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#1
第075回国会 大蔵委員会 第27号
昭和五十年四月二十二日(火曜日)
    午後三時二十四分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君
   理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君
   理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君
   理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君
      越智 伊平君    大石 千八君
      奥田 敬和君    金子 一平君
      鴨田 宗一君    齋藤 邦吉君
      塩谷 一夫君    中川 一郎君
      原田  憲君    坊  秀男君
      村岡 兼造君    山中 貞則君
      松浦 利尚君    山中 吾郎君
      横路 孝弘君    荒木  宏君
      小林 政子君    坂口  力君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  森  美秀君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       西沢 公慶君
        大蔵省主計局次
        長       高橋  元君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        国税庁次長   磯辺 律男君
        国税庁間税部長 星野 孝俊君
 委員外の出席者
        日本専売公社副
        総裁      泉 美之松君
        日本専売公社総
        務理事     斎藤 欣一君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
 号)
 製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五号)
     ――――◇―――――
#2
○上村委員長 これより会議を開きます。
 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。坂口力君。
#3
○坂口委員 前回に引き続きまして、若干たばこの問題を先にやらせていただきたいと思います。
 葉たばこの買い入れ実績を見せていただきますと、この中には在来種あるいは黄色種、バーレー種いろいろの種類がございますけれども、この中でバーレー種というのがニコチンの含有量が少ないということが以前に言われておりましたし、それから味がソフトな上に香料をよく吸着するので最適な品種ではないかというような意見がいままでからあるわけであります。この生産あるいは買い入れ実績等を見せていただきますと、いわゆる東北地方におきましてはバーレー種がかなりつくられておるわけでありますけれども、そのほか岡山でも若干つくられておりますが、そのほかのところでは一番つくられていない。こういう結果が出ておりますけれども、バーレー種が非常につくられていない原因はいろいろあると思いますが、主なものだけ一、二まずお聞きをしたいと思います。
#4
○泉説明員 お答えいたします。
 葉たばこのニコチンというのは、必ずしもバーレーだからニコチンが少ない、黄色だからニコチンが多いというわけではございませんで、たとえば黄色でも中国産葉は非常にニコチンが少ない、それからオリエント葉も比較的ニコチンが少ないということになっておりまして、バーレーでもアメリカ産のバーレーそれから日本産のバーレーは、バーレーの中では比較的ニコチンは高い、よその地域のバーレーの方がニコチンが低い、こういったような状況にありまして、バーレー種だからというのでなしに、その産地によってニコチンレベルに差がある、こう御理解いただきたいと思います。そ こで、日本でバーレーが東北地方あるいは岡山県あるいは兵庫県の一部にしかつくられておらない理由と申しますのは、地味と気象とこの二つの理由によるものでございまして、バーレーの産地と申しますのはアメリカの中でどちらかと言いますと北部に属するケンタッキーとかそういったところが中心でございまして、黄色種はジョージア、フロリダ、サウスカロライナ、ノースカロライナ、バージニァ、こういった州にできますけれども、バーレー種はケンタッキーを中心としてつくられる。こういうことに示されておりますように、日本でもバーレーの中心は東北地方でございまして、山間地で、日照が余り強くなくて、朝夕霧が立つようなところがバーレーの産地として適当なところでございます。したがって、兵庫県、岡山県におきましても、そういった朝晩霧が出るような山間地が適当なところになっておりまして、地味はそれほど豊かである必要はないのでございます。
#5
○坂口委員 そういたしますと、輸入の方を見せていただきますとかなりバーレー種の輸入が多いわけなんですが、日本においてはこれは土地その他の条件で、ほかの都道府県ではできにくいということでございますか。
#6
○泉説明員 さようでございます。
#7
○坂口委員 もう一つお聞きしておきますが、在来種、黄色種、バーレー種それぞれの葉たばこのキロ当たりの買い入れ価格はどれくらいになりますか、わかりましたら……。わからなかったら結構です。
#8
○斎藤説明員 キロ当たり種類別の平均買い入れ代金というのは四十八年度の実績が出ておりますので申し上げますと、合計で七百九十三円になっております。そして在来種が七百九十八円、黄色種が八百十四円、バーレー種が六百八十三円、これは四十八年度の実績でございます。
#9
○坂口委員 そういたしますと、いまお聞きしますとバーレー種は価格としましては若干安い目になるわけですが、日本でももう少しこれが生産されるのではないかという意見があるわけでありますけれども、先ほどの御意見だと環境その他で少し制限があるようなお話でございますが、初めに私が申しましたニコチン含有量等のことを勘案いたしますと、いわゆるたばこの葉としては人体に対しても非常にこれがいいのではないかという意見があるわけであります。これについてもう一度だけお聞きして、そうしてそれとあわせて、先日いろいろ意見を申しました中で全体の原価の問題がございまして、一応保留ということになっておりますが、その点でもしも先日の質問の段階からこちらに前進があって、発表していただける段階になっているのであればあわせてお願いします。そうして酒の問題に移らしていただきます。
#10
○泉説明員 お話のようにバーレー種は、他の黄色及び在来種に比べますと、キロ当たり単価は少し安くなっております。それから、日本でそれではバーレー種の産地をもっと広げることができないかという御質問に対しましては、青森県及び秋田県等東北地方におきましてと、さらに従来から産地になっております岩手県におきまして今後拡大の余地がございます。現在のところ大体六千八百ヘクタールになっておりますけれども、私どもといたしましては八千二百ヘクタールぐらいまでは拡大できるのではなかろうか、こう見込んでおります。
 それから、原価の問題につきましては、その後格別進展はございません。先日申し上げましたように、値段の高いたばこも値段の安いたばこも、四十三年以降原価はほとんど同じように上がっております。その資料はお渡ししてあると存じます。そういう中で、今回の定価改定におきましては、一級品につきましては五十円ないし六十円、二級品につきましては四十円、三級品につきましては三十円程度値上げをするということで、級別にある程度金額に差をつける。金額の差はありますけれども、率にいたしますと、百円のものを百五十円にするのも五〇%、八十円のものを百二十円にするのも五〇%、ただ上がり方、額は五十円と四十円の差がある、こういう程度になっておるわけでございます。
#11
○坂口委員 この原価の問題は本当はもう少し詰めたいわけですが、依然として前進がないようでありますので、お酒の問題に移らせていただきます。
 まずオーソドックスに、たばこの値上げと同じように、お酒の方につきましても大幅の引き上げをしなければならない理由について、総括的な御意見をまず伺いたいと思います。
#12
○大平国務大臣 財政需要が高まる中におきまして、どういう方法で必要な財源を調弁いたしますかという場合におきまして、これを直接税に求めるか間接税に求めるかあるいは公債に求めるか、いろいろなことが私どもにとりましての問題でございます。それで、かねがね申し上げておりますように、間接税の中でも酒税はたばこと同様に従量税になっておりますこと、先生御案内のとおりでございます。四十三年以来据え置いたままになっておるわけでございまして、諸物価が上がってまいりました中で、人件費、原材料等が上がりましたので、本来ならばもう少しこれを上げさせていただくことが考えられてしかるべきでないかと思いますが、同時に直接税との比較におきまして、間接税の負担が相対的に軽くなっておる事情もわれわれは念頭に置いたわけでございます。
