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#1
第075回国会 大蔵委員会 第15号
昭和五十年三月十二日(水曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 村山 達雄君
   理事 山下 元利君 理事 山本 幸雄君
   理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君
   理事 増本 一彦君
      越智 伊平君    奥田 敬和君
      金子 一平君    瓦   力君
      小原純一郎君    齋藤 邦吉君
      塩谷 一夫君    野田  毅君
      原田  憲君    宮崎 茂一君
      村岡 兼造君    毛利 松平君
      山中 貞則君    広瀬 秀吉君
      藤田 高敏君    武藤 山治君
      村山 喜一君    横路 孝弘君
      荒木  宏君    東中 光雄君
      坂口  力君    田中 昭二君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵大臣官房審
        議官      旦  弘昌君
        大蔵省主計局次
        長       辻  敬一君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        国税庁次長   磯辺 律男君
        国税庁直税部長 横井 正美君
 委員外の出席者
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
委員の異動
三月十二日
 辞任         補欠選任
  小林 政子君     東中 光雄君
  坂口  力君     田中 昭二君
同日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     小林 政子君
  田中 昭二君     坂口  力君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 七号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 八号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第二二号)
     ――――◇―――――
#2
○上村委員長 これより会議を開きます。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。横路孝弘君。
#3
○横路委員 最近の経済状況を反映して、あるいは国際的、国内的な環境の変化というものを反映して、政府の方も低成長福祉型経済などということを言っているわけですが、それが従来のいろいろな経済政策あるいは財政政策等の反省から来ているのか、あるいは高度成長は無理だから低成長、それに国民の要求の福祉というものをくっつけて低成長福祉ということを言っているのか、いずれにしてもこれからの財政の構造なり、あるいは財源である税制の構造なりというようなもののあり方全体を考えてみなくちゃいけないところに来ていると思うのです。きょうはそんな点に少ししぼりまして、御質問申し上げたいと思うのです。
 最初に一つの素材としてなんですけれども、大蔵省の高木事務次官が一月の二十八日に、大阪の日本記者クラブの昼食会で「当面の財政・金融政策の課題」ということについて講演をなさったそうでありまして、新聞の報道するところによりますと、こういうことであります。
 「福祉行政の行き過ぎが財政の硬直化を招き、経済運営を難しくしている。英国の没落を他山の石としなければならない」ということで幾つかお話しになっているわけでありますが、考え方が非常に出ている点だけをちょっとピックアップしてお話ししてみると、
 石油価格の高騰から世界経済の構造が変化し、日本経済は“静かで控え目な成長”に向かわなければならなくなっている。この時期に財政が硬直化するのは憂慮すべきことだ。近ごろは産業中心から人間中心へとの呼びかけで、保育所、学校、下水道の整備など福祉行政の拡充が強く要請され、五十年度予算政府案でも福祉予算は大幅な伸びとなった。
 というのがまず第一点です。そこから高木さんの考えが出てくるわけですが、
 しかし、ここでよく考えてみたい。産業にカネを注ぎ込めば、生産性は上がり、コストは下がる。出したカネは税収の伸びとなって戻って来る。しかし、福祉に使うと、戻って来ない。
 福祉予算が大幅にふえ、国の財政が硬直化し、今後の経済運営が心配になってきたが、地方財政も福祉予算の行き過ぎからひどい硬直化を招いている。なぜこうなったのかは、基本的には正しい議論を展開する人に票が集まるのか、保育所を建てようという人に票が集まるのか――にかかってくるわけで、住民の目が正しくないと困る。
 こういう発言で、あと美濃部都政の批判をなさったようであります。
 問題は、実はこの考え方の中に、つまり「福祉行政の行き過ぎが財政の硬直化を招き、経済運営を難しくしている。」ということで、五十年度予算をも含めての発言なんですが、多分これは大蔵省の本音がかなり出ているのじゃないかというように考えるわけですけれども、いかがでしょうか、主計局の方からでも。
#4
○辻政府委員 ただいま御指摘ございましたように、今後経済の成長が安定成長路線に移行いたすといたしますならば、従来の高度成長下におけるような多額の自然増収を期待し得なくなるわけでございますが、他方、社会保障費でございますとか、あるいはまた人件費でございますとか、そういう弾力性に乏しい経費のウエートは高まってまいるわけでございまして、いわゆる財政の硬直化の現象があらわれてまいるわけでございます。
 したがいまして、今後私どもも、財政制度審議会等にも御検討を願いまして真剣に勉強しなければいけないと思っているわけでございますが、今後どういうものを選択すべきか、また、どういうものを取ってどういうものを捨てるべきかということにつきまして慎重に検討をいたしまして、安易な財政依存と申しますか、そういう考え方は排除していく必要があるのではないかと考えているわけでございます。
 政府といたしましても、いろいろな意味で国、地方を通じます行政の簡素、合理化によるコストの節減でありますとか、あるいはまた公共料金等を含みます受益者の費用負担の問題でございますとか、さらには公債政策のあり方でございますとか、また安定成長下におきます財源の確保の問題でございますとか、そういうもの検討いたしまして、これまでの制度とか慣行に根本的な検討を加えて改善を図ってまいる必要があるのではないか、かように考えておるところでございます。
#5
○横路委員 その点はこれから質問の中で少し議論をしていきたいと思いますが、三木内閣にかわって、総理の施政方針演説あるいは大蔵大臣の財政演説等でも、ことしの予算というのはインフレ抑制、それから社会福祉充実並びに社会的不公正の是正ということが大きな柱になっているわけでありまして、施政方針演説の中でも、社会的公正を確保するための福祉政策の充実ということで、特に重点的配分を図ったのは社会保障、教育、住宅、下水などの生活基盤の充実であり、インフレの影響をまともに受ける弱い人々を救済して社会的公正を期することに特に配慮したいというのが施政方針演説の基調になっているわけであります。非常にかっこよくうたい上げているわけであります。
 この高木さんの発言は後で議論しますが、やはり従来の政策に対する反省がない、従来と同じような投資効果論が中心になっている物の考え方じゃないかというように思うわけなんですが、政務次官、産業に投資した金は戻ってくるけれども福祉に投資した金は戻ってこない、これはある意味でそういう側面というのはあるのかもしれませんけれども、そこから彼自身の意見を聞いてみると、だから要するに住民の目をもうちょっと正しくして、保育所を建てるというような人には投票するなと言わぬばかりの発言をしているわけですね。
 そうすると、基本的な方向としては社会福祉の充実だ、あるいは生活環境の整備なんだということが今年度予算の基調であり、それから政府自身の基本的な政策の方向であるとするならば、この発言というのは、どうも政治ベースと事務ベースで相当違っているんじゃないかというように思うのですけれども、基本的にどのようにお考えになりますか。
#6
○森(美)政府委員 いままでの戦後三十年たどりました高度成長はそれなりに意味があったわけでございますが、今後の福祉その他につきましての政策は、当然われわれが義務としてもやっていかなければならない性格のものだと考えております。そういう意味におきまして、今後の安定成長下の税制その他につきましては、新たなる見地から考えを発想していかなければならないと考えているものでございます。
#7
○横路委員 事務次官の発言についてはどうお考えですか。
#8
○森(美)政府委員 事務次官の発言については、私ども聞いておりませんものでちょっとわかりません。
#9
○横路委員 いや、聞いていないでなくて、さっき私が紹介した発言、これは基本的な物の考え方ですよね。自民党の中にもこういう考え方をされる方はたくさんおられるわけです。この基本的な物の考え方について――これはもう読んでみて本当に言いそうなこと、つまり、大蔵省のトップレベルの人たちならばまず間違いなくみんなが考えていることのように受け取ったのですが、政務次官として事務次官の発言を批判するというのはなかなかあれでしょうけれども、別に批判でなくて、こういういわゆる投資効果論をあなた自身はどのようにお考えになりますか。投資効果論からいけば、いつまでたっても福祉なんか充実しないわけですよ。その辺のところをどういうぐあいにお考えですか。
#10
○森(美)政府委員 投資効果論とはっきり銘打ちますといろいろ問題がございますが、当然福祉というのは、先ほど申しましたように、今後の社会生活上必要不可欠のものと考えております。
#11
○横路委員 これは社会保障についての一つの考え方が出ているのですよ。前に、佐藤内閣のとき、老人の医療費を無料にするというときに、厚生省の官僚が、お年寄りに金を使うのは枯れ木に水をやるようなものだと発言して問題になったことがありますね。あれと同じ考え方だと思いませんか、ここに出ている考え方。
#12
○森(美)政府委員 それは明らかに対比しますと、福祉というものを全く否定してある発言と私は思えませんもので、枯れ木に水とはいささか意味が違うと思います。
#13
○横路委員 つまり産業に金を使うと、生産性が上がってコストが下がる、したがって税金の自然増収が伸びて、出したお金は返ってくる。ところが、福祉に使った金は返ってこないというわけです。これはもちろんそんなことはないのでありまして、それからまた、社会保障というものは一体何かという基本的な問題とかかわってくるわけですけれども、では、今日の福祉問題は一体どういう問題なんだという認識ですね。先ほど政府の義務だという御答弁がありましたけれども、その辺のところの基本的なお考えについて、政務次官の方と大蔵当局の方と、お考えを聞かせていただきたいと思います。
#14
○森(美)政府委員 社会福祉の問題は、われわれがいままでの高度成長下に生きてまいりまして、緑も何もないような生活を謳歌したような時代もあるいはあったかもわかりませんが、今後はそういう意味ででき得る限り社会福祉に意を注いでやっていくべきだと考えておるわけでございます。
#15
○横路委員 従来のいろいろな経済計画ですね、鳩山内閣の経済自立五カ年計画からずっとずいぶんたくさん経済計画が何回も出ては変わっていますけれども、社会福祉の問題が基本的な課題になってきたのは、この課題のところを見ると、今度の経済社会基本計画あたりのところからですね。経済白書で言うと、昭和四十七年度の経済白書から「成長と福祉の乖離」ということで、いろいろな側面からこの問題を取り上げているわけです。
 そこで指摘していることは、「これまでの高い経済成長の過程で、所得水準は上昇し、その平準化も進んだ。しかし、この平準化は、主として労働市場における賃金格差の縮小を通じて実現されたものであった。それだけに経済活動に参加する能力をもたないものは平準化にあづかることはできず、また一般的な所得格差縮小のかげにはなお多くの不平等が残されている。」
 賃金格差が縮小されたかどうかは別にして、そういう意味で不公正が拡大をしたということで、老人世帯とか母子世帯、心身障害者の問題、それからキャピタルゲインなど資産所得の問題、格差と不平等が非常に大きくなったという問題ですね、そういう点を指摘しているわけで、特に物価上昇が所得上昇率の低い老人、退職者、母子世帯に対して逆進的な打撃を与えているということを非常に注目しているわけです。この辺から福祉の問題がかなり基本的な問題として考えられるようになったと思うのですが、こういう問題の状況というのは、今日ますます深刻化しているというように思うのです。その原因は、ここに言うように成長と福祉の乖離ということにあったと思うのでありますけれども、この基本的な考え方についてはいかがですか。
#16
○森(美)政府委員 社会的不公正の問題がいろいろ税制の面でも出ているのじゃないかという御指摘があると思いますが、こういう点につきましても、私どもはできる限り公正を期していきたいと考えております。したがって、バランスのある社会福祉政策に向かって進んでいこうと考えております。
#17
○横路委員 バランスがあるというのは、何とバランスがあるわけですか。つまり、福祉問題というのが政策の基本的課題になったのが四十八年の経済社会基本計画。それまでの長期計画の中で、基本的課題の中には社会福祉の充実というのは落ちていた。どちらかというと、やはり産業政策の方がずっと表に出てきたわけですね。新経済社会発展計画あるいはその前の経済社会発展計画の中でも――このあたりから物価の安定の問題が出てきたり、あるいは社会開発、社会資本の充実ということを言われていますけれども、社会福祉ということになると四十八年以後の計画なわけですよ。こういう基本的に変わってきた点が何かということなんですね。
 そこで、四十七年度の経済白書もそういう指摘があり、四十八年度の経済白書でも「インフレなき福祉をめざして」ということで、物価上昇のもたらすひずみについて、これは税制の問題もかなりこの経済白書の中で指摘をされているわけです。資産のある者とない者との所得の不均衡が一層拡大をしているということで、その拡大の原因として、やはり税制のあり方についての指摘があるわけです。いずれにしても四十七年、四十八年の経済白書から今日に至る時点の中で何が間違っていたのかという点ははっきりさせていかなければいけない。そこで、この高木さんの発言を見ると、どうもその反省が余りないのじゃないかということを考えるわけです。
 問題なのは、低成長福祉型経済と言われていますけれども、現在の財政政策の課題というものは、一つは、急速な経済成長の陰に取り残されてきた問題あるいは経済成長の過程を通じて生み出された社会的な不均衡、これが四十七年、四十八年の経済白書で指摘をしている問題です。
 それから第二は、成長自体が生み出したいろいろな問題、これは四十九年度の経済白書なんかでずいぶんいろいろと指摘をされている点でありますけれども、インフレとか公害とか生活関連社会資本の不足の問題なんかが指摘されているわけです。
 問題は、これらをどうやって解決していくかという問題なんですね。そのためにはどういう基本的な政策転換が必要なのかということが問題だろうと思うのです。それを財政政策の面で見ると、従来の成長型財政ともいうべきものを基本的に転換をしなければいけないというように考えるわけですけれども、そういう従来の政策についての反省と、これからどこをどういうぐあいに転換をしていくのか。
 なぜこんなことを申し上げるかというと、どうも従来の財政の構造、支出の構造というものはそのままにしておって、福祉だけをその構造の上にプラスアルファしていく。したがって、財源の問題になりますと、その負担は高負担だ、こういう議論が実はあるわけです。しかし、それで果たして問題は解決するだろうかというと、やはり基本的にかなり大きな転換を図っていかなければいけないのじゃないかと思うのです。具体的には後でその点を指摘したいと思うのですけれども、その基本的な点についてどうですか。主計局の方でも結構です。
#18
○辻政府委員 社会保障の充実、社会福祉の向上が重要な課題でございますことは、先ほど政務次官から御答弁申し上げたとおりであるわけでございます。五十年度予算におきましても、社会保障関係費は増加額にいたしまして一兆の大台を超えているわけでございまして、増加率にいたしますと三五・八%でございます。一般会計の予算の全体の伸びが二四・五%でございますから、全体の伸びをはるかに超える大幅な伸びになっているわけでございまして、一般会計の予算の中に占めます社会保障関係費の割合も、一八・四%というように上昇してきているわけでございます。今後とも私どもは基本的には社会保障の充実、社会福祉の向上が必要であると考えているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、安定成長下の経済ということになってまいりますと、それに伴う財源という問題もあるわけでございまして、従来は福祉国家の要請が高まってまいります中で、どちらかといいますと、安易な財政依存という形が行われてきたこともある意味では否定できないところであると思います。したがいまして、今後は社会保障といえども、やはり優先度と申しますかあるいは選択と申しますか、そういうものを厳しくいたす必要があるというふうに考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、社会保障の充実につきましては、その裏打ちたる財源、租税の形であれ保険料の形であれ、そういう問題があるわけでございますので、そういう安定成長下あるいは低成長下の財政運営のあり方、その中におきます社会福祉の位置づけ、社会保障の位置づけということにつきましては、先ほど申し上げたような観点から、今後とも私どもも真剣に検討いたさなければならないと思っておるところでございます。
#19
○横路委員 だから、従来の財政の構造の上に乗っかってそのままの形でさらにプラスアルファとしてその福祉の問題を考えれば、それはその財源の問題にすぐいくわけですよ。財源の問題にすぐいく前に、従来の、つまり今日の事態を招いたことに財政なら財政の政策というものは非常に大きなやはり責任というものがあると思うのですね。そういう点については、どういうことを反省してどこをどういうぐあいに変えるのかということをまずやはり基本的に押さえないと、すぐにそれは財源論になっちゃうわけですね。私はそうじゃないと思うのですね。その辺の反省はどうかということなんです。
 たとえば四十七年度の経済白書では、「従来の輸出・生産の拡大を目的として運営されてきた経済から、社会資本の整備、社会保障の充実を中心に公共部門の主導する経済へと成長パターンの転換を進めていかなければならない」、こういうような指摘があるわけですよ。ここに出ているような考え方について、大蔵省としてはどうお考えですか。
#20
○辻政府委員 現在のわが国の社会保障の現況がどういうことであるかという認識の問題と関連があると思うのでございますが、わが国の社会保障は、制度といたしますと国民皆年金あるいは国民医療の皆保険ということで充実をいたしてきておりますし、年金の水準も五万円年金というように、諸外国に比べて必ずしも遜色のない程度に充実をしてきているわけでございます。また、児童手当の制度もできましたので、制度としては西欧諸国とおおむね同等の水準にあるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 ただ、よく御指摘になりますように、わが国の振替所得の対国民所得比等を比較してみますと確かに諸外国に比べて低いわけでございますが、これには二つ大きな理由があるわけでございまして、社会保障の主たる対象となります老人の人口の比率が諸外国に比べて非常に低いということが第一点でございます。それから、御承知のようにわが国の年金制度の歴史が新しくて、いわば未成熟の形である、したがって年金を現にもらっている者の数が少ないという問題があるわけでございます。したがいまして、今後そういうお年寄りの人口がふえてくるとかあるいは年金の成熟度が増してくるというようなことを考えますと、現在の制度でも社会保障給付が逐年相当増大してくるというふうに考えておるわけでございます。
#21
○横路委員 いま御指摘のように、確かに振替支出というのは日本は非常に低いですね。一方で、政府の固定資本の形成というのは非常に高いですね。ところが、これは高いけれども、主にその内容というのは産業基盤の方に重点が置かれて、社会資本の充実ということになると、その投資というのは非常に低かったという点にやはり問題があるだろうと思うのですね。つまり、いま先にお答えになりましたけれども、今日の社会福祉というのはそういう市場経済の中で得られる福祉というものと、それからもう一つはその外部で供給さるべき福祉という、その領域が非常に広がってきているわけです。そうすると、従来の財政の支出の構造から言えば、やはりこれはどこからどういうぐあいに分析してみても、どうしたって民間主導、産業基盤整備型の公共投資だったということが言えるわけで、これはいまの水準というのはヨーロッパに比べても政府の固定資本の形成というのは低くないわけで、むしろその中身が問題だろうと思うのです。
 社会保障の内容については、これからその内容について議論していきますけれども、そんなに自慢されるほどりっぱなものかどうか、問題は非常に多いわけでありますし、老人人口というのはこれからどんどんふえていくということになりますと、制度の問題としても考えなければならない点がずいぶんたくさんあるだろうというように思うわけですが、私が御質問したいのは、そういう従来の財政なら財政の支出のあり方について、いまのままの形でさらに福祉をふやすというだけでいいのか、その辺のところをもう少し大きく転換をしなければいけないのか、たとえば公共財の提供等についても四十九年度経済白書でいろいろと指摘されているところなわけでありまして、現在の福祉の重点というのはむしろ市場外で供給されるものに対してどういう責任を果たしていくのかという点も、一つ非常に大きな点になってきているわけですね。その辺の従来のあり方についての反省はいかがですか。
#22
○辻政府委員 最近、財政支出の内容と申しますか、予算の構造と申しますか、そういうものも非常に変わってきているわけでございます。たとえば社会保障関係費と公共事業関係費と対比いたしてみますと、いまから二年前の四十八年度でございますが、社会保障関係費の額が二兆一千百四十五億円、これに対しまして公共事業関係費の額が二兆八千四百八億円、一般会計に占めますそれぞれの割合は、社会保障関係費の方が一四・八%、公共事業関係費の方が一九・九%ということで、公共事業関係費の方がはるかに高かったわけでございます。
 それが四十九年度になりますと、社会保障関係費の額が二兆八千九百八億円、公共事業関係費が二兆八千四百七億円、ここで初めて社会保障関係費の方が公共事業関係費を上回ったわけでございます。
 さらに五十年度は、先ほど申し上げましたように、社会保障関係費は三五・八%伸びまして三兆九千二百六十九億円となりましたのに対しまして、公共事業関係費はおおむね横ばいいたしましたので二兆九千九十五億円ということになったわけでございます。したがいまして、一般会計に占めます割合も、社会保障関係費が一八・四に対しまして公共事業関係費は一三・七というふうに逆転をいたしまして、ただいまのところでは一兆円社会保障関係費の方が上回るということになっております。したがって、最近の二、三年におきます財政支出なり予算の構造なりの変化というのは非常に著しいのではないかと考えているわけでございます。
 ただ、基本的に申しますと、先ほど来お答え申し上げておりますように、安定成長下の財政のあり方というのは非常に大きな課題でございまして、その中で社会保障関係費をどういうふうに持っていくか、あるいはまた社会資本の充実でございます公共事業関係費をどのように位置づけていくかというのは、今後私どもも真剣に検討し、勉強しなければならない課題であると思っておるところでございます。
#23
○横路委員 ちょっと二、三数字をお尋ねしたいと思うのですけれども、一つは国民所得に対する振替所得の比率がどのくらいか、もう一つは国民所得に占める社会保障費の割合はどうか、これはどういうぐあいになっていますか。
#24
○辻政府委員 振替所得の対国民所得比でございますが、一番最近の実績でございます四十八年度では六・〇%でございます。なお、四十九年度の実績見込みでございますと七・一%、五十年度の見通しでございますと七・八%ということになっています。
#25
○横路委員 数字の上で非常に社会保障費の割合が上がってきたということなんですが、ではちょっと五十年度予算で調べてみますと、生活保護の関係ですね、これは一般世帯の五六%以下ということなんですが、今回の生活扶助の基準が前年度比二三・五%ということで、その他も改善されたということで、四人世帯の生活保護基準月額、東京あたりで六万六百九十円から七万四千九百五十二円、男七十歳、女六十五歳の老夫婦の場合は三万七千九百円から四万三千七百円へ、これを充実と言えますか。去年一年間の物価の上昇を考えたら老夫婦で三万七千九百円から四万三千七百円に上がって充実ということが言えるでしょうか。インフレ調整程度じゃないですか。しかもそれにもいってないですね。物価上昇二四・五%で計算すれば、三万七千九百円から四万三千七百円、それもカバーし切れていないのじゃないでしょうか。
#26
○辻政府委員 生活保護費の予算につきましては、ただいまお話がございましたように、五十年度におきまして、四十九年度当初に対して二三・五%というふうに引き上げることを予定しているわけでございますが、五十年度経済見通しにおいて見混まれております個人消費支出あるいは物価の動向等を総合勘案して引き上げることにしたわけでございまして、東京都の標準四人世帯の生活扶助基準額、これはただいま御指摘のございましたように、七万四千九百五十二円でございますが、これは生活扶助の基準でございまして、そのほかに住宅扶助というものもございますし、子供さんが学校に行っている場合には教育扶助というのもございます。さらに、内職収入その他がございますと、控除でございますとかいろいろな制度がございまして、さらにそれよりプラスをされる仕組みになっておりますので、かなりな程度私どもとしては充実に努力したと思っておるわけでございます。
#27
○横路委員 おたくの方の五十年度予算の説明なんかを見ても、要するにそれは物価上昇にスライドして調整をしたというように書かれているわけでありまして、とてもじゃないけど、たとえば男七十歳、女六十五歳の老夫婦で三万七千九百円から四万三千七百円へということで、いまのインフレの中で充実をしたと言えるかどうかということになれば、それは感じ、受け取り方の違いなのかもしれませんけれども、物価上昇を考えれば、当然スライド程度にしかなっていないのじゃないかと思うのであります。
 社会福祉の関係でも、たとえば入居者の生活費を二二%上げたということでありまして、社会福祉の関係の新設は、介護手当と特別児童扶養手当の中の、従来重度心身障害者だけだったものが、今度は国民年金の二級障害者にも支給するということで、これは画期的なことだといわれているわけですが、これだって考えてみれば、従来のそういう不公平を是正したということだけにすぎないのじゃないかというように思うのですけれども、どうですか。
#28
○辻政府委員 社会保障関係予算全体の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、相当大幅に伸ばしているわけでございますし、絶対額の増加で申しますと、一兆円を超えるという巨額なものであるわけでございます。
 その中で特に重点を置きましたのは年金の問題でございまして、福祉年金等につきましては六〇%引き上げる、老齢福祉年金七千五百円を一万二千円に引き上げるというような画期的な改善を行っておるわけでございます。それから、ただいま横路委員の御指摘になりました重度障害者の福祉手当、これも新しい制度として始めることにさしていただいておるわけでございます。
 その他、生活保護基準にいたしましても、社会福祉施設の入所者の処遇にいたしましても、あるいは原爆被爆者対策にいたしましても、難病対策にいたしましても、限られた財源でございますから、なかなか御要望のとおりというふうにはいかなかったわけでございますが、私どもといたしましては、精いっぱい努力をいたしたつもりでございます。
#29
○横路委員 この社会保障費の中に社会保険関係の費用が相当ウエートが高いですね。そしてその中でも、実際のところ、特に医療関係に支出されるのがどのくらいになりますか。
#30
○辻政府委員 社会保障関係費の中で医療費の割合というのは五〇%ちょっと割ったところでございます。四八%程度だったかと思います。
#31
○横路委員 つまり、いろいろな社会保険制度のいろいろな矛盾というようなものが出てきまして、社会保障費の中の全体の配分で言うと、社会保険の関係が相当上がってきて、社会福祉費が若干上がりましたかね、あとは生活保護費にしてもなんにしても全部下がってきていますね。
 生活保護費は下がっていますね。ことしは一三・六%ぐらいじゃないでしょうか。社会福祉費が若干、一%程度上がって、社会保険費がふえ、保健衛生、失業対策と、大体みんな中のウエートそのものは非常に下がってきているわけですね。特に、社会保険の中でも医療関係者、お医者さんなんかに支払われるところが、これはいままでの診療報酬の手直し等でかなり大きな比重を占めているわけですね。したがって、やはり基本的には、中身についていろいろお話がございましたけれども、物価の上昇にスライドしていって、それで新規の制度というのは本当に数えるほどしか出てこない、こういうことだろうと思うのです。
 したがって、問題はやはり、たとえば年金制度なんかそうだと思うのですけれども、抜本的にこれを変えるということがなかったから、このままの制度で国民の要求にこたえるということになれば、どうしてもしわ寄せというのは社会保険料の方にいってしまう、皆さん方の受益者負担というところにいってしまうわけですね。そうすると、その受益者負担というのは、それでは公平かというと、そういう負担というのは低い所得のところほど負担がかかる構造になっているわけですから、高福祉ということとやはり矛盾をしていく側面が出てくるわけですよ。
 したがって問題は、たとえば年金制度、いま厚生年金、共済あるいは国民年金、福祉年金とこうあるわけですけれども、これをちょっと上げれば相当たくさんの財源が必要なわけでしょう。そうすると、こういう年金制度を拡充していくということになれば、制度そのものを変えていく、賦課方式というようなことを言われているのですけれども、大蔵省としてその辺のところはどうですか、いまのままの年金制度で、なおかつ国民の要求にこたえていくということができますか。やはり抜本的にその辺のところを大きく変えるということがなかったら、これからの要求にこたえていくことはできないのではないでしょうか。いかがですか。
#32
○辻政府委員 幾つか御指摘いただいたわけでございますが、社会保障関係費の中で、生活保護費、社会福祉費、社会保険費、保健衛生対策費、失業対策費という項目がございまして、社会保険費の伸びが大きいというお話がございました。まさにそのとおりでございますが、この中には、横路委員のお話のございました医療保険の金ももちろん入っておりますけれども、最近では、それもございますが、厚生年金、国民年金等の年金関係の費用もあるわけでございまして、そちらのウエートが非常に高まってきているということを御理解願いたいと思います。
