くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第075回国会 大蔵委員会 第13号
昭和五十年三月四日(火曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君
   理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君
   理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君
   理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君
      越智 伊平君    大石 千八君
      奥田 敬和君    金子 一平君
      鴨田 宗一君    小泉純一郎君
      齋藤 邦吉君    塩谷 一夫君
      野田  毅君    原田  憲君
      坊  秀男君    宮崎 茂一君
      村岡 兼造君    毛利 松平君
      山中 貞則君    綿貫 民輔君
      高沢 寅男君    広瀬 秀吉君
      藤田 高敏君    松浦 利尚君
      武藤 山治君    村山 喜一君
      山中 吾郎君    横路 孝弘君
      荒木  宏君    小林 政子君
      坂口  力君    広沢 直樹君
      内海  清君    竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵大臣官房審
        議官      旦  弘昌君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        大蔵省銀行局長 高橋 英明君
        国税庁次長   磯辺 律男君
        国税庁直税部長 横井 正美君
 委員外の出席者
        農林省構造改善
        局農政部農政課
        長       関谷 俊作君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月四日
 辞任         補欠選任
  瓦   力君     綿貫 民輔君
  広沢 直樹君     矢野 絢也君
同日
 辞任         補欠選任
  綿貫 民輔君     瓦   力君
  矢野 絢也君     広沢 直樹君
    ―――――――――――――
三月一日
 企業組合に対する課税の適正化に関する請願
 (塩川正十郎君紹介)(第一〇一五号)
 同(山本幸一君紹介)(第一〇五二号)
 同(坂口力君紹介)(第一一四七号)
 中小企業に対する減税措置等に関する請願外一
 件(近江巳記夫君紹介)(第一〇五三号)
 住宅ローンの緩和に関する請願(松澤雄藏君紹
 介)(第一〇九一号)
 土地譲渡所得重課制度の運用に関する請願(松
 澤雄藏君紹介)(第一〇九二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 七号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 八号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第二二号)
 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二号)
     ――――◇―――――
#2
○上村委員長 これより会議を開きます。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。竹本孫一君。
#3
○竹本委員 きょうはひとついろいろと伺ってみたいと思うのですが、最初に私の三木内閣に対する見方をちょっと申し上げて、森政務次官からも御意見を聞きたいと思うのです。
 それは、田中内閣崩壊の後を受けて三木内閣ができまして、三木内閣にわれわれはある程度の期待も持っておるわけでございますけれども、その三木内閣が現実に政治を担当しておる過程の中においては、ばらばらが非常に目立つということであります。だから、新聞等においては、批判的な意味で、総理も二人おるではないか、総裁も二人おるではないか、大蔵大臣も二人おるではないか、幹事長も二人おるではないかといったような批判もある。私は、政治で一番大事なものは先見性と指導性、こう思うのです。まあ先見性についてはいろいろばらつきがあっても仕方がないが、しかしその内閣の指導性というものは、それ自身一元的に行われなければ意味がない。そういう意味で、三木内閣において一番残念に思うことは、一元的な姿勢というものが確立されていないのではないかというふうに思います。これはしかし政治論でございまして、きょう特に論議しようとは思いませんけれども、そういう印象を持っておるということをまず第一に申し上げたい。
 第二には、今度は政策面でございますけれども、政策面では、いま申し上げた点と関連しますけれども、全体の政策の整合性と申しますか、調和がとれて同じ方向に流れるということでなければならない。これは政策面での非常に重要な問題であると思います。
 ところが、この面においても、たとえば税で申しましても、事業主報酬といったような問題について、国の方では先般いろいろ御努力をいただいて、ある成果を得たのでありますが、地方税の個人事業税の場合にはそうなっていない。国と地方、大蔵省と自治省というものの間に、全く同じ事業主を見るのに見方が違うというような点は非常におかしい。そういう意味で、もう少し内閣の部内の考え方のコンセンサスを得て一元化をされたらどうかというふうに思うわけであります。
 きょうは、実は私は農協に関係したこともありますので、まず農業生産法人のことについて若干質問をしてみたいと思うのですけれども、この場合にも、一体、農業生産法人というものは大いにこれから奨励していくのか、あるいはどうなってもいいのだというような構えの税制を考えるのかという点について、整合性があるかどうかということを少し検討してみたい、かように思うわけであります。
 そういう意味から、まず質問をする第一は、森政務次官にひとつお伺いしますけれども、いま私が申し上げたように、政治の面、行政の面、政策の面、いろいろ問題が多いのですけれども、少なくとも施策の面、行政の面では、全体として三木内閣に関する限り一元的な一つの方向を見定めていくべきである、その整合性というものが一番大事であると思うけれども、この点について政務次官のお考えを簡単に承っておきたい。
#4
○森(美)政府委員 竹本委員のおっしゃるように、やはり政治というものはすべて調和がとれて進んでいかなければならないものと考えております。そういう意味におきまして、農業もあるいは中小企業も、そういったものを含めて不公平のないような政治になっていくことが正しい道と確信しております。
#5
○竹本委員 農林省の方に次に伺いたいのだけれども、農業生産法人というものはいかなる目的でつくったか、それから構成要件はどんなものであるか、簡単明瞭に御答弁を願いたい。
#6
○関谷説明員 農業生産法人という制度ができましたのは昭和三十七年でございますが、もともと農業基本法の中に「協業の助長」という規定がございまして、農民が農地と労力を持ち寄って協同して農業を営むことができる組織をつくって、その育成を図るべきである、こういう規定がございます。それに従いまして、三十七年に農地法の改正を設けたわけでございます。
 要件としましては、組織形態としましては、農協法によります農事組合法人、それから有限会社法によります有限会社、それから商法によります合名会社または合資会社、この四つの形態のいずれかであるということが第一でございます。それから、農業及びその付帯業務に限り営むものである、簡単に言えば農業専業法人であるということでございます。
 そのほかに、農地法に書いてございます主な要件としましては、構成員は、一般に申しますと法人に農地を提供した者であるか、常時従事者であるか、そのいずれかでなければならぬ。それからもう一つは、役員のうちの過半数が農地提供者であり、かつ常時従事者である、この辺が主な要件として定められております。
#7
○竹本委員 そうすると、やはり農業の零細化ということが一番大きな日本の悩みでありますから、協業によって力を合わせ、経営規模を拡大して生産の合理化を図るということが中心であり、そのために終始一貫農林省としては努力を傾けておる、かように理解してよろしゅうございますか。
#8
○関谷説明員 そのとおりでございます。
#9
○竹本委員 そこで、まず第一に、具体的な各論に入って伺いますが、租税特別措置法の一部を改正する法律案第七十条の六によりますと、納税猶予の特例を受ける者、すなわち農業相続人の要件というものは別に政令で定めるということになっておる。この場合に、別に定めるんであるからまだ私わかりませんけれども、その政令を定める場合の考え方をちょっと伺っておきたい。
 たとえば、生前贈与の場合というようなものを考えてみますと、相続前に三年間農業を営んでいた者ということが一つの要件になっておる。そうすると、今度の場合も、別に定める政令の内容の問題になりますけれども、やはり大体そういう原則が考えられておるのか、考えられていないのかという点を伺いたいのです。
 というのは、たとえば相続というものはおやじが死んで跡を相続するのですから、予定とか計画性というものがあり得るはずはない。そこで、農業をしているおやじさんがぽっこり死んでしまう、その場合に跡を継ぎたいという場合、普通に言えばもちろんいままで農業をやっている人が跡を継ぐのが常識でありますが、そうでない場合がある。たとえばどこかで、隣の県に行って学校の先生をやっておる、しかしおやじも死んだんだからここでひとつ決心をして自分は後田舎に帰って農業をやろうという人だってあり得ると思うのですね。
 しかし、その場合に、いま申しましたように、一律に生前贈与の場合と同じように相続前に三年間農業を営んでいた者というような条件がつくと、その学校の先生は田舎に帰って跡を受け継いで百姓をやろうと思っても、仮に農業を営む意思と能力があっても、この特例の適用は受けられないということになる。そういう心配があるから、一体別に定める政令はどういう内容になるか、その政令の内容の概略と、いま申し上げておるように三年間の要件というものがその中に考えられておるのかいないのか、その点をはっきり聞きたい。農林省はまたそれに対してどういうお考えであるかを伺いたい。
#10
○中橋政府委員 今回の農地の相続税納税猶予制度につきまして農業を営むということを条件にいたしておりますが、その者につきまして、いまおっしゃいましたように、生前一括贈与の場合のような制限は付さない予定でございます。その理由は、いままさに竹本委員がおっしゃいましたように、相続というのはまさに予期しない突然の出来事でございますから、生前贈与の場合は過去におきまして三年間なら三年間農業の経験を有する人というのを条件にいたしておりましたが、今回の制度につきましてはそういう条件を設けない予定でございます。
#11
○関谷説明員 いまお答えのありましたような大蔵省の取り扱いに、農林省としても同意しております。
#12
○竹本委員 これはそういう制限をつけないということで安心をしました。
 第二に、今度は対象を個人に限定するという問題なんですが、農地等についての相続税の納税猶予制度の特例というものは、適用の対象を個人に限定して、かつ農業を継続するということが要件になっておるというふうに理解をいたします。そうすると、特例を受ける農地等の二割以上を譲渡、転用したり、他人に貸した場合には、農業継続の意思がないと見て、その時点で徴収猶予を打ち切るということになっているわけですね。そういう場合にこういうことがありはしないかと思うのですね。
 農家が特例の適用を受けて、それからその直後にでもいまの生産法人その他の協同化をやるといった農業生産法人化してしまうというような場合には、その時点で今度特例はもうだめだということになるのではないかという心配をするわけです。そういう心配はする必要があるかないかを伺いたいのです。もし、その時点で特例の適用を受けられないということになれば、いま申しました農業生産法人をせっかく長年の努力で盛り立てようというのに逆に行くということになりはしないかという点が一つ。
 それから、この点は特に農林省に伺いたいんだけれども、農業生産法人というものは、先ほど構成についていろいろお話がありましたけれども、これは農地と労働力を主体として経営されるもので、一つの自立経営の発展の延長線上のものである、だから全然別格なもので個人ではないんだというふうに規定するのは少し無理があるので、むしろ個人の経営の延長線の上にある行き方である、かように理解する方が本当ではないかということでありまして、したがって、一般的な共同化へ入っていったというような場合にも、ほかの会社か何かに持っていったのとは違いまして、農業生産法人に参加していくというような場合には、生産法人そのものが個人経営の延長線上のものであるということになれば、その特例をそこで打ち切るということでなくて、やはり特定の便宜を図ってやるべきではないかという意味で、生産法人に入っていった瞬間に特例を打ち切られるのか、それから、いま申しましたように、延長線上のものと考えて特別に配慮をするという用意があるのか、二つの点についてお伺いしたい。
#13
○中橋政府委員 その点は、私どもいま検討課題と考えております。と申しますのは、竹本委員のおっしゃいましたように、農業生産法人も個人の農業経営の延長線そのままにあるというふうに割り切ってよろしいのかどうかということでございます。
 それからもう一つ、農業生産法人の目的といたしておりますのは、まさにおっしゃいますように、経営の拡大化ということをねらっておると思いますが、その際に、経営の拡大化をやりますためにはどうしても所有と経営というものが分かれるということをある程度予測をいたしておるのが、この農業生産法人の制度ではないかという気がいたすわけでございます。
 そういたしますと、今回の農地の相続税納税猶予制度といいますのは、やはり現実に農地を相続した人が農業をやるという、まさにそういうことを前提にいたしておるわけでございますから、はなはだしくその所有と経営が分かれてしまう、所有者だけの地位になり得る相続人、その相続しました農地につきまして今回の制度をどの程度適用したらよろしいのかという問題が実はあるわけでございます。おっしゃいますように、完全に個人の延長線上にあるという農業生産法人だけをつかまえることができますれば、私も全くお説のとおり、今回のたとえば二〇%の農地を売ったか売ってないかというような判断の際に、そういうものを除外するかどうかということも考え得ると思いますが、まさに所有主という地位だけに相続人がかわるというようなことがかなりあり得るとすれば、個人につきまして今回認めた制度の趣旨とはやや違ってくる心配もございまするので、おっしゃいましたようなことも兼ね合わせながら、いわば、おっしゃいますような個人の延長線上にあるような農業生産法人、しかも農業生産法人の目的に沿ったものへ農地を売りますというような場合を果たして限定できますかどうか、いま少し研究させていただきたいと思っておりますけれども、そういう線は十分今後の研究課題として政令段階までには決定いたしたいと思っております。
#14
○関谷説明員 生産法人の現行制度からしますと、昭和三十七年発足当時と、四十五年に改正がございましてから、そのことは若干趣を異にしておるわけでございます。といいますのは、先ほど要件を申し上げましたように、生産法人の構成員の中に農地提供者というものを認めておりますし、それから、役員の過半数が農地提供者であり、かつ常時従事者であるということで、土地の提供者という地位にとどまる社員と申しますか、構成員も認めるような制度になりましたものですから、そういう関係から、いまもお答えがございましたように、生産法人というものが従前の農地所有者あるいは経営者と完全に同一であると言えば失礼ですけれども、かなり異なった場合があるような法制になっておりますので、完全に延長線上にあるものだというふうには考えにくい。そこにある程度の弾力化を四十五年の改正でやったこともございますので、その点も含めながら、御指摘の問題は大蔵省とも協議しながら検討させていただきたいと考えます。
#15
○竹本委員 お考えはよくわかりました。
 局長、要するに、これは所有と経営が分離してしまって、個人の経営の延長発展の姿ではないのだという場合も確かにあると思うのですね。しかし、そうでなくて、やはり自分で経営をして、常時農業に従事していくんだという意思と能力を持ってちゃんとやる場合もある。いろいろな場合が考えられると私は思うのです。私がいま言っているのは、そのまま継続して農業に従事していこうという意思のある場合にも、そうでない場合にも、同じような前提でやられては困るので、政令の場合にはきめ細かく配慮していただきたいということでございますから、その点をひとつよろしくお願いいたします。これはそういうことでいいですね。――それでは次に参ります。
 第三番目は、これは私の空想かもしれないのだけれども、一応伺っておきたいのですが、農業生産法人には、先ほどお話しのようにいろいろな構成要件というものがありますね。そこで、今度の相続税の問題についても野党で、四千万円でいいのか悪いのかあるいは不十分なのかという点についていろいろ――政府とわれわれ少し意見が違うようでもありますので、そういう点も含めてこういう場合が想定できないかということでございますから、ちょっとお伺いをしたい。
 農業生産法人の構成員であるおやじさんが死んだ、父親の持ち分といいますか、その持ち分が仮にきょうだい五人なら五人に移っていったというような場合に、土地は依然として農業生産法人として管理していくものだから、土地の分割とか経営の細分化という問題は一応ないというふうに私は理解する。
 しかしながら、今度は税金の方で考えてみると、税金がかかる。その税金を支払うために長男がその土地を売った。売った相手のA、B、C、Dがサラリーマンであった。まあこれは普通の場合じゃないかもしれませんけれども、そういう場合だってあり得ると思うんですね。そうすると、いまの労働力要件とかその他の農業生産法人の要件に合わなくなる場合がありはしないか。農事組合法人の場合にもちゃんと五人なら五人という条件があるでしょう。そうすると、その土台が崩れてしまうという場合に、これは一体どういうことになるのか。
 要するに私が言いたいことは、五人きょうだいが均分相続なら均分相続をする場合、他の四人が全部東京に出てきてサラリーマンになっておったという場合に、生産法人の要件がぐらついてしまうという場合があるかないか。これは農林省の方に聞きたい。
 農業協同組合法第七十二条ですか、この場合には特定のみなし規定も持っているようで、その点に配慮があると思いますけれども、それらも含めて農業生産法人の要件を満たすことができなくなる場合が、五人きょうだいで、四人がサラリーマンという場合にありはしないか。それから、長男が税金を納めぬでいい場合はいいのだけれども、納めなければならぬというのでそれを売っちゃったという場合に、売った相手のA、B、C、Dがサラリーマンであったときには、農業生産法人の構成要件を欠くことになる場合がありはしないか。また、その二つを合わせて農業生産法人の条件が欠けるという場合がありはしないか。これは四千万円では十分でないではないかという問題とも関連して、そういう場合にせっかく農業生産法人を育て上げようというような従来の考え方と逆行する、先ほどの整合性を失うことになる心配はないかどうかということを大蔵省、農林省から聞きたい。
#16
○関谷説明員 いまお尋ねのございましたようなことで、相続がありましたために、その相続人の中に、先ほど申し上げました生産法人の構成員の要件がございまして、これに該当しない者がある場合が生じ得るわけです。この関係は直接の農地と違いまして、持ち分の譲渡とか相続その自体はそれぞれ農協法なり有限会社法なり商法で起きるわけです。その結果としまして生産法人の要件に合わなくなる場合がございまして、農地法の体系の中では生産法人の要件を限定しております関係上、もしもその生産法人が存続しておるうちにいまの相続のような要因で要件が合わなくなるということがございますと、一定期間内に回復をさせることにしております。たとえばいまの例で申しますと、いわゆる資格者たる構成員の持ち分を移させる、そういうことで適格性を回復させるという措置がございます。それがどうしても一定期間内にできない場合には、制度としましては政府の買収規定が置かれております。
 それからもう一つ、長男なりなんなりが土地を売るということが起きるのではないかというお尋ねでございますが、生産法人の場合には、その生産法人が土地を所有しておるかあるいは経営をしておるわけでございまして、権利を持っておりますので、そういう売却はできないわけです。また、売却をしようと思いましても、農地法の三条によります個々の許可制がありまして、生産法人の対象農地になっているものは許可できませんので、そういう関係からもお尋ねのもう一つの点のような事態は起こらないと思います。
#17
○竹本委員 前半の方は、そういう心配はないように法的に整備してある、それから後の方は、売却ができないということですか。もし売却ができないというならば、その法律根拠はどこですか。
#18
○関谷説明員 前者の生産法人の要件に合わなくなる場合というのは、相続を契機にして起きるわけです。それは、申し上げましたように、指導上の措置としまして、もとの要件を回復するように指導しまして、どうしてもできないということになりますと、農地法の十五条の二という規定がございまして、生産法人が初めは適格であったが後に不適格になったという場合には、その農地を政府が買収するということで、生産法人の適格要件を持たないものが存続することがないような規定を一応置いております。実際にはこの発動がされる前に指導措置によりまして、生産法人でないものが存続するということがないようなふうにやっておりますが、規定としてはそういうものがございます。
 それから第二の点は、もともと生産法人の方が経営農地については所有権その他の権利を持っておるわけです。もともと長男等の構成員がその土地を売却するということは、民法上というか私法上できないわけです。仮にそれが起きましても、農地の売買等でございますので農地法の許可も要りますし、それは与えられない、こういうふうになっております。
#19
○竹本委員 この問題はいまの御答弁で一応理解ができますので、次へ進んでまいります。
 四番目は、農業投資価格という問題ですけれども、農地等についての今度の相続税の納税猶予制度、この場合の農業投資価格に関する租税特別措置法の規定を見ますと、規定がはなはだ不明確であるという点です。投資価格の決定に当たってはどういうふうな形を、あるいはどういうふうな方程式を持ってやられるのであろうかということであります。基準をもう少し具体的に明確にすべきではないかという点を伺うわけです。公共的にずっと農業の用に供される農地であって、他の目的に供するのではない、そういう見込みや思惑などはないということに今度の場合はなるのだろうと思うんだけれども、そう考えてよろしいか。
 いままで農地を売るというのは、パーセンテージは知らないけれども、ほとんどの場合はむしろ宅地に売るとかなんとかいうような形で、農業以外の目的に使うということで売る。そうした意味の農地を売る相場というものは出ているわけですね。
 ところが、今度はそれはだめだ、農地としてやるんだという農業投資価格を決める場合には、いままで農民から農民へ農地として売っていくという場合についての例が余りないんではないかと思うが、その例は十分にあって、それらの平均なら平均で国税局長はその農業投資価格というものを決めるのであるかどうかという問題であります。「通常成立すると認められる価格」はいかにして決めるのかという問題であります。過去の例があればよろしいが、しかし、ほとんど例がないんじゃないか、こう思うわけですね。そうすると、宅地に売る場合の例は幾らもあって、あの辺は坪何万円とかいうふうにわれわれも聞きますけれども、農民同士で売るというような例が余りないから私は聞くわけです。
 それから、時間の関係であわせて聞きますけれども、やはりこれは収益還元価格といったような方式にでもよらなければ科学的な農業投資価格の算定方法がないじゃないか。それ以外に価格を決める方程式、基準となる考え方があるのかどうか。どうして農業の投資価格を決めるのか。国税局長が決めると言うんだけれども、国税局長が決めるに当たって基準となるべき枠がちゃんとなければいかぬ。そうしないと国税局長の独断になったり、各局長ごとに不公正、アンバランスが出たりする心配がある。そのアンバランスの心配はないかということと、決めるについて「通常成立する」といったことだけでは余りにも漠然たる決め方ではないか。その二つの点をひとつお伺いしたい。
#20
○中橋政府委員 いまおっしゃいました農業投資価格と申しますのは、確かに法文上は非常に抽象的な価格でございますが、現実には農業をやっておる人が農業をやっておるために若干の土地を欲しいということで、農業委員会のあっせんなどで取引をされておる事例がございます。そういうものをまずは参酌いたしますということでございますし、そういうことについて精通者がございまして、やはりある程度の金額というものがおよそ具体的にそれぞれの地域についてあるようでございます。
 それから、そういった都市化の影響を余り受けていないいわゆる純農村におきましてそういった事例を集めまして、しかも今回の相続税法の改正で予定されております土地評価審議会というのを国税局ごとに設けるものでございますから、その中にもそういった面についての学識経験のある人も入っていただくことにいたしておりますので、御心配のように余りアンバランスというのは生じないのではないかというふうに考えております。
