これからいきますと、これは四万反でなくて四万匹なんですよ。ちょうどぴったりです。四万匹になるのです。これははっきりしてもらいたい。まだ後の説明がずっとあります。その説明の状況から言ってもこれは四万反でなしに四万匹、そして九十八万メートルが正しいということになる。もし、四万反であるとするならば、これはあなたは十二メートル何がしとおっしゃったけれども、三丈二尺なんです、絹織物、これは決まっておるのです。その端っこがあったって、そんな背の高い人は日本にはおりませんから、端布ができるだけですよ。要らないのですよ。縫い上げをしなければならぬような着物をつくるばかがどこにあるのです。これは子供は使いませんよ。大人ばかりですよ。したがって、これはもしあなたの言うとおり四万反でありとするならば、それは四万に十メートルを掛けて四十万メートルとちょっとでいいわけです。これは九十八万メートルとはっきり書いてある。大臣、これどうしますか。
#126
○河本国務大臣 結局向こうと話し合いをいたしましたのは、日本側は、昨年の実績がほぼ三万反前後であるからそれにとどめたい、こういう主張をいたしましたのに対して、最終段階といたしまして四万反ないし三万五千反、こういうことで落ちついたわけでございまして、昨年の実績ということを中心に話し合ったわけでございますから、私は先ほど局長が申し上げたとおりであると考えております。
#127
○加藤(清二)委員 もし、向こうが四万反ではございません、九十八万メートルでございますと言ったらどうなります。
#128
○河本国務大臣 私は、それは大きな食言である、こう思います。したがいまして、そういうことを言えば、これは日本と韓国との間の貿易関係に大きなひびが入る、こう思います。
#129
○加藤(清二)委員 それでは、あなたの趣旨からいきますと、この東亜日報のこれは誤報である、こういうことになりますね。
#130
○河本国務大臣 私はそういうふうに考えます。
#131
○加藤(清二)委員 あなたが考えるだけではどうにもならぬ問題を惹起しては国際上よろしくございません。田中という通産大臣がアメリカとの貿易において、あちらへ行ってテーク・ドゥ・ノートと書いただけでこれで問題になって、ついにアメリカの言うなりにさせられた実績があるのです。したがって、さようなことのないように至急確認をする必要があると思います。田中通産大臣のときも私は確認を急ぎなさいと言ったのです。しかし、その確認はなされぬままに、ここの委員会の答弁を逃げ切ることだけを考えてみえた。その結果、アメリカの言うなりになってしまった。さようなことのないように確認を急ぐぐらいの努力は大臣すべきだと思いますが、あなたができなければ、これは嶋崎日本通産省政務次官が張商工部長官と会談を通じて云々と、こう出ておるのですから、嶋崎君に確認させる必要があると思います。至急確認をしていただけますか。
#132
○河本国務大臣 そういうことはあり得べからざることであると考えておりますが、もう一回よく事情を聞いてみます。
#133
○加藤(清二)委員 再調査をする、こういうお答えをいただきました。
 そこで、お尋ねしますが、韓国、台湾、香港、中国等々からの輸入が非常に多いですね。非常に多い。それが日本内地のメーカー部門に大変な圧力となっている。したがって、輸出が削減されて輸入が野放しでございまするから、何度構造改善を行っても日本の繊維産業はまともに返りません。アメリカは日本に対して制限をいたしました。日本は韓国、台湾、これを筆頭にそれを制限する用意があるかないか、これについてお答えいただきたい。
#134
○河本国務大臣 御指摘のように韓国、香港、台湾等から大量の繊維品が入っておるわけでございますが、同時にあわせて繊維品全体の貿易状態を調べてみますと、先ほどいろいろ御指摘がございましたが、製品に関する限りやはり日本は出超が相当多いわけでございます。かつまた韓国、台湾、いわゆる近隣諸国との貿易は、日本側からの全体の貿易としての出超が非常に多くなっております。そういう事情を総合的に勘案をいたしました場合に、貿易の制限であるとかあるいは輸入禁止であるとか、そういういろいろ動きがありますけれども、これは避けなければならぬ。これが導火線となりまして自由貿易という日本の基本原則にひびが入る、こういうことになりましては大変なことでございますから、資源のない日本といたしましては、あくまで自由貿易の旗を掲げまして貿易を進めていかなければならぬ、こういう立場にございますので、そういうことのないように、輸入制限あるいは輸入禁止、こういうことは避けなければならぬ、こういうふうに考えております。
#135
○加藤(清二)委員 あなた、それは私に対する答弁かもしらぬけれども、そんなものはいただけませんよ。
 じゃ、基本原則に戻ってお尋ねいたします。三木さんは不公正是正をすると最初におっしゃられました。輸出は制限されて輸入は野放しであれば、明らかにこれは不公正ではありませんか。その不公正を是正する方向に努力ができますか、できませんか、お尋ねします。
#136
○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、繊維類の製品だけをとってみますと、総合的に日本の輸出の方が輸入よりも多いわけです。そういうことも考えなければなりませんし、それから貿易全体をとりましても、特に近隣諸国との間は非常に大幅な日本からの出超になっている、こういうことをやはり総合的に考えなければならぬ、こう思います。
#137
○加藤(清二)委員 それはなおいただけませんね。ますますいただけません。アメリカは日本に対していかなるときにこれを行ったですか。あなたは専門家ですから、よう御存じでございましょうが、日米の繊維に関する限りは制限制限の歴史なんですよ。それでひびが入りましたか。韓国に対してもノリは制限をいたしておりますよ。数量割り当て。去年のごときはその数量割り当ても、日本のノリの生産が多かったので最盛期には入れない、端境期にのみ入れるという条項のもとに、ほとんど入っていないのですよ。それでひびが入りましたか。アメリカが日本に対して行えることが、どうして日本が韓国に対して行えないのか。同じ日本の国で、農林省が行えることがなぜ通産省が行えないのか。貿易のバランスなどということだけでは問題は解決いたしません。
#138
○河本国務大臣 御案内のように農林関係の品目は特例の扱いを国際的に認められておるわけでございまして、これは工業製品と同じようには議論にならないのではないかと思います。
 それからさらに、アメリカとの間に繊維問題が起こりました当時は、貿易関係が余りにもアンバランスになっておった。そういうことで、ちょうど先ほど申し上げました近隣諸国との逆になっておると思うのです。そういうこともありましてああいう結論に達したわけでございまして、若干事情が違っておるのではないか、こう思います。
#139
○加藤(清二)委員 答弁になっておらぬよ。あのときは逆調だとおっしゃったけれども、総トータルにおいて日米の関係が日本が赤字のときでもやられたのですよ。すなわち、最初はワン・ダラー・ブラウス事件、ウールラッシュ事件、すべてがそうなんですよ。しかも、彼らがインジュリーと称して取ったときの輸入数量は一体何ぼであるか。一年の三日分です。総需要の一%です。すなわち、ウールについていうと総需要の五%だけ輸入する。その五%のうち、イギリスやイタリアと比べて日本が二四%を占めた。五%の二四%ですから、一%とちょっとです。それだけ輸出したらラッシュと言うて制限を受けたのですよ。あなたの認識は違うておるですよ。これは、その輸送の任務に当たった人ならば御存じのはずなんです。時間切れになったら従量税と従価税を併課する、そういう過酷なことまで行われた。それで飛行機で運んだのですよ。しかも、ニューヨークまで持っていったら遠過ぎて時間に間に合わぬからというので、ハワイへぽとぽとと落としたのですよ。そのくらいのことまであった。アメリカは日本に対してそういう制限をした。日本はのまされた。
 もう一つお尋ねします。外務省来ていらっしゃいますか。――アメリカは台湾、韓国に対して繊維の制限をしておりますか、おりませんか。
#140
○野村政府委員 いま先生の御指摘のとおり、繊維につきまして規制をやっておると存じます。
#141
○加藤(清二)委員 話に聞くと、製品は制限できないけれども原料ならば制限できる、こういうスコラ哲学方式の答弁をしている向きがあるようです。ところが、アメリカが台湾や韓国に対して制限している繊維の内容は、原料の合繊を初めとして製品に至る、縫製加工品に至るまで制限しておるのです。日本のものはお人形に着せた衣類まで規制の対象にしておるのですよ。しかも、コットンのごときは縦六十四品目、横四季節割りのシッピングに間に合わせろと言って、そういう過酷な制限までしておるのですよ。アメリカが台湾や韓国に行ったことがなぜ日本にできぬのですか、大臣。
#142
○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、繊維製品の輸出の総額は輸入の総額よりも多い、こういう全体のことも考えなければなりませんし、近隣諸国との貿易の総額のことも考えなければなりませんし、さらにまた新国際ラウンドに関しまして、いま自由貿易をいかに進めていくかということについて話し合いを始めておる最中でもございますし、そういう矢先に日本がいま繊維品の輸入制限あるいは輸入禁止ということをやるのは適当ではない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 そこで、ほっておくわけではございませんで、仮に輸入制限あるいは禁止ということをやりませんでも、先ほどもちょっと触れましたように、韓国とのああいうふうな話し合いによって自主的に規制をしていくとか、あるいはまた現に輸入の衝に当たっております商社等を指導するとか、そういう形で貿易の指導をしながらあるいはまた話し合いをしながら問題の処理に当たっていく、そういうことの方が好ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#143
○加藤(清二)委員 私は繊維全体のことを言っておるのではありません。特殊銘柄を四つ挙げてものを申し上げている。
 それでは、貿易のバランス上、しぼりも西陣も友禅も大島もつぶれてもよろしいとおっしゃるのですか。そういうことがあってはいけないから国際協定で、ガットの繊維協定で特定商品については例外措置がとられるようになっておるはずなんです。ガット繊維協定第三条、第四条、第十二条、これを適用すれば合法的にできるようにちゃんとなっておるのです。いわんや三木さんが不公正是正をするとおっしゃった。その基本理念は正しい。その意味からいっても、当然不公正は是正さるべきであると同時に、新しく国際協定を変えるというのじゃないのですから、日本も調印をし、国会で批准を受けている国際条約の中に、協定の中にちゃんとやれるようにできているのですから、それがなぜできないのですか。キッシンジャーがやったことがどうして日本にできない、ニーマーのやったことがどうして日本にできない、ジューリックのやったことがどうして日本にできない。通産省の後藤君が去年ハワイ会談にも行き、引き続いて行われたパリ会議にも出て調印してきておるはずだ。それがどうして適用できないか、理解ができない。せめて不公正は是正するよう努力するとか、あるいは市場撹乱のある、インジュリーのあるその銘柄については前向きの検討をするという言葉が返れば別ですけれども、あなたのお答えのように貿易全体のバランスから繊維は犠牲になってもやむを得ぬという答えが返ってくるならば、国家の方針によるところの犠牲者です。国家の力においてこの犠牲者を救わなければならぬ。その具体策がありますか。
#144
○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、たとえば大島つむぎなどにつきましては、問題が非常に大きゅうございますので特別の話し合いをしたわけでございますが、いま御指摘の品目等につきましても事情仰せのとおりでございますから、とにかく被害のできるだけ少ないような形で、さらに当事国との間に個々に話し合いを詰めてみたいと思います。
#145