 試みに、国民所得計算におきまして個人所得が計算されますが、それに対して所得税がどのくらいの割合を占めておるかということを計算してみますと、四十三年におきまして個人所得が三十九兆四千億でございますが、所得税が一兆六千百三十一億という計算になるわけでございます。この割合は四・一%ということでございます。同じ年度におきまして酒税は五千七十九億円ちょうだいいたしております。これは一・三%でございます。
 これが四十九年度どういう姿になっておるかと申しますと、個人所得が百十四兆一千四百億ということでございまして、その中で所得税が五兆五千四百二十億、この割合は四・九%に上昇いたしているわけでございます。これに比較いたしまして酒税は八千八百五十億円ちょうだいいたしておりますが、その率は一・三%から下がりまして〇・八%になっておるわけでございます。たばこにつきましても同様なことが言えるわけでございます。
 したがって、同じように国民に御負担をいただくにつきましても、直接税でいただくか、こういう姿で間接税でちょうだいするかということを考えた場合に、政府といたしましては、この際間接税でこの程度をお願いするのが国民に対して当然のお願いではなかろうか。つまり直接税の増微を通じてお願いするよりは、こういう姿で国民に負担を願う方が公平であると考えたわけでございます。
 公債によって賄うかということでございますが、公債はすでに二兆円を超えておるわけでございますし、安易に公債財源に依存するということは財政当局として極力慎まなければならぬわけでございますので、かたがた酒税並びにたばこの値上げということについて考えさしていただいたわけでございます。
#13
○坂口委員 いま大臣から幾つかの数値をお挙げいただいたわけであります。直接税と間接税の割合についてのお話もございましたが、一昨年からの特に急激なインフレの継続の中での間接税と直接税の割合というのは、いわゆる平時における、まあ平時という言葉が当てはまるかどうかわかりませんけれども、こういうインフレが厳しくない時期の直接税と間接税の割合というものと、インフレが非常に厳しい中における直接税と間接税との問題というのとは別な意味を持つと思うわけであります。特に、非常なインフレの続きました中で、弱い層に非常に負担がかかっているというこういう情勢下において、なおかつここで間接税を上げるということが弱い層にさらに追い打ちをかけるという結果になると思うわけでありますが、その点、どうお考えになりますか。
#14
○大平国務大臣 低所得者に対する配慮は、ぜひ政治が心がけなければならぬ重要な課題でありますことは御指摘のとおりでございます。とりわけインフレが高進する中におきまして、所得の配分が不公正に傾斜してまいる段階におきまして特に大切でありますことは、御指摘のとおりであると私も心得ております。
 したがって、まず第一に、こういう段階におきまして増税を考える、あるいはサービス料金の値上げを考えるというようなことは慎まなければいかぬことでございます。しかし、全体といたしまして財政を考える場合に、歳出需要がこれだけあるということ、それがどうしても満たされなければならない財政需要でありますならば、何としてもそれを調達しなければならないことでございますので、議論といたしましては、まず一定の財政需要は動かしがたいものという前提に立ちまして、歳入をどのようにあんばいするかということで議論は出発させていただきたいと思うのでありますが、その場合に、私どもといたしまして、直接税に頼るか間接税に頼るか公債に頼るかという場合の議論は、先ほど申し上げたとおりでございます。
 しかし、あなたがいま第二の質問といたしまして、それでは低所得者に対する配慮があるかということでございます。もちろん、お酒にいたしましてもたばこにいたしましても、値上げを考える場合におきましてそういう配慮のもとに値上げの政策を考えておるわけでございまして、低所得者の需要すると目される種目に対する引き上げ率は、それなりに配慮いたしておるわけでございます。その引き上げ率と低所得層の所得の増加が、それでも引き上げ率が大きいじゃないかという御批判には十分に耐えられるだけの用意をして引き上げをやるわけでございまして、言いかえれば、四十七年度当時に比べまして相対的な負担が五十年度にわたりましてさらに低所得者におきましても低目になるような配慮を加えた上で値上げの構造を考えさしていただいておるというように御理解を賜わりたいと思います。
#15
○坂口委員 いま大臣は、低所得者に対してはそれなりの配慮がしてある、こういう御発言であったわけでありますが、この御発言は、たとえばたばこの場合でありますとゴールデンバットはいままで三十円のを今度四十円にした、この辺のところを吸えと、あるいは酒は特級、一級を上げたが、二級は上げないので、この辺を飲めと、こういうことでございますか。
#16
○大平国務大臣 仰せのとおりでございます。
#17
○坂口委員 貧乏人は麦を食えとおっしゃった方がございますが、同じような発想ではないかと思うわけであります。これだけ考え方が違いますと次にどう質問していいのかわからなくなりますけれども、低所得者の人が果たしてゴールデンバットばかり吸っていられるかどうか、あるいはまた二級ばかり飲んでいられるかどうか、これは基本的な物の考え方によるものであろうかと思いますが、そういうことがいわゆる低所得者対策であるとは言えないと私たちは思うわけであります。
 この問題はこれ以上大臣とやりましてもどうも平行線になるようでありますので、これ以上申しませんが、続きまして、お酒について各メーカーが酒税の改正とあわせて便乗値上げをする気配があるというようなことが伝えられておりますけれども、これに対してはどう対処なさるおつもりか、まずお聞きをしたいと思います。
#18
○磯辺政府委員 清酒につきましては、御承知のように昨年の六月ごろを中心といたしましてぼつぼつ値段が上がったわけでありますけれども、この値段が上がりましたのは、主として原料高、それからびん代の高騰、そういったことに起因する値上げでございます。この際、国税庁といたしましては便乗値上げ的なことは慎むようにということで厳重に業界を指導したわけでありますけれども、今度仮に酒税の引き上げが行われまして酒の小売値段が上がるということになりましても、私たちとしては、決してこの酒税の引き上げに伴う便乗値上げといったことがないように、従来に増して厳重な指導をしてまいりたいと思います。
 ただ、これは御承知のように、酒につきましては自由価格でございます。そして同じ特級酒である、あるいは同じ一級酒でありましても、その銘柄等によりまして値段にかなりばらつきがございます。それからまた、これは非常に残念なことでありますけれども、酒は最近の国民の嗜好状況の変化、それに伴いまして、むしろ日本酒につきましては在庫がだぶつきぎみである、こういうようなことがございまして、むしろこれは酒の乱売の傾向さえあるわけであります。したがいまして、業界としてもこういったコストアップを超えたような大幅な値上げというものは、事実上なかなかむずかしいであろうということも考えられますし、かたがた私どもの指導と相まちまして、この酒税の引き上げに伴う便乗値上げというものはいたさないように厳重に監視してまいりたいと、かように考えております。
#19
○坂口委員 すでにビールでは朝日麦酒が値上げに踏み切っているわけでありますが、この税改正を見込んだ値上げではなかったかという気がいたします。この朝日麦酒の値上げについてはどのようにお考えになっておりますか。
   〔委員長退席、山本(幸雄)委員長代理
   着席〕
#20
○磯辺政府委員 ビールの値上げ問題というのは非常に私たちも頭を悩ましておる問題であります。御承知のように、ビールというのはいわば新聞紙上等でガリバー寡占というふうなことを言われておりますけれども、そういった面で販売量の多いメーカーとそれから販売量の少ないメーカーというものに対する企業格差というのが非常に大きい。したがって、こういったものはコストにもかなり影響してくるわけであります。かたがたビールは朝日麦酒、サッポロビール等が一昨年の暮れに一度値上げしたわけでありますけれども、その後のいわゆる石油ショックに伴う値上げといったものが全然織り込んでなかった。その値上げした後に、このようないわゆる石油ショックによりますところの諸物価の高騰がございまして、特に原料高、それからいろいろと人件費のアップといったことがございまして、酒税の値上げとは全く別な意味におきまして、赤字をカバーする意味においてまず朝日麦酒の値上げが行われ、それから続きまして四月四日にサッポロビールの値上げがあったわけであります。
 これも先ほど御答弁申し上げましたように、ビールにつきましても、清酒と同じように現在では自由価格になっておりますので、私どもといたしましては、極力値上げはやるべきではないということを強く指導してまいったわけでありますけれども、そこは自由価格のたてまえをとっております関係上、行政指導にもやはりどうしても限界がある、そういったところで、当初これらのビール会社が値上げを予定していた時期よりはかなり大幅に時期的にはおくれておりますけれども、各会社としては値上げをするというふうなことになったわけでありまして、国税庁といたしましては、これは会社の経営上やむを得ないということはある面では認めながらも、値上げが行われたということに対してははなはだ残念に思っております。
#21
○坂口委員 そういたしますと、自由価格になっているから行政指導にも限界がある、こういう立場を貫かれるとしましたら、各アルコール類が値上げをしようということで申請をしてくるということになってまいりますと、初めにおっしゃったように厳しく行政指導をするということであっても、朝日麦酒のときのように、これは自由価格であり行政の限界があるというお考えであれば、申請してくればどんどん認めるということにならざるを得ぬじゃないですか。いかがです。
#22
○磯辺政府委員 原料アップとかあるいは人件費のアップに伴う値上げというものは、やはり押えながらもある程度やむを得ないと認めざるを得ない時期が来るかと思いますけれども、御承知のように清酒につきましては、最近は在庫が非常に多いと言って、むしろ乱売なりあるいは値引きさえ行われて、そのような傾向が余り続きますと、酒税の確保にも問題があるというふうな状態になることさえ恐れられるような現在でありますから、そういったコストアップをカバーする以上の便乗値上げといったことはなかなか業界としてもできないんじゃないか、私たちはかように考えております。
 したがいまして、それほどむちゃくちゃな値上げという計画はないかと思いますけれども、やはり私たちとしては、そういった値上げという問題が起こりましたら、できるだけの指導力というものを発揮いたしまして値上げを押えていく、あるいはやむを得ない場合でも、その時期は可能な限り後にずらしていくというようなかっこうで指導してまいりたい、かように考えております。
#23
○坂口委員 ちょっと具体性を欠いておりますのでおっしゃる意味が十分にわかりかねる面がありますけれども、どうですか、現状を考えて、具体的に少なくとも向こう一年間ぐらいはそういうことはあり得ないと、そうお考えになりますか。
#24
○磯辺政府委員 私たちは値上げというものはできるだけしてもらいたくない、またしないように行政指導をするという考えでございますけれども、ここ一年以内そういったことはないということを確信を持ってお答えするということは無理かと思います。
#25
○坂口委員 いまのお話を聞いておりますと、厳しく行政指導をするという表面的なお言葉ではありますけれども、よく聞いてみると、それには限界があり、自由価格だから、出されてくればやむを得ないとまあ解釈せざるを得ないような御答弁だと思うわけであります。その面で御回答をぼくは大変残念に思うわけでありますが、時間がありませんので、もう少し酒の問題を絡めて質問させていただきますが、ビール業界では、先ほど言われましたようにガリバー型の寡占という言葉がよく使われるわけであります。たとえば特別な一社のシェアが六〇%を超えるというような状態にもなっているわけでありますが、これは大臣にお伺いをした方がいいかと思いますが、いわゆる独占禁止法の改正と絡まれて、この企業分割の項目が入るか入らないかということが非常に大きな問題になっているわけでありますけれども、ビール業界におきます現状もやはりこの独占禁止法の改正というものと決して無関係ではないと思うわけであります。
 そういう意味で、現在の六〇%を超える寡占状態にありますこのビール業界の、しかもまた値上げが起こるかもしれないという現状を踏まえて、そしてこういうふうなものはやはり分割せざるを得ないのではないかと思うわけでありますが、これに対するお考えをお聞きして最後にしたいと思いますが、いかがですか。
#26
○磯辺政府委員 改正独禁法とそれからビール業界との関連、これは私は非常にむずかしい問題だと思います。独禁法が成立いたしましてそれが施行になりました段階で、われわれはその独禁法とそれからビール業界との関連ということに対して考えた方がいいのではないかと思っておりますけれども、まあガリバー型寡占ということで一社が六三%程度のシェアを持っておるということは事実でございますけれども、ただビール業界の場合には、その六三%のシェアというものがその一社に対する国民の需要増によってだんだんこれが大きくなってきたというふうな問題もございますし、それからまた同時に、これは嗜好性飲料でございますので、たとえ企業分割しても必ずしも国民の需要がそれによって変わるといったような見通しもございません。それからまた同時に、これはある面で言いますと、六十数%のシェアを持っておる社のために全般的にビールの値段が上がるということに対するある程度の押えぶたにもなっておるといった、かれこれ特殊な問題がございまして、独占禁止法とビール業界との関連をいますぐ明確にお答えするということは非常にむずかしい問題だと思っております。
 ただ、現在のわれわれの考えといたしましては、事務的に考えますと、いまの一社が六三%前後のシェアを持っておるということが、それによって特にビール業界における寡占の弊害というものにつながっておるというふうには考えておりません。
#27
○大平国務大臣 いまあらまし国税庁の方からお話がありましたが、いわゆる独占禁止法の改正問題は、自由民主党と政府の間でいまお話し合いが行われておるようでございまして、これがどのようにまとまって国会に提案されますか、国会に提案されました以後国会の御意思がどのようにして決まるのか、どういう姿で決まるのか、私はよくわかりません。したがって、ビール業界といま検討されておる政府原案というものとの関係を国会で私が意見を申し述べるのは、相当時期尚早ではないかと思います。
#28
○坂口委員 では、これで終わりますが、まあ時期尚早だということで大臣は逃げられたわけでありますけれども、しかし全体としましては決して時期尚早ではなしに、少なくともこういう問題が具体的に提案されているときでありますから、もう大蔵大臣としてのはっきりとした意思表示をしていただいていいときではないかと私は思っております。決して時期尚早ということではないと思うわけであります。
 最後に、具体的にこの問題についてもう少しつけ加えていただくことがあれば、つけ加えていただいて終わりにしたいと思います。
#29
○大平国務大臣 せっかくのお話でございますけれども、私といたしましては、まだ時期尚早だと考えております。
#30
○坂口委員 終わります。
#31
○山本(幸雄)委員長代理 竹本孫一君。
#32
○竹本委員 私は、たばこ、酒の問題、特に地方財政の充実あるいは自主財源の強化といったような見地からいろいろ聞いてみたいと思うのでございますが、まず最初に、今回のこのたばこ、酒の増税で、国の収入は幾ら増収を見込んでおるか、同時に地方は幾らを見込んでおるか、それをひとつ伺います。
#33
○中橋政府委員 たばこの価格改定によりまして本年度二千五百億円、それから酒税の増税によりまして千七十億円を予定いたしております。
 それで、地方はたばこ価格改定によりましてのむしろ減が立つところを、本年度は特別に措置をいたすことによりまして、たばこの価格改定によりますところの地方たばこ消費税は増減をなくいたしております。
 それから酒税が千七十億円増収になりますから、それの三二%が交付税にはね返る勘定になります。
#34
○竹本委員 たばこの値上げ、酒もそうですけれども、値上げの場合に消費がどの程度減るという見通しで計算ができておるかという点はどうですか。
#35
○泉説明員 たばこを値上げした場合にどの程度消費が減るかということにつきましては、昭和四十三年のときの数値しかございません。それを参考にいたしまして、私どもは今回の四八%の値上げの際には、たばこは百七十億本消費本数が減るというふうに考えております。したがって、そのままほうっておきますと、御承知のように、前年度のたばこの一本当たり単価に本年の三月以降来年の二月までの売り上げ本数を乗じて、それに地方消費税を掛けたものが地方消費税になるわけですが、百七十億本減りますので、ほうっておきますと地方たばこ消費税が減収になります。
 そこで、五十年度には減収になりますが、五十一年度には値上げの結果非常に増収になるわけであります。しかし経過的に五十年度にそういうことが起きますことは、地方団体にとって好ましくないことでございますので、そこでたばこの定価改定をしなかった場合に入るべき地方消費税と同額を補償しょう、そういう意味で、ほうっておけば減るものを二百二十億増収になるように地方税法の改正を行いまして、そのような措置をとることにいたしておるわけでございます。
#36
○中橋政府委員 酒税の増税につきましては、かなり四十二年度のいわゆる小売価格の中に占めますところの負担率よりは低く抑えることにいたしております。
 したがいまして、今回の増税によりまして、そんなに酒の消費に影響を及ぼさないというような観点で、四十九年から五十年への消費数量を見ております。
#37
