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#1
第075回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和五十年一月二十九日(水曜日)
委員会において、設置することに決した。
五月二十三日
 本小委員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      金子 一平君    瓦   力君
      中川 一郎君    宮崎 茂一君
      村岡 兼造君    村山 達雄君
      毛利 松平君    山本 幸雄君
      広瀬 秀吉君    村山 喜一君
      山田 耻目君    荒木  宏君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
五月二十三日
 山本幸雄君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
―――――――――――――――――――――
昭和五十年六月二十七日(金曜日)
   午前十時三十三分開議
 出席小委員
   小委員長 山本 幸雄君
      瓦   力君    野田  毅君
      宮崎 茂一君    村岡 兼造君
      村山 達雄君    毛利 松平君
      広瀬 秀吉君    武藤 山治君
      村山 喜一君    荒木  宏君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵大臣官房審
        議官      後藤 達太君
        大蔵省銀行局長 高橋 英明君
 小委員外の出席者
        大 蔵 委 員 奥田 敬和君
        大 蔵 委 員 佐藤 観樹君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
六月二十七日
 小委員瓦力君及び中川一郎君五月二十九日委員
 辞任につき、その補欠として瓦力君及び野田毅
 君が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員荒木宏君同月三日委員辞任につき、その
 補欠として荒木宏君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
同日
 小委員宮崎茂一君同月六日委員辞任につき、そ
 の補欠として宮崎茂一君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員広沢直樹君同月十日委員辞任につき、そ
 の補欠として広沢直樹君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員村岡兼造君同月十八日委員辞任につき、
 その補欠として村岡兼造君が委員長の指名で小
 委員に選任された。
同日
 小委員野田毅君及び山田耻目君同日小委員辞任
 につき、その補欠として中川一郎君及び武藤山
 治君が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員武藤山治君同日小委員辞任につき、その
 補欠として山田耻目君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山本小委員長 これより金融及び証券に関する小委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 先般、各位の御推挙により、私が当金融及び証券に関する小委員会の小委員長に就任いたしました。
 最近の経済社会環境の変貌のもとに、金融行政並びに証券行政のあり方は、新しい視点のもとに検討を求められているものと思われます。政府においても、金融制度調査会に対し、銀行関係法規の改善事項を諮問したところであります。また、大蔵委員会でも、当面の金融及び証券に関する諸問題、特に銀行法の改正の問題、金利政策等について議論が重ねられてまいりましたことは、各位も御承知のとおりであります。
 このように、各方面における論議のあるとき、金融制度の改善並びに証券行政は、一層適正であることが期待されるところであります。各位の御協力を得て、この職責を全うしたいと思います。
 なお、小委員会の運営につきましては、適時御協議を申し上げますが、従来の調査方法にとらわれず、政府に対する所要の質疑はもちろん、小委員各位の御意見を自由にお述べ願い、問題についてのコンセンサスを得ていきたいと存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 まず、銀行法改正に関する金融制度調査会の審議状況につきまして政府側から説明を求めます。高橋銀行局長。
#3
○高橋(英)政府委員 それでは、私から、銀行法改正に関する金融制度調査会に対する諮問、調査会の審議状況等につきまして御報告いたします。
 銀行法改正問題につきましては、さきの臨時国会、今国会を通じましてたびたび議論されたこともございまして、先月の十四日、金融制度調査会を開催し、大蔵大臣から、お手元にお配りしてございますような諮問が行われたところでございます。
 このような諮問を行いました背景は、次のとおりでございます。
 最近に至りまして、金融機関のあり方につきましての国民各層の期待と関心がとみに高まり、各方面で銀行法改正試案等が発表されるなど、金融制度に関する論議が盛んになってきております。
 ところで、現在のわが国の金融制度は、銀行法や日銀法等のように、戦前あるいは戦時中に制定された法律が基本となっており、その上に、戦後設けられた各種専門金融機関が併存した形で今日に至ってきております。
 もちろん、この現行金融制度が、戦後のわが国の経済の急速な復興と発展を支え、今日の繁栄をもたらす上で大きな役割りを果たしてきたことは否定できませんが、わが国の経済が今日に至り、世界的な規模を持ったインフレーション、資源や労働力の制約、環境の汚染、国民の価値観の変化、この中には週休二日制の問題も入ってくると思われますが、これらの問題に直面し、経済政策の運営に当たりましても、量より質を、成長よりも福祉を重視すべきであるといった主張が強まってきており、いわば大きな転換期を迎えていると考えられます。
 金融のあり方は、これら経済及び社会の動きに密接に関連するものでありますので、これからの金融制度のあり方につきましても、現在あるいは今後の経済社会情勢を踏まえて、根本的に検討すべき時期が来ているのではないかと考えた次第であります。
 以上が、諮問を行いました背景でございますが、諮問の内容を、補足して御説明申し上げますと、次のとおりでございます。
 諮問で「銀行に関する銀行法その他の法令」と書いてございますのは、中心となる銀行法のほか、長期信用銀行法、外国為替銀行法、相互銀行法、貯蓄銀行法、普通銀行等ノ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ノ兼営等ニ関スル法律、銀行法等特例法等であり、「制度」と申しますのは、いわゆる普通銀行制度、専門銀行制度あるいは全体の金融制度といったようなことでございます。また、「これらに関連する事項」と書いてございますのは、銀行法を審議していく過程でいろいろ出てくると思われます関連事項であり、たとえば、臨時金利調整法、準備預金制度に関する法律、日本銀行法等が考えられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、諮問の内容はかなり広範囲になっておりますが、当面は、まず銀行法から取り組んでいくこととなっているわけでございます。
 次に、調査会における審議経過について御説明いたします。
 五月十四日の第一回総会におきましては、以上のような諮問、その背景及び内容につきましての説明を行いましたほか、それまでの金融行政の主要事項、たとえば大口融資規制、自主規制金利の撤廃、住宅金融あるいは独禁法改正関係、いわゆる福祉預金構想等についての説明を行いました。また、審議の対象、進め方、方法等についての意見交換が行われました。
 第二回総会は六月十一日に開かれましたが、金融制度に関する基本的事項につきまして事務当局から説明を受け、これについて審議を行っている段階でありまして、わが国の金融制度の変遷と、現在の銀行法制定の背景及び立法趣旨についての説明をいたしましたほか、銀行法改正等に関する国会論議を紹介いたしました。
 このうちわが国金融制度の変遷につきましては、お手元にお配りしてある「我が国金融制度の変遷」という資料の「四、時点別民間金融機関の概要」を中心として説明を行いました。
 審議では、週休二日制の取り扱いについて意見が出されましたが、国会における議論を詳しく紹介いたしました。その他、検討の視点、銀行の社会的責任について意見が出されました。
 第三回は、七月十五日に予定しておりますが、現在のところ、戦後のわが国の金融制度の変遷と諸外国の金融制度について説明する予定でおります。
 最後に、調査会における今後の審議についてでありますが、調査会では、金融制度に関する基本的事項の審議が終わりました後、恐らく秋以降になると思われますが、銀行法につきましてどのような角度から検討を進めていくのか、また、どのような方法で審議していくのか等を決めて、本格的な審議に入っていくこととなろうかと思っております。申し上げるまでもないことでありますが、銀行法は金融制度の中核となる法律でありますので、調査会におきましては徹底的に審議していただきたいと私どもは考えておる次第でございます。
 以上、簡単でございますが、御報告申し上げました。
#4
○山本小委員長 以上をもちまして政府の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○山本小委員長 これより銀行法改正の問題及び金利政策の問題について順次発言を許します。野田毅君。
#6
○野田(毅)小委員 いまのお話で、久しぶりに金融制度調査会に諮問をされたわけでありますが、その中で特に「銀行に関する銀行法その他の法令」云々と書いてありますように、銀行法の改正というものはかなり大きな位置を占めると思うわけでありますが、それについていまの局長の御説明では、どういうような角度から検討を進めていくかとか、あるいはどういう方法で入っていくかとかいうことについてはまだ白紙のような考え方である、こういうお話があったのですけれども、実際問題として、いろんな審議会に諮問をしたりいろいろやる場合には、当然、ある腹づもりといいますか、そういう方向づけがあるはずだろうと思うわけでありますが、その辺ひとつ率直に、具体的にどういう方向づけでやっていきたいとお考えなのか、ちょっとお伺いをしたいわけであります。
#7
○高橋(英)政府委員 具体的に申しまして、何か一つの方向づけというものを持っておって、審議会等をそういう方に誘導していくというようなところは全然まだございません。特にこの銀行法につきましては、今度の調査会の委員構成も各方面の識見のある方々に集まっていただきまして、これは第一回の会議でもどういう視点から取り上げるかということの意見が出たこともございます。
 恐らくこれは各人すべていろいろな視点、角度を持っておると思いますけれども、ちょうどそういう議論になりましたときに、会長が、それはだんだん勉強をしていくうちにしぼろうではないか、そういうやりとりがございましたように、私どもがある一つの視点、あるいは一つとは限りませんが、二つ三つの視点、角度を持ってやろうというふうには少なくとも私は考えておらないわけで、審議会の皆様の御意見が最大公約数的に集約していくことになるのではないかとむしろこちらは期待しておるわけで、いまどういう銀行法というものをというふうに、私の方で一つの案的なものは持っていない、これは正直申しましてそういう状態でございます。
#8
○野田(毅)小委員 この諮問そのものは非常に包括的な諮問になっておるわけなんですね。その中で、いまお話ししましたように、特に銀行法の改正という問題は金融制度の根幹をなすものであるわけなんですね。それのみならず、幾つかの答申をもらうことになると思うのですが、事柄によっては必ずしも一時期に集中して包括的な答申が出るとは限らないと思うのです。その中で特に銀行法改正というような問題について、いつごろまでに検討してもらいだいとかいうようなことがなければ、五年先、十年先に出るようなことでは話にならないと思うのです。その点、委員のそれぞれの任期の問題もあるでしょうけれども、その辺の腹づもりとして、あるいは来年とか、あるいは二年後には何とか答申をもらいたいのだとか、それを受けて大蔵省も結論を出すのだとかいうような、一つの結論のめどといいますか、その時期について腹づもりがあると思いますが、その辺はどうなんですか。
#9
○高橋(英)政府委員 まあ広範な問題でもあり、また銀行法そのものだけを取り上げましても大変大事な法律でございますので、拙速というようなことは私どもはいたしたくないと思っておりますが、さればといって、五年、十年というのはもちろん論外だと思います。調査会の委員の皆様方の御協力ということがまず第一に問題になるわけでございます。その委員会といったようなものを月何回のペースで開けるかというような問題もございますが、あえて申し上げますと、私は、ことしの通常国会には間に合わないのじゃないか、しかし来年の通常国会までには出してもらいたいなというような感じでおります、私の感じは。
 ただ、そういうことを申し上げますと、この前も問題になりました週休二日の問題を先にやったらいいじゃないかというような話は出てくるのかもしれません。その辺は、まあ週休二日の条文だけの問題ですと、先日も申し上げましたように、その部分だけでしたら簡単にできることでございますから、情勢の推移を見て、それだけ飛び出していくということはあり得るとは思いますが、銀行法全体を仕上げるということでございますれば私は審議に最低一年はかかるという感じでおりますので、まあ来年の通常国会に出せたらいいなあ、こういうのが私の個人的な感触で、これで調査会の審議を縛ったり何かするということまでの影響を持ちたくないと思いますけれども、そういう感じでおります。
#10
○野田(毅)小委員 来年の通常国会に間に合わせたいということは、少なくとも一年後には答申をもらいたい、そういうような前提で調査会の審議日程を組んでいくというようなことだろうと思います。
 そこで、最近、金利の弾力化についてあちらこちらでいろいろな文章が出ておるのですが、先ほどの御説明の中でも、当然今度の諮問事項の中に含まれておる。特に金利調整法ですか、これがいま問題になっております独禁法改正で問題になっておりますが、この臨時金利調整法によってある程度金利に対する歯どめがかかっておる、このままではいかぬじゃないかというような事柄もあると思いますので、当然これはこの諮問事項の中に入っておるというふうに考えておっていいわけでしょう。
#11
○高橋(英)政府委員 銀行法を中心に御審議をしていただきますれば、当然その臨時金利調整法のあり方についても議論になるということは予想されますので、そこで諮問は「並びにこれらに関連する事項」と、こういうふうに広く書いておきましたのは、そういう場合もあり得ると思いまして書いておいた次第でございます。
#12
○野田(毅)小委員 特に最近いろいろな銀行批判が集中してきておるのですけれども、これは必ずしも制度面というような問題だけじゃなくて、むしろ業務運営の問題とかあるいはサービスの問題とか、そういう実務的な面での方法の改善といった問題に起因することがかなり多いような気もするわけなんです。そうした点で、そういうようなことも含めて銀行の社会的責任ということ――よく抽象的には企業の社会的責任とか金融機関の社会的責任とかいうような言葉が使われておるのですが、どうも必ずしも特定の概念といいますか考え方というものがすっきりしていない。何か抽象的に、都合のいいときにだけ社会的責任というものが出てくるという気がするわけなんです。
 そうした中で、特に抜本的にこういう金融政策を再検討しようというときにあたって、その社会的責任ということについて大蔵省として一番頭においておられるような事柄、幾つか大きな項目だけでもいいですけれども、これはどういうことなんでしょうね。
#13
○高橋(英)政府委員 大変むずかしい御質問なので、私、いまそれにお答えできるものを持ち合わせていないと言うとおかしいのですけれども、社会的責任というような抽象的な言葉でいろいろなことを言われますが、それはもちろんその主張する立場の方々で具体的には内容が違っておりますので、私は社会的責任というものをどう感じておるのか、こういうことなんですが、それはやはり金融機関が本来この世の中に存在を許されておるその基本的な原点、つまり大衆から預金を集めてそれをまとめて有用な方向に融資をするというのが基本的な業務といいますか責務でございますから、その上よく言われております、その預金は必ず返るように安全でなければいかぬ、健全でなければいかぬ。つまり預金者保護といったような問題と、それから公正な、健全な資産運用といったようなものに尽きるのだろうと思います。それが抽象的であり過ぎるというようなことかもしれませんが、時代を通じて言えることはそういうことではないか。
 もちろん、いま野田委員がおっしゃいましたように、銀行の窓口とかそういったところでいろいろなトラブルが起きたり、預金獲得競争があったり、あるいは歩積み両建てといったようないろいろな業務の運営ぶりについての御批判といったものも、原点に立って反省すればなくなっていくといいますか、そういうような話なんですが、その辺の認識が役職員に薄れてくるとそういうことになるのではないか、私はそんなように考えておる次第でございます。
 それから、先ほど私ちょっと一年後に必ず答申をもらいたいというふうに受け取れるような発言をしたのですが、これは本当にまだわかりませんことですから、私が何か一年後に答申をもらうのだというふうに言ったというふうにはおとりにならないようにお願いします。
#14
○山本小委員長 いま社会的責任ということが出ましたが、順次後の方に発言していただきますが、いまの問題で何か御意見がございましたら……。
#15
○村山(喜)小委員 私はいいです。
#16
○山本小委員長 いいですか。では野田君どうぞ。
#17
○野田(毅)小委員 いまのは大蔵省としての希望であるというふうに受け取っております。それはもう当然のことであって、一年後に大蔵省が欲しいと言ったって出ないものは出ないでしょうし、それは当然のことだろうと思います。
 余り私一人ばかりやってもいかぬから、これで終わります。
#18
○山本小委員長 村山喜一君。
#19
○村山(喜)小委員 ちょっと二、三お尋ねをいたしておきたいと思うのですが、いま金融制度調査会の審議の模様についての御報告をいただきました。今度は委員が二十名、臨時委員が十一名ですか、任命をされているようですが、臨時委員の中に宝樹さんとかあるいは滝田さんとかというような労働界の代表も入れまして、非常に幅の広い論議が行われることはきわめて結構だと考えております。
 しかし、この委員と臨時委員というのはどういうふうに違うのか、同じような責任と発言力を持っているのかどうか、専門的な委員という形で専門領域についての発言だけしか聞かないのかどうか。ここら辺について委員の選任についての何か基準というものを決められた背景がありましたら、それをまず説明願いたい。これが第一点です。
#20
○高橋(英)政府委員 金融制度調査会設置法に、この委員は「二十人以内で組織する。」というふうに書いてあるわけであります。そして「特別の事項を調査審議するため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。」こうなっておりまして、法律の上で委員の数が二十名と限定されておりますので、いわば正委員というのは二十名選ぶより仕方がない。二十名では手不足でございますので臨時委員というものを追加して選任したわけでございます。委員の任命の基準というものも法律に書いてありまして、金融制度調査会設置法の五条でございますが、「委員は、金融又は産業に関して深い知識と経験を有する者その他学識経験のある者のうちから、大蔵大臣が任命する。」こう書いてございまして、ここに選ばれました人たちはすべてこの条件に合致しておる人たちということでございます。それから臨時委員も正委員も権能的には差がございません。
 それから、今回五月十四日に新メンバーになったのでございますけれども、従来とかく金融制度調査会の委員の構成につきましては、大蔵省のOBだとか金融機関だけでけしからぬじゃないかというような御批判もあったものですから、ただいまお話がございましたように、労働界に見識を持っておる方、あるいは個人消費といいますか消費者的なサイドというような方々、あるいは中小企業、こういった方々、それから今度の場合は法律改正というような具体的なスケジュールが後にございますので、法律学者といったような人たちに入っていただくことを考えて人選をいたした次第でございます。
#21
○村山(喜)小委員 そこで、審議の見直しの対象は、銀行法であるとか日銀法であるとか金融関係法、それから政府系の金融機関のあり方の問題まで論議をされることになるだろうと思うのですが、中心は銀行法と日銀法ということになるだろうと思いますけれども、先ほどの説明では当面は銀行法の審議からやっていったらどうだろうかというようなことで取り組んでいらっしゃるようでございます。
 そこで、途中で年内の段階で中間報告というような形のものが予想されるものは、例の週休二日制度の問題やあるいは商法改正に伴います事業年度の変更というような技術的な整理の条文ですかね、こういうようなものは中間報告という形で出される可能性があるのかどうか。それともやはり、全体的な論議をした中で基本的な方向を決めたその内容を初めに出すつもりであるのかどうか、その審議の方向づけというものを大蔵当局はどういうふうに考えておられるのか。諮問をして答申を求めていらっしゃるわけですから、その考え方を説明願っておきたいと思うのです。
#22
○高橋(英)政府委員 この点は大蔵当局として決まった考えを持っているということではございませんと思います。銀行法を中心に議論をしていくわけですが、その議論の進め方あるいは進みぐあい等が一方にございまして、一方に週休二日制あるいは決算年度の変更といったようなものを急がなければならぬということになるといったような二つの問題、それを調査会でどういうふうに判断するかということにかかってくるのだろうと思います。したがって、私は、この辺のことはいまから断定的に私が申し上げるということはちょっとむずかしい問題であると考えております。
#23
○村山(喜)小委員 それは断定的に言えないだろうと思いますが、週休二日制の問題は五十一年度から政府の公務員関係についてもやろうではないかというような動きが出ているわけですから、避けて通ることはできないだろうと思うのですよ。そういうような意味で、業界の方でも週休二日制度という問題については前向きで取り組んでおるわけですから、やはり中間の報告という形で出さざるを得ないのではなかろうかとわれわれも思いますし、そういうような方向に行くことを期待しているわけです。
 そこで、金融制度の改正という問題を考えてみますと、検討の対象というものはどういうところの範囲を考えておいでになるのですか。たとえば日銀の金融調節の機能とか、あるいは金融機関が持っておる貯蓄機構とか、あるいは資金の適正配分の問題といったようなものを金融制度改正の検討の対象として据えながら制度改正の論議をしていくのか。それと同時に、金融政策の目標というような問題もあわせて論議をされていくことになるでしょう。そういうような点はいかがですか。
#24
○高橋(英)政府委員 これもまた大変むずかしい御質問で、御質問の趣旨をあるいは取り違えたお答えになるかもしれませんが、銀行法がどういう銀行法になるのかという問題かとも思います。
 現在の銀行法は、御承知のように組織法であり、監督法であるというふうに言えるかと思います。それだけではいかぬではないかという声のあることも確かでございます。つまり、行動法といいますか機能法といいますか、そういったようなものも加味して議論したらどうかといったようなこともあるのだろうと思います。恐らくどういう形の銀行法をつくるかというようなことの議論が進行してまいりますれば、そういう機能、行動といったようなものについての条文も書くべきではないかという意見は当然委員の中から出てくるでしょうし、それは書くに及ばずといった意見もあるでしょうし、これはちょうどただいまの銀行法が大正の末に議論されましたときにもそういう議論はあった、こう聞いております。それはどういう形に落ちつきますか、いまから私が予言するわけにはまいらないのではないか、こう思っております。
#25
○村山(喜)小委員 そうすると、銀行法改正についてはわれわれもその見解を出して、各党それぞれいろいろな意見を出しているわけですが、それを受けて大蔵省あたりでも、ずいぶんいろいろな雑誌あるいは「ファイナンス」あたりにもわりに責任度合いの軽い人たちが重要な問題を論議されておられるのを拝見するわけです。いろいろ時の問題としてこれが話題になっておるわけでございますが、もう改正に対する基本的な論議等は、資料を提供して一切金融制度調査会の委員の方々に一任をしよう、こういうような基本的な構えですか。
#26
○高橋(英)政府委員 調査会の御意見を尊重しなければなりませんけれども、われわれの方も実際勉強をしまして、一つの考えなり何なりをだんだん持っていくのだろうと思います。
 ただ、いまのところは、私どもも政党の皆様方がお出しになっている御意見、あるいは学者あるいは評論家たちの御意見といったようなものを広く伺いながら、われわれも勉強を進めていくということが現在の状態なんだと思います。したがって、審議の進行だけに任しておいて私の方は全く勉強しないということではないと思います。私の方もこれから鋭意勉強していきたいと思いますけれども、大変な問題でございますので、いまこの問題についてはこう考えておる、この問題についてはこう考えておるというようなことを公にするだけの自信がないといいますか、そこまではやっておらぬ。それからまた、そういうことがあるいはかえってマイナスになるのではないかというようなことではないか、そのように考えておるわけでございます。
#27
○村山(喜)小委員 きょうの論議をどういうふうに進めていくかということで委員長にちょっと聞いてみましたら、金融制度調査会が発足したので、これについてしぼった形で論議をしてもらいたいというような話でございますから、当面しているいろいろ具体的な政策の問題はまた他日に譲りたいと思いますが、大体そういうようなことでいろいろ内部でも検討をしていらっしゃるということでございますけれども、それはどういう視点からこの際金融制度改正という問題を点検すべきだというような方向は、内部的には意見としてまとめていらっしゃるものはないのですか。
#28
○高橋(英)政府委員 まだまとめてはいないのでございます。
#29
○広瀬(秀)小委員 金融制度調査会にいろいろ今度諮問をされる、その中に、私はずばり言いますと、労働金庫の問題が入りますか。
 いまや雇用労働者の数は三千六百万あるいは四千万に近い状況になっている。就業者の中で一番多い階層だと思うのですね。そういうように非常にウエートが増大している階層、その者に向けての金融機関という形で労働金庫は今日まで発展してきたと思うのですが、今日ようやく一兆円を七百億円ぐらい超したかという資金量というか預金量、そういう状態になってきているわけですね。これからの時代は、経済全体が高成長あるいは産業優先、生産優先というような時代から福祉時代へということである。そういう場合には、そういう非常に広い、数多い雇用労働者に特別な金融機関というものが対応していかなければならないし、新しい時代の要請である福祉、消費、特に個人消費比率が日本の場合に、これだけ高度成長したにもかかわらず先進諸国よりはまだまだ低い、五〇%あるいは昨年あたりから四九%台に落ちているのではないかと思われるような面も絡んで、やはり福祉金融、消費金融というようなものが新しい時代においてはもう少し見直されていかなければならないだろう。そういう一つの大きなターニングポイントというか、そういう時代を迎えておるんじゃないかと思うのですね。
 この問題については、いま具体的な生臭い問題としては全国統合という問題もありますけれども、大局的な問題としてそういうところに視点を合わせて、こういう金融機関の発展ということがこれから十分図られていかなければならない時代を迎えているんじゃないか、こういうように私ども思うわけなんです。そういう点で、今度の諮問された中で金融制度全般ということもあるわけですから、銀行法が中心になるというその中ではあるけれども、金融制度調査会等においてそういう問題についての議論をしていただくということは、問題を一歩前進させることになるだろう、こういうように思うのですが、そういうことなんかについては一切議論になりませんか、あるいは議論をしてもらうという気持ちはありますか。その点だけひとつ聞きたいと思います。
#30
○高橋(英)政府委員 これは議論になりませんということでございませんで、銀行法をやっていきますれば、その周辺にある、先ほど私が列挙した法律、その中に労働金庫法が入っていなかったわけでございますけれども、あれは例示として挙げたわけでございまして、あれだけに限定するということじゃございません。したがって、つまり普通銀行と専門的な金融機関との関係とかあり方とかいうことは、私はいつの日か議論にはなってくると思います。その場合に労働金庫は取り上げませんということではないと思います。
#31
○広瀬(秀)小委員 いま私はそういう労働者というか特に雇用労働者が中心になってつくっている労働金庫に対して、福祉と消費生活の向上ということを含んでこれを大きく伸ばしていくということが必要ではないのかという問題提起をしながらちょっと伺ったわけなんです。私がそういう提起をしているのですけれども、そういう方向については前向きに取り組んでいくお考えか。制度調査会でどういう議論をされるかは別にして、少なくともここでは大蔵当局、銀行当局としてどういうようにお考えになっているか、一言聞かしていただきたいと思います。
#32
○高橋(英)政府委員 先ほど諮問のバックグラウンドというようなところで申し上げましたように、福祉といったようなものあるいは消費者といったような視点の高まりというものも、今回諮問をするバックグラウンドであるということを申し上げましたが、当然従来より以上にこういった問題には関心を持ちながら議論を進めていただきたいというふうに考えております。
#33
○武藤(山)小委員 銀行局長、銀行局で考えている銀行の社会的責任というものの中には、たとえば具体的にどういうものが項目として考えられるか。専門家の皆さんが検討している社会的責任の内容として、たとえばこんなものが考えられるというものをちょっと列記してみてください。
#34
○高橋(英)政府委員 銀行の社会的使命といいますか、公共的責任といったようなものを申し上げますと、これは欠けていることもあったりするので、不十分な答弁かとも思いますけれども、一応考えられますのは、預金者から預金を安全確実に預かる、つまり第一は、やはり預金者の保護といったようなことだと思うのでございます。それで第二は、信用、秩序というものがございます。これは経済の活動の基本になるわけですから、信用、秩序を維持していかなければいかぬというようなこと。それからせっかく免許を受けて銀行業務を営んでいるわけでございますから、そしてまた資金といいますか資源といったようなものは限界があるもので、無限のものではございませんので、それを国民経済の健全な発展のためにより役に立つように配分するように心がけるということ、それがひいては国民生活の向上、あるいは福祉の水準の向上に役立つのではないか、そのようなことかと思いますけれども……。
#35
○山本小委員長 荒木宏君。
#36
○荒木小委員 いま制度の基本的な見直しということが問題になっておりますけれども、金融制度、金の問題について、国民の立場と申しますか預金者の立場から言えば、一番大きいのはインフレの問題ではないかと思いますね。預けた金が価値どおり返ってこない、これは現在の局面としては一番大きな問題であり、それに対処するとともに、将来どういう制度がいいか、どういう法改正がいいか、こういうことになろうかと思うのですが、もちろんこれは単に金融政策の分野だけではございませんし、全体の財政金融政策、広くインフレ対策の中で総合的にとらえられるものだと思うのですが、と言って、金融政策、その中の金融制度は重要な一つの部分でありますし、決して無縁ではない。
 また、ひとしきり目減り補償の論議がありましたけれども、いまそういう角度から言っておるのではなくて、ちょうど諮問されたこの機会に、昭和の初め以来続いてきた銀行制度、これが預金者保護というか、インフレ対策に対してどのような対応をしたのか。これは制度としては、たとえば通貨の発行量から言いますと、一番もとの元栓の問題がありましょうし、それからそれを受けてパイプの問題がある。太い細い、どっちを向いているか、あるいは蛇口、末端店舗等の問題、こういう点で現在の行政当局にどのような反省とか――そういうふうなことを言うのは言葉としてはどうかと思われる点がありますけれども、この四十年近く続いてきたいまの銀行法がインフレに対してどうであったかということについての御意見を若干伺わせていただきたい。
#37
○高橋(英)政府委員 いま荒木先生の御指摘の点、最近のいろいろな問題でそれぞれ問題としては言えることかと思いますが、昭和二年にできて三年から施行されておる現在の銀行法が、インフレあるいは価値の目減りといったようなものに責任があったかというか、現在の銀行法が不備なるがゆえにそういうことになっているのかという御指摘かと思いますけれども、現在の銀行法はそういった問題に関してはいわば中立である。つまり、現在の銀行法には何もそういうことは書いてないといいますか、もっとも書いてないからこうなったんじゃないか、責任があるんじゃないかというような論旨の組み立て方だと関係はあるということなのかもしれませんが、現在の銀行法はむしろ中立の法律ではないかと思っております。
#38
○荒木小委員 いまの銀行法ができましたときに、私の聞いておりますところでは千二百八十六行あった。ずいぶんたくさん各地に銀行があった。それを資本金百万で切ったということは、当時としてはかなり高い金額だった。ですから、四年ほどの間に、記録によりますと四百四十ほどが淘汰、合併、整理をされて、だんだん規模の大きいものに収斂されていったと思うのです。いまの銀行法が当時そういうふうな役割りを果たしたということは、客観的に言えるかと思うのですね。
 また、その方向を引き継いで、たしか昭和十一年でしたか、馬場さんが一県一行主義ということをおっしゃって、小粒が集まっても横綱にはなかなか太刀打ちできぬぞということで、これまた銀行法運用の中でさらにずっと整理されていった。
 また、四十年代の初めに例の二法が出ましたときに、当時の澄田局長さんでしたか、国会での御説明では、効率化、スケールメリット、資金コストを低くしていくということで、いま銀行法並びにその制度運用について、現行法制定以来の四十年を見ますと、そういう形でずっと規模の利益を追求してきた。その節々に公債発行がからんでいる。昭和十一年には公債政策の運用ということが論議されましたし、それから四十年代の初めは例の建設公債発行というときですから、そういう中でパイプがずいぶん太くなっている、つまり巨大銀行がずっと発達をしてきた。
 そこのところの資金需要に対して日銀はどういう態度をとってきたか。これは先ほど、日本銀行法も見直しの対象の中に関連で入っている、こういう話があったのです。そうしますと、現在の発行限度のあり方、弁の調節、この仕組み、作用がインフレに無縁であったか。むしろ例の外貨のことも含めての過剰流動性のことを論議されたのですけれども、あのときはいろいろな意味でオーバーローンがずいぶん取りざたをされました。
 ですから、ある人に言わせると、日銀は、野球にたとえれば、いつも銀行という内野手のカバーに回っている外野手だといいますかね、もう常時出動、常時援助で、その間に、これはよくないから場合によっては切るとか、そういうことがなかったのではないか。そして、大量に、必要に応じてという括弧づきで高度成長用の産業資金が提供されて、一方、間接金融にずっと偏っていきますから、全体として見れば、預金者の方は預けて価値どうりのものを返してもらえないかわりに、その金が、たとえば公害企業などへの産業資金提供となって、今度は逆に環境上苦しめられるといいますかね。個々の企業がどうだというのじゃないのですよ。全般のあり方としては、どうも四十年間そういう方向がずっと続いてきたのではないか。
 そうだとしますと、たとえば銀行法改正に当たって、いまは百万円というのは問題になりませんけれども、その当時、資本金規模をどうするかということが一つの政策目的として法律条項になっている、また、そういう中で日銀がバックアップに回って大変な論議になったということから言いますと、いわゆる銀行の社会的責任ということ示そういうことに絡めて論議されることじゃないか。つまり、当時の法改正のときとか、あるいはその後の論議を見ましても、大きくなることは安全であります、預金者も安心して預けてもらえるんです、こういう説明がずっとあるのですね。ところが、その安全性という看板が、実は預金者の方には、価値の上から見たらちっとも安全でなかった。
 ですから、銀行の安全性と営利活動、一ころ貸し出し競争がありましたけれども、そういったこととのうらはらの関係も含めて、いま見直しという話で諮問されておりますから、長年金融行政に携わっていらっしゃった皆さんとして、そういう点について過去を振り返ってどうお考えか。私は、中立ということだけでは済まされぬように思うのですがね。現に銀行法の中に資本金を規定し、日本銀行法の中に百円限度の問題も取り入れておるのですから、制度の問題として御意見があればひとつお聞かせいただきたいと思います。
#39
○高橋(英)政府委員 大変広範な御指摘でございまして、御指摘はそれなりに論旨一貫されておるようで拝聴いたしたわけでございますが、現在の銀行法の資本金の規定が百万円というのは、今日から見れば非常に些少なものであるけれども、当時としては非常に大きなものであって、実はそれが、当時千以上あった銀行にとっての一つの過酷な条件であって、銀行の整理統合に役立ったということは否定できないことでございます。ただ、そのときに、大きくなればいいのだ、スケールメリットだということが主であったかどうか、その辺はよくわかりませんけれども、ちょうど第一次大戦後のブームから金融恐慌的なことが日本全国に広がりまして、銀行の倒産というようなことがばたばた起きておったときでございますので、銀行の倒産は社会的に大変な悲劇である、そういうことはまず何としても避けなければいけないという使命感から、現在の銀行法のこの部分はでき上がっているというふうに了解しているわけでございます。
 その後、一県一行主義云々というふうになりましたのは、忌まわしい戦時経済に入りまして人手不足ということもあり、先ほど私が申し上げました普通銀行等ノ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ノ兼営等ニ関スル法律、これはむしろ人手不足から銀行の統合を目指した法律であったということで、結果としては巨大化あるいはスケールメリットということを言ってきたのだと思います。ですから、戦前あるいは戦争中のあり方と戦後の銀行のあり方とはちょっと違ってくるかと思っております。
 終戦時に銀行の数が百以下まで減っておったと思います。昭和二十五年でございますか、当時池田大蔵大臣だったと思いますけれども、池田大蔵大臣が、一県一行主義はこれからやめるという宣言をされまして、それで、そのころから東北銀行とか筑邦銀行、富山あるいは東京都民、北海道、大阪、泉州、池田というようなのができてきました。事実上それは一県一行主義というものの持つまた弊害がございまして、つまりニューエントリーのないということから特権の上にあぐらをかくということから、やはりニューエントリーもあり得るのだという体制にしなければいけないということで、一県一行主義の廃止宣言をしたわけです。
 ところが、一方、昭和二十六、七年ごろ、相互銀行、つまり無尽会社、信用組合というようなものが相互銀行、信用金庫というようなものに脱皮し、それらがまた普通銀行と相並んでいろいろな資金需要にこたえていくということで、この辺がまた急成長をしたということで戦後はやってきたというふうに思うわけでございます。
 しかし、いずれにしましても、これはまた私の公的な意見というとあれでございまして、やや私見にわたるわけですが、そういうわけで普通銀行、つまり銀行法に基づく銀行、それからその他の専門銀行のほかに、いわゆる中小金融機関といったようなものの数あるいは農協、労働金庫といったものまで含めますと、現在の日本の銀行、金融機関の数というものは少し多過ぎるのではないかという感じは持っております。この場合に、多ければ整理すればいいじゃないか、こう簡単にはいかないわけで、今度の金融制度の論議をする上においてもそういった問題も出てくるのではないかと思います。
 その場合にどういうような方向づけが出されるかということでございますが、何しろ現在ある金融機関というものはそれぞれ使命を持ち、それぞれの役割りを何がしかといいますか、大いに果たしておるわけでございますから、白紙に絵をかいて制度論をするのじゃなくて、戦前から言えば百年ですが、戦後だけでも三十年たった一つの基盤があり、実績があるものですから、これをどういうふうに今後の五年、十年、二十年といったものに適合するように仕組みを考え、直していくかということはかなりむずかしい問題だろう、こう思っておるわけでございます。
#40
○荒木小委員 これは小委員会の運営がよくわからないのですけれども、決していわゆる論争というものじゃなくて、制度見直しのときに一番大きな問題は預金者保護、インフレに対処する、そして預金価値を保証する、そのために制度運用として見直しの余地は果たしてないのか、こういう問題提起をしておるわけでございますから、何も白紙の上に絵をかくというようなことじゃなくて、従来の経過、結果を見てそういう点が指摘できるのではないか。現にいまの銀行法提案のときの記録によりますと、銀行規模の伸長、それから預金者の保護、こういったことを初め六項目提起されておりますので、そういった掲げられた課題といままでの経過を見て、この点はぜひ今後も十分検討さるべきではないか、こういう問題提起なんです。そういうように御理解願って、ひとつ今後の取り組みを要望したいと思うのです。
 関連して、日本銀行の性格についてはいろいろ論議されておりますし、時間の関係がありますから端的に一言お答えいただければと思うのですけれども、兌換停止の条件の中で発券銀行になっている。これはまあ特権だとされているのですけれども、一方では出資者に対する配当があり、それから経理操作などは、先日の例の法人事業税の問題に絡んでいろいろお伺いしますと、一般の銀行ともう全く同じようにやっている。ただ、最後の納付金の問題は違いますけれどもね。そうだとしますと、発券行為はこれは営業活動になるのか、そういう側面もあるのかどうかですね。それにからんでいろいろな問題がありますけれども、その点のお考えを少し伺っておきたいと思います。
#41
○高橋(英)政府委員 発券行為が営利活動になるのかという点ですが、日本銀行が銀行券を発行いたしますと、これはやはりもうかるわけですね。それは単純に言いますと、銀行券の券面とコストの差というものがもうかるわけでございますが、これはもうけを目的として発券しているのではなくて、発券すればそれだけのもうけが出る仕組みになっておるという事実ではないでしょうか。
#42
○荒木小委員 仕組みの概略は私も承知しておるのですけれども、いま見直しという際にそういった性格といいますか、インフレに対処するということも含めての性格、それから目的条項は絶えず論議されておりますからあれですが、四十二条、四十三条あたりを見ても、第一条だけでなくてやはり国家目的ということになっておるわけですので、その辺の性格は一口で言えば法律的には特殊法人、こう規定されておるのですけれども、これはこの際ひとつ行政当局の方でも、調査会審議と相まって御検討を期待したいというふうに考えておるのです。
 それからもう一つは、きょうのテーマが金利政策ということですからそれに触れてお尋ねしたいのですけれども、たとえばその中の主要な一つである公定歩合操作などは、確かに景気対策としての意味合いは多いにあると思うのですね。これは循環の立場から言いますと、どのようなたてまえをとろうとも、どのように締めるとか緩めるとかいうことはやはりころ合いを見計らって論議をしなきゃならぬ性格のことだと思いますが、同時に、いま出ておる金利の自由化とかあるいは弾力化という論議に絡んで、それがどのような階層、業種、規模といいますか、どのようなところへどのような質の資金が流れていく結果になるか、この見通しですね。
 私ども中小企業やたくさんの国民からお話を伺って、御案内のように倒産の件数もそれから業績も、事細かに申し上げるまでもなく大変苦しい状態になっておる。もちろん、きわめてミクロ的に見ますと、そのときそのときの動きがありますから、前期に比べてあるいは前旬に比べてどうだこうだというふうに論議しますけれども、全体として非常に苦しい時期にある。そうすると、安くて有利な資金を供給してほしいという中小企業、農業あるいは消費者の要求というのは非常に強い。それがまた生活防衛にもつながるし、日本経済の非常に重要な部分を占めている。ですから、そういう中でこの金利の自由化、弾力化ということがプラスに働くのか、マイナスに働くのかですね、その行方といいますか、そういう問題について少しお見通しをお聞きしたいと思うのです。
#43
○高橋(英)政府委員 金利の問題でございますけれども、いわゆる自由化といったような問題、これは貸出金利はもとより預金金利まで完全に自由競争に任せたらいいではないかというような議論をなさる方はあるいは少ないのじゃないかというふうに思うわけでございます。完全に市場のマーケットメカニズムに任していいものであるかどうか、私はそうは思っておらないわけでございます。
 ただ、日本の金利政策につきまして非常に指摘されましたことは二つございまして、一つは、この戦後の復興成長期にかけて実際以上に低金利政策をとったのではないかということ、それからもう一つは、金利を動かすのに非常に憶病であって硬直的な運営をしておったという指摘。これはいまの時勢になってまいりますと両方とも反省すべきであろう、こう考えるわけでございます。特に荒木委員の御指摘のようなことは、むしろ経済の論理といいますか、金融の論理から言いますと大口ほど安いという、あるいは預金で言えば大口ほど高いというふうにほうりておけばなっていくわけですね。しかし、それはいまの日本の現状からしておかしいではないかということになって、むしろひねらなければならないということがあろうかと思いますので、私は自由化ということが、耳ざわりのいい言葉ではございますけれども、むしろ弊害の方が多いのではないか、これは全く私見でございますけれども、そう考えておるわけでございます。
#44
○荒木小委員 もう一言だけ。
 私は自由化ということを主張しているのでは決してありませんので、誤解はないと思うのですが、いまお話しの低金利政策、それと逆に硬直化している一面、確かにそれぞれの面があると思うのです。しかし、低金利政策で豊富な良質の資金を提供したというのは、やはり産業分野といいますか、そうした高度成長の分野にそういったものが流れていって、逆に預金金利の方はむしろ硬直であった、そういううらはらの関係になっているのじゃないかと思うのです。
 ですから、同じ産業分野でも、たとえば実質金利を見ますとどうしても中小規模のところ、あるいは規模にかかわらず劣後的なところ、ここはハンディがある。そういう格差が出ておる問題を回復するといいますか、あるいは局長もカバーする趣旨のことをおっしゃったと思うのですが、そういったことが広い意味での金融政策の今後の理念、金利の進むべき一つの旗印といいますか、こういうことも考えられるべきではないか。福祉金融と言いますと非常に限られた社会保障的な意味でとらえられておるのですけれども、言っておりますところは、産業資金の適切な供給ということもさることながら、それとあわせて先ほど言いましたような十年、二十年あるいは三十年の間の、先ほど局長が言われた意味をもう一ひねりした過去の事実に対する見方の検討をこの制度の見直しのときにひとつ期待したいというふうなことを申し上げたかったわけであります。
#45
