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#1
第075回国会 社会労働委員会 第10号
昭和五十年三月二十五日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 大野  明君
   理事 菅波  茂君 理事 住  栄作君
   理事 竹内 黎一君 理事 戸井田三郎君
   理事 葉梨 信行君 理事 枝村 要作君
      伊東 正義君    大久保武雄君
      小林 正巳君    田川 誠一君
      田中  覚君    高橋 千寿君
      登坂重次郎君    野原 正勝君
      羽生田 進君    橋本龍太郎君
      粟山 ひで君    山口 敏夫君
      金子 みつ君    川俣健二郎君
      田口 一男君    田邊  誠君
      多賀谷真稔君    寺前  巖君
      大橋 敏雄君    岡本 富夫君
      小宮 武喜君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
 出席政府委員
        労働省労働基準
        局長      東村金之助君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部長 水谷 剛蔵君
 委員外の出席者
        議     員 多賀谷真稔君
        議     員 寺前  巖君
        議     員 大橋 敏雄君
        議     員 小宮 武喜君
        行政管理庁行政
        管理局統計主幹 松井 敏夫君
        林野庁林政部森
        林組合課長   甕   滋君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  稲葉 誠一君     多賀谷真稔君
同日
 辞任         補欠選任
  多賀谷真稔君     稲葉 誠一君
    ―――――――――――――
三月二十四日
 最低賃金法案(多賀谷真稔君外三名提出、衆法
 第一九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第三〇号)
 最低賃金法案(多賀谷真稔君外三名提出、衆法
 第一九号)
     ――――◇―――――
#2
○大野委員長 これより会議を開きます。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺前嚴君。
#3
○寺前委員 私は、中小企業の退職金共済の問題について聞きたいと思います。
 これは中小企業の労働者の労働条件の一つの確保の問題であるとともに、中小企業そのものに対する対策でもあるというふうに私は思います。そういう立場から、この制度が有効に果たされているのかどうかという問題についてちょっと聞いてみたいと思うのです。
 私は過般、この中小企業退職金共済事業団の決算書を見てみました。この決算書を見て、実はちょっとびっくりしたわけですね。四十八年度に時効とされた退職金は、件数で三万一千三百四十四件、金額で二億七千六百六十三万九千六百十円となっておる。また、退職し、受給権がありながら未請求となっているのが、四十四年から四十八年の間に、件数で十三万九千二百三十七件ある。金額で四十二億五千五百二十一万円余りとなって出てきています。四十八年度の退職金と解約手当の支払い件数が十三万一千八百件。この十三万一千八百件よりも、時効となった退職金やあるいは未請求のままになっている方が非常に多い。これは、せっかく事業主がお金を納めて、中小企業の労働者に退職金を払おうじゃないか、積極的にその制度に入っていながら、実際には支払いにならないままに残っている。これは一体どういうことなんだろうか。本当に中小企業と、中小企業に働く労働者のために、この制度の管理を政府は責任をもってやっているのだろうかどうか、私はちょっと疑問に思ったので、一体なぜこんなことになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#4
○東村政府委員 ただいま先生御指摘ございましたとおり、四十八年度におきまして中退事業団が時効であると処理した件数約三万件、また退職し、または退職したと見られる者で、退職金の受領権がありながら退職金を受領してない者が、四十八年度末で約十四万件ございます。このような問題が生ずる要因としては、私ども次のように考えます。
 それは、まず事業主は労働者を中退制度に加入させたときはその旨を労働者に通知し、退職したときは遅滞なく共済手帳を労働者に交付しなければならぬ、こういうことになっておりますのに、それが十分行われてないこと、それから、いわゆる円満退職でない場合に事業主が労働者のために必要な手続をとらなかったり、さらには労働者が事業主に手帳の交付を求めないまま、行く方といいますか所在がはっきりしなかったというようなことが考えられます。さらには、加入期間が短くて支給金が少ないということで、労働者の方で請求をやめてしまうというようなこともいろいろ考えられます。
 しかし、いずれにいたしましても、先生いま御指摘のようにそういう大きな数字になるということは問題でございまするので、私ども常々これに対してはいろいろ考えているわけでございます。たとえば、御承知のとおり共済手帳に退職金の請求手続をわかりやすく記載する、さらには事業主から労働者によく説明するようにということをうたった内容の広報紙を出す、さらには退職金をまだ請求していない労働者がいた企業に対しては、退職労働者にその請求を行うよう働きかけてほしい、こういう旨を依頼する。まあ未受領になっているものが銀行にある場合には、銀行から私ども通知を受けて、それをさらに労働者の方に、早く取りに行けというような形のものもとっている次第でございます。いずれにいたしましても、労働者にとって魅力あるこの制度の内容にするということがこの問題を解決する一つの大きなかぎではないかというようにも考えております。いずれにいたしましても、先生御指摘のような問題、これは私どもも真剣に取り組んでまいらなければならない、かように考えている次第でございます。
#5
○寺前委員 いま御指摘になった共済手帳をわかりやすくするとか、説明を広報紙にとか、あるいは請求するよう働きかけるとか、これは従来からもおやりになっている内容だと私は思うのですね。それだけではやはり解決しないところに来ているのじゃないのでしょうか。最近の事例ですが、大阪市の都島区の三億工業という会社があります。ここの荻野勇二さん、幸夫さんという方が最近おやめになったわけですが、退職金を当然もらえるという状況下にありながら会社からくれないということで、これは私はちょっと聞いた話で、事業団の方にどうしてくれないんだという連絡があった。この事業団というのは大抵府県では労政課がお世話をしているようなんですが、実際には事業団の出先みたいなものはないわけでしょう。ですから結局東京まで電話を入れなければならぬ、こういうことになっているようです。ところが、わざわざ東京まで電話を入れるわけだけれども、このお二人の人の例を見ると、結局のところ事業団の方では払っている。ところが御本人には渡らない。こういうシステムになってしまうのは、一体原因は何なのだろうか。私は、これはやはりかなりの部分が放置されているという問題と、それから実際に途中でなくなってしまっているという問題、こう考えてみたときに、制度の機構としても、本人に確実に渡るような、また本人が常時受け取ることができるような機構の改革をやらないことにはこれは進まないんじゃないだろうか、私は抜本的にその辺を考えてみる必要があるのじゃないかというふうに思うのです。
 たとえば、今度失業保険の制度が変わりまして雇用保険ということになっていく。雇用保険が全的になってくる。五人未満の人たちも対象になってきた。一たん六カ月以上働いておる人たちがおやめになって、職安へ行って、私はどこどこで働いていたのですと請求をしたら、職安の方で事業主に対して、あなたのところで働いておったようだな、ちゃんと金を納めて雇用保険を支払うようにしなさい、ちゃんと職安が世話をして、本人に手渡るように今後世話をしていく。こういうように努力をするということを、この間あの雇用保険が通ったときに説明があったと思うのです。だからおやめになった方は、要するに雇用関係にあった方は、必ずそういうことでこれから職安の窓口を訪ねていかれるということになってくるだろうと思うのですね、どんな場合においても。そうしたら、本人が職安の窓口に行ったときに、中小企業退職金の共済のこの制度に入っているという労働者に、明確に本人に在職時に手帳を渡しておく、それから、会社が納金をするたびに銀行の方から、本人のところに金が納まっていますよという通知があるとか、そういうような制度がきちんとされていたら、本人が雇用保険をもらいに行くときに、あわせてそれについて窓口の方で、おたくは中小企業のそれに入っていませんか、わかりません、こういう手帳をもらいませんでしたか、ちゃんとこういう窓口の方で相談する。そうしたら、あっ、こういうものをもらっていますよと言ったら、直ちに当局の方で相談をするとか、これは私は単なる思いつきの一例ですから、それがいいかどうか所管の違いもあるからなかなか役所というところはむずかしいけれども、私はかなり放置されているという事態と、現に払っているのにもらっていないという労働者が出てくるということになったら、現在の支払いのあり方というのは事業団の方から事業主気付で本人渡しという通知が出ているようですね。だから事業主気付で行く限りにおいては、本人おらぬようになったらパアになってしまうというのは現在の執行の姿自身の中に問題があるんだから、それと切り離す受け取り方法というものを研究しないことにはこの問題は解決しないんじゃないだろうか。
 先ほど局長さんから魅力あるものにしたいという問題がありました。これは私は基本だと思う。なぜかというと、現に最近新聞を読んでいたら大阪の事例が出ていました。この共済制度に入っているのは一〇%から一五%くらいの企業だ、圧倒的に入っていない。これはそのものの持っている魅力性の問題が一つあると私は思う。だから、これが一つはっきりしなければならないと思います。しかし同時に、入っているところがせめて入っているという権利を労働者が受給できる、それをしやすい機構につくり変える、基本的にその機構上も支払いの体制を変える必要があると私は思うのだけれども、その辺の見解を聞かしてもらいたいと思います。
#6
○東村政府委員 ただいまちょっと触れましたが、退職金の請求がされまして、実は事業団がいま先生お話しございましたように支払い通知書を発行しながら未受領になっているという例がございます。つまり、それは銀行にお金をこちらから送付していて、御本人には銀行に送付してあるからということを直接連絡をとっておるのですが、なかなか労働者の方が銀行に行かないという場合が一つございます。これについてはさらに、すでにもう銀行の方にお金が送ってあるから取りに行ってくださいということを連絡するようなかっこうをとっているわけでございます。
 それから、これは原則論でございますが、退職金というのは直接請求している労働者本人の住所にいま申し上げましたようなかっこうでお金を送付するということが支払い請求書の中に、裏面に明記してあるわけでございます。いま気付の問題がございましたけれども、労働者が落ちつく先が定まっていない場合に、前の勤務先気付で送付通知書を送るよう申し出る場合が間々ございます。それは先生いま御指摘のとおりでございますが、この場合でも、それは労働者の委任に基づくものであり、委任がないとそれはできませんので、そういう場合には確実に労働者の手に渡っているとわれわれは考えているわけでございます。
 ただいずれにいたしましても、せっかくのお金を送ったのが受け取らないあるいはつかないということになっては、せっかくの制度が御指摘のように大変な問題でございますので、労働者の手に確実に渡るように、どういう制度がいいか、あるいは現状をどう改良したらいいか問題ではございますが、私どもも十分検討してまいりたい、かように考えております。
#7
○寺前委員 本当に手渡りになるように機構的にも検討し直していただきたいと思います。
 それから次に、今度はせっかくお金を事業団に納めているのに実際にふところに入ってくるのが少なくなるという、掛金分も入ってこないという実例があります。私はちょっと具体的に提起をしてみたいと思うんです。七年八カ月間この制度に加入をしていながら掛金総額を下回る退職金しかもらえないという事例です。この人は、五十年三月十二日に支払いを受けた人ですが、掛金が五百円の掛金をやったのが六十五カ月間あります。それから途中で千円の掛金にして二十カ月間続けたのです。それで途中で四千円の掛金にして七カ月間、合計九十二カ月間というこういう掛金をやったわけです。ところが給付された退職金は、国庫補助が二千五百九十円を加えて七万七千六百四十円にすぎない。掛金の総額を調べてみたら何と八万五百円。だから九十二カ月間、七年八カ月間もこの掛金をやっていて、ちょっとやそこらの掛金じゃないのですね。これだけ期間を掛けていても掛金総額よりも少ないということになってしまったら、これは魅力もないどころじゃないですよ。逆に金の値打ちの目減りもある上に、もともとの金にもならぬような退職金制度だったら、こんなのは冗談じゃないということになってしまうでしょう。私は、これは具体的に抜本的に改善をしなかったら、魅力どころではない、大変な事態だ。何でそういうことになるのか、局長さんわかりますか。
#8
○東村政府委員 それは先生いまおっしゃいますのは、いわゆる掛け捨て、掛け損の問題と関連すると思うわけでございます。いまの先生の例でございますと、三回にわたって増額しておるわけでございますが、最初の年が掛け捨てになって次の年は掛け損になるというような問題が三回にわたって生じますので、全体として見ると、いまおっしゃったような結果になるのではないか、かように思うわけでございます。
 この問題についてはいろいろ審議会等におきましても御議論をいただきまして、今回の改正では一応の改善を進めたわけでございますが、いずれにいたしましても、たとえば生命保険等におきましても、途中で保険の金額を、掛金を増額するという場合には別の契約を結んだ、こういうふうに観念されて処理されているというふうに聞いておるわけでございます。この退職金共済におきましても、途中で掛金を増額したという場合でも、いま申し上げましたように、一年目は掛け捨て、二年目は掛け損という形が積み重なっていくシステムになっております。これは問題ではないかという御指摘が実は前々からございまして、魅力ある制度と言いながら、こういうことではおかしいではないかという御指摘のあることを私ども聞いております。特に今回審議会においてこの問題が取り上げられまして、いずれにいたしましても長期掛金納付者、そうでなかったならば、この制度を改正した際に月額変更したような人については、その辺何とか改善すべきであるという建議がございました。ただ、この制度は、いま私が申し上げましたような掛け捨て、掛け損が前提になって仕組みができておりますので、抜本的な問題としてはなかなか手がつかなかったわけでございます。いずれにしても、そういう御指摘ございましたので、いま申し上げました二つのケースのうちで、一般的には掛金月額の増額がなされる場合を優先すべきであるということと、収支の状況等をあわせ考えますると、掛金を増額した際に改善するのが適当ではないかということで、今回の改善を盛った改正案を御提出したわけでございます。それだけで約十二億円に上る支出増というふうに相なるわけでございますが、ただいま先生御指摘のような問題点、並びにそれに対する今回の改正で、一応意識して少なくとも前進していこう、こういうことを考えたわけでございます。
#9
○寺前委員 今回の法改正で、法施行後一年間以内に限っていまおっしゃったように掛金同額を保証することとするというふうになさっておるようですけれども、これはやはり法施行後一年間以内に限ってという問題では解決しないところの抜本上の問題だと私は思うのです。ですから、私はこういう問題を、たとえばいまの制度で言うと、二年間は元金にもならないわけでしょう、それから二年から三年の間は元金分になるのですか、それから五年以上になると国庫の補助がついてくる、こういう制度になっていますね。だから、結局、たとえばいままでだと最低が四百円で、そのときには二年分までは損をするけれども、二年以後は元金にはなるといういわば基本が流れているわけでしょう。そうしたら、少なくとも二年間この制度に入っておられる人に対しては、二年以後については途中の掛金の増額があった場合には、その分については元金分を支払いますと、こうしておけば、決して掛け損、掛け捨てという問題は生まれないのだと私は思うのですよ。もちろん、これを配分の中に入れてしまっているから予算的には云々という問題が生まれているのだろうと思うのです。ですから、私は、中小企業の保護政策であり、中小企業労働者に対する保護政策と言う以上は、せめて、たとえば基本の二年間以後については元金を保証していく、そしてそういう分についての国庫の助成というのは別個にその分をプラスするやつを考えるとか、ちょっとやはり保護政策らしいやり方にしなかったら、この人の例のように七年八カ月納めて、元金の方が、納めた金の方が多くって、そしてもらうのが少なかった。どこに魅力があるんじゃ、詐欺じゃないかというふうに、それは私は、事業主の方が、ばかにしているじゃないか、だましたじゃないか、こんな中小企業退職金制度だったら何も入る必要なかったわな、こういう話になるだろうと思うのです。これこそ私は急いで改善しなけりゃならない問題だと思うのですが、これはちょっと大臣の御意見を聞いておきたいと思うのです。
#10
○東村政府委員 ただいま御指摘の数理的な問題は、私申し上げたとおりで、先生の御指摘のとおりでございます。
 一つ落としましたが、この掛け捨て、掛け損になった原資は、いま先生のおっしゃったケースでは掛け金総額よりも少なくなるということでございますが、そこで浮いたお金は実は長期にお勤めになった方の退職金の方に回りまして、その分がそちらの方で厚くなる、こういうような仕組みといいますかカーブになっているということをひとつ申し上げたいということでございます。
 それから、いま先生おっしゃったようなことにすれば、それは確かに問題としては一つ前進するわけでございますが、私申し上げましたような個々の一つ一つの増額について別の契約が行われて、それぞれ掛け捨て、掛け損が前提になっている収支計算でございまするので、なかなか収支計算上むずかしい。しかし、そこに魅力が欠ける一つの問題があるということも私ども存じておりますので、その点については審議会等でも問題ございますし、さらに慎重に検討しなければいかぬ、かようには考えております。
#11
○寺前委員 大臣、どう思います。
#12
○長谷川国務大臣 おっしゃるとおり中小企業の方々を保護というか助成申し上げることですから、いろいろないまのお話などを参考にしながら前向きの姿勢に、どういうところにやっていくかということも考えてみたい、こう思っております。
#13
○寺前委員 本当にせっかくのあれなんだから、私はこんなことをやっておったら入る人が一〇%か一五%にしかならぬという理由もわかるし、入った人自身が冗談じゃないということになる。何かこれは本当に中小企業のために考えているようで考えていないという結果になっている。だからこれは急いで速やかに役に立つものに変えてもらう。強く要望しておきたいと思います。
