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#1
第075回国会 商工委員会 第20号
昭和五十年六月三日(火曜日)
   午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 山村新治郎君
   理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君
   理事 萩原 幸雄君 理事 前田治一郎君
   理事 武藤 嘉文君 理事 佐野  進君
   理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君
      天野 公義君   稻村左近四郎君
      浦野 幸男君    小川 平二君
      越智 通雄君    熊谷 義雄君
      倉成  正君    近藤 鉄雄君
      塩崎  潤君    谷川 和穗君
      橋口  隆君    八田 貞義君
      林  義郎君    深谷 隆司君
      藤井 勝志君    森下 元晴君
      板川 正吾君    岡田 哲児君
      加藤 清政君    加藤 清二君
      勝澤 芳雄君    上坂  昇君
      竹村 幸雄君    渡辺 三郎君
      荒木  宏君    野間 友一君
      近江巳記夫君    松尾 信人君
      玉置 一徳君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      福田 赳夫君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長兼内閣総
        理大臣官房審議
        室長      原   徹君
        内閣法制局第二
        部長      味村  治君
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        公正取引委員会
        事務局長    熊田淳一郎君
        公正取引委員会
        事務局官房審議
        官       渡辺 豊樹君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        通商産業政務次
        官       渡部 恒三君
        通商産業省産業
        政策局長    和田 敏信君
        通商産業省生活
        産業局長    野口 一郎君
        中小企業庁長官 齋藤 太一君
 委員外の出席者
        法務大臣官房参
        事官      枇杷田泰助君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任         補欠選任
  粕谷  茂君     林  義郎君
  小山 省二君     熊谷 義雄君
  深谷 隆司君     谷川 和穗君
  山崎  拓君     倉成  正君
  米原  昶君     荒木  宏君
同日
 辞任         補欠選任
  熊谷 義雄君     小山 省二君
  倉成  正君     山崎  拓君
  谷川 和穗君     深谷 隆司君
  林  義郎君     粕谷  茂君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第六五
 号)
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(多賀谷真稔君外十
 九名提出、衆法第一七号)
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(荒木宏君外二名提
 出、衆法第三号)
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(桑名義治君外一名
 提出、参法第二〇号)(予)
     ――――◇―――――
#2
○山村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、多賀谷真稔君外十九名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、荒木宏君外二名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、及び予備審査のため本委員会に付託されております参議院議員桑名義治君外一名提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 質疑に入るに先立ち、去る五月八日、本会議における内閣提出、独占禁止法改正案の趣旨説明の際の板川正吾君の質疑に対し、高橋公正取引委員長から、この際答弁いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。高橋公正取引委員長。
#3
○高橋(俊)政府委員 大変申しわけないのでございますが、ちょっとまだ足の故障が治り切っておりませんので、おおむね腰かけた姿勢でやることをお願いいたします。よろしくお願いいたします。(「了解」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 去る五月八日の本会議におきまして、独禁法改正案の趣旨説明に対する板川委員の御質問のうち、私に対する部分は、当日私が事故欠席いたしましたために、答弁申し上げることができませんでした。
 この点につきまして、本日、商工委員長のお許しを得まして、また板川委員の御了承のもとに、改めて答弁申し上げる機会を賜りましたことを感謝いたします。
 まず、御質問の第一点は、課徴金に関するものでありまして、政府案によれば、カルテルを摘発した場合、すべての者に課徴金の納付を命じなければならず、公取に裁量の余地を与えておらない。事業者団体の中には、何千というメンバーの者もあり、それらが違反した場合、すべての者について、過去三年間の業績を調査して減額査定を行い、不服のある者の審判請求には応じなければならない。これではカルテルを摘発すれば膨大な事務量となって、公取の機能は麻痺し、摘発を断念することになるのではないかという御指摘でありました。
 御承知のように公取試案では、課徴金の納付を命ずる場合、公取に裁量の余地がある仕組みを考えていましたが、行政上の措置として経済上の利得を納付させる課徴金について、行政庁の裁量を認めるべきでないという理由で、裁量の余地のないものとされております。
 この点は、制度論としてやむを得ないものと考えますが、御指摘のように構成メンバーが何千という全国組織の事業者団体が違法行為を行った場合、その全員について実行行為の有無、カルテル商品の売上高を調査しなければならず、課徴金の額が一応十万円以上と見られる場合には、実行期間の過去三年間にさかのぼって売上高と経常利益率等について報告を求め、課徴金の計算を行い、納付命令の手続をとらなければならないことになります。
 このような事件が幾つか発生する可能性が全くないわけではありませんので、その場合これにどう対処すべきかが公取の事務運営上の大きな問題になると考えます。
 次に御質問の第二点は、独占的状態の排除措置として、営業の一部譲渡を命じようとするときは、審判手続の前後二回にわたって、主務大臣と協議することを定めているが、協議の目的、範囲、協議調わざるときの扱い方はどうなるのか。裁判上の第一審の機能を持つ公取委が、準司法的手段に基づいて判断する場合に協議の例はなく、二回にわたる協議によって公取の職権行使の独立性が損なわれるおそれがあるのでないかという御趣旨であります。
 審判開始前の協議は、独占的状態に対して、競争を回復するために他に適当な措置があるかどうかという点を中心に主務大臣の見解を求めるためのものであると考えます。
 審判開始後におきましては、おっしゃるように審判の場において関係公務所は十分に意見を述べることができることになっており、これによって意見を尽くすことが可能と考えられますが、審決前に念のためにもう一度協議することと定められたのであります。
 準司法的手続としての性格を持つ審判手続の前後に協議を義務づけられることは、公取の独立性を実質的に侵すおそれがあるという御意見もよく理解できるのでありますが、協議はあくまで協議であって、協議調わないときは、公正取引委員会がみずから決定するということが確認されておりますので、独立性を損なわれることはないものと考えております。
 御質問の第三点は、政府案が政令委任事項を乱設したのは、閣議に出席しない公取が、閣議で決定する政令に拘束されることになり、行政委員会としての公取の独立性保持の点から問題があると思うがどうかという趣旨でございます。
 確かに現行法に比べ、改正法案においては、独占的状態の定義の部分や、課徴金の計算に関して、あるいは株式保有の例外等において政令委任事項が少なくありません。
 これらのうちあるものは、本来法律で規定することが望ましいが、技術的に過ぎるとか、経済情勢の変動に対応してその都度法律改正によらずともよいのではないかとか、あるいは株式保有の例外では、国策的な見地から指定を要するといった理由で政令委任とされたものと思います。
 これらの政令が閣議で決定される場合には、独禁法の運用に当たる公取に対して、当然意見が求められるものと考えておりまして、事実問題としては、重大な支障を来すようなことはないと思っておる次第であります。
 以上で答弁を終わります。
    ―――――――――――――
#4
○山村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
#5
○勝澤委員 独禁法の歴史は骨抜きの歴史だと言われてまいりました。昭和二十二年、経済民主化の法律として誕生した独禁法は、二十四年の改正を経て、二十八年には大改正をされました。カルテル列島と言われる寡占の弊害が今日露骨にあらわれて、一昨年の石油危機を契機に大企業の便乗値上げと物価狂乱は黙視することができず、国民の大企業に対する横暴を取り締まる声は高まり、独禁法強化は消費者、国民の利益を守り、経済民主化を促進するために必要とされてまいりました。国会におきましても、特に参議院の物価対策特別委員会におきまして、昭和四十八年十二月二十一日、寡占企業に対する分割命令及び価格カルテル排除に当たって価格引き下げ命令等の権限を持たせるような独禁法の改正をせよということが自民党を含めて満場一致決議されております。当時の内田常雄経済企画庁長官もこの決議について善処を約束されております。独禁法強化はまさに超党派の要望であったわけでございます。
 しかるに、今回の独禁法改正案提案までの経過を見ますと、公取試案をめぐって、経団連と自民党は一体となって、改正強化どころか改悪に狂奔し、骨抜きに次ぐ骨抜きで公取委の権限を縮小し、実質的に公取委員会のカルテル摘発を不可能にするような課徴金制度をつくり、換骨奪胎、羊頭狗肉の改正案となっているのであります。表面的には自民党の椎名副総裁の発言は、独禁法は今国会は通らないだろうと言いながら、最近は全面的に椎名副総裁は反対ではなくなったと言われておりますし、独禁法を成立させれば財界は自民党に一円でも政治献金などをしないとおどかしておりました財界が、地方選挙を契機にすでに献金を始め、独禁法の骨抜きを裏づけておるわけでございます。通産大臣は、四月二十五日の閣議後の記者会見で、独禁法改正法案は通産省が当初の問題点として指摘をした営業譲渡、原価公表、株式保有規制の三点について十分修正が加えられている、その意味でずいぶん内容がよくなった、独禁法改正は三木内閣の大きな公約の一つであるので成立を期待していると語ったと報道されております。
 このように公取試案は骨抜きにされました。この骨抜きの政府案、いわゆる改悪を、国民の利益を守るためにいかに真の経済憲法に改正させるかは、きょうから始まるこの審議が重大な任務を持っているものだと存じます。そのためには、独禁法の番人として高橋公取委員長の独禁法審議に当たっての決意ある答弁が重要だと思うわけでございます。独禁法の歴史の中で、好漢高橋公取委員長が名をとどめるような、独禁政策をこれから強化するための努力をしていくかどうかという点で、私は公取委員長に、勇気を持って今日まで独禁法を運用してきた、まさに番人としての責任ある確固たる答弁をまず要望いたしてまいりたいと存じます。
 そこで、公取委員長に質問いたします。お体の関係がございますので、その場で座っていて、前に出てこなくて結構です。そこにマイクを持っていっていただいて、その場で結構ですから御答弁いただきたいと思います。また、もし公取委員長御都合が悪ければ、ほかの代理でも結構でございます。
 第一に、独禁法の改正のための公取試案が出されましたが、その公取試案のねらいというもの、目的というのは一体何なのか。独禁法の四十四条の二項で、公取委員長は内閣総理大臣を経由して国会へ意見を提出することができるという規定があるわけでありますが、公取試案はこのような意味合いを持つような重要なものだ、こういうふうに私は理解をしておりますが、この二点についてまず最初にお伺いいたします。
#6
○高橋(俊)政府委員 最初の点についてお答え申し上げます。
 すでにおっしゃいましたように、独禁法を改正するに至るその背景についてはすでに御承知と思いますが、ただ単に、これは昭和二十八年まで骨抜きの改正の歴史であったから、それを挽回するための措置なのだということではありません。私どもが、これまでの経済情勢の変化、特に一般的に寡占化の傾向が強まってきたこと、また一面ではカルテルの風潮が相当根強くはびこっておるということに対しまして、考えをそこに重点を置いたということは確かでございますが、それだけではなくて、カルテルに対してやり得で済まされている、それから有効な手が打たれておらないということ、それが一つの問題でございますが、なおいわゆる構造的な問題としての独占状態やあるいは高度の寡占というものに対して、公正取引委員会はかねてから原価の調査を含めて調査はしておりましたけれども、何らの打つ手がなかった。それらについていまの段階において、日本の今後の経済を見通しながらやはり必要があれば――私的独占ではなくて構造的に独占になった、これは構造的というものを決定的に私的独占と違うというふうに私は思っておりませんが、要するに自然に独占状態が発生した場合には何らの規定がないということでございます。これは一部、もとの独禁法に、不当な事業能力の較差、それを是正するための旧八条というのがございました。ですから、これに近い考え方でございますが、そういう状態が生じた場合には、これをいわゆる広い意味での企業分割を図るとかいう措置が必要であるし、また高度の寡占に対しては、私の方で考えましたのは原価の公表でありましたが、ただし原価の公表については大変いろいろな問題点が多く、抵抗もきわめて強いものでありました。今度これは原価ではなくて、値上げの理由を徴する、そしてそれを年次報告によって国会に報告するということになりましたけれども、私はこれでもやはり目的は達せられると思います。非常に弱められたという批判もございますけれども、私は、この点はいかなる理由を求めるかということにもかかっておりますから、十分有効な措置がとり得ると思います。
 第二点としては、そういう高度寡占、独占というような問題に対処するための政策を考えるということ。
 それから第三点としては、いわゆる経済力の過度集中というものを防止することも独禁法の目的の一つでございますから、大規模な会社の株式保有を通じて、あるいは金融機関の株式保有を伴っていわゆる企集業団化の傾向が強められつつある、そういう日本の現状に対してある程度抑制的な措置をとるべきではないか、こういうことがねらいでございます。
 つまり、ねらいはいろいろ九項目言われておりますけれども、主たるねらいというものはこの三点にしぼってよかろうかと思います。
 そういう点について、今回の国会に政府案が提出されております。その中には皆さんから見るときわめて不十分ではないかという御意見のものもあるかと思いますけれども、一応この国会において審議されていくということは、私は十分意義のあることではないかと思います。
 なお、公取の試案をなぜ四十四条の二項に基づいて国会に出さなかったかということにつきましては、簡単にお答えすれば、もともと公表前にすでに独禁法改正の問題は国会等で取り上げられまして、それに対して当時の総理大臣が、いや、公取が目下検討中であるから、その結果を待って政府としては考えたい、こういう言明がありました。そういうことでありますので、私どもとしては、なるべくならば、私どもも政府機関の一部でございますから、いきなり国会にいわば政府と対決するような形での意見書を出すべきではない、やはり政府案としてまとめてもらって提出していただけるのが一番よいのではないか、こう判断したわけでございまして、そのような私どもの考え方で、この国会に対する意見提出としてはこれを行わず、政府提案によることを希望したという事情でございます。
#7
○勝澤委員 公取の独立性が認められて、年次報告に次いで公取独自の意見を総理を経由して国会に出すというような実は権限があるにもかかわらず、一応政府と十分な話し合いをしながら出した。高橋委員長の良識的な取り扱いだったと思いますけれども、とにもかくにも出されている試案というのは公取のこの四十四条二項にも匹敵するようなものだと私は理解するわけであります。
 そこで、総理府長官にお尋ねいたしますが、独禁法改正の目的というものは、いま公取委員長がお話しになったと同じ目的であなたから出されておる、こう理解してよろしゅうございますか。
#8
○植木国務大臣 すでに趣旨説明におきまして申し上げましたように、わが国の経済は高度な成長を続けてまいりまして、それが競争を生み、またさらに競争が成長を高度化するというような姿で推移してきたわけでございます。しかしながら、あの物価の狂乱というものもございましたけれども、最近に至りますと、御承知のように経済は著しく変貌を遂げるに至ったのでございまして、特に安定成長あるいは低成長という時代に入ったわけでございます。こういう時代には、ともすれば独占的な行為でありますとか、あるいは寡占状態による弊害でありますとか、あるいはカルテルの横行というようないろいろな問題が出てくる可能性がございます。したがいまして、公正なルールを確立することによりまして、さらに自由な競争を促進することによって、国民経済の発展に寄与し、一般消費者の利益を確保しよう、こういう考え方で独占禁止法強化のための政府案を提出いたしたのでございます。したがいまして、私どもの趣旨といたしましては、ただいま申し上げましたように、独占禁止法をあくまでも強くすることによって国民経済に寄与しようとするものでございます。
#9
○勝澤委員 具体的に公取委員長が先ほど独禁法の改正のねらいについて説明されましたが、それとあなたの説明と同じと解釈してよろしいのですか。その点いかがですか。もし、同じでないならば、どこが違うのですか。
#10
○植木国務大臣 私どももやみカルテルのやり得をなくすこと、さらに独占寡占対策、企業支配力の集中防止対策、消費者保護対策を柱としているのでございますから、公正取引委員長が先ほど御答弁なさいました趣旨を十分に盛り込んで政府案をつくったのでございます。
#11
○勝澤委員 改正の目的は同じだというふうに私は理解いたします、一応とにかく公取で指摘されたものについて十分取り入れたとあなたはおっしゃるわけですから。
 そこで、総理府長官というのは、独禁法改正に当たってどういう立場に立たれるのですか。その点が実はよくわからないわけです。独禁法を運用している専門的官庁としては公取委員会がある。それにもかかわらず総理府長官が独禁法をどういう立場で、どういう目的で取りまとめをされていたのか。結論的に出てきた案というのは、どうも実際に運用されてきた公取委としての意見というものがまるきり入っていないじゃないか。まるきりという言い方はどうかわかりませんけれども、そういう点で、一体総理府長官は独禁法改正の立場でどういう立場になっているのか。その点について御説明いただきたいと思います。
#12
○植木国務大臣 御承知のように、総理を補佐いたします総理府総務長官といたしまして、総理からこの改正案の取りまとめの指示を受けたというのがまず政府案を作成するに至りました私の役割りでございます。
 さらに、公正取引委員会の事務局は総理府の外局でございまして、したがいまして総理府とは非常に強い関係にあるわけでございます。また、今回の政府案を作成し、提案をするに至ります経過を申し上げましてもおわかりのとおり、公正取引委員会から総務長官を経まして総理大臣に対しまして閣議請議が行われているのでございまして、したがいまして総理府総務長官といたしまして独禁法改正に取り組みましたのは、指示を受けましたことと、権限上そのような措置を行ったということで御理解をいただきたいと存じます。
#13
○勝澤委員 総理府長官にお尋ねしますが、公正取引委員会というのは独禁法の目的を達成するためにつくられたものだと思うのですけれども、そうですね。
#14
○植木国務大臣 公正取引委員会は、申すまでもなく、内閣総理大臣の所轄に属するものでございまして、総理府の外局となっておりますが、その運用につきましては、公正取引委員会が職権の独立性を確保しながらこれを行っているというのは、御承知のとおりでございます。
#15
○勝澤委員 独禁法という法律を運用するために公正取引委員会というのはつくられているわけですね。そういう意味で言っているわけです。うなずいているようですが、それは当然のことだと思うのです。
 そこで その目的に従って公正取引委員会が独禁法を運用してきたわけですね。運用してきたところがこういう欠陥がある、こういう点については指摘をして、改正をしなければ独禁法の目的に沿えないじゃないか、こういう点で実は試案というものが出たわけであります。独禁法の目的に従って独禁法を強化する、これは一番よくわかっておるのは私は公正取引委員会だと思うのですが、そこから出された試案です。あなたは総理から頼まれたからやった、指示されたからやった、うちの役所の外にあるから取りまとめをやったというならば、独禁法を運用している立場から言えば全然第三者的立場なんですね。ですから、独禁法をやってみたけれども、こういう欠陥やこういう点が問題がある、これはこうしなければならぬ、それをあなたは一体どういうふうに取り扱われたのですか。
#16
○植木国務大臣 独占禁止法の改正案をつくりますために政府案を取りまとめをいたしましたのは総務長官でございます。この取りまとめに当たりましては、各界の御意見をお聞きをいたしました。同時に、公正取引委員会が出されました試案も重要な参考資料として、これを改正案作成の作業の中で十分に研究をし、検討をさせていただいたのでございまして、また政府案作成の過程におきましては、各関係省庁の御意見を聴取し、また調整をしてまいりましたが、公正取引委員会の御意見もこれを聞き、そして私どもとして採用できるものにつきましては十分に協議をいたしまして検討を加えたというのが経過でございます。したがいまして、公正取引委員会の試案を全然無視しただとか、あるいは公正取引委員会の御意見を全然聴取しなかったというようなことはございません。
#17
○勝澤委員 独禁法の目的はおわかりになっているわけですね、これは独禁法に出ているわけですから。その目的に従って公正取引委員会がつくられて、そしてその公正取引委員会が運用してきたけれども、いろいろな問題があるということで指摘をしたわけです。ですから、言うならば、公正取引委員会の試案をどういうふうに実施したらいいかという立場で実は物をやるべきだと私は思うのですよ。ところが、あなたのやっていることは、何かこの公取試案をどうやって薄めようかという立場でいろいろな人たちの意見を聞きましたね。あなたは、政府案は国民各層の意見を伺ったと言いますけれども、国民各層の中に社会党初め野党側の意見はお聞きになったのですか。どういうふうに伺って、どういうふうに反映されたのですか、国民各層の意見を。野党側の意見というのは何も入っていないじゃありませんか。それはどういう意味ですか。
#18
○植木国務大臣 各政党で出されております独占禁止法の改正案につきましては、私どもも十分検討をさしていただきました。先ほど私が国民各層の御意見を伺いましたと申し上げましたのは、具体的には、一つには独占禁止法改正問題懇談会において御意見を伺ったのでございますが、同時に、公正取引委員会の試案でありますとか、あるいは各政党の改正案でありますとか、あるいは有識者がいろいろなところにおきまして書かれております論文でありますとか、あるいは報道界のいろいろな論説でありますとか、そういうようなものを十分に検討さしていただきながら政府案を作成したのでございます。
#19
○勝澤委員 あなたの主宰された独禁法改正問題懇談会の消費者代表として参加をされた主婦連の中村紀伊さんやあるいは地婦連の田中里子さんは、骨抜きにし、しかもなおその上骨抜きにして消費者保護対策をなくした政府案には責任は持てないということで絶縁状をあなたと総理に突きつけたと言われておりますし、総評議長も、われわれの意見が何も取り入れられていないのではないだろうか、こう言われておりますが、まさに改正問題懇談会は隠れみのだ、こう私は言わざるを得ないと思うのですけれども、こういう意見についてはあなたはどうお考えになりますか。
#20
○植木国務大臣 独占禁止法改正問題懇談会を私自身が進行係として主宰をしてまいりました。その際に各委員に申し上げましたことは、御意見を聴取してそして政府案作成の参考にさせていただきたい、したがって、あえて御提言でありますとかあるいはこれに類するような答申であるとかいうようなものは期待をいたしません、しかし御自由に御発言をいただきたいということをお願いいたしまして、六回にわたって開催をしたのでございます。
 これはもう各界から出ておられますので、いろいろな御意見がございました。十数項目にわたります項目につきまして、一つ一つ丹念にすべての人々から御意見を伺ったのでございます。したがいまして、すべての方々が御意見の一致を見るということは最終的には不可能であろうということを最初考えましたので、先ほど申し上げましたように答申案等に類するものは期待はいたしませんで、十分に御意見を聞かしていただきたいと申し上げたのでございます。したがって、どの委員の方々もすべて今度の政府案で満足をしておられるとは思いません。また、ただいま御指摘のように、主婦の方々、いわば消費者代表のお立場の方方あるいは労働界から出ておられる方々、それぞれの御意見がいろいろ出されまして、今回の政府案に対しまして意にそぐわない、満たないという点については私どもも承ったところでございまして、これを全部取り入れることができませんでしたことは、これらの方々に対しましては申しわけないことと存じておりますけれども、最後の独禁法改正問題懇談会におきましてもこれらの方々が御出席をくださいまして、そして最終的に政府案の説明もお聞きをいただいたのでございます。なお、その際に意に満たなかったという御発言がございました。
 それからさらに、絶縁状をたたきつけたということでございましたが、第七回をもちまして解散をいたしたのでございまして、その解散をいたします際に、独禁法改正問題懇談会というものの名においてこの政府案をつくったのだというようなことは言わないでほしいというようなことを文書をもって消費者代表ともいうべき方々から総理及び私がお受けをいたしたのでございまして、絶縁状をたたきつけたというのは少し極端な表現ではないかと存じます。第七回をもってめでたくと申しますか無事、無事でございます。無事解散をしたという次第でございます。
#21
○勝澤委員 国民各層の意見を聞いた。その中で満足したのは財界と通産大臣で、あとは皆不満だ、こういうことがその後の経過として載っているわけであります。
 そこで、私は、公取試案と政府案というものを対比しながら、どうしてこういう案がつくられたのか、これで一体独禁法の番人としての公取が、いままで問題になったそれぞれの問題について十分な回答ができるのかどうなのかという点についてお伺いをいたしてまいりたいと存じます。
 そこで、総理府長官、違法でないカルテルというのは一体どんなものですか。カルテルで違法でないカルテルというのはどういうものですか。
#22
○植木国務大臣 御承知のように、ただいまの現行法におきましても、カルテルの認可を申請し、認可を公取がせられますならば、これは違法でないカルテルになるわけでございまして、違法でないカルテルとはそういう手続を経ましたものであると承知をいたしております。
#23
○勝澤委員 次に、違法なカルテルは悪だ、言うならば経済犯罪として取り締まるということが当然だと思いますけれども、いかがですか。
#24
○植木国務大臣 違法な行為に対しましては、独占禁止法の運用の面におきまして、公正取引委員会がこれに対してそれぞれ排除措置をとっておられるのでございますし、さらにまた、他の経済関係法律におきましても、違法なものについてはそれぞれの機関におきまして排除措置がとられ、あるいはものによりますならば司法機関の手によって罰せられるというようなことが行われていることは御指摘のとおりでございます。
#25
○勝澤委員 では、もう少し話を進めてみます。
 カルテル対策として、現行法の破棄命令では、下がるべき価格が下がらない、しかも価格の原状回復命令ができない、カルテルはやり得だという風潮が改まらない。しかし、原則として協定前の価格に戻す、原価の著しい上昇がある場合にはこれをしんしゃくするという価格の原状回復命令を採用できない。これはあなたが本会議で板川氏の質問に答弁しているわけでありますけれども、このカルテル対策として、価格の原状回復命令というものが、あなたは公取試案に出ておったのをおやめになったわけでありますけれども、一体採用できなかった理由というものについて、本会議答弁よりもう少し具体的にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
#26
○植木国務大臣 公正取引委員会の試案で提案されましたこの原状回復命令につきましては、私ども真剣にこれを採用すべきであるかどうかという検討をしたのでございます。しかしながら、カルテルが破棄をせられました後の価格には、物の需給関係でありますとかコスト関係等の変化が織り込まれておりますので、時日が経過をいたしますと、その前に単純に戻すということは非常にむずかしいというのがまず第一点でございます。
 さらに、たとえば六ヵ月なら六ヵ月、四ヵ月なら四ヵ月据え置きをするといたしますと、この据え置き期間中に売り惜しみをいたしましたり、あるいはまた買い占めをいたしましたり、あるいはまた下請に対しましてしわ寄せが行われるということが想像せられるのでございまして、こうなりますと経済的に非常に大きな混乱が起こるということが第二点でございます。
 さらに、生産者に価格の原状回復命令が出されましても、生産者そのものはそれじゃ原状に回復いたしますということをいたしましても、その効果というものは、いろいろな流通段階があるわけでございますが、この流通段階には及ばないので、価格介入を広げざるを得なくなる、こういうような問題点がございます。
 こういうような点を勘案いたしました結果、価格の原状回復命令は採用をいたしませんで、御承知のようにカルテル排除措置の徹底という見地から、事業者に対しましてカルテル排除後にとることとなる具体的な措置の内容の届け出とその実施状況の報告をさせるということによりまして、この効果を上げようというような案をつくり上げたわけでございます。
#27
○勝澤委員 いまのような答弁が本会議でされたわけでありますけれども、それでは意味がわからない。
 もう一回よくお聞きいたしますけれども、違法な価格カルテルで値段が上げられた、それが摘発された、だから違法なカルテルで引き上げられた価格をもとの価格にさせるというのは、これは当然じゃありませんか。その違法なカルテルによってつくられた価格というものに公正取引委員会がタッチできない、しかも需要者は高い価格でこれを買わなければならない。これは違法な行為でもってつくられた価格をほうっておくという、これでいいですか。価格カルテルで、いま百円で売っているやつを申し合わせで二百円で売った。二百円で売ったとき摘発されたから、もと百円なら百円に返せ、この返せということがなぜできないんですか。そうすると、違法な二百円の状態というものをそのままでいいという根拠は何ですか。そういう違法なカルテルというのを黙認して、一体カルテルの取り締まりができますか。その点なんですよ。もっと明確に御答弁願いたいと思います。
#28
○植木国務大臣 カルテルのやり得をなくそうということで私どもはカルテル対策を一つの大きな柱にしたわけでございまして、したがって私どもといたしましては、ただいま申し上げましたこのような具体的措置の内容の届け出と実施状況の報告を求めることにいたしますとともに、課徴金の新設をいたしましたり、あるいはまた罰金の引き上げをいたしましたりいたしまして、総合的にカルテルのやり得をなくそうという案をつくり上げたわけでございます。価格カルテルが続きまして、そしてある段階でこれが排除せられる、その際に原状に返せという命令をするという点は、公正取引委員会としてその案に出されたわけでございますけれども、その間カルテルの期間中のいろいろな時間の経過がございます。その時間の経過の中で、いろいろな需給関係でありますとかコストの変化などというようなものもございます。それから、先ほど申し上げましたように、それでは二百円のものを百八十円に下げろ、こう申しまして、三ヵ月なり六ヵ月なりそれを据え置くことを命じました場合には、その命じられました者がそのように引き下げをいたすことによりまして、やがて三ヵ月ないし六ヵ月後には百八十円のものをまた二百円にしよう、あるいは経済の変化によっては二百十円にしようというようなことで、売り惜しみを行う、あるいは消費者の側からは、ここまで下がったんだから、いまの三ヵ月あるいは半年の間に買っておきましょうということで買い占めを行われると、経済的ないろいろな混乱が起こるわけでございます。したがって、この原状回復命令というものをとることなく、これにかわる案として課徴金その他カルテル対策の強化を図ったというのが私どもの考え方でございます。
#29
○勝澤委員 違法な価格カルテルでもうけた、そのもうけをそのままほうっておいていいというのはどういう意味ですか。それはどういう意味ですか、もっと説明してください。
#30
○植木国務大臣 カルテル破棄後競争価格に戻すのが基本でありまして、時間の経過した価格に戻すということとは違うと思うのでございます。今回の改正で競争秩序が回復されましたならば、競争価格が確保せられる、このように私どもは考えております。
#31
○勝澤委員 先ほど、違法なカルテルは悪だ、経済犯罪だ。経済犯罪で不当なもうけをしたやつをそのまま見過ごしていいということは、長官、それでいいんですか。それを取り締まれなければ、カルテルのやり得は防げないと言っているじゃありませんか。それは公正取引委員会が言っているじゃありませんか。
 では、一体その違法な状態でつくられたものをそのまま認めていいという根拠は何ですか。違法な状態でつくられた価格をそのままでいいというのは、それを引き下げねばカルテルのやり得になるじゃないか。いや、それはそのままでいいんだというのは、あなたどういう理由なんですか。
#32
○植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、このたび課徴金という新しい制度を入れました。これは御承知のとおり、不当な利得に対します行政的な措置でございまして、したがって不当な利得を得ました者に対しましては課徴金をかけることによって、納付させることによって、そしてやみカルテルの対策を強化しようという考え方を取り入れたわけでございます。したがいまして、いまお話しのように、やみカルテルのやり得をそのままやらせるのだとか、あるいはまた経済罰則があるにもかかわらず放置しておくのかというような考え方は私どももとっておらないのでございまして、カルテル対策はこれによって強化されたと私どもは確信をいたしております。
#33
○勝澤委員 これはお互いに理論のやりとりじゃないのです、現実問題なんですから。私は、きょうは一般的な総括の質問ですから、これ以上この問題を詰めようとは思いませんけれども、いまの答弁を何回も繰り返しているようでしたら、これはひとつお考えをいただきたいと思いますよ。そんなことで国民は納得できませんよ。
 それから、カルテルの排除後の具体的措置の内容の届け出と実施状態の報告で具体的にカルテルがなくなるという保障はあるのですか。この届け出と報告でどうしてカルテルがなくなるという保障があるのですか。どうだからそれが保障されるというのを長官御説明願いたいと思うのです。
#34
○植木国務大臣 カルテルの排除をいたしますために公正取引委員会が排除命令を出されるわけでございます。それに対しまして、ただいままでは、排除命令が出されるのに対しまして、はい、さようでございますかということでカルテルを破棄するというような行為が行われたわけでございますけれども、今回は具体的にカルテル排除後の措置をどうするかということを公正取引委員会に報告しなければなりません。そしてさらに、現実的にどのようなことを実施しているかということについても報告をしなければならないのでございまして、これは一つの抑止的な効果が働きますとともに、同時に、やみカルテルをやりましたならば、そのような具体的な報告を行わなければならない。また、その具体的な報告の中には具体的措置が含まれるわけでございますから、これによって効果は十分上がるものと思います。
#35
○勝澤委員 後でまた質問することにいたしまして、課徴金の問題について御質問いたしますが、課徴金は、違法なカルテルでもうけた利益を全部取り上げるという性格のものだ。これはあなたが主宰をされた独禁法の懇談会の人たちも全員一致でこういう方針が決められた、こう言われておりますけれども、しかしこの課徴金の中身を見てみますと、カルテルの利益とは無関係で売り上げとか利潤率など、一体課徴金の性格とこの計算方法の根拠は何ですか。
#36