 それから、なかなか新しい制度というのができないじゃないかという御指摘もあったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、児童手当も数年前創設をされましたし、制度として見ますと、おおむね西欧諸国にある制度はそろっているわけでございますので、全く新しい制度を始めるということはなかなかないわけでございます。既存の制度の充実ということに私どもも心がけているわけでございます。
 それから、年金の問題についてお話があったわけでございます。年金の財政方式の問題は、私どもも非常に重要な問題であると考えておりまして、いろいろな方面から検討をいたしているわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、この問題を考える場合に二つの問題があるわけでございます。
 一つは、わが国の老齢人口、お年寄りの割合が低いということでございまして、六十五歳以上の人口の比率をとってみますと、わが国は七・五%でございますが、諸外国でございますと、大体一〇%から一四%程度の割合になっております。しかもわが国は急速に老人人口がふえるという情勢にございまして、いまから二十年ないし二十五年後には、大体現在の西欧諸国並みの老人人口の割合になることが予想されるわけでございます。
 それからもう一つは、これも先ほど触れましたけれども、現在年金をもらっております数が非常に少ない、年金受給者の被保険者に対する比率をとってみますと、わが国はわずか四・二%程度でございますが、西欧諸国でございますと、二割から二五%程度ということになっております。これも、わが国の年金の歴史がだんだんたつに従いまして受給者がふえていくわけでございます。
 したがいまして、こういうように日本は老人人口の割合が少なくて年金受給者も少ないという特殊な事情にございますので、いま直ちに賦課方式に切りかえるということにいたしますと、現在の被保険者の負担は非常に少なくて済むわけでございますけれども、後代の負担が非常にふえる。そういう意味で世代間の負担の不公平を生ずるという問題がございます。そういう問題もございますので、私どもも現在直ちに賦課方式に切りかえるのは適当ではないのではないかというふうに考えているわけでございます。
#33
○横路委員 いろいろな問題があるのは十分わかっているわけですけれども、ただ、基本的な制度のあり万そのもののところをやはりきちんと検討するということがなければ、すぐこれは財源の話になれば間接税強化、付加価値税と――その前に検討しなければならない点が実はいろいろたくさんあるんじゃないかということをきょうは少し指摘をしたいわけでありまして、年金制度ばかりじゃなくて健康保険制度だって、国民健保、職域健保との間でこれをどうするか、いまの制度のままで果たしていいのかどうかという基本的な問題をやはりきちんと検討しなければならない時期に来ているわけでしょう。それから税制の問題でいえば診療報酬のあり方ということですが、どうですか、この健康保険制度の問題は。
#34
○辻政府委員 医療保険の問題にいたしましても非常に問題があるわけでございます。費用負担の点に限って申し上げますと、どの程度を受益者負担といいますか患者の負担と申しますか、そういうものでまかなうべきであるか、どの程度を保険料で調達をすべきであるか、また国庫負担をどういうふうに持っていくべきであるかという問題があるわけでございます。
 ただ、医療保険は基本的に申しますと相互扶助の制度でございますから、その対象が非常に低所得でございます場合、たとえば日雇健康保険のような場合は国庫補助をいたします。それから事業主の負担がない場合、たとえば国民健康保険のような場合、これは相当高率、高額の国庫負担をいたしておりますが、基本的に申しますならば、保険料それに受益者負担でまかなっていくべきじゃなかろうかというふうに思っております。
#35
○横路委員 その受益者負担というやつが、これは最後に議論することですが、高福祉高負担という場合の高負担が一体何かということとにも実はかかわり合ってくる問題ですが、診療報酬のことが出ましたので、税調の答申、それから今回に漏れた経過、一体これからどう考えていくのか、この辺をちょっとお答えいただきたいと思います。
#36
○中橋政府委員 社会保険診療報酬の課税の特例に関しましては、二十年経過をいたしましたので、その問いろいろ税制調査会におきましても是正とか改善とか廃止とかいうことの答申がございましたけれども、昨年初めて具体的な案としまして答申が出されたわけでございます。この案につきましてもいろいろ御批判もございましたけれども、私どもといたしましても、当面の改正措置としましてはこういうような案でぜひ早急に実施をいたしたいというふうに考えております。
 もちろん、それにつきまして、一体、診療報酬の問題とどういうふうに関連して考えるかということがございます。私ども税制当局の者からいたしますれば、税制の措置というものを爼上に乗っけることと診療報酬の問題というのは一応別個にそれぞれのアプローチがあるのではないかとも考えておりますけれども、また、診療報酬関係の人たちからすれば、診療報酬の体系というものもそれに関連づけて考えなければならないというような御議論もございまして、結局、次回の診療報酬の改定の時期にこの前出ましたような社会保険診療報酬の課税の特例の改善措置を実施するということに決定いたしているわけでございます。
 したがいまして、そういう時期が本年あるいは来年いつ生まれるかわかりませんけれども、そういう診療報酬改定の時期がございますれば、われわれはそこで税制改正のスタートを切りたいというふうに考えております。
#37
○横路委員 もちろん、税制とていろんな国の政策とのかかわり合いの中にあるわけですけれども、ただ、私勉強を始めたばかりなんですけれども、どうも見ると、本来の政策のところできちんとやるべきやつを、何でもかんでも全部税制のところにその調整を持ってくるというのが、特に租税特別措置がそうですけれども、ずいぶん多いわけですね。それは確かにいまの医療制度そのものと基本的にかかわり合いがあるといえばあるわけですけれども、しかし、税は税のあり方として考えれば、それはそれできちんとけじめをつけるところはけじめをつけるということでなければいけないと思うわけです。それはいろんな政治的な問題がバックにありますから今回もむずかしかったのかもしれませんけれども、今回の場合、税調の答申が出てそれが実現しなかった経過、いきさつはどういうことになるのですか。
#38
○中橋政府委員 税調のあの案につきましても、実は実施は、それでは昭和五十年分から実行するかということになりますと、そこまでは考えていなかったわけでございます。二十年間経過してきました措置でございますから、やはり法案の御審議にかなり日にちを要すると思いますし、そういう改正法案の実施ということが国会の御意思として決定しまして、それから新しい年分としてそういう改正措置が実現するのではないかというふうに私どもは思っておりました。したがいまして、一番早い時期としましても、昭和五十一年分から新しい課税措置が実現するのではないかという予測を持っておるわけでございます。
 ところで、決定しましたのは次回診療報酬改定の時期に実現するということでございますから、その改定の時期がたとえば昭和五十年に行われますれば、しかもそれが国会との関係で改正案が昭和五十年中にでも成立するような機会がございますれば、五十一年分から適用可能でございますし、あるいは来通常国会ということになりますれば、われわれが当初考えておりましたときよりも一年おくれるということになりますし、それよりももっと報酬改定の時期がずり下がればあるいはその次の年に繰り下がるということも考えられますけれども、従来のように社会保険の診療報酬の適正化ということが根本的に解決しなければこの問題は実現できないということではございませんで、次回の診療報酬改定というときが一つのめどになっておりますので、もう遠からず実現するということで、私どもも税制調査会と考えておりましたことがそんなに違いがないということで、その日をひたすら待っておるわけでございます。
#39
○横路委員 それは国会で制定された過程そのほかからいけばそういう御答弁になるかもしれませんけれども、やはりいま申告の時期で、給与サラリーマンには、これは最後にお尋ねしますが、いま源泉徴収制度そのほかについての不満というものが相当あるわけですね。そういう意味から、税の公平感というものをみんなが持つためには、やはりこういうところは是正するなら是正する。それは確かにそういう診療報酬のあり方ばかりではなくて、全体的な医療制度そのものと関係があると言えば関係があるけれども、しかし、税は税で行くべきところへは行くという大蔵省のきちんとした方針がなければ、これはまたどうなるかわかりはせぬですよ。そこのところを大蔵省の決意だけちょっとはっきりさせておいてもらいたい。
#40
○中橋政府委員 いまおっしゃいましたとおりの気持ちを私どもも持っておるわけでございます。二十何年前にこの制度ができましたときの診療報酬のレベル、あるいは社会保険診療を担当しておるお医者さんの所得のレベルなり階層の開きというものと、今日におきますそれらとを比較してみますと、あのときにこの措置によりまして期待しました効果というものは、かなり違った形になってきておると思っております。したがいまして、おっしゃるとおり、私は、税制の面からのアプローチとしまして真っ先に解決の糸口をここから始めるということがしかるべき措置であるというふうにいまでも思っております。したがいまして、できるだけ早い時期にこういう税制上の改正措置を講ずることが、いま御指摘のように、納税者一般の税制についての不信感というものをぬぐう道だと確信いたしております。
#41
○横路委員 公共事業の関係で少しお尋ねしたいのですが、公共事業における資金配分の構造、確かに五十年度予算で見ると、道路整備そのものは若干減ってきて、住宅、下水道、生活環境の方は若干ふえているわけですけれども、ただ、これも中身を見るとどうもそういうことになっていないんじゃないか。たとえば住宅の戸数で言いますと、四十九年度が十七万三千ですか、五十年度は十五万一千、減ってきていますね。それは確かに内容的に改善されたということなのかもしれませんけれども、まだまだ国民の住宅に対する要求というものは非常に高まってきているし、さっきの話のように社会福祉を充実するという点から言えば、やはり公共財の提供ということをかなり重点を置いていかなければいけないという考えに立っても、金額はふえても戸数は減るということになっているわけなんで、この辺のところはどういうことでしょうか。
#42
○辻政府委員 公共事業予算の全体的な問題について申し上げますと、ただいまお話もございましたように、国民生活に直接関係する事業につきまして重点的に配慮をいたしているわけでございます。五十年度予算におきましては、下水道について特別の地方債措置を講ずるというようなことで総事業量を大幅にふやしておりますし、住宅につきましても二割増しの国費を投入いたしているわけでございます。そのほか、上水道あるいは廃棄物の処理施設、これは二〇・九%増というようになっております。これに対しまして、道路、港湾等、従来から産業基盤整備に分類されている事業の予算につきましては三・六%の減ということになっておるわけでございます。なおまた、その中に分類されております道路につきましても、国民生活に直結した事業、市町村道の整備でございますとか、あるいは交通安全施設等、そういうものに重点を置くような配慮をいたしているわけでございます。
 それから、住宅につきましてただいま御指摘があったわけでございますが、住宅関係予算につきましては、一戸当たりの規模の拡大等、質的な向上に重点を置いて配慮をしているわけでございます。確かに四十九年度当初計画に比べて、公営住宅、公団住宅等の建設戸数が減少しているのは事実でございますけれども、これは最近の大都市地域におきます事業主体の施行能力などを勘案いたしまして、大幅な繰り越しを生じたりすることのないよう、年度内に実行可能な戸数を予定したわけでございます。
#43
○横路委員 住宅の内容を改善していったから戸数が減ったということですけれども、そもそも社会福祉というのは、たとえば十年前と比較する、あるいは違った地域同士で比較するというのは意味がないんでありまして、もうちょっと極端に言えば、江戸時代と今とを比較したってこれは全くナンセンスなわけでありまして、やはり同じ地域における、それから同じ時代における差というものが国民の側から言うと不公平感みたいなものになってくるわけですね。だから、福祉というのはそういう格差というものをいかになくすのかということがやはり一つ中心になるだろうと思うのです。
 そんな意味で言いますと、そういう事情はあったのでしょうけれども、戸数としては非常に減ってきているわけですし、それから下水道についても総事業費そのものは二七・五%ですか、ふえてはいるけれども、そのうちの国費についてはこれは減ってきていますね。四十九年度が千八百八十四億で五十年度が千七百九十二億、あとは特別地方債の方に回しているわけですね。そうすると、国の責任でということから言っても、直接に国が支出する事業費についてはむしろ前年度よりも減ってきているというわけですよ。ですから、総事業費ということになるとそれは確かにふえているけれども、なかなかうまいことを考えたと思うのでありますが、確かに国は利子について補給はするのでしょうけれども、しかし基本的に公共事業投資の内容を大きく変えたということにはなかなかまだまだいっていないんじゃないかというように思うのですけれども、いかがでしょう。
#44
○辻政府委員 初めに住宅の問題につきまして若干補足して申し上げますと、先ほど申し上げましたように、戸数では四十九年度当初と比べると減っておるわけでございますが、たとえば公営住宅につきましては四十九年度当初の予算上見込みました戸数は九万五千戸でございますが、いろいろな事情がございまして実績の見込みが八万二千戸程度になるわけでございます。それに比べますと、五十年度予算は八万五千戸というようにふえているわけでございますので、補足して御説明をさせていただいたわけでございます。
 下水道につきましては、ただいま御指摘のございましたように、特別の地方債制度を導入いたしたわけでございます。下水道につきましては、公害防止の観点も含めまして最近緊急整備の要請が非常に高まっておるわけでございますが、その大宗を占めます公共下水道の整備につきましては、一般的に申しますと、その初期の段階においては国庫補助の手厚い、したがいまして地方債額の少ない処理場等が先行的に整備されるわけでございます。そして事業の後期に至りますと、口径の小さい管渠等地方単独事業、これは大部分が地方債を財源にしているわけでございますが、その比率が高まってくるという形になっておるのでございます。したがいまして、この下水道事業の財源構成の特殊性と申しますか、そういうものに着目をいたしまして、この際、国費と地方債の平準化を目的といたしまして特別の地方債制度を導入しようとしているわけでございます。
#45
○横路委員 ですから、たとえばさっきの高木さんの発言に戻れば、美濃部都政を批判して、社会福祉に力を入れ過ぎて、それが地方財政硬直化、赤字の最大の原因である、こう言っておるわけですけれども、実際、国費と地方債の平準化という名目で、結局はこれは地方の自治体の債務の増大であることは間違いないわけでしょう。税金の方は国の方で吸い上げて、こういうひもつきといいますか、それは国の方で枠をはめてやるわけですから、結局、いまの国のいわばこの仕組みなり制度として、どうしたって地方財政というのは厳しくならざるを得ないような政策をやはりとっているわけですよね。この下水道事業なんというのはまさにその典型だろうと思うのでありまして、総枠は確かにふえているけれども、よく見てみれば国費の方は減っている。特別地方債が七百三億円ですね。国費の方は去年の千八百八十四億がことしは千七百九十二億円でマイナス四・九%です。その辺のところもやはり皆さんの方できちんとしてもらわなくちゃ、何でもかんでも地方自治体が悪いのだではなくて、まあ後で地方財政の話も少ししたいと思うのでありますけれども、実はそういう政策を国がとっているということだけひとつ確認をしておきたいと思うのです。下水道事業について間違いありませんね。
#46
○辻政府委員 五十年度予算の国費の下水道事業の経費につきましては、ただいま横路委員の御指摘のとおりでございます。千七百九十二億円でございますから、四十九年度に比べますと四・九%の減でございます。しかし、新しく下水道につきまして特別の地方債制度を導入いたしました趣旨は、先ほど来御説明をいたしたとおりでございまして、下水道事業の財源を効率的に使いまして緊急整備の要請にこたえようとする趣旨でございます。そして地方公共団体に対ししては利子補給制度を用意いたしておりますので、そういう面におきまして地方公共団体に実損を生じないように十分配慮しておるところでございます。
#47
○横路委員 問題は、地方財政に自主財源をきちんと与えて、補助金を出すような制度というのは本当はできるだけ変えていかなくちゃいけないと思うのです。
 ちょっとお尋ねしておきますが、公共事業の関係の、特に住宅ですね、それから下水道整備、廃棄物処理、都市公園等の長期計画がございますね。これは経済社会基本計画等との関連があるわけでありますけれども、この長期計画はそれぞれどういうことになっているのか。住宅と下水と廃棄物処理と都市公園の整備ということについてお答えいただきたいのですが。
#48
○辻政府委員 下水道につきましては四十六年度から五十年度の計画になっておりまして、長期計画の額が一兆六千億円でございます。それに対しまして、五十年度末の進捗率は計画ベースを上回っております。
 都市公園につきましては四十七年度から五十一年度の計画になっておりまして、三千二百億円でございますが、五十年度末の進捗率は、計画ベースで申しますと七〇・〇、実績で申しますと六八・七ということになっております。
 廃棄物処理施設につきましては、四十七年度から五十年度まで、三千六百二十億円の計画でございますが、五十年度末の進捗率は計画を上回っております。
 住宅につきましては四十六年度から五十年度まで、戸数にいたしまして三百八十三万八千戸でございますが、五十年度末の進捗率は、計画ベースを一〇〇といたしまして八三・二%ということになっています。
#49
○横路委員 ちょっと私の数字が古いのかもしれませんが、「日本の財政」の四十九年度版の現行長期計画の中で言うと、たとえば下水道事業の場合は総額が二兆六千億になっていますが、これは途中で変わりましたか。
#50
○辻政府委員 ただいま私が申し上げました数字は、直轄事業、補助事業等、政府の施策として行う事業についての計画、いわゆる公共分について申し上げたわけでございます。そのほかに地方の単独分等があるわけでございます。
#51
○横路委員 そうすると、その全体の部分については数字は出てきませんか。たとえば廃棄物ですと総額で四千五百七十億ですね。都市公園の場合は九千億ですね。
#52
○辻政府委員 地方単独分につきましては、五十年度はちょっとわからないのですが。
#53
○横路委員 道路それから港湾等、産業基盤の関係というのは、公共事業関係費の中で確かに割合が減っている。減っていると言っても、まだ全体で道路の場合でしたら三分の一を占めているわけですね。下水道にしても都市公園にしても住宅にしても、これはヨーロッパそのほかに比べると、まだまだ日本の場合は低い水準になっていますし、それからまた、一方で都市の過密というような問題が出てくるから、国民の要求というのも非常に強いものがあるわけです。
 したがって、これは四十九年度の経済白書でも指摘をしているわけですけれども、公共投資の内容を産業基盤から生活環境基盤、社会資本の充実へ、生活環境基盤を中心にという転換から言えば、まだまだやはり公共事業関係費のこの構造そのものを変えていかなくてはいけないというように思うわけですけれども、どこにどういう問題があるのかというと、一つ税制の関係で言えば、たとえば自動車関係の目的税があるわけですね。こういう目的税がある限り、公共事業関係費の配分を変えると言ってもなかなかむずかしいわけです。
 自動車の問題は、租税特別措置の審議のときに少し御質問したいと思うのでありますけれども、とかく道路がふえれば車がふえるということで、建設省当たりですと、道路の許容量から自動車の生産を見て、これぐらいまで可能だというような数字をはじいているわけですね。そうすると、これはもう完全に悪循環になってしまうわけでありまして、アメリカなんかの場合は一九六三年でしたか新交通法ということで、むしろ道路の関係というのは、これも一つの考え方だろうと思うのですけれども、自動車関係の税金は道路じゃなくて公共輸送機関の方にその目的を変えてしまったわけですね。むしろこの際、そういうことで言うと、こういう目的税というのはなくすというか、その目的を外して、福祉関係なりあるいは産業基盤じゃなくて生活環境基盤、場合によっては公共輸送というようなアメリカの考え方もあるでしょうけれども、そういうところに変えていくことをしなければ、どうしたって仕組みそのものは変わっていかないのじゃないかというように思うのですけれども、この辺のところはどうお考えですか。
#54
○中橋政府委員 税目、税収入を一つの目的に結びつけるということ自体は、むしろ財政当局の方の判断にまつべきものかもしれませんが、確かにおっしゃいますように、自動車に関します税金というのは、かなりいま御指摘のような結びつきが強く、また長い間にできてきておったと思います。特に揮発油税から発足をいたしまして、その目的税としての、厳密な意味ではございませんけれども、その収入というのが道路の建設にあるいはその整備に非常に有効に働いたこともまた事実でございます。しかしまた反面、いま御指摘のように、それについてまず地方の負担部分が要るので、それの財源をどうするかということから揮発油税に対応して地方道路税をつくらなければならないということもございましたし、いろいろな燃料課税につきましても同じような問題が出てきておると思います。
 ただ、自動車重量税というのをつくりましたときに、一つにはそういう建設的な部面を補うということも考えましたけれども、従来のように全面的にそれに使うということでもございませんで、むしろそのときにはやや総合的な交通体系を考えながら、自動車とたとえば汽車輸送との関連というようなことも若干配意したのは、あるいはいま御指摘の点の萌芽かと思うわけであります。今後やはり道路整備何カ年計画というものが逐次進んでまいりましたら、これからの段階としましては、確かに自動車関係の燃料課税あるいは車両課税について洗い直す必要がだんだん出てくるのではないかというふうに思っております。
#55
○横路委員 繰り返すようですけれども、やはりこの目的税の存在が一つのネックになっているのじゃないかというように思うわけです。建設省の計算ですと、たしか道路を延ばしていって、車の許容量が四千二百万台くらいだったと思いますね。四千二百万台ということになれば、これはもう東京なんかは完全な過密ですね。最近、交通事故も減ってきておる。減ってきておる原因は何かと言うと、要するに車が走れないから事故が減ってきておるだけの話なんでありまして、この目的を外してしまって、つまり財政の構造を変えるということになれば、やはりこの辺のところもきちんと見直しをしなければならないというように思うので、課税そのものをやめるというのじゃなくて、その目的税になっておるところを外す、あるいはもうちょっと福祉関係の方にあるいは環境保全の方にするとかいうような点もあわせて考えなくちゃいけないというように思うのですが、もう一度確かめておきたい。その辺のところをどうお考えですか。
#56
○中橋政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、むしろ税収で上げましたそのものを何に支出するかということは支出の方の問題でございまするので、私の直接の分担ではございませんけれども、確かに先ほども申しましたように、従来果たしてきました効果というものを評価しながらも、やはり新しい財政需要というものも勘案しながら、再検討をしなければならない点が多々あると思っております。
#57
○横路委員 最後にちょっと主計局に、国と地方との関係の改善についてお伺いしたいのですけれども、いま大体、国税が七割、地方税が三割ということで、仕事の中身から言うと、いわゆる福祉と言われているものの、振替支出の関係は別にして、教育だとか民生だとか衛生だとかいうことになると、仕事そのものはやはり地方公共団体の仕事が圧倒的に多いわけです。職員がふえていると言いますけれども、そのふえている人の内容を見ると、九〇%までが消防それから教育、社会福祉関係の職員がふえているわけです。これは現在までのともかくいろいろな政策の矛盾をなくしていく、そして国民の要求が高まってきている中で当然のことだろうと思うのであります。
 そんな意味で言いますと、私たちの方では、たとえば所得税を地方税に改めたらどうかというような主張をしているわけでありますが、一般論として、もう少しやはりこの仕事の中身から見て、いままでのような中央集権的ないろいろな制度のあり方自身も見直しをしなければならないところに来ているんじゃないかというように思うのです。今度、事業所税などができましたけれども、やはりできるところはきちんと地方には地方の財源を与える。もしそういうのが無理なところは、またいまのような制度を活用すればいいわけでありまして、その辺のところの国と地方とのあり方について、基本的にどのようにお考えになっていますか。いまのままでいいのか、やはり変えなくちゃいけないのか、基本的なお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#58
○中橋政府委員 まず税目の配分としての御質問でございましたから私からお答えさしていただきますが、地方財政と国の財政をどういうふうに財源の面から分担をさせるかという問題は、実は、非常にむずかしい点をはらんでおると思います。
 一つには、独立税目として地方にどういうものを与えれば一番いいのかということでございます。地方自治を伸ばすためには、その自主的な財源を確保しなければならないということはおっししゃるとおりでございまするけれども、その自主的な財源を一体どの程度独立的な税目で確保するのがよろしいのか、あるいは今日のような全国的な調整財源としましての交付税というものでカバーするのがよろしいのか、あるいはまた譲与税というような形でもって調整をする部面もございまするから、こういうものでどの程度したらよろしいのか。それから最後には、非常に個別的な補助金というものがあるわけでございまして、その総合的な兼ね合いをどういうふうにしたらいいかということは、非常にむずかしいことであると思っております。
 そこで、わが国の地方団体と申しますかその行政水準について、一体、地方団体の住民はどういうふうに考えておるのかというのが一番問題でございますが、この狭い日本の国土におきましては、同じ水準の行政を期待するというのが、どうも今日まで三十年間やってまいりました経験から言いましても、私はそれを痛感せざるを得ないのでございます。
 それを一体どういうふうに実現するのかというと、一つには補助金という形がございます。しかし、補助金であれば、おっしゃいますように、きわめて中央依存という度合いが強くなりますから、そこでの兼ね合いは、何と言いましても、全国的な調整財源としての交付税というものの役割りが非常に大きくなるのではないかというふうに考えております。ただそのときにも、客観的な基準であるとは申せ、地方団体の自主的な判断が全然加わらない中央からの財源というものに余り依存をしても困りますから、やはりそのときにはある程度の独立税目によって自主的な財源を得るということも必要なわけでございます。
 ただそのときに、独立税目を各地方団体に与えるということになりますと、やはり非常に狭い日本の中で数多くの地方団体がいろいろな事情を持っておりまするので、どうしてもその間におきます財源事情で独立税目では非常に変化を多く持つという欠点がございます。たとえば同じような地方自治を古くから続けてきておる英国とアメリカにおきましても、国土の大きさあるいはその地方自治の生い立ちというふうなものが違いまして、英国におきましてはいわば固定資産税だけが地方の独立税である。しかも私は、英国の地方自治というのはそんなにひけをとらないぐらいの水準であるというふうに思っております。また一方、非常に国土の広いアメリカにおきましては、連邦制度ということがございまするから、非常に強力な地方財源、まあ私どもから見ればむしろわが国税に匹敵するような非常に広い対象領域を持っておる地方税というもので動いておる。しかもそこにおきましてもなお、連邦政府においてのグランツというものがかなり大きなウェートを占めなければならないということでございます。
 したがいまして、私は、やはり地方自治ということを伸長しなければならないことはもちろんでございまするけれども、その財源をどういう形で、しかも私が先ほど申しましたような調整財源というものとも兼ね合わせながら、独立税目というものも相当持ち得るということで考えなければなりませんので、独立税目を中央から地方に与えることだけが地方自治を伸長する道ではないというふうに思っております。
#59
○横路委員 まあいずれにしても、国と地方との財政的な関係も考えなければいけない転機に来ていることだけは間違いないのでありまして、問題は要するに、いままでのような高度経済成長時代は自然増収、それを歳出化していく、あるいはそれを減税とか歳出の方に振り分けるというような、従来の予算編成制度のあり方みたいなものは、やはり非常に基本的に問題のところに来ているわけですね。そこに問題があるわけだと思うのです。
 物価が高騰している中での不況ということになって、税の伸びが期待できない。皆さん方の御説明も、大体は前年度比がどうだとかこうだとかいうことに終わってしまうわけですね。そうではなくて、もうちょっと基本的に、これからの高福祉社会にどういうぐあいにこたえていくのかという場合に、従来のそういうあり方のままの延長で物を考えるんじゃなくて、やはり基本的に――それには国際的な環境の問題もありますし、資源問題から日本の産業構造の問題からさまざまの問題があると思うのですけれども、従来の制度を制度としてその延長上に考えるんじゃなくて、やはり基本的に転換を考えていくべき時期に来ているのじゃないかというように思うのです。
 それで、一番初めの高木さんのその発言に戻るわけですけれども、福祉が財政の硬直化の原因だということで、財政硬直化の原因を、その打開の道をいつも国民の方に求めるというんじゃこれは困るわけですね。受益者負担制度そのものの当否は別にして、硬直化の原因である物価対策の失敗やらあるいは景気対策のツケをいつも国民の方に回すということになったんではこれは困るわけなんでありまして、ひとつその辺のところを基本的に見直しをしなければならない点というのはたくさんあると思うのです。さっきの年金制度から健康保険制度の問題から、また目的税の問題、地方との関係、そういうような点を基本的にひとつぜひお考えをいただいて、国民の方にもそういう長期的な政策の目標みたいなものを提起した中で財源の問題も議論するということでなければ、税制議論そのものも、去年に比べてどうこう、いろいろ聞いていってもどうもさっぱり所得税にしても上げた根拠がわからないということになるわけでありまして、その辺のところを最後に一つ要望して、主計局の方、結構でございます。
 そこで、高福祉高負担という場合に、高負担というのは何かということ、これをどういうぐあいにお考えですか。