○加藤(清二)委員 当事国との間に個々に話し合いを進めると受け取ってよろしいですか。――当然のことなんです。あなたのさきの答弁のように、貿易の全体のバランスシートからいってやむを得ないとおっしゃるならば、韓国に輸出しているものは一体何かといえば、それは鉄でありセメントであり自動車であり、あなたのところの船である。それらを生かすために、内地の小さい機屋さんたちを倒してもやむを得ぬということになれば、それは国家の力においてその犠牲者を救わざるを得ない。もしも救わずに、なおそれを前年どおりとか先年どおり輸入しますなどということを唯々諾々として受けてくるならば、そのおかげで日本の中小企業は倒れてもやむを得ぬということになる。それは一軒や二軒じゃない。かつて中小企業の一人や二人は倒れてもやむを得ぬと言われたときに、その大臣は突っ込まれて、経済の転換期において思惑をやった者はやむを得ないという言葉で逃げられた。それでもついにこの方は、本会議場でその職を去らざるを得ない結果になった。そのことは、あなたももうベテラン中のベテランで古い古い議員さんですから、よくおわかりのはずなんです。当然前向きでやるべきだ。日本の大の虫を生かすために小の虫は殺されてもやむを得ないというあなたのその哲学的理念は、検事の立場からいけば正しいかもしれませんけれども、少なくとも国政を預かる大臣の答弁としては受け取れません。貿易バランスが最高であって、日本の中小零細企業はつぶれてもやむを得ない――いま現につぶれつつあるのですから、そういう理念をあなたが押し通すということになれば、われわれは重大なる覚悟をしなければならぬ。
 もう一度、市場擾乱があった場合の特定品目については特殊な措置をとるというくらいの前向きの姿勢は、先進諸外国における前例これあり、言えるはずです。あなた、日本はEC諸国からもやられておるのですよ。いまなおガット三十五条第二項の援用で、日本の商品のうちガットやIMFで決めたその許容量とは違った制限を受けておるのですよ。それを唯々諾々として受けておきながら、どうして韓国や台湾に対してできないのです。決意のほどを承りたい。
#146
○河本国務大臣 いずれにいたしましても、四品目ばかり挙げていろいろお話しになっておるわけでありますが、先般大島つむぎで韓国との間に話し合いをいたしまして軌道に乗せましたと同じような考え方に立ちまして、当該の品目につきましては相手国との間に十分話し合いをいたしまして、また関係者を行政指導いたしまして、とにかく個々の品目について最善の策をとってみたいというふうに考えます。
#147
○加藤(清二)委員 さきに申し上げましたように、何も私はこれをひとり大臣の責任であるとか、ひとり政府の責任であるなどと申し上げているのではございません。事繊維に関する限り、過去二十有余年の間、はっきり言えば高碕経企庁長官、通産大臣の時代から、波打ち際から向こうの問題については与党も野党もなく結束して当たるべきであるというあの名通産大臣のその精神にのっとって私はずっときておるのです。したがって、あなたがこういう難問を処理するに当たって、内地の流通機構では審議会を設けるとか、あるいは本件に関して、波打ち際から向こうの問題については協議会をつくって対策をしたい、あるいはすべきであるとかいう意見があったとかなかったとか漏れ承っておりますけれども、協議会をつくって、なお国内が一致結束してこれに当たる、これは当然です。貿易バランスシートとあなたはおっしゃったが、そのバランスシートの関係から言ったら当然関係者を集めなければならない。そういう協議会をつくる用意がありますか、ありませんか。
#148
○野口政府委員 ただいま私どもの方で考えておりますのは、名前はまだ確定したわけではございませんけれども、一応需給協議会ということで、メーカー、輸入業者、流通業者、消費者、もちろん役所側も入りましての代表で組織をつくります。そこで輸入関係の現状あるいは見通し、あるいは関係者の意図あるいは要望等々を出し合いまして話し合いをし、できるだけ意見の一致を目指して話し合いの場をつくっていくということを現在考えておりまして、六月中には発足をさせたい。いろいろこれは業種別と申しますか、品種別に綿の関係あるいは毛の関係、絹の関係等、現在のところ大きく四つ程度の協議会を考えているわけでございます。
#149
○加藤(清二)委員 協議会は部門別につくる、発足は六月をめどとしている、こう受け取ってよろしいですか。――それで結構です。百歩譲って、その協議会が生まれてもなお輸入を許さなければならぬということになったならば、私は提案をいたします。記憶に残してください。
 その輸入権は、輸入で利ざやをかせぐ者のみに与えずに、メーカーに与えるべきである。詳しく解説すると長くなりますからはしょりますが、農林省関係にはこの前例がたくさんにございます。さすれば、うちにあるものを余分に買うようなことはいたしません。それこそ双方合意の結果が生まれるわけです。もう一度申し上げます。百歩譲って、どうしても輸入をしなければならぬ場合には、インジュリーあるその銘柄についての輸入権はメーカーに渡す。前例これあり。なぜ私がこういうことを申し上げなければならぬか、その点の理由を申し上げます。
 台湾、韓国でいま合成繊維の設備が着々進んでおりますが、本年末になりますとその設備能力はどれだけになりますか。――時間がないから私が答えます。これは日本のオール生産は百二十八万トンでございます。台湾、韓国合わせて八十五万トンとなります。その八十五万トンは、自給自足のために設備をつくったのではありません。輸出のためにつくっているのです。日本のオール生産の六五%になるわけです。輸出用でございます。
 さて、これをだれが買うか。だれが買います。アメリカを目当てにいたしておりましたが、アメリカは、先ほど外務省がおっしゃられましたように、この繊維まで制限をいたしました。原料まで制限をいたしました。それじゃ中国が買うか、ソ連が買うか。この国は、これは外務省に聞きたいところですけれども、もう大臣の退席の時間が迫りましたから、私が答えます。買いません。一ポンドも買いません。じゃ、他の発展途上国が買うか。買えません。買っても物にならぬからです。何で、それは整理機がないから、撚糸機がないから、撚糸の技術がないから。じゃ、その技術のあるところはどこか。EC諸国でございます。EC諸国の合繊の設備はどうか。アメリカへも日本へも売るほどたくさんつくっておるのです。台湾や韓国から買うはずはありません。それじゃ、これ、どこがどう買うのです。
 この工場をつくる場合に指導したのはどこです、大臣。お答え願いたいところですが、私が答えましょう。日本が指導した、援助という名目で。その折に、有償、無償のときに私はこのことを注意しておいた。注意というより警告を発しておいた、教えることはいいけれども、いまに自分が撃たれる鉄砲玉を相手に与えるのと一緒のことになるよと。案の定そうなりました。八十五万トンの糸が日本へ入ってきたらどうなる。いまでも合繊はすでにもう不景気だから、石川県も福井県も、特に福井の人絹などは、取引所までがつぶれちゃったでしょう。大きなインジュリーがある。どうなるのです、これ。韓国がこの糸を前例どおりにしてくれと言って、また嶋崎君が行って、はいはいと言って判こ押してきたらどういうことになる。買うのですか。日本の合繊設備を殺してでもいいんですか。いますでに倒れつつあるんですよ。そのときになっては手おくれです。外務省に責任ある答弁を承りたいところだが、私は、こういう状況下にかんがみて国際上可能なことはできる限り努力して可能にしなければいけないと同時に、万やむを得ずそれでもなおという場合には輸入権をメーカーに渡す、これが一番救いの手である、かように思います。これについて御答弁を願いたい。
#150
○河本国務大臣 ただいまの御提案は十分検討さしていただきます。
#151
○加藤(清二)委員 せっかく協議会もできるとのことでございまするから、ぜひ慎重に検討をして、日本の繊維が、特に日本経済の発展の基礎を培った日本の繊維産業が滅びていかないような措置を未然につくっておいていただきたいと思います。
 大臣、一時からということです。ちょうど一時になりましたから、これは約束ですから、私は約束を守ります。退席なさってけっこうです。
 与えられた時間があとほんのわずかでございますから、最後に、大蔵省にまとめてお尋ねいたします。
 ガット協定による税率ですが、わが国の輸入関税というのは非常に安いですよ。かつては、輸出国であるがゆえに同類の商品に対しては輸入関税が安くなっていた。アメリカがイギリスのウールを入れる場合と、日本がイギリスのウールを入れる場合とは、関税率が日本の方が大分低いのです。にもかかわらず、漏れ承ると、東京ラウンドでまた下げるというようなうわさが立っておる。これについて、大蔵省としてはどうお考えになっているか。
 次、四十八年に輸入関税が二〇%引き下げられましたね。それは外貨が多過ぎてしょうがないから買いなさい、買いなさいと言って、流動資金を商社に与えた。その商社が買いやすくするために二〇%税率が下げられた。その税率が、外貨が少なくなった今日、輸入過剰だ、インジュリーがあるという今日もなおそのままの税率になっておる。これはおかしなことでございます。あの当時、あれこれした関係のものは全部後始末ができたはずなのに、関税率をもとへ直すということだけはできていない。通産省は国民のための灯油の関係までも、もう時期が過ぎたからはずしますと言っておる。これについて、大蔵省は下げたものをどうするか。
 それからもう一つ、輸入促進のために特恵国からの輸入関税、これは別扱いになっている。その恩恵を逆手にとって、先ほど来申し上げているようなことが次から次へと行われている。だから、輸入過剰のためのインジュリーは大蔵省も片棒を担いでいると言わざるを得ない。これについて大蔵省はどうするつもりであるか、お答え願いたい。
#152
○松尾説明員 お尋ねは三点ございましたが、まず第一点、日本の税率、特に協定税率が諸外国に比べて安過ぎるのに、さらに東京ラウンドでこれを下げようとしているのかということでございましたが、まず事実ほかの国と比べてどうかというのは、前にこの委員会で先生の方から御要求があって資料もお出しいたしましたとおり、アメリカとの関係において見ますと、アメリカが相当に高いところにある。日本とECとを比べてみますと、日本の方が高いものもあれば、向こうが高いものもある。個別に見ますと若干のでこぼこがございますが、ほぼ同じ水準ではなかろうかということでございまして、日本が特に高いという状況にないことは御指摘のとおりかと思います。
 次に、現在交渉が行われております東京ラウンドにおきましてそれをさらに下げるのか、こういうお尋ねでございますが、新国際ラウンド、ただいま交渉の緒についたばかりでございまして、どういうルールで、どういうものをどういうふうに下げていくかというようなことはまだ全然決まっておるわけではございません。私ども一般的な考え方といたしまして、日本の国策としては貿易の自由化の一層の推進が必要であるということで、この東京ラウンドに積極的に参加しておるわけでございますが、個々の産業あるいは個々の商品についての配慮というものは当然この交渉の中でしていかなければならない、かように考えております。
 それから、第二点のお尋ねは、四十八年とおっしゃいましたが、四十七年の十一月の関税の一律引き下げのことを御指摘かと存じます。これは先生がおっしゃいましたように、当時、対外経済政策の一環としてその時期に急遽行われたということでございますが、同時に私どもこのとき一律にかなり関税を引き下げましたのは、主として製品関税に限って引き下げをいたしたわけでございまして、その基本にあります考え方は、当時関税率審議会の企画部会におきましていろいろ御検討いただきました結果、日本の製品関税が特に諸外国に比べて高いという状況にございましたので、関税体系のあり方としてもこの製品関税を下げようということを考えておったわけでございます。その時期を十一月ということにいたしましたのは、確かに御指摘のような対外経済政策の一環という意味はあったわけでございます。したがいまして、現在は状況が違うからこれをもとへ全部戻すべきでないかという御意見でございますが、私どもといたしましては、これ全部を一斉に戻すということは必ずしも適当ではないというふうに考えておりまして、やはり個別に、個々の産業なり商品の実態に応じましてきめ細かく検討してまいりたいということで考えております。