○植木国務大臣 課徴金の算定方法というものにつきましては、一番私ども苦心をした点でございまして、これはできるだけ簡明なものにするということを心がけたのでございます。カルテルを実行いたします期間中の対象商品の売上額に一定の率を乗ずることによりまして、複雑な値上げ額の認定でありますとか、困難な排除すべき原価上昇要因の判定等の作業を行わなくてもよいということにいたしております。この点につきましては、運用を行われます公正取引委員会のお立場も考えますとともに、簡明に行うという方がよろしいという判断を私どもはいたしたのでございます。
 値上げ額の認定には各取引先別の新旧価格の認定でありますとか、新規取引先についての旧価格の認定等のほか、平均値の定め方等きわめて複雑な作業が伴います。また、値上げ額の中には、カルテルがなくても値上げの行われたと認められる部分も含まれますし、これを控除する必要があることは制度の趣旨から当然であります。たとえば小売業の場合、仕入れ価格の上昇分について考慮することが必要でありますし、このような控除すべき原価上昇要因というものは法定することも困難でございます。仮に何らかの形で法定いたしましたとしても、個々の費目について、上昇の時期でありますとか幅というようなものを各事業者別に判定をし、計算に織り込んでいく作業は、きわめて困難でございます。したがいまして、私どもといたしましては、一定の率の決定に当たりまして、基準率と基準率の十分の一の間で各事業者の経常利益率によるということにしているのでございますが、これは過去の記録で明らかとなっております計数でございまして、経常利益率が基準率未満であると認められる場合と定めておりますので、納付命令を受けるべき者が意見を述べまして、証拠を提出するというような機会等を活用いたしまして資料を提出させるように運用し得ることとしているのでございます。したがいまして、公正取引委員会に負担をかけないようにということも配慮いたしております。
 また、政府案は課徴金の額が十万円未満であるときは納付を命じないとしておりますが、これによりまして、基準率を適用する場合でも、いろいろ小規模事業者によるものについて配慮を加えているのでございまして、全体といたしまして、私どもといたしましては公正取引委員会がこれを行いやすいようにというような配慮を加えて作成をしたという考え方でございます。
 課徴金の性格につきましては、先ほども申し上げましたように、不当な利得に対します行政的な措置でございます。
#37
○勝澤委員 十万円未満の課徴金は納付しなくてもいいということはどういうことなのですか。それから、十万円未満の課徴金になるようなカルテルは取り締まらないということになるのではないでしょうか。また、最低でも十万円以上を取るというふうにしなければ、違法でも処罰しないということになるわけじゃありませんか。この点について御説明を願います。
#38
○植木国務大臣 十万円以下であるときは納付を命じないことにいたしましたのは、一つには、十万円以下の課徴金というものの程度でありますと、十分な抑止力にならないという点がございます。それから、カルテル対象商品の売上額は、一般で六百六十六万円、小売の場合には一千万円、卸の場合は二千万円未満の事業者については、売り上げのみ判明しましたならばそれ以上の作業を必要としないということにしておることによりまして、小規模事業者によるカルテル等についてはその事務処理の軽減をし、これは取らないことにするということにしたのでございまして、政府としてはいろいろな面から配慮してこのような案をつくったのでございます。
#39
○勝澤委員 この課徴金制度を新設したことによって、このかわりに、独禁法の改正がなされた場合は、一体人員的には総理府としてはどの程度の事務量の増加になるのですか。
#40
○植木国務大臣 先ほど来お答えをいたしておりますように、十分に簡明な算定方式をとるという考え方に立ったのでございまして、まず第一番目に、こういう課徴金制度を導入することによりましてカルテルが行われる抑止力になるということが一点ございます。さらに、いま申し上げましたように、十万円以下につきましてはこれの納付を命じないという考え方も取り入れております。それからさらに、三年間にわたります問題等がございますが、これはいわば課徴金の対象となります事業者が意見を申し出ましたり、あるいはまた資料をもちまして公正取引委員会に対して判断を求めるという、公正取引委員会が受け身の形で判断を下すという考え方を取り入れておりますので、事務量といたしましては、現在の公正取引委員会の陣容をもってすれば可能ではないかと考えているのでございますが、なお改正案が通りますと人員の増加がございますし、将来これが成立をいたしました場合には、六ヵ月間の猶予期間があるわけでございまして、公正取引委員会の陣容の拡充については、政府も今後検討してまいらなければならない、このように考えております。
#41
○勝澤委員 公正取引委員会の方にお尋ねいたしますが、仮に課徴金を試算した場合、こういう試算ができるか私にはよくわかりませんけれども、四十八年度と四十九年度、試算をしてみるとどういうようなことになりますか。できれば事件ごとにどういうふうになるか、大まかな答弁をいただき、あと資料をいただきたいと思うわけであります。
 それからもう一つは、課徴金納付のために審判事件がより多くなるのじゃないだろうかという気が私はいたします。しかも全国的な事件について、仮に十万円未満を切り捨てたといたしましても、ある程度のところまでは調査しなければならなくなるわけであります。先ほど本会議での板川委員の質問に対して、事務運用で大きな問題だ、こういうように言われておるわけでありまして、今後公取としては大変大きな問題になるのではないだろうかと思うわけでありますが、その点について御説明いただきたいと思います。
#42
○高橋(俊)政府委員 課徴金がたとえばいまおっしゃいました四十八年度、四十九年度で計算したらどういう比較になるかという点は、大変申しわけないのですけれども、いままでのカルテルを調査するに当たりましてカルテル期間中の売り上げを全部把握するということは事実上やっておりません。結局、それだけ手が回らないということが正直なところでございまして、ですから、そのうちの典型的なものをいまからでも選びまして、できるだけ資料のわかっているものについて試算をすればそれはできると思います。ただし、この場合、一般の納付金の率が一・五%、一%、〇・五%なんです。ところが、実はその品物の売り上げが対象になるわけですが、減額をする、つまり十分の一までまけるということになりますと、この率は〇・一五%、〇・一%、〇・〇五%になるわけですね。こういうふうに減額をするということは本来の対象とは違った商品の売り上げを含めます。その品物だけではない、当該の店で扱っている全部の商品の売り上げとそれから出てきた過去の比率、過去三年間の業績が悪ければ減額する、こういうその辺の因果関係がちょっと結びつかないように私ども思うのですけれども、こういう点がちょっと複雑な計算を呼ぶことになります。それからさらに、あらゆる者から必ず取らなければならぬということになりますと、実際には計算したら恐らく十万を割ってしまうというものでありましても、売り上げというものは少なくとも全員から取らなければならない。そこで、対象の事業者が、普通のカルテルの場合ですと、これは平均しますと一件当たり大体十社程度なんです。ですから、仮に五十件あったとすればそれは五百社なんです。これはいいのですけれども、事業者団体の場合には一つの組合が数百名というのはごくあたりまえでございますし、それは数千名のものもございますから、結局全部合わせますと大変な延べ人数になることがございます。そういう場合に一応その売上高を調査しなければならぬ。その下切りで一応十万円の線ですから一千万。先ほど総務長官のおっしゃいました当該商品のカルテル期間中の売上高が一千万円を超えるという場合の小売りについては過去の分の利益率を調べてみなければならぬということになりますから、この辺現在の小売りの売上高というものと――計算方法がまだ決まっておりません。私の聞いたところでは、間接税が含まれている場合にはその税金分は除くんだという話でありますからまた複雑になります。そういうことでございますので、実際に当たってみなければわかりませんが、私どもとしては、かなりの事業量になるんじゃないか、そしてそれに手間をかけられて本来の業務に支障を来すということは大変に困ることだと考えておるわけでございますが、実際に政府案でやったらどうか、あるいは私どもの試案でやったらどうかという点は、私どもの試案によるあれでなく、実は途中でもうやめてしまったわけです、そういう方法をとらないということで。ですから、改めて計算すればできないことはありません。できないことはありませんが、確かに総務長官のおっしゃるように一つ一つのケースについて一社一社ごとに値上がり幅を調べて、そしてそのうちのやむを得ざる分を差し引くという行為は大変複雑でございます。ですから、一律にするという点については、むしろ現在では能率を図るという点からは結構じゃないかと私は思っておりますが、ただ減額したりするところで過去三年にさかのぼって業績を調べるというようなことは事実上非常に困難な場合もあってトラブルのもとになるということだけは争えない。一つトラブルが起こりますと、公正取引委員会のやっていることは非常に不公平じゃないかというふうな感じを与えかねないという点を危惧しておるわけでございますから、御要望の御質問に直ちにお答えできませんでしたが、こういう感じを持っているということを抽象的でございますが申し述べます。
#43
○勝澤委員 そこで、抽象的な答弁の中から感ずることは、いま言われている課徴金制度というものをとらなければならぬということにしたことによって、公取が仕事でにっちもさっちもいかなくなって、本来の公取の仕事が麻痺してカルテルの摘発が従来よりもできなくなる、これがねらいだ、こうちまたで言われているわけでありまして、いまあなたや総務長官の話を聞いてみるとなるほどそうだ、公取の機能を麻痺させてなるべく公取の仕事をできないようにさせようとするのがここのねらいだなと思うわけであります。ですから、これは総務長官の方ですか、具体的に課徴金制度というものがどれだけの効果があるのか、過去の四十八年、四十九年に当てはめてみてどれだけ課徴金が取れるのか、そして取るための作業、従来よりどれだけ作業量がふえるのか、その人員はいまでやれるのかやれないのかということを明確にしないと、ここで法律はつくった、つくった後政令でやります、計算方法はまだこれからです、こんなことまで私は政府に任せる気はございません。この法律ができたためにこうなるんだ、それがカルテルの取り締まりになるのだということを明確に確信を持たない限り、これはなかなか賛成するわけにいかないじゃありませんか。あなただってそうだと思うのですよ。どうですか、総理府長官、いまの審議中にその作業をひとつやってくれませんか。いかがですか。
#44
○植木国務大臣 課徴金制度を新設することによりまして、抑止的な効果が発揮せられるということを私どもは考えております。
 それから、過去の具体的な資料等は総理府の手元にはございません。公正取引委員会において、いま委員長から御答弁がございましたように、過去の例をとりながらいろいろ御検討になっているようでございますが、私どもといたしましては、カルテル対策としての強化のために課徴金制度を新設するということがきわめて効果的であるという考え方でこれを採用することにしたのでございまして、データ等については公正取引委員会の方にお聞きをいただきたいと存ずるのでございます。
#45
○勝澤委員 つくったあなたの方が、この法律をつくったらこうなるぞという説明ができなくて、公取に聞いてくれなんというのは、これはちょっと筋違いじゃありませんか。しかも、あなたは堂々と本会議でこう言っているのですよ。これは公正取引委員会の機能を麻痺させるものじゃないかという板川委員の質問に対して「今回の政府案について、公正取引委員会のカルテル摘発を、事実上不可能とする意図があるのではないかとの御指摘は、非常な誤解でございまして、政府としては、その摘発を容易にしようとするものでございます。」あなたはこう言っているわけであります。ですから、容易になるのかならないのかというのを具体的に、抽象的な言葉でなくて、抑止的な効果があるものだという言葉でなくて、具体的な事実として、これは数字なんですから、数字として課徴金はこうなります、四十八年度に取ったとすればこうなります、四十九年度に取ったとすればこうなります、しかしいまは統計が、事実上の資料がありませんから、これは推定でこうですと、いま与えられている資料の中で推定したときに本当に課徴金というのは年間に何億取れるのか、何千万円になるのか何百万円になるのかわからないわけです。私たちもわからない。
 あるいはたとえば事業者団体で、全国理容環境衛生同業組合ですか、クリーニングとか、よくいろいろ摘発されていますよ。これなんか見てみましても、四十七組合で十一万千六百名も会員があるわけでありますから、こんなのが公取の事件としては各県ごとに摘発されているわけでありますから、そういうのを洗ったらどうなるのだろう、これは仕事ができるのかい、なるほど仕事ができないためにこういうことがつくられたのだなと、逆になるわけでありますが、あなたはそうじゃないと言っているのですから、そうでないという資料をこの委員会審議中にひとつお出し願いたい。あなたのところでできなければ、あなたの方が公正取引委員会に協力するなり何なりして出してもらわなければ困るじゃありませんか。いかがですか。
#46
○植木国務大臣 課徴金の新設によりましてこれからどれだけの効果を上げるかということは、率直に申しまして、実施してみなければわからないところでございますけれども、しかし通常の場合、売上高を基準にいたしました企業の純利益率は余り大きいものではございません。売上高の一・五%を課徴金として徴収することは、一般的に申しまして相当大きい抑止力になると考えております。また、課徴金は税法の取り扱い上損金としないということにいたしておりますので、課徴金を納付いたしました分にも法人税が課せられるわけでございます。したがいまして、負担は大きくなるのでございまして、抑止力としての課徴金の新設というものは効果があるということを私は強調いたしたいのでございます。
#47
○勝澤委員 私はあなたと議論をしているわけじゃない、事実問題として資料を出しなさいと言っている。いかがですか。(発言する者あり)
#48
○山村委員長 御静粛に願います。
#49
○原政府委員 私ども、いまの総務長官の取りまとめの補佐をする立場でございます。では、総理府の中に独禁法を担当するところがあるのかということになりますと、それはないのでございます。私どもはその取りまとめという、総理府はそういう立場でございますが、取りまとめをやる。したがいまして、いまのお話、データ等は全部公取が持っておれば、その持っておるものに基づいて計算することは可能でございます。したがって、これは公取と一回相談をいたしまして、データがあるかどうか、それを見た上で、一回協議をさしていただきたいと思います。
#50
○勝澤委員 課徴金制度をつくったけれども、抑止力として効果がありそうだということはわかりますよ。だから、具体的にはどうなのか。具体的にはどうなのかということがわからなくてこの法律をつくっているのですか、あなたは。法律をつくった以上、法律をつくったところで、結果的にはこうなるのですよ、だから抑止力になるのですよ――ですから、それは公取に相談するしないは、御自由ですよ。総理府長官として、この審議が終わるまでの間に、私が言っておる資料を出せるのか出せないのかですよ。それだけ聞いているわけですよ。いかがですか。
#51
○植木国務大臣 ただいま審議室長から答弁をいたしましたように、総理府といたしましては資料がございません。したがいまして、公正取引委員会の事務局と協議をいたしまして、提出できる資料がございましたならば、もとより提出をさしていただきたいと存じます。
#52
○勝澤委員 この課徴金の徴収をめぐってえんきょく的に公取委員長は言っておりますけれども、あなたと公取委員長というのは、大変重大な違いがあるのですよ。公取委員長は、先ほどの、本会議の追加答弁で、事務の運用で大きな問題だと言う。私はそうだと思うのですよ。事務量が相当膨大になるだろう、計算の仕方がなかなか大変だ、これは本来の公取の仕事が相当阻害されるのじゃないだろうかというふうに私はうかがえるのですよ。しかし、あなたの方はそうじゃない。カルテルの摘発を容易にしようとするものでありますと板川委員の質問に本会議で答弁しているわけでしょう。こんなに大きく食い違っているのですよ。ですから、食い違っているのですから、この食い違いを数字的に当てはめてみたら、過去あるわけですから、カルテル違反事件があるわけですから、違反事件に当てはめてみたら、こういう計算でこれだけ課徴金が取れます、この課徴金を取るために人員量はこうなります、それを出してくれと言っているのですから、できるだけ出しましょう、こういうことになるのがあたりまえじゃありませんか。相談して――それだったら、その相談が終わるまでこの法律の審議をやめましょうか。法律の効果がわからぬわけですから、この法律が通ったときに、国民に及ぼす影響がわからぬわけですから、具体的事実行為として。いかがですか。
#53
○植木国務大臣 先ほど勝澤委員も、理解できると仰せになりましたように、この課徴金は新設するものでございますから、抑止的な効果が非常にあるというふうに私どもは考えております。したがいまして、過去の例をいろいろとることによって計算をするというものは、データとして公正取引委員会にございますならば、それと突き合わせまして計算をすることができるわけでございますが、新設する制度でございますから、今後私どもといたしましては、この新設した制度によって、一体幾らの件数についてどれだけの陣容が必要であるかというようなことについては、やってみないとわからないというのが率直な答えでございます。したがいまして、この課徴金に関する資料につきましては、先ほど審議室長が申しましたように公正取引委員会の事務局との間で提出できる資料がございましたならば出さしていただきたい、このように申し上げているのでございます。
#54
○勝澤委員 やってみなければわからぬようなことについて、あなたはなぜカルテルの摘発を容易にしようとするものでありますという答弁をされているのですか。おかしいじゃないですか。本会議で板川委員の質問にあなたはそう言っているじゃありませんか。やってみなければわからぬとは何事ですか。重要な問題じゃありませんか、これは。親切丁寧に板川委員は質問しているのですよ。しかし、あなたの答弁は何ですか。公正取引委員会のカルテル摘発を事実上不可能とする意図があるのではないかという指摘だけれども、それは誤解だと言うのです。誤解だから誤解の材料を出しなさいと言っているのですよ。その材料がないと言っているのじゃありませんか、あなたは。何ということですか。だから、私は初めからあなたと独禁法とはどういう関係があるのですかと聞いているじゃありませんか。もう一回答弁してくださいよ。
#55
○植木国務大臣 先ほどやってみなければわからないと申し上げましたのは数字の点でございまして、先ほど来の御質問の中に一体四十八年度、四十九年度どれだけの件数があって、それを今後実施せられるならばどうなるのかというお話について、私はそういう答弁をしたのでございます。課徴金を新設することによりまして、いままで行われました排除措置に新しい制度が加わるわけでございますから、そしてまたその制度を設定いたします際に、先ほど申し上げましたように、できるだけ算定方法は簡明にするということをいたしたわけでございますから、そういう意味において、本会議において私はカルテルの摘発が容易になるということを御答弁申し上げたのでございます。
#56
○勝澤委員 課徴金の制度を決めて、そしていろいろな手続がある、この法律に基づいて課徴金を取るには大変な作業量になるよ、この作業量のために本来的なカルテルの摘発が不可能になりますよ、こういう質問をしているわけです。しかし、あなたはそうはならぬと言う。そうはならぬなら一回計算をしてみなさい。計算をしてみればどれぐらいの人がかかるかわかりますよ。そうすればこれは摘発すると課徴金の計算が大変だ、こんなのは手を入れぬ方がいい、そういうことで摘発件数というのが減るのですよ、それは。
 長官、あなたは素人だからよく説明してあげますけれども、素人が法律を出しておいて、その法律を質問していったらわかりませんでは通らぬわけです、確信を持ってあなたは出しているわけですから。
 私は四十八年度、四十九年度の課徴金についての試算をこの委員会中に提出することを要求します。そして、あなたは誤解だと言っているわけでありますから、板川委員の質問について誤解だ、摘発しやすいようにしているんだと、具体的な数字をもって示してもらいたいと思います。
 それから、公取の方にお願いいたしておきますが、いま石油連盟のカルテルで告発されていますね。この事件で課徴金を計算したらどれぐらいになるのか、資料としてお出し願いたいと思いますが、これは事務局よろしゅうございますか。この程度なら出るでしょう。
#57
○高橋(俊)政府委員 石油のカルテルは現在告発しているものでありますから、その内容は相当詳しく詰めてあるはずでございます。したがって、私はそれについて計算をすることはできると思います。ただし、減額の計算が入ってくるかもしれません。そういうことがありますから、過去三ヵ年にさかのぼってでありますが、しかし、いずれも一部を除きまして有価証券報告書を出しているところです。ですから、そういうものにつきましてはそういう調査は比較的容易にできる、有価証券報告書も何もないところだと非常に困難であるということを申し上げておきます。いまの石油の件についてはお出しできると思います。
#58
○勝澤委員 それでは、それを出していただくことにしまして、次の問題に移ります。
 総理府長官にお尋ねいたしますが、不当な取引制限等に対する排除措置は現行法の内容の強化だといわれておりますが、現行の排除措置を下回る改悪だという意見も出されております。これについての総理府の見解を賜りたいと思います。
#59
○植木国務大臣 いま御指摘のような御意見があることは私も承知いたしております。しかし、現行法の第七条は、違法カルテル等の違反行為につきまして「行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」と定めているのでございます。これは単に行為の差しとめ等ではなくて合理的に必要と認められる範囲内で排除を実効あらしめるための措置が含まれることは当然でございますが、具体的にどういう措置が認められるかはケース・バイ・ケースで判断をせられることになります。
 今回の改正案で認められることになります「行為の影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出及び当該具体的措置の実施状況の報告に関する措置」というものは、違法カルテルの場合、現行法では認められないケースが少なくないと考えられます。この改正は、定型的にこのような措置を命じ得ることとすることによりまして排除措置の内容の強化を図ったものでありますが、この趣旨から申しまして、現行第七条の公正取引委員会の権限を制限するものではないと私どもは考えております。
#60
○勝澤委員 内閣法政局のいまの七条の括弧書きについての見解を求めます。
#61
○味村政府委員 現行法は不当カルテル等がございました場合には、「当該行為の差止、営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置」を公正取引委員会が命ずることができるようになっているわけでございます。今回の改正で括弧をいたしまして「当該行為が不当な取引制限である場合にあっては、当該行為に係る事業活動について当該措置の実施後当該行為の影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出及び当該具体的措置の実施状況の報告に関する措置を含む。」こう括弧書きでつけ加えましたのは、文字どおりつけ加えたわけでございまして、この現行法において可能な措置を制限するということは全くございません。排除するために必要な措置と申しますのは、結局カルテル等が行われております場合に、そのカルテルを排除いたしまして実質的に競争が回復される状態にするための措置でございます。
 これに対しまして括弧書きで加えましたのは、不当カルテルによります影響が残っておる、その影響を排除するためにとることとなる具体的措置、これについて内容の届け出、実施状況の報告を求めることができるのだ、そういう命令をすることができるのだというふうに規定をいたしたわけでございまして、現行法はカルテルを排除するために必要な措置であり、括弧書きはカルテルによる影響を排除するための措置でございまして、これはそれぞれ違うわけでございます。
#62
○勝澤委員 総理府長官と法制局の見解、これはやはり詳細に速記録で合わしてみないとわかりにくい面もあるのですが、公正取引委員会の見解としてはいかがでしょうか。
#63
○高橋(俊)政府委員 今回つけ加えられました括弧書き、その文言の表現から、確かに早く言えば素人わかりしないのです。その点は非常にわかりにくいと思います。私がそう感じるのでございます。(発言する者あり)そこで……(発言する者あり)
#64
○山村委員長 不規則発言に答えないでください。質問にだけ答えてください。
#65
○高橋(俊)政府委員 私簡単に申し上げますが、これは価格カルテルの場合に実際は多いのです。価格カルテルに対して排除命令を出しました、しかしカルテル価格はそのまま続いているというのが現状なんです。現在までほとんど大部分の場合、よほどのことがないとカルテル価格が崩壊する、自然に崩壊する――これは実際にあります。原料が大幅に下落したという場合だけはそういうことが行われますけれども、通常はない。ですから、カルテル価格は先ほどから御議論のようにそのまま据え置かれている。そうしますと、この「影響」と書いてありますが、結局その価格がそのまま続いてるという事態をとらえましてそれを排除するための具体的措置というのは何であるか。私なりの解釈を申し上げますが、いままでは一番厳しい例としては価格を再交渉して決めろというところまでは排除命令に入っております。しかし、それ以上はない。今回もしこの括弧書きが制限的な意味を持たないんだということであるならば、少なくともその価格がそのまま維持されてるようではいかぬから、カルテル価格というのは違法な行為に基づく価格であるので、その価格によらない価格を設定して決めるように、ただ、ですから原状回復命令とはほど遠いのでありますけれども、とにかくカルテル価格そのものは続けてはいかぬということを実情を勘案して命ずることができる、こう受け取りたいのです。そういうふうに解釈しております。
 というのは、実情と申しますのは、恐らくカルテル価格というのは常に幾らか実態よりも上乗せした価格をねらってカルテルをするわけですね。カルテルをやるということには何かうま味がなければいかぬわけですから、それだけ不当な部分が乗っかっているというふうに見られるので、その価格をそのまま続けてはいかぬ。その価格にかわる価格を決めるように、ただし幾らにせいということは申さない。したがいまして、それからたった一円しか下げてこない場合でも、これは仕方がないということになりますが、とにかくカルテル価格の存続を前提とした場合、それは好ましくない、実際に合わないという場合にはそれを変えるということを含みとしたことを排除措置の命令に含めることができるんだ、勧告ないしは審決にそれを含める、そういうふうに解釈すれば、この括弧書きはわずかではありましてもそれは一歩前進じゃないかというふうに感ずるわけであります。
#66
○勝澤委員 総理府長官にお尋ねいたしますが、いま御説明のありました公取委員長の説明どおりなんですか。これは実にわからないのですよ。
#67
○植木国務大臣 立法の精神と申しますか、趣旨につきましては私及び法制局から申し上げたとおりでございまして、運用せられるのは公正取引委員会でございます。公正取引委員会がただいまのような考え方で運用をせられるというふうに私どもも承知をいたしております。
#68
○勝澤委員 これは私まだよくわかりませんから、もう一回議事録を見直して、そうして詰めてみましょう。
 公正取引委員長、もう一度お伺いしますけれども、四十八年の十二月二十六日、神崎製紙株式会社ほか八名に対する件、それから同日の王子製紙株式会社ほか五名に対する件の審決で、価格の再交渉や販売価格数量の報告を命じたが、この改正によっても現行どおりできる、こう解釈してよろしいでしょうか。
#69
○高橋(俊)政府委員 当然そういった、従来行った行為は何ら制限されることなく行い得ると思います。その上にいまおっしゃいましたように、価格の再交渉というだけでして、別段何もつけていない。ですから、何らの変化が起こらなかったというふうに私は記憶します。
 そこで、カルテル価格を実施しますね、実施した価格がそのまま続くということは、これは実勢を無視した、要するに実情から遊離している、こう考えるときには、それを変えてこいという意味の、変えろというだけですから、幾らにしろとは言いません。そこは、だから、介入すべきではないという御意見が圧倒的に多かったものですからそういうふうになったものと思いますが、この場合は、いま御指摘になったことを命ずることは一向に制限されておりません。
#70
○勝澤委員 内閣法制局の見解はいかがですか。いまの問題について公正取引委員長と同じでいいんですか。
#71
○味村政府委員 先ほど申し上げましたように、この括弧書きは、現行法によって行うことのできる措置を制限したわけではございません。したがいまして、現行法によってこのようなことは行い得るという措置はすべて改正法によっても行うことができるわけでございます。
#72
○勝澤委員 また別の委員に譲ることにいたしまして、独占的状態に対する措置についてお伺いいたしますが、独占的状態にあるものとして営業の一部譲渡の対象となる業種、四十六業種とも言われておりますが、この資料を公取の方からいただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
#73
○渡辺(豊)政府委員 資料を作成いたしまして後ほど提出いたします。
#74
○勝澤委員 総理府の長官にお尋ねいたしますが、独占寡占対策として一番重要な柱であった企業分割、これをなぜおやめになったんですか。本会議で答弁されたことはもう議事録を見ていますから、それでわからないから御質問しているわけですから、具体的に御説明願いたいと思うのです。
#75
○植木国務大臣 ただいま企業分割を採用しなかったのはなぜかというお話でございますが、これは構造規制といたしまして私どもは最後の手段として、重要な部分を含む一部営業の譲渡によりまして企業分割ができるというふうにいたしております。
#76
○勝澤委員 独占的状態の規制措置について審判開始前と審決前に主務大臣と協議することとされておりますが、一体どんなことが協議されるんですか。
 第二に、なぜ協議を必要とするのか、協議を必要とする理由、この二点についてお伺いいたします。
#77
○植木国務大臣 御指摘のとおり、主務大臣と前後二回協議をすることになっております。
 この理由でございますけれども、独占的状態に対する措置は、その要件、措置の内容につきまして、一定の事業分野における産業構造にかかわりが深く、その事業分野に対する主務大臣の行う行政との調整を行うために十分な協議が必要であると考えているのでございます。
 二回行うことといたしましたのは、審判手続の開始前と審決前とでは協議すべき事項も異にする、また時間の経過もございまして、要件についての判断も変化してくるということを考えたのでございます。
 どういう内容をということでございますが、まず第一回目の協議におきましては、独占的状態を排除して競争を回復させるためにはどのような手段が考えられるかということを、公取委員会と主務大臣との間で協議せられることになります。その中に営業の一部譲渡も含まれるということは申すまでもございません。そして、審判が行われ、審決が行われます際にはいろいろな意見の聴取等も行われるわけでございますが、たとえば営業の重要な一部譲渡ということになりますと、この点につきましてはどの部分を譲渡させるのであるか、あるいは譲渡先はどこであるか、譲渡契約はどうなるのであるか、さらにまた債権債務の整理はどうするか、その中に働いている従業員の雇用の状況はどうなるのであるかというようなことについて協議が行われるというふうに考えております。
#78
○勝澤委員 そこで協議しても協議が調わなかった場合はどうなるんですか。それから、公正取引委員会の任務というのは独禁法の目的で決められておるわけでありますが、主務大臣と協議というのはどういう目的の協議なんですか。この二つについて。
#79
○植木国務大臣 まず最初に、協議不調の場合の取り扱い方でございますけれども、これは一般に協議を要すると定めがあります場合には、合意に達することを目的として徹底的に話し合うべきであると思います。したがいまして、通常の場合には合意が得られるということを私どもは期待をいたしているのでございます。しかし、どうしても合意に達せざる場合には、法的に詰めましたならば、申すまでもなく最終的には権限を持つ官庁の判断にゆだねられると解されます。この場合、申すまでもなく公正取引委員会であります。したがいまして、私どもといたしましては公正取引委員会の独立性を、職権行為の独立性を尊重しながらこの協議をしていただくということにしたわけでございます。
 なお、その協議の目的と申しますのは、先ほども申し上げましたように、この独占的状態に対する措置は、要件や内容につきまして一定の事業分野の産業構造に非常に重要なかかわり合いを持つものでございますから、主務大臣の行政との調整というものを行うために協議が必要であるというふうに考えたのであります。
#80
○勝澤委員 公正取引委員会というのは、独禁法の目的を実施するために置かれている官庁でありまして、そのために実は独立して職務を行うことができるわけです。ですから、職務を行う上からは一方的ではいけないから、これは六十一条で意見を聞くことができるということになっているわけでありますが、それを協議しなければならぬ、二回も協議するなんというのは明らかに公正取引委員会の性格、独立性というものを変えるものだと思うのです。あなたはどう思いますか。
#81
○植木国務大臣 協議につきましては、御承知のように現行法でも不況カルテルや合理化カルテルの認可等の場合に設けられております。私どもといたしましては、先ほど申しましたように、合意に達しない場合には最終的には権限を持つ公正取引委員会の判断にゆだねると解しているのでございますから、私どもは協議を必要とすることにしたからといって公正取引委員会の独立性を侵すものとは考えておりません。これは審決前の協議についても同様、現行法にあるものでございまして、私どもといたしましては、二十八条の職権行使の独立性を侵さないでこの独占的状態の排除ができるようにという配慮のもとにこのような政府案を作成したのであります。
#82
○勝澤委員 公正取引委員会が独立して職務を行うという権限を与えられている理由は何ですか。公正取引委員会が独立して職務を行うというのをわざわざ権限として与えられておるわけですね。そして、これは御案内のように国会の承認人事、中立で、公正で、侵すべからず、こういう立場で実は権限を与えられていると思うのですけれども、この独立権限を与えられている理由についてあなたはどう考えるのか。それから、その場合、だれから独立して職務を行うために独立の権限を与えられているかということです。だれから独立して職務を行うために独立の権限を与えられているのか、この二つについて御説明願います。
#83
○植木国務大臣 まず、だれから独立してということでありますが、だれからも独立して行うべきである、こういうふうに解しております。公正取引委員会は、御承知のように内閣総理大臣の所轄に属する行政官庁でありますが、準立法的権限及び準司法的権限を持っていることはもう申すまでもございません。したがって、職権行使に当たりましては内閣総理大臣の指揮監督も受けないのでございまして、公正取引委員会のこのきわめて異例な性格は、純法律論から言いましたならば、私どもといたしましては現在の法運用上非常に適切であるというふうに考えているのでございます。
#84
○勝澤委員 あなたはよくおわかりになっているようですけれども、準司法的立場にある人が、審判開始前と審決前に、主務大臣というならば、企業、その企業利益の代表じゃございませんか。その企業の利益の代表と協議するというのはいかなる意味なのか、どう考えても私はわからぬ。私は明らかにこれは独立性に対する侵害だと思うのです。これは理屈でなくて現実の問題で、言うならば独禁法改正案をつくるまでに至った経過の中で財界の反対意見が出た、自民党の反対意見が出た、その意見を取りまとめられて通産大臣が一生懸命やられて、骨を抜いちゃって、これはもう影響がないからいいだろう、こういうことでようやく国会の場に上がってきて、反対だ、反対だと言っておった一部の自民党の中でも、通さなくてはならぬ、通さなくてはならぬという意見が強くなってきている。まさに国民は愚弄されているんですよ、いかにも独禁法が強化されたようにされていながら、実は大きな風穴をあちらこちらに入れられているわけですから。この問題はまたもう少し具体的に詰めさしていただくことにいたします。
 それから四十条の二、価格の同調的引き上げに関する報告の徴収等は、公取試案の原価公表と一体どういう関係になっているのか、どういう関係があるのかという点をまず最初にお伺いいたします。
#85
○植木国務大臣 私どもといたしましては、問題意識といたしましては同じでございます。ただ、手段といたしまして、私どもといたしましては原価公表をとりませんで、同調的な価格引き上げに対して報告を徴収するということにいたしたのでございます。
#86
○勝澤委員 公取に資料のお願いをしたいのですけれども、同調的引き上げの報告を求める業種がおおむね八十五種類と言われておりますが、これについての詳細な資料を御提出願いたいと思うのですが、よろしゅうございますか、事務局長。
#87
○高橋(俊)政府委員 よろしゅうございます。
#88
○勝澤委員 それでは次に、この改正案は、現行の四十条、四十三条について公取委員会の権限を制限する性格を持つことになるおそれがある、削除すべきだという意見が学者から出されておりますけれども、これについての見解を、どこから聞きましょうか、公正取引委員会から聞きましょうか、いかがでしょうか。
#89
