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#1
第075回国会 農林水産委員会 第34号
昭和五十年七月十日(木曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 澁谷 直藏君
   理事 今井  勇君 理事 坂村 吉正君
   理事 藤本 孝雄君 理事 芳賀  貢君
      足立 篤郎君    伊東 正義君
      加藤 紘一君    吉川 久衛君
      粟山 ひで君    小林  進君
      柴田 健治君    島田 琢郎君
      中村 重光君    美濃 政市君
      安井 吉典君    湯山  勇君
     米内山義一郎君    諫山  博君
      庄司 幸助君    瀬野栄次郎君
      林  孝矩君    稲富 稜人君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
 委員外の出席者
       農林大臣官房長 大河原太一郎君
        農林省農林経済
        局長      岡安  誠君
        農林省農林経済
        局統計情報部長 吉岡  裕君
        農林省構造改善
        局長      大山 一生君
        食糧庁総務部長 杉山 克己君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十日
 辞任         補欠選任
  中尾 栄一君     加藤 紘一君
  角屋堅次郎君     小林  進君
  竹内  猛君     湯山  勇君
  野坂 浩賢君     中村 重光君
  馬場  昇君     安井 吉典君
  中川利三郎君     庄司 幸助君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     中尾 栄一君
  小林  進君     角屋堅次郎君
  中村 重光君     野坂 浩賢君
  安井 吉典君     馬場  昇君
  湯山  勇君     竹内  猛君
  庄司 幸助君     中川利三郎君
    ―――――――――――――
七月四日
 一、国が行なう民有林野の分収造林に関する特
  別措置法案(芳賀貢君外十名提出、第七十一
  回国会衆法第一七号)
 二、農林水産業の振興に関する件
 三、農林水産物に関する件
 四、農林水産業団体に関する件
 五、農林水産金融に関する件
 六、農林漁業災害補償制度に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(昭和五十年産米
 穀の政府買入価格等)
 昭和五十年産米価の決定等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○澁谷委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、昭和五十年産米穀の政府買い入れ価格及び昭和四十九年産米生産費について政府から説明を聴取いたします。杉山食糧庁総務部長。
#3
○杉山説明員 昨日米価審議会にお出しいたしました昭和五十年産米穀の政府買い入れ価格についての諮問をこれから御説明申し上げます。初めに、諮問の本文を朗読いたします。
     諮  問
  昭和五十年産米穀の政府買入価格について、米穀の需給関係を勘案するとともに、生産費及び所得を考慮して定めることにつき、米価審議会の意見を求める。
  昭和五十年七月九日
          農林大臣 安部晋太郎
 次に、「諮問についての説明」でございますが、これも朗読させていただきます。
  米穀の政府買入価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。
  米穀の需給につきましては、稲作転換の計画的実施により、政府持越在庫の積増しを含め、おおむね年々の需要に見合う生産が行われてきております。本年度におきましても、一連の経済事情をも考慮して需給に余裕を持たせ、政府の米穀年度末の古米持越在庫の積増しを行うとともに、稲作転換対策及び土地改良事業の通年施行を実施することとしており、これにより、需給はおおむね均衡を維持できるものと考えております。
  しかしながら、米穀の需給は、今後ともなお過剰基調で推移するものと見込まれますし、また転作の定着性もなお全体としては不安定な状態にあるのが実情であります。
  したがいまして、今後これらの事情を勘案し、総合的に食糧自給力の向上を図って参る必要があると考えております。
  他方、米穀の生産費につきましては、労働時間の一貫した減少傾向等により生産性の向上がみられます反面、物価賃金等の動向は安定化の方向に向いつつあるものの、評価替した生産費は昨年よりかなり増嵩しており、この点についても配慮する必要があると思われます。
  上記のような事情を総合的に配慮して、これに即応した米価の適正な算定を行うため、本年産米穀の政府買入価格の算定につきましては、生産費及び所得補償方式によることとし、以上申し述べた事情を勘案して算定することとしてはどうかということであります。
 次に、「昭和五十年産米穀の政府買い入れ価格の試算」について御説明いたします。
 お配りしてあります資料の初めに「算式」がお示ししてございます。「求める価格」「P」をそこにありますような数式で求めるわけでございますが、その数式右側の項の分数は、分母は収量、分子が生産費でございます。
 その収量なり生産費はどういうようにしてとるかといいますと、価格決定年の前三年の各年の米販売農家の十アール当たり平均生産費について、これを家族労働費の部分については都市均衡労賃により評価がえして、それから物財・雇用労働費については物価修正をして、そのほか価格決定年に評価がえしたものとして平均生産費を出すわけでございます。十アール当たりの平均生産費、これを十アール当たりの平均収量で割りますと単位収量当たりの生産費が出ます。これに六十を掛けて、六十キログラム一俵当たりの求める価格を出すわけでございます。
 この場合の米販売農家――これは括弧書きでお示ししてございまして、「災害農家及び五俵未満の米販売農家を除く。」とございまして、これ以下は「米販売農家」と略称することにいたしておりますが、災害農家につきましては、従来は減収率二〇%以上の農家を災害農家ということで定義いたしておりましたが、本年におきましては減収率一〇%以上の農家を災害農家として考えております。そういう農家及び五俵未満の米販売農家を除くこととしておるわけでございます。「五俵未満の米販売農家を除く」ということは、これは従来と同じでございます。
 それから、次に、算定の具体的な数値を申し上げます。
 まず、「求める価格」でございますが、収量は五百十キログラム、これは十アール当たりでございます。それから生産費は十二万八千三百二十五円、これに六十キログラムを掛けまして、求める価格は一俵当たり一万五千九十七円ということになります。
 この求める価格に運搬費を加えまして一万五千百九十八円、これが「基準価格」となります。これを軟質三等裸の個別の価格に引き直しますと、これはルールがございまして、従来どおりのルールで引き直して計算いたしますと、一万五千二百七十三円ということになります。この三等価格からさらにウルチの一−四等平均、包装込みの生産者手取り予定価格を計算いたしますと、一万五千四百三円ということになります。
 ウルチ一−四等平均というのは、農家が実際に生産して売る米についての実態を代表するものというふうに考えられるわけでございます。その生産者手取り予定価格は、包装込みで、いま申し上げましたように六十キログラム、一俵当たり一万五千四百三円ということになります。これは前年、四十九年産米の買い入れ価格一万三千六百十五円に比べまして一三・一%の引き上げ率となります。
 次に、「算定要領」について御説明申し上げます。
 まず、「十アール当たりの平均生産費の算定」でございます。これは、農林省統計情報部の米生産費調査が各年行われておりますが、その四十七、四十八、四十九年の各年産の、この三年の生産費を平均した平均生産費につきまして以下申し上げるような評価がえを行って、これを平均して算定するわけでございますが、平均は後で行うわけでございます。
 まず、第一に、その評価がえの方法でございますが、「家族労働費」についてでございます。これは間接家族労働をも含んでおりますが、都市均衡労賃によって評価がえをするということにいたしております。
 初めに出ております都市均衡労賃一時間当たり男女込み七百六十九円九銭、男子九百三十六円五十七銭は、その下の方に「ア」とあります賃金そのものに給与の形でもって現金のほかに現物が給与されますので、その現物給与相当額を加え、それから通勤手当相当額、勤労者の給与の中には通勤手当が含まれております。農家には通勤ということがございませんので、それを差し引くということで「ア」に「イ」を足して「ウ」を差し引いて出したものでございます。
 この都市均衡労賃はどういう事業所を対象にとっておるかといいますと、製造業の常用労働者数規模五人以上千人未満の事業所の賃金をベースにいたしておるわけでございます。それにいま申し上げましたように現物給与相当額を加え、通勤手当相当額を控除して算定するということにしているわけでございます。前年、四十九年産米につきましては、諮問の際は事業所の規模は五人以上五百人未満というところの賃金をとったわけでございますが、政府決定の段階におきましてこれを五人以上千人未満の事業所の賃金をとることに改めております。その改めました、政府決定において採用いたしました事業所規模の賃金をとるということにいたしたわけでございますが、この算定の計算の仕方につきましては、以下説明がございますが、時間の関係もございますので省略いたします。
 次に、「物財・雇用労働費」でございます。物財・雇用労働費は、米生産費パリティ指数による昭和四十七年、四十八年、四十九年各一月−五月のものを昭和五十年一月−五月の現在価格に引き直すということを行っております。物価修正をいたしたわけでございます。その物価修正の修正率といいますか、変化率は、四十七年産米の平均生産費を基準にいたしますと一六六・三五、四十八年産米につきましては一五五・四六、四十九年産米につきましては一一九・一〇という変化率になるわけでございます。
 それから、次に、「副産物価額」でございます。副産物価額につきましては、わら及びくず米の価価の変化率によって物価修正を行っております。変化率はそれぞれ四十七年、四十八年、四十九年と、そこにお示ししてあるような一八八・三四、一五五・九一、一二〇・〇一というような率でございます。
 次に、「資本利子」でございます。これは利子の対象となる資本は借入金と自己資金があるわけでございますが、その割合は統計情報部の米生産費補完調査によりまして、借入金部分三五%、自己資金部分六五%ということに振り分けまして、利率は借入金につきましては年利七分五厘、自己資金については年利七分三厘五毛として算定いたしております。この金利は前年の利率と同率でございます。
 次に、「物件税及び公課諸負担」でございます。これは四十九年産米生産費調査に基づきまして、物件税及び公課諸負担のうち固定資産税そのほか収益の有無にかかわらず稲作を行っているということによって賦課されているものについて稲作負担分を計上しているのでございます。金額は物件税、公課諸負担とそれぞれ細かく内訳をお示ししてございますが、合計いたしますと一千二十四円ということになります。
 それから、「地代」でございます。自作地につきましては現行小作料の最高統制額、五級地の額を採用いたしております。それから、小作地及び作、付地以外の土地については、四十九年産米生産費調査によるそれぞれの地代、実納小作料を採用しております。それぞれ評価した地代の合計額を計上する。自作地につきましては、昨年は、政府諮問の段階では今回の諮問と同様現行小作料の最高統制額をとっておったのでございますが、決定の段階ではこれを実納小作料の変化率、四十五年から四十八年までの変化率にスライドさせて修正したということがございます。本年は経済事情等を勘案いたしまして、昨年の当初諮問のベースに戻して統制小作料をとっているわけでございます。
 以上申し上げましたような要素をそれぞれ算定いたしまして全体の十アール当たりの生産費を出したわけでございますが、四十七年産につきましては十アール当たり十三万九百二十一円、四十八年産米につきましては十二万九千六百十一円、四十九年産米につきましては十二万四千四百四十四円とそれぞれ算定されたわけでございます。これを平均いたしますと、十二万八千三百二十五円ということになります。
 次に、収量でございます。「十アール当たり平均収量」は、四十七、四十八、四十九年の各年の収量を平均して出しておりますが、四十七年産は五百一キログラム、四十八年産は五百十五キログラム、四十九年産は五百十三キログラム、平均して五百十キログラムということになります。前年は四十六年産、不作の年のものが入っておりましたので低うございましたが、平均して四百九十一キログラムでございました。
 それから、「運搬費」でございます。運搬費につきましては、米生産費補完調査の結果による距離そのほかのものを採用いたしまして、運搬費及び受検に要する経費として六十キログラム当たり百一円を織り込むことといたしております。
 以上でございます。
#4
○澁谷委員長 吉岡統計情報部長。
#5
○吉岡説明員 お手元に配付してございます「昭和四十九年産米生産費」について概略御説明申し上げます。
 この生産費は、昭和四十九年産昨年産の水稲の生産費調査の結果でございまして、調査期間といたしましては四十九年の一月から十二月の暦年をとっております。
 対象といたします農家としましては、米一俵以上を販売いたします農家が四十八年で約二百九十万戸ございますが、これを対象にいたしまして、約三千戸の調査戸数をとりまして調査をいたしております。
 集計に当たりましては、販売農家でなくなったような農家、あるいは何らかの理由で記帳が続けられなくなったような農家、あるいは平年反収に比べまして二〇%以上の災害を受けたような農家、こういったものを除外いたしまして、米販売農家の生産費ということで出しておるわけでございます。
 一ページ目にございますように、その結果は第二次生産費でございまして、十アール当たりで八万六千五百五十一円、四十八年産に比べまして二八・八%の増、一俵当たり六十キロにいたしまして一万三百二十九円、四十八年産に比べまして三一%の生産費の増、こういうことになっております。
 二ページ目をお開きいただきますと、その中に主な費目の概要が書いてございますので、これに従いまして若干御説明を申し上げますと、まず、一番大きな費目は費用の四六%を占めます労働費でございますが、これは「ア」の「労働費」のところに書いてございますが、十アール当たりの労働時間は八十七一時間ということで、四十八年産に比べまして五・六時間、約六%の減少ということでございますが、反面、労賃単価が約三四%上昇をいたしておりまして、これを加味いたしますと前年に比べて二五・八%の労働費の増ということになっております。
 以下、「農具費」でございますが、農具費については前年に比べて一四・八%の増加でございますが、その理由といたしましては、動力田植え機あるいは動力刈り取り機の新規導入というふうなことが米生産費調査農家にういても相当行われておりまして、その結果償却費が増加をいたしたということでございます。
 それから、「肥料費」は三二・四%の増加ということで、これは申すまでもなく購入肥料の価格の値上がりによるものでございます。
 それから、「賃借料及び料金」は四五・三%とやはりふえておりますが、主として賃耕あるいはライスセンター利用といった農作業の外部委託が非常にふえておるということがこれらのものを引き上げた一つの理由でございます。なお、そういった料金単価が上がっておるということもございます。
 それから、「薬剤費」も四五・八%の増加でございますが、昨年いもち病が非常に蔓延した地域がございまして、そのための使用量の増加と、それから農薬の値上がりということでございます。
 「土地改良及び水利費」については特に御説明申し上げませんが、「資本利子」につきましては前年に比べて二四・六%の増加ということになっておりますが、これは流動資本及び固定資本のいずれも資本投下額が前年よりもふえたということがそのふえました理由でございます。
 それから、「地代」でございますが、これも三八%強の増加になっております。私どもの調査では、小作地につきましては支払い小作料をとっており、自作地については、その地方の類地小作地の小作料で評価をするということで地代を調査しておるわけでございます。
 以上の結果、収益性はどうかということでございますが、十アール当たりの粗収益は十一万六千九百八十円ということで、前年に比べまして三割強の上昇になっておりますが、この理由は申すまでもなく、米の政府買い入れ価格が昨年三三%近く上がっておるということがその収益をふやした理由でございます。
 それから、十アール当たりの所得でございますが、これは前年より一万八千円強ふえまして三二・四%の増加ということで、十アール当たりの所得は七万六千七百五十三円ということになっております。
 さらに、一日八時間当たりに直しまして家族労働報酬が幾らになったかということでございますが、ここに書いてございますように五千六百七十五円ということでございまして、前年が四千八十四円ということでございますので、家族労働報酬は三九%の増加という結果になっておるわけでございます。
 以下、四ページ、五ページにわたりまして、私がいま申し上げました点が十アール当たりあるいは六十キログラム当たりで四十九年産、四十八年産とそれぞれ費目別に対比して書いてありますので、これは特に説明をすることは省略させていただきたいと思います。
 六ページに生産費調査農家の概要が書いてございますが、十アール当たりの玄米収量といたしましては、四十九年産は五百三キロということで、四十八年産が五百十一キロでございましたので、若干反収は落ちておるということでございます。
 それから、労働時間はここに書いてございますように九四%ということで、昨年より六%ほど減っておるということでございます。
 なお、六ページの下の欄の右の方に先ほど申し上げました所得、労働報酬等が書いてございます。
 以上で私の説明は終わりたいと思います。
#6
○澁谷委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○澁谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
#8
○芳賀委員 この際、昭和五十年産米価について農林大臣に質問をいたします。
 政府におきましてはすでに昨九日に米価審議会に対しまして、今年の生産者米価の決定について政府としての試算を付した諮問を発したわけでございます。当委員会におきましても、先日の理事会におきまして、米審開催の二日目の本日委員会を開会して、例年のことでありますが、閉会中でございますが、本日の委員会を通じて担当の農林大臣と米価決定についての問題を十分詰めて、委員会としての意思表示をするという手順になっておるわけであります。したがいまして、私は、一昨日、委員会の事務局を通じまして、本日の質疑に当たっての重要な資料を農林省から提出を求めたわけであります。
 そこで、第一点の問題でありますが、これは米価決定のときに委員会においてもしばしば論議しておる点でありますが、自民党政府として、歴代の内閣において低米価政策を進めるために、あるときには食管法の趣旨に反してまでも低い政府の買い入れ米価を決定するためのそれに対応する算定方式を用いてきたことは農林大臣も御存じのとおりであります。特に、今年の政府の試算米価の内容を見ましても、昭和四十九年の米価決定に当たって採用いたしました算定要素というものが相当の部分変更されておるわけであります。その変更部分というのは全部米価を引き下げるための要素の変更でありますので、われわれとしては素直にこれは了承のできない点であります。
 したがって、まず、昨年の算定方式と今年の試算に当たって用いた算定要素が変更された点について、説明をしてもらいたいと思います。
#9
○安倍国務大臣 総務部長から説明いたさせます。
#10
○杉山説明員 先ほど算定のところでも一部触れましたが、まず、第一に変えました点は、米販売農家の定義といいますか、範囲でございますが、従来、減収率が二割以上のものを災害農家として……
#11
○芳賀委員 ちょっと待ってください。限定された時間内で各同僚委員が質問するわけでございますから……。
 いま聞いておるのは、たとえば政府の試算価格から言うと、昨年の政府買い入れ価格の一万三千六百十五円に対してことしの試算価格は一万五千四百三円ということになっておるわけです。これを対比いたしますと、一三・一三%の上昇ということになって、金額上昇分は六十キロで千七百八十八円ということになるわけですね。これがことしの変更した算定方式に基づいた政府試算米価ということになるわけです。四十九年算式を用いますと、ことしの生産者米価は一万五千八百七十五円ということになるわけです。そうすると、去年の政府買い入れ価格に対して上昇分が二千二百六十円、上昇率は前年対比で一六・六%ということになるわけですね。そういたしますと、一六・六%であるべきものが一三・一%の上昇にとどまっておる。三・五%の差率が生じて、それは金額に直すと一俵当たり四百七十二円ですね。ことさらにこれは算式を変更して引き下げておるということになるわけです。だから、算定要素を変更したことによって引き下げたこの三・五%の内容は、この分で何%とか、この分で何%下げて、その金額は幾らであると、そこだけでいいのですよ。
#12
○杉山説明員 わかりました。
 結論の数字だけ申し上げますが……(芳賀委員「弁明は要らない。そこでこう下げましたということがわかればいい」と呼ぶ)
 ただいま申し上げました災害農家の範囲を変えましたことによりまして、金額にして百六十七円、率にいたしまして一・三%差が生じております。それから、金利を据え置きましたことによりまして、これを前年のように、定期預金金利を農協一年ものの現在の実際の金利に合わせるというようなやり方をいたしますと、その場合に比べまして七十三円変わっております。率にいたしまして〇・五%です。それから地代につきまして、自作地地代を統制小作料にいたしております。これを前年のように四十八年までの実納小作料スライドということで修正したものを用いますと、二百三十二円差が生じます。率にいたしまして一・七%でございます。合計いたしまして三・五%、金額にして四百七十二円ということになります。
#13
○芳賀委員 それで内容がわかりました。
 農林大臣にお尋ねしますが、どうして算定方式を昨年より変更して、一六・六%上がるべきものを一三・一三%にしたか。これは理論的な計算の結果でなくて、自民党政府として政治的な配慮で上がるものを上げなかったということになるわけですから、この点は農林大臣から明快にしてもらいたいと思います。
#14
○安倍国務大臣 いま食糧庁から答弁をいたしましたように、確かに、昨年の政府決定の試算によりますれば、ことしは一六・六%ということになるわけでございます。ただ、御存じのように、政府としては、生産費、物価の動向、さらに経済事情を参酌して、米の再生産を確保することを旨として決めるという食管法の規定に基づきまして、今日の米の需給の事情あるいは経済事情等も参酌をいたしまして、総合的に判断をいたしまして一三・一三という試算値を決定いたしまして、米価審議会に諮問いたしたわけであります。
#15
○芳賀委員 私の聞いておるのは、去年どおりの算定を行えば一六・六%だということで、これはもうだれが計算しても上がるわけですからね。大臣が計算されても私が計算しても、去年の物差しで計算すれば一六・六%上がるわけですよ。それが一三・一%にとどまったということになれば、これは食管法の第三条二項の規定に基づいた関係で三・五%下がったということに絶対ならないのですね。食管法の趣旨と関係のないところで下げているわけですからね。どうして農林大臣としてことさら三・五%、四百七十二円下げなければならぬか。政治的あるいは行政責任者としての理由があって下げたと思うのですね。
 大臣が指示されて下げたのか、事務当局で知らぬ間にこうなりましたということで、それを信用して認めたのか、その点はどうなんですか。
#16
○安倍国務大臣 これはもちろん農林大臣の責任においてこの試算値を最終的に決定をいたしたわけでございますが、その間には政府部内における論議を十分尽くした結果、私の責任においてこの一三・一三%を決定いたしまして諮問をいたしたわけであります。
#17
○芳賀委員 そうすると、正しい算式に基づいて積み上げして結果が出たのでなくて、最初から答えを一三・一%上げということに設定して、それに当てはまるように作業するということを農林大臣が事務当局に命じた結果こうなったということですね。
#18
○安倍国務大臣 もちろんこれはいまおっしゃるように一三・一ということを初めから設定して、それに合わせるように要素をはじき出して、それで決めたわけではないわけでありまして、その諮問値を決定するに当たるいろいろな情勢を勘案しながら、要素の配分等も十分協議をして、その結果生まれた数字が一三・一三%ということになったわけでございます。
#19
○芳賀委員 大臣、この点が大事ですよ。これは農林大臣におかれても、また私どもにしても、たとえば米生産費を調査するための調査農家の中の除外すべき農家というのは災害農家に限定して、それはいままでは災害率二〇%以上の調査農家は除外をしてきておるわけです。統計調査の場合にもそういうような方式で生産費をまとめておるわけですね。まさか農林大臣がその二〇%を今度は一〇%以上の被害農家を除けという、そこまで頭を働かせて下げるための指示はなかなかできないと思うのですよ。だから、農林大臣として大局から一三・一%ということで、その根拠は民間大手企業の春闘の値上がりがちょうど一三・一だから大企業並みに米価もおさめろという指示が出て、忠実な農林省の事務当局はぴしっとそれに当てはまるような計算をしたわけです。これはわれわれもあるいは全国の生産者もそう認めておるわけですが、この点を率直に認めておいてもらいたいと思うのですよ。
#20
○安倍国務大臣 芳賀委員は専門家でございますから、これまでの米価決定の経緯につきましてはむしろ私以上に御存じと思いますが、米価決定に当たりましては、これまで長い間の米価決定の中におきまして要素をそれぞれ変えてきておるわけでございまして、米を生産する農家の生産意欲を高めていくとか、あるいは農家の農政に対する信頼感を取りとめていくというふうな面からいけば、算定方式というもの、算定の要素のとり方というものは軽々しく変えるべきではないということは、私も基本的にそういう考え方を持っておるわけであります。
 米の需給が安定しており、さらに生産費あるいは物価、賃金等が安定した状況の中であるならば、当然これは軽々しく変えるべきものではないわけでございますが、御案内のように、昨年の米価につきましては、あの狂乱物価を背景にいたしまして、米をこれに応じて……(芳賀委員「ぼくはそんなこと聞いていません」と呼ぶ)いや、それを説明しないとあれですから簡単に説明しますが、米をそれに応じて決めなければならぬということで、昨年の米価につきましては、政府が米審に諮問をした諮問のあり方と最終的な政府の決定のあり方とはずいぶん違っておるわけですが、これは政策的な配慮も相当加わって昨年の米価に決まったわけでございます。ことしはそういう中で経済も安定し物価も安定しつつあるという情勢等も勘案をいたしまして、私の最終的な責任において一三・一三%というふうな決定をし、要素もいま申し上げましたような形で取り上げたわけでございます。
#21
○芳賀委員 昨年の算定方式によってことしの生産者米価を決定した場合に一万五千八百七十五円になる。これが適当であるということを私は決して言っておるわけじゃないのですよ。少なくとも政府が決定する場合は、過去において一番整備された算定方式であり、政府が実行したことのある昭和四十二年算式を使うことができるんじゃないか、自民党政府においてもすでにこれは実行したことがある算式であるから、やればできる実行可能な算定方式であるということをわれわれ社会党としては毎年指摘をしておるわけです。四十二年算式において、農林省から昨日私の手元に届いた資料によりましても六十キロ当たりで二万八十八円ということになるのですよ。これであれば妥当性があるということは言えるわけですが、昨年の算式によって計算すれば一万五千八百七十五円になる。これが適正米価であるということを別に言っているわけではないわけです。昨年の低米価算式をさらに改悪するようなやり方に問題があるのではないかと私は言うのです。
 そこで、中身に触れますが、今度の手直し分というのは、農林大臣が今後農林行政を責任を持って進める場合に基本的な障害が生ずる点があるわけなんですよ。たとえば統計情報部において行っておる生産費調査は毎年毎年思いつきで調査要項を決めてやっておるわけではないでしょう。統計ですから普遍性のある方式で調査をしなければならぬ。そのためには統計調査を行うための約束というものがあるわけです。しかも、現在公表された点においては約四千戸の米の調査農家ということになっておりますが、実態は、われわれの承知しておるのは二千五百戸そこそこしか実際に調査を完了しておる調査農家はないという、まことにこれはわずかな対象農家ということにしかなっていないわけです。その中からいままでは災害率二〇%以上の調査農家を除外して平均収量等を決めてきたわけでありますが、生産費調査において行った二〇%以上の調査被害農家を除外するというのを、今度は米価決定のためには一〇%以上の災害農家を除外するということで、去年よりも米価を下げるという悪らつなことを思いつきでやっておるわけだ。農林省の内部においてまじめな仕事をやっておる統計情報部の生産費調査と、下げればいいということだけを念願にしてやっておる食糧庁の米価算定との間において、これはことし押し切って決めればいいという問題ではないのですよ。これからの統計の生産費調査をやる場合において、食糧庁の米価算定と合わせてこれからは一〇%以上の災害農家を除外するか、あるいはまた完全に無災害農家だけを対象にして生産費調査をやるかという点が直ちに出てくるわけでしょう。
 もう一つは、農林経済局が担当しておる農業災害補償法による農災制度においては、被害率三〇%以上でなければ農災制度の対象にならぬということになっている。法律によってそれは明定されておるわけでしょう。従来われわれはその三〇%以上を、二〇%以上を対象にしろとか、あるいはまた一〇%以上災害が生じた場合においてはそれを農災法の対象にすべきであるということを国会の論議においても常に主張しておるわけですが、一〇%以上ということになれば、米価算定に合わせて、農災法についても一〇%以上の災害が生じた場合においては当然災害補償の対象にするという、そこまでの考えを持って農林大臣として行政に取り組んでおるのか、本当に中身のある守る農政を進めようとしておるのか、その点の関連について明確にしてもらいたいと思います。
#22
○安倍国務大臣 いまお話が出ましたが、統計の生産費調整をそのまま用いておるわけではございませんで、米価算定上必要な調整を加えて今日の算定にいたしたわけでございまして、被害率、減収率一〇%以上の農家を除外した理由は、米価算定上、御存じのように最近の稲作の被害率は大変減少いたしておることは事実でございますし、その安定度が非常に高くなっておるわけでございます。そのために、今日におきましては被害農家の基準として二〇%をとることは高過ぎるというふうに考えるわけでございます。したがって、ことしからは一〇%以上の減収農家を除外することとして、これによって安定的な米価算定ができるようにする必要があると考えたわけで、米価算定上の必要な調整ということで一〇%以上の減収農家を除外した、こういうことでございます。
#23
○芳賀委員 大臣、これははっきりしてくださいよ。この場限りの答弁ではだめですよ。米価問題だからああ言いましたということでは済まぬですからね。今後、農林行政全体あるいはそれの基本となる法律制度に関する問題が出てくるわけですからね。ここで一・三%下げましたとか、ここで一・七%手直ししましたとか、そんなことでは済まぬですよ。そういうみみっちいことを小手先でやって農林行政全体を狂わすようなことはあなたとしても決して欲しておらぬでしょう。そこら辺にあなたは十分目を開いて、部下の局長、長官が何をやっているかということを注意して――忠義立てして、小手先だけ使えば何でもできるというような考え方がいまの農林官僚の中に流れておりますね。時の権力である政府・自民党の指図に従えば、それに迎合すれば自己保全ができるというような考えで大事な米価決定等に取り組んでおるとすれば、これは大変な問題になると思うわけです。
 もう一つ、農災法の関係ですね。大臣としては、今度はこれを機会に一〇%以上の被害を全部農災の対象にする考えですか。
#24
○安倍国務大臣 農災法につきましては、いわゆる災害制度の設計上の立場からああいう形になっておるというふうに私は判断をしておりますし、米の算定方式の要素のとり方とは直接的には関係はないと判断をいたしまして、今日の実情から米価算定方式の中でこれを調整したわけであります。
#25
○芳賀委員 大臣、これも忘れぬでおってくださいよ。いまあなたは関係ないと言ったが、これは関係が出てきますからね。
 その次にお尋ねしたい点は、自作地地代の評価を、これも価格を下げるために変更しておるわけですね。この点については特に大山構造改善局長に出席してもらっておるわけですが、食糧庁長官では地代なんというものはなかなかわからぬですよ。三善君も元農地局長をやったことがあるが、地代なんというものは簡単にどうでもできるというような考えの局長や長官は余りいないと思いますけれども、食糧庁になると、何でもできるというような誤りを起こしているのじゃないですか。たとえば統制小作料にしても、実納小作料の問題にしても、一体いまどういうような実態になっておるわけですか。
 昭和四十五年の農地法の大幅改正のときに、われわれ社会党はこれは改悪につながるということで独自案を出して、国会の中で、二期の国会を通じて議論した経過があるわけです。それからまた過般、当七十五国会において、農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法の大幅な改正を当委員会が委員会修正をもって成立させ、これは参議院でも成立したわけでありますが、農振法の改正によって今後保有農地を耕作権を基礎にして十分活用するというようなことにこれは発展をしていくわけです。そういう場合には地代あるいは小作料等について根本的な変化が生ずるということは火を見るより明らかなんですよ。そういうような背景が一体どうなっているかということを農林大臣も十分御存じないのでしょう。あなたは委員会では熱心に農振法の問題等についても取り組んでおったわけですし、われわれはその熱意にも感ずるところがあったから大幅修正でこれは通したわけですけれども、これは一体どうなっているのですか。
 大山局長、食糧庁が試算米価を引き下げるために使った今度の自作地の地代の計算について、あなたはどういう考えを持っているか。よくやったと思っているのか、これは後で問題があると思っているか、その点はどうですか。
#26
○大山説明員 現在の地代の実態でございますけれども、先生御存じのように農地法の例の四十五年の改正の際の附則によりまして、十年間は統制小作料を継続していく、その間においても毎年の経済事情等を勘案しながら検討してまいるということになっておるわけでございます。
 それから、標準小作料につきましては四十九年度に改定作業に入っております。改定作業は現在四十九年度末に行われているところが大半であるように聞いておりますが、まだ全体のあれは入っておりません。いままでの標準小作料が大体一万一千円がらみ、ワンシグマ四千数百円、それに対して四十九年度で、まだ現在まで全部の報告を受けているわけではございませんけれども、一万六千円がらみというようなことに今後の標準小作料はなってまいるということでございます。
 ところで、標準小作料は小作料の一つの参考にするということでございます。今後、利用増進事業等におきましては標準小作料を参考にしながら利用増進計画なり規定で決めてまいるということに相なるわけでございます。そういうふうな小作料の現状という問題がある一方、現実の問題としてはやみ小作というようなものも存在しているわけでございまして、そういったようなものを踏まえた実態というものが統計上出ている地代であろう、と、こういうふうに考えておるわけでございます。
 そこで、米価算定の自作地地代というものを何によって評価するかという問題につきましては、これは食糧政策上の問題であるというふうに考えて、食糧管理の価格算定上の一つの考え方によって決定されるものであろう、こういうふうに考えるわけでございます。
#27
○芳賀委員 局長、それはおかしいじゃないですか。あなたはかりそめにも農地行政を担当しておる構造改善局長でしょう。耕作権とか、あるいは小作料、農地の地代というようなものは、制度的に見ても、これはあなたが中心になってされなければだれも責任を持ってやる者はないじゃないですか。それを何ですか、地代とか小作料というものは食糧政策上必要なものである、食糧政策上こういうものが制度として存在するというような、そういう答弁というものはどこから一体出てくるのですか。
#28
○大山説明員 小作料というものは、これは食糧政策上あるわけではございません。私がもしかそういうふうに言ったように聞こえましたら私の言い方が悪かったわけでございますが、小作料という問題は、これは農業経営を行う者の経営の安定ということを考慮しながら、いわば農地の利用という問題についての借賃の適正な価格の参考にするというのが標準小作料であるわけでございます。ただ、標準小作料というのはあくまでも個々に結ばれる実納小作料の参考になるということでございまして、実納小作料というものが一つ現実に存在し、その実納小作料の中が統制小作料であるところ以外は当事者間の契約によって決まってまいる。もちろん減額請求等の規定もございますけれども、そういった実納小作料あるいは統制小作料というものを、今度具体的に米価算定の際に自作地地代としてどれをとるかということは、これは食糧政策だけの問題である、こういうことを申し上げたわけでございます。
#29
○芳賀委員 大山局長、それでは米価算定の場合あなたは農地担当の局長として、どういうような方式で地代を計上するかという相談にあずかったことはいままで一度もないわけですね。全部食糧庁長官任せで、おまえさん好きにやってくれ、米価を下げるために必要な資料が要るというのであれば幾らでもそれに当てはめるようにつくってやるよぐらいのことでいままで済ませてきているのですか。関与をしたかしないか。どうですか。
#30
○大山説明員 米価算定の際に、たとえば現実の実態がどうなっているかというような問題は食糧庁でわかるわけではございません。現に、七五年センサスが出ない現段階においては、七〇年センサスというものが一つの背景になるわけでございますが、いわば統制小作地が、四十五年時点にありました残存小作地がたしか二十二万八千ぐらいあったと思います。その後の賃貸借の解約というような実態が大体二万二千程度というようなことで、したがって残存小作地、その後の新たな契約というものも、現在までの統計並びにその後の推移を見ると二万を上回ることはない。こういうような事態から、統制小作地という、残存小作地といいますか、昔からの小作地が小作地の実態を支配的に占めているというような事実の問題、あるいは実納小作料の推移がどうなっているといったようなこと、こういうことは食糧庁でわかるわけではございませんので、私の方と十分に協議いたしまして、そして実態がどうなっているというようなことにつき十分な協議はしているわけでございます。
#31
○芳賀委員 構造改善局長が協議しているとすれば、今回の米価に用いた地代関係の四十七年、四十八年、四十九年の数字について説明をしてもらいたいと思います。
 一つは、三年間の各年の地代の原生産費がどうなっているかということと、それから今回の米価決定に使った評価がえの自作地地代を含めた地代がどういうふうに評価がえになっているかということと、もう一つは、先ほど触れました昭和四十二年の米価算定に用いた場合の地代というものは、この四十七年、四十八年、四十九年に当てはめた場合において評価がえ地代がどうなっておるかということ、この三通りの点について、これは協議にあずかって材料を提供した大山局長から数字を挙げて説明してもらいたいと思う。
#32
○大山説明員 そういう具体的な話について資料を持ってまいりませんでしたが、実納小作料の推移を不動産研究所のデータで見ますと、四十八年が七千四百四十二円、四十七年が七千四十八円、それから四十六年が六千五百三十四円というふうに相なっておるわけでございます。
#33
○芳賀委員 そういうことを聞いているんじゃないです。局長、座ってからよく聞きなさい。昭和四十七年、四十八年、四十九年の地代の原生産費が各年どうなっているかということが第一点ですね。それから、今回の米価決定に当たって地代を評価がえして米価算定の要素にしておるわけだから、評価がえ地代というものが四十七年、四十八年、四十九年のそれぞれ各年別でどうなっているかということと、もう一つは、昭和四十二年の米価算定のときに使った地代の評価がえ方式があるわけですが、それによって行った場合においては、四十七年、四十八年、四十九年の各年の地代というものはどうなっておるかということ、この三色の地代というものを三年平均した場合に一体どうなるか。これは数字だけでいいです。
#34
○大山説明員 四十七年、四十八年、四十九年の地代の原生産費でございますが、四十七年が九千四百三十八円、四十八年が一万一千八十九円、四十九年が一万五千四百九十七円で、それで評価がえ地代は五千七百六円、五千七百四十二円、五千九百二円と、こういうことに相なっているわけでございます。
 それから、四十二年の地代につきましては、先ほどの先生の御指摘の四十二年ベースといいますか、これにおきます四十七年が九千四百七十六円、四十八年が一万一千六十一円、四十九年が一万五千三百七円、平均して一万一千九百四十八円でございます。
#35
○芳賀委員 全部の平均を言っていないでしょう。
#36
○大山説明員 失礼しました。
 最初の方の申し上げましたやつの三年間の原生産費が一万二千八円、それに対して評価がえの平均が五千七百八十三円ということでございます。
#37
○芳賀委員 大山局長についでにもう一つ聞いておきますが、それでは統計情報部の地代の評価というのはどういうふうにやっているのか、あなたはわかりますか。
#38
○大山説明員 統計情報部の地代、これは小作地につきましてはそこの実納小作料ということになっておりますし、それから自作地については近傍類地の小作料によって評価して決める。こういう原則になっているわけでございます。
#39
○芳賀委員 この点はあなたはよくわかっているじゃないか。じゃ、わかっておるなら、これは三年間どうなっておるか。この米生産費は、一昨日四十九年度の生産費は公表されておるのですからね。これもついでに、あなたは一番わかっている点だから聞くが、実納小作料が三年間どうなっているか。それから類地小作地の小作料評価がどうなっているか。この二点を聞いて、もう後は聞かぬから、これだけはっきりしてください。
#40
○大山説明員 統計情報部で調査をいたしました米生産費調査における自作地地代は、四十七年、四十八年、四十九年と累次申し上げますが、九千二百五十七円、一万八百十三円、一万四千七百三十八円。小作地につきましては、一万三千五十六円、一万五千十四円、二万二百九十円ということになっております。平均は、四十七年が九千四百六十六円、四十八年が一万一千五十七円、四十九年が一万五千百十円でございます。
#41
○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、一口に地代と言っても、いま大山局長が詳細に説明したとおりの内容と性格を持っておるわけですね。いま、日本の国内では、農地の中で小作地の占める割合というものは非常に少ないのです。ですから、米の生産費を決める場合においても、地代が大事であるという観念に立った場合においては、単に米価を上げるとか下げるとかの手段だけに用いるものではないと思うのですよ。今回の地代の評価がえは、いま大山局長が述べたように、各地代の中で一番低い地代をとっておるわけですね。それも理論的根拠のない地代を算出しておるわけですよ。それまでにしてどうして米価を下げなければならぬのかということについてもう一度はっきりしてもらいたいのです。気がつかなかったということであれば後で手直しができることですが、これは大事な農地問題について、農業生産の基盤である土地に関する地代等の米価決定についての要素としてのとり方としては非常に大きな非難が残る点だと思うのです。この点を大臣から率直に述べてもらいたいと思います。
#42
○安倍国務大臣 自作地の地代につきましては、御存じのように、本来、収入から他のコストを差し引いた収益の一部という性格を有しておるわけでございまして、現実に支出が行われる小作地地代とは性格が異なっておるわけでございますから、これに対して種々の考え方があることは当然だろうと思うわけでございますが、米価算定上は統制小作料が妥当であると考えておるわけであります。統制小作料につきましては、現在、なお小作地の大部分に適用されておると見られるわけであります。
 また、従来、昭和四十三年から四十八年まで、米価算定上は、自作地地代としては統制小作料をとってきたという経過があるわけでございます。昨年につきましては、米価決定に際して、当時の物価、賃金が異常に高騰した、これを米価に反映させなければならないという立場から、自作地の地代として、実納小作料の上昇率によりあえて統制小作料を修正したわけでございますが、最近では物価、賃金も安定している。そこで、四十三年から四十八年まで統制小作料で来ているわけであるし、今回は統制小作料が妥当であると考えて統制小作料にいたしたわけであります。
#43
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。去年地代の計算方法を変えたんですよ。変えた結果、変わった分だけ米価が下がっているわけですから、どういうわけでそういうことまでしなければならぬのかということを聞いているのです。農業に熱情を持って攻めの農政をやると言われる安倍農林大臣が、いままで歴代農林大臣が行うことのなかったこういう悪い方法をどうしてとらなければならぬのかということを聞いておるのですよ。これは金額がわずかだからとか、抑圧率がわずかだからということでは済まないですよ。やはり、農政の基本に関する問題ですからね。あなたはそんなに悪らつな男ではないと私は思っているのですけれども、明確にしてもらいたいのですよ。どうして去年とやり方を変えて統制小作一本にしなければならなかったのか。統制小作料といったって、いま大山局長が言ったとおり、農地法の改正によって統制小作料の残存期間がわずか残っておるというだけじゃないですか。
#44
○安倍国務大臣 自作地の小作料につきましては、四十三年から四十八年までは統制小作料でやってきておるわけでありますが、昨年はそれを変更したことは事実でございます。しかし、これのとり方にはいろいろと考え方があると思いますが、私は統制小作料が妥当であると考えて今回そういう措置をとったわけであります。昨年は、物価、賃金が異常に高騰して、これを米価に反映させなければならないという政策的な配慮があって修正した。それを今回は本来の姿に返したというふうに考えております。
#45
○芳賀委員 大臣、その点がおかしいのですよ。統制小作料でしょう。毎年毎年変えるのは統制小作料じゃないですよ。昭和四十二年に設定された統制小作料ですと、各級地の統制小作料というものは、農林省が公表して、それを尊重して実行していいということになっているわけですね。八年間に、大臣の言われた物価も賃金も、土地そのものの価格もどんどん高騰しているじゃないですか。それだけに、統制小作料だからずっと存続をしておる。農地の保有関係の問題とか、保有農地を小作に出さないとか、農業生産上の隘路というものはそういうところに伏在しておるわけですよ。それを別の角度から弾力的に発展させようというのが先般改正された農振法の内容ということになるわけですね。そういう統制小作料が現在の経済実情に合わぬということを配慮して、昨年の場合においでも、統制小作料に対して、四十五年対四十八年の小作地の実納小作料の上昇率を乗じて勘案したものをもって四十九年米価決定の地代として設定したわけだ。その方が実態に近づいておるのですよ。今度はそれを全部取っ払ってしまって、昔どおりの統制小作料にしましたなんて言ったって、これは何も自慢にならぬじゃありませんか。どうしてそれまでにして農民が汗を流して生産した米の価格を下げなければならぬかということを私は聞いておるのです。
#46
○安倍国務大臣 自作地の地代につきましてどういうふうに考えるかという点はいろいろと考え方があると思いますが、政府は四十三年から四十八年までは統制小作料にしてきた、四十九年はこれを修正した、この修正したことについては、当時の物価、賃金が異常に高騰して、これを米価に反映させなければならないという政策的な見地もあって修正した、最近における物価、賃金、経済の動向等もようやく安定化の方向に向かっておるためにもとの統制小作料に返した、こういうことがわれわれの基本的な考え方でございます。
#47
○芳賀委員 大臣、あなたがそう言うところがどうもよくわからぬのですよ。いいですか、自作地の地代ですよ。それを米価算定上自作他についても地代というものを評価がえをして米価の算定要素の中に入れるということになれば、その一番の根本は土地でしょう。自作地の保有農家の保有する農業の生産手段である農地というものに対して、自作農地に対して幾ばくの地代を設定すべきかということが価格上の問題になるじゃないですか。これは簡単に地代とか小作料と言っても、やはり地代説とか地代論というものがあって、われわれ政治に携わる者は大まかな議論でこれを左右することはできないのですよ。そういう歴史的な変遷とか一貫性というものがあるわけですからね。そういうものは私よりも農林省の官僚諸君の方がよくわきまえておるのですよ。
 条理を知っておりながら、米価を下げる手段として地代の評価がえをするとか計上方法を改悪するということは、これはわからぬでやる暴挙であればまた別ですが、裏も表もわかっておりながらこれを引き下げの道具に使うということはわれわれとして絶対許すことができないですからね。これは食糧庁長官が来たらすぐやめてもらわなければならぬほどの重大問題です。そういう点があるわけですが、米価はまだ決定したわけじゃないですからね。米審はあすあさってと続くでしょうが、米審だって何も決定権を持っていないでしょう。米価とか食管会計の問題等に対する国家的権威というのは、むしろ立法府であるわれわれの方が権威を持っているわけですから、米審の御用委員だけ選んでそこへ行って三日なら三日議論をやって、議論が終われば可とするのだか不可とするのだかわからぬような答申が出ても、政府が自己流に解釈して、答申は政府試算を可としたからこれで一発回答でやるなんというわけには、米審はやれても国会はそう農林大臣の自由にいかぬと思うのですよ。大臣の経験から言っても、この点を十分根本から検討し直してもらう必要があると思うのですよ。これは大臣自身として、災害農家除外の問題といまの地代の問題を役人に任せておったってだめですよ。これは安倍農林大臣自身が、これは問題があるではないか、やり直せということで、やり直した結果去年よりもさらにいい要素を使えるようなことをあなたが言わなければ攻めの農業にいかぬですからね。
 第三点は、自己資本の金利計算についても、従来は一貫して農協金利というものを基礎にしてやってきたわけですが、ことしは現行の農協金利よりも若干引き下げたわけですね。これも全くみみっちい話ですけれども、少しでも下げれば〇・七%ですか、〇・五%ぐらいは下がらぬことはないですけれども、いままで一定のルールに基づいて、自己資本利子というものは農協金利によるということで実績が確立しておるわけですから、これをわざわざわずか手直しをして引き下げるなんというのは、これはもう全く根性が小さいというか、そのぐらいのことしかできないかということになるわけですね。これは大臣が承知しておられればはっきりしておいてもらいたいと思うのです。まだあなたが気がついていなかったのじゃないかと思うのですけれどもね。
#48
○安倍国務大臣 自己資本についての金利でございますが、これは御承知のように現実には経費として支出されるわけではないわけでありまして、農家の所得の一部として評価算入をされるわけでございます。したがって、一般経済情勢の変化に応じて大幅かつ頻繁に変動しておるところの一般の金利の動向を一々厳密に反映させなければならないという理屈、性格のものではないとも考えております。特に、ことしの場合につきましては、米価に算入する賃金が相当大幅に上昇したわけでございますから、自己資本金利を据え置いても農家にとって必要な所得は十分確保されるというふうに私は考えまして、先ほどから説明いたしたような、いま御指摘のような金利の変更をいたした、据え置きをいたしたわけでございます。
#49
○芳賀委員 大臣、この金利の変更というのは、農林大臣じゃなく、大蔵省が行政措置で毎年金利を上げるとか下げるとかということを指導しておるわけでしょう。いまは農協の一年定期預金率をもってこの自己資本利子の計上をするということが定着しておるわけだから、そうなると、実態論から言えば、七・八五%というのを適用すべきなわけですね。これを現在適用されていない七・三五%ということにしているわけですからして、〇・五%金利分を下げて、ここからも若干引き下げ要素を出しておるわけですよ。
 もう一つ申し上げたい点は、大臣の方から進んで触れられましたが、自家労賃に対する一定期間の金利計上というのはいままでやってきておるのですよ。これは生産者、農家は雇用契約のもとに働いておるわけではないわけですから、生産された米あるいは農産物の販売によって初めて一年間の労働報酬というものが回収できるわけですから、それまでは結局未払い分、保留分ということになっておるでしょう。そこを配慮して一定期間についての自家労賃に対する利子計上ということを、これは昔からやってきておるわけです。同じやるのであれば、日雇い労賃を基礎にしたそういう計上でなくて、やはり、農林省として毎年の米価計算のときの自家労賃に評価がえしておるところの、その自家労賃というものの集計額に対して一定の金利を計上するということの方が合理的だと思うのですよ。これは去年とことし改変したわけじゃないですよ。ついでですから言っておきますがね同じ利子の計上、自家労働あるいは自己資本利子、先ほどの自作地地代というようなものと関連して、これもやはり改悪だけではなくて、ことしあたりもむしろこの点は改善した方がよかったのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
#50
○杉山説明員 技術的な問題も含みますので、私の方から御説明させていただきます。
 自己資本に対して金利を付すというのは、実際に金利を支払っているわけではございませんから、その金利の計算は何らかの想定をして利率を出すということになります。従来、確かに、自己資本の金利につきましては、農協定期一年ものの金利を採用してまいった経緯がございますが、これが実態とどうかというようなことと、そのほかもろもろの、もともとの自己資本に金利を付すことはいかなる意味があるかということを考えます際に、むしろ、実際に自己資金をどんな点から融通しているか、仮に自己資金を融通し得るとしたらいかなる形で活用し得るか、たんす預金になるのか、半年定期になるのか、一年定期になるのか、そういう実態を本来は考えて、しかるべき金利水準を設定するということがあるべきかと思います。
 しかしながら、従来は四十七年ごろまでは定期預金金利も安定しておったのでございますが、ここ一、二年急激に上昇してまいっております。そのことを昨年の算定までにおきましては反映して、現在七分三厘五毛という自己資本金利を見ておるわけでございますが、実際の自己資金の活用ということを考えます場合に、何もこれを必ず定期預金の金利のアップにスライドしてそのとおり見なければいけないというルールではないと考えておるわけでございます。
 それから、金利水準を決めるのではなくて、米価算定上の自己資金の想定金利をどのように考えるかという問題でございますから、評価がえした労賃単価で自家労賃についての金利を見るべきではないかというお話でございますが、評価がえはまさに労賃自体についての話でございます。労賃をそのように評価がえすることは、生産費所得補償方式の一つの算定のあり方としてこういう形をとっているわけでございますが、金利部分についてはいま申し上げました本来想定であり、それを原生産費の自家労賃で見るということは特段の支障があるというふうには考えておりません。従来から、自家労賃については、原生産費の労賃の単価で、金利をその考え方のもとに見てきておったわけでございます。
#51
○芳賀委員 そういうことを聞いているのではないのです。それでは、おまえさんの言うことから言えば日雇い労賃は一体何ですか。日雇い労賃の支払いを米生産者が日々受けておるわけではないでしょう。米販売農家が日雇いだから、これは毎日の賃金ですから、日雇い労賃で食糧庁で毎日払っておりますか。米販売農家に対して予約限度数量の範囲内でやっていますか。やっていないでしょう。便宜的に自家労働の賃金、報酬というものをどのようにして雇用労賃と評価がえをするかということで幾ら言っても農林省は頑迷に農業臨時日雇い労賃でやっておる。その点の生産費調査から言うと、四十九年の農業日雇い労賃は男女込み一時間当たり三百七十一円にしかなっていないのですよ。その部分にだけ金利計上しておるわけでしょう。日雇い労賃というのは何にも根拠がないじゃないですか。日雇い労賃あるいは民間の製造業賃金の特に常用労働賃金というものにとるのはあたりまえだというところまでは安倍農林大臣もことしの春の予算委員会で明確にしたわけなんだ。
 そういう経過も何も知らぬで、日雇い労賃部分の三百七十一円には金利を計上するが、ただし製造業の評価がえ賃金には及ぼす必要はない、そんなことはどう決めようとも農林官僚のさじかげんいかんだ、よけいなことを言ってもらいたくないというのがいまのあなたの答弁の考え方でしょう。そんな考え方では農政は進まぬでしょう。権限や権力だけで一方的に押し切るという官僚の一番悪いところを露骨に出すようなやり方で農林行政とか米価決定をやった場合においては、農業破壊とか農民の全体の離別現象がだんだん激化することになるのですよ。
 あなたと議論しても大した成果が上がらぬですけれども、こういう点は農林大臣によく認識してもらいたいのですよ。担当者と議論しても、そういう低い次元では問題解決はできないですから、こういうことであるという実態を質疑の中で責任のある安倍農林大臣に十分認識をしてもらって、間違いのない行政や米価決定をしてもらう必要があるというので私はあえて質疑をしておるわけですから、こういう点についても大臣として十分な再検討が必要であると思うわけです。
 次にお尋ねしたいのですが、農業の生産性向上はことしの米価算定についても全然反映されていないでしょう。たとえば十アール当たりの平均収量のとり方にしても、十アール当たりの投下労働時間のとり方にしても、これは全部米価引き下げのためのマイナス要素だけを強く押し出しておるところに特徴があるわけです。十アールの投下労働時間はある年には十時間、ある年には六時間減少しておる。毎年毎年労働時間が減少する中において、十アール当たりの収量は決して減ってはおらぬ。ことしの場合は三カ年平均で五百キロを超える算定要素を使っておるわけですね。反収もふえておる。労働時間は毎年毎年減少しておる。ここ十五年間で投下労働時間がちょうど半減しておるのですから、こういう点を何らかの形で米の価格決定の中に反映させるということが当然じゃないですか。
 だから、かつては昭和四十二年方式というような三カ年間の平均収量から一シグマを引いた残りの収量をもって一俵当たりの米の生産費あるいは価格の決定を行ったわけですから、いまでも一シグマを差し引くということになれば十アール当たり大体七十キロないし九十キロ程度、農林省が使っておる調査農家の平均反収よりもそれだけ収量が低下されることになるわけだ。あるいはまた四十二年算定方式の場合においては、毎年毎年の労働の生産性の向上の部分について、その二分の一を価格に還元するという措置もとったわけです。同じ自民党の歴代内閣でも過去においては相当納得のできることをやった実績もあるのですよ。それが最近はだんだん改悪改悪ということになったわけですが、農林大臣、こういう配慮については、ことしもいかに米価を下げようということだけにきゅうきゅうとするんでなくて、本当に農家が生産に取り組んで、偉大な生産性の向上を果たしておるわけですから、それに報いる自家労働の賃金の評価等については適正に行うべきじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
#52
○安倍国務大臣 まず、最初に、今度の米価の決定に対する私の基本的な考え方を申し上げたいと思いますが、私も、政府が重大な決定をする場合に当たっては世論の動向あるいは国会の御審議等も十分踏まえて、その上に立った決定を行わなければならないという考え方を基本的に持っております。したがって、米審における米価の取り扱い等につきましても、国会の御論議等も踏まえて、たとえば同時諮問といった声も非常に強かったわけでございますけれども、そういう一般的な国会の御論議とさらに一般的な世論等も踏まえて、これを別々に答申を求めるという形にいたしたわけでございますが、米価につきましても、私自身としては精いっぱいの努力をいたしまして今回の諮問案といたしたわけでございますが、さらに、現在も続いておりますが、米価審議会の十分な御審議をいただきたいと思いますし、同時にまた毎年行われます国会におきます農林水産委員会の御論議等も十分踏まえなければならない、そして米審の答申を待ってさらに関係者とも慎重に検討いたしまして最終的な決定をいたしたい、こういうふうに基本的に考えておるわけでございます。
 それから、いまの生産性向上のメリット分を返すべきであるという御議論でございますが、これは御存じのように昭和四十二年から四十四年の決定に当たりましては、この生産性向上の利益の一部を生産費に還元するということでメリット還元をしてきたわけでございますが、これは当時の食糧、米を増産しなければならないというふうな需給事情における特別な政策的な配慮があったというふうに考えております。したがって、その後の需給事情のもとではこういう配慮を米価算定に加えるということは適当でないということで、四十五年米価からこれを含めないことにしておるわけでございまして、これは昭和四十三年の米価審議会の答申におきましても、生産性向上の利益の取りやめは適当であるというふうな指摘を実は受けておるわけでございます。稲作の生産性が向上いたしまして確かに労働時間は減少をしておるわけでございますが、同時に、稲作労働を評価がえする都市均衡労賃の単価も、製造部門も稲作部門を上回る生産性の向上を反映して著しく上昇しておるというふうに判断もいたしております。
 なお、米価につきましては、これは御存じのように過去三カ年の生産費に基づいて算定をしておるわけでございますが、現在のように稲作投下労働時間が急速に減少している時期には、現実の労働時間というものは米価の中に織り込まれた労働時間よりも短くなっていると考えておるわけであります。三年間の平均でございまして、先ほども統計部長から説明をいたしましたように、四十九年と五十年度では投下労働時間がずいぶん違ってきておるわけでありますが、これを三年平均して今回これを米価の中に織り込んでいるということでありますから、現実的には、米価の中においては三年間平均ということで、米価には余裕を持って織り込まれておる、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。
#53
○芳賀委員 労働時間とそれから反収はもう昔から、大臣が生まれる前からこれは三年平均ということになっておるわけですから、いまここで議論する必要はないのですよ。ただ、その基礎になる数字のとり方が過大過ぎるのです。その点だけ言うと、四十九年の米の実収平均数量は十アール四百五十五キロというのはわかっているでしょう。四百五十五キロが全国の平均収量です。それから統計調査部の調査農家だけの平均数量が五百三キロですね。今回の米価算定に使った四十九年の平均数量は五百十三キロということになっております。だから、実収平均よりも五十八キロ多い。調査生産費の収量よりも十キロ多い。こういうやり方で三年間の平均値を出したわけですから、ことしは五百十キロで十アール当たりの米価算定の総生産費を割ったから、これは非常に米価が安くなっちゃったのです。とれていないものを過大な数字を使って分母にするわけだから、当然答えは小さくなるのは間違いないですよ。こういうでたらめなことをやって、そして生産性の向上なんというのはもう振り向きもしない。
 労働時間についてもそうでしょう。昭和三十五年は百七十三・二時間かかっている。それが四十九年は八十四・八時間だから、ちょうど十年間で農民の努力で投下労働時間がこれだけ減っておるわけでしょう。だれに頼まれたのでもないですよ。営々として生産性を上げてきたんじゃないですか。一体何を言っているんだ。
 それから、いままでは一俵以上の販売農家を対象にしたとか、今度は五俵以上にしたとか、米価を下げるためだけの手段はどうしたらいいかということだけを随所に探し出して、あるいは捏造して、ことしの一万五千四百三円という去年よりも一三・一%上げの米価の試算をやったわけだ。これは決まったのでないですからね。やはりきょうは先ほど大臣が言われたとおり、当委員会の議論等についても十分認識を新たにしてもらって、よくやったという適正米価が決められるように、これから残された時間を十分に努力してもらいたいと思うのです。
 それからつけ加えて聞きますが、八日に安倍農林大臣と自民党の総合農政調査会の丹羽さんと、農林部長の中川一郎君と、昔ベトコンと言われた米対策協議会会長の坪川信三君と四人で集まって合議の結果、一三・一%上げの諮問米価を米審に出す、そのかわり後で政府・自民党の保留分として一%は残してある、これは後で自民党に花を持たせるために一三・一%に大体一%程度は加算する、と、こういう話し合いの上で一三・一%が出た。これは新聞に報道されておるわけです。これは真偽を確かめる考えは私はないのですよ。そういうことで、後で一%加算になることはもう間違いない点ですね。
 それから、もう一つお尋ねしたいのは、この低米価諮問を不満として、たとえば農協の中央米対本部においては、昨日、全国の都道府県農協の米対本部長に対して全国的に管理米の出庫不協力の行動に入るような指令を出しておるわけです。それからまた、農民組織の全農総連も、米対本部長名をもって、都道府県の傘下組織に対して出庫拒否闘争に突入すべしという指令を出したということが新聞、テレビ等において報道されておるわけです。
 これほど全国の農民は今回の諮問米価に対して大きな不満と怒りを持っておるわけでありますから、われわれ社会党としては、昨日、政府の諮問米価に対しまして社会党としての見解を発表したわけであります。大事な点だけ申しますと、今回農林大臣が米審に諮問された試算米価の一三・一%上げの万五千四百三円米価なるものは、これは政府試算として真に検討に値しないものである、したがって、これは米審に諮問したわけでございますが、これを潔く撤回して、食管法の規定に基づいた正しい算定を行って、当然米価審議会に再諮問すべきである、と、こういう趣旨の見解を発表したところであります。それほどにわれわれ社会党としても今回の米価問題というものは重視しておるわけでございますし、同じ自民党の農林大臣であっても、安倍大臣に対してはわれわれはいままで相当期待と信頼を持ってきておるわけですから、この段階において、日本農政のかなめである大事な米価決定について、安倍農林大臣としてこれは初めての米価決定ということになるわけでありますから、後世に非難を残さぬようにぜひしっかりやってもらいたい。そして本当に食管制度を守って、日本の食糧の自給度を向上させ、その基盤である米価の決定や農業発展のために名実ともに攻めの農政の陣頭に立って、この米価決定を機会にして十分に検討してもらいたい。そういう点を申し上げるわけであります。
 これに対して農林大臣の所信を明らかにしてもらって、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
#54
○安倍国務大臣 米価を私が諮問をいたすまでの間に政府・与党の間でいろいろと動きがあったことは事実でございます。最終的には私はあの席において一三・一%という諮問値を決定いたしまして米審に諮問をいたしたわけでございますが、これにつきましては、先ほどから申し上げましたように、食管法の趣旨にのっとりまして総合的に判断をいたしまして、これが妥当であるという考え方のもとに諮問をいたしたわけでございますが、しかし、米審における審議も十分尽くしていただかなければなりませんし、また、さらに、国会における御論議も十分尽くしていただきまして、その結果、答申を受けた後に関係者とも慎重に検討をいたしまして、最終的にはやはり国民各層の期待にこたえ、さらに農村における米の再生産が確保されるという、こういう形のもとに適正に米価を決めていきたいと思うわけでございます。
 同時に、また、社会党から種々米価に対する御要請が出ておることも、私は直接その御要請等も受け取っておりますのでよく承知をいたしておるわけでございます。また、本日の委員会の審議におきましても社会党としての考え方をお述べいただきましたことも承ったような次第でございます。米価というものは、国民の主食でございますから、これを決定するということは、農家の生活そのものだけでなくて、国民生活全体にも大きな影響があるわけでございます。この点につきましては私も責任を強く感じておるわけでございますし、同時に、農政に対する見解の相違というものはいろいろとあるわけでございますが、私の情熱といいますか、考え方は首尾一貫をいたしておるわけでありますし、今後ともわが国の農政を推進し、そして自給力を高めていくということに対してはさらに決意を新たにして臨みたいと考えております。
#55
○澁谷委員長 庄司幸助君。
#56
○庄司委員 まず、安倍農林大臣に、これは抗議の意味も含めてお伺いするのですが、わが党の質問時間はたった三十一分です。それから公明党さんも三十分です。こんなに大事な米価の問題、いま農民が怒りの声を上げている米価の問題について、国権の最高の権威であると言われている国会でたった三十一分です。まさにこれは一通話です。これはやはり農林大臣の姿勢の中に国会軽視の考え方があるのじゃないかと思う。確かに、米審最中ですからお忙しいことはわかりますが、先ほど来農林大臣は前の委員に対しての御答弁で、国会論議は十分尊重するということと、これからも国会の論議を尽くしていただくということをおっしゃっておりますが、米審の答申はもうあしたかあさって出てしまう。これでは国会論議も尽くしょうがないわけです。
 その点で、これは農林大臣に申しますが、この米審の開催時期は国会開会中に開催すべきである。そうすれば国会論議ともかみ合って並行して進むわけですね。ただ、そういうことを私どもが申し上げると、あなたのほうでは、いわゆる春闘の賃上げの分が米価に加算されないので農民に不利になると言っておりますから、それならばこれは追加払いで、後から、秋でも結構ですからやったらどうかと思うのですが、その点、簡単で結構ですから……。
#57
○安倍国務大臣 初めの質問の国会の審議時間等につきましては、これは国会で御決定いただくわけでございますから、私が何もかもとやかく言う筋合いではないと思います。
 それから、米審をなぜ国会中に開会しないかということでありますけれども、これは毎年米審は七月に大体開催をしておるわけであります。たまたまそのときは国会がないということでありまして、今回も七月四日に国会が終わったわけでございまして、七月に米審をやるということは、これはもう毎年の一つの  米価の決定を急がなければなりませんので、これは毎年の慣例に従ってやったまででございます。
#58
○庄司委員 その答弁は大変不満であります。あなた方の作業さえ急げば国会開会中に開けないことはないのです。そして、後から労賃分追加払いをやればこれは十分できるのです。
 それから、もう一つ。これだけの国会の論議の場で、合わせて三時間もないくらいです。一方では米審が開催されているのに、国会論議がたった三時間です。これでは農民の期待にわれわれ国会議員はこたえられないのです。それから、国会は公開されておりますから傍聴されておりますが、しかし、米審は公開されておりません。米審を一般傍聴も含めてテレビ中継あるいはラジオでの生放送をするとか、それからそれを聞けない人のためには農家の有線放送がありますから、これにテープを送って聞いてもらうとかすれば、御用米審がどういう発言をしたかという点も明確になるわけですが、その点で米審の公開ということはお考えになりませんか。
#59
○安倍国務大臣 米審の公開は全く考えておりません。
#60
○庄司委員 きわめて非民主的であります。それが自民党農政の一つの特徴だろうと私は思います。
 本論に入りますが、政府はわが党の申し入れや追及によって同時諮問、同時決定を渋々あきらめたわけでありますが、しかし、今月中にも連動諮問をやろうとしておる。最も問題なのはいま論議されている試算米価一万五千四百三円で、これはきわめて低い。農民は怒っております。これはとても再生産や所得を補償できるものでないことはきのうの米審会場でのあなたに対する農民の怒りの声にもあらわれていると思います。しかも、中身を見ますと、生産者米価抑制という一貫した政治方針のもとに、春闘抑制賃上げ一三・一%に合わせた低い値上げ幅をまず決めて、それに合わせて算術を行っておる。これはとうてい科学的な根拠を持ったものでないということは前の委員とのやりとりの間でも明らかになっております。これは生産者農民はおろか全国民を納得させるようなものではないと思います。同時に、この諮問は、あなたは食管法の趣旨云々と語られましたが、食管法の趣旨にも反しておると私は思います。
 そこで、質問ですが、まず、この諮問の問題です。大変簡単な諮問です。「昭和五十年産米穀の政府買入価格について、米穀の需給関係を勘案するとともに、生産費及び所得を考慮して定めることにつき、米価審議会の意見を求める。」となっておって、それに説明がついております。この説明の中で大きく分けると二つの問題点があると私は思います。一つは需給関係の説明のくだりです。二つ目は生産費の説明のくだりです。
 この説明によりますと大体こういうふうになるんですね。需給関係を第一番目の要素にしておりますが、本年度は均衡を維持できるが、今後とも過剰基調だし、転作も定着しない――これは若干省略していますよ。だから、この辺の事情も考えて総合自給力の向上を図る必要があるというふうにこの需給関係については要約できると思うのですね。これはどういう意味なんだか、大変にょろにょろした文書でわからないのです。その点が第一点です。
 過剰基調というふうにおっしゃっておりますが、また一方では異常気象というものがあるのですね。これはもう気象学界では大体定説になりつつあります。本年の天候もこのとおり不順です。外をごらんなさい、あのとおり真っ暗です。宮城県では大体一週間作柄がおくれていると言われております。また、世界食糧会議の結論もあるわけです。そういう点で、備蓄を考えればこういうように過剰基調、過剰基調とおっしゃる必要はないわけなんです。
 それから、転作が定着しないとおっしゃっております。ちゃんと書いてあります。転作が定着しないのは、これは明らかに政府の責任でしょう。豚はとんとんで、牛はもうたくさんで、鶏は卵とえさのとっけっこなんというのはとっくの昔の話です。赤字で困っているのです。そういう点で、他の作目の価格安定を図り、しかも価格補償を確立しないと転作も進まないだろうと思うのです。
 それから総合自給力の向上とおっしゃっております。これを図る必要があると書いてありますが、これは希望的観測ですね。ところが、現在いま総合自給率で七一%で、昭和六十年であなた方が精いっぱいがんばって七五%だ。ところが穀物の方は四一%から三七%に下がるというふうにおっしゃっておりますが、これは絵にかいたもちになるんですね。水田裏作なんかも考えていらっしゃるようだけれども、これも裏作の対象になるものの価格問題がなければ成功できません。これは過日の委員会でも私は申し上げました。それから裏作に見合った米の品種改良をやらなければならないのです。こういう大問題を抱えた問題を、図る必要があるということで簡単に済ましていらっしゃる。
 米の需給関係が算定の要素の一つになっておりますが、何のことはない、自民党政府の食糧外国依存政策で、この責任をほっかぶりしたまま、もっぱら低米価操作によって農民に責任を転嫁しているだけの説明ではないかと私は思うのです。大体、この総合自給力の向上を図る必要があるなどということは将来の不確定要素でしょう。しかも、これはいまの自民党政府の政策からは見込みのない要素でしょう。しかも、三木内閣がいつまでもつかという点を考えても大変な不確定要素です。こういうものをなぜそんな算定基礎に持ち込んでいるのか。あなたの説明は算定基礎になっています。
 こういう問題が第一点にあると思うのですが、その点について、大臣、どうですか。
#61
○安倍国務大臣 この「諮問についての説明」についていろいろと御意見があったわけですが、これは非常に簡単に書いておりますので、いろいろとそういう御意見も出ると思うわけでありますけれども、しかし、米審にはこの説明に伴う詳細な資料等も配付いたしておりまして、これに対しては詳細な説明もいたして御論議をいただいているわけでございます。
 それから、米につきましては、これが過剰基調であるということを非常に強調しているというふうなお話でありますが、私といたしましても、米が過剰であるということは本来的に喜ばしい現象であると思います。もし米が不足するような事態になりましたらこれはもう大変なことになることは明らかでありますので、米が過剰であるということは喜ばしいことであろうと思うわけでございます。
 しかし、また、反面、米だけに農作物の生産が偏り過ぎて、そして数年前に起こったような七百万トンも余るというようなことになりますれば、これは農政上非常に困難な問題も起こってくるわけでございますから、したがって、過剰な基調ではあるわけですが、われわれとしてはこれが過度に過剰にならないように、稲作転換事業等も行って需給の均衡もとる努力をいたしておるわけでございますが、こういう措置をやめれば、現在の生産条件から見まして、恐らく千二百万トンが千三百万トン、千四百万トンになるということは当然予想されるわけでございます。したがって、私たちとしては、こういう過剰基調ということを十分踏まえながら、なおかつこれに対する稲作転換等々の措置も行っていかなければならぬし、同時に、また、先ほど備蓄の問題も起こりましたが、国際的に食糧の事情が非常に変化した中にあって今後の国民食糧を確保していく、主食を確保していくということは、農林大臣としての国民に対する責任であろうというふうに私は思っております。
 したがって、そういう立場に立ってことしも百万トンの在庫の積み増しも行いました。また、来年は百五十万トンの在庫の積み増しを確保したいと考えております。私はさらにこれを百五十万トン以上にふやしたいとすら考えておるわけでございます。そういう考え方をここには言っておるわけでございます。
 それから、飼料穀物等についてお話が出まして、四二%が三七%になるのじゃないか、外国にばかり依存しているのじゃないかというお話でありますが、飼料穀物の中心は何としてもトウモロコシ、コウリャンでございますが、これは現在一千万トン外国から輸入をしておる。国内においてはトウモロコシ、コウリャンをつくる、増産をするという条件は何らないわけであります。したがって、今後の畜産の動向から申しまして、畜産が安定的に向上していき――これは国民の生活が向上するに当たりまして畜産というものは伸びていくわけでありますが、この畜産のえさである飼料穀物、特に中小家畜の飼料である飼料穀物というものは国内においてできないのですから、そして十年後には千五百万トン要るわけですから、どうしても外国に依存せざるを得ないということは今日の農政上の大きな問題である。
 客観的に見て、飼料穀物については国内の自給がなかなか困難である。外国から安定的に輸入しなければならぬ。そういう面から見ると、飼料穀物については自給率はどうしても伸びないという情勢にあることはわれわれとしては理解をしていただけると思うわけであります。
#62
○庄司委員 次に、この説明によると、第二要素の生産費の説明が問題なんです。これは要約すると、生産性は向上しているし、それから物価、賃金の動向も安定化しつつあるが、評価がえをした生産費は昨年と比べかなりふえている、だから米価を若干上げるんだ、と、こういうふうに説明しているのですが、その若干が一三・一三です。この説明は、ほかの資料を読みますと生産性向上による労働時間の短縮――これは下げる要因になっている。それから物価、賃金の安定化などといううそをつかれて、これも下げる要因に強引に持っていっている。この生産性向上の問題はさきの委員も申されましたが、この生産性向上のメリットを農家に還元していないわけですね。ところが、あなたの方からちょうだいした資料を拝見いたしますと、大企業はどんどん還元して、社内留保はどんどんふえていますね。資本金百億円以上の会社が資金総額が三兆三千億円、そのうち社内留保している分が一兆二千七百億円、三八・五%社内留保をやっている。五十億円以上何ぼ、十億円以上何ぼと書いてあります。大企業はこうやって社内留保をやって、労働者をこき使って生産性向上運動をやって生産性向上をさせて、どんどん積み立てている。あるいは河本通産大臣のように、農協の資金まで三百億円も使ってそこに生産性向上をやっている人もあるわけです。この点で、農家の生産性向上のメリットが米価を下げる要因にされているというのは全く納得がいかないと思うのです。
 第二番目に物価、賃金が安定したと言っていますが、賃金は安定したのじゃなくて、安定させられて抑え込まれたのです。それから物価の方は、あなた方は来年三月に一けたと言っていますが、再び狂乱物価の動向があるわけですね。酒、たばこはわれわれの闘いで廃案になりましたが、また九月に上程する。国鉄、電電公社がどんどん値上げを図っている。あるいは公共料金をどんどん上げる。そうやって一三・一に合わせるために評価がえした生産費云々と言っているわけですね。
 そういう点で、生産性向上あるいは物価云々というこの前提は成り立たないのじゃないかと私は思うのです。そうやって一三・一%に無理無理抑え込む、これはまことにけしからぬと思うのです。
 田中内閣と違って、今度は三木内閣の農政は惰性じゃなくて攻めの農政だとあなたは言われましたが、一体何を攻めるのですか。この試算米価を見ますと、あなた方は農民だけを攻めているのじゃないですか。その点はどうですか。もう時間ありませんから、簡単に答えていただきたい。
#63
○安倍国務大臣 農政につきましては、世界の食糧事情が非常に変化をしており、国内においても経済構造がいままでの高度成長から安定成長という時代に移行しておる。そういう中にあっていまこそ農政というものが見直されなければならないし、食糧を確保するという立場において、国民の広い理解のもとに積極的な農政を進めていかなければならぬという考えについては、私はもちろんいまも変わらないわけでございますし、今日までそういう基本的な考え方で農政に取り組んできておるわけでございます。
 米価につきましてはいろいろと御批判もあるわけでございますけれども、私たちは、いまおっしゃっるように、何も一三・一%というものを初めから決めて、それに合わせて算定方式をいろいろと変更したということではなくて、食管法の趣旨に基づきまして現在の米価についての算定方式をいろいろと考えながら、総合的に判断をして計算をしたものが一三・一%ということになったわけでありまして、私としては、この一三・一%でもって米づくりにつきましては農家における生産意欲を減退することはない、再生産の確保はできるというふうに考えて諮問をいたしたわけでございます。
 なお、生産性向上のメリットにつきましては、これまでもお答えをいたしましたように、米審におきましても向上メリットというものは一時あったわけですが、これは米が非常に増産を要求されているときにあったわけで、米が一応過剰基調ということになった以上はこれを取りやめるべきだという米審の御意向もありましてこれをやめておるわけであります。
 また、労賃には、都市のいわゆる製造業労賃を――これはやはり生産性向上のメリットというものを製造業労賃の中へ盛り込んであるわけでありますから、これを農家の労賃においては反映をした形で取り入れておるわけですから、そういう意味ではメリット向上というものは労賃の中へ織り込まれておる。同時に、また、三年間平均でとるわけでありますから、そういう面で最近の三年間というものは非常に労働時間が減っておるわけですから、これは五十年と四十九年、四十八年ではうんと違うわけです。それを三年平均でとるわけですから、今回の米価の決定の上におきましても労働時間というものはある程度の幅を持ち、余裕を持って算定されておる、と、こういうふうに考えるわけであります。
#64
○庄司委員 終わります。
#65
○澁谷委員長 諫山博君。
#66
○諫山委員 先月の十七日に共産党国会議員団が総理大臣と農林大臣に本年度の米麦価について申し入れをしました。私も直接農林大臣にお会いして口頭でも申し入れましたが、その二、三についてはいま庄司委員が質問をしたとおりです。私は短時間ですから、一点だけ質問したいと思います。
    〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
 私は、農業白書を論議する本会議の質問の中で、福岡県の農業高校卒業者が昨年二千四百三十五名だったのに、農林漁業に就職した人は二百六名しかいなかった、千名のうちの一人も農業高校卒業者が農業についていない、これは重大問題ではないかという指摘をしました。さらに、最近の資料によりますと、この一年間わが国で七万五千ヘクタールの農地がつぶれた、耕地利用率の低下も続いている、農業専従者が前年に比べて六・三%減少したという数字も出ました。これに対して、総理大臣は、農村の若者が農業に対して魅力を持つような状態に持っていかなければならないと答弁されました。安倍農林大臣は、魅力のある農業をつくっていきたいと言っておられます。
 ところで、いま政府が諮問している試算米価がそういう状態になっているかというと、とうていそうではありません。そこで、諮問の一つの根拠とされている常用労働者数の規模五人以上百人未満の事業所の賃金という問題について質問します。
 これは昨年度の諮問とは内容が違っているようだし、また、昭和四十二年当時とも違う。私は、この数字を見ていますと、なぜこれが上限を決めなければならないのか、そして、五人以上千人未満というふうに決めることにどういう合理的な根拠があるのか、大変疑問に思っております。一定の科学的な根拠に基づいて出てきた数字ではなくて、むしろ、まず生産者米価をどのくらいに抑えたいという目標を決めて、それに合わせる手段としてこういう数字がもてあそばされているという気がしてしようがないのですが、こういう数字が出てくる合理的な根拠について、食糧庁からでも結構ですから説明してください。
#67
○杉山説明員 農家の米生産費におきます家族労賃をどのように評価するかということにつきましては、これは一つの政策判断として、どのような対象を均衡さすべきものとして選ぶかという問題でございます。理論的には種々問題のあるところでございますが、一時は、といいますより現在におきましても、理論的に一番有力なのは地方労賃といいますか、本来農家が生活している地域の同じような条件のもとにある勤労者の賃金単価をとるべきではないかというような考え方があるわけでございます。
 その場合、当然全規模平均をとるべきじゃないかというような議論があるわけでございますが、これをとりますと、正直に申し上げまして、数字の上でもって現在の大企業まで、都市部の勤労者まで含めた労賃単価の水準よりはかなり大幅に低下いたします。(諫山委員「千人未満のところだけを説明してください」と呼ぶ)
 そういう関連から、千人未満をとることがいま決められているものでございますから、そこで、そういう地方労賃をとることは――一時とったのでございますが、昨年の諮問におきましては、むしろ均衡さすべき対象としては中小企業規模をとるべきではないか、大都市の大規模企業の労賃までを平均して出すことはバランスを失するのではないかという考え方もありまして、中小企業規模をとるということにいたしたのでございます。そうなりますと、中小企業は定義上は三百人以下ということになりますが、実際の統計上の問題としてそういう数値はございません。そこで、労働省の区分に従いまして、それに一番近い五百人規模以下というものを採用したわけでございます。
 諮問の数値は、規模は、現在でもなお理論的にはそれなりの意味を持っているわけでございますが、御存じのように、昨年のああいう狂乱物価の折にそういう事態を反映させるためには、賃金なりあるいは地代なりにおいてそれなりの配慮をすべきだという御議論はございました。そういう御議論がありまして、政府諮問の後におきまして種々調整を加えました結果、賃金を均衡さすべき対象事業所の規模の考え方について修正を加え、千人未満の規模をとるということにいたしたわけでございます。
 そういう経緯からいたしますと、五百人未満の規模に戻すべきではないかという議論もあり得るわけでございますが、それは全体としての経済情勢とのバランスなり、それからほかの算定要素のとり方等との関連からいたしまして、事業所規模を変更することはこの際妥当でない、千人規模未満を維持すべきであるという考え方のもとに、今回も諮問において千人規模未満を採用いたしておるところでございます。
#68
○諫山委員 私たちの総理大臣に対する申し入れの中では、米作農民が都市勤労者並みの労働報酬が保障されるようにすべきだということを書いています。この根拠としては、いま農民がどんどん農業から離れて都会に流出するという状態が出てきているわけです。このことはさっき私が指摘した数字でも明らかです。私たちは農民が他産業に流出することなく米作を続けることを保障しなければならない。そういう観点から労働報酬ということを考える場合に都市勤労者並みの労働報酬という問題が出てくるわけで、いま食糧庁の答弁を聞いても私は納得ができません。この点はぜひもっと検討してもらいたい。農民組合あるいは農協すべてがこういう上限を置くことに反対している。そして上限を置かなければならない合理的な根拠というものはないと私は思います。
 そこで、次に、きのう米審会場のところで農林大臣に農民代表がいろいろな質問をしました。その中の一つに、公務員の労働者の賃金はこんなに上がっているじゃないか、しかし、三年間生産者米価が据え置きされたために公務員労働者との賃金格差がこんなに開いた、この点をどうしてくれるのかという指摘がありました。私は、公務員労働者の賃金が上がり過ぎるほど上がっているとは決して思っておりませんが、格差がますます開いたということは事実です。三年間据え置きというのがその一つの原因になっている、これをどうするのかという問題指摘に対して、聞いておりました私としては、どうも納得がいく説明が農林大臣からされなかったと思うのです。
 この点は農林大臣としては放置しておくつもりなのか、何らかの形で是正していくのか、農林大臣からお答えください。
#69
○安倍国務大臣 米価そのものは労賃ではないわけでありまして、そういう観点から公務員の給与とそのまま比較をするのは問題があると思うのですが、米価の決定に当たりましては、これは申すまでもなく食管法の趣旨に基づいて、そして生産費、物価、さらに経済事情を参酌して、農家の再生産が確保されるという、こういう趣旨に基づいてこれは決定されるべき筋合いのものでありまして、したがって、今回の米価決定に当たりましても、私たちはそういうもろもろの要素を総合的に判断して決めたものであって、適正な妥当な米価であり、再生産は確保されるものであるというふうに私は考えておるわけでございます。
 なお、農家の労賃のとり方につきましては、先ほども食糧庁から申し上げましたが、とり方にはいろいろな問題があると思うわけですが、千人規模以下の都市製造業労賃に評価がえをするということは、今後の農家の米作に取り組む御苦労に対して正当な評価をすべきであるというふうに考えてそういう決定をいたして、昨年どおりこの点については今回の諮問にも取り入れたわけであります。昨年の諮問には取り上げておりませんが、昨年の政府決定どおりの考え方に基づいて今回の算定に入れたわけであります。
#70
○諫山委員 最後に、いま新聞で盛んに消費者米価の問題が論議されておりますが、その中で、本年五月ごろ農林、大蔵、経済企画庁の各省庁が話し合いをして、ことしの消費者米価の上げ幅は生産者米価の一・三三倍にするという大体の話し合いがついたということが報道されています。私たちは、食糧管理法のたてまえから言って、生産者米価はもっと適正に引き上げるべきだ、しかし、いまの生活実態から見て消費者米価は引き上げるべきではないということを主張しているわけですが、そういう立場から見ると、こういうことが広く新聞で報道されていること自体に大変な問題があると思います。本当にこういう話し合いがされているのかどうか、農林大臣の説明をお聞きします。
#71
○安倍国務大臣 これは生産者米価を決めるに当たりましても消費者米価を決めるに当たりましてもそうでありますが、いわゆる財政の面から、あるいは物価対策の面から、政府部内においてそれぞれの意見が出されて、その意見を調整しながら農林大臣として最終決定をするわけでございます。しかし、今回におきましてはまず生産者米価を決める。これは生産費所得補償方式によって食管法の趣旨に基づいて決めて、そしてさらに二十三日から米審を再び開いて、そこで消費者米価を諮問して、そして決定をしていただくということになっておるわけでありまして、消費者米価を頭から決めて、それに連動させて生産者米価を決めるというやり方では決してないわけであります。
 ただ、しかし、農林大臣としての立場、農政上の立場から見て、今日の食管の赤字がこれ以上拡大するということは今後農政を積極的に推進する面においていろいろとそごを来す、足を引っ張る結果になるということを私は心配いたしておるわけでありますし、また、生産者米価と消費者米価の間に大きな逆ざやがある、この逆ざやをこれ以上ふやすということは何とか避けたい、これからの積極農政を推進する場合においては、農政上の見地からもこれは困る、と、こういうふうに基本的には考えておるわけでありますが、しかし、生産者米価の決め方はあくまでも法律に基づいて生産費所得補償方式によって決定するものであることを御了解いただきたいと思います。
#72
○諫山委員 いまの説明に不満なんですが、私がずばり聞きたいのは、消費者米価は生産者米価の一・三三倍にするという話し合いができているという点はどうなんですか。
#73
○安倍国務大臣 そういう話はできておりません。ただ、算術的に見れば、逆ざやを拡大しないためには、生産者米価を一%上げれば消費者米価は一・三三%上げなければならぬということは算術上の計算として出ておることは事実でありますが、その問題について話し合いをしたことはないわけであります。
#74
○諫山委員 私はこれでやめようと思ったのですが、ちょっとやめられなくなったのですがね。
 そうすると、農林大臣、大蔵大臣あるいは経済企画庁長官の話し合いの中で一・三三倍という数字は話題として出てきたんですか。
#75
○安倍国務大臣 これは、話題としては一・三三倍などというものは出てきておりません。ただ、大蔵大臣は財政上の見地、あるいは経済企画庁長官は物価対策上の見地、私は農林大臣として農政上の見地から、これ以上は逆ざやをふやすべきでないというふうな考え方については基本的には一致いたしておるわけでありますが、それで一・三三倍をどうするこうするというような話は出ておりません。
#76
○諫山委員 時間が来ましたからこれ以上の議論は別な機会にしたいと思いますが、新聞で消費者米価の問題をずっと書いているわけですけれども、どうも間接的には新聞のこの報道を側面から裏づけるような答弁のようで、きわめて重大だということだけを申し上げて質問を終わります。
#77
○藤本委員長代理 瀬野栄次郎君。
#78
○瀬野委員 昭和五十年産米価について農林大臣に質問をいたします。
 今年度米価諮問を見ますと一三・一%のアップ、一万五千四百三円ということで諮問されております。内容についてはいまから逐次質問するとして、昨日から農林省三番町分庁舎でいよいよ米価諮問の審議が始まったわけですが、昨日の農林大臣に対する農民団体の要請の中で、大臣が陳情書を受けました。その陳情を受けた際に、農民の怒りが爆発して大臣に米を投げつけ、また、怒号をもって大臣にいろいろと要請をしましたが、農民がまじめに今後の日本国民のことを思い、国民の食糧を生産するためにも、また、国の自給率を上げるためにも一生懸命がんばろうとして純真な気持ちで陳情しているにもかかわらず農林大臣が少し早目に退場されたということであのような混乱状態になったのではないかというふうに私は思っております。
 その後私は農民の各代表といろいろと話をしました。そして皆さんの気持ちはと聞いたら、あの米はわれわれが苦労して汗水流してつくった米である、これを消費者の皆さんに本当に上げたい、そして、米というものは一升が二百九十四円では安いんだ、これだけあれば一日に二合食べても何日あるのだというようなことでいろいろ説明をされて、皆さんに上げたいと思って持ってきたものを、われわれもやるせなくついあのような姿でああいう態度に出ざるを得なかったのだというようなことでありました。
 いろいろ聞いておりますけれども、きのうのあの農民の本当に心からの訴えに対して大臣はまずどういうふうに受けとめておられるか、あんなことをすればこの次の米審の際の農林大臣と農民団体との折衝については危険が加わるからおれはもうやめたというふうに感情的に頭から拒否されるつもりなのか、その点の真意を私は農民の側に立ってまず大臣にお聞きしたいと思います。
#79
○安倍国務大臣 私も農林大臣をしておりますし、農村の生まれでもございますし、農民の皆様の御苦労というものに対しましては平素から感謝もいたしておりますし、よくわかるわけでございます。
 昨日の私との折衝といいますか、要請に対していろいろなやりとりがあったわけでありまして、その結果ああいうような事態になったということは大変遺憾であると私は思うわけですが、やはり、ああいうたくさんの人がお見えになるわけでございますし、政府の諮問に対しては反対というわけでございますから、激高されることもわかるわけでございます。しかし、お互いに農政を思う気持ちは同じでございますから、やはり静かな雰囲気の中で冷静に話し合いたいものだと私は思っております。
 私があのとき出ましたのは、実は、米審の最中でございますので、十五分間ということを指導者との間に決めて私は出席をいたしました。大体三十分近くになったと思いますが、最後の段階におきまして要請書を受け取った。私は要請書はほとんど受け取ったわけであります。そして、要請書を受け取って退場するということで、あそこの最後の段階がどういうふうになっているのか私も理解できないわけでありますが、私自身は別にそういうことで感情的になっているわけでも何でもないわけであります。
 米価というのは非常に重要な政治の課題でありますし、国民的な課題であり、農産物の価格を決めるという農民にとって最も大事な問題でございますから、これはやはり広く多くの意見を冷静に聞いて、そして最終的に決めなきゃならぬという考え方はいまも変わらないわけであります。
#80
○瀬野委員 お互いに農政を思う立場からということで農林大臣からいろいろ御答弁がございましたので、私は一応了とします。農民も大臣に危害を加えたり、また、大臣に対してあれ以上の反動的立場をとろうというのでは決してございません。ああいうとっさのことでございましたが、われわれ国会議員も十分注意をして周囲を守りながら、また、今後も注意していくわけですが、農民のあのような気持ちが本当にあるということは十分認識されたと思います。
 将来ああいったことが爆発して、いわゆる昔の一揆みたいなことがありますと大変なことでございますので、そういったことも含めて十分心にとどめて、今後の農政に当たっては十分対処していただきたいということを私はこの機会に申し上げておく次第です。
 そこで、次にお尋ねしますけれども、今回の米価については、新聞報道その他では、十一日ごろまでに米審を終わって十二日ごろまでに決めるということのようです。というのは、これが長引くと、結局政府・与党である自民党のべトコン議員という、いわゆる農林関係の議員から米価についていろいろと要求があればつい長引いて決定がおくれてしまうし、沖繩海洋博もいよいよ十九日から始まるということもあるので十二日ごろには決めたいというようなことを言っておられるようだが、現在の状況では米審もかなり紛糾していますし、農民のために真剣に審議をしてもらいたいということからいけば少し延びるんじゃないかというような気もしておりますけれども、農林大臣は米価はいつごろまでに決定してこれを発表すると思っておられるか、その点のお考えをお聞きしたい。
#81
○安倍国務大臣 私は、米審に対しては、農林大臣としての諮問案を決定して提出したわけでございます。したがって、米審において十分論議が尽くされるわけであります。大体米審は二日やって、一日は予備日ということになっておりますが、今日の厳しい情勢の中にあっては三日は当然かかるのじゃないだろうかというふうに判断もいたしておりますし、また、十分御論議もいただかなきやならぬのは当然であると思います。
 米審の答申を得て、そして関係各方面との最終的な折衝に入らなきゃならぬわけでございますが、十分慎重に論議は尽くしたいと思いますし、やはり重大な問題で、国民も非常に関心を持っておりますし、農民の皆さんも非常に注目しておられます。したがって、慎重な審議はしながらも、なるべく早く決定をしたいという考え方はいまも変わらないわけであります。
#82
○瀬野委員 なるべく早くと言いますが、新聞なんかには十二日ごろというようなことでいろいろ報道されていますけれども、農林大臣の腹構えとしては大体十二日ごろまでにというふうな腹づもりであるというように理解していいですか。
#83
○安倍国務大臣 これは私の一存で私が十二日に決めるからといって決められるものでもないわけで、非常に重要な問題でございますので慎重に審議を尽くさなければなりませんから、十二日になるのか十四日になるのか、その辺のところは私は別に期限を区切ってどうしたいというわけではないわけであります。なるべく早く決めていただきたいというふうに思います。
#84
○瀬野委員 いろいろ尋ねたいことがあるので次々尋ねてまいりますが、まず、米審のあり方について伺います。
 今回、去る七月七日の日本武道館における全国農協代表者大会でも私は党代表でごあいさつを申し上げ、その中でもいろいろ申し上げました。昨日もまた共立講堂での大会がございまして、そこでも申し上げてまいりましたが、今回の米価は政府と自民党が先制攻撃をかけて、もう十日も前から、またその前からも言われておりましたように、大体春闘相場の一五%ライン以内で、しかも来年は物価抑制で九・九という一けた台に物価をおさめるというようなこと等が前提条件みたいなことを言われて、そして今回はからずも春闘相場と同じ一三・一%アップ、一万五千四百三円ということになったわけです。しかも、数日前からテレビでも盛んに農林省と大蔵省との折衝について報道していましたが、農林省、大蔵省は大体一一%か一二・五%ぐらいで諮問をして一四%台の攻防戦だろう、一四%以上になったら困るという農林省の意向が強いので一四%以下と思うが、恐らくいろいろな政治加算等があって一四%以上になるのじゃなかろうか、いずれにしても一四%がその攻防戦であるというようなことがNHK初め民放でも、あらゆる報道機関でなされている。
 大臣も忙しいかもしれぬけれども、新聞やテレビを見られると思う。また、見られないようなことでは困るわけですし、見ておられると思うが、そういったことを見るにつけてもわれわれは全く残念な思いがするわけです。全国からそれこそ何億というような金をかけて一万二千名が結集し、しかもあらゆる会合があちこちで持たれ、農民もはち巻き姿で必死になってやってきた。そして私たちもここ数日三番町へも座り込みをかけて闘いをしている。こういうことでがんばっているにもかかわらず、先制攻撃をかけて骨抜きをしたようなことが前もってどんどん言われる。そういうことではもう米審は要らぬじゃないか、まさに米審を無視したところの政府の考えではないか、そういったことを意図的に事前にやっているのではないか、と、こういうように私には思えてならない。また、事実そうであります。
 そういうようなことから、数年前から米審不要論があります。米審はあってなきがごとしだというようなことも言われるし、私も昨年、おととしから、こうなったら米価は国会で決めるべきだと言っているわけです。失礼な言い方だけれども、米審が改正されなければ、民主的に米審が運営されなければ、いまのような状態では米審はあってなきがごとしだ、何とかこれは変えなければならぬ、それが変わることができなければもう国会で決める以外にない、と、かように私は訴えてまいりましたけれども、こういうことではならぬと私は思うのですね。
 農民は本当に怒り心頭に達したという気がする。だからきのうのああいう行動があったのだと思うのですが、これらについてどういうふうに反省しておられるか。そして、そういうふうに事前にいろいろなことが報道されてまいりましたが、これに対して、攻める農政の、しかも日本農民の一番中心であるおやじになる立場にあります農林大臣は、日本の国民の食糧、農民の基幹作物としての米、農業を守る立場からも、農民のためあるいは日本国民のためにどういうふうに見解を述べようとされるのか、国民の前に見解を表明していただきたいと思います。
#85
○安倍国務大臣 今回の諮問を決定するに当たりまして政府・与党間でいろいろと協議をしたことも事実であります。それぞれの立場からいろいろの要請等があったことも事実でございます。しかし、その中にあって、わが国の農業を守り、米の生産農家の生産の意欲を失わせないためにはどういうふうな米価を決定したらいいかということで、私はあくまでも農政の立場で、食管法の趣旨に基づいて忠実にこの諮問米価の決定に取り組んでまいったわけでございます。その間にいろいろの意見とかいろいろの声が各方面から出たことは事実であるわけでございますが、たとえば春闘相場にするだとか、あるいは連動にするだとか、そういうふうなことは私自身から一度も申し上げたことはないわけで、あくまでも食管法の趣旨に基づいて生産者米価を妥当に決め、そしてその後消費者米価も食管法に基づいて家計の安定を図るという意味から決めるべきである、と、こういうふうな考え方で私は終始一貫してまいってきておるわけであります。
#86
○瀬野委員 そこで、私は、この機会にまたあえて申し上げて大臣の御意見を承りたいのですが、農政に一貫性がないということが問題なんですね。これはもともとネコの目農政だとか農民不在の農政だとか言われて、同じ農政でもイエス、ノーのノーの方の「ノー政」だ、何にもないのだというようなことを言われて、政府もいろいろと耳の痛い批判を受けておるようなことは事実であります。われわれもこんなことを国民から言われないようになってまいりたいし、同じ守備範囲にある農業をつかさどっていく立場として本当に申しわけないと思っておるわけです。
 そこで、何も農林省ばかり責めておるわけにもいきませんが、長期見通しがないといまさら言ってもどうしようもないことですけれども、しかし、このように毎年同じようなパターンで米価審議会が開かれるということを思いましたときに、これは本当に考えなければならぬときが来ていると私は思うわけです。けさも私は八時から米審会場に行きましていろいろと農民の皆さんに接しましたが、心ある人は党派を超越して飛んできていろいろ言います。私はもう十五回ここに来たけれども同じことばかり繰り返しておる、こんなことではいかぬ、来なければいかぬし、また、来たからといって同じことだとわかっておりながらも同じことを繰り返しておる、結局これはユダヤのキッシンジャーに大資本、日本の農業と、あらゆるものが振り回され、ひっかき回された結果だということで、いろいろな厳しい批判を受けて、私たちもなるほど農民もここまで真剣にいろいろなことを考え、いろいろ訴えておられるのかと思って感銘を深くしたわけでありますが、何といっても米が農政の中心であります。米価というものが何といっても農政の推進上一番重大な問題であるということが言えるわけです。米価がはっきりしていないから結局振り回されて今日のようなことになっているのだと私は思う。
 長期見通しに立ったルールがない。それも基本的な長期計画がないからそういうことになるわけでございまして、算定方式やいろいろな要素が変わってくるということになって、われわれも毎年同じことをかわるがわる大臣に繰り返し訴えなければならぬというようなことでは本当に残念でなりません。同じパターンを毎年繰り返しているこのやり方について、毎年物価指数等によって当然これがスライドしていくというような方式を本気で考えて、長期見通しに立った考えを何とか確立するということで大臣もしっかり検討してもらいたいし、また、考えてもらいたい。
 こんなむだなことをやっていたのではどうにもならぬと私は思うわけで、私に言わせればいまのやり方はいわば政治米価諮問になっておるのです。政治諮問なのです。こういうことは大臣としても良心が許さないと思うが、その点はどうでしょうか、大臣の見解を承りたい。
#87
○安倍国務大臣 農政に対して長期的な計画を立てろ、長期的な視点に立って農政を運営しろという御意見は全く同感でございまして、私も、この米が終われば、閣議で決定していただきました「農産物の需要と生産の長期見通し」と、さらにまた農業の、食糧政策の今後のあり方というものに基づきまして、今後の十年間を見通した総合的な食糧政策を立案しなければならないし、そして、具体的に明年度予算からこれを着実に推し進めていくということにして、農政に対する国民、農民の御信頼を得ていかなければいけないというふうな考え方は持っておるわけでございます。
 また、同時に、米価の決定のあり方につきましていろいろと批判があることも十分承知をいたしておるわけでございます。いたずらに最後の段階になって政治加算をするのは問題がある、あるいはまた米価を決めるたびに要素のとり方等もいろいろと変えてきているのじゃないか、こういう点から米価に対するところの不信感が出てくる、と、こういう御意見等も各方面から出ておるし、私もそれはそれなりに十分受けとめなければならぬと思うわけであります。米価につきましては、指数化方式であるとか、あるいはまたパリティ方式であるとか、いろいろな形でいままでやってきたわけですが、最終的には生産費所得補償方式というものが米価を決定する場合において一番正しいといいますか、適しておるということに定着をしておることはもう御案内のとおりであります。この方式を変えるということは全然考えていないわけであります。
 ただ、その要素のとり方をいろいろと変えるのではないかということで不信感が出ておるということも事実であろうと思うし、米価決定に当たる要素につきましては軽々しく変えるべきではないと私も基本的には考えておるわけでありますし、今後もそうあらなければならないと思っております。需給の事情とか、物価とか、あるいはその他賃金とか経済事情とか、そういうものが安定して移っていく場合においてはそういう要素等も変えるべきではないと思うのですが、しかし、非常に経済の変動の激しい去年ことしというふうな事態におきましては、食管法の定めるところによりましてそういう経済の変動を要素の中に取り入れていかなければならぬわけで、そういうところにわれわれが苦労いたしておる点があるわけでございます。
 本来的にはやはり生産費所得補償方式で、そして要素のとり方もきちっと定着させていくということが米価決定に対する信頼感を増すことになるだろうとは私も思っておるわけでありますが、やってきてなかなかむずかしい問題があることも事実でありますし、これ以上どうしたらいいかと言われますと、ここではっきりしたお答えを申し上げられない状態でありますが、生産費所得補償方式だけは変えないで、あくまでもこれを進めていくのが当然だというふうに思います。
#88
○瀬野委員 そこで、米価の決定のことですけれども、いま大臣からいろいろと答弁がありましたが、今後いろいろ問題があろうと思うけれども、ルールを決めてきちっといくような方向で精力的に検討を早急に進めてもらいたいということを重ねて要望しておきますし、また、従来もそうですけれども、今回の役所が提出するこの諮問に対しては、これはいわば理論米価であると私たちは理解しているわけです。当然、答申によって最終的にはまた大臣が決めることになりますけれども、その間政治加算というものがあるのは当然であると思うわけです。また、そのような意図をいろいろと聞き及んでおりますが、いずれにしても政治加算というものがなかったならばこれは政治にはならぬ。われわれ政治家から言えば当然政治加算をするということが政治の要諦であります。
 そこで、大臣も、答申が出たならば答申のとおりに絶対自分は決定するんだというふうには考えておられないと私は思うのだが、その点は大臣はどういうふうに考えておられるか、その点の見解もあわせて伺っておきたい。
#89
○安倍国務大臣 米価審議会の答申は、これは尊重しなければならぬわけであります。その米価審議会の答申を尊重しながら、何としても今日は政党内閣の時代でございますので、政党の意見、特に与党の意見等とも十分調整をして、そして最終的に決定をする。その間に米審の審議あるいは国会の審議等も十分参考にしなければならぬことは当然のことであります。
#90
○瀬野委員 政治加算はあり得るというように理解してよろしいのですか。
#91
○安倍国務大臣 政治加算と言いますと、いろいろと解釈で問題もあるわけですが、私たちは現在の諮問が妥当であるというふうに考えて出しておるわけでございますが、しかし、米審の御意見、国会の御意見あるいは与党である自民党の考え方、そういうものもあわせて最終的に決めるわけでございますから、その間に問題点が明らかになり、そうしてこれが適正な形で決まるということは、これはまた政党政治のたてまえから当然のことでもあろうと思います。
#92
○瀬野委員 農林大臣、昨日九日早朝から米審会場に七千名の全国農民代表が結集して要請活動または米審委員に対する要請をいたしたわけでございますけれども、この農民代表が低額試算粉砕ということで声を大にして叫んでおることは御承知のとおりです。さらに、一方、農協米対の方でも、低額試算に対する反発と同時に直ちに協議の申し入れを行ったわけでございまして、これに対する大臣の答弁は新聞紙上等ですでに公表されておるとおりであります。ところが、同日午前十時過ぎに全国に出庫不協力の実施を指令しております。本日も雨の中に全国から農民代表がまた新たな精鋭を繰り出して、低米価諮問に抗議して、要求米価実現をかち取ろうということで参集していま闘っております。
 このような農民の怒りは出庫不協力の指令となり、さらにまた全農総連においては出庫阻止の実力行使に踏み切ったのでありますが、その背景には、今年の試算米価が農民の切実な要求を踏みにじったいかに欺瞞に満ちた低米価であるかということを物語っておるものがあると思うわけです。この出庫不協力または出庫阻止の実力行使によって国民にまた大変な不安と問題が投げかけられたわけですけれども、こういった事態に追い込んではならぬと私は思うのですが、これに対しては大臣はどのように受けとめておられるか、また、これに対する責任を述べていただきたい、かように私は思います。
#93
○安倍国務大臣 農協の代表者の皆さんからいまお話しのような出庫に対する不協力をするぞというふうなことを言われておるわけでございますが、現実の状態でどういうふうになっているかは把握をいたしておらぬわけであります。
 私は、国民食糧を確保するという立場に立って、農協が出庫不協力というふうなことはやらないでいただきたいということを切に祈っておるわけでございます。また、こういう問題がさらに拡大をして違法問題等が起こることを非常に憂慮もいたしておるわけでございます。現在の段階におきましては、農協に要請をしてそういう事態が起こらないようにお願いをいたしておる段階でございます。
#94
○瀬野委員 こういう出庫不協力または実力行使等が行われたのでは国民に大変な不安がつのってくるわけでございますので、これらの問題については積極的に農林大臣は交渉をされて、その原因は何といっても米価にあるわけでございますから、その辺の検討をされて、こういう不慮の事態が起きないように努力していただきたい、現に実力行使に一部入っておりますけれども、そういったことで国民において大変な不安が起きないように対策を早急にとってもらいたい、と、かように私は重ねて申し上げておきます。
 そこで、今回の算定方式について触れておきますけれども、従来どおりの生産費及び所得補償方式とは言いながらも、との方式のとり方が特に三点改悪されているということを私は指摘しておるわけです。その改悪の第一点は生産費調査の対象農家のとり方で、昨年は五俵以上を販売農家とし、二〇%以上の災害農家は除いたが、ことしは五俵以上販売農家はそのままでございますけれども、災害農家は一〇%以上災害も生産費対象農家から除外しているというのが一つの問題点です。このために平均生産費はその分が低く算定されることになっておるわけです。さっき政府の方からもいろいろ説明がございましたが、これで昨年に比べて一・三%マイナスになっている。これはまことにけしからぬものです。第二点は、自作地の地代を以前の方法に戻して統制小作料をとったことで、これがまた問題であります。昨年は実納小作料に修正したのでありますが、これまた一三・一%に合わせるために一・七%のマイナスになっている。これもまた農民の憤激を買う要因です。もう一点は、借入金の金利を年に七・五%と、昨年同率を用いている。これによってまた〇・五%マイナスになっている。
 こういったことを見ましたときに、農民は本当に心から意欲が起きるであろうか。再生産に伴う米価とは言えないということで憤るのは当然です。きのうのような混乱が起こるのはあたりまえです。私は先日から何回も大臣に申し入れをし、さらにこの委員会でも今回の米価については三回ないし四回質問して政府の考えをただしてまいりましたが、四十二年方式でいってもことしの米価は二万八十八円ということになります。先日も政府の生産費がはっきりしていない段階で私は二万百円になると言っておきましたが、実際に計算してみますと二万八十八円になります。
 この米価については、本当に農民のことを思い日本の食糧を思う決意があるならば、真剣に今回の答申を検討して農民の期待にこたえてもらいたい。そして再生産が償えるようにして、十分農家の期待にこたえるべく大臣は攻めの農政の姿を示してもらいたいと思うのですが、大臣の御見解を承りたい。
#95
○安倍国務大臣 ことしの算定の要素のとり方につきましては、いま御指摘がありましたように三点にわたりまして修正を加えておるわけでありますが、この点は、今日の物価の状況、生産費のあり方、あるいはまた経済が安定をしつつあるというふうな経済事情を考え、さらに農家の再生産確保といった食管法の趣旨に従って今日の米価というものを総合的に考えて要素の修正をいたしたわけでございます。
 修正の内容について、どういう理由で要素の変更をしたかということにつきましては食糧庁から答弁をいたさせます。
#96
○杉山説明員 いま御指摘のように三点あるわけでございますが、第一点の災害農家のとり方を変えたということは、これは現実に最近の災害の状況というものが以前に比べて大幅に低下してまいっております。そういう状況からいたしますと、災害農家を従来のように二〇%と定義しておるのでは、極端に異常なものは除かれても、通常の程度に異常な、本来米価を正常な農家を対象にして生産費を算定すべき場合に、妥当でないような生産費階層の農家が含まれてくるということに考えられましたので、一〇%以上の減収率のある農家を災害農家として算定の対象から除外いたしたわけでございます。
 それから金利でございますが、これは先ほども答弁を申し上げましたが、別段、一年の定期預金の金利にスライドして必ずこれを自己資本金利として見なければいけないというルールが確立しているわけではございません。むしろ事柄の性格からいたしますというと、自己資本というのを仮に米の生産に充てないで農家が自分でもってこれを活用するとした場合にどういう形で活用が考えられるであろうかというビヘービア、そういう行動を考えてあるべき水準を算定すべきだというふうに思います。
 いろいろな形が考えられますが、物に投資するとか、あるいは定期預金にこれを預けるとか、いろいろな形がありましょう。そういう通常の活用の中ではむしろ一番高い一年定期物の金利をいままでとってまいっておるわけでございます。しかし、実際には、ある資金が全部そういう形で活用されるとは限りません。むしろ半年定期であるとか、あるいはたんす預金であるとか、そういったようなものもあろうかと思います。そういう実態を考えますと、昨年七分三厘五毛というかなり高い水準に算定をいたしたわけでございます。たまたまその後定期預金金利が農協一年物七分八厘五毛に上がっておりますが、いま申し上げましたような実態を考えますと、これを昨年の決定方式と同じようにといいますか、むしろ従来やってまいりましたと同じように定期預金金利の異動と必ずしも合わせて算定しなければならないということはないように思うわけでございます。
 一般的に借入金金利についても最近は安定して、一時高騰したものがほぼ横ばいで、特にコールなどに至っては若干低下している傾向も見られる状況にあります。
 それから、地代でございますが、地代は先ほど来大臣がるる御答弁申し上げておりますように、本来はやはり統制小作料によるのが米価算定上は最も妥当であろうというように考えております。ただ、昨年はまさに異常な物価情勢で、賃金、物価についてもまさに狂乱物価とも言えるような一般経済の変動がございました。そういったものを米価算定の上に反映させるということになりますと、これはやはり利潤部分を構成すると考えられます労賃なり、地代なり、あるいは金利といった面で反映させるという手段しか考えられないわけでございます。いまの生産費所得補償方式による米価算定は、そう器用に何でもできるというわけではなくて、激しい経済変動は必ずしも十分に算定要素の中では的確に反映し切れないところがございます。そういうものを反映するとすれば、そういういま申し上げましたような要素をそれなりに所要の修正を加える、調整を加えるということが必要になってまいろうかと思います。その意味で、昨年はまさに特例的な措置として地代の修正をいたしたわけでございます。
 本年は経済、物価の状況も昨年とは変わってまいりまして、非常に安定した状況になっておりますので、もとに戻して統制小作料をとるということにいたしたわけでございます。
#97
○瀬野委員 それでは時間もありませんから、簡単に最後に一点大臣にお伺いして質問を終わることにいたしますが、今回の食管の赤字、いわゆる財政負担の問題ですけれども、先月十七日に大蔵省が「生産者米価及び消費者米価について」というPRの文書を出しております。それに、いろいろありますけれども、「食糧庁の人件費、金利、保管料や輸送費等の政府管理経費は政府で負担するとしても、売買逆ざやの存在による財政負担等は食管運営上その他の見地から見て問題があるので、少くとも売買逆ざやは解消すべき性格のものと考える。」として、さらに、「米価の逆ざや関係に基づく財政負担は、所得再配分機能を果たしているとの意見があるが、財政の所得再配分機能の面から考えても、すべての国民に一律に米代の補助を行うことは適切な政策とはいえない。」「社会保障的機能を持つものであるから、当然政府が負担すべきである」云々というようになっている。はしょって申しましたが、こういうようなことでいろいろと大蔵省は食管赤字についての見解を述べているようでございます。
 PRの内容が簡単なので、詳しくは理解に苦しむところがありますけれども、米価というのは国民ひとしく全部の方が食べておる米の値段であるわけです。そういったことから、社会保障的機能を持つということと、それと米価の逆ざやの関係に基づく財政負担というものが所得再配分機能を果たしているという、こういう考え方で将来いろいろ検討すべきじゃないかとわれわれは思っているわけですが、御承知のように、食管赤字が八千四百億ということで、これが今回の米価を抑制する一つの大きな要因になってわれわれに先制的に政府からのしかかってきておる感じがしてならぬのです。来る七月二十三、四日からまた消費者米審が始まるわけですが、食管赤字に対しては、何も消費者に押しつけることなく、いろいろな方法、で農林大臣自身も検討していかなければならぬ。そして四一%という食管赤字に対する今後の農政転換についても、もっと別な方向で考えてやるべきじゃないかということについて私はあえて大臣に御検討をお願いしたいわけですが、それに対する御見解をお聞きしたい。
 さらに、昭和五十年産米価の決定に関する決議を本日は行う予定ですが、再生産が十分確保できるように、試算米価にこだわらずに適切な米価の決定を行っていただきたいということで、私たちは後ほど超党派で決議をしたいということでいま案文を検討しておりますが、そういった意味からも、今回の米価については、いまの食管赤字のことも含め、消費者米価にだけ押しつけるのではなくて、管理費の問題等もあるわけですから、日銀の金融の問題等も含めてぜひ十分に検討されて対処して、今後の農政の健全な推進を図ってもらいたいと思いますので、その点について最後に簡潔に大臣の見解を承って質問を一応終わりたいと思います。
#98
○安倍国務大臣 食管制度の根本的な精神は、やはり国民食糧の確保ということであるわけですから、社会保障的な意味が本来的にあるとは思いませんが、結論的にそういう社会保障的な役割りを果たしておるということも言えないわけではないと思います。
 私はやはり農政の立場からこの食管問題を論じておるわけで、農政の立場から見まして、現在の農林省予算の中で食管会計が占める割合というのは四割あるわけであります。この赤字が拡大していくということは今後の農政を推進する場合においても著しい支障を来たす。したがって、食管の赤字を拡大しないように努めることが農政を推進する私としての責任である。同時にまた、食管の赤字を拡大しないということは逆ざやを拡大しないということにも通ずるわけでございます。
 しかし、生産者米価については食管法の趣旨に基づいて適正にこれを決めていかなければならぬわけであります。また、消費者米価についてもそうでありますが、農産物全体につきましてこれからの国民の食糧政策を進めていこう、国民の理解のもとに食糧問題を解決していこうということになるならば、国内において生産する農産物に対してはやはり消費者も応分に負担をするという基本的なコンセンサスが消費者の皆さん方の間にも必要であろうというふうに私は思うわけでございます。
 そういう点から、今後とも国民の間に広く理解を求めていきたいと考えております。
#99
○瀬野委員 時間も参りましたので、以上で質問を終わります。
#100
○藤本委員長代理 稲富稜人君。
#101
○稲富委員 私は持ち時間が余りありませんので、要点だけを質問をいたしたいと思います。特に試算米価に対するいろいろな計算上の問題等についてはすでにもう同僚各位から十分質疑応答があったと思いますので、大局的な見地から若干の質問をいたしたいと思うのであります。
 まず、最初に農林大臣にお尋ねいたしたいと思いますけれども、私たちは、今日まで、米価決定に対する米価審議会の存在というものは非常に重視しなくちゃいけないという立場をとっております。そういう関係で、本農林水産委員会につきましても、米審に諮問がされた後に委員会を開かなくちゃいけない、米審に諮問をする前に諮問案等は本委員会等には発表されないだろうというようなおもんばかりを持ちつつ、米審が開かれて諮問されるまではわれわれは委員会を開くことも控えて、本日開いた。ところが、どうしたことかこれがマスコミには前日に発表されている。米審に諮問される前に、その諮問の内容がマスコミに詳しく発表されているということは、どういうことによってそういうことになったのか、これは農林大臣としての責任の非常に重大なるものがあると思いますので、どうしてそういうことが漏れたのであるか、どういうわけでマスコミに先に発表されたのであるか、その点の取り扱い方についてまず私は承りたいと思います。
#102
○安倍国務大臣 米審に正式に諮問をする前に諮問値等が出た。新聞等におきましては米審に諮問をする日の朝刊等においてこれが報ぜられたわけでありますが、実は、これについては、今回政府間におきまして私が諮問値を決定するに当たりましていろいろと議論が交わされまして、諮問を決定するに当たりましてはなかなか難航をいたしたわけでございます。同時に、また、こういう重大な諮問につきましては、与党であるところの自民党ともあらかじめ協議もしなければならない。これは答申を得た後においていろいろと党との間に協議をする場合においても問題があるわけでございますので、そういう点についてもあらかじめある程度の理解を得てもらわなければいかぬということで、非常に難航に難航を重ねて、諮問が決定じたのは諮問案を米審にかける八日の夜でございます。その決定してからの段階におきましては、各方面におきましてもそれぞれ内容が明らかになってまいりました。そうなってきますと大体マスコミ等にもこれは漏れてくるというわけでございますので、私としても八日の晩遅くマスコミ等には諮問に対する一応の考え方を説明いたしたわけでございますし、同時に、米審の委員の皆さん方にも決定をしたその晩のうちに大体の骨子は御説明を申し上げておいたわけでございます。
 これはいままでは米審が開かれる日までは明らかにされない。ただ、新聞等においては大体内容が出ておったようでありますが、明らかにされておらなかったわけですが、今回はそうして広く意見を求めるというふうなことから明らかになったものですから、これはマスコミ等の都合等も考えて夜遅く骨子は説明をした、こういうことでございます。
#103
○稲富委員 これはあなたがことしそうやられたという率直な話でありますが、非常に重大な問題だと私は思うのです。
 米審というものは米価決定に対する非常に重要な機関として法は定めているのであるから、米審に諮問をする前にマスコミに発表するというがごときは、これで妥当であるかどうか私は非常に疑惑を持つのです。あなたはそんなことが便宜がいいと思ってやられるとするならば、私たちは意見が違います。米審というものが法で規定されている以上は、まず当然に米審に発表して、米審に諮問をした後に発表さるべきものだと私は思う。それならば今後われわれは米審を開かれる前の日でも、どういうような諮問をしようとしておるか聞かねばならぬ。農林水産委員会でさえも、米審に諮問する前にその案を聞くことは政府としてもなかなか発表しにくいであろうという立場から、われわれは政府の意思を尊重しながら開かないでおるのに、それを米審に諮問する前に便宜を図って発表したということは重大な問題だと私は思うのですが、大臣はそれを当然なことだとお考えになりますか。