 それから第三点は、特恵関税の供与が近隣諸国からの繊維品の輸入を非常に促進しておるのではないかという御指摘でございますが、特恵関税につきまして、繊維品についてはほかの産業に比べていろいろかなりきつい規制を行ってきたことは、たしか前にもお答えをいたしたことがあったような気がいたしますが、ただいまその詳細な資料を手元に持っておりませんが、生糸、絹織物を例外品目にいたしておるとか、あるいはこの枠の運用等につきましても、繊維についてはほかの産品に比べてよりきつい制限をおいてまいったわけでございますが、最近国内の繊維業界が非常な不況に陥っておるという実態を踏まえまして、本年度の特恵関税の運用につきましてはさらに慎重ないろいろな配慮をしてまいりたいということで、たとえばシーリング枠の弾力化の停止というようなことにつきましても、繊維関係につきましては非常に機敏にこれをやるということで、その運用につきましては私ども昨年度よりはかなり努力をしておるつもりでございますので、今後、先生御指摘のような問題も頭に置きまして、一層運用には慎重に配慮してまいりたい、かように考えております。
#153
○加藤(清二)委員 名答弁です。酷評はいたしません。ぜひひとつ現状のインジュリーにかんがみて、中小零細企業を救うというたてまえに立って、いまあなたがおっしゃったように、銘柄別にきめ細かく前向きの態度をとる、こういうことで前進していただきたいと思います。
 最後にもう一問だけ外務省にお尋ねいたします。
 先ほど韓国の東亜日報にこう出ていると申し上げましたこと、特に嶋崎日本通産省政務次官が張商工部長官との会談を通じて、文句のところは、昨年並み、その数字は四万反で、括弧して九十八万メートルである、こうなっておりますが、この点を外務省としてはどう受け取っていらっしゃるか。これは後を引く問題でございまするから、外務省としてもよほど事前によく実態を調査して、速やかに対策をとられる必要があると思います。
 したがって、それについての答弁と、それからもう一点は、アメリカは日本に対して内国人と同等の待遇を与えるという日米友好通商航海条約があるにもかかわりませず、その精神を破り、ガットの精神を破ってまでも日本の繊維に対して制限を加えてきていることは事実です。イソップ物語がここに行われている、ごちそうは見せるけれども、食べさせないようにするという。しかくさようとするならば、それも甘んじて受けなければならぬとするならば、韓国やあるいは台湾に対してガットの繊維協定の第三条、第四条、第十二条は発動する時期が来ている。なぜかならば、倒産続出でインジュリーがあるからとわが党は考えますが、外務省としてはどうお考えになってみえますか。その点についてお尋ねします。
#154
○中江政府委員 先ほど来先生御指摘の、四月十七日付の東亜日報の記事のことでございますが、この記事のもとになっております日韓間の非公式了解事項の内容につきましては、先ほど通産大臣が御説明になりましたように、昨年度実績並みという了解であって、その具体的な内容について日本側が了解しております反ベースの話のメートルとの関係につきましては、これは先ほど来の御説明にありましたように、この新聞記事の内容についてはふに落ちない点がある、したがって、これをそのままにしておいたのでは、先生おっしゃいますように将来尾を引いて厄介なことになるということでございますので、その点は、当事者でありました嶋崎通産次官の得ておられる了解の具体的な内容を十分通産省と詰めまして、必要があれば、これの誤解を早きに及んで解いておくことが必要だ、こういう認識でございます。
 それから、ガットとの関係につきましては、経済局の方から説明させます。
#155
○野村政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたしぼりその他つむぎ等は、御承知のとおり絹製品でございます。先生御案内のとおり、ガットの繊維国際取り決めは、綿、毛、化合繊製品の国際貿易に関しますところの協定でございまして、絹織物、絹製品等は一応この対象外となっておるということでございまして、そういった意味から、このガットの繊維取り決めに基づきましてどうこうという問題は条約の問題としては出てこないかというふうにわれわれ考えておるわけでございます。しかし、もちろんガットに一般的ないろいろな規定はあるわけでございまして、そういった措置に基づきましていろいろな措置がとり得るわけでございます。
 そこで、一般的な答弁になるわけでございますけれども、さっき御指摘のガットの繊維取り決めの三条、四条あるいはまた十二条等を十分検討の上何か措置をとるかという御質問かと存じますけれども、いま申し上げた絹製品は別でございますけれども、綿、毛、化合繊等につきましては、もちろんいま申し上げた協定の対象になり得るわけでございます。しかしながら、この協定の目的というものは、御承知のとおりあくまでもそういった繊維取り決めを、健全な基盤の上に立って漸進的に自由化を促進する、かつまた秩序ある拡大を図っていこうということも目的にしておるわけでございまして、先ほど来通産大臣からもいろいろ御指摘がございましたとおり、自由貿易をたてまえとしておりますわが国といたしまして、そのことも考えながら、そういった貿易立国の立場を考えながらやはりいろいろな措置をとっていくというふうに考えざるを得ない、慎重に対処していく必要があるのじゃないかというふうに考える次第でございます。
#156
○加藤(清二)委員 これで終わろうと思ったのですけれども、誤解があるといけませんから解説しておきます。
 条約、協定の条文はあなたのおっしゃったとおりです。絹は除外する、そのとおりです。しかし――あなた、ちょっとよく聞いてくださいね。しぼりというのは絹織物か綿織物かということになると、綿織物の方が多いのですよ。次に、つむぎと言いますと、これはまた全部絹織物のように誤解を受ける向きがありますが、縦糸はほとんど綿ですよ。韓国から来るのは合繊なんですよ。これはガットの三条、四条、十二条にちゃんと適用できる。
 以上です。
#157
○武藤(嘉)委員長代理 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十九分開議
#158
○塩川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。野間友一君。
#159
○野間委員 いまなお続くインフレと不況の進行、この中で中小企業の苦悩は一層深いわけでありますけれども、きょう私はその中で下請中小企業の関係についてまず質問をしたいと思います。
 下請関係について考えてみますと、これは業種のいかんを問わず大変深刻な苦境に陥っておるということはいまさら申し上げるまでもありませんけれども、こういう苦悩の実態をいま政府がどのようにとらえ、どのように認識されておられるのか、その点から質問を始めたいと思います。
#160
○齋藤(太)政府委員 下請事業者につきまして約三千社について毎月その受注量等の調査をいたしておりますが、一番新しいところでこの四月の調査によりますと、下請の受注量は、サンプル調査でございますけれども、前年同月比で六九%まで落ち込んでおります。中小企業全体の生産が約二割、四月で前年同月比で落ち込んでおりますので、こちらは約三割の落ち込みでございまして、一般の平均よりも下請の場合の方が受注量の落ち込みが大きい、こういう結果が出ております。
 それから、受注の単価も前年同月比で九四・五%でございまして、昨年の四月よりも約五%単価が下がっておるわけでございます。これだけ人件費なり諸資材が値上がりしておりますときに、単価が去年よりも低い水準にあるということにおきましても非常に苦しい状態にあるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#161
○野間委員 いまの数字は統計が非常に不正確と申しますか、実態を正確に反映していない、こういうふうに私は思います。
 これは後また順次質問を続けるわけですが、この下請中小企業に関しては、中小企業振興法それから下請代金支払遅延等防止法、この二つの法律がありますけれども、この法律を基礎にして行政指導が行われております。この行政指導で一体どの程度いまの中小企業者の経営の振興あるいは経営の擁護というものに寄与しておるかどうか、この点について次にお尋ねをするわけです。
 四月の公定歩合の〇・五%の引き下げに続いて、また二回目の引き下げを、さらに第三次の不況対策ということがいま当面問題になっておるわけでありますが、その不況と言われる実態は、全体として先ほど若干の数字が長官の方からありましたけれども、当面の中小企業の経済情勢、これらの資料をもらっておりますが、ここにも出ております。
 そこで、お聞きしたいのは、第一に大企業と中小企業の生産動向についてまずお伺いし、それから第二に、大企業の発注動向、これは下請に対する親企業の発注の動向、それから第三番目にはそれに対応する筋合いのものでありますが、下請の中小企業の受注動向、これは一次から二次、三次とずっとありますが、これが現在一体どういう状況になるのか、まずお聞かせを願います。
#162
○齋藤(太)政府委員 鉱工業生産を大企業と中小企業に分けまして調査をいたしておりますが、それによりますと、この三月の中小企業の生産指数は九八・三でございまして、昭和四十五年を一〇〇として、その水準を下回っております。なお、前年同月比で見ますとマイナス一八・四%でございまして、約二割前年同月の水準を下回った水準にございます。
 一方、大企業の方でございますが、指数は一〇八・八でございまして、これは四十五年を一〇〇といたしまして一〇八でございますので、四十五年よりはもっと高い水準にある。四十七年の初めぐらいの水準かと存じます。それから、前年同月比で見ましても一五・六%のマイナスでございまして、中小企業が一八%に対しまして十五、六%ダウンというところでございます。つまり中小企業の方が前年同月で比較いたしましても、それから特に絶対水準におきまして生産の落ち込み方が非常に大きいということが言えるかと存じます。
 これは下請も含めました全体としての中小企業の生産状況でございますが、この中で下請企業の状況につきましては、受注状況は先ほど申し上げましたようにこの四月で前年同月比六九%という受注高でございまして、約三割前年同月の水準を下回っておりますので、中小企業一般で見るよりもさらにその落ち込み方が大きい、こういうことが言えるかと存じます。
 大企業側の発注状況と申しますのは、これの裏返しの形になろうかと存ずるわけでございまして、前年よりも相当に下請への発注が落ち込んでおるということがこの受注状況から推定されるわけでございますが、特に大企業側の発注状況という調査は特別にはいたしておりません。
#163
○野間委員 いま下請の受注状況について話がありましたけれども、これは下請の場合にはいま申し上げたように一次、二次、三次、四次と、とりわけ大企業の下請関係については非常にすそ野が広いわけでありますが、いまのパーセントあるいは数字は、これは全部を含めて言っておられるのか、あるいは一次、二次、三次、この内訳はどうなっておるのか、ひとつ答えていただきたいと思います。
#164
○齋藤(太)政府委員 ただいまの三千社の調査は一次、二次、三次下請全部平均の数字でございまして、特にまた一次、二次、三次に分けましての統計はつくっておりません。
#165