○高橋(俊)政府委員 私は、結果を先に述べますが、四十条の二が入ったことによりまして、四十条の職権ですね、それと四十三条の公表権、これは何ら影響を受けないと解釈しております。それでも四十条の二が加わりましたことは十分に意味はあります。と申しますのは、四十条は職務の必要上ということでありますから、その都度ケース・バイ・ケースで判断するということがたてまえでございます。四十条の二の場合はこういうふうなことで早く言えば同調的値上げを行ったものは文句なくその理由を徴求される、そしてそれについて国会に年次報告の中で公表される、こういうことが明らかに定められておりますから、私はその点でのいわば宣言的効果といいますか、あらかじめそういうことを決めておくということについて十分意義はあると考えておりますが、では四十条はそのために制約されてしまうかというと、それはそれでその場合の判断によって調査権は十分残る、ある、狭められておらないと解釈しております。
#90
○勝澤委員 内閣法制局の見解をお尋ねいたします。
#91
○味村政府委員 ただいま公正取引委員会委員長がおっしゃいましたように、四十条の二は現行法につけ加えたわけでございます。現行法の第四十条はそのままになっているわけでございまして、現行法の四十条の規定によりまして報告を徴収することができるという場合には改正法によりましても報告を求めることができるわけでございます。同調的値上げに関します第四十条の二は、第四十条の規定によりましては報告を求められない場合があるという場合に、報告を求めることができるようになっているわけでございます。
#92
○勝澤委員 総理府長官の答弁は本会議でもちゃんと出されておりますからよくわかりました。
 そこで、公正取引委員会にお尋ねいたしますが、平行行為を取り締まる手段として原価公表というものが出されたわけでありますが、原価公表に比べて価格の同調的引き上げに対する報告徴収、これはいかがですか。
#93
○高橋(俊)政府委員 従来、いわゆる管理価格と称するものにつきましては、当初は任意的な調査でございましたが、途中から四十条に切りかえて調査をしております。この場合、確かに単品原価まで実は徴求しておるわけです。しかし、それを公表するに当たりましては、公表しておりますが全部を平均いたしまして原価構成を発表しておる程度なんでございます。そこで、単品原価の公表ということを当初試案で考えたのでありますが、これに対しては各方面からいろいろ抵抗が非常に強いということと、それから私どももよく考えてみますと、単品原価を公表するよりももう少し幅広く値上げ理由を徴求する、値上げ理由を求める場合に、単に簡単な抽象的な文言の列記で値上げ理由をとることは考えておりません。もう少し具体的な数字による裏づけを伴った理由をいただく、こう思っておりますから、その方がむしろやり方によりましては一般わかりがするんじゃないかということでありまして、原価公表でないから著しく効果が落ちるとかいうふうなことはないのじゃないかと思っております。ただし、その理由のとり方が今後実際には問題になるわけでして、原価公表と余りに変わらないというふうな批判を受けるようなことは避けていかなければならない。ですから、全体としてはその部分における収支がどう変化したかというふうな点を中心にその理由を求めたいと考えております。
#94
○勝澤委員 原価公表というものが無理だという理由は、総理府長官、どういうわけなんですか。
#95
○植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、私どもとしては、問題意識としては十分に共通したものを持っているのでございますが、原価というものを出しますのは大変むずかしいという点もございますが、原価は競争の最大の要素でございまして、これを公表させるということになりますと企業の秘密の公表になるわけでございまして、かえって競争を阻害するおそれがございます。また、同調的引き上げの場合に原価を公表させても抑止力にならないのではないかという意見もございます。さらに、国際的に見ましてもわが国のみが原価公表するのは問題が多いのでございまして、さらに場合によりましてはコストプラス利潤という形の値上げを正当化させることにもなりまして、かえって競争政策を損なうことになりかねないということで取り上げないことにしたのでございます。
#96
○勝澤委員 いまあなたの答弁は本会議で板川委員に対しての答弁を読み直しただけなんですよ。その答弁をしている限り委員会の審議は進まないのですよ。私がわざわざ質問しているのは、それで納得しないから質問しているわけですから。それから、あなたの意見についても、あちらこちら議事録を見てみますと、一つ一つについて公取委員長必ずしも納得されている答弁をされていないわけです。相当意見の食い違いがあるわけです。ですから、意見の食い違いの底に何があるのかという点を明確にしないと、こういう意見があってこういう意見があって、意見が違う、だけれどもこちらを採用したんだ、そういうことならわかると思うのです。たとえば原価を公表させても抑止力にはならない。抑止力になるという意見もあるわけですから、なるのかならないのか、なぜならないのか、なぜなるのかという議論を詰めてみなければいけないわけですね。あなたの意見は何も詰めていないわけです。ですから、積み木細工でこっちのものを持ってきてこっちのものを持ってきてというように、結局財界の言うなり自民党の言うなりに法案をつくったからこういうことになってしまうのですよ。そうでなくて、あなたが本当に国民経済的に物を考えて自由主義経済的にものを考えて独禁法を出すなら、われわれ野党からこんな質問をしなくても、総理府長官御苦労さんでしたと言って三十分ぐらいで法案が通るかもしれませんけれども、そうでないわけです。ですから、自民党だって、余りかっこよく三十分で通しては悪いから自民党も質問しようなんということになってこれは質問しよう――そんなことを言うとしかられるかもしれませんから余り言いませんけれども……。
 そこで、誤解されるといけませんから、次に会社の株式保有総額の制限についてでありますけれども、公取に資料としてお願いいたしたいのは、公取案の場合と政府案の場合と、対象となる会社のとり方が違っているわけですね。ですから、政府案の場合はこれこれの会社が対象となる、公取案の場合はこれこれの会社が対象となる、それから第二号の対象外の株式があるわけでありますが、具体的にどういう会社が対象外になるのか。政令か何かで――今度の法律というのは何でもかんでも政令政令というかっこうでわからなくしているわけでありますが、その両方の資料についてお出し願いたいのですが、よろしゅうございますか。
#97
○高橋(俊)政府委員 ちょっとお尋ねしますが、第二号とおっしゃいましたか、それだけでよろしゅうございますか。
#98
○勝澤委員 法律案要綱の中の第六「会社の株式保有総額の制限」で、第一の部分について公取の場合とそれから政府の場合の基準のとり方が違うのですね。それはおわかりになる。二が「次に掲げる株式は、一の制限の対象から除外するものとする。」こうなっているわけです。その点もし公取でなければ、総理府になるのですか、政令が大分出ておりますから、政令案を含めてどの株式が対象になるのかという点についての資料をお出し願いたいと思うのですが、もし総理府でしたら、総理府の方から。
#99
○高橋(俊)政府委員 いまおっしゃったのは要綱でおっしゃったと思いますが、法律の方で言いますと、一号から九号まであるわけです。このうちの一号から四号まではすでにあるわけですね。現在あるものです。それからあとはこれから定めるものですから、政令で定めるとなっていますから、これは現在は内容がありません。ですから、法律による一号から四号までのものは少なくとも例示はできると思います。そういう御了解で資料を……。
#100
○原政府委員 御要望の九条の二の一項二号の該当会社名、こういうことでございますが、九条の二の一項二号というのは「産業の開発及び経済社会の発展に寄与する事業で、多額の資金を必要とし、かつ、通常の方法によつてはその調達が困難なものを営む国内の会社で、政令で定める」こう書いてあります。ただいまこの政令につきましては検討中でございますが、どんなことを考えているのかと申しますと、これは通常の方法によってはその資金調達が困難なものというわけでございますから、いまその政令ということでございますから、政令で決めないと具体的な会社ということには……(「その政令案も出せばいいんだ」と呼ぶ者あり)政令案はただいま検討中でございますので、その考え方をちょっと御説明さしていただいているわけでございますが……。
#101
○山村委員長 ちょっと答弁者に申し上げますが、質問にだけ答えていただきます。
#102
○勝澤委員 公取委員長の言われた、できる資料だけはひとつお出し願いたいと思います。
 それから、それ以外の問題につきましては、政令で定めることになっているようでございますが、政令案を出していただく、政令案ができなければ政令案の考え方なり何なりを、この法律に書かれておることが政令として一体どういうものが出てくるのかということをわれわれとしては知らなければなりませんから、その資料をお出し願いたいと思うのですが、それはいかがですか。
#103
○原政府委員 政令案の骨子のようなものにつきましては、出すようにいたします。
#104
○勝澤委員 ちょっと念を押しますけれども、九条の二の、何か皆政令政令と書いてありますから、そういう政令の骨子のようなものはひとつ出していただきたいと思います。
 それから、ついでにお願いしておきますけれども、この法律案は大分政令ばかりになっているわけでありますから、先ほども言われておりますように、政令案については公正取引委員会の意見が入るのか入らぬのかよくわかりませんけれども、具体的には公正取引委員会の意見を聞きながら政令案をつくることになると思うのですけれども、できるだけ審議に協力してもらうために、政令案、できたら案、できなければ骨子で結構ですから、お出し願うように要望いたしておきます。よろしゅうございますね。
 それから時間がありませんから、あと、株式保有総額の制限の中で保険業を除いているのは、これはどういうわけなんですか。
#105
○植木国務大臣 その理由でございますが、金融機関につきましては他の会社に比べまして厳格な株式保有制限を設けておりますのは、金融力によりまして他の会社の支配が容易なこと及び金融会社を中核とした経済力の集中化がもたらされやすいことに着目したわけでございます。しかし、保険業を営む会社にありましては、企業との間に預金、為替取引を通ずる密接な関係を持つことはございませんし、また融資的にも、スポット的な長期資金提供の域を出ておりません。いわゆる資金限界供給者的な性格を持っております。したがって、他の会社支配及び経済力の集中という事態は起こりにくいものである、こういうふうに考えているのでございます。また、保険会社は、機関投資家といたしまして資金運用としての株式の売買を行っておりまして、このような観点から、私どもといたしましては、二十八年の改正前におきましても他の金融機関とは区別されて一〇%とされておりましたので、その考え方をとったのでございます。
#106
○勝澤委員 それから、株式の総量規制の経過措置として、十年の措置が決められておるわけでありますが、これで規制の効果が上がるのですか。その点について具体的に御説明願いたいと思うのです。
#107
○植木国務大臣 総量規制制度は、保有株式の総量を基準といたしまして経済支配力の集中を防止しようとするものでございます。これを急激に導入いたしますと、証券市場でありますとか中小企業等を通じまして国民経済にも悪影響を及ぼすことが懸念をされますので、必要な経過期間を設けたのでございます。経過期間を十年というふうにいたしましたのは、その間の純資産の額の伸びを勘案したものでございます。
 なお、この法律の成立を見越しましての駆け込みを排除いたしますために、昭和四十九年十二月三十一日における株式保有額と施行日における株式保有額のいずれか少ない額で凍結をしたということは御承知のとおりでございまして、以上のような理由をもちまして、経過期間十年間を設けたのでございます。
#108
○勝澤委員 最後に、与えられた時間がほんのわずかですから、私は一応問題点だけ抽出をしたわけでございますけれども、公正取引委員長にお尋ねしたいのですけれども、この法律ができ上がって、これを運用する立場にある公正取引委員会としては、この法律の動向というのは今後の独禁政策に大変重要な影響を及ぼすものだ、こう思うわけであります。しかし、そうは言っても、ここでこの法律案について意見を具体的に述べよということもまた酷な話だ、こう思うわけです。しかし、だからと言ってあなたが何も言わずに、御無理ごもっとも、これで結構ですということになったら、これもまた重大な問題だと思うのです。
 そこで、今度のこの改正案について、この辺だけは何とかしてもらわなければこれは困る。意見がいろいろ取り上げられていないわけですから、不満がいっぱいあると思うのですけれども、今後の運営のために公取として御意見があるならば、最初に私は聞いておきたいと思うのです。
 それはなぜかと言いますと、これはあなたが進んで定例新聞記者会見をやったわけじゃないのでしょうけれども、いろいろ新聞で言われておるわけでありますから、公式な場で、差し支えるところはやめた方がいいわけですから、差し支えないところをひとつ御意見を伺いたいと思うのです。
#109
○高橋(俊)政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、私もやはり政府の役人でございますから、政府が決められたものに対してここがいけないのだということを、私の口から公の席でいきなり述べてしまうというのは、私としても少し行き過ぎではないかというふうに思うのです。その辺のところは、これはもう審議をなさっているのは、与野党全部でお話をいろいろ自由にやられる。そういう場合に、どういう感じかというふうなことを聞かれた場合に、何も申し上げないとは申しませんけれども、この場でいきなり、ここが不満だ、あそこがいいというふうに言うことだけは御勘弁願いたいと思うのですが、ひとつあしからず。
#110
○勝澤委員 公取委員長は、しんからこの審議についてわれわれに協力をして実のある発言をする用意があると受け取りましたので、十分これからの審議に意見を出していただきたい、こう思うわけでございます。
 以上、私の質問をこれで終わりますが、後に出されました資料に基づきまして、できるならば委員長、もうしばらくの時間をおかしいただいて私にも質問をさしていただきたい。なぜならば、まだまだ重要な諸点が残っているわけであります。
 なお、引き続いてちょっと板川委員が資料の要求がありますので、ぜひお許しをいただきたいと思います。
#111
○山村委員長 この際、板川正吾君から資料要求について発言を求められておりますので、これを許します。板川正吾君。
#112
○板川委員 独禁法審議に関しまして若干資料を要求いたしたいと思います。お取り計らいをお願い申し上げます。
 大体の件名を申し上げますと、アメリカのハリス法案 ハート法案の内容に関する資料、これは公取だと思います。
 それから、企業集団の持ち合い株調査を公取は過去において数回やっておるかと思いますから、これに関する資料を提出していただきたい。
 それから、生産力集中度の最近の調査をこれまた公取はやっておられるように伺っております。なかなか個人的に要求したのでは資料を出しませんから、当委員会から正式に要求をする次第です。
 それから、巨大企業の経済力集中度調査というのもやっておるはずでありますから、これもお願いいたします。
 それから、先ほど勝澤委員から触れられました七条のその他の排除措置、その他の排除措置をとった件名、年月日、そういうものを詳しくひとつ資料として提出を願います。そうすれば括弧書きの点についても従来の措置でやり得るものがあるというふうに感じますから、その資料を出していただきたい。
 それから、四十条の調査の実績、従来四十条を発動してどういう案件について調査をしたか、その実績を克明に報告をしていただきたい。そして、その結果を公表したものもあわせて報告を願います。
 それから、事業者団体の数、役員数、構成員その他について事業者団体の資料提出を願います。ある全国的な事業者団体ですと、十二万の構成員を擁しておるわけでありますから、その構成員全員に課徴金をかけるということになればどういうことになるかということも知りたいのであります。
 それから次は、アメリカの連邦取引委員会で七〇年以降に主要調査をいたしております。商品別の原価等報告さしておるというのを文献で知っておりますが、これを正式に公取の調査がありましたらば出していただきたい。
 主要国の独禁法関係の人員、これも出していただきたいと思います。
 それから、独占的状態の占拠率、一社二分の一、二社四分の三を超える企業、年間五百億の売り上げ、これはどの企業が入るのか、これを企業名を明らかにしていただきたい。独占的状態の企業名、年間売り上げ、あるいは資本金、総資産、こういったものを正確に提出を願います。
 それからあとは、勝澤委員からも触れられましたが、四十条の二の業種、九条の二の株式保有制限に対する公取と総理府の見解の差、さらに政令の案については、たくさん政令事項がありますから、その政令事項のすべてについて政令の骨子を提出願います。
 あとは、勝澤委員からも総理府と公取に石油カルテルの計算について請求がありました。これは当然でありますが、正式に提出をしていただきたいと思います。
 それから、主要産業の生産量の国際的比較及び主要産業の大企業の規模の国際的比較、こうした調査があり得ると思いますから、ひとつ独禁法の審議のポイントとするために資料提出を委員長から取り計らっていただきたいと思います。
#113
○山村委員長 ただいまの板川委員からの資料要求につきましては、御趣旨に添えるよう委員長から関係当局に申し入れることにいたします。
 田中六助君。
#114
○田中(六)委員 独禁法がいよいよ私どもの審議の過程に上ったわけでございますが、非常におかしなことがあるわけで、大体独禁法そのものの精神は自由主義、資本主義、そういうものをいかにみずみずしいものにするか、活力あるものにするかというのがそもそもこの独禁法なのに、財界とか、非常に残念ですがわが党の一部に、自由主義の根幹に触れるとか資本主義の根幹に触れるものでおかしいと、こういうものと本当は反対の立場にある野党の人々さえこれに賛成しているのに全くおかしなことが展開しているわけで、こういう点に関して、せっかく植木長官も高橋公取委員長も非常に御苦心をなさってつくり上げられた、こういうしろものでございますので、もう少しPRをしたらどうかと思いますが、そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか、お二方の答えを聞きたいと思います。
    〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕
#115
○植木国務大臣 いま御指摘のとおり独禁法は公正かつ自由な競争を促進いたしまして事業者の創意を発揮させ、企業活動を盛んにすることによりまして雇用及び国民実所得の水準を高め、もって一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的といたしております。したがいまして、私どもといたしましては、今回の独禁法の改正に当たりまして、日本経済を取り巻く経済変化に対応いたしまして企業の活力を生かした自由経済の長所が十分発揮されるように配慮してまいったのでございまして、これは自由経済に新しい活力を与えるための法律案でございます。
 なお、この点についてのPRが不足しているではないかということでございますが、私どもといたしましては、国民の理解を得られる法律案をつくりたいということで努力をしてまいりました。今後も理解が得られますように強力に努力をしてまいります。
#116
○高橋(俊)政府委員 田中さんがおっしゃったことはまさにそのものずばりでございますので、私どもとしてはそういう観点からこの独禁法強化にいろいろと知恵を出していただきたい、私どもも出した線が完璧であるとは思っておりません。決して欠点のないものじゃないのでして、私どもの公取試案が最良であると決めるのははなはだしく僭越だと私は思います。そういう点でもっと多数の方のお知恵を拝借しながらもっと効果的な方法がないか、さらにこれは財界等には好ましくない改正であることは間違いないわけです。その辺のところはある程度これは覚悟していかなければならぬ。したがいまして、ただいま田中委員の非常な力強い御激励をいただきまして私どもも非常にありがたく思います。
 なお、PRという点につきましては、この法案の審議そのものが一つのPRになるのではないだろうかと私は考えております。
#117
○田中(六)委員 お二人の意見の開陳がございましたが、私に言わせるならば、こういう重大な法案を非常に短時日に集約したというところに多少の――多少どころか大きな無理が出てきたような気がするのですが、といって、これは時間をかけたからまだいいものができるというふうな解釈もできませず、ただ私はこの独禁法の精神というものをPRというような、単にPRするしないということもさることながら、本当の精神をお二人が体得しておるかどうかということに多少疑問を持つのです。というのは文字の羅列とか文字の修正に終始をしたような、全体の法案を見るとここはどうしたらどういうふうに逃れられるだろうかというような字句の修正に非常に骨を折ったというような印象を受けるわけです。それでは独禁法の精神というものは吹っ飛ぶわけで、その点エアハルトなどが二十七、八年前に、自分の党のあらゆるばり雑言も退けて、これだということでその信念を突き通していった独禁法が非常にドイツを救っている、ドイツを助けている。あるいはアメリカなども歴代の大統領がこぞって独禁法について強化しなければならないというふうな表現をしておりますし、御承知のように、昨年フォード大統領が新政策を十項目出しておりますが、あの三番目にやはり独禁法の強化をうたっているわけです。したがって、そういう認識というものが足りない。国内だけの独禁法じゃなくて、すでに日本というのは国際的にも国際経済の中にあるという意識が足りないから、したがって妙なところで問題を起こすわけでございまして、ここに一つ非常にいいことがあるのですが、私参考になると思うのです。
 一九五八年の北部太平洋鉄道事件の判決の中で、もちろんアメリカでございますが、最高裁の判例の言葉にこういうのがあるのです。「独禁法は、経済的自由の包括的な憲章として制定され、取引のルールとして、自由で拘束されない競争を維持することを目的としている。それは、競争要因の活力ある機能が、一方においてわが国の経済的資源の最適配分、最低の価格、最高の品質、物質的な進歩をもたらすとともに、他方においてわが国の民主的な政治的社会的制度の維持のための条件を整備するという考えに立っている。」ということを最高裁の判例で言って、これは独禁法というのはただ経済だけに適用するものではなくて、あらゆる社会的、政治的なものに適用できるんだ、したがってアメリカの憲法の中にこの独禁法の精神を入れ込まねばならないということまで断定しているのです。そういう一つの独禁法の精神だということに皆さんが徹するならば、私はこの法案の改正とか強化について文句なしに国家国民のために貫かれるんだという意識が出てきて、ただ字句の修正とか文言がどうだとかいうことの考えが吹っ飛ぶのではないかという気がするのでございますので、十分本当に市場メカニズムを生かして、自由主義の経済を生かそうというんだったら、そういった観点からこの問題を考えたらいいんじゃないかというふうに考えるわけです。したがって、総務長官と公取委員長が何か意見の食い違いがあって、それがあちらこちらにまた波及して問題を提起するんだというようなことを考えている人もおりますし、そうじゃあるまいか、いやそうじゃない、いろいろな言い分があるようでございますが、これらのうわさあるいはこれらが事実かどうか、この法案が結論づけられたときの両者の立場、どういうふうにしてこの成案を得たかということを改めて御両者に聞きたいと思います。
#118
○植木国務大臣 田中委員から文字の羅列ではないかというお話でございましたが、そのようなことはございませんで、私どもといたしましては、独禁法の強化のために努力をしたのでございます。今回の改正を行うに当たりましては、独禁法改正問題懇談会を開催いたしまして、広く各界の意見を聞きますとともに、関係諸官庁あるいは自由民主党との調整を図りながら作業を進めましたが、公正取引委員会につきましても、公正取引委員会試案を重要な参考資料としましたほか、この間随時十分な意見の交換をしておりまして、すべての点で完全に公正取引委員会が満足せられているものではないといたしましても、現在の時点での改正案としては納得を得たものと考えております。また、具体的条文の作成に当たりましては、公正取引委員会事務局と協力して行いまして、技術的な検討も両者で行っているのでございます。
 なお、先ほども申し上げましたが、改正法案の閣議の整理は総理府の長としての総理大臣が行いましたが、内部手続といたしましては、公正取引委員会の事務局が起案をいたしまして、公正取引委員会委員長及び委員全員の決裁を得ました上、総理府に合議をせられまして総務長官の決裁をしたという状況でございまして、両者の間には非常に緊密な連絡をとっているところでございます。
#119
○高橋(俊)政府委員 ただいまの点について総務長官のおっしゃったこととほとんど変わりありません。私どもも全然たな上げされた状態でこの法律案がつくられたんじゃありません。連絡は常時受けております。ことに事務当局がその連絡に当たっている場合が多かったのでございますが、その間十分な連絡がございましたが、いろいろな各方面からの意見の取りまとめに当たりまして、われわれの方に対していろいろな意見を言ってこられ、それに対して、私の方はどうもこれだけは御勘弁願いだいとかいうことであった、その点がそのとおりになったとは限らない、あるいは私どもが要望申し上げても全部それが採用になっているわけじゃない。これは公取試案との比較――しかし私は公取試案がベストだとは決して申しませんけれども、その間において緊密なる連絡を受けたということだけは確かでございまして、その間全部すべての意見が、私どもの考え方が織り込まれたとは申しかねますけれども、しかしそれでも現在の段階で各方面の意見を政府側でまとめようとすればこういうものになるということも私はやむを得ないケースではなかろうか、こう考えております。
#120
○田中(六)委員 いま長官と委員長の説明を聞きますと、その間の意見の食い違いは多少あったが、しかしこの結論を得るまでには十分話し合った、いろいろな各方面の意見を組み立てるならこの程度の法案しかできなかっただろうという委員長の発言でございますし、私もそのように思いますし、したがって総理府と公取、この両者は、この法案に関する限りは共同の責任があるというふうに解釈してよろしいのでしょうか。特に公取委員長にお聞きしたいと思います。
#121
○高橋(俊)政府委員 端的に申します。私どももその責任の一半を負っております。決してその責任逃れをするつもりはありません。ただ、先ほど申しましたように、いろいろ意見の引き合わせのうちで必ずしも私どもの要望も入れられない場合もあります。また、いろいろな食い違いがあったけれども、結局まとめるということになると、こうなってしまうということでございますので、その辺改めて申し上げておきます。
#122
○田中(六)委員 要望の全部は入れられなかったが、責任はあるという御発言でございますし、私もそれをお聞きいたしまして、この法案の前途というものに対する私の心構え、気構えもはっきりして、非常に委員長の発言は参考になったと思います。
 それから、この法案の性格並びに精神を申し上げたのですが、この法案を一つの紛争と申しますか、トラブルのるつぼに投げ込んだ原因と申しますか、そういうものを私が感ずるもう一つのことがあるんですが、それは政府あるいは一部で、独禁法が産業政策に介入するからいけない、あるいは産業政策に触れるからどうのこうのというような言葉があったわけでございますが、私は、独禁法というものの性格とか独禁法というものが何物かということを十分認識すれば、産業政策との触れ合いも十分理解できるというふうに信じております。ワルター・オイケンとか、あるいは日本でも神戸大学の新野さんなども言っておるのですが、産業政策というものの中に独禁法が包含されるのは事実ですが、独禁法は質的なものであって、産業政策は量的なものである、そういう仕分けをまずするならばおのずから答えは出るのであって、現に不況カルテルあるいはその他のことで独禁法が現実に現法案で産業政策に触れている点は多々あるわけでございまして、そういうことは無視して、見ないかっこうをして、次にあらわれることに対して産業政策と独禁政策との兼ね合いを云々して言い逃れをつくるという弊が、多少どころかこの法案をつくる過程で非常にいろいろ出てきたことを私は残念に思うのですが、こういう点について総務長官はどのようにお考えでしょうか。
#123
○植木国務大臣 経済に関する政策というのはいろいろあるわけでございます。いま量的な政策、質的な政策という表現をとられましたが、私はたとえて申しますならば、たとえば通商産業政策あるいは土木政策あるいは運輸政策というような政策は、いわば縦の産業に関する政策である、経済に関する政策であると存じます。それに対しまして、新しく横の政策と申しますか、たとえば環境政策でありますとか、あるいは競争政策でありますとかいうようなものがあると思うのでございます。したがいまして、これらの縦の政策と横の政策が整合をすることによりまして国民経済が発展をしていくと考えているのでございまして、この問題に関しまして、たとえば権限の争いの問題であるとかなんとかいうような見解がもしあるといたしますならばそれは誤りであって、全体としての経済に関する政策というものの整合性を保つために今回競争政策の強化が必要である、こういうふうに私どもは認識をし、法律案をつくったのでございます。
#124
○田中(六)委員 総務長官の答弁は、私に言わせればもう百点満点で、これはやはりそういう認識を持っておられるならば、この法案のつくり方に誤りがなかったというふうに私は断定せざるを得ないわけであります。
 次は、この法案の内容に入るわけでございますが、大体実のあるところは勝澤議員がほとんど手をつけて、つばをつけておりますので、私は問題を広げずに、少し狭めて御質問したいと思います。
 構造規制のところの問題でございますが、現行法の第七条、これはいろいろ学者にも問題があるし、私どもも問題にしているわけですが、この七条は、御承知のように「第三条又は前条第一項若しくは第二項の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、事業者に対し、届出を命じ、又は当該行為の差止、営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」となっておるのです。そうすると、これでは構造規制、つまり企業分割などはできないんだということで、第七条というものが私に言わせれば本当に生かされてなかった。したがって、ここで、企業分割をこの七条で本当は行えるんじゃないかという疑問がわくのです。と申しますのは、アメリカではやはりはっきりした営業の譲渡とかあるいは会社を分割するというような発想法はなくて、ただこういう一つの営業の一部の譲渡というような規定で、現実に二十数社の企業分割をやっておるのです。
 私はこれで思い出すのですが、現行法の改正時点で、つまり昭和二十八年の改正時点で旧八条が消えたんですが、この規定は、公取委員長も総務長官も専門家ですからおわかりだと思うのですが、不当な事業能力の較差に関する規定で、そのときは一般に企業分割条項と呼ばれておったものです。これがなくなったから企業分割はできないんだというふうな解釈のもとで、第七条にそういうものができないというふうになっておるのかどうか、この点公取委員長にお聞きしたいと思います。
#125
○高橋(俊)政府委員 七条にあるのは、私的独占を行った場合ですね。もちろん不当な取引制限と並べて三条で禁止しておりますから、それに反したものについては、営業の一部の譲渡を含めて排除措置がとれるとなっております。しかし、私は、解釈上はやはり私的独占というものについて営業譲渡が命じ得るというふうに解釈しております。しかし、私的独占というのは比較的――わが国では定義づけがございます。これは定義の項で第二条にございますが、いかにも何か能動的に、積極的に私的独占を図る行為を行った場合にそれに該当する、こうなっておりますから、他の事業者の事業活動を排除するというふうなことをうたっております。そして能動的である、非常に積極的な活動が伴っていなければならないというふうに読むべきである、こうなっている。それに対して、私どもが今度独占的状態という言葉を使いましたのは、何もあえてそういう積極的な行動をとったことが明白でない場合でも、自然に独占化してしまった、独占状態になってしまったという場合には、私的独占の項を当てはめることができない、定義が変わっておりますから、そこでそれに対しては別途の措置が、手当てが必要ではないか。しかし、その場合でも、独占的状態になったら常に一部譲渡を含めた措置が必要かと申しますと、私はそうと思いません。これは今度の条文の中にもいろいろと歯どめがありますが、とにかくその独占状態から弊害が出てきているということがはっきりしない限りはやらない。だから、独占企業的状態になりましても、例外としては何ら弊害のない場合がある。そういうものは分割の――広い意味の分割ですね、あるいは一部譲渡の対象とはしない、こういうのでありまして、現在まで私的独占でやりましたものでは一部譲渡を命じた例がございません。旧八条との関係におきましては、私は、本当は今度の独占的状態のものは非常に似ていると思います。ただ、違ったところが一点あるわけです。それは旧八条の場合は一社のガリバー型寡占ということ、一社だけがずば抜けて能力が大きくて、その次との較差が著しく大きい、事業能力の違いが大きいという場合に旧八条が働く。今度は一社または二社がと、こうなっておりますから、その点複数制をとっておる。これはいろいろな論議の結果、公取の試案の中で、一社ではなくて二社の場合も入れるべきじゃないかということからそうなったというところで、多少ごてごてした結果になったと私は思います。
#126
○田中(六)委員 私は、現行法の第七条自体だけについてちょっとお聞きしたがったのですが、委員長は私的独占と、それから独占的状態、いまの改正案、つまり政府案との比較で申されたのですが、法制局にちょっと聞きたいのですが、日本と同じような、つまり日本の独禁法と同じ行為規制をアメリカは御承知のようにとっているのです。アメリカの反トラスト法では現実の運用において、現実に結合体の解体にまで及んでいるのですから、それでいま言ったように二十何社というものが現実に企業分割できているのです。したがって、七条で同じ行為規制を日本がとっておるのだったらそういうものはできないか。アメリカの反トラスト法で見ますと、違法行為の反復を防ぐという見地から、違法行為の源泉となった経済力を打破して競争の復活、維持を図ることがその重要な目的とされているということから、こういうことを日本にも適用すれば、構造規制措置の可能性は私はいまの七条で十分肯定できるのじゃないかという気がするわけですね。それで、特に独禁法の第一条の目的に書かれている、つまり事業支配力の過度の集中の防止、こういう目的が第一条にある限り、第七条というものがそういう点で生きるのじゃないかという気がするのですが、その点は法制局はどういうふうにお考えでしょうか。
#127
○味村政府委員 現行法の第七条は「営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」というわけでございますから、この例を私的独占にとりますれば、私的独占を排除するために「必要な措置」、これは客観的に必要と認められる措置でございます。そのような措置をとることができるということになるわけでございます。したがいまして、その「必要な措置」というのが何かということは、これはケース・バイ・ケースで判断するということになろうかと思うわけでございます。「営業の一部の譲渡」というのは、これはその当該企業の営業の一部を他の企業なりに譲渡するわけでございますから、実質的には企業の営業施設、営業活動を分割するという結果になるわけでございますが、そのようなことをしなければこの私的独占を排除できないというようなことになりますれば、もちろんそのような措置をとることができると考えます。
#128
○田中(六)委員 半ば肯定してなくて半ば肯定したというような御意見ですが、私はそれだったら第七条でそういうことがアメリカと同様にできるという確信を持つのです。それで、現に日本の法律学者でもほとんどの人ができるということを言うのです。したがって、私は今度の政府の改正案が余りにもややこしくて、余りにも歯どめが野越え山越え六つぐらいあって、そうしてそれができるというようなことならば、そう無理してまでという気が起こるものですからちょっと聞いてみたわけです。
 それで、営業の譲渡、今度の政府の改正案ですが、これにメスを入れてみたいのですが、つまり独占的状態の存在することが今回の場合まず前提です。それが八条の四の第一項ですが、この法律で独占的状態とは何ぞや、第二条の七項でそういうことを言っているのですが、先ほど公取委員長が言いましたように、一つの構造的な基準として一社で五〇%、それから二社で七五%というものがある。
 それから、もう一つ重大なのは、二つの成果基準というのがあるのです。これが問題なんです。つまり成果基準というのは、公取の試案の中でもこれは問題になったのですが、なぜ問題になったかと言いますと、これは公取委員長十分わかるのですが、新規参入が著しく困難な場合ということを公取の試案でも言っているのですが、具体的に新規参入が著しく困難といった場合のとらえ方が問題になるから、したがってそういう成果基準を持ち込んでもいいのだろうかという批判があったにもかかわらず、今回これをまたさらにたくさんしているわけですね。なぜそういう成果基準が問題になるかといいますと、どうしてもそういうものがありますと定義づけられないので非常にあいまいな解釈になってきますと、この独禁法の独占企業の抜け道を出すようなものになるし、政策担当者自身の政治的な意図がずっとそれに実現されてくる。そういうような二つの要素で、そういう一つの成果基準というものは本当は避けなければいかぬ。それが今回さらに新規参入に加わったものは、価格の変動、それから標準利益率、それから過大な一般管理費、販売費、そういう不確定要素というものがざらりと出てくる。たとえば価格の変動はどういうふうに、どこからどこまでが価格の変動か。標準利益率というものはそれならどこからどこまでだ。一般の管理費とか販売費が非常に過大だと言う、何を称して過大と言うのかという問題がどうしても出てくるのです。したがって、ここにそういう不確定要素を持ち込むと独占的状態の判断基準がどこかで狂ってくるし、また人間のことですからいろんな裏があって意図的になる、そういうものとこれが関連してくるのですが、そういうことをお考えになったかどうか、総務長官と公取委員長にお伺いしたいと思います。