 三番目に、今度はこれと並行して行われる建設業関係の退職金共済の問題これについてちょっと質問してみたいと思うのです。
 建設業退職金共済制度の手引の中に詳しく、この制度は一体どういう制度だということを説明しているわけです。公共事業を起こす場合には証紙を出して公共事業の予算の中に退職金共済に入れるようにちゃんとしてあるんだ、だから予算の中に入って支出をしているんだから、当然この分野で働いてもらっておる人たちは建設業退職金共済がもらえますのやということをちゃんと説明の中に書いてあるわけです。ところが実際にはそれだけもらっているんだろうか。せっかくのこれが役に立っているのかどうかということを行政の責任として見なければいかぬと私は思うのです。
 そこで掛金の状況と支出の状況をちょっと調べてみたのです。そうすると、四十八年を見ますと、掛金が五十六億一千百万円ですか、運用収入が十五億五千四百万円、そして総収入が七十一億八千七百万円。ところが実際に支払われているのは六億一千八百万円、一割に満たない。これは制度が発足後まだ十年ぐらいだからそうなのかなと思ってずっと振り返ってみると、大体全部支払いが一割弱なんですよ。九割が、掛金がありながら全部放置されていっている。どんどんお金がたまっていっている。これは一体またどうなっているんだろうか。これは一体どういうことなんでしょう、御説明いただきたい。
#14
○東村政府委員 いま先生御指摘のように、現在のところ掛金収入の一〇%程度の退職金給付ということに相なっておるわけでございますが、これは建設業退職金制度の特質にも一つはよるわけでございます。ただいま御指摘ございましたように、発足後間もないことで、退職者、つまりここの場合の退職者と申しまするのは、個々の企業をおやめになるということではなくて、建設業という一つの業界を退かれる、こういう方でございまするので、普通よりもその率が低いということもございまして、まだ退職者が少ないということ、かつ一人当たりの退職金額も掛金納付年数が短いということを反映していて少額であるということが言えます。一方、新規加入の被共済者が年々増加している実情を反映いたしまして、掛金が増加しております。これを分子、分母に置くと、ただいま申し上げたような形になるわけでございますが、そういういかにも余っているように見えますが、実はこれは準備金という形でございまするので、収支はどんどん余りの金がふえていくという形ではございませんで、一応の均衡のとれた形でいくということが数字の上では出てまいるわけでございます。いずれにいたしましても、おっしゃるとおり、退職金の支払われた額は掛金の一〇%であることは御指摘のとおりでございます。
#15
○寺前委員 それで支払われたのが一割だということになると、あとが残っているわけでしょう。そこへ持ってきて予算面で、公共事業をやるときには予算の中に組みます、説明書を読むとこうなっているのだ。この公共事業というのを私、調べてみたのですよ。各種の公共事業、国それから公団、事業団、政府企業、都道府県、市町村、地方公営企業、その他各種の着工総工事費というやつをずっと調べてみると、四十八年度は総事業費が六兆円になるのです。そしてこの中で土木、建築の平均は、土木の場合は千分の三・五だし建築の場合は千分の二・五がその対象としてやっていく、こうなっているわけでしょう。そうすると、平均千分の三と計算しても、四十八年度はざっと百八十億円というものが対象にならなければならぬはずなんだ。ところが実際の掛金の状況を調べてみると、五十六億円しか掛金が払われていない。予算で百八十億円その中の対象として見積もっていながら、実際に掛金として行われているのは五十六億円分しか買われていない。そして実際に労働者のものになってくるのはそのまた十分の一、こんな公共事業の使い方があるだろうか。この建設関係の共済制度の問題は、本当に労働者にその金が使われるということにおいて保護しようということで予算の中に入れていながら、実際にはそうなっていないという事態は、予算を組む側から考えたって重大な問題だと私は思いますよ。こんな予算の組み方はないと思いますよ。これは建設省が予算を組むのだからわしの方は知ったことでないでは済まないと思う。建設省が組ましているものをものにしていくというのは、私は労働省としての責任を負わなければいかぬと思う。建設省自身通達を出して、買いなさいと言っていながら証紙が買われていない。三分の一しか買っていないということは、そのこと自身をもってみても、今度はこれは国や公共事業体の責任だと私は思います。予算に組んでおきながら、労働者のためにそれを返していくというふうにちゃんと事業主に徹底させていないという問題がある。それは今度は手渡りにならないというところまで問題になってくる。これは機構的にも労働者のものになるようにしなかったら、予算執行の責任というものは私は問われなければならないと思うのですよ。労働大臣、どうですか。これは細かい問題じゃない。基本的にこういう予算の支出があるか。これは管理責任は政府がとらなければならない問題だと私は思う。確実に労働者のものにするためにそれだけの予算、百八十億円を組んである。この予算は確実に渡します。そういう保証体制に建設業関係の退職金制度を研究し直す必要があると思う。大臣、どうでしょう。
#16
○東村政府委員 その前にちょっと私から申し上げておきたいわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、そういう予算があるのに実際の掛金収入は少ない、その差額は買われていないのじゃないかというお話でございますが、大筋は私どももそういうことだと思います。これに対しましては、いまお話がございましたように、要するに公共事業等をやる場合にはきちんと退職金共済の掛金を払って、労働者にその退職金が渡るようにという基本的な問題が徹底しなければいけない。御指摘のとおりでございまして、これに対しましては、私ども機会あるごとに元請の共済契約者に対し、下請の加入について十分指導してほしい、下請に対する退職金共済証紙の現物を元請の方で手当てして、それを下請の方に渡してやりなさいというような指導を行っている。さらには公共工事の発注に際し、発注官庁は受注業者が必要な共済証紙購入を行っているかどうかをチェックし、それからそのことによって受注業者及び下請業者の証紙購入の徹底を図っている。さらには団体等を通じて加入促進、証紙の貼付徹底を指導勧奨しているところでございます。しかし御指摘のように現在の証紙の貼付状況は必ずしも十分とは言えません。これについては関係者の自覚ということも大きな問題でございますが、行政としてもできるだけの手を尽くしまして、趣旨が徹底され、証紙が張られるようにということをさらに私どもも努力してまいりたい、かように考えております。
#17
○長谷川国務大臣 御指摘のようなことなども非常に肝に銘じまして、いろいろいい方に検討してまいりたい、こう思っております。
#18
○寺前委員 労働者のためといって組んだ予算が使われないという実態があるということは、本当にゆゆしき予算の執行者としての責任があると思うのです。だから、私はこの問題については指導している。指導していると言ったって、指導の結果がこれじゃ指導をやっていることになりません。速やかに調査をしなさい。どういうふうになっているところに問題があるか、どういうふうに改善したら労働者のために予算が執行されるか、これを速やかに調査されることを一つは要求したいと思います。
 それからもう一つは、事業費単価の方は事態に即応して値段が変わっていくわけですね。三省協定や何かと言ってやっているでしょう。ところがこちらの証紙の方は、たとえば四十年から四十四年まで値段は二十円でしたか、変わっていないですね。四十五年になって六十円になったのですから、まだしばらく変わらない。ところが事業費の方では予算としてはふえていっているわけでしょう。不合理だと思う。やはり労働者の退職金としてのものにするためには、事業費が変化をしていくのだったら証紙の方も退職金をよけいにするようにスライドさせていくように変更しなければいかぬと思うのです。そうでなかったらこれは労働者保護のためにならないです。結局その予算単価分は事業主のふところに入っていくだけじゃないですか。これも私は不合理な問題だと思うのです。この二点についてどうでしょうか。
#19
○東村政府委員 公共事業における証紙の購入状況、さらには貼付状況の把握、調査の問題でございますが、技術的な問題がいろいろあると思いますので、関係行政機関ともよく協議いたしまして、その可能性や実施方法などについて検討を進めた上で、御趣旨のようなかっこうに持っていきたいと考えます。
 それからスライドというお言葉がございました。確かに公共事業の積算内容としては御指摘のとおり工事費の何%という形で積算してございますので、工事費の単価が上昇するに応じて掛金日額をスライドさせるべきではないかという御意見でございますが、建退制度は当然ではございますが、公共工事ばかりでなくて、一般の民間工事をも対象としております。
 それからまた、掛金変更を行うという場合はいろいろの事務手続その他費用がございまするので、現在直ちにということはなかなか問題でございますが、いずれにいたしましても、御指摘にございますように、一定の期間ごとに賃金等の実勢に応じて掛金の日額が引き上げられるような、そういうことで今後とも適正な改正を行うよう指導してまいりたい、かように考えております。
#20
○寺前委員 時間もあれですから次に行きますが、森林組合の労務班の問題についてお聞きをしたいと思います。農林省の人はお見えになっていますね。
 現在、森野庁の指導と援助によって、森林組合の労務班の労働者が約六万人おると言われております。これらの民有林に働く労働者は、不安定な就労と労働条件に置かれているわけですが、本年四月から雇用保険が全面適用になります。これによって短期的な失業についての一定の補償が行われるようになるわけですが、林業労働から離れた場合の退職金の問題というのも私はやはり一つの問題だというふうに言わなければならないと思います。