 しかも、そういう価格でございますから、そう地域的に、現在の宅地化を前提といたしましたような価格とは違いまして、かなり広範囲にそう差がないものではないかというふうに予測をいたしております。もちろんそれは地理的条件というものが反映をいたしましょうから若干の差というのはございましょうけれども、現在のいわゆる宅地含みのような価格ほどには差異がないのではないかというふうに考えております。
 それで、そういったときにいわゆる収益還元価格と一体どういうような関係になるのかということでございますけれども、私どもといたしますれば、やはりこの農業投資価格といいますのも、一般のいわゆる宅地含みの農地の価格も、純然たる宅地の価格も、すべて一律な評価方式で評価をいたしますとすれば、やはり何といいましても売買実例を基本にいたしました処分時価というのが一番公平のものではないかと思っておりますし、かつてもそういうことでやってまいりましたので、やはり今回の農業投資価格につきましても、収益還元価格方式で算定するつもりはないわけでございます。
 ただ、そういうことでございますから、いまの固定資産税の評価額から見ましても実はそんなに高い価格というのは予想をされませんし、現実におきますところの相続税で純農地につきまして評価をいたしておる価格を見ましても、そんなに高いものとは予測はされないのが私どもの今日における農業投資価格の水準でございます。
#21
○竹本委員 事例は大体十分にあるというお考え、それを審議会あたりでも参考にしながらやれるではないかと言われるのだけれども、農林省、どうですか。そういう事例というものは全国に大体必要にして十分なだけあり得るかという点が一つ。
 それから、ついでに農林省に聞きたいのは、収益還元方式はとらないといういまの主税局長の意見だけれども、その点について、農業投資価格というものはどうも私はぴんと来ないのだけれども、農林省はどういうふうに見ておられるか、二つの点。
#22
○関谷説明員 農地の売買の状況でございますが、これは大体農業目的と申しますか、農地を農地として所有権の移転が有償でなされておりますのが、現在全国で年間七万ヘクタールございます。それから、転用目的のものが六万から七万ヘクタールぐらいございます。ただし、価格の方ということになりますと、農業目的で、農地法で申しますと第三条ということになりますが、農地の取引の価格という状況を見ますと、これは実際にその価格調査の結果を見ますとかなり高いものがございます。それがそのまま農業専用の価格であるというふうには――いわゆる転用価格の影響をかなり受けた相当高いものになっております。
 ちなみに全国水準では、耕作目的の価格は、全国農業会議所調査で、四十八年で水田が百八十八万五千円、市街化区域内ということになりますと、六百万円を超えるような高い調査結果が出ております。いずれも十アール当たりの価格でございます。
 それから、農業投資価格あるいは収益還元の問題につきましては、その農業収益というものから一種の理想地価を導き出すという考え方ないし議論というのはあるわけでございますけれども、実際問題として申しますと、同じ農地でも収益の算定の仕方というものは非常に異なるわけでございまして、畑にしても田にしてもかなり収益性の異なる作物が作付可能でございますし、それから収益の導き出し方、あるいはその収益から地価に持っていく還元の仕方、これはなかなか実際問題としても非常にむずかしいということもございまして、そういう地価を導き出す意味での技術面の問題というのが非常に大きいのではないかというふうに考えておりまして、農業投資価格というのは、この法文にも書いてございますように、将来とも農地として使う、恒久的に使うというような場合に成立する価格でございますので、おのずから全体的にはその地域の農業収益というものに対応した価格がそこに出てくる、こういうことになるという意味では、収益還元価格そのものを算定する技術上の困難等を考えますと、農業投資価格の中に農業収益というものがおのずから反映された価格がそこに実現するだろう、こういう考え方ではなかろうかと思います。
#23
○竹本委員 事例はある程度あるようでございますからそれでいいとして、しかしその場合でも、いままでというものは、結局農民から農民に移った場合でも、確かにそれは当面農業を経営するという意味で買うのでしょうけれども、なにそのうちにまた法も変わり世の中も変わるから、いまの何倍で売れるかもしれぬという思惑なりあるいは見通しという要素が入っているとぼくは思うのですね、いまの場合は。非常に山奥のどこをどう考えてもどうにもならぬという場合もあるでしょうが、しかし、それだってまたここへ道路が敷かれて急に宅地になる場合もあるだろうし、とにかく土地は値上がりするものだという信念をみんなが持っている。そういう意味で、農地が農民から農民へ農地として売られるのだといった場合でも、これはやっぱりプラスアルファの投機的要素というか思惑的要素といいますか、そういう要素が入っている。したがって、農業投資価格というものを厳格に考えれば、やはり将来いわゆる半永久的というか、永久的に農業をやるという場合とは少し違ったプラスアルファがあるじゃないかという点を一つ心配する。
 それから、収益還元方式によらないでという、したがって、そういう場合にその辺の事例を見たりする場合には、いまのプラスアルファをみんな認めていかなければならぬという問題が出てくるのではないか。結局そういう点のプラスアルファをどう処置していかれるつもりであるかという点をもうちょっと聞きたい。
 それからもう一つは、今度具体的に農業投資価格というものの基準は審議会にかかると言うのだけれども、土地評価を審議会でやる場合にも、何かその方程式というか基準が要ると思うのですね。そういう基準というものは、政令によるか通達によるか、何かお示しになるのであるかどうか。それから、示されるとするならばどういう示し方をされる用意であるか。その点を伺いたい。
#24
○中橋政府委員 いまお話しのように、確かに農家と農家の間におきますところの農地の売買につきましても、プラスアルファ的な要素はあると思います。特に私どもが承知しました事例でも、たとえば農地が道路に収用されてしまって財源としては非常に高いものを得た農家がそれの代替地として農地を買う場合というような場合には、そういうプラスアルファ的な価格というのは確かにあると思います。しかし、今回の農業投資価格といいまするのは、純然と農家がその農業経営を拡張するという意味だけにおきまして取得しました場合、しかも大体今日の例で申しますと農業委員会等がその間に入りましてあっせんをいたしておりまするので、私どもでいままで調べた事例で見ましても、実はそんなに高くありませんし、そんなに開いてもいないような価格のようでございます。したがって、御心配のそういうプラスアルファの要素が入っておるものというのは、できるだけ排除しなければならないと思っております。
 それから、そういうものを見出すために、今後国税庁はもちろん国税局をいろいろ統一をとるために指導いたさなければならないと思います。この相続税法を成立させていただければ一番早くその仕事が始まるわけでございまするので、まずは土地評価審議会の構成メンバーとしましても、関係行政機関の職員としましても、たとえば地方農政局の職員の人に入っていただくとか、先ほど申しましたように、学識経験者としましても都道府県の農業会議の人に入っていただくとか、そういうようなことで、おそらくそちらの方々も全国的な物の見方という統一を図られましょうし、国税庁としましてもいまお示しのようなプラスアルファを排除するような方式というのを、今後できるだけ全国的に確保するように通達をすると思っております。
#25
○竹本委員 農業生産法人に対する質問は以上で終わりますから、農林省はもう結構です。
 若干時間がまだありますから、今度は向きを変えまして、富裕税の問題を少しそれではやりましょう。
 富裕税の問題につきましては、私が愛知大蔵大臣に質問をして、大臣は相当前向きの答弁をされました。非常に意欲的なものを感じた。その後も私、別の機会にその問題に触れたことがありますが、大蔵大臣が大平さんにかわりまして、また私は早速この問題について質問をいたしたことがあります。そうしますと、大平さんの答弁並びに現主税局長の答弁はきわめて消極的である、あるいは否定的であるというふうに思うのです。しかし、その言われておるところをつぶさに検討してみますと、ごもっともな点も確かにあります。そういう意味できょうはもう少し具体的、実質的にひとつ質問をしてみたいと思うのです。
 第一点は、富裕税については、執行上の困難性がある、不表現資産の把握が困難であるということを理由に、幾ら気張ってみてもつかまえどころがないのだ、そしてつかまえたやつとつかまえないやつとの間に非常な不公正がかえってできる、だから富裕税というのは困るのだ、あるいはそう簡単に踏み切れないのだということをおっしゃっているように私は受け取るわけであります。この点は大蔵大臣も主税局長も同じように言っておられると思うのですけれども、しかし、この点については、昭和二十五年にやったときにもすでに問題があった。そしてまた、そのときにもすでにそれに対する対応の仕方をいろいろ頭のいいところで大蔵省は考え出しておる。それでどこが不十分なのかということが私はよくわからない。
 たとえば、法人の株主または出資に関する各人別の調書及びその債務に関する債権者別の調書、次に、信託財産または信託の権利に関する受益者別の調書、次には、払い込み保険料または無尽掛金の各人別調書、さらに次には、預金、貯金、積み金、寄託金等の各人別調書を毎年税務署長に提出しなければならないということに旧富裕税法第三十六条になっておったと思うのですね。でありますから、その調書が出ないということで把握が困難だと言われるのか、あるいはもっとほかの調書もやらなければならぬのか、そこまでは手が回らぬという意味で執行上の困難性があるというふうに言われるのであるか、私はその点をまず最初に伺いたい。
 次に、関連して一緒に申し上げますが、記載したものにでたらめを書くということもあり得ると思うのですね。そういうものに対しては今度は過怠税というか何というか、適当な制裁を考えるというようなことによって、もしそういう問題が非常に大きな理由の一つになっておるならば、過怠税をぶっかけるということでそれに対応する対策を講ずることもできるではないか。
 それから、これはむしろ銀行局の方で、この前もここでも問題になりましたけれども、無記名預金制度というのがある。これがまた大きながんであるというふうに思いますが、この無記名預金制度というものは一遍になくすることもできないということもよくわかりますけれども、方向とすれば、それはだんだんに廃止するというような方向になるのではないか。そういうことも含めてみれば、執行上の困難があるから富裕税はてんで問題にならないというような御答弁であったと思うけれども、もう少し真剣に、もう少し前向きに検討すべきではないか。東大の金子教授のごときは、富裕税の税務執行面におけるいろいろの問題点については、コンピューターの導入ということによって問題の解決が相当前進するではないかということも言っておるようであるが、その点はどうか。
 以上の各点についてひとつ詳細に、わかりやすく、どうしても執行上の困難でできないのか、あるいは腹を決めてやる気になればできるんだ、やるかやらないかは別の問題であって、執行上の事務的、技術的な条件であたかもこれができないような言い方をされるということははなはだ迷惑である。ここはどうですか。
#26
○中橋政府委員 執行上の問題でございますから、もちろん仮にそういう税目を実施しなければならないという事態になりますれば、あらゆる努力を公正な執行の確保という点から考えてみなければならないことはおっしゃるとおりでございます。ただ、そうしました場合にも、やはり執行上どの程度その公正さが円滑に実施、確保できるかという危惧を持っておりますので、執行上の難点としていろいろ申し上げたわけでございます。
 それで、確かにおっしゃいますように、もちろん過去におきましても、いまお話しのように、調書というものでできるだけ税務署が把握しやすいような体制というものをとりましたし、おそらくそういうことも、おっしゃいますような事態になれば必要になることはもちろんでございます。しかし、そのときにやはり一番問題になりますのは、いま御指摘になりましたように、一つは無記名の問題がございます。それで、無記名はもちろん預金もございますけれども、無記名の債券もございますから、預金といたしましては、いまの預金の総量の中で無記名預金というものの占める地位はそんなに高くはございませんから、むしろ問題は無記名債券の存在ということではないかというふうに思います。
 それから、むしろそれを上回りまして、これもおっしゃいましたように、架空名義によりましていろいろなそういった資産を保有されるという心配、これはあに富裕税の問題に限りませんで、現にわれわれが前々から申し上げておりますように、今日の所得税におきましても非常に悩んでおる問題でございます。これを一体どういうふうにすれば公正な真実の資産所有というものを把握できるか、その道を今後ともわれわれとして研究をしなければならないと思っております。確かに真実の所有者を発見するためには税務官吏をふやすことだけによりましては解決しない問題でございまして、これは制度の問題としまして、預金を受け入れする側、現実に預金をする側の、またそういった総合的な制度としまして、なるべくはそういう架空名義の存在を許さないというような方途を講じなければならないと思っております。
 それから、コンピューターというお話もございました。確かにコンピューターと申しますのはそういう架空名義の存在をできるだけ小さくすることによりまして、しかもいまお話しのように、調書をできるだけ正確に出してもらいました暁において、それをコンピューターによってできるだけ簡易に名寄せをするということが税務官署で行われればよいわけでございますが、それには前提として、私が申しましたように、架空名義の存在、無記名の存在がなくなるということがまず第一に必要となるわけでございます。
 それには制裁も確かに一つの道でございますけれども、制裁ではなかなかこういった問題は十分解明できないという悩みを私どもは持っております。今日の個人の所得税、法人税におきまして大きな脱税というのがわかるということは、やはり制裁でございませんで、何らかの端緒からそういった架空名義等で隠匿された財産を発見することが大きな手がかりでございますから、制裁でもって十分の公正さを確保できるというには、むしろその前提条件を固めることによりまして、それから本当に九十九人がそれを守っていただいて、あと一人というような段階になって初めて制裁の威力が非常に効いてくるんだろうと思います。
 そういういろいろなことを考えますれば、私どもがいま所得税で悩んでおる問題、そういうものがさらに富裕税におきましてはより一層顕在化してまいりますので、そういう点が私どもの今後勉強しなければならない執行上の問題だというふうに申し上げてきたわけでございます。
#27
○竹本委員 いまの御答弁の中に重要な問題が幾つかあると思うので、少し分けて今度は伺いますが、まず第一点は、政治的に、たとえばいまのインフレにおけるストックの不公正の問題といったような角度等も大事だと私は思うんだけれども、そういう問題で三木内閣なら三木内閣がこれをやるということになれば、政治的にそういうことが行われなければならぬあるいは行うという事態になれば、事務当局としてはできるだけ公正にそれがやれるようにいろいろな配慮をしなければならぬ、こういう御答弁であったと思うのです。
 ということは、裏をひっくり返せば、技術的、事務的に富裕税というものはできないんだということで政治的なそういう動きあるいは政治的な決定をさせないとか、それはだめなんだとか、そういうことはないんだ。政治的に決定があれば、それに応じて事務当局としては、これは当然のことだと思うんだけれども、できるだけ公正にそれがやれるようにあらゆる努力をしなければならぬと考えておられる、こういう御答弁だった。したがって、裏から言えば、政治的決定というものは、技術的、事務的に見て、これは不可能なんだ、だから不可能なことを幾ら閣議といえども決めるわけにはいかない、これほどのものではない、こういうふうに理解していいですか。
#28
○中橋政府委員 もちろん、そういう税目を創設するということについての御決定は、より高い御判断が必要でございます。ただ、私ども税制に参画いたしております者といたしますれば、新しいそういう税目によってより大きな不公正が出ないということについて相当の確信が必要だということを一つ申し上げたいのでございます。
 それから第二には、これは大蔵大臣からもお話ししましたように、なお今日、おっしゃいますように、社会的な不公正というものについて今後われわれが努力しなければならないとするならば、今日あります所得税の制度その他についてなお努力しなければならない点があるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから第三番目といたしますと、そういう富裕税というものをつくりましたときに、財産に対する課税でございますけれども、私どもはやはりこれは所得税の補完税たる地位を持つものだと思っております。そうしましたときに、一体いまの所得税の累進構造というものと……(竹本委員「それは後でやりましょう」と呼ぶ)
 それじゃいまの点は取り消させていただきます。
#29
○竹本委員 おっしゃるように、その不公正がより大きく出てくるというような政策を、考え方が、動機がいかにりっぱであってもやるべきでない。これはよくわかりますよ。しかし、私がいま伺っておるのは、より大きな不公正が出る心配があるから事務当局としては、技術的に事務的に見て富裕税というものは絶対やるべきでないという意味で、そういう立場に立って政治決定をも阻止しなければならぬということになっておるのか、その辺はどうですかということを伺っておるのです。
 要するに、あくまで技術的にできないものを、それは政府が決めるわけにはいかない。そしてあなた方は、主税局としては絶対これはできないんだ、より大きな不公正が出てきてだめなんだということで、技術的理由に基づいて政治的決定も不可能になるというふうにまで考えておられるかどうかということが一つ。これが大事な点であります。
 それに関連していくならば、この前の富裕税、二十五年ですかにやったときに、それほど大きな矛盾が果たして出たのかどうか、その点について、矛盾が出たとおっしゃるならば、二十五年にはこんな大きな矛盾が出たから五十年では絶対だめだという点をひとつ伺いたい。
#30
○中橋政府委員 第一の点につきましては、もちろんおっしゃいますように絶対的に不可能だというふうに私どもは考えておりません。
 それから第二の点につきましては、これは具体的にあるいは総合的にそれをいまお答えする資料を持ち合わせておりませんので非常に申しわけございませんけれども、たまたま私もその当時税務の第一線に、まだ非常に未熟な段階でございましたけれどもおりまして、非常にその執行につきまして苦労をしたという記憶がございます。たまたま私はその第一線がまた日本の中でもかなり資産家が多い場所におったものでございますから、そこに入っていきまして、表現しておる財産あるいは表現しがたい財産を税務職員が総合的に把握をするということについては、非常に苦労をしましたという思い出がございます。
 それからまた、今日相続税につきましても評価という問題が非常にむずかしいことになっておりますけれども、それにどうしても富裕税は評価問題というのがまたその上に一層加わるわけでございます。そういう点から私は、過去においての経験からしましても、かなりむずかしいなという印象を持っておることは確かでございます。
#31
○竹本委員 困難性が多いということも私もわかりますが、しかし絶対にそれが不可能ではない、こういうふうに考えていいんじゃないかと思うのです。
 それに関連して、二十五年の場合には、それはその税務署の職員の苦労もよくわかりますよ。しかし同時に、職員が、財産税だというのでプライバシーを荒らすかのごとくにやったというようなことで、ある面で行き過ぎがあったかもしれぬ。そういうことに対する非難があるかもしれない。しかし、それは何も絶対的なものじゃないので、指導の問題や心がけの問題で解決する要素も非常に多いんじゃないかというふうに思うのです。
 そういう点で、いずれにしても苦労もあるし、困難もあるけれども、第一に私が言いたいことは、もうまるで技術的、事務的にこれは不可能なんだというような大前提はいただけないということをまず一つ申し上げたい。
 それから、この前私が質問したときに、主税局長は各国の例を引かれて、何も必ずしもインフレ対策として出てきたのじゃない。それはおっしゃるとおりだ。また、所得税の補完という形で出てきたとか、ドイツでは五三%しか取っていないからちょうどいいんだとか、そういうようないろいろ御説明があったと思うのですけれども、その沿革の問題は別にして、いま言われておるような事務的な困難性というものは外国にだってあるはずだ。それが一体外国においては克服不可能なものとなっておるのか、あるいはこういうような形ということでいろいろ努力の結果困難性は克服されておるかという点について、それからイギリスはやるとかやらぬとか言っておりましたが、その点はどうなったかという点をちょっと伺いたいと思います。
#32
○中橋政府委員 外国におきまして富裕税の実施をどの程度やっておるかということにつきましては、まだ私どももその程度について確たる自信はございません。ただ、その前提となりますのは、やはり所得税につきまして前々から御指摘がございますように、利子とか配当につきまして総合課税をやっておる外国でございます。そのために私が先ほど難点として申し上げましたいろいろの、わが国特有の架空名義の問題というようなものが外国においてはないようでございますし、何らかの意味におきまして納税者の同一人であるという証明を金融機関が得るのも容易な制度があるようでございます。そういうことから言いますと、かなりの財産面につきましては、わが国が今日当面いたしておりますような執行上の難点というものもより少ない、かなりの程度少ないのじゃないかという予測を持っております。しかしなお、この点につきましては、私どもも今後機会あるごとにもちろん勉強しなければならないと思っております。
 それから、外国で富裕税を一番長くやっておりますのは西ドイツでございますけれども、英国におきましては昨年の八月に、一九七六年でございますから明年を目途に富裕税を創設することを公表いたしました。ただ、その前段階で、一体具体的にどういうふうな税率を見込むかというようなことがまだ確定いたしていないようでございます。
#33
○竹本委員 そうしますと、ドイツもオーストリアもやっている。イギリスも七六年を目途にやるという場合に、外国においても富裕税というものは捕捉の面で困難性はあるだろうけれども、その困難性はわが国には特有の架空名義というようなものがあるから程度が違うのではないか、こういう局長の御説明のようだ。
 そうなりますと、やはりこの架空名義の問題に入ってくるわけですけれども、これは予算委員会等でもいろいろ議論になりましたように、架空名義のものがあるので総合課税も実際はできないのだというような話、今度はまた富裕税も架空名義があるので技術的に不公正が出てきてどうにもならぬのだということになると、それでは大蔵省としては、一体、架空名義というものに対していつまでにどういう解決をしようとするのかということがより大きな前提条件になると思うのです。その点はどういうことになるのですか。
#34
○中橋政府委員 私ども今回の租税特別措置法の中で、利子配当につきましての源泉分離選択課税制度をなお五年間延長していただくことを予定いたしております。その間におきましても、いま御指摘の問題については実は十分議論をし、できるだけその打開策を見出したいというふうに思っております。
 そのめどでございますけれども、これはもちろん大蔵省全体が考えなければなりませんし、また大蔵省だけでございませんで、先ほど申しましたように、そういう預金とかあるいは株式投資を受け入れる機関、それから預金をする人、株式投資をする人、そういうものができるだけそういう方向に行くようにシステムとして確立していかなければならないというふうに思っております。
 基本的に申せば、私は、わが国におきますところの長い間の伝統でございます三文判というようなものがだんだん近代化されてくることが一つの大きな道ではないかと思っておりますけれども、それを一体どういうふうに制度的に確立するのが一番容易であるのかというようなことは、私自身としては、今後十分そういった問題を検討いたしてみたいと思っております。
#35
○竹本委員 局長の苦心もわかりますが、しかし、われわれの立場から言うならば、今度また五年間延長した、その五年間のうちにいまの架空名義のむずかしい問題等も解決するから五年間と言うのか、そうじゃないかなと思ったんだが、いま御答弁を聞いていると、なかなかむずかしい問題で、わけはわからぬけれども、とにかく五年間延ばしておいて、そのうちに考えのいいのがまとまったらそれでいこうという、若干の善意と積極性はあるんだけれども、しかし五年間で解決することができないかもしれないという含みのあるような御答弁のようにも聞こえるが、いずれにしても、念のため伺いますが、その架空名義その他の問題は、五年間猶予期間を延長した間に解決ができるという自信ありやという点はどうですか。
#36
○中橋政府委員 私どもといたしますれば、できるだけの努力を払いましてそういう道を実現いたしたいと思っております。ただ、そのためには、やはりいろいろな方途を考えますことと、それからその方途に合う、たとえばコンピューターのシステムが一体どういうふうに可能なのかという具体的な問題もございますので、私どもはできるだけの努力を傾注いたしまして、そういう架空名義その他の問題を解決して総合課税の道を一日も早く実現いたしたいと思っております。
#37