○野間委員 そこに私は問題があると思うのです。一次、二次、三次下請を総合していま言われましたけれども、一次から下に行くにつれてどういう実態になっておるのか、これについての調査がない。これは大変なことだと思うのです。中小企業振興法の三条に基づきまして通産大臣は振興基準をつくる。ここで下請事業者や親事業者、これに対して指導助言しなければならないことになっておりますが、この中で、振興基準の第2の2の(4)、これによりますと、「親事業者は、下請事業者に対する発注量を大幅に変動させないよう配慮するものとし、とくに、発注量を親事業者の生産量の変動の程度以上に変動させないよう努めるものとする。」こういう基準があるわけです。親とその下請の関係について、とりわけいま申し上げたような大企業を親とする場合には、単に一次だけではなしに、二次、三次とずっとすそ野のように広がっておる。この不況の中で、仕事がない、金を貸せ、仕事を確保しろ、再三にわたって私も中小企業庁にも出かけたわけですが、これらの実態の調査がない。したがって、分析されない。したがって、適確なこの対策を立てることができない。単に指導、助言あるいは振興基準で親に対してひとつ何とかしてくださいというようなものだけでは、決してこの下請に対する効果が及ばないのはあたりまえな話なんです。なぜこういう実態についての調査がないのか。振興基準を守っておるのかどうか、一たん決めたなら、それが実行されておるかどうかを政府当局が調査した上で、初めて適確な施策が可能になるという点から、私は非常にこの点についてはやり方に問題があると思うのです。指導、助言というのは、一体どういうふうに考えておるのか。単にしてください、それだけで済む問題であると考えておるのか。どうでしょうか。
#166
○齋藤(太)政府委員 四月の平均で約三割落ち込んでおると申し上げましたが、従業員別の統計はとってございまして、それによりますと、たとえば四人以下の層は六四%で、五人から九人までが五九%、十人から二十九人が六九%、三十人から九十九人が七一%というように、規模が大きくなればなるほど落ち込み方が少ないわけでございます。つまり、非常に零細な方ほど、前年同月比の仕事の受注量の落ち込みが大きい結果が、この従業員別の統計では出てまいっておりまして、これから推測いたしますと、二次、三次と下請のこのピラミッドが下層の方に下がるに従いまして受注の減退の率が高いということは、想像と申しますか、推定されるわけでございます。これは親事業者が下請に出しますにつきまして、たとえば親事業者自体の仕事が減りましたときに、まず臨時工とかパートタイマー等の人員整理等を行い、さらに下請への仕事を切る、その場合に、自分でできるものを優先して下請の方を先に切る、これはどうしてもそういうきらいがあるわけでございます。つまり、下請側と親事業者側と同じような人員整理を行えば、そういうことはないわけでございますけれども、どうしてもまず自分のところの従業員はなるべく整理をしたくないということで、下請の方の仕事から先に切る、こういうきらいがございまして、それが二次、三次と重なるにつれまして、同じようなことが重なってまいりますので、一番末端にまいりますと、非常に仕事の量が減っていく、こういうふうなきらいはどうしても出てくるわけでございます。
 そうかと申しまして、私どもは、親事業者の仕事の減少のしわを親事業者は余りかぶらないで、皆下請の方に負わせる、そういう不況のときの一つのバッファーに下請を使うということは決して好ましいことではないと考えまして、その仕事の減ったことによる負担を親事業者も下請も極力平等にかぶるように親事業者の心構えとしてやってほしい、こういうふうに考えまして、振興基準にもそういうふうに書きましたし、実際に親事業者を集めての説明会とかあるいは文書で毎年親事業者にそういった通知を出しましたり、最近は特に不況でございますので、個々の親事業者あてに数回にわたってそういった注意を喚起する文書を出しております。しかし、何と申しましても、振興基準は一種の親事業者のモラルと申しますか、あるべき姿を描いた準拠すべき基準でございまして、強制するとかいったような性格のものでございませんので、なかなか私どもの思うような形に結果がならないという点は遺憾でございますけれども、さらに今後も親事業者の理解と協力を得まして、親事業者が仕事を減らす場合に、極力それ以上に下請の方を減らさないように親事業者の方を指導してまいりたいと考えております。
#167
○野間委員 そういう答弁は私もう聞き飽きたわけです。いつでも返ってくる答弁というのはそうなんです、極力何とかとか、モラルの問題だとか。少なくとも二次、三次以下の本当にいま深刻な事態をどうやって救済するのかという点を深刻に受けとめて考えないから、いまの話にもありましたが、単に事業規模、これから推測やあるいは想像をして下に行くほどつらかろうというような程度の答弁しか出てこない、こう思うのです。そういう態度ではどんなに不況対策を唱えてもそれは口先だけで、実際に、実効を伴わないそういう施策しかとれないということは、これはあたりまえだと思うのです。このような単に事業規模の調査だけではなしに、二次、三次下請関係の構造と、そうして二次、三次あるいは四次と下に行くにつれて具体的にどのような状態にあるのかということについて、私は当然調査するべきだと思う。これは調査する用意があるのかどうか、あくまで調査は必要ない、そうおっしゃるのかどうか。
#168
○齋藤(太)政府委員 二次、三次、四次と行くにしたがいまして、どういうように仕事の量が減っておるかというような状況につきましては、悉皆調査ではございませんけれども、部分的にはそういうサンプル的に実情を把握するために調査は行っております。
#169
○野間委員 それじゃ、いつどの程度の規模でやったのか、それを明らかにし、この委員会に出してください。
#170
○齋藤(太)政府委員 悉皆調査ではございませんので、きわめて部分的なものでございますけれども、後刻先生のお手元に提出いたしたいと存じます。
#171
○野間委員 いつどういう規模でやったのかということを求めたのですが、それは時間の関係で後で資料として出すという約束ですから、それを拝見するわけですが、しかるべく委員長取り計らってください。
#172
○塩川委員長代理 でき得る限り参考に供するような資料を作成して提出する予定です。
#173
○野間委員 それはまた問題があれば理事会で協議してください。
 ただ、先ほど答弁にもありましたが、事業規模については調べているけれども、二次、三次というふうに分析して調査していないという答弁があったわけですね。ここに問題があるんだということを私は何度も申し上げているわけです。政府がそういうふうな中途半端、なまぬるい態度をとるから、民間の側ではどうしてもその実態を調べなければならぬ。政府が統計でいろいろ集約したのを出しますけれども、なまの本当の深刻な窮状、苦況というものは正確に把握してない。民間の方ではありとあらゆる努力をして政府にかわって調査をし、その中からしかるべき施策を要求しなければならぬということでやっておるわけです。これはもう政府にかわってやっておるわけです。
 私がここに持っておりますのは、愛知県中小企業者団体懇談会というのがありますが、これが四月末にアンケートをとりましてこれをまとめたものであります。これを見ますと、二百九十四の業者から回答を求めております。これは平均の従業員が三・四名ですから、ほとんどが二次、三次、四次ですが、対前年同月比、これは二月ですが、仕事の量の点で、このアンケートによりますと、仕事がふえたというのがわずか一・九%、五社です。減ったというのは二百四十三社、これは九〇%です。変わりがないというのが八・一%、これは二十二社です。つまり九割以上が仕事が減った、こう言っているのです。しかも、仕事の平均減少率五五・八%、政府の統計とは全然違うわけです。その内訳についても、このアンケートの調査でありますが、大同製綱が七六・六%減、日本碍子が七六・六%で同じ、三菱電機が七四%、トヨタ自工が六五%、三菱重工が六三・三%、いまの話にも先ほどの話にもありましたが、このような大企業の生産が七〇%も八〇%も減少しておるというようなことはないことは事実明らかなんですね。ところが、実際にはこのようにして想像を絶する仕事の削減率、これがいま特徴的に出ておる。こういう実態の調査すらやられてないわけですね。しかも、この中での特徴は、大体の傾向については長官も認めたわけですが、下に行くほど、川下に行くほど削減率が非常に増加している。大変ひどいのです。通産省に聞きましてもあるいは実際一次の下請の業者等について聞き取りをやりましても、その一次についてはそんなに減っていない。大体いま言われた数字が返ってくるのです。ですから、いま挙げられた統計数字は、一次を言われておるとしか私は理解のしようがないのです。しかし、現実に二次、三次へ行きますと、こういう深刻な状態がいま現に発生している、ずっと続いている。そういう統計からはとうてい二次以下の下請に対する適切な施策がとれないのはあたりまえなんです。これは本当にアンケートの調査なんです。私もこの信憑性については、アンケートのとり方についてもかなり十分聞き取りました。国会でやらなければならぬということで十分調査をいたしました。これは事実なんです。こういう実態、こういう現象をお聞きになって通産大臣、いまの下請の、特に二次以下のこういう状況についてどういうように考えられるのか、答弁を求めます。
#174
○河本国務大臣 現在の景気の状態でございますが、大体この三月、四月でほぼ底をついたという状態でございますけれども、なお一年半前のいわゆる石油問題が起こります直前に比べますと、鉱工業生産はほぼ二割近い減産になっておるわけでございます。稼働率からいきましたら七五、六%、こういう水準でございますので、非常に落ち込んでおります鉱工業生産のしわ寄せが当然大幅に下請企業にいっておると私は思います。
 調査が不十分ではないか、こういう御指摘がございましたので、正確なる調査を至急にいたしまして万遺漏のないようにやっていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、やはり抜本的な対策は景気をよくして、根本的には仕事をふやしていくということでございますので、政府の方でも来月の中旬にはどうすれば仕事をもう少しふやすことができるかという意味におきまして、第三次の不況対策をいま準備をしておるところでございます。
#175
○野間委員 ぜひその調査をやっていただきたいと思うのです。
 後で少し具体的な例にも触れますが、いま申し上げたように七〇%も八〇%も削減されておるという実態が全国至るところにあるわけですね。これがしかし数字の上では、統計の上では政府に反映されていない、こういうことですから、いま約束いただきましたのでぜひお願いしたいと思います。
 そこで、いま申し上げたように、大企業の発注と一次の受注、これはほぼ見合うのですね。これはそうなんです。ところが、二次、三次といくにつれて非常に削減の幅が広がっていく。これがしかもものすごく深刻な状態にある。しかも、一次の場合には大企業のいわば一つの生産工程そのものなんですね。本当の下請となりますと、二次以下になるわけですね。しかも、ここではお父さん、お母さん、それがわずかな従業員を使ってやっておる。ここで深刻な事態が生まれておる。ですから、大企業の発注と一次の受注はほぼ見合うのはそのとおりだと私は思いますけれども、そういう実態の分析ですね。しかも私は一つ例を持っておりますけれども、親事業者が一次の下請に対して、それ以下もう下請に出すなというような文書まで出しておる。これは大阪の通産局管内で発生したケースですけれども、これは通産局に交渉しまして直ちにこれを撤回させました。こういう状況について御存じであるかどうか、長官。
#176
○齋藤(太)政府委員 久保田鉄工の堺製造所、農機具をつくっておりますけれども、一次下請に対しまして、二次下請の合理化等を要請する文書を出したケースがございまして、これにつきましては、内容が余り適切でない面がございましたので、通産局から指導いたしまして文書を撤回させました。
#177
○野間委員 まさにその久保田の堺ですね。資材部長から一次の下請に対する「環境悪化とその打開策について」という文書、これを見てびっくりいたしました。不適切という表現を使われましたけれども、これはまさに企業の系列支配、この中でどういう弊害が出てくるか。公取の商社の調査報告にもありますけれども、「外注品の即時社内吸収の断行(いい恰好は絶対禁止)」一次に対して、二次以下に外注品をするな、即時断行せい、いいかっこうはするな、こういうことまで自分の系列下にあるところに対して命令して、そしてそれを実行させておる。こういうでたらめなことをやっておるのですね。これは幸い発覚して、大阪民主商工会が通産局に参りまして一ヵ月くらいたってから撤回させました。しかし、これは単に久保田鉄工が異常だからこういうことをしたということでは決してないのです。神奈川県の商工団体連合会、ここの調査も私行って聞いてまいりました。東急車輛という会社があります。ここでは文書こそ出しておりませんが、一次の下請に対しまして、東急車輛本社そのものが残業なしでやっておるので、二次下請に外注を出してはいけない、こういうことまで言っておるのです。実行させておるのです。神奈川のいすゞでもそうです。二次に発注してくれるな、こういうことを言っておるのですね。ですから、単に久保田鉄工だけではないです。特異な例ではないです。こういうふうに下請に対して親が、二次以下に出すなということを、文書で出すかどうか、出したところもあるし、出さないところもあるけれども、こういうことを平気でやっておるのです。