 林野庁の資料によると、四十八年の三月末の森林組合の労務班で、中退金に加入しているのは全国でわずか千八十一人という数字が出ております。こうした状況下で、たとえば群馬県や石川県、奈良県では、自治体が中退金加入者に掛金の一定の助成をする措置を行っております。さらに本年六月からは、北海道で約六千人の労務班が中退金に加入する予定になっているという話も聞いております。民有林の労働者のうち、政府が直接援助している労務班の労働者を対象にして、建設業や酒造業と同じように、特定業種の退職金制度を発足させたらどうかというふうに私は思うのですが、これに対する見解をちょっと聞かしてもらいたいと思います。
#21
○甕説明員 林野庁といたしましては、従来から林業労働力対策の一環といたしまして、通年就労奨励事業というものを実施しております。これは森林組合等の協業体に対しまして、林業労働者の就労を長期化する、あるいは通年化するということを促進しようとするものでございまして、その中で安定的な就労形態に移行した者、具体的に申しますと、二年間二百五十日以上就労した者、こういう者につきましては中退金等にも加入するように指導を行ってまいりました。また最近、いま先生御指摘のように、一部の都道府県等で中退金への加入助成ということも行うようになりまして、加入者の数も昔と比べますと逐次増加しつつある現状になっておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、この加入の状況はまだ十分ではございません。
 そこで、中退金の特定業種を創設したらどうかという御指摘についても理解できるわけでございますが、この制度につきましては、御承知のとおり林業を営む相当数の事業者の加入が見込まれることが必要でございます。ところで、林業におきます現状を申しますと、経営形態等が複雑多岐にわたっておるということも反映いたしまして、業界としても全国的に見てまだ具体的にまとまった動きを見せるに至ってはおりません。このような事情から、現段階におきまして直ちにそういった措置とることはむずかしいのではないか、こう考えておるわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、林業労働者の福祉の向上を図る上で退職金制度というものは非常に重要な問題だと考えておりますので、林野庁といたしましても関係者の意向の集約を図りながら、御指摘の点も含めましてこの問題をどうしていくか、今後一層の検討を行いまして、その過程で関係省とも所要の協議を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
#22
○寺前委員 時間の都合がありますので私はこれで終わりますが、先ほどから私が指摘しておりますように、せっかくの法律自身においての矛盾点として、掛金分も長いこと働いておってももとに返ってこない、これは抜本的な問題にかかわる。これは速やかに検討していただいて、次の法改正を考えてもらう必要がある。それから行政執行面において、せっかくの制度が物になっていない問題がある。これはすぐに改革してもらったらできる話だと思う。
 いずれにしても、せっかく中小企業やそこで働く労働者の保護政策であるということに思いをいたしたら、いま提案されている程度の内容が労働省の現在の到達点だといったら私はお粗末だと指摘せざるを得ないのです。速やかに改善されることを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
#23
○菅波委員長代理 次に、岡本富夫君。
#24
○岡本委員 現在審議されておりますこの法律案の対象となる中小企業の数と、それからそこに働く労働者の数、それからいま現在加入契約している数、これをちょっと先に説明していただきたいと思います。
#25
○東村政府委員 現在この制度に加入している共済契約者、つまり事業者でございますが、それは中小企業退職金共済事業団、つまり一般の共済の場合には十六万四千三百十四名、これに対する被共済者、つまり労働者でございますが、百四十七万七千四百十七名。それから建設業退職金共済組合の方では、共済契約者数が六万九千八百三十二名、被共済者数が百二十三万九千四百十七名。それから清酒製造業退職金共済組合は、共済契約者が三千三百二十四名、被共済者数が四万三千百六十四名、合計いたしますと共済契約者数が二十三万七千四百七十名、被共済者が二百七十五万九千九百九十八名となっております。
#26
○岡本委員 そうしますと、概算計算すると大体一割くらいしか加入していないということですね。なぜせっかくあるこの中小企業の退職金共済制度を利用されないのか、どこにネックがあるのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
#27
○東村政府委員 この退職金制度といいますのは、先生いま御指摘のように共済制度でございます。なぜ共済制度という形をとったかということは、もう十分御案内でございましょうが、中小企業等で退職金制度が独力で持ち得ないような、そういう企業に対して共済というかっこうでひとつやっていこうではないかというので生まれたわけでございます。
 なお、参考までに申し上げますと、民間における退職金制度の普及状況でございますが、規模三百人未満のようないわゆる中小企業では、約一〇%のところで退職金制度というものがございません。そういうことが一つございます。それと同時に、これは任意加入でございまするので限界はございますが、そういう一〇%前後という数字になっております。われわれとしてもさらにこの加入をもっともっと促進するように、かように考えております。
#28
○岡本委員 あなたはいま退職金制度をつくってないのは大体一〇%だと――私どもで調べますともっと多いですよ、まあ全部が全部調べていませんけれども。ちょっとその数字はぼくは――だから一〇%くらいしか退職金制度をつくってないからもうこれ以上はふえないのだ、そういう言い方はちょっと私当たらないと思うのです。この加入率というのは非常に少ない。それに対してあなたの方はどういう対策を講じて加入数をふやしていこうとなさるのか、その点ちょっとお聞きしたいのです。
#29
○東村政府委員 私いま申し上げましたのは、退職金制度がないところだけをやるようにお聞き取り願ったとすれば、それは私の表現が足らなかったわけでございます。大体一〇%あるいはそれ以上かもしれませんが、そういうところが一つの中心ではございますが、やはり退職金制度を持っておってもさらにこの共済制度に加入するということは十分考えられまするし、そういう実態もございます。いずれにいたしましても、先生御指摘のように、われわれもさらにふやさなけりゃいかぬというふうに考えていることは事実でございます。
 従来やっておりますことは、加入促進をどういう形でやっておるかということでございますが、毎年十月にこの加入促進強化月間というものを設けまして、全国的、集中的に加入促進の運動を展開している、さらにはふだんいろいろのPRをしている、たとえば資料の提供、説明会、ラジオ、テレビ、新聞等による報道、それからさらには地方公共団体による一部の掛金の助成というようなこともやっておる次第でございます。何分御指摘のような件数でございまするので、これで十分目的を達せないという面もございまするが、こういう中でさらにひとつきめの細かい運動といいますか、普及促進方を強化してまいりたい、かように考える次第でございます。
#30
○岡本委員 私は、約五十人の中小企業のこういう対象になるような人たちと懇談したことがあるのです。ほとんど知りませんね、そんなのあるのですかと。いまきめ細かい対策とおっしゃっていますけれども、一般の方はどっちかというと、こういう零細企業ですとお忙しいということでなかなかそこまで頭が行かないのかもわかりませんけれども、知らぬ人がずいぶん多いです。私も昔自分で零細企業をやっていましたからよくわかるのですが、その仲間を皆集めて聞いてみると、ほとんどの方は知らない。また、通産省でやっているやつがありますね。あの方はわりに知っておるのですね、商工会とかいろんなのを通じまして。しかし、この労働省関係のこれらはほとんど知らない。こういう実態ですよ。だからこれはもっとPR、もっときめ細かく、どういうようにやるかということは、何と申しましても地方公共団体の出先といいますか、これにうまくお願いするしかないのじゃないかと思うのですが、それはそれとして、四十八年度中に相当脱退しているわけですね。途中でやめている。このやめているのはどういう理由でやめておるのか、これをまず四十八年度中の分だけで結構ですから、脱退した数、これをちょっとお聞かせ願いたいのです。
#31
○東村政府委員 昭和四十八年度における共済契約者の脱退の状況でございますが、掛金を滞納する、そういう事態が起こりまして事業団からの解約を受けた、そういう件数が三千二百八十件、企業独自で退職金制度を創設したということによって事業主の方から解約した件数が百六十六件、合計三千四百四十六件となっております。また被共済者の脱退状況について見ますと、四十八年度中の脱退者は十九万三千四百二人となっておりまして、そのほとんどが退職による脱退、かように相なっております。
#32
○岡本委員 倒産してもう払えなくなったとか、あるいは未納だから事業団の方から断ったとかいうことですけれども、事業団の方で何遍未納になればこれを解約する、こういうようなあれが決まっているのですか。
#33