○竹本委員 これはやはり大臣にでも詰めるべき問題だと思いますから、これ以上申しませんが、やはり五年間猶予するというならば、だらだらと無原則に五年間延長するということではなくて、五年間にあらゆるそういう技術的な困難も克服して、税のあり方をより正常なものにするという御決意でなければ、せっかくの五年間がちょっと意味をなさぬというふうに思いますから、この点は強く要請をいたしておきます。
 次に、富裕税と相続税、所得税の問題を先ほど来言われたので、まず相続税の方から申し上げます。
 富裕税の創設と相続税の税率の引き下げを大体組み合わせて考えるのが常識ではないかというようなお考えもあるのではないかと思うのですけれども、私は、それは確かに相続税も富裕税も同じように一定の財産にかける税金であるし、どちらもある意味において富の偏在なり富の不平等化というものを是正することを目的としておるという点においては同じようなものだ、したがって、富裕税と相続税との間に何らかの全体的な調整というものがなければならぬ、こういうふうにおっしゃるのは、その限りにおいてよく理解ができます。
 しかし、その相続税のあり方なり相続税の改正というものと、それから富裕税の創設というものが全く同時に同じ方向へ全部行かなければならぬというふうに考えるべきか、あるいは別々に考えて別々に対処ができる問題であるかということについてこれからひとつ御意見を承りたいのだけれども、私の考えでは、同じような税であることは確かにそのとおり、したがって全体的な調整ということが必要であることもおっしゃるとおり、しかし、しかしですよ、これからが大事なんだ。富裕税の税金というものは、いわば静的な、静かな、静態の財産税である。相続税は動くときの、死んで動いて財産が引き継がれるという場合の動的な財産税である。したがって、同じものを対象としておるようであるけれども、ねらいが違う。一方は静的な財産税である、一方は動的な財産税である。したがって、根本の性格が違う点もあるんだということに着目をすれば、相続税を引き下げなければ富裕税は新設ができないとか、相続税との調整をやらなければ富裕税の新設はできないとかいうような点を余り強調されるというのは、二つの税の本質的な性格が違うという点を見落としておるということになりはしないか。
 それから、これはあとで申し上げますけれども、先ほど来申しますインフレ過程におけるストック面における国民の分配の不平等化ということが非常に重大な問題になってきておる。どうもこの点は、目減り補償の問題を聞いてみても、大蔵省の態度はきわめてなまぬるいのが残念に思いますが、しかし、現実に不公正が出てきているんだから、そのストック面における不公正を直すということの使命を帯びた富裕税、その富裕税は動的な財産税ではなくて、静的な財産税として特別の、別の任務を背負っていくんだ。
 一方から言えば、現在は相続や贈与による財産の移転がない限り、静的財産の不公正の拡大というものについては打つ手がないというところに問題がある。打つ手がない、相続がある以外は相続税の発動はないのですから。その相続にいく前に、ここに所得があってここで相続する。その長い間の過程で、ここにインフレの大きな山がある。そのインフレの山でストック面における不公正が大きくなった。しかし、おまえが死んでくれるまでは、死んでくれても相続税で全部再分配ができるかどうかは別として、いまの税の立て方から言えば、所得があって相続がある、その長い過程の間において、インフレ過程でどんなに不公正ができても、死んでもらうか、生前贈与をやってもらう以外には不公正を直すチャンスがない。チャンスがないということに問題がある。
 そういう意味から言って、本質的に静的財産税か動的財産税かという点、それから現在においては、いかにインフレで不公正がストック面にできても、死ぬかどうか、それ以外には手がないのだという税のあり方の不完全性というものを考えた場合に、一応別個に考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#38
○中橋政府委員 富裕税を考えます場合に、確かにおっしゃいますように、同じ財産というものを年々課税いたしますか、相続の段階で課税いたしますかということでございますから、相続税の関連も考えなければならないことは確かでございます。私はむしろ、富裕税は相続税よりは所得税との関連を考えるべきではないかと思います。その点はおっしゃいますように年々の課税でございますし、いわば高額資産家の高額所得を富裕税という形で毎年毎年把握するのがその税金の目的ではないかと思っております。そうしました場合には、私はやはり、もちろんその税率にもよりますが、富裕税と所得税の累進度、特に最高税率の問題というのはいつも考えなければならないと思っております。
 現にわが国におきましても、昭和二十五年に富裕税を創設いたしましたときには、所得税の最高税率は五五%でございました。それから、二十八年に富裕税を廃止しましたときには、それとの関連で所得税の最高税率を六五%に引き上げました。西ドイツにおきましては財産税がありまして、所得税の最高税率は、先ほどおっしゃいましたように、つい最近まで五三%でございましたが、今度五六%になりましたけれども、かなり低い段階に押さえておるということはございます。英国につきまして、それでは一体あの高い英国の所得税の最高税率を今度どういうふうにするかというのはまだ明らかにされておりません。
 しかし、いずれにしましても、私はやはり富裕税と所得税の最高税率の問題というのは、どうしても一遍考えなければならない問題だと思っておりますが、そうしましたときに、一体、今日わが国における所得税の最高税率というのはその程度までまず下げるのがいいかどうか、その方が……(竹本委員「所得税はあとでやりますから、いまは相続税の関係をちょっと言ってください」と呼ぶ)そういうような問題も合わせて考えなければならないと思っております。
#39
○竹本委員 いま言っておるのは、所得税との関係の方の御答弁だったけれども、それは相続税との関係が済んでから本格的にやりますから。私は相続税の方を聞いておるのだ。
 所得があって相続があるまでは、どんなにここで、インフレで社会的な不公正があってもいまは打つ手がないじゃないか。それに対して、経常的な財産税として富裕税というものを考える余地があるではないか、あるいは必要があるではないか。その場合に、あなたが言われるように、所得税との間にも一つの大きなバランスなり調整が要るということもわかりますよ。わかりますけれども、相続税があるのだから富裕税を考えてはならぬというのはおかしいです。
 それから、いまのようなインフレの不公正があるときにはわれわれはまた別の角度から富裕税を考えると言っているときに、それは考えることができないというのもおかしい。と言う理由は、いまの不公正の問題もあるし、それから税の本質から考えて、相続税は動的財産税ですよ、御存じのように。それから富裕税は静的な財産税であるから、同じような財産にかける税金だけれども、税の性格が違うじゃないか、違うんだから片一方はどうとかだから、片一方は動いちゃならぬようなことを言うのは二つを同じに考え過ぎる。別の性格と別の使命がある。そしてここに社会的なインフレ不公正の是正という別の必要が出てきたんだから、これを考える余地があるではないか。すなわち経常的財産税として、所得税と相続税との間における矛盾といいますか不公正を、富裕税という形で調整するのも一つの方法であると思うが、どうですか。所得税の問題は後からやりますから、その点だけ聞きたいんです。
#40
○中橋政府委員 相続税が所得税のいわば最終の清算と申しますか、そういう意味におきましては、非常に関連をいたしておることは事実でございます。それで、富裕税を考えますときに、おっしゃいますように、財産を課税標準といたしますから、相続税と非常に関連づけてお話をなさいましたけれども、私はむしろ竹本委員のおっしゃる静的な財産税という意味におきましては、所得税との関連を考えなければならないという気が非常にするわけでございます。そういうことを申し上げております。
#41
○竹本委員 所得税との関連を考えなければならぬということで、相続税との関連を余り大きく見る必要はないと言われるならば、逆に、相続税との関係においては富裕税を考えても特に重大な支障はない、こう理解していいですか。
#42
○中橋政府委員 それは私は前々から申し上げておる点でございます。
#43
○竹本委員 それでは、いいですか、執行上の困難ということで絶対そんな富裕税なんというものを考えちゃならぬということでもないということが一つ。第二段で私が言ったのは、相続税との関係においては、私は関係があなたよりはもっとあると思うんだけれども、しかしあなたの説によれば、所得税との関係の方が大きいんだ、したがって、相続税との関係において、これを特にやるべしとも言わぬが、やってはならぬとも言わないということですね。
 そこで、第三番目に所得税との関係について少しお考えを承りたいと思う。
 これは日本の、二十五年の富裕税をつくったときにも、おっしゃるように、所得税の補完税として生まれたというのが沿革的には正しい理解であろうと思うし、それから所得税が高い累進になっているものだから脱税も多い。それで、脱税でためたやつに財産税でいこうか、こういうような考え方も税務当局としてはあったかもしれない。いずれにしても、税の性質、性格というものは所得税の補完税であったということがわかります。それから、いまお話がありましたドイツの場合等についても、やはりそういう考え方があったのではないかと私も思います。
 そこでまた、問題は、やはり先ほどの相続税と同じにインフレとの関係になりますが、所得税は所得税の任務と使命がある。それから富裕税には富裕税の、特に私ども考えている富裕税の重大な社会的使命というものは、このインフレ過程におけるストック面の不公正の是正ということが根本だ、これは直さなければいかぬ。そこで、日本の政治がフローの問題とストックの問題について、大体われわれもそうだけれども、フローのことばかりやかましく言うけれども、ストックのあり方については従来日本の政治というものが全体として関心がちょっと少なかったと思うんですよ。税制面もやはりそうだ。社会全体の空気のあらわれですから税制面だけが特によくなれと言ってもそれは無理だということもわかりますが、しかし最近においてはインフレも激しくなりました関係もあって、ストック面における不公正ということが学者、評論家を初めとして非常に大きく打ち出されてきておる、こう思うんですね。それを税の面でどういうふうに取り組んでいくかというのが、いまの一番大きな問題だと思うのです。
 すなわち、これも先ほど、静的財産税と動的財産税ということで相続税と富裕税とは性格が違うと言ったけれども、今度は所得税というもののあり方なり性格なりというものを考えてみた場合に、過去の富裕税あるいは所得税の補完というような問題だけからこの問題を見ないで、現在一番必要なものはいまのストック面における不公正なんだ。そこで所得税は所得税の側から、富裕税は富裕税の側から、すなわち、所得の面から、ストックの面から、両方から税というものに一つの大きな政治的というか社会的な富の再分配というかあるいは分配のできるだけの公正化をはかる。そういう一つの使命があるとすれば、その使命を何も所得税だけで全部果たすということに考えぬでもいいんじゃないか。所得税には所得税の使命があるが、同時に、その使命を果たせる限界がある。そこで全く別の発想で、同じような使命を別の角度からとらえ得る富裕税というものを考えるべきではないか。
 今度のイギリスの場合には、御承知のように所得税も上げる、同時に富裕税もかけるということになるようですね。そういう点で、これはイギリスの発想というものはまる切り違う。すなわち、ドイツの場合には確かに所得税の補完ということで富裕税が考えられたけれども、イギリスの場合には今度の考え方は、私も正確なことはまだわからぬが、伝えられるところによれば、税も三%か上げる。しかし同時に、富裕税も七千万円ぐらい持っておれば、十万ポンドかそれ以上にはかける。これは矛盾が拡大再生産されるということではなくて、所得税によって所得の再分配をやる面と、またその限界を正しく理解した上で、今度はストック面におけるインフレ過程の不公正を正すという意味で富裕税というものを考えておる、こういうふうに理解すべきだと思うんですね。
 だから、イギリスのまねをしろということを特に言うわけでもありませんけれども、税の使命がそれぞれあるし、その使命を果たせる限界があるし、そして現在においてはインフレ過程、社会的不公正が特にストックの面で非常に大きくなっておるんだから、その不公正を是正する、そういう角度からの再分配を考えることのできる富裕税を創設するということが必要ではないか、こういうことを言っているのです。いかがですか。
#44
○中橋政府委員 富裕税の存在意義というのはおっしゃるとおりだと思います。フローの所得に対する所得税と、それからストックに対する所得税という意味におきましての富裕税というのが相補いまして、公正を確保しようというねらいから出ておるということでございます。もちろんその場合に、それでは仮にそういうことを行いました場合には、いわゆる累進度というのをどの程度に設けるべきであるのかというのが基本的にございますから、そのときに私は、やはりそこで改めて両方の税のもたらす累進度というのが一体適正なのかどうかということを考えなければならないという意味で申し上げたのでございまして、英国はわが国と比べてだけでございませんで、世界的にもいま非常に所得税率の高い国でございます。それがまた一つの英国の持っておる社会制度というのが背景になっておると思いますから、もちろんその中で累進度をより高めるという意味におきまして、新しい富裕税にどういうような税率を盛り込むか、あるいは所得税の税率とどういうふうな調整をするのかしないのかというのは、またそれぞれの判断があると思います。
 わが国におきましても、もちろん何も私は必ず昭和二十五年のときの最高税率のもとに戻さなければならないということは申し上げておりませんけれども、やはりそのことは富裕税ということを考える場合にはどうしても一度は避けがたい問題であるということだけを申し上げたいのでございます。
#45
○竹本委員 だから、特にあなたが言われるように、相続税にしてもあるいは所得税にしても累進の税率をあるいは最高の税率を、富裕税を創設する場合に絶対に動かしてはならぬとか、そんなことを言っているんじゃないのです。むしろ逆に、それは調整をどうしてもしなければならぬという問題があるかもしれぬ。あるならばそれは調整すればいい、調整した上で富裕税を創設するということに踏み切ればいいので、その問題で限界があるとか最高のところが高過ぎるからこちらの富裕税を絶対つくっちゃいかぬ、考えちゃいかぬということは少し誇大広告になるじゃないか。やはりこちらで調整すべきものがあるとするなら調整されたらよろしい。しかし、そのことを理由に、所得税の最高税率が日本では特に高いから富裕税なんというものは考える余地がないというのは非常な行き過ぎであるということを私は言っている。まあ御理解もいただいておるようですから、この上時間もありませんからやめますが、一つだけまだ伺わなければならぬ。
 これはこの間私が言いましたけれども、いま私どもが特に富裕税ということを言うのは、ストック面における分配の不公正がインフレ過程において特に激しくなった、大きくなった、それをとらえるための富裕税を考えたらどうかということを言っているのですが、イギリスが今度富裕税を考えるに至ったのは、一%の人々で三〇%の富を独占している、この矛盾が大きいのだということが、労働党であるからということもあるかもしれませんが、イギリスがこれを取り上げた一つの大きな理由だと私は思うのですね。そうすれば、日本が富裕税を考えるべきか考えるべきでないかということの前提として、最近における日本の富の分配というものは偏在し、不公正が大きくなっているかいないかということが重大な問題だと思うのですね。そうでしょう。そうなると、それについて科学的なデータが欲しい。
 たとえば、日本では昭和三十五年においては一%で富のどれだけの部分を持っておった、それが最近のインフレ過程において、今度は同じ一%の人々がその何倍かの富を独占していることになる、こんなに分配の不公正が大きくなった、矛盾が大きくなったという統計の数字を持っておられるかということです。
#46
○中橋政府委員 これは前にもお答えをいたしましたが、現在私どもは、たとえばわが国民の中で何%の人がどれぐらいの富を占有しているかという数字は、申しわけございませんが持っておりません。前にもお答えをしましておしかりを受けましたが、相続税の課税上からは、そういった相続税を課税された人の中で、一体何%の人が課税された相続財産の中でどれぐらいを持っておるのかというようなことは言えるわけでございます。
 たとえば、四十八年におきまして一・六%の人が一五・六%の課税資産額を持っておったという数字、それに類した数字は持っておりますが、英国のブルーペーパーでございましたかに示されたような数字というのは現在持っておりません。
 それでは英国で一体どういう推計をやったかということを確かめてみましたが、確たるお話はございませんで、いろいろな税務当局の数字をもってつくったようでございます。
 なお、私どももそういった面ももちろん勉強をやらなければなりませんし、わが国の財産構成というのが、だんだんやはり富が全体的にふえればふえるほどいま御指摘のような傾向というのは生じてまいろうと思いますから、そういう面の勉強も今後はやらなければならないと思っております。
#47
○竹本委員 相続税の例を言われるわけなんだけれども、私が聞いているのは資産のことを聞いているので、財産構成のことを聞いているのだから、相続税も一つの目安にはなる、それはわかりますが、しかし、結局いま一番大きなことは、財産構成、富の分配においてインフレ過程でどんなに大きな矛盾ができたかということをわれわれは知りたいし、それを直すために富裕税が必要であるとかないとかいう問題を論議しなければならぬと思うのですね。だから、そういう意味で前提条件だから、これは大蔵省としてはどうしても調べ上げてもらわなければならぬと思うのですね。そうしないと議論ができないじゃないか。われわれが分配の不公正だと言っても、いや分配は公正になったという一言で、お互いに議論ができない、データがないんだから。
 そこで、私はこの前も申し上げたんだけれども、データがないということ自体が問題意識が足らないということなんだ。これは大変だ、このインフレ過程で富の分配は不公正になるぞと思うなら、どのくらい不公正になっておるかということに常に関心を持たないというばかなことはない。データがないということは問題意識がないということだ。したがって、これはやはり問題意識を持ってもらって、調査をして――なかなかめんどうだということもわかりますが、しかしやらなければしょうがない。一遍はやらなければ、仮に富裕税を新設、創設するにしても、あるいはしないにしても、する必要がないということでしないというならば、その根拠をやはり示してもらわなければいかぬ。
 そういう意味で、あらゆる議論の前提になるんだから、できるだけ早い機会に科学的なデータを一応出してもらって、特にそれは昭和三十五年と、いまで言うなら昭和五十年との間における富の分配、財産構成がどんなふうに変わっておるかというところが問題だと思うのです。そういう新しい問題意識で、そういう二つの比較をできるデータを出してもらいたいと思いますが、その用意、その可能性、その誠意ありや否や。
#48
○中橋政府委員 この点につきましては、前回も申し上げましたけれども、残念ながら税務当局にはもちろんのこと、そういった資料に当たるものはわが国にはないわけでございます。それをおっしゃいますように科学的に調査しなければならないということになりますと、それ相応の権限を与えられまして調査をしなければならないわけでございまするが、そういった道が可能であるかというのも、実は申しわけございませんが、その調査のためだけにそういう権限を与えられるかということになりますれば、非常に否定的な答えしか返ってこないのだろうと思います。やはりどうも英国でも、おっしゃいましたブルーペーパーの推計も、そういう調査を別にやって一%の人が何%の財産を持っておるかということをやったようでもございません。
 したがいまして、私どももやはり今日まであるような相続税の課税資料とか所得税でそれに当たるようなものをいろいろ取りまぜながら、かなりの推計を加えてやらざるを得ないと思っております。ましてや昭和三十五年になりますれば、なおさらそういう推計というのがむずかしくなるわけでございまするけれども、そういう大胆な推計を加えながら、今後お示しのようなこともわれわれとしては勉強いたしたいと思っております。
#49
○竹本委員 相続税の資料が若干あるからそれを見ておけ、後はゆっくり考えろでは困りますから、やはりこの問題は大蔵委員会の理事会において、どういう方法でそういう資料は出せるものか、出してもらえるものか、またいつごろまでにできるものかといったような、私がいま申しますように、賛成するにしても反対するにしてもデータがなければ、相続税の資料だけちょっと見ておけだけでは話にならぬので、もちろん技術的な困難な問題もわかりますけれども、それらも含めて一遍理事会で相談をして善処してもらうようなことを委員長に要望いたします。
 もう時間がありませんから質問をこの辺でやめますが、最後にもう一つだけ言っておかなければいかぬ。固定資産税との関係がありますから、これがまたすぐ必ず問題になると思いますので、時間がありませんから結論だけ申し上げますが、これは目的や性格や主体がまるきり違うのだから、これまた富裕税と固定資産税を妙に絡めて、これでいけばいいんだとか、これがあるからとかいうことでなくて、やはり独自の分野、見地から富裕税は考えてもらいたい。これは昭和二十五年のときにも併立、併存して考えられておった。したがって、これはまた新たな論拠に、やらない方の論拠に持ち出すということは納得できないということだけ申し上げて、いずれにいたしましても、先ほど来いろいろ御意見も承ったけれども、また御真意も大分わかってきたが、富裕税創設というものは真剣に考えるべき段階に来ておると思いますので、大蔵省でももう少し真剣に、前向きに取り組まれたらどうか。
 それから、取り組む意思がないからあなた方は富裕税によってどれだけの財源が生み出されるかということも御検討がないのかもしらぬが、あるいは御検討されたことがあるかどうか。あるならばあるということを伺いたい。学者は、これで一兆円の財源は少なくともできるではないかということを言っておる人もおる。そういう点も含めて、そういう試算なり検討なりはされたことがあるか。最後に伺いたいのはそれが一つ。
 もう一つは、税制調査会というものがあるのだから、大蔵省主税局長や大平君の意見だけで、この問題を取り上げるか取り上げないかを決めてしまうということは、ぼくはいささか独断に過ぎると思うのです。こういう問題こそ税制調査会にかけて――税調の委員も、その構成についてはまたいろいろ議論があるかもしらぬが、とにかくいまの税調でいいから、こういうものを一体やるべきと考えられるか、やるべきでないと考えられるか、そういう点についてもそれこそぼくは税調に諮って聞くべきじゃないかと思うのですね。聞かないうちからそれはだめだ、それは困難だ、それはやるべきじゃない。それじゃ何のために税調があるか。こういう問題についてやるべきであるか、やるべきでないか、そのことを素直に税調に諮ってみるべきであると思うが、その点はどうか。
 以上、二点について伺って質問を終わります。
#50
○中橋政府委員 仮に富裕税を設けましたときに、一体どのくらいの税収になるかということでございますが、もちろん私どもは具体的に計算をしたことはございません。ただ、ドイツなんかの例で申しますと、ドイツの国税収入のうちで約一・八%ぐらいをこの税であげておるということでございますし、やはり税の性格から申せば、そんなに大きなウエートをこれに期待するのは、むしろ富裕税というものをつぶしてしまうということでございますので、一兆円とかいうようなオーダーでは考えられない問題ではないかと思っております。
 それから、税制調査会との関係でございますけれども、もちろん税制調査会でもいろいろな御議論が出ております。ただ、今日までの議論を顧みてみますと、むしろ私どもがお答えをいたしておりますように、もっといまの所得税の制度を総合課税に、せっかくある制度でございますから仕上げることに努力をすべきでないかというのが、有力な意見でございます。そこで言われておりますのは、今日のいろいろな特例制度というものをまず整理をする、こういうことで所得税の純化ということに真っ先に取り組むべきではないかというような御議論がございます。今日までの国会におきます御議論もございますので、改めて富裕税ということを諮問するかどうかは、今後検討さしていただきたいと思いますけれども、議論としてはやはりそういった問題意識として、今日まで税制調査会は取り組んでこられたようでございます。
#51
○竹本委員 質問を終わりたいのだけども、もう一言つけ加えておきます。
 ぼくは税調のあり方、動かし方についても注文があるのですよ。これは大蔵省がやろうと思うことしの税制改正の要綱を大体つくって、それをただ飾りをつけるためにデコレーションみたいな意味で税調にかけて、大蔵省が考えたものあるいは自民党で最終的に決まったものがそのまま出てくる。そんな税調では何の役にも立たぬのです。てんぷらなべみたいなものだ。こんなものでは意味がないし、政府の責任の隠れみのに使って、税調がどうだということで逃げる。そういう税調もおかしい。やはり税調というのは税制調査会なんだから、日本の税制はどうあるべきか、インフレ過程において社会的な不公正がどんなに激化したか、それについて税はいかなる対応をやるべきか、やるべきでないか、そういうことこそ根本問題じゃないか。その根本問題をなぜ諮問しないかということなのですね。
 だから、私は、所得税の総合課税に忙しくて手が回らぬというなら人数をふやしてもいい。いまおっしゃった所得税の総合課税の新しい見直しも必要です。そのことを私はどうこう言うのじゃない。しかしながら、今日一番大きな緊急の課題に税が対応するにはどうすればいいかということについて、税調に諮問しないということ自体が私にはわからない。