○竹本委員 一般的な問題になりますけれども、どれだけ減収になるかならないかという問題を判断するについて、四十三年度なら四十三年度の前例があるとか、いろいろ議論はあるわけですけれども、今回のようにいわゆるスタグフレーションで景気が冷え込んでおる、あるいは消費者が経済の見通し等についても自信を持っていないというような場合には、予想以上に減ることはないかという点が心配されると思いますが、そういう点はどうですか。
#38
○泉説明員 たばこにつきましては、過去の数字から見ますと、景気がいいから消費本数が多い、景気がよくないから消費本数が少ないということは必ずしも認められません。どちらかというと、天候による点が大きい。雨降りが長く続きますと、どうも消費はふえない。天気のいい日が続きますと、わりあい消費がふえる。こういったのがむしろ顕著に見られる現象でありまして、景気のいい悪いということは必ずしもたばこ消費に余り関係がないように見受けられます。
#39
○中橋政府委員 四十九年度の補正予算のときに、その当時の課税実績その他からしんしゃくをいたしまして見込んだわけでございまするが、酒税に関します限りは、そんなにその見通しが大きく違ってくるということはないと思っております。
 それから、そういうものをベースにいたしまして五十年度の見込みを立てたわけでございまするけれども、そのときにもかなり景気の見通しということを頭に置きましたので、たとえば清酒の特級、一級は横滑りの量を推移いたしますとか、ビールについては一割程度の伸びに終わりますとか、ウイスキーについては二割程度の伸びに終わりますとかいうことを見ておりまするので、ほぼ酒類の消費というものはあの当時の見通しに近いものを期待できるのではないかというふうに考えております。
#40
○竹本委員 この間大蔵大臣から大蔵委員会において、四十九年度の予測せざる減収八千億ということで御報告があった。そこで、私はいま酒やたばこについても予測せざる減収が出てくることはないかという点を念を押しているわけです。いろいろ過去の例とか、またその他ありますけれども、一番大事なことは、今回のスタグフレーションというものが政府が考えている以上に深刻な面もあるのだということを考えた場合、従来の例とその延長線とかいうようなことで考えていいかどうかという点を私は心配して言うわけでございますが、幸い大蔵大臣もお見えでございますから、ぼくはあのときの予測せざる減収という意味がわからない、ついでに伺っておきたいと思うのですが、予測せざる減収というのは一体どういう意味かということですね。予測し得なかった減収という意味か、どうなんですか、その辺のほんとうの意味は。
#41
○大平国務大臣 仰せのように去年からことしにかけての経済の状況というのは、われわれの予想を越えたものがございます。景気の冷え込みにつきましても、かつて経験したことのないような深みを持っておるのではないかという見方で御指摘になりましたが、私も全く同感でございます。
 したがって、こういう経済の状況を踏まえた上でそこからちょうだいいたしまする税の収入の見積もりというものを立てる場合、従来の経験から発してこの程度可能ではなかろうかという予想を立てましても、それが必ずしも的中するというわけにはまいらぬのではないかという意味におきまして、予想せざるという意味は、われわれの能力をもってしては予想することができなかった、見積もり違いでございますということでございます。したがって、ことし、五十年度におきましても、酒税、たばこばかりの収入でなく、全体の収入につきましても、竹本委員おっしゃるような意味におきまして、在来の経験にとらわれないで冷厳に見ておく必要はあると考えております。
#42
○竹本委員 私は、大臣、予測せざる減収というのは非常に重大な発言だと思うのですよ。それは政治責任をごまかしたといいますか抜きにした、ただ予測したか予測しなかったかと言えば、予測しなかったというきわめて事務的、技術的表現になっておるけれども、政治家としての発言から言えば、予測し得なかった減収ではないか。しかし、それはいまの大臣の御答弁では、われわれの努力をもってしてはということか、それもまた一つありますがね。しかし、もう一方から言えば、われわれの能力をもってしては予測し得なかったという場合もあるかもしれない。あるいは努力、能力合わせて予測し得なかったという場合もあるかもしれない。
 しかし、予測し得ざる、あるいは予測し得なかった減収ということになると、大体大蔵省の自然増収の場合でも、今度は自然の減収かもしれないが、そういう場合も見通しそのものがきわめて科学的でない。ないから当たらないんだ。そういう問題についての政治的な責任というものがぼけてしまっておる。私は原稿を拝見したときに非常に奇異な感じ、あるいは割り切れない感じになったのですけれども、一体どっちなんだろう。もし予測し得べくして予測し得なかったということになれば、これはそれだけ能力の問題、努力の問題、あるいは政治責任の問題になる。しかし、それは全然そういうものがないのか、ないと思っておられるのかどうかという点が私は一つの問題だろうと思うのですね。
 という意味は、減収というのは、私はいま大臣も覚えていてもらっていると思いますけれども、フォードさんが二正面作戦、インフレに対してとデフレに対してと二正面作戦をとりまして、大統領就任以来何カ月間かは非常に勉強して、その結果十月八日と思いますけれども、経済十項目の演説をした。その演説はインフレとデフレと両面作戦をとらなければアメリカは大変だということで、両面作戦の新しい宣言をして新しいスタートを切った。それが十分であったかどうかはまたこれは別に問題がありますけれども、とにかくそういう政治的な見識と熱意を示した。それが十月八日です。
 そこで、私はその演説を読んだときに、日本もいま切りかえなければ大変だということを感じましたので、私は大蔵委員会で、あの十四号室か十五号室か、あそこのときに大臣に質問いたしまして、日本も二正面作戦をやらなければ経済の動きが大変なことになる、いわゆるスランプフレーションになるでしょうということを、非常に強く厳しく御質問を申し上げたつもりであります。
 そのときの大臣のお答えは、これは大体私の考え方と同じような方向でやっておるのだ、あるいは考えでやっておるのだという御答弁であった。それに対しまして、私はさらに反論をして、お考えはそうであるかもしれぬけれども、態度と行動で示してもらわなければいけない、われわれが見るところ、政府がやっておられる財政経済政策は、単に総需要抑制である、単にインフレ抑制である、一正面作戦にしかなっていない、これでは大変なことになりはしませんかということを厳重に忠告をするという意味で御質問を申し上げたつもりである。
 自来、日本の経済評論家等があのころの景気のカーブを切りかえるということについて――私の持論は予算委員会においてもたびたび申し上げているが、政府に大体カーブを切るのが半年おくれておる、常に半年おくれておる。私は、日銀総裁も、あなたが考えついたときは半年おくれているのだから、今後何かやるときには半年繰り上げてやるように注意しなさいとまで、大変失礼な言い方だけれども露骨に申し上げたこともある。したがって、半年おくれてカーブを切ったということについて、だれか同じような意見があるかないかと思ってずっと見ておる。
 最近、公定歩合が、ちょうど私が言ってから六カ月目、六カ月より二日前の四月十六日に〇・五%切り下げられた。私は十月十八日だったから、文字どおり六カ月ならば四月十八日ということを、私は去年の暮れから演説会や座談会でしゃべっておる。記録もあります。だから、われわれ六カ月前からそう言っているのだ。
 それを政府が半年おくれてカーブを切って、カーブを切ったときには、すでに経済界は自信を失っておる、消費者も自信を失っておる。お先真っ暗である。したがって、予想外に貯蓄率もふえた、予想外に企業の動きはぬるい、設備投資はもちろん動かぬ、こういうことになれば、それが法人税の減収となり、所得税の減収となることはきわめて必然的である。したがって、予測せざる減収という意味は、政治的には政治責任がぼけておる。経済的には、どこをどういうふうに予測しなかったのか、それが私に全然わからない。
 私は念のために申し上げますが、今度の公定歩合の引き下げでも、余りに遅かった、余りに少なかったという――これは私は何も財界の言うとおり賛成しませんが、しかしながら、大体においてそうである。したがって、だれがどういうふうに批判しておるかということをいろいろ研究して注目しておりましたところが、日興リサーチセンター理事長の宍戸君は、あれはやはり九月にカーブを切るべきであったということを言っておる。私は十月であるから、宍戸君の方はもう一カ月早いのですが、いずれにいたしましても、九月か十月にカーブを切るべき経済政策の転機を迎えておったのに、それを転機を転機として受け取らなかったというところに経済の見通しの大きな誤りがある。
 したがって、それは誤りがあったかなかったか、それをどういうふうに評価をされておるのか。また誤りがあったということならば、単に予測せざるといったようなことではなくて、まことに申しわけないが、予測し得なかった情勢でこういうふうになったというふうに言わなければ政治責任がぼける、こういうふうに思いますが、大臣のお考えはいかがでございますか。
#43