 ですから、冒頭から申し上げておるように、事業の規模によるところの削減あるいは減少率、これだけでは正確な施策は出てこないというのは、ここを問題にして言っておるわけなんです。したがって、やはりこういう下請関係の個別の具体的な調査、これをぜひやるべき必要がある。久保田だけではなくていま挙げた東急車輛あるいはいすゞ、一体こういう事態をどうお考えになるのか。決してこれでいいとは言われないはずなんです。それじゃ、どうされるのか、お聞かせ願います。
#178
○齋藤(太)政府委員 非常にいろいろコストが上がっておりますので、企業もいろいろな形で合理化努力をしておるわけでございます。仮に五社下請があったといたしまして、二割減産をしなければならないという場合に、五社のうち四社の下請をフル操業さして、一社下請を切るというのも、一つの方向としてあるわけでございます。五社全体に二割ずつ減産した形の発注をするという形もあるわけでございます。恐らく親事業者からいたしますと、合理化という意味では、なるべく下請のうちの優秀なところの操業率を高めて、能率の悪いところをむしろこの際切り捨てる、合理化の施策の一環として、親事業者がそういうことを考えることも想像にかたくないわけでございまして、なかなかこれはその企業の経営合理化の一環の問題とも絡んでおりますので、それをとにかく仕事を出して、非能率でも下請の方へ全部出せとこれを強制するのもなかなかむずかしい面もございます。根本はやはり景気が不況で全体の仕事が減っておるというところに問題がございますので、まず景気の振興を図りたいということと、それから非常に困っております下請には、金融面でいろいろ対策を講じますと同時に、特に仕事が切られたような下請につきましては、府県にございます下請企業振興協会が、これもなかなか困難ではございますけれども、仕事を開拓いたしましてそのあっせんをする、こういうふうなことをやっておるわけでございます。もちろん私どもとしては、薄くてもみんなに平等に仕事を減らすという形でやってほしいということを期待はいたしておるわけでございますが、企業のそういった合理化の方針があります場合に、なかなかそれを強制することも困難な面もございまして、そういう意味合いで、結局下請を別の形で救済をする、そういうことをそういう場合には考えるという方向で、いろいろやっておるわけでございます。
#179
○野間委員 いや、最初に振興基準に照らして私も申し上げたし、この基準に従って指導しておるわけでしょう。「発注量を大幅に変動させないよう配慮するものとし、とくに、発注量を親事業者の生産量の変動の程度以上に変動させないよう努める」、こういうことでしょう。これをいきなりばさっと二次以下に出すな――大体、もうけるときにはずっとすそ野を広げて下請を系列化していく、不況になればタコの足を切るようにばあっと切っていくわけでしょう。そういうことでは困るからということで、この振興基準をつくったわけでしょう。どんな理由があるにせよ、一刀両断でこういうふうに下請を切り捨てるということは許されますか、許されないでしょう。いまも通産大臣が、そういう二次以下の下請関係についても十分調査したい、こう言われた。いま具体的に私は、久保田だけではなしに、東急車輛あるいはいすゞの例を持ち出した。当然、この基準に従って、実際具体的に実態はどうなっておるのか。もちろんいまの冷え切った中でどう景気を浮揚させていくかということは別の問題です。それはそのとおりなんです。しかし、いまの窮状の中で、タコの足を切るように、親はいいかわからぬが、子はたまらぬ。二次以下はどうなるか。一定の指導助言の基準をつくりながら、これが実行されない、そこに問題があるということを申し上げておるわけです。これはぜひ大臣が約束されたこの調査の中身として、いま挙げた企業についても調べてほしいと要望します。
 この量と同時に、下請の工賃の切り下げ、これも非常に私は顕著だと思う。これまた別のところで調査しておりますけれども、これは神奈川県の商工団体連合会、これが中小企業一一〇番、これをつくりまして、ここで大企業の下請いじめのいろいろな調査をやっております。
 この工賃について言いますと、たとえばソニーの場合、売り上げの五%――これは下請ですから工賃ですね、売り上げの五%引きを去年の十二月から行っておる。さらに、単価の一律一〇%切り下げ、これを二次以下にやっておるわけですね。それから、日立の場合、これは発注単価が見積もりの十分の一になって出てきている。これは戸塚の工場です。これは一、二の例を挙げましたけれども、こういうひどいことがやられておるということです。
 さらに一つのケースとして東芝機械というのがあります。これは同じ神奈川県下の企業でありますが、その一次ではありますが、大体十名前後の従業員がおった設計製作の会社があります。ところが、仕事の量が減りまして、去年の暮れに全員やめてもらった。ところで、ここで問題になりますのは、全員やめてもらって、お父ちゃんとお母ちゃんが仕事をやっておる、そういう状態なんです。ところで、この東芝機械は、設計製作のための設計ですね、こういう人たちを、下請に対して親に出向さしておるわけです。このある企業、ここでは半分の従業員が出向させられたわけです。ここだけではないので、たくさんあるのです。ここでただ同然の仕事をさせられる。出向させなければ仕事をずっと減らすわけです。いま指摘をした企業の場合でも、従業員を不況の中でやめさして、家族だけでこの仕事をやる。そういう中で当然東芝機械に出向させておったこの従業員もやめてもらわざるを得ない。そうしますと、この親が突然仕事を二十分の一に減らしてきた、こういう事例があるのです。
 私は、これは独禁法でいう不公正取引方法、これに該当すると思うのですが、いかがですか。
#180
○熊田政府委員 ただいまの話、もう少し具体的な事例をよく伺いませんと、いま直ちにそれが不公正な取引方法に該当するかどうかということをお答えするわけにまいりませんけれども、しかし感じといたしまして、そういうような不当な拘束条件というようなものをつけて取引をするということは、どうも不公正な取引方法に当たる恐れがあるんじゃないかというふうに感じます。
#181
○野間委員 これは単に東芝機械だけではなしに、大体設計製作、こういうメーカーの場合の設計ですね、こういうところはほとんどこういう実態なんですね。全部出向させて、そうして多少の実費を払いますけれども、しかし親方は、全部残りのカバーをして、そうしてペイしなければならぬと、こういうことなんですね。ですから、いま確約は避けましたけれども、これは不公正な取引方法に当たるかどうか、これは実際に当たるのです。具体的なケースを正確に申し上げますので、ぜひこういう点から、とりわけいま申し上げた設計製作のこういう企業の中での出向問題、これの実態は一体どうなっておるのか、こういうことをぜひ調べていただきたいとお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#182
○熊田政府委員 早速その具体例を教えていただきまして、実態をよく調べてみたいというふうに考えます。
#183
○野間委員 通産大臣、その仕事の量とそれから工賃、この問題について、一次からずっと川下の方についての実態を、これは大阪、神奈川、愛知、それぞれの商工団体連合会の調査の結果をもとにして質問をしたわけです。第三次の不況対策をお出しになるということも私は知っておりますけれども、こういう実態を十分調査をして、そしてその上に立って、二次以下の下請に対する本当に効果のある不況対策をとるべきだというふうに思うわけですけれども、いまいろいろ話を聞いていただいて、ひとつ所見を承りたいと思います。
#184
○河本国務大臣 日本の産業の一つの大きな特色というのは、中小企業が非常に多いということ。御案内のように、もう生産の分野では五割を占めておりますし、数に至っては圧倒的に多い、したがって中小企業全体の経営がうまくいきませんと、日本の産業の立ち直りというものはない。こういう意味におきまして、いま御指摘の点は、十分調査をしながら、万全の策を立てるようにいたします。
#185
○野間委員 あと手形割引とか歩積み両建て等々ありますけれども、時間の関係で次の問題に移ります。
 LPGの問題ですが、エネルギー庁は来ておりますか。――予算委員会でわが党の石母田議員が、LPG業者と都市ガスの事業者との間のいろいろな競合問題について質問をして、その中で、幾つかの検討課題、こういう答弁を取りつけております。都市ガスを使うかあるいはLPガスを使うか、これは消費者が自由に判断するべき筋合いのものである、ところが、消費者が判断を誤るような方向で都市ガスの事業者がいろいろな宣伝をしておったという事実も指摘しました。その中で、通産省は、公益事業部長の名前で、ことしの三月二十日付で、通産局あるいは瓦斯協会あてに、行き過ぎはやめろという通達を出しておられます。
 これはこれなりに私は評価をするわけですが、問題はやはり、全国のあちこちでいま深刻なトラブルが起こっております。ガス事業者が進出をする、そしてプロパン業者の商圏が急速に狭められている。この間私も地元の和歌山に帰りまして聞いてみますと、神奈川と同じようなケースが大阪瓦斯の進出の中で起こっておるわけです。
 都市ガスがよいのかあるいはプロパンガスがよいのか、これはいろいろあります。私も承知しております。しかし、少なくとも、消費者の利益を前提にして、消費者が自由に判断できるような正確な資料を提供して公正なことをやらなければならぬというのはもう当然のことです。ところが、いまの事態は、単に通産省あるいは通産局があっせんに乗り出すということでは解決ができないというところまで来ておるわけです。
 消費者の利益を確保するということがあくまで前提だと私は思います。それにしても、安くて安全なものを安定的にどう供給していくのか、そういう点から、都市ガスやあるいはLPガスは一体どうなのか。これはたとえば、カロリー当たりの単価であるとか、あるいは都市ガスの場合には、工事費を、受ける側、消費者が負担しなければならぬとかいうことで、カロリーの問題から費用の問題、どちらが高いか安いか、どちらが安全でありあるいは不安定であるか、そういう点についてもいろいろなことが言われております。総じて言いますと、どちらがどうだ、どちらが安いということを言えないというふうに思うのです。この点についてまずお聞きしたいと思います。
#186
○大永政府委員 先生御指摘のとおりでございます。カロリー当たりの単価につきましては、現在では都市ガスの方が若干安いかと思いますが、そのかわり最初に導管を引きますときに工事負担金を取るという問題がございます。それから、安全の問題につきましても、それぞれ一長一短があるわけでございまして、総じてLPガスと都市ガスとはそれぞれの長所を生かしながら、それぞれの長所に適当な場所において使われるということが必要なんじゃないかというふうに考えております。
#187
○野間委員 安全性の問題についても、これは消防庁の統計がありますし、これは石母田議員もやりましたけれども、これは都市ガスとプロパンガスの火災の統計等を見ましても、むしろ都市ガスの方が高いというような統計もあるわけですね。
 そこで、プロパン業者の皆さんに聞いてみますと、業者の要求として出てくるのは、このプロパンの価格、これは一応標準価格がいま設定されておりまして千五百円ですけれども、これを下げろということを、これは消費者の利益を守るという立場とプロパン業者の経営を守るという立場、これをセットと申しますか、一緒にしていろいろ要求をしておる。これは御承知のとおりです。