 そういう意味を含めて、これは大臣にもまた意見を述べることにいたしますが、ひとつ主税局長の方においても、税調というものをもう少し前向きに建設的に動かしてもらいたい。要望を申し上げて、私の質問を終わります。
#52
○上村委員長 藤田高敏君。
#53
○藤田委員 所得税、法人税あるいは租税特別措置等々について若干の質問をいたしたいと思いますが、きょうは主として所得税ということでやりたいと思います。ただ、所得税に関連をする部分については、当然のこととして触れたいと思います。
 まず第一の質問は、昨今のような非常なインフレ下において、所得税それ自体に限定をして考えます場合に、今回の税制改正を通じて昨年度と比較をして少なくとも増税にはならない、そういう最低の条件を満たすためには、物価調整の減税部分については十分な配慮がなされてしかるべきである。そういう観点から申しますと、今回の税制改正において物価調整減税額と見られるものはどの程度のものであるか、そのことが第一点。
 そのことに関係をして、昨年の当初見積もりにおいて物価上昇率を何%と見て、それに相当する税額は何千億と見込んでいたか、そのことについてまずお尋ねをいたしたい。
#54
○中橋政府委員 いわゆる物価調整減税としまして本年度必要な額といいますのは、算定したところによりますと四千三百五十億円でございます。その中で、昨年の大幅な所得税の改正がございました平年度化で三千四百九十億円これに充て得ることができますので、差し引き八百六十億円が本年度におけるところの物価調整のための所要減税額であるというふうに算出されるわけでございます。
 それから第二のお尋ねの、昨年度におきますところの所得税の減税を考えましたときには、消費者物価は九・六%上昇するということで一兆四千五百億円の所得税改正を行いましたが、その中でいま申しました物価調整減税所要額に当たりますものは二千二百六十億円でございます。
#55
○藤田委員 いま答弁があったように、昨年度の当初見積もりにおいて物価のアップ分が九・六%、それに対応する数字として二千二百六十億ということですが、その後一年間の物価上昇の実態を見た場合に、いま説明のありましたことしの物価調整減税額では、これは実質的に増税になるのではないか。と申しますのは、これは実際にはどの程度のアップ率を見込まざるを得なくなったかという数字と、それに見合う金額を出してもらいたいと思うのですが、後でも触れますが、私の試算でいけば、当初見積もり九・六%の二千二百六十億に対応するものは、非常にラフな数字として五、六千億以上になるのじゃないかというふうに思うわけですが、その関係を明確にしてもらいたいと思うのです。
#56
○中橋政府委員 先ほど申しましたのは当初の見積もりでございまして、実績としまして私どもが計算をいたしましたところを申し上げますと、消費者物価は二二・〇上昇するということでございます。それに対応いたしまして、いわゆる物価調整減税所要額は六千八十億円でございます。それで先ほど、私が当初に一兆四千五百億円の所得税減税と申しましたが、その部分も土台が大きくなったものでございまするから、実績見込みといたしましては約一兆七千六百億円になったというふうに計算をいたしております。
 それで、実績見込みの数字を申し上げますと、所得税の一般的な減税で一兆七千六百億円をやりまして、その中で六千八十億円というのが物価調整のために必要であったという計算になるわけでございます。
#57
○藤田委員 そうすると、今度、課税最低限の引き上げを中心にして所得税の減税額というものは一千九百五十億程度というふうに見ますと、その間の差額というものがおのずからいわゆる大衆課税的な増税的な性格を持ったことになるのじゃないかと思いますが、その点どうですか。
#58
○中橋政府委員 五十年度の税制改正で予定いたしております所得税の減税、初年度二千四百八十億円でございまするが、その中で人的控除の引き上げに千九百五十億円充てることに予定をいたしております。そういたしますと、先ほど申しましたように、昨年度の税制改正によります平年度化を別にいたしまして、本年ネットで追加的に物価調査減税をやる必要がありまするのは八百六十億円でございまするから、千九百五十億円のうちで八百六十億円がそれに充てられるということになりまするから、その差額はむしろそれを上回って減税したということになるわけでございます。
#59
○藤田委員 マクロの面で一つの論争をやりますと問題がはっきりいたしませんから、この点はひとつ課税最低限の引き上げがいま答弁になっておるように果たして実質的な減税の性格を持っておるかどうか、そういう役割りを果たしておるかどうかは課税最低限の適否の問題で質問をいたしたいと思います。きょうは私の時間的な関係からいって、そこまでちょっと掘り下げて議論をする余裕がないようでありますから、私のこの試算でいけば、これは相当な増税的性格を持っているということだけ申し上げておきたいと思います。
 そこで、質問の関連からいって、課税最低限の問題に触れたいと思いますが、私は、課税最低限を決める基準には税制調査会の答申ではございませんが、幾つかの基準があるだろう、条件があるだろう。その条件は、人によってどこにウエートを置くかということについてはいろいろ見解の違いがありましょうけれども、幾つかの条件の中で、あえて言えば最低生活費を上回る条件とは何かと言えば、それは貯金をする条件ができれば、それは最低生活費を上回ったことになるだろう、そのあたりを一つの目安として課税最低限を決めてはどうかという見方ですね。ある一つの条件としては、マーケットバスケット方式による基準生計費を基礎として、あすへの労働力の再生産を確保する、そういう条件はどういう基準になるだろうというようなもの、あるいは家計調査費あるいは全所得者の半分以上ぐらいの階層のところを一つの目安として課税最低限を決めるべきではないかというように幾つかの見方があると思いますが、私はいま申し上げた中で、やはり最低生活費というものを非常に重要視するためには基準生計費というものを非常に大きな条件として見るべきじゃないか、こう思うわけでありますが、今回の改正に当たって、百八十三万円という課税最低限を決定した主たる条件というものは何なのか、この点についての説明を求めたいと思います。
#60
○中橋政府委員 課税最低限を決めます場合には、おっしゃいますように非常に大きな要素として考えておりまするのは、いわゆる基準的な生計費がどの程度であるかということでございます。これは約十年くらい前には非常にぎりぎりとしました、いわゆるマーケットバスケット方式によりますところの生計費を算定いたしまして、それを頭に置きながら課税最低限を決めたわけでございまするけれども、それから二、三年たちました以後は、かなりそれよりも上回ったところの、いわばゆとりのある課税最低限というのを実現し得たと私どもは思っております。その後におきましては、もちろん、たとえば人事院の調査によりますところの標準生計費でございまするとかいうようなものを頭に題きながら、一体、所得税の課税最低限とどういう関係になるのかということを検討してまいっております。
 それからまた、昨年度におきますところの課税最低限というものをもとにいたしまして、物価上昇が一体どの程度になるかというようなことから課税最低限を考え直すということも一つやっております。
 それから、おっしゃいましたように、いわば有業人口の中でどれくらいの所得税の納税者があっていいのかというふうな点も一つの要素でございまするが、そういうことも勘案しながら課税最低限を考えてきたわけでございます。
#61
○藤田委員 この百八十三万の課税最低限で、いわゆる標準世帯と言われる四人家族で言えば、どの程度の食生活ができておるというふうに判断をされますか、また算定されているか、できれば、エンゲル係数ではありませんが、そういったものを一つの目安として百八十三万円の基礎的な数字というものを教えてもらいたい。
#62
○中橋政府委員 たとえば夫婦子供二人の給与所得者で、現在課税最低限は百八十三万円になるように改正案を御審議願っておるわけでございまするが、一つの例といたしまして、先ほど申しました人事院の調査によりますところの標準生計費で申しますと、月額で申しまして、四十九年におきましてはその生計費として計上せられておりまするのが月十万五千四百十円でございます。それに対しまして、課税最低限を月額に換算いたしますと十二万五千五百九十五円ということになっております。それがさらに今回の改正で五十年分につきましては、課税最低限を月額に換算いたしますと十五万二千五百六十四円ということになりまするので、この人事院の調査によります標準生計費というものを去年から延ばしましてもこれを十分カバーするというふうに思われます。
 あるいはまた、最近におきますところの勤労者世帯の平均的エンゲル係数は、総理府の家計調査によりますと、おおむね三〇%程度ということでございまするので、改正案によりますところの百八十三万円というものにこの三割を掛けてみますと、約五十五万円ということになります。
#63
○藤田委員 何となく数字を羅列されましたけれども、私自身が質問をしておる問題点とはきわめてピント外れであります。いま総理府統計なりあるいは労働省の調査で、仮にエンゲル係数は三〇%として、これだけ経済大国と言われておるわが国のことですし、課税最低限は世界一になったのだ、こう言って大ぶろしきを広げている手前、エンゲル係数はどれくらいなんだ、勤労者の生活水準はどれくらいなんだということになれば、これはやはりエンゲル係数は三〇%程度ということを言わなければ表向きはかっこうがつかないからそう言っていると私は思うのです。たまたま局長が言っているようにエンゲル係数三〇で食費の計算をすると、一人当たり一日の食費でもいいですから、どれくらいになると思いますか。年間五十五万で四人家族の世帯で一日のエンゲル係数三〇と言ったんだから、それでいったらどれくらいになりますか。それが課税最低限の世界一だという中身を教えてくださいよ。
 私の計算からいくとエンゲル係数五〇%、これは人間の生活じゃない。五〇%として食費が一日一人当たり五百円ぐらいな計算にしかならないのですね。ちょっと計算してください。あなたは三〇%で五十五万と言ったんだから、四人家族で一日の計算をしてみてください。
#64
○中橋政府委員 私が申しました約五十五万円で、四人で一日千五百円になります。
#65
○藤田委員 そうでしょう。一人で一日どれくらいになりますか。
#66
○中橋政府委員 四百円弱でございます。
#67
○藤田委員 そうでしょう。私はそこを聞きたいのですね。先ほど冒頭の局長の説明では、この課税最低限というものは生活にもゆとりができてきたものと考えております、こういう言い方であった。どうですか。私は生活実感、生活実態の中からこれは訴えたいと思うのですが、私らは議員宿舎で生活をしておる。朝、議員宿舎で飯を食ってくる。昼と晩は大体ここの食堂で飯を食う。ここの食堂でもどうでしょうかね。いま言ったように一人当たり四百円でどれだけのものが食べられますか。一食じゃないですか。これはぜいたくでも何でもない、労働力の再生産を確保していくという観点からいけば。この中央食堂で本当に二百円ずつでやったって六百円でしょう。いま課税最低限の百八十三万で、エンゲル係数三〇%とあなたらが主張されるのだから、それであなたらの言われるとおりに計算したら一日四百円の計算にしかならない。そういうところへ税金をかけるかかけないかの基準を置いて、そうしてこれが世界的な水準だなんていうことは、果たして国民の政治常識として通るのかどうか、ここを私は聞きたいと思うのです。
#68
○中橋政府委員 そういうお話になりますと、また十年前のマーケットバスケット方式によりますところのいわゆる基準生計費というものが一体どれくらいかかっておるかということを算定してみなければならないと思います。当時もそういうことをやりまして、その献立が一体不適当なものかどうかというような論争もやってみて、チェックをした経験がございます。私が申しますのは、だんだん国民の生活水準も上がってまいりましたから、もちろん家計の水準というのも高くなってきておると思います。そういうより豊かになってまいりましたものを全部それでは所得税の課税最低限でカバーしなければならないかということになりますれば、やはりそこには基準的な生計費というものを算定しまして、それをカバーするかどうかというふうなことがぜひとも必要になるわけでございます。
 確かにおっしゃいますように、外でお食べになる方はとてもこの金額では賄えないではないかということはそのとおりだと思いますけれども、そのときに算定しなければならない基準生計費と申しまするのは、いわば私どもの通常の家庭ということで算定しなければなりません。そういうような基準生計費というのを求めてみますれば、私は今日の課税最低限というのは低くないと思っておりますし、また先ほど申しました千五百円というのも、今日の家計から見ましてそんなに低いものではないというふうに思っております。
#69
○藤田委員 大蔵官僚なり大蔵省が特に説明する場合は、数字的な面の裏づけも含めてやはり説得性がなければいかぬ。大蔵省がかつて大蔵省メニューというものを出した。一種の献立表ですね。そしてその基準生計費は、たとえば最低二千四百カロリーと計算してどうなるかというものを出してきていた。ところが、それがいつの間にかなくなってきた。これはなぜ出さなくなってきたのかひとつ聞きたいですね。
 というのは、私がいま質問しておるような観点がかつての大蔵委員会でも議論になった。どうもこの課税最低限は四十年を基準にしておるのか何年を基準にしておるのか知らぬけれども、それに比較するとだんだんと見かけの数字だけは上がってきた。ところが、一方で理論生計費なり基準生計費というような生活実態に根ざしたデータが一つの出発点になると、そこに大きなちぐはぐが生まれてくる、ギャップが生まれてくる。したがって百八十三万円だとか百七十万円だと言ってみても、そういう課税最低限というものは今日のわれわれの国民生活、なかんずく勤労者の生活に合致しない、こういうことで大蔵メニューというものをやめた、そういうふうに私はそれこそ政治的に判断せざるを得ないわけです。
 局長が思うとか、考えるとかいうことでなくて、いま私が中央食堂の問題を一番身近な問題として挙げましたけれども、これはまだ中央食堂だから安いのです。あれだけの献立で外で食べればもっと高いかもわからぬ。そうでしょう。現実の問題として、数字的に一人当たりの食費は四百円にしかならない。局長はあなた自身がエンゲル係数三〇%、こう言っているんだから、私は私なりに試算すると、これはいい悪いは別ですよ、いい悪いは別だけれども、百八十三万円に対して経済企画庁の国民所得統計あるいは総理府の貯蓄動向調査による貯蓄の率というものを見てみますと、四十七年で二一%、四十八年で一七・二%、そうすると実際に生活している者は、百八十三万円から約二割の貯金をする、貯金をして差し引く、その残った分で実際的には生活しておる。そうすると、百四十七万円で生活をするということになりますと、エンゲル係数を三〇に見たら、一日一人当たりの食費四百円というものはもっと下げることになるのですよ、生活実態からいって。そういうものが果たして世界一の課税最低限でございますと言って通るのかどうか、いま少し生活実感から見て、なるほどこの程度のものであれば課税最低限世界一というものにみんなが納得する裏づけですね、そういうものを出す必要があるんじゃないかと思うのですよ。
 私ども社会党が標準世帯で二百八十万円までは課税最低限を引き上げろという主張をしておるのも、一つの数字的な根拠があるわけですね。そういう点から言って、いまの局長の言っておる一人一日四百円で生活ができるかどうかを教えてもらいたいと思うんだ。
#70
○中橋政府委員 ただいまお話しのような、かつて行いました、非常にきっちりとマーケットバスケット方式によります基準生計費を賄う課税最低限というものをつくり上げましたそのとき以後におきますところの課税最低限の伸びと、それから消費者物価の伸び率というものを勘案いたしますと、昭和四十八年一年だけを除きまして常に課税最低限の伸び率が非常に消費者物価の伸び率を上回ってきておるわけでございます。
 たとえば、四十年からずっと時系列で申し上げますと、課税最低限は夫婦子供二人で一三・七%、四十一年は一三・三%、四十二年は一七・九%、四十三年は一三・九%、四十四年は一一・〇%というようにずっと伸びてきておるわけでございます。それに対しまして、消費者物価の伸び率は、四十年は六・六%、四十一年は五・一%、四十二年は四・〇%、四十三年は五・三%、四十四年は五・二%というようなことでございます。同じような傾向は、四十八年に夫婦子供二人で課税最低限八・一%上昇しましたのに対して、消費者物価が一一・七%上がった、それ以外は同じような経過で常に課税最低限というのはかなり上回って伸びてきておるわけでございます。
 それは一体何を示すかということでございますけれども、われわれは確かにあの昭和三十九年、四十年当時の課税最低限をつくりましたときには、非常に先ほどお示しのような厳密なカロリー計算までしまして、それを賄うに一体どれくらいの生計費が要るか、それを上回る課税最低限は今日どのくらいであるかということで設定をしたわけでございます。それ以後は、先ほど申し上げましたように、物価上昇を上回って課税最低限を幸いにしてずっと引き上げることができましたから、私どもとしましては、もはやああいう基準的な生計費というようなものをつくってそれと比較をする必要はもうなくなっておる、それはまた現にわが国の課税最低限が非常に高くなってきた一つの証左であるというふうに思っておるわけでございます。外食でいろいろ食事をなさる方はもちろんございますけれども、われわれが課税最低限を考えますときには、家庭で調理されるというような条件を前提にしまして考えておるわけでございます。
 それからまた、今日、それでは一般的なある程度の所得水準の人がこの程度家計に全部使っておるから、それを課税最低限は常に賄わなければならないかというようなことになりますれば、私どもは、まただんだん家庭生活が豊かになってまいりますれば、それを全部カバーするほど課税最低限を上げることも要らないのではないか、そこにもやはりおのずと限度があるというふうに思っております。したがって、その限度と言いますのは、私が先ほど申し上げましたように、過去におきましてそういうきちっとした課税最低限をつくりまして、それ以後の物価上昇をはるかに超える課税最低限というものが実現せられた今日におきましては、相当の水準に達しておると判断せざるを得ないのでございます。
#71
○藤田委員 局長、あなたはからくりとか見せかけということを御存じですか。明らかにこれは一つの数字的な魔術ですよ。それはあなたが言うように理屈とこう薬はどこにでもつくんだから、それは外食と家庭で料理しておるのと違うぐらいのことはわかっておるのだ。ところが、絶対金額として一人計算上は、これはラフな数字としてたまたま四百円、こう出たから、四百円を基準にして論議しますが、四百円の費用で家庭で調理して人間らしい生活できるでしょうかね、今日。私はそれは理屈の言い回しではなくして、やはりものを合理的に決めていくということになれば、この際どこを基準にしておるのかしりませんが、仮に四十年を基準にして物価がこれだけ上がったからこの程度の課税最低限を上げていこうということではなくて、問題は、エンゲル係数三〇%ぐらいで計算をして、あすへの労働力の再生産も確保できる、いわゆる生計費の状態を確保して、そうして四人世帯で言えば適正な課税最低限というものはどの程度のものであろうかということをこの際もう一度、かつての標準生計費、そういったものの計算も含めて、ここで新しい基準をつくるんだということで一遍洗い直しをしてみる必要があるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。この点ひとつお尋ねする。
 時間的な関係を含めて申し上げますが、今度の改正でも、日本が百八十三万円であれば、フランスが百六十万円あるいは西ドイツが百十二万幾ら、米国が百二十九万幾らというふうに幾つかの例も挙がっておるようでありますけれども、私の調べたところでは、西ドイツなんかは児童福祉手当、日本でいう児童手当、こういったものは課税の対象になっていない。そういうものを所得として入れて計算しますと、西ドイツの場合は課税最低限は約二百三十万から二百四十万になる、そういう計算になってくるわけですよね。
 ところが、私が先ほど局長に見せかけということを御存じかということを申し上げたが、これはまさに見せかけの数字であって、そういう社会保障的な要素を含めた実態論としての比較というものがないんですよ。ないまま課税最低限がこういうインフレ下で名目だけが上がってきた。名目だけを引き上げてきて、そうしてその課税最低限は世界第一位だ、そうして生活にもゆとりができてきたところへ一つの目安を置いたんだということは、はなはだもってわれわれ国民の立場から見ればいただけない主張だし、いただけない数字だと思う。
 そういう点で、前段申し上げたように、この生計費の実態調査、やはり人間は食っていかなければいけないわけだから、食っていけるのかどうか、エンゲル係数の水準をどこに置くのかという原点というか出発点というものを踏まえて、もう一度新たな観点から新しい課税最低限の基礎づくりをやるんだということを行う必要があるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#72
○中橋政府委員 それは確かに課税最低限の問題を考えます場合に必要であると思っております。ただ、その洗い直しをやります場合に、それではかつてのようにあの方式がよろしいのかということになりますれば、あの当時としては非常に意義があったあの方式でございますけれども、やはりあの論争を思い起こしてみますれば、果たしてこの献立が適当であるかどうかとか、こういう調味料が入っているかいないかというような論争を巻き起こした経験がございます。私どもそういうことを踏まえまして、むしろそういったものをわれわれがつくるよりは、たとえば人事院でやっておりますような標準生計費というようなものを頭に置きながらやってみるという方がよりよろしいのではないかということで、われわれは一々そういった献立なり基準的な生計費という算定をやめたわけでございます。したがいまして、今後とも私どもは、人事院の標準生計費というようなものを基準にしながら課税最低限というのを考えてまいりたいと思っております。
#73
○藤田委員 それでは、ことしは間に合わないにしても、来年度の税制改正に向けて間に合うように作業をやりますか。
#74
○中橋政府委員 あのときにもいろいろそういうことをやりまして、結局は同じカロリーを現出しますについても、材料が適当であるとかないとかいうような方にむしろいろんな論争がいったという記憶がございます。したがいまして、そういう方式をとるよりは、家計調査というようなものがいろいろな機関で行われておりますので、そういったものをベースにしながら考えてまいりたいと思います。
#75
○藤田委員 ベースの問題も大事だけれども、来年に向けて間に合うようにやるかどうかということを聞いておるわけですよ。私はやはり家計調査、人事院がやっておるような方式、これといま言ったカロリー計算、それはどういう材料をとるかということは別にして、人間最低の労働力を確保していく、再生産を確保していくためには、二千四百カロリーなり二千七百カロリーという絶対的な条件があると思うのですよ。そういうものはやはり一つの基準としてやらなければ、この課税最低限をどこに決めるかという点については、税金を取る場合に、その税は最低生活費に食い込んでいないのかどうかということが絶対的な基準にならなければいかぬと私は思うのです。そうじゃないでしょうか。憲法で保障し、人たるに値する生活をするということになれば、最低生活費には少なくとも税は食い込まないということが最低の限界にならなければいかぬ。そういうことになれば、私は、このカロリー計算も含めた基礎的な条件というものを検討して、課税最低限というものを洗い直す、新しい基準をつくるということが必要だと思うのですが、そういう条件を含めて来年までにやるかどうか。
#76
○中橋政府委員 人事院の調査によりますところの標準生計費といいますのは、おっしゃいますようなものをいろいろな角度から検討しましてつくり上げておるものでございますので、大体御要望は満たしておるのではないかと思います。したがいまして、私どもとしまして、十年ぐらい前のように私どもでそういうカロリーを前提にしてある種の献立をつくりまして、そういうものをベースにした生計費というのを今後つくるという気持ちはございません。
 それから、最低生活費とおっしゃいました。それにつきましては、今日のわが所得税の課税最低限は、それを上回っておると私ども思っております。問題は、標準的な生計費としてあります人事院の生計費というのを頭に置きながら考えておりますし、最低とおっしゃるそのレベルが一体どういうようなところにあるかははっきりといたしませんけれども、少なくとも、今日のわが所得税は、そういったところまでは課税いたしていない、それぐらいの高さの課税最低限を幸いにも現出していただいていると思っております。
#77
○藤田委員 私はもう少しお互いの議論というものは数字で現実的に――局長自身の口から出たんですよ、エンゲル係数三〇%というのは。そうすると、それから逆算していくと、一人当たり四百円ということになってきているんだから。今日の物価情勢の中で、なかんずく生鮮食料品がこれだけ高騰してきておる状態の中で、一人四百円の生活ができるかどうか、一遍私はそういう意味の実態調査をしに大蔵省のあなたらそういう勤労者の世帯の中へ入ってみたらどうなんだ。あなたらはそういう生活実態を知らな過ぎる。四百円持って八百屋へ行って、大根や何か買ってみなさいや、どれぐらいするか。私はいまのような答弁は出てこないと思うんだ。
 ですから、私はこれはきょうのこの質問で結論が出なければ、また機会を改めて継続してやりますが、このカロリー計算を含めた条件を入れて、来年度の税制改正に向けて新しい課税最低限というものをぜひひとつ決めてもらいたい。これは重ねて要求したいと思うのです。どうですか。