#60
○中橋政府委員 高負担ということは、結局、個々の納税者の問題もございましょうが、全体的にたとえば国民所得に対して国税、地方税を通ずる税負担がどの程度であるのかという問題でございます。それで、幸いにしましてわが国のそういった租税負担率といいますのは、昭和二十四、五年ごろの異常な事態を除けば、二〇%を前後しながらやってこれたわけでございます。しかも、かなりの財政規模の膨張にも耐え得たといいますのは、先ほど来いろいろお話のございましたような、高度の経済成長というのがこれを可能ならしめたものだと思っております。
 しかし、また一面、私どもが租税負担率というものを考え、あるいは社会保険の負担率というものを考えますときには、欧米の先進国に比べまして、先ほどの長年二〇%前後の租税負担率でやってきたということだけで比べてみましても、かなり低いという感じでございます。それは一体なぜ可能であったのか。たとえばヨーロッパの国は租税負担率で大体三〇%から三五%くらいでございます。あるいは社会保険負担率で申せば大体一〇%くらいでございます。それをわが国の租税負担率二〇%、社会保険負担率五%というようなことと比較いたしてみますと、もうそこに一五%以上の差があるわけでございます。
 一体それはなぜかと言うと、一つには、先ほど申しましたように、パイの大きさがだんだん大きくなってきて、その部分で賄えてきたものがございまするけれども、いま御指摘のように、高福祉高負担と言われておるそこに一つの差があるように思います。わが国の租税負担率二〇%、社会保険負担率五%というようなことは、やはり先ほど来いろいろお話のございました、社会保障に対する公の経済の部分が少なかったということから可能になってきたと思っております。したがいまして、そういう部分をふやす、そういう公経済の部門がふえるということになりますれば、おのずと租税プラス社会保険負担の率というのは高からざるを得ない、そういう意味での高負担というように考えております。
#61
○横路委員 国民所得に対する関係とかいうように全体的に見ると、それは確かに経済成長でGNPの方がわあっと上がっていっているわけですから低いですけれども、ただ、たとえば社会保障収入の中に占める財源の割合がどうなっているのかを見ると、それは決して国民の負担は低いものじゃないわけですね。ヨーロッパ等に比べても、たとえば事業主、国それから国民と、どういう負担をしているのかという割合を見れば、それはそういう数字になっていないわけですよ。だから、パイは確かに大きくなったのだけれども、そのパイの大きいのがどこへ行っているのかということになれば、それは問題があるわけなんで、そういうぐあいにとらえるとらえ方ばかりじゃなくて、一体だれがその負担をするのかということですね。
 高福祉高負担というのは昭和四十四年度の経済白書あたりから出てきた言葉なんですけれども、負担の構造が一体どうなっているのか。それが不公平だったらこれは困るわけですね。したがって、問題は、全体の中において租税の占める割合、社会保険の占める割合がどうこうということよりも、それを一体だれがどういうぐあいに負担をしているのかという、つまり負担の中身が問題じゃないかと思うのですよ。まずその負担の中身のところをしっかり議論をしてから、それから――そういう物の見方というのもそれは確かにあるでしょうけれども、そこを抜いてしまってやると議論というのはわけがわからなくなるのではないか。だから社会保障収入に占める財源の割合なんか見ても、決して低いものじゃないと思うのですね。だから、その負担の中身が問題だと思うのですけれども、その辺はどういうぐあいにお考えですか。
#62
○中橋政府委員 私も、その負担の構造といいますか、中身といいますか、いま御指摘の点についていささかも否定する気はございません。しかし、租税負担率と言いまする場合には、いわば国民所得なら国民所得の中においての公経済部門の大きさを示すわけでございますから、社会保障をふやすということになる、あるいは先ほど言われましたような移転的な支出というのが非常にふえてくるということになりますれば、どうしても公経済の部門というのはふえざるを得ないわけでございます。個々に見まして、それをどういうふうに企業者なり保険者なり被保険者なりが負担をしておるかという点は確かにございまするけれども、全体とすればやはり移転的なそういう社会保障費の部分が非常にふえてくるということは公経済の部門がふえてくる、おのずと租税負担率なり社会保険負担率というものがふえてこざるを得ないということでございます。
 それで、その上で、先ほど御指摘のように、そういうことがあるときにもなお公経済の部門の中においての構造を昔どおりにしておいて、新しくふえてくるものだけをその上につけ加えるのはいかぬぞという御指摘、それは確かにそうでございまして、過去におきますところのそういう構造の中身を洗い直すということも必要でございます。それからまた、それを賄うための税の構造としましても、だれがその二〇%なら二〇%を負担をするのがいいのか、あるいはそれに追加的に一〇%ふやさなければいかぬ、あるいはそのときのスピードはどの程度にしなければならないのか、それをどういう税目で賄わなければならないのか、だれがそれを負担しなければならないのかという点については、もちろん検討する必要があると思っています。
#63
○横路委員 ですから、高福祉高負担なんというのはなかなかうまい言葉を考えたと思うのでありますけれども、むしろ高福祉公平な負担とかいうことの方が、本当はもうちょっとわかりがいいわけですし、そうなければならぬわけであります。だから問題は、何か先日参議院の予算委員会の方で大蔵大臣が、税の体系そのものを考える、つまりこの成長の低い時代における福祉の問題としてそういう発言をなさったそうでありますけれどもも、付加価値税なり間接税強化ということの前に検討する問題としては、その公平をどうするかという問題ですね。
 水平的公平、垂直的公平なんということを言われておりますけれども、たとえば勤労所得と資産所得と同じ額の場合、ではそこに同じような税金がいいのかどうか、本当の公平というのは何なのかという意味で言うと、まずともかく間接税を強化するというのは逆進的だというのはこれのもうみんなが認めているわけでありますから、その逆進的構造のところを強化するということになるとと、実は高福祉という考え方と反してくるわけですね。そうでしょう、違いますか。どうも納得をしたような顔をしていない。一般論としてそうでしょう。間接税が強化されていくということは、低所得のところに負担がかかるという意味では逆進的だというのは、これは認められるでしょう。
#64
○中橋政府委員 税金の負担だけを見る場合と、それから福祉というような問題を考えます場合には、やはり税金とそれからそれによってもたらされる歳出との総合的な判断というのが必要であると思っております。したがいまして、おっしゃるように、現在の税体系、その中におきますところのより一層の公平の確保という点について詰めを行わなければならないことはもちろんでございます。しかし言われておるように、だんだん福祉という問題がさらに一層高次になってくればくるほど公経済の部門というのはふえざるを得ないわけでございます。それを一体どういうふうに賄っていくのか。
 もちろん、この前大蔵大臣が参議院の予算委員会で言いましたときにも、基本ラインとしましては、現在の税制というものをいろいろ考えていかなければなりませんということでございまするが、一体、年次計画としましてそれでは将来どの程度の成長が予定され、どの程度のそういった面における財政需要というものがふえてくるのか、それでまたスピードはどの程度になるのか、しかも一方におきまして税収というのが、いわゆる高度成長でなしに安定成長下になりましたならば一体どの程度期待されるのか。もちろんその場合には、おっしゃいますように、いろいろ現行の制度の中にあります不公平というものを正さなければなりません。しかし、それによって得られる増収というのはこの程度であるということになりまするから、やはり安定成長を前提とし、しかも高福祉ということを前提とする限りにおきましては、私はそこにかなりの財源というのが必要になるのではないかと思います。
 もちろんその財源は、一つは、社会保険料という受益者負担の面がございましょうけれども、これもなかなか限度のあるお話でございまするから、そう言いましたときにはやはり税収入でかなりの面を賄わなければなりません。その税収入で賄わなければならないときに、一体、今日のようにわが国の直接税に非常にウエートをかけた税体系でもってやっていくのか、あるいはヨーロッパ型の、もう少し間接的にシフトしたような体系でやっていくのか、もちろんそこは国民の選択でございます。
    〔委員長退席、山下(元)委員長代理着
    席〕
 そういうことをやりながら高福祉を実現するのがいいのか、あるいはもっと私経済の部門を大きくすることによりまして、公経済としてのそういう税収というものに依存する必要がないということであれば、それでももちろんよろしいんですけれども、高福祉と言われておるからには何としましても公の財政を通するパイプというものが太くならざるを得ない、それを一体どういう税目で、どの程度のスピードで賄っていくのかということを考えてみますれば考えるほど、間接税というものについても真剣に検討しなければならない時期が必ず来るということなんでございまして、その場合にそれでは歳出の方としての福祉をどういう形でやるのか、どこら辺にウエートを置くのか、これまた総合的にいろいろ考えようはあると思っております。
#65
○横路委員 いま質問の途中で実はあれしたのですが、つまり間接税というのは一般的には所得の低いところに負担が多くなるということですね。どうもそれについてはお答えがなかったわけですけれども、これは否定する人はないだろうと思います。ですから問題は、公平をどうやって実現をするのかということで言うと、この間の答弁を聞いておりますと、皆さんの方でいま付加価値税あるいは間接税の強化について勉強なさっておられるそうなんですけれども、その勉強される中に前提があるんじゃないか。
 その前提というのは、公平をどうやって実現するか、大蔵大臣がどういう意味でいままでの税体系を洗い直すと言ったのかわかりませんけれども、さまざまな、たとえば分離課税の問題、利子配当の問題、あるいは特別減税措置による税負担の回避の問題、そういうようないままで何回もこの大蔵委員会で問題になってきているような点をやはり基本的にきちんと洗い直しをするということが前提になって初めてその間接税の問題も検討課題になってくる。それを抜きにして間接税強化ということになると、これは国民も納得しないだろうと思うんですね。だからその辺の基本的なところはどうなのか。個別の議論はいたしません。そういう、従来からこの委員会で指摘のあったさまざまな点についてまずやはり基本的に、抜本的に洗い直すというこが税体系の洗い直しという中身でなければならぬと私は思うんです。いかがでしょうか。
#66
○中橋政府委員 大蔵大臣もあのときには、現行の租税体系で賄える部分はそれを基本とするというふうに申したのでございます。ただ、将来のたとえば社会福祉というものの進行というものを見通しました場合に、一体どういうことでそれが賄えるかという問題でございまして、そういうことは一朝一夕にはなかなか実現もできません。税制当局者とすれば、もちろんそういう事態も考えながらいろいろ勉強しなければなりませんので、そういう勉強はしておるわけでございます。
#67
○横路委員 その辺が一つまず前提だ。あともう一つは、社会福祉の充実と言っても、いまの状況で言うとインフレ後追い的なもので、充実と言える中身にはなっていないと思うのでありますけれども、その辺のところも明確な政策目標みたいなものが設定されないと、やはり単なる財源論だけではこれまた国民は納得しない。つまり財源の議論をする前提としては、従来の税体系の不公平な点をどうやって是正していくのかということについての基本的な方針と、それから一方では、生活環境を含めて広い意味での社会福祉をどのように充実していくのかですね、これの政策目標の設定という二つのことが前提になって初めて財源についての議論に進むんじゃないかと私は思うのですよ。それを抜きにして、従来の財政の構造、支出構造もそのままにしておいてさらにプラスアルファ福祉でこの部分はということでは、これはどうも最近政府の方も低成長、安定成長と言っているけれども、現実にこれがどうなるのか。
 これは私の個人の考えですが、成長自体が問題というよりも、やはり中身が非常に大きな問題なんで、従来のような産業中心の経済のあり方、大企業中心のあり方自身が今日のいろいろな問題になってきているわけでありますから、そんな意味では、そのいま言った二つの点の洗い直しということが前提になっているんだという点を忘れないでもらいたいと思うのでありますけれども、その二つの点、いかがですか、くどいようですが。
#68
○中橋政府委員 現行制度の中にありますところのいろいろな解決を要すべき点について努力をしなければならないことももちろんでございます。それからいま御指摘になりましたような財政需要の見通しというものについて、どういうふうな態度をとるかということも重要でございます。私はむしろその後の問題として、一体どの程度のことを社会保障と言い高福祉と言うことで期待をされるのか、これはもちろん長期的な財政計画と申しますか、経済社会基本計画の新しい分野、新しいものとして恐らくそれが一番基本として討議される問題だと思っております。
 そういう新しい基本計画的なものの中で社会保障がどの程度に伸びていくのか、それに対する所要財源というのは一体どの程度になるのか、それに現行の先ほど言われたような歳出構造から、それにシフトし得る余地がどの程度あるのか、それを賄う税制として一体どの程度今後の成長を前提にすれば収入が上がるのか、おっしゃるような不公正の是正によりましてどの程度確保されるのかということをもちろん詰めなければ、新規財源というのはとうてい考えられもしませんし、また国民も納得をし得ないわけでございます。
 ただ、私がここで申し上げたいのは、いわゆる高福祉というほどのものを考えるならばかなりの財源が要るということでございます。オーダーとしましては相当高いものであろうというふうに思います。もちろんそれを一朝一夕に実現するということでございませんから、年次計画としてできるだけなだらかにそれを実現していくということでございましょうけれども、それが一体安定的な経済成長で現行税体系のもとにどの程度財源的に確保できるのか、そういう見通しをつけなければならないということを申し上げておるのでございまして、結論的に申せば、おっしゃるようなことを前提としながら、それでもなお高福祉と言うからには、かなりの税収というものを考えなければならない問題が出てくるということでございます。
#69
○横路委員 その福祉の中身ですが、ともかくまだ下水道にしても公園にしてもヨーロッパに非常におくれている、しかも環境そのものはヨーロッパに比べて非常に悪化しているというような状況なわけですから、まずよそ並みに、いわゆる先進国並みになるというのが当面の目標になるかと思うのでありますけれども、そういう観点をひとつぜひ確立をしてから、財源の付加価値税なり間接税強化の議論はそれからまだまだ先の議論だというように私たちは思っているわけであります。
 いまちょっと話がありましたその中期、長期の財政計画というのは何かお考えになっているのですか。
#70
○中橋政府委員 これも私は担当でございませんが、むしろ私が申し上げましたのは、経済社会基本計画の新しい見直しということが経済企画庁を中心にして行われておるようでございまするから、そういうものが基本になりまして、それに沿って一体財政をどういうふうに歳出面、歳入面で考えていかなければならないか、たとえば税負担率というものも、いまの経済社会基本計画におきましては、たとえば三ポイントくらいこの年度までに上げてもしかるべきであろうというようなことがおそらく新しい基本計画のもとにおきましても出てくるのだろうと思います。それはいわば歳出との兼ね合いで出てくると思いますから、歳出が言われるように財政の中期、長期の計画を持つということは、主計当局でそれをやるということよりは、むしろ新しい経済社会基本計画のような中で考えられてくるのだろうという意味で申し上げたのでございます。
#71
○横路委員 ちょっとその経済社会基本計画の中の負担のところなんですが、税及び税外負担というのは大体どのくらいになっていますか。
#72
○中橋政府委員 たとえば経済社会基本計画で、四十七年の実績見込みとしまして、税及び税外負担として二一・四%という数字が出ております。そのときにおきます地方税を含めました租税負担率は二〇・二でございまするから、一・二%というのが税外負担というふうになるわけでございます。
#73
○横路委員 それで、今日までどういうぐあいに動いてきていますか。
#74
○中橋政府委員 税及び税外負担率としましては、四十七年の先ほど二一・四と申しましたのは、当時の実績見込みでございまして、実績としては二一・〇になっておるようでございます。四十八年度は同じく実績で二三・三%、四十九年度の見込みは二一・九%、五十年度の予算ベースでは二一・一%ということになっております。
#75
○横路委員 ことしの所得税の減税について、需要面から物価刺激の要因が生ずることのないように抑制的にその経済を運営していくんだということでミニ減税ということになっておるようなんですが、去年の場合、減税による可処分所得の増加というのは一体どういうぐあいに、貯蓄、消費のどちらの方に回ったのか。個人消費、個人貯蓄の動向というのはどういうことになっていますか。
#76
○中橋政府委員 四十八年と四十九年で給与が三〇%伸びたという計算をやってみまして、たとえば昭和四十八年に二百万円の年収のあった人は四十九年に二百六十万円の年収になったということで、それぞれの年におきますところの所得税引きの可処分所得というのを双方比較をいたしてみますと、三〇%を超える伸びを示しております。ということは、あのときの大減税のおかげで可処分所得としましてはほぼ年収の増を確保できたということになるわけでございます。
 それから、その可処分所得の中で貯蓄純増としましては、四十九年の家計調査でございますと三〇・七%と大幅な増加を示したということになっております。消費支出は二一・五%名目で伸びております。
#77
○横路委員 いまおっしゃったように、それは名目なんですよ。つまり、やはり国民も心配だから貯蓄の方に回っていったわけでしょう。そこで消費そのものが伸びなかったということになるわけですね。まあ需要面の話になりますと、これは貯蓄だっていろいろ回り回って一つの大きな刺激にもなるだろうと思うのですが、消費そのものは実質から言うと物価の上昇を考えれば余り伸びていないということだろうと思うのですね。そうすると、今日の事態で、いわゆる需要面から考えて大幅減税できないということは言えるのかどうか。この辺のところは五十年度の減税に当たってどうなんですか。まあそういうことを理由にされてミニ減税になったようでありますが……。
#78
○中橋政府委員 まず、本年税制改正でお願いいたしております所得税の改正は、私どもはミニ減税であるとい思っておりません。再々申し上げておりますように、昨年度の改正の平年度化、これは確かに昨年約束をせられたことでございますけれども、納税者にとってみれば本年実現する部分が四千五百億円あるわけでございます。したがいまして、それと本年新たに追加的に減税をしますものと加えてみますれば、合計で六千五百五十億円ということでございます。所得税の自然増収の中で二七・五%というのがその減税に充てられているものでございますから、決してミニ減税であるとは思っておりません。
 ただ、本年新たに追加的に減税をしていただくものはやはりそんなに大きいものは要らないであろう、しかもなるべく抑制的に経済を運営しなければなりません、そういう経済運営の態度、また財政もそういう方向をとっておるということでございまするので、いわば本年度の減税というのはその程度にがまんをしていただくということにしたわけでございます。
#79
○横路委員 「需要面から物価刺激要因が生ずることのないよう」ということが今回の所得税減税に当たっての基本的態度になっていますね。大蔵省の主税局では「昭和五十年度税制改正のあらまし」の中でそれを理由にしておるわけです。つまり物価の刺激要因という点から言って、この減税規模とどういう関連があるのか。いまのこの状況の中で、先ほどお話がありましたが、四十九年度は貯蓄の方に回って消費そのものは実質的にあまり伸びていないというようなことを考えますと、それが刺激要因と言えるのかどうか。この辺のところは何か数値的に、このくらいの減税でそれがどういうぐあいにはね返りがあるのかということを皆さんの方はどうお考えになっているのですかか。
#80
○中橋政府委員 可処分所得の増加で、従来のような貯蓄性向を前提としますれば幾ばくが貯蓄に回り、消費がどれくらいふえるかということは計算ができるわけでございます。
    〔山下(元)委員長代理退席、委員長着
    席〕私どもは、去年の税制改正の平年度化とことしの改正でもって先ほど申しましたような程度の所得税減税でございまするから、ぎりぎり一一・八%の消費者物価の上昇というものを前提といたしますれば、余りこちらの方から消費を刺激するという要因はできるだけ避けた方がいいという基本的な態度でございます。
 幸いにしまして、昨年は当初に非常に心配をしました狂乱物価のもとにおきまして、さらに一兆四千五百億円の所得減税がどういうふうに作用するかということは、先ほど来の貯蓄の増加という点でその面の心配はなかったわけでございまするが、それでは五十年について一体どういうふうになるのかという点になりますれば、私どもとしてはこの一一・八%の消費者物価の上昇あるいは年度間の上昇率をできるだけ一けたに抑えたいというようなことから申しますれば、やはり所得税の減税というのは今回のものが大体ぎりぎりぐらいではないかという考えで御提案申し上げたわけでございます。
#81
○横路委員 たとえば昨年の消費だって、百貨店あたりのいろいろな消費の内容を調べると、消費の質が大分変わってきていますよね。だから、適当じゃないかと感じでおっしゃられるのじゃなくて、もうちょっと説得力のある――少なくとも去年は貯蓄の方に行って、消費内容というのは質も変わっているし、伸びだって実質的に物価の上昇を考えれば大した伸びじゃないということになると、ことしの減税は物価刺激要因が生ずることのないようにと言ったって、こういうことでこういう数字になっていて、これだけしたらこういう心配がある、だからこの辺におさめましたという話ならば一つの説明でありますけれども、感じで物をおっしゃられたのじゃ、どうもこの税収の見積もりだって民間の調査から見ると少し低いようでありますし、いわば大分弾力のある財源といいますか、その点でこういうことになったのじゃないかという感じがしないわけでもないのですが、その辺どうですか。
#82
○中橋政府委員 五十年あるいは五十年度中におきますところの消費の動向を予測して今回の減税がどういうインパクトを与えるかという点については、われわれとしましてもなかなか的確なる予測を持ち得ないのでございます。ただ、税収につきましては、もちろんいろいろな民間団体の経済見通しというのは政府の経済見通しと違ったものもございます。経済成長率あるいは雇用者所得の伸びというようなものについてももちろんバラエティーはございますが、私どもとしますれば、政府が作成しました経済成長あるいは雇用者所得というようなものを前提としながら税収をはじいておりまするので、それ以上になお財源があるのをことさらに落としたというような考えは毛頭持っておりません。
#83
○武藤(山)委員 ちょっといまのに関連して。主計局がいないのでわかるかどうかですが、自然増収がかなりあるという前提でなければ、公務員の人事院勧告に対して補正は組めないのか組めるのか。国家公務員は、いま賃上げをどのくらい予算上見積っているのですか。それと三公社五現業はどういう見積もりになっていますか。この春闘の見込みを予算上どのように見積っているか。
#84
○中橋政府委員 ちょっと主計局がおりませんので私から答えますが、正確ではございませんが、例年どおり五%の財源を見込んでおると思いますす。三公社五現業の方は、それを上回って組んでおるということもないと思いますが、恐らく同じようなものと思います。
#85
○武藤(山)委員 そうすると、仮に五、六%しか当初予算に見込んでいないとなれば、八月の人事院勧告が来れば、当然法律的な義務として政府はまた補正予算を組まなければならぬのですね。
 いま財界が言っているのは、物価が仮に一五%に三月末現在でおさまっても、物価上昇プラス五%ぐらいはやむを得ないだろうというのが財界の見方ですね。大体二〇%。それで見ても今度のベースアップが二〇%ぐらいになる。そのうち五%しか仮に国家公務員分として見ていない。この前提でもし計算した場合、不足の一五%分は国家公務員だけで幾らぐらいになりますか。
#86
○中橋政府委員 いま仮に武藤委員がおっしゃいましたような事態になったときに追加所得財源が幾らになるかということは、ちょっと私のところではわからないわけでございます。
#87
○武藤(山)委員 わからないけれども、例年米価と賃金の問題はいつも後追いでやっているわけで、いわゆる当初予算ではこれはもう税収はぎりぎりですよとここではいま答えているけれども、本当にぎりぎりなら政府は人事院勧告と米価問題の処理がつかぬわけだ。つかぬ場合には、むしろ主税局長の税収に対する判断が正しい数字になるわけで、もし人事院勧告と米価の問題で所要財源が必要な場合には国債で全部やってもらいますと答えますか。それとも、税収はまあそのくらいは何とか出るかもしらぬという答えになりますか。
#88
○中橋政府委員 恐らく人事院勧告はまた夏のころに出ると思いますし、それを受けまして、政府としましては所要財源を賄い得るかどうかという判断をしなければならない時期が来ると思います。幸い昨年までは、それこそ先ほど来御指摘のように高度経済成長、自然増収ということで何とか賄えたわけでございますけれども、もうすでに昨年におきまして、地方公共団体の財源を一体どうするかということで、御案内のとおりの非常な苦慮があったわけでございます。
 果たして国の財政が本年以降もいままでと同じようにかなりのベースアップを常に賄い得る財源を生み出すかどうかということも、またそのときになってみなければわかりませんけれども、経済がだんだんこういう安定的な状態になってくれば、それこそさま変わりの事態になると思います。そういう場合に一体どうしなければならないかということは、ちょっと私としましてここで申し上げるわけにもまいりませんけれども、そういう事態も予想されるわけでございます。
#89
○武藤(山)委員 だから、政務次官、いま横路委員がおっしゃるように、私もきのうちょっと触れたのですが、いまの収入見積もりは過小見積もりという感じがする。主税当局は、もともと賃金ベアは、人事院勧告は年々法律上行われるということはわかっていることですから、米価の方はそのときの農業団体の圧力のいかんによって、自民党がどうなるかによって歳出がきまるのだけれども、人事院勧告だけは法律できまっているわけですから、そうすると、これがこう出てきたときは、いまの財源がこれでもう収入はふえぬかもしれぬということになると、どうしますか。あなたは高級政府要員としてどう思いますか。
#90
○森(美)政府委員 先ほど局長が答えましたように、事態はいままでと若干さま変わりましているというのは事実でございます。そういう意味におきまして、今後そういうことのないようにやらなければならないと思いますが、ことしの場合につきましてはどういう事態になりますか、いまここで予想はむずかしいと思うのでございます。
#91
○横路委員 時間がなくなってしまったのですが、ひとつ資料として、いままでの減税分がどういうぐあいに回ったのか、貯蓄に回ったのか、消費に回ったのかというのはなかなかむずかしいと思うのでありますけれども、できれば過去五年ぐらいのそういう数字と、それから、ともかく今回の減税は需要面からの物価刺激要因ということを考えてこういう減税にしたいということの御説明でありますから、その物価との関係、その辺のところをどういうように皆さんの方では計算をされておるのか、ひとつ資料としていただきたいと思うのです。
 最後に一点だけちょっと質問をします。
 これは毎年行われている議論なんですが、寒冷地支給についての議論なんです。実は、この寒冷地支給の中に、北海道の場合に石炭加算部分というのがあるわけです。この石炭加算部分というのは、八月の末に支給になるのでありますけれども、計算は甲乙丙として、石炭で甲地の場合三・六トン、乙地の場合三・三トン、丙地の場合三・一トンとしてカロリー計算をしてトン当たりの単価を出して、それに運搬費を計算して額を決める。今年もたしか改定になったはずでありますが、そうすると寒冷地支給全般は別にして、石炭加算の部分だけはいわば実費弁償なんですね。本来ならば現物支給なんだけれども、その現物支給は大変だから、そのかわりにお金を払うという考え方なんですよ。そうすると、これはたとえば通勤費と同じように考えていいんじゃないか。寒冷地支給全般じゃなくて、石炭加算部分についてです。どうですか。
#92
○中橋政府委員 いわゆる石炭手当、薪炭手当というようなものにつきまして、かねて御議論があったわけでありますが、おっしゃいますように、積算はある種の石炭の量というようなものを想定いたしておると思います。しかもまた、なお寒冷のところにおきましてそれだけの石炭が要る、薪炭が要るということも否定できないわけでございますが、何といいましても、そこには概算的な計算が行われておりまして、いわば生活費の一部補てんをするという意味において支給をされておるわけでございます。物価が高いからということで勤務地手当、今日におきます調整手当というようなものも支給をされておる例がございます。もちろん、石炭手当はかなりの金額になっておることもよく承知いたしておりますけれども、何しろ家計一般を補うものとしての支給でございますので、所得税から申しますと給与の問題として考えなければならないわけでございます。確かに現物、実費弁償ということでございますれば、所得税としていろいろ考えるわけでございますが、現物であるから課税除外するという考え方はなかなかなじみがたいのでございます。
 通勤費につきまして確かに非課税にしておりますけれども、これは若干理屈がございまして、たとえば勤務をする人が一体自分の自宅におるのか勤務地におるのかというような、いろいろな議論もあった末、通勤手当というものが支給されます場合には、ある限度のもとでございますけれども、これを非課税にするということを規定いたしておりますが、いささか石炭手当等につきましてその理論をすぐさま当てはめるというわけにはまいりません。したがいまして、長い問いろいろそういう御議論がございますし、われわれもまた同じようなお答えをしておりますけれども、税法上別個に扱うというのはなかなかむずかしい事情でございます。
#93
○横路委員 しかし、それは通勤費と同じなんですね。北海道で生活するからそれはかかるのでありまして、ほかでなら石炭なんというものはかからぬわけですよ。ですから、その考え方自身も、八月の末、これはその時点が安いからそのときにということなんですが、運賃まで入っておるわけですね。運搬賃まで入れて見ておるわけですよ。積算の根拠は、さっき言ったように石炭何トンということで、甲乙丙と分けて、どのくらいかかるかということでカロリー計算もしてやるということですから、完全な実費弁償であるし、通勤費と同じだろうと私は思いますが、時間が来ましたのでまたの機会に議論することにしたいと思います。