#129
○植木国務大臣 独占的状態に対しまする措置の目的は、有効な競争を回復いたしまして経済効率を改善することにあることは申し上げるまでもございません。したがいまして、企業分割の結果生産コストが著しく上昇しますとか、あるいは企業の経理が不健全になって競争能力を欠くようになる場合、あるいは外国商品との競争が困難となることなどは国民経済上好ましくない結果を招きますので、排除措置を命じないことにしたのでございます。
 また、企業分割は、当該企業はもとより関連部門に非常に大きな影響をもたらしますので、あくまで最後に残された非常手段というふうに考えているのでございまして、他に競争を回復する有効な手段があればできるだけその手段によってやるべきであるという基本的な考え方なのでございます。御理解をいただきたいと思います。
#130
○高橋(俊)政府委員 お尋ねの趣旨は、私があるいは聞き違えておるかもしれませんけれども、要するに私的独占の場合には非常に簡単な定義がついております。これは現行法でそうなっているのでいじらなかったと言えばそれまでなんですが、独占的状態になりますと、いろいろいまおっしゃった、少なくともシェアがこうなければいかぬというのは数字ではっきり出ているのです。それから、新規参入が困難であるとか、あるいは利益率、経費がどうであるとかいうことまで丹念に書いてあるのです。ただしかし、それは具体的な場合になればそこに判断が加わりますが、しかしこれだけはっきりいろいろ定義づけられますと、やはりその判断という幅は非常に狭められてくる。やはり私は独占的な状態が現実に弊害をもたらすような場合、競争を完全に抑圧するということですね、競争を完全に抑圧して、そのためにまた弊害がはっきりしておる場合というふうな、そういう抽象的なものを一応書いておいて、あとは具体的にそのケース・バイ・ケースで判断する。しかし、それはもちろん非常識な取り上げ方はとうていできないわけでございますから、その辺は公取の良識というふうなものにも任していただいてもいいんじゃなかったかと思うのですけれども、それはわれわれの欲張った考え方でありまして、やはりそうは許せぬ、やはり非常に厳重に規定しておいて、これに当てはまるものでなければ取り上げることはまかりならぬし、また実際に排除措置、分割というか譲渡を命じようとするときにはさらにいろいろな制約をつけ加えられる、こうなっておりますので、一見非常に困難なようでありますが、私は、これだけ縛られてもやろうと思えばできないわけじゃない、こういうふうに思っております。アメリカの場合には、もうこういう法制がきわめて単純で一行ですべてができるような、シャーマン法がそうなっております。しかし、現代の法律でしたら、あれほど簡単にはできなかったのじゃないかと思うのですが、いまでもあの法律が有効に働いている点は、もうほとんど司法省あるいは裁判所に全面的に判例依存、判例といいますか判断をゆだねている、こういうふうに思う次第であります。
#131
○田中(六)委員 私の言っていることと多少答弁が食い違っているのですが、私はさっき総務長官とそれから公取委員長が言っておられる問題そのものが弱点であり、問題だと思う。
 さらに言いたいのは、いま総務長官が御指摘になったように、事業者の経理が不健全だ、あるいは国際競争力とか、そういうものを取り上げておるわけですが、それなら国際競争力とはおまえ何ぞや、経理が不健全だというが、その不健全の度合いはどうだというようなことを言われた場合に、そういう概念というのが私は不明確だと言うのです。以前指摘しました価格変動とか管理費、そういうものが過大だということも不明確。さらに、それに輪をかけて今度はまた不明確なものを積み重ねている。そういうものがあるからかえって問題がすりかえられていくのじゃないかという懸念がするし、それが弱点である。つまり原則と例外というものが逆転しているのですね。例外が原則みたいになって原則が例外みたいになっておるのが、何となくここに展開されている企業分割、構造規制になるのですが、そういうものじゃないか。いまいみじくも委員長はシャーマン法を言ったけれども、シャーマン法は一条から八条まであって、本当に機能しているのは一条と二条だけでしょう。それほど簡単なことをやるのですよ。それなのに、独禁法の母国のアメリカのまねをしていると言いながら、複雑に複雑に複雑に持っていくということはどういうことだ。だから、そういう複雑なことをせぬでも、現行法の七条で生かされるものだったら、本当にこれを生かしたらいいんじゃないかというのが私が最初に七条を聞いた意図であって、それでもできないというならばそれで仕方がないのです。本当は法律というものはできるだけ簡略にして、特に大衆に喜ばれるような法律というのは皆さんがわかるようにわかるようにしてやるのが――法の一つの体系上いままでのやり口になじまないとか言う。そういうものは新しくつくったらいいのです。つくるのはこちらでつくるのですから、国会で。だから、そういう案というものを練るときに、少し頭を切りかえて単純化していくという頭を持たなければならない。二十世紀の後半になっても百年前と同じようなことを、ずっと一条から何条までつくってどうとかこうとか、それこそ野越え山越えしていかなければたどりつかないような法律をつくるのはどういうことだろう。そういう点にちょっと疑問がわくわけですね。
 それから、「競争を回復するに足りると認められる他の措置」というのがありますね。これは、「他の措置」というのはどういうことを想定しているのでしょうか。植木総務長官、お答え願いたいと思います。
#132
○原政府委員 競争を回復させるための他の措置と申しますのは、これは公取試案でも最後の手段でやるのである。だから、他の措置によって競争が回復できるならば、それは必要がないということです。
 そこで、他の措置とは一体どんなことが考えられるかと申しますと、たとえば競争に関係ある商品の輸入についてたとえば関税率を下げるとか、あるいは資本の自由化になっておりますけれども、そういう外国の会社が来るとか、その他いろいろ他の措置というものは考えられるというふうに思います。ただ、他の措置をただやるやると言っているだけで免れるということはとてもできないことでありますので、客観的にそういうことができるというふうに認められる場合だけについてそういう規定が置いてあるわけでございます。
#133
○田中(六)委員 そういたしますと、他の措置というのは大した意味がないという解釈にもなるわけですが、そういうことなんでしょう。
 それから、これは勝澤委員も質問しておりましたが、やはりどうしても気になるのは、公取委が審判手続の開始前と審決前の二回にわたって主務大臣と協議する、これは四十九条の四項と五十三条のどこかだったと思います。こういうことをやるということは、すでにお答えになっておりましたけれども、準司法的な性格を持つ公取委、それから二十八条の公取委の委員長は独立して職権を行うという、つまり独立権、そういうものに確実に抵触すると私は思うのです。
    〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕
これをそうじゃないというなら、たとえば単純な例ですけれども、裁判所が――これは明らかに第一審ですから。この場合の公取は第一審ですね、二審が東京高裁ですから。裁判所で裁判にいまからかける。どこかの人に、第三者にいまから裁判をこの人にかけますよ、そういうようなことを相談する裁判がどこにありますか。長い間事実認定をずっとやってきて、それはある事件によっては十年かかるかもわからぬですね。そして、いよいよ判決を下す。つまり審決は判決ですから。その前にまた、いまからこういう罰をやりますよ。それは事実認定をやるときに裁判所に来ているなら別です。しかし、そこにも来なくて主務大臣に御相談するというようなことがあっていいものかどうか。私はこういうことは法の整合性というものから見ると、どう考えても、法律をちょっとでも勉強した人だったら、それこそ裸の王様じゃないけれども、子供が不思議に思うと思うのです。私は、そういう点で法制局はどういうふうにこれを思っているのかお聞きしたいと思うのです。
#134
○味村政府委員 分割につきまして協議を必要とする理由は、先ほど総務長官がおっしゃられたとおりでございますが、公取委が準司法機関であると言われておりますのは、審判の手続が訴訟手続に準じた手続によってやられておる。それは結局、その手続を慎重にし、被審人の利益も守り、利害関係人の利益も十分考慮しつつそのような慎重な手続によってやるのだ、審判をするのだ、こういうことからできているわけでございます。しかし、公正取引委員会が行政機関である、行政目的を達成するための機関であるということは争いのないところでございまして、行政機関でございます以上、政策的に主務大臣との協議が必要であると判断される場合にその協議を必要とするということは、別に公正取引委員会の性格に反するものではないと考えます。(発言する者あり)
#135
○山村委員長 御静粛に願います。
#136
○田中(六)委員 私が聞きますので、ちょっと失礼ですがお静かに。
 いまの答弁ですが、審査をやっていく、すなわち審決をやる、つまり判決をやるわけですが、そういうところに証拠物件とか証拠書類とか証拠のものを出しながらずっと事実認定をやって積み上げてきて、そして判決というものがあるのでしょう。そういう場合に、全然その場にも居合わせぬ、その事実のことも余り知らなくて――知らないというのは語弊があるけれども、そういうような人と相談して判決をする、審決するということは、私はどうしてもあなたの説明では納得できない。つまり公取の審決というのはあくまで法律的な判断だと私は思うのです。それが、政策的なあるいは政治的な配慮を持った人たちとそれを協議するということはやはり大きな疑点を残すのじゃないですか。そんなにあなたみたいに割り切って、ぱんと突き放すようなことでおさまるかどうか。これは私は将来の大きな何かに対する第一歩を踏み出すような気がするので、もう一度法制局の御答弁をお願いしたいと思います。(発言する者あり)
#137
○山村委員長 御静粛に願います。
#138
○味村政府委員 公正取引委員会が審決を行いますのは、この独禁法の第一条に規定してある目的の実現を図るために行うわけでございます。この目的は結局は「国民経済の民主的で健全な発達を促進する」ということでございますので、そのような観点からこのような権限を行います公正取引委員会の独立性というものがこの権限を行うのに適当であるというところから、私的独占禁止法において規定されているわけでございます。この際に、この目的を実現いたしますために、先ほど申し上げましたような準司法手続が定められているわけでございますが、ただいまの御質問は、準司法手続が定められているのにかかわらず、その司法手続に参加しておらない主務大臣が協議に参加することは準司法手続を定めているところと矛盾しはしないのか、こういう御質問であったと存じます。しかしながら、公正取引委員会の行います措置というものは、この独禁法第一条の趣旨を達成するためでございまして、それは結局国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とするわけでございます。国民経済の民主的で健全な発達を促進するということは主務大臣もまた考えているわけでございますので、その間に協議をするということは何ら独禁法の趣旨に反するものではないと考えます。
#139
○田中(六)委員 法制局にお尋ねしても同じようなことでしょうから……。
 これは一部の学者も書いたり言ったりしているのですが、私もそうしたらどうかと思う点があるので、ちょっと総務長官、公取委員長にお聞きしたいのですが、そういう大きな疑問を投げかけたものを無理やりにするよりも、この二十七条で、つまり任務、所轄の二項のところで「公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」いろいろなところで内閣総理大臣は、この後も出てきますが、どうしてもそういうふうに気になるならば、いっそのこと協議を内閣総理大臣としたらどうか。あるいは内閣総理大臣にビトーというか拒否権を与えるか、そういうようなものに何か似た、これはどろどろしてまだ何にもコンクリートにならないわけですが、そういうようなことは一つの考えにならないかどうか。そういうことについて委員長並びに総務長官のお答えをお願いしたい。
#140
○高橋(俊)政府委員 これはいま田中委員がおっしゃった、それを準司法手続でもって審判を行い、審決を下すんだ、この場合は初めから審判手続でございますから、そういう点特に丁重に扱っているわけです。ところが、協議する相手を主務大臣ではなくて総理大臣ということになりますと、本来その次の条文の二十八条が独立を保障しているのと完全に矛盾するという感じが私はします。というのは、総理大臣というのは行政府の最高責任者でございます。ところが、いまおっしゃっている私どもの方の準司法的機関であるというのは、文字どおり第一審として扱われる。ですから、次のコースは東京高裁にいってしまう。そこで、不満ならばさらに最高裁までいく、こういう司法の経路を歩むことになっているわけです、法のたてまえがすべて。この場合主務大臣でなくて総理大臣ということになりますと、実は総理大臣は行政府の長ですから、協議ということではなくて、もうそこで完全な介入が行われるということであれば、これはもう私どもの独立性はない。それからまた逆に、総理大臣と協議して、私どもがそれを断るということになりますと、行政府の最高責任者をいたく傷つけることになるわけですね。ですから、むしろそれは避けて、それはそうでなくて、争いがあるならば、やはり司法の――これは確かにアメリカのまねでございます。しかし、各国とも結局はこれは司法手続によっております。これは私どもですが、司法機関を経由していくというふうにするためには、むしろそういった総理大臣との協議というふうなことは絶対避けなければならないんじゃないかと思います。せっかくの御意見ですが……。
#141
○植木国務大臣 この点につきましては、いろいろな御意見があったことは御承知のとおりでございます。
 まず、公正取引委員会は準司法的な機関でございまして、一審省略になるわけでございますが、先ほど来の御論議の中で私感じましたことは、独禁法の運用は行政権に属するわけでございます。したがって、純粋の司法権とは異なるという扱いを受けているということは、御理解いただけると思うのでございます。
 内閣総理大臣との協議はどうかということでございますが、これでは、この内閣総理大臣の行う行政というものと公正取引委員会との行政とはかかわりがなく、またかえって職務上、上下関係が生ずるおそれが起こると思うのでありまして、これは適当ではないと申し上げざるを得ないのでございます。
#142
○田中(六)委員 時間があと五分ですから、あと一点です。
 これは株主総会との問題です。営業の重要な一部の譲渡との関係ですが、独占的状態があって、そうしていろいろありますね。それで、重要な一部の譲渡が命じられた。それにもかかわらず、株主総会の特別決議でこれを否定した場合はどうなるかということは、もうすでに自民党の山中調査会でも問題になったのですが、この点株主総会の特別決議で否定された場合はどうなるのでしょうか。商法の二百四十五条ですね。
 それはどっちですか、法制局……。
#143
○味村政府委員 商法は営業の重要な一部の譲渡につきましては株主総会の特別決議を必要といたしております。したがいまして、商法の規定によりますと、営業の重要な一部の譲渡を仮に公正取引委員会が当該企業に対して命じました場合に、その株主総会が営業の重要な一部の譲渡について特別決議をしないということに相なりますと、これは商法の規定によりまして営業の譲渡はできないということになろうかと思います。しかしながら、その場合におきましても公正取引委員会が出しました営業の重要な一部の譲渡命令は、効力が残っておりますから、したがいまして会社の代表取締役は、その公正取引委員会の命令に従うべくあらゆる努力を尽くさなければならないということになろうかと思います。
#144
○田中(六)委員 そうすると、この場合、審決にどうしても従わなかったという場合はどうなるのでしょう。
#145
○植木国務大臣 法制局から御答弁したとおりでございますが、真摯な努力を行って審決の内容を実現するということがない場合には、審決違反として刑事責任が追及されることになります。
#146
○田中(六)委員 それはつまり、独禁法の条文によるのか、商法の条文によるのか。独禁法ですね。
#147
○高橋(俊)政府委員 ちょっと私から答えさせていただきますが、いまの株主総会のために、特に審決確定まで三ヵ月という期間を置いてあるわけです。ということは、株主総会をその間に開ける。開いて、賛成を得られなかった場合には、その社長は、自分の判断ですが、自分で会社として不服の訴えで高裁に持っていけばいいということだと私は思うのです。高裁にも訴えず、ただ審決に違反する、審決に従わぬという中途半端なことをすれば、やはり独禁法による審決違反ということになろうかと思います、審決に従わないわけですから。従う必要はないのですよ、必ずしも公取の審決に従う必要はないので、それは不服の訴えを東京高裁に起こせばいいのです。ですから、そういう道がちゃんとある以上は、それもとらないで違反を続けているということであれば、これは審決違反というふうになると思います。
#148
○田中(六)委員 そういう期間があるのはもちろんぼくは知っているのですが、それでも言うことを聞かない場合は刑事責任というのですが、そういうあいまいなことを――私は、つまり公取が準司法機関であって、しかも競争の維持という一つのパブリックポリシーというものを持っているのですから、そういう観点からすれば、ちょうど裁判所の会社解散命令が商法にありますので、そういうようなことで公取の命令を総会の決議に優先させることが、そういうことを考えれば理論的には私は十分可能だと思うのです。しかし、非常にあいまいな点を残すから、したがってここで何かやはり株主総会の何とかを要しないとかというようなことを一言つけておいたらどうかという気がするのですが、その点はどうです。
#149
○高橋(俊)政府委員 問題を明快にするためには、やはり会社の経営責任者が自分の判断で審決に従うか、不服の訴えを起こすかということをやるのが一番私は素直だと思いますから、御提言は大変結構だと思います。ただし、株主の意向を尊重してやりたいという経営者の気持ちがあるとすれば、それでそごを来す、三分の二の多数を得られなかった場合に、それでは不服の訴えを起こしましょう、こういうふうに決意するのも私は自由だと思います。それは現行法になくても道を選ぶ方法はある。ただし、否決された場合に勧告を受諾したいという場合、これは問題ですね。それはあります。否決されてもなおかつ経営者はもう争いたくないという場合がもしあるとすれば、いまのように三分の二の特別決議を要しないというふうに書いておけば、経営者だけの判断でいける。どちらがいいかという問題であります。
#150
○田中(六)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、総務長官や公取委員長のもう非常な御努力でこういう政府案ができたのですが、やはり今回の政府の改正案には、私が質問した部分でも勝澤さんが質問した部分でも非常にぬぐい去れない、何か無機能化したような印象、現行法でも何かいいところがあって、それさえも何か無視したような印象を与えられるところがあるのです。したがって、そういうところを十分お考えの上、この法案の運用に万全を期されることを心からお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
#151
○山村委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時四十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十三分開議
#152
○山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐野進君。
#153
○佐野(進)委員 私は、独禁法の改正案につきまして、午前の勝澤委員の質問に引き続いて、社会党の立場から質問をしてみたいと思います。
 福田さん、大変お急ぎの用事があるようでありますので、まず冒頭、見解をお聞きいたしたいと思います。
 午前中、大変いろいろな問題について議論がなされたわけでありまするが、私どもその議論を聞いておりまして強く感じますことは、政府案作成の経過の中において、総理府と公取との見解の中に相当大きな開きがある。あるいは政府部内の中に、そのまとめるに至っての経過の中で大変いろいろな考え方が錯綜しておった。結果的に、この改正案を提案するに当たっても、だれが勝った、だれが負けたとマスコミの上に取りざたされるような形の中で一定の評価がなされておる。特にきのう、けさの新聞報道によれば、委員長が総理と副総裁に呼ばれて、総理は早くやってくれということを頼むし、副総裁は慎重に審議しろと言われたようなことを報じておるわけであります。こういうような一定の条件の中でいままさに法案の審議が行われておるわけでありまするが、そういうわけで、この案に対して、政府・党一体とした形の中で取り組むという三木内閣の姿勢の中で、きわめて不一致が露呈されておるという印象を私は強くするわけであります。
 そこで、そういうような印象の中で、この法案の審議がいま進められつつあるわけでありますが、副総理といたしまして、企画庁長官としてでなく、もちろん長官としてでも結構でありますが、副総理として本問題に対する基本的な考え方について、まずお伺いしておきたいと思うわけであります。
#154
○福田(赳)国務大臣 独占禁止法の改正、またその独占禁止体制の機能の強化、このことにつきましては、もう数年前からそういう世論がありまして、特に物価狂乱のあの際におきましてこれが最高潮に達した、こういうふうに認識しております。それを受けまして三木内閣におきましては、これは重要政策中の最優先課題である、こういう姿勢をもちましてこの改正に取り組んだわけであります。何せこの問題はとにかく数年来いろいろ議論されたという複雑な問題をはらんでおりますので、これは率直に申し上げまして自由民主党の中でもいろいろな意見がある、これは自由民主党ばかりじゃありません、世間でもいろいろな意見がある。そこで、そういう世論を結集しなければならぬだろうということで、総理府総務長官を中心として懇談会を設け、そしてこの意見の調整を図った。そういういきさつを経ましてまとめ上げましたのが、今回政府が提案をいたしておりまするところの改正案でございます。そういうことでございまするから、まあ人によりましていろいろな議論がありましょうけれども、私は、これが国民各界各方面の総意を大体結集したものである、こういうふうに考えます。
 この法案につきましては、早急に御審議をお進め願いまして、そして今国会において必ず成立させていただきたい、こういうことを念願いたしておる次第でございます。
#155
○佐野(進)委員 副総理の念願は念願として大変評価するわけでありまするけれども、私どもがこの内容を審議しあるいは検討すればするほど、内容の持つ意味が、いわゆる昨年発表された公取試案と称するものから比べて非常に大きく後退し、いやむしろ現行法よりも後退しているのではないか、こういう印象を非常に強くするわけであります。結果的にこの案そのものの持つ内容は現行法の改悪でないかとさえ言って差し支えないような危惧を持つわけであります。したがって、こういうような改悪ではないかという条件の中で、いま副総理が答弁されました、いわゆる新しい経済秩序を立てようと願っている一般の国民にとっては、あるいは学者、消費者団体、いわゆる財界の一部の人たちにとっては、このままでは困る、このままならばむしろひとつ反対してくれないか、こういう意見が非常に盛り上がっていることに対して、副総理はどのように対処されようとしておるのか、されるおつもりか。この点についての見解を、簡単で結構ですからお示しいただきたい。
#156
○福田(赳)国務大臣 ただいま申し上げましたような経過を経ての政府原案でありますので、一部の人にはこれは行き過ぎだ、こういうような議論もある。また、他の一部の人には、これじゃ後退だ、あるいは十分でない、こういうような意見もある。これはもう当然そういうことになるだろうと思うのです。しかし、政府は、これが大体世論の最大公約数、これを結集したものである、こういう見解でありまして、いろいろ御感触はありましょうが、今日のこの時点におきましてはこれでお進め願うほかあるまいか、こういうふうに考えておるわけであります。
 なお、公取委員長が提案しておった公取試案、あれから見ると後退ではないか、確かに公取試案につきましてかなりの修正もありますが、公取委員長におかれましても、今日この段階においてこれでやむを得ないんじゃないかという見解でございますので、ぜひともお進め願いたい、かように考えます。
#157
○佐野(進)委員 そのように言われますが、副総理は経済企画庁の長官をなさっておられて、総需要抑制策を推進し、物価の安定に対して全力を尽くしてきておられることは、私どももその点についてその役割りを評価するものでありますが、しかしいまお話しのありましたように、狂乱物価の情勢の中で独禁法改正の機運が生まれてきた、そして新しい経済秩序をつくるために改正案が提案されている、こういうようなお話があったその反面、この法律は内容的には不備であるけれども、ともかく通してしまえ、通してしまえば、うるさい問題が一山越したんだから、あとはひとつこの問題にかかわりなく、製品価格の引き上げを初めとしたいろんな問題をやれるんじゃないか、いわゆる物価高騰がこの法案通過後に待ち構えておるんだという風聞すら聞かれるわけでありまするが、私どもまたこの内容をしさいに検討いたしますると、そういう危険性をはらむ内容のような気もいたしまするが、こういうことについて、この法律改正によってこれが歯どめがかかるとお考えになりますか。副総理が物価問題の見地からもこれらの問題についてどう判断されておられるか。
#158
○福田(赳)国務大臣 物価問題から独占禁止法改正問題を見た場合に、一部の人の中には、独占禁止法を改正しますとすぐ物価が下がるような、そういうような印象を持たれる方もありますが、私はそうは思わないのです。これはそういう直接的に物価上昇抑制とか物価引き下げとか、そういう効果はない、しかし間接的には非常に大きな効果がある、こういうふうに見ております。特に私が重要視しておりますのは、これはやみカルテル、これに違反した場合の罰則が強化される、こういうようなことは企業に対して非常に価格引き上げ抑制の力となる、こういうふうに見ておりますが、なおそれにもまして、この独占禁止法論議が非常な世間の関心を呼び、またこの国会における審議過程、その経過、そういうところから、企業におきましても物価問題につきまして安易な考え方では臨み得ないという大きな雰囲気が出てくる。そこは私は物価政策担当者の立場からも非常に期待をいたしておるわけであります。
#159
○佐野(進)委員 この状況の中でいま独禁法に対する審議が進められつつあるわけで、この審議の経過の中でこれからいろいろの点が明らかにされていくわけでありまするが、一番大きな問題は、いま副総理の御答弁の中で明らかにされたことは、いわゆるこの独禁法の改正によって、物価問題のために直接的な効果はなくても、間接的に非常に大きな効果を求めることができる、さらに新しい経済秩序を打ち立てるために必要であり、この法律は現行法より悪くはなっていないんだ、こういうようなニュアンスのお言葉があったように私は聞きました。
 そこで、副総理に対する最後の質問をしてみたいと思うわけでありまするが、それでは副総理は、あらゆる角度から検討した結果、本法案が現行法より後退していない、こういうようにお考えになっておられるかどうかということが一点であります。
    〔委員長退席、萩原委員長代理着席〕
そして、もし現行法より後退しているということが審議の経過の中で明らかにされた場合においては、その後退ということのないように、本法案修正ということについては謙虚な立場においてこれを受け入れられるお考えがあるのかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
#160
○福田(赳)国務大臣 今回の改正案は、独占禁止体制から見ると、これは後退なんということはあり得ない、これはかなりの前進である、こういうふうに考えております。したがいまして、ぜひともこの法案について速やかに御審議くださいまして、ひとつ御承認あらんことをお願いするわけでございます。
 そういう考えでありますので、いま皆さんから修正について、これに応ずる考えであるかというふうに聞かれますと、とにかくこれだけのいきさつを経て慎重審議、国民の総意を結集したんだ、こういうふうな考え方で御提案を申し上げておりますので、私の口から修正の用意があるんですというようなことは申し上げることはできません。何とぞ慎重審議くださいますようよろしくお願い申し上げます。
#161
○佐野(進)委員 最後に副総理、私の言っている意味は、もちろんいま答弁されたことの意味を含めて質問をしておるわけです。したがって、これほど大きな問題になり、しかも非常に重要な問題として、今日の経済問題に対する最大の法案として審議している経過の中でいろいろ明らかにされた面については、私の口から申し上げられぬではなくして、少なくとも三木内閣の中核、経済問題についてはおれに任しておけ、こう言われておる立場にある副総理としては、この際謙虚に、全体的な審議の経過の中で後退しない、後退してない、こういう評価ならば、もし後退している具体的な主張が明らかになった場合、それに積極的に、前向きに対処するということは、修正という言葉が適当でないとするならば、前向きに対処するということぐらいは当然の言葉として出てくる言葉ではないかと考えるわけですが、いかがですか。
#162
○福田(赳)国務大臣 私の認識は後退じゃないという認識でございますので、いま政府が御提案申し上げておるこの案に対しまして、修正の用意があるというようなことを言いにくいです、言い得ません。しかし、これは国会の決めることでございまするから、国会の慎重なる御審議をまつのみである、かように考えております。
#163
○佐野(進)委員 それでは、副総理けっこうです。
 午前中の勝澤委員の質問に引き続きまして、法案の内容の審議に入りたいと思います。
 まず第一に、課徴金の問題でありまするが、課徴金の問題につきましては、先ほど来質問がありまして、詰めるべき点については後ほどこの内容を具体的に詰めてまいりたいと思いますが、まず第一に、その性格が不明確であるということは先ほども質問の中で追及がなされておるわけでありまするが、カルテルの範囲ということにつきまして、いわゆる販売カルテルあるいは数量カルテル、あるいは品質カルテルあるいは供給制限カルテル、利益プール等々いろいろあるわけでありまするけれども、このカルテルの性格はどういうものなのか、どういういわゆるカルテルを対象にしているのか、さらにまたこのカルテルは不当利益の没収という意味において課徴金をつくっておるのか、あるいは一種の罰金的な形の中でこの制度をつくろうとしておるのか、この点先ほどの質問においてもなお明らかでありませんので、総務長官にお尋ねをいたしたいと思います。
#164
○植木国務大臣 今回新設をいたします課徴金でございますが、これは違法カルテル全体を対象とするものでございます。違法カルテルが多発いたしまして、累犯も多いという現状にかんがみまして、禁止規定の実効性を確保するための行政上の措置といたしまして、違法カルテルによって得られました経済上の利得についてその納付を命ずるものでございます。すなわち、課徴金の目的でございますけれども、禁止規定の実効性を確保することでありまして、その法律的な性格は行政上の措置でございます。
 また、算定の基本的な考え方は、違法カルテルにより得られた経済上の利得を納付させようとするものであります。行政上の措置としての課徴金に類似いたしました制度といたしましては、国民生活安定緊急措置法による課徴金、税法上の重加算税がございますが、いずれも刑事罰と区別された行政上の措置としての性格上、一定の要件があれば当然課されるものというふうにされております。今回の課徴金も、違法なカルテルを排除いたしまして、競争秩序を維持するという行政目的を達成するために、行政官庁であります公正取引委員会が、対価に影響のある違法カルテルが行われましたときに、行為者ではなく、利得を得る者に対しまして、一定の基準に従ってその額を算定いたしまして、行政手続によりその納付を命ずるものといたしております。制裁的な効果を持つことは否定できませんが、行政罰ではございません。このような課徴金は刑事罰と性格を異にしておりまして、全く異なった観点から適用されるものでありますので、一つの事件に一方のみが適用されることもあれば、両方が併科される場合もあるということを御理解いただきたいと存じます。
#165
○佐野(進)委員 いまのことに関連して公取委員長にお尋ねいたします。
 それでは、公取委員長は、このカルテルの範囲があらゆるカルテルに及ぶという見解をいま総理府総務長官が御指摘になりましたが、そのように解釈してよろしゅうございますか。
#166
○植木国務大臣 先ほど私が違法カルテル全体と申し上げましたのは誤りでございますので、訂正さしていただきます。この対象範囲といたしましては、違法カルテルのうち「商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供給量を制限することによりその対価に影響があるものをした」場合に限定して課せられるのでございます。具体的に申し上げますと、価格カルテル、生産制限カルテル、操業率制限カルテル等が対象とされます。これに対しまして、設備制限カルテルのように供給量の制限による対価の影響が短期間に明確な形で把握しがたいものや製品標準化カルテル等は対象とされないのでございます。謹んで訂正させていただきます。
#167
○佐野(進)委員 総務長官、一番最初の質問で謹んで訂正なんていうのじゃ困ってしまうね。やはり質問するのですから、こちらも幾らか勉強して質問しておりますから、その内容についてはやはり慎重を期して答弁をしていただきたいと思うのです。
 そこで、私はこの内容についていま長官が答弁なされたことを前提にしてこれから質問をしてみたいと思うのでありますが、そうすると、一定の利得に対していわゆる行政罰あるいは刑事罰を併科することもあり得るという意味における御答弁がなされたわけでありますが、そういう形の中でこのカルテルの内容をしさいに分析いたしますと、この規定はどうもあってなきがごとき印象を与える条項が大変多いということであります。いわゆるこういう複雑煩瑣な規定を設けて課徴金をつくりましたよと言って、実施の面においては何ら効果があらわれない。いや、むしろ煩わしい煩瑣な事態だけが残り、結果的に公取機能が麻痺されているのではないか、こういうような気がいたし、いわゆる大衆的に名を与えて実際上には大した効果がないものだという印象を強くするわけであります。そこで、その面について二つの問題について質問してみたいと思います。
 一点は、この内容は売上高掛ける一定率掛ける二分の一というような形にいたしました。算定の根拠については先ほどもいろいろ質問がございましたけれども、私どもどうにもわからないわけであります。しかも、こういうような算定方式をしたのに、その上に過去三年間にさかのぼって対象とする。しかも、過去三年間の赤字の中においては、カルテルにおいて得た利得と全く異なった内容において生じた損失まで補てんしてカルテル、いわゆる課徴金の算定価額にしている。こういうようなことは、本来課徴金のいま説明のあったような内容における趣旨からは全く逸脱しているのではないか、こういうように感ずるわけでありまするが、その点総務長官の答弁をひとつ求めます。
#168
○植木国務大臣 課徴金の計算方法につきましては、先ほども申し上げましたように大変苦心をした点でございまして、カルテルの実行期間中の売上高に売上高経常利益率を乗じた額をカルテル対象商品の売り上げによる利得と考えまして、その二分の一をカルテルによる利得とみなし、カルテル期間中の売上高に一般的な売上高経常利益率を基礎として定めた率、これは御承知のように三%を基準といたしまして、小売は二%、卸は一%でございますが、この基準率を乗じて得ました額の二分の一を課徴金の額としたものでございます。課徴金の額の算出方法をこのような形式的基準により決めましたのは、課徴金制度は先ほど申しましたように刑事罰と異なっておりまして、量刑原則のように広範な裁量が許されません。また、行政実務に支障をなからしめなければならないという配慮をいたしたのでございます。そして、いわゆる限界企業のような財務的な力の弱い事業者につきましてまで基準率を適用して課徴金の額を算定することは酷でございますので、また禁止規定の実効性を確保するという抑止効果の面からも支障はないというふうに考えましたので、資料によりましてそれが明らかな場合には、当該企業の過去三ヵ年における売上高経常利益率が基準率より低い場合、その低い率によって計算をすることにいたしたのでございます。しかし、通常の場合は、企業の純利益率というものはあまり大きいものではございませんで、そのうちの一・五%を課徴金として徴収いたしますし、また税法上の取り扱いについても優遇措置はいたしません。したがいまして、これで私どもといたしましては効果が上がるというふうに考えているのでございます。