#78
○中橋政府委員 何回も同じことをお答えして恐縮でございますけれども、人事院の標準生計費といいますのも、食費につきましては、厚生省で前提にいたしておりますようなカロリー計算をやってつくり上げておるものでございますから、そういうところの専門の調査というもので私どもも考えさせていただきたいのでございます。
 それから、エンゲル係数三〇ということを申しました。エンゲル係数三〇といいますのは、私はかなりいい家計の状況だと思っております。最低生活としまして、それではエンゲル係数三〇ということを前提にして果たして考えていいのかどうかということになりますれば、私は、今日のわが国民が三〇%のエンゲル係数を持ち得ているということは、全体的には生活のレベルが上がったという証左だと思っておりますので、そういう観点も課税最低限の判断のときにはお持ち願いたいのでございます。
#79
○藤田委員 エンゲル係数論争だったら改めてやりましょう。これはきょうの主たる議題じゃないですから改めてやりますが、経済大国と言われておるわが国において、三〇%くらいのエンゲル係数が税を決めたり何かするものの基準になるというのは当然じゃないですか。私はこれが三五や四〇に上がってくるということになれば、そういったものが計算の基礎になっておるとすれば、これはもう大変な問題になると思うのですよ。私は、そこはさすがに局長は頭がいいから、エンゲル係数は三〇で出したと思うんだ。ところが、エンゲル係数三〇で抑えたら頭隠してしり隠さずで、四百円という数字は出てこないだろう、こう思っておったのじゃないかと思うんだ。そこらにやはり問題があるので、これ以上は私はこの問題だけで論争しません。継続してやりますが、いずれにしても、三〇%程度と仮定すれば、計算上は一日の食費一人当たり四百円というものが、この世界一と言われる百八十三万円の課税最低限の実態であるということだけきちっと確認させてもらいますよ。そしてその上で、私がいま言っておるような私自身の要求の線に沿って洗い直しをやってもらいたい、このことを強く要求しておきます。
 次に、このことと関連をして、いずれ法人税その他の問題をやりますが、所得税の課税最低限に触れる以上、問題になってきております利子配当所得の課税最低限に触れざるを得ないわけですね。これはどう考えても、それこそ三木内閣の社会的不公正の是正じゃないですが、あれだけ大きな看板を国民の前に掲げる以上、すでに本会議の質問等でも出ておりますが、最低、利子配当所得の課税最低限というものは、総合税制としての改正をことしのこの改正から手をつけるべきであった。なぜこれに手をつけなかったのかということ。それと、法人に対して二重課税の性格を持つとは言いながら、一方でいま言ったように所得税は百八十三万、ところが一方では、配当は標準世帯でいけば四百四万。どう考えても同じ課税最低限で二百万以上の差があるということは、これまた税の公平という立場から見て余りにも不公平じゃないか、こう考えるわけでありますが、それに対する見解を聞かしてほしい。
#80
○中橋政府委員 配当だけの所得者が夫婦子供二人で課税最低限が四百四万になるということは、お示しのとおりでございます。ただこれは私から改めて申すまでもなく、今日のいわば法人においてもうけました利益についての法人税と、それを受け取ります個人の所得税との調整として配当控除制度というものがある結果にほかならないのでございます。
 もちろん、この配当控除制度につきましてはいろいろな考え方がございます。果たしてそこに調整を要するか要しないかという点は、いろいろの見解をお持ちの方もございまするが、今日のわが国の税制というのは、概括的に配当控除という形で、一割これを調整するという制度になっております。したがって、そういう計算上四百四万円が出るわけでございまするが、その四百四万円が出ましたゆえんと申しまするのは、その受けました配当について、すでに払っておる法人税というのを勘案した結果になっておるものでございます。したがいまして、全然それに関して税金を納めていないというわけではございませんで、法人税というものを個人の段階で調整する結果、四百四万という課税最低限が出現するわけでございます。
#81
○藤田委員 いま答弁されたようなことは私もわかっているのです。大蔵当局の主張はそういうものである。そして先ほどの二重課税的な性格を持つという意味のことは、いま局長が答弁されたことに尽きると思うのです。私の言いたいのは、私自身が株の配当だけで生活をするということになると、その配当金だけで四百四万円までは税金がかからないんですね、同じ世帯で。ところが一方、先ほどから長時間、時間をとって質問をした所得税の方は百八十三万、これはどう考えても不合理じゃないか。この不合理は大蔵省も認めておるのでしょう。政府も認めておるのでしょう。そういう所得税の課税最低限と利子配当の課税最低限とのアンバランスというものは、一つの社会的不公正という観点から考えてもやはり何らかの形で是正しなければならぬということは、これは税制調査会の方針としても決まっておることですからね。そのことはお認めなんでしょう。どうですか。
#82
○中橋政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、配当だけの所得者で所得税を納めていないのが四百四万円という限度でございます。しかし、それは制度として、私が申しましたように、その配当につきましては、法人の段階ですでに法人税を二百二十八万円納めておるわけでございます。ですから、それを通算して考えていただかなければならないというのが今日のわが国の配当控除の制度でございますから、全然所得税を納めていないというだけにおとりいただきませんで、法人の段階で納めておる二百二十八万円というのがあるということをあわせてお考えいただきたいのでございます。
#83
○藤田委員 これも私は、さっきの主張ではありませんが、一つの詭弁になると思いますね。それは、その税を納めていないとは私も言っていないんですよ。しかし、課税最低限そのものの所得税とのバランスから見ても、やはり配当所得の課税最低限というものは当然是正されるべきである。そしてこういった資産的な性格を持つ所得は、これは当然のこととして累進課税の対象になるべきものである、私はこう思うのです。そのあたりの見解も、なお参考までに聞かせてください。
#84
○中橋政府委員 配当所得者の課税最低限の問題は、法人税と所得税の調整の問題でございます。
 それからもう一つ、いまお尋ねの、配当あるいは利子に対しまして、今日御提案申し上げておりますような源泉分離選択の税率が三〇%になるということは所得税の累進性を損なうのではないかというお話は、確かにそのとおりでございます。ただそれは、るる申し上げましたように、今日の総合課税を行いますための施策というものをなおあとしばらくの問われわれの方でも検討させていただいて、十分その方向に向かって公正を確保できるというまでの期間として、この五年間三〇%の源泉分離選択税率の適用をお願いしておるわけでございます。
#85
○藤田委員 私、きょうはちょっと私自身の勘違いもあって、法人税の分野も質問するのじゃなかろうか、こう思っておったのですが、それは別途機会があるようですから、それは別の機会にしますが、私がいま質問しておるようなこと、あるいは法人税率をもっと上げるべきじゃないかというような議論がありまして、去年たしか大蔵省の関係者を含めて、外国法人税制の調査団がつくられて行ったようですね。その調査結果が私の手元にもありますが、それに対する見解をひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。これが一つ。
 その中で、特にいま私が指摘をいたしております、株の配当に対する法人税と所得税の調整措置では、いわゆるわが国のように配当軽課税率を配慮しているのは日本以外にないという、この調査団の結論が出ておるんですね。いわゆるこういうふうな特別な、配当に対して軽い税率を用いている国は日本以外にないというふうな報告がなされておるんですが、そういった報告との関係において、今日大蔵省はこの今回の税制改正に当たって、この制度はなお五年間延長する、こう言っておるんですけれども、せっかくそういう調査団を派遣して、そうしてその調査結果が報告されておる、実態というものはわかったということになれば、これは一つの物の考え方として私は申し上げるわけでありますが、五年というものを設定するんではなくて、せっかくそういう調査団も行った、諸外国の実態もさらにわかったということになれば、一年、二年という最短の作業時間だけをとってそういうヨーロッパの先進諸国のいい税制を取り入れるということが、これはもう常識じゃないかと思うのですね。そういう点について、いま私が指摘しておることを含めて、どういう見解をお持ちか聞かしてもらいたい。
#86
○中橋政府委員 昨年、私どもの方も参加をいたしまして、アメリカ、ヨーロッパの法人税制の問題を検討しましたことは事実でございます。その結果によりまして、いろいろ今後の問題もちろんございますけれども、私が先ほど申しました利子配当につきましての源泉分離選択税率三〇%の問題は、利子なり配当を受け取りました個人の所得税率としまして、選択をすれば分離して三〇%という問題でございまするので、この調査の内容とはかけ離れております。調査しました内容は、むしろ法人税制の仕組みとしまして、一つには、これまで私どもでわかっておりました各国の法人税の税率のほかに、税率がかけられます課税標準の大きさとして、一体わが国の課税標準が各国のそういった法人利得の課税標準とどんな関係になっておるのかという点をいろいろ勉強してきてもらったのが一つでございます。各種の引当金なりあるいはその他の特別措置というようなものがまたこの内容になるわけでございます。
 それからもう一つは、大きく法人の段階で上げました利益についてかけられた法人税と、その利益の中から払われます配当について、受け取り側の個人なり法人のところで一体その法人税をどういうふうに考えておるのか、調整をする必要があるのかないのか。調整するとすればどんな方式をとっておるのかということを勉強してきてもらったわけでございます。これによりますれば、むしろ今日のわが国の税制よりももっと徹底をいたしまして、特にヨーロッパ諸国でございまするけれども、法人の利益についてかけられました法人税というものを、受け取りました個人なり法人の段階では完全に調整しようというような方向に動いておるように感じられるわけでございます。もちろんそれに対しまして、アメリカは前のとおりの制度を持っておりますし、そういった先ほど申しましたような調整方式をとらない国もあるわけでございますけれども、そういう流れもありますという報告を受けております。
#87
○藤田委員 この点も、この部分につきましてはまた法人税のところで触れたいと思いますけれども、いわゆる配当所得に対する課税最低限というものがこういうふうに四百四万というふうに出てくること自身は、わが国の税制そのものに根本的な原因があると私は思うのですね。いま言った調査団の報告から見ましても、私の手元にある資料では、この日本のように所得税と法人税との関係でこのような優遇的な調整措置をとっておるのはわが国だけだというように私は理解をしておるわけです。そういう観点からも当然これは累進課税の体系をとると同時に、五年というような延長は長過ぎる。やはりその方向性について、税制調査会の答申ではありませんけれども、そういう方向が出ておる以上、もう少し所得税の課税最低限の問題等々も含めて、やはりこれは税改正を積極的に進める必要があると思うがどうかということをひとつお尋ねをしたいと思うのです。
 私は、あと時間の関係がありますから、約十分ばかりちょうだいして、これまたいままで何回か議論になっております、私も数年前に問題を提起しましたことについて質問しますが、いわゆる時間外労働ですね。俗に残業時間。いままでの議論をずっと議事録を通じて精読してみますと、深夜手当というようなものに焦点を合わした質問、あるいは時間外労働、さまざまございますが、私の主張から先に申し上げますと、実際問題として、個々の国民の生活状態、所得状態から言って経済大国になっておるかどうかはこれは別ですけれども、一般的に言われておるように、世界的にも経済大国と言われておる今日のわが国において、基準法でいきますと一応八時間労働。この基準法は言うまでもなく、年代からいきますと、あの基準法ができた当時もうすでに時代おくれ。国際的なILOの条件からいけば、もう五十年も六十年も前の条件があのILOの条件の中にたくさん入っておるのですね。そういうものを基準にしてつくって、今日その基準法というものがかれこれ二十数年たっておるわけですね。そうすると、この基準法自身が相当今日の条件からいけば時間おくれ、週休二日制が問題になってきておるくらいですから。
 そういう条件を加味しますと、大まかな考え方ですけれども、八時間働いて、八時間寝て、八時間教養娯楽、そういう時間に充てるということで、社会的な労働の責任を果たすという観点から言っても八時間働けばそれで十分じゃないか。そこで得た収入なり所得に対して税金がかかれば、それ以上の、俗に言う残業時間とか時間外労働とかそういうものに対する税というものは、これは細かく、少しでも税を取れるところがあったら目を光らして税を取るというようなけちな考え方じゃなくて、もう少し国の財源というものはどういうところからどういう順序で調達していくかということを考えれば、残業時間や時間外労働の収入に対して税をかけるというようなみみっちい考え方はもう今日やめて、やはりまともにだれ人も八時間程度のものは働くというところにすべての焦点を合わせて、私は、所得税の課税対象というものをそこに限定すべきではないか、こう考えるのですが、どうでしょうか。
#88
○中橋政府委員 第一のお尋ねの点、法人税制の仕組みと申しますか、配当に対する法人税と所得税の関連というのをどういうふうに考えたらいいかという問題は、今後なおしばらく税制調査会でも議論をすることになっております。もっとも、これは今回御提案をいたしております利子配当の源泉分離選択税率の制度を五年ということとは関連ございませんで、むしろ全然期限のない現存した制度の問題でございますから、仮にヨーロッパ流の完全に調整する方向がいいとか、あるいはアメリカ流にもうほとんど調整をする必要がないというようなことになるとかいうようなことに踏み切れば、期限の問題とはもちろん関係がないわけでございます。
 それから、八時間労働を前提として所得税制も考えるべきではないかというお話でございますが、確かに八時間労働で十分生産を上げ得るという体制になれば望ましいことはもちろんでございますが、仮にそういう時間を超えましていわゆる超過勤務が行われる、それに対してそれ相応の給与が支給せられるということになりますれば、税制といたしますと、その割り増しの率とかいうことには関連がございませんけれども、基本的な八時間に対する給与と、それから超過勤務に対する給与というのをどうも質的に分けがたいのでございまして、一律にやはり所得税の課税対象にせざるを得ないというふうに考えます。
#89
○藤田委員 きわめて事務的ですね。分けがたいというのは技術的に分けがたいのかどうかということですね。
 私は、ソ連も中国もユーゴもルーマニアも、社会主義国と名のつく国は朝鮮を含めてずっと回ってきましたけれども、大体社会主義の国どおりやれなんということは言いませんが、物の考え方として、時間外労働というのは、国防上の問題が起こったとき、天変地変に類するような災害が起こったとき、あるいは公益事業ですね、公益事業はいろいろあるでしょうけれども、日本流に言う公益事業に何か支障が起こったとき、そういうときに時間外労働というものがあり得るんだ。それぞれの国民は、七時間か八時間か知らぬが、いわば一定の時間を働けば後の時間は、先ほど言ったように、教養の時間なりあるいは娯楽なりあるいはその他の時間に充てる、そうして睡眠はやはり八時間なら八時間を十分とっていく、大体こういう物の考え方になっておるわけですよ。その点では、アメリカといえども、ヨーロッパ諸国といえども、時間外労働というものには労働の生産性から言っても余りウエートを置くんではなくて、やはり規定時間内でその一国の経済の、あえて言えば成長率とかいろいろな経済計画を考える。
 大体、個々の企業体は時間外労働で余剰労働力をつくって、そこで余剰価値を生み出して搾取もやる、そしてそこでもうける。一方、国は国として、またそこへ持ってきて税金をたっぷりかける。これは私は物の考え方が間違っておるんじゃないかと思う。もう少しお互い、局長も私も、われわれの仲間である個々の労働者も、この世の中に生まれてきた人間として社会的に働くにしても、社会人として責任を果たす時間は七時間か、今日で言う週休二日制を含めて一週四十時間働く、その四十時間働く所得に対しては税をかけます、それ以外の労働に対しては税の対象にしません、こういう物の考え方に所得税の面においても転換する時期にもう来ておるのじゃないかと私は思うのです、これは遅まきながら。私はぜひそういう観点から時間外労働に対する課税というものをやめてほしい。
 分けがたいと言うが、これは事務的にはきわめてしやすいですよ。私が勤めておった大会社か何かに行くのだったら、給料表にちゃんと時間外や手当とか基準内の何というものはきちっと出ておるんだから、これだけわかりやすい区分けの仕方はない。それでしかも徴税費というものはみんな要らぬでしょう、もう事業体に任しておけばいいんだから。ですから、私は、技術的な面を含めて、これは税務当局というか大蔵省というか、政府は、所得税については基準内労働に対応する給与所得にだけかけます、それ以外のなには外します、こういうふうに決めればこれはすぐできることだと思う。そういう技術的な面を含めて私は十分可能だと思うのだが、重ねて見解を聞かしてもらいたい。
#90
○中橋政府委員 八時間の労働なら、それで十分の生産が行える、そういう体制が望ましいということは私も同様でございます。そういう超勤がない生活というのは望ましいことを私はあえて否定はいたしておりません。そこに超勤が起こりまして、それがいまおっしゃいますように、睡眠時間八時間なり、教養娯楽のための八時間というものを犠牲にする、そういうことに対して割り増しの賃金も払われれば、また基本的な賃金もあわせて払われるということでございまするので、私が申しましたのは技術的に分別が困難だというようなことを申し上げたのではございませんで、やはり八時間の労働に対して払われる給与も、それからやむを得ず行われました超過勤務に対して払われる割り増し給与も、それも同じように質的に、私どもは税金の面から申せば同じく給与として考えざるを得ませんので、おっしゃいますように、超勤部分について所得税を課税しないという体制はとれないということを申し上げたのでございます。
#91
○藤田委員 あと政務次官が間もなく部屋に帰ってくるようですから、その質問が終わりましたら私はやめますが、私としては三十分くらいまででやめるつもりです。
 いまの問題も、私ここに四十五年以来の統計をとっておりますが、私はもし社会党が中心になって政権を担当することになったら、税制をどういうふうに変えたらいいかな、国の収入財源というものをどういうふうになにしていったらいいかということを私は私なりに考えてみると、やはり景気のいいときは比較的時間外労働が多いのですよ、残業が。今日のように不景気になれば、言うまでもなく時間外労働、残業も少ないだけでなくて、雇用保険法の適用を受けて、大企業じゃないけれども、便乗してまで休業をやらすというような状態が続きますからね。
 私は景気、不景気の変動にかかわらず、一国の財政を計画的に考える場合に、やはりいま言ったように、日本の総労働として一年間に稼働時間は、週休二日制で一週四十時間だったら四十時間の労働で何時間でそうしてその所得が幾らある、それに対して税金を幾らかけるというものをいわばコンスタントの基準にするわけですよ。そうすると、所得税でも、四十五年のときは時間外労働に匹敵するものが一六・八%になる、それが去年あたりになると一〇%以下になると思うのですよ。そこに非常な変動がある。そういう景気、不景気の変動によって財源収入が違ってくるようなことにまで税金をかけなくて、これは時間外労働をやったら労働者はえらいのですよ。だれだってそんなに残業を毎日毎日やりたくないですよ。
 しかし、さっき私は冒頭に言ったように、課税最低限じゃないけれども、一日の食費が四百円くらいじゃ生活できぬから、時間外労働をやるわけですね。そうでしょう。そういう点から言っても、ぜひこの機会に、先ほどの課税最低限の問題ではないですけれども、ぜひ来年の税制改正にはいま少し、いわゆる残業その他諸手当の時間外賃金には税金をかけるべきでないという観点から税制改正の問題を検討してもらいたいということを特に要請したいと思いますが、その用意があるかどうかということを、これはせっかく次官がお帰りになったからお尋ねをいたしたい。
 私、先ほど局長との間でやりとりしたのですが、課税最低限の一人当たりの食費はどうだこうだというやりとりは御承知だと思いますが、先ほどエンゲル係数三〇%とすれば、その一日一人当たりの食費が四百円、それに対して税金がかかっておるじゃないか、いわばかかるような基準になっておるじゃないか。これは私一遍、標準生計費あるいはマーケットバスケット方式というようなものも含めて、課税最低限は四十年だったら四十年を基準にして物価がこれだけ上がったからこういうふうに改定というだけではなくて、一遍この段階で新たな見地から、この標準世帯の課税最低限は幾ばくが適正であるかどうか、そういう新たな基準をつくってもらいたいということをこれまた来年の税制改正に向けて要求しておるのですが、それに対する御用意があるかどうか、これをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
#92
○森(美)政府委員 ちょっと途中抜けましたので大変失礼いたしましたが、現在までのところ私どもは人事院の調査を基準にするとか、そういったことで所得に対しての課税最低限ということが抜け切らない、そういう立場で現在やっておりますことは御了承いただきたいと思います。どうしても、たとえば超過勤務云々というお話もありますが、やはり生計費の問題とか、そういったことにつきまして人事院の調査その他を参考にしてやっておるわけでございまして、来年度のことにつきましてもそういう方針でやらしていただこう、こう考えております。
#93
○藤田委員 途中離席されたからこれは仕方がないと思うのですが、いまの答弁は全然何やらさっぱり私にはわからないわけです。いま局長が横からメモを出しておりますが、私は実際言うと、役人の下請的な答弁をする必要はないと思うのですよ。われわれやっぱり政党人は政治家同士の議論で、大蔵官僚なり役人がどう言おうと、これは、ひとつ野党の主張は正しい、そういうことはそういう方向で税制改正をやりましょうと、そういう共通点がなければ、これはせっかくわれわれも質問するということになれば何日か勉強もするのですよ。なけなしの知恵をしぼってやるわけですが、私はやはりそういう共通的なものがなければ、これはもうお役人の答弁を読んだのでは、これはどうにもならぬと思います。特に森次官の場合には、私は非常に期待するものも多い政治家でありますだけに、ひとつ重ねて――私のきょうかれこれ一時間の質問の焦点はここですから、まともに答えてもらいたいと思う。
 それは課税最低限百八十三万円というのは、エンゲル係数というものを基準に考えると、局長の答弁ではエンゲル係数三〇と大体見ておりますから、そうすると、逆に計算をしてくると、四人世帯で一日一人当たり四百円程度にしかなりません。これでは世界一の課税最低限を決めましたと言っても、国民の生活実態にはぴんとこないばかりか、何を言っておるのだ、こういうことにさえなりかねない。
 こういう現実矛盾がどこから起こってきておるかと言えば、やっぱり今日の物価情勢を含めた国民の生活実態というものを知らな過ぎるのじゃないか。その生活実態に即した課税最低限というものをつくるためには、一遍マーケットバスケット方式あるいは人事院の標準生計費調査、そういうもっと生活実態に根差した科学的な適切な調査をやった上で、新しい課税最低限というものを決めるべきじゃないか。四十年を基準にしてこういうふうに改定してきましたから世界一になりましたなんて言ってみたって、中身を分析したら、そういうことでは実態にそぐわない課税最低限であろう。したがって、私は、大蔵省がかつて大蔵メニュー、献立表というものをつくりましたが、そういうことをも含めて新しい、だれ人も納得し得る課税最低限というものをつくる用意があるかどうかということを一つお尋ねしておるんです。
 それと、もう一つは、いまチャンポンでお答えになりましたが、私は、時間外労働というものに対して課税すべきでない。これはきょう時間があったらもう一つやろうと思っていたのは、未成年者に対する問題も考え方は一緒なんです。未成年者の賃金ですね。これは一定の限度がありましょうけれども、しかし、そのことはきょうは留保します。留保しますが、時間外労働というものはもうそんなにまで、残業をやった賃金所得に対してまで税金をかけて、取れさえすればどこからでも取るという苛斂誅求の徴税政策をとらなくとも、わが国の財政はもっともっと他の面から――これは私、今度また質問をやるときそこらをやりますけれども、他の面から財源を調達する条件は幾らでもある、われわれ社会党が主張しておるように。ですから、私は、お互い人間この世の中に生まれてきて、平均寿命七十何歳まで生きるのか知らぬが、生きる間、社会人として一定の、一日七時間だったら七時間の労働をする、それに見合う所得に対して税金がかかれば、それ以上の超過労働に対してまで税金をかけるべきじゃないじゃないか、こう言っておるわけであります。
 そういう二つの観点から、私が主張しておるような点を十分考慮して、来年の税制改正をやる御用意があるかどうか、このことを確認をさせてもらって、私の質問を終わりたいと思うのです、
#94