 国税の人にはお待たせして申しわけなかったのですが、時間がなかったものですから、その関係は今度租税特別措置の審議のときにでも少し時間をいただきましてすることにして、終わりにしたいと思います。
#94
○上村委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十六分開議
#95
○伊藤委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
#96
○広瀬(秀)委員 所得税法の一部改正について質問をいたしますが、ことしは――ことしというのは昭和五十年度でありますが、五十年度の所得税法改正はまさにミニ減税だ、われわれはそう思っているわけです。先ほど主税局長の答弁によりますと、昨年の昭和四十九年度の効果が及んでおるということで、これはそうミニではございません、こういうことなんでありますが、私どもはやはり所得減税はまさにミニ減税であって、今日の物価がとにかくいま落ちつきを取り戻したと言っているけれども、二けたで、二月の消費者物価指数は対前年比で一三・八%だ。こういうことで、どうも物価の問題についても、政府はもう二けたくらいはへいちゃらになっているのじゃないかというような危惧をむしろ抱くわけなんですね。
 そういうことは別といたしましても、やはりこれだけ物価が上がるという状況の中で、したがって名目賃金も当然上がる。累進課税をとっている所得税が、減税を少しばかりやってもそれは減税とは映らない、むしろ増税だというように映っている。そういう問題について、物価調整ということをどういうように税制の面で考えていったらいいのか。
 果たして四十九年度の税制改正の際も、これは九・八%程度の物価上昇だ、こう思っていたところが、年率でも二二・八%ぐらいですか、そういうことになってきている。これで当初皆さんが出した物価調整所要減税はこのくらいですということなんかは、まるっきり数値が違うではないか。そういうようなことで、昨年は一兆三千四百五十億というような所得減税をやったと言いますけれども、これが果たして物価調整という意味を正しく機能したものであるかどうか、こういう点について非常にわれわれ疑問を持つわけです。
 そして、ことしも、去年の効果も及んでいるのだからということで、物価が昭和五十年度は一一・八%だと見通しされておりますが、果たしてこれでおさまるかどうかというようなこともきわめて未知数で、まず政府の見通しが物価問題でそう当たったこともない、大概大きく現実の方がかなり高い上昇率を示すというようなことなんですけれども、この物価調整減税というものを昭和五十年度についてどういうようにお考えになっておられ、その額というのはどのくらいに見積もられておるのか、この辺のところを、納得のいくように、わかりやすく、物価が上がった分はやはり減税の面で調整されるというような端的な答えを国民大衆は望んでいると思うのです。この点非常にわからないところですので、その辺のところをまずひとつお聞きいたしたいと思います。
#97
○中橋政府委員 物価の問題と所得税でございますが、消費者物価の上昇が五十年度におきまして、四十九年度に対比して一一・八%伸びるということは、政府の経済見通しに明らかにされておるところでございます。もちろんその同じような数字が四十九年度におきましては、当初において九・六%でございました。それが実績としましては二二・〇になったということも事実でございます。
 ただ、最近の物価の足取りを見てみまして、いまお示しのように一三・何がしということになっておりまして、たとえば四十九年度年度間におきます上昇、昨年の三月とことしの三月とを比べてみまして、一五%を割るというような目標が一応立てられておりますけれども、それはほぼ実現するのではないかという見通しはございます。それを前提といたしまして、今後どういうような物価の足取りがあるかということは、なかなか予断を許しませんけれども、最近の数カ月間の足取りというものを考えてみますれば、恐らく当初予定の一一・八%程度の上昇にとどまるのではないか、いろいろな経済施策もまさにその一点に集中をいたしておりますから、ことしの三月と来年の三月は一けた台になるということも、あながち実現不可能ではないというふうに思っております。
 それで、一一・八%を前提といたしまして、それでは所得税の物価調整減税について一体幾らぐらいの財源が要るのかという問題であります。一応、課税最低限を消費者物価の一一・八%上昇ということで、その場合の物価調整減税はどのくらい要るのかという計算をいたしますと、従来どおりの方式でございますが四千三百五十億円、物価調整のためにそれだけの金額を要するということになるわけでございます。そこで、昨年の減税の平年度化が本年一体どれくらいになるのかという金額を計算いたしてみますと、三千四百九十億円という金額が出るわけでございます。したがいまして、本年度、先ほどの四千三百五十億円という物価調整のための所要額のために新たに減税をします必要額は八百六十億円ということになるわけでございます。
 過去におきましても、毎年同じような計算をやっておりまして、物価調整のために一体どれくらいの減税額を要するかという計算をいたしました。そこで、もちろん前年度の所得税の減税がございますれば、その平年度化という金額を差し引きまして、新たにその年に追加的な減税として要する金額は幾らであるかという金額を算出するわけでございます。四十九年度の所得税の減税が非常に大幅でありましたために、その平年度化の金額もきわめて大幅になりましたということから、今年新たに追加する金額は八百六十億円にとどまるわけであります。
#98
○広瀬(秀)委員 四十九年度は大体所得の伸びは二〇%程度であろう、こういうように予測をされておったわけですね。ところが現実には、四十九年春闘において、労働者の調査結果を見ますと、これは賃金所得ですけれども、三二・九%程度上昇しているという数字が、もうすでにポピュラーな数字になっているわけです。そういう点での見通しの違いというものが、この平年度化の物価調整減税所要額の計算にどういう影響を及ぼしているのか、このあたりの理屈がどうもわからない。たとえば三二・九%も賃金所得がふえている、しかもかつてない大幅な減税を、確かに金額の面では一兆五千億近い減税をやっている。それにもかかわらず、総理府の全国勤労者世帯の実収入というものがありますが、四十九年の一月から三月までは石油危機以来の物価上昇が激しくなっているものですから、実質実収入は六・二%、五・八%、八・五%というようにマイナスになってきておる。四月に、一部賃上げがすでに四月から実施されたところもあって、マイナスの数字はやや減少して、マイナス二・九%、それから五月には、いわゆる春闘における賃上げがカバーをいたしまして六・五%、以下六月、七月、八月、九月、二・三%、一〇・六%、二・二%、〇・一%というぐあいに、九月までは実収入がやや上昇した。十月を迎えますと途端にマイナス六・九%、マイナス七・九%、十二月はボーナスのせいもあってわずかながら三・四%だけ実質実収入が上昇した、こういうことになっているわけです。
 要するに、実質実収入が減ったということは、生活がそれだけ勤労大衆の中で苦しくなっているということだと思うのです。こういう数字を見てみますと、これはやはり物価上昇が主犯であることに間違いはないけれども、物価調整減税をやったということが全く意味をなさないことなのではないのかということを端的に物語っていると思うのです。これは政府の統計数字ですから、かなり厳密なものであろうし、しかも若干の操作ぐらいは消費者物価というようなものでもあるのではないかということすら疑われている中で、それを前提にして議論をして、なおかつこういう実態が物価上昇の中で生まれてきておるというようなことを考えますと、どうも政府の物価調整減税というものの計算の仕方というか中身というか、そういうものが大変信憑性のない数字ではないか、こう疑問を出さざるを得ないわけですが、この辺のところは一体どうなんですか。
#99
○中橋政府委員 先ほどお示しの家計調査におきましては確かに消費支出は名目でかなり伸びておりますが、実質は落ちておることも確かでございます。
 一方また、そういう事態のもとにおきましても貯蓄は三〇・七%ふえておるわけでございますので、消費の態度というのが四十九年の家計調査から見ましてかなり変わったというふうにうかがえるわけでございます。そのもとになっておりますいろいろな数字を見てみましても、いわゆる勤労所得税として家計調査の中にあらわれてきております数字は〇・五%の増でございますから、実は減税が非常に効いて、ほとんど変わらないという数字になっておるわけでございます。そういうものは一体消費に向かったのか貯蓄に向かったのかという問題は午前中も御指摘がございましたけれども、所得税におきましてはほとんどふえていないということは、やはり四十九年の家計調査からも言えるわけでございます。
 それから、それでは今度、四十九年と五十年ということを見てみまして、一一・八%の年度平均の消費者物価指数、物価の上昇ということはございますけれども、それに対応しましては、われわれの課税最低限というものは各家族構成で見てみましても一一・八を上回る、たとえば夫婦子供二人の給与所得者でございますれば、二一・四%というふうに上回っておりますので、そういう物価調整的なものは、先ほどの総体の計算あるいは個別に家族構成別に見ましても、十分果たしておるのではないかというふうに考えております。
#100
○広瀬(秀)委員 この物価調整減税というものについて、どういう数値をとってどういう算式で、なるほどそれならば物価上昇分は税制の面で正しく反映をされ、調整をされていくなという説明が、私どももずいぶん長いこと議論をしているんですけれども、どうも端的にわかるように与えられたためしがない。したがって、去年あれだけ減税をやっても、しかも政府当局の予想せざる大幅な賃金上昇の中でも調整し切れなかったのではないかということが――いま申し上げたような実質収入が下がる、生活水準が逆に下がるというような大衆の姿が出ると、私どもは、物価調整減税という言葉はあるけれども、中身というものはかなりまやかしの多い数字遊びに終わっているのではないかということを感ぜざるを得ないのです。
 やはりこのインフレ下においては、正しく確実に物価上昇に対する調整が税制面でも行われる、そして物価が上がり名目賃金が上がることによっても租税がそれほど国民生活に重圧を加えないで済むという、そういう関係がはっきりわかるようなものにしなければ、インフレ下における税制のあり方としても非常にぐあいが悪いのではないかと思わざるを得ないわけですが、その辺のところは、数値と算式というものをここでひとつ示していただきたいと思うのです。
#101
○中橋政府委員 やはり物価調整減税の考え方と申しますのは、課税最低限を物価の上昇に応じまして引き上げるというそのための所要減税額でございます。したがいまして、全体としていろいろな控除がございます。それは個々人にしてみれば課税最低限というものを構成しますから、その総体金額は一体幾らになるのか。それが、たとえば一一・八%物価上昇をしますならば、その分がふくれ上がらなければなりませんから、そのふくれ上がるのが一体幾らになるのかというようなものから物価調整減税額というものは出てくるわけでございます。
 したがいまして、一一・八ということについて、これは一一・八でとまらないぞというお疑いがございますれば、その算式での計算は御信頼をいただけないわけでございますが、一一・八%の物価の上昇率ということを前提とされますれば、これは毎年同じような方式でやっております金額でございますので、そんなに私どもの方の計算が誤りであるとは思えないのでございます。
 それで、しかも昨年度の大幅な所得税の減税のもとにおきましては、物価の上昇は確かに当初九・六と言っておりましたものが二二・〇になりました。しかし、そのときの課税最低限の上昇というのは、まあ夫婦子供二人でございますけれども、三四・四%上がるということでございますから、そのときの当初におきましても、実績におきましても、非常に大幅な課税最低限の引き上げがあったわけでございますので、物価の上昇というものが当初の予測を外れて大幅にありましたけれども、それを補って余りあるものが実は昨年は実現したわけでございます。
 それが、たとえば仮に計算をいたしまして、四十九年の年収二百万円の人が、三〇%収入がふえたということで二百六十万円になった場合の税引きの可処分所得というのを比較いたしましても、先ほどお答えしましたように、三〇%を超える伸びを示しておるわけでございます。したがいまして、それは所得税の減税が非常に効いて、所得の上昇をそのまま可処分所得の上昇に反映し得たということでございますので、その際の三〇%の税引き手取りの上昇ということに対比して、物価が二二%の上昇でございますから、その面から言いましても、やはり課税最低限の上昇の方がはるかに上回っておったということが、四十九年度の実績としては言えると思うわけでございます。
 五十年度はそれでは一体どうなるのかということでございますけれども、これは私どもとしますれば先ほど申しましたような一一・八の消費者物価の上昇ということを前提にいたしますれば、全体的にも、それからまた家族構成別に見ましても、それを上回る課税最低限の引き上げでございますので、物価上昇を上回って減税を行ったということは言えると思います。
 ただ、物価調整減税ということになりますれば、本来ならば、課税最低限を引き上げますとともに、税率の適用階層もそれに応じて広げなければならないという問題がございます。しかし、私どもはそれはとらなかったのでございまして、いわば課税最低限の近くにある人については非常に配慮をする、高額の所得者については、累進構造は昨年のままのものをとるということでございますから、所得がかなり伸びたという人につきましては、この累進税率の面から税負担が重くなるという点はございますけれども、課税最低限に関します限りは十分配意をしたつもりでございます。
#102
○広瀬(秀)委員 最も端的にわかりやすい物価調整減税というのをやるからには、たとえば、ことし二百万円の人の給与が二〇%上がれば二百四十万円になる。その場合には、物価が上がることによって上がった名目賃金でありますから、その分の四十万円というのは、特別なインフレ控除というような形で所得から控除をする、一般の人的控除やその他の特別控除というようなもののほかに、あるいは給与所得の所得控除というもののほかに、インフレ控除というような形でやるか、あるいはまた、われわれがこの委員会で、一律に一定限度までのところをにらんで、三万円の税額控除をやりなさい、こういうようなことをやれば国民には非常にわかりやすい。
 いまいろいろ説明はされましたけれども、なかなかむずかしくて、国民全体に対してわかりやすい構造にはなっていない。そうしてまた現実に、先ほど申し上げたような、あれだけ大幅な賃上げがあって、しかも大幅な減税があって、しかもなおかつ実質収入というようなものは減っている、生活はより一層苦しくなっている、こういうようなことに対してこたえる道というのは、いま申し上げたようなことを思い切ってやる以外に、わかりやすいインフレ下における物価調整ということではないのではないか、こういう気がするわけですよ。いま私が二つ挙げたそういう方向でやれば、国民はなるほどとわかって、税に対する信頼もかなり回復されるのではないかと思うわけですけれども、いかがですか。
#103
○中橋政府委員 いまのお話は二つ問題を含んでおると思います。
 一つは、給与収入が仮に二〇%伸びるということは、全部それは物価の上昇に対応しておるのだからということでございますけれども、いまの物価上昇一一・八を前提といたしますれば、仮に二〇%給与が伸びたということになりますと、その差額はむしろ実質的な所得の増加というふうに見ざるを得ないわけでございもす。したがって、給与の伸びそのものについて所得税の増加がないようにするということは、所得税の累進構造をとっております以上、なかなかむずかしいわけでございまして、物価の上昇を超える部分はやはり実質的な給与の増加部分として、累進構造を働かさなければならないわけでございます。
 それから、そういう数字を一致させるとしまして、所得控除で課税最低限を引き上げるのがよろしいか、税額控除でそういうものを引くのがよろしいかという問題でございます。それは一つの考え方として、税額で引くということも私は決して成り立ち得ない考え方ではないと思いますけれども、今日までの経過が、所得税がかからない生活費というものを中心にいたしましていわゆる課税最低限を表示してまいりましたから、百五十万円がそういうものであります、あるいは今回の百八十三万円がそういうものでありますということも、納税者としては非常にわかりやすい表示の方法であると思っておりますから、その場合には所得控除ということで物価対応の課税最低限の引き上げということが実現するわけでございます。それは物の考え方でございまして、税額控除でやるのがよろしいか、所得控除でやるのがよろしいか、私としますれば、今日までの経過から言って、あながち税額控除の方がよりわかりやすいということはないと思います。
#104
○広瀬(秀)委員 どうもなかなか論議がかみ合いませんから次の問題に移りますが、この物価調整減税の所要額をどう正しく算定するかという問題については、いずれまた改めて議論をしたいと思います。
 次に、私の手元に「年間収入の五分位階級別実収入及び消費支出の対前年同月増加率」という資料があるのですが、これは総理府の統計局から一番新しいものということでとったわけでございますが、実収入で四十九年の四−六月、第一階級は実質マイナス一・一%、第二分位で一・七%、これはマイナスではない、第三分位が〇・四%マイナス、第四分位が二・二%、第五分位が三・七%と、これは実質プラスになっているわけです。消費支出は、第一から第四階級まではマイナス一四・七、マイナス七・七、マイナス八・四、マイナス三・三と、こういうように第一分位が一番消費支出の実質がずっと下がっているという数字になっているわけですが、第五分位は一六・五%、こういうことになっております。
 ちなみに、四十八年度の階級別の第一階級から第五階級までの所得の金額はどういうように分けられているかと言うと、第一階級は大体百二十万六千円までだそうですが、それから第二は百五十二万三千円まで、第三は百八十七万四千円まで、第四は二百四十万七千円まで、それを超える者を第五分位と、こういうことですね。
 そうなりますと、やはり月収にしまして二十万、年収二百四十万以上のところで、ようやく実収入の実質価値が四−六月のところでは若干プラスになっている。それから、消費支出の方はずっと第四分位まで全部マイナスを記録している。消費支出の面では第五分位以上の者、こういう階級の者だけがマイナスにならないということになっている。こういう数字は、これが七−九月になりますとさらにマイナスが多くなる、あるいは十月月−十二月期ということになるとさらにそれぞれマイナスが増大をしていく、これは当然こういう数字になると推計されるわけですね。
 こういう現実の数字を見ますと、四十九年度の大幅減税というかつてない大減税をやったという中で、一つの問題点がこの辺で浮かび上がってくるのではないかという気がするのです。というのは、この給与所得控除というようなことでいままで定額分、定率分というように分けて、しかも頭打ちを所得ベース六百十六万、税額で七十六万という最高限度額を設けておった。それを百五十万、三百万、六百万あるいは六百万以上とこういうように分けて、四〇%、三〇%、二〇%、そして青天井でいかなる高額所得者といえども一〇%の控除を受けられる、こういうようにすることによって非常に高額所得者優遇、いわゆる社長減税だというような批判を私どもやたわけなんですけれども、そういう面がこういうところに端的に出ているのではないか。低額所得層、特に第四分位ぐらいまでの層はおしなべて減税の恩恵が薄かった、それ以上のところに減税の恩恵というのは集中をして、この実質消費支出の増というようなことにつながっていく、そういう面で果たした役割りというのは非常に大きいのではないかということを推測するに足る資料だと私は考えているのですが、その辺のところを主税当局はどういうように見られておりますか。
#105
○中橋政府委員 確かに、昨年度の所得税の大改正の中で、税率の緩和でございますとか給与所得控除の拡張、特にいわゆる限度を撤廃しましたということが、給与所得者の中での高額の者について相当程度の減税をもたらしたということは事実でございます。まあ全体としましての階層別の軽減割合を見ますれば、もちろん低額の収入を持っておる人たちの方が高額の収入者よりはそのウエートは高いわけでございますけれども、高額の給与所得者が減税をかなり受けたということは事実でございます。
 これは恐らく昨年も御議論になったと思いますが、私は、税率の緩和といいますのは、従来の累進構造というものではその後におきますいわゆる物価調整というものがなかなか行いがたいのでかなり思い切ってやられたということが一つと、それから給与所得控除というものの形をかりましてて、勤労性の所得と資産性の所得という問題についてある程度の解決が与えられたものと思っております。そういう観点から言いますと、単に高額所得者についての減税が例年よりも非常に大きかったということは、事実は事実として認めますけれども、それはそれなりに一つの非常に大きな意義があったというふうに思っております。
 いまお示しの第一分位から第五分位までの消費支出の状況等から言いまして、そういう高額の収入階層と低額の収入階層の消費態度というものにかなり差が出つつあるのではないかということは、これも恐らくそういうことは看取されます。
 それからまた一方、低額所得者につきましての問題としましては、先ほど全体の家計調査から申しましたように、可処分所得としましては大体横滑りになっております。ということは、所得税の減税というのは非常に効いた、しかもその中で貯蓄が三割も伸びたということでございまするから、消費の伸びは下回り、しかも実質は前年対比ではマイナスを示したということも、そういう結果であろうと思っております。
#106
○広瀬(秀)委員 陳弁これ努められたと思うのですけれども、四十九年度の減税によって、たとえば一千万円のところで所得税は約九十万減税になっておりますね。それから二千万のところでは、地方税まで含めますと二百五万になりますか。三千万のところで二百八十七万、五千万のところで約四百六万、一億のところでは七百九万というように負担が軽減されたわけですね。
 そこで、昨年高木主税局長に、なぜこれほど高額所得者に、たとえば一億のところで七百万円まけてやらなければならないのか、あるいは五千万のところで四百六万円まけてやらなければならないのか、その減税額だけの四百六万の年収がある人は幾らもいないわけですね。恐らく非常に少ないパーセントでしかない。そういうところにそれだけまけてやるのはなぜかという質問をしたわけですが、そのときに高木局長は、多分地位が上がるに従って給与所得も上がってまいります、そうしますと、部下の監督、管理の立場に立つような人たちは、必要経費とは言いませんけれども、部下と一緒に飲食をするような機会というものも非常に多くなる、やはり高額所得者だからこそ、あるいは地位の高い者だからこそ経費がかかるではないか、そういうものをある程度見てやらなければいけない。さらにまた、会社の交際というようなものをそういう立場の人たちがどんどん支出をするというようなことについても、交際費というような不明朗なものは余り使ってはいかぬのだというけじめをきちんとつけるために、逆にそういう面の減税を一方において考えなければならぬ、こういうような説明を実はされたわけですね。
 しかし、私どもは、今度の改正で、この給与所得控除の場合にはやはり適正な限度額というものを設けて頭打ちにすることがより一層公平の原則にかなうし、公正な処置ではないか、社会的不公正の是正が叫ばれている今日的な課題として、そういうことが当然必要ではないかということを主張をしておるわけです。
 私も本会議の代表質問において、大体百九十万ぐらいのところ、あるいは二百万ぐらいのところで頭打ちにしたらどうかと申しましたが、たとえば部下と一緒に飲んだときに全部ツケを自分が持つというようなこともこれはあるでしょう、あるけれども、そういうようなことが必要だとして、そういうものを減税対象にしていくんだというならば、これはどうもやはり高給者というか地位の高い高額所得層に対してはそういう点で必要経費というようなものを認めることにつながっていくのじゃないですか、こういうように考えるわけですね。したがって、五十年度の改正について、私どもはそういう形で限度を適正なところに設けたらどうかという提案をしておるわけですけれども、そういう点にこたえた改正案は少なくとも提案されていないわけですね。あなたは高木さんが説明されたと同じ考えでおられるのか。この辺のところははっきりお考えをこの際聞いておかなければならないと思うのですがね。
#107
○中橋政府委員 給与所得控除の率を非常に拡張いたしまして、しかもそれについて限度を設けなかったということにつきまして、私は当時もちろん主税局におりませんでしたけれども、私は私なりに理解をいたしておりまして、それはいまお話しのように、高木前局長が非常に即物的に、いろいろ給与所得者の収入が多くなれば部下その他の管理について諸掛かりの費用も多くなるというように御説明になったようでございまするけれども、私はそれは一つの例示であると思っております。
 むしろ、基本的には、給与所得控除は一体なぜ与えるのかということから考えてみまして、これは私は前々から申し上げておりますように、単に必要経費だけではないと思っております。やはり勤労性の所得というものについての担税力という問題を考えまして、それについての給与所得控除ということもその要素としてはかなり大きいのではないかというふうに思います。
 たとえば、アメリカにおきましては、所得税の最高税率は七〇%でございますけれども、勤労性の所得については五〇%でとめるというような配慮をいたしております。わが国においてもそういった観点で検討をなされてもしかるべき問題であったかもしれませんが、それを給与所得控除という形で一〇%いわば課税所得を引くという形で算出するというのが昨年の改正の一つの大きな眼目ではなかったかと思います。確かに必要経費は収入がふえればそれにスライドして伸びる部分もございましょうけれども、それだけではございませんで、やはりさっき私が申しましたような勤労性所得についてのいろいろな配慮というものも、こういう形をかりて行ってしかるべきものではないかと私はいまでも考えております。
#108
○広瀬(秀)委員 去年の、四十九年度の所得税改正で給与所得控除を青天井にした。いま数字を挙げましたけれども、そういう税率の改正と給与所得控除の青天井ということによって、一億円のところで七百九万円の減税になった。一億円も所得のある人に七百万円も減税をするというようなことがなぜ妥当性があるのかということを低所得階層はわからぬわけですよ。どういうところに合理的な根拠があってそういうことをするのかということについて、もう一遍ひとつ国民大衆に向かって説明をしてもらいたいのですよ。
 ことしは、それがそのまま横滑りになっておりますから、五十年度にもそれがそのまま効果が及んでおるわけですから、その点どうしても私どもはもうすでに済んだことだからと言って見逃すわけにはまいりません。これはやはり先ほども提案をしたように、一定限界というものを設けて、給与所得控除は定率一本で最低五十万円の定額控除ということで行われておりますけれども、どれほど高額な所得者であっても一〇%の控除は受けられるのだという青天井、したがって一億円の所得者ならば一千万円近くそれで控除されるということにもなるわけですから、逆に言えば、一千万円に近いものが控除されるという理屈にもなるわけですよ。それだけ控除する理由というのは、やはり低所得の国民階層、そして三二%も給料を上げながらなおかつ生活を下げなければならない、実収入が先ほど申し上げたような数字で下がっている、そして消費支出も実質的に下がっている、そういう人たちにとっては、これはまさに納得のできない数字だろうと思うのですね。
 なるほど、高額所得層だからということで、いままでの七十六万円でいいというようなやぼなことは私どもも申すつもりはありません。そういうふうに地位が上がり高額所得者であるということになれば、部下とのつき合いで部下にみんな兵隊勘定でやらせることもなかなか現実問題としてできないという実情もわかりますよ。わかるけれども、だからと言って、この一〇%という控除を無制限に青天井で許していくということはどうしても納得ができないのですね。その辺のところを国民大衆に向かって、どういうことでこれは必要なんですということを話してもらえないですか。
#109
○中橋政府委員 それは、繰り返しになりますけれども、給与所得控除を一体なぜ認めておるのかという問題に帰するわけでございます。昨年上の方もそういうふうに天井を撤廃いたしましたけれども、下の方につきましても、従来の給与所得控除の考え方というのを基本的に改めまして、五十万円という最低限を設けたわけでございます。五十万円という金額も、これはおっしゃいますような必要経費ということだけではなかなか説明がつかない数字でございます。
 結局、去年の給与所得控除の改正といいますのは、従来の必要経費というものも確かに見直しをしましたし、それからまた、源泉徴収に連なるいろいろな問題もこれでもってかなり解決をしたいという気持ちもありましたし、それからまた、私が先ほど申し上げましたような勤労性の所得につきましての担税力という点についてもこういう形でしんしゃくをする、また、それが最近の外国の例にも見られるところでございますから、こういうものをひっくるめまして給与所得控除という形をかりてやったと思います。したがいまして、一昨年までの給与所得控除の考え方からすればなかなか説明がしがたいものが各階層について実はあったと思います。
 先ほど私が申しましたように、下のところの率、金額から申しましても、飛躍的にふやしたわけでございます。上もまた数量的にふやしましたし、質的には、御指摘のように、限度を設けなくしましたということでございますから、その点に関しまして申し上げれば、やはり私は、勤労性の所得の担税力の弱さということをこの場合給与所得控除で考えるということが大きな要因であったと思っております。したがいまして、一億円前後の人については、お示しのように七百万円税金が変わってきておるということは確かでございますけれども、それはやはり、新しい給与所得控除のもとにおきましての所得税の負担ということから考えれば、それもまた納得できる数字だと思っております。
#110
○広瀬(秀)委員 担税力の弱さ、これは給与所得者全体に通ずることではあるけれども、しかし、所得の階層によって――先ほども申し上げたように、収入階級別の五分位法による階級別で第四分位というのは比較的高い方ですが、これが二百四十二万円くらいまでのところだというのですね、月収大体二十万というところですよ、そういうところが四−六月のところで二・二%実収入もふえておったという程度でありますから、少なくともこの辺ぐらいのところが何か線を引く一つの目安になるのではないかというような感じがするわけですね。そういうことですから、せめてその辺のところで頭打ちをさせても、これは一向差し支えないことではないか。それだけで片方は一家全体を養って、しかもあれだけの物価高の中で消費支出もほぼ横ばいのところに来ているんだというようなことなんですからね。それを、まるまる七百万とか一千万とかいうような給与所得控除というものが果たして必要なのかどうか。
 これは必要経費論ばかりではないことは、もう私どもも百も承知をいたしておるわけです。給与所得控除の理論としては四つぐらいの理由が考えられるというようなことは、もうずいぶんここでも論議をしてきているわけですから、それはよくわかっておりますが、この青天井というものにやはり一定の限界を設けるべきだという考えには全然なりませんか。どうも先ほどの説明はやはり私ども納得のできる説明ではないと思うのですがね。
 これはきわめて私案でありますけれども、少なくとも二百万ぐらいのところで線を引いても、そういう人たちについての担税力の問題から見ましても、あるいはまた高額所得者の納める税金に対する金利の問題とかあるいはその他の問題を考えても、一定の限界があっても何ら差し支えのないことであるし、国民の合意として受け入れられる筋のものであろう、こういうように考えるわけですが、そういう考えはもうこれから一切とらぬ、こういうお考えですか、それとも再検討する気持ちがありますか、その辺のところはどうですか。
#111
○中橋政府委員 確かに一昨年までの給与所得控除の考えを延長いたしますれば、恐らくいま広瀬委員がおっしゃいましたように、ある程度の給与収入のところで給与所得控除というのは限度を設けるということは、十分成り立ち得る考えだと思っております。
 ただ、昨年の改正というのは、先ほど来申し上げておりますように、従来の線以上に給与所得控除の各種の構成要素というのをそれぞれ強く見たような気がいたします。また、それはそれで給与所得控除といいますか、勤労性の所得というものに対する考え方として決して誤っていないと思うわけでございます。昨年はそういうことで従来の給与所得の考え方の線をかなり延ばしたところからスタートした改正でございます。その点は私も認めますけれども、それはそれで十分の理由があり、またやがてわが所得税制の中に定着をしていくものであると思います。おっしゃいますように、改正前後におきますところの負担としては非常に激変をいたしておりますが、やがて勤労性の所得に対する物の見方としては、だんだんなじみやすくなってくるのではないかというふうに考えております。
#112
○広瀬(秀)委員 私は四十九年の改正というのは、ある意味においては高額所得層に――去年の高木主税局長の説明の中に、高額所得者になればなるほど、先ほど具体例を申し上げたようなそういう経費というものがどうしてもかかるということをちゃんと言っておられるのですよ。そうだとすれば、これはやはり必要経費をある程度かなり理解ある態度で高額所得層には認めたという見解につながってくるんじゃないかと思うのですよ。
 もしそういうことならば、これは、いわゆる源泉徴収という問題の中での給与所得控除は必要経費の概算控除である、源泉徴収をされる勤労給与所得者は必要経費というものは全く認められない、概算控除だけであるというようなことで、真に必要経費というようなものがあってもそれは認められないんだ、こういう問題とのかかわり合いの中で、高額所得層だけには必要経費に対してさらに、概算控除ということでくくった形ではあるけれども、非常に理解ある、前進した態度を示された、こういうように見るんですよ。
 そうだとすれば、これはやはり源泉徴収者で、これはけしからぬという形の中で必要経費の申告をしていくというようなことについても当然これは認められてしかるべきじゃないか。源泉徴収制度というものそれ自体が違憲であるということは、もうすでに最高裁の判決も出ておることだから、私はこの際それは言うつもりはありません。しかし源泉徴収というものがあって、これは違憲ではないということになっても、実際に申告をしなければ必要経費が引き切れないという特別な事情があった人、特別な事情が出てくる場合があると思うんですよ。たとえば一定の研修を受けるというようなことで、その研修を受けるためには非常に高価な書物を購入しなければならないとか、あるいは居を移してやらなければならないとか、いろんな特別な事情というようなものがあるわけですね。そういう特殊な、これはやはり必要経費ではないかというような場合に、申告をして必要経費控除を認めてもらいたいというのを拒否するということは、これはまさに憲法違反ではないかという気がするわけですよ。
 したがって、この源泉徴収制度というもの自体に対しても、去年、四十九年度の税制改正の考え方というようなものを押し及ぼしていけば、やはりその程度のことは認める立場に立つ、したがってこの選択を国民の側に認める。申告をするが、源泉徴収のままでいくかということについては、やはり所得税納税者の選択に任すという道を開く、こういうようなことと論理的に矛盾をしないことになるのではないかというように考えるのですが、この問題はいかがですか。
#113
○中橋政府委員 給与所得控除といいますものは一体何ででき上がっておるかということは、先ほど申しましたように、いろいろな要素ででき上がっておるわけでございます。したがいまして、それは現実に算定せられる必要経費というものをかなり上回って設定せられておる今日の制度でございまするから、仮に実額的に非常に高い必要経費というものを支出しておるという方がありましても、私は今日の給与所得控除の中でほとんど賄えるものだというふうに思っております。もちろん例外的に、それはそういう方はあるかもしれませんけれども、往々にしましてそこで言っておられますいわゆる必要経費といいますのは、私どもの目から見れば、それは給与収入を得るための必要経費というものでございませんで、給与所得から払われる、いわば消費支出として処分をせられるものを必要経費として言っておられる場合が多うございます。したがいまして、そういうものは仮に実額必要経費控除という制度ができましたとしましても、それはやはり幾ら個別に申告をなさっても見られないわけでございます。
 そういうことでございまするから、一体、今日の給与所得控除の程度が、言われますような現実に認められる必要経費といかなる関係にあるのかというのは、われわれも今後また勉強しなければなりませんけれども、今日までのわれわれの考え方から言いますれば、そんなに多くの必要経費というのは入っていない。したがいまして、実額として控除しなければならないものというのはほとんど予想されないという事態でございます。しかしなお、これはもうしばらく、現実に一体どういうようなものがわれわれが言っております給与所得控除でカバーし切れないかどうか検討しなければならないと思っております。
#114
○広瀬(秀)委員 いま局長も、まあそういう経費の概算控除としての今日の給与所得控除というもので大概カバーできる、しかし特殊な例というものはやはり認められたわけですね、そういう場合もあるでしょうと。そういう者があった場合に、これはやはりそういう人は、それが必要経費として認定されるかされないかは別として、少なくとも必要経費だと本人が考え、そしてそれを税務署に申告をする、実額必要経費というものを経費として控除してもらいたいという申告をする、そういう権利というものを否認するということになったら、やはり憲法十四条違反ではないかということに当然なると思うのですよ。
 そういう特殊な例だって絶無とは言えないわけですよ。五千二、三百万人の就業者の中で三千六百万の勤労所得者がいるわけですからね。そういう中に、これは非常にレアケースであり、少ない人数であるかもしれないけれども、給与を稼得するための必要経費として当然認められてしかるべきものが概算控除では賄い切れない、それを大きく飛び出すような支出を現にしなければならぬというような例があった場合には、少なくともその人たちは憲法十四条に照らして不平等な取り扱いをその面では税制上受けたということにならざるを得ないわけですよね。そういう者があるとするならば、そういう者の権利というものはやはり認めてあけますという、そういう道だけはこれは当然やはり開いておかなければそれこそ違憲であろう。
 源泉徴収をやることそのものが違憲だという議論を、いま私はいたしません。これは最高裁の判例もあるしするから、一歩後退した形ではあるけれども、そういう者が現にあるんだということが予想される、たとえわずかであっても、少数者であってもそういう者があり得るとするならば、その人たちにはその権利は、自主的に実額控除の申告をするという選択を本人がしてそれが認められるという制度、道はやはり開いておくべきだ。その道を開いておけば、違憲論争というものはこの問題については出てこないだろうと思うのですよ。先ほどそういう場合もあるでしょうという答弁もあったわけだけれども、大部分は賄っている、こういうことだけれども、レアケースとしてそういうことだってあり得る。あり得るとするならば、その者に道を開いて一向差し支えないじゃないか、こういう立論なんですがね。いかがですか。
#115
○中橋政府委員 私が今後検討しなければなりませんと言いましたのは、往々にしまして現在の給与所得控除で賄えない必要経費があると称せられておる人のその課目につきまして検討をし、量的にも判断をしてみなければならないということを申し上げたわけですが、今日までわれわれがいろいろそういう方々の言い分を分析しました限りにおきましては、先ほど来申し上げておりますように、御本人は必要経費と思っておられますけれども、われわれの目から見ますれば、消費支出によって処分をされるべきものであるというのがかなりございます。したがいまして、今日非常に高い、高過ぎると先ほど言われた給与所得控除でございますけれども、それで賄えない純粋必要経費というようなものはほとんどないと私は思っております。
 それからまた、仮にありますとすれば、希有の例でもそれについて道を講じなければ違憲でないかという御批判でございますが、その点に関しましては、すでに例の大島裁判でむしろそういう主張がございました。大島教授が主張せられたいろいろな経費につきまして裁判所で綿密な分析をおやりになりまして、なかなか、あの当時の給与所得控除においてすらそれに達するまでには相当のものを計上しなければならないというような御判定と、それからまた、ほとんどの給与所得者についてはそういう例がないというようなことから、むしろ概括的な給与所得控除というのが今日の所得税制の中でも十分存立の意義があるのではないかというような判示があったわけでございます。したがいまして、私は概括的な給与所得控除というものも決して違憲ではないと思っておりますし、それから三千万人の給与所得納税者がございますときに、非常に希有の、仮にありましたとして希有の例があったときに、そのために実額控除という制度を設けまして概括的な控除の例外措置をつくるのがよろしいのか、今日のような給与所得控除ということで終わるのがよろしいのかという問題は、またその次の問題だと思います。
 たとえば、ドイツにおきまして概算控除のほかに実額控除というのを設けておりますけれども、それは申し上げるまでもなく、非常に低い概算控除でございます。それを超える人というのは、税務署に対して特別の申請をして実額控除をするということでございますから、仮に実額控除を取り入れるということにしますると、やはり今日の給与所得控除というものを洗い直してみなければならないという問題もございます。そういうことより、私はやはり三千万人全体の把握から申しまして、非常に希有な例がありとするときにも、概算控除の方がいいのか悪いのか、そういう判断はそこでやってみなければならないという気がいたします。
#116
○広瀬(秀)委員 そういう例はほとんどあり得ない、こういうわけですが、あった場合にはやはりこれは問題だと思うのですよ。依然として違憲論争というやつは続いて行われるだろうと思うのです。
 大体それでカバーできるんだ、そういう特殊な例に対してもほぼ大丈夫なんだ、こう言っておられるけれども、実際に実額控除をしてもらわなければこれは法の前の平等に反するという事例が絶無だとは言えないと思うのですよ、生きた社会ですから。そういうことならば、制度としてそういうものの場合には実額控除の申告をする権利があるんだということを認めても一向差し支えないわけなんです。逆にその論理を、あなたの言っておられる実情認識そのものを土台にして考えれば、そういう権利を認めておっても、それを利用する人はほとんど実際にもあるいは理論的にもそうはないだろうということにもなるわけで、決して全体的な納税秩序を乱すことにもならないし、少なくともそういう道だけは開いておくということがより一層憲法に忠実な道であろう、こういう考えを私どもは依然として持ち続けます、いまの答弁では。しかし、これ以上は平行線のようだから、きょうはこの問題はこの程度にとどめておきます。
 国税庁が来ましたが、もう一つ主税局関係で、人的控除で基礎控除、配偶者控除、扶養控除と三つありますが、これはずっと歴史をたどってみればいろいろ差があったわけだけれども、それを全部、去年あたりでしたか、その前あたりから、この三つを同じ額にそろえた。基礎控除も今度は二十四万円から二十六万円、配偶者控除も扶養控除もみな同じになった。これはこの三つについてどういう意味で同額でなければならないのかという点について、納得のいくような説明をひとつ願いたい。
#117
○中橋政府委員 基礎控除、配偶者控除、扶養控除につきましては、基本的にはそれぞれの世帯におきましての標準的な生計費がどういうふうに変わってまいるかということから、一人世帯、二人世帯、三人世帯ということで漸次増加の額は逓減してまいるのが普通の状態だろうと思います。そういう観点だけに立ちますれば、わが所得税制におきましても、当初とっておりましたように、基礎控除、その次には第一人目の扶養控除、それから以下扶養控除の人数がふえるごとにその金額を逓減してもしかるべきものでございます。
 ただそこで、配偶者控除というものを扶養控除の中でまず真っ先に取り出しまして基礎控除と同額にしましたのは、そういう生計費理論を一歩超えまして、その当時いろいろ言われましたいわゆる妻の座と申しますか、配偶者の貢献度合いというものもそこに加味してはいかがかというような考え方から、二人世帯、特に夫婦世帯というものを頭に置きまして、それぞれの控除を同額にしたわけでございます。ただ、その場合におきましても、まだ定着いたしておりませんで、その後一回基礎控除と配偶者控除の金額に再び差をつけたときがございますけれども、もう今日はずっと定着してまいりまして、およそ基礎控除と配偶者控除というのは同額であるということになってきております。
 それから、扶養控除につきましては、いろいろ経緯がございましたけれども、お話しのように昨年の大改正のときに、これも従来の生計費理論だけからは完全には説明できないと思いますけれども、ある程度のゆとりを持った課税最低限ということから基礎控除と同額にいたしたわけでございます。
 それで、今回第二年目を迎えるわけでございまするが、恐らくこれも配偶者控除の経過を振り返ってみますれば、ときに開差を生ずる心配もございまするけれども、できますれば、こういった事態でございまするから、同じ金額にするのが納税者にも理解を得るのがやさしいというふうに思っております。しかし、これは何しろそのときの課税最低限なり各種控除の上げ幅と財源の問題が関連いたすものでございますから、ちょっとここの段階においてまだ、今後とも全部一律にしたいという願望を存しつつも、そういたしますということは申しかねるのでございますけれども、やがてこの三種の控除も、私は今日のような形で定着する日が来るのではないかというふうに思っております。
#118
○広瀬(秀)委員 基礎控除の意味、まあ一つ一つ聞けばこれも聞いておきたいわけだけれども、扶養控除というのは、夫婦の間に生まれた子供なりあるいはお年寄りなりという人たちを稼得者の収入で文字どおり扶養する、そのためのものなんですね。人間生活において、もう当然扶養をしなければならない義務があるわけですから扶養をする。こういうことで、扶養される者と妻の立場、配偶者の立場というものが一緒なのかどうなのかということでは、全くこれは違うと思うのです。そのウエートというか貢献度、夫が一家の主人として給与を稼得する場合の貢献の度合いなり寄与の度合いなりは、全く扶養される者とは意味合いの違うものだと思うのですよ。だから前には若干差がついていたはずです。それを今度一緒にしてしまった。それだけ妻の座というものは一体どういうことになったのだろうか。皆さんの認識はどういうように妻の座が変化したからそうなったのか。
 むしろ最近ずっとこの委員会でも妻の座の税制における優遇という問題を取り上げ、相続税の問題なんかでは行き過ぎてしまうほどの貢献度合いをそこでは認める。所得税の段階では全く扶養家族並みである。こういうことはどうなのか。
 それと同時に、私もこれはずいぶん前から主張し、去年もおととしも連続して事業所得者、白色申告の場合の妻の座 優遇という問題を取り上げました。これは青色申告の場合には給与制になっている。片方は、そういう青色申告の妻と同じように働いておりながら、五、六年前までは配偶者控除よりも、妻が専従者である場合に、専従者控除は何万か低かった。そのときから論争をしまして、去年から大分その点認めていただいて三十万になり、今度は四十万にした。これも給与所得控除ではないわけですよ。いわゆる給与制に近づけようという努力はあるけれども、そういうことが認められたわけではない。しかしながら、やはり事業所得者の妻というものはその事業の所得に対して、毎日店に出て働いているというようなことから四十万にことしは引き上げられた。
 こういうようなものとの関連において、それでは給与所得者の妻というものは全く扶養家族並みのことでいいのか。サラリーマンの女房というのは怠け者で、本当の扶養家族、娘や子供と同じ立場でいいのかという問題。まさに妻の座というものがどういうように評価を税制上されるべきなのか、そして給与稼得に対する妻の貢献というようなものに対してどう考えていくか。これは二分二乗方式というようなことについても、ある一定の限界程度のところまでは、たとえば三百万なり五百万くらいのところまでは少なくとも二分二乗方式を導入するというようなところも、もうすでに世界でも見られているではないかというようなことで、ある程度そういう点での評価をする方向に来ている。ずっとここ十数年にわたってこの委員会でも委員の質問に対する答弁の中で、論議の中で、そういう方向に来ている。
 その中で、人的控除としての配偶者控除というものが扶養家族と一緒になってしまったということについては、いま幾つかいろんな例を申し上げたけれども、そういうものとの関連において、まことにこれは不可思議であると言わざるを得ないのです。配偶者控除の意味というのは、したがってどういうものなのかということを聞かざるを得ないと思うのですよ。
#119
○中橋政府委員 配偶者控除が基礎控除と同額で生まれて定着をしました。それから、今日におきましては扶養控除も基礎控除と同額になってきまして、恐らく定着をしましょうということを申し上げましたけれども、これは原則的にはやはり家計費というものを頭に置いて、一人世帯、二人世帯、三人世帯というものは、厳密に申せば家計費の増加は逓減をしてまいるわけですから、所得税の諸控除もそれに応じて逓減をするのが理論的でございますけれども、そこのところは理解を簡便にいたしますために、一人当たり幾らという家計費の増加ということで割り切ったわけでございます。
 したがいまして、この三者の金額が定着をしてまいれば、もはや世帯控除というような形でもって、一人世帯、二人世帯、三人世帯は幾らということで総計で示すのも可能なわけでございます。かって私どもそういうことを考えた時期もございましたけれども、それはまだ三種の控除額が違いがある、またあり得るというようなことでございましたから、なかなかそこまで踏み切れなかったわけでございますけれども、扶養控除も今日の高さになりますれば、広瀬委員のおっしゃいますように、それは配偶者控除の地位を相対的に低めたことになったかもしれませんけれども、別の見方で申せば、全部が基礎控除並みの高さになったわけでございますので、そういうようなことが続け得るというような段階になれば、世帯人員掛ける何人というのが世帯控除でございますということで割り切っていいのではないかという気が私はいたすわけでございます。
 それから、基礎控除といい、配偶者控除といい、扶養控除と申しますのは、すべて一つの家計の中におきますところの課税をいかにするかというときの配慮としての金高でございます。それから専従者控除と申しますのは、青色であれ白色であれ、いわば企業と家計との橋渡しを青色専従者控除とかあるいは白色者の専従者控除という形でつけるわけでございます。ですから、家計の中におきますところの配偶者控除と、それから企業から家計に橋渡しをしてまいります配偶者たる専従者控除というものは、そもそも基本的に考え方が違うわけでございます。
 比較をするとしますれば、青色の専従者につきましては、同じような種類の企業におきますところの労働の報酬というのはどの程度になっておるかということとの比較でございますし、白色専従者につきましても、昨日いろいろ御質疑がございましたけれども、それをダイレクトに行うのがよろしいのか、私がきのう申しましたように、いわばこれは擬制の擬制、二つの擬制を重ねておるわけでございますから、なかなか端的に同種の企業における労働の報酬そのままを持ってくるわけにはまいりませんが、そこにおいて、そういうものを頭に置きながら金額を決めていくということでございますから、純粋家計におきますところの基礎、配偶、扶養の三控除とは少し違った考えがあってしかるべきものだと思っております。
#120
○広瀬(秀)委員 私どもはそれは納得できないわけであって、白色申告をしている事業者の世帯の場合でも、なるほど奥さんが店に出て働いている。給与所得者の世帯の場合には御主人が主として生計を支えるだけの収入を稼得するわけですけれども、それが可能になるのは妻の貢献があってのことである。家事一切を見る、食事をつくる、掃除をする、家を守っておる、こういうようなことは全部主婦に任されておるわけです。洗たくもする、そういうことがあるわけです。それを、せっかく三つの人的控除を合わせたのだから、家族数何人掛ける何円というようにしてしまってもいいのだ、それはむしろわれわれの意図とは逆行するものであって、私どもがいま言おうとするところは、勤労者の世帯、給与所得者の世帯における妻の貢献の度合いというものを、白色申告における家族専従控除というものが四十万円になったというような方向に、むしろこれだけを抜き出して近づけていく、そういうことの方がより合理性がある税体系ではないのかということであって、そういう点で、妻の座の優遇について給与所得者の世帯の場合に、あなたは考える余地はありませんか。
 そういう方向はもう定着してしまったのだという考えの中で、妻に対する配偶者控除というものはいまのままで、人的控除としての三控除が同額になったのだから何円掛ける何人ということでいく考えなのか。それとも、白色申告者の場合もそういうことで妻の貢献の度合いというものを認めていった方向というものが一方においては出ておるのですから、サラリーマンといえども妻なしには所得を稼得できないのだ、そういう現実に着目して、その控除というものを特別な扱いをしていくという方向に私は進むべきだと思うのですが、その点もう一遍お聞きしておきたいと思います。
#121
○中橋政府委員 現在の人的控除、特に基礎、配偶者、扶養の各種控除は、基本的には生計費というものが考えの中にございまして、それをもとにして課税除外を一体どの程度行ったらいいかということでございます。それで、それ以上にさらに配偶者の地位について何らかの人的なしんしゃくが行えないかということでございますけれども、そこにおきましては、もはや私どもの家庭のように働かない配偶者についてどういうようなしんしゃくをするかということになってしまうわけでございます。
 共働きの夫婦でございますれば、それぞれはもう独立の所得者としての課税を受けておりますから、それぞれ所得税法上のしんしゃくというのがそれ相応に行われておりますし、青色であれ白色であれ、専従者として働いておる配偶者につきましては、またいまお示しのようなしんしゃくがございます。そういたしますれば、もう残っておりますのは、外に出て働かない、所得を得ない配偶者についてこれ以上何かのしんしゃくは可能でないかということでございます。恐らく先ほどお示しのように、二分二乗というような方式が可能ではないかというお話かと思いますけれども、これも前々から申し上げておりますように、二分二乗を必然的にもたらしましたものは、一つには夫婦の財産の共有制度というような民法上の問題がありましたし、一つには同一世帯にあります者の所得は全部合算して課税をするという制度があったわけでございます。
 それでは、わが国におきまして民法でそういう解決が行われるかというのはちょっと見込みが立ちませんし、同一世帯における所得を全部合算をすることがよろしいのかということになりますれば、また非常な摩擦が生ずることは想像にかたくないわけでございます。そういたしますと、そういう段階で二分二乗方式をやるということは、いわば私どものような主人が一人働きに出ておるという家庭につきましての減メリットが非常に大きくなる。相対的に申せば、共働きをしておる世帯はいわばいまよりは不利になるというような形でございます。
 たとえば、スウェーデンにおきましては、従来夫婦の所得について二分二乗制度をとっておりましたけれども、両方ともが働きに出るという機会が非常に多くなったためでございましょうか、わが国のような所得稼得者単位の課税に二、三年前に変えたわけでございます。ということになれば、今後のわが国におきます労働事情を考えてみましても、ますます今日のような事態がそういう方向に進むことこそあれ、逆になるということもございませんから、やはり現在のような所得者を中心としました、その単位ごとの課税というのがよろしいのではないかというふうに思っておりますから、そういう段階で、いわゆる妻の座という観点から、二分二乗というような方向でそれに対する配慮をこれ以上つけ加えるというのはなかなかむずかしいものではないかというふうに考えております。
#122
○広瀬(秀)委員 この問題も、どうもいままでの論争から、主税局長の答弁は非常に後退したような感じを免れないのであります。これはまたいずれ改めてやりたいと思います。
 国税庁にせっかく来ていただいたものですから、ちょっとこの利子配当課税問題で、これは租税特別措置法の際にやってもいいのですけれども、実は資料要求を私がいたしましても、わからぬということで、資料が届かないわけです。その一つは、利子所得、配当所得、これは法人、個人に分けて一体どのくらいあるのか、まずそういう基礎的な数字が知りたいということ、それから個人の利子配当についてどれだけ所得税を徴収しておるのか、この額はどのくらいになっているのか、そのうち源泉分離選択による税収はどのくらいあるのか、それから確定申告不要分の利子額あるいは配当額というようなものはどういうような数字になりますか、こういうような数字を聞きたいと言ったのですが、これが資料として全然国税庁から出てこぬのですね。
 これは全然そういうことはわからないのですか。わからないでやっておったとすれば、租税特別措置は政策課税方式なんだけれども、そういう基礎的な数字すらわからぬでは、この租税特別措置の一定の政策目標を達成するためにということが、どんな数字的な効果があったのかもわからないし、それから現状がどうあるのかということもわからない。そういうことでこの問題を議論しているというのはまさに妙な話だと思うのですよ。その辺のところの数字はこれはもう全くわからないのですか、どうなんですか。
#123
○横井政府委員 おしかりいただきまして大変申しわけないのでありますが、実は先生から御質問いただきまして間もなくでございますが、私どもにございます限りにおきまして御報告申し上げる資料を整備しまして、文書課を通じてお届けするように実は手配したのでございます。
 ただ、御質問のうちで、法人、個人の区分ごとにという点が実は資料がございません。それからまた、確定申告不要額につきましては統計がございません。しかしながら、利子所得の支払い金額の総額あるいは源泉徴収税額、そのうち源泉分離選択課税分の利子の支払い額、それから同源泉徴収税額、同様、配当所得の配当の総額、それの源泉徴収税額、そのうちで源泉分離選択課税分の配当額、その源泉徴収税額、これはわかっておるわけでございまして、先ほどお答え申し上げましたように、お届けするように手配をいたしたのでございますが、手続が狂いまして大変申しわけございません。早速お届けするようにいたします。
#124
○広瀬(秀)委員 わかる限りの数字は、これは出し惜しみをしないでひとつ出していただきたいと思うのです。きょうはもう時間もありません、三時からの党の会議にどうしても出なければならぬことがあるものですから。
 予算委員会でも同僚の阿部委員から、利子配当所得に対する課税の問題については、銀行局長と国税庁長官との間の、近藤さんと吉国さん時代のいわゆる秘密覚書というようなものが暴露されて大きく問題化しているわけですけれども、そういう問題もあって非常に歯切れの悪い答弁しか本会議あるいは予算委員会での答弁でも得てないわけなんですけれども、これは実際に国税庁でも、いまこれはだめ、あれはだめというようなこともあって、実態を総合的につかめない、だから総合課税にいけないのだ、簡単に言ってしまえばそういう答弁なんです。
 しかしこれは、将来総合課税の方向に本則に戻していくという心構えがあって、その方向への努力を、たとえばそういう秘密協定のようなものがあるならばそんなものはもう廃棄をして、全部名寄せができるような体制というものがどうやったらできるのかというようなことを――これはもう永久にできないものなのか、やろうと思えばできることなのか、そうして税の公正というものを確保するということが私は必要だと思うのですけれども、その方向だけ伺ってきょうはやめたいと思いますが、いかがですか。
#125
○中橋政府委員 いま御提案申し上げております租税特別措置法の改正で五年間新しい制度を続けていただいている間にも、私どもは利子配当につきましての総合課税の道を見出さなければならないわけでございます。特に利子につきましていまお話がございましたが、これはまだ私ども確たる見通しがあるものでもございません。やはり総合課税を実現いたしますための環境と手順というものをできるだけ整備しなければならないわけでございます。
 そのときに、一つには、これもきのう御質問がございましたけれども、いわば制度としてございますそれに障害となるものは、国でつくっておる制度でございますれば、それを廃止することの是非というのを担当のところで検討してもらわなければなりません。それから、架空名義というように実効的に出てまいっておりますものを、一体どういうような環境でこれを排除し得るかということを研究しなければならないわけでございます。これは長年の間のあしき慣行だと思いますけれども、そういうものがありましたから、そういうものは預金の受け入れ側におきましても、預金をする側におきましても、そういうことをし得ないようなシステムをつくり上げなければならないわけでございます。しかも、その上におきまして、さらにいまおっしゃいました名寄せというものをできるだけ簡便な方法で税務当局でやり得るようなシステムをこれまたつくらなければならないわけでございます。
 そういうことをあれやこれや考えてまいりますと、今日までのいろいろな金融機関をめぐりましての慣行というものを一体どこまで打破することができるのかということと、それから新しい機械としましてのコンピューターというものを一体どういうような形で利用できるのかというのが、実は私どもの今後の課題だと思っておりますが、今回御審議をお願いしております法案が幸いにも成立をいたしました暁には、できるだけ早い機会からそういう方面の勉強をいたしたいと思っております。
#126
○広瀬(秀)委員 きょうはこれで終わります。
#127
○上村委員長 東中光雄君。
#128
○東中委員 政務次官にお伺いしたいのですが、大蔵省、国税庁、国税局、税務署、それぞれの組織は、大蔵省設置法あるいは大蔵省組織令あるいは大蔵省組織規程、こういった法令、規則に基づいてやられておるものだと思うのです。当然のことでありますけれども、確認をしておきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
#129
○森(美)政府委員 東中委員のおっしゃること、そのとおりでございます。
#130
○東中委員 前回、予算委員会の分科会でお伺いしたのですが、大阪国税局、東京国税局、高松国税局及び広島国税局で、組織規程にない同和対策室という機構がつくられておるということの御答弁があったわけですが、組織規程に基づかないそういう機構をつくり、それに人員を配置するということは、国税局には特別に認められておるのかどうか、組織規程に基づいてやるべきだというふうに思うのですが、いかがでございましょう。
#131
○磯辺政府委員 ただいま御指摘のいわゆる同和対策室の問題でございます。これはただいま先生が御指摘のように、現在大阪国税局ほか三局に置かれておりますけれども、これは法令に基づいて設置されました機構というものではありません。しかし、こういった機構というのはほかに例がございまして、これはたとえて申し上げるのはいかがかと思いますけれども、たとえば各国税局に診療所の設備があるとか、あるいは合同庁舎に入っております場合に、合同庁舎の管理室といったようなものをつくっております。ですから、そういった意味で正式の機構ではありませんけれども、実情に応じて便宜置かれておるという例がほかにもあるということでございます。
#132
○東中委員 建物の管理の問題は、これはその建物に応じて管理の体制というものが要るだろうと思うのです。それから診療所というのは、それ自体は行政行為ではないわけでです。行政行為について担当官を特別の組織規程に基づかないで配置して、そして一つの機構をつくるという例は、いま言われた例とは全く違うわけですね。
 いま同和対策室と言われておるのは、明らかに行政行為、行政機構としての問題であります。必要なら、大蔵省は組織規程を変えればいいわけですから。組織規程は変えない。そういう必要はないということで変えていないのだと思うのですが、組織規程で決められることであります。省内でやれることです。大蔵省は組織規程の中にはそれは入れていない。税務相談室というのはわざわざつくってある。それなのに、それとよく似たような機構をわざわざ別につくるというのは、設置法なり組織規程の精神から言って、あるいは法令の性格から言って、私は逸脱しているのじゃないか、こう思うのですが、国税庁の考えではなくてて、大蔵省として、ちゃんとそういうものをつくっておりながら別のものをわざわざつくっているというのは組織機構として正しくないのではないか、こう思うのですが、政務次官の御見解をお聞きしたい。
#133
○森(美)政府委員 ちょっと事務的に説明させます。
#134
○磯辺政府委員 正式の機構ではありませんけれども、私たちが仕事をいたします場合に、たとえばある一つの問題を取り上げてプロジェクトチームをつくったりすることがございます。そういう場合には便宜何々班という言葉を使っておりまして、その主宰する職員を通称班長といったようなかっこうで、これは正式の任命ではありませんけれども、その職務を扱わしておる例というのは問々あることでございます。
 同和の問題につきましても、特にこれが重要な問題であり、非常に困難な問題であるというふうな認識から、特別に同和対策室といういわば通称の総合調整をするチームを編成しておる、そこのチーフを室長といっておるというのが実情でございまして、これは必ずしも組織規程あるいは法令に基づかないからそういった機構をつくってはならないといった問題というわけにもいかないと考えております。
#135
○東中委員 つまらぬへ理屈の議論をここでやろうと思いませんけれども、チームをつくって班をつくるというのは、その一つの機構の中でそれを実際に運用していく場合に、大きな脱税事件があったという場合、それを追及するのに班をつくるということもあるでしょう。それは全く運用の問題であります。ぼくがいま言っているのは、機構の問題を言っているのですね。同和対策室という――部、課、室という形で機構は成っているわけですね。税務相談室というのは国税局の総務部の中にある。しかし、その総務部の中に同和対策室というのは機構上ない。しかし、実際にはそれが設けられている。そして窓口がつくられて、プレートも張って、私、昨日でしたか行ってみたら、特別のソファーを置いてある。ほかのところは、それぞれの課へ行っても、課長の席の横にちょっと応接セットが置いてあるだけ。ところが、この同和対策室だけは特別のりっぱなソファーがずいぶん広い場所をとって置いてあるという形で、明確に入り口のところにプレートを置き、そういう機構をつくっているということになっておるからには、それは組織機構の法令に基づいてやっていく。法治国家ですから当然のことですね。そういう点からいって、いま言われたような調査についてのチームをつくって班長をつくるというようなものとは、これは明確に違うわけですから、そういうものは正すべきではないかと言っているわけです。
 国税庁の考えはいま言われたようなことかもしれぬけれども、それは、性質の違うことを言っていることはもう明白です。一つのチームをつくってその班長をつくる、それは機構じゃなくて便宜的なものでしょう。あるいは臨時的な、あるいはまさにその問題に対応する行政行為をやるためのチームなんであって、対策室、相談室あるいは何々課という機構とは別のものである。
    〔伊藤委員長代理退席、委員長着席〕
だから、そういう点では明らかにおかしいと思うのですが、大蔵省の組織規程にない、いわばもぐりの機構を対外的に発表し、プレートをつくるという形でやるというのはいかがかと思うわけであります。そういう点で、大蔵省としてこれは本当に検討をしてもらわなければいかぬのじゃないかと思いますが、大臣がおられませんから、政務次官、いかがでございましょう。
#136
○森(美)政府委員 ほかにも実例がありますので、次長から一言言わせます。
#137
○磯辺政府委員 私たちは、同和問題は非常に重要な問題である、また同和問題についての職員の研修と深い理解が必要だというふうな根拠で、これを重点項目の一つとしてつくっておるわけでございまして、これを設置しているということがいまの税務行政にマイナスになるとは考えられないわけであります。そういった意味におきまして、大阪国税局で同和対策室をつくっておる、しかもこれは、いわゆる同和対策室ですけれども、総務課の中でそういった同和問題を取り扱い、研修とか相互調整をやる一つのグループでありますから、これをいますぐ廃止するというふうな考えは持っておりません。
#138
○東中委員 そうすると、それは総務課の中の一つのグループしかすぎないんですね。対外的に麗々しく同和対策室というプレートを掲げて、これの十二階へ上がっていってエレベーターをおりたら、同和対策室はこちらという案内のプレートまで出してあるのですよ、総務課の中の一つのグループで。そういう非常に奇妙な扱いをしているということだけははっきりと指摘しておきたいと思うのです。国税局は何たることだというふうに思いますよ。グループならグループとして扱えばいいんであって、チームについて一々何々チームといってプレートを出しますか。出しはせぬでしょう。総務課の中に三人のグループがいるから、そのグループをわざわざ室と呼んでプレートを出す。同和事業、そして未解放部落の解放あるいは差別をなくしていくことが重要だということとそういう組織的な問題とは全く別のことであります。すべての職員が差別をなくしていく、すべての職員が憲法を守らなければいけなうというのと同じような意味で非常に重要なことなんです。
 ところが、特別のグループをつくって、特別の部屋をつくって、特別のソファーを置いて、特別のプレートを立ててということが重視していることになるか、そういうものじゃないと私は思うわけです。しかもこれについては、次長は、この間の私の質問に対して、所掌事務とは何かということで、所掌事務を三項目挙げましたね。グループについての所掌事務なんというのはないわけですね、本来総務課の所掌事務というのは決まっているわけですから。ところが、その総務課の所掌事務に書いてないほかの所掌事務というのを三項目挙げている。これはあなたがいかにその場逃れの答弁をされようと――所掌事務はこういうものですと、総務課の所掌事務の中には挙がっていない所掌事務を国会で答弁しているわけです。そうしておいてそういう室をつくっているということでありますから、国税庁は納税者に対して公平の原則で、そして租税法律主義に基づいて適正に課税措置をしなければいけないという立場から言って、こういう扱いは明らかに機構の面でも特別に扱っておるということで、当然検討されなければならない問題だと思うのですが、この点をまず指摘しておきたい。
 ここで一体何をやっているんだという問題があります。この間も言われましたが、ここへ、大阪府同和地区企業連合会会員の証という判こを押した申告書が出される。しかも約三千通とおっしゃいました。ところが、これは大阪府同和地区企業連総会の第六回の議事録かと思いますが、大企連が公式に発表しておるパンフレットがあります。ここに載っているのを見ますと、四十八年度の所得税申告数は四千五百三十六、法人税の申告数は二百四十五というふうに公に発表しているわけです。この三千と約五千近くとの違いでありますが、相当数のものが国税局に確定申告書を出してくるということでありますが、大企連、正確には大阪府同和地区企業連合会から出てくるそういう書類については、実情に即した綿密な調査をやるんだというふうに言われたわけです。
 同和地区関係者と言われる範囲は、大阪国税局管内であるいは大阪府下だけでもこんな数じゃないということは御承知だと思うのですが、同じ同和地区関係者であって、大企連の判こを押して出してくるのはここで扱うけれども、それ以外の人たち、この団体に入っていない人あるいはこの団体を窓口にしていない同和地区関係者に対してはどういう扱いをされるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#139
○磯辺政府委員 ます事実関係でございますが、いま先生おっしゃいましたように、同和関係者の所得税あるいは法人税の申告書が国税局に持ってこられまして、大阪国税局等では同和対策室でそれを受領する、その後で所轄の税務署の方にそれを回しておるということは事実でございます。
 ただ、私たちが了解しておりますのは、先生御指摘のように、単に大企連に所属しておる方の申告書だけをそうやっておいて、大企連に所属していない同和の方たちの申告書はそこで受け付けないというふうなことはやってないつもりでございます。それは同対審答申の精神に盛られましたような同和問題を一括して同様に私たちは考えておりますので、そういった差別はしていないと了解しております。
#140
○東中委員 大企連関係者以外で持ってきている人というのはあるんですか。
#141
○横井政府委員 大企連関係者以外で局の方へまとめて提出されるということは聞いておりません。ただ、次長が御答弁申し上げましたように、国税庁長官通達では、同和関係問題につきまして社会的、経済的諸問題がございますので、実情に即した課税をするようにということを通達いたしておるわけでございまして、各国税局といたしましては、大企連所属とかいうことではございませんで、同和関係者について一様に実情に即した課税を行うということになっておるわけでございます。
#142
○東中委員 同和地区関係者というのは、関係者であるかないかということを国税局としてどうして識別するのですか。
#143
○磯辺政府委員 これは私がこの前予算委員会の分科会で御答弁申し上げましたけれども、私たちの方から積極的に同和地区関係者であるかといったような調査をするということはやるべきではございませんし、またそういった調査をすることは好ましくないと思います。したがいまして、私たちがいわゆる同和関係者として実情に即した課税をやるというふうなことを言っておりますのは、御本人の方からそういった、私は同和関係者である、あるいはその同和地区に居住しておるために特別に実情を見てもらいたいといったような御申告のあった場合、そのときに私たちはそのような措置を講じておるということでございます。
#144
○東中委員 そうすると、同和地区関係者であるかないかは、言うてきた人だけを見るということであって、言うてこない人はわからないという立場ですね。しかも言うてくるのは、大企連ということで判こを押して国税局へ持ってくる人以外にありますか。
#145
○横井政府委員 同和会関係の方とかあるいは正常化連関係の方、こういう方で同和関係者があるというお申し立てを処理なさる方もいらっしゃるというふうに伺っております。
#146
○東中委員 それはどういう形でやるのですか。申告書に判こでも押してくるのですか。大企連関係は申告書に判こを押して持ってくる。というのは、あなた方国税局の中でも大企連と書いた丸い判、横に細長い判を押しておるということ、これは明白な事実ですけれども、その点はどうですかか。
#147
○横井政府委員 申告の段階あるいは調査の段階におきまして、御本人のお話等を伺って判断しておるということであろうと思います。
#148
○東中委員 大企連関係は、話じゃなくて、判こを押してまいりますね。
#149
○横井政府委員 大企連の関係者の方々につきましては、大企連という判こを押印しておられる場合がほとんどであるというふうに聞いております。
#150
○東中委員 税務署の中で、あるいは国税局の中で大企連という略称の判こをつくっておられますね。これはあちこちにあるから、ぼくは押してもらってきたのがあるんですけれども、こういう判こですと言って。
#151
○磯辺政府委員 この判こは、私は初めて見ますのでよくわかりませんけれども、上の方は昔の、当用漢字にない「聯」ですから、あるいは違うかもしれませんが、下の方の判この「連」は現在の当用漢字にありますから、あるいはつくったのかもしれません。それは一応調査してみなければわかりませんけれども、税務署の方で、たとえば調査カードなどを整理いたしますときに、所属団体ということが、いろいろな参考のデータの中に入りますから、そのときに、大企連の方が多いような場合には、あるいは手で書くかわりにそういうふうな調査カードに判を押して一応の整理をしているということがあるのかもしれません。いずれにしましても、この判こだけでは、税務署でつくった判こかあるいは先方でつくられた判こか、それはよくわかりかねると思います。
#152
○東中委員 私ここに幾らかの、税務署の中でつくった、税務署内部の書類に大企連という判こ、それと同じ判こですね、細長く丸く囲いをしてある方の大企連という判こですが、それを押している書類を持っています。と同時に、国税の職員の人に窓口で聞いても、こんなのは幾らでもありますよと言うから、ぼくは押してもらってきておるのであって、知りませんなんというような――この前、予算の総括の質問のときに、そういうのはないはずだという趣旨の長官の答弁があるから、おかしいということで調べたわけでありますけれども、実際にそういう扱いをしている。
 それから、大企連という組織については、特別にそういう国税局へ持ってきて、そこで受け付けて税務署へおろすという形をとっている。ほかの同じ同和地区の人であっても、言うてこなかったら、それはもうわからないということでほうってある。何かの機会に口頭で言う人もある。それは必ずしも絶無でないということをいま直税部長は言われたと思うのですけれども、組織的に国税局にわざわざ窓口をつくって、そこへ持ってきて、そこで受け付けをするというふうな特別な扱いはやめるべきじゃないか。何のためにそういうことをやるのかということは理解できない、わからないということを次長もこの前私の質問に答弁しておられます。次長ではなくて直税部長であったかもしれないが、どっちにしても国税庁としてそういう答弁をしておられるわけです。理由はわからぬけれどもとにかく持ってくるから、突き返すわけにいかぬからということで、何千通もの税務署長あての申告書を国税局へ持ってくる、国税局がそれを受け付けるというのは、いま言ったそういう組織自体が、機構自体が異常であると同時に、そこでやっていることが異常なんではないか。それを正する意思はないかどうか、その点いかがでしょう。
#153
○磯辺政府委員 先生御承知のように、同和問題というのは非常にむずかしい問題でございまして、さればこそ、政府におきましても長い間時間をかけて同和対策審議会というものが繰り返し開催され、御承知のように昭和四十年の八月に同対審の答申が出たわけでございます。それほど非常にむずかしい問題であるというふうなことから、国税局あるいは税務署、そういった第一線におきましては、その同対審の精神にのっとって、そういったむずかしい問題を適切に処理しなければならないという考えからやっておるわけでありまして、むしろそういったふうな細かい配慮をした取り扱いというのは、やはりここ当分の間必要ではないかというふうに考えております。
#154
○東中委員 大企連という特定の団体、その団体に入っている人が、あなた方の言う同和地区関係者であるのかないのか、これについても、あなた方としては調べようがないし調べていない、こういう答弁をされている。だから、概念として持っておられる同和地区関係者でない人も入っている可能性というのは十分ある。少なくともそうでない人が入っていないということは国税庁としては言えない段階である。そして、そういう一つの団体があって、それが国税局へ一括して判こを押して持ってくる。署長あての文書を、署へ出すものを、そこへ持ってくる。それをそのまま受けるということになると、これは大企連という団体に対して特別の扱いをしていることになるわけですね。
 では、ほかの団体が持ってきたら受け付けますか。納税者の団体というのはたくさんありますね。それが国税局へ持ってくれば、なぜ持ってくるのかわからぬけれども、持ってきたものを突っ返すわけにもいかぬから受け付けるのだということになりますか。その点どうでしょう。
#155
○磯辺政府委員 理屈から言いますと、申告書は、国税通則法の規定によりまして、その所轄の税務署長の方に提出するということになっております。したがいまして、国税局に提出された申告書は、持ってこられたから、違うからといってそれをそのまま突っ返すというふうなことは、やはり私たちとしてとるべき態度じゃないと考えますので、それを分類いたしまして、所轄税務署の方に回付しているというのが実情であります。
 それでは、すべての納税者の方が、税務署に行くのがめんどうくさいから国税局に一括して持っていく、あるいは国税局が近いから、持っていったら全部受け取ってくれというふうなこともあろうかと思いますけれども、それは同和問題の特殊性というものがあるだけに、国税局の方としては、それだけのきめの細かいサービスといろいろと実情に即した取り扱いをするわけでありまして、全部の納税者が国税局に一括して持ってくるというのはいかがかと思います。ただ、持ってこられたからと言って、私たちはそれが無効であるとか、あるいはそれを突っ返すということはする考えはございません。
#156
○東中委員 そうすると、ほかの納税者の自主的な団体というのは、たとえば納税協会もあるし、自主申告会もあるし、いわゆる民商と言われている団体もあるし、そういう団体が国税局へ一括して持ってきても、それは突っ返すようなことはしないと、国税庁次長は責任をもってここで答弁されたということでいいのですね。
#157
○磯辺政府委員 それはやはり納税者の良識なり納税団体の良識に期待したいと思います。
#158
○東中委員 いや、良識に期待するのはいいですよ。しかし、現実に大企連、東企連は持ってきているわけでしょう。この人たちは、良識に期待したいけれども、その期待に背いて持ってきているわけですね。ほかの団体も同じようにした場合には、実際上の扱いとして同じように扱うことになるのかならぬのかということを聞いているのです。
#159
○磯辺政府委員 同じことを繰り返すようで恐縮でございますけれども、同和問題は非常にむずかしい問題がありますので、私たちとしては、特にむずかしい国税局におきましては、わざわざ同和対策室をつくり、それからそれに関する職員も配置いたしまして、そういったやり方をとっているわけであります。さればといって、大企連の方が持ってこられて一括受け取っておるから、それじゃすべての納税団体あるいは業種団体の人が一括して持ってこられて受け取るかと言われても、それは考え方としましては、納税者の方がせっかく持ってこられたことですから、それを突っ返すことは、われわれ公務員の立場としてやるべきではないと思いますけれども、円滑な税務行政の執行のためには、そういったことのないようにお願いしておるということでございます。
#160
○東中委員 円滑な税務行政の執行のためには、そういうことはないように良識に期待している。ところが、同和関係者じゃないのです。同和関係者で組織しているということになっている、それだけであるかどうかはわからないけれども、そういうことになっている大企連あるいは東企連という組織が持ってきたら、それを受け付けることが、同対審の答申なり同特法なりあるいは憲法なり、そういう趣旨から見て、社会的、経済的差別をなくしていく、こういう点から見て、一体まともにプラスになると思うているのですか。むしろ特別に扱っているということで、ほかとは別に、特別に差別的な扱いをしていることになりますね。
 ほかならそんなものは持ってこないのだ、持ってくる理由もわからないのだ、良識に期待して持ってこないだろうと思う。ところが持ってきている。それをそのまま受け付けておったのでは、むしろ良識に期待して税務行政を円滑にやっていくという点からいって、全部そうやったら大変だ、あなたはいまそう言っているのですから、それならそういう指導をするのがあたりまえじゃないか。法のもとの平等という点からいって当然のことじゃないか、こう思うのです。同対審答申あるいは同特法、こういう法律の趣旨からいって、いわゆる部落差別をなくしていくということは非常に重要ですよ。
 私ども共産党は、五十数年前から部落解放のためにずいぶん迫害を受けても、一緒にやってきたという経験と歴史を持っています。そういう点から見て、あなた自身が、良識に期待して、ほかの団体が持ってくることはないだろうと思うと言うが、特別にその団体だけが同和地区の関係者で、そこへ入ってない人はずいぶんたくさんいるわけですから、その人たちから言えば迷惑な話ですよ。それをやってきている。それについて何かはれものにさわるみたいにそれに応じているというのじゃなくて、それこそ適正に、公平に、平等に、差別なしに扱うということがむしろ行政としては必要なんじゃないか。何のためにわざわざ国税局まで持ってくるのか、理解できぬことでしょう。しかも居住地から言えば税務署の方が近い、国税局の方が遠い。それなのに一括してそこに持ってくるということは、それこそ良識で考えてみて理解できないことだ。それの指導をなぜやられないのか。
 普通の場合、間違ってほかのところに行ったら、ほんと突っ返されますよ。窓口で受け付けなんかしないじゃないですか。そういう点について、抽象的に同対審答申とか同特法とかいうことでなくて、特別な扱いをするということはやめなさい、それが部落差別をなくしていくという点からいってもむしろ重要なんだ、私たちはそう思うのです。その点いかがでしょうか。
#161
○磯辺政府委員 同和問題については、何度も繰り返しますけれども、歴史的な非常に深いいろいろな問題、それからまた複雑な問題をはらんでいるということは御承知かと思います。そういう観点から見ますと、私たちの税務行政につきましても、そういった税務のやり方なりあるいは申告書の受け付け一つとりましても、一挙にこれを改正するといいますか、いままでのやり方と違うようなやり方をとるのもいかがかと思います。非常にむずかしい問題をはらんでおりますだけに、私たちとしては、第一線がこの同和関係者に対する課税というもの、それを通じて税務行政を円滑にやるためにいろいろと考えながらやってきておるわけでありまして、一挙にそういったやり方をいまこの際変えるということについては、私はいかがかと思います。やはり第一線の現場においていろいろと考え、長い間培われてきたと言うと変ですけれども、とられてきました税務行政のやり方にのっとってこの問題を運用していくのが一番いい方法じゃないかというふうに考えております。
#162
○東中委員 次長はいま一挙に変えるのはいろいろ問題が起こる、こう言われたわけですが、変えなければいかぬことだということが前提になっている。一挙にやるかやらぬかというのは時期の問題ですね。まさに不正常な状態であるということを認めておられるわけですね。だって、法律から言って、国税通則法、所得税法あるいは法人税法法、全部税務署長に提出せよとなっているんだから。それと違うところへ持ってきているということになっている。いま、一挙に変えることができない、そういう正常な状態でない、一挙に変えるということは問題が起こるんだという趣旨のことを言われたけれども、これは「解同近畿ブロック」とこの文書には書いてあるんですが、部落解放同盟、私たちが朝田派と言っている部落解放同盟近畿ブロックと大阪国税局長とが、昭和四十四年一月二十三日以降の確認事項として、「同和対策を進めるために、税務署長級の専門担当者一名と職員二名、所得、徴収、資産、法人、間税各課長補佐を兼務職員とする同和対策室を設置する。」という確認事項ができたんだというふうに、先ほど言ったパンフレットに公然と書いてある。
 このことは国税庁もよく知っていらっしゃると思うのです。国税局も知っておられると思うのです。こういう確認事項があって、そういう約束はしていないとこの前答弁されましたけれども、約束していないんだったらすぐ正せるわけですからね。そっちに持っていきなさい、わざわざここへ持ってくることはないじゃないですかと。あたりまえのことですからね。それだけのことが言えないというのは、こういう確認事項をしておられるからではないのか。どうでしょうか。
#163
○磯辺政府委員 大阪地区の解放同盟の方々、それから大企連の方、そういう方と大阪国税局長との間でいろいろと話し合いが行われたということ、これは否定できないと思います。その確認事項というふうにそのパンフレットにあるようでありますが、これはいつも御答弁申し上げますように、それは解同の方たちがそのときに要望した事項をまとめられて、それを整理されたというふうにわれわれは理解しておりまして、大阪の国税局長が、それに対して文書を交換したとか、あるいは確認事項として双方で署名捺印したといったようなことをやったとはわれわれは承知しておりません。
#164
○東中委員 この文書によりますと、「昭和四十四年一月二十三日以降大阪国税局長と解同近畿ブロックとの確認事項」こう書いてあるんです。署名捺印したとかなんとか、そんなことは書いてないんです。そんなことを私は言っているわけじゃないんです。国税局長が当事者になって、解同近畿ブロックとの間に確認事項をつくったかどうか。それが口頭であろうと文書であろうと、そんなことは後へ残す方法の問題であって、確認事項というものがこの両者の間で確認されているのかどうかということを聞いているのです。いかがです。
#165
○磯辺政府委員 先方の方から、同和問題についての詳しい実情の説明と、それから各種の御要望があった。それに対して国税当局の方で、十分に時間をかけてその実情と御要望を承ったということは事実であります。
#166
○東中委員 要望があって、要望を聞いた。聞いたというのは、テークノートしたという意味の聞いたというのもあるし、物理的に聞いたという意味の聞いたもあるし、それから実際にそれを聞き入れて合意ができたというのを、聞きましたというふうに言う場合もあるから、そのどれなのかということを聞いているんですよ。ここに書いてあるのは、少なくとも大阪国税局長と解同近畿ブロックとの確認事項ということになれば、両者が確認した事項であるというふうに書いてあるけれども、その点はどうなのか、こう聞いているわけですから、正確に答えてくださいよ。
#167
○磯辺政府委員 東中先生は法律の専門家でいらっしゃいますから、確認ということについて法律的にお聞きになるんですけれども、私たち実務の立場としましては、先方からの深刻な御要望、それからいろいろと実情の開陳がございまして、それを税務当局の方で深く認識して、そうして理解したということだろうと思います。
#168
○東中委員 認識して理解した。そのとおりにやりますという約束をしたわけではない、こう聞いていいですか。
#169
○磯辺政府委員 そういうふうに了解しております。
#170
○東中委員 ところが、この文書ではそうは書いてない。国税局長と解同近畿ブロックとの確認事項だ、両者が確認した事項だというふうに書いてあるんだから、あなたの言われていうのとは違うことを書いているということになりますね。どうですか。
#171
○磯辺政府委員 それは先方の方の書かれた文書でありますから、違うとか正しいとか、私たちの立場では申せないわけです。
#172
○東中委員 交渉の当事者が、先方はこういう確認事項ができたと言うている。あなたの方は、確認事項はできたと言っているのか、あるいは確認事項になっていない、聞いて理解しただけだ――相手の言うことを聞いて理解したということと、そういうふうにやりましょうという確認をしたということとは明らかに違いますね。国税局側は、十分聞いて認識して理解した、先ほどそう言われた。だから、そういうふうにやりましょうという意味の確認をしたわけではないということですね。直税部長、首を振っていますけれども、どうですか。
#173
○横井政府委員 東中議員の言われるとおりでございます。その一年前におきまして、四十三年一月末でございますが、当時の大阪国税局長と大企連との間におきまして、いわゆる七項目というふうなことが確認されたというふうに言われておりますけれども、これも同様でございまして、先方の御要望を伺った。私どもの方でそのようなことを実行すると約束したことではない、こういうことでございます。したがいまして、この四十三年一月のいわゆる七項目につきましても、私どもがお約束したものではなくて、先方が先方の御要望を取りまとめたものでございます。
#174
○東中委員 そうすると、確認事項ではない、承ってその要望の趣旨を理解しただけだということで、この内容について国税庁はあるいは国税局は、何ら拘束されるものではないというふうに聞いていいわけですね。
#175
○磯辺政府委員 法律的な意味においては拘束されるという義務は発生してないかと思いますけれども、しかしその実情を深く理解したということは、やはり心情的にはできるだけ御要望の線に沿ってやりたいという気持ちが出ておると思います。
#176
○東中委員 国税局という国家組織が、心情的に理解するというようなことはあり得ぬじゃないですか。国家機構でしょうが。国家機構が心情的にとは何ですか。心情的にというのは、個人的な、生物としての人間の心情の問題でしょうが。国税局というのは、国税庁というのは、そういう感情で――心情というのは感情ですね。感情で行政をやるのですか。
 第一、いま言われた「昭和四十三年一月三十日以降大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項」この中にたとえばこういうのがあります。「企業連が指導し、企業連を窓口として提出される白、青色をとわず自主申告については全面的にこれを認める。」このことを心情的に認めるか認めないかということであって、ここでは認めるという確認事項があった、こう言っておるのに対して、あなたは心情的に理解をして、心情的にそれを尊重していくというようなことが国税庁としてあり得るんですか。全面的に認めるということは、部分的に認めるとかいう問題じゃないですね。個々にやらなければいかぬ性質のものでしょう。全面的に認めるというようなことを心情的に理解するというのは、国家組織としてそういうことはあり得るのかどうかです。担当官個人の問題は別ですよ。担当官個人が個人的な心情で行政を左右するということになったら、これはまたそれ自体大変ゆゆしい問題です。次長のいま言われたことは取り消して、そして、趣旨はわかったというだけであって、そういうことについては約束はできないという立場を、国税局としてはとってきたんじゃないですか。その点をひとつはっきりしておいてください。
#177
○横井政府委員 話題に出ました四十三年なり四十四年なりの大阪国税局長と大企連との会合等におきまして、先方から東中先生御指摘のような御要望がございまして、私どもはそれを承った。それに対しまして局長側からは、同和問題の社会的、経済的な諸問題、それから特殊な事情、そういう問題につきまして、課税関係において実情に即した課税をいたすというようなことは申し上げてあるわけでございますが、七項目等につきましてお約束はいたしていないわけでございます。
 いま御指摘になりました、企業連を窓口として提出される申告書につきましても、国税局へまとめて持ってくるから受け取ってくれるか、こういう御要望がございまして、私どもは、税法のたてまえから申しますと、それぞれ所轄の税務署へ提出すべきものであるということを申し上げてございます。ただ、その後毎年のように局へ御提出になるわけでございますが、私ども前回の分科会、それからきょう次長から御答弁申しましたように、そのように所轄税務署以外に見えました場合におきましても、これを無効のものにする、あるいは期限を徒過させるというふうなわけにはまいりませんので、事実上受け取りまして署へ移送しているということでございます。そのことによりまして特別なフェーバーを与えているということではないというふうに理解をしているわけでございます。
 いずれにしましても、同対審答申等に基づきまして特殊な問題があるわけでございほすから、その実情をよく把握いたしまして、課税に反映させるようにしておるということでございます。
#178
○東中委員 同意しているものではない、約束しているものではない、ということをいま言われましたが、当事者の一方が、約束があった、確認事項になっておるということを宣伝している。そういう立場で行動をしている。国税庁あるいは国税局側として、当事者の一方ですから、事実と違うものについて何かの処置をされる意思があるかどうか。
 確認してないものについて、確認されたんだということでどんどん宣伝している。そして、こういう文書にも出している。これは大阪。東企連の場合は東企連でまた文書を出して、ここにありますけれども、やっているということについて、そういう確認はありません、話は聞きました――いまここで言われたようなことを、交渉の相手方である側へ、税務行政の円滑な実施という点から見て、約束してないのに約束したということで向こうは動いておったら、そのたびにトラブルが起こるわけですから、約束していませんということを当然言うべきだと思うのですけれども、そういう意思がおありかどうか。ないということだったら、なぜ違うことを言われても――税務行政に明白に違ったことになっているわけですね。違ったことになっているのに、そのことによって税務行政が円滑にいかないということになっておるのにに、なぜそれをやらないのかということをお聞きしたいです。
#179
○磯辺政府委員 まず最初に、国税庁なり国税局の方から、それは違うということを言うかどうかということでございますけれども、私たちは、いまそれを言う考えはございません。
 それはなぜかというふうに御質問でございますが、たびたび繰り返しますけれども、やはり同和問題というのは非常にむずかしい問題をはらんでおります。しかもこの問題については、かつての同対審でも議論されたといったことがございまして、私たちはやはりいかにしてこの同和問題というものを税務行政の中で円滑に遂行していくかということを考えておるからであります。したがって、これは永久にそういった現在のような方策をとるという問題ではなくて、同和問題というものがすっかり解消になる、そして、あえて同和問題について特別な議論をしなくても済むようになるまでは、やはり経過的にやむを得ない措置ではないかというふうに考えておるからであります。
#180
○東中委員 同和問題をなくしていく、正確に言えば未解放部落の差別というものをなくしていくということをやるために、確認してないものを確認したと言うてもそのままほうっておく、そういう普通ならあり得ぬことをそのまま特別に扱う、それが差別なんですよ。歴史的に考えてごらんなさいよ。それこそ差別ですよ。特別な扱いをしているじゃないですか。しかも、その相手は部落解放同盟朝田派、この人たちがつくっておる大企連に対して特別の差別をしているのです。未解放部落の同和地域関係者とあなた方が言われるそういう人たちの中での一部の人たちに対して特別な扱いをしているのです、ほかの人に対してはしていないのですから。
 逆に言うならば、ほかの同和関係者から言えば、そんな約束もしてないのに約束があったんだというふうな宣伝をされて、それでまかり通っていくのが同和関係者なんだというふうに思われることは、まことに心外だ、そんなごり押しをやるものではないのだという人たちがずいぶんたくさんいるわけですよ。その人たちも同じに扱ってしまうということになるわけでしょう。国家行政が公平で、憲法十四条の趣旨から言って、身分によって、あるいは性別やその他によって、社会的、経済的、政治的に差別をしないということを、まさにいまあなた方は差別をやっているわけですよ。普通ならこれは通らぬでしょう。そういう問題だ。これは歴史の審判を受けるようなそういう性質のものです。これは正すべきだということを強く申し上げておきたい。
 それから、国税局へ確定申告をやるのは申すまでもなく三月十五日が期限です。国税局へ出されている大企連の申告書、私がいまここに持っているのだけを見ても、日が徒過しているのがずいぶんあります。ここに私が持っておるのを見ますと、これは国税局の受け付けが四月八日、所轄税務署の受け付けは四月十日になっております。これは昭和四十八年分の所轄確定申告書、青色申告であります。それから昭和四十八年度分所得の所得税の確定申告書、この場合は大阪国税局総務課受け付け四十九年五月十五日となっております。そして、ある税務署の受け付けが四十九年五月二十二日、こうなっております。同じ日付の別の人のやつ、やはり四十九年五月十五日国税局の受け付け、前の方のやつです。下の方は五月二十二日所轄税務署の受け付け。ここに大企連という判こを押してある。こういう扱いがされているわけですね。これは、全部そのまま申告是認になっているわけですね。一般の人は、三月十五日、忙しいのに期限までにやらなければいかぬということでやっています。しかし、国税局へ持っていって、これでこういう判このままでまかり通っている。当然期限徒過の場合の加算という問題があるわけです。しかし、そういう処置は一切とられていない。現実はこういう扱いに実際になっているわけですね。
 こういうものについて、これは法の厳正な執行あるいは租税の公平の原則あるいは租税法律主義のたてまえからいって、こういうことが特別に、組織的にやられているということになったら、これはゆゆしい問題だと思うのですよ。税務行政そのものにとって大変な問題ですよ。たまたま私の手に入っているのがそうなんで、多くの、三千通ぐらいということを言われたそれは同じような扱いをされている。特別の金ラベルを張って、統括官以上だけが扱うということで、現実にそういう扱いがやれているわけですから、そういう問題について調査し、是正するという処置を当然とられるべきだと思うのですけれども、どうですか。そういうことをやられる意思はないですか。
#181
○磯辺政府委員 期限後申告の問題は、それはよろしくないと思います。ですから、期限後申告でありましたら、それは期限後申告に応じた措置をとるというのが当然だろうと思います。
 それから、二番目に御指摘になりました金ラベルの問題でございますけれども、この前分科会で御指摘がございまして、私たち大阪国税局の方で調査をしたわけでありますけれども、税務署によりまして、そういった調査カードに金ラベルを張っているという税務署もございます。これは必ずしも大企連の方だけに金ラベルを張っておるというわけじゃなくて、いろいろと、業種とかそういった問題に応じまして、内部の整理のためにやっておる。そういったことは、裏を返して言いますと、同和関係者に対する課税というものに対して細心の注意を払って、きめ細かい、実情に即した配慮をしておる、それが間違いのないようにという意味の内部の整理だろうと思いますので、これはやはり現地の税務署におきまして、そういった整理のやり方が同和問題に対してベターであるというふうな考え方であれば、特にそれに対して廃止するということを、こちらの国税局の方なり国税庁の方で指示する必要もないかと思います。
#182
○東中委員 金ラベルを張って分類、整理するという程度なら、われわれそういうことは何も言いませんよ。問題は、それが統括官だけにとどまって、一般職員にはタッチさせないという扱いになっている。しかも、それが申告是認に、さっき確認事項に挙げられているいわゆる青色、白色を問わず、全面的にこれを認めるという形の処理になっておるというところが問題だと言っているのです。
 とにかく、重税を課せと言っておるのではないのです。適正にやらなければいかぬと言っておる。いま大企連に対しての調査はやるなということになっておる。それがいま一般にずっと伝わっていますよ。一般職員がそういう注意を受けて事後の調査に行く。そうしたら、あるところで、私は大企連だというふうに言うた人がおる。それで、それはどうも失礼しましたと言って帰ってこいということになっておるから、失礼しましたと言って帰ってきたが、どうもおかしいというので調べてみたら、何でもない。それで憤慨してある署員は、現地へまた行っていますね。だから本当に特別扱いされておるわけですね。そういう扱いになっていることを、私たちは税の公平という点から言って、こういうことではだめだということを言っているわけです。
 しかも、それは部落関係者ということでなくて、部落関係者でない人もそういうことを聞いてもう知っているのですから、だから部落関係者でなくて大企連に入っている人もいるでしょう。しかし、部落関係者でなくて大企連に入っていない人が、税務署が来たから税務署を追い返すのに、私は大企連だ、おまえそんなもの調べにきていいのかと言うということさえ起こっておるのですよね。これは私はゆゆしい問題だと思うのですよ。国家機構が、しかも税務行政が、そういうことで左右されておったらいかぬじゃないかということを言っているわけであります。
 これの事例をたくさん挙げるのは時間もありませんからやりませんけれども、ここでもたとえば「譲渡所得資料ちょう付書」というのが、これは区役所なり登記所なり他の官庁から来ますね。来たのがここにあるわけです。それによると、ある人の土地売買でありますが、その価格は千三百二十九万というふうに、いわゆる資料せんの中に書いてあるということで調査が始まるわけですね。そこには申告書がある。この書類の中に修正申告書が書いてある。これは役所が勝手に書くわけないので、本人を呼んで書いたのだろうと思うのですね。
 ところが、申告書までついてあるのに、「要調査対象事案審理表」というのを見ますと、「見込時価額」の欄があって、そこは一千万円以上、五百万円以上、三百万円以上、三百万円未満、この四つの段階があって、一千万円以上のところに丸を打っている。それは資料せんがそうですからそうなったのだと思うのです。その次の「選定理由」というのがある。ここには「見込時価額との開差大」とかあるいは「取得費・譲渡費過大」とかという項目がずっと載っている。その七番目に「無申告」と書いてある。そこに丸が打ってある。そしてその横の「無申告理由等」というところに「大企連」と書いてある。だから、途中で調べてみたら大企連だということに結局なった。ほかから回ってきたやつですから申告者がわからぬ。大企連ということがあとでわかったということになって、その処理は、局からの交渉で、四十九年二月二十七日、署長同行で資産税課〇〇〇に説明し、少額事案として処理相当と認む、こう書いてあるのです。
 私はこういうのを見ますと、修正申告書までつくったということは、ある程度進んだ、それで処理されるようになった。ところが、国税局の方から、同和対策室だと思うのですね、そこから言うてきたので、今度は署長同行で局へ行って、そして結局所得ゼロに落としてしまっているわけです。こういうふうな扱いが、金ラベルになるとやられていくわけですよ。しかもここに載っている担当官は、課長補佐の印と担当者の印が同じ人の、これは名前は言いませんけれども、同じ人の印が押してあるわけです。これはいわゆる統括官ですね。こんな扱いをして、そしていわば脱税を、局の中で同和対策事業だということでやっているということになるじゃないですか。
 それがたまたま一つじゃないわけです。これはそういう詳しいことが書いてありますけれども、あと譲渡税で、この前もちょっと言いましたけれども、全部ゼロと書いて、明細別紙と書いてあるだけでそのまま通っているのですね。譲渡所得でゼロ、何もかも全部ゼロと書いておいて、それが国税局へ出されてそのまま通ってしまうということになったら、これは全く徴税機構が麻痺されているということになるじゃないですか。それも同和関係者かどうかわからぬわけです。ただわかっていることは、大企連ということだけがわかっているのです。
 こういう扱いは、これは国税局は責任を持って――何遍も繰り返すようですけれども、私は苛斂誅求をやれと言っているわけじゃないのです。法律に従って、そして公平の原則をはずさぬようにやるべきじゃないかということであります。これは部落解放、部落差別をなくする、同和対策事業は重要だということは、こういうことで差別をするということによって、公平の原則を逸脱することによってできるものじゃないんだ。ちゃんと課税をし、そういう中で今度は別にしかるべき処置をとらなければいかぬのだったら、そういうものとして見るべきなんであって、やみからやみへ葬るような形でやられているということになったら大変なことだと思うのですね。そういう点についての税務署側と、国税当局側と、それから大蔵省としての基本的な考え方というものをはっきりしておいていただきたい、こう思うわけです。
#183
○磯辺政府委員 ただいま先生御指摘になりました事案、私はあえてそういった事案がないということはここで否定する考えはございません、事実先生がそういった事実を把握しておられるということでございますから。しかし同時に、全部そういったかっこうで処理されておるというものではなくて、またかなりの部分につきましては、やはり事後調査によって修正申告の慫慂をして課税処理をしたケースもかなりございます。
 ただ、これは先ほども申しましたように、私の立場でそういったことを申し上げるのは、また非常におしかりを受けるかもしれませんけれども、同和問題というのが非常に歴史的な背景を持った根の深い問題であるだけに、やはりそういった問題というものがなくなってしまうのが一番理想でありますけれども、一挙にそれを変えていくというのも、いろいろとトラブルがあって、かえってこの問題を円滑になくしていく、こういった問題の解消をしていくというのに必ずしもプラスじゃない。そこにはやはり同和の人たちの置かれた歴史的な背景なり、それからまた特殊な事情というものを加味した、いわゆる実情に即した課税というものがある面では行われるのもこれまたやむを得ないんじゃないか、私はそういうふうに考えております。
 ですから、先生のおっしゃいましたことを私はあえて否定するつもりはありませんし、それからまた同時に、現在そういった事例を御指摘になりましたら、そういった事例が全然ないということを申し上げる考えは毛頭ないわけでありますけれども、それほどこの問題というのは国税当局としても非常に苦労し、またいろいろと頭を使いながら処理しておるということも御理解願いたいと思います。
#184
○東中委員 あなたは、そういう事実がないとは言わない、しかしそれはそのままで置いておくのだという姿勢を国税庁として言うのだったら、これはもう公務員としては許されがたい憲法違反をやっていることになりますよ。憲法は、差別をしちゃいかぬ、公務員は憲法を守らなければいかぬというのが大原則でしょう。そういう原則の上から見て同和問題というのも問題になっているわけでしょう。だから、少なくともそういう問題があるという時点では、これは調査をしてそういうことのないように努力をすべきだ。
 だって、いま私が挙げた例なんというのは、局から税務署への交渉で、税務署側が署長同行の上で行って特別な扱いをする、こんなことは実際考えられぬことでしょう。そういうことがあっても、それはいいんだ、何となればそれは同和問題だから、というふうなことは、法治国家では許されません。行政官として許されないのです。それでもあなたは、同和問題はうるさいからそのままほうっておくのだという姿勢をとるのですか。国税庁の方針としてそういうのをとるのですか。そこをはっきりしなさい。
#185
○磯辺政府委員 許されると言っておるわけでありませんで、私は決してそれがいいという考えはないわけでありますけれども、ただ、一挙にそれを変えるということもまた摩擦が多いだろうということを、第一線の税務の執行に当たって心配しておるわけであります。ですから、私は、決してこういったふうに全く課税を行わずに済んでおる、放置されておる、そういった例が間々あるようでございますけれども、そういったのがいいと言っておるわけではございません。ですから、それはやはり是正すべきものは是正していくという考えをここで申し上げておるわけであります。ただ、それが余りにも第一線の税務行政を混乱させるようなかっこうで短兵急に行われると、またそれに対する問題も多いかというふうに心配しているわけでございます。
#186
○東中委員 短兵急にやれとぼくは言っているわけじゃないのですよ。是正するについては、是正する方法があるだろうし、最も摩擦の少ないように効果的にやることを考えるのは、これはあたりまえのことなんですよ。あした行けと言っているわけじゃないし、短兵急にということはあなたが勝手に言っているのであって、私は短兵急にやれとは一つも言ってない。是正さるべきものは是正さるべきだ。そのために国税庁としては考える。そういう措置を摩擦の余り起こらないような方法で考えるというならわかりますよ。しかし、摩擦が起こったらいかぬから、だからいいとは言わぬけれどもほうっておくのだ、というニュアンスの発言をされるから、私は声を大にしてこういうことを言っているのである。
 それから、この前お聞きした同和控除の問題、事業所得の三〇%を一律に天引きするというやり方、これは申告書の中でそれが出ておって、しかもそれが是認されておる。これは時効になってしまうようなケースでありますけれども、しかし最近のケースで言っても、今度は法人の申告の中で、同和控除という言葉は使わないけれども、実際にそれを引いている。計算をすれば明白に三分の一になっているというふうな事例がある。国税庁としては、そういうものは認められない、適法ではないという答弁をされた。ところが、実際にそれがやられておるということになれば、それは正すべきは正さなければいかぬではないか。同和控除をするというのだったら、必要で合理的で、そして納得のいくことなら、それは法制度を変えてやればいいわけだ。
 ところが、法制度上は許されないというのに実際にはやっているというふうなことになったら、これはいかぬじゃないか。事実、そういうものは一時はあったけれども、いまはないとおっしゃるけれども、去年もあったんだから。そうなれば、そういう問題についての調査をやり、そして正していくということでないと、特別扱いをしていることになるわけですね。法に反して特別扱いをしているということになったら、これは差別なんですよ。必要ならば、ちゃんと立法措置をとって、国民が納得できることならば、そういう措置をとってこそ、差別をなくしていくことになるのじゃないですか。法の前の平等ということが差別をなくしていく大原則であるだけに、いまやっておる国税庁のやり方は、逆に差別を助長するようなやり方になっておる。差別的態度で接しているということになるんだということを私は指摘しているのであるから、その点についての姿勢を正してほしい。
 大企連という特別の団体に入っているから特別の利益を与える、それは同和関係者という名前で言っていますけれども、同和関係者であるかどうかもわからない、同和関係者の中でも、そこに入ってない人がたくさんいるということもわかっている。その人たちにはそういう扱いをしないということになったら、まさに特定団体に対する差別でしょう。差別優遇です。また一方では、ほかの業者の団体については、今度は逆に差別をするということになったら、これは裏返しの関係ですから、どっちも許されないことだというふうに私は思うのです。そういう点での国税庁としての姿勢を、また大蔵省としての姿勢を、はっきりと示していただきたいということを言っているわけです。
#187
○森(美)政府委員 東中先生の、差別をなくするために逆に差別をつけてしまうというお話、よくわかります。その点につきまして、やはり何としても法治国家でございますし、正しい行政をしていきたい、私どもはこう考えております。
#188
○磯辺政府委員 私たちも、法の前の平等という憲法の大原則の例外とか、あるいはそれを否定するという気は毫もございません。それは御理解いただきたいと思います。当然のことと思いますが、ただ、この同和問題というのが非常に複雑な問題であるだけに、私たちは先生がおっしゃいましたように、摩擦の少ない方法で課税上の公平あるいは法の前の平等というものについての実現を図っていきたいと考えております。
#189
○東中委員 質問を終わりますが、摩擦をなくするということ、なるべく摩擦のないようにするということ、それ自体はいいことでありますけれども、摩擦をなくするという名前でもしいわゆる融和政策になっておったら、これは差別をつくっていくことになるわけですから、法に反して、法の前の平等の原則を踏みにじって、事実上の扱いで特別扱い、たとえば受付を特別につくる、ほかならやらぬことだけれども、良識をもってほかの団体はそんなことはないだろうと期待しています、というふうに国税庁次長が言われたということは、ここへ持ってきておるのは、これは良識によってやってきておるのではないんだということを言うておられるわけですよ。裏返して言えば、そういうことであることは明白なんです。しかし、それをそのまま認めるということになれば、この団体はどうせ良識がないんだからそれをそのまま承認するということになって、ここで一つの差別が出てきておるのですよ。そういうことを改むべきだということを言っておるわけであります。
 それに対して、是正する、やり方についてトラブルを起こさぬようにということを言われておるので、そういう配慮をされることは、私たちは一つも配慮しなさんなというようなことは言っていないわけであって、是正の方向を一日も早く進めていくということを強く要望しておきたいと思います。
#190
○磯辺政府委員 先生の御趣旨はよく理解いたすところであります。ただ、いま先生おっしゃいましたように、良識がないから一括して持ってこられると認識しておるというふうにおとりになられても困るのです。ですから、その点は御理解いただきます。
#191
○東中委員 困るのはあなたの勝手ですけれども、あなたが言われたのは、ほかの団体が持ってきたらどうなんだと言うたら、国民の良識に期待して、そういうことはないと思う、こう言うから、そう言われたことは速記に残っておることですから。そうすると、そういうふうに持ってくることは、良識に期待しておったら普通はないわけなんでしょう。ところが現実にあるわけでしょう。しかもその理由がわからないという立場でしょう。しかもそれを受け入れておるということになれば、良識のない行為に同調しているということになりますから、論理的にそうなるという指摘を私はしたのであって、あなたの言葉でそう言ったとは一つも言っておりません。
 以上で終わります。
#192
○上村委員長 田中昭二君。
#193
○田中(昭)委員 私も久しぶりの大蔵委員会でありますが、当委員会の各委員の先生方が、税法の改正ということについていろいろ熱心に御討議なさっておることを聞きまして、私も心強く思ってきょうは質問さしてもらうわけでございます。
 いまも東中委員からお話があっておりましたように、税務行政の中には大変むずかしい問題が存在しておることは私もわかるのですが、いろいろな議論をいたしましても、この委員会における税法改正についての野党の立場での意見というものが、その年の税法改正に反映したというのはほとんど見たことがない。そういうことも、ほかの国会審議と並べてみて、どうも私は納得がいかない。大蔵省にはきつい言葉ですけれども、大蔵省が決めたことは何でもそのとおり。特に税制は、国の歳入確保のためにという立場はわかりますけれども、ちょっとその辺がいつも私は気にかかるわけであります。
 そこで、将来のことと同時に、過去にさかのぼってみますと、その税法改正、そして国民に減税をするという約束、それが現実の税収の面、また国民所得の面、給与所得者の所得の伸びにどう反映したか、こういう観点からもう少し議論すべきではなかろうか。そこで私は、そういう面で、税法改正の具体的な問題よりも、そういう過去にさかのぼっての税収の実績というものを踏まえて議論することが税法改正に寄与する面があるのではなかろうか、こういう立場に立ってまず質問を始めてみたいと思います。
 税収の見積もりについてはいろいろ議論をしてまいりましたが、きょうは具体的に示しながら、政務次官も、私の発言は大変聞いて勉強もしてありますから心強く思いますが、主税局には大変な指摘になりますけれども、一応事実を確認しながら述べてみたいと思います。
 私が、ちょうど昨年の、三月に入ってだったと思います。四十八年度の補正後の税収の見積もりを尋ねました。御存じのとおり四十八年度の税収は、補正後では、端数は切りますが、十二兆五千億であります。当時、昨年の三月ですからちょうど一年前ですが、その十二兆五千億の税収は、四十八年度ははるかに超えるのではないか、毎月のいろいろな税収の収納状況を見ましても。それで具体的に、私も十二兆五千億か十三兆円はばるかに超えるのではないか、こういう指摘をしたわけでございますが、当時の主税局長は、いまの事務次官ですが、それを頭から否定されましたのは御存じのとおりです。政務次官も御記憶があると思います。十二兆五千億を上回ることもないだろう、上回ってもちょっとだろう、そういう御発言、また専門家の長年の経験と大蔵省の優秀な頭を使っての当時の主税局長の判断であったわけでございますが、残念ながら、三月が一カ月間過ぎましたところが、十二兆五千億からはるかに超えてしまった。八千億弱超えて、十三兆三千億になったわけです。
 だから、この国会におきましても、四十八年度の決算剰余金については御審議があったように聞いておりますけれども、こういう莫大な剰余金を出したということは――税の専門家てある優秀な頭脳を使って、一年前の現時点において見積もりが十二兆五千億というのは低い数字を言ったんだ。そういうことで四十九年度の予算もつくられたわけですけれども、十三兆三千億という頭で四十九年度予算をつくるのでなくて、十二兆五千億は超えない、超えてもちょっとだろうというような感覚で予算をつくって出された。結果から見れば十二兆五千億が誤りですね。十三兆三千億以上収入があったんです。こういう過ち――過ちと言えば語弊がありますけれども、税の専門家の主税局長さんが、大蔵省の頭脳を駆使して見たものが、昨年の三月たった一カ月でその差額でいけば八千億も税収の見積もりを少なく言わなければならなかったというのはどういうことなのか。当時の主税局長でないけれども、大蔵省におられて一緒に働いた方ですから、主税局長さんと政務次官からひとつそのことに対するお考えをまず聞いておきたいと思う。
#194
○中橋政府委員 昭和四十八年度の税収につきまして、補正予算額を、いまおっしゃったように約八千億円も超えて収入があったということはまさに事実でございますし、それをちょうど一年前の時差におきまして予測できなかったということにつきましては、私も主税局に関係いたしております者の一人としまして、非常に遺憾に思う次第でございます。
 ただ、税金について詳しい御経験がおありになればなるほどこの時点について、繰り言になりますけれども、非常にむずかしい段階であるということは十分御理解をいただけると思います。と申しますのは、確かにもう年度末近くになって、収入がほとんど見通せるではないかというような時期ではございますけれども、ちょうどこの三月、四月に入ります金額といいますのは、昨年で申しましても約二兆円を超える税収が入ってくるわけでございます。それは、一つには所得税の確定申告という一兆を超える金額が入ってくるわけでございますし、それから他のいろいろな税目もございますけれども、特に十二月決算の申告をいたしましてくる法人税が、やはり二月末から三月、四月と入ってくるわけでございます。そのほかに、それまでの申告時期の法人税の延納分が入ってくるわけでございます。
 そこで、ちょうどこの時期、昨年も恐らくそんな時期だったと思いますけれども、あと二月でありますから、本当に見通さなければならないのでございますけれども、何しろ確定申告というのが、一体どういう納税者の反応でもって入ってくるかというのが一番むずかしいわけでございます。特に昨年は、譲渡所得につきまして、後から振り返って見ますれば、予想に反しましてかなりの税収が入ってきたということ、それから十二月決算の、一年事業年度の法人税がかなり入ってきたということから、いま御指摘のように八千億円足らずの税収が入ってきたわけでございます。
 われわれとしますれば、もちろんその職にありまするから、的確に税収を見積もらなければなりませんが、どうしましてもそういう経済のぶれが反映をしてまいる。しかも土台が、何しろいまもおっしゃいましたように、当時は十二兆五千億でございます。そういうような大きな土台になっておりますから、残念でございますがそういった事態を招いた次第でございます。
 ところで、それでは四十九年度の税収を見積もるときには、確かにおっしゃいますように、いわばより低い段階の税収が四十八年度に実現をされるであろうということを土台に税収を見込んだことも事実でございます。しかし、その後四十八年度の実績がわかりまして、そういう実績をもとにしまして、その後の経済情勢を反映させまして四十九年度の補正というものを組んだわけでございますから、その見込み足らずの部分というのは、補正ではそれだけ修正を加えたという事態になっておるわけであります。
#195
○森(美)政府委員 田中先生は税の専門家でございますから、あるいは釈迦に説法かと思いますが、私は高度成長下においてよけい取り過ぎたということは間々あることだと思います。しかし、今後安定成長下になりまして、いろいろな面であるいは予想より違ってマイナスになったというようなこともあると思います。そういう意味におきまして、今後の安定成長下のこういう見通しについては、より慎重にやらねばならないと考えております。
#196
○田中(昭)委員 主税局長から答弁をいただいたわけですが、その中に、ちょうど一年前の時点においては、一月末の税収を私たちは知らしてもらっておったわけですね。皆さんは大体、二月末ぐらいのやつが予想できておったと思うのですが、仮に一月末にしても、十二兆五千億を超えておったんじゃないですかね。それは一遍数字を出してみませんか。そういうことが、いまあなたが答弁なさった中で大変矛盾してくるということを、いま私は言わなきゃならない。
 なぜかならば、見誤っておったから四十九年度予算では途中で補正をしたと言うけれども、そういうことでは――私も税の専門家と言うても、私の頭はこれだけのものです。しかし、皆さんには相当の専門家がたくさんいらっしゃって、大きな目で見た数字が、私の言うことよりも当たらないというのは、いずれにしろ私は納得いかないのです。私は、十三兆円は超えるだろう。あなたたちは、あくまでも三月の時点では、一月末の税収がわかっておりながら、十二兆五千億に近づきながら、十二兆五千億を超えないとこう言う。私の乏しい頭で十三兆円を超えるのが、あなたたちがそれ以上のものを持っておりながら、十二兆五千億しか取れないと言ったものが、半年、一年もたってわかるのじゃないですよ、たったそこに二十日か一カ月です、その時点においてもう崩れるということは、もう何遍言っても議論にならぬかもしれませんが、そういうことでは、現実に四十九年度の税収がまた見誤りだったという現実が、いままた起こってきておるのじゃないですか。
 四十九年度の補正をして、四十九年度の補正後の歳入額に今月末で到達するだろうかどうだろうか、歳入欠陥を生ずるんじゃなかろうかという新聞報道等もされておる。これは現実ですよ。そういう心配でも出てこなければ、あなたたちの言うことが――私がそのとき指摘して、まあいずれにしろ見誤りがあったことはあなたも認められますけれども、現実に今度は四十九年度は歳入欠陥が出てくるんじゃないかという現実がまたある。報道もされておる。
 それでもう一つ、政務次官、事務当局はいろいろな数字を扱ってつくった以上は、それに固執すると思いますけれども、そういう点に早く気づかれる政務次官もりっぱな政務次官なんですよ。何かそういうところにぱっと早く気づくようなのが政治家の資質でなければいかぬと私は思うのです。そういう政治家の資質になっておられると思うけれども、まあ少し大蔵省当局をよく見てやっていかれるのかどうか、決意をお伺いします。
#197
○森(美)政府委員 一番重要なことでございますから、一生懸命勉強したいと思います。
#198
○田中(昭)委員 私は一般会計の税収の見積もりと決算額との問題をいまから問題にしたいと思います。
 一般会計の中での税収の見積もりと決算額を――見積もりということは当初予算というような考え方で比較してみますと、相当な差が出てきておるわけでございますが、それが、先ほど政務次官も言われたけれども、ある年は当初予算よりも少なく入って減額するときもありますから、こういう特別な場合は除きました。主税局長はこの前から見せてあるからもうよく知っているのですよ。あなたが見てもらわぬと……。
 ちょっと数字が見にくいけれども、四十年から四十五年の数字を並べておりますね。ここで見てみますと、その右に書いてありますように、当初予算と決算との割合は五・六%という数字が出ているのです。その上は、当初予算と補正予算の割合は、当初予算に対して補正は四・八%のふくらみがあったということですね。ところが、実際の決算額で見てみると、それよりなお〇・八%ふえて五・六%だった、こういうことです。
 ところが、田中内閣になりましてから、もちろん経済の高度成長というのが一遍に出てきたという形かもしれません。いつも主税局は、譲渡所得がふえたとかなんとか言いますけれども、譲渡所得がふえたのはもちろん、物価の値上がりとかいろいろなものが関係しているのですから、それは数字はふえるにしても、根本的には、四十七年から四十九年の三カ年の比較がまたその右に出ているわけです。これで当初予算と補正と見てみますと、平均一〇%です。ですから、四十年と四十五年よりも倍近くやはり補正は多く見なければならなかった。いわゆる経済の変動が激しかった、高度成長がぐっと影響したということでしょう。
 それは、補正をそういうふうに見たのですからいいのですが、その次に予算と決算額で見てみると、そこに訂正しておりますが、一四・三%、前の四十年、四十五年よりも約三倍弱。補正と見た場合でも四・三%、前は〇・八%だった。それが今度はたった三カ年ですけれども、一けた違って四・三%という数字が出てきた。
 大体おわかりいただいたようですが、こういう差が出てくるということは、この差額というものは、四十五、六年まで、田中内閣になって特にそういう差が出てきたということもまあこじつければ――こじつけるというより、現実そうですからそうなるのですが、その差は大体どう見ればいいのでしょうか、どう理解すればいいのでしょうか、主税局長の方から先にお答えになって結構です。
#199
○中橋政府委員 その差といいますのは、やはり経済見通しが実績に比べて低かったということによります。
 その一つは、給与の伸びといいますのが、経済見通しによりましての雇用者所得において、当初と実績との間に乖離があったということであります。それからもう一つは、法人企業の利益というものが、当初の見積もり以上に非常に伸びたということが原因になっておると思います。
 大体この二つが、当初予算において経済見通しによって税収をはじきましたのと実績において非常に乖離が出た。しかも、それがおっしゃいますように、昭和の四十年代からずっと見てみまして、大体四、五%ずつ伸びておりますが、さらにそれが四十七年において一割、四十八年は、その上に加えまして、譲渡所得の見込みよりもはるかに多い実績があったということから二割になっておりますから、後半を通算して平均をいたしますと、おっしゃるような伸びになると思います。
#200
○森(美)政府委員 局長と同じでありますが、私はもう一つ、やはり産業界の伸びというものの計算が、常に高度成長下では見誤られたとこう考えております。
#201
○田中(昭)委員 少し足らぬけれども、この問題はこれで終わっておきましょう。
 それであと、私はいつも大蔵委員会で、源泉所得税の中の給与所得者が大変税金が過酷になっている、いつも予定よりも多く取られているというような問題をずっと指摘してきておるわけですけれども、なかなかその辺の――まあ税法の改正で、当初予算を組むときには、減税しましたというようなかっこうで、実際は税収が上がってくると、減税した分なんかはどこかに飛んでしまったというような形が多いわけですけれども……。
 この前分科会で、主税局長さんと数字のことで大分あれしましたから、今度はある程度頭に入っておると思いますが、四十八、四十九、五十年、この三カ年で、税収を見積もる場合の当初の給与所得者の所得の総額と給与所得者の税収見積もりですね。そして、その所得に対して税収は何%になっているのか、実績分は実績分として、見積もりは見積もりとして、それをもう一回教えていただきたい。
#202
○中橋政府委員 四十八年度について申し上げますと、当初の見込みにおきましては、給与総額は四十三兆五百六十八億円でございました。それに対応いたしまして、税収としましては、二兆二千六百四十三億円を見込んでおりました。
 それに対しまして四十九年度でございますが、納税者の給与総額が四十九兆五千四百八十七億円ございまして、それに対して二兆一千八百八十億円税収があるというふうに見込んでおります。
 さらに、昭和五十年度について言いますと、納税者の給与総額は六十八兆七千三十億円あると見込みまして、それに対しまして三兆四千三百九十億円の税収があるというふうに見込んでおります。
#203
○田中(昭)委員 また一つ落とされました。四十八年は実績でまずわかっているんじゃないかということが一つ。それから、給与総額に対する税収のパーセント。
 それでは政務次官、これはお互いに頭は大してよくないのですから、いま主税局長が答弁なさったものからいきますと、四十八年は、見積もりですが、四十三兆円に対して二兆二千億。ちょっとそこに書いてください。それから四十九年は四十九兆円に対して二兆一千億。これは専門家に聞きますとまたいろいろくだらぬあれをしますけれども、くだらぬというか、失礼しました、くだらぬじゃない、いろいろ議論されるけれども、常識的にちょっとこれはまた問題があるのですよ。そして今度は、五十年が六十八兆円で三兆四千億、まあ端数を切りますが。
 だからもう一遍、主税局長さん、四十八年は実績がわかっておろうから四十八年は実績で、それから四十九年も、補正を組んでいるんだから、大体実績に近い見込みで言ってもらって、そして給与総額に対する税収のパーセントを言ってみてください。
#204
○中橋政府委員 実績としまして私どもは税収を持っておりますが、税収の中で今度は実際に納税者の給与総額が幾らであったかというのは、ちょっとただいま持っておりませんので、申しわけございません。
#205
○田中(昭)委員 ちょっとそこをよく教えておかなければ、もう何遍も同じ質問をしなければいかぬですから。四十九年の補正を組んでいるんだから、四十九年の給与の総額の見込みと税収とパーセントがまた抜けた。
#206
○中橋政府委員 四十九年度の補正を組みましたときの基礎になりました納税者の給与総額は五十八兆二千三百二十二億円と見込みまして、それに対応する所得税は二兆七千七百九十四億円と見込んでおります。
#207
○田中(昭)委員 また四十八年が抜けた。そしてまた、割合も言われないから、せっかく私は、森政務次官によくわかってもらおうと思いましたけれども、もうこれじゃ質問ができませんね。時間がかかります。残念ですけれども、この際に、政務次官に勉強してもらおうと思いましたけれども、できませんから、後でそれなりにひとつ当局にあれしておいてください。
 そこで、問題を変えます。今度は、いまお渡ししました数字の裏に、こういう表がついております。
 その前に、もう少しあれしておきましょう。いま主税局長はわからぬとおっしゃったけれども、おたくの参考資料によりますと、これは新しいのはもらっていないんだけれども、雇用者所得というのは四十七年、四十八年、四十九年は――まあ私は四十七年は言っていないから、四十八、四十九年は大体数字が出ておりますよ。違いますか。――それじゃ言ってください。
#208
○中橋政府委員 雇用者所得と申しますのは全体の雇用者でございまして、税金に関係がありますのは納税者の給与総額でございますから、私が先ほどいろいろ申し上げましたのは、納税者の給与総額の見込みを申し上げたわけでございます。したがいまして、それがなかなかつかまりがたいということでございます。
#209
○田中(昭)委員 雇用者所得と納税者の給与所得との違いということはわかりますけれども、それじゃその差というのはきちっといっておりますか。いまあなたは四十九年は五十八兆円とおっしゃったけれども、五十八兆円とここに出ておる六十三兆円の差額が税金のかからない人の所得ですか。
#210
○中橋政府委員 所得税の失格者の雇用者の所得分でございます。
#211
○田中(昭)委員 そうじゃないんですよ。前の数字がはっきりしませんから、これはやめておきます。
 それで、さっき言いましたこの表を見てください。この表は、四十四年から四十九年までの給与所得の源泉所得税を見積もる場合の伸び率と、それから雇用者所得の伸び率を書いてあるわけですが、この伸び率というのは、私は大体そう変わってはならないものだという判断を持っているのです。それは、税金のかかる者もかからない者も、全体の給与所得者というのは、一人当たりで見ればそんな差はないはずですから。どっちかといいますと、ここに出ておりますように、税金の伸び率の方がちょっと低いといいますか、そういう程度になるのが常識だと思います。
 そうしますと、政務次官、ここに出ておる四十九年の雇用者所得伸び率というのは、大体見込みですけれども、実績に近い伸び率が出ておるのです。これはなぜこう言うかといいますと、ここに経企庁が予算委員会に提出しました資料の実績をもとにした数字が出ておるわけです。これから拾ったわけですから大体間違いないわけです。そうしますと、四十八年は給与の総額は二四%ですね。それに対して一人当たりが二二・二%、四十九年は二九%、それに対して一人当たりが二七%、こういうことになっておりますが、こうなりますと、五十年度は、この雇用者所得というのはこれは見込みですから、いままでの各年のずっと伸びから見てどのくらい、余り高く言うと悪かろうから低目に見積もったところで、主税局長はどう思いますか。
#212
○中橋政府委員 現在の政府の経済見通しは、一人当たりの雇用者所得は一七・一でございますので、今日の段階としますれば一七・一、それに雇用の増が一%でございまするから、一八%程度伸びるということを見込んでおります。
#213
○森(美)政府委員 私もそう思います。
#214
○田中(昭)委員 それは違いますよ。税収の伸びはそういう見方でいいでしょうけれども、雇用者の所得の伸びは全然違うじゃないですか。ずっと各年見てくださいよ、あなたも。あげたから持っておるでしょう。もう一度あげましょうか。税収の伸びはそれでいいんですよ。見てくださいよ。左側が雇用者所得の伸びでしょう。右側がいまあなたが言った税収の見積もりの場合の伸びですよ。
 国税庁次長、次長はどう思われますか。実際税金を取って結果を見ておるのだから。四十九年が総体が三〇%近く伸びた。一人当たりが二七%伸びた。四十八年が総体が二四%伸びた。一人当たりが二二%伸びた。四十七年も申し上げましょうか。四十七年が総体が一七%伸びた。一人当たりが一五%伸びた。これが雇用者全体の伸びの前年対比です。これは実績値です。そうすると、ことしの税収は去年の源泉所得税の税収よりも一兆円以上多いのですよ。一兆円以上多く取るのです。そういう見積もりです。そういうことも勘案して、税収の伸びにかかわらず、この経済の動きから見て、一人当たりの伸びだけで結構ですが、国税庁次長はどのくらいになると思われますか。
#215
○磯辺政府委員 詳細な計算をやれば出ると思いますけれども、ちょっと私……(田中(昭)委員「低目でいいから大体の見当として」と呼ぶ)ちょっと計算……
#216
○田中(昭)委員 三年間、私がうそを言ったのじじゃない、実績を言ったのだから。それから計算すれば、ことしは一兆円もよけい見ておるのだから、大体その近似値かそのくらい言ってもらっていいでしょう。わからなければ主税局長。
#217
○中橋政府委員 実績と予算の当時の見積もりの乖離をおっしゃっているわけでございまして、実績で申せば、給与は、おっしゃいますように、四十八年は二四、四十九年は二九伸びたわけでございます。それに対しまして、当初の政府経済見通しによりますれば、四十八年は一七の伸びでありましたし、四十九年は一八の伸びでありました。したがいまして、当初の見積もりが四十八年度、四十九年度は実績に比べて少ないのじゃないかという御指摘はまさに当たると思います。
 しかしながら、それだからと言いまして、本年の給与が総額で一八%伸びるという政府見通しが、四十八年、四十九年と同じように非常に低過ぎるかということになりますれば、私どもは、四十八年、四十九年のようなことにはなかなかなりがたいのじゃないかというふうに思うわけでございます。
#218
○田中(昭)委員 あなたはそう言うけれども、あなたがこの前の分科会で私に答弁したのでは、あなたが言っておるとおり読みますと、「四十九年度当初で一八%伸びを見込んでおったのに、実績として二七%になるであろうということは確かでございます。」こうあなたは言っておるのじゃないですか。それでいいんですよ。「しからば、五十年度は一七%見込んでおるのに」こう言っておる。だから政務次官、もう一遍数字を見てください。右側の一七とか一八。四十八年が一七でしょう。そのときに一人当たりは二二伸びたわけでしょう。四十九年は、一八のときに二七伸びたわけでしょう。そして五十年はまた一八と見ているわけです。それじゃこの二七に近いところになるんじゃないですか。
 主税局長、これは四十九年度だけれども、税収では一八%見込んだ。これはいいのですよ。実質の雇用者の一人当たりの伸びは、あなたも、実績として二七%になる、これは確かだ、こう言っておるのですよ。これを区分けして読まなければ。税収の見積もりの伸びとそれから雇用者の実際の伸びは別でしょう。あなたは税収の伸びを見るときは、税金のかかるものだけを見たと言うのだから、この雇用者所得というのは、税金がかかろうとかかるまいと、全体が入っておるのだから。そうでしょう。あなたが言ったとおりなんです。これはこれでいいのですよ。いまあなたは違った発言をするから、また私、念を押しておる。
 だから政務次官、四十八、四十九、五十、この税収の伸びが、仮に五十年を除いて四十八、四十九は、税収を見積もるときの伸びとその前を通して見てみませんか。大体同じで、雇用者所得は伸びているのですよ。四十七年は一五で一五しか伸びていませんけれども、その前は一七のときに一四しか伸びていない。見てください。だけれども、四十八年は一七で二二伸びたんだから、四十九年は一八で二七に伸びるんだから、五十年は一八ならば幾らに伸びますか、政務次官。勘でいいから、何も重大問題になるんじゃないんだから。
#219
○森(美)政府委員 これは初めて見たデータでよくわからないのですが、おっしゃるとおりに、一七が二十幾つになるだろうということも成り立つかもわかりませんが、たとえば四十六年で、いま御指摘のように一七が一六になる場合もございますし、これは一応いま局長が答えた姿で私はいいと思っております。
#220
○田中(昭)委員 早くやれ、もう時間がないということですから、またこれもはしょらなければいかぬけれども、どうもおかしいな。
 それじゃ、国税庁も来ておられますから聞きますが、全然大きく変わりますけれども、何か国税庁は、昨年の金脈問題以来緊張されて、五十年度は、政治家の実態調査といいますか、政治家の調査は厳格にやるというようなことで、昨年の年末からいろいろ会議をなさったようですけれども、その模様をひとつできる範囲で教えてください。
#221
○横井政府委員 田中議員御承知のように、政治家の方々の御申告につきましても、一般の方の申告と同じように申告指導いたしまして、必要があれば調査をするということでこれまでやってまいっておるわけでございます。ところが、御承知のように、政治家課税について、最近の国会で田中前総理の問題が取り上げられまして、その過程におきまして、十一月の終わりごろでございますが、参議院の法務委員会におきまして議員の方から、政治家課税をもう少し充実すべきではないか、こういう御指摘もいただきまして、国税庁次長から、検討いたしますというお答えを申し上げたわけでございます。
 私どもといたしましては、これまでもかなり種々やっておったと思いますけれども、全体的に見まして、若干調査が少なかったというふうな点はあろうかと思いますので、全国の所得税課長会議あるいは直税部長会議におきまして、問題の一つといたしまして政治家課税についてどう対処すべきかということを議論いたしたわけでございます。
 その結論といたしましては、現在、具体的な調査は国税局、税務署で行っておるわけでございますが、その体制を変える必要はないであろう、しかしながら、従来若干調査等のための投入事務量が少なかったようであるから、幾らかふやしてはどうかということ、それから、国税庁で各局間の調査上の諸問題の調整とか取り扱い方針の統一等を図ってはどうか、こういう御意見等が出ておるわけであります。そこで、これらにつきまして、私ども問題点を整理いたしまして、近く国税庁の通達を出そうかということで現在部内で検討中でございます。
#222
○田中(昭)委員 それでは余り私にわかるような答弁じゃないのですよ。これは委員長、できましたら、私たちも政治家でございますから、そういうことを聞いて私もことしの申告はきちっと自分でやったつもりでございますけれども、いま直税部長のお話の中で、政治家の調査が少なかったというようなことを言われましたが、政治家といっても国会議員から町会議員までおるわけですから、それが実際どういうふうな調査になっておったのか、それがわからないと……。
 もう一つは、現体制でいくと言いますけれども、現体制でどういう調査ができるのか、やはりもう少しはっきりしてやるべきじゃないか。この前私も本会議のときに言いましたが、前総理の調査というものも、ああいうふうに抜けておるだろうと思われる所得の内容が公表されて、その後何カ月もかかって調査するということは、これは調査にならぬのだ。
 もう一遍申し上げましょうか。大体聞いておりますか。こういうことを言う人がおるのです。池にコイがおって、コイをつかまえようと思ってぱんと音さしたところが、コイが沈んでしまって、濁ってしまってわからなくなった。それと同じだ、今度の金脈調査のあれは。こんなものがありますよ、抜けていますよと言って、いまの税務行政の体制の中で配当所得の名寄せもできないような状態で、それは調査にならないと言うんだ、現実にやったものから言えば。大臣は、いや調査をやっておりますと言われるけれども、それは大臣は税務調査に行ったことがないからわからぬ、あなたたちでもわからぬだろうと思う。実際、調査というのはそんなものじゃないですよ。国税庁次長さんはそういうことをやられたことがあると思う。いま私が言った、隠れてしまうような状態で、調査というのはある程度限界があると思うのです。感じを言えば、そういう感じはしませんか。それとも何か別にあなたの言い分があったら言ってください。
#223
○磯辺政府委員 調査の方法でございますけれども、確かに先生おっしゃるように、なかなかやり方にむずかしい問題があると思います。公開して調査する場合、それから秘匿して調査する場合、いろいろと調査を受ける相手方の態様によると思いますけれども、しかし私どもとしては、やはり調査をするときはできるだけ事前に通知をする。これは一般の事業所得者の方についてもそうですけれども、事前に何月何日に調査に行きますよという通知を申し上げて、そして先方さんの調査に応ずる準備ができたところで調査にお伺いするというふうな方法をとっておるわけであります。これはやはり事前に通知をすると、納税者の方が全部隠してしまうだろうとかいったような心配をするというか、だから調査をする場合でも事前通告しない方がいいんだというふうな御意見を言われる方も中には間々あるかと思いますけれども、私たちは、調査をするときには、調査をしますよと言ったような、はっきりした公開原則のもとに調査をしていきたい。ただ、もちろん査察調査なんかの場合には、先生御承知のように、事前にそれが漏れると大変なことになりますけれども、一般の調査においては、できるだけそういった公開したところで調査を進めていきたい、かように考えております。
#224
○田中(昭)委員 それに見習って、ひとつ政治家を調査する場合は、全部、おたくはこういうことがあるでしょうというようなことを、前もって言って調査をしなければならぬということになる。そういうことは実際、問題ですよ。先ほどから話があっているように、税法に決められたものでも、特定の人たちがそれを理由に税金はゼロでも申告是認で通っていくということが実際あっているとすれば、ここでどんな税法改正を論議しても、かえって不公正でしょう。
 だから、最後に政務次官にもう一つ聞いておきますけれども、今国会が始まって三木内閣は、不公正是正をやらなければならぬということで、弱者救済、強者をたたく、こういう原理で、不公正是正という問題が問題になりましたが、現在の所得税法の中で不公正があろうと思われるものがいままで論議されましたね。項目的に、時間がありませんから私から申し上げましょう。利子配当の分離課税、それから医者の特別措置による控除、それから資産所得者の優遇、譲渡所得なんか税金が安いじゃないかということ。ほかにもありますけれども、代表的なものを三つ挙げれば、その中でどれが一番不公正を生んでいると思いますか、政務次官は。
#225
○森(美)政府委員 私の判断でございますが、利子配当だと思います。
#226
○田中(昭)委員 主税局長、それから次長、それぞれ御見解を。
#227
○中橋政府委員 三つの点をお挙げになりましたが、私どももその三つについて、ことしの改正問題として取り組んだつもりでございます。そのうち、土地についてはかなりの改善措置を御提案申し上げておると思いますが、医者につきましても、一つの改正案を提示いたしておりますので、残りました利子配当については、なお今後の課題として残っておると思っております。
#228
○磯辺政府委員 税務の第一線で受ける直観というのは、たとえば田舎に行きますと、多額納税者といいますか、それには必ずしもお医者さんというのは出てきていない。にもかかわらず、非常に優雅な生活をしておられるじゃないか、だからやはりお医者さんの課税というのは甘いのじゃないかというのが第一線の職員の声と思います。しかし、それも逐次税制の改正等によって、だんだんこういった問題は解消される、かように考えております。
#229
○田中(昭)委員 主税局長も次長も、私の言うた問いに答えてくださいよ。その三つなら三つのうちで、あなたたちはどれが一番不公正になっているかということを私聞いたのです。それぞれの所得がどうだこうだということを聞いているのじゃないのです。配当、譲渡所得、医者の特別控除、この三つのうちでどれが一番不公正ですか。もう一遍答えてください。
#230
○中橋政府委員 現行法のもとにおきましては、土地が一番問題であると思っております。
#231
○磯辺政府委員 現行法のもとにおいては、医師課税といいますか、医療診療報酬が問題だと思います。
#232
○田中(昭)委員 期せずして三人ともそれぞれ違う考え方でございますね。これでは不公正の是正なんかというのはおぼつかない。主税局長は頭を振っているけれども、あなたたちが、主税局長になり大蔵省の幹部として、そういう現時点においての、それはそれでいいかもしれませんけれども、それでは国民は納得しませんよ。そのことぐらいは衝に当たる現場の国税庁、主税局――まあ政務次官はお詳しいのだから、高次元で御発言なさっておりますが、私は利子配当が一番不公平だと思いますよ。政務次官と同じですよ。
 それで、ここでもう一つ言っておきましょうね。私は、いろいろな言い方があると思いますけれども、配当所得と給与所得の課税最低限、四人家族の場合の課税最低限の問題がいつも出ますね。この場合に、四人家族の場合に、給与所得は幾らで、配当所得は幾らになりますか。これは主税局長が専門だ。
#233
○中橋政府委員 給与におきます課税最低限は、おっしゃいます家族構成におきましては、改正後百八十三万円でございますし、配当だけの場合におきましては四百五万円になる予定でございます。
#234
○田中(昭)委員 国税庁次長、それでいいですか。私はいかないと思うのです。
 まず第一点、これは政務次官、勉強のために、いまおっしゃった数字は、片方は給与は収入なんです。配当は所得なんです。課税総所得なんです。所得と収入と比較するということが、これは第一の問題です。そう思いませんか。ではその点に立って、私がいま言うのが間違いならば、主税局長は同じことしか言わないのだから、次長の方から、その意見を交えて、本当の所得対所得を比較するにはどれが正当なのか言ってください。簡単でしょう。所得と所得を比較すればいいのですよ。
#235
○磯辺政府委員 配当所得の場合には、まあほとんど配当収入というのが所得になるということが大体原則でありますけれども、中にはやはり株式を取得するために要した借入金の負債に対する利子を控除するというようなことがありまして、配当収入が即配当所得であるというふうにならない場合もあろうかと思いますけれども、おおむね普通の場合には配当収入即配当所得のケースが多いかと思います。
#236
○田中(昭)委員 それはそのとおりですよ。あなたはいいことを言ってくれました。配当所得は収入金から借金の利子は引きます。仮に四百万あっても、株を買う場合に借金をして買っておれば、その四百万から借金の利子を引きますからぐっとまた低くなる。実際の配当収入は、五百万でも六百万でも一千万でも、借金で株を買っておればその利子は引きますから、その利子を引いたのが四百五万円です。そういうことになると、またちょっと感覚が間違いますから、先ほど私が言った給与所得が、給与収入から給与所得控除を引きますと大体百十三万ぐらいになるんじゃないですか。百十三万対四百五万を比較しなければいけないのです。それをいままで予算委員会等でも、知らない者から見れば、あくまでもあたりまえみたいに百八十三万と四百五万円、こういう比較が議論されておる。本当はこれは間違いなんです。
 片方を所得で比較するのだったら、片方も所得で比較しなければいかぬ、課税の所得で。基礎控除と扶養控除、一切の控除を引いたその引く限界が百十三万しかならないのです、給与所得の場合には。そうすると四倍なんだ。予算委員会等でもそういううそ――うそと言うとおかしいけれども、みんなが知らないからそういうことを言い張ってきた。そういうことがあるから、私は配当所得が一番悪い、こう言っているのです。いままでの税法上の沿革はいろいろあるでしょう。それでは本当に比較するということを要求した場合には、所得と収入と比較するというようなことが正当ですか。違うでしょう。だから政務次官、百十万と――この数字はちょっと計算すれば百十三万になると思いますが、百十三万と四百五万、約四倍近い。こういう配当所得は不公正の第一番なんです。どうですか。
#237
○森(美)政府委員 その比較ということよりも、私は率直に申し上げまして、どうしたらこの名寄せ等の問題とかいろいろな問題が解決できるかというところにいま頭がいっているわけでございます。
#238
○田中(昭)委員 もう時間がないと言っておるから、ことしはこの委員会で大変教育費の控除とか家賃の控除というような話が出たと思うのですが、これはまた主税局長、答えてくださいよ。いま家賃というのは、大体最低幾らぐらいの家賃から最高幾らぐらいまでで、平均幾らぐらいの家賃を払っているか。サラリーマンに限定しましょう。それから教育費は大体最高どのくらい払っておる人がおるか、私に教えてください。それを聞いて、またもう一回大蔵委員会へ来させてもらって議論しようと思うから。
#239
○中橋政府委員 家賃はいまはお尋ねのように非常にピンからキリまでございます。ただ、家計調査によりますれば年額約五万円ぐらい払っておるという数字が出ております。教育費になりますと、これはまたピンからキリまでございますし、子供ならば子供がどういう学校に行っておるかということでかなり違いがございますけれども、年額約四万円ぐらいの金額を支出しておるようでございます。
#240
○田中(昭)委員 ピンからキリまであるようでございますから、最低の家賃を払っている人が幾らくらい払って、その人は幾らぐらいの収入がある人か。それから、最高四万円と言われましたか、そういう人たちはサラリーマンの収入が幾らぐらいある人か。同じく教育費もそういうことでわかっておると思いますから、これはあとでひとつ委員長、資料で出してもらって検討さしていただくということでお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。できればこれで質問を終わります。
#241
○中橋政府委員 最低ということで申されますと、一体どこをとっていいのかということでございますし、やはり家計調査によりますところの、先ほど私が数字として申し上げましたのが月額で出ておりますけれども、その数字をお出しさしていただくことならばできますけれども、低いものは幾らかということになると、もう幾らでも低いものが出てくると思いますし、あるいは教育費におきましても、たとえば公立に行っておるところと私立に行っておるところと差がございますから、やはり家計調査による数字ならばお出しできると思います。
#242
○田中(昭)委員 それでは私は満足しません。公務員で千円以下か千円ぐらいの家賃を払って入っておる人もおるのです。それだけでもいいから調べてください、そのくらいは。それと最高、公務員で、だれでもいいのですけれども、サラリーマンで、まあ四万円か五万円家賃を払っている人はどういう人がおるか。それは国税庁で調べればすぐわかりますよ、毎年調べておるのですから。それから、教育費もひとつそういう意味であとで調べてもらうということで委員長にお願いしておきますから、よろしく取り計らってください。
 以上で終わります。
#243
○上村委員長 次回は、明十三日木曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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