 標準価格、なるほど末端の小売価格については千五百円で設定されておりますけれども、元売り、流通の中で、ここから末端の業者がしわを受けておるというのも事実で、この標準価格の千五百円をさらに下げさせるということを強く要求する、消費者の利益とそれからプロパン業者の営業を擁護するという立場から、私はそれを強く要求したいと思いますが、きょうはもう時間がありませんので、その点はその点として質問を進めたいと思います。
 これは神奈川の場合のケースはかなり詳細に委員会の中で出ておりますけれども、これはもう本当にどこへ行きましても、都市ガスの進出によって、プロパン業者の得意先が減っておるでしょう。ところが、あのボンベを抱きかかえなければならない。しかもメーターがありますね。これは通産省が設置の義務を設けたものですから、これをつけなければ売れない。一個当たり大体五千円ぐらいかかるそうです。ところが、都市ガスの進出によってボンベを業者がどんどん抱きかかえなければならぬ。これは火災上の問題もあります。一定の基準がありますね。保安の問題があります。同時に、この容器代あるいはメーターの問題についていろいろと業者から要求が出ております。
 業者の要求は経営権、この観点から営業権の補償要求をしていろいろ運動しております。私はこの大手の都市ガス業者に、プロパン業者が受けた被害を補償させるべきであるというふうに思いますし、またそういう運動を支持して今後も運動をしたいと思うのですが、当面、いまお聞きしたいのは、少なくとも放置されたボンベの問題、なくなったボンベですね、それから政府の指導でつけさせたメーター、これについてはいまの経営権の圧迫、侵害によって業者が大変な損害をこうむっておる。神奈川方式といいますか、その中ではLPGから都市ガスに変える場合に、日当として三千円ですか、こういうものを取っておるようですけれども、それは別個の問題として、少なくともメーターを取りつけることを業者に義務づけた通産省として、しかもプロパン業者の責めに帰さない事由によって経営が圧迫されて、ずっとストックがたまっていくということの中で、こういうものについては、業者の利益を確保するという点からしかるべく考え直さなければならぬ。これは予算委員会の中でも通産大臣も増田長官も検討します、そういうように答弁されております。その後、具体的にどのような検討をされ、どのような方針で臨まれるのか、お聞かせ願います。
#188
○左近政府委員 LPガスの業者がメーターをつけるということは法制化されておるわけでございます。これについて、ガスメーターが転換の場合にむだになる、そしてまたこれが非常に経営を圧迫しておるというふうな御指摘でございます。このガスメーターをつけるということについては、御案内のとおりLPGの正確な計量ということから必要であるということであり、これまた消費者対策として法律で決められておるわけでございますけれども、実際の運用についてそういう問題が出ておることにやはり何らかの手を打たなければならないということはわれわれも考えておりますし、予算委員会の分科会でも長官が申し上げたとおりでございます。
 いまわれわれもいろいろ検討しておりますが、やはりLPガスのメーターにつきましては、実はその業者は不用になるわけでございますけれども、そのメーターをまた他に転用する可能性が十分ございますし、現在のように資源を愛護するというような時期から言いますと、それがむざむざ廃棄されるというようなことは、これまたもったいない話でございます。したがいまして、そういうメーターをプールいたしまして、LPガスが将来も発展する場所に流用されるということが何らかうまくできないであろうかということを現在検討しております。それが県単位になるのか、あるいは地域単位になるのかというような問題もございますが、いずれにしても、御指摘のとおり通産省としても何らかの対策を講ずべきであるということでございますが、何分にもこういうことをやるといたしますれば予算的な措置も伴いますので、来年度予算に向かって検討してまいりたいというように考えております。
#189
○野間委員 これを石母田さんがやったのは二月の二十六日ですね、きょうは五月の終わりです。そうすると、確認しておきますけれども、来年の予算の中で、いま言われたようなメーター、これは通産省が義務づけた、それについての買い取り等の予算を計上する、こういうことをいま考えておる、こう聞いていいわけですね。
#190
○左近政府委員 御承知のとおり、来年度の予算要求は八月末までに出さなければいけませんので、それに向かって現在検討しておるわけでございます。ただ、その形が買い取りという形になるかどうかについてはまだ最終的には決まっておりませんが、何らかの措置について検討しておるということを申し上げさしていただきたいと思います。
#191
○野間委員 その何らかの措置ですが、これは業者のリスクの中でやるんじゃなくて、いまの答弁では、買い上げの方向で予算措置を講ずる努力をしておる、こういう趣旨に私は受け取っておるんですけれども、その点だけひとつ確認をもう一遍していただきたいと思います。
#192
○左近政府委員 お答え申し上げます。
 買い上げというのは国が直接買い上げるということになるかどうか、それはわれわれとしてまだ決めかねます。したがいまして、たとえば協会をつくって協会がそういうものを相互融通をするという形になり、その協会に国が援助するという形になるというようなことも考えられるわけでございますし、その点はまだわれわれとしてもう少し、これまた大蔵省との折衝の問題もございますので、検討さしていただきたいというように思います。
#193
○野間委員 それはそれとしてぜひ強く要求しておくわけですが、LPGの場合、都市ガスと競合する中で中小零細企業が業者としては大半ですね。そうして、まかり間違って転廃業――これは現にもうその転廃業の問題が出てきておるわけです、中小零細企業ですから、特に零細の場合、都市ガスに押されて。ところが、もし転廃業する場合、これに対する救済措置が一体あるのかないのかということが、また別個の問題として出てくると思うのです。中小企業は、近促法、あれは今回改正しましたが、この近促法の適用の中で、転廃業に対する何らかの具体的効果的な措置ができるのかどうか、どうでしょう。
#194
○齋藤(太)政府委員 現在、中小企業金融公庫におきまして、他の仕事に変わります場合には、金利は普通金利でございますけれども、通常の融資限度、ことしは一億円でございますが、それを超えまして一億五千万円まで融資をする制度がございます。したがいまして、もし転業するということで、そういったための資金が必要であれば、その中小企業金融公庫の資金をあっせんするように私ども努めたいと考えます。
#195
○野間委員 これは、近促法の関係でそういう措置がとれるということでしょうか、それとも一般的なことを言っておられるわけですか。
#196
○齋藤(太)政府委員 これは一般的な措置でございます。
#197
○野間委員 そうでしょう。つまり、近促法ではこの転廃業についての救済ができないということだと思うのです。ところが、業者の責めに帰さない事由によってどんどん営業が圧迫されて転廃業を強いられる、近促法ではとらえられない、こういうことですね。例の特繊法では転廃業についての措置がありました。近促法ではないですね。だから、こういう業者に対して特別の措置を講ずるような施策をする必要があると思うのですが、いかがですか。
#198
○齋藤(太)政府委員 非常にまとまって大量にそういう転換が出るようでございますれば、それに見合った資金量を確保して転業資金を確保いたしたいと存じます。
#199
○野間委員 もうすでに出ておりますけれども、その点についてぜひ早急に検討していただきたいということを要求しておきたいと思います。
 それに対する答弁と、さらに冒頭に申し上げた三月二十日付の公益事業部長からの通達、これがいま全国で具体的な効果を上げて、こういうようなでたらめな行き過ぎの宣伝行為がなされていないかどうかということについて、ひとつお伺いします。
    〔塩川委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
#200
○大永政府委員 三月二十日付で出しまして、その後、不当な宣伝につきましてのクレーム等は私としては聞いておりませんけれども、なおよく調べてみたいと思います。恐らく趣旨は相当徹底しているというふうに考えております。
#201
○野間委員 長官にも……。
#202
○齋藤(太)政府委員 公益事業部と至急に相談をいたしまして、転業資金の確保につきまして検討いたしたいと思います。
#203
○野間委員 それじゃ、最後に……。
 通産大臣、幾つかのお約束をいただきましたけれども、政府委員も答えましたけれども、これについてひとつ通産大臣としてぜひしかるべく、いまお約束をいただいたことについてはこれを実施したいというような答弁を求めて、終わりたいと思います。
#204
○河本国務大臣 いま長官と公益事業部長が答弁をいたしましたが、その方向で検討させます。
#205
○野間委員 終わります。
#206
○武藤(嘉)委員長代理 松尾信人君。
#207
○松尾委員 五月六日にこの席におきまして、造船の下請企業の困難な状況、これをるる私は長崎県の実態に即して申し上げました。並びに地場の繊維産業に対する、非常に困っておるその中の応急救済措置についても質疑を交わしたわけでございますけれども、そのときに大臣も、造船関係については運輸省の関連も非常に深い、それで運輸省とも相諮ってすみやかにその対策を講じていきたい、このような答弁でございました。その後この造船関係につきましては、事態がますます非常に深刻化してまいっております。長崎県におきましてもこの対策本部というものが設置されました。これは長崎県造船関連企業安定対策委員会、これは仮称でございますけれども、これは二十七日に設置されたわけでございます。このように、この県の基本産業だったところの造船、これが非常にいま大問題を抱えておる、そしてその下請関係におきましては、人員整理その他で非常に毎日毎日現在問題が起こっておる、こういう点を申し上げたわけであります。
 まずそれで、私が先般五月六日に申し上げたそれ以後に政府としてはどのような施策を推進されたか、まず中小企業庁長官からそのお答えを聞きたいと思います。
#208
○齋藤(太)政府委員 造船業関係の新しい受注が昨年の後半以来急激に減少を見せておりまして、当面の手持ちの仕事はまだありますけれども、将来が非常に憂慮されるわけでございます。現に最近下請に対する仕事の減少等々が、あるいは支払い条件の悪化等が始まっておりまして、したがいまして対策を検討する必要があるということで先生の御指摘もございました。
 関係各省と現在対策につきましていろいろ協議中でございますが、特にそのうちの金融面の対策といたしましては、ことしの三月三日に鋼船と木船の製造業及びその修理業、これには構内下請を含んでおりますが、こういうものを信用保険法に基づきます不況業種に指定をいたしました。また、船舶の部品関係の製造業とか修理業につきましても、それぞれ必要な機器につきまして不況業種の指定をいたしておりまして、この指定済みの不況業種等に対しまして、いわゆる中小企業救済特別融資制度というものを発動するべく現在準備中でございまして、きょう発表する予定にいたしておりますが、来週からその受け付けをいたしまして、政府系金融機関と同じ金利で民間の金融機関から特別の融資を行うことに予定をいたしております。
 それから、もう一つは雇用保険法に基づきます雇用調整給付金の対象業種に指定する問題でございますけれども、これにつきましては運輸省とも連絡をとりまして労働省にもお話をいたしまして、現在運輸省の方から労働省と交渉中でございまして、なるべく早く結論を得たいというふうに考えております。
 なお、運輸省におきまして、造船業の長期政策を固めますために、現在各造船所の実情を調査中というふうに伺っております。
#209
○松尾委員 いま中小企業庁関係としましては、御説明ありました。運輸省の方ともいろいろ話を取り進めておる、こういうことでございますけれども、運輸省においては、この造船界の不況、特に下請関係というものが毎日整理縮小に追われておる、こういう関係につきましてはどのような考えですか。
#210
○神津説明員 いま中小企業庁長官から御説明ございましたように、運輸省といたしましては、まず雇用保険法の指定業種といたしまして、船体ブロック製造業と船舶製造修理業の指定をなるべく早くできるように労働省と打ち合わせ中でございます。