○森(美)政府委員 先ほど議論になっておりましたエンゲル係数が三〇%が妥当かあるいは五〇%が妥当か、こういったことは一つの課税最低限を決めるファクターにはなっておりますが、これだけのものではないと私は思いますので、今回出しました課税最低限というのが私は妥当なものと一応考えてやっておるわけでございまして、その意味でひとつ御了承をいただきたいと思いますが、ただ来年度の問題につきまして、先生がおっしゃるような科学的な、もっと理論に富んだものというようなことについては、私ども研究させていただきたいと思います。
 なお、超過勤務の非課税の問題でございますが、これは現在までのところは考えられないわけでございます。その点も御了承いただきたいと思います。
#95
○藤田委員 前段のなには少なくとも来年度改正しろということでちょっと付言しておきますが、私は、ことしの百八十三万円というものの中身はそういうものだから、ことしからわれわれ社会党の要求しておるものは少なくとも二百八十万、そういうものを満たし得る条件にしてもらいたいということは言わずもがなで、前段にありますことを付言しておきます。
 それで、後段の答弁は承服できません。そのことを申し上げて質問を終わります。
#96
○上村委員長 午後二時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十五分開議
#97
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。高沢寅男君。
#98
○高沢委員 私は、いま所得税というものの課税の対象人員というものは非常に数が多くなって、言うなれば所得税そのものが大衆化してきているというこのことについて少しお尋ねをしたいと思うわけです。
 戦前の時代には、所得税を納税するような人口は約百万ぐらいというふうなことで、当時は所得税というものは一定の高額所得者が納める税金だ、こういうことであったわけですが、戦後、その事情が変わって非常に大衆化して、特別高額所得者でなくても、普通に仕事を持って、そして給与を得る、所得を得ておるという者であるならば所得税というものはかかってくる、こういうふうなことになってきているわけですが、最近いよいよそういう傾向が進んでいるというふうに見るべきではないかと思うわけです。その関係は、特に給与所得者の場合にはなおさらその傾向が強いということだと思うわけです。
 それで、昭和四十九年度、それから今度は五十年度、この時点において、給与所得者の数と、その中での所得税納税者の数、その実数の関係及びパーセントの関係、これがどういうふうになっているか、ひとつお尋ねをしたいと思います。
#99
○中橋政府委員 四十九年度、五十年度につきましては確たる数字でございませんが、申し上げます。
 四十九年としまして、給与所得者数は三千六百十万人と見込まれまして、その中で納税者数は二千七百十四万人、率で申しまして七五・二%でございます。それから五十年の見込みといたしまして、給与所得者数は三千六百五十万人でございまして、そのうちの納税者数は二千七百五十一万人、率で申しまして七五・四%でございます。
#100
○高沢委員 いま局長の言われた数及びそのパーセントというものは非常に高いと私は考えるわけですが、その前にさかのぼって、四十五、四十六、四十七、四十八、今度は実数はいいですから、給与所得者の数の中の所得税納税者の数のパーセント、その辺、四、五年前にさかのぼって、どういうパーセントであったか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
#101
○中橋政府委員 昭和四十四年が、その率は六八・六%、四十五年は七一・七%、四十六年は七一・三%、四十七年は七六・四%、四十八年は七八・〇%となっております。
#102
○高沢委員 いま局長の言われた過去五年ほどのパーセントを見ると、大体傾向としてずっとパーセントが上がってきておる、こういう傾向がはっきり出ていますね。そうすると、その給与所得者の中で所得税のかかる人の実数においても、同時に比率においても年々上がってきた、こういうことだと思います。
 それが今度は、この四十九年の場合には実績でなくて、現段階ではまだ見込みだと思いますし、さっき五十年の数字を言われたのは、まだ予算ベースの数字だと思います。実績が出てみないと確定的には言えませんが、しかし、四十八年に七八%まで行ったのが四十九年は七五・二%、パーセントとしてはやや落ちていますね。これは四十九年度のあの所得税の大きな減税ということが当然関係があるというふうに考えるわけです。しかし、四十九年度の場合には、またその後の物価の上昇やあるいは名目賃金、名目所得の上昇で、この辺、実績がどうなって出てくるかはもうちょっと時間を待たなければなりませんが、私はいま局長の言われた七五・二よりもっと高いパーセントの数字で実績が出てくるのじゃないかという感じはいたします。いま言われた五十年の予算ベースの数字も七五・四ですから、四十九年と横ばいもしくはややふえぎみ、こういうような傾向になってきます。
 そういうことで、いまこういうことをお聞きしている結論として私の言いたいことは、つまり、特に給与所得者の場合には非常に大多数の人が所得税の課税対象としてとらえられておる、こういうふうな姿になっているということを申し上げたいわけです。
 そこで、そういう状態を考えてみると、今度は所得税の課税最低限との関係で、その課税最低限の今度の百八十三万、昨年であれば百五十万、その課税最低限の前後のところに非常に多くの勤労者がいるということですね。それで、ちょっとした課税最低限の動きで非課税になったり、あるいはまた名目所得がちょっと上がると今度は課税対象になったりというふうなことで、課税最低限をボーダーラインとして、ここのところで非常に多くの勤労者が、所得税がかかってみたりまた外れてみたりというふうなことになっておる。
 そこで、その関係でお聞きをしたいことは、未成年者、つまりまだ選挙権のない二十歳未満で、しかしもう勤めを持って所得を得ている、こういう未成年者に所得税はかけてはならぬし、またかかるということは是正しなければならぬ、こういう論議が、私の記憶するところでは一昨年この大蔵委員会でありまして、当時税制調査会の会長をしておられました東畑先生もこの場所へ参考人として出られた際に、未成年者には所得税はかからぬようにしたい、こういうふうなお答えもあったわけです。それでその後、昨年のあの税制改正のときに所得税の課税最低限はかなり大幅な引き上げになる、またその引き上げの中身としては、給与所得控除の大幅な引き上げがなされたということで、当時の論議の中では、二十歳未満だから税金をかけないということは税法上の扱いとしてはできないけれども、しかし実際上、給与所得控除の大幅な引き上げによって実態として二十歳未満の未成年者は、大抵これはまだ独身の勤労者ですから、四十九年度のあの税制改正でほとんど課税の対象から落ちるようになるはずだ、去年この大蔵委員会ではそういうお答えがあったわけです。
 しかしその後、さっき言いました物価も上がる、名目的な所得も上がるという結果、そういう未成年者で課税対象から外れたはずの人たちがやはり外れていない、依然として課税の対象になっておる、こういう実態があるのではないかと私は思うわけです。
 そういう点において、この四十九年の見込みの数字、それから五十年は予算ベースの数字ですが、この数字の中で、そういう未成年者というものがどの程度課税対象としてこの中へ含まれているのかというふうな関係を、局長首をひねっておられますが、ひとつお聞きをしたいと思うわけです。
#103
○中橋政府委員 給与所得者のうちの納税者の中で、年齢的に一体どういうような状況になっておるのかということは、残念でございますけれども、そういった資料は持っておりません。ただ、おっしゃいますように、前年の課税最低限の引き上げにもかかわりませず納税者の数が一向に減らないというのは、確かに御指摘のとおりだろうと思います。それはまさに、これも御指摘のとおり、課税最低限の近くに納税者にすぐなり得るような人の数が非常に多くて、給与の増とともに納税者の中に入ってくるというのが多いということは事実でございます。
 ただ私は、それでは一体そういう人が未成年者に多いから納税者がふえておるのかどうかという点になりますと、確かに新規に中学、高等学校を卒業しまして就職をする人たちがかなりありますから大きな要素になっておると思いますけれども、それだからといいまして、いまおっしゃいましたように、未成年者は選挙権がないから所得税を納めるのはいかがかというような論から未成年者についての税金問題をお取り上げになるということは、これはおかしなことではないかと思います。と申しますのは、いまの選挙権といいますのはむしろそういった納税とは全然関係のない話になっておりまするから、私は、そういう関連ではなしに、やはり所得の高低というようなことから納税者の問題というのを考える方がよろしいのではないかというふうに思っております。確かに最近、中学校、高等学校の新卒者の初任給というのがまた非常に高くなってまいりまして、そういうことから課税最低限の引き上げにもかかわらず、かなり課税になっておるということも事実でございます。
#104
○高沢委員 選挙権がないからというのは、これはそういうふうな若い者には税金をかけない方がいいという議論の一つの論拠として出た議論であって、それが決定的な、かけるかかけないかの決め手になる議論だとは私も考えませんが、ただ概して言って、未成年であるような人たちは、局長の言われたように、高校、中学を卒業して、そして社会へ出て、まだその点においては職業人となって本当に年月も浅い、したがって当然所得の水準もまだ低いというふうな段階のところは、この税の対象から外れるのがいいのではないか、こういうふうなことが主な論拠であるわけです。
 そこで、そういうふうな実態であるとすれば、その課税最低限の前後に膨大なそういうかかるか、かからぬかという人口があるとすれば、やはり課税最低限をまたそれなりに引き上げて、それで課税対象の人が課税対象から外れていく、したがって、この所得税の納税人員の数はそれなりに減っていくというような方向へ進めるのが、いま当然とられるべき一つの政策方向じゃないか、こういうふうに私は思うわけです。
 そのことは、結果としては当然徴税費の節減というふうなことにもこれは関連をしてくるのではないか。現在、税務職員の人たちが約五万、その数でものすごい大きな――所得税だけではない、法人税もあり間接税もあり、多くの税務を処理している。その点において大変いわば過重労働になっておるという実態があると思うのです。そういうものを少しでも軽減をしていく、そういう税の対象になる人の数をできるだけ減らしていく、そういう観点からもこの課税最低限は引き上げをさらに進めるという考え方が必要じゃないかと思いますが、局長のお考えをお聞きしたいと思います。
 なお、その際に、徴税費の推移ですね、これがどんなふうな推移になっているかということも、ひとつあわせてお答えをいただきたいと思います。
#105
○中橋政府委員 確かに所得税の納税者の型を見てみますと、おっしゃるとおりもちろん低い階層につきましては、山のすそ野みたいにたくさんおりまするから、そこの人たちが課税最低限を出たり入ったりすることによりまして、かなり納税者数が変動しておることも事実でございます。ただ、わが国の有業人口の中で納税者の占める地位ということを考えてみますと、これはまだ欧米の国と比べてみましてそう高い方ではございません。あちらの国の方では、相当の人が所得税を納めておるということになっております。
 それで、昨年度の所得税の大改正におきましても、いまおっしゃったようなことを頭に置きながら、給与所得控除の最低限度額を五十万円に大幅に引き上げたことによりまして、先ほど申しましたような納税人数の減少というのが見られたものだろうと思っております。今回の改正におきましては、私どもは最近におきます中学卒、高校卒の新規採用者のベースとも関連して考えてみまして、今回の課税最低限、五十年分で八十万円でございますけれども、それで中学校の新規卒業者につきましては課税が余り起こらないのではないかというような見通しを持っております。高等学校の卒業生になりますと、初任給が非常に高くなっておるものでございますから、第一年目から納税をしないで済むようにということは、よほど課税最低限を引き上げないとむずかしくなっているような事情でございます。
 それから、徴税コストの話でございますけれども、確かに納税者が減ればそれだけ徴税コストは減るという勘定にはなりまするけれども、一番手がかかります税金とすれば、何といっても申告所得税でございますし、その他のいろいろな税金がありまするので、確かに徴税コストという点も税制上いろいろ考えてみなければなりませんが、やはり先ほど申しましたような有業人口と納税者の割合、根幹たる所得税をある程度の人たちには納めてもらわなければならないという考え方もその際には配慮しなければならないと思っております。
 それで、最近の徴税コストの動きでございますけれども、百円当たりの金額で申しまして五十年度は、予算でございますけれども一円四十二銭、四十九年度は一円四十八銭、四十八年度一円二十二銭、こういうような数字を示しております。
#106
○高沢委員 いまのような実態から、私はもう一つ提案として申し上げたいことは、課税最低限のその上にあって、そして課税対象になる一番すそ野に当たるところが非常に大衆的税負担といいますか大衆化しておるということから、今度はその税率の刻み方ですね。まあ一〇%からスタートするということになっておりますが、そういう意味においては一番最初の、一番下の税率はたとえば五%というようなところからスタートする刻み方もあるのではないか、またその方がいま言ったような実態に即した形ではないか、こう思うわけですが、この点はいかがでしょう。
#107
○中橋政府委員 税率の一番低い段階におきますところの高さという問題は、課税最低限の高さと関連して考えてみなければならないと思います。納税者にしてみますれば、課税最低限も一つの税率として反映をしてくるわけでございまして、実効税負担を考えてみますれば、一挙に一〇%に上がるわけではございませんで、総収入に対しましてある程度のカーブを示しながら漸次高くなってくるわけでございます。そういたしますと、今日の程度の課税最低限でございますれば、諸外国の例を見てみましても、やはりそういった配慮からある程度の高さから始めておることも考えますれば、一〇%程度は維持してしかるべきではないかというふうに思っております。
 大体わが国における所得税の最低税率といいますのも、一〇%が一番低い例でございまして、かつて住民税との調整でもって八%ということをしたときもございますが、それもやはり課税最低限を漸次高めることによりまして今日の一〇%の姿に戻したという経緯がございますから、やはり余り低い課税最低限でございますと、おっしゃるような低い最低税率から始めることになりましょうが、今日の課税最低限、もちろんこれには御批判がございますけれども、今日のような課税最低限からでございますれば、一〇%から始めてもよろしいのじゃないかというふうに考えております。
#108
○高沢委員 所得税の高度累進制といいますか、これが租税の所得再分配の機能を果たしていくために一番大切な仕組みであるわけですが、この高度累進機能というものがいろいろな形でいわば空洞化されている。そういう聖域といいますか、高度累進機能が作用しない部分がいろいろな形でつくられておる。私たちの言う利子配当の特別措置もそれであるし、また土地税制の特別措置もそういうものであったと思うわけですが、そういうふうなことで、この租税機能の一番重要な機能である所得再分配の機能、これをできるだけフルに機能させる、非常に空洞化されているものをその機能を回復させるという観点で当然税制というものは考えなければいかぬ、こう思います。
 そういうふうに考えると、やはりいま言った利子配当の特別措置は、その除外されている一番特徴的なものとしてこれはぜひ是正しなければならぬ、こういうことになると思うわけです。しかしその関係は、いつもここでも繰り返し何回か論議されて、特に預金などの場合は総体としてなかなか掌握ができない、こういうふうなことがその廃止できない理由ということで言われてきておりますが、配当の場合はどうでしょうか。まあ銀行預金の場合は非常に件数も多いということは確かにあるわけですが、たとえば配当の場合は、配当を支払う企業の側では支払い調書というものも出しているわけであるし、あるいはまた今度の改正で一銘柄十万円までは確定申告を必要としない、それも五万円が十万円に線がずっと上がったというふうなこともありますし、そうなれば配当の場合には、だれが、どういう株式の所有によって、どれだけの配当を受けたという所得の掌握というか把握というものはできるのじゃないか。できるとすれば、利子配当と、こう一口にまとめて言ってきておりますけれども、少なくとも配当に関しては、こういう持別措置から外して総合課税に移行するというようなことができるのじゃないのか、こう考えるわけですが、この点はどうでしょう。
#109
○中橋政府委員 利子と配当の問題につきまして、総合課税の難易という点からのお尋ねにつきましては、確かに利子と配当とは同じであると私も思っておりません。特に配当といいますか、株主の地位を確保するためには、いわば会社と株主の間というものについてある程度の明示的な連絡というのが必要でございまするし、むしろ株主にしてみれば受動的にいろいろな通知を受けるということは多うございましょうから、預金者が積極的に銀行の店舗に参りまして利子を受け取る事例が多いということと比較いたしましても、おのずと架空名義なるものの存在は少ないと思います。
 ただ、そういうことでございまするけれども、また一概に利子配当の源泉選択の分離課税制度と申しますが、実は利子につきましてはかなり制限のないままにその適用が受けられますし、配当につきましてはいろいろな条件を兼ね備えた上でなければこれを受けることができないということになっております。たとえば同族的な会社におきますところの配当というものについては、源泉選択分離課税制度というものが適用されないように、五%でございまするとか年間五十万円でございまするとかいうような限度以内でなければこの制度を受けられないというような仕組みにもなっております。
 したがいまして、一概に申しまして、この源泉選択制度を適用されておる配当といいますのは、個人の受取配当の中でも四%ぐらいでございますし、利子で申せば、この源泉選択の適用を受けておる者は個人の受取分の約二三%になっておるということでございますから、制度自体の仕組みから申しましても、いまおっしゃったようなこともかなり頭に置きながら適用しておるものと私は考えております。その上、さらに配当につきましては配当控除制度というのがございまするから、本来源泉選択制度を選択しまして仮に三〇%の課税を受けたということになりましても、利子はまさにその三〇%なんですが、配当につきましては配当控除というものが適用されるということもございまするから、表面的に考えられるほどの同じ取り扱いも行われていないというわけでございます。
 ただその際、それでは利子と配当と、いろいろなことから言って、仮に源泉選択を行うにしましても、もっと違った税率で適用すべきではないかという御議論ももちろん可能だと思います。ただこれは、昭和四十五年に今回のような制度をつくりましたときに、やはり利子配当と言いますのは、同じく資産所得としてそれぞれ金融資産を持っております人の選択に任せるときに、同じ率の方が選択について一般の人もいわばなじみやすいのではないかというようなことから二五%という率をつくりましたので、今回はそれを踏襲しまして、ともに三〇%ということにした次第でございます。
#110
○高沢委員 配当の場合も、いま局長の言われたようないろいろの条件ということでなかなか総合課税の移行を受け入れるというあれではないようですし、また利子の場合は配当以上に捕捉が困難であるというような事情を強調されるわけですが、そうであるとすれば、税の公平というものを確保するために、いままで源泉分離の税率二五%、これを今度三〇%に上げたということですが、それならこのパーセントをもっと重くしていいのじゃないか、過去の例においても六〇%あるいは五〇%というふうな時代もあったわけですから、そういうふうに考えれば、この三〇%というパーセントをもっと上げることによって、税の不公平というものを是正することをそちらの面から進めるという手も一つあるのじゃないか、こう思うわけです。これはどういうふうにお考えになるか、やるお考えがあるかどうか、ひとつお聞きをしたいと思います。
#111
○中橋政府委員 源泉選択の分離制度を採用するとしましたときに一体幾ばくの税率がよろしいかという問題につきましても、もちろんおっしゃるような御議論がございますし、かつてわが国においても五〇、六〇という選択税率をとったときがございます。
 ただ今日、それでは一体どういう水準の税がいいかということを判断いたします場合には、これを一挙に引き上げたとしましたときに一体納税者がどういうふうな判断をするかということでございまして、かなり高い選択税率を持てば、やはりその選択税率すら免れようとする意欲が、残念でございますけれども、働くということも予想しなくてはならないと思っております。現在普通の利子配当についての源泉徴収税率は一五%になっておるわけでございますから、一五%だけを取られることによって総合申告もしないしまた源泉選択の課税も受けないというような気持ちを持たせても、これはまたわれわれの所期するところでもございませんから、できるだけ正しい制度になじんでもらうという意味におきましては、一挙にそんなに高い税率を盛り込むということも、私はいまの段階としては余り適当ではないのではないかというふうに思うわけでございます。かたがた、一体それじゃ三〇%というのがどの辺の上積み税率であるかというふうなことも勘案いたしまして、これが一千万円程度の給与収入の人についての上積み税率であるというようなことでございますので、大体その辺のところから判断をいたしたわけでございます。
 ただ、おっしゃいますように、今後われわれがいろいろ所得税の総合課税制度をもっと、いま御指摘のようにだんだんとまた完成していくということが可能であればあるほど、仮に源泉選択税制度をとるとしましても、その税率はもっともっと高くするという余地も出てまいると思いますが、いずれにしましても、やはり総合課税へのいろんな環境づくりを漸次整えるにつきまして、そういったことも可能になるというふうに考えております。
#112
○高沢委員 将来そういう可能性もあるということでありますから、私は、むしろ租税の不公平というものをなくするためにも、これは意識的にその方向、一方では総合課税化の対策や努力をしながら、他方ではこの源泉分離の税率は段階的に上げていくということは意識的に進めらるべきだ、こう考えるわけです。
 それで、これは参考のためですが、今度の二五%から三〇%にしたことによる増収が百億ですね。この百億の内訳は、その配当と利子の関係ではどんな内訳になりますか。
#113
○中橋政府委員 今回の利子配当制度の改正によります増収額は初年度百億を見込んでおりますが、その内訳を申しますと、利子で八十五億円、配当で五億円、それから利子と大体同じような性質と思っておりますが、税法上の差がございますいわゆる割引債の償還差益というものについても今回改正をいたしておりますが、それによりますものが十億円、合計百億円でございます。
#114
○高沢委員 さっき言いました租税の高度累進制ですね、これを貫くという観点からもう一つお尋ねしたいことがあるのですけれども、給与所得の控除、これはこの五十年度の歳入予算の関係の資料で見ますと、給与の総額が六十八兆七千三十億というふうに押さえてあって、その中から給与所得控除される額が二十三兆七千八百十億、それから基礎控除とか配偶者控除とか扶養控除とかあるいは社会保険料控除その他そういう諸控除全部合わせて十九兆六千二百二十億ということで、それらを差し引いて課税所得の金額が二十五兆、こういうふうなことになっております。これで見ると、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、いわゆる人的控除、それから社会保険料控除等々のその全部合わせたよりもっと給与所得控除が大きい、こういうことになるわけです。それはわれわれが従来問題にしました、つまり青天井になっているせいなんですね。そのことは、所得税の高度累進という性格を損なう一つの要素というふうに見るべきじゃないかと思うわけです。そういう意味からも私たちの主張として、昨年行われた青天井というものは早急に是正の手を加えて、やはり一定の天井を設けてそれ以上のところへは適用はされない、こういうふうな一定の限界を設けるという改正をこの給与所得控除に関してはやるべきじゃないかと考えますが、局長の見解をお尋ねします。
#115
○中橋政府委員 給与所得控除の金額が他の人的控除の金額に比較いたしまして非常に大きいというふうに見積もってございますが、それはまさに給与所得控除がそれほど大きくなっておるということかと思いますが、昨年もいろいろ御論議がありました給与所得控除についての限度を撤廃したということにつきまして、それはあまりにも高額者について有利ではないかということでございますけれども、給与所得控除といいますものが一つの大きな要素として必要経費というようなものも考えておるということでございまするから、やはりある程度高額の人につきましてもその金額にスライドした部分というのはあってもしかるべきものだと思います。
 それからもう一つ、給与所得控除につきましては、やはり私は昨年の改正においてはかなりいわゆる資産性の所得と勤労性の所得についての負担問題というのを頭に置いたのではないかと考えております。そういたしますと、わが国においてはむしろ適用税率は一本にしておきまして、この給与所得控除という制度によりまして勤労性所得に対する配慮というのも従来からやってまいったわけでございます。