#104
○安倍国務大臣 これは本来はいまおっしゃるように、米審で発表する前に骨子を伝えたということは妥当でないと思うわけでありますが、いままでいろいろと報道がまちまちで、それがまた混乱を起こしたというふうな面があるわけでありますが、今回は広く意見を求めるということで相当程度これが知られておった。同時に、また、私が発表したといっても、算定要素の取り方、つまり、どういう要素を修正したかというような問題等は一切発表しておらないわけでありまして、最終的にこの辺に落ちつくのではないだろうかというふうなことを言っているわけで、内容的には何ら述べておらないということでございます。
#105
○稲富委員 これはくどくど言っておると時間をとられますけれども、内容のいかんを問わず、米審の委員会でそういうことが問題にならなかったのか、私は不思議でなりませんが、前もって意見を聞くために前の晩意見を聞くのでは、発表したばかりで意見を聞くことにならないと思うのですよ。この点は相当考慮すべき問題ではないかと私は思うのでございます。このことをいたずらに責めておりましても時間がなくなりますのでやめますが、米審に諮問する前にこれが一般に報道されるということは米審を非常に軽視しているものだという点から、これは非常に遺憾ではないかということをまずもって私の考え方として大臣にはっきり申し上げておきたいと思うのでございます。
 次に、先刻からの質疑応答の中でも承っておるのでございますが、大臣は、食管法の趣旨を尊重する、また趣旨を尊重して今回は諮問をしたと常におっしゃっておりますが、やはりそのつもりでございますか。
#106
○安倍国務大臣 食管法の趣旨に基づいて今回の諮問をいたしたということは、そのとおりでございます。
#107
○稲富委員 大臣に申し上げたいと思いますことは、食管法の第三条の二項に、「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と書いてありますが、それでは農林大臣は「物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」ということに重点を置いてこの食管法を考えられておるのか、「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」ということに重点を置いておられるのか、いずれであるか承りたいと思うのでございます。
#108
○安倍国務大臣 この三条二項の「再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」というのがやはり米価決定に当たる基本的な態度であろうと思います。「経済事情ヲ参酌シ」ということは、あくまでもこれは米価決定に当たる参酌事項だと私は思っております。
#109
○稲富委員 このことは、この間も本委員会において、この食糧管理法の第三条二項というものは「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」というのがこの主体であって、この再生産を確保するためのいろいろな参考とすべきものが経済事情であるというように私も述べました。ところが、大臣は、先刻からの質問等に対しても、各般の意見を尊重する、貴重な参考として諮問をするということをおっしゃっておったのでございますが、しからば、昨日諮問をされました諮問内容は、この内容において米穀の再生産を確保することができるのであるという解釈をしていらっしゃるのかどうかいこの点を承りたいと思うのでございます。
#110
○安倍国務大臣 私は、この諮問によりましても米穀の再生産が阻害されることはない、再生産を確保するということはできるというふうに確信をいたしておるわけであります。
#111
○稲富委員 私は、そこに非常に問題があると思うのでございます。
 昨日の諮問から見ますと、御承知のごとく本年度一俵が一万五千四百三円になりますね。日本の今日の農業経営者の経営面積は平均いたしまして一ヘクタール足らずなんですよ。そうすると、一反の反収がどのくらいかというと、最高が八俵ぐらいでございます。これは最高ですよ。そうすると一反の反収か八俵といたしまして――一ヘクタールつくっておるのは少ないのですよ。一ヘクタール以下なんだ。平均は九反どれだけかになる。たとえこれを一ヘクタールとしましても、最高八俵とれるというのは少ない。ところが、八俵としましても一カ年間の収穫というものは百二十三万二千二百四十円ということになってくるんですよ。一町つくっておりまして米の収穫が百二十三万二千二百四十円で、これが家族全体でやっているのでございますよ。一カ月の月給としますとこれが十万円にも当たらない。ところが、これには資材費が入っております。肥料代も入っております。農器具代も入っております。物価は非常に高くなってきている。
 こういう点から見て、これで本当に農家の再生産を確保することができるというような考え方だとすれば、それは非常に甘い考え方だと思うが、体裁じゃなくて、本当に心からこれでやっていける、農民はこれでがまんがしていけるとあなたは思っていらっしゃいますか。これは何も国会答弁じゃなくて、あなたも農村のことをよく知っていらっしゃるのだから率直に答えていただきたいと思う。こういうことで農民が本当に再生産ができると思っていらっしゃるとするなら、余りにも農業に対する見方がおめでた過ぎると私は思うのですよ。この点について承りたいと思うのです。
#112
○安倍国務大臣 率直にお答えいたしますが、一ヘクタール未満で農家が生活をやっていけるというふうには私もとうてい思っておりません。農家の生計を維持していくためには一ヘクタール以下の米の生産だけでは不十分でありまして、その他の農外収入等も合わせて今日農家の生計は維持されておると私は考えるわけであります。
 ただ、私が再生産確保と言うのは、現在米そのものは一応過剰な基調にあり一現在の米の価格においても生産調整等の政策的な措置を行わなければますます米は過剰になっていくというふうに私は判断もいたしておるわけでございまして、それがそのまま再生産確保という問題と結びつくわけでございます。これが決定的なものであるというふうには考えませんけれども、しかし、そういう米の生産状況にあるということも判断の大きな要素であるわけであります。
#113
○稲富委員 農林大臣、農政というものは農業を主体として農業経営をやるべきで、他産業から補って農家経営をやるということは農業政策としてうたうべきものじゃないと私は思う。しかも、一町未満では困難だとおっしゃるならば、日本の農業の実態がそうなんですから、農民が希望を持てるような農業経営をやらせようとするならば、自分みずからがこれではやっていけないんだと思いながらもそういう引き合わない価格を諮問することに対して、農林大臣としての良心の苛責を受けなくてはならないと私は思う。ただ聞いていると、あなたは、食管会計の赤字が余り増大するのは好ましくないんだ、これが日本の農政に非常に影響するんだというようなことに頭があり過ぎるから、何とかして食管会計の赤字を少なくしなければいけない、それがためには生産費も買い上げ価格もなるだけ安くしなければいけない、売る価格はなるたけ高くしなくちゃならないんだというような考え方の上に立った逆算から無理なそういう答弁をなさり、そういう諮問をされたのだと私は思うより仕方がない。この点に対しましては、いまからでも遅くないのだし、本当に次期生産を確保する価格、つまり再生産を確保する価格に生産者米価は決定するべきものであるというたてまえで再検討を願いたいと私は思うのです。
    〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
 今後これはどういうことになるかわかりません。あるいは撤回しろと言っても撤回なさらないだろうと思います。後に政府米価で何とかなさると思うが、そのときにこういう点を十分含んであなたはおやりになるべきだと思いますが、いかがでございますか。
#114
○安倍国務大臣 これは食管法の精神から言ってもいまおっしゃいましたようにあくまでも再生産を確保するということが本来の姿でなければならぬわけでございますし、私たちとしても、現在の米生産農家のあり方等も見まして、私が諮問をいたしました価格でもって再生産は確保されるものであるというふうに考えて出しておるわけでありますけれども、しかし、米審の審議も行われておりますし、その後各方面との論議も十分に尽くして、最終的には国民が納得をし、農家の生産意欲が損なわれないような形で妥当に決まるようにしなければならないと私は考えておるわけでございます。
#115
○稲富委員 これに関連して最後に一問したいと思いますが、あなたのおっしゃることを聞きましても、いままでの米価決定までのやり方というものが、政府が諮問をする場合に、これでは不十分だと思いながらも――現に私なとは農林大臣の腹の中は不十分だと思っていらっしゃると思う。不十分だと思いながらもこれを諮問をする。そうすると、今度は米審ではまたこれに対して何か含みを持って答申をする。その後に今度は自民党で政治加算をして、与党の力で米価が諮問よりもこれほど高くなりましたという芝居をする。そういうお芝居が毎年毎年繰り返されているのですよ。こういうような米価決定に対しては私たちも大概もういや気が差しております。こういうような米価決定というものはおもしろくないと思うのです。
 瀬野君も言っておりましたが、こういうような従来やってきた米価決定でいいとあなたは思っていらっしゃるのですか。諮問する側が胸に一物持って諮問をして、今度は答申する方がまた一物持って答申をして、最後は自民党に持ち帰って政治米価だということになる。そして、与党の力でこれだけふえましたとやる。これがいままでの常套手段だ。こういうような筋書きをとる毎年毎年の米価決定の方法を最善だとあなたは思っていらっしゃるかどうか、この点を承りたいと思う。
#116
○安倍国務大臣 これはやはり最善だとは私は思っておりません。まあ、米価決定のやり方で指数化方式だとか、積み上げ方式だとか、パリティ方式だとか、いろいろといままで行われてきて、最終的に生産費所得補償方式ということになったわけで、米価決定のあり方としての方式は生産費所得補償方式がもう定着をして、これでいいのだというふうに思うわけでございますが、要素をまたいろいろと変えて、最終的に政治的にまたこれに対していろいろと工夫をこらさなければならぬというふうなやり方は農民の皆さんからすると不信を招くもとになるのではないかというふうに思うわけでございまして、これはもっといい方法でもあったらそういう方向へ考えていくのが当然じゃないかと思うのであります。
 私自身がそれで具体的な案があるわけではございませんが、皆さん方の御意見も聞きながらそういう点は研究をしていかないといけないと思うわけで、米価決定においていたずらに毎年毎年不信が出てくるということは、これからの農政を進める上においては非常に困ったものであるというふうに私は思うわけでございます。
#117
○稲富委員 いまのような決め方をしますと、全国の農民にも非常に迷惑な話なんですよ。全国から集まってきてどれだけの金を使っておるかわかりません。それで、先刻からも自民党の意見も聞くのだ、国会の意見も聞いてやるのだとおっしゃっておりますけれども、今度の諮問を見ますと国会の意見は一つも聞いていらっしゃらない。この間私たちも国会で諮問をされる前に米価諮問に対する参考としてずいぶん申し上げましたが、大臣も、参考として承ります、貴重な意見として承りますと言っていらっしゃったけれども、自民党の意見はお聞きになっておるか知らぬけれども、野党の意見はほとんど聞いていらっしゃらないでしょうと私は思う。それで諮問が出ているわけです。
 そこで、今後参考になるようないい意見があるならばとおっしゃるので、私は私の一つのことを参考として申し上げますが、これは来年のことで、いまからやらなければいけないが、米価を決定するに当たりまして、まず農民の生産者団体と政府との間にいろいろな材料を持ち寄って、そして両方から検討して十分練って米価決定をして、この米価ならば妥当ではないかというところが出た後にこれを米審に諮問する、そして政府はその米審の意見によって決定する。こういうような方法で生産者と政府との間において米審に諮問をする前に材料を持ち寄って相談し合って決定して、その上で諮問をするというような方法をやることも一つの方法ではないか、それが一番納得のいく方法ではないか、しかも国民としてのコンセンサスを得る米価決定の方法ではないか、と、かようにも私は考えますが、何かいいことがあったら参考に承りたいと大臣がおっしゃるから参考として私の意見を申し上げたわけでございますが、これに対して大臣はどう思うか、承りたい。
#118
○安倍国務大臣 これは法律に基づいて政府の決める行政価格でございますから、政府の責任において決めなければならぬわけで、農業団体と話し合いをして、その話し合いで結論がつかなければ決められないということはどうかと思うのです。
 ただ、決定をするに当たりまして農業者団体の意見を十分聞いて、それを米価の中に織り込んでいくということは、これは政府としても当然考えなければならぬことで、今回はいままで以上に実は団体の皆さんとも何回か話し合って、御意見は聞いたわけでございますが、しかし、諮問をした案の内容につきましては団体の皆さんは非常に反対をしておられるわけであります。ただ、われわれとしては努力をいたしまして、意見は十分聞いたつもりであるわけでございます。
 しかし、これは両方が一致しなければ決められないということになりますと問題があるのじゃないかと思うのでありまして、行政価格でありますから、あくまでも政府が責任を持って決めるのが法律のたてまえからいけば筋であると思うわけであります。
#119
○稲富委員 もちろん、政府が決定をすることに対して異議はございません。そうなっておりますからね。だが、あなたは意見は聞いたと言うが、聞くばかりで、最後にいいところをとらなければ何にもならぬですよ。国会の意見も聞いたのだ、自民党の意見も聞いたのだとおっしゃるが、自民党の意見は取り上げられておるか知らぬけれども、われわれの言った意見はこの諮問では一つも取り上げておらぬ。あるいは農業団体等の意見も聞いたとおっしゃるか知らぬけれども、恐らくそれは取り上げられていないと私は思う。意見を聞いただけではいけないのです。やはり、もっと材料を持ち寄って、検討をして、そして煮詰めて、その後に米価審議会にかけて、米価審議会の意見を聞いて、最後の決定は政府が決めて一向に差し支えないのだから、米価審議会に諮問をする前に各方面の意見を聞くと同時に、これをもっと尊重して、もっと納得し得るような諮問をなさるという方法をとることが最も妥当ではないかと思いますので私はそういうことを申し上げたのであって、これに対して大臣が意見があるなら大臣の意見も承りたいと思うのでございます。
 そういうようなことでお決めになった方が、毎年毎年同じようなことを繰り返して、農民にたくさんの犠牲を払わせ、農民にたくさんの負担をかけさせて決めるよりも非常に効果的ではないかということを私は申し上げておるわけでございます。
#120
○安倍国務大臣 何も取り上げなかったのじゃないかというお話しでございますが、私としては、できるだけこれを取り上げて諮問米価の中にも反映させたと思っておりますし、たとえばこの取り扱いにおける同時諮問の問題にいたしましても、私としては国会の御意見等も取り扱いについては十分反映させたと思っております。
 さらにまた労賃の問題にいたしましても、国会の御論議、各方面の御論議等もいただきまして、これを今回の米価の諮問の中に生かしたと思うわけでありますが、基本的に大きな開きがあるわけでございますから、私が一方的にこれを取り上げたと言っても御了解はいただけないと思いますが、私は私なりに最善の努力をしたということだけは申し上げる次第でございます。
#121
○稲富委員 どうも了解いたしかねますけれども一時間がありませんので私の質問はこれをもって打ち切ります。
     ――――◇―――――
#122
○澁谷委員長 この際、昭和五十年産米価の決定等に関する件について決議をいたしたいと存じます。
 本件に関しては、各党の理事間におきまして協議を願っておったのでありますが、その協議が整い、ここに案文がまとまりました。便宜、委員長から案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえたいと存じます。
   昭和五十年産米価の決定等に関する件(案)
  今回政府が米価審議会に提示した試算米価は、生産農家の要望と期待に十分応えていない。
  よつて政府は、本年産米価の決定に当たつては、食糧管理法第三条第二項の趣旨にのつとり、適正な米価の決定等左記事項の実現に努めるべきである。
      記
 一、昭和五十年産米価については、生産費及び所得補償方式に基づき、最近の物価、賃金等の動向を的確に反映させ、農家の生産意欲を高揚し、米の再生産が十分に確保できる適正な水準に引き上げること。
 二、肥料、農薬、農業機械等の農業生産資材について値上げをしないよう強力な行政指導を行うこと。
 三、米作の生産性を向上するため、水田に係る土地改良事業を拡充し、通年施行を継続実施すること。
 四、国民食糧確保のため、米の備蓄をさらに拡充強化すること。
 五、消費者米価については、消費者家計の安定を旨として慎重に対処すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#123
○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は委員会の決議とすることに決しました。
 この際、本決議に対して政府より所信を求めます。安倍農林大臣。
#124
○安倍国務大臣 今回政府が試算いたしました昭和五十年産米の政府買い入れ価格につきましては、ただいま米価審議会におきまして審議中でもございますので、その答申も承りました上で、ただいまの御決議につきましても十分検討の上適切に措置してまいりたいと存じます。
#125
○澁谷委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#126
○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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