○大平国務大臣 今日の経済は、先ほど申しましたように、大変実態の掌握がむずかしい状況でございますこと、御案内のとおりでございます。しかも、それは深刻な不況現象も世界的なすそ野を持っておるわけでございまして、日本だけの局地的な状況でないことも御案内のとおりでございます。したがって、今日こういう状態に対してどういう処方せんをもってこれに対処するかということについて、この処方せんの案出自体がむずかしいわけでございますが、しかし、こういう処方せんを実行した場合に、果たしてそれがどこまでどういう姿で効果があるのかという測定自体が、また第二段でむずかしい局面に逢着するわけでございます。
 したがって、この不況が起きまして、経済の混迷、停滞が続きまして、どうすべきであるか、どうしてはいけないかということにつきまして、日夜政府も苦吟を重ねてきたわけでございますけれども、はっきりとこうすべきであるという方寸がなかなか立たなかったわけでございます。これにはいろいろな御批判があろうと思いますけれども、九月にちゃんと進路を決めるべきであったじゃないか、竹本さんは、十月にちゃんとすべきであったじゃないかとおれが言っているじゃないかという御指摘でございますが、それも私承知いたしておりますけれども、そういう手はずにまいらなかったことは、事態が余りにもむずかしい局面を迎えておったわけでございます。
 私は、いまなおそういう状態が続いておると思うのでございます。したがって、こういう状態になりますと、こういう手を打てばこういう結果が出てくる、しかし、こういう手を打てば逆にこういう結果がまた出やしないかという心配も同時に出てまいりまして、なかなか決断がつかないということもありがちなことを御理解いただきたいと思うわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても今日まで、われわれの能力が足らないで、事態に即応した対応力をタイムリーに発揮できなかったことは、私は大変申しわけないと考えております。政治責任は一にかかって私にあるわけでございまして、どんな責任でも私は負わなければならぬと考えておるわけでございます。
 ただ、最近ようやく経済の状況も、在庫調整がだんだん進んでまいりましたこと、それから個人消費にも若干明るい面が出てまいりましたこと、出荷も順調に進んでおりますし、生産の落ちも、落ち方がだんだんと小幅になってまいっておりますので、少しずつ局面が霧がとれかけてきたように思っておるわけでございます。
    〔「山本(幸雄)委員長代理退席、委員長着席〕
したがって、私どもとしては、こういう事態を見誤らないでタイムリーに打つべき手を打たなければいかぬのじゃないかということで、いま鋭意検討を進めさせていただいておるところでございます。
#44
○竹本委員 景気論争はまた改めてということにいたしまして、これ以上時間を割くのはもったいないのでやりませんが、ただ、誤解のないように申し上げますと、私が十月に申し上げたときにも、私は総需要抑制をやめろというようなことは一口も言っておりません。これは、インフレを抑えなければならぬし、むしろ逆に、総需要抑制には行政機構の改革とかその他思い切って、中小企業に打撃を与える面でないより本質的な面で、総需要抑制の打つべき手はまだある、だから、全体としての需要というものは抑えなければならぬのだ、片一方、切り捨てるもの、省くもの、そういうものをやって、同時にそのかわりに不況の救済の政策を考えるべきではないかということを申し上げたので、方向を転換しろという意味とか、総需要抑制をやめろという意味で私は申し上げたのではありません。
 同時に、インフレについて政府が非常に慎重な態度をとっておられる、これは私はむしろ高く評価をいたしております。おるのですけれども、その余り、二正面作戦への配慮が足りなかった。したがって、公定歩合の引き下げを初め全体としての施策がタイミングにおいて若干のずれがあったということを私は指摘したいわけであります。
 大体、この経済政策というものは、だれがやってもむずかしい問題でありますし、例の調整インフレの問題のときにも、私どもは、円の切り上げも避けることはできないのではないかとか、あるいは少なくともあそこで調整的な努力をやって、いわゆる調整インフレなんといって一兆円かの予算をふくらましてみたりしたようなことは間違いだという意見でありましたけれども、それも何だか時期を誤ったりあるいは方法を誤ったりしている。
 だれがやってもむずかしいこともわかるけれども、大体、経済の基本的な政策というものが、一つはタイミング、一つはその方法論で、とかくわれわれが期待する方向でないものですからいろいろ申し上げました。したがって、今後はどうかそういう意味で、いろいろとそういう政府と反対あるいは違う意見をやはり十分くみ取って誤りなきを期していただきたい、これは要望を申し上げておきたい。
 それから、たばこ、酒の法案の問題でございますが、これは先ほど大臣も言われたけれども、財政需要がだんだんふえるというお話が特に強調されたようでございますが、ぼくは同時に財源が、いま言ったような意味でスタグフレーションの結果、ことしもまた所得税あるいは法人税、その他の税金、土地の譲渡もみんなそれこそ予測し得ないぐらいに下がっていく。そういう場合の税金の増収は、三千五百億にしろこれは大変な問題じゃないか。そういう意味で、この問題に対する取り組みが、これまた余りに事務的になっておるというふうな感じをぼくは受けるのです。
 そこで大臣に伺いたいことは、二つですが、このたばこ、酒法案というものは、財政需要はどんどんふえる、しかも一方では減収がある、したがってこれはきわめて重大な歳入に関する法案であると思うがどうか。
 次には、その重大な財政歳入法案であるにかかわらず取り組みはきわめて事務的であって、だから結果において期日が来たけれども間に合わぬというような、ある意味において醜態を演じておる。これは政治的決意や決断、取り組みというものが手ぬるかったということになると思いますが、この法案はそういう重大性を持っておると見ておられるか、そういうお考えであるならば、それに対してその重要性に応じたような適宜適切な取り組みが行われたのであるかということについては、どういうふうにお考えでございますか。
#45
○大平国務大臣 この法案は、仰せのとおり、財政にとりまして非常に重要な法案であると考えております。政治全体にとりましてどのように御評価いただいておりますか、私はよく存じませんけれども、財政にとりましては非常にバイタルな、重要性を持った法案であると心得ております。
 したがいまして、当初から私どもといたしましてはこれの成立を期しましてあらゆる努力を傾けておるつもりでございますけれども、力足らず、まだ十分に野党の皆さんの御理解を得るに至っていないことは大変残念に思っておりますが、今後一層努力をいたしたいと考えております。
#46
○竹本委員 地方財政の危機あるいは赤字という問題が非常に問題になっておりまして、危機の原因は何であるか、インフレであるか、不況であるか、あるいは超過負担であるか、あるいは福祉行政の必然性であるか、あるいは人件費であるか、いろいろ議論がありますが、これも時間がありませんので省きます。
 しかし、方向として将来私どもは地方に財政の確立を期する意味においては、何としても自主財源を与えなければならぬではないかということを考えておる。もちろん自主財源で一遍に間に合うわけにもいきませんので、交付税を野党は大体三二%を四〇%に上げろというようなことを言っておるわけですが、大臣に伺いたいのは、一つは、地方の自主財源充実についていかなる構想を持っておられるか。それが間に合わないというような過渡的な段階については、交付税の四〇%引き上げといったようなものを検討される御意思があるのかないのか、その点だけお伺いしたい。
#47
○大平国務大臣 私は、地方財政の危機をもたらしたものは何かということにつきましては、中央であれ地方であれ、財政の今日の危機をもたらしたものは、あなたがおっしゃるように、制度の面がないとは言えませんけれども、やはり根本は心構えの問題だと思うのです。財政が体質的に非常に硬直化いたしておるにかかわらず、それに対しまして柔軟に対応するだけの用意を中央地方を通じての行政当局が十分持っていないところに危機の原因が胚胎しておるのではないかと考えております。
 しかし、それはともかくといたしまして、竹本さんは地方に自主財源を十分用意して差し上げるべきじゃないか。そのためには地方交付税交付率を引き上げる考えがあるかどうかというお尋ねでございます。
 ずっと地方財政の歴史を見てみましても、地方財源は、地方税にいたしましても、地方譲与税、地方交付税、そういったものはずっと戦前、戦後を通じまして私は非常に安定した歳入源になっておると思うのであります。最近になって特にそれが落ちておるとは考えていないのであります。しかも地方財政の問題は、こういう自主財源の問題ばかりでなく、地方債制度の運用の問題もいろいろありますので、われわれの手中にある政策手段を有効に使ってまいりますならば、制度的には十分対応できるのではないかと思っておるわけでございまして、交付税率を引き上げるというような考えはいま私は持っておりません。
#48
○竹本委員 これもなかなか根本的な問題につながっておりますので、あとは各論を一つ二つお伺いしたい。
 一つは、地方の自主財源を充実したいという基本的な立場からですけれども、消費をとらえて税金をかけるといったようなものはひとつ地方に移譲したらどうか。大分乱暴な言い方になりますけれども、今後の税の体系をやる場合に、生産の面は国が押さえる、しかしながら消費の面は、地元で消費して地元で暮らしている、その消費をとらえてかける税金というものは大体地方へ譲るべきだということが、これは私もまだ結論に達しておりませんから、特に主税局長のすぐれた専門的な意見を聞きたいのだけれども、そういうことは不可能であるかどうか。
 具体的に一つ申し上げますと、たとえば昔、酒消費税というものがあった。これは二、三年で、二十三年から二十五年かで終わってしまったのですけれども、酒消費税というものも技術的に困難な点もよくわかりますが、しかしながら、一つの発想として、あるいは考え方として、私がいま申しましたように、消費税というものはなるべく地方の自主財源にするのだ、それが形において付加税の形であろうがそれは別といたしまして、とにかく前にあった酒の消費税というようなものをもう一遍考えてみることは妥当でないか、適切でないか。
 特にそれは税の技術の問題もありますけれども、政治的な要請から言えば、地方に何とか自主財源を与えなければならぬ。地方財政のでたらめなんというものは切り捨てなければならぬことはもちろんでありますけれども、いずれにしても、福祉国家ということになれば地方における財政需要というものはだんだんふくらんでいくのだから、全部が交付税とかというような形で一種のあてがいぶちになる、自主的な努力というものの余地がどうにもないというようなことでははなはだ残念でございますので、ひとつ酒の消費税というものをもう一遍考えてみてはどうかというふうに思いますが、考える余地があるかどうか。また、どういう点に難点があるか、どういう点なら検討に値するのか、その辺について主税局長の専門的な御意見をひとつ聞きたい。
#49
○中橋政府委員 ただいまおっしゃいましたように、地方団体に自主財源を与えるということは確かに必要なんでございますけれども、自主財源と申しますときに、独立税もございますれば譲与税とか交付税という形のものもございます。私はこれはいずれも自主財源と思っておりますから、その三者の組み合わせをどういうふうにするのかというのが一つの大きな問題だと思っております。
 わが国のように非常に狭小なところに数多くの地方団体がありますときに、いわゆる自主財源の中で独立税のウエートを非常に高めるべきかどうかということは、一つの大きな問題ではなかろうかと思っております。
 それはまた別にいたしまして、それでは独立税としまして地方財源を考えます場合に、いまお示しのようなかつてわが国でも行いました酒消費税のようなものをまた考えることはどうかということになりますれば、やはりその独立税としての地方財源としての要請があると思います。
 しかし、第一には安定性ということが、やはり地域を限られておりますところの地方団体でございまするから、どうしても考えなければならないものだと思っております。
 それから第二には、地方団体と申しましても、行政の水準を地方団体の住民はかなり均一のものを選ぶのがわが国の状態でございまするので、なるべくは独立税と言いましても普遍的に各地方団体に財源を与えられるようなものが望ましいと思っております。
 それから第三番目には、やはり税金でございまするから、なるべくは徴税コストのかからない能率的な税が望ましいというふうに思っております。
 そういう三つの観点から申しまして、おっしゃいますように、消費税を地方独立税の中に考えるという面は一つ研究をいたさなければならない問題でございまして、それはむしろ安定的な面を重視するということからでございます。
 しかし、酒消費税におきましても、わが国では二年間やってみましたが、第二に私が申し上げております基準から言いまして、その収入が果たして今日かなり普遍的なものであるのか。やはり消費地と申しますか、所得の高いところにおきましては高級のお酒が売られるわけでございますから、財源の普遍性という意味においてはもう少し勉強してみなければなりませんけれども、難点があるのではないかというふうに思います。
 それから第三番目の徴税技術の点から申しますと、これはまさに昭和二十三年、二十四年に設けました酒消費税についてシャウプ使節団から勧告されましてすぐ廃止をしました大きな理由になったわけですけれども、酒に対する税金といいますものは、何といいましても国で取っております酒税が大部分でございますから、その酒税を取りましたほかに、各地方公共団体でまたそれぞれの徴税コストをかけて、しかも数多く、現在大体十四、五万ぐらいございますお酒の小売店で取るというふうにいたしましても、かなりの徴税コストがかかるわけでございまするから、そういうものはシャウプ勧告で指摘されましたように、やはり行政的には一元的に税収をあげた方がいいのではないかという気がいたします。
 そういう観点から、今日、酒税の中で三二%というものを地方団体の自主財源の大きな一つであります交付税の財源としまして地方公共団体に配賦をするという方が、第三番目に私が申しました理由から言いましても適当ではないかというふうに、いますぐ御質問にはお答えするわけでございますけれども、酒消費税というものが過去において果たしました功罪というものは、もう一遍見直すことも必要であろうかと思っております。
 たばこ消費税というようなものになりますれば、むしろ私が申しましたような普遍性それから徴税コストとしましては、日本専売公社というものがございますから、非常に簡便であるという点では適しておると思いますので、そういった観点もあわせまして、お示しの点についても今後検討いたしてみたいと思っております。
#50
○竹本委員 いまポイントを三つ挙げて御説明がありましたけれども、安定性の問題は消費そのものが安定あるいは向上するということの前提があるわけですから、これは大して問題はない。
 問題は、いまの普遍性といいますか、そういう要請にこたえ得るかどうかという問題、それから徴税技術の問題、特に普遍性並びに徴税技術の問題を考えて、前に入場税を国が取って、九割を地方へ回したというような例があるので、その入場税の方式をいまの酒の蔵出し税に持っていって、そういう考え方でひとつ対処はできないか、その点はどうですか。
#51
○中橋政府委員 確かに昭和二十九年でしたか、入場税を国税に移管いたしまして、その大部分、しばらくしましてはその全額を地方に譲与税として配賦した歴史がございます。そのときのねらいといたしましては、やはり道府県民税を設定いたしますとか、それから普遍的なたばこ消費税を府県、市町村に与えますとかということを考えながら、入場税を国税に移管し、これを譲与税といたしたわけでございます。
 そういうような観点から申しまして、いまお話しのように、酒消費税というようなものも頭に置きながら、酒税として一元的に国で取りまして、その部分を譲与税的に配賦いたすことも一つの方法かと思っております。
 今日は酒税そのものは、その三二%を交付税として、むしろ基準財政需要額と収入額との差額ということで地方公共団体に配賦をいたしておるわけでございますが、その一部を譲与税として配賦するというのも確かに一つの道ではありますけれども、今日の体系を大きく変えまして、酒税収入の中でその一部を譲与税化し、残ったものが今日の現行体制と同じように交付税として配賦するというのがよろしいか、これはやはり研究をしなければならない問題を含んでおると思います。
#52
○竹本委員 いまの問題はそういう総合的な検討が要ると思うのですがね。しかしながら、地方に自主財源を与えるという一つの大きな政治課題に取り組むために、やはり前向きに一度検討してみてもらいたいという要望を申し上げたいのです。
 それからなおこれに関連して、消費税というものは地方へという、たばこ消費税が一つそういう芽を出しているという先駆的な役割りを持っているんじゃないかと私は思いますが、たばこも地元で消費する、その消費したところへ税を落としてやるというような形になれば、やはり大きな将来の税の体系として、たばこ消費税といったようなものを地方にやる、それも今度は、いま二八・四%でしたかね、そういうような率をいろいろ変えることによって、いまの入場税方式にまで持っていけるかどうか、これはいろいろむずかしい問題もありましょうが、しかしいまのままでなくて、やはりもう一遍これも地方の自主財源を与えるんだという立場で再検討する余地はないかという点、もう一度お願いしたい。
#53
○中橋政府委員 たばこ消費税をつくりましたときは、安定的な地方の自主財源の一つとして設定をしたわけでございます。設定をいたしましたときには、たしか価格割りで府県、市町村にたばこ消費税というのを設定いたしましたけれども、その後の事情から言いまして、むしろやはりもっと普遍的にたばこ消費税を各地方団体に付与するという意味におきまして、今日のような形の本数割り的な考え方が導入をされたわけでございます。それをさらに入場税方式の譲与税で分けるということは、なお一層、いわば人口割りに比例しましたところの財政事情に応じたという形での一つの配分方法だとは思いますけれども、またそれが財源変動をかなり生じますので、そういった面の特質もあわせて検討しなければならないと思います。
#54
○竹本委員 この際、酒の消費税やたばこ消費税を地方自主財源という形で御検討願うことにしておきまして、ちょっと関連して、国税と地方税の課税の一元化といいますか、一本化といいますか、そういう問題も、地方の財政が困っているときにわざわざ税務署に写しに行ったり戻ったりするようなへまなことをやらないで、もう一歩前へ進めたらどうか。そうすれば、人件費その他の負担も軽くなるし能率も上がるし、もう一方から言えば、課税の上の適正を期することもできるというふうに思いますが、その点について大臣と主税局長のお考えをひとつ承りたい。
#55
○中橋政府委員 今日、国税の税務職員が五万、地方公共団体の税務職員が約八万ぐらいおると思いますが、おっしゃいますように、徴税コストをできるだけ節約をする、その仕事を能率化するという意味におきまして、できるだけ重複しておる仕事を一本化する必要は今日でもなお私は多々あると思っております。たとえば所得税と住民税、事業税の申告書というものは一本になり得る道は講ぜられましたけれども、なお法人関係の税目につきましてそういった道が講ぜられないか、あるいは徴税上におきましてもお互いに協力をする道をもっと進められないかということは、大きな検討課題だと思っております。
 私は、基本的には、地方自治というものが一体そういう国税と地方税を課税し徴収することにおいての共助関係でどの程度まで可能であるかということは、私どもやまた自治省あるいは地方公共団体ともに真剣に検討しなければならない問題だと思っております。必ず独立税を自分の手で取らなければ地方自治が完全に行えないということはないわけでございまして、たとえば英国におきましても、もう長い間レートという固定資産税一本で地方団体の財源、独立税は賄われてきておりますけれども、りっぱに地方自治は守られてきているというふうにも聞いておりますし、また一方には、アメリカのような広大な国におきましては、連邦、州あるいは市町村というものが全く独立の権限でもって課税をやらなければならないというようなたてまえの国もございますけれども、わが国の中におきますところの地方自治が、一体そういう国と地方公共団体の課税、徴税の面においてどこまでお互いに共助できるのかということは、おっしゃいますように、なお今後とも真剣に検討しなければならないというふうに思います。
#56
○大平国務大臣 中央地方を通じまして重複を避けて合理化を進めて徴税コストを下げてまいりますということは、納税者は一本でございますから、中央も考え、地方も考えてまいらなければならない共通の課題だと思うのでございまして、私ども機会がございますならば中央地方とよく話し合って、そういうことの実現の方向にできるだけ努力をしたいものと思います。
#57
○竹本委員 これはある意味から言えば、この問題はずいぶん長くから問題になっている問題ですから、いまのように地方の財政も自分の収入の三割なり五割なり、多いところは八割、九割はみんな人件費に食われて、ろくな仕事のできる財源はない、こういうような地方財政の危機に立っているから、いま主税局長が言われるように、財源の配分が市町村のものか県のものか国のものかということが問題なんで、だれが調査するか、だれが徴税、課税するかという事務の問題とは問題が別ではないかと思うのです。
 そういう意味で、もう少し割り切ってやるべきではないかということと、それからこれほど長年論ぜられていることが、いまも主税局長はこれから大いに検討するという話だけれども、ではいままで余り検討されていないというか、少なくとも余り結論が出ていないようですけれども、これは大臣、もう少し積極的に――こういうふうに私は財源が枯渇するというか財政が赤字で困るというときは、資本主義的な原則から言えば、そのときがいまの体制を本当に合理化する絶好のチャンスなんですね。そのときにそれをごまかしておれば、いまの経済、社会のむだあるいは矛盾、そういうものを乗り越え、克服するチャンスはなくなる。だから、ある意味においていまはいわゆる洗い直しといいますか、全部洗い直してより合理的なものに秩序をつくり直すという最大のチャンスですから、その点はひとつこのチャンスを逃がさないようにやってもらうという要望が一つ。
 最後に大蔵大臣に、先ほど一番最初にも申し上げましたけれども、この法案は特に財源枯渇というか、財源が足らなくて困っている場合に、その歳入を補償する重大な法案である。これは金額から言っても両方あわせれば三千五百億からの財源になるわけですから、金額、数量から見ても非常に重要な問題である。
 それから第二には、これはいわゆる大衆課税としていろいろ批判が厳しい。批判が厳しいということは初めからわかっておるのだが、それにもかかわらず重大な政治決意をして閣議でも決めてこれを国会に出されるということだと思うのですね。そうなると、それだけの決意と犠牲を覚悟しながらとにかく出されて、その法案が間に合わないとか、あるいは通らないとかいうことになれば、これは重大なる大蔵大臣の責任になる、あるいは内閣の政治責任になるというふうに思いますが、その政治責任をどういうふうに見ておられるのか、またどういうふうに受けとめようとしておられるのか、その辺の決意のほどを承って質問を終わります。
#58
○大平国務大臣 仰せのとおり、財政にとりまして重大な法案でございまして、この成否は、財政の執行上の重大な問題であるばかりでなぐ、内閣の問題といたしましても大きな課題であると思うわけでございまして、したがいまして、私にとりまして大きな政治責任の問題であると私は承知いたしておるわけでございまして、国会の御理解を得まして、私どもが所期いたしておるとおり早く成立をいたしますように、ベストを尽くしてまいりたいと思っております。
#59
○竹本委員 以上で終わります。
#60
○上村委員長 増本一彦君。
#61
○増本委員 引き続いて保留分についてお伺いしておきたいと思います。
 私は、もう一度政府や公社当局に資料の提出については再考を促したい。きょうの理事会で、人払いをして監査報告書の問題の五十三ページ、五十四ページは閲覧をさせていただきました。しかし、そういうことで今回のようなこのたばこの価格を決定する上で重要な原価の問題を処理してよいのかという問題は、やはり国会の審議権とのかかわりでも大問題であるし、何といっても国民の納得のいく価格の決定をしていくという点では、国民の監視というものは大変重要な問題だと思う。
 そこで、もう一度お伺いしておきますけれども、これまでの経過を踏まえた上で、さらに、この監査報告書の皆さんが取り除いて破いて留保している部分について、私はあくまでも提出を求めたいのですが、お出しになる気持ちはありませんか。
#62
○泉説明員 たばこの銘柄別の原価につきましては、専売国と非専売国とを問わず、どこのたばこ企業もこれを公表いたしておらないのでありまして、したがって、世界じゅうどこもやっていないことをわが専売公社にお求めになること、お気持ちはわかりますけれども、大変苦しいことでございますので、何とぞ御勘弁をいただきたいと存じます。
#63
○増本委員 まず、一体この監査報告書というのはどの範囲まで配付されているものですか。支社長とか工場長とか、各部長や課長までは配られているはずではないかというように思うのですね、あの装丁から見ましても大変りっぱなものであるし。だから、一定の部数が大蔵省、専売公社の内部では当然それが配付をされて、業務活動やあるいは行政の上で十分参酌されているはずですよ。まず、その配付をされている範囲はどの程度のものなのか、その点お答えください。
#64
○泉説明員 お答えいたします。
 私は、現在、個々の配付先全部を知っているわけではございませんけれども、お話しのように、専売公社の地方支部部局といたしましては支社、地方局がございますので、それぞれ支社、地方局には配付いたしております。その支社、地方局でも、もちろん支社長、地方局長だけでなしに、各部長がおりますので、部長までは配付いたしておると存じます。
#65
○増本委員 専売公社の支社や地方局の部長クラスまでは配付をされておって、そしてわれわれ国会議員にはその全貌は出さない。それは国際競争力を問題にして、国会議員には、それを見せることも、ようやくこれまでの手続で、ただ閲覧だけですよ。手元に渡してくれるということもしない。これは国会議員にこそ、皆さんにとってだって、たばこの定価を決める上でも、それから専売の業務を進めていく上でも、それをよりよいものにしていくという点から言ったって見せるべきじゃないか。それを国会議員にそこまで見せないで、そこでは全部シャットアウトしてしまうというこの態度が、私は全く許せないと思うのです。
 これは一つは大蔵大臣に提出されるものですよね。大臣いかがですか、支社や地方局の責任者や部長までは配付をされているという性質のものですよ、それがなぜ国会議員には全部を配付なさらないのか。あなたのところにも送られているわけですけれども、言ってみれば監督官庁の責任者として、大臣の方でしかるべくこれは私どもにもその資料は完全なものを提出されるように措置をとられるべきであると思いますが、いかがですか。
#66
○大平国務大臣 国会の御審議は、行政府といたしまして最高の敬意をもちまして尊重申し上げ、御協力申し上げなければならぬことはよく心得ておるつもりでございます。したがいまして、よくよくの事情のない限りは、あらゆる資料の御提出につきましては最善を尽くして御要望に応じておるつもりでございます。監査報告にいたしましても、いま問題の銘柄別の原価にかかわる点を除きましては全部差し上げておりますことも御承知のとおりでございまして、そのひっかかりまする一点につきましては、るる専売公社側からも申し上げて御理解を得ておりまするように、企業の秘密といたしまして部内だけにとどめておるもののようでございますので、増本委員におかれましては、せっかくそういうことでかたくなに秘密を守って鋭意仕事をしておるようだということでございまするので、しっかりやれという意味で御鞭撻を賜りたいものと思います。
#67
○増本委員 しかも、これは過去のものですよね。四十八年までの名品目別の原料が、それぞれの銘柄別でどのくらいのポジションにいっているのかということ、そのことだけが書かれている資料でしょう。国際競争力を云々するのだったら、いまの時点で製造原価がどのくらいで、その構成要素がどうかということが問題になるはずですよ。過去、かつてこのような構成であったということが図示されているだけの資料ですよ。それも国際競争力を理由にしてお出しにならないという点は、これはもう国際競争力そのものも拡大解釈をして、ただただこの国会に何のためにこういう資料を出さないのか、納得できる根拠にならないと私は思うのですが、いかがですか。
#68
○泉説明員 御承知のとおり、現在は過去の上にでき上がっておるものでございますので、過去の数字だからいいじゃないか、現在の数字でなければいいじゃないかとおっしゃられましても、どうも私どもとしては、それだからお渡しするというわけにまいりません。先生には別途私どもから、その名前は表示してございませんけれども、A銘柄、B銘柄として、代表的な銘柄につきまして、その総原価が過去どういうふうになってきたか、またマージンがどういうふうになってきたかということ、それから地方消費税がどういうふうになって、益金率がどういうふうに下がってきたかという資料は差し上げておりますので、今回の定価改定につきましての御審議にはその資料をごらんいただければ、必ずしも監査報告書をごらんにならなくてもこれでおわかりいただけることだと思いますので、どうかその辺はよろしく御配意いただきたいと存じます。
#69
○増本委員 私が質問をしていく上で必要なこういう資料が、ほかの行政官庁当局や公社の一定の部分にまでは明らかにされて――しかし、たとえば人事やあるいは販売の方をやっている人たちは、その製造原価のそこの部分は本来必要ないでしょう。その衝に当たっている人だったらあるいは必要かもしれません。ところが、そういうものに関係なく一冊の監査報告書として地方局の部長にまで配付をしているわけでしょう。配付をするそのことを私はいかぬとは言っていないのです。それはいいですよ。仕事のために必要なことは大いに知識を豊富にしてやるというのはいい。
 われわれ国会議員は、その行政を監督したり、いろいろ監視もしたり意見も言わなくちゃならない。また、政策的な提起も積極的に政府にしていかなくちゃならないわけでしょう。そのときに、国会議員の方には秘密だからということで、それを出しもしない。その姿勢が問題だと言っているのです。それはA銘柄、B銘柄で、総原価とマージン、地方税、益金、これに分けた一定のものは出ています。しかし、原料やあるいは材料が、総原価の中でどういう変化をしているのかというのは、いただいたこの資料ではわかりませんね。全部一律、総原価の中でこのたばこの葉の占める割合が何%というぐあいに定率ではないはずだと思うのですね。だからこれで全部質問に事足りるというふうに判断するのは、これまたきわめて僣越だと思うのですね。
 私がこういうことを問題にするのは、結局、国民の納得のいく価格の決定というものが公明正大にやられる必要があると思うからです。それをわれわれが代表して国会の中でこのたばこ定価法の法案の審議の中ではっきりさせていく。そしてこれからも国民の納得のいく価格の決定をしていく方向で改善もしていかなくちゃならない、問題提起もしていかなくちゃならない。だから、この原価の問題というのは私はゆるがせにすることができないから問題を出しているわけです。
 原価と費用と利潤が適当なバランスを保っていなくちゃならないというのは、これはもう経済の原則であるはずですよ。それを前提として財政専売か公益専売かという問題もあるでしょう。しかし、その中でも、あるべき政策の態度や何かを決めていく上ではこのことは私は大きなポイントであると思うから、あくまでもその資料の提出を求め、その点では公明正大にやってもらいたいということを要求しているわけです。
 皆さんがせんだっての審議でも心配なさっておられる国際競争力というのは、日本に占める外国のたばこのシェアでいけばわずか一・〇四%だという話まであったわけですね。九九%は国内産のものだ。しかもその外国のたばこの価格は、政府が国内産のたばこの価格をも考慮して決めるわけでしょう。自由にその外国のたばこの商人や業者が入ってきて値段を決めて、そして安く売るとかいうようなことでやっているのじゃないということになっているわけですね。だから、そういうのは別の面でコントロールできるわけですから、これは国民の納得のいく価格の決定をしていくという上では、資料を当然国会に公表するとか、必要な資料は議員にきちんと渡すという、ここのところでは分け隔てがあってはならないと私は思う。専売公社の職員の皆さんと私たちと、その職務柄の重要度において大きな違いがあるというものでもないでしょう。むしろ逆に、国民の負託を受けているこの国会こそ、その点では皆さんだって重視をしなければならぬはずです。だからこの点は、私はとうてい納得ができません。もう一度、国民の納得のいく価格の決定をしていくという立場に立って、これはひとつその観点から考えてもらいたい。
 こういう資料の問題、あるいはほかの財政経済の運営の問題でも政府に必要な資料を求めて、それとの関係で、いろいろ質問や政策の提起の仕方等については、われわれとしてもそれぞれの配慮をしなければならない点も、当然事柄の性質によっては出てくると思います。しかし、資料だけはわれわれ国会の側にはオープンに出して、そして問題の本質はしっかりと理解するように、そういう機会はきちっと保障していく、そういう態度で政府は国会に対して臨んでもらいたいというように私は思うのですね。その点で、今後の方向も含めて、もう一度大臣から見解を伺って、私の質問は終わりたいと思います。いかがですか、大臣。
#70
○大平国務大臣  立法府と行政府が民主国会におきまして、司法も含めまして、それぞれの立場を守りながら相互に牽制し、相互に協力しながら、緊張した関係において国政が運営されておることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、その行政府と立法府との間にはおのおの守るべきルールが決められておるわけでございまして、私どもといたしまして、この二大勢力がお互いの立場を尊重し合い、お互いに牽制し合い、お互いに理解し合って、それぞれの任務を十全に果たしてまいることを期待しておりますことは、増本さんと私、全然変わりありません。
 問題は、行政府と立法府の間でどういうことが許され、どういうことが許されないかということでございまして、資料の提出につきまして、この点だけは御勘弁いただきたいというのが行政府の立場でございますし、国民的な監視のもとで公正な価格を決定する場合には、あらゆる資料がアベイラブルな状態においてなければならぬというお立場の御発言でございまして、それはそれなりに私も理解できるわけでございますが、行政府は行政府の立場で、先ほどからるる申し上げているような制約を持っておるわけでございまして、部外に対しましてこれだけは秘としなければ経営について重大な支障が生ずるおそれがあるという判断に立っておるわけでございまして、この行政府の判断もまた国会の方でも御理解をちょうだいいたしたい、これは私、議論でなくて、むしろお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。
#71
○増本委員 この問題については、後からもまた同僚の委員等を通じてさらに私どもは当局との間でひとつ議論をしてまいりたいと思います。それでは、持ち時間の関係もありますので、とりあえず私の質問を終わります。
#72
○上村委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後五時十二分休憩
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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