 たとえば、アメリカにおきましては、最高税率は所得税におきまして七〇%でございますけれども、勤労性の所得につきましてはこれは税率でもって五〇%にとどめるというようなことをいたしております。それにかえるに給与所得控除というシステムを使いまして、それと同じような方向を出すというのがそういった去年の配慮であるということからいたしますれば、私は給与所得控除について限度を撤廃したというのもそう無理からない改正であるというように考えております。
#116
○高沢委員 私はここで給与所得控除の性格論から議論をするというふうなことは、また時間の関係でも差し控えますが、とにかく高度累進という性格を損なうものとしてこれは改正すべきだという私の主張を繰り返しておきたいと思います。
 次に、物価調整減税の関係でお尋ねをしたいと思うのですが、休憩前の藤田委員の質問に対して御説明になった局長の説明は、五十年度の物価調整減税の所要額、物価上昇率に見合った課税最低限を上げたとしての減税額は四千三百五十億。そのうち三千四百九十億は昨年の減税の平年度化の金額であって、差し引きことしの分としての純粋の物価調整減税は八百六十億、こういう説明があったわけです。
 この関係で私お尋ねしたいのですが、ことしの歳入の予算書で見れば、昭和五十年度の現行税法を前提としての所得税の収入の総額は六兆八千四百四十億、こうなっております。そうして前年度の補正後予算に比べて一兆三千億の増加、こういうことになっているわけです。この現行法によることしの六兆八千四百四十億という所得税の収入見込みというのは、この中には私は当然昨年の減税、課税最低限の引き上げ、これが百七十万七千円と平年度化してきておる。平年度化するというものは、ことしのこの中にはすでに織り込んである。それを土台にして六兆八千四百四十億という所得税収入というものを見られた、こう思うわけです。
 そうすると、ことしの物価調整減税の所要額の中へ、その昨年の分の平年度化の三千四百九十億を入れて計算するのはちょっとおかしいんじゃないんですか。この三千四百九十億という昨年度の減税の平年度化の分は、これはあくまでも昨年度の分であって、ことしの必要な物価調整減税というのはそれがすでに平年度化された土台の上に立って、ことしの一一・八%という物価上昇見込みに対してどれだけの調整減税が必要か、こういうふうにはじくべきじゃないかと思うんですよ。
 ですから、そういうふうにはじいてみれば、さっき言われた四千三百五十億という金額というものは、まるまる昨年減税が平年度化したというこの土台から出発して四千三百五十億という物価調整減税が必要なんだというふうに私は計算すべきだと思うのです。そうなれば、ことしの千九百五十億という、この五十年度の人的控除による減税額というのは、物価調整減税の所要額から見ても全然問題にならぬ小さい金額だ、そうすると実質増税じゃないか。きょう午前中の藤田委員の質問というのは、まさにそういう結論になるんじゃないか、こう考えるわけですがどうでしょうか。
#117
○中橋政府委員 減税の平年度化といいますのは、おっしゃいますように、法形式から申せば昨年の所得税法の一部を改正する法律でもって実現をしたものでございますし、その法律は昨年に施行になっておりまするから、今日で申せば現行法であることには間違いはないわけでございます。しかし、それは全く法形式と申しますか、同じく納税者に効果を及ぼします減税が、いかなる法形態でいつ国会において成立をしたものによるかという問題でございまして、納税者にしてみれば、昨年取られました所得税とことし取られます所得税を考えてみますれば、現実に昨年取られました所得税に比べて平年度化分の本年度の所得税というのは、より多く減税になることは間違いないわけでございます。そういう経済的な観点から申せば、話は去年決まったことでございまするけれども、減税としてはその効果を本年の納税額にあらわしてくるわけでございます。
 そこで物価調整減税といいますものも、またことしのそれでは物価が一体どのくらい伸びるのかというような観点から、課税最低限の引き上げということを考える必要がある、そういう経済的な問題でございまするから、納税者としますれば、本年の納税額としてそれだけの課税最低限が上がればいいという話でございまするから、その中には当然昨年度に実現をしまして本年その効果を初めてあらわします昨年度の所得税の平年度化分も、ことしの法律でもって実現をしていただこうとしております本年度の税制改正の減税の部分も、ともに同じく扱ってよろしいということでございまするので、その両者を本年の一一・八%という物価上昇に対応する物価調整減税所要額にともに充て得るということでございます。
#118
○高沢委員 午前中の局長の説明で、昭和四十九年度のその物価調整減税が、九・六%物価上昇ということで当初は二千二百六十億の予定であった。ところがその後の物価の上昇は二二・〇%、こういう上昇があったので、したがって物価調整減税の所要額は六千八十億に昨年度はふえた、こう言われたわけです。すると、二千二百六十億の当初の見込みと六千八十億のこの差額というもの、これは当然昨年の税の執行の中でそういうものが織り込まれなければならなかったわけですが、するとこの差額というのは一体どこへ行ってしまうのかということですよ。したがって、去年が二千二百六十億のはずであったのが、実際は物価の上昇によって六千八十億必要になった、こういうことになるわけです。そうするとそれだけ、昨年の減税額一兆四千五百億と言われるあの減税額の中身がその分だけ削られた、薄くなったということになるわけですね。
 そうすると、ことしの場合も同じように、四千三百五十億というこの物価調整減税がいまの段階で必要だ、こう計算上なっておりますが、まあことしのこれからの物価の趨勢がどうなるかわかりませんけれども、もしそれを上回るということになってくれば、これよりもっと多くの物価調整減税が必要なんだということになる。しかし、税制改正としてはここでもう千九百五十億の減税というものが決まってしまうということになれば、その分のマイナスというものはことしの中で残るわけですよ、昨年も同じようにその分のマイナスは残っているわけですから。したがって、ことしのこの物価調整減税の中へ昨年度の平年度化がもう入っていますという言い方はこれはごまかしであって、その年その年でこのけりは計算上少なくもつけていかなければいかぬじゃないか、こういうように考えるわけですよ。どうでしょう。
#119
○中橋政府委員 まず第一に、昨年の所得税の減税は当初見積もりでは一兆四千五百億でございましたし、それに対応します物価調整の減税所要額は二千二百六十億円でございましたから、その差額というのはいわば物価調整以外の実質的な減税ということになるわけでございます。ですから、かなり余裕があったということでございます。それからさらに物価が当初の見込みの九・六よりも二二・〇に上がったということで、物価調整の所要減税額が六千八十億円に上がったということでございますが、もちろんそういった事態のときには名目所得にかかります所得税もまたふえるわけでございますから、当初予想しました減税見込み額もまたこれは金額はふくらむということになるわけでございます。
 したがって、いずれにしましても四十九年としてはかなりの余裕があったということになりますけれども、それを別に今度の物価調整減税所要額四千三百五十億円に充てるというものではございません。充てました三千四百九十億円というのは昨年実現しませんで、本年実現します減税額ということで充てるものでございますから、おっしゃるように五十年の計算としてそういうものを考えて差し引きしまして、追加所要減税額は八百六十億円ということにいたしております。
#120
○佐藤(観)委員 ちょっと関連。
 いま高沢委員の質問というのは非常に大事な質問なんですが、ことしの所得税法の改正で、これはいいことでありますけれども、一月から所得税減税がきいてくるわけですね。したがって、こういった議論というのはかつてしたことがないわけです。
 そこで問題なのは、いわゆる四十九年度の物価調整減税というのはいつの時点をとらえて物価調整減税とするかということだと思うのです。四十九年度の税制というのは、私が言うまでもなく四十九年の四月から五十年の三月まできいているわけですね、四十九年度の減税というのは。四十九年度の一兆四千五百億の減税というのは、これは四十九年の四月から十二月までの分じゃないですか。五十年の三月までですか。そうすると一兆四千五百億のうち、五十年の一月から三月までの分、これは幾らになりますか。
#121
○中橋政府委員 減収額は実は国庫ベースで申し上げておりますので、毎年度四月から三月までに国庫に入るもので申しますから、たとえば源泉の所得税で申しますと、三月に支払われたものが四月に大体納付になるのが一般の民間の給与でございますので、四月に減税を実施いたしますと、それは五月に入ってくることになります。ですから、初年度の減税額といたしますと、五月に入ってまいりますものから三月に入ってまいるものまでが初年度という計算になるわけでございます。
 それから、本年一月から今回の改正を実質的に適用していただこうということにいたしますと、給与で申せば十二カ月のほかに翌年の三月までに国庫に入ります分でございますから、一月から二月に支払われるものもそれの適用を受けるという計算でやっておるわけでございます。
 それからもう一つ、いまは給与の問題で申し上げましたけれども、申告所得税の人たちにつきますと、一応暦年計算でそれぞれ三月に申告いたしてまいるものが国庫に入るという予定で計算をするわけでございます。
#122
○佐藤(観)委員 ですから、物価調整減税といった場合に、いわゆる国庫に入ってくる収入ベースでいくということになりますと、これは四十九年の減税の一兆四千五百億、これの適用というのは国庫の会計年度からいきますと――会計年度でいった方が実際にわかりいいと思うのですね、会計年度からいきますと、四十九年四月から五十年三月までに来るわけですね。ところが今度の五十年度の減税案というのは、これはいいことでありますけれども五十年の一月から――要するにわれわれがいま四十九年の確定申告をするわけでありますけれども、申告者のベースになっているわけですね。つまり五十年度の申告をする場合には五十年度の一月から十二月までの収入をするわけでありますから、その意味では今度の一千九百五十億という減税は、そのまま非常にわかりいいことになってくるわけでしょう。ですから、私はこう思うのですよ。
 この物価調整減税を論ずる場合に、これはどのベースで話をするのか、全く納税者のペースの、四十九年度減税の場合には、そうなってくると、税制改正上四十八年度の減税の一月から三月までの分と、四十九年度の改正の四月から十二月までの分、この二つがきいてくるわけですね。ですから、一つは今度の物価調整減税を論ずる場合にどのベースでいつからいつまでのことを論ずるのかということ、それからいま局長のお話を聞いていて若干数字のごまかしがあるなと思うのは、この五十年度は四十九年度が平年度化されて――五十年度の減税が一月から始まりますからここがオーバーラップしている、重なっているのだ。ですから今度は四十九年度の減税が平年度化されて、減税はただ単に千九百五十億だけではありませんというふうに私には聞こえるわけです。ところが、それはもう四十九年度ベースの上に今度は五十年度減税というのはどうなっているのかということを考えなければいけないわけでありますから、もしオーバーラップしているというのだったら、それは四十九年度の税制改正のベースの一月から三月の分じゃなくて、五十年度の税制改正の一月から三月分、つまり千九百五十億の減税のうちの四分の一というものがオーバーラップしていると私は考えるべきだと思うのです。そうじゃないですか。
#123
○中橋政府委員 昨年の改正の初年度の計算といいますのは国庫ベースでございますから、支払いで申しまして五十年の一月、二月に支払いをなされる給与につきまして適用される減税も入っておるわけでございます。それから今年初めて初年度計算というのはないわけでございますけれども、実は逆の意味で初年度計算というのがあるわけでございます。ごらんいただきましても、人的控除の引き上げを初年度は千九百五十億円、平年度は千八百二十億円と逆に減っておるわけでございますが、これは何かと申せば、先ほど申しましたように初年度は一年分とそれから来年の一月、二月分が加わりますから、むしろ初年度の方が多いということでそういうことになっておるわけでございます。
 そこで、まず、基本的にいまの御質問は、物価調整減税というのは消費者物価の上昇を一番基本にいたしますから、一体どれをとっておるのか、およそ暦年ベースの所得税についてどれをとればいいかというお話だろうと思いますが、確かにおっしゃいますように所得税は暦年ベースのものでございますれば、暦年で対前暦年の物価がどうなっておるかということをとれば一番端的に示すものかもしれませんけれども、今日の政府のつくっております経済見通しは、年度を単位にとりまして年度間の平均の物価上昇がどの程度であるかということをとっております。それはもちろん一一・八と申しましても年度でとるか暦年でとるかによりまして少しは違いますけれども、私どもはおよその物価調整減税のめどをつけるわけでございますから、年度の平均物価上昇率というのを頭に置きながらやっておる次第でございます。それが、いまお話しのように、初年度計算で何月支払い分まではそういうものに見ておるかどうかという点も、確かに細かに考えればいろいろ調整をしなければなりませんけれども、おおよそ申せば、私どもの物価調整減税所要額に比べて現実の毎年度の所得税の減税額というのはこれを大幅に上回っておりますから、そう厳密に暦年計算、年度計算ということをやる必要もありませんし、それに対応する何月から何月までの給与について、あるいは何月から何月までの申告所得税についてということも考える必要はないのではないかと思っております。
#124
○高沢委員 大変ややこしいやりとりがありましたけれども、結論としてお願いをいたしたいことは、ことしから一月からという形の税制適用の新しい前例が開けたわけですから、その意味では、とにかく一月から十二月という形のわかりやすいそういう姿を今後もぜひ続けてもらいたいということが一つです。
 それから、給与所得というふうな性格のもの、それから一方では申告所得税というふうな多少性格の違ったものがあります。こういうふうなものの違いはそれなりに、こちらは暦年で言えばこうなる、こちらは年度で言えばこうなるというふうなそれぞれの性格の違いによるそれに適した説明の仕方をお願いしたいということが一つ。
 それからもう一つは、物価調整減税と全体の減税額の関係ですが、物価の上昇に見合う物価調整減税、これはもともとは、本来の実質上の減税じゃないわけですから、物価上昇に対する調整にすぎないわけけですから、そういう部分はこれだけだ、そしてその上に税負担を本当に軽くする本来の減税はこれだけだということの、そういうわかりやすい形でいつも表示してもらいたいということが一つ。
 それからもう一つは、物価調整減税は、その年の初めに消費者物価はこれだけ上がるだろうという見通しでこの額が出るわけですから、それが今度はその年の終わりになって、実績の消費者物価の上がり方に違いが出たという場合には、それだけいわば物価調整減税は自動的に補正をするということもこの際にやはりはっきりとしていただきたい、こういうふうに思うわけです。この点は局長から、そうします、こういうお答えをお願いしたいのですが、余りあれこれ留保せずにひとつ答えをお願いしたいと思います。
#125
○中橋政府委員 本年、幸いにしまして今回御提案を申し上げております所得税の減税を実質一年分フルにやるように考えておりますのは、一つには幸いそれだけの財源が確保できそうであるということでやったわけでございます。毎年、これまでもそういうことをやりたいなと思いながらも財源的になかなかむずかしいという点がございましたので、今後必ずこういう方式がずっと踏襲されるかという点については断言はできませんけれども、今回こういうことをやりますれば恐らくそういう方向で続けていきたいというのが私どもの願望でございます。そのかわりに、先ほど私が申しましたように、今度は翌年になりますと、平年度化ということがございませんから、新しい減税というのはそれそのものがフルにかかってくるということになります。
 それから、実績といたしまして、当初に見込みました消費者物価の上昇を上回って伸びたというときに、もちろんその計算はたとえば補正予算の段階においては出しておりますのですが、その分をさらに予定どおり持ち出すかというお話だと思いますが、それにつきましては先ほど来申し上げておりますように、物価調整減税のほかにかなり上回って所得税の減税を大体ここ十年ぐらいはずっとやってまいったものですから、実績的に消費者物価の上昇が当初見込みよりも上回って物価調整のための減税所要額というのがふくれたといたしましても、それを特に補てんするほどの必要は感じなかったということがこれまでのことでございますので、予定しましたその金額を必ず別途の形で補てんするようにということにつきましては、どうもそれをここでそういたしますというふうにはお答えできないのでございます。
#126
○高沢委員 私は、その点はぜひそうしてほしい、重ねて要望しておきます。
 それで、銀行局長においでいただいて、大変御苦労さまでございますが、もう時間が大変経過しましたのでまとめて一回でお尋ねいたします。
 預金の目減り問題がずっと論議されて、この国会の最大の焦点の一つになっておりますが、この点については、この国会中に目減り対策を出しますということになっておるわけです。そこで私は、きょうは議論の問題ではなくて、いまお考えになっておる目減り対策はどういうふうな対策をお考えになっているかということが一つ。
 それからもう一つ、公定歩合の引き下げ問題が、これも大変差し迫った問題として議論に出ておりますが、この引き下げがなされるときに預金金利はどうなるのか。据え置きにするのかあるいは預金金利をまた下げるということになるのか、それをお尋ねいたしたいと思います。
#127
○高橋(英)政府委員 いわゆる目減りにつきましてはいろいろな御提案がございましたが、最近の案といたしましては、金融機関の負担において対象、金額等を限定して有利な預金の新設を図ったらどうかというところに大体煮詰まってきております。ただ、その対象とか金額とかいったようなものにつきましていろいろな案がございまして、それの対象、金額のしぼり方によりまして影響するところもございます。それからまた、対象、金額のしぼり方の技術的な困難性というようなことがございますので、目下その点を鋭意検討中でございます。いずれにしましても、大筋の柱は先ほど申し上げましたような金額、対象を限定して有利な預金をつくったらどうかということでございますので、その線で現在やっております。
 それから公定歩合の方でございますが、公定歩合は、新聞などではいろいろ言われておりますけれども、日本銀行が決定することでございますが……(「事実上は銀行局長だろう」と呼ぶ者あり)そんなことはございませんが、まだそういうことは確定したというわけではございません。
 御承知のように現在の公定歩合が九%でございまして、預金の最高のもの、二年ものが八%になっております。大半の一年ものが七・七五でございますけれども、公定歩合と預金金利の間にワンポイントないし一・二五ぐらいの差しかございませんので、これは一般論として申し上げますけれども、公定歩合の引き下げの幅の度合いいかんによりましては預金金利と逆転するというようなことが起きないとも限らないわけでございます。しかし、その辺はどういうかじ取りをするかまだ決まっておりませんので、いまの段階で預金金利をどうするかということを申し上げるのは、ちょっといたしかねるのでございます。
#128
○高沢委員 預金目減り対策とか、そういうことを講ぜられておる趣旨に逆行するようなことになってはならぬ、こう思いますので、これは強く要望しておきたいと思います。
 次に、国税庁の磯辺次長がおいでになっておりますが、税務行政の問題で若干お尋ねしたいと思います。
 税務署の職員の皆さんの昇格の問題です。これはもう私が言うまでもなくあの終戦直後の時期に税務署の関係で非常に多くの職員が採用された。その人たちがいまそれぞれ中高年という年齢層になってこられたし、税務の行政の中でも一番中心の幹部として働いておられる、こういうふうなことになってきております。その人たちは非常に数が多くて、現在の等級のあれで見ると、四等級、三等級、ここら辺の二けた号俸のところに非常に大ぜいの人が滞留されているということになっているわけですね。そういうところから、そういう人たちの昇格問題に対してなかなか思うように道が開けないということになれば、毎日の税務を執行されるに当たっても、その意欲にもまた重大な影響が出てくるというふうに考えます。そういう点でこれはかなり思い切った対策をとって、そしてたとえば特三等級以上の等級のところのポストの定数をふやして、そういうところの人たちが進む道ができるような対策はぜひ計画的にしかも大幅にやっていただく必要があるんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、この点はどういうふうな措置をお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
#129
○磯辺政府委員 ただいま高沢先生が私たちの税務の職場の職員の処遇問題につきまして非常に御理解ある御意見を述べていただきまして、私たち非常に心強く思っております。いわゆる中高年層の処遇の改善の問題につきまして、あるいは中高年層の職員をめぐる諸問題につきましては、昨年の税制及び税の執行に関する小委員会の席上で私どもからその実情を詳しく申し上げたところでありますが、幸いにしましてただいま御審議をいただいております予算の段階におきましては、先生方の非常な御理解をいただきまして、われわれとしてはいわゆる上位等級に格づけされるポストの増設あるいは既存ポストの上位等級への格づけ、そういった面におきまして私どもなりにかなりの成果を上げたのではないかというふうにいささか自負しておる次第でございます。
 しかしながら、ただいま申し上げましたように、中高年層の職員という中ぶくれの問題につきましては、これをもってとても解決できるといった問題ではありません。私たちはまだまだこれでは足りない。たとえて申し上げますならば、現在の税務職員の中で四十二歳以上が四九・三%、約五〇%、そのうちで四十四歳から五十歳までが三二・五%といったような状況でございます。こういった方々に対しましていかにして上位等級に格づけしてもらうか、それからさらにまたいわゆる二けた号俸というものを解消するためにどのようにしたらいいかということは、私たち予算面あるいは級別定数を通じて努力しているところであります。
 こういったことを申し上げますと非常に差しさわりがあると思いますけれども、他官庁にも同じような悩みがあるわけでございますけれども、おかげさまで国税職員につきましては、その職務の特異性それから非常に困難な職務に日夜献身的に努力しているといったような特殊事情が認められたことだと思いますけれども、他官庁に比較いたしましてやや有利な査定というふうに相なっております。
 そういった意味で今後とも努力を続けてまいりたいとは思っておりますけれども、ただやはり査定官庁の方としましては、他官庁とのバランスがある、あるいはまた現在の俸給表が職務給を前提としておるといったようなたてまえもございまして、そういったわれわれの希望はなかなか実現するにも限界がございますので、それで全般的な職員の皆さんの満足いただけるあるいは御希望に沿うようなところまではいきませんけれども、われわれとしてはこれに対しては最大の努力を傾けまして、今後ともただいま先生のお尋ねになりましたようないわゆる中高年層職員の処遇の改善の問題については努力いたしていくつもりでございます。
#130
○高沢委員 非常な御努力をされており、またその成果もあらわれているということは承知しておりますが、しかし、いま次長の言われたとおり、実態から見ればまだまだとても足りない、こういう状態ですから、その点ではたとえば中高年対策の五カ年計画というようなことで、過去において長官がそういうふうなことをお話しされたということも聞いておりますが、そういうふうな一つの計画を立てて、そして一年一年とその枠を拡大していく、こういうふうなひとつ計画的、強力な取り組み方をお願いしたいと思います。
 特三等級の関係では大体統括官の格づけになってきているわけですが、たとえば専門官のままでなれるというふうな道も開かれてしかるべきじゃないか。またそういうふうな方法もとらないとこれは私はなかなか解決ができないと考えますので、そういうところもひとつ思い切って新しい道を開いていただくようにぜひお願いをしたいと思います。
#131
○磯辺政府委員 私たちはそういった方向でできるだけ努力をいたしたいと考えております。
#132
○高沢委員 それに関連しまして、若干東京の国税局における実例として、私、資料で拝見をしたわけですが、東京国税局の中で一般の職員の人たちの等級が昇格していくあるいはまた特昇を受けられた回数とかいうふうなものとの関係で見て、全国税という労働組合に関係する職員の場合には同じ勤続年数、同じような条件においていずれも立ちおくれが見られるというふうな実態も聞いておるわけですが、これはいまの全体の職員対策の努力の中でそういうふうな差別的な扱いが当然あってはならぬということだと思いますので、そういうことのないような方向での御努力をぜひまたあわせてお願いをしたい、こう思うわけです。その点について一言……。
#133
○磯辺政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたその点につきましては、私たちは、組合員であるない、それから所属の組合がどの組合であるかということについて、そういう昇給、昇格あるいは特別昇給、そういった点について差別しようという考えはございません。人事というものはあくまでも公平に、またそういった職員に昇給、昇格あるいは人事の配転、そういった点につきまして、不平、不満のないように持っていきたいというのが私たちの念願でございます。ですから、ただいま先生の御指摘になりましたような点につきましては、十分気をつけてまいりたいと思います。