 第二番目の過去三年間の経常利益率の問題でございますけれども、これは先ほども申し上げましたけれども、できるだけ簡明にいたしたいというふうに考えまして、いま申し上げましたような算定方式をとりますとともに、この三年間の分につきましては経常利益率が基準率未満であると認められる場合というふうに定められておりますので、納付命令を受けるべき者が意見を述べ、証拠を提出する機会等を活用しまして、資料を提出するように運用し得るようにしているのでございます。そういう点をひとつ御理解をいただきまして、この算定方式に対しまして御賛同をお願いいたしたいのでございます。
#169
○佐野(進)委員 この内容を検討すればするほど、この課徴金というのが特に過去三年の赤字にさかのぼる、いわゆる上限一五%、下限一・五%、その範囲の中で過去三年間の赤字をも考慮しながらやっていく。しかも、課徴金というものの持つ性格は、前段総務長官が説明されたような内容を持っている。全く目標は一つの社会的正義に合致し、実際上の内容は社会的な不公正を助長する、こういうような印象しか持ち得ないわけです。
 私は、ここで一つ具体的な例を出しますから、この一つの具体的な例について公取委員長、総務長官と両方にこのことについての見解をひとつ示していただきたいと思うのです。この内容が私の言うようなことであるとすると、全くこの課徴金制度というものは空文である、いや空文に等しいものであるという印象しか得ないからであります。
 事例は昭和四十八年、勧告第四十八号、神崎製紙株式会社外八名に対する件、いわゆる四十八年度の年次報告において示されたカルテル行為の排除に対する内容であります。その内容に基づきまして得た利益と、そしてその得た不当なる利得に対して、公取試案――この公取試案もなお検討を要し、もっと前進させなければならぬと私ども考えておるわけでありますが、最低限度公取試案と総理府案、いわゆる政府原案というものと対比いたしますと、その金額に相当大きな開きが出てくるわけであります。これは単にこの試案の中におけるところの平面的な分析においてそのような形が出てくるわけであります。
 たとえば五十年四月十四日、政府案の場合においてこの事例に基づくところの内容を分析いたしますと、七億三千百九十六万円しかこれに対するところの課徴金が課せられないわけであります。これに対しまして公取試案の場合は八十二億二千七百三十四万円の課徴金が課せられるということになるわけであります。公取試案というものの内容がまだ具体的でないと言えばそれまででございますが、いわゆる課徴金を課するぞというたてまえにおけるところの一つの考え方に基づいて出されたものとしてこの審判事件、いわゆる勧告された内容に基づいて計算をいたしますとこれだけの大きな差が出る。時間的な余裕がございませんから、私はその内容を一々数字を挙げて詳しく申し上げることはでき得ませんけれども、もし必要があれば、どういう内容かということになれば、内容をお示しして答弁を求めたいと思うのでありますが、いわゆる公取試案と政府案とはいろいろな意味において違いがあるとかないとか、いや同じであるとかどうとかという議論がありますが、課徴金のこの一つの事例を取り上げましても、これほど大きな差があるということであります。各それぞれの項に対します内容等につきましても、あるいはこれ以上の差が具体的な数字としてあらわれることを私はそれぞれの分析の中において判断することができると思うのであります。この試案に基づくところの試算と政府案に基づくところの試算、これは試案が、計算をいたしまして合理性があるという判断に基づいて私は質問を申し上げているわけでありますが、この点について両者の見解をひとつお示しいただきたいと思うのであります。
#170
○高橋(俊)政府委員 ただいまの数字は私はいま承っただけでありますので、それが正しいかどうか直ちに申し上げるわけにはまいりませんが、恐らく公取試案というのは、早く言えば価格カルテルの場合に値上げをした幅、値上げ幅を上限とする、こうなっておりましたから、要するに上げ幅をそのまま売り上げ期間の数量に掛けた、こういうふうに思います。それから一方は、恐らく製造業でありますから一・五%を適用して、減額はおやりになってないのかと思います。減額を過去の業績に基づいておやりになっておればまた別でございますが、そうではなくて、単純に一・五%を掛けられた、こういうふうに私は理解した上で申し上げますが、公取試案は実は先ほども申しましたが、はっきりした最後の方式を生み出すまでに至らなかった。というのは、私ども上げ幅をとるということは理論的には非常にその方が正しいと思うのです。実際に上げた幅が二〇%である場合と一〇%にすぎない場合と、これでは本当は利得が違うわけです、不当な利得と言いましても。仮にそのうちの六〇%がやむを得ざる事由によるものである、だから四〇%を不当な利得と見るという方法もあります。逆の場合もあるでしょう。四分六で逆さまの場合もありますが、しかしかなりの幅になる。上げ幅が大きくなればなるほどその課徴金の額は、公取の考え方によれば非常に大きくなるわけです。それに対して一方は、値上げ幅等には関係ない、とにかく価格に影響があったカルテルについては、製造業ならば一・五%をその期間中の売上額に掛けたものである、こういうことでございます。確かにそういうような違いが出てくることは否定できないと思いますが、ただおのおの一長一短あります。そこで、非常に合理的なものを貫いていこうとすれば、やはり値上げ幅というものを基準にして、そのかわりそれに一定の比率を掛けてしまう、つまり四〇%というものは不当利得だ、こういうふうにやってしまう方法もあります。これはそれほど大きな負担にはなりませんが、そうではなくてあらゆるカルテル、生産供給カルテル、生産を制限したり供給を制限したりするカルテルをも含めて、実際に価格が上がった場合は価格カルテルと同じように一定の比率を掛けてしまう、一・五%を掛ける、こういう考え方、これは確かに後の政府原案の方の減額をするという点を除きますと、その方が簡便なんです。問題はその一・五が果たして抑止力になるのか、それが十分の一まで下がりますと〇・一五ですから、私はその点については実は率直に申し上げて、〇・一五で、しかもそれが何にも関係ない過去の業績が悪かったから落としていくのだというのでは、どうも六百七十万円からかかることになっていますが、それは六千七百万までいかないとかからない、十万円にならないわけですから。そういうことで一けた変わってしまう。少しその辺に、どういう理由でそういうことになったのかということについては若干問題があるのではないかと思いますが、いまの御指摘のように、ただ私どもの案では、何%を、値上げ幅のうちのどれだけを不当利得と見るかということについては決定をしておりませんので、その辺は一概に比較していただいてもなかなか誤解を招くことになりますので、この辺でひとつ御勘弁願います。
#171
○植木国務大臣 いま神崎製紙につきましては公取委員長からお答えになりましたが、売上高等の正確な数字を把握していないという状況でございますし、公取試案は上限を画するものでございまして、必ずしもその金額の比較ができるかどうかということが問題であろうと存じます。カルテルがなくても値上げが行われたと見られる部分も含まれましょうし、また控除する必要があることは制度の趣旨から当然でありまして、たとえば小売業などの場合には仕入れ価格の上昇分について考慮することが必要でございます。個々の費目につきまして上昇の時期、幅を各事業者別に判定をして計算に織り込んでいく作業はきわめて困難でございますので、御提出いたしましたような政府案となったのでございます。
#172
○佐野(進)委員 別に総務長官に食ってかかる意味じゃないのですが、いまの答弁じゃ全く答弁になっていないのですよ。私の言うのは、公取試案によると最高限度額は実行期間中の販売数量掛ける値上げ幅、政府原案というものは実行期間中の売上額掛ける〇・三ないし三%、卸売業、小売業云々、それの二分の一と、こうなっているわけですよ。私の言わんとするところは、こういうようなやり方になりますと、公取の勧告事件としてあらわれた一つの具体的な例においても十倍以上の差がこの課徴金の額として出てくるということなんですよ。これではもうカルテルをやった方がやり得だという、こういう印象にならざるを得ないということを私はいま質問しているわけですよ。しかも、いまの長官の答弁をもし素直に受け取ったといたしましても、それならなぜ二分の一にしなければならぬか、千分の三十とわざわざ書いていて二分の一だ。二分の一の説明というものはなっちゃいないじゃないですか。なぜ二分の一か。三%としておきながら二分の一とした、その根拠は一体どこにあるのですか。説明にならないじゃないですか。
#173
○原政府委員 課徴金につきまして、私、技術的な話をやっていたものですから、その点につきまして御説明いたします。
 まず、違法な利得を取るというところまではだれも異論がないわけでございますが、実際にどうやって取るのかということになりますと非常にむずかしいということがあったわけでございます。罰金ではないということがまずあるので、第三の制度である。しかも、執行の便宜その他を考えますと率を使った方が簡便であるということがある。そうすると、率を使うということになりますと標準的なものを考えざるを得ない。標準的なものとして考えたのが三%。これはいろいろな統計で売上高に対する利益の率を見ますと大体三%ということになりますので、それを使った。そういたしますと標準的なものとして考えて、それはすべてがカルテルの利益か、こういう話になるわけでございます。本来の考え方からすれば、カルテルのなかった場合とあった場合の差が本当は利得というものに観念すべきものであるわけでございます。しかし、一体それをどうやってやるのか。これはケース・バイ・ケースで非常にわからないわけでございます。そこで、いま公取委員長が言いましたように、たとえば値上げの幅のとき四割と申しましたけれども、それと同じような思想で半分をカルテルによる利得と見る、そういう意味で二分の一を掛けたわけでございます。
#174
○佐野(進)委員 四割と見て二分の一だとか、三割と見て二分の一だとか、いろいろ言葉の使い方がありますが、ここにおられる人たちで、そういう話を聞いて、ああ、いまのあなたの言うことは本当にもっともだとお感じになる人はいらっしゃいますか。(「いない、いない」と呼ぶ者あり)私あたり大分勉強したつもりでいても、ああ、もっともだと思わない。何て複雑なんだろう、こういう印象ですよ。
    〔萩原委員長代理退席、委員長着席〕
全くわけがわからないというのがこの課徴金の掛け方。公取の書き方だって不満があるとしても、最高限度額は実行期間中の販売数量掛ける値上げ幅、こう言えばだれだってわかるでしょう。それでは、四割というのはどこにあるのですか。
 そういうことをここでいま長くやっていても時間がありませんから、次に行かざるを得ないのでありますが、そこで委員長にお願いしますが、答弁は簡明にわかりやすく、内容がむずかしいからわからないというんでは困るわけです。わからないように条文をつくったのは政府ですから、国民にわからないように本人が説明するのですから、聞く方はなおわからないということでは困りますので、そういう点は答弁をする際によく御注意を願いたいと思うのです。
 そこで、二番目の問題として、不当なる取引制限等の排除措置についてお伺いをしてみたいと思うわけであります。
 先ほど勝澤委員が大分この点については質問をいたしておりますので、私はこの問題の内容に入って長く質問をいたすことは取りやめたいと思うのでありますが、具体的な措置の内容決定、いわゆる違反行為者の恣意に基づいてこれを行うわけですね。公取は届け出とその報告を受けるのみで、これに対してどうしろこうしろ、その命令権というかそういうようなものが今度の内容の中においては、少なくともこの具体的な措置の内容決定に際してはむしろ現行法よりも弱い、制約を受けるような形の中で決定されておるような感じがするわけですが、公取委員長はどう御判断になりますか。
#175
○山村委員長 政府委員にこの際一言申し上げます。
 質問者に対する答弁は簡単明瞭にお願いいたします。
#176
○高橋(俊)政府委員 ただいまの点は解釈をどういうふうにするかによって違ってくるのです。それで、独禁法の専門学者の方々はこれは後退だと言っているのは御承知のとおりです。しかし、私ども公取委員会としましては、先ほども申しましたが、これは現在やっていることを括弧書きで書き入れたのじゃそれ以上のことを一歩も出ない、確かに後退だということになります。ですから、いままでやっておらないことがこの括弧書きによって若干なりともできるのだということでなければならぬ、そう解釈するわけです。それはどういうことかと言えば、カルテルによって実施した価格をそのままずっと続けておるのはいけない。だから、それを変えて持ってくる。だから、その価格でない価格を決めて届け出るようにということがその括弧書きでできるのだという解釈をとりたいというか、とっているということです。そうしなければ意味がないと思います。
#177
○佐野(進)委員 私は公取委員長の答弁をこれから聞こうと思っておったところですが、答弁がありました。この点は勝澤委員のさっきの質問の経過の中で最も矛盾点として残っておった点であります。そこで、この問題について総理府総務長官は法案提出者としてどう考えるのか、そしてまた法制局はこの法案を作成する経過の中で、この点の措置としてこの具体的な措置の内容をそういうような判断に基づいて入れたのかどうか、この点二人から答弁を求めたいと思います。
#178
○植木国務大臣 いま運用の面につきまして公取委員長から答弁をなされました。私どもと考え方は全く同じでございます。
#179
○味村政府委員 先ほど申し上げましたように、この括弧書きは新しくつけ加えたわけでございます。従前公正取引委員会がおやりになっておりましたことは、これらの規定に違友する行為、違法行為を排除するために必要な措置としておやりになっていたわけでございます。したがいまして、その解釈どおりであれば、そのとおりに改正法においても違反する行為を排除するために必要な措置としてやることができるわけでございまして、括弧書きの世話になる必要はない、こういうことになるわけでございます。(「括弧はどうなる」と呼ぶ者あり)
#180
○佐野(進)委員 いまのやじ的質問というのかあるいは不規則発言というのかどうかわかりませんが、これは何もいま発言された人たちだけじゃなくて、聞いておる人みんな共通した気持ちだろうと私思うのですよ。もう一度法制局の方から答弁願います。
#181
○味村政府委員 違法行為を排除するために必要な措置は、これは違法行為、たとえばカルテルを排除いたしまして、カルテルを破棄しろということによりましてカルテルを破棄いたします。カルテルを破棄すれば競争が実質的に回復できるということになりますれば、それで完結しているわけでございます。しかし、単にカルテルを破棄しろという命令だけでは足りないで、もっと別の措置も命ずる必要があるという場合には、これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置として、カルテルを破棄しろという命令以外に何らかの命令をすることもできるわけでございます。しかし、それはあくまでもカルテルを排除いたしまして実質的に競争を回復するために必要な措置でございます。括弧書きに書いてございますのは、当該行為の影響を排除するため、カルテルが排除されて実質的に競争状態が回復いたしますれば、いずれは市場価格になるはずでございます。しかしながら、それまでカルテルが行われておりましてカルテル価格が残っておるといたしますれば、急にカルテル価格からもとに戻る、市場価格に戻ることがないかもしれません。そういう影響が残っておる場合には、その影響を排除するために必要な措置をとることができるのだ、このように必要な措置の内容の届け出及びその措置の実施状況の報告を命ずることができるのだ、このように解釈しております。
#182
○佐野(進)委員 それでは、現行法に基づくこの特別の措置を、いま新たに発生するであろう状況、影響等に対する措置としてこの法律が、この条文が必要である、こういうようにいまお話しになっておられるわけですね。それが現行法との関係の中でどうしても入れなければならぬという条件はないような気が私はするのですが、公取委員長どうですか、いまのは。
#183
○高橋(俊)政府委員 先ほど私が申しましたような意味で措置がとれるということを、現行法でできるという人とできないという人があります。できないという人の方が実は多いのです。ですから、その点は、私が申し上げたようなふうに実施できるということであれば、私は前進であると受けとめて、これはそれなりに十分意味がある、こう考えます。
 なお、一言申しますが、そういうカルテル価格は実勢と遊離しているから、それと違った価格にせいということは、もちろん下げてくるということなんですね。それを非常にわずかにごまかす、ほんの一%も下げてこない、値上げしたときには一五%上げたけれども、下げたときには一%も下げてこないで報告してきた、こういう場合がございます。それでもやむを得ませんが、私どもはそのような特別の措置を命じた場合に、ほとんど問題にならないようなことをやってきた場合には、これは公表ができると思っております。公表すれば、こういうことになりましたということで社会の批判にさらすこともできるのじゃないか、全然これは秘密ではございませんから。
#184
○佐野(進)委員 現行法の後退でなく、総理府総務長官もその点について公取の見解と同じだということでありますので、さらに法制局の方の見解もいまのような形であるというので、この質問を終わり、私は次の質問へ進みたいと思います。
 次の質問は、独占的状態の排除の問題についてであります。
 この問題については、先ほどお二人の方から相当突っ込んだ質問がなされました。私もこの問題についてはそれぞれ具体的な内容について質問を用意いたしておりましたが、きょう一度に重複した問題が次々と行われることはどうかと思いますので、これについての質問は大部分省略をいたしまして、ただ二点について質問をいたしてみたいと思います。
 その問題は、先ほど問題となりました主務大臣との事前協議の問題についてであります。この事前協議の問題につきましては、公取権限を弱めるのではないか、結果的に先ほどの質問を通じてもその疑問点がますます強くなった、こう言うより言いようがないわけでありますが、この事前協議の問題の中において特に必要とする点、審判開始前と審決前の再度の問題につきましては、先ほど質疑応答で明らかになりましたので省略するといたしまして、そういう問題については、公取委員会が現行法の中で持っておるいわゆる六十条、公務所の審判手続の参加、六十一条、公務所の意見陳述、こういうようなものがあることによって、先ほどの質疑応答を聞いておる範囲の中においては、全く意味がないような、しかももしその判断について協議が調わなかった場合は公取の判断に従うんだという説明がなされておるわけでございますので、そうであるとすれば、この主務大臣との事前協議という問題は全く必要がなく、現行法による解釈に基づいて措置すべきではないか、こういう印象をますます強くしておるわけでありますが、この点について三人の方から答弁を求めたいと思います。
#185
○植木国務大臣 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、独占的状態に対します措置は、その要件あるいは措置の内容につきまして一定の事業分野における産業構造にかかわりが深いものでございますから、したがって主務大臣との行政上の調整を行うために協議が必要であるというふうに考えたのでございます。二回なぜやるかということにつきましては、先ほど御答弁いたしましたので省略をさせていただきますが、私どもといたしましては、やはり時間の経過もございますし、協議すべき事項もいろいろございますので、二回といたしたのでございます。合意にしてはどうであるかとか、あるいはまた公取が勧告をして、それを受けて主務大臣がこの措置をすることにしてはどうかとかいうようないろいろな意見がございましたけれども、私どもとしては公正取引委員会の職権行使の独立性を十分に考えまして、協議とすることにいたしたのでございます。
#186
○高橋(俊)政府委員 先ほど自民党の田中委員の御質問の中にもございましたが、私的独占というものと一体どこが違うのかというふうな根本的な疑問点もあるわけです。しかし、私どもは一応現行法にある私的独占はそのままにしておいて、これは触れないで、そして独占的状態をとらえた。その状態を崩して競争状態を回復するというための一部の営業譲渡ということにつきましては、産業界の方々、またこれを取り巻くいろいろな環境が、一種の恐怖心といいますか、そんなような感じが強くなり過ぎたわけです。私どもの持ち出し方が悪かったのかもしれません。そういう点でめったやたらにそれをやるつもりはないのです。そこで、二回目の協議に至っては、確かに公務所のあれは、審判の過程で十分最初から最後まで出て意見を述べることができますから、そういう点からいいますと何かおまけのような感じがするわけですが、そうなんですけれども、念には念を入れてもう一遍協議したらどうか、こう言うものですから、それは協議をどうしてもそうだとおっしゃるのならやむを得ませんということでありまして、しかしそれが調わなくても、それは公取が決めていいんだ、後は上の裁判コースに乗るのだ、こういうことでありますので、確かにちょっとほかに例はないのでございますが、やむを得ない、こういうことであります。
#187
○味村政府委員 協議ということはお互いに納得し合うまで話し合うということを前提としているわけでございますが、双方了解に達しない場合には公正取引委員会の意思決定が優先するということでございますので、公正取引委員会の独立性を害することはございません。
#188
○佐野(進)委員 どうも法制局の答弁は、けさから聞いていると、法制局だから法律をつくる、条文を入れる場合において確信を持ってこれがいい悪いの判断をつけておられると思うのですよ。ところが、この条文そのものを審議すればするほど、検討すればするほど要らざることが多いのですよ。この要らざることが多いということは、いま言った一つの問題点についても差し支えございませんと言う。差し支えがない程度のものならば、何も条文で入れる必要はないでしょう。もっとわかりやすく簡明直截にして、だれもがわかる法文にすることがあなた方のお仕事じゃないのですか。私はそういう面で大変不満です。
 そこで、法制局にもう一回、不満ついでに聞きますが、あなたは先ほどの答弁で国民経済の健全なる発展、そういうような目的のため協議をすることが必要であるという意味のことを言われ、他の手段をもってしては競争が回復することについては困難な状況が予想される場合というような意味、これは私の聞き違いかどうかわかりませんが、そういうような意味の答弁をなされておるわけでありますが、いわゆる営業の一部譲渡の中における協議事項の対象、あるいは譲渡の中におけるそれぞれの条文におけるところの制約、こういうものからこれらの問題をあなたの先ほどの答弁から判断をいたしますと、いわゆる営業の一部譲渡は、先ほどの質問にもございましたけれども、現行七条をもってすれば全く用の足りることであって、この条項を入れることによって全く複雑怪奇、しかもわかりにくく、さっき公取委員長の答弁ではございませんが、いたずらなる恐怖心を持つ人たちに対して安定剤的役割りを果たすためにこの条項を入れたんだというふうに感ずるわけでありますが、いかがですか法制局、きょうは長官がいないのですかな。
#189
○味村政府委員 現在の独禁法の第七条は私的独占に対する排除措置でございます。私的独占と今回規定をいたしました独占的状態とは異なる。私的独占に対する排除措置として命ぜられる場合には、これは七条によるわけでございます。しかし、今回規定いたしました独占的状態というのは、私的独占とは概念を別にするわけでございます。したがいまして、そのために新しい規定を設けているわけでございます。(発言する者あり)
#190
○山村委員長 静粛に願います。
#191
○佐野(進)委員 もうこの問題はやっておる時間がございませんから、私は質問を保留して、また明日質問してみたいと思いますが、いずれにせよこの答弁はきわめて軽率な無責任な答弁のような感じがいたします。
 そこで、私は最後に、この条項の中で疑問点を持つものは審決の議決方法であります。これは五名いる公取委員の三分の二の賛成を得なければ、いわゆる営業権の一部譲渡に関する項におけるところの効力は発生しない、こういう制約をつけておるわけであります。これは一体いかなることですか。いかなる場合においても出席者の過半数をもって決する、これが常識的なものでありますが、あえてここに審決の議決方法について特別の要件を盛り込んだ意味はどこにあるのか、総務長官。
#192
○植木国務大臣 御指摘のように現行法では委員会の議決方法は出席者の過半数で決することになっております。しかし、独占的状態に対する措置を命ずる審決は、通常の違反行為に対する審決とは異なりまして、企業の現状に重大な変更を加えるものでございます。したがって、社会的影響も大きいのでございますから、公正取引委員会として判断する上で慎重を期していただくことにいたしまして、定足数に関係なく、委員長及び四人の委員の計五名のうち過半数であります三人以上の賛成を要するという特例を設けることにしたのでございます。このように定足数に関係なく構成員の過半数で決する方法をとっている例といたしましては、最高裁判所が違憲問題について判断する場合がございます。これにならいましてこのような議決方法をとることにしたのであります。
#193
○佐野(進)委員 大変話が大きくなって、営業の一部譲渡のそのことを決するに際して、多くの制約を加えてがんじがらめ――時間がございませんから、この法案の内容は一々疑問点を指摘するわけにはまいりませんが、がんじがらめにして、さらにその上に先ほど申し上げましたような制約を持ち、事前協議を二回もやって、さらにその上に最高裁判所の例まで見る。これは一審の段階におけるところの判断だと思うのでありますね。先ほど来言われておるとおり、ここにおけるところの問題に不服を生じた場合は高等裁判所においてこの問題の処理を行う、こういうことになっておる。こういうことに対してこの種のきわめて大きな制約を加えた。しかも、公取委員会の構成は、各省から推薦された五人の委員によって構成されておる。各省の見解、いわゆる主務大臣を出しておる省の見解というものが非常に強い発言力を持つ構成の中で、三人の賛成を得なければこれが成立しないということは、事実上問題点としては処理ができ得ない歯どめがかかった。だから、財界においては、この企業分割はもうすでに葬り去れりと凱歌を上げたなどと言われるがごとき状況を導き出しておる、こう言っても差し支えないと思うのでありますが、これはまた後に保留いたしまして、質問を続けることにいたしまして、次は価格の同調引き上げに対する措置について質問してみたいと思います。
 この問題がまた大変複雑怪奇でありまして、条文を読んだだけで一遍で理解できる人はおそらくいないのではないかと思われるほど内容が複雑であります。私は、この問題について先ほど勝澤委員あるいは板川委員の方から資料請求が出されておりますので、その内容に触れながら質問してみたいと思いましたが、それをやめて、具体的な問題について質問をしてみたいと思います。
 まず第一に、価格の同調的引き上げを行う場合、一社ないし二社あるいは三社という形の中におけるところのこの規定によりまして、トップ会社が値上げを実施しない場合、時期をずらした場合、こういう場合においてはその報告を求めることができないという解釈になっておると思うのであります。こういうような問題、たとえばビール業界なら麒麟、ガラス業界なら旭硝子、こういうようなトップ企業がその同調的値上げの中に参加しなかったという場合においては報告すら求めることができないというこの法律の内容は一体何を意味しておるのか。この点ひとつ総務長官からお答えを願いたいと思います。
#194
○植木国務大臣 お答えいたします。
 御承知のように、通常第一位の企業は最も強い市場支配力を有するものでございます。したがって、一定期間内に第一位の企業が値上げをしないで、他の二社が値上げをしたといたしましても、それが市場全体を通じて価格面での競争が行われていないことを示すものとは必ずしも言いがたいと思うのでございます。第一位の企業を含む二社以上の価格引き上げを対象とすることによりまして、市場支配力の強い第一のものについての考慮を加えたということで御理解をいただきたいのでございます。
#195
○佐野(進)委員 その御理解をいただきたいというあれは、総務長官の答弁の中でございますが、それでは、こういうような状況の中でトップの企業は値上げをしなかった、そして寡占状態になっておる二番、三番の企業が値上げをした、たとえば旭硝子が値上げをしないで、板硝子とセントラル硝子が値上げをした、麒麟がしないで、朝日とサッポロがした、こういたしました場合、そのままの状況で三ヵ月たった、いわゆる三ヵ月なら三ヵ月の期間おれはやらないよ、おまえさんたち値上げしなさいよ、そして三ヵ月たってその企業が値上げをしました、そうした場合、これに対しては報告すら求めることができないし、いわんや原価の公表を行うことすらできない。それじゃ、トップの支配力が強いから、トップを入れないものについては報告集めることが必要でないのだという総務長官の見解は、まさに合理的な寡占状況にある企業のカルテル行為、価格か数量か、そのいずれを問わず、カルテル行為をみずからこの条文の中において許しておる、こういうような形の中で判断しても差し支えないのではないか、こう思うわけでありますが、どうですか。
#196
○植木国務大臣 私どもといたしましては、そのような考え方はとっておりませんで、第一位の、いわゆる市場支配力の強い会社が入らないという場合には、その影響というものはここで報告をとる必要はないのではないか、こういう判断をしたわけであります。また、三ヵ月といたしましたのは、三ヵ月間という期間内の同調的引き上げでなければ、それの及ぼす影響はそれほど大きくはなかろう、こういう判断に立ったのでありまして、仰せのように、カルテルを見逃すというような意思は毛頭ございません。同調的な引き上げに対しまして特別の抑制をしようというのがこの立法の趣旨でございます。
#197
○佐野(進)委員 立法の趣旨は、あなたが出されたのだから、ここで法案の提案説明をされておる場合はそれでいいと思うのでありますが、私どもがいま質問していることに対するお答えとしては、疑問点を出して、これではちょっとまずいのではないが、何とかこうしなければならぬじゃないかという意味で質問を申し上げているわけです。
 そこで、公取委員長、お尋ねいたしまするが、公取の試案によりますと、この対象は、ただ高度寡占企業、政府試案によりますと、年間供給額が三百億円を超え上位三社の集中度が七〇%を超える場合を対象にして、となっておるわけでありまするが、公取として、この種寡占状態にある企業が価格の同調的引き上げを行うに最も都合のいい条件にあるということで、これを排除するために原価の公表を試案としてお出しなされたと思うのでありまするが、これがこの種、三ヵ月以内に同一値上げをする場合には不問に付し、さらに報告を徴収するというその措置も、この種トップ企業を含めた企業がその種行為を行ったときのみこれを行うというような形の中において、果たして公取がこの寡占企業を対象にした価格の同調的引き上げを阻止することがおできになると判断できますかどうか、この点ひとつ見解をお示しいただきたいと思います。
#198
○高橋(俊)政府委員 新しく入ることとなっている四十条の二は、いまのお話のとおりでございまして、先ほども申しましたが、しかしそういう、いわば三ヵ月という短い期間の間に同調的と見られるようなことをすればこういう措置がとられますよということを、あらかじめ宣言しておくわけですね。ですから、いわば四十条の別枠とでも申しましょうか、そういうふうに思っていただきたい。
 そこで、実は三ヵ月じゃなくて一日はみ出したという場合、トップ企業、第一位の企業が一日だけおくらした場合には、四十条の二は全然適用されません。しかし、四十条は働き得るのです。それを使うか使わないかは、公取がその都度、職務の必要上これは使った方がいいと思えば使えるということであり、また四十三条の、企業の秘密を除き公表することができる、これも別に制限を加えられておりません。ですから、たまたま故意に一日だけずらしたとか、または一日ではみっともないからもう少しということでこの規定から逃れようとしたようなことが大体目に見えているという場合には、私どもは四十条で必要な報告をとり、必要な範囲で公表することも可能である、従来の法律によって可能であると思います。
 では四十条の二は意味がないかということですが、それは十分意味がある。それは、こうすればこうなるのだということをあらかじめ決めておくことに十分な意味があって、それは抑止的な効果を持つであろう、こういうふうに思います。
#199
○佐野(進)委員 その抑止的な効果を持つであろうということが、たとえばいま公取委員長が言われました形の中に、四十条をもってして、いままでこの種問題について、管理価格の調査、あるいは家庭電気器具製品の二重価格表示に関する調査、あるいは再販売価格維持契約の実施状況に関する調査、あるいは紙の価格形成に関する実態調査、さらには第二次商社調査、あるいは原油の購入価格に関する調査等々、幾つかの四十条発動によるところの具体的な調査と指導が行われておることを私は知っておるわけですね。知っておっていまの点について疑問点を出しておるわけです。いまの総理府総務長官の答弁をお聞きしている限りの中においては、三ヵ月というものの持つ意味は、トップ企業の入っていない場合にはということとともに、非常に危険な見解と、私は危惧を持つわけです。
 そこで、総理府総務長官にこの点についてもう一度、公取委員長の見解と同じなのかどうかということをお聞きすると同時に、先ほどの答弁に、四十条の調査で報告が求められた場合に、いまのような形の中において政府見解はあり得る、こういうような答弁がなされたと思うのでありますが、それは、いまの公取委員長と同じような意味において法制局は解釈しておられるのかどうか、この点をお聞きしたいことと、四十条は、少なくとも独禁法違反の疑いがあるものについては具体的に常に措置することができ、それに対する現在の抑止力を発揮するという意味でいまのような報告を求めるという形の中で効果を補てんするというか、補充するというか、そういう意味に解釈していいのかどうか。私は、もう端的に、この問題は原価公表という形の中で行うことは、最も簡潔でかつ明瞭でいいのではないか。回りくどくてしようがないような感じがするのでありますが、法制局と公取と総務長官の見解を聞いておきたいと思います。
#200
○植木国務大臣 四十条及び四十条の二の解釈につきましては、公正取引委員会と全く同じでございます。現行法四十条の権限を縮小するために二を新設したわけではございません。公正取引委員会が職務上必要と認められるときには四十条によって措置せらるべきものと考えております。
#201
○佐野(進)委員 公取委員長、いまの私の質問に対して、答弁はございませんか。――では、法制局……。
#202
○味村政府委員 四十条の二は、現行法の四十条の報告徴収権等に新たにつけ加えたわけでございます。
 四十条の二の事態があるとき、必ず四十条によって報告を徴収できるかということでございますが、四十条には、職務の執行上必要があるときはという限定がついております。これは客観的に職務執行上必要があるときはというふうに解されますし、その職務というのは独占禁止法に定める職務であるというふうに解されます。したがいまして、独占禁止法に定める職務の執行上必要があるときには四十条の規定によって報告を求めることができるわけでございますが、私は、四十条の二の規定は現行法の枠内では必ずしも報告を求めることができない場合がある、このように考えております。
#203
○佐野(進)委員 この問題についてはさらに具体的に質問することが必要だと思いますので、一応打ち切って、次の質問に入りたいと思います。
 次は、株式保有の総量規制の問題について質問してみたいと思います。この株式保有の総量規制については、対象会社の把握について先ほど資料請求がございましたから、私は質問を省略いたしたいと思うのでありますが、保有限度を純資産の二分の一から純資産として枠を緩和した理由は一体どこにあるのか。この点について総務長官に答えていただきたいと思います。
#204
○植木国務大臣 会社の株式保有制限の対象となります大規模な会社の株式保有限度をどうするかにつきましては、懇談会におきましても、総量規制の基準をどこにすべきか立証はなかなかできるものではない、必ずしも非合理的でない線で歯どめをかけることは必要であるというような、いろいろな意見が出されたのでございます。改正法案におきましては、経済力の過度の集中を防止するという観点から、純資産、資本金を超える株式保有を制限しようとするものでございます。したがいまして、私どもといたしましてはこれはこの限度でよろしかろうという判断をしたわけでございます。
#205
○佐野(進)委員 どうも総務長官の御答弁は歯切れが悪く聞こえるわけでございますが、私の申し上げたいことは、その公取試案で株式保有の総枠を制限するということは経済力の過度の集中によって起きる弊害を取り除くために特定会社が他の会社の株を多数保有するということは、今日の状況の中において直さなければならないんだということでそういう発想が出て、その試案を基礎に御検討なされたと思うのですが、それが二分の一になったという意味は、結局特定の企業、特定の会社が持つ株を保有させ続けよう、そういう意図以外何ら考えることができないわけでありますが、それでいいのかどうか、この点をひとつ総務長官お答えください。
#206
○植木国務大臣 証券市場に対しましたりあるいは中小企業に対しまして放出圧力がかかるということがございますと、いろいろ問題が生じますので、先ほど申し上げましたように、二分の一をとらないことにしたのでございます。
#207
○佐野(進)委員 それでは、端的に答えていただきます。この基準によってどの程度の会社がその対象になりますか。
#208
○植木国務大臣 公正取引委員会の調査でございますけれども、これは四十九年の五月までに決算期が到来をした会社のうち、純資産の額の二分の一を超えて株式を保有する会社数は四十九社でございます。純資産の額を超えて株式を保有する会社は十五社でございます。十五社であるということをお答え申し上げます。
#209
○佐野(進)委員 当初の公取試案によるものであればこの数が約五十八社、この五月幾日ですかで四十九社、政府原案によるものであるとすると十五社となるといわれておりますが、そのとおり解釈してよろしゅうございますか。