 それから、造船の工事量が非常に減少するということは明らかな事実になっておりまして、現在それに対する対策を樹立するために造船各社を呼びまして事情聴取をやっておりますが、その席で改めまして特に工事量の減少を下請企業に不当に押しつけることのないように指導をしてまいりたいと思っております。
#211
○松尾委員 大手各社を呼ぶ、それは当然でありますけれども、大手各社を通じては下請の実態はなかなか判明しがたい、直接の声をやはり反映さしていかなければいかぬ、そういう配慮はいかがですか。
#212
○神津説明員 ただいま実情の聴取をしておると申しました中には、中小造船業及び日本造船協力事業者団体連合会も入っておりまして、そちらからも事情を聞く予定になっております。
#213
○松尾委員 五月六日に私が質問いたしまして、その後いろいろ中小企業庁におかれても、または運輸省におかれましてもそれぞれ対策を早急に立てていらっしゃる、いまの答弁でわかります。問題は非常に深刻でありまするし、非常にせっぱ詰まった関係であります。ですから、その調査もスピードを上げて、そしてもっぱら困っておるということが実態でありまするし、その対策面を早急に講ずるように、これは通産大臣に私要求するわけでありますが、早くそういう施策を進める。調査ということではどのくらいになるかわかりませんし、これは早急にやるということを一言私は大臣から聞いておきたい。念のためでありますが、一言その決心を述べていただきたいのであります。
#214
○河本国務大臣 長崎県の主たる産業である造船業、いま非常に大きな打撃を受けておるわけでありますが、単に長崎県のみに限らず、全国の造船事業というものは、いま運輸省からお答えになりましたように非常な打撃を受けておるわけでございます。そこで、私は主として船舶輸出と貿易の面から、先般来各造船所の代表の方から事情をお聞きいたしました。また、下請の関係の方からも実情を聞いたわけでございます。大変な状態になっておりますので、造船の面からだけではなかなか対策が立てにくい、こう思うのです。でありますから大企業は従来の造船のほかに、全部陸上の分野に非常に力を入れておるようでございまして、今後は、ここ二、三年の間は、陸上分野を中心に切り抜けていく、こういう体制をとりつつあるようでございます。しかし、中にはそれだけの力のない造船所等もありますので、この対策を一体どうすればよいか、いろいろ腐心をしておるところでございますが、運輸省とそれから中小企業庁と十分連絡をとりながら、これらの対策をさせますということは先般も申し上げたとおりでございますので、さらに一段と両者が協力をいたしまして十分な対策を立てますようにその作業を進めてまいるように指示をいたします。
#215
○松尾委員 いま海上部門のみならず陸上部門というお話が出まして、全くそのとおりではないかと思います。事業が縮小される、それが本体の方が一五%、二〇%も作業が減る。下請の方には大きな比率でそれが及ぶのでありますから、この造船界というものが立ち上がるという時期まで待っておれないわけでありまして、いわゆる事業の転換、それはやはりいろいろ現在の下請企業の作業の実態、またこの力のあり方、それで建設部門なりいろいろな部門で事業転換の可能性があると思うのですよ。いま陸上部門へのお話がありますけれども、これは事業転換も含めてひとつ大きく下請の方を導く、そうして被害を最小限にとどめて、新しい意味でこの造船の下請というものが立ち上がっていく方向を確立していただきたい、こう思うのであります。これはくどくなりましたが、もう一回陸上部門において、現在の下請企業が転換できる事業というものをひとつ考えてもらいたい、こう思うのですが、大臣いかがですか。
#216
○河本国務大臣 先ほど運輸省の方から御答弁がございましたが、いま実情を詳細に聞いておられるようであります。いずれその実情も詳細判明すると思います。でありますから、単に造船分野だけではなくして、陸上部門にどの程度転換できるのか、転換するためにはどういうふうなことをすればいいのか、またその場合に下請関係はどうなるか、こういうことを全部含めまして万遺漏ないようにできるだけのことをひとつやってみたい、こう思います。
#217
○松尾委員 では、この問題はこれでとどめておきます。
 先ほど地場の繊維産業に対するお答えはありませんでしたけれども、これも速急に困っておるこの実態をお調べになりまして、そして適切なる対策をとられるように先般申し上げておったわけでありますけれども、これは長官いかがですか。一言でいいですから、お答えを聞いておきたい。
#218
○齋藤(太)政府委員 原局でございます生活産業局に早速伝えまして、そちらの方で現在調査を実施中でございます。
#219
○松尾委員 きょうは原局は来てませんか。
#220
○武藤(嘉)委員長代理 生活産業局は来ていないですね。
#221
○松尾委員 では、推進してしっかり対策を立てていただきたいと思います。
 次は、原子力の安全性の問題でございます。
 また本年の一月にアメリカで非常に問題が起こっておる。アメリカの原子力規制委員会、これが一月に原発二号炉で見つかった最後の安全弁である緊急炉心冷却装置、ECCS、そのパイプの亀裂というものを重視して、全米にある同型炉二十三基をすべて運転をやめて総点検するように命じた、このようにありますが、それを受けまして日本でも直ちに通産省が東京、中部、中国、原電の電力四社の同型炉六基に対して点検の準備に入った、このような報道、ニュースがございますが、通産省のとられた対策、そして点検されたその結果、どういう結果であったかということを御報告願いたい。
#222
○井上(力)政府委員 先生御指摘のように、ことしの一月におきまして、アメリカのドレスデンという発電所の二号機でございますが、点検の際に炉心緊急冷却系配管の一部に小さい傷が見つかったわけでございますが、その結果、アメリカの原子力規制委員会では同型炉二十三基につきまして総点検をしたわけでございます。アメリカの方におきます点検の結果につきましてはすでに判明しておりまして、調べた結果、傷がありましたのはこのドレスデン二号機一台であった、こういうことでございまして、ドレスデン二号機につきましてもすでに修復して運転に入っております。
 わが国の状況でございますが、こういった連絡をアメリカ側から受けまして、日本におきましてもことしの二月から三月にかけまして、御指摘のように運転中あるいは試運転中の沸騰水型原子炉六基につきまして炉心スプレー系配管等の点検を行ったわけでございます。配管の溶接部近傍に、表面観測で小さいにじみといいますか、水がにじんでくるような状況が発見されましたのが日本原子力発電株式会社の敦賀発電所でございます。さらに、液体浸透探傷試験等の試験によりまして異常な指示が認められましたのが東京電力の福島第一原子力発電所一号機でございます。その他の四基につきましては異常は認められなかったわけでございます。こういったにじみがあった個所、あるいは異常な計器の指示がありました個所につきましては、その後発電所をとめまして、当該個所を切断いたしまして詳細な技術的な調査を行ったわけでございますが、その結果いずれも管内面からの小さいひび割れによるものであるというふうに判明したわけでございます。
 これにつきまして、原子力発電技術顧問会という通産省の中に設けられております専門家の検討会がございますが、こういったところにいろいろ検討を依頼いたしまして検討いたしました結果、溶接施工に伴います金属組織の変化、あるいは配管内の水の停滞による影響及び局所的な熱応力といったものが重畳いたしましてこういったことになったということであったわけでございます。こういったことでございますので、今後この両発電所につきましては新しい配管に取りかえまして修復する、さらに修復に当たりましては、溶接施工管理を十分慎重にいたしまして修理をする、こういった修理いたしました結果につきましては、通産省におきまして法律に基づきます所要の検査を行った後、発電所の運転を認める、こういうことで現在は修理にかかったところでございます。
 なお、格納容器の中の機器とか、配管から漏洩水があった場合にはこれを敏感に監視するというような措置はすでにとっておりますし、さらに今後定期検査が行われます際には、類似個所の点検というものを従来以上に厳重に点検をしていくということで進めることにしておる次第でございます。
#223
○松尾委員 いまのお答えでは、結局アメリカで同じ型の炉で事故が起こった、それで日本としても総点検をしてみた、やはりいいものはよかったけれども悪いものは悪かった、こういうことでありまして、いま取りかえたりまたは大きな修繕をしよう。アメリカでわからないで日本で事故が起こる、そういう面につきましては、この安全性という問題につきましてわれわれは非常に大きく心配をするわけであります。ですから、何としても基本的な問題は、どうも日本でわからないじゃないかという感じがするのですよ。ですから、政府がいろいろやっておるけれども、どうも後々であり、そして何かわからぬのであり、他力本願的であり、そしてアメリカにおんぶしておるのであり、向こうで事故が起これば日本も点検してみる、向こうが黙っておれば何もわからぬ、このような結論になるような感じがするのでありますけれども、もう少しこの安全性の問題につきましてはいろいろの――私ただ一つの例をいま挙げたにすぎません。いろいろの事故がアメリカでも起こっております。また、日本でも起きております。そういうのがぽかぽかとあっちこっちから打ち上げられて、そして国民はますます物を知らされていないで、そしてそのようなニュースが出てくる。またあそこをとめた、あそこを修繕した、どうだこうだというのが続々出ておるわけでありますが、もう少し国民に対する安全性の問題の説得、これをしっかりやってもらいませんと、原子力発電所の問題は停滞こそすれ何も前進はできない。昭和六十年六千万キロワットアワー、このような目標というものが掲げられておったのでありますけれども、これはどのようになったか。これはもう実現の余地はほとんどない。そして、原子力をやっていくのだ、大臣もそのようにおっしゃいます。もう石炭も大体あかん、石油の方もいろいろ問題が多い、今後は原子力だ。方向はわかりますけれども、われわれが納得できて、そして推進していこう、そういう基本的なものがどうしてもいま日本に欠けておるのじゃないか、安全性というものを説明、納得させるだけのものがないのじゃないか、このように私は根本的に疑いを持つものでありますけれども、ひとつそういう点につきまして、政府並びに業界が当然の責務である安全性の問題、そこにどのように自信を持っておるのか、そしてどのようにして国民の理解を得るような方法をとってきたか、今後はどのようにしていくか、こういう問題をひとつお答え願いたい。
#224
○井上(力)政府委員 安全性に関しまして非常に国民が不安を持っておりまして、これを十分解消せずして原子力を進めるという点についての御批判でございまして、私どもも日夜原子力発電の安全性の確保につきましてはいろいろ努力をしているわけでございますが、まず御指摘のように国民の不安感を解消して原子力発電の開発を図っていくということが第一かというふうに考えております。
 原子力発電の安全性の確保につきましては、従来から法律に基づきますいろいろな規制、たとえば安全審査とかあるいは設計の審査とかあるいはいろいろな検査でございますが、こういったことを十分行いまして、運転前に安全を十分確保する。さらに、不幸にして事故が起こった場合にはこれに十分対処できるような、そういう設計の装置にしておく。さらに、運転に入りました後、定期的にとめまして十分細部の点検を行って、未然に悪い点を発見してこれに対処していくというような一連の安全に対する規制を行っているわけでございます。こういったことで、私どもといたしましては原子力発電所の安全性は十分確保されているというふうに考えておりますし、従来とも一般公衆に対しまして原子力発電所が放射線による障害を与えたという事例はないわけでございます。
 しかしながら、御指摘のように海外から導入いたしました技術でございまして、これを十分消化いたしまして、さらに安全性の向上を図っていく、あるいはいろいろな技術につきまして日本独自の技術的な研究を行いまして信頼性、安全性を高めていくということが非常に重要であるというふうに考えております。