 ただ、もしわれわれのそういった気持ちにもかかわらず、実績はそうじゃないじゃないかというふうな御指摘でございましたら、できるだけそういった問題についての是正ということをやっていきたいと考えております。
#134
○高沢委員 次長からそういう対応策まで含めた具体的なお答えがありまして、私は非常に結構だと思います。実態としてのデータが若干ありますので、これはここで一々数を申し上げるということは差し控えますけれども、後ほどまた次長の方へ私の方から、もしくはこの関係の組合の方からもお願いをするというあれがあると思いますから、具体的にお聞きをいただいて、ひとつまた是正の努力をお願いしたい、こう思います。
 それから、今度は税務の研修のことでひとつお尋ねをしたいと思います。
 この研修というものを一体何のためにやるのか、これは私などが言うよりは次長の方がよく御存じなわけですが、この人事院の規則では「研修は、職員が現在ついている官職又は将来つくことが予想される官職の職務と責任の遂行に密接な関係のある知識、技能等を内容とするものでなければならない。」こういうことで、本来この研修というものの目的は、その人の職務に関係する、そのための能力や知識を進める、こういうための研修であるということが、性格がはっきり決められているわけです。
 ところが、たとえば税務大学校というようなところで、あるいはまた現地の税務署の職場研修というようなところでこんなような話があったということを聞いてみると、この研修の本来の目的からずいぶんそれた講義といいますか、講座といいますか、というふうなものがなされているというふうに考えられるわけです。この点はひとつぜひ次長のお考えもお聞きをしたいし、また是正をしていただきたいと思うわけです。
 たとえば、これは四年前、昭和四十六年の四月十三日、関東信越の税大基礎研修で、東京工大の先生である桶谷繁雄さんが講義をされた。ちょうどいまから四年前の、東京都知事選挙が非常に激しく戦われていた時期でもあったわけですが、この桶谷先生の講義の中で、東京の都知事選挙で美濃部氏が圧倒的な勝利を占めた、このことは、ちょうど戦前の昭和八年のドイツでヒトラーが選挙で圧倒的な勝利を得た、それと同じものだというような言い方をされて、自分は美濃部はきらいだ、秦野章が好きだというふうなことを言われてみたり、さらには、その美濃部ということに関係して、何か美濃部という人には大内兵衛という先生がいるらしいが、この大内兵衛という先生は、これはまたその著書の中で大変なうそをついている。ソ連の社会主義はこうだというふうなことを大内兵衛という人は書いているが、自分がソ連へ旅行に行ってみた経験から言うと、ソ連という国にはポリエチレンの袋すらないというような、きわめて国民の生活は飢餓的な貧しい状態にある、そういうふうな国を何か社会主義のすばらしい実態というふうに大内兵衛という人は本に書いているが、とんでもないうそつきだというふうなことを、この研修の中で話をされているわけですね。
 あるいはまた、これもちょっとひどい例ですが、北海道の釧路の税務署の職場研修では、釧路新聞の片山さんという社長さんが講師に見えて、そのお話の中で、戦争というものはありがたいものだ、日本は朝鮮戦争のおかげでこの敗戦の打撃から立ち直ることができた。あるいはまた、日本がこの前の戦争をやったのは、あれは資源がない日本としてはもうやむを得ない戦争だったのだ。それに引き比べて、今日アラブの諸国は、石油資源を独占して、そして世界じゅうの国を困らしているのはけしからぬというふうな言い方をされておりますが、この議論を進めると、まるで日本は自衛隊をもってアラブへ攻めていかなければいかぬというような答えまでこの中から出てくるような、そういうような話もこの税務の研修の中で講師がされておる、こういうことなんであります。
 私は、税務署の職員がその職能を進めるための研修に、一体こういう話が必要なのかどうかということなんであります。これは当然必要がないという次長のお答えが出ると思いますが、そうすると、こういう研修の講師の選択あるいはその講義の内容の選択というものも、これは当然しかるべき配慮が払われなければならぬじゃないかというふうに考えるのですが、この研修の問題についてのお考え、またどういう措置をするかということを、次長さんからお答えをいただきたいと思います。
#135
○磯辺政府委員 ただいま先生御指摘のように、私たちは、税務大学校におきましても、それからまた職場におきましても、税務職員がよき社会人として、またよき公務員として、広い視野を持ち健全な常識を持った公正な職員であるということを念願いたしておりますから、その意味におきまして、各種の研修会、教養講話、そういった時間を設けておるわけであります。
 その際、やはりその講師に選ばれる方というのは、通常いろいろな意味でいろいろな場所で講義をしておられる方とかあるいは特殊な教養――教養といいますか才能を持っておられる方、それからまた、その地域における名士、いろいろな観点から幅広く、その講師を委嘱しているわけでありますが、中にはいま先生から御指摘のありましたように、一部を見ますと、非常にびっくりするような御意見を申し上げるような内容のお話もあるようです。ただ、そういった場合も、われわれは後ほどそういった話の実態をお聞きしまして、その講師の方のお話を聞きますと、その講師の方も、これは個人的な意見だから、君たちの方で判断してくれというふうなかっこうでお話をされるといったようなケースもありますし、それからまた、その部分だけをお聞きしますと、非常に極端な御意見のようでもありますけれども、またそのお話の全体を通じてみますと、実はそれほどでもないといったようなこともあるようでございます。数多く講師をお願いしておるわけでありまして、そのほとんどの先生のお話については、いままでそういった問題もなかったわけでありますけれども、ときどきわれわれもそういうふうな御意見を、批判といいますか、それを聞く場合もあるわけでありまして、私どもとしましては、やはり若い職員あるいは税務職員ですから、いろいろな方の御意見をお聞きするというのもいいかとは思いますけれども、できるだけそういった誤解のないような方法で講師を委嘱したい、かように考えております。
 ただ、有名な方あるいはその地域における名士の方等でありますと、事前にどういったことをお話しされるかということをあらかじめお聞きしてチェックするというわけにいきませんので、どうも必ずしも期待どおりいくか、それはいかない場合もあろうかと思いますけれども、そういった意味でできるだけ御批判を受けないような方法で先生をお願いいたしております。繰り返し申し上げますけれども、一部のところでは非常にびっくりするようなことを言われましても、お話を全体として承った場合には、実はそれほどでもなかったというようなこともあるようでございますので、その点どうぞ御了承をお願いいたしたい、かように考えております。
#136
○高沢委員 こういうことが非常に政治的な反響といいますか、そういうふうなものを及ぼすのは、私はこれは税務大学校の運営全体に非常に関連があると思うのです。税務大学校の講義のあり方、そこにおける学生として受けている人たちに対する、当局側からの管理の仕方といいますか、指導の仕方というものは、今日いわゆる社会的な常識の基本的人権というふうな見地から見ても、ずいぶん問題があるような側面も非常にあると聞いているわけです。そういう背景の上でいまのような講義があるというふうなことになってくると、またこれはそれなりに特別な意味を持ってくるということになるわけです。そういう意味においては、こうした講師の選択という点においても、当然常識的な、一つの公正な幅を持って講師の選択をされるということが私は必要じゃないかと思います。しかし、いろいろな意見を聞いて、それぞれ自分で考えて判断をしなさいというふうなことであれば、いろいろな意見の幅というものは、右へもあるし左へもあるわけですから、そういう点においてもそういう幅を持たせるにしても、あるいは一定の中庸な幅でやるにしても、いずれにせよ判断の一つの軸というものは、きちっとした公正な立場を行政としては持たれなければならぬじゃないか、こう思います。
 それから同時に、税務大学校のたとえば寮の運営というふうな点においても、極端な場合には、信書の秘密さえ守られないというような状態も言われておるわけですが、そういうふうな何といいますか、格子なき牢獄とでも呼ぶべきかどうか知りませんけれども、そういうふうな運営の仕方というものは是正すべきであって、そのことがいまの研修のあり方と当然これは相互の関連がありますけれども、そういう点において、社会へ出て一般の人たちと接して税務行政を進めていく人たちを養成するための税務大学であるわけですから、ここにおいては当然、豊かな良識を持った、そして社会的なそのときの風土にちゃんと適して仕事のできる人を養成するというところに最大の目的があるはずですから、それに適した管理運営というものが当然必要だ、こう思います。そういう点において、いまの税務大学校などの管理運営の実態は、恐らく次長も十分御承知だと思いますが、そういうものを民主化していく、公正な運営にしていくということについて、ひとつ是正の方向のお考えをお聞きしたいと思います。
#137
○磯辺政府委員 私見を申してははなはだ恐縮ですけれども、私たちは税務職員である前によき社会人でなければならない。税務職員というものは、まずよき社会人であり、豊かな教養と健全な常識を持った人間でなければならないということを私は考えております。そういった意味におきまして、現在のわれわれの税務大学校のいろいろな研修、それから職員の研修、そういったことを続けているわけでありますけれども、そこで人権が侵害されるとか、あるいは基本的人権を無視されたといったような御非難を受けるような事実はないと確信しております。
 ただ、その場合に、何分また高校を卒業したばかりの若者でございます。それからまた、税務の職場というものは、いろいろな意味におきまして非常に精神的に悩むことの多い問題を抱えた職場でありますし、それからまた、外部からの、あってはならないのですけれども、いろいろな誘惑等もあると言われている職場でございます。そういったところに学校を卒業したばかりの若い職員が飛び出ていくわけでありますから、間違いのないように、いろいろな意味においてそれを指導し、それからまた、ともに相談を受け、いろいろと悩みを聞いてやる、そういったわれわれの教育というものはやはり若い職員には必要ではないかというふうなことで、現在の税務大学校並びに寮というものの管理をしておるわけでありますけれども、しかし同時に、それが個人の人権の侵害につながったり、あるいは個人の自由というものを無視したようなものであってはならないということは当然だろうと思っております。
#138
○高沢委員 それでは、これもこの場所で、ああいうことがあった、こういうことがあったというふうなことを余り細かくやる場所ではないと思いますから、これもまた具体的に、こういう事実があったというふうなことを私の方も若干訴えを受けている面もありますから、そういうことはまた具体的に後ほど次長の方へお話しをして、それぞれ是正の措置をしていただくというふうなこともひとつお願いをしたいと思います。
 税務の職員の皆さんが、その仕事の特別な性格から、いわゆる税務職俸給表の優位性というものがあって、一般の公務員の方よりはその俸給が優位のランクになる、こういう面があるわけですが、その実態が、昭和二十三年、あの終戦直後のころですが、そのころにはその優位性の格差は二五%あった。それがその後年々の推移の中で、昭和四十九年の場合には一〇・二%というふうなことになった。最初の出発から見れば、優位の格差が半分以下に減ってきておる。これは税務という特別な仕事に従事し、そしてまた、悪く考えればいろいろな誘惑の中で仕事をされておるというふうな仕事の特別な性格から、こういう面は非常に必要だというふうにわれわれも考えるわけです。
 そうすると、いま一〇・二%までこれが落ちてきたということの中で、これをまた妥当なところまで回復させるということは必要じゃないかと私は思いますが、まあ学校の先生方についてはそういうふうな給与の体系がとられるようになってきたということでありますが、ましてや税務の職員の場合には、そういうことがもともと制度としてあって、しかも実態がずっと落ちてきておる、こういうことでありますから、この回復についてはぜひ格段の努力をやっていただきたい、こう思うわけですが、その点の見解はいかがですか。
#139
○磯辺政府委員 大変心強い御激励をいただきまして感謝にたえないところであります。私たち、いわゆる公務員の給与の改定の際につきましては、一般俸給表と税務職表との水準差の問題につきましては非常に神経を使っております。御指摘のように、四十八年におきましては一〇・二六でございましたのが、四十九年の表によりますと一〇・二三というふうに、その水準差が若干縮まった、少なくなったといいますか、それを非常に残念に思っております。私たちは、そういった水準差というものをできるだけ当初の俸給表の時代と同じような方に持っていきたいという方向で今後とも努力をしたい、かように考えております。
#140
○高沢委員 この点実現するにどこにネックがありますか。たとえば、現在が一〇・二三、これから二五までこれを上げていこうとする場合に、ネックは大体どういうところにあるのでしょうか。
#141
○磯辺政府委員 やはり他省庁の俸給表との関連だろうと思います。
#142
○高沢委員 そのバランスがあるからなかなか上げていくことができない、こういうことですか。
#143
○磯辺政府委員 そのように聞いております。聞いておりますというのは、人事院との折衝の段階において、そういった雰囲気でございます。
#144
○高沢委員 これは、学校の先生方の場合には立法の措置もとられ、そしてまた、人事院の勧告の中でも、その旨が格別にそういうことが言及されるというふうなことが裏づけにあってこれは実現されてきているわけですが、人事院に対してあれこれ操作するというのはこれまた別なことになりますけれども、しかし、実態として、そういう税務の職員の実態をその関係方面で十分認識をしてもらう、理解をしてもらうということの中で、そういうふうな勧告の中へいまの線がはっきりと出てくるというふうな方向へ向かってぜひ努力をされるべきじゃないか、こういうふうに考えますが、その辺のめどはどういうふうにお考えですか。
#145
○磯辺政府委員 やはり基本的には、最初に先生から御意見がございましたように、級別定数はできるだけ上級の級別定数を確保する、そして、実質的にそれが給料の増加につながってくるといったような方向でいまのところ努力しておるわけであります。
 同時に、いわゆる水準差の問題につきましても努力いたしますけれども、現実の問題としては、やはり級別定数の確保の方が一番早道ではないかと考えております。(高沢委員「一石二鳥というわけですね」と呼ぶ)はい。
#146
○高沢委員 ぜひその御努力をお願いをしたいと思います。
 最後に、時間があれですから、一つお尋ねして終わりたいと思います。
 これはお尋ねというよりは、またお願いでありますが、税務の職員の皆さんの異動と言いますか、その関係です。これはそれぞれ、こういう特別な仕事の関係から、当局でも三年に一回というふうな形の異動をされておるわけですが、その異動の場合に、本人に対して、いわば内示、今度あなたはあそこの職場に変わるのだというその内示から、実際に異動するまでの間の時間の関係が非常に短時間であるということから、そのためにいろいろな不都合が生ずるというふうなことがあります。このことについては、現在は三日であるが、少なくも一週間ぐらいは欲しい、こういうふうな職員の実態としての訴えを聞いておるわけですが、これは一週間というふうな時間の余裕を持った内示では何か税務行政上不都合があるのかどうか。もしないとすれば、だれでも、そういうふうな新しいところに移るための諸準備というふうなことから考えれば、一週間というものは最低限必要じゃないか。
 たとえば東京都なんかでも、都税関係の職員がおりますが、この場合もそういう職務の異動がありますが、東京の場合には東京都という枠の中で異動ですから、家を移らなければならぬというふうなケースは北較的少ないわけですけれども、それでもそのぐらいの時間の余裕を持った予告、内示というものがなされているということから考えると、国税庁の場合には、最低限一週間というふうな時間を置くことが必要じゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#147
○磯辺政府委員 内示の日取りをもっと余裕があるようにして、もっと前にやれという御意見というのは、よく承るわけでありますけれども、一つは、何分非常に多人数の職員の異動でございますし、それからまた、余り早く内示いたしますと、人事上の問題は、プラス面もありますけれども、同時にマイナス面もあるというふうなことで、私たちは現在のような方針で運営しておるわけであります。
 ただ問題は、日ごろからできるだけ職員のそういった希望というものを聞きまして、その希望を把握した上で人事をやるということを心がけておりますので、大部分の職員につきましては、現在のような運営で特に問題はないと考えております。
 ただ、特に健康の理由であるとか、そういった特殊な理由があるような場合には、あらかじめ早目に内示するといったような特殊のケースもございますけれども、一般論といたしましては、現在の運営で続けてみたいと考えております。
#148
○高沢委員 その異動に関係して、こういうふうなケースがあると思いますね。田舎からこちらへ出てきて、そして職員になって仕事をしておる。田舎に親を残してきておる。その親もだんだん年をとってきて、息子が帰ってきて家で一緒に生活してくれることを非常に望んでおる。本人もそういうことで故郷へ帰って故郷の税務署で勤務ができればこれが一番ありがたいというふうなケースがあると思うのです。そういうふうなたぐいの訴えも私は受けておりますが、ここではだれだれということは差し控えますが、そういうふうなケースの場合、当然その願いがかなうという、そういう方向での異動というものも、異動の計画の中に織り込んでいただくということが可能ではないかと思うし、また非常に望ましいのじゃないか、こう思います。これは後ほどまた具体的に次長の方へも御相談をしたいと思いますが、ぜひひとつ実現する方向で御配慮をお願いしたい、こういうふうにお願いをいたします。
 最後はお願いになりましたが、以上で私の質問を終わりたいと思います。
     ――――◇―――――
#149
○上村委員長 次に、相続税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、去る二月二十六日質疑を終了いたしております。
 本案に対し、日本社会党、公明党及び民社党を代表して佐藤観樹君外二名より修正案が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。佐藤観樹君。
    ―――――――――――――
相続税法の一部を改正する法律案に対する修正案
    ―――――――――――――
#150
○佐藤(観)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました相続税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨と内容を御説明申し上げます。
 案文はすでにお手元に配付してございますので、その朗読は省略させていただきます。
 政府は、このたびの相続税法改正案において、物価調整等の理由のもとに控除額の引き上げ、税率の引き下げ等を行い、負担の軽減を図ることとしておりますが、その内容にはいろいろと問題点が見受けられるのであります。
 相続税の大幅な軽減は、資産家の優遇につながるものでありますが、今回の改正事項の中でわれわれが最も反発を覚えるのは、配偶者の負担軽減措置の拡大であります。すなわち、妻の座優遇の名のもとに、現行の婚姻期間二十年の場合の遺産額三千万円という非課税限度を一挙に取り外して、婚姻期間制限なし、遺産総額の三分の一以内であれば金額的には青天井としておりますことは、税制における資産家優遇の最たるものであります。この改正により恩恵を受けるのはわずか千数百人の金持ちの妻の座であり、しかも現行では何千万円、何億円とかかる相続税がただになるのであります。これはまさに、不公正拡大の税制であり、三木内閣の表看板としている社会的不公正の是正に逆行するものと言えるのであります。
 修正案は、以上の観点から遺産総額の三分の一の非課税限度について最高一億円の金額的制限を設けることといたしております。これにより、財産が三億円を超えるような大資産家の場合に、配偶者の相続税がゼロとなることがないようにするものであります。
 次に、贈与税における配偶者控除の適用要件の一つである婚姻期間について、現行の二十年以内を十年以内に短縮することといたしております。
 政府の改正案では、前に申し述べたとおり相続税の配偶者について婚姻期間の制限を外しながら、贈与税については二十年の期間制限をそのままにしておりますが、これは著しく片手落ちな取り扱いであり、妻の座優遇の見地から首尾の一貫しないものであります。
 税制上、妻の座を優遇するということは、財産が夫と妻の共同作業ででき上ったものであるからであり、婚姻期間二十年というのは余りにも長いし、その根拠は薄弱であります。相続税と贈与税とはその性格が違うとしても、これでは余りにもその差が大き過ぎると考えられ、さらに、控除額は改正後といえどもそれほど大きくない金額でありますから、修正案において期間短縮を図ることとした次第であります。
 以上が修正案の概要であります。
 何とぞ御審議の上、御賛成賜おりますようお願いを申し上げます。
#151
○上村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#152
○上村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、佐藤観樹君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
#153
○上村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
#154
○上村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#155
○上村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して村山達雄君外四名より附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君。
#156
○山田(耻)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨と内容を簡単に御説明申し上げます。
 案文は、お手元に配付してありますので、朗読は省略させていただきます。
 まず、贈与税の居住用財産贈与の場合、配偶者控除につきましては、御承知のとおり婚姻期間二十年以上という適用要件が設けられておりますが、今回の改正で、相続税の配偶者負担の軽減の場合は婚姻期間の要件をはずしており、贈与税についてはそのままとなっております。このような格差をつけることは、妻とともに苦労を分かち合い、ともに築いた共有の財産であるという見地からすれば、決して妥当な措置とは言えないのであります。二十年という期間は非常に厳しい要件と考えられるのであります。そこで、相続税と贈与税との性格の相違をも考慮して期間短縮の方向で検討すべきであるとするのが第一項の趣旨であります。
 次に、今回の改正で設置されることとなる土地評価審議会においては、土地の一般的な評価額のほかに、農地の相続税の特例の場合の農業投資価格を審議することとなっております。この農業投資価格は、新たに定められる評価額であり、今後の農地の相続税にきわめて大きな影響を与えるものでありますから、審議会の委員には農地評価の専門家が必要であります。そこで、委員の任命に当たっては、農業団体の構成員で農地評価の精通者もその対象とするように、政府の配慮を要請するものであります。
 以上がこの附帯決議案の趣旨と内容であります。何とぞ満場一致の御賛同をいただきますようにお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
  相続税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
一 贈与税の配偶者控除の要件について、婚姻期間を短縮する方向で検討すること。
二 土地評価審議会の委員となる「土地の評価について学識経験を有する者」の任命に当たつては、農業団体の構成員で農地の評価に精通していると認められる者をもその対象とするよう配意すること。
    ―――――――――――――
#157
○上村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
#158
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣。
#159
○大平国務大臣 政府といたしましては、ただいま御決議がございました附帯決議につきまして、その趣旨を十分尊重いたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#160
○上村委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
#161
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#162
○上村委員長 次回は、明五日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十八分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト