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#1
第075回国会 大蔵委員会 第1号
本国会召集日(昭和四十九年十二月二十七日)(
金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
の通りである。
   委員長 上村千一郎君
   理事 大野  明君 理事 浜田 幸一君
   理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君
   理事 山本 幸雄君 理事 阿部 助哉君
   理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君
      伊藤宗一郎君    大石 千八君
      大西 正男君    奥田 敬和君
      金子 一平君    鴨田 宗一君
      小泉純一郎君   小宮山重四郎君
      齋藤 邦吉君    塩谷 一夫君
      中川 一郎君    野田  毅君
      原田  憲君    坊  秀男君
      村岡 兼造君    毛利 松平君
      山中 貞則君    佐藤 観樹君
      高沢 寅男君    塚田 庄平君
      広瀬 秀吉君    松浦 利尚君
      武藤 山治君    村山 喜一君
      山中 吾郎君    荒木  宏君
      小林 政子君    広沢 直樹君
      正木 良明君    内海  清君
      竹本 孫一君
昭和五十年一月二十九日(水曜日)
   午後七時九分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君
   理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君
   理事 山本 幸雄君 理事 山田 耻目君
   理事 増本 一彦君
      越智 伊平君    大石 千八君
      金子 一平君    瓦   力君
      小泉純一郎君    齋藤 邦吉君
      塩谷 一夫君    野田  毅君
      原田  憲君    坊  秀男君
      毛利 松平君    山中 貞則君
      高沢 寅男君    藤田 高敏君
      武藤 山治君    村山 喜一君
      荒木  宏君    小林 政子君
      広沢 直樹君    内海  清君
      竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        経済企画庁国民
        生活局長    岩田 幸基君
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵大臣官房審
        議官      岩瀬 義郎君
        大蔵省主計局次
        長       辻  敬一君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        大蔵省理財局長 吉瀬 維哉君
        大蔵省銀行局長 高橋 英明君
        大蔵省国際金融
        局長      大倉 眞隆君
        国税庁次長   磯辺 律男君
        国税庁直税部長 横井 正美君
        国税庁調査査察
        部長      渡邊 喜一君
 委員外の出席者
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
昭和四十九年十二月二十七日
 辞任         補欠選任
  阿部 助哉君     藤田 高敏君
  塚田 庄平君     横路 孝弘君
昭和五十年一月二十四日
 辞任         補欠選任
  大西 正男君     瓦   力君
  大野  明君     山崎  拓君
 小宮山重四郎君     越智 伊平君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  正木 良明君     坂口  力君
同月二十九日
 辞任         補欠選任
  山崎  拓君     宮崎 茂一君
同日
 理事阿部助哉君昭和四十九年十二月二十七日委
 員辞任につき、その補欠として佐藤観樹君が理
 事に当選した。
同日
 理事大野明君昭和五十年一月二十四日委員辞任
 につき、その補欠として伊藤宗一郎君が理事に
 当選した。
    ―――――――――――――
昭和四十九年十二月二十七日
 銀行法の一部を改正する法律案(広瀬秀吉君外
九名提出、第七十一回国会衆法第四一号)
昭和四十九年分の所得税の臨時特例に関する法
律案(武藤山治君外五名提出、第七十四回国会
衆法第二号)
 は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 小委員会設置に関する件
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 国の会計、税制、金融に関する件(財政金融の
 基本施策)
     ――――◇―――――
#2
○上村委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 先般理事でありました大野明君及び阿部助哉君が委員を辞任されましたので、現在理事が二名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名いたしたいと存じまするが、これに御異議ありませんか。
#3
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、
      伊藤宗一郎君 及び 佐藤 観樹君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○上村委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の会計に関する事項
 税制に関する事項
 関税に関する事項
 金融に関する事項
 証券取引に関する事項
 外国為替に関する事項
 国有財産に関する事項
 専売事業に関する事項
 印刷事業に関する事項
 造幣事業に関する事項の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。
#5
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#6
○上村委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 先般の理事会で協議いたしましたとおり、それぞれ小委員十四名よりなる
 税制及び税の執行に関する小委員会
 金融及び証券に関する小委員会
 財政制度に関する小委員会を設置することとし、各小委員及び小委員長は委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
#7
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員及び小委員長は、追って公報をもって指名いたします。
 なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
#8
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#9
○上村委員長 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、金融に関する件について、来る二月四日午前十時三十分、全国銀行協会連合会会長佐々木邦彦君、全国相互銀行協会会長尾川武夫君、全国信用金庫協会会長小原鐵五郎君の各位に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
#10
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#11
○上村委員長 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、大平大蔵大臣より、財政金融の基本施策について所信の説明を求めます。大平大蔵大臣。
#12
○大平国務大臣 現下の経済情勢に対処する財政金融政策のあり方につきましては、先般の財政演説において申し上げたところでございますけれども、関係法律案の御審議をお願いするに当たりまして、本委員会におきまして重ねて所信の一端を申し上げたいと存じます。
 われわれの目標とすべき経済社会は、人々がお互いに調和のある関係を維持しながら、安心して生活のできる連帯性の強い公正な社会でございます。またそれは、すぐれた国民的エネルギーの開発とその秩序ある展開が図られるような活力のある社会でなければなりません。
 このような経済社会を築いてまいりますため、私は、次の三つの理念を道標といたしまして、今後の財政金融政策の運営に当たってまいりたいと存じます。
 第一は、均衡のとれた発展を図るということでございます。
 今後のわが国の経済は、資源、環境、労働力等の制約を考えてまいりますと、従来に比べまして、その成長テンポを緩やかなものにしなければならないと思います。緩やかな成長のもとで、物価の安定や国際収支の均衡を確保しながら、できるだけ国民福祉の充実に努め、また資源の節約と活用を図るなど、調和のとれた社会を形成してまいることが必要であると存じます。
 このように緩やかな成長のもとにおきましては、従来のような高い歳入の伸びを期待することは困難になってまいりますので、限りある財源の重点的効率的配分に一層留意してまいらなければならないと考えます。金融面におきましては、資金配分の適正化、貯蓄の推進、資本市場における金利機能の活用、個人投資家層の拡大等に特に留意する必要が生じてまいると考えます。先般来、住宅金融の拡充、金融機関の大口融資の規制等の措置を実施してまいりましたのも、このような考え方に基づくものでございます。
 第二は、社会的公正の確保を図ることでございます。
 社会的な公正を図ってまいりますことは、ひとり財政金融政策のみならず、あらゆる政策の基本的な課題でございます。
 とりわけ、一昨年来の物価の上昇が所得や資産の分配に大きなひずみをもたらしていることを顧みますとき、まずなすべきことは、物価の鎮静化を図り、国民の不安と不信の念を解消することであると考えます。
 同時に、社会的経済的に恵まれない立場にある方々に対する社会保障の充実や、相対的に有利な立場にある方々に対する税その他の公共的負担の再検討など、社会的公正の確保のための施策を引き続き講じてまいる所存でございます。
 第三は、国際協調を推進することでございます。
 今日、各国は、石油価格の高騰に伴う国際収支構造の激変に対処し、また、景気の過度の落ち込みを回避しながら、いかにして根強いインフレーションを克服するかというきわめて困難な課題を抱えております。
 私は、このたびワシントンで開催されました十カ国蔵相会議とIMF暫定委員会を初めとする一連の会議に出席し、これらの諸問題について討議を重ねてまいりましたが、その解決を図るためには、何よりも国際協調の原則を貫いてまいらなければならないことを一層痛感いたしました次第でございます。
 われわれは、いわゆるオイルマネーの安定的かつ秩序ある環流システムの確立、発展途上国の利益に連なる経済協力の推進、国際通貨制度の円滑なる運営等に対して積極的な役割りを果たしますとともに、ガットの場においてようやく本格化してまいりました新国際ラウンド交渉を成功に導くよう、一層努力したいと存じます。
 私は、当面の財政金融政策の運営に当たりましては、一昨年来の物価上昇による経済の異常な混乱を収束し、経済を安定した成長の軌道にソフトランディングさせることを目標とすべきであると考えます。
 このような観点に立ちまして、一日も早く物価を安定させるため、政府は財政金融両面からの周到な総需要抑制策を講じてまいりました。こうした政策努力の結果、物価はようやくその騰勢を鈍化しつつございます。
 しかしながら、コスト上昇圧力が依然として根強いことや、国民の間のインフレマインドはいまだ完全に払拭されたとは言いがたいことなどから、物価の先行きにはなお警戒を要するものがあると思います。
 加えて、今後、これまでのように高い生産性の向上が望み得ない状況のもとにおきましては、従来のような大幅な賃金の上昇は、直ちに物価上昇となってはね返ってくることが懸念されるのであります。このような賃金と物価の悪循環を回避するため、経営者、労働者の双方が、インフレという共通の敵に対しまして、理性ある対処をされるように切に希望するものでございます。
 政府といたしましては、したがって、物価の安定を当面する最大の政策課題として、抑制的な財政金融政策を継続してまいる所存でございます。
 昭和五十年度予算は、以上申し述べましたような考え方に立ちまして、引き続き抑制的な基調のもとに、社会的公正の確保に配慮しながら、国民福祉の向上と国民生活の安定を目指して編成いたしました。
 まず、予算及び財政投融資計画の規模を極力圧縮いたしますとともに、国債発行額の縮減を行い、公共投資につきましても引き続き抑制を図っております。
 また、公共料金につきましても、真にやむを得ないもの以外は、その引き上げを抑制することとし、改定を行うことといたしましたたばこの小売定価や郵便料金につきましては、その引き上げの幅と時期について特に配慮いたしたつもりでございます。
 同時に、財源の重点的な配分に極力意を注ぎ、社会保障の充実、住宅・生活環境施設等の整備、文教及び科学技術の振興、中小企業対策の強化等各般にわたる施策を積極的に推進することといたしております。
 なお、昭和四十八年度の剰余金について、その効率的活用を図るため、公債等の償還財源に充てる率を二分の一から五分の一に改める特例措置を講ずることといたしております。
 他方、今後の経済情勢の推移に対処いたしますため、予算及び財政投融資計画の執行に当たり、その弾力的運用を図り得るよう配慮いたしてございます。
 税制面におきましては、最近の経済情勢に応じ、租税負担の調整を図ることといたしております。
 まず、所得税につきましては、基礎控除等の引き上げを行なうことといたしておりますが、昭和五十年度は、昭和四十九年度税制改正による所得税減税の平年度化が相当の規模に達しますことと、当面経済を抑制的に運営する必要がありますことなどを考慮いたしまして、減税の規模は、最近における物価の情勢等に即応する程度にとどめさせていただいております。
 また、昭和四十三年以来据え置いてまいりました酒税の従量税率及びたばこ小売定価の改定を行い、歳入の充足を図ることとさしていただきました。
 さらに、相続税につきましては、昭和四十一年の改正以来基本的な見直しが行われなかったことなどを考慮して、相当思い切った負担調整の措置を講ずることといたしております。
 このほか、租税特別措置につきましては、利子配当課税の特例、土地譲渡所得に対する課税の特例等を是正するほか、所要の整備を行なうことといたしております。
 なお、関税率及び関税制度につきましても、内外経済情勢の変化に対応し、所要の改正を行うことといたしております。
 金融政策につきましても、財政政策と同様な考え方に基づきまして、現在の引き締め基調を持続してまいる所存でございます。
 総需要抑制策の長期化に伴い、生産活動は低下し、雇用情勢にも変化が生じておりますけれども、政府としては、このような政策運営が中小零細企業等に過度にしわ寄せされることのないよう、また特定の産業部門に致命的な打撃をもたらすことのないよう、きめ細かい配慮を払っているところでございます。今後において、景気が過度に停滞するような事態になれば、再びインフレを刺激することのないよう配慮しながら、必要に応じ機動的弾力的措置を講じてまいる所存でございます。
 最後に、国際収支の動向について申し上げます。
 昨年夏以降、貿易面では、国内経済活動の鎮静化を反映して輸入が落ち着いた動きを示す一方、輸出がかなり高い伸びを見せたこと、長期資本の収支面でかなり大きな改善をなし得たことなどから、最近における国際収支は、全体として望ましい方向に向かいつつあります。内外の情勢はなお流動的で、前途は必ずしも楽観できませんけれども、節度ある財政金融政策の運営を通じて、今後とも着実に国際収支の改善を図り、国際信用の維持向上に努力を続けてまいる所存であります。
 以上、財政金融政策に関する所信の一端を申し述べました。
 本国会におきまして御審議を願うべく予定しておりまする大蔵省関係の法律案は、ただいまのところ十一件でございます。これはいずれも昭和五十年度予算に関連するものであり、そのうち十件は、特に年度内成立が必要であると考えておるものでございます。それぞれの内容につきましては、逐次本委員会において御説明することとなっておりますが、何とぞ諸般の事情を御勘案の上、よろしく御審議のほどをお願いする次第でございます。
    ―――――――――――――
#13
○上村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田耻目君。
#14
○山田(耻)委員 大分きょうの日程は遅くなっていく日程でございまして、大臣もお疲れだと思いますし、できるだけ簡潔に二、三点お伺いをいたしますので、お答えのほうも要領よく要点を得てひとつお答えをいただきたいと思います。
 まず第一は、先般来本会議で所信表明が述べられております中でも同様でございますが、きょう大臣の本委員会に対する趣旨の説明の中でも同じでございますが、やはり中心はいまの日本経済の先行き、見通し、一体どうなるのか、これらについてきょうはやはりお伺いをしなければなりません。
 お話の中にございましたように、物価の異常な高騰が二年有半続いてまいりまして、対応策として総需要抑制策がとられてまいりました。もちろん総需要抑制策というのは、不況策と置きかえてもいいほど不景気を求めていく措置なんでございますが、この結果、物価の安定が具体的な効果を示さない中で、不況感というものは異常に行き渡ってまいりました。業種別にその弊害が出てきたり、それが全産業的にあらわれてきて、今日では日本経済全体を覆っておるという事実もございます。しかも、そのしわ寄せの中心が中小零細企業に多く影響してまいりまして、昨年十二月までの倒産件数を見ましても、一万一千七百件ぐらいの倒産でございます。異常な状態と言わなければなりません。
 しかも、昨日経団連の土光さんがいろいろテレビ、ラジオを通してお話しなさっている中にも、大企業に大きな影響が出始めてきて、レイオフの問題、残業カットの問題、いろいろな憂慮される事態が起こってきて、いま手を入れなければ日本経済の浮上策はどうしても遅きに失するという一つの状態に立ち至ってくる、今明日のうちに大蔵大臣なり三木総理なり日銀総裁の方にも申し入れをしたいということも述べておられます。いわば不況とインフレが同居するスタグフレーション、この事実をもうわれわれは避けて通ることはできない深刻な事態に直面をしておるわけです。
 こういう状態の中で、一体、経済閣僚の中軸である大蔵大臣は、どのようにして物価安定策を具体的にお進めになろうとするのだろうか。お述べになりましたような個々の所信の表明では非常に抽象論的過ぎまして、私たちはやっぱり同感を与えるわけにはまいりません。もっと具体的に、どのような方策を立てていくことがいまの時点で最も適切な道なのか。第一は、物価安定策というものをこれからどのような日程でどのような具体策をもって推し進めていこうとなさるのか、その具体的な方向をひとつお示しをいただきたい。
 二つ目には、不況の問題についてはどのような対応策を講ぜられようとしておるのか。しかも、あなたの不公正是正といういまの中で述べられておるのを見ますと、いわゆる中小零細企業の方にしわを寄せてはならない、こういうことを非常に力説なさっています。ところが、現実には、申し上げたように一万一千七百件も昨年末までの一年間で倒産しておる。しかも失業者は、この三月、四月で百万人を突破しようとしておる。
 しかも私若干解しかねておるのは、こうした一連の動きに対して、労働省の渡邊事務次官は、恐れることはない、去年だって九十万人いたんだ。季節労務者が帰っておった、その数が九十万もいたんだ、こういう言い方をしております。いまの季節労務者はやはりふえて帰っておりますけれども、しかし失業が固定化しつつあるのです。だから、中小零細企業にいたしましても、インフレ、不況をもろに受けている労働者にいたしましも、一番弱い層がこのスタグフレーションの波をもろにかぶっているのです。これは、大企業が困っておると言いますけれども、大企業が困っておるというのは、インフレで水ぶくれに太りに太ってきた大企業が、多少下請企業なり中小企業の思惑もあって吐いておる弱音であって、大したものじゃないと私は思う。それよりか、深刻に生活苦に悩み、生きる道を閉ざされようとしておるのは、社会の不公正な波をもろに受けている中小零細企業であるし、労働者階級である。この人たちを不況克服の中で具体的に不公正を是正する立場を貫きながら、一体どう解決なさろうとするのか、この二点を冒頭にひとつお話しいただきたいと思います。
#15
○大平国務大臣 インフレと不況、デフレが同居する状況、インフレ政策に徹しようといたしますならば、経済の冷え込みがひどくなってまいる、不況対策に力を入れようと思えば、インフレ対策がおろそかになるという二律背反の状況をただいまわれわれは経験いたしておりますこと、御指摘のとおりでございます。
 しかし、これは山田さんもすでに御案内のとおり、日本ばかりの現象ではございませんで、世界全体の国々が同様に経験しておる苦悶でございまして、いずれの国もこういう状態から早く脱出すべくあらゆる努力をしながら、しかもなお成果を上げ得ないもがきの中におるわけでございます。
 私は先般アメリカに参りまして、十カ国蔵相会議に出席したり、あるいはIMFの暫定委員会なるものに出席いたしました。これは各国の蔵相と中央銀行の総裁が集まった会議でございます。こういう国々がそれぞれ同様の悩みを持っておりますけれども、どこかに脱出の糸口を求めなければならぬという願いを持っておるように思ったわけで、だれがどういう形でそういう意見を出すかということをじっと見ておったのでございますが、OECDの事務総長バン・レネップ氏が、アメリカとかドイツとか日本はもうそろそろ拡大政策に転じてもらわないと、世界のこの状況は救われないという意味の発言をされたわけでございました。
 むべなるかな、この三国が石油危機をどうやら乗り越えまして、国際収支もどうにかバランスをとる方向に動いておる国々でございますが、そういう国がまず拡大政策に転ずることを希望されたのでありまして、みんな困っておるけれども、たくさん困っておる国々の中で、まず日本はおととしから去年にかけての空前の石油危機というようなものを比較的手際よく克服した国だとして評価されておる国であると私は思うのでございます。いずれの国も困っておるけれども、日本はその中でも困り方の比較的少ない国、言いかえれば、こういう困難を克服する活力を持った恵まれた国である、そういう自信と誇りをお互いにこの際持つべきじゃないかという感想を私はまず最初に申し上げておきたいと思います。
 それから第二の点でございます物価、しかしながら、おまえはそう言うけれども、物価はなるほど鎮静化の足取りは見せておるものの、なおまだ騰勢が続いておるじゃないか。一月に入って中旬までの卸売物価がマイナスを記録したということは大変結構であったと思いますけれども、十二月の東京の小売物価はまだ〇・四前月に比べましての騰貴でございまして、いばれたはずはないわけでございます。
 そこで、去年の田中内閣のときから三木内閣にかけまして、われわれ自由民主党内閣は、ことしの三月、消費者物価なるものを対前年同月比一五%程度――程度と言いましたのは、仮に一五・三という数字が出たとすれば、おまえ間違ったじゃないかと言われるから、これはやはり程度と言うておかなければ、多少のアローアンスを置かないといかぬから程度と申し上げておいたわけでございますが、一五%程度に抑え込んでいくことを当面の目標にしようじゃないか。そのためには、政府の全機能を挙げてそのための努力をしようという誓いを立てまして、各省いま懸命な努力をいたしておるわけでございます。御案内のように、十一月、十二月、一月と、われわれの予想よりいい数字が出てきておりますので、この分でまいりますと、一五%程度どころか一五%以内に消費者物価を抑え込むことは、私は不可能でないと思っておるわけでございます。
 したがって、まずあなたが具体的なスケジュールを示せということでございますから申し上げたわけでございますけれども、そういう一五%程度の目標というものをりっぱにまず果たして、国民に対するお約束を果たしてまいるということを当面の目標にし、昭和五十年度中は対前年比一けた以内の値上がりの程度に抑えようということを目標にいたしておるわけでございまして、これができるかできないかということを私はまだ予言できる自信はございません。そういうことを目標にやろうじゃないかという計画をいま立てておるわけでございますが、ことしの三月の目標はほぼ達成できる確信が私は持てるのではないかと思っておるのでございます。
 この春以来の卸売物価にいたしましても、小売物価にいたしましても、この値上がりの幅の歩みを見てみますと、諸外国に比べまして決して恥ずかしくない、むしろ小幅な動きになってきておるわけでございます。なるほど、一昨年の秋から去年の春にかけては狂乱と言われるような状態でございましたけれども、去年の春からは鎮静化の動きがだんだん定着してまいってきておるわけでございまして、そしてそれは日本の国内ばかりでなく、国際的にも、もうそろそろ日本は拡大政策に転じるべきじゃないかという議論が出るほどの評価を受けておるということでございますので、私は、これまでの政府の物価政策につきましても、いろいろな御批判があろうと思いまするし、足らないところもあろうと思いますけれども、それなりの評価はちょうだいいたしたい、また今後一層御鞭撻を賜りまして、このむずかしい局面をりっぱに乗り切らしていただきたいものと念願いたしております。
#16
○山田(耻)委員 一応の指標として、大体三、四月には消費者物価を一五%程度に抑える見通しがついた、むしろ最近の傾向では一五%以内の傾向も見える、こういうお話です。しかし、前年対比一五%程度ということは、一つは、性格的には高値安定を意味しているということが私は指摘できると思うし、一五%ないし一五%以内に抑え込むということは、総需要抑制策を強化されてきた一つの値としてつかみ得たものでしょうけれども、実際は、このプロセス、過程、それを見ていきましたら、中小零細企業あるいはインフレ弱者と言われる層、ここらあたりの大変な犠牲の上にこういう物価の下降現象が見られておるということをお忘れになってはいけない。これがあなたのおっしゃいました前段の、不公平是正、社会的公正を確保するという政策を推し進めていく柱にしたいとおっしゃることと、大変な矛盾をしてくるわけだと思うのです。
 いまさら私が申し上げるまでもございませんけれども、今日スタグフレーションの中で、中小零細企業なりあるいは低所得と言われる労働者の人たちは、まさに命をかけて苦しみ続けておる。本当に生活苦と闘い続けておる。一家心中もしかねないという状態は、私は随所で見ることができるわけです。こういう一つの犠牲を受けておる人たち、あなた方の政策推進の中からなおこの犠牲は拡大をしておる。この人たちに対する救済というものをお考えになったことがございますか。それらについてのあなたの御見解をお伺いしたいと思います。
#17
○大平国務大臣 インフレーションというものは、山田先生御指摘のとおり、所得の配分の不公正をもたらすばかりじゃなく、それを通じまして社会秩序を乱す非常に悪質な病気でございます。これは何としても政治が対処しなければならない最大の課題であると思うわけでございまして、あらゆる政策の基本にインフレ対策がなければならぬと私は考えております。しかし、あなたが御指摘のように、残念ながらこれを貫くことができないで、年々歳々若干のインフレーションが見られ、とりわけここ二、三年相当ひどいインフレを経験いたしたことは申しわけないと思うのであります。
 これは対策を二つに分けなければいかぬと思うのであります。一つは、これから先インフレをまず起こさぬこと。若干のインフレはやむを得ないといたしましても、それをミニマムに抑える努力、これから先どうするかということがまず第一の対応策でなければならぬと思うのであります。したがって、それに対しまして政府は、御案内のように、財政、金融両面を通じまして、総需要抑制策をとり、予算も極力規模を抑えまして、つましいものにいたしまして、財政面からインフレの契機をつくらないように努力をいたしておるところでございます。
 しかしながら、もう一つは、すでに不幸にして過去に起こったインフレーションのために、あなたが言われるように、犠牲になった方々に対する温かい配慮がないといけないわけでございます。いわゆる弱者対策などという言葉は決していい言葉ではないと思うのでございまして、インフレで御迷惑をおかけいたしました方々に対して、財政面からも金融面からも、われわれといたしましてはできるだけの施策を講じなければならぬわけでございます。
 ことしの予算は、私がたびたび申し上げておるように、はでな、カラフルな予算ではないのだ、中身を誇るような予算はできないのだ。この間本会議であなたのほうの委員長から、予算が終わったときに鉛のような心境であったそうだがという御指摘がございましたけれども、正直なところそうでございまして、やりたいことは山ほどあるわけでございますけれども、いろいろな御不自由を忍んでいただかなければいかぬ、とりわけ公共事業なんというのは、現実に分量をうんと下げなければいかぬということまでお願いしておる中で、社会保障につきましては三五%もの増額をいたしたゆえんのものも、そういう配慮に出たわけでございますので、その点は政府の意のあるところ――あなたから見て、決して十分でないと思いますよ。私どもから見ましても、十分とは決して思いません。思いませんけれども、与えられた条件のもとで、与えられた力の中で全力を尽くしておるということでございますので、御理解をいただきたいものと思います。
#18
○山田(耻)委員 具体的にお答えいただくようにお願いしておるのですけれどもね。
 このインフレの一番の犠牲者というものは、弱者という言葉が適切でないと私も思いますけれども、やはり企業で言えば中小零細企業の人々である。そうして国民から見たら、老人とか身障者とか母子家庭、いろいろございます。生活保護世帯などもございますが、とにかく総理府の家計実態調査を見ましても、給与所得の五つに分かれた階層別のあれを見ましても、三百万以上の、高額所得者とも言えないですけれども、一応まあ三百万以上を見ましても、大体三〇%から五〇%の賃金の増加の率を示しております。しかし、三百万以下の人たちは二〇%以下なんですよ。それがインフレ要因に基づいて大変な減価を受けて、しかもその人たちは最近失業し始めている。倒産をしていく。そうして残業はカットされていく。本当に生活を切り詰めている。この人たちに対する具体的な救済策というものは何一つないじゃないですか。
 あなたがここへお書きになっておられますね、「このような政策運営が、中小零細企業等に過度にしわ寄せされることのないようにしたい」と。言葉は、これで受けるんですよ。いただくことができる。しかし、ことしの予算を見ましても、中小零細企業に対する予算措置は二兆五千億強ですね。それは、昭和四十九年度の中小零細企業に対する予算の二兆七千億以下じゃないですか。ことしは以下ですよ。もちろん昨年のは補正予算分を加えての額です。しかし具体的に、そういう中身しか盛られ得ない状態の中で、中小零細企業にしわ寄せをしない、そういう思いやりのある政策をやるぞと言って、何をするんですか。私は、こういうことをごまかしだと言うんですよ。いまの低所得者層に対する具体的な救済措置と言ってみたって、何一つないですよ。私は、こういうふうな具体策をあなたにお求めをしたわけなんですから、そこらについてお答えいただかなければ、これはそれで仕方がないと思いますけれども、私は、やはりそれじゃいけないと思うんですよ、今日の異常な経済情勢の中で一億一千万という国民が生きていくんですから。
 インフレというものが、あるいは不況というものが、あなたは国民共通の一つの犠牲の上にとおっしゃっておりますけれども、去年の暮れでございましたかね、堤清二さんと、総評におりました岩井章君とが対談をやっておりました。その対談の中で、私は堤さんは正直だと思う。岩井君の質問の中で、インフレというものについてあなたはどう思われるかと言ったら、われわれはある段階まではインフレを歓迎する。しかし、このインフレが極限に達したときから、われわれ企業家にとってもデメリットが出るから、そこらあたりから政策的配慮を求めねばならぬ。ある限界ということについて二人で議論しておりましたが、なかなか具体的なものは明示できませんでした。
 私は、インフレによりましてほとんどの企業が水ぶくれになっていったことは承知をしていますよ。だから超過利得税というものをつけているんでしょう。しかし、そういう水ぶくれにもなり切らなかった中小零細企業、そうしてこれと運命を共同にしている零細な労働者、この人たちに対する具体的な救済策は何一つないじゃないですか。これを示していくことがスタグフレーション下で苦しんでおる国民の相当の層の人の具体的な救済策であると思う。それをお示し願いたい。そうしませんと、物価が一五%以内に抑え込めると言っていますけれども、この人々の犠牲というものをわれわれが思うときに、政治家としては、一五%以下になるぞと言ったって、私は恥ずかしい気がするのです。こういう点をあなたも考慮に置いていただいて、もっと具体的なお話を伺いたいものだと思います。
#19
○大平国務大臣 いま私がお答え申し上げたのは、社会政策として、インフレ犠牲者に対しまして政府が何をしたかということでございましたので、政府としては五十年度予算につきましてこういう配慮をいたしましたということを申し上げたわけでございますが、山田さんの御質問は、どうやらそういうことではなくて、経済政策としてインフレ対策、インフレ、不況にあえぐ方々に対して何をしたか、また何をしようとするかというようなことに対しての答えを求められておるようでございますので、その点につきましては、冒頭に私が申し上げましたように、いまあなたがいみじくも御指摘になりましたように、いまはインフレとデフレが同居しておるときである。インフレ対策に厳しく徹しようとすれば、デフレ対策に十分であり得ない。デフレ対策に十分なことをしようとすれば、インフレ対策がおろそかになるような、そういう状態に世界全体があえいでおるんだということを、あなたもそういう御理解を持たれておるし、私もそういう理解に立っておるんだということは、冒頭に申し上げたわけでございます。
 したがって、今日、あなたが御指摘のように、日本の経済界全体が大、中、小、零細を問わず、大変深刻な冷え込んだ状態にありますことは御案内のとおりでございます。ひとりそれは金繰りに困っておるというような状態を超えまして、いまや仕事が欲しいということでございまするし、また雇用関係に大きな異変が起こっておりますことも、あなたの御指摘の中にお示しがあったようなことでございまして、そういう点、私どもも存じないわけでは決してないのであります。
 したがって、いま政府としては、このインフレ対策とデフレ対策とどちらにひとつ力点を――両方とも大事だけれども、それじゃ強いて言えば、どちらに傾斜した政策を実行しおるのかというと、国会でもたびたび申し上げておりますように、まず物価の安定なんだ。御不自由をお願いしながら、全体のためにこれはもう物価対策に徹しさせていただくことで御理解をいただきたいということをたびたび申し上げておるわけでございます。言いかえれば、そのことは、いま十分こういう手もやりたい、ああいう手もやりたいけれども、インフレ対策を徹底させるために、不況対策に打つべきことを知っておりながら、全体を生かすために、これはしばらく御不自由を願わなければならぬという立場をとっておるのである。
 そういうことでございますので、一つ一つの企業につきまして、全部が犠牲になって、この犠牲を政府はどうしてくれるんだという問題の提示の仕方でございますけれども、そういう問題の提示の仕方も私はあろうかと思いますけれども、今日の不況というのは、自由経済の仕組みの中では、やはりそれぞれ自己責任の立場で、まず第一義的にはそれぞれの企業が考えていただかなければいかぬわけでございまして、私どもとして、企業のためにも国のためにも家計のためにも、何としてもまず物価の安定をはかることがいま一番当面の急務じゃないか、そこに政策の力点を置いてやらしていただきたいということで、各方面にお願いをして御理解を求めておるところでございます。いま産業界からも金融界からも政府各省からも、政策の転換をして不況対策に傾斜したことをやるべしという声は、まだ私は聞いていないわけでございます。
 しかしながら、事態が深刻であるということは十分承知いたしておるわけでございまして、毎日の雇用の状態、消費の状態、投資の状態、倒産の状態、その他につきましては非常に注意深くウォッチいたしておるわけでございまするし、できるだけ経済に大きな異変がないように保障してまいるのがわれわれの責任でございますから、十分気をつけておりますけれども、政策の力点はいまあくまでも物価政策に置いておるものであるということについては御理解をいただきたいと思います。そうすることが全体の経済を本当の意味において生かすゆえんであるということも、これはもう釈迦に説法でございますけれども、あわせて御理解をちょうだいいたしたいと思います。
#20
○山田(耻)委員 あなたのいまのお話の中で、ちょっと私気になる点もあるのです。しかし、それは本会議でも述べられておることでもありますので、私の危惧であればと思うのですが、ここに労使がやはりインフレを共通の敵とみなして理性ある対処を求めるということを述べられておりますが、いまのスタグフレーションの中で物価安定を第一義的にこれから進めていくのだとおっしゃっています。それの一つの結果として一五%以内に抑え込むことがほぼ可能だ。将来、ここで一つの安定帯をつくり上げていく、またこういうことになっていくんでしょうが、私はあるところで、三木総理にしてもあなたにしても、福田さんにしてもそうですが、ことしの春闘対策について述べておられる文章を見たことがあるのです。それは、ことしの賃金は少なくとも二〇%以下に抑え込まなければ日本経済は破局に立ち至る、こういうことを国民に、労働者に訴えておられることを読み聞きいたしました。今日一五%以下に抑え込むということを総力を挙げてやられておりますけれども、これは春闘対策だと私は勘ぐってとるわけですよ、人間が悪いですから。そうして春闘が過ぎれば、またここらあたりから少し緩みが出てくる。
 五月一日付でたばこを平均四八%引き上げて二千五百億の増収をねらう。酒も同様引き上げて千七十億の増収をねらう。たばこの場合はCPIに〇・六%の寄与率を見る。そうしてここ二、三日来いろいろ新聞なども述べておりますように、ガスの料金の引き上げがまた出てきておる。食糧関係費の引き上げがまた顔をのぞかしてくる。こういう状態が春闘が済んだころからぞろっと顔をのぞかしてくる。われわれは今日まで公共料金をどうしても凍結してくれと、本会議でもずいぶんわが常代表は述べてまいっております。
 私はいまの、四月ごろの消費者物価の情勢が一五%以下にはまってくる、これはもうさっきから何回も聞きましたが、これはやはり春闘対策だという気がしてならない。これは私のひが目でしょうか。これは大蔵大臣、私のひが目と言い切っていただければ結構です。結構ですけれども、今日の日本のまさに危殆に瀕した経済実情の中で、国民生活をしっかり守っていくということがあなたの大事な責務であるとするならば、ある一つの事件を限って意識的、目的的に言葉を弄せられるということは私はいけないことだと思う。まあ私のひが目であれば結構ですけれども、そこらあたりについてひとつあなたの見解を述べていただきたいと思います。
#21
○大平国務大臣 物価対策は持続性を持っておりますし、政府も三月で店じまいするわけじゃございませんで、これは終始皆さんの批判にさらされるわけでございます。したがって、三月一五%の目標が達成されると後はもう野となれ山となれなんというふらちな考えは毛頭持っていないわけでございまして、私が先ほど申しましたように、次の三月には一けたに持っていくんだという目標をさらに掲げて、またそれから着実な物価政策を積み重ねていかなければいかぬと考えておりますことをまず申し上げておきたいと思います。
 それから公共料金の話でございますが、公共料金とか物価の問題でお考えおき願いたい点が一つあるのでございます。それは、一昨年の暮れから昨年の春にかけての石油が二カ月もたたないうちに四倍にもはね上がったという、ああいう空前絶後ともいうべき事態が起こったわけでございますね。このことは容易ならぬことだったわけでございますが、この火の粉をかぶって物が上がった。物価が上がって、それを是正した物価と、まだその火の粉をかぶりながらそれより前の物価のまま据え置いておるものがあるのです。それで、私は経済というのはそんなに無理がいつまでもきくわけじゃございませんので、まず石油危機の前からの物価、料金というようなものはなるべく早い機会に無理のないところに直しておいた方がいいのじゃないかと思うのです。それは決してイージーな考え方ではないわけでございまして、経済の法則から言ってきわめてあたりまえなことじゃないかと私は思うのです。
 それでもまあ今度、やかましく政府部内でも意見がございましたし、野党の皆さんもサポートされましたので、私もまあいやいやながら、とうとう押さえつけられまして、塩、これは昭和二十八年から全然上げていないのですよ、塩の小売価格というようなものを据え置かざるを得なくなったのでございますけれども、これは石油危機を経験する以前からずっと、昭和二十八年以来据え置いておるわけなんですね。だから政府というのは、米塩の資といいますが、米と塩、この供給に事欠かないようにするというのが政治の根底、根本だと思うのですけれども、この塩の値段を昭和二十八年以来今日までよく維持してくれたということで、一遍お礼を言われても私はばちが当たらぬのじゃないかと思うのですが、それはともかくといたしまして、麦、麦もあれはまだ石油危機以前の値段なんですよ。あれも農林省の方へ、どうだ、もう早く合理的なところへ直しておいた方が後厄介が少ないぞと言っておったのだけれども、これも世論に押されまして私が負けまして、今度引き上げないことにいたしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、ほかのものは皆上げておいて、そういう残っているものが若干あるんです。ガスにいたしましても、東京瓦斯と大阪瓦斯はもう石油危機後の状態まで直したのだけれども、名古屋の東邦瓦斯はまだ直っていないのです。そういうようなアンバランスの状態がありますので、現実には非常に困った状態なので、そんなものは厳正な査定をしまして、ちゃんとすべきじゃないかと私は考えておるのでございます。
 しかし、そういうことをやれば、あなたがおっしゃるように、CPIにその改定は確かに響くわけです。そういう影響を受けながら政府の目標である一五%とかあるいは一〇%以下とかいうことを実現して初めて物価政策のメリットがあるんじゃないでしょうか。いろいろなことを勝手に政府が、これも上げない、これもやらないことにして、大蔵省のほうで銭を貸して維持しておいて、物価の表面だけをよくすることが物価政策だとは私は考えませんよ。ですから、今日私どもがやっておりますことは、そういう意味で、三月になったら今度はひとつ、もう後は野となれ山となれでまた上げてやれなんて、そんなふらちなことは全然考えていないので、もっとまじめに考えておるのだということを、少なくとも山田さんは御理解いただかなければ私は困ると思いますよ。
#22
○山田(耻)委員 あなたのお言葉を私も額面どおりそのように信じていきたいと思います。そういう態度でひとつ物価政策に臨んでいただきたい。ある目的、意識的な行動だけは厳重に慎んでもらわなくては困りますから、それは特に要望しておきます。
 それからもう一点は、このインフレ犠牲の後遺症というのは異常に広まっておりまして、昨年の三月十九日のこの委員会で、その一つの救済策として預貯金の目減り対策についてかなり議論を深めていりたわけです。当時の大蔵大臣、福田さんでございましたが、私どもの武藤委員が先鞭をつけましてかなり議論を深めて、たとえば選別の問題あるいは金利負担の問題、いろいろ議論が出てまいりましたが、当時は四十八年の暮れのボーナス預金を一%程度金利をプラスして六カ月定期をさしたことがございます。そのあと引き続きまして例のくじつき預金をさせましてやった時代です。ですから何とかして具体的なものを提示をしてほしいという要望もございまして、社会党としては、一人五十万円、一〇%、そういうことを一回限りの具体的な措置として、住民票を出して、それに捺印をさして措置しよう、こういう具体策も提起して議論を深めたわけであります。当時福田大蔵大臣は、大変な協力をいただいて感謝する、ありがたい、大蔵省としても前向きで具体的な検討に入ります、そういう期待に沿えるかのごとき示唆に富んだ答弁が出ました。
 そこで、私の方の提案者でありました武藤さんは、その善処への態度にありがとうございますという感謝の気持ちも込めて実施方を待っておりました。ボーナス預金の措置が終了するのは六月でございますので、おおむね六月をめどにという判断をその委員会は受けたわけです。ところが、田中内閣の金脈がぼつぼつ顔をのぞかせてくるころでございまして、やがてそれが政変を呼び、ついにこの問題に最終的に決着をつけることができませんでした。
 しかし、昨年この問題を非常に重視して議論した大蔵委員会も、いまの大蔵委員会も、政府は自民党でございますし、何ら変化はございません。当然この委員会では決着をつけなければなりません。大平さんもやはりこの議論を受けて善処していただかなければ私は困るわけです。私はこの預貯金の目減り対策について、文字どおり大蔵省としても検討なさっていると思うのです。一体その検討内容はどういうものなのか。それが昨年議論し合ってきた事柄と共通的なものなのか、そこら当たりについて、いまなさっている作業を含めて大臣の見解を述べていただきたいと思います。
#23
○大平国務大臣 預金の目減り対策と称する政策につきまして、いろいろ山田先生初め大蔵委員会の皆さんに御心配をちょうだいいたしたことは感謝します。実は私は当時外務省におりまして、この経緯をよく知らなかったのです。それで、今度大蔵省に引っ越してまいりまして、後で福田先輩から、こういう経緯があったということと、それから何とか大蔵省の方で実行可能な具体案を検討してくれないかという話がございました。そこで、私といたしましては早速事務当局に検討を命じまして、事務当局の方もいろいろ苦心をしておるところのようでございます。
 具体的なことは、それでは現段階の検討の状況を銀行局長から御報告させます。
#24
○高橋(英)政府委員 具体的なことをただいま申し上げるほど煮詰まってもございませんが、社会党の先生方あるいはその他野党の先生方の御提案の大体のことは承知いたしておりますので、そういうものが技術的に可能であるか、あるいは負担能力とかそういったような面でどこまで実施できるかというようなことで、二つ三つ、いろいろあれこれ苦慮しておるというのが実情でございます。しかし、できるだけ実現してみたいというふうに考えておりますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
#25
○山田(耻)委員 がっかりするような答弁ですが、御存じのように、かなりこの委員会の中でも議論はこれから引き続いて展開をされていくわけですけれども、国民の側でもこの問題については決して等閑視しておりませんよ。おとといでございますか、二十七日、大阪地裁では第四回のこのことに関する口頭弁論が開かれておりますが、東京でも引き続いてそういう動向を示し始めておるのです。しかも、大阪の場合はゼンセン同盟が提訴しておりますけれども、これを取り巻く層はだんだん厚みを増してきまして、全国民的な裁判闘争に発展しつつある。しかも三木さんが最近おつくりになったと言われておる学者グループ、ブレーンですね、ここの中に入っておられると思いますが、横浜国大の長洲一二さん、専修大学の正村教授、この人々の意見もかなり強硬なものがございます。
 この学者グループの提起を見ますと、昭和三十五年から昭和四十六年の十一年間、いわゆる預金の目減りで国民が受けた損失額は一世帯七十三万円、全国全世帯をこれに合わしますと、二十三兆円になると発表されているわけですね。それほど預金の目減りがある。しかもこれは、日本の高度経済成長のメカニズムがこの背景にある。だからインフレを起こしながら、さっきも話がございましたが、三十五年以来慢性的なインフレ化の傾向をたどっていることがここでは言われておるわけですね。こういう一つの事実が指摘されている中で、政府の経済政策なり零細預貯金の目減り対策は何ら打たれなかった。やはりこの責任だけは感じてもらわなければいけませんよ。こういうものは、いま裁判闘争やっているんだから裁判闘争で決着をつければいいというしろものではございませんよ、われわれ国会は。ここで片づけていかなければならぬことなのですよ。それがどうもいまの大臣なり銀行局長の御答弁では、私はさびしい気がしますよ。
 だからこの問題は、まだ具体策ができていないとおっしゃるんですから、私はこれ以上言いません。言いませんけれども、それはあなた方の緩慢なこの態度を認めておるということではないのですよ。速やかにこの具体策を樹立していただいて、この大蔵委員会に提起していただいて、今日まで議論継続中なんですから、そこでひとつ議論を展開して、本当にこうした人々に対する目減り対策を立ててあげるというのがわれわれの責任のはずなんですから、これをひとつどうか重視して措置していただくようにお願いをしておきたいと思うのです。そのことについて一言で結構ですから、大臣、あなたの所感を述べてください。
#26
○大平国務大臣 山田さんの熱心なお話、よく理解もでき、共感も覚えるわけでございますが、大蔵省はこの問題について何もしていないというわけでは決してないんです。私も本会議でたびたびお答え申し上げておりますように、四十八年から四十九年にかけまして、預金利子についても五回の引き上げを可能な限りやってまいったわけでございまして、預金者の立場というものにつきましては絶えずわれわれは関心を持ち、その利益をどのように保障してまいるかに、私も、銀行局長以下一生懸命になっておりますことだけは御理解いただかなければならぬと思うのでございます。
 それでは、いまの金融機関の仕組みの中で全然余地がないかというと、私はないと言えぬと思うのでございます。しかし、金融機関によりましては、もうぎりぎり、いまの貸出金利といまの預け入れ金利の間で自分みずからの資金コストを計算してみると、もう身動きができない状態にあるといった金融機関も相当私はありはしないかと思うのでございます。金融機関の優劣、強弱というものは相当ありますから、そこで、こういう金融機関のばらつきの中で、今度いま御提案の政策を金融機関の負担でやってもらわなければいかぬわけでございますので、どういう仕組みがどの程度やれるものかという点につきましては、十分の検討が要るわけでございまして、これは金融機関行政としては非常にむずかしい政策であることだけは御理解を賜っておきたいと思います。しかし、われわれは、困難だからといってこれをしり込みしたらいかぬわけでございますので、いま銀行局長が申しましたように、何とかでかしてみたいということで努力をいたしておりまするし、今後もいたしてみたいと思っております。
#27
○山田(耻)委員 金融機関の中のやはり弱い内容を持っているところは大変だと思います。しかし、都銀を初め大きなところはかなり余裕もあるはずなのです。いまこういう金融機関が何とかしなくちゃならぬという意向表明をしましたら、政策決定の中では、金融機関に全部おんぶするという大臣の意向もあったようにいま聞き受けたのでございますが、やはり国の財政政策でもめんどうを見なくちゃならぬのじゃないかという気もするわけですよ。しかし、いま金融機関が何とかひとつ配慮しようという一つの方向が示され得れば、大蔵省はその方向で前進をしていただくということをお願いをしておきたいと思うわけです。
 それから最後に、時間も来ましたのでこれで終わりたいと思いますが、例の田中前総理の金脈事件、昨年十一月にこの委員会でも議論をしたわけでございますが、そのときに磯辺国税庁次長も、決してなおざりにしてはおかない、総理がおやめになったからといって、税の脱漏、脱税の件については徹底的に究明をするという方向が述べられていたわけです。ところが、せんだっての参議院決算委員会では、これらに対する中間報告が述べられておるわけです。一体、衆議院の大蔵委員会を無視されておるのじゃないだろうか。大臣、税制に関することに関しては衆議院大蔵委員会は全く主たる委員会でございますね。この大蔵委員会に中間報告をきょう直ちにというわけにはいきますまいけれども、私はぜひとも中間報告をしていただきたい。衆議院大蔵委員会をなめるなという気がするんですよ。これは、参議院でおやりになることに私はおかやきしておるわけじゃないのです。結構です。しかし、当然この衆議院大蔵委員会では先んじて中間報告をなさってしかるべきだと私は思う。これを最も適切な機会を理事会で決めますからひとつ御報告をいただきたい、これが第一点。
 それから、この大蔵委員会の運営についてでございますが、大臣は国務大臣であるし、主にこういう財政経済関係の大変な親分格の大臣でございます。方々の委員会で引っ張りだこですが、これも昨年十二月二十四日の本委員会におきまして、委員長の方から大臣の出席を求める強い決意が表明されました。その前の理事会で、これからは大臣の出席がない場合には原則として委員会は開かない、こういうことに決めておるわけです。大臣がお出にならぬときには、事前に与党から理事会の了解を求めてやる以外にはもうだめだよということになっておりますので、この委員会というものが今日国民から物価の問題とか不況の問題とかで大変大きな目で見られておるわけでございますから、この委員会の運営については私たちも十分配慮してまいりますので、大臣も十分そこらあたりをおくみ取りいただいて、大臣が出席なさられなければ委員会は開かれない、こういう一つの決意があるんだということを御承知おきいただきたいと思います。
 以上は、お願いでございますし、あなたに対するわれわれの注文でございましたが、そこらあたりをお含みの上、ひとつ大蔵委員会にこの危機を乗り越えていけるすばらしい政策が生まれていくようにお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#28
○上村委員長 小泉純一郎君。
#29
○小泉委員 大蔵大臣に御質問いたしますが、一昨年の石油ショック以来、日本だけでなく世界が異常な変革のあらしに見舞われておると言っても過言でないと思います。特に昨年一年間、共産圏を除くと、世界の指導者は全部かわってしまった。まず二月に、イギリスではヒースからウィルソンヘ、そして西ドイツのブラント首相からシュミット首相へ、またポンピドー・フランス大統領が急死されてジスカールデスタン・フランス大統領、そしてまた、ニクソン大統領が任期の半ば以上を残してあのウオーターゲート事件の責任をとってフォード大統領へかわりました。そして日本も、御承知のように、田中総理があの金脈をつかれまして、三木新政権の誕生となったわけであります。
 こういうことを考えてみると、いま挙げた国というのは世界を支えているといっても過言ではないと思います。いずれも自由な選挙が行われておる自由主義国家、この主要な国の指導者が一年間で全部かわってしまったということ自体、これはいま世界が大変な転換期に直面しているという一つのあらわれだと私は思っております。
 国内を見ましても、過去最高の一万一千件以上の会社が倒産して、そして七十五万人以上の失業者が出た。こういう中で昭和五十年を迎えたわけでありますが、去る二十四日、再開国会の冒頭の施政方針演説で三木首相は、「戦後三十年にわたる政治、経済の歩みに一つの区切りをつける時期」に来たと演説しました。そして大平大蔵大臣も、「新たな進路を開拓すべき時期」であると、この昭和五十年を規定したと思います。それに首相も大蔵大臣も、今後の政治運営に社会的公正の確保と社会的弱者対策を何回も強調されております。
 そこで私は、もう抽象的な論議は飽きました。具体的に若干の質問をしたいと思います。
 今回の税制改正の中にも見られるように、かねてから税負担の公正という点から見た場合に不公平税制の最も厄介なしろものといわれます医師優遇課税の手直しということについて、政府の税制調査会が具体的な是正策を答申しております。それにもかかわらず結局見送らざるを得なかった、その中身の論議は私は省略いたしますが、どうしてできなかったか。大蔵大臣としてこの税制調査会の答申は妥当と思わなかったからできなかったのか、あるいは直す必要がないと思ったのか、あるいはどこかの圧力によってどうしてもできなかったのか、この理由と、それからことしの今後の方針というものを率直にお聞かせ願いたいと思います。
#30
○大平国務大臣 小泉さんが言われますように、社会的公正を具現してまいることは、ひとり税制ばかりでなく、あらゆる政策分野におきましてわれわれが不断に忘れてはならない道標であると心得ております。
 いまのお医者さんの社会保険診療報酬の課税特例の廃止問題でございますが、これも御案内のように長い問題でございまして、税制調査会でも御論議があり、御提議がありましたわけでございます。また政府におきましても一つの案を用意いたしまして、各方面の御意見も伺っておったわけでございます。結論として、私はこの問題について圧力があってことし提案を断念したわけでもなければ、この問題について終止符を打ったつもりでもないんです。要するに今度の閣議で決めましたように、そしてわれわれの与党と相談いたしまして決めてございますように、この措置は次回の診療報酬改正と同時に実行するということにいたしておるわけでございます。
 しからば、この次回の診療報酬の改正というのはいつあるのか、どういう姿であるのかというようなことは、まだいま何ら明らかではございません。明らかなことは、次に社会保険診療報酬につきましての改定が行われる際におきましては、この診療報酬の特例につきましても是正の措置を講ずるということになっておるわけでございますので、この問題につきましてこれをギブアップしたというようなものでございませんことを御理解いただきたいと思います。
#31
○小泉委員 私が聞いているのはそこじゃないのです。次回診療報酬改定と同時に実施するということは出ておりますけれども、この答申に対して大臣がどういう考えを持っておられたのか。これはもっともである、ことしやろう、そして実際のところできなかった。これはどうしてできなかったのか。そこの大臣の率直な気持ちを私は聞きたかったのです。
 それと同時に、ことしどういう形でやるのか。この税制調査会の答申というのは私はきわめて妥当なものだと思っている。これをしもできなかった。これは七二%を残しているのですね、これができなかったというのはどうしてできなかったのか、これは大蔵大臣としての立場からいろいろあると思います。そのいきさつを私は聞かしてくれと言っているのです。
#32
○大平国務大臣 今度のチャンスでこれが実らなかったこと、大変残念に思っております。
#33
○小泉委員 何で残念なのか私は聞きたい。これじゃ答弁になっていないですよ。
#34
○大平国務大臣 長い懸案が解決することは、これは医師会と自由民主党の間の平和のためにも、それから税制の公正を期する上から申しましても、世論の大体の帰趨もそういう方向でございましたので、私といたしましてはこれが実現することを期待いたしておりましたし、大蔵省といたしましても一つの案をそろえて各方面の意見を打診いたしておったものでございますので、そういうことが実現できなかったことを残念に思っておるということでございまして、正直に私の心境をお答えいたしておるわけでございます。
#35
○小泉委員 大臣も、これから低い経済成長のもとにおいては、相対的に有利な立場の人々に対しては負担の増加に耐えてもらうということを言っておられます。これはもっともなことを言われております。やはり恵まれた者、すでに既得権を得ている者、強い立場にある者が、これからのわれわれの経済社会に対してはそれ相応の負担というか犠牲をしなければならない時代だと思います。そういうことから考えて、医師会という非常に大きな圧力団体もありますが、日本全体の指導的立場にある方として、政治の指導性を高める意味においても、そしてより公正な社会を実現する意味においても、積極的な指導力を持ってこれからの税負担の公正化を図っていただきたいと思います。利子配当課税の強化、土地譲渡税の強化、それなりに一歩前進しましたけれども、一番肝心な、負担の不公平化が言われていたこの医師の問題が解決できなかった。非常に残念でありますが、今後の大臣の一層の御努力をお願いしたい、そう考えております。
 次に、自動車の物品税のことです。これは排出ガス規制に伴う税制措置の中で低公害車に対して優遇措置をとろうということなんですけれども、私自身、中央公害対策審議会の五十三年の一キロメートル当たり〇・二五グラム窒素酸化物、あれを守ることができなかったということに対して、自由民主党員でありますけれども、非常に残念に思っております。
 そこで、いま日本は自動車が非常に普及しております。むしろもう自動車が余りにも普及し過ぎたために、非常な弊害が出てきているのがいまの日本の情勢だと思うのです。今後、経済構造の転換という意味もありますから、日本の社会において自動車の普及というものをどういうふうに大臣は見ておられるか。非常にわかりにくいと思いますが、私は率直に言いますと、今回の低公害車に対する物品税を軽減するということに対しては反対なんです。むしろいままでのままに据え置いて、この基準に合わない車に対して増税しろという立場に立つのが私であります。後ほど話しますが、全体にいまのこの自動車の普及ぶりについて、率直に大臣はどういうふうに思っておられますか、御意見を聞かしていただきたいと思います。
#36
○大平国務大臣 実は、私深くこの問題を究明したことがございませんので、責任を持って御答弁申し上げるほどの知識は、正直に言ってございません。
#37
○小泉委員 私は自動車の物品税ということから考えれば取るに足らないかあるいは非常に小さな問題だと思うのですけれども、日本の社会の経済構造あるいは自動車全体の普及数ということから見ると、これは大変重要な意味を含んでいると思うからこそ、私は最初の質問でしているのです。というのは、日本の自動車の保有台数、いまからちょうど十四年前、一九六〇年は三百四十万台だったのです。それが一九七二年、二年前は二千四百万台にふえた。十二年間に約七倍にふえたわけであります。このうち特に乗用車の保有台数の増加が著しくて、一九六〇年に四十四万台でした。それが一九七二年に九百九十七万台までふえた。この十二年間に実に二十倍以上ふえたんですね。いまから二年前ですけれども、二年前よりいまはもっとふえています。二年前で、日本は四・七人に一台の自動車を全国民が持っている。アメリカは一・八人に一台です。ところが、アメリカと日本を比較できない。アメリカはカリフォルニア一州だけで日本より大きいんですから、国土の面積から言ってもアメリカとは比較にならない。
 そこで、いま可住面積一平方キロメートル当たりの自動車保有台数を世界で比べてみますと、一九七二年に日本は一平方キロメートル当たり約二百台です。アメリカが二十六台、イギリスが百二十台、西ドイツが百二台という数字に比べて、日本がいかに自動車密度の高い国であるかということがわかると思います。日本全体は約二百台ですけれども、特に東京だけに限っていくと、一平方キロメートル当たり千五百台、大阪については九百台、これではもはや――都市は本来、快適なところであるべきです。大臣も毎日よく経験されていると思います。自宅からこの国会へ来る際においても、あの交通渋滞。
 確かに自動車というのは便利なものであります。でありますが、便利であると同時に、いま費用が高くかかる。公害、排気ガスもやるし、騒音もやるし、それから交通事故もふえる。こういうことから、この自動車の便益を享受する人々は、わずかしかいままでその自分が得る便益の費用の負担をしていないと私は思っている。逆に言うならば、自動車の普及というものは、自動車の利用者が社会的費用を負担しないでもよかったから初めてこれだけ普及したと言っても過言ではないと思います。
 そういうことから考えて、これからの日本の社会を考えると、自動車をいま以上ふやさない、あるいはふやさないどころか、もっと減らしていく方向に持っていくべきだと私は考えている一人であります。そういうことから、今回の、この物品税を低公害車に対して減税して、さらにまた低公害車の普及だけでなく自動車もどんどん普及を図っていこうということになれば、自動車を得た瞬間はそれは満足するかもしませんけれども、いざ使う段階になると、これはもう交通渋滞になってまたいらいらを増す、あるいは人にも非常に迷惑をかける。ですから、これからは、もっと日本全体のことを考えて、何も汚染者負担の原則は企業に限る必要はない、個人に対してもそれ相当の社会的費用を負担していく、汚染者負担の原則をやはり個人にも適用する意味において、自動車に対してはもっと個人の負担を求めるという方向の方が私はいいと思うのです。
 ですから、この物品税を四分の一軽減するというよりも、低公害車、〇・六グラムの基準に合う車はいままでどおり、合わない車に対してさらに倍のというか、懲罰と言っては変ですけれども、公害を出す車に対してはもっと高い増税をすべきだと私は考えております。そしてやはり鉄道とか、バスとか、公共の整備をより図っていく。そういうような方向の方が私はいいと思うのですけれども、今回のこの物品税の軽減措置に対して、いま私が簡単に申しましたが、それを勘案いたしまして大臣はどういうふうに判断しておられますか。
#38
○中橋政府委員 ただいま小泉委員がおっしゃいましたように、まず自動車の総量をどういうふうに規制するかという問題は、今後わが国においても非常に重要な問題だと思います。ただ、それをどういうような手段を通じてやるのか。たとえば直接規制をいかほど使えるのか、間接規制をどのように加味していくのかというのが、まず第一に考えなければならない問題だと思います。しかもそのときに、間接規制を加味するといたしましても、いわばいまあります税金をどのように使うのか、あるいは新しい税目を考え得るのか、新しい課徴金制度というのを導入した方がいいのか、これもまた基本的に考えなければならない問題だと思っております。
 そこで、仮に間接規制を考えるとしました場合にも、いま御指摘のように、物品税について今回御提案をしようと思っております措置だけで私は十分であるとも思っておりません。ただいま御指摘のように、二千何百万台という自動車の問題を、単に公害という面からだけとらえるにいたしましても、いわゆる自動車を取得しましたときに課税いたしますところの物品税でありますとか、道府県税であります自動車取得税にのみ頼っても、また十分の効果は上がらないと思っております。むしろ保有しておる人に対して課税をいたします国税であれば自動車重量税、あるいは地方税であれば自動車税というようなものも相当にかみ合わしていかなければ、おっしゃいますような目的は達しないと思っております。それで、今回の御提案も、そういうことを全然排除いたしておりません。
 規制という問題だけから考えてみましても、果たしていま考えております五十三年度規制がどういうふうになるかということをおきましても、五十一年度規制、五十二年度規制というものが本格的に一体いつから動くのかという問題がございます。確かに五十一年度規制は五十一年の四月一日から始まるわけですけれども、その際になおやはりその規制値を満たさない在来車の生産というのが許されるのが過去の例でございます。これを一体どのくらいの期間許すのか、いわゆるリードタイムをどのくらい認めるのかというのも今後の大きな問題でございます。
 これが一つの問題でございますけれども、私どもは、規制が始まります第一段階、五十一年の四月一日以降は、今回御提案を申し上げておりますいわゆる取得課税につきましても若干そこに差異を設けようと考えておりますし、もっと後の問題でございますが、本格的な規制がいよいよ始まる、私どもが考えておりますのは、リードタイムが終わりましたような段階におきましては、おっしゃるように、規制値を満たす車が通常の自動車になるわけでございます。そうすると、物品税の体系から申しましても、一五%、二〇%という税率の中で当然いまの考えられておる規制値を満たす車が普通の自動車としての課税を受けるべき問題だと思っております。
 ですから、いますぐそういう措置をとらないのはやや当を失しておるではないかという御批判はさることでございますけれども、私どもはやはりある程度の猶予期間と申しますか、経過期間を考えながら、本格的な規制が行われるという事態を想像して今回の御提案も申し上げようと思っておる次第でございます。その考え方のもとにおきまして、それでは五十年度において四分の一等の軽減をいたすということは、やはり五十一年度の規制が五十一年四月一日から始まるという事態に先駆けまして五十一年度の規制を満たすという車が仮に早く出るならば、それは普及開発ということを促進するためのインセンティブの税制ということで、これも一つのやはりおっしゃいますような効果を高めるものだと思っております。現にまたこれは、五十年度の規制車に対しまして四十八年から四十九年にすでに一年半にわたって行っていただいた措置に相似たものでございます。
 したがいまして、まず当面の策としましては、規制値を満たす車が出るように若干の応援もします。しかし、だんだんその規制が進むにつれまして、おっしゃるような問題を取得税につきまして、あるいはもっと保有税につきまして、あるいはその他有効な手段がございますれば、それを加味するということを考えておるわけでございます。
#39
○小泉委員 いろいろな理由があると思いますが、やはり国民にとっても税金は安ければ安い方がいいに決まっているのです。便利なものも安ければ安いほどいい。しかし、全体から考えてこの自動車の問題というもの、台数をいまよりももっと減らしていくかということについては、政府首脳が決意しないと、これはとてもできない問題だと思います。全体から考えてみれば、いずれにしてもこれ以上自動車をふやして、より日本が快適な社会になるとは私は思っていない。こういうことも考えて、大臣はいつも大変お忙しいと思いますが、これからやはり一国を担おうという意欲を持っておられる方の一人でありますから、こういう問題にも十分意を用いていただきたい、そう考えております。いま、これからの世界において、便利なものあるいは便益を受けるものに対して、個人にもいやなことでもそれなりの負担を強いていこうという、そういう時代だと思います。
 ここでいま私は、個人が社会的に害悪、いわゆる個人が社会に対して汚染をしているのにはそれなりの負担をすべきだということを言いましたが、同時に、いま問題になっているチッソに対してもちょっとお伺いしたいと思います。
 これは新聞でいま非常に話題になっておりますが、チッソが水俣病患者への補償金支払いなどで経営が非常に苦境に陥っている。チッソは政府に対して開発銀行を通ずる三十九億円の救済融資を要請している、そう聞いております。チッソの場合は私企業の過失が法的に確定しておりまして、公害事件としては最も企業の責任が問われてきたものであります。そしてこの場合、設備資金という名目の融資ではありましても、もし融資が実行に移された場合、実質的には工場の復旧費だけでなくて、すでに先払いされている公害補償費の穴埋めとかに充てられて、企業の汚染者負担の原則からはずれるというようなおそれもあると思います。大蔵省はいまこのことで非常に悩んでおられるということを聞いております。大臣として、非常にむずかしい答弁かと思いますが、これを認めると三菱石油の瀬戸内海汚染問題など、ほかの公害の問題についても政府救済の道が開かれる、そういう大きな問題を含んでいると思います。大体どんな方向、どんな気持ちを持っておられるか、いまの段階で結構でございます、ちょっと教えていただけませんでしょうか。
#40
○大平国務大臣 いま御指摘のように、株式会社チッソから去年の十一月通産省に対しまして、チッソ石油化学株式会社五井工場ですね、火災復旧資金につき三十九億円の開銀融資あっせん依頼があったと聞いております。これは復旧工事費の全額でなくて、全額は五十七億円、自己資金十八億円、差し引いて三十九億円の融資のあっせん依頼があったと聞いております。
 しかし、御承知のように開銀は、設備の取得あるいは土地造成等に必要な資金、いわゆる開発資金を融資する政府関係金融機関でございますため、補償金等の支払い、いわゆる救済資金の融資を行うことはできないわけでございます。これは開銀法の第十八条に明らかになってございます。それで、開銀資金のうち公害の防止、安全対策等特別の政策目的に沿った対象には融資する方針をとっております。そして資金の貸付は、当該貸付に係る資金の償還が確実であるかどうか調べて、それが「確実であると認められる場合に限り、行うことができる。」これも開銀法で明らかでありまして、現在、関係省庁の事務当局間でこれらの問題を踏まえまして、いうところのチッソ石油化学の五井工場の復旧資金について開銀融資が可能かどうか、可能とすればその可能額はどの程度が適当かという点をせっかく検討をいたしておるようでございまして、私といたしましては、その結果をよく伺った上で判断してみたいと思っております。
#41
○小泉委員 まあ、これは非常にむずかしいと思います。融資がなされないとつぶれてしまって、あるいは患者に対しての補償金も支払われない。そしてまたこれは、政府と企業の公害に対する責任を一体どこで区切るのかという非常に大きな問題だと思いますが、より慎重に御判断していただいて善処していただきたい、そう考えております。
 時間もありませんが、先ほど山田委員からも預金の目減り対策についてお話があったと思います。もう時間がありませんから質問ではありませんが、やはり大臣自身も新たな決意をもってこの昭和五十年には臨まれていると思います。総論賛成、各論反対ということがよく言われておりますが、預金の目減り対策にしても、いろいろな技術的な困難さがあることはよくわかっております。先ほどの銀行局長のお話もあるし、対象をどこまで広げるとかあるいは金利を何%上乗せするか、非常に技術的な困難がたくさんあると思いますが、これからの政治は、やはり総論を設定したら各論の反対を強力に抑えていくということによって初めて政治の指導性というものが高まっていく。いままでは、もう各論の反対によって総論が粉々につぶされちゃった。これによっていろいろな政治不信が高まってきていると思うのです。特に、今後の国民の政治に対する期待をつなぐというか、期待を高める意味においても、十分な熟慮の上に総論を設定したら各論を強力に抑えていくというような強い姿勢をもっていろいろな政策を遂行していっていただきたい。
 今回、社会福祉にもそれなりに意を用いられたと思います。非常に不十分でありますが、お年寄りの老齢年金にいたしましても、七千五百円から月一万二千円に、ことしの十月から支給される。まあ伸び率から言えば六〇%という大きな伸び率でありますけれども、額から言えばそれほどでもない。こういう場合、あるいは二万円とする場合、財源がどこにあるか。財源がなかった場合、私はむしろたばこの小売の改定、上げて結構、酒も結構、野党みたいに何でも下げろということじゃない。取るべきものは取る。まだ負担の軽いというか、負担を払う余裕のあるところから取っていくというような、その総論のためにはある程度犠牲をしてもしようがないという、そういう各論の反対を抑えていくような政治姿勢を私は特に期待したいと思います。
 これから昭和五十年、まさにインフレ、不況という非常な困難に直面していると思いますが、大臣の一層の意欲的な御努力を期待しまして、質問を終わらせていただきます。
#42
○上村委員長 武藤山治君。
#43
○武藤(山)委員 大蔵大臣の先ほどの山田耻目議員に対する質疑応答の中で、大臣、大変重要なことをおっしゃっておりますが、とにかく物価安定がもう最重点で、しばらく御不自由を忍んでもらいたい、まだ不況の対策について財界や政府各省からも声を聞いていない、こう言いましたよ、私、メモをとっているのですが。財界や政府各省の中でもいまの経済情勢というのは不況だと見ていないのか、まだこの程度ならば物価問題に重点をすべて注いでいていい段階だ、こうお思いになっているのか。
 私はまず、五十年度予算のことは後にして、この二月、三月というのは政策手段を講ずる上で大変重要な段階だと思うのです。私個人の見解で言うならば、二月十日前後までに現在の経済事態をどう処理するかということを政府は真剣に、果敢に、迅速に、弾力的に対処しないと、この年度内の処置の仕方いかんによって五十年度の経済というものの見通しは私は完全に狂うと思うのです。ちょっと上昇気流に乗れないような、不況の最低の谷間に落ち込んでから気がついたのでは遅い。いままで政府の処方せんは、各指標が出るのが大体二カ月ぐらいおくれるわけですよね、まだ十二月末のがようやくわかった程度、一月の現在の状況はどう進行しているかわからない。それで後手後手やるわけですね。田中内閣の大失敗も、結局は金融を引き締むべきときに逆療法をやって、気がついてあわててブレーキをかけたときにはもう遅い。そのために立ち直りはぐっと遅くなる。現在も、いま不況の問題をめぐってちょうどあのときの政策失敗と同じことを繰り返すかどうかという岐路に立っていると私は思う。
 そこで、私はまずこの年度内の問題についてひとつ大臣に率直な認識のほどを伺いたいのでありますが、しばらく御不自由を忍んでもらう、いわゆる不況のいまの状況というものはこのままがまんしてくれということですね。財界や各省からもまだ不況対策の声を聞いていないと言うが、新聞には通産省の報告も出ておれば、日銀の報告も出ておる、それを見れば、かなり現在の経済状態が深刻な停滞局面にある、こう私は見ていいと思うのです。物価問題は物価問題として考えないで、いま経済の現実の姿はそういう停滞局面じゃないのでしょうか。
#44
○大平国務大臣 私が申し上げたことは、政策転換の要請はまだ聞いていないという意味のことを申し上げたわけでございまして、不況対策というのは多岐にわたるわけでございまするし、私もかねがね、実態をよくウォッチしておきながら、機動的に弾力的な措置は常に誤らずとっていかなければならない、総需要のフレームの中におきましてそれを怠ってはならぬということを申しておりますし、そのとおり実行してきておるわけなんでございまして、この枠組みを取り外して大胆な政策の転換をやるということについて、あるいは金融界、あるいは産業界、あるいは労働界、あるいは政府部内等から正式の御要請という姿においてはまだ聞いていない、そういう意味でございます。
#45
○武藤(山)委員 大臣の認識している政策の転換という意味が私はわからない。あなたが認識している政策の転換ということはどういうことなんですか。ここまでの要求は政策の転換だ、ここまでの要求は単なる手直しだ、ここまでの要求は弾力的な処置だ、あなたの考える政策転換とはどういうことなんですか。
#46
○大平国務大臣 いま、武藤先生も御承知のとおり、財政、金融につきまして総需要抑制政策というのをとらせていただいていますが、総需要抑制政策というのは、財政におきましては、たとえば公共事業につきまして契約率を四半期別に規制いたしたり、あるいはこれを繰り延べたり、あるいは繰り越したり、そういうことをやっておりまするし、金融面につきましては、日銀が四半期ごとに窓口規制を通じまして資金需要の総枠を金融機関ごとに規制いたしておりますが、そういう一つの引き締め政策、そういう枠組みを外すということが私は政策の転換と心得ております。
#47
○武藤(山)委員 そんな抽象的なことを聞いているんじゃないのです。だから、財界なり各省から要求されてくる政策転換という大臣の認識している意味は、公定歩合の引き下げだとか、預金準備率の引き下げだとか、そういうオーソドックスな金融政策の転換あるいは財政の中の繰り越している部分だけを早く実行しろというような要求、そういう物価抑制のための強力な、最もオーソドックスな金融政策や財政政策だけをあなたは総需要抑制の政策転換と考えているのか。
 具体的に聞きますが、それではいままでおととしの十二月二十五日に大蔵省銀行局長名で融資規制という通達を出しておいた。各金融機関の窓口は全部それに基づいて金融をずっと規制してきた。しかし、それは昨年の十二月二十五日に廃止した。これは総需要抑制政策の一部、ほんの一部の手直しという意味なんですか、政策転換じゃないのですか、これはどっちなんですか、どっちの概念に入るのですか。
#48
○大平国務大臣 政策転換というよりは一部の手直しと心得ています。
#49
○武藤(山)委員 そうすると、いま財界でも各省でも、全面的に公定歩合を直ちに引き下げろとか、預金準備率を撤廃しろなんという乱暴な議論を大臣に言う人はおりませんよ。それは国民ほとんどがいまの経済状態は認識しておりますよ、物価問題を何とか退治しなければならぬということが最も基本的な政策であるべきだということは。だがしかし、今日の仕事量がなくなったのをどうするか、失業者がどんどんふえるのをどうするか、パートタイマーがみんな仕事がなくなっちゃって泣いているのをどうするか、零細鉄工所や零細繊維業者はみんなもう織機をとめ、旋盤をとめて出かせぎを見つけている。その出かせぎの仕事もない。大臣は東京にばかりいるから、おそらくそういう苦情や陳情はないと思う。ぼくらのところに来るのはみんなそういう零細な、底辺の中小零細業者なんだ。金を貸すぞと言っても担保がないから借りられない、金なんか何ぼ貸してもらっても仕事がないことにはもうどうにもならぬ、そういう苦情です、そういう陳情です。
 だから、私が言うのは、物価対策の政策を続けながらも、なおかつ今日のこの不況というものをこれ以上深入りさせない手だてというものが何かないのか、その知恵をしぼるのが大蔵大臣であり、企画庁長官でなければならぬとぼくは思うのですよ。三月末対前年同月比一五%の物価上昇でとどめる。にもかかわらず、中はこういう方法をやればいまの不況をこれ以上深刻にしないで済む方法はあるはずだ。私はあるはずだと思う。大蔵省にそれだけ優秀な官僚がいて、こういう方法なら物価にそんなに影響なくて不況問題をもうちょっと何とか緩和できる方法というものは、実行するしないは別として、たとえばこういうことが考えられるという、考えられるものはあるのじゃないでしょうか。ありませんか。
#50
○大平国務大臣 申すまでもなく、各政策転換の明快な御要請がなければ私はみこしを上げませんなんて申し上げているわけじゃないのです。いままで私のところへはそういう政策転換の声はまだ来ていません。しかし、私は、今日の不況の実態というのは相当停滞の色が濃いものであるので、よほど注意する必要があるのじゃないかと思っておるわけでございまして、これに対して、いつどういう姿において全体の経済政策基調を踏まえながら適切な措置をとってまいるかはわれわれの責任であると考えておるわけでございます。
 したがって、たとえば去年の第三・四半期にいたしましても、これは金融面の措置とひたしまして、いろいろな投融資の枠を総需要抑制で締めるどころか、むしろ枠を追加したこともございますし、手持ちの地方債や国債を買い上げてみたり、いろいろな措置を適時適切にやっておるわけでございまして、住宅金融につきましても、御案内のような措置を、年度内に二回も予定よりも追加いたしまして措置を講じておるわけでございます。
 しかし、こればかりでなく、これから先何をいつやるべきかということについては、絶えず各方面の意見を聞きながら十分考えていかなければいかぬと思っておるわけでございまして、何が何でも御不自由をお願いしなければならないというようなかたくなな態度は私はとっておるつもりはないわけでございます。しかも一五%という物価政策の目標は、先ほど山田先生にもお答え申し上げましたように、いろいろな措置を講じながら同時に達成できるのじゃないかということも私はあわせて考えておるわけでございまして、事態の推移を十分注意しながら、適時政策の実行をやってまいりたいと思っております。
#51
○武藤(山)委員 たとえば鉱工業生産の最近の前年同月比の指数を見ましても、急激に十一月から悪くなっていますね。もう鉱工業生産の落ち込みは二けたになって、十一月はマイナス一三・四ですよ。十二月は幾らですか、大蔵省。
#52
○岩瀬政府委員 鉱工業生産の十二月度は、対前年同月でマイナス三・五でございます。
#53
○武藤(山)委員 さらに民間の設備投資状況あるいは生産者製品在庫率あるいは労働者の現金給与総額等々を見ても、私はもう完全な不況だと思うのですよ。大蔵大臣はまだ不況だとは思いませんか。思わなかったとすれば、不況というのはどういう現象、事態を不況と言うか、認識のほどを聞きたいのです。
#54
○大平国務大臣 私、不況でないなんて言っていないのでございまして、相当深刻な不況の様相を濃くしてきたと申し上げておるわけでございますことは、先ほどからの御答弁でお聞き取りいただいたと思うのでございます。しかし同時に私どもは、先ほど山田さんにもお答え申し上げましたように、インフレとの闘いを続けておるという二正面作戦をとっておるということの苦悩をるる訴えた次第でございます。
#55
○武藤(山)委員 だから私が冒頭に言っているのは、三月末前年同月比一五%程度に消費者物価はおさめながら、なおかついまの不況問題をこれ以上深刻にならぬような手だてをあれやこれやと考えるのが皆さんの責任ですよ。そんなに物価上昇要因にならないで、方法というのは考えることができるじゃないですか。
 この間新聞に出ておった銀行の店舗行政、銀行局長、店舗の増設というものを総需要抑制政策の一環として抑えてきた。この辺で余りにも景気が落ち込んだから、銀行店舗の建設をそろそろ緩めていいではないかという議論もある。それから民間の、あれは三千平米以上だったか、建築をする場合には、許可制で大変うるさい。それもこの辺で少々緩めないと、これ以上落ち込んだら、統計上見ても、もう民間の個人消費の伸びというものもないのですよ。輸出のこれからの伸びによる有効需要の拡大の見通しは、そうふえるという見通しにないのですよ。あとは民間設備投資、財政、、これしかないわけですね。どこをちょっと手かげんするかといえば、そういう個別的な問題をじっくり検討して、これを外した場合にはどの程度物価にはね返るか、一五%の中にこれなら何とか吸収し切れるか、そういうものを個々に検討すべき段階だと思うのです。
 もう一つ私の提言を言わしていただくならば、たとえば四十九年度の予算の中から、一応来年度へ繰り延べたものがありますね。来年度へ八%ですか、金額にして幾らかもあわせて答弁願いたいのですが、そういうものをいまの年度内にもう一回引き戻すような措置も考えて、その中のどれとどれとどれは年度内に使ったほうがいい、使っても物価にはそうはね返らぬ項目だ、そうして、この不況というものを政府は克服しようと始めたし、できる可能性があるぞということを国民の気持ちに植えつけない限り、いまの不況というものはぼくはずるずる行っちゃうと思う。だから、そういう点を大蔵省として積極的に英知をしぼって大臣に進言をし、大臣も真剣にそれを検討する、そういう姿勢が一番望まれてならぬのですよ。
 物価問題は福田大臣がおるから、福田さんにまかしておけばいいやじゃいかぬのです。企画庁の発言を中心にすれば、物価だけにこり固まります。福田さんは物価を退治するための大臣だと国民は思っておる。したがって、彼の発想はそこにすべての重点がいきますよ。大蔵省はそれであってはならぬのですよ。企業全体のいまの立場そのものも十分大蔵省の立場から検討して、いま私が申し上げた二つぐらいの問題点は、物価上昇に影響しないで処理できる方法が何ぼかあるわけだと思うのですよ、全部を解除しなくも。大臣、どう思いますか。そういうこまかい手だてをいま直ちにやらぬと、私は大変なことになると思う。
#56
○高橋(英)政府委員 全般についてのお答えにはなりませんけれども、実際大臣が御答弁申し上げているように、不況色といいますか、停滞色がございます。私ども金融を担当しておりまして、金よりも仕事だという声が出てきておることも十分承知しております。そういうことについて何かないかということはもちろん考えておるわけでございます。
 先ほど武藤委員が銀行の店舗抑制云々ということに触れられましたので、その点についてお答え申し上げますと、建築規制五千平米でございましたか以上のものが抑制されておりますが、これは企画庁にあるそういう委員会みたいなところで調整しております。私ども銀行の店舗でも、本店建築とかあるいは計算センターといったような大規模のものがちょうどそこへかかりまして、あれは原則として永遠に延ばせということではございませんで、まあ計画よりは六カ月ぐらいずらすようにという勧告のものだったと承知しております。
 それで、あれは発足いたしましたときに数件ございまして、実はすでに六カ月以上期間がたっておりましたので、私のほうは、そう一年も二年も延ばすことはないのではないかということから、個別にそこへ持ち出しまして、ぼつぼつその解除を認めていただいて始めておるということでございまして、店舗行政といいますか、店舗の建築抑制を全面的に解除したのだとか解除しないのだというようなことではないのでございまして、あの新聞記事は若干そういうふうにございますけれども、不動産の……(武藤(山)委員「いや、私が言っているのはそんなことじゃないのだよ、もっと大きな観点から聞いているのだよ」と呼ぶ)
#57
○岩瀬政府委員 ちょっと私から。
 いまの武藤先生の御質問につきましては、一体一−三月のこの景気をどう見ておるか、それに対して大蔵省として具体的に何を用意しておるか、こういうことであろうかと思います。
 これはちょっとくどくなりますけれども、いままでの総需要抑制下におきまして、大蔵省がいかに中小企業その他いろんなことについて対策を講じてきたかということは先生よく御存じのことだと思います。要するに、これだけ不況をつくると申しては恐縮でございますけれども、やはり物価を下げるために相当無理をしてきたわけでございますけれども、そのひずみを一方において拾っていくというのは当然でございます。いまやっとここまで来て、物価がやっとここで定着し始めてきた。しかし、一方においてその物価がもう一回上がる要因がないかといえば、これはまだ十分あり得るわけです。
 一つは、コストプッシュが依然としてやまっておりません。それからインフレマインドがないとは言えません。したがって、その辺を考慮しながら、いまから一−三月の間に景気をこれ以上に冷やさないようにするやり方というのは、これは金融の質的な手法だとか、あるいはいま先生が御指摘のような財政においても何か考えるべき手法があるかということでございます。
 しかし、それはいま具体的に何をやるかということを申し上げるには、現時点においてはまだわれわれとして考慮中である。ただその考慮中であるゆえんは、やはり不況とインフレとの共存と申しますか、その中において手かげんをすると、ややもすれば今度は、いま私ども心配いたしておりますのは、やはり賃金から来るところのコストプッシュというものが将来への物価へ非常に大きな影響を与えるということも考えながら、その景気の落ち込みを一方において防ぐという手だてを考えておる、こういうことでございます。
#58
○武藤(山)委員 あなたのいまの理論は、もと日銀にいた吉野さんの考え方と全く同じだ。これは二カ月おくれの指標に基づく判断なんだ。高橋亀吉さんの考えでいったら、そんなことをやっているから役人のやることは後手後手を食うんだ。高橋さんは長い経済評論家としての体験上、それは昭和初期の恐慌状態から彼はずっと自分で体で体験をした経済評論家として、ゆうべテレビで、大分いいことを吉野さんとやったのを出していましたよ。
 大体いまの役所、役人というものは、自分の身柄を大事にするから、確実に出た資料に基づいてのみ物事を判断しようとするのですよ。危険は絶対避けるということ。しかし、そんなことをやっていたら、一月の指標が完全にわかるのは三月なんですよ。三月になってから手を打ったのでは、不況はもう完全に落ち込んで、今度は立ち上がるときのことが大変なんですよ。もういまや仕事がなくて、ちまたでは大騒ぎです。鉄工所へ行ったって、繊維へ行ったって、自動車下請へ行ったって、仕事なんかありゃしないですよ、五人、三人のところは。半分どころじゃなくて、ないんだよ大臣。そういう状況を本当にはだで感ずる高橋さんのような人の見解の方が、ぼくは現実に合っていると思う。
 だから、そういう発想にいま考えを直して、二月の十日ごろまでの間に大蔵大臣が英断を下さなかったら、悔いを千載に残して、やっぱり大平大蔵大臣も経済の見通しはだめだったなあと――田中さんのときの植木大蔵大臣がそれで失敗したんだから。余りにも大事をとり過ぎて、処方せんが常に後手後手で、日本の経済は失敗したのです。これは植木さんの責任は私は大きいと思うんですよ。それと同じことを大平さんが繰り返してはならぬのです。これはやはりここで、十分自発的に積極的にあなたの全能力をしぼって、この不況をこれ以上深入りさせないという処方せんを早く書くべきです。そして総理大臣でも企画庁長官でも説得するだけの資料をきちっと大蔵官僚はつくって大平さんの株を上げさせなければいかぬ、私はそういう感じがしてならぬのです。これがやれるのは大蔵省しかない。ほかの省に頼んだってできないです。そこをやはり岩瀬さんね、いまのような通り一遍の吉野さんみたいなことじゃなくて、私は現実のどんどん進行する経済の実態をもうちょっときちっと大臣に報告してもらいたいのです。これは希望です。
 時間が限られていますから、次に、では、政府は次から次へ「きめ細かい配慮を払っているところであります。」払いながらもなぜ倒産がどんどんふえるのか。いま個人で銀行取引停止、手形取引もしてないで、夜逃げ、自殺、心中、出かせぎ、こういう人の数は一ヵ月五千件以上ありますよ。一千万円以上の倒産だって一千件を超えている。人ごとじゃないのです。不公正是正をしようというのは不況の問題にもあるのです。インフレ被害をただ救済することだけが不公正是正じゃないのです。そういう立場できめ細かくやりながら、なぜそんなに倒産が出ると思いますか。どこに欠陥があると思いますか大臣。
#59
○岩瀬政府委員 おしかりもございましたので、私から先に答弁させていただきます。
 先ほどから先生の御指摘のような心配は、すでに大蔵大臣からもるる私どもに御指摘がございまして、私どももその点では過去の失敗というか、そういうものを繰り返さないようにいかに苦労するかということはいまやっておるわけでございます。それはたとえば政策の上においては、いままででも金融機関を通じまして、企業の倒産になりかかったものを、たとえば金融援助をひそかにさせるというようなことで、相当のてこ入れというのをやってきているわけでございます。これから先もそういうてこ入れというものはやはり具体的に相当指導していかなければいかぬ。しかし、政策の基調といたしまして、先ほど大臣も御指摘のように、政策を緩和するという形に持っていくような施策を出しますと、日本の経済というのは御承知のように非常に振れが大きいところでございますから、まだいまの段階では不況とインフレとの共存という分水嶺を歩いておるわけでございまして、さあ今度は政策転換だということになった場合に、どっと仮需要が起きてくるとかいうような形における供給と需要とのバランスの崩れというものがまた心配になるわけでございます。したがいまして、そういう点を考慮に入れながら、倒産件数等は確かにふえておりますけれども、その倒産をいかにして防ぐかということについては、鋭意金融機関等を通じまして、相当細かくめんどうは見ておるつもりでございます。
#60
○武藤(山)委員 細かくめんどうを見ても、なおかつこれだけ網から落ちるのはどういうわけだと私は質問しているのです。それは、きめ細かくやっているところがきめ細かくないんだよ。効き目がないんだよ。なぜ効き目がないかを聞いてみましょうか。
 大臣、では、金融措置をして倒産関連企業は倒れないように中小企業に手だてすると言うけれども、具体的にはどういう手だてです。
#61
○岩瀬政府委員 財政投融資で、たとえば中小企業金融のために約七千億の追加融資を行いました。これは中小企業三機関を通じまして、かなりきめ細かく指導した結果のものでございます。それから、たとえば私どもとしましては、金融機関のそれぞれメーンバンクというのがございますので、そういうメーンバンクを通じて各取引先の企業が実際上健全なる経営をやっておってなおかつ苦しいような場合については、実情を十分見ながら融資をするようにというような指導などは細かくいたしております。
#62
○武藤(山)委員 政府がいろいろ中小企業が倒産しないように、金を貸しなさい、三公庫にも金を出しました、よく知っていますよ。しかし、借りる方の立場になったら、親企業がつぶれた、関連下請企業が金を貸してくれと言った場合に、銀行は担保がなければ貸しませんよ。担保があるほどのんきな中小企業はもうほとんどないのだよ。いままでにもう借り切っちゃって、皆担保に入れて、第二担保、第三担保、びっしり入っているのですよ。ひどいのは、この間私のところに陳情に来た人は十二担保もある。皆さんは保証協会があるから保証協会に行きなさいと言う。保証協会は無担保で保証しますか。保証協会が無担保で保証するのは五百万までですよ。親企業の仕事をやって手形をごっそり持って二千万、三千万ひっかかっている中小企業は、いまいっぱいなんですよ。保証協会の保証があれば貸しますと言われたって、保証協会が担保を持ってこいと言うのだよ。借りられないじゃないですか。倒れる以外ないじゃないですか。だから、きめ細かい配慮をやっていると言ったって、保証協会が担保を持ってこいという制度を外さない限り、連鎖倒産は防げないですよ。いまつぶれているのはみんな良心的なまじめなやつがばたばた倒れているのですよ。
 岩瀬さん、あなたは大蔵省の本省にいつもいるからそういう末端の空気はわからない。国民は政治家には遠慮なく陳情に、相談に、何でも持ってくる。だから、私はそういうことを見ると、きめ細かい配慮をして後追いの倒産を防ぐなんということをやったって、担保がなければできないのだから、仕事量をふやす以外にないのですよ。中小企業にまで仕事がふえるように、成長政策と言わなくとも、景気を少しでもよくするような政策にこの辺で力を入れていかなかったら――末端に行って中小企業団体に聞いてごらんなさい、そういう認識のほどが甘い。大蔵大臣のこの方針の中にはいいことを書いてあるのですよ。「政府としては、このような政策運営が中小零細企業等に過度にしわ寄せされることのないよう、きめ細かい配慮を払っているところであります。」払っておりながらもばたばた倒れて、戦後最高の倒産です。いま言った担保力がない者はもうだめなんだよ。これをどう解決しますか。
 政府の中小企業信用保険公庫法がある。これへちゃんと国は出資をし、政府の公庫で各県の保証協会を保険に入れているのですよ。にもかかわらず担保をとるというのは一体どういうことなんだ。きめ細かい配慮だったらそういうものを外したらいい。保険にも入れて国が保証するのだから、こういう緊急事態だったら、保証協会は担保をとらなくても関連倒産の場合には保証してやりなさい、中央の保険公庫が責任を持ちます、それならきめ細かい配慮です。大臣、この辺でそのくらいなことを中小企業のためにやるお考えはございませんか。
#63
○大平国務大臣 役所の方も、頭のいい諸君が集まりましていろいろ鋳型に私をはめ込んでおるわけでは決してないのです。大蔵省にもいろいろ意見がありまして、この際もっと積極的な手を打つべきじゃないかとか、あるいはまだ時期は早いじゃないかとか、いろいろな意見があるわけです。これはあってしかるべきだと思うのです。ちょうどいま岩瀬君がいみじくも言いましたように、経済はいま分水嶺の上を歩いているわけでございますから、われわれも大いに活発に論議をいたしまして、現在の経済の状況の診断は武藤先生も御承知のように非常にむずかしいと思うのでございますが、この診断をできるだけ誤ることなく診断いたしまして、適時適切な措置を誤らぬようにいたしたいと考えております。
 いまあなたは、しかしながら、そんなことを言いながら千百件を超える倒産がばたばた出ておるじゃないかということでございますが、しかし、倒産が出ているのは、九百件とか八百件とか千件とかいう倒産はいつも出ておるわけでございまして、自由経済におきましてはこういう形の倒産現象というものは経済の道行きとしてあるわけでございまして、これが全然ない状態を期待することはなかなかむずかしいと私は思うのでございまして、倒産過程を経まして新たな細胞がまた経済に生まれてくるということでございまして、私は倒産現象が皆無になるような事態はなかなか期待できないのではないかと思います。ただ、これは過大にならぬように配慮してまいりますことは、御指示のとおり、われわれは十分戒めてかからなければならぬ問題と思うのであります。
 問題は、いまその対策といたしまして、資金的な対策ということにつきまして非常にひどい苦情は私はまだ十分聞いていないわけでございまして、現在の段階では、むしろやはり仕事をつくってもらいたい、こういうひどい操短の状況ではとてもやれないじゃないかという声が一般的になっておるようでございまして、どうして活力を経済につけてまいるか、これがこれからの課題であろうと思うのでございまして、そういう点につきまして事態の推移を見ながら時期を失せず私どもやるべきことは考えてまいりたいと思いますので、武藤先生におかれましても、委員会の場ばかりでなく、私どもに対しましても絶えず御忠告を賜れば幸せと思います。
#64
○武藤(山)委員 大臣、私が大臣にいまお尋ねしたのはそのことじゃないのですよ。大臣、さっきのは不況問題今度は中小企業問題を質問している。いわゆる中小企業信用保険公庫という国の機関がある。これが各県の信用保証協会を保証している。保険に入れているのですよ。だから、各県の保証協会が中小企業に保証して、保証協会がひっかかっちゃった、その場合には国の保険公庫が責任を持つのです。にもかかわらず、借りる側に立つと、全部担保がなければ保証してくれないのだよ。それじゃ倒産しちゃうのですよ、担保がないのだから。目いっぱいみんな金融機関に担保に入れちゃっているのだから。だから、そういう制度は、こういう不況時のときには、関連倒産防止緊急融資なんという制度は一応あるのだが、制度はあったって担保力がないのだから、ここらはひとつ再検討してしかるべきではないかというのがぼくの大臣の見解を尋ねているところなんです。どうなんですか。
#65
○高橋(英)政府委員 保証協会の保証の場合に、担保と無担保と両方ございまして、一般的には五千万と五百万でございます。担保つきが五千万、それから無担保が五百万でございます。それが、不況業種に指定されましたもの、あるいは関連倒産といったような場合になりましたものは、それをそれぞれ倍増いたしております。したがって、現在無担保で保証を受けられます限度は、一千万ということになっております。一千万だって少ないじゃないかという御指摘になろうかと思われますけれども、この分は、実は私どもとしては、結局は財政負担の方にいく話になろうかと思いますので、私の一存ではちょっと……。実態は、そういう一千万までは倍増になっております。
#66
○大平国務大臣 まず保証限度を倍にしたということを評価していただきたいと思いますが、さらにそれでもなおこういう状態でないかということでございますが、もう少し実態を勉強さしていただきまして、なお改善すべきことがあるかどうか、検討さしていただきたいと思います。
#67
○武藤(山)委員 これは検討課題ですから、ひとつこの次の委員会にまた折りを見て、検討結果がどう出たかをお尋ねしたいと思います。
 それから次に、大臣、総需要抑制という言葉は、去年の正月ごろからもうすでに、福田大蔵大臣が短期決戦論を言ったあのころから総需要抑制という言葉だけはずっと同じ。中身も同じですか。いまでも同じでいいですか。総需要抑制の定義、内容。福田さんが言い出した当時の総需要抑制といまでも言葉は同じなんだ。あなたはいつまでも総需要抑制抑制と後生大事に言っているから私は中身を聞きたいのだけれども、その当時の総需要抑制もいまも内容というのは同じですか。定義も同じですか。
#68
○岩瀬政府委員 どうも私が出てまいりまして恐縮なんですが、総需要抑制の定義というのは必ずしもないわけでございます。したがいまして、その都度やっております施策そのものが、やはり総需要を抑制しておれば総需要抑制策になるということでございますが、大ざっぱに申し上げれば、いわゆる総需要抑制策という看板はまだ掲げております。またこれからも掲げていくつもりでございます。
 何となれば、先ほど大臣がおっしゃったように、三月に消費者物価が一五%におさまりましても、それから先物価は終わりではなくて、さらにもう一年先は一〇%、こういうふうになりますと、総需要抑制策というのは何らかの形で物価対策上どうしても必要になってまいると思います。ただ、経済の変化に応じまして、その中身あるいはそれを守っていくためのいろいろな諸施策というものは、さらにきめ細かくいろいろな形で出てまいろう、こういうふうに考えております。
#69
○武藤(山)委員 福田さんが言い出したころの総需要抑制というのは、やはり需要の中の大きいものはまず財政支出ですな。個人消費ですな。民間設備投資ですな。この中で、あの当時一番重点を置いて需要を抑えなければならぬと思われたのは民間設備投資なんです。そのために、金融引き締めを極度にだあっと五回にわたって徹底的にやった。それで民間設備投資というものをとにかく極力抑えよう。この姿勢をいつまでもずっと続けてやっていくと、いまのような不況になってしまう、こればかりに重点を置いていくと。財政の方も、それに並行して同じような財政規模ならいい。財政は二四・五%増だ。マネーサプライがずっと率が落ちた。あるいは日銀のいろいろな指標を見ても、金融情勢はかなり努力した経過が数字の上に出てきている。片方はかなりぎゅうっといったけれども、片方の財政は二四・五%増じゃ総需要抑制にならないじゃないですか。これは一方需要抑制だ。大臣、どう思いますか。
 総需要抑制というのは、大きな柱は大体三つなんですよ。どれに重点を置き、どれを緩め、次はどれに重点を置くかという、常に情勢に適確に対応するような需要管理をやるべきなんです。だから、需要抑制という言葉よりも、ここまで来たら、これからは総需要の誘導管理政策なんだ。ただ抑制一点張りのことでいくから、景気はますます落ち込んでしまう、みんなしぼんでしまうんだよ。私は、大臣もそろそろこの辺で一回、国民の気持ちを変えていく意味で言葉遣いも変えたらいいと思う。そのリミットは二月十日ごろ。それまでに大蔵省はもう決めないと――ぼくは構いませんよ、失敗したって。大平さんがみそくそに言われるだけですから構いませんけれども、国民自体がかわいそうですからね。中小零細企業がかわいそうですよ。
 このままの姿勢で三月までずっといくのだったら、先行きどうなるのかという不安が先に立って、ノイローゼになる中小企業の方が多いくらいなんですよ。新聞の三面記事なんかあなた見ないからわからないでしょうが、自殺だの夜逃げだの毎日ですよ。そういうように財政の面も同時に総需要抑制をやらなければいかぬけれども、あなたはこの予算をつくったときに、五十年度予算は中立型予算である、こう言った。中立型予算というのは何に中立なんですか、ちょっと説明してください。
#70
○大平国務大臣 これはきょうの私の当委員会における所信表明におきましても、政府のこの予算による財貨サービスの伸び率はGNPよりは下目になっているわけでございます。したがって、景気を刺激する予算であるとは考えていない。しかしながら、というて、あなたがいま御指摘のように、規模自体は二四・五%の伸びを示しておるのであるから、これはいまの景気の冷え込みにさらに追い打ちをかけるというようなことは言える予算ではないじゃないかという反論が成り立つと思うわけでございます。したがって、私は、この予算はやはりどう見ても景気に対して中立型の予算であると御承知願いたい、そういう記者会見をいたしたわけでございます。
#71
○武藤(山)委員 景気に対して中立的かどうかというのは、いろいろこれから日本の経済が不況局面が長くなったときのそれに対して予算を見たときには、なるほどこの予算は先見の明があったという予算になるかもしれない。しかし、あなたの言うように、物価問題だけに重点を置くような姿勢を貫こうとすれば、この予算は非常に刺激的予算ですよ。だから、このどっちつかずの無性格予算だということが逆に五十年中に幸いする結果になるかもしれない、不況問題がずっと深刻になると。そういう意味で私は、これは両方に自由にぐにゃぐにゃ、無性格な、大平さんに似た予算だ。(笑声)こういう予算が物価に対してもし中立だと言うなら、私はごまかしだと思うのです。物価に対してはやはりそれだけの伸びを――財政だけ二四・五%伸ばしておいて、個人の所得は一八%くらいと、政府の経済見通しの中でちゃんと出したわけでしょう。そういう個人消費なんかはぐっと抑える希望的数字で一八%になっている。国の方だけは二四・五%でもこれは中立的だと言うのは、余りにも御都合主義の解釈だと私は思うのですよ。
 いずれにしても、この予算がなぜそう大きくなるかという理由はよくわかりますよ。財政が硬直しちゃって、もう歳出を縮められないんだ、だから収入のある限りは予算に持っていこう、こういう苦心があることはよくわかります。しかし、財政というのは元来、歳入がこのくらいあるからこのくらいのものはまた上積みしてやっていけという、入るをはかるんじゃないでしょう、出る方を先にいかに規制をし抑え、国民的な負担をできるだけ軽くするか。そういう措置は、まず出る方をきちっとできるだけ縮減をして、そして入る方はできるだけ少なくしてやるということで、国民のふところから取り上げる税金をできるだけ少なくしていこうという配慮が財政には必要なんでしょう、家計とは違って。家計は収入があったその範囲内で賄うということでしょう。
 ところが、いまの財政の立て方というのは、どっちかと言うと、収入があるからその範囲内で出していこうということで、出る方の削り方が大変不十分、こう思うのです。しかし、大平さんのきめた五十年度予算編成方針全文を読んでみると、かなり補助金等既定の経費を整理合理化する、官庁営繕系統経費の抑制を図る、おまけに国家公務員の定員を、既定定員については今後三年間に三%を目途として削減を行うと予算編成方針の中に書いてある。このことは具体的に五十年度予算にどう実現をされているのか。その点の見解をひとつ大臣からお聞かせ願いたいのです。これは事実ですから、どう努力されたかという事実を説明してください。
#72
○大平国務大臣 そのとおり、その方針をもって編成に当たりまして、削減すべきものは削減したわけでございますが、新たにどうしても真にやむを得ないものにつきまして増員を若干認めておることは、これは毎年あることでございまして、計数についてどういう結果になっておるかは事務当局から御報告します。
#73
○辻政府委員 計数につきまして御報告申し上げます。
 たとえば補助金等の整理合理化でございますが、五十年度におきます補助金等の整理合理化によりまして廃止あるいは減額いたしたものは、一般会計におきまして、件数にいたしまして二百九件、金額にいたしまして五百一億円ということになっておるわけでございます。
 それから一般の庁費、旅費系統の節減でございますが、こういう物価情勢でございますので、庁費の単価等の見直しはいたしたわけでございますけれども、その一方におきまして、たとえば燃料費や光熱費でございますと、五%から二〇%の節減を図ったわけでございます。また旅費につきましても、国内旅費におきまして日当、宿泊料の改定を予定いたしておりますが、その際に一五%程度の節約を行うことにいたしております。
 そのほか、たとえば官庁の自動車の新規の買いかえ等はこれは見送るということをいたしておりますので、そういうものを合わせますと、一般の行政経費の節減額は二百三十億円ということになっております。
 なお、先ほど御指摘のございました官庁営繕系統経費につきましても、おおむね前年横ばいということで抑制を図った次第でございます。
 定員につきましては、第三次の定員管理計画による定員の削減を行ったわけでございます。この定員の削減は、非現業におきまして一万五千八百七十人、五現業におきまして一万一千二人ということになっております。このうち五十年度におきましては非現業五千九百五十九人、現業五千八百四十四人の削減を行うことにいたしております。
#74
○武藤(山)委員 金額にするとどのくらいありますか。
#75
○辻政府委員 金額にいたしますと百三十七億円でございます。
#76
○武藤(山)委員 これは辻さん、大体あなたの努力でこれ以上はもう一般会計の中で節約をしようとしてもなかなかできそうもない、こういう感触ですか。それともまだやろうと思えばかなりある、こうお感じになりましたか、どうですか。
#77
○辻政府委員 補助金等の整理合理化あるいは行政経費の節減につきましては従来から努力してきたところでございまして、五十年度におきましても、先ほど来御指摘のございました財政資金の効率的使用という観点から、私どもといたしましては精いっぱいの努力をいたしたつもりでございます。
#78
○武藤(山)委員 もう時間がありませんからやめますが、先ほど与党の議員からも、不公正是正が看板である三木内閣がどうして医師の診療報酬の特別措置をそのまま置いたか、こういう質問がなされたわけです。この高額所得者とか不労所得とか、そういうものに対するメスの入れ方が大変不十分である。私、もう個々の問題について触れる時間がありませんので、いま大臣の見解だけ一つ聞きたいのは、今度の相続税で農用地としてあくまで耕作の用に供する田畑の場合は、相続後二十年間耕作を続けていたものは相続税は免除になる。私がいまこれから大臣に今後前向きに検討を願いたいという要望は、幼稚園と保育所ですね。いま全国に幼稚園、保育所の数というのはかなりありますが、全国に一万二千六百八十五の幼稚園がある。その場合、私立が七千六百十四、六〇%を占めておるのが現況ですね。その中でまたその私立の内訳を申しますと、学校法人になっているのが三七・七%、それから全く個人財産で個人立が三六・五%、宗教法人が二四・六%、こういう幼稚園の比率になっているわけであります。
 この間も朝日新聞に出ておりましたが、幼稚園で、個人幼稚園なものですから園主が死んだら相続税がかかってきてとても相続税を払って幼稚園を続けることはできない、ついに幼稚園を廃止する、生徒は全部おっぽり出され、よそへ配置転換しなければならぬ、そういう問題が起こったことがつい最近報道されたわけであります。
 私どものほうの県でもそういう個人立幼稚園の問題が大変問題になっておりまして、農用地と同様に、幼稚園の場合の校舎、校庭、かなり広い面積になりますから評価額が大変になります、周りが特に住宅地、こういうようなものについても当然幼稚園を続けている間は相続税の延納を認める、幼稚園をやめたときにそこで相続税を徴収する、そういう制度にしてもらいたい。教育機関でありますからね。また政府が全国の幼稚園を公費でつくれるだけの金を出してくれてどんどんできればいいですけれども、なかなかそうはいかない現実にあるのですから、私はやはり農地をやると同時に、こういう学校の幼稚園ぐらいについては当然やるべきではなかろうか、前向きに検討してしかるべきではないか、こういう感じがいたしますが、大臣の見解いかがですか。事務当局はいいです。大臣の政治家としての見解でいいです。
#79
○中橋政府委員 制度の技術的な問題を先に御説明させていただきます。(武藤(山)委員「それではだめなんだよ、政治家としての大臣の見解を聞いているのだ」と呼ぶ)
 農地の相続税の猶予制度と申しますのは、農地の用途が非常にいいからということで設けた制度ではございません。むしろ土地の利用状況を規制するいわば線引きがはなはだわが国においてはまだ確立していないということと、相続税を課税いたしますときにはどうしても評価ということが必要でございます。そういうことからむしろ考え出されたものでございます。と申しますのは、線引きが非常に確立しておりまして、このところに宅地というものが入ってこれない、あくまでも農地であるという状態でありますれば、現在のように非常に都市近郊の農地が宅地含みの価格で売買されるということはあり得ないわけでございます。そういう評価で、いわば宅地含みの価格と本来の農地価格というものとの乖離をどういうふうにこれで解決したらいいかということの一つの解決策として今回提案したわけでございます。
 そういう意味から言いますと、確かにいい目的である幼稚園の経営ということに宅地が使われておるといたしましても、その宅地の評価ということは、売らないということについてのしんしゃくはそれ相応になしていくとしましても、宅地はあくまでも宅地の価格でございます。それで、たまたま農地につきまして先ほど言いましたように、宅地含みの評価と農地としての評価の乖離という問題は、実はこの幼稚園についてはあり得ないわけでございます。だから、目的が非常にいいことに使っておるということになりますれば、市内にありますところの中小企業にいたしましても、自分たちの事業を継続しておれば非常にいいことをやっておるのであるからこれについて同じような制度をしろというようなことになりまして、本来の農地の相続税の猶予制度の設けられた趣旨とは全く離れてくるということで、現在、先ほど御提案になりましたことはなかなか実現しがたいと私どもは思っております。
#80
○武藤(山)委員 あなたは実現しがたいけれども、大蔵大臣がよしやろうと言えば決まるのですから、医者のだってああいうことがまかり通るのですから、それはやはり政治的判断なんですよ。私は、大蔵大臣に大臣という立場の政治家として常識的に、相続税が納まらぬために幼稚園がつぶれちゃうというようなことは一体どう思うか、そういうものについては相続税法上も検討に値するのではないか。すぐやれとかなんとかじゃなくて、政治家としてのそういう不合理についてどう感じているかということについての見解をただしているのです。
#81
○大平国務大臣 御案内のように、相続税は今度相当思い切って軽減措置を講じさせていただく予定になっているわけでございます。したがって、一般的減税、軽減の中でがまんしていただくことが望ましいと思うのであります。
 それで、幼稚園、学校その他特定の用途に当てておるものについてどうだということになってまいりますと、いま主税局長が申しましたように、宅地はあくまで宅地だというような議論にもなりかねないわけでございまして、私としてとっさに判断しかねるわけでございます。したがいまして、せっかくの御提議でございますから検討はいたしてみますけれども、大変困難な問題であると御承知を願いたいと思います。
#82
○上村委員長 小林政子君。
#83
○小林(政)委員 インフレ、不況の同時進行という日本経済の深刻な危機に直面をいたしておりますけれども、これは私は、歴代政府の高度経済成長政策の破綻によって引き起こされたものであり、政府はやはり反省をすべきであるというふうに考えます。従来の高度成長を支えてきた既定の政策あるいはまた制度についても、国民生活を安定させるという立場からこれを改め、社会的不公正の是正を図ると同時に、従来の大企業を優遇してきた税制、財政、金融について、この仕組みに根本的に思い切ってメスを入れるときではないか、それなくして問題の解決ということは実際には図れないのではないか、こう思うわけでございます。
 この問題、また当面している中小企業の危機打開の問題、あるいはまた国民生活の安定ということが、政治がいま緊急に解決をしなければならない差し迫った問題として大きく取り上げられておりますけれども、日本経済のかじ取りとして財政当局は、また経済運営に当たっておられます大蔵大臣は、本当にこの解決を真剣に図っていくためにこういうことを具体的にどのようにとられようとしているのか。私はこの問題についてはやはり二つの選択の道があるだろうと思います。一つは、国民に、苦しくてもがまんをしろ、あるいは節約をすべきだ、こういうことを主張して、国民生活に対する大きな犠牲の上にこの打開の道を切り開いていくか、それとも従来の大企業に対する優先政策といいますか優遇政策、こういうものを本当にここでもって根本的に改めていくというこの二つの選択がいま非常に重要になってきているというふうに考えますけれども、大臣はこの問題に対してどのような立場に立って具体的な解決を図ろうとされているのか、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。
#84
○大平国務大臣 小林先生がおっしゃるいまの危機打開の道は、大企業中心の仕組みを変えて対処をするか、国民に犠牲を強いるか、どちらかの選択しかないじゃないか、おまえはどちらをとるのだというお尋ねでございますが、私はどちらもとりません。私はあなたと少し立っている立場が違うわけでございます。
 言いかえれば、私はいまの経済的仕組みというようなものを大企業中心であるとは見ていないのであります。私は、企業にはいい企業と悪い企業があると思いますけれども、大きな企業、企業の規模によっていい悪いを決めるということは非常に無理があるのじゃないかと思うばかりでなく、大、中、小、零細企業というのは一つの共同的な仕組みの中で経済運営をいたしておるわけでございまして、切り離して存在し得ない存在であると思っておるからでございまして、したがって、大、中、小、零細であれどうであれ、日本というのは大企業国家でありまして、どこを突いてみても企業にぶつかるわけでございます。この企業が健全で活力を持っておる限り日本は大丈夫だと思うのでございまして、各企業が勇気と活力を持ってこの危機打開に御参加いただける政治、そういう政治を私どもは願っていかなければならぬのじゃないかと思っておるわけでございまして、前提といたしまして私はそのように考えておるわけでございます。
#85
○小林(政)委員 私のとっている立場と違うということでございますけれども、一体どう違うのか。私は、現在の財政、金融、税制、この制度がやはり高度経済成長を促進し、支えてきた、あるいは特に大きな企業に対する優遇措置がとられてきていたと思うが、この事実について大臣はお認めにならないのですか。どこが立場が違われるのか。
 私は、経済というものは、本来、各人の勤勉とその努力の成果というものが本当に各人に還元をされ、それを通じて生活そのものが向上していく、これがやはり本来の経済のあり方だと思います。ところが、実際には生産第一主義というもとでもって、力のある者に対してはあらゆる面で優遇措置をとられてきていた。そして一般国民は、そのために不公正がまかり通るというこういう状況のもとに置かれてきていたんです。こういった事実について是正をする意思が本気になっておありになるのかどうなのか、私はこの点についてお伺いしたいと思います。
#86
○大平国務大臣 優遇措置、それは具体的には税制で申しますと租税特別措置制度のことだと思うのでございますが、これは小林先生ももう申すまでもなく御承知のとおり、特定の政策を実行してまいる場合におきまして、いわば輸出の振興であるとか、貯蓄の奨励であるとか、あるいは研究開発であるとか、あるいは住宅政策であるとか、あるいは資源開発であるとか、いろいろな政策を実行してまいる場合におきまして、企業の大、中、小、規模の大小にかかわりませず、税が持っております抑止的な機能であるとかあるいは誘導的な働きであるとかいうものを活用しようという制度でございます。したがいまして、これは大、中、小、零細いずれにも門戸が開かれておるわけでございまして、大企業中心の税制であるなどということはあなたの独断であると私は思います。
 それから、その場合、しかしながら、この制度はこの政策目的を達したらやめなければならぬわけでございます。あるいは政策目的が退化した場合には改廃していくべきものでございまして、いつまでもこれが慢性化する、あるいは既得権化するというようなことは十分慎まなければいかぬわけでございまして、年々歳々これは見直しておるわけでございます。私といたしましてはこの見直し方が足らぬと思うのでございます。
 先ほども社会保険診療報酬の課税特例というようなものがまだ是正にならないなどということについて私も非常に残念に思うということを申し上げたわけでございますけれども、なかなかこの租税特別措置を洗うということは容易なことでございません。しかし、これが既得権化する、あるいは慢性化するということは政治のためによくないことでございますから、これは絶えず見直していかなければならぬので、その努力が足らなければ鼓を鳴らして鞭撻を願いたいと思うのでございますが、これが大企業を育成するために設けた税制であるなどということはあなたの独断的な御解釈でございまして、私が首肯できる解釈ではございません。
#87
○小林(政)委員 私がいま質問したことについて大変それは独断的だということでございますけれども、この問題については具体的な中身に立ち入って質問をいたしたいというふうに思っております。
 まず第一に私がお伺いをいたしたいことは、その問題に入ります前に、五月の一日からたばこの値上げを四八%行う。そしてまた酒についても平均二二%、清酒については一五%の値上げが計画されておりますけれども、酒、たばこの場合は他の公共料金と違って、赤字だからやむなく値上げをするのだということではなくして、大幅な黒字であるにもかかわらず今回の値上げが行われるわけでして、物価安定を最重点にしていくと言われている三木内閣のもとでの今回の値上げは、私はその政策目的に逆行するものではないか、こういうふうに思います。また酒、たばこの今回の値上げによって具体的に増収を一体幾ら見込んでいるのか。この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
#88
○辻政府委員 たばこについて申し上げますと、今回の改定によります日本専売公社の五十年度のたばこ納付金の増加見込み額は約二千五百億円でございます。
#89
○中橋政府委員 今回御提案を申し上げようと思っております酒税の税率の引き上げによります昭和五十年度における増収額は千七十億円でございます。
#90
○小林(政)委員 たばこの場合は今回なぜ値上げをするのか、この理由を説明してもらいたいと思います。
#91
○大平国務大臣 これは近く法案を御提出申し上げまして御審議をお願いしなければなりませんので、詳しくはその節御説明申し上げることになると思いますが、あらまし私の考え方を御披露申し上げて御判断をいただきたいと思います。
 財政演説で私が申し上げましたのは、第一に歳入の充足ということを書いたわけでございまして、酒にいたしましてもたばこにいたしましても、いま申し上げました財源は、今度の予算編成にとりまして非常に大事な不可欠の財源でございまして、これがなければ遺憾ながら公債の増発というようなことを考えなければならない性質のものでございまして、そういう道よりはやはりこういう健全な財政収入の道を考えるべきであると私は考えたわけでございます。
 それから、これは酒もたばこも両方とも昭和四十三年から据え置きになっておるわけでございます。それで、この二つとも小林先生も御承知のように従量税でございまして、量目にかかっていく負担でございます。従価税でございますならば、物価が上がりますとそれに応じまして税金が比例して上がってまいる仕組みになるわけでございますけれども、この二つは従量税でございますので、据え置かれたら据え置かれたままそのままずっと今日まで推移してきたわけでございますので、ほかの従価税と実質的な負担がアンバランスを来してきたわけでございます。言いかえれば、ほかの税目との比較におきまして見えざる減税が行われているという見方も学者がいたしておるわけでございます。したがって、この機会に無理のないところでこれを是正していただきましてもさして無理でなかろうと判断したことが第二の理由でございます。
 それから第三の理由は、諸外国、先進諸国とたばこの値段の比較をいろいろ公社を通じ在外公館を通じてやってみたわけでございますけれども、今度の値上げをもっていたしましても、まだ依然として日本のたばこは先進諸国に比べまして低位にあると判断いたしたわけでございますので、重要な財源に充足をさしていただきまして、社会保障その他の財源に愛煙家もまた御協力をいただくことも私は御理解いただけるのではないかと判断したわけでございます。
 いずれ本格的な御審議の場合にはより詳しくお聞き取りをちょうだいいたしたいと思いますが、おおむねそういう考え方で御提案する予定にいたしておるわけでございます。
#92
○小林(政)委員 財源の充足ということが主要な理由であるようでありますけれども、たばこの場合は、私はいまの時期に値上げすべきではない、このように考えております。四十八年度の公社の純利益を調べてみますと三千七百四十九億円で、資本金に対する比率は一一〇%というまさに驚くべき高い利益を上げているわけであります。赤字も出していない、また民間の企業に比べましても非常に驚くべき利益を上げているこのたばこを、財源を充足するという理由だけで今回値上げを行う、しかも政府が物価の抑制ということを最優先にしているというこういういまの時期に上げるというようなことは、私はとうてい納得できないわけです。
 この問題については、一般の国民は、最近の本当に激しいインフレのもとで、今度たばこまで上がるのか――嗜好品とはいえ、せめてわずかな楽しみにしているこういう人たちに対しても、たばこの値上げは一律にかかってくるわけであります。しかも一箱八十円のハイライトが、実際に調べてみますと、原価はたったの二十五円なのですね。そして他方、その税金の部分は地方消費税を含めても四十六円、だから一本のたばこを吸えば半分は税金で煙と消えてしまう、こういう状況にいまあるわけでしょう。これをさらに今回値上げを行うということは、いまの物価抑制というものを最重点に置いている中では理由が成り立たないのじゃないか、この問題について国民に負担を転嫁する、こういう結果を招くのではないか、このように思いますけれども、国民が納得のいくような御答弁をひとついただきたいと思います。
#93
○大平国務大臣 いずれ詳しくは法案の御審議のときにお願いしたいと思いますけれども、たばこの益金というのは、大体たばこによる収入の約六〇%というのがこれまでのずっと維持してまいりました水準であったわけでございます。それを中央と地方でほぼ折半の姿でとうとい財源に充てさせていただいておったわけでございます。しかし、このごろ原料も上がり、人件費も上がってまいりまして、これが五〇%台になり、五〇%をこのままほうっておくと割るという状態になってまいったわけでございます。
 財政専売、たばこ専売は事業でありますけれども、同時にこれは税金なんでございまして、これは財政専売であるという役割りを十分に果たしていただく上から申しまして、ほかの税目との間の負担のバランスを考えまして、値上げを若干させていただくということは、私は決して無理な御注文ではないと思います。先ほどもお話し申し上げましたように、そういう高い税金を含みながら、なおいずれの銘柄もそれに相当する諸外国の銘柄と比較いたしまして低位にあるわけでございます。また、われわれの収入自体もふえておりまして、われわれの生計費の中で占めるたばこに対する支出というふうなものを見ましても、決してこの値上げによりまして不当に重い御負担をお願いしておるとは私は思わないのでございまして、とうとい財政収入の充足という意味合いによりまして、愛煙家の理解を得たいところだと私は思っております。
#94
○小林(政)委員 結局財政への充当ということでやはり国民に負担を求めていく、こういう結果が今回この時期に値上げをしようとするものだと言わなければならない、こう私は思います。いまインフレと不況の深刻な進行によって、その被害が国民生活を直撃して、もう世論調査によりましても、昨年より生活が苦しくなったと答えている人が七三%に達しています。このような中で、実際には公共料金は上がる、しかもことしの場合には減税についても全くミニミニ減税で、激しい物価の上昇のもとでは減税どころか実際にはいまの状態では増税になる、こういうことが国民の中に強く言われておりますけれども、五十年度の所得税の減税額というのは一体幾らになるのか、あるいはまた相続税、入場税その他の減税についても、まず項目別にお示しを願いたいと思います。
#95
○中橋政府委員 五十年度におきます所得税の減税額は二千三百九十億円であります。相続税の減税見込み額は六百二十億円であります。入場税の減税見込み額は百十億円であります。物品税は十億円であります。
 以上、合計いたしまして三千百三十億円であります。
#96
○小林(政)委員 実際には、所得税の減税額が初年度で二千三百九十億ということは、先ほどのたばこの値上げによってすでにたばこは納付金の増収が二千五百億円、それだけでも所得税の減税額を上回るという結果になってまいります。
 また、酒、たばこ、あるいはその他の郵便料金だとか、国立の大学入学金だとか、受験料、こういったようなものを合わせますと、実際には減税総額三千百三十億というようなものはもうそれだけで全部吹っ飛んでしまう、こういう結果になるわけです。
 私は、やはりこのことを見ても、いかに国民負担が増大していくか、国民負担にすべてを転嫁していくというようなこういうあり方については問題だというふうに考えますけれども、公共料金の大幅な値上げについてはこれは是正をすべきであるし、あるいはまたいまのたばこ、酒などの間接税を増収していくというこの問題についても、大衆課税という点から考えても慎重を期さなければならないというふうに思いますけれども、この点についての意見をお伺いいたしたいと思います。
#97
○中橋政府委員 たばこの小売価格の改定でございますとかあるいは今回予定をいたしております酒税の増税によります酒類の値段を引き上げるというようなことが、一体家計にどれくらい影響を及ばすかという点につきましては、これは家計上のいわゆる消費者物価にどれくらいの影響を与えるかという観点から見てみなければならないと思います。たばこの価格の引き上げによりましては〇・六ぐらいの程度でございますし、酒税の増税によりますところの家計に及ぼす影響は〇・一ぐらいの影響でございます。
 また一方、先ほどいろいろ所得税について、初年度二千三百九十億円の減税を今回の改正で予定いたしておると言いました。これの間接税との差し引きが一体幾ばくになってしかるべきかということは、これはまた別の観点がございますけれども、もう一つお考えおきをいただきたいのは、今回新たな改正で、所得税は五十年度に二千三百九十億円減税になるわけでありますけれども、実はそのほかにもう一つ、昨年の大幅な所得税の減税の平年度化というものがございます。これは昨年の平年度化が本年に一体どれくらいの減収になるのかということを概算いたしてみますと、約四千五百億円程度でございます。課税最低限に影響を及ぼすものだけをとってみましても三千五百億円でございますから、そういったものも今回新たに行います減税のほかにあるということもあわせてお考えおきいただきたいのでございます。
#98
○小林(政)委員 私は、この四千五百億、昨年度の平年度分の減税ですね、これを含めても実際にすべてのいま予測をされておりますたばことか郵便料金、酒だとか国立大学の授業料だとか高校の入学金、受験料、こういうもの全部を含めて計算してみますと、それだけでも約五千二百億に近い公共料金の値上げになるのですね。そのことを考えてみますと、やはり国民が相当の負担を今後財源的にも背負わされる。こういうようなことが、いま物価抑制を最重点としているときに行われていいのかどうか、こういうことを真剣に考えてもらいたいし、やるべきではないんじゃないか、こういうことをいま言っているわけであります。
 次に、私は不公正税制という点で、毎回大蔵委員会の中でも論議をされてまいりましたし、先ほど来の税調の答申の中にも明記されております利子配当課税め特例について、今回期限が切れたらこれは当然やめるべきである、それどころか、この問題についてさらにまた五年間も若干の手直しをして引き延ばしていくというようなことは、私は、これはなぜきっぱりと期限が来たのでやめるという措置がとれなかったのか、この点について大蔵大臣にお答えをいただきたいと思います。
#99
○大平国務大臣 これは本会議でも御答弁申し上げましたとおり、利子配当というようなものの実態を十分掌握いたしておれば、小林先生おっしゃるように、あらゆるものを本則に返しまして総合課税をしてまいるということが正しいと私は思うのでありますけれども、ただいまのわが国の行政能力をもっていたしましてはまだそういう掌握ができないわけでございますので、選択分離税率を引き上げるということで五年間さらに延長を認めていただくということで御提案申し上げたいと存じておるわけでございまして、他意はございませんで、実態の掌握がむずかしいからという理由でございます。
#100
○小林(政)委員 所得を完全に掌握していく体制がいまの行政能力ではないのだ、したがって、この五年間の延長と同時に若干の手直しを行った、こういうことですけれども、この前のいまから五年前に、いわゆる利子配当課税についてこれをやはり五年間延長したわけですけれども、この五年前のときに、分離課税の廃止については総合課税の原則ということに戻す、しかし、経過的な措置、暫定的な措置としてやはりもう五年間延ばすのだ、こういうことが言われていましたけれども、一体、この五年の間にそれじゃどれだけの準備がされたのか、どれだけの体制をつくるための検討がいままでされてきていたのか、あるいは現在どういう状態で検討しているのか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
#101
○中橋政府委員 利子配当につきまして総合課税を行います手だてとしましてはいろいろな手があるわけでございますけれども、これは幾ら税務職員をふやしましてもなかなかできないことでございます。要は、名寄せを完全に行えるというシステムが利子なり配当について確立するということが一番必要でございます。われわれとしますれば、これが完全に行えればもう総合課税に踏み切っていいわけでありますけれども、これを行う手だてとしまして一番有力なのは、何といいましても国民の世帯番号なり、あるいはいわゆる国民背番号といったようなものができれば実に総合課税ができやすい環境になると思います。これにつきましていろいろプライバシーの問題というようなことがございますけれども、少なくとも私はそういうような方向がとれればもう直ちにでも総合課税ができる。どうせ総合課税をいたしましても、やはり現在ございますような少額貯蓄の利子非課税制度というようなことは存続いたさなければなりませんから、そういうものと、それからそれを超える部分についての総合課税というものを、不公平でなしに、制度をくぐる人を的確につかまえるというような観点から申せば、名寄せを完全に行える、しかも容易に行えるという制度を見つけなければなりません。そのためにはやはり納税者番号と申しますか、世帯番号と申しますか、国民背番号というようなものが実現してほしいのでございます。
 そういうことについていろいろ検討は行われておるようでございますけれども、先ほど申しましたようにまた別個の観点から反対もあるようでございますので、ぜひ私はそういった点からのアプローチが今後開拓されることが望ましいと思っております。
#102
○小林(政)委員 背番号だなんということになりますと、これはもうそれこそいろいろと支障が相当出てくるのではないか、このように思います。私はやはりこの問題について、実際には一人で何億も配当を受けているとか、あるいは利子所得があるとか、こういう人こそ、総合で累進でつかまなければならない、これが放置されているところに不公正があるのじゃないか、こういうことが言われているわけですし、配当の十万以下の場合だとか、あるいは少額の利子所得の場合、こういうことよりも、私はむしろ、一人で相当額が総合、累進にならないための不公正さ、こういうものをやはりできるところからすぐにやっていく、これはもう当然いまの制度でもやる気になればできるのじゃないですか。金融機関から資料の提出がされて、実際には税務当局に来ているわけですから、事実積極的にやる意思があればやることができるのではないかと思いますけれども、この問題について、まずそこからだけでもすぐ手をつけていくというような積極的な姿勢は、不公正を本当に是正していくという上で私はやはり重要な問題だと思いますけれども、大臣、見解を伺いたいと思います。
#103
○中橋政府委員 いまおっしゃいましたように、一人で多額の利子なり配当をもらっておる人からまず課税をすべきではないかとおっしゃいますけれども、そこが実は私は問題だと思うのでございまして、仮に正しく一人で多額の利子なり配当を得ておるということを正直に言っていただく方に課税をいたしまして、仮に名前をいろいろ分散して本来一人に、帰属すべき多額の利子なり配当というのをいろいろな多数の人に帰属しているかのごとくやっておる人、これを把握する体制がなくして、形式的に一人の名前で多額の利子なり配当を取っておる人に課税を始めるということは、なかなか税務当局としては踏み切れない。そこに、多数の名前を借りて本来一人の人の所得であるべき利子配当というものを分散している、それを完全に一人のものに把握し直すということができる体制があってこそ初めて課税ができるということを、先ほど来申し上げておるつもりでございます。
#104
○小林(政)委員 いや、他人名義を使っていろいろやっているとか、そういうことをいままで言いながらずるずるとなし崩しに、いや業務体制がとれないんだ、あるいは整備体制がとれないんだ、だから五年間延ばす、また五年間延ばす、全くいままでのシステムと同じようなやり方でずるずるとなし崩し的に延ばしてきたのです。
 私はこの問題については、本気になってこういう時期に根本的にやろうとする積極的な姿勢があれば、やはりわかるところから、特に大口の相当な配当や利子所得を受けていることがわかるところからでも、それが不公正の一つの大きな国民批判の的なんですから、何も小さいところを全部集めてなんということができなければ公平にできないという問題じゃないと思うのです。本当に積極的に、わかるところ、大どころからやっていくという姿勢をとらなければ、恐らくまたこれもずるずるとなし崩し的に延ばしていく結果になってしまうのではないか。現在の廃止時期というものを一応五年間延期しましたけれども、一体いつまでに実際やろうとするめどを立ててやっているのか。その点についてもう一回お伺いをいたしたいと思います。大臣からお答え願います。
#105
○中橋政府委員 現在御提案申し上げようと思っております今回の三〇%の分離税率は、五年間の適用期限でやっていただこうと思っております。もちろんその間にも、先ほど申しましたようないろいろの総合し得る体制というものを検討しなければなりませんし、そういうことができるめどがつけばもちろんその期限内にでも総合課税をしなければなりませんけれども、先ほど申しましたようないろいろむずかしいことがあるということをわれわれは一番悩んでおるわけでございます。
#106
○小林(政)委員 大臣の御答弁をちょっと願えませんか。
#107
○大平国務大臣 冒頭に申しましたように、課税の公平を期する上から申しまして、税源の捕捉が完全にいけばそれができるわけでございますが、そういうことがいまできていない。したがいまして、三〇%という高率の分離課税でしばらくごしんばういただいておきたいというのがいまのお願いでございます。たいへんむずかしい問題でございまして、それでは五年間に成案が得られる自信がおまえにあるかと聞かれれば、私はいまそれに断定的に答える用意はございません。しかし、できるだけの検討は今後続けさせていただきたいと思います。
#108
○上村委員長 広沢直樹君。
#109
○広沢委員 大分夜も更けてまいりましたし、大臣も朝から会議に出ておりますので相当お疲れのようでありますが、所信表明並びに先日の本会議の財政演説、それに関して少し具体的に数点伺ってみたい、こう思います。
 財政演説を読みましても、先ほどの所信表明を伺っておりましても、前半はやはり今日までの経済のあり方に対する反省を述べておられる。私は、その反省の文面を見たところによれば、この限りではわれわれが今日まで主張してきたとおりでありますし、まただれも異論はないと思います。そして大臣は、そういう観点に立っていわゆる政策を根本から見直す、そういう形で出発しなければならぬという決意に立っておられるわけでありますね。そして、具体的にはいろいろ三本の柱を立てていらっしゃるわけですが、やはりもう少し明確にこれを聞いてみたいと思っているわけです。私は既存の体制から転換していくということになれば、明確な目標というものをまず立てなければならない、その目標なくして直すということになれば、これは手直しの域を出ないのではないか、こういうふうに思うわけです。
 そこで、具体的に伺いたいごとは、まず第一に「均衡のとれた発展」こういうふうに大臣は申されているわけですが、言葉の表現はいろいろあります。経済企画庁長官も「国際的にも調和のとれた静かで控え目な成長」こういう言い方をしておりますし、さらに大臣は、質量ともに均衡のとれた経済あるいは経済成長はテンポ緩やかで、こういう表現をとられております。経済成長というのは、一つの経済の規模といいますか、大きさをあらわしているわけでありますから、やはり従来の一〇%ということは高度経済成長で、これを反省して見直そう、こういうことですね。
 五十年度の経済見通しによりましても、いま政府が決定している実質成長は四・三%ですか、これは低成長で、いわゆる設定された目標ではないと思うのです。やはりあるべき経済成長の日本経済における姿というものを一応は目標に掲げなければならない。これはすでに答弁の中にもありますように、五十年あるいは五十一年はいわゆる調整期間である、こういう言い方をとられている。そして五十二年あたりから安定成長路線に乗せるのだ、こうおっしゃるのです。したがって、そういうことであれば、その安定成長ラインという経済成長の規模というものは数字的にいえばどういうふうなところを設定されているのか、その点をまず聞いておきたいわけであります。
 時間の関係がありますので、二、三問一緒に聞きますから、まとめて答えてください。
 それから、先ほどから総需要抑制政策、景気対策のことでいろいろ問題が出ております。大臣は、停滞色は出ているが物価を安定させるためには避けて通れない試練、国民のしんぼう強い努力、こういう言い方をされているのでありますが、結果的にいまの総需要抑制政策のそういう影響がどの面に一番強く出てきているのか、そしてどの面をどう訂正していかなければならないのかということをきめ細かくやっていかなければならない。そのきめ細かいという内容を聞いてみたいわけでありますけれども、ただ先ほどの議論の中で私感じますことは、いわゆるいままでのような画一的な総需要抑制、そしてそれが今度は政策の転換といえば、先ほどの話にもありましたように、預金準備率だとか公定歩合だとかあるいは窓口規制だとか、あるいは財政的にも総体的に全部を今度は画一的にぱっと緩めちゃう、こういうパターン、高度成長に見られた過去の総需要抑制、景気対策のパターンというものは考えられないはずなんですね。
 したがって、結局現在はインフレと不況という二つのジレンマを抱えてどうするかというのが当面の対策でありますから、総需要抑制の中できめ細かく、ということは不況対策ということですね、これをどうするかということを考えていくのが今日の景気対策である。ですから、不況対策をどうするかという手を打っていき始めたときからすでにもう政策は転換している。われわれは、この総需要抑制政策については、やはりこういう現状においては質的な総需要抑制政策ということの転換を図っていかなければならならぬ、こういうことは代表質問でわが党の委員長もそれを言ったわけであります。そうなりますと、いわゆる質的に具体的にきめ細かい施策ということは、先ほども論議がありましたけれども、具体的にどうやっていかれるのか。そのきめ細かい施策をやるということは、やはり総需要抑制に応じて出てきたひずみに対して手当てをしていくということでありましょう。
 それで一つ申し上げておきたいのは、個人消費が非常に落ち込んできている。これも一つの目安として考えられているわけですが、その内容を見ますと、総理府統計にあります五分位の所得階層別のあの内容を検討してみますと、いわゆる一分位、二分位という低い所得の方は、これはエンゲル係数も大きくなっておりますし、あるいは個人消費の伸びもありません。横ばい、停滞しています。ところが高い層、五分位になりますと、これは相当な消費をしている。ですから、個人消費が落ち込んでいるということは、実際は低所得層にそのしわ寄せがいっているということですね。ですから、きめ細かくそこを配慮するということで、それから、これから政策を見直して次へ持っていかなければならぬという目標を設定するならば、当然そこの中におけるひずみというものを是正することを考えていかなければならぬる思うのです。それが社会保障をどうするかという問題にもなりましたし、また全国一律最低賃金制というものを考えていけばどうか。いますぐやるといってもそれはできないかもしれません。それを考えてはどうか。
 それから、もう一つは中小企業の問題であります。先ほどもいろいろ話が出ておりましたけれども、先ほどの話では、中小企業に対してきめ細かくというのは、融資枠を大きくした。これは旧来のパターンと変わりません。しかし、これだけ長引いてきてひずみが出てくるということは、融資枠を幾ら大きくしたってそれは中小企業対策にならぬということなんですね。これはもう現実が物語っているのです。先ほどの話にもるる出ていました。そういう場合にきめ細かくやるということは、やはり生活関連公共事業、いわゆる中小企業が受け持っている事業の分野というものを広げてあげる以外にない。したがって、その公共事業をいま何%か繰り延べしております、八%ですか。また、四十八年も繰り越ししてきているわけです。その点がどういうようになっているのか。きめ細かく配慮するということは、やはりその点を配慮しなければならぬのじゃないか。
 まず、いままで申し上げた点について答弁願います。
#110
○大平国務大臣 今年度政府の見通しでは四・三%の実質成長を見込んでおるが、来年度以降どういう点に緩やかな均衡のある発展を描いておるかという御質問でございますが、私ども先の展望を定かに頭に持っておるわけではございませんで、ことしは四、五%程度の緩やかな成長が精いっぱい期待できる年度ではなかろうか。今後これがもう少し高目のところに目標が設定できるようになれば幸せだと思っておるわけでございまして、こうすればこうなるという具体的な展望をいまお答えすることはできないのでございます。
 ただ第二の御質問といたしまして、均衡と言い質的な均衡を図ると言うけれども内容は一体何だということ、事柄は大変重要だと思うのでございまして、われわれは、いま御指摘のように、すでに一つの反省といたしまして、量より質へ、生産より生活へというような方向にわが国の経済の体質を漸次変えていくべきであるというのが、ここ二、三年来終始われわれの反省の目標であったことは御案内のとおりでございます。
 したがって、同時に、資源問題がやかましくなってまいりましてから、その姿はやはり省資源でなければならぬのではなかろうか、省エネルギーを目指すべきじゃなかろうかということもまた内容として加わってきたように思うのでございます。
 また、環境問題がやかましくなってまいりましたことは、これに先立ちましてすでに環境の保全ということがある意味において至上命令になってまいったということでありまして、この点を経済政策におきましては頭に置いておかなければならぬわけでございますので、いま御指摘のように、質的な均衡、緩やかな成長の中に住みよい世界を考えていく場合の内容は、いま広沢さんが御指摘のような内容を志向していかなければならぬのじゃないかというように私も考えておるわけでございまして、そういう内容を持ったものが、緩やかな、しかも成長を記録していくという姿になれば、まず満足すべきものになるのではなかろうかと考えております。
 それから中小企業の問題でございますけれども、私は先ほど小林先生のお話にも申し上げたし、常に本院の論議で申し上げておりますし、かつて通産大臣を拝命いたしておりました当時から私の持論なんでございますが、私は中小企業というものを特別扱いして論じることに対して抵抗を感じるのです。
 企業というのは、大、中、小、零細、いろんな規模においてある。いろんな業態があるわけでございまして、しかもそれがいろいろな組み合わせになっております。したがって、その中で三百人以下云々の中小企業だけをちょっとつまみ出しまして、それに対してその対策がどうのこうのと言うのは、何かしら産業政策として非常にいびつな感じがするのです。したがって、中小企業対策というのは、どうしても産業政策全体として取り上げなければ非常に相済まぬのじゃないかという感じがするわけでございますので、広沢さんに対してもお答えといたしましては、企業全体、中小企業はかりでなく――中堅企業も、零細は先ほど武藤先生も御指摘になりましたようにいま非常な苦境にあるわけでございますが、全体といたしまして、大企業もいま仕事がなくて大変大幅な、空前の操短を強いられておるという状況でございまして、まず仕事を与えなければならぬということだと思うのでございまして、御指摘のように、融資だけで片づく事態ではないと思うのでございます。
 そこで、その場合、ではどういう仕事を考えるか。これは財政も一つの力でございますし、財政が今後考えていく場合は、やはり第二の問題として、あなたといま論じ合ってくしくも意見の一致を見ました、わが国のこれからの経済の体質をどのように持っていくかということの関連におきまして、あなたの言われました生活関連公共事業、つまり住宅でございますとか下水というような点につきましては、今度の予算でもある程度奮発させていただいたと私は思っておりますけれども、日本の場合は、ヨーロッパ、アメリカに比べまして、財のフローはそんなに劣りませんけれども、それに比べて公共施設のストックはなお非常に弱いと思うのです。道路なんかでも、ずいぶんよくなったと言いましても、まだずいぶん貧弱でございますし、公園、広場にいたしましても、何にいたしましても、まだとても貧弱でございますので、生活関連の公共施設というようなものに関連した需要を喚起する、そういったことは、確かに当面われわれが一つの力点を置いてしかるべき分野ではないかと私は考えます。
#111
○広沢委員 時間がございませんので、また相当前に質問要旨を出してありますからそれについて申し上げますし、あるいは時間のない分は意見として申し上げておきます。
 というのは、きめ細かい物価対策、こういうことでございますけれども、総需要抑制は物価対策のためにきめ細かくしなければならぬということでありますが、財政による物価対策はやはり需要と通貨を調節する、いわゆるいまやっておる大枠で抑えるという考え方、それからもう一つは個別対策、いわゆる公共料金問題があると思うのです。したがって、いま言っておるように、総枠的には物価がまだ完全な鎮静とは言えないということで、先ほどから指摘のようないろいろなきしみが出ても、この大枠はどうしてもいま堅持しなければならぬという判断に立っていらっしゃるならば、少なくとも公共料金は――私は、公共料金は一切もう上げるなと言うのじゃないのですよ。それは公共企業体でもそれぞれのことを財政的にやっておるわけですから、そのものを全部抑えてしまっておけばそれでいい、あるいは財政負担はどんどんやっていけばいいというものではないと私は思っております。
 しかしながら、政治的に判断して延ばしていくものは延ばした。先ほどから聞いておりまして努力はわかりますけれども、この際はやはり一切を凍結する、そしてインフレ的なマインドを抑える、相当鎮静化してきておりますが、そういう形に政策運営をやっていくべきではないか。一部分、これはやむを得ないからということで少し訂正したくらいで出してくるというやり方は、きょうは時間がありませんから細かいことは言いませんけれども、考えていくべきじゃないか、このことを意見として強く申し上げておきます。
 それから次は、金融面でも緩やかで均衡のとれた経済成長にふさわしい体制の整備をする、こういうふうに所信表明演説でおっしゃっていらっしゃいます。経済を見直しして転換していこうということであれば、今日の経済あるいはその施策、高度経済成長を支えてきた金融機関のあり方についても、ここで再検討していかなければならない、私はこういうふうに考えるわけであります。したがって、四十五年には大蔵省当局は、金融制度調査会に全面的に諮問して、相当具体的な広範にわたる答申をもらっているわけですが、その後、具体的なことはありません。したがって、こういう一つの転換期に、あなたがおっしゃるように転換していかなければならぬとおっしゃるならば、やはり金融制度を全般的に見直すべきではないだろうか。この点やはり諮問し、検討する必要があるのじゃないか。それにつれで、やはり銀行法あるいは日銀法、それぞれの法律というものも全面的に今回は見直していくような体制で整備をはかっていくべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点はどう考えるか。簡単でいいですから、時間がありませんので、簡潔にお答えください。
#112
○高橋(英)政府委員 御指摘のように、従来の金融制度あるいは金融機関のあり方といったようなものが、従来の高度成長といいますか、急成長のときにおきますものに非常にフィットしておったことは事実でございます。これから緩やかな成長、安定成長というようなことになりますと、いままでのような預金、貸し金の急激な伸び方というようなことも期待できませんので、それにつれまして金融機関全体としての経営のあり方といったようなことは当然問題になってきますし、それにふさわしい行き方があると思います。
 それから、融資などにつきましても、産業よりは国民生活に密着した部分といった方に対するウエートなども高まってきていると思いますので、そういう要請にもこたえていく、運営の上においてもそういうことは必要になってくるかと思いますし、あるいは金利などももう少し弾力化していくといったようなことも当然考えていかなければならぬことだと思います。
 それから、金融制度全般としての銀行法、日銀法といったようなものを金融制度調査会にかけるかということでございますが、これはいままでいろいろ金融制度調査会でもたびたび問題になってきておりまして、なかなか結論が得られなかった、あるいは結論は得ても法案化するに至らなかった、あるいは法案化しても提案に至らなかったといったようないろいろないきさつがございます。いずれにしましても、御指摘の日銀法あるいは銀行法といったようなものは戦前の法律でございますし、銀行法などは五十年もたっておりますので、ひらがなの法律の中でかたかなの法律があるというようなこともございますので、そろそろ見直してもいい時期かなという、そう言うとおしかりを受けるかもしれませんが、そういう気持ちにはなっております。いずれ金融制度調査会の会長などとも相談して、まあ月並みな言葉でございますが、前向きに検討してみたい、こう考えております。
#113
○広沢委員 やはり現在、公共、社会的なそういう責任というものを明確にしなければならぬということは、さきの予算委員会等でも商社の問題が問題になりました。しかしそのバックは、やはりそういう傾斜的な、集中的な融資、そういうあり方にありますし、やはりこれは経済構造を高度経済成長から安定成長へ変えなければいかぬ、それで大蔵大臣は、基本かち見直して出発しなければならぬ、また三木総理も、全部洗い直して考え直していくんだ、こういうことであれば、やはりそれを支えた金融制度も全般的に見直すべきであるし、あるいはそういう古くからある法律も、いまおっしゃっているように見直していくべきではないか、こう思うわけでありますが、大蔵大臣、いかがですか、簡単にお答えください。
#114
○大平国務大臣 仰せの方向でやはり見直す必要があると私も考えます。
#115
○広沢委員 次は、「社会的公正の確保」ということを挙げていらっしゃいます。これは論じておれば時間がございませんけれども、その中で大臣はこうおっしゃっているのです。経済的に恵まれない人には社会保障の充実を、相対的に有利な立場にある人々には税その他公共的負担の増加にたえてもらう、まあこういうふうにおっしゃっていらっしゃるわけですね。言葉の上では確かにそのとおり、実行していただければいいんですけれども、今回の予算あるいは税制改正を見ましても、そういう形はなかなか見えません。一部手直しという形しか見えないのであります。
 ですから、その点は先ほど具体的に話がありましたが、一つ例を挙げると、租税特別措置法の中でも、利子配当の問題についても、まだこれは手直し程度である。あるいは前から大蔵委員会で問題になっております受取配当の益金不算入、それから配当軽課、こういったものもやはりそのときの効果というものは上がっていないんだから見直せということなりあるいは廃止しろという要求をしてあるのですが、その点は全然触れていないというようなことで、ごく一部分を手直ししている。診療報酬のことについても先ほど指摘があったとおりであります。その点はやはりこれから、大臣がそういうふうにおっしゃるならば、基本的にまた洗い直し、見直していくべきではないかということが一つ。
 それから、恵まれない人々に対しては社会保障の充実をということですが、これも本会議でも二万円年金、賦課方式の話を出しておりますけれども、そのようにしていけばやはりできるわけです。これは三木総理も来年度は洗い直してみたい、こうおっしゃっているんですよ。
 私、計算してみましても、いまの厚生年金あるいは国民年金、その他運用している利子だけでも八千億を超えることになるのです。これは端的に言ったらもうけですよ。そういったもうけたものぐらいは、この制度から漏れている方々に配分していくという発想の転換があってもいいんじゃないかと思うのです、これは全体を見直さなければそれだけ取り出してというわけにいかぬかもしれませんが。そういうふうに考えてやっていくならば、これは二万円ということは無理じゃないんですよ、計算してみたらすぐ出てくるのですから。そういった配慮が非常に足りないということ。
 それから、預金の目減り対策の問題でありますけれども、これも時間をかしていただきたいという先ほどのお話であります。しかし、これはずうっと制度化していく問題というよりも、こういうインフレで目減りしたものを端的に補償するという形のものですから、時限が長く延びてしまったんでは、そのときの経済情勢でできるとかできぬとかいう問題になってしまうんですよ。ですからやはり、問題点があることはわかります、われわれも具体的な提言はします。ですから、これは早急にやらなければいかぬ問題でありますから、必ず今国会で結論を出す、そして提案するという形に持っていっていただきたいが、その点は間違いないかどうか。
 それから、あと五分ありますから、あと二点だけ申し上げておきたいと思います。
 それは、もう一つの柱であります国際協調の推進の問題ですが、「オイルマネーの安定的かつ秩序ある還流システムの確立」と、こういうふうにおっしゃっていらっしゃる。これは先ほども蔵相からお話がありましたけれども、この問題については両方の案がある。アメリカの対決色が強い案と、それからIMFあるいは英国の産油国と協調していこうという案、一体、わが国はどういう方向をとっていこうとしているのか、その点、簡単にお答えいただきたいと思います。
 それから、金の公定価格の撤廃の問題でありますが、これも、撤廃されたといっても、実際は後どういうふうにするかという後の問題がいろいろあるようであります。いわゆる通貨当局で金の量を決めようじゃないかということも、なかなか決まらぬと思いますよ。そういうことになってくると、わが国は外貨準備高に占める金の割合というのは非常に小さいのですね。それからいろいろなことが、私はきょうは時間がありませんから言えませんけれども、問題が出てまいります。この形でいいのかどうか、どう考えていらっしゃるのか。その点だけお伺いして、私の質問を時間ですから終わりにしたいと思います。簡単にお答えください。
#116
○大平国務大臣 租税特別措置の整理につきましては、非常にむずかしいことでございますが、毎年毎年精力的にこの改廃に取り組んでいきたいと考えます。
 それから、預金の目減り措置につきましては、何とかこの国会に御審議を願うように案をひとつつくり上げてみたいと考えております。
 それから、オイルマネーについてアメリカとヨーロッパと違いがあるじゃないかということでございますが、これは幸いに両方の妥協が成立いたしまして、アメリカのOECD案とヨーロッパのIMF案が両方とも妥協いたしまして、ここでまとまったわけでございます。わが国といたしましては、いずれもあまり過大な金額にならぬように、何となればオイルマネーがこういう方面に特定のところに偏ってパイプが太くなるというようなことじゃなくて、できるだけいろいろなルートにおいて還流がきくような状態が望ましいと主張しておったのでございますが、幸いにIMFの場合もOECDの場合もわが国の方針の方向に問題が落着を見たわけでございまして、私としては満足をいたしております。
 それから、金の問題でございますが、なるほどドルその他通貨がフロートいたしまして、金が公定価格性を持っておるということ自体無意味であるわけでございまして、今度金の公定価格が廃止になりましたことは当然の道行きであろうと考えております。しかし、金を廃貨していくという方向で今後の世界通貨制度を考えていくという大まかな方向は決まっておりますけれども、しかし、なかなか仰せのように、これは相当時間をかけて議論をし、具体的な措置を考えていかないといかぬ問題だと思うのでございまして、今後十分検討して、わが国としても誤りない対処をいたしたいと考えております。
 それから、先ほど目減りのことについて国会で御審議をいただきたいというようなことを申しましたが、これは何も別に立法措置でなくて、できるものはやらなければいかぬわけでございますので、できるだけ成案を得て、なるべく早く実行に移すように努力するということに御承知願いたいと思います。
#117
○上村委員長 竹本孫一君。
#118
○竹本委員 いろいろと伺いたいこともあるのですけれども、第一は要望にとどめておきます。
 それは、先ほど武藤委員からもきわめて理路整然と述べられましたが、不況対策に対して本格的に取り組めという問題であります。しかしながら、これは私は政策を転換しろという意味ではなくて、やはり総需要抑制は総需要抑制の基本線として貫きながら、同時に二正面作戦を展開しなければならぬのではないか。厳粛な事実としてインフレがありデフレがあるのですから、政策はやはり両面に対応するものでなければならぬ。そういう意味で、私は十月十八日の委員会で十月八日のフォードの演説を引用しながら、大臣にも詳しく、二正面作戦をとらなければならぬということ、そしていまきめ細かく配慮をするという形でとっておられる政府のお考えは、二正面作戦ではなくて一プラスアルファである、これは本格的に二正面作戦にしなければならないということを私は強調したつもりであります。要するに、政治に対する信頼と経済に対する自信というものを日本国民なり実業の第一線で活躍しておる人が持たなければ、問題が非常に重大、深刻になっていくであろうということを心配するわけであります。
 日本は総需要抑制という一本やりでくる。フォードは、その場合に不況対策というもので二正面作戦をやった。今度の一般教書では、御承知のように、不況対策の方にさらに大きな重点をかけておる。こういうようなアメリカのあり方でございますけれども、アメリカと日本とは失業の数もあるいは物価の上昇の状況も大分違いますけれども、経済の論理はどこでも変わりはありませんので、やはりこれは日本には日本に応じた、実情に合った二正面作戦というものが展開されなければ、政治に対する信頼もあるいは経済に対する自信も国民が失ってしまうということを心配するわけでございまして、ひとつこの辺で本格的に二正面作戦を展開してもらいたいという要望だけを申し上げておきます。
 第二は、いまの目減りの問題でございますが、いろいろ質疑応答がございました。しかし、これは実は私は最も早くこの問題を取り上げた一人であると思っておりますが、私自身が取り上げた動機、モチーフというものが三つありました。
 その第一は、政府にこの目減り補償をしろというぐらいの強い、当時としては刺激的なアピールをしなければ、インフレを抑制するということに対して政府はなかなか思い切った手を打たない、インフレマインドがなかなか修正、克服できない。そういう意味で、インフレをやっておれば政府も大変な責任を負わなければならなくなるんだぞということを印象づけるために、実は私はその問題を取り上げたわけであります。まあ警戒警報と言ってもいいでしょうが、とにかくインフレマインドをチェックするという意味で私はこの問題を取り上げました。
 第二番の動機は、私としては、勤倹貯蓄ということは言葉は古いけれども、これが経済の根本であると思っております。そしてまた、貯蓄というものは日本の美徳であるとか、貯蓄率が大変高いのは日本の誇りであるとかわれわれも言っておりますが、その勤倹貯蓄というものをまじめにやっている人にこういう物価上昇で大損をさせる、二四%も上がっているときに利子を〇・五%ぐらいふやしてみても一体何のバランスがとれるか、そういう意味で、勤倹貯蓄ということを経済の基本に置けば置くだけに、まじめに貯金した人が損をしないという体制をつくらなければならぬというのが私の一番大きな動機でありました。
 先般われわれは中国に参りましたけれども、中国では、大臣、勤倹建国という言葉を使っておる。すなわち勤倹貯蓄によって国を建て直すんだということを真剣に言っております。私は、そういう意味では、資本主義であろうが共産主義であろうが、資本の原始的蓄積をやるということのためには勤倹貯蓄以外にないと思うのです。したがって、国民の勤倹貯蓄心に疑惑を持たせる、不信感を持たせるということになれば、これは経済の根本を覆すような大きな問題になるのではないか。そういう意味で、勤倹貯蓄ということをまじめにやっている人に損をさせない体制をつくらなければならぬので、あるいは少なくとも政府としてそれにまじめにこたえるような政治の姿勢を示さなければならぬので、この問題を取り上げたということであります。
 第三の動機は、いわゆる今日言われる弱者救済であります。弱者救済、あるいは老人を、あるいは母子家庭をと、いわゆる弱者ということが言われておりますけれども、いずれにいたしましても、貯金をして、わずかにこの貯金によって自分のあるいは老後の安心感を得よう、あるいは結婚資金に充てよう、あるいは子供の大学の入学資金に使おう、こういうことでまじめな努力をしている人は、全般的なあり方としてはいわゆる弱い立場の人、庶民であります。その人たちの大きな犠牲、先ほど金額についてはいろいろと数字が述べられましたから、細かいことはやめますけれども、それを救わなければならぬ。こういう三つであります。
 そこで、大臣にお伺いいたしたいのは、いま政府がやっと腰を上げられた、あるいは国民生活審議会で、松隈さんのところでこの問題も取り上げられた、一つの方向が出てきたことは私も評価をしておりますけれども、この目減り補償をやれということで、御承知のようにわれわれの仲間のゼンセン同盟はいま裁判にまで持ち込んでおります。私は、裁判にでも持っていかなければ政府は目が覚めぬから、大いに裁判でやれと言った一人なんですよ。そういう形でいま問題に火をつけておるわけですが、その動機、目的は、いま申しましたように、一つは政府にインフレにまじめに取り組む考え方を決心をさせたい、第二は勤倹貯蓄をした人に損をさせたくない、第三は弱者を救済しなければならぬという三つの理由で、私はこの問題をいち早く取り上げたつもりであります。
 政府が今日みこしを上げられて、これからいよいよ結論を出そうと言われるのでありますけれども、私どもから言えば、少し暇が要り過ぎると思うのです。暇が要るということは、認識がはっきりしていないのだ、問題意識がはっきりしていないのだと思うのです。一体、私から言えば三つだが、政府はいかなる動機、いかなる目的、いかなる目標のもとにこの目減り補償問題を取り上げようとしておられるのか、根本のねらいは何であるかということをまずひとつお伺いをいたしたい。
#119
○大平国務大臣 かねがね本会議を通じて御答弁申し上げましたとおり、目減り補償、目減り対策といたしまして一番オーソドックスな行き方は、竹本さんがいみじくも言われたように、インフレ対策に本腰で取り組んで新たな目減りを招来しないように配慮することであるということを私も申し上げておるわけでございまして、それを本体にすることは政府の基本政策でございます。
 しかしながら、先ほど私もお答え申し上げましたように、過去においてすでに利率を上回る物価高を経験いたしておりますことはたいへん不幸なことでございまして、できるだけ預金者の立場について配慮するところがなければならないということで、四十八年から四十九年にかけまして五回にわたって預金金利の引き上げをやったわけでございまして、〇・五%やっただけではないのでございまして、五回にわたりまして二・五%の引き上げをやったわけでございまして、したがって、いまのメカニズムの中で最大限の努力はいたしたつもりでございます。しかし、それでもなお足らない、これで能事終われりと思っておるわけではないわけでございまして、私どもといたしましては、何とかここで限られた範囲内におきましてももう少し高い金利を差し上げる道が発見できないか、そういうことをいませっかく検討をいたしておるところでございます。金融政策という枠内におきまして鋭意考えておるわけでございまして、社会保障というようなことではなくて、手がたい金融政策としてやらせていただきたいと考えております。
#120
○竹本委員 時間もありませんからこれ以上議論をいたしませんが、いずれにいたしましても結論の出し方に暇が要り過ぎると思いますが、先ほど来の大臣の御説明で、この国会中にでも問題のさらに積極的な展開はあるというふうに期待してよろしいようにも思いますが、それに間違いがないかということが一つ。
 それからもう一つは、その目減り補償の形式といいますか方式でございますけれども、いろいろの案が考えられる。われわれもいろいろな案を出しておるわけですけれども、最終結論はまだ出ていないということでございましょうけれども、大体先ほど法律の改正を必ずしも必要としないのではないかという話がありました。私もそう思いますが、一体どういうような方式のものを現在想定しながら結論を急いでおられるのか。その二つ、つまりこの国会中に出されることに間違いはないかもう一度念を押しておきたいし、その場合に出されるものの基本的な方式は大体どんなものをねらいとして模索を続けられておるかという二つをお伺いしたい。
 いずれにいたしましても、これは政府が全面的な物価スライド制をとるというわけにもいかないことはわれわれもわかりますが、まあいろいろ言えますけれども、〇・五か一・五か一か別としまして、いずれにしてもこれは寸志みたいなものですね。わずかな寸志だ、これは。われわれが三千円包んで寸志として置いておく程度のものでしょう。それ以上のことはまたできもしないだろうと思いますが、しかし寸志であればあるほど早く出さなければ、出席してそれから何カ月かたって寸志をわずかに持って行くというようなこっけいなことはやめた方がよろしい。いずれにいたしましても、早くやることが政治であろうと思います。そういう意味で間違いなく出されるのか、また大体どういう方式をいま考えておられるのか、この点だけ結論をお伺いいたしたい。
#121
○大平国務大臣 仰せのように、今国会中に何とか結論を出したいと考えております。
 それから寸志ということでございましたが、一般的に低額所得者全体に対しまして高率の利子を補償するなどという野心的なことは不可能でございます。問題は、きわめて限られた範囲の預金者に対しまして、上積みの利子をどの程度差し上げられるかという問題に決着するのではないかと私は考えておるわけでございまして、その範囲等につきまして鋭意いま検討いたしておるところでございます。
#122
○竹本委員 第二にお伺いいたしたい問題は、この際、中小企業の基盤整備準備金といったようなものを考えたらどうかという積極的な私の意見を申し述べたいと思います。
 今日の中小企業の苦境の状況につきましては、先ほど来同僚議員からいろいろとお話がありました。これは現実の問題でございますが、私は一歩展望を広げまして、今日の中小企業の救済等について、金融の面あるいは税制の面でもいろいろと御配慮になっておると思いますけれども、それが不十分だということでいろいろ論議があります。しかし、それとともに、予算措置等についてもいろいろと考えられた面もありますが、私はここで基本的な問題を大臣に一つ出して御意見を伺っておきたいと思うのです。というのは、今日のように企業が倒産をする、在庫を抱えて中小企業はどうにもならないといったような場合に、これが救済策について、ともすれば政府に全面的に依存をして、政府にしりぬぐいをしてもらおうというような考え方も相当強いと思うのですね。私は、これはある場合にはやむを得ないと思うし、ある場合には苦々しく見ておるわけです。そういう意味で、企業の自主的な努力というものをもっともっと積極的に導き出すべきではないかという意味から申し上げるわけです。
 中小企業の基盤整備準備金というか積立金というか、中小企業のそうした方面への努力としては、主税局長もいらっしゃいますけれども、あるいは特定の場合には特別償却を認めるということはどうかとか、あるいはスウェーデンあたりにおいては、景気対策も含めて投資のための準備金を考えたらどうかとか、いろいろ各国でそれぞれの必要に応じた考え方が行われておったり、行われようとしておるわけであります。しかし私がここで言うのは、資本主義の一番いいところは何かといえば、経済の自己責任主義ということなんですね。経済の自己責任主義を貫徹させたということに資本主義経済のバックボーンがあるのだから、それを税制の面でも大いに助けていかなければならぬと思うわけです。
 もっと具体的に申しますと、好景気、不景気というものがいまなお日本の経済、いまの資本主義の体制においてはある。これがなくなってしまうということであれば、これは問題が別です。しかしながら、三年に一回か四年に一回、とにかくいずれにしましても大きな景気の波がやってまいります。これが第一。
 第二は、不景気の大波が来たときに政府が全面的にこれは必ず救済するのだというわけにいかないことは、先ほど来いろいろ議論がありましたとおりでありますが、しかしそれも政府が、今後は絶対に心配するな、おれが救ってやるということになれば、それが資本主義であるかなくなるかは別として、一応心配はないでしょう。しかしながら、現実に資本主義である。現実に、資本主義は無政府状態だとマルクスも言ったように大きな波がある。そして波があるときごとに政府が全部めんどうを見切れるものでもない。こういうことになれば、むしろ資本主義の原点に返って、この際は景気のいいときに不景気に対して備荒貯蓄というか備えをさせるということが必要だと思うのです。不景気の場合に対してみずから備える自主的努力をさせるということが、むしろ資本主義の原則に合ったやり方であると思うのです。
 ところが実際は今日まで、今日の不況でもそうですけれども、景気のいいときにもうけたものの大部分は取られてしまった。一方は中小企業のあり方自体が放漫的なところもありまして、大抵の金は使ってしまった。したがって、一遍不景気のあらしが吹いてくれば、これにどうして自主的に取り組むかということになったら、ほとんどはなすすべを知らない。そして仕方がないから、まあ政党も政党でございますから、そういうものの陳情のお先棒を担いで、予算をふくらませる方へだけ走っていく。こういう状態では日本の本当の意味の経済体質の質的な転換や改革はできないと私は思うのです。
 そういう意味で、いま不況のどん底だということになるわけでしょうが、深刻な不況を早く乗り切ることに努力をしてもらうが、いまひとつそれにあわせて今後は、中小企業はもし不景気になってもまず自主的に問題の解決に取り組むのだという姿勢を用意させる意味において、いまから検討してもすぐできるわけではありませんから検討を始めていただいて、たとえば中小企業基盤整備準備金とか積立金とかいったようなものを税法の上でも見てやって、自主的に問題に取り組ませる方向へ導いていくということを考えておいたらどうかと思うのです。そういう意味で、ひとつ大臣にそういうことを検討する御意思はありませんかという点をお伺いしたい。
#123
○大平国務大臣 自己責任の原則が自由経済の基本であるということでございまして、それはそのとおりと私も承知いたします。したがって、自己責任である以上、好況のときに準備しておいて不況に備えるということは、また企業の分別においていろいろな形で私は行われておると思いますけれども、竹本さんのように、税制上そういう定立した制度をつくって、備荒準備制度というようなものはできないかという御相談でございます。税の原則としてはできるだけ税金を安くしていくことが一番いいわけなんで、不況に備えてそうするわけでございますので、なるべく税金を安くしていくのが一番ベストポリシーだと私は思いますけれども、今日なかなか財政需要も大きいわけでございまして、なかなかそれもままなりません。したがって、いまそういう制度がせめて考えられないかということでございますが、一つの着想だろうと思いますけれども、とっくりひとつ研究さしていただきたいと思います。
#124
○竹本委員 ついでに要望を兼ねてもう少し申し上げておきますが、たとえば中小企業は何といっても組織化をしなければなりませんから、個別企業についてそういう積立金をつくるということについては、税法上も政策上もいろいろまた問題があろうと思うのです。しかしながら、協同組合なら協同組合にファンドをつくらせる、それに対する掛金について、あるいは所得に対して、あるいは売上高に対して一定の割合の掛金を掛けさせて、その全部なり一部なりを損金として見てやるというような形で、一方においては自主的な努力をやらせる、一方においては中小企業のばらばらでめちゃくちゃになっておるものを組織化していくという一石二鳥の考え方もあるのではないかと思うのです。そういう点も含めて御検討をお願いしておきたいと思います。
 以上で終わります。
#125
○上村委員長 次回は、来る二月四日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後十一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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