○東村政府委員 掛金の滞納による事業団からの解約による脱退という問題でございますが、事業団は、本来納付すべき月分の六分の一または継続する十二カ月分の掛金未納があれば共済契約を自動的に解除することになっておりますが、極力掛金滞納による契約解除を防止するため、掛金滞納期間が三カ月に達するとまず最初の督促を行います。その後滞納が続くと三カ月ごとに督促を行い、十一カ月になると契約解除を予告することになっておりまして、その後二カ月内に掛金が納付されない場合には契約解除、こういうことに相なります。
#34
○岡本委員 どうも最近非常に不況が続いているわけですね。ですから三カ月未納あるいは六カ月未納、こうなったら全部打ち切ってしまう、これは私はもう少し待ってやっていいのじゃないかと思うのですが、契約者あるいは被共済者ですか、この方からこんなのつまらぬからやめるというなら仕方がないけれども、最近非常に不況になっておりますから、これはまた中小企業盛り返してくるわけですから、そうなるといままでのやつが全部、後で話ししますけれども、掛け捨てや掛け損になってしまう。少し私は安易に過ぎるのじゃないかと思うのですね。このごろ支払いでも、台風手形という一年かかるような手形もあるのですから、ですから私は、四十九年から五十年にかけてもう少し籍を置いてあげる、そうして温かく抱えていく。何か安易に事務的な整理をしておるのではないか、こういうふうに考えられるわけですが、この点についていかがですか。
#35
○東村政府委員 ただいま申し上げましたように、これこそかなりきめの細かいいろいろの予告なりをしながら、最後にやむを得ず契約解除というところに相至るわけでございますが、これは法令に規定、根拠がございまするので、先生のお気持ち、御趣旨はわかりますが、現在のところこういう形で進めていくということになっているわけでございます。
#36
○岡本委員 その点は、ひとつこういうときになってきましたら一遍法改正でもするとか、いつまでも好況あるいは普通でずっといったときはいいですけれども、今度の不況というのはいままでの高度成長政策のひずみが来ているわけでしょう。いまそのしわ寄せがほとんど全部中小企業、零細企業に来ているわけですからね。こういうときは非常措置として何らかひとつ大臣の方で考える方法がありませんか。
#37
○東村政府委員 根拠が法令でございまするので、相当問題がある、万やむを得ないという問題の取り扱いをどうするかということはございますが、やはり原則としてはこういうかっこうでいかざるを得ないし、早目に早目に手続等をとりながら相談をするということは可能かもわかりませんが、ただいまの原則は法令にございまするので、やむを得ないのではないか、かように考えております。
#38
○岡本委員 大臣、そのときにうまく法が合わなくなってくると、一部改正なんかを政府の方から提案していますね。この姿を見ますと、自分の方に都合のよいときは、法令がそうなっておるからそのままいく。要するに、いままでの掛けてきたやつをそっくり取っちゃうわけですからね。払っていくんじゃないんだから。非常に自分の方に、政府の方に都合のいいような解釈の仕方じゃないかと私は思うのですね。法令がぐあいが悪ければそこのところを改正を提案すればいいじゃないですか。ここで言うていても仕方がない。ひとつ今度それを一部改正――ぼくはいま法令を持っていないからどこに当たるかはわかりませんが、ちょっとそこを一遍説明してください。
#39
○水谷政府委員 法令と申しましたが、根拠は法律で決まっておりまして、その法律では、「共済契約者が労働省令で定める一定の月分以上について掛金の納付を怠ったとき」、こういう場合には契約を解除するという法律上の根拠があるわけでございます。しかし、できるだけ解約はしたくないというのがもちろん事業団側の意向でもあるわけでございまいまして、この法律を受けました省令でいろいろ規定がされておりまして、先ほど局長が申し上げましたような一定の基準が決められておるわけでございます。ただ根拠が省令でございますし、「共済契約者がその責に帰することができない事由により掛金を納付することができなかったこと。」といいますか、そういうような場合につきましては、正当な理由がある場合であって、特別にその期間について多少弾力的に取り扱えるというような省令の規定もございますので、この辺の運用を弾力的にいたしまして、できるだけ御要望の趣旨に沿うような方向で検討させていただきたいというように考えております。
#40
○岡本委員 省令なんですものね。省令なら別に一部改正しなくたって、そこのところを労働省で省令で、規則の方で変えたらしまいなんでしょう。何か金科玉条みたいに変わらぬようなあなたの答弁だったけれども、どうも聞いてみると、省内でそれに対応して決めることができるじゃないですか。私はこれはやっぱりもう少し現在の中小企業の事情というものをよくひとつ――大体いまほとんど仕事がなくなりまして、まあこういった、よけいなことじゃありませんけれども、余裕がないというのが現在の中小企業のあり方なんですね。ですから、もう一つ事業団の方にも言いまして、そして手厚く、もう少し待っていく、そのかわり、それが少し好況になってきたときはこれはそこから少し延納になっても納付できるような道を開いていく、これが私は大切でないかと思うのです。これは要望しておきます。余り時間がありませんからね。
 それから、この制度を見ますと、一年未満に退職すれば掛け捨て、一年以上二年のときはこれは掛け損というのですが、大体一年未満でやめる被共済者、この掛け捨ての金額がいまどのくらいになっておるのですか。それから二年未満でやめたところの掛け損の方はどういうようになっているのか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
#41
○東村政府委員 四十八年度で申し上げますと、掛け捨てが、その対象者をまず申し上げますと四万八千三十七名でございまして、その額が四億七千九百八十九万円でございます。それから掛け損の方でございますが、対象が三万九千八百二十八人でございます。この額でございますが、七億三百五万七千円と相なっております。
#42
○岡本委員 そうすると両方で約十一億八千万、これだけ中小企業の方から召し上げてしまったということですね。私は一年未満で離職したこの数字を調べますと、四十八年度三六・二%ですか、それから一年から二年未満で離職した人が一七・九%、こういうことを見ますと、このお金は退職したときに返してあげるというようにした方がいいのじゃないかと思うのですが、これはいかがですか。
#43
○東村政府委員 掛け捨て、掛け損のお話でございますが、確かに一年未満の人は掛け捨て、一年以上二年未満は掛け損、それ以降掛金相当額、それから今度は掛金以上に金額がふえてくるというカーブになっております。つまり、ここで掛け捨て、掛け損という問題が起こりましても、それは短期におやめになった方の場合でございまして、そのお金は長期に勤続しておやめになる方の方に回る。これは一般の企業等における退職金の支給の仕方についても行われているところでございまして、この退職金共済制度においても長期勤続者に厚くしようという趣旨でかように相なっている次第でございます。
#44
○岡本委員 生命保険というような場合は、これはその生命を保障しておるわけですから、これは三年までは掛け損になるわけですけれども、これも大分縮まってきておる。この共済制度を見ますと、そういう危険負担というものがないわけだと私は思うのですよ。ですから、掛けてきたこの利子はあなたの方で取って持っておるわけですからね、事業団の方で。そうでしょう。ですから、一年以内の方、これは皆ゆえあって退職しているわけでしょう。それから二年以内の方。このときは掛けた分だけは、利子はよろしいから、これは返してあげるのが筋じゃないかと私は思うのです。どうもほかの保険と同じような考え方のように感ずるのですが、これはあなたの方の言い分では、一年ここで勤めて、それから次へ行って、次のところでまた掛ければ続くじゃないかというようなことを言うかもわかりませんけれども、じゃ、そこの事業主がこれをやるかやらないかということになると、そうでないかもわからない。ですから、これは中小企業者の方から見ると、どうも欠陥制度だ、こういうふうに言っておる人がいるわけですが、この点どうですか。
#45
○東村政府委員 先生いま御指摘ございましたが、利子は別に事業団がどうこうというのではございませんで、いま申し上げました掛け捨て、掛け損の分、さらにはその利子をすべて長期勤続者の退職金の方に回す、こういうシステムになっておりますので、これは長期勤続者について厚くする必要がないとか、そういういろいろな議論の上でそういう掛け捨て、掛け損をなくせという話でございますとよろしいのですが、本来これは短期勤続者よりも長期勤続者をより厚くしようじゃないかという制度の方針のもとにできたカーブでございますので、やはりその掛け捨て、掛け損のものは長期に回すという形でよろしいのではないか。
 ただおっしゃるように、いかにも掛け捨て、掛け損というのが酷ではないかという御指摘もございますが、これはやはり通常の退職金の場合にも、短期の人には退職金が渡らない、長期の人を優遇するという一般の形がございますので、そういう場合にはやはりそういう一般の退職金制度を共済でやろうということでございますので、そういう面からもやはり掛け捨て、掛け損はやむを得ないではないか、かように考えておるわけでございますが、御指摘の問題があることは私ども重々承知はしております。
#46
○岡本委員 これは少なくとも一年以内の人を掛け損にして、二年以上になったら今度は全額返してあげるというぐらいのように、将来これは運用面からひとつ考えてもらいたい。ということは、中小零細企業というのは非常に定着しないのですね。定着しないところへ今度は長期に勤務した人に優遇するということは、そんなに渡らないということになってくるわけですよ、人数が。だから、それはもう一度検討していただくということにします。
 時間がありませんから次にいきますが、この制度の積立金の運用について、いま額は千五百億ですか、このお金はどこに運用されておるのか、これを明らかにしてください。