#210
○植木国務大臣 そのとおりでございます。
#211
○佐野(進)委員 そして、そのとおりであるとすると、その中で残される、落とされた企業というものの数はきわめて大きくなるわけでございまして、ほとんどこの十五社の中に残るものはわが国における株式会社のトップクラス、しかも商社を中心とした十数社にしかすぎず、それもこの法律の中におけるところの制限条項においてこれを拡大解釈することによるならば、ほとんどこの条文はあってなきがごとき状態に陥る懸念がある、こう判断されるわけですが、公取委員長どうお考えになりますか。
#212
○高橋(俊)政府委員 純資産、つまりいわゆる自己資本の総額にまで緩和されました。これはいろいろないきさつがあってなったのですが、結局それ以外は純資産、自己資本の全部が他社の株式になって、自分の事業資金はすべて借金である、他人資本である、こうなりますので、そういう点から言うと批判の余地はあると思いますけれども、とにかく一つの歯どめができたという点だけは評価していいのじゃないか。いままでですと、無制限なんですね、ですから、自己資本をはるかに超えて持っておりましても、またさらにそれをふやしても、一向構わなかった。ところが、今度は一応ここでおしまいということで線が引かれて、それが自己資本の増加がございますね、これは毎年何%かの割合でふえていきます。ですから、これを横ばいに据え置いておけば、そのうちにはやがてはいつか、恐らく大部分の会社は十年足らずのうちに自己資本の範囲に入ってしまうと思います。それでもいままでのようにむちゃくちゃにどんどんふやしていくという、それはできなくなるということだけは言えると思います。ですから、比較的大きな商社が九社入っておりますから、それらのものにとっては全く影響がないわけじゃありませんので、やはりいまの制度に比べれば前進していると考えていいと思います。
#213
○佐野(進)委員 しかし、公取試案によるところの株式会社の数を見れば大きな商社を対象にするだけでなくして、今日の日本の経済力の過度の集中を行っていると考えられる企業が大部分入っておる。ところが、これがいま公取の委員長が御説明なされたような形が経済の将来の発展に即応してまた政令をもって変えることができるという逃げ道があるとすると、これは何ら意味を持たない、こう思うわけで、それらの歯どめについて厳重にやっぱり対処しておかなければならないのじゃないか、こういうような気がいたすわけであります。しかし、これはまだ十分ではございませんので、もう時間も大分たってまいりました、あと残り少なくなりましたので、後の問題といたしますが、いずれにせよこの株式保有の制限という形の中において、持ち株会社を現在法律では禁止しているにもかかわらず、相互持ち合いを禁止でき得ない理由はなぜか、総務長官に聞いておきたいと思います。
#214
○植木国務大臣 相互持ち合いについては、いろいろ議論がございまして、私どもも検討したところでございます。ただ、商法との関係等がいろいろございますので、しばらく時間をかけて検討いたしたいということで、今回これを採用しないことになったのでございます。
#215
○佐野(進)委員 その答弁の持つ意味は、そのことの必要性は感ずるが商法その他関係方面との調整等これあり、前向きに取り組むが今回の中においては間に合わなかったからこれを入れなかった、こう理解してよろしいのですか。
#216
○植木国務大臣 相互持ち合いの態様でございますけれども、いろいろあるわけでございます。また、法律的な問題もあるわけなのでございまして、したがって、ただいま申しましたように、いろいろないまの実態の解明でありますとかあるいは法律上の問題等について時間をかけて検討さしていただきたいというのが先ほど答弁いたしました趣意でございます。
#217
○佐野(進)委員 だから、それは前向きに検討していくということですね。
#218
○植木国務大臣 そのとおりでございます。
#219
○佐野(進)委員 時間が参りましたので、本日の質問はこれをもって終わります。
#220
○山村委員長 野間友一君。
#221
○野間委員 独禁法の改正といいますと、ひとしく国民が待望してまいりました。もちろん強化改正についてであります。また、このことは国際的な独禁政策の動向からいっても当然のことであります。ところが、本改正案を見てみますと、最低の国民の要求すら骨抜きにされ、その上に改悪のとげが植えられておる、こう言っても決して過言ではないと思います。私は、そういう立場から、きょう許された範囲内でとうてい意を尽くすことはできませんけれども、とりあえず質問をしたいと思います。
 まず最初に、カルテルと物価の関係と申しますか、そういう関係の問題を取り上げたいと思いますが、まず公取委員長にお伺いするのは、最近五年間価格カルテルを破棄した、その後で価格が下がったことはあるのかないのか。最近五年間で破棄をした――値上げカルテルの場合ですけれども、この件数、それから下がったケースがあれば具体的にひとつ述べていただきたい。
#222
○高橋(俊)政府委員 私いまたまたま、事務当局はわかるかもしれませんが、最近五年間の価格カルテルの破棄件数が幾らであったかを覚えておりません。
 最近の件数は、たとえば四十八年度のごときはこれは非常に多いのですが、六十件に達するというふうに思っております。そのカルテルが破棄命令によって排除された、形は排除されましたが、価格がそれによって直ちに下がったという効果を持ったケースはまずない。私が記憶する範囲では全然ないと申し上げた方がはっきりするかもしれませんが、排除命令によってその価格が動いたことはなかったというのが実態でございます。
#223
○野間委員 ほとんど下がったことはない、排除によって下がったことはないというお答えのようですが、五十年の二月の予算委員会の中で委員会の要求資料として出しておられます資料があります。その中で特定の物資につきましてこれのカルテルそれから臨検、それから破棄の勧告というマークをつけた資料がありますけれども、それを見ますと、下がっておるようなものもあるやに見受けられるわけですけれども、これは破棄によって下がったものなのかあるいはそうでないのか、いかがですか。
#224
○高橋(俊)政府委員 いまその資料を私点検しておりません。下がったものがあるとおっしゃるのは、それは実際に実勢価格が飛び抜けて上がったようなものに限って狂乱物価と称せられるときに上がったものはその後において何ヵ月かたってからかなりはっきり下がったというものもあります。これはどちらかというと投機的な関係でつり上げられてまたそれが逆に反動が来て下がったというものがある。たまたまその途中で公取が摘発したというふうなものがございました。ですから、そういう事例が、これは特に政府の側、副総理を中心とする総需要抑制政策の結果としても物によっては相当価格が低下したというものもございます。先ほども私申し上げましたが、原料価格が急激に下がってきたというふうなものは自然に価格が下がっております。ただし、カルテル破棄命令によって下がったかどうかという点は私はむしろ疑わしいのじゃないかというふうに思います。
#225
○野間委員 まさに御明快なので、私もびっくりしたのですが、予算委員会に出された資料の中で基礎資材がございます。たとえばポリプロピレン、塩化ビニール樹脂、それからアルミニウムの地金、それから即席めん等々、これは協定があり、臨検されて勧告をされた。その後下がっているのです。なぜ下がったのか、私不思議に思いましていろいろ調べてみますと、主務官庁の値下げ指導、例の価格凍結ですね。恐らく公取がカルテルの場合の価格引き下げ命令をどうしても設けなければならないということは、幾ら破棄をしても結局下がったことがない、いまの答弁でもありました。恐らくそのような一生懸命仕事をした中で無力感を感じて引き下げ命令というものを設けるように検討されたことについては、私は疑う余地がないと思うのです。
 さらに、問題の石油についても、これは狂乱物価の主役であってそのカルテルの前歴の豊富な石油元売り会社、これは四十八年の暮れの例で見ますと、四十九年の二月に破棄勧告を受けたやつですね、これを見てみましてもべらぼうにもうけておったということは明らかであります。石油元売り十二社、このカルテルは昨年の二月五日にカルテルの破棄勧告が出されたわけですが、四十七年から五回にわたって価格をつり上げました。そのうち最後のカルテルすなわち四十八年の十月に結んだ協定、十一月値上げ実施の分ですね、これだけとってみましても、低く見積もっても一日十億円の水増しぼろもうけ、三ヵ月足らずで約一千億円の不当利得を得ておるわけであります。これはちょうど昨年の予算委員会においてわが党の不破書記局長が具体的な数字を挙げましてこれを追及して、当時の田中総理がこれをほぼ認めるというようなこともやったわけで、その点については御承知のとおりだと思いますけれども、いまの石油カルテルの場合、あるいは先ほど申し上げたどんなにカルテルを破棄しても価格が下がらない、そうすれば、特に私はいま物価との関係で値上げカルテルを中心に話を進めるわけでありますが、やみカルテルを破棄させるということは一体どういう意味を持ってきたのか、持っておるのかということが国民から厳しく問われておるわけであります。その意味におきまして、公取委員長に、非常に無力感を感じられた、そういうことを前提にしてひとつ御答弁を願いたいと思います。
#226
○高橋(俊)政府委員 確かに御指摘のとおりでありまして、過去、これはもう二十数年にわたって、その途中ではもうカルテル摘発件数が二件とか三件しかないというような時期もありましたけれども、とにかくかなりの歴史の中で、実は排除命令というものは、極端に言いますと排除命令を出せばいいのだということになっちゃったのです。排除命令を出せばそれで事終われりということになっております。私どもその点について、いまの独禁法の運用上の有効性がないということを非常に痛感しました。しかし、運用の問題で済むのかということを突き詰めていきますと、結局は法律が足らない。法律に値を下げるというふうな権限は与えられておりません。そこまでは行き過ぎだということであります。今回の場合も、われわれはある程度、値下げと言ってはまずいので、原状回復命令をまず認めるべきではないかという観点で持ち出したのですけれども、やはり公取が価格にそういうあたりで介入するということは矛盾したことになるし、好ましくない、こういうことから、そのことの大宗は、大筋は否定されたわけでございます。否定されましたので、先ほど歯がゆいけれどもしかし一歩前進だと言うのは、カルテル価格によってはならないというだけのそういう措置を命ずることは可能だ、可能になったんじゃないか、こう申し上げたわけであります。具体的に何%下げなさいというふうな措置は現在この法律案によってもとれないことになっております。
#227
○野間委員 まさに歯がゆい次第であります。
 そこで、これは公取でもあるいは総理府でもいいわけですが、カルテルを破棄しても、これはやみカルテルですが、破棄しても価格が全く下がらない、国民は依然としてその犠牲を強いられてきたという歴史を持つわけですが、よく考えてみますと、カルテルを破棄すれば人為的な価格をつくったものがなくなるわけですから下がりそうなものですね、理屈の上で考えてみますと。なぜ、破棄をしてもほとんどまず下がらない、こういうような実態が生まれておったのか。具体的にどのような場合なぜ下がらなかったか、その下がらなかった理由についてひとつ御説明願いたいと思うのです。
#228
○高橋(俊)政府委員 やはり私はそれは下げなくても何のおとがめもない。もし下げなければ審決違反になるというふうなことであればこれは下がったでしょう。しかし別に下げなくてもどうということないんだというのが実態でございますから、下げたらばかばかしいとみんなはそう思う。そして、いわばもう、一遍協定を結んでしまいますと、その後お互いにああこのままほっておけばいいじゃないかというだけで、改めて協定書を書き直さなくてもお互いにそのままにしておこうやというだけの、サインだけで十分足りるというふうな、その体質的といいますかそういう風習がこびりついている、こう申し上げた方がいいんじゃないかと思います。
#229
○野間委員 そうしますと、幾ら破棄したって全く無意味だということになるわけですね。
 もう一つお伺いしますのは、これは理論上の問題も含まれると思いますけれども、破棄をすれば下がる筋合いのものですね、協定は全くなくなるわけですから。ところが、実際は下がらない。ばかばかしいから下げる必要はないんだということで実際下げなかった、こういうケースがほとんどなんですけれども、これは理屈の上ではどのように解明すればいいのかということだと思うのですけれどもね。
#230
○高橋(俊)政府委員 実際はカルテルが実質的に破棄されない、そのまま暗黙の状態で継続されている、私はそういうふうに考えるべきだと思います。
#231
○野間委員 そうすると、それに対しては手をこまねいてとにかく見る以外にしようがないというのがいままでの公取としての態度と申しますか、もう手だてがなかった、こういうことで、やったわ、次から次と累犯がありましても、やりますけれども、結局やり損と申しますか、やり得という言葉はいまはやりですけれども、やってもやっても結局それがいまのお話のように全く無意味、効果がない、こういうことになったわけですね。
 そこで、それでは私は、その破棄勧告、とりわけいまの現行法の七条では排除の措置というものがありながら何のために一体破棄をしたのか、何のために公取が奮闘したのかということから考えまして、まさに国民すべての者がその点についての疑惑とそして憤りを持って、その中で原状回復ということが出てきたわけですね。
 そこで、ずばり申し上げてこの原状回復命令、この規定をなぜ置かないのかということですけれども、この点については公取としてはこれを設けるべきだという見解、総理府はこれを退けたということですから、その総理府に対して、この点についてなぜずばり原状回復命令を設けなかったのか、ひとつお話を伺いたいと思います。
#232
○植木国務大臣 この原状回復命令につきましては、私どもも問題意識といたしましてカルテルがやり得になるべきではないという認識を持っているのでありますが、これはけさもお答えをしたころでございますが、需給関係、コスト関係等の変化が破棄後の価格には織り込まれているので、時日が経過した以前に単純に戻せるものではないということや、あるいは据え置き期間中の買い上め、売り惜しみ、下請等へのしわ寄せ等が大きいという点、あるいは流通段階にまで効果が及ばないのではないかというようなことを勘案いたしまして、これを採用せず、カルテル排除後にとることとなる具体的措置の内容の届け出と実施状況の報告をさせることにしたのであります。
#233
○野間委員 そこで、私よくわかりませんのは、違法行為をやるわけですね。しかも、その違法行為が、これを排除するための手だてがとられる。ところが、とられても全く効果はない。つまり政府の言う自由競争と申しますか、競争価格がある場合に、これは人為的にとめられている。そうしますと、これをどうしても競争状態に戻さなければならぬ。戻すということになりますと、人為的に勝手にやったものをもとに戻すということ、私は当然だと思うのですね。このことが、国民の、冒頭に申し上げたあのケースからもおわかりのように、三ヵ月の間でわずか石油元売り十二社が先取り便乗を見越して協定を結んで一千億の水増しのぼろもうけをする、こういう状態を放置し、許すことになるわけですね。違法状態を直ちに除去する、このことは法律上も当然だと思いますし、また国民の側から考えましても、どんなに公取が動いたって、結局高い価格で物を買わされる、それは破棄した前後において全く変わりはない、これではたまったものじゃない。政府のお好きな自由競争の原理の回復と申しますか、そういう点から考えましても、競争を回復させるというたてまえに原状回復命令が合致する、こういうふうに私も考えますし、すべての国民もこれは考えておると思うのですね。それでもなおかつ、あれこれいま言われましたけれども、なおかつ原状回復命令をつけること、これを設けることはいけないというような理屈は一体どこにあるのかということを伺いたいと思います。
#234
○植木国務大臣 ただいままでは仰せのようにやり得になっておりまして、特別のそれに対する措置が十分でなかったということを私どもも認識をしております。したがいまして、課徴金の新設とともにこの報告義務を課することになったのでありまして、要するにカルテルの破棄によりまして、そのカルテルを結びました相互の拘束を解くという点がカルテル排除の基本的な考え方でございます。そして、それによりまして競争による価格が形成されるということでなければならないのでございまして、政府案が今回この報告義務を課するということによりまして、具体的措置の内容の届け出、実施状況の報告を行うのでございますから、競争による価格形成を促す効果があるというふうに私どもは考えているのであります。
#235
○野間委員 いや、私が聞いておるのは――そうすると聞き方を変えますけれども、原状回復命令、あるいは価格の引き下げ命令、こう理解しても一向に差し支えないと思いますが、これは法理論上許されないということなのか、あるいはそうでなくて法理論上は許されるけれども、これは政策的にうまくない、こういうことになるのか、どっちですか。
#236
○植木国務大臣 お答えいたします。
 法律上の問題は、これは私どもが考えるべき性格のものでございます。要するに、価格の原状回復命令というものを行って効果があるのかないのかということの方が問題であろうと思うのであります。
    〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕
これによるメリットとデメリットとをよく考えてみましたときに、私どもとしては先ほど来申し上げておりますように、この据え置くことによる弊害というものがいろいろ出てくる、それよりも、ただいま申しましたようなかわりの案を考えて、そして自由な競争による新しい価格の形成を促していく方がメリットがあるという判断をしたのでありますが、したがって私どもとしては原状回復命令をとらないことにしたのであります。
#237
○野間委員 あなたは立法者なのです。総理府でつくられて出されておるわけでしょう。法理論的に価格介入――価格介入と申しますか、引き下げ命令、まあ原状回復でも結構だと思います。これが許されるかどうかということですね。政策的にこれは効果があるのかないのか、あるいは代替的な措置でこれは賄えるという問題は、これは別個な問題だと思う。と同時に、これは一体のものだと思うのです。ですから、法理論的にこれは許されるかどうかということについて、当然総理府としても改正案を審議、討議するときに検討されたはずなんです。それすら検討せずに、最も効果のあるのは届け出、報告だというようなことで、いまの改正案を出されたというふうに私は理解できないのです。もう一度答弁願います。
#238
○植木国務大臣 立法いたします際には政策的な判断も入るわけでありまして、したがいまして、もちろんこの原状回復命令というものが立法的に可能であるかどうかということも協議をしたことは当然でございます。先ほど申し上げておりますように、それによるメリットとデメリットを政策的に考えてみまして、それを採用しないということになったということであります。
#239
○野間委員 それでは、法理論的には原状回復命令の規定は設けることは可能であるけれども、これは一向差し支えないけれども、政策的にこれを入れなかったと、こういうことでしょうか。
#240
○植木国務大臣 これは、これを立法すれば憲法違反であるとかなんとかというような問題ではないと思います。先ほど来申し上げておりますように、法律案作成に当たってどちらの方が効果があるのかということを判断をいたしまして、とらないことにしたということであります。
#241
○野間委員 質問に答えていただきたいと思います。憲法違反であるかどうかの問題ではない。私はその憲法の観点からあれこれ言っておるわけじゃない。もちろん憲法違反であれば大変なことなんだ。私は独禁法のたてまえからどうなのかということを聞いておるわけです。
#242
○植木国務大臣 独禁法の立場から私ども考えましたときに、法理論的に言いましたならば、独禁法が公正かつ自由な競争を促進する立場をとっておるわけでありますから、この原状回復命令を立法化するという考え方はとらないということにしたという点も、つけ加えさしていただきたいと思います。
#243
○野間委員 そうすると、とらないというのは、とることができないからでしょうか。とることができるけれども、法理論上、理屈の上ではとれるけれどもとらなかったという趣旨なのか、その点がひとつはっきりしないものですから……。
#244
○植木国務大臣 独占禁止法の立場を考えましたときに、法律の性格を考えましたときに、とらないことにしたという点と、もう一つは先ほど申しておりますように、政策的に考えても、これをとるよりもかわりの案の方がよろしいという判断をとったわけであります。
#245
○野間委員 すぐ後者の政策的な面を長々と言われるわけですけれども、これは公取委員長、いかがですか、いまの原状回復命令。これについて、先ほどお聞きしたことについてひとつ公取委員長の見解を承りたいと思います。
#246
○高橋(俊)政府委員 法理論といいますか、独禁法にはそういう原状回復命令というふうな、違法な行為によってつくられた価格を実質的に破棄するための措置を入れては矛盾するという議論は、私、余りないと思うんですね。違法行為によってつり上げられた価格を一たんは出発点に戻すという論理は、独禁法が、たとえそれが競争促進のための政策でありましても、それがゆえになおかつ、一遍全部が、その業界が違法行為を犯した、したがって出発点に戻りなさいという点は、私は独禁法になじまないわけじゃないと思います。それが初め私どもが出した理由なんでございますが、しかしこれに対しまして、やはり競争促進という公取が人為的にまた価格に介入する――価格介入と、こういうと出ておるわけですね。幾らにしろというのとこれはまた別なんですが、もとへ戻れということですね。しかし、これは時と場合によって実際上は使い分けしなければなりません。つまり経済の実態がすでにカルテルを摘発したときまでに大きく変わってしまっているというふうな場合ですね。早く言えば変なインフレ、ほかの外的要因でもいいのですが、インフレがまた急激に進行したという場合にはもとへ戻れということが、政策的に判断しますと非常に不自然になる。だから、そういうときには発動しない。だから、発動するかしないかといういずれか一つなんです。そうしますと、それに対して、国民の側といいますか業界の側からは、原状回復をこれの場合には命じて、こっちの場合には命じなかったという、その選択の根拠は何かと追及を受けることは必至だろうと思うのです。ですから、そういうことで公取が公正な独禁法の運用をしているのかどうかということを突かれるおそれもある。そういうところがこの弱点だと思います。つまり値下げを中途半端でも何でもどんどん命ぜられれば、それはいいのですけれども、それになると非常に統制的色彩を強めるというので反対されます。そこで、出発点に戻れというのは論理的に私は正しい。しかし、運用するときに常にそうやれるかどうかという点について問題点がなしとしないのが私の考えであります。
#247
○野間委員 いま委員長は、もとの状態に戻すということについては一向差し支えないという、こういう答弁がありました。総理府総務長官どうでしょう、同じですか。
#248
○植木国務大臣 先ほど申し上げましたようにいろいろな観点からこれをとらないことにしたわけでありますが、法理論的に言いましたならば、これはなじまないものではないという意見もあると思います。しかし、政府といたしましては今回協議の結果、この原状回復命令は独占禁止法という公正な競争確保にはなじまないものであるという考え方をとったのでございます。
#249
○野間委員 どうも、のらりくらり逃げられるのですけれども、あなたの、立法者の意見を聞いておるのです。いま公取の委員長が答えました、入れようと思えば入れられるわけでしょう。その点を、政策的な問題については後でまたお聞きするので、入れようと思えばこれは当然入れられる、しかしあれこれの理由で入れなかったというなら話はわかります。
 そこで、お聞きしておるのは、委員長はもとの状態に戻すということは一向差し支えないのだ、こう言われておる。だから、あなたに私が聞いておるのは、これは一向差し支えないんだ、入れようと思えば入れられるけれども入れなかった、こういうことになるんじゃないかということをお聞きしておるわけです。
#250
○植木国務大臣 法律をつくりますのには、もう言うまでもなくいろいろな政策的な判断があるわけでございます。政策的な判断については聞きたくないということであるかもしれませんけれども、私どもとしましては、やはりこの実効性を確保いたしますためにはメリット、デメリットを十分に考えなければなりませんので、これをとらないことにしたということは、何度繰り返しても同じでございます。
#251
○野間委員 ずばり答えてください。入れることはできるけれども入れなかったと、それだけでいいです。
#252
○植木国務大臣 法理論上も問題があるし、そしてまた政策上の問題がある。したがってとらなかった、これでございます。
#253
○野間委員 それじゃ、法理論上どういう問題があるのでしょうか。
#254
○植木国務大臣 原状回復命令といいますものは、日時が経過しました過去の価格に強制的に戻すものでございます。したがって、その据え置き期間におきましては競争による価格と異なる価格を維持するということでひずみを生ずるという弊害を生じます。したがって、私どもとしてはそういう競争促進という立場から適当でないものは入れないということにしたのでありまして、法理論上におきましても、いま申し上げましたように、独占禁止法というものは競争を公正に促進させるものであるという法律でございますから、これはなじむという説もありますけれども、今回はこれをとらないということにしたのであります。
#255
○野間委員 私は評論家の意見を聞いてるのではないのです、学説を聞いてるのではないのです。入れられるべきものを入れなかった、入れられないから入れなかった、ここがまさに問題だということを指摘しておるわけですね。これは繰り返しになりますけれども、公取委員長は差し支えない、こう言われた。説はいろいろあります、私も多少は承知しております。しかし、少なくとも法律をつくられる方がどの見解に立ってつくったのか、これは重要な要素です。あれこれ説があるけれども、異説もある、異なった見解もある、だから避けたということと、立法者が一体どのような考えを持っておられるのか、政府が一体どのような考えを持っておられるのか、このことは非常に重要な問題です。再度お答え願います。
#256
○植木国務大臣 独占禁止法という法律の立場からはこれを採用すべきではないという立場をとったのでございます。
#257
○野間委員 同じじゃありませんか。すべきでないというのは、法のたてまえから許されないということなのかどうか。学説ではないのです。あるいは政策的にそうした方がいいのか、あるいはすべきでないということも聞いておりません、いまは。ずばり答えてください。私きょうは一時間九分しかないのです。ずばり答えてください、こればっかりやらなければなりません。
#258
○植木国務大臣 いろいろな説があるということは先ほど来申し上げ、またお説のとおりでありますが、その中で法理論的に申しましてわれわれは原状回復命令というものは採用をすべきでないという立場をとりましたのと、政策的な判断を行ったのであります。
#259
○野間委員 大分答弁がはっきりしてきました。そうすると、法理論的には、立法者として出された政府としては、これはとれないということですね、そうですね。
#260
○植木国務大臣 独占禁止法の立場からはとるべきではないという立場をとったのであります。
#261
○野間委員 またおかしくなりました。べきでないということを言われるからおかしいのですね。とったって差し支えないんだ、しかしとらなかった。政策上の問額について、私後でまた聞くわけですけれども、そこをはっきりしてください。委員長はっきりさせてくだざい。法理論的に許されるかどうかということと政策とは別です。何度も言っているわけです。いかがです。
#262
○植木国務大臣 法理論の立場よりも立法政策的な立場でこれをとらないことにしたわけでございます。先ほどそれを申しておりますように、立法いたしますのには政策的な判断が必要であるということと、もう一つは独禁法の立場からこの原状回復命令をとらないことにしたということであります。
#263
○野間委員 また答弁が変わってきました。立法政策という新語が出てきました。立法政策というのはまさに政策なんです。どの法律をつくれば一番効果的かというのはまさに政策なんですね。法律をつくる政策なんです。私はそういうことは聞いておりません。これは本当にとぼけずにまともに答えていただきたいと思うのです。法理論上入れることができるけれども、これを入れなかった、これだけに答えてください。進みません、議論が。
#264
○植木国務大臣 何度も申し上げますけれども、法理論的に言えば、この原状回復命令を取り入れるべきではない、取り入れることは適当でない、こういう判断をしたのであります。
#265
○野間委員 そうすると、法理論的には政府としてはとれないということから、その代替的措置とおっしゃるかどうか知らぬけれども、いまの改正案のようなものにしたのだ、この問題についてはこの点確認して進めたいと思います。
#266
○植木国務大臣 何度も申し上げますが、法理論的な立場と言われれば、独占禁止法が公正かつ自由な競争を促進する立場をとっておりますので、独占禁止法の観点からこれを取り入れることは適当でないという判断をしたのであります。
#267
○野間委員 それじゃ、別の質問にいたします。
 独占禁止法、現行法ですね、このたてまえから法理論的にとるべきでない、その理由はいかがですか。
#268
○植木国務大臣 何度も申し上げますが、独占禁止法は公正かつ自由な競争を促進するための法律であります。
#269
○野間委員 競争価格から人為的に価格をつり上げた、そうですね、つまり違法行為によって違法状態が発生し、それが継続しておる。その違法状態をもとに戻す、つまり競争価格の状態、もとのとおりに返せ、この状態に戻すのがどうして自由競争の原理から許されないわけでしょうか。なぜこれが競争の復活にならないのでしょうか。
#270
○植木国務大臣 もとに戻しました際には時間が経過をしているわけでございます。したがって、その経過いたしました時間というものを考えましたときに、新しい競争を形成いたしますためには、独占禁止法の立場としては、先ほど来申し上げておりますように、実施状況やあるいは具体的措置の報告を求めるという方が効果的であるということであります。
#271
○野間委員 そうすると、違法行為が行われて違法状態が発生し継続する、その状態をもとに戻すことが時間が経過しておるからこれは悪い。そうしますと、これは非常に重要なことだと思うのです。たとえばどろぼうが人の土地を窃取あるいは騙取あるいは喝取、何でもいいです、とってりっぱな建物を建てた。借金もして、しかもこの一定の状態、社会的にその占有状態が外形上は是認をされる。それをもとにして社会上の実態は進んでいくわけです。法律上、この場合に、もう一定の時間が経過したから、もとの状態に戻すことは混乱する、こういうことが許されますか。いまのケースの場合にはどうなりましょうか。これはまさに不法行為に基づく原状回復でしょう。違いますか。
#272
○植木国務大臣 いまの場合のケースと原状回復命令とは違うというふうに思います。
#273
○野間委員 いや、いまの状態は、私が申し上げたのはまさにそのとおりでしょう、法律上は。違いますか。
#274
○植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、原状回復命令が出まして、それが排除せられるまでは時日の経過があるわけであります。経済的な状況の変化もあるわけであります。そういうことを総合的に検討いたしましたならば、生きた経済の中でどのような措置をとることが競争政策の推進になるかという立場をとり、考えましたときには、私どもの考えておりますような報告義務を課すということの方が実効性があるというふうに思います。
#275
○野間委員 委員長、質問に答えるようにひとつぜひ注意をしていただきたいと思うのです。
#276
○原政府委員 いまのお話、二つの例の比較ですが、いまのお話ですと、価格のお話でございますけれども、売ったという行為、それを取り消してもとに戻してしまうというお話がもしあるのなら、それはそういういまの設例のお話は、済んだけれどももとへ戻すのだと。そうすると、いまの価格、売ったということを戻すのかと、こういう話になるのかもしれないのですが、そこのところは必ずしもはっきりいたしません。要するに総務長官が前からずっと言っております趣旨は、私から補足するのもおかしいですが、要するに原状回復ということは、時が経過してもとに戻る、そうするとそれは非常に経済実態に合わないことになるから、その排除する状態のところでもし考えるとするなら考える、その場合にはコストアップとかいろいろある、それは考えざるを得ない。そういたしますと、そのときにもとに戻るんじゃなくて、その段階でやはりその値段を幾らにしろと、こう決めざるを得ない。これは要するに価格に対する介入であって統制である。そういうことだから、私どもはそれはとらないということでございます。
#277
○野間委員 そこで、また出てきましたけれども、そのとらないということですね。つまり原状回復命令ですね。これは公取が出しておるやつですが、わが党も同じですけれども、結局競争価格を破って人為的に価格をつくる、協定価格、そして違法状態が継続する、これを協定締結前の状態に戻すということがなぜできないのか。そうすると、いままた政策との関係が出てくると思うのですけれども、これはやろうと思えばできるわけでしょう、つくればいいわけです。ところがつくらない。でも、何度も申し上げておるように、どろぼうが土地をとって違法状態が継続したら、もうそれが一定の社会的な実態になっておる、もういまさらもとに戻すというようなことになると建物を取り除かなければならない、大変な損害だと、まさに犯人擁護、どろぼう擁護の理屈になるのです、その意味で考えますと。今度の価格カルテルの場合だって同じなんです。そうでしょう。本来許されない、法で禁止しておる違法行為をやるということ、そしてその違法行為によって取引をやる、そういうことになりますね。しかし、それが時間が経過した。これは時間が経過しない場合もあります。翌日あるいは翌々日の場合だってあります。協定と時間が接近した場合だってあります。また、多少時間が離れた場合だってあります。これは理屈の上では同じなんです。いずれにしても、もとの状態に戻すこと、つまり違法な行為を排除しなければならぬというのは当然の使命じゃありませんか。そうでなければまさに野放し、先ほど公取委員長も言われたけれども、何ぼやったってどうにもならない。これをずばりなくするためにはこれ以外にない、こうなると思うのです。
 それじゃ聞きますが、経済の実態とか困難とかあれこれ言われました。なぜこれをとらなかったかという理由、これをもう一度はっきりお挙げいただきたいと思います。
#278
○植木国務大臣 まず、先ほど来のお話でございますが、独占禁止法というのは競争促進政策でありまして、競争回復が目的なのでございます。どろぼうの例を盛んに挙げておられますが、これは民法上財産が回復できるかどうか、あるいは刑事上の問題にもなろうかと思います。そういうようなものでありまして、これを比較をせられるのはとうてい無理であるということを先ほど申したのでございます。違法状態、違法であるということは同じでありますけれども、しかしながら、この二つを例に挙げて御質問になるのは、これは私といたしましてはいただきかねるということを申し上げたのでございます。
 それから、原状回復命令をとらなかった理由は、何度も申し上げますけれども、破棄後の価格には需給関係やコスト関係等の変化が織り込まれているので、時日が経過した以前になかなか単純に戻せるものではないということが第一点であり、第二点には、この据え置き期間中、三ヵ月なら三ヵ月、六ヵ月なら六ヵ月の間には売り惜しみ、買い占め、あるいは下請等へのしわ寄せが起こるという可能性が十分考えられる。これはあの物価狂乱のときにわれわれが体験をしたところでございます。さらにまた、生産者に価格の原状回復命令が出されましても、その効果が流通段階にまで及ぶのか及ばないのか。もし及ばないということになれば価格の介入を広げざるを得なくなるわけでありますから、私どもはとらないということにしたのであります。
#279
○野間委員 そうすると、私は、結局くつに合わせて足をつくるたぐいじゃないかと思うのですね。確かにいま指摘されたようなケース、私は絶無だとは言いません。しかし、問題の本質は何かといいますと、いまのあなたの答弁は逆立ちした議論だと思うのです。悪いことをしたものをもとに戻す、これは基本でしょう。それは、たとえば需給関係あるいはコストの関係、中小企業あるいは買い占め、売り惜しみ、こういうものを言われました。しかし、少なくとも基本において違法状態をなくするということが正しいとすれば、こういうような幾つかの問題についてはそれなりの個別の手当てをするのがあたりまえじゃありませんか。逆立ちをした議論でなくて、なぜその根本を改めようとされないのか。そうでなければ、やり得の状態、これからもこういうものはなくすことはできないのはあたりまえだし、また、言いたいのは、違法状態によってこれを、企業みずからが自分の企業内部で損害をこうむるのならいざ知らず、こういう違法な状態の継続によって損害を受けるのは国民なんです。消費者なんです。人為的につり上げたもの、石油の場合でも三ヵ月間に一千億円、こういうような状態で石油を買わされる。国民はたまったものではありません。もとの状態に戻して、そしてここから出発をする。コストは上がっておる、あるいはその需給関係が変わった、それはそれなりに適切な措置をしたらいいと思う。
 そこで、私は、いま押し問答になっておりますので、これは法理論上の問題についても、またあすでも、あるいはその後でもまだ詰めてみたいと思いますけれども、きょうはこの問題は留保しまして、少し公取委員長に聞きますけれども、独禁政策上あるいは独禁法上価格介入ということがよく言われておりますけれども、その価格に介入するというようなケース、こういうものがいまの独禁法の上であるのかないのか、この点についてまずお伺いします。