○高橋(英)政府委員 御指摘のような点、確かに謙虚に反省して今後に向かっていった方がいいと思います。何と申しましても通貨価値の維持といったようなことはあらゆるものの根本ですから、そういうことはあくまでも中心にならなければならぬと思います。
 産業金融に偏したではないかということですが、これもそういう御指摘もいまではあろうかと思いますけれども、しかし、資金を配分する場合にどういう部門にということの割り振りというのはあくまでも相対的な問題でございますので、その相対度が従来よりは今後は変わっていかなければなるまいということは言えるのだろう、こう考えておるわけでございます。
#46
○荒木小委員 ですから、中立というよりもむしろしもべであったのではないかというふうなことで申し上げているので、個々の今日的な問題その他は、いろいろお聞きしたいことがありますけれども、またこの次にして、これで終わります。
#47
○山本小委員長 広沢直樹君。
#48
○広沢小委員 先ほど銀行局長の方から、今回金融制度調査会に対して諮問をしたその報告がありまして、具体的には銀行法の改正その他関係法令の制度を見直す、こういうことであったわけですが、私の方も一応具体的に改正要綱といいますか、これをすでに発表してありますし、きょうは時間の関係もあって一つ一つの項目についてお伺いしても、これは諮問中でありますから、その調査会の答申を待ちながら論議を重ねていかなければならぬ問題だと思うのです。
 方向としては、ある雑誌のインタビューで佐々木調査会長も、余り長い時間をかけるわけにはいかぬだろう、先ほど局長が申されておったように、来年の通常国会あたりができるだけのめどじゃないかという話ですし、局長もそれが望ましいというお考え方のようであったので、私はむしろその背景になっている考え方、やはり法令改正をするとしてもそういう制度の時代的な背景から考えていかなければ適正を欠くと思うのです。
 そこで、現在の金融制度、これは新たな観点から見直していかなければならない。今日経済が福祉志向型経済ということですから、すなわち金融制度の方も、いままでの金融機関の効率といったようなことをポイントに置いた行政から福祉金融行政、まあ福祉と言えば非常に幅が広いのですが、福祉社会の中における金融のあり方といいますか、そういった面にウエートを置いて考えていかなければならぬのじゃないかと思うのです。
 ですから、まず諮問されるときの基本的な考え方において、その時代に合った法令の改正というよりも、いままで銀行行政当局がとってきた方針から今日的な要望にこたえた基本的な制度のあり方そのものにやはり変えていく必要があるのではないか。具体的に申し上げますと、従来の産業優先の資金配分から公共的な、あるいは個人におけるたとえば消費ローンまた住宅投資といった部門への資金配分を可能にするような金融制度をつくっていかなければならない。その基本的な認識がどこにあるのか、そしてまたそういった点を含めて諮問をしてあるのか、その点の考え方をまずお伺いしておきたい。
#49
○高橋(英)政府委員 いま御指摘のようなことは十分配慮しつつ諮問したつもりでございます。
 それから、ちょっと先ほど私が申し上げましたことで間違いだと訂正されたことがございますので……。
 日銀の利得ということで、券面額とコストの差を私は利得だと申し上げましたが、銀行券というのは日銀の負債項目なのでそういうことはあり得ないので、その銀行券のかわりに取得する債券等の利回りとの差が利益として発生するんだというのが正確な表現だそうでございますので、その点を訂正させていただきます。
#50
○広沢小委員 いま私が申し述べた方向で諮問をしてあるということですね。
 そこで、具体的に二点ほど当局の考え方を伺っておきたいのは、すでに御存じかと思いますけれども、信用金庫業界で、小口、零細金融の一層の円滑化を図るために一般国民大衆に対するサービスを強化する、こういう目的でいわゆる業界独自の信用保証機関の設立を進めておるわけですね。その内容も若干伺ったわけでありますけれども、この問題については、国民生活審議会が四十八年に「サービスに関する消費者保護について」という答申を出しているわけです。その中で、「消費者ローンの借入れに際して、消費者は担保および保証人を要求されそのための煩雑な手続、期間を要するのが通常であるが、消費者ローンを生活設計上の必要に応じて、簡便な手続で利用し得るための方策として、一定の条件のもとに消費者の信用を保証する機関の設置等を検討することが必要であろう。」こういう提言があります。
 そういったことにこたえて、あるいは先ほどの基本的な制度の変革から考えていっても、当然こういった制度はより具体的に推進すべきじゃないか。こういう福祉型経済の中における、福祉社会における金融のあり方ということになれば、いわゆる零細あるいは個人あるいは住宅、消費者ローンといったことに十分こたえ得るような基盤をそれぞれの金融機関自身が努力してつくらなければならない、こう思うので、いまのこういう考え方は非常に適切ではないかと思うのですが、その点当局はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、ひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#51
○高橋(英)政府委員 消費者ローン等に対する信用補完をするための保証会社といったようなもの、これは基本的に望ましい方向であるということで、現にいままでも十六社ほどあるわけでございます。信用金庫業界としてもやはりそういうものを持ちたいということで、去る五月の二十七日でございますか、信用金庫協会の総会でそういうものをつくるということになっております。私どもその動きを知っておるわけでございますが、これは方向として望ましいことであり、どうぞおつくりくださいというような態度でおるわけです。
 現在、会社形態でいくのか公益法人でいくのかというようなことでまだ結論が出ていないようでございますが、いずれにいたしましても、信用金庫業界でもこういったようなものをつくるという動きがあり、また私どもはそれを歓迎しておるわけでございます。
#52
○広沢小委員 業界ではいまの組織形態につきましては、いわゆる信用金庫及び信用金庫連合会をもって構成する全国組織の法人、また法人形態としては、信用保証事業の持つ公益性といった見地から社団法人が望ましいのではないか、こういう考えのようなんですね。私どももその趣意書を読み、また形態を考えてみましても、それが非常に適当ではないかと思うのです。これは今後いろいろ検討していって、いまの体制上最も整合性のある形に持っていかなければならないと思うのですが、その点の御意見を聞かせていただけませんか。
#53
○高橋(英)政府委員 公益法人でいくか株式会社でいくかということについて、私の方でどっちでなければいかぬということはやっていないようでございます。ただ、従来できました先例は皆株式会社組織なものでございますので、信用金庫の方もどっちがいいのかなということをいま検討しておるような段階でございます。私どもはどちらでもいいというような態度でございます。
#54
○広沢小委員 いずれにしても、こういうような福祉社会における金融のあり方としては、それぞれの機関がいま言うような、比較的弱い立場にあると言ったら語弊があるかもしれませんが、個人だとか時代的要請の住宅だとか、そういうものに対する信用保証的な制度、いま各県に信用保証協会というのがありますけれども、それに加えて、またそれぞれの機関でもやはりこういう制度を推進していくように、当局におかれても今後行政指導なりどんどんおやりになるべきではないか、こう思うのです。
 それともう一つ、住宅に関係しまして住宅ローンの金利が非常に高いというようなことが一つ問題点になってきているわけなんですが、先回の委員会でもその問題について、住宅ローンの金利を下げてはという議論も行われたわけですが、これは金利を調べてみますと、住宅金融公庫、いわゆる政府機関の貸出金利というのは五・五%ですか、それから一般市中銀行でローンをなにしますと九・何%かになるわけですね。それからその金融機関等でこしらえているいわゆる住宅金融専門会社、これによりますと金利が大体一一・八八ですか、非常に高い。これで十年、二十年、あるいは長くて二十年以上ローンでやってまいりますと、金利負担というものは莫大なものになるわけです。それが今日の住宅政策における一つのネックになっていると言っても過言ではない。
 ですから、公庫住宅の申し込みは受け付けが始まったらその日のうちに締め切られてしまう。ではほかの機関のローンの形態はどうなのかというと、決してそういう状況ではないですね。ゆとりが相当にあるということをこれは物語っているわけです。
 そこで、新たにその時代的な要請にこたえるための住宅専門銀行ですか、そういうような形態をお考えになることはあるのかどうか。仄聞するところによると、当局においてはそういう検討もなされているやに聞いているわけなんですが、その点はいかがですか。
#55
○高橋(英)政府委員 いまの住宅金融公庫あるいは普通の金融機関の住宅ローンの金利、あるいはいわゆる住宅金融会社の金利等についての御指摘はそのとおりでございます。
 住宅専門銀行をつくるのかどうかということでございますけれども、いま御指摘になりましたようなことは、住宅金融専門銀行をつくっても同じことになるのではないか。つまり、住宅金融公庫という財政資金でやっておるところは五・五というようないわば採算を無視した赤字の金利で貸せるわけでございますけれども、住宅金融専門銀行というものを仮に民間でつくりました場合には、やはり五・五とか六とかいうような金利ではとても赤字になってしまうわけでございます。そうしますと、仮にこれが民営でできるとすれば、それにまた財政的な利子補給をするとかあるいは何か非常に安い金利で資金を供給してやるというようなことがないと成り立たないことはわかっておるわけでございます。しかし、もしそういう性格のものをつくるのだとすれば、現在の住宅金融公庫を拡充強化した方がいいのではないかというふうに考えるわけでございます。
 しかし、もちろん根強い、また広範な住宅政策――これには私も一つの意見がありますけれども、それは抜きにしましても、住宅ローンの要請を全部財政資金で賄うということができるのかどうかということになると、これもまた限界があろうかと思います。
 そうしますと、どうしても現在の民間部門に頼らなければならないという、つまり銀行が直接やっておる住宅ローン、それから銀行等の出資による住宅金融会社の金利というものをどうするかというような問題になろうかと思うのですが、銀行の場合に一番ローンの限界になりますのは預金コストでございます。現在預金利回りが六%程度になって、それに経費率を二ポイントぐらい乗せるというのがいまの平均でございましょうから、八分ぐらいのところがどうしても預金コストの水準になっておりますと、無ざやでやっても八分までしか下げられないというようなことになろうかと思います。
 それからもう一つ、別の住宅金融会社の方になりますと、そういった連中から資金を受けて、そしてまた貸しますから一割を超える、一一%を超えるというような仕組みになっておるわけで、将来住宅金融会社等に何か一つの資金調達手段でも考えてやったらどうかねというような感じの答申は前に金融制度調査会からいただいておりますが、そういった問題として今後検討していかなければならない問題かと思うのですが、住宅専門銀行をつくったらどうかという御提案は、先ほど申し上げましたように同じことではないのかなというような感じがするわけでございます。
#56
○広沢小委員 もう時間がありませんからこれで終わりますけれども、やはり諸外国の例を見ましても、たとえば住宅ローンの形態を見ましても、わが国の制度はまだ非常におくれているというか、その面にもっともっと力を入れていかなければならない立場にあるのですね。やっと住宅専門会社というのが四ついまできて、それぞれまた証券会社とかあるいは生保会社とかがその方に努力していこうとしているのですが、どうしてもいまの金利が高くなってしまうというようなことでしょう。これではやはりいまの住宅供給の一助にしようというものがかえって問題が出てくるわけですから、やはりその点の工夫と努力というものが必要じゃないか。
 いまおっしゃったように、住宅会社というのは銀行から融資を受けて、それでまた貸しているという形ですから、銀行の金利よりまだ高くなるというのはこれは物理的に考えてしようがないわけですね。ですから、そこにやはり制度の工夫をすることによって、いま局長も若干いろいろな考え方があるみたいなことをおっしゃっておられましたが、コストを下げることはできるんじゃないか。それはもう確かに政府資金みたいに五・五、住宅政策ということで赤字で逆ざやになっても財投から出しているという、これは政策上のことですから全面的にこれで全部補えということは私も不可能だと思いますので、その点を御研究いただきたいということですね。
 以上、御意見を申し上げて終わります。
#57
○高橋(英)政府委員 先ほど保証会社は私は公益法人でも株式会社でもどっちでもいいと申し上げたのですが、事務当局の方はやはり株式会社の方がいいのではないかという意見を持っておるということを言ってくれ、こういうことで、申し上げておきます。
#58
○山本小委員長 竹本孫一君。
#59
○竹本小委員 それでは、一つは銀行法の改正についてでありますけれども、いままで諮問に対する姿勢の問題を中心にいろいろと同僚議員からも質問があったところでありますが、最近における銀行の姿勢というものが社会的ないろいろ厳しい批判を受けておる。
 一つは、目減りの問題で目減り補償ということだったけれども、いつの間にかわけのわからないものになっておる。実際は四十八年、四十九年の厳しいインフレ過程における目減りをどう補償するかということが問題だったのだけれども、これから一〇%の福祉定期預金をつくるというようなことでごまかしておる。
 それからもう一つの問題は、いわゆるもうけ過ぎの問題で、最近は経済が不景気になったので少し情勢が変わりましたけれども、いずれにしましても銀行の楽なもうけ過ぎ、もうけ方というものがやはり社会の厳しい批判を受けておる。
 三番目にもう一つ問題があるのは、最近の厳しい経済情勢の中でまた歩積み両建て預金というものが物すごく強くなってきておる。そういうやり方を見ておると、倒産なんというものは銀行が倒産をさしておると言ってもいいようなケースもないではないように見受けておるわけです。
 そういう意味で、銀行の姿勢というものがいろいろな理由から、そのほかにもあるでしょうが、厳しい批判を受けておる。こういうときにおける銀行法の改正だから、二つの点の条件があると思うのです。
 まず第一は、相当早く結論が出なければ、みんなが倒産してしまったころに銀行法の改正が出てきたって何の役にも立たない。そういう意味で、すでに質問があったかもしれませんけれども、銀行法改正は当面の金融情勢だけが問題じゃないこともわかりますけれども、少なくとも時局の要請に間に合うように時期的な解決を急がなければならぬと思うが、その点はどうかということが一つ。
 それから、第二の点はその内容の問題ですけれども、いろいろまたこれも御議論が出たと思うのですけれども、結論として、いま目減りや歩積み両建てやあるいはもうけ過ぎ等の問題をちょっと指摘しましたけれども、それらの問題も含めて社会の要請に今度の銀行法改正というものはなかなかうまく適応しておるというふうに見られる内容でなければならぬと思うのです。それが大事な点ですけれども、その大事な内容の問題についてはどこまでの見通しや決意があるかという点が第二点。
 それからもう一つ、第三点は、今度の銀行法改正の問題で金融制度調査会の取り組み方がなまぬるいとか不徹底だとか、また手おくれ過ぎるとかいうような、時期的にも内容的にも問題が非常にそらされてしまうと、銀行国営論というものが当然出てくると思うのです。現にイギリスでは銀行国営の議論が相当活発に行われているような情報もあるわけですが、大蔵省銀行局長は銀行国営というものについてどういうふうに考えておられるか。少なくとも銀行国営論なんというものが出てくる余地のないようなきちんとしたものを間に合うように金融制度調査会に答申を求める決意ありや否や、これを聞いておきます。
#60
○高橋(英)政府委員 第一番の早く結論を出せということ、これはもとよりそういうつもりでおります。ただ、早過ぎて二番目に御指摘の内容が変なものでもいかぬということだろうと思います。ですから、本当に調査会の委員の方々には御苦労であり、また事務局も相当忙しい思いをするとは思いますけれども、鋭意審議を重ねて、そして内容もりっぱなものをできるだけ早く出していただきたい。恐らくこういうことで運営されていくだろうと思います。
 それから、国営論の問題はちょっと困った問題でございまして、私の考えからいきますと、国営論なんという問題が出ないような、りっぱに職責を果たすそういう銀行であってほしいというふうに思っておること、いみじくもいま先生がおっしゃいましたような気持ちでおるわけでございます。
#61
○竹本小委員 それで、第二点はいま申しました歩積み両建ての問題ですけれども、いままでこれは国会でも、大蔵委員会はもちろん、予算委員会においても何度か取り上げられて、ある意味から言えば、われわれはこの問題は解決したと思っておった。それから、大蔵省からいただいた資料を読んでみると、実に至れり尽くせりで、その点は行政事務的には努力は満点だ。しかし問題は、それがどこまで徹底し、どこまで実践において裏づけられているかという問題だろうと思うのですね。
 これは、私が一回大蔵委員会において問題にしたけれども、たとえば、拘束預金があるかないかということについてはこんな事例で報告をしろということを大蔵省が指導しておられる、結構なことです。ところが、拘束預金なしという報告が出ておるのにかかわらず、実際は一千万円から拘束をされておったという例があったので、事実を指摘して大蔵省からも適当に処置を講じてもらったという経験がありました。
 今度、また私がいろいろ偶然の機会に接触したケースで申しますと、極端に言うと、一つの会社が拘束預金のためにつぶされてしまったというような形になっておる。そこで、これはひとつまた大蔵委員会の理事会当たりで提案しようと思うのですけれども、われわれが一遍解決したかと思っておるような拘束預金だけれども、もう一遍この問題を本格的に取り上げてみたい、あるいは委員会の集中審議といったような形で、この国会はもうすぐ終わるから、次の機会には歩積み両建ての今日の情勢に応じた段階においての集中審議を要求しようと私はいま思っております。しかし、そういうことも必要がないように形の上では指導されておるのだけれども、全く内容の裏づけがない、ペーパープランというか、ペーパー指導に終わっているという点でございます。
 きょうは、時間もありませんから、二つばかり伺いたいんだが、一つは、歩積み両建ての問題については、適正な手元流動性についても十分配慮したような行政指導がされておる、いろいろな文書が出て書いてあるが、しかし果たしてそれが行われているかどうかということについて、消費者というか中小企業そのものにどういう調査をしておられて、これがうまくいっておるという結論を得ておられるのか、その辺の点検というものがどの程度に行われておるかということを一つ聞きたい。
 時間がありませんから、あわせてもう一つ。
 そこで、たとえば、いま私が問題にしておる問題は、銀行がある会社に対する貸し付けが七千六百五十万円、ところが、そこが定期に取っているのが四千四百十五万円。この会社は五月につぶれたのだけれども、千百万円ばかりの手形を落とすことができなくてつぶれたんです。そうすると、この銀行は七千六百五十万円に対して四千四百十五万円定期で預かっておるのだけれども、しかも恐らく大蔵省には拘束預金なしと報告がいっておると思うのですね。しかも、一千万ばかりの手形が落ちないので何とかしてくれということで要請したけれども、銀行はがんとして応じない。その応じないという問題が一つだけれども、これはまた後にして、とにかく七千六百五十万円と四千四百十五万円ということは、大蔵省の拘束性預金に関する最近の調査で見ても、表向き七%だとか五%だとかいうことになっていることに比べると、余りにも話が違う。そういう意味で、仮に一つの例として、七千六百五十万円と四千四百十五万円というと六割に近い拘束だ、そして絶対応じないんだから。それは不当とは思えませんかということが一つ。
 それから、こういう場合には、かつて問題になった特殊指定の問題、独禁法だ。独禁法もそういう形でこれがせっかくまた改正ができたのだから、とにかく独禁法というものも、余りにも不公正な取引というものについてはやはり適当に機能しなければうそじゃないか。歩積み両建て問題に関する特殊指定の問題等についていまどういう考えでおられるか、その辺をひとつ。
#62
○高橋(英)政府委員 一番目の消費者といいますか債務者の方の声をどのように把握しておるのかという問題でございますが、私どもが直接中小企業に行って調べるということはできないたてまえになっております。実際はこれは公取の方のアンケートなどが行われておりまして、私どもはそれをいわば企業者側からの声として謙虚に受け取っておるということが一つと、それから、歩積み両建てにつきまして債務者の声も聞かなくてはいけないのではないかということがいまから十年ぐらい前に国会でやはり問題になりまして、そして私どもの方で、そういう窓口というものを設けましょうということになって、各地の商工会議所並びに財務局、財務部といったようなところに、歩積みとか両建てでいじめられておる人はおいでくださいというような体制をとったことがございます。しかし、これがまたなかなか出てこないということでございまして、しっぺ返しがこわい、お礼参りがこわいというようなことなんでございましょう。私どもそういう点では、直接に債務者の声を聞くということについては遺憾ながらむずかしいといいますか、不十分であるというように思います。
 ただ、検査に参りまして、これもまた全国で何千万あるいは億を超える債権債務取引があるでございましょうから、全部見るわけにはまいりませんが、検査に参りましたときには、わざわざ支店の方に抜き打ちに行って、そして債務者のカードを見て、その人の預金の状態というのも調べまして、これは一店で五十人くらいというような抜き打ちでございますけれども、そういうのを見て、これはひどいじゃないかというような指摘をするというようなことをやっておるわけでございます。ですから、債務者の直接の状況というのは、検査で一部分を捕捉してそれで全般を推しはかっておる、こういうことでございます。
 それから、ただいまおっしゃられました七千六百万で四千四百万、一千万を不渡りにしたというのは、伺っておるうちに実に不愉快になりました例でございまして、本当に情けないと思いますが、いずれまた、それはもしあれでしたら調査してみたいと思っております。
 それから、特殊指定の問題は、ある意味では公正取引委員会の方の事項でございまして、私の方がするとかしないでくれとかいうたてまえのものではないと思います。この問題も、実はいまから十年前ぐらいに問題になりまして、当時の銀行局長は現在の公取委員長でございまして、そして特殊指定をやれと言ったときに頑強に反対なさった局長でございます。現在、攻守ところを変えて向こうの委員長をやっておるわけでございますけれども、どうですか、こういうような話をいたしますと、いやとても公取としてできない、こういうことを言っておられます。と申しますのは、債権債務取引というものはいろいろ複雑であり、微妙であり、みなニュアンスが違うので、一律に指定することはできないのだ。それからまた、公取の事務能力でとてもできませんというようなお考えのようでございます。
 その上、なおかつ、これはまた他人様のことを言うわけですが、公取委員長は独自のお考えを持っておりまして、歩積み両建てが起きるというのは、それは金利を下げろ下げろとみんなが言い過ぎるからだというような、だから本当ならもっと高い金利で初めから貸借すればいいのだというような御意見をお持ちのようなことでございますので、ちょっと特殊指定にはなかなかいまはならないんじゃないかというように思っておるわけでございます。
#63
○竹本小委員 一遍に解決する問題ではないし、いまの高橋さんの立場も十年前とは変わったし、それから客観的な情勢も十年前とはうんと変わって、いま問題は特殊指定でもしなければならないような客観的な矛盾が大きくなった情勢かどうかということであろうと思いますが、いずれ改めてこれは論議をいたします。
 きょうはこの辺で終わります。
#64
○武藤(山)小委員 いまのに関連して、一回銀行局で調査をしたらどうかと思う提案なんですけれども、現在元気で生きている企業は歩積み両建て問題もなかなか苦情を申し込まないのですよ。私のところに来た二つの問題も、いま竹本さんの言ったのと全く同じケースなんですよ。
 この間、三正製作所というのが会社更生法の適用になったときは両課長に大変動いてもらって、下請だけは六十軒全部倒産を防いだわけですよ。しかし、その親会社は結局更生法の適用を受けた。ところが、預金の中身を見ると、つぶれなくも済むような預金がいっぱいあるのですよ。しかも三井物産の優良な手形がちゃんと担保に押さえられており、さらに不動産が担保になっていて預金もある。ところが、この会社は危ないなと思うと銀行はその預金を取り崩しさせない。
 だから、一番いいのは、銀行局でごく最近会社更生法の適用を受けた余り大きくない企業の倒産時点の預金内容というものを一回、二、三カ所きちっと調査する必要がある。なるほど銀行というのはこんなに頑迷なのかなということがわかりますよ。会社更生法の適用を受けた企業なら、そう心配ないから本当のことを全部言ってくれるし、資料もあるから、二、三ひとつ調べてみてくださいよ。ぼくはこれが非常に事実を把握する上では必要なことだと思う。
#65
○村山(喜)小委員 それに追加して、私も歩積み両建ての問題では、非常に大蔵省の通達をよく守りまして一生懸命やっているところを知っているのです。ところが、守ったために今度は預金残高が減ってきているのですね。それで、経営の立場に立つ人は、大蔵省の通達を守っていけば預金が減ってくるという現象があらわれて大変苦慮しているとも聞いているのですが、実態の面から言って、預金残高の順番がずっと第一位は何銀行というようにランクが余りにも変動しない、それは余りにも通達が完全に守られていないという証拠ではないだろうかと私は思うのですがね。
 それがもし本当にそのとおりにやるのだったら、がくんと預金残高が減らなければならないというのが実態だと思うのですよ。それが減らないで、順番が変わらないということは、もうただ文章による通達行政に終わっているのではないだろうか、そういうような気がしますので、実際に虫実にやっている銀行と、それから余りよくやっていない銀行と比較をしたようなやつをひとつピックアップしてみて、この委員会あたりに資料を出してもらいたいと思うのです。
 そうでないと、皆さん方が通達は出したが後は一体どういうふうになるんだという実証、検証をやっていないのではないだろうかと思われるような節がありますので、現実にそれを厳格にやっているところとやっていないところと取り上げて比較をする意味において、資料として出してもらいたいと思います。
#66
○高橋(英)政府委員 武藤委員の更生会社や倒産会社について二、三調べてみたらどうかという御提言は、やってみるつもりでございます。
 それから、村山委員の守っているところと守っていないところとがわかるような資料を出せ、こういうことでございますが、同じ程度でございまして、それがわかるような資料はまず出ないと思います。
 ただ、いままさに先生がおっしゃいましたように、歩積み両建ての行政は通達を出しっぱなしということではございませんで、もちろん苦情の申し立てがあったりあるいは検査に行ったりして非常にひどい例が見つかりました場合に責任の追及を厳しくやっておるものですから、そういう目に遭いましたところは非常に恐れて、恐懼して本当に相殺などに精を出しまして、いま先生が御指摘のように、残高で二百億くらい減ったなどという信用金庫もあるわけです。痛い目に遭わぬとなかなか直さぬというような残念な風潮もございますけれども、ややそういうものが昨年あたりから私ども非常に厳しく動き出しましたものですから、一罰百戒的な効果もありまして、整理に積極的になってきたと言うと言い過ぎかもしれませんが、大いに前向きに取り組んできつつあるというふうに私は了解しておるわけでございます。
 ただ、本当にやっているところとやっていないところと何かわかるような資料はないかと言われますと、研究してみますけれども、大体みんな同じ程度に同じようなことをやっているのじゃないかと思いますので、ちょっといまお約束できかねるわけでございます。
#67
○村山(喜)小委員 債務者の定期預金がどういうような動きを示しているかというようなことは大体わかるわけでしょう。
#68
○高橋(英)政府委員 債務者預金比率とかそういうものはわかりますけれども、これも大体四十数%というところで、そうポイントが違うほどにはなっておらないのですね。日本の銀行というのはみんな同じだと思います。
#69
○山本小委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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