#47
○東村政府委員 現在、積立金をどう運用するかという問題につきましては、法律にかなり細かい規定がございまして、「安全かつ効率的な運用を害しない範囲で、できるだけ中小企業者の事業資金又はその従業員の福祉を増進するための資金に融通されるように配慮されなければならない。」こういう規定に相なっております。そこで、このような法的要請がございますので、余裕金の大半は中小企業への融資の資金となるように、しかも高利、安全な運用がなし得るように、御存じの商工中金債等の債券の購入に充てられております。このほか、勤労者住宅等の福祉施設のための資金に充てるための事業主への融資などをも行っているところでございます。
#48
○岡本委員 これはあなたの方から資料を出してもらいますと、興銀とかあるいは長銀ですか、こういうところは中小企業と関係ないのですよ。いま中小企業は資金難で困っておるわけですからね。これをもっと中小企業の方に回るように配慮もしたらいかがかと私は思うのです。
 それで、中小企業者がこれを借りて住宅を建てるとかいう場合に、ほかの制度と比べると非常に遜色が見受けられるわけですね。たとえば勤労者の財形の雇用促進事業団からの金利、それからもう一つは年金福祉事業団からの金利、それから返還する年限、これを調べますと、中小企業の退職金共済事業団からのと非常に差がある。これはどういうわけなのか、ひとつお聞きしたいと思うのです。
#49
○水谷政府委員 この制度は御指摘のように、他の公的な融資制度に比べまして、金利の面とかあるいは償還期間の面では確かに多少不利なものになっておるといいますか、そういうことになっておることは事実でございます。
 その理由は、この制度は先ほど局長が申し上げましたように、安全、効率であるということが第一であり、かつ、できるだけ有利に運用いたしまして退職金の原資をふやすということで当初から運用いたしておるわけでございます。したがいまして、当初直接融資を始めたときには、実際に現在の金利との差は――現在といいますか公的融資との金利の差は、現在以上に非常に大きかったわけでございます。ただ、先生御指摘のようないろいろな御要望もございますので、その後貸し付け金利につきましては、現在の公的融資が年八%に対しましてこれが八・二%ですか、これが当初公的融資が六%ないし六・五%のころ、昭和四十年一月に制度を始めたときにはこちらの方が八・五%だったわけでございまして、そういうようにできるだけ近づけるように、近づけるといいますか、中小企業の方々が利用しやすいようにいたしておりますけれども、そもそもの制度の目的が、できるだけ効率的に資金を運用するといいますか、そういうことでございますので、現在でも一般の公的融資と比較いたしますと、多少この方がそういう金利とかあるいは償還期限の面では不利になっておるということでございます。ただ、こちらの制度におきましては、別の面といたしましては、いわゆる標準建設費的なものではなくて、実際の価格に対して一定の率で貸し付けるといいますか、そういうようなことに配慮いたしまして、せめてそういう面で多少ともこの制度の悪い面を補って借りやすいものにいたしたいというように考えておるわけでございます。
#50
○岡本委員 この年金福祉事業団ですと、中小企業の事業主が借る場合は所要金額の九〇%まで借れるわけですね。ところが、この共済事業団ですと七〇%しか借れない。それからこの金利は、こっちを見ますと、七・五%ですよ。ところが、本事業団では、これは年利率が八・二%、しかも償還期限が十年以内でしょう。こっちの方を見ますと、年金福祉事業団の方を見ますと、これは何年ですか、十八年、十年もありますけれども、二十五年まで最長借れるわけですね。
    〔菅波委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
 中小企業者が出しておるお金を中小企業者に使用をする場合、この貸し付け条件というのは非常に厳しいように私は思うのですよ。これは前にも申しましたように、財形貯蓄の雇用促進事業団の方を見ましても、いまあなたのお話しあったように八%、それから長いのが三十五年から十八年ですか、これは共済制度を伸ばしていくためにはやはりもっと借りやすいようにもし、それからこの資金を中小企業が使えるように改正をした方がいいんじゃないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
#51
○東村政府委員 ただいま先生いろいろ御指摘ございましたが、いずれにいたしましても今後のこの融資制度のあり方等につきましては、実績を見ながら審議会の御意見も聞いた上でさらに検討してまいりたい、かように考えております。
#52
○岡本委員 それからいま財形貯蓄なんかでもやかましく言われておりますけれども、目減り対策ですね、これについて要するに物価スライド方式をやはり若干とらなければならぬのではないかと思うのですが、前の掛けたのといま掛けたのとずいぶん違うし、こうして物価が上がってくる、あるいはせっかく掛けた金額が下がってくるわけでしょう。この目減り対策については、いまのところどういうようなお考えがあるのか、これをひとつお聞きしておきたい。
#53
○東村政府委員 御指摘のように、この制度に限らず目減りという問題がいろいろ論議されているようでございますが、この制度は本来現行の給付を前提にして収支均衡しているというわけでございまするので、仮に過去の掛金について物価スライドを行うということになれば、これは基本的な問題にならざるを得ないと思うのです。しかしこの制度は御承知のように任意加入でございまして、掛金の額も一定の幅の中で任意でございます。したがって、これを強制的に賦課するということは不可能でございます。国家が負担すべきであるといった御意見もあるいは前提にお考えかもしれませんが、この制度が基本的に共済という形をとり、しかも任意であるということでございまするので、御指摘の点重々問題はわかりますが、なかなかむずかしい問題だと思います。
 なお、この問題に関してはやはり物価が上がるということに対応いたしまして、月額を変更するという、そういう筋道が認められておるわけです。つまりほかの保険等では途中で増額を認めているというのは余り例がございませんが、この制度では中途で掛金の増額を認めるという形になっておりまするので、その点はやや他の制度と異なって、ある意味では一応の答えが出ているのではないかというふうに考えるところでございます。
#54
○岡本委員 お約束の時間が参りましたから、これで終わりますけれども、やっぱりこれは大臣、いま財形貯蓄あるいはいろいろな目減り対策について相当政府の方でも考えておるそうだし、また時代の要求ですからね、これも、少しこの制度にもやっぱり取り組んでいく、それでなければもう無理して掛けたものが結局値打ちがなくなってしまうということでは、私はこの制度はどんどん発展しないと思うのです。ですから、そういった何といいますか、一つの誘い水としましてもやはりそういったものの検討を加えていくということが大切だと思うのです。
 それを要望しまして、時間が参りましたから、終わります。
#55
○竹内(黎)委員長代理 次に小宮武喜君。
#56
○小宮委員 この退職金共済制度は昭和三十四年に制定されて、この制度に現在加入している事業所は、四十八年度末で十五万六千カ所、労働者数で百四十二、三万とも言われておりますが、この制度の対象事業所の何%くらいが加入しているのか、また対象労働者のどれくらいが加入しておるのか、まずその点初めにお聞きします。
#57
○東村政府委員 分母になる数字の押さえ方でございますが、中小企業というわけでございまするので、中小企業の労働者がどのくらいいるかということを把握しなければいけませんが、実は現在企業別にできている企業の数とか、労働者の数というのは統計が不備でございまして、事業所の規模になっております。そこで推計にならざるを得ないわけでございますが、現在中小企業で働いている人たちは約千五百万人でございます。これに対して被共済者、つまり退職金共済に入っている人は約百五十万でございまするので、一〇%程度が加入している、こういう数字になるわけでございます。
#58
○小宮委員 現行の掛金は最低四百円、最高八百円となっていますが、現行の加入者の中でこれを掛金のランク別に見れば大体どうなっておるのか。
#59
○水谷政府委員 現在の掛金は、四十九年十二月末で見ますと、四百円から四千円になっておるわけでございますが、多少大きくくくりまして、千円未満が二一・六%でございます。このうち今度改正いたします八百円未満が一七・三%、ですから、千円未満が二一・六%ということでございます。それから千円から二千円までですが、千円台が三一・七%でございます。それから二千円台が二二・一%、それから三千円台といいますか、三千円から四千円までが二四・七%というような状況になっております。
#60
○小宮委員 それでは、この共済制度に加入している労働者の現在の年数、契約しておる年数を見れば、どうなりますか。たとえば加入してから何年ぐらいの人がどれくらいおるのか、その点はいかがですか。
#61
○東村政府委員 四十八年度末における被共済者について、掛金納付年数別の割合を申し上げますと、二年未満が三二・一%、二年から五年未満が二六・八%、五年以上十年未満が二五・四%、十年以上で一五・七%となっております。
#62
○小宮委員 それでは現在の掛金の総額は幾らで、それから退職金給付に支給された額は幾らですか。
#63
○東村政府委員 昭和三十四年に中退制度が発足して以来四十八年末現在の掛金収入の総額は、千四百十六億八千万円余となっております。一方、退職金及び解約手当金の合計は四百五十億円余と相なっております。
#64
○小宮委員 先ほども質問が出ましたけれども、退職金共済制度の掛金は中小企業退職金共済事業団が管理運営をやっているわけですが、なるほどこの法律の中にも余裕金の運用という問題がありますけれども、これは退職金給付以外に中小企業の方々にもっと有効に活用するような方法を考えるべきじゃないかと思いますが、現状と今後の考え方について若干お聞きしておきたいと思います。
#65
○水谷政府委員 掛金の現状は、先ほども申し上げましたとおり、現在あります約千五百億円の金のうち大部分が金融債といいますか、商工債券あるいは不動産債券、興銀の債券等に使われておるわけでございます。これの比率が六九・七%でございます。
 それから政府保証債、中小企業金融公庫の債券が六・七%、それからいわゆる地方債ですか、地方公共団体に対する貸し付けが五・二%、それから資金運用部に対する預託が一三%、それから代理貸しで直接融資に使っておりますのが一・九%、それから投資不動産といいますか、現在中小企業退職金共済のビルがございますが、これに〇・六%、それから短期の預け金で一時的に預けておるのが二・九%というような状況で現在資産の運用はいたしておるということでございます。
#66
○小宮委員 ただいまの説明だけでは、どういうことに使われておるのか、本当に中小企業のために使われているのかどうかということについては、われわれは理解しがたいのですよ。だから考え方は、余裕金はやはり中小企業の方々に何らかの形で活用するという姿勢を持っていただかぬと、中小企業の零細な人たちから金を集めて、その金が中小企業のために還元されずに、むしろほかの方向に金が使われるということになると、これはやはり問題があると思うのです。先ほどの話を聞いておりましても、四十八年で脱退される方もおられるというような問題もあるし、今回最低八百円から最高一万円まで上げるわけですが、いまごろの不況の時代、最高の一万円に加入される方がどれだけおるのかわれわれは想像もつきませんけれども、やはり問題は、こういうような零細な方々の制度でございますから、そういうような人たちにできるだけ有効に還元していくということを考えてもらいたいと思うのです。
 それから、この制度についていろいろ問題があるのですが、現在この共済制度の対象は従業員三百人未満の中小企業者、こうなっておりますが、小売業、サービス業は五十人以下というふうになっているわけですね。小売業、サービス業を五十人以下に限定したのは何か特別の根拠がありますか。
#67
○東村政府委員 ただいま先生御指摘のように、中小企業と一口に言いましても、製造業とその他サービス業等については従業員の規模に差がございます。この制度の対象を製造業については三百人、サービス業については五十人としておりますのは、何といいましてもこれは中小企業対策の一環であるというところから設けられたものでございまするので、中小企業基本法の中小企業の範囲に従ったといいますか、のっとったためにそのようになったわけでございます。この制度が従業員の規模だけによりまして資本金の規模ということを問題にしておりませんのは、労働関係の問題ということを考えると当然といいますか、そういう立場から従業員の規模にウエートを置いて考えた、このような次第でございます。
#68
○小宮委員 共済法の第二条にもはっきりうたわれておるわけですが、やはり本来は、中小企業の退職金も払えないという人たちに対する一つの共済的な役割りを果たすわけですから、余りシビアにやり過ぎると、サービス業だって五十人以下の人しか適用されないということになると、せっかくの制度が、精神的な面から言っても、私は何かこの制度の趣旨に反するような気もするのです。
 具体的な例を申し上げますと、これは私のところにも陳情が来ておるのですが、たとえば各産業における製図設計を業とする人たちの中で、この人たちは、この法律からいきますと五十人以下の事業所しか適用されないということで加入できないわけです。ところが、いまこういう人たちの中で、たとえば五十人以上いるところの人というのはかなり多い。そういうような人たちから見れば、サービス業ということだけでこの制度に加入ができない。製造業に指定されれば、これは三百人以下だから入るわけです。だから、こういった中間におって、この制度の適用を受けられずに、入りたくても入れない人たちがかなりの数おるということなんです。だから、私はこの制度の趣旨から言って、こういうような人たちを救うこともやはり労働省としては考えるべきじゃないかというふうに思うのです。
 こういうような具体的な問題に直面してみていろいろな問題が出てくるわけですが、そういうような意味で、私は先ほど五十人以下と限定したのは何か特別な理由があるのか――なるほど法律にも書いてありますし、中小企業基本法の精神にのっとってもそうだけれども、やはりこういったことを何でほっておいていいのかということにもなってまいります。そういうような意味で、この制度が適用できるように何か労働省として考えられる余地があるのか、また、この問題について再検討でもしてみたいという考え方があるのかどうか、この点、ひとつこれは労働大臣から述べてください。
#69
○長谷川国務大臣 サービス業等について範囲の拡大をすべきではないかという御指摘の点につきましては、これからこれらの業種における退職金制度の普及状況や中小企業に関する諸法律の関連等を勘案いたしまして、中小企業退職金共済審議会の御意見を聞いて、今後慎重に検討してまいりたい、こう思います。
#70
○小宮委員 問題は、大体日本標準産業分類で、こういうようなあらゆる産業の製図設計を業とする人たちを全部サービス業に入れてあるわけです。ここに問題の原因があるわけです。特に、製図設計業というのは、各産業においても非常に頭脳産業、頭脳労働者と言われて、これは仕事の流れから言っても、やはり設計をする、その設計によってこの工程が全部流れていくわけですからね。私はやはりサービス部門という認識が、われわれが一般に考えるサービス業ということと――船舶製造にしましても機械製造にしても、こういうような中における設計を業とする人たちを単にサービス業としてとらえていいのかどうか、とらえるべき性格のものであるかどうかということを考えるのですが、これは行政管理庁も来ておられるようですから、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
#71
○松井説明員 お答え申し上げます。
 日本標準産業分類は、もっぱら統計利用のサイドから産業を分類する基準を定めておるものでございますが、分類の基準をサービス業について申し上げますと、もっぱら特定の産業に付帯して行われるサービス業の場合は当該大分類の産業に格づけするのを一応原則としてございます。したがいまして、御指摘の船舶等の設計を行う事業所につきましては、現行の日本標準産業分類では大分類上サービス業に格づけしておりますけれども、この事業内容がもっぱら船舶に関する設計であると認められる場合には大分類上製造業に格づけする立場も確かにございます。サービス業につきましては、その二つの立場にいる者があるわけでございますけれども、その区分につきましては確かに不明確なものが先生御指摘の船舶業のほかにもあるのではないかと思われますので、御指摘を受けました点を含めまして、サービス業につきまして再検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
#72
○小宮委員 特にこの際強調しておきたいのは、いま各企業というよりは各産業の設計士が全国的に不足しておるのです。また、これらの設計者を養成するためにはかなりの長期間を必要として、少なくとも十年はかかるのです。したがって、従来は各産業の各企業においても自分の企業内に――設計士は何といっても各企業の参謀本部ですから、そういう意味ではいろいろな事情等もあって各企業で確保しておったのが、仕事量の問題あるいは合理化の問題、あるいはせっかく長年養成した技術者を定年退職後も確保するという立場から、この設計業務というのが企業外に出て、そこでこういう人たちを確保するための設計業がふえてきたという今日までの歴史もあるのです。だから、そういう意味で非常に貴重な存在でもあるし、こういう人たちに対してもっと、特にこれは行管の方で考えていただきたいと思うのです。先ほどの答弁によれば前向きで検討するということでございますので、それをひとつ私も信用しますが、それでは、そうなりますと、製造業の一部ということで格づけがえをしていただけばこの制度に加入できるわけですから、その意味でこの制度が発足するまでに皆さん方の方で、この分類の中での製造業への格づけがえをしてもらいたい。せっかく前向きで検討するわけですから、検討されるということを言われましたけれども、いつごろまでに大体検討結果が出るのか。そういう製造業への格づけがえにどの程度期間が要るのか、その点をもう一つ突っ込んでお聞きしておきます。
#73
○松井説明員 ただいま御検討申し上げると申し上げましたけれども、私たち事務当局だけで解決できる問題ではございませんで、実は統計基準の設定というのは私たちの一つの大きな仕事になってございますので、こういう重要事項につきましては、当庁におきます統計審議会の審議を経る必要がございます。したがいまして統計審議会にかける準備、あるいは慎重な御審議をいただくという意味で統計審議会の先生方にも精力的な御審議をお願い申し上げますけれども、その審議状況、果たして何カ月で済むものか、いまここでちょっとお話し申し上げるまでには至らないのを残念に思います。
#74
○小宮委員 その審議会というのは毎月開いておるのでしょう。
#75
○松井説明員 審議会は毎月開いてございます。そのほかに、こういう専門的な面につきましては、専門の部会を設けてさらに幅広い審議を重ねて、それから毎月審議にかけるというふうに、非常に慎重に取り組んでまいっております。
#76
○小宮委員 協力しまして、これぐらいで質問を終わりますけれども、行管の方は、いまの問題については早急にこういう人たちがこの制度に加入できるように、ひとつ実質的に審議を急いでいただいて、皆様に喜んでいただくように特に御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#77
○大野委員長 これにて中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#78
○大野委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
#79
○大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#80
○大野委員長 この際、住栄作君、枝村要作君、寺前嚴君、大橋敏雄君及び小宮武喜君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 その趣旨の説明を聴取いたします。住栄作君。
#81
○住委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 本文を朗読して説明にかえさせていただきます。
  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
 一 中小企業退職金共済制度改善に関する基本的な問題について引き続き検討すること。
 二 中小企業退職金共済制度の運営にあたつては、関係労使の意見を十分反映しうるよう、一層の配慮を行うこと。
 三 老後保障としての機能をもたせるために支給内容を改善すること。
 四 中小企業退職金共済制度の普及率を高め、加入促進対策を強化すること。
 五 資金運用については、労働者福祉に役立つよう一層の改善に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#82
○大野委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
#83
○大野委員長 起立総員。よって、本案については、住栄作君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、労働大臣から発言を求められております。これを許します。長谷川労働大臣。
#84
○長谷川国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力いたす所存であります。
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#85
○大野委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
#86
○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
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#87
○大野委員長 多賀谷真稔君外三名提出の最低賃金法案を議題とし、その提案理由の説明を聴取いたします。多賀谷真稔君。
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最低賃金法案
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#88
○多賀谷議員 私は、提案者の日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、ただいま議題となりました最低賃金法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 今回、最低賃金法に関して、総評、同盟、中立労連及び新産別の労働四団体の統一要求がまとまり、社共公民四党が一致して最低賃金法案を共同提案することになりましたことは、わが国の労働運動の歴史に、まことに意義深いものと存ずるのであります。
 近年、わが国経済は、飛躍的発展を遂げ、工業生産水準は資本主義国においてアメリカに次いで第二の地位を占めるに至りました。
 しかしながら、下請、社外工、臨時工、日雇い、パートタイマーという低賃金の雇用構造は、解消するどころか、高度経済成長の過程において拡大の方向をたどりました。
 労働省の賃金構造基本調査によれば、十名以上規模の企業において、昭和四十八年六月現在、賃金が五万円にも満たない労働者が四百四十八万人を数え、調査対象労働者の一六・七%に達しておりますが、そのほかに十名未満の企業の労働者、パートの労働者、さらに二百万人の家内労働者が存在しているのであります。
 今日の異常なスタグフレーション経済のもとにおいて、これら低賃金労働者の実質賃金は減少し、また失業者としてほうり出され、まさに生活は破局に瀕しつつあります。
 業者間協定として発足したわが国の最低賃金法は、その後の改正にもかかわらず、低賃金構造の改善に寄与せず、かえって低賃金を固定化する役割りを果たしてきたのであります。
 現在一県を除き各都道府県に地域的最低賃金が施行されていますが、その日額は、最高の東京都で千七百九十四円、最低の福島県で千三百四十円であって、とうてい労働者が健康で文化的な最低生活を営むことのできる賃金とは言えません。
 これらの最低賃金は、全国労働者の平均賃金との比率においても、全国一律最低賃金制度を確立しているフランス、アメリカの比率に比較して余りにも低位にあります。
 四党は、新たにすべての労働者に適用する全国一律最低賃金制度を設けることによって、労働者に健康で文化的な生活を営むために必要な賃金の最低額を保障する必要があることを痛感し、ここに現行法を廃止して新最低賃金法を制定することを共同提案する次第であります。
 次に、この法案の内容について御説明申し上げます。
 第一は、この法律の目的であります。
 この法律は、労働者が健康で文化的な生活を営むために必要な賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって労働者の生活の安定に寄与することを目的としております。
 第二に、最低賃金の決定方式についてであります。
 この法律は、中央最低賃金委員会が、全国を通じすべての労働者に対し一律に適用される最低賃金を決定することにいたしております。
 しかして、全国一律の最低賃金を適用することが不適当であると認められる一定の地域については、これを上回る地域的最低賃金を定めることができることとしております。この地域的最低賃金の決定にあたっては、地方最低賃金委員会が中央最低賃金委員会と協議して決定することとし、また、二都道府県以上にわたる地域的最低賃金については、中央最低賃金委員会が当該地方最低賃金委員会と協議して決定することといたしております。
 次に、一定の地域内の事業場で使用される同一産業または同一職業の労働者の過半数が、最低賃金に関する定めを含む一の労働協約または最低賃金について実質的に内容を同じくする定めを含む二以上の労働協約のいずれかの適用を受ける場合には、当該労働協約の当事者である労働組合または使用者の大部分の合意による申請によって、その拡張適用を認めることといたしております。
 また、右のような労働協約の存しない場合に、最低賃金委員会は、当分の間必要に応じ、法律施行時に現に行われている事業または職業の範囲において最低賃金を決定することができることといたしております。
 第三に、最低賃金の決定基準についてであります。
 この法律は、労働者が健康で文化的な最低生活を営むために必要な生計費を基本として、最低賃金を定めることとしております。
 第四に、最低賃金の改正についてであります。
 最低賃金委員会は、全国一律最低賃金及び地域的最低賃金について一年に少なくとも一回検討を行い、現行最低賃金が適当でないと認めたときは、その改正をしなければならないことといたしております。
 第五に、最低賃金の決定機構についてであります。
 最低賃金委員会は、行政委員会の性格を持つものとし、中央及び地方に置くことといたしております。この最低賃金委員会は、労使同数の委員と労使委員の同意による若干名の公益委員をもって組織し、公益委員は、労使委員の協議を促進し、適正な結論に達するように努めるものと規定しております。
 最低賃金委員会が行う運営手続に関しては、公開の原則等必要な事項について、最低賃金委員会規則を定めることといたしております。
 なお、家内労働者の工賃については、この最低賃金に応じて、すべての最低工賃を決定するようにすることにしております。
 また、従来最低賃金法の適用を除外されていた国家公務員及び地方公務員にも、これを適用することにいたしております。
 さらに、身体障害者に対するこの法律の適用に伴いまして、政府は、身体障害者を雇用する使用者に対する援助その他その者の雇用機会の確保を図るため、必要な措置を講じなければならないことを規定いたしております。
 われわれ四党は、この法律の制定に関連して、中小零細企業に対する施策を一層積極的に推進する所存であります。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして、御説明申し上げました。
 この法律案は、労働四団体のみならず、未組織の労働者を含む全労働者の切なる要求であることを十分に勘案され、御審議の上、何とぞ速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
#89
○大野委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時一分休憩
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ソース: 国立国会図書館
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