#280
○高橋(俊)政府委員 それは、現行独禁法の上で申しますと不当廉売というような場合には、これはもう不公正な取引の中の一つのタイプでございまして、不当廉売であるかないかを決めるということは、それは価格そのものにタッチするわけです。原価をよく調べる、そして、余りにも原価を大幅に割って不当廉売をするということは不公正な取引法である、こういうことでございますから、その範囲においては、いやおうなしに価格介入をせざるを得ないわけであります。
#281
○野間委員 御明解です。まさにそうだと思うのですね。つまり独禁法の上でも価格介入は実際あるわけです。これはできるわけです。二十条の差しとめだと思いますけれども、八百十二円の中部読売ですね。これは板川委員の質問にもありましたけれども。そうすると委員長、独禁法の上で、先ほど私は原状回復命令についてお聞きしたわけですけれども、ある説によると、考え方によると、独禁法の中に価格介入を持ち込むのはいけないのだ、こういう見解もありますね。これはそこにおられる河本通産大臣もたしかそういう見解だったと思いますけれども。しかし、現在、現行独禁法の上でも不当廉売、不公正な取引方法の場合には価格介入が現にあるし、できるわけですね。そうすると、まず公取委員長の見解を伺いますけれども、現行の独禁法の上でも価格介入というものは許される。これは抽象的に言うとあれですけれども、統制経済とかそういうことはともかくとして、自由競争あるいは競争の復活とかそういう点から考えて、価格に介入することは、当然これは許容されるべき筋のものである、こういうふうにお考えですね。
#282
○高橋(俊)政府委員 公正取引委員会はいろいろな仕事がありますけれども、その中で不公正な取引の禁止というものも一つの目標といいますか、これを守らなければならぬ、そういうわけですから、不当廉売ということが明らかにこれは不公正取引であるとされている以上は、いやもおうもないのです。ですから、それにタッチしてはならぬというなら不当廉売は幾らでもやりなさい、こうなってしまいますから、これは避くべからざる行為として認識しなければならぬと思います。ですから、私は公正な立場になってくると思います。そこに価格介入があるから常にほかの場合にも介入するのはおかしくないのだという論理には、必然的には結びつかないと思います。これは別の観点から価格に介入すべきかどうかということを、その政策の目的から考えて妥当かどうかという点から判断していいのじゃないか、判断すべきじゃないかと私は思います。
#283
○野間委員 総務長官、いまの不当廉売の問題は価格介入だ、これは公取委員長の見解がありました。これは恐らく総務長官も同じだと思いますけれども、どうでしょう。
#284
○植木国務大臣 御指摘のように、独禁法が、不当廉売の場合のように価格に関する規定を設けている場合があることは、御指摘のとおりであります。しかし、これは自由競争の結果定まるでありましょう価格を尊重するという考え方に立ったものと理解をしているのであります。不当廉売の場合には、特定の事業者の行う競争を阻害する価格による販売を不公正な取引方法として差しとめ、競争を回復しようとするものであります。しかし、これに対して、価格の原状回復命令というものは、カルテルを破棄しました後に、競争によって市場で決定されるべき価格を公権力により決定しようというものでありますから、いわゆる価格統制の場合と同様の弊害が出てくることと考えるのでございまして、不当廉売の場合とは性格を異にすると私どもは認識しています。
#285
○野間委員 もう奇妙な理屈になりますよ。安く売ったものを高くしろ、不当廉売の場合、これは価格介入が許される。これは公取委員長の話のとおりですね。総務長官もその場合の価格介入は許される、こういう話です。ところが、高く売ったものを安い価格に戻せ、これが統制経済、統制価格になるというのは一体どういうわけでしょう。お答え願います。
#286
○植木国務大臣 価格というものは競争によって決定をせられるべきであるというのは、基本的な考え方でございます。その中で不公正な取引方法によって不当廉売を行うことにより、公正な競争が行われないというものに対しては、差しとめや競争回復のための不当廉売の規制というものが行われてしかるべきであると思います。しかし、カルテルを破棄しました後に、競争によって価格を自由に決めてもらうということになりますと、これは市場の中で決定せられるべきものでありますから、これをこれだけにしろということを命令をいたしますことは、公権力による価格に対する介入でございますから、性格は違うということを申し上げているのであります。
#287
○野間委員 どうもおかしいですね。競争価格から、これは人為的に競争価格でない状態、そういう価格を結ぶわけでしょう。これは違法なんですね。これを競争価格の状態に戻すことが何で統制価格になるのか、私はよくわかりません。いまの答弁の中で、カルテル行為、これの破棄をする、しかし破棄してまだ価格が残るわけでしょう。そうですね。いままで下がったためしはほとんどないわけでしょう。そうすると、破棄しても価格は残っておる状態が今日までの状態ですね。本来ならば、破棄すれば価格は下がるべき筋合いのものが、下がっていない。それをもとの状態に戻せ、こういうことになるわけでしょう。それじゃ、総務長官はどういうようにお考えになるのですか。カルテルの破棄――審決でもあるいは勧告でも結構ですが、破棄しなさい、破棄する、しかし価格はそのまままだ残っておる。何でこんな結果があるわけですか。あなたのように分けて考えますと、公取としては、もう破棄しました、それだけで役割りは済むのだ、その後で価格を決めることが、これは統制価格だ、こうおっしゃる。その立論は、破棄することと価格を自由な競争価格に戻すと申しますか、それとは全然別個の問題であるようなとらえ方をしておるのじゃないか、こう思うのですけれども、いかがです。
#288
○植木国務大臣 別個のようなとらえ方をしているのではありませんで、何にいたしましてもカルテルを破棄させることが必要であります。そして、その破棄させることによりまして、カルテルを結んでおります相互の拘束というものを解くということが必要なわけであります。その相互の拘束が解かれるということが、これはカルテル排除の基本的な考え方でありまして、これによって競争による価格が形成されるということがやはり肝要であろうと思うのであります。
    〔塩川委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕
したがって、先ほど来の不当廉売の場合には、公正でない競争によって不公正取引が行われる。したがって、それを是正しようとする。片一方は、カルテルが行われているものを破棄させることによって、今度は自由に競争をさせ、公正に競争をさせて、そして新しい価格の形成を行わせる、こういう考え方なのでありますから、二つのものにつきましては性格が違うということを申し上げているのであります。
#289
○野間委員 それなら、破棄しても価格が下がらない、これは一体どのように見ておられるのですか。
#290
○植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、新しい私どもの政府案の中には、事業者に対しましてカルテル排除後にとることになる具体的措置の内容の届け出とその実施状況の報告をさせることになっているわけであります。従来のようにただカルテルを破棄するべきであるという命令が出されて、そして先ほど公取委員長からもお話がありましたように、ただそれだけで終わってしまっているというのでは、価格の形成というものが公正かつ自由に行われないということになりましょうけれども、今回はその具体的な措置でありますとか実施状況というものを報告することになるのでありますから、いままでとは違った新しい価格の形成というものに役立つ法律案であるというふうに私どもは考えております。
#291
○野間委員 届け出、報告についてはいろんな問題がありますので、また、きょう時間があれば聞きますけれども、それじゃその前にその問題について公取委員長にお聞きします。
 従来、値上げカルテルを破棄された、その破棄の勧告なりあるいは審決でいろんな主文を書かれます。どういう態様、どういう中身があったのか、ひとつ基本的なそういう中身について、幾つかもし類別できるならばお聞かせ願いたいと思います。
#292
○高橋(俊)政府委員 カルテルの場合は、通常それぞれの業者にあてまして――三条違反の場合です。何月何日に協定したカルテル、いわば価格協定、そういうものを破棄して、その旨を周知徹底を図る。周知徹底というものは、大抵の場合、全国紙等を含む新聞広告と、それから得意さん、自分の取引先に対する周知徹底です、そういうことをする。そして、価格についてはそれぞれが今後ば自主的に決定しなさい。それで、今後、このごろほとんど全部つけていますが、毎月の販売量、価格等を公取に報告しなさいというふうな内容のものでありまして、中には価格を需要先と再交渉しなさい、交渉し直して決めなさいというところまで書いているのもございます。必ずしも全部が同じではありませんが、一つのタイプを申し上げました。
#293
○野間委員 よくわかりました。協定した会議、これと同等の会議を開いて、そこで破棄決定をすること。それから、破棄した旨と、それから自主的に価格を決めることを取引先に通知あるいは新聞等で公告する。それから、価格表の回収。それから、毎月、半年とか一年とか決めて、取引の販売価格とか数量を報告させる。それから、価格をもう一遍再交渉しろ。幾つかいま類別にわたってお話がありましたけれども、こういうのを今日までやってこられた、こういうことですね。その七条の排除措置の中身、必要な措置としていろいろと御苦労されてきたことは私も評価するわけです。
 そこで、聞きますが、このいまやられた、大きく分けますと五つに類別されると思いますが、この中でそもそも総理府が非常に好んでおる行為規制、これとそれだけではなしに影響を排除する中身を持ったものですね、これがいまの五つの中にはあると思うのです。私はこの四つ目と申しますか、毎月、半年なり一年なり、これはきょうも審決集を持っていますけれども、この中でずいぶん苦労されておる。ランク別の販売数量あるいは価格を届け出させること、それから価格をもう一度再交渉し直せ、こういう命令も出されておる。これはコーテッド、紙のあれの場合ですね。私はいま挙げたこの二つの場合にも、単なる行為規制だけでなくて、協定による影響力、これを排除する措置というふうに私は理解しておるわけです。いかがですか。
#294
○高橋(俊)政府委員 そういった私どものとっておりますいわゆる主文と申しますか、主文とはつまり判決に相当するようなものでして、主たるこれをしなさいという命令を内容としている。これについては現行法で解釈上できる限りのことはやっているつもりなんです。確かにおっしゃるように、内容的にいえば、価格についてはこれから自主的に決定しなさい、協定価格があってはいかぬという意味なんですね、本当は。ところが、協定価格によってはならないという文言はいままで使ってない。そこが違います。ですから、ただ相手と交渉し直しなさい、交渉して決めなさいとか自主的に決めなさいというまさにそれはカルテルを破棄する実質的な内容をやりなさいということを言っているのですが、それが実は何にもならない、要するに何の効果も持っていないということ。それに私はいまのカルテル排除措置の有効性についてはなはだ疑問がある。疑問があるどころか、有効性がないのではないかということから、カルテル対策の中に課徴金のほかに原状回復命令というのを織り込んだつもりなんですが、この点先ほど余りにも総務長官いろいろ御苦心なさっておりますが、私がよけいなことを申すようですけれども、原状回復命令は、世の中が非常に平穏無事に――いまはだんだん安定成長に入っておりますから、よほど外からのとんでもない影響が再び出てこない限りは、卸価格なんかについては、メーカーの価格なんかは平穏に推移するのではないかと思うのです。そういう前提をとった場合に、人為的にぼっとカルテルで上がったというような場合には、私は原状回復命令を命じ得る下地はあると思うんですね。しかし、常に平穏無事に世の中が推移するとは限らない。だから、外国からの原料がどんどん上がってきたというふうな場合、それが上がったところが便乗的にカルテルをやったというケースもある。そのときに原状回復命令を命ずることが果たして実情に合っているかというと問題になる。ですから、私は、原状回復命令というものも使い方によるんでして、それはうまく使えば非常にいい、しかし場合によると弊害だけが残る、こういうことです。
#295
○野間委員 ですから、私がお聞きしているのは、五つのうちの後の二つのケースは単なる行為規制、協定の規制、破棄、これだけではなくて、そのカルテルによる影響力、これを排除する措置として、性格として、位置づけてもいいかどうかということです。私はそうだというふうに理解しますがいかがですか。
#296
○高橋(俊)政府委員 それは内容としては自主的にカルテルそのものの破棄を行うということを内容としているんだ、しかしそれは守られておりません、こういうことです。
#297
○野間委員 そのことがいわゆる総理府の言う影響を排除する中身そのものだということを私は申し上げておるのですけれどもね。総理府はそう言うているでしょう。今度括弧の中で加える、影響を排除するためのものだ、いま公取が苦労してつくられた二つのパターン、ケース、これはまさに影響を排除する中身の一つあるいは二つの形態ではなかろうか、こう思うのですから聞いておるわけです。そうですね。
#298
○高橋(俊)政府委員 確かにそのとおりです。実際的にその影響を排除するための措置が入っていると考えます。
#299
○野間委員 時間が参りましたので、ここでひとつ最終確認をしておきますけれども、公取としてはいままで七条の排除の措置としていま五つのパターンを挙げられました。そのうちのたとえば販売価格、数量の報告あるいは再交渉の命令、これはその影響を排除する中身そのものであるということも確認いたしました。ところが、総理府は今度の括弧の中はいままでなかったもので前進なんだ、その理由は単なる今日までの行為規制じゃなくて、影響を排除するための具体的な措置を届け出させ、あるいはそれの実施状況を報告させる、こう言われました。ところが、いまの公取委員長の答弁にもありましたように、いままですでに公取がやってきたもの、このことからすれば、これが今度の括弧の中を見ますと、公取が主文の中で命ずることができない、そうでなくて、犯人である企業に対して報告しなさい、あなた任せのもので、これはまさに後退なんです。このことについては後日私は十分論証して、そしていまのこの一点から考えましてもいまの総理府の改正案、政府の改正案がまさに後退、改悪だということを論証したいと思います。時間がありませんので、きょうはこの点を保留しまして、後日に回します。
#300
○田中(六)委員長代理 近江巳記夫君。
#301
○近江委員 きょうは与えられております時間もきわめて短いわけでございます。そういうことで、何点かの問題点にしぼりまして、お伺いをいたしたい、このように思います。
 まず、具体的な項目に入る前に、総務長官にお伺いしたいと思うのですが、総務長官は、この委員会で審議し、明らかに修正をする部分がある場合、これに応ずる意思があるかどうか、まず初めにお伺いしたいと思っております。
#302
○植木国務大臣 私どもは、今回の政府案は妥当なものだという考え方のもとに提案をさせていただいたのでございまして、趣旨説明の際にお願いを申し上げましたように、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをこいねがうばかりでございます。
#303
○近江委員 明らかに修正をしなければならない部分があった場合に、修正に応ぜられる気持ちがあるかどうかということをお伺いしておるわけであります。
#304
○植木国務大臣 実質的審議は本日から始まったばかりでございまして、今後審議の過程におきましてそれぞれ質疑が行われるわけでございます。いまの段階でこの部分がいい、この部分が悪いというようないろいろな御指摘もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては妥当な案を出しているという考え方でございますので、いまの段階でそのような修正に応ずるとか応じないとかいうようなことについて私が申し上げるのはいかがかと存じますので、これは差し控えさせていただきたいと存じます。
#305
○近江委員 この二月三日の予算委員会におきまして、わが党の正木政審会長が三木総理に修正に応ずる意思があるかどうか、このように質問をいたしました。そのときに三木さんの答弁は、「法案の修正権は国会が持っておるわけでございますから、野党の御意見で、自民党としてもこれはそういう改正をした方がいいというときには、当然に修正は可能であるわけでございます。」このようにおっしゃっているわけです。こういうわれわれの意見を受け入れよう、修正しよう、こういうことを総理がおっしゃっているわけです。ですから、確かにまだ問題点は煮詰まってはおりませんが、そういう受け入れの用意があるかどうか。いまの長官の御答弁ですと、かたくなに貝のように絶対政府案はいいんだ、そういうところは恐らく探してもないぞというような、そこまでおっしゃいませんが、気持ちの上ではそれが非常に出ているわけです。ですから、当然そういう問題が出てきて、だれが考えてもなるほどいいじゃないかとゆいう場合においては、それだけの気持ちがあるかということをお伺いしておるわけであります。
#306
○植木国務大臣 政府といたしましては、一切国会に御審議をおゆだねしているわけなのでございますから、政府側といたしまして修正をいたしますとかいたしませんとかということを申し上げることは妥当ではないと思うのでありまして、これは国会の、また特に当委員会の御審議におゆだねをしているということで、お答えとさせていただきたいと存じます。
#307
○近江委員 当然、国会は立法権を持っているわけでありますから、それは当然そうなんです。国会でやるんです、やるんだけれども、政府案としてお出しになっているわけですから、われわれがそのように言った場合においてはそれに政府として応ぜられるかどうかということを申し上げておるのです。本当の率直な気持ちを聞かせてください。
#308
○植木国務大臣 いまどの点をどういうふうにお考えになっておるのか、また将来お考えになるのかということが一切判明しておりません段階で私が御答弁申し上げるということは、大変僭越なことであるとも思うのでございまして、御審議を見守らしていただきたいと存ずるのでございます。
#309
○近江委員 問題点は時間の許す範囲で私も指摘をしていきたい、このように思っておりますが、私がいまお聞きしておるのはそういう具体論ではなくして、それでなくてもいろいろな問題も出ておるわけでございまして、当然そういう問題が明らかになり、だれが見ても妥当性を持ち、なるほどそうだという場合においては、政府としても受け入れの気持ちだけはお持ちですか、これを聞いておるわけですよ。
#310
○植木国務大臣 三木内閣は対話と協調の精神をもって国政に臨んでいるということで、お答えにさせていただきたいと存じます。
#311
○近江委員 対話と協調で臨んでおられるから当然この修正も受け入れる、こういうことですね、確認いたしておきます。――御答弁がないところを見ますと、まさにそのとおりである、了承されておる、こういうことですね。
 最初に私は、課徴金についてお伺いしたいと思うのです。このカルテルは違法なのでありますから、カルテルを行った場合、それによる利得を剥奪するというものであると私は思うんです。このことはカルテルのやり得を防ぐということとイコールになる、このように思います。ところが、政府の改正案におきましては、売上高を基準としてその一・五%を徴収するとか、さらに三年前にさかのぼって経常利益率の低い場合はこの基準率をさらに低くしてやる。これではカルテルの違法性を否定してしまうことにならないかという問題であります。この問題につきまして、まず総務長官にお伺いしたいと思うんです。
#312
○植木国務大臣 課徴金の算定方式を含めましての改正案の作成に当たりましては、各界の御意見もお聞きし、また各党の改正案等につきましても参考にさせていただきましたし、また公正取引委員会の試案も重要な資料として検討をしてまいったのでございまして、私どもといたしましてはあらゆる知恵をしぼりまして、現在御提案申し上げているような課徴金制度というものを作成したのでございます。
#313
○近江委員 極端なことを言いますと、赤字会社はカルテルを結んでもいいということになってしまうんじゃないか、このように思うんですね。いいんですか、これ。
#314
○植木国務大臣 そのような考え方はございません。ただ、私どもの案をつくりますのに当たりまして、この課徴金を徴収することによりまして企業が重大な影響を受ける、それによってもたらされる国民経済的な弊害というものが起こってはならないという考え方のもとに、たとえば十万円以下の控除でありますとか、あるいは三年間の経常利益率を見るということにしたのでありまして、基本的な考え方は基準率によりまして基準額をとるというのが私どもの考え方でございます。
#315
○近江委員 少なくとも公取試案におきましてはカルテルによる不当利得を剥奪するものであった、私はこのように思うわけです。そこで、この政府案というものがいかに後退して、カルテルによるもうけというものを是認しているかを具体的に計算してみましたので、これを説明してみたいと思うのです。
 いまお手元に委員長の許可をいただきまして表が配られておるわけでございますが、ことしの二月三日、わが党の正木さんが公取試案及びわが党の考えをもとにして作成しましたカルテルによる利得額と、私が計算した政府案を比較したものであります。
 この公取試案による計算は、高橋委員長もその予算委員会のときにおきましても「ほとんど間違いない、正確に近いものであると思う。」このように答弁されたものであります。また、この四百五十三億円という数字は西ドイツの有力誌シュピーゲルにも報道されておるわけであります。そこで、政府案と比較してみますと、このトータルで見ていただきますとおわかりのように、三百七十五億九千万円も差が出ておるわけです。公取試案によるカルテル利得額、これが四百五十三億二千万円、政府改正案によるカルテル利得額七十七億三千万円、差し引きいたしますと三百七十五億九千万円、しかもただし書きによります計算は、これは非常に複雑なため割愛したわけですが、もっと差が開くわけですよ。実際に政府案で計算してまいりますと、いわゆる三年前の利益率にさかのぼって基準を低くするとさらにこの数値が低くなってくる。こういうことでは何のために課徴金をかけるか。やり得をなくすということが課徴金であるわけです。この十一件のケースを見てもこれだけの巨額の差額が出ておるわけです。この事実を総務長官としてはどのように受け取っておられますか。高橋公取委員長にも続いてお願いしたいと思うのです。
 まず、総務長官から……。
#316
○植木国務大臣 これをただいま初めて拝見をいたしましたが、この利得概算額試算でございますけれども、この中に果たしてどれだけそのコストでありますとかあるいは正当な利得が入っておりますか、その辺のところの判断をいたしかねますので、私といたしましてはいまこの表について直ちにお答えをすることはできません。ただ、政府の算定方式によります一・五%というものは必ずしも売上額におきまして低いものではありませんし、税法上の優遇措置等もいたしておりませんので高い負担になると思うのでありまして、課徴金の新設による効果というものは大きいというふうに私どもは考えているところであります。
#317
○高橋(俊)政府委員 私は、確かにこの数字、見覚えがございます。そのときに、ただ、お断りいたしました。これは値上げ幅の差額全部をとって計算された。ところが、私の方の試案におきましても、一部はやむを得ないものは控除する、こうなっておりますから、この額そのものが、公取試案を仮に実際に移した場合でも、そのものずばりではないということでございます。ただそれを、先ほど申しましたように、不当利得分を四割と見るか五割と見るかいろいろあります。だけれども、それでもかなり大きな額になるでしょう。それに比べると、一・五%が最高であるという政府案の課徴金は、確かに比べればかなり低いようにも思います。まあそれでも過去の業績によって、業績の悪かった者はカルテルのやり得になってしまうというふうな、つまりカルテルをやる動機というものと結びつかないもので減額されて〇・一五まで下がり、あるいは〇・一だというふうになってきたのでは、ほとんど抑止効果がないに近いのではないかという感じを私は持っているということを率直に申し上げなければなりません。
#318
○近江委員 この前正木さんが予算委員会で、この公取試案の数値を出しまして、公取委員長にもその際見ていただいたわけですが、公取委員長はそのときに、「ほとんど間違いない、正確に近いものであるというふうに思います。」というお話をなさっているわけです。一銭一厘まで間違いないかというようなことになってきますと、これは確かにいろんな問題があろうかと思いますが、大筋におきまして、ほぼこうした計算というものは正しいということを公取委員長はおっしゃっておりますし、西ドイツの非常に権威のあるシュピーゲルにおきましても、この数値が引用されている。こういう点からいきますと、余りにも差があると私は思うのです。
 総務長官に私は聞いてみたいと思うのですが、たとえば無水ブタノール、公取試案による計算では、不正取得は十四億七千万円になっておるわけであります。政府案によりますと二億二千万、この差額もいわゆるカルテルによってもうけたものであります。これをそのままにしておくということでは、その部分はカルテルによる利得を保障させてしまうことになるのじゃないか、このように思うわけであります。
 また、もう一例申し上げますと、コーテッド紙にいたしましてもそうであります。これは有価証券報告書を見ますと、若干の会社がただし書きの部分があるようでありますが、それを除いても十一億六千万円の差があるわけです。
 こういう点からいきますと、私は公取委員長にお伺いしたいと思うのですが、こういう政府案のようなやり方、計算というものについて、課徴金としてこれでいいかどうかということをもう一度ひとつお伺いしたいと思うのです。
#319
○高橋(俊)政府委員 先ほども、だから私申しましたが、全体として課徴金の率が低いかどうかという問題がございますが、私は、要するに法人企業統計からとった全産業の売上高純益率、ただし税引き前、それが三%ぐらいであるというところから、まずそこの千分の三十というのが出てきまして、それだけではいけないからそれを二分の一にする、だから何のことはない一・五%になっちゃったわけです。あとは小売りと卸は、それよりも統計が低いですから、そこでそれより落としてある。この基準率そのものについては、少なくとも現行法には何もないわけですから、とにかくそういう制度をつくってやってみるということに意義はあると思います。ただ、その減額をするということが、過去の三年間の業績というもの、これをとらえるのも、実は常に容易であるかと言えば、そうじゃない。そこに問題が非常にございまして、実務上の問題もございます。事業者団体なんかの場合に膨大な数字に上りますと、そういう減額のあれもつかまえることが必ずしも容易じゃない、大変な手間を要するということになりますし、いわば減額して十万円に達しなければパーになってしまうわけですから、そういう作業を進めていくということに何か私どもやりがいを感じない、むだな手間が非常にかかるという感じがいたします。そういう感じを申し上げて、ベースとしての一・五というもの、また低いものは〇・五でございますけれども、これはいま皆さんでそういいふうに決められたということは、私としてはそれは尊重しなければならぬ、いまからとやかく申し上げても仕方がない、こういうふうに思っております。それはないよりははるかにいいんじゃないかという感じは持っております。
#320
○近江委員 先ほど総務長官は、公取委員長がお認めになっておられたいわゆる公取試案によるこの数値が、まだほかにも要素があって、若干違うだろうというようなお考えを持っておられるのですが、これはきわめて基礎的な問題でありますから、私はもう一度確認しておきたいと思うのです。
 予算委員会の折にも、公取委員長はほぼ間違いない。どういう計算をしたかと言いますと、期間中平均引き上げ単価から協定前の価格を引きまして掛ける期間中の出荷量。期間中の平均引き上げ単価というものは期間中の出荷金額を期間中の出荷量で割ったものですね。そのときに公取委員長にこの表はすべて出しているわけであります。そのときに公取委員長は、ほぼ間違いないとおっしゃっておられたわけです。ですから、いま総務長官はこの数値はどうもというような話がありましたので、これは基本的な問題でありますので、ほぼ間違いないものであるかどうか、もう一度公取委員長からお答えいただきたいと思います。
#321
○高橋(俊)政府委員 いまあなたがおっしゃいましたそういう計算方式をとればこういう数字になる。しかしながら、私どもの試案におきましても差額の全部は上限とするということでございまして、そこからやむを得ない避くべからざるものは控除するとなっておりますから、実際にはその額そのものが不当利得として徴収すべき額にはならない、こういうことだけは申し上げておきます。
#322
○近江委員 ですから、この計算方式でいけばこの数値は合っている、こういうことですね。
 いずれにしても大変な数値の開きがあるわけでございます。こういう課徴金の数字一つ一つを取り上げましてもこういうことでございますし、この事実をおいて後退してないとは言えないと私は思うのです。そういう点におきましてあくまでも不当利得分をすべて剥奪をする、このことが非常に大事だと私は思うのです。
 それからこの際、公取委員長にお聞きしたいと思うのですが、課徴金を取ったからといって告発をしないなどということはありませんね。この際、公取委員会の告発についての考え方をはっきりお伺いしておきたいと思うのです。
#323
○高橋(俊)政府委員 課徴金を課しましても刑事罰はまた別でございます。課徴金は行政上の措置として不当利得分を対象に設けられた制度でございますので、したがいまして刑事罰、行政罰でもありません。そこで、その両者は両方とも適用し得るという解釈でございます。ですから、告発につきましても、告発しなければ当然刑事罰はないわけですから、課徴金を取ったから告発は必ずしないとかいう制約はないものと考えます。
#324
○近江委員 公取委員長が石油連盟を告発されまして、カルテルに対する企業の認識がかなり高まってきたように思うわけですが、そういう中でも平気でまたカルテルをしておる企業もあるわけでございます。こういう厳しい公取の姿勢は堅持し、さらに強めていく必要があろうかと思うのです。今後公取委員長としてもそうした悪質なカルテル、またそういう企業に対してはびしびしと告発をされていきますか。
#325
○高橋(俊)政府委員 私は、告発という点では日本は非常に数が少な過ぎて、制度があるにしてははなはだ活用されておらぬと思います。
    〔田中(六)委員長代理退席、前田(治)委員長代理着席〕
ただ、国によって、初めからこういうカルテル行為等に対して刑事罰を設けていない国もあるのです。そのかわり課徴金をがっちり取るというふうなやり方をしておるようでありますが、わが国の制度としては、この課徴金は、告発をやるということを放棄したわけでは決してありませんけれども、実際問題としてそう頻繁に告発するということが許されない環境にある。やらないとは申しません。必要があったらむしろだんだんに告発をふやしていくということが基本観念でなければならぬと思いますが、しかしとにかく課徴金制度を設けることによって、一々刑事事件に持ち込まなくても、ある程度痛い目に遭うということをねらって課徴金制度を思いついたわけでございます。それに対しまして、この程度のものでいいのかどうかという御批判はあろうと思うのでございますが、私は先ほど申しましたように、十分の一まで減額して〇・一五%になるというふうなことになると、その抑止効果としてほとんど効果がないに近いのじゃないか。一億円の売り上げに対して十五万円ですから、一億円に対して十五万円というのは、抑止効果として余りに少ないといいますか、ないに等しいのではないかというような感じを持っております。
#326
○近江委員 公取委員長はいわゆる課徴金としては余りにも低過ぎるんじゃないかというきわめて厳しいお話があったのですが、総務長官はどういうように思いますか。
#327
○植木国務大臣 算定方式がいろいろ苦労の種でございまして、結局こういうことになったわけでありますが、これを基礎といたしますのは、通常全産業の経常利益率が三%でございますから、それをとりまして、また小売と卸につきましては、それぞれ二%、一%という率をとったわけでございます。そして、その半分は一応カルテルによらなくても正当な利益に相当するのではないかという考え方でこのような方式を定めることにしたのでございまして、これはやはり抑止的な効果という点においてはあると考えますし、またカルテル行為者にとりまして非常に高い課徴金ではないという御批判ももちろんあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては妥当なものだと考えているのでございます。そして、先ほど来事務能力の点等につきましてのお話がございますが、十万円未満のものは納付させないことにいたしておりますし、三年間の経常利益率は公正取引委員会が受け身に調査できるような手当てを行っておりまして、そういう能率的に問題を処理するという面からもこのような措置をとったのでございます。
 なお、中小企業者及び限界企業等につきましては、その及ぼす影響が大きいとも考えられますので、特別の措置をとったというのが私どもの案でございます。
#328
○近江委員 公取委員長の御意見と総務長官の意見が完全に割れたわけでありますが、こういう低いあれであれば公取委員長は抑止力にならないと思うということをおっしゃっておるし、総務長官はいろいろ考えてこうした、こういう大きな問題があるわけです。あなた、各項目についてそうした修正の点についていろいろ詰めてもらいたいというお話でしたが、こういう問題も出てきておるわけです。
 それから、その次にお伺いしたいと思いますが、事業者団体のカルテルにつきまして、法律学者は手続的に問題があると言っているわけですが、この点について総務長官はどう思いますか。
#329
○植木国務大臣 手続的というふうに申されますが、事業者団体は構成員を持っているわけでございまして、その事業者団体の構成員がカルテルのメンバーとなりました場合に、すべてのメンバーに対しまして課徴金を課すということにいたしませんと、行政的な措置としての課徴金の性格というものは変わってくるわけでございます。不当な利益に対する行政上の措置としての課徴金を性格的に位置づけております私どもといたしましては、事業者団体の構成メンバーに対しましてもひとしく課徴金を課さなければならないという考え方をとっているのであります。
#330
○近江委員 この課徴金のかけ方につきまして、一つ一つの事業者について価格を上げたかどうか、それを調査して課徴金をかけるわけですね。ちょっと確認しておきます。
#331
○原政府委員 事業者団体の場合、私どもも、いまの課徴金というのは罰金ではない、カルテルをやって利得を得た者から取るのだ、こういう精神で考えますと、事業者団体を通ずるカルテルが現にあるわけでございます。それに対して何にも手を打たないということでありますと、せっかく課徴金をつくるのにどうも少し片手落ちになるのではないかということで、事業者団体の場合、罰則は事業者団体の方に行きますが、利得の方はそれによって値上げなら値上げをした事業者になるわけでございます。ただ、これは事業者団体でそういう形跡がありましても、自動的に全部課徴金がいくのではなくて、もちろんカルテルの実行に参加した者、それの実行期間中の売り上げに対してやるわけでございます。その場合、私どもも、そういう全国的なものというものでありますと、数は相当多いことは承知しておりましたけれども、一十万円というミニマムを設けまして、この十万円がいまの計算で申しますと、小売だったら千万円の金額になるわけでございますから、そういたしますと千万円の金額までは事業者団体の構成員はかからないということになるわけでございます。そうすると、それは相当大きな金額でございますから、もし全国的な規模ということでそういうことがありましても、そういう全国的な規模でやるということ自体、業界と申しますか、いわゆる独禁マインドというのが非常にないというのが確かにいままでの現状だろうと思います。私どもは、今度課徴金を設けるなりあるいはその他の措置をとることによって、事業者の独禁マインドが非常に高まることを期待しております。でありますから、そんなにいっぱいそういうケースが起こるとは思ってはおりませんが、仮になった場合でも早期に発見をいたしますと、千万円の売り上げということであれば、すぐに排除の措置がとられれば課徴金は多分大体かからない。事務執行のことを考えますと、そういうことが可能ではないかというふうに思うわけでございます。
#332
○近江委員 たとえば、石油商業組合等の場合は数万業者があるわけですね。そうしますと、一つ一つについていつから値上げをしたかということを全部お調べになるわけですね。そういうことからいきますと、公取委員長、これは実際上可能ですか。
#333