 先ほど御答弁申し上げました沸騰水型の傷の点でございますが、この点につきましては確かに先にアメリカで発見されまして、その後日本で追随的に総点検をやったということでございますが、日本におきましても定期検査あるいは随時の立ち入り検査等におきまして未然に防止されておりますこともいろいろあるわけでございまして、今度の場合にはアメリカの方が先に運転を開始しているというような事情もあったわけでありまして、それに従って日本側も点検に入ったというようなことであるわけでございます。
    〔武藤(嘉)委員長代理退席、塩川委員長代理着席〕
 こういったことで、日本といたしましても独自のたとえば安全性に関します実証試験といったようなものを行いまして、その結果を国民に十分知ってもらうというようなこと、あるいは事故が起きました際には、その内容につきまして十分一般の国民に知っていただきまして、内容的に安心感を持ってもらうというようなことで、いろいろあわせまして国民の信頼を得てやっていきたい、かように考えている次第でございます。
#225
○松尾委員 いろいろのことをやる、その中では定期検査もやるし、補修するものは補修もするし、それから国民の皆さまにも事実を伝えて、安全性に対しては納得のいくような方法を今後もとっていく、こういうお答えであります。
    〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕
 しかし、そこには安全性ということについて非常にたくさんの問題があるわけでございます。一つ一つ事故を追跡しておるようなかっこうでございますけれども、事故を未然に防ぐという問題をひとつどんどんとらえて発表する。このようにして、このような事故の起こりそうなところをああした、こうした、そうしてこれは安全だ、それからそこにまた何かの事故が起これば、これはこうこうこういうような事故である、国民の方に御心配は要りません、皆さまの生命を脅かすようなことはありませんというような、そこまで行けるような事態になりませんと、国民はあなたたちの要するに官僚型の安全性の説明では現状としては納得できませんし、ついていくわけにはまいりません。結局これは一つの意見でありますけれども、「わが国の電力会社が当初、米国型発電炉は運転実績があり、安全性に信頼がおける「実証された炉」という「神話」を真に受けて、導入に踏み切った。それが七〇年のECCS実験の「失敗」をはじめ相次ぐトラブルで、まだ開発途上の未完成技術の「実験炉」の段階であることを、はからずも「実証」してしまったのが現状だといえよう。」こういう評論がございます。「原発の建設は慎重な態度がのぞまれる。いくら増設しても、トラブルのたびにストップするようでは、信頼できる電力供給を原子力に期待することはできない。数をふやすよりは、いまある原発をトラブル、故障、事故なく運転することに重点を置き、安全運転の実績をかさねていくべきである。」これは一つの論説でございますけれども、私は全くそのとおりだと思うのです。そういう努力の積み重ねというものが国民の皆さまに納得できた場合に、やっと私はある程度国民の世論というものも安全性については緩和されてくるんじゃないかと思うのであります。そういう点いかがですか。
#226
○井上(力)政府委員 国民に対するPRを十分やれというお話でございまして、全くそのとおりだというふうに考えますが、さらに原子力発電の開発のやり方といたしまして、安全に関する実績を十分積み重ねていくべきであるという御指摘でございまして、これについても全く同感でございます。軽水炉につきまして御指摘のように現在稼働率が若干低いじゃないか、これでは実証炉と言えないではないかという御批判も確かにあるわけでございますが、われわれといたしましては、いろいろ起こりますトラブルを御指摘のように未然になるべく防ぐ、事故が不幸にして起こった場合もなるべくこれを小さくとどめるような努力をするということによりまして、安全性を確保するということをまず基本的な、当然のことでございますが、まず第一の要件というふうに考えておるわけでございまして、こういったことで事故に対処する、故障に対処するという際に非常に慎重を期しているわけでございます。そういったことで安全性の実績を重ねるということで経験を積みまして、稼働率の向上を図っていくということで今後とも努力をしてまいりたい、かように考えております。
#227
○松尾委員 これはしっかりやりませんと、原子力発電の非常に基本的な問題でございます。
 話は変わりますけれども、昨年九月、出力上昇試験中の原子力船「むつ」に放射能漏れがございました。そして、この基地の問題でございますけれども、最近これを長崎県を初めとして九州各地にどうも求め探しておる。いまも申し上げましたとおりに、この原子力発電そのものの安全性の解明、そして国民の納得のできる安全性の説明、事故の処理、それから事故の起こらないような対策、そういう一連の問題が少しも国民の前に解明されていないときに、この事故を起こした原子力船の基地を探す。そういうことでは、これは日本国じゅうどこでもそういう船を入れてもらっては困る、これは常識的に言ってもあたりまえのことでございます。それをあっちこっちに探しながら長崎県へ持ってくる、やはり三浦湾が一番いいとか、こういうことでございますけれども、これは持ってこられる方はおいそれと簡単に引き受けられるようなものじゃないですね。基本的な問題の解明ができない間はお断りする、これは当然な帰結だと思うのであります。ですから、安全性の問題その他について納得できるような国民に対する説明、そして、日本の政府としてはこういう原子力船に対してはどうしていくんだという基本的な態度の表明、そして当分は基地問題等については、そういう問題が解明されて明確になって、国民の賛成が得られる段階までは、いろいろな問題を起こすだけにすぎない、このように感ずるのでありますけれども、政府の所感はいかがですか。
#228
○中戸説明員 先生御指摘のとおり、新定係港に原子力船「むつ」を入港させるためには、事前にその安全性につきまして十分地元の理解を得ることが一番大切であろうと私どもも痛感しております。こういうことで現在日本原子力船開発事業団におきまして、さきに「むつ」放射線漏れ問題調査委員会、俗に大山委員会と言われておりますが、その委員会から御指摘のありました改修総点検につきまして具体的な方策を進めるよう指示を与え、これを鋭意検討しておるところでございます。こういった改修総点検等の積極的な施策を進めまして、「むつ」の安全性について定係港の地元の方々に十分な御納得を得た上でこれを決定するようにいたしたい、このように考えております。
#229
○松尾委員 いまのような状態では地元の方々の御納得は得られません。青森で問題化した点、それはこの半年間にどう解決したか。現在原子力に対しては非常な不安感を持っておる。その不安感というものを払拭するための基本的な努力、そういうことをどのように国民の前に示したか。ただたらい回しに物事を処理しようとする政府の姿勢に対して大きな反発をいま感じておる。ですから、一切もう来ては困る、政府には一坪も土地の譲渡はしない、このような非常にもっともな地元の反対闘争でございます。おまけに長崎は被爆地でございます。三十周年の記念がこの八月に計画されております。なぜそういうところに、逆なでするような、何というか非常に考えのないといいますか、問題を次々に起こすだけにすぎないような考えを押しつけようとするか。一度は長崎県の方には白紙還元だというようなことを言いながらも、白紙還元ということはそうではない、長崎県を第一番の候補地に自分たちが考えておることは間違いないというように、取り消したような、また取り消さないような、あくまでも執着を示すような現状でございますけれども、そういうことではこれはもう感情的にも賛同するというわけにはもちろんまいりません。全く長崎県民の感情を無視したものである、このように言わざるを得ないのでありますけれども、これは――大臣、聞いていますか、私の言っていることを。あなた、だめですよ。これはやはりそういう大きなものでありますから、あなたもよそごとみたいじゃなくて、本当に政府全体としまして、これは本当に長崎には申しわけない――そういう被爆地に対して放射能漏れの船を持っていって、やれ修繕もさしてくれ、修繕工場は母港に近い方がいいんだ、そんなことばかり言われてはたまらぬですよ。長崎県の知事もそれは三木さんのことを一生懸命考えておりますけれども、それだけではいきませんね。むしろ三木さんと知事の間に内々の何かがもともとあったんじゃないかというぐらい、知事が打ち消せば打ち消すほど、いろいろ疑いも重なってきているんです。ですから、これは大臣も真剣に考えてもらって、すべてを白紙還元するというぐらいの決意でお答え願いたい。きょうは重立った人がいませんのでちょっと調子が悪いかもしれませんけれども、大臣に一言決意を聞いておきます。
#230
○河本国務大臣 先に科学技術庁の方からお答えをいただきまして、その後で私が答えます。
#231
○中戸説明員 先生御指摘のとおり、安全性を十分立証した上で地元の了解を得るという御指摘には全く賛成でございます。ただ、私ども、住民の頭越しにこの対馬につきまして接触を図ったということではございませんので、まず地元の住民の方々にアプローチしたい。それにつきましては、まず地元を代表いたします国会議員の方々に内々ごあいさつといいますか、打診をするといったことが順序であろう、また礼儀であろう、こういうことでやり始めました段階におきまして漏れたということでございまして、私どもといたしまして真意は、それから後に住民の方々に十分安全性の御説明をしたいという気持ちだったわけでございます。また、現在でもその気持ちには全く変わりございません。
#232
○河本国務大臣 先ほど来原子力発電の安全問題、それから原子力船「むつ」の問題についていろいろ御意見をお述べになりました。
 これを要するに、第一の問題は、日本のこれからのエネルギー政策上原子力発電というものが非常に大きなウエートを占めるではないか、しかしいまのままでは進まないという御指摘があったわけでありますが、私もその点は同感でございます。やはり何といたしましても原子力の発電の安全性ということについて、国民の皆さんに十分納得していただく、御理解をしていただくということが大事だ、こう思います。そういう意味で、今回科学技術庁に原子力安全局というものができたのだと思いますが、とにかく政府といたしましては原子力の安全性ということに対して万全の努力をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
 なお、原子力船「むつ」の処理の問題につきましては、原子力発電の安全性に対する国民の皆さん方の御理解を深める意味におきまして、この問題が手際よく解決されるということがきわめて望ましいことでございまして、そういう意味におきまして科学技術庁におきましてもいろいろ努力をしておられるのだと思います。何分にも地元との間に十分連絡をとりながら、地元の了解も得られるような形でいま努力しておられるのだと思います。
#233
○松尾委員 いませっかく大臣のお答えもありましたので、私これ以上は申し上げませんけれども、何と言っても長崎は被爆地である。そして、三十周年の苦しいときを迎えたというこのやはり特殊な場所、そこの基地の問題でございますので、これはいまお答えのとおりに、安全性の問題についての納得のいく解明、説明、そして慎重にこれをやっていかれるように、私は重ねて強く要請しておくものでございます。
 次に、産業廃棄物の問題、これは政府が非常にいい対策をとろうとしておる。私は政府の最近の対策の進め方をながめておりますけれども、これは非常にいい方向に向かっておる。その中からいろいろの問題点を出しまして、そして推進していかなければならない数点を申し上げようと思ったのでありますけれども、ちょうど時間が残り五分になりました。これを申し上げますと本当に緒論だけで終わりになりますので、この問題は次の機会に譲りまして、本日は、これで質疑を終わります。
#234
○山村委員長 次回は、来る六月三日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト