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#1
第075回国会 大蔵委員会 第21号
昭和五十年三月二十五日(火曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君
   理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君
   理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君
   理事 山田 耻目君
      越智 伊平君    金子 一平君
      鴨田 宗一君    小泉純一郎君
      塩谷 一夫君    野田  毅君
      原田  憲君    坊  秀男君
      村岡 兼造君    毛利 松平君
      山中 貞則君    広瀬 秀吉君
      武藤 山治君    小林 政子君
      坂口  力君    広沢 直樹君
      内海  清君    竹本 孫一君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       西沢 公慶君
        大蔵大臣官房審
        議官      旦  弘昌君
        大蔵省主計局次
        長       高橋  元君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        大蔵省関税局長 吉田冨士雄君
 委員外の出席者
        日本専売公社副
        総裁      泉 美之松君
        日本専売公社総
        務理事     原  秀三君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
 号)
 製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五号)
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三八号)
 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出第三九号)
     ――――◇―――――
#2
○上村委員長 これより会議を開きます。
 酒税法の一部を改正する法律案、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 これより各案について政府より提案理由の説明を求めます。森大蔵政務次官。
    ―――――――――――――
 酒税法の一部を改正する法律案
 製造たばこ定価法の一部を改正する法律案
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案
 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○森(美)政府委員 酒税法の一部を改正する法律案、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
 まず、ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 昭和五十年度の予算は、前年度に引き続き抑制的な基調のもとに編成したところでありますが、その中にあっても、福祉年金の画期的な改善を初め、国民福祉の向上と国民生活の安定のための施策を積極的に推進することといたしております。また、税制の面におきましても所得税について各種人的控除の引き上げを図りますほか、相続税等についても減税を実施することといたしております。これらの施策及び減税を実施するためには、租税収入、税外収入を通じてその財源の多様化に配意しつつこれを確保することが必要であります。
 ところで、現行の酒税の税率及びたばこの定価は、昭和四十三年の改正を経て今日に至っているものでありますが、その税率及び定価が所得水準の上昇、物価水準の変動にかかわらず定額に据え置かれているために、税負担が相当程度低下しておりますので、その調整を行う必要があります。
 以上の状況に顧み、ここに酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 以下この両法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 初めに、酒税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 第一に、酒税の従量税率の引き上げを図ることといたしております。
 すなわち、清酒特級、ビール、ウイスキー類特級及び一級、果実酒類の一部、スピリッツ類、リキュール類並びに雑酒について二二%程度、清酒一級について一五%程度、その税率を引き上げることといたしております。具体的に申し上げれば、通常の容器一本当たりで、清酒特級は百十五円程度、清酒一級は四十七円程度、ビールは十五円程度、ウイスキー特級は百五十円程度、ウイスキー一級は六十九円程度の増税であります。
 なお、従来と同様、税率の引き上げが実施される際、酒類の販売業者が対象酒類を一定数量以上所持する場合には、手持品課税を行うことといたしております。
 第二に、酒税の諸制度につきまして所要の整備を行うことといたしております。
 すなわち、酒税の納期限の延長制度につきまして、特別の事情により現行の法定納期限後一カ月以内の延長ではなお納付が困難と認められる場合には、延長の期間を法定納期限後二カ月以内までとする特例を設けますほか、戻し入れ控除制度の適用範囲を拡大し、未納税移出制度の簡素化を図る等、酒税の諸制度につきまして所要の整備を行うことといたしております。
 次に、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 この法律案は、製造たばこの種類別、等級別に法定されている最高価格を、紙巻きたばこについては十本当たり十円ないし二十円、刻みたばこについては十グラム当たり十円、パイプたばこについては十グラム当たり二十円ないし四十円、葉巻たばこについては一本当たり三十五円ないし百二十円、それぞれ引き上げる等所要の改正を行い、本年四月一日から施行しようとするものであります。
 なお、製造たばこの各銘柄別の小売定価につきましては、この最高価格の範囲内で、日本専売公社が大蔵大臣の認可を受けて定めることとなっており、五月一日から改定を実施することを予定いたしております。
 以上、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。
 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応するため、関税率及び関税減免還付制度について所要の改正を行おうとするものであります。
 以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、通関手続の簡素化及び関税負担の適正化を図るため、潤滑油、製本機械等四十品目について、関税率を引き下げることといたしております。
 第二に、最近における輸入急増の結果、国内関連産業に重大な影響が生じている冷凍パイナップル及びプラスチック製スキーぐつについて、関税率を引き上げることといたしております。
 第三に、銅について、最近の内外価格の実情等を勘案して、無税点の引き上げ及び関税率の引き下げを行うことといたしております。
 第四に、特恵関税制度について、熱帯魚等四品目を適用品目に追加するとともに、均質混合調製食料品等二品目の特恵税率を引き下げることといたしております。
 第五に、低硫黄燃料油製造用原油等の減税制度について、最近の石油精製企業における脱硫作業の実態に即し、減税範囲につき所要の改正を行うとともに、その適用期限を延長することといたしております。
 第六に、昭和五十年三月三十一日に適用期限の到来する七百七十四品目の暫定税率及び関税の減免還付制度について、その適用期限を延長することとするほか、関税の五分の一軽減措置について、譲許税率の修正等に係る例外規定の整備を図る等所要の改正を行うことといたしております。
 以上、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を申し述べました。
 最後に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近における国家公務員の旅行の実情等にかんがみ、内国旅行及び外国旅行における日当、宿泊料、移転料等の定額を改定するとともに、あわせて所要の規定の整備を行うこととするものであります。
 次に、改正の概要を御説明申し上げます。
 国家公務員等の旅行に際して支給される旅費につきましては、昭和四十九年度に実施した宿泊料金の実態調査の結果等を考慮し、日当、宿泊料及び食卓料の定額を、内国旅行につきましては、平均約四〇%程度、外国旅行につきましては、平均約三七%程度引き上げることといたしております。
 なお、その際、外国旅行につきましては、旅行の実情に即して、日当及び宿泊料の支給に係る地域区分を改めることといたしております。
 また、移転料につきましても、国家公務員の赴任の実態等にかんがみ、その定額を内国旅行につきましては、平均約五〇%程度、外国旅行につきましては、平均約五五%程度引き上げるとともに、内国旅行及び外国旅行とも等級の支給区分を現行の八区分から四区分に整理、統合することといたしております。
 そのほか、内国旅行の車賃定額につきましても所要の引き上げを行うことといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○上村委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○上村委員長 次に、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
#6
○広瀬(秀)委員 ただいま提案のありました酒税法の一部改正並びに製造たばこ定価法の一部改正法案に対して、きょうは主として製造たばこ定価法の一部改正案にしぼって質問をしたいと思うわけです。
 いま、もう申すまでもありませんが、日本の経済運営の最高目標というのはやはり物価の安定であろう、こういうように思うわけであります。しかも、この二月なり三月なりというところは消費者物価も大分落ちついてきた。前年比二二、四%台におさまるのではないかという状況を迎えている。こういう中で、いまわれわれがいかにも物価値上げに財政主導型においてもう一遍口火を切るというか突破口を開くようなこの法案を審議せざるを得ないということを、非常に残念に思うわけなんです。
 たとえば、酒税法の値上げにしても、リキュール類や特、一級の洋酒というものについて二二%、清酒において高級銘柄一五%ということになれば、これは少なくともそれだけは確実に酒の価格の引き上げにつながる。そしてまた、それに若干の便乗値上げと俗に言われるものが加わる。恐らく三〇%近く上がるような結果にもなりかねない。そういう面も考えられる。
 さらにまた、たばこの問題では、高級銘柄、下級銘柄というもので若干の差はあるにしても、平均して四八%という非常に高率の定価法改定をやる。定価引き上げをやるということでありますから、やはりその分だけ、これはまさに定価法そのものずばり定価が上がる。いまようやく物価上昇が落ちつきを取り戻したという段階で、しかもことしの五月からたばこの値上げはやりたいのだと言っておられるわけでありますが、まさにことしの四月は、庶民大衆は花を見て楽しむ余裕もなく、目の色を変えて、目を血走らせてたばこのささやかな買いだめでもしなければならぬというようなことにもなろうかという大変な法案をわれわれは審議するわけなんです。
 こういう点で、政府としては、物価が落ちつきぎみの中で、しかもこの三月にはもう至上の目標として二二%なり一四%、少なくとも一五%は切るんだという、これは達成できそうだという中で、こういうものを出してこられた。われわれがいま懸念しているのは、物価がたとえば一四%台に三月で対前年比落ちついたにしても、それが若干金融の面で緩んだ形、総需要抑制が緩んだような印象があれば、また途端に物価は再上昇に転ずるのではないか。
 五十一年三月段階では九・九%程度に抑えたい、一けた台に抑えたいんだという、そういうものをきちんと織り込んで、なおかつ物価安定に悪影響を与えて、物価再上昇のきっかけになりかねないというようなことに対して、これを提案するに当たってどのような配慮をして、どのような確信のもとにこういう――酒、たばこと言えば財政物資のまあ二つの雄であります。そういうものを上げるということを物価安定との関係においてどう整理をし、どういう理論的根拠に基づいてこのような法案を提案したのであるか、この点を聞きたいと思います。財政上の理由はまた後で聞きます。
#7
○森(美)政府委員 広瀬委員のおっしゃるとおり、物価の安定というのがいま国の最大の問題であるということは承知しておりますが、ただ、本問題を取り扱いまして根拠といたしますのは、たばこと酒を値上げすることによって物価に影響があるのが、たばこについては〇・六、酒については〇・一、こういう数字の根拠のもとに、この際財政上の立場から踏み切ったわけでございます。
#8
○広瀬(秀)委員 それで、〇・六とか〇・一というのはわれわれも承知をしておる数字なんですけれども、そういうことしかないんだという、こういうものは、五十一年三月には年度間上昇率を少なくとも九・九%以下に抑えるんだという最高目標の中にはすべて織り込み済みであるという根拠はどういうところにあるわけですか。
#9
○中橋政府委員 今回の酒税の増税に伴いまして、もちろんおっしゃるとおり酒類の小売価格が上昇することは見込まれるところでございますし、たばこの小売定価の改定によりまして、その分だけたばこ消費者の負担がふえることも御指摘のとおりでございます。そういうことが家計に影響いたします割合は、ただいま政務次官からお答えをしたとおりでございまして、その間におきましても、いろいろ上げ幅、あるいは全然上げないものも設けるというようなことで、それぞれ配慮をいたしております。そういうことでできるだけ家計に及ぼす影響を少なくしながら、しかも財政としまして抑制的な基調を堅持するというような観点で、これによりまして約三千五百億程度の収入を上げ、歳入を充足するということで、なお国債の発行額についても削減をするというような態度をっておるわけでございます。
 したがいまして、五十年度、年度間におきますところの消費者物価の上昇というのも、そういう抑えられましたできるだけ最小限度の酒、たばこの値上げによりますものを含めまして、できるだけ低く抑えたいということにしておる次第でございます。
#10
○広瀬(秀)委員 たばこの販売数量は、もうすでに四十九年度二千六百九十八億本、二千七百億本を超えていると思うのですね。これは一部推側の数字も加わりましょうが、少なくとも二千七百億本、一億国民が少なくとも二千七百本年間に消費する、こういうことになっております。これを皆さんは、平均的な数字で〇・六%ぐらいしか物価上昇に対する寄与はないんだ、こう言われておりますけれども、たばこの家計支出に占める金額というのを所得階級別に見てみますと、これは昭和四十九年の十一月の一番新しい数字ですが、一番所得の低い第一階級のところで一カ月当たり八百八十三円ということです。これは少なくとも家計支出全体の中で一%を超えているわけですね。第二分位が〇・七、第三分位が〇・六、第四分位が〇・五、第五分位が〇・四、こういうように家計支出の中に占める比率というのは、高額所得者になるほど低くなっている、こういう現実というものがあるわけですね。
 したがって、第一分位、第二分位というような低いところの人たちが影響を受ける度合いというものはやはりそれだけ高いのだという、これは税におけるいわゆる逆進性の問題とも関係するわけでありますが、そういう意味において、低額所得層の人たちと高額所得層における、たばこを買うことによって支出する一カ月の金額というものはほとんど変わらないんですね。第一分位は八百八十三円、第二分位は八百三円、第三分位が七百八十九円、第四分位が七百九十三円、こう下がってきているんですね。そして第五分位でほぼ同じというよりも若干下がっていますが八百七十五円、こういう状況なんですよ。低額所得層は、やはり労働とたばこという問題が非常に関係が深いわけですね。勤労性の仕事をして疲れた、一服やる、こういうものなんでしょうね。そういうことを示していると思うのです。低額所得層が最高なんですね。八百八十三円という実支出をしている。
 きわめて単純に計算して、今度の四八%をそのまま掛けてみますと、大体同じように――低所得者だから一番安いものを吸うとは限りません。最近はそういう状況になっていますから、これが千三百七円になる。以下、千百九十五円、千百六十八円、千百七十四円、千二百九十五円。同じ量を消費していくということになれば、そういうことになる。そうすると、低所得者がまさに八百八十三円から千三百七円の支出になる。これはきわめて単純な数字でありますが、四八%今度値上げするということになれば、そういうことになる。たばこ消費支出については、低額所得者ほど支出も多いし、しかも税負担もしたがって多いということになる。最も低所得者をないがしろにした、まさにこれこそ逆進性というものが典型的にあらわれているではないか。
 こういう点について、これをこの際強引に押し切るという腹のうちには、皆さんがもうすでに新聞等でもときどき発表をして、いまのうちから事前のPRをしておこうという下心があるのかどうかわかりませんけれども、付加価値税の導入というようなもののまず突破口というか、はしりというような気持ちで、これを強引に出したのではないかという気がしてならないわけです。いわゆる低所得層に対してこういう犠牲を、いま数字を読み上げましたような形で負担を求めていくということに対して、一体、社会的公正を口にされる三木内閣の施政下において、真っ先に、最初の年にこれを出したというその魂胆と意図が、私どもにはどうも国民の立場に立って受け取れないわけだ。その辺のところをどういうようにあなた方は説明をされようとするのか、国民の立場に立ってお聞きしたいと思う。
#11
○西沢政府委員 ただいま先生の挙げられました数字はそのとおりであるわけでございますけれども、同時に、昭和四十三年度から四十八年度にかけましての第一分位層の年間収入の伸びを見ますると、四十三年を一〇〇といたしまして四十八年は二〇五になっておるわけでございます。
 なお、一カ月当たりの消費支出を見ますると、これが四十三年を一〇〇といたしまして第一分位層の四十八年度は一八九に相なっておるわけでございます。そのうち、たばこの消費につきましては、四十三年を一〇〇といたしますると、一三四になっておるわけでございます。
 なお、たばこの一カ月当たりの消費支出に占めまする割合も、四十三年が一・六でありましたけれども、四十八年度には一・一というふうに下がっておる事情も御理解いただけるかと思います。
#12
○広瀬(秀)委員 第一分位の生活水準というか、そういうものもよくなり、所得水準もかなり改善を見たのでそういうことになったのだ、こう言いたいわけですか。
#13
○西沢政府委員 第一分位層、第二分位層、第三分位層等、それぞれに年間収入、消費支出は伸びておりますけれども、第一分位層も同様に上がっておるということを申し上げたいわけでございます。
#14
○広瀬(秀)委員 確かに、こういうインフレの時代が長期にわたって続いているわけですから、したがって名目所得は低所得層といえどもふえているわけであります。しかし、この前、所得税法の審議の際にも、やはり所得階層別のいわゆる実質生活水準を示す部分において、低所得層のところはやはり確実に、去年は総体の賃上げ、名目賃金の引き上げが三二・九%だということが一般的に言われておるわけですけれども、それだけ賃上げをしても、昨年の十月から第一分位、第二分位、第三分位というようなところは軒並み実質消費水準が下がっている、実質収入が下がっているということを、数字を挙げてこちらでも申し上げたわけですけれども、そういう実態というものに目をつけた場合に、やはりこれほど顕著に逆進性を示しているものについては、少なくとも物価が安定したという段階を一年ぐらい見きわめた上で引き上げるということが当然であったのではないか。
 これはもう政府の完全に独占事業としてやっている日本専売公社が、この物価安定を図ることを最高目標にしている政治の中で、まず値上げをするというのはいかにも時期としてまずいというようなことを私どもは当然考えるわけです。したがって、もうことし一年ぐらいはこれは見送って、物価がもう落ちついた、もう狂乱物価再燃というような可能性は全くなくなったというような段階を見きわめてやってしかるべきであったろう、こういうふうに思うのですが、それをやらなかった主たる理由というのはどこにあるのですか。
 そのことは、政府が本当に物価安定、インフレを撲滅していくのだ、インフレからきわめて安定した物価状況というものをつくり上げていくのだということに対する政府の熱意を疑わしめるものがある。依然としてやはりある程度のインフレ、物価値上げというものはこれからもずっと続けていくのだというインフレマインドというものを、いまでもやはり消していない。一四%ぐらいに下がったというが、これだって二けたです。世界的に見れば、やはりかなり高い水準なんです。それがもう慢性化してしまって、その辺まできたのだから物価は安定したのだという錯覚にむしろとらわれているのじゃないかと思うのですよ。だから、その辺のところを国民がわかるようにひとつ説明してほしいです。
#15
○中橋政府委員 先ほども提案理由でいろいろと申し上げましたが、確かに物価を抑制するという態度は政府としても基本的に堅持しなければならないところでございます。そのためにいろいろ財政を抑制的に堅持するということも必要でございますし、できるだけそういった財政の配慮をしながらも、またいわゆる公共料金について抑制を図るということもやっておるわけでございます。
 ところで、酒、たばこに関しましては、四十三年以来、いわゆる小売価格というのはやはり一般の物価につれて上昇いたしましたし、それに占めますところのコストというものも上昇してまいっております。こういう嗜好品に対する課税を行っておりますというのは、やはりそれによって一部財政を賄おうというのが目的でございまするが、その財政を賄うべきいわゆる税あるいは税相当の負担率といいますものも、四十三年以来漸次下がってきておるわけでございます。
 一方、名目的とは申せ、所得はかなり上昇してまいっておりますものですから、その負担率をかなり回復する、そういうことによって歳入を充足する。また、財政の抑制的な態度、運営を堅持するということによりまして大きく物価の抑制にも貢献いたしたいという基本的な態度から、今回、しかもその酒税の増徴あるいはたばこ小売定価の引き上げということにつきましても相当の配慮をしながら、十分の負担率の回復というところまではまいりませんけれども、そういった基本的な目標を達成しようという気持ちで今回の定価の改定、酒税の増徴というのをお願いしておるわけでございます。
#16
○広瀬(秀)委員 いまの答弁で、やはり財政上の理由で上げるのだということを中心にお答えになったと思うのです。なるほど専売は今日、財政専売ということで国民だれもが意識をしていると思うのです。確かに事業益金率というものは、この前の四十三年の値上げで六三%、これを最近におけるピークとしてずっと下がって、四十八年段階で五九・三%、四十九年では五四・三%になるだろう、そのまま定価を上げなければ四六・五%であろう、こういう見通しの数字があるわけですね。
 そういうことで、持に五〇%を割るということに、財政専売至上主義の、財政益金を上げるということを非常に重視する立場に立つあなた方としては、一種の危機意識を持って、物価政策上は好ましいことではないけれども、これはどうしてもここでひとつてこ入れをしなければいけない、こういう気持ちになられたのだろうと思うのです。
 納付金率も、最近のところで見ると、四十三年の五八・四%から、四十六年に五九・一%というところがありますが、だんだん少しずつ減少をして、四十九年は五四%に落ちる。しかもこれは四十六年から始めましたいわゆる納付金率覚書方式というこれを二%も割ってしまうではないか。五十年度になればこれは四六・二%に落ちる。こういうことなんです。このことがやはり一番大きい今度のたばこの定価を上げるという発想の根本だと思うのです。私はこれでいいじゃないかと思うのです。五十年一年ぐらい四六・二%になったっていいじゃないですかということを言いたいのですよ。
 まず、この納付金率ですが、専売公社法の四十三条の十三の趣旨からいっても、むしろ納付金というのは後追い的なものだ。それを専売益金納付金率覚書というものを大蔵省と専売公社で取り交わして、五六%ということを当面の目標として覚書の納付金率にした。そういうものをまず前提にしておいて専売事業を運営していくということになれば、原料が上がる――これは国内産葉を確保しなければならぬということであるならば、米も上がる、その他の農産物も上がるという段階では、やはり葉たばこだって上げなければならぬですから、これも避けがたいことである。そういうこともあるでしょう。それから製造に従事している者の人件費も上がらざるを得ない。こういう物価情勢の中で当然上がるものは上がるのだ。そういうようにしてくれば、コストが上昇する、こういうことになる。
 そうすれば、いわゆる原価構成部分の五割を若干上回る率で原料というようなものがその地位を占めているわけですから、そういうものがかなり値上がりをする、あるいはまた労働者の賃金もかなり上がるということになれば益金率が下がるのはあたりまえだ。ところが、そういう異常な状態の中でも日本専売公社は一これは国家の独占事業体、まさに専売制度ですから、そのとおりである。そういう中で、財政専売だからと言って五六%というものを至上のものとして維持するのだということをまず出して、その他の原価構成要因が上がった場合にはその益金率は覚書にとらわれずに下がってもやむを得ない、こういうことにすれば、それにしても四六%は確保できるのです。総売上代金の中で納付金が四六%、総売上代金一兆円ならば四千六百何ぼ、一兆五千億ならば、これもはじいてみればわかりますが、相当な額になる、こういうような形になるわけですからね。そういう発想というものはやはりできないのですか。
 将来物価が安定した段階で、ほかとの比較、国際比較だとかあるいはもうこれを上げてもほかに波及するようなこともない、物価上昇に対しては〇・六%だけの寄与率でとどまるというような完全な見通しがついた段階でやることは別としても、いまこの大事な時期において、財政的な歳入を確保するためにどうしても五六%なり六〇%なりというものを必要とするのだということをまず前面に出して、その他の部分についてすべてしわ寄せをしていく。すなわち、国民と耕作者とそれからたばこ製造に当たっている労働者にその分のしわ寄せを押しつけていくというような形でこの定価の値上げをやることを避ける道がこのようにあるんだということで一年がまんして、四六・二%といういままでの例から言えば極端に落ち込んだ益金率であっても、なおかつ四六・二%あるのですから、諸外国で、たとえばイタリアあたりでは七〇%だというようなことだけではなしに、アメリカだってほぼ五〇%ちょっとぐらいのところです。国税と州税などを加えて、あるいは付加価値税を加えても五〇%ちょっとぐらいのところです。特に物価安定ということを至上命令としている日本の今日の段階においては、この点だけ減らせば、四六・二%ということを甘受するならば値上げしないで済むのだ。まさに国民は、政府も本格的に物価を安定させて、国民の生活を守ってくれているんだなということがこういうところでわかるはずですよ。そうすれば、物価安定への国民の協力なんというものは黙っておっても得られるのだろうと思うのです。
 それも、いつまでもそういうことでやれとまでは私どもも言い切れませんけれども、少なくとも、ことし、五十年度一年、四六・二%の納付金率で、あるいは恐らくこれ以上になるかもしれません、これは見通しですから、四八%かあるいは五〇%台でとまるかもしれないのですから、その辺のところは、これはまさに政治的に大きな、大所高所における本当に社会的公正の実現というような立場を堅持するのだとするならば、そういうことをやるべきであった、こう思うのですが、いかがでございますか。
#17
○西沢政府委員 先生御案内のとおり、専売公社の設立目的は、財政専売事業の健全にして能率的な運営ということでございます。これをあらわしておりますのが、先ほど来御指摘のございましたたばこ事業の益金率あるいは総合納付率ということにあらわれてきておると思います。
 先般、四十二年度に定価改定をいたしましたときにも、たばこ事業の益金率が六割というところを切ったということ、あるいは総合納付率が低下をいたしたというようなことが契機となりまして、税負担の調整をお願いしてお認めいただいたわけでございます。自来、四十三年から、先ほど御指摘がございましたけれども、たばこ事業益金率は大体六一、二%台を維持してまいりましたし、総合納付率につきましては五八%台を維持してまいったわけでございます。
 ところが、ここのところに至りまして、諸物価の高騰、原価の高騰によりまして、これがそれぞれ四六・五%、四六・二%にほうっておけばなるわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、やはり専売公社の設立目的にかんがみまして、ここで税負担の調整をお願いすべきではないかということで、このたびの定価改定をお願いすることに相なったわけでございます。
 なお、この定価改定をいたしました後におきます益金率は五六・九%、総合納付率は五二・六%になっておりまして、総合納付率で見ますと、本年度が大体五四%と言われておりますので、本年度よりも納付率は下がるということになっておる事情も御理解いただきたいと思います。
 それで、こういった益金率なり総合納付率が諸外国に比べまして非常に低いということは、先生も御案内のとおりかと思いますので、その辺のことは省略させていただきますけれども、いずれにいたしましても、ここで税負担の調整をさせていただきたいということでございます。
#18
○広瀬(秀)委員 益金率あるいは納付金率が下がるということで、覚書では、総売上代金に対する五六%というものを設定した、これから余り一〇%も下がるということは望ましくない、こういうことが一つあったということ。
 それからもう一つ、皆さんの方で、いわゆる国の専売制度である、しかも地方たばこ消費税、都道府県分として一〇・八%、市町村に配分されるものが一三・一%ですか、こういうものでこれはもう税率が決まっておりますから、それをいまいじるわけにいかない。そうしますと、国庫に納付される納付金が四十九年でもうすでに逆転をして、地方の方が約四億多くなってしまう、そういう問題が出ておりますね。これは四十九年の推計の数字でしょうけれども、少なくとも、国庫に納付されるよりは地方に配分される消費税が四億多くなった。
 しかも、これが売上本数が同じだとして、定価がいまのままだとすれば、地方たばこ消費税はやはり三千四百四十四億という四十九年度の横すべりで五十年度もいくわけですね。その際に今度は内部留保や何かを考慮して、恐らく国庫納付金は二千二、三百億台に落ちてしまうのではないか、これでは国の専売としておかしいではないかという、そういう思想的なものといいますか、国の専売であるにもかかわらず、地方によけいいってしまって、国の財源として果たす役割りが――地方に配分する分と国に入る分とがそんなに大きく離れたら、もうまさに大ごとである、これは国の専売制度としてのメリットが一体どうなんだ、こういう気持ちも皆さんの中に強く働いたのではないかと思うのですが、そういう点はいかがでございましたか。
#19
○西沢政府委員 地方たばこ消費税につきましは、御案内のとおり、従価税の制度をとっておりますので、年々増加をいたしていくわけでございます。それで専売納付金の方は、その売り上げからいわば原価を差し引いた残りというようなかっこうをとっておりますために、原価の上昇分だけ下がっていく、意図せざる減税と言っておりますけれども、そういうような状態になっております。
 しかし、われわれといたしましては、何も地方たばこ消費税がふえて国の専売納付金が減るということで、ただいま先生のおっしゃったような意味で定価改定をお願いいたしておるわけではございません。地方たばこ消費税は、地方の財源となりまして、それぞれ有意義に使われておるわけでございます。しかし、同時に、国におきましても、国の専売納付金は国のいろいろなことに役立っておるわけでございまして、その価値は、当然のことでございますけれども、同等であろうかと思います。
 ただし、いずれがより多い少ないということよりも、やはり国の専売納付金と地方たばこ消費税とが均衡のとれた姿でいなければならないということもまた事実であろうかと思います。過去の例をずっと見ましても、地方たばこ消費税よりも国の専売納付金が少なくなってしまったというのは、やはり異例な状態になっておるということは言えようかと思います。そういうことでございます。
#20
○広瀬(秀)委員 私どもは、確かにいままで専売納付金が地方たばこ消費税を下回るというような例を見ないわけです。そういう点では、ここで逆転したということは、政策当局として、あるいは専売公社の立場として、あるいはまた大蔵省として、このことに非常に気を使ったんだと実は考えるのですね。しかも、いま地方財政の危機が叫ばれているときに、そちらの税率を、――これはいまおっしゃったようにまさに従価税率、一本当たりの単価が税額計算の基礎になるわけですから、そいつを下げるわけにはいかぬ。そうだとするならば、国庫納付金をふやすためにはどうしても定価値上げをせざるを得ないんだ、こういうことだと思うのですね。
 しかしながら、私どもは、何もこういう異常な今日の国と地方の財源の配分、仕事の配分というようなものがいびつな形になっている段階、そして地方財政の危機というものが、国全体の施策の中でのインフレ、物価上昇というものの犠牲によって生じてきているという問題点、あるいはまた、生活、福祉優先と言うならば、やはり地方財政こそもっと充実をさしていかなければ、本当に生活、福祉優先の実現というのはあり得ないのだ。こういう立場に立つならば、四十九年度がこの程度に、そしてまた五十年度の見通しがそうなるであろうということも、それほど驚くに当たらないことであろう。そういう状態が仮に出ても、これはむしろ地方財政の危機を乗り切って生活、福祉優先の政治をやっていくんだという三木総理の施政方針演説の中でもはっきり述べられていることを、こういう面で如実に示すことになる。
 ところが、そっちを今回減らしたわけではないから、その点文句をつけるわけではないけれども、だからと言って、今度は物価上昇というものにとって少なくとも影響の度合いは〇・六%と小さい、こう言うけれども、私どもは決して小さくないと思う。そしてその中身については、特に低所得者に定価値上げの被害というものは最も強く響くのだというような面から、先ほども四六・二%まだ納付金率があるではないか、事業総合納付率が四六・二%ということでも一いいではないか、特別な経済変動期において、一年や二年そういう状態があっても少しも差し支えないのであると申しましたら、そのことが理由ではないと言ったから、これ以上申し上げませんけれども、やはりそういう点で、たばこ消費税というものは、むしろ率をもう少しよくして、地方財政を潤すようなことがあっても決しておかしくないわけだ。国へ入った分も、かなりの、七割近くが地方に分配されていくのですから、そういう点で、政策当局として、もしそういう間違った考えがあるとするならば、それはおかしいんだという指摘だけにとどめておきたいと思うわけです。
 それで、先ほども納付金率覚書というもので五六%という数字を出した。この理論的根拠は一体どういうところにあるのか。そしてまた、将来にわたってこの覚書方式というものは、その五六%というものを中心にどこまでもその程度は確保しなければならぬのだ、そういう気持ちであるのか。その辺のところについて、どのような将来計画というものを持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
#21
○西沢政府委員 覚書方式にございまする五六%の根拠でございますけれども、これは御案内のとおり、地方たばこ消費税が二八・四%になっております。それと先ほど来御議論になっておられます国の専売納付金との間の均衡をとるということを考えますると、やはり国と地方と合わせまして五六%程度の納付金が要るのではないかというような意味合いにおきまして、五六%という数字を設定いたしておるわけでございます。
#22
○広瀬(秀)委員 将来にわたってこの納付金率というものを、これはたばこ消費税を含めて五六%を維持する、これが基準目標というか、これから大きく上にも下にも離れないような目標になっておるのですか。それとももっと納付金率は多い方がよろしいのか。イタリア、フランスあたり並みの六〇%、かつて日本にも六三%あるいはそれ以上の時代もあったけれども、その辺のところは将来どういうように考えておられるのか。
#23
○西沢政府委員 この五六%の数字でございまするけれども、本年度、すなわち四十九年度におきましては、やはり物価の異常な上昇等のために、益金率が御案内のとおり大幅に低下をいたしてまいりましたので、これを最初は五四・五にいたしておりましたが、補正後にはそれも維持できなくなりまして、五二・五というふうな数字になっております。
 なお、五十年度におきましては、先ほど来お話が出ておりまする物価の抑制あるいは下位の銘柄につきまして値上げ幅を圧縮したりいたしました関係で、益金率が引き続き下がっていくようなことになりまするので、第一種納付金としては大体五〇%程度になってしまうのではないかというふうに考えております。したがいまして、この五六%を諸外国のように六〇、七〇というようなところに持っていくということは、現状におきましてはできないと思います。
#24
○広瀬(秀)委員 いま第二次中期計画というのが進行しておると思うのです。これは昭和四十三年の十一月に発表になりました「これからのたばこ事業 長期経営計画」というかなり野心的な計画がありました。第一次中計の段階を四十八年で終わって、四十九年度から第二次中計の段階に入ったと言われておるわけです。
 第一次中期計画の中では、近代工場の新設、拡大、そういうようなものを含めて新設六工場というものができ上がった。そうして第二次中計では、北関東工場を初め東海地方であるとかその他のところで四カ所ぐらいだったですか、工場の新設計画などもある。そうしてまた、それに伴って原料の調達も、海外に目を向けて、輸入葉というものへの依存度が増大することはもうやむを得ぬというようなことでその点を受け入れた形、そういうものが色濃く出ている、そういう問題、あるいは管理体制の問題であるとか労働条件といいますか、労働者の待遇改善、権利の問題、こういうようなものについても働きがいのある職場というようなことで、中期計画というものがいま進行していると私ども考えるわけなんです。そうして中期計画の大綱が発表されている。しかし、この計画はあくまで大綱というような形、あるいは素案というような形でとまっておって、経営目標というものを非常に強く出してその経営目標に向かって集中的に努力するんだということは掲げておるけれども、しからば、その具体的な経営目標というものがどういうものであるかということについては、きわめて漠然としてあいまいである。
 たとえば、原料調達の面では、輸入と国産葉の生産数量というようなものを一体どういうように目標年次に向かって配置をし、計画をしていくものかというようなこともわからない。そしてまた、製造販売の数量というようなものの見通しもはっきり示されていない。要員計画、こういうものもはっきりわからない。さらに、先ほど申し上げた、どこそこ地区、東海地区であるとか九州の地区であるとか近畿の地区であるとかというような地域で、ある程度具体的な地名なども、新設工場を建設する予定地というようなことで発表はしておるけれども、具体的にそれをどういう年次計画で、どのぐらいの投資額で、どの程度の規模のものをつくるのかというようなことについても明確になっていない、そういうことであります。
 そして、総合利益目標というこの目標を最高目標にして、これの達成にすべての体制を集中して努力するんだということなんだけれども、この総合利益目標というのはやはり納付金率覚書方式の継続である、こういうことだけが何とかはっきりしているというように思われるわけなんです。この中期経営計画というのは一体どういうものなのか。いま私が一部申し上げましたけれども、そのほかにも、まだ計画がはっきりしていないというところがあるわけなんです。
 これは専売公社の副総裁が来ておりますからお伺いしますが、この辺のところは一体どうなっているのか。いま専売公社は第二次中計と取り組んでいる、こういう段階で、その第二次中計とはどういう到達目標を数字的に掲げているのか。それから、年次的にどういう発展の経過をたどっていくかということについてどういうお考えがあるのか。いまのような経済の激変の時期だからというので、翌年のことだけその状況を見ながらやっていくというのならば、それは第二次中計は必要ないわけで、毎年毎年事態を見て翌年のことだけ考えていく、そういうことに方向を転換しているのか。そういう点をひとつこの際聞いておきたいと思います。
#25
○泉説明員 お答え申し上げます。
 広瀬委員御案内のとおり、昭和四十三年に専売公社は長期経営計画というものを策定いたしまして、それに引き続きまして、四十四年に第一次中期経営計画というものをつくったわけでございます。中期経営計画におきましては、大体将来五年間ぐらいを見通しまして、そしてその間における原料の調達計画、たばこの販売数量の計画、それに応じまして、製造工場の合理化計画、原料工場の計画、そういった各般の計画をつくっておるわけでございます。
 それで、第一次中期経営計画は昭和四十八年で終わりましたので、当然昭和四十九年から第二次中計をつくらなければならないことになりまして、その策定をやっておったわけでございますが、御案内のとおり、四十八年の暮れから、いわゆる石油ショックによりまして、非常に経済の変動が著しくなりました。そういった経済変動が著しくて将来の見通しが十分立てにくい段階におきまして、第二次中期経営計画というのを確定するのは適当でなかろうという配慮のもとに、現在は第二次中期経営計画というのは、一応案のままにいたしております。
 いずれ定価改定が終わりまして、経済の動向も落ちつくような情勢が見えます段階になりましたならば、もう一度従来の第二次中期経営計画案を見直しまして確定に持っていきたいと思っております。
 しかしながら、経営をやっていく以上は、先ほどお話がございましたように、その一年度一年度ごとの計画では当然やっていけませんので、必要な原料調達計画であるとか、あるいは製造工場の合理化計画であるとか、たばこの販売数量見込み、そういったようなものにつきましてはそれぞれ数字を持っておりますが、ただ現在は案でありますために、その数字を公にいたしておらないのでございまして、いずれ先ほど申し上げましたように、第二次中期経営計画を確定する段階になりますれば、その数字もはっきり申し上げられることになる、このように存じております。
#26
○広瀬(秀)委員 いまのお答えで、経済がこのように激動している、どういう落ちつき方をするのかという点で非常に問題があるということで、長期にわたる計画を確定するわけにはいかないというその事情はある程度わかります。
 しかし、四十九年の二月にもう第一次中期計画を踏まえてさらに第二次に発展をさせた計画をつくろう、そういうことで大綱を発表されておったわけですね。それで、それはまだ案である。確かに、特に四十九年、四十八年というのは激変の年であったことには間違いない。特にオイルショックあるいは狂乱物価というようなことで、原料調達などでもかつて見られなかった米の生産者価格を上回る四四・二%というような四十九年産葉の引き上げというようなこともあったことも承知しております。
 しかし、そういうようにしている間に事態はどんどん進むわけですね。ですから、どういう計画を持ち、どれだけ需要が増加をし、それに対してどれだけ工場を高速化し、あるいは能率化し、近代化する、そういう計画がそれに当然対置されなければならない。そしてそれに伴って今度は、原料の手当てをどうするかという問題を考えなければならない。さらに、それを支えるための要員をどうするがというような問題が、これはもう一連の組織として欠くことのできない問題として出てくる。
 こういうことなんですけれども、これを場当たり的にいまの状況の中でこうだという――もちろんこれはいま仮に計画をしたところで、恐らくみんなもう計画の見込み違いということに直面せざるを得ないだろうけれども、案という形でどこまでも行って、それが落ちついた段階で確定をする、そうなると、確定したときには、もう大体四十九年から五十三年を最終年度として考えておったものが終わるころになるかもしれぬ。それは案だ案だと言いながら、目標数字も示さないで、しかもその中で定価を上げるということだけはやる。それから、納付金率はこれだけにするんだという覚書方式を延長するということを言う。これははっきり出ておるのですからね。それだけは数字としてはっきりしているのです。
 こういうようなことでは、やはりわれわれこの定価法を審議するに当たっても、このたばこをつくっている専売公社の基本的な構え方というものが何にもわからないで、先行きどういうような対応の仕方をしていくかということもわからないで、定価法だけ抜き出して五六%の納付金率確保のために定価を上げるんでございますというだけでは、国民のコンセンサスを得られる道ではないだろう、こういうように思うわけですよ。いつごろ確定する時期が来ると思いますか。そしてそれはやはり当然早くすべきだと思うし、そういう意味では案があるならばその案の数字でも、これは案でございますということでやはり示して、国会における定価法案に関連する基礎的な数字としてやはりわれわれは審議しなければならぬと思うのですが、そこら辺のところはどうなっていますか。
#27
○泉説明員 第二次中期経営計画につきましては、先ほども申し上げましたように、この五月一日に予定いたしておりまする定価改定が行われました後、そろそろ経済の動向も落ちついてくるだろうと思いますので、至急数字的な取りまとめをいたしまして、私どもといたしましては、できれば本年末までには第二次中期経営計画を確定いたしたい、このように考えております。
 なお、数字など明らかでないではないかというようなお話がございました。今度の定価改定は先ほどお話もございましたが、四八%というかなり大幅な引き上げになっておりますので、その後消費者の需要がどういうふうな銘柄に移っていくか、その辺の見通しはなかなかむずかしいわけでございますが、私どもとしましては、五十年度には、定価改定をしなかった場合に比べまして、消費本数が約百七十億本ほど低下する。しかし五十一年度になりますと相当回復し、五十二年度には定価改定がなかったときの消費数量の伸びとほぼ同じ数量になるだろう。したがって、その後定価改定がなかりせば、昭和五十三年度という第二次中期経営計画の最終段階におきましては、たばこの販売数量は三千三百億本という程度になるという見込みのもとにいろいろの計画を立てておるわけでございます。
#28
○広瀬(秀)委員 そこで、今日定価を上げなければならなくなった事情といいますか、そういうようなものは四つかそこらの理由を挙げておられるわけですが、先ほどから申し上げておりますように、専売経営の合理化目標というか、事業計画の長期経営計画というようなものが出されたのは四十三年からであります。その前に三十六年あたりからそういう長期の経営計画というようなものがちらほら出ておって、正式にこれからのたばこ事業のあり方ということで出たのは四十三年でありますが、それ以後の専売の状況をずっと見てみますと、まず従業員もかなり減ってきておるわけですね。そういう面で合理化政策というものが従業員をまず減らす、こういうことにあらわれる。それから原料調達、特に国内産葉の問題でもかなり耕作者の人員が減り、また耕作面積も減ってきている、こういう状況になってきておるわけです。
 しかしながら、製造本数は年々ずっとここおおむね大づかみに言って百億本ぐらいずつは増加をしているということで、製造従業員は減っているというようなことですから、そういう意味では労働生産性は上がってきているはずでありまして、一億本当たりの所要人員が、昭和四十二年あたりで九・八人ぐらいであった。これが四十八年では五・七人である。さらに四十八年あるいは四十九年で完成をして操業開始をした、あるいは四十七年から始まったのもあると思いますが、いわゆる新設六工場では、もう高速化、自動化、連続化というような機械装置等によって、一億本の本数製造に対して三・二人で足りる、こういう状況になってきているわけですね。したがって、労働生産性はかなり向上しているはずであるというように見られるわけです。
 しかし、設備生産性というものが、いわゆる機械の高速化と連続化というようなものを目指して効率的なたばこ生産をやりたいということで、工場の新設、新鋭高速機械、さらに工程の連続化というようなことを含めて設備投資をやってこられたわけですが、その設備を増強することによってどれだけ製造本数がふえ、売り上げがふえるかという意味での設備生産性というものが、昭和三十八年あたりから見てだんだん下がっている。
 設備生産性の一つのメルクマールとして、機械装置の価格を製造本数で割ってみた数字でも、四十二年の二・四から四十七年の一・九に下がるというようなことが数字の上で示されている。さらに機械で製造本数を割った数字、これが昭和三十七年の七・五から四十二年の三・八、四十七年やや回復した形になっておりますが四・〇という、約半分程度に設備生産性が落ちている。この問題は一体どこに原因があるのか。これはやはりそういう専売公社の経営計画自体のミスではないのか。少なくともかなり早い時期から高速機械を入れるというようなことをどんどん進めてきておったわけですが、そういうことでやりながら設備生産性が落ちている。そして労働生産性は先ほどのように上がっているけれども、労働と設備と両者を合わした総合生産性というような面も下がりぎみであるというようなことはどこに原因があるのか。
 私どもはそこに経営計画における、たとえば、ごく端的に荒っぽい議論かもしれないけれども、いわゆる設備投資というものが少し早過ぎる、あるいは大き過ぎるというようなことで、そのたばこの需要のふえ方に見合わずに、製造本数が販売数量に見合わない形でむしろ過度に出てきたのではないか、そういう見方もできるわけですけれども、これはやはり計画全体を貫いて設備生産性が上がっていくという形は、普通の企業の場合だったら当然そのための省力合理化機械の導入というようなことをやってきているわけですから、それが逆にそういう点で設備生産性が下がってきたということが指数で示されているということについては――これは専売公社の資料ではありません、ある学者が決算書に基づいて計算をしたところですけれども、そういう状態になっておる。これは具体的にちょっと数字を言ってみましょうか。
 機械装置残高で有形固定資産残高を割ったもの、これはずっと年次になっていますが、昭和三十七年七・五、三十八年六・一、五・〇、四・四、三・七、三・八、三・九、四・四、四・四、四・二、四・〇、こういうように下がってきているわけで、それで、これは機械装置価額で有形固定資産残高を割った数字ですが、四・六から一・九というぐあいになっている。四十八年、四十九年の数字はちょっとわかりませんけれども、総体的にずっと概括してみれば、こういうぐあいに設備生産性が下がったというのは一体どういうことなんでしょうか。
#29
○泉説明員 広瀬委員お話しのとおり、労働生産性はここ十年ほどの間に著しく向上いたしております。したがいまして、その間専売公社のたばこの販売数量が二倍になったわけでありますけれども、労働者はむしろ減っておるというような状況でございます。
 お尋ねの設備生産性につきましては、これはいろいろなとり方があろうかと思いますけれども、広瀬委員のおとりになりました、たとえば有形固定資産残高で年間製造数量を割った数字、これはいまお話しのように昭和三十七年が三・二、それから昭和三十九年が二・六、四十七年が一・九、四十八年は申し上げますと一・八でございます。そういうふうに低下してきておりますが、これはしかし有形固定資産残高というのは、昭和四十七年なりあるいは四十九年以降物価が上昇いたしておりますので、設備投資額がふえておるわけでありまして、それを計算の根基にして分母で割りますと、当然そういった意味での設備生産性は下がってくるかと思いますけれども、むしろ私どもで計算しております。有形固定資産所有残高でそのたばこを製造販売することによって生ずる付加価値を割ったもので見ますと、これは昭和三十九年を一〇〇といたしまして、昭和四十八年は一〇一%程度でありまして、生産性は下がっておらない、むしろ横ばいと言っていいかと思います。
 一般の企業がそういう労働・設備生産性がふえているのに対して、専売公社の場合横ばいであるというのはどういうわけかというお尋ねがあろうかと思いますが、これは御存じのように、最近のたばこ製造設備につきましては、いわゆる本格ブレンドであるとか、あるいは原料工場におきましても全葉スレッシングの設備をつくるとか、そういった過去になかったような新しい設備を相当増強しなければならない、そういったことのために投資額がふえておるわけでございます。そういったために労働・設備生産性はほぼ横ばいという程度になっておるわけでございます。
 それから広瀬先生のおっしゃる、設備生産性が下がっておるのは、設備投資額がたばこの需要の増加に対して過大であったからではないか、こういうような御質問でございますが、先生御案内のとおり、第一次中期経営計画におきましては、年年のたばこの販売数量の増加を百億本と見込んで計画をつくっておったわけでございます。ところが、その実際の動きは百億本ではなくて、年々百二十億本ないし百三十億本の増加でありまして、そのために製造設備が間に合いませんで、職員には超過勤務をお願いして、それによってやっとしのいでまいっておるのが現況でございまして、設備投資過大というのは当たらないと存じます。
#30
○広瀬(秀)委員 さっき私の言い方がちょっとあれだったかもしれませんが、機械装置の残高あるいは機械装置の価額あるいは有形固定資産残高、そういうものでいずれもすべて製造本数を割ったもの、こういうことです。それが少なくとも皆さんが発表した製造本数、それからこの決算書等に出ている残高、その設備装置の残高あるいは設備装置の価額、それから有形固定資産の残高というようなもので割ってみるというのは、これはきわめて単純な計算ですからできるわけですけれども、それでやった結果が、三十七年以来こういうような推移をたどっている。横ばいなのは機械及び装置残高を使って製造本数を割ってみた、それがこの前の値上げのときが四十三年ですから、そこから見ますと三・九であった、それが現在では、四十七年が四・〇になり、その後の数字がわかったらちょっとつけ加えてもらいたいのですが、これはまあそれ以降は横ばいである。しかしこれは、三十七年あたり、四十七年と十年前ということで見ると、ほぼ半分程度ではないかというようなことが言えるわけですよ。
 だから、そういう点で、設備過大投資であるということまでは言いきらぬにしても、設備投資の中身が、確かにいままでの千回転の機械を二千五百回転に置きかえるということになれば、少なくともその段階で二・五倍ぐらい機械の効率としては上がるわけですね。しかし、それが今度は価格が異常に高いという問題も一つあると思うのですよ。異常に高額の機械を入れた、しかし能率的には、値段の高い割りにはそれほどの倍率では効率を発揮しないということもあろうと思うのですね。そういう点で、専売のたばこを製造する機械というのは、いわゆる注文生産みたいなもので限られた台数しかできませんから、割り高になることはある程度やむを得ないだろうと思うけれども、そういう面での問題がやはり一つ伏在をしておるのではないか、そういう懸念というか、われわれの疑問というものがあるわけですよ。
 そういう問題に対して、これは横ばいだというのは、先ほど見たようなところではなるほど横ばいであるが、少なくとも十年間というようなものをとってみると、これは確実に半分近くに落ちているではないか。
    〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
その辺のところはきっちりどういう点でそうなったのかということを明らかにしておかなければ、やはりこれは専売経営の問題としていけないと思うのです。そういうことで、それを可能にするために、また今度は内部留保をふやさなければならぬ。定価をそのまま据え置きにすれば、五十年には四十七億ぐらいの内部留保しか生まれない。それを七百十七億も内部留保をとりたい。それは次の北関東工場に向ける、あるいは磐田工場、東海地区あたりの工場に向けていくというようなことを考えているのでしょうけれども、そういう点で設備生産性というものがどういう形で上がるのか。
 第一次中計以来高価な機械を入れたために逆に設備生産性が落ちるから、それを埋め合わせるためには、早い時期に最高度に機械の効率を発揮させるために、今日までの労働条件を変更して、そして二交代制勤務ということで、女の人でも男性でも夜の十一時過ぎにしか家に帰れないというようなところも生まれるような二交代制、あるいは朝五時半に起きて家庭を持っている奥さんが行かなければならぬ、あるいは四時起きする人もある。こういうような、生活のサイクルというものをまるっきり変えるようなことをやって機械の効率を上げなければならぬ、こういうことで埋め合わせをした。それでどうやら総合生産性を幾らかでも高める努力をして、その努力というのは、むしろ労働者に犠牲を強いることによって辛うじてやられておる。
 しかし、長期的に見れば、労働と設備の総合生産性においても、昭和三十七年の三・五から四十七年の一・八まで落ちている、やはりこれも半減であります。そういう状態になっている。これは四十八年、四十九年で新設工場も稼働しましたからどの程度数字が変わっておるか、変わっておったら教えてもらいたいと思うのだけれども、そういう内容のものであったということになれば、これはかなり専売公社の中期計画というものは、そういう立場でもう一遍再検討しなければならぬ。
 そういうものを土台にしながら、一方でまた設備生産性が下がるような形で新しい機械、装置を導入して、それでまた一層それをよけい稼働しなければならぬ、効率を上げるためには二交代制を強化しなければならぬというようなことをやられて、そのツケは結局消費者大衆に定価値上げということで回ってくる、こういうようなことでは、これは非常に基本的問題をはらんでいるのではないか、こういうことを考えるのですが、いかがですか。
#31
○泉説明員 製造事業の設備生産性をどういう物差しではかるべきかについては、いろいろのやり方があろうかと思います。先生御指摘の、有形固定資産残高で製造本数を割るというのが普通行われておるやり方でございますが、これは先ほど申し上げましたように、有形固定資産が昭和三十七年から今日までの間に機械だけでなしに建設費などが非常に上昇いたしておりますために、それで製造本数を割るということでは、設備生産性をはかるメルクマールとしては適当ではないのではないか。私どもとしましては、有形固定資産残高で付加価値を割りまして、それによって設備生産性をはかるのがいいのではないかという考え方のもとに、そういうやり方をやってみますと、先ほど申し上げましたように、昭和三十九年を一〇〇といたしまして、昭和四十八年が一〇一となって、ほぼ横ばいである。その間若干の上がり下がりございますけれども、そういった状況にあるわけでございます。
 お話しのように、近年、先ほども申し上げましたけれども、たばこ製造設備につきましては、従来なかったような新しい機械を導入しなければならなくなりまして、そのために投資額が相当大きくなっておることは事実でございまして、私どもとしては、その設備生産性が落ちないように努力する必要があることは御案内のとおりであります。
 そういう意味で、二交代制を導入いたしておるわけでございますが、二交代制につきましても、外国のたばこ企業では三交代も行われておるような状況でありまして、必ずしも二交代がそれほど著しく労働者に不利になっておるとは存じませんけれども、しかし、いままで一直制であったものが二交代制になることにつきましてはいろいろ問題もございますが、私どもとしては、二交代制に伴う労働者の困難と申しますか苦労と申しますか、そういったものを漸次緩和していくという方向で目下努力いたしておる状況でございます。
#32
○広瀬(秀)委員 いま盛んに付加価値生産性を言われますが、たばこの場合には専売物資であって、これは定価の面で、米価と同じように国会の制約を受け国会で決められる、こういうようなことがあるわけですから、専売の場合、民間の産業における付加価値生産の概念を導入するということはまことに不適切であるし、実質的意味を持たない。やはり実物生産性というか、何人の力で何本つくれるのか、一億本をつくるための直接製造に携わる人員数というようなことこそが意味があることであって、そういう面を付加価値付加価値ということだけでいくことがいいのかどうか。これはやはり国会の制約ということで、価格問題について決定的に制約があるということ、こういう場合においては余り意味のないことなんで、その辺のところをやはり謙虚に認めて、先ほど言ったような一億本を二人あるいは三・二人、かつては九・七人の時代からそういう時代になっているという実物労働生産性、こういうものをやはり考えておかなければいけないのだろうと思うのですよ。だからその点は、論争点として将来の問題として残します。
 あと時間もそれほど残っていないので、話題を変えて原料生産の問題に移りたいと思いますが、耕作面積、それから耕作人員、これはまことに激減をしておるわけですね。これはやはりたばこ耕作の非常な特殊性といいますか、あのたばこ特有のいわゆる俗称やに、そしてまた真夏の一番暑い盛りに主として収穫の作業をやらなければならない。それから、たばこの生産というのは、苗床をつくる木の葉を集める、そういう作業から見れば、まさに通年なんですね。一年間を通じて、寒いときの仕事、それから真夏の仕事、そして収納の時期はまた厳寒に返ってくる、そういう非常に通年の仕事であるということ、しかも今日でも大型農機具を入れて葉たばこの生産性を飛躍的に、マスプロのようなことでいくわけにはいかないものである。
 これはやはりかなりの大規模の面積をこなしているアメリカでも、アメリカの農業と言えばもう大規模農業だ、こう言われておりますが、やはりたばこ生産の段階になると、ああいうやわらかな葉っぱ、大きい葉っぱ、これを機械を入れてがちゃがちゃこわしてしまうことはできないわけですから、したがって、そういう点で、機械化の導入というような面でも非常な制約を受ける。かなりの部分が、やはりどんなに技術開発をやってみても、限られた程度でしか近代化、合理化あるいは大型化というようなことはできない。
 特に日本の場合には、土地の制約というようなものも非常に厳しいわけであって、そういう中でこの第二次中計の中でもあるいは長期計画の中でも大型化をする、協業化をするというようなことがうたわれておって、そういうものに対するメリットというようなものが、特に日本の農政では補助金政策がかなり強いわけですけれども、そういう面での生産対策費というようなものの支出は、これはまたたばこ耕作事業については圧倒的に少ない、そういうようないろんな状況がある。そういう点で、将来の国内産葉の確保ということに対してどういう基本的な政策を持っておられるのか、その点を伺いたいと思うわけです。
#33
○泉説明員 もう広瀬委員すでに御案内のとおり、専売公社といたしましては、国内産葉を主体といたしまして、それに香喫味料あるいは特殊なオリエント葉といったようなものをあわせましてたばこを製造して、消費者に供給するという立場で参っておるわけであります。
 ただ、先ほど先生のおっしゃいましたように、昭和四十二年に二十万八千八百トンの買い入れを行いました国内産葉が、その後昭和四十三年から在庫がふえましたために減反政策をとりましたのと、また農業の動向から非常に農家戸数が減っていく時期に際会いたしまして、年々耕作面積及び耕作人員が減ってまいっております。私どもとしてはこれでは困るということで、昭和四十八年から近代化施設整備補助金というのを支出いたしまして、五年間に約三百億を上回る程度の補助金を支出いたしまして近代化施設を整備して、そして生産性を向上していこうという考えでやっておるわけでございます。
 それと同時に、将来の長期の国内産葉の生産見通しをつけるために、たばこ耕作組合の方ともあるいは市町村とも連携をとりまして、長期生産計画というのをつくりまして、全国各地のうち主産地、たばこを主として耕作しまた今後も継続が望まれるような主産地を中心といたしまして、長期生産計画というのをつくった次第でございます。
    〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
 ところが、昭和四十九年度におきましては、もうその主産地で予定いたしておりまする数字をはるかに下回るような耕作面積になってまいりまして、非常に苦慮いたしておったのでありますが、幸いに四十九年の収納価格の引き上げ率が大きかったせいもあるのか、あるいはわれわれの生産計画に対して補助金支出の効果がだんだん浸透したことにもよるのか、五十年度の作付許可面積におきましては、従来年々減少傾向にありましたものが減少がとまりまして、一応の配分面積より約千ヘクタールほど増加する見込みになっております。これは今後もそういう傾向が続くのかどうか、必ずしも予測を許しませんけれども、しかし、従来年々三千ヘクタール以上も減ってきておったのが下げどまり、千ヘクタールもふえるという見込みになったことは大変幸せなことだと思います。
 私どもはますます近代化施設整備補助金、それから本年度は持に新規耕作者が耕作しやすいように全国七カ所に作業センターというのをつくりまして、乾燥などの設備を公社がつくりまして、これを耕作組合などの運営によって、新規耕作者が乾燥設備に投資する必要が余りないようにして、そうして耕作しやすいような方向に持っていこう、こういうふうな努力もいたしておりますので、こういうことによりまして、国内産葉の減少傾向が少しでもとどまっていくことが期待されておる次第でございます。ぜひそのようになってほしいものだと考えておる次第でございます。
#34
○広瀬(秀)委員 いま答弁の中で、昭和四十九年産葉の収納価格の引き上げを四四・二%やった、そういうことの効果で幾らか、千ヘクタールくらい予定よりもむしろふえたというような状況、これは結構なことだというお話があったわけです。生産の問題については、やはりいま副総裁がおっしゃったことが一つの非常に重要なポイントであり、そのことの効果であろうと思うのです。
 近代化施設整備補助金、五年間に三百億出しましょうということで、これは三年前からでしたか、二年前からでしたか、そういうようなものが出てきた。これも幾らかは効果があったと思います。そういうように、やはり国内産葉に対する助成措置というようなことは、それ以前には全くなかったに等しいのですね。これは米の生産者価格よりも幾らか高目のところで価格がインフレ時代において上げられてきたというだけのことであって、しかもそれは高度成長政策に入る長い以前には、さらにほかの農産物との相対価格というものが非常に低いということから、幾らかその手直しというようなものが、戦後、特に高度成長に入った時期あたりから耕作者の意識の変革、高揚というようなものもあって、かなり強い要求が直接的に専売公社にも反映されるようになってきたというような、耕作者の運動などもあずかって米よりも幾らか高いところというようなことで来た事実は認めるわけです。それで昨年の場合でも、やはり米の引き上げ幅よりは上回った線で専売公社も了承をするということになってきておった。
 ところが、そこまでいくとさすがにやはり、いままで生産も面積もどんどん減退をする、人員もものすごい勢いで、四十年に三十二万三千五百三十八人であったのが四十九年度は十一万九千人という、まさに三分の一になってしまうというような状況が幾らかでも下げどまりになり、ふえる方向に来た。ということは、やはり価格の問題なんですね。この価格の問題で、国内産業がそれだけ上がったものですから、これは計算の仕方でいろいろあるようですけれども、四十九年度は実績で見ますとキロ当たり千百二十三円ぐらいになった。そうしますと、輸入葉たばこの総平均よりも上回る結果になるというように、やはりここでも逆転現象が出た、こういうことであります。
 そうしますと、今度は二次中計の中でも随所に、この原料計画の中で出てくる海外からの輸入の依存度が増加するということを当然のごとく受け入れている考え方、そうしてまた、さらに積極的に外国に専売公社の職員を派遣し、技術者を派遣し、そして海外でたばこを耕作して、それをいわゆる開発輸入と称して持ってこようでとしている、さらに原料調達力というものを増強し充実して、買い付けの競争にも負けないようにしようといろんな手だてを講じてやっているようですが、いま一番新しい数字で、国内で年間消費する原料のうちで海外からの輸入葉たばこの占めるウェートというのはもうそろそろ二七%以上になって、三〇%近くになってきているんじゃないかと思います。これは過去最高の数字だと思うのですね。
 こういうものをこの長期の計画の中でどの辺のところに目標を置くのか。国内産は大体総使用量の何%ぐらいを、少なくともわれわれは八割ぐらいは国内産葉で賄うべきではないかという基本的な見解を持っておるのですが、そういう面で、農民がせっかくそれでは幾らかつくろうではないかという上向きの姿勢を示した段階で、輸入葉の方が安くなったのだからそちらからの輸入に全面的に頼るぞ――全面的にとは語弊があるけれども、かなりウエートを毎年上げていくんだというような形に持っていくのか。
 たとえば、基本的に八割ぐらいの葉はやはり国内で確保するんだという考え方でいくのか、もう成り行きに任せてどんどん安い葉たばこを買ってくればいいんだ、こういう方向でいくのか。その辺のところの目安を、当然この地域計画を立てた以上、長期計画を持った以上、これはあなた方の最終的な目標というかあるいは到達値というか、そういうものとしてあるだろうと思うのですが、その辺のところはどういうように基本的に考えておられるのか、伺いたいと思います。
#35
○泉説明員 私どもは、先ほど申し上げましたように、国内産葉を基幹といたしまして、不足する分を外国から輸入して製造、販売をしておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、国内産葉が急激に減少をいたしてまいっております。それはひとりたばこだけではなしに、そのほかの農産物の面においても、農家がだんだん減少しておりますし、たばこ耕作者はその農家の減少傾向以上に減少しております。
 これは先ほど広瀬先生のおっしゃったように、たばこ耕作というものが農作業のうちで夏の暑いときあるいは冬の寒いときに労働しなくてはならぬといったような困難性があるせいだと思うのでございますが、しかし、専売公社としましては、内外を通じましてその原料を安定的かつ合理的に調達していくことが使命でありまして、たばこの製造原価の六〇%まではこの原料葉によるわけでございますので、原料葉をいかに合理的かつ安定的に調達するかということが、たばこ事業の死命を制することになっておるわけでございます。国内生産がそういうふうに減少していくために、やむを得ず外国から葉たばこを輸入しなければなりませんし、また特に最近におきましては、健康と喫煙の問題からいたしまして、緩和なたばこの需要がふえておりますために、緩和、補充料といたしまして東南アジア方面からも輸入をせざるを得ないというような状況になっております。
 現在のところ、昭和四十九年度におきましては輸入葉の使用割合は二六%になっておりますが、昭和五十年度におきましては輸入葉の使用割合が三〇%程度になるというふうに見込まれるわけであります。私どもとしては、できるだけ国内生産で賄うことが望ましいわけでありますけれども、いま申し上げたような国内生産の減少ぐあいと、それから国内葉たばこの値段と外国葉たばこの値段との比較からいたしますと、やはり国産葉が余り割り高では困る。もちろん農産物でございますから、外国と競争していく場合に、現在は専売公社が輸入する場合に関税はかかっておりませんけれども、適当な関税があったとしたならば、対抗できる数字といったようなものが一つの目安になろうかと思います。
 そういう意味で、私どもとしては国内産葉が原料の中で相当のウエートを占めていくことを望んでおるわけでございますけれども、遺憾ながら現在の見通しでは、いま申し上げました昭和五十年度の輸入葉の使用割合三割というのはだんだんとふえていかざるを得ない。もし国内生産がこのままで推移するならば、そうならざるを得ないというように見受けるのであります。
 先生は、八〇%は国産葉で確保しろというようなお話でございますけれども、現在の国産葉の生産の状況からは、とうていそういうことはできません。私どもとしては、国産葉を基幹にするということでございますので、できるだけ国産葉で賄っていきたいとは思いますけれども、現実に国産葉がそれだけ生産されませんと、どうしても不足分を輸入に頼らざるを得ない、こういう状況になるわけでございます。
#36
○広瀬(秀)委員 国内産葉のシェアがだんだんだんだん減ってしまうということの一つの原因は、先ほども申しましたけれども、やはり収納価格が低い。また、たばこは機械化にはある程度限界があるということもあって、一日当たりの耕作者の手間賃というか家族労働報酬、こういうものが他の農産物、これの代表的なものは米であるけれども、米よりも安い、あるいは養蚕農家よりも安い。
 これはちょっと古い数字で、一番新しい数字はひとつあなたの方でいまできたら示してもらいたいのですけれども、昭和四十五年のときに比較した数字があります。これから後四十九年に四四・二%というような引き上げもあったということで、この数字はかなりふえていると思いますが、四十五年段階の数字しかいま手元にないものですから、一日当たりの家族労働報酬が、たばこは千八十円、ばらつきとしては千二百四十九円から九百二十五円まで。養蚕農家は千七百二十九円、約七割近いわけですね。ばらつきが二千二百三十円から八百五十五円。それから、米の場合は二千四百九十三円、ばらつきが千五百十四円ないし三千六百七十九円、こういうことになっているのですね。この米、養蚕、あるいはミカン農家というようなところなどと比較して、かなり集団的に主産地形成をしてやっておるというようなところは、やはりこういうものだと思うので、この点でそういうものとの比較をわかっておったらちょっと示していただきたい。
 このことがやはり、たばこづくりをやったら現在では一日恐らく千五、六百円にはなっているのだろうとは思うのだけれども、ほかのそういうものと比較してこれほど低いのだということになれば、どうしたってこれは一日当たりの家族労働報酬として所得になる分が多いところに移転をするのが当然のことであって、四四%上がったら、もう途端に千人も耕作者がふえるというようなことになってくるというようなこともあるわけですから、その辺のところの比較をここでちょっと教えていただいて、その問題について少しまた聞いてみたいと思います。
#37
○泉説明員 農産物の収益性につきまして、一日当たり家族労働報酬がどうなっておるかという点につきましては、遺憾ながら他作物について昭和四十八年の農林省の調査しかございませんので、それで申し上げますと、たばこにつきましては一日当たり家族労働報酬が二千五百五十九円、それに対しまして水稲が四千八十四円、小麦が千五百三十四円、繭が三千七百六十一円、なたねが千九百四十円、ミカンが二千八十五円、リンゴが三千六十五円、こういったような数字になっております。
 なお、たばこにつきましては、広瀬委員御存じのとおり、昨年四四・三三%引き上げる際の計算によりますと、この二千五百五十九円というのが四十九年は三千四円に相なっております。他の作物につきましては、四十九年の数字を私どもまだ農林省からいただいておりませんので、申し上げかねるのをお許しいただきたいと思います。
#38
○広瀬(秀)委員 四十五年から比較すると、私腰だめでさっき千五、六百円にはなっているだろうと言ったのですが、それがもう二千五百五十何円になっているというのは、これは大変結構なことだ。それで、もうここまでくればやはり国内産葉を確保するということは非常に大事なことだと私は思うのです。公社の原料調達計画というのは海外依存ということで、しかも最近では輸入葉の総平均、かなりばらつきはありますが、その葉の銘柄によって、ブランドによって皆違いがありますけれども、そういうものを踏まえても、国内産葉のキロ当たりの収納価格の方が少し上回るという状況になってきた。こういう段階を迎えておりまするけれども、現に国内で生産することができる、それこそが一番安定供給のために必要なことだと思うのですね。
 これを、外国から幾らかでも安いものが入るんだということで――いま香喫味を出すための使用適性というか、そういうものについてはそれほどの変わりはなくなってきている。シガー、葉巻なんかをつくる場合には特殊な葉というものはありますけれども、シガレットをつくる場合には、香喫味をつけるようなことも、加工段階でかなり香喫味をよくする加工技術は高度化し、多様化し、レベルも上がっている、こう思うわけですね。だから、そういう点で、公社の誘惑としては、どうしても海外の方が安ければ海外に頼りたいというきわめて安易な楽観的な立場があると思うのです。しかし、石油の例ほどはひどくないにしても、やがて国際的な農産物一次産品というようなものがかなり上がってくる傾向というものは否定できないと思うのです。
 そして、国際分業論を持ち出すまでもなく、そういうところはたばこをつくってくれればいいのだというようなことで押しつけるわけにもいかないし、やはり生活をレベルアップしようというためには生産に見合って生活水準を上げていくという、これは世界共通の目標というものをやっぱりそれぞれの国で持っているわけですから、そういうものが進んでくるに従って工業化というようなことも進むし、また、海外でたばこを耕作している他国の農民たちもやはり自分たちの一日の労働報酬というものを非常に関心事として要求してくる、そういうことでこれは上がることは確実だと思うのです。
 しかも、いざという場合には、何といってもたばこよりは食糧であります。当然そこではもっと農業が発展していいはずのところで飢餓状態が発生している、食糧が足らないというような状況があちこちにあるわけです。あるいはまた、世界的な異常気象だとかいうようないろんな要素を考えてみる場合に、安易に、安いから、そして使用適性として国内産葉と余り変わらないのだというようなことだけで、海外依存度が野放しに青天井でふえていくというようなことを考えておったら大変な目に遭う。価格を上げることによって買い占めによるパニックがこわいというような、そんななまやさしいものではない、そういう状況というものをやっぱり想定しておかなければならぬと思うのです。
 そういう中では、やはり国内でできるもの、そしてここまでどうにか葉たばこ耕作者の自家労賃というようなものも上がってきているわけですから、一般的な製造産業に働く労働者などともかなり近づいてきたわけですね。だから、そういう段階になったら、もう一定の、製造規模三十人なら三十人くらいの工場というようなもの、それ以下に働く労働者の賃金と少なくとも見合いくらいの賃金はたばこ収納価格の中に織り込みますという、いわゆる生産費所得補償方式というものに移行できるような段階になってきた。そうなれば、やはり国内産葉というものはさらにもとの隆盛を取り戻すような段階を迎えるのじゃないか、そしてそれはきわめて安定的な供給源として、これからも文化の向上につれてたばこの消費量というものは増大する、それを安定して賄える、そういう基盤ができるのではないか、こう思うわけなんですね。
 いま聞くところによると、一日の自家労働報酬は三千円になってきた。これは大変結構なことだし、ここまでくればもう変わらないのですね。それほどの開きはないと言う。米と同じように四千円まではちょっとどうかというようなことで踏み切れないのだということかもしれませんが、生産費所得補償方式をとっている水稲ではもう四千円になっているのですから、まあそのくらいまでいってもこれはおかしくない。そのことがやっぱり国内の原料を安定的に確保して国民の需要にこたえていく、やがて何年かの先には恐らく諸外国のたばこの価格、輸入価格というようなものも思わざる急騰があり得るというようなことも考えてやることが必要だと思う。そのことが一つです。
 余り時間がないので、現在インド及びインドネシアあるいはブラジルあるいは韓国、こういうようなところにいわゆる開発輸入をしようというようなことで技術者を派遣して、それぞれ何億かの金を投じてそういう方向で努力されておると思いますが、その辺についての成果と将来の供給を安定的に確保できる見通しはどの程度のものであるのか、その二つのことをまず答えてください。
#39
○泉説明員 お話のとおり、私どもといたしましては安易に外国からの輸入葉に依存するという気持ちは毛頭持っておりません。ただ、葉たばこの値段というものが先ほど申し上げましたように、結局、たばこの製造原価の六割を占めておりますので、いかにしてそういった葉たばこを安定的にかつ経済的に調達するかということは、公社として最も関心を持たざるを得ないところでございます。
 それから、広瀬委員のお話のとおり、従来は葉たばこは世界的には生産過剰であったのでありますが、ここ二、三年、需要の増大に対しまして生産がふえません。そのためにだんだんと需給がタイトになってまいっております。むしろ需要量に追っつかないというのが葉たばこ生産の現状であります。したがって、お話のように、今後国際的に葉たばこの価格は上昇する傾向にあることは避けられないと思います。
 そういう中で、私ども国内産葉と外国からの輸入葉と――まあ外国からの輸入葉の中の香喫味ということにつきましては、これはどうしてもアメリカのバージニア葉に頼らざるを得ませんで、香喫味はやはり相当アメリカから輸入せざるを得ない。それから特殊な原料でありますオリエント葉、これもそれに頼らざるを得ないということでございます。そのほかのものにつきましては、できるだけ国産葉で間に合えば間に合わしていきたいという気持ちでございますが、いま申し上げましたように、世界的には葉たばこの需給は非常にタイトになっております。
 したがって、私どもとしては、従来からの産地からだけでなしに新しい産地から買い入れることを希望いたしまして、いまお話しのとおり、インドネシア、インド及びブラジルに産地開発をいたしておりますし、また韓国におきましては、韓国専売庁との技術交流協定によりまして、韓国におけるバーレー葉の品質改善及び収量増加に技術的な協力をいたしておる状況にございます。それらの状況とその成果の見込みにつきましては海外事業部長から申し上げさせます。
#40
○原説明員 ただいま泉副総裁から御説明申し上げました海外産地開発につきましての成果ということでございます。
 私ども公社が産地開発の調査及びこれに伴います現地での技術指導を始めましたのが一昨年でございまして、まだこれという成果は特にございません。ごく小規模の数ヘクタール程度、ブラジルにおきましては二十ヘクタールぐらいでございますが、そのぐらいの土地を試験圃地といたしまして、公社の国内の黄色種あるいはバーレー種というような種を試験栽培いたしております。試験栽培の段階では、これらの産地の自然条件その他が公社の適品と申しますか、公社の使用にたえ得る製品を生産する可能性があるということは十分心証を得たわけでございますが、ただ、何せ産地は農業開発でございますし、外国の土地を借りまして産地開発するわけでございますので、大変長い期間が要ります。仮にこの実験段階で成功いたしましても、広い相当量の土地、相当量の収穫を得るところまでにはまだまだ数年を要するものと考えております。
 ただ一つ、先ほど副総裁が申しました既成産地に対する指導ということでございますが、韓国は現在御承知のように黄色バーレー種の産地でございます。これに対します技術指導につきましては、模範農場展示圃と言っておりますが、模範農場をつくりまして、私どもの技術員が四名参りまして付近の農家を指導しております。これはその付近全体の農家の収量、品質の向上に寄与するところが大変多うございまして、専売庁からも感謝をされておるということであります。
#41
○広瀬(秀)委員 どうも周りをなでているような答弁でちっとも核心に触れていないのですけれども、インドネシアにしてもインドにしてもあるいはブラジルにしても――韓国の場合は非常に近いところだし、まあ外交的にはいろいろ問題があるから私ども言いたい問題がたくさんあるのだけれども、それは抜きにして、インドネシア、インド、ブラジル、こういうところは将来たばこ産地として安定供給源になり得る、そういう確信が持てる段階まできましたか。そういうところで国内の使用量に対してどのくらい期待できそうだ、そういうようなところはどうなんですか。
#42
○原説明員 ただいまの先生の将来の安定的供給産地としての確証を得たかという御質問に対しましては、まだ残念ながら試験段階でございますので、私ども、はっきり申しまして、将来相当量を安定的に確保するという自信は得ておりません。ただ、先ほど申しましたように、気象条件等の自然的な条件から申しますと、そういう産地に成長する可能性はございます。
 それで、私ども、当初の試験段階を、先ほど申しましたように、まだ始めましてから二年ぐらいでございますので、さらに一、二年は続けまして、その後に、もし自然条件でもこれが大丈夫だということがはっきりいたしましたその後に、産地経営と申しますか、産業基盤の問題あるいは道路事情、労働事情その他の問題を含めまして、産地経営としてどういうやり方、取り組み方をするかということを検討しなければなりません。農業開発でございますから、非常に時間がかかる問題でございます。
#43
○広瀬(秀)委員 もう本会議の時間が迫っているので、これ以上はまた別な機会に譲りたいと思いますが、たばこ耕作というのは、非常に労働者の粘り強さというようなものがなければまず成功しないと思うのですよ。だから、そういう面で、いまおっしゃったようなことのほかに、そこの農民の性格、それから生活様式、それからそういうたばこ耕作で非常にきめ細かい労働をかなり多量に投下しなければならないという、そういうものにたえ得るかどうかという人間の面、耕作農民そのものに着目する、そういう問題が非常に重要な要素であろうと思うのです。そのことが抜けておったので、これは指摘しておきたいと思うのです。
 それから高橋さん、さっきからずっと長いこと待たして申しわけないんだけれども、いま、その他の経済成長、経済発展によって、国税総収入の中に占めるたばこ納付金の、税収という面から見た比率はどんどん落ちているということですけれども、主計当局としては、全体の歳入の中で、あるいは税収の中で、どの程度たばこに期待するというようなメルクマールというか、そういうものを持ってやっておられるのか、それと五六%というような覚書納付金率、こういうようなものとの関係というのはどうなっているのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
#44
○高橋(元)政府委員 先ほど来各説明員からお答え申し上げておりましたように、最近、歳入の中に占めております専売納付金の割合は逐次低下してきております。しかし一方で、歳出の方は、いわゆる福祉の需要が非常に高まってまいる、これに合わせた施策の拡充を図らなければならないということ、また最近では、人件費その他当然増経費の増高がかなり著しくて、歳出の規模というものは物価との関連で抑制的にやっておりますものの、なおかつかなりの増加を示すということでございます。他方、経済情勢全体、経済運営全体から見ますと、国債を増発して財源に充てるということには限度があって、これを節度をもってやらなければならない。それらの要請を考えまして、ことし専売納付金に期待する割合というものを、たばこの定価改定によりまして二千五百億増加していただくということになったわけであります。
 それで、ことしの、四十九年から五十年にかけての財政規模の増加、約四兆何がしでございますが、その中に占めます専売納付金の増加というものの割合を見ますと、本年は六%、このような割合が今後とも続いていくかということにつきましては、まあ私ども見通しを持っておりませんけれども、それはいわゆる意図せざる減税によって逐次低下してまいった、また他の税収の増加によって低下してまいった専売納付金というものの地位を、今後定改を契機といたしまして、先ほども政務次官から申し上げました提案理由にもありますように、財源の多様化を図るということの中で検討してまいりたい。
 したがって、当面覚書方式による専売納付金の割合をどうしてまいるかということにつきましても、これから公社がお立てになります中期の経営計画なり、国の方で持っております長期の財政需要の見通しなり、そういうものとの関連で勉強をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
#45
○広瀬(秀)委員 これ一問でやめますが、第二次中期計画の中では、たばこ消費税制度導入という方向に移行するのだという基本原則を根強く踏まえていくということが言われているわけです。これは中期計画の期間として昭和五十三年度までということに一応はなっておるわけだけれども、その期間内にもこのたばこを、地方消費税だけでなしに、納付金というやり方を変えて、一本のたばこ消費税というようなものを導入することをやりたい、こういう気持ちなのかどうか、この辺のところは政務次官、ひとつ答えてもらいたい。
#46
○森(美)政府委員 消費税制度には、御承知のように、財政収入の安定的確保と公社の経営責任の明確化の両方のメリットがあるわけでございます。基本的には消費税制度の採用は検討に値するのでございますが、公社に与える影響などを考えますと、直ちに消費税制度を取り入れるということには問題がある、こう考えております。
#47
○広瀬(秀)委員 かなり疑問があるということで、これはまあ非常に慎重にやらなければいけないことだと思っておりますし、私どもは、少なくともいまの段階でそういう方向に移行することは反対であるということを表明しておきたいと思います。
 あと中期計画に伴う労働条件の問題やあるいは労働者に対する諸問題等については、またいずれ、保留をしておきまして、機会を改めてやりたいと思いますので、その点を明らかにいたしまして、きょうのところはこれで終わらせていただきます。
#48
○上村委員長 次回は、明二十六日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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