○高橋(俊)政府委員 かなりの規模の事業者団体が八条一項違反、結局これは俗に言う事業者団体のカルテル、それを決めて会員、組合員にさせた場合、これが一つや二つじゃなくて、合わせるとそのメンバー数が何万になるということも実際あり得るのです。これは実際私は本当はあると申し上げた方がいいのですが、あり得ると申し上げる。そこで、これをいつからいつまでやったかということは、もちろん私どもが全部実際に出向いて調査することは全く不可能です。書面で調べるということが主体になるでしょう。しかし、いずれにしてもどれだけの売り上げがあったか、あるべきか、それだけは最小限度調査しなければならぬです。だから、値上げしてないというところは、これはゼロでございますから問題になりませんが、とにかく小売なら千万円以上になっているかどうかという点は少なくとも確かめなければならぬし、また千万円以上であった場合には、今度は過去三年間の全業績、これを洗わなければならぬということになると、これは大変なことになるのじゃないかという感じがいたします。正直申し上げて、いまここで数字を申し上げるのは控えますが、これはちょっとさばき切れないようなことになるおそれが多分にあるということを申し上げざるを得ない。結局は事業者団体の末端に至るまで全部ひとしく課徴金をかけなければならないという制度の問題が一つあるわけです。先ほどの減額もありますし、それからまた制度的に全員にそれを及ぼさなければ抑止効果がないのかどうかという問題もあると思います。その点、事業者団体に全くかけるべきでないという論をなす学者の方がおりますが、私はそれはどうかなという感じがいたします。率直に申し上げれば、だれか責任者を対象にやったらどうかということ、そうすれば目的は相当程度に達せられるのではなかろうかと思うのですが、それは私の私見でございますから、こういう点についてもしいろいろと御検討いただければ幸いである。そうでないと、私、公取事務局を幾ら叱咤激励したって、どうにもならないということが現実に起こった場合は責任を持てませんから、そういう点でこの点だけは衷情を訴えておくことにいたします。
#334
○近江委員 公取委員長からきわめて厳しい窮状というもののお話があったわけでありますが、こういうような事実上不可能であるというようなものは、実際動かないばかりか、こういうことによって公取が本来の職権であるカルテルの摘発まで支障を来すということになってくると非常に問題だと思うのです。この点について総務長官はどのように思いますか。
#335
○植木国務大臣 先ほども申し上げましたが、課徴金をどういうふうに性格づけるかというところから問題が始まると思うのでございます。課徴金は罰金ではなくて不当利得に対します行政上の措置であるというふうに私どもは位置づけているわけでございまして、そういたしますと、どのカルテル実行者に対しては取るが、どの実行者には取らないというような自由裁量的なことはできないというのが私どもの考え方でございまして、したがって、いま公正取引委員会の委員長から大変な事務量になるであろうというお話がございましたが、私どもも実務的には相当の負担であるということは否定できません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、十万円の控除でありますとか、あるいはその三年間の経常利益率については当事者が資料を提供するなり意見を述べるなどして公取の判断を仰ぐ、こういうような能率的な事務処理が行われるようにできるだけ工夫しているのでございまして、したがって性格論とこの問題とがからんでくるわけでございます。どこからは取るが、どこからは取らないというようなことにいたしますと、課徴金そのものをもう一度洗い直さなければならないという事態になりますので、その点についてはひとつ御理解をいただきたいのであります。
#336
○近江委員 いまちょっと触れたわけですが、この課徴金の算定をする場合に、実行期間というのはどのように計算されるかという問題ですが、現行法におきましては、協定を締結した日から一応違反行為が始まったと見る、このように私思うわけでありますが、実態調査をしなければならない、非常に大変な作業じゃないか、このように思うのですが、この点についてはどうですか、公取委員長、そして総務長官。
#337
○高橋(俊)政府委員 すべて、カルテルの始まった時期は、協定日と実施日が違います、普通。ですから、これは実施日で始期と見ます。それから、終わった時期は、勧告してもまだ終わっていないのです、普通。本当に今度はこういうふうに措置しましたということを確認したところまでは違反行為が続いている、そういうふうなとらえ方をして、そこを終期とするということです。現在では実は排除命令を出したら終わったということになりますけれども、いまは課徴金の計算も何もありませんから、その意味ではどこで終わったかということは余り問題にしていないんですね。これから先は、終わりをはっきりしないと売上高が出ませんから、どこで終わったかというのは本当にやめた時期だ、やめたということが確認された時期でなければならないというふうに私どもは思っております。
#338
○近江委員 そうしますと、作業量としては、先ほども非常に厳しい状態のお話がありましたが、そういうことも加味しますとどういうようになるのですか。
#339
○高橋(俊)政府委員 通常の三条違反によるカルテルにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、確かに案件は大きいものですから調査に日数を要しますが、大体平均すると一件当たり十社ぐらいのグループになる。これはでこぼこはございます。それで、仮に五十件、これは控え目に計算してです。実際に手がけるのはもっと多いのですが、しかし控え目にして五十件の価格カルテル、主として価格カルテルをやったとしますと、その十倍でございますから、これは五百社になりましても、私どもは今度はその点については徹底的にやるとしましても、それはそれほど膨大な量にはなりません、はっきり申し上げまして。問題は、その数が何千あるいは何万というふうになった場合に、それはとうてい手に負えなくなるというふうな場合も予想されるということを申し上げておるわけであります。
#340
○近江委員 次に、カルテル排除の問題についてお伺いしたいと思うのですが、私たちは、原状回復命令が落ちたことにつきまして、これは非常に不満に思っております。なぜかと言いますと、課徴金と価格の引き下げ命令というものは一体のものである、このように思っておるからであります。
 具体的に言いますと、これは「法律時報」の六月号で正田教授が述べておるところでありますが、カルテルというのは、価格を引き上げたことの裏では、その価格で販売をするという合意を持つものである。したがって、カルテルを破棄して、それを課徴金として取っても、その価格で販売をするという合意は残っているわけです。ですから、原状回復命令がなければカルテルを破棄することにはならないと思うのです。このように述べているのですけれども、公取委員長はこの考えについてはどのようにお思いですか。
#341
○高橋(俊)政府委員 そういった意見については私はいまとがく申さなくてもいいのじゃないかと思いますが、まあ正田さんも独禁法については非常に実務にも詳しい方でありますので、そういった意見について私は一応の敬意を払うべきであると思いますけれども……。
#342
○近江委員 そうすると、当然この原状回復命令というものは入っておらなければいけないわけですね。そうすると、公取委員長がそのようにお考えになり、この公取試案にも盛られたわけでありますが、最後に出てきた政府案においては入っておらない。これはまことにけしからぬと私思うのですね。総務長官、あなたどう思いますか、これ。
#343
○植木国務大臣 はなはだけしからぬという仰せでございますけれども、原状回復命令につきましては、先ほども御論議がございましたが、原状回復命令を行うことによって生じますメリットとデメリットを考えましたときに、また同時に、公正な競争原理が生かされるべき独占禁止法の性格から申しましても、原状回復命令をとることなく、そのかわりの案で私どもはこの対策はできると考えたのでございまして、その点について御了承をいただきたいのであります。
#344
○近江委員 総務長官にお伺いしますが、この第七条の括弧内、「当該違反行為に対する排除措置の実施後当該行為の影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出及び当該具体的措置の実施状況の報告に関する措置を含む。」この規定は、公正取引委員会が違反行為に対する破棄命令を出した後、その命令に対して事業者が具体的な措置の内容を自分の判断で決めて届け出、かつその実施状況を報告する、こういうことなんですか。確認をひとついたしておきたいと思うのです。
#345
○植木国務大臣 そのとおりでございます。
#346
○近江委員 現在、公正取引委員会はカルテル協定の破棄とあわせて、それを除去するために必要な措置を命令し、それによってカルテル規制の実効性というものを担保してきたと私は思うのです。この条文の解釈は、カルテルの排除命令を純粋に破棄命令に限定するのじゃないか、このように思うのですが、その点についてはどうですか。
#347
○植木国務大臣 現行法第七条は「行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」と定めておりまして、具体的にはどういう措置が認められるかはケース・バイ・ケースで判断されることになるのでございます。しかし、今回の改正案では「行為の影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出及び実施状況の報告に関する措置」でございまして、これは定型的に排除措置の内容の強化を図ろうとしているものでございまして、現行第七条に加えますに、このただいま申し上げました改正案をつけ加えまして、実効を上げようという考え方なのであります。
#348
○近江委員 私はいろいろ学者の人の話を聞き、いろいろ研究してみましたけれども、そうはならないんじゃないか、ますますそういう疑問が高まってきておるわけです。カルテルの効果を除去するために必要な措置は違反事業者本人の判断で行わせ、公正取引委員会はそれの届け出、報告を徴収するだけにすぎないということに、どうしてもそのように思えてならないわけです。その結果、結局カルテルの排除措置に対する公正取引委員会の権限を著しく制限することになるんじゃないか、このように思うわけです。
 公正取引委員長にお聞きしますが、報告を命ずることができる、とありますが、どういうことが命令できるのか。また、審決違反になるときはどういう場合か。さらに、たとえば百円の物を二百円に引き上げた、この協定を破棄しても、二百円の価格はそのままであったら審決違反になるのかどうか。以上の点について御答弁いただきたいと思います。
#349
○高橋(俊)政府委員 括弧内の文言は、先ほども申し上げましたが、そのままだと非常に理解に苦しむのでございまして、とかく誤解を生ずるおそれがあると思います。ですから、「とることとなる具体的措置」というのは、相手方が、命令を受けた者が自分でとることとなる具体的措置を届け出ろということで、何もそこに書いてないわけです。しかし、その前の方を見ますと、影響を排除するというのがありますね。影響がある、残っているという場合に、その影響を排除するためにどういう措置をとるかということでありますから、私は、その場合単純にそれを平面的に読むのなら現行法をむしろ限定したような形になる。括弧書きで新しいものを入れた場合はこれは制限である、上限を示すのが通説であります。ですから、ここまでしかできないということにとられる。そうでないという解釈を私はとりたい。これを前向きのものとしてとりたいということは、価格カルテルの影響がそのまま残存しているというふうなことは、それは最も好ましくないので、先ほどから述べている。ですから、価格カルテルの実施価格をそれぞれの会社、企業が自分で変更して、いわば下げて届け出る、それが具体的措置の届け出だというふうに私は解したい、理解したいと思っておりますし、またそれは先ほど総務長官も大体そういうふうに考えていいのじゃないかと言われておりますから、そういうふうに受け取れば、これは後退ではなくて、たとえ半歩でも一歩でも前進ではないかというふうに私は思っております。
#350
○近江委員 もう時間がありませんので、もう一問だけお聞きしますが、いま公取委員長もそういう心配の点をおっしゃったわけでありますが、私もこのままでは明らかに第七条を狭めると思うわけです。
 そこで、公取委員長にお伺いしたいのですが、この括弧の中を、不当な取引制限である場合にあっては当該行為の影響を排除するための必要な具体的措置を含むというようにすべきである、このように考えるわけでありますが、この点の御答弁をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#351
○高橋(俊)政府委員 私いまここで早速そういうふうに改めることに賛成ですと言うのはちょっとせっかち過ぎると思うのですが、しかし、とにかく余りわかりにくいのでこれは困るということであれば、もっと、たとえばこれは価格カルテルですね、おそらく価格カルテルの場合だけ規定すればいいのではないかと私は思うのです。ほかの、たとえば供給制限カルテルで価格が実際上上がったという場合もありますけれども、それは、ほかは実はシラミつぶしにつぶす方法があるのです。しかし、価格だけはどうにもならぬというのが現状でございますから、価格カルテルの場合にはこれはこういう意味なのだということをわかるようにもし書ければ、その方がベターではないかと思いますが、しかしこれは私の私見でございますから、決していまの内容を絶対に変えなければならぬというほど突き詰めて考えておりません。そういうふうに私自身は解釈して、また公取としてもそういう解釈をもって運用したい、こう思っておる次第でございます。
#352
○近江委員 きょうは時間が五十数分しかありませんので、本当に何点かしかお伺いできなかったわけです。後ずっと留保しまして、次の機会にどんどんとまた質問をしていきたいと思っております。
 いま私が問題点を何点か指摘したわけですが、実に修正あるいはいろいろ手を入れなければならないところが山積しておるわけであります。植木総務長官も野党の声は聞くという先ほどのお話がありましたし、よくあなたもまたここで検討していただいて、国民のための改正、修正にひとつさらに力を入れていただきたい、このことを強く要望しまして、一応留保しまして私の質問を終わりたいと思います。
#353
○前田(治)委員長代理 次に、通告順によりまして玉置一徳君を指名いたします。
#354
○玉置委員 植木総務長官に御質問をいたします。
 まず、今度の独禁法改正におきまして一番問題は、日本の経済が高度成長を遂げまして、しかも外的要因の関係もこれあり、ますます巨大になる、いわば寡占状態になっていくことも自然の勢いだとも思います。これが海外での競争力を堅持しながら、しかも寡占価格の形成のおそれのないようにしていくということについては、非常にむずかしい問題があると思うのです。そういう意味で苦労なさったと思うのですが、ある意味では政府原案をつくりながら後退をしたように見えるのも、実際は公取委員会が執行していくにつきまして、なかなか細かい実例を全部つかんで把握しろなんということは、言うべくしてできぬ問題であるというようなことで、ある程度簡明に片をつけていかなければならなかったことも多いと思いますが、それはそれにして、私の言わんとするところは、近時株式の保有あるいはグループ化、系列化、こういうものが非常に多くなってきております。これは先ほど言うた意味とはまた別に考えまして、どうしても巨大になり過ぎたグループがさらに自分の力を強くするという競争につい突入いたしまして、流通機構まで制圧をしていくようなおそれがないとは私は言えないと思うのです。こういう意味では未然にこれを防止しなければいかぬ。それについて株式の保有制限等々は条件が緩和され過ぎたような感じを持つのでありますが、どのようにお思いになりますか。
#355
○植木国務大臣 仰せのとおり、今回の独占禁止法を改正するに当たりましては、現在まで民間の活力に支えられてまいりました企業が競争原理の中で高度な成長を遂げ、そして今日の日本をもたらしたわけでございますが、新しく企業は変貌するに至りまして、資源の面におきましても、公害あるいは雇用の問題におきましても、いろいろな変貌を遂げるに至ったわけでございます。したがって、そういう変貌を遂げるとともに、高度成長はもう期待できませんで、低成長の中での国民経済の発展というものを図っていかなければならない、また国際競争力も強めていかなければならないという大変むずかしい課題のもとにこの改正案の作成に当たったのでございます。やはりこういう経済低成長期にあっては、企業内が創意工夫をこらす、あるいは科学技術の開発を行う等々の企業内努力が必要であると思います。しかし、これにも限界がございます。そこで、やはり何と申しましても競争政策というものを強く導入することによりまして、いわばそれを刺激することによって企業活動を十分に展開をしてもらいたい、これが立法をいたしました私どもの基本的な理念でございます。
 それから、第二番目に仰せになりました企業のグループ化あるいは集中化というものはいろいろな弊害をもたらしているのでございまして、またそういうグループ化、集中化というものが進んでいくという傾向にもあるわけでございますから、したがってこれに対して規制を行うということが必要である、防止を行うことが必要であるという考え方で株式保有の制限等の措置をとることにいたしました。ただ、緩いのではないかというお説でございますが、私どもとしましては、少なくともただいま弊害を起こす可能性のある企業につきまして規制を加えるということを一つの眼目にいたしましたし、それからまた、そこから放出されます株式が株式市場でありますとかあるいは中小企業等に影響を与えると困ります。経済の成長も、これからもわずかでありますが行われるわけでありますので、十年間の経過期間をとりまして経済的に混乱が起こらないように、それでいて仰せのような企業のグループ化、集中化が行われないようにということでこの案を策定したつもりなのでございます。御了承をお願いいたします。
#356
○玉置委員 提案者の総務長官にもう一度お伺いいたします。
 いまのお話でございますけれども、企業の集中化、グループ化というものは、かつての財閥とは異質のものかわかりませんけれども、自由な競争の阻害という点では、このままほっておけば同じような現象を起こすようなおそれが多分にあると思うのです。しかも、その中心がいずれも銀行であることは事実であります。だから、銀行の他社の株式保有なんというものを、この条文による同一の当てはめ方でいいのかどうか。これはもう一切銀行は営利会社の株を持たない方がいいことは明らかだと思うのです。こういう点もひとつ十分に考慮しなければいかぬと思うのですが、どのようにお考えになっておりますか。
#357
○植木国務大臣 先ほどは会社の株式保有制限について申し上げましたが、金融機関の株式の保有制限は、昭和二十八年の改正以前のように五%とすることにいたしたわけでございます。金融機関がいろいろな企業に対しまして支配力を及ぼしているという事実がございますし、またその傾向があるということは、私どもも承知いたしております。しかし、ただ株を持つだけでそういうふうなことが行われているとは限りませんで、取引その他の点につきまして、融資の面でありますとか、いろいろな面について影響を与えているという点もあると思うのであります。その点につきましては、政府の行政指導でありますとか、あるいはまた金融機関のそれぞれの自制などにも待つことといたしまして、今回の独禁法改正に当たりましては、株式の保有を五%に制限をすることにいたしまして、実効を上げたい。これもやはり先ほど申し上げましたように、猶予期間を設けましたのは、株式市場や中小企業に与える影響が大きいからなのでございまして、集中化、グループ化というものは防止していかなければならないという考え方は、玉置委員と全く同感でございます。
#358
○玉置委員 一昨年の石油ショックに伴う狂乱物価の当時、国会で大騒ぎをいたしました等々の国民的世論を背景にいたしまして公取試案が出まして、そうしてこれの法改正に当たられたわけでありますが、商法の改正等々はいずれも三年ないし五年かかる。刑法の改正に至っては五年ないし十年かかるのが実情であります。産業の秩序を形成する、いわば基本法的性格のこの独禁法の改正、これはちょっと唐突におやりになっているような感じもするのですが、そういう点から考えて、そのくらい緊急性を要する、後ろには国民の大きな支援があるのだ、世論があるのだ、こういう背景からするのだったら、株式の持ち株の制限、十年の猶予期間は少し長過ぎやせぬか。三年とは言わぬけれども、少なくとも五年ぐらいにして、五年間以上時間のかかるようなものは、そのかかる必要性を公取委員会に説明して、申請によってこれを延ばすというような配慮もいかがかと思うのですが、総務長官からお答えをいただきたいと思います。
#359
○植木国務大臣 大変短期間に作業を進めたということについてでございますが、これはやはり現在の経済状況の変化に対応してまいりますためには、政府といたしましてはぜひとも早急に競争政策原理を強化すべきであるという考えに立ちましたので、したがって短い期間でございましたけれども、精力的に各般からこれに取り組んでまいったのでございまして、私どもが出しました政府案は国民から広く理解の得られる妥当なものではないかと考えているのでございます。
 さらに、十年間の株式保有の猶予期間でございますが、五年にすればどうだ、三年にすればどうだというような御意見でございます。これは私どもも、一体何年にすればよろしいかということについていろいろ協議をしたのでございますが、今後の経済の成長等も考えまして、また現在の株式市場等の実態にかんがみまして、十年間は猶予しようという数字になったのでございまして、いまこれを三年にするあるいは五年にするという考え方は、政府は持っておりません。十年間で御協力をいただきたいと存ずるのであります。
#360
○玉置委員 そこで、公取委員長にひとつお伺いをしたいのですが、公取委員長が政府内の内々の協議をせずに公取試案を公表された。あの狂乱物価時代のあれを取り仕切っておいでになるあなたの方の職務としては、やむにやまれぬ気持ちでお出しになったことは当然だと理解をさしていただけるのですが、どのようなお気持ちで、おそらく乃公出でずんばというおつもりだろうと思うのですが、その後のいろいろな経過を見ながら、適切だったかどうか、あるいはあなたの目から見れば非常に後退したとお考えになっているかどうか、さらにこれでもないよりはましだから早く上げてもらいたいというお考えがあるかどうか、この三点に簡単にお答えをいただきたいのですが……。
#361
○高橋(俊)政府委員 お答えにくい点もございますが、とにかく最初の点で、なぜ公取が非常に急いだような形で試案を独自にまとめたかという点でございますが、この点は、実は昭和四十八年の比較的初めのころから考えておったのです。別に私、乃公出でずんばなんという、そんな大それた気持ちはありません。そんなのは、私がやらなくても、だれがやってもいいのです。
 この問題は、私、初めて公取の仕事をやってみまして、一口に言いますと、はなはだむなしさを感じた。一体何をしているんだろうかということでございますね。それから、こういう場合にはどう対処できるかといったら、それもないというふうなことで、現行独禁法の制約というものも非常にはだで感じたわけでございまして、この点はほかの先生方にもいろいろ打ち合わせしたわけですが、そういう方からも、現行独禁法というのはまだ非常に不十分である、もっと強力と言ってはなんですが、実効性を伴ったものにしていかなければならぬだろうという、その点では、包括的な意味では御賛成が多かった。ただ、個別の問題になりますと、あの公取試案についても、はっきり申し上げて、全員が一致したものではございません。意見が食い違っておったけれども、多数の意見の方をまとめたということになっているものもございます。
 それは性急だったのじゃないかとおっしゃいますが、私は、この種の問題は、たとえ十年かけてもできないものはなかなかできないと思うのです。やはりそれにはある程度タイミングなり、みんながそういうものを支援してくださる、必要だということを認めてくださるというときにやるということで、また悪くなったら直せばいいんですよ。私は、法律というのは――よく憲法だといいますけれども、憲法じゃありませんから、これは。法律なんです。経済憲法というのは実質を言っているのであって、やはり法律である以上、時代に適合した、要請に沿ったものに改めるべきだという考えは変わっておりません。その点ではいまでも間違ったことをしたとは思っておりませんが、その後この経緯におきまして、私どもはとても立案の立場にありませんから、そういう点では政府・与党内部で政府案をつくる過程においては相当程度お任せしなければならない立場でございます。出てきたこの法案につきましては、私はやはり全部についてこのままでいいと申し上げるのは、ちょっと先ほどの、たとえば課徴金の点など、事務的にどうにもならない場合はどうするんだということを懸念いたしますので、ずばりとは申せませんが、なるべくならば早い時期に適当な審議を経まして――私は修正とか無修正とかいうことを申しません。でありますが、なるべくならば早い機会に日の目を見るようにしていただいた方が私どもの仕事のやりがいはある、こういうふうに思うわけでございまして、これからの御審議を私は御期待するほかはない。
#362
○玉置委員 ちょっと借金したような形になるわけですが、そこで、そのやりにくい問題の中で、総務長官、営業の譲渡ですが、先ほども御質問がございましたが、あれは事実上効果は、商法の改正のない限り、株主総会の特別決議を経て、それが否決になったときに、ただそういう審決を受けた責任が会社にあって処罰を受けるということだけでとどまるのですか。いまも公取委員長のお話しのように、実効のある形でそれをやるのには商法改正をどうしてもしなければ実効が上がらぬかどうか、どういうふうにお考えになっていますか。
#363
○植木国務大臣 企業分割命令といたしまして、営業の一部の譲渡命令というものを取り入れたわけでありますが、この審決が確定をいたしますと、会社はこれに従う義務がございまして、審決の内容を実現するように努めなければなりません。会社内部におきまして、いろいろな手続を行うわけでありますが、譲渡先の選定でありますとか、債権債務の問題、雇用者の問題、いろいろ先ほども申し上げましたが、そういう問題とともに、重要な一部の譲渡の際には、仰せのように株主総会の手続をとるわけでございます。
 この株主総会の決議がもし得られなかったならばどうするのかということなのでございますけれども、それでも会社の義務は消滅するものではございませんで、具体的な事実に即しまして審決の内容の実現のための真摯な努力は続けなければならないわけでございます。この点につきましては、公正取引委員会の審決というものは非常な効力をもって企業に対抗するわけでございます。なお、この審決に不服でありました場合には裁判ということになるわけでありますが、その裁判に至る前に同意審決が行われるというのが最も好ましいところであります。しかし、審決の内容が実現するように真摯な努力を行っていないときには、現行独禁法の九十条の第三号によりまして審決違反として刑事責任が追及されることになるわけでございます。したがいまして、こういう状況が社会の中で現出をいたしますと、当然その企業の道徳性と申しますか企業責任と申しますか、それは大きな批判にさらされることと存じます。また、そのような企業というものが十分理解の得られる、あるいは支持の得られる経営が行われるとは私どもは考えられないのでございまして、そういう意味におきまして、審決が同意せられるであろうということを期待しているのであります。
 商法との関係につきましては、私どももいろいろ苦心をいたしましたが、しかし商法を改正いたすにいたしましても、あるいは独禁法内に免除規定を導入することにいたしましても、これまた大変な大きな問題になるのでございまして、これを待ちますと、いま緊急の要務でございます。公取委員長からもお話のありました独占禁止法の改正というものが、競争政策の強化というものが実現できないという状況でございますので、私どもといたしましては、商法との関係は、いまのようなことでひとつ企業が真摯な努力をすべきである、また株主総会も十分この公正取引委員会の審決の内容について理解を持つということを期待いたしまして御提案をさせていただいたのであります。
#364
○玉置委員 法務省にお伺いしたいのですが、この独禁法の一部改正が衆参両議院を通過して成案となった場合は、これを受けて商法改正を一番最寄りの近い機会にそれに合わして改正するような御用意が法務省にはあるかどうか、お伺いしたいと思います。
#365
○枇杷田説明員 ただいま先生御指摘のような問題があるということは承知しておりますけれども、ただ法律論といたしましては、商法は商事関係とか会社関係とかの一般的な規律を目的とする基本法でございますので、独禁法関係の問題を商法の分野で取り上げるべき問題であるか、あるいは独禁法の中でその商法に対する特例を問題として考えるべきであるかということについては、問題があろうかと思います。
 なお、その法形式はいずれにいたしましても、実質論といたしまして、現在の商法で営業の重要な一部の譲渡につきまして株主総会の特別決議を要するといたしておりますのは、会社の終局の権利者でありますところの株主の地位とか権利とかを保護しようというところから来ておるわけでございます。したがいまして、特別決議に参加いたしまして反対をした株主に対しましては、株式の買い取り請求権まで認めておるということになっておるわけでございます。
 そういうふうなことを考えますと、独禁法上の審決の内容を実現するために仮に株主総会の特別決議が要らないというふうになった場合に、それじゃ株主の地位とか権利とかというものを全く無視していいかということになりますと、これまたかなり問題があるわけでございます。したがいまして、もしそういうふうな特例を設けるという場合には、株主をどういうふうにして保護するようなことを考えるか、どういう点に整合性を認めるかというふうなところを慎重に考えていかなければならぬということでございますので、私どもといたしましては、独禁法が成立したらすぐに法律の改正に取りかかるという予定はございませんけれども、問題は問題として意識いたしまして、将来の課題として慎重に検討いたしたいと考えておるわけでございます。
#366
○玉置委員 公取委員長、問題は営業の一部譲渡、これは非常にむずかしい問題であります。事実上どういうぐあいにすると会社も納得できるような具体的ないいあれをつかみ得るかという問題で、そこの企業の業態が非常にそういうものにやりやすいような形になっておりますと、かつての、いいか悪いかは別にいたしまして、新日鉄のレールをどこへ渡し、矢板鋼をどうするというようなぐあいにうまくいくような形のものでありますとやりやすいけれども、そうでないとなかなかむずかしい問題があると思うのですが、これが施行されることになりますと、事実上やれますか。御自信はありますかどうか。納得させてこういうことが行われるようなところへ持っていく自信があるかどうか、お伺いしたいのですが。
#367
○高橋(俊)政府委員 非常に一般的な抽象的な御質問でございますので、私としても、こういう場合ならこううまくいくとかというふうなことをいまるる申し上げるわけにはまいりません。しかし、かなり厳格ないろいろな歯どめをかけられておりますけれども、これでもなおかつ行い得る場合がないわけじゃない。その場合、相手を納得させるのにはどうすればいいかというのは、いま新日鉄の例をお引きになりましたけれども、あれは営業の譲渡じゃないのです、本当の、ただ施設を一部譲り渡したというだけでございますから。営業の譲渡というのはもっと本質に触れた、ちょうど合併の逆さまなんですね。ですから、合併をするのはむしろ御希望によるのですから楽ですけれども、分割するとなれば、恐らく大部分の場合相当な抵抗があろうかと思うのです。現にアメリカでも、IBMのような問題については会社は徹底的に抗戦しております。IBMだけじゃありません。ですから、あれらの例を見ても、わが国において仮に実際に適用しようと思った場合に、相手が非常に合理的な措置に納得してやるというのは、どんな場合でも私は感情的にはむずかしいと思いますね。それを合理的な理由によって説得してやるのが仕事でございますから、それは私はそれだけの用意が十分整っておればできると思います。もちろんこれはちょっとやそっとの研究では足りません。相当深い研究を積み重ねた上でなければ着手できない、私はそう思います。
#368
○玉置委員 この構造政策を独禁法に入れたのは、先ほど総務長官に話しましたように、かなりやはり過度集中が進みつつある、一つは、価格形成の自由な競争という原理も、それで間接的に消費者を守る、需要者を守るというのと同時に、やはり一つの社会正義という感覚もこれには入っておるのではないか、こう思うのですね。だから、余りでかい、一社で日本をほとんどいってしまうというようなごついものをつくることは好ましくないのだという国民感情にも私は根ざしておるのじゃないか、こう思うのですが、それだけに扱いは、いまのお話のように、相当な抵抗に遭い、むずかしい問題だと思うのです。むしろ公正取引委員会で審決をして、その実施を主務官庁である通産省に任した方があなたの方は楽でいいんじゃないだろうかというような感じもしますが、そういうわけにはいきませんか。
#369
○高橋(俊)政府委員 これはもう当然、先ほど申し上げたように相当なデータが必要なのです。アメリカで、IBMの話ですが、IBM側が逆に出している資料は何千万ページと言われておりますから膨大な量でございます。そのくらい猛烈なる抵抗をやっておるわけです。そういうことでありますので、これが一貫性を失いまして、公取は途中までやって、はい、審決、はい、主務官庁でおやりください、これでは私は実際上できないと思います。そのような、悪いですけれども、中途半端な姿勢で取りかかれる問題ではないと私は思っております。
#370
○玉置委員 そういう話からしますと、いまの一社五〇%、二社で七五%以上ですか、七〇%以上ですか、その他諸条件がございますが、そういうところで現在直ちにこれの検討に着手しなければならぬような要素は、あなたは余りいまのところ――直ちにどうやるというようなことをよく発言されておりますが、そのようにはお感じになっておるわけですか。
#371
○高橋(俊)政府委員 私は率直に申しまして、現在直ちにこの研究に着手する、下調べ、予備調査に着手するという考えの対象物はないと思っております。しかし、それがたとえば十年以内に全くないかと言われますと、どちらかというとそれはありそうだと答えた方が実際ではないかと思いますが、ただしこの法律改正ができますと恐らくその一つの対象になるかもしらんというところが、それに対応する策ですね、早く申しますと営業政策の転換です、そういうことも行われますから、独占ということがこれ以上進むというのがまた逆戻りするということだってあるのでして、そういう意味も効果としては考えられる、かように考えます。
#372
○玉置委員 公取委員長にお伺いしておきたいのですが、あなたは二月二十八日の衆議院商工委員会で、神崎さんの発言によりますと、通産省と石油化学業界でつくっている石油化学協調懇談会が需給見通しを立てて設備調整をしているのは独禁法に違反する共同行為ではないかという質問に対して、公取委員が産業政策に介入すべきではない、こうお答えになっております。これは、いままでは鉄鋼の設備の投資にいたしましても、あるいはまた化学繊維等々にも見受けられたことなんです。非常に設備投資が大きなものが要ることになってまいりますので、巨大になってまいりましたから、私はむずかしいのは、非常に莫大な資金を投入して思い切って大きな設備が投資されます。したがって、若干の需給見通しのときに業界もひとつの協調みたいな形をとる場合もあるのは、これから経済の仕組みがそのような、よそのを見ながらやらなければ、どっと走るという形では設備過剰になって収拾のつかぬ問題も起こるわけであります。間々そういうことがあったわけであります。だから、どういう場合だったらそれは行政介入をしたらいかぬ、どういう場合はやむを得ぬのだ、あるいはまた先ほど言いましたように業界としてそういう調整を自主的にお互いにとること自体も、これは独禁法違反の恐れがあるとごらんになっておるのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
#373
○高橋(俊)政府委員 ただいま御引例になられました二月の神崎委員の御質問に対する私の答弁だけを申し上げます。
 これは「はっきりした法律的な根拠なしに生産量を業界が決め、かっこれに行政介入がありましても、行政介入があったからといって生産量を定めるというふうなことは私は違法性を阻却しない、つまり独禁法に触れる」こう考えておる、こういうふうに言っております。いま、恐らく設備なんかの場合、過当競争に任しておけば、大変な余分な設備ができて、かえって国全体としてマイナスになるのではないか、だから業界がお互いにそこを調整していくということはむしろ必要なことではないかというふうな前提でお尋ねがございましたけれども、私、時間の関係がございますから簡単に率直に申します。そのようなことでも、設備そのものを調整するということは将来における競争力を協定するわけですね。数年後でもいいのですよ。それを初めから枠を決めてしまうことになる。それは競争制限行為に完全につながるわけでございますから、私はそれはとてものめない問題である。実際上はこれについて妙な覚書がございまして、ちょっと私も言いにくい点があるのでございます。確かにこういうことを私が言ってしまうと、あれはどうしたんだということになりますが、基本的な観念を申し上げれば、設備そのものをお互いに順番にやっていくのだとか、これだけの枠でしかやってはいけないのだということをやること自体は、それは行政介入がありましても、競争政策に反するものと思います。このようなことは恐らく外国ではないのではないかと思います。政府が介入して設備を決めていくというふうなことは多分ないはずでございます。西独なんかには全くありません。
#374
○玉置委員 多分ないものだ、こう私も理解しまして、ただいろいろな意味でむずかしい問題がありますので、この程度にしておきますけれども、そこらはひとつ、きょうは時間がありませんので、またいずれ時間がございますときにゆっくりさせていただきます。
 委員長、ありがとうございました。
#375
○前田(治)委員長代理 次回は、明六月四日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これをもって散会いたします。
